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参考人(村井順君) 私から組織
委員会関係の
予算について御
説明いたしますが、組織
委員会関係の
予算は、若干特異な性格を持っておりますので、全体的なそういう特徴から申し上げますと、三十四年から四十年までの
予算を全体を総計いたしまして九十一億九千六百万という大体予定をいたしております。現在、三十七年度でございますが、三十四年から三十七年までの
予算総計が七億六千万、その
あとを三十八年、三十九年、四十年はごくわずかですが、この三カ年に残っておるわけでございますが、三十八年度は約十九億七千幾ら、約二十億という
予算を出しております。それから来年が、三十九年度の
予算が約六十億くらい、三十八年と三十九年が
予算の大部分を占めるということをまず御了解願いたいと思います。
それから次は、これの収入につきまして、いわゆる財源につきましてのわれわれの構想を申し上げますと、大体間違いなくこの
程度は確保できるだろうと思っておりますものが
事業収入の約三十億でございます。それから
資金財団から約二十億ぐらいくるだろう、それからその他財産を処分して約二、三億あるだろう、五十数億につきましては大体間違いなく入るだろうということになっております。そうすると、その残額は約四十億、その四十億を国と都で半分ずつ、すなわち二十億ずつ補助していただく、これがわれわれのほうの全体の
資金計画になっております。そういうような意味からいたしまして、国に
お願いいたしますのは、結局大体五分の一ぐらいを
お願いしておるわけでございます。ですから、もし国の補助金が減るようなこと、たとえば全体のワクを、今大蔵省で見てもらっております全体のワクが、九十億が七十億だとか七十五億だとか、そういうふうに下りますと、もう国の補助金はあまり見ないぞということになるわけで、つまり、たとえば三分の一査定したということにかりになったらたいへんでございますが、三分の一査定ということにされたら、国は全然見ないぞ、自分で勝手にやれというような
予算になるということをお含みおき願いたい。全部を国に
お願いしておるわけではないということを御了承願いたい。
それから来年度の
予算につきましては、先ほど申し上げましたように、約十九億七千万、約二十億でございますが、そのうちの
問題点を二、三申し上げますと、現在
職員が百六十二名おります。これが三十七年度末までに二百人にしたい。三十八年、来年はどのくらい
計画をしているかというと、これは三百から四百ぐらいにしたい。この点が
一つの大きな問題になります。なぜ問題になるかと申しますと、ローマの大会のときには一年前でも二百数十名しかおらなかったのです。こちらは一年半なり二年前からそれと同じぐらいの
数字がほしいという、この
数字に対して問題が起こってくる。しかし、これは御
承知と思いますが、ローマではコニーというたいへん膨大な体育協会がございます。それがどしどし
オリンピックの
仕事をやっていく。さらに御
承知のように、いわゆる軍隊が乗り出してくれましたが、これは最初はどれだけ出たか
数字としてははっきりこれは出ていなくても、二年ぐらい前から内部ではそういう
仕事をやっておったのではないかとわれわれは考えておるわけです。そういうような意味で、ローマ大会とは違って一年ぐらい前から少したくさんの人数をそろえていかなければならぬ。さらに言いますと、ローマ大会では、大会の直前に急に膨大な人数をふやしましたので、みんな新米で何も知らないで入って来ただけで、そのために非常な混乱をして失敗したということもございますので、ある
程度中心になる人間は、少し早くても入れておかなければならぬということで、来年度のわれわれの陣容強化というものについては、ローマとは違うというような
考え方をひとつ御了承願いたいと思います。
それから次に、
事業について問題になりますのは、いわゆる国際スポーツ大会とわれわれ申しておりますが、ちょうど一年前の、つまり三十八年の十月の大体同じころに約六日間、世界の有名選手を集めて二十種目全体について大会をやりたい。これはどういうことかと申しますと、NHKが約一億七千万円ばかり出しまして世界から三百五十人ばかりの有名選手を集める。それではその機会に体協のほうでは選手強化を一緒にやろうじゃないか、二、三千万円出そうじゃないか。その後、組織
委員会で、ひとつリハーサルのつもりでもってこれに参加してもらえないだろうかということになったわけです。で、その額が、結局八千万円というものがこの中に組んであります。これがいろいろな
考え方がございまして、相当今後難航するんではないかとわれわれ思っておりますが、せっかくNHKがそれだけの巨額の旅費を出して三百五十名招いて、普通ならばそれが各地方にばらまかれてしまうわけでございます。というのは、
日本でもって大きな大会をやる場合には、
東京でやると採算がとれない。みんな地方でやって、地方の御協力によって、たとえば静岡とか福岡とか、そういう所で大会をやるのが従来のやり方だそうでございます。それを全部一括して
東京でまとめてやらしてもらいたいということになりますと、弱いと申しますか、財政的に小さい競技団体ではとてもやっていけないので、少し見てもらわないとこれはいろいろな問題が起こります。
