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1963-03-12 第43回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十二日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 津雲 國利君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 鈴木 仙八君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君 理事 芳賀  貢君       久保田藤麿君    鈴木 正吾君       古井 喜實君    山本 猛夫君       久保 三郎君    森本  靖君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     御代田市郎君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      佐々木達夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    新保 実生君         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    沖  達男君         会計検査院事務         官         (第五局長)  白木 康進君         国民金融公庫総         裁       石田  正君         住宅金融公庫総         裁       師岡健四郎君         中小企業金融公         庫総裁     舟山 正吉君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         北海道東北開発         公庫総裁    松田 令輔君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月十二日  委員森田重次郎君及び川村継義君辞任につき、  その補欠として山口喜久一郎君及び久保三郎君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書  (大蔵省所管大蔵省関係政府関係機関関  係)      ————◇—————
  2. 津雲國利

    津雲委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度決算外三件を一括議題とし、本日は大蔵省所管及び大蔵省関係政府関係機関決算について審査を行ないます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。木村公平君。
  3. 木村公平

    木村(公)委員 国民金融公庫中小企業金融公庫の問題につきまして、二、三の質疑を行ないたいと思います。  初めに、書類はいただいておりますが、国民金融公庫業務方法書のうちの貸付条件には普通貸付更生資金貸付恩給担保貸付の三つがあるようでございますが、このうち主として普通貸付につきまして条件内容をやや詳細に承りたいと思います。
  4. 石田正

    石田説明員 普通貸付につきましては、貸付条件といたしましては、お手元にお回し申し上げておりますところの業務方法書にありますように、まず貸付限度につきましては五十万円が限度ということになっております。ただし別表に掲げますところのものにつきましては、個人については百万円、法人につきましては二百万円、かように相なっておるわけでございます。別表につきましては、そこの表のあとの方についておる次第でございます。なお五十万円につきましては、従来は個人二十万円、法人または連帯の場合五十万円ということになっておったのでございますが、三十七年度におきまして大蔵省と話をいたしまして、大体経済情勢その他から見まして二十万円と五十万円と区別することは、その意義がだんだん薄れてくるのではないだろうかということでございまして、これは二十万円というのを撤廃いたしまして、全部五十万円に変えるようにしていただいた次第でございます。  それから第二に貸付期間でございますが、これは今申しました貸付限度等も関連いたすのでありますが、貸付期間につきましては、五十万円の場合は三年以下、ただし書きの場合は五年以下というふうなことを原則として、ただし特に必要と認めるときは三年とか五年とかいうものをこえてもよろしい、こういうことになっております。  貸付利率は年九分ということになっておりますが、ただし特別の場合におきましては、別に定めるところによりまして特別の利率を適用するということに相なっておるわけでございます。これは政府の方から御指示がある場合もございます。たとえば非常な災害が起こったというような場合には、たとえば伊勢湾台風のようた場合におきましては、貸付利率を六分五厘に下げるというようなことも実行いたしておるわけでございます。今度も炭鉱の問題につきまして、特別の場合におきましては、六分五厘の利率を適用するということにしておる次第でございます。  それから償還方法割賦または一時払いということになっておりますが、原則として割賦払いということで実行しておる次第でございます。  保証人原則として一名以上とることにいたします。ただし担保を徴する場合または連帯賃付の場合は、免除することができるということになっております。  担保の問題でございますが、これは原則としては、無担保ということを原則といたしておりまして、ただし貸付金が百万円をこえる場合においては原則として不動産その他の適切な担保を徴する、こういうことに相なっておる次第でございます。  大体以上が普通貸付条件になっておる次第でございます。
  5. 木村公平

    木村(公)委員 借受人資格ですが、これの御説明は大体この業務方法書にありますが、これをもうちょっと詳しく伺っておきたいのです。
  6. 石田正

    石田説明員 借受人資格につきましては、これは業務方法書の前に、国民金融公庫法にどういう方面に対して金を貸すかということが規定せられておるのでございまして、それを受けまして業務方法書ができておる、かような状況に相なっておる次第でございます。  国民金融公庫は御承知通りに、必要な事業資金を貸す、こういうことに相なっておりまして、これは法律の第一条に規定せられるところでありまして、要するに生活資金その他を供給するものではなくして、事業に必要な資金を貸すのである、こういうことが前提に相なっておる次第でございます。その事業というものを分けます場合に、ここに五十万円ということが一般的に書いてありますが、実際問題としては、別表に掲げましたところの業種の方が大部分でございますので、この別表に掲げましたような業務を営んでおられる方々が、大体われわれのお取引先に相なっておるような次第でございます。
  7. 木村公平

    木村(公)委員 次に、重大なことは、これは明記されておるわけでありますが、借受人資格の中で一番大事なことは、つまり事業資金でなければならないということが第一だが、それよりももっとわれわれの関心の深いのは、銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とする者なのですが、この点はどうですか。
  8. 石田正

    石田説明員 これはまさに御指摘の通りでありまして、これは国民金融公庫法の第一条にそのことが書いてございます。要するに銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とする国民大衆に対しまして、必要な事業資金を貸すということに相なっておる次第であります。この点は言葉が足りませんでしたので申し上げておきます。
  9. 木村公平

    木村(公)委員 この国民金融公庫の一番の問題点は、なかなか金が借りられない、特に国民金融公庫設立性格から申しまして、銀行等でほとんど相手にされないというような零細企業の者が勢い主たる対象にならざるを得ない。これがために、それを救済するがための機関等も、実際問題とすると、窓口等においては銀行相手にされざるような零細業者に対しては、なかなか厳格で冷たくて、むしろ銀行相手にされない程度の者ではむずかしいのじゃないか。実際問題としては、銀行にある程度相手にされるような程度企業者でなければ、事実上は貸付が行なわれておらないのじゃないかというような事例を、われわれ各地においていろいろ見てきておるのでありますが、これはどうですか、厳格にやっておられるのですか。
  10. 石田正

    石田説明員 非常にむずかしい問題でございまして、われわれといたしましては、銀行その他一般金融機関から貸付を全然受けられない方、取引がないという方だけを対象にいたしますれば、その点は非常に明確になると思います。しかし、現実問題といたしましては、銀行その他の金融機関とある程度取引はありますが、まだ資金が足りない、国民金融公庫の金も借りたい、こういう方もあるわけであります。また国民金融公庫からすでに借りておりまして、その後他の金融機関からも借りられるようになってきた、しかしまだ不十分だ、これもやはり続けてもらいたいという方もあるわけでありますが、私たちは、主たる目的は、国民金融公庫以外には金が借りられない人、こういうのをまず最優先すべきであるということを、かねがね仕事をしております者にも伝えております。たとえて申しますと、国民金融公庫からの資金というものが十分でないという場合に、との国民金融公庫しかたよれない人、それからまた他の金融機関からはある程度借りられる、こういう人があって、両方満足できる場合は両方満足するような工合にやってもよろしいが、しかしながら、両方満足することができないというような場合には、他から資金を得られない方、そういう方を優先的にやるようにということを実は指導いたしておる次第でございます。
  11. 木村公平

    木村(公)委員 それから貸付方法でございますが、たとえば同じ東京都内においても本店で扱う場合、支店で扱う場合いろいろあると思いますが、それは本店のものはこういうものに限る、支店のものはこういうものだという厳格な内部規定があるのですか。
  12. 石田正

    石田説明員 実は私の方は支店のことを支所と申しておるのでございますが、本所においては営業いたしておりません。実は御承知通り、今度大手町に公庫共同のビルができたのでございますが、その下に店舗は設けました。しかし、それは支所ということにいたしまして、本所ということにいたしておりません。本所営業部という観念をとっておりません。われわれは、本所というのは統轄事務であって、ほんとうの営業というものはどこも区別なく支所ということにいたしておりまして、仕事をさしておりますものでございますから、お尋ねのございましたような、本所営業としてはどういう方針でやる、支所営業としてはどういう方針でやるということはないようになっております。
  13. 木村公平

    木村(公)委員 それから利率の問題ですが、年九分が高いということをしばしばいわれるのですが、たとえば今度の石炭離職者を救済するとかあるいは離職者事業資金に充てるというような場合の貸付に対しましては、六分五厘まで下げ得るのだ、下げた例が今まで災害等にはあった。それは大蔵大臣許可事項ですか。
  14. 石田正

    石田説明員 大体そういう場合に許可をし得るというような規定はございません。しかし、事実問題といたしまして、大蔵省と連絡をして、こういうものについてはやる、これは政府の方から御指示がある場合が多いと思います。こちらの方から言わずに、たとえば今度の石炭の場合なんかにおきまして、六分五厘でやれという話がありまして、細目の点につきましてこういう点もお考え願ったらいいじゃないかということを申し上げます。しかし、こちらからこれを六分五厘にするというようなことをやりますと、これは恣意的に流れるおそれがありますので、一々大蔵大臣の御了承を得てやっておる、こういう事情でございます。
  15. 木村公平

    木村(公)委員 貸付金が百万円をこえたような場合に、原則として不動産その他適切な担保を徴収することになっておりますが、現実の問題として、百万円以上貸し付けて担保をとった場合、担保なしで保証人だけでいった場合、この比率はどんなことになるのですか。
  16. 石田正

    石田説明員 最近の数字で申し上げますると、三十七年の四月からこの十二月までにおきまして、担保をとっておりまするものは、件数で申しますると四%、それから金額といたしますと七・二%、こういうふうになっております。
  17. 木村公平

    木村(公)委員 そうすると九六%は無担保なんですね。
  18. 石田正

    石田説明員 仰せ通りでございます。
  19. 木村公平

    木村(公)委員 それから公庫代理所に対して、取り扱った貸付金利息の三割四分に相当する額を代理所手数料として支払うというきめがありますが、これは三割四分支払うということは、たとえば百万円代理貸しをした場合には、それに対して三割四分に相当する額を、三十五万円だけは手数料として代理所にやるという意味ですか。
  20. 石田正

    石田説明員 百万円貸しますと、年間九分利息をとるわけでございます。そうすると九万円になるわけでございます。それに対する三割四分、こういうことになるわけでございます。
  21. 木村公平

    木村(公)委員 その三割四分というものは、代理店手数料になってしまうんですね。
  22. 石田正

    石田説明員 さようでございます。
  23. 木村公平

    木村(公)委員 初めから天引ですか。
  24. 石田正

    石田説明員 そうじゃございません。入りました場合にとるということになっておるわけです。
  25. 木村公平

    木村(公)委員 次に、昭和三十五年度末の貸付残高の問題ですが、合計百二十七万三千件で、これは普通貸付更生資金貸付恩給担保貸付その他の合計であろうと思いますが、それが百二十七万三千件、金額にいたしますと千百八十四億五千三百四十七万円のように承っております。そうしてその内訳は、普通貸付は六十八万五千件、これが千二億八千九百万円、恩給担保貸付十八万七千件、これが百十一億六千万円、引揚者国債担保貸付が二十一万一千件、これが四十四億九千二百万円、更生資金貸付が十七万件、これが二十三億一千百万円、その他の貸付が一万九千件、一億九千九百万円という御報告があるようですが、その他の貸付内容もお伺いしたいが、大体その数字に間違いございませんか。
  26. 石田正

    石田説明員 大体仰せ通りでございます。
  27. 木村公平

    木村(公)委員 この貸付金の財源は、三十五年度残高で、一般会計出資金が二百億、借入金として資金運用部特別会計から六百八十九億、簡易生命保険及び郵便年金特別会計から二百六億円となっておる、これもあなたの方からの御報告ですが、それに関連しまして、年度貸付残高のうち返済期限を六カ月以上経過してなお延滞しておるものが十四万五千件あるわけです。これは延滞を責めるわけではございませんが、この数字をお認めになるか。それから十四万五千件で二十七億一千二百四十一万円になっておるわけです。このうちおもなものは更生資金貸付が全体の七〇%を占めておる。更生資金性格上無理もないと思いますが、大体七〇%を占めておることはお認めになりますか。
  28. 石田正

    石田説明員 大体お話通りでございまして、その最終期限六カ月以上のものにおきまして、全体といたしまして二十七億の金額が計上されておるわけでありますが、そのうち十六億二千八百万という更生資金関係のものが一番多い、こういうことであります。
  29. 木村公平

    木村(公)委員 これは無理もないところで、そう私は厳格にこれはあなたの方の責任において償還の促進をせよというようなことは申し上げかねるわけです。この性格があまりにもよくわかっておりますから。そこでこの問題は深く追及しないで次の問題に移りたいと思います。  信用保証協会保証付貸付で借り入れる場合に、借入者保証協会保証料として、各府県にある信用保証協会から年三分の金を頭から差し引かれておるという現況なんです。これはどういうことですか。
  30. 石田正

    石田説明員 信用保証協会の問題につきましては、これは保証をやります場合に、大体保証協会といたしまして保証料をそれぞれきめておるわけでございます。それが大体三%というのが現状でございます。これにつきまして、国民金融公庫といたしまして保証協会との間に契約等がございまして、その保証料国民金融公庫が取りまして信用保証協会の方へ納める。要するに国民金融公庫に利子なり元金の支払いをすると同時に、保証料の方も国民金融公庫に納めればそれで一挙に片がつく、こういうことで便利であろうということで保証協会の方にお話をいたしまして、国民金融公庫保証協会にかわって保証料を徴収する、こういうことをいたしておる次第でございます。
  31. 木村公平

    木村(公)委員 それは頭から差し引くのですか。
  32. 石田正

    石田説明員 これはいろいろな経過がございましたが、現在におきましては、保証料をまとめて取るということは、お客さんが非常にお困りになるのではないか。そこでこれはなるべく合理的に、われわれの方が原則といたしまして毎月々々現金なり利息を取るならば、そのつど取ってやった方がいいのではないかということで大部分保証協会とのお話がつきまして、そういう方法で実行いたしております。ただその中で保証協会事務簡素化という点もあろうと思うのですが、半年ないし一年まとめて取ってくれ、こういうお話のところがございます。そこで、そういう方とはお話をいたしまして、できるだけわれわれの方で毎月取って、そうして半年なり一年なりの分をまとめて出せばお客さんの負担が少ないのではないか、そういうことを一ついたしております。  それからもう一つは、大体われわれの方は元金も毎月片々返していただくわけでありますから、従いまして、残高がだんだん減っていくわけでございます。それを半年分まとめて取るとか一年分取るということになりました場合に、一番初めの当初の貸金を基準にして保証料を取るのは酷ではないか、半年とか一年とかという場合には、期首の額と期末の額、そのまん中の額から保証料を取らして下さいというお話をいたしまして、だんだんそういう工合にいたしております。なおこの保証料の問題につきましては、われわれの方で九分でお貸しいたしておりますが、これは先ほど先生のお話がございましたように必ずしも安いとは言い切れない。それに保証料の額が加わるわけでございますから、できるだけわれわれの方は保証料を取らない方向で処理をいたしますが、災害その他でやむを得ずどうしても起こるという場合には、この率もできるだけ下げて、保証料も下げていただくようにお願いをいたしておる次第でございます。
  33. 木村公平

    木村(公)委員 どうもこの保証協会の問題は、なかなかいろいろ弊害がございまして、あなたの方の各支所窓口では、できれば担保がない場合には、保証協会保証を得なさいという行政指導のようなものをやっておるわけですね。ところが協会の方ではまたむずかしいことを言うて、なかなかすなおに保証に応じない。従って、実際は公庫直接であれば借りられそうな場合に、協会の決裁を得なければ借りられない。むしろ協会貸し出しのネックになって借りられないことになるという弊害がありますのと、それから今るるお話がありましたけれども、初めから保証料の天引きをしておるという事実が今なお跡を断たない。この点を一つ今後御注意を願って、そうしてあなたの方の指導を浸透させていただきいと思います。  次は、昭和三十五年度中に大蔵大臣承認を得て不良になったたな上げしたやつですね、これが普通貸付で八百六件、五千二百九十九万円あります。恩給担保貸付は三十一件あって、これが百十七万三千円、その他の貸付が五百十件でこれが六百五十八万四千円、合計いたしますと件数において千三百四十七件で、金額において六千七十四万九千円ということになっておるわけです。これが不良債権ということでたな上げしたわけです。この償却方法とその基準ですね、こういうものはどういうことになっておりますか。
  34. 石田正

    石田説明員 不良債権償却につきましては、われわれは大蔵大臣の御承認を得まして、認定基準というものを一応設けておるわけであります。それはまず第一に、事業をやっておられた方がどうも事業がうまくいかなくなりまして、生活保護世帯になられる方があります。これはどうも請求することは無理じゃないかということで償却することにいたしております。第二に生活困窮の方、生活保護にはいきませんけれども、生活困窮になっておる方がございます。これはどのくらいのところが生活困窮かというむずかしい問題もあると思いますが、われわれの方といたしましては、大体一人当たりの生活費が五千円にならないような収入しか得られないという方は、気の毒であるから生活困窮ということで、これは償却させていただこうじゃないか。それから行方不明になる方があります。どこへ行かれたかわからない方があるわけであります。それから死亡されてしまう方もあります。それからこれはあまり好ましいことじゃないのですが、強制執行をするような財産を持っておる。これは大口の方が多いわけでありますが、強制執行いたしましたけれども、結局債権額に満たない、そういうような場合には償却しようじゃないか、大体そういう基準をきめまして、これは各支所からそういうものに該当いたしますものを本社に全部取りまとめます。それを取りまして大蔵省に提出して、大蔵省で一件々々見ていただきまして、そうして基準に達しておりますならば、これは償却するということを実行いたしておる次第でございます。
  35. 木村公平

