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1963-02-28 第43回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十八日(水曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 秋山 利恭君 理事 古川 丈吉君    理事 細田 吉藏君 理事 岡本 隆一君    理事 角屋堅次郎君 理事 佐野 憲治君       伊藤 五郎君    小沢 辰男君       大野 市郎君    小島 徹三君       薩摩 雄次君    砂原  格君       前田 義雄君    松田 鐵藏君       毛利 松平君    足鹿  覺君       石田 宥全君    稻村 隆一君       五島 虎雄君    島本 虎三君       堂森 芳夫君    中村 英男君       西村 力弥君    三宅 正一君       玉置 一徳君  出席国務大臣         国 務 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 近藤 鶴代君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  大来佐武郎君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農 林 技 官         (農地局長)  任田 新治君         農林事務官         (畜産局長)  村田 豊三君         農林事務官         (園芸局長)  富谷 彰介君         食糧庁長官   大澤  融君         建設政務次官  松澤 雄藏君         建 設 技 官         (都市局長)  谷藤 正三君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    宮崎  仁君         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         大蔵事務官         (国税庁直税部         所得税課長)  大島 隆夫君         農林事務次官  伊東 正義君         農林事務官         (農林経済局総         務課長)    木田  繁君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  久我 通武君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      若江 則忠君         農林事務官         (水産庁参事         官)      橘  武夫君         自治事務官         (財政局財政課         長)      茨木  広君         日本専売公社生         産部長     黒田  実君     ――――――――――――― 二月二十八日  委員藏内修治君、石山權作君坂本泰良君、田  口誠治君、広瀬秀吉君及び吉村吉雄辞任につ  き、その補欠として小島徹三君、足鹿覺君、石  田宥全君堂森芳夫君、西村力弥君及び三宅正  一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小島徹三君、足鹿覺君、石田宥全君堂森  芳夫君、西村力弥君及び三宅正一辞任につき、  その補欠として藏内修治君、石山權作君坂本  泰良君、田口誠治君、広瀬秀吉君及び吉村吉雄  君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(豪雪による災害対策等)      ――――◇―――――
  2. 稻葉修

    ○稻葉委員長 これより会議を開きます。  災害に関する件について調査を進めます。  災害対策に関し質疑の通告がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
  3. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいま科学技術庁長官がお見えでありますので、その関係の方から質問に入りたいと思います。  御承知のように、今回の豪雪のために、連日、新聞紙上は非常なセンセーショナルな事件として豪雪被害が報告、記録されたわけであります。これに対しまして、応急措置と同時に恒久措置を講ずるために当委員会運営されておるわけでありますが、科学技術庁長官におかれましては、これらの思いもかけないような大豪雪被害が起きましたについて、これの気象的な原因の究明から始まって、それの自然現象あるいは社会現象経済現象などにまで非常な変化が起きて、人心は動揺したわけであります。従いまして、これらの原因をきわめ、それからそれらの応急措置、さらに恒久措置に対して科学的な裏づけ、そういうふうなものが当然必要になって参っております。三十五、六年災のときにすでに世論としてぜひ必要だという要求が出ておるのでございますが、これに対しまして、豪雪地帯政策特別措置法が成立いたしまして以来、その審議会においても、雪害に関する総合研究所設立総理大臣に対して建議をいたしておるわけであります。当委員会におきましても、その意味の雪害に関する総合研究機関設置を強く要望して参っておりますが、長官におかれましてはこの機関設置に関していかにお考えでございますか、承りたい。
  4. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 本年の豪雪災害が非常にきびしいものであったという点において、各方面で非常な関心努力を払って参っておるわけでございますが、私ども科学技術庁といたしましては、ただいま大野委員から御発言もございましたように、すでに数年以前から、災害予知ということによってできるだけ被害を少なくしたいという観点に立って、総合的な防災センターといったようなものを設置しなければならないという必要を痛切に感じて参ったわけでございますが、たまたま機が熟しまして、昭和三十八年度から国立防災科学技術センター設置するという運びになったわけでございます。三十八年度の予算面において現われておりますところは、防災センターの規模は、所長一課一研究部及び四室を置き、所長以下二十一名の人員をもって運営をしていく予定でございます。このことは基本的に考えますと非常に小規模でございまして、今回の豪雪というようなものを対象といたしましたときに、非常に遺憾な感じはいたすわけでございますけれども、この計画をいたしました当時といたしましては、これだけでも精一ぱい気持で、とにかく出発しようということになったわけでございます。ここで行ないます試験研究は、雪害地すべり洪水など各種災害に対して、これを個別的に解明するのみでなぐ、防災技術の見地から総合的な立場で実施することがより効率的であるので、これを任務として本センター設立されるものでございます。従いまして、防災科学技術に関する総合的中核的機関としての性格を持ち、他の試験研究機関等と密接に関連がございますので、その運営にあたっては、関係試験研究機関の長などによって構成される運営委員会に諮って、その業務の円滑な推進をはかっていく所存でございます。この防災センター設立されて、年とともに機構を拡充いたしまして、日本災害の予防のために一役をになうことができることを期待いたしておるわけでございます。
  5. 大野市郎

    大野(市)委員 災害対策基本法が成立いたしておりますので、その法に基づきまして、各種災害研究機関法文自身に織り込んで要請されておりますから、これを科学技術庁でお取り上げになったことは、時宜を得たものと思います。また当然であると思います。ただ、当委員会が問題にいたしますのは、こういう非常な豪雪に見舞われました今日におきまして、予算面上の御要求であります内容検討しましても、積雪研究、雪の研究というものに対してまことに手ぬるい程度人員しか獲得できない状況を承っておりますので、そういう形で推移いたしますことは耐えがたい、総合的な雪の研究所をぜひともほしいというのが、先ほど述べました趣旨であります。  さらにもう一点は、科学技術庁設置法の第三条によりまして拝見しましても、科学技術に関する行政総合的に推進する任務でございますので、それらの自然科学的な研究ということは理解ができるのでありますが、われわれの要請いたしますものは、それに基づくいわゆる民生の安定に関する調査研究を相伴って要求しておるわけでございます。すなわち、積雪現象保健衛生生活環境、その他国民生活に及ぼす影響及びその対策に関する副査研究を行なうことを当委員会としては強く要望いたしておるわけでございますので、この点、ただいま予算措置をとられております防災科学センター運営にあたられまして、この民生に関する研究をぜひ実行していただきたいのでありますが、長官はいかがお考えでありますか。
  6. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 前段にお話しになりました雪害に対する処置といたしまして、この防州火センター予算面から見て非常に手ぬるいというお話でございますが、防災センターをつくります計画を持ちましたときにも、雪害に関する災害というものは大きな項目であったのでございますけれども、残念ながら初年度におきまして十分私どもの意図する方向に向いて参らなかったようでございますが、この点に関しましては、またさらに昭和三十九年度等におきまして十分に措置をいたして参りたいと考えておるわけでございます。  それから豪雪地方民生福祉に対してこの防災センターの果たす役割ということについての御意見でございますが、本来申しますと、科学技術庁におきましてのこの防災センターは、科学技術を中心とするということが使命ではございますけれども科学技術分野というものを広く考えて参りますと、それらに関係する人文科学分野をも含めて考えていくということは当然なことでございますので、今までにも当庁におきましての資源調査会などにおきまして、生活環境とか、あるいは地域開発に関する調査などについても行なえる限りの努力はいたして参ったわけでございますので、今後さらにこれを広めて十分な努力をいたして参りたいと思っております。
  7. 大野市郎

    大野(市)委員 防災科学センター構想をただいま承ったわけでありまするが、予算委員会においてその詳細を検討されておることと思いますが、当委員会としても、雪に関しての研究費のまず初年度における内容、さらに計画があるならば、それが年次計画であれば、それらについての年次計画としての構想をこの際承りたいと思います。
  8. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 政府委員に説明をさせます。
  9. 芥川輝孝

    芥川政府委員 ただいま長官から御説明申し上げましたように、防災科学技術センターは、初年度といたしまして、研究部一つ調査室一つ、それから研究室といたしましては三室でございます。その三室は、雪害関係地すべり関係洪水関係おのおの一室ずつであります。全体の定員が二十一名でございます。従いまして、当庁といたしましては、先ほどから御指摘のように、非常に貧弱でございますが、さしあたり雪害研究室地すべり研究室洪水関係研究室いずれも定員二名をもちましてスタートしたいと考えております。ただ、防災科学技術センターは、各行庁がやっておられまする防災研究推進的な役割を果たす、それとともに、先ほど長官も申し上げましたように、災害予知というふうなものをぜひやって参りたいというふうな気持でございまして、そこで、科学技術センターといたしましては、総合的な役割と中核的な役割と二つ持っておりますので、これらを果たしまするために、たとえば大型の試験設備、これは各省共通設備で、各省に開放的に使っていただく。さらに、総合的な研究機関といたしまして流動研究員制度というのを設けまして、さしあたりは定員三名でございますが、これは各省庁に御要求によって人を派遣していく、そしてその省庁試験研究推進を、実際に専門家をここから派遣することによって応援して参りたい、そういうふうな流動研究員制度というのはおそらくわが国では初めてではないかと思うのでございますが、そういう制度をとります。それからさらに資料収集整理、この三つの面で大体総合、中核的な機関性格の特徴を表わしたつもりでございます。  予算の点をお尋ねでございますが、予算は、初年度要求申し上げておるのは、このセンター自身といたしまして二千九百万でございますが、このほか、別に特別研究調整促進費というものの中から防災関係に三千万円さきまして、これを防災研究促進に充てたいと考えておりますそこで、雪に対してどれだけの割当を今しておるかというお尋ねだと思いますが、この点に関しましては、特別研究調整促進費性格上、ただいまここでこれだけの割当をしておりますというふうに申し上げることはできないわけでございますが、問題の重要性にかんがみまして、予算成立の暁には、実際にこれをどう使うかというテーマを十分研究いたしまして、できるだけ豪雪防災に対しまして特別研究調整費を活用したい、そういうふうに考えております。
  10. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいま予算委員会において審議中の防災科学センター要求内容はわかりましたが、最後の、できるだけ、災害重大性にかんがみて、雪の問題に調整費をさくという局長発言でありまするが、事は重要でありまするので、その雪に対する関心度がいかなる程度であるか、長官からもう一回確認をしていただきたいと思います。
  11. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ただいまの局長答弁で申しましたように、雪に対しましての研究ということは大へん長い期間前々から言われて参ったことでございまするし、予算が成立いたしました際に、十分大野委員の御期待にこたえるような方向考えて参りたいと思います。
  12. 大野市郎

    大野(市)委員 この問題は、当委員会においても非常な関心を持っておりまして、予算措置防災科学センター進行しておることも承知しておりまするが、委員各位はすべて総合研究所をつくりたいという意図は変わっておりませんので、この点、その仕事進行の上から、われわれといたしましては、総合研究所設立をさらに要求いたすかもしれませんので、そういう意向が絶対多数でございますので、この点十二分に配慮されまして、雪のために苦しむ、日本の国の半分以上を占めております住民のために、また地域格差解消の国策の達成のために、ぜひ長官から御尽力を願いたい、かようにつけ加えまして、この総合研究機関設立の件についての私の質疑をその点は終わります。  次に、企画庁にお伺いいたしますが、豪雪地帯対策特別措置法に基づいて地域指定並びに基本計画早期作成が要請されておりますが、企画庁においては、その法に基づく措置に対していかに対処しておられるか。これは前回一月の二十九日、あるいは二月の八日あたりにおいてもすでに一回出ておりますので、これは三十七年の四月の早々の公布でありまするから、ちょうど足かけ一年になるわけでありますが、これに対して、二回の委員会で大体承知しておりますので、ごく簡単に現在の状況を御説明願います。
  13. 大来佐武郎

    ○大来政府委員 昨年来、ただいま大野委員から御指摘ございましたように二回の審議会を開催いたしまして、さらに本日の午後第三回の審議会を開催いたすことにいたしております。現在までに各省幹事会を四回開催いたしまして、第二回の審議会におきまして、まずこの法に定められました地域指定基準についての検討をいたすということで、その小委員を会長が指名することになっておりまして、本日午前中ただいまこの小委員会を開催中でございます。この小委員会検討及び審議会の御討議によりましてまず指定基準を定めまして、それによりまして、早急に政令の制定、さらに基本計画作成という段取りを進めて参りたいというところでございます。
  14. 大野市郎

    大野(市)委員 この豪雪地帯対策特別措置法施行にあたりまして、議員立法であった関係からと、われわれは大いにその進行状況に対してふんまんを持っておるのでありまするが、これは大臣が来られたらその点さらに一言御忠告を申し上げたいと思いますが、出席担当局長でありまする大来君の運営の腕次第にこれがうまくいくかどうかかっておると言いたい。そこで、情熱を持って雪の被害というものを面視されて住民福祉をはかるのだ、こういう熱意をわれわれは要求するわけでありますが、行政担当者として事務を切り回すあなたの当面御決意をなお確認しておきたい。
  15. 大来佐武郎

    ○大来政府委員 ただいまの御指摘のことに関しましては、私ども経済企画庁総合開発局がこの法律事務を扱うことに定められておるわけでございまして、これまでの進行状況にややおくれもありましたことでございますが、今後そういうことのございませんように真剣にこの問題に取り組んで参りたいと考えておるわけでございます。先般三つ調査団が当審議会関係で組織されまして、東北、新潟及び北陸に調査に参りました。最後の第三班が今月二十一日に帰って参ります。これらの調査の結果もできるだけ取り入れまして、この法の運用に遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。
  16. 大野市郎

    大野(市)委員 ぜひそういう考えに進んでもらいたいのであります。  そこで、御承知のように、各省計画予算面に反映するためには、おそくとも八月までにいわゆる見積もり書の提出が行なわれるはずであります。おそくも八月までにこれらの法に基づく基本計画樹立ができなければならぬのでありまするが、八月までにそれらの基本計画樹立事務進行が約束されるかどうか、まず伺いたい。
  17. 大来佐武郎

    ○大来政府委員 この作業出発点といいますのは、この地帯指定でございまして、それにつきましてはなるべく新しい雪の資料を利用したい、また利用すべきであるという審議会の御意見もございまして、極力気象庁の方と御相談して新しい材料を整備するように促進いたしておりますが、これがおそらく三月一ぱいかかるのではないかというのがただいまの見通しでございます。それに基づいて地帯指定ができまして計画作成いたすことになるわけでございますが、御趣旨のように、なるべく八月までに可能な限り促進してやって参りたいと考えておるわけでございます。
  18. 大野市郎

    大野(市)委員 なおいろいろこの関係についての質疑をいたしたいのでございますが、ただいまの局長の言明のように作業進行中でありますので、作業の過程においてさらに質疑を保留することとして、別の問題に移りたいと思います。  災害対策基本法、並びにそれに基づく激甚災害財政援助に関する法律についての問題はいろいろございますので、本部長見えましてからに譲らせていただきますが、建設省の仕事といたしまして、一級国道直轄部分と、直轄にあらざる部分、二級国道地方県道その他がございますが、松澤政務次官が三十六年十月われわれ同志とともに超党派の提案をもって雪寒道路確保法の一部改正に踏み切っている。いわゆる指定路線に関しては三分の二の国庫補助を行ない、三分の一が府県の負担ということに、予算にかかわらず、これが施行される法の体制になったのは、まことに同慶の至りであります。ところが、その部分はうまくいったのでありますが、今回の災害にあたって地方財務担当者意見を聞きますと、一級国道、しかも直轄部分が実は二分の一の補助である。直轄にあらざる二級国道指定路線除雪が三分の二の国庫補助であるのに、肝心の直轄一級国道のこの雪寒確保法に基づく補助金が二分の一であるという矛盾が訴えられておるのであります。しかもこの点に対しては、北海道だけは道路法自体規定によりましても特別の取り扱いが規定されておりまして、さらにその規定道路法八十八条であります。なお、施行令の三十一条に規定があって北海道全額国庫負担になっておるのであります。そういたしますと、このような大豪雪被害を目の前に見ております今日、われわれといたしまして、雪寒確保法改正法律趣旨に照らしましても、当然これは施行令三十一条の改正をいたすべきか、あるいは道路法自体の中に何か法改正を施すかして、その法の趣旨を生かすべきものと思うのでありますが、この点に対しまして政務次官の回答をいただきたいと思います。
  19. 松澤雄藏

    松澤政府委員 仰せ通りでございまして、法には三分の二と出してありますが、施行細則的な政令ですか、あるいはまたそういうような立場のものでございますか、規則的な面は記憶をなにしておりますけれども、実際問題として現実に行なわれておるのは、そういうふうな現況であることは事実でございます。従いまして、法の趣旨にのっとりまして今後そのような矛盾のないような方向に持っていかなければならぬのじゃないか、こういうわけで、省といたしましては現在検討を加えておるような次第でございます。なお、本件の問題は、予算を伴う関係上、大蔵省との話し合いあるいは調整をはかっていかなければならぬわけであります。そういうわけで現在鋭意検討いたしておるのが現況でございます。
  20. 大野市郎

    大野(市)委員 現在雪寒道路確保法精神に法を改正いたしました趣旨にかんがみて、ただいま直轄一級国道雪害除去の問題に関して検討中という御答弁をいただきましたが、政府においてこれらの改正をお考えいただかないときには、われわれ立法府におきまして、その趣旨にかんがみ法の改正を提案せざるを得ないかもしれませんので、この点申し添えまして、法の精神を尊重された改正の向きの善処方を要望いたして、この問題は一つお預けにいたしておきます。
  21. 松澤雄藏

    松澤政府委員 確かに仰せ通りでございますので、ただいま申し上げたように検討を加えていきたい、かように考えておりますが、雪寒法と申しますか、積雪寒冷道路交通確保に関する法律という面からいたしますと、補助立場をとったものを重点に置いて当時は記載することになっておった関係上、直轄の方が落ちたような格好になっておる関係で、道路法の方に準拠しなければならないというふうなことから、ただいまのような問題が出たのであります。しかしながら、現実の問題としてそういうふうなことの矛盾性がありますので、ただいま申し上げましたように十分に検討し、何らかの措置を講じて法の精神に合うような方向に持っていきたい、かように実は考えておりますので、一応お答えをいたします。
  22. 大野市郎

    大野(市)委員 非常災害対策本部長がお見えになりましたので、根幹的な問題を御質疑いたしたいと思います。  御承知のように、すでに二回にわたり当委員会において、豪雪被害の現状、それに対する応急対策、この点につきましては相当詳細に承っておりますので、これを繰り返すことは省くわけでございます。ただ、災害特殊性が、どか雪という表現をいたしておりますが、非常に短期間にたくさん積もった、それから非常に広範囲にわたって、九州に至るまでえらい雪が降ったというようなこと、それから、もう済むと思ったのにいまだに雪は降っておるというふうな点は、確かに大豪雪被害を物語っておるものであります。しかもニュースの面においては、一応自衛隊の方々も引き揚げられたというようなわけで、平穏に被害地が推移しているかのように一般は印象を受けておるかもしれませんが、今日ただいまも二階家まで雪の下に埋もれておる地帯が大部分なのでありまして、雪害応急措置はさることながら、これからどうするか、今後はどうするかという恒久対策の問題にも目を向けねばならぬ時期であると思います。そこで、応急措置をとられましたことに対して、私も、民生の安定、それから経済回復度がどの程度の早さかという点を批判の足がかりといたしまして、われわれの被害地の声を聞きますと、まず、自衛隊の諸君が災害のために寝食を忘れて働いてくれた、いわゆる自分の職務ではありましょうけれども、犠牲的な精神をもって対処されたという現実を見まして、非常な感激をもって感謝をいたしておることは、私どもとして当委員会を通じても述べさるを得ないのであります。地元の人たちは非常に感謝をいたしております。この一点。それから、実際の応急措置の問題に対しては、二回の委員会指摘されました通りに、大騒ぎになりましたので、さまざまの意見も入りました。これも将来のために私どもは反省の種としていろいろ具体的な問題を検討せねばならぬのでございますが、本部長のお時間の都合毛ありまするので、それらの反省という面は今回省略をいたしまして、機会があったらさらにそれらの意見を申し述べたいと思います。従って、ここで申し上げたいことは、むしろ恒久策について一度本部長の御意見を承っておきたいと思うのであります。  御承知のように、ことしの雪だけでなくて、いよいよ暖冬を去って寒波がますます激しくなるという、大きな周期で見たところの地球のいわゆる寒波説を、気象庁長官の言明によりましてもわれわれは聞いたのでございます。それだけに、この恒久対策は、小康を得た今日、われわれが問題にせざるを得ないわけでございます。そういうことでお聞き取りをいただきたいのでありますが、ただいま豪雪を救うためにございます法律は、かねてからあります雪寒道路確保法と積寒地帯の農業の振興法と、それから御承知災害対策基本法、それと豪雪地帯対策特別措置法、さらに法律を繰ってみますと、私鉄の軌道整備法というのがございまして、私鉄関係の公共性にかんがみて、これに対する災害の排除の規定がございます。おおむねこの五つの問題――もっと言えば、災害救助法の一部改正もありましょうが、大まかに言ってこの四つ五つの問題をながめましたときに、実際この災害対策基本法の第二条の宏義に豪雪が入ったのは、この草案の作成途上にこれを採入するというふうな立法の裏話もあるくらいに、豪雪というものが従来取り上げられておらなかったのであります。それを受けましたためか、激甚災害の中のいわゆる障害物の除去の問題などでも、この堆積せる雪の排除という問題が、政府部内におきましてもいろいろな意見で統一されてないような印象を受けて、非常に憂慮をいたしておる今日でございます。この点を中心にして本部長に承りたいと思うわけであります。  災害対策基本法がどういう目的でできたかということは、お互い関心が深いのでありますから、これも省略をいたします。ただ、この基本法の中でこれを活用していただくことによって、特に激甚災害指定を受けますことによって、あらゆる産業、あらゆる民生の安定というようなものが、まあまあというところまでしてもらえる仕組みでございます。でありますから、災害対策基本法にせっかく豪雪の項目が取り上げられておるのでありますから、何とかこの政府部内の意見を統一せられて、被害住民が安心して事後の処置を待っておれるような、そういう意思表示を一刻も早く望んでおるのでございます。ここで本部長に、自分の見解はこうであると一言述べていただけば、言うなれば、時間は節約できるのでありますが、ここに私はちょっと時間をいただいて、その関係をわれわれがかように考えるということをまず申さしていただきたい。
  23. 稻葉修

    ○稻葉委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  24. 稻葉修

    ○稻葉委員長 速記を始めて。
  25. 大野市郎

    大野(市)委員 実は当委員会におきましても数回の懇談会を重ねておられまして、これが内容については相当な意見交換が行なわれたあとでございますので、本部長の時間の関係もあり、先を急かれるようでありますから、その問題ずばりに入りたいと思います。  そこで、激甚災の指定を受けるかどうかによって、産業、民生の安定に非常な力になるのでございますので、本部長におかれては、この激甚災に対処するための特別の財政援助などに関する法律の適用に関して、この堆積土砂と同じような形で、道路その他をふさいで交通を途絶せしめ、産業を麻痺させた原因であります積もり重なった雪について、激甚災害の定むる原因要項をお考えなさるかどうかをお答え願いたい。
  26. 河野一郎

    ○河野国務大臣 だんだんとお話でございますが、御承知のように、横雪処理についてこれをどういうふうに法律的に扱うかということにつきましては、なかなかよるべき基盤がむずかしくございますので、そのものずばりに結論がなかなか出しにくいということは、お説の通りでございます。われわれといたしましても今後十分検討はいたしますが、さしあたり今年度にりきましては、すでに政府におきまして、それぞれの町村に対する特別交付金、県に対する交付金、さらに一般の雪害除去に関する交付金等が出ておりますが、これをもってそれぞれ処理をしていただきますと同時に、さらにどうしても考えなければならぬ点につきましては、さらに考慮すべきである。これらはいずれもお話のありました通り、雪がその後順次気温によって片づいていっておりまするところもございますし、また、その後引き続き寒さが続いておって、予定のように雪が解けて参りませんところもございます。従って、その後の実情によって考慮することが一番妥当であろうと考えておりますので、政府におきまして引き続き遅滞なく各地の実情を調査の上、しかるべく対策を講じて参ることが必要であると考えております
  27. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいま本部長の御見解は、災害の全貌がまだつかみがたいので、災害の全貌をにらみ合わせながら検討を重ねていきたいというふうに聞きとりましたが、さようでございますか。
  28. 河野一郎

    ○河野国務大臣 その通りでございます。
  29. 大野市郎

    大野(市)委員 方法としてはそれが順序でございますが、私がお問いしたのは、ただいま申し上げました激甚法の中の十二の項目におきまして、「激甚災害に伴い発生した土砂等の流入、崩壊等により河川、道路、公園その他の施設で政令で定めるものの区域内に堆積した政令で定める程度に達する異常に多量の泥土、砂礫、岩石、樹木等の排除事業で」云々という規定がございますが、この十二の規定の「土砂等」の「等」の中に、さらに「樹木等」の「等」の中に今の豪雪、大積雪、こういうものが入るという本部長の判断をわれわれは期待するのでありまするが、この点を明確にお答えをいただきたい。
  30. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知通り法律に記載いたしておりまするものを読みますと、お話の通りになるわけでありますが、また一面、その「等」についてはさらに内規が規定いたしてありますので、法律をそのまま現状において読みますと、雪を入れるということは非常に困難がありますので、入れにくい。そこで、先ほど私がお答え申し上げましたように、実情によって、現状に即して処理して参るということでやって参りたいということでございます。
  31. 大野市郎

    大野(市)委員 これは重大なところでありまして、この法律ができまするときに、どういう災害を救おうかということで法の体系をきめたのです。そこへ豪雪が入ったのです。豪雪が入れば、それらの豪雪被害を救うということですべての法律施行令などが組み立てらるべきであります。なるほど本部長の言われる通りに、この法律施行令におきましては、その点が雪の問題を考えていない内容であることは、私どもも、すなおに読むと出てくるのであります。しからば、施行令でありまするから、本法の法律精神趣旨に相反するごときそういう施行令のごときはお直しになるべきである。直すべきものは施行令である。本法の精神が生かされないような施行令は直さるべきであると思うのですが、本部長から、この点、政府を代表せられてはっきりしていただきたい。
  32. 河野一郎

    ○河野国務大臣 直す直さないということは、今起こってきた問題でございますから、この法律に書いてあることは、そういうふうに書いてありますから、直す直さぬということよりも、現実に即して一般国民諸君に御迷惑をかけないように最善を尽くして現実に即して対処して参りたい。直す直さぬの問題は別の問題であります。直さぬと私は申したのではありません。しかし、現実政府はこういうふうに取り扱いをいたしております。その法律は今お示しの通りに書いてありますから、これを直して、その上でやるというやり方もございましょうけれども、それにとらわれずに現実にやっております。こういうことを私は申し上げたのであります。
  33. 大野市郎

    大野(市)委員 これは事務官僚がおっしゃるものであれば、法に基づいて云々ということは、私ども別の場所で政治の責任者に問いただしたいと思いますが、国務大臣であり本部長であるあなたからそういう御答弁をいただこうとは実は思わなかったのです。と申しまするのは、政府部内において、厚生省は、災害によって住居その他その周辺に運ばれた土砂、樹木などで日常生活に著しい支障を及ぼしておるものの除去という、この災害救助法の施行令の適用にあたって、すでにこの「等」には雪害を含むといたしまして、罹災地に対しては災害救助法発動の通達を出し、いわゆる生活保護世帯には五千円未満の現物給与をするということに踏み切ってやっておるのでございますよ。そういう工合に、何の災害を救うかというそういう政治目的によって法の運用をすべきであって、政府部内においてその法の精神を忘れて施行令をつくったというそういう傷がおわかりになったならば、あなたはこれは政府の責任においてそれらの施行令を直し、それらのことを本法の趣旨に戻すという御言明をわれわれは期待するのでありますが、もう一回承りたい。
  34. 河野一郎

    ○河野国務大臣 どうもおっしゃることが私にはよくわからないのです。私は直さぬと申したことはないのです。直す直さぬということは別の問題でございまして、施行令を直すなら本法を直します。何も施行令を直さぬでもよろしい。本法にちゃんと書けばよろしい。そういうことでなしに、直す直さぬは別の問題であります。しかし、問題は、現実はそういうことを議論するより先だから、今の法律に何と書いてあろうと、厚生省を通じて適当にこの条文を適用しますということを現実にやっておるのじゃないですか。やることをやっておりますということを私は答弁したのです。これにとらわれて答弁したのではないのです。現にこれにとらわれて政治をやっておるのではないということを申したのであります。これは今御指摘がございました施行令を直すとか直さぬとか、「等」というようなことは言わぬで、それに豪雪を入れておいて、「豪雪など」としたらもっとよろしい。どっちがよろしいか、豪雪という字を使ったら、また豪雪の範囲がどうだということでいろいろ御議論がありますから、現実現実として処理しております。その処理についていろいろ足らぬものがあれば加えていきます。それはやれるならやれと言います。この方はこれで別に適当なときに直しておけよという御注意ならば、先ほど政務次官がお答えしておりましたように、私も全く同感でございます。これまでの間において、豪雪という字についてはいろいろ議論もおありのようでございます。各地においていろいろ御解釈も違います。従って、これらを統一して法律改正等について善処いたしますということは、かねて私は申しております。ちっとも私は今あなたからおしかりを受けることはないと思います。
  35. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの本部長答弁によりまして、この点に対して法改正する御意思を承りましたので、法の改正によって本法自身をはっきりとさせるという方針で大臣がお進みになることを重ねて確認をいたしましてこの点の問答を終わりますが、ぜひ御善処をいただきたい。
  36. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、政府豪雪に対して法に先んじて別途に処置をいたしておるわけであります。従って、それを追っかけて法の改正をしなければならぬということは当然のことであります。これをどういう形式で、どういうふうに法律上これを取り扱うかということは、しかるべく検討を加えた上で、研究をいたした上で、やることは遅滞なくやるように政府に向かって要求いたします。
  37. 大野市郎

    大野(市)委員 ぜひそのようにお進めをいただきたいと思います。  そこで、なお二点ほど承りたいのでありますが、除雪機械の増強整備並びに雪捨て場、流雪溝、さらに消雪施設の整備を願っておりますので、この点は、本部長といいますよりも、建設大臣とされましても所管事項であられますので、お尋ねをいたすのでありますが、特に雪捨て場、消雪施設の整備という問題が今度新しく当委員会においても非常に強い要望をもって出ておりますので、これを法の解釈を広げて取り入れてもらいたい、かような希望をわれわれは持っておるのでありますが、本部長の御意見を承りたい。
  38. 河野一郎

