運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-07-03 第43回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年七月三日(水曜日)    午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 秋山 利恭君 理事 大久保武雄君    理事 加藤常太郎君 理事 福家 俊一君    理事 岡本 隆一君 理事 角屋堅次郎君    理事 佐野 憲治君       倉成  正君    薩摩 雄次君       砂原  格君    谷垣 專一君       中島 茂喜君    古川 丈吉君       細田 吉藏君    前田 義雄君       松田 鐵藏君    毛利 松平君       足鹿  覺君    川村 継義君       高田 富之君    中村 英男君       稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 重政 誠之君         自 治 大 臣 篠田 弘作君  出席政府委員         大蔵政務次官  原田  憲君         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (大臣官房長) 桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   大澤  融君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         大蔵事務官         (国税庁直税部         所得税課長)  大島 隆夫君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    中沢 三郎君         農林事務官         (農政局参事         官)      丸山 幸一君         農 林 技 官         (農政局農産課         長)      石井 一雄君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      永田  董君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      森田  進君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      和田 正明君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局財政課         長)      茨木  広君         日本専売公社総         裁       阪田 泰二君         日本専売公社生         産部長     黒田  実君     ――――――――――――― 七月三日  委員島本虎三君及び稲富稜人君辞任につき、そ  の補欠として足鹿覺君及び玉置一徳君が議長の  指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 七月二日  豪雪長雨による農作物災害対策に関する請願足鹿覺紹介)(第六二一号)  長雨による被災農家救済対策に関する請願足鹿覺紹介)(第六二一二号)  長雨による農作物災害対策に関する請願江崎真澄紹介)(第六四五八号)  長雨による農作物災害対策確立に関する請願八木徹雄紹介)(第六四五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月二日  埼玉県の降ひょうによる被害対策に関する陳情書(第八三五号)  長雨による岡山県瀬戸町の農作物被害対策に関する陳情書(第八八六号)  長雨による岡山県熊山町の農作物被害対策に関する陳情書(第八八七号)  長雨による岡山興除村の農作物被害対策に関する陳情書(第八八八号)  長雨による岡山県大佐町の農作物被害対策に関する陳情書(第八八九号)  長雨による岡山県奈義町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九〇号)  長雨による岡山県佐伯町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九一号)  長雨による岡山県三石町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九二号)  長雨による岡山県美星町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九三号)  長雨による岡山県矢掛町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九四号)  長雨による岡山県鏡野町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九五号)  長雨による岡山県御津町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九六号)  長雨による岡山県建部町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九七号)  長雨による岡山県中和村の農作物被害対策に関する陳情書(第八九八号)  長雨による岡山県英田町の農作物被害対策に関する陳情書(第八九九号)  長雨による岡山県大原町の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇〇号)  長雨による岡山県美作町の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇一号)  長雨による岡山県川上町の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇二号)  長雨による岡山県成羽町の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇三号)  長雨による岡山県妹尾町の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇四号)  長雨による岡山県早島町の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇五号)  長雨による岡山県福田村の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇六号)  長雨による岡山県山手村の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇七号)  長雨による岡山県庄村の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇八号)  長雨による岡山県邑久町の農作物被害対策に関する陳情書(第九〇九号)  長雨による岡山県北房町の農作物被害対策に関する陳情書(第九一〇号)  長雨による岡山県有漢町の農作物被害対策に関する陳情書(第九一一号)  長雨による広島県の農作物被害対策に関する陳情書(第九一二号)  長雨による徳島県の農作物被害対策に関する陳情書(第九二二号)  長雨による福岡県の農作物被害対策に関する陳情書(第九一四号)  長雨による大分県の農作物被害対策に関する陳情書(第九一五号)  同(第九一六号)  長雨による長崎県の農作物被害対策に関する陳情書(第九一七号)  長雨による鹿児島県の農作物被害対策に関する陳情書(第九一八号)  長雨等による農作物被害対策に関する陳情書(第九一九号)  長雨等による鹿児島県の農作物被害対策に関する陳情書(第九二〇号)  長雨による農作物被害対策に関する陳情書(第九二一号)  同(第九二二号)  同(第九二三号)  同(第九二四号)  同(第九二五号)  同(第九二六号)  同(第九二七号)  同(第九二八号)  同(第九二九号)  同(第九三〇号)  同(第九三一号)  同(第九九九号)  同(第一〇〇〇号)  同(第一〇〇一号)  同(第一〇〇二号)  同(第一〇〇三号)  同(第一〇九八号)  同(第一〇九九号)  長雨による農林関係被害対策に関する陳情書(第九三二号)  長雨による道路の復旧対策に関する陳情書(第九三三号)  同(第一〇九五号)  長雨による京都府の農林水産関係被害対策に関する陳情書(第九三四号)  桜島爆発の降灰による養蚕被害対策に関する陳情書(第九三五号)  干ばつによる奄美大島地区農作物被害対策に関する陳情書(第九三六号)  同(第九三七号)  長雨による岡山県寄島町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八〇号)  長雨による岡山県賀陽町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八一号)  長雨による岡山県吉備町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八二号)  長雨による岡山県加茂町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八三号)  長雨による岡山県藤田村の農作物被害対策に関する陳情書)(第九八四号)  長雨による岡山県棚原町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八五号)  長雨による岡山県勝田町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八六号)  長雨による岡山県高松町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八七号)  長雨による岡山県真備町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八八号)  長雨による岡山県哲西町の農作物被害対策に関する陳情書(第九八九号)  長雨による兵庫県の農作物被害対策に関する陳情書(第九九〇号)  長雨による島根県の農作物被害対策に関する陳情書(第九九一号)  長雨による鳥取県の農作物被害対策に関する陳情書(第九九二号)  同(第一〇九四号)  長雨による山梨県の農作物被害対策に関する陳情書(第九九三号)  長雨による山口県の農作物被害対策に関する陳情書(第九九四号)  長雨による北条市の農作物被害対策に関する陳情書(第九九五号)  長雨による伊予市の農作物被害対策に関する陳情書(第九九六号)  長雨による兵庫県福崎町の農作物被害対策に関する陳情書(第九九七号)  長雨による兵庫県養父町の農作物被害対策に関する陳情書(第九九八号)  長雨による兵庫県の被害対策に関する陳情書(第一〇〇四号)  長雨による農林水産関係被害対策に関する陳情書(第一〇〇五号)  長雨による岡山県清音村の農作物被害対策に関する陳情書(第一〇八五号)  長雨による岡山県船穂町の農作物被害対策に関する陳情書(第一〇八六号)  長雨による兵庫県市川町の農作物被害対策に関する陳情書(第一〇八七号)  長雨による、長浜市の農作物被害対策に関する陳情書(第一〇八八号)  長雨による行橋市の農作物被害対策に関する陳情書(第一〇八九号)  長雨による中村市の農作物被害対策に関する陳情書(第一〇九〇号)  長雨による埼玉県の農作物被害対策に関する陳情書(第一〇九一号)  同(第一〇九二号)  長雨による高知県の農林水産物被害対策に関する陳情書(第一〇九三号)  長雨による農作物等被害対策に関する陳情書(第一〇九六号)  同(第一〇九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(長雨等による災害対策等)  小委員長からの報告聴取  請 願  一 豪雪害対策等に関する請願田中彰治紹介)(第一八九六号)  二 庄原市、比婆郡下の豪雪害に伴う課税特別措置に関する請願永山忠則紹介)(第三五八五号)  三 長雨による農作物被害対策に関する請願松野頼三君紹介)(第四五四九号)  四 豪雪による果樹災害復旧に関する請願足鹿覺紹介)(第四六五九号)  五 豪雪による島根鳥取両県内の私鉄及びバス事業被害に対する特別措置に関する請願足鹿覺紹介)(第四六六〇号)  六 三本市の長雨による農作物被害救済に関する請願田中武夫紹介)(第四九一〇号)  七 長雨による農作物被害対策に関する請願園田直紹介)(第四九九九号)  八 長雨による農作物災害対策確立に関する請願關谷勝利紹介)(第五六七六号)  九 同(湯山勇紹介)(窮五六七七号)  一〇 同外四十六件(毛利松平紹介)(第五八七六号)  一一 同(安平鹿一君紹介)(第五九六八号)  一二 豪雪長雨による農作物災害対策に関する請願足鹿覺紹介)(第六二一一号)  一三 長雨による被災農家救済対策に関する請願足鹿覺紹介)(第六二一二号)  一四 長雨による農作物災害対策に関する請願江崎真澄紹介)(第六四五八号)  一五 長雨による農作物災害対策確立に関する請願八木徹雄紹介)(第六四五九号)      ――――◇―――――
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  この際委員長より申し上げますが、昨日決定を見ました九州北部等災害についての委員派遣につきましては、倉成正君、角屋堅次郎君及び玉置一徳君の三名の委員にお願いすることにいたしまして、明日御出発を願う予定になっておりますので、お知らせいたします。  派遣委員の諸君には御苦労さまですが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  なお、派遣委員報告は、来たる六日の委員会において聴取いたす予定でございますので、御了承願います。     —————————————
  3. 稻葉修

    稻葉委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、長雨等災害対策に関する小委員長から発言を求められておりますので、これを許します。長雨等災害対策に関する小委員長秋山利恭君。
  4. 秋山利恭

    秋山委員 長雨等災害対策に関する小委員会の結果について御報告申し上げます。  本委員会におきましては、長雨等による農作物等被害対策について、法的措置を必要とするものと、行政的措置で処理するものとに分け、検討をいたしました。  まず、法的措置については、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法特別法を制定し、貸し付け条件の改善をはかることになりましたが、ちょうど政府から法案の提出がありましたから、それを検討いたしまして、その法案によることにいたした次第でございます。  次に、行政措置に関しましては、一、農業共済金概算払い早期支払い等、二、農業近代化資金等制度金融条件緩和、三、差額、なたね等種子山林種苗確保、四、水稲果樹等病虫害防除、その他諸問題について協議いたしたのでありますが、その対策要綱について結論を得ましたので、御報告いたします。   長雨等による農作物等被害対策要綱   一、農業災害補償法にもとづき麦類農業共済金概算払いを早急に行うとともに、農業共済団体に対する事務費補助措置を講ずる。  二、麦類、なたね、いも、その他園芸農作物および飼料作物等再生雇用種子山林種苗確保につき、あっ旋ならびに特別助成措置を講ずる。  三、被害農家農業近代化資金等制度金融償還について、昭和三十八年度中における約定償還支払い猶予等措置を講ずる。  四、被害農家に対し自作農維持資金貸付特別枠の設定と担保条件緩和早期貸付を促進する。  五、今次災害に伴う水稲果樹、桑、煙草等病虫害多発に対する防除のため補助その他特別措置を講ずる。  六、麦類の検査は本年の実情に即して行い、等外下交についてはあっせん等措置を講ずる。  七、飼料不足の事態に対処し、政府手持飼料を早急大量に払い下げる。  八、国税及び地方税減免等措置を講ずる。また、各種農作物の赤字について通算控除ができるよう措置する。  九、災害関係地方公共団体財政負担等に対し特別交付税の増額をはかる。  十、長期気象観測体制を強化充実し、気象状況に対応する営農技術指導態勢を強化する。  十一、今次の災害に鑑み、農家所得安定向上を図るため、果樹そ菜等園芸作物に対する共済補償等制度を早急に検討する。  十二、本年産米予約前渡金を早急に支出できるよう措置する。  十三、被害農家に対する食糧用麦の実態に即した政府払下げを講ずる。  十四、農業施設災害についても特別の考慮を行う。  十五、麦の赤カビに対する研究態勢を強化する。  十六、地力保全に必要な助成措置を講ずること。  十七、開拓地特殊事情に鑑み特別の考慮を行う。  十八、沿岸漁業及び養魚、製塩等災害対策について万全を期する。  十九、農業協同組合に対する今回の災害に伴う運営に支障のないよう適切な指貫を講ずること。  二十、以上各項目の実施にあたっては、本災害実情に鑑み、事務簡素迅速化を図る。  以上御報告申し上げます。
  5. 稻葉修

