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1962-12-14 第42回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月十四日(金曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木  壽君    理事            佐藤 芳男君            山崎  斉君            横山 フク君            相澤 重明君    委員            川野 三暁君            久保 勘一君            沢田 一精君            鈴木 恭一君            田中 清一君            二木 謙吾君            山本  杉君            佐野 芳雄君            横川 正市君            和泉  覚君            高山 恒雄君   国務大臣    内閣総理大臣  池田 勇人君    法 務 大 臣 中垣 國男君    厚 生 大 臣 西村 英一君    農 林 大 臣 重政 誠之君    通商産業大臣  福田  一君    労 働 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    内閣法制局長官 林  修三君    大蔵省主計局長 石野 信一君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    農林省農地局長 任田 新治君    農林省畜産局長 村田 豊三君    労働省労働基準    局長      大島  靖君    建設政務次官  松澤 雄藏君    建設省都市局長 谷藤 正三君         —————    会計検査院長  芥川  治君   説明員    通商産業省公益    事業局次長   生駒  勇君    会計検査院事務    総局次長    平松 誠一君   参考人    東京首都整備    局長      山田 正男君   —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出)(継続  案件) ○昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出)(継続  案件) ○昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書(第四十回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和三十五年度政府関係機関決算書  (第四十回国会内閣提出)(継続案  件) ○昭和三十五年度物品増減及び現在額  総計算書(第四十回国会内閣提出)  (継続案件) ○昭和三十五年度国有財産増減及び現  在額総計算書(第四十回国会内閣提  出)(継続案件) ○昭和三十五年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第四十回国会内閣提  出)(継続案件)   —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  それでは、昭和三十五年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  なお、本日、本件審査関連し、山田東京首部整備局長参考人として当委員会出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 御異議ないと認めます。  なお、手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。   —————————————
  5. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) それでは、これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 本日は、特に通産大臣の御出席をいただきましたので、時間の関係で長いことできないと思うんですが、重点的にお尋ねをしたいと思いますのは、先日次官に出席をいただきまして、日本カーリット株式会社保土ケ谷工場爆発事故関連をした危険物爆発物等の問題についての問題と、さらに通産大臣におとといたいへん御苦労いただいたハイ・タク業者に対するガソリン配給停止の問題について、これはきわめて緊急の問題でありますから、そういうことと、いま一つは、電力再々編成に関する問題と電力需給状況、これらの政府の今後の政策について、緊急の問題でありますので、関連をしてお尋ねをしたい、こう思うのであります。  最初に、私は、特に大臣のおとといの、いわゆるハイ・タク業者に対するガソリン配給停止という問題についてあなたが非常な努力をされたことは、私も承知をいたしております。しかし、昨日当委員会通産省関係官にこの事情について質問をいたしましたところが、御承知のように、ガソリンについてリッター五円値上げをしなければ配給をやめると、こういうので、おとといが四千台ですか、きのうは一万幾ら——二万台にも及ぼうという大きな都民の足が奪われると、こういう事態が目前にきたわけですね。あなたの努力もそれによって功を奏したわけでありますけれども、今日の政府考えておるいわゆるガソリン消費の量の見込みというものと、価格の安定というものについて政府がどう考えるかということは、きわめて私は大事なことだと思う。そこで、一つ私がきょう大臣に特に御質問をいたしたいのは、今政府考えておるこのガソリン等に関する問題でありますが、まずわが国原油輸入する最というものをどのくらい考えられておるのか。私もこの石油事情資料をちょうだいをしたのでありますが、少なくともこれを民族資本外国資本とに分けて、ひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思う。現在のいわゆる石油をどのくらい政府としては考えられ、さらに、三十八年度におけるところの輸入目標額というものはどのくらいなのか、こういう点をひとつお答えをいただきたいと思うのであります。
  7. 福田一

    国務大臣福田一君) お答え申し上げたいと存じます。  実は、御承知のように、石油の問題につきましては、この前の通常国会におきまして、この石油業界の非常な不当競争とか、あるいはまた国内資本問題等ともからみまして、業法制定を見ましたわけでありますが、その目的というものはどこにあったかといえば、石油関係の資源というものをやはり安定してわが国供給するような措置考えていかなければいけない。しかも、あまりこれが高価であるというようなことはもちろんいかぬ。とにかく安定した形においてやっていかにゃいかぬということと、もう一つは、特に論議されましたところは、外資関係をした、入っておるところの業界が、あまり横暴——まあそういうことがあったかどうかは別といたしまして、横暴をきわめるというようなことになって、ひいては日本のいわゆる石油市場外資によって独占されるようなことになっては、これは困るではないかというようなこと等を含めまして業法制定を見ておることは、相澤さんもすでに御承知のとおりでございます。そこで、そういうことでございまして、業法が成立をいたしたのでありますが、その後の実情は、御承知のとおり、業界が非常に過当競争をいたしております。その過当競争をした原因等をいろいろ究明すれば、日本石油消費量というものは今後もどんどん伸びる。世界の市場において、日本市場ほど石油消費が伸びるところは少ない。これというのも、日本が高度の経済成長をしておりまする関係から、こういうふうにエネルギー源が必要となり、したがって石油消費量が伸びるということになっておるのでありますが、そういうようないわゆる有望な石油消費量の伸びる市場であるというところに一つ原因があったのじゃないかと思うのでありますけれども、とにかく過当競争をいたしまして、そしてだんだん油の値段を下げて参りまして、重油にいたしましても、あるいはガソリンにいたしましても、できるだけ自分のところの油を使ってもらいたい、自分のところの重油を使ってもらいたい、こういうふうに、しきりと競争をいたしました。その結果は、ひいては、大きないわゆる資本を持っておるものはまだ何とかなりますが、いわゆる民族系と言われるような小さい資本のものは、ますます大きい圧迫を受けるというような状態になっております。そういうようなことでございましたから、外国資本が入った会社においてすら、株価を見てみますと、五十円を割るような会社が続出するというようなことで、非常に過当競争弊害が現われて参っておるわけであります。そこで、業法に基づきまして、われわれといたしましては、そういう過当競争をして、そして損をしてまでも——競争も損をしてまで売るというようなやり方をして、これはざっとした計算でありますから、申し上げて、その数字がきちんとした数字になっておるか、正確な数字かどうかは、保証というか、私からはっきり申し上げるわけにいかぬかもしれませんが、業界全体で四百億円一年間に損をするくらい安い石油ダンピングをしておる。これは非常な私は問題があると思うのであります。こういうふうにいたしましてダンピングをしていって、そうして今度は、小さい民族系会社なんか全部つぶれてしまったときになってから、今度は、先には損をしたからといって、いわゆる市場を独占して、そうして今度はガソリンでも、五円でも十円でも一ぺんに上げていくということをされたのでは、これは非常な弊害も起きるというようなこと等も考え、また、そういう過当競争によって、一部にはそういうことで非常に困っておるのだというようなこともありましたので、石油審議会に、こういう事情になっておるのだがどうしたものであろうかということを、実は通産省から審議議題として提供いたしまして、そうして御協議を願ったわけでございます。そこで、石油審議会といたしましては、そういう過当競争をするのでは因るから、まあこの際ここでひとつ適当なる標準価格を示すようにしてはどうだろうかということが議題に上りました。それでは、標準価格としたらどんなものがよいのか、どういうところが正しいことになるかということで、これまたいろいろ議論があったわけでございます。そこで、議会の中に小委員会を作りまして、そうして、一体ガソリンはどれくらい、重油はどれくらい——いわゆる石油から出てきますところのこの二つの油の標準価格はどれくらいにしたらよいかということをいろいろまあ協議をされました結果、公平な第三者等も入られて、いろいろ審議をしていただいたのでありますが、その結果、その審議会において議論の出ましたところは、一体原価というものは大体こんなものだろうかということで標準を示したがいいかどうか、そうして原価は大体これくらいになるのが、正しいのだ、その原価を、今度は石油会社で売る場合に、どういうふうにして利益を入れるかどうかは別にしても、とにかく原価を出す、標準価格を示す、あるいはまた利益も含めた標準価格を示すべきがどうかということで、これまたいろいろ議論をしていただきまして、究極するところは、そういう利益の問題まで触れる必要はないから、原価としてどういうふうに標準をきめたらいいかということで、標準価格を一応きめるということになりまして、そうしてその標準価格というものがきまったわけでございます。そこで、この石油審議会答申を待ちまして、通産省としては、これくらいが適当であるという標準価格を実は石油関係各社に示したわけでございまして、そうしてこれがしかるべきところであるということをまあ申し述べさしたわけでございます。で、先ほど質問に入られますときにお話がございましたとおり、その結果として、石油各社といたしましては、ハイ・タク業者とか、そういうところに対しまして、そういうような標準価格も出たのだから、これで買い取ってもらいたいということを申し入れて、その間に、ハイ・タク業者としては、そういうような高いものでは困るというようなことから、いろいろ今問題が起こりつつあるようでありますが、われわれといたしましては、標準価格を示すということは、石油業法に基づいてそういうことを示したわけでありまして、これをどういうふうにしていわゆる供給者がいわゆる需要者との間で話し合いをつけるかというところまでは、石油業法にはもちろん規定もいたしておりませんし、これはおのおのの業界において、あるいは会社において処理をしてもらうよりいたし方ないと考えます。ただ一点、過当競争をあまりして、また、標準価格を示しても、標準価格なんかいくらあったって、そんなことはわれわれは尊重する必要はないのだというような感触では、石油業法がきめております標準価格をきめた目的というものにも相反するといいますか、その趣旨が生きないことになりますから、なるべく標準価格を守るようにしてほしいというような措置もとっておるのであります。そういうわけでございまして、われわれといたしましては、いわゆる石油を安定的にひとつ供給しようというのが目標でございまして、標準価格を示し、あわせて過当競争を防止して、そうして業界がむやみに波乱をしたり、あるいはまた民族資本が不当な圧迫を受けることがないようにしようという点で、こういうふうな措置をとったわけでございます。  そこで、ただいま御質問のございましたことは、一体重油をどれくらい本年は入れておるか、また原油をどれくらい入れておるか、また来年はどれくらい入れる予定であるかという御質問でございますが、大体ことしが四千三百八十七万キロリッター、三十八年度におきましては、まあ予定といたしまして五千二百八十八万キロリッターという予定を立てております。しかし、これは一応の見通しでございまして、今年分は大体これで合うと思いますけれども、来年分についてはあるいは少しスロー・ダウンするおそれもありはしないか、こう考えておるわけでございます。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 今、大臣に御答弁いただきましたが、十一月の審議会で、具体的にこの過当競争の問題について、石油業法第十五条の発動の問題についてはどういうふうに政府としてはお考えを持たれ、また審議会におけるところの答申政府は実施をしたのですか。
  9. 福田一

    国務大臣福田一君) 御承知のように、ただいまお示しをいただきました十五条というのは、過当競争をしたときには標準価格を作って示すことができるということになっておるわけでございますので、ほんとうをいいますと、まあこれはわれわれがこういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども、石油業法自体過当競争防止についてのいわゆる法的な強力な措置というものがまだ入っておりません。十五条を読んでみますとおわかりだと思いますけれども、「石油製品価格が不当に高騰し又は下落するおそれがある場合において、石油の安定的かつ低廉な供給を確保するため特に必要があると認めるときは、石油製品生産席費又は輸入価格基準とし、石油製品国際価格その他の経済事情を参酌して、石油精製業者又は石油輸入業者石油製品販売価格標準額を定めることができる。」ということで、「通商産業大臣は、前項の規定による標準額を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。」、こうあるのであります。そこで、ほんとうをいいますと、こういう標準価格を示す方法以外の何か方法があって、それができることであれば、まずそのほうを先にやる、あるいは標準価格を示してみてなおかつそれでもうまくいかない場合に別の方途を講ずるということもあり得るのでありますが、今回の業法できめられておりまする範囲は、標準価格をきめられるというだけでございまして、それ以上の規定はないわけであります。しかし、あまりにも、こう見ておりまして、たとえば重油が六千円を割って買われておるというような事情とか、あるいはまたガソリン等も、本来四十九円くらいであるべきものが四十三円、一般には四十五、六円だったり、あるいはまたハイ・タク業者には三十四円くらいで売っておるというような事情等があるというわけでありまして、これではあまりにも実情と相反しておる。今までのガソリン値段とか重油値段からずっと考えて、積み上げていきますというと、ずいぶんその間に差が出ており過ぎるのであります。今まで税金でもって上げた分を、ほとんど全部税金分業者負担をしておる——消費者負担をしないで、業者負担をしておる、こういう形になっております。その根源はどこにあるかというと、ただいま申し上げたような過争競争、いわゆる自分のシェア、各会社自分販売範囲をできるだけふやそうという目的過当競争が行なわれておるわけであります。こういう認識に立ちまして標準価格の決定をした次第でございます。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 今のお話ですと、先月の石油審議会で、十五条の発動については、結論として、今大臣答弁を聞いておると、いわゆる標準価格をきめたということになる。端的に言えばそういうことになって、今の説明のように、従来の原油価格、あるいはそれを精製した価格等考えてみても、あまりにも乱売の結果安過ぎた、こういうところが言いたいところだと私思うのです。そこで、それでは、この国産といいますか、あるいは外国資本によるものといいますか、分けまして、先ほどあなたのおっしゃったのは、三十七年度が大体四千四百万キロ、三十八年度は五千二百万ないし五千三百万キロと、こういう需給見通しというものを御説明いただいたわけです。その中で民族系のものは一体どのくらいになるのか、つまり、外国資本に左右されないで、そして国内消費に回れるものと、こういうものはどのくらいになるということを御説明をいただきたい。
  11. 福田一

