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大石(武)
政府委員 私は、去る一月二十八日の夜から二月二日の朝にかけまして、
政府の命により、
北陸豪雪地帯調査団の一員として、
新潟、富山、石川、福井の四県の
雪害の
状態を
調査して参りました。そしてその結果を二月二日に
総理大臣まで
報告書を提出いたしました。その要旨を御
報告申し上げたいと思います。
もちろん、これらの四県は昔からの
豪雪地帯でございますが、ことしは特に二つの
特色の
豪雪があったようでございます。
一つは
例年に倍する大量の雪が降ったということ、しかもこの雪が長期的、連続的な吹雪によりまして、水分を多量に含んだ雪が降ったということが
一つの
特色でございます。もう
一つは、
例年と違いまして、いわゆる
豪雪地帯ではない、あまり雪の多く降らなかった
平野地帯に特に降った、いわゆる
里雪型という特殊な形を示したということが二番目の
特色でございます。従いまして、これらの
地方はいずれも雪に対しましてそれぞれの
準備があり、
経験があり、
心がまえがあるはずでございますが、この
里雪型によりまして、必ずしも十分な
心がまえ、
準備のなかった
地帯にも多量に雪があったということに、今回の混乱なり、
被害が多少多くなったのではなかろうかと
考える次第でございます。
でき得る限りあっちこっち見て参りましたが、たとえば
新潟児の
三条市に参りますと、この
地帯はそれほどの
豪雪地帯ではないそうでありますが、今回は四メートル、五メートルの雪が降りまして、われわれは東
三条駅から
三条駅までの間を徒歩で市内を見て回りました。約一時間半の時間がかかりました。大体通路に積もりました雪は電柱の高さでございまして、われわれは歩くたびに電線をくぐったり、またいだりしなければ歩けない
状態でございました。こういう中ですでにそれまでには五回くらい屋根の雪おろしをしておったという
状態でございます。大体この四つの県のほとんど大部分の
地帯が全部雪に埋もれたということでございます。見た日には
水害とかあるいは
津波のような悲惨な
状態ではございません。もっとも今回の
雪害によりまして、すでに八十人前後のなだれによる
死亡者が出ておるようでございますが、これは
例年に比べまして多数の
被害ではございますが、とにかく
水害とか
津波のような悲惨な
状態は少ないのでございますけれ
ども、この
雪害による
被害というものは実に莫大なものがあるというふうに想像されるわけでございます。一切の
交通がとまりまして、すべての人は何にも、商売どころか
経済状態が一切麻痺するわけでございます。ただしこのような
状態でありますが、幸いなことには電灯が消えずにおったということと、
電話その他の
通信施設が
被害を受けなかったということと、この二つは非常な幸いでございます。従いまして、このような災害が少なかったために、人心の安定を保つには非常に役立ったと
考えておる次第でございます。
それからもう
一つは、全般的に申しますと、食糧その他につきましてもそう問題はございませんようであります。元来は非常な米の生産
地帯でございますが、その主食以外にも生鮮食料品も必ずしもそうひどい不足はなかったようでございます。現にわれわれはでき得る限り野菜その他のものにつきましての値段を聞いて歩きましたが、やはりそうひどい、もちろんある程度の値上がりはございますが、それほどのひどい値上がりもなかったようでございます。たとえば、一例を申し上げますと、金沢市に参りましたところが、県の会合におきましては、県の警察本部長からいろいろと野菜類の値段を示されたわけでございますが、たとえばネギなんかは大体二倍近くに上がっておりますが、その本部長は、これが二倍以上に達しましたならば、断固取り締まります、もし言うことを聞かない場合には、これをひっくりますということをはっきり申しておるような
状態でございまして、こういう食糧の確保、あるいは価格の暴騰ということが押えられました。こういう点につきましても民心の安定をはかる上には非常に役立ったと
