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1962-12-17 第42回国会 参議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月十七日(月曜日)    午後五時四十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     佐野  廣君    理事      柴田  栄君            西川随五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            永末 英一君    委員      青木 一男君            太田 正孝君            川野 三暁君            長谷川 仁君            日高 広為君            森部 隆輔君            大矢  正君            柴谷  要君            佐野 芳雄君            野々山一三君            野溝  勝君            原島 宏治君            大竹平八郎君            鈴木 市藏君   政府委員    内閣総理大臣官    房審議室長   江守堅太郎君    大蔵政務次官  竹内 俊吉君    大蔵省銀行局長 大月  高君  事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    農林省農地局管    理部長     桧垣徳太郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案(第四十回国会内閣提出、第四  十一回国会衆議院送付)(継続案  件)   ―――――――――――――
  2. 佐野廣

    委員長佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案(第四十回国会閣法第一三一号)を議題といたします。  本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まず最初にお尋ねしたい点は、今衆議院のほうに継続審議になっておるいわゆる綱島提案にかかわる国民金融公庫法について、生業資金ではなくて、他の小口生活資金を貸すべきだというような、例の五カ年間に限った限時立法提案されておりますが、政府はこの法律案に対して反対なのか賛成なのか、あるいは局長はこれに対して賛成なのか反対なのか、私は検討されておると思いますから、まず最初に御意見を承りたいと思います。
  4. 大月高

    政府委員大月高君) この国民金融公庫法政府提案改正案と並行いたしまして、議員提案におきまして国民金融公庫貸付の特例に関する法案が今衆議院提案されておるわけでございます。この法案内容は、現存の国民金融公庫法におきましては、生業資金だけしか貸せない、ほかに恩給担保金融に関する特別法がございまして、恩給担保金融に関する限り事業資金以外の生活資金も貸せるという唯一の例外がございます。これが現在の国民金融公庫性格でございますが、それに加えまして、農地の被買収者に対しましては生業資金のほかに古典資金とかあるいは生活資金というようなものが貸せるのだ、こういうことを規定いたしているわけでございます。  で、われわれの見解といたしましては、現在の国民金融公庫性格事業資金貸付機関であるということにかんがみまして、その法案は適当でない、もし被買収者に対しまして、何らかの生活資金あるいは育英資金等措置を講ずる必要があるとすれば、別途の機関で御実行になるか、何か国民金融公庫以外の機関において措置すべきである、こういう見解を持っておるわけでございます。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これは大蔵省全体が反対であるというふうに了解していいわけですか。
  6. 大月高

    政府委員大月高君) さようでございます。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 政務次官のほうに、竹内さんにお尋ねしたいのですが、党の立場もさることながら、あなたが提案者名前を連ねておられるか、そのことはよくわかりませんが、内閣は一体これに対して賛成なのか反対なのか、この際見解を承っておきたい。
  8. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいま銀行局長から答弁いたしました趣旨のとおりに政府としては考えております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、衆議院議員個人竹内としては賛成君の中に名前をお連ねになっておるわけですね。違いますか、御記憶がないですか。
  10. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 記憶がないのですが。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 じゃ、一ぺん調べてみましょうか。これはどうだったかな、事務局名前、入っているか入っておらぬか……。  竹内さん、あなたのを見ますと、賛成者でなくて、あなたは提出者のほうの主要な役割を果たしておられる。議員竹内としてはこの法律案賛成である。閣議あるいはいろいろな場所において自分としては趣旨の徹底に努力されたと思うのですが、しかし、政府全体としてはこの法律案反対である、こういうことになれば、あなた自身はその政府決定にお従いになりますか。だから、ここから提出者としての名前を削除される意思があるのかないのか。
  12. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 政務次官に就任いたしました際に、そういう場合のこともあろうかと考えましたので、削除することを考えて、記憶がなくなりましたが、そういう手続をとるつもりではおりました。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、もし手続をとってないとするならば、早急におとりになる用意があるわけですか、この委員会が終了後事務局のほうに連絡されまして。自分はとったつもりでおったけれども、実は忘れておって、とってないとするならば、とる、そういう用意があるのかないのかということをお答え願います。
  14. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 私が議員としてその提案者の一人になっておると、こういう御指摘ですが、そう書類が出ておればそうだと思います。それで、今それを、政務次官になりました際に、そういう場合のこともあろうと考えて削除していただくようなつもりではおりました。今、これをどうするかということは、今ここでですよ、ここではっきりそう手続をとりますとか、とりませんとかいうことは、もうちょっと考えさしていただきたいと思います。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 おかしいじゃないですか。あなたは政府一つの主管の次官という役職につかれた以上は、いろいろなこともあろうと思って、自分としては削除すべきであろう、そういうこともあろうと思ってやりたいと思っておった、そういうようなことの手続をしたかもしれない、ちょっとそこのところが記憶がないと、こうおっしゃる。だから、当然あなたの意思は、削除するという意思表示をされたと、こういうふうに了承しておる。ただ、後段にいきますと、もうちょっと考えさしてくれというような意味で、不明確なんですが。
  16. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) その書類を見まして、賛成者になっているのか、提出者の中に名前を連ねているのか見ておりませんので、そういうものを見まして処置しようと、こういう考え方で今お答えしたのであります。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それならば、今から私はあなたに見せるわな、ここにあるから。それを見てもらって……。
  18. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) いや、私がもらって見ますから……。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これを見てもらって、その意思を開いて――ここにちゃんと、あなた、ありますよ。今御確認願ったように、竹内さん、名前は入っております。どうされますか。
  20. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 今お見せいただきましたら、提案者のほうへ入っております。入っておりますので、私は今答弁申し上げましたとおり、政府としては提案している政府案をもちろん通していただくほうを希望しております。議員提案のほうには賛成し得ないという銀行局長答弁のとおり、政府の方針でありますから、政府の一人ですから、それはそこを省いてもらうように手続をいたしたいと思います。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も、あまり政務次官にどうこうということはないけれども、一体今、御案内のとおり、政党政治なんですね。したがって、政党内閣をとっておって、実際内閣政党との間にこれは意見の若干の食い違いはあると思いますが、明らかに反対というような意思表示のあるものなら、私はむしろこの際綱島提案にかかるところの議員立法案は撤回をするのが妥当であると思うわけです。それに対しての見解は、政務次官、いかがですか。
  22. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) これは国会の独自の権能に基づいていたしたことでありますから、政府としてはそこまでは、何と申しますか、容喙すべき性質のものではないと思います。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それから、先ほど大月局長から承りますと、これは国民金融公庫性格を変えるものだと。生業資金を貸すことに対して、生活資金あるいは奨学資金を貸すということは国民金融公庫性格を変更するというような意味合いになるから反対であるというような御答弁をいただいておると思いますが、一体、これをもしやるということになれば、具体的にはどのくらいあなたのほうに、提案に対して予算はどのくらい組んでいるか。あるいは出資金をこのくらいしたらどうだというようなお話もあったと思いますが、どんなふうになっておるでしょうか。
  24. 大月高