    国務大臣福田一君) 御質問でございますが、実は、御承知のように、今民族系資本といっても、たいてい外資を借りております。少なくとも、資本には入ってないけれども、外国から金を借りておる例が多いのでありますが、しかし、いわゆる普通一般に言われる外資系というのと民族系というのと分けて考えてみますと、六割が外資系であって、四割が民族系、こういうふうに分けられるかと思います。そうすれば、それが比率になるかというと、そうはいかないで、民族系のほうが会社が小そうございますから、私今ここにその調べまでは持っておりませんけれども まあ七割と三割になるか、八割と二割になるか、まあ七、三ぐらいの率になるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 大臣もおっしゃったように、この資料によりましても、俗に言う民族系あるいは外資系といったふうに分けると、七、三はおろか、八、二ぐらいじゃないか。それも、民族系と言われるアラビア原油の問題は、なかなかまだ根本的に、政府考えがどうであるのか知りませんけれども、むずかしい点も残されておるのではないか。そうしますというと、実際に日本原油引き取りなりあるいはこうした石油問題というものは外資系にたよらざるを得ないというのが現状ではないか。ですから、言葉をかえて言えば、率直に申し上げて、外国製のものが、この形のままでいけば、先ほど大臣に御答弁いただいたように、乱売をされた後には、民族製資本が小さいからつぶれてしまう、そして今度つぶれた後には、外国製にほとんど振り回される格好が私は日本石油事情ではないか、こう思うわけです。  そこで、あなたからきのうも、参議院の本会議で、石炭政策の当面の関係法案を御説明していただいたのでありますが、私どもの立場から言うと、この石炭産業に対する振興策というものは、いわゆる石油問題、重油問題を考えてくると、きわめて大事なことじゃないかということがうかがえるわけです。しかし、私は今石炭関係の問題を議論するのではなくて、石油問題というものがそういう非常に重要な部門を占めておるということになると、これは政府の態度というものがよほど慎重に、しかも国民のそういう不安定の形をなくしていくことが大事なことじゃないか、こういうことで、私は次にお尋ねしたいのは、あなたが答弁された、あまりにも安いから標準価格を作ったと、こういうのであります。おとといいわゆる、石油業界の諸君がハイ・タクガソリン配給を停止する、東京部内における約半数近い二万五千台近くの自動車供給を阻止するということは、これは非常に重要なことである。ところが、そのときに出されたのはどういうことかというと、キロリットル五円の価格引き上げるということではなかったかと思うのでございますが、それがほとんど各社共通して、このいわゆる五円の引き上げを認めなければ配給を停止する、こういうことになると、この正円一斉引き上げ各社がやったということは、これは標準ではなくて、協定だと、協定価格をいわゆる業者が押しつけてきた、こういうふうに私は実は感じたのであります。  そこで、大臣が言う標準価格ということで一応指導されたとするならば、それでは、その各会社メーカーがここにそれぞれ上がっておりますけれども、具体的には、五円でその引き上げ価格を一斉に出したわけでありますが、それではどこの会社が今価格の差がどのくらいあるのかということが具体的に示されなければ、私は標準価格とは言えない。これはあくまでも石油業界協定価格としていわゆる自動車関係業界に無理押しの難題を吹きかけた、こういうふうに私はとるのであります。  そこで、もし協定価格ということになれば、独禁法違反である。こういうことは、明らかに公正取引上の問題として追及しなければならない問題だと私は思うのであります。でありますから、現在もハイ・タク業界自身独禁法違反として今問題を提起していると私は思う。この点は、政府答弁いかんによっては、非常に重要な分岐点だと私は思う。ですから、あなたがその標準価格ということの解釈をされておるのでありますが、私はむしろ、事務当局がどういうふうに標準価格というものの解釈をしたのかということは、具体的にメーカーが五円、各社が五円という価格でもって一斉に押えたということと、その小売価格のアンバランスがあるという事態が起こらなければ、なかなかそういうことは言えないと私は思う。こういう問題について、ひとつわかるように説明してもらいたいと思う。そうでなければ、これは明らかに、メーカー各社が全部一斉に五円を値上げして、その五円の値上げを認めなければこれは配給をしないということは、協定価格というものでこれは押しつけた、こういう見方をとられても仕方がないんじゃないかと私は思う。こういう点をいま少し御説明いただきたいと思う。
  13. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま仰せになりましたような誤解も生じましたことについては、これはわれわれとしても遺憾に感じておるわけでございまして、私たちは決して、協定をしてどうしろとか、そういう意味でこの標準価格というものを示したわけではございません。ただ、今までの実情その他を見てみますというと、今までは石油業界過当競争をし過ぎておったために、とかくガソリンの問題がいわゆる買手市場になっておりまして、売手はいつも頭を下げるという形になっておる。たまたま今度通産省標準価格というものを示したものだから……、これは申し上げていいかどうかわかりませんが、一ぺんは売手市場にもなりたいというような感触も手伝いましてこの種の問題が出ているのではないかと思うのであります。しかしながら、お説のような五円なら五円という値上げでは、それが私の聞いているところでは、今まで売っておったのは、三十四円のところもあれば、三十四円五十銭で売っていたところもある。一リットルでございますが。私の申し上げているのは、三十四円で売っておったり、あるいは三十四円玉十銭で売っているところもある。ところによっては、人によっちゃ三十五円で売った、こういう話もあるのであります。それを今度は三十九円にするというのでありますから、三十九円のつらのほうを申し上げると、まあ大体そろっておるような感じですが、根元のほうの四円、四円五十銭、五円ということになると、四円上げたところもあるし、四円五十銭上げたところもあるし、五円上げたところもある。こういうような感触等もありまして、これを完全に独禁法違反の形でいけるかどうかということには私は疑問があると思います。しかしながら、今仰せになったような、また独禁法違反ではないかという一つの問題も提起をしておる。まあそういう感触を持たしておるのは、これまた事実でございますので、私たちとしては、お話を申し上げましたように、標準価格というものをきめて、しかもその標準価格原価を中心にしてきめたというわけであります。その点から見まして、各社がそれぞれの立場で、これくらいまでは自分のところの利益も入れて考えるというと上げないわけにはいかないという形で価格をきめてやっておるのではないか、まあこういうふうに好意的には考えております。しかし、われわれが好意的に考えるといなとを問わず、実際問題として何かそういうようないわゆる円満を欠く話し合いになっておるということは、一つの社会問題として、われわれとしてもやはり十分留意していかなければならないことであるということについては、相澤さんもわかっていておっしゃっていただいていると思うのであります。この点ひとつ、われわれといたしましても、何らかの今ここでひとつどうこうということは言えませんが、私は実はこの間も、相澤さんの言われるように、すぐ供給でもやめるような話がちょっと耳に届いたのですが、それは少し行き過ぎであるというので、とにかくしばらく延ばして供給をするように、もう一ぺんひとつ話し合いをせいということで言ったわけでございます。それで、今話し合いに入っているとは思いますが、ここいらへんのところも十分勘案いたしまして、もうしばらくひとつ模様を見さしていただきたい、まあこう考えておるわけでありまして、要は、これは法の運用の妙を得るかどうかということできまるのだと思います。あまり過当競争さしてもいけませんし、というて、みなまとめて、むやみにハイ・タク業者とか、そういう供給業者をいじめるのもいかぬ。そこらへんのところに一つの限度があろうかと思われるのでありまして、そういう意味を含めてしばらく時をかしていただきたい。行政の問題でございますから、なかなかきょうあすというて私はお答えをするわけにはいかぬと思いますが、ひとつしばらく時をかしていただきたい、こう申し上げたいと思うのであります。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の御説明はわかりましたが、これは大臣の民情把握といいますか、末端でガソリンを使っておる消費者の立場というもので、若干その点の食い違いがありはしないか。これは、先ほど大臣も御説明いただいたように、確かにキロリットル四十五円で売っておる者もありますし、お話のように三十四円のハイ・タク業者配給もあったわけであります。ところが、四十円以上の価格でもって配給をしておったのは、実は農民関係が多いのです。農村関係が多いのです。このハイ・タク関係というのは、やはり三十四円から三十七、八円のところが多いのです。私はそう実は見ておるわけです。そういう点で、都市と農村というふうに純然とは区分けはできませんけれども、むしろ日本の農民の使う場合、あるいは漁民の使う場合が、若干その価格の差は、大臣お話の点にも触れておりますけれども、実は私の今までの調査の結果では、ある程度出ておる。ですから、一番多く使い、しかもまとまって使う、こういうところで、ハイ・タク業界に対する実は乱売というものが特に出ておった、これは否定のできない事実であります。そこで、石油審議会の十五条発動の問題を契機に、政府標準価格というものを今お示しになったということは、私は悪いとは言えないと思うのです。確かに悪いとは言えない。けれども、その次に、私はひとつ大臣にこれはやはり答えておいてもらわぬとあと困りますから……。標準価格を今お示しになった。ところが、業界は、ハイ・タク業者に対して、先ほど申し上げたいわゆる一斉値上げの五円の値上げをのんでもらわなければ配給しない。しかし、それは事実、各社によって一円なり工十銭なりの開きがあったかもしらぬ。だから、標準価格と言われる。そうでなければ、純然たる協定価格となりますよ、はっきり言って。だから、今後、官公庁を初めとして、いわゆる各社が今入れておりますね、ガソリンを入れておるところに、今後はこれだけの値段でなければ、たとえば四十三円なら四十三円でなければおたくへは入れませんよということになったら、これは明らかに協定になりますね。この場合は、政府の志と反して、明らかに独禁法を犯すものなんです。そういうことはないということを私は確認をしてよいだろうと思う、大臣の御答弁から聞いて。私はそう思うのです。したがって、そういう場合はないようにまた指導していただかなければならぬと思う。こういう点について、私は、少なくとも、あまりにも安くて独立採算を割るということはあまり望ましいことではないけれども、だからといって、石油業界の言うがままにまかせるということについては、これはまた考えなければならぬ、これは政府のいわゆる行政的な指導だと思うのであります。そういう意味で、各社がそれぞれ納入をする場合に、協定価格のようなものは絶対に認めない、こういう態度というものは私はお答えになってしかるべきだと思うのでありますが、大臣の所見を伺っておきたい。
  15. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおりでございまして、現在独禁法というものがある以上は、これに触れることのないようにひとつ措置をしていくべきものであると思っております。ただ、しかし、今も和洋さんも仰せになりましたとおり、油の値段というものが、三十四円から四十五、六円までみな違っておるわけで、相手によって全部違っております。実を言うと、同じ個人が買いましても、四十二円で買っている人もあるし、三円で買っている人もあるし、四円の人も、五円の人もあります。それから、スタンドによってみなそれぞれ違っております。場合によっては四十五円で売っているスタンドもあれは、四十三円で売っているスタンドもある。ところによっては四十六円で売っておった。私も実はこれを今度調べてみたのでありますが、そういう値段も違っております。でありますから、そういうところも勘案をいたしまして、従来の、どれくらいで売っておったかということや、また各社がどういうふうにしておったというようなこともよく調べてみまして、しかし消費軒のお方にも言って、今までのような値段で売ったのでは石油業界が年間に四百億円も損してしまって、そうして乱売で今度は民族資本なんという弱いやつはみなつぶれてしまうということにもなりかねないので、あまり高くすることももちろんいけませんけれども、そういう意味で、いわゆる法の運用の妙を得るような方法でひとつ行政指導をさしていただきたい。今先生の仰せになった、そういう独禁法違反は、もちろんこれは認めないという建前ではございますが、今言ったような事情等も含んで、そして法の運用をひとつうまくやるように、われわれにひとつ指導をおまかせを願いたい、こういう感触でおるわけでございます。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、たいへん恐縮でありますが、念のためにひとつ資料を要求しておきたいと思うのでありますが、これはなぜかと申し上げますと、このわが国石油企業の問題については、通産省としても、外貨の割当についてもきわめて重要な部面を受け持っておるわけでありますから、資本十億以上の会社について、現実にこの重油石油キロリットル幾らで売られておるのか。それから、三十六年度のこれらの十億以上の会社の売上高というものは幾らになっておるか。それから、三十七年度の上半期はもうわかりますね、九月決算は終わったのですから。どうです、わからぬかな。
  17. 福田一

    国務大臣福田一君) いや、できるだけ……。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 もうわかるでしょう。したがって、この上半期の状況もひとつ資料として同じように御報告いただきたい。このことが、先ほど大臣の言われた今後の政府の施策にきわめて重要な問題を提供しておるので、私としても資料を要求したいと思う。  次に、石油関係のそういう事情については、政府考え方もわかりました。そこで大臣、昨日事務当局電力再々編成の問題についてお尋ねしたときに、水力火力の区分がどのようになっておるか。それはもちろん原子力発電の問題もありますから、そういうことをお尋ねしたわけでありますが、大体半々というような、きのうは御答弁を私はいただいたと思う。しかし、私がいろいろ資料によって見ると、きのうそのような御答弁をせっかくいただいたのだけれども、どうもあまりぴんとこない。そこで、きのうも御説明をいただいたのでありますから、政府としてもこの資料をお調べになっておると思うので、具体的に火力と水力の区分が何%になっておるのか、これをひとつ御説明をいただきたい。そのうち、火力について先ほど申し上げましたように、原子力というものの見通しというものは、大臣としては、今、東海村の原子炉の研究をしておるけれども、一体これからどういう方向でこれを実現化するのかという見通しについて、原子力の点については御説明いただきたい。以上であります。
  19. 福田一

    国務大臣福田一君) この火力と水力の比率等につきましては、後刻政府委員のほうから、間違うといけませんから、御報告いたさせます。水力、火力の問題はそういうことでお願いいたします。  原子力の問題でお答えを申し上げたいと思います。実は今度も私、御承知のように、アメリカへ行って参りました。ちょっと調べて参ったのでありますが、アメリカ等におきましては、原子力の発電は相当長足な進歩をしておるように見られるわけであります。ただいま東海でやっておりますものは、大体一キロワット・アワーで四円三十銭ぐらいでございますが、今度福井県の敦賀に原子力発電の第二号炉、それから関西電力の第一号炉を作ることになっておりますが、これなどはもう一円ぐらい下がりまして、三円から三円三十銭ぐらい、そうしますというと、ほとんどこれは石炭火力に匹敵するくらいになってしまっておる。これはどういうわけでこういうふうになってきましたかというと、原子力というものは、御承知のように非常に危険なものであるという認識のもとに立ちまして、原子力発電を作ります場合には、もう最大限に被害が及ばないような措置をした上で、それで原子力発電を作るというやり方をいたしておったのであります。世界的にこれはどこでもそうであります。ところが、だんだんやってみますというと、それほどでなくて大丈夫だというような事態が出てきまして、今までは一つの工場を作るのに鉄鋼が一万トン、これはまあ仮の例でありますが、一万トンかかったのが、今度は六、七千トンでも済むというふうに、いわゆる設備費が安くなってきたことが一つ。それからまた、原子力発電はだんだんやらにゃいかぬということで、これの研究もだんだん進んで参りまして、発電機自体の価格も、だいぶまた下がってきつつあるような事情であります。一方、この原料になりますウランとか垂水から取りますところの原料というものは、これもまた順次開発が進みまして原料が安くなってきておるような事情であります。そこで、だんだん値が下がってきておりまして、今アメリカで作っておりますのは、どうも三円を割っておるというようなふうに聞いておる。そういたしますというと、この勢いで進みますというと、今重油発電をしております。また原油のなまたきをして原油発電をしようとしております。重油で二円七、八十銭、原油で二円六十銭ぐらいで今やっておりますが、もうそれくらいまでいくのは案外早いのではないかという感じを持っておるのでありまして、今後日本の、何と申しますか、エネルギー問題を解決するにあたっては、原子力というものはもう無視できないのじゃないか。もう六、七年の間には、原油と競合できるところまで原子力がやってくるのではないか、そういうことになりますというと、御承知のように、まあアメリカで毛そうでありますが、もう今までは道路のはたなんかに絶対原子力発電所を作らせなかった。このごろは道路ばたにも作れるような段階にまで進んでいる。もう科学の進歩というものは非常に早い。技術の進歩は非常に早うございますので、だんだんそういうふうな改良、改善が行なおれつつあるというような事態でございますので、われわれといたしましても、将来の原子力の利用ということについては、また、これをいわゆる工業面に応用するという面については、いま一段とひとつ努力もし、また研究も進めていかなければいかぬじゃないか、こういうふうに考えております。
  20. 生駒勇

    説明員(生駒勇君) 先ほど御指摘のございました設備の中で、水力と火力はどのくらいの比重を占めているかという点について、正確な資料でということでございましたが、昨日も御説明申し上げましたように、二十九年ごろにおきましては、水力が七〇%、火力が三〇%という比率であったわけでございますが、三十六年度におきましては、昨日御説明申し上げましたように、大体半々になったということを申し上げたわけでございます。もう少し詳しく数字を申し上げますと、昭和二十六年に再編成が行なわれたわけでございますが、その際の総出力は八百五十五万キロであったわけでございますが、その場合の水力は五百七十一万キロ、火力は二百八十二万キロというような数字であったわけでございますが、それが三十六年度におきまして見てみますと、総出力が八百五十五万キロから千九百十八万キロという、約二倍半ぐらいの数字に上がっているのでございます、そのうち水力が九百四十四万キロ、火力が九百七十一万キロ、そのほかに内燃力が多少ございますけれども、これを合計いたしてみますと、大体水力と火力の比率は半々ないしは半々をちょっとこえているというのが実情でございます。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 いま一つ大臣についでに伺っておきたいのですが、先ほど福井の敦賀の原子炉のお話が出たのですが、これはどのくらいの大きさのものなのでしょうね。
  22. 福田一

