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1963-03-07 第43回国会 衆議院 社会労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月七日(木曜日)    午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 秋田 大助君    理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君    理事 澁谷 直藏君 理事 藤本 捨助君    理事 柳谷清三郎君 理事 大原  亨君    理事 河野  正君 理事 小林  進君       井村 重雄君    伊藤宗一郎君       浦野 幸男君    佐伯 宗義君       田中 正巳君    中野 四郎君       中山 マサ君    楢橋  渡君       早川  崇君    松浦周太郎君       松田 鐵藏君    松山千惠子君       米田 吉盛君    渡邊 良夫君       五島 虎雄君    田邊  誠君       滝井 義高君    長谷川 保君       中村 英男君    八木 一男君       吉村 吉雄君    井堀 繁男君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         厚生政務次官  渡海元三郎君         厚生事務官         (大臣官房長) 熊崎 正夫君         厚 生 技 官         (医務局長)  尾崎 嘉篤君         厚生事務官         (社会局長)  大山  正君         厚生事務官         (児童局長)  黒木 利克君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    新保 実生君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 三月六日  国民健康保険事業国庫補助増額等に関する陳  情書  (第二九六号)  同  (第二九七号)  し尿処理施設補助金増額に関する陳情書  (第二九八号)  同  (第二九九号)  看護婦等修学資金貸与制度拡充に関する陳情書  (第三〇〇号)  成人病対策強化に関する陳情書  (第三〇  一号)  同  (第三六五号)  同  (第四五九号)  国民年金事務費交付金増額等に関する陳情書  (第三〇二号)  重度心身障害者国立収容施設設置に関する陳  情書  (第三〇三号)  国民健康保険事業改善に関する陳情書  (第三〇四号)  結核予防法に基く命令入所適用範囲拡大に関す  る陳情書(第三  〇五号)  社会福祉協議会専任職員設置に関する陳情書  (第三五三号)  し尿処理改善対策に関する陳情書  (第三五四号)  社会保険診療報酬地域差撤廃に関する陳情書  (第三五五号)  同  (第三五六号)  同(第四〇九号)  国民健康保険国庫負担に関する陳情書  (第三五七号)  特別失業対策事業及び臨時就労対策事業廃止に  関する陳情書  (第三五八号)  同  (第三五九  号)  国立療養所寝具制度実施に関する陳情書  (第三六〇号)  結核治療薬エチオナミド早期使用許可に関  する陳情書(第三  六一号)  同(第四八一号)  組合に対する療養給付費国庫補助金頭打ち方  式廃止等に関する陳情書  (第三六二号)  失業対策事業存続に関する陳情書  (第三六三号)  失業対策事業改善に関する陳情書  (第三六四号)  同(第四六四  号)  同  (第四六五号)  国民年金特別還元融資によるかやぶき屋根改修  資金貸付対象基準引下げに関する陳情書  (第四〇七号)  国民年金事務費交付金増額に関する陳情書  (第四〇八号)  診療制限撤廃等に関する陳情書  (第四一〇号)  国民健康保険診療所県営移管に関する陳情書  (第四一一号)  社会福祉の増進に関する陳情書  (第四一二号)  原爆被害者援護に関する陳情書  (第四一三号)  清掃施設対策に関する陳情書  (第四一四号)  結核予防法による命令入所対象拡大に関する  陳情書  (第四六〇号)  業務上の災害による外傷性せき髄障害者援護に  関する陳情書  (第四六一号)  業務外せき髄障害者医療費全額国庫負担等に  関する陳情書  (第四六二号)  失業対策制度改正に関する陳情書  (第四六三号)  失業対策事業打切り反対に関する陳情書  (第四六六号)  社会保障制度拡充改善に関する陳情書  (第四六七号)  全国一律一万円の最低賃金制法制化に関する  陳情書外二件  (第四六八号)  じん肺法の一部改正に関する陳情書  (第四六九号)  同  (第四  七〇号)  同  (第四七  一号)  同  (第四七二号)  同  (第四七三号)  同  (第  四七四号)  同  (第四七五号)  同  (第四七六号)  同  (  第四七七号)  障害福祉年金増額等に関する陳情書  (第四七八号)  児童福祉施設充実強化に関する陳情書  (第四七九号)  精神薄弱児福祉年金制度の創設に関する陳情書  (第四八〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第五〇号)  医療金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第五一号)  国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第八七号)  麻薬取締法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇七号)  老人福祉法案内閣提出第九八号)      ――――◇―――――
  2. 秋田大助

    秋田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出母子福祉資金貸付等に関する法律の一部を改正する法律案医療金融公庫法の一部を改正する法律案国民健康保険法等の一部を改正する法律案麻薬取締法等の一部を改正する法律案及び老人福祉法案、以上五案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
  3. 河野正

    河野(正)委員 医療金融公庫の設立せられました目的は、御案内のように私立、個人の医療機関設置あるいはその機能の向上に必要な長期でしかも低利の資金を融通する。特に一般金融機関ベースに乗らないようなケース一般金融機関が融通することを困難とするケース、そういうケースに対して特に資金的な配慮をしようというのが、医療金融公庫の設立せられました主目的であることは御承知通りでございます。そこで私はそういう医療金融公庫が設立されました主たる使命あるいは目的に沿うて、今の公庫そのもの運営されておるかどうか、そういうような医療金融公庫の基本的なあり方について、若干お尋ねを申し上げてみたいと考えております。  すでに御案内のように、国民保険制度が達成をされました。従って国民のすべてに適正な医療を受ける機会を与えなければならぬということは、これは国民保険が達成された今日におきましては、当然の責務であるというふうに考えるわけです。従って今の皆保険制度という医療制度の中で、しかも先ほど私がお話し申し上げました公庫法設立精神、そういう二点からながめて参りますと、この私的医療機関設置あるいは運営、病床の整備、こういう面に対しましては、この貸付条件の中で甲、乙というような区別もございますし、いろいろ制約がございますけれども、そういう制約というものは、もちろん今申し上げましたような皆保険制度あるいはまた貸付制度というものが、先ほど申し上げますように一般金融ベースに乗らないケースについて特に配慮する、こういう二面から申し上げますと、むしろ一切の私的医療機関設置運営整備については、極端に申し上げますと、すべてにおいてそういう希望があれば、そういう希望を満たしていくということが、当然基本的な建前でなければならぬと私は考えるわけでありますが、そういうような医療金融公庫の基本的なあり方について、どういうふうにお考えになり、また将来どういう方向に推進をされようといたしますか、そういう基本的な面について、若干この際お尋ね申し上げたいと思います。
  4. 渡海元三郎

    渡海政府委員 医療金融公庫は、今御指摘ありました通り国民の健康な生活を確保するに足りる医療の適正な普及と向上をその目的とする国民のためのものでございます。特に国民保険という姿になりました今日におきましては、特殊業種である医業というものは、私企業でありましても、また反面公的な性格をもって制約されておるという見地から、私たちは公的な医療機関と同様な、こういった国の特別の制度があってしかるべきである。この制度の運用によって、私的医療機関公的医療機関と共同して、わが国医療の完璧を期すという意味からも、当然特殊なこういった金融制度が設けられ、しかもこの金融制度が円滑に、今申されましたように、どの方面に向かっても拡充されていくということが当然なこととは存じます。私たちもその方向に向かいまして、資金拡充あるいは貸付条件改善ということに、今後とも努力して参りたい、かように考えておるような次第でございます。
  5. 河野正

    河野(正)委員 この医療金融公庫に対しまする基本的な考え方によって、私はずいぶん今の資金ワクの問題も、さらに貸付基準等のいろいろな制約というものも、違ってくると思うのです。そういうことで、私は医療金融公庫というものは、一体どうあるべきかという点に対しまする御所見を承ったわけでございますが、そこでわれわれが強く要望しなければならぬ点は、それは一般にもいろいろな公庫制度がございます。しかしその一般公庫制度の場合は、むしろ一つ経済ベースという問題を対象融資がされたり、貸付が行なわれるというようなことが、大体主たる貸付基準ではなかろうかというふうに私は考えております。ところがこの医療金融公庫の場合は、一般金融機関が融通することの困難なものに融通するということでございますから、一般の他の金融公庫と本質的に違うということは、この目的の中でも明らかにされているというように私どもは理解するわけであります。ところが、厚生省でやって参られました今日までの計画等を見て参りましてもわかりますように、三十八年度から六カ年計画で、全国国立病院を全部鉄筋コンクリートに改築をする、そういうような整備計画を立案されたかのように私ども仄聞をするわけです。しかもその総額は三百億と言われておる。この計画が達成されますと、昭和四十三年度には全国八十五の国立病院が、その全貌を一新するというような点を私ども仄聞をいたしておるわけであります。そこでやはり私的医療機関の場合にも、現在の私的医療機関医療施設というものが、どういう状態に置かれておるか、また全国的に私的医療機関には、いろいろと医療金融公庫に限らず、これは市中一般銀行金融機関から融資を受けておられる方々もたくあんおられる、こういうような私的医療機関施設内容実態というものを十分把握をして、医療金融全庫の貸付ワク決定、あるいはまた貸付基準の設定等々が、計画的にはかられなければならぬというように私ども考えるわけであります。そういたしますると、今度いよいよ原資が百十億になるわけですが、一体そういう原資というものは、どういう根拠から生まれてきておるのか、どういう根拠から百十億というような原資が生まれてくるのか。一般私的医療機関要求というものはもっと、これはおそらく四百億も五百億も融資対象というものがあると思うのですが、そういうような実態というものを把握して、そうして現段階においては、この程度原資が適当であるというふうに考えられておるのか。ただ大蔵省折衝して、なかなか予算の獲得が困難だ、もうやむを得ぬので、これで行こうというようなことでは、ちょっと困るのです。これは今の医療金融公庫法法律を設定した趣旨から言うと、困る。ですからそういう点について、私どもはこの際はっきりしていただく必要がある。厚生省としては、この貸付原資というものは、たとえば今の私的医療機関実態から見ると、三百億ぐらい必要であろう。おそらく現在この一般私的医療機関が、金融公庫あるいはまた中小企業国民金融公庫その他の金融機関から、あるいはまた市中金融機関から融資を受けておる額というものは、相当莫大な額になっているだろうと思う。もしその点がおわかりでありますれば、この際局長の方からでけっこうでありますけれども、お示しをいただきたいし、そういう点からこの貸付原資ワクというものが、どういう論拠によって生まれておるのか、またどういう論拠に基づいて、今日まで大蔵省折衝をやってこられたのか、そういう点についてこの際一つ明らかにお聞かせをいただきたい。
  6. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ことしの百十億の貸付ワク決定の基礎でございますが、ただ単に大蔵省とかけ合いまして、この程度だからというのでもちろんきめたのでなく、私たちは私たちとしまして、三十八年度の需要額を大体概算いたしまして、予算要求をいたしました。もちろん大蔵省財政当局の来年度の投融資額の限度がございましたので、この程度に落ちついた次第でございます。ただし、今河野委員から御指摘民間医療機関の現在の医療基準に合うところの一応の計画図を描き、その計画のもとに原資を算定すべきであるということはごもっともでございますが、御承知通り民間私的医療機関実態調査というものが、なかなか困難な状況にありますので、そういった科学的な計画はやっておりませんが、毎年言って参っておりますところの要望額、それらも勘案し、また私たち一般的に国立民間施設等を通じまして、現在の整備あり方等から、概念的ではございますが、積み上げました来年度の需要額というものを算定して、一応予算要求はやり、予算折衝の結果、今日の額に落ちついたものである、かように考えております。  なお、国立病院に対するところの整備がちゃんと計画的に行なわれておらぬではないか、こういう御指摘がございましたが、御承知通り国立病院の六カ年計画というものは、とりあえずやりました第一期の計画の完了後、引き続いて現在あります国立病院のうち、三十カ所の準基幹病院と申しますものを、ぜひとも整備しなければならないというのでやったものでございます。民間私的医療機関拡充よりも、国立を先にするというふうな気持に見受けられるかもわかりませんが、決してそうでなく、御承知通り国立病院は旧陸海軍の持っておりましたものを引き継いだために、非常に老朽化し、悪くなっております。これが整理統合できるような段階でございましたら、またその方針によってやったらいいのでございますが、今日の段階におきましては、現在のこの程度国立病院は、国立病院として残していかざるを得ないという姿でございますので、かかる以上は、あまりにも老朽化し、万一の場合には患者にも迷惑をかけるというふうな状況は、一日も早く解消せなければならぬという差し迫った状況から、とりあえず来年度から特別会計の中へ財政投融資も加えていただきまして、早急に準基幹病院を三十カ所でも整備いたしたい、かように考えまして取りかかった次第でございまして、決して民間医療金融公庫を通じての整備拡充というものを等閑に付するといいますか、あとにするという考えではありませんので、この点だけは御了承を賜わりたい。  なお、細部数字積み重ね等につきましては、事務当局から答弁いたさせます。
  7. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 今、政務次官からお答えした通りでございますが、細部にわたって申し上げますれば、三十五年度におきましての医療金融公庫を通じましての融資申請額は、原資が三十億に対して九十億ございましたのに、三十六年度は原資が七十億にふえましたのに対して七十数億で、前年度の繰り越しを合わせまして九十二億五千万というふうな申し入れだったと存じます。それで三十六年度では、この伸びが割合少ないのではないかというようなことも考えられ、一部心配があったのでございますが、これは医療機関のいろいろ技術革新に対する対応、また設備向上に対する欲求というふうな問題と同時に、貸付条件もあわせていろいろ需要が出てくるのではないか、こういうふうに思って、三十七年度は原資を九十億でやってきたのでございますが、ところが三十七年は予想以上にこの融資申請がふえまして、百三十二億ぐらいの申し込みがあったわけでございます。三十八年度におきましては、その三十六年の実績等から見まして、いろいろ計算をいたしてみたのでございますが、ほかの医療融資需要に対しましてのバランスの問題等もありまして、結局三十六年度実績等もあわせて、百十億ということで落ちついたわけでございます。なお三十八年度におきましては、原資は百十億でございますが、百二十億までは貸付契約をしてよろしい。と申しますのは、実際貸し付けるときにはふるい落としする分がございますので、百二十億までは契約してよろしいという、ことしは特別のワクをとってある状態でございまして、この点つけ加えさせていただきたいと思います。
  8. 河野正

    河野(正)委員 今の医療金融公庫についての需要額の推移、変遷ということにつきましては、今御報告がございましたからけっこうでございますが、一般市中金融機関銀行相互銀行、あるいはまた中小企業金融公庫国民金融公庫等ございますが、そういうような医療金融公庫以外から、私的医療機関が受けました融資総額というものはどの程度あるのか、この辺おわかりでございますれば一つお聞かせいただきたいと思います。
  9. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 市中銀行関係は、ちょっと残念ながらわかりかねますが、国民金融公庫関係では三十五年の実績が二十二億、それから中小企業金融公庫十四億、合計三十六億程度、これは医療金融公庫ができる前でございますがございます。大体国民金融公庫系統から十五億くらい今でもあるのではなかろうか、こういうふうに考えておる状態でございます。
  10. 河野正

    河野(正)委員 実はこの間いろいろ私的医療機関等意見を承りますと、御承知のようにこの医療機関が非常に希薄な地域につきましては、金利等が非常に低減であるということでございますけれども、もうすでに基準を上回っておる地区につきましては、先ほどからいろいろ問題になっておりますように、金利市中銀行一つも変わらぬわけです。そういう関係から、かなり市中銀行の高い金利融資を受けた方々が多いようにわれわれは仄聞しております。そうしますと、御承知のように今日におきましては皆保険制度でありまして、りっぱな施設であっても非常に劣悪な施設であっても、保険医療単価というものは同一でございます。そういう中で何とかして、高い金利でもいたし方ないから融資を受けて改善していこうということは、これは国民福祉に非常に貢献しておるわけです。いい施設をしたからといって、国民保険のもとでは単価は高いわけでない。同一なんです。そうしますと、この融資を受けて設備改善をはかっていく、あるいは融資を受けて設備拡充をやっていくということは、とりも直さず今の医療保障制度貢献をしていくという結果になるわけです。ですから私は、きのうの論議の中でもございましたように、木造の建物を不燃建築にしていきたい、あるいはまた今までのレントゲン設備をもっといい設備改善をしていきたい、そういうことはすべて医療保障制度貢献をしていくということになる。木造が鉄筋になれば、保険単価が高いものがもらえるということならば別です。悪いレントゲン設備をいいレントゲン設備に更新をすれば、レントゲン撮影料が高くなるということではないわけですね。それですから無理をされておる方が、むしろ今の政府方針に協力的な態度をとっておるということになるわけです。ですから私は、そういうふうな木造不燃建築にするということはいいことですし、施設内容改善することはいいことですし、そういうような意欲に燃えた希望があれば、その希望を達成してやるというのが、医療保障を推進される厚生省としては、当然の義務ではないかと思われる。それが残念なことには、せっかく医療金融公庫を設立してもらったけれども、それ以上の需要額が、実は他の金融機関におんぶされておるというのが、今の実情です。そうしますと、この医療金融公庫あり方については、厚生省がもっと腹がまえを変えていただかなければ、結局国の政策に協力していこうという人が冷飯を食わなければならぬ、こういう結果が現われてくるわけです。そこで私はこの原資問題等につきましても、そういう点を十分御承知おき願って、原資決定をやっていただく、あるいはワク拡大のためにも努力していただくということにならなければならぬと思うのです。ですから、今申し上げますように、非常に意欲的な私的医療機関要望にはぜひこたえてほしい。それがすなわち医療保障を円滑に運営をしていく基本的な点であるというようなことを考えるわけでございますが、そういう点について一つお答えをいただきたい。
  11. 渡海元三郎

    渡海政府委員 私的医療機関といえども、その改善が単にその医療機関自身をよくするだけでなく、それが直ちに国民医療国民のために貢献するということは、御意見通りでございます。従いまして、私たちもできるだけ多くの原資を持ちまして、そういう方々に積極的に御要望に応じたいと努めておる次第でございます。金利等の点につきましても、昨日の委員会で申しました通り、八分でなくて全部のものを六分五厘の率にいたしたいと思って、努力を重ねておるのでございますが、そういった観点に立って今後とも方向を進めていきたいと思っております。なお、ただいま申されました都会地区において、ベッド数が満ちておるのに対しましても、木造を不燃化するというふうなものに対しましては、全部をそれによって応じてはおりませんけれども、老朽と認められるものをやられる場合においては、現在におきましても最低の利率をもってこれを適用し、その御要望に応ずるように極力努めて参りたい、かように考えております。
  12. 河野正