それから、先ほどからいろいろ
お話があります交通問題など、いろいろありますので、警視庁などにおいても、それに対するいろいろな資材だとか陣容、人員を出動させるための
予算だとか、いろいろそういうものが出て参ります。そういうものを八千万円出しておるわけでございまして、もしわれわれのほうでやらないとなれば、地方でばらばらと大会が行なわれるということになるわけでございます。
なお、これは国際スポーツ大会というのは、
東京大会のリハーサルにもなると同時に、来年のいわゆる
日本選手権大会にそれぞれなるというような構想を持って進めておるわけでございます。
それからもう
一つ問題になりますのは、広報
関係の中で、いわゆる記録映画の作製費というものが約五千万円頭を出しておるわけでございます。映画については従来約五億六千万ぐらいの膨大な
予算をもって、世界に誇るりっぱな記録映画を作ろうという考えで、黒沢明監督に
お願いして進めておったわけでございますが、その後、やはりバランスをとらなければいかぬ、収入はどのくらいか、結局二億ぐらいしか入らないんではないか、あるいは二億五千万円ぐらいは上がるんじゃないかというようないろいろ話がございまして、この収入に大体見合う
程度で、約二億九千何百万、約三億でございます。ちょうど五千万の赤字が出る
程度の
予算を考えまして、そのワクを一応記録映画の
予算にいたしまして、三十八年はその中の五千万を、頭を出すということになります。そうしますと、これは全体の
予算についておそらく大蔵省は査定をするだろうと思います。大蔵省としてはコマーシャル・ベ
ースでもって普通の会社にまかしてしまったら収支償うんじゃないか、償うというよりも、組織
委員会としては一銭も赤字が出ない、場合によったら権利金取ったらどうかという意見までございますが、われわれが考えますのに、これは千載一遇のチャンスでございまして、この機会に
日本の最高の技術というものを世界のすみずみの人に見てもらいたい。参加国約百カ国と申します。百カ国の人々に
日本の現在の力というものを、あり方というものを、それから大会の模様というものを見てもらえるのじゃないか。とにかく
日本の最高のひとつレベルのものを作りたい。わずか五千万円赤字だという意味におきまして、これをわれわれとしてはあくまでも
お願いしたいと思っております。
それから次に問題になりますのは、競技団体が約二十ございますが、この競技団体が御
承知のように非常に膨大な力を持っておるところがございますし、非常な微弱な、まだできたばかりのいわゆるカヌー協会とか、そういうのがございます。こういう競技団体が、大会の運営には組織
委員会と一緒になって二人三脚でもって大会をやって参るわけでございます。競技の実施はそれぞれの競技団体におまかせするわけです。その団体があるいは強力な力を持ちあるいは弱い力を持っている。しかし、いずれにしても国際的に最高のレベルに達するには、いずれも相当の、何と申しますか、われわれとして応援をしなければならぬのじゃないか。たとえば、ルールをどういうふうにしたらとか、大会の実際の実施をどういうふうにしたらいいかとか、それから
役員の養成、審判の養成をどういうふうに進めていったらいいかといういろいろな問題がございます。そういうような問題を、とにかく世界に恥じない最高のレベルに持っていくには、結局二人三脚で、われわれのほうにだけ
予算がついたのではいけない、競技団体にもつけたい、ところがこの問題がなかなか理解していただけない問題でございます。しかし、一方競技団体としては、これが非常に大きな重要な問題として熱望しております。で、三十八年はわずか競技団体の強化費として四千万円、
役員関係として一千八百万円、五千九百万円、約六千万円出しておるわけでございますが、三十九年になりまするとさらにこれが倍加されまして、強化費が約一億、総計ですね、三十八年、三十九年合わせまして二億円以上の巨額に達するわけであります。しかし、それは二十団体に分けますと、そうたいした額ではないことは御了解願いたいと思います。こういうような全然変わった
予算でございますので、これがなかなか理解してもらえない、非常に難航するのではないかと思っております。
それから最後にトーチ・リレーの問題でございますが、これにつきましてはアテネから直線でもってまっすぐに
日本まで飛んで来たらどうか、
あとはアジア大会方式とか何とかというように、たとえば鹿児島から一県々々一直線に
東京まで来たら、これが常識で一番安いんじゃないか、こういう意見が強く大蔵省のほうから言われておるわけでございます。しかし、御
承知のように初めてアジアにこの
オリンピック大会を持ってくる。このためにはアジア諸国のまあ非常な熱烈なる応援を受けまして、それでIOC総会で
日本に持ってくることができた初めてのアジアの大会です。それから各国で熱望しておりますので、とにかく金はかけないで一カ国一カ国へひとつ寄ってくる。その都市に寄ったらば、
あとは向こうの
予算で飛行機で、飛行機の休養している間は、ちょっとその辺の市内でもひとつ回っていただくというようなことで、十九カ国を一々ひとつ回って参りますということになります。これはやっぱり大蔵省じゃぜいたくだということになるので、これは要するにトーチ・リレーをどうしてやるか、アジア全体の
