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1962-12-19 第42回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月十九日(水曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————   委員異動  十二月十九日   辞任      補欠選任    高橋  衛君  藤野 繁雄君    青木 一男君  熊谷太三郎君    堀  末治君  塩見 俊二君    林屋亀次郎君  井川 伊平君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐野  廣君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            永末 英一君    委員            井川 伊平君            太田 正孝君            川野 三暁君            熊谷太三郎君            塩見 俊二君            津島 壽一君            長谷川 仁君            日高 広為君            藤野 繁雄君            森部 隆輔君            佐野 芳雄君            野々山一三君            野溝  勝君            原島 宏治君            鈴木 市藏君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君   政府委員    内閣総理大臣官    房審議室長   江守堅太郎君    大蔵政務次官  竹内 俊吉君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省銀行局長 大月  高君    農林省農地局長 任田 新治君    林野庁長官   吉村 清英君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員     通商産業省鉱     山局石油課長 成田 寿治君   参考人    国民金融公庫総    裁       石田  正君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案(第四十回国会内閣提出、第四  十一回国会衆議院送付)(継続案件)   —————————————
  2. 佐野廣

    委員長佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、高橋衛君、青木一男君及び堀末治君が辞任され、補欠として藤野繁雄君、熊谷太三郎君及び塩見俊二君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  3. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(第四十回国会閣法第一三一号)を議題といたします。  この際、お諮りいたします。本案審査のため国民金融公庫役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、前回に引き続き、本案に対する質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほど理事会で、大体大蔵大臣は一時半からだということでございますが、それで一時半、時間がきちゃっておるわけですが、ちょうどだまされたような格好で始めておるわけですが、そういうことはないものと思っております。  そうすると、大蔵大臣がお見えになったら、次の大蔵大臣のほうにすぐ入る、そういうことでいいですか。
  6. 佐野廣

    委員長佐野廣君) よろしゅうございます。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、たいへん悪いですけれども……。あ、見えましたから……。
  8. 野溝勝

    野溝勝君 大臣にお伺いいたします。政府では昭和三十八年度予算についていろいろと検討をされ、新聞には大体の考え方などが出ておるようでございますが、特に現下の経済事情から見て、経済成長率見通しなどに対してはいろいろと意見があるわけです。ところが、政府考えておる成長率は七・二%の維持が可能だという建前に立って編成をされておるやに聞いておるのでございますが、この考えに対し大臣の一応所見をお伺いしたいと思います。
  9. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御承知のとおり、池田倍増政策は十カ年平均して七・二%の経済成長率を見ておるわけでございます。当初、初年度及び次年度に対しては九・二%という数字でございますが、御承知のとおり、昨年度、一昨年度政府経済見通しよりもはるかに大きくて、一昨年度は一三・二%、昨年度は一四%実質というふうに伸びておるわけでありまして、現在の段階で考えますと、経済企画庁試算をいたしましたとおり、今年度名目六%、実質四・五%という数字が明らかにされておるわけであります。今年度実質的に見ますと四・五%よりも高い成長率になるのではないかと思っておりますが、来年度は何%というようなことを申し上げられるような状態にはなっておりませんが、いずれにしても、今年度経済企画庁試算をしておるよりも高い実質成長を遂げるであろうという考え方に立っておるのであります。
  10. 野溝勝

    野溝勝君 私、すわっていてお尋ねしますから、大臣もそのままで御答弁下さってけっこうです。  実質成長率見通しですけれども、今年度はそういう四・五%ですが、現在の産業界予想外の不振やら、あるいは国際収支現状から見、あるいは国内における金融状態などから、また貿易その他為替等自由化等から見て、本年度あなたらが考えているような経済成長増の展望は、消費事情のウエートを高く評価して、深い根拠がないと思うが、どうですか。
  11. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほど申し上げましたとおり、今年度経済企画庁試算数字でいいますと、実質四・五%と出ておりますが、まあ不況感もあり、いろいろな経済状態を見ますときに、四・五%実質上がらないのではないかという議論も一部にあることは承知をいたしておりますが、九月法人決算等を見ましたり、いろいろなデータによって計算をしますと、四・五%実費を下回るというふうには考えておらないわけでございます。
  12. 野溝勝

    野溝勝君 実質成長見込みは四・五%ということを御指摘になっております。その理由として、日本産業界決算状態から見てさようなことが可能だというお話でございますけれども、決算状態は相当無理をされておるやに承っておる。たとえば自然増収二千五百億ないし三千億などの見込みなども、なかなか容易でなく、これは納税事情から見て無理している。しかし、当局としては、その自然増収を無理にも多く見込んで、三十八年度予算の財源に充てるために、税捕捉中小企業など相当痛手をこうむっておる。政府景気継承数字を作るため、あるいは次の再生産なり今後の金融梗塞状態を緩和する方法論として、数字を勝手にデッチあげ、経済成長率を呼号しているが、実際は不安そのものであるということがいわれておるのでございます。率直に、大臣、今のような経済事情のもとで、政府、ことに大蔵当局のいわれる自然増収見込み確実性があるのでございますか。真実そんな状態にあるとあなたは思っておられますか。
  13. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 国際収支改善状況も、御承知のとおり、非常に改善達成をせられておるわけであります。その過程において、産業が多少健全化すという状態において萎縮をしておるのではないか、設備投資が非常に激減をしておるような状態から見まして、そのような考え方をお持ちになる方もありますが、御承知のとおり、生産指数横ばい程度を続けておるのでありますし、昨年度実質一四%も伸びておりますので、それに比べると四%というと三分の一以下ということでありますから、比べて考えると、非常に産業が萎靡沈滞しておるような見方も現われておるわけでございますが、実質上から考えて、四・五%以上の経済成長を遂げておるというふうに私たちは見ておるわけであります。  それから、租税収入上から見ますと、上期はおおむね私たち考えたような増収の伸びを示したわけでございますが、九月決算が御承知のとおり相当落ち込んでおりますので、年間を通じて、すでに申し上げておりますように、今年度自然増収は千億、まあこしても千百億程度ではないか、最高限に見ても千二百億をこすというようなことはないだろうというふうな見通しに立っておるわけでございます。昨年度は御承知のとおり三千五百億もあったのでございますが、昨年度状態から考えると、自然増収は二分の一以下に落ちておるというふうに考えられるわけでございすいす。
  14. 野溝勝

    野溝勝君 その点は一つ見通しの問題でございますから、まだ少し時間がたたなければよくわかりませんので、私はその論争の点は後日におきますが、特にこの点をひとつお聞きしておきたいと思います。あなたが検討折衝の衝に当たられました八条国移行の問題ですが、移行すれば、今後国際収支経済相当好影響がくると思うのですか。私は、移行には原則的に賛成であり、当然であると思います。しかし、これが素直に移行するのでなく、日本経済の一方で犠牲を条件としての移行であるならば、考えなければならない。いろいろ流説がある。その間の事情とあなたの気持を伺いたい。もちろん政府の方針ではあるが、主管大臣の見解が本問題を左右すると思う。どう考えられておりますか。
  15. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御承知のとおり、現在日本十四条国にあるわけでございまして、昨年のIMFの総会において、日本が八条国に移行するかしないかはおおむね三十七年半ば以後における対日コンサルテーションできめられるだろうということで、われわれもその事態に対処して参ったわけでございます。九月三十日、御承知のように、八八%の自由化達成をせられたわけであります。その後のフリードマン氏が日本に来られて、対日コンサルテーションによっての答申はおおむね十四条国に残るというような状況にはないというふうに判定をされておるようであります。十四条国に残るか八条国に移行するかは、IMFから勧告を受けてやるのではなく、その国の政府自体が自主的にきめるわけでございます。で、国際収支上の理由為替制限をする理由はない、為替制限をするような状況にないということはIMF考えておるようでありますし、私がこの間日米経済閣僚会議出席をしましたときに、IMF首脳部にも会って参りましたが、日本政府考えておるように、日本十四条国にもうとどまるというような状態にはないということを明らかに言っておりましたし、私たちも、フリードマン氏もそういう報告をしておられるとおり、十四条国から早晩八条国に移行しなければならないであろうということだけは申してきたわけでございます。  しかし、十四条国に残るということが非常に恩典があり、日本のためにいいのだという考え方は、幾らか別な角度から考えられておるようであります。私たちも今つまびらかに検討しておるようなわけでありますが、八条国になるというようなことによって為替制限もできなくなり、貿易自由化も進めなければならないけれども、そのかわりに、IMFにおけるメンバーとしては、各国協力をして、八条国同士協力をしながらその国の通貨の安定、日本においては円貨の安定という問題、交換制の問題、あらゆる意味でプラスになるのだ、お互い共同の責任においてそれらの国々の国際収支改善国際収支の長期安定というために資するのだから、八条国になること自体十四条国に残っておることよりもプラスが多いんです、ということを非常にIMFが強調しておりました。特に日本貿易自由化で困っておる諸外国の対日差別特進の撤廃に関しましては、日本が八条国に移行して門戸を開いておるのだから、各国日本のために対日差別待遇等を早急に撤廃しろという勧告を行なったり、また側面的な応援をするためにも、八条肉になることが非常にいいことなんだと、こういうことをIMF側でも相当強く意見を述べておりましたし、私たちもそれらの問題に対しては十分検討いたしておりますということであります。  ただ、先ほど申し上げましたとおり、自主的に日本政府がいつ八条国に移るかはきめるのでありますから、八条国に移ることによってプラスがどうあるのか、十四条国に残っておることによってマイナスがどうあるのかということを十分検討しながら、八条国に移行はしなければならないと思いますが、その場合のこれからの計画その他を十分考えて参るべきだと考えます。また、八条国移行という問題に対しては、各国も何年かかかって自由化を完成しておるのでありますから、八条国に移行の申し出をすると同時に、すべて残った二一%に対しても自由化を行なわなければならぬし、また為替資本自由化等あらゆるものを直ちに自由化に踏み切らなけりゃならぬというふうには考えておらないのでありしまして、一年後がいいのか、二年後がいいのか、三年間かからなければならぬのかというような問題は十分検討をしつつ八条国に移行態勢を整えていくというのが政府考え方でございます。
  16. 野溝勝

    野溝勝君 私、非常に心配することは、政府では貿易自由化をやった結果の日本経済混乱はどうですか。八条国移行も、名目対等関係となる、日本は有利だといっても、為替の点、市場の点、貿易点等は完全に改められていない。既存事由夫そのままで、国際的の効きである国際機関の決定だからといって、うのみをしいられてくるように思うんです。もちろん国際機関を否定するわけにはいきませんけれども、政府日本外国との不平等関係条件なく一切解決することを先決とする努力をすべきであり、この点は一歩も譲るべきではない。政府当局貿易自由化による苦い経験を反省し、本問題は真剣に考えていただきたいと思うんです。貿易自由化といっても完全にいっておらぬですから、砂糖の問題にしても、果実の問題にしても、さらに米資金から三億ドルも借金をしておる。私は、こういうような日本経済、十七億ドル保有量ができた、以上になった、だから日本現状において八条国に移行していいじゃないか、こういう米英側考え方であるらしいです。しかし、まだ為替レートの問題すら解決をしておらぬのです。今日まだ為替レートが、ドル円レート川場が改変されたということは聞いておりません。こういうような問題についても具体的に大臣折衝し、話されたことがありますか。さらに今後移行する場合に慎重に考えていくというのでありますから、その際大臣はその問題を出す用意があるかどうかということをお伺いしておきたい。
  17. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在米ドル日本円の三百六十円を変えたいという意向を表明したことはございません。これは明らかにいたしておきます。  八条国移行ということについては、先ほども申し上げましたように、八条国移行日本政府自主的判断であります。でありますから、国際的な機関から日本は八条国に移行すべしというような勧告をされるものではありませんということだけは、明らかになっているわけであります。ただ、十四条国に残っていることが世界資本主義国に伍して日本の将来の貿易経済プラスをもたらすか、また八条国に移行するほうが日本産業経済貿易全体に対してプラスになるかということは、これは日本政府が自主的に判断するところであります。でありますから、EEC成長という状態、それからイギリスEECに早晩加盟しなければならないという事実、アメリカEECとどういう関連をとっているか、特にまたアジアにおける主要工業国としての日本アメリカイギリスEECというような四角関係三角関係というような相対的な状態を勘案するときに、日本が八条国に行ったほうがいいのかというような問題は、これから利害得失十分検討しながら、また国会国民各位意見を十分拝聴しながら、日本がこのほうが得であるという認定があるときに八条国移行を決意するわけであります。もちろん、八条国移行になればすべてのものが自由になるという原則は確立せられるわけでありますが、しかし、内容的に見て、すべてのものを八条国に移行と同時に自由化できるものではありません。一次産品に対してはどうするか、資本移動に対してはどういうような制限を設けていくかというような問題は、これは日本政府検討し、しかもそれに対して国際場裏に立っていけるように予算的な国内態勢十分整備をして、もうこの時期になったら自由化をしてもいいというような見込みを立ってから八条国移行をしようというのでありますので、利害得失十分取捨選択をしてこれが期日をきめるというのでありまして、八条国に基本的に移行する、関税引き下げ交渉にも前向きの姿勢で参加していくというような態度をとること自体が、日本産業経済打撃を与えるものだということはありません。
  18. 野溝勝