    稻葉委員長 以上で報告は終わりました。      ————◇—————
  6. 稻葉修

    稻葉委員長 次に、災害対策に関し質疑の通告がありますので、順次これを許します。福家俊一君。
  7. 福家俊一

    福家委員 農林大臣出席を求めておりますが……
  8. 稻葉修

    稻葉委員長 農林大臣はただいま経済閣僚懇談会出席して発言中でございますので、発言が終わりましたならばこちらへ参る予定になっております。
  9. 福家俊一

    福家委員 わかりました。それでは、農林大臣が御出席になってから大臣の御答弁をいただくことを保留いたしまして、質疑に入りたいと思います。  本年の西日本麦作は、百年来ともいわれる歴史的な凶作に見舞われておるのであります。特に香川、愛媛、福岡、佐賀、熊本山口の各県におきましては、八〇%以上の減収率を示す大被害となっております。これだけの災害になると、従来の災害においてとられた範囲の対策では収拾がつかないことは、政府も十分御了解いただけると思います。国会はいち早く調査団派遣、また、二十一日の本会議においては、長雨等による農作物等被害に対する緊急措置に関する決議案を決議くだされ、さらに、災害発生以来、農林大蔵自治大臣はじめ、各関係官が日夜誠意を尽くされ、天災融資法特別立法を提案されるなど、諸般の措置を講ぜられていることは、本員の心から感謝にたえないところであります。  なお、次の諸点をただしたいのでございますが、その前に一言希望を申し上げておきます。  異常な国会不正常のため、遺憾ながら災害対策立法及び措置がかなりおくれ、被災害農民は非常に不安な精神状態にあると思います。現に香川県におきましては、二千名に近い農民が県庁に押しかけ、知事に陳情を繰り返して、多少の紛争を見るというような状況におちいっております。それゆえ、長雨による災害対策として具体的な政府見解及び方針が、本委員会質疑によって初めて明らかにされるのでありますから、政府も、抜本的な措置について、農民の不安を一刻も早く解消するために、できる限り微に入り細にわたり責任ある御答弁を願いたいと思います。  第一に、麦作に対する助成及び今後の稲作等に対する指導助成についてお尋ねをいたします。  今回の長雨災害は、徐々に被害の程度を増してきたので、農家は、わずかの時間を利用して排水作業赤カビ病等防除など、平年以上の経費と労力を投入してきたのであります。麦作はもともと収益性の低い作物といわれておりますが、これにかわる作物が考えられず、西日本では麦作に依存するところが大きいのでございます。かつ、このように平年以上の努力をして、しかもほとんど収穫皆無に終わったのであります。また、赤カビの多く発生した田畑へそのまま稲を作付すると、稲作にも非常に悪いと言い伝えられているため、農家被害麦と麦わらを全部焼却している。これらの経費に対し、ぜひとも何らかの特別助成を考えてもらわねばならないと思うのでございます。現に、六月二十一面の読売新聞でございますが、このとおり全田畑を焼き捨てておるわけであります。「悲しき麦秋」、この記事の中にも、「ヒョロヒョロとのびた麦はほとんど実を結ばず、さらには、いたるところに赤カビ病がはびこった。農家はしかたなく、ガソリンをまき〃立ち毛〃のまま焼き捨てる。麦葬というのだそうだが、まこと悲しき麦秋となった。」政府の皆さんも、この写真を見れば、農民が神も仏もないものと非常な悲しみと苦境におちいって、涙なくして見られない、こういう状態でございます。その点について、農林政務次官から御答弁を願いたいと思います。
  10. 津島文治

    津島政府委員 ただいま福家委員から、今回の長雨に対する惨状、また農家がどれほど困っておるかという点につきまして、非常に真剣なお話がございました。政府におきましても、これが対策につきましては万全を期してそれぞれの立法をいたしまして対処いたしたのでありますが、ただ、残念ながら審議のほうは幾分おくれまして、それがために農民の方々にも多少の御不安を与えたような点がございまして、まことに残念に存ずるのでございますが、これらの立法は今明日中には必ず成立をいたしまして、農民の御期待に沿い得るものと私は思うのであります。  さて、ただいま皆無作になりました麦をつくっておる農家に対して何らかの処置がないのであるかというようなお尋ねのようでございました。これはまことにごもっともなお話でございます。しかしながら、率直に申し上げまして、事務的に見ました場合におきまして、これを処理するということは、そこに幾多の隘路があるようでございます。一例を申し上げますれば、その皆無になった麦のからでございますが、これはある場合においては堆肥にしたり、あるいは果樹の敷きわらにするということで、必ずしも無価値ではない。それからまたもう一つは、個々の農家においてもまた非常に違う面がありますので、全体としてこれを捕捉するということも困難な面がございます。それらのことからいいまして、率直なところは、事務的には相当めんどうである、かように考えますが、しかしながら、それはそれとして、こういうような大災害におきましては、私どもは、何らかの方法で元気をつけてあげるというような意味からいいまして、何らかの方法がないものであろうかということを目下のところ真剣に考えておるのでございます。残念ながらまだ具体的にどうであるというふうには申し上げかねる段階にあるのでありますが、何らか方法がないであろうかということは深く検討をいたしておるような次第でございます。
  11. 福家俊一

    福家委員 いま政務次官の御答弁の中に、事務的にいろいろな隘路がある——これはもちろん私ども十分承知いたしております。今度の災害が百年目に一度というような史上最大のものであるだけに、政府特別立法をもって措置しよう、いわゆる事務的な措置を乗り越えて、根本的な対策、特に農民精神的な不安を解消するのみならず、生産意欲というものをふるい立たすためにも、十二分の措置を講じなければ、農業立国としての日本農業の将来というものを私は非常に憂うるものでございます。何らかの措置を講ずるという精神は十二分に了解いたしますけれども、では具体的にお尋ねしますが、被災耕地では、このように、やむを得ず麦を泣く泣く焼き捨てておるのでございます。その場合に、耕地に返還する堆厩肥源が非常に不足しており、これに関連して非常に耕地地力保全が重要と思われるのでございます。政府はぜひ早急に指導並びに地力保全というたてまえから助成措置考慮しなくてはならないと私は思う。現に、熊本水俣地方及び琵琶湖のPCPによる被害に対する助成、あるいは伊勢湾台風の場合に地力保全という助成を講じた前例もございます。事務的な見解では、この地力保全についていろいろの意見はございましょう。しかし、先ほども申し上げましたように、百年目に一ぺんの災害——政府は、善政といいますか、かつて徳川幕府時代におきましても、大飢餓のあった場合には、名君といわれる領主は、年貢の取り立てを全廃し、米倉を開き、あるいは衣服を与え、農地の改良と農民生産意欲を向上させるために金五両を与えたというような例も、私は東大の農業歴史学界の泰斗である高柳先生から指導を受けてまいったのでありますが、封建時代ですら、農民に対してはそれだけの善政をしいておる。民主政治の中における今日の政治は、農民に対して十二分の措置を講じてもらいたい。特に、大臣が御出席になればお尋ねいたしますが、そういう精神の上に立って地力保全助成というものをする意思があるのかないのか。いまの政務次官の御答弁精神からいっても、おそらく御賛成くださると思いますが、この点いかがでございますか。
  12. 津島文治

    津島政府委員 ただいま、遠く歴史的にもこういうときには善政を施したという実例のお話がございました。私ども政治は、その時代政治よりも後退してはならないのであります。それは十分承知をいたしております。ただ、たとえてみますれば、一反当たり千円のお見舞いをする場合において、これは私の腰だめでございまして、まことに数字は粗末でありますが、百数十億の金額にのぼるのであります。相当の金額がまた増してまいるのであります。そういうことでありますから、御趣旨の点はよく了解ができるのでありますが、事非常に重大でございます。それで、先刻も申し上げましたとおり、慎重に誠意をもって検討をいたしたい、かように御答弁申し上げたような次第であります。
  13. 福家俊一

    福家委員 次に移りますが、この長雨のために本年の水稲の苗も非常に軟弱に育っており、いもち病の大発生が予想されております。すでに発生しておる地域もございます。麦の収穫がない上に、防除費の負担は農民に重くのしかかっておる。この上、米がとれなくなるという事態になりますと、たいへんなことになるので、この際、共同防除を中心に特別の助成をぜひ行なわねばならぬと本員は考えるものでございます。それについて、政府助成率について一体どのくらいの金額を考えておられるのか。すでに党の政調会あるいは小委員会において相当関係官とも議論いたしておりますから、具体的に金額をこの席で明示されると思いますが、いかがでしょうか。
  14. 津島文治

    津島政府委員 防除に関しましては、共同防除ということを徹底してやってまいらなければならないことは、申すまでもないことでございます。今年の稲作を考えてみましても、いろいろな点で非常に心配な点がございます。したがいまして、この心配な点を排除しまして、豊作、少なくとも平年作に持っていくためには、いろいろの手段を講じなければならぬのでありますが、そのうちで共同防除ということは特に必要であろうと思います。したがいまして、これを実施するという方向に向かって目下検討をしておるのでありますが、どの程度の金額助成するか、その率をどうするかということにつきましては、まだ決定に至らないのでありますが、この方向には進んでおるような状況でございます。
  15. 福家俊一

    福家委員 農林省の大体の考え方はわかりましたが、これには政務次官答弁でも、一反千円にしても百数十億かかるという予算の伴う問題でございますが、この点については大蔵大臣はどういうお考えでおられるか、心がまえをお聞きしたいと思う。
  16. 原田憲

    ○原田政府委員 今回の長雨に対する政府措置に対しまして、皆さん方がいろいろ御心配になっておられますが、政府といたしましても、先ごろ御決議をいただきましたところの予約米の概算払いであるとか、天災融資法の適用によるところの三分五厘の融資であるとか、できる限りの措置をいたしておるわけであります。ただいま御質問になっておりました地力保全あるいはその他の問題につきましても、大蔵省は実施官庁でございませんので、農林当局から話をまとめて持ってきていただきましたならば、十分に検討して、できるだけやりたい、このように考えております。
  17. 福家俊一

    福家委員 次は、麦類の、再生産用種子についてでございますが、農家は再生産のための種子に非常に不安を持っておるので、その対策についてお尋ねをしたい。政府の手持ちの麦を種子用として払い下げる場合、価格はどういうものを予定されておるか、これが一点。また、災害実情から見て無償にはできないのか、あるいは有償で払い下げる場合、発芽率のことも勘案して、農家の負担が重くならないように、助成をぜひ考えてもらわねばならぬと思いますが、この点はいかがでありますか。
  18. 丸山幸一

    ○丸山説明員 種子の件につきましては、一部食糧庁の手持ちの種子をお願いいたしたいと考えておるわけでありますが、現在試験をいたしておりまして、場所によっては相当いい成績でございます。私どもは、まあまあと申しますか、七〇%以上の発芽率がなければならぬというふうに考えておりますが、こういうものを回したいということであります。なお、価格等につきましては、食糧庁のほうから答弁するのが適当かと存ずるわけでございますが、私ども、麦の種子補助金につきまして、現在、数量を取りまとめて名品種別に詳細に検討をいたしておるわけでございます。これをたとえば輸送費をどうするとか、あるいは金利、倉敷をどうするとか、いろいろな点がある。あるいはストレートに何分の一補助というようなことにするか、そこらあたり事務的に検討いたし、大蔵省とも御相談をいたしまして、何らかの助成措置はとるつもりでありますが、この場合、食糧庁のほうにつきましては、もしストレートに何分の一補助ということになれば、食糧庁に対しての分は一般補助費から回すとかいうことも考えざるを得ないと存じておるわけでございます。
  19. 福家俊一

    福家委員 そうすると、関東でとれた小麦を種子用として購入する場合、価格が高くなると思うわけであります。助成金を出すとすれば、どういう算出方法によるのか、農家の負担にならないように特に考慮してもらいたいと思います。また、このような採種圃産以外の種子を購入する場合、農林省においては十二分の指導を願いたいのであります。  一点注意したいのは、助成金を出す場合の額があまりにも少額であった場合は、かえって農民の期待に反して逆効果になると思うのでございますが、この点について食糧庁はどう考えておりますか。
  20. 丸山幸一

    ○丸山説明員 先ほど申しましたように、助成はいたしますけれども、いかなる方法でやるか、たとえば、遠くから運ぶため輸送費等が相当かかるわけであります。また、これは主として小麦でございますけれども、関東地方にひょう害があるとかその他で、実は残念ながらできがよくないわけであります。したがいまして、遠くから運びますと、相当かさむかと思います。しかし、農家の方々にとって、遠くから屈んで、地元の分よりも非常に格差がつくということばお気の毒でございますが、私ども、何とか輸送費を補助するとか、あるいはプール計算みたいなことができないか、そこらあたりを検討中でございまして、不公平というか、あまり格差がつかないようにできるだけ努力をいたしたいと存じております。
  21. 福家俊一

    福家委員 食糧庁の御答弁では、本員の納得するところには至りません。すでに災害が起きて相当の日数を経過し、今日なおかつ、答弁を聞いておりますと、あくまでも事務的な答弁であって、抜本的な措置といいますか、この災害に対する心がまえの上に立っての施策というものをくみ取ることができない。一体きょう食糧庁長官はどうして出席されないのですか。
  22. 田中勉

