○
小島委員 稻村君の
質問に関連して二、三お尋ねをしたいと思います。
私は、いま
稻村君の言ったことに全面的に賛成であります。今日この
果樹災害に対してあまりに
農林当局が冷たい
——というよりも、
大蔵省というものが全然わからないと私は考えます。時間がございませんから、私の考えをここでそうくどくど言うことはございませんから私は申しませんけれども、今日この
大蔵省の
考え方というものを根本的に変えなければ、
幾ら日本が所得倍増して
経済が繁栄したといってみたところで、それは単なる
空中楼閣であって、あすの
日本の治安が乱れてしまって、民生を安定することはできないのであるということを、私は保守党の
立場であるけれども、はっきり申し上げておきます。先ほど
稻村君の言ったとおり、今日の
農村に対して、たとえ三分五厘になったといたしましても、その
据え置き期間をわずかに三年とか五年とか十年とか、そんなことをして、そうして十カ年、二十カ年くらいで返すというような
状態にしておいて、それで一体やっていけるのか。この
天災融資については
特別立法することに、先般の自民党の
懇談会では大体そういう話がまとまりつつあるようでございますから、私はそれについてはかれこれ申しませんけれども、問題は、
天災融資法の一部
改正だけでこれが救えるかという問題であります。なるほど、
金利を下げる、また
据え置き期間を長くする、あるいは
支払い期限を延ばしていくということによって、新しくここで
園芸にかかるということでありますならば私はやっていけるかもしれぬと思います。しかし、今日まで投資してきたものが全部ゼロになってしまって、しかも借金は残っておるというような
状態になった
人間に、そんな新しくスタートするような
人間と同じような
状態にこれを取り扱って、はたして一体
再建できるか。今度の
豪雪によって
被害を受けた
園芸家というものが、初めてスタートするような
状態で金を借りてそうしてやっていけるかということを真剣に考えていただきたい。私はもうかれこれ申しませんけれども、
農林当局におかれましても、また
大蔵省におきましても、今度の
災害を受けた
園芸家、
果樹栽培をしておる連中に対して何らの補助的手段というものがとってない。
融資の面については多少の考えはされておるようでございますけれども、補助の
制度について何らの
措置がとられてない。しかもその
措置について
特別立法することは不可能だとさえ言っておられるという話を聞いております。
稻村君の言うことと大体一致するような話を私も承っております。なぜできないか。できないはずはないと私は思います。こういう
果樹栽培の
農家に対して、こういう特別の
災害を受けた際に、こんな思いがけない
災害を受けて再び立つことができないという
状態になったときに、なぜ
特別立法ができないのですか。しようと思えばできぬことはないと私は思います。ただそれは、要するに従来のようなものの
考え方に立っておる
当局があるからだと私は思います。そんなことで今後の世の中というものが一体やっていけるか。もう少し考え直す必要があるのじゃないか。社会保障
制度を進めるのだと口では盛んに言っておられますけれども、社会保障
制度を進める前に、もっと今日
ほんとうに
農家が立っていけるようにしてやることが必要なんじゃないか、私はそう思います。私はこの際、
農林当局の
立場というものはよくわかっています。
大蔵省との交渉で非常に苦心されたことも知っておりますからして、無理は申しませんけれども、私は、今度の
災害に関して、何としても
災害を受けた連中に対する特別の補助を出すという
考え方に立って事を解決して・もらいたいと思います。
ことに私は、これは当
委員会においては初めてでございますから、記録に残す上において申し上げておきまするが、私の
地域におきましては零細な
農家がたくさんございます。大きな
農家というものは少ないので^ありまして、山間僻地でございまして、小さな
農家ばかりであります。したがいまして、とてもいままでのような米作だけではやっていけない。あるいは畑にいたしましても、畑にできる作物というものは、僻村でございますから、高く外に売ることはできない、市場に出すこともできないというようなことで、せっぱ詰まってだんだんと考えられたことが