    政府委員大月高君) これは仮定議論でございますので、そうするというわけではございませんが、一つは、われわれ趣旨においてまあ賛成しがたいわけでございますけれども、そのほかにこの条文自体におきまして動かない面があるのじゃないかと思います。したがいまして、この法案をもしほんとうに運用するということになりますと、実際においてなかなかむずかしい問題があるかと思います。それから、第二の問題でございますが、もしもこの御提案になってある条文が解釈上うまく動くと、これも仮定でございますけれども、そういうような場合におきましても、この法案の第三条におきましては「農地買収者等に対する貸付けに充てるものとして出資された資金を限度として」、こういうことに書いてございまして、その今御提案申し上げておる二十億は、この間補足説明いたしましたように、出資即これに充てるという意味でございません.そういう意味においてこの条文はなかなか動きにくいのではないかと思いますけれども、かりにその二十億を意味されておるというように解釈いたしましても、その貸付中身生業資金でなくして育英資金その他生活資金も貸せると、こういうことでございますので、特に予算措置は要しないと、こういうことになると思います。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この国民金融公庫法の一部を改正、する法律案が出てきたのは、農地買収者問題調査会答申があって、その等申を受けて提案をされたものと了解してよろしゅうございましょうか。
  26. 大月高

    政府委員大月高君) これは調査会答申の前に出されたものでございまして、答申はそのあとでございます。ただ、その答申内容におきましては、農地買収者に対しまして生業資金を貸し付けることが適当だという御答申になっておりますから、実質におきましては答申趣旨に合致いたしておる。しかし、この法案自体答申に基づいて出したというわけではないわけでございます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これ、私はよくわかりませんが、答申は三十七年の五月二十二日に答申されておるわけですね。そうしてこの法案修正議決をされて本院のほうに送られたわけですが、いつお出しになっておりますかれ。そうすると、三十七年のいつ提案になっておりますか。
  28. 大月高

