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1963-02-27 第43回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十七日(水曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 佐々木義武君 理事 中曽根康弘君    理事 松本 一郎君 理事 岡  良一君    理事 西村 関一君 理事 山口 鶴男君       齋藤 憲三君    保科善四郎君       石川 次夫君    田中織之進君       原   茂君    村山 喜一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 近藤 鶴代君  出席政府委員         科学技術政務次         官       内田 常雄君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   森崎 久壽君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    杉本 正雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    井上啓次郎君  委員外出席者         原子力委員会委         員       西村 熊雄君         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         科学技術事務次         官       鈴江 康平君         外務事務官         (アメリカ局安         全保障課長)  高橋正太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本原子力船開発事業団法案内閣提出第八二  号)      ————◇—————
  2. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 これより会議を開きま  す。  日本原子力船開発事業団法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。
  3. 西村関一

    西村(関)委員 わが国が、世界の科学の進運に伴いまして、おくればせながら原子力によるところの船舶第一号を建造するということになりまして、これに関する日本原子力船開発事業団法案が提案をせられたわけでございます。われわれといたしましても、その趣旨、目的につきましては、もちろん賛成でございますが、若干この機会政府お尋ねをいたしておきたい点等がございますので、お伺いをいたしたいと思うのであります。  まず、船舶用原子炉につきましては、安全保障立場からいろいろな配慮がなされておると思うのでございます。また同時に、廃棄物処理等につきましても、海水汚染等をどのようにして最小限度に少なくしていくかというようなこと等の配慮が、当然なされておると思うのでありますが、まずその点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 島村武久

    島村政府委員 西村委員お尋ねの、原子力船を建造するにあたって安全保障の問題をどのように考えておるか、また、当然原子燃料を使用いたすのでございますが、その際の廃棄物処理についてはどのように考えておるか、こういうお尋ねと存じます。  まず、安全保障の問題でございますが、これにつきましては、御承知通り、すでに日本では原子炉等規制法という法律がございまして、これは原子力船ということでなく、原子炉というものに着目した規制に関する法律でございますけれども、これによって規制をする。第二番目には、原子炉を積みました船舶という立場から、当然船舶安全法の適用の対象となるわけでございます。両法規によりまして、つくられますところの原子力船につきまして陸上原子力発電所と同じような周到な配慮が加えられることになっておるわけでございます。  なお、廃棄物処理につきましては、陸上の場合と同じように、やはりこれまた重要な考慮を要する問題でございますが、原子力船につきましては、直接その廃棄物海中に投棄いたしますことは、海水汚染というような問題を生じますので、海中に投棄するということにいたしませず、これを船中にたくわえまして、陸上燃料交換装置によりましてこれを陸上に移しまして、陸上におきますところの発電所等から出ますところの廃棄物と同じように燃料の再処理をいたし、あるいはそれからさらに生じますところの廃棄物につきましても、これまた陸上におきまして生じますところの廃棄物と同様の取り扱いをいたす所存でございます。
  5. 西村関一

    西村(関)委員 船上において廃棄物は保存をして、陸上において処理をする、こういう御答弁でございますが、この資料の中にも出ておりますサバンナ号につきまして考えてみましても、現在世界じゅうの原子力船に使用されておりますところの原子炉について、いわゆる高濃縮ウラン加圧水減速冷却型熱中性子炉というものが採用せられておるということを伺っておりますが、この濃縮ウランベリリウム減速液体ナトリウム冷却中速中性子炉を積んだシーウォルフ号の場合におきましては、非常に問題があるということも聞いておるのでございます。専門的には十分な検討をいたしておりませんけれども、今回の場合は全部陸上において処理できるというふうに今の御答弁では伺ったわけでありますけれども、運航中液状気体状放射性廃棄物というものはやはり海中に出さなければならないというふうに考えるのでございます。サバンナ号におきましても、公衆衛生上の理由から制限海域というものがあって、液状及び気体状放射性廃棄物について配慮されておる。液状のもの、気体状のものは海に捨てなければならぬけれども公衆衛生上の立場からは海中に排除することができないように配慮されておるというふうに承知いたしておるのでございますが、この点につきましてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  6. 島村武久

    島村政府委員 私が申し上げましたのは、原子力船といえども陸上発電用原子炉と全く同じような考え方でこれに臨むつもりであるということを申しました。主として使用済み燃料の取りかえ、あるいは不純物を除去いたしました場合に、不純物を除去いたします装置にたまりました廃棄物等のことを申し上げたわけでございまして、原子炉を動かします際に、陸上におきましてもごく微量の放射性を持ったものが出るということはあり得るわけでございます。いずれもきめられました許容量以下のものであると考えております。従いまして、全く陸上の場合と同じように、一般に迷惑を及ぼすような廃棄物というものは、これは船中にたくわえて、あるいは陸上において燃料取りかえの操作を行ない、あるいはまたその不純物陸上に陸揚げした上で、陸上で出てくるものと同じように処置をするということを申し上げたわけでございます。  なお、お話にもございましたシーウォルフ号について、特別の何らかの問題があったようなお話でございましたけれども、そのようなことは私どもといたしましては全然聞いておらないところでございます。
  7. 西村関一