    河野(正)委員 ところが、これは厚生省からお示し願った資料でございますけれども、「昭和三十七年度施設別貸付状況等調」というのがあります。これを見ますと、たとえば病院では申請受理状況が千七十九件、貸付決定件数が九百七十二、一般診療所の場合は、申請を受理いたしました件数が千七百五十四件に対しまして決定が千六百七十七件、歯科の方は三百八十四件に対しまして三百六十件、共同利用施設は十件に対して八件、薬局は一件に対してゼロ、こういうように、今私が申し上げました趣旨が、必ずしもその通りに実行されておらぬということは、今のこの資料が明確に示しておるというように思うのです。このように医療金融公庫申請するについても、いろいろな理由があったろうと思います。たとえば市中金融機関融資をお願いしようとしたけれども、なかなか思うようにいかぬ。これは当然その場合には、医療金融公庫が救い上げなければならぬというのが法の趣旨でございますけれども、そういう意味申請された方もおられるでしょう。いずれにいたしましても、ぜひ一つ医療金融公庫にお世話になりたいということで申請されたと思いますけれども、それがその通りになかなか決定されておらぬ。これは繰り越しの分もあるかもしれませんけれども、これは受理申請の中に繰り越し分が入っておりますから、結果的には大体そのような形でいっておると思うのです。こういうふうな結果がどうして生まれてきておるのか。これは原資が足りぬから、ある程度状況によって押えたということならば、これは当然今の原資決定というものが、今までの実績に沿うて予算措置をしたとおっしゃるけれども、私はそういう点についても問題があろうと思うのです。その他の事情はわかりませんが、今申しました数字がどういう形でできたのか、この際厚生省資料等もございますので、一つ明らかにお聞かせいただきたい。
  13. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 申請に対しまして貸付が全部応じ切れないではないかという点、これは一つ申請の中に貸付条件に合ってないというものでございますし、また金額におきましては、こちらの標準にしております単価よりも多いというような点もあります。しかし全体といたしましても、原資の問題ももちろんこちらの考慮の中に入るわけでございまして、その点は原資をふやさなければいかぬということは、お説の通りだと思います。なお先ほどのお話は、増改築については甲地区六分五厘でいいが、乙地区のものは八分ではないかというようなお話でございますが、確かに甲乙を区別いたしておりまして、乙種増改築の八分というのは、ただいま政務次官から申し上げましたように、三十八年度では老朽化という点で改善を指導されるという場合も、医療法上の違反に対しての指導というものにプラスしまして、ワク拡大した、そういうふうな点で乙種の増改築についても六分五厘の範囲が広がっております。期限も三カ年でなく、ずっと六分五厘で続けていくということにしております。また機能改善のための機械類につきましても、従来は九分でございますが、それを一定の機能向上に必要な、たとえば今お話にありましたようなレントゲンなんかも、その中に入るのじゃないか。診療機械に関しては、九分を八分に下げるようにしてあります。できるだけ貸付条件をよくするように努力していくということを、原資拡大することとともに考えております。
  14. 河野正

    河野(正)委員 今の数字の点についても、若干納得のいかぬ点が一つある。申請受理の件数が少ない理由の一つに、貸付条件に合わなかったという点があげられましたけれども、その点については、貸付条件に合わぬようなケースは、ほとんど受託銀行は受け付けぬ。それで開業医諸君は非常に困っているのです。私ども始終頼まれるのは、何とかそういう点はうまくいかぬのか。要するに受託銀行そのものは受け付けないです。ですから、受託銀行は受け付けませんから、公庫に相談しようと思っても、相談のしようがない。ですから申請件数について決定件数が少ないという中で、お答えがあった貸付条件が合わぬのが大部分だということになりますると、これは若干問題がある。ですから、そういう点は私どもちょっと承知できぬというように考えます。  それから今のお答えの中でもう一つ問題のございます点は、乙地区の場合で行政勧告を受けたものについては金利が六分五厘、ところが実際私的医療機関の立場から言わせますと、行政勧告を受けるのは当然改築改善しなければいかぬわけだ。行政勧告を受けぬけれども国民福祉貢献したいということで、改善なり施設の増強をはかっていこうという人の方がむしろ優遇視さるべきではないかという場合もある。片方は当然行政勧告を受けるのですから、老朽している危険病舎だということになれば、融資がどうあろうと、当然改良しなければならぬ。もちろんそういう方々にも援助していただくことはけっこうで、それを否定するわけではない。ところが今度は、行政勧告は受けぬけれども、さっき申し上げますように、いい施設でも悪い施設でも、医療費というものは一定のワクで押えられている。そこでできるだけいい施設に切りかえようということが、国民福祉に非常に協力するという意味になるわけです。行政勧告は受けぬけれども、そういう国民福祉に協力したいということで、改築しようというのでありますから、この方の希望にはもっともな点があるわけです。ですから将来国民保険の問題は、行政勧告を受けようが受けまいが、甲乙の差なく、金利についてはお考え願う。それがある意味においては、いい施設をつくって、国民福祉に協力しようという意欲ですから、そういう意欲におこたえ願う必要があると私は思う。そういう点について、一つ今後ぜひ御検討をいただきたい、かように考えます。
  15. 渡海元三郎

    渡海政府委員 今医務局長が答えました点に明確を欠く点がございましたので、御質問になったのではないかと思いますが、今御指摘通り、行政勧告を受けないが、積極的によくしたいというものに対して、当然最低限の金利にすべきではないかという御意見、もっともでございます。実は八分の金利地区におきましても、昨年までは行政勧告を受けたものは期限付で金利を安くする、年数は一定の期限をつけて短期間だけ認めた、あとはやはり八分にするといったような方法でございましたが、今回は御趣旨の点に沿いまして、老朽という言葉で表わしておりますが、そういった行政勧告がなくとも、ある程度老朽なものを改築していくという方のためにも最低金利でいくように、なおその場合、今までの金利の期間制限もはずしまして、永久に六分五厘という制度を採用さしていただき、今後ともそういった全部を下げたいという目標に向かって、私たちは努力を続けていきたいつもりでおりますので、この点、御了承賜わりたいと思います。
  16. 河野正

    河野(正)委員 その点につきましては、今後御努力をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。  今申し上げましたような施設の問題と当然関連をして考えなければならぬのは、技術革新に沿うて、今後私的医療機関内容についてどういう改善をはかっていき、またそのために政府がどういう援助をやっていただかなければならぬか、この点が並行して問題になってくると思うのです。そういう立場から一つお伺いしておきたいと思いますが、御承知のように、最近急速な発展を遂げつつありますのが電子技術、これは専門になりますけれども、高分子化学、機械工学、こういう点でございます。しかも実はこういった諸科学というものが、疾病の予防、診断及び治療、こういう医学の領域に大きく利用されなければならぬという一つの傾向を帯びて参っておる、こういう事実がございます。従って、将来の医学の進歩というものは、こういった諸科学の応用なくしては、大きく期待することができない、こういう時点に到達したと言っても過言ではなかろうかというように私は考えます。ところが、こういう新医療技術の開発という点につきましては、日本は欧米諸国と比べて非常に立ちおくれておる。これはもちろん高度な医学水準ですけれども、こういう点がだんだん私的医療機関に及んでくるわけです。でございますから、施設と並行して、こういう医療技術という点につきましては、私はやはり今から考えておかなければならぬ問題だというふうに考えるわけです。こういう点について、厚生省ではどういうふうにお考えになっておりますか、一つこの際いい機会でございますので、お聞かせをいただきたい。
  17. 渡海元三郎

    渡海政府委員 科学の進歩とともに、新しい医療技術というものが、高度な科学的な研究に待たねばならぬということはもちろんでございますが、せっかくここまで進みました日本の医術でございます。ぜひともそんな面におきましても、世界の医術水準におくれないように、日本の医術が進歩するように、私たちは常に考慮していかなければならぬ、かように考えます。これらの技術を私的医療機関に取り入れて、国民にその恩恵に浴してもらうということは当然でございまして、今後ともそういった方向に進むように、あらゆる総合的な対策において考えなければならない、かように考えておりますが、中には一般個人の小さな診療所におきましても、必要とする機械器具等は、投資等の関係もございまして、非常に困難な部面もあるのではなかろうかと思います。オープン・システムの発達のおくれております私たちの国において、私的医療機関がこれを取り上げるのにどうしたらよいかということは、確かに一つの御指摘になりました観点であろうと思います。きのうも岡本委員の質問の中に、私的医療機関のグループ制度をどういうふうに考えておるかという御質問がございましたが、私たちはせっかく医療制度調査会等の御答申もいただくことになっておりますので、こういった点にもおくれないように、そういった制度の取り入れを考え、慎重検討を加えまして善処して参りたい、かように考えておる次第でございます。  なお専門的な事務的なものにつきましては、事務当局から答弁させます。
  18. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 技術革新の大きな要因であります放射能関係、それからエレクトロニクス、高分子化学材料というようなものの成果を医学の中に取り入れていくことが、はなはだ大きな仕事であるのは御指摘通りでございまして、できれば医療技術研究所というふうなものをつくりまして、日本でもその面を積極的に推進していきたいと考えておる次第でございますが、来年度予算におきましては、この点、新医療技術開発調査普及費といたしまして二百二十四万九千円の予算を計上して、この関係の調査普及に当たるように、はなはだ少額でございますが、予算をとっておる状態でございます。またこの成果を私的医療機関の方にも、どんどん御利用願うというふうなことが必要なのは申すまでもないことでございまして、それに応じまして三十八年からは機械購入資金が、従来九分でございましたが、少し負けまして、今お話のような心電脳波計とか、これはまだ細目はきまっておりませんが、焔光光度計、人工心肺、鉄の肺、こういうような高度な最近発達してきておりますいろいろな医療機械を購入する場合には、その資金の利率を八分とする——これももう少し六分五厘くらいにならないかというようなお話があると思いますが、九分が一歩前進して八分にまでなったような状態でありまして、われわれも行政的にこういうような面に考慮を入れて努力しておるということを、一つここで御了承を願いたいと思います。
  19. 河野正

    河野(正)委員 今申し上げましたように、医学、理学、それから工学、こういうような三位一体となった研究体制の確立ということが、強調せられてくる時代になっておる。そこで私は、今お答えはいただきましたが、実はこの医療技術の研究機関というものを、ぜひ設置していただきたいというふうな要望が、すでに昭和三十五年ごろから強く出ておった。ところがどうもお答えでは非常に積極的ですが、実際上実施する面においてはなかなか消極的で、今日まだ医療技術研究機関というものが完了しないということを私どもは仄聞いたしておる。もちろんこの私的医療機関の中に、高度な技術を取り入れるということも当然考えられますが財政上の関係等もございますので、やはりどうしても公的な機関から私的機関へという一つのコースをたどる。ですから日本の医療水準というものを国際的に上げていく、そのためにはやはりまず公的機関の中に、今の高度の技術というものを考えていただくということが、私は当然緊急の問題となってくるであろうというふうに考えますけれども、どうも私ども仄聞する範囲におきましては、消極的なような気がいたします。こういう点について積極的におやりをいただきたいと思いますが、そういう点について積極的にやっていただく御意思があるかどうか、一つこの際明らかにしていただきたい。
  20. 渡海元三郎

    渡海政府委員 医術の進歩、世界的な水準におくれないようにするために、公的機関における研究機関等を持たなければならない、これは各界からの要望もございまして、私たちも昨年度調査費をいただきまして調査を続けております。医療技術研究所はぜひとも三十八年度を初年度として開始いたしたい、かように考えて最後まで予算要求をしたのでありますが、いろいろな関係もございまして、もう一年調査を続けるということになった次第であります。今意欲はあるが、実行がおそいではないかというお言葉でございましたが、調査を二年も続けるということはやむを得ないと思いますが、私たちの微力で本年から着手することができなかったのでありますが、ぜひともこの面はより一そうの意欲を持って来年度より着手いたしたい、かように考えて目下努力しておるような次第でございますので、今後とも御趣旨の線に沿いまして努力いたしますので、御了承いただきたいと存じます。
  21. 河野正

    河野(正)委員 そこで、医療問題を論じる際には、大体今私が指摘をいたしましたように施設の問題、技術の問題、それから機関の整備の問題、大別しますとそういう三つの点について検討するというようなことになってこようかと考えます。そこでこの際、医療機関整備という点につきまして、若干この機会に触れておきたいと考えます。  今日、国民保険制度というものが達成をされた。従いまして医療機関に恵まれない地域が今日存在するということは、国民保険が達成された今日においては、その円滑な実施を妨げる一つの隘路になるということは、明確に言えると思うのです。そういう意味で、この無医地区の解消あるいは僻地におきまする医療機関整備、こういう点が、今まで当委員会におきましてもいろいろ論議をされてきた。ところがそういう僻地ないし離島あるいは無医地区というものは、財政面が非常に薄弱である。そこで今日まで地方公共団体あるいはまた日赤、済生会、こういう機関が設置をしたり、運用する、そういう場合には赤字の補てんが国庫補助という形でやられて参った。ところが今度の医療金融公庫の設立の目的の中にも、やはりこの無医地区の解消をさせようというふうな意味が、若干医療金融公庫の発足の一つ根拠というか、理由としてあったろうと私は考えるわけです。ところが今申し上げますように、地方公共団体が設立するそういう地区における医療機関でも、あるいは日赤、済生会等で設置いたしまする医療機関でも、なかなか運営というものが思うように参りませんから、そこでそれらの赤字については国が融資措置をやっている。従ってこの私的医療機関が、今金融公庫が生まれました趣旨に沿うて、そういう地区に優先的に融資を受けて設置をしても、この運営がうまくいかぬということは、火を見るよりも明らかでございます。そこで、そういう地区に設立した医療機関については、もちろんそれは医療金融公庫で特別に配慮をしていただくということは、それはその通りでけっこうですが、それだけではその趣旨を生かしていく上において、なかなか完全なものとは言いがたいだろうというように考えます。そこで、そういう医療金融公庫融資を受けて設立しても、なかなか運営が困難とするならば、それにプラス・アルファというのか、何らかの援護処置というものが行なわれなければならぬのじゃないか。単に医療金融公庫金利を安くして貸したのだということだけで、事足りると考えるわけにはいかぬと考えるわけですが、そういう点についてはいかがでございますか。
  22. 渡海元三郎

    渡海政府委員 医療金融公庫制度が、国民医療向上ということを目的としておることは当然でございますが、それとともにまた医療の普及ということを目的としておることは明らかでございます。今特に国民保険下におきましては、医療を均等に受けしめるということは当然のことでございまして、医療金融公庫制度の中におきましても、今申されました無医地区に対する私的医療機関の進出を、この制度を通じて行なうということに努めなければならないことは当然でございまして、その面に対する運営と申しますか、行政的な面におきまして、そういったものは優先的に取り上げるということは、常々考えておるような次第でございます。しかしながわそれだけではなかなかいかぬだろう、これに対してほかの方法に対する援助はどうかという点がございます。まさにその通りでは。ございますが、直ちに、いかなる方法において私的医療機関に援助を与えるかという点につきましては、現在の制度におきましては、なかなか実質的に困難な部面もあり、これによって宗全にその欠陥を補えるかどうかということについては、慎重に検討させていただきたいと思います。ただそういった面もありますので、この部面に対しましてはこの制度だけでなく、公的医療機関によってやるということが、ぜひとも欠くべからざる要件だと思いますので、一方においてそういった医療金融公庫運営によりまして、私的医療機関によるところのこれらの解消をはかるとともに、他面、僻地対策等につきましては、公的な部面におきましてことしの予算におきましても、新しく五カ年計画でさらに細部にわたる無医地区に対する解消を打ち立てまして、本年度三十九カ所の新設を願い、また国民健康保険におきましても、僻地の部面に対しましては、国民健康保険の診療所の設立に対する補助金等を計画的に上げまして、一日も早くこれらの地区の解消をいたすように努力いたしておる次第でございまして、運営費の強化も、こういった公的機関に対しましては本年度からいたしましたし、私的医療機関につきまして、現在公的医療機関で行なっておりまする運営費の補助というものを、直ちにそのままの形で出すということにつきましては、非常に困難を伴うと思いますので、慎重に検討させていただきたいと思います。
  23. 河野正

    河野(正)委員 その点は補助金でいくのか、あるいは課税免除でいくのか、いろいろ方法はあると思いますけれども、単にそういう無医地区の解消に対して、私的医療機関に対しまする医療金融公庫の援助、優先融資ということだけでは、この問題の解決というものは、なかなか困難ではないかというふうな考えが強く出て参りますので、それをどういう形でさらに援助を上積みするかということにつきましては、一つこの際積極的に御検討をいただきたい、かように考えます。   〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕  それからもう一つ、今の問題と関連してございますが、この無医地区の問題は、これは世界各国の共通の悩みだそうでございますが、それかといってなかなか名案もないということでございます。そこで現実的な面で一つこの際お伺いしておきたいと思います点は、無医地区におきまする医療機関の設立に際して問題となることは、やはり医師を送り込まなければならぬ、医師がそこに定住しなければならぬということだと思う。ただ診療所をつくればいいということではない。その際に、やはり人間でございますから、衣食住あるいはまた文化的環境というようなことも、これは当然考えなければならぬ問題だと思います。ところがそういう無医地区に医師が行きましても、文化的な生活は別としても、住まうにもなかなか住居がない。環境が非常に問題でございますから、せめて自分の住まうところくらいは確保したいという気持もありましょうし、そういうことも解決されなければ、なかなか無医地区に行くということは踏み切れぬという問題もありましょう。そこでそういう無医地区の解消と並行して、医師住居というような問題も、早急に解決しておかなけれなばらぬ問題だと思いますが、そういう点についてはどういうふうにお考えでございますか、一つこの際伺っておきたいと思います。
  24. 渡海元三郎

    渡海政府委員 無医地区に対する診療所の設置とともに、これに対する医師の拡充と申しますか、確保は、これはもうほんとうに私たち一番悩んでいる問題でございます。現実面からいきまして、診療所を建てたが、医者がいないというのが現実の姿でございまして、この面に対しましてはいろいろ苦慮いたしておりますが、今も申しました文化的な生活を受けることができない。従って希望者もなかなか少ないというような点も考慮いたしまして、親元病院をつくりまして、ある一定の期間を親元病院から、そういった方面の要望を、ある期間に限って制度的に行っていただくというふうな方法によりまして、この不足を補う等、いろいろな方法を講じておる次第でございますが、なかなか困難をきわめております。従いまして今申されました住宅の確保等につきましても、もちろんその地区のできるだけ私たちも公的な機関に対します場合には、そういった面に対しますものまであわせて考えなければならぬ、かように考えておる次第でございます。  なお、今のような問題もございまして、単に診療所を建てるだけでは足らないものでございますから、その地方の医師会等にも御連絡いたしまして、定期的にそういった地区に対するところの往診を受け持っていただくというような協力を求める一方、また診療所をつくるだけでなく、患者輸送車あるいは巡回船等を用いまして、ある一定地区に対して患者を急送することができるというふうな設備拡充いたしまして、これらの問題の解決に総合的に当たっていきたい、かように考えておるような次第でございます。なお、患者輸送車をふやしましても、実際そういった地区にはバスも通らないというふうな地区もございまして、自治省関係ではそういったために道路等も整備する等、総合的な僻地対策をとっていただいておりますが、政府といたしましてはこれらの総合的施策とともに、医療方面におきましてもこの総合施策とあわせて、できるだけ医療を享受していただくように、目下計画を総合的にしながら進めておるような状態でございます。
  25. 河野正

    河野(正)委員 無医地区における医師住居の問題は、外国でも無医地区解消の際に、非常に具体的に検討しておるというような問題だそうです。そういうことでございますから、一つ日本の場合も無医地区解消に並行して、そういう医師住居の問題については、御検討を願うべきではないかというふうに考えますので、この際要望を申し上げておきたいと思います。  この無医地区の解消に関連をして、今、日赤の問題が出て参りましたから、この際日赤の問題について若干触れてみたいと思います。  今申し上げますように無医地区の解消についても、私ども日赤の行動に対しましてかなり大きな期待を寄せておる。そういうように日赤というものが、かなり高度の公共的性格を持っておりますことは、これは否定することのできない事実でございます。ところがそういうような公的な性格を持っておりまする日赤が、最近山梨、鳥取、静岡、山形の四支部で、二億数千万円に上る不渡り手形を発行した。そして今日におきましては警視庁より捜査追及を受けて、社会から非常に強い疑惑の目で見られておる。こういうことは私は日赤の性格上から、まことに遺憾な点だというふうに考えるわけですが、この点についてどういうふうにお考えになっておりますのか、この際一つ明らかにしていただきたいと思います。
  26. 渡海元三郎