    政府委員大月高君) 政府提案いたしました国民金融公庫法の一部改正法案は、正確な日付は今記憶にございませんが、今調べて御返事申し上げますが、三月十五日ごろでございます。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、答申がなくてこういう一部改正を出されたということは、何のために調査会を設けたのか、意味がないことになるわけでしょう。関係はどういうことになっておるのか。
  30. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 今御審議願っております国民金融公庫に対しまして二十億を出資するという法律は、実は昨年の年末の予算の大詰めのときにおきまして、地主のいろいろの問題に対して特別の措置をする必要があるという御判断で、国民金融公庫に二十億の出資をするということにきまったわけでございます。それに基づきまして、いろいろの準備を進めまして、三月の中旬に本案提案したということでございます。お話のとおり、調査会答申がございましたのは五月の二十二日でございますので、調査会におきましても、この法案提出になるという段階におきまして、この二十億の出資をして解放地主に対して二十億の貸付をするという措置調査会答申の前に出すというのは、調査会に対して政府地主に対するいろいろの問題について方策いかんという諮問を出し趣旨から考えてみて、おかしいではないかという御質疑が非常にたくさんございました。いろいろ、二、三回、この問題をめぐりまして、調査会そのものの中でいろいろの問題がございました。ただ、調査会といたされましては、その時分委員の方々の大体のお考えは固まりつつある方向にあったことと、それからこの二十億の出資そのものが、解放地主全般に対する政府の対策をきめるということも一部はございますが、それより前に、最初申しましたように、予算を編成いたします最後の段階におきまして地主に対して特別の考慮を加える必要があるということに基づいて出されたということを了解されまして、その後の審議が続けられまして、五月二十二日に御存じのような答申が出ておるような経緯でございます。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 調査会人たち答申案を出さぬ前に政府法律案を出すとすると、調査会がもめるのは私はあたりまえなことだと思うのです。今御説明を承りますと、大体意見がまとまりそうであるから、それを予測して予算折衝等過程の中においてやったほうがいいだろうという判断で、ひとつ出した。もう一つの問題は、政府部内において何とか被買収者方たち措置をせねばならないというような意見があって、それでやったのだ、こうおっしゃるわけですけれども、それなら私のほうから伺いたい点は、これは資料としても委員長のほうに伺いたいと思うのですが、歴代内閣総理大臣等答弁あるいは担当大臣等答弁を私は記憶しておるのは、今速記録を全部ここに持ってきてどうこうとは言いませんが、少なくともこういうことについてはやらないのだ、こういう趣旨国会答弁をしばしば繰り返されておると記憶しておるわけです。そうじゃなくて、被買収者方たちに対しては気の毒だから何とかせなければならないという、私は歴代内閣の責任あるお方の答弁はないと記憶しておる。もしあるなら、資料としてひとつこういう資料があるのだということでお出しを願いたい。やらないという答弁を繰り返されておったのです。その資料も私は出してもらいたいと思う。それを前提として、私は心中しましたように、私の記憶しておる範囲内、今ここに物的証拠としての速記録を持って参っておりませんから、そこまではこうだと突き詰めては申しませんけれども、少なくともこの調査会を設置するときまでは、やるのだという趣旨ではなくて、建前としてはやらない、しかし問題があるからこういうことについての調査会を設けるという趣旨だ。いつどこでそういうものがひっくり返ってきたのか、どういうわけなのか、御説明ができればひとつ承りたい。
  32. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 地主に対して補償をしないということは、仰せのとおり、政府の今までの一貫した答弁でございます。昨年の暮れに地主に対して二十億の生業資金貸付をするという御決定がありましたときも、これはそういった補償をするという意味をその中に含めるということではございません。特殊な政治的な問題として、地主のうち生業資金などに非常に困っている者に対しては国民金融公庫から貸し出すことを容易にしたいというお気持から、ああいう御決定があったというふうに私どもは了解をいたしております。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何にしろ、被買収者特別扱いにするということでしょう、要は。違いますか。中身はそういうことでしょう。
  34. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 結果においてはそういうことだと思います。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 だから、特別な何らかの措置をするということなんです。そういうことはせないと歴代内閣責任者は今まで行ってきたのです。どうしてそこが変わったかと、こういうのです。
  36. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 特別のことをしないということではございませんで、地主側の御要望のありますような、買い上げ価格が非常に不当であった、その後値上がりなどがあって地主が非常に損害をこうむった、その分に対して相当多額の補償を出せ、こういう御要求がございました。それに対して、そういった意味での補償はしないということを繰り返して申されたのであります。それ以来、その後この調査会ができましたのも、こういった旧地主に対しましていろいろ、社会的ないろいろな問題があるということは事実でございまして、またそれに伴いまして、いろいろの御要求もそれに関連してあったわけでございます。そういった問題を調査するために、この調査会が作られたのでございます。ただ、御指摘のとおり、そういった問題に対する答申が出ない前に政府が何らかのそういった生業資金配慮をしようという御決定をなさいましたことにつきましては、御指摘のような問題が私としても確かにあると思います。したがいまして、調査会としても問題になったわけでございます。ただ、調査会においても二、三回その点を論議されましたが、まあ政府立場その他も十分御了承下すって、その後審議が無事進められたということでございます。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この答申についていろいろな点があって、質疑があると思います。私のほうの委員の方からもあると思いますから、私はこれは留保という形にしておきます。  ただ、委員長に計らっていただきたい点は、会期あと二日しかないじゃないか、こういうこともあるかもしれませんが、会期が延長になるかもわからない。今後はどうなるかわからないのですが、少なくともこの答申を読んでみて、そうしてこの結論が(1)、(2)と出ているわけですが、どうも内容がよくつめかないわけですよ。こうこうこういうわけだから、困っているからこういうことをしたらいいという、二つの結論が出るというならばわかるのですが、この前文の七点ほどあげてある書き出しを見ると、そのほかの必要のないような話ばかりになっている。どうもわからないから、工藤調査会長に一ぺん来ていただいて、そうしてよくこの目途を聞きたださないと、私たちには納得しかねると思うから、そういうことについてひとつ委員長のほうからとくと御配慮を願いたいと思います。
  38. 佐野廣

