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1962-12-13 第42回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月十三日(木曜日)    午後二時七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     金丸 冨夫君    理事            天埜 良吉君            谷口 慶吉君            大倉 精一君    委員            江藤  智君            木暮武太夫君            河野 謙三君            天功 裕彦君            村松 久義君            小酒井義男君            中村 順造君            吉田忠三郎君            浅井  亨君            加賀山之雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君   説明員    海上保安庁長官 和田  勇君    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     磯崎  叡君   事務局側    常任委員会専門    員       吉田善次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日本国有鉄道運営に関する件)  (海運に関する件)   —————————————
  2. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは、ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。まず、国鉄運営に関する件につきまして質疑の通告がございましたから、発言を許します。
  3. 中村順造

    中村順造君 先般の三河島事故以来、本院の本会議または当委員会におきまして、いろいろな事故をなくするという国民期待にこたえまして、しばしば質疑をかわし、論議をかわしたところであります。きょうは、たまたま国鉄のほうから、安全輸送確保に関する考え方というような資料を出されております。いずれにいたしましても、これは政府、あるいは国鉄、与野党を問わず、全国民的なやはり熱望だと私ども考えておるわけであります。そこで、二、三の点について国鉄にまず質問いたしたいと思いますが、この出された資料の中を検討いたしてみますと、なるほど、三十六年来計画が立てられまして、特にことし八月以降さらに保安対策という面が真剣に取り上げられて、緊急的にまた予算も追加されておる、こういうことはわかるわけですが、しかし、この輸送保安という問題は、いつも私が申し上げておるように、国鉄輸送に限らず、すべての輸送というものは、やはり安全第一ということが前提になることは、もう申し上げるまでもないことであります。そこで、その前提に立つならば、これはただ五カ年間だけの計画ということでなしに、将来ともやはり保安対策、あるいはそれに伴う予算措置というふうなものが当然必要でありますし、また抜本的なことも、緊急の課題としてでなくして、立てなければならないということは、これは私が申し上げるまでもないと思いますが、そういう面で、今出されました三十六年来の昭和四十年に終わります五カ年計画に、さらに引き続いてこういう措置をしなければならぬと、このように考えるわけですが、国鉄考えはどのようなお考えに立っておられるのか、五カ年でもうすべては終われりというふうなお考えに立っておられるのか、その点をまずひとつお伺いしたいと思うのであります。
  4. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまじゅんじゅんと御指摘のございましたとおり、国鉄といたしまして何を差しおいてもまず輸送の安全の確保といことをはからなければならないことは、全くお言葉のとおりでございまして、そういう考え方から、現在実施中でございます五カ年計画につきましても、特に保安対策の確立という角度から検討を加えまして、その結果、五カ年計画につきましても、是正の措置をとっていきたいということでいろいろとそれらの今五カ年計画補正について考えております諸点について説明資料ども差し上げたような次第でございますけれども、これはもちろん、現在のこの五カ年計画が終了すればそれで終わりというようなことではございませんで、国鉄のある限り、常に保安対策第一に、輸送の安全第一に考えていかなければならないことは、お言葉のとおりでございます。そういう心組みで、私どもといたしましては、今後とも輸送安全確保のために一そう努力を重ねて参りたい、かように存じております。
