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1963-07-05 第43回国会 衆議院 外務委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年七月五日(金曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君    理事 福田 篤泰君 理事 古川 丈吉君    理事 戸叶 里子君 理事 穗積 七郎君    理事 松本 七郎君       仮谷 忠男君    川村善八郎君       菅  太郎君    田澤 吉郎君       黒田 寿男君    細迫 兼光君       森島 守人君    川上 貫一君   出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君   出席政府委員         法務事務官         (入国管理局         長)      小川清四郎君         外務事務官         (アジア局長) 後宮 虎郎君         外務事務官         (経済局長)  中山 賀博君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君  委員外出席者         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 七月五日  委員宇都宮徳馬辞任につき、その補欠として  仮谷忠男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員仮谷忠男辞任につき、その補欠として宇  都宮徳馬君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件(日韓問題)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  細迫兼光君。
  3. 細迫兼光

    細迫委員 最近朝鮮の三十八度線がものものしく緊張しておるという情報を聞くのであります。これは、たとえば五月十七日アメリカ軍のヘリコプターが三十八度線を越境しまして北朝鮮に強制着陸させられたというようなところにその特徴が見えるのでありますが、そういう三十八度線緊張状況について、これは警戒すべき状況だと思いますが、アジア局方面情報が収集せられておりまするならば、この点についてお漏らしを願いたいと思います。
  4. 後宮虎郎

    後宮政府委員 いま御指摘のとおりの新聞情報等が伝えられておりますので、外務省としても注目いたしておるのでございますが、抑留せられました米車パイロットの釈放に関する交渉がなかなか行き悩んでおる、中立委員会等のあっせんにもかかわらず行き悩んでおるということくらいは承知しておりますが、特に現在あの国境線が緊張しているようなことを裏づけるような資料をまだ入手しておらないのでございます。一方、御承知のとおり、北鮮側は今度の韓国食糧事情窮迫に対して一万五千トンの食糧援助申し出る、これは韓国側で拒否いたしましたが、そういうようなニュースもございまして、外務省といたしましては、目下特に三十八度線が緊張しているような情報を持っていないのでございます。
  5. 細迫兼光

    細迫委員 五月十一日から一週間にわたって韓国全域で合同の特殊訓練が行なわれ、警察官まで動員せられておる、それから、新兵の訓練所が四カ所も増設せられ、三十万人の追加養成が急がれておる、また、五月に入って三十八度線の東西両岸において魚雷艇上陸用舟艇などが境界をしきりに侵犯して挑発行為が行なわれておるというようなことが伝わっておるのであります。また、最高会議徴発法令を制定して万一の場合に用意しておるというようなことがありますし、時あたかもF105が板付へ配属せられたというようなことと思いあわせまして、三十八度線がどうも異常に緊張しておる感を抱くのであります。これは、御承知の、韓国がいま政治的に経済的に非常な窮乏、窮迫状態にある、あるいは、アメリカ軍のスポークスマンが言うところによれば、韓国人によるアメリカ人殺傷事件が、大体月二十件くらいであったものが、最近は二十五件も発生するというような状況で、物情騒然たるものがあって、こういう韓国内部政情の不安、こういうときには、えてして国民注意を国外に向けるということが政策として行なわれるのが常套手段であります。こういうところから、そういう三十八度線の緊迫状況が起こってきておるのではないかと私は見ておるのでありますが、ここらに対する御観察はいかがでありましょうか。
  6. 後宮虎郎

    後宮政府委員 食糧事情等窮迫のために一面そういう暗い面もあることは否定できないと存じますが、北鮮との関係につきましては、御承知のとおり、李承晩大統領武力北進ということをモットーとしておりましたのに対しまして、現在の朴議長は、もっぱら、国連の介入と申しますか、国連の世話による平和的な南北統一ということをモットーとするということを軍事政権設立以来順守いたしておりまして、それによって韓国国際的地位国際社会における名声というものを維持していこうというのを基本方針にしておりますので、特に国内の注意を転換するためにこちらのほうから北のほうに武力的に仕向けるというようなことは考えていないように察しておるのでございます。
  7. 細迫兼光

    細迫委員 その御観察は少し甘いと思うのであります。たとえば、朴政権になりましてからでも、韓国内におけるいわゆる統一論者に対する非常な断圧、たとえば民族日報社長の処刑というように、統一論断圧しておるということに特徴があらわれておりますが、そういうお見方は甘いと私は思っておるのであります。私の見るところでは、三十八度線がこういう緊張状態にある。しかるに、日韓会談いまだ成立せざる現在においても、日本資本韓国進出は着々として具体的に進行しつつあるという状況が耳に入るのであります。もうすでに、ソウルに常駐しておる駐在員は、たとえば、三井物産では十人、三菱商事では七人、丸紅飯田では十一人、伊藤忠では十一人を派遣しておるというような状況がありまして、活動しておるようでありますが、これら日本資本進出状況はいかなる状況になっておりましょうか、いかにお考えになっておりますか。
  8. 後宮虎郎

    後宮政府委員 御指摘のごとく、現在韓国に非常にたくさん日本側商社駐在員等が参っておりまして活発なる話し合いをしておることは事実でございますが、その成果と申しますものは、政情その他の関係もございますのか、意外なほど実はまだ成果があがっておらないようでございまして、商談につきましてのいろいろなニュースはございますが、まだ、外務省といたしまして、はっきりまとまった、終局まで参りました大きな商談の成立しておるのを聞いておらない状況でございます。偵察の段階のように存じております。
  9. 細迫兼光

    細迫委員 韓国から技術修習生というような名目で日本内地にも韓国の青年を呼び寄せて訓練をしておるという事実もたくさんあるようであります。横河橋梁とかあるいは東洋レーヨン石山工場とかで。これはやがてプラント輸出基礎工作であることは言うまでない。こういうふうに、日本企業韓国へ進出するという状況日韓会談進捗に沿うて着々前進すると思うのです。これはやがて韓国のあちこちに日本資本による企業が設立せられるということに発展するに違いない。あれは日本火力発電所だ、あれは日本紡績工場だ、あそこは日本肥料工場だというような状況が起こってくる。しかるに、冒頭申し上げましたように、三十八度線は、どうも私の見るところでは非常にあぶない。やがて日本権益を守れというような要求が起こってくる、こういう危険性を非常にはらんでおると思うのです。これは、戦争に通ずるような、巻き込まれるような事態でありまして、非常に警戒しなくてはならぬと思うのであります。この点については、情報をよくキャッチして、さような事態に処する、あるいはそのようなことのないように注意するというような警戒が必要だと思うのですが、御意見はいかがでしょうか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 いまアジア局長が申し上げましたとおり、ただいままでのところ、大きな成約を見たという事実を私ども承知いたしておりません。ただ、考え方といたしまして、経済協力後進国に進めてまいるという姿勢は、政府は終始積極的な姿勢をとっておりますことは御案内のとおりでございまして、私どもは、韓国は別だというようには決して考えておりません。リーズナブルな成約でございまして、わが国にもそれをファイナンスする力があれば、それを進めてちっとも差しつかえいと思っておりますが、ただいまのところ、実績はたいしてあがっていないということでございます。  ただいま細迫先生の御指摘でございますが、日本資本技術というものが進出していった場合に、いまのような不安定な半島の情勢において、日本権益を守るために何か事が起こる潜在的な可能性が出てくるのじゃないかというような御心配でございますが、私はそのようには考えておりません。従来の植民地主義、第二次世界大戦一つ成果は、植民地主義が地上から大幅に後退したということであったと思うのでございます。それで、従来広い植民地を持っておられた国々も、植民地を手放して、しかも繁栄をいたしている。つまり、植民地というものはペイしないものであるということを歴史が教えたと思うのでございます。だから、十九世紀的な概念経済進出をやってそこに権益を扶植して武力を背景にそれを擁護していくというような思想は、もうアップツーデートでないと思うのでございます。世界思潮全体がそういう十九世紀的な概念から脱却いたしていると私は思うのでございます。同時に、わが国国是といたしましても、戦後平和愛好国として不動国是をわれわれが選んだわけでございまして、私は、アジア外交におきまして、特にその点を強調して、各国の日本に対する信頼理解を進めてまいることが根本だと考えて努力いたしているわけでございます。戦後いろいろな不信、疑惑がだんだん払拭されまして、ほのぼのとした信頼が各地域に出てまいっておりますことも御承知のとおりでございます。私どもは、そういう新しい戦後の思想に立脚して、世界納得がいく外交を進めてまいらなければならぬわけでございます。そういうことで、いま御指摘のように、権益を扶植をして、それを守らなければならぬ、そのためには武力でもってささえなければならぬなんというような考えはもう厘毫も持っておりません。そういう考え方はもうすでに世界史はとうの昔に清算しきってきた問題じゃないかというように思うわけでございまして、あなたとその点は私は根本的に考え方が違うことをきわめて遺憾に思います。
  11. 細迫兼光