    委員長佐野廣君) よく御相談いたします。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それでは、続けて。まあこういう大体問題が出てきたところは、例の自作農創設特別措置法が非常に問題だと思いますが、実は資料要求しましたけれども、手元に参っておりませんから。占領軍オーダーで行なわれたということは、いろいろなことは承知しているわけですが、それに関連して、日本国民主化日本から軍国主義を払拭するためのいろいろな指令が私は出されていると思います。その一つにこちらは出されたものである。そしてそれは、日本の国の民主化を推進するために出されたオーダーに基づいてこの法律が制定をされたものと了承をしておりますが、これはいかがでしょうかね。
  40. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) この指令趣旨は、日本民主化、それも一つの根本をなす目標であったという点は、同感でございます。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、当時の状況下においてこれをやらなければならない一つ至上命令として行なわれたものであるという立場に立って出されたものだという点については、私がとやかく言わなくても、大体御了承をいただいたと思いますから、私は議論はやめますが、そうしてこの問題につきまして、それは憲法違反じゃないかというような問題で、宇都宮地裁昭和二十三年ですか、いや、その前に出されて、二十八年に地裁判決があり、そうして最高裁で、二十八年の十二月二十三日に、宇都宮地裁判決を支持する判決がなされていることも御案内のとおりだと思う。最高裁自作農創設特別措置法憲法第二十九条第三項等に、いわゆる憲法違反にはならないのだという判決を下しておることについて御了承になっておると思うのですが、その判決要点は一体どこにあるのか、関係の方から御説明が願いたいと思います。
  42. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) この今御指摘になりました農地改革に関します違憲訴訟は、被買収者であります地主から国に対しまして、自作農創設特別措置法に基づきます農地買収価格憲法二十九条の国民の財産権を侵害する不当な対価によって買収されておるという点を、違憲訴訟として提出したものでありますが、それに対しまして最高裁判決要点を申し上げますと、財産権を公共の用に供する場合の正当な補償というのは、その当時の経済状態によって成立するであろう価格に基づきまして合理的に算出されたものであれば正当な補償といえるのだ。その正当な補償かどうかということの算定基礎を検討すると、当時の算定基礎というのは、農地改革の目的とする線に沿ったいわゆる耕作者自作収益価格というものを基準にいたしまして、それを資本還元した農地価格であって、正当な対価というべきものである。かつ上告人の言っておりますそれの基礎になります米価につきましても、当時の社会経済状態において必要とされた国の価格統制価格を用いておることは正当である。また、その間の買収進行過程において米価変動があったとしても、それが直ちに自作収益価格基準にいたしました農地価格の上昇を意味するというわけには、そういうふうにはいえない。したがって、自作農創設特別措置法に基づきます買収対価というのは憲法二十九条の規定に違反するものではない、という判決であったのでございます。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、この最高裁判決政府は支持されておりますか、おかしいというふうにお考えになっておりましょうか。
  44. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) この判決の理由になりますような主張政府としてし続けて参ったのでございますから、当然といいますか、政府としては、最高裁判決は正しい判決政府主張が容認せられたということに満足いたしておるわけでございます。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、被買収者方たちが、土地が値上がってしまった、もうけておる、おれは損したわいという、こういう声だと思うのですが、そういうことに対してはどういうふうにお考えになっておりますか。
  46. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 私どもは、自作農創設特別措置法によります対価が正当であるということを主張いたし、正当であるという判決をいただいておりますので、その後の経済変動による関係者の不満という問題は政府法律に基づいてとった措置とは直接関係はないことであるというふうに考えております。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 別な言葉でいうと、言いがかりだというふうに了解していいわけですか。それは物価の値が上がっちゃったんですから……。
  48. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいまの裁判所の判決が、要するに、国が権力を行使した場合に正当なものであったと、こういう判決だと思うのであります。それはそれで今答弁申し上げたようなことでありますが、しかしながら、それはそのとおりであるとしても、法律的に合法的であるとしても、もう一つ上の政治的な考慮というもの、配慮というものが必要かどうかという考え方が、行政その他政治的な配慮が必要かどうかという考え方があり得るのではないか。これはその判決が正しいということを否定するものじゃもちろんないのでありまして、そういう観点から立ってこの剛胆について考慮をめぐらすということも全く政治的配慮であって、裁判の正当かどうかという問題ではもちろんないのであります。そういう点に、私はいろいろなこの問題に対する論議が起きておる、何と申しますか、論議動機、原因があると、こう考えております。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、動機があるとかないとかいうことじゃなくて、そのことがいいか、言いがかり政府はもっともだとお考えになっておるのか、そうじゃないとお考えになっておるのかということを承っておるわけです。
  50. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) その問題、政治的問題としての今のお尋ねに対しましては、御承知のとおり、自民党の中に、今御審議を願っております国民金融公庫の業務として、生業資金二十億円を貸し出しをするということ以外に、何らかの対策が必要であろうという考え方が、自民党の中に相当ありますことは御承知のとおりであります。これに対し政府はもちろん今同調しておるというものではありませんけれども、そういう意味で政治的な考え方をしなければならないのではないか。決定はいたしておりません、態度はまだ決定いたしておりませんから、お答えとしては、まだ決定いたしておりません、こうお答えするほかありませんが、そういう情勢でありますことはおそらく御承知だろうと思います。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そのことはただ単に農地だけではなくして、当時のたとえば軍事補償打ち切りだとか、種々雑多、いろいろな問題があるわけですが、そういうもの全体をひっくるめての御意見だというふうに解釈していいのか、この農地買収だけに限っての御意見なのか、その辺はどうですか。
  52. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 今申し上げましたのは、農地買収者問題として、昨年の通常国会の当時から党内で非常に強くそういう意見が出ておりますので、農地買収者の問題として、今申し上げましたようなことを、政治的考慮の課題になっておるときまってはおりませんが、一つの課題にはなっておる、こういうことを申し上げたのであります。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ自民党内のことは私たちも今あなたから承りましたが、もう一度確認をしておきたいんですが、これは大臣あるいは総理大臣等に確認するのが正しいことであり、また私たちもそういうふうに委員会へ大蔵大臣あるいは総理大臣が当然出席されるものと考えております。また、していただかなければならぬと思いますが、一応現時点における政務次官の御判断では、それはやるべきだというのかやらないのか。承っておると、問題がある、問題があると、こういうお話ですけれども、やるのかやらぬのか、どうなっているのですか、一体。
  54. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) これは御承知のとおり、大きい政治問題になっておりまして、政府としてはもちろんきめておりません。かかって今後になる問題でございますので、今お尋ねのような具体的なことは申し上げるわけに参らないのであります。
  55. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この最高裁の判例についても、資料としてきょう大ざっぱなものをいただいたわけですから、これをもう一度読んでみて、それから今の御答弁等を承りましたのですけれども、この問題についてはあらためてひとつ自後研究をしてから承りたいと実は思っておりますが、憲法違反の問題にからんで、これは大蔵省にあることですから次官にお尋ねしたいのですが、関税の問題に憲法違反の問題が出てきておりますね。これは関税局長がいなければならぬということになるかもしれませんが、片一方では悪法違反か合憲かということに対して合憲だという判決が出ている、片一方は違反だというような判決をもらっておられますが、これはどうなっておりますか、関連でえらい悪いわけでございますが。