  5. 中村順造

    中村順造君 これは大臣にもお答えをいただきたいのですが、大臣御承知だと思いますが、ことしの予算折衝段階で、国鉄は大体三カ年間六百七十四億という予算計画をいたしておりまして、特に三十八年度予算保安対策として、百八十四億という——これは必ずしも満足すべき額ではないと思うのですが、いろいろ論議の過程から見まするならば、約この倍にも匹敵する予算が必要だと私ども考えるわけでありますけれども政府なり国鉄として諸般情勢など考慮した場合に、それだけの、倍額に匹敵するだけのことは無理だ、こういうことから判断をされて、全体の総体的な判断の中で百八十四億という、最小限度これだけの予算をもって、今副総裁の答えられたように、当面する保安対策には三十八年度これだけの予算が必要だ、こういうことで、運輸省として予算を組まれ、さらに大蔵省折衝されておる段階だと思う。そこで、これは私の杞憂かもしれませんけれども、かりにまあ予算折衝といえば、従来のように必ずしも全面的にそれがいれられるというふうな情勢にもないかもしれぬと思う。これは私の全く必要のない心配かもしれませんけれども、そういう面からいたしまして、やはりこの最小限の百八十四億という予算確保には努力をされておると思います。おると思いますが、少なくとも、総体的な予算がきまった場合、この当委員会で議論をいたしましたように、安全の確保が第一という考え方に立つならば、最小限これだけのものはいわゆる国鉄の全体の予算の中で確保しなきゃならぬ、こういうふうに私ども考えるわけですが、その点は大臣はどのようにお考えになっておりますか。副総裁にもお答えをいただきたい。
  6. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) さっき吾孫子総裁からも申されましたが、安全第一の運転をやるということは国鉄使命でありまして、このごろ非常に事故があることは、まことに遺憾でございますが、予算につきましても、でき得る限り努力いたして、最低要求領をぜひ大蔵省に認めさすべく、ただいま努力中でございます。
  7. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほども申し上げましたが、大臣のお言葉のとおりに私ども考えておる次第でございます。
  8. 中村順造

    中村順造君 あとは、大体こまかい問題になりまして、若干具体的になりますが、いろいろ予算措置がされ、さらに具体的に諸般設備を伴うものを実施をしていくということにつきましては、これは国鉄内部の問題でありますが、いろいろ困難性もあると思います。あると思いますが、総体的に申し上げて、やはりその困難性を克服して、万難を排して、たとえば、具体的に申しますならば、車内警報装置だとか、あるいは安全側線だとか、信号機だとか、あるいは休養設備だとか、踏切の問題だとか、たくさんの問題が具体的に今後出てくるわけです。それにつきましては、これはひとつ決意として何っておきたいのですが、私はしばしば、言いますけれども、ただ計画だけで物事がなるものではありませんから、物が対象になる場合もありましょうし、または人が対象になる場合もある。そういう面をよく考慮されて、万難を排してこの計画を遂行されていかれる決意があるかどうか、その点の決意のほどをひとつ大臣並びに副総裁からお伺いをしたい。
  9. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) 私どもは、お言葉のとおりの趣旨にのっとって、非常な決意をもってこの運行の安全の確保努力をいたす所存でございます。
  10. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 大臣の御答弁にございましたとおり、私どもといたしましても、この目的のために、あらゆる困難を克服いたしまして、また真に労使一体になって、国鉄全体がこの目的に沿うように一そう努力をいたして参りたい、かように存じております。
  11. 中村順造

    中村順造君 私は、冒頭に申し上げましたように、これはひとり国鉄だけの問題ではございませんけれども、最近いろいろな交通関係事故というものが頻発をしている動向にありますし、その動向の中で、やはり本会議なりあるいは委員会等でしばしば問題になりまして、最終的には、まあ私の判断でありますが、大臣あるいは国鉄当月の決意もそういうふうな御決意であるということでもりまして、そういう意味におきまして、私は、この際、日本社会党を代表いたしまして、交通事故防止対策樹立に関する決議というものを出したい、このように考えているわけであります。委員長の採択をお願いしたい。
  12. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいま決議に関する申し出がありましたが、この決議案文等につきまして、中村君にお述べいただきたいと思います。