    田中説明員 いま長官は部内でちょっと会議がございまして、至急連絡をとっておりますので、私とりあえず……。
  23. 福家俊一

    福家委員 部内の会議より本委員会が重大なものであることは十二分に御承知のはずだ。しかも、委員会からは正式の手続をとって出席を求めておるはずなんですから、直ちに出席をせしめるよう手配されんことを望みます。
  24. 田中勉

    田中説明員 手配いたします。
  25. 福家俊一

    福家委員 時間の制限もございますので、まことに不本意でございますが、食糧庁長官が御出席になれば、その点については同僚の加藤委員に質問をゆだねることにいたしまして、次に移ります。  果樹災害対策についてお聞きしたい。  樹勢回復のために、尿素、ホルモン剤の葉面散布、アプラ虫の予防、排水作業を行なっておりますが、今後も相当長期に続けねばなりません。これに対し特別の助成の道は考えておるのかおらないのか、また樹園地の土壌流失あるいは畦畔の修理、用排水溝の復旧並びに地力保全にはどのような助成を考えておられるか、伺いたい。
  26. 津島文治

    津島政府委員 果樹の病虫害の共同防除対策につきましては、やはり先刻申し上げました稲作に対する共同防除と同様に考えまして、これに対しては助成をするように、ただいま関係省とも話を進めておるような次第でございます。
  27. 福家俊一

    福家委員 この長雨の結果、果樹のみならず、蔬菜、特にたばこなどはすでに三割以上の減収と称せられ、今後病虫害の多発が予想されております。これに対する指導方針はどう考えているか、また、これが助成措置について当然考えなければならぬと思いますが、いかがですか。
  28. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御質問のうち、たばこにつきましては、大蔵省あるいは専売公社の担当するところでございますので、そちらからお答え願うことといたしまして、蔬菜につきましては、病虫害の発生のおそれはもちろんございまして、これについての防除指導等には万全を期したいと思っておりますが、御承知のように、蔬菜の生産の態様から考えますと、共同防除というような形の防除はなかなか行なわれにくい事情にあるということで、防除のための助成ということは、助成の対象としてははなはだ困難であるというふうに思われますので、災害をこうむりました蔬菜等につきましては、代作用の種子、再播用の種子等について助成するというふうにして、できるだけ蔬菜の再生産の確保のための助成方法を考えたい、かように考えております。
  29. 福家俊一

    福家委員 質問者が非常に多数で、時間の制限もございますから、あとは同僚委員に譲って、重点的に質問をいたします。  自治大臣が御出席でございますから、長雨天災による地方公共団体の財政負担の増加と特別交付税等の関係についてお尋ねしたいと思います。  長雨による災害で関係地方公共団体の財政負担は相当な額にのぼると予想されております。これに対し自治省では特別交付税で見ることになっていると答えておられるが、特別交付税というのは年度末に配付するので、それまでに台風その他の災害があると、どの分をどう見たのか、はっきりしなくなるおそれもあるので、今度の長雨対策について必ず見ていほしいという要望が特に強いのでございますが、その点、大臣から明確に御答弁願いたいと思います。
  30. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 お等えする前に、今回の西日本長雨による災害によって農民諸君が非常な困難をしておられるということに対して、深甚な御同情を申し上げ、また、その対策につきましては、前例もあることでございますから、誠心誠意、遺憾のないようやっていきたいと思います。  ただいまの御質問に対しましては、特別交付税は毎年二月に交付することになっておりまして、その間におきましては、つなぎ資金のあっせん、あるいは地方交付税の概算払い、あるいはまた農作物及び公共施設等に対して地方公共団体が行なう諸対策あるいは復旧事業その他の問題につきましては、国庫補助のほかに、適債事業につきましては地方債の発行を認める、そういうようにいたしまして、昨年も災害のために七十数億円の特別交付税を出しておりますので、前例に従いまして、特にその実情を十分に検討して、万遺憾なきを期したいものと考えております。
  31. 福家俊一

    福家委員 食糧庁関係にお尋ねいたしますが、香川県の農家は、習慣としてうどんをよく食べるのでございます。平年では一人約一俵の小麦を保有しておりましたが、本年は保有がなく、購入しなければなりません。政府から災害時に米を払い下げる場合は、生産者価格という前例もあるようでございますが、麦の場合、逆ざやでかえって高いものになる。それでは今回のような百年に一ぺんというような大凶作の解消にならないので、この際そんな例にこだわらず、農家を救済する意味で、被災害農家に安く入手できるような方法を講ずべきであると私は思うのでございますが、この点いかがでございましょう。
  32. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 食用の麦の払い下げにつきましては、その地方におきます麦製品の流通等の実態に即しまして、場合により、製品の工場出し値を適正に定めまして、それを農協系統の流通機構を通じましてできるだけ安く農家に配給されるような指導を加えるというようなことで進めていきます方法と、消費その他の実態上、原麦そのものの払い下げをするほうが適切であるというような場合には、ほかの農業協同組合等に対して原麦の払い下げも考えるというような体制で、それぞれ関係府県と食用麦についての農家への配給方式等を協議いたしておるのでございまして、農林省といたしましては、できる限り地方の実情に沿うような形で、しかもできる限り農家の食糧費支出が増高を来たさないように努力をいたしたい、このように考えておるのでございます。
  33. 福家俊一

    福家委員 最後にお聞きいたしたいのは、農業協同組合に対する影響についてでございます。今回の災害で農協には麦の保管料収入の激減、預金の減少など影響が大きいのでありますが、これについて農林省はどういうように見ておられるか、その措置についてお考えを伺いたい。
  34. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御指摘のように、今回の麦等の大きな災害の結果といたしまして、農業協同組合が従前扱ってまいりました麦など農産物の扱いの量が減り、あるいは倉庫における保管料収入等の減少がある、また農家の収入の減に伴いまして損金の引き出し等の額が増大するということも予想せられるのでありまして、その結果、農協の事業運営というものに相当の影響があるだろうということは私どもも考えておるのでありますが、農家災害による損失の間接的な影響として生じてまいります農協のそれらの収入の減というものに対して直接に政府が何らかの助成を進めることは、ちょっと考えにくいのであります。農業協同組合の系統によります資金の供与等につきましては、たとえば被災地における農協の事業運営資金あるいは諸払いに対します資金の用意等につきまして、農林中金等の協力を得まして資金繰り等に万遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  35. 福家俊一

    福家委員 これで質問を終わりますが、仄聞するところによりますと、ただいま開かれておりまする経済閣僚懇談会において、長雨対策について根本的な問題を焦点に論議されておるそうでございます。その結論がおそらく本委員会答弁されると思いますので、質問を保留いたしまして、最後に、もう時日も相当たっておりますし、政府の皆さんの誠意あるいは努力には深甚の敬意を払いますが、事務的にのみならず、一刻も早く万全の措置を親心をもって講ぜられんことを特に強く希求して私の質問を終わります。
  36. 津島文治

    津島政府委員 ただいまの、被災地に対するいろいろな救済の措置に関しては敏速的確に行なうようにという御要請でございますが、私どももまことにそのとおりと考えますので、極力事務当局を督励いたしまして、ご趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  37. 稻葉修

    稻葉委員長 中村英男君。
  38. 中村英男

    中村(英)委員 農業災害については同僚委員発言がありましたし、後ほどそれぞれ質問されると思いますので、この際、私は漁業災害について二、三質問をしたいのであります。  今度の長雨、一月の豪雪で、一応、農業問題は、私ども不満足ながら法律もでき、政府措置を考えているようですが、漁業災害についてはどうも水産庁が消極的ではないかと私は思っているのです。もっとも、漁業災害は、農業災害と違って、災害の実態がつかみにくい点もあるわけなのです。ことに助成の対象とする場合には非常に困難であろう。しかし、それはそれとして、困難でありましても、少なくともいまの漁業災害は異常な災害で、資本漁業、零細漁業含めて非常に困っているという実態は、水産庁も理解されているように思います。  そこで私最初にお伺いしたいのは、そういう災害の実態、もちろんこれは一月の豪雪からの引き続いての話ですが、ことしになって今日までの災害地帯における海草あるいは魚の、漁業災害の実態の数字をつかんでおいでになるでしょうか、それをまずお伺いしたいのであります。
  39. 和田正明

    ○和田説明員 一月の豪雪以来、特にことしは海潮異変と申しますか、非常に海上の水温が低下をいたしまして、最近では大部分の海上につきましてほとんど平常の水温に戻ったわけでありますが、鳥取島根の沖合いにつきましてはまだ水温が低下傾向でございますので、各県からの被害数字の報告は逐次受けております。いま統計調査部の漁獲高の調査を早急に集計を出すように急いでおりますほか、現地へそれぞれ調査員を派遣いたしまして実態の把握、それから、それに伴います今後の対策等の措置をいたしますためにそれぞれ実態調査を進めております。
  40. 中村英男

    中村(英)委員 いまの答弁では、まだ災害地帯の全体の数字を十分つかんでおいでにならぬようです。私ども実は党としても資料はまだ十分まとまっていないのです。これは先般地方新聞に出ました漁獲高半減の新聞の記事ですが、島根県でございます。六十一億の年間の漁獲高のうちで、今日まで十八億しか水揚げしていない。これは漁業です。海藻類にしても、ことしは冷水異変で——三月、四月にとれるワカメが実は一番いいのです。ところが、それが茶褐色になって、ことしはだめだというのですね。五月ごろのワカメがむしろよかった。私はワカメなんかたいしたことないと思っておったのですが、島根県だけでも三百六十六トン、四千三百万円、発育不良のためにテングサが二十トン、六百万円、オゴが三十トン、千万円、カキが千万円、こういう被害が出ておるのです。非常に大きな被害なんですが、どうも漁業は——農業も天候異変に左右されますけれども、農業は天候異変に左右されることが非常に多いものですから、漁民は、これは天災だ、そういうことは自分たちが政府にお願いして融資や助成でやっていくものではない、こういうあきらめが長い間の習性になって、どうも政府に対する要望が弱いのです。要望は弱いけれども、それでは災害がなかったかというと、非常にあるのです。そういう点を政府は十分理解されなければならぬ。要望がなければ少ないのだということでなくして、漁業はそういう災害になれておるものですから、そういう習性になっておるのですね。これはやむを得ぬ、こう思っておるのですが、ことしは異常な災害なものですから、こういう新聞記事になったりして、いまやっと世論が高まっておる。これは、私は日本海だけのことを言ったのですが、瀬戸内海そのとおり、北海道の周辺もそのとおりだと思うのです。  これは二つに大別されると思うのです。零細漁業の問題と資本漁業の問題がある。零細漁民は、もちろん、その中にも、図分けをすれば、手こぎで漁獲する者、五馬力の舟でやる者、あるいは海藻をやる者、あるいは養殖をやる者、いろいろありますけれども、少なくともそれによって生計を営んでおる漁民としては、非常な災害を受けておるとしたならば、やはり生活上のめんどうを見なければならぬと思うのです。その方法として、生活の物資を、たとえば米を安く払い下げするとか、あるいは生活資金を貸し付けするとか、こういうことも考えなければいかぬわけです。ことに日常の収入の道が絶えますから、公共事業、たとえば漁港の修築の繰り上げ実施をするとか、そういうことをして収入の道を与えなければいかぬわけです。零細漁民は金を借りるということは少ないですけれども、それでも、やはり資金の面で借り入れ金のワクを広げるとか、あるいは再生産の資金を融通するとか、そういう措置も講じなければいかぬと思っておるのですが、水産庁はそういう点を具体的に検討されておりますか。
  41. 和田正明

    ○和田説明員 ただいまお尋ねの点につきましては、とりあえず応急的な措置と、それからある程度長期的な措置と、二つに分けて検討いたしておりますが、応急的な措置につきましては、漁民が借りております借金、たとえば系統の団体でありますとか、あるいは農林漁業金融公庫でございますとか、そういうもので償還期限が到来しておりますものにつきましては、一々返済ができませんから、それの延納措置等につきましては、それぞれ金融機関に対しまして適切な措置がとれますように指導をいたします。それから船員保険の掛け金が相当負担が大きいわけであります。これにつきましても、厚生省等と打ち合わせをいたしまして、延滞利子等をとらないで延納措置がとれますように、それぞれ専務当局で打ち合わせをいたしまして指導をしております。それから、とりあえず当面の生活資金あるいは善業資金等につきましては、系統機関を通しましてその場合のための必要な資金を上部団体から融通するとか、そういう措置をいたしまして、とりあえずのつなぎ資金についてはそれぞれ関係機関の指導をいたしております。  それから漁業の実態は、御承知のように、ある時期にとれませんでも、おくれてまたとれたり、また豊漁になったりということがあるものでございますから、お話のように、地元からの要請等はややおくれたといえばおくれたかもしれません。私どもも、先ほどちょっと申し上げましたように、現地への派遣あるいは統計調査部の資料の整備等を急いでおりますほか、科学技術庁、気象庁、海上保安庁等と、研究調整費の中から、今後の海況等の把握を基本的にいたしますための調査を別途計画いたしておりますが、それらの資料等の整備を待ちまして、基本的には、お話のように、今後の再生産資金を、つなぎ融資等の必要もあろうかと思いますので、とりあえずいたしました措置を必要に応じて長期化いたしますように、現在検討を進めている段階でございます。
  42. 中村英男