考えております。
第二は、鉄道について申し上げたいと思いますが、鉄道が非常な全面的な運休になったわけでございます。これは一昨年、三十五年の暮れから三十六年の正月にかけまして大雪が降りまして、いろいろ列車の立ち往生その他があったのでございますが、この
経験にかんがみまして、でき得る限りこの対策を立てておったようであります。
第一に、
通信施設がやられないようにという配慮のもとに、主要幹線はほとんどこの
通信線を地下に埋没いたしました。このために全線にわたりまして鉄道に関する
通信は確保されておったのでございます。また融雪装置をつくりまして、構内にたまった雪をでき得る限り多く流すとか、あるいは鉄道の切りかえをするポイントが雪にやられないように、ポイント・ヒーターを設備するとか、いろいろ努力しておったようでございます。しかし
通信以外のものにつきましては、やはり限度を越した
豪雪のために相当の
被害があったことはいなめないのでございます。
それからもう
一つの大きなことは、
国鉄では、除雪をできるだけ早期に完全に行ないまして、列車がとまらないように、運休しないようにということを目標にして、いわゆる計画運休というものを立てておったようでございます。つまり雪が降り始めますと、早期に除雪をしなければなりません。ところが、御承知のように、あの
地帯は単線区間が多いのでございます。そしてこの鉄道にフルに汽車が走っているわけでございます。そのダイヤがほとんど一ぱい、一ぱいに組んでございます。従って雪が参りましても、これらの列車が一ぱい走っている
状態ではとうてい除雪は不可能でございます。御承知のように、ラッセル車は大体一時間に四十キロくらい走るようでございますが、ロータリー車になりますと、せいぜい五キロくらいであり、ことにキマロキというロータリー車にマックレーというものを連結したものを走らせますと、三キロくらいしか一時間に走れない
状態でございますから、列車が線路を走っている場合には、単線区間でありますから、とうてい除雪は不可能でございます。従って、吹雪が来て雪がたまるというおそれのある場合には、早期に計画運休をいたしまして、列車をとめて除雪一本で努力しようという計画を立てておったようでございますが、残念ながらこのたびの降雪が異常な大量であり、異常な速度で参りましたために、必ずしも計画運休が全面的には実施できませんで、除雪作業がおくれたようでございます。このために今回のような大きな運休になったと思うのでございます。
ただ、幸いなことには、雪による
被害を予想しまして、長距離間の列車を早くとめたということが非常によかったと思います。その結果、二年前には一万三千人の旅客を雪の中に閉じ込めてしまったわけでございますが、今回は千三百人だけの旅客で済んだということになっておるわけでございます。
その他いろいろこれから御
報告申し上げますが、こういうものはどのような
被害がありましても、根本的な対策は、まず第一に何と申しましても除雪でございます。雪を取り除かなければすべての経済活動はできませんので除雪に全力を注いでいる
状態でございます。幸いに自衛隊の協力がございまして、だいぶ除雪は進んでおるようでございます。
国鉄ではすでに前から協力会というものを組織いたしまして、沿線住民の協力を求めることにしております。日常これらの住民の方々のお世話を申し上げ、一朝雪が積もりました場合には、除雪のために協力をしていただくという協力会をつくっておりました。その結果、その協力による除雪労働力が相当集まりして、除雪にいろいろ協力をしてもらっておるわけでございますが、それだけではとうてい不十分でございまして、その他いろいろ各鉄道の
関係から職員なりすべてが応援に参ったようでございますが、それでも必ずしも十分ではございませんでした。そこで自衛隊の協力を仰ぎまして、現在では金沢、
新潟両鉄道管理局におきましては、約一万人の自衛隊に除雪作業に協力をしていただいて、非常に作業が進んでおるようでございますが、一日も早くこれを除雪することが何よりの問題と
考えている次第でございます。