  56. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 私、その点よく存じておりませんので、今のお尋ねを事務当局と打ち合わせして、次の機会にお答え申し上げたいと思っております。
  57. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 占領軍指令によっていろいろな問題がなされておるわけですが、これは資料をいただきませんから、どうも質問が発展をしていかないわけでございますが、一応私がまあこんなのが飛んでおるんじゃないかと思っておるわけですが、財閥解体に基づくところの独禁法の問題ですが、そういうことは別として、たとえば華族令がなくなった、あるいは金鵄勲章の年金が飛んでおったり、いろいろなことをしておるわけですが、こういうようなものに対しては、声が出ておらぬから、大問題にならぬ。声なき声は聞かぬぞよ。農地のほうは、何か政党献金をしたり金を集めて運動しておるので、大問題になっておるというふうにお考えになるのか。こういう問題は全然声は出ておりませんか、何とかしてくれという。どういうふうにつかんでおられるのですか。
  58. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 金鵄勲章につきましては、五年くらい以前からそういう陳情、請願のありますことはよく承知いたしております。  もう一つは、何でしたか……。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 幾らでもありますよ、あげれば、一応そういうものの、実は、占領軍指令に基づくところの何によって権利を失われたものがあるか、財産はどういうものが失われたものかというふうに分けて、資料要求をしておるわけですが、資料が出て参りませんのでいかないわけですが、私の承りたい点は、まあ中身の問題よりも、大体政府のほうでもいろいろと御研究になっておった結果、どんな問題があって、それについてはどのような声が出てきておる、それに対して政府はどうしようとしておられるのか。
  60. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) これは、御承知のとおり、今の金鵄勲章もその一つでありますが、在外資産のほうからも年々要望が出ておりますことは御承知のとおりであります。その他にもそれに類似したような請願なり陳情なりが相当ありますことは、承知いたしております。政府といたしましてどうするのかというお尋ねでありますが、先ほども申し上げましたように、農地買収特に対する対策も、政府としてはまだ決定をいたしてはいないわけでございます。そういうことで、今あげましたような問題につきましても、どうするのだというお尋ねがありますけれども、これは方針が別にまだきまっておりませんとお答えする以外にはありません。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは恩給法の加算加給の問題もございますし、学徒動員の問題もございます。建物疎開の問題もございます。軍事補償の問題もありますし、財産の問題もありますし、銀行預金の封鎖もありますし、保険の打ち切りもありますし、数えあげれば切りがないわけであります。そういうものに対しての、この問題はその中の一つだと思う。そういう問題に対してどういうふうに政府はやっていこうかというようなことは、これはやはり関係の大臣に来ていただかなければ、私のほうも政策の論争になりますから、御意見を承るのはいけないかと思いますので、この問題はひとつ保留させていただきたいと思います。  次に、在外資産の問題が出ましたから、それについて……。これは資料要求はしておきましたが、私の手元にまだないわけですが、私はここにイタリアの平和条約の写しだけを持っております。七十九条に、イタリアは、在外資産というものを賠償に引き当てるということを――賠償ということは明確には書いておりませんけれども、権利を放棄するということを書いている。ただし、イタリア国民に、イタリア国政府は、イタリア国民であってこの条に基づいて財産が取り上げられ、しかも返還を受けない者に対し補償することを約すると、こういうふうに平和条約の中で在外資産というものは賠償に引き当てられると、日本でいえば平和条約第十四条のたしか二項と記憶しておりますけれども、放棄している。その点はイタリアと同じものでございますが、ただイタリアはそうした場合に、国民に対して政府が責任をもって補償をするということを平和条約の中にうたっておるわけです。ところが、日本の平和条約にはそういうことは書いてないわけなのです。どうして同じ――まあイタリアと当時同盟国として連合軍に対して日独伊の三国同盟に基づいて題二次戦争を戦ったわけですけれども、違っておるわけです。一体、日本の当時の講和条約を締結されるときに、どういう考え方で――イタリアがどういう平和条約を結んだということは当然御承知の上になっておったと思うのです。それがなぜ日本とは違っておるのか。こういうようなことについて、今在外資産の問題も問題になっておるというお答えでございました。これは外務省に承るのが本筋ですから、また外務省に来てもらって御答弁を承りたいと思っておりますが、一応大蔵省としてはどんなふうにお考えになっておるか、聞いておられるか。もしそういうことまで研究をしてみえるなら、この際お聞きしておきたいと思います。
  62. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 平和条約のその点の経緯についてはつまびらかにいたしませんので、ただいまお答えいたしかねるわけでありますが、日本とイタリアとは同じ条件かどうかという問題もあると思います。御承知のとおり、イタリアは最終的には連合国側に、何といいますか、味方をしたといいますか、そういう事情もありますため、そうなったのかどうかつまびらかにいたしませんので、大蔵省としては別にその問題について見解を申し上げることは、まあ適当でもないし、詳しく知りませんので、いずれ外務省に連絡した上で申し上げたいと、こう思います。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 講和全権大使の吉田茂さんにひとつ来てもらって、なぜこうなったか聞いてみたい。この問題に対して、国民として一度ぐらい意思表示国会を通してされる必要があると思う。そういう機会を与えなければいかぬと思うのですが、委員長、ひとつ計らって下さい。  私は、今度の参議院選挙に際して、自民党は戦後の処理問題について何かこれをやるのだという公約をされておったように承っておるわけですが、それが大蔵省の中ではどんなふうになされておるのか、その後どんな進展を見ておるのか、わかりませんでしょうか。
  64. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 参議院の選挙に際しまして、党が政策として戦後処理をなるべく早くやりたいというようなことを言ったようでございます。しかし、それは具体的にごうごうという政策をうたったわけではなくて、全体論として主張したのだと、こう理解しております。中には、いわゆる何と申しますか、精神面のこともありましょうし、いろいろな点でそういう戦後処理的な政治のやり方を早く切り上げたい、こういう趣旨であったように私は理解いたしております。
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 具体的な動きは何にもないというふうに了承していいわけですか、政務次官
  66. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) これは党の政策の主張でございますから、それに対して政府が直接に責任を持っておるわけじゃもちろんないわけであります。でありますから、党が具体的な政策としてこれこれがそれに当たるものだということをはっきりさしておるものが、私もあまり不勉強ではっきりいたしませんが、あるかもしれませんが、われわれは戦後処理的な政治から抜け出した政治を早くしなければならぬ、こういう意味主張した、こう理解いたしております。
  67. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私が承りたいのは、党がそういう決定をしたということはわかります。これは党の問題だということもわかります。具体的に、だからこうなんだぞよといって、大蔵省というのですかね、関係に対して何か働きかけをしておるものがございましょうかと、こうお尋ねしておるわけです。
  68. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) 寡聞にして、党がそういうレッテルを張って持ってきたというものは、具体的には聞いてはおりません。あるいはこれからそういうことを党が考えて、これはそういうものだというものを持ってくることもあるいはあるかもしれませんが、先ほど申し上げたような趣旨での政治的主張であった、こう理解しております。
  69. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 公約は公約ですぞという趣旨で、まだ働きかけも何もない、こういうふうに了承をしておきます。  次に、これは委員長、どうしても大臣に来てもらわないと初めの議論ができませんから、きょうはこのぐらいにして、次に私は大蔵大臣と総理大臣に聞いてみたい。あるいは農林大臣に出席をしていただいて、そこで質疑を続けさせていただきたい。
  70. 佐野廣