    野溝勝君 先ほど大臣の答弁された中にもありましたように、やっぱり国際通貨基金の方面からも慫慂を受けておるという、それは事実だと思うんです。そういうように慫慂を受けておるわけでありますから、それは事実なんですから、それを検討するといっても、いつでも引きずられていってしまう。その結果は国内経済混乱貿易自由化はよい例であるわけですから、折衝の場合、既存の不利の条項は御破算とし、対等折衝をしてほしい。日本経済状態が不利になるか有利になるかという検討をするというのですから、その際には具体的な問題をあらゆる角度から十分検討されなければ、簡単にそれをうのみにするわけにいかぬというのが、くどいようですが、私の強い意見です。  そこで、その問題の一つとして為替レートの問題、ドル円の問題を提起したのですが、それに対しては具体的にお答えはないのでございますが、この点について話し合うつもりであるか、そういう用意があるかどうかということを聞いておきたいと思います。
  19. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほどから申し上げておりますように、自由化というのは世界の波でありますし、しかも、日本が要求されてやるのではなく、また八条国に移行することが日本マイナスである場合には八条国に移行しないわけでありますから、しかし十四条国にとどまっておること自体日本鎖国政策をやることであって、国内的にはばかにうまいことをやっておるようであるけれども、より高い視野に立って見る場合には、日本鎖国政策のようなものをやっているためにますます貿易に対しては差別待遇をとられていく、孤立をするというような状態を招いては困りますので、世界の進運というものを十分実情把握をしながら、事実認識を誤らないで、日本が必ずプラスになる、少なくとも一時は混乱をするけれども、一時は非常にたいへんな状態になるかもしれませんが、そういう問題は最小限に合理的に国内政策によってカバーしていけるというような態勢がとれるならば、八条国に移行したほうが総体的に見て日本プラスになるのだという場合にだけ、八条国に踏み切るわけでありますので、まあその問題に対しては諸外国に対等な発言、また日本の正当な発言ができないために十四条国から八条国に移行をやむなくやらせられる、その結果国内産業打撃を受けるということは絶対にしてはならぬし、そういうことは原則的にないというふうに御了解賜っていいと思います。  それから、今の円とドルとの問題については、これはおおむね原則的な考えとしては、日本経済発展を遂げておるのでありますし、先ほども申し上げたとおり、国内産業はだんだんと自由化に対応して国際競争力をつけておるのでありますから、合理化も進んでおるのでありますから、円ドル交換性が三百六十円レートをこわして三百七十円にもなり八十円にもなり四百円にもなるというような方向には絶対にない。いずれにしても、改定をするとすれば三百六十円が三百五十円になり、三百四十円になり、三百円になるという、いわゆる円の価格というものが上がっていくような状態にしなければならぬことは、これは当然であります。これができるかできないかは、外交交渉によってできるのではなく、日本産業経済というものがいかに大きくなり、強くなっていくかということによって円ドル交換性は違ってくるのでありますから、これは一つ外交交渉というのではなく、お互い努力によって日本産業をより合理化していくということで、おのずから解決できる問題だと考えておるわけであります。
  20. 野溝勝

    野溝勝君 大臣、さようなことは折衝上重大な点であると思う。だから、あなたも非常に警戒しいしい発言されておるのですが、対等な国際関係を結ぶならば、すべて外交の問題にしろあるいは経済の問題にしろ、日本を不利にしないという、一歩でも有利にするという考え方なら、為替レート問題は自主日本としては具体的な問題だと思うんです、その問題は。それを政府はこのことに対しては実業界の問題だとかあるいは産業界の問題だとか言うが、それは卑劣であって、政府の識見として努力するなら努力する。今等価を幾らにしろ、二百円あるいは三百円にしろとか、私は具体的に言いませんが、戦後二十年にもなった日本、国際的にも飛躍した日本を、占領下当時のレート三百六十円では、対等な話し合いはできない。戦後のレートを今日も依然と持ち続けている、こんなばかなことはないですよ。だから、日本は米国の従属国だといわれるのです。私はあなたに幾らにしろということは言いません。努力するというぐらいなことは当然政府または大蔵大臣のあなたから聞けると思ったところが、そのことについては言を避けている。その点、ひとつはっきりしてもらいたい。  それから、いま一つ私が申し上げたいのは、これは予算委員会で言ったほうがいいと思うのですが、会期も迫りその機会もないですから、私は特に大蔵大臣に要望しておきますが、これは総理とよく話してもらいたいと思う。日本高度経済成長が一体どういう点で成長したかといえば、いろいろ理由もあるでしょう。あるでしょうが、私は日本生産性の高まったことだと思うのです。それには、第一に農地解放ですね。きょうはあとで議案に出るようですが、国民金融公庫法改正を見ると、旧地主に二十億出すといいますけれども、とにかく農地解放によって生産性が高まったことは見のがせない。第二は軍事予算、今のところでは国防予算となっているが、これがぐっと戦前より低いこと、それから第三が加工貿易だと思うのです。これによって日本高度経済成長ができたと私は信じております。しかるに、この高度経済成長ができたということは、何でも対米一辺倒貿易政策で大きくなったかのような印象を与えておるが、なるほどアメリカとも貿易自由化前は大いにあったかもしれません。しかし、それだけじゃない。今のような理由高度経済成長の基礎をなしたと私は信じている。ところが、高度経済成長でいい気持になって、この調子が長く続くと思って、政府日本重化学工業を盛んに奨励してきた。ところが、貿易自由化以来日本産業経済はデッドロックに乗り上げちゃった。私が述べるのは、たとえば今の八条国移行の問題でもそう簡単にはなかなか日本は有利にならぬと思うのです。そこで、大臣に真剣に総理と話を願いたいのは、そういう事情をよく分析勘案されまして処置してもらわぬと、とんでもない日本経済混乱を起こすと思っております。ですから、そういう点で特に所管大臣にこの点は要望しておきます。あなた、総理とじっくり話をされるように。  で、先ほど申しましたレートの問題について、一言だけ、大臣努力するかどうかということを聞いて、この問題については私は終わりたいと思うのです。
  21. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 為替の問題については、三百六十円が三百円になり、だんだんと日本の円が高く評価をされるように当然努力をすることは、大蔵大臣日銀総裁ともあたりまえのことであります。しかし、これはどうも外交交渉によって三百円対一ドルになるというわけにはいかないので、これは日本産業合理化されていきまして、日本の国力というものがだんだんと強くなってくる、いわゆる外貨の保有量も多くなり、金の保有量も多くなるというようなことで、まあ三十年ばかり前には御承知の一ドル対二円というときもあり、戦争が始まって一ドル対四円になり、一ドル対五円になり、だんだん今日のように一ドル対三百六十円になったわけであります。そういう実情からいいますと、まあ戦前の物価から三百五、六十倍か四百倍ということで、アメリカドルそのものも物価高によって国際価格が下がっておるということを考えれば、非常にむずかしい問題ではありますが、一ドル対三百六十円というのはそう不合理な交換率ではないと思うのです。しかし、日本の力をつけながら、日本円の価値というものが今の三百六十円というよりも三百円になり二百円になるような政策を強くとっていくということに努めなければならないというふうに考えております。
  22. 野溝勝

    野溝勝君 簡単に。私は、くどいようですが、それはアメリカ側から、その点についてあなたのほうでも意見を出したところが、日本意見を出したところが、はねつけられたということを聞いておるのです。ですから、国会でもこの意見が強く出ていることを主張してほしいのです。それだから、あなた方の腰が弱い、日本政府を代表しておるあなたたちの腰が弱い。いつでもわれわれは従属的になっているものですから、その点はしっかりしてもらいたいということを強く要望しておきます。  それから、あと、減税問題であるとか、当面の金融政策の問題であるとか、三十八年予算についていろいろなことをお聞きしたいのでございますけれども、今お呼び出しがあったようでございますから、これはまた後刻に譲って、最後に聞いておきたいことは、総合エネルギーの問題でお伺いしておきます。  一体総合エネルギーで、特に石油、天然ガスの問題ですが、日本の石油原油ですが、昭和三十年八月九日に石油資源開発株式会社法が審議されたとき、私は特に強調したのですが、何としても国内資源の開発、特に国際収支の点から見ても、日本としては資源開発ということは全力をあげてやらなければならないということで賛成したわけです。このときの目的としては、今申したように、資源開発を急速にやる、計画的にやる、それから事業の範囲、石油の採取及びこれに伴う天然ガス、これを事業目的に明記してある。ところが、その後、これは通産省所管でございますが、特に大蔵省と関連がありますから申し上げておきます。その後遅々として進まない。鼻くそほどの予算を計上してやっておる。しかし、計画的にやるというこの法律はどうなっておるのですか。これはむしろ通産大臣の問題ですが、政府のだらしない措置に怒りを感じておる。  特に大臣にお伺いしたいのは石油資源で、石炭も石油もガスも全部これはエネルギーでございますが、国内資源の確保からの主張が少ないことは遺憾に思う。ことに地下資源は非常に有望資源で、石油換算ならば三億トン、天然ガスならば六億トン、専門家の意見によるとそれだけの埋蔵量があるというのです。その採鉱に政府はどれだけの熱意と努力を払っているのか、この点全くあいまいである。予算が、三十八年度予算案でも五億円が計上されるやに聞いていますが、そのくらいの予算ではとてもそれは今の石油資源開発株式会社法に基づく計画的な遂行ということはできない。しかも、大蔵当局が特にその予算上の問題についても文句つけているということも聞いておるのでございますが、こういうことに対して総合エネルギーの問題を考えておる政府といたしましては、特に資源開発である石油原油、天然ガス、これらの問題についてどういうふうに一体考えておるのか、さらに大蔵当局はどういうふうに通産当局とタイアップして地下資源開発をしていこうとするのか、その点をお伺いしておいて、詳細の点は後日に譲りたいと思います。
  23. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 石油、天然ガスの地下資源の開発、探鉱に対しては、政府は熱意を持っておることは御承知のとおりであります。昭和三十年ですか、三十一年ですか、ただいま仰せになりましたとおり、石油資源開発会社法ができました当時、衆議院において与野党間の議員立法ともなすべきものを、商工委員会で成案を得たものを、政府提案として現行法が誕生したことも御承知のとおりでございます。当時の状況としましては、大体石油、ガソリンの使用量等は今のように膨大なものではなかったわけでございますが、五カ年間ないし六カ年間、第二次五カ年計画までにおおむね国産石油百万リッターという目標であの法律は作られたんじゃないかというふうに記憶をいたしております。当時政府及び民間資金合わせて二十五億、五カ年間百二十五億というのが、おおむねあの法律を作った当時の原案として考えられたというふうに記憶しております。  石油資源会社は、御承知のとおり、もう六、七年になるわけでございますが、まる五カ年間で、当時われわれが考えた二十五億ずつ、五カ年間百二十五億円として当時は行なわれました。しかし、この二十五億の中は、おおむね国費をもって充てろという国会考え方に対しては、いささかこの内容は違って、六割程度国費をもって充てておるのであって、他は地方公共団体等の出資によってまかなわれておるというところが、当時の院の考え方とは多少違ってはおりますが、いずれにいたしましても、国産石油八十万リッターに近い探鉱、採掘が行なわれておるというわけでございます。  しかし、国内石油と国際的な価格との間に相当大きな開きがございます。八千円から六千円に下がった現在でも、なお二千円余の開きがあるというところに問題はあるようでありますが、天然ガスという新しい地下資源も開発をせられておるのであります。これが埋蔵量は相当大きくもう発見をせられておりますので、三十八年度以降、これが石油資源開発会社の試掘、探鉱、探査に対してはより一そうの努力を払って参りたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、この石油資源会社の一番初め、五カ年、六カ年前に考えましたのは、試掘、探鉱、探査だけを行なうということであったんですが、その後石油が生まれ、それから天然ガスが採掘をせられるようになりましてからは、これを売油したり、また天然ガスを販売したりすることによって自己資本をまかなって、小さくまとまろうというような方向に二、三年来きておることも事実であります。これらをどこで調整をするかということは、今三十八年度予算の編成の過程において慎重に検討いたしております。
  24. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を起こして。   —————————————
  26. 佐野廣

    委員長佐野廣君) この際、委員異動について御報告いたします。  林屋亀次郎君が辞任、その補欠として井川伊平君が選任せられました。   —————————————
  27. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 質疑を続行願います。
  28. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 速記をとめて。
  29. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  30. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を起こして。
  31. 野溝勝

    野溝勝君 お伺いしますが、先日私が要求しておいた政府委員は来ておらぬようですが……。
  32. 佐野廣

    委員長佐野廣君) それは、原則として、きょう理事会国民金融公庫法をやろうという話だったものですから、それで先生がお見えになったので、急に今招集をかけておりますが、まだ参っておらない、こういう状況です。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  33. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を起こして。
  34. 野溝勝

    野溝勝君 私の要求しておりまする政府委員の方が全部見えませんので、林野庁長官がお見えになっておりますから、簡単にお伺いしたいと思います。  総合エネルギーの問題ですね、電力とか・あるいは石炭とか、ガスとか、石油とかいうようなものは話題に上っておりますが、木炭というものは、あれはエネルギーではないのでございますか。
  35. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) エネルギーのもとだと考えております。
  36. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると、政府の総合エネルギーの問題がたとえば議題に上るときに、そういう意見を林野局のほうからも出されたことがあるのでございますか。
  37. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) いろいろなそういう問題の関係の議論がありますときには、それぞれ御相談がありまして、私どもも御協力をいたしておる次第でございます。
  38. 野溝勝

