○篠田国務
大臣 いま仰せになりましたとおり、事務配分の問題につきまして
地方制度調査会に
政府が諮問をしておるということは事実でございます。そこで、この間
地方制度調査会におきましても、ただいまの御
意見と同様に、事務配分の諮問をしておりながら、
政府が
河川法の
改正を強行するということはおかしいじゃないかという
意見が出たそうであります。その
意見も出ましたが、またそのほかに、事務配分の全体としての
意見は、諮問は確かに出ておるけれども、直接的に
河川法というものの
改正に関する諮問が
政府から出ておるわけではないんだ、だから、諮問の出ておらないものに対して答申というものも出るわけがないのであるから、これは
政府の一つの施策といたしまして、
地方制度調査会に出ておる事務配分の問題とは別にやっても差しつかえないじゃないかという
意見が多数を占めて、そしてそういう申し入れをしようという
意見もあったそうでありますが、最終的にはその申し入れはされておらないわけです。そういうことを私は聞いております。
私のほうといたしましては、
知事の
反対理由を十分に——これはもちろん文書で来ておりますから、十分読みました。いろいろ
研究してみました結果——これをここで申し上げてみます。おもなる理由が三つあります。総合的な
反対理由といたしまして、「一、総合的な
都道府県行政を混乱させる、
河川に
関係ある治山
治水、砂防、農業、漁業、上
水道、
工業用水道、発電、港湾等の諸
行政は、
河川管理権が
知事にあることを前提として組み立てられているので、
河川管理権を国に引き上げることによって
都道府県行政の総合性が失なわれ、混乱に陥るのみならず、事務の複雑化と
行政の渋滞を招くことになる」というのが、第一の
知事会の
反対でございます。しかし、私たちの
考えをもってしますと、むしろこういうふうに重要な
河川について国が施策を行なう、そしてそうでない面につきましては
知事に権限を委譲するということによって、
治水治山あるいは
利水の面において能率が非常にあがることはあっても、
府県行政を混乱させるというようなことは絶対にあり得ないという、私たちはそういう
結論に達しておるわけであります。
第二は、「
河川行政は後退し、住民ははなはだしく迷惑する」というのでありますけれども、いままでの
河川行政は、補助金もわずかでございますし、そういう点におきまして行き届かない面が非常にありました。先ほど門司さんが言われましたように、すべて
地方税といい、国税といい、国民の税金によってなっているとはおっしゃいますけれども、やはり国の補助というものは別の角度からされております。そういう
意味において、補助率が引き上げられる、助成が増すということは、私はむしろ
河川行政が前進することであって、国民の福祉に合うことである。
第三は、「
行政の官僚化を招き、民主化に反する」こういうようなことであります。これは、そういうことはないのでありまして、先ほど申しましたように、重要なる
河川の許可権というものを
建設大臣が持つのであって、それ以外のものは
知事に委託するわけでありますから、決して官僚化するということはありません。
「膨大な
国家行政組織と人員が必要となり、
国家財政上きわめて不
経済となるおそれがある」という第四の論点につきましては、大部分の点につきまして許可権以外の必要な問題については、
地方自治体にまかせるということでありますからそういう心配もありません。こういったように、
知事会の重大な
反対議論というものは、われわれが冷静に
考えまして、これは長い間の一つの
知事の権限を守らんとするものが大部分——みながそうだというわけではございませんが、そういうふうに見受けられますし、そういう心配は全然させないようにして私たちがやろう、こういうことでございますから、まあ、いろいろな批評もございましょうし、また、自治
大臣としてはなぜ
地方自治体の
意見をもっと聞かないかという御
意見もあるかもしれませんが、私の感覚をもっていたしましては、この際、この
河川法の
改正をやる、そして
地方の負担も少なくし、治山
治水あるいは
利水の効力もあげていくということのほうがいいというふうに
考えて賛成しておるわけであります。でありますから、
地方行政の
関係、
地方自治の
関係も十分
考えて、私はそういう
結論に達しているわけでありまして、それを無視してやっておると言うんでは決してございません。