    国務大臣福田一君) 今敦賀に作ることになりましたのは、一応敷地を買収することが確定いたしまして、そうして作るということをきめたのでありますが、大体の規模といたしましては、十五万から二十万キロというのが大体の規模だと思います。まあ今調査しておりますから、場合によってはもう少し大きくするかもしれませんが、大体のところは二十万前後、このようにお考えを願いたいと思います。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 それから、実際にこの試験を始めるのはいつごろになるのですか。
  24. 福田一

    国務大臣福田一君) 今実は敷地の買収をやったところでございますから、これから実は、原子力の発電におきましては、一本松社長が今アメリカへ行って、それをどういうふうにするかというようなことを視察をしている段階でございまして、計画の内容をここで申し上げるまでにはまだ固まっておらないわけでございます。ただ、こういうものは、御承知のように水の関係、それから地盤の関係が非常に大事なものでございますから、そこでまず敷地が一番大事だということで敷地を解決したい、こういう段階でございます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 いや、私がその次に聞こうと思ったことがあったから、実はお尋ねしたのですね。いわゆる東海村の原子炉の研究について、御承知のように原子力損害賠償法があるわけですね。したがって、これに対するところの五十億のワクについても、やはりもし政府が次に作るようなことになれば、当然今のこのままでいいのか、それともある程度の予算というものも具体的に研究しなければならぬのか、こういう時期的なものもあろうということで、実は若干私のほうが少し配慮し過ぎたかもしれませんが、お尋ねをしたわけであります。当面この二十五億の補償能力というものについても、先ほど大臣が御説明をいただいたように、原子力というものが具体的に日常のエネルギーの重要な資源に開発されつつある、こういう現状からいけば、やはりこの原子力損害賠償法そのものも、私は、時代に適合した方向に進めなきゃならぬだろう、こう思って、あなたのいわゆる敷地買収という話があったけれども、いつごろどういうふうになるのかということも聞いておきたかった、こういう意味で実は申し上げたのでありますが、この原子力損害賠償法の問題については、そういう、時代に適合したように今後進められる考えを持っておられるのかどうか。これはこの機会にひとつお尋ねしておきたいと思うのです。
  26. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のように、原子力を今後どんどん使っていくような段階になれば、それの損害賠償等の問題につきましても、その他またいろいろの問題も起こるかと思いますが、これはもう当然考えなければいけません。また、したがいまして、議員の皆さん方におかれても、そういうことも十分お考え合わせの上ひとつ御研究を願ってていただきたいと思うわけでございます。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 時間がありませんので、その次に、きのうお話をしたことでありますから、大臣におそらくもうお話しになっておると思うのでありますが、実は火薬等——危険物、爆発物ですね——の問題、通産省の監督行政の中でも重要な部面だと思うのであります。で、先日の日本カーリット保土ケ谷工場の爆発を契機に、私はやはりこの行政の一元というものによって、監督行政、指導というものもかなり進むのではないか、こういう点にきのうは実は少し触れておいたわけなんであります。同時に、単にそればかりでなくて、日本の法律関係をやはりいま少し政府自身が研究をする必要があるのではないか。私も、実は昨日、若干外国の立法例をちょっと実は御披露したわけなんでありますが、災害の賠償と救助に関する問題は、国民の生活にとってきわめて重要な問題であると思う。天災であると人災であるとを問わずですね。これは、今日のこのそれぞれの損害等については、若干の法律関係はあっても、国家賠償法というものがきわめて狭義な法律の内容になっているわけです。私は、少なくともこれからの近代的な国家社会の中においては、もっとこの法律内容そのものを、国民のいわゆる基本的な人権について認めるように作るべきだと、こういうことをきのうも申し上げたのでありますが、たとえばフランスの法理論を出してみますと、危険性ある企業につき、認許可が必要であると、そうしてその企業に災害の発生したときは、その損害が面接的であろうと、あるいは実質的であろうと、特殊的な場合であろうと、なお、そういう条件のある場合には、国は国家的な賠償の責任を有する、こういうことが、これはフランスの法律の中に強く打ち出されておるわけです。こういう点を考えてみますと、日本が、今重工業地帯である京浜間あるいは阪神、こういうような地帯を初めとして、まあ非常な科学の進歩の中に工場が林立をしておるという場合に、単に火薬を扱うばかりでなくて、先ほどもいろいろ質疑をいたしました石油資源の問題、石油コンビナートの場合に、もし一たん火が飛び込んだらどうなるだろう、こういうような問題や、あるいはこれに端を発した地すべり等の問題、あるいは海岸の高潮対策というようなものから考えて、特にこの通産省の工場関係等の監督行政の立場にある政府としては、これはきわめて重要な私は問題だと思う。そういう面で、これらの法律関係について、できるだけ行政の一元化で国民に奉仕する建前で、同時にまた国民の生活の安定をはかる、こういうことは、私はどうしても両立をしなければならぬ問題だとこう思うので、日本カーリットのこの爆発の事故を初め、私が三十四年の本院本会議において横浜金沢区における東洋化工の爆発に対する緊急質問の中においても、政府に特にその点を要望しておいたわけであります。したがって、そういう点につきまして、特にきょうは大臣の御出席をいただいたのは、私は、こういうアメリカなり、あるいはフランスなりドイツなりですね、それぞれの立法があります、私もまあこの関係の法令を全部実は調査をしたわけであります。そういうことでですね、政府がもっとこれらの、実際に第三者に被害があったときに、単に今の保険だけで当面の場をいわゆる糊塗することのないように、抜本的なやはり対策を作っていく必要がある。これが近代国家の私は必要性であると思うのであります。そういう点について、特にこの工場関係の最も中心である通産省において、どうお考えになっておるか。これはひとつ大臣にぜひとも御見解を私は聞いておきたいと思います。私は特にそういうことをまた要喫するわけなんです。お答えをいただきたいと思います。
  28. 福田一

    国務大臣福田一君) 今回の爆発によりましていろいろ排さんに御心配をおかけしたことをまずもっておわびをいたしたいと思うのでありますが、今までの措置といたしましては、一応通産省でいろいろ法律等も改正をいたしまして十分注意はいたして参ったつもりであります。このような事態を起こしたことについては、まことに残念舌あり、また遺憾に考えておる次第であります。そこで、こういうような事態が起きた場合において、この第三者に被害を及ぼした場合においても、これは賠償をひとつ国が今度はめんどうをみるようにしてはどうか、こういうお考えであります。また、これに関連した諸外国の例等もお示しを願っておるわけでありますが、ただいまの法律によれば、御承知のとおり、私企業のやったことでございますから、国がなにすることはできないわけでございますが、しかし、このお説のような諸法令等も十分研究をさしていただきまして、こういうような問題もひとつこれは慎重に勉強をさしていただきたい。今私がここでどうするという方針を申し上げるのはいささか早計に失するので、いろいろの諸法令等も参考といたしまして、原局においていろいろ研究をさしてみたいと思いますので、さよう御了承を願いたいと思います。
  29. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 本日は、東京首部整備局長山田正男君が参考人として出席しておられます。
  30. 横川正市

    ○横川正市君 東京部の首都整備局の山田局長さんに御足労をわずらわしまして、ことに都もたいへん忙しい中を御出席いただきまして、まずもってお礼を申し上げたいと思います。ただ、私どもはこの都のやっておられる非常に困難な整備事業というものを連日まのあたり見ておるわけでありまして、その面からは行政とそれから行政の遂行にあたっていろいろと支障を来たしておるだろうということは十分承知をいたしているわけであります。しかし、そうだからといって、行政の勇み足というのが、社会治安あるいは社会生活の面できわめてまた有害でもありますので、その面からきょうは御出席いただいて、二、三質問をいたしたいと思うのであります。  まず第一に、これはできればひとつ質問中にいただきたいのでありますけれども、係官の方が来ておれば、東京都の首都圏整備委員会という委員会が都の議員さんの構成で持たれておるようでありますけれども、その整備委員会にあなたが杉並区堀ノ内二丁目に日立の生コンクリートを建設しなければならないという理由を理由し、また質問に答えて答弁をされておるわけでありますが、その説明答弁を速記録でこの委員会に提出できるかどうか。もしできれば概略でいいですから、メモでいいですから、ひとつ取り寄せていただきたい、かように思いますけれども、その点からお答えいただきたいと思います。
  31. 山田正男

    参考人山田正男君) ただいまの御指摘の首部閥整備委員会というのは、これは何かのお間違いじゃないかと存じますが、都議会の常任委員会の構成の一部門といたしまして総務首都整備委員会という常任委員会がございます。その常任委員会におきまして、杉並区の生コンクリート工場の件が、都議会に請願陳情等がございましたので、いろいろ審議が行なわれたのでございます。そのことではないかと存じますが……。
  32. 横川正市

    ○横川正市君 そのとおりです。
  33. 山田正男

    参考人山田正男君) それでございますれば、すべて速記録がございますから、速記録が全部完成いたしておるかどうか、私はっきりいたしませんが、おそらくできておると思います。そういう速記録を、ただいま間に合いますかどうかでございますが、御提出いたしたいと存じます。
  34. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、まず、ただいまの杉並区堀ノ内二丁目に日立の生コンクリート工場を建てるという許可申請に対して、現状はどういうふうになっておりますか。
  35. 山田正男

    参考人山田正男君) 現状を申しますにあたりまして、若干ただいま都議会の問題もございましたので、経緯をあわせて御説明申し上げたいと存じます。  実は杉並区の堀ノ内に日立生コンクリートの工場を建設いたしたい、こういう建築出願があったわけでございます。私の記憶いたしておりますところでは、昭和三十六年と存じておりますが、これに対しまして、地元で反対の請願陳情が都議会に提出された、こういうことでございます。そこで、実は法的な問題はただいまは省略をいたしますが、建築基準法に基づく建築の確認申請、それから工場公害防止条例という条例を定めておりますが、その条例に基づきます認可の申請、なお都市計画法に基づきます空地地区の許可申請、こういう三つの申請が出たわけでございます。これに関連しまして、いろいろ反対の請願陳情がございましたので、都議会におきましては、その後二カ年、二十数回にわたりまして、あるいは委員会あるいは理事会あるいは地元との調整、調停を行ないますために、特別の小委員会のようなものを設けまして、いろいろ円満解決の努力をいたしましたが、都議会におきましては、残念ながら円満解決が得られなかったのでございます。そこで、都議会におきましては、たしか今年の八月と存じますが、本会議におきまして、工場建設反対の請願並びに陳情は不採択、こういうことに決定を見たわけであります。ただ私たちの立場からも、また都議会の立場も、地元の反対される恩恵は、一つは、工場が建設されますために騒音とか粉塵とか、あるいは夜間作業を行なうのではないか、こういう意味でいわゆる工場公害の問題がございます。こういう問題につきましては、条例に雄づきまして、いろいろな条件を付することによって大部分は解決ができるのではないか。もう一つの地元の方々の強い御心配は、道路交通上の問題でございました。御承知のように、牛コンクリートのトラックあるいは砂利のトラック、これが学童はもちろんでございますが、一般市民の道路交通上非常に事故が多い。そこで、これを何とかしたい、こういうようなことがあったわけでございますが、どうもこれは先ほど申し上げました建築基準法その他の二つの法律の問題ではない。それにいたしましても、交通安全を期する意味におきまして、当事者も話し合いをいたしまして、整理員を置くとか、あるいは交通信号を付するとか、いろいろな問題を条件といたしまして、極力地元の趣旨に沿いたいというような考えを持っておりましたので、都議会におきまして請願が不採択になりました後におきまして、地元で極力円満に話し合いができるようにという慫慂をいたしまして、その模様を見て参ったわけであります。全員円満にというところまではなかなか立ち至らないと思いますけれども、とにかく話し合いを進めていこう、こういうきざしが出て参りましたのでございます。一方、建築の出願も、法律上は一応妥当な内容と存ぜられますので、たしか十一月の二十六日付で確認及び認可をいたしたわけでございます。ただし、これが区を通じまして本人に渡りましたのは、二、三日前ではなかろうかと、こう存ずる次第であります。  以上であります。
  36. 横川正市

    ○横川正市君 この都議会で円満に解決ができなかったおもな現出は何ですか。
  37. 山田正男

    参考人山田正男君) 都議会の常任委員会におきましては、工場の建設と、建設によりまして地元に与える影響、これに対するまた地元の言い分、こういうものの調整をはかったわけでございますが、私どもの了解いたしますところでは、工場を建設することに対しましては、工場公害防止条例によりまして、きびしい条件を付しますので、これはおおむね了解を願ったものと存じておりますが、もう一つの道路交通上の問題、学童その他市民の道路交通上の危険防止、こういう意味におきまして、どうしてもここに生コンクリートの工場ができるということは、学童その他の交通に危険を与える、こういう意味におきまして、根本問題でありますコンクリートの、工場を作る、こういうことには賛成できない、こういうような意見が地元にまだ相当あったのではなかろうか、こう考えるのでございます。
  38. 横川正市

    ○横川正市君 審議の過程で、大体ここの道路を利用する学童の数はどのくらいだと報告されましたか。
  39. 山田正男

    参考人山田正男君) ただいま詳細に記憶いたしておりませんけれども、たしかこの付近に数校、五つ以上だったと思いますが、公私立の小中学校等があったのではないかと思います。
  40. 横川正市

    ○横川正市君 そこで整備局としては、ことに整備局の責任者であるあなたとしては、この生コンの工場の適地として堀ノ内二丁目を認定されたかどうか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  41. 山田正男

    参考人山田正男君) この生コンクリートの工場を出願のありました場所に作るということは、これは民間の出願でございまして、私どもの立場でここに作りなさいという性質のものではないわけでございます。が、出願されました場所は、準工業地域の指定を受けておる場所でございます。付近には、この出願の工場以外に数工場のある場所でございます。そういう意味におきまして、法律上は適当な場所である、こう考える次第でございます。
  42. 横川正市

    ○横川正市君 現地をごらんになりましたか。
  43. 山田正男

    参考人山田正男君) 都議会でも二回現地を視察いたしました。私も現地を一緒に視察した次第でございます。
  44. 横川正市

    ○横川正市君 今、東京部内に需要される生コンクリートの工場周辺でどういう問題が起こっているか御案内ですか。
  45. 山田正男

    参考人山田正男君) この生コンクリートの工場の建設につきましては、まあどこでもほとんど何様の共通の問題があるわけでございます。と申しますのは、先ほど私が申し上げました二つの問題でございまして、工場の経営に伴います騒音あるいは粉塵、夜間作業による被守といった、本来の工場公害と、なお周辺の道路交通しの問題でございます。
  46. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、私的な問題は技きにいたしまして、直接核心に触れていきたいと思いますが、今の答弁では、都議会で円満に解決できなかったのは、学童の問題だというふうに言われておりますが、現地の学校の数は、学校ではなくて、これは十二校あるのです。いわば杉並の小中高、それから特殊学級を含めて、いわば文教地区というような性格を持ったところであることは、これはひとつあなたの認識が違っておったと思うのです。  それからもう一つは、この日立の生コンクリート工場を建てる境界線から以北、これは緑地帯で、地目は、これは建築基準法によっても一割地区という指定地域である。  それから現在、この工場に十一月二十六日に確認認可を与えておりますけれども、ここは、あなたも御案内のように、風致地区である、こういう特殊な地域である。現状幾つかの工場があると言うけれども、その幾つかの工場というのは、いわば家内工業的な小さなものであって、事実上おそらく許可認可については、ここまで大きな問題にならないうちに処理されてきたものだと思う。ですから、これは適法か違法かについていえば、厳密にいえば違法、しかし、そのまま認可をされたという性質のものだと思う。  そこで、私はまず第一に この認可を十一月二十六日に与えたのに対して、三十四年の五月十四日に、農地局長と住宅局長等から共同通牒で、未許可の農地については、建築基準法による確認によって、転用を行なわないという通牒があることをあなたは御案内ですか。
  47. 山田正男