    渡海政府委員 ただいま御指摘になりました日本赤十字社の今回の事件でございますが、今河野委員指摘のように、日本赤十字社は非常に公益性の高いものである、しかも国際的な法人の支部でもございますので、こういった赤十字社のような団体が、このような不祥事件を起こしたということにつきましては、監督官庁の立場にあります厚生省といたしまして、本日大臣不在でございますが、大臣も常々申されておるのでございますが、まことに遺憾でございまして、皆様方に対して深くおわびする次第でございます。厚生省といたしましては、今回の日本赤十字社の問題につきましても、監督官庁の責任として、今後これらの問題が絶対に生じないように精進を続けなければならないと、大臣ともどもども一同反省をいたしておる次第でございますが、今回の事件に対しましては、関係支部を通じまして事情を聴取するとともに、関係県の厚生部等を通じまして、事実の調査に現在努めておるような次第でございます。今回の事件の内容が、手形というものによって行なわれておりますので、法律上の問題も相当むずかしく、これらについて検討する点も多々あるのではないかと思います。私たちはこの問題を徹底的に司直の手によってやっていただきますことはもちろんでございますが、私たちの立場におきましても徹底的に調査をいたしまして、このような事件が繰り返すことのないように、十分指導監督に厳重を期していきたい、かように考えておりますので、私、大臣に常々御指示を受けております者といたしまして、大臣にかわり深く遺憾の意を表させていただきたい、かように考えます。
  27. 河野正

    河野(正)委員 日赤は先ほど指摘いたしましたように、無医地区の解消その他、非常に公共的な使命を帯びておりますにもかかわりませず、今日まで厚生省当局の監督が十分であったかどうか、私どもは非常に疑わざるを得ませんし、また社会が日赤を見て参ります目というものからいいましても、非常に大きなショックを与えておる事件だろうというふうに考えるわけです。特に私どもはこの際強く指摘をいたしておきたいと思います点は、それは今不渡り手形の乱発問題が、司直の手で詳しくただされておるわけでありますが、実は私どもが仄聞するところによりますと、今度融通を受けました第一繊維衛材という会社は、すでに昭和三十四年ごろから資金繰りに困って、その当時からこの融通手形を日赤に発行させてきたというふうに承っておる。そういたしますと、三十四、五、六、七年ですから、約五年間にわたって、そういう経理上の乱脈が行なわれておったということになりますと、今次官から不明の点が示されたわけでございますけれども、単に不渡り手形にとどまらず、日赤全般に対します厚生省の監督というものが、どうも不十分でなかったかというような感じを持つわけですが、そういうように、この問題というものはずいぶん長い間積み重なってきたというふうに御理解ではございませんか。
  28. 渡海元三郎

    渡海政府委員 聞くところによりますと、昭和三十四年ごろからこういったものが発行され、それが積み重なってきたということでございまして、長期にわたる点ということ、しかもそれが気づかなかったのだというふうな点から、日赤に対する監督が不十分でなかったかという御指摘でございましたが、そのように申されましても、私たちといたしまして答弁のしようがなく、まことに不明であったと申すほかはないので、率直におわびを申し上げます。ただ日赤が各支社を全国に持っております関係で、しかもその支社も、単に一支社における不祥事件というのでなくして、これが数県にわたっておるというふうな点について、あまりにもうかつではなかったかという御指摘でございますが、おっしゃる通りで、私たちおわびをするよりしようがない次第でございます。ただ、弁解ではありませんが、手形に対する融通というふうな問題から、毎年度における会計的な面もつい見落とされるというふうな欠陥があり、今日あの動きのとれない事態になって初めてそのことが発覚したというふうな状態ではないかと思います。私たちは、これらの点にも関しまして、今御指摘のございましたこれ以外にもあるのではなかろうかという御疑問の点は、ごもっともであろうと思いますので、この事件を契機といたしまして、徹底的に指導監督の私たちの立場として調査をし、ぜひともそういったことのないようにしていきたい。また日赤本社におきましても、そのような覚悟で理事会も開き、厳重に反省しながら、各支部に対する監督を現在やり、調査とともに今後に対する対策を講じていただいておるような状態でありますので、御了承を賜わりたいと存じます。
  29. 河野正

    河野(正)委員 この無医地区の解消等については、実は一般私的医療機関はなみなみならぬ苦労をしている。日赤等は、その運営で赤字が出れば国が補てんするというふうに、国が優遇措置をやっておる。その日赤が、今私が御指摘申し上げますように、経理が乱脈状態に置かれておるということにつきましては、非常にすっきりせぬ点があるわけです。特に、二億数千万円の手形を乱発しながら、実はその手形の発行の期日や金額が、控えがないので明確でない、大体いつ、幾ら手形を発行したのか、さっぱりわからぬ、そういうことで警視庁関係も非常に困っておるというような話も聞くわけです。そうすると、そのことは別としても、それほど今の日赤の経理は乱脈状態にあるのか。たとえば、さっき申し上げましたように、私も、きょうは医療金融公庫の質疑でございますから、それと関連して申し上げたいと思いますが、一般私的医療機関については、なかなか援護措置が十分行なわれぬ、行なわれる方は、今申し上げますように、経理が乱脈状態であるということになると、どうも私どもはすっきり割り切れないという感じがするわけです。それでその経理状態は一体どういう状態であるのか。これは、社長等については厚生大臣が承認されて決定するわけですから、当然監督権はあると思いますが、そういう経理状態に対する監督権はどういうふうになっておるのか、一つこの際お聞かせをいただきたい。
  30. 渡海元三郎

    渡海政府委員 今手形の発行のことで、非常に経理がでたらめで、乱脈になっておるではないかというふうな御指摘でございますが、まことに申しわけないと思います。私も本事件の概貌につきまして報告を受けましたときに、今申されましたように、いついかなる日に、いかなる手形が出されたかということがわからないというほど、多発されておるような状態でございますが、御承知通り手形というものは、それ自身が動いていくものでございますから、一般の経理と関係なく行なわれる。そこにこういった不祥事件が起こったという姿でございますので、他の面における経理が乱脈であったと申しますか、普通の会計面における経理と離れたところに盲点があったように思いますので、この点は一つ御了承賜わりたいと思います。むしろ私か報告を受けましたときの感じでは、事務的な立場にあられるそういった事件の当事者が、手形というものに対する無知であったかと思われるような姿でなかったかと思います。ただ経理面におきましては、手形というものは別途に独立しているわけでございますから、そういったことが起きたのだ、経理面におけるところの調査だけをやっておったところに、手抜かりがあったのではなかろうかと思います。今御指摘になりました法上の経理に対する検査、それらは厚生省としましても当然行なっているのでございまして、そういう法に基づいていかなる検査をやっているかは、事務当局から詳細、私たち業務監督につきましての方法を御説明させていただきたいと存じます。
  31. 大山正

    ○大山(正)政府委員 日赤は毎年業務報告書、財産目録、貸借対照表、収支決算書、こういうものを厚生大臣に提出しなければならないことになっておりますので、これに基づいて経理の監督を行なっているわけでございますが、そのほか日本赤十字社法によりまして、厚生大臣の監督権限といたしましては、業務、財産状況についての報告を求め、立ち入り検査を行なうことができる、また場合によりましては、役員の解任を勧告することができる等の監督権限があるわけでございます。これらの規定に基づきまして、当然厚生省が日赤に対しまして監査をするわけでございますが、御指摘のように、十分な内容にわたる監査が行なわれなかった、不十分であったというような点は、いなめないところでございますが、私どもは今後鋭意本社並びに支部につきまして監督を厳にいたしまして、再びかかる事件の起こらないように監督して参りたい、かように考えます。
  32. 河野正

    河野(正)委員 手形の乱発と経理とは、別個の問題だというようなお答えもございました。形式的にはそうかもわかりませんが、私どもが若干危惧を持ちますのは、実は新聞等でも、第一衞材の強い要求によって手形を発行したというようなことが、報道されているわけです。なぜ第一衞材の強い要求によって発行しなければなかったか。この点が非常に問題だと思う。実は国立第一病院の汚職の場合も、事務当局が大したことはないとおっしゃったけれども、事務局長の奥さんまで逮捕されたということで、大きな事件に発展しております。今度の日赤の場合も、支部職員と第一衞材との間のリベート問題については、問題はないというような報告はなされているようでございますけれども、第一衞材と日赤の職員との間の醜関係はないというような報道もされておりますけれども、しかしそういう関係がないのに、なぜ強い要求に基づいて発行しなければならなかったか。これは発行しなければしないで済むわけですね。ですから私は、なるほど手形の乱発と経理とは形式的には別個の問題のようでございますけれでも、どうもそういうふうな醜関係があると思う。醜関係があれば、従って経理も乱脈状態に置かれているのではないかという印象を持つわけでございます。そういう点から言うわけでございますので、この点一つ十分御検討、御監督願わぬと、私はやはり社会が、日赤というものは非常に公益性が強い機関だという、そういうな意味でこの日赤を見詰めておりますので、これは社会に対しましても、そういう意味では非常に申しわけない事件だったろうというふうに考えるわけです。そういう点について、一つこの際お答えを願っておきたいと思います。
  33. 渡海元三郎

    渡海政府委員 私、経理と関係ないと申しましたのは、ただ、手形というものでございますから、ほかに出しておいて、そのまま載せずにきてもわからなかったという意味で申したのであって、決してそのための弁解をしようとか、片方は確かなんだというようなことを申し上げようと思ったのではないのであります。  なお今の手形を発行すべき義務もないのに、強い要請で出したというところに、何か疑惑があるのではないかという点、そんな醜関係はないのだというような報道が出たそうでございますが、どんな根拠でそんな報道をされたか。私はその事実を知りませんので答えられませんが、疑問のある点はごもっともであろうと思いますので、私たちも、司直の手によりましてこの点も追及されることであろうと思いますから、決してそういった報道が——私、今初めて聞きますのでございますが、御疑問になるのは当然のことであろう、かように思います。ただ私が今関係ないと申しましたのは、今局長が答えましたように、報告書の中に書かれなくても、片一方でやっておりましたら、そのままに済むような状態でありましたので、わからずに済んだのではなかろうか、何年間にわたるものが明るみに出なかったのではなかろうかということを、率直な事実のまま申したのでありまして、そういった醜関係がもしありとすれば、そういった者に行なわす経理、あるいはその監督の不十分という点は、重々私たちの責任でございますので、この点に対する点は深く国民におわびするとともに、私たちはそういった面で決して自分らの不行き届きの弁解にしようというふうな気持はございませんので、今後ともこういったものがないように、この際徹底的に私たちも調査なり対策を講ずるとともに、日赤本社も、国民に対する日赤本来の任務から考えまして、十分反省していただき、そういったことが再び起こるようなことがないように、理事全員心を一つにされまして、現在事件に処していただいておる、かような状態でございますので、何とぞ御了承賜わりたいと存じます。
  34. 河野正

    河野(正)委員 日赤と社会福祉との関係というものは、非常に深いわけでございますので、少なくとも、公益性の高い、公共性の高い日赤が、今後そういう事態を再び繰り返すことのないように、一つ監督権の強化というようなものも十分発揮をしていただきたいというふうにお願いをして、この問題に触れるのは本旨でございませんので、そういったふうに一つお願いをしておきたいと思います。
  35. 渡海元三郎

    渡海政府委員 御注意の点、重々肝に銘じまして、私も大臣に、本委員会における河野委員の御質問、つまびらかに御報告いたしますとともに、日赤本社に対しましても、さらに本委員会における審議等をよく申し述べまして、今後かかることの起こらないように、日赤の公益性にもかんがみまして、厳重に善処をしていただくように処置いたしたいと思いますので、御了承賜わりたいと存じます。
  36. 河野正

    河野(正)委員 時間もございませんから、一つ最後に御指摘を申し上げて、お答えをいただきたいというように考えます。今日、私ども医療を論ずる場合に見落としてならぬ点は、今日の自由化経済の中における医療経済の問題は、非常に重大な問題だと思うのです。医療におきましても、国際水準というものがどんどん向上して参ります。従って、日本におきます医療だけが、その水準に追いつかないということであってはならぬ、こういうふうに考えるわけです。そこで、医療におきまする国際水準が、今申し上げますようにどんどん向上していく、しかも日本の医療もその国際水準の向上に合わして向上さしていかなければならぬ。そういうことを考えて参りますと、やはり私は、日本におきます医療経済の確立ということが、そういうような自由経済のもとにおきまする医療の発展を考えて参ります場合に、基本的に非常に重大な点になろうということを考えております。そこで医療金融公庫によって、その一翼を背負っていただくということも必要でございましょうけれども、それだけでは完全な解決というわけには参らないだろう。  そこで、もう時間がございませんから、お尋ね申し上げたいと思いますが、それでは一体、日本の医療向上する上において、医療経済の確立を何に求めようというようにお考えになり、推進されようとするのか。これは基本的問題ですけれども、非常に重大な問題でございますし、この際一つそういう点に対して御所見を承っておきたい、かように考えます。
  37. 渡海元三郎

    渡海政府委員 昨日もお答え申したのでございますが、世界的レベルにあった私たち医療でございます。しかし医療技術が世界的のレベルにあったからといって、それだけでよいかと申したら、私は医療というものはそんなものでないと思います。この高い水準にある日本の医療を、貧しき者も、全国民がひとしくそのレベルの高い医療を、病気になった場合には享受することができる。それでこそ初めて日本の医療水準は高いのだ、こう言われるのではなかろうかと思います。現在の保険制度でとられる医療保険制度も、こういう意味から拡充強化が望まれているのではないかと思いますが、一方において、この高い医療水準が、日進月歩して参りますところの技術の進歩におくれないように、再生産と申しますか、研究向上がはかられるだけの意欲と申しますか、それだけのシステムにしていくことが、また他面の要請でなかろうかと私たち考えております。この中で、現在の医療制度全般について、いかなる運営をすればその大目的を果たすことができるか、この大きな前提を満たす手段が、私は社会医療制度として拡充されなければならぬ、かように考えておるような次第でございまして、ただいまのこの医療水準がおくれないように持っていく点については、御指摘のありましたように、医療費の問題もございましょう。しかしながら国民の経済能力、財政能力もございますので、単に医療費の中にだけこれを求めるということでは困難であり、一方これは公的な機関をして、絶えず研究機関等を設けさせまして、これらの高度な研究を行なっていく。これは国家的な投資において行なっていくというものも必要でなかろうかと思いますが、そういう総合的な対策のもとに、私たちはここの問題をとらまえなければならぬ。従いまして、医療費の決定等にあたりましても、重要な部分といたしまして、今の医療技術の進歩のために必要なる医療費の算定をはかっていかなければならない、かように考えております。今回提出を見合わせております医療報酬調査会の法案の要望も、またそんな点にあったのでなかろうかと思っております。私たちは法案の提出は見合わせましたが、その必要性によりましては、そういう点は学識経験者等の意見を十分聞きまして、厚生省方針々確定していきたい、かように考えておるような次第でございます。
  38. 河野正

    河野(正)委員 今提案されております医療金融公庫そのものが、私は医療経済の確立をいたします一つの補助的な手段でもあろうかとも考えますし、そういうことであるならば、この医療金融公庫運営あるいはまた貸付、その他内容の面についていろいろ申し述べましたような改善というものも当然はかっていただくことが、医療経済の確立の一端にもなろうかと思いますし、なおまた医療経済の確立という問題は非常に大きな問題でございますから、従ってその問題の解決をはかるにつきましては、医療費の問題、課税の問題等々もございましょうけれども、今日医療金融公庫法改正でございますので、一つ医療経済の確立をはかる上において、今私がいろいろ御指摘を申し上げましたような内容改善に、今後格段の御努力、御善処をお願い申し上げたい。そういう総括的な意味におきまする政務次官のお答えをお願い申し上げて、一応私の質疑は終わりたい、かように考えます。   〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 渡海元三郎

    渡海政府委員 今御指摘のございました日本の医療制度拡充という面の一翼をになう手段といたしましての、この医療金融公庫制度でございますので、本来の医術の向上並びに普及という大きな問題にこたえ得るように前進をしなければならぬという御要望、ごもっともでございます。私たち今回少しは改善いたしましたが、これだけをもって十分とは考えておりません。今後ともただいま申しましたようなこの制度が持ちますところの意義にほんとうにこたえられるように、改善をはかる努力を引き続き続けていきたいと考えております。なお運営にあたりましても、ただいまの趣旨に沿うように運営を続けていきたいと思っておりますので、御了承を願いたいと思います。
  40. 秋田大助