    委員長佐野廣君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  71. 佐野廣

    委員長佐野廣君) 速記を起こして。
  72. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 あした大臣並びに関係責任者の人に来ていただきたいと思いますが、とりあえずこれは事務当局に聞きたいのですけれども、一体対象になる人員といいますか、予想される貸付の対象はどのくらいになるのですか。
  73. 大月高

    政府委員大月高君) この農地の被買収者に対する国民金融公庫からの貸付の予定額は二十億円でございますが、これでどの程度の対象を予定しておるかということでございますけれども、具体的にこの人、この人というような積み上げをやっておるわけではございません。一般に国民金融公庫とかあるいは中小企業金融公庫その他の積算の基礎は、そういう個別のものではないわけでございます。それで、現在の国民金融公庫の一人当たりの貸し出しの平均が大体二十万をちょっとこえておる程度でございますので、かりに二十万平均というように考えますと、大体二万件程度の貸付ができる。三十五万平均と考えますと、八千件程度、こういうふうに考えておるわけでございます。
  74. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 私は逆な考えをもってお聞きしているわけです。というのは、二十億円という貸付の原資の出た根拠を実は聞きたかったのです。というのは、五月二十二日に調査会から出ておる答申によると、その答えは、必要ないということが前提になっておるわけです。「しかしながら」ということで、生活に困窮している者に対しては生業資金貸付を行なうことができるとか、これは「しかし」で、答申の前提は全部必要ないだろうということになっておるわけです。ですから、今成瀬委員が言われた政策面からのいろいろな問題も、もちろん必要ないことが前提なのですけれども、そういうことでせっかく政府のほうで御委嘱になって、そうしてそのされた委員会出し答申が、貸し付ける必要は一応ないのではないかということを前提にしておる限り、そういう長い間の調査の中では、実は生活上あるいは生業上困難な者がこれだけおるのだということ、それは僕は調査の中で大よそ出ているのではないか。だから、こういう方法が一つは必要なんだということになっておるのではないかと思うのです。そこで、今あなたのおっしゃるように二十億の原資から割り出すのでなしに、大体こういうような人数のものがここにあるとか、あるいは資金があれば息をつけるのだというようなことであれば、こういう一種の方法を講じてはどうだというように考えられてくるのが筋道ではないのか。そこから原資の問題もおのずから出てくるというふうに考えているわけです。そういう意味で、この答申の結果から見れば、大体の人数がつかめるのではないか、つかんでいるのではないかというようなことをお尋ねしているわけです。
  75. 大月高

    政府委員大月高君) この農地の被買収者の中におきまして、生活の困窮者もあると思いますし、生活上さしてお困りにならない方もあると思います。しかし、今般の国民金融公庫からの融資につきましては、単にそういう生活上の困窮度を標準に融資するということでなくして、被買収者の中で何らかの事業をやりたい、それで金が要る、つまり事業資金が要る、しかし一般の金融機関から借りることができない方がございますれば、その方に対しまして生業資金をお貸しをする、こういう趣旨でございまするので、面接生活に困っておるかどうかということにはさしあたり関係がない。そういう意味におきまして、困窮者がどの程度あるかということとは関係なしに、どの程度のそれでは事業計画を持たれるかと、こういうようなことになるわけでございまして、その統計は全体の被買収者百七、八十万というふうにいわれておる一わけでございますが、具体的に、個別的に計算いたしましてこの金額をきめることはなかなかむずかしいわけでございます。そういう意味におきまして、とりあえず二十億円をもって措置いたしておる、こういうことでございます。
  76. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 まあこれはあとでまた議論になりますから、次の質問のときにでもまたお尋ねしたいと思うのですが、政府は今度のいろいろの問題のときでも、たとえば炭鉱の場合でも、調査会答申を非常に尊重されておるわけです。そういう建前からすると、工藤さんが会長であるところの調査会答申もやはり尊重することはあたりまえになると思うのです。そういたしますと、こういう措置を講ずることが必要であるという前提は二つしかないわけです。それは生活または生業上困難である、あるいは子弟を進学させるのに困難である、こういう者がおるから、だから何らかの措置が必要である、こういうふうに言っておるわけです。それが前提にならないと、あるいはそれが重点的に考えられなければならないじゃないかというふうに私はこの答申書から見て考えるわけです。そうすると、そういうふうな答申の範囲以上に越えて大蔵省のほうは配意しておるのだ、あるいは考えておるのだということになるのでしょうか、今のお答えは。
  77. 大月高

    政府委員大月高君) ただいま申し上げましたように、この提案の時期はこの調査会結論の前でございまして、政府判断におきまして今申し上げましたような融資対象を考えまして金額を考えたわけでございます。そういう意味におきまして、必ずしもこの答申内容を同じくするわけではない。この法案提出いたしましたあとにおきまして答申が出たわけでございますから、政府といたしましては、またこの答申その他諸般の状況を考え予算措置あるいは法制的措置をする必要がありますれば、また新たに講ずる、こういうことであろうと思います。
  78. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そういたしますと、とりあえず二十億円で発足するけれども、この仕事の進んでいく過程ではさらにもっと貸付金額を必要とすることになるということも想定されておるわけでしょうか、どうでしょうか。
  79. 大月高