この除雪は大事でございますが、今度の場合に痛感いたしましたことは、今後もこのような
豪雪がある場合には、どうしても汽車がとまらないように除雪しなければなりませんが、そのためには何と申しましても第一番にこれらの主要幹線を複線化することが肝要であろうと
考えております。ことに日本のように、線路に一ぱい、一ぱいにダイヤを組んでおりますから、どうしても除雪をするためには汽車をとめなければならぬ。でありますから、複線であれば、片一方の線路は汽車を走らせながら片一方の線路を除雪することができるというような非常に好都合に参りまして、汽車はそうとまることがなくても済むようになるのじゃないかと思う次第でございます。これはどうしても
国鉄のいろいろな予算面もございますが、できるだけ全力をあげて重点的にこれらの
豪雪地帯の複線化をはかることが肝要ではなかろうかと
考えております。もちろんその他にも除雪に関するいろいろな設備が必要でございます。たとえばいろいろなラッセル車とかマックレー、ロータリーのような除雪車も、必ずしも十分とは申されませんが、相当の
準備をして手配をしておったのでございますが、これらもその使用には限度がございまして、全面的にこれらの活動によって除雪するということにはなかなか参らない
状態でございます。というのは、御承知のように単線であります。市街地を通る場合もたくさんございますし、その線路の付近にいろいろな施設がございます。こういうわけで、これらの機械をフルに運転しますと、
国鉄に関する施設とか民間に対していろいろな障害を与えることも出て参るわけでございます。現に私たちが参りましたときは、福井県の今庄という有名な
豪雪地帯でございますが、今庄付近をロータリー単が走って除雪しておりました際に、雪が急に飛びまして、付近にあった民家のガラス戸をこわしまして、ちょうどふろに入っておったそこの六十才のおやじさんに大けがを与えて、一月の重傷を負わしたというような事件も起こっておるような
状態でございまして、必ずしも機械力だけにたよるわけには参りませんので、どうしても現在は人の力が一番中心になっておるわけでございます。こういうわけで、今後はこれらを複線化して、これに合うところのいろいろな除雪車であるとかシャベルローダーであるとかを増設して、機械化を促進することが大事ではなかろうかと
考えるわけございます。
それから先ほど申しましたように、ポイント・ヒーターというので、電気的に熱を加えて、ポイントの雪を溶かす設備でございますが、これも現在では相当役に立っておるわけでありますが、やはりある程度の限度を越した雪を溶かすにはまだまだ不十分でございますから、こういうものにも改良を加えていく必要があるのじゃなかろうかと思う次第でございます。ただ、除雪作業というものは皆さん御存じかと思いますが、大した労力が要ります。たとえば福井県の操車場の問題でございますが、操車場というのは、御承知のように、貨車や客車を待たしておいたり引き込んだりするようなところでございますが、そこは大体広さが三十六万平方メートルあるのでございますから、四十町歩でございます。この四十町歩の
地帯に三メートルから四メートルの雪がびっしり降り積もりました場合には、これを除雪するには大した労力がかかります。ここで使えるのは、その引込線から客車なり貨車の待っているところに参る線だけをラッセル車で除雪する以外に
方法はございません。
あとはすべて人の力でございます。そうしますと、これらのものをみんな労働者がスコップを持って雪を貨車に積み上げ、貨車が一ぱいになりますとそれを捨てに参りますが、雪を捨てる場所もなかなかございません。大きな川以外には雪を捨てるところがないのであります。たとえばたんぼなんかも雪を捨てるにはけっこうでございますが、これは私の
経験ではございませんが、河野災害対策本部長の話によりますと、ある
地帯では、たんぼに雪を捨てようとしたところが、雪を捨ててもらっては困る。それならば補償を出してもらいたい。雪がたんぼに残ると来年の作柄に影響もするであろう、それじゃ困るから、補償でも出さない限り雪を捨てるのは許可しないという場所もあったという
