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1963-05-10 第43回国会 衆議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十日(金曜日)   午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君    理事 福田 篤泰君 理事 古川 丈吉君    理事 松本 俊一君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       愛知 揆一君    菅  太郎君       田澤 吉郎君    森下 國雄君       緒方 孝男君    岡田 春夫君       黒田 寿男君    河野  密君       楢崎弥之助君    森島 守人君       川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣 志賀健次郎君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛施設庁長官 林  一夫君         外務政務次官  飯塚 定輔君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君  委員外出席者         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 五月十日  委員勝間田清一君及び細迫兼光辞任につき、  その補欠として楢崎弥之助君及び緒方孝男君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員緒方孝男君及び楢崎弥之助辞任につき、  その補欠として細迫兼光君及び勝間田清一君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月八日  日本国アメリカ合衆国との間の領事条約の締  結について承認を求めるの件(条約第二三号)  (予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件(F105戦闘爆撃機の配  備問題)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  3. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私はF105Dサンダーチーフ板付基地配置に関して質問を行ないたいと思います。  まず、その配置に関する持ち込み状況、あるいは事前協議の問題、それからまた、その持ち込み背景並びに日本防衛計画第二号、第三号との関連、最後に、板付基地に関する現在までのいろいろな問題と関連をいたしましてこのF105持ち込みについての質問を順次行ないたいと思います。  まず、持ち込み状況でございますが、去る五月七日米第五空軍司令部からF105Dの板付配置発表があったわけですが、その発表の内容の全文、並びにどういう方法をもって発表をされたかについてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 安藤吉光

    安藤政府委員 お答え申し上げます。  かねてアメリカ軍当局は、現在使っておるところのF100というものはだんだんF105の機能の改善されたものにかえていくということを声明しております。このF105をいま板付にある100と置きかえるということは前から連絡もございました。それで、今般五月七日に府中で米軍第五空軍司令部から発表されましたことは新聞等で御存じの通りだと思いますが、F100と交代するために逐次F105が板付に到着するということが発表されたわけでございます。
  5. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そのF105は何日の日に何機板付配置されたか。
  6. 安藤吉光

    安藤政府委員 発表文にございますように、その第一群は間もなく九州板付基地に着く予定であるということに承知しております。天候等の関係でまだけさ現在は来ていないようでございますが、間もなく来るやに承知しております。逐次ということは、大体われわれが連絡を受けているところでは数機くらいずつ来るというふうに聞いております。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そういう答弁でなしに、最終的に大体何機来るかということを率直にお答えいただきたいと思う。
  8. 安藤吉光

    安藤政府委員 現在板付におりますF100と逐次交代していくわけでございまして、F100の現在ありますのが大体順次105とかわっていくというふうに了解しております。
  9. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、現在100は板付に何機おるのですか。回りくどい質問をしないでいいようにしてください。
  10. 海原治

    海原政府委員 現在板付配置されておりますF100は、三スコードロン、三飛行隊でございます。この種の飛行機通常飛行隊が二十五機編成でございますので、その基準から参りますと七十五機程度が常時配置される基準になる、このように考えております。
  11. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、まずF100をF105にかえる。これは板付に限らずあるいは三沢等もあると思いますが、板付外三沢あるいは横田等に対する持ち込み予定についてはいかがでございますか。
  12. 安藤吉光

    安藤政府委員 ただいまそのような計画があるとは聞いておりません。
  13. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、現在のところは板付基地中心にして板付基地F100は漸次F105にかえていく。最終的に七十五機かわるのはいつごろになるか、それをひとつ……。
  14. 安藤吉光

    安藤政府委員 発表文には五月中に日本に配備される予定であるということが書いてございますが、何日という正確な日は私は承知しておりません。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、五月中にそり全機数がかわってしまうと了解してよろしゅうございますか。
  16. 安藤吉光

    安藤政府委員 ちょっとただいまのは私少し誤解しておりましたので、防衛庁のほうから……。
  17. 海原治

    海原政府委員 現在板付におります100が105に全部置きかわる時期につきましては、まだはっきりした見通しはございませんが、一応現在のところでは、今年の末ころまで、十二月ごろまでに全機種が、現在の計画がそのまま実行されるとしますと置きかわることになる、このように承知しております。
  18. 楢崎弥之助

    楢崎委員 このF105はすでに沖繩に三飛行隊置いてあるということを聞いておりますが、板付に参るF105は、その沖繩からその分がやってくるのか、あるいは米国本土から直接やってくるのでしょうか。
  19. 海原治

    海原政府委員 105の配置につきましては、実はこの飛行機は二年くらい前から実用になっております。その後いろいろと要改修事項がございまして、いろいろとリパブリック社のほうで改修いたしております。したがいまして、改修を経たものが直ちに沖繩に来るか、それとも日本に来るか、その辺のところは米軍配置計画によってきまるものでございますが、さしあたり参りますものは沖繩から飛んでくる、こういうように承知しております。
  20. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、F105とかわるF100は一体どこに飛んでいくのですか。
  21. 海原治

    海原政府委員 米軍発表によりますと、F100というものは、いわゆる時代おくれと申しますか、オブソリート、これは旧機種に属するので、逐次新しい機種に置きかわってくるということでございます。したがいまして、一応は米本土に持ち帰られるかと思いますが、その後どうなるか、私どもは承知いたしておりません。
  22. 楢崎弥之助

    楢崎委員 このF105は、防衛年鑑等によりますと、一応水爆を積むために特に開発をされた戦闘爆撃機であるというふうに聞いておりますが、それに間違いないかどうか、あわせてその他の性能について一応御答弁を願いたい。
  23. 海原治