    中村(英)委員 それでは、緊急措置についてはそれぞれ水産庁も熱意を持って検討されているわけですね。そうすると、資本漁業についてはいろいろ問題があろうと思うのです。海水の異常水温のためにいま漁獲高が減少している。やはり二度、三度温度が違うと漁場が変わるのですね。そういうことのためにもこれは魚種が変わってくる。これは零細漁業、沿岸漁業、沖合い漁業を含めて、漁場の変化、魚種の変化、これに対する対策を水産庁は真剣に検討してもらわなければならぬ。ことに気象庁長官の話では、こういう異常気温が、本年だけではなく、今後十年間ぐらい続くかもしれぬという発言をされておりますから、そういう点で私どもは非常に心配しております。たとえば日本海にサケ、マスが入ったり、東京湾にサンマが入ったり、魚種の移動があるのですから、そこで今後漁民として大きな問題は、魚のとれるところに行かしてもらいたい、こういう主張が出てくると思うのです。そうすると、従来のような観念でそれぞれ許可漁業を扱っておったら、魚がおらぬところでむだな労力を費やすことになりますから、こういう点を十分検討されているかどうか。魚のおるところに行って漁業をやらしてもらいたいという漁民の主張にこたえるような対策を十分立てていただきたいと思うのでございます。
  43. 和田正明

    ○和田説明員 ただいま申し上げましたように、科学技術庁あるいは気象庁等とこれから、海況がお話のように異変を生じました原因、あるいはそれが今後どのように継続するか、ないしはそれに伴いまして漁場の形成がどのように変化するかということについては、科学的に基本的調査をいたしたいということで、予算的措置も一応終わりまして、直ちに調査に着手をいたすわけであります。いまとりあえずの措置として、たとえば鳥取島根の沖合いがとれないから、とれております場所に入り会いをさせるというようなことは、そのまた地先の漁民としては非常に問題がございまして、漁業調整ということは歴史的にも非常にいろいろ問題がありまして、直ちに応急措置としてそういうことをするということはいろいろ困難だと思いますが、科学的な調査を十分いたしまして、その検討の結果に対応して、今後ある程度長い目で措置をしなければいけない。漁場の変化、それに伴う操業区域の変化等につきましては、調査の結果を待ちまして検討いたしたいというふうに考えております。
  44. 中村英男

    中村(英)委員 漁民の要望としては、そういう事態ですから、農林漁業金融公庫や市中銀行の金融機関からの借り入れ金の返済期限の延期の問題、あるいは国並びに地方公共団体の業者に対する利子の補給及び利子の引き下げの問題、それから災害による再生産資金として長期低利の資金の特別融資の問題、こういう要望をしておるわけです。これはいますぐこういう特別立法をつくってそしてこの急場に間に合わせるということは、私は水産庁としても困難な点があろうかと思いますから——もちろん立法できるものはしなければいかぬ、特別措置によって可能なことは水産庁はやっていただかなければならぬが、そういう点で、特別の立法措置によらなくても行政措置でできることを何か具体的に考えておいでになったら、説明願いたいと思います。
  45. 和田正明

    ○和田説明員 先ほど申し上げましたように、とりあえずの措置としては、延納措置指導をいたしましたり、あるいは船員保険等の保険料の延納について手続をいたしたりしましたほかに、とりあえずの生活資金あるいは善業資金等についてのつなぎ金融をしてもらえるように、それぞれの系統団体等の金融機関に対しましては指導を遺憾なく実施いたしております。ただ、その金融が、今後ともさらに海況異変等が続きます場合には、金額も多くなりましょうし、また被害額によってはその返済もいろいろ困難なこともあり得ますので、先ほど申しました調査の結果等を待ちまして、必要があれば特別措置を講じていきたいというふうに考えております。
  46. 中村英男

    中村(英)委員 せっかく大臣出席されておるから、一言大臣にも質問いたしますが、いま私が質問し、答弁されているように、水産問題はどうも農業災害の陰に隠れやすいのです。それは非常に気候に関係した事業であるだけに、従来漁民はあきらめておるという習性があるわけです。それだからといって、災害がなかったというわけではないので、ことに私が大臣に要望しておきたいのは、そういう事情ですから、金融の措置についても、法律によると、農漁業、こう出ておるのですけれども、漁業は非常にウエートが軽くて、従来でも、日本の水産は産業の中で大きな部面を実は占めておるはずですが、開発銀行の資金ワクの中には、石炭、鉄、その他の中にしか入っていないのです。そういう感覚で従来の政治というものはなされてきたきらいがあるのです。ことに、漁獲高が少ないと加工品の業者も困るし、それからあきんども困るし、箱屋も困るし、非常に関連産業が多くて、影響が大きいのですけれども、それが数字の上に災害として出てこないのです。その点、災害の数字としてはつかみにくいけれども、非常に実態は深刻であるということを十分ひとつ腹の中に入れてもらって、緊急あるいは長期の対策というものを立ててもらいたいと思うのです。
  47. 重政誠之

    ○重政国務大臣 水産と農業を二、三に扱っておるわけでは決してございません。金融問題にいたしましても、長期低利の融資を構造改善を中心にしてやります制度を本 国会で御承認をいただいたわけであります。あれでも農業も水産も全く平等の扱いでいっておるわけであります。決してそういう考えは持っておりません。ただ、災害等になってまいりますと、漁業のほうはどうも的確にどれだけの災害ということをつかみにくい。施設等については明らかでありますから、これはやりいいのでありますが、そういう関係もございますから、性質上違っておる点がありますので、同様にすべてをやっていくというわけにまいりませんけれども、扱いは平等に考えておりますから、その点はどうぞひとつ御了承願いたいと思います。
  48. 稻葉修

    稻葉委員長 この際、先ほど留保されました福家君の質問を続行いたします。福家俊一君。
  49. 福家俊一

    福家委員 農林大臣が御出席されましたので、続いてお尋ねをしたいと思います。  重政農林大臣は農政のエキスパートとして、特にこの災害発生以来、農民の心を心として、日夜誠心誠意お尽くしくださったことは、厚く本員の感謝するところでございます。それだけに、事務当局からもいろいろの質疑の応答をいただきましたけれども、満足することができませんので、百年に一ぺんのこの大災害で、農民は神も仏もないものかと慨嘆しておる状況でございますが、農林大臣は抜本的にいかに救済されるかというその心がまえについてお尋ねいたしたい。
  50. 重政誠之

    ○重政国務大臣 今回の長雨災害は、ただいま福家さんの御指摘になりましたとおりに、これは史上まれに見る災害であります。そこで私は、この救済並びに農作物の再生産の確保のため全力をあげて今日までいろいろ施策をいたしてまいったのであります。これは十分御承知のことと思いますから、ここで繰り返すことを避けますが、私としては全力をあげてできるだけのことをいたしてまいっておるつもりであります。しかも迅速にその施策が被害を受けた農家に徹底するようにつとめておる次第であります。
  51. 福家俊一

    福家委員 特に地力保全についての助成をお考えを願いたいということを強く要望いたしまして、最後に一点、自治大臣お尋ねをいたします。  農地の価値は、その収益還元性から評価されるもので、すなわち、農作物の収益が土地の価額をきめるものと解釈されておりますが、本年の長雨による災害でその収益は著しく低下しておるのであります。それだけ固定資産の価値は減じていると考えられるが、そうすれば、本年度の固定資産税は減免すべきではないか、所得税について減免するのであれば、固定資産税についても減免してほしいという要望が、農家から市町村に対してこぞって出ておるのでございますが、これについて自治相の考えはどうであるか、お尋ねいたしたいと思います。
  52. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 固定資産税ばかりでなく、市町村民税その他についても、減収あるいはまた収入皆無という状況にかんがみて、考えなければならぬと思っておりますが、固定資産税の問題は、ただ一年だけの収入でそれを動かしていくということはなかなかむずかしいと思います。しかし、今度の災害実情を十分に検討いたしまして、著しく負担力を失っているものにつきましては、やはり市町村民税と同様な減免措置をとらなければならぬ、こう考えております。
  53. 稻葉修