    細迫委員 大平外相が将来とも健全なることを祈ります。  ときに、韓国朴議長民政移管までに日韓会談を仕上げろというような意向を当局に伝えたという情報がありますが、請求権問題、五億ドルなどについて、具体化したものがその後できましたでしょうか。あの無償供与の金の使い方などについても、たとえば、日本からのプラント輸出なんかの支払いに充てるということも、これは禁じられないだろうと思うのですが、無償供与使い方なんかにつきまして、具体的なものの話し合いができましたでしょうか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 請求権問題でいま残っている問題というのは、御案内のように、請求権問題自体ではございませんけれども、対韓債権支払い方法期間の問題が一つでございます。もう一つは、有償経済協力償還期間の問題、二つが残っております。そして、その点をいまどう打開するか煮詰めておるわけでございますが、漸次先方理解も出て参りまして、このほうは遠からず私はまとまってくるのではないかと思っております。  そこで、無償有償経済協力をどのように使うかという方法でございますが、   〔委員長退席福田(篤)委員長代理着席〕 まだ全然論議がそこまで立ち至っていないわけでございます。きまっておりますことは、わが国生産物役務でもってやりましょうということが原則的に合意されておるわけでございまして、わが国役務生産物とをどういう方面にどういう計画に従って投入していくかというようなことは、そういう協定ができてからのことでございまして、そういう方面論議は全然まだいたしておりません。
  13. 細迫兼光

    細迫委員 漁業権問題の下交渉が進んでおるやに聞いておりますが、どういう進捗状態になっておりますか。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 漁業交渉に臨む態度といたしまして、われわれが把持しておる原則的な方針というものは、たびたび本委員会に御報告申し上げてあるはずでございます。われわれは、その考えに従いまして、去年の十二月に先方一つの案を提示いたしてあるわけでございまして、これに対してどのようなリーズナブルな反応があるかという点を期待いたして、ずっと待期しておったわけでございます。最近ようやく先方も現実的な配慮を加えつつあるように察知されるわけでございます。  そこで、問題は、韓国には御案内のように何でも八十六万人くらいの漁業者がおられる。しかも、それは、年所得三十九ドルと先方は言っておりますが、非常に低所得水準にある零細な漁業者でございます。そして、この漁業者生存権というものを何としても守りたいというのが韓国政府の願いであるように思うわけでございます。日韓の漁業問題というのは、これを実体的に見ると、この韓国零細漁業者所得をどのように維持し、その水準を上げていくか、そういう条件をどうつくるかという実体的な要請があると思うのでございます。私どもが提示いたしましたフォーミュラの中でそういった問題がどのように消化されるものかということが問題であろうかと思うのでございますが、この問題は両国専門家の間で討議いたしておるわけでございまして、従来の討議よりももっとスピードアップしてやろうじゃないかと、この間崔特使が参りまして私とお話しいたしまして、その頻度を高めてもっと早く煮詰めようという方向にいま動いておるわけでございます。そういった専門家の間の検討がいま鋭意進められておる。すなわち、言いかえれば、一口に言えば、先方もだんだん現実的な配慮に傾いてこられたように私も察知いたしております。せっかく専門家の間でもっと頻度を高めて折衝を重ねてみたいというのが、いまの段階でございます。
  15. 細迫兼光

    細迫委員 おことばのその現実的配慮という内容について、韓国沿岸漁業者利益擁護という問題で、少なくとも最低限十二海里は韓国に確保したいというようなことは、具体的にはまだ言明がありませんか。
  16. 後宮虎郎

    後宮政府委員 いわゆる十二海里案は、こちらのほうから出しました案でございまして、世界の最近の慣行に大体のっとりました案でございまして、これは沿岸国専管漁業区域として最大限度のものであるというのが日本側立場でございます。それに対しまして、韓国側のほうから、それをのむのか、あるいはそれに何らかの例外を提案してくるのかというのがこれからの交渉の題目になってくると思います。
  17. 細迫兼光

    細迫委員 終わります。
  18. 福田篤泰

  19. 戸叶里子

    ○戸叶委員 六月二十六日に崔特派大使日本に来られて、そのときに何か朴議長からの書簡を持って来られたということを私は新聞で見たんですけれども、どういうふうな内容書簡であったか、差しつかえなかったら知らせていただきたいと思います。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 金外務部長官から私にあてた、崔圭夏大使を紹介をした書簡でございます。
  21. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それは、紹介しただけで、別に何の提案なりあるいはまた内容のあるものでなかったのか。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 何か七月の終わりに大平外務大臣とそれから金外務部長官との会談があるやに聞いておりますけれども、そのことはもうおきまりになったのかどうか、伺いたいと思います。
  24. 大平正芳

    大平国務大臣 金外務部長官アメリカを訪問されて、帰り日本に立ち寄りたいへそのときにお目にかかりたいというお申し出がございまして、私も応諾しておきました。
  25. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そのときにはどの程度お話をなさるのですか。やはり日韓会談内容等について相当突っ込んだお話をなさるのか、それとも、ただ単なる儀礼的な、ヨーロッパからの帰り日本に寄ったという程度のものになるのか、この辺のところを念のために伺いたいと思います。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 先方から申し出がございまして、こちらもお目にかかりましょうと申し上げておるのでありまして、お目にかかった上でないとわかりません。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私たちの要望といたしまして、そういうふうな機会日韓会談の促進というようなことがないことをいまから望んでおきます。たとえば、ちょうどいい機会だからというので一歩前進したような取りきめをその機会にされるということがないように私ども要望したいと思いますが、外務大臣、だいじょうぶでございますか。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 合理的な内容をもちまして国民納得がいくような懸案の解決をして国交回復に持っていきたいということは、もうわれわれの不動方針でございまして、金さんに会う会わぬにかかわらず、毎日私の念頭にありますことは、これを促進いたしたいという気持ちで一ぱいでございます。
  29. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの外務大臣の御答弁を伺いますと、この前からもそうでしたけれども韓国政情の変化が非常にはなはだしかったときにも、韓国政情は安定をしておりますから日韓会談を促進させたい、そのときおっしゃったことばとちっとも変わっておりません。そういうふうな程度だろうと私は解釈していきたいと思っておるのです。  そこで、この前ですけれども日本巡視船が一応不当尋問を受けたということをこの委員会で伺いましたときに、外務省のほうの御答弁といたしましては、事情がよくわからないからよく調べたい、そして、外務大臣も、あれは公船なんだから黙ってそのままにしておくわけにはいかないのだ、相当厳重な注意を喚起させておいたということでしたが、その後のことについては何ら御報告がございませんので、その後どうなっているのか、伺っておきたいと思います。
  30. 後宮虎郎

    後宮政府委員 あの事件につきましては、最初わがほうの公船韓国側領海の中にいたのか外にいたのかということが一つの争点でございまして、先方最初あの船が韓国領海侵犯したという根拠のもとに、先方のほうから領海侵犯抗議が参りましたわけです。それに対しまして、こちらのほうは、コンパスその他で科学的によく方位を測定いたしました根拠に基づきまして、絶対に領海の中に入っていなかった、公海におったにかかわらず、こちらの巡視艇船長向こうへ半ば強制的に連れていかれて尋問を受けた、こういうことははなはだ遺憾であるということで、同時に厳重な抗議をこちらのほうからもいたしまして、いまその両方の抗議が行き合ったというかっこうになっておる段階であります。
  31. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、領海侵犯であったかどうかということも、まだ意見の一致を見ていないのですか。
  32. 後宮虎郎

    後宮政府委員 そうでございます。向こう領海の中に入っておったと申しておりまして、三海里をちょっと入りましたところの海里数を具体的に言っておるのですが、こちらは、やはり、こちらのほうの機器で測定いたしました結果絶対に入っていなかったということを主張して、その点も意見が一致していないわけでございます。
  33. 戸叶里子

    ○戸叶委員 先方領海の幅はどのくらいに考えているのですか。
  34. 後宮虎郎

    後宮政府委員 領海につきましては、先方も三海里説をとっております。
  35. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと日本政府も、先ごろ日本公船である巡視船「のしろ」が威嚇され不当尋問されたことに対しては、その判断がうまくつかないために、お互いにそのままにしてある、こういうふうに了解していいわけでございますか。
  36. 後宮虎郎

    後宮政府委員 その領海の中に日本船が入っていたかどうかとはかかわりなく、たとえそういうことがあったとしましても、日本公船に対して、その公船船長を連れていって尋問するというようなことは国際慣行上不当でございますので、その問題とは別に、やはり抗議をこちらのほうから書面で厳重に出してございます。
  37. 戸叶里子

    ○戸叶委員 書面での抗議に対して、何ら向こうは誠意を示しておらないのですか。それはどうなっておりますか。
  38. 後宮虎郎

    後宮政府委員 現在までのところ、まだ回答を得ておりません。
  39. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いままでの例で、公船不当尋問を受けて、そしてそのままになったというような例が一体世界にあるかどうか、この点を念のためにお聞きしておきたいと思います。
  40. 中川融

    中川政府委員 世界の例は、私も詳しく存じません。しかし、公船等でありますれば、たとえ万一よその領海に入りましても、それを力によって押えて尋問する、あるいは船長を自分のところへ連れていくようなことは、やはり国際法上許されないところであると考えます。したがって、やはり韓国警備艇のとりました行為は不当な行為である、かように考えております。   〔福田(篤)委員長代理退席委員長着席
  41. 戸叶里子

    ○戸叶委員 不当な行為であり、しかも公船がそういうふうな目にあったという事実があるにもかかわらず、その問題の解決をも待たずにどんどん日韓会談を進める、たとえば漁業問題にいたしましても進めていくということが一体許されていいものか。そのことだけでも私は重大な問題じゃないかと思いますが、外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  42. 大平正芳