    ○河野国務大臣 なるべく地元民諸君の御迷惑にならないように処理すベきであることは当然でございますが、さればと申しまして、土地の狭い日本で、何年に一ぺん降るか降らないかわからぬような雪を捨てる場所をつくっておくというようなことにつきまして、私はあまり共鳴いたしません。これはよろしく地元のそれぞれの土地を利用して処理をしていただく、処理されたところに損害が起こったら損害を負担するということで解決すべきであります。そのための自動車置場と同じような考えは、私は共鳴いたしません。
  39. 大野市郎

    大野(市)委員 消雪、施設の件について承りたい。
  40. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私は、今回の豪雪の結果にかんがみまして、抜本的な雪害対策研究所調査所をつくるべきであるという考えのもとにすみやかにこの処置に出たい、雪の研究所等を統一、拡充して施策して参りたいという切なる願望を持っております。従いまして、これらの調査研究所におきまして抜本的な研究を重ねました上で、ただいま長岡方面においてやっておられますものも、さらにこれを科学的に高能率的にやることができるかどうかということについて十分検討を加えた上で、相当に金もかかることでございますから、今さしあたりの処置をどうこうするということについてまだ御答弁申し上げる段階でなかろう、これらの研究所において結論を出した上で政府として施策して参ることが妥当であろうと考えております。
  41. 大野市郎

    大野(市)委員 その消雪施設というものが、流雪溝と同じような意味で雪害の防除になると思うのでありますが、この点は運用でできるというお考えでおられますか、どうですか。
  42. 河野一郎

    ○河野国務大臣 その程度のことはむろん運用でやってできぬことはございませんけれども、流雪溝をつくることがよろしいのやら、今長岡でやっておられる程度のことをやるのがいいのやら、これらはいずれも政府施策としてもう少し科学的理論的に根拠を持ってもらいたいというふうに考えます。
  43. 大野市郎

    大野(市)委員 それから除雪機械の一種といたしまして、雪上車圧雪、これは北海道においてもすでにやっておられますが、圧雪による方法がございまするので、今回の経験にかんがみても、除雪機械の中に雪上車を入れるということは、非常に手近い仕事だろうと思います。それからヘリコプター、これを県の段階で持つか、災害対策本部あるいは自衛隊で持ちまするか、それを持つ場所は検討を要しまするとしても、ヘリコプターは災害関係応急措置に非常に役立ちまするので、これらの予算措置に対してもお考えを承りたい。
  44. 河野一郎

    ○河野国務大臣 なおいろいろ検討する必要もあろうかと思いまするけれども、私の現地に参りまして見聞いたしました段階におきましては、雪上車も大へん役立ったようでございますし、これが数の少ないために非常に迷惑されたことも承りました。また、ヘリコプター等が緊急に必要であることはお話の通りでございまするが、いずれもこれらは必要があればまず現地の自衛隊に増強することが適当であろうという考えを私は持っております。
  45. 大野市郎

    大野(市)委員 雪上車の問題に対してはなお特に御検討をいただきたい。  それから融雪時における災害の防除対策を承るのでありまするが、この点で特に取り上げたいのは、なだれ、地すべりであります。なだれ、地すべりの中で、災害対策基本法の中身としては、いわゆる市町村が緊急避難を指示いたしましたときには損失補償の制度が載っておるのでございます。ところが、地すべり法には、勧告指示があっても、それらの損失補償の問題が欠けております。しかし、災害対策基本法の方が、すべての災害に対しての基礎法として取り上げられたわけでございまするので、その法の読み方によって、地すべり関係においてもこれらの損失補償が認められるかどうか、この一点を融雪時の対策一つとして承っておきたい。
  46. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御指摘のような事態に対処する――目下検討中でございますが、私は、検討の結果によりましても法にそういうことが指摘してありません場合には、最初から本部長として指示して参りました通り、緊急の処置としてやりましたものについてはこれを補償するという方向でいきたい、ただし、法もなお検討中でありますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  47. 大野市郎

    大野(市)委員 時間の都合がありまするので、本部長に対します質問はこれで終わります。
  48. 稻葉修

    ○稻葉委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  49. 稻葉修

    ○稻葉委員長 速記を始めて下さい。  それでは、副本部長見えますまで、順序を変更しまして、建設省関係に関する質問をやっていただます。三宅正一君。
  50. 三宅正一

    三宅委員 時間の関係がございますから、さきに災害対策の懇談会できめました建設省関係の重要項目につきまして、十一ございますが、十一項目について政府側の所見を公式に一つここで御表明を願います。
  51. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えいたします。  第一が、道路等除雪費の国庫補助の増額措置でございますが、今回の豪雪に際しまして、既定予算ではきわめて窮屈な状況に至りまして、急遽大蔵、自治両省折衝の上、いろいろ流用あるいは追加支出、こういった緊急措置で当面の対策を講じ、かつ、講じつつあるのでございますが、今後は、やはりこういった予想もしないような豪雪に対処するために道路除雪費の国庫補助につきましては、これを主として雪寒道路確保法に基づいて増額の措置をとるように努力いたしたいと考えております。  第二の、道路の幅員の拡大、舗装道路補修事業及び路面の復旧費並びに主要都市におけるバイパスの建設に関する措置でございますが、これまた議論されましたようにきわめて当然のことでありまして、ただ予算措置その他の関係で今日までこの実施がおくれておったのでございまして、幅員の拡大については、今回の豪雪に際して特に痛感いたすところでございます。スピードを早めて幅員の拡大には着手したい。また舗装道路につきましても、舗装の完備しておるところほど除雪がきわめて迅速に進んだという事実にかんがみまして、舗装についてもこれを一そう進めたい。また路面の復旧につきましては、これは主として砂利道等について起こる問題でございますが、これは路盤が流れるというような段階に至りますればそれぞれ法律補助対策がございますけれども、単に穴あき程度のものにつきましては、いろいろ検討を要する問題もございますが、現在としては、こういった復旧措置につきましても一そう促進をいたしたいと考えております。それから主要都市におけるバイパスの建設につきましても、今回の豪雪で痛切にその必要を感じたことでございまして、早急に主要都市のバイパスにつきましてはこの促進をはかりたい、かように考えております。  第三番目は、積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法に基づく公共事業費の増額及び対象路線の拡大のための措置、これにつきましては、現在、公共事業費の増額については、五カ年計画で一応二百九十数億のワクがきまっておりますが、直近の機会をとらえましてこの増額につきましては努力をいたしたい。なお、対象路線の拡大も、二十五道府県についてそれぞれ指定がされておりますが、今回の経験を十分活用して、対象路線の拡大について考慮いたしたい、かように考えております。  次に、同じく積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法の道路指定基準に該当しない地域の除雪費についての措置でございます。これはとりあえず特別交付税交付金等の活用によりまして応急の措置をとりつつあるのでありますが、何分にもいろいろ運用の関係上、一日の交通量三百台その他の一応の基準を設けてあるのでございまして、やはり基準があります以上、これを改定するにつきましては、慎重な指導に基づく検討を加えなければなりませんけれども、とりあえず今回におきましては特別交付税交付金等の措置によって考えて参りますが、将来もこういったいろいろの制度を有効に活用していくというふうにいたしたいと考えております。  次の、積雪寒特別地域におけるこの特別法に基づく補助を、市町村の行なう除雪事業等まで拡大してほしいという御要望でございますが、現在市町村に補助してはならないという法律規定はございません。県でも市町村でもこれはできる法の建前になっておるのでございますが、先ほど申しましたようないろいろな基準等の関係上、現在市町村については十分にいっておりません。これにつきましては、なお基準の再検討、あるいはこれに振り向くべき財源の増大等について努力をいたしたいと考えております。  次の、公共土木事業の一部繰り越しに対する措置、並びに公共土木事業決定及び補助金交付の早期実施に対する措置、これはきわめてごもっともな御意見でございまして、先般も委員会大臣から答弁されましたように、実情に応じた応急措置をそれぞれとる考えでございます。  それから都市計画事業に対する公共事業費の増額措置でございますが、これまた、今回の豪雪に際して地方都市計画事業の必要なことがより一そう痛切に感ぜられましたので、これにつきましても十分に実情に合うような措置を今後とるように努力いたしたいと考えております。  公共下水道の整備促進、これまたきわめて緊切な問題でございます。ただ費用が相当かかる問題でございますのは当然でございますが、これまた、前段の都市計画事業と並行して促進について努力をいたしたいと考えております。  住宅金融公庫資金の個人住宅の特別貸付、あるいは災害復興住宅の融資、公営住宅の建設及びなだれの危険のある住宅についての措置、これにつきましても、今回は現存のあらゆる法律の条項を活用して、たとえば災害復興につきましても全面的に実施しております。ただ、個人住宅の特別貸付等につきましては、三十八年度のワクの中から最大限にこれを活用するように措置をいたしつつあります。これにつきましても、今後特にこういう豪雪のおそれのある地域については十分に検討を進めていきたいと考えております。  豪雪地帯における公営住宅建設基準の引き上げ措置――担当局長見えましたので、あとは住宅局長にお願いいたします。
  52. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅建築関係で、ただいま説明がありました住宅金融公庫及び公営住宅につきましては、説明がありましたように実施をすべく現在準備をいたしております。  その次に、豪雪地帯における公営住宅建設基準の引き上げ措置と書いてございますが、これは現在公営住宅をつくる場合に、多雪寒冷地区につきましては特別に基準を変えまして、多雪寒冷地区に適応したような、たとえば物置をつくるとか、あるいは柱を太くするとかいうような規定がございますが、こういう地区を、現在きまっておる地区以外に、今回の豪雪の経験にかんがみまして、なお広く他の地域にも適用すべきであるという御趣旨だと思いますが、目下そういう御要望に沿いまして追加すべく検討いたしております。  その次の、豪雪地帯における公共建築物等の基準の是正措置、これにつきましては、今回の災害によりまして、たとえば体育館のような公共建築物につきまして倒壊事例がございました。目下専門家調査をお願いいたしておりますが、その調査によりまして、その倒壊の原因あるいは構造しの問題等につきまして、至急検討いたしまして、必要な基準の再検討をいたしたいと思っております。
  53. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 都市計画事業に対する公共事業費の増額措置につきましては、三十七年度に対しまして、三十八年度の都市計画事業の街路関係は約三割七分の増になっておりまして、この問題点は、豪雪地帯の道路構造上の問題につきましては、前には流雪側溝その他の幅広い側溝なんかがございましたものが、最近雪が少なくなりましてから、そういうものをつぶしまして街路幅員をふやしておるというような事情もございまして、今度豪雪が参りますと除雪が非常に困難であるというふうな実態を招きましたことは、私たちも、最近の公共事業の増大に伴いまして地方負担の問題もあって、拡幅に対しては比較的遠慮しながら改良を延ばしていくというような傾向に同情し過ぎた点があることを反省しなければならぬと思っております。それにつきましては、来年度の予算措置といたしましては、そういう点を特に考慮いたしまして、豪雪地帯の街路構造、その除雪に対する措置、そういうものを考慮に入れまして、構造その他で検討いたしたいと思っております。  その次の公共下水道の整備促進の問題につきましては、今度の豪雪地帯の中では、御承知のように福井市はほとんど一〇〇%近い下水道の完成を見ておりますが、ほかの都市においては、下水道が遺憾ながら非常におくれております。それでいろいろな問題が起きておりますので、今後はもう一度再検討いたしまして、御承知のように、三十八年度から下水道整備緊急措置法の五カ年計画作成されることになっておりますので、それに基づきまして現在大蔵省といろいろ事業内容について詰めておりますので、なるべくそういうものに対しましては今後同じ災害を繰り返さないように処置いたしたいと思っております。
  54. 三宅正一

    三宅委員 河川局長おいでになっておりますか。――政務次官も建設省の関係でおいでになっておりますし、そうして政務次官雪害に関しては非常な関心のある方でありますから、大局的なことは政務次官からお答えを願って、あと局に関係のあります問題について特に必要があれば局長から御答弁を願いたいと存じます。  われわれが災害委員会の打合会で当面やっていただきたいと思いましたことに対する政府側の態度は、今御答弁通りであります。そこで私は、もっと大局的なことについて、道路、都市計画、それから住宅等の問題について二、三点お伺いをいたしたいと思うのであります。  一つは、道路関係雪害防除ということは非常におくれておるという事実であります。今度も一番攻撃されましたのは国鉄当局でありますけれども、しかし国鉄は、何のかんのといっても、ともかく今完全に汽車を通しておるのであります。しかしながら、一級国道がまだ通っておらぬ地域というものが、少なくともわれわれの県にはたくさんあります。昨日いただきました資料によると、国道十八号線ですか、長野を通りまして直江津から柏崎へ出て長岡、新潟へ出るのは全部通っておるということになっておりますけれども、河野君が来られてやかましく言われまして、曾地峠に鉄板を並べまして通しましたが、実質は全通っておりません。それから国道十七号がまだ通っておりません。前の道路局長の高野君も言っておりましたけれども、汽車が通っておるのに、一級国道がバスがとまっておる、トラックがとまっておるといったならば、近代国家だったら、やかましくて道路当局はかなわぬだろうと思うのに、今まで通らなかった、あれはやはりあきらめておるのだということを言っておりましたが、私はこの間、自分の県だけでなしに、小松の飛行場から金沢に入ったのでありますが、平時は四十分で行きますところが三時間半かかりました。そうして、一応道路は通ることになっておりますけれども、ともかく土が出ておらずに、二尺くらい竹が積もった上をバスが通っておる。それでちょっと横へ曲がるのだって、すれ違いも何もできはせぬという状態でありまして、無雪道路という意味で、三十間ある道路がまん中の八間だけ道路が通っておって、一車線通るというだけでは、今日の交通関係において、少なくとも一級国道においてそんなものは役に立たぬと思うのであります。従いまして、一つは、河野君も言われましたけれども、国の姿勢が整っておらなかった、一体無雪道路にどういう施設をし、どういう機械でどういう幅員が必要だというようなことについて、雪の質だとか量だとか、いろいろについての研究がなかったことは、われわれも一つの責任がありますから追及しませんが、私の考えによれば、少なくとも一番の要点はやはり水だと思うのであります。ともかく普通の道路でたんぼへ雪を捨てるといったって問題だし、それから、捨てるところがなければ、トラックに積むか貨車に積んで川まで持っていって捨てるというやり方でありますが、平常的に雪をなくするには、やはり流雪溝を中心にする水だと思うのでありますが、水の利用についても道路建設の上において本格的に私は考えておらるべきじゃないかということを痛感するのでございます。おととしの雪雲のときに、われわれが今の政務次官などと一緒にやかましく言ってそうして道路交通の確保の法律改正いたしたのですが、そのときにやかましく言ったので、今改良工事をやっております国道十七号線については流雪溝をつけておられます。つけておられますけれども、流雪溝だって、雪の量を多く捨てられますと、水の両と路側との相互関係におきまして役に立たない。今度の新潟の鉄道などの混乱というものは、信濃川の水位が下がりまして流雪溝の水が入ってこなかったので、小千谷あたりから役に立たなかった。長岡あたりは、農業水利との関係調整がついておらぬために水が入ってこなくて、役に立たなかった。従いまして、たとえば国道十七号についていえば、三国隧道の一番高いところにボンピング・アップして水を入れて、そうして水を流す、しかも幅員を広げるというような本格的な施設というものを考えないとだめだと思うのでありますが、こういう点についての研究進行状態だとか、心がまえだとか、今やっておられる施設だとかいうことにつきまして、これは技術的な問題でありますから、もし技官等でもおられますれば、わかる範囲で一つ。それを研究してもらいたいという希望ですから。
  55. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 ただいまの技術的な問題につきましては、今からちょうど七年ぐらい前に、積雪連合というものが新潟県庁内にありました。これは東北七県と信越五県と共同で問題を検討するということになりまして、雪氷学会が一緒に協力いたしまして、積雪地帯における道路構造基準というものを一応策定いたしました。その策定した内容は、除雪する場合に、除雪幅を二車線分を確保するためには、路側の方に対してどれだけの幅を必要とするかというふうな問題と、流雪溝に対しましては、ただいま先生のお話がありましたように、幅員と水量と流速、この三つが兼ね合いませんと、御承知のように北陸地帯のああいう非常にしめった雪になりますと、かえってダム・アップになりまして、雪が流れませんその関係がありますので、そういう点をどうするかということも一応検討済みでございます。ところが、実際には、御承知のように新潟県一つとりましても、一級国道の延長が約四百三十キロぐらいございます。そうして年間の道路事業費が、一級国道だけでも約五十億近くの投資が行なわれて参ります関係上、県の負担が相当大きくなりまして、いろいろまた幅員の拡大ということになりますと、事業費が非常に膨大になるというふうな関係もあって、現在の産業の伸びに合わせてとにかく早く改良舗装を終わらせたいという意欲と相反するような形が必要になって参ります関係上、ああいう技術的にきめましたいろいろな基準が適用されずに、延長が延びてきているというような若干の問題を残しております。特にまた、平地の方では、昔私たちが子供のときには三カ月か四カ月の雪がありましたけれども、最近は一カ月足らずで雪が消えてしまうということで、むしろ雪が少なくなった関係もありまして、マイナスの方にばかりいろいろな点が動いていったという点がございます。従いまして、今度の十八号と十七号の最近改良いたしました部分につきましては、流雪溝を一応つけておるはずでございます。ただ問題は、長岡の例でございますが、戦災などであそこの町のまん中に流雪溝の大きなものをつくって信濃川から水を引きたいという計画もやりましたけれども、決定する前に、事業費が非常に膨大になって長岡としては負担に耐えないということで、せっかくつくりました流雪溝の計画図面がついに中止になりまして、現在のようなことになっているわけであります。その点、いろいろ地方自治体の財政とからみ合わせまして、技術的にきめましたいろいろな基準が実際には運用されてないというのが実情でございます。
  56. 三宅正一

    三宅委員 積雪連合の努力については私ども非常に敬意を払っておりますけれども、何と言ったってあの程度予算では、私は企画だって完全じゃないと思うのであります。しかもあのときは、何年か前にできましたときの自動車交通量と今の自動車交通量とでは問題になりませんから、そういう観点に立たれまして、一つその方にはほんとうにすみやかに金を出されまして、役に立つ道路をつくってもらいたい。一級国道の十七号にしても、とにかく改良舗装が四十一年までにできてしまう。できたらまたとまったということであったならば、私どもはほんとうに責任を追及しなければいかぬと思うのであります。とうとう流産に終わりましたけれども、一体現代の技術において、ことしの雪で幾日とめることはやむを得ないことかどうかということについての診断も一つ国会に報告しろということを、私どもは道路交通確保の法律改正のときに入れておったわけであります。通りませんで抜きましたけれども、道徳的には少なくとも――そのことを事務当局が負わなければならないということじゃない、政治全体として負わなければならない問題だと思いますので、その点はお考えを願いたい。私ども今見ておりまして、現場の者から聞きますと、今つくっておられます十七号などの流雪溝では、少なくとも水をあげる施設などをしっかりおつけにならなければ、私は豪雪のときには役に立たぬ流雪溝じゃないかと思うのでありまして、まだ完成しておりませんので、そういう点については一つこの経験を生かして補強をしていただきたいと思います。  第二の点でございますが、今度の雪害で、雪でもって非常に悲惨な状態になりましたのは、国道のつながっておらない産業都市であります。私は自分の県しかよく知りませんので、自分の県の例を申し上げますが、栃尾という町があります。見附という町があります。両方とも年間百億以上の織物を出しておる中小企業の集団地であります。そこに越後鉄道という私鉄が通っておりまして、主要地方道でしょうけれども、県道が通っている。その県道を今改良事業をやっているという段階であります。それでことしあたりもどうにもこうにもならぬで、私鉄などに一体自衛隊を使ってどうかなという机上論もありましたけれども、そんなばかなことはないじゃないか、交通がとまったらかなわぬじゃないかという話で、最後に、自衛隊国道の幹線や国鉄の幹線が片づいた後に入りましてそうして栃尾は通りましたけれども、私どもはあれを見ますと、どうしてもああいう地帯には、少なくとも国道が通っておろうが通っておるまいが、百億以上の生産をやっておる市に対しまして、冬どうにも道が通らぬなんという状態に置くことは間違いだと思うのであります。そこで道路局と河川局とにお伺いするのでありますが、きょう図面を持ってきておりませんけれども、栃尾などのあの豪雪で山の深いところの関係の無雪道路をつくりますには、あそこには刈谷田川があります。これは栃尾の奥から出まして、見附へ出て、三条へ入って信濃川に入っておる。あの刈谷田川の堤防を無雪道路にしますと、それは除雪をやりさえすれば簡単に流れてしまう。流雪溝の大きいやっと同じことであります。ただ問題は、栃尾市、見附市、三条市などは、雪を捨てまして、雪が詰まって洪水や何か起こしては困りますから、相当の流量を冬毛確保しなければなりませんが、あの刈谷田川の奥には守門山という山がありまして、あの刈谷田川は、防災のダム地点としても、発電地点としても優秀だと思いますが、防災のダム地点として非常にりっぱなものがある。私どもはそうやらなければしょうがないと思います。  もう一つ、たとえば新潟県の三島郡に与板という町がありますが、これが交通が途絶してしまった。元の郡役場の所在地でありますが、そこなどは、信濃川を無雪道路にしてしまえば何でもない。道路関係の技術者は、その通りですという。とにかく雪を捨てるところに困るのですから、完全に捨てさえすれば何でもありません。ただ、これが河川関係との関連において、どうも河川関係の堤防の方が承知しないという。私は、技術的には、むしろ両方の金をぶち込みますれば、川の防災という意味においても、利水という意味においても、もっといいものができるだろうと思うのでありまして、結局は役所同士の関係の不緊密な点から出てきておるのじゃないかと思うのであります。幸い建設省が管轄しておられますので、そういう関係がうまくいきますならば、私は非常にいいと思うのです。要するに、水を活用する無雪道路の一つ構想でありますが、幅員を広げるということ、除雪機械をうんと入れるということ、それからあとは水を使うということであって、その三点しか私は雪を道路交通の上に除く大きな道はないと思うのでありますが、その点についてのお考えを――もしあれなら政務次官でもけっこうです。また、食い違いがあって、技術的にどうも両方兼ねるのはむずかしいという意見がありますれば、私はそれをやるべきだと思うのでありますが、河川局なり道路局の方からお答えを願いたいと思います。
  57. 松澤雄藏

    松澤政府委員 大臣も御答弁なすっただろうと思いますけれども、実際今日における日本の雪に対するものの見方、考え方というものは、今日の段階に至るまでの間は、御趣旨通り、当然に政府自体の責任ということにも相なろうと存じますが、必ずしも完全なものとは私はやはり言い得ないだろうと思います。ただいまの中に流雪溝という問題等がございましたが、確かに私は流雪溝の必要性も認めます。だが、同時に考えねばならないことは、雪の降る量というものと、この除雪する機械なりあるいは水を流すなり、いずれにいたしましても、これを排除するものとのバランスが日本の場合にはあまりなかった。特にその中で機械的な部面をとりますと、今日における除雪機械というものは、ほとんど夏季においてあるいはまた冬季灌漑においての建設機械をもって除雪の機械にあてております。従いまして、それらの機械、諸資材の活用によりまして、今度は融雪後における路面の――御質問にもありましたように、路面の破損とかあるいは泥浄化というふうな問題まで起こしております。われわれも外地を見て参りましたが、日本の雪と最も近い関係にありますのはノルウェーの雪であります。しかもノルウェーは、わが国から見ますれば財政的にも非常に貧弱であります。にもかかわらず、ノルウェー方面の状態を見ますに、ほとんど無線の機械を活用いたしましてそうして現地に指令を発しまして、雪が降ると同時に現地の機械を動員して、しかも民間の貨物車というふうな面まで登録させまして、それをあらかじめ動員計画を立てましてやっておるような現況であります。従って、命令一下直ちに拠出されます。そういうふうな面から考えますと、日本の除雪関係における機械関係は、行って見ましても、あまりにも立ちおくれをしておる。しかも直ちに、今申し上げた建設機械でございますから――何日間も降った雪を一挙に流雪溝に流し込みましては、いかなる大きな流雪溝でありましても、あるいはまた川においてさえも、困る場合があると私は思います。そういうふうな点から考えて、機械をふやさなければならぬじゃないかというふうなことで、建設省といたしましては、地元出身の各先生方等の御後援も符まして、三十八年度の目下予算審議を願っておりまする部面では、この除雪関係の機械には、建設省全体の予算あるいはまた道路全体の予算から見ましてはるかに増額を願いまして、昨年に比較いたしまして約七八%の増額を願っております。しかしながら、元金的な三十七年度分の予算が少のうございましたので、なかなかわれわれの所期の目的を達成することは困難でございますが、今後は大いにこれに対しても努力をしていきたい。同時にまた、後段にお話がありました小さい市、また全くそういうふうな部面等においてなかなか交通が確保できないという御意尾でございますが、その通りでございます。従って、現在までの状況をいろいろと雪害対策本部等においても御検討を願ったり、省内においても検討はいたしておりまするが、現在の除雪の機械等に対する補助金は、政令の定めるところによりまして県段階になっております。これも先ほどの御質問の中にあったようでありますが、市町村の段階にまでは実は至っていません。そうなって参りますと、現在の建設省の持っておる、あるいはまた、県の力の及ぶ範囲というものは、なかなか思うようになりませんし、そういうふうな点から考えてみますると、やはりその行政区域を守っておる市町村にもある程度の除雪の機械というふうなものを与えなきゃならぬじゃないか、しかも専門分野の機械を与えなきゃならぬじゃないか、それらをやることにおいて、少なくともその市町村関係においては、最も大切と思われる部分だけでも雪の降る量とある程度マッチさせまして直ちに動員して、道路交通の確保に当たっていけるのじゃないか、幸いにしてこれは法において制肘を加えられておるものではなくて、政令なりあるいは規則によって出ておりまする関係もありますから、これに対しましては、本省といたしましては目下盛んに検討いたしまして、できるならば市町村段階にまで補助が出し得るようにいたしたい。もちろん、これらは政府部内における大蔵当局ともより以上の調整をはからなければならぬ問題でありまするが、現在における本年のこの豪雪の状態を見ておりますと、最小限度その程度までは考えていかなければ、とうてい除雪というものに対する万全を期していくことはできない。もちろん、今水の話もございましたが、できればそういうような方向に持っていきたいということで検討いたしておりますが、それらの技術的な部面に対しましては、私ども事務当局から説明をさせていただきたい、かように思いますが、建設省といたしましては、今申し上げたような方法で、さっきの話のように、従来、道路関係におきましても、雪の降る地帯はどうしても未開発地帯であります。従って経済効果が上がらない、こういうふうな立場のもとに道路の拡幅等もおくれておりました。しかし今度は、機械を導入いたしましても、道路が悪いばかりに機械を入れることができない、こういうことがあまりにも如実にわかってきた。また、町のまん中を国道が通っておってもいけないということがわかって参りました。こういう点も今後大いに検討して、今後このようなことが起きたような場合にも直ちに処置できるように、全力を尽くしていきたい、こういうのが建設省の立場でございますので、一応御説明いたしておきます。
  58. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 河川堤防を道路に利用する問題でございますが、現在でも河川の堤跡を道路に利用しているところはたくさんございます。ただいま御指摘の刈谷田川の堤防につきましては、詳細は存じませんが、今後いろいろ検討してみたいと思いますけれども、まだ改修されていない河川堤防を道路に利用するような場合、この場合には工事に支障を来たす、せっかく道路はできましても、すぐそれを堤防のかさ上げをするとか、そういうような問題になりますと、かえって迷惑がかかるという点もございますので、具体的には刈谷田川につきましてはよく道路局と打ち合わせをして検討してみたいと思います。
  59. 三宅正一

    三宅委員 この問題は非常に私は重大だと思うのです。日本の国は脊梁山脈が日本のまん中を通っておりまして、みんな渓流で川は幾つもあるのです。それで、それぞれ堤防はつくるのですが、その堤防も、不完全なためにしばしば決壊するのです。それを非常に強くし、しかも雪の降る地帯の雪はそこへさっと捨てれば、それは流雪溝を川で使うことになりますから、一番けっこうなことであって、信濃川のような大きな川でも、信州から新潟県へ入りましたところからそれを使うような構想をされますと、無雪道路というのはたんたんとして信濃川に沿うてずっとできる状態になると思うのでありまして、十七号にしても、大野川というのが国境からすぐおりております。こういうことについて、ほんとうに雪に対しては機械の力も何も大事だけれども、結局どこかへ持っていって捨ててしまわなければならぬ。解かさなければならぬ。ですから、解かすということは非常に大事な問題だと思うのです。そういうことで無雪道路ができておりますし、なだれ対策にいたしましても、一つ消雪の補助を農村にも出す、それからブランチの川については、その無零道路へきて雪を捨ててしまう、そして自然の融雪期のくる前に自然の雪の三分の一くらいを解かしてしまっておけば、水害というものは非常に防げる。従って、これは相当な金をかけても生きた金になるのだと思うのでありまして、これは技術上非常に大きな問題だと思います。一番適切な例は刈谷田川だと思うのです。栃尾の道を今県道で補修しておりますけれども、あれができ上がりましたって、産業道路でありますし、狭いですから、一車線、しょっちゅう夏の交通は混乱ている。いわんや冬なんか、そこへもってきて、雪を捨てるところがない。日本は家が一ぱいありますから、捨てるところがない。どうしたって一つ本格的に考えてやらなければなりませんので、この点については道路局と河川局でもってほんとうにお考え下さいまして、もったいないですから、政務次官一つ考えていただきたいと思います。  それから機械の点は、政務次官からお話がありましたが、私は、除雪機械についても研究不足ひどいものがあると思うのです。北陸地建が北海道から非常な御自慢の機械を持ってきましたが、北海道の雪質とこっちの雪質と違いますから、使えないで返してしまった例があるのであります。かわいた雪と水を非常に含んだ重たい雪との関係におきましては大へんな違いがあります。そして機械も今困っておりますから、どの村からも、ブルドーザーをくれ、ブルドーザーをくれといって頼んでおります。ブルドーザーは土地改良にも使えますし、牧野開墾にも使えますからけっこうな話でありますが、しかし今度の雪の経験で見ますと、ただブルドーザーだけ持っていったってほんとうの効果は上がらない。最小限度において、現地で聞いてみますと、ブルドーザーの除雪板のついたやつ、排土板のついたやつ、バケットローダーがついたやつ、三位一体でようやくほんとうに間に合いますから、少なくとも相当な豪雪地帯に機械を配置されるのであったならば、一つの機械で役に立たぬ、これ以上降ったらその機械じゃ役に立たぬということじゃなしに、ともかくワン・セットでうまく使えるように、それからワン・セットも一つ大きいやつはどこかもとの郡役所の所在地に一つあればいいとか、ともかく、農林省が今度農業機械の研究所をつくったのでありますが、日本の農民は、いろいろの業者から、これがよろしい、これが安うございますというようなことでもって、とてもむちゃくちゃな機械をたくさん押しつけられて、機械貧乏をしておるのであります。やはり本格的にいい機械を入れまして、そうしてタブった投資はせぬで、しかもセットとしては役に立つという程度の親切な指導がないと、補助を半分やるからそれで費えというようなことで、業者だけもうけさして、実際は遊ばしてしまうという例は非常にたくさんありますので、そういう点について、除雪機械についてのいわゆる体形だとか、それからこの程度の雪にはどれだけの機械が要るとか、そういうことの調査というものは現実においてできておりますか。できておれば承りたいし、まだ非常に不完全であるならば、研究機関をほんとうに急遽ふやしていただきたいと思います。
  60. 松澤雄藏