    西村(関)委員 後段伺いました海中に投棄しなければならないものにつきまして、このサバンナ号にいたしましても、公衆衛生上の立場からはある一定の制限をいたしておるということなのでございます。今回の場合におきましては、その点については、たとえば陸地から十何海里とかいったようなところには一切廃棄物海中に捨てないというようなことを考えておられるのか。そういうような点につきましては国際的な取りきめもあろうかと思いますけれども政府においてはその点についてはどういう配慮をなすっていらっしゃるか。一切廃棄物を捨てない、陸上処理するのだというわけには参らないと思いますが、その点はいかがでございますか。
  8. 島村武久

    島村政府委員 原子力潜水艦の場合にどのような行動をとるかということは別でございます。少なくとも、私どもが意図しております。本日御審議を願っております原子力船、いわゆる平和目的原子力船につきましては、国際的にも一切の廃棄物海中に投棄しないという考え方で進んでおります。それは、いわゆる陸上において許容されたような量以上のものという意味におきましての廃棄物ということでございまして、その点につきましては国際的にもそのような線でまとめようという動きがございますことは、先日この委員会で、海上におきまして廃棄物を投棄するということに関します国際的な会合が数回持たれておるということを申し上げましたことによりましても御納得いただけるものと考えております。不幸にいたしまして、まだ今日そのような条約が結ばれるという段階に達してはおりませんけれども日本といたしましても、できる限りそういう方向に向かって努力すべきであると考えますし、また日本独自といたしましても、そのような他に害を及ぼすような廃棄物海中に流すというふうなことは、日本でつくる原子力船についてはすべきではない、そのように考えております。
  9. 西村関一

    西村(関)委員 他に害を及ぼすことのない廃棄物というのはどういうことでございますか。
  10. 島村武久

    島村政府委員 たとえば全く陸上と同じように、許容量以下のものはともかく、それ以上のものは、こういう意味でございます。
  11. 西村関一

    西村(関)委員 それは許容量以下のものであれば、たとえ港の中でも廃棄していいということなんですか。
  12. 島村武久

    島村政府委員 許容量以下のものでございますれば、どこへ捨ててもいいということになるわけでございますけれども、そのような国際的な取りきめというところまではまだ進んでおりません。
  13. 西村関一

    西村(関)委員 その点につきまして、それがたび重なっていく場合においては、特に入港中などにおいては、あるいは局所的に相当汚染度というものが重なってくるというふうに常識的に考えられます。そういう点は国際的な取りきめはないということでありますが、非常に狭い港の中に停泊している場合などはそういうことはしないというような配慮があるのか。許容量以下であれば、どこであろうとかしこであろうと、それは廃棄できるのだというふうにお考えになっていらっしゃるのか。そういう点も念のため伺っておきたいと思います。
  14. 島村武久

    島村政府委員 そのような点につきましては、この今回意図しております原子力船動き出すまでにまだ相当の時間もあることでございますゆえ、十分な配慮を加えて検討して参りたいと考えております。なお、その際にはもちろん各国等動きその他とも歩調を合わせるようにして参りたいと考えております。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 そういう点につきましては、私どもは全くしろうとでございますので、いずれこの法案が通って、事業団が発足して、原子力船第一号が就航するというのはずっと先、九年先のことでございますから、そういう点については十分に検討はなされると確信をいたしておりますけれども、この法案が審議されるにあたりまして、専門家意見を徴したいというふうに考えるのでございます。これはいずれ別の機会専門家意見を徴するような機会を、委員長において一つお取り計らいをいただきたいということを、この際お願いを申し上げたいと思うのであります。  次は、事故の起こった場合のことでございます。昨日の神戸港外におけるところの海難事件、あるいは先般の川崎における衝突事件というような不測事態が、これはどんなに注意をいたしておりましても、人間の注意力というものには限界がございますから、どういう不測事態が起こらないとも言えないと思うのであります。もし不幸にして原子力船事故が起こった場合には、大へんなことになる。特に停泊中における事故の起こった場合においては、これは取り返しのつかないような事態が起こらないとは限らないという心配をするのでございますが、その点につきましてどういう配慮をなすっておいでになりますか。
  16. 島村武久

    島村政府委員 原子力船万々一事故を起こしましたと想定いたしますると、その被害は、かつてこの委員会で御審議願いました損害賠償に関する法案の際にも非常に問題になった陸上の場合、あるいはそれ以上のものがあるというふうに私ども考えます。まず第一に、陸上の場合は、先ほどお尋ね安全保障の問題と関連いたしますわけでございますけれども、そういうような意味合いからも、立地ということについて相当配慮を加えることができるわけでございますけれども原子力船の場合に、御指摘のございましたように、港に停泊中というようなことを考えますと、非常に人家に近いというような条件も加わって参ります上に、海中汚染でありますとか、先ほどお話のございました多数の他の船舶というような問題もございますので、万々一そういう事故が起こりました場合の損害に対します問題ということは、非常に大きなものがあると私ども考えております。従いまして、原子力船の場合には、安全対策上万全の措置を講じまして、事故が絶対に起こらないようにという配慮を加える必要があることは、これは申すまでもないと考えておるわけでございます。  それにもかかかわらず、やはり万々一事故があった場合にどうするのだということにつきましては、これもやはり当然考えておかなければならぬことでございます。もし万一にもそういうことがございますれば、直ちにやはりモニタリングを行ないまして、必要のある場合には原子力船を隔離するとか、あるいは付近海域への立ち入り禁止する。もちろんこれは他の船舶その他のことでございます。あるいは水産物の検査を強化するとか、その出荷の禁止、あるいは廃棄等の問題も起こって参ると思います。これらにつきましては、さらにまた国家的な補償対策というようなことも必要でございます。ことにまた、原子力船陸上の場合と違いまして移動をいたすという性質、ことに外国との関係を生ずるというようなところからもまた国際的な取りきめにまでこれが発展しなければならぬ性質のものである、かように考えておるわけでございます。
  17. 西村関一