    木村(公)委員 もう一つは、毎年の例ですが、年末になると国会の方で毛やかましく予算期に入りますと大蔵省のしりをたたいて、国民金融公庫にしろ、中小企業金融公庫にしろ、あるいは中金にしましてもいろいろ要望がございますので、資金量がふえるわけです。それを今ちょっと見てみますと、まず三十五年度において見ますと、十月から十二月までの間に年間貸付額の四〇%強、約四百億円、特に十二月は例月の二倍強の約百七十億の貸付を行なっておるということになっております。この年末融資の増加を年度当初の計画から見てみますと、三十年が当初が十五億、三十二年が七十億、三十三年が二十億、三十四年八十二億、三十五年五十五億、三十六年百五十億、三十七年百二十五億と毎年きまって年末にこれだけ増加するわけですね、当初と比較すると。これはいろいろ理由があるでしょうが、当初の貸付計画にあらかじめ計上して要求することはできないのですか。
  36. 石田正

    石田説明員 これはお話がありましたように、大体年度間におきまして当初きめました計画ではとても実行できないという場合には、政府の方にお願いしまして変えていただくということが、実行上行なわれておるわけでございます。そしてまた政府とされましては、これはわれわれの方の仕事というものは相当弾力性を持たれなければいかぬから、それは弾力条項によって処理する、こういうことで実はやっていただいておるわけでございます。率直に申しますと、毎年度われわれは予算の要求をいたします場合におきまして、大体実績基準にいたしまして、そうして御要求申し上げるわけであります。しかし、出て参りますところの結果は、どちらかと申しますと、当初予算と比べまして、そうして何%増ということでおきめ願うわけでございます。そうしてみますると、実際問題といたしましては、毎年実績が違うわけでございますから、自然あとになりましても、できるだけ支障なく行なうためには、増額していただかなければならない、こういうのが過去の事情であります。
  37. 木村公平

    木村(公)委員 国民金融公庫質疑は終わりました。芳賀君が関連質問があるそうです。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 木村委員質問に関連いたしまして、国民金融公庫総裁にお尋ねします。  三十五年度国民金融公庫普通貸し出しの中において農地買収者の立場から借り入れの申し込みを行ない、公庫が貸し付けた件数並びに金額についてはどういうふうになっておるかということをお聞きしたいと思います。
  39. 石田正

    石田説明員 われわれの方ではいろいろな統計はとっておりますが、今お話がございましたような工合に、農地を買収された方に対しまして、どれだけの貸し出しをしておるかというのは、当時統計をとっておりません。従いまして、われわれの方としては、農地買収者の方に対して貸し出しが行なわれておることは事実だと思うのでありますけれども、しかし、その件数金額等につきましては残念ながら資料を持ち合わせておらぬのでございます。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 これは唐突に出た問題じゃないわけです。今総裁が言われたように、前国会において廃案にはなっておるが、国民金融公庫法の一部改正によって農地買収者対象にして公庫から貸し出しを行なう、これは国会においても議論されましたし、もちろんわれわれは反対の態度ですが、そういう国会にも公庫法の改正が提起されて、自来一カ年以上たっておるわけです。その当時もこういう法改正を行なって、特に一般国民を対象にして貸付をしなきゃならぬ公庫法の規定の中において、農地買収者であるという国民の立場に対して特別の融資を行なうということには問題があるということについての議論も行なわれたことは御承知通りです。ですから、そういう国会における議論過程においても、一体現況においては一般国民の中で公庫から零細な生業資金等を借りなければやっていけないという国民に対して、どのくらい現在においても農地買収者の人たちがこの公庫資金に依存しておるかということは明らかにならぬといけない問題なんですよ。今どうだって聞いているんじゃないですよ。一年前から議論になった点ですから、当然公庫においてもその業務の中において、どの程度農地買収者に対して貸し出しが行なわれておるかということは、これは当然業務の中で調査しておかなければならぬ点じゃないですか。たとえば三十五年度においては普通貸付については三十九万三千件の貸し出しで、金額については大体九百九十億円ということになっておるわけでしょう。その中にどういうようになっておるかということを私は聞いておる。
  41. 石田正

    石田説明員 われわれの方の仕事を従来やって参りましたにつきまして、先ほど木村先生から御質問がございましたが、実は他の金融機関から借り入れを受けることが困難であり、また事業資金として資金が必要であるということに対する貸付はいたしております。その間におきましてオリジンをたどりまして、どういう関係でこういうことになったかというふうなことを一々見て貸し出しをするということは、実はいたしておらないのであります。今は、お話がございましたような工合に、国民金融公庫件数は非常にたくさんの件数を処理いたしているわけであります。それに対して一々、あなたは農地買収者であられますかどうか、これはわれわれとしてはなかなか把握できないのであります。今後われわれは農地買収者に対する貸付はどういうふうになるか、私たちははっきり申し上げる段階ではありませんけれども、それにつきましても被買収者であるかどうかという証明は、これは適当な機会に御証明願えませんと、われわれとしてはなかなか把握できないだろうと思っております。あらゆる問題につきまして根本的にいろいろなことを調べて貸し出しをすればけっこうだと思いますが、毎日々々の事務に追われておりますから、特に農地買収者であるかどうかということに重点を置いて区分して調べてやるということはいたしておらなかった、こういうわけでございます。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 これは決算事項とは直接の関係はないが、必要性があるかないかは、国の制度を改廃する場合の大きな中心になるわけでしょう。ところが、こういう小口の、非常に貸し出し件数の多い普通貸付の中において、一体どういうような業種に立って、どういうような生活態度の中からこれに依存するかということになれば、全く調査をしないというのは変じゃないですか。銀行にしても公庫にしても、貸付業務をやる場合においては、調査という仕事は非常に重要であることは言うまでもないと思うのです。小口貸し出しだから調査する必要はないということなら別だが、調査業務を怠っているということになる。たとえば農地買収者に対してこのような貸し出しが必要であるかないかという場合においても、従来公庫資金に全然依存しないということになれば、これは何も貸し出しの必要はないということになるわけですね。こういう問題は、一年間何も調査していないということはおかしいじゃないですか。それは、そういう調査は公庫はする必要がないという考え方で調査をしていないのかどうか、いかがですか。
  43. 石田正

    石田説明員 公庫といたしましては、あらゆる問題について調査をいたしておりますればけっこうなわけでございますが、われわれといたしましては、あらゆる調査をするということになかなか手が回りかねるというのが実情なわけでございます。農地買収者に対する問題につきましては、そういう意味の調査は従来やっておらなかったということを申し上げるわけでございまして、われわれの方といたしましては、政府からそういう御指導がございますれば、やらなければならぬと思いますけれども、われわれとしては自発的にそういうことはいたしておらなかったのであります。しかし、農地買収者に対するところの貸付をわれわれとしてしないというわけではないのでございまして、農地買収者であろうとなかろうと、われわれとしては法律ないし業務方法書に定められましたものにある限りにおきましては、区別なく融資を申し上げる、こういうことできている。今後もそういうことで、今のところは続けている、こういう次第でございます。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたの言うことは法律に書いてあるから、くどくど言う必要はない。ただ貸し出し対象者の中において問題になってくる農地買収者がこの金を借りているかどうか、全体のどれくらいを占めているかということは、重要な問題なんですよ。だから今後も自発的に、積極的に調査の必要がないのならないということをここではっきりしてもらえばいいんですよ。実態を把握する場合はどこで調査するか、それをついでに明らかにしていただきたい。
  45. 石田正

    石田説明員 三十五年度につきまし  ては数字がない。最近におきましては、申し込みがありました場合に農地買収者の方であるかどうかということをできればわかるようにしたいということでお伺いをいたしております。そこでわれわれとしては、農地買収者の方に対しましてもある程度の金が出ている、こういうことは言えると思うのでありますが、こういうふうになっておるからこの数字であるというような権威を持った数字というものは、今後もなかなかむずかしいのではないか。それはその方が、おれは農地買収者であると言われましても、はたしてそうであるかどうかということは、われわれとしては判断ができかねる問題もあろうか、かように思っておる次第でございます。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、現在まで公庫の立場においては被買収者に対する貸し出しがどのように行なわれておるかということに対しては、全然調査というものはその目的のためにはやっておらないということなんですね。
  47. 石田正

    石田説明員 特段の細密なる調査はいたしておりません。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると話は別になるが、たとえば今大蔵委員会で公庫法の改正を取り上げておるわけです。そういう場合にあなたを呼び出して、今の公庫業務の中で農地買収者に対して貸し出しが行なわれておるか、あるいは行なわれていないかとか、その実態はどうなっているかということを私どもが大蔵委員会において尋ねた場合においては、あなたは何も答弁はできないわけですね。
  49. 石田正

    石田説明員 農地買収者の方に対します貸し出しがある程度行なわれておる、それは一般の人と同じように区別しないで行なわれているということはあると思います。しかし、数字的にどうであるかということはわれわれにはわかりません、こう申し上げるほかないと思います。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 これは、区別してはならぬという制度の建前だから当然でしょう。しかし、その中で一体貸し出しをしているかいないかということが全然わからぬということになると、これは問題外じゃないですか。直扱いもあるいは銀行が代理業務をやっておるものもあるのですから、もしやろうとすれば全国一斉にやらぬでもいいでしょう。たとえば主要なる支店とか代理店を指定して、その業務の中において、特に貸し出し対象者の中においてあるいは申込者の中において、いわゆる農地買収者の人たちがどの程度あるかということは、これは調査の方法としてはできるじゃないですか。ほかの統計等についても大体そうやっているわけでしょう。全部の対象者を調べるというばかげた非能率なことをやる必要はないわけですからね。頭を少し働かせればやれぬということはないと思うんですよ。やってないというのは、やる気がないから今まで全然やらなかったんじゃないですか。そういう点はどうですか。
  51. 石田正

    石田説明員 われわれの方といたしましては、今もお話がございましたように、問題につきましてはそういう意味の調査をいたしておりません。私の方が今現に扱っておりますことは、農地買収者であろうとなかろうと区別することなく年九分でもって、今先生からもお話がありましたような条件で貸す、それにつきましても、相当件数が多く、忙しい仕事をやっておるのでございまして、特に調査しろという御命令が先生等からありますればいたしますが、やるつもりは今のところございません。ただし、そういうことをやるといたしますれば、正確にやらなければならぬだろう、われわれといたしましては各支所の中で気をつけて、農地買収者に対する貸付があるかないか、それからまた否決されたならばどういう理由で否決するのかということをよく調べておけということは言ってございます。ですから、ある人について調べてやるということは可能と思っておりますけれども、しかし、数字としてこれが正確なものであるということを言うことはどうであろうか、こう思っておる次第であります。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点。これはあなたの意見を聞かせてもらえばいいわけですが、今政府から提案されている公庫法の改正の内容についてあなたは御存じだと思いますが、この目的は、特別に農地買収者対象にした貸し出し公庫から行なう、一般国民の中から農地買収者を別に対象として貸し出しを行なう、そのために、初年度においては大体二十億円程度のワクを設定する、金利については、普通貸し出しは今あなたの言われた通り九分であるが、これを六分五厘に引き下げをする、そして貸し出し目的は、普通貸し出し内容である生業資金貸し出し、さらにまた被買収者の子弟の育英資金貸し出し等が主たる貸し出しの目的である、こういう改正の内容でありますが、これに対して、公庫総裁の立場から、特に国民金融公庫法の精神あるいは目的に立脚してあなたが判断した場合、このような改正に対してどう考えるか。これはあまりかたくならずに、石田さん個人としてでいいが、どういうように判断されているか、この点を聞かせてもらいたいと思う。
  53. 石田正

    石田説明員 政策的な問題について、私が、国民金融公庫として好ましいか好ましくないかということを言うことは、差し控えさせていただきたいと思います。ただ事務の点から申しますと、農地買収者関係を特に分けてやるということになれば、事務的には繁雑になる、かように思っております。
  54. 木村公平

    木村(公)委員 中小企業金融公庫について二、三お伺いいたしたいと思います。ただいまの芳賀委員質問のように、法律ができますれば、いかなる計画の変更もできるわけでございますが、中小企業金融公庫法という法律そのものの第一条によりますれば、「中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であって、一般金融機関融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」このように明記いたしておりますが、これはもちろん私がお伺いするまでもなく御承知通りでございます。そこで総裁にお伺いいたしたいのは、市中銀行など一般金融機関融通することが比較的困難な長期資金の融資を中小企業金融公庫は扱われる。その資金の充足率は必ずしも十分なものとは思われないけれども、しかし、新規融資申し込みの六〇%くらいだと聞いておりますが、それは事実ですか。
  55. 舟山正吉

    ○舟山説明員 公庫の融資は、公庫法にございますように、市中金融の補完をするという建前になっております。そこで市中の金融が詰まって参りますと公庫に依存する度合いも多いし、また市中の金融がゆるみますと、比較的公庫の申し込みが緩和されるというような、金融情勢と関連いたしまして非常に微妙な動きがございます。最近の大勢を申し上げますと、借り入れ申し込みに対しまして大体七割見当は充足できておるかと思いますが、ただいま申し上げましたように、情勢によりまして動くものであるということを御了承願いたいと思います。
  56. 木村公平

    木村(公)委員 融資申し込みが三十五年度の決算においては大体六割、しかし現段階においては七割くらいだという総裁お話でございますが、七割といいますのは資金量不足によって申し込みに応じかねるものと貸し出し先が好ましくないから申し込みに応じかねるもの、まあいろいろあると思うのですが、資金量の不足によって大体申し込みの七割より充足できないというふうに解釈してよろしいですか。資金量の不足ですか。
  57. 舟山正吉

    ○舟山説明員 ただいま申し上げましたのはおよそ借り入れの御希望のある向きに対してどのくらい充足できるかということでございまして、これを分析いたしますと、公庫の方の資金が足りなくて融資できないか、あるいは融資を延ばすかといったような面もございますが、借り入れ申し込み案件の性質によりまして公庫のベースには乗らぬといったようなものもありまして、まあ申しますれば両方の事情がございます。
  58. 木村公平

    木村(公)委員 結論的に、貸付資金限度があるし、それから貸付対象である相手方に対するいろいろの思惑もあって大体三〇%は借りられない。しかし、その資金量というものはおよそ年間どのくらいであるということがさまっておるわけですから、もう少しこれを薄く広くとかなんとか政策的にそういう御計画はできないものですか。
  59. 舟山正吉

    ○舟山説明員 私どもといたしましては、毎年予算をちょうだいしますときに、中小金融の疎通のためにできるだけ多額の資金をいただきたいという希望を申し出るわけでございます。そこで、たびたび折衝もいたしまして予算をきめていただくのでありますが、中小企業金融公庫のほかに金融機関もございますので、政府とされましてもこのバランスをとって配分されるというような関係もございます。そこで、私どもといたしましては、その次の年度間に必要であろうと思われる金額、これだけでは公庫の使命は達成できないといったような場合にお願いするわけでございますが、先ほども申し上げましたように、金融情勢によりまして中小企業者公庫に対する借り入れ申し込みが、あるときはふえ、あるときはそう深刻でないといったようなこともございまして、その辺がむずかしいところであろうと思います。
  60. 木村公平

    木村(公)委員 それから貸付事務の処理の問題ですが、これはしばしば当委員会においても問題になって、私どももすでに数回この問題を申し上げておるのですが、いつも問題になるのは申し込んでも融資を受けるまでの日数がかかり過ぎるという問題です。三月というのはまだ早い方で、五カ月、六ヵ月を要する場合もありますし、ことに代理貸しの場合にはいわゆるワク待ちとでもいうんですか、今ワクがないからもうしばらく待っておればワクがくるでしょう、だから、ワクのくるまでしばらく待っていらっしゃいというので、なかなか融資が受けられない。それなら、ワクを待っておるのがたまらないから、直接借りをしたいと思うとサービス業なんかでは直接借りはできない、やはり代理貸しでなければいかぬというような故障がありまして、結局銀行だとか信用金庫の手にゆだねられたままでいつまでも待たされるというようなことがあります。直貸しというのですか、直接貸しの場合でも早くて三ヵ月、おそければ六ヵ月というような事務処理の問題があるわけです。これは総裁なんかお気づきないかもしれません。ことに輸銀の副総裁から総裁に御就任願ったのですから、こういうこまかいことは御存じないかもしれませんが、大へんな不便を感じておるわけです。国の親切の心がこれでよほど失われておるというような現況なんです。これは改善の余地はありませんか。大体調査されるということのために三月、半年を要すると思うのですが、人が足らぬからそれほどかかるのか、それともあまりに条件が厳格過ぎるから審査に日数を要するのか、どこにこんなにかかる原因があるのですか。
  61. 舟山正吉

    ○舟山説明員 公庫貸付事務の処理が時間がかかるという御指摘は、数年前から国会でも御指摘を受けまして、公庫としては恐縮にたえないので改善に努めて参っておるのであります。その処理がおくれます原因といたしましては、御指摘のように直接貸付と代理貸付によりまして事情も違うと思います。直接貸付の方につきましては、最近公庫が毎年事務膨張しておりますので、事務処理能力も十分でないということもございますし、また借り入れ希望者が公庫と初めての取引であるために公庫として調査、審査にある程度の時間をかけることはやむを得ないということもございます。それからまた代理貸付につきましては、御指摘の通りワク待ちと申しますか、その代理店が持っておりますワクが足りないために、代理店としては審査の事務を早く完了いたしておりましてもお待ち願わなければならぬ、こういう事態があることは、はなはだ遺憾でございます。公庫といたしましては、まず手元から処理できます直接貸付につきまして、極力審査期間の短縮に努めまして、最近におきましては、平均三月以内でこの処理をいたすようにしておるのでございます。これは平均でございまして、むずかしい案件、金額が張りました案件というものは、あるいはこれをこえるものがあるかもしれませんが、今後は貸付申し込みから貸付決定まで必ず三月以内で処理するということを基準といたしまして、なおこれを極力圧縮したい。そのためには審査要員の増加も必要でございますが、またこの訓練、教育ということも必要であろうと考えておるような次第でございます。
  62. 木村公平