    野溝勝君 御協力というのもおかしいと思うのですよ、主務官庁が御協力という言葉は。これは取り消していただきたいと思うのですが、どういうことを主張されておりますか。
  39. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 木炭の問題でございますが、すでに御案内のとおり、他の燃料の使用が非常に普及をいたして参っておりまして、主として非常に大きな部分を占めておりました家庭用の採暖用、炊事用の用途が逐次減少をして参りました関係から、需要は急激に減退をいたしております。需要が減退をいたしておりますと同時に、生産量もそれにつれて減退をいたしておりまして、すでに昭和三十二年ごろの二百万トン台を、三十六年度あたりになりますと、百二十万トンというように生産量も減退をいたしました。需要とともに減っております関係から、現在のところでは、との需給の関係からは、私どもとしては特に供給の増加というような面では苦心をいたしておらないのでございますが、私どもが常に最近の情勢から関心を持ちまして対処をいたしております問題は、この製炭の合理化で、製炭の合理化によりまして生産事業の維持、それからまた円滑化をはかっておる次第でございます。
  40. 野溝勝

    野溝勝君 長官も御承知のとおり、木炭生産者というものは、大体専業的のものもあれば、零細農の兼業農家のものも含まれているのですが、この数は現在どのくらいになっておりますか。たとえば専業木炭業者、兼業木炭業者といいますか、生産者はどんなふうになっておりますか。
  41. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 三十五年度の林業センサスの結果を申し上げますと、大体全国で製炭の世帯が約二十二万世帯になるかと思います。そのうち二・八%程度、約六千世帯くらいが専業でございまして、九七・二%、二十一万四千世帯程度が兼業になっておるかと思います。
  42. 野溝勝

    野溝勝君 どうもこの木炭生産者は、今のお話のように、近代的のエネルギーの発展から需要量も生産量も減ってきた。残されたものは非常に哀れな生活様式を送っておるのですが、これらに対しまして他のエネルギーに参加されている生産者と同じように、金融の問題、あるいは住宅の問題、あるいはその他価格等の問題、こういうような問題に対して平均化すべく努力をされたことがあるのでございますか。
  43. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 先ほども申し上げましたように、この木炭の需要はかなり急激な減少をいたしております関係から、むしろこの木炭の生産というものは、木炭の生産を主としている主産地、そういうようなところに重点を置きまして、合理化をして参るという方向に進んでおるのでございます。御指摘のように、この製炭費と申しますか、製炭者の収入の問題、これは確かに非常な私どもも苦心をしておるところでございますが、御案内のとおり、なかなか思うようにいっておらないのでございます。私どもといたしましては、この木炭生産合理化によりまして、この収入も他の事業に均衡的に向上して参るという方向に進めますために、共同製炭という方向に進んでおるのでございます。この共同製炭をいたしますために、この対策を進めますために、共同の機械化設備、たとえて申し上げますと搬送機、これは鉄線運搬の機具でございます。それから切り炭機、それからチェーン・ソウというようなものをセットにいたしまして設置の助成をいたしました。これによって製炭事業の合理化改善をいたしまして、収入の増加をはかりました。これによってかなり向上をして参っている例が出て参っております。また、それと同時に、木炭の価格維持のためには、出荷調整対策を実施しまして、この不需要期の木炭の備蓄と申しますか、出荷の調整をいたしますために、何と申しますか、金利の利子補給をいたすというようなことをいたしておるのでございます。また、これはまだ調査を進めておるところでございますが、この共済事業というようなものを、全国的ではございませんが、県ごとにやっておるところがあるのでございまして、こういった問題につきましても調査を進めまして、さらに合理化をして参りたいというように考えておる次第でございます。
  44. 野溝勝

    野溝勝君 ただいま長官のお話の近代化についても、合理化についても、政府としては非常にそのために助成しておるというのでございますが、まあ助成の内容は、私、先般名古屋における木炭生産業者全国大会に出席いたしましていろいろ聞いたのでございますが、助成にもいろいろあるのでございまして、その助成たるや、ああした零細業者にはそのくらいではとても再建も、あるいは安定した生活などは送れるものではない。先々非常に不安であるのであります。きょうはその助成の内容についてはこまかく聞きません、大体わかっておりますから。しかし、他の業界と十分比較されまして、私は当局に一そうの努力を願いたいと思う。他のエネルギー関係の諸君とは全然違いまして、もっともこのほうにはいわばカンパといいますか、そういう金もなかなかできませんし、そうかといって政治力もないのでございますから、まあいわば大きな声として出ないようでございますけれども、実に気の毒だと思うのです。戦争中などは燃料がなくて、自動車などは木炭車で、しりから、上から、横から、ぷっぷぷっぷ、重油車じゃございませんが、煙を出しながら、唯一の陸上輸送に、大きな役割を果たした。そして木炭業者を大きな功労者としておだてておいて、今日になると斜陽産業だ、お前たちはもう必要ないというような政策を、具体的にとるとは言いませんけれども、実際は、比較するとそういうことになる。これじゃ、私は声なき声といいますか、人民に二様の扱いをしておると思うのですね。この点はひとつ長官、最高のひとつ努力を払って、こういう不安のないように、十分なるひとつ御検討を願いたいと思っています。  それから、最後に、長官からお話しになりました共済事業ですが、これはまだ全国的なものはできておりません、お話のとおり。これ一つくらいは、急いで私は全国的なものにして、この業界の希望を明るくさせるように、これだけは速急にひとつ願いたいと思っています。先ほどのお話の点につきましては抽象的には了承できますが、さらに一段、他のエネルギー関係のほうと比較して、十分ひとつ御努力を願いたい、こう思っております。
  45. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) お言葉の趣旨を十分尊重をいたしまして、私どもも大いに努力をいたして参りたいと考えております。
  46. 野溝勝

    野溝勝君 石油課長にお伺いいたしますが、石油の資源開発の問題ですね。それから同時に天然ガス開発の問題、経営者も、労働者も要望をしておるわけですね。その点について当局はどういうように考え、たとえばその要求した数量なり、あるいは採掘ですね、採鉱関係に対してどういうふうに考えておるか、この際、あなた具体的にやっておるから、お話を聞かせてほしい。
  47. 成田寿治

    説明員(成田寿治君) 国内の石油と天然ガスの開発につきましては、昨年ですか、第二次五カ年計画を作りまして、石油は五年後におきまして百五万キロリッター、天然ガスは二十五億立米——現在十億立米くらいでありますので、五年後には二・五倍にするという計画を作って、その助成促進に努めることになっております。それで、今度国産原油につきましては、それにのっとりました予算要求を財政投融資によって要請をやっておりますし、天然ガスにつきましても、補助金として一般会計の予算をお願いしておるのでございます。  それから現在石油の需給計画を作って、石油業法によりますところの石油供給計画という計画を作って、国産の石油は九十万キロリッター今年度引き取る、精製会社が引き取るように計画を組んで、これは先ほどの第二次五カ年計画のベースよりは若干高い生産量になっておりますが、それだけ掘れるというので、九十万キロリッターの生産計画を需給計画に織り込んで計画の達成を期しておりますが、ただ、先ほども御説明ありましたように、輸入原油よりもキロリッター当たり千円くらい割高であるというところに非常に問題がありまして、この解決については、いろいろ掘るほうの業界、あるいは引き取るほうの精製業界、あるいはいろいろな対策について目下検討をやっております。
  48. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 大蔵大臣がお見えになりましたから……。
  49. 野溝勝

    野溝勝君 お忙しいところを……。エネルギーのうちの石油原油、ガスの分をお伺いするのですが、先ほど大臣がいろいろとお話しになりましたが、大体昭和三十七年から四十一年の五カ年計画を立てて、政府にも要請し、政府もそれを検討された結果、通産省といたしまして、二百二十五億のうち、政府から出される資金は五年間で二十七億、あとは企業努力によって捻出していけ、こういう意見らしいのです。そうすると、先ほど大臣もお話しになり、今石油課長も言われたように、輸入原油との間に採算のとれないことは御指摘のとおりです。そうすると、この計画では、資源開発法に基ずく方針というものは、せっかく政府が計画的にやるといっても、これは困難であり無理だと私は思うのです。特に採鉱関係が一番必要な点は言うまでもないのですが、莫大な費用がかかるのです。こういう点について、大蔵大臣は特に石油並びにガスの生産地帯の出身でもありますので、その点は十分理解をされていると思いますが、こういう点も、先ほどの答弁だけじゃなくて、原油及び天然ガス資源開発についてのお考えをお聞かせ願いたい。  さらに、いま一つ申し上げておきたいことは、こういう状態で今後の国産原油の開発及び天然ガスの開発ができないとすれば、とりあえず価格差補給金の問題をどういうふうに考えておるか、それもあわせて、今後国産原油、ガスの開発の問題について、大蔵当局としてはこの政策に対してどうしようとするかという点を、大蔵大臣からお答え願いたい。
  50. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 先ほど申し上げましたように、国内地下資源の探鉱、探査、開発等に対しては、五年前から石油資源開発法及び北海道地下資源等の会社を作って前向きでやっておることは御承知のとおりであります。来年度は、石油自体に対してはいろいろな問題もありますが、ガス資源ということに対しては、秋田、新潟という方面だけではなくて、関東地方にももっと大きなガス田が予想せられるということも科学的に実証されたようでありますので、これらの問題に対してどういうふうにして探鉱、探査を進めていくかということについても、現在予算編成の過程において検討いたしております。  それから、石油の問題でありますが、御承知の八十万キロリッターぐらい内地で採油されているわけでありますが、これは国際価格と比べても非常に大きな差があるわけであります。これに対して価格差補給金を出すのかという考え方がございますが、これに対して今価格差補給金を出して帝石等国内の石油業者に新しい施策をとらなければならぬというふうには考えておりません。これは日本で使用する石油のうちで国産石油が占める量というものは非常に小さいということでございます。やはり石油業者に対して価格差補給金を出してその事業を維持していくというよりも、前向きな考え方としては、日本に石油資源、ガス資源が一体どのくらいの埋蔵量があるかということをまず突きとめる探鉱、探査という面に主力を置くべきだ、こういう考え方であります。必ずしも石油資源に対して過去五、六年間、小さくてもペイするように小さくまとまれという考え方が、必ずしも適切であるかどうかという問題に対しては、これは疑問があるのであります。また、現行法を制定された当時、そのような思想によって制定されたわけじゃないので、新しい観点においてこれらの問題を考えて参りたい、こういうことで今予算編成の過程において慎重に、かつ、前向きで検討をいたしておるわけでございます。
  51. 野溝勝

    野溝勝君 大臣も御承知のように、この石油、ガスともに地下資源ですが、なるほど探鉱する場合には、ボーリングする場合には莫大な金が要る。ところが、今のように輸入原油との価格問題で、ソロバンが合わぬ、この状態では手足も出ない、こういうことなんですが、実際日本の業者が海外あるいはアラビアその他の地域に行きまして資源開発をしておるのです。その場合にですね、日本の技術者というものが非常に大きな力を発揮しておると思うのです。ですから、採鉱関係などについてもなるほど政府は投資はするけれども、すぐ原油の内地における生産は上がらぬといたしましても、外国へ行って、海外へ日本の関係業者が行って開発する場合に、日本の技術者というものは大きな役割をしておる。こういう点なども真剣に考えまして、特にやはり国内資源の開発ということは、ちょうど鉄道の赤字になると同じようなものです。赤字だ赤字だといって地方の鉄道を開発しなければ、東海道線初め幹線ばかりでやっていけるかというと、そうはいかぬのと同じだと思うのです。しかも、その赤字が産業の開発となり、民族文化の平等化、高度化となり、そういうようなことになるのだから、政府は当然国内の資源開発というものには全力をあげなければならぬと思っております。そういう点で二百三十何億の五年間の計画で国の予算が二十七億、年五億円というのでございますけれども、あまりにも少な過ぎて、こんな規模ではたしてこんな大きな、大臣の希望に沿えることができるかどうか。また、資源開発株式会社法に基づくその精神に到達するのに具体性がないと思うのです。そういう点は思い切って予算を処置することが必要だ。とりあえず日本の原油、日本の資源を守るということです。それに、今お話しのように、学者、技術者の調査資料によりますと、ただ東北とか北陸というだけでなく、関東全域にわたっても資源は豊富にあるという一つの調査資料が出ておるわけです。そういう点について大臣はむしろ真剣に考えてもらいたい。特に通産省から来るやつを大蔵省でチェックするのでございますから、こういうことをこれから先やられたのでは、資源開発法などはやめたほうがいい、そのくらいに考えておる。この点についてあなたの御見解を聞いてみたいと思うのです。
  52. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 大蔵省は、御承知のように健全財政主義でありますので、削るということも考えておるようでございますが、地下資源に対しては省議の過程においてももっと前向きで検討するようにという私の思想は事務当局に伝えてございます。その一例として、南イタリーが、火山岩地帯において石油はないといっておりましたのが、戦後十五年間で石油輸出国になったという例も説きながら、日本のように資源の乏しい国はイタリーほどの大量の国費を投じて、可及的すみやかに地下資源の探鉱、探査ができるかどうかということは問題としても、こういう例もあるわけでございますから、ペイするかしないかという考えでなく、非常に高い立場から国内資源の探鉱、探査には前向きで調査するようにという考え方を指示をいたしておるわけでございます。特に、御承知のように、金属鉱山の問題がありまして、探鉱、探査の費用が私企業に非常に大きく重荷になっておりますので、これらに対して何らかの処置をしなければならないという問題もありますので、北海道資源開発の問題、石油資源開発の問題、それから金属の鉱山に対する対策等あわせて、積極的にどう対処できるかということを鋭意検討中でございます。
  53. 野溝勝