    参考人山田正男君) ただいまの御質問はあれでございますか、農地転用の許可基準でございますか。
  48. 横川正市

    ○横川正市君 農地転用の許可基準でなくして、建築確認の許可を与えるときに、農地の転用の未許可の分については、許可を与えてはならないという通牒を御案内かというのです。
  49. 山田正男

    参考人山田正男君) 私、そういう通牒は実は存じておりません。
  50. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、これは許可を出したということは、通牒違反を行なったということになりますね。
  51. 山田正男

    参考人山田正男君) どうも、そういう通牒を受けていないと、こういうふうに私は聞いております。
  52. 横川正市

    ○横川正市君 ひとつ係の人、探して下さい。あなたのほうにもしなければ、全体の転用に問題がありますから。  もう一つは、農地転用については、農林省の次官通牒というものが出ておりますが、これは知っておりますか。
  53. 山田正男

    参考人山田正男君) 次官通牒のその内容でございますが、どういう内容の通牒でございますか。
  54. 横川正市

    ○横川正市君 内容は、農地転用許可基準については、他の法令——というのは、これは建築基準法の第四十九条第一項に該当するわけですが——に抵触する転用を目的とする場合は、許可してはならない。したがって、これは生コンクリートのような工場の許可については、許可ができないという次官通牒の内容になっているわけでありますが、それは見たことはありませんか。
  55. 山田正男

    参考人山田正男君) ただいまの趣旨の通牒は、私は通牒そのものを見たわけではございませんが、存じております。ただ、その趣旨は、建築基準法上適法でない用途に供するための農地転用は、認められない、こういう意味と私は存じております。
  56. 横川正市

    ○横川正市君 東京都の風致地区規程というのを御案内ですね。
  57. 山田正男

    参考人山田正男君) 存じております。
  58. 横川正市

    ○横川正市君 その第三条の「建築基準法第四十九条第一項による住居地域内に建築することができない種類の建築物の新築」という規定があるわけでありますが、これと今度のこの生コンクリートの、工場の認可確認とはどういう関係を持っているか、どう判断されたか、お答えいただきたいと思います。
  59. 山田正男

    参考人山田正男君) 実は、東京の二十三区内には風致地区が相当広面積に指定をされているわけでございます。その風致地区の大部分は昭和八年に指定をされたものでございまして、風致地区の指定が行なわれた当時の状態と現況とはおよそ姿が変わっているわけでございます。そこで、実は私、昭和三十年の暮れに東京都へ赴任をいたしたわけでございますが、それ以後、この風致地区のみに限らず、東京の二十三区の都市計画が非常に古い大正時代のものまで残っている。また戦後きめられたものもある。そういうものが相互の相関におきましても、あるいは絶対的な立場におきましても、必ずしも現在の社会情勢に適当と思われない性質のものが相当あるわけでございます。そういう意味におきまして、直来数年間、都市計画の改定手続をいろいろ行なって参りまして、公園等につきましては一応の改定を了し、現在は街路網の改定計画を立案中である。風致地区につきましても立案中でございまして、ただいま御指摘のような場所につきましては、本来ならば風致地区のつ指定を解除すべき性質の場所の一つ考えている次第でございます。それにいたしましても、現況におきましては、昭和二十五年に準工業地域の指定が行なわれたのでございますが、その指定を行なった際には、これは地元の要請によって行なったそうでございますが、地元と申しますのは、おそらく区というような意味だと思いますが、風致地区の指定をそのままにして準工業地域の指定をしたのでございます。したがいまして、両方重複をいたしております場所は、準工業地域の指定に適合する建築物であり、また風致地区の規定に適合する建築物でなければ建築できないと、こういうことになるわけでございます。  そこで、ただいま御質問の第三条をどういうふうに解釈するかと、こういうことでございますが、この第三条の本文には、「地区内においては、左に掲げる行為をなすことができない。但し、都長官が特別の事情があると認めたときはこの限りではない。」というふうにただし書きがございます。そこで、このただし書きの運用をいたしまして、第二条による建築確認をいたした、こういうことになるのでございます。
  60. 横川正市

    ○横川正市君 政務次官に、ちょっと関連がありますからお聞きいたしますが、東京都は、まあ戦前ないしは戦後に関係をいたしまして、公園緑地、風致地区等については、逐次古いものから解除して、そして、その用途目的を変えることによって新しい東京都の建設をしたいという意思で進められているというわけでありますが、概念的には私は先般も建設大臣並びに政務次官にお聞きいたしましたところが、東京都のこれらの種類の地目は保存、存続の方向に持っていくという意思表示をされているわけでありますが、間違いないかどうかお伺いしたいのであります。
  61. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) 昨日も御答弁申し上げましたように、また、さきに大臣が御答弁申し上げましたように、昨今は急激な東京都の膨張というふうな点からも、ややともすると、風致地区あるいは緑地地帯というものが侵されがちである。そういうふうな現況をはたして今後このままの状態にしておいていいかというような点にいろいろと省内においても議論をいたしておりますが、基本的には、今の御質問の趣旨のように、できるだけ存続をするように、保存するような方向に持っていきたい、こういうふうな立場で現在やっております。
  62. 横川正市

    ○横川正市君 山田局長にお伺いいたしますが、この建築許可確認は、風致地区の取り扱いについてどういう取り扱いをして建築確認をされましたか。
  63. 山田正男

    参考人山田正男君) 風致地区規程の立場から申しますと、先ほど申し上げましたように、第三条のただし書きの運用をいたしまして第二条の許可行為を行なった、こういうことでございますが、許可するにあたりましては当然条件を付するのでございます。条件の内容は、風致地区内でございますから、工場を建設するにいたしましても、樹木の植栽あるいは建築物の色彩、そういうものにつきまして条件を付しまして許可をしたという内容でございます。
  64. 横川正市

    ○横川正市君 堀ノ内二丁目は、鉄道の引込線があるわけでもありませんし、生コンクリートの工場が建設されれば、原材料搬入、製品の搬出等、相当ひんぱんに行なわれることにもなるわけですが、一体風致地区の指定区域で生コンクリート工場を建設することを適当だとお考えになった考え方をお聞きしたいと思います。
  65. 山田正男

    参考人山田正男君) 実は、先ほどもちょっと申し上げたのでございますけれども、昭和二十五年に準工業地域の指定が行なわれた。その際に、それ以前、昭和八年以来その区域に風致地区の指定が行なわれていた。そこで、都市計画上二つの、準工業地域という用途地域、それから風致地区という刑の目的の規制とが重複して指定された。この重複して指定されることは、法内には別段支障のないことでございますが、事柄の内容から申しまして、その土地の工場化という方向と、それから風致地区本来の目的とは必ずしもこれは合致するものとは思わない。そういう意味から申しまして、準工業地域の指定が行なわれる際に、本来ならば風致地区の検討をいたして、その指定の改廃をすべきものであるならば同時にそういう措置を行なうべきものであったろうと存ずるのでございます。しかし、いずれにいたしましても、現状は重複して指定を受けている。  なお、現地の状況などを私はみずから判断をいたしますと、この善福寺川の流域におきますこの風致地区というものは、必ずしも、もし今全面的な改定をいたしますならば、風致地区として存在すべき性質のものとは解釈し得ないわけであります。ただいま風致地区の改定計画、すでに案はできておりますけれども、そういう案で参りますならば、全部とは申しませんが、この付近の相当部分が廃止されるべきものであろう、こういうふうに判断いたしておるわけでございます。  そういう状態でございますから、現実の段階に立ちましてこの問題を解決いたします場合には、先ほども申し上げましたように、第三条のただし書きによりまして、極力風致の形を少しでも保持するような形におきまして建築を許可するのが妥当であろうと、こう判断をいたした次第でございます。
  66. 横川正市

    ○横川正市君 あなたの言っていることは少し矛盾しないですか。生コンクリートの工場を持ってくることは必ずしも適当ではない。その適当でないという工場が、風致地区の現状を損傷しないような方法で工場を認可した、これは、現実にそういう器用なことができますか。先ほど私がお聞きしたように、この生コンクリートの工場は、少なくとも永福町で住民の反対に会って、移転計画で移転をした工場で、しかも永福町の現状はどうなっているかというと、工場が約束した道路の改装も行なわない。それから工場が与えた損害についても、全くこれは企業者として、立ちのくのだから一切おかまいなし、こういう格好で堀ノ内に移転をしてくるという工場です。それからもう一つは、現在新聞でも報道されておりますように、すでに数カ所でこの問題は起こっております。たとえば渋谷の代々木にある生コンの工場については、都市公害環境部の話によると、いつ撤去させるか、陳情があれば実情を調査する等々、すでに既設のものでも相当住民に被害を与えている工場施設です。それを、あなたの言うように、風致地区に合致をしたものとして、外見も内容もきわめて優美に建てますということが言えるものなのかどうかですね。少しこの点が、あなたの頭の中で回転が早過ぎて、許可してしまったほうから逆算答弁になっているのじゃないか。そうではなしに、許可するまでにこの問題は解決しておかなけりゃならぬ、私はそう思うのでありますけれども、お答えいただきたいと思います。
  67. 山田正男

    参考人山田正男君) 私が申しました点、あるいは誤解があるかとも存じますが、私はこういう考え方でございます。許可をした現実に立脚して申し上げておるわけでも何でもないわけであります。二年間にわたりまして反対の請願陳情を処理するにあたりましても、この考え方は私は一度も変えたことがないわけでございます。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、本来ならば、準工業地域の指定が行なわれる際に風致地区の改定が行なわれるべきはずのところであったということが一つでございます。なお、現実に立脚いたしまして、この現地は風致地区の指定に値いする個所であるかどうか、これは私は値いする個所ではないと存ずるのであります。  そういう二つの見地に立脚いたしまして、現在の風致地区規程の趣旨にも沿いながら、なおかつ準工業地域の指定の趣旨にも沿うためには、やはり両方の最大公約数を合わせた判定をせざるを得ない。そういう意味におきまして、極力風致の維持に努めるような条件を付しながら工場の建築を許可する以外に方法はあるまい、こういうふうに考えた次第でございます。  なお、渋谷の代々木というお話がございましたが、これは、他の生コンクリート工場、許可を受けた生コンクリート工場が、その後付された条件をまじめに守っているかどうかというような問題だと思いますが……。
  68. 横川正市

    ○横川正市君 いやいや、そうじゃないのです。紛争を起こしているということだけを申し上げたので……。
  69. 山田正男

    参考人山田正男君) 実は、この生コンクリートの、工場につきましては、どこへ持っていっても、これを歓迎する場所はないわけであります。そういう意味におきまして、建築基準法を施行しております立場から申しまして頭の痛い問題、でき得れば法律的な何かの措置でも講じませんと、現行の法律におきましては許可さるべき建築物である、また地元の住民の立場からいえば、どこにできても歓迎はしない、こういう問題が常に付随しています。こういうふうに考えておりますので、私どもは、でき得れば今後何かの法的措置がとられることを希望いたしておる次第でございます。
  70. 横川正市

    ○横川正市君 あなたの今の精神があれば、これは建築許可を与えなかったんですね、あなたが今考えているような考えであるならば。ところが、その建築許可確認をしたわけなんです。建築許可確認をされたのには、あなたの考えは今言ったような考え方ではなかったのではないか、こういうふうに私どもは思うわけなんです。  そこで、今あなたの言った点にも非常に矛盾が私はあると思うのですが、なるほどあなたは整備局長だから、特に全体の大局的な立場に立ってものを考える、こういうことは当然なことだと思うのであります。当然なことだけれども、一体この善福寺川周域は地目の変更をすべき場所であった、こういうふうに言われている。なるほどそれは、都議会の中にあります委員会も、その点は何か結論を出したようなんです。ところが、その結論を見ますと、こういう結論になっておりますね。現在の工場許可を申請された千五、六百坪については、これは準工業地とするけれども、その他の地域については、これを住宅街ないしは商店街としてこの地目の変更を行なう、こういう窪寺委員会と称する委員会の結論がありますね。そうすると、あなたの言っている、いわゆる地目の変更の必要度合いというのは、準工業地域として全地域を解除するのではなくて、いわゆる商店街ないしは住宅地として改善をすることが適当だと、こういうふうに都議会の委員会も私は見たのがものの見方じゃないかと思うのです。そういうふうに見ると、主観の相違ですから——私どもは、あすこは文教地域ですから、できれば住宅地になってもらいたい、こういうふうに思いますので、用途変更すれば住宅地だ、あすこを工場を建てる地域に変更したらいいというようなことは毛頭考えておりません。ですから、あなたとはその点考え方が違うということで問題が残ると思いますけれども、まず、その現在地を見ていただければ、私は、現地の居住の人たちが言う、いわゆる変更するならば住宅街として変更してもらいたい、一部は商店街ととして変更してもらいたい、これが適地だと思う。  それからもう一つは、これは風致地区々何か変更する意思を強く持っているようでありますけれども、実は昭和八年に指定をして、さらに終戦後の昭和二十年か二十一年にそれを確認をして、そうして二十五年に準工業地域の二重指定になった、こういういきさつが建設省の調べでは出ているようであります。この調べからいきますと、あなたが言うように準工業地域に指定がえをして工場を建設するという行き方ではなしに、風致地区の風致を存続せしめることを目的としながら、なおかつ風致を損傷しない程度のものならばこれを許可するという、いわゆる二軍指定の性格を持っていると判断するのがこれは正しい判断じゃないか。それを、一方的に解除して、すなわち都市発展の状況の中で、風致地区存続保存の方向にこの建設省の行政があるのに、都がそれを片っ端からつぶして準工業地帯にしていくなどという行き方というものは、これは私は、全地域にそういうふうに誓われないとあなたは答弁されるかもしれませんけれども、堀ノ内二丁目に限られてもこれは間違いだ、こういうふうに私どもは考えるのでありますけれども、その点、もう一度御答弁いただきたい。
  71. 山田正男