    政府委員大月高君) 三十七年度の予算措置といたしまして二十億円を予定いたしたと、こういう意味でございます。
  80. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 したがって、本来今後ふえることもあり得るというふうに考えるわけですね。
  81. 大月高

    政府委員大月高君) そのさらに三十八年度において、あるいはそれ以降において、何らかの追加措置をするかどうかということは、まだきまっておりません。
  82. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 それから、これは事務的な問題にもなると思いますけれども、今度の貸付をもしこの法律改正されて行なうということになると、代理業務機関は一応使わないのだと、こういうふうに言っておられるように思うのですが、そうですね。
  83. 大月高

    政府委員大月高君) 代理機関を使いませんで、直接公庫でやりたい。それはやはり認定その他について正確を期したいという問題があるわけでございます。
  84. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうしますと、現状での公庫の九十二カ所ですか、支所でいろいろ仕事をされておるわけですけれども、その職員の仕事量が多くて人員をふやしてもらわなければ困るというような陳情、請願等も出ておると思いますけれども、そういうふうに今後何百人も必要とするような現在の仕事量の上に、さらに代理業務機関を通さずに支所で行なうということになると、さらに人手が必要になるわけであります。現行では、いろいろ公庫でやっておられる仕事は一生懸命やっておられるけれども、非能率的と申しますか、お客さんのほうから申しますと、まことに不満足な事務の進行状況なんです。そうすると、現在の人員で、しかも代理業務機関を通さずに、全国にまたがるものをやるとすると、事務量において消化できないのではないかというふうに考えるのですが、そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。
  85. 大月高

    政府委員大月高君) 国民金融公庫の審査事務は、御存じのように非常に零細なものでございまして、審査も相当手数がかかるわけでございます。一般にこの審査の日数を何とかして短縮して円滑にこの仕事ができるように考えるべきだという御意見が相当強いわけでございまして、政府立場といたしましても、毎年予算を盛ってこの仕事をやるのに必要な人員の増加を実施いたしておるわけでございます。ただ、何分にも十分御要望を満たすということにはいかないと思いますけれども、もちろんこういうような仕事が始まるということでごさいましたならば、それに応じてまた人員も考える。三十七年度予算におきましても二百四十数名の人員の増加を予算措置いたしておるわけでございまして、実情に応じまして適宜考えて参る、全体の国民金融公庫の仕事として必要な人員を考えて参ると、こういうことになるわけでございます。
  86. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 三十八年度にどのくらい人員をふやすお考えでおられますか。あるいは支所をふやすお考えを持っておられるかどうか、ちょっとこの際。
  87. 大月高

    政府委員大月高君) ただいま予算の編成過程でございまして、まだ正確にはきまっておりませんが、いずれ従来の例によりまして若干の増加になるということは考えられます。
  88. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 それでは、まあ人数なりあるいは支所の問題なりについては、なお現在検討中であるというふうに考えておかなければならぬと思うのですが、しかし当然ふやさなければならぬというふうに考えておられると、そこに新しい仕事がふえるとなると、次々にそういう問題が起こってくる。たとえば、その二十億の出資も将来ふえるかもわからぬ、あるいはこのことのために人を必要とするかもわからぬというようなことになると考えてよろしいですね。
  89. 大月高

    政府委員大月高君) 国民金融公庫全体といたしまして、普通貸付、小口貸付、恩給担保貸付、その他いろいろな仕事をやっておりますので、そういうものと含めまして検討いたすということになろうと思います。
  90. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 非常に単純な恩給担保貸付でも、多少最近は改善されましたけれども、なおわれわれが見ておっても、もう少しスムーズにいけるのではないかというふうなのが時間が相当かかっているわけです。そういたしますと、この仕事も、もし始めますと、恩給担保なんかと違ってさらに複雑な貸付になりますから、審査上やはり相当の人員が必要となると思うわけです。そういう点で、今後の課題として、いずれ別の機会に十分お尋ねしたいと思うのですが、とりあえず先ほど申し上げましたそれは、できぬと言えば別ですけれども、私はこの調査会のこの答申の時点においてでも、やはり大体どの程度のものがこういうことで資金を必要とするのだということが、私は数字として大体出ているのではないかと思うのですが、その点の資料出してもらえませんか。
  91. 大月高

    政府委員大月高君) いずれ昭和三十八年度予算決定いたすと思いますので、その節御説明できるかと思いますが、ただいまの時点では困難でございます。
  92. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうしますと、いずれまたあとで御質問いたしたいと思いますが、私は、先ほど成瀬さんが言われたいろいろお聞きする対象と申しますか、相手の中に、調査会責任者をお願いしたいと思うのです。農地買収者問題調査会、銀行局のほうでわからぬというのだから、こっちで聞かなければならぬと思う。
  93. 佐野廣

    委員長佐野廣君) あとで御相談いたします。
  94. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 関連して。蒸し返してたいへん恐縮なんですが、今銀行局長の回答でありますと、答申政府案よりおそく出たがゆえに、ほんの参考程度であるというふうな印象を受けたわけですが、この答申は、そうしますと、全く無視されて、政府案だけが政府案として独自の立場で出されたものであるかどうかという点。
  95. 大月高

    政府委員大月高君) 答申法案提出の後に出たわけでございますので、調査会答申が無視されておるかどうかという問題とは直接関係ないわけでございまして、今後政府でこの答申をどう扱うかという問題は、将来の問題だと考えます。ただ、具体的に寺中の中にございます生業資金貸付の問題、育英資金について配慮を加える、こういう二点が答申内容になっておりますが、現在御提案申し上げております法案は、そのうちの第一項に該当するものを相当カバーしておるという、実質上の趣旨には合っておる、こういうように考えるわけでございます。
  96. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに将来の問題だと言われればそのとおりのようにも思えますが、そうしますと、政府の諮問機関であるこの調査会というものが一体何の目的のために作られているのか。答申が出た以上は、やはり将来ということよりも、関連して、当然参考として、こうした内容を吸収した上に立っての政府法案というものが出されてしかるべきではないかと考えますが、その点はどうでしょう。
  97. 大月高