オリンピック大会をどうやるべきか、トーチ・リレーをどういうふうにやるべきかという
考え方、思想の問題になってくると思いますが、これがまた難航する大きな問題だと思います。きょう、御
承知のように新聞にも出ておりますが、YS−11機というものが、非常にりっぱなものができ上がったようであります。そうなりますとYS−11機を使いたい。今まで三機の予定だったものを二機に減らして、
予算が少なくなるかもしれませんが、一応要するに国外が六千万、国内が約五千万と、両方で一億一千万という
計画でございます。国内の
計画は、さっき申しましたように、鹿児島から一直線で
東京まで持ってくるというのも常識的かもしれませんが、
日本で初めてで、おそらく現在の生きておる連中、
日本人は一生二度とこういうものは見られない。今の赤ん坊でも死ぬまでおそらくこういう大会に遭遇しないだろうというので、四十三県ですか、北海道から鹿児島まで全部トーチ・リレーをとにかく回してくれ、つまり、鹿児島に飛行機を置いたら一方は北海道に置いて
——おそらくこれは非常な熱望で、これは議員諸公のほうが非常に御熱望じゃないかと思っておったわけでございます。それで、われわれのほうで大体のアンケートをとりまして各県の要望をとりましたところ、例のアジア大会で通ったところだけはアジア大会方式でいい。もうほかの方式は要らぬ。自分のところを通るものだから、きまっておるからいいと。それ以外の県は全部われわれの県を通ってくれという回答が来ておりますので、こういう全国の
——まだまだ正確な要望とは申しませんが、素朴かもしれませんが
——熱烈なる希望を寄せられて、たいした金額は違いませんので、約五千万円で国内のトーチ・リレーをやりたい。もしそういうことができますれば、それに応じて三十八年度からこういうような
予算が頭を出すわけでございます。大体、国内、国外合わせまして一億一千万、そのうちトーチ・リレーのホルダーとかトーチとかああいうようなものを今から、三十八年から製造しなければなりませんので、来年度
予算五千万というものが頭を出しておるわけでございます。
最後に、たった
一つつけ加えますが、いわゆる
施設費でございます。この
施設費が非常に問題になると思いますが、これは全年度
予算——要するに全部の
予算——で約二十一億、そのうち約十一億が競技場になります。競技場のいわゆる仮設費でございます。それから約九億幾らが選手村ということになっております。先般ごらんいただきました選手村は非常にりっぱでございますが、何と申しましてもワシントン・ハイツはりっぱでございますが、選手村にいたしますためには食堂を作らなければならぬ、あるいはさくを作らなければならぬ、ポールを建てなければならぬ。それからあれも十数年使っておりますので壁な
ども塗りかえなければいかぬとか、こういうような
予算がございます。そのうち約五億ばかりを三十八年度の
予算で
工事を進めていかないと間に合わないということになります。これは非常にわれわれとしても痛いのは、一カ月くらいたったら
あとこわしちまう、それにそう膨大な金を使うのは何事か、確かにそういう意見がございますが、われわれといたしましては、できるだけ
あとをほかのものに転用できるような
努力を文部省なりその他の御指導を仰いでやっていきたい。たとえば、食堂を作る。その食堂の建物は将来どこかの学校の体育館にかえられるような設計をやっていったらどうだろうか。厨房
設備につきましても、これは
ホテル協会なりあるいは防衛庁などに引き取っていただくようなことはできないか。そういうようないろいろなことをしまして、わずか一カ月でございますが、その
あとに活用できる
方法によってなるべく金を生かしていきたいというようなことを考えておるわけでございます。あの
オリンピック村は、おそらく
オリンピックの歴史始まって以来のりっぱな選手村になると思いますが、そういうものが足りないために画竜点睛を欠くと申しますか、大事なところを欠いてしまうということはまことに残念だと思っておりますので、そういう点を特に御了承願いたいと思います。
それから、競技場につきましては、三十八年は、今まで競技場についてきまっておりませんでしたのがあるいはクレーの射撃場だとかそれからあるいは耐久馬術とかあるいは自転車のトラックとか、こういうような競技場でございましたが、これもいずれも大体話し合いがつきまして、もうほとんど決定間近となっております。で、いずれも構想も進みまして、それに応じてこの
予算を組んだわけでございます。競技場の
予算は、本来が仮設費を組んでおります。
あとでこわすようなものは全部組織
委員会が主催者として作る。恒久的に残るものは文部省なりその他の省でやっていただく、たとえばヨットについては
運輸省あるいは県、それから戸田とか国立競技場その他につきましては文部省にやっていただきますが、それは個人的な
施設だけで、
オリンピック大会にふさわしい仮設のもの、付帯
設備をやるのは全部組織
委員会が請け負うということになっておりますのがこの
予算でございます。
以上、そういうことでよろしく
お願いいたしたいと思います。