    参考人山田正男君) 最初に、この建築許認可を与えた、あるいは確認を与えました考え方でございますが、これは実は、私先ほども申し上げましたとおり、現在は周致地区と準工業地域の両者の指定が行なわれておりますので、両方の目的を共通して備え得るような最大公約数をつかまざるを得ない、こういう立場で、極力風致の保持に努めながら工場の建設を認めると、こういう判定をせざるを得ない、こういうことを申し上げたのでございます。これは、二年間都議会で審議されました当初から終わりまで、現在におきましても一貫した私の考え方でございます。もっとも私は実は建築主事ではございませんので、実際に建築基準法の施行をいたしますのは、建築指導部長というのがやっております。あるいは工場公害防止条例を施行いたしておりますのは、都市公害部長というのがいたしております。いずれも専決処分でいたすわけでございますが、本件につきましては、局内十分意思を疎通して判断をいたしたのでございます。  なお、都議会の審議におきまして、準工業地域を廃し、この工場のところを廃止いたしまして、他を商業地域あるいは住居地域に変えるというような決定が行なわれているようなただいまお話がございましたが、これは実はそうではないのでございまして、地元からの請願陳情の中の一部分に、この区域の準工業地域の指定を廃止してくれと、こういう意味の趣旨のものがあったわけであります。しかし、この準工業地域内には、すでに準工業地域なるがゆえに確認を受け、許可を受けました他の工場が存在いたしております。そういう存在する工場に対しまして不利益を与えるわけには参りませんので、この現行の準工業地域を今後検討をいたしまして、そうして準工業地域に残すべきところは残し、商業地域に変更することが可能であるところは変更する、住居地域に変更すべきところもそれが可能であるような場所は変更する、こういう意味でございまして、私ども、この生コンクリートの工場に、特別のつながりも義理も何にもないわけでございます。私どもは公正な判断をしまして、用途地域の改廃の立案をいたしたいと思っております。また風致地区につきましても、私が申し上げましたのは、風致地区を全面的に廃止するという趣旨を申し上げたのではないのでございます。この付近は堀ノ内の風致地区でございますが、その中に風致地区の指定に合致しないような部分が相当ありますから、そういう部分を廃止することを立案いたしたい、こういうことを申し上げたのでございます。いずれにいたしましても、正式にそういう用途地域、あるいは風致地区の変更は、案は私どもは作りますけれども、実際に決定をされますのは建設大臣でございますから、建設省の事務当局とよく協議をいたしまして、極力地元の趣旨にも沿い得るような努力をいたしたい、かように考えるわけであります。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問。次官に一つお尋ねしますが、先ほど横川委員からの質問の中で明らかになったのは、ことしに入って、三十七年の十一月二十六日に今認可したと言ったね。そうすると、これは国の方針が私は徹底するかしないかという問題が一番大きなところではないかと思う。また参考人の意見を聞いていると、私は別に会社につながりがあるとかないとか、そういうことでなくて、公正にやっているという開き直った答弁をしている。次官はいわゆる首都圏整備法という法律を一体どう理解しているのか。しかも、昨年から、首都圏市街地開発区域整備法、あるいは首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の改正、こういうものが次から次と国会においても審議をされている。それが執行されているわけです。そういう中において、昨年こういう法律改正をわれわれが行なっており、しかも首部圏の整備を急いで、そしてできるだけ都内の工場等を分散をするということがこの法律の趣旨なんです、この法律の趣旨は。この法律の趣旨にもかかわらず、今横川委員質問に対して参考人が誓うのは、いわゆる昭和八年の当時のいわゆる既設の風致地区を昭和二十五年に準工業地域に指定をしたから、いわゆる法律上も条例上も違反ではない、こういう答弁。  これは、私は一つの例を次官にも申し上げたいと思うのでありますが、前に、私ども当決算委員会において、東京都の行政の中で起こった施政の悪さの一つ、それは、虎の門公園地のいわゆる適用の問題なんです。これは十年もかかって国が、大蔵省が東京都に対して虎の門公園というものを即座に返還をしろ、そしてこのニュー・エンパイア自動車会社の作ったのを、これをやめさせなければいかぬ、こういう国の法律の解釈上の問題について、いわゆる東京都に対するところのきついおきゅうをすえたことがある。まあようやく当委員会でもいろいろ審議をした結果、事情というものを十分参酌をして決断を下したのでありますけれども、今の首都圏整備についてのこの考え方というものは、今、日本の国の中でも最も大事なことである。このことは、建設省は少なくともこれを一日もゆるがせにすることのできない問題だと思う。そういう中において、これらの法律が、昨年、昭和三十六年度にそれぞれ首都圏整備の問題については具体的ないわゆるきめ方をされているわけです。それを、今の横川委員質問に対して、都の担当者が、いわゆるそういう問題が頭からなくなったような答弁をされている。これは、当決算委員会としては、それを見のがすわけには参りません。もし都がそういう考えでおれば、首都圏整備なんというものはできるわけがない。こういう点について私は疑義を持っている。  したがって、たとえば建設大臣が、いわゆる準工業地域に、建築基準法の四十八条の一項で指定をしたとしても、それは昭和二十五年の話であって、首都圏整備というものは、今日日本の国の中でも最も重大な課題であるということを考えなければ、私は今の結論を出すことはできないと思う。そういう首都圏整備法に基づくそれぞれの関係の法律ですね、いわゆる首都圏整備法、それから首都圏整備計画に基づく事業の実施、首都圏市街地開発区域整備法、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律、こういう法律や建築基準法等関連の首都圏整備に関する法律を読んでごらんなさい、法律を。一体都の行政なんというものは何をやっているか。国のそういういわゆる法律というものが、最も慎重に審議をされて、そして実行に今携わろうとするときに、その国の法律をこわしていくものが、今の東京都のやり方じゃないか。まことにけしからん。私はこういう点について、これは本日は、次官が御出席でありますが、これはもう河野建設大臣の、いったい首都圏整備に対する考え方というものはどうなのかと、こういう点をはっきりさせなければ、東京都のこの問題は解決できないと私は思う。いくら国が法律を作って、こうしなさい、こう助成をしてやりなさいといったところで、その行政をあずかる東京都が、こういう形をやったならば、私は何にもならぬと思う。  こういう点について、今あなたが御出席でありますから、とりあえず、大臣のかわりでおりますから、首都圏整備に対する心がまえを私は聞いておきたい。
  73. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) ただいまの御趣旨ごもっともだと思います。したがって、建設省といたしましても、何らかの処置を講じなければならぬじゃないかというふうなことで、すでに省内においても、いろいろとこの問題に関連性が今後生まれてくるだろうと思いますが、検討を加えなければならぬというふうにも考えております。ただし、先ほどから参考人並びに質疑者との間のお話し合いでありまするように、一応法的な立場においては昭和八年から、しかもそれが再確認が昭和二十一年、しかもその上に昭和二十五年には、また準工業用地としての認定を受けておるという建前に立ってやってきたのだというお話でございますが、本来でありますれば、行政執行部面におけるある程度の解釈の余裕は必然的にどんな法律でもあるわけであります。極力その趣旨にのっとって、そうしてその法の活用をはかるというのが行政執行部面にあたるものの私は心得なければならぬ問題であろう。しかしながら、それに往々にして主観が入り勝ちであるというふうなことがございますので、過般来もすでに大臣から、このままの状態では、執行部面においての主観で、一々どうこうというふうなことではいけないので、工場用地というふうな部面から、ある程度の規制的な部面も考えなければならぬじゃないか。いわば首都圏整備の中には、もちろん先ほどお話にありましたような工場用地の制限法的な方面で、どうこうというようなお話がございましたが、その面では生コンが入っているか入っていないか私記憶はいたしておりませんが、そういうふうなことだけではなくして、現在の東京という、あるいはまた名古屋にいたしましても、あるいはまた大阪、神戸にいたしましても、これだけの人口が集中してきた場合において、そういうふうな人口抑制的な部面から、また交通緩和の部面からも、はたしてこのままの状態に放置するような状態でいいのか。あるいはまた首都圏整備的な、あの法だけですべてが万事解決するのかというふうに考えて参りますと、ある程度の具体的な部面においての、これを裏付けするような法というものを別個にまた考えなければならぬじゃないか。そうでもしないと、今申し上げたように主観的なものが非常に強く入ってきて、そのときどきの局長なり、あるいはまた最高執行部である知事なり副知事なりの考え方によって、いろいろなものが変わってくるというふうなことではならぬので、工場用地等の規制という部面もあわせて考えていかなければならぬじゃないかと、こういうふうな気持をもちまして、現在事務当局にその検討を命じておるというのが建設省としての現段階でございます。  先ほど私が申し上げましたように、また大臣もさきに申し上げたように、極力緑地帯あるいは公園あるいはまた風致地帯というような面は保存するような方向に持っていきたいというふうなことは、たびたび大臣の名のもとに部長とか、あるいはまたその他、機会があるごとに申し述べておるのでありますが、下部になかなか徹底していないというふうな点も、あわせて考慮していくという建前から毛、今のようなことに処置を考えていきたい。かように思っておるのが建設省の現状でございます。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律、昭和三十六年の改正です、これに基づきましてもおわかりのように、「既成市街地への産業及び人口の過度の集中を防止することを目的とする。」と目的にある。しかもこの第二条によりまするというと、「この法律で「作業場」とは、製造業(物の加工業を含み、政令で定める業種に属するものを除く。」そういうものについて 「工場の作業場」という定義までちゃんと作ってある。こういうふうに、この法律では具体的に首都圏整備というものは、いかにむずかしいものであるか、いかに早急にやらなければいけないものであるか、こういうことを、われわれはきめてあるわけです。したがって、その大綱に反することがいわゆる各都道府県において行なわれるとするならば、これは私はゆゆしい問題だと思います。今次官が答弁されたように、少なくともこうしたこの法律ができて、しかも首都圏をいかにしてよくするかということの、いわゆるそういう前提に立っての考えで行政というものを行なわなければ、私はいかに国会において国民の立場に立って法律を作っても、これは役に立たない、こう思うのであります。  したがって、この点については早急に、今までの山田参考人答弁をされたことによっては、私はこの国の法律を正しく守っておるとは考えられない、これは理屈はあります、東京都知事の認可したものはよろしいと書いてある——書いてある。しかし目的は違うのです。これは最大の許容量の問題である。目的は、今私が読み上げたことが目的なんです。これはそういうことでいけば、それをできるだけこの法律の趣旨に基づいて、私は行政を行なっていくということが東京都に与えられた使命である、こう思うのであります。  したがって参考人答弁を求める必要はございませんけれども、私はこれは少なくとも建設省が、先ほどお話しいたしましたように、本日は河野建設大臣出席しておりませんけれども、首都圏整備というものを、これだけ血道をあげて国全体が取り組んでおるのに、その下灘行政が、これをこわしていくようなことは絶対に許すわけにいかぬということで、私はきょうは横川君の関連質問でありますから、これで終わりますけれども、私は後刻都の、行政の手直しをしたことを、ひとつ報告を求める、こういうことで私は関連質問を終わりたいと思うのであります。この点については虎の門公園の国有地の使用の問題についても、東京都議会が勝手に法律をいわゆるまげて解釈をしたのが、あの虎の門公園地の問題を衆参両院において、議題として取り上げられたという過去の事例も私は参考にしてもらいたいと思います。そういう意味で、きょうのこの点については、まことに遺憾であるということを率直に言わざるを得ないと思います。ぜひ次官はお帰りになりましたならば、大臣にそのことを報告をして、今後の、善処した後の報告を私はできるようにしていただきたい、こう思います。以上で関連質問は終わります。
  75. 横川正市

    ○横川正市君 山田局長お尋ねをいたしますが、先ほどからのあなたの言われている工場建設については風致地区と準工業地域との二重指定に合致した方向で極力努力をしたと、こういうふうに言われております。そうすると、生コンクリート工場というのは、風致地区そのままの中に建てられるというあなたの考え方、すなわち極端に言うならば、風致地区であっても、生コンクリートの工場は風致地区と合致するような建て方をしてくれれば、これは許可ができると、こういうふうに極端な解釈も成り立つような、こういうことになるわけでありますけれども、それならば、大体この建築基準法の四十九条第一項のこの規定から押していって、一体制限規定というものは、どの種類のものまで制限することが妥当か、こういうふうに判断をされたのか、その点をまず一点お伺いいたします。  それから第二点は、都市計画法第三条、いわゆる地目、公園、緑地、風致地区等の変更については、これは都市計画法十条一項に基づいて、少なくとも都市計画審議会の議を経て主務大臣と内閣の認可を受けることが必要とされておるわけであります。これほど厳格な規定で変更については縛ってあるわけであります。重要視しておるわけであります。その重要視されたものをあなたの解釈では、生コンクリート工場を建てられるような地域だと判断された、そのものの考え方、これをひとつ、第二番目にお伺いをいたします。  第三番目には、一体計画の変更については、今どういう処置をとられておるか、審議会を経ておるのかどうか、その点もひとつ、第三番目にお答えをいただきたいと思います。
  76. 山田正男

    参考人山田正男君) 第一点は、この風致地区に、どういう程度の工場ならば許可をしてもいいと考えておるかどうか、こういう御質問と存じます。この風致地区と申しましても、いろいろ場所によりまして、自然の風致がきわめて強いところ、あるいは都市美的な要素が強くなっておるところ、いろいろございます。また当該場所のように、私の判断によりますれば、もはや風致地区の意義を喪失しておるのではなかろうかと思われるような場所もあるわけでございます。したがいまして、一般的にどういう業種の、どういう規模の工場ならば、そのただし書きに該当するかどうか、こういうことは一般的には申し上げるわけにもいかないと存ずるのであります。同様のことは風致地区の取締規程にございます。建築基準法の四十九条のただし書きについても、同様の考え方にならざるを得ないと存じます。  なお現在、風致地区あるいは準工業地域等の変更の研究をいたしておりますが、それがどの程度に措置されておるか、こういうことでございますが、実は二十三区の用途地域と申しますか、これは商業地域とか、住居地域とか、工業地域、準工業地域等ございますが、こういうものの全面的な改訂措置を立案中でございまして、いつこれができ上がるか、これはちょっとこの際申し上げようがないわけでございます。ただ、これを全部変更手続を同時にとるか、あるいはもう少し区分けいたしましてとるか、いずれかの方法がありますが、そういう意味によりまして都議会におきましても、この付近につきましては、変更すべきものは変更したらよかろう、こういう決定を見ておりますので、極力、なるべく早くそれに沿う措置考えたい、こういうふうに考えておる次第であります。風致地区につきましては、実はほとんど改訂計画案、これは二十三区全般につきまして、案が私どもの立場ではできております。まだ建設省と協議をいたした、こういうことではないわけであります。  なおこの取締規程、風致地区規程そのものも、これも相当古い時代のものになっております。この規程そのものも新しい社会情勢に合うようにあわせて改訂したい、こう考えまして目下検討いたしておる、こういう段階でございます。
  77. 横川正市

    ○横川正市君 建設省の行政上の指導の大綱からいけば、あなたの言ういわゆる改正は、生コンクリート工場の建てられるような地域の改正ではなくて、ほぼ存続の方向に向かって方針が出されておる、これが明らかにされた点であります。その点で、これはあなたのお考えではなくて——個人的所感ではなくて、方針に従って動いてもらいたい、これが一つ。  それからあなたの個人的所感によれば、風致地区杉並区堀ノ内二丁目は、すでに風致地区の意義を喪失しておる。これはあなたの考え方であって、あなたの考え方で、法律でも規程でも変えられちゃ困る。ことに、都議会ではできても、国会ではそういうことはできません。これもひとつ答弁するときには、はっきりその態度を明らかにしていただきたいと思います。  そこで今行政上の指導からいきますと、杉並の堀ノ内二丁目の用途地域の現状というのは、これは風致地区が昭和八年二十一年と二度にわたって確認された地域であって、準工業地域の指定はなるほど二十五年にされておりましても、新法と旧法との関係で、存続する法律の優先順位というのは、おのずからきまっておるわけであります。  しかしそこまでさかのぼって言われなくても、両方の法律が存続する場合には、あなた言うように、運用というものが全然ないわけでもない。運用はあると思う。その運用というのは、風致地区に合致したもので、いわば軽工業の小さな家内工業的な工場とか、あるいは他にあまり迷惑をかけない施設であるとか、そういったものであれば協議をして認可をすることができる、この程度までに拡大するのが私は至当だと思う。今あなたの言うように、東京都内二十三区、どこに持っていってもきらわれる。生コンクリートの工場を持ってくるというまで拡大されることは、これはやはり法律、規程違反だと思うのです。  それからもう一つは、すでに用途目的が変更もされず、農地の転用もされず、十一月二十六日に建築認可確定をしたということは、これは違法であります。すみやかにこれは取り消すべきだと私は思うのであります。建設省も、そういうふうに行政指導することは、きのうも約束いたしておりますけれども、あなたはその線に従って、ひとつ都の中で関係の向きと相談していただきたい。これはいろいろあるのでありますが、時間がないので結論だけ急いで御質問いたしますが、その点お伺いいたします。
  78. 山田正男