報告がありました。そのようなことで、どこにも雪を捨てるというわけにも参りません。大きな川のところに参りまして、そこでまたみんでスコップを持って人夫が雪を捨てる。からにして戻って参る。これで初めて貨車一両の除雪ができるのでございますから、たとえば福井の操車場の四十町歩の雪の除雪をするだけでも、おそらく何千回か何万回か貨車が動かなければ除雪ができない。実にこれは非能率なことでございますが、現在これ以外に道がないようでございます。そういうわけで、除雪ということには非常に困難をきわめているようでございます。
次に、道路でございますが、道路も全部埋没しております。その後みんなが懸命になって、自衛隊あるいは
地方の人が全部協力して除雪に努めておりますが、なかなか開通がむずかしいようでございます。ことに日本の道路は幅が狭く、しかも舗装道路でない部分が非常に多いので、この点機械力を使って除雪することが非常に困難のようであります。また一面ようやく雪を切り開いて一車線を確保いたしましても、今度は
交通の規制が十分に行なわれませんと、非常に困難を起こすのでございます。ここにおられる和田
委員は、この
地方を
調査に来られましたが、その話によりますと、前の日われわれが金沢でお会いをいたしまして、その後細田吉藏
委員が、あるいは大野市郎代議士が金沢から福井に向かわれましたが、雪上車、トラックを使って、ジープを使って向かわれました。汽車で参りますと、金沢から福井まで一時間余りでありますが、同君は午後四時に金沢を出発して、翌日の朝の午前六時半に福井に着かれたようであります。実に十四、五時間の時間をかけられたようでございます。これが当時の二月初めの国道八号線の通行
状態でございます。従ってこのような場合には、もちろん機械力を十分に投入して、一日も早く開通をはかることが必要でございますが、同時にまた道路の管理者と警察とが協力をして、強力な
交通規制を行なうのでなければ、なかなか正常な
交通を確保することは困難と
考えておる次第であります。やはり鉄道と同じように、早急にこれらの主要幹線道路につきましては、幅を広げることと舗装を行なうことが何より大事な問題ではなかろうかと
考えておる次第でございます。
先ほど
委員長の
お話が大体鉄道と運輸
関係についての
お話でございましたから、大体運輸
関係を中心にいたしまして、
あとは簡単にそれ以外の問題についても触れて参りたいと思いますが、民生安定は、前にも申しましたように、ある程度の安定をいたしておりますが、やはりあちらこちらでいろいろな問題が起こっておりますので、これらに対しましては応急措置が必要でございます。特に災害救助法が発動されておりますが、その適用
範囲を
実情に応じて拡大する必要もございますし、その他いろいろな、たとえば除雪に対する老人婦女世帯や保護世帯に対する補助であるとか、いろいろな問題が起こって参ると思います。ただここで一番大きな問題を起こしておりますのは、都会地の屎尿の処理の問題でございます。水洗便所というのはほとんどできておりませんので、どの町に参りましても屎尿の処理に非常に困り切っております。雪が一ぱい積もっておりますから、屎尿を運搬する車が参りません。また参りましても、雪がたくさん積もっておるために、くみ取り口をあけるわけに参りません。そういうわけで、ほとんどの家庭では屎尿がはんらんいたしまして悲鳴をあげておる
状態でございます。金沢県庁に参りまして話を聞いてみますと、県庁の職員は、もちろん災害対策のために早く県庁に来るそうでございますが、その
一つの目的には、
自分の家でできるだけ用便をがまんをして、県庁の水洗便所を利用するために急いで飛んでくるという笑い話のようなことが実際に起こっておりまして、こういう問題は、方策はむずかしいのでございましょうが、とにかく早急に解決しなければならぬと思う次第でございます。
それからどうしてもやはり問題になりますのは、中小企業の問題であります。先ほど申し上げましたように、一切の
交通がとまり、すべての経済活動がストップいたしますから、どうしても中小企業が非常に大きな損害を受けるわけであります。これを打開するには、何といってもまず