    海原政府委員 F105が特に水爆を積むために開発をされたもの、こういうふうなお話でございますが、私どもはそのようには承知いたしておりません。と申しますのは、現在の最も新しいジェット戦闘爆撃機はすべての武器が積めるようになっております。したがいまして、昨日板付基地司令官の大佐が記者会見で言っておりますように、可能性といたしましては、F100でも102でも、こういうものは所要装置さえつければ原爆等が搭載できるわけであります。この105につきまして、特に水爆というお話でございますが、これは、ジェーン年鑑によりますと、サーモニュークリアということが一つございます。このあとの方のサーモニュークリアというのは通常水爆を意味するものと私ども聞いておりますけれども、どの程度戦闘爆撃機水爆を積むかということにつきましては、これは軍事機密でございまして、私ども承知しておりません。と申しますことは、一番新しいこの種のものでございますと、たとえばアトラスであるとかミニットマンであるとか、こういうICBMは、約三百キロ程度の重さのもので、しかもTNT五十万トンあるいは一メガトン近くの破壊力を出す、こういうふうに言われております。この程度破壊力となりますと当然水爆ということが予想されますので、何キロ程度の重さのものになればこれがすなわち水爆であるかということにつきましては、私どもは何ら公的な資料を持っておりません。したがいまして、もう一度申し上げますけれども、昨日も基地司令官が申しておりますけれども、新しい戦闘爆撃機には、ある程度爆弾搭載力を持つものにつきましては、その所要装置さえつければ、また積もうと思えば積まれるものだ、こういうふうに承知いたしております。したがいまして、結論的に申しますと、F105が特に水爆のために開発された飛行機である、このように考えておりません。  なお、105の性能を申し上げますと、これもジェーン年鑑その他によりますと、一応最大速度は二・二マッハ程度航続距離は三千二百キロ程度上昇限度は一万六千メーター、武装といたしましては、いろいろなものをそのときの要望によって持つわけでございますが、二十ミリの機関砲、あるいはサイドワインダー、あるいはブルパップ、あるいは二・七五インチのロケット、通常爆弾ナパーム爆弾、こういうものをそれぞれいろいろな取り合わせによって装置できる、こういうふうに承知しております。
  24. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ジェーン年鑑を見ましても、これが水爆を積み得る飛行機であることは明白であるし、また、現在の有人機としては最大戦闘爆撃機である、このように私ども承知しております。つまり、水爆を積むことができる戦闘爆撃機であるということには間違いないと思いますが、どうでしょう。
  25. 海原治

    海原政府委員 積むことができるということでございますれば、たとえば空母に搭載いたしますA4E、これは昔のA4Dでございますが、これと同じように、積む装置をつけて積もうと思えば積める。そういう意味では積載できるというものでございます。
  26. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、いまの航続距離から言うと、F105の行動半径は、福岡板付中心にしてソビエト、あるいは中国その他東南アジアの主要なる都市を例にあげてどういうところが含まれるか、一応の御説明を願いたいと思います。
  27. 海原治

    海原政府委員 手元に的確な資料の持ち合わせがございませんが、一応航続距離が三千二百キロと申しますと、東京からたとえばハルビンというものは、私の記憶が正しければ千五百キロ前後だと思います。したがいまして、その範囲のものが一応行動範囲に入る、このように私は承知いたしております。
  28. 楢崎弥之助

    楢崎委員 一応ウラジオも入るし、あるいは北京も入る、上海も入る、台湾北部も入る、このように思われますが、いかがですか。
  29. 海原治

    海原政府委員 ただいま地図を持ち合わせておりませんので、まことに恐縮でございますが、台湾北部が入るかどうかは、私としましてちょっと正確にお答え申し上げられませんことを一つ御了承願いますが、一応東京ハルビン間が大体千五百キロということはまず間違いないと思います。その範囲一つ御想像願いたいと思います。
  30. 楢崎弥之助

    楢崎委員 このF105板付持ち込み発表方法は、福岡の領事館から地元の各新聞社あてに、F105の写真を入れて、そうして、持ち込むことになったから報道してくれというような文書の通知が七日の日にあったそうであります。それで、このような発表をされるアメリカの根拠ですが、たとえば一月九日にライシャワー大使原子力潜水艦日本寄港問題について大平外相に申し入れがありました。そういう向こう意思表示と同じ性格のものでしょうか、どうでしょう。
  31. 安藤吉光

    安藤政府委員 F105と申しますのは、先ほども申し上げましたように、従来の型を改善したわけでございます。安保条約によりましても、核兵器持ち込み、あるいは中・長距離ミサイル持ち込みといったものは事前協議対象になることに約束されておりますが、今度の場合は、この105という飛行機そのものが入ってくるというわけでございまして、これはいわゆる事前協議対象というものではございません。で、この飛行機は、先ほども申しましたように、すでにことしの二月に米軍当局が言ったように、F100というのはもう古くなったので、改善された105に順次かえていくんだということが言われておりますが、ただいま申しましたように、この飛行機そのもの性能がおくれているということで、防衛力その他自動装置、いろいろ改善されているように聞いております。したがいまして、そういったものが事前協議対象事項でないことは当然でございまして、したがいまして、連絡は前々からつけておりましたが、これは事前協議というわけではございません。ただ、しかし、米軍は誤解のないために一般にこれを発表したということだと了解いたしております。
  32. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま事前協議の問題と関連してお答えがあったわけですが、この際、私、しろうとじみた質問かもわかりませんけれども志賀長官にお伺いしたいのですが、核兵器というものの日本政府考え方、定義について承っておきます。
  33. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 定義の問題は、従来の委員会でしばしば申し上げておるところでございまして、第一は、原子核分裂または核融合反応から生ずる放射エネルギー破壊力または殺傷力に使用する兵器核兵器とわれわれが呼んでおるのでありまして、まあ以上の通りでございます。
  34. 楢崎弥之助

    楢崎委員 外務大臣にお尋ねいたしますが、このF105の持ち込みについては、原子力潜水艦寄港の場合と同じように、核弾頭あるいは核装備を積んでいないものは事前協議対象にならない、そのようにお考えでしょうか。
  35. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、F105機は核、非核両用の能力を持っております。しかし、そういうキャパシティーを持っておるからといって、核兵器を搭載するということは、先方もそういう考えを持っておりませんし、私どももそういう場合はこれに応じないということは、従来からたびたび先方にも申してございまするし、先方もよく了承しておるわけでございます。したがいまして、いまお尋ねのように、事前協議対象になるというふうには毛頭私ども考えておりません。
  36. 楢崎弥之助

    楢崎委員 志賀長官にお尋ねします。いまの核兵器定義によりますと、核弾頭と、核弾頭を積んでいく飛行機の場合もありましょう、あるいは原子力潜水艦の場合もありましょうが、分けて考えて、それらが総合されて初めて核兵器というのでしょうか。事前協議対象となる核兵器とは分けて考えますとどうなんでしょう。
  37. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 これは別個のものであると私は判断いたしております。核兵器を搭載する飛行機核兵器それ自体は別個の問題でございまして、核兵器に対するわれわれの見解はただいま申し上げたとおりでございます。
  38. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、いま長官お答えでは、核弾頭だけが核兵器でしょうか。
  39. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 核兵器を装着される、また装着する兵器核兵器とわれわれは考えておるのであります。
  40. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、核弾頭装備する設備全部をさして核兵器というのではないですか。
  41. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ICBMあるいはIRBMのように本来的に核弾頭が装着されるのを核兵器とわれわれは考えておるのであります。
  42. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、核装備とは一体どういうことです。
  43. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございます。
  44. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それではわからぬです。もう少し具体的に説明してください。
  45. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 麻生参事官から具体的に答弁させます。
  46. 麻生茂