    野溝勝君 これをもって私の質問を打ち切ります。大臣の熱意ある答弁に対しまして私も大体了承ができるのでございますが、先ほど私がお伺いした問題についてまだはっきりしておらぬ。たとえば国産原油と輸入原油の価格差問題について、たとえばガスについて、全部これら国内の資源開発は困難となる。実際やっていけないのですね。これがアメリカの石油資本のように——アメリカの石油資本なとは、原油販売量五十億ドル、だから精製、販売網などはどんなにもたもたしておってもさしっかえない、こういう考えだと思うのです。その場合、それらと競争をしていく場合に、ここで私が先ほど言ったように、問題は国際通貨基金の問題にしても、あるいはその他の政策の問題にしても、考えてもらいたい。日本政府としてはこの問題に関し、とりあえず価格差補給金というようなものを出して資源開発を容易ならしめる気はないか。名前はどうでもよろしいが、これと太刀打ちできるように政府国内資源の愛護の立場から何とか方針を考えなければいかぬと思うのでありますが、こういう点について大臣はどう考えるか。  それから、ついでに——私はこれで打ち切りということでございますから……。特に経営者も労働者もこぞって要請をしておるわけです。まことに国内資源愛護の情熱のあふれたものだと思います。その諸君の意見としては次の四点を強く要望しております。  「国内石油及び天然ガス資源を積極的に探鉱、開発することの意義は次の四点に要約できる。一、国内石油及び天然ガス資源の開発による生産量の増大に伴なって輸入依存度を減じ外資の節約がなされる。」。この点は非常に私は重大な点だと思う。国際収支の問題を強くうたっております。二、自給度を安定的に高め、国際情勢の万一の変動にも最小限に対応することができる。「三、雇用の維持と探鉱、開発、生産、各技術の保持、育成により、いつでも国家的要請により海外の石油資源の開発に応ずることができる。「四、原油、天然ガス開発は地方産業の振興に寄与し、大都市と地方との間の経済構造の格差の解消に役立つ。」。これは、私は非常に大きな意義を持っておると思うのでございます。これをひとつ、十分御留意になっておると思うのでございますが、御留意願いたいと思います。  先ほどの点だけ、価格差の問題についてだけ伺えば、私はこれで打ち切りたいと思います。
  54. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 現在、石油に対して価格差補給金のようなものを出す考えはございません。しかし、石油に対しては、御承知のとおり、先国会からも石油業法その他国産石油に対する諸般の施策を進めなければならないとい、態勢にありますことは御承知のとおりでありますので、これらの問題もあわせて広範な立場から検討をして参るということでございます。  なお、ただいま……
  55. 野溝勝

    野溝勝君 国産の問題。
  56. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 野溝さん、国産の問題に対しては、いわゆる海外原油というものとの問題も加味しながら、国産石油の保護という大きな立場で、石油業法の制定その他を中心としまして、前向きの姿勢で今検討をしておりますことは御承知のとおりでありますので、政府もそれらの問題とあわせて検討して参りたいという考えでございます。  それから、今述べられた四つの問題は承知をいたしております。特にその第四点目はガスの問題を言っておるわけでありますが、地下資源中ガスという天然資源の活用によって地方産業の進展になり、これが大都市に対する過度集中の排除にもなり、地方分散、工業の発展の基盤をなすものであるということに対しては、十分認識をして対処いたすという考えでおります。
  57. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 大臣、御苦労様でした。
  58. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほどから石田さん長いことお待ちですし、質問を始めようと思ったら、ちょうど大蔵大臣がお見えになって、話が宙ぶらりんになってしまったわけですが、最初に承りたい点は、この出資金二十億ということになっておりますが、一体その出資金を一般会計からやる場合と、財投からやっておられる場合と、二つあると思うわけです。一体その区分というものは、あるいは基準というものは、あるのかないのか。その辺のところを、関係とのお方がいいかわかりませんが、まず最初にお答え願えないでしょうか。
  59. 大月高

    政府委員(大月高君) これは財政のほうの問題になりますので、あとで調査いたしまして、理財局のほうかあるいは主計局のほうからお答え申し上げます。
  60. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 ついでに、そのとき利率を入れて下さい。貸付の場合の金利が幾らか。貸付の場合に、公庫に対して幾らの金利で……。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も理財局あるいは主計局の問題だと思うのですが、そういう点についてはあとで……。  最初に、資料をお願いいたしました国金のほうから資料をいただいておりますが、その資料に基づいて少しお尋ねしたいと思います。  まず第一は、今度の法律では代理貸しは全然やらずに、九十二カ所の、あるいは代理出張所は含むかもしれませんけれども、その辺のところで大体貸付をされる、そういう見通しなんですか。
  62. 大月高

    政府委員(大月高君) とりあえず、新しい制度でございまして、どういう姿になるかわかりませんので、公庫みずからとにかくやりまして、その状況によってまた考えたいということでございます。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 出張所を含むわけですか。
  64. 大月高

    政府委員(大月高君) 国民金融公庫自体機関でございますから、出張所ももちろん含むつもりでございます。
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 「国民金融公庫現状」というのをいただきまして、これを見ておりますと、公庫の支所数は、大体昭和二十四年の六月のときには二十のものが、大体五倍近くにふえておるわけですが、今後大体店舗はどんなふうになるのか。計画というようなものがおありでしたら、承りたいと思います。
  66. 石田正

    参考人(石田正君) 店舗の問題につきましては、私のほうで大蔵省のほうにお願いいたしまして、毎年々々決定をしていただいておるわけでありますが、私のほうといたしましては、特段に何年間にどのくらいのものを作ろうかというような計画はございません。ただ、実際問題といたしまして、いろいろと各地から新しく代理所を設けよというような御要望がございます。大体それと、それから私たちの調べました事情とを勘案いたしまして、それを逐次実現するような方向で考えて参りたい。最近の情勢を申しますると、大体年に三、四カ所程度ずつふえていくということでございます。それは私どもとしましても、多々ますます弁ずるというわけで、また国民金融公庫の仕事がそれだけ各地方に浸潤して参るわけでありますから、けっこうなわけでありますが、ただ、実際に支所を設けます場合に、やはり新しい支所を開設し、新しい人員を配置しなければならないという問題もあろうと存じます。そこで、どの程度が実際的かと申しますと、最近の感じから申しますと、まあ一応お願いいたしておりまして、大体四、五カ所ずつ認められておりますが、それがある程度合っておるのではないか。ことに、何と申しますか、設立当初とは違いまして、だんだんと支所がふえて参りまして、九十二カ所の支所が現在あるわけであります。また、各県も滞りなくいっておる。あとは、さらにその後各地の事情に応じまして、どのくらいふやしていくか。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 すでに二つの支所を持っておるところも多いわけでございます。そういうふうでございますから、非常に急速にやらなければ非常に御不便をかけるというような問題でもないのじゃないか。実は来年度の要求といたしましては、いろいろと御要望のございます中から、八つの支所を選びましてお願いをいたしております。これがどういうことになりますか、近く大蔵省のほうから内示があるだろうと思っておりまして、そうしてまた場所等につきましてもお話があろうかと思いますので、具体的にお話ししてみたい、かように思っておる次第でございます。
  67. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 来年度の要求は八カ所だと。これは難なく決定するということになるわけですか。大体今までの前例からいきますと、あなたがおっしゃったように、大体二つぐらいしかふえていないというのが、あるいは相互関係もあって、四つぐらいふえているかわかりませんが、大よそ半分くらい言うことを聞いてもらえておるわけですか。どうでしょう。
  68. 石田正

    参考人(石田正君) 実はこの八カ所の中には、大都市の要求も含んでおるのであります。これは大阪のようなところ、あるいは東京というようなところにおきましても、地域が広大なものでございまするから、やはりそういうところからいいますと、私のほうの支所の仕事が少し大き過ぎるから、少し分けたほうがいいではないかというものも含んでおりまして、そういうものも含みましてやっておりますが、これは大蔵省のほうで、東京、大阪というところは数カ所の支所があるから、そう急がないでいいではないかというようなお話もあろうかと思います。それからまた、私のほうといたしましては、実は東京、大阪は、仕事の上から申しますると、ふやしたほうが便利でありますが、土地その他の関係から申しまして、なかなか、そう幾つもありましても実際利用できるかどうかというような問題もございますので、八カ所の要求というものの中には、そういうものも含んでおるのだというようなことを御了承いただけたら、大体倍の吹っかけをしているのではないかというようなことでは実はないのでありまして、これは実はこういうところを作りたいのだけれどもどうだろうかという相談をしているという工合に御了承いただきたいと思うわけでございます。
  69. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 総裁の答弁を聞いておりましても、いろんな問題がありますから、私も今のところ、幾つになっているのだということを聞くのも酷な場合もありましょうし、言えない問題もあるかと思いますから、その問題はそれといたしまして、しかし、一つネックの場合はそういう地元の要求があってふやさなくちゃならぬ。片一方では、職員の養成ということも必要な問題であるから、そうたくさんのところに持っていけぬだろう、こういうような答弁があったわけですが、それなら一体、国民金融公庫の職員の——何かそういうような新しいところにおかれて、少なくとも主任ですか、あるいは係の長になって指導される人に対しての養成をされるということも必要かと存じまするので、そういうようなことを何か詳しくやっておいでになりましょうか。
  70. 石田正

    参考人(石田正君) あるいは御質問の趣旨を取り違えましてお答え申し上げるかもしれませんが、そういう場合には、ひとつまた御質問いただくことにお願いいたしまして……。  新しい支所を作ります場合に、この支所の規模等がございますが、地方に支所を設置いたします場合には、私のほうといたしまして、大体二十人くらい人数は最小限度必要ではないかと、こう思うわけであります。それから支所に、二十人の新しい人だけ出しましても、これは動かないことはもちろんでございまして、支所長、次長等役席、これは大体四人になるわけでございますが、大体二人の課長を予定いたしております。それにまた経験を積みました人たちを入れまして、やはり数名の者をどうしてもそこへ新しいところへ派遣しなければならないというふうなことになると思います。それにつきましては、今現在、その表にも出ておりますが、三千人をこす職員がおるわけでございまして、この中には経験のある者もない者もありますけれども、大体支所をやりましてそういうふうなことをやって参りますについて、そういう点から、特に何と申しますか支障が起こるというふうなことは、私は人数の点については必ずしもないと思うのであります。ただ問題は、一般的に国民金融公庫に就職を希望する方が、だんだん総体的に減りつつある。ほかの事情が、たとえば経済状態がこのごろのようによくなって参りますというと、他に就職を求める方が多くて私のほうへ希望をする人が必ずしも人数が、ふえただけふえるという状態にはこれからなかなかなって参らぬのじゃないだろうか。要するに人さえそろえばいいというのじゃなくて、やはり私のほうの仕事をやっていくにふさわしいような資質を持った方に入っていただきたいということになりますというと、一ぺんに人数をふやすというのは、かえって事務を行なう上において支障を来たすおそれがあるのじゃないだろうか、そういう点を心配いたしておるのであります。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  71. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと話をもとへ戻して悪いですけれども、委員長についでに要求は、後日理財局あるいは主計局からの御答弁をいただくということになりましたが、それで私も了承ですが、あわせて、資料として一般会計からこういうところには出資しておる、それから財政投融資からの出資はこういう先に出資しておる、それから今度は受けるほうの側でいうと、一般会計からの出資と財投からと、両方からの出資を受けておるところもあるかと思いますが、そういうようなものに対しての区分と、それから法的に何かその基準というものがあれば、これは一般会計からの出資なんだ、こちらは財投から出資するのだという何か基準のものがあるのかどうか。いや、そうじゃなくて、ざっくばらんにいって、つかみ分けで理財局と主計局が相談して、そのつど都合のいいほうからやっているのだというようなのか、その辺のところがわかるような資料がいただければけっこうなんです。
  72. 佐野廣

    委員長佐野廣君) じゃあ、政府のほうお願いします。
  73. 大月高

    政府委員(大月高君) 今の資料を理財局、主計局に依頼いたしまして、提出するように取り計らいます。
  74. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は国金の焦げつきのことでちょっとお尋ねしたいんですが、ここに資料をいただきまして、件数としては約二千六百、普通貸付のほうですね。それから更生資金の貸付のほうでは相当な数になっておりますが、しかし、これは焦げつきの非常に少ないところだと普通言われておる、ほめてばかりおられるところでも、すっと見まして約十万件の焦げつきになっているわけですが、回収不能になってしまっておるところは、係争中のものの件数とのにらみ合わせなんですが、係争中であったり、解決してしまったけれども、これはほんとうに回収不能になってしまった数字だけをここにあげてあるわけですか。
  75. 石田正

    参考人(石田正君) お手元に出ておりますところの資料でございますが、この中でまず更生資金が一番件数が多いわけでございます。金額も多いわけでございますが、それは御承知のとおりに相当古く、終戦後の引揚げ者の方、戦災者の方とか、そういうお困りの方に対しまして特別の制度として更生資金の制度をやったわけでございます。現在ではこの更生資金の貸付というのは、当初ほど活発に動いておるわけではございません。で、この残高にいたしましても、残高自体がだんだん減少傾向をたどっております、貸付総体といたしまして。ところが回収不能の分でございますが、これは私のほうで特に調査をいたしまして、一件々々調査をいたしましたところが、大体十四億五千五百万というものは、これは取れないだろう、こういうふうな工合に考えておるものでございます。これにつきまして、こういう明らかに取れないだろうと想定されるものを、ずっとこのまま乗っけていくのがいいのかどうかということが、私のほうとしては一つの問題でございまして、この処理につきましては、目下厚生省と大蔵省とお打ち合わせをいたしておる、こういう数字でございます。それから普通貸付のほうは、回収不能分と書いてございますが、不能になるんではないだろうかと心配されておるものがこれだけあるという数字だと御了承願いたいのでございまして、これはその月々で動いておるわけでございまして、たまたまこのところにはことしの九月現在の数字を出しておりますが、これはそのときそのときによりまして相当動くものと、こういうふうに御了承願ったほうがいいのではないだろうか。性質が多少違っておりますということを申し上げたいわけでございます。
  76. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、回収不能の更生資金の点だけの問題について承っておきたいと思いますが、約十四億ですね、十五億と言ってもいいんですが、それだけのものは、あなたのほうの今決算書の中にはどういう形で処理をしているのか……。
  77. 石田正