果樹栽培ということでありまして、山のスロープを切り開いて、そうして小さな
園芸家がたくさんある。そうしてそれがかたまって、今日鳥取県に次ぐ二十世紀のナシをつくり始めた。やや成功してきた。しかし、残念なことには、小さな
園芸家ばかりでありますから、品種だとか、その質、大小というようなものが一定しない。やむを得ないから、それを大都市に出すためには
一つの出荷組合をつくらなければやっていけないということで、選果場をつくって、そこで品質をそろえ、大小をそろえて、そうしてようやくこれを出荷してやっていくという
状態になってきた。それが昨年四千万円近い金をかけて選果場をつくった。そうしてようやく整えたところが、今度の
豪雪でそれがつぶれてしまった。その共同利用施設に対して何らかの救済
措置があるのかと言って聞いてみたところが、何にもない。今日の
法律においては何にも救われる道がない。ただ
災害に基づく二割の補助金しか出ない。一体そんなことでこの零細
園芸家が立っていけるか。なるほど、その損害は、
農業協同組合の施設となっておりますから、
農業協同組合が負担すればよいのだと言ってしまえば、それっきりであります。しかし、その負担はみな
園芸家にかかってくる。そういう場合において、一体共同利用施設の損害に対してなぜ助けてやることができないのか。小さな
園芸家が集まっておるその集団である
農業協同組合が、四千万円からのものをまた再びつくるということについて、先ほど言ったような
金利で金を借りていって、どうして負担してやっていけますか。しかも、ここに写真を持ってきておりませんけれども、三十年くらいの木が、ほとんどたきぎのように切ってしまわなければやっていけないという
状態になっておる。これを生かすなんてとても不可能だと言ってもいいくらいの
状態におちいっておる。それで一体どうしてやっていけるか。たとえば三分五厘でも、これを八年の
据え置きにしてもらったって、二十年で返せといったところで、いままでの借金も背負っていかなければならない。またその上に新しい借金を背負って一体どうしてやっていけるか。そういうものに対して親切にこれを生かしてやることが
——何も社会保障
制度なんか考える必要もない。そういうものを親切に救ってやってこそ、私は世の中が安定していくのだと思います。そういうことについてなぜ考えてもらえないのか、私はそう思う。こういう共同利用施設に対してなぜ一体救う道を考えてやってもらえないか、一体なぜ立法ができないか、そういう共同利用施設に対して補助率をふやすという
法律がなぜつくれないか、どこにそのつくれない理由があるのか。私が承るところによると、何せ兵庫県に
一つだけだ、そういう共同利用施設の損害を受けたのは一カ所だけだから、兵庫県の一カ所のために
法律をつくることはなかなかむずかしいということをうすうす聞いております。しかし、これはたまたま今度の
豪雪で兵庫県一県だけだったかもしれないけれども、今後そういうことが全国的に起こらないとだれも保証するものはない。それならば、なぜここで
法律をつくっていけないのかと私は思う。それから
災害立法の何か原則的な、全国的に
被害があって民心がどうだとかこうだとか、むずかしい規定があるから、その規定にちょっとはまらぬと言われますけれども、こういうものが全国的にいま起きておるわけです。共同利用施設がいたんだのは
一つしかない。しかし、いずれはまたそういうことがあり得るのです。だから私は、そういうことに対する何らかの
措置をとっていただきたい。少なくともそういう共同利用施設に対して、
災害の二割以上に
——私は
激甚災と同じようなものにしてもらいたいけれども、そうは要求はいたしません。
災害に関する基準という
政令ですか、防災
会議できめた基準そのものに相当不満はございますけれども、去年つくったばかりの基準をまたことし変えるということについては、防災
会議としても面目がございましょう。しかし、現実の問題としてどうして救えるのだ、救う道を考えてやっていただきたい。何か救える道がありますか。これは自民党としての
懇談会ではたびたび承っておりますから、大体御意向はわかっておるつもりでございますけれども、正式の
委員会の記録として残しておきたいために、ひとつその点を承っておきます。