    麻生政府委員 核兵器の問題でございますが、核兵器につきましては、数年前から国会で申し上げておりますように、また先ほど防衛庁長官から御説明いたしましたように、核兵器と申しますのは、原子核分裂または核融合反応によって生ずる放射エネルギー破壊力または殺傷力として使用する兵器核兵器というふうに一応考えております。これをさらに具体的に分けて考えますると、たとえばオネスト・ジョンのように、核、非核両用発射できる、こういうものにつきましては、核弾頭をつけた場合はこれは核兵器である、これをつけない場合においては非核兵器であるというふうに理解しておるわけであります。ただ、ICBMとかIRBMのように核兵器をつけなければ無意味である、本来核兵器が当然装着されるものである、こう考えられるものについては、これは核兵器であるというふうに理解しておるわけです。したがいまして、事前協議対象となります核兵器持ち込みということにつきましては、しばしば安保条約締結の当時から申し上げておりますように、核弾頭、それから中・長距離ミサイル及びこれらのミサイル基地の建設、これらをもって核兵器持ち込みというふうに理解をしてきておるわけであります。
  47. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、最近問題になっておる原子力潜水艦なり、いま問題にしておりますF105の問題は、核弾頭持ち込みがなければこれは通常兵器であるという御見解でしょうか。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 さよう心得ております。
  49. 楢崎弥之助

    楢崎委員 どうも、あなた方のそういう見解は、これは見解ではなしに明らかに国民に対する欺瞞です。大砲があって、たまがないから大砲ではないというのじゃないですか。そういう国民を欺くような見解では、私がこれから質問いたします日本核装備化、あるいはアメリカ極東における核戦略の体制に巻き込まれていっておるこの日本現状、あなた方はこれに協力しておる、そういうことになるわけです。  私はさらに質問を続けたいと思いますが、原子力潜水艦寄港の指定を向こうから言ってきておる中に佐世保が入っておると思いますが、どうですか。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 さよう承知しております。
  51. 楢崎弥之助

    楢崎委員 さらに、昭和四十年をめどに北九州地区にナイキ・アジャックスの大隊を置く、そのための検討が進められておるということも再確認をしておきたいと思いますが、いかがですか。
  52. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 目下検討中でございます。
  53. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは北九州配置をするということで場所検討されておる。私は予算分科会でそれを確認をしておりますが、いまのようなあいまいな答弁ではなかったと思う。どうですか。
  54. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 北九州地域に建設いたしたいという考えのもとにいろいろ検討いたしておるのでありまして、その場所をどこにするとか、そういう段階にまだ立ち至っておりません。
  55. 楢崎弥之助

    楢崎委員 一応北九州予定をして検討しておるという明確な答弁予算分科会で得ておるわけです。海原さん、どうですか。予算分科会のときにあなた答弁したじゃないですか。
  56. 海原治

    海原政府委員 事務当局といたしましてはそういう方向で検討しておる、こういうことを申し上げた次第でございまして、ただいま長官のおっしゃったことと同じ趣旨でございます。
  57. 楢崎弥之助

    楢崎委員 さっき申し上げたように、F105はすでに沖縄に三飛行隊来ておるわけです。そして、沖縄福岡距離考えた場合に、沖縄ではすでにいわゆる核兵器としてのF105の姿があるわけです。その際に板付に参るF105がそういう水爆を積んでいないという保証がどこにあるか。志賀長官は、再三の委員会において、積んでいないと信頼をいたしておりますというお答えがありましたけれども、しかし、そういう信頼というものは、情勢を具体的に分析したその裏づけでなければ生まれてこないわけです。そうすると、その情勢の具体的な分析とは一体何か。一方において佐世保原子力潜水艦寄港しようとしている。また、北九州はナイキの基地になろうとしている。アメリカ極東における核戦略は、グアムやマリアナ中心とした戦略空軍と、それから核爆撃機を搭載した空母中心とした第七艦隊、この二つが柱になっている。そして、これに新しくポラリス型の原子力潜水艦が加わろうとしておる。これが現状です。そこで、いまの具体的な事実を考えてみましたときに、この日本における核武装化の焦点が、まさに九州の北端、北九州に向けられておるという事実を明確に私は指摘しなければならないと思うわけです。そういう背景のもとに、このF105が新しく水爆搭載可能の戦闘爆撃機として、板付にかねてから置いてあったF100にかわろうとしておる。これは、私は、単なる飛行機交代ではない、機種交代ではないと思うのです。これは質的な転換だと思う。したがって、私は、装備変更になると思う。それが重大であるか重大でないかは別として、まず装備変更であることは間違いない、このように思いますがいかがでしょう。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 原子力潜水艦の場合は、私もたびたび本委員会を通じて申し上げておりますとおり、これは艦船の推進力原子力にかわったということにすぎないわけでございます。今度の105の場合も、先ほど説明がございましたように、F100が老朽化いたしまして、これは逐次廃止していくのだ、つまり、アメリカ装備計画がだんだん近代化していっておるということでございまして、100に置きかえて105になるということでございまして、楢崎さんが御指摘になりますように、そう深刻に取り上げられるべき性質のものではないと思うのでございます。深刻な問題であるかどうかの判断の基準は、これに核装備されるかどうかということでございますが、核装備につきましては、日本政府は反対であるということは、もう国会を通じてたびたび強調いたしておるわけでございますし、アメリカにおきましても、日本核兵器を持ち込む意図は毛頭持っていないということを内外に明らかにいたしておるわけでございます。安保条約というのは紙に書いた条文でございますが、たびたび私も申し上げますように、これはやはり両国の信頼をもちまして忠実にこれを実行していかなければいかぬわけでございまして、いずれか一方の当事者がむやみにこれを逸脱していくというようなことは、本来そういう条約を結ぶことさえ無意味になるわけでございます。私どもは、安保条約に対するかたい約束というものに違反するという意思は、両当事者に毛頭ないことを確信いたしております。
  59. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いいですか、大臣沖繩福岡板付は、このF105で飛んできたら十分ないし二十分で着きます。沖繩におけるF105は水爆を積んでおると思われる。それが飛んでおると思われる。その沖繩から飛んでくるF105、水爆を搭載しておるF105と、板付におるF105の区別はどこでわかるのですか。これは水爆を搭載しておるF105が常時日本基地に発着するための地ならしだと私は思う。そうではないですか。たった十分か二十分で水爆を搭載したF105は沖繩から来るのですよ。それに、板付基地におるF105は水爆を積んでいない、だからこれは大した問題ではない、神経質になる必要はないと言われる。では一体アメリカ水爆を搭載し得る可能性のある飛行機をどうしてわざわざ板付に置くのですか。何のために置くのですか。あなたは、一旦緩急ある場合に、もし戦争が起こった場合に、あくまでも日本政府態度を堅持いたしますか。核兵器持ち込みは絶対これは拒否する、そういう強い態度でずっと臨まれますか。万一戦争が起こった場合どうですか、今の態度を続けられますか。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、兵器近代化計画の一環として、老朽化いたしましたF100をだんだんと105に置きかえていっておる。米本国におきましても、欧州におきましても、沖繩におきましても、そのような置きかえ計画が進んでおるわけでございまして、在日米軍につきましても、老朽化したものを廃止していこうということをやっておるにすぎないわけでございます。それから、沖繩北九州板付の間が十分とか十数分の航続距離ではないかという御指摘でございますが、十分でなくても、一分でも二分でも、わが国の領土内に核兵器が入るということはいたさない、私どもはそれを認めないということでいっておるわけでございまして、それにうそはございません。したがって、航続距離が幾らであるというようなことについて神経質にならぬようにしていただきたいと思います。
  61. 野田武夫