    秋田委員長 田邊誠君。
  41. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 今回医療金融公庫法の一部改正案が提案をされましたけれども、昨年に引き続いての内容を充実する意味改正案でございますが、私は国民医療の確立という観点から見まして、この医療金融公庫が果たす役割はきわめて重要であろうと思うのであります。従ってこの運営が適切かいなかということが、すなわち現在の国民保険下における日本の医療ないしはそれを担当する医療行政の上に及ぼす影響は、きわめて大きいと判断をいたすわけでございます。政務次官もおいでですが、最初にちょっと事務的なことを局長にお伺いいたしましてから、その後において政治的な判断についてお伺いをいたしますので、お許しをいただきたいと思うのであります。  現在医療金融公庫によるところの貸付状態は、いろいろほかの委員もお聞きになったかと思いますけれども、時間の節約をいたしたいと思いますので、なるべくまとめてお伺いをいたします。現在までの貸付の中で、大ざっぱに見ましていわゆる都市と農村といいましょうか、これは範囲の区別を一体どこでするのが適当であるかはわかりませんけれども、いわば市制施行地とそれ以外の町村地域における貸付の割合は、一体どのくらいになっておりますか、第一番目にお伺いをいたします。  さらに第二番目には、先ほど来の質問にもありましたけれども、申し込みの中においてはいろいろの適格性を欠くものやその他がありまして、資金ワクもございまするから、申し込みと貸付決定額との間に相違がございますのは当然のことでございますけれども、一体年度別に見まして、申し込みと貸付決定額との間の割合というものはどういうような趨勢にございますか。  第三番目には、この申込数、いわゆる希望者数と決定額の割合というものが、先ほど申した都市、農村の区別から言いますと、一体どういうような割合になっておりましょうか、とりあえず三点、お伺いをしたいと思います。
  42. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 地区別の地区状況によっての貸付がどうなっておるかという御質問に対しまして、まず地区の区分々特別区と、三十万以上の市と、二十万から三十万までの市と、十万から二十万までのものと、五万から十万までのものと、五万未満の市と、町村と、こういうふうにえらくこまかく分けておりますが、これに対しまして一般病院と精神病院一般診療所と歯科診療所というふうに区分しております。  まず一般病院の方から申し上げますと……
  43. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 全部合計でいいです。
  44. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 合計を出していないのでございますが、まず一般病院の方から申し上げますと、特別区が十六カ所、六百十六ベッド、三十万以上の市が十カ所、四百五ベッド、その次の二十万から三十万までのところが四カ所の二百十三ベッド、十万から二十万までのところが十五カ所の五百五十三病床、五万から十万までのところといたしまして十カ所の五百一病床、五万未満の市につきまして十六カ所、六百四十八ベッド、町村は十九カ所、七百二十五ベッド。  精神病院について申し上げますと、順序は今の通りでございますが、特別区が二カ所、百五十一病床、三十万以上のところが一カ所、六十五病床、二十万から三十万までの市が一カ所、五十一病床、十万から二十万までの市が三カ所、二百十六病床、五万から十万までのところが九カ所、六百二十二病床、五万未満が六カ所、三百七十五病床、町村が六カ所の四百七十病床。  一般診療所を申し上げますと、特別区が四十二カ所、三十万以上の市が四十五カ所、その次に二十万から三十万までの市が二十八カ所、十万から二十万までのところが五十一カ所、五万から十万までのところが二十九カ所、五万未満の市が三十七カ所、町村が六十九カ所でございます。  それから申し込みの額と決定した金額の推移、これは三十五年の審査件数、これは申し込み件数に大体似ておりますが、審査件数が二千九百一件でございまして、決定は千九百二十九件、率で申し上げますと六六・五%でございます。金額はこの年は五三・六%です。三十六年の審査件数が三千二十九件、決定が七百三十八件、決定件数が九〇・四%です。これは金額の方で申し上げますと八四・六%でございます。それから三十七年は、これは十二月末現在でございますが、件数では二千七百十七件審査いたしまして、二千六百十六件決定しておりまして、%で申しますと九六・三%でございます。金額の方は八四・八%でございます。ただ審査の関係につきましては繰り越しておるのがございますので、この点いろいろ内容を申し上げますとむずかしくなるわけでございます。なおこの年については今区分した表をつくっておりませんので申しわけございませんが、御要求がございますればあとでつくってみたいと思います。
  45. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 あとでもって資料の御提出をいただきたいと思います。  次に、私立医療機関全国に数多くできるわけですけれども資金状況はまちまちであろうと思いまするが、自己資金でもって医療機関を設立することは、現在きわめて困難になっておる状況でございまするから、当然何らかの貸付を受ける形になると思いまするけれども、ごく大ざっぱでけっこうでございまするから、医療金融公庫に借りて設立をするものと、市中銀行に借りて設立をするもの、あるいはまたこういうことができるのかどうかわかりませんけれども医療金融公庫市中銀行両方借りて設立をするというような場合があるとすればその状態、これは一体どのくらいの比率になっているのか。
  46. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 医療金融公庫融資をいたしまして、できました施設の数を申し上げますと、病院数の増加は三十五年が百二十四カ所、三十六年が百五十三カ所、三十七年が、これは十二月末でございますが百二十三カ所でございます。ベッド数の増加から申し上げますと、三十五年が一万八百八十一ベッド、三十六年が一万五千八百三十三ベッド、三十七年が、これも途中でございますが、一万三千四百十五ベッドでございます。これは医療金融公庫の方で融資をしておるものでございまして、それによった成果でございまして、この医療金融公庫の方は全額融資でございませんので、二割程度のものは自己資金とか市中銀行でお借りになっておるかでやっておられると思います。それ以外の私的医療機関市中銀行等でお借りになったり、また自己資金でやっておられる方の数は、つまびらかにいたしておりません。ただ全体の病床の、これは公約の関係もございますが、そのベッド数の伸び等は、一年間に大体三万ないし四万に伸びております。それから見ますと三分の一ないし四分の一が、医療金融公庫融資によって私的医療機関によってできる、こういうようなことが考えられるという状態でございます。
  47. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 実はもっとこまかい話をきょうはしたいのでありまするが、たとえば病院、診療所等の科目別の状態、これはいわゆる罹病率や死亡率、つい最近厚生省がその状態を発表しておりますけれども、こういったものについても、実は医療金融公庫貸付について、病院施設や診療所の施設設置にあたって、当然国民の病気にかかる状態等も勘案して、適切なサゼスチョンをすることが必要ではないかと思いますので、その状態をお聞きしたいと思いましたが、あまりこまかくなりますし、首をかしげていらっしゃいますから、後ほどにいたしまして、一体貸付決定をするにあたって、今町村あるいは都市別のいろいろ状態の御説明がありましたが、この密度——いわゆる人口密度にいたしましても、あるいは医療機関の数の現状かな推すところの逆比率の判断、そういったことがどの程度一体加えられて貸付をされておるものか。何かそういったものに対する基準がございますならば、お聞かせいただきたい。
  48. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 貸付をいたしますには、まず私的医療機関の方からの要望があってからの問題でございますが、その要望に対しまして、病床が大体その地区需要に満ちておると思われる地区と、そうでない地区というふうに分けまして、そして病床が足りない地区を甲種とし、病床がある程度充足しておる地区を乙種としておりますが、この甲種のところでは、新設、増改築というものにつきまして、六分五厘の利率でやっておる。そして乙種の病床が十分にあると思われます地区につきましては、新築の融資はあまりおつき合いしたくない、ベッド数をふやすのもおつき合いしたくない。増改築につきましてはこうした場合には八分。ただしかしこれもできるだけ差を少なくしょうという御要望もありますので、医療法上で衛生上、保安上の立場から工合が悪いというところに対して指示指導した場合、先ほど河野先生からもお話がございましたが、老朽化によりましてこれは直した方がいいだろうと認定したものにつきましては、六分五厘にするということでやった、こういったところもありますが、ベッドの充足しておるところ、充足していない地区によって、こういった差をつけておる状態でございます。この点、差をなくせよという御要望も強く、またそういうような点につきまして、今努力を重ねておる状態であります。  病床がそこに多いか少ないかというふうな問題につきましては、その地域の人口がどれくらいあるかということによりまして、人口一万についての五十ベッドとか三十ベッド、こういう人口万単位で基準を設けて、今やっているところであります。だから、その地域が都会であれば、その基準が少し高くなりますが、それによって計算しまして、ベッド数がこの地区は相当ある地区、ない地区ということを考えておるという状態でございます。
  49. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 従って、同じような条件であれば、いわゆる医療機関の密度が薄い地区を重点に置いて貸付をする、こういうことに明確な基準が、この公庫の運営の規定なり規則なりの面からございましたならば、そのいわゆる規定的な根拠をお示しいただきたいと思います。
  50. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 二十条に、業務方法書というものをつくる根拠がございまして、それによりまして業務方法書をつくり、さらに貸付準則をつくっておりまして、貸付準則によりまして今の問題はやっておるわけでございます。
  51. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 それは厳格に守られて、同じ条件であった場合には、今言った医療機関状態によって、貸付順位を格づけをしているというふうに、はっきりと認めてよろしゅうございますか。
  52. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 この準則によりまして、窓口機関であります各銀行で一応審査しておりますが、そのときに府県の衛生機関が、その地区医療機関状態を知っておりますので、そのところから基準に合うかどうかというふうな証明書と申しますか、それをつけさせまして、それをさらに医療金融公庫で持っております資料によりましてさらに審査する、そういうふうにしてやりますので、準則と違反して行なっていることはあまりないと思います。われわれの方でも、これはときどきチェックをしておる状態でございます。
  53. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 今実はいろいろな準則もお聞きいたしましたし、先ほど来、貸付状態についていろいろお聞きしたのでありますけれども医療機関の適正な配置という点からいきますならば、この医療金融公庫が果たす役割というのは、その点にかなり重点を置いて運営をされなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。現在無医村といわれるものが、、だんだん少なくなってきておりまするけれども、無医村というものは、必ずしも今まで厚生省等は、ほんとうに医者のいない、医療機関のないところ、こういったことで考えて参ったものばかりではないのでありまして、現在の観念としては、たとえばある程度、人口一万人につき一カ所なり二カ所の医療機関があっても、それでもって医療が充実をしているというふうには当然見受けられないのでございますから、そういった点から言いまするならば、現在一体、たとえば一万人でもって二十五床未満のベッド数しかないというところがいかほどございますか。
  54. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 今のお話で、無医地区と無床地区との話が少しこんがらかっておるようでございますが、御質問のベッド数の足らない地区、ベッドのない地区の数、これは三十四年十一月末現在で、ちょっと古うございますが、その地区は二十九カ所、それから準無床地区と申しますか、人口万単位に十床未満のところが百十八カ所、二十五床未満のところが三百三十二カ所、合計四百七十九カ所、こういうふうになっておるわけでございます。  なお、無医地区関係は、これは三十五年六月の調査でございますが、中心地区から見まして四キロの半径で、人口がその地域に三百人から二千人くらいのところで医者がいないというような地区で、そのうちでさらにこれを一種、二種、三種と分けてありますが、ごく近くに医療機関がありまして、その方が便利なために、そこに医者がいなくても、そうあまり不便を感じないというところが三百八十五カ所、それから人口、面積等から見て、いろいろ考えてみても、なかなか医療機関の開設が困難だというようなところが八百五十九カ所、それから医療機関運営が十分可能だと考えますのが百八カ所、こういうふうなのがありまして、そのうちの医療機関運営が可能だと考えられますような第三種の地域などに関しましては、これは開業医の方々も来ていただける可能性があるのではないかというふうに考え、第二種のところも、特に交通事情も悪い、経営もどう考えても成り立たぬというようなところに対しまして、これを僻地といたしまして、今の僻地医療としての対策を講じておるわけでございます。  これら無医地区に対しての対策でなくて、無床地区に対しての対策は、こういうふうなベッドの少ないところにつきましては、おやりになる方には助成するとともに、私的医療機関の助成も融資条件を有利にいたしますと同時に、その地区に対しましてまた別にベッドを整備することに対する補助金を組んでおりまして、七千万ばかりの補助金を組んでおります。
  55. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 無医地区なりあるいはベッド数が非常に少ないところなりは、大体似通った地域でございますから、あわせてお聞きをしたのでありまするけれども、こういった地区に対しては、特に無床ないしは無床に近いところについては、巡回診療地方自治体でする場合には二分の一、あるいは公的医療機関を新設、増設する場合には三分の一の国庫補助が加えられておることは、今の局長の御答弁からでも私ども承知をしておるところでございますけれども、問題は、私の言いたいところは、公的医療機関については、四十一臨時国会において議員提案で、かなりの規制を加えるように医療法の改正を行なったのであります。従って私どもは、すべての国民が自由選択の状態において、公的ないし私的の医療機関を活用させてもらうという立場から判断をいたしますならば、その成り立ちやその経営の状態、その規模等において相違はございますけれども私的医療機関についても、当然その適正な配置の将来の方針に沿った状態というものが好ましいと思うのであります。しかし公的医療機関のように、法でもって規制するということはもちろんでき得ないことでございますならば、せめて政府が出資をし、財政投融資をかなりの部面さいて貸付を行なうこの医療金融公庫貸付の中で、これが当然実質的に規制をされていくものではないかと私は判断をいたすのであります。また医療法の改正にあたっても、政府考え方なりわれわれの常識的な判断から言いますならば、実はそういう判断をいたしてきたのであります。今までの状況をお聞きして参りました場合に、そのことの適正配置の面にあたって、医療金融公庫が果たすべき役割が、現在の状態で必ずしも満足すべき状態であるというようには私は受け取れないのであります。従って、たとえば無医村なりベッド数の少ないところに対しては、国なり地方自治体がまずもってその充実をはかるべき責任があることは、だれしもわかっておる通りでありますければも、そればかりでなく、たとえば自分の病院を僻地に建てて、一つ無医村解消のために、一生懸命努力をしようじゃないかというような人が民間にありといたしますならば、そういったものにそこ、これはほかと比べてみてもかなりの優遇策をとってその配置をさせる、こういうことが私は必要ではないかと思うのでありまして、これは貸付の利子等においても、今後検討さるべき課題ではないかと私は考えておるわけでありますけれども、そういった面からのこの運営に対する方針なり、改善方向なりというものについてお考えがあるかどうか、渡海政務次官の方からお聞かせいただきたいと思います。
  56. 渡海元三郎

    渡海政府委員 国民に平等に医療を均霑せしめるという意味から、現在では僻地その他において非常に医療機関が少ないという地区に対しまして、このせっかくあります医療金融公庫を運用いたします場合に、優先的に取り上げなければならぬということはもちろんでございまして、現在における運営におきましても、ただいま局長から細部にわたりまして答弁ありましたが、私たちといたしましてもぜひともそういった方向で運用しなければならない、かように考えております。金利等におきましても、そういった意味では現在八分と六分五厘でございますが、区別しておるような次第でございます。なお篤志的に、特に社会に貢献するために、個人でありながら僻地に私的医療機関を持っていこうといわれる方に対しましては、なお一そうの金利等の措置をはかってはどうかという点につきましては、六分五厘という点が現在政府最低の線と申しますか、それ以下に下げるということは補助的な問題になりますので、私的医療機関にそういった補助的な金利の引き下げを行ない得べきかどうか、またやるべきかどうかという点につきましては、御趣旨の点、十分了といたしますが、慎重に検討させていただきたい、かように存じます。  なお、医療法の一部改正によって、公的医療機関制約が加えられるのだから、そういう面で必要地区以外に対してはこの医療金融公庫——これは国民の金であるからというような御指摘がございましたが、金利等についても、そういった点から少しは高くとってもいいのではないか、御意思のあるところごもっともでございますが、医療法にいわれます適正なる医療の配置というものは、医療制度調査会等の答申を待ちまして、私ども慎重に検討していきたいと思いますが、現在国で一応線を引っぱっておりまして、その線の範囲内において利率等も分けて区分はいたしておりますが、それがはたして適正配置であるかどうかという点も疑問でございます。公的医療機関制約を加えたが、私的医療機関にそういう制約を加える方が、国民のためであるかどうか、また国民保険下に置かれた現在におきまして、医療機関がどういった設備、どういった配分で置かれた方がよいかという点、また保険下におきましては、いかなる単価においても平等であるのだから、できるだけ国民医療単価を下げる意味からも、こういった私的医療機関に対しても国の融資制度を設けたように、金利等においてもどこにおいても、そういうふうな最低限にすべきではないかという要請もございますので、これら全般の点を考慮いたしまして、慎重に検討させていただきたいと存じます。
  57. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 私は、もちろん極端に私的医療機関というものを、法的な意味においても拘束することは、いわゆる自由経済の原則から見て好ましいかどうかという点は、相当な考慮をしなければならぬことだろうと思います。そしてまた大都市といえども医療機関が完全な意味において充実しておるとはもちろん言いがたいのでありますから、希望者があればこれに対して公庫もどんどん貸付を行ない、これが設立を促進することが必要なことは当然のことでございますけれども、問題はやはり医者の少ない、あるいはベッド数の非常に足らない、また文化の恩恵に浴していない、そういう地域に対して、どういうような手厚い医療行政が行き渡っておるのかどうか、それを充実させるような重点的な施策と方針がとられておるのかどうかという点でございます。これは比較論でございますけれども……。私は医療法の改正にあたって、いろいろな方々意見を聞きましたけれども公的医療機関に対する規制が法律的にとられた、しかし私的医療機関については、医療金融公庫という窓口があるのだから、これでもって自主的にある程度の規制ができる。規制という意味合いは、ただ単に抑制を強めるという意味でなく、さっき申し上げたように、比較的な意味合いからいって適正化をはかるという配慮ができるものなんだ、こういうように聞いて参ったのでありまして、ある程度貸付基準等がおありであることをお聞きいたしましたけれども、私は今までの実績をずっとお聞きして参りまして、今の法律で、たとえば一般病院が九十五でございますが、そのうち町村は十九という状態、診療所はもっと多いということになりますけれども、精神病院についても三十八のうち、町村が六という状態でございます。そういう状態でございますから、現実的に見てこの私の判断では、政務次官もおっしゃったように政府考え方、熱意というものが、万全な姿でこの窓口を通じてはかられているというふうには、必ずしも見受けられないのじゃないかということを私は申し上げたいのであります。従って、より全体的な前進をはかることが必要でございますが、その中における一つのカーブから言いますならば、今言ったような適正な配置という部面を考えて、この公庫の貸付についてもさらに改善をする余地はないか、金利という問題も一部言いましたけれども、そればかりではなくて、実際に設立をする場合におけるところの、貸付決定にあたっての配慮が、今の基準のさらに前進的な改善をはかる中でもってでき得ないものかどうか、こういうことを実はお伺いしたがったのであります。
  58. 渡海元三郎

    渡海政府委員 よく御意図はわかりました。私たち運営にあたりまして、そういった部面に優先的にこの金を使っていくようにやっておるつもりでございますが、そういった面も含めまして、ただ単に優先的というだけではなしに、貸付条件等におきましても、金利はとにかくといたしまして、認定坪数と申しますか、また単価等におきましても、私はある程度の優遇措置は講じ得るのではないかと思いますが、御趣旨の線に沿うように、今後検討さしていただきたいと存じます。  しかしながら今の数字にも表われておりますように、私たちは決してそうした点を忘却しておるわけではございませんが、この制度をもってしても、私的医療機関によって僻地に対する診療を充実していくことが、なかなか困難であるということは、数字に表われた事実ではないかと思います。従って、医療法の改正による公的医療機関の制限がございますが、医療制度調査会の答申が出され、適正なる病院配置はいかにあるべきかという線が出されましても、おそらくこれらから、もちろんこの基準に遠く離れた地域ばかりであろう、かように思いますので、今後ともに公的な部面における拡充をぜひとも行わなければならないと思いまして、十分とは申せませんが、本年度の予算におきましても新しくやり、また国民健康保険におきましても、そういったものに対する補助金を、むしろこの部面は、公的な部面から生かしていかなくてはならないのではなかろうか、かように考えております。  これは、ある一地域のことを申し上げまして、まことに問題なんでございますが、皆保険下におきましての一つあり方として、非常に僻地解消という意味の効果を上げておられるのではなかろうかと思ったのでございますが、数カ町村で組合立の病院をやっております。これはなかなかりっぱな病院でございますが、その病院を中心といたしまして、必要なところにその町村が診療所を置く。また僻地の診療所も巡回バスをもって定期的にやっておられる。それは数カ地区の組合立の病院でございますから、当然その組合の範囲内の住民でありますので、僻地をいとわずやっておられる。しかも親元病院となって、そこから一定期間医師が交代で派遣されて、僻地の診療所で診療に当たっておられるというふうな制度をやっておられまして、非常に円滑にこの解消を、一つのシステムの中において行なっておるというのを、実際に見せていただいたところもありますので、こういった行ないをやりますのにも、公的なシステムというものが必要ではなかったか、かように思いますので、今後ともに、この医療金融公庫制度とともに、むしろより以上そういった制度によって、これらの解消をはかっていかなければならない、かように考えております。
  59. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 先ほども申し上げましたように、医者のいない地区、またベッドの少ない地区に対しまして、考えてみて経営が困難だというふうなところに対しまして補助金を出す。また公的医療機関の協力によりまして、そこの無医地区の対策をやっていく意味におきまして、経営がある程度いきそうだというものにつきましては、私的医療機関等の開設を待つ。それに対しまして利率も変え、またベッド数も足らないところでなければ新築は認めない、ベッドの増も認めないという形をとっておるわけで、その成果が十分ではないではないかというお話でございましたが、三十六年の実績を申し上げますと、新築が、これは病院、診療所一緒にしてございますが、貸付決定が四百八十九件で二十億三千八百万、それから甲種の増改築、実はこれは今の六分五厘の、ベッド数の足らない地区でございますが、四百六十四件で二十六億一千百万、それに対しまして、ベッド数の相当多いところに対しましての貸付決定が二百六十八件で、金額は六億五千百万円という状態で、えらい少ないのでございます。こういう乙種のところにつきましての利率の問題、それから制限新築、ベッドの増を認めないという点が、あまりにひどいのではないかという御批判も一部あるわけでございますが、この点はいろいろ見方があろうと思います。それは別といたしましても、ベッド数の少ないところでも、経営状態の悪いところ、ベッド数のないところは、さらにその区分をこまかくするという問題は、御指摘もありますので、十分検討していきたいと思いますが、なかなか六分五厘を下げることは、今の金利の体系上困難かと思います。これはお話の通り国民保険下におきまして十分考えなければいかぬとは、われわれも考えているところでございます。
  60. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 貸付対象になった施設運営に対しては、一体どういうような監督というか、監視をやらてれおられましょうか。いわゆる人的な配置の一つの人件費の基準は一体どうなっているか患者に対するところのいろいろな措置、衛生状態や給食の問題等に対して、たとえば業務報告書等も出してもらって、いろいろとその状態を見るというような措置がとられているのではないかと思うのですけれども、あるいは適時適切な時期におけるところの一つの監視なり、そういったものをやることができるのか、またやっているのか、この点はどうですか。
  61. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 貸付した、従いまして金を借りました病院、診療所につきましては、特に病院だから、診療所だからといって、衛生状態の特殊な監査というようなことはやっておりませんで、ただ金を貸した条件によって使っているかどうかということは、一応チェックはいたしております。なお貸します窓口になります銀行も監査をやっております。そういうようなわけでごいます。
  62. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 ちょっともう少し突っ込んでお聞きしたいのでありますけれども、時間がないようでございますから、医療金融公庫の将来の運営方針について、われわれとしては公的医療機関というものと私的医療機関というものが、どういうような配置の状態になるのか、一体どういうような点をそれぞれ重点に置き、これが配置をされ、その特徴点を生かしていこうとされるのか、これから先、一体大ざっぱにいって、どういう方向にその重点を置きながら、将来の展望というか、そういうものを持ちながらこれに対処しようとするのか、その点に対してはいろいろと質問もあったかと思いますが、私は、年々歳々政府の出資金もふえているわけでありますから、けっこうといえば非常にけっこうな話に常識的には見えるのでありますけれども、はたして将来の医療基盤が適切に配置、拡充、強化という点からいいまして、一体政府はどういう方針をお持ちでもって、この問題に対処しようとしているのか、その点に対してこの際一つ考え方を表明しておいていただきたいと思います。
  63. 渡海元三郎