    西村(関)委員 私はそういう事故が起こらないことをもちろん心から願ううものでございますが、今までの例から申しますと、原子力平和利用のための原子力船事故を起こしたという事例はございましたですか。
  18. 島村武久

    島村政府委員 原子力船を平和的に利用すると申しますか、平和目的、非軍事的な目的原子力船といたしましては、御承知通りソビエトレーニン号アメリカサバンナ号しかございません。従いまして、事故というものもまだ発生したということを聞いておりません。
  19. 西村関一

    西村(関)委員 軍事的な用に使われておりまする原子力潜水艦におきましては、事故はどの程度起こったと承知しておられますか。
  20. 島村武久

    島村政府委員 外務省を通じまして今回合衆国政府に照会いたしましたところでは、すでに十三カ国でございますか、数多くの港に合衆国潜水艦入港しておるそうでございますが、それらに伴いますところの事故は皆無であるということでございます。  それでは、アメリカ合衆国内の港におきまして事故を起こしたことがあるかどうかということにつきましては、これはまだ何とも言っておらないのでありまして、われわれが従来新聞、雑誌、その他合衆国政府発表等を見ておりますと、いわゆる原子炉事故というようなものは一つ承知いたしておりませんけれども、たとえばクジラと衝突したとか、ほかの船と衝突したとかというような例は二、三承知いたしております。
  21. 西村関一

    西村(関)委員 私が承知いたしておりますところによりますと、ほかの報道機関は別といたしまして、朝日新聞にこの数年来載った記事だけによりましても、一九五九年から昨年の六二年までに四回事故があったというふうに報ぜられております。一九五九年十月三十日に、トライトン号用原子炉原型に爆発と火災が起こって一部破損した。これはアメリカAEC発表ということになっております。それから一九六〇年六月十四日に、サーゴ号真珠湾停泊中突然火を発しまして、アメリカ海軍当局損害の詳細を発表しておりませんけれども、これは一応船を潜水させてその火災を鎮火したという米海軍発表朝日新聞に出ております。次は一九六一年四月二十八日に、セオドル・ルーズベルト号から放射能が検出されまして、放射能除去間立ち入り禁止にされたということも、アメリカ海軍発表として出ております。それから一九六二年五月十日に、パーミット号サンフランシスコ沖マトソン会社汽船ハワイアンシチズン号衝突をした、こういうようなことが出ておったわけでございます。  今、局長の言われましたように、外国の港に停泊事故を起こしたことはないようだけれども国内においては若干の事故があった、しかもそれは原子炉それ自体のものではなかったようだというお話でございましたが、軍事的な用に供する潜水艦と、平和的利用に用いられておりますところの原子力船というものとは、おのずから若干の構造の違いがある。潜水艦はやはり構造の上で無理をしておりますから、事故も起こしやすいということは当然考えられる。そういう点については同列に論ずることはできないかもわかりませんが、しかし、衝突事故というものは、さきに申し上げましたように昨未明の神戸港の衝突事故のごとき、また川崎沖における入港の際の海難事件のごときも起こり得ることなんです。絶対に起こらないということは言えないと思うのでございます。その点につきまして、そういうことを一々心配しておっては何もできないということも考えられますけれども、念には念を押して、事故が起こらない措置を講ずるとともに、事故の起こった場合の処置も万全を期するように配慮することが、政府としても、またわれわれといたしましても非常な大きな責任のある点だと思うのでございます。  ここにクラウチの「原子力船」という書物があります。これは住田さんと飯沼さんという人が訳しております。この書物の第十三章には「規制措置による安全性確保」という章を設けまして、想像し得るところの事故ということをいろいろ専門的な立場から論述いたしておるのでございます。これを見ますと、事故が起こった場合には大へんなことだ、りつ然としてはだえにあわの生ずるような思いがするのでございまして、ここに図が出ておりますが、こういう形で、事故が起こった場合にはということで想定されております。どうもこの図が東京湾にあまりにもよく似ておるので、もし東京湾でこういうことが起こったならば、これは大へんなことになるということを私は思わずにはおれなかったのでございます。今局長の言われましたような措置だけでは、とうてい収拾がつかない。そんな不幸な事態が起こることは万々ないと思いますけれども、もし想定し得るところの事故が不幸にして起こった場合におきましては、とても大へんなことになるということを考えるのでございます。このクラウチ書物によりますと、仮想の事故は、廃棄物回収タンクから放射線が漏れ出すというような程度のものではなくて、原子力船が長い航海から帰ってきて入港する際に一番大きな災害可能性を持っているということを言っておるようでございます。この最大災害の生ずる潜在可能性というものを、一つ実験式をもってここに例示いたしております。専門的ないろいろなことがここに述べられておりますが、原子炉の出力をサバンナ号とほぼ同じものといたしまして七万キロワット、一カ月の航海の後、炉を停止して一日後に入港したとき事故が起こったといたしますと、この実験式によって計算をいたしますと、三千二百万キュリーという途方もない汚染が起こるということがこの書物の中に書いてございます。このような事故がもしかりに起こったといたしますと、湾全体は、公衆衛生的な観点から半永久的に使いものにならなくなるであろう。これを十分に補償するにはどれだけの金額が必要であるかということを考えるならば、とても話にも何にもならないような状態になるであろうということを警告をしておるのでございます。  こういう点につきまして、こんなことを考えておってはできませんけれども、しかし、権威あるクラウチ書物の中にそういうことが書いてございますから、その点をどういうふうに当局検討せられましたか、お伺いいたしておきたいと思います。
  22. 島村武久