    野田委員長 川上貫一君から関連質問の申し出がありました。これを許します。川上貫一君。
  62. 川上貫一

    ○川上委員 私のは関連でありますから、一問だけであります。外務大臣にお尋ねします。  第一に、F105は、アメリカ空軍の発表によると、一メガトンの水爆五発を持っておる。一メガトンというのは、広島原爆の五十倍ある。これを五発持っておりますと、広島原爆の二百五十倍の水爆を持っておる。航続距離はいま政府が答弁なさったように三千二百キロ以上であるが、速度は超音速で、もしこの飛行機が地上すれすれに飛べば、付近の人も、道路、港湾をも破壊する力を持っております。これはまことに重大な攻撃用兵器である。防御用のものでは決してありません。第一の質問は、外務大臣はこれは防御用の兵器とお考えになるかどうか、これが一点。  第二点は、これは水爆を搭載しておらぬのだから云々という答弁だったと思う。水爆を搭載しておるかおらぬかということを日本の政府は板付で、いつも検査をする権利がありまするかどうか。アメリカの軍機について調べる権利があるかどうか。これが第二問。  第三問は、この持ち込みは、私は重要なアメリカの軍事力の配置及び装備変更だと思う。あなた方は核弾頭があるかないかということをしきりに言われる。また、持ってはおらぬということを答弁しておられる。交換公文に核弾頭云々の文句がありますか。そんなものはないです。重要なる配置装備変更です。これは交換公文。そのほかに政府が口の先でどんな申し合わせをしたか、そんなことは条約上何の価値もない。書いてあるのは、重要なる配置及び装備変更です。この攻撃を目的とする、それだけを目的とする、広島原爆の二百五十倍もの爆発力を持っておるというこのF105を日本に今度配置するということを、重要な装備変更配置変更でないとお考えになっておるか、この点。これは当然安保条約の交換公文によるこの約束に該当しておる事前協議にかけなければならぬ。日本政府はこういう無法なアメリカのやり方を認めようというのか。一体交換公文というものは何のためにしたか。  私はこの点について外務大臣の正確な御答弁をひとつ願いたいと思う。もちろん、答弁によって、私は関連ですから再質問はしませんが、この点についてはあとで十分に質問をしますけれども、ここで外務大臣の私の以上の質問に対する御答弁を正確にしておいてもらいたい。あとのこともありますから。これだけです。
  63. 大平正芳

    大平国務大臣 第一の御質問は、F105の機能は、いわゆる戦闘と爆撃でございまして、攻防両用の能力を持っておると思います。  それから、第二点の御質問は、機体に立ち入って日本政府がこれを検証できるかどうかということでございますが、私はそういうことをすべきではないと思います。日本政府アメリカ政府との間でかたい約束がございまして、核兵器持ち込みは絶対にしない、こういう約束をいたしておるわけでございますから、そこまで疑ってかかる必要はございませんし、そういう疑いの目をもって見るべきではないと思うのです。(川上委員「それはどこに書いてあるのですか」と呼ぶ)あなたが御指摘されるように、条約は厳粛に結ばれておるわけでございますから、この条約に基づきました信頼によりまして、私どもは両政府の間の約束というものは厳密に守られておるものと確信をいたしております。  それから、第三点の御質問で、重要な装備変更というようには、いままでの政府の申しました安保条約の解釈、それからF105につきましての御説明を御聴取いただきますれば、これが重要な装備変更であるというふうに私どもは理解していないということは、川上さん御理解いただけると思います。
  64. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま川上委員からの関連質問もありましたように、このF105の持ち込み装備変更であるかないかの判断は、一体どこでなさるのですか。装備変更でない、だから事前協議対象にならないという、その装備変更でないという判断は、日本政府のどの機関でなさるのですか。
  65. 大平正芳

    大平国務大臣 両政府でかわしました交換公文によりまして、両国政府が判断をすべきものと思います。
  66. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃ、今度F105の持ち込みの場合に、両国政府で、これは装備変更でないという話し合いはいつ行なわれましたか。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 重要なる装備変更であるという解釈をする当事者がございますればこれは問題になるのでございますけれども日本政府としては、これは重要な装備変更でないと思っておりますので、アメリカ側とこれを協議するという意思はございません。
  68. 楢崎弥之助

    楢崎委員 さっきの答弁と違うじゃありませんか。日米両国で装備変更であるかどうかということを判断するとさっきおっしゃられましたが、いまの御答弁では、日本政府としては装備変更でないと思ったから話し合う必要はないと言う。どっちなんですか。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 もしこれが重要な装備変更であるということが一方の当事者から出てきた場合には、両国政府で協議すべきものと思いますけれども、私どもはこれは重要な装備変更とは考えておりませんし、アメリカ側もそう考えていないと思います。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、重要な装備変更でないということはどこできめられたか、どういう判断できめられたかということを質問しておるのです。それはもう少し具体的に言いますと、アメリカのほうから正式に日本政府に、F105を持ち込みたい、100とかえた、という申し込みがあったから、それではF105というのは日本政府としてこれは装備変更になるかどうかの検討をされたか、また、どういう判断でなされたかということを質問しておるのです。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 重要な装備変更ということにつきましては、安保条約関連をいたしましてたびたび国会でも政府の見解を申し上げておるわけでございまして、政府の既定の解釈から推しまして、これはそれに該当しないと考えておるわけです。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、重ねてお伺いをいたしますが、アメリカ政府は日本政府に対してF105の持ち込みについての通知を正式にしたのですか。私は冒頭これを質問したのですが、重ねて明らかにしたい。
  73. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもとしては常時情報の交換をやっておるわけでございまして、去年あたりからアメリカ装備近代化計画の一環として逐次F100はF100と置きかえていくのだという計画が進んでおるということは承知いたしておりました。そうして、現実に日本配置するということにつきましては、四月下旬にそういう情報がございました。これは単なる情報の交換でございます。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だから、一番最初に私が聞いたのですが、それじゃ、一月九日の原子力潜水艦寄港に対するライシャワー大使からあなたへの口頭による申し入れは、あれは正式の申し入れですか、どうですか。
  75. 大平正芳