    木村(公)委員 そこで、こういうことが起こるのです。この審査がおくれておる。今おっしゃったのは大体三月以内の目途でやっていらっしゃると言うけれども、事実上は地方に行くとまだそんな工合にいかない、三月以上の場合がある。それが年を越してまだ審査が終わらないというようなことになりますと、審査はようやく完了したけれどもお金がなくなったというような問題が起こってくる。貸付金がなくなったということですが、そういうことは計画的に、せめて審査をしておるものの金に対しては貸し得るだけの用意をするとか、——審査を完了したときに金がなくなっておる。だから三十八年度にしなさい。三十八年度にいってうかつに手続がおくれると前のものがあるからということで、結局キャンセルされたような格好になる事例があるのです。これは審査がおくれることが大きな原因だろうと思うのですが、それよりも三十七年度貸付金はいつごろまでに消化してしまうのですか。帳簿上においては三割も残っておるはずなんですが、地方に行くと一月末までに審査を完了しないようなものは、おそらく金を貸してくれることは万に一つもないと思います。その点御承知ですか。
  63. 舟山正吉

    ○舟山説明員 本店及び各支店におきましては、資金ワクを見合わせましてこの審査を進めておるわけでございます。その審査は、借り入れの申し込みの順序に従いまして、早く受け付けたものは審査が時期的におくれましても、貸付ができないというような事態のないように配慮いたしておるのでございまして、御指摘のような例がございますれば、はなはだ異例なことじゃないかと思っております。大体は審査段階に参りまして、審査が終わりますれば融資ができる状態にやっておるつもりでございます。
  64. 木村公平

    木村(公)委員 それから、これはあなたの方の中小企業金融公庫法に明らかですが、中小企業の業者とはどういうものであるかということも明記されておる。その資格がある者が、融資を申し込むということは当然の権利だと私は思うのです、こういう法律がある以上は。ところが奇怪なことが出てくるのです。銀行なんかの代理貸しの場合には比較的スムーズにいくが、かりに国会議員などの手を経て融資を申し込むとキャンセルされる度合いが多いというようなことが出てくるわけです。これは国民の代表である国会議員が、国民のうちの法律に明記された中小企業者の適格者で、しかも融資条件を備えておるものと見て、かりに手続等を手伝ってあげる、そうして融資の申し込みを助言する、そして口をきくというような場合に、銀行の場合なら信用するけれども、国会議員が持ってきた場合は、どうも信用ができがたいからなかなか応じかねるというような風潮が実はないことはないのです。そこで特にこの機会に総裁に伺って、速記に載せておきたいと思いますことは、かりに手続者がいかなる者であろうと、条件を備えればこれはもう受け付けられる必要もあるでしょうし、当然そういう適格者であれば申し込む権利があると私どもは法律の——われわれが立法したのですから、この法律の趣旨からいってもそのように考えているのですが、持っていった人によっては何か内部で断われとでもいうような内規があるのですか。
  65. 舟山正吉

    ○舟山説明員 公庫といたしましては、政府資金をちょうだいして中小企業者のためにこれを融資するものでございますから、もっぱら公正を旨として融資をいたしております。それでありますから、御紹介者の有無とか、どなたが御紹介なすったかというようなことにつきましては、一切こだわりませんで、純粋に公庫のベースで融資をやっておることはここではっきりと申し上げておきます。
  66. 木村公平

    木村(公)委員 最後に一つお尋ねしておきたいのは、いわゆる直接貸し、借りる側からいうと直接借りの場合と代理借りの場合とでは、直接借りの方がいわゆる融資を受ける率は多いのですか。直接借りと代理借りの比率はどんなことになっておりますか。金額の上においてもよろしいし、件数の上においてでもよろしいです。
  67. 舟山正吉

    ○舟山説明員 その点につきましては資料も持っておりますが、ちょっと記憶いたしておりませんので、調べさせていただきます。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 関連して。中小企業金融公庫にお伺いいたしますが、今木村委員からもお話がありましたが、たとえば代理貸しの場合ですね、特に年末金融等の場合には申し込みが非常に殺到して、その申し込みの需要には応ぜられぬとは思いますが、われわれが見ても何か選抜融資的なやり方をやっているのじゃないのですか。それをほとんど代理店にまかしておるようなきらいはないか、いかがですか。
  69. 舟山正吉

    ○舟山説明員 公庫のやり方といたしましては、直接貸付と代理貸付とございますことは御承知通りで、代理貸付の方は全国津々浦々に店舗、つまり代理店の店舗がございますので、これを利用いたしまして全国に均霑して公庫資金を使っていただくという建前でございます。それから直接貸付の方は、比較的まとまった金額政府のいろいろの中小企業に対しまする政策が浸透いたしますように、直接に取り扱うという建前でございます。それでありますから、代理貸付の方になりますと、この代理店に対しましては、貸付基準というものを示しまして全国的に統一はとっておりますけれども、多くの場合は借り入れ申込者がその代理店取引関係などがある、従って、代理店としましてはその借り入れ申込者の業態なり性格なりを正確に把握している場合が多いと思います。そういうようなことからあるいは代理店貸しの方が処理が迅速にいくといったようなことがあるかと思いますが、直接貸付、代理貸付、両々相待って中小金融の疎通がはかられておるのではないかというふうに考えております。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 この支店等の直貸しの場合は、これはやはり制度の趣旨を十分体得して大きな誤りはないと思うが、業務の大半というものは銀行等における代理貸しでやっておるのですから、やはりいわゆる代理貸しの方が一般貸付を受ける側から見ると接触が多いと思うのです。ですからそういう場合、借り入れ申し込みに対する審査とか貸付の決定等について、これは正確にやれば問題はないのですが、それを代理店に全くまかしておくというような、公庫自体が放任的な態度をとる場合においては、非常に弊害が多かろうと思いますが、そういう指導監督等は一体総裁としてどういう形で具体的にやっておるか、大いにやっておるというのであれば、そのやっておる内容というものを示してもらいたい。
  71. 舟山正吉

    ○舟山説明員 代理店の店舗が全国に五千七百ばかりございますが、こういうふうに全国に代理店がばらまかれておることによりまして、中小金融の疎通が非常にはかられておるということは、はっきりした事実だと思います。そこで問題は、各代理店ごとに公庫資金の取り扱い方針が違っておっては、これは政府の意図にも反するわけでございますから、公庫といたしましては、代理店に対して貸付基準とかあるいはその運用の心がまえとかいうものを徹底さすように努めておる次第でございますが、なお事後の監督方法といたしましては、公庫が直接代理店も監査をいたしまして、公庫資金をどういうふうに扱っておるかということを、これは二年に一回くらい各代理店を回りまして調べております。またそのほかに常時公庫支店代理店との間に連絡会議等を持ちまして誤りなきを期しておるような次第でございます。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 監査等をやられたというわけですが、全国五千幾つの代理店があるとすれば相当指摘される弊害、こういう点はいけないとか、こういうところに問題があるという点は相当多いと思うんです。全国でどのくらいのケースがあったか、たとえばこの三十五年度業務の中でどういうことになっておりますか。
  73. 舟山正吉

    ○舟山説明員 代理店の店舗の数は五千七百ございますが、代理店といたしましては七百三十七ございます。これを公庫の手でことごとくすべてにわたって事務監査をするのは、手が回りませんので不可能でございますので、抜き検査的に、あるいは特に注意を要するような代理店につきまして、実地に監査をしておるわけでございます。それでその結果発見いたしました不備事項もないではございません。しかしこれは全体から比べますと、そんなに多いものではないと思っております。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 ただ問題は、先ほど木村委員の言われたような、議員が融資のあっせん等をお手伝いするというところには、いろいろな問題があると思いますが、そうではなくて、いわゆる代理業務をやっておる地方銀行の出先等は、その地元におけるいわゆる有力者といいますか、ボスといいますか、こういう勢力と、営業上のつながりというものは当然あるわけですね。その銀行が単に公庫の代理業務だけで営業をやっておるわけではないのですからね。そういう関係で、当然公庫から融資を受けなければならぬ、そういう人たちに対しましても、適正な審査とか貸し出しが行なわれていないという事実は、これはもう全国に多々あるわけです。そういう弊害があるとか、あるいは借り入れ申し込みをしても、そういう何らかの介入された力によって、借りる者が借りられぬというようなことになった場合、それはどういう形で、たとえば公庫に対して指摘すべきか、そういう点はどうですか。当然これは借りられるにもかかわらず、いろいろな障害が入って、現地では借りることができなかったという場合、そういう問題をどういうふうに指摘して、これをあなたのところへ伝えて、そういう弊害を解決するのか。そういう道はあるのでしょう。もうまかしてあるのだからしようがないということではいかぬと思うのです。時間がないから個々の事例は申し上げませんが、これは相当弊害があるのです。代理業務のいわゆる現地の取り扱い上の弊害というものは……。そういう場合一体どういうふうにするのか、明確にしてもらえれば、国民は今後安心して利用できると思うのです。
  75. 舟山正吉

    ○舟山説明員 代理貸付につきましては、代理店が八割の保証責任を公庫に対して持っておりますので、これは代理店が結局においてはその貸付不良債権になった場合には八割は自腹を切らなければならぬわけでありますから、代理店貸付にあたって無責任になるということはほとんどないと思われます。それから公庫の趣旨に反しまして公庫資金を扱った場合には、公庫といたしましては、事後の監査でわかりますれば、公庫資金のその部分の返納を命じ、あるいは自後の貸付ワクを停止するとか削減するとかいう罰則的な取り扱いをしております。しかし、結局代理店公庫の趣旨を体しまして、公正に円滑に金融してもらうことが主たるねらいでなければなりませんので、代理店の教育という方面に公庫としては力を注いで参りたいと考えております。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば借り入れ申し込みをした業者が、政治的に社会党の支持者である、あるいは非常に進歩的な考えの上に立って、地元においても積極的な活動をしておるという場合、一方ではそういうのは思わしくないということで、やはり資金面等で押えれば息の根がとまるという場合も、これは営業上ないわけでもないわけですね。そういうことで代理業務をやる銀行なんかに、地方の有力者とかボスが働きかけて、正常な貸付が行なわれないということになると、これは非常に問題だと思うのです。事例をあげろといえば、私は次の機会にそういう問題を明らかにしますけれども、これは総裁としてもそういうことが現にあるということだけは十分頭に入れて、今後全国の末端の貸し出し等において、そういうことによるあやまちというものは絶対に起きないように努力すべきだと思いますが、そういう点に対しましてはどうお考えになっておるか。
  77. 舟山正吉

    ○舟山説明員 代理店も、その代理貸しにあたりましては、あくまで金融という見地から貸し出しといなとを決定すべきでありまして、お話のございましたような政治にからめて融資を手かげんするということは、これは絶対にあっちゃならぬことでございます。もしそういうような事例がございますれば、公庫としては、当該代理店との業務委託契約をとりやめるといったようなことをあえてすることにやぶさかでない考えでおります。
  78. 津雲國利

    津雲委員長 では、中小企業金融公庫、どうぞお引き取り下さい。  北海道東北開発公庫の松田さん、前へどうぞ。  西村力弥君。
  79. 西村力弥

    ○西村(力)委員 簡単にお尋ねをしますが、公庫の資本金は、本年度十億増出資されることになっておるわけでございますが、ことしの資金計画は一体どういう工合になっておるか、それをまず御説明を願いたいと思います。
  80. 松田令輔

    ○松田説明員 本年度資金計画は、原資の調達は、政府の出資金が十億でございます。そうしてそのほかに債券の発行額が百七十五億円でございます。別に自己資金七十億ございまして、合計二百五十五億円となっておりまして、これが融出資の総額をなしておるわけでございます。
  81. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この自己資金というのは、毎年大蔵省との折衝で何がしかの金という工合にきまるわけですが、ここ二、三年のところ、この自己資金の調達は最初の計画通りできておるかどうか。三十五年あたりからどういう状態になっておるか、御説明願います。
  82. 松田令輔

    ○松田説明員 ここ二、三年以前からは、大体予算の見込み通りに自己資金は調達されておったのでございますが、三十七年度には、当初予算に七十億円と計上されておりましたが、いろいろな事情でこれが約一割方欠減を生ずるのではなかろうかと、ただいま予想をいたしております。
  83. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いろいろな事情というのはどういうことなんですか。あなたの方では、こういう工合にきまると忠実にこれだけをしぼり出さなければならぬ。まあ償還を強制するというのか、強制でもないですけれども、そういう工合に強く出ておって、なおかつ一割減だ、その事情というものを私たちとしてはどうしても聞きたい、とう思うわけです。
  84. 松田令輔

    ○松田説明員 この七億円の欠減と申しますものは、特に償還を強制する等のことをいたした上のことではございませんで、むしろ最近の経済情勢がいろいろと悪い場合におきまして、この条件変更等をいたさざるを得なかったものもあるわけでございまして、それらの事柄がかような決着になったと考えております。
  85. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、ことしの自己資金の七十億円ということも、これを完全に予算通りに遂行するということはむずかしいという推定が立つのではないか、こういう工合に私は思うのです。これは大蔵省も七十億を決定したわけですが、どういう観点からどういう見込みを立てて今年度の自己資金七十億ということをきめられたかどうか、両方のお考え方、これについてちょっとお伺いいたしたいと思います。
  86. 松田令輔

    ○松田説明員 三十八年度予算におきましては、自己資金金額の点につきましては前年度と同額の七十億と見込まれたわけでございます。従前の例からいたしますと、七十億の前はたしか六十億であったと思うのですが、年々大体十億くらいずつふやされてきたわけでございます。本年度は先ほど申しましたごとく、ことしの実績におきまして七億、約一割方の欠減を生じましたので、現在の経済情勢等も考慮に入れまして、前年度のものをふやさない、前年度とほとんど同額ということで、大体大蔵省の了解を得られたものであります。
  87. 新保実生

    ○新保説明員 三十七年度北海道東北開発公庫の自己資金の七十億につきましては、ただいま総裁から申し上げましたように、約一割程度の見込み違いがあるのでございますが、三十八年度におきましては同額の七十億、これにつきましては三十七年度のような欠減を生ずることはないと考えております。
  88. 西村力弥

    ○西村(力)委員 貸付総額がふえてくるので、年々十億くらいずつ自己資金の額を増すということが可能であるとするならば、前年度同様の七十億だとすれば、これは大して困難でもないという工合に考えられる。この点は公庫自体、当初からやはりそういう工合に考えられたのかどうか。現にきまったから七十億ということはやむを得ないという言い方はできないから、これでよろしいんだ、こういうふうに言うておるのかどうか、この点はどうか……。
  89. 松田令輔

    ○松田説明員 自己資金の算定の方法といたしましては、約定の償還金額というものがきまっておるわけでございまして、それを集計をいたすわけでございます。あと、ただ残る問題は、その年度において今後貸し出すべきものに対する当年度内の償還額は幾らと見込むか、これは見込みになりますけれども、大体は約定の償還金額を基礎にして見込みを立てるのでございます。ただその場合に立てた見込みについて一〇〇%の償還があるということを考えるべきではないのでございまして、当然にある程度金額につきましては、これは延滞になりまして持ち越されるものも生ずるわけであります。それらの元利をどの程度に見積もるかということが、結局のポイントでございますが、それを経済情勢の判断として、昭和三十八年度におきましては三十七年度より悪く見るかどうかということが問題でございます。それは結局三十八年度においてはそう悪くはならぬ、ほとんど前年度程度のものでいけるであろうということでこの七十億というものにいたしたのでございます。率としてはその程度のものでいいのではなかろうかということで話し合いがついたのでございます。
  90. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その点この資料を出してもらいたいと思うのです。これはこの席でどうこうということはちょっと差しさわりがあると思うので、理事会にでも出してもらいたいと思うのです。この返済期限がおくれておるというが、そういうものの資料です。期限の切り方はあなたの方で適当に出していただきたい。  それから第二番目としては、この開発公庫は融資を中心とする事業であると思うのですが、出資が北海道三億、東北何千万ですか、これによるとはっきりしておりますが、この出資というものは一体どういう業種に出しておるのか、そして出資せざるを得なかった理由というのはどこにあるのか、これは公庫法の規定からいってどういうように合法性のものであるかどうか、これについて一つ……。
  91. 松田令輔

    ○松田説明員 出資は公庫業務方法書においては明確に認められておるわけであります。実はこの公庫法がこしらえられるときに、むしろ出資に主を置くべきか、融資に主を置くべきかということがあったように私も伺っておりますが、ともかくも融資に並んで出資というものが二本の柱として認められておるのでございます。しかし、出資をそう広範に認めますことはいろいろ問題もございますので、出資はどの程度にするかということにつきましては、予算に出資のワクをある程度きめてございます。その範囲内で実行いたしておりますが、今までの出資をいたしましたものの種類といたしましては、ほとんど全部でありますが、全然新規の事業であるとか、その類似の事業がほかにないというものに大体限っていたしてきたのでございます。
  92. 西村力弥

    ○西村(力)委員 出資といえば資金を固定化するということになるわけでありまして、現実の申し込みに対しまして、あなたの方でどれだけこたえられておるかという問題になろうと思うのですが、出資を重視するということはやめていくのが正しいのではないだろうか、こういう気がするわけなんでありますが、この出資した個々の例についての資料、これも一つ御提示願いたいと思います。  それからこの事業益金と経費とを差し引いた差益金というものが出て参りまするが、この差益金の処置については、貸付残高の三分の二までは貸し倒れ準備金的な、このことは別に書いてありますが、そこのところに繰り入れと、かようになっておりまするが、その他は国庫に納入する、こういう工合になっておりまするが、この差益金というものは全額開発公庫資金としてこれが使われることは、東北地方の開発のためにも益するところが多いんじゃないか、かように私は思うのです。規定であるといっても政令でありますが、これらの点についての大蔵省の考え方、これを一つはっきりあなたの方の見解というものを示していただきたい。でき得るならばこういうものは全額資金の中に投入する、そして資金量を増大する、かような工合にいくのが正しいのではないだろうかと思うのです。こういう言い方をすると、また償還の関係なんかにおいて相当強い措置をとるということになりますると、なかなか問題がある場合もあると思うのですが、そういう点について大蔵省の考え方を出してもらいたいと思います。
  93. 新保実生