    松澤政府委員 御完全にございましたように、確かにまだ完全とは言えませんけれども日本の除雪の機械的な面ではここ一、二年間急角度に進歩いたしまして、なおかつ現在北陸における試験所においても検討を加えております。ただ、北海道のお話がございましたが、確かに北海道の雪と北陸なり東北地方なり山陰地方の雪とはまるきり違います。今から四年前でございますが、外国の機械を模倣いたしまして三菱で同様な機械をつくったことがございましたが、北海道では通用いたしましたけれども、東北並びに北陸では通用しなかった。しかしながら一、二年前から急角度に今申す上げたような発達をして参りまして、専門の分野においても十分以上に使えるというふうな機械も昨今現われて参ったことは、御承知通りであります。ただし、幾ら専門の機械でございましても、四日も五日も一週間も、おきた雪を今回の豪雪のように極度にたまった零を一挙にかきつけるというようなことになりますると、なかなか思うような進捗状態にはいかないと思います。ただし、ブルドーザーでというお話もございましたが、ブルドーザーはあくまでもただ押しつけてかき分けるというだけにすぎませんので、従って道路の両わきに壁をつくっていく、こういうふうなことから、さっきお話があったように、一車線もしくは二車線、こうなりますが、今日におけるロータリー方式なりあるいはジョルダン方式の機械でいきますと、初めから捨てる方針でかかっております。従って問題は、ただ町の中、市街地における除雪の問題になってきますが、これもまた御承知のように、外地等へ行って検討いたしてみますると、みなやはり一班、二班という班を編成いたしまして、たとえば本格的な機械でございますると、今日では約一千二百万くらいのものが一番大きい、中くらいになりますと七百万くらいのものが大きい、この七百万くらいの機械一台に対して、トラック五台、そしてまた清掃する機械が一台、はなはだしいときには、これに砂あるいは塩をまく機械、こういうようなのを外地ではやっております。ところが、日本のやつは全部ブルドーザーと、今お話のように、アングルドーザーあるいはキャリオルというような建設機械専門でやっておるところにまことに欠点がある。御質問の機械関係においては日本も盛んに振興して、十分に外地のものにもほぼ匹敵するものができておる、かように私たちは見ておりまするし、研究の結果もそれにふさわしいものとして出てきております。ただ昨今、ある週刊雑誌ではございますが、ドイツのシュミットにおきまして、雪を捨てるには非常に時間もかかる、むだな経費もかかる、そこで雪は捨てないで機械で今のような、しかも飛ばさないで、雪が機械の中に食い込んだならば直ちにこれが水に変わってしまうというのが現在試験的にできたそうであります。従って、本省は直ちに今この調査にかかりまして、もしもそういうふうな部面等が生まれてくるならばまことにけっこうな話で、片っ端から雪をふところに抱けば直ちに水に変わっていくということであれば、早急にわれわれの方としてもこれを取り上げて試験研究的な部面に入っていきたい、現在こういう状況で、今調書いたしております。
  61. 三宅正一

    三宅委員 それで、どうか一つ機械もほんとうにいい機械で、しかも二重投資にならずに親切に配置できるようにお考えを願いたいと思います。  そこで私は、今度は都市計画関係、住宅の関係、それから市街地における道路の関係に関連をいたしましてそれぞれの局長、御関係の方に御答弁を願いたいと思うのでありまするが、一体都市計画をおやりになる場合に、今日市街地の交通を混乱さしておる一番大きな雪害は何だとお考えになっておるかということであります。これは常識でもわかりますけれども、市街地の交通を況乱さしているのは、屋根の雪をおろすからであります。あの狭いところへ屋根の雪を落とされますれば、自然に降った雪だけならば、メーン・ストリートの雪の片づけることは何でもないのでありますが、屋根の雪がおりてきまずから、どうにもこうにもならぬということになっておるわけであります。しかも住民の生活負担からいきますれば、屋根の除寿賀というものが非常に大きな住民の生活負担でありますることは、よく御存じの通りだと思うのであります。ちょっと大きなうちだと、三百人人夫を使いましたなんというのがたくさんあります。工場などにおきましてもっと使っておるところがたくさんある。学校などの例でごらんになって、一体どれだけの雪が降るとどれくらいの除雰の費用がかかるかというようなことについても、これも総合研究所がない点の悩みでありますけれども、これをほっとくなんというばかなことはない。掛人の負担だからなんという程度のものじゃございませんので、大へんでありますが、それは別といたしまして、その意味において、まず第一に住宅局にお伺いいたしまするが、除雪住宅についての研究は今までどの程度いっておりますか、そうしてどういうような指呼をしておられますか、それをます承りたいと思う。
  62. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 今回の豪雪によりまして個人の住宅その他の建築物が相当倒壊しておりますが、これを調査いたしますと、おおむね老朽した住宅でございまして、普通の住宅にはそれほどの被害はございません。しかしながら、建物によりましてはあるいは雪おろしができなくて、従来でございますと、こういう地区におきましても雪おろしの習慣がございますので、雪おろしをすることによって構造上安全だというものもございますが、今回のように一挙に多量にしかも継続的に雪が横もりますと、雪おろしができないために、残念ながら被害をこうむるものがございます。これにつきましては、今回の実況にかんがみましてまず考えられますことは、雪おろしができやすいように、雪おろしの敷地を十分にとるとか、あるいは尾根の勾配その他を工夫いたしまして雪おろしが簡単にできるとか、こういうことも実は検討をいたしております。それからさらに構造上の問題といたしましては、現在構造上一定の積雪壁によりまして構造設計をされておりますが、これは最近の経験にかんがみまして、その積雪の量につきましてさらに多く見積もった設計をさせるということも指導いたしまして、こういう場合においても構造上十分な安全度を確保するような措置をとりたいと思っております。なお、現地に行ってみますと、風向きによって雪が非常に多量に降る、あるいはその結果雪おろしができないという実例もございましたので、そういう点につきましても、今後は建築をつくる場合におきましては、風向等につきましても十分な配慮をいたしたいと思っております。目下建築学界の専門家が現地に行っておりますので、その報告に基づきまして十分な措置をいたしたいと考えております。
  63. 三宅正一

    三宅委員 今まではこういう点についてのしっかりした調査はなかったのですか。
  64. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 多雪地区、寒冷地区につきましては、実は北海道におきましては防寒的見地からする研究を進めておりますが、大体これに準じまして、私どもでも、公共的の建物につきましては、それに基づいてある程度の構造上必要な施設というものをつくる指導をしておりますが、一般の民営住宅につきましては個々の設計でやっておりますので、強力な指導はまだ十分ではございません。
  65. 三宅正一

    三宅委員 私の知っている範囲におきましても、雪で除雪費がかかって因りますので、急勾配のうちをつくって、除雪の必要がないといううちが何軒もできた。できたけれども、聞いてみると、今度は急勾配で屋根に上がれなくて修繕できぬので、かえって損をするとかで、普及しない。私ども知らぬでおったけれども、長岡の大工のつくったうちと、三条の大工のつくったうちと、新潟の大工のつくったうちとでは、木造家屋でも柱の寸法が違っておるというのですね。平年度何ぼの積雪がある、異常なのときにはその倍くらいあるというようなときには、大体の計算が、統計でありますから――建築基準法かなんかで、積雪地の木造についての建築基準、どれだけの大きさならばどれだけの柱にしなければならぬというようなことについての最低限をきめる基準というものが今日まであったのでありますか、なかったのでありますか。自然に地方の大工が雪の量に応じてそういうふうにしておるのでありますか、その辺はどうですか。
  66. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 現在、建築基準法には積雪の荷重についての規定はございます。その場合には単位当たりの荷電に対して積雪量をかけることにしておりますが、雪おろしの習慣のある地域におきましては、その積雪量を一メートルというふうにいたしまして今までは許可をいたしております。今回の雪は三メートルあるいはそれ以上の個所もございますし、それも一晩降って直ちに雪おろしができればよかったのでございますけれども、雪おろしができなかったために倒壊した事例もかなりありますので、今回この基準を適用するにあたりましては、一メートルという限度をさらに地方の実情に応じて多くして構造計算をするようにいたしたいと考えております。
  67. 三宅正一

    三宅委員 この点についても都市計画と住宅建設と、それから道路局との間にやはり緊密な総合調整が必要だと思うのであります。たとえば市街地の交通を困難にする一番大きな原因は、尾根の雪が入ってくることでありまして、これが根本でありますから――バイパスだとか、いろいろな議論が出ます。バイパスをつくりましても、ともかく町の中心地や商業行為なんかの中心地ですから、どうしても交通は確保していかなければならない。東京と新潟との交通はバイパスをつくって確保するのが、町の場合は、除雪のために屋根より高くなっているという状態では、近代的な産業活動というものがとまってしまうことは当然でありますから、私は住宅の関係において雪の量だけできめられることが実は間違いだと思うのであります。非常に思い、軟雪と申しますか、その量と、北海道のようなさらさらした雪の量とはぐっと違いますから、そうしてそれが凍ったときには非常に大きくなったりしますから、雪掘りの施設なんかもできておる。それから雪を捨てましても、便を捨てるところがないから、ほんとうの豪雪地帯では、三月くらい便がたまってもかまわないような大きなものを百姓家ではつくっておるのですが、そういうことに対する積雪地の住宅の指導もやっていただきたい。水洗便所にしてしまえば一番いいが、水洗便所ができないようなところにおいて、東京と同じような小さなものをつくっておくから、すぐ一ぱいになってしまう。捨てるところがない。しょうがないから、炭俵か何かに入れて雪の中に捨てる。それが、雪が消え出すと、くさくて、きたならしくずっと出てくるという状態が起きて参りますので、私は、積雪地における都市計画というものは、幅員をどれだけ広げるかということが第一の問題、それから家と家の間隔を裏町についてどれだけとるかということが大きな問題、それからその次には、幅員を広げましても、流雪溝をとれるところは流雪溝及び下水を必ず町のまん中につける。それから今度の経験でわかりましたが、消火栓が雪で埋まっていて、火事になっても消火栓が使えないところがたくさんありますので、消火栓の位置などはアーケードの下に置くとか、そういうようなことに対する措置、再審防除、雪地帯における住宅建設の構想というものが必要だと思うのでありますが、それと関連いたしまして、たとえば平年積雪量二メートル以上のところはどれだけの基準でやれということになりますと、それだけ柱を太くしなければならぬし、建築費がよけいかかるから、その部分については、雪の降らぬところよりは固定資産税を免税するとか何とか、そういうことの基準が、住宅局あたりからいい資料が出てきて、そうして公平な政治が行なわれるということにならなければならぬと思うのです。なかなか忙しいから、われわれ雪国から出ておっても力が及ばぬで今日までそこまでようさせなかったのでありますけれども、お考えを願いたいと思うのであります。  それで、その雪の構造について、家屋の構造について、何といっても私は都市計画において一番考えなければならぬことは水だと思うのであります。さっきも政務次官その他からお話があったと思うのでありますが、最近長岡あたりでも、昔は川が町の中に一はいあったのですが、それを埋めてしまいまして、そうして住宅にしたりいろいろしたのです。あれは昔の人の知恵です。雪が降ったときに捨てるのは、水以外に捨て道はないのですから。従いまして、第一は、都市計画をこれから雪害地にやるについては、補助金どもよけい要るし金もよけい要るかもしれませんけれども、幅員をよけいにする、それから側溝、流雪溝、下水道をつける。それから住宅についていえば、最近長岡では水でもって流してしまいます。これは雪としてたまりませんから一番理想的だと思うのです。そして毎日流してしまいますから、融雪期にふえませんから一番いい。そういうかわらなどの発明もできた。長岡市においては、何といいますか、融雪パイプといいますか、ごらん下すったかもしれませんけれども、地下水で出しまして、これも非常に効果がある。ところが、一つ問題になりますのは、国道と主要地方道にはそれをつくらせないのであります。だから、長岡で今四つぐらい融雪パイプというものができておりまして非常に効果を上げておりますが、それは国道でない地帯だけなのであります。国道については今許可されておらぬのでありますが、これなどについても、ここでもし奨励するという結論がついておれば、補助金などについても一つ考えてやらなければならぬ。ただ、地下水でないとあれですから、地下水の賦存率と申しますか、水がなくなって地盤沈下が起こっては困りますから、そういうことについて都市計画などで大体の見当をきちっとつけて指導をしてもらわなければなりませんが、これなどはどうなっておりますか。国道及び地方府県道がせっかく効果を上げておる流水施設を今のところやっておらないで、今の都市局長かどうか知りませんけれども都市局長は、東京などにおいても散水ポンプで塵埃を押えるのはかなわぬから、もしそれが成功すれば東京などもやりたいというようなことを言うておられたという話でありますが、地下水が相当ありまして現実に効果を上げておるのですから、流雪溝に関し、それから融雪パイブに関し、また屋根の除雪がわらに関し、これに対して少し建設当局やいろいろなところが技術的に援助を与えられますれば、今よりもっと完全なものが必ずできて、そうして都市の雪の混乱というものは半分くらい防げるのではないか、私はこう思いますので、それらの点について御所見や資料がありましたらお教え願いたい。
  68. 谷藤正三

    ○谷藤政府委員 積雪地帯における都市計画のいろいろな問題につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろ最近の雪の少なくなったことによってとかく忘れてしまったような格好になっておりますことは、まことに申しわけないと思っておりますが、ただいまの、全体計画といたしまして今後どうするかという問題につきましては、御承知のように、札幌の一条の大通りは七十五メートルでまん中が公園になっておりますが、あれはちょうど距離が百五十メートルから三百メートルくらいの距離しかありませんので、袋小路の繁華街の雪は一応全部あそこに捨てまして、それからまた逐次豊平川の方に持っていって捨てておるというふうな態勢をとっておりまして、札幌市内の交通が確保できるようにいたしております。ただ問題は、東北あるいは北陸の都市構造というものが、東北の方へ入りますと昔からの街道としまして比較的幅員が広くなっておりますけれども、北陸の関係になりますと、都市は非常に狭い道を持っておりますので、その点につきましては、現在児童公園、公園その他の整備が非常におくれておりまして、公園その他のものが整備されておりますと、そういうところに一時除去しまして、それをまた再度諸種の方法で運搬するということが可能でございますが、現在の都市構造がそういうふうな配置になっておりませんで、市街が連檐で全部並んでおるというのが北陸の都市の構造になっておりますので、この点につきましては、三十八年度については、前に御説明いたしましたように、児童公園もしくは都市公園というものが四割八分の増加をいただいております。それで、そういうものについてできるだけ早く各地区に整備していきたい。これは夏の間はいろいろ子供たちの遊園地とかあるいはまた交通公園とかに使いますけれども、冬の間は再度こういうところに付近の市街地からの雪を排除していけますので、そういう点にまた活用できるようにいたしたいと思っております。  それから流雪溝その他につきましては、これは防火その他のことも考えまして、十和田市の場合ですとちょうど国道の両側に一メートルの側溝が入っております。これは夏の間はたんぼの方に使いますので側溝には水が入っておりませんが、冬の間はたんぼの方で使いませんので、その両側の側溝に川から水を流入いたしておりまして、防火のときにはそれが全部使えるようになっております。ところが、ある程度の雨水量がございませんと、先ほどからお話がありましたように、そういう計画がどこでもできるというわけにいきませんので、その点には若干問題があるんじゃないかと思いますが、そういうものがありますならばできるだけ活用いたしまして、今後の冬期に対するいろいろな処置も考えていきたいと思っております。  長岡の地下水を利用します道路の融雪の方は、今後の場合も非常に成功しております。これはたしか三十六年度に初めて都道府県街路事業の中でつくったはずでございますが、そのときにはまだ地下水の温度十五度の水がどの程度に効率を発揮するかよくわからないので、街路の中で一応つくってみて、それがうまくいけば今後大いに活用しようじゃないかということで街路事業としてやりまして、まだ国道まで採用するところまでは判断がついておらなかったところが、たまたまこういうふうな事態が起きまして、それが非常に効力を発掘した。それから屋根に地下水をまく方法も非常に効力を発揮しまして、あそこだけが雪が全部解けて屋根のかわらが出ているというような格好になっておるわけでございます。あれは地元の人たち五、六人の、初めのうちはとっぴなアイデアでございましたけれども、それが今回非常に効力を発揮しておりますので、今後その問題につきましてもいろいろ検討させていただきたいと思っております。もう一つは、これはある栃木県の温泉町で、温泉の風呂場から流れてくるお湯を使いまして坂道の融雪をやっておるところもございます。場所によりましてはそういうふうにいろいろ活用いたしておりますけれども、全体としましては今までそういう積極的な指導をやっておりませんので、この点については十分反省いたしまして今後の新しい指導に向かいたいと思っております。
  69. 三宅正一

    三宅委員 これでやめますが、私は今度の雪を見ておりまして、私の県のことを申しますが、小出地区というのは、小出から電源開発地区まで一番の豪雪地帯に道をつくりまして、ことしも一日も道は休んでおりません。そうして小出の町は、これも民間の創意から出ておりますけれども、水の都合が非常によろしい。流雪溝に今日まで七千万円くらいかけて、あそこは非常な豪雪地区なのに自動車が通っております。その次の町に行きますと、小千谷という町でございますが、小千谷は信濃川から水を引きまして流雪溝をつくっております。長岡は融雪パイプであれをやっておる。小千谷は流雲溝でやっておる。ところが、ことしは小千谷はだめで、どうにもこうにもならぬのです。駅の流雪溝も役に立たない。どうして役に立たないかというと、ことしはどういう関係か信濃川の水位が下がったそうです。雪になってしまつて、雨にならなかったので下がったのかもしれないが、下がって水が足りなかった。だから、これなども私よく言うのでありますが、東京の山手線にくる信濃川の電力ですね、あそこの水をちょっと一時間か二時間くれさえすれば、鉄道の駅だけはきれいになっているし、小千谷の町もりっぱに自動車が通っておったろうと思うのであります。長岡の流雪溝の関係の失敗は、長岡駅が一番大事な交通の交差点でありながら、農業用水等の関係でもって水の入りが悪かった。その辺の連絡さえついておったならば、ことしもあんな大混乱はしなかったろうと思うのであります。三億何千万円かけて、ともかくおととしの経験でなかなかりっぱな流雪溝をつくったのですから、そういう点を総合的に、都市計画、道路計画、住宅計画、すべて関連しておつくりを願わなければならぬ。だいぶ減らしましたけれども、まだ雪が非常に多いのです。いろいろな問題がありますから、できたら関係の技術者などを中心にして政治的関係のある者がついていって、小出、小千谷、長岡の三つ、それに三条とか栃尾、見附を見てもらいまして、それらの地帯の雪を総合的にどうやればいいか――交通、住宅、道路、鉄道の関係だけはある程度の知恵と金さえかければ私はできると思うのでありまして、ちょうど今ごろが適時だと思いますので、できましたら一つ考えていただきたいと思います。いろいろお骨折りでしょうけれども、現場としては大へんでございますから、なお一そうよろしくお願いいたします。
  70. 大野市郎

    大野(市)委員 建設省に先ほど一点忘れましたので、追加して御質問をお許し願いたいと思います。  雪寒道路法改正が三十六年の十月であります。建設省における雪寒道路五カ年計画は、三十六年度を初年度としておるので、法律の中身が若干変わって、予算にかかわらず、雪寒道路確保のための費用を応理論的には按分できるわけであります。従って、三十六年度を初年度とする五カ年計画を改定せねばならぬように思いますが、それに対する準備はありますか。
  71. 平井學

    ○平井(學)政府委員 現在の五カ年計画では、御存じのようにたしか二百九十五億計-上してあるはずでございますが、これを早急に改定する必要も確かにございます。御案内のように、これは五カ年間でケリをつけるべき問題でございますので、とりあえずは、大蔵出局とも話をいたしまして、四十年の最終年度で清算するという手もありますので、いずれ三十九年には、大臣からお話のありましたように、道路計画全体の整備計画の改定も実は研究いたしておるわけでございます。そういう方向考えていきたいと思っております。
  72. 大野市郎

    大野(市)委員 これはゆゆしいことでありまして、とにかく法律の中身が変わったのに、その以前の法律予算の制約を受げて四苦八苦する計画でその年度の終了まで押していこうというような形が事務当局にあるということになりますと、はなはだ法の精神と違うのでありますから、これは大へん大切なところなんです。本年は国道さえもめちゃめちゃに寸断されて、指定された路線がうまくいかないのです。これは機械力も足らぬし、除雪能力も足らぬのですから、その計画の変更が取り上げられるべき一番大事な出発点だと私は思いますが、この点をはっきり政務次官からお答えを願いたい。
  73. 松澤雄藏

    松澤政府委員 ごもっともな御質問でございまして、先ほども御説明申し上げましたように、一応三十六年度を基準にいたしまして道路整備五カ年計画はできております。その中にも、今のお話のように、除雪関係等に対しましての予算の大ワクは閣議決定事項として入っております。しかしながら、さっきて申し上げましたように、除雪の機械関係だけを見ましても、昨年に倍加せんとする七八%も増領をいたしております。従いまして、四十二年までの面を、今のような筆法で、いわば繰りげ予算のような格好で増額を認めていただけば、最後は四十年ごろには、ゼロになってしまうというふうなことにも相なりますので、従って基本的には、現在道路全体にわたりまして、大臣がすでに御説明を申し上げておりますように、二兆一千億のワクそれ自体ではとうていやっていけない日本現況でございます。あらゆる産業なり経済の進歩発達から見ましても、やって一いけない現況でございます。従いまして、これらに対して大幅な増額的な立場においてワクの拡大をはかっていきたいというようなことで、現在事務当局に命じまして鋭意検討いたしております。従って、その中に織り込んで十分に持っていけるものと私たちは確信しておりまするし、そのような方向に持っていかなくちゃならぬのであります。そうすることにおいて初めて法の趣旨というものは必然的に生きてくる、かように考えております。
  74. 大野市郎

    大野(市)委員 この点はぜひ一つ政務次官よく御鞭撻をいただいて、法の趣旨に沿うように、五カ年計画内容の繰り上げなり、そういう処置、あるいは全体の五カ年計画を改定する、この二つのうちで実効の上がるように御尽力をお願いします。  それから一般的な問題で、副本部長おいででありまするので、一言承っておきたいのであります。応急策は進行中でございますが、午前中本部長にもいろいろ申し上げましたが、もうすぐに融雪があります。雪解けに災害が予想されるのでありまするが、三十五条の防災基本計画樹立、この問題は焦眉の急になっておるわけでありますから、応急対策だけに手間取らないで、ぜひ基本計画を立てて、三月末の融雪期には水防その他の準備が当然考えられねばならぬのでありますから、これらに対しての作業進行をぜひ督促していただきたい、かようにこの点を申し上げまして、あなたのお考えを承りたい。
  75. 徳安實藏

    徳安政府委員 お答えいたします。   とりあえずの応急処置は、順次、各省を通じ、あるいは対策本部みずから処置いたしまして、順調に進んでおるものと思いますが、その後におきまする問題につきましては、各県等が中心になってやらなくちゃならぬことでもありましょうから、政府の方や各省がそれぞれの所管に応じまして適切な指導を行ないますと同時に、防災計画も県単位に完全に立てられますように私どもの方も指導いたしたいと思っております。
  76. 大野市郎

    大野(市)委員 この点が地方の方の盛り上がりを待って云々ということは前回の委員会にも出したのでございますが、実は災害対策基本法をずっと通読してその精神考えますと、経費の分担を明確に指導してやりませんと計画は立たないのですよ。ですから、この仕事をやったらその金をだれが払うのかという問題が基本でありまして、その意味で、地方の整備もさることですけれども、本部で防災基本計画の中身としてそれらの費用分担問題が明らかになりませんと、動けないのです。どうかその点を一つ明らかにいたしまして本部の運営をお願いしたいと思うのです。大へん御苦労さまだと思いますけれども一つやっていただきたい。
  77. 徳安實藏

    徳安政府委員 現在の法律の上でも、国の分担すべきもの、地方の分担すべきもの等は相当明瞭になっておるのであります。しかし、こういう事態にあいますと、予期せざるものが出てきましたり、法文の解釈等においてはっきりしないものも出ましたり、いろいろなものが出てきて、今度はほんとうに尊い経験を得たわけでありますが、そういうものに対しましてはすみやかに政府の方針をきめて指示するようにいたします。
  78. 稻葉修

    ○稻葉委員長 細田吉藏君。
  79. 細田吉藏

    ○細田委員 時間が切迫いたしておりますので、私は三点ばかりお尋ねあるいは要望いたしたいと思います。  第一点は、実は交通関係の際にお尋ねしようと思っておりましたのですが、副本部長政務次官がおいでになっておりますので、特に私この際お尋ねいたし、要望もしておきたいと思います。と申しまするのは、先ほど三宅先生から、小松-金沢間三時間ごく最近でもかかったというお話がございました。私と大野先生御一緒に実は北陸へ視察に参ったのでありますが、金沢-福井間十六時間、これがなぜそうなったか、詳しく申し上げると長くなりますから、私は結論だけ申し上げたいと思いますが、それにつけまして思いますことは、三十六年一月の下旬に私どもが新潟、山形へ参りましたときには、何県とも孤立して、他の県には国道が全部開通しておりませんでした。ところが今回は、そういう点はよほど事情が変わったので、この脚の除雪その他に対する政府努力がある程度実っておると思うのであります。しかし、なお不十分であることは申し上げるまでもございません。一般の道路の整備をどうするか、除雪をどうするかといった点につきましては、先ほどお話がございましたので、私はそれからあと続きを申し上げるわけでございますが、道路の使命が、今日の自動車交通のウエートがかかっておることからして、申し上げるまでもなく非常に変わっておるわけです。ところが、道路というものが今どういう状況になっておるかということについて、一体だれが判断をしておるのか。自動車が入っていいのかどうか、行き違いができるのかどうかというような問題につきまして、実情をはっきりにぎって、それをPRし、指導しておるところがない。率直に言いますと、そういう格好に豪雪地帯ではなっておると思うのでございます。従って、数キロにわたって一車線しかあいておらない、そこへ両側から無制限にどんどん入ってくるというような状況でございまするから、道があいておるといいましても、実際は交通の役に立たないというのに近い状況でございます。そこで私は、今後の問題といたしましては、どうしても除雪を、行き違いなり何なりというものの基準をつくってやってもらわないといかぬということが一つと、それから道路の状況を把握し、PRし、指令する者は一体だれがこれをやるかということを確立する必要がある、こう思うのでございます。交通の規制というものは、今の法規上は交通警察がやる建前でございましょうが、警察官も一生懸命ですが、大へんあっちこっち忙しいせいもあると思いますけれども、野放しの状況である。これが私ども十六時間かかったなまなましい体験でございます。単線一車線しか入っておらないところへ、両側から無制限に入ってくる、こういう状況でございますから、こうなるのは当然なわけでございまして、この点につきましては、道路をつくられる方の建設省、あるいは維持管理をしておる地方公共団体、それから警察の関係、各方面に関係があるわけでございまして、これは対策本部として今後ぜひ取り上げていただいて、今日のような状況がないようにしていただきたい、こういうことでございます。簡単に申し上げましておわかりいただけると思いますが、この点を一点申し上げたいと思うのでございます。これにつきましては、都市交通でも同じことだと思うのですが、都市交通の混乱というものは、道路をつくるもの、都市計画をするもの、また自動車を入れるもの、交通取り締まりをするもの、こんなものがごっちゃになっておるわけですが、豪雪地帯でも同じような状況が起こっているわけでございます。政府各省間にまたがっておる問題でございますので、どうしてもこれは――もちろん、二車線全部あいてしまうというようなことが可能であれば別でございますが、当分の間なかなか一ぺんにそこまでいけない。それならば、交通という見地から特別な政府部内の御相談を願い、今後に対処していただかなければならぬ、こう思うのでございます。この点につきましては、簡単に御所感だけでけっこうですが、私は非常に重大な問題だと思っておるのでございまして、まあその通りだということなんで、御答弁も要らぬようなものですけれども、特に御要望を申し上げておきたいと思います。
  80. 徳安實藏

    徳安政府委員 御所見ごもっともだと思いますので、関係省とよく連絡いたしまして、御趣旨に沿うように努力していきたいと思います。
  81. 細田吉藏

    ○細田委員 それから次に、先ごろのこの災害対策特別委員会の懇談会におきまして、災害対策本部の対象としておられる地域につきまして、かなり各地から強硬な御意見が出たのでございます。現在どういうところを対象になさっておるかということと、それから特に九州、四国、こういうところも例のない豪雪害がございました。めったに雪の降らぬところでございますので、特に愛媛、高知の一部等につきましても、私は実は現地に参っておりませんけれども、報告を承りますと、かなり果樹関係その他大きな被害が出ておるようでございますが、これらの地域についてどういうふうに本部としてお考えになっておるか、量自体は少なくても、異常な豪雪地域については御配慮いただかなければいかぬ、かように思っておるのですが、副本部長どうですか。
  82. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話ございました区域の拡張でございますが、私どもの方といたしましては、愛媛、高知等からも要望がございますし、また九州からもただいま出ております。慎重に考慮いたしまして、実情に即したように拡大いたす考えでただいま検討いたしております。
  83. 細田吉藏