    大平国務大臣 この前の本委員会でも、楢崎委員でございましたかの質問に対して、私の心境を申し上げたのでございますが、日韓の間の問題というのは、容易ならぬ問題だと思うのでございます。さればこそ、十年交渉で、いままで結実を見ずにいるわけでございまして、この問題は、国際法の準則で割り切るとかいうことで片づくものであれば、とうに片づいているはずでありますが、この問題は、幅の厚い、いろいろむずかしい問題をかかえている日韓の間の関係でございます。しかし、わが国といたしましても、また韓国も同様だと思うのでございますが、こういう不安定な、不自然なことがいつまでも続いていいものかというと、私はそう思わないのでございまして、朝鮮海峡でいろいろな拿捕事件が頻発するというようなことは、どなたが考えてみても不幸なことでございます。したがって、政治の問題といたしまして、こういったトラブルが起こらない状態朝鮮海峡が平穏に返るという状態を庶幾いたしまして努力してまいることは、政治の責任として当然だと私は思うのでございまして、こういうような問題を根本からただしていくには、何といいましても、両国の間の尊敬というか、信頼というか、友情と申しますか、そういうものが打ち立てられなければならぬと思うのでございます。したがって、そういうところに焦点を合わせて私ども日韓の問題を考えておるわけでございます。  公船取り調べ事件というもの、これはいま事務当局からもお話がございましたように、国際慣例上許されないことでありまして、それはそれとして処置しなければなりませんが、同時に、日韓の間にこのような不自然な状態をいつまでも続けて、それでいいのだという理屈には私は賛同いたしかねるわけでございまして、忍耐をもちまして、日韓の間の信頼回復という点に、どういう事件があろうとも、事件があればあるほど私は勇気を鼓してやってまいって、この不幸な状態を早く是正してまいる必要があろうに存念いたしておる次第です。
  43. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣日韓関係を正常化したいというふうな非常な切なるもののおありになることは、たびたび委員会でその御意見を述べられておりますからわかりますけれども、しかし、私どもがいま考えましたときに、そういうふうな正常な関係にしていくその段階において、外務大臣立場としてそうお考えになりましても、何とかうまくやっていこうというときに漁船を拿捕したかと思うと、今度は国際法上許されないようなことをされて、それでもなおかつ、その問題を片づけないで日韓会談を進めていくということは、これは私は国民納得できないことだと思うのです。いやしくも、先ほど来言われておりますように、巡視船公船です。そして、よその国でもこういうことが起きたら、私は大衝突になると思います。ところが、そういうふうなことが行なわれても、なおかつ、それを忍耐しながら、何をされても忍耐をしながら、日韓の間をうまくするためにはというような行き方では、国民納得できないと思うのです。この問題をなぜ先にお片づけにならないのですか。この問題をなぜはっきりさせないのですか。そうじゃなくてどんどん前向きに進んでいくなんということでは、私は将来が思いやられると思うのです。この問題はもっと何らかの形で措置をしていただきたいと思いますけれども、これに対してもう一度外務大臣の御所見を伺いたい。そういうことも忍耐して、がまんして、そうして、それはまあいつの日か何とか向こうが反省するだろうくらいに甘く考えて、どんどん漁業協定なり何なりを進められようとするのか。そうなったら、私はあとでまたどういうことが起こるかわからないと思いますけれども、そういう点をもう一度念のために外務大臣に伺いたいと思います。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 冒頭にも申しましたように、日韓の間の問題というのは、条理で割り切るということができれば簡単なんですけれども、容易ならぬ問題なんでございます。したがって、問題はそういう重い問題であるということを頭に置いてやらぬと、なかなかこれは理屈どおりに片づくというようなものではないということは、私が先ほどあなたに申し上げたとおりなんでございます。それはおわかり願えるだろうと思うのであります。しかし、戸叶さんのおっしゃる、この問題をうやむやにせずにきちんとしてということ、せっかく正常化の交渉が行なわれているときにこういうことをやるのだから、これはちゃんと始末してというその気持ちもよくわかります。正常化の交渉がある間にもそういう問題がたびたび起こっておるという事実、これは私は日韓関係の特殊なむずかしさを示しておると思うのでございます。したがって、あなたが言われるように、この問題をうやむやにしておこうなんて毛頭思っておりません。こういう問題をきちんと片づけなければなりませんし、また、それをきちんと片づけるためにも、相互の間に、もっとフランクな態度、フランクな精神が芽ばえてこないといかぬわけでございまして、外交の問題としてそういうこともあわせてやりながら解きほぐしていこうと思っておるわけでございます。これをあいまいにしていこうなんという横着な気持ちは毛頭ないのでございます。事柄自体が非常にむずかしいのだということをお考えいただきまして、それには相当しんぼうも要るのだということで御理解をいただくよりほかになかろうと思っております。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員 たいへんむずかしいことだから時間をかけなければならないという御答弁でございまして、そうでしょうけれども、もう一月以上もかかっておりながら、しかも漁業交渉をやっていながらその問題に触れておらないということは、何か、このことに対して、向こうも避けているし、それから、日本のほうも、あまり追及しないで、そういうことよりもほかの形で漁業交渉のほうを進めていこうというふうな態度にしか私は見えないわけです。なぜかといえば、もうあの事件が起きてから一月以上たっていると思います。ですから、私は、そんなにむずかしいし、向こうもそういう態度で出るならば、やはり、日本も、こういうことをするのじゃ、話の相手になりませんという形で、一応突っぱねてみる必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、なぜそうした強硬な態度ができないのかということを国民はみんなふしぎに思っていると思うのです。そうしてまた、韓国に対してなぜそんなに弱腰なんだろうかということを非常に心配をしております。こういうことも外務大臣はよく考えていただきたいと思います。このことは、このことだけで済まないと思います。これはあとに尾を引く問題だと思います。なぜならば、李承晩ラインの問題とか、あるいは韓国でかってに引いている漁業ライン、こういうものに対して最近韓国の野党が声明しているのを見ますと、李承晩ラインを譲るのはけしからぬとか、あくまでも韓国の主張を貫けというようなことを言っているわけでございまして、こういう意見韓国の中にあるわけです。そうだとすると、今度の巡視船の問題さえも解決できないで、うやむやのうちにこの漁業の問題を片づけようとしたならば、必ずあとで大きな問題が出てくると私は思うのです。今度の巡視船の問題に対しては、きょうここで私ども国民を代表して納得できない点を表現したわけでございますから、どうか強く交渉に持ち出していただきたい。漁業交渉を進める前にこの問題はぜひ出していただきたい。このことをまず外務大臣に要望いたしますが、それに対してどういうふうにお考えになるかが一点。  それから、この漁業交渉において、李承晩ラインなり、あるいは先方の言う領海という解釈、領海の何マイルとかいうそういう解釈は国際法上通用しないものであるから、そういうことを主張している間は絶対に漁業交渉は進めないし、それからまた、それを認めないということをちゃんと条約なり何なりに書くまでは漁業の線をまとめないということをはっきりここで約束をしていただきたいと思います。  この二点について外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 公船の取り調べの問題をうやむやにするつもりはございません。あなたのおっしゃるようにきちんと解決しなければならぬと思っております。  それから、第二点の問題でございますが、これも当然のことなんでございまして、私どもは、いまの平和ラインと申しますか、李ラインと申しますか、そういうものは認められないという立場を堅持して当たっているわけでございます。そういうものが依然として残るというような協定を国会でお目にかけるなんということは、絶対にいたしません。
  47. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私も、先ほどからの質疑応答でおわかりと思いますけれども、協定の問題をうやむやにするとは思っていないのです。ただ、今日までこんなに長引いて、しかもほかの交渉を続けていられるのだから、その交渉の前に、少なくとも今度開かれる漁業委員会においては、このことを発言してはっきりさせていただける御意思があるかどうかということを伺っているのですけれども、この点について念のためにもう一度伺いたい。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 できるだけ早くいたします。
  49. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そのおことばを信用して、国際法上許されない慣例をつくらないように、早くしていただきたい、こういうふうに要望したいと思います。  そこで、最近韓国の食糧事情がたいへんに悪くなって、日本から米麦を贈与するとかいうことがちょっと新聞に報道されておりました。この問題についてはおそらく予算委員会なり何なりでわが党が徹底的にいろいろな関係を質問されると思いますが、私は、ただ、どういうふうなお考えでこの四万トンか何かの米麦を向こうにやるように決定したか、決定されたのかされないのか、決定されたとするならば、どういういきさつで四万トンの米麦を贈与するというふうな形になったのか、この点を伺いたいと思います。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 韓国の食糧事情は、去年の不作と、それに加えてことしの麦作が、ちょうど西日本と同じように長雨のため減収になったということも加わりまして、最近食糧の価格がウナギ登りに上がっているという状況にあるわけでございまして、で、先方からもそういう事情について日本側の援助協力を求められましたし、私どもといたしましても、人道上の問題として可能な限り御援助申し上げるのが適当だと考えまして、先週の金曜の閣議で、米二万トン、麦二万トン、合わせて四万トンを援助しようということにきめたわけでございます。
  51. 戸叶里子

    ○戸叶委員 先方から援助・協力を求められたということでございますが、これは無償で何とか贈与してほしいという形で来たのか、それとも日本から買いたいという形で来たのか、この辺のことを伺いたいと思います。
  52. 大平正芳