    ○新保説明員 国庫納付金が出る政府金融機関とそれが出ない政府金融機関とございます。なぜ出るか、なぜ出ないかという問題でございますが、これは一にかかってその政府金融機関に投入せられる資金源、つまり借入金でやっていくか、あるいは金利のかからない出資でまかなっておるか、多くの場合はその両者が組み合わせになっているわけですが、その組み合わせのいかんによってその政府金融機関資金コストというものがきまってくるわけでございます。  それからもう一つの要素は、その金融機関から貸し出す貸し出しの金利でございますが、これは御承知のように政府の関係の金融機関が七つほどございますから、市中金融機関とバランスをとりながら、若干下目のところにきめられておるわけでございます。そういう両者の関係によって、ある政府銀行は利益が出るし、ある政府銀行は利益が出ないという関係になっております。そういう現状でございますが、その現状に立脚して利益が出ておるから、これをその金融機関の自己資金として直接に還元していくという考え方をとりますと、ちょっと極端な例を申し上げて恐縮でありますが、非常におかしなことが出てくるわけであります。たとえば開発銀行でございますが、開発銀行は御承知のように一年間に百八十億ぐらいの利益が出るわけでありますが、それを直ちに自己資金に還元して使っていいのかどうか、御承知のようにこれはガリオア、エロアの返済資金の重要な財源になっておるわけでございます。そういうふうに開発銀行が百八十億の利益が出るのは、これは開発銀行が非常に回収といいますか、債権管理に従事して約定通りの回収に努める、そういうところからも出ておるわけでございますけれども、基本的には貸し出しの金利に比較して資金コストが安いというところから出てきておるわけでございまして、そういう事情が各金融機関にあるわけでございまして、その金融機関の利益の金額をそのまま自己資金として還元するという使い方をしますと、非常にいろんなことが出てくるわけでございまして、直ちにそういうやり方を採用するのは問題があろうかと考えております。
  94. 西村力弥

    ○西村(力)委員 貸付の線の引き方でありますが、これを地域々々によって少し差等をつけたらどうか、かように私は考えておるわけなんです。非常に開発のおくれた地域においては、あなたの方で貸付対象にする企業が非常に少ない。それ以下の企業がずっとよけいにある。ですけれども、乗らない企業であるから、どうもめんどうの見ようがないとあなたの方でおっしゃる場合もあるかと思いますが、それを地域地域によってある程度線の引き方に差等をつけることによって、この開発公庫資金というものが均等に各地域、各県でもいいですが、そういうところに及ぶことができるのではないか。そういう工合にして、むしろ開発のおくれた地域に重点がかかるような工合にしてこそ、初めて開発の精神に沿う、かようにいえるのではないかと思うのです。そういう点について公庫側においてはどうお考えになるのですか。
  95. 松田令輔

    ○松田説明員 さような気持で現実に私どもも運用いたしておるつもりであります。たとえば一例を申し上げますると、地域のそれぞれの産業の発展の程度に応じまして、たとえば融資の比率でございますが、この比率は規定の上においては七割以内ということになっておりますが、現実には資金量との関係上、すべてを最高限度まで出すことは不可能でありますが、しかし、地域のいかんによりまして、発達の程度のおくれておりますところにおきましては、できるだけ最高限度の方に近づけて現実に融資を実行いたしております。そうして大きな企業とか、それから進んだ地域に対しては、これを思い切って融資の比率を切り下げておるような実情でございます。融資の申し込みの取り上げ方にいたしましても、特別のまた考慮も払っておるような工合であります。
  96. 西村力弥

    ○西村(力)委員 融資の比率でありますが、この開発公庫資金の借り受けられる限度は、今こんがらかっておるようですが、一千万円を限度とする、こういう工合になっておる。それを地域によっては五百万円なら五百万円、こういうふうに切り下げて、地域によってこれはだいぶむずかしいところでありますけれども、融資の比率ばかりでなく、そういう点も考慮する必要があるんじゃないかということなんです、私の言っておるのは。
  97. 松田令輔

    ○松田説明員 これはしばしば問題になる点でありますが、私どもの方の融資対象として認められておりますのは、今お話のありましたごとく一千万円以上の資本金であり、また一口一千万円以上の貸付、かようなふうになっております。実際問題といたしましては、それがきめられました理由は、むしろ中小企業金融公庫との業務分野の調整としてその線が当時引かれたのです。それ以下のものは中小企業金融公庫の方の分野として、そちらの方の金が融資される、かように考えられてその線が引かれたのであります。その後の推移を見ますると、むしろ私どもの方の限度を引き下げると申しまするよりも、むしろ中小企業金融公庫限度がだんだんと上の方に上がって参りまして、資本金の額によりまして、ないしは融資の一口の金額におきましても、中小企業の方が上の方にずっと上がって参ったので、これは業務方法書の問題でありまして、大蔵省の問題でございますが、私の想像するところでは、今の傾向といたしましては公庫の方を切り下げるというととはむずかしいのじゃなかろうか、かように考えております。
  98. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この関係はその程度にしておきます。
  99. 芳賀貢

    芳賀委員 北海道東北開発公庫の関係で、松田総裁にお尋ねしますが、この開発公庫業務は、大別して北海道関係と東北関係ということに分かれておるわけですが、北海道地域、東北地域におけるこの公庫業務の目的というのは、これはそれぞれ北海道の地域開発あるいは東北地域の開発とつながる融資の業務をやっておるわけですが、その重点が、北海道の場合においては貸出残高を見ても一番大きいのは紙、パルプ関係ですね、これに大体貸し出し総額の全体の三〇%くらい向けられておるわけですね。その次がてん菜糖工業、それから海運関係の事業面に、まあ一、二、三というこういう順序で貸し出しが行なわれておるわけですね。東北の場合には、これはガス化学工業であるとか金属類の採掘事業に対する融資であるとか、鉄鋼等のそういう事業、こういう順序で出されておるが、問題は、今あなたが西村委員に答えられたように、公庫性格というものは、重点を地元における中小企業、いわゆる資本金一千万円以上ということになっておるが、地元産業の育成ということにこの地方開発を結びつけるというところに重点があるわけですが、特に北海道等の場合においては、これはたびたび指摘する点ですが、中央の資本が北海道に進出して、そこで事業を興しておる、それに大半の資金貸し出している、こういうことになっておるわけですが、この運営方針というものは効果が上がらぬというわけではないが、中央の企業や資本にだけさらに公庫資金の大半を貸し出しするということになると、一体その地元産業の育成というものについては、全くこれは顧みておらないのじゃないかということに、これは運営上そういうことになっているわけですね。この点はやはり問題があると思うのですが、どう考えますか。
  100. 松田令輔

    ○松田説明員 この公庫法で定められております目的といたしましては、結局開発に必要なる資金の供給ということになっておりまして、私ども、大体さように考えておるのであります。結局その地域におけるところの資源の利用、開発ということに対する資金の供給というふうに考えております。そこで、その資源の種類いかんによりまするというと、これがいわゆる中小の規模で行ないがたいものもございます。それからまた、ものによってはもちろん中小でやれるし、またやった方がいいというものもあるわけです。そうしまして全体の構成でございますが、ことに北海道、特に東北等の従来の後進地域の事情からいたしますと、この種の大きな基礎的な企業がないために、中小企業それ自体もない、少ないというようなことが思われるのであります。御承知のように、現在日本における中小企業というものはどこに多いかといいますと、どうしても大企業の存在するところに集中している。従いまして、北海道の開発ということ、並びに地元産業の振興ということにつきましては、これはいずれを重視する、いずれを軽視するということではなしに、両方を並べて推進していくということになるほかないのではなかろうか、かように思いまして実行しておるのでありまして、特に大企業というものを中心にものを考える、そちらにウエートを置いて考えるということではないのでありまして、両者は必ず並行すべきものだし、また並行させるべきだ、かように考えていたしてきておるわけであります。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば公庫から出された北海道東北開発公庫の概要によってもですが、昭和三十七年十二月三十一日現在の融資残高表によっても、たとえば北海道分についてその貸し出し残高は大体四百三十億円ですね。そのうち紙及びパルプ工業関係については百十二億、次にてん菜糖工業関係については四十六億、海上運送業関係については四十七億、こういうことになっておるわけであって、ここで言うところのパルプ工業というのは、これはほとんど中央の独占的な企業に対して百数十億の貸し出しを行なっておるわけですね。あるいはまたてん菜糖工業についても、中央のいわゆる精製糖工業が北海道のビート工業に進出して、これを対象にして貸し出しを行なっておる、そういうことにこれはなるわけですね。中央の資本に対する貸し出しが非常に多いということになれば、地元産業というものは、大企業に隷属したような形でなければ発展しないから、その根っこになるところのまず大企業を育成し、さらに企業を拡大してもらうということで、それを公庫貸し出し方針として貸し出しをしているということになれば、まず順序としては大企業中心の融資方針ということになると思うが、この点はやはり公庫の融資の精神からみても、これは問題があると思うのですが、これは大蔵省としてどう考えますか、こういうような運営の方法が妥当であるということで認めておるかどうか。これは大蔵省の方から聞かしてもらいたい。
  102. 新保実生

    ○新保説明員 業務のいろいろの融資先なりそういったことにつきまして、大蔵省からお答え申し上げるのが適当かどうかということがあるわけでございますが、問題は二つ御指摘になられたと思うのであります。  一つは、中小企業とそうでない企業に対するウエートの置き方という問題でございますが、これは形式的な基準といたしましては、政府金融機関としまして別途中小企業金融公庫なり、あるいはさらに零細なところを対象にしました国民金融公庫があるわけでございます。現在のところは、まあ一千万というところに線を引きまして、それぞれの業務分野を区別しておるわけでございます。そういう点から申しまして、いわゆる中小企業基本法とかそういうところで定義をされておりまする中小企業に対する融資というのは、中小企業公庫がこれを受け持つという建前になっておるわけでございます。  それから大企業、地元に本社がない企業に対する貸付が多いという御指摘でございますが、これもやはりそういう点から融資をするしないということをきめるべきではなくて、開発効果の高い事業に対して融資をする、そういう立場から融資をやっていくべきだと考えますので、先ほど公庫総裁からお答え申し上げたような考え方で融資をされるのが適当だろう、こう考えております。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば北海道における企業の進出ということを考えても、これは国家的な立場から民間の資本が国の開発の方針に協力するために進出するというわけじゃないでしょう。企業採算上この際北海道に企業を興し、あるいは東北に企業を興すことによってその会社が企業上有利である、そういう考えの上に立って北海道あるいは東北に進出するのであって、国の方針がこうだから利潤追求を度外視して進出するということじゃ全然ないと思うのです。だから中央重点でいくとすれば、何も特別に北海道東北開発公庫をつくらなくても、開発銀行なら開発銀行で、そういう大資本、大企業に優先融資をするというのが、今まで政府や国の金融機関のとった態度ですから、わざわざ北海道東北開発公庫というものを設置して、そこで開発の目的に合致した融資を行なうということになれば、やはり地元における産業とか企業の育成ということは当然大事なことなんです。これに対して何ら重点的な配慮が行なわれていない。こういう点は公庫自身もそうであるけれども、大蔵省自身としても考え方の誤りを正さないといけないと思うのです。たとえば一例をてん菜糖工業にあげても、昨年は公庫融資による大日本精糖の工場が完成して操業に入り、もう一つは、農協関係の企業に対しては、この公庫からは融資しないということになっておるわけです。従って、これは農林漁業金融公庫から貸し出すということになるが、一方ホクレンの方では第二工場が昨年十勝にできて、これも操業に入っておるわけです。ところが原料の生産が全然増加しないで、工場だけ政府機関の融資によって乱立しておる。九工場ができて原料は百万トンしか生産されない。これを一工場に配分した場合においても、十二万トン足らずの原料しか平均的に各工場に配分されぬから、これは非常に製品がコスト高になって、過剰施設というものを合理的にしなければ今後の北海道におけるビート工業というものは、なかなか伸展できないという段階に到達しているわけです。だから、そういう場合国の融資機関としてビート工場を一工場に二十億も三十億もかけて建てる場合に、大体その建設の半額くらいは融資しておるわけでしょう。これに融資をして工場設備ができて、一体どの程度の原料の確保ができて、それがどのような成果を上げていくということについて見通しがなければ、これは貸し出しはできないと思うのですよ。今になってみれば、過剰施設によって非常にコスト高になり、どこも経営が困難である、大日本精糖にしても、製品を政府がことしは買い上げるとしても、なお七億円も赤字が出るということをわれわれは聞いているわけです。そういう経済性のない、発展性のない貸し出し業務というものは反省しなければならぬじゃないですか。何でもかんでも中央の企業にそうでございますかと言って貸し出して、地元産業を全く無視するというやり方は、やはり問題があると思うんですよ。松田さんなんか長くやっておられるので、そういう点はわかると思うが、一体どう考えておるか。
  104. 松田令輔

    ○松田説明員 ほかの点よりも、ただいま特別に御指摘になりましたてん菜糖の事業に対する融資でございますが、御指摘のように、現状は工場の生産能力、つまり原料の処理能力が原料の生産より以上に進んでおる、過大であるということにつきましては、私もさように考えております。今日の問題としては、工場の建設よりもむしろてん菜糖自身の生産の増加というものの方が先行すべきである、優先すべきであるということについてはさように考えておりますが、これは決して逃げ口上ではございませんが、てん菜糖の工場をいつどこにどれほどつくるかという事柄は、政府の方でおきめになりますることでございまして、私どもの方は、その主務官庁からの推薦によりまして実行いたしておるのであります。しかし、私どもの考え方と申しますか、現状の判断としましては、工場よりも原料生産の方で主である、工場をそんなにたくさんつくることはどうかということにつきましては、われわれの意向はもちろんそれぞれの当局の方へは絶えず申し上げております。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 今のお答えの中に問題があると思う。普通の金融機関であれば、融資でそこに設備ができる、しかし、その対象になる原料の生産とか原料の確保等が一体どうなるかというような、生産面の前提をなす条件の把握ということが先に行なわれて、これは許すべきである、あるいは投資すべきであるという態度がきまるわけですが、公庫の場合、それをやらないのです。そうして農林省、大蔵省から、これは必要であるから貸し出ししろと言われれば、そうでございますかで、ただ漫然と貸し出しを行なう、ここにいわゆる武士の商法的な誤りというものがあるわけです。これは、あなただけ責めても機構がそういうふうになっているからやむを得ぬといえばやむを得ぬが、そういう場合においても、やはり公庫としての、金融機関としての任務あるいは性格の上に立った場合に、農林省、大蔵省が間違った指示を与える場合には、いやそれはいけませんとか、これは見通しはこうですくらいのことははっきり言うことはできるじゃないですか。それはできないですか。
  106. 松田令輔

    ○松田説明員 ただいまちょっと申しましたごとく、私は北海道の現状におきましては、原料生産の増加ということが主であって、工場の建設は二の次だということにつきましては、機会をとらえては申し上げておるつもりでございます。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一つ、これに関連して、いわゆる民間の製糖工場の場合には公庫から融資する、農協関係の場合には農林漁業金融公庫ということになっておりますね。手近い事例として、たとえば大日本精糖に対する貸し出し公庫から幾らおやりになるか、それから農林漁業金融公庫からホクレンの工場施設に対しては幾らお出しになるか、これはどっちも政府金融機関ですが、ちょうど清井さんも来ておられるから、その点について一つの事例として御説明願いたい。
  108. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問のありました北海道のてん菜糖生産の問題でございますが、私どもは先ほど来芳賀委員御指摘の点もございましたが、政府機関としての性格上、農林漁業関係で他の金融機関の貸すことのできないものについて貸せという建前になっておるわけでございまして、そこまで政府金融機関としての使命であるというふうに自覚をしておるわけでございますが、北海道のビートの生産につきましては、たまたまビート生産に従事しておりますもののうちに、いわゆる会社でない農協の事業というものが一つあるわけでございます。これは通称ホクレンと称しております北海道経済農業協同組合連合会が、自分の事業としてビートの生産事業をいたしておるということでございますので、その分につきましては、私どもといたしまして当公庫貸付対象として適切なものとして貸付をいたしておるわけでございます。むろんその点は、他の会社もビートの生産をいたしておりまして、そのうちの一つとしてやっておるわけでございまするから、むろん北海道全体のビート生産の一環としての施策ということで私ども貸付をいたして参るわけでありますが、当公庫性格上、ホクレンにのみ貸付対象を限定して実行しておるわけでございます。幸いにホクレンの事業は、ただいま事業といたしましては非常に成績がけっこうなようでございます。その原因につきましては、私どももいろいろあるかと思いますけれども、原料集荷という面において非常に成績が良好である。すなわちそれはホクレンという農業者の団体が主宰するという点において、他の会社よりも原料集荷において非常に有利な点があるのではないかという感じもいたしております。また選びましたある品種につきましても、相当努力いたしまして新品種を導入したというふうに聞いておりますが、そういった意味におきまして、いわゆる産糖の歩どまりが非常にいいというようなこともございまして、当初懸念をいたしました私どもの心配を払拭いたしまして、設立当初から非常に好成績を上げておりまして、ただいまもその成績は持続いたしておるようでございます。そういった面から考えまして、私ども本年度におきましても、新工場に対しまして約八億ばかりの融資をいたしております。前年度に融資をいたしましたものを含めまして、ただいまはっきりした数字を覚えておりませんが、二十億近い金額をホクレンの二つのてん菜糖工場に対しまして、融資をいたしておるという現状でございます。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 今の清井総裁のお答えですが、ホクレンの清水につくりました工場については八億円ですか、今ちょっとよくわからなかったのですが……
  110. 清井正

    ○清井説明員 正確に覚えておりませんが、たしか今年度八億円融資したと思っております。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは松田さんの方は、会社の名前をあげてあれですけれども、大日本に幾ら融資をしましたか。
  112. 松田令輔

    ○松田説明員 現在のところ、確かな数字は私記憶しておりませんが、大体十億だと思っております。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 同じビート工業の目的で工場を建設する場合、同じ政府の融資機関でありながら、一方に対しては十億円、一方に対しては八億円というのは不統一だと思うのです。以前は何か両公庫の間において方針が統一されて、同一企業に対する融資を行なう場合は大体同額の融資を行なうということになっておったと私は記憶しておるが、そういう点はどうなんですか。
  114. 清井正

