○光村甚助君(続) 民主主義というのは、人だけに守らして自分は守らないのが一番いけないのです。これは
社会党も全国の有権者の一千万以上の人の支持があるのです。ただ多数を取ったら一方的にどんどん
議事を進めるということが、はたしてこれは民主主義の原則かどうか。やはり一千万以上の有権者のバックがある
社会党の言い分も少しでも聞いて、法案に取り入れて、仲よく
議事を進めていくというのが、民主主義の原則でなければならないはずです。(
拍手)そういう面から考えますと、ここ四、五日来の
国会のとっている
態度というものは、私は民主主義であるとは思っておりません。人間には大体二色がある。ちょっと会ったときにいい印象を与える男、そういうのは、虫も殺さぬような顔をしているけれ
ども、実際の心の中では非常に悪いやつがいる。しかし、顔つきは悪くても、つき合ってみてなかなかりっぱな人間がいる。こういうようなのは、私のようなのが後段に属する人間です。その点、重政さんもなかなかこれはいい男とは言えません。一見して、さっきからお話があるように、なかなかとっつきにくいような顔をしております。私は、若いころ、「愚兄賢弟」というような小説を読みました。重政さんの弟さんが農林大臣になられたとき、同じように東大を出た兄さんが大臣にも何にもならずに、弟さんだけなられたのじゃ非常にお気の毒だな
あと、個人的には、こう思っておりました。ところが、幸い副
議長になられたので、まあ愚兄と言われずに、賢兄賢弟と言われて非常にけっこうだと、心の中では非常に喜んでおりました。
しかし、荒木文部大臣は、最近、道徳教育とか、あるいは礼儀作法というようなものを
国民の中に教えなければいけないということをよく説いておられます。しかし、最近の
議会の中はどうか。私は五十にして三十一年の
選挙に当選しました。そのときには、自民党の
諸君にも、古い人には廊下で会っても頭を下げる。その後三十四年に出てきた人にも、今度出てきた人にも、やはり相当の年輩の人には敬意を表しております。しかし、何ですか、最近は。当選してきて間もなく、
国会ルールもわからずに、ただ単に、ごうごうとヤジっておればそれでいいというようなことが、はたして民主主義を守る人間かどうか。私は、自民党の中にもたくさん知り合いがある。あそこにおられる
佐野さんとは外国にも行きました。
国会でこういう点では議論をしても、外に出れば、やはりこれは一人の友人なんです。そういうつき合いがあってこそ、やはり
国会の
運営もうまくいくし、道徳教育という面もうまくいくはずなんです。ただここへ出てきて、何にもわからぬのが、
予算委員会あたりへ出てきてヤジってばかりいるというのでは、これは
国会議員の資格はないと思う。少しは礼儀というものをわきまえ、先輩に対しては礼儀を持たなければ、口先で民主主義を言ったって何にもならないと私は思う。(
拍手)
重政さんも広島県の出身だと聞いております。あそこにおられる宮澤さんも広島県の人、池田総理も広島県の人です。私のほうの
藤田進さん、あるいは松本さんも広島県の人で、まことにりっぱな人ばかりだ。一昨日の
予算委員会で傍聴席で聞いておりますと、学生がたくさん来ている。どういうことを言っているか。きのうの新聞を見ると、自民党と
社会党とは仲よくいって法案が通るということを聞いていたのだが、実際ここへ来てみると、池田さんは知らない知らないということをおっしゃっているのだが、一体どっちがほんとうなんだろう。総理大臣は、うそをつかれるのだろうか。
社会党が言うのがうそなんだろうか。こういう疑問を子供は持っているのです。一国の総理大臣である人が、人づくりをすると言いながら、実際上聞いたものを聞かないといって押し通して、はたしてこれで私は通るかどうかということを、非常に残念に思っております。私
どもも、もちろん、さっきから言いましたように、牛歩戦術なんというのがいいとは思っていません。しかし、多数党の横暴に対する少数者のささやかな抵抗だと私は思っている。そういう点で、今後の
議事を円満に進めていかなければなりません。重政さんは、われわれも要覧を見なければその人のおい立ちもわかりません。東大を出て、開墾課長とかあるいは農地事務局長というのをしておられます。この人は技術屋でしょうから、五十七才でやめられておりますが、それまで次官にもなっておられません。こういう点も、技術者に対する今の
政府のやり方の軽視だと私は思っております。
そういう面で、先ほどから再々問題になっていますように、やはり副
議長というものは野党第一党に渡すのが、いわゆる
国会正常化の要因だと思っているのです。それが
衆議院でも行なわれておったし、
参議院でも行なわれておりました。松本治一郎先生も副
議長をしておられました。この間、松野さんの弔辞で、あの訥々として読んでおられた松本先生は、
社会党の人なんです。三木治朗先生も
社会党の人でしたが、この人に
社会党から相当
要求を持っていっても、私は
社会党の副
議長ではありません。こういうことを言って、非常に
評判がよかったのです。ところが、一党が独占している……
参議院の前身であるところのいわゆる貴族院というものがあった。最近、
国民の中には、
参議院のあり方に非常に疑問を持っている。いわゆる政党に
参議院が属しているなら、その必要もないと言っている。また
衆議院のやることを復唱しているのだったら
参議院の必要はないと言っている。これはどういうことか。いわゆる
参議院議員が、政務次官、大臣になりたいために、
政府にこびるから、そういうことになってくる。戦前はいわゆる貴族院に研究会というものがあった。
議長の徳川さんだとか、あるいは、そこにいる松平君のおじさんの松平さん、近衛さんだとか、りっぱな
議長さんもおられました。
政府の圧力に屈しておられません。いわゆる
参議院から政務官、次官や大臣を出さないという規定を作ったならば、是は是として、非は非として、
政府に屈従しない、りっぱに私は
国民の負託にこたえることができると信じています。そういう面で、私たちは、今後ともやはり
参議院のあり方というものについては、
社会党だけではなく、自民党ともやはり相携えて、いわゆる
参議院の
二院制度のあり方を研究しなければ、いつかは
国民に飽かれる時代がくることを私は悲しみに思っております。そういう点から、重政さんという人が副
議長として適任であるかどうかということを、北村君にお聞きしたい。
先ほどから申しましたように、農林省出身だといわれているこの人は、
選挙のときに、いわゆる農林省から金を取ってきてやるから、おれに
投票してくれと、それでなければ、お前の村には金はやらぬぞということを言われたということを聞いているが、実際こういうことがあり得るのかどうか。北村君は、農林省の出身なのでお聞きしたい。
また、もう一つは、先ほど申しましたように、ほんとうにこの人が
参議院の副
議長として適任か。開墾課長というようなものをしておられました。日本では、まだまだ開墾されない部分がたくさんある。開墾課長の時代に一体何をやっておられたか。岡山県の農地事務局長もしておられる。また
議員になってからは農林水産委員もやっておられましたが、はたして公正にやっておられたかどうか。こういう点をお聞きいたしまして、私の
質問を終わりたいと思います。(
拍手)
〔北村暢君
登壇、
拍手〕