  13. 中村順造

    中村順造君 それでは、私はこういうのを出しましたので、決議案文をまず朗読いたしまして、あと趣旨を御説明申し上げたいと思います。その上に立って各委員の御賛成をいただきたいと思いますが、まず朗読いたします。  これは案文でございますが、提案の趣旨といたしましては、これはあえてここで重複を避けまして申し上げますけれども、先般来、委員会におきまして、ただ国鉄事故ということでなくして、非常に交通事故が多い。内容につきましても、これは必然的に、やはりわが国の経済の成長に伴いまして、陸に、海に、空に、非常な交通網が発達いたします。しかも、それが重量化し、スピード化するということから、事故危険性が多分にあるわけであります。もちろん、それぞれのこの業務に携わる者が全知全能を傾けることは当然のことでありまするけれども、何と申しましても、今日の発達した科学の時代におきましては、科学的な裏づけということも十分考慮しなければなりませんし、そういう面におきましては、やはり予算上の問題、さらには法律上の問題等もあるわけでございまして、今後とも政府並びに国鉄に対するこれらの措置につきまして、万全を期し、国民期待にこたえなければならぬというのが、本決議案趣旨でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  14. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまの決議案に対しまして御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、これより採決を行ないます。  本決議案賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  15. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 全会一致と認めます。よって、本決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決しました。  ただいまの決議に対し、運輸大臣から発言を求められました。運輸大臣
  16. 綾部健太郎

    国務大臣綾部健太郎君) ただいまの御決議になりました点について、私どもの覚悟をさらに申し上げてみたいと思います。  最近各種の交通事故が発生を見たことは、まことに遺憾であります。政府といたしましては、交通安全の確保保安対策強化徹底につきまして、従前も努力して参りましたところでありますが、また、最近の事態にかんがみまして、さらに安全確保徹底方を指示した次第でありますが、ただいまの御決議趣旨に基づき、人命、財産尊重の立場から、さらに安全確保保安対策強化に一そうの努力を重ね、事故の絶滅を期し、国民期待に沿うよう努力する考えでございます。
  17. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまの決議に対し、吾孫子国鉄総裁発言を求めます。吾孫子総裁
  18. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまこのような御決議をいただきましたことにつきまして、私ども国鉄の者といたしましては、こういう御決議をいただくようになりました原因について少なからぬ責任があることを感じまして、まことに恐縮この上もないことに存じております。なお、大臣からもこれに対する御決意の御披瀝がございましたが、私どもといたしましては、この御決議の精神に沿いまして、なお一そうの努力を重ねて参りたいと思いまするが、これにつきましても、現在これから御審議いただきます五カ年計画緊急補正指貫その他につきまして、私どもが私ども責任を果たして参れますように、なお一そう御支援と御鞭撻とをお願いいたす次第であります。   —————————————
  19. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 次に、京浜運河におけるタンカー衝突事故について、海上保安庁当局から説明を聴取いたします。和田海上保安庁長官
  20. 和田勇