    島村政府委員 前段でお述べになりました原子力潜水艦に関しますアメリカ合衆国での事故事例につきましては、西村委員がお述べになりました程度のことを私ども承知をいたしております。私ども、決して楽観的に考えておるわけではございません。西村委員が御指摘のように、どのような配慮を加えましても、通常の船舶におけると同じように、やはり予想もしない事故衝突するというようなことも当然考えていかなければならないわけでございます。しかも、後段にお述べになりましたようないろいろな想定を置きますならば、その被害というものは非常に大きなもので、りつ然たるものがあるというようなことでもございますので、私どもといたしましては、いろいろな意味においてそのことも考慮しながら事を進めていかなければならぬという慎重な態度を持っておるわけでございます。  技術的に申しますならば、原子力船装置いたしますところの原子炉につきましては、陸上のそれよりもなお一そう、特別の条件からきますところの配慮を加えなければならない。たとえば、どのようなことがありまして本放射性物質というものをコンテナの外に出さないような工夫が、何段にわたっても行なわれねばならない。特にそれが万一にも沈没したというような場合において、海中における強い水圧にもたえられるようなコンテナをどういうふうにすべきかという、一例ではございますけれども、技術的な面で、陸上のものに比べましてさらにさらに慎重な配慮が必要であるというふうに考えております。なおまた、技術的に考えられる限りの安全性を追及いたしました上におきましても、なおかつその方法等につきまして、とれまた一般船舶と違った特別の規制も必要であろうというふうに考えております。今国会に御承認を得るために提出する予定になっておりますいわゆる海上人命安全条約を改正いたしますための条約、これを国会で御承認を受けますれば、その関係法規国内法として十分な整備をはかって参りたい、さように考えておるわけでございます。   〔委員長退席佐々木(義)委員長代理着席
  23. 西村関一

    西村(関)委員 これから建造しようとする原子力船は、九年先のことでありますから、十分な配慮がその間においてなされるということを期待するのでございますが、さしずめ諸外国——外国と申しましても限りがございますが、原子力船入港してきた場合あるいは日本の近海に接近した場合、そのためにこうむるであろうところの日本国民の受ける被害という点につきましては、事故の場合も含めまして、政府はどのような配慮を持っていらっしゃるか。外務省安全保障課長さんが見えておりますが、その点お伺いいたしたいと思います。
  24. 高橋正太郎

    高橋説明員 お答えいたします。これはまだ船が入っておりませんので、何とも申し上げられませんけれども、入りましたときをいろいろ考えまして、先例等も調査して、万般検討いたしたいと思っております。
  25. 西村関一

    西村(関)委員 先例というのはどういうことですか。
  26. 高橋正太郎

    高橋説明員 わが国にはまだ原子力推進の船が入った経験がございませんので、従来寄港した諸外国の例、その他アメリカ国内の例というようなことでございます。
  27. 西村関一

    西村(関)委員 それは何か根拠があって処置をしたのだと思いますが、そういう一般的に通用する先例根拠になるものは何ですか。
  28. 高橋正太郎

    高橋説明員 まだ検討段階でございますが、ただいま西村先生指摘根拠ということは存じませんけれども、私が先例と申し上げましたのは、アメリカ船舶が諸外国——これはまだサバンナは寄っておりませんので、軍艦が諸外国に寄りました場合にどういう配慮をしたかとか、どういう対策を講じたかとか、そういうことでございます。
  29. 西村関一

    西村(関)委員 きわめて抽象的なお答えしかできない。もう入るか入らないかという段階になっておるのですが、外務省としてはどの程度検討をしておられるか。もし入った場合にはどういう態度で臨むということをきめておられるか。その安全保障の問題についての外務省としての見解を、もう少し具体的にお述べをいただきたいと思います。
  30. 高橋正太郎

    高橋説明員 できるだけ具体的に私も申し上げたいと思うわけでございますけれども、現在までのところは、具体的な例というのはまだそろっておりませんし、万一というか、将来入ってきました場合の安全対策その他は、関係方面とも十分御協議の上に検討をしたい、こういうふうに思っております。  ただ、従来私が承知しておりますところでは、アメリカ原子力潜水艦で諸外国の港を訪問した際には何らの事故がなかったというふうに聞いております。
  31. 西村関一

    西村(関)委員 アメリカのプライス・アンダソン法という法律のあることは御存じだと思います。この法律に規定されておるところの補償の基準といいますか、それはどういうふうに検討しておいでになりますか。
  32. 高橋正太郎