    大平国務大臣 交換公文上のやかましい事前協議とは心得ていないわけでございまして、いま申しましたようだ、日米間で常時情報の交換をやっておるわけでございまして、一月九日にライシャワーさんからお話がありましたのも、事実上そういう意図を持っておる、日本側の解釈はどうでしょうかということをお伺いに来たものと考えておるわけでございまして、条約上の事前協議であるというようには受け取っておりません。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうしますと、原子力潜水艦寄港の申し入れも、あるいは今度のF105の持ち込みの通知も、同じように単なる情報交換だ、そういうことですか。念を押しておきます。
  77. 大平正芳

    大平国務大臣 さようでございます。
  78. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、このF105の持ち込み装備変更になるかどうか、これは専門家の意見も十分聞きたいと思います。これは後ほど理事の方にお話をしてしかるべき方法をとりたいと思います。
  79. 野田武夫

    野田委員長 戸叶里子君から関連質問の申し出がございますので、これを許します。戸叶里子君。
  80. 戸叶里子

    戸叶委員 いま楢崎委員と政府との質疑応答を伺っていたのですけれども装備変更であるかどうかということ、つまり、安保条約の六条の交換公文の内容にわたっての質問が取りかわされていたわけでございますが、私がここでお伺いいたしたいことは、前々から情報を交換していて、そして先方から申し入れがあった、日本のほうでは、それは装備変更でもたいしたことはないから、申し入れどおり受けたというふうに、私ども聞いておる限りは了承するわけです。そうすると、一体、情報を交換していて、そして単なる申し入れをしたという場合と、事前協議をするという場合は、どういうふうに違うのですか。この点をはっきりさしていただきたいと思います。事前協議というのも、つまり、お互いに話し合っていて、そして協議するわけでございましょう。それを、単なる申し入れがあったというのと事前協議というのはどういうふうに違うか、その内容をはっきりさしていただきたい。
  81. 中川融

    ○中川政府委員 安保条約に基づきます事前協議をいたします際は、これは、御承知の第六条に基づく交換公文によりまして、どういう場合には事前協議を必要とするかということがきめてあるわけでございます。したがって、そのきめてある事態が起きれば当然これは事前協議をしなければいけない。アメリカ側に事前協議をする義務があるわけでございます。ところが、従来は一ぺんもそういう事態が起きないのでありまして、したがって、事前協議という事例はないわけでございます。従来ありましたのは、いずれも、事前協議、つまりアメリカ側の義務として日本に協議しなければならない事態ではない事態につきまして、つまり一般的な情報交換あるいは外交上の相談、こういうことがいままで行なわれていたわけでございます。具体的にどう違うかと言われるわけでございますが、いわゆる条約上の義務としての事前協議は事例がございません。また、事前協議をどういう形式でするかということも特にきめてございません。したがって、これは具体的にそういう事態が起きた際に初めて例が出るわけでございますが、これはしかしはっきりすると思うのでございます。そういう事態であるかどうかは。というのは、その対象となる事態が事前協議を必要とする事態であるかどうか、つまり、いわゆる日米両国間で合意されておりますこの配置における重要な変更装備における重要な変更、この二つの事態に該当すれば、これは当然事前協議になるわけでございます。それで、これは先ほどからいろいろ御議論もございましたが、安保条約の交渉の過程におきまして、この二つの事態についての解釈ははっきりしておるのでございまして、いわゆる核装備日本に持ち込むというのが装備における重要な変更でございまして、そういう事態は従来起きていない。したがって、そういう事例もないわけでございます。
  82. 戸叶里子

    戸叶委員 私は関連ですから多く質問しませんけれども、いま中川条約局長答弁を伺っておりますと、率直に言って、アメリカ核兵器を持ってくるときは、向こうから核兵器を今度持ってきますからという申し入れがあるから、そのときには話し合うのだ、しかし、そうでないからアメリカはそう言ってこないのだ、ただ、今度は飛行機の内容を変えてきますと、こういうふうに言ってきただけだから、こっちはああそうですかといって受けているんだ、こういうふうに了解するわけでありますが、それじゃ、日本としては、アメリカを信用するのもけっこうですけれども、少しし過ぎてやしないかと思うのです。申し入れがあったからには、それは、申し入れがあったのだから、何かお話し合いをして、それはどういうものでどうなっていますかというくらいの話し合いはすべきじゃないですか。それがやはり事前協議じゃないですか。そういうことは事前協議じゃないというふうに考えていらっしゃるわけですか。この点だけはっきりさしていただきたい。
  83. 中川融

    ○中川政府委員 いま戸叶先生から御質問のありました点で、いかなる場合でも日本は受け身の立場で、アメリカから事前協議が申し入れられなければ、日本事前協議の事態はいつでもないのだということで黙っているのかどうかということは、必ずしもそうではないのであります。たとえば、核兵器としてはっきりしているものに、先ほど申しましたようにICBMとかIRBMがあるわけであります。もしアメリカICBMIRBMとしてはっきりわかっている周知の兵器日本に持ち込むということであれば、これは当然自動的に事前協議対象になるわけでございます。それについては日本側もはっきりと申し入れをしなければならないのであります。しかし、いま問題になっているF105というものは、核弾頭も使えるかわりに普通の弾頭も使えるわけでございまして、要するに両用の兵器でございますので、これは、F105を持ち込むから当然事前協議対象になる、そういう結論にはならない。むしろ、アメリカ側がこれを黙っていわば日本事前協議をしないで持ち込むという場合には、これは、日米間の信用関係から、当然核兵器は持っていない、核弾頭は積んでいない、かように想像するのは当然でありまして、したがって、日本側としてはこのような場合には事前協議対象になる事態ではないと当然これは考えるわけであります。したがって、その事態によって違ってくることになります。
  84. 野田武夫