    説明員和田勇君) ただいま委員長からお話のありました、第一宗像丸サラルド・ブロビグ号衝突いたしまして火災を起こしました件につきまして、簡単に御報告申し上げます。  発生いたしましたのは、昭和三十七年の十一月十八日の午前八時十五分ごろであります。発生いたしました場所は、京浜港の横浜第四、区京浜運河でございまして、東京電力の鶴見発電所の沖合約三百メートル付近でございます。衝突いたしました船は、日本油送船の第一宗像丸約二千トンの船と、ノルウェーの同じく油送船の約二一万一千トンのサラルド・ブロビグ号衝突いたしまして、その際、衝突後、第一宗像丸の積んでおりましたガソリン約三千六百キロのうち三百キロが海中に流れ出まして、八時二十三分ごろに発火いたしまして、大平丸——油はしけ約九十トンでございます、同じく宝栄丸というはしけ約六十トン、これが燃えしがありまして、その結果、死者四十名、重軽傷者十一名を出す大惨事となりました。まことにお気の毒にたえない次第でございます。当庁といたしましては、さっそく、当庁の消防艇二隻のほか、横浜市、東京都、米軍等消防艇、合計八隻をもちまして消火作業をいたしまして、夕刻に至りまして一応鎮火いたしました。その後、ブロビグ号のほうは、四十七名の船員が、一応、けがをした者は十名ばかりございますが、助かりまして、第一宗像丸のほうは三十六名全部死亡いたしております。大平丸のほうは、三名乗っておったうち、二人がなくなりまして、一人は今病院に入院中で、非常にお気の灘な状態になっております。宝栄丸のほうも、二名なくなっております。この件に関しまして、私どものほうの横浜海上保安部捜査本部を設置をいたしまして、刑法第百二十九条第二項の業務過失罪並びに刑法第二百十一条の業務過失致死傷罪並びに業務過失失火罪——これは刑法第百十七条ノ二——容疑捜査中でございましたが、十一月二十九日にサラルド・ブロビグ号のパイロットの植松さんと、同じく船長のペ−デル・ペデルセンさん、同じくなくなった第一宗像丸船長海堀さんの三名を、業務過失罪及び業務過失致死傷罪容疑で、横浜地方検察庁に送検いたしました。なお、大平丸業務失火罪あるいは船舶職員法違反容疑につきましては、現在捜査続行中でございますが、何分第一宗像丸の人が全部なくなっておりますので、非常に捜査は困難をきわめております。  簡単に捜査した概要を申し上げますると、被疑者といたしましては三名、参考人は三十五名、このうち陸上から見ておった方々が七名、海上から見ておった方々が二十二名、もちろん、ブロビグ号機関長一等航海士、三等航海士につきましても、参考人として調査をいたしている次第でございます。  なお、このような状況にかんがみまして、私どものほうでは、かねがねこの京浜運河は、大ざっぱに申し上げまして、一分に一隻船が通るというような非常な海上の混雑いたしますところでございまするので、今までやっておりました航行の管制を強化いたしまして、従来は総トン数二万五千トン以上の船が鶴見航路を通ります際にはすべての船をストップさせておったのでございまするが、これを少しく引き下げまして、事故を少なくする意味におきまして、一万五千トン以上の船が通るときはすべての船をとめるというふうにして、この事故防止強化いたしたいと、もうすでにやっております。それから、この京浜運河は、非常に小型船等、あるいは漁船または油その他を運ぶ船が多うございまするが、工場等も多くて、もちろん必要な船が走っておるわけでございまするが、大きな船は、御案内のとおり、非常にずうたいが大きゅうございますので、航行が敏速を欠きます。ストップをかけても百メートル、二百メートルは走るわけでございますので、港則法の三十七条の規定によりまして、この京浜運河においては、釣をするとか、あるいはヨットを走らせるとか、レジャー用のボートの遊走を禁止いたしたい。大体二十日ごろからやりたいと思っております。それから、第四点としまして、港に各区を設けてございまするが、大体七時から九時ごろまでが非常にラッシュになるわけでございます。多少御不便でございまするが、日出時から九時ごろまでの剛は総トン数一千トン以上の船が第四区から鶴見航路航行して出て行くということを禁止いたしまして衝突事故を防ぎたい、かように考えておるのでございます。  なお、このほかに港則法とかあるいは法令等の問題がございまするが、こういった点につきましては、ものによりましては本年内に省令を改正いたしまして航行の規制をいたすものもございまするし、法令等につきましては、私どもの所管でございませんが、私のほうから御意見を申し上げて、ものによりましては改正をしていただきたいという申し入れをしておる次第でございます。
  21. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) ただいまの説明に対して、御質疑の方はございませんか。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 質問を保留いたします、きょうは。
  23. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは、本日はこれに関する御質疑がなければ、次に移ります。   —————————————