    参考人山田正男君) ただいまの、今後の風致地区の検討等につきまして風致保持の立場をとれというお話、これはまことにごもっともでございます。現実の風致を保持する方向に私ども努力することは当然でありまして、なお風致地区を改訂するにあたりましては、当然これは、私申し上げましたのは、都議会の意思を申し上げただけでございます。当然、政府、国会方面の御意見を伺いながら改訂すべきものであろうと存じております。  なお、すでに施行いたしました建築許認可事務につきまして、これを取り消すことを考慮しろというお話でございますが、ただいま、さよういたしますというようなことは、これはもちろん私からお答えしようはございません。まあただいまの御発言もございましたから、そういうことが可能であるか、また考えるべきであるかどうかということを、さらに研究をいたしたい、こういうふうに考える次第でございます。
  79. 横川正市

    ○横川正市君 時間がないので、実はさらに細部にわたって法律の内容で、ことに先ほどの農地局長、住宅局長の通達について建設省の現地から資料を取り寄せておりますが、今来ましたから、ちょっと参考に聞いておいてもらいます。建築基準法による建築確認事項と農地法による農地等の転用許可事務との連絡調整について——それの第二項の末尾に、あらかじめ農地法の規定により許可を受けるよう指導し、または確認書の交付に際して農地法による許可を受けた後着工すべき旨の箋を付すること等のことをし、申請者において農地法違反を行なわないよう指導に努めること、これは指導文書。先ほどあなたのほうでは知らないようでありましたから、この条文も、十分これからの問題としては、ひとつ尊重しておいていだきたいと思う。  それから建設政務次官に最後に、ひとつ御答弁いただきたいのでありますが、今私の言ったように、都議会がというようなことで何か山田局長から答弁されましたが、私はこれは行政官の意思というのは相当強く動くと見ていいと思う。そうすると都議会の意思というものは、行政官の意思というものは相当、たとえば法律条文、そういったものの説明がないと、都の意思としても、そう間違った意思決定をすることはできないと思う。そこで、そういう指導ないしは解釈をした都の整備局の責任者である山田局長の意思というものを十分ひとつ指導上の問題として聞いてもらいたいと思う。同時に私は今関係の条文がたくさん出しましたが、その条文からいって、この許可は違法な許可確認であって、絶対に私どもとしては容認できない、こういう立場に立っておりますので、その点で今後十分ひとつ検討していただきまして、できるだけ早い機会に、当委員会説明のつくようにお願いをいたしたいと思います。私も今の考えでは、次には都市公害部長それから建築指導部長それから首都整備局長に、三人に来てもらいまして、この問題について質問をしたい、こう思っておりますけれども、この点考慮されて、ぜひひとつ御意思をこの際発表していただきたいして思います。
  80. 松澤雄藏

    政府委員(松澤雄藏君) ただいまのお話の中に、都議会というふうなお話がございました。行政執行にあたっては、行政執行は原則といたしまして、第三者のお話は十分にこれは尊重するにおいてやぶさかではないのでありますが、しかし法がある限りは、その法に最大に忠実に仕えて守っていくのが原則でありまして、議会がどういうふうな立場で、そういうふうなお話がございましたにいたしましても、また当然陳情請願という立場において考えられたにいたしましても、執行部面としては、あくまでもその法に基づいて純正なものとして取り扱わなければならない、かように解釈されるのが私至当であろう、かように思います。  したがいましてただいまの問題等に対しましても、昨日答弁申し上げましたように、その法に合致しておるかどうかというふうな方面等を根拠に、十分に調査をいたしたい、かように考えております。なお主観的な面等に対しましては、これはおのおのの持つ問題でありまするから、これに対しましては、今後の行政指導という立場において、極力法に基づいた意味においての部面で行政指導に当たっていきたい。なお調査の最終的な面に対する回答は早目にいたしたい、かように思います。
  81. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 午前の審査は、この程度にとどめ、午後は二時十五分より委員会を再開し、審査を続行いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時十五分休憩    ————————    午後二時三十一分開会
  82. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和三十五年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  83. 横川正市

    ○横川正市君 会計検査院に総理のみえる前に質問しておきたいと思いますが、先般の決算委員会の席上で、農林省の決算の審査の中に、検査院の指摘事項として三十四ページの農林省、この中の第二項の「未墾地等の売払いについて」の指摘事項があるわけでありまして、この指摘事項中、その買収、売却の先が、本日もらいました資料によりますと、東亜港湾工業という株式会社から買い、問株式会社に売り渡しをしておりますけれども、その関係について、先に御説明いただきたいと思います。
  84. 平松誠一

    説明員(平松誠一君) ただいまの御質問の点でございますが、これは農地とするために買い上げたものでございまして、そのもとの所有者が東亜港湾であったという関係でございます。必ずしも農地だけというふうに法律ではなっておりませんです。  なお、その法的な根拠につきましては今調査中でございますので、なおしばらく御猶予願いたいと思います。
  85. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  86. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をつけて。
  87. 横川正市

    ○横川正市君 会計検査院に、もう一度お尋ねをいたしますが、ただいまの件で、東亜港湾工業株式会社が約二十町程度の農地を保有していたということは、監査の過程ですでに、この土地を工業用地等に変更する意思があって、この農地を保有しておったのではないかどうか、その点を調べたかどうか、先ほどのに追加して、調査の上御返事いただきたいと思います。
  88. 平松誠一

    説明員(平松誠一君) さっそく調べまして、お答え申し上げます。
  89. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  90. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をつけて。  ただいま池田総理大臣出席されておりますが、総理に対する質疑は、おおよそ三十分程度の範囲で終わるようあらかじめ御了承願っておきます。相澤君。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 総理大臣がお忙しい中おいでいたがきましたが、三十五年度の決算審議を終了するにあたり、どうしても総理大臣のお考えをただしておかなきゃならぬことがありますので、二、三の点を御質問申し上げたいと思うのであります。  まず第一は、総理大臣が最も重点的に、しかも国民に呼びかけておるのは国作り、人作りということであります。この施策を進めるということは、なかなか大へんなことだと私は思う。そういう事態におきまして、今日国会が両院ありますが、衆議院のいわゆる一院が国会審議が正常化しておらない、このことは、私はまことに遺憾だと思うのであります。どうしてこのような事態を総理大臣が収拾して、国作り、人作りを叫ばれておるあなたが早急に解決ができないのか、一昨日のいわゆる重政農林大臣委員会における発言を契機に国会のこのような事態というものは、他面、今政府が、昨日も私ども参議院の本会議に上程をされました石炭産業関係法案等の問題は、今、この国会周辺を取り巻いておる七万有余の首切りをされようとする労働者諸君の生活にあえぐ姿を考えた場合に、私はやはり内閣の施政の問題ではないかと思うのであります。特に重政農林大臣が衆議院の委員会において、いわゆる農林省の事務当局のメモを、出されたものを読み上げて、いわゆる本会議における厳粛なる答弁を、全く曲げてしまうようなことが、今回のこの国会審議をストップさせたという私は大きな原因であろうと思います。したがって、この両院が存在しておる以上、私は他院のことはとやかく申し上げませんけれども、少くとも総理大臣としては、この政治の中心にあるし、しかも国会における責任の重要な地位をあなたは持っておるわけでありますから、この国会正常化の問題について総理はどうお考えになっておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  92. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 国会の審議の次第から、正常化についてというような御質問でございますが、これは私は、万事が正常化されなければいかぬ。ことに国会におきまして問題が起こっても、その問題を解決するということと、やっぱり審議ということとは別問題にして、手く正常な審議が行なわれることを心から願い、そして両院におきまして、あるいは議運において、あるいは国会対策委員長において、早く軌道に乗るよう熱望してやみません。いろんなお互いに事情もあることでございましょうが、やっぱりそういうことを踏み越えてやってもらわないと、国民が見ておることでございますから、できるだけお話のような線に沿って努力を続けていきたいと思います。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 今総理に御答弁いただきましたけれども、私はやはり総理の誠意というものは、衆議院の段階におけるこの事態の収拾の私はやはりかなめである、こう思うのであります。したがって、今御答弁をいただきましたが、急に事態の収拾ができるように総理大臣の善処を私は要望いたしたいのであります。  次に、この三十五年度の決算についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。御承知のように三十五年度の決算の内容を調べてみますと、きわめて重要な問題点が出ておるのであります。  まず、第一に、昭和三十五年度のこの会計検査院から指摘をされた事項等をふり返ってみましても、三十五年度がどういう年であったかということも重要な問題だと思うのであります。御承知のように、歳入は一般会計において一兆九千六百十億余にわたり、特別会計が三兆九千三百九十一億余にわたる実に五兆九千億余にわたる歳入なのであります。歳出は一般会計において一兆七千四百三十一億余、特別会計が三兆五千五百五十億余に及び、総計工兆二千九百八十二億余に及ぶ膨大なものであります。  ところで、この歳入、歳出のいわゆる予算編成にあたりまして、当時、政府は歳入について、きわめてきびしい検査、いわゆる見通しをもって、当時は減税を一銭も行なわなかったのはこの年だと私は思うのであります。歴代の自民党内閣の中におきましても、私はこの昭和三十一年、あなたがたしか大蔵大臣のときだったね、三十一年度に補正予算を組むとき、いろいろ議論が、あのときはたしか三百億すでか、補正予算を組むときも議論がありましたが、この三十五年度の予算編成のときにも、私は相当議論があったところだと思うのです。減税は一銭もしない、こういう中で、私どもが今この一般会計、特別会計を見まして、歳入超過が実に六千十九億余に及んでおるのであります。これは一銭も減税ができない、こういう見通しの予算編成をしたのでありますけれども、今、私どもがこの三十五年度の決算をしてみると、実に六千十九億余に及ぶ一般、特別会計の歳入超過になって現われておる。これは私は非常に重要な問題だと思うのであります。歳出については一般会計が一兆七千四百三十一億余、特別会計が三兆五千五百五十億余になっておるのであります。  そうして、この中で考えてみると、いま一つの問題点は、収納未済額が非常に多いということであります。これは総理大臣に特に大蔵大臣等にもよく注意をしていただかなければならん問題だと思うのでありますが、収納未済額が四十七億八千二百五十八万あるわけです。こういうことからいきまして、この中の重要な部門を占めておるのが公共事業費負担金の三十四億九千九百七十九万円、病院収入の四億九千九百九十九万円等であります。既往年度の収納未済額が実に四百二十八億四千八十六万円、こういう膨大なものが三十五年度の決算上に現われておるわけです。これについて総理大臣としては、数字に非常に明るいし、大蔵省として常に御苦労をされておったその総合的な判断からして、三十五年度のこの決算を見て、あなたはどうお考えになったか、この点は非常に重要な問題でありますので、お答えをいただきたいと思うのであります。
  94. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御承知のように、三十四年度におきまする国民所得の増加は、予想以上であったのであります。予想をはるかにというか、ほとんど倍くらいという結果が出たのじゃないかと、それに加えて昭和三十五年度におきましても、経済の膨張がまた予想以上であったのであります。ほとんど予想の七%あるいは九%というものが、名目では一六、七%になっておる、倍です。そういう関係で、自然増収が一般会計のみならず特別会計にも非常に出てきたことは、もうこの数字の示すとおりであります。その間におきまして、収納未済額等が、やはり例年よりもある程度、もとがふえていることでありますから、ある程度あったことは事実でございまして、これはやむを得ぬ、やはり予算あるいは予算の執行につきまして誤りのないよう、見込み違いのないようにするのが当然のことでございますが、何と申しましても、経済の動きは、政府その他の予想どおりになかなかいきにくいので、やはり執行にあたりまして、これを注意しながら、今後は誤りなきを期さなければならぬと思います。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 これはせっかくの総則大臣の御答弁でありますが、国税収納金整理資金が二百四十四億八千九百八十八万円も未納になるというようなことは、私は決して健全財政のあり方ではない。これは今の数字上の問題ですから、この決算の内容から見ると、当時、先ほど申し上げましたように、一銭も減税はできないという中に、六千億余に及ぶ膨大な歳入超過がある。しかも、その歳入超過があるの、私はむしろ大蔵省が少し安易に流れたんじゃないか、それが三十五年度の中でも収納未済額が四十七億余にも及ぶし、あるいは既往年度の収納未済額を含めれば、実に四百二十八億も出ておる。こういうことは、いかに努力をしたと言われても、私はその努力の跡というものが決算上から見るとあまりよいことではない、こういうふうに思われるわけです。  そこで、いま一つ私は総理大臣お尋ねをしておかなければならぬと思うのは、こういういわゆる予算編成の、三十五年度の決算から見まして、三十五年度にこの産投会計に三百五十億の資金繰り入れを行なったわけでありますが、補正予算として通したのでありますけれども、私は当時から、あなたにいろいろと財政法上の問題があるんじゃないか、こういうことで、遂に政府も本年財政法の改正を行なったわけでありますけれども、これはやはり財政投融資の問題が、重要な問題点として、こういう数字を、過去の数字を決算してみると、私は浮き上がってきはせぬか、政府が財政法をせっかく改正をされても、国民の重要な産業経済に影響を及ぼすところのいわゆる産投会計の問題についてはお考えを持つのが至当じゃないか、これはどなたが大蔵大臣をやろうとも、あるいは総理大臣になろうとも、重要な問題点になろうと思うので、できればこの産投会計等の問題の経過から考えて、私は財政法の違反として、当時私ども社会党は政府にただしたのでありますけれども、こういう点については、あなたは、今日はどういうふうにお考えになっておるか、この点いま一度、あらためて聞いておきたいと思うのであります。
  96. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 昭和三十二年度の予算編成のときだったと思います。千億減税、千億施策、こういうことを言われておった。そうしてまた三十一年度の実績がかなりよかった。二十八年、二十九年、二十八年は非常に悪かったんですが、予想以上に二十九年に持ち直しまして、三十年、三十一年は非常に伸びた。そこで私は千億減税、千億施策をやった。それに対していろんな批判がありました。千億施策、道路一兆円なんて、これはとんでもない、インフレ予算だと言われましたが、しかし、その千億施策も、私は実は足らぬと思ったのです。これは非常に批判を受けたが、ほんとうに足りなさ過ぎた、まだまだあのときはやるべきだったと思ったのであります。そして三十一年度の財政収入は非常によかった、私は三十二年度のために、財政投融資というのは長い目で見ていかなければいけません。これは予算の年度限りという原則がございますが、財政投融資なんというものは、やはり剰余金を翌々年度の一般会計に入れて国債償還に充てるがいいか、あるいは産業の基盤強化にある程度補正予算を組んでやるのがいいか、いろいろ私は考えましたが、やはり翌々年度の一般会計に入れることも必要でございましょうが、国民から出してもらった金を早く有効に使う必要があるという考え方で、皆さんの反対は受けましたけれども、財政投融資を補正予算に相当入れたと思います。その後そういうことをずっとやって参りましたが、やはり国会でいろいろ問題がありましたので、最近は変えてきまして、財政法上変えたと思っているのであります。しかし変えましても、いずれにいたしましても、私のこの考え方は、今後もある程度やっていきたい、そういう財政法の疑義があれば、財政法を面していけばいい、予算というものは、やはりできるだけ早く有効に使い得る態勢を整えておくということが必要である、もちろん一般会計等におきましては、一年度の原則というものは守らなければならんのでございますが、しかしそれにこびりついて財政投融資のような一般会計事業的なものを、一年度限りでやるのはどうかという考えは前から持っておったので、疑義はありましたけれども、やって参った次第であります。今度法律を変えたと思いますが、実際は、今までの考え方で私は進んでいくのが経済、財政のためにいいのではないかと思っております。
  97. 相澤重明