    参考人(石田正君) 現在決算書の中におきましては、この更生資金を貸し出しするについて政府あるいは県から受け入れました金額を債務のほうに計上いたし、それからしてこのものを含めました更生資金の貸付の残額を債権のほうにあげておって、そうしてこの回収不能と見込まれるものの処理が全然手がついておらないというのが現状でございます。それについて、これをそのまま放置するのではなくして、何らかの措置をすべきではないだろうかということで、厚生省及び大蔵省と目下相談中である、こういう次第でございます。
  78. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 現時点においては、申し込み数は少ないんだというようなお話もあったわけですが、大体年どのくらいの件数のこれについての申し込みがあるのか。私は申し込み受付数よりも、むしろあなたのほうがどうも焦げつきのほうが多くなりそうだから、そこで貸付のほうをむしろ制限されておるんじゃないかと思う。申し込み数に対して貸付件数の比率は、どんなふうになっておりますか。
  79. 石田正

    参考人(石田正君) 率直に申しまして、私たち国民金融公庫当局といたしましては、更生資金の問題は、実はもう大体古い制度であり、相当の役目を果たしたので、実はこの制度はもう廃止するような工合にお願いできないだろうかということを、厚生省に申し上げておるわけであります。それから片方におきましては、そういうふうな問題について大体一通りの役目も済んだのじゃないかというのが一点と、それから問題は、この時分には世帯更生資金というのがなかったわけでございます。この世帯更生資金がその後だんだん発展して参りまして、そのほうが貸す金額も多いし、それから金利も安いということでありますから、むしろ世帯更生資金のほうでおやり願ったほうがいいのではないかとこういう実情でございます。したがって、申し込みのほうも、私のほうに申し込まれても、世帯更生資金のほうでおやりになったほうがいい分は、当然向こうにいく、こういうことがだんだんと趨勢になってきておる次第でございます。  なお、お尋ねの件数でございますが、大体更生資金につきましては、今年の四月から九月までの半年の申し込みの件数は千百六十二件でございます。貸付のほうは三百九件という数字になっております。それで、お話しのとおりに、申し込みに対して貸付のほうがだんだん減ってきておるんじゃないかということ、これはわれわれのほうといたしまして二つのことをいたしております。一つは、先ほど申し上げましたような工合に、世帯更生資金のほうにお回り願ったほうがいいというものは、そちらのほうにできるだけあっせんしてやるのがいいのじゃないかということで処理しておるものがございます。もう一つは、何と申しますか、大体再貸付が多いわけでございますが、その中身を見まして、もう更生資金でなくて普通貸付でも十分おやりになれるのではなかろうかという向きに対しましては、普通貸付にいたしませんかということを申しておるというのが実情でございます。
  80. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 普通貸付のほうは、申し込みがどのくらいあって、どのくらいの率になっておりまか。
  81. 石田正

    参考人(石田正君) 今の同じ期間中におきまして、普通貸付の申し込みは二十三万千四百五十三件、これに対しまして貸付をいたしましたのが十九万八千八百八十件ということになっております。
  82. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 平均幾らぐらいの割合になりましょうか、件数に対しての貸付。貸付総額がわかるからすぐ割れば出てくるわけですが。
  83. 石田正

    参考人(石田正君) これはとる月によりまして、いろいろ数字が違ってくると思います。大体われわれの感じで一件当たりの貸付金額は二十八万円くらいだというふうに感じております。
  84. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 焦げつきのほうの約二千六百件に対しての一億四千六百万は、ちょっと大ざっぱに計算してみたところ多いようですね。平均ベースを上回っておるのですが、何かこれは特別な事情の大きなものがございましょうか。回収不能のたとえば法人ですね、法人二百万とか、そういうような大きいのがあって上回っているのか。普通貸付ですから、小さなほうの金額が多いわけですが、約五十万円になると思うので、ちょっと疑問があるのですが。
  85. 石田正

    参考人(石田正君) 私たち何と申しますか、回収不能につきましては、結局償却を大蔵省にお話し申し上げまして、それで御承認を得て償却をしておるのでありますが、その実感から申しますと、特に大口という感じは持っておりません。今計算をさせましたのでございますが、どうも五十万じゃなくて、五万円平均になるのではないだろうかということでございます。
  86. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほどの御答弁の中に、まあ大蔵省当局折衝して落としてしまうということですね、帳面では。今までに回収不能になって落とされた額というもの、あるいはここに載っておるのは、現時点のそうするとこれは何年から何年の分なのか。それから今まで落としてしまったのは、どのぐらい落とされたのか、件数は別として、総額はどのぐらいございましょうか。
  87. 石田正

    参考人(石田正君) これは実は毎年毎年償却はいたしておるわけでございます。それからその償却するのは、何年の分を何年に償却するということを実はいたしておりません。御承知のとおりに、長期の貸付でございますから、その償却するものについて同じ年のものかということになりますと、そうも参りませんので、その点は的確に申し上げることば不可能だと思います。それから、償却の数字は今調べておりますが、実は私去年の六月から行ったのですが、それまでにはいろいろな数字を比べまして一億を割っておったと思います、年間の償却額が。私、行きまして国民金融公庫は、回収率はほかの金融機関に比べて決して遜色のないいい回収率を示しておるけれども、お客さんは非常にお困りになっておることが多いのではないか、そういうことをいつまでも帳簿に残すということは、事務の点においてもどうかと思うし、それからまた、非常に酷にわたる点もあるのではないだろうか。そこで、私は基準を変えまして、そうしてなるべくほんとうに気の毒と思われる方は償却するというふうな、これはまた償却がやさしいから返さぬでいいという感じでおられるのは困りますけれども、所在不明、あるいはほんとうの生活困窮というものにつきましては、やはり何と申しますか、償却してしかるべきかどうかという疑問の点のあるようなものは、やっぱりある程度償却するということも考えざるを得ないではないかということで、三十六年度においては一億四千万の償却を御承認願いまして、その実行を実はいたした次第でございます。
  88. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、ここに出ている二千五百九十九件、一億四千六百万という数字は、それ以降のものなんでしょうか。
  89. 石田正

    参考人(石田正君) 今申しましたのは、ことしの三月の三十六年度決算としてやっている分が約一億四千万でございますから、この一億四千六百万はその後のものと御了承願ってよろしいかと思います。
  90. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 回収不能でなかなかその……。しかし、それじゃといって、国民金融公庫で貸し出しを渋られても私もいかがかと思う。何でよう取らぬといって責め立てるというような意見もあるかと思いますが、そういうことは別として、係争中のものは、これはどんなようなことで係争中になっておるわけですか、どういうことを具体的にやっておいでになるわけですか。
  91. 石田正

    参考人(石田正君) これは一つは、貸し金の御返済がなくて、そうして私たちから見ますれば、返す資力があると認定いたしまして、これはまあ非常に異例でありまするけれども、支払い命令等をやりまして争っておるというのが一つございます。それからして、また裁判の問題が起こりまして裁判をやっておるというものと、両方二つの種類があるわけでございます。
  92. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 恩給担保の貸付ですね、あるいは今度遺族引揚者の国債担保の貸付なりですね。金が返らなくて、あなたのほうがこういう担保を取ってしまったというのは、今までにどのくらいありますか、件数や額はわかりませんか。
  93. 石田正

    参考人(石田正君) これは、たとえば恩給担保の貸付にいたしますと、恩給はわれわれのほうでまあ担保に取りますけれども、返済期間がくるまでに恩給の支払いがございますと、それを私のほうがちょうだいいたしまして、その権利自身を取ってしまうといいますか、そういうことはいたしておりません。
  94. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、その国債のほうも預かってしまっておって、ある年限までくれば、元本に相当するから、それまで待とうといって、ずっと長期にお預かりになっておれば、いつかは回収ができると、こういう格好でずっと預かっておいでになるわけですか。
  95. 石田正

    参考人(石田正君) これは、多少技術的にわたりますが、恩給のほうは、何と申しますか、大体、二十万円とか二年半とかいうことでやっておりますので、大体二年半たてば済んでしまうものでございます。たとえば引揚者国債になりますと、これは国債が十年になっておるわけでございまして、貸付のほうは五年間の期間でやると。その建前は、国債のほうから入ってくる収入と、それから自分がおかせぎになった収入と、半分々々お返し願いたいという気持で、実は仕事をいたしておるわけです。したがいまして、引揚者国債のほうになって参りますと、これは、たとえば、全部自分のほうで、国債以外のほうの収入でお返し願うということを想定いたしますれば、五年たって半分残ってしまうと。これで、あと五年間かかるというようなことも想定されるわけでございまして、多少、恩給担保貸付と引揚者国債担保貸付とは違っております。しかし、終局的に国債が償還になる段階になりますれば、それはきれいになるのが大体であろうと、かように考えておる次第でございます。
  96. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 ちょっとお伺いしたいのですが、今出ております恩給貸付の場合、代理業務店のほうでは窓口事務を行なって、審査決定は全部公庫のほうでやっておると了承しておるわけですけれども、普通貸付の場合は、一体代理業務店のほうで審査、調査等をどの程度までやって、そして公庫のほうではどの程度の事務的な負担をされておるか、その点。恩給のほうはわかっておりますから、それは関係ございませんから……。
  97. 石田正

    参考人(石田正君) 普通貸付の場合におきましては、代理所との間に契約がございまして、そして大体一つ一つの代理所につきまして、どれだけの金額をそちらのほうでお扱い願いますかということを相談するわけでございます。その範囲内におきましては、代理所のほうで国民金融公庫の業務方法に合いましたところの貸付を実行していただいておるのでありまして、私どものほうは、結果を知らしてもらうだけ。ただ、ときどき間違いが起こるといけませんから、その代理所を管轄しておるところの支所あるいは本部から行って、代理所の仕事振りを、検査というと語弊がありますが、そういうところで調べておる、こういうのが実情でございます。それから、恩給担保の貸付につきましては、これは原則といたしまして、恩給の、何と申しますか、申し込みがございましたらば、大部分申し込みを取り次いでいただいて、そして審査がこちらがいたしまして、そしてやっていくということで仕事を処理しておる次第でございます。
  98. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そういたしますと、恩給担保の貸付の場合と普通貸付の場合の、申し込み代理業務の金融機関の仕事の仕方は逆だと、こういうふうに考えてよろしいわけですか。
  99. 石田正

    参考人(石田正君) 実質的な点から申しますれば、お話のようなことになると思います。
  100. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうしますと、普通貸付の事務量が、貸付金額も多いのですから、非常に多いのですが、この普通貸付に関する限り、公庫のほうの仕事よりも代理業務機関の持っておる仕事のほうが多いと、こう見ていいわけですね。
  101. 石田正

    参考人(石田正君) 代理貸付をお願いいたしておりますところの金額の範囲内におきましては、これは代理所が大体主として仕事をいたしておると、こういうふうに御了解願っていいと思います。
  102. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 大体、普通貸付のほうの場合を見ますと、大蔵省の発表によりますると、普通貸付の申し込みに対する貸付の金額の問題ですが、直接貸し出しが五七%、代理貸付は八七%ということになると。その点どうですか、私の数字は間違っていますか。何なら、そういう資料をあとでいただいてもけっこうでございますが。
  103. 石田正

    参考人(石田正君) ちょっと、私の説明に不行き届きなととろがあったかと思うのでございますが、公庫が普通貸付業務をいたす場合におきまして、金額、件数におきましては、直接貸しのほうがはるかに多くて、代理貸しのほうが少ないのであります。今お話がありましたのは、申し込みの何と申しますか、貸し出しを決定いたしました計数との比率の問題かと存ずる次第であります。
  104. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこで、普通貸付の場合に千一百三十八億ですか貸しておられるわけですが、代理業務機関のほうに渡しているワクを、一ぺんあとでお知らせ願いたいと思います。わかりますか。このうちで代理業務機関には何ぼのワクを渡しているのですか、千二百三十八億貸し出した中で。わかりました。資料の五ページにありますから、よろしいわ。  そこで、これは銀行局長にお伺いするのか、あるいは総裁のほうか、どちらでもけっこうですが、一般の市中金融機関、たとえば市中銀行、特にここでは代理業務機関は相互銀行、信用金庫が多いのですが、相互銀行、信用金庫の場合の預金は、大体どのくらい御調査になっているのですか。職員一人当たりの預金量に対するパーセンテージというものは、どのくらいにお組みになっているのですか。それは公庫のほうでは、そういうことに対する御検討はされていないのでしょうか。
  105. 大月高

    政府委員(大月高君) 代理所が国民金融公庫の代理店として貸し出しをいたします場合は……。
  106. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 いやいや、貸し出しでなしに、僕の伺っているのは、それとは別に、普通の市中銀行とか、そういうものは預金と貸付の両方扱っているわけですね。そうして経営のいろいろな条件検討するために、一人当たりの預金量というものを組んでやっているわけです。その一人当たりのパーセンテージと称するものについて御調査になっているのか。
  107. 石田正