  54. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 自治大臣が、もうだいぶ待っておられるから、先に質問いたしたいと思います。  今回の長雨に対して、政府も何とか減税をしろという大方針は、超党派で一致いたしておりますが、実際減税をやるにあたってはどういうことになるか、国税問題は自治省並びに大蔵省で管轄いたしますが、地方税の問題はなかなか難点があり、従来の災害から見ましても、結局天災融資法を発動し、地方税、国税は減税するというように題目はなっておりますが、最終に至ってどうなるかという点については、地方自治体もたいへん心配いたしているのでありまして、今回の長雨についても同様な心配があるのであります。地方税は当然自治体の地方の条例によってきめるのであって、自治省がこれに関与することはできませんけれども、しかし、今回の長雨被害は広範にわたって、実際に農民が税金を払うことができないということは、既定の事実であります。しかし、自治体の財政の健全という点からして、自治体自体は、自治省の方針がきまらなければ、これに対する対処がなかなかきめにくいというような理由で、いまも私どもの地方においてもそれが問題になりまして、県庁を取り巻くというような事態を惹起いたしておるのでありますが、この際、従来の例からいって地方条例できめるのだから地方でやったらいい、自治省は通達も出さぬ、そちらで適当にやれ、あとは特別交付税で何とかしてやる、この方針はきまっておるが、何かそれに対して本省のほうから、こういう問題に対してはこういうような措置をしてやるというような通達か何かを事前にひとつ出していただきたいということを自治大臣に特に要望し、大臣の御意向を伺いたいと思います。
  55. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 御承知のとおり、従来、市町村民税につきましては、収入の四〇%以上減収した場合減免するという原則で指導してきたわけであります。ところが、今度は麦の災害だけでございますから、大体二〇%くらいにしかならない。そこで、地方の自治団体におきましても、従来四〇%であったものが、二〇%くらいで条例で減免をして、はたしてあと自治省がカバーしてくれるかどうか、そういう心配であろうと私は考えております。しかしながら、今回の麦の被害は、農林省においてもいろいろ調査されておりますが、全く特殊的なものでありまして、天災融資法におきましても特例を認めまして、麦だけを取り上げてこの際適用しようという際でもございますから、私はこれらの事情を勘案しまして、当然、従来の四〇%以上というワクからははずれますけれども、やはり減免すべきものと考えて、現在事務当局をして税務当局と相談をさしております。そこで相談が当然まとまると思いますが、そういたしますれば、直ちにそういう方向に向かって指導していく、こういうふうに考えております。
  56. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 今回の災害は、従来の災害の例と異なり、一地方の豪雨によって田畑も流された、農家もやられた、死人も出たというところから四〇%の適用を受けますが、今回の災害は、全収入からいきますと二〇%でありますけれども、広範囲にわたっておりまして、一地方でなく、地方の県なら県全体の問題であります。そういう関係から、天災融資法も厳然とあるのでありますが、天災融資法の特例を特に今回国会で提案いたしたような状態から見て、特に従来の例にないような方法をとってもらいたい。この問題は、先般の特別委員会自治省の役人を呼んでいろいろ懇談いたしたのでありますが、そのとき、地方の条例でやるんだから、われわれから通達を出すことはちょっと困難である——これは自治省の役人の立場ではそうなりましょうけれども、今回は天災融資法の特例も認めたわけですから、いろいろ自治省内の通達に関しましても、これは大臣政治的に、抜本的にやりやすいような方向をとられんことを特に望みます。この点について、ちょっと無理でありましょうが、ここでひとつ、大臣、はっきりと確約するように特にお願いいたします。
  57. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 こうしろというような通達はもちろん出せませんが、自治省としては、すでに天災融資法の適用も特別の例外として麦だけを取り出してやるということになっておるから、そういう方針であるという通達はちっとも差しつかえない、こう思います。事務当局というものは、慣例とか、そういうものばかり重んじておりますから、私のほうからさせます。
  58. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 いまの大臣の御答弁ではっきりしておりますが、従来にない何とかこれに対する対策大臣から役人に命じていただくように特に要望しておきます。  次いで、先般の長雨に対する農政関係をお伺いいたします。これはちょっと皮肉な質問でありますが、農民の声として申し上げます。  今回の長雨による被害でありますが、平年度収穫があったと仮定した場合の食管特別会計の赤字は、本年度のような長雨による被害をこうむった場合には、この赤字がなくなるわけであります。従来の食管の内部における麦の赤字は、外麦を輸入して、もうけもありますが、平年の場合の食管の特別会計の赤字は、本年度のように長雨被害があった場合には、少なくなるわけでありますが、その額が幾らになるか、これは大臣からの答弁でなく、お役所の方の答弁をいただいて、あとから大臣の御意向を伺いたいと思います。
  59. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 ちょっと正確な数字は記憶しておりませんが、食管の麦の赤字が、ことしはたしか二百二十億くらいだったかと思います。そこで、内麦の政府買い入れ量がだいぶ予定と変わってくるわけでございますので、その買い入れ量がどのくらいになるかということで数字がだいぶ動くと思います。ただいまのところ非常に大ざっぱな推定しかできないと思いますが、たとえば、小麦を百万トンくらい買う予定にしておりましたのが、半分くらいになる、あるいはまた、大麦を二十万トンほど買う予定にしておりましたのが、これはそう減らないのではないかということも考えられますが、減ると思います。裸麦に至っては、やはり二十万トンくらい買い入れのものが、おそらく四分の一か五分の一になるということも考えられます。それやこれやを考えますと、輸入食糧がその分は、たとえば小麦がふえるというようなことを考えますと、二百二十億がおそらく百億くらい減るというようなことも計算ができるのではないかと思います。これらはもう少したって、どのくらいの数量の買い入れ減になるか、そのために小麦をどのくらいよけい輸入しなければならぬかというようなことをもう少し数字を詰めませんと、正確に申し上げられませんが、かなりの赤字の減ということは考えられます。
  60. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 いまの食糧庁長官の御返答は全くの概要で、もう少しこういう長雨に対して政府対策を立てる場合に、食管の赤字がどうなるかという方向ぐらいは、関係の役所として大体の数字は把握しておかねばなりません。今回の長雨によって麦などは西日本においては皆無であります。いまの御返答でもおわかりになるように、はっきりと政府は損をしない——得をするということは言い過ぎでありますけれども、損がないのであります。長雨によって農民は大災害をこうむったが、政府の食管特別会計は平年度二百二十億の損が、はっきりといまの答弁で百億は少なく済むという——私は百億以上と思いますが、麦がないのでありますから、外麦を輸入いたしますので、これでもうけが多くなる、そして損のほうが少なくなる、こういうような差し引きの勘定がありますから、相当な赤字が減少することは間違いないのであります。言いかえますと、政府は相当な予算を編成したにかかわらず、予算に残ができるのであります。私はこの点について今回の対策の内容を検討いたしますと、現在まで、前渡金の概算払い、並びに共済の早期仮払い、及び天災融資法の特例、こういう三つの問題が出ておりますが、あとの問題は農林省においてもまだ判然としない、きょう、あすじゅうにきめたいというような御意向でありますけれども、いまの御返答の中で伺うと、種子の問題並びに防除費の問題、地力保全の問題、原麦の払い下げ、これも大蔵省に多少気がねをしておざなりのような感じがいたします。鳴りもの入りで天災融資法の特例をもうけて、裏作の八割ときめ、特別融資をしたからといって、この額の総額を政府が出すのでありません。結局は利子の補給をする程度、利子の補給の総額は幾らになりますか、御返答願いたい。
  61. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 今回の特例法の法案が通過いたしますと、三分五厘の金利の適用農家戸数がふえるということに相なりまして、三分五厘ということになりますと、末端基準金利を九分五厘と考えて予算の措置をするわけでございますので、六分のうち、政府が五九%を負担いたし、残り四一%を負担願うということになるわけであります。そういたしますと、約三分何厘というものが政府の負担になってまいりまして、したがって、これは金額が判然といたしませんけれども、かりに百億前後の融資額というようなことで計算をいたしますと、年々償還が進みますと逓減いたしますけれども、大ざっぱに言いまして三億程度の利子補給が続いていくということになるわけでございます。
  62. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 鳴りもの入りの天災融資法の特例で、実際に政府が予算的に支出をするのは三億で、これもだんだんと逓減していきます。前渡金の問題についても、政府は金を出すけれども、あとで差し引くのであります。また共済のほうも、農民から見ると保険金で、もらうのは当然であります。こういうような関係でありまして、いまの食糧庁長官の説明によっても、食管で赤字が百億損がないのでありますから、いまの天災融資法の融資によって三分五厘の融資を受けた農民を勘定に入れましても、総額で何十億、いまの前渡金も損はしない。そしてそのあとは種の問題や運送費のほうを何とかしようとか、結局核心に触れないで、いまの政務次官の話を聞くと、結局反当たり千円出すとこれが何百億になるというような、おっかなびっくりのようなしり込みです。今回の災害に対する要綱が二十項目も本委員会で決議いたしますが、決議を実行する場合に、私は百億以上は当然政府が出してしかるべきと思うのでありますが、それに対する農林省の心がまえ、特に役人たちの心がまえができておりません。大臣なり、総理大臣なり、自民党与党が責任を持つのは当然でありますが、与党の三役も何とかしてやろう——従来の農政は、こういうような災害の場合には、政府が金を出しても、農民はあとで払わなければいけないのであります。商売人なら、特に低金利だと飛びつくのですが、農村はあまり借金を好みません。そういうような関係から、ただ天災融資法だけを発動して、対策は済んだのだというような観念では、これは農民を救うほんとうにあたたかい農政を施したということになりませんので、きょう、あすのうちに、種の問題、また防除費の問題、並びに原麦の払い下げの問題、並びに地力保全につき万全の措置を講ぜられたい。地力保全ということは私はあまり好まぬのであります。もう少しいい項目がないかと思っていろいろ考慮したのでありますが、どうも農林省が大蔵省と交渉する場合に弱いので、従来から項目にある地力保全ということを持ち出したのでありますが、何の項目でもけっこうでありますから、百億以上の支出をするのは私は当然だと思います。これについては役人の考えではちょっと御返事ができませんので、お気の毒ですが、重政農林大臣の、この際やってやるというひとつ明確な御見解を示されることを特にお願いいたします。
  63. 重政誠之

    ○重政国務大臣 なるほど、特別会計はおそらく百億前後ではないかと私も見当を立てておるわけでありますが、そっちの百億赤字が減るから、百億以上を何でもかでも出すというわけには、御承知のとおり、まいりません。いまのような計算をやられますと、大かた百億くらいになりはしないかと思う。米の予約の概算払いというのをただみたいに言われるけれども、一千億出て、その金利を計算すると五十億くらいになる。これは政府負担になる。そうすると、いまのようなことを言えば、どうもあなたの数字はそれよりももっとでかいことを考えておられるだろうと思いますが、そこで私はそういうことを抜きにしまして、とにかくできるだけの必要な予算は計上いたしまして、そして災害農家の救済、ことに本作である水稲の生産の確保ということにつきましては、全力をあげてひとつ大蔵省とも折衝するつもりでおるわけであります。事務当局は事務当局として、私は私で、時に触れて大蔵大臣とも話をぼつぱつしておるようなわけであります。
  64. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 いまの大臣答弁は、苦しいような答弁で、理屈の合ったような、ないような感じがいたしますが、これは前渡金は毎年出すのでありますから、結局本年は少しふえただけであります。これを百億の中に入れるというわけにもいきませんし、私が言ったのは、何も損がないからそれをせよというのではありませんが、一例であります。このごろは農村で大体そういう理屈はわかっておりますので、そんな関係上、一つの例として申し上げましたが、本員のそれは、百億損が少ないのだから、それを出せというような意見ではありません。農民自体がそういう数字を知っておりますから、今回の対策にしたがってこの要綱を今後実行する場合に、三十億では少な過ぎる。あとの農薬とか、種子代とか、地力保全だとか、麦の払い下げ、飼料の払い下げ、こういう点について、まだこの委員会全体と農林省並びに大蔵省との意見が合致いたしません、相当考えに差があると思います。その意味から、あとで懇談をいたしたいと思いますが、その前提としてひとつ奮発をしてもらいたい、こういう前提条件であります。  大臣にはこの程度にいたしまして、多少項目にわたりますが、一つ私は遺憾な点があるのであります。地力保全の問題について農林省の役人に聞くと、長雨が降っても土地は何ら被害はないという。それは目に見た場合には、従来の豪雨と違いまして、あぜが切れたり、たんぼが流されて荒廃に帰したというような被害はありませんが、これはじり貧でありますから、見た目には何ら耕作物は変わっておりません。ただ、はえておる麦や、その他の農作物がやられたというわけでありますけれども長雨というものがあまり長く続いたものでありますから、耕地の実態を見ましても、土壌が相当崩壊いたしております。これに対して農林省がもう少し土地の研究をすればいいのでありますが、専門家に聞きましても何らこれに対して対策を講じておりません。研究もいたしておりません。赤カビができても、これが済めばいいという。先ほど政務次官の話では、多少は農産物が取れたんだ、麦わらが取れたんだから、麦わらは金に換算しなければならぬというが、これは政務次官があまりお詳しくないために、そういうようなことを苦しまぎれに言ったのでありましょうが、赤カビがはえた麦わらはもう何にもならぬのであります。収穫皆無と言ってもいいので、かえってああいうような麦わらをいろいろな飼料に使うとか牛草に使うというようなことはできないのであります。実際はそれをやる場合には、本年はほかの草をもって牛のいろいろなものに用いていく、こういうことをいたさなければならぬのであります。農林省はその点を研究いたしておりませんけれども赤カビの出たものをそのままいろいろなものに使った場合には、それの禍根は米にも及ぶ、麦にも及ぶ、こういうような弊害があるのであります。   〔委員長退席、角屋委員長代理着席〕 そんな関係上、今回の麦の被害に対しては——相当土壌が内部的にも崩壊いたしております。含鉄分が不足するとか、石灰分が不足するとか、またはいま言ったような有機物はこれを使えません。そんな関係で、これを補強するにも、経済的に換算いたしますと、相当な、反当たりで言うと三千くらいな損害はあるのでありますから、麦は取れなんだけれども、麦わらの換算が相当あるだろうというのは、これはひとつ政務次官、考えを変えてもらいたい。この地力保全に対する農林省の専門家の見解をお伺いしたい。
  65. 丸山幸一

    ○丸山説明員 私は必ずしも専門家でございませんから、お許し願いたいと思います。  赤カビが出まして、これが稲に伝染するということにつきましては、これは絶対皆無ということではないようでございますけれども、まずまず考えられないということでございます。  それから麦わらをすき込んだ場合、有機物がたくさん入る関係上、地力が消耗するのじゃないかということでございますが、これは北陸地方等においてレンゲなんか相当すき込んでおるわけであります。あるいはわらもすき込んでおるわけでありますが、これを連年継続して大量に毎年毎年すき込むというようなことになりますと、悪影響が出るようでございます。したがいまして、たとえばレンゲにつきましても、千五百キロぐらいすき込むと、これ以上すき込んではいけないということを私ども指導いたしておるわけでありますが、今回の場合、三百ないし四百くらいだと考えられますので、この程度ではそう影響はないのじゃないかということでございます。なお、耕作技術上、これはそのまますき込むというようなことになりますと、作業上影響があるわけであります。裁断してすき込むというようなことになれば、この影響もなかろうかと思うわけであります。私ども地力保全というのは、御承知のように、耕土培養法という法律がございますけれども、微量物質については、最近は改良資金のほうでこの新技術導入ということで無利子の融資はいたしておるわけでございます。非常に地力が消耗するということで、直接地力保全ということで今回の焼却費等を関連づけることは、なかなか事務的にはむずかしいのでございます。先ほど政務次官から答弁がありましたように、その指示にしたがいましてなお研究をいたしたいと存じておるわけであります。
  66. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 いま私は専門家でないというような御答弁では、あまり突っ込んで聞きたくないのでありますが、私はこの問題を発言するについて、地力保全という項目を出した。私もあなたと同じように専門家でございませんが、しかし、地方からこの問題だけで上京したので、四、五晩私も研究いたしました。実際地力は衰退いたしております。あなた方はたんぼをちょっと見たくらいでたいしてわかりませんけれども、相当な含鉄分が、毎日毎日降った長雨でありますから、やはりあぜを越えて水とともに流れてしまった。ああいうような百年に一度の長雨であります。あなたの御答弁は、従来のなま草の場合でも、レンゲの場合でも、例年のことを言っておるのであります。本年の赤カビは再生産の場合に水稲には関係ないと言われたが、これはないことはありません。実際あるのであります。そういうことをやってまた悔いを次の稲作に持っていくべきではないというので、あの麦は使いません。焼くというのは、これは何も農民はデモンストレーションとしてやったのではありません。かえって焼いたほうがあとの稲作に得策だというので、先ほども福家君から話があったように、焼くのであります。しかし、焼くにも時期があって、焼けないときがありましたが、ガソリン代を入れても焼くのは、実際にそれは使えない、そんな関係でありますから、本年度の地力保全からいっても、有機物の場合でも——なま草を牛馬の革にする場合に、本年の麦はとれませんから、山へ行って刈ってきてそれを代用する。稲作だけでなしに、来年の麦作に対しましてもどうしても有機物の補給は必要であります。石灰分なり含鉄分なりも必要でありますけれども、有機物は当然必要でありますので、その補給に対しても相当な労力と賃金が必要であります。またボーキサイドとか石灰とかいうものも、来年の麦作には、例年にない相当な対策を講じなければならぬのであります。こういう長雨があって、自分のうちの庭を見ていてもわかりますように、芝を植えても、その芝がひょろひょろと力のないはえ方で、だんだん下の有機物なりいろいろな土壌の構成が悪くなっておるのは間違いないのでありまして、長雨で土地の関係は何ら被害がない目に見たところでは被害はないが、実質土壌に被害がないという見解は私は絶対納得いたしません。あなた方ははや次の金のことを考えて、要らぬことを言ったら金を出さなければいかぬからという心配をいたしておりますが、これは大蔵省が言うなら私はよくわかりますが、農林省はもう少しあたたかい気持ちでこれに対して御答弁を願いたいと思います。
  67. 石井一雄