    大平国務大臣 無償とか有償とかいうお話じゃなくて、日本のほうの協力を求められたわけでございます。われわれのほうで自主的に、これは無償で差し上げましょうということをきめたわけです。
  53. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この米麦を無償で与えるということに対して、いろいろと食管関係に問題があるようでございますが、きょうは私はその点を追及いたしませんけれども、ただ、こういうことが発表されましたときに、韓国の野党のほうで、はっきりと、そういうものは受けるべきではないというような意見が出てきていることは、新聞で御承知のとおりだと思います。また、北鮮のほうからも一万五千トンかの援助をやろうとしているのに対して、それを断わったというようなことも出ていたわけでございますが、韓国北鮮という同じ民族の中にあって、自分たちと同じ同胞からの分は断わって、日本から贈与を受けるということにも、私はいろんな問題があると思います。  そこで、日本人の願いとするところは、外務大臣もそうだと思いますが、韓国朝鮮とを分断するようなことはすべきではない、少なくとも分裂を手伝うようなことはすべきでなく、統一を促進させるような政策をとるべきであると思いますけれども、それにもかかわらず、今回のようなことをした場合に、韓国の野党からは恨まれ、そしてまた北鮮のほうからも非常な問題にされるというようなことになると、かえって日本立場が悪くなるのじゃないかということを政治的に考えましても、私はすべきではないと思いますけれども、この点についてはどういうふうに外務大臣はお考えになるか。そして、一体いつごろそれを実施しようとしているのか。この二点をお伺いしたいと思います。
  54. 大平正芳

    大平国務大臣 これは、政治的な配慮と申しますか、朝鮮が南北に分かれておることでこのことがどういう影響を持つとか、韓国側の野党の皆さんがどう言っておるかとかいうことでなくて、いわゆる政治的な考慮と申しますよりも人道上の考慮でございまして、食糧事情窮迫しておる事情に対して、やむにやまれぬ気持ちで人道上の援助をするというにすぎないわけでございます。
  55. 戸叶里子

    ○戸叶委員 北朝鮮との関係についてさっき伺ったのですが、その点はどうお思いになりますか。
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 北朝鮮との問題は韓国の問題でございまして、私どもはとやかく申し上げる性質のものじゃございません。
  57. 戸叶里子

    ○戸叶委員 これは韓国の問題としてだけでは解決できない問題だと私は思います。なぜならば、南北朝鮮の統一を阻害するものになると思うのです。そういうことで刺激をすることによって、朝鮮が非常に不愉快な感じを持つということで統一を阻害することになりやしないかと思いますが、この点は少なくとも統一を妨げるものの一つになると思いますが、外務大臣はどうお考えになりますか。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 これは初めの問題に返ってくるわけでございまして、たびたび本委員会でも論議いたしましたように、半島の統一の問題は半島の問題なんでございます。それには、南は南、北は北でそれぞれ統一の方式をお持ちのようでございます。それが食い違っておるということなんでございまして、日本政府の責任ではないわけなんで、私どもはとやかくそれをコメントすべきじゃない。今度のことは、先ほど申しましたように、一〇〇%人道上の観点からの援助であるということに御了解いただきます。
  59. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣のお考えはそうであるかもしれませんけれども、あとにいろんな問題があると思います。  そこで、さっき私が伺いました、いつごろそれを実施しようとされるのかということのお答えがなかったと思いますけれども、この点を伺いたいと思います。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 相当大量の品物でございまして、これをどういうスケジュールでやるか、配船の手配もしなければいけませんし、そういった点はいま農林省のほうで配慮いたしておるわけでございます。できるだけ早くやろうということでございます。
  61. 戸叶里子

    ○戸叶委員 米麦は日本の主食ですね。そこで、今度贈与するということになりますと、外国へそれだけ出すのですけれども、国会の承認を得ないでおやりになるのですか。その手続はどういうふうになさるのですか。国会にかけずに政府だけの考えでおやりになるおつもりでございますか。そういうことは許されないことだと思いますけれども、どうでしょうか。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 政府の責任で断行するつもりです。
  63. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本の主食を国会の承認も得ずしてよそにやっていいか悪いかということは、非常に大きな問題になると思います。また、食管法の問題もあるし、農林省のほうのお話を聞きますと、米麦という形では外国に出すことはできない、何か廃棄物という形なら出せるのだということですが、韓国のほうにこれは使えないものですという形でお出しになるかどうか、そこにも問題があるのじゃないかと思いますが、この点は私はよく研究していただきたいし、また、それだけ大きなものをお出しになるのでしたら、国会の承認なり何なり得べきではないかと思いますが、ここで外務大臣と並行線でいってもしかたがありませんから、私はこの問題は追及いたしませんけれども、よく考えておやりになりませんと、あといろいろな問題が残ってくるのじゃないかと思いますから、十分考慮していただきたいと思います。  あとまだ質問者がおりますので、私は最後に一点だけお伺いいたしまして質問を終わりたいと思います。  最近、日本にいる北朝鮮の人が、自由に往来をしたいというふうなことで陳情に来ておられます。都道府県議会でも、相当多数、たしか二百八十何カ所くらいがもうすでに決議をされたということも聞いているわけでございますし、各県で多くの人たちが人道上の問題として、——よく外務大臣が人道上の問題人道上の問題というふうに御答弁になっておりますが、その同じ人道上の問題で自由往来をしたいということの陳情をされているわけです。伺っておりますと、中には、向こうにおかあさんがいて、おかあさんがもう危篤だから会いたいと思っても、行くと帰ってこれない、こっちにはたくさんの子供がいるというような問題、あるいは、子供を向こうの大学にやれば帰れないというような、いろいろな個々の面で問題があるわけでございますが、この問題についてどういうふうにお取り扱いになるか、この点を伺いたいと思います。
  64. 大平正芳

    大平国務大臣 北鮮との間の事実上の関係をどのように考えていくかということは、確かに私どもにとりまして大きな問題でございます。ただいままでのところ、政府は、北鮮日本との間の人事の交流につきましては、原則としてこれを禁止する措置をとっておるのでございます。私は、これはいつまでもこうでなければならなぬというようには考えていないわけでございまして、もっとくふうをしなければならぬのじゃないかと思っておるわけでございます。この問題にからんだいろいろな問題点をいま整理いたして、もっとくふうをこらしてみなければいかぬのじゃないかと考えておるわけでございますが、ただいままでのところ、人事の交流については、これを認めないという政府の態度にまだ変改はないわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、このままの状態でいつまでもいいとは私ども考えられないのでありまして、いろいろな問題を精細に吟味してみようということで検討いたしておるところでございます。
  65. 戸叶里子

    ○戸叶委員 北鮮との貿易もだんだん盛んになってくるわけですけれども、やはり、向こう日本のものを買いたいと思っても、技術者なり何なりが入れませんと買えないというような問題もあり、貿易の振興を阻害するというような場面も出てくるわけでございますが、そういう人たちが日本に来られるようにしたほうが、日本北鮮との貿易というものも盛んになると思いますけれども、こういう点はいまの問題とあわせてお考えになっていただきたいと思います。そして、それも、考えるだけで終わらないで、なるべく早く実現していただきたいと思いますけれども、この点について、外務大臣はどういうふうにお考えになりましょうか。
  66. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほどの人道上の御要請やら、それから、経済、技術上の御要請やら、御要望は私ども十分承知いたしておるわけでございます。いま日本の置かれた立場でこの問題をどう処理するかにつきましては、慎重を期さなければいけませんので、いろいろな問題点を検討しておるということでございます。
  67. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は質問を終わりますけれども、いま日本に何カ国ぐらいの外国人がいらっしゃるか、御存じでございますか。何か、聞くところによりますと、七十カ国くらいの外国人がいるそうです。しかも、そのうちで自由往来のできないのは北鮮の人たちだけだということも聞いておりますけれども、こういうこともどうぞ十分留意されまして、そして早く自由往来ができるようにしていただきたいということを念願して、私の質問にかえたいと思います。
  68. 野田武夫

    野田委員長 森島守人君から関連質問の申し出がございます。これを許します。森島森人君。
  69. 森島守人

    ○森島委員 私、一問だけお聞きしたいのですが、いま戸叶さんからお話のありました日本公船に対する韓国の不法行為、これについては、いまアジア局長から、日本書面をもって抗議を出したということでございますが、私はその抗議内容を明らかにしていただきたいと思うのでございます。全文は要りません。どういう項目を御要求になっているかということをはっきりさせていただきたい。
  70. 後宮虎郎

    後宮政府委員 かかる場合の慣例に大体従いまして、陳謝の意の表明、それから、責任者の適当なる処罰、それから、かかる事件の再発を防ぐための適当な処置をとること、こういうことの要求を骨子といたしております。
  71. 森島守人

    ○森島委員 大体そういうことだと思いますけれども、この種の事件を再発しないようにということになりますれば、外務大臣がとっておられるいまの交渉のやり方と違う、再発すれば交渉は進めぬということになると私は思うのです。この点に重点を置いて、戸叶さんが外務大臣に御要求になったように、この種の事件漁業交渉とはさい然区別して、この種の条項がいれられぬ限りは漁業交渉を進めないということに態度をおきめになられることを要望して私の質問を終えますが、外務大臣、この点に対して何らかの御感想があれば承りたい。
  72. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう事件の再発ということがないように十全の措置をとってまいりたいと思います。
  73. 森島守人