    ○細田委員 いま一点。先ほど大野委員からもすでに御質問がございましたが、特に副本部長は山陰の御出身でもございますし、また建設政務次官豪雪地帯のお育ちでございますので、なだれの問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。  島根、鳥取の両県は、現在非常になだれで大きな被害を受けております。死者のごときは、島根県三十五名でございまして、新潟を含めまして北陸四県よりも多い。これはもちろん雪の最そのものよりも、備えがなかったということであろうかと思いますが、防雪林にいたしましても、防雪棚にいたしましても、あるいは防雪くい程度のものすらも、山陰地方あたりはほとんど用意されておらない。山は切って切りっぱなし、これはもうなだれが起こるのが当然というしかけになっておるわけでございます。そこでこの点につきまして、もちろん地方もいろいろやらなければならぬと思いますが、政府として、今後いわゆる融雪時のなだれ対策、これは時間がございませんのでこまかく申し上げませんけれども、各般の御指導と御助成をお願いしてもらわなければいかぬと思いますが、こういう点について副本部長からお答え願いたいと思います。
  84. 徳安實藏

    徳安政府委員 融雪時におきます危険防止等につきましては、かねがねから最大の注意を払い、警戒もし、各県にもそれぞれの監督官庁から指示を与えておるわけでございますが、将来のことにつきましての防災計画はあとといたしまして、とりあえず、ただいま直面した危機につきましては、相当前から建設省あるいは自治省関係方面から警察庁あるいは消防庁、そういう方面で十分検討を加えまして、相当しさいにわたって指示を与えておると思いますから、間違いのないように今回のことだけは処理ができると考えておりますけれども、もし足らぬところがありましたら、御指摘いただきましたようなことを十分加えて処置いたしたいと思いますが、雪解けに対する災害防除に対しては、十二分の手当ができておると私ども今日は確信いたしておるわけでございます。
  85. 稻葉修

    ○稻葉委員長 ちょっと委員長から要望申し上げておきます。  鳥取、高根に行って参りましたが、鳥取、高根の人たちは非常にのんきで、なだれの危険を身近にあまり感じていないように私は思いますので、なお一そう鳥取、島根両県につきましては本部から強い指令を出して、防災に万全を期せられたいと思います。
  86. 徳安實藏

    徳安政府委員 承知いたしました。
  87. 稻葉修

    ○稻葉委員長 関連をいたしまして前田義雄君。
  88. 前田義雄

    前田(義)委員 今のなだれの問題に関連いたしまして、飛行機の訓練によりましてなだれを誘発するという問題があるようです。例をいいますと、岐阜県の山岳地帯で盛んにテストをやっておるようです。そういうものがなだれを誘発する危険が非常に濃厚であるということを聞いておるのでありますが、こういう場合に練習するということになると、民間飛行機その他の関係でおのずから区域が限定される関係がありまして、やはりそういう影響のない、なだれを誘発しそうな山岳地帯、そういうようなところで多くジェット機の練習がされております。特にジェット爆撃機等の練習がなされておる。こういう点につきましては、今後対策本部とされまして、そういう危険のある練習については、防衛庁その他ジェット機の製作をしておりますところの会社、そういう方面に対して連絡をとっていただいて、そういうことのないように、事前に防止をするような方法をとっていただきたいと思っております。  それからもう一つ、先ほど細田委員から豪雪の対象地域の問題についてお話がありまして、これに対して副本部長から、対象地域の拡大については今後もできるだけ考慮したい、こういう御意見があったわけです。実は私の岐阜県などにおきましても対象地区の指定を受けまして、非常に感謝をいたしておる次第でございますが、なお、対象になりました地域よりもいささか積雪量は少ないわけでありますけれども、今までの雪の被害が全然なかった地域におきまして相当な積雪を見まして、その関係で、恵那郡というところで、ここは寒天製造が非常に盛んなところでありますが、その寒天が雪のために製造ができなかった。これは寒風にさらされながら製造されるものですから、そういうものができなくて大へんな被害を受けておるわけであります。その被害だけでもその一部で数千万円、そういう地域に対しても、先ほど対象地区を拡大することについて今後大いに検討したいという御意見でございましたが、十分に一つ今申しましたような地区につきましても考慮の中に入れていただきたい、こういうことをお願いするわけであります。   今の点については私御答弁をいただこうとは思いませんが、先ほどのジェット機等によるなだれ誘発というものについて御所見を伺いたい。
  89. 徳安實藏

    徳安政府委員 飛行機によるそうした危険は、ただいま私初めて聞きました。さっそく調査いたしまして、防衛庁とも連絡をとって、さようなことのないように処置ができるようにいたしたいと思います。
  90. 稻葉修

    ○稻葉委員長 午前の八会議はこの程度にとどめ、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ――――◇――――-     午後二時三十一分開議
  91. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関し質疑を続行いたします。  なお、本日質疑の予定者がたくさんございますので、質疑並びに政府答弁はできるだけ簡明にお願いいたします。石田宥全君
  92. 石田宥全

    石田(宥)委員 私は一般問題でありますが、特に時間の関係もございますから、緊急性のある問題に限って御質問を申し上げたいと思うのであります。  最初に災害対策本部長お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、今回の豪雪にあたりまして、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の第二条の適用にあたりまして、どのようにお考えになっておられるか。実は新潟県などは最も豪雪地帯でございますから、当然であろうと思うのでありますが、なぜそういう質問を申し上げるかというと、最近新潟の県知事が、これは被害激甚地の指定を受けるために運動をしなければならないということを言っておる。ところが、県議会議長が、どうも今度の災害はこの激甚災害法の適用がどうなるかわからぬというようなことを言っておって、それがために、県の農業会議や、あるいは三条市の市議会議員などが数回にわたって陳情に参っておるわけであります。私ども委員会並びに懇談会を通じましてすでにわかっておることでありますけれども、やはり副本部長からこの点を明らかにしていただきまして、地方民を安心させなければならないと考えるのでありまして、この点を御質問申し上げるわけです。
  93. 徳安實藏

    徳安政府委員 激甚法第二条の指定は、御承知のように政令できまることになりますが、この指定にあたりましては、総理大臣が中央防災会議の議を経まして政令で公布することになっておるわけであります。総理大臣防災会議にかけます場合には、大よその各府県の総合した被害額等につきましても信頼し得る額がきまりましたら、それを基礎にして防災会議にかけるわけでございますので、運動されましても、されませんでも、この額に達するものは当然入るわけであります。ただ今度の災害は、御承知のようにあまりこれまで予期しなかった異例の豪雪という災害でございますから、はたして従来の定めておりまする基準そのままを適用することが妥当か、あるいは多少のしんしゃくを加えねばならぬかというような問題につきましては、これは防災会議並びに総理のお考えによることでございますので、私どもは、できるだけ実情に即するように、あたたかい気持措置をいたしたい、かように考えております。
  94. 石田宥全

    石田(宥)委員 災害対策本部としての今日までの考え方を明らかにしてもらえばよろしいと思うのです。それで、なお先般の懇談会の席上では、九州の一部も相当の被害を受けておるので、その地域をも含めるべきではないかという議論がございまして、これは委員長から特に本部長に連絡をいたしましたところ、本部長は、被害のはなはだしい地域については、これは指定しても差しつかえないという回答があったという報告があったわけです。ですから、今度の豪雪そのものについては全国的に指定さるべきものと理解してよろしいのではないかと考えますが、いかがでございますか。
  95. 徳安實藏

    徳安政府委員 今度の対策本部の地域に入っておると入らざるとを問わず、この豪雪というものは激甚法に指定されますれば全国的に発動することになりますから、九州も四国も北海道も、これに該当するところはやはり同じような適用を受けることになると思います。
  96. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、今度の豪雪被害というものは総括して対象になって、そうしてその被害の厚薄によってそれぞれの対策が行なわれるというふうに理解してよろしいですか。
  97. 徳安實藏

    徳安政府委員 その通りでございます。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して。私はあとで農林省所管を中心にお尋ねをするように懇談会で打ち合わせをしておりますので、でき得れば一緒に聞いていただきたいのでありますが、総務長官がお急ぎのようでありますので、ちょっとやぶから棒のようになって、私も意を尽くしませんし、長官にもおのみ込みのできにくい点があるかと思いますが、その点は御容赦を願いたい。  一つは、開拓者の救済等の措置についてでありますが、これは開拓者のみではございません。国の債権の管理等に関する法律がございまして、その延長は一年ということになっているように承知しておるのであります。で、やはりこれは国の債権管理に関する基本的な立法でありますから、これに対する弾力的な運営災害対策本部として考えられ、また主管省であるところの大蔵省とも打ら合わせをされ――たとえば天災融資にいたしましても、あるいは国民金融公庫の融資の問題にいたしましても、すべて重複融資の問題が出てくると思います。旧債との転貸の問題も出てくると思います。いろいろの融資について、これらに対する国の債権の管理等に関する法律運営を改められる必要がありはしないか。各国の取り扱いを各省がまちまちにやったのではよろしくないのではないか。従って、これは災害対策本部として統一的な態度でもって大蔵省と十分打ち合わせをされ、因っておる被災者に対してあたたかい手を伸べていく必要がありはしないか、かように思うのであります。私の質問の通りでなくて、何かほかにあるのだということであれば、それをお示しいただけば、あえて固執するものではございませんが、大蔵省とあわせて伺いたいのでありますけれども、特にこれは共通しておると思いますので、まずお願いしておきたい。
  99. 徳安實藏

    徳安政府委員 足鹿先生はその方の専門家ですし、私はそういう問題についてあまり深い研究をしておりませんので、即答いたしかねますが、実情に即するようにするために、大蔵省なりあるいはその他の関係と私どもの方が仲立ちになりまして話し合いをして、そうしてこうした罹災者にあたたかい手を差し伸べるという方針につきましては全然同感でございますから、いろいろお話を承りました後に研究いたしまして、そういうような処置をとりたいと考えております。
  100. 相沢英之

    ○相沢説明員 債権管理法の二十四条に、履行延期の特約をすることができる場合の規定がございまして、それの第一項第三号に「債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき」この場合には履行延期の特約をすることができることになっております。今問題になっておりますのは、災害によって履行延期がしてほしいという場合でありますので、まさにこれに該当するわけです。その履行延期のできる期間は、同法の第二十五条によりまして、その履行期限から五年以内においてきめられる。従いまして、今お話のございました一年が頭打ちではなくて、五年以内において特約をすることができることになっております。そしてその履行延期の特約をする場合には、各省大臣から大蔵大臣に協議が必要となっておりますが、その協議も、個々の案件についてではなく、包括して協議することができるようになっておりますので、農林省から今回の雪害に対しまして開拓者の債務履行について履行期間の延長の話がございましたならば、十分実情に即するように協議をしたい、かように考えております。
  101. 足鹿覺

    足鹿委員 私は一年だと思っておりましたが、五年ということでありますので、その点はけっこうでありますが、たとえば、これは農林省にあとで聞きますが、現在の開拓関係の二法、振興臨時措置法と開拓者資金融通法、これは不振組合を対象とした延期措置を認めて、個人的なものに対しては認めておりません。こういうような場合に、この間打ち合わせ会の際にもいろいろ聞いておりますけれども、あなた方の農林省の態度は今度は融資一点張りです。かつて見ざる冷淡な態度です。こういう豪雪による被害農民あるいは水産業者その他に対してわれわれは幾多の措置を講じてきましたが、今度のような冷淡きわまる態度はかつて見ざるところだと思います。従って、もう少し性根を入れて、今大蔵省からも御指示になったような道はあるのじゃないですか。なぜおやりにならないか。また、これはただ単に農林省の問題のみならず、これは国民金融公庫なり、他の中小企業金融なり商工金融等にも共通した点が出てくると思うのであります。そういう点で、これは災害対策本部が大蔵省と打ち合わせをされて、そしてある一つ基準を示されるとか、もっと本部みずからがこの問題を取り上げられて措置をされることが必要ではないかと私は思うのであります。これは一例を開拓者にとっただけのことでありまして、非常に共通性のある問題であり、従って重要な問題だと思いますので、いま一応長官の御所見を伺っておきたい。
  102. 徳安實藏

    徳安政府委員 私ども研究の足らなかった点、思い及ばなかった点もたくさんあろうかと思います。今御指摘になりました点等につきましても、私どももあまり深い研究をしておらなかったのでありますが、よい話を聞きまして、また大蔵省からも説明した通りでございますから、今後こうした問題も取り上げまして、ともに研究をして、そしてばらばらでないように、統一さした見解なり指示をいたすように努力いたします。
  103. 足鹿覺

    足鹿委員 それではその次に、午前中の各委員の御質問にもございましたが、公共用施設の場合以外の除雪した雪を公道まで運んだあとは、これを公共事業費として排除することが必要だと思うのであります。これは何年災害であったか忘れましたが、一例を引きますと、農業倉庫等に土砂が流入してきた、これを排除して公道まで持ち出せば、あとは国費でこれを運搬して排除する、こういう先例はございます。今度はどういう取り扱いになっておるか。おそらく実質的にはそういう取り扱いになっておるとは思うのでありますが、一つの取り扱い、制度としてどのようにお考えになりますか、御検討になっておれば、その対策を明らかにしていただきたいと思います。
  104. 徳安實藏

    徳安政府委員 除雪につきましては、自治省並びに建設省、大蔵省等が事務的に折衝いたしておりまして、順次実施についておりますから、そちらの方から御答弁いたすことにいたします。
  105. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 午前中に本部長からお答えがあったところでございますが、ただいま御指摘の、道路に出したあとの除雪というものは、大体道路の除雪費、あるいはそれ以外にも公共施設関係の、たとえば学校でありますとか、そういうところの除雪費も問題になっておるわけでございますが、これにつきましては、まず当面の措置として、地方公共団体の負担の問題でございますから、これは特別交付税で措置をいたす、こういうことに方針がきめられまして、本日特別交付税の額も大体きめられるはずでありますが、これで各府県、市町村の要望に対して自治省の方で措置をしておられる、こういう形になるわけでございます。ただいま御指摘法律的な問題につきましては、午前中にも話がございましたように、いろいろまだ問題も残っております。しかし、この激甚法にいう第三条十二号のいわゆる堆積土砂というものと一緒にしてここで見ようということは、本部長が申し上げましたように、ちょっと条文上もそぐわないことになりますし、それからそれに基づく政令というものでも、現在はできない形になっております。ただ、それに対してどう対処するのかということになりますと、またいろいろ検討すべき問題もあろうかと思いますが、当面は、ただいま申しましたようなことで、特別交付税でこの関係の経費の財源措置をしよう、こういうふうになっておる次第でございします。
  106. 足鹿覺

    足鹿委員 ちょっと納得いたしかねますが、午前中の本部長答弁を聞いておりましたし、これはちょっとの時間では片がつきそうもありませんから、一応留保いたします。  それから、小さな問題から片づけますが、今度県なり市町村が被害調査あるいは研究というようなことに使った目に見えない経費というものは莫大に上り、また今後もかさんでくると思うのでありますが、それらに対しては交付金あるいは特別交付金等でどのように見てありますか。自治体のことでありますから、何から何までということは考えませんが、少なくとも被害調査をみずからもやり、また調査を受け入れる、行政能力をほとんどそこに集中をするという形、ほかの方は顧みるいとまがないという姿になると思う。従って、これに対する経費というものは、いわゆる交付金にも特交にも見得られないような、基準財政需要額に計上し得ないようなものが出てくるのではないか。つかみ金でもけっこうですし、何の名目でもけっこうでありますが、ちゃんとした根拠をつけてそういうようなことにやはり目を開いていくことが、緊急に即応する体制を充実することにもなるのではないかと思いますが、その点はいかように御配慮になっておりますか。すでに解決がついておりますならば、あえて私はこれ以上申し上げませんが、けさほどいただきました資料を見ましても、県と市町村に配付される交付金の項目を見ましても、解決がついておらないのではないかという印象を受けますが、いかがでしょうか。
  107. 徳安實藏

    徳安政府委員 自治省の方で処置しておるそうでございますから、そちらの方から御答弁させます。
  108. 茨木広

    ○茨木説明員 特別交付税の方の問題でございますが、前にも御答弁いたしましたように、一応、積雪寒冷関係の経費は、普通交付税の中に今年度で二十四億ばかり盛り込んでございますが、このたびの雪害の実情にかんがみまして、別途特別交付税の中でもその対策を講ずる、こういうことにいたしたわけでございます。それで、今回配分いたします中に、市町村関係が十八億三千万、それから県関係が十八億九千万ばかり、合計三十七億ばかりのものを配分の中に入れてございます。その考え方は、道路の除雪関係と、それから県、市町村の責任を持っております公共建物の雪おろし、その関係を一応基礎にいたしまして出しました経費に、さらに二割…分ほど――ですから、今十八億ずつそれぞれ県、市町村に配分されますが、その中の大体二割三分程度と思っていいと思いますが、その額は諸対策費ということで、いろいろ経費が要るのでございますから、それに充当していただくということで、上積みいたしたわけでございます。そういうことで、先ほど申し上げました市町村側が十八億三千万、県側が十八億九千万というような数字にいたしまして、それを主としてやはり豪雪地帯に重点的にいきますように配分をいたしたわけでございます。なお、今回の雪は相当な広範剛に全国的に散らばっておりますので、一応それぞれ雪の降りました地帯には、少ないところは県のワクで一千万円前後のものもございますけれども、重点は、裏H木の豪雪地帯にそれを回す、こういう考え方をとって配分いたしております。
  109. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題は、石田委員も予定しておられるそうでありますし、私はあとで農林省に農作物の被害調査等を中心にもっと掘り下げてお尋ねをいたすこととしまして、この程度で終わりますが、最後に、徳安長官に重要な京をお尋ねしておきたい。  それは、たとえば、雪害豪雪という言葉で表わされておりますために、今度あまり表面には出ておりませんが、風浪による漁民の出漁不能という事態が海岸沿線地帯においてはひんぱつしておるのであります。四十日はざらであります。そうした場合に、上は大きな機船底びき網というものから、下は沿岸漁師に至りますまで、非常に困っている。相当な規模のものは、乗組員は全く休業して遊ばなければならぬ。また、せっかく命を賭してとってきた品物があっても、たとえば鳥取県のカニのようなものでも、豪雪で運搬がつかない。ふだんの市価の何分の一かに下がって、始末がつかない。また、今ちょうどきんちゃく網の出漁が始まりかけた大事なときでございまして、サバ漁、アジ漁もふだんなら盛んにあるのですが、これが二十二統も境港には休業状態で横づけにしてある。その漁獲物を輸送する輸送関係、陸揚げから運搬すべての関連業務、またカン詰工場に働くような者は、まことに、ボーダー・ラインの、援護世帯になるかならぬかというような人たちが多いのであります。この人たちの処置というものには、まことに市町村当局も手を焼いております。これは浜田港の方でも同様でありますし、新潟の各方面の港においても同様な事態が起きておると思います。要するに、豪雪の陰に隠れた風浪による出漁不能の漁民及び関連産業の人々が非常に困っている、こういう状態であります。また農民の場合は、これは申し上げるまでもなく、開拓農民等は、牛を飼う飼料畑は全滅しておりますし、麦はほとんど役に立たない。しぼった乳も腐ってしまう。勢い何か働きに出なければどうにも処置がつかぬ。従って、これは救農といいますか、救漁といいますか等の救済土木事業というようなものが考えられないか。過去の場合においてはそういう先例もございますが、しかし今の場合は、除雪等で一時かり出して使いましても、ほぼこれが完了いたしますと、もうあとはございません。何かこれらの人々の受けた打撃を今後においても救っていくための救済土木事業というようなものを、建設省方面ともお打ち合わせになり考えておられますかどうか、その点を考えておいでになりますならば、一つこの際明らかにしていただきたいし、ないとするならば、重大関心を持って当たっていただきたいと思います。先例もあることでありますし、ぜひやっていただきたいと思います。
  110. 徳安實藏

    徳安政府委員 漁港でございますとか、あるいは開拓民関係でございますとか、そういう方々の、ほんとうに真に迫るお困りになっておる実情等も、陳情なりあるいは県の報告等によりまして承知をいたしておるわけでございますが、とりあえずの臨機の処置はそれぞれの所管省でとってもらっておりますけれども、雪解けに従いましてそういう諸君を今後どう救済していくかというようなことにつきましては、これは相当広範囲の問題でもございますから、近日中に対策本部の全体会議を開きまして、各告のそうしたものに対する報告も十分聴取した上で政府としての態度を決定いたしまして、各省をして実施させるような努力を払いたい、かように考えて今計画をいたしております。
  111. 石田宥全

    石田(宥)委員 特別交付税等について足鹿委員からも御質問がありましたので、私は要点だけを伺いたいと思うのであります。  さきにここで開かれました本委員会の席上で私から、特別交付税を配分するにあたって、地方公共団体に対して、その数字を極力抑えようとするような措置をするおそれはないかということをただしたのでありますが、それに対して藤田政務法官から、そのようなことはいたしませんというお話でございました。ところが、最近地方からの陳情を承りますと、たとえば、市街地における消防車の道路、あるいは緊急物資輸送の通路を市当局が除雪をやろうとするにあたって、そういう経費は特別交付税の対象とならないであろうから、これは算入すべきでないということを県当局が指示をしておる、これはまことに困ったものだという陳情を受けておるのでありますが、おそらく自治省へもいっておると思います。こういうものに対して、いやしくも市町村の対策を萎縮せしめるような指導を行なうということは、これはもってのほかだと言わなければなりません。あるいはどうも官僚の常としてそういうことが行なわれたのではないかと実は憂うるのでありますが、さような事実はなかったかどうか、一つ承りたいと思います。
  112. 茨木広

    ○茨木説明員 今回の雪の状況が今までに例のない量が降っております関係上、先ほど申し上げました数字を算定いたします基礎といたしましては、各県の調査の方に各市町村の除雪の状況を取りまとめていただいたわけであります。さらにその中には今後除雪したいという希望もあり、それから県、市町村それぞれ自分の道路管理の責任がございますけれども国道ないしは県道について市町村が除雪をやったもの、そういう実績を全部とりまして、そして全部合計いたしましてその状況を見ますと、大体いなかの道は三割程度、市街地になりますと五割程度、それから県道の方、国道一級国道、二級国道は一〇〇%ないし八〇%の除雪率、そういうものを使いまして客観的な数字を出すということをやったわけでございます。それで積み上げまして、さらに先ほど申し上げましたような余裕をつけるということで、二割何分そのほかにさらに積み上げる、こういうことをやったわけでございます。なお個別的には、それぞれの県の方の町村の方と、どの程度なら大体間に合うだろうかという、それぞれの数字を地方から集めてもらいまして出したのでございます。従って、私の方からは、もちろん、ただいまおっしゃったように道路を除雪しちゃいかぬということは申し上げておりません。実施していかぬということは申し上げておりません。今回の私どもの感じといたしましては、それぞれ無理なくいったのじゃなかろうか、各地とも喜んでおる、こういうように問いておるわけでございます。なおそういう例がありましたら、よくまた今後御相談をいたさなければいかぬと思っております。一応私の方からはそういう抑制的な意味のことは申し上げておりません。
  113. 石田宥全

    石田(宥)委員 これはあるいは県の行き過ぎかも存じませんが、三条市でも長岡市でも起こっておるのです。やはり住宅の非常に込み合った地域などに対して消防車を通さなければならないというような事態が起こって、国県道以外でも、どうしてもこれは通さなければならないという道路があります。あるいは緊急物資の輸送のためにどうしてもあけなければならないが、それは国県道以外のものであるというような場合がある。つまり、そういうものに市町村の財政の中からそれは出すべきでないというような指導を行なっておる。ただいま承りますと、そういう抑制的な措置はとっておらないという答弁でございますから、あるいはその点はただいま御答弁通りであるかもしれませんが、さらに私は自治省から特に、そういうものを抑制する意思がないということを、また抑制すべきではないはずですから、抑制すべきではないということを何らかの形で通達が願えると幸いだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  114. 茨木広

    ○茨木説明員 今お話のございました三条とか長岡あたりは、特に県の方でそれぞれの団体ごとに割り振った数字を見ましたら、相当多額の額であったようでありますが、私の方の配分のワクでは、新潟、北陸三県等については特に重点を置いてやっておるわけであります。今お話のようなことがございましたら、よく県の方へ直接電話で連絡いたしまして、そのようなことはないと思いますけれども、一応よくこちらの御趣旨も伝えまして善処いたしたいと思っております。
  115. 石田宥全

    石田(宥)委員 特に君総務部長が何かやかましく言っておるということを市議会議員や市当局から言ってきておるのでありますから、御注意を願いたいと思います。答弁は別に必要ございません。  建設政務次官大へんお急ぎのようでございますので、簡単な問題で、しかし重要な問題でぜひ御意見を承っておかなければならぬ問題があります。それは、今度の豪雪に伴いまして、豪雪対策として県の労働組合協議会で会議を開きまして、その結論として、雪害対策といたしまして、国鉄の支社、新潟県議会議長、県知事その他にそれぞれ申し入れを行なうことを決定いたしまして、二月六日の午後四壁三十分ごろに建設省の北陸地建を訪問いたしまして、局長に対して次のような要請書を持って参ったのであります。これはたった三項目しかございませんので、読んでみますと、「一、除雪人夫賃が六百円内外では、重労働に耐える人夫を獲得することはできない。よって、人夫賃の相当引きあげをなし、且つ冬期間主要幹線の確保に備えるため、常備人夫を配置し、不時に備えるよう留意すること。二、機械力を増強し、且つ道路幅員を拡張し、除雪能力を容易にすること。そのために必要とする家屋移転に伴う補償を充分にすること。三、融雪期に河川の氾濫が予想されるので、河川対策に万全を期すること。」こういう要請書を持って回ったのです。県知事も県議会議長も国鉄支社長も快くこれを迎えまして、それぞれ要請のおもむきを聞いておるのです。しかるに北陸地建の局長は、古川厚生課長を取次に出して、十分か十五分くらい待たしておいて、次のような答弁を伝言してきたのです。「要望事項の一、二項については県の所管であって、当局の関係はない。三については、言われなくとも当局の責任においてすでに十分対策を講じてある。よって会見する必要がない」こういうことを古川課長をして答弁せしめておるのであります。いやしくも労働組合の県の協議会でありますから、労働問題が中心でございましょうけれども、地域住民の利害がある地区の、また通勤者の関係等もあって、先ほど読み上げましたような事項について、その内容をも示して会見を申し入れたにもかかわらず、会見を拒否した。しかもそのときには局長も道路部長も河川部長も在庁しながら、今言ったような理由のもとに会見を拒否した。この加藤という北陸地建の局長は、昨年の十二月十一日には、わが党の松井誠代議士が面会を求めたときにも会見を拒否しておる。これは県労協のみならず、新潟県では問題になっている。今回の豪雪に対する対策を要請に参ったにもかかわらず、会見を拒否するというようなことは、国民に与えられたところの請願権を無視するものではないか。たとえ局長であろうとも、そういうふうな理由のもとに会見を拒否するというようなことは許すべからざるものであるということで、今問題になっておるわけです。私は、建設大臣が特に悪代官的な官僚に対してはかなり実力を示しておられることを承知いたしております。このように局長が国会議員に対して理由なく面会を拒否したり、あるいはちゃんと文書を持って要請に行ったのに、こっちの方でやるべきことはやっておる、あるいは県なりその他がやるべきことであるから、会う必要はないなどという不遜な態度というものは、許さるべきことではないと思うのです。これは豪雪対策の一環として起こった問題でありますが、実は時間があればいろいろまだ申し上げることはございますけれども、時間がないようでありますから多くを申し上げませんが、これに対して私は善処を要望したい。政務次官の所見を承りたいと思います。
  116. 松澤雄藏

    松澤政府委員 実は寡聞にして私まだその状況を一度も耳にしたことがなかったのであります。ただいまのお話を聞きまして初めて知ったような次第であります。ちょうど六日の日から私、御承知のように山口、広島、島根、鳥取といったような工合に回って、十三日に帰って来るというようなことがございました。今の書面によりますとその期間内にあったようでございますから、直ちに当時本省側にそういうことの連絡があったのかとも思いますけれども、実は私今申し上げたような状態でございますので、聞いておりません。しかし、今のお話がそのままだったといたしますれば、あえて拒否するといったような態度に出る筋合いのものではなさそうでありますし、また内容からいたしましても、賃金的な面等は、豪雪時の過渡期においての部面でありますから、県等がある程度統一的な立場をとって賃金の定めをしてみたり、あるいはまた、そういうふうなことをやっておる、そういうふうな観点から、私の想像でございますが、国会なり、政府なり、あるいはまた対策本部長が出入りいたしまして、一日もすみやかに与えられた任務を遂行せよといったような過渡期の立場であった関係上、おそらく頭がそこまで進まず、忙しさにまぎれてそういう態度をとった、かように存じますので、直ちに調べまして、いかなる理由のもとにやったのか、またどういう考えのもとにそういうような態度をとったのかという点に対しましては、やはり率直に認めるべきものは認めるという態度でいくべきだ、いわんや、ただいまのお話のように、悪代官的といったようなことに地方民から見られるということは、少なくとも公務員たる者がとるべき筋合いでないことは言を待たないわけでありますから、そういうようなことは今後私の方も一そう注意をするし、また本人たちにも、十分留意をして業務の執行に当たり、いやしくも大臣の方針にそむかない方式を指導していきたい、かように思います。
  117. 石田宥全

    石田(宥)委員 実はこれは私が三人と会見に行っているのでありますし、それから在庁しているのでありますし、国鉄の支社長なり知事なり県議会議長なりに会ったあとで行っているのでありますし、全くその会見を拒否するような理由はなかったわけです。実はいろいろな問題があるし、立証すべきものもたくさんありますが、時間を考慮して私述べられませんけれども、いやしくもかような局長が北陸四県の国道と河川を管理しておるというようなことに対しては、私どもも不安の念禁じあたわざるものがある。これはただだれかの風聞などで私ここで発言しておるのではありません。実はちゃんと正式な文書もきて、そして立証すべきものもたくさんあって言っておることでありますから、私は重ねて善処を要望いたしまして、この問題についての質問をこれで終わります。  次に、国税庁にお尋ねしますが、今回の豪雪被害に対しまして、法令の許す範囲内においてもいろいろな免税あるいは延納その他の規定があることは承知をいたしておるのでありますが、きのうのニュースによりますと、きのう国税庁では特に所得税に対する豪雪被害対策をおきめになったということでありますが、その内容を承っておきたいと思います。
  118. 大島隆夫