    相澤重明君 総理大臣の御答弁によりますと、財政投融資の問題についても、ある程度のやはり疑念もお持ちのようですが、私もそうかと思うのであります。お互いに真摯な立場で検討を進めることが必要だと思うのです。  そこで、まず第一は、財政投融資というものが、政府の資金が足りなくなって取りくずしが多くなっていく関係においては、どうしてもこれから財政投融資の持つ役割というものは大きくなると思う。さらに今年から来年にかけて、来年の財政投融資の額も相当にふえると思う、そういうふうな問題を考えていくと、どうしても私どもとしては、国会議決を必要とすることが、まず第一の条件ではなかろうかと思うのであります。そういう点については、若干意見の相違があるのでありますが、これは特に政府に御検討をいただきたいものだと思うのであります。そうしないというと、やはり単にそのときの金融の引き締めとか、あるいは若干の利率の引き下げとか、引き上げとかいうものだけによっては、これは国民の生活に与える影響というものは非常に大きい、こういう点を私ども心配するわけです。  それから、この機会に、いま一つお尋ねをしておきたいと思います。先日私、参議院の決算委員会で中部地方を実は現地調査をいたしました。その際に、岸内閣のときにグラマンかロッキードかと言われた次期戦闘機種のロッキードの生産工程を現地調査しました。ところが私どもは、その内容をいろいろお話を聞いてみるというと、単価がまだきまっておらぬ、私はこの債務負担行為の問題については、非常に重要な問題だと思うのです。これはいずれ関係者からあとで御説明をいただくわけでありますけれども、総理大臣として、この債務負担行為の問題については、やはり国の予算の問題として重要な部面を私どもはともに考えていかなければならぬ、こう思いますので、次期戦闘機種について、今日の場合において、はたして単価というものは幾らにきめられたのか、アメリカの供与品等もわれわれ十分承知をいたしておりますけれども、その中でも、なお疑問の点が大へん私ども調査内容を見ると出てきておる、こういう点について、これらの債務負担行為の建前で、私はロッキード次期戦闘機種の単価の問題については、きわめて重要であるので、この機会にお答えをいただきたいと思うのであります。
  98. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は最近の状況を知りませんが、あの当時は百二十万ドル前後で一応きまったと心得ておりますが、あとから防衛庁の係官に答えさせることにいたします。一応の目安はついておると思っております。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 それは総理大臣の御答弁のように、あとで防衛庁にお尋ねしたいと思うのですが、当時は百十二万六百八十一ドル、こういうことで、私どもはいろいろ調査をしてみたわけです。しかし、現地に行って調査をし、いろいろ関係者の話を聞いても、そういうふうになっておらない。これはやはり債務負担掛行為に対する政府の確たる方針というものをきめていただくのが私はよかろうと思うのであります。この点については、後刻防衛庁長官にお尋ねしたいと思うのであります。  その次に、三十五年度の決算の中で、特に私が強く指摘をいたしたいのは、「不当事項および是正事項」であります。この検査報告によりましても、十九万六千余の証標類等を調査し、実に五千二十一が余枚の徴票を会計検査院は調査をした。関係者の質問についても五万七千余件に及んでおるわけであります。しかし、これは国全体の、元ほど申し上げました歳入歳出の決算の上から言えば、これはまだ氷山の一角であります。しかし、その氷山の一角にもかかわらず、不当件数は実に三百三十八件。その中で大蔵省のいわゆる案件は百十七件で、大蔵省が一番多いのです。農林省が九十九件。建設省が五十四件。労働省が二十八件等々であります。このことを考えてみると、私ども参議院の決算委員会においては、毎年この不正不当事項には、特に苦しいものについては警告を発しておった、しかし依然として直しておらない。これはやはり内閣の各省庁に対するところの、やはり監督上の問題でもあろうと私は思うのであります。したがって、こういう不正不当事項の依然として減らないというのはなぜなのか。特に関係職員の不正行為というものが大へん各省庁の中に、調べるとあるわけです。その中で最も私どもが、これはこんなことをどうしてやるのだろうと思うようなものは、刑事事件の領置物があるわけです。この刑事事件の領置物である現金を、これを領得をしてしまった。こういうようなものまでが、この決算の中で私どもが調べてくると出てくるわけです。これはことに私は遺憾だと思うのです。これらの綱紀粛正について、総理大臣としてはどうこれからやられるのか。この点は非常に重要であるから、不正不当事項及び是正事項等も含めて、いわゆる、これらの会計検査院の氷山の一角にも足りない、会計検査院から見たこの不正不当事項、あるいは綱紀粛正について、どういうふうに善処をされるのか、総理大臣の御決意のほどを承っておきたいと思います。
  100. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 毎年会計検査院の指摘に会いまして、おしかりを受け、決算委員会相澤先生には、常に、毎年おしかりを受けて恐縮千万に存じておるのであります。今お話の大蔵省が非常に多いというのは、多分租税の賦課徴収の点だと思います。何ぶんにも何百万件、何千万件とあることでございまして、私も昔税務署におりましたときに、やはり指摘を受けましてあれしたのですが、できるだけの注意をいたし、年々これは減らしていくように、減っていっていると思います。またその次に多い農林省も、補助金その他の問題、工事関係がありますので、やはりほかの省よりも多いのは、要務の関係上やむを得ぬと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、これはよくない。  そこで、やはり不当あるいは不正として指摘されるのも二つあると思うのです。今のお話のような刑事事件の関係の命をするとかというのは、これはもう不正きわまることで、こういうものには特別の対策を講じなければならない。また課税その他の点につきましては、やはり事務の何と申しますか、不注意と申しますか、あるいは制度その他が不備であるというような関係から起こり得る。こういうものにつきましても、それは悪意はないのでありますけれども、やはり適正を期するために、綱紀の粛正は、これまたはかっていかなければならない。したがいまして、従来から行政管理庁に頼みまして、いろいろ査察をするとか、あるいは人事管理の問題とか、また広くは公務員の服務規律の問題等いろいろな点から、これを直すように努力いたしておるのでございます。まだ足らざるところがございまして、おしかりを受けることは、これは恐縮千万でございますが、私はあらゆる機会にあらゆる方法で、これを絶滅するよう今後とも努力を続けていきたいと考えております。
  101. 相澤重明

    相澤重明君 そしてこの不当事項三百三十八件の批難金額は、実に八億七千万円に達しておるのでありますが、その中で、今総理が言うように、綱紀粛正ということも適切な措置をとられておると思いますが、この中で、これだけの批難事項の中で、国家公務員法によるところの処分が行なわれておる。これは十人ほど実は行われているわけです。しかし私はこの決算の中で、いろいろ質疑を通じて明らかになったのは、なるほど事務員あるいは末端の公務員等が責任をとらせられて処分を受けて懲戒解雇された者、免職された者とあるけれども、実際に上部機関において、むしろ監督指導上の立場にある責任者は、実は事故が起きても、その事故の調査に時間がかかってしまって次に調べてみると、かえって栄転しておる、こういうようなことがこの各省庁の検査をした中に出てくる。これは私は綱紀粛正どころか、むしろそういう問題が起きたほうが栄転をする、こういうようなことであっては、これは私はいかぬと思うのです。こういう点については、特に総理大臣の私は国家公務員法ばかりでなく、国家公務員法にもむしろどうかというような問題点まで実は掘り下げて、私は綱紀粛正をほんとうにやってもらわなければいけない、こういう感を深くしているのです。  この点についていま一度ひとつ総理大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
  102. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話の点、まことにごもっともでございます。部下の監督不行き届きで責任を問われた者も、その後非常に職務に精励して栄転するような場合もございますので、一概に部下が悪かったから、その人は将来永久にいかぬというわけのものでもございませんが、しかしけじめはやはりつけるべきだと私は考えております。
  103. 相澤重明

    相澤重明君 次の他の委員からも御発言がありますので、私はしぼっておきたいと思うのでありますが、会計検査院が改善をしたらいい、こういう指摘をされておるものがあるわけであります。これは各省庁に対して、特に農林省関係には、そういうのが強く出ておるわけでありますが、これは他の委員から、また御発言がありますので、私はしぼっておきたいと思うのでありますが、やはり政府として、そうした改善意見というものは十分尊重して、すみやかに私は改善をすべき問題だ、こう思うのであります。したがって、そういう点については他の委員からの御発言を十分ひとつお聞きをいただいて善処を願いたいと思うのです。  私の第二番目の質問の要旨は、これは私は総理大臣にここ四年ぐらい、年じゅうお話ししている国家賠償の関係です。これはどういうことかというと、先日横浜市保土ケ谷区において、通産省関係でありますが、日本カーリット株式会社保土ケ谷工場の爆発事件があった。幸いにいたしまして人家が遠かったために、付近の民家の被害はなかったのであります。けれども、私が、総理大臣通産大臣のときに、横浜市金沢区の東洋火工の爆発ですわ、あのときにお尋ねをしたように、非常に京浜あるいは阪神の重工業地帯は一旦間違えば、こういう悲惨な事故が起きないとは限らぬわけです。したがって、こういう事故をまず防ぐ、予防するということは、政府のやはり責任だと思う。そうしてまた同時に、今総理がいろいろお骨折りをいただいて、東洋化工の爆発以来この保険の問題は強化をされて、見舞金なり保険料なりは若干よくなっておる。けれども、本質的には私は改正にはなっておらないと思うのであります。私は実は先ほども、あるいは昨日も、通産大臣あるいは通産省の次官等をお呼びして、私の考え方を申し上げて、内閣において早急にひとつ立案をしてもらいたいと、こう思ったのであります。それは十一月の十八日の日の京浜港における外国船のあのタンカーの爆発の問題で、多くの犠牲者を出しました。続いて翌日の十九日には、今度はわが国の全日空の飛行機が訓練中に墜落事故を起こすという、こういうような陸にしても海にしても空にしても、近代社会の中において高度化すれば高度化するほど、こうして起きた事故は大きいと思う。しかもそれが、被害者であり加害者であるというものが、それぞれの行為の中で負担能力があれば、これは問題はある程度解決するでしょう。しかし第三者がたくさんの被害を受けた場合にどうするか、こういう問題については、現在の日本の法律では、残念ながらそれが立法化されておらない。国家賠償法ありといえども、これはきわめて狭義のものだと私は思う。これは総理大臣に昨年も私が申し上げたことであります。  そこで私は、実は立法府として、どうしてもそういう点をひとつ改正をしてもらわなければならぬと、こう思いまして、実は災害の賠償と救助に関する各国の立法例を取り扱ってみました。天災あるいは人災の複合した現象についての損害に対する民間賠償と国家的補償の問題、こういうようなものをずっと見ましたが、特に私はフランスの例を一つ申し上げてみたいと思うのでありますが、フランスはこういうことをいっておるのです。法理論の原則として危険性ある企業につき認許可が要るとき、その企業に災害の発生したときは、その損害が直接的実質的特殊的なときに限り国は国教的賠償の責任を有する。こういうのがフランスで作られておる。あるいは私ども特に池田さんが強く期待をしておりますところのアメリカでも、州・地方災害と連邦救助との関係、これはアメリカに出ておるわけであります。あるいは西ドイツの災害法、こういうような各国の法令関係を私ども調査をしてみますと、日本の国家賠償減というものは、あの民法から出た、終戦直後に改正をされたまま、今日の近代社会の中の国民の生命、財産を守るには不十分である。こういうことで、昨年総理大臣より直す必要があれば直すという御答弁をいただいたのでありますが、私は今日はそれよりも進んで、こういう火薬あるいは危険物等の多い社会の中において、これを各省庁の中で抑える、予防するというばかりでなくして、そういう被害が起きたときの第三者に対するところのいわゆる損害を賠償してやる、その責任は、国の責任で作らなかったら私は作れるものではないと、こう思うのであります。したがいまして、ぜひ立法については各国の例もあります。私はぜひ第三者——いわゆる国民のそうした不安におののいておる姿を、これを安定せしめる方向にひとつぜひ御努力をいただきたい。こう思うのであります。もちろん立法関係でありますからそう簡単にできるわけではありませんけれども、昨年の、もし改正する必要があれば検討してという御説明をいただいたのでありますから、今年は特に、こういう事故が大きくなって参りましたから、今年はさらに一歩進めて、改正への努力をひとつ検討を命じていただいたらどうか、こういうふうにお答えをいただきたいものだと思います。  それからいま一つは、この日本カーリットの保土ケ谷工場の爆発事故や、ノルウェーのタンカー船の事故等にかんがみて、やはり関係各省庁の、いわゆる行政の一元化というものが私は必要であろう、こういう点を昨日も各省の権限というものを、それぞれ申し上げておきました。したがって、行政の一元化をやることは、それだけ国民のサービスになり、これは私はどうしても事故防止と国民のサービスという点について、政府の善処を望みたいわけであります。こういう点について総理大臣の特に御発言をいただきたいと思うのであります。
  104. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 今お話のとおり、三年前に通産大臣やっておったときは、火薬爆発が三回起こりまして、ほんとうに恐縮千万に存じたのであります。その当時、どうしても災害を未然に防止しなくちゃならぬというので、火薬工場の設置、またあり方につきまして、また爆発の場合の被害を少なくするためのいろんな予算措置も講じた次第であります。また業者を集めまして、お互いの間で保険制度を拡大するようにというのでやって、その後しばらくなかったのでございますが、先般起こり、幸いに他の人に非常な損害を与えたものがなく、工場内で、まあ四人がなくなられて、まことにお気の毒でございますが、ある程度労災保険で補償し、また会社も相当出したようであります。しかしそれだからといって、そのまま放って置くわけにいかぬ、今後もそういうことを未然に防ぐと同時に、そういう第三者に損害を与えた場合につきましての措置を研究していきたいと思いますが、今お話のような国家賠償法とは、もう系列が違うのです。別の法体系でやらなければならぬ、たとえば原子力の問題につきましては、再保険制度で別の体系でやっております。お話のような点が、今後やはり私は起こってくるのじゃないか、別体系でどういうふうにしたらいいかということで、ひとつ具体的に研究してみたいと思います。昔は無過失の場合は賠償なしというような、無過失損害賠償論が出てきまして、だんだん間が高度化し、複雑化してきますと、普通の民法的考え方でいかぬ場合が私は出てくるし、またその場合が非常に多くなる、ひどくなることを考えなくちゃなりませんので、ひとつ検討いたしたいと思います。
  105. 相澤重明