    ○石井説明員 ただいま、長雨によりまして全然地力が減耗しないかというお話があったようであります。雨が長いことによって土壌に全然変化がないか。非常にこまかいことになると思いますが、そういうことはあるいは理屈の上では申せるのではないかと思います。しかし、先ほど参肝官がお話し申し上げましたが、私ども実際問題として考えました場合に、非常に大きな変化があるということになりますと、これは当然御指摘のようにほうっておけない問題だろうと思いますが、今回の長雨程度でございますと、一般的には秋落ち水田というようなものに全然影響がないとは申し上げらません。実質的な面での影響ということになりますと、これはまずないと考えるのが、技術的に最も妥当な見解ではなかろうか、かように存じております。
  68. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 野党と時間を制限しておるから、あまりしゃべると野党のほうから言われますけれども、大事な点ですから一言申しておきます。本年の、長雨が地力には関係がないということは、私は納得いたしません。それはもう少し御研究してください。納得せぬ答弁は絶対に納得せぬ。も一度、研究するなら研究すると言いかえなさい。いまの答弁では納得できぬ。再度御返事を願いたい。
  69. 石井一雄

    ○石井説明員 ただいま御指摘のように、なお研究いたします。
  70. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 次に、時間がないから、種の問題と防除費の問題に移りたいと思いますが、種は福家君から質問があったけれども、ばく然としてはっきりしておりませんが、結局、麦の場合、政府手持ちの麦を払い下げてもらう、発芽率が悪い、このパーセンテージは、御答弁を聞くと私の思いとちょっと違いますが、発芽率の問題も考慮して、いまの政府の気持ちでは、運賃などで何とかと言っておりますが、要は価格の問題であります。これはあとで役所と折衝しますが、手持ちの麦を払い下げる場合に、従来の例にない特別の価格をわれわれは要望しておるのでありますが、この点についてどういうお考えか、承りたい。
  71. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 食糧管理特別会計で管理しております麦の払い下げ価格は、御承知のように、先般米審を開いて、売り渡しの標準価格をきめていただいたわけですけれども、あれを基準にして用途に応じた価格で売るのだということになっておるわけであります。したがいまして、今回種子として売るというものもその規定でやるということであります。したがいまして、これを災害だからというので特別な値引きをするというようなことは、食糧管理特別会計のワクの中では考えられない問題なんで、それはそれとしての値段を普通の方法できめて、災害農家に対してそれが非常に商いというようなことがあれば、別の一般会計からの補助をするとかいうような問題で災害の問題としては対処させていただきたい、こういうふうに思っております。
  72. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 結局、役所の御返答を聞くと、それは払い下げてやるけれども、食管のいろいろな関係で安くはできない、こうなってくると、これはもう真正面から衝突で、先ほど言ったようなあたたかい対策にはならぬ。それは災害がなくても買う人があるのだから、従来の値段でやる、これは何ら対策ではありません。結局そこがわれわれと違う点で、麦を種子として使用する場合には、もう少し抜本的な対策の要領に従ってやってもらいたい。これはいまここで煮詰めるのじゃありませんから、御答弁は求めません。あとで最後の取りきめのときにやりましょう。官房長なども頭をひねって、この間から私とやっておるのだから、最後までやりましょう。  次に小麦の問題でありますが、西日本は、従来自分の小麦でやれたのでありますが、今回はできません。そうなると、関東の小麦に依存しなければならぬ。すでに関東に手配しておりますが、関東もそうよくはありませんから、相当注文が殺到して価段が上がってきております。これに対して農林省は全く放任で、上がった値でそのままかってにあっせんしてやるのだ、運賃くらいは助成してやるのだというようなお気持ちであったら、これはたいへんなことになるのでありまして、これはまたあとでけんかしなければならぬが、この小麦の種に対する対策について、農林省のほうの方針だけでも御返答願いたいと思います。
  73. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 具体的に極に関する助成をどうするかという問題、いま加藤先生のおことばの中にも出ましたように、実は政府として最終的にきまっておる段階でございませんので、一般的に農林省としてはこう考えておるという姿勢だけ申し上げて御了承いただければと思います。これは麦、なたね、あるいは蔬菜の種子、飼料等についてそれぞれ対策を講じなければいかぬわけですが、原則的には、掛かり増しの経費については、都道府県等の協力のもとに、特に高い種を使わざるを得ないというような農家が出ないようにいたしたい、さらに、今回の災害実情にかんがみまして、種子確保とともに、購入種子にたよる、そういう事実に着目いたしまして、種子代そのものについても何らかの助成措置農林省としては研究をして、政府部内で折衝をいたしたいというふうに思っております。
  74. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 結局あと残った問題は防除費の問題でありますが、仄聞するところでは、まだわれわれには話すとしかられると思って言ってないが、防除費は、今回の長雨水稲に対して余分に要ったものを出そうという話も承ったのでありますが、これでは納得しません。ひとつあとでうんと防除費を助成するよう取りきめたい。  それから食糧麦の払い下げでありますが、これも価格であります。悔い麦を払い下げてもらったって何にもなりません。きのうも県のほうから電話がかかって、韓国へ二万トンもやるんだったらわれわれも食うに困っておる——それは外交的関係はあろうけれども、隣の国よりは、われわれ困った農民のほうに——韓国には贈与で、困っておるわれわれには高い麦だけをやる、これでは農村は納得しません。農村はわりかたまだ思想的にも健全であります。いろいろな失対の問題とか安保の問題とかで労組などが政府に要求する態度と、農村のわれわれに要求する態度とはおのずから差異があることは、役人も認めておると思います。やはり強く要望したらいやいや出してやるというのでなくして、やわらかい要望でありましても、この際はあたたかく聞き届けなければなりません。農村が思想的に妙な空気になった場合には、それは日本全体から見てもたいへんな事態が起こると思うのであります。そういう関係から見て、従来の農政は、結局こういうような災害に対しては融資一本やりで、見舞金も出さぬ、その他助成費も、公共的には出すが、個人のほうには出さぬ、これ自体に私は根本的な大きな誤りがあると思うのであります。それは農村だけやった場合には、中小企業なり漁村なり、また給料取りの被害に対して出せないという理論もわかりますが、農村の経済自体から考慮した場合に、災害に対する対策が、金だけ出してやる、これは中小企業などはそれでもけっこうでありますが、農村は金を借りるのは、前段に申し上げたように、好かないのであります。従来の慣例からいっても、行政措置からいっても、見舞金は出せないという。これは大蔵省は反対でしょう。しかし、農林省としては努力すべきである。私がこの間から苦労した農作物の処理の問題も、私は理屈があると思う。全滅に瀕した麦を取り入れても結局むだだから、それに対してガソリンなり労力をかけて処理しなければならない。わが家の手だけで足らない場合もあったと思います。みんなでほんとうに助け合って災害をこうむった麦の刈り取りを行なったのでありますが、これを換算すると反当たり三千円にもなるのですが、その項目を要求したにかかわらず、農林省の役人に反対せられ、次にまた苦心惨たんして地力保全の要求をすれば、大蔵省が反対するのなら一応話はわかるが、農林省が何も地力に関係ないという態度では、私は納得しません。もう少し全体の災害に対してあたたかい施策を講ずるように、皆さん方の特に大蔵省の役人の方がそこにいらっしゃるが、これをやると、またあとの災害のときに困る、国全体の財政から見て、そういうことをすることは、予算編成上からいっても、経済からいっても、あらゆる点からいって無理だ、こういう理論も一応納得します。納得しますが、私は、こういうような百年に一ぺん、また地方的に小部分の大被害もありましょう、そういうときに、農村に対して多少の金を出してもかまわぬと思います。従来はこれに対して自衛隊も出し、公共事業のいろいろ橋だとか道路を直す、これは農村の個人にはちょっとよかった程度で、何ら感謝いたしません。反当たり幾らの助成金をもらう、これは多少無理でありましょうが、少しく恵みのある、あたたかみのある行政措置を皆さん方も考えていただくことを強く要望いたします。そういう気持で皆さんとよく懇談いたしたいと思います。政治的な措置については、大臣も国会議員も政務次官も、大体やってやろうというような気持になっておりますのに、役所の皆さんが、従来の慣例に従って、役所の仕事に慣れて、あれやったらこっちにひっかかる、あっちにひっかかるから出さないという考えではいけない。この点はもう少し大局的見地から皆さん方も出せるような項目を考えてやろうというようなことになることを、本日列席の関係官庁の方に特に要望いたしまして、時間がありませんから私の質問を終わりたいと思います。   〔角尾委員長代理退席、委員長着   席〕
  75. 稻葉修

  76. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣政務次官も都合が悪いようでありますので、大臣に対する質疑は他日に譲ることにいたしまして、他の委員との重複を避け、特に私はきょうは専売公社総裁並びに関係当局に対しまして、葉たばこの長雨等によります被害対策について、若干の質問をいたしたいと思うのであります。  まず最初に伺っておきたいのでありますが、今回の長雨、あるいはひょう害、あるいは霜害等の原因によります葉たばこの被害の実態を公社としてはいかにこれを把握し、またこれに対する対策を講ぜんとしておられますか、お伺いをいたしたいと思います。
  77. 阪田泰二