    野田委員長 簡単に願います。
  85. 戸叶里子

    戸叶委員 私はこの問題についてはあとの機会にいたしますが、そこで、問題としてお願いしたいことは、装備変更とかあるいは核武装定義、こういうふうな問題でやはり参考人の意見を聞く必要があると思います。特に装備変更という問題について、私ども国民としてやはり知っておかなければならないと思いますので、委員長においてお取り計らいくださいまして、参考人をこの委員会に呼ぶことをおはかりいただきたいと思います。
  86. 野田武夫

    野田委員長 お答えいたします。理事会においておはかりいたしまして、決定いたします。  安藤覺君から関連質問の申し出がございますので、これを許します。安藤君。
  87. 安藤覺

    安藤委員 ただいま戸叶さんと中川条約局長の質疑応答で大体私のお尋ねしようとしたところのものは明らかになりましたから、多くを申しませんが、さらに具体的にもう一つつけ加えてお尋ねしておきたいのは、今条約局長F100とF105との開きについてお話がありましたが、さらに防衛庁の専門的立場から一つお答え願いたいのですが、F100は戦闘機専用機と承知いたしております。F105は、これは戦闘機としての性能が主なんですか。聞けば爆撃機として水爆を積むことができるということでありますが、水爆を積んで爆撃することが主なんですか。もし爆弾を積まなければその性能はほとんど効力を発揮しないという建前の機種なんですか。その点を一つ明確にお答え願いたいと思います。
  88. 海原治

    海原政府委員 お答え申し上げます前に、ただいま先生がF100は戦闘機と、こうおっしゃいましたが、F100もいわゆる爆撃能力を持っております。通常戦闘爆撃機と申しております。したがいまして、その意味では、F100もF105も同じ範疇のものでございます。ただ、先ほど説明いたしましたが、F105といいますのは、いろいろな武装を持っておりまして、これはそのときの任務によりましていろいろな組み合わせがございます。したがいまして、アメリカの空軍におきましてはF105につきましては多目的の戦闘機、こういう表現をしておるわけです。先ほど外務大臣から、戦闘爆撃機、こうおっしゃいましたが、そのとおりでございまして、その最大速度は二・二マッハということで、現在航空自衛隊の装備いたしておりますF104と同じ程度の速度であります。二十ミリ機関砲であるとか、あるいはサイドワインダーであるとか、あるいは二・七五インチロケット、こう申しましたのは、これはもっぱら空対空戦闘の場合に使う装備で、そのほかに、爆撃のときには通常爆弾であるとかあるいはナパーム爆弾、その爆弾の中に、場合によりましてはいわゆる核爆弾も搭載できる、こういうふうになっておりますので、F105を定義いたします場合には、やはり多目的の戦闘機である、こういうようにお考えいただくのが適当でないかと思います。各国におきましては現在そのような方向で飛行機をつくっておりますので、水爆を積むためのものとして開発されたという解釈は当たらない、私どもはこのように考えます。
  89. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ただいまの問題につきましては、いまの防衛局長の御答弁でもわかりますように、このように考える、このように思われる、ジェーン年鑑によるとこういうふうに書いてあるということですが、われわれの心配は、そうではなしに、これは明らかに水爆を積むために開発された戦闘爆撃機である、有人機としては最大の能力を持つ戦闘爆撃機である、このように解釈しておるわけです。だから、その辺の問題についてどうしてアメリカともう少し明確に性能その他を話し合わないのでしょうか。そういうことこそよく話して、協議の対象になるのじゃないですか。どうでしょうか、外務大臣。すべて想像で言っていらっしゃる。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 楢崎さんはいつ兵器の専門家になられたのか存じませんけれども、私どものほうも兵器の専門家がおりまして、できるだけアメリカ側から資料をいただきまして判断をいたしておるわけでございまして、私どもの確信では、私のいまお答え申し上げたとおりなんでございます。政府を御信頼いただかなければならぬことだと私は思います。
  91. 楢崎弥之助

    楢崎委員 時間がございませんから、事前協議の問題、あるいは装備変更の問題、それからこのF105の性能見解の相違、そういうものについては問題をあとに残したいと思います。  私は福岡市の板付基地のほんのそばに住んでおりますから、特に福岡市民の感情をよく知っておるわけですが、林長官にお願いしたいのですが、このF105がF100にかわって、板付基地の滑走路その他の変更は必要ないでしょうか。あるいは騒音その他についての相違、これを簡単に御説明願いたい。
  92. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在の板付基地につきましては、御承知のように安全施設をいたしております。この安全施設をいたしておりますのは、特にF105のためにやっておるということではないのであります。どこの飛行場においてもオーバーランを含む安全施設というものが必要でございますので、その施設をやっておるのでございます。現在のところはこれで十分であると私ども考えております。  騒音につきましては、F100、F102に比べまして若干高い、こういうふうに考えております。どのくらい高いかにつきましては、実際に配置されましてから調査いたしまして結論を出したいと思っております。現在のところは、いままでの情報によりまして、若干高い、こういうふうに考えております。
  93. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、施設庁としては、F105の性能はいまからお調べになるのでしょうかね。騒音なども含めてどうですか。配置されてから、いまからお調べになるのですか。
  94. 林一夫

    ○林(一)政府委員 いままでの情報によりますと、騒音度は若干高いということは存じておりますけれども、正確なる騒音度の高さというものは、実際に配置されましてから調査いたしまして正確な数字を出したい、こういうふうに考えております。
  95. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたはそういう態度でこのF105を見られておるのですか。いままで三回拡張しました。そしてそれはF100のためのものであるということを再々言われた。考えてみると、これはF105のためじゃないのですか。二、三年前からずっとこれは開発されている。まあ改良はその間続けられたけれども、やがてF100は役に立たぬということをさっき答弁された。いまの政府の答弁では、F105にやがて移るということは明確になっておる。そうでしょう。一番最終的な拡張は、このF105のための拡張ではなかったのですか。しかも、騒音はいまから調べると言う。  長官は、いままで、この板付基地福岡市のまん中にあるから、早くどこかに移転してもらいたい、そういう福岡市民の悲願の運動を知っていらっしゃるはずです。そして、その一環として、今年度から板付基地の機能を若干やわらげて平和な国際空港にするためということで国際空港化の運動を一生懸命福岡市民がやっている。そういうさなかに、その国際空港化への動きと逆行するような水爆搭載機のF105の基地になる、こういう現状に対してどう思われますか。
  96. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この板付飛行場の安全施設の拡張のことでございますが、これは、数年前に、飛行安全のために安全施設が必要であるがという米側の要求によりまして、その必要性を認めまして合同委員会において合意しまして、これを提供したのでございます。これはどこまでも安全施設の必要なために延長いたしたのでございます。特にF105のためにこれを延長するというような要求は、いままでに全然受けておりません。  また、この騒音度の問題でございますが、私が申しましたのは、いままでの情報の調査によりまして、若干高くなるということを申し上げておるのであります。もちろんその資料は持っておりますが、さらに正確にこれを判断するためには、実際に配置されてからさらに調査いたしたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  97. 野田武夫