    参考人(石田正君) 今の御質問の、代理店をわれわれが選びます場合におきまして、その当該代理店になりますところの金融機関が、一人当たり預金、貸し出しがどのくらいになっているかということを、何か非常に主にしてやっているかという御質問じゃないかと思います。
  108. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 いや、そうじゃない。私がお聞きしたいことは、公庫の場合は貸付業務だけであって、その金は全部政府のほうから出資金あるいは融資の形できているわけです。ところが、金融機関のほうは、預金業務も行なわなければならぬ。その仕事があるわけです。公庫のほうはその仕事がないわけです。そこで、昨年度の千三百何十億円かの金を貸して、三千三百人かの職員がいるわけです。預金の仕事はない。貸付の仕事だけしておって、これだけの人員が一体要るのかどうか、足りないのかどうかという問題が出てくる。ここで市中金融機関、相互銀行、信用金庫は、預金もやる、あとで貸付もやる、人間はこれだけだ。それからいえば、半分も要らぬわけです、預金の仕事はないわけですから。そういうふうにすると、市中金融機関、相互銀行、信用金庫は、お宅のほうのお貸しになる場合には、同じ条件を持っているところが、預金、貸付をしながら、これだけの人間でこれを扱っているということになると、千三百億幾らか貸しておられるのについて、一体三千三百人の職員というのはどうかということをお聞きしているわけです。
  109. 石田正

    参考人(石田正君) 何と申しますか、私たちの代理所でありますが、相互銀行や信用金庫、信用組合等がございますが、それらの金融機関は、預金も取り、貸し出しもいたしております。それからたとえば信用金庫のごときに至りましては、員外預金はできますけれども、員外貸付はできない等いろいろございますが、私たちが仕事をやっておりますときには、そういう代理金融機関の方に、自分の取引先だけに貸すということは困る。要するに国民金融公庫におきましては、それぞれの金融機関と取引のない人にもやるというのが本旨でございます。したがいまして、代理所のほうも、自分の取引先だけに申し込みがあったら貸すのだということは困る、こういうことで、その点はやかましく言っております。同時に、このわれわれのほうの代理業務のことをやりますにつきましては、各代理所に専担の人を置いてもらっておりますが、その人たちについては、一般の預金業務等をすることをしないようにお願いをいたしている次第であります。
  110. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 もう一ぺんお伺いしますがね、全体では約千三百七十三億円を貸し出しをされているわけです。そこで三千二百九十九名の職員がおられるわけです。そういたしますと、の職員一人当たりの貸付の金額は約四千万になる。そうですね。そこで、たとえば地方銀行の場合は一人当たりの預金壁が五千六百四十九万円です。この預金のための仕事をする中で貸し出しの仕事もやっているわけですね。そうすると、公庫のほうの仕事は、複雑かどうかは別といたしまして、能率があまり上がっていないんじゃないかということが、この数字から言えるわけなんです。そのことをまずお伺いいたしているわけなんです、第一番に。それからあと、御答弁を聞いてお伺いしたい。
  111. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうでは、もう御承知のとおりに、一般の貸し出しにつきましては五十万が限度でございます。それからして、また特定業種にいたしましても、個人百万、法人二百万ということになっております。われわれのほうは、金額をよけい貸すということが本旨の金融機関だとは実は思っておらないのでありまして、零細な、手間のかかることをやるということが主でございまして、私どもが望んでおりますることは、金額ももちろん一人当たりの金額がふえることが望ましいのでありますが、それよりもむしろ件数が多くなる、こういうことを要望いたしているわけでございます。現に、普通貸付につきましても、私が参りましたときには六十九万件ぐらいでございましたが、今では七十六万件と、一年ちょっとの間に六万件もふえておるということでございます。したがいまして、私のほうはいわゆる市中の私的の金融機関というものが採算ベースで考えているようなわけにはとても参らない。件数、仕事を処理するについてどのくらい人間が必要であろうかということを基準にして、考えておる点が違っております。もちろん、金融機関でございますから、どういう採算に相なるかということについては、もちろん関心を持たなければなりません、能率も上げなければなりませんのでございますが、そういう点が違いまするので、市中銀行にいたしましても、あるいは地方銀行、あるいは信用金庫、相互銀行、信用組合、こういうものとの比較におきまして、こういうことでなければならないというふうな工合にはなかなか参らないんじゃないかというふうに思っておる次第でございます。
  112. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 現在貸し出しをされておる、今の御説明わかるのですけれども、たとえば恩給担保貸付であるとか、引揚者国債担保貸付等は、いうならばあなたのおっしゃる調査、審査の必要がない貸付なんですね。今成瀬委員の御質問に対しましてもお答えになりましたように、国債を担保にしているわけですから、これは取りこぼしのないものなんです。だから、問題になるのは、先ほど言うておられました更生資金の貸付であるとか、あるいは普通貸付、特に更生資金の貸付は焦げつきの起こってくる現象がありますから、なるべく避けていきたいというふうに初めから逃げておられますから、そういうふうになりますと、おっしゃっておる公庫の性格と矛盾するのじゃないか、こういうふうに考えますが、その点どうですか。
  113. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうといたしましては、普通貸付というものがわれわれの仕事の本体になっていくべきではないか、今よりもっとすっきりした形になっていくべきではないかと考えております。そしてそれが一番手間の食う仕事であり、手数をかけなければならない仕事である、かように考えておるわけでございまして、ただ、機械的な仕事でございます、たとえば国債担保であるから簡単である、それからまた恩給担保であるから簡単であるという問題もございますが、実は、小口で、あるいけ件数が多くなって参りますと、貸しましたあと、毎月の回収でございますが、この回収のやつが小さい金額の回収が非常に大きな件数になる。貸付自体は非常に簡単でございますけれども、回収事務等につきまして、その回収の金額が正確であるか正確でないかということを、一々確かめた上で進行して参るということにおきましては、やはり相当の手数がかかる、こういうふうにならざるを得ない次第でございます。
  114. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 引揚者国債とか、そういうものについては何も回収事務は、郵便局のほうからちゃんと来るというのと違うのですか。それだけの事務竜でしょう、集金に行くわけじゃないのだから。
  115. 石田正

    参考人(石田正君) われわれのほうといたしましては、何と申しますか、国債なら国債の利子でもって金を貸して、国債の利子が入ってしまえば、それで利子の回収が終わってしまったというふうには必ずしもならないのでございまして、何と申しますか、一人々々の人について、まあかりに郵便局なりからきましても、やはりそれをチェックしてどうするかという問題もあるわけでございます。
  116. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 あとでまたひとつなにしましょう。  そこで、もう一つお伺いいたしておきたいのですが、先ほど成瀬委員のほうから、理財局のほうに資料の要求があったのですが、その中で財投なりあるいは出資、出資の場合はこれは無利息ですね。財投のほうからくると、やはり利率をつけて払わなければならないでしょう。そこで普通貸付のほうは九分の利息を取っておる。ところがその他の担保貸付の場合は六分になっておる。資料をもらうとわかるのですけれども、逆ざやになる、やはり貸したら。だから貸したら損だというようなことになるような現象はないのですか。
  117. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうは、一般の私的金融機関とはその点が違っておりまするので、損があるからこれは貸さないとかいうことはすべきではないと思っております。それから、実は出資の関係について申しますると、われわれのほうは、昭和三十年度までは年々出資があったわけでございます。ところが昭和三十一年度からはずっと、いわゆる政府の貸付金ですね、われわれからいえば借入金です、それによって処理いたして参りました。億の出資がいろいろと回っておりますものですから、それでやって参ったのでございますが、だんだんと経理の内容が苦しくなって参りまするので、実は本年度、三十七年度から出資のほうにつきましていろいろ御要望を申し上げておる。三十八年度につきましても出資をやっていただかなければならぬ。これは何と申しますか、全体としていろいろな利子もございます、それから出資、借入金の率もございますので、それが動きますと回って参りますけれども、大体の見当をつけて、だんだんとこれからは出資のほうもしていただかなければやっていけないということはお願いいたします。しかし、それができないから、もう低利のほうの貸付のほうはそっぽを向いてやるのだということでは、われわれの使命は達成できないと、かように考えておる次第でございます。
  118. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 総裁の御説明非常にけっこうですし、そういう御趣旨を歓迎しておるのですが、現実には、損をするのだが、あなたのおっしゃるのは、そういう場合でもお貸しするのだということです、そのとおりなんですけれども、実際の窓口では敬遠されておるという傾向がある。したがって、公庫に行くよりは、高うてもいいから町の高利貸しで借りると、こういうことになっておる現実を御存じないですね。
  119. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうは、何と申しますか、低利で貸しましたもの、低利で貸しますところのものについて、これは損だからやらないということはないように心がけておるつもりでございます。ただ低利のものにつきまして、それは低利なものでございまするから、その一般の普通貸付とは違った状況の方にお貸しするということでございますから、ですから、先ほども申し上げましたけれども、これは特別のほうではなくて、普通貸付のほうで処理できるものは普通貸付へというようなお話は、あるいはあるかもしれないと思っております。
  120. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 もうこれ以上きょうの質問の続きをしませんが、とりあえず引揚者関係の担保貸付は、これはまあどんどん減っておるのですからいいのですけれども、しかしなおこういう関係者の恩給貸付、一般の恩給ではなしに、これにはやはりそういう現実の姿がある。ですから、おたくのほうの事務的な遅延のために、申し込んでから二週間も三週間もかかるというようなことで窓口に行かないということもありますが、やはり敬遠の傾向はあります。これは資料が必要なら私のほうで出します。ですから、やはりそういう点をもっと十分に御監督願わぬと、窓口のほうでは、やはり公庫の立場を思いながら敬遠しておるという実情がないことはないのですから、せっかくおっしゃっておる御趣旨に沿うように今後の御努力をお願いいたしたいと思います。  それから、もう一つ、今言う資料ですけれども、これは相互銀行なり信用金庫なりの一ぺん預金と貸付の業務状態と、またおたくの業務状態の資料をやはり出してもらいたいと思います。
  121. 石田正

    参考人(石田正君) また誤解をされるといけませんが、相互緩行等の一般の金融機関の一人当たりの預金貸し出しと、われわれのほうの人数で貸し出しを割ったものとのあれでございますね。
  122. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうです。  そこで、この際、農林省の農地局長が来ておるようですから、お尋ねしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  123. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  124. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を始めて。
  125. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 あるいは重複するかもしれませんで、はなはだ御迷惑をかけるわけでありますが、二、三ひとつお尋ねしたいと思いますが、今回提案のいわゆる二十億を旧地主、いわゆる農地被買収者を対象として資金の融通をするということですが、この二十億という根拠はどこから出ておって、どういう根拠によって二十億ということになったわけですか。
  126. 大月高

    政府委員(大月高君) 国民金融公庫、あるいは中小企業金融公庫の毎年の貸付規模につきましては、一般の金融情勢、あるいは中小企業者の資金需要、そういうようなものを勘案いたしまして、いわばグロスで出しておるわけでございます。資金の需要が個人的に何件で幾らであるからという計算はいたしておらないわけでございます。今回の二十億の金額につきましても、積み上げ計算はできないわけでございます。たとえば農地の被買収者におきましても、ある事業をやりたい、それで一般の銀行に参りましてその需要が満たされれば国民公庫の金は要らないわけでございますが、しかし、そういう特定の場合に、はたして市中銀行のベースに乗るか乗らないかということは計算しなかなかむずかしい、そういう意味で、先ほどお話がありましたように、国民公庫の平均貸し出しが大体二十七、八万、こういうことでございますので、逆に、かりに試算してみますと、大体一件二十五万円くらいといたしますと、大体八千件程度は貸せるし、これを二十万円程度といたしますと一万件くらい貸せる、大体そういうところで二十億の措置をいたしたということでございます。
  127. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 それでは、各県のいわゆる対象とされる旧地主というようなものについて全体の調節は非常に困難ですが、抽出調査でもやって、別に相当根拠のある数字というわけではないのですね。
  128. 大月高

    政府委員(大月高君) そういう意味におきまして、現在百七、八十万といわれております被買収者の方の現状はなかなか調査困難でございますので、具体的に当たって積み上げた数字ではございません。
  129. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 それから次に、この三項の事業によりますと、これによって貸し出されるといたしますと、一件当たり幾ら貸し出せますか。
  130. 大月高

    政府委員(大月高君) 今般の措置によりまして貸し出します場合には、一般貸し、普通貸付の条件によりたいと思っております。ただ、金一利の点につきまして、一般は九分でございますが、これは六分、五厘にいたしたい、金利の点だけを変えまして、その他は一般原則による、そういたしますと、大体現在何人におきましては百万円、法人におきましては二百万円という限度がございますので、そういう一般原則に基づいて、それぞれの事情に応じて貸す、こういうことになろうかと思います。
  131. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 この国民金融公庫法の一部を改正する法律案に関する参考資料、参議院大蔵委員会調査室の参考資料ですね、かりにこういうものによって考えられるとするならば、これは一件二十万円だ、それから特定業者百万円とあります。それから法人は五十万円、法人への特定業種は二百万円となっておりますが、これは一応肯定せられるお考えがあるのでございますか。
  132. 大月高

    政府委員(大月高君) これは参議院大蔵委員への調査室でお作りになった資料でございます。今拝見いたしましたが、これは多分国民金融公庫の実行いたして、おります普通貸付の条件であろうと思いますので、そのとおりでございます。
  133. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 重ねてお尋ねいたしますが、個人の貸付二十万円、それから特定業種百万円という、この特定業種というのはどういうものをさしているわけですか。
  134. 大月高

    政府委員(大月高君) 特定業種と、そうでないものにつきましては、現在、国民金融公庫の業務方法書に詳細に規定してございますから、それによるわけでございます。その業種の区分によるわけでございます。具体的には、現在たとえば製造業、農業、農業の中に果樹及び樹園農業、特殊園芸農業、畜産農業、養蚕業、それから三番目といたしまして林業及び狩猟業その他を列挙しているわけでございまして、そのとおりの分類によりたい、こういうことでございます。
  135. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 今回の二十億というものが、いわゆる農地の被買収者を対象とする場合、法人というものは大体どういうことを考えておられる予定になっているか。
  136. 大月高

