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大平国務大臣 ただいま議題となりました
所得に対する
租税に関する二重
課税の
回避及び
脱税の
防止のための
日本国と
ニュー・ジーランドとの間の
条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
本
条約締結の
交渉は、昨年七月以来行なわれ、両政府間で折衝を重ねた結果最終的合意に達し、本年一月三十日ウエリントンにおいてわが方在
ニュー・ジーランド原大使と
ニュー・ジーランド側ホリオーク
総理大臣兼外務大臣との間でこの
条約に署名を行なったものであります。
この
条約は、十九カ条からなり、わが国が従来各国と
締結している
租税条約とほぼ同様の内容のものでありまして、OECDの
租税条約典型をも参考としております。この
条約の主たる内容は、配当については相互に一五%の軽減税率とし、航空機を運用する
相手国の企業の利得については免税、船舶を運用する
相手国の企業の利得については、五〇%免税とし、特定の移動する業務についてはこれを恒久的施設とみなし、さらに、教授、留学生、短期旅行者に対して広い範囲で免税を
認めることとしたこと等であります。この
条約を通じて
日本、
ニュー・ジーランド
両国間の経済、学術、文化の面にわたる交流が一そう促進されるものと
考えられます。
よって、ここに、この
条約の
締結について御
承認を求める次第であります。
次に、
国際労働機関憲章の
改正に関する
文書の
締結について
承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
一九六二年六月二十二日、国際労働機関、ILO第四十六回総会本
会議は、機関憲章の一部を
改正し、機関
理事会の構成員の増加等を規定する同憲章の
改正文書を採択いたしました。
この
改正は、国際労働機関
理事会構成員の数を現行の政府代表
理事二十名、使用者代表
理事及び労働者代表
理事各十名を、それぞれ、政府代表
理事二十四名、使用者代表
理事及び労働者代表
理事各十二名に増加し、これに基づいて政府代表
理事のうち非常任
理事国の任命する
理事の数を現行の十名から十四名に増加すること、並びに使用者代表
理事及び労働者代表
理事の選挙について、「使用者の代表者二人及び労働者の代表者二人は、ヨーロッパ以外の国に属する者でなければならない。」とする現行規定の削除とを内容とするものであります。
この
改正文書は、機関憲章第七条に掲げられているわが国をその一国とする十の主要産業国のうちの五カ国を含む全加盟国の三分二の批准または受諾があったときに
効力を生ずることになっております。本年一月十八日までにこの
改正文書を批准または受諾した加盟国の数は二十三であり、この中にはカナダ、インド、ソ連の三つの主要産業国を含んでおります。
国際労働事務局は、本年六月の第四十七回機関総会において行なわれる
理事改選に先だって本
改正文書が発効することを強く希望しており、わが国といたしましても、この
改正文書の内容は妥当と
認められますので、これを受諾いたしたいと
考えるものであります。
よって、この
文書の
締結について御
承認を求める次第であります。次に、
国際連合の
特権及び
免除に関する
条約の
締結について
国会の
承認を求めるの件、
専門機関の
特権及び
免除に関する
条約の
締結について
承認を求めるの件並びに
国際原子力機関の
特権及び
免除に関する
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして提案理由を一括御説明いたします。
国際連合特権免除条約及び
専門機関特権免除条約は国際総会で
承認され、各加盟国の加入を要請されたものであり、原子力機関
特権免除協定は
国際原子力機関理事会で
承認され、各加盟国の受講を要請されたものであり、いずれも、これら
条約及び
協定の当事国がその領域内において、それぞれ
国連、
専門機関または原子力機関、その職員及び加盟国代表者等に対して
特権及び
免除を与えることを規定するものであります。
わが国は、
国際連合への加盟の実現に先だちまして、一九五二年、
国際連合及びその職員等に対し
特権及び
免除を与えるために、ただいま提案中の
国連特権・
免除条約の規定を部分的に適用する趣旨の
特権及び
免除に関する
協定を
国会の御
承認を得て
国連との間に
締結した次第でございます。
しかるに、わが国が一九五六年に
国際連合に加盟しまして以来、
国連及び各
専門機関主催
会議の本邦開催が多く、これらの機関からの
援助受け入れも増加する傾向がございますが、一九五二年の
協定では、これら国際
会議に参加のため来日する加盟国の代表者には
国連の要望する
特権及び
免除を与える
法的根拠がないので、
会議開催、
援助受け入れのたびごとに
関係機関との協議の結果便法を講ずるほかない状態であります。原子力機関の場合も事情はほぼ同様であります。
今回御審議をお願いいたしますこれら諸
条約は、すでに多数国の加入または受諾を得ており、むしろ
特権・
免除の供与はすでに国際慣行化している現状でございますが、
国連に対する協力を外交政策の基本として、
国際連合、
専門機関、原子力機関の活動を積極的に支持して参りましたわが国としましては、先ほど御説明いたしました不便を除き、各分野におけるわが国の国際協力をより円滑に遂行するために、
国連特権・
免除条約、専用機関
特権・
免除条約及び原子力
特権・
免除協是を
締結することがぜひ必要であります。
よって、ここに
国際連合の
特権及び
免除に関する
条約、
専門機関の
特権及び
免除に関する
条約並びに
国際原子力機関の
特権及び
免除に関する
協定の
締結について御
承認を求める次第であります。
最後に、
国際地震工学研修所を設立するための
国際連合特別基金の
援助に関する
日本国政府と
特別基金との間の
協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
昭和三十五年七月に、
国際連合経済社会
理事会において採択された地震災害対策における国際協力に関する決議に基づいて、
国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、
特別基金に対して、国際的な研修所をわが国に設立するために基金の
援助をわが国に与えることを提案し、同年十月あわせてわが国政府が同基金の
援助を申請するよう示唆して参りましたので、政府といたしましては、従来主として東京大学内において行なわれてきた地震学及び地震工学の国際訓練センターを拡大強化することとし、翌三十六年六月
特別基金に対して本件研修事業に対する基金の
援助を申請いたしました。
これに対して、基金事務局は、ほぼ申請
通りの
援助供与を内定いたしましたので、昨年二月以来ニューヨークにおいて
交渉を行なった結果、五年間に
特別基金は約七十六万ドルの
援助をわが国に与え、わが国は約百五万ドルを分担することになり、本
援助に関する
協定を十月三十一日署名した次第であります。
さらに本
援助による事業の実施細目については、わが国政府、
特別基金及び実施機関たるユネスコの間に合意される実行計画に譲られておりますが、わが国は昨年五月以来、ユネスコ側と実施細目につき
交渉いたし、十月一日付でユネスコと十月三十一日付で
特別基金との間に、実行計画の署名を終えた次第であります。
本件
協定及び実行計画の
締結によりまして、地震学及び地震工学の分野におけるわが国の国際的技術
援助が拡大強化され、東南アジア、中近東、ラテンアメリカ等の地震国である低開発諸国の経済、社会、文化面に寄与するのみならず、わが国の本件分野における国際的進歩にも利益をもたらすものと
考えられます。
よって、ここにこの
協定の
締結について御
承認を求める次第であります。
何とぞ、御審議の上、以上六件につきすみやかに御
承認あらんことを希望いたします。