    野田委員長 緒方孝男君から関連質問の申し出がありました。これを許します。緒方君。
  98. 緒方孝男

    緒方委員 私は、いままでの質問答弁を聞いておって、二、三どうしても納得のいかぬ点だけをお伺いいたします。もちろん、防衛庁関係は後日また内閣委員会でもう少しつまびらかに御説明を承りたい。しかし、外務省のほうにお伺いをするにあたって、一つだけ防衛庁見解をもう少し聞いておきたい。  核装備というのは、核弾頭並びに核弾頭を運搬する専用の兵器をさして核装備というということで、いわゆる核弾頭と、ICBMIRBMというものは、いわゆる核装備とみなす、こう申しますと、大型爆撃機で水爆・原爆を常時積んでパトロールしておるようなものは核装備の一翼でなくて、これはいいのかということにもなる。こういう問題は、専用のものでない限りはということになると、鯨は魚か、けだものかというような論議をしておるのと同じことではないかと思う。核弾頭を運搬し得るものはいわゆる核装備の一翼とみなしていい、こうわれわれは判断するが、その点の見解は一体どうですか。
  99. 麻生茂

    麻生政府委員 われわれの数年前からとっております核兵器につきましての考え方は、先ほど申し上げましたように、核弾頭と非核弾頭と両方装着できるもの、それについては、核弾頭装備しておる場合は、これは核兵器である、しかし、核弾頭を装着していない場合においては非核兵器である、いわゆる通常兵器である、こう申し上げております。しかし、ICBMIRBMのように核弾頭を装着しなければそのものは全く無意味である、本来核弾頭を装着すると考えられるものは、これは核兵器である、こういうふうに考えて、そういう考えでいろいろ御説明もし、政府の方針もきめてやってきたわけであります。
  100. 緒方孝男

    緒方委員 もう一つ防衛庁のほうにお伺いをしますが、戦術、戦略の面から見て、火薬庫の存在を敵に知らせるばかはない。核弾頭がどこにあるかということを、その所在を明示した国はどこもないと考える。持っておるということはいろいろの国も言っておるが、どこに隠してありますということを発表しておる国もない。明示しておる国もない。日本のどこかに核弾頭がよしあるにしても、置いてよいということになっておるにしても、どこにあります、どこにありませんということを発表するものはないだろう。そういう状態の中において、第七艦隊なり、板付の飛行場なり、あるいはその他の地域に絶対にない、そういう保証が一体何を根拠に言われるのか、その点をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  101. 海原治

    海原政府委員 従来から、予算委員会、内閣委員会等におきましても、核兵器と非核兵器と両方使えるものにつきまして、いまのような御趣旨の御質問がございました。例を申しますと、空対地ミサイルでございますが、ファルコンというのがございます。これは非常に新しいものでございますが、このファルコンにつきましては、数種類もございます。ここに写真を持ってきておりますが、前のほうに出ております白いほうが、これは核弾頭のついたファルコンでございます。うしろのほうは通常の弾頭のついたファルコンでございます。核弾頭つきのファルコンが三沢に持ち込まれておるのではないかというような御質問がございましたので、私どもはそういうことは従来から聞いておりませんし、そういうことはないと思いましてさらに調べましたが、こういうものはございません。こういうものでございますから、持ち込めばすぐわかるわけであります。各地には日本人の労務者が働いております。こういうふうに形が完全に違うものでございます。102の飛行機は両方撃てるわけであります。こういう実例でもおわかりいただけますように、従来から日本内地にこういう核弾頭核兵器があるんじゃないかというお疑いがございました場合には、私どもはそのつど調査をいたしておりますが、いまだかつてそのような事実はございません。そういうことからひとつ御判断を願います。
  102. 緒方孝男

    緒方委員 もう一、二……。私はいろいろ質問の中から総合してみましても、日本の西のほうに向かって、板付に105が入るのと同時に、原子力潜水艦も長崎にいつでも来ていい条件をつくっている、北九州にはナイキ・アジャックスの基地が持たれる、こうなってまいりましても、105は原爆弾頭は持っておりません、ナイキ・アジャックスは原爆を発射できません、原子力潜水艦も単にお寄りするだけです、こう言っている。しかしながら、一たん事が起これば全部原爆が発射できる体制になっている。これを心配しない者はどうかしておりはせぬでしょうか。  外務大臣にお伺いしますが、常時アメリカ連絡会議を持っておると言われましたが、アメリカが今日心配し苦悩しておる問題をあなたも十分御存じのはずです。日韓会談、ずいぶん努力しておられますけれども、どうも韓国の状態は安定しそうにありません。アメリカにとっては一番苦悩の種であります。ラオスがどうかこうか落ちついたと思ったらまた非常な段階に立ち至ろうとしている。これに神経を悩ましておるのもアメリカの今日の実情。あなたも十分に御存じのはず。ベトナムはどうか。一万五千人のアメリカの正規軍が入っている。いま一生懸命やっておるが、至るところで敗北を重ねつつある。アメリカの報道がそれをやっておるので間違いはないでしょう。ここにも何らかしなければならない。この一週間ほど前台湾から張群さんがやってきた。中国の反攻は間近に迫ったと盛んに気炎をあげておる。この条件の中で、いつでも原爆が運搬できるぞという体制を固めていっておることが重要な装備変更でないと言われるのか。もし、あなた方が、いままでの連絡会議の中でもってそういう国際的な動きとこのねらっておる事態とを十分に承知しながら、原子力潜水艦寄港の問題やF105の取り扱いの問題について、簡単に一つ一つ切り離された問題だというて国民の納得を得ようとすることは、これは私は国民を欺瞞する手じゃなかろうかと思う。そういう心配はないというならば、あなた方はあまりにものんきじゃなかろうか、こう考える。少くとも政治をつかさどる者は、国民に先んじてこれを憂い、国民におくれてこれを笑うというか喜ぶ、それが政治の常道でなければならない。この緊迫したアジアの情勢の中において、こういう装備の大きな変動がある中に、国民全部が心配しておる中に、あなた方だけのんきにしておるというのでは、これは、昔の聖人がおっしゃられたように、政治を担当する能力なしと私は考えざるを得ない。その点の所見を承っておきたい。
  103. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、兵器も日進月歩でございまして、新しい兵器開発に応じまして逐次老朽化したものを置きかえていくというように、歴史は流れておると思うのでございます。原子力潜水艦寄港問題にいたしましても、オイルを動力といたしておりましたものが原子力になっていく、これは、あなたも御承知のように、技術が進歩しておることでございます。したがって、いま日本に対して防衛義務を持っているアメリカといたしまして、在日の兵備だけが旧式のものであっていいという筋合いのものでもなかろうと思うのでございます。私どもは、時代の進展に応じまして、通常兵器の分野におきましても逐次開発発展が行なわれて、老朽化したものが近代的なものに置きかえられておるというように承知をいたしておるわけでございます。  それから、国際情勢についての御見解でございますが、拝聴いたしました。われわれは何も事を好んで政治をやっておるのじゃなくて、あくまでも日本の平和と安全を守るということを根幹にいたしておるわけでございまして、世界各地に問題がございましても、日本はごらんのようにただいままで安全を保ってくることができたわけでございまして、私どもは瞬時といえども日本の安全を守るということを忘れて政治ができるものとは毛頭思っておりません。仰せのように、先憂後楽ということを根本の心がまえとしてやってきましたし、今後もやってまいるつもりです。
  104. 緒方孝男