    政府委員大月高君) この答申が出ましたのは五月二十二日でございますので、前国会の終了後でございます。そういたしますと、その措置はただいまの臨時国会か、あるいは次の通常国会か、あるいはそれ以降の問題になると思うのであります。
  98. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そうしますと、との答申は現在の政府として当然考えての対象に入っていると見てよろしいでしょうか。
  99. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 答申の出ましたあと、これに対してどういう措置をとるかということを当然私ども考えなければならないわけでございますが、答申最初にございます「生業上困難な状況にある者に対し、生業資金貸付措置を講ずる」、この問題につきましては、ただいま御審議を願っておりますこの国民金融公庫法出資金をふやすということによって、さしあたりの措置はしつつあるというふうに私ども考えております。  第二点でありますところの育英資金の問題でございますが、これにつきましては、文部省の所管しております育英会、あるいは厚生省の所管しております母子世帯の貸付金の中での一種の修学資金、こういったいろいろの問題を私ども何度か勉強して参っておるのでございますが、なかなかまだ成案を得るに至らない。この育英資金の問題については今後さらに検討を進めて何らかの措置をとらなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  100. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 生業資金について困窮者を救済するという意図は十分わかるんですが、この調査の結果の概要を見ますと、非常にその点が問題になってくると思うんです。こうした点については明日のまた質問に留保さしていただきたいと思いますが、生業資金といえば必ずしも被買収者に限った問題ではありませんので、国民金融公庫法の第一条の目的から考えましても、まだほかにずいぶん関連したような種類の立場にある方々がおるはずだと思うんですね。そういう点でこの答申内容を拝見いたしますと、印象としてはそう困窮しているような人たちがいないのではあるまいかと、そういう疑いを持つわけです。そういう点について明確にその方向を示していただきたいものである。  私の質問は以上で打ち切って、あしたに回します。
  101. 江守堅太郎

    政府委員江守堅太郎君) 生業に困難を来たしている者がどの程度あるかということは、端的に申しまして、はっきりつかんでおりません。ただ、そういう者があるということも事実でございます。そういった事態に対して何らかの措置をとれというのが調査会の御答申であるというふうに了解いたします。
  102. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 関連ですが、そこが問題なんですね。結局つかみ金的な性格を持つわけですね。つかみ金的な性格を持つ。ずいぶん親切な話だと思うのです。よそではなかなか……。こういうつかみ金的な性格をもって国民金融公庫から特定の融資をするという実例が今までありましたか。
  103. 大月高

    政府委員大月高君) 国民金融公庫法、中小企業金融公庫法その他に基づきまして、毎年政府出資あるいは融資の措置を講じておるわけでありますが、その際につけます金も、つかみ金というような荒い問題ではございませんけれども、全体としての金額は積み上げ計算をしておるわけではございません。全般の金融情勢その他を見まして、そのうちで政府でどのくらいめんどうみようかというような大きな感覚でやっておるわけでございます。そういう意味におきまして、今般の二十億につきましても、事業をやりたいという人がございまして、一般の金融機関へ行きましても、その需要が満たし得ない、そういうようなぎりぎりの人に対して措置をしようということでございますので、ちょうど一般の国民金融公庫に来られます人と同じく、一般の金融ベースにまず乗っかって、それがどうしてもうまくいかないという人を措置していくわけでございますので、精神においては同じだろう、こういうように考えております。
  104. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 関連。それじゃ、普通貸付でいいじゃないですか。その点、どうなんです。わざわざ別のものを作らなくても。
  105. 大月高

    政府委員大月高君) 先ほどから問題になっておりますように、こういう調査会を作りますと、何らかの措置を講じたらいいというような答申の出るような問題でございます。で、この被買収者に対して何らか措置をしたほうがいいのじゃないかというような世間の声が強いわけでございまして、そういうような要請に対してこたえることが政治的配慮からいいという判断を下されておるわけでございますので、こういうような二十億の措置を講じたわけでございまして、われわれのとりました措置といたしましては、十分根拠があるものと考えております。
  106. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうすると、今おっしゃったのは、答申を一応尊重されたことになるのですが、その答申のほうはそういう必要はないのだということが前提になっているわけですからね。その点がどうも食い違いがあるのですけれども……。
  107. 大月高

    政府委員大月高君) 答申では、今申し上げましたような小業資金貸付措置を講ずることが適当であると出ているわけでございます。ただ、申しましたように、時間的な前後から申し上げますと、政府提案あと答申が出たわけでありますが、精神及び趣旨から申しまして、そこは合致していると考えるわけでございます。
  108. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうすると、あなたのほうでは都合のいいことは等申を尊重し、都合の悪いものはこれは事後の問題だから知らないのだと、こういうふうにとれるのですけれども……。
  109. 大月高

    政府委員大月高君) この法案提案いたしましたときには、まだ等申の内容が明らかでなかったわけでありますので、政府の責任におきまして、今御提案申し上げている程度の措置をとりあえず講ずることが必要だという判断をもって、措置いたしたわけであります。その後、調査会において同様の趣旨答申がありたわけでございまして、これはこの調査会答申を尊重した、しないということではなしに、答中の趣旨とわれわれの考えておったこととは結果において合致しておると、こういうことでございます。  あと育英資金の問題については、現有措置をいたしておりませんが、その後出た答申でございますので、その取り扱いは将来の問題になると、こういうことであろうと存じます。
  110. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 あとは保留いたします。
  111. 佐野廣

    委員長佐野廣君) それでは、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  散会いたします。    午後七時散会