    高橋説明員 アメリカ国内法規のことは、まだ私ここで御披露するほど深く検討はしておりません。
  33. 西村関一

    西村(関)委員 このプライス・アンダソン法に規定しております補償の最高額は五億ドル、千八百億円に相当する額だと承知しておるわけでございますが、今私がクラウチ書物で提示いたしましたような事故が不幸にして東京湾に起こった場合には、このくらいの程度のことでは問題にならない。半永久的に東京湾が使えなくなってしまうというような事態実験式によって計算されて、三千二百万キュリーというような、とほうもない汚染が起こった場合、どうにもしようがないということが、単なる仮定ではなくて、起こり得る可能性もある、ポシビリティがあるということを頭に入れて検討しなければならないのです。そういうような点について、外務省ではそこまでの配慮をして今度の原子力潜水艦入港問題を取り上げていらっしゃるかどうか。あなたの立場からはそれ以上のことは言えないというお立場もわかりますけれども、どうもきょうは外務省は大臣も局長も見えていないのですから、あなたが安全保障課長という立場で、そういう点についてのお考えを聞きたいと思います。
  34. 高橋正太郎

    高橋説明員 お答えいたします。ただいま先生御指摘の補償の問題でございますけれども、これは本日はまだ先生に御説明いたしておりませんでしたけれども、従来の経緯からいたしますと、二月の初めにアメリカ側にいろいろ安全上の問題、補償上の問題について照会をいたしまして、安全上の問題について月の中ごろに、まだ申し上げられませんけれども、回答が参りました。万一の事故の場合の補償の点につきましては、まだ回答が参っておらない段階でございます。  ただいま西村先生指摘のプライス・アンダソン法でございますけれども、私もよく存じませんけれども、聞くところによりますれば、たとえばそれはアメリカ国内原子炉のオペレーターが持っておるものが事故を起こした場合と、それからあとは、これは特別立法をアメリカの議会でいたしまして、特にサバンナ号のみについては外国に行ってもこの法律が適用されるというふうに私どもは聞いております。  従いまして、いま先生の御指摘になりましたような原子力の軍艦が入ってくる場合に、それがプライス・アンダソン法の適用を受けるかどうかというような点につきましても、あわせてアメリカ側に照会中でございます。
  35. 西村関一

    西村(関)委員 その回答の内容については、まだここで発表するわけにいかないということを言われましたが、外務省発表しないでも、「朝日ジャーナル」の三月三日号に書いてあるのです。それはもうみんなが知っているわけなんです。今出ている「朝日ジャーナル」に、二月十四日に回答がきた。その内容はまだ明らかにされていないが、と断わってございますが、これこれであると、五カ条にわたって回答書の内容が出ておるわけなんですね。  それによりますと、その回答は危険防止措置だけに限られておって、安全保障については答えがきていない、こういうふうに承知したわけなんです。  一、これまで他の諸国に百回以上寄港しているが事故を起こしたことはない。  二、安全保障書は提示できない。  三、寄港中は廃棄物を一切艦外に捨てない。  四、燃料の取りかえば行なわない。  五、放射能監視のための艦内立ち入りは許さない。  こういう五つの点が骨子になっている回答書であるというふうに「朝日ジャーナル」によって承知したのであります。この点について、今あなたにこれを確認させようというようなことは私はいたしません。関係各省庁との連絡は十分とっておられると思いますが、もちろん科学技術庁にもこの点は照会せられましたか。どうですか。
  36. 高橋正太郎

    高橋説明員 アメリカ側から、先ほど先生御指摘の二月十四日の安全性に関する回答書が参りましたときには、時を移さず、科学技術庁初め関係各省に連絡をいたした次第でございます。
  37. 西村関一

    西村(関)委員 このようなアメリカの回答につきまして、科学技術庁としては、長官はどういうお考えを持っておいでになりますか。
  38. 近藤鶴代

    ○近藤国務大臣 寄港問題に対しましての原子力委員会としての考え方につきましては、前委員会において申し上げた通りでございまして、それに対しましては私もきわめて同感でございます。  問題は、その節にも申し上げましたように、ただいま私どもが関知いたします件は、あくまでも安全性の問題であり、補償の確保ということでございまして、その点につきましては十分私どもの納得のいく照会と申しましょうか、返事をいただかなければならない、そう思っているわけでございます。
  39. 西村関一

    西村(関)委員 今、大臣からお答えいただきましたように、安全保障の面については十分な確約をとらないと科学技術庁としては納得がいかないというお答えでございましたが、それは先般の原子力委員会の統一見解の中にも、私どもといたしましてはこの統一見解に対しては非常な不満を持っておるのでございますが、その私どもから考えれば不十分な、また故意に問題をそらしておるのではないかと思うような統一見解の中においてさえも、安全性の面は重要視すべきであると考えるということがいわれておるわけなのでありまして、大臣の御答弁にも、その点について再度お述べになっていらっしゃるわけでございます。  ところが、アメリカ側の回答はまだ発表されておりませんけれども安全保障の面については確約ができないというふうにとっていいと思われる保障書は提示できないということをいっているわけなんであります。そういう点につきまして回答書が公表されておりませんから、明確な御答弁が願えないかもわかりませんけれども、もしかりに、アメリカ側が保障書を提示しないということをとことんまでいった場合においては、科学技術庁としてはどういう態度をおとりになりますか。
  40. 近藤鶴代