    ○大島説明員 所得税の対策につきましては、すでに累次にわたって通達を済ましております。昨日特に打ち合わせをいたしましたのは、申告申請の期限につきまして、一応二月末日までこれを延期するという国税庁、長官の告示を出しておった次第でありますが、その期日が切れることになりますので、今後の対策をどうするかという点にしぼりまして協議いたした次第でございます。その内容といたしましては、一応の期限は切れるわけでございますが、なお異常な状態も続いておりますので、今後は税務署長の個別の認定によりまして個別の延長を承認する、こういうことになるわけでございますが、現地の署長の判断がばらばらになることがないように、国税局長が必要と認める地域について地域を指定いたしまして、その地域につきましては、個々の内容の審査を省略いたしまして、形は個別承認ではございますが、事実上もう少し一般的な承認の手続をとる、そういう対策でやっていこうということを協議いたした次第でございます。
  119. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)委員 関連して国税庁にお尋ねします。国税庁関係では、すでに石川、富山全区域、山形、岐阜の一部について地域の指定を行ない、二月二十八日まで納税延期の処置を講じておるようであるけれども、今次の豪雪による被害は、以上の各県のみでなく、実態はきわめて広範にわたっているものと私は思うのです。豪雪非常対策本部では、数度にわたって所管区域の指定を行ない、その救援復旧に全力を傾倒しておることは、御承知通りであります。国税庁がなぜ対策本部の所管区域の指定と別個に地域指定を行なったかは、私は理解に苦しむわけです。それはおかしいと思うのです。そこで、国税庁は直ちに追加指定を行なって対策本部と歩調を合わせる必要があると思うのであります。そうして納税期限の再延長を要望する声もあるし、いろいろな減免とか、あるいは救済の措置を講じなければならぬと思うのでありますが、いかにお考えになりますか。
  120. 大島隆夫

    ○大島説明員 二月二十八日までに申告、申請等の期限を延期いたしました区域につきましては、すでに御指摘通り災害救助法の発動地域と一部食い違いがあったわけでございます。まあ両方の目的が違いますので、一部やむを得なかった点もあろうかと思うわけでございますが、なおこれを補うものといたしまして、一般的な申告、申請の延長はいたさないけれども、特に徴収上の猶予につきましては格段の配意をするようにという、地域を指定した通達もすでに出しておるわけでございます。なお御指摘の点もございますので、二月末日までの従来の不統一という点につきましては、さらに検討の上措置をすることにいたしたいと思います。  それから今後の点につきましては、先ほども答弁申し上げました通り、国税局長が個々に認定をして、地域を事実上指定いたしまして延期の措置をとっていきたい、かように考えておる次第であります。
  121. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)委員 対策本部と歩調を合わせて指定を行なう、こういうように伺ってよろしゅうございますか。
  122. 大島隆夫

    ○大島説明員 過去の――過去と申しましても今日でございますが、今日までの分につきましては、十分連絡をとりまして、従来のバランスの点につきましては善処いたしたいと存じます。  それから今後の分でございますが、今次の災害が非常に独特の様相を呈しておりまして、雪が一応やんでも、またいつ降り出すかわからない、あるいは、一応平常状態にありましても、また今後なだれが起こるかもしれないというように、事態の予測が非常に困難でございますので、長官の告示をもちまして一律に指定をしていくということよりも、もう少し機動的に、局長なり署長なり、現地に近い人の判断によりまして機動的に運営していった方がよろしいのではないか、そのような方針を考えているところでありますが、なおその辺につきましては本部とは十分に打ち合わせばいたしたいと思います。
  123. 伊藤五郎

    ○伊藤(五)委員 次にお伺いいたします。今度の災害は実に甚大でございまして、交通は途絶し、産業は一時停止をしておるような現状であります。これはその結果地方税に非常な減収がある。これに対してやはり国家においては何かこれを補てんする措置を講じなければならぬじゃないかと私は思うのですが、これに対してどういうお考えを持っておりますか。
  124. 茨木広

    ○茨木説明員 地方税につきましては、やはり国税と同様に、一応二月末までの延期の措置を税務局の方で講じております。  なを、減免の問題でございますが、それはそれぞれの団体におきまして、二十八年のときに通牒を出しておるのでございますが、条例の定めるところによりまして減免するということになります。減免をした場合の減収分についてどうするかということは、二つ場合があるわけでございますが、一つは、激甚災害指定がございますと、災害対策基本法の方に起債を発行する特例の条、項がございます。従って、相当多額になる団体はその起債の申請をして参る、その分については、後ほどその一部について地方交付税で見る、こういうことになるわけでございます。それから、それをやらなかったものにつきましては、その起債を発行しましたものとのバランスをとりながら、特別交付税の方においてやはり若干の措置をとる、こういうことをいたしておるわけでございます。
  125. 石田宥全

    石田(宥)委員 今の答弁で大体わかりました。今までの納税を延期してきたものについては大筋了解いたしますが、実は一昨日、新潟の県農業会議の諸君が、関信局に三月十五日の申告納税の期日の延長方を要請に行ったわけですが、国税局ではそれはまかりならないというかなり強硬な態度であったということで、私のところへ持ち込んで参ったわけです。きのうの申し合わせですか、対策が行なわれたその趣旨からいえば、三月十五日の申告期限というものはやはり実情に応じて適宜延期をすることを各税務署に認めるというふうに了解をいたして差しつかえはないかどうか。
  126. 大島隆夫

    ○大島説明員 昨日庁で打ち合わせをいたしました結果は、さっそく電話、文書をもちまして関係国税局長に指示いたすことになりますので、新潟県下の御指摘の問題につきましても、当然に実情に応じまして処理されることになりますので、御了承願いたいと思います。
  127. 石田宥全

    石田(宥)委員 ここでもう一つ承っておきますが、大島課長御承知のように、実は関東信越国税局は、各税務署ごとに農業関係については所得標準を定めておったのでありますが、昨年はこれを全面的に廃止しようとしたわけです。それで、衆議院の農林水産委員会で、私が国税庁の直税部長の出席を求めて、そういう措置は適当でなかろうということを申し上げて、まあ県内で佐渡を含めて四カ所だけ標準地をつくったわけです。ところが、どうもやはり各税務署ごとになかったということがかなり災いをしたようでございまして、今日いまだにその標準について農民側は納得をいたしておらないわけです。そういうことも一つは三月十五日の申告が不可能な状態になっておる。それからもう一つは、雪害のために連絡等が十分とられないということと、この二点からきておるわけですが、その延長については先ほどの答弁で了解をいたします。しかし、これはあとで自治省の方へちょっと承りたいと思うのでありますが、やはりそういうところからくるトラブルというものについては、これは従来ならば、税務署だけが税務署の管内ごとに市町村を定めて、そしてそこで標準をつくったから問題はなかったのです。ところが、今度は税務署が指導をして市町村をして作業を行なわしめるというようなことをやったために、その両方の責任が一つになった。そこで、今定められて発表された標準というものは、税務署だけでも動かせないし、それから市町村だけでも動かせない、こういう矛盾に陥って、これはまことに困っておるわけです。これはやはり税務署の関係は、所得税に関しては税務署の責任において措置されなければならない性質のものでありますから、やはりそのように取り扱わなければならないと思うのですが、どうですか。
  128. 大島隆夫

    ○大島説明員 関東信越国税局におきまして、本年から農業標準の関係につきまして、市町村との関係で従来と若干変更を生じましたことは、御指摘通りでございますが、そういう変更をいたしました事情につきましては、すでに御案内の通り、国税の納税者が激減して参りました、そういう実情に基づいてやったことでございます。ただ、本年は実施の初年度でもございますので、従来のやりなれた方法に比べますと、当方といたしましてもあるいは若干ふなれな点があったかもしれないと考えております。しかし、本日は二月の末日でございまして、なお申告期限までには若干の時日を残しておりますので、今後十分に局、あるいは必要によりましては庁が乗り出しまして、一刻も早く円満な解決をいたしまして、円滑な申告が進められるように努力をいたしたいと考えております。
  129. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも関連が入るとすっかり時間の見当がつかなくなってしまうのですけれども、これは国税庁に一言申し上げておきますが、今も御答弁があったのだけれども、大体所得税というものは税務署の責任においてやるべきものであることは明らかでしょう、それが一つ。その点は明らかにして下さい。何も市町村から作業を手伝ってもらう必要はない、これは税務署がやるべきものです。  それからもう一つは、農業関係の所得率は年々下がってきておる。ところが、去年の所得が反当たり四千円から四千五百円に上がっておるということは、どこに何があったかということを、これは一つ課長の方でよくのみ込んでおいてあとで指導して下さい。今は答弁を求めません。  次に、これは自治省と関連する問題でありますが、実は従来から住民税の所得の見積もりというものについては、これは税務署の定めた標準に右へならえをしておった。実はそれは市町村が独自にきめなければならないものであったのです。所得税の対象になる農家と、そうでない農家では、所得が違うのだから、別につくるべきものである。ところが、自治省の指導よろしきを得ないために、みな税務署に右へならえをしておった。ところが、今度は税務署が標準をつくらないということになったから、市町村がやらなければならないことになった。ところが、さっき言ったように税務署がいろいろな指導をして市町村に作業をやらせておった。その際にこういうことをやった。自治省は適用米価をどうするか、たとえば保有米を何%にするかということについては、これは適用米価は九九・七%というようなことをちゃんと指導しておるわけです。指導というか、示しておるわけです。これはかつては八七%程度のこともあったわけですし、それからこれはもちろん市町村の実情に応じて定められなければならないものを、全国画一的な比率の達しをしておる。はなはだしきに至っては、わらの価格を、今日新潟県あたりでは一貫目六円ぐらいのものを、九円七十五銭できめているのです。九円七十五銭なんというわらの値段は、埼玉県あたりの畳の裏にするような、むしろを織るようなわらでなければならないわけです。全く実情にそぐわないことを全国画一的に達しを出しておられる。市町村が文句を言われると、自治省からそういう達しがきて、それに基づいて作業をしたのだから、市町村ではどうにもならない、こう言っておる。そのほか、用人費や農薬費も全部達しを出したでしょう。そういうふうな基準となるべきものを上の方から押しつけておいて、市町村民がそれに抗議を申し込むと、自治省からこういう点をちゃんと達しがきたので、それに基づいてやったのだから、市町村ではどうにもならない、こう言っておる。これはおそらくこれから地方では大混乱が起こりますよ。その責任を一体自治省はどうするか。これは別な機会に申し上げますから、きょう詳しくあなたの責任は追及しませんけれども、ただ一点だけ、そういうことで地方自治体は今混乱しておる。この雪の中を、三条とか長岡とかいう地域では、全部の農家を一軒片々指導して歩かなければならない、納得を得て歩かなければならないが、そんなことはできるものじゃないのです。この混乱をどう収拾するかということを一つ考えておいていただきたい。  そこで、あなたから一つ答弁をいただきたいのは、これもやはり住民税の申告期限は三月二十日になっておる。三月二十日までには、そういう事情のために、豪雪並びにその指導よろしきを符なかったために、間に合わない。これは相当期間その延長はやむを得ないであろうと思うのですが、どうですか。これだけ一つ聞いておきます。
  130. 茨木広

    ○茨木説明員 実は私の所管外のことにわたりますので、先ほどいろいろ所得の把握の仕方についてのお話がございましたが、これはよく所管の市町村課長の方にお伝えいたしたいと思います。  それから申告期限の延長の問題でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、税務当局の方で、国税と同じように、現在までのところ、二月末までということで延長の措置を講じております。さらにというお話でございますので、これもよくお伝えしておきます。
  131. 石田宥全

    石田(宥)委員 ちょっと誤解をしておられるようですが、今までの延長分は別の問題です。来たる三月二十日申告の期限に間に合わないであろう、それは当然延期さるべきであろうが、どうか、こういうことです。
  132. 茨木広

    ○茨木説明員 所管外の問題でございますので、お伝えいたしておきます。
  133. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 足鹿覺君。
  134. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、過日の全体委員協議会の打ち合わせに基づきまして、主として農林省所管の問題について豪雪被害対策質疑を行なわんとするものであります。  一番最初に、今回の農林水産業に対する災害の特徴は、大別して三つの類型に分かれておると思うのであります。一つは、常時豪雪に悩まされておられる地帯、それから不時の豪雪に苦しんでおる地帯、この両者と、いま一つは暖地における寒冷の被害、大体性格三つに分かれておると思うのであります。これに共通しておりますものは、先ほど私が指摘いたしましたように、海岸面においては風浪による出漁不能、これに基づく関連した被害、これは各地とも海岸地域は共通であります。聞くところによりますと、農林省は独自の対策本部を設置して鋭意対策を進めておられるようでありますが、以下、条項別に区別をいたしまして、災害対策委員の間で一致した意見質疑の形で行ないますので、あらかじめその条項も政府承知しておられますし、誠意を旨として、率直に、現行の行政措置の運用で解決のつくもの、また予算措置等で解決のつくもの、あるいは法その他を若干改正を必要とするもの、またする意思あるもの、あるいは特別立法をしなければ解決でき得ないと考えられるものというふうに、答弁も整理をして、そして多くを必要といたしませんから、明確に――責任を回避したり、あるいはあいまいな答弁で切り抜けようというような態度はみじんもあっては困るのであります。私も誠心誠意行ないますから、ぜひ御答弁を願いたい。特に伊東対策本部長を異例のお招きをいたしまして、農林事務次官の御臨席をいただいておりますので、権威ある御答弁を願いたいと思います。  そこで、今次農林省の対策は、二月十八日付の文書によって見ますと、応急措置は指導中心、今後の対策は融資一点張り、こう言って言い過ぎでないと思いますが、その後前進した姿において答弁を期待してよろしゅうございますか。大体あの当時の御答弁でありますか。基本的に先ほど述べた三つの類型に対する基本方針と、それから十八日以降における応急措置と今後の対策というような、まことに冷たいものできょうも答弁をなさるといたしますならば、私は質疑を行なっても大した意義はないと思いますので、しかとその辺を本部長より御答弁願いたい。
  135. 伊東正義

    ○伊東説明員 御質問でございますが、先生おっしゃった十八日というのは、一応農林省で、雪害対策で、応急措置でございますとか、あるいは雪解けの際のいろいろな営農の指導の方針でございますとか、あるいは資金の融通の考え方とか、そういうことを一応刷りものにしたもので、あるいはお配りしたのかもしれませんが、その後私どもいろいろ中で相談をいたしておりますが、先生御承知のように、被害の数字というものはまだ確定いたしておりません。むしろ、雪害地帯等につきましてはわからぬ部分の方が実は多いのでございまして、それではっきりした対策としてこうだというふうにまだきめてはおりませんが、先生の御指摘ありました中で、たとえば融資の問題等につきましては、天災融資法は当然発動するんだという前提で、自作農資金の残っておりますものは地方に配りますとか、あるいは公庫から出します災害資金というようなもの、あるいは天災融資法に基づきます経営出資金というものは当然出るんだという前提で、一つつなぎ資金をして下さいということを各金融機関に頼むということも実はいたしております。もう一つの、融資以外は何も考えておらぬじゃないかというお話でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、被害もまだ判明いたしておりませんので、金額的にこれはどうだというふうにまだ確定いたしかねます。私の方としましては、今度の災害では単に融資だけで対策が十分であるかどうかということにつきましては、やはり若干そうでないものがあるのではないかということで、あるいはこういうものについては補助金ということも考えられるのではないかということを私どもも寄り寄り相談いたしておるわけでございますが、現時点に立ちまして、そういうものは金額で幾らだ、あるいは補助として確定するというまでには実はまだ至っておらぬような次第でございます。
  136. 足鹿覺

    足鹿委員 まことに遺憾な御答弁で、期待はずれの感を深くいたしますが、一応以下各項目によってお尋ねいたします。  天災融資法関係でありますが、二月十二日の当委員会の農林省の説明によりますと、被害は果樹だけで七十億円を突破しておるから、天災融資法の発動は当然であると言明しております。いまだに発動しておりませんが、いつ御発動になるのでありますか。
  137. 木田繁

    ○木田説明員 お答えいたします。  天災融資法の発動につきましては、現在統計調査部の中間報告によりまして、今回の豪雪によります農作物の被害が大体百七十億程度ということでございます。そのような実情でございますので、今回の豪雪災害を天災融資法によります災害として指定するという考えでおりますが、今直ちにこの百七十億円という被害がそのままであるというふうに確定するわけにも参りませんが、現在のところでは大体天災融資法をかぶせることができる、こういうことで、農林漁業金融公庫の災害資金の貸し出しの対象とするという考えと、二つ合わせまして実施する考えでおりますが、今の措置といたしましては、先ほど次官から申しましたように、金融機関でつなぎ資金を行なうという考えでおるわけでございます。
  138. 足鹿覺

    足鹿委員 天災融資法を発動することは明らかなようであります。その概要なり基準等も御説明願いたいと思っておりますが、問題は、貸しつけられるときは、災害から少なくとも半年以上経た時期になって実際に被害者の手に渡るというのが実情であります。従って、ゆえなくして私は督促をするのではありません。早くおやりにならなければ死に金になるわけです。その政治の責任はお互いがかぶらなければならぬのであります。一昨日も昨日も農林委員会では与党の諸君がこのことを一番やかましく言っておられる。いいですか、いつごろおやりになるのですか。その時期をこの際において明らかにし、その概要は、たとえば天災融資法を改正して果樹を加えていく、あるいは償還の年限を延長する、あるいは特別地域の指定については、大体においてこういう概況であるとか、少なくともその程度の御説明は必要かと思います。いかがですか。
  139. 木田繁

    ○木田説明員 現在のところ、天災融資法並びに農林漁業金融公庫によります貸付条件等につきましては、従来の例にかんがみましてやるというふうな考えでおるわけでございます。通常、天災融資法を適用するという時期は、災害が起こりましてから大体二カ月ないし三カ月、こういうことでございます。農林省の統計調査部での確定的な被害額というものが確定いたしましてから、それに基づきまして地方別にそれぞれのものがきまる、こういうことでございます。
  140. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの御答弁で、急いでおやりになる気持はわかるのですが、ただ課長という一事務官としての御答弁ではなしに、農林省の対策本部長として、大体自分のつもりはこういうつもりだ、そして先ほど述べた三つ被害の形態、これに風浪を加味した問題に対して、基本的には天災融資法の発動の対象にするのだ、こういう決断ある御答弁をお願いします。
  141. 伊東正義

    ○伊東説明員 時期の問題でございますが、今課長から説明しましたように、農林省の統計調査部の資料がまとまってからこれは発動いたしたいというふうに思っています。時期といたしましては、三月の中下旬には資料は確定するというふうに私ども承知しておりますので、それが確定いたし次第交渉いたしまして正式に発動をするというふうに考えております。先生のおっしゃいました風浪の問題でございますとか、これに一体適用するのかどうかということでございますが、これは今までの災害その他におきましては、そういうものにつきまして天災融資法で経営資金のめんどうを見ていくということは、実は今まではやっておりません。でございますので、今の風浪の問題等につきましては、これが中小の漁業者でありますれば、中小漁業融資法を活用するとか、いろいろな活用の仕方があると思いますので、まだそういうものに適用するということは考えておりません。時期は、先ほど申し上げたように、わかり次第なるべく早く三月中というふうに思っております。
  142. 足鹿覺

    足鹿委員 伊東さん、あなたは勘違いしているのですよ。果樹を対象にしたことがないと言い切れますか。あなたはほんとうに本気でそういうことを言えますか。昭和三十四年災害には入っておりますよ。ですから、さっき言いましたように、三つの型に対して、いわる積雪のひどいところ、それから今度不意にひどくなったところ、寒冷における夏カンその他の果樹被害というものは、惨状目もあてられないわけです。これに風浪による出漁不能、あるいは漁業関係の施設災害という四つのケースがあるのです。それらの問題に対して、基本方針としてはこれを適用するならする、やはりこういう機会に断固たる御答弁をすることが必要だと思う。だから私は前置きをしておるのです。私は長くやりとりする意思がありませんから、もう少し明確にしていただきたい。
  143. 伊東正義

    ○伊東説明員 私の申し上げましたのは、風浪につきましてこうだということを申し上げたのでござます。ただ先生のおっしゃいますように、天災融資法を発動いたします際に、たとえば償還期限はどうだとか、今先生のおっしゃいました風浪についてどうとか、あるいは果樹についてどうとかいうことにつきましては、天災融資法発動までにこれは財政当局とも交渉いたす余地がございますので、現時点で、これはどういうものにどういうふうに発動するのだ、あるいは公庫の金は今は七分になっておるのを何分に下げるのだということはきまっておりませんので、これは今後の検討の問題にいたしたい。ただ、時期につきましては、先生がおっしゃいましたように、私どもとしましてもなるべく早くやりたいということは同感でございますので、これは地方には自作農資金はすでに配るという手はずを整えましたし、先ほど言いましたような天災融資法、それから公庫からの資金というもので、つなぎ資金は出してくれというような依頼は、実はしておるようなわけであります。
  144. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも満足いたしませんが、委員長、この程度でいいですか。もっとやらねば、これではケリがつかぬと思いますが、また委員長の御意見によって――いつごろになれば、今私が指摘したようなことについて、やるならやる、やらないときには、われわれは特別立法とか措置を講じなければならぬわけですから、便々としておれないわけです。そういう点を聞けたら非常にいいわけですが、大蔵省はどうですか。今伊東次官は、財務当局とも打ち合わせをして、三月末までに一つの方針を出し、具体的にやりたいということでございますが、財務当局には大きく異なった御所見がございますか。相沢さんいかがでございますか。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  145. 相沢英之

    ○相沢説明員 天災融資法の適用につきましては、農林省との間に従来一つのルールができておりまして、農作その他の天災法の対象になっておりますところの作物等の被害がおおむね五十億円以上に達する場合には、これを適用するということになっております。従いまして、今回の災害によります被害額は、目下のところ、統計調査部の数字では大体百七十億というふうに聞いておりますので、当然天災法の適用はあってしかるべきものと思っております。ただ先ほど先生がおっしゃいました中で、漁業者の不出漁による、何といいますか、得べかりし利益の損失というようなものまで、この天災法によるところの漁業者の損失に入るかどうかという点につきましては、現在の天災法の規定が、天災による魚類、貝類及び海草類の流失等による損失が云々と書いてありまして、ちょっと無理ではないか、この法律の解釈からいきますと、そういうふうに思っております。
  146. 足鹿覺

    足鹿委員 果樹の問題については、あとで専門にこの問題をやる時間がありますから、大体大蔵当局とそう大きな食い違いはないものと理解をいたしまして、次に自作農維持資金について伺います。  自創資金は、年利五分、貸付限度三十万円、償還期限二十年、据置期間三年以内となっておりますが、このたびの農林金融二法の改正によりまして、自創法の土地等の取得資金が公庫資金に移ることになっており、その条件も年四分五厘、構造改善地域内においては年四分であります。貸付限度八十万円、償還期限二十二年、据置期間三年以内と緩和されておりますが、この条件の不合理なことは、過般も農林二法の衆議院の通過にあたって附帯決議等を付し、われわれは政府の今後の善処を期待いたしたのでありますが、それはここで繰り返し申し上げません。去る二月十二日の本委員会の農林省の説明によりますと、自創資金のワクは、三十七年度分は二億円の残で、明三十八年度は七十億円を予定しているが、どれほど、いつごろ融資できる状況にあるのか、承りたい。雪に埋もれております農家の生活資金としては、農林省関係制度金融中この資金がただ一つのものであります。どの資金よりも優先して希望に応じていくべきであろうと思いますが、本年度の二億円で足りない場合の措置考えておられるのかどうか。基本問題で、維持資金が五分で、取得資金が四分五厘で、構造改善地域内は四分というふうに分けて、事実上は三つのケースが出ておることは非常に矛盾だと私は思いますが、それを今さらここで申してもいたし方ありません。とにかく、この維持資金のワクを実情に応じてどう善処されるか、この点をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  147. 任田新治

    任田政府委員 ただいま先生のお話しの通り、本年度のワクといたしましては、維持資金二億円が残っております。これはここ一両日中に、被害の実情、現在までの報告の内容によりまして、また今後の調査の進め方によりましてある程度の想定をいたしまして配賦をいたしたいと考えておるわけであります。本年は二億のものでございますが、実際各県からのいろいろの報告ないしは要請によりますと、何と申しましてもこの実態がなかなかつかみ得ないようでございます。いろいろの推定でもって出してはございますが、これが現実調査をいたしましてそうしてその対象者であるということが確認されるまでには、各県におきましても相当の時間がかかるようでございます。とにかく三月中にはこの二億円で大体まかなえるのじゃないかというふうにわれわれは思っております。しかしながら、この問題につきましては、年度をまたがっておるからどうということは決してわれわれは考えておるわけではございませんので、引き続いて続々追加の要望が出てくるものと確信いたしておるわけであります。これはその必要に応じまして、大蔵省とも打ち合わせまして新たにそのワクをいただくというふうに措置をいたしていかなければならぬ、かように考えております。
  148. 足鹿覺

    足鹿委員 二億円で大体今のところまかなえそうだ、まかなえない場合は年度をまたがっておっても善処する、こういうことですね。
  149. 任田新治

    任田政府委員 さようであります。
  150. 足鹿覺

    足鹿委員 しからば、貸付ワクの拡大措置等については考えておられないのでありますか。たとえば今までワク一ぱい借りてしまっておった者が今度豪雪で大被害を受けた、こういうような事例は続出してくると思うのです。それを県の網でみんな整理して、上にくるものは大したことはございませんといって腕を組んでおったのでは、あなた方の立場は勤まらないと私は思うのであります。そういう背後にひそむ問題もあわせて、従来一ぱい貸し出した者であっても、やはりこの際は一応貸し出して、さらにまた再貸し出しをする、そういった借りかえの措置とか、あるいはそういうものについてはワクを広げてやるとか、金利の点については私も先ほど指摘しましたが、これは今としては私も皆さんと御相談をしなければ何ともいたしかねますので申し上げませんが、ワクの問題は今言ったような点は出てくると思うのです。これは資金量の問題でありますから、別に三十万円というものにとらわれる必要はなかろうかと思うのです。その異常な豪雪被害の実態に応じて弾力的に御措置になれますかどうか。
  151. 任田新治

    任田政府委員 先ほども次官からお話がありましたように、現在はなかなか実態がつかめないわけでございます。たとえば私の所管いたしておりますところの農地あるいは農業施設の被害の問題でございます。普通考えられますのは、融雪災害としてどの程度のものが出てくるというのが、われわれすぐつかみたいものでございますけれども現実に出てきて参っておりますのは、今の報告では六億程度でございます。六億の中の四億というものは、海岸災害のものが報告されておるというような実態でございまして、この融雪災あるいは一般の作物の関係、こういうものは一体どのように今後出てくるのか全くつかめないわけでございます。先ほども申しましたように、大体各県の要望について見た場合に、これで一応やってもらえるのではないかというふうに思っているわけでありますが、しかし、それはあくまでもわれわれの方としてそういうふうにワクに入れたのではございません。これは各県の要望をお聞きしまして、そうしていろいろ話してみた結果そういうようなものでございまして、決して特にこの三月末までこの三億でがまんしてもらいたいというような意味のものではございません。
  152. 足鹿覺

    足鹿委員 答弁が的をはずれて、長くていかぬですよ。  事務次官、今申しました、従来自作農資金を一ぱい借りて、今度それが災害を受けた、そういうような場合の措置いかん。三十万円のワクではそれは処理できませんね。そういう者にはさらに三十万円は貸せるというような運用の問題を私は聞いているのであります。その点をはっきりできませんか。
  153. 伊東正義

    ○伊東説明員 先生の御質問の点、今までワクは三十万でやっております。それを従来三十万借りている、ワクがなくなった、どうするかという問題は、実は過去の災害でもよく起きた問題でございますが、従来はその場合たまたまワクが残っておれば、十万残っておれば十万程度でがまんしてもらって、あとは系統の金を借りるとか、そういうことをやっておったわけでございます。今度も、ワクが一ぱいという場合には、系統の金等で借りかえを願うという方法はしてもらいたいと思いますけれども、自作農資金そのものを六十万にするとか、あるいは七十万にするとか、ワクをだんだんふやしていくということまでは実は今考えておりません。
  154. 足鹿覺

    足鹿委員 お聞きの通りでありますと、これはさらにわれわれ自身が検討すべき問題であると思いますので、これ以上議論はいたしません。  次に、農林漁業金融公庫の資金についてでありますが、農林漁業金融公庫の貸付資金のうち災害資金として貸し出されます資金は、一般資金から年利五厘程度の金利の引き下げとなっておりますが、平常時のときの農家の負担力と、激甚災害を受けたときの農家の負担力の差が、年利五厘でいいかどうかという問題であります。この点、金利の検討をなさる御所存はございませんか。先ほども聞けば、どうも自創資金は唯一の生活資金です。ほかのものはいろいろなひもがくっついている。自制資金だったら生活資金に回しても何の違法でもない。ほかのものは、金に名目はございましても、実際は生活資金に充てることはできない筋合いのものが多いのであります。だから私はこの点を念を入れたわけであります。たとえば、今次官は借りかえの措置をおっしゃいましたが、今述べたような災害時と平時における農林漁業金融公庫の災害資金の年利差は五厘程度でよろしいとお考えでございますか。
  155. 伊東正義

    ○伊東説明員 この問題は、災害の規模その他にもよりますので、私の方といたしましては、これも大蔵当局と相談いたしますが、金利につきましては検討してみたいというふうに考えております。
  156. 足鹿覺

    足鹿委員 十分御検討を願いたいと思います。  次に、公庫の災害資金のうち主務大臣指定施設資金以外の資金は、災害の大小にかかわらず、都道府県知事の被害者であるとの認定を得たものであれば、貸り入れをすることができることになっておることは、御承知通りであります。今回のような豪雪時におきまして知事の認定を得るということは非常に困難を伴うことは、午前中からの論議でも明白でございます。このような場合は、市町村長またはその支所長等の認定で公庫資金の借り受けができるように簡素化をすることが必要かと思いますが、御所見はいかがでありますか。
  157. 伊東正義

    ○伊東説明員 今の御質問は、特に自作農資金でございますとか公庫資金の借り入れの手続が複雑だ、もっと簡素化せいということだと思います。先生のおっしゃったことは、手続の簡素化につきましては、公庫その他とよく相談しまして、そういうことがこの際実情に合わぬということであれば、どういう便法を講ずるか等につきましては、なるべく被害者に不便をかけぬというようにいたしたいと思います。
  158. 足鹿覺

    足鹿委員 過般の農林金融二法の際にも、公庫総裁に御出席を願い、また附帯決議にも、この点は与野党一致の附帯決議が付しておられます。この際直ちに今御答弁になったことを実施していただきたいと思います。  次に、主務大臣指定施設資金でございますが、この資金は個人施設資金でございます。この資金は、貸付条件として、天災融資法の発動がなされなければ貸付ができないことになっております。土地改良等その他の資金は、災害の大小にかかわらず貸し付けられることになっておりますのに、この個人資金のみはこのようなワクを設けておることは、大きな事業資金は自由に公庫の独自の判断で貸し付けてよろしい、小さな個人施設資金は政令によるにあらざれば貸付ができないということは、大きいものを重要視してこれを保護し、小さいものを軽視して見捨てておると言われても、そのそしりを免れないと思いますが、今次災害等の場合にこれらの点を是正され、御善処なさる御意思はございませんか。
  159. 伊東正義