    ○森島委員 私は、外務大臣として再発を防ぐという点に重点を置かれる以上は、そういう抗議を一方においてしながら、漁業交渉の話を公式と非公式とを問わず進められるということは矛盾しておると思う。少なくとも、戸叶さんの御要求になったように、この種の事件が片づくまで、再発させないという誓約をするまでは、非公式にも漁業交渉を進めるべきではないというふうに私は信じております。これが韓国に対する措置として適切であると私は思いますし、また、世論もこれを支持すると思うのでございまして、この点十分に検討願いたいということを要望して、私の質問を終わります。
  74. 野田武夫

    野田委員長 穗積七郎君。  ちょっと穗積委員に申し上げますが、外務大臣は渉外関係で十二時半までだそうですから、それをお含みの上でお願いします。
  75. 穗積七郎

    穗積委員 時間がないようですから、私は関連して、日本韓国との問題並びに朝鮮民主主義人民共和国との問題を御質問したいと思います。  質問に入ります前に、議事進行について一言発言したいのですが、いままで当委員会におきまして、アメリカの原子力潜水艦の入港を求めてきておる交渉について、その間政府政府との間で話し合ったあるいは文書等について、正確にこの委員会に報告を求めたわけですけれども、この前の御答弁では、考慮してそういうふうにしたいということでしたが、その後どうなっておりますか。
  76. 大平正芳

    大平国務大臣 森島先生初め当委員会で御要請がございましたのは、中間報告というサマリーではなくて、それの材料になっておるトーキングペーパーその他一切の資料の御提供を求められはわけです。私は、そのときに、それをたいへんむずかしいことと思いますけれども、検討してみましょうということを申し上げておりまして、その経緯は御存じのとおりでございます。そこで、私はいろいろ検討いたしましたが、いろいろなトーキング・ペーパー一切がっさい国会に持ち出すというようなことは、外交上適切でないと存じますが、その後日米間で照会し合ったこと、そういった点をまた取りまとめて御報告をする義務があると考えておるわけでございます。
  77. 穗積七郎

    穗積委員 ちっょと語尾がはっきりしませんでしたが、出すのですか、出さぬのですか。
  78. 大平正芳

    大平国務大臣 中間報告に関連いたしまして、トーキング・ペーパー等一切を出せということに対しては応諾しかねますけれども、その後日米間で照会し合っておりまして、まだ回答が参っておりませんけれども、参りました暁は、これはやはり御報告いたすつもりです。
  79. 穗積七郎

    穗積委員 これはこの前も私申しましたように、この間の中間報告なるものは、文書の責任者ははっきりしていないわけです。マスコミその他に出たものとか、あるいは向こうの原子力委員会の諸君が向こうの国内における政府機関あるいは国会等に証言したものを報道しているにすぎない。これでは問題点が不明確であるし、同時に、一番大事な責任の所在がはっきりしないわけです。だから、トーキング・ペーパーを一字漏らさず発表しろということは必ずしも必要でないかもしれぬけれども交渉の問題点とその責任の所在というものははっきりしなければいかぬと思うのです。それはいつお出しになりますか。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 あの中間報告でも、私どもは、新聞や雑誌やマスコミに出たというようなことでなくて、アメリカ政府当局、軍当局、責任当局との照会によって得られたものに限って出してあるわけでございまして、穗積さんのおっしゃるように、責任という点が一番大事でございますので、責任が持てないようなものは出していないつもりでございます。
  81. 穗積七郎

    穗積委員 議事進行についての資料要求ですから、多くの時間は使いませんけれども、すでにアメリカの二、三の新聞でも、日本の反対の世論を察知して、それを無理押ししてまで寄港を求める必要はないという意見が出ておるわけです。しかも、あの中間報告の資料、——きょうはその問題の内容については触れないつもりですけれども、この間中間報告で出てまいりましたものをその後調べてみますと、アメリカ委員会が出しました報告、あるいはまた軍人の証言等について寄港を許そうとしておる日本政府にとって都合のいいところだけ引き出して、都合の悪い証言は全部カットしちゃって、ここへ中間報告なるものの文書として発展されておる。こういうことでは、われわれは、一体日本政府というもの、外務省というものはだれのためのどこの国のための外務省であるか疑わざるを得ないわけです。そういう点も明らかにしたいと思いますから、ぜひ早急に出していただきたい。  そこで、関連して質問して、締めくくりにしておきますが、この報告が行なわれて、この委員会においても納得のいくような了解を得られるまでは寄港を許されない。そういう報告以前に、国会が終わったからといってすぐ許可をするというような処置はまさかとるまいと思いますけれども、そのことだけひとつ明確に御答弁しておいていただきたいと思うのです。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 中間報告についていろいろな批判がございますが、これは国会からも出せということで出したわけでございまして、これは気に食わぬとおっしゃるのですけれども、私どもとしては精一ぱいのものを出したつもりです。幸いに、それを出したことを契機として、安全性の論議というものが各方面で活発に行なわれて、この中間報告ではここが足らぬじゃないかとか、こういう面が抜けておるじゃないかというようないろいろな議論が出ておるわけなんで、私はあれはいいことだったと思っております。  それから、今度の寄港の問題でございますが、もっとも、その中間報告の論議も寄港の問題というよりも、もう原子力潜水艦一般の問題にまで議論が発展しているように思いますけれども、そこまで議論が発展して、日本の原子力科学というものがこれでたいへん刺激されたと思うので、そういう意味で、私は中間報告というものはいいものであったと思っております。今後もできるだけああいうことで御理解をいただくような仕儀にしたいと思います。  それから、寄港の最終的な締めくくりの問題でございますが、穗積先生がおっしゃるように、本委員会にかけて、本委員会の御了解を得てなんということは、私考えておりません。政府が一〇〇%責任を持ってやらなければいかぬことでありまして、国会をはじめ各方面の御了解を得てとかいう責任は、あくまで政府が責任を持ってやらなければいかぬ。ただし、責任を持ってやる政府といたしましては、あなたが御指摘のように、いろいろな手順を踏んで、各方面にできるだけ御理解をいただいてやるということは、当然の私の責任だと思っておるわけでございます。ただ、しかし、どうしても水を飲まぬという馬に水を飲ますことはできぬと思うのでございまして、私は大多数の国民の良識の支持があるというところは、やはり政府としてちゃんとやっておかなければならぬと思いますけれども、みんなくまなく御了解を得てからなんということは、これは難をしいるものではないかと思います。
  83. 野田武夫

    野田委員長 穗積委員に御注意しますが、まだ議事進行の分ですか。——なるべく簡単に結論をつけて下さい。
  84. 穗積七郎

    穗積委員 少なくとも次に出されると予想される責任ある文書の国会への提出以前にこれを許可する行政措置はとるまいと思いますけれども、その点を私は聞いておるのですから、そこへ締めくくって御答弁いただきたいと思います。
  85. 大平正芳

    大平国務大臣 私の方でこれについて最終的なアクションをとっていいという心証ができるまではやらぬつもりでございます。
  86. 穗積七郎

    穗積委員 その一つが、国会の疑惑は、今までやればやるほど深まってきておるわけだから、それに対して意見を尊重する措置をとってからということに理解していいわけでしょうか。
  87. 大平正芳

    大平国務大臣 その点は、政府の良識にひとつおまかせいただきたいと思います。
  88. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、そういうふうに理解いたしておきます。  日韓会談その他について関連をしてお尋ねをしたいわけですけれども、今申しました原子力潜水艦問題にしても、日韓会談にいたしましても、何だか、われわれの感じでは、国会中にやるとうるさいから、国会が済んだら月夜にかまを盗むがごとくほおかぶりをしてひとつ無理やりに妥結しようというような雰囲気がどうも感ぜられてしょうがない。あなたは、先ほど、この問題はやりたいと思うけれども、困難がある、だから、十年も十余年もかかっているのだと言われたわけですが、特に問題になりますのに、国民の世論というものが、単に国会の議席に表現されている議員数の比例だけではなくて、日韓会談その他につきましては、これはもっと広範な世論というものがあるわけです。今度の国会の終末にも、自民党は少数意見を必ず尊重する、こう言うわけです。日韓会談に対する疑惑あるいは反対の世論というものは、必ずしも少数意見ではない。それを押し切ってやるということは、自民党内閣の態度としては非常によくないことだと思うのです。しかも、私がお尋ねしたいのは、最近の韓国における経済情勢政治情勢というものは、非常に不安定な状態で、ますますそれを深めている。先ど戸叶委員からもお話があり、その前に細迫委員からもありましたが、たとえば、今年度の寒冷あるいは長雨による食糧危機という一時的なものではなくて、韓国の経済そのものが、朴政権の長期的計画以後、人口の膨張率よりはるかに経済の成長率のほうが下回っている。すなわち、韓国経済の基本的な行き詰まりと矛盾というものがここに露呈されているわけです。そこへ持っていって、その原因をなしているところの対北鮮との戦争の準備、あるいはまたアメリカ駐留車に対する負担、あるいはそれらをささえるための軍事的な諸費用、これが、韓国経済の行き詰まり、ひいては国民生活の不安、政情不安の基礎をなしているわけです。そのときに、先ほどの細迫委員指摘をされましたように、軍事体制は強化する、兵隊はふやす、そういう見通しを立てますと、この韓国の経済的並びに政治的な基礎というものは非常にダウンする一方で、とうてい米麦の四万トンや多少の無償供与くらいで、これがあなた方の意図に沿って韓国政治・経済をささえるというようなわけにいかぬことは、もう明瞭な事実だと思うのです。にもかかわらず、それを無理やりにやろうとする。しかも、交渉の過程においては、アメリカの威をかるキツネのごとく、韓国は理の通らないことを言って、いまの漁業交渉にしましても、請求権交渉にしましても、領土問題にしましても、何一つ合理的な日本側の主張というものに耳をかしていないわけです。完全に向こう側のぺースに巻き込まれて、易々諾々どころか、屈従これつとめてやっている。そういうことでは、あなたは寝てもさめても日韓会談をやりたいと言っているが、これは好漢大平外務大臣の終生の汚点として残ると思うので、好漢惜しむらくは自重すべきであると、友人として私は思うし、日本外交にとっては取り返しのつかぬ大ミステークになると思うのです。そういうように、もう懸案の問題が、たとえば無償供与についてどこまできているとか、漁業交渉についてどうだとかこうだとか、残された問題はもう詰め碁の段階であって、最後はきまったような話をしておられますけれども、もう根本がくずておるのでありますが、それに対するところのあなたの最近の認識は何でしょうか。アジア課長が最近韓国を視察してきて、深刻の一途をたどっておる経済・政治情勢の報告があったはずです。それにもかかわらずなおやろうというのは、一体どういうわけか。その基本認識について私はこの際伺っておきたいのです。
  89. 大平正芳