    渡海政府委員 公的医療機関私的医療機関との配置等についての方針をいかにきめるか、非常に大きな問題でなかろうかと存じております。私たちも、特に現在のような国民保険下におきましては、国民をひとしく医療の恩恵に浴せしめるということから、その制度運営等を非常に考えていかなくちゃならないものではなかろうかと思っております。このような問題でございますので、私たち医療制度調査会におきましても、学識経験者等の意見を慎重に今検討させていただいているような次第でございます。実はそのような立場にありましたために、先般の立法にあたりましても、医療法の改正の際、私たちは現在の時点においては、いましばらく御猶予を賜わりたき旨を希望として申し述べたような次第でございますが、私的医療機関の充実ということでございましても、これは強制するわけのものでございませんから、それらを勘案してやっていかなければならないと思いますが、私たちはある程度のシステムを持った、しかも国民全部が医療の恩恵に浴せしめるという点を考慮に入れまして、また病院につきましても、経営が悪くても、国民保険下経営を行なわなければならない、そういったように国が行なわなければならない点、公共団体が行なわなければならない点、その他の部面におきまして私的医療機関の果たしていただく役割等の調和をはかりながら、これの前進をはかっていきたい。ただ現在の国立病院あるいは国立診療所というものは、御承知のようなものをそのまま受け取ったというふうなな姿でございますので、これをいかに基準つけ、整理していくかということは、なかなか困難が伴いますが、先ほどの御質問にもお答えいたしましたように、現在の国立病院あるいは診療所は、従来のいきさつから考えまして、それなりの地域における最も有効な施設としての生かし方ができるように、私たち考えていかなくてはならない、かように考えておりまして、答えになるかどうかわかりませんが重要なる問題でもございますので、答申を得まして慎重に検討いたしまして、ある一定の方針のもとにこれらの適正な配置を期していきたい、かように考えておるような次第でございます。
  64. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 いろいろとお話がありましたけれども医療制度調査会が中間的な政府に対する考え方をいろいろ述べておる中にも載っておりまするけれども、今政務次官のお話にもありましたが、私は政府医療行政というものに対して、あらためてまた厚生大臣に機会を見てお伺いしたいのでありまするけれども、私どもはこの医療金融公庫貸付等は、非常に望ましい姿だというふうに一面見ながらも、国民の立場からいって、医療機関は充実するけれども、今の社会保険のいわゆる診療体制の中でもって、診療報酬の問題というものが一体どういうふうになるのかということも考えながら、この問題に実は対処をしなければならぬと思いまするけれども、残念ながらそういったものと無関係とは言いませんけれども、あるいはそういった診療報酬の決定等と関連はさせながらも、一方のテンポと、たとえば資本金が八十一億にまでなるというような工合に、こちらの方はもう毎年毎年どんどん進められていく。しかし一方の肝心の医療に対するところの現在の未解決な問題というものは、なかなか進行していない、こういう問題が横たわっておるわけでありまして、私はこれは当然この医療金融公庫貸付の問題と無関係でないと思うのでありまして、その返済や運営等が、当然現在は社会保険の体制の中で行なわれるわけであります。国民にとっては非常に重大な関心があるわけでございまするけれども、これに対するところの基本的な態度というか、確固たる方針というものが、どうも欠けておるというふうに言われておるのであります。いろいろと厚生大臣や政務次官、それぞれ厚生省の御当局が、御熱心な対策を練られておるようでざいまするけれども、私ども医療に対してはしろうとの者から見て、国民の立場から常識的に判断をいたしましても、どうも朝令暮改、一体どこに政府考え方があるのか、まさに疑わざる得ないというのが現在の状況でございます。河野さんやその他の方たがこの問題に対しまして伺いましたので、私は実は昨年来の臨時医療報酬調査会設置法と関連をして、私も私なりの立場からいろいろとお聞きをしておきたかったのでありますけれども、本日は実は質問をする時間が、ございません。しかしいずれにいたしましても、この診療報酬の問題、単価決定の問題、特にその根本的な問題となる中央社会保険医療協議会の発足がおくれておるという問題、これらの問題とからみ合わせてみた場合、特にこの秋には地域差を撤廃するというような政府考え方もある状態の中では、政府の勇断というものがこの際払われなければ、ただ単に医療金融公庫の資本金をふやしたというようなことだけで、医療行政足れりというような形では、はなはだ困るのでございますが、どうでございまし、ようか。昨年は審議未了になりました臨時医療報酬調査会法が一転をいたしまして、厚生大臣の所管のもとに医療報酬の調査会をつくるということになり、これがさらに格づけを上げまして、閣議決定ということになって、各方面から賛否両論といいましょうか、反対の方が大部分でございますけれども、いずれにしても従前賛成をした、反対をしたという両方の側から、政府の態度ば、上品な言葉で言えばきわめて弱いというふうにとられておるわけでありますけれども、こういったいろいろ法律案をお出しになってくる側でございますから、端的に一言でけっこうでございますから、一体中央社会保険医療協議会は、政府考え方ではいつごろ具体的な発足を見るというのか、この際一つはっきりとした見通しをお聞きしておきたいと思います。
  65. 渡海元三郎

    渡海政府委員 医療金融公庫法だけもって、現在の医療制度に事足れりといたしておるのではございません。より抜本的な医療制度全般の問題といたしまして、今御指摘になりました中央社会保険医療協議会の発足は、ぜひともやらなければならない問題である、このように考えております。いつごろ発足の見通しか、端的に答えろということでございますが、私たちは一日も早くこの発足をいたしたいということを申し述べるだけで、いつごろまでにやるのだと言われましても、私は今確約できないことをお許し賜わりたいと思います。しかしながら御承知通り、今も御指摘いたしました通り地域差の問題がございますが、さしあたりは予算が通過いたしましたら、私たちは四月一日からぜひ実施したいと考えております。医療指針の改定等も、当然中央医療協議会にお諮りして実施すべきものでございますので、四月一日からの実施ということにいたしましても、もう早急に開きたい、こういう意欲を持って当たっておるような次第でございます。残念ながら微力でございまして、努力はいたしておりますが、なかなか実現ができないという点は、今申し述べられた通りでございますが、私たち誠心誠意をもってこれを打開していきたいと思っております。今厚生省が打ち出しました案に対しましては、各方面の反対がある、事実その通りでございます。各方面ではなくして、全部反対を言っておられます。しかしながら全部の反対も、その反対の理由は、必ずしも同一の方針によって反対をしておられるのではなくて、全く異なった理由から反対というふうな点もございます。私たちは、現在私たちが出しておるものが最善とは考えておりませんが、現在の時点では解決していく道は、これより方法がないのではなかろうか、これが解決の道であろうという確信を持って、いまだに努力を続けておる次第でございますので、せっかく御了解の上、御協力賜わるように切にお願い申し上げる次第であります。
  66. 田邊誠

    ○田邊(誠)委員 医師会、支払い団体あるいは社会保障制度審議会、それぞれからそれぞれの意見が出されておることは、私も承知いたしておるのでありますけれども、要は政府考え方というものは一体どえにあるのか、昨年設置法を出して、これで押し通すのかと見えましたら、それが審議未了になれば、今度は厚生大臣の腹づもりでやるという形になる。今度は閣議の中でもってそれにかわるべきものを出して、これでもって補おうという、いわば妥協に妥協を重ね、八方気を配りながら、結局はしっかりした腹がまえがないために、なかなか問題の解決にならぬ、こういうところに私は問題があろうかと思うのであります。私どもの見解は昨年来述べて参りましたから、あえてここでもって重複いたしませんけれども医療金融公庫の資本金の増額等がはかられるというようなことがありますが、問題は、こういった体制がきちんとしなければ、ただ単に金を少しぐらいふやしたから、医療の問題が一歩前進をした、こういうことにはならぬと思うのでありまして、本来ならば、今申し上げたような診療単価の問題や、それに関連をする中央医療協議会の発足等がまず先にいって、これができましたあと、さてそれならば医療関係に関する法律なり諸行政について、一つ国会の協力を賜わりたい、こういうふうになるのが当然の話だろうと思うのであります。この法律案というものが、一体どういう工合に今後審議をされるのか存じませんけれども、私の今言った意見も、国民の偽らざる気持の一端ではないかと考えるのでありまして、こういった際でございますから、一つ医療行政全般にわたって、政府も所信をはっきりさして、右顧左眄することなく、それに向かって邁進をされる、こういうふうにお願いをしたいのであります。これが国民の立場からの政府に対する要望であろうと思いますので、お答えいただかなくてもけっこうでございますから、われわれの要望もよくかみしめて、今後当たられることをお願いいたしまして質問を終わります。
  67. 秋田大助

    秋田委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後二時二十三分開議
  68. 秋田大助

    秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。滝井義高君。
  69. 滝井義高

    ○滝井委員 医療金融公庫法の一部を改正する法律案に関連して、二、三の問題について御質問を申し上げたいと思いますが、今度、医療金融公庫の資本金を八十一億、現在の五十五億から二十六億増加することになっておるわけです。それだけ資金需要がだんだん多くなっておるからこういうことになるのだと思いますが、全般的に見まして、医療機関への投資状況というものを、私的医療機関公的医療機関——これば日赤、済生会とか厚生大臣の指定するもののほかに、たとえば国立病院、共済組合等もひっくるめまして、公的医療機関及びこれに準ずるものをもひっくるめて一応公的医療機関としましよう。そういう公的なものと私的なものとに分けて、昭和三十七年度における投資の、実績は一体どうなっておるかということです。ずっと前に、川上医務局長の時代には、総投資が三百億ちょっとくらいで、私的なものが百二十億、公的なものが百八十億、私的なものの百二十億のうちコマーシャル・ベースに乗るものが六十億、乗らないのが六十億程度、そういう説明が一応あったのです。今度は、そういう状態であるので医療金融公庫をつくらなければならぬということになった。医療金融公庫目的は、御存じの通り私立の病院、診療所などの設置及びその機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であって、一般金融機関が融通することを困難とするものについて金融するということで、医療金融公庫ができているわけです。そこでコマーシャル・ベースに乗ったものについても、徐々に医療金融公庫にかわる情勢があることは明らかなんです。従って、それだけの資金ワク拡大しなければ需要に応じ切れないという問題も同時に出てきていると思うのです。そこで、現実の立場に立って、われわれが医療金融公庫の問題を討議しようとする場合には、三十七年度における公的医療機関私的医療機関の投資の実態を把握することが必要だと思うのです。一体その投資の実態というものがどうなっておるのか、御説明願いたいと思います。
  70. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 先生の御要求になりましたのに合うような資料は、ちょっと持ち合わせがないわけでございます。特に私的医療機関の投資の自己資金によるもの、そういうものが必らずしもわかっておりませんので申しわけないのでありますが、まず財政投融資といたしましては、特別地方債によるものが七十七億でございます。それから事業団が三十五億、このほか補助金とか、都道府県、市町村等が自己資金でやったりしておるものがまだあるわけでございますが、この金額は、ちょっと今数字を手先に持っておりませんので申し上げかねます。それから国立病院、療養所の整備費は、国立病院関係が三十七年度が二十三億でございます。それから療養所が、三十七年度は十四億でございます。このほか私立の機関に対しまして、医療金融公庫が御承知通り九十億、ここにも自己資金が入っておるわけでありますが、その数字ははっきりわかりかねます。二割以上は少なくとも自己資金が抱き合せに入っておりますし、それ以外にも自分でやっておられるものがあると思いますが、その数字はちょっと今つまびらかには聞いておりません。
  71. 滝井義高

    ○滝井委員 実はわれわれが医療行政を知ろうとするならば、やはり医療機関の投資の実態というものがどうなっておるのか、その投資の実態に基づいて、医療機関の創設、配置の問題がきまってくることになるわけです。従って、医務局長としては、公的、私的医療機関の全日本における、国なり県なり市町村なり、それから共済組合なり健康保険組合なりの投資の実態の全貌を把握する必要があると思うのです。それが把握できていないところに、日本の医療行政の悲劇があるのです。だからこれを早急に把握していただいて、ちょうど下水道なり清掃なりで緊急整備五カ年計画をお立てになるでしょう。それと同じように、日本の病院に対する五カ年計画というものをつくる必要があると思うのです。そういうものがだんだんできてくると、厚生行政の長期計画というものが、おのずから集大成されてくると思うのです。それがただ、何かそのときそのときの要求だけで、今説明するように特別地方債七十七億、事業団三十五億、今年はその七十七億が八十九億になる。一体どういう理論的な根拠から八十九億になるのかということは、これではわからぬわけです。そういう点、もう少しやはり計画的にやると——計画経済というと社会主義になるけれども、経済計画といえばいいのですからね。経済計画ということであなた方今までいろいろおやりになっておる。計画的な病院の配置だというと、これは社会主義だといわれても工合が悪いでしょうから、病院計画とこうやったらいい。そういうことで、全国こういう程度資金の配分をやるということでやらぬと、私は問題だと思うのです。そこで一ぺん三十六年度、三十七年度、それから三十八年度くらいの全部の洗いざらい——私的医療機関の自己資金等は推定でかまいませんから、大体過去五カ年ぐらいの病院の伸びをずうっと見たらわかる。それからあなたの方は、一年に一回、全部の病院木造か鉄筋かといういろいろ調査をやりましょう。あれでおおよそ推計かできると思うのです。大体全国病院医療金融公庫に貸し出しを申請するときに、私的医療機関病院ワクはどのくらいだ——三百万かそこらしか貸さないのですから、小さな診療所なんか。病院なら二千万なら二千万、三千万なら三千万ときまっておるのですから、それをフルに見てやったって、およそ推計ができるわけですが、そういうものは、出せますか。
  72. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 今私の申し上げましたのは、手元に持っておる資料としてございまして、大体の状態は把握しておりますので、今取り寄せに行っております。
  73. 滝井義高

    ○滝井委員 それ、では一つ、把握をしておれば取り寄せて御説明を願いたいと思います。これがわかってこないと、質問の過程で、なかなかあとの議論が進めにくいのですが、これはあとでいいです。そうしますと、公的、私的のものの総投資額というものを、補助金までひっくるめて、あるいは自己資金もひっくるめてきちょっと一応見通しを立てると、だんだん議論がうまく展開できてくるわけです。  そこで、第二番目にお尋ねをいたしたいのは、医療金融公庫貸付条件と年金福祉事業団の貸付条件が、昨年は非常に開きがあったわけです。そこでこの開きを直すように強く要請をして、大蔵省と交渉をした結果相当その前進を見たと思いますが、その確定した資料ができれば、あとで出してもらいたいのです。同時に、ここでまず医療金融公庫と年金福祉事業団との大きく違っておる点、前進した、しなかった点だけを一つ説明してもらいたいと思うのです、同じものは同じで……。たとえば貸付率は所要額の八割でございます。ところが、これは年金福祉事業団は九割貸します。これだけ劣っておるなら劣っておる、こういうところだけを一つ指摘願って、あとは資料で出していただきたいと思います。きまった決定資料を出していただきたい。
  74. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 貸付率が、今お話しの通り医療金融公庫は所要額の八割、それに対しまして年金事業団の方は九割で、この点、改善せられておりません。  それから増改築の方の限度、個人が三千万、法人が五千万、ただし特定病院は一億、医務、金融両局長の承認によるものは限度を設けない、これは医療金融公庫でありますが、年金福祉事業団の方は限度額がない、この点は従来通りでございます。  それから機械購入が、病院五百万、診療所が百万、共同施設が三百万、こういうふうな状態になっておるのでございますが、それにつきまして、年金福祉事業団は限度を設けてなかったのでございますが、この点、三十八年度におきましては一床当たり十万、最高一千万として、医療機械購入に対する融資ワクの限度を高めておるという点が改善せられております。  それから長期運転資金は、これは医療金融公庫だけでございまして、年金福祉事業団は対象になっておりませんが、この関係も少し、金額は三百万ほど上げました。  それから貸付最低額、これは医療金融公庫は二十万、年金福祉事業団は百万、これは今までの通りであります。  それから貸付利率の問題でありますが、年金福祉事業団は六分五厘、大企業関係で七分、こういうふうになっておるのでございますが、医療金融公庫は、新築と甲種増改築が六分五厘で、乙種増改築は八分というふうになっております。ただ特定の場合には、期限を切って六分五厘というふうにしておったのでございますが、これが改善せられまして、三十八年度におきましては、医療法とか薬事法に基づきました命令指導等による増改築、それから老朽施設に対して認定したもの、これについては期限を切らないで六分五厘になりまして、乙種につきましては、この点はだいぶ大きな前進ではないかと思います。ただし、まだ年金福祉事業団の方には及んでいないというわけであります。  それから機械関係の購入の利率でございますが、これが従来九分であったのが、今度は診療機能を向上するに役立つような機械に種類を限定いたしておりますが、これに八分とする、こういうふうな点が改善せられております。  それから長期運転資金は、年金福祉事業団は対象としておりませんことは先ほど申し上げた通りでありますが、それが九分だったのですが、そのワクを少し広げることができそうであります。新築、増改築、災害復旧等以外には、多少ワク拡大ができそうでありまして、それはことしの新しい点であります。  それから償還期限でございますが、病院の新築の場合、耐火が二十年、簡易耐火が十八年、その他が十五年、増改築の場合十五、十三、十年、こういうふうになっておりましたが、増改築の関係が、耐火が十五、十三、十が十八、十五、十三というふうに延ばしました。この点、年金福祉事業団の新築が、耐火が二十五年、その他が二十年、増改築の場合が二十年、十五年というのには及びませんが、だいぶ近寄ってきております。あと、診療所関係の増改築の場合、耐火、簡易耐火、その他として十年、八年、六年だったのが、十三年、十年、八年というふうに、これはよくなっております。これは据置期間が差がございますが、この点は改善せられておりません。  それから標準面積でございますが、病院の一ベッド当たり、耐火が二十二平方メートル、その他が二十平方メートルとなったもので、だいぶ年金事業団との差がありましたが、これは耐火が二十七・五平方メートル、その他が二十五平方メートルになっております。だいぶこれは近寄ってきております。特定病床の関係はあまり差がなかったのでありますが、三十三平方メートルは三十平方メートル、この点、だいぶ近寄っております。  それから診療所の一施設当たりの面積が、耐火の場合には百二十一平方メートル、その他が百十平方メートルだったのでありますが、これが有床の場合は一水準当たり百五十平方メートル、無床の場合は百二十平方メートル、歯科の方が百平方メートルになります。年金福祉事業団が一施設当たり百七十六平方メートル、これにはちょっと差がありますが、改善せられております。  それから標準建築費の問題でございますが、これはまだ最終の数字がきまって参っておりません。年金福祉事業団とこれは差がありますが、二カ年間で一致さすように、三十八年に半分追いつくが、その数字はまだ確定しておりません。これは二カ年で追いつくというような立場で話がついております。そういう状態でございます。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 非常に不満です。同じ還元融資の金が入っておる。同時に、一般会計から金が入っておるわけです。年金福祉事業団というのは、これは一般会計から金が入らぬわけですから、還元融資の金なんです。片方は、一般会計から還元融資の金が入っておるのですから、条件がよくなければならぬ。よくなければならぬものが悪いというのは、私はおかしいと思うのです。しかも昨年以来、年金福祉事業団と医療金融公庫が一致せよ、区別する理論的な根拠はどこにあるのだと言っている。何も理由はないのです。公的医療機関私的医療機関と違うところは一体どこが違うかというと、最終的に所得が個人の所有に帰するか、あるいは公のものになるかという違いだけだ。あとは被保険者の大衆を見る点についても同じだし、診療報酬の単価も同じだし、点数も同じだ、みんな同じなんです。違うものは、最終的に煮詰めた場合に、所得が一体だれの所有になるかという違い、個人の所有になるか公のものになるか、それは税金で調整したらいい。一方は非課税で、私的医療機関は税金がかかる、これ以外に違いはないのです。私はこの前から、川上さんが医務局長のときからこれは一本にすべきだとずいぶんやかましく言って、政府はその努力をいたしますということになっておったのだが、今の御説明を聞きますと、貸付率においても、あるいは新増改築の点においても、限度額等の問題についても、機械購入費についても、あるいは貸付最低額についても、幾分の前進はしておるけれども、これは申しわけ的な前進であって、納得できない。どうして一緒にできないのですか。どういう理論的根拠があるのですか。一方は一般会計から金が入っているのでしょう、一般会計から無利子の金が入るのでしょう。一方は還元融資の金なんですからね。だから利子は払わなければならぬ。医療金融公庫には、三十八年度においては、還元融資の金は四十一億程度入っております。年金福祉事業団は、これは住宅その他もありますけれども、二百億、そのうち病院が三十八億入っておるのです。それで年金福祉事業団の二百億というのは、ほとんど全部これは厚生年金なり国民年金なりの還元融資だ。医療金融公庫は、政府の利子のつかない金が、今度は、二十六億増加して八十一億になるのですからね。だから理論的に言ったら、医療金融公庫の方が利子が安くなければならない、一般会計から金がいっているのですから。ところが逆に、それが高くて条件が悪いというのはおかしいと思うのです。私的医療機関だけをそういう差別待遇する理論的根拠は、皆保険の場合にないわけです。ただ所得が個人に帰するという点で、税金をかけるという点ではやむを得ないと思うのです。これは一つ委員長大蔵省銀行局を至急呼んでもらいたい。これは私納得できません、この前から何回言うかわかないのですから。この前は、こういう話がきまらぬというのでストップしかけたのですから、そういうことでこれは同じ診療報酬でやって、同じ対象の被保険者をやっておるのに、家を建てたり何かするのに利子その他が違ってくるというのは、その分だけ単価をふやさなければならぬということになる。高いコストの金を借りてやるのですから、当然高いコストになる。これは医療費のコストが上がることを意味する。医務局長の方としては、一体どういう理論的な説明をやるのですか。あるいは年金福祉事業団が公的医療機関をやっておりますからというなら、今まで医療金融公庫に借りておったものがある。それを去年の改正で、一部年金福祉事業団に肩がわりさしたのもあるのですから……。今の御説明ではその理論的根拠がはっきりしない。
  76. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 この問題は、昨年も先生から川上医務局長にだいぶお話がありました。私も速記録を読ましてもらっておるわけですが、あのときにも大蔵省も参りまして、いろいろ御説明をしておったと思います。大蔵省のあのときの説明では、財産の所属の問題と一緒に、公的医療機関私的医療機関の性格の問題、またさらに、年金福祉事業団の方は還元融資というところからずっときておるし、医療金融公庫の方は中小企業金融公庫の方から派生してきたという歴史的な経過、こういうふうな問題があるという説明をしておったと思いますが、われわれは決して差があるということを肯定しておる立場ではございませんで、できるだけその差をなくしようという立場でいろいろ努力をしております。先生から不十分だと言われますけれども、一番問題になっております利率の点でも、乙種増改築につきましては六分五厘と、かなりのところにきております。また中では、年金福祉事業団にない運転資金の仕事もできるようになっております点もありますので、御不満ではございましょうが、一歩前進ということで、できるだけ三十九年には差をなくすような方向で努力するというようなところで、ことしの状態は、このくらいのところで御了承願えれば幸いだと思うわけでございます。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 今あなたの言うように、医療金融公庫中小企業金融公庫から分離したもので、歴史的な経過が違う。だから、中小企業と同じようにしなければならぬということの理論は通らない。中小企業金融公庫の中に医療の金融を入れておって、皆保険政策をやり、診療報酬を全国的に統一していくということになると、中小企業の範疇には入れにくい、理論的にも無理があるということで分かれてきておるのです。貸付ワクその他の問題もあるし……。そうしますと、公的医療機関を中心に、かつ年金福祉事業団と、しかも一般会計から無利子の金を入れておる医療金融公庫とが、片方の無利子の金が入った方が高いという理論は出てこない。そういう点では私はどうも納得できない。しかも皆保険政策をおやりになっておるでしょう。私的医療機関だけが診療報酬をよけいにするわけにはいかぬ。高い資金コストのものを借りておって、公的医療機関から税金をよけいとるのですよ。片方は税金を払わない、安いコストの資金を借りるでしょう。それで平等の医療をやられるということはおかしい。どういうことが起こるかというと、それは患者に悪い薬を使うことになる。あるいは労働の過重をやる。算術計算でその通りになる。皆保険政策を遂行する医務局としては、おかしいことになる。だから私はそれは納得できない。きょう通せといっても、こういうものは通されぬ、そういう今の説明では通されぬのです。
  78. 渡海元三郎