    ○阪田説明員 お尋ねの点でございますが、専売公社といたしましても、葉たばこの本年の作柄いかん、これは事業の根幹に関するたいへん重大な問題でございます。現在までの作柄の状況その他につきましては、地方からの報告もとりますし、実際に本社からも出向きまして状況調査いたしております。御承知のように、葉たばこ、これは地方によりましてつくっておる品種も違いますし、土地のそれぞれの条件もございますので、一がいに申せないわけでございますが、概括的なことを申し上げますと、ことしの長雨の五月あるいは六月の中旬までの状況は、気温のほうからいいますと大体平年並みと申し上げてよろしいかと思いますが、雨が多くて日照が非常に少ない、これが原因いたしましてこういう影響を受けましたときがちょうど生育期に当たりました地方は、あまり作柄が現在のところよくないということになっております。  具体的に申しますと、南九州、これは大体黄色種の苑地でございますが、一部分の収穫が始まった、こういう状態になっておりますが、平年に比べて非常に悪いというほどの状態ではなく、まずまずといったような作柄になっておると思います。それから北九州、中国、四国、この辺も大体黄色種の産地でございますが、この辺が一番今回の長雨被害を受けまして、作柄が現在までのところ必ずしも十分でない。長雨のために根の発育がおくれており、また、日照が不足しておりますために葉肉の充実が十分でないといったような現象が見られるわけであります。北九州、中国、四国と申しましても、またその中で場所によりましていろいろのところがございます。一がいに申せないわけでありますけれども、最近に至りまして、中国、四国地方の天候の回復に伴いましてだいぶ回復してきた。まずまず、非常な災害と申しますか、減収に至らずして済むのではないか、こういうふうに私ども考えておるわけであります。関東以北のいわゆる在来種の関係につきましては、これはむしろこれからがほんとうの成育期に入るわけでありまして、現在までの状況は、平年並み、あるいはややいいのではないか、こういう状況で、これから推移いたしますれば、かなりよくなってくるのではないか、こういうような状況に私ども見ております。  概括的に見ますとそういうことでありますが、なおその他霜害、ひょう害等がございます。霜害は、ごく初期におきまして福島県あるいは鹿児島県等に霜害がございまして、土地に植え出しました苗が枯死したというような状態がございました。これは幸いにいたしまして補充の苗がございまして、全部補充いたしまして植えかえて、全部順調に進んでいるわけでございます。それからひょう害は、これは御承知のように、栃木県、茨城県といったような雷雨の多い地方には、土地の条件から毎年多少あるわけでございます。ことしは、いままでの状況を見ますと、多少例年よりもひょう害が多い。ひょう害は、性質上、局部的なものでございますが、やや被害が多いのではないかということで心配しておるわけであります。  全体といたしましては、大体そういう状況になっております。今回の、長雨被害あるいは霜害と申しましても、御承知のように、葉たばこの損害というものは、結局収穫がされ、乾燥がされ、収納されまして、その結果、品質が悪かった、あるいは収壁が減った、こういう形で被害額があらわれてまいりますので、ひょう害のように全滅をしてしまった、廃作のほかしかたがない、こういう場合は別でございますが、一般的に申しますと、最後のそういう収納の段階に至りまして、どの程度の被害があったかということがいわば確定する、こういったような性質がございますので、現在といたしましては、私どもは、そういったような減収とか品質の低下といったようなことになりませんように、地方出先も農家に対する指導援助その他の措置に万遺憾なきを期するよう督励いたしておる、かようなことになっております。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま総裁の御答弁を聞いたわけでありますが、それはいつ現在の作況でありますか。
  79. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ごく最近の、大体六月中旬ごろまでの状態であるというふうに考えております。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 私の手元にあります六月二十日現在における葉たばこの災害概況を調べたものによりますと、三〇%以上の被害を見ておるのが大体におきまして七、八府県あります。また、三〇%から二五%程度のものが四、五県あるようであります。ただいまの総裁の御答弁では、指導をしてなるべく減収を食いとめて品質向上をはかる、こういうきわめて冷いといいますか、きわめて技術的な御答弁でありますが、午前中の各委員によって御質疑になりました麦作を中心とする場合におきましては、当初関係都道府県から被害報告があったものを、地方農政局を通じて再調査をして比較してみたところが、農林省の出先機関のほうの調査が上回った、こういう実情であります。あなた方は農林省とは別建てで、たばこ専売制の上に立っておられるわけであります。しかし、つくっておる農民は、あなた方の所管によって左右されるものではありません。農民に変わりはないのであります。耕作者であることには間違いはないのであります。それが麦の場合には、このような重大な事態に対処して当委員会もこれを中心に被害対策を真剣に検討しておる、そういう段階にあって、何らたいしたことはないと言わんばかりの態度は、私は姿勢としてけしからぬと思うのです。農林省の対策には欠くるものがあるかもしれぬが、実態の把握についてはきわめて真剣な態度で取り組んでおる。私の調べたところによりましても、いま申し上げたような状況であります。特に新興産地として山陰方面、島根鳥取方面が中心でありますが、一例を申し上げますと、私の居住地域であります鳥取県の米子市内におきまして、米子地区の耕作組合が調べたところによりますと、四億六千万の被害が歴然として出ておるのであります。こういうふうに、局部的ではありますが、その被害はきわめて甚大であります。黄色種の場合は、私どものような背の低い者はたばこ畑の中に入れば姿が見えないところまで成長するにもかかわらず、すでに腰あたり程度で開花をしておる、そして高うねにしたそのみぞには水がたまって根は腐っておる、葉っぱはまだ成熟期に達しないのに下葉は全部粘れておる、葉形は平年の半分以下である、こういう実態をあなた方はお調べになっておるのですか。私は先般各方面の意見を徴し、また現地も若干調べてきましたが、こういう悲惨な状態に対して早く前渡金を出してもらいたいと言うと、まあまあそう急ぐな、こういう傾向もあると聞いておる。たとえば耕作組合が調べたところによりますと、公社から見たところとは少なくとも五%ないし一〇%違っておる。要するに、被害をなるべく低く見ようという態度があらわれておるように思われます。また茨城等における降ひょう被害の場合は廃作指導に出ておる。廃作した場合には、たばこ専売法の規定によって四〇%の補償がなされる。しかし、農民は自分が手塩にかけたものでありますからこれはでき得れば残したい、なかなか未練があってこれを廃作にするということができない。そこへ持ってきて、当局はなるべく被害を少な目に見る、こういう態度が累積して、なかなか思い切りがつかない。廃作指導を全般的に私はおやりなさいとは申し上げません。局部的ではあるけれども被害の態様というものを正確に把握して、そして思い切った廃作の指導を行ない、四〇%の補償金を出すことを明確にし、また代作によって農家の減収を少しでもカバーする、こういう指導こそ私は必要ではないかと思うのでありますが、いまの総裁の答弁はまことに私は不満であります。そういう御認識では、とうてい——あなた方の長期生産計画に即応して、葉たばこの生産振興にいそしんでおる。一時は減反だったものが、最近、つくれつくれと言われるが、いざ災害という場合に、そういううしろ向きの姿勢でもって見殺しにするような態度をおとりになるということでございますならば、増産意欲に水をかけ、したがって長期生産計画は達成困難になることは、予想困難ではないと思うのであります。そういう意味から、もっと積極的な姿勢をもって被害の態様の実態というものを正確に把握され、そしてこれを長雨被害対策として、すみやかに公社として打ち出すべき具体的な方針を出すべきではないか、かように私は考えるのでありますが、先ほどの御答弁をお繰り返しになりますか。あなた方は全然実態を知っておらぬじゃないですか。
  81. 阪田泰二

    ○阪田説明員 葉たばこの被害状況と申しますか、現在の作柄の状況の把握につきまして公社が十分でないのじゃないか、こういう御指摘でございましたが、この点につきましては、私どもは地方の機関を動員し、またみずからも出かけまして調べましたところを申し上げたわけでありますが、なお御指摘の点もございますので、今後とも十分に実態の把握につとめまして対策に遺憾なきを期して参りたい、かように考えておりますので、御了承願いたいと思い、ます。  なお、ただいま御指摘がございました鳥取県の米子等の例もございますが、その点は公社としても承知いたしております。先ほど私が申し上げましたのは、全国的あるいは一般的に見ましてこういう状況であるということを申し上げましたわけでありまして、その土地の条件によって、非常に被害の多かったところももちろんあるわけでございます。御指摘の米子地方の例などは、地下水の水位が非常に高いというふうな特殊な状態でありますので発育が非常に悪かったという点は、私ども報告を受けておりまして、確かにそういう状況であったというふうに考えております。  なお、概算払いの問題につきましても御指摘がございました。これはこの七月一日から概算払いができることに制度上なっております。麦作の収入が少ない等で農家も非常に現金にお困りの方もおられることでありますので、概算払いの導務も、御要求がありますればできるだけ迅速に取り計らって、対策に遺憾なきを期するよう、各出先地方機関にも通達してあるわけでございます。十分にまいらないという場合がありますれば、今後も督励しましてやって参りたいと考えております。  廃作指導の点等につきましても御指摘がありましたが、これは私どもも御指摘のとおりと考えますので、廃作指導農民の利益になりますように適切な指導をやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 最初の御答弁は、全国的な見地に立ってたいしたことはないのだ、しかし局地的に見れば私が指摘した点は御肯定になる、大体答弁が少し中務的ではないかと私は思うのであります。廃作指導はもうすでにいままでやらなければ意味をなさぬではないですか。先ほどの御答弁によっては、これから品質の向上と被害を最小限度に食いとめるための指導をやるという。今度は私が追及をすれば、廃作指導をやるといいますが、すでに廃作は済んでおらなければならぬじゃないですか。総裁はそういう技術的なことはおわかりにならなければ、生産部長から御答弁になってもいいのですが、問題は、こういうときには時宜に即した迅速な対策が必要なのであります。それは麦でも蔬菜でも葉たばこでも、つくっておる農民の立場に立っては同じであります。それを、いまどきになって廃作指導をやるなどというようなのんきなことでは、困るのであります。東日本は比較的順調であることは私も知っておりますが、西日本被害は、麦、蔬菜、これに次ぐ大きな被害発生し、今後も被害が増大する見通しであります。たとえて申し上げますと、日照時間でありますが、五月の例をとりますと、平年が二百二十二・五時間であるものが百九時間、降雨壁は、平年が百二十六・九ミリのものが本年は二百七十五・三ミリ、こういうふうに、日照が半分、降雨は倍、こういう実情であります。したがって、同じ県内にあっても、平均していけば被害額はあるいは三〇%に達しないところがあるかもしれない。しかし、局地的に見れば壊滅的な打撃を与えておるということは明らかであります。したがって、これに対するところの概算払いは、直ちに通牒も出しておるし、やる方針だとおっしゃいますけれども実情は必ずしもその通牒の趣旨が末端に浸透しておらない。現にきょうは、この葉たばこの問題について、西日本を中心とする会議すらも耕作団体は考えておる状態であります。そういう状態を知りながら、被害農民は、その所管が農林省であれ、大蔵省所管の専売公社であれ、同一人でありますから、歩調を合わせてなぜおやりにならぬのでありますか。私はいままでのあなた方のおとりになった対策は少し手ぬるいと思う。農林省の被害把握、またこれに対する対策というのは、不満な点はありますが、それでもまだまだ熱意と、やろうという意気込みにわれわれは期待をしておる。あなた方にはやる意思がいまの答弁では毛頭ないではありませんか。しかも、長期にわたる生産計画をつくれつくれといって挙県一致の体制を組ませ、そして私どもも、たばこ関係の安全性、的確な換金性、そういうものを認識して、極力長期計画の達成に努力をしておる。そういうさなかにあって、前古未曾有ともいうべきこのような被害に、いまおっしゃったような態度をもって対応されてよろしいのでありますか。  具体的に私はこの際伺っておきますが、葉たばこの災害補償制度の臨時特例によりまして減収補償の万全を期してもらいたいという声は、各地で共通しております。しかし、先ほどの総裁の答弁によれば、収納を終わってから初めて乗り出すのだと言わんばかりの態度である。前渡金はたった二割であります。制度が変わって、最近値をとる、こういうことになりましても、平均十万円とはいきますまい。おそらく、黄色種の場合でも八万円程度でありましょう。二万六千円ではありませんか。そういう程度をもってしては、私は当然農民は満足しないと思う。そのことは、今後のあなた方の長期計画に支障となってあらわれるのみならず、葉たばこ耕作そのものの意欲の減退となる。相手は政府であるし、安全であるし、換金性は最もよろしい作物である、こういうので、勇んであなた方の施策に協力をしてきた者の期待を裏切ること大といわねばならないと思うのであります。そういう点について、今後被害の態様を各地からのものを早急に集めて、明日のこの委員会にもこれをお示しになって、そうしてそういう被害の激甚な地域に対しましてはどのような対策を打ち出すか、こういうお約束をいただきますならば、私はそのあなた方の誠意と具体的な案を見た上で御質問してもけっこうでありますが、いまのような御答弁では私は満足はできません。概算金といえども、たった二割でございます。いかがでありますか、明日、局地的な被害の深刻な地帯の実態を把握し、それに対するところのあなた方の取り組む姿勢、具体的対策をお示しになりますか。
  83. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいまお話がございました廃作指導その他の問題につきましては、かなり技術的な点もございますので、なお後ほど生産部長からお答え申し上げたいと思いますが、全体の問題といたしまして、専売公社関係の葉たばこの災害対策がおくれておるではないかという御指摘でございますが、最初にも申し上げましたように、麦はすでに収穫が終わって勝負がはっきりしておるわけでございますが、葉たばこは、麦とは違って、これからの努力いかんにかかるところが非常に多いわけであります。いますぐに、こうなったときめ込んでしまって、あきらめてしまう、こういう段階ではないわけでありますから、私どもといたしましては、現状といたしましてはそういったような対策に万全を期していきたい、かように考えておるわけでありまして、ただいま、あしたにでも報告ができるかというお話でありますが、これは無理だと思います。しかし、今後具体的に御指摘のようなほんとうの対策を必要とするといったような事態が起こりますれば、もちろん、御指摘のように、私どもは耕作者を保護して長くこういう耕作を続けていっていただかなければならないわけでありますので、対策にも万全を期していきたいと考えております。現状におきましては、これからの作柄をよくして、収納代金もよくなり収入もふえる、こういったふうに持っていきたいということで努力しておる段階であることを御了承願いたいと思います。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 生産部長から具体的な被害の実態を専門的な立場から答弁せしめるということでありますが、具体的に御答弁がありますか。いまの総裁の答弁では私は絶対に承服できません。
  85. 黒田実