    ○近藤国務大臣 科学技術庁の立場といたしましては、重ねて、その件について再度お願いしてみるという努力をいたしてみたいと思います。
  41. 西村関一

    西村(関)委員 もし努力をせられても、なおかつ向こう側が安全保障についての保障書は提示できないというようなことになった場合、これは大臣としても重大な御決意をお持ちになるべき段階だと思います。そういう仮定のことはお答えできないとおっしゃられればそれまででございますが、しかし、現に「朝日ジャーナル」に書いているところでは、そういう大事な点が抜けておるわけです。そういう点について一つ御見解を、もう一度はっきり承りたいと思います。
  42. 近藤鶴代

    ○近藤国務大臣 西村委員も仰せになりましたように、全く仮定のことでございますので、ここで決定的なお答えはいたしかねますが、科学技術庁の立場において安全性についての十分な交渉はいたしますが、いよいよそれがどうしてもできないということがございました場合には、あらためてまた検討いたしてみたいと思います。
  43. 西村関一

    西村(関)委員 それから、もう一つ伺いいたしたいのは、放射能監視のための艦内立ち入りは許さないということをいっているのであります。これは外務省としては、放射能監視のために艦内立ち入りを認めろということを要求なすったのですか。それとも、外務省としては、きょうここで言えないのですか。どうですか。
  44. 高橋正太郎

    高橋説明員 申し上げたいと思いますけれども、まだ差し控えさせていただきたいと思います。おそれ入ります。
  45. 西村関一

    西村(関)委員 それでは、私どもとしては審議のしようがないわけなんですね。いよいよ本ぎまりにきめてしまってから内容を発表するというのでは、国会軽視もはなはだしいと私は思うのです。そういう点については、政府は、こういうことをいってきた、これに対してこのような質問書を出した、答えはこうであるということくらいを言っていいのではないか。それを言わなければ審議ができないというふうに思うのであります。  科学技術庁長官としては、安全保障の面が確約されなければ困る。この原子力委員会の統一見解の中にもその点が出ておるにもかかわらず、すでに国民に知らされておる、一般の出版物の中にそういうことが出ておるということになりますると、国民は非常な不安を感ずる。これは大臣にお願いをいたしたいのでありますが、こういう委員会におけるところの質問応答の過程においてもよくおわかりいただいておると思うのですが、こういう点については政府態度をきめる場合において、長官の御決意が十分に閣内に反映するように、そしてこのような安全保障の点が明確にできない以上は、これは断じて入れないということをしっかり一つ言っていただきたいと思うのでございます。  それだけでは問題は十分に解決したとはいえないのでありまして、次の問題につきまして、原子力委員会にお伺いをいたします。  この前の統一見解を拝見いたしますると、外国原子力潜水艦の寄港の問題には原子力基本法は適用されないというような見解を述べておられるのであります。しかし、これは私どもからいたしますと、非常に権威あるところの原子力委員会が、何かアメリカ原子力潜水艦日本寄港を容認するような傾向に立ってこの統一見解を出しておられるという印象を受けずにおれないのであります。原子力潜水艦が入ってきた場合においては、先ほども私が指摘いたしましたように、事故がすでに起こっておる。外国の寄港の場合には起こっていないかもしれませんが、アメリカ国内においては事故がすでに起こっておる。今まで起こらなかったから、外国の寄港中においては絶対に起こらないという保証はできないのでありまして、起こり得る可能性は、アメリカ国内においても過去において起こっておるということから考えましても、十分に想定ができるのであります。  そういう立場に立ちますならば、原子力基本法を厳粛に守っていかなければならない責任に立つ原子力委員会といたしまして、こういう統一見解では、外国原子力潜水艦入港問題は別個のものだ、これには適用がないのだ、こういうようなことを言っておられるのは、これはどうもみずからの責任を放棄しておられるというふうにしかわれわれはとれないのであります。しかも、この原子力潜水艦は核ミサイル兵器を装備してない、核装備をしてないという見解のもとに立ってこういう統一見解をお出しになったようでございます。しかし、アメリカ原子力潜水艦は核兵器を持ってないという保証を、原子力委員会のお立場としてどういう根拠に立ってそういう立場をお持ちになっていらっしゃるか。外務省としては、向こう側はこれはポラリス潜水艦でない、ノーテラス型の潜水艦であるということを言っておるからポラリスはないのだ、従って核兵器は積んでないのだというようなことを言っておられますが、厳粛に原子力基本法を守っていこうとする立場に立つ原子力委員会として、今度入港しようとしておるところのアメリカ原子力潜水艦は絶対に核装備をしてないという保証を、どういう事実に立って、どういう見解に立ってお持ちになっていらっしゃるか。原子力委員会の御見解を承りたいと思います。
  46. 西村熊雄