    ○清井説明員 主として自主的な経営面の指導は、農林省においてやっていらっしゃるわけなんで、融資の問題につきましては農林、大蔵両省と御連絡申し上げていたしておるわけであります。従来私どもといたしましては、公庫業務方法書によりますれば、事業計画金額の八割以内を融資することができるということにいたしておりますけれども、公庫全体のワクが総需要を全部満たすという状況に至っておりませんために、やはり大企業でございますと、六割以内あるいは五割以内というふうに八割以内の中において適当な数字をもって貸付をいたしておるわけであります。従いまして、いわゆる融資ワクの関係、事業の規模という関係からいたしまして、たしか清水の工場に対します八億のワクは、五%にならない四〇数%の金額ではないかと思いますが、私どもの公庫全体のそういった種類の貸付対象に対します融資ワクの関係と、あるいは今申し上げましたような企業全体の負担力という関係からいたしまして、八億程度が適当であるということでいたしておるわけであります。他の会社に対して、他の公庫その他がどの程度金額を融資しておるかということは一応関係なしに、私どもとしては当公庫貸付対象がホクレンであるということから見まして、当公庫の金融事情あるいは資金額から貸付をいたしておるというような観点から八億という数字計算いたしたような次第であります。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 大蔵省に尋ねますが、同様の政府機関から、一方は相当の配当成績を上げておる株式会社の企業に対しては北海道東北開発公庫からたとえば十億円、それ以前は工場に対しては十六億ですね。それから零細な農民資本によってまかなわれる農協の工場施設に対しては、農林漁業金融公庫からたとえば八億円というふうに少額の貸し出しを行なう。これはちょっと片手落ちじゃないですか。株式会社についてはある程度押えても、農民の企業による場合は、農業基本法の審議の中においても、池田総理は、やはり農民資本によって農民の生産した原料を高度に利用して工業化を進める場合においては、優先的にやらなければいけないということを答弁しておりますが、実際の金融措置ということになると、こういう片手落ちなことが間々行なわれておるようですが、これは大蔵省一つの監督あるいは指導方針でこういうことになっておるのですか。
  116. 新保実生

    ○新保説明員 私、てん菜糖の事業の中身につきましては、全くしろうとでありますし、過去のいきさつを存じませんので、お尋ねの点について、直接お答え申し上げることはちょっとできないのでございますが、同じ事業に対しまして、同じ政府金融機関からそれぞれ融資があるということは、そういう場合もあり得るわけでございまして、たとえば北海道東北開発公庫貸し出し先は、お手元の業務方法書にもありますように、開発事業を営む会社ということになっておりまして、いわゆる農業協同組合とその連合会というものは対象になっておらないわけであります。それぞれ貸し出し対象というものがきめられておりますので、その業務状況に応じた融資を行なっておるということだと思うのであります。  それから農民の集まりであるところに対する貸し出し金額が少ないという御指摘でありますが、なるほどお話通りでありますが、たとえば、たしか金利の点では差があるのではないかと思います。北海道東北関発公庫の方は八分七厘でありますし、ホクレンの方の農林公庫の方は七分五厘、それから同時にいわゆる近代化資金も使っておられるようでありますので、その部分についてはこれまた七分五厘になるわけでありまして、そういう点ではだいぶ金利負担が違ってくるのじゃないか、かように考えております。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 これは営利会社と、たとえば私益法人であっても農協の場合と、それの取り扱いというものはおのずから別になるのが当然でしょう。どっちも同じに扱うということになれば、協同組合も農協株式会社にでもしなければいけないというようなことになるのであって、やはり農林漁業金融公庫自体の性格から、制度金融の中でできるだけ採算性の低い、利益率の低い農業関係の共同施設あるいは企業等に対しては、それを補正するためにある程度の低金利政策をとっておるわけだ。だから貸出金額が少なくてもやむを得ぬということは、これは理由にならぬと思うのです。こういうことはあまり議論する必要がない点ですが、最後にもう一点お尋ねしておきますが、たとえばパルプ工業等に対して大幅な貸し出しを行なうが、たとえば林産加工であるとか木材加工であるとか、そういうような地元の中小企業の企業力によって行なわれるそれらの企業に対する貸し出しというものは、今後積極的にやるつもりであるか、大企業だけに貸し出せば自然その恩恵を受けて他の企業というものはある程度発展の可能性があるということでいくのか、その点はいかがですか。
  118. 松田令輔

    ○松田説明員 紙パルプ事業自身といたしましても、その生産するところの品物いかん、処理するところの原料いかんによりましては、また中小規模のものも実現するわけでございます。さようなものもわれわれとしては現に融資をいたしております。それから紙パルプ以外の繊維板その他これに類する事業、合板、繊維板等の事業につきましては、いわば北海道の特産とも申すべきものでありまして、これはわれわれの融資はほとんど網羅しておるかと思います。これは今後も積極的にできるだけ融資をして、これが振興をはかりたい、かように考えております。
  119. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私、前年問題にしました住宅福祉協会の問題について、再度もう少し詳しくお尋ねをしたいと思うのでありますが、第一番目に、あの際そういう福祉協会をつくって住宅を建設した、その公庫からの借り受けを返済すれば、これは返済を受けなければならぬし、受ければ完全に監督から離れて、それをどう処分しようと向こうさんの勝手になるのだ、こういうようなことは非常に不都合な点があるではないか。形式的には何も問題がないようでありますが、現在のように宅地あるいは住宅というものが高騰しておる時期においては、何年か過ぎればその借り受けを全部返済して自分のものとすれば、それを売却することによって数倍の巨利を得られる、こういうことは不都合であるし、またその結果そこに居住しておる人々は、そのことによって相当の損害を受けるであろう、だから、そういうようなことのないように検討を必要とする、かように申しておったわけなんでありますが、この件につきましては、約一カ年を経過した現在、建設省においてはどういう研究をしてこの対策を立てられておるか、まずそれからお尋ねしたいと思います。
  120. 沖達男

    ○沖説明員 お答えいたします。その際の委員会におきまして私から十分検討いたしたいということを御答弁申し上げたわけでございますが、その後種々建設省及び公庫におきまして検討いたしましたが、償還の自由ということを制約するのは問題ではなかろうかということで、現在のところこの償還の自由を制限するようなことはとるべきではないという考え方であります。
  121. 西村力弥

    ○西村(力)委員 償還の自由を制限はできない、こういうことでありますが、それ以前の問題になる点は、こういう公的な資金をもって住宅建設に向ける、これはやはり勤労者一般の低家賃住宅というものを確保していく国の住宅政策に基づいてやっておることなのであります。今のような答弁で、公的な金を使ってやる住宅行政というものは完全にくずれるということはないんだ、まずそこまで問題を持っていってこの措置を考えなければ、これはどうにもならぬことじゃないかと思うのです。ですから償還の自由は制限できないにしても、しかし、そのことによって、自由に処分しなお居住者に損害を与えることを押える、これはあるべきことであってあり得ることであると思うのであります。そこまでについての御検討はどうされておるか、基本的な考え方、住宅行政の精神というものは、あなたの今の答弁によっては完全にくずれる、こういうことになるわけなのでありますが、それをどう考えられるか、はっきりと答弁を願いたい。
  122. 沖達男

    ○沖説明員 一時償還と称して繰り上げ償還をする自由は、どこまでも保留いたしたいというように考えますが、償還しようとする際に、公庫といたしましてはどういう事情償還するのかということを聞く機会はあろうと思います。その際どういう処分計画を持つかというふうなことも、これは法律上の強制的な力は持ちませんけれども、指導面で機会を持つことができるのではないか、そういうふうに考えます、今先生の御趣旨わからぬではありませんけれども、この公庫資金も非常に貴重な資金で、住宅対策を推進しておるわけでございますが、その賃貸法人がその資金によって建てた住宅を経営しておる間は、まさにその趣旨に沿って住宅対策が行なわれておるということになりまして、それを一時償還いたしますと、その償還された資金というものは、公庫におきましていわゆる回収金等の自己資金といたしまして、さらに別途に事業計画に沿って融資に回せるということでございますので、回転は早くなった、他の賃貸住宅の融資に回し得る原資ができた、こういうことになりますので、必ずしも一がいにまずい事態であるとは言えないかと思います。
  123. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は、あなたの考えと違うので、ますますまずさを加える、そういう考え方であります。一体そこまで考えて、その福祉協会の住宅を建てて公募して居住者を選んで、この人々はかくかくの家賃なりこの条件なりなら大へんにしあわせだと思っておったとたんに、今度は個人の所有になったためにすばらしい費用負担の増大ということになってくると、これは全く裏切られる。国の建設行政というものはそういうものかということになってしまう。そういう罪を深めることになる、まずさを加えることになる。一体今あなたが言うような工合に、償還の自由は制限できないということになったら、その次に、居住者を前の条件通りに、当初の趣旨通りに守るという措置をどうやるのですか。それをどうするのです。償還の自由は認める、制限することはできない、それは理屈だから、理屈はそこまではいい。いいが、そのあと居住者のあれをどう守るかという問題ですね、それをどうするのですか。
  124. 沖達男

    ○沖説明員 一時償還の後に、その住宅を他に転売したという場合に、その住宅を買い受けた者が入居者に対して家賃の値上げを要求するということは、場合によってはあり得るというふうに考えます。これはすでに住宅金融公庫との間の関係が解消した後のことでございますので、住宅金融公庫からどうこうという制肘を加えることはできないことで、結局は一般の民法とか借家法の規定による家賃の変更があり得るということでございます。その際に、もし相当の値上げが行なわれるということになりますと、住宅事情が現在の様子でははなはだ困難な面もありますけれども、他の公団住宅とかあるいは公社、協会の賃貸住宅の募集に応募して入っていただくというふうなケースが出てくるのじゃないか。一般の民法、借家法の規定に沿って行なわれるということにならざるを得ないと思います。
  125. 西村力弥

    ○西村(力)委員 他の公団住宅に応募してそこに入ればいいといったって、そんなに簡単に入れるものですか。そういろその場をごまかすみたいな答弁ではだめです。きょうはどうして住宅局長は来ていないのですか。そうしてそういう制度をやって、転売すればこれはもう莫大な利益があることはあなた自身も認められておる。転売しなくても自分のものになれば、やっぱりいろいろな家賃その他の条件というものは引き上げられるということは間違いないことなんですね。それに対する低家賃住宅の政策のワクというものははずれるのですから、そうなるに違いない。転売すれば、本人はそれを計画したということで、国の金をもって莫大な利益を受ける。転売しなくたって、そのことによってすばらしい家作持ちというふうな形になるわけですが、いずれにしても居住者はだまされたということになる。そこに居住する人はだまされた、こういうことになる。だからあなたが今そう言うならば、その居住者をどう守るかという、そういうはっきりした見通しを立ててからでなければ、そんな理屈というものをこの際私たちは通すわけにはいかぬので、これは局長かだれかいなければだめですね。
  126. 津雲國利

    津雲委員長 今住宅局長を呼んでおります。
  127. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その点は事務的な段階でああいう理屈を言ったって、私たち委員会としてこれはこのまま通すわけには参らぬと思うのです。
  128. 津雲國利

    津雲委員長 それではちょっと局長の答弁を保留して次に移って下さい。
  129. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あなたはそういう答弁をするが、三十六年度の決算が、財団法人日本住宅福祉協会からあなたの方に出ておりますか。
  130. 沖達男

    ○沖説明員 決算報告書を要求いたしておりますが、いまだに建設省に提出されておりません。
  131. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そんなうまい理屈を言っても、監督官庁であるあなた方が三十六年度の財務諸表もとってないなんて、要求しているけれどもこないなんて、三十六年度ですよ。もうすでに三十八年度になろうとするときですよ。そんな状態で、そうして償還は制限できない、あとに残された居住者はなるようになりなさい、そういうような言い方はとても私たちは認めるわけにいかぬですよ。これはそういうものを要求して出さないときには、あなたの方で発動する権限はないのですか、公庫法にはどう書いてありますか。そういう場合におけるあなた方の権限というものはどうなっておるか一つ説明を願います。それは立り入りを拒んだりあるいはそういう決算書の提出を求めてもそれに応じないとかいうような場合においては、刑事罰か行政罰か知りませんけれども、あなたの方で発動する権限というものはあるはずです。一年以上も経過して、すでに三十八年度になろうとするとき、要求したが出ませんなんという、それではあなた方は監督権というものをこの協会に対しては完全に放棄しているといわざるを得ない。
  132. 津雲國利

    津雲委員長 西村君、今前田住宅局長が見えるそうですから……。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  133. 津雲國利

    津雲委員長 速記を始めて。  午後二時半より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十一分休憩      ————◇—————    午後二時三十八分開議
  134. 津雲國利

    津雲委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。大蔵省所管及び大蔵省関係政府機関について質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院に最初お尋ねいたしたいと存じますが、農林漁業金融公庫の貸付について不適正な融資の現状が指摘されておるわけでありますが、その現状についてまず最初お尋ねいたします。
  136. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 お答えをいたします。  農林漁業金融公庫の融資につきましては、従来から私どもの検査の結果、すでに融資を受けたものに対する管理が不十分で——と申しますのは、私ともの検査の結果、当初の貸付条件と違った状態で貸付が行なわれておる。そのために繰り上げ償還を要する事態というのが相当多数出ておりまして、私どもの調査した事案に対しまして、件数で大体二〇%くらい、金額では三%くらいになりましょうか、いずれにしても他の事例がら比べますと相当不適正な事例が多いということで、かなり重点的に検査いたしております。事態といたしましては、借り受け側において公庫の融資金だけで土地改良事業その他の仕事をやっておる、あるいは貸付を受けた後、事業計画が縮小したため貸付金も従って減額されるのにそのままになっておる。あるいは補助金の交付を受けた場合には、これは国庫の補助金あるいは都道府県の補助金もございますが、相当額を繰り上げ償還するという約定になっておりますが、それがそのままになっておる。こういった事例が非常に多いわけでございます。特に私どもといたしましては、公庫融資のうち約三分の一以上を占めております土地改良事業を中心にしておりますが、この分野において特にその傾向がはなはだしく多いのでございます。
  137. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、貸付の二割も不正貸付がある、検査院は不適正な融資と、こう言いますが、言うなれば不正貸付がある。一体そのような原因は、公庫としても十分お考えになっていると思うのですが、お金を貸したあと貸付先の監査なり検査なり、こういうことは公庫の方ではやられておるのですか、やられておるとするならば、どういう形でやられておるのか、御説明願いたいと思います。
  138. 清井正