交通の確保でございますが、それにしても、たとえば原料の搬入であるとか、製品の搬出であるとか、あるいは労働者の通勤であるとかいろいろな問題が出て参ります。こういうものに対しては国が中心になって十分にめんどうを見てあげることが当然だと思います。現地に参りますと、厚生省なり国税局なり財務局なり日本銀行なりその他の金融
機関が集まって、それぞれその対策に協力をしておるようであります。従ってそれぞれの金融
機関がつなぎ資金等を十分に出しておるようでございますから、今直ちに経済的に困るという問題もあまり多くはないようでございますが、近いうちに
政府としてめんどうを見なければならぬことは当然でございます。その点は十分にこれをいたさなければならぬと
考えております。
それから農林
関係につきましてもいろいろな
被害があったとは
考えられますが、その実態はまだわかっておりません。たとえば山の苗木がみんなやられてしまったという
報告もございますが、実際に雪を掘ってみなければどれだけやられてどれだけ助かるかわかりませんし、また果樹園芸が相当盛んにやられておりますけれ
ども、果樹に対してどれほどの
被害があったかということは、ある程度の融雪期にならなければはっきりわかりません。そういうことで今もっぱら
調査を進めておる段階でございます。ただし現実に
考えられますことは、たとえば開拓地などにおります人たちは、ことに今酪農を中心に発達しておりますが、この雪によって
交通がとまりましたので、しぼった乳を運ぶことができない
状態でございます。そうしますと、一升や二升ならばいつでも
自分の家で消費できますが、大量の牛乳になると、腐らせるよりほかにございません。こういうところに十分な救助をすることが必要なのではなかろうかと
考えられるわけでございます。
以上ごちゃごちゃ申し上げましたが、ここで
考えましたのは自衛隊の活動でございます。実際自衛隊員は非常によく働き、現地の労働力の四倍から五倍の能率を上げておるということでありまして、みんなから非常に感謝されておる現状でございます。ただこれについて
考えなければならぬことは、たとえば
国鉄の除雪人夫、その費用は男が五百八十円、女は四百八十円ときまっておりますが、それ以外の除雪人夫を雇うといたしますと、とうていそのような費用では出て参らないようでございます。千円、千五百円、二千円、二千五百円という法外な値段にまで上がっておるようであります。一番大事な生鮮食料品の価格が倍にも上がらないにもかかわらず、除雪人夫の賃金だけは何倍にも上がっておる、
地方によって必ずしも同じではございませんが、こういうのが実態でございます。こういうことを
考えますと、もう少しこれらに規制を加えなければなりませんし、またそのような実態がよそにありますと、やはり自衛隊員の士気にも悪影響を与えることがありはしないかということを心配するわけでございます。そういうわけで、自衛隊員にはこのような非常時には絶対働いてもらわなければなりませんけれ
ども、その運用を誤らないことが大事だと思います。非常に多数の方々の非常時には当然自衛隊が出動してくるのでありますが、その出動する
範囲もある限度に限って、これを乱用してはならないと思います。たとえばどの町の除雪にも、道路の除雪にも自衛隊を出してほしいという要請がありますけれ
ども、はたしてこれが妥当であるかどうかということは十分に
考えなければならぬと思います。
自分らの地域の
仕事はまず
自分らが中心でやるのだという自覚と努力が必要ではなかろうか、何でもかんでも自衛隊員を利用するということは、自衛隊の本来の使命にも反しますので、この点はやはり十分に検討して、あり方を
考える必要があるのではなかろうかと思う次第であります。
なお、たとえば先ほど申しましたように、これら自衛隊員の努力に対してそれぞれみんなが暖かいおもちをつくってあげるとか、ふろに入れてあげるとか、いろいろめんどうを見てあげておるようでありますが、片一方では、二千円、三千円の一日の人夫賃をかせぐ者がある。そしてその能率が四分の一、五分の一ということになりますと、やはり自衛隊の士気にも影響すると思います。そういうことで、これらに対してある程度の規制をすることが必要ではなかろうかと思いますが、その規制は現地でやらないで、一括して防衛庁そのもので全面的に