  24. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 前回に引き続き、国鉄北陸線事故についての質疑申し出がございました。これを許します。大倉君。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 これは質疑というよりも、この前の委員会で、鯖波駅の作業員死傷事件について、過経内容を十分に調査をしてその結果を御報告を願いたい、こういう発言をしたのですが、きょうはそれに基づいて調査の結果の御報告をまずお願いいたしたい。
  26. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 前回の当委員会におきまして、大倉先生から、過般十一月二十八日の鯖波駅における事故復旧作業に関する死傷事故につきまして種々御質問がございました。その後、私のほうでも、いろいろ現地と連絡して今取り調べております。実はきょうまだ最終的に結論を申し上げる段階になっておりませんのは、たいへん申しわけなく思っておりますが、一応今まで私のほうで調査した中間的な御報告をさせていただきたいと、こう思いますが、それでよろしゅうございますか。  この前の御賛同の要点は、大体二点に尽きるというように私は考えております。  第一点は、先生の御指摘の、私のほうの関係職員、ことに公安室長が、問題の転覆いたしました貨車復旧作業について、非常に危険な状態であるにもかかわらず、復旧作業を強制したのではないかという点が一点と、それからもう一点、貨車が転覆いたしました、すなわち事故後、事故あとで、転覆いたしました原因、ことに写真をお見せ下さいまして、自動連結機関係がどうなっていたかという点、この二点におおむね集約できると思います。その二点のもう一つ前提といたしまして、私が御答弁した中に、いわゆる積みおろし作業といたしまして私のほうが事後の契約を結んだということを申しました際に、たとえ口頭の契約にしても非常にその約束の成立の仕方に一方的な国鉄側だけでやったというような疑いがある、こういう関連した御質問がその前提としてあると、こういうふうに考えております。大体その三点を主として現地について調査いたしました。先ほど申しましたとおり、まだいろいろ関係者その他の供述等も完全にとれておりませんので、必ずしも私自身といたしまして最終的な結論を持ってきょう申し上げられないことは、これは申しわけなく思っております。  一応調べました実情といたしまして、一番問題の公安室長復旧作業を指揮していたかどうかという点がまず第一点だと思います。その点につきましては、私のほうの調べによりますと、当時公安室長は、駅長あるいはこういった事故の跡始末をいたします客貨車区と申します——客車貨車の修繕をするところでございますが、客貨車区長あるいはそれらの助役とその付近におったことは、事実でございます。先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、公安室長といたしましては、その職務内容——事故及び災害復旧処理規程というのがございまして、その規程によりまして、公安室長は、事故の発生した直後、たとえば列車妨害——置き石と申しますか、列車妨害等でその事故が起こったのではないかという、一種の鉄道犯罪行為によってそういった事故が発生したのではないかというようなことに対する捜査を主とした使命として現地におったようでございます。さらに、事故荷物処置というものは、やはり公安室長の任務でございますが、これは、事故荷物そのもの処置、すなわち荷物に対してどれほどの損害賠償を払うかという損害賠償支払いの場合の認定をする、こういう職務公安室長に与えておりますので、その付近におりましたことは事実でございますが、やっておりましたことは、主としてそういう方面をやっておったというふうに申しております。したがいまして、直接自分が積みおろし作業を指揮したという事実はないと、こう申しておりますが、ただ、ああいった大きな事故の直後でもございますので、まあ人手が幾らでもあればあるほどいい。また、鉄道の人間も、職員の一人として、事故復旧自分の職責をこえて努力すべき義務があることは当然だと思いますので、あるいは何らかの形で事故復旧に協力したことも皆無ではなかった、ゼロではなかったというふうにも考えられます。一点だけ明白になっておりますことは、だれから尋ねられたかよくわからないのでございますが、三十三号——いわゆるひっくり返りました貨車について、たぶん日通支店の人だろうと、こういうふうに言っておりますが、この貨車は少し傾斜しているのだが何でもないだろうか、こういう質問を受けたそうでございます。それに対しまして、ちょうどその場に客貨車区の助役、これは車については専門家でございます。客貨車区の助役がおりましたので、その助役に話をいたしました結果、これ以上傾斜することはないだろうと言っているから、助役がそう申しましたので、その日通支店の人に、だいじょうぶだろう、こういうことを申した、こういうことだけは、はっきりいたしておりますが、先ほど先生の御指摘のような公安室長がみずから危険でないと言った事実はない、こういうふうに申しております。