    渡海政府委員 私の言うことが、そこまで調べておりませんから、どこまで的確であるかどうかということは期しがたいのでありますが、もし誤りがあれば、御訂正賜わりたいと思います。今国民保険単価は同じであるから、公的私的を問わず、金利に差別をつける必要はないじゃないかという御疑問でありますが、率直に私も同感でございます。従いまして、そのように努力して参りたい。努力のほどが足りないということでございましょう。微力の点は平にお許しを賜わりたいのでございますが、将来その目標に向かって前進を続けていくということは、今までの各委員方々の御質問に対して答えた通りでございまして、今後ともにこれが平等をはかるために前進いたしたいと思っております。ただ、現在のこのような差ができましたのが、本来、今申しましたように、医療金融公庫中小企業金融公庫を離れて、医療という公的な立場からこういった特殊の業種に対する特別の公庫が設けられたというふうな事情がございまして、そのために、その特別会計の中での金利の計算がこうなったものであろうと思います。なお、年金福祉事業団の方は、御承知通り従来は事業団というような形でなくして、厚生年金還元融資という姿におきまして、地方公共団体等と同じような形で、地方団体を通して又貸しという形で、厚生年金並びに国民年金等の自分らが積み立てた金に対する還元という意味で、地方公共団体と同じような金利でこれの貸付が行なわれておったというふうな歴史的な事情から出発したために、このように低利のものがそのまま存続したんではなかろうかと思います。年金福祉事業団の金利が低いこと自体は、滝井委員も御納得賜わる、ただ医療金融公庫は当然それと同じにしなければいけない、こういう御主張でなかろうかと思います。私も同様でございますし、そうありたい、こう思います。ただ、資金面におきまして、一方は一般会計を持ち、一方は還元融資財政投融資から来ておるものばかりだ。当然資金面からながめたら、高いはずはない、資金面だけをながめたら運営が平等にできるはずである、むしろ安くなるべきはずだ、私は御指摘通りであろうと思います。ただ厚生年金の事業団が、掛金を積み立てております事業団体に対する福祉事業の一環として行なわれております関係上、厚生年金の事業団が持ちます特別会計は、厚生年金特別会計の中から別途にこれが支給されて事業に出ておる。医療金融公庫は、それ自身独立会計としてやるために、政府出資という形において、その政府出資の生み出します金利の中から事務費を計上しておる。そういった点に、現在なおこれ以上の一般会計からの投資をしていただかなければ、これは平等なところまで下げ得ないという理由が存しておるのではなかろうか。もし誤りがあったらあとで訂正さしていただきますが、私の現在知っておる限りでは、そのようなためにこういった金利でとどめられておるというふうな次第でないか、かように考えます。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 年金福祉事業団よりか資金コストが安くなければならぬというのは、医療金融公庫でも年金福祉事業団でも、国民年金なり厚生年金還元融資対象になっておるわけです。だから、これは資金運用部から七十二億たとえばことしは入っておる。それから一般会計から二十六億と自己資金が十二億あるのです。この二十六億と十二億というのは、これは利子がつかなくてもいい金です。利子を払う金は七十二億。ところが、年金福祉事業団の住宅を含めて二百億入る金は、全部利子のつく金なんです。そうすると、資金コストからいけば、もし還元融資から来る利率が同じだとすれば、当然医療金融公庫の方が、一般会計から入っておるだけ安くなければならぬ。それが一つ。  もう一つは、医療金融公庫をつくった目的をごらんなさい。一条で、コマーシャル・ベースに乗らないものを救うためにつくっておるのでしょう。そうしますと、これはコマーシャル・ベースに乗らないものを対象にするのに、それを普通の公的医療機関の待遇と同じにして、それより高いものにするというのは、どう考えたって理屈に合わないです。しかも被保険対象ですよ。皆保険になったから、国民健康保険なり健康保険の被保険対象を見るという点においては、公的医療機関とちっとも変わりない、単価も同じである。そうすると、どうしてもこれだけ高くしなければならぬという理論的根拠が出ない。歴史的に見て、中小企業金融公庫から分離したものであるというだけの理論では、そんなものは出てこないですよ。だから私は、これは大蔵省を呼んで、この前も何回も言ったんです。そうして表をわざわざつくらして、いやがるものを無理に出させたんですよ。あのときに、出してきて、今度は必ずこういうようにやります、一つまかしてくれと、当時の大臣の古井さんと灘尾さんと両方とも、まかしてくれ、じゃ、まかせましょう、こう言っていた。また医療金融公庫が出てきたから、一年ぶりに質問したわけです。ところが、出てきた結果は、現状より前進しているけれども、きわめて不満足なものでしょう。これではこの法案は簡単には通せぬですよ。そこが一番大事なところで、予算にも関係はないんだから。
  80. 渡海元三郎

    渡海政府委員 私、間違っておったらあとで訂正させていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、いわゆる融資資金コストからながめましたら、一般会計から無利子の金が入っているわけでありますから、金利はむしろ安くなるというのが当然であるというのは滝井委員の御指摘通りでございます。ただ、私申しましたように、年金福祉事業団というものは、厚生年金あるいは国民年金をかけていただいておりますその掛金を積み立ててやっておられます団体に対して、直接自分らの積み立てた金であるから、還元してそれを御利用願いたいという趣旨から出ております関係上、年金福祉事業団の事業を行ないます事務費等が、厚生年金特別会計の積立金の中からまかなわれているというために、資金コストといたしましては、還元融資としてやって参ります国家の融資も、運用部資金が予定しております最低の利率でもってそのままお貸しすることができる中で、消費するところの事務費というものは別途なものから出しているというところに、安くなった理由があるのではなかろうか。一方、医療金融公庫の中の事務費というものは、公庫自身の中でまかなう制度になっている。公益事業や金融公庫であるから、そういった方式になっております。そういったものはできるだけ資金コストを安くするために、資金コストのかからない一般会計からの資本金というものをもって、それから生み出しました金利をもって事務費に充てていくというような姿で運営されております。従いまして、本年二十六億増していただいたのでございます。それらの運用によりまして、できるだけ最低限の運用部資金金利から出て参ります利率でお貸し出しできる事務費は利率の中へ入れていかない運用をしたいということが目的でございますが、現在二十六億増していただきました。一般会計だけでは、まだそこに及ばず、幾分かの差ができている。このために、安い資金コストでありながら差ができたのではなかろうか、かように思っている次第でございます。今後とも努力しなければならないという点は、滝井先生御指摘通りでございまして、ただ私は、事実その差ができた原因はそういったところにあるのではなかろうかということを申し述べます。ただ、差があってはいけないという御議論に対しまして、滝井先生の御主張の通りでございまして、まことに微力でそれに至っておりませんが、今後ともこの努力を続け、最終的には資本金を増していただきまして、医療金融公庫の事務費が、国家の投資するところの一般会計から出す資本金でまかなわれ、貸し出す金利は、事業団と同じように、運用部資金から出て参ります最低の利率で直接お貸しすることができるような制度に持っていきたい、このような努力を続けていきたいと考えております。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 資金コストの点は、いずれのところから金がきているにしても、その議論はしばらくおくとして、とにかく現実に同じ被保険者を対象にし、同じ医療費の単価でやっておって、ただ違うところは、その利潤が個人に帰するか公のものに帰するかという違いだけです。その違いを直すためには、片一方は税金を払い、一方は税金を払っていない、これで相殺することができるわけです。あとのところは一緒にするということが、あくまでも基本原則でなければならぬはずですよ。この点基本原則をなぜ貫けないのかということの理論的根拠がはっきりしないのです。
  82. 渡海元三郎

    渡海政府委員 将来一緒にしなければならないという点については私も同感でありますが、今も申しましたように、出発の歴史的な過程から、たとえば公営企業金融公庫におきましても、地方公共団体が行ないます事業に対しましても、出資金が少ないため最初は七分五厘でございましたが、現在七分一厘までなりました。水道等の事業に対しても、公営企業金融公庫で行なった場合においては七分一厘で出ておるというふうな姿でございます。ただいま、被保険者も医療単価は健康保険と同じである、そのために金利コストも同じようにしなければならないという御議論は、よくわかっております。ただ、厚生年金をかけておられる方々に対する還元的な融資であるというふうな点から出発いたしました関係上、金利も運用部資金で扱います最低金利で、おそらく事務費というものも他の面からこれを練り出すという歴史的過程に基づいて、そうなったんじゃないかと思います。今かけている、見るものは一緒じゃないかという御議論は、その通りでございます。特に違う点と申しますならば、一方は自分が無利子で積み立てた金を還元しておるのだから、そういった制度になったんだと思います。しかしながら、国家が設けますところの中小企業金融公庫にしましても公営企業金融公庫にしましても、その事務費のあり方は、出資金の額によりまして、出資金の運用によりまして全部まかなうという形態になっておりまして、まだそこまで至っておらない。一方は、今申しましたような設立趣旨からできたものでございますから、別途に積立者に対するところの福祉還元という意味から、全般の厚生年金の積立金から生み出したところの特別会計から事務費がまかなわれておる、そうして最低限の金利でこれをお貸ししておるというような歴史的事実からそうなったと考えますので、これを同一にするように私たちは今後ともに努力を続けて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  83. 滝井義高

    ○滝井委員 今後の努力では——今、もうすべてが一緒なんですよ。だから不満が出てくるんですよ。医療行政がうまくいかないところは、こういうところにあるのです。これは努力すればできる、理論的な根拠は何もないのですから。差別待遇しなければならぬという理論的根拠はないのです。もしあなた方がどうしても差別待遇をするという考えなら、私はこの前、もう一つ提案をしているのです。それは、たとえば厚生年金なり国民年金の還元融資対象が三本建になっておる。一つは、今問題の年金福祉事業団で病院を建てます。これは三十八年度で大体三十八億いくのですよ。これで病院を建てる。それからもう一つは、特別地方債でいくわけですよ。これは被保険者でも何でもないですよ。自治体にいくのです。これで病院を建てるのです。これが八十一億。それから医療金融公庫があるのです。これが四十一億。こういう三本建になっておる。何もこういうめんどくさい——同じ病院を還元融資でお建てになるのに、なぜ三本建にしなければならぬかということです。むしろ、年金福祉事業団の病院を建てるのも、特別地方債の病院を建てるのも、全部医療金融公庫一本にしちゃって、そうして公的部門と私的部門に分けてやったらいい。それの方がもっと事務の能率が上がるし、資金のコストについてもうまくいくし、平等にやる理論的根拠が出るわけです。ところが、自分のところでばらばらに分けておって、そして片一方は安くて片一方は高いと責められて苦しんでおるのですよ。この問題は、前も、なるほど滝井さんの議論は非常にいい議論です、ぜひ検討いたしましょう、こういう答弁でした。ところが、ちっとも検討しておらない。依然として同じことを言っている。それならば、そういうふうに何も年金福祉事業団が病院を建てなければならぬことはないのだから、被保険者のための住宅とか——今一番必要なのは住宅なんですよ。住宅とか病院、厚生施設、こうなっておるのです。だからその病院医療金融公庫に入れて、公的部門にしたらこれは一緒にやれるわけです。これは特別起債だって同じです。それを自治体に又貸ししたらいいのです。何も自治体に持っていく必要はないのです。一緒にできるのです。できないことはない、できるのですから。それをこういうように特別起債をやるかと思ったら、今度は厚生年金の還元融資から一般地方債まで出してきておる。こういうだらしのないやり方を厚生省はやっている。これは私からつつかれて、大蔵大臣は、来年は改めますと言っておる。来年は改めると言っておるから、しっかりがんばって改めさせなければいかぬことになるのだが、八十一億もことしは一般地方債に取られておる。これは約束違反なんです。二割五分は、必ず被保険者の福祉に還元いたしますという約束をしている。それを一般地方債に八十一億取られてしまったでしょう。こういうように、あなた方が自分でばらばらに分けるような計画をしておって、その利子をアンバランスにしておるのです。同じ資金から出たら資金コストが一緒でなければ、福祉の還元にならぬでしょう。われわれが岸総理から、二割五分を確立して、年金審議会なり社会保障制度審議会が確立をしてくれた方針とは、全く違う方向にいってしまうじゃないですか。しかも、すべてが大資本奉仕の方向にいっておるでしょう。住民福祉の還元にはならぬ。年金事業団の借りた状態を見てごらんなさい。みんな大企業が自分で借りてしまっておる。労働者にはちょっぴりしかいかないです。被保険者の福祉の名のもとに、大企業がみずから資金を集めて、労務管理に使っているという実態じゃないですか。それならば、そういう金は、年金福祉事業団の病院を建てるのも、特別地方債の病院を建てるのも、全部医療公庫を通ずる、そうしてそこに公的部門と私的部門をつくればいいのだから、そうすれば資金コストが一緒でいいということになる。ところが、自分でそうしておって、今になって一それはあなたの方の所管の金なんです。そうして年金福祉事業団は安くして、同じ金を医療金融公庫に出したら、それを大蔵省と相談して言うことを聞かぬから高くしておる。高くして滝井義高からおこられるという、自分でまいた種を自分で刈らねばならぬという矛盾をあなた方自身がつくっておるのですよ。だから私はそういう点についても、これは渡邊さんもいらっしゃって、渡邊さんも、滝井君、これはおれが努力するからまかしておけと言った一人なんです。私は当時、きょうよりももっとがんばったのです。そうして今言ったように、こんなものを二つも三つも病院を建てるのは、役人ばかりよけいにつくることになるのです。資金コストも高くなる、給料を払わなければならぬから。どこか一つでやったらいい。
  84. 渡海元三郎