    大平国務大臣 国会が済んだら急いで何かをやろうなんというよこしまな考え方は毛頭ございません。私は、与党の皆さんに対しても、野党の皆さんに対しても、新聞社の皆さんに対しても、どなたに対しても同じ態度を終始とっておるわけでございます。この問題は、ちょっくらちょいと片づけようなんという、そんなに手軽な問題じゃないと思うのでございます。正々堂々の陣を張って、そして穗積さんも含めて御賛成いただくように私は努力したいと思っております。私は別にこそくな手段をとろうなんて毛頭思っておりません。  それから、韓国の認識の問題で、穗積さんは穗積さんなりの御認識を持たれて、たびたび御教示をいただくわけでございますが、韓国政情の安定、それから国民生活の安定の問題は、まず韓国人の問題なんでございまして、韓国の方々が精一ぱい御努力されて安定に向かうことを、私、心から願っておるわけでございます。しかし、不幸にいたしまして、韓国がその安定をもたらすことは容易でないことも私は認めるわけでございます。私どもは、アジアの平和の上から申しましても、韓国が一日も早く安定していただかなければならぬし、精一ぱい韓国民が努力しているのでございましょうが、私どもとして、隣邦として応分のことを考えるのは、これまた当然だと思うわけでございまして、主体はあくまでも韓国民の運命の問題は韓国人の問題であるということでございまして、とやかくわれわれが論評を加える性質のものではないと思うのでございます。
  90. 穗積七郎

    穗積委員 論評を加えるなんて、交渉の相手のことを、政情も見ないでやるべきではない。内政に干渉するわけではないのですよ。相手の経済情勢はどうか、政治的な成り行きはどうかという見通しも立たないでその国の政権と交渉をし、そうして日本の永久の外交路線をそこで結んでしまうというようなことは、内政干渉でもなく、日本外交の自主的な立場に立って私は十分検討すべきだと思うのです。第一、あなた方は、経済交流の問題についても、中国をはじめとするその他について、ごく少額な短期間の延べ払いですら、返済能力があるか保証能力があるか、それがやるかやらぬかのスタンダードになるのだ、基準になるのだというようなことを言われておる。初めは七千万ドルのものが五億、六億という多額のものにはね上がってしまっておる。あなたが勝手にやるならいいけれども国民の金です。社会党員、共産党員まで含めて国民の税金です。自民党のポケットマネーでもなければ、ブルジョアジーのポケットマネーから出すわけではないでしょう。しかも、それに結びつけられて、単に経済援助だけではなく、日本外交路線がその危険の中に入っていくのですから、それを決定するのに、相手の経済情勢政治情勢も政権の安定も検討しないでこれをやるなんということは、これは一人相撲というものだ。そんなことは、あなたが寝床の中で主観的に念願するのは勝手ですけれども外交交渉は相手があるものでしょう。いつ動揺してくずれるかわからないようなものを相手にして、それでもやろうというのですか。穗積君の個人的な見方、君の見方については何べんも聞いたと言うが、そんなものは主観的なものじゃないんです。私個人でもなければ、その見方というものが権威があるかないかということは、多数、少数の問題じゃないんです。過去における韓国政治情勢、経済情勢の判断については、ワンサイドゲームで、われわれの見通しが勝っておるじゃないか。向こうまで行っていろいろ調べてきた聞いてきたという報告が、舌の根もかわかぬうちにすぐ何べんも何べんもひっくり返ってしまう。個人や少数党の意見じゃないのです。過去の事実が証明しております、政情判断についての勝負は。特に、昨年来の朴政権の動揺以後、その後ますます経済情勢国民生活はダウンしておる。泥沼に入っておる。そうして、一方においては、無理やりに、危険な、共産主義諸国を仮想敵国とする戦争準備がどんどん進められておる。私は去年の十月朝鮮を訪問いたしました。ところが、その当時においてすら、東海岸、あるいは西海岸、あるいは三十八度線、あるいはその南において、アメリカ帝国主義の軍事的な停戦協定十三項に違反をするような事実がどんどん暴露、指摘されております。ところが、その後、ちょうど一年足らずになりますけれども、先ほど細迫委員指摘されましたように、三十八度線並びに海岸線において、たびたび挑発行為が行なわれておる。それは一時的な挑発行為じゃなくて、アメリカの核武装を中心とする停戦協定違反の軍事行動が行なわれ、韓国政府もまた同様な政策をとっておる。そういうようなものを相手にして、ただ隣国であるから国交を正常化しなければならぬというようなことで、われわれ少数だから圧迫しようといったって、そうはいきませんよ。もっと道理のある、ちゃんとした答弁をしていただきたい。韓国政治情勢、経済情勢、その安定性の問題については一体どういう認識を持っておられますか。その点を基本的に伺いたいのです。無理であろうが何であろうが、この条約を結んだあくる日にその政権がくずれようが、そんなことは知ったことじゃない、それでもおれはやるのだと言われるのかどうか。その点をちゃんとこの際国民の前に明確にしておいていただきたいのです。好漢大平外務大臣、御所感あってしかるべきだと思うが、どうですか。
  91. 大平正芳

    大平国務大臣 韓国政治経済情勢がたいへん困難であるということは、私も十分わかっておるわけでございます。しかし、これは、私がたびたび申し上げますように、韓国の方々の問題であるということでございまして、韓国がこの困難に対処していろいろくふうをしておるのでございますから、これはとやかく私は私の立場で論評をすべきでないと思うのです。  それから、私は、日韓の正常化という点は、韓国政情、経済の情勢が困難でございましても、これはいずれの日にかやり遂げなければならぬ問題であると思うのでございます。したがって、この努力はいつも忘れてはならぬと思ってやっておるわけでございます。そうして、そのことが両国のためになるという信念に基づいてやっておるわけでございまして、多数派の意見としてごり押しにやろうというのではなくして、この問題につきましては、私は率直に皆さんに訴えて、一緒に考えてもらっておるわけでございます。最近、御承知のように、私ども韓国人と接触しての感じでございますが、だんだんと相手側のほうも理解を持ってき、フランクな態度になってきておる。外交というものはそういうものでございまして、目に見えないものでございまして、お互いが理解し合うというようなことからだんだんしこりがほぐれるわけでありまして、こういう努力をしてはならぬということも穗積さんの独断じゃないかと思うのです。こういう努力は鋭意やっていくのが私の責任だと思うのでございます。あなたからせっかくの御指摘でございますけれども、このような状況ではたびたびそういう御指示を受けるわけでございますけれども、私はそういうようにすべきでないと思っています。
  92. 穗積七郎

    穗積委員 われわれは、ただ反対しておるだけじゃありませんよ。正確な情勢判断を持ち、しかも、終戦以来の外交文書に基づいて日本が当然とるべき全朝鮮統一政権との間の友好互恵平等の関係を結ぶ、こういう方向に進み得る、しかも抽象的じゃない具体的な外交路線についてのプログラムをわれわれは提案しておるわけです。やみくもに反対しておるわけじゃありませんよ。こうして解決すること、そのことが正しいのだ、そのことの可能性があるのだと言っておるわけです。それを、南北朝鮮をあえて分裂せしめて、しかも、韓国に対しては、不当な要求でもこれをのんで、一方的にあそこと提携をしてやっていこう、こういう考え方は、私はどうしても承服するわけにいかない。ただ反対のための反対ではありません。ほんとうに、朝鮮問題というものに対して、日本民族の過去の歴史の反省の中から、条約上も、それから政治的な道義から言っても、とるべき政策というものをわれわれは示しておるわけです。そのことに対してあなたは一顧だにしないじゃありませんか。また、その一つである北朝鮮の政権も、非常に可能性のある合理的な提案を昨年十月二十三日にしておるわけです。それに対して日本外務省は何らの検討を加えてない。われわれは、朝鮮問題を解決する責任は、南の政権、南の人民に対してのみ負っているのではないのです。北の政権、北の人民に対しても平等に負っておるわけです。そういう反省がございましたか。そういう検討を外務省でなさいましたか。  そこで、具体的にお尋ねいたします。この予定されております民政移管の選挙、これははたして予定された時期に可能であると外務省は判断しておりますか。それを第一にお尋ねしましょう。
  93. 後宮虎郎