    ○清井説明員 ただいま会計検査院の方から御答弁申し上げました通りでございまして、私どもの農林漁業の貸付のうちの三割ないし四割近いものが土地改良事業でございます。そこで、検査院から御指摘を受けておりますいわゆる限度超過あるいは補助金未償還というものもほとんど全部が土地改良事業でございます。しかも、それは災害復旧事業でございます。災害復旧事業については、御承知通り年三回くらいに分けて、三割、四割、三割というくらいの割合で補助金が出るわけでありますが、事業を復旧いたしますのは緊急を要しますために、私どもの方は一ぺんに貸付をいたします。しかし、私どもの方では事業計画の八割までしかお貸ししないということになっておりますし、また当初お貸しいたしましても、その後補助金が出れば必ず返すようにというお約束でお貸ししているわけでございます。ところが実際には補助金が出ましても、事業その他の事情でお返しを願わない場合がございます。その場合に補助金未償還ということで会計検査院の御指摘を受けるわけでございます。それから限度超過と申しますのは、ただいま申し上げました通り八割までお貸しするわけでございますけれども、事業をやった結果、たとえば百万円でございますと八十万円までお貸しするわけでございますけれども、事業が何らかの事情によりまして百万円かからない、九十万円で済むということになりますと、八割超過いたしますわけでございますから、超過分をお返し願うということになっておるのでございますが、そのお返しいただくことが十分にいっていないということが、会計検査院の実地検査によって御指摘を受けまして、ただいま会計検査院の方からお答え申し上げてたような事例を出しいるわけでございます。その点につきましては、私どもといたしましては、毎年実はこういうことが起こるわけでございまして、まことに申しわけない次第でありまして、常々こういうことが起らないようにということを注意いたしておるわけであります。  そこで、内容をもう少し詳しく申し上げますが、私ども農林漁業金融公庫は、直接貸付をいたしておりますのは全体の一割五分程度でございまして、あと残りは全部受託金融機関貸付を委託いたしております。ことに土地改良事業においては全部県の信用協同組合連合会あるいは農林中央金庫等を通じまして、受託貸付をいたしているわけでございます。しかも、なお事業をいたします場合におきましては、ことに土地改良事業につきましては、各県庁が事業調書というものを出しまして、県庁が設計検査を行なうわけでございます。その県庁の設計検査が済み、その事業調書が県庁から上がって参りまして、私どものところで受託金融機関を通じてお貸しする、こういう実は実情になっているわけでございます。そういうものが大部分でございますが、一部土地改良事業につきましても、非常に大きな事業には直接貸付をいたしている場合もございます。そういった事例につきまして、私どもは検査院の方から御指摘を受けることのないようにということでかねがね努力をいたしておるわけでございますが、まだその点が不十分でございまして御指摘を受けたような次第でございます。そこで私どもといたしましては、かねてからの問題でございますので、何とかしてこの事態を、絶無とまではいかないにしても、できるだけ少なからしめるということが必要であることはもちろんでございます。そこで監査ということを実はいたしておるわけでございますが、監査はただいま各支店におきまして——支店と申しましても九つの支店がございますが、管理課を設けまして、そこで管理課に全部で約百人以上の人数を配置いたしまして、貸付をいたしました後は実態を調査いたすという意味において監査事務をいたしております。それは、受託金融機関を毎年定期に監査をいたすわけでございますが、同時にまた貸付先にまで行って監査をするということになっておりますけれども、なかなか実際問題といたしまして人数の関係等もございます。あるいは時間等の関係もございますので、公庫が直接貸付先に行って監査する事態は実は少ないのでございます。主として受託金融機関、たとえば私ども公庫から申しますれば、農林中央金庫であるとか各県の信用協同組合連合会であるとかいうのが、実際の窓口でございますから、窓口の機関が実際に行って調べてもらうということで、もし悪い点がありますれば、その点を適正にするように是正してもらうという措置を講じておるわけでございますけれども、貸付関係も非常に多うございますし人数の関係等もございまして、なかなか思うようにいかぬのでございます。その点は、私どもといたしましてもはなはだ遺憾に存ずる次第でございます。今後そういう事例を少なくするためにもっと監査の仕事を強化する必要があるということからいたしまして、従来ともやってはおりますけれども、今後新たに監査を、部内機構といたしまして部を強化いたしまして、定員等も三十八年度からは増加をいたします、旅費等も十分いただきまして、できるだけ公庫自身が直接貸付先に行って実態をよく調べて、そうして、もしも不適正な事例がありますればそれを是正してもらうというような措置を講じまして、できるだけ今後会計検査院から御指摘を受けることのないようにいたしたい、こういうことでやっておるのでございます。今までの実績といたしましては、まことに残念でございますけれども相当事例があるのでございますが、私どもといたしましては今後その事例をできるだけ少なからしめるために、できるだけ努力を払っていく所存でございます。むろん私どもといたしましては単に機構を改革するだけでなしに、従来におきましてもこの事例につきましては欠けることのないようにということをたびたび各県庁にもお願いいたし、各受託金融機関にもお願いいたし、各金融機関も十分にやっているわけでございますけれども、いろいろな事情等がここに加えられまして、かかる事例が起こって参りますので、今後その点につきましては十分に注意をいたしたいと思っておる次第でございます。
  139. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院が調査する、検査をするやり方というのは、大体どれくらいの人数で受託金融機関からの貸付金をどんな形で幾日くらいかかってやるものですか。その結果こういうものが、たとえば三十五年度でも件数が出ておりますし三十六年度でも件数が出ておりますが、大体どれくらいの規模でやればこういう調査は可能なんですか。
  140. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 お答えいたします。  三十五年度の例について申し上げますと、私どもの方で実地検査をいたしましたのは、本店とそれから九支店のうち——当時は八支店であったかと思いますが、四支店、それから受託金融機関が、これは県の信用組合連合会とか農林中央金庫、市中銀行その他たくさんございますが、この受託金融機関で三十一カ所、それから貸付先につきましては七百二十一カ所、これについて検査をしております。これを延べ人日で申しますと三百七十四人日ということになっております。具体的には延べで六十六人で約九十二日間。なお本店支店につきましては融資業務を中心にして監理状況その他全般について検査をいたしますし、また受託金融機関につきましては受託業務が適正に行なわれておるかどうかということでございまして、さらにその貸付先七百二十一カ所については具体的に資金の使用状況、そういったものを検査しておるわけでございます。
  141. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この決算書に出ております千九百三十一件というのは、今の貸付先の七百二十一カ所、これに当たるものですか。この点はどうなんでしょう。
  142. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 検査報告に掲げております千九百何件と申しますのは、個々の貸付契約と申しますか貸付件数でございます。個所というのは大体その事業主体と申しますか、そういうことです。
  143. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、検査院の方でも公庫の方でもいいのですが、不良貸付事情別の件数というのはわかりますか。どういう事情であるか。どういう事情のものが何件かというのはわかりますか。そしてできれば、それが公庫の直接貸しかあるいはまた信連かあるいはまた農林公庫か、こういう関係もおわかりになりますか。
  144. 清井正

    ○清井説明員 正確な数字をちょっと持ち合わせませんので、御質問のことに的確にはお答えできないのでございますが、初め三十一年、三十二年度ごろの御調査におきましては、補助金未償還という部分が全体のうち多くの部分を占めておったところが割合に多いのでございますけれども、その後だんだんと限度超過の部分が多くなって参りまして、ただいまはっきりいたしておりませんが、検査院から御指摘をいただいております最後の数字の四百三十二件うちの三百件ぐらいの数字が、いわゆる限度超過の数字ではないかというふうに思われております。正確な数字がございませんので、いずれまた後ほど御訂正申し上げるかもしれませんけれども、その程度限度超過、それから百件ぐらいが補助金未償還というような数字になっておるのでありまして、ほとんどこの二つで全部を占めるという格好でございます。  それで委託貸しと直貸しとのそれぞれの場合でございますが、これは達観いたしまして、直接貸しを始めましたのはごく最近でありまして、しかも公庫が非常に大きな規模の土地改良事業にいたしておりますので、おそらく直接貸しをいたしましたものについてこういう御指摘を受けているものはないのではないかと私は思います。ないと思います。問題は受託金融機関の方を通じてお貸ししているものだと思います。そしてまた大部分災害でございます。ほとんど全部が災害でございます。災害については、御承知通り風水害によりまして土地改良事業の復旧をいたしますから、そのあとの問題でいわゆる補助金の未償還の問題、限度超過の問題が起こったということでありまして、おそらく御指摘を受けているものの大部分といっていいものが、土地改良区の災害復旧事業ということになっております。そうしますと、大体私のところでは、県の信用協同組合連合会を通ずるいわゆる委託貸付のもの、そうでなければ一部は農林信用公庫を通ずる委託貸付のものが御指摘の大部分を占めるものだ、こういうふうに考えております。
  145. 勝澤芳雄

    勝澤委員 検査院の方にもう少しこまかい資料はございませんか。
  146. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 ただいま手元に持っております資料でお答え申し上げますが、三十五年度の四百三十二件を件数金額で申し上げますと、ただいま総裁から申し上げられましたように、限度超過と補助金相当額の繰り上げ償還が済んでいないというものが大部分でございまして、これを件数で申し上げますと、限度超過が三百十六件、金額にして百万円単位で申し上げまして一億七千万円、それから受領済み補助金相当額の繰り上げ償還をさせていないものが八十八件、二千九百万円、なおこのほかに公庫資金を使って土地改良等の事業を行ないます場合には、その経理の内容を明確にするという条件もついておりますが、実際に検査しました結果では、経理内容が非常に乱脈で、実際にどの程度資金がどの仕事に使われておるかということの確認ができないようなものもございますとか、その他ただいま申し上げました二つ以外の事由の毛のが二十八件、約九百余万円、合計して四百三十二件、二億九百余万円ということになっております。  なお直接貸し、代理貸しの区分についてはただいま手元に資料を持っておりませんが、やはり先ほど総裁からお答えがございましたように、ほとんど全部が代理貸しの分である。大体そういうふうに御承知になってよかろうかと思います。
  147. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、これは公庫の方にお願いいたしておきますが、三十五年度と三十六年度の不良貸付事情別の件数金額、それからそれが具体的に貸し付けた直接貸し、それから中金なりあるいは地銀なり信連なりあるいは公営公庫なり、でき得ればパーセンテージの多い信連については、一体どこの信連が多いかを、各県別に三十五、三十六年度を通じてお出しを願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  148. 清井正

    ○清井説明員 こまかくいたしますとちょっと時間がかかるかもしれませんが、御趣旨に沿うようにできるだけ早くお出ししたいと思っております。
  149. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで総裁に続いてお尋ねしたいのですが、私が先ほどからの質問で聞いておりますと、言い過ぎかもしれませんが、この実情についてあまり公庫は真剣に取り組んでいないように思うのです。なぜかといいますと、これは二十八年から今日まで指摘されておるのですが、今もって改善されないという実情なんですけれども、その原因は一体どこにあるのですか。その点総裁のお考えを承りたいと思います。
  150. 清井正

    ○清井説明員 その点私責任者といたしましてまことに恐縮に感ずる次第でございますが、しいて理由を申し上げてみますと、ただいま申し上げたようにこれは土地改良区の土地改良事業であり、しかも大部分災害復旧事業ということでございますので、その問題を取り上げて御答弁にかえたいと思います。  土地改良事業で問題が災害復旧ということでございまして、相手方が御承知通り土地改良区でございます。そこで土地改良区自体についてまたいろいろ問題がございます。経理の問題なり組織の問題あるいは賦課金の過重賦課の問題なりいろいろ問題があるわけでございますが、そういう問題を別にいたしましても、土地改良区の事業災害を受けましてその復旧のために国の補助金を申請する、そして第一年度に補助金が出ましてもそれはごく一部でございますから、公庫から融資をいたします。そして後年度に補助金が出ますと、その部分公庫へお返し願うということが補助金未償還の分でございます。その部分が多いということでございますが、先ほど申し上げた通り災害復旧事業については、その復旧事業の査定その他については、初めに県庁が全部これを事務的に行なうわけでございます。県庁といたしましては、国に補助金を申請する関係もございますし、あるいは県そのもので補助金を算定する関係もございましょうから、復旧事業の調査を県庁でまず行なうわけでございます。まず補助金の調査をいたしまして、その裏打ちといたしまして私どもで融資をいたすわけでございますが、さて実際問題としてこの補助金がきた場合に、末端までこれがどういうふうに確認されるかという問題について、やや事務的に問題があるわけでございます。何も言いわけを申し上げているわけではないので、実態を申し上げているわけでございますが、県庁に補助金が入って参りましても、私どもといたしましては、個々の土地改良区に貸付をいたしますので、この土地改良区がいつどういう補助金をもらったかということがすぐ連絡がつけば、当該土地改良区にいきまして今度もらった補助金は返す方に充てて下さい、こう申し上げるわけでございますけれども、貸しましたあとから補助金がきまして、その補助金が、私どもが融資をいたしましたどこの土地改良区にどれくらいの補助金がきたか、いつきたかということがなかなかつかめない場合が多いのでございます。私どもはそういうことを心配いたしまして、県庁の補助金交付係と連絡いたしまして、その土地改良区に補助金がきました場合には、ぜひ御連絡願いたいということを私どもも申し上げておるわけでございます。常々連絡をとりまして、具体的に補助金がきた場合にはその補助金を見返りとしてお返しを願うという措置を講じたいと思っておりますけれども、この点が十分いかない。  もう一つの点は、歳入歳出の関係で一たん補助金を受け入れますと、土地改良区としてはこれをすぐ返還するということに事務的には無理があるというようなこともありまして、そういうふうな事務的な問題等も加わりまして、私どもといたしまして被貸付者が補助金をもらったところをなかなか正確につかみ得ない、使ったものを正確に追跡し得ないという問題があるわけでございます。しかし、この点はわれわれの努力でなし得ることでございますから、できるだけ県庁にお願いし、また私どもも災害が起こりました場合には、その当該土地改良区の関係の仕事を扱う県庁の職員に連絡をいたしまして、今までも十分やっているつもりでございますけれども、なおその点は不十分ということであります。  そこでわれわれといたしましては、こういうことでいつまでたっても皆様に御迷惑をかけ、検査院から御指摘を受けているようでは申しわけないことでございますから、できるだけかかることのないようにということで努力をいたしまして、毎年度当初あるいは災害の起こるたびに県庁等にお願いいたしておりまして、大体において御協力を願っておりますけれども、県庁の方たちといたしましても、その他いろいろ事務が複雑でございますので、実際問題としてなかなか緊密な連絡がとり得ないという問題があるわけでございます。そういったようなことがこのような問題を起こしました一つの原因になっておると私ども考えるわけでございます。  それから補助金未償還のほかに限度超過という問題があります。これも初め県の調査があるわけでございますから、県の設計通りできておればそういうことは起こらないのでありますけれども、県の調査されました設計書通りに実際には行なわれない。それを一つ一つ行って現実に見て参りますれば発見できるわけでありますけれども、残念ながら今までは一つ一つ実際に行ってみるという余裕もございませんでしたので、実際上書類の報告を信用していつも処理するということに相なって、たまたま行ってみて初めて少なかったから余分の分をお返しなさいということになるのが実情でございます。従って、こういうことを予防するためには、まず第一にわれわれの心がけを改めなければならぬわけでありまして、機構といわず人とか金とかということではなしに、とにかく公庫の金を適正にお貸しするために、できるだけこういうことのないように努力するということがまず第一の心がけでございます。そのほかに今申し上げたような機構の問題だとか県庁あるいは受託金融機関にお願いをするということもあわせまして、今後できるだけ検査院の御指摘を受けるようなことのないように努力をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  151. 勝澤芳雄

    勝澤委員 検査院の検査の結果、繰り上げ償還さしたものというのは、だいぶ大へんな件数に上っているわけでありますが、あなたの方で公庫として繰り上げ償還をさしたことがあるのですか。
  152. 清井正

    ○清井説明員 三十五年度分につきまして私どもが監査をいたし、また受託金融機関が監査をいたしました実績数字がございますが、農林中央金庫が九千四百件、信用協同組合が四千二百件、受託金融機関が四百八十件ばかり、総計一万四千件ばかり実地に調査をいたしまして、そのうち問題があるということで指摘いたしましたのが千五百七十一件、それが全部ただいままでに処理済みになっておるわけでございます。その中で繰り上げ償還をさせました金額につきましてはちょっとただいま数字がございませんが、もちろん指摘いたしました問題の中には限度超過とか補助金未償還というものがございますから、当然これは処理済みになっておるわけであります。
  153. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、受託金融機関なりあなたの方でも調べた結果、こういう繰り上げ償還をさせたのがある。なおそれ以上に今度は検査院がやったところ、またこういうものが指摘をされた、こういうふうに理解していいのですか、そういうことですか。
  154. 清井正

    ○清井説明員 これが同じ貸付対象を御調査になったかどうか私もはっきりいたしませんが、おそらく私どもがやりましたところと検査院がおやりになったところと別々でありますれば、全然重複しないわけでありますけれども、実態はどういうふうになっておりますか、そこまでは的確にお答え申し上げられませんが、大体において別なところを調査しておるのではないかというふうに考えております。正確にはお答えいたしかねます。
  155. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁がおわかりにならないことはほかの方でけっこうです。担当者でいいと思うのです。私は認識を言っているのですが、貸した金が正当に使われていない、こういう現況が二十八年から指摘をされていながら、先ほどの私の質問から総裁の答弁を考えてみると、農林漁業金融金庫というものは金についてとにかくあまりにもなおざりだ。検査院から指摘をされながら何ら改善されなかった。こういうものの考え方がある。金が足りないなら、貸した金を早く取って次に貸すということを重点にものを考えると思うのですが、金がだぶついているからいいやいいやで不正貸付をしている、こういう状態でこれは放擲していると見ざるを得ないのですよ。監督官庁の大蔵省、どうでしょう。
  156. 新保実生

    ○新保説明員 政府金融機関貸し出しにつきましては、それぞれの法律で規定されておりますように、一般の金融には乗りがたいケースを融資対象にするわけでございます。そういう意味で言葉は適当かどうかわかりませんが、政策金融、政策融資ということでやっておるわけでございますが、それは大きな方向として国の政策に沿った融資をしていただくということでございまして、個々の貸付案件につきましては、やはり金融でございますから、確実に回収していただく、あるいは貸し出し限度は定められたもの以内にとどめていただく、これは当然のことでございまして、そういったことは各公庫業務方法書なり、あるいはさらにその細目であります融資準則等において規定されておるわけでございます。それに従って適正な融資をしていただくということを望んでおるわけでございます。  御指摘の非常に会計検査院で御注意が多い点につきましては、非常に残念なことでございますが、これはいろいろ事情もあるわけでございますけれども、都道府県なり受託金融機関なりさらに公庫自体あるいは監督官庁と申しますか、そういうところが真剣に取り組んでこういう事態を解消していかなければならないと存じております。その具体的な方法としましては、先ほど総裁も申し上げましたように、三十八年度からは特にそういう部門の要員を増強いたしまして、積極的にそういうことのないように措置を講じていきたいと考えております。さらにこれは新聞等にも報ぜられましたが、監事制度の改正強化ということが、行政管理庁あたりで勧告もございました。そういう面からもこういう不適正な事態が少なくなるように心がけて参りたいと考えております。
  157. 勝澤芳雄

    勝澤委員 農林漁業金融公庫は業務方法書や融資要項に違反をして貸付が行なわれている。この事実をあなたは知っていますね。
  158. 新保実生

    ○新保説明員 個々の案件については私は具体的なことは承知しておりませんけれども、検査院の御指摘になったような事実があることは認めます。
  159. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたの方がきめた業務方法書許可しておるでしょう。それから融資要項もあなたの方がきめて、協議をして許可しているでしょう。それにとにかく違反をしておる貸付が行なわれているという事実を大蔵省としてお認めになっているでしょう、どうですか。
  160. 新保実生

    ○新保説明員 これは御指摘のようにそういう事実があるわけでございますが、ただその個々の貸し出しをやります際に、当事者がそれを意識しておったかどうかという点もあろうかと思うのでございます。ここら辺はやはり個々の融資に当たる職員、特に直接これをやっていただいておるのは受託金融機関が多いわけでございますから、そういう方面の方の公庫業務方法書あるいは融資要項についての研修といいますか、そういうこともこれから大いにやらなければならないと考えております。
  161. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたは、業務方法書やあるいは融資要項に違反をしているという事実をお認めになりました。これは会計検査院から業務方法書や融資要項に違反をしている貸付が行なわれている。これはあなたが言うように結論的にそうなってくるのかもしれません。貸付をするときには業務方法書やあるいは融資要項に違反をしていない。しかし、その貸付をされたその結果が違反になっているということになるわけでございますが、しかしそれが昭和二十八年から今日まで一体どうして放擲されておったのですか。これは明らかに業務方法書や融資要項が間違っているなら間違っているように直したらどうですか。あるいは業務方法書や融資要項が間違っていないとするならば、これは明らかに不正貸付じゃないか。不正貸付大蔵省認めて、かりに受託金融機関としても取り締まりをしなかったという責任は一体どこにあるのですか。なぜそういう受託金融機関について取り締まりか何かやらなかった理由はどこにあるのですか。当然やるべきものだったのにやらなかったという理由は、一体どこにあるのですか。
  162. 新保実生