    政府委員(大月高君) この被買収者の組織いたします法人でございまするから、たとえばそれが役員になっておられるとか、あるいは社長になっておられるとか、そういうものであろうと思います。ただ、その法人の従業員であるというような意味ではないというように考えております。
  137. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 そうすると、いわゆる商事会社であろうと、いろいろな会社であっても会社でなくても、法人の役員で旧地主である、しかも、今日つまり他の金融機関から融資を受けることができない人、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  138. 大月高

    政府委員(大月高君) 大体の場合においては個人であろうと思います。今のように資格が限定されているわけでございますから、個人が大部分であろうと思いますが、そういう方が法人組織で事業をやられるということもございますので、そういう場合には、その責任者としておやりになっている場合、こういうように考えたいと思います。
  139. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 それから、これはなんですか、この貸付は全部対人信用で無担保貸付を考えておられるのでありますか、どうですか。
  140. 大月高

    ○政商委員(大月高君) 原則として無担保でございまして、保証人を立てていただくことになっておりますが、事情によっては担保もちょうだいすることもある、これはそのときの事情によって考えることになっております。
  141. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 原則として対人信用で無担保、保証人を、喫するということですね。その場合、大体、国民金融公庫の貸付は、他の金融機関が融資を好まぬ、あるいは融資しがたいというような、資力のないと申しますか、そういうものが主として対象になるのですが、そういう場合に、相当支払能力のある、償還能力のある保証人が得られると考えられますか。
  142. 大月高

    政府委員(大月高君) これは一般に国民金融公庫の取り引きの相手になられる方一般の問題であろうと思いますが、もしそういう保証人に適当な人が得られない場合には、非常に例外的な場合でございますけれども、保証人を立てない場合には貸せない。しかし、保証人さえあれば貸せるというような事情でございましたならば、信用保証協会を使うということも考えられると思います。これも保証人の一種として考えられているわけでございます。ただ、これは従来から議論があることでございまして、国民金融公庫のような政府機関が金を貸すのについて、民間の保証機関である信用保証協会の保証まで取るのはおかしいじゃないか、理屈としておかしいじゃないかという御議論はあるわけでございますけれども、しかし、やはり建前といたしまして、国民金融公庫もやはり金融機関でございまして、全然見込みのない貸し出しをするわけにはいかないわけでございます。先ほどの表にもございますように貸した例もございますが、できるだけ金融機関として回収のできる線までぎりぎり、保証協会も最後の場合にはあるいは使ってお貸しするほうがいい場合もある、こういうように考えているわけでございます。
  143. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 さっきから承りますと、公庫がその責任において、公庫または本所か、あるいは代理所、出張所を含む。全体で百カ所以内ですね。そうすると、全国の都道府県に割り当てれば一県平均二カ所ぐらいになりますね、平均しますれば。そうしますと、今日の場合に、わずか二十万円の金を、わざわざ遠方まで時間と労力あるいは旅費を使って。私は実際今まで見ておる。これは私は、主として農業金融の場合に、あるいは公庫の資金あるいは農林中金の資金を借りる等の場合には、非常に手数が頻瑣であり、非常に調査がめんどうであり、何通も書類が要るというようなことで、申し込んで後、実際借りられるまで、かなり長い期間を要する。したがって、実際金の必要な人であっても、もう借りるのがいやになって、ついやめようという、こういうかなりの批判があります、現実の問題として。それで、今回は全部直き貸しをやる、こういうお話でございますが、今回の法文から言って、どうして代理貸しを認めないか、その理由をもう少しはっきりとひとつ伺いたい。
  144. 大月高

    政府委員(大月高君) これは代理貸しを全然認めないという意味ではございませんので、新しい制度でございますので、どういうようなことになるかということは、率直に申しましてはっきりわかりません。そういう意味で、まず公庫自体が慎重にその状況を見まして、もし代理店を使うほうがいいという判断になりましたらまたやる。しかし、当初から代理機関は何と申しましても相当多数でございまして、こういう新しい制度をすぐに徹底さすのもなかなかむずかしい。逆に、またどういう基準で指導していくかということもなかなかむずかしいわけでございますから、公庫みずからの窓口でよくその実情を見まして、今後実情に応じて処置していくほうがいいということで、そういう意味でとりあえず直接貸しをやる、こういうことでございます。
  145. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 それではこういうふうに解釈、了承をしてよいのですか。今の当面、当分といいますか、最初は試みに新しい制度もあるから直き貸しをやるのだが、将来事情によっては代理貸付もやるのだ。それから指定金融機関と申しますか、普通銀行あるいは信用金軍、あるいは相互銀行というようなのが従来使われておりますが、他のもの、たとえば郡部においては、確実な場合には農業協同組合、これらにもあるいは代理貸付を認めるということも将来考えられるということができますか。
  146. 大月高

    政府委員(大月高君) 今申し上げましたような趣旨で、とりあえず直接貸しということでございますから、今後の問題につきましては、よく事情に応じて考えたい。ただ、いたずらに窓口を広くいたすだけでも、また資金が分散するわけでございまして、趣旨もなかなか徹底しないというような問題もございますから、今仰せの農業協同組合を使ったほうがはたしていいのかどうかというようなことは、もう少し実態を見てから考えるべき問題かと思います。
  147. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 この参考資料によりますと、何と申しますか、被買収者必ずしも現在、経済、家計、あるいは生活標準からいいましても、いろいろな点から見て、必ずしも困っていないというような面も書いてあるようでございますが、どうも私は実際の地方の実情を見ますと、かなりそうじゃない面もあるようでございますが、今後こういう制度がかりに開け、非常に申し込みが多く、また、実際に貸し出す場合にあたっていろいろ調査されて、その額はこの額よりか将来なお増額する必要があると、こういう場合にはさらに考慮するということがありますかどうか。
  148. 大月高

    政府委員(大月高君) これは、まずこの制度を動かしてみまして、十分実情を見た上の措置になると思います。
  149. 永末英一

    ○永末英一君 今度の法律はこの出資増額だけの法律ですけれども、内容は、増額された二十億円の出資額に相当する金額をいわゆる被買収地主さんに貸し付ける、こういう内容を持っているようなんです。ところで、今までこの国民金融公庫の出資の歴史を振り返って、そういうかまえ方をしているのはきわめて異例だと私は思うのでありますけれども、どういう工合に考えられますか。
  150. 大月高

    政府委員(大月高君) この問題は、先般補足説明の際申し上げましたように、農地の被買収者に対する貸付の原資として二十億出資してあるわけではないのでございまして、全体の貸付額を千四百四十八億円でございますか、それの原資に充てる。この原資といたしまして、この二十億の出資と回収金と資金運用部からの借り入れ、この二本で全体をまかなうわけでございます。それで二十億の出資は、御存じのように、利息の要らない金でございますので、国民金融公庫全体の経理の上で高い金利のつく金を借りてやらないで、出資をまぜまして資金コストを下げる、こういう意味で入れておるわけでございます。金額がたまたま同じでございますけれども、この出資は、二十億の被買収者に対する貸付は、新しい貸付としてこれから実行する。しかし、二十億の出資自体は、公庫全体の資金繰り及びコストを考えて実行したい、こういう意味でございます。
  151. 永末英一

    ○永末英一君 今の御答弁は、いわゆる国民金融公庫等の政府系統機関に対して、財投からの貸付なり、あるいはまた出資なり、あるいはまた一般会計からの出資等の基準が明確になっておれば、これはあなたの言われたようなこともあるいは理屈が立つかもしれない。本委員会において、私はその点について再三再四政府がどういう基準を持っているかということをただしましたが、いまだに明確になっていない。あなたの御答弁では、たまたま二十億と二十億である、こう言うのでありますけれども、この問題の経過を振り返ってみますと、生業資金に貸し付けてほしいという意見が被買収地主の方々にあったのではなく、別途の要求があって、それが終局的にこういう形になった。しかも、その金額は同じであるならば、あなたのほうはそれはそうではないのだ、お金に色はついてないということを言われるかもしれないけれども、その金額は同じだということは、たとえばこれは私は地主ではございませんけれども、旧地主として見れば、一般会計から利子のつかない金を国民金融公庫という政府の一種の系統機関を通して、そうしてそれが自分のところにくるということになると、あだかも一般財源によってその分だけ何かしてもらったという感覚を得るのではないか、そういう効果が発生すると思うのですよ。そういう効果が発生するとあなたは思いませんか。
  152. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在、国民金融公庫の出資金は全部一般会計から、出ておるわけでございまして、たぶん二百億程度であると思います。そういたしますと、二百億に相当する貸し出しについて、今のような、もらった金だというような感覚があるかどうかというふうな問題でございますが、そういう印象を与えませんように、公庫の設立以来、やはりこれは金融機関である、これは金をあげるわけではないので、お貸しするのである、必ず回収するのだ、こういう趣旨を徹底いたしております。そういう意味で、今般の措置につきましても、やはりこれは貸付金でございまして、給付ではございません。そういう意味におきまして、従来の方針と同様、健全なコマーシャル・ベースに基づいて、やはりこの措置もやるのだということを終始申し上げておるわけでございます。
  153. 永末英一

    ○永末英一君 この二十億という出資金は一般の出資の中に入る。ところで、今までの新しい貸付業務が国民金融公庫で始まったときにも、そういうことで、必ずしもそのときどきにそれに見合うだけの出資がなされていないと思うのです。ところで、今回に限って、なぜそれなら二十億という出資額を決定されたか、先ほどの同僚議員の質問では、貸出総額として一応予定している金額の二十億の算定に何か基準があったという説明がございました。私は、逆に、ともかく現在一般会計から二十億円国民金融公庫に出資をするという決定になったその経緯をひとつ御説明願いたい。
  154. 大月高

    政府委員(大月高君) これは毎年の予算におきまして、出資を幾らと見、融資を幾らと見るかという計算をいたすわけでございまして、必ずしも今の貸し出しの二十億に相当するものを出そうというわけではないわけでございます。これは従来出資をいたし、あるいは資金運用部から幾ら公庫に出すかというような計算をいたします場合と同様でございますので、二十億には直接関連がない。ただ、今このように御審議をいただいておりまして、予算はすでに通っております。したがいまして、政府の措置といたしましては、この法律が通らなくとも、理論的には被買収者に対する貸し出しは実行できるわけでございます。原資はあるわけでございます。ただ、新しい制度を開くという問題でございますので、全体の原資がはっきりいたしましてから新制度を動かしたい、こういうことでございまして、二十億出資いたしましたこと自体は、従来の原則と何ら変わっておらないわけでございます。
  155. 永末英一

    ○永末英一君 あなたの言われることを少し裏から考えていきますと、先ほど一つの問題になりました貸付利率を六分五厘でやるということになれば、これは通常の財政投融資の原資でもってまかなっていくべきものでは、これは普通の採算上から言えば、ない。したがって、主として一般財源におんぶをして運用さるべきものだとみなされるわけですね。その点のお考えはいかがですか。
  156. 大月高

    政府委員(大月高君) ただいまお話がございましたように、逆に被買収者に対する貸し出しを六分五厘にすると、この二十億の貸し出しの原資をまかなうというように、むしろ直結して考えますと、六分五厘で金を出せばいいということになるわけでございますが、国民金融公庫自体の全体の貸し出しは、先ほどお話がございました、いろいろ恩給担保の貸し出しでございますとか、あるいは引揚者国債担保の貸し出しでございますとか、六分五厘を割っておる貸し出しが非常に多いわけでございます。そういうような全体のコストを考えまして措置いたすわけでございますので、むしろ今後の措置が六分五厘であるということと、それに金を出すことを結びつけますと、融資も六分五厘でいいわけでございますが、そういう意味でも、逆に因果関係はないのではなかろうと考える次第でございます。
  157. 永末英一

    ○永末英一君 同じことでも、掌を表から見る人と裏から見る人があって、私たち因果関係があると思うし、あなたはないと言われる。ところで、参考資料ですが、本ぎまりになっておるかどうかわかりませんが、償還期間が、据置一年、それから償還期限は最大計算すると七年、結局八年で返していく計画らしいのですが、これはそのように考えておられるのですか。
  158. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在の国民金融公庫の一般貸し出しの原則は、原則として三年でございまして、特定業種については五年、ただし、特別の場合はさらに二年延長することができるということで、七年でございます。で、こういうような原則をくずすつもりはございません。
  159. 永末英一

    ○永末英一君 総裁に伺いたいのですけれども、最大限とっている例はどの程度でございますか。
  160. 石田正

    参考人(石田正君) 私のほうは、特に七年だけの数字はとっておりません。大体三年が基準でございまして、三年から七年までというのをとっておりまして、七年のやつはとっておりませんが、私のほうの慣習からいいますと、七年までいっているのはきわめてまれである、こういうふうに思っております。
  161. 永末英一

    ○永末英一君 これがもし成立をして、そうしていよいよ生業資金を貸されるというようなことになって、そうしますと、銀行局長のお話では、要するに一般の普通貸付と内容は変わらないのだというようなことなんですが、しかし、もしその内容が償還期限において、特に私は、これは普通の貸付なら普通貸付のワクでやられたらいいのであって、別段この国民金融公庫法の改正の中で被買収者のワクを作ってやることに何らかの特典があるのかどうか、ちょっとわからぬわけなんですね。普通貸付だって、担保がなくても、対人保証で、保証人を立てれば貸してもらえることもあるし、その期限等も、今言われたように、たいして長いものもない。ところが、何かこれを別ワクにすることによって償還期限について長いものも出てくるということになりますれば、特にこの際こういうような法律を出し、この新しい業務を開始されることにやはり相関関係ありと、こうみなされるわけですが、その点についてのかまえ方はどうですか。
  162. 大月高