    渡海政府委員 資金コストを下げろという点については、原則的に賛成であります。今滝井委員の、私からしかられるということがございましたが、私はしかられると思っていません。正当な御議論を述べていただいておるのでございます。もし時と所とを異にいたしましたら、滝井委員に対して私から同じ質問をする、そういう御質問をいただくことによりまして前進ができると思いますので、決してそう感じておりませんから。ただ前半の御議論に対しては、特別地方債と事業団と医療金融公庫、それぞれ分けるべき理由があって分けておるので、ございまして、同じ事業に対して同じように分けるから、これを一本にしろという御議論に対しては、直ちに私は賛成いたしかねます。御承知のように、特別地方債というものは、これは地方起債でございまして、名前は、還元融資から原資で出ておりますところの地方債でございますが、あくまでも地方債という範囲内においてやっておりますので、これは特別に扱わなければならない。従いまして、特別地方債においてどんなところへでも貸し出されるかという点につきましては、公共団体に限られておるのでなかろうか、かように考えております。それから事業団の行なっております分の融資というものに対ましても、特定の、自分が積み立てておるところの団体あるいは法人等に限られておるのでございまして、還元するという意味で年金福祉事業団というものの貸付が行なわれているのでございまして、たまたま医療機関医療施設に対するところの貸し出しがその一部を占めておるというにすぎないのでございます。今申されましたように、私的医療機関拡充ということで医療金融公庫も相当伸びて参りましたので、年金福祉事業団の方の医療施設に対する部分は、ことしは昨年度と比べまして、そういった点からいろいろな点でそう鈍化せずに押えたのも、そういった意味でございまして、たまたま今までこの還元の仕方が、こういった事業団がなかったものでありますから、地方公共団体を通じまして地方債の形でこれを貸し出し、地方から又貸しの形で、そういった年金を積み立てていただいております団体あるいは法人等に渡されておったのでございますが、それでは要らざる負担を地方団体にかけるだけだというので年金福祉事業団が生まれ出た、そういった関係金利も低くなる、そういう性格のものでありますから、金利を低くして、事務費というものは別途積み立ての特別会計の中から出ていくという制度に移されたものであろうと思います。  一方、同じ医療機関でございますが、医療金融公庫というものは、むしろそれを離れて、医療の公的な立場を認めまして、国が財政投資の立場からこれを出したのでありまして、むしろその意味から言いましたならば、今御議論がありました一般地方債の中に還元融資から出ておるじゃないかということは、私たちもこれを主張いたしました。まことに申しわけないと考えておりますが、ことしも幾分か出ております。しかしながら、私たちの主張によって、昨年以上に伸びるというふうな点ばできるだけ押えてきたのでありますが、そういった議論からいたしましたならば、むしろ医療金融公庫に対しても当然一般財政投融資から出すべきであって、還元融資の中から半分これで出ておるということ自身がおかしいのではなかろうか、こういうふうな気持から主張しておるような次第でございます。  今の金利の点につきましては、努力の至らざる点は認めますが、今後とも資金コストが下がるように、これはどうしても、一般会計からワクをもらいますところの出資金というものをふやしていただかぬことには事務費は出て参りませんので、この増額に極力努めまして、年金事業団と同じような条件貸付できるように今後とも努力いたしたい、かように申しておるような次第でございます。
  85. 滝井義高

    ○滝井委員 今あなたが御指摘のように、医療金融公庫等についても、厚生年金なり国民年金の還元融資の金を貸すこと自体がおかしいのです。おかしいのですけれども、これをあなた方は無理に入れておる。ほかのところから金を取り切らぬものですから、一般会計から金を出すのが少ないからここに入れておる。入れておきながらなぜ差別待遇をするかというのが、私の議論なんです。しかし、あなたがそこまで開き直るから、こっちもそう言うわけです。私は初めはそう言わなかったのです。しかも資金の大事なものを一般地方債にとられる。特別地方債は、住宅であるとか、病院とか、厚生施設にきまっておるのですからともかくとして、一般地方債がことし八十一億、昨年は七十一億、一昨年は五十七億、これだけのものを持っていかれておるのですから、これだけ二割五分のワクが削られておることを意味するわけです。それは黙っておったか言うておったか知らぬけれども、とにかくわれわれの前では黙っておったわけです。だから、そういうことで自分で入れておきながら、今度は高いコストをやるというならば、今のあなたの理論のように入れておるのはおかしいのです。医療金融公庫一般地方債をここに入れるのはおかしい。外に出すには、そのかわり医療金融公庫はその分だけ、ことしで言えば四十一億、一般会計からふやすか、あるいは財政投融資から持ってくるかどうかする以外に方法がないのです。お入れになっておるから、私は今のような議論を言うわけです。お入れになったからには年金福祉事業団と一緒にしたらどうですか。これは私は、今のあなたの御説明では納得いかないのです。しかもコマーシャル・ベースに乗らないところに金を貸すのが立法の目的なんですから、しかも、なるほどそれは事業主が納めておるかもしれないけれども、納めておる事業主の金は老後を保障する年金の金だから、事業主の金だけれども、納めたら労働者の金になる。ところが、その金の大部分を借りておるのは事業主で、みんな自分のふところに入れて借りてしまっておる。私はことしタッチしましたけれども、被保険者団体が借りるのは非常に少ないのです。ほとんど事業主です。そして安くしてやっておるのですから、自分の金でもないものを、労働者の福祉の名のもとに安く事業主が借りる。ところが一方、同じ診療報酬で治療をして、そして被保険者大衆の治療に当たる医療機関を高くしなければならぬという理論的根拠は、どこからも出てこない。それをあなたはいろいろ言うけれども、納得できない。自分でやらなかったことで、ここでいろいろ言いわけをすることはいかぬと思うのです。これはやはり今から努力して、まだ努力できるのですから——最終的にはまだきまっていないでしょう。最後の一番大事な標準建築単価、建築費のところがきまっておらぬ。二カ年で一致させようということで、ことしから一致させますと言うが、標準の建築費まで差別をつけるなんというのはもってのほかですよ。私的医療機関ならば安い単価でよろしい、公的医療機関ならば高くなければならぬという差別待遇の観念は官尊民卑です。封建的な官僚思想が残っておるのです。こういう思想は改めなければならぬと思うのです。今の日本は民主主義です。しかも政党政治が行なわれておるのです。私的医療機関は税金を払い、公的医療機関は税金を払っていない。だからそころの区別だけして、あとは全部撤廃してどこに隘路があるかということです。どこにも隘路はないのです。その分の資金コストが幾分上がったら、一般会計から入れてやったらいいのです。何百億も金が要るわけではないのだから、あなた方自民党さんは、今農地で見てごらんなさい。二千八百五十億の議員立法をやろうといって、原副議長のところに出しておるでしょう。そういう金があっても、国民大衆の零細な医療を守るためのわずか一億か二億の事務費を出さないというような、そういうけちな政治というものをどうしてやらなければならないのか。ヒューマニズムに富んだ渡海さんにしては、どうも言いわけがましいと思います。よし、おれは引き受けた、大蔵省と交渉するから待てというような意気込みを示して、それをやってみて、交渉が前進しないならばやむを得ないですよ。ところが、それをやろうと言わずに、ああでもないこうでもないと言ったって、納得しないですよ。
  86. 渡海元三郎

    渡海政府委員 やるということは私は申しておるのでありまして、決してやらないとは言っておらないのです。なお、私は率直に、本年度の努力が足りないために、当然平等にすべきものまで平等にできなかったという点はおわびいたしておきます。この点は間違いなくやっておるのであります。ただ、滝井先生から御質問のございました、資金コストからいったら下がらなければいけないのに、なぜ下げられないのかという点を事務的に御説明させていただいただけでありまして、事務費の使用の仕方はそういうことでございます。お話の中の一般会計から出させるということ、その通りでございまして、一般会計から二十六億じゃなしに、私たちは三十一億と計算したのでありますが、おそらく三十一億出していただいておれば、いま少し幅を縮めて、ほとんど同レベルにできたのじゃないか。これは当然要求をいたしたのでありますが、残念ながら、もう五億の一般会計の出資を不敏にしてとることができないために、来年度努力させていただきます。(「いいぞいいぞ」と呼ぶ者あり)そこで滝井先生の主張には同感でありますが、努力の至らざる点をおわびして、今後の努力をお誓い申し上げておるような次第でございます。
  87. 滝井義高

    ○滝井委員 いいぞいいぞと言っておるが、一向よくないですよ。それはきょう初めて言うならば、いいぞいいぞでいいですよ。ところが、去年一回言うて、それから今度の締めくくりのときにまた言うて、それから今年は、もう予算編成の前から、八月ごろから、去年の問題があるのだからしっかり一つ医務局はがんばらなければいけないぞと言って、何回催促したかわからない。今年は先生大丈夫です、こういうことであったから、大丈夫だと思って聞いてみたところが、微力にしてわずかしか前進しませんでしたと言う。大丈夫大舟に乗ったような気持でいなさいというので大舟だと思って乗った舟は、どうもかちかち山の泥舟だったというのじゃ困るんですよ。それではどうも納得できないんですよ。これではきょう通すわけにはいかないですよ。一番大事なことで二十六億もふやしておって、そうしてその資金のコストを下げることができない、もう五億あったら下げることができたが、五億を取り負けたのだというならば、その五億を予備費かどこかから持ってきたらいいんですよ。厚生省予算の三千億の中から、五億くらいの倹約はできるでしょう。今の厚生行政の中で一番大事な点は何かというと、やはりこの医療行政をどういう工合にスムーズにやるかによって、厚生省の仕事の八割は済むんですよ。今の一番大きな隘路はそれなんだから、それだから私的医療機関公的医療機関に貸す資金コストは全部同じ、これだけでぱっと明るい気持になる。ところが、わずかに五億の金をやらなかったために差別をつける。しかも来年度もどうかわからないというようなことでは、話にならぬ。だから来年やるのなら、ここで、必ず一致してごらんに入れます、これなら私はこれで下がっていいのです。一年くらい待てと言うなら、泣く子と地頭には勝てぬというので待ちます、去年も待ったんだから。だから年金福祉事業団の貸付条件医療金融公庫貸付条件は来年は一致させます、こういうことをあなたが言明できれば、その裏づけを、今度は銀行局に、今の言明で了承させます。
  88. 渡海元三郎

    渡海政府委員 かちかち山の舟にたとえて言われましたが、私、政務次官でございますが、私の弁は大臣にもかわるものだと思いますので、来年は必ずやりますと言いたいのでございますが、それはなかなか——しかしながら、来年必ずやらなければならぬという責任を感じて、最大限の努力をさせていただきますということをお誓い申し上げます。
  89. 滝井義高

    ○滝井委員 年金福祉事業団の貸付のいろいろな条件医療金融公庫貸付条件が、うんと差があるので、昨年来、これを一致せしめようという発言を再三再四にわたってしておるわけであります。そこで厚生省当局は、それをぜひ実現いたしますということで、胸をたたいて引き受けたわけだ。ところが、今年になってみたら、今医務局長から説明がありましたが、やはり依然として差ができてきておるわけであります。これは私が質問したばかりでなくて、与党の議員もこぞってここでやった。井村さんもおやりになったんです。そうして当時自民党の長老の渡邊さんも、滝井君、これはおれも側面からやるから、おれにまかしておけという発言もあったのです。ところが、ことしは厚生政務次官から、大臣にかわって、来年は一つ責任を持ってやる、おれにまかしておけとまでは言わないけれども、努力をするという言明があったのです。そこで、私は大蔵省銀行局に言いますが、ことしは泣く子と地頭には勝てぬのだから、二度だけはだまされたつもりで引き下がります。そこで来年は、年金福祉事業団の融資の諸条件医療金融公庫融資の諸条件を一致せしめるという言明ができるかどうか。これはほんとうは大月さんに来てもらわないと、あなたでは無理ですよ。この前も予算委員会で無理なことをだいぶ答弁したのですけれども、あなたが責任を持つとすればそれでいいですよ。しかし、言えないとすれば、大月さんに来てもらわないと——大臣でなくてもいいんだ。大月君実力者だから、局長あたりできちっと言えばそれでいいのですよ。局長同士でやればいいのだから。あとで大臣が引き受けますと言えば、それでいいのです。あなたが、大臣にかわって引き受けますと言えば、それでいいのです。来年のことを言おうとしているのです。ことしのことは、おりかかっているのですから……。
  90. 新保実生

    ○新保説明員 今参議院の予算委員会に出席しておりまして、私がかわって参りました。ただし、内容につきましては、これは昨年からの問題でございますので、よく局内でも相談をいたしましたが、一応の結論を申し上げることになるかと思うのであります。  昨年のこの社会労働委員会における条件を一緒にするという御議論は、私も速記録によりまして承知しております。それから三十八年度の予算をつくるにあたりましても、その問題は、私どもの立場からだけできあられる問題でもございませんけれども、その御趣旨を体しまして、両者の格差を接近させるように私どもなりに努力をしておったつもりでございます。その内容はすでに御承知のことだと思いますし、すでにあるいは厚生省からも御説明申し上げたと思いますので、省略させていただきます。そこで、三十九年度において両者一致させることができるかどうかという問題でございますが、これは大きく分けまして、いろいろな、融資条件と申しましても金利とか、それから融資割合とか、あるいは貸付の期間とか、標準面積、据置の期間、それから標準単価、いろいろ問題があろうかと思うのでありますが、大きく申しまして金利とそれ以外の融資条件、二つにカテゴリーを分けまして考えますと、金利以外のいろいろな融資条件につきましては、できるだけ三十九年度におきまして両者を一致させるように努力いたしたいと考えております。それから金利の問題でございますが、これは率直に申しまして、年金事業団と完全に同じものにするということは困難ではなかろうかと思います。理由は、いろいろ御批判もあろうかと思うのでございますが、年金事業団の資金の性質なり源泉というものの性格、それから年金福祉事業団の業務範囲と申しますか、御承知のように、年金福祉事業団の方では運転資金を供給しないわけでございます。一方、医療金融公庫におきましては、まあごく限定されたものではございますけれども、運転資金供給の道が開かれておるわけでございまして、その辺は相当大きな違いがあると見ていいのではないかと思います。さらにもう一つ国民金融公庫から医療関係の方に融資をする制度がいまだに残っておるわけでございまして、そちらの分ということでございまして、私どもの立場から申し上げますと、やはり政府金融機関が幾つかございますが、そういったものの貸し出しの金利等関係は、一応現在政府金融機関金利体系というのができておるわけでございますから、そこら辺を十分頭に置いて、この問題も考えていく必要があるのではないかと思います。実はけさほども別の委員会で、北海道東北開発公庫の金利を、現在八分七厘でございますが、こういうものを下げるようにというお話もございましたが、金利を下げるというのは、御承知のように、一般会計なりあるいは産業投資特別会計からも無利子の出資が必要になるわけでございまして、そういうものも、やはり一ぺんに出せるという筋合いのものでもございませんので、大きな方向としては、政府金融機関金利というものは、だんだん民間と歩調を合わせまして水準を下げて参るというふうに私どもは努力をしなければならないと思っておりますが、そういった政府関係諸機関の金利体系から考えましても、完全に一致させるということについては問題があろうかと考えております。
  91. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、今はっきりしたことは、他の融資条件については三十九年度で一致させたい、しかし金利については、運転資金を出しておるということと国民金融公庫医療機関に九分で貸しておる、だからこういう点で政府全体の金利体系が乱れるからちょっと困る、こういうことですよ。これでは私、理論にならぬと思うのです。第一、銀行局の新保さん、対象が被保険対象ですよ。被保険者の利益になるために医療機関をつくったんですからね。皆保険ですからね。みんな国民健康保険と健康保険の被保険者だ。厚生年金の対象と同じですよ。それに医療をやっているんですから。そうすると、公的医療機関も同じことをやっているでしょう。同じ被保険対象でやるんだから、単価も同じですよ。そうすると、公的医療機関私的医療機関とどこが違うかというと、これは税金を私的医療機関は払うし、公的医療機関は払ってないという、この違いだけを伺ったらいいのですよ。あとは一緒でどうして悪いかということです。金利体系が乱れるとかなんとかいうけれども国民金融公庫はコマーシャル・ベースに乗らないものじゃない。コマーシャル・ベースに乗っているのです。この医療金融公庫は、コマーシャル・ベースに乗らないものに貸すというのが第一条の定義なんですよ。そういう零細なコマーシャル・ベースに乗らないものに金を貸そうというのに、政府金利体系が乱れるとかなんとかいうことで理屈を言うことになったら、来年になっても、とてもそれはできやせぬですよ。だから今のあなたの議論では、とても私ども納得できないです。それじゃ幾ら厚生大臣が引き受けても、もとの金融を握っている大蔵省銀行局で納得しなかったら、これはきょうは通すわけにいかぬでしょう。もう少しあなたの方の頭を冷やして、もう一ぺんゆっくり一つ議論をさしてもらわぬことにはこれは——ことし初めて私は議論をするのではないのです、これで四回も五回もやるのですから、何回も大きな声を出してやらせぬようにして下さいよ、脳溢血になるから。だんだん髪髪白きを加えてくるんだから。だから今の大蔵省の答弁では納得できない。皆保険ですから、これはちょっと今の答弁では納得できないんです。厚生省の答弁と大蔵省の答弁が違うんです。
  92. 新保実生

    ○新保説明員 今重ねて御質問いただいたわけでございますが、私の方から申し上げておりますのは、国民金融公庫はコマーシャル・ベースに乗るものを対象にしておる、こうおっしゃったわけでございますけれども、これは政府金融機関は、どの条文を見ていただいても大体原則としまして、一般金融機関から融資を受けることを困難とするという条件が大ていついております。そういう意味では医療金融公庫、それから国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、まあ同じではないだろうかと思っております。中小企業金融公庫あたりの金利につきましても、御承知のように基本法がことし問題になっておるわけでございまして、金利を下げろという要望が非常に強いわけでございます。それで私どもも、そういう努力はしなければならぬと思っておるわけでございますけれども政府金融機関金利を下げるというのは、やはりそれだけの一般会計なりそういうものからの援助が必要でございまして、それがかなりの金額になるということになりますと、一挙にはそこにいかないという問題がございます。  それから、私、国民保険の点につきましては非常にしろうとでございますが、この病院をだれが利用するかという角度よりも、むしろその病院を設立しておる主体がどうなのかという観点から考えますと、年金福祉事業団の場合は、事業者なりあるいは被保険者が拠出した金を還元する、しかもそれは、そういった拠出した人たちが設立した医療施設というものに還元するという点があるわけでございまして、その点では一応差がつくのではないかと思うのです。もちろん皆保険でございますから、利用者という面から見ますと、その差はかなり希薄なものになって参りますけれども、設立主体という点においては、やっぱりそういう違いがあるのではないだろうかという感じがするわけでございます。
  93. 滝井義高

    ○滝井委員 設立の主体が金を出した人だというけれども、金を出してしまったら、もう事業主の金ではなくなるのです。これは労働者の老後を保障する金ですから、全部労働者に帰着する金なんです。ところが、今実態はどうかというと、労働者に帰着すべき金を借りているのはだれが一番借りているかというと、事業主が一番借りているわけです。そうすると、労働者のためにやったというならば、医療機関だって被保険者にしかやらない。皆保険ですから、日本全国全部保険になってしまうのですから、被保険者のためにしかないのです。それ以外の医療機関はないのですよ。今ほとんど、九割から九割八分というものが被保険者を見ているのですから。そうしますと、今まで医療金融公庫で金を借りておった人も、ある特定の団体については、今度は年金福祉事業団に移ってしまったのです。今までは医療金融公庫対象にしておったのですけれども、それを移した、そういう実態もある。これは移ってもいいように、もはや限界はすでになくなったから移すことも可能なんです。理屈をちょっとつければ移すことも可能なんです。だから、そういう点は、理論的に言ったらもう今のあなたの言う通りだ。結局、運転資金を出しているということと国民金融公庫等のとっておる金利体系が、少し九分は高いからその点は問題がある。国民金融公庫だって金融機関です。一般の商業的な金融機関が貸さないようなものを貸すように政府機関はしておりますということは、これは医療金融公庫と同じかもしれない。同じかもしれませんが、今の二つの理由だけで、金利を別にしなければならぬという理論には納得ができない。それよりか、むしろ相手方の医療機関対象である被保険者大衆が、全部同じであるという点に重点を置くべきだと思うのですよ。これは国民福祉のために金を使うのですから、あとは税金で差をつけたらいいでしょう。だから、どうもその点は、私は皆保険制度のもとにおいて納得ができないのです。だから今の一番大事な金利の点について、他の融資条件は来年は一緒にするが、金利は工合が悪いということになると、金利にそういう異動ができると必ず今度は建築の単価、建築の坪数、こういうものについてもまたやはり差ができてきますよ。だから、そういう点についてはどうも納得ができませんが、どうですか。これは、あなたができなければ僕がもう少し待ってもけっこうですから、大蔵大臣か銀行局長か、だれか来てもらってやはりきちっとやってもらわないことには、今のこの大事なことが、たった二つきりではどうも納得ができない、また来年同じことをやらなければならぬですからね。
  94. 新保実生