    ○新保説明員 これは大蔵省と農林省と両方で農林漁業金融公庫の業務監督をしておるわけでございます。実際にこの融資にあたるのは受託金融機関である場合が多いわけでございますが、その受託金融機関に対しましては、大蔵省なりあるいは農林省が全然監督を放置しておるということではなくて、御承知のようにいわゆる銀行検査といいますか、金融機関の検査というのが昔からございまして、定期的に、あるいは問題によりましては随時、そういうことの検査をいたしておりまして、そういう際に法令なり規則違反というものがないかどうか、そういう観点から検査をしておるわけでございまして、大蔵省としてもそういう監督については従来努力して参ってきておるわけでございます。ただ現在におきましても、御指摘のようにそれが全然なくなっておるという状態でないことは非常に遺憾でございますので、さらに私どもとしましても努力いたしたいと考えております。
  163. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私もいささか金融機関に関係したことがありますけれども、業務方法書に違反をしたとか、融資要項に違反をしたときの大蔵省の取り扱いというのは実にきびしいものですよ。ですから金融機関がとにかくたくさんあるけれども、このようにきびしい指摘をされたというのは、会計検査院としてもこれはよほど決意をしておると思うのです。決意をしておるけれども、今の総裁の答弁、あなたの答弁を聞いても、依然として違反を黙認しておるように思うのです。違反を直そうとする努力が何にも認められないのです。それほど農林漁業金融公庫は貸しっぱなしで、検査院から指摘されて償還をしている。償還した金がきたということは、また金繰りがよくなるわけです。金繰りがよくなることは、放御しているわけです。そうだったら、農林漁業金融公庫のように金が余っていたら、もっと重大なほかのところに金を回したらいいじゃないか。余っているのです。取る金を取らないでほうってあるのです。こういう経理の実情、放擲することはまことに私は残念だと思うのです。しかも、人もふやすふやすと言っているけれども、やろうとすればできるわけですよ。できるのを放擲している。二十八年から今日までこれについての対策をしていない、改善をしなかった理由というのは総裁一体どこにあるのですか。これは二十八年からなんですよ。ことしや去年の話じゃないわけです。あなたはいつ総裁になられたか知りませんけれども、これは農林漁業金融公庫としては重大な問題でしょう。二十八年からこういう状態というのは続いているわけですから、かりに受託金融機関がやったことで知らないというなら、そういう受託金融機関に出さなければいいじゃないか。そういう業務方法書に違反をするとか融資要項に違反をするものに出さなければならないのだったら、それを検討して、改めることをなぜしなかったのですか。
  164. 清井正

    ○清井説明員 確かにこれは農林漁業金融公庫として設立当初からの問題で、これは御指摘の通りあるわけです。それで私どもも先ほど申し上げた通り御批判を受けるわけでございますけれども、当初は全部受託貸付をいたしておって、直接貸付はしていなかった。それが途中から受託貸付だけでなしに直接貸付を始めるようになって、今日では約一割五分直接貸付をする。大部分は受託機関を通じて貸付をしておる、こういう状態でありますが、私どもとしましては貸付の三割程度のものが土地改良、しかも御指摘を受けるほとんどが災害復旧ということで、こういうことであっては申しわけないことで、私どもといたしましては先ほど申し上げました通り、土地改良については県庁、地方庁との関係も緊密な関係がありますので、毎年必要のつど各地方庁に対してお願いいたし、同時に受託金融機関にお集まりを願って、会計検査院からこういう御指摘を受けているので、お互いに今後注意しようじゃないかということで、その会合のつどそういう点を注意して、及ばずながら努力してきたつもりでありますけれども、なおかつこういう問題があとを絶たないということでございます。そこで三十六年からは各支店に管理課を特別につくりまして、特にこの面に重点を置いてやるようにということで努力してきたのでございますが、実際問題といたしましては貸付を受けた個々の土地改良区や個々のところへ行って、実際に事業の執行状況を詳しく調べてみないとわからないのでありまして、そういうふうに全部いたしますればけっこうでございますが、先ほど申し上げました通り人員の関係、旅費の関係等からなかなか思うようにいかないということで、今日まで推移したわけであります。むろん、であるからといって言いわけになりませんので、今後ますます努力しなければいかぬというので、先ほど申し上げた通り来年からは機構もふやし、人もふやし、予算もたくさんいただいて、なおさらに貸付を受けた実態を直接調べに行く、貸付を受けた土地改良区に実際に私どもの職員が行って帳簿を拝見して、そして申し上げますような違反の問題がございますれば、その部分はすぐお返し願うことにしようということで今考えておるわけであります。なお、もともとこういうことが起こるならやめたらどうかという意見もございますが、私どもといたしましては、たとえばほかの公庫のように貸付限度だけできめますれば、こういうことが起こらない場合が多いのでありますが、私どもの方は補助金の残りを貸し付けるとか、あるいは事業資金の八割しか貸せないということがきめてありますので、こういう問題が起こってくるわけでございます。それは事業に必要なものは全額貸すという方法もあるかもしれないけれども、私どもとしては政府金融機関の立場といたしまして、政府の政策と密接な関連を持って融資をいたします関係上、どうしても自己負担というものがなくちゃいかぬ、他力依存だけではいかぬから、必ず二割程度は自分で負担してもらいたい、そして八割を限度としてお貸しするというふうにきめておるわけであります。その八割限度ということは、簡単に直すことはできない根本的な問題ではないかというように私どもは考えておるわけであります。従って、現在行なっておる八割限度融資、あるいは補助残の融資ということをまず前提といたしまして、この前提に基づく違反のことができるだけないように今後努力していかなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  165. 勝澤芳雄

    勝澤委員 貸付業務方法書や融資要項に違反している、結果的になっているということについては、あなたは承知しているわけですね。
  166. 清井正

    ○清井説明員 お話通り貸付いたすときにはそうでなかったのでありますが、実態といたしましてそういう違反の事態が起こっておるわけであります。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤委員 二十八年から指摘されていながら、今日までまだ二割のものがこういうような指摘を受ける状態になっている。一体これを今日まで放擲して、改善する努力をしなかった理由はどうなんですか。
  168. 清井正

    ○清井説明員 努力しなかったというふうにおっしゃられても何ですが、先ほど来私が申し上げた通り、この事態は認めて、まずこれを効果的にやるためには、金融機関が借り受けた人を一々全部調査をしまして、事業費と貸付金額を照らしていけばわかるわけであります。ですからそのことができれば全部遺憾なくできたはずでございますが、残念ながら私ども今までの経過からいたしまして、貸付いたしましたところに一々行って実際に調査し、帳簿を拝見いたしまして、これは金額がふえているじゃないか、金額が多過ぎると言って、多過ぎた分を返していただくという措置をとっていなかったのであります。受託金融機関においてはそれはある程度やっていたわけでございますが、私ども公庫といたしましては、先ほど申し上げた通り、当初は全部受託でやっておりましたので、そこまで手が及ばなかったのでございます。ただいま支店も九カ所でございまして、大部分は受託ですが、件数は御承知通り三十五年度だけでも十二万件貸しておる、割合一件当たりも少額の金を貸し付けておるということで、件数が非常に多いということもあるわけでございます。これは決して言いわけを申し上げるわけではございません。まことに努力が足りないわけですから、決して言いわけを申し上げるわけではございませんが、非常に件数が多いということと、問題は土地改良区ということと、それから災害復旧に対する補助団体の貸付であるというような、いろいろな条件が重なりまして、一つ一つ貸付を受けた人に実際行って調べるということを十分やっていなかったということを率直に認めざるを得ないわけです。やっておりましても、ごくわずかしかやっていなかったために、こういうことが起こっているわけでありまして、今後はこういうことのないようにできるだけ公庫の全勢力をあげて受託機関にもお願いし、各機関の担当者にもお願いしまして、できるだけこういうことの少なくなるようにということで努力をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今後はできるだけ努力をして少なくしたいと言っているのですよ。そうすると、今までやっておればそれが少なくなったということなんでしょう。それがやられていないから、私は言っているわけです。なぜほったらかしておいたんですと言っているんです。今後は努力しましょう、こういうふうにしましょう、二十八年から指摘をされて、努力すればできるものだったら、今まで努力しなかったことは怠慢である。ですから制度の方で問題があるなら、検討をしなさい。そして貸すときの調査は不十分でしょう。しかし、貸して使ったあとの調査というものはできるんですから、出す瞬間においては業務方法書に違反しないで出した。しかし、結論的には使われた結果が業務方法書なり融資要項に違反している。償還をさせるその手続が怠慢になっているのですよ。だからそれが指摘がされているのですよ。ほかの金融機関には、ほかの公庫にはこういうことはない。しかし、農林漁業金融公庫だけこういうことになっている。だからこれは問題なんです。ですから今後できることがなぜ今までやられていなかったかということです。二十八年度から指摘をされていながら、三十五年にもいわれ、三十六年にもいわれながら何もされていない。会計検査院もようやく検査院法三十六条で改善意見を出しました。改善意見を出したら、根本的にこの意見に基づいてこういう貸し出しの仕方は一体どうすべきだという検討をされて、そして具体的に詳細に出てくるならともかくも、私は今の話を聞いていると、人をふやして今後努力をしましようということだけで努力ができるならば、一体なぜ今までやらなかった、怠慢じゃないか。大蔵省も不正貸付認めているじゃないか、あるいは一体監督官庁の不明確じゃないかということにならざるを得ないわけです。それを私は今あなたに申し上げておるわけですよ。今後の問題でもそれは努力をする、今後努力をすることがなぜできなかったのかというところに、これは大へん問題があると私は思うのです。一体今後の、今あなたがおっしゃった計画で、今までの不正といいますか、不良貸付というものがどれくらい解消されるような見通しになるんですか。
  170. 清井正

    ○清井説明員 数字的にどのくらいになるかという御質問に対しては、お答えいたしかねるのでございますけれども、問題は、ただいま先生御指摘の通り貸付をいたした方の機関が借り受けを受けたいわゆる借入者の現場へ行って帳簿その他を調べて、実際限度を超過しなかったか、もらった補助金を返さなかったかとか、一々調査して、違反したものは全部そういうふうに処置をしていただくようにということを全部いたしますれば、こういう問題は御指摘を受けることはなかったわけです。  ただ、私ども来年度機構を強化することをお願いしておりますが、そういたしましても人数に限度がございますし、いわゆる地方を回る旅費でももっとふやしていただきますが、それにしてもまだまだ全部を調べるということには、ほど遠い金額でございます。時間的に見まして思うようにいけないと思います。そういうことでございますので、私どもの方といたしましては、最大の努力を払って、今後は調査の重点を借入者の実地に行って調べるということに置いて、問題がありますものはできるだけ逐次整理をしていきたいということで進めて参りたい。  もちろん今まででも監査をいたすなり検査をいたすなりしてやっておりましたけれども、実地に行って調べるということは、ごくまれにしかやっていなかったので、こういう事態が起きたのであります。むろん公庫だではできませんので、農林中央金庫なり地方銀行なりの方もお願いいたしますが、私どもといたしましても、従来借入者の実態を調査していただくということに極力重点を置きまして、こういう事態が少なくなるように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総裁、こういう貸付をやっているのは、農林漁業金融公庫だけではない。商工中金の中でも設備近代化資金貸付のやり方があり、ほかにもそういう貸付のやり方がある。しかし、その中ではこういう指摘をされていないにかかわらず、農林漁業金融公庫だけが指摘されている。どこに問題があるかということなんです。これはやはりどうも農林省に対する大蔵省の監督あるいはこういうものに対する大蔵省の監督というものは甘いのじゃないか。私は、この前予算委員会で農林大臣に聞きましたけれども、農林省のどこを見ても、検査院から激しい指摘をされていないところはないくらいあるわけです。その一環として金融機関もこうなっている。それじゃ私はいかぬと思う。あなただってこれでいいと思ってはいないでしょう。  これ以上あなたに聞いてもあれですから、三十六年度決算の中で、一つこの適正化の問題について会計検査院から指摘されているわけですから、今のような、今後努力するというような抽象的なことでなく、具体的な対策を立てて、三十六年度の決算でまたおいでになるときには、一つきっちりした実効をあげて、二十八年度から指摘されてきた事項にピリオドを打って、まだ少しは残っているけれども、相当よくなった、しかし、それに関連して法律改正もしなければならぬ、あるいは政令のあるいは業務上の直さなければならぬ点もやはり含めて、この際検討してやっていただきたいと思うのです。総裁にいたしましても理事の皆さんにいたしましても、自分がやっていた時代でないときの決算で呼ばれて指摘をされておりますから、前の人がやったのでおれは知らぬ、こう言われるかもしれませんけれども、だれかがやってきっちりとしなければ、いつまでたっても同じことが繰り返されていくわけです。金そのものは国民の税金なんですから、もう少しそういう点をお考えになって、一つきっちりしたものをことしは立てていただいて、こういうことが指摘にならぬようにしていただきたい。その点についてどうでしょうか。総裁、これはお約束していただきたい。
  172. 清井正

    ○清井説明員 非常なおしかりを受けて恐縮でございますが、先ほど申し上げたような機構の改革の問題もございますが、根本は、先ほど先生のお話にもありました通り、土地改良区と申しますか、農地改良事業と申しますか、そういうような問題が、いわゆる農林漁業としての他産業との違う特質がここに現われているような気もいたすわけであります。そういう点をあわせまして、私どもといたしましては具体的に、ただいま申しましたような監査に重点を置きまして、機構を整備し、人をふやして、関係機関と協調いたしまして、できるだけ具体的な成果をあげるように努力いたしたいと思います。
  173. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の陣容でできなければ、できないでふやさなければならぬ、あるいはこうやらなければならぬということならば、われわれもそれについて一生懸命努力も協力もするわけでありますから、一つきっちりとこういう金融機関まで不良貸付があるというような指摘を受けぬようにしていただきたいということを、特に要望して終わります。
  174. 津雲國利

    津雲委員長 西村力弥君。
  175. 西村力弥

    ○西村(力)委員 住宅局長が参りましたので、午前中からあなたの出席を求めておったのですが、なぜ来れなかったのか、それは別といたしまして、先ほど問題にしましたのは、とにかく金融公庫の金を借りて住宅をつくる。そして名前を冠するに特殊法人だ、こういうことでやって、そうして数年過ぎた現在に至って借り受けを全部返済して一切の監督から離れてしまう、こういうことが許されるのかどうかということは、一年ほど前にこの委員会で問題にしたことがある。その点について建設省側で十分なる検討を遂げてあったわけですが、その検討の結果を先ほどから沖説明員から聞いておるわけですが、返済することを制限することは、これはできない。それじゃ返済したあと、監督のかせというものから一切離れた場合に、居住者は一体どうなるのか、こう言うと、公団住宅に応募して入りなさい、適当におやりなさい、こういう御答弁なわけなんです。それでは住宅行政をやっている建設省の基本的な考え方というものは完全にくずれるんじゃないか、そういうことで問題にしてあったわけなんでありまするが、局長が、われわれが提起したこの問題をどう収拾するかという論議に参加したかどうか。参加して、あなたもやはり沖説明員の言うような考え方に立っておるのかどうか。あなたにわからぬときには、これは建設大臣にこの問題は持ち込まなければならないことであると私は考えておるわけなんですがね、その点一つ住宅局長としての見解をはっきり示してもらいたい。
  176. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 住宅金融公庫資金を借りて賃貸住宅を経営いたしておる法人に対しまして、繰り上げ償還をしたあとにおきましては、現在の法律においては、法人としての監督関係は認めましても、住宅金融公庫貸付という面からする規制が及んでいないということにつきましては、先般の国会におきましても先生から御指摘があり、その問題の対策、処置の問題につきましても関係の者から聞きましていろいろ検討を加えてきておりました。現在の住宅金融公庫法の建前から申しましては、その際に、公庫が貸したときと同じ条件で、公庫に対して資金償還してしまったあとも引き続いて同じような制限あるいは監督を続けていくということは、法律上は困難ではなかろうかと一応考えておりますが、一面、しかしその住宅に入っておった人々の住居に関しましての問題につきましては、それはやはりできるならば何らかの適当な措置があればいいと思って検討しておったのでございますけれども、なかなか現在の住宅金融公庫貸付の制度、ひいてはこういうふうな国の政府関係の金融機関から金を貸した、しかも、それに対して償還があったあとの、借りた人にどの程度借りたときの条件を持続せしめるかということにつきましては、いろいろ問題があるように考えられますので、目下のところ具体的に適当な案を持ち合わせておりませんけれども、何らかそういう方法におきまして措置ができるならば、あるいはこれは法律でなくても、お互いの話し合いなりあるいは行政指導によりまして、入居者の関係が適当に処理されればいいのじゃないかと思って、実はいろいろさらに検討を続けておるわけでございます。
  177. 西村力弥

    ○西村(力)委員 まあ一年間かかって検討してなお結論を得ないということになるわけですが、とにかく私たちとしましては公庫資金の精神が生かされるように、これはやはりどこまでも貫かれなければならないということなんです。そうしてそのことはすなわち居住者の立場というものが守られなければならないということなんです。そういう点からいいますと、法律によらずに話し合いによって云々ということでありますが、この話し合いというのは、現在監督をされる立場、する立場、こういう関係にある場合ならばいいですけれども、実際関係というものが切れまして、その後民法による一応の監督というか、そういうものの程度になった場合においては、そういう話し合いによる口約束というようなものはこれを破っても何ら違法ではないし、破ったからといってこれを責めるわけにもいかぬということになるだろうと思う。残されたものは、居住者だけが不幸を見るということになってくるわけなんでありますが、この解決というものは一つ早急に具体案をつくってもらわなければならぬ。これはあと一年かかってまたできないということではだめだ。一体今のようなお話であるとするならば、最終結論をいつごろわれわれに提示するのか、これをはっきりここであなたの方から言ってもらわなければどうもいかぬと思うのです。
  178. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 貸し付けた法人が、現在あるいは引き続きまして民法上の公益法人で、建設省の監督を受けておるものでありますならば、その監督する立場におきまして話し合いはできると思います。またこれをもしその法人があるいは自発的に、もしくは建設省の監督をされるような不適当な行為を行ないまして解散をするということになってしまいますと、かえって入居者あるいはその法人との関係が不安定になり、むしろよろしくない結果もあると思いますので、この法人に対する監督権の範囲内において十分話をすることができると思いますし、またこれを法律的にどう解決するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように全体の金融機関としてのあり方、限度という点もございますし、その他のものとの関連もございますので、今直ちにいつごろまで結論が出るということを申し上げられませんけれども、せっかく公益法人の住宅に入居している方々が、適正な家賃で適正な方法において入居が続けられるということは、住宅行政上も必要でございますので、そういう面にいくようにできる限り努力したいと思っております。
  179. 西村力弥