    後宮政府委員 現在のところ、大体予定どおり十月に行なわれると判断いたします。
  94. 穗積七郎

    穗積委員 それにについては、非常な無理をして、戒厳令に近い権力弾圧をもって、この前李承晩がやったような、選挙にあらざる選挙をやる以外に、私は、いま政府考えておるような、朴政権考えておるような選挙は不可能だと思う。必ずそういう情勢が出てきますよ。そういうことについてもう少し検討すべきだと思う。われわれの申し上げました見通しが必ずしも空虚なものじゃない、むしろ政府の判断よりは正確であったという自己反省に立って、   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 そうして、この選挙を朴政権のためにあるいは与党のために有利にするためのプレゼントをやりたい、そういうことで日韓会談日韓漁業交渉に私は臨むべきではないと思うのです。したがって、政情の安定、経済の安定を見きわめて、しかる後に、もう十年以上もたっておるのですから、何もあわてることはないです。われわれは政府日韓会談には根本的に反対です。反対であるけれども政府立場に立ったところが、その当然な論理として、政治情勢、経済情勢の安定を待たずして無理やりにやる、そういう危険をおかすべきではない。それはすなわち内政干渉というものです。そういうお考えについて、ひとつこの際率直に国民に理のあるところを示していただきたいと思うのです。外務大臣の御答弁をお願いいたします。
  95. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、根本的に、私は、半島の統一という問題は半島の問題だと思うので、それにとやかく干渉すべき性質のものじゃないと思います。韓国政情の問題は韓国民の問題なんでございまして、これに対してこれまた干渉すべき性質のものではないと思っているのです。ただ、われわれとしては、日本の基本的利益というものを中心に外交をやらなければなりませんので、いままで私どもがとっておる姿勢は、日本の基本的利益から申しまして、そうしてまた、アジアの平和から申しまして、韓国人のしあわせから申しまして、妥当だと考えておるわけでございます。南北朝鮮の統一の問題とか、韓国の政権の運命というようなものまで私どもは責任を負ってやっておるわけじゃないのでございまして、きわめてハンブルなものなんです。
  96. 穗積七郎

    穗積委員 それは、責任は持てません。また、持つべきではありません。ただ、問題は、先ほど私が言うように、外交交渉は、日本だけではなく、相手国があるから、相手国の経済的安定性、政治的安定性というものを見きわめなければやるべきではない。それは日本立場に立ってですよ。韓国に対する内政の問題じゃありません。日本外交上の必要として、日本政府は自主的にその分析と見通しを立ててやるべきだ。これは当然のことでしょう。欠くべからざる交渉の条件だと思うのです。そういう意味で言っているのです。すなわち、もう一ぺん言いかえますならば、お尋ねいたしますが、韓国の経済情勢政治情勢の安定を検討しないでもやるのか、当然してやるべきであると思うが、どちらをお選びになりますかということを聞いているのです。
  97. 大平正芳

    大平国務大臣 これも、たびたびこの国会を通じて私から申し上げてあるわけでございます。私どもは、いま日韓の間で懸案の解決に努力いたしておりますが、かりに成案ができたといたしましても、それの実行を保障する足る条件を先方が持っておらなければならないなんということは、これは、日韓交渉ばかりでなく、外交交渉のアプリオリでございまして、あなたの言われることは当然だと思っております。それほど私はばかじゃないつもりです。
  98. 穗積七郎

    穗積委員 あなたはもう少し率直にお答えいただければいいと思うのだけれども、さっぱり逃げておられて、ひょうたんなまずなような問答になって不愉快ですけれども、関連して事のついでにお尋ねいたしておきますが、先般の外務省本省において行なわれましたアジア公館長会議、そこでは、日本経済の行き詰まりの問題について、当然これは問題になったでしょう。特に来年五月を目途として八条国移行による自由化の船出をしなければならぬということになれば、貿易を中心とする日本経済の行き詰まりと苦悩というものは深刻だと思う。そのときに、アメリカなりソビエトなりヨーロッパの諸国は広域経済地域というものを持っておる。ところが、日本は持っていない。そこで、日本として、その場合においては、東南アジア地域とのみ、つまり、中国なり北朝鮮なりアジアにおける近接の社会主義諸国との関係を排除して、言いかえればケネディの中国封じ込め政策の路線に乗って、そうして南の自由主義諸国あるいは反共の諸国を対象とした広域経済圏の構想を今後検討するという考え方一つありましょう。もう一つは、中国、北朝鮮、北ベトナムあるいはシベリア地区を含むオール・アジアの広域経済圏の構想というものが当然考えられる。そういう二つの潮流というものは、単に外務省内部だけではなくて、日本の財界、政界を通じて考えられるところでございます。そのときに、いまの池田内閣あるいは大平外務大臣は、それについて一体どういう基本的なお考え方を持っておられますか。その点は、アジア公館長会議における動向とあわせて報告していただき、御所見を伺っておきたいと思うのです。
  99. 大平正芳

    大平国務大臣 経済協力の問題を論議いたしましたことは事実でございます。私は、日本経済協力という問題は、いま活発に論議されておりますけれども、これはこれからだと思うのでございます。いままでは、賠償中心の、賠償の責任を履行するということが柱になって、経済協力という問題は添えものであったわけでございますけれども、やがて、賠償を払ってしまえば、あとどうするかという経済協力の問題は、これから本格的に論議をし、対策を立てていかなければならぬ問題だと思っております。したがって、私が申し上げたのは経済協力問題というのは、官民ともまだ全部がしろうとだと思おうじゃないか、そして、成心なく真剣に取り組まなければならぬ問題であるということが一点でございます。清新な感覚でもって臨もうじゃないか、おれは経済協力専門家だなんて思っていたら大間違いだ、まだそんな状態になっていないじゃないかということが第一点。第二点として、日本の経済計画の問題としてこの問題は検討してみようじゃないか。輸出があり、国内消費、財政消費というものが需要の項目に立ちますけれども、御承知のように、生産力の系列はうんと発展してきたわけでございますから、これと有効需要がミートしなければならぬとすれば、どうしても、経済協力問題というものは、経済計画において市民権を与えるというくらいの気持ち、ウエートの問題じゃないかという点が第二点でございます。しかしながら、第三点として、日本の場合には、非常に潤沢な資本の蓄積がないわけでございます。資本蓄積は戦争とともに壊滅したわけで、ようやく戦後回復の過程にございますけれども、まだ非常にウィークなものである。したがって、こういう状況のもとにおいて経済協力をやるということは、具体的には円資金をどう調達するかという問題になるわけであります。この問題は容易ならぬ問題だ、したがって、経済計画の問題として一つ大きい角度から打開をはかっていかなければならぬという意味の指示を私はいたしたわけです。  そこで、具体的に公館長諸君から申し出がありましたことは、その任国において日本経済協力経済協力という声は大きいけれども、まだ実効はあがっておりませんので、いろいろな不満がある、したがって、もっと活発にやれ、ちょっぴりやるようなことはやめてもらってもいいのだから政府のかけ声に相応したことをやってくれないと日本の信用にかかわるじゃないかということが多くの方から要望がございまして、それに対しては、いま申し上げましたような角度からこの問題を本格的に取り上げて処置してまいるということでございました。その場合に、いま言われたように、共産圏は排除して東南アジアの非共産圏に力点を置かなければならぬとか、そんなことを私は毛頭申し上げておりません。私どもは、自由圏と共産圏とを問わず経済交流をいたしておりますが、それが一方に片寄って、一方が妙に不自由になるというようなことはしたくない、適正なプロポーションを保ちつつやっていきたいということでございます。
  100. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 穗積委員にお願いしますが、外務大臣の時間が参りましたから、ひとつ……。
  101. 穗積七郎