    ○伊東説明員 これも財務当局と相談しなければならぬ問題でございますが、過去におきまして天災融資法を正式に発動する場合に、雪害の場合にたしか施設について貸したことがあったと私は記憶いたしております。今度の場合も、先ほど三月末くらいには何とか正式に発動したいということを申し上げましたが、その事前でも、あるいは今のようなことがかりにあるといたしますれば、なるべく早くという趣旨からして、財務当局とその辺をよく相談してみたいと思います。
  160. 足鹿覺

    足鹿委員 大蔵省いかがでございますか、相沢さん。
  161. 相沢英之

    ○相沢説明員 主務大臣指定災害復旧資金につきましては、今お話のございました通り、天災法の発動があった場合に貸し付けられることになっておりますが、これは私の解釈では、主務大臣指定災害復旧資金を貸し付ける場合をむしろ自動化しまして、議論がないようにしまして、天災法の発動があれば当然こっちも適用するんだ、そういうような気持でやっているのだと思います。   〔委員長退席、細田委員長代理着積〕 ただ、その施設の災害と、それから天災法の農作物の災害を主にしておりますが、農作物の被害と施設の被害とその程度は必ずしも一致しない場合が、災害の態様によってはあるわけです。そういう場合におきましては、過去において天災法が発動しない場合でもこの公庫の災害復旧資金を貸し付けられる便法が開いてございます。今回の雪害がそういう事例に該当しますかどうか、この点はなお検討したいと思いますが、過去においてそういう取り扱いをしたこともございます。
  162. 足鹿覺

    足鹿委員 伊東次官が、過去に例があったようにも思う、また主計官も、十分善処する、こういうことでありましたので、きょうは追及するつもりはありませんので、事態を明らかにするだけでありますから、この程度で終わります。  次は、農業災害補償法とこれに関連をする事項について伺います。今までの農林省関係の一項を分割するとあれだけの量になるわけです。一項に簡単に書いてあるけれども、そういうことを御承知願いたい。今二項ですが、政府は構造改善事業の主産地形成等を奨励し、その結果、果樹園等は著しく拡大をしつつあることは、御案内の通りであります。また今回の豪雪被害に果樹がその首位を占めておるにもかかわらず、今日まで農業災害補償法を改正して果樹等をその対象にしなかったということは、政府は怠慢ではないかと私は言いたい。そもそも昭和三十四年七月、八月の豪雨及び第七号台風の農林漁業災害対策の際に、農林水産委員会においては、ここに決議文を持っておりますが、満場一致の決議をもって対策事項の中で、リンゴ、ナシ、サクランボ、モモ、ブドウ、クルミ等果樹の共済制度につき早急に検討することという一項があり、これに対し、農林大臣であった当時の福田赳夫君は御決議を順いましたことを、私、非常にありがたく感謝いたします。政府といたしましては、この決議の趣旨の実現にできる限り努力をいたします。と答弁しておるのであります。その実現についての政府の至誠と努力がいまだに実らないとは、一体どこにそのような原因があるのでありますか。今日まで実験措置を数年間やって、今回農業災害補償法の一部改正も提案すると聞いておりますが、今度の改正は水稲の一部をいじくるだけではありませんか。あなたたちが経営近代化を主張し、日本農業の構造改善を指導し、選択的拡大を奨励しておきながら、一面における災害時の対策を放任しておるとは申し上げませんが、ちゅうちょ逡巡、今日まで何らこれを実施しておらないうちに今回のような大災害が来たことは、まことに遺憾であります。しかも政府は、これに対してまだ天災法の対象にするかしないかということについても、果樹の問題については明言をはばかっておる。するのかしないのか。また、するとすれば、どういう措置をもってするか。この災害補償法の対象にすることを怠る結果、政府の施策に呼応した果樹園経営者が甚大な被害に泣くことを補う所存でございますか、お尋ねをいたしたい。
  163. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 果樹につきまする農業災害補償法の適用が必要であるということは、確かに仰せ通りでございます。これはそのために過去数カ年間資料の整備をやって参りまして、先生の御承知通りでございますが、三十八年度からは試験調査に着手するということに段階的に進めて参ることにいたしておりまして、本年度から間に合わないということはまことに遺憾でございまするが、できるだけ早くこれを補償制度の対象にするように努力をいたして参りたいと存じております。
  164. 足鹿覺

    足鹿委員 そんなきまり切ったような御答弁はどうでもいいのです。いつからやりますか。もう実験は相当やったのです。昭和三十四年に福田さんが今のように感謝感激の答弁をしているのですよ。その後果樹の情勢というものは変わってきているのです。農林省は昔はもう少ししっかりしておったと思うのだが、このごろは少しスローモーになっておるのではないでしょうか。自信がないのでありますか。やれないなら、農業災害補償法とは別個のいわゆる価格共済とか、かわるべき措置を、もっと流通問題、価格安定の形その他についても総合的に考えるべきでありましょうし、今はやらぬが、こういう構想を持っておるのだくらいの――これだけ私から言われて、今後善処いたしますくらいで御答弁になりますか。少なくとももう少し、こうこうこういうことを柱にして、大体この見当でやるが、しかし今回は間に合わなかったことは遺憾であると、果樹の関係の方々にこの委員会を通じてあなた方は陳謝すべきです。あなた方が選択的拡大によって果樹を奨励しているのじゃないですか。しかも、あとで詳しく言いますが、幼齢果樹が一番被害を受ける。救済の措置はどうして伸べていくのですか。そういう点を私はさしておるのであります。きょうはおざなりな答弁を私は求めておるのじゃありません。できないならできない、しかし、これはいつごろならできる、かわるべき措置はこういうふうなものを考えておるならおるということを言ってもらえばいいのです。なければないで、われわれは別途に考えるわけでありますから、あなた方にもあとで相談に乗ってもらう。いかがですか、その点。
  165. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 災害補償制度につきましては、今申し上げたようなことでございまするが、果樹災害につきましては、改植とか補植とか、あるいは果樹だなに対する融資とか、そういうことをいろいろ融資の面でやっていくとともに、先ほど次官からも申しましたように、果樹の早期の復旧につきましていろいろ新しい措置考えたいということで、せっかく検討をしておる次第でございます。なお、樹勢を早く回復しまするために指導をやっていこうということで、児の係官も集めましていろいろな対策をとっておる次第でございます。
  166. 足鹿覺

    足鹿委員 果樹の問題はあとでまた果樹専門にお尋ねする条項がありますから、災害補償関係でいま一つ、麦類の被害推定見込み面積はどの程度であるか。その被害見込みについて概算払いはいつごろやり得るか。いかがでありますか。
  167. 久我通武

    ○久我説明員 ただいまの御質問の中の麦の被害面積の点をお答え申し上げます。  大体麦類は、全体で被害にかかったと思われますのが、現在のところ四十万七千町歩であります。そうして被害量が、一応まだ見込みでございますが、十万二千トン弱でございます。被害金額を見積もりますと、約四十一億二千万円であります。
  168. 木田繁

    ○木田説明員 麦に関します災害補償法によります概算払いの問題でございますが、まず現実にこの被害ということでこれに関しまする共済金額を払います場合には、組合では直ちに仮払いをすることができます。それに伴いまして必要な資金につきましては、連合会なりあるいは国の特別会計から概算払いをする、こういうことになっております。現在のところ、まだ御承知通りの状態でございますので、この被害の状態といいますものが確定いたし次第、概算払いについては直ちに手配をする、こういう考え方でおるわけであります。
  169. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの統計調査部長の御報告は未確定要素が強いと思うのです。今融雪を始めている地帯を、この間私農村へ帰って見ましたが、このある層に断層があるのですね、ですから、長い間積雪の中に埋もれて菌核病その他でやられるのと、根を侵されるのと、それから海岸地帯等の砂地地帯で地下水の高いところは融雪によってもう水が五寸もびしゃびしゃであります。従って、冬作もの、そして夏とれるものは、ほとんど全滅状態に近い状態があると思われます。いずれにいたしましても、これは的確な調査を待たなければなりませんが、今度の災害補償法の対象は、政府が一番いやがっておる、だんだん減反を奨励しつつあるものがたった一つかかるのです。まことに皮肉なものですね。こういう状態であってよろしいかどうか、よく御反省を願っておきたいと思います。  次に被災開拓者の対策でありますが、この点については、開拓者資金融通法及び開拓営農振興臨時措置法という二つの法律がございます。開拓者資金融通法は、災害資金を貸し付けることが目的となっていないために、現在まで貸し付けられた資金はないと問いております。しかし、開拓営農振興臨時措置法第五条によりますと、「国の災害資金の融通措置」により開拓営農振興組合として指定された組合員については、開拓者資金が借り受けできることになっていると聞いております。ところが、不振組合なるものの資格といいますか、条件がまことに辛いために、事実上は借りられないことになっておりますが、第五条には、災害その他これに準ずる事由による貸付金の支払い猶予の規定があると聞いております。これは今まで発動したことがございますか。また今回は発動する御意思があるかどうかを承りたい。
  170. 任田新治

    任田政府委員 今までそういう例はなかったと思います。しかしながら、今回は、今後の出て参ります被害内容によりましては相当異常なものが予想されますので、十分検討してみたいと思います。
  171. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほど徳安総務長官並びに大蔵省は、これに関連をして国の債権の管理等に関する法律の適用を毛あわせ検討するということでございますので、これは早急に御検討を願いたく、またこれはただ単に開拓者資金融通法のみではないのでありまして、もっと大きく連絡をとって御善処を願いたいと思います。  なお、この開拓者資金融通法が、災害資金を貸し付けるようにするには、法律の形式が災害復旧費を貸し付けるような仕組みになっていたいと当局は見ておるようでありますが、この法律からも災害資金が貸し付けられるように検討すべきではないか、要するに二本立、前者を組合中心でいくならば、後者は個人中心でいくとかなんとか、二本立で、せっかくある法律でありますから――御存じのように、なだれの被害、食糧の不足、交通の途絶等による二重三重の苦しみを受けておるところは開拓地がおもなるところであり、既入植地帯で相当のものが今度の災害では手を上げるでありましょう。これらに対して特に開拓農民の窮境を救うためには、今述べた二つの対策のみではなく、利子の免除あるいは支払いの延長等、でき得る限りの措置を講ずべきだと存じますが、それらの点についても十分検討し、この質問の趣旨にこたえていただくことができますかどうかを伺っておきたい。
  172. 任田新治

    任田政府委員 先ほどの御質問ともちろん関連がございますが、この点につきましては今後の大きくなる被害の実態に即しまして、関係当局とも十分打ち合わせをいたしたいと思います。
  173. 足鹿覺

    足鹿委員 委員長に申し上げておきますが、どうしてもできない場合は、これらのものについては総合的な見地から法改正を行ないたい、特に特別被害者に対し、規定としては三分六厘五毛の貸し出しの事例は、この法律には条項があるのでありますが、発動しておりませんこれらはやはり委員長においても十分お含みおきを願っておきたいと思います。  次に、農地農業用施設等の復旧事業について伺います。激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の第五条の適用についてどのように考えておられますか、この際明らかにしていただきたい。
  174. 任田新治

    任田政府委員 これは農地農業施設に関する暫定措置法がございまして、早急にその法律内容に遮づきまして査定を実施しますと、おのずからその在定額によりましてこれが査定の推定額になる場合もあるわけですが、そのようにいたしまして額が出ますと、防災会議によって指定がされるということになると思います。
  175. 足鹿覺

    足鹿委員 この際統計調査部長に伺っておきますが、同僚議員とともに各地を歩いて、私はたまたまそれにぶつかっておりませんが、農地等はまだ雪の下にありますし、これから融雪被害等も出てくるでありましょうが、積雪による被害は、選果場、農業倉庫あるいは農業共同作業場等の倒壊あるいは大損壊等の事例が相当出ておるように見受けますが、現在農林省に届いておりますこれらの共同施設災害等の事例はどの程度ありますか、それに対してどのような措置を、第五条の適用を考えておられますかどうか、これを明らかにしていただきたい。
  176. 久我通武

    ○久我説明員 ただいま先生一の御指摘ございました農地の施設の被害は、統計調査関係では調査しておりません。県から農地局の方へ調査が報告になっておるはずでございます。
  177. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 ただいまのは共同利用施設についての施設被害だと思いますが、共同利用施設の施設被害は、県の方の報告をとっておる次第でございます。それで、共同利用施設だけというのでなくて、現在施設関係で県からの報告としましては十二億円になつております。
  178. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま私が括摘いたしました激甚災害関係法の第五条に基づいてさらに農業用施設の措冠法の発動をやるのだ、発動の基準は、第五条関係として、農地はもちろんでありますが、農業用施設の範囲は、今回の豪雪性格から見まして、選果場あるいは倉庫、農業共同作業場というようなもので、それらが損壊または全壊いたしております。午前中の一般質問におきましても、また先日来の協議によっても、文部省その他においても、屋内体操場等が全壊したという、ことに対しては、その原因研究すると同時に、その措冠についても全力をあげて対処する旨の発表がございました。これは農村における一種の公共施設にも匹敵すべきものだと考えますが、その適用についてこの際御言明ができますかどうか、明らかにしていただきたい。
  179. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 激甚災害を受けました施設につきましては、暫定法の適用によりまして、特に共同利用施設についてそれを国の助成によって復旧するということにしておるわけでございます。それで共同利用施設につきましては、今仰せになりましたような施設はすべて該当するわけでございます。そのほかに、有線放送施設のようなものも施設として該当いたしまして、助成によってすみやかに復旧をしていきたいということを考えております。
  180. 足鹿覺

    足鹿委員 わかったようなことですが、念のために申し上げておきますが、補助率の関係は、激甚災害の場合は九制、それに該当するわけですね。農業川施設の該当するものは現在何と何を考えておりますか。
  181. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 激甚災害になりました場合は、九割の場合と五割の場合とあるわけですが、今申しましたような施設につきましては、激甚災害地域に指定されましたならば、その激甚災害に該当する補助率でやっていきたいというふうに考えております。
  182. 足鹿覺

    足鹿委員 そのどちらの分になるのですか。激甚災害の分ですから九割になるのでしょうね。どういう場合が五制になるのですか。
  183. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 五制になります場合は、一般地域の場合が五割になるわけでございます。
  184. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。  次にお尋ねいたしておきますことは、農地農業用施設または林道等が被害を受ければ、今申しましたようなことで復旧ができるわけであります。また事業の実施もできるわけでありますが、被害を受けないように努力するものに対して何らかの補助がなされないのは、災害未然防止の精神からいっていささか手落ちではないかと思いますが、今回の場合のごとく防災のための除雪について何らかの措置を講ずる必要をお認めになりませんか、これが一-“。  いま一つは、農地、農業用施設または林道等の復旧に対する早期査定と補助金の早期交付、その見当はいかがでありますか。非常に性急のようなことを申し上げて恐縮でありますが、とにかくやかましく申し上げて普通になるわけでありますから、その点は一つそのつもりでお聞き取りを願いたいのであります。
  185. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 査定の問題でございますが、それは融雪災害が起こらないとわかりませんが、融雪が起きてその結果について早急に否定を始めるという体制をとろうとしておるわけであります。  それから、ただいまの積雪に対して積極的に防除の手段をとる、災害を未然に防止したいという問題につきましては、従来雪害についての問題は取り扱ったことはございません。しかしながら、たとえば早越でございますとか、あるいは長期冠水をする場合であるというような場合に、これに対して措置をとったことはもちろんございます。しかしながら、また反面、雪となりますと、あとに残らないで何となく消えてしまうという場合もありますので、そこに何か一つ基準を見つけるということはまことに困難かと思います。しかし、この点については十分大蔵省とも相談をいたしていきたいと思います。
  186. 小島徹三

    小島委員 足鹿君の質問にちょっと関連して一言聞きたいと思います。  先ほど、農業共同利用施設の激甚災になれば五割から九割の補助金がある、こういったことをおっしゃったのですが、それはその通りだろうと思います。ただ問題は、激甚災の地域に指定されるかどうかが問題になってくると思うのです。ところが、農業共同利用施設というものは、普通の農地とかいうような災害の場合には、たとえば風水害によって一部の農地が流れてしまった、あるいは農道がこわれてしまったというようなことは、部分的なものですから、その被害を受けた農民というのは比較的少ないのですが、そこにまだ被害を受けない農民がたくさんいるわけです。だから、農業協同組合にいたしましても、相当余力のある農民もおるということになるのでありますが、果樹園の場合、ことに兵庫県の北部における香住町あるいは浜坂町あたりのナシの栽培をやっている連中というものは、御承知通り、あの辺は耕地というものは全然ないということのために農業構造改善なんかもございまして、山のゆるい傾斜地を改良いたしましてそしてナシを栽培して、今日ようやくその緒についたという状態になっておるわけであります。ところが、これが風水害のような災害でありましたならば、そのうちの、全部やられないで、ごく一部だけがやられたというようなことで、残りのナシ園を持っておる連中は相当余力のある者が残っていくということも考えられるわけでありますけれども、今度の雪の被害というものは――私案は先般行って見まして、ナシ園を雪の中を入って掘り出さしてみました。そうすると、もうほとんど全部のナシの木の枝がさけてしまっておる。小さいものから大きいものまで、みな枝の太いものがさけておるというような状態で、全部全滅しておるという状態なんです。そういう場合に、共同利用施設、農業協同組合の倉庫であるとか、あるいは選果場というようなものがこわれた場合、こわれてしまったということに対して、激甚地の指定がなければ、ほとんど補助金というものが受けられない。場合によっては、先ほどのお話によって、天災融資の指定を果樹園の方を含めてやろうかという親心をお持ちのようでございますが、これに入れてもらったところで単なる融資にすぎない。これではとてもこのナシ園を経営している連中というものは立っていけないと思うのです。  そこでちょっとお聞きいたしたいのは、一体、第五条の基準に基づく激甚災に適用されるような見込みがあるのでし上らか、ないのでしょうか。今の段階で、あるいは将来また被害を予想するわけにいきますまいけれども、何か方法があるかどうかということを実はお尋ねしたいのです。
  187. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 先生の仰せになります共同利用施設の被害につきまして、激甚災が適用されるかどうかということでございますが、その場合の激甚災の推定基準でありますが、これは先般政令が出まして、それによって、農林水産関係の共同利用施設が激甚災に適用される場合は、農地、農業用施設とか、あるいは林道とかいうように、そういう農地関係のものが主として激甚災に指定されるという場合に、共同利用施設の方も指定されるということになっておるわけでございます。
  188. 小島徹三

    小島委員 そのことはもらわかっています。わかっていますが、うわさによりますと、この法律第五条に基づく基準というものはどうも適用されそうもない。そういうことになってしまうと、実際問題として、農業構造改善の中でナシ園に転換してようやくその緒についたものが――先ほどの例を申し上げますと、兵庫県の香住町というところでは、二千万円からの金をかけて選果揚を去年つくったばかりなんですね。金を借りてつくった。それがこわれてしまった。それで、これを天災融資法だけで、かりに果樹園を含めていただいて融資をしていただくとしましても、ナシの経営者というものは、ほとんど貧弱な農民がやっておるわけなんです。何ら金銭的、資金的の能力がないのです。そこに持ってきて二千万円の借金を背負っておる。さらに融資を背負ってもそれで選果場をつくらなければならぬということは、とうていやっていけないと思うんですね。だから、そういうものに対して、何らかの激甚災と同じような補助をするというような規定というものは考えることができないのかどうか。この法律第五条に基づく基準に合えば、これは問題ないでしょうけれども、どうも今までの話を聞いておると、それには適用されそうにないので、何とか考えてもらう方法はないのかということをお尋ねしておるわけです。
  189. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 被害の詳細が判明しませんと実はわかりかねるわけでございますが、今回の被害は、洪水なんかの場合と異なるのでありまして、農地関係被害というものがきわめて少ないんじゃないかと実は思われるわけであります。あるいは施設の被害にしましても、流されてしまったというのと違いまして、従いまして、激甚災の指定といたしましてはなかなか困難な事情にあるというように考えております。
  190. 小島徹三

    小島委員 そこで何とか方法はないだろうかということを聞いておるわけです。お考えになっていただけないかということを聞いておるわけです。
  191. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 暫定法に基づきます二割の補助はあるわけでございますが、それをさらに上げるという問題につきましては、これはなお財政当局と相当検討しなければいかぬ問題だと思います。それで補助のみならず、公庫の融資とか、いろいろな措置によりまして救済をはからなければならぬと考えております。
  192. 足鹿覺

    足鹿委員 小島さんが今言っておる問題は、私はあとから触れようと思ったのですが、大体尽きたと思うのですが、指定基準というものは、さっき私が言ったような三つ被害ケースが出ておる、風浪を入れれば四つのケースについて、それぞれあなた方は新しい問題にぶつかっておるわけなんですから、今までの観念で指定基準考えたのでは私は解決がつかぬと思うんですよ。ですから、これは事務次官、本部長、いかがですか。沈思黙考の体のようですが、指定基準ですよ。今小島委員からも関連で尋ねられた、発動するという御言明ですね、発動はするが、どこをということまではここでは言いませんが、大体の指定についての考え方を、既定概念にとらわれないで、今次災害の実情にかんがみて善処する、こういう御答弁一つお願いしたいと思うのです。
  193. 伊東正義

    ○伊東説明員 指定基準を変えるか変えぬかという問題の御質問でございますが、私ども今できております指定基準をここで動かすとか動かさぬということを申し上げる段階ではございません。ただ、今度の災害が形が変わっているということは私も認めます。でありますので、雪の被害に対する対策、あるいは雪等がございませんでも、愛媛とか山口のように、果樹の落花ができておるというようなところの被害、いろいろ被害に応じて補助対策というものはバラエティがあっていいんだろうというふうには考えます。ただ、基準そのものをいじる、補助率をすぐに全部九割にするかどらかというような問題は、今この時点では、まだこうでありますというようなお答えをいたしかねます。
  194. 足鹿覺

    足鹿委員 だんだんあいまいになるようなことじゃ困るのですが、激甚法は発動するんですね。
  195. 伊東正義

    ○伊東説明員 基準に合えば断然でございます。ただ、今おっしゃいましたように、その基準自体を動かせというような問題になりますと、これは問題でございますが、あの基準に合っておれば当然発動いたすべきことは、言を待たないわけでございます。
  196. 足鹿覺

    足鹿委員 それなら別にやりとりする必要はないんで、今までの激甚指定趣旨を異にした今度の災害であるから、基準等についても再検討する、そうしてこれを適用して地方住民被害を救ってやる、こういう考えには間違いないと思うのですね。とするならば、この際は蓄えないが、十分検討するのだ――この際は何も言えぬじゃ困るのですよ。それでは、基準というものについて、今までの雪害の場合に激甚指定の適用の事例というものはないのですか。この種のものについてはあるのですか、あれば、どういう基準ですか、念のために伺っておきましょう。
  197. 伊東正義

    ○伊東説明員 過去において、三十二年ごろに雪害が多かったことがございますが、その当時は、今の法律でなくて、暫定法だけでやっていたわけでございます。でございますから、その当時とは今はまた若干事態が違っております。一応どういう場合には激甚指定をするということがきまっておりますので、その基準自体に合えば、むろんこれは激甚災という指定をするわけでございますが、またその基自体を動かしていけということになりますと、今ここですぐに動かしますというお答えはできかねますということを申し上げたのであります。
  198. 足鹿覺

    足鹿委員 豪雪に基づく激甚地指定というものは最近ありませんか。おととしの北陸の豪雪等にもありませんか。
  199. 伊東正義

    ○伊東説明員 最近の雪害ではございません。たしかあのときは、たとえば共同施設につきましては二割、そういうことでやっております。
  200. 足鹿覺

    足鹿委員 だいぶ事態が明らかになりましたが、これはわれわれ委員としてももら少し意見を交換しまして、よく打ち合わせをいたし、さらに検討を進めていく必要があるように思いますので、この程度できょうはやめておきます。  次に、土地改良事業の除雪費、農業倉庫等の除雪費に対する助成措置についてでありますが、第一に、土地改良事業実施中のものについて、その除雪費については、土地改良事業の関連事業とみなし、その事業費に含めるという趣旨の御答弁がこの前ごさいましたが、公式にこれを明らかにしておきたいと思います。いかがでありますか。
  201. 任田新治

    任田政府委員 その通りであります。
  202. 足鹿覺

    足鹿委員 第二に、農業倉庫等の除雪については何らの案が示されておりません。先年の豪雨、台風等の対策において堆積土砂の排除の特例法等がしばしば制定をされ、その実施について、農家の庭等の土砂の除去については、一定の場所その他公道にまで運んだものについては公共事業で排除した例がございます。このように公道にまで運んだものは公共事業として排除する余地があるかないかというについては、一番劈頭、徳安総務長官及び大蔵当局からも、各省にわたることであるので十分検討するということでありますが、農林省自体としてはお気づきになり、災害対策本部に対してこのことをすでに申し入れをされ、そしてこれに対する措置をお考えになっておったのかおらないのかということを明らかにしていただきたい。
  203. 伊東正義

    ○伊東説明員 過去において、農村関係では除雪等の補助金を出したことはございませんでした。今度も実は、今先生のおっしゃいました事例に補助金を出してほしいということを本部に申し入れまして、こうしてほしいということを実はやりませんでした。ただ、先生おっしゃいましたような、ほかのものとアンバランスがあるのじゃないかという問題につきましては、排土その他を考えますと若干のアンバランスがあることも私わかりますが、今後これをどうするかということにつきましては、農林省だけでございませんので、全般の問題として検討いたしたいと思います。
  204. 足鹿覺

    足鹿委員 これは各行にまたがる基本的な問題につながる問題でありまして、簡単には御答弁できないと思いますが、午前中からの本部長答弁、また先ほどの徳安総務長官答弁、大蔵省の考え方等をいろいろ考えられまして、ぜひ一つ実現のために全力を尽くしていただきたいと思います。  次に、有線放送施設の復旧についてでありますが、有線放送施設の災害復旧は、農林水鹿業施設災害復旧事業費の国庫補助の初定法で、共同利用施設の補助率二〇%となっておりますが、これが補助率の引き上げを考える御意議はございませんか。相当高額の資金をつぎ込んで行なう施設でございますので、これが今回は相当損壊しておるものだと思いますが、この点いかがでありますか。  なお、関連いたしまして、組合以外の団体が所有する有線放送の共同利用施設等についても補助対象とすべきであると思いますが、いかがでありますか。この二点についてお答えを願います。
  205. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 有線放送施設につきましては、現在暫定法で二割の補助にしておりまして、相当長い間その暫定法に基づいて慣例的にやって参っておりまするので、これの補助率を上げるということにつきましては、なお検討はいたしまするが、非常にむずかしい問題と思っております。  それから協同組合以外の市町村有の有線放送につきましては、起債とか、あるいはまた交付税のようなものが考えられるだろうと存じますが、直接暫定法によりまして補助の対象とすることはできないわけでございます。なお別個の措置も必要であれば、検討いたしたいと存じます。
  206. 足鹿覺

    足鹿委員 今の御答弁では大へん残念でありますが、先を急ぎますし、十分検討するということでありますので、一つ検討を願っておきたいと思います。私どもは私どもで、今の御答弁に関連してよく検討いたします。  次に、果樹の苗木等の樹勢回復、病虫害の防除、苗代等に対する助成措置についてであります。その第一のお尋ねは、果樹の樹勢回復期肥料代、同病虫害防除薬剤費について、昭和三十四年霜雪害対策として、被害率三〇%以上の果樹園面積の合計面積が、市町村の果樹園の総面積の二〇%以上であって、知事の指定を受けた被害市町村内の農業者に、既耕地にあっては三分の一、開拓地にあっては二分の一の補助がなされておる実績がございます。その災害より大きい被害がある今回の豪雪に対して助成できない理由は一体どこにあるのでありますか。先ほど来私が果樹の問題については別に申し上げると言うのはこの点であります。園芸局長もおいでになっておるようでありますが、あなたは今回初めて園芸局長に御就任になったと聞いておりますけれども、過去においてこのような事例があるのであります。ただ応急措置として農林省がわれわれにお示しになっておるものは、技術員を集めて指導したとか、あるいは今後も指導を加えるとか、あるいは指導を行なうであろうとかいうようなことで、後段の今後の対策ということは、融資一点張りですよ。なぜ、過去の事例として昭和三十四年にはこのような助成措置が行なわれておるのに、今回はできないのでありますか。しかもあなた方は選択的拡大によって果樹園を樹園地造成で指導して、基幹作物の中では畜産に次ぐパーセントを占めておる。あなた方の責任は重大だと言わざるを得ない。なるがゆえに、農林省の機構改革によって園芸局が創設をされ、そしてあなたも選ばれてその職におつきになった以上は、少なくともこの実績の上に立って、それに幾倍か幾十倍する広範深刻な今回の豪雪に対して、なぜこれに準ずる措置、またこれ以上の措置が講ぜられないのでありますか。その理由は一体どこにありますか。農林省はすべてそういうふうな消極的な態度、あえて私が冷たいと言うことは、言い過ぎかもしれませんが、何か今回の災害に対しては決意に欠くるものがある。もっと真正面から取り組んで、財務局当に困難があっても、いろいろな努力をしてこの問題を解決する決意を固めてしかるべきであろうと思いますが、それがなぜできないのでありますか。この間からの懇談会においては、できませんの一点張りではありませんか。私どもはその後事例を調べました。ちゃんと出ておるじゃありませんか。しかも情勢は、あなた方は米を忌避し、果樹をつくれ、畜産をやれと言った責任者じゃありませんか。なぜ、このような不測の豪雪災害に対して先例あるいは先例以上の措置がとれないのでありますか。理由があったら承りましょう。
  207. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 先ほど事務次官が申し上げましたように、現在助成措置につきましては、検討中でございます。その検討中の中に、樹勢回復川の肥料あるいは苗木の購入というのも入れて、私どもただいま農林省部内で検討いたしておるわけでございます。私、実は先般参議院の災害特別委員会に出まして同じような御質問を受けまして、お答え申し上げたのでございますが、そのときに、こういうことに対する助成は一切やらぬ、万事融資でいくのだというのじゃなくて、検討中だということは、前々から申し上げていたはずでございます。この三十四年でこういう農薬、肥料に対する補助等が切られましたのは、私の了解では、これが零細補助金であって、使途が明確を欠くおそれがあるという指摘を受けたためと了解をしております。従って、そういう過去の指摘を再び繰り返さぬような保障措置がとられることが必要なんで、そういう意味での検討を行なっている、かようなわけでございます。
  208. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、三十四年災害に準ずる樹勢回復あるいはそのための肥料代あるいは農薬代等については、助成をすべく検討をしておる、具体案はできるのですね。
  209. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 ただいま申し上げましたように、再びそういう同じ指摘を受けないような方法による助成ということが可能であるかどうかという検討をしておるわけであります。
  210. 足鹿覺