    ○西村(力)委員 繰り上げ全額償還したあと、あなた方が規制することができるというそういう確信はどの程度持たれますか。今のお話しですと、現在の段階においてはやはりこの関係が十分ありますから、話し合いだってそれはいろいろ都合のいいようにいくかもしれません。全額償還したあと、あなた方はどれだけ確信を持って居住者を守るかということ、これはもうはっきりしてもらわなければいかぬのです。話し合いできるという前段の答弁でありますが、今の話し合いというものは、全額償還したあとはほとんどホゴも同然ということになると思うから私は聞いておる。その確信の度合いを一つ言ってもらいたい。
  180. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 繰り上げ償還をいたしましても、その法人が民法上の公益法人で建設省の監督下にある限りは、建設省として十分なる指導及び話し合いの中に入ることができるかと考えております。
  181. 西村力弥

    ○西村(力)委員 民法の範囲内において、そういう場合に主務官庁が監督する権限はあるでしょうが、現実に金を貸しておるときとはまるで違うのではないかと思うのですが、そういう点は私たちあまり詳しくわかりませんけれども、あなたは変わりなくやはりできると思うのですか。今ですと、まあ会計検査院も監督する権能を持つはずだ、住宅金融公庫も監督する権能を持つはずだ、建設省もそれは持つはずだ、それは三者とも監督する、こういう工合に住宅金融公庫資金を使ってやったそういう集団住宅なんかに対する監督権限というものは、何に基づいてこれだけできるということをはっきりしておきたいと思うのですが、これは一つ答えてもらいたいと思うのです。ところが、もうその関係が切れたあとの監督というか、そういうことは変わりなくできるのかどうか、それはどういうことになっておるか、われわれの蒙を聞いてもらいたいというか、そういうところを一つはっきりしてもらいたい。私はやはり今まで通りいかぬではないか、そういうふうに思っておるから聞いておる。
  182. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 住宅金融公庫資金を貸し付けております間は、住宅金融公庫資金を借りておるという立場から、住宅金融公庫との契約上の条件がございますが、その条件を守っていく義務がございます。それが全額繰り上げ償還をして参りますと、その条件を守る義務から解放されますので、その限りにおきましては住宅金融公庫から借りておったときと同じことをその通り実施しなければならないという義務は、少なくとも公庫に関してはなくなりますけれども、先ほど繰り返しましたように、この法人法人として存続する限りは公益法人としての性格を持って、そのために国として必要な監督も行ない、法人格を付与しておるのでございますので、その限りにおきましては適正に公益法人としての目的を達成するように、法人自体が運営をされていくことにつきまして法人の責任があり、監督庁におきましても、その通り運営されていくように監督をする責務を持っておるのでございます。
  183. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから金融公庫と会計検査院のこの種の場合の検査権能を……。
  184. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 住宅金融公庫が融資をいたしました対象につきましては、公庫法に基づきまして、公庫だけでなくて、その融資先についても検査をする権限を認められております。現に私どもでもこういった融資先でも検査を実施しております。
  185. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 公庫におきましても貸付をしました後の弁済契約の条項等によりまして、貸付をしました事業主体に対する監督を十分にいたしております。
  186. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは会計検査院は、この問題になっておる財団法人日本住宅福祉協会とか、これの貸付先の検査をやったことがあるかどうか。それから金融公庫としては、先ほど三十六年度の財務諸表の提出方を建設省が要求したけれども、出て参らないということでありますが、これは直接には公庫が要求して建設省に提出するという形になるのだろうと思う。建設省も住宅公庫においても強く要求をして、なおかつ出てこないという事情であるかどうか、これをお尋ねしたい。
  187. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 公庫の融資先について検査をいたしておることは、先ほど申し上げた通りでございますが、ただいま本件の問題になっております住宅福祉協会に対する融資は、私手元に詳細な資料を持っておりませんけれども、融資そのものは三十一年度でありましたか二年度でありましたか、相当古い時代でございまして、私どもの検査の対象としましては、その後の管理ということになるわけでございますが、約定通り償還あるいは繰り上げ償還というようなことで、特に当初の融資の条件等に違反しないということでありますれば、私どもとしてはそれ以上に不当事実として指摘することはないわけでございます。本件の場合につきまして、先ほど来の御議論につきましては、私どもの融資という経理の面と多少別の面、つまり先ほど先生御指摘の公庫法の融資の精神を貫く、本件の場合にそれが貫かれていないのではないか、こういったことでございますが、これは私ども経理上の指摘とは別に、現在これは公庫融資に限らず政府関係機関の融資につきまして、補助金の場合に準じたような一定の拘束をつけることがいいかどうか、こういったものは国家主権を信用してその目的を達成するという限度においては、私どもの方ももちろん関心を持つべき事態でありまして、経理上の不当あるいは妥当でないこととかいうこととは別に、あるいは改善を要する事態ということであればそういう措置も理由になろうかと思います。具体的には現在手元に持っておりません。
  188. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 貸付をしました日本住宅福祉協会に対しましては、何年度でありましたか、今ちょっと正確に覚えておりませんが、前に検査を実施したことがございます。先ほど申しましたように、この事業主体につきましてはすでに貸付の段階を了しまして、弁済の契約締結をしまして、管理面に入っておるわけでございます。賃貸住宅を管理するというその事業を監督しておるわけでございます。最も根本でありますところの家賃等は、省令で制限的な家賃が定められております。この公庫事業主体との関係は、この家賃をその通りに守っておるとか、いろいろな契約上の制限を守っておるというようなことを監査いたすわけですが、前回の監査につきましては、詳細な点は今資料がございませんのではっきりいたしませんが、そういう家賃の違反とかあるいは公庫に対する償還というものは全然怠った事実は現在までございません。
  189. 西村力弥

    ○西村(力)委員 公庫総裁に聞きたいのは、三十六年度の財務諸表の提出をあなたの方でも求めたのか、それでも出てこないのかということです。
  190. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 申し落としまして失礼いたしました。要求いたしておりますが、まだ出て参っておりません。相当厳重に言っておるのでありますが、まだ出て参っておりません。
  191. 西村力弥

    ○西村(力)委員 住宅局長お聞きの通り公庫もあるいは建設省も当然提出しなければならないそういうものを提出していない。そういうものを拒んだ場合における罰則規定までできておる公庫法でありますが、一年過ぎてなお出てこないということ、こういうような状態でまた繰り上げ償還をやって、そういう貸し借りの関係がなくなった場合に、単に法人に対する主務官庁の権限内で居住者を守るということを確信を持って言えるのかどうか。だから、この点もあなたがその言っても、結局はそういう工合になった場合においては監督の力というものは弱まって、居住者の立場は非常に悪い状況に追い込まれるのではないか、こう私は見ておるわけです。その点を強く言うわけですが、どうですか、やっぱり全額繰り上げ償還をしたいという口頭の申し入れでもあったのですか。
  192. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 私が承知しています範囲におきましては、ただいままでそういう話はございません。
  193. 西村力弥

    ○西村(力)委員 しかし、正式にはないにしても、沖説明員も、この問題は事実このように進みつつあるというようなことを前提として今まで話し合いが進んだわけでありますから、何らかの形で全額繰り上げ償還ということが計画されておる、そういう方向というものはあなた方の方でタッチしていると思うのでありますが、どうですか。
  194. 沖達男

    ○沖説明員 私といたしましては、前回の委員会におきまして、この住宅を他に売却するといううわさを聞いておるがどうか、というふうな御質問でございました際に、そういううわさは私どもは聞いておりませんが、ということでその際は終わったわけでございますが、その後その法人理事長に直接私が会いまして、うわさがあるという話であるがどうですかということを聞きましたところ、そういう売却などということは全然考えておりませんということでございまして、私どもは今なおそういう売却などということはないだろうというふうに考えております。
  195. 西村力弥

    ○西村(力)委員 売却ということじゃなくて、全額繰り上げ償還しちゃうという問題ですよ。
  196. 沖達男

    ○沖説明員 全額繰り上げ償還も、もちろん考えておらぬということでございます。
  197. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると一般論というような形になってきたわけなんでありますが、このことは現在係争中でありますので、私たちはこの係争のところに巻き込まれようとか、そういうことは全然考えていませんが、ただ住宅福祉協会なるものが住宅金融公庫の金を利用して、うわさではあるにしても、今に至ってその趣旨に反する方向をとろうとする、こういう点は国の建設行政からいうと相当重要な問題を含んでおる、かような立場で実は伺っておるのでありますが、いずれにしましても、住宅局長においては、もしそういう工合に進むようなことを認め、繰り上げ償還認めるというような場合に、そのあと一般法人に対する主務官庁の監督の権限のワク内においてこれを規制する、こういうようなことを明確にいたしますると、これはどうしてもやはり借りて毛何でもいいから全額償還していった方がどれほど勘定の上からは利益が出るかしれないということになりまするから、これはどんなことをしても、どんな事態になっても、最初の精神というものは最後まで貫かれるように監督をするのだというこれを一つ明確にしておいてもらわなければならぬと思う。民法の権限のワク内において確実にそれを守り得る、こういう工合一つやってもらいたいと思う。
  198. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この法人が住宅金融公庫資金を受けて賃貸住宅を経営する意図で、しかも公庫貸付条件に合った運営を現在していっているようでありますし、公益法人であります関係上、私たちも本来の趣旨に従って長く公庫資金によった賃貸住宅としてりっぱに運営されていきまするように、特に監督官庁である建設省におきましても、十分な関心を持って必要な指導監督を加えながら運営されていくようにしたいと考えております。
  199. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは私は一つ資料を求めますが、三十六年度の財務諸表、これを一週間のうちにとってもらいたい。一年かかってとれなかったそうだけれども、一週間のうちにとってもらいたい。そのくらいのことをやらないで、監督するのなんの、民法上の云々言ったってできませんよ。私はそう思うから、この点一週間という期限を付して言いたいのです。ついでに申し上げますが、三十年の十二月二十一日創業時の財務諸表が出ていない。これは出ておるのかもしれませんが、私たちにありませんからいただきたい。三十年度、第一期になっておりますが、この財務諸表を出してもらいたい。それから太田建業というのが請け負ったわけでございますが、その工事請負書の写し、これを一つ出してもらいたい。それから借入金の調書、資金計画を出してもらいたい。また借り入れ申し込みから完結に至るまでの概要の説明を願いたい。それから現在までの償還状況、それから資本金が当初は百万円であったが、現在は一千三百万円と、こうなっておるが、その資本金の持ち分、これの仕訳、こういう点について資料を出してもらいたいと思うわけなのです。  なお、きょう少しお尋ねをしておきたいと思うのは、公庫から貸した一億何千万というのは、その住宅と、その中におけるエレベーターとか暖房設備とかそういうものを加えた金額の所定の割合に応じた金額、こういうことになっておると思うのでありますが、これは土地が入っておるのか入っていないのか、その点と、そもそも土地というものは、この貸付金が決定する場合に、はっきり所有権というものが、この協会なら協会にあったのかどうかという、そういう点は一体どうなっておるのかということ、そういう点について一つ概略の説明を伺いたいと思います。
  200. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 公庫貸付額の一億一千三百十五万円でございますが、この計算の基礎となりました金額は、一億三千三百十二万九千三百五十円、この金額を基礎にいたしまして、法律に規定されておりまする通り、その八五%の一億一千三百十五万九千円をお貸ししたわけでございます。この一億三千三百十二万九千三百五十円の内訳は、これは土地費が千二百六十万余円、その他の工事費、建築工事費、屋外付帯工事費あるいは昇降機設置工事費等々が一億二千五十二万余円ございます。ただこの貸付は、法律の二十条で行なわれるわけでございますが、これは土地を持っておる法人に対する賃貸事業建設資金貸付でございます。従いまして、土地資金には貸しません。ただ土地を持ってますので、それを担保に出していただきまして、普通ならば土地資金と住宅建設資金を貸すわけでございますが、土地資金を貸さないかわりに、貸付の基礎を土地費を含めて、その基礎に立って住宅建設資金貸付を行なう、決定を行なう。普通の場合でいえば、建設費の八五%でありますが、土地を含めた金額の八五%を貸す。従って、建設工事費からいいますと、最高におきましては、九九・四五%貸す。この場合におきましては、九三・三八%貸したという結果に相なっています。そういう法律の貸付の建前ができておるわけでございます。  それからもう一点のお尋ねの、貸付時までに土地がこの法人のものであったかどうかというお尋ねかと思いますが、これはもちろん法律で土地を所有するものに対する貸付でございますので、土地を持っていないものにはお貸しいたしません。もちろん融資申請をいたしましたときには、まだ確立してない場合もございまするが、その経過の途中におきまして、登記をいたしまして、所有権が確立した、その点を見まして、貸付の契約を締結いたすようにいたしております。
  201. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そこにちょっと私は疑問があるのですが、土地ははっきり持っておった、持っておらないものには貸さない、こう言っておりながら、土地の購入代金を含めたものの八五%ですか、それを貸し付けたんだ。実態は、建物関係だけだと九九・何ぼとか、こういうことでありまするが、土地を持っている人に土地を購入する資金を含めて貸し付けるんだという、こういう考え方は、これはいずれの場合においても、そうするのか、この場合においては土地は所有しておるということは、表面はそうだけれども、実際にその土地の所有権というものは不確定のものである、こういう判定からそれを加えたのかどうか、この財務諸表をずっと見てみますると、その後土地の購入代金ということは、これは順次返済をして、現在において、なおかつその残金がある、未払い分がある、こういう工合になっておるのです。だから形式的には土地を所有しているということが見えても、実際において金銭的な授受というものは完了してない形でありまするから、この権利というものは保留条項というもののついた権利なわけだろうと思うのです。ですから、どうもあなたの方では土地の所有権というのは形式的に整っておるから、貸付条件に合う。しかし、実際は土地代金はまだ払われていない。確実に所有権というものは移動していないのだから、それも含めてやるという貸付ワクを拡大した、こういう工合に見えるわけなんです。その間のほんとうの事情はどうなんですか。
  202. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 この貸付の際に特に別なやり方をしたということは全然ございません。先ほども申し上げましたが、あるいは説明が不十分であったかもしれませんが、この貸付は土地を持っている法人に対して住宅建設資金を貸すのでございます。ただその建設資金の査定の仕方が普通の場合と違いまして、土地の取得に要する費用と、それから建設工事費を含めました金額を基礎としてその八五%貸すというだけのものでございます。土地はもちろん持っていなければならぬものでございますが、土地の代金が一部まだ渡していないということがありましても、謄本によりまして所有権は確立しておるということを確認いたしまして、土地の所有者に対する貸付をするということに相なるわけでございます。
  203. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その点は後日また私もよく調べてみたいと思うわけなんでありますが、いつの場合でもこういう場合においてはそういう貸付をやるのだ、そういうことに了解してよろしいですね。
  204. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 その通りでございます。
  205. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ところで私たちの知る範囲では、この請負契約にはリベートの裏契約があったということ、これがはっきりしておるわけなんでありまするが、こういう点については公庫においては現実にお知りかどうか。
  206. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 そういう話は、公庫としては関知していなかったように聞いております。
  207. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その点、これは裏契約でありまするが、会計検査院においては一割二分のリベートということになると、相当工事量それ自体において手抜きがあるだろうということになると思いますが、これは一回検査をする必要があるのじゃないか。もうすでにして七年も経過しているのでありますけれども、こういう点から明確にはできないものかどうか。私たちの聞いておる範囲内においては、はっきりリベートも裏契約というものがあったと聞いておるわけなんでありまするが、そういう問題について調査されることが必要ではなかろうかと私は思うのです。この点は答弁はおいてもらいましょう。  ところで現在の監督をやっておる立場から、この居住者の居住条件というものは当初認可したときよりも実際今までどういう変遷をしてきておるか。その実態をはっきりつかんでいらっしゃるだろうと思うのです。これは家賃に限らずその他の諸経費、諸負担金、全部加えて居住者が負担する額というものは、どういう工合に変わってきつつあるか、はっきりいえば、どういう工合に増しつつあるか、これは明確に押えておるかどうか、これは今資料をお持ちだったら説明をしてもらいたい。
  208. 師岡健四郎

    ○師岡説明員 ただいま手元に資料がございませんので、後ほど調べましてお答えいたします。
  209. 西村力弥

    ○西村(力)委員 きょうはだれもいないし、もっと研究してやってみたいと思うのですが、くれぐれも申しますけれども、私たちは紛争自体をどうこうということはいささかも考えないのですが、一番問題点は、こういう国家資金を利用して、そしてこれを自分自身に有利にしていくというようなことはきっちり押えなければならぬ。この審議を通してそれを確立したいというのが、私の考えの第一なんです。ですからそういう面に向かって、局長は先ほどからいろいろと繰り上げ全額償還後において完全に監督ができる、こういうことを言っておるようでありまするが、なお一段とこの点については後日確信ある方法というものを考えて答弁してもらいたいものだ、建設省の方針というものを再度検討して出してもらいたいものだ、こういう気持がするわけであります。  本日のところはこの程度にしてあとは後日に譲ります。
  210. 津雲國利

    津雲委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  211. 津雲國利

    津雲委員長 この際、資料要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち理事各位の協議に基づきまして公社、公団、特殊法人等の監査制度の運営並びに監査の実情に関する資料を、それぞれの主務大臣に文書をもって要求いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 津雲國利

    津雲委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  これにて散会いたします。    午後四時十二分散会