    穗積委員 心得ております。  時間がありませんから、節約するために、私は日韓交渉にあたって政府がいま取り上げておる内容にわたって一括してお尋ねいたしますから、漏らさず、全部一括してお答えをいただきたい。  まず第一は、日韓交渉において、先ほどお話のありましたように、無償供与の据え置き期間並びに返還期間について政府向こうとの間に意見の食い違いがあるようです。それから、第二は焦げつき債権。その次に漁業交渉についてですが、漁業交渉については、先方の戦術を見ておりますと、漁業協力の問題を先に取りつけて、そして、李ラインなりあるいは専管漁業の水域設置の問題についてはあとでやって、食い逃げをしようという考えを持っておるように見受けられる。さらに、第四番目に私はお尋ねしたいのは、先ほどの贈与米麦の問題ですが、贈与のことは贈与といたしまして、韓国側のわれわれの手にしている情報によると、四万トンぐらいは焼け石に水、スズメの涙程度に深刻なようでございます。   〔正示委員長代理退席委員長着席〕 したがって、かの国の政府が立てておりますように、アメリカあるいはその他の国々から相当量の特別輸入を要請しなければなぬ。その場合に、日本に対しては、四万トンにとどまらずして、相当多額の輸入希望がすでに交渉があったかどうかは別といたしまして、今後必ず出てくることが予想されるわけです。そうなりますと、いまの四万トンの贈与以外に、これに有償でこれはいわば輸出ですけれども、食管法のたてまえ上それはできない、食管法を改正しなければできないということであるならば、脱法的な方法としては三角貿易の問題も考えられるわけです。そういうようないろいろなことが考えられますが、韓国に対する米麦の贈与、輸出等は、この贈与四万トンで打ち切るつもりなのか、その後については一体どういう方法をおとりになるつもりであるか、それらについてこの際お尋ねしておきたいと思うのです。  私は、要望として申し上げておきたいことは、無償供与の据え置き期間七年あるいは二十カ年、これらのことにつきましても、それから焦げつき債権の処理の問題についても、あるいは漁業交渉の問題についても、当然、日本側のぺ−ス、すなわち、漁業交渉では、基本的に、先ほど十二海里説ということでしたけれども、それについてはきょうこまかいことは伺いませんが、まあ十二海里として、そうして、李ラインの撤廃、あるいは専管水域を認めないという点を先決すべきだ、こういうふうに思うわけですし、それから、先ほどの有償並びに焦げつき債権等の交渉にあたりましては、すでに日本が示しております態度自身が甘過ぎる。それをしもなおかつ向こうの不当な要求に屈すべきではないと思うのです。それらの四つの問題について、そういう私の質問の立場というか、要望をもお聞き取りの上で御答弁をいただきたいと思うのです。具体的に一つずつやっていただきたい。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 対韓債権支払いの問題につきましてと、有償協力の期限の問題、これは、いまあなたも御指摘のとおり、私どもはリーズナブルな提案をいたしているつもりでございまして、先方理解を得て、日本側考え方でまとまることを希望いたしております。いませっかく煮詰めておりまして、漸次理解も深まってきておるものと思います。  それから、漁業権の問題につきましては、たびたび基本の方針は申し上げて、私ども基本の方針によって問題を煮詰めていっておる段階でございます。これまた、先ほど申しましたように、先方もだんだん現実的に合理的な考え方になっていきつつあるように私ども察知いたしております。  それから、食糧の問題でございますが、四万トンの贈与をきめましたが、一方、食管の問題としてでなく、台湾等に余裕がございまして、それを日本が介在いたしまして韓国にスイッチするというようなことは、前々から政府のほうで検討いたしまして、一応仕組みとしては考えておるわけでございますけれども、産地のほうの現物というものをなかなか把握しにくい状況でございますので、もしそういうものがあれば、スイッチの方式によってまた御協力申し上げるということは考えております。
  103. 穗積七郎

    穗積委員 簡単にいたしますが、いまの御答弁の中で漏れた点があるから、一点明確にしておきたいが、向こうが要望している漁業協力の問題等を漁業交渉については先議しない、基本線の問題を、水域の問題を先議するというふうに伺ってよろしゅうございますね、いまの御答弁は。つまり、李ラインまたは専管水域の設置をしない、させないということを先議して、しかる後に漁業協力の問題に入るということですね。そういうふうに聞いていいですね。
  104. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう外交上の手順は政府におまかせいただきたいと思うのでございます。先ほど申しましたように、基本の線を把握いたしまして、鋭意努力をいたしますから、どれを先にするというようなことは、まあひとつ政府を御信頼いただいておまかせをいただきたいと思います。
  105. 穗積七郎

    穗積委員 遺憾ながら、時間も参りましたので、簡単にお尋ねいたしますが、先ほど戸叶委員からお尋ねいたしました、朝鮮民主主義人民共和国とわが国人民との相互往来並びに在日朝鮮人の祖国往来の問題については、これは明確にお答えはありませんでしたけれども、いままでの措置は非常に不当なもので合理性がないということを認められたわけでありますけれども、先ほど戸叶委員も要望されたように、もうすでに眼前には貿易の問題があるし、それからまた、人道上の問題としては、朝鮮赤十字の代表の東京招待の問題もあるし、やがてはスポーツあるいは芸能等、オリンピック等も控えまして、かの国の代表選手あるいは人民の日本入国の問題もあるわけです。したがって、それに間に合うように検討するということでしたけれども、それに間に合うようにしていただきたいと思うが、大体だいじょうぶでしょうね。これをちょっと伺っておきます。
  106. 大平正芳

    大平国務大臣 時限をいつまでにと言うわけにはまいりませんが、いまのままでいいかというと、これはいろいろ考究しなければならぬ問題がありまして、せっかく考究中なんでございまして、いついつまでにというお約束はできませんけれども、せっかく検討しておるのだということで御了承いただきたいと思います。
  107. 穗積七郎

    穗積委員 最後に、関連して、小川局長に、せっかくおいでいただいておりますから、伺いますが、最近、秋田、山形、新潟等々の諸県の沿岸等におきまして、北朝鮮からスパイが入ってきておる、あるいは水死体となってあがって、ソ連製のピストルを携行しておったということが警察情報として流されて、わが国のマスコミに、興味本位や、あるいは中には悪意を持って取り上げられておるものもあるわけです。ところが、最近われわれが一、二現地のそれぞれの地域の諸君に連絡をいたしまして尋ねてみますと、これに対して、実は警察発表の情報を裏づけるようなものが全然見当らぬわけですね。たとえば、ごく最近の酒田の海岸にあがったスパイの問題にしても、これは水死体となってあがった、それでソ連製のピストルを持っておった、それをその地方の医師に検死をせしめたという。ところが、聞いてみると、医者は、そのことについては、神経衰弱になったといって、ノーコメントなんです。その死体を見つけたという青年がおるといわれるわけですが、その青年も、どういうふうな状態でどこで何時に発見したかということに対しては、その地方の諸君に対しても全然答えることができない。もう質問攻めにあってノイローゼになってしまって、半病人、夢遊病者的な状態になってしまったわけです。それで、警察では、一体その死体はどこのどういう者であって、どこでどういうふうにその死体を処理したかということにつきましても明らかにしていない。いまの人事往来の問題に関連をいたしまして、これは、こちら側から悪意的にそういうことをやって、人事往来をだんだん自由にすれば、北朝鮮から共産主義の侵略的意図を持って日本にスパイが行なわれる、それでもって人事往来を阻止しておる合理性があるかのごとく、逆にこういう材料が使われる危険があるわけです。あなたはリーズナブルにこれらの解釈をしたいと言っておるけれども、さっき戸叶委員も言ったように全国の府県あるいは市町村議会でこの相互往来を支持する決議が行なわれました。ところが、現にあなたの所属する自民党は、党の指令として、地方議会のあれに対して、こういう決議はすべからずという指令を出しております。これらの一連の動きを見ますと、むしろ、日本政府の間違った反共的な政治偏向というものが見られるわけです。  小川局長にお尋ねいたしますが、これらの事実は本省において的確に把握しておられますか。私ども実はそういう危惧を持って調査中でございます。だから、すべての資料が整いましたら、あらためて休会中の委員会で要求いたしましてお尋ねいたしたいと思っておりますが、もしわかりましたらここで発表していただきたい。われわれの調べたところでは、各三県にわたっておりますが、もしきょうその御用意がなければ、早急にこれらの事実を調査されまして、ひとつ文書で報告をしていただきたいと思います。
  108. 小川清四郎

    ○小川政府委員 ただいま穗積先生からお尋ねの件でございますが、入管当局といたしましては、入管職員がこれを発見した場合と警察その他治安当局が発見いたしました場合とは、おのずからそこに措置が違ってまいります。したがいまして、ただいまの死体となって漂着したようなケース、これは治安当局の問題でございますので、大体の報告は受けてはおりますけれども、詳細な報告はまだ受けていないのが実情でございます。  それから、密入国者の中にスパイ容疑の者があるかどうかは、私は具体的には個々のケースについて存じておらないのでございますが、その点につきまして、もしそういった場合がございますようで、そして入管当局がこれを逮捕した、発見したという場合がございましたならば、詳細に報告を聞いてお答え申し上げたいと思います。
  109. 穗積七郎

    穗積委員 それから、党の指令は好ましくないと思うのですが、どうですか。党の領袖として、外務大臣として、どうですか。人事往来について地方議会が自主的に決議しようというものに対して、あなたの所属する党は、政党内閣だあるのに、あなたの答弁とは違って、そういうことをしてはいかぬという指令を出していますよ、公式文書を。それはどうお思いになりますか。
  110. 大平正芳

    大平国務大臣 それは自民党の問題だと思います。
  111. 穗積七郎

    穗積委員 しかし、政党内閣だから、あなた、好ましくないと思いますか、好ましいと思いますか。それを聞いておきたい。
  112. 大平正芳

    大平国務大臣 私のほうへはそのような措置がとられたということの御通知はございました。それで、いま政府がとっておる北鮮との間の人事交流の方針は、従来と変わりがないわけでございます。したがって、これはおそらくそれと背馳するようなことは望まくないという党の御判断であったと思うのでございます。
  113. 穗積七郎

    穗積委員 外務省から党へ要請したのじゃないですか。
  114. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう大それたことはいたしておりません。
  115. 野田武夫

    野田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会