    足鹿委員 やるのですか。何だかよくわからない。
  211. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 要求するつもりで今やっております。
  212. 足鹿覺

    足鹿委員 伊東さん、どうですか。
  213. 伊東正義

    ○伊東説明員 今局長からお答えしましたように、これは過去にやったことは必ず将来もずっとやるというふうにはきめておりません。先生御承知のように、たとえば過去に小災害で三万円以下に補助金を出しましたが、いろいろ弊害があったので、その後はやめまして、起債でやるという形にしたこともございますが、災害の態様によってそのときそのときで変えております。御指摘のことを三十四年にやったことは確かでございます。今回実は果樹等の被害が相当ございますので、樹勢回復でございますとか、あるいは改植の問題につきまして、たとえば県樹専業農家等で非常に被害が大きいという人に、融資だけでいけるかどうかという問題がございます。そういうものについては助成ということも大蔵省当局に要求すべきではないかということで、今、中で仕分けをしている、あるいは被害の確定を待っているというのが実情でありまして、補助は一切何もやらぬ、大蔵省にも要求しないという態度をきめているわけでございません。あるものにつきまして、補助も必要だと判断をすれば、大蔵省に要求をするという考え方をいたしております。
  214. 足鹿覺

    足鹿委員 これとあわせまして、果樹だなの添え木等の損壊の復旧、特に老齢果樹の改植、補植等に対する助成措置等が必要であると当委員会は認めておりますが、これに対してはいかがでありますか。
  215. 伊東正義

    ○伊東説明員 今お答えをいたしましたのは、樹勢回復というだけの問題でなくて、果樹につきまして改植問題とかいろいろあります。それを全部含めまして検討いたしております。
  216. 足鹿覺

    足鹿委員 先刻も私が指摘いたしました。  暖地の寒冷による特別の被害対策について、たとえば高根県と地続きの山口県の萩の有名な夏ミカンが全滅したとか、あるいは伊予、九州等暖地におけるミカン問題を中心とする被害の特徴はよくお気づきであろうと思います。私は技術的なことはよく知りませんが、木から直ちに実をもぐなとか、いろいろな指導が行なわれておるようです。しかし、あの常緑果樹が落葉をいたしますと、翌年の結果はほとんど絶望といわれております。その被害は普通の落葉果樹以上のものがあるわけです。そういった点についてどのような措置が講ぜられるのでありますか。  また、園芸関係につきまして、雪に埋もれた地帯の園芸農家は全滅でありますが、そうでない地区の農家は、値上がりによってほくほくであります。隣貧乏といいますか、まことに皮肉な状態でございます。そこで、陶芸作物等について、つまり蔬菜等についての被害は、暖地の寒冷による被害あるいは暖地の不時の積雪による被害が非常に著しい、これに対して園芸局としては今日までどのように指導をされ、今後どういうふうになされようとしておりますか。たとえば春夏作の苗物の種子代の補給であるとか、あるいは苗木の購入費に対する助成であるとか、いろいろなことが考えられると思いますが、これは予想外の被害を受けておるようであります。これもまた任意共済ででも農災法でやるべきである、地方性格の強いものは任意共済でやって農災法の適用を受けさして、これを中央で再保険をやるということを私どもは長いこと言っておるが、おやりにならない。なかなか保険設計が困難だとか、いろいろな理由をつけておやりにならない。こういうときには全く手の下しようがないのであります。園芸局としては、あなた方の責任によるものではございませんが、この点についていかようにお取り計らいになっておりますか、今後の対策を承りたい。
  217. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 果樹の苗木の問題は、先ほど次官からお答え申し上げましたように、私ども一連のものとして検討いたしております。蔬菜の場合でございますが、暖地の寒冷によります被害、これは九州地区において特に蔬菜のいろいろな被害が見られるようでございます。その他の地区につきましては、直ちに代作その他という問題は起こっていないように承知いたしております。九州の場合には苗が枯死するとか、あるいは雪のためにやられるとかいったような事態が出ておりますが、正直申し上げまして、現在のところ、この種子代の補助等ということは考えておりません。
  218. 玉置一徳

    ○玉置委員 関連して。ただいま、暖地におきます不時の積雪あるいはこれに関連いたします寒冷による果樹園芸の被害が非常に甚大であるというように足鹿委員からもお話がありました通りでありまして、むしろ、農林被害につきましては、こういった部面の方が多いんじゃないか、この意味におきましては、こういう暖地の果樹園芸につきまして、先ほど足鹿委員からも叱吃激励がありました通り、われわれも、農林省の今度の扱いはまことに努力が足りない、熱意が足りないということに非常に不満を持っている一人であります。  そこで、ついでに一つ実例を申し上げます。この町農林委員会でも若干お話を申し上げたのでありますが、何ら具体的な答弁がございませんでした。はなはだ不満でありましたので、重ねてきょう関連いたしましてお伺いを申し上げたいと思いますので、率直な御答弁一ついただきたい、かように思いますが、先般の積雪に関連いたしまして、京都、三市、奈良、静岡、愛知等のお茶の被害が非常にやかましくいわれましたので、二十五日の日に帰りまして実情を見て参りましたのですが、要するに、十二月以降の異常乾燥による、茶掛と申しますか、茶の木の生理現象の障害ということがいえるわけでありますが、一月の降雨量がわずかに十八ミリで、平均降雨量以下、非常に著しく低下しているわけであります。従って、連日異常乾燥の注意報が発令されておりまして、空気の湿度が非常に低下して、葉面蒸発がはなはだしく、生理障害を与えていたようであります。二番目に、一月以降全国的な寒波の襲来で気温が低下しまして、茶樹の凍結の被害が発生しました。葉の組織及び枝が枯死しました。これに加えて、希有の長期積雪のために被害が助長されました。ことに融雪時の光線の直射によって被害増加の傾向が現われておるそうであります。これは、先般農林省の京都の統計事務所の方々と一緒に参りまして現地を見てきたわけでありますが、一面に緑の茶園であるべきものが、赤変しまして、惨状は全くお気の毒の一語に尽きるのでないか、こう思うのです。  以上、要するに異常乾燥と低温降霜との二つの作用によりまして未曾有の被害を与えておりまして、従って、たとえば京都で申しますと、宇治茶の一番茶というものは、全く全滅にひとしいような惨状でございます。今もお話の通り被害の復旧対策には、やはり刈り込みが必要であろうと思いますし、また速効肥料を与えまして樹勢の回復が必要である、その上に病虫害防除の徹底をはからなければならないわけでありますが、統計事務所の方々と一緒に参りましたけれども、和束町だけで実に一億五千万円、宇治田原町だけで一億円、そういうのを推定しましたら、京都だけで五、六億円になるのではないか。従って、全国的の茶の損害というものはかなり莫大な毛のになる。これはいずれ統計事務所の方から持ち上がって参ると思いますが、そこで、もう二度重ねてお仰いいたしたいのは、先ほどのお話も融資の問題はもちろんやっていただけると思いますけれども、改植、樹勢回復その他につきまして、かつて三十三年まで数回にわたりまして、凍害、晩霜被害ですか、それにつきまして相当な助成措置をいただいてきたわけでございますが、先ほど、三十四年の零細補助の打ち切りというような形実はそれを避けて与えるのにはどうしたらいいかということを考えているのだ、こういうお話でありますけれども、問題は、あのときは、御承知通り一番茶のなま葉がいたんだだけでございます。今回のはそうじゃなくて、根本的に木そのものがやられておりまして、ことしだけの災害じゃなくて、おそらくこれに伴いまして数年にわたってこれの損害というものは続くのじゃないだろうか。これを小災害で、零細補助金の打ち切りという意味もわからぬことはございませんけれども被害を受けている農家にしてみれば、前にあの程度のときですらこういう助成をいただいたのに、今度はそれの数倍もしくは十倍近い被害をこうむっておるのに、これに対して何らの助成の措置がないということは、非常にこの災害を軽視しておるということしか、被害地としては思わないわけです。そういうような意味におきまして、それにかわるべき措置考えなければならないとすれば、それはたとえば無利子二十年間くらいの金融をするとか、なるほどこういう事情で工合が悪いからこうなったのだと農家の皆さんにもわかり得るような措置がなければ、ただ役所の都合でそうなったのだとしか、農家の皆さんとしては理解でき得ないのじゃないか。  どちらにいたしましても、先ほどの足鹿委員のお話のごとく、もう少し積極的に大蔵省にぶつかっていくという気力と熱意を持って善処していただくのでなければ、今年の豪雪被害に対しては、先ほども冗談を言うておりましたように、河野さんが対策本部長として一番先に乗り込んで叱吃激励した気合いけ、非常に当時の民心安定にはよかったけれども、どのくらいのことをしていただけるのだと思って待っている一般の被害者にとってみれば、もうしりすぼみで、何ら前進するところがないというような感じを受けざるを得ないと思うのです。これに対してどういう熱意を持ってどういうようにやっていくかということを、あらためて農林省並びに大蔵省の御所見を承りたい、かように思います。これにつきましては、私たちは微力でありますけれども、御返答によりましては、災害特別委員会でそれだけの措置をするということに早く持っていかなければ、一般の被害者に申しわけがないじゃないかと私は思います。足鹿委員その他の先輩の方々にお願いして、私は、国会だけでもやはり立法して政府の方に押しつけるというくらいの気力でやらなければ、これだけの大災害にこたえるゆえんじゃないということをつくづく考えているのですが、一つ答弁をいただきたい。
  219. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 先ほど申し上げました樹勢回復用の肥料、農薬等の対象には、お茶も特用作物といたしまして対象に含めて考えておる次第でございます。ただし、先ほど足鹿先生にお答え申し上げましたように、零細補助金という過去のそしりを受けました同じ轍を繰り返すのでは意味がない、何かほかの方法ということで、現在それを検討中でございます。  それからなお、お茶のこれに要します肥料、農薬代がどのくらいになるかというのは、実は県からの被害報告、対策報告がまだ参っておりませんので、わかりかねますが、果樹の場合で申し上げますと、ミカンの場合には、大体肥料、農薬含めまして、反当事業費といたしましては三千円程度というふうに私どもは現在承知しております。お茶の場合にも、いろいろ被害報告あるいは対策報告等を受けましてこういう所要金額を算定いたしたい、こういうように考えております。なお、改植、補植の被害がございます場合の措置につきましては、お茶は果樹と同様に扱いまして現在検討中でございます。
  220. 相沢英之

    ○相沢説明員 お茶、果樹等につきまして、樹勢回復のための肥料、あるいは病虫霊防除のための農薬、こういったものの助成は、再々指摘されております通り、三十三、四年ごろまでは確かにございました。しかし、当時におきまして、やはり災害対策として農薬なり肥料なりを補助するということになれば、通常果樹に対してやる農薬とか肥料をこえる分でなければならぬ、そうすると、はたして、そのまいた農薬なり肥料なりがそういうものに該当するかどうか。あるいはまた、はたしてまいたか、まかないかということが非常に確認しにくいということ、それからまた、その補助金が一反当たりにしますとわずか数百円ということになって、非常に零細であるということ、そういったような点で、これは事後に検査等におきましてもはなはだ問題になったところもあった関係もございまして、自今今日に至るまで、そういう肥料やら農薬に関しては、原則としてこれは融資の措置でやるという方針を立てておる次第であります。  なお重ねて申し上げますと、当時は果樹に関します公庫の融資という制度がございませんでしたので、いろいろそういった助成の措置もあったのだろうと思いますが、三十六年に果樹振興法ができます際に、公庫法を改正しまして、果樹の災害復旧というのは、果樹の新価、補植、改植、そういった資金につきましても公庫の融資をすることができるように改めた、あるいは天災法において果樹に対する融資を充実するというような措置をとることによりまして、従来の補助金による助成という措置にかえることにした次第であります。従いまして、先ほどから、農林省で目下検討しているという答弁でございましたが、もちろん、私の方にお話がありますれば、検討するにやぶさかではないのでありますが、目下のところ、そういった部面に対する助成を再び始めるという点につきましては、はなはだ否定的な見解を持っております。
  221. 玉置一徳

    ○玉置委員 今大蔵省のお話によりますと、非常に否定的な、消極的な考え方でありますが、農林省の方ではそれにかわるべき何らかの名案、措置についてお考えがあるかどうか。
  222. 伊東正義

    ○伊東説明員 先ほど足鹿委員の御質問の中で、災害の場合の金利は今の金利でいいかというような御質問がございました。これは私は財務当局ともう一回よく検討しますということを申し上げました。何分にするかということはまだわかりませんが、七分というのはあのままでいいかどうかということは、私は検討する必要があろうかと思います。でありますから、金利の問題等は、融資でいきます場合にもやはり検討する必要があるだろうと思っております。  それから補助の問題でございますが、これは確かに今融資の制度災害の場合にあるのでございます。ただ災害の規模といいますか、個人々々からみますれば、負担の大小の問題等からして、金融だけでいけるかどうかということもこれは問題でございますので、大蔵当局は否定的な御意見でございますが、農林省ではどうしても補助がほしいのだ、やり方については工夫をこらすというようなことの結論が出ますれば、私どもとしてはやはり大蔵省当局に要求はしたいというふうに思っております。
  223. 玉置一徳

    ○玉置委員 これは果樹園芸としまして、農林系統の災害対策特別委員の方では、助成措置がない限りはがまんができ得ない問題であります。こういうように思いますので、せっかく御努力をいただきたい。お順いいたします。
  224. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほどの富谷園芸局長の果樹園に対する二千円というのは、単位は何ですか、一ヘクタールですか。
  225. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 反当たりでございます。
  226. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、相沢さんの今の御認識とはちょっと違うのではないですか。
  227. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 事業費で二千円でございます。つまり肥料代、農薬代全部が相当する部分が二千円見当になる。従って、従来三分の一の補助でございましたから、そういたしますと六百円ということになる、こういうことでございます。
  228. 足鹿覺

    足鹿委員 相沢主計官、あなたの言われることもわからぬではないですよ。だが、今言いましたように、今度のような広範な果樹の被害というものは日本開闢以来です。それではどうしたらいいか、大蔵省もおわかりにならないでしょう。農林省だって、その道の権威者がおられるわけです。学者もおられるわけですが、一体こういう場合には、どういうことをして樹勢回復をし、また応急措置や今後の対策をやることが必要かということについては、今までのわれわれのとってきた措置は、あなたの理屈からいえば、今まで反当五十貫の肥料をやらなければならなかったものが、樹勢回復だから、そのうち十貫オーバーしたものに対する助成だ、こういう理屈なんですね。その通りなんです。やったのか、やらないのかわからない、こう言えばそれまででありますが、それは被害を受けた農民に対して国があたたかい救援の手を伸べたということで、それは相手を信ずる以外にはない。それを疑えば、あとは何をか言わんやであります。そうでしょう。そうなんですよ。ですから、その辺はほかにかわるべき措置がない。あの手この手でいろいろ考えてみると――ただ補助金ほしさにあなた方を口説いてとるというのでなしに、こういう日本始まって以来の大きな被害であり、そうして今後選択的拡大でこれは急速に増産体制を進めていく日本の農作物の中の成長株なんです。それに対して政府が見殺しにする、ただ金融だけだということでは、私はこれはおさまらないと思いますよ。また私どもはそういう理解で今まで園芸局長本部長の御意見を聞いておったら、相沢さんから一言のもとにそう言われて、どうもこのままさようでございますかというわけにはならぬですが、私どもの言うのが無理でしょうか。あなたの言われることもわかるが、私たちの言うことおわかり願えませんか。どうすればいいですか。
  229. 相沢英之

    ○相沢説明員 果樹の被害に対しまして、樹勢回復のための肥料、あるいは病虫害防除のための農薬を補助しろという要求、実はこの補助金を打ち切りました後においても、三十四年の伊勢湾台風、三十六年の第二室戸台風の際にも、果樹の被害が相当大きかったために、非常に要望が強かったのです。おそらく、私うろ覚えでございますが、果樹の被害としては、今回まだはっきり数字は集まっておりませんが、今までの数字では、第二室戸台風のときの方が相当大きかったのではないか、この補助金の要望が当時非常に強かったのでございますが、何せ、その補助金を実施しておりました際に、そういった零細な補助金であるのと、効果が確認しがたいということで、検査院等がだいぶ調べました。そこで批難事項にもかなり上がっております。そこで、むしろそういった零細補助金を、つまり実効の確認しがたい零細な補助金をやるよりも、それにかわる、より適切な方法として融資をやったらいいじゃないかというふうになったのだろうと承知しております。ということは、ちょうど農地、農業用施設の小災害につきましても、昭和二十八年の西日本風水害の際等には一件三万円まで対象を下げて補助しましたが、これもそういった点で実効上非常に問題がありました。そこで、今回の激甚災の法律におきましても、起債に対する元利補給というような制度に切りかえられた。そういったような軽微な被害でございますので、私どもとしましては、やはり樹勢回復のための肥料、あるいは農薬といったようなこういう零細な補助金をやるよりも、やはり融資の制度をできるだけ活用するという方途によって果樹の災害復旧に対処すべきであるというふうに考えておるわけであります。
  230. 足鹿覺

    足鹿委員 この点は非常に重要な問題でありますので、委員長、われわれ特別委員会としましてはさらによく検討を加えることといたしまして、これで議論をいたしておりましても切りがありませんから、農林省も真剣に御検討になってしかるべきだろうと思います。私どももよく検討してみたいと思いますが、私はただいまの相沢主計官のお考えには同調できません。一言だけ申し上げておきますが、融資々々とあなた方は言われますが、問題は、そう簡単に金が借りられる条件の農家がはたして現在どの程度あるかということですよ。簡単におっしゃいますけれども、よほどの有利な金融条件でない限り農家は借りられません。いわんや、最近前途を見込んで樹園地を開設するものについては、相当無理な金を借りて樹園地を開設しておるのであります。その上に、あなたは金を貸す金を貸すとおっしゃいますが、なかなかそう簡単に借りられるものではありません。そういうことだけは実情をよく御認識を願って御再考を求めておきます。これ以上申し上げません。  次に、蔬菜園の施設の被害に対する対策と葉たばこについての被害対策を関連して伺っておきますが、種子の助成等はやれない、今のところ考えておらないということでありますが、昭和二十九年には助成した事例もございます。これは台風被害等であったと思いますが、性格が違いますし、私どももあまり先例にこだわっておりませんが、蔬菜等の被害をどう見るか、今後これの対策をどうするかという角度から十分検討していただきたいが、ただ一点だけビニール・ハウスなどの新しい施設が被害を相当受けております。これは手放しにすることはならないように思うので、いかように御検討になっておりますか。天災法の融資の対象以外に、公庫の個人施設としての融資の道があるだけでありますが、何かこれについては御検討を願わなければならぬのではないかと思っております。これは新しい被害のケースであります。それだけあなたにお尋ねして、あとは専売公社に一つお伺いします。
  231. 富谷彰介

    ○富谷政府委員 ビニール・ハウスの場合は、大体ビニール代、支柱代として坪当たり三千円程度の費用を要するものと私了解しております。従って、金額的にはそう大きな金額でもないのでございます。それで、私どもはただいまの考えでは、天災融資法等の発動があった場合に、これによる経営資金でまかない得るのじゃないかという考え方を持っております。
  232. 足鹿覺

    足鹿委員 十分一つ検討願っておきたいと思います。  次に、たばこの被害の問題でありますが、たばこ専売法によりますと、耕作者が三〇%以上の被害を受けた場合は、平年度収納代金の十分の八と当該年度の収納代金の差額の二分の一以内を補償するということになっておる。これは本国における被害の場合でありますが、今回は適期に苗床設置が困難になっておる。従って、苗床をどこかへ委託していかなければならないような事態も出てきておりましょうし、無理をして積雪を融かした中に作業をすれば、非常な高い経費を費しておると思います。また、前床そのものの遅延によって本圃定植そのものも大きな支障を生ずるでありましょうし、本国の風よけ用の麦類は全滅に近い被害を受けておりまして、従って、風よけあるいは霜よけ等の施設もさらに必要となってくるでありましょう。そういった点について専売当局は全国的にどのような被害とお認めになっておるか。案ずる必要はないというようにお考えになっておりますか。産地あるいは私ども地方におきましても、また北陸その他における地帯においては、相当これは問題があろうかと思います。なお、降雪等によって長期に交通が途絶し収納障害等が起きておりはしないか、また、収納がおくれることによって品質の低下等による耕作者の被害等があった場合には、どういう措置を講じておるか、それらの一連の問題に関連をしてこの際とっておられる措置なり御意見がありましたら承っておきたい。
  233. 黒田実

    ○黒田説明員 ことしの葉たばこについての被害状況からまず申し上げます。  御承知のように、たばこの耕作季節外でございますので、直接の葉たばこに対します被害はなかったわけでございますが、一月の下旬におきまして降雪地帯におきまして収納の済んでないところが若干あったわけであります。そういうところで雪のために予定通り収納することができずにあとにおくらしたところが若干ございます。若干と申しましても、新潟県の長岡、新発田、この二カ所でございまして、あと一、二日計画を繰り下げたというようなところが若干ございますが、全国的に九カ所の取り扱い所で雪のために若干計画を変えたということでございまして、現在のところ、三十七年産葉たばこについての被害は報告を受けておりません。ただ収納がおくれたということでございます。それに対しましては、特に予定された時期に代金が入らないということで非常に困るという方に対しましては、つなぎ資金のあっせんということもやっておりますし、また納付未了の方が収納時か、その後におきまして持って来られる場合の手助けとしまして、緊急の輸送措置指定あっせんをするということも現在やっておるわけであります。  それから今回の雪のためにことしの苗床が非常に困るじゃないか、あるいは本圃におきますところの前作がだめになっていろいろ障害があるんじゃないか、そういう心配は確かにあるわけでございまして、私どもといたしましては、現在現地におきましてそういう問題を十分調査させまして、重点的に技術指導をやっていくということを考えております。一部の地帯では確かに苗床の準備がおくれまして耕作がおくれるおそれもありますが、なるべくそういうことのないようにということで、現在地方の末端に対しましてはいろいろ指導もしておるわけでございます。そういうことで、先生のおっしゃいますように、ことしのたばこ作につきましていろいろなことが一応予想されるわけでございますが、まだどういうことになるのか、将来のことでございますので、私ども事前に万全の対策を講じまして重点的な技術指導をしていきたいというふうに考えております。
  234. 足鹿覺

    足鹿委員 苗床の問題については技術指導のみでありますか。顕著な事例として、委託をしなければならぬ、あるいは共同育苗に踏み切って、どこかで出作をして苗床をつくらねばならないような事態も出てくるのではないかと思いますが、それらは通常の公社の指導経費あるいは対策費等で、特段の措置を必要としないかどうか。そう全国にわたってそういう状態があるとは考えられませんが、私が指摘したような事態については通常の経費において万全を期し得る、こういう御上言明があれば、あえてこれ以上申し上げませんが……。
  235. 黒田実

    ○黒田説明員 先生のおっしゃいましたように、苗床の問題につきまして非常に懸念される地帯はごくわずかでございます。ごくわずかでございますが、その中で、それじゃ通常の経費でやっていくのかどうかという御質問でございますけれども、私ども耕作団体にも十分協力を求めまして、たとえばいろんな条件でこの地区について苗床の設置しがたいというときは、ほかへ共同苗床をつくって余分の苗を生産して譲渡する、こういうことも当然考えなければいかぬと思いますし、私どもまだ末端の現実の実情を把握しておりませんが、おそらく現地で適切な処置をとっているというふうに考えております。
  236. 足鹿覺

    足鹿委員 この程度で、また必要があれば後日申し上げたいと思います。  次に、飼料及び春肥の確保問題に関連をしまして、特に飼料問題及び酪農関係、畜産関係を一括してお尋ねをいたします。  中心は飼料の問題でありますが、二月十三日の本委員会で農林省の説明では、一月二十二日に百八十トン、二月一日に千九十トン政府手持ちのふすまを放出しておると言っております。今後も必要に応じて放出する予定であると言っておりますが、その後の放出の状況はどういう状況であるか、放出条件等、たとえば現金に苦しんでおるでありましょうから、代金の延納とか、いろいろ特段の配慮等を講じておるのかどうか、その現況について承りたい。
  237. 村田豊三

    ○村田政府委員 ただいま御指摘がございましたように、一月と二月、二回にわたりまして、新潟、富山、京都の食糧事務所に手持ちいたしております政府所有のふすまの放出を合計千二百七十トンいたしたのであります。その後、各府県の政府手持ちのふすまの放出の要望等を引き続き取りまとめ中でございましたけれども、県からの要望がほぼ概数が確定いたしましたので、三月の七日、来週でございますけれども、第二次のそれぞれ災害県に対します災害対策用としての政府ふすまの放出を考えております。ただいまのところ、新潟の食糧事務所から三百トン、富山から四百八十トン、京都から三百五十トン、合計千百三十トンを三月の七日に売却する予定にいたしております。なお、この売却の価格でございますけれども、御承知のように、政府手持ちのふすまは特別の安売りの価格でございますために、特にこの代金の延納等の特別の措置は講じておらないのであります。
  238. 足鹿覺

    足鹿委員 実需者への確実な入手対策はどういうふうにしておられますか。
  239. 村田豊三

    ○村田政府委員 政府の手持ちのふすまが確実に実需者に渡りますためには、食糧事務所からふすまを放出いたします場合に、これは一般の取扱者に放出するわけではございませんで、政府指定いたしております。たとえば全購連でありますとか、あるいは全開連でありますとか、全酪連でございますとか、特定の需要者団体を指名いたしましてそのものに売却をいたし、かつ、売却をいたします際に、これは雪害対策川であるということで、末端配給と申しますか、末端販売の確保をはかるような指示をいたして参っております。
  240. 足鹿覺

    足鹿委員 安売りとおっしゃいますが、価格は一袋当たりどれくらい市価と差があるのでありますか。
  241. 村田豊三

    ○村田政府委員 政府がただいま手持ちのふすまを売却いたしておりますのは、三十キロ裸で五百九十九円で出しておる。それに包装費でございますとか、あるいは若干運賃等がかさみましても、市価に比べまして、三十キロ一袋当たり百円ないし百数十円、その程度の差があると承知しております。
  242. 足鹿覺

    足鹿委員 問題は、実需者へ確実にどうやって手渡すかということがいつも問題になるわけです。たとえば全購連なら全購連というものは系統農協を通じて行くでしょうが、全開連もそうでありましょう。全酪連とおっしゃいましたが、そういう末端の整備された機関とそうでない機関、また末端は、市町村役場なら市町村役場が、被害農家、酪農家なり畜産農家に対する放出飼料を受け、取ることを証明するものと引きかえに、チケットを引きかえにするとか、何らかの方法で確実にこれを渡さないと――従来実需者に放出飼料が渡らないのに問題があるのであります。もしこれが渡らないということになるならば、われわれは容赦いたしません。断固として今後この飼料問題については徹底的にメスを入れる所存であります。遺憾なきを期していただきたいと思います。  それで、新潟、京都、富山の食糧事務所から放出したというのですが、第一次、第二次の放出府県別数量、それから第二次の府県別数量は幾らでありますか。
  243. 村田豊三

    ○村田政府委員 放出をいたしました食糧事務所は、新潟、富山、京都、ここは御承知のようにそれぞれ港の食糧事務所でございまして、二てこで政府が持っているわけでございます。これをそれぞれ要望のございます府県に第一次、第二次で合計千二百七十トン、第三次、今回来週やろうといたしておりますものが千百三十トン。御承知のように、政府がどこの事務所にも輸入ふすまを必ず持っておるわけではございません。輸入港の所在いたします特定の食糧事務所でございますが、配給をいたします県は、要望のございますそこの近県でございまして、一例を申し上げますと、新潟の事務所から……。
  244. 足鹿覺

    足鹿委員 あとで資料でいただきましょう。
  245. 村田豊三

    ○村田政府委員 口頭で府県別を申し上げますと、新潟は新潟、山形、秋田、福島、富山から出しましたものは石川、富山、福井、岐阜、京都から出しましたものは京都、鳥取、高根、こういう実績でございます。- ただいま申し上げましたのは、来週、三月七日やります予定の府県でございます。
  246. 足鹿覺

    足鹿委員 実績と、ただいま申されましたものを府県別に資料として御提示を願いたいと思います。  それから、申請のあったものということなんですが、郵便も行かない、電話もかからぬ、飛行機で食糧、衛生品等の投下を受けているようなところはどうにも処置がつかぬわけなんですね。これは知事の裁量ということである程度やっておると思うのでありますが、もっとそれは本格的にやっていただきたいと思います。  これに関連をいたしまして、私は最近、暖地あるいは中間地帯等における不時の豪雪あるいは寒冷に苦しんでおる地帯の農村へ入りまして、昨日朝帰って来たわけでありますが、水田裏作飼料、畑作飼料その他が全滅をしておるということであります。特に関西は御存じのように進んでおるのですが、水田の作間肥料に根部は残し、茎葉部はこれを乾燥して牛馬の飼料に供する慣習が全国では一番多いのであります。ところが、これが全くふだんの用意がございませんから、耐寒冷品種あるいは豪雪時における措置というようなものがとれませんために、麦よりももうへたにいっておる。これも田畑輪換等による酪農の普及、畜産の奨励によって水田にいろいろなものがたくさん入っております。ところが、これには全く救済の措置がないというので、いろいろな声を改良普及員等からも聞き、私も現地へ行って見て、これでは処置がつくまいという心配をいたしております。これらに対しまして対策として私が考えることは、田植えまでに早刈りでとれるような飼料作物の種子の配給等はできないものか。そういう品種の飼料作物があるかないかということは、私はしろうとでわかりませんが、農林省で研究しておれば、そういうものを早急にやってもらいたい。これをやらないと大へんなことになります。  それから、第三次までの飼料の放出は救急の放出であって、今私が述べたような、あてにしておった水田裏作あるいは畑作の飼料が壊滅になったときのこれに対する救済用のふすま、あるいは麦類の飼料用放出ということが必要な措置となってくるのではないか、この点を私現地を見まして痛切に感じましたので、この放出ふすま対策にあわせて御検討願いたいと思いますが、いかがでありましょうか。
  247. 村田豊三