考える必要があるのではなかろうかと思います。
それから
新潟へ参りましたところが、
新潟の気象台におきましては、この裏日本の雪はどのようなメカニズムによって雪が降るのであろうか、どのようなあり方によってこのように降るのであろうかということを研究して、ちょうど実験をしたそうでありますが、その実験によりますと、今までとは違って、簡単なあり方で雪が降るようではないという見通しでございます。ある程度の雪のあり方についての
一つの手がかりを得たという
報告をもらいました。従いまして、今後はこのような気象上の研究を進めることが一番大事な問題ではなかろうかと思います。一体どのような気候でどのような雪が降るのであろうか、どのような
地帯に雪が多く降るのであろうかということを予報的に確実に知るということが
雪害対策には一番大事な点ではないかと思いますが。そのような手がかりを得たということでありますので、ぜひともこの研究を進める必要があると
考える次第であります。
以上
雪害の
状態を御
報告申し上げます。
もう
一つは、これらの
豪雪地帯の
交通機関の状況につきまして、二月五日、きのうの夕刻までの
交通状況を御
報告申し上げます。
国鉄関係でございますが、一月十二日以降二月五日まで、延べ約四十七万人の除雪人夫を動員しておりますが、そのうち自衛隊員は五万二千人であります。このうち本線の切り広げ作業を主体に除雪に努力した結果、現在北陸本線、信越本線、上越線は全部全線開通しておりますが、支線七線はまだ不通となっております。
二月五日現在、除雪車九十両、自衛隊員約一万人を含む三万五千人を動員して除雪作業を続けております。
幹線は一応全線開通いたしましたが、除雪車が多数稼働しており、また、操車場の機能も完全に回復しておらないため、
雪害地
方面の列車の回復状況は約二〇%程度にとどまっておるのでありまして、このため列車の運転状況は緊急物資の輸送とローカル列車の運転が可能になった程度でありまして、長距離列車の運転は行なっておりません。
今後の輸送対策といたしましては、さらに自衛隊の増援を要請いたしておりますが、この応援を得て、八日以後は平常時の六割の輸送力を確保し、さらに二十日を目途に平常運転に戻すべく全力を尽くす所存であります。この六割の輸送力の運営につきましては、災害地の生鮮食料品等緊急物資の輸送を従来通り優先することはもちろんでありすが、その他工業原材料等の輸送も重点的に行なう方針であり、このため旅客輸送力の回復が相当おくれることはやむを得ないものと
考えております。
次に私鉄の状況でございますが、一月十二日以降二月五日までに延べ約十万人の除雪作業員を動員し、除雪に努めましたが、二月五日現在、なお
新潟、北陸
地方の被災会社九社の営業キロ五百九十八・六キロのうち約二百五十三・九キロが不通となっております。現在九千百三十二人を動員して除雪作業を続けており、さらに要請した自衛隊員百名はすでに到着しましたが、さらに自衛隊の増援を要請するほか、
国鉄より除雪車を借り入れる等、その開通に努力しております。
第三に自動車輸送の状況について御説明申し上げますと、二月五日現在の
新潟、北陸
地方のバス運送事業の運行休止キロは、営業キロに対して八〇・二%となっております。トラック運送事業は
新潟、福井、金沢、富山各市内と国道七号線、同八号線の一部などが一応運行可能となり、ローカル線は部分的に運行可能という状況になっております。
自動車
関係の運行状況は以上の通りでありますが、これらはいずれも道路の開通に伴って漸次好転して参るものと
考えております。
以上の応急対策のほか、なだれ、融雪洪水対策は目下
準備中でございますが、さらに今後気象、鉄道に対する恒久対策も検討していきたいと
考えておる次第であります。
以上御
報告を終わります。
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