しかしそれは、これからもう少し正確に取り調べていかなきゃならぬと思っております。現在の段階においては直接復旧作業に従事したのではなしに、事故及び災害復旧処理規程という規程に基づきまして、公安室長の本来の職務をやっておった。ただし、今申しましたとおり、これは本来の職務をやっておる中で、やはり鉄道職員として事故復旧に、たとえ自分の仕事でなくても協力すべき義務があるのは当然でございますので、その範囲内で何らかの協力をしたということは考えられると思います。それからもう一つ、今、申しました貨車があぶないかどうかということを聞かれました際に、自分専門家でないというわけで、専門家意見を聞いて、だいじょうぶだろうという返事をしたという事実はあるようでございます。それが第一点でございます。  それから第二の事故そのものの問題でございますが、これは先生のを拝見いたしました写真でございますが、これは現地でも焼いた写真をたくさん持っております。私のほうの調査によりますと、自動連結機ひじと申しまして、ちょうどこういうふうにかみ合った、ここをひじと申しております。こういうふうにかみ合っております。このひじの高さが大体三百ミリメートルぐらいある。そのうちの約百二十ミリメートルないし百三十ミリメートル、こういうふうに食い違っておった、こういうふうに言っております。すなわち約三分の一が食い違っておる。やはりこれは福井の客貨車区の助役専門家として見た結果でございます。それははっきりしております。普通その三分の一程度の食い違いでございますと、そのままではひっくり返ることはないというのが一応の客貨車の常識だそうでございますので、先ほど申しましたとおり、これならだいじょうぶだろうということは確かでございます。こういうふうに申しております。その後先生のお話でもって、ピンを抜いたかどうかという問題が一つございます。その新聞にございますビンという言葉の中に、実は少しあいまいな点がございまして、抜かれたものか、いわゆるひじの根元にあるピンを言っておるのか。これは普通は手で抜けますが、ちょっと自連が食い違いますと、手ではなかなか抜けないそうでございます。そのひじの根元にあるピンのことなのか、あるいはもっと奥に、もう一つピンがございますが、そのピンのことなのか、その点がまだ、はっきりいたしておりませんが、ひっくり返った貨車の直接の原因は、自連があいたのではなくして、上下にずったのだろう、こういう見方をしております。その結果まだ先生の御指摘の、ピンが抜けたかということについては、正確にまだ調査ができておりませんので、この点はもう少し調査しなければならない、こういうふうに思っております。  もう一点。積みおろし——積荷のとりおろし作業をいたしておりますのは、この間のお話のとおり、二人の作業員貨車の中に入り、それから新聞の巻き取りの心棒、その心棒にローブをかけまして、そのローブを下で持って、貨車の外で七人の作業員が、そのロープを引っ張って、そして貨車から取りおろした、こういうように作業状態は、大体明白になっております。それを下でよいしょ、よいしょと言って、綱を引くようにして、ロープでこういうふうに引っかけて巻き取り、約一個五百七十五キログラム、直径が八十三センチから八十五センチ、長さが百六十三センチ、この重たいものを合計九人がかりでもって貨車から取りおろしておったということは明白になったわけでございますが、こういった事実から推定いたしますと、事故の発生するまでに、三本の巻取紙をおろしたと申しております。この状態で、二十一本のうちの三本だけおろしたと申しております。その三本をおろしたために、積荷のウエートが変わりまして、重心が移動したために貨車がひっくり返ったのではないかという見方が一つと、それからもう一つは、取りおろし作業中に、貨車に何らかの動揺が与えられて、自動連結機がはずれてしまって倒れたのではないかということと、まだその点も、大へん申しわけないのでございますが、正確にはわかっておりません。  それから百頭の、いわゆる積みおろし作業を請負するまでのいきさつにつきましては、当時のとっさの間でございまして、事故が一時半に起こったということで、とにかくマル通に頼むということで、だれがどう申したということは、必ずしも明白になっておらないようでございます。非常に事故直後のあわてた状況で、そこにいる人にいろいろ頼んで、とにかく積みおろし作業をやるように手配を整えたというふうに申しておりますので、その点も、いわゆる積みおろし作業契約を結んでやったというふうな、正常な状態における作業ではないわけでございますので、口頭でもって話をして、積みおろし作業を頼んだというような調査の結果でございます。  以上、大へんまだ十分でございませんで、申しわけございませんが、今までわかりました中間的な御報告は、これでございます。