    緒方委員 ちょっと簡単に一つ……。
  105. 野田武夫

    野田委員長 簡単でなければ打ち切りますよ。関連質問では困りますから。
  106. 緒方孝男

    緒方委員 非常に慎重にお考えになっておると言われたことはけっこうですが、けさの新聞を見ますと、原子力潜水艦寄港をめぐって、外務省は外務大臣の名前でりっぱなパンフレットでもつくってPRを盛んにやらなければいかぬということを、あなたが習われたのかどうか存じませんが、新聞はそのように言っている。アメリカ原子力潜水艦が来ても決して危険ではありませんというような宣伝を、あなた自身が部下に命じてやられるということは、国民が心配しているから国民の側に立って心配しようとするのか、何とか国民の反対をごまかすために宣伝をやろうとするのか、どちらの外務大臣か私はさっぱりわからない。何がゆえにああいうPRをされるようなパンフレットでもつくってやれというような御発言をなされたのか、その点をひとつ知らしてもらいたい。
  107. 大平正芳

    大平国務大臣 原子力推進力とする潜水艦につきましては、あなたも御承知のように、安全性その他の問題につきましていろいろの論議が行なわれておるわけでございます。私どもは、その論議を受けまして、可能な限りアメリカ側に照会をいたしまして、ただいまそのデータを取りそろえつつあるわけでございます。そういうものが一応でき上がりますと国会並びに国民にお示しいたしまして、そういった原子力推進力とする潜水艦の寄港問題をめぐるもろもろの疑点につきまして解明していくという努力をするのは当然のことだと思うのでございます。
  108. 野田武夫

    野田委員長 楢崎君にちょっと御注意いたしますが、外務大臣は一時に渉外用務がございますから、その含みで御質問願います。もし時間が足りない場合は次の機会にお願いします。
  109. 楢崎弥之助

    楢崎委員 最後に一間だけいたしたいと思います。  ここに航空局長は見えておりませんが、三十八年度から取りかかることにきまっております板付の近距離国際空港化の問題は、このF105持ち込み関連なしに予定どおり行なうつもりであるか。
  110. 林一夫

    ○林(一)政府委員 これは航空局長のほうから御答弁願うのが適当かと思いますが、私ども考えでは、これと関係なく、国際空港の問題は航空局と十分協議して進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  111. 楢崎弥之助

    楢崎委員 最後に大平大臣にお尋ねをしたいと思うのです。きょうの質問でも明らかになりましたように、このF105の持ち込み原子力潜水艦寄港の問題と決して別個の問題ではないと思うわけです。先ほどからも申し上げましたように、佐世保原子力潜水艦寄港するという問題、そして北九州には福岡を含めてナイキ・アジャックスが設置されるという問題、この発射機のランチャーはナイキ・ハーキュリーズを発射し得るランチャーだ。いつでも核兵器にかわるナイキ兵器であります。さらに今度のF105の水爆搭載可能の戦闘爆撃機持ち込み、これは一連の背景があると私どもは思わざるを得ないわけです。だから、いまの政府の態度として、核弾頭を持ち込むかどうか、そういうことだけにしぼっておるが、しかも、その核弾頭が持ち込まれないという保証はどこにもない。ただ条約アメリカ信頼するというそれだけだ。そういう状況のもとで、核弾頭さえ持ってこなければ、核弾頭を発射し得るそういう兵器核兵器持ち込みにならないから事前協議対象にならない、そういう見解は、先ほども申し上げましたように、これは明らかに欺瞞であります。われわれは、この見解については大いに問題がある、このように思うわけです。したがって、今の得策を考えますならば、まさに北九州は核武装日本における焦点になろう、このようになっておるわけです。そこで、水爆F105に積んでないという保証はどこにもないとわれわれは思うけれども、一歩譲っても、それが積んである積んでないにかかわらず、沖縄には水爆基地があるのだ、距離的に考えても、福岡市民のこのF105持ち込みに対する恐怖、脅威というものは、これはおおいがたいものがある、このように思うわけです。そこで、地元におきましても、福岡県知事、福岡市長は、同じようにこの持ち込みに反対の意思を表明しております。やがて県議会なり市議会においても満場一致の持ち込み反対の決議がなされるであろう、私はこのように考えるのです。ここ数年来行なわれてきておりました板付基地移転促進の協議会も超党派の市民組織でございます。この移転促進協議会も反対の意思を私は表明すると思うわけです。一昨日は、上京しておりました福岡市の助役が福岡市長の指示に基づいて外務省にもその点の申し入れをしておるはずでございます。こういう市民の平和あるいは幸福に対する脅威、こういう超党派的な市民の願いについて政府はどのようにお考えでございましょうか。全然、先ほど申しましたように、核弾頭がないはずだから、これは神経質になり過ぎておる、問題にならない、そういう無視の態度でいかれるのか、あるいは、この市民の要望を聞いて、重ねてアメリカ政府にこの持ち込みについて中止をしてくれという国民の願いを表明される考えがあるかどうか、最後に大卒外相の御見解を承っておきたいと思います。
  112. 大平正芳

    大平国務大臣 御懸念のある向きに対しましては、できるだけ正確な事実を伝え、解明いたしまして、疑点を解いてまいるようにいたしたいと思います。また、国会を通じましても、楢崎さんはじめ御論議をいただきまして、問題の実態について御解明いただきまして御了承いただき、なお安保条約の運営というものが円滑にまいるように御協力を願いたいと思います。
  113. 野田武夫

    野田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会