    ○村田政府委員 飼料作物の今回の雪害でございますけれども、私ども各県からその報告を受けております。これはやはり季節的に間に合いまする追播用の飼料作物種子の購入助成等の措置は講じて参るべきであろうと考えまして、ただいまその方の準備をいたしておる段階でございます。  それから、一般的に飼料対策が今後必要になって参るのではないかという御指摘、まことにごもっともでございまして、ただいま私ども特別に雪害対策として府県に制度ふすまを配給いたしておりますけれども、そのほかに一般用の売却を定期的にいたしておるわけであります。政府の手持ちのふすまは相当ただいま持っておりますから、それを定期的に一般用のふすまとして各県に払い下げをいたしておるわけでございますが、その払い下げにあたりましても、ただいま足鹿先生の御指摘のような点を考慮に入れて、さらに今後の払い下げにつきまして検討して参りたい、かように考えております。
  248. 足鹿覺

    足鹿委員 万遺憾なきを期していただきたいと思います。酪農家みずからも、死活の問題ですから、一生懸命にやるでしょうが、やはり激励をし勇気づけるということでないと、立ち上がりがなかなか困難だろうと思いますので、万全を期していただきたいと思います。期待をいたしております。  その次は、これはもう過ぎ去ったことでありまするが、現在でもある地帯があると思いますけれども、集乳施設の設置の問題についてもっとふだんから対策が必要ではないか、また集乳路線というものを確保して、そこまでとにもかくにも出せば、乳を腐らさすに済むようなふだんの対策が必要ではないか。少なくとも酪農振興法によって地域指定を受けた地帯等については、本省としてはそれくらいの対策は常に用意すべきではないか。これは過ぎ去ったことでもありますが、今後考えなければならぬと思いますし、容器あるいは運搬施設等についても、ビニールの容器の中へ詰めたというものもございますが、そのビニールもなかなかその場になって手に入らないから、ふだんから用意しておかなければならない。そういうような点で、雪上車のような簡単なそりをつけた、いざりの勝五郎式のものでもひっぱって出れるというようなものでもけっこうであります。小はそういうところから、雪上車、それから集乳施設、集乳路線、そういったようなことが考えられないと、奥地あるいは豪雪地帯の酪農家はみすみす乳を腐らしてしまわなければならぬ。これには共済組織もなければ、会社はこれに対して何らの救済の手も伸べない。全く見殺し同様であります。それでなくても、村田さん御存じのように、乳価の値下げで御苦心になっておるでありましょうし、農家は困っておるのです。そこで、この状態でございますが、その点についてどのように今後対処されようとしておりますか。できれば、ビニール袋等で代行したものに対しては、何か奨励の意味で考えてやるとか、何らかの措置が必要ではないか。腐った牛乳というものがどの程度あるか私ども全くわかりませんが、これは統計事務所でわかるものでしょうか。この豪雪で乳が搬出不能になって金にかえることができなかった、これは災害補償法の対象にも何にもなりませんね。これは見殺しでしょうか。
  249. 久我通武

    ○久我説明員 われわれもできるだけ調査をするように命じておりますけれども、先生のおっしゃった通り、これはなかなか正確にわからないというのが、正直な実情でございます。どの程度腐ったのがあるかということは、調べるということにはなっておりますが、しかし報告といたしましては正確な報告は集まってきておりません。ところによりまして、この程度腐ったのがありますよという情報が入ってくる程度であります。
  250. 村田豊三

    ○村田政府委員 ただいま御指摘のございました集乳施設等についての措置でございますが、今回初めての大きな経験をいたしたわけでございまして、ただいま御指摘のございましたように、集乳カンが足りないので急遽ぽリエチレン袋の特配をした、それを雪の中に一週間くらい埋めて腐敗を防いだという、実はその程度の報告は私どもも受けておるわけでございます。平素からの対策といたしましては、御承知のように、クーラー・ステーションでありますとか、あるいは集乳検査施設等につきましては、従来から農林省で補助いたしておりますけれども、しかし、それは相当集乳量のある施設に対する補助でございまして、ただいま足鹿先生はもっと手っとり早い雪上車の例を御引用になりましたけれども、私どもは、各県が今回の緊急事態に対処してどういう措置をそれぞれとられたか、実はもう少し実態の調査もしてみたいと思っておりますが、きわめて簡単には、ポリエチレンの袋などを常時配給しておいてはどうかという御指摘を承っておりますけれども、はたしてそういうことだけで間に合うものなのかどうか、何分にも異常な事例でございまして、これらの点についてもっと具体的な検討を進めて参りたい、かように考えております。
  251. 足鹿覺

    足鹿委員 十分御検討の上、御善処願いたいと思います。  もうあと二項目余りでありますが、林業関係についてお尋ねいたします。倒伏造林木の補植、雪起こし事業、なだれ防止林造成事業に対する措置いかんということが主たる質問でございます。林野庁は、聞くところによると、雪の下で被害もわからぬし、いかようにも仕方がないというので、手を上げて傍観をしておられるという話でありますが、ほんとうでありますか。
  252. 若江則忠

    ○若江説明員 ただいままでに林野庁に入りました立木関係被害は、県の報告を集計いたしますと、材石で八十数が立方、金額にいたしまして約五十億という数字になっておるのでございますが、このうち、地域によりまして、倒伏し、あるいは割れてしまって、将来成林の見込みがない材石あるいは面積が幾らあるのか、さらに、現段階におきまして若干の人工的な保育、撫育をやることによりまして将来成林が可能の見込みである面積あるいは材石が幾らになるのか、さらに第三段階といたしまして、現在は雪の下に完全に埋まっておりまして被害が確認できないもの、この三段階に分けまして、県にさらに内容的な調査を今依頼しておるのでございまするが、第一段の、完全に成林の見込みのない地域につきましては、再造林の手段を考えたい。第二段は、現在手入れをやることによりまして将来成林する見込みのある森林につきましては、公庫融資を活用いたしまして、雪起こし、撫育等の事業をしていきたい。第三段階は、現在はわからないけれども、逐吹雪が解けるに従いまして被害がある、被害がないという地域につきましては、判明次第再度御報告を願う、このことによりまして措置をするというふうに考えておる次第でございます。
  253. 足鹿覺

    足鹿委員 具体的に申し上げますと、少なくとも十年未満の造林木の倒伏処置、これは西日本の例で、私は鳥取でありますが、中国地方日本でも有名な人工造林の発達した、園芸造林とさえいわれる地域でありますが、きわめて雪が重い、従って、十年成育くらいのものが全部倒れてしまって、全くお手上げという格好であります。また、ところによっては、二十年生の松がやられ杉がやられるという事例もあると聞いております。これはほっておけばまただめになる。雪起こしをすれば何とか役に立つ、やりたいけれども、地域は広範でいたし方がないというのが、あなた方のこの前の御答弁であったわけでありますが、融資だけでこれはおかまいにならないのでありますか。こういうときには、林野会計はなかなか裕福なのでありますから、思い切った措置をおやりになることが必要ではないかと思いますが、具体的にはまだそういうところにまで対策が進みませんか。早くおやりにならなければいかぬと思うのです。
  254. 若江則忠

    ○若江説明員 その通りでございまして、今申し上げました三つの区分に従いましての県からの調査を待ちまして処渇いたしたい。ただし、早急に雪起こしをする必要があり、すれば効果があるという分につきましては、先ほど申し上げましたような公庫の造林資金あるいは林業経営維持改善資金を活用するというふうに考えておるような次第であります。
  255. 足鹿覺

    足鹿委員 次に、炭がまの改築でありますが、これは製炭施設が山間部に立地条件からしてあります。特に降雪被害を受けた製炭従業者は全く困窮しております。休業による被害ということはもちろんでありますが、この人々は全くこのごろは行き詰まっておりまして、原木高の製品安で、山林労働者としては一番困っておる人々であります。その日の生活にも事欠いておる人々が炭がまの損害を受けた場合に、その復旧措置を助成してやらなければ、これは金融機関などというような、そういう段階では解決つきません。林野庁は国有林の管理だけをふだんやっておられますが、林野庁は民有林に対するところの対策が日ごろ欠けておる。国有林管理庁とでも名前を改めてしかるべきでしょう。もっとこういう民間の関連産業、特に私が指摘しておりますような炭がまの増築、改築等については、特段の措置をこの際やられるかどうか、いかがでありますか。これは林野庁上長官の責任ある御言明をいただきますか、あなたからかわってやるとおっしゃいますか、いかがでしょうか。
  256. 若江則忠

    ○若江説明員 炭がまの被害につきましても、現在一万数千基の被害報告が参っておるわけでございますが、仰せられましたように、炭がまの復旧につきましては、天災融資法による資金融通の道があるわけでありますが、過去の災害で炭がまの復旧に対しまして助成した例が、狩野川台風当時あったのでございますので、今次災害につきましても、助成の対象にし得るのではないかというふうに考えてもおるわけでございます。ところで、本年度直ちに行なうとした場合に、雪におおわれた地域で、しかも三月末までに復旧を完了し得るような基数が幾らあるのかという点を現在照会中でございます。これがまとまりまして、従前の施策とも均衡をとりながら、関係当局と打ち合わせをいたしまして、早急に手配をいたしたいというふうに考えておるような次第でございます。
  257. 足鹿覺

    足鹿委員 それは指導部長、調査を待って方針をきめるのでなしに、炭がまについては助成するから希望を出せ、こういう英断が必要なんですよ。そんな手ぬるいことではだめです。こういう零細の中の零細な人々に対しては、政治は生きているのですから、そんな三月中に報告を待って調査をしてなんということではだめですよ。これは林野庁の長官なり本部長の権限においてこれくらいのことをやる。たったこれしきのことができないというようなことでは、もう全くだめですね。林野庁なんというものの存在は、国有林管理庁と名前を改めたがいい。もっと民間の林業等に対しても真摯な態度で臨んでこそ、林野庁でありませんか。私は山の問題もいろいろありますが、今さしあたって一番この人々が困っておると思うのです。こういう方針が政府からきまった、雪が解けたらすぐやろうぞ、こういう勇気を与えるためにも、決意を持ってまず通牒をお耕しなさい。本部長いかがでしょう。
  258. 伊東正義

    ○伊東説明員 先ほど果樹の場合に申し上げたのでございますが、先生おっしゃるように、炭がまの問題等は、おそらく一番お金のない層の人々だと考えております。これにつきましては、私どもの中で補助金と金融の整理をしましたときに、こういうものについてはまっ先に助成の要求をしようじゃないかということを中では考えておりますが、先生のおっしゃいますように、やるときめますためには、大蔵省当局と完全な了解がつきませんとできません。しかし、農林省内部ではそういうふうにしたいと考えております。
  259. 足鹿覺

    足鹿委員 大蔵省いかがですか、炭がまの問題は。
  260. 相沢英之

    ○相沢説明員 またお気にさわるようなことを申し上げなければなりませんが、炭がまの補助は、確かに三十四年狩野川のときに例がございました。当時補助率は、二万円までにつきまして十分の二という四千円程度でござ・います。これもどうも炭がまというものが、はたしてほかの農業用施設ないしは共同利用施設みたいに、いわゆる施設ということで考えられるかどうか。大体私聞いておりますところでは、三年もすればとにかくまたつくりかえなければならない、場所も移る。そういうようなものは、炭がまを構築するための資金というものは、性質としてはむしろ営農資金に近いものじゃないだろうかというようなことがありまして、現在は天災融資法の対象になっておるわけであります。そこで、三十四年以降は、天災融資法による融資と、それから特に必要があります場合に公庫の融資対象に加えるという措置をやって今日に至っておりますので、過去においても炭がまの被害等につきまして助成要求はございましたが、そういったような措置で今日に至っております。またこの補助を復活するという点につきましては、農薬の補助と同じように、問題があるというふうに思っておる次第でございます。
  261. 足鹿覺

    足鹿委員 これは一連の大蔵省の方針ですから、相沢さんがここでそう簡単に方針をくつがえすということはできないでしょうが、人間としてお互いがこうやって質問する者と答弁する者とでやりとりをしておれば、大体この問題がいかに切実であるかということはおわかりのはずだと思うのです。私はこれ以上申し上げません。大蔵省が営業施設とみなして、こういうようなまことに合理的な冷たい態度でもって処理し切れる問題ではないと思うのです。政治の要諦というものからして――常時ふだんに何でも国の補助を求めるという考え方は、私は間違いだと思うのです。しかし、こういう不慮の、しかも一番山村の底辺にあるこの人々の生活をあなたは知っていますか。実に目をおおうし、動物の生活をしていますよ。しかも不断に山から山を原木を追って動いておりますから、常に災害に――雪ではありません。災害に見舞われる危険率も多い。しかも原木は高くて、製炭は、だんだん普通の光熱、ガス、電気、すべてのものに追われてきますが、経済燃料としてのこの種のものの需要がないとは言えません。この人々がほかに行く道がない限り、救ってあげなければならぬと思います。そういう点については、一片の合理的な考え方ではなしに、一つ十分に御配慮を願いたいと思います。林野庁なり農林省といたされましても、断固として何らかの措置を講じていただきたい。もしできないということであれば、われわれ委員会委員会として何らかの措置検討する必要があるかと思いますが、これ以上申し上げません。  最後に林野関係で申し上げたいことは、これは一般論の際にも出ましたが、なだれ防止地帯指定、その地域における森林等の伐採制限あるいは段切り措置といったような一連のなだれ防止対策、これに関連する防雪林事業、その事業量の拡大、補助率の引き上げ、早期着工、こういったものは一連の関連を持って早急に、しかも長期の展望に立ってやらなければならぬことだと思います。今まで経験のなかった地帯でも、全く細田委員が午前中に指摘された通り、乱伐、過伐によって、思いもかけない命までも失うというような悲劇が特に山陰地区には多いのでございます。従って、これらに対しましては、応急措置以外には何ら方法がない、かかって今後の措置にあると思うのでありますが、これは林野庁所管としてなだれ防止地帯指定する――今までも指定してあるかもしれませんが、民有林等を伐採制限で拘束しているというような措置は、私ども存じておりません。防雪林の事業量の拡大、その補助率の引き上げ状態はどういうふうになっておるか、また今後の早期着工体制はどういうふうに進められる御所存でございますか、これを一つ伺っておきたい。私は聞かないからというのではなしに、考えておられる最大の具体案を示していただきたい。  それから、時間を節約する意味におきましていま一問、関連産業としての製材業等が全くお手上げであります。これに働いておる労務者等は、これは中小企業でありますから、ほうり出されたままであります。これらにつきましては何らかの林野行政、その関連産業として救済措置あるいはその他の応急措置等を講じてこられましたか、今後どのように講じられるという御所存でありますか、この二点を伺いたい。
  262. 若江則忠

    ○若江説明員 なだれ対策でありますが、民有林におきまして、なだれ防止のために一定の森林を指定いたしまして施業を制限する、つまり伐採制限をいたす分といたしまして、いわゆるなだれ防止保安林という制度がございまして、三十七年の三月末現在で、北陸、東北方面を主体にいたしましたなだれの危険がある地域で現に指定しておりまする保安林が、一万三千六百ヘクタールございます。なお、自後なだれ防止林業施設を施行しつつその地域を保安林に指定して参っておるわけでございますが、事業といたしましては、昭和三十五年度から始まりました治山事業十カ年計画計画的に事業を遂行しておるような次第でございます。当十カ年計画計画いたしておりますなだれ防止施設の総量は、二千八百三十八ヘクタールでございますが、そのうち、三十五年から三十七年の三カ年間に七百六十九ヘクタールの防止林造成を了しまして、三十七年度は二百四十九ヘクタール、三十八年度は、計画によりますと二百八十六ヘクタールというように、十カ年計画に対しましては所定の伸び率以上に伸びておるわけでございますが、今次豪雪にかんがみまして、さらに防止林業施設を施設しなければならぬところも多数出ているやに思われますので、ただいま関係県と事業個所の打ち合わせ、調整をいたしておる次第でございますが、さしあたり三十八年度計画といたしましては、今次豪雪にかんがみまして、できた個所につきまして所要の個所の変更等を行ないまして、緊要なものを優先いたしまして事業の中に組み入れたいというふうに今考えておる次第でございます。  なお、事業は、もちろん、仰せのように、雪が解けましたならば早期に着工し得るように補助金交付等も急ぎたいというふうに考えております。  なお、補助率の引き上げでありますが、当事業は、治山事業施設の中で二分の一の補助が与えられておりますが、今次の豪雪にかんがみまして、なだれ防止林業施設の重要性が痛感されておりますので、別途、豪雪地帯対策特別措置法等の基本計画の中におきまして、関連する事業と均衡をとりながら、必要ならば補助率の引き上げ等も今後考えておる次第でございます。
  263. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、なだれ防止地帯指定というものは、現行の何らかの法律によって伐採制限等は可能であるわけですね。
  264. 若江則忠

    ○若江説明員 そうでございます。
  265. 足鹿覺

    足鹿委員 わかりました。  製材関係は……。
  266. 若江則忠

    ○若江説明員 後段の製材業関係に対しまする林野庁の対策というふうな御質問であったかと思いますが、製材業関係も、あるいは施設としての被害を受ける、あるいは原木の供給がとだえるというふうな点等で資金繰りに悩む、あるいは製材労務者に対する賃金の支払いにも困るというような事態等も伺っておるような次第でございますが、国有林材を払い下げをいたしましても、これが搬出を延期しなければならぬ、あるいは代金の再延納をしなければ困るというふうな事態等を聞きましたので、この分につきましては、必要に応じまして、搬出期限の延期あるいは代金の再延納等につきまして、関係省とも協議をいたしまして、それぞれ処置をしつつあるような段階でございます。なお、今後の原木の供給等につきましても、国有林の所在する地域につきましては、十分継続して事業の営めるように原木の配材等も考えていただきたい、あるいは施設の復旧等につきましては、中小企業金融公庫に従前もお願い申し上げまして資金の融通をお願いてきたところでございますが、今回も取りまとめて長官からお願いをするというふうにいたして参っておるのであります。
  267. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題は、別に農林委員会に法案が出るそうですから、そのときにみっちり申し上げますが、今のあなたの御答弁は上っつらの御答弁で、満足できません。あなた方の国有林の払い下げの時期は、雪が降るようになってからおやりになるのです。そういうように実際にお役所仕事でなっておるのです。ですから、雪害ということになりますと、ますます困るのです。これはまた別に申し上げますが、今のあなたの御答弁では満足はいたしませんけれども、御誠意はあるようでありますので、あえてこれ以上は申し上げません。  いま一点、融雪がこれから起きますと、林道が融雪で泥沼になって、雪が降ったとき以上にまた困った事態が起きると思います。これらの林道の復旧、小災害の助成というような点に、市町村または市町村を単位とする森林組合等に何らかの対策措置を講じておられますかどうか。森林組合といっても、これは農業協同組合よりも強いところもありますが、どちらかというと弱い組織ではないかというように私どもは見ております。いずれにいたしましても、林道は山村における唯一の交通機関になっております。ところが、近時これに普通のトラックあるいはダンプカーその他のものが乗り入れて、全く修理もできないで放置されておる。しかも、この雪解け後にどんどん伐採が進んでいった場合には、一体どのような事態になるだろうか、人間の通る道路ではないような事態が起きはしないかということを案ずるのであります。そういった点は開拓関係にも同様に言えると思うのであります。農地局長にも申し上げておきますが、これらの一連の奥地の交通確保については、これはあなた方の御想像以上の状態が起きると思います。いわゆる修理資材の大量の投入、あるいは労賃の補助等、あらゆる対策を講じられないと、これは開拓道にいたしましても、林道にいたしましても、その他の舗装をしない道路は、特に奥地においてはひどい状態になろうかと思います。これらの点について何らかの対策をこの際持っておられますならば、明らかにしておいていただきたいと思います。
  268. 若江則忠

    ○若江説明員 林道施設の災害につきましては、現在までのところ、ほとんど被害報告がきておらないような状況でございますが、仰せのように、融雪時にかなり施設災害が発生するであろうという予測が強いわけでございますので、融雪時におきまする被害発生を防止し、あるいは軽減するために、過般、知事さんから管下の市町村長あるいは森林組合等の管理者に対しまして、木造橋等が融雪時の流水によりまして流亡することのないように障害物を除去する、あるいは排水施設をできるだけ早く整備するとかいうような御依頼の通牒を出したのでございます。雪解けを待ちまして林産物が山から出るときにかなり林道が損壊されるというようなことも予想されますので、林道は公道と違いまして共同利用的な施設でもあり、この林道を使用して林産物その他を輸送せられるいわゆる利用者が、共同いたしまして融雪時を待って砂利、砂等を路面に散布いたしまして、路面の応急修復をしてからお使いいただくということは、毎年のように示達いたしておるのでありますが、当年はさらにこれを管下の市町村、森林組合等、林道を管理しておられる主体の方に徹底していただきまして、利用者と協力いたしまして融雪時の災害並びにその後の維持管理に十分な一手配をいたすようにいたしたい、かうに考えておるような次第であります。
  269. 足鹿覺

    足鹿委員 開拓地も同様ですね。
  270. 任田新治

    任田政府委員 同様でございます。
  271. 足鹿覺

    足鹿委員 では、スピード・アップしまして、もう一、二点です。これは約束のことをきわめて簡潔に私は問うつもりでありますので、委員長においても御了解を願って、もう少しおつき合いを願いたいと思います。  被害漁業者に対する問題でありますが、これは冒頭に徳安総務長官等にも申し上げましたが、何しろ今次の災害豪雪の陰に隠れて、風浪による出漁不能、これに関連する産業への影響というものは比較的表面に出てこない。この対策というものは私は非常に重要であろうと思うのであります。今までに例のないケースであります。従って、これは新機軸を出していただかなければならぬと思うのでありますが、事は非常に多方面に関連をしておりまして、これは徳安長官に申し上げた点は省略をいたしますが、水産庁としても万全を期していただきたいと思います。  問題の第一は、水産庁自体としてこの際とるべき措置について申し上げますが、漁業者の休業に対して経営資金を低利で貸し付けるため、漁業経営安定資金を、構造改善事業実施地域に関係なく、今回の災害者に貸し付けられるよう早急に措置される御意思ありやいなやということが第一点。  第二点は、真珠母貝、ノリの施設等の災害復旧についても、農林水産業施設暫定法の適用として救済することについて検討する用意があるかどうか。また、今後融雪期に予想されるであろう内水面における淡水魚の養殖施設等の融水による決壊等について、天災融資法あるいは公庫資金以外の方法で救済することをあらかじめ考えるとともに、この災害未然防止等についていかような対策を持っておられますか。  この二点をまずお尋ねをいたしておきたい。
  272. 橘武夫

    ○橘説明員 漁業者の冬季風浪による出漁不能による被害と申しますか、これは、お尋ねのように、一般の物的な施設なりその他の災害とはかなり趣を異にする、他に例のないものでございます。なかなか対策としては立てにくい面がございます。先ほど来総務長官その他との間にいろいろ御議論が出ておりますが、水産庁自体としての対策としては、さしあたり、農林中金その他の系統信用機関を通じましてすでに貸し付けられておる資金の期限の延長その他の条件の緩和、あるいはつなぎ資金の融資というようなことを指導しております。なお、その融資の円滑をはかるために、中小漁業融資保証法に基づきまして行なっております融資の保証を積極的に活発に活用していく。県によりまして、その融資保証ワクの不足しております鳥取、佐賀その他二、三の県につきまして、すでに融資のワクを拡張するような措置を講じております。そういうことで、さしあたっての経営資金の融資には遺憾なきを期して参りたいと思いますが、お尋ねの構造改善経営安定資金の問題は、農業構造改善という考え方とからみましての資金でもございますので、その構造改善の指定地域につきましては経常資金の融資が当然考えられるわけでありますが、ただいま御質問のございました、その地域と関係なしにそれを一般に広げるかどうかというのは、なお今後私どもとしてはその融資の必要性をも考え合わせまして検討し、必要があれば財政当局とも打ち合わせをいたしたいというふうに考えております。  それからノリ、真珠その他の被害につきましては、今後その生産物の被害あるいは施設の災害につきまして天災融資法が発動されますに応じまして、天災融資法による融資、あるいは公庫からの災害復旧資金の融資によりまして対処いたしたいというふうに考えております。
  273. 足鹿覺

    足鹿委員 淡水魚の問題はどうですか。
  274. 橘武夫

    ○橘説明員 淡水魚の被害につきましても、そういう被害が起こりました場合には、同じように天災融資法の対象になるわけでございますが、お尋ねのように、まずその被害の起こるに先だちまして、できるだけ施設等の災害が起こらないように、雪による被害なり、それから融雪による被害、そういう施設の被害あるいはその淡水魚自体の被害というものを未然に防止するため、県の関係者の会議等を招集いたしました際に、その未然防止につきましても指導なり指示をいたしております。
  275. 足鹿覺

    足鹿委員 私はこれはあとで別な機会に申し上げますが、今度漁業者が四十日以上も出漁不能になる、またせっかくとったわずかの魚も売れない、値段は下がる。関連産業は麻酔状態になる――これは私のつい近くにあります境港という町でありますが、町自体の経済が麻酔状態になっておる。先般現地に調査に行かれて、どの班もその窮乏にびっくりしているわけです。構造改善事業の実施地域に漁業経営安定資金を出す、その他のものには出さぬという運営は、それ自体、豪雪と関連して直接責めるわけではございませんが、どうもおかしいのです。何かこういう場合の対策というものは、これで何とか当面やっていただくことを検討していただく以外にないのではないかと思うから申し上げたので、ほかに方法があればぜひ一つやっていただきたい。  それからちょっと御答弁を聞きそこねましたが、第二の問題については、真珠母貝等の災害復旧についての暫定法の適用は、これは大丈夫ですか、やれますか。
  276. 橘武夫

    ○橘説明員 これはその施設の被害程度によりまして、天災融資法なりによりましての経営資金の融資ということで対処できると思いますが、なおその被害程度によりましては激甚法の適用も考える、こういうことであります。
  277. 足鹿覺

    足鹿委員 これは大へんな被害です。真珠母貝その他は大へんな被害のようであります。まだ私どももその現場を見ておりませんから、惨状の実感がきません。私はこれは皆さんの意向を代表して言っておりますので、私自身も実感がありませんから、これ以上申し上げませんが、真剣に一つお取り組みを願いたいと思います。  あと、漁港等の施設災害については、現年災で認証されたいという要望が強いが、政府の方針はどうか。これは現在農林委員会で漁港法の審議中でありますので、その際でもけっこうでありますが、特に現年災で認証されたいという声が強いのでありますが、この点いかがでありますか。
  278. 橘武夫

    ○橘説明員 漁港を現年災で認証できますものにつきましては、できるだけその方針で参りたいと思います。一体どの程度にそれが可能かどうか、私今ちょっとそれを把握しておりませんので、調べまして別の機会にお答え申し上げたいと思います。
  279. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に食糧庁にお伺いして私の質問を終わりますが、これはこの間の委員会の際には問題にならなかった条項でありますが、今朝委員長打ち合わせました結果、きわめて重要な問題であるので、追加をしてただしておけという意見の一致を見て、申し上げます。  豪雪により米穀配給費が超過負担となっているので、これが補償対策を講ずる用意があるかどうか。理由は抜きます。  第二点は、政府売却米の割当ワクの拡大並びに売却代金の延納に特別の対策を講ずる必要があるが、これに対する措置いかん。従来の場合を見ますと、政府手持米の安売りというような事態はいつも行なわれております。飼料のみならず、米麦の安売りということは行なわれております。今回は、救援米類似の食糧確保対策というものは今まで講じられておりますが、従来の災害にとられたような人々に対する米麦の安売り措置というようなことも私は必要であると思います。それらもあわせてこの二点を御答弁をお願いいたします。
  280. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 最初のお米屋さんの経費の増の分ですけれども、これはマージンの中に――マージンは、御承知のように、たとえば平均的な運賃というようなことできめてある、そこで、県内で特別な地に輸送するというようなときには、そのマージンに見ている運賃ではなかなか負担し切れないという問題がある、あるいは天災のときに米が流れた、その始末をするというようなことで、個別的な問題の処理をするために、マージンの中に一表当たり二円の調整金というものを見ております。それをそれぞれの団体で積み立てておりますから、年間一億俵扱いますと、年間二億の積み立てになるわけですが、そのもので今回のような個別的な問題は処理をしていくということで今問題を詰めております。  それから配給ワクの増大というのは、これは今二人一カ月十キロを限度として配給しておりますので、この量で十分だと思うのですが、ただ積雪がひどくて、たとえば一月に十キロ取りたかったのに、とうとう取り切れないでどこかから借りた、それを二月に取らしてくれたっていいじゃないかという話であれば、そういうことは、すでに北陸四県につきましてもそういう話がありまして、一月の取り残しの分は二月一ぱいに取ってよろしいというような措置をしております。  米を売った代金の延納の問題ですが、これは卸に政府が米を売って、卸は雪のために小刻みにしか配給できなかったというようなこともありまして、北陸は、福井県が五日、その他の三県は八日、代金の延納を認めるというような措置はすでにとっております。今はすでに配給状態も正常な状態に戻ったと思いますので、そうしたことはこれからは必要ないかと思いますが、実情に合わせてすでにそういう措置をとって参っております。  それから米の安売りの問題ですが、私ども、今回の災害に際しては、米の安売りをしなければならないというようなケースはなかろうかと思っております。
  281. 足鹿覺

    足鹿委員 以上で私の質疑を終わりますが、要するに、今次豪雪被害につきましては、多数の府県にわたりまして甚大な被害をもたらし、なかんずく尊い人命を多数失って未曾有の状態を現出しております。なかんずく、農林水産業施設、農林水産物、果樹蔬菜、特用作物等に対しましては激甚な損害を与え、農林漁業者並びにこれが関連産業の従業者等の生活と経営にに対して非常な被害を与えておることは、申し上げるまでもございません。のみならず、都道府県及び市町村の財政と経済にきわめて深刻な影響をもたらしておることも、私が先ほど申し上げた通りであります。前段で申し上げましたように、政府は、今次豪雪災害の特徴ともいうべき常時の豪雪地帯、不時の豪雪または寒冷による被害地帯、風浪による被害地帯というふうな新しい被害のケースを、十分実態を把握し、そうして必要な措置を――現在講じられておるようでありますが、さらに一段とそれを深め広げて、万全の対策を要望してやまない次第であります。  要するに、農林省の現在講ぜんとしておる諸施策は、私ども長時間にわたって聞いたわけでございますが、大蔵省あるいは自治省等との関連において、必ずしも私どもは本日の質疑をもって満足すべき御答弁を得たと存じておりません。従いまして、委員長におかれましては、本日のこの質疑を通じて得た結果に基づいて、さらに十分豪雪被害に対する万全の対策に資するべく御善処あらんことを要望いたしまして、大へん長い質疑でありましたが、私の質疑を終わりたいと思います。
  282. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 了承いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時から開会することとし、これにて散会いたします。    午後六時四十四分散会