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 今報告をされた中で、私の聞いているのと、だいぶ違った面があるのであります。ただいまの、公安室長、この人に対して、あぶないと言った人もいるだろうし、これはあぶなくないと言った人もいるだろうと思うのですね。この前も言ったように、武生通運の田中治作という人は、三十何年この仕事に携わっている。この人が、現にあぶないといって断言したという事実がある。これが非常に違う。  私の言いたいことは、こまかいそういういきさつはとにかくとして、この責任は一体どこにあるのかということ。けがした人、なくなった人が非常にあいまいのままに、中ぶらりんになって冥途で迷っているだろうと思う。ですからその責任の所在がどこにあるのかということを端的にお伺いしているわけで、今の契約云々の問題につきましても、これはここに口述した人の記録を持っておりますけれども、全然関係のなかったのに、武生通運の支店のほうから、お前行け、お前行けといって、やられたというふうに聞いておりますが、それはそれとして、この前の答弁で言っておったのは、これは下請の契約した者の責任だということがあったのですね。これは労務契約といった場合には、全然責任の所在のあり方が違ってくると思うのですね。労務契約であったと思うのですがね。どうでしょうかね。これは。
  28. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 平常の作業でございますと、いわゆる積みおろし作業契約ということになると思います。ただ、これはいわゆる労務だけを純粋に提供するものでなくて、その他に、いろいろ用具を使うとかいうことがございまして、純粋労務提供業とは少し違うと思いますが、あまり法律的な詳しいことは存じませんが、いわゆる純粋労務契約ということに、一般の器具その他を提供をするという広い意味での、私どもは積みおろし作業契約といっておりますが、これに該当するのではないかというふうな考えでおります。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 それが非常に重大な分岐点と思うのですがね。あなたのほうでは、そうお考えになっている。しかし片方のほうでは、これは労務契約だという考えでやっている。労務契約だった場合には、これはすべてが、あなたがたのほうの監督下において現場処理をやるのですから、それは、そういう事故に対しては、当然直接的にあなたのほうで責任を持たなければならぬのですがね。その点は明白になっておりませんか。契約内容……。
  30. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は、大体まあ普通こういった事故の場合に、これは、よしあしは別といたしましても、とにかくとっさに人を頼んで復旧に当たるというのが通例でございますので、一々その場合に、それがいずれの契約に属するかということを、もちろんその場できめることもないでございましょうし、またその後も、あまり問題が起こったことがございませんので、その点今回の場合は、どっちに該当するかということは、ちょっと今の段階では申し上げかねるのでございます。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 今の段階ではわからないといったって、契約しちゃって、もう作業をやっちゃったあとから、それが労務契約だったのか、あるいは作業契約だかわからないという、そういうことがあり得るのですかね。
  32. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点、私が申し上げましたのは、過般も申し上げましたとおり、平常のとおり、積みおろし作業契約を結ぶのが普通でございます。ただこの場合に、こういった事故の場合に私どものほうといたしましては、積みおろし作業契約のつもりで人を頼んでおる。片っ方は純粋労務提供だけでやっておるということでありますと、この点に食い違いがあったと思いますが、普通の場合には、積みおろし作業契約でやっている、この場合に、車はともかくとして、このほかにバレイショなどをおろしております、そのほかの荷物もおろしております、そういった場合には、純粋の労務契約ではなくて、日通何々支店、武生運送店何々店というのが積みおろし契約を結びまして、車からおろして一定の場所に並べるといった積みおろしの——この場合取りおろしでございますが、取りおろしの作業契約だと私は解釈しております。  しかし先生のおっしゃったように、この場合の契約の締結に至るまでが非常にとっさの場合だというようなことでもって、労務契約ではないかという御質問があった場合には、私はそうは思いませんが、そういうことは絶対あり得ないこともないと思いますので、そういうことは、もう少し考えてみなければならないというふうに思います。