    西村説明員 お答え申し上げます。委員会として統一見解を提出いたしました問題点は、原子力基本法の第二条が合衆国潜水艦日本寄港問題について適用がないということを申しまして、適用がございませんという裏にその寄港を容認してよろしいとは決して言っていない次第でございます。ただ、その次の文章で、「原子力船の寄港を認めようとする場合」にはという表現がございますので、いかにも委員会としては寄港には容認してもよろしいという立場をとっておるかのような誤解を招いたかと思いますけれども、それは寄港の可否を決定する場合にはという意味でございまして、委員会としては決して寄港問題に対して同意して可なりとの結論を下しているものではございません。統一見解は、現に第二条の適用ありやいなや、この点について適用はございませんという結論を出しておる次第でございます。従って、この問題を考えるにあたりまして、委員会としては問題の潜水艦の型式だとか、いかなる兵器を装備しているかどうかの問題は、全然考慮の外に置いてございます。
  47. 西村関一

    西村(関)委員 ことさらに適用外だということをここで断わる必要がないと思うのです。何のためにこういうことを書いたか。こういうことが出る以上は、何かいかにもアメリカ原子力潜水艦を寄港させることに加担する見解を権威ある原子力委員会が出されたという印象を持たざるを得ないのであります。そういう点について、それはそうでない、原子力潜水艦入港とは別個の問題だ、こういうことを西村さんはおっしゃいますが、われわれとしてはその点が非常に不可解なのであります。  後段に申し述べました原子力潜水艦が核装備をしているかしていないか、していないという立場政府は立っているようでありますが、原子力委員会としては、その点はどういうふうに御検討になりましたか。
  48. 島村武久

    島村政府委員 西村委員お話で、原子力基本法第二条との関係をことさら言うのはおかしいではないかというお話がございましたが、統一見解を御要求になりました岡委員の御発言、並びにそれを補足されたような形での田中委員の御質問の中に、統一見解を出す場合には原子力基本法第二条との関係を明らかにせよ、こういうお話がございまして、当時私が、原子力委員会としては安全性の問題についていろいろ配慮をしておるのだということを申し上げました際に、いやそういうことだけでなくて、基本法の問題も含めて統一見解を出すようにことさら御注意がございました。従いまして、特にこの点を冒頭に持ち出すように委員会に対しまして私から要請をいたしたものでございますので、この点につきましては御了解をいただきたいと思います。わざわざ原子力委員会の方から二条の問題を持ち出して、関係はないということを言ったのではございませんで、御要求に従いましてその点を明らかにした、というふうにおとりいただきたいと思うわけでございます。
  49. 西村関一

    西村(関)委員 そういうことを聞きますと、なおさら突っ込んで聞かなければならないのであります。  この原子力基本法は、ここにも明記されておるし、今さら言うまでもないことでありますが、原子力の研究、開発、利用は平和の目的に限るということが明記されておるのであります。そういう原子力基本法の立法の精神から申しまして、平和利用目的以外の原子力潜水艦というものの入港に対しては、これは法の適用内だとか外だとかいう問題とは別個に、この原子力基本法の精神から申しまして、これが重大な関係があるし、これに対して原子力委員会としては総理に勧告する立場も与えられておるのでありますから、十分な権威あるところの見解を打ち出さるべきはずなものだと思うのであります。しかるにかかわらず、要求があったとはいえ、こういう書き方をするということは、暗に、戦争目的のために使われるところのアメリカ原子力潜水艦を寄港させるということにむしろ好意的であるという印象を与えるのです。それは、そうでないということであれば、けっこうでありますけれども、そういう印象を非常に強く与えるわけなんであります。でありますから、私といたしましては、その点をことさらに伺ったわけなんでありまして、後段伺いました原子力潜水艦が核装備をしているかしていないか、してないと言うならば、どういう立場に立ってそういう見解をおとりになっていらっしゃるか。原子力委員会の見解を伺いたい。
  50. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 核装備を日本国内に持ち込むことは認めないというのは、総理大臣がたびたび国会でも明らかにせられたように私は承知しております。従って、核装備をしておるようなものであれば、総理大臣がそれを認めることはないと確信いたしますので、私は、その点についてまで原子力委員会——たとえば外務省が持っていないということを言っておるのに、それについて疑いを持つということは、日本政府部内としてすべきではないと考えております。
  51. 西村関一

    西村(関)委員 やはり原子力委員会というものは一つの権威ある存在であると私は思うのでございまして、この権威ある委員会立場からは、外務省の見解とかあるいは政府の見解とかいうものに対しても、事実に即した立場をおとりになって、国民の前にその原子力委員会としての職責を果たしていただかなければならぬと思うのであります。総理が核兵器は絶対に持ち込みを許さないということを言っておられるから、そういうことは絶対あり得ないと言うならば、これは全く権威も何もないと私は思うのであります。そういう点につきまして、一応政府がそう言っているから、それでそれを信用するほかはないということでありますが、しかし、このポラリス潜水艦はもちろんのこと、ポラリス潜水艦以外のノーテラス型の潜水艦であっても核装備をしているということは、これは世界の常識なんです。外国の諸雑誌、諸専門書のみならず、日本の新聞、雑誌にも、そういうことははっきり書いているのであります。それをことさら、総理が核兵器の持ち込みは許さないということを言っておられるからそれを信用する以外にないというのでは、あまりに私は権威がないと思うのでございます。その点、もう一度はっきりお答えをいただきたいと思います。
  52. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 原子力委員会の権威を非常に高く見ていただきまして、非常にありがたいと思いますが、私の申し上げますのは、そういうような事実と、今、西村先生がおっしゃいましたようなことは、私どもも同じ程度の知識としては持っております。しかし、原子力委員会が独自のルートで外国のそういうことを確かめる道は持っておりません。従って、やはりそういうことは、外務省なら外務省のルートを通じて確かめる以外には方法がございません。それは、内部的にいろいろな疑問を提出することはございましても、公には政府の見解をその通りとるということになりますので、先ほどのようなお答えをしたわけでございます。
  53. 西村関一