    ○黒田説明員 長雨による被害の内容につきまして御報告申し上げますと、地区といたしましては、先ほど総裁がおっしゃいましたように、九州北部から中・四国というところが被害を受けておるわけであります。共通して言えますことは、第一に、日照の不足のための葉肉の生育不十分ということで収量が低下する。第二が、特に土地の水分が過剰になりまして、そのために根が障害を起こして生育が停とんし、あるいは葉が枯れ上がってくる。この土地の水分過剰で根が障害を受けるという場合は、場所によりまして、また土地の条件によりまして自然に変わるわけでありますが、一般的に、水田地帯につくっている畑の場合、それから米子の海岸地帯のように地下水の非常に高い地帯、こういうところが水によります根の障害が極端に出ているわけでございます。それから第三が、作業の遅延によりますところの生育の不振というような点、この三つが大体各被害の共通な特徴でございます。そういうことで、先ほど足鹿先生のおっしゃいました米子の海岸地帯の水によるところの障害というものは一番極端に出ておる例でございまして、ほかの地域では、あれほど大規模にそういう被害が出ているところはないのではないかというように、現在の報告では考えております。  そこで、今後の状態でございますが、先ほど総裁の申されました状況は、大体六月中旬現在の状況でございますが、その後の天候状況が、御承知のように、比較的雨が少なくて、曇天、晴天が多いというようなことでございまして、これがその後の作柄の回復にプラスに作用しておるわけでございます。そういうことで、最近の報告を見ますと、九州北部、四国、中国地方でも、山陽、瀬戸内の沿岸、この辺は最近作柄がかなり良変しておるというような報告を受けております。ただ、山陰の米子から島根県の浜田、あの地帯は、先ほど申し上げましたように、根  の障害が特に立地条件の上からひどかったというようなことでございまして、根をやられております関係上、作柄の良変の程度が少ない、むしろ、場所によりますとかえってだんだん悪くなっていく、こういうところもあるわけでございます。そういうような状況でございますが、何と申しましても、たばこの最後の成績というのは、収穫完了の前一カ月間の日照重いかんということが、一番たばこの最後の成績決定に大きな影響を持っておるわけでございます。九州北部のたばこの収穫が完了しますのは大体七月の中旬から下句、中・四国におきましては大体八月の上旬というふうに考えております。したがいまして、まだ今後の天候いかんということがこういう被害地の今後の作柄にかなり大きく影響する部分が多いわけでございまして、私どもといたしましては、そういうような天候の状況、それから今後の長雨後の災害対策というものの決定によりまして、少しでも作柄が良変ずることを願っておるわけでございます。  それから廃作指導の問題でございますが、たとえばひょう害をいまの、時期に受けまして全部葉が落ちたというような場合は、これは判定がきわめて簡単にできるわけでございまして、廃作をしたほうがいいという判定がつくわけでございます。しかし、ひょう害の場合も、かりにいま少し早い時期にひょう害を受けたといたしまして、はたして廃作をしたほうがいいのか、あるいは幹を切って下からもう一ぺん芽を出させて刈ったほうがいいのか、この判定が非常にむずかしいわけでございますし、また事実こちらがいいといたしましても、その後の天候状況によまして逆の結果になる場合もあるわけでございます。そういうことで、そういうことで判定が非常にむずかしい。現在の水害、雨害によります場合も、そういう点でかなり判定がむずかしい場合があるのじゃないか。公社の職員といたしましても、これが耕作者の方の利害に非常に直接的に影響することでございますので、そこらの判定をどうしても慎重にやらざるを得ない、それが結果といたしましてどうも時期を失したということでおしかりをいただくようなことになったのではなかろうかと思うわけでございます。私どもといたしましても、さらに、この被害の激甚な地方に対しましては、そういう点につきまして即刻善処するように指導いたしたいというふうに考えております。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 被害激甚地に対しては至急適切な措置をするということでありますが、具体的にその実態把握の上に立って問題になりますことは、減収加算金の問題でございますが、この場合は平年度収納金を幾らに見て加算をされる所存でございますか。作況指数が三〇%から六〇%までは八万円と見た場合に大体において八千円、六〇から六五%も大体同様で、六五%以下減ずるような形になっておりますが、いずれにいたしましても、作況指数が三〇%という極端なものは四〇%の補償金をもらうわけでありますから、もうすでに廃作をしたほうがよろしい、そういう機宜に即した処置を至急におとりになると同時に、平年度収納金を幾らに見て、本年度の作況から見て弾力のある減収加算の交付を御考慮になりますかどうか、この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  87. 黒田実

    ○黒田説明員 減収加算の問題につきましては、過去におきまして、昭和二十八年の全国的な風水害で作況が非常に悪かったときに、臨時的にやったことがございます。今回の場合につきましては、さらに収穫、乾燥が済みましてはっきりことしの作がどうだというめどがついたときにおきまして、公社としましては十分に検討したいというふうに考えております。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 総裁、私が先ほどから御注意を申し上げ、強く要請しておる点をお忘れなく。あまりにも渋いあなた方の態度をもってしては、同じ農民が一方における麦作等を中心とする被害については、とにもかくにも救済措置特別立法によって当委員会においても立案をされ、また政府もその線を中心として、罹災産地の救済措置に当たっておる。しかるにあなた方は、何らこれと歩調を合わせないような印象を、いままでの御答弁をもってしては受けますが、この際明らかにてしおきたいことは、一般農作物被害に対する救済措置と並行して、専売公社独自において罹災産地の救済措置を講ずる総合的な施策の実施を私どもは強く要望してやまないものでありますが、この点については減収加算あるいは廃作補償等、こういったものだけに限定をしてほおかぶりをなされる御所作でありますか。先ほどもお話がありましたように、農林省は、麦作等の長雨被害については、米の概算前渡金を、無利息によるものを、従来二千円のものを二千五百円まで上げておる。こういう暫定的な措置をとられておる。あなた方も当然、前渡金等についても、これは無利息の金でありますから、農林省においてもそういう先例がすでに打ち出されておるわけでありますから、たとえて言うならば、そういう一般農作物被害に対してとられた救済措置と並行してあまり見劣りのしないような、少なくとも片手落ちにならないような措置をとられる必要があると私は考えるのでありますが、そういう御用意がありますかどうか。この点、総裁において慎重に御検討になっておると思いますが、既定どおりのことでお過ごしになる御所存でありますかどうか。もっとあたたかい気持ちになって、そして長期のたばこ生産の振興計画に水をかけないように、少なくとも耕作者の生産意欲を向上していくための総合施策をこの際とる。具体的な問題については、他のとられる措置、あるいは当委員会において今後なされる決議、行政措置あるいはその他の関連措置によって、一般農作物被害にとられるものと歩調を合わせておやりになる御意思があるかどうか、この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  89. 阪田泰二

    ○阪田説明員 たばこ耕作者の問題につきましては、御指摘ございましたように、公社といたしましては、これからも葉たばこの需要が増加いたしますので、葉たばこを増産していただきたい、こういうことが基本的な考えでございますので、耕作者の方が喜んで葉たばこをつくっていただくといったような形にならなければならない、基本的にはそう考えているわけでございます。長期的に見て、耕作者の方に長くたばこをつくっていただくように、公社といたしましても施策をしていかなければならない、根本的にはさように考えているわけでございます。  今回の災害問題につきましては、先ほど来たびたび申し上げておりますように、現在では、現状の作柄をどういうふうによくしていくかといったような段階の問題でありまして、まだはっきり結末がついておらないわけでありますから、そういう状況がはっきりいたしまして、これは何らかの対策をとらなければならないという状況になりますれば、もちろん、最初に申し上げましたような私どもの考え方からいたしましても、当然、他の農産物、農林省関係その他でとられておりまする施策に劣らぬだけのことはどうしてもしなければならぬと考えております。ただ、先ほどから再々申し上げておりますように、現状におきましては、ほかの麦等の農産物とは違いまして、なおこれからの天候、これからの努力いかんにかかわるところが多い問題でございますので、今後の推移を十分に見守りまして、御心配のような事態が起こりますれば、その対策には万遺憾なきを期してやってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 きわめて抽象的でありますが、少し姿勢が前向きな姿勢をお示しになったようでありますので、あなた方が所管されておりましても、つくる農民は少なくとも一緒なんですから、その点をくれぐれも念頭から忘れないように、万全の措置を講じていただきたいと思います。  時間もありませんので、もうあと一、二点だけ具体的な問題をお尋ねしておきますが、収納はずっと先のことです。したがって、標本の問題がここに出てくる。他の作物と違って、標本の採択ということが問題になる。その取り方いかんによっては農家の減収に拍車を加えることになるし、これに対してあたたかい、弾力的な標木査定をなさるということになれば、これまた作柄に即応した運営ということによって救済措置の一助にもなる。ところが、鑑別の問題はずっと先のことでありますから、やはり当面問題になりますのは標本の採択の点でありますが、これについては、本年の作柄に即して収納適用標本として耕作者団体の納得のいくような設定方針をおとりになる御用意がありますかどうか、この点が一点。  いま一点は、たとえば福島等におきまして、圃場へ出したとたんに霜害があった、苗をどんどん方々から集めようと思っても、なかなか思うようにならぬ、耕作者団体において相当の経費を負担して耕作に遺憾ないように努力をしている、また、今回の長雨地帯等におきましても、善後措置に対して相当活動している、こういうものについて、今後経費助成とか、あるいは活動対策費とか、そういったような面において配慮する御用意があるかどうか。  この二点をお尋ね申し上げまして、まだたくさんございますが、一応私の質疑を終わりたいと思います。  この際、委員長にお願いを申し上げておきたいのでありますが、当局の御答弁は、答弁の過程において若干変化はあったと認めますが、私はきわめて不満でございます。したがって、委員各位の御同意を得、委員長においてお取り計らいをいただきまして、葉たばこ耕作者の切実な声を当委員会の決議に追加していただき、公社当局の善処を求めんという気持ちを強くいたした次第であります。追って理事懇談会等に私のまとめましたものを提出いたしたいと存じますので、よろしくお取り計らいをお願い申し上げておきたいと存じます。
  91. 黒田実

    ○黒田説明員 標本の問題でございますが、本年の収納に適用します正標本は、すでに昨年産の産業でできておるわけでございます。ただ黄色種は、御承知のように非常に変色しやすいものですから、毎年その年の新葉で参考標木というものを八月の末つくっております。ことしも当然本年生産されました新しい葉で八月ごろ参考標本というものをつくるわけでございますが、これはやはり正標木に基準しまして、大体同一品のものということでやっているわけでございます。ただ、そういうことでございまするが、毎年の気象条件で葉の性質がいろいろ違いますので、同一品でありますが、タイプはやはり若干違うというようなことに、異常な年にはなるわけでございます。私どもとしましては、参考標本葉たばこをつくります原則は、従来どおり正標本に基準したものをつくりたいと思いますが、そのタイプは、適用しやすいような、なるべく多産されて、ことしの気象条件下におきまして通常に生産されたタイプのもので参考標本をつくって適用していきたい。その際は当然、従来もそうでございますが、耕作組合の方々にも参観していただきまして、十分御意見を聞いてつくっていく、こういうことでいきたいと考えております。  それから第二の、霜害によりまして苗を補充するのに非常に経費と労力がかかった、これをどうするのかという御質問でございますが、耕作者の方々に対しまして直接御援助申し上げるということはできないのでございますが、そういうような非常事態に際しまして、耕作団体に対しましていろいろと公社の方で救済策を指示いたしましたような場合には、そういう耕作団体に対します指示の手数料とか、そういうものを当然支払うことになるわけでございます。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 御答弁まことに不満でありますが、時間もありませんし、残余の農林省所管に関する質疑につきましては後日に譲りまして、私の質問を終わります。
  93. 稻葉修

    稻葉委員長 足鹿覺君に申し上げますが、先ほど委員長に御要望の点につきましては、明日の理事会において善処いたします。      ————◇—————
  94. 稻葉修

    稻葉委員長 次に、本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  本会期中付託になりました請願は十五件であります。その取り扱いにつきましては、先ほどの理事会において協議いたしたのでありますが、この際、紹介議員の説明等を省略し、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 稻葉修

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、日程第三、第五ないし第一五の各請願は、いずれもその趣旨妥当と認められますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 稻葉修

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 稻葉修

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  残余の請願につきましては、保留することといたします。
  98. 稻葉修

    稻葉委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、福井県の豪雪による被害対策に関する陳情書外百二十一件であります。念のため御報告いたします。本日はこれにて散会いたします。   午後一時五十三分散会