    相澤重明君 私の質問は、これで最後になりますが、いま一つの問題は、米軍に提供をしている軍事基地が中心でありますけれども、基地周辺の住民の福祉関係というものは、きわめて実は現状ではきびしいのであります。これは政府に対して関係軒から、もうずいぶん要請があったと思うのでありますが、私も実は、決算委員会のたびに厚木の基地あるいは上瀬谷の電波障害、あるいは横須賀の武山の問題等を取り上げて、政府に善処を要望しておったのでありますけれども、お話によりますというと、本日閣僚の中で、この期地周辺の問題の対策委員会が持たれたと私は聞いている。これについて一つお尋ねをしておきたいのは、先日私も実は現地に参加をいたしまして、調達庁や郵政省、NHK並びに地元の神奈川県あるいは大和市、綾瀬町と一緒に爆音の合同調査を行なったのでありますが、この結果は資料として、私どもここにちょうだいをして持っておりますが、しかしこれは単に一つのテスト・ケースですね、これをやったのでありますが、三日間でありますから、実は詳細のデータというわけに参りません。しかし短時間であっても、非常に多くの担当者が出ていただきまして、合同調査が行なわれたことは、これは政府の心がまえを喜びとするものです。しかし、これはこれで終わるのじゃなくて、今後やはり継続的に行なって、初めて科学的な資料も摘出できると私は思う。ところが各省の中で予算を検討して参りますというと、そういう基地周辺の問題についての配慮が足りないというのか、調査するような費用がないわけなんであります。また同時に、近代社会の中における科学調査にふさわしくない機械も使わなくちゃならぬ。私がほめておきたいのはNHKのテレビに対する調査の機械が非常によかった、こういうことは言えると思うのであります。しかし爆音の問題であるとか、あるいはその他のそういう科学的調査を行なうものについては残念ながらまだ不十分である、こういう点で、私はこの基地周辺の住民の利益を守り、民生の安定をはかるためには、そういう科学調査の中における資料も出して、そうしてそれらに対する補償も行なわなければならぬだろう、もちろん私ども社会党の立場からいけば、軍事基地反対でありますからね。基地は撤廃をしてもらう、これが私どもの言い分ですが、それはそれとして、とにかく現在あるものについて、この基地周辺の人たちが、あのジェット機のごう音に悩まされておる、そういうことを考えると、私は一日も早く政府の善処を要望したいわけであります。  そこで、ことしは関係閣僚会議あるいは対策委員会をもって、一体どういうことをやろうとしているのか、いわゆる法律的には基地周辺の民生安定法ともいうべき法律を出す考えなのか、それから予算的には、そういういわゆる基地周辺の非常に悩んでいる、苦労されておる人たちに対するところの補償というものが、具体的に行なわれているのかどうか、こういう点は、私はぜひとも本日会議を持ったようでありますから、総理大臣からお答えをいただきたいと思う。で、一部の新聞の記事をちょっと拝見をいたしたときに、政府はどうも、今の形のままでよろしいというような非常に消極的な考えがあるやに私は伺ったので、これはもうけしからぬ、もしそういうふうであれば、これは池田総理は全く国民のことを何ら考えておらぬということになってしまう、そうではないだろうと、こういうことが十四日の閣僚の基地対策委員会を持つゆえんではなかったかと私は思うので、この機会にあなたが、国民に対するところの政府としても努力をするという確約をするよい機会でありますから、ぜひひとつこの基地周辺の住民に対する政府の態度というものを明かにしていただきたいと思うのであります。
  106. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話のとおり、国民の権利から申しますと、基地周辺のいろいろな問題に対しましての措置が手ぬるかった。そうしてまた何と申しますか、ことごとくに遅延さして非常に迷惑をかけたと思います。この問題は、私はわが党にも委員会を設けまして、早く大胆に処理することが問題を少なくすることなんだ、いつまでもぐずぐずしていると、それがかえって両方のためにならないのだという考え方のもとに、党に委員会をこしらえまして、そうしてこの問題について閣僚が十分審議していく、そこで、これを法律を設けてやるというふうなことがいいかどうかという問題になりますと、私はきょうの閣僚懇談会に出ておりませんが、結果は検討しようということになったようでございます。私個人の考え方を言うと、法律なんかの問題じゃない、実態に早く沿うようなことを法律の規定なんか持たずに行政でできることなんです。私はそれのほうが早いのじゃないか、法律がありますと、その法律にかくれて、やるべき仕事がおくれたり、またきめのこまかい心づかいができなくなりますから、やはりこれは行政措置として、大胆にそうして早くやるということが、実態に沿うのじゃないかという私は私見を持っております。しかし問題が問題でございますから、今後とも閣僚間におきまして、十分審議させると同時に、問題の点を早くつかまえて早く処理するということが一番効果的ではないかと思います。
  107. 相澤重明

    相澤重明君 大へんいいお答えであるけれども、それだけではやはりあとに問題が残るのじゃないかと思います。ですから私は、たとえば原子力損害賠償法が作られておるわけですね。これに基いて非常の場合の措置もとれるわけですよ。ところが残念ながら現状においては、基地周辺の問題については御承知のように上瀬谷の電波障害の問題だけでもなかなかつかなかった。ようやく幸いにして話し合いがつきましたけれども、今この厚木基地を初めとして全国にある多くの基地の周辺の人たちは、非常に苦労されておる。ですから、実態的に即応するように総理大臣の御答弁をいただいたのはたいへんよろしいのですが、しかしそれにしても、それは予算を、金をやはり伴うことだと私は思う、現金の支出を伴うことだと思う。したがってそういう事実のほうからくれば、やはりある程度、この予算といいますか、確保することも必要になってくるわけだ。したがって、まあ一つの例としては、原子力損害賠償法の問題もありますが、私は政府が一部何か基地周辺の対策についての案を考えておるようでありますが、私はやはりすなおに基地周辺の住民の、いわゆる民政安定法ともいうべきものを作ると、そうして今の、総理大臣の指揮下に、実態的に沿うようにひとつ早急に御努力をいただきたい。できれば私は、通常国会二十四日から召集されるわけでありますから、その中で政府のそういう真摯な態度というものが国民に向かって発表のできるように、ひとつ御努力をいただきたいことをお願いをして私の質問を終わりたいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  108. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) ただいまお話し申し上げましたように、検討を続けていきたいと思います。
  109. 横川正市

    ○横川正市君 時間が少し過ぎた、ようですから、手っとり早く質問をいたしたいと思います。一つだけでありますからお答えをいただきたいと思いますが、三十六年度の会計検査院の、農林省の会計検査の報告に二件指摘をされておりますが、これは農林省が干拓した農地をもとの地主に返して、それが工業用地として転売されたというケースであります。三十五年の、同じような会計検査院の報告の中にこれと同じことが一件ありまして、一年たって二件にふえたという案件なんです。おそらくこれは三十五年の指摘をされたときに、審議が非常におくれておりますけれども、何らかの対策があってしかるべきだったと私は思うのでありますけれども、三十六年の指摘事項に二件になってふえたということは、やはりこれは行政上、問題のとらえ方に、非常に重要視しない役人の姿勢があるのじゃないかと思うのであります。  まず第一、この案件の概要を申し上げますと、十七万九千百四十四円の原野及び農地を、これを農地とするために干拓するということで国が買い上げをいたしました。これは強制収用であります。ところが、用途目的が変更いたしましたため、農地法八十条によって、もとの地主に返すというわけであります。そのもとの地主に返したところが、そのときはすでに時価相場が一億五千七百万円、国が投じた費用が四千八百四十一万円、こういう案件であります。そこで私は、まず第一に土地の所有者を調べてみますと、土地の所有者は、大半九割が東亜港湾工業株式会社という会社が持っており、この会社は常に原野とか農地を買い上げて埋め立てをして、そうしてその埋め立てしたものを工業用地として転売をする会社であります。この会社は、その会社の持っておるこの土地を、これを今度、原野でありますが農林省が買い上げて、そうしてまたこの会社に返して、この会社は、国費ですっかり造成工事のできたものを大体価額にすると一億五千万円ぐらいのもので転売したのであります。こういうぼろいもうけのできることが役所の中にあるなんということは、大体おかしいわけなんですね。そこで一番私どもが不思議に思うのは、これを調べたときに、法律の上っつらから見ただけで、実際には干拓工事を計画したときに、単なる見込み違いなのか、それとも、もうすでにこれは行なうべき事前の処置で行なわれたのかという点については、これは実は会計検査院では調べがつかないそうです。事実上はすらっとやったことですから、その点の疑いも疑えばあるわけですね、単なる農地じゃないのですから。それからもう一点は、東亜港湾工業株式会社というのが、すでにこの原野を保有したときに、自分で造成工事をやって——常に自分会社は埋立工事をやる会社ですから——埋立工事をやって工業用地として転売をする、こういう意図のもとで原野を保有したのではないか、こういうことも、この経過からしては成り立つわけなんです。しかし事実上は、そういったものがほとんどこの検査の結果も、それから処分の対象にもならないで、実は三十五年の検査院の報告では、適法であるけれども、法の不備だ、だからこれは改正しなさいという、いわゆる改善要求になっているわけです。私はこれを見たときだけでも、これは大へんなことだと思ったのに、三十六年度には同じことが、もっと金額が多いわけですが、それが二件出てきているわけです。こういうことが行なわれているということについて、一体総理は、どうお考えになるのか。同時にまた、この改善はすみやかに着手しなければいけない問題だと思うのでありますけれども、その意思について、この際お伺いしておきたいと思います。
  110. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 政府がある目的のために土地を強制収用した、それが目的変更で要らなくなって、国家経済からいって他の用途に使ったほうがいいというときに、一応元の所有者に返すということは私は適当だと思います。ただお話の点は、返し方の問題、そしてその間における政府の投資した金額をどうするか、あるいは時価の差額をどの程度——ある程度国がとるかという問題だと思います。私は法律関係をよく知りませんが、しかし何と申しましても、進んでいく経済体制に、それが国家であろうが旧地主であろうが、また第三者であろうが、やはり納得のいく解決方法にしなきゃならぬということは間然のことです。私はそういう問題が今後あるかもわかりません。農地法なんかにつきましては、あると思います。十分検討した上で、適正な措置をとりたいと思っております。
  111. 横川正市

    ○横川正市君 同時にこの用途、目的変更で不当な利益をまんまとふところに入れるその土地を、そのまま使用させるということについては、私は疑義があると思う。もちろんこの前は用途変更と国損関係をどう補うかということを中心に考えて、不要になったから、目的が変わったから、元の地主に返すというふうな簡単な方法ではなしに、相当これは検討されて善処すべき問題であったと思うのであります。それがなされないで、法が、そういうふうに規定しているからといって、国損を何ら補てんしないで始末をしたということは、私はこれは問題だと思うのです。そういう点もありましたので、事実上もうすでに二件出ているわけでありますが、三十六年度で、この用途については、他に転売をせしめて、そして不当な利得が得られるようなことをそのまま放資しないで、そうして適当な処置のできるのを待って、これは善処するというふうにすべきだと思うのでありますけれども、その点についての意見をお伺いしたいと思います。
  112. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先ほど申し上げましたように、事態を検討いたしまして、今の現行法がどういうことをねらっているか、またそれが、今の時代に合うかどうか検討してみたいと思います。
  113. 奥むめお

    ○奥むめお君 今三十八年度の予算を編成なさっている最中でございますね。私は今日国民栄養の危機だと言わなきゃならないと思うのです。総理は人作りに大へん熱意を持っていらっしゃるけれども、技術のすぐれた人でも頭のいい人でも、すべて栄養の確保から私はできると思うのだけれども、たとえば特選米の制度で、米からすっかりぬかをとって栄養分を失ってしまう。これに強化米を入れようという声さえ出てきたわけです。栄養審議会で、栄養改善の問題は十年以上厚生省が一生懸命やってきた。また一般の人は胚芽米がいいんだ、半つき米がいいんだということで、白米過食から病気が多くなったということは、あらゆる統計がこれを示しているわけです。厚生省の発表によりましても、澱粉質から七二%の栄養をとっているけれども、ぜひこれは六六%以下にしなければならない。これは白米過食のためであろう。こういうふうに発表しておりますが、厚生省の発表と政府のしていることと、まるでうらはらなんですね。そこで、また今度牛乳が国民栄養として、完全なものとして、今まで国民に教えてきた牛乳の問題で、今牛乳は増産されている。しかるに消費が伴わないのだ。こういった牛乳の問題がいろいろある。ことしの神には足りなくなるからといって、脱脂粉乳とバターをたくさん輸入しましたが、いや足りなくなった、これはもう今出したら大へんだというので押えて、いまだに押えています。なぜこういうふうなあべこべの政策政府がおとりなったか。私はこれはわかっているとおっしゃるだけでは、とてもだめだと思います。国民栄養を確保するという態勢で前向きに考えて施策をきめてもらいたいと思うのですが、総理の御意向を聞きたいし方針も伺いたい。
  114. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話の点は非常に重要な問題でございまして、われわれとしても、その点に注意を加えてやっております。ただ、なかなか食関係というものは理屈どおりにはいかぬものでして、徐々にそういうふうに向けていかなければなりません。十年前と今と比べますと、国民栄養関係は、よほど進んできたと思います。ことに青少年の体位の改善等から見ましても、私はよほどよくなってきたと思います。しかしまだ十分ではございません。いろいろな点につきまして十分気を配りまして、国民栄養の改善を期していきたいと思います。
  115. 奥むめお

    ○奥むめお君 厚生大臣と農林大臣がおいで下さって、非常に私はきょうはいい機会だと思います。どちらにもまたがっているし、ほんとうは一本にならなければならない国民栄養の問題であると思います。  まず伺いたいことは、牛乳の今値下げ——乳価の値下げで酪農民がたいへん騒いでおります。ことし二円平均下げて、また来年の春にはおそらくまた三円くらい下がるだろう。こう私ども陳情をいたされております。えさが高いことは御承知のとおり、非常に上がったことは御承知のとおりでございます。こうなれば、飲みます牛乳の増産意欲がなくなってしまう。われわれは、また間もなく牛乳が不足になって、また値上げされる、こういうふうに見通しを持つわけです。今までいつでもそうでございました。いかがでいらっしゃいますか。厚生大臣は国民栄養の確保ということから、どういうふうに農林省やそのほかの省に働きかけておいでになるか。
  116. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) ただいまも総理から根本的な話は申し上げたとおりでございまするが、やはり私のほうも国民栄養につきましては、奥さん御承知のとおり、実態調査をいたしまして、毎月々々やっているわけでございます。それで最近牛乳の消費につきましては、多少農家等で少しずつ需要が減少したというデータは三十六年度当時出ております。やはりあらゆる機会を通じまして、われわれも行政指導をしていきたいと思いまするが、もちろん価格等の点につきましても、これは非常に問題がありましょう。体位の向上が今日のようになったのは、やはり牛乳及び牛乳製品のためではないかと思っております。一生懸命やっておるつもりでありますが、今後とも十分そういう方面には気をつけて参りたい、こう思っております。
  117. 奥むめお

    ○奥むめお君 栄養審議会が、あれは三十三年でしたか、牛乳は非常に大聖だということを発表していますね。そして、ことしの栄養改善十周年記念大会では、栄養の特別の省を設けて一本で施策を進めていけという決議をしている。私、これはほんとうに大事なことだと思うのです。今、あまり国家から国民栄養の問題は顧みられないのですから、しかも厚生省と農林省に分けられていまして、子供の栄養ならば厚生省、学童ならば文部省、おとなの栄養は農林省と、栄養の扱い方さえ三つに分かれているくらいで、しかも農林省も、生産者育成の役所であると私どもには見られますね。ちっともわれわれに牛乳を飲ませるという努力をしないということは、高くて飲めないのです。何も消費が縮小しているのじゃなくて、高いから飲めないという、それだけの簡単な理由なのです。  ですから、こういう問題を厚生省が農林省とタイ・アップして、一つになって、国民栄養確保を国策の人作りの第一線にすえるというふうに私は希望しておりますが、厚生大臣、いかがでございますか。
  118. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 非常にむずかしい質問でございまするが、そういう消費生活栄養改善からいって、すべてを一省にまとめるということ、それは、その面では重要かとも思われますが、なかなかこれは大きい問題ですから、必要なことがわかりましても、私がここで全部一緒にまとめてしまうというようなことは、ちょっと申し上げられないと思いますが、いずれにいたしましても、行政でございますから、行政心々は、調整することができるわけです。一本にまとめることは必要でございましょうけれども、もし厚生省あるいは文部省、農林省等でちぐはぐの行政が行なわれているということになりますれば、十分内閣として調整はとりたいと思います。御趣旨の点も、そういう栄養あるいは消費生活について統一的な省を作れ、あるいは部を作れ、局を作れと、こういうような御趣旨はわかりますが、直ちにそれに賛成して、そういたしましょうというようなことは、私からちょっと今申し上げられません。十分連絡はとっております。
  119. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 他に御質疑もなければ、本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十四分散会