    西村(関)委員 先ほど申し上げました「朝日ジャーナル」三月三日号によりますと、「日本学術会議原子力特別委員会は、二月二十日拡大幹事会を開き、原子力委員会原子力潜水艦の安全確認を公式に取り上げ、結果を国民に公表するよう政府へ申し入れることをきめた。来月末には「海洋の放射能汚染について」と題するシンポジウムを開く。」こういうことが書いてございます。  こういう科学者の一連の動きに対しても、政府はもちろん、原子力委員会においても、十分な関心を払っていただかなければならないことは言うまでもないと思うのであります。  一九六一年の十一月二日付のフライト誌によりますと、ポラリス型でない原子力潜水艦も核弾頭付魚雷や爆雷を装備している、その最も代表的なものがサブロックであるということが書いてございます。一例でございます。こういうことは、私が申すまでもなく、十分御承知になっていらっしゃるところだと思います。相当な威力のあるところの、二十キロトンの核弾頭をつけておるところのサブロックが装備されておる。この原子力潜水艦専用の強力なロケット魚雷、敵の潜水艦を目標とするところの魚雷、核弾頭をつけておるところのサブロックが装備されておるということがしるされてございます。なお、核弾頭もつけられるし、高性能爆薬弾頭もつけられるということも書いてございます。  こういうようなことに対して、今回入港を希望しておりますところのアメリカ原子力潜水艦がこういうものを絶対につけてないという保証は、ただアメリカの言うことをそのまま信用する以外にないという政府答弁だけにたよって、それだけでこれを入れるという方向に進められていくということは、これは先ほど申し上げたような海水汚染、それから事故の起こった場合の補償という立場から、もしこういうような核兵器が積まれておるということであるならば、非常な危険があるということを心配するのであります。原子力委員会は、今の答えでは、全然そういう点についてはノー・タッチということで、ただ安全性の面を重視しなければならぬということだけを言っておられる。そういう原子力潜水艦の核装備の問題は、ことさらにこれを無視していこうという傾向をわれわれとしては感ぜずにおられないのでありまして、その点、統一見解をお出しいただきましたが、原子力委員会としての御見解をもう一度お伺いいたしておきたいと思います。
  54. 兼重寛九郎

    ○兼重説明員 ただいまの御質問の中に、核兵器の問題と汚染の問題と関係があるようなお話でございましたが、私の知識が間違っておりませんければ、核兵器と汚染の問題というのはそれほど直接の関係がないように思います。従って、その限りでは、核兵器を考えていないということは、安全上の問題を大事だといいながら考えておるということではないかと思うのであります。  そこで、核兵器のことを原子力委員会がなぜ独自に調べないのかという意味の御質問は、それは私、先ほどお答えいたしました以上に、どうも私には方法が考えられないのでございます。はなはだ紋切り型の答弁で恐縮でございますけれども、前の答弁でお許しを願いたいと思います。
  55. 西村関一

    西村(関)委員 私の聞いたのは、核兵器の問題が汚染の問題と関係があるということじゃなくて、汚染の問題は、原子力によって運航しておるところの潜水艦であれ、船舶であれ、ありますけれども、やはり特に潜水艦の場合は構造上も無理がありますから、廃棄物等についても、一般船舶において考慮されるのとは違って、そういう危険率が高いという前提に立ちましてそういうことを伺ったのであります。言葉が足りなかったのです。これはもう私が今さら言うまでもないことで、その問題とは別個な問題でありますが、潜水艦の場合は、海水汚染の問題、それから事故の起こった場合の危険性という点から考えて、原子力委員会としては十分に配慮をしてもらわないと困るという点から伺ったのです。これ以上の御答弁を今ここで求めることはできないのですが、その点は非常に遺憾だと思うのです。  きょうの審議の対象になっておりますところの日本原子力船開発事業団法案とは直接の関係がないようでありますけれども、たまたま寄港問題が起こっておりますから、安全保障立場からも関連をして伺っておるわけなんであります。きょうはまだほかに伺いたいこともありますけれども、問題を残しまして、きょうの御答弁は私としては非常に不十分で残念に思いますけれども、なお次回に質問を残しまして、一応これで私の質問を終わります。原子力委員会としても、政府としても、政府あるいは科学技術庁等は一体でありますけれども、この問題についてなお十分な、細心な御留意を払っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を一応終わることにいたします。
  56. 佐々木義武

    佐々木(義)委員長代理 齋藤憲三君。
  57. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 ただいま議題となっております日本原子力船開発事業団法案並びに一般科学技術振興対策の問題につきまして私は質問をいたしたいと思うのでありますが、だいぶ時間もおそくなりましたから、委員長のお取り計らいで、あした第一陣に質問さしていただければ、きょうは保留しておきます。
  58. 佐々木義武

    佐々木(義)委員長代理 次会は明二十八日午前十時理事会、十時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会