    ○新保説明員 先ほど私は、なるべく両者の格差を解消するように努力する、金利以外の問題につきましては、気持としましては年金福祉事業団と一緒にするようにしたいと考えておりますが、ただ完全に一致できるものなのかどうか、全体について、現在も標準の単価とかいろいろ検討いたしておりますので、そういうことで努力するということでございます。  それから金利の問題でございますが、確かに先生のおっしゃる点もございます。ただ、私どもこういうことも考えておるわけでございまして、つまり医療金融公庫中小企業金融公庫から分かれてできたものでございます。しかし、私どもは、その医療金融公庫中小企業金融公庫条件を今一致するというようなことは考えておりません。ただ御承知のように、中小企業金融公庫と、いろいろなその融資条件を比較しますと、かなり医療公庫は優遇されたものになっております。たとえば融資割合にいたしましても、中小企業金融公庫は大体所要資金の五割というものを融資する、ところが、医療公庫は所要資金の八割、それから貸出期間でございますが、これは平均いたしますと中小公庫は三年四カ月くらい、医療公庫の方は十五年ないし二十年というのがございますし、そこでいろいろ条件の差というものはございますが、やはり大きな観点から見まして、中小企業金融公庫につきましても、相当金利の引き下げということも考えなければならない事態になっておりますし、それで一方事業団との関係におきましては、事業団が供給しない運転資金を、こちらの方では供給しておるというような面等もあるわけでございますので、総合的に考えまして、金利というものを完全に年金事業団というものと一致させるということは困難があろうと思います。
  95. 滝井義高

    ○滝井委員 もうあとの理由はわかる。中小企業金融公庫との比較にはならないのですよ。これは医療という特殊なものだから分けた。また歴史的に分かれたにしても皆保険でしょう。そうして政府が価格をきめるんですよ。政府が価格をきめるんだから、それ以上のものを取ったら罰せられるんです。保険医の指定医療機関としての取り消しを受けちゃうんです。そういう罰則があるから、医者の家に行ってごらんなさい、今四十六看板が下がっていますよ。法律の規制を受ける。四十六の何々指定医、何々指定医といって、指定医だけが四十六あるのです。やるとすればそういう指定医なんでしょう。だから、そういう点で四十六も看板がかかる、いわゆる法律でがんじがらめにされている者と、普通の中小企業とは違うわけです。しかも皆保険政府がこの価格をきめるのだから、そういう点でどうも厚生省は、大蔵省に対する医療の現状認識についての啓蒙が足らぬですよ。もう少しこれを啓蒙するまで医療金融公庫は待ってもらわなければしょうがない。今のような答弁では私ども満足できません。銀行局長をちょっと呼んで下さい。やはりこれは言質をきちんとするまでは——厚生省はいいですよ。しかし銀行局は言わないから、あなたが幾ら力んだところで、本家本元が言わない限りだめですよ。  次に、今まで医療機関が年金福祉事業団に申し込みをして、そうして貸付決定をしたもの、ここに三十七年度のあなた方の資料が出ておるわけですが、四月から十二月までに百三十二億程度申請受理があって、前年よりの繰り越しが約十億程度あって合計百四十三億ですね。それで貸付決定をしたものが九十三億、従って約五十億程度がオミットされたわけです。そのオミットされた理由、貸付対象にならなかった主たる理由というものは一体何なのかということです。
  96. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 今の金額の内訳は、それを全部オミットしたわけではなく、まだ審査未了のものがその中にあるわけでございます。審査いたしましてオミットしたものにつきましては、その理由といたしましては、貸付基準に合わない者とか、また貸付基準基準額をオーバーしておる者というふうな事例があると報告を受けております。
  97. 滝井義高

    ○滝井委員 貸付基準額をオーバーしておるというのは、たとえば坪当たりの要求額が大きいとか、私的医療機関だったら三百万までしか貸さないのだが、五百万要求があるということですか。そういうことならば、これは一つ出しかえなさいと言えば出しかえることができるわけですね。それだけじゃないはずですがね。審査未了があるにしてもこれは決定ですから、百四十三億の申請があって九十三億しか決定をしてない、約五十億というものが未決定なわけです。まだ審査ができていないというものも、それは未決定のうちに入っているかもしれませんが、落ちてしまうおもな理由というのは、私の推定では、結局返済能力がないということではないかと思うのです。これは銀行の窓口を通しますから、銀行が保証しなければだめなんです。そういういわば返済能力なしと見られた者が大部分じゃないでしょうか。そこらの問題が一番大事なところなんです。
  98. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 銀行の方で一応審査いたしまして医療金融公庫の方に上がってきております関係から、返済能力は銀行でかなり審査をしておりまして、そこで銀行が一部保証もしておりますので、その関係に陥るものが全然ないとは申せませんが、そうひどく大きくないのではないか、こういうふうに私存ずるわけでございます。
  99. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、大体医療金融公庫に上がってくるのは、銀行の窓口を通して上がってくるので、上がってきたやつは返済能力ありと見ていい。その決定にいかない五十億というのは、基準が合わぬとか、基準額をオーバーしておるとかいうのは、書類を直して出しかえればいくことになるわけです。それとも逆に、結局資金ワクが、ことしで言えば百十億、十億程度こえてもいいのですから百二十億、そのワク以上にオーバーするから、それで切るということなのか。そこらの理由を少し明白にしてもらわないと、議論がなかなか進めにくいところがあるのです。
  100. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 十一月三十日現在の数字でございまして、今のと違うかもしれませんが、十一月末現在のこまかい数字を申し上げます。貸付申請があります金額の総額が百二十九億六千九百万に対しまして、審査済みが八十四億六千四百万、審査未了が四十五億というような状態でございまして、これは十一月末で審査未了というのは、かなりの額が、あっているところから見ますと、十二月におきましての今の数字も、審査未了がかなり残っておったのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  それから今の銀行の窓口を通してこちらに来ましたものは、銀行である程度保証しておりますので、信用度は多いと思いますが、そのときにもやはり銀行意見がついております。それで落ちるものも全然ないとは考えられませんので、全部オーケーしておるというわけではございません。  なお、貸付決定をいたしましても、事務を完了いたしませんで、次の年度において貸付するというふうな場合もございますので、貸付決定額と九十億のワクとは必ずしも一致しない。九十億を少しこして貸付決定する場合もあり得ると思います。なおその点は、三十八年におきましては、百十億の原資に対して百二十億程度貸付決定をしてもよろしいというような話もできておる状態でございます。
  101. 滝井義高

    ○滝井委員 貸付申請をして審査未了が、今の医務局長の説明では四十五億ある。その未了の四十五億というのがどういう理由であるかよくわからないのですが、私が聞きたいのは、問題は医療機関が金を借りた場合に、一体返済の能力があるかどうかという点なんですよ。ここらあたりがやはり一番重要な問題点だと思います。その返済能力を決定するものは何かというと、現在の診療報酬なんです。現在の診療報酬というものを基本にして考えた場合に、結局私的医療機関に貸す限界というものが出てくると思います。それがやはり大蔵省の交渉の一つのネックになるのじゃないか。年金福祉事業団ならば、これは大きな事業主に貸すのですから、いわば親方日の丸でもいいという気持がある。これは青天井でいいのです。ところが、私的医療機関ですから、あまりよけいに貸しておると払える可能性があるぞというので、そこに病院にしても診療所にしても頭打ちが出てくるのではないか、こういう感じがするわけです。ここらあたりがやはり議論しなければならぬ問題点です。そこらあたりにも、論議をする場合に、年金福祉事業団の貸付対象とそれから医療金融公庫貸付をする私的医療機関との違いが出てくる。そういう程度の違いならば、これは理論的に出てくるものだからやむを得ないと思うのです。ところが、そのほかの金利その他につけるのは、私はどうも納得がいかない。たとえば今の診療報酬で大体三百万円くらい貸すのが限度ですよ。それ以上貸しておったら貸金の焦げつきが出てくるかもしれない。だから三百万が限度でしょう。病院なら病院で三千万が限度でしょう。こういう理論が出てきて、それで年金福祉事業団との差が出てくることは、今の状態から見てこれはやむを得ないと思うのですが、その他の点について差別をつけることはない。それから運転資金については、それはどうしても、もし運転資金というものが年金福祉事業団と違うというなら、その運転資金の部分については幾分高い利子をとられてもいいと思うのです。しかし、そのほかの金利については全部一緒にする。これは年金福祉事業団にだけ特別につけているのですから、そこを何とか考慮して、そうむちゃくちゃにつけることはない、安くする必要はない、普通の状態にしておけばいいではないか、こういう理論になってくるわけです。そこで、一体支払いの能力の限界ということですが、これはみな頭打ちしているでしょう。さいぜんの御説明のように、病院だったら今までは個人が三千万円、法人が五千万円だったですね。これも限度額を設けないのですか、設けるわけでしょう。それから診療所は幾らですか。個人の病院が長期の運転資金だったら三百万円、法人が五百万円、こういうようにしていますね。そういうように頭打ちが出ている。これは診療所であっても出ておるはずですよ。無床の診療所は幾らですか。
  102. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 限度額は、今の個人の新増改築の場合は三千万、法人が五千万、こういうことであります。あと坪数の関係で、その関係単価で差が出てくるとそこに制限が出てくるわけです。
  103. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、これは病院であろうと診療所であろうと、個人は三千万円までは貸すという意味ですか。そうじゃないでしょう。診療所は、およその今までの実績から、平均どの程度というのが出ていますよ。この前の説明では、一年間における無床の診療所は、二百三十二万か二百万ちょっとしか貸さない。それを少し見て、水増しをして三百万くらいだったか、限界があったと思うのです。これはあなたの方が貸すについては、診療報酬から計算をして返済能力を見ておるわけです。その返済能力を見ておるからこそ、この貸付の限度が、償還期限が十五年とか十八年とか、あるいはさいぜん御説明になったように耐火ならば十三年、簡易耐火ならば十年、その他は八年、こういうのが出てくることになるわけです。
  104. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 限度額としての制限は、今申し上げました通りでございますが、無床診療所でございますれば、百二十平方米で標準面積を押えておりますので、その関係で金額が……
  105. 滝井義高

    ○滝井委員 幾らですか、それでいったら。
  106. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 今度単価の問題は少し変わって参りますが、二万五千といたしますと二百五十万、三百万くらいになるかと思います。
  107. 滝井義高

    ○滝井委員 従って、限度は三百万と出てきたわけです。そうしますと、片一方の方は、無床の診療所でも頭打ちはないわけでしょう。年金福祉事業団はあるのですか。
  108. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 事業団におきましても、診療所の一施設当たり標準面積が一七六・九平方米となっておりまして、それで単価が、現在たしか耐火の場合は二万九千円、木造は二万円だと思いますが、この点で別に出てくるわけであります。
  109. 滝井義高

    ○滝井委員 わかりました。だからこういう無床の診療所でも、片一方は百二十平方メートル、片一方は一七六・九平方メートル、単価一つは二万五千円、一つは二万九千円と、一番零細なところでも差別待遇です。上の方は、病院で言えば三千万円と、片一方は青天井、こういうように一切のものが差別がついてきているのですよ。だからこういう点では、大蔵省のいろいろの御説明もありますけれども、これが支払い能力に関係してきているわけです。その支払い能力は何に起源してくるか、原動力になってくるかというと、診療報酬です。片一方は、これは大きな事業主がやるのだからということで割合ゆるくしてくる、大きくつくってもよろしい、片一方は診療報酬できちっとされて、税金も取るのだからそんな能力はないという認定です。あなた頭をこうしておるが、これを説明するときそれで説明したのです。この計算をするときには、無床の一診療所当たりの全国的の平均の水揚げは幾ら、そしてその支払い能力が、据置期間を一定に置いて、そして償還期限を二十年なら二十年に見積もると、ちょうどこの程度のものを貸しておってよろしいというので、これができたわけです。そういう説明を一番初めにしたのです。だから一体その診療報酬の支払い能力があるのかどうかという点が問題なんです。その証明が出てこないと、金を貸して大へんなことになる。だから、そこらあたりをもう少し医務局長、前の医務局長はそういう答弁をしておるのだから、あなたの方もそういう点を科学的にやって、大蔵省ときちっと交渉されて、こういう差別をなくする方向に持っていかなければならぬ。差別のままでしておったならば、医務局長は要らぬです。みんな新保さんの方にまかして、新保さんの言う通りにしたらいいのです。これは主導権をあなたの方が握らなければいかぬのです。どうです、支払い能力はどの程度、今の診療報酬でだいぶ改定されましたが、百二十平方メートルの家を単価二万五千円で三百万借りた場合に、一体順当に返すのにはどの程度の年限でいけるのか、何人の患者を見たらいけるのか、これがはっきりしてこないと話にならぬことになる。
  110. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 今のお話のように、診療所、病院におきまして、皆保険でございますので、個々のある一定の単価がきまっておる。従って、ある程度患者数等から、貸付限度とかその償還の年限がきまるのではないか、その辺から吸い上げていけという御説ごもっともでありますが、そこでやはり、個個の診療所々々々、病院々々によっていろいろ経営状態、経営方針等も違っておるし、またさらに、その病院の持っております資金運営状況というようなところも違ってくると思いますが、そういうような点も、各施設々々につきまして窓口銀行がいろいろ審査してくれており、その数字等をこちらも勘案しながら貸付をやっておるのでございまして、貸付の回収状況を見ますと、ほとんど焦げつきがなく、予定通りに回収ができておる状態でございます。
  111. 滝井義高

    ○滝井委員 予定通りに回収ができておるかもしれないけれども、今言ったように借りられない人が相当ある。すでに銀行の窓口ではねつけられるのがずいぶんあるのです。問題はそこにあるのです。出てきたものは、なるほど審査未了というのは四十五億程度かもしれません。しかし、実際に銀行の窓口ではねつけて、あなた方は保証できませんというのが、まだこの二倍も三倍もあるわけです。いわゆる氷山の海の下に隠れている部分がたくさんある。それは一体何によってそうなるか。問題は診療報酬です。それであなたの方で、この前の川上さんのときは、これは百二十三万か九万か、出てきておったという気がします。これは当時の速記を調べてみればわかると思うのですが、当時そういう御説明であったのですよ。そうして頭打ちをおきめになった。そういうあれがあるのですよ。そうしなければ三百万というのは出てくるはずはない。三百万の理論的根拠いかんといった場合に、答弁はできないですよ。そうすると、大体私的医療機関で無床の診療所ならば三百万円程度貸しておけば、二年か三年据え置いて二十年くらいで返せますという見通しがなければ、この理論が成り立たぬわけです。そうしますと、何が問題になるかというと、あなたの方は、結局医療実態の調査、把握ができていないということですよ。だからこれができぬ限りにおいては、診療報酬の問題は論議しても砂上の楼閣になる。だから、この問題は医療金融公庫の問題だけれども、貸し出しの限度額、その他金利の問題をきめる場合には、もっとも根本は、収入の源泉というものについて明確な分析と把握がない限りにおいては、問題は進まないということです。あなたの方は、ことしは医療実態調査をおやりになる予算厚生省全体として計上しておられますか。
  112. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 医療実態調査を実施する費用は、三十八年度予算要求したのでございますが、この調査に対する医師会との合意に達しておりませんので、これは途中でおりまして、話し合いがついた場合にはまた別途大蔵省と協議する、そして流用なり予備で考えていただくように話し合いは了解がつけてあるわけです。
  113. 滝井義高

    ○滝井委員 必要があったら大蔵省と協議をするということになっておるわけですね。そうしますと、それまでの間は——この前私が要求をいたしましたが、国立病院その他の資料はできましたか。それから同時に、小山さんのところの社会保険の連合会ですか、あの病院があるわけですね。そこの資料を出してくれと言ってもまだ出してくれないのですが、それはどうなっていますか。
  114. 尾崎嘉篤

    尾崎政府委員 あれは保険局長がたしかお約束してあるのでございまして、うちの方から保険局の方へその資料は出しております。保険局からまとめて出していただけるのじゃないかと期待しております。もし国立病院だけのものでありますれば、ただいまでもここに一部持っておりますから、差し上げてもよろしいと思います。
  115. 滝井義高

    ○滝井委員 やはりもう少しお互いに法案を上げることが能力ではないんですから、ほんとうに実態がどうなっておるか、そうしてその実態の中をきちっとして、折り目を正して進んでいくという行政でないと、その場その場で法案さえ上げればあとは野となれ山となれということでは、私は非常にいかぬと思うのですよ。それでこの前から要求をしておるんだけれども、そういうものも届いてこないということでは、どうにもならぬと思うのですね。それで、今のこれは通せ通せといっておるけれども、私は通す約束をしておらぬ。採決をやられればやむを得ぬと思いますが、今の医療金融公庫の問題は一体どうなんですか。このままあなた方は、ほおかぶりをきめ込んでいくのかどうか。毎年やるやるというだけで、やらないのでは困るんですよ。何だったら委員長、大蔵大臣を呼んで下さい、待っていますから。強行するなら、してもかまわぬです。
  116. 渡海元三郎

    渡海政府委員 大蔵省の課長に答えていただいたことでございますが、御不満であるという滝井委員の御叱責でございます。私たちも今の答弁では不満である。私たちの立場といたしましては、滝井委員の御指摘になりました理論と同感でございます。その理論をもって今日まで戦っております。来年ともにぜひ滝井委員の御要望の線に沿うよう引き続き努力していく覚悟でございまので、何とぞ御了承を賜わりたいと思います。
  117. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣がいらっしゃいましたから、私もはっきり確認さえしてもらえれば、いつでもやめるわけです。医療金融公庫と年金福祉事業団の融資条件が違うわけです。そうしてこれは、あなたの前任者の灘尾さんのときと古井さんのときに、口をすっぱくして責め立てたわけです。そうしたら、これは必ず条件を一致させます、こういうことで幕を閉じたから、この前医療金融公庫を通したわけです。ところが、ことしになってみたら、ちょっぴりしか前進していないわけです。政務次官の御答弁では、厚生省は御期待に沿うよう努力しようと言うが、大蔵省は、金利については——その他の融資条件は一致させますが、金利についてはちょっとやりかねます、国民金融公庫が九分だから、同じ政府機関で国民金融公庫医療機関に貸しているし、医療金融公庫医療機関に貸す、ここで医療金融公庫だけを安くするというわけには参りません。それから運転資金医療金融公庫は貸しております。だから金利は安くできないというのが大蔵省の結論です。厚生省と答弁が違っておる。これは納得できません。これは、来年度においては、大蔵省金利以外の融資条件は一致させますというところまできた。大事な金利について画竜点睛を欠いている。竜を画いて眼を入れなければ、ほんとうのものになりません。竜ができてひげも書いて、目だけ入れたらいいということになったんです。一つ目を入れてもらいたいんですが、来年は、大臣の政治的責任において、必ず医療金融公庫と年金福祉事業団の融資条件を一致させます、こういうことが言えるかどうか。昨年も、大丈夫だからおれにまかしておけとみな言った。まかして黙っておったら、そうならなかった。私は、ことししてくれと言ったんですが、ことしはできない。それならば三十九年、来年度でよろしいからして下さい。一歩、二歩下がったわけです。与党の諸君は、滝井君、おれらが責任を持つから、それでよかろうがとおっしゃるが、大蔵省銀行局はなかなかうんと言わない。
  118. 西村英一

    ○西村国務大臣 この前、どなたからかそういう御質問がありました。大体、日本の金利は非常に高いということは定評でありまして、総理も、そういうことは全般としても努力をしよう。いわんや医療機関でございまして、皆保険下の今日でございますから、これは一致させるとかさせないということは別にして、努めて公庫の金利は下げなければならぬと私たちは思っております。それも今回はわずかでございましたが、一歩前進でございます。滝井さんの言うことも十分わかります。大蔵省の答弁は、政府としては食い違っておるわけで、こざいましょうが、そういうことは事務折衝のあれでありまして、これは私たちは私たちの立場でまた折衝することでございますから、一つどうぞ信頼なさっていただいて、努力するということで御了解を願いたいということでございます。
  119. 秋田大助

    秋田委員長 ただいま議題となっております五案のうち、医療金融公庫法の一部を改正する法律案について質疑を終了することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
  121. 秋田大助

    秋田委員長 次に、医療金融公庫法の一部を改正する法律案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  医療金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  123. 秋田大助

    秋田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案についての委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 秋田大助

    秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十二日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時十一分散会