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 この点、私もさらに調査をしてみますが、どうもふに落ちない第一点は、内容はともかくとして、契約をして作業をやらして、片づいて今日に至っても、労務契約であったのか、積みおろし契約であったのかわからないということは、そういうことはないと思うのです。そういう責任の所在は、初めからはっきりしてやるべきだと思うのですね。あなたのほうでわからぬとおっしゃれば、これはわからなければわからないで仕方がないですが、私のほうで検討してみましょう。しかし積みおろし契約というのは普通の状態ですよ。こういう非常な危険の作業場へ投入するという場合は、これは普通の積みおろし契約じゃないです。それならそのように、適当に口頭でやるという、責任の所在をあいまいなものでなくて、きちんとしたものをやって契約を結ぶべきだと思うのですね。それがどうも、あやふやだということがふに落ちない。  それからもう一つは、公安官の場合は、これは武生の元貨物課長をやっておったのでありますから、あそこにはなじみが深いのです。現実に、この人が武生通運の作業員の人を指揮して、だいじょうぶだやれ、こういわれれば、ちょっといやだとはいえない、そういう状況にあったのではなかろうかと思うのですね。そういう点についての、やっぱり責任の追及は免れないと思うのですよ。  それから、きょうは調査不十分なようですから突っ込んでいいませんけれども、もう一つ私が問題にしておるのは、作業現場において、国鉄とそれから下請をする労務者ですか、この関係ですね、あるいは民間会社との関係。こういうものについて、やっぱり私はいろいろ現場に行って聞いてみたりしておりますけれども、そういうところにも問題があるのではないかという気がしますね。ですから、これは磯崎さん、あまり手間をかけて調べなくてもわかると思う。なんならば現地に派遣して——私も行っていいですが、派遣して、早急にその間の事情を調査検討してもらって、責任の所在をはっきりして下さい。これは刑事事件じゃないですよ。刑事事件の結論が出たらきめましょう、それを待っておりましょうというような問題じゃない、国鉄のほうに責任があるのですから。だから国鉄責任を負うべきものなのか、あるいは請負した会社のほうで責任を負うべきものなのか、その点をはっきりしてもらいたいのです。私のほうでも事実を検討してみたいと思っております。この次聞きます。さらに明確に突っ込んだ調査の結果を報告して下さい。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきましては、前回申し上げましたように、これは先生のおしかりをいただいたことでございますけれども、結局貨車が倒れたことが、非常に大きな原因だった、こういうふうに考えるか、あるいは貨車が倒れなくても、こういった事故は起こっただろう、こういうふうに考えるかということが一つの分かれ目になるところでございます。その点などにつきましても、非常にデリケートな問題もございますので、もうしばらく時日を拝借いたしまして、私どものほうといたしましても、今後こういった不幸な事態が生じないように、また、とかく雪害等で、よくこういう問題が起こるわけでございます。そういった場合にも、万が一、こういった不幸な事態が起きた場合にも、とにかく被害者に迷惑をかけない、あらゆる意味において被害者に迷惑をかけることを最小限度にとどめるという意味からも、もう少し、こういった事態を明確にする必要があると存じますので、もうしばらく時日を拝借したい、こう考えるわけでございます。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと今の発言で、重ねて念を押しておきますけれども貨車が倒れた、倒れなかったという発言が、この前もあったのですが、倒れなかったならば、これは問題がなかったかもしれませんが、現に倒れたのだから、だから、この倒れたという結果について、どっちが責任を負うのだという端的な問題ですから、これをひとつ、こんがらがらないようにしてもらいたいと思う。重ねて申し上げておきます。
  36. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 承知しました。
  37. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) 他に、これに関しての御質疑はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 金丸冨夫

    委員長金丸冨夫君) それでは本日は、この質疑は、他に御発言もないようでありますから、この程度にいたしまして、本日は、散会いたします。    午後二時五十五分散会