    政府委員(大月高君) この国民金融公庫法の一部改正する法律案自体の目的は、提案の理由ではっきりいたしておりますように、全体の千四百四十八億をまかなう一部であるということだけでございます。ただ、新しく別途農地被買収者に対する貸し出しを実行いたすわけでございますが、その点でいろいろ御質疑があり、関連がございますので、いろいろ御説明申し上げているのは、新しい制度はどういう手続きで動かすつもりかという御質問に対するお答えをいたしておるわけでございまして、この二十億を出資するこの法律案自体理由といたしましては、全体の原資として、この出資二十億、回収金と資金運用部資金と、それだけ合せまして千四百四十八億の貸し出しを実行いたしたい。その千四百四十八億のまた内訳につきましては、普通貸付、恩給担保貸付、その他いろいろ内容についてこういうことを考えているということを御説明申し上げておるわけでございます。そういう意味で、この二十億の出資の法律自体は、新しい被買収者に対する貸付と直接に関連はないわけでございます。原資の一部として、間接に関連してくる、こういうことであろうと思います。
  163. 永末英一

    ○永末英一君 そうしますと、この法律が成立いたしました暁において、いわゆる農地被買収者に対する貸付業務という新しい業務が一つふえるのですか、ふえないのですか。
  164. 大月高

    政府委員(大月高君) これは国民金融公庫の中の組織の問題でございますので、ちょうど今の予算の説明におきましては、その他項目のに入っております。したがいまして、これをどういうように組織としてやるかというのは、法律が通りましてから検討いたしたいと思っております。
  165. 永末英一

    ○永末英一君 出すときには一般と一緒だということで、あとはできてしまったらまた考える。つまり特別の扱いをするためには、目的を持っておいて増資をするのだったら、やはり増資の仕方に関連があると思うのですが、その点はまたあとでよく事実に即してお尋ねするとして、先ほどちょっと質問がございまして、法人貸付の法人の性格がはなはだあいまいだったと思うのですね。つまりどういう法人に貸すのか、その点ちょっと性格の御説明を願いたい。
  166. 大月高

    政府委員(大月高君) 法人、個人の問題につきましては、現在、国民金融公庫が貸しております貸し出しとその点は同じでございますから、一般にどういう種類の法人に貸すという限定はございません。ただ、国民大衆という表現がございますから、非常な大きな企業には、もちろん貸しておらないわけでございまして、当然常識として考えられるところを考えるべきだと思っております。
  167. 永末英一

    ○永末英一君 私の申しておるのは、つまり今あなたの御答弁によりますと、いわゆる被買収者がどういう形でワクを作るか作らないかはあとの問題だと言われますけれども、こういうことに関連して、金を借りようとする場合に、一般の普通貸付の場合の法人と、そういう農地被買収者が関連をしている法人とは、理屈で分ける必要がなければ普通貸付でやればよいが、何かワクづけをされるとすれば、そこにくる法人には色がある。その色合いについてはどんな条件が一体必要だとお考えか、この点を明らかにしていただきたい。
  168. 大月高

    政府委員(大月高君) 先ほど御説明申し上げましたように、今般の貸付の条件といたしましては、一般貸付と同じ条件にいたしたい。ただ、それは農地被買収者に対する貸し出しであるということと関連いたしまして、金利を六分五厘にいたしたい、こういうことでございます。それで、予定いたします金額も二十億円を予定いたしたいということでございますので、根本的なそういう原則から申し上げますれば、現在貸し出しの対象とする法人をどういうように考えるかという問題につきましても、現在の普通貸付で考えておる法人と、一般原則によりたいと、こういうように考えるわけでございます。
  169. 永末英一

    ○永末英一君 個人の場合には、農地被買収者であることは明確に証拠がとれると思いますが、しかし、法人の場合には、一体、法人が土地を買収された、農地解放のときにそういう例があれば、その法人が存続しておれば対象だということを言われますけれども、そういうことじゃないと思のです。だから、法人が対象だという意味合いが明確にわからない。そこのところをひとつ御説明願いたい。
  170. 大月高

    政府委員(大月高君) 御存じのように、ただいまの法人組織では、いろいろな関係から法人成りというような問題もございまして、実態がビジブルというような、あるいは株式会社による大きな法人もございますし、法人という名において個人企業もあることは御説のとおりでございます。そういう意味で、先ほどお答え申し上げましたように、法人の形をとっておりましても、実際被買収者がやっておる事業も、こういうように、これはもちろんいよいよ運用の面に入りますから、どういうように正確に基準を立てるかというのは今後の問題でございますけれども、考え方としてはそういうふうに考えておるわけでございます。
  171. 永末英一

    ○永末英一君 法人というのは、法律上個人と同じ人格ですよね。被買収者という人格は、その土地の所有者であった場合に、個人だったと思うのです。その人が土地を売った、それがどういうことかわかりませんが、今回の対象にしようということを言っておられる法人というのは自分の土地を持っていなかったと思う。それがいかなる意味合いで、今回の新しい業務を法律が成立した暁に開始されようとする場合に、対象になり得るか。あなたの今の御説明では私にはわからない。法人というのはいろいろな法人がございますけれども、被買収者に関連のある法人というようなものはどんなものですか。
  172. 大月高

    政府委員(大月高君) 法律論をやりますれば、法人と個人というものは、全然人格を異にするものでございますが、実態から申しますれば、個人が事業をいたします場合に、個人企業の形をとっておる場合、あるいは法人企業の形をとって仕事をしておられる場合、いろいろあるわけでございます。そういう意味におきまして、被買収者が法人として仕事をしておる場合にどういう例があるかということでございますが、その後十数年たっておるわけでございますから、被買収者個人というものは非常にはっきりいたしておる。あるいは法人が、かりに土地を持っておりますれば、それが非常にはっきりいたしておりまして、その方がそういう歴史を持っておるということに基づいて判定いたす。その方は、今は商業をやっておられる方もあろうと思いますし、あるいは自動車の運送をやっておられる方も、あるいは製造業に従事しておられる方もいろいろあると思うわけでございますが、当時被買収者であったという事実がございますれば、それに直接関連をもって判定できるのではないかと、こういうように考えるわけでございます。
  173. 永末英一

    ○永末英一君 全然納得できないのですよ。あなたの御説明で、法人というのは、たとえば代表者がございまして、それは有限会社であろうと株式会社であろうと、あるいは合名会社であろうと、代表者がたとい被買収者であっても、それを構成しているほかの人間がいるわけでしょう。だから、あなたは、法人が被買収、買収の問題に関連づけられる点は、私は一つしかないと思うのですよ。その法人の性格は少し変わるかもしれませんが、ともかく農地を売り放したときに法人が所有しておったというなら別だけれども、個人が農地を売り放して、あとどんな法人に関係しようとも、そんなこと関係ないじゃないですか、そういう点いかがです。
  174. 大月高

    政府委員(大月高君) それは形式的な個人、法人という法人格で考えますればそういうことになると思いますが、今回の趣旨が、現に農地を買収された人の生活上の問題、社会的な変化の問題、そういう問題に関連いたしているわけでございますので、実態を見て判断すべきものかと考えているわけでございます。
  175. 永末英一

    ○永末英一君 今まで御説明をいろいろ聞いたのですが、まことに納得がいかない。つまり生業資金ということであれば返済可能でなくちゃならないし、生活上の問題の困窮を救うためなら、別のやはり国民金融公庫でやっている別途のやはり金融の方法もあろうと考えるわけでございます。生業を助けるというなら、これは一つの理屈だと思うのです。しかし、今法人の問題を端緒にして、まことにどういう基準で融資を行なおうとしておるかが、全く私どもにはわからないわけで、もちろんあなたの御説明を幾ら聞きましても、形式的に言えば別だけれどもと言ったって、形式的にしか分けようがないのじゃないかと思うのです。法人成りといったって、あなたの同じ大蔵省の税務当局は、その法人成りの問題についても、やはりぴしっと分けて税金をかける場合の基準をとっていると思うのですよ。したがって、農地被買収者が対象だというのだったら、それ以外の者は対象になり得ないという点ぐらいははっきりしておいてもらわなければ、たまたま大きなところは対象になりません、国民金融公庫がもとでございますから。小さなある法人に農地被買収者が一人いた、そうすると金が借りられるかということを思わせるためにそういうことを言っておられるのか、どうですか。
  176. 大月高

    政府委員(大月高君) われわれといたしましては、実態によって処置いたしたい。実態といいますのは、借りに来た人の実態でございまして、今後国民金融公庫の窓口に来られました人の実態によりたいということから申しますと、たとえばわれわれが町に出ましていろいろな物を買ったり何かする商店法がございます。しかし、これがはたして法人であるかどうかというような問題は直接わからないわけでございまして、これは何々屋さんで買うといっても、その主人がやっているかと思って法律的に調べてみると、有限会社であったりいろいろすることは今の実態でございます。そういう意味で、国民金融公庫に対する借り入れ申し込みがございました場合に、それは被買収者として当然扱うべきものであるということは、法人であるかどうかという問題を離れまして、実態で判断できるものであろうかと思います。しかし、現実に運用の問題でございますから、十分そこらの標準ははっきりいたして参りたいと思っておりますが、考え方といたしては、ただ、そういう形式的な法人であるかどうかという問題よりも、実態を見て判断すべきものであると今のところ考えております。
  177. 永末英一

    ○永末英一君 今のあなたの御説明は、もう少しきちっと整理をしますと、ある人が、農地被買収者が金を貸してくれと言ってくるけれども、調べてみたら有限会社の何かの関係で、その人が金を借りても、有限会社に対しては、社員であれば、自分が個人で金を借りて有限会社に金を貸さなければどうにもならない。しかし、それは有限会社の法律行為ではございませんね。したがって、そういう意味合いでいきまして、一体そこまでいっても法人が対象になっておるとは私は言えないと思う。いわゆる個人でしょう、あなたの説明では。なぜ法人が対象になってくるのか、私にはわからない。その点はいくら聞いても私は納得できないのですけれどもね。納得させるだけのことがございますか。被買収者が対象だと言っておいて、なおかつ今度の法律が成立した暁において業務を開始した場合に、法人が対象になり得るという積極的な理由を法律的に一ぺんきちっと説明してほしい。
  178. 大月高

    政府委員(大月高君) 被買収者の実体を持っておる者に対して、実体上貸すということでございますから、そういう意味で被買収者に対する定義というものは今ないわけでございます。この貸し出しを行なうについて、どういう範囲にやるかという問題については、別に法律上の制限はないわけでございます。それは国民金融公庫の制度の運用としてやるということでございます。ただ、農地被買収者がだれであるかということ自体は、この前の農地の買収をいたしましたときの法律上の限定として、非常に概念的にははっきりいたしております。その非常にはっきりいたしております被買収者とどういうふうにつながるか、具体的に借り入れの申し込みがありました場合にどれだけつながるかという問題は、これは認定の問題だと、こういうように考えるわけでございます。
  179. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  180. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を起こして。
  181. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 今回の改正法律案の提案理由の説明から受ける印象と、また、今、銀行局長からの御説明による内容を考えてみますと、今の局長のお話では、今回の融資の対象は必ずしも被買収者には限ってない。しかし、明らかにそうした被買収者でという名前が出ている以上は、何かしら被買収者だけを対象にしているような感じを受けるわけです、二十億それ自体の融資が。そうして見た場合に、もしこれだけに限定されるとするならば、在外資産の補償も受けていない引揚者だとか、あるいは戦災者、また、零細企業という、非常に救援を要するような人たちが相当いることは考えられると思います。そういうような人たちに対しても、今回の融資に伴いまして、やはり同じような考え方をもって融資の対象とするかどうか、そういう人たちに対する措置をどういうふうに考えているか、この点だけ伺っておきたいと思います。
  182. 大月高

    政府委員(大月高君) ただいま御提案いたしておりますところでは、農地被買収者に対しまして融資の道を講ずるというところでございまして、ほかにいろいろ引揚者でございますとか、戦災者でございますとか、その他いろいろ社会的な問題はあると思いますが、これはそれぞれの実情に応じて措置すべきものだと考えております。
  183. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 どうも今の御説明でございますと、先ほど局長が言われたような、被買収者だけに限らないという印象を受けているんですが、そうであるとするならば、今私が申し上げたような人たちの対象についても、当然融資してしかるべきではないか、そのように考えられるんですが、その点ちょっと今の御回答では納得しかねる面がございますので、もう少しく明確にお答えいただきたいと思います。
  184. 大月高

    政府委員(大月高君) お尋ねの趣旨は、国民金融公庫でいろいろ特別の貸付をやっておりますが、その場合についてどうかというお尋ねかと思います。それはそれぞれの制度に応じまして、実情に即して制度を運用いたしておるわけでございまして、戦災者に対する貸付の制度においては、戦災者に対してお貸ししておる。ただ、その意味が、それぞれ制度において、たとえば更生資金におきましても、これは生業資金ということに限られておると思いますので、生業資金ということに関連があればお貸ししていいということであろうと思います。
  185. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そうしますと、今の御説明のとおり、今回の融資の対象は、明らかに被買収者にのみ限る、そのように考えてよろしいんでしょうか。
  186. 大月高

    政府委員(大月高君) 今のお話の趣旨は、先ほどから永末委員の御質疑にありましたような問題を含みまして、被買収者に限る、こういうことだと思います。
  187. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後四時二十六分散会    ————・————