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1962-12-12 第42回国会 衆議院 商工委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年十二月十一日(火曜日)
委員長
の指 名で、次の
通り小委員
及び小
委員長
を選任した。
金属鉱山
に関する小
委員
小川
平二
君 藏内 修治君
齋藤
憲三
君
始関
伊平
君
中村
幸八君
田中
武夫
君 多
賀谷真稔
君
松平
忠久
君
伊藤卯四郎
君
金属鉱山
に関する小
委員長
中村
幸八君
石油
に関する小
委員
小川
平二
君
岡本
茂君 神田 博君
首藤
新八
君
白浜
仁吉
君 中川
俊思君
山手
滿男
君
板川
正吾
君
岡田
利春
君
田中
武夫
君
松平
忠久
君
伊藤卯四郎
君
石油
に関する小
委員長
小川
平二
君
—————————————
昭和
三十七年十二月十二日(水曜日) 午前十時三十七分
開議
出席委員
委員長
逢澤 寛君
理事
小川
平二
君
理事
岡本
茂君
理事
首藤
新八
君
理事
白浜
仁吉
君
理事
板川
正吾
君
理事
田中
武夫
君 浦野 幸男君 小沢 辰男君 岡崎
英城
君 小平 久雄君
齋藤
憲三
君
始関
伊平
君
田中
榮一君
田中
龍夫君 南 好雄君
山手
滿男
君
岡田
利春
君 小林 ちづ君
中村
重光君
伊藤卯四郎
君
出席政府委員
大蔵事務官
(
銀行局長
) 大月 高君
通商産業政務
次官
上林
忠次君
委員外
の
出席者
検 事
宮脇
幸彦君 検 事 (
刑事局刑事課
長)
羽山
忠弘君
通商産業事務官
(
軽工業局長
) 倉八 正君
労働基準監督官
(
労働基準局監
督課長
) 小鴨 光男君 判 事 (
最高裁判所事
務総局民事局
長)
仁分
百合人君
—————————————
十二月十二日
委員
多
賀谷真稔
君辞任につき、その補欠として
永井勝次郎
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
中小企業
に関する件(
中小企業金融
に関する問
題等
)
——
——
◇—
——
——
逢澤寛
1
○
逢澤委員長
これより
会議
を開きます。 この際、御
了承
を得たいことがあります。すなわち、昨日
日本カーリット株式会社保土ケ谷工場
の
爆発事故現地調査
のため、当
委員会
といたしまして
委員派遣
の承認を申請いたしましたが、都合により視察に切りかえ、
現地
におもむき
調査
して参りましたので、以上御
了承
を願います。 つきましては、
現地調査
に参加いたしました
田中武夫
君より
報告
を聴取することにいたします。
田中武夫
君。
田中武夫
2
○
田中
(武)
委員
委員長
の御指定のありましたしたように、昨日われわれ参りました結果について御
報告
を申し上げます。 昨十二月十一日、
日本カーリット保土ケ谷工場
の
爆発事故
の実情を
調査
のため、
委員長
を初め四名の
委員
が
現地
におもむきましたが、その
委員
を代表しまして、簡単に御
報告
を申し上げます。 去る十二月七日、午前十時二十八分ごろ、同
工場
第五
てん薬工室
において突然
爆発事故
があり、
同工室
内で
作業
中の五名が
全員死亡
、
隣接工室
及び
近接工室
内の
作業員
に重傷三名、軽傷二十五名を出しました。また、
物的被害
として、
工場
内の全壊あるいは
ガラス
、
屋根破壊
が十数棟に及んでおります。しかし、
工場外
の住民、建物に対する
被害
は、ほとんどない模様であります。
事故
のあった
工室
の
停滞許容量
は二百キログラムで、当日の
停滞量
は約百十キログラムといわれ、
隣接工室
との間の
防爆壁
の厚さが、
基準
の三十センチメートルに対し四十五センチメートルあり、これらの点については、
法令違反
の点は認められません。 この
状況下
で以上のような
被害
があったでありますが、
事故
の
原因
につきましては、解明が非常に困難であります。考え得る
原因
としては、
作業
中の過失、たとえば
補給さじ
をバケット内に落し込んだとか、あるいは薬中に
異物
が混入して、
異物同士
が摩擦した場合があげられますが、現在
調査
中であります。なお、同社の過去における三回の
事故
は、いずれも
原因
が判明しております。今回の
事故
については、早急に
原因
を明らかにし、今後の
必要対策
に資するよう、切に望むものであります。 次に、昨日
現地
で
調査
して参りました結果、私
ども
が感じたところを申し上げます。 第一は、
工場
内の
施設
の保安問題その他に関する
技術基準
に再
検討
を加える必要があるのではないかという点であります。すなわち、今回の
事故
のあった
工場
が、
現行基準
にすべて適合していながら、なお二十数名の
負傷者
が出た点から見て、
昭和
三十五年の
法令改正
が、第三者と
工場
との
関係
は厳重にしていたが、
工場
内の
基準
には、多少甘さが残っていたのではないかと考えられるのであります。 第二は、
火薬類取り締まり
に関する
行政
が、通産省、労働省、
警察
の三者によって行なわれているが、そこに相互に重複する面と、どこかに盲点というか、見落としが出てくる懸念はないかという点であります。 第三は、
火薬類
の
製造
のごとき危険な業種は、人手にたよることなく、
機械化
、
オートメ化
に進むべきではないかという点でありす。今回死亡された
女子工員
の
作業
は、きわめて簡単なものでありまして、今後は、このような前時代的な
状態
をすみやかに改善するよう、
政府
、
企業者とも
に努力すべきものと考えられるのであります。 第四は、
政府
は、
地方公共団体
の
火薬類取り締まり行政
及び
指導行政
に関する
予算措置
が不十分に感ぜられる点でありまして、逐次これを改善し、
人命尊重
のための保安と
産業振興
の両面が円滑にいくような
行政
を進められるよう望むものであります。 以上申し上げましたことを十分に
検討
して、万全の
対策
を確立し、かかる
事故
を根絶することを切望いたしまして、
報告
を終わります。 なお、
報告書
以外に、私の私見を加えさせていただきたいのでありますが、それは
爆風
によって
付近
の
工場
の
ガラス
が全部飛び散りました。その
ガラス
の破片による
負傷
が多かったのであります。そこで考えられることは、
火薬等
の
工場
の
ガラス
あるいはその
付近
の住宅の
ガラス
というようなものは、窓は
ガラス
にせずに、何か
合成樹脂
といったような、
爆風
で飛ばない、また、飛んでも、それが
負傷
の
原因
にならないようなものにかえということも、
検討
の必要があるのじゃないか、こういう点をも付加いたしまして、御
報告
を終わります。
逢澤寛
3
○
逢澤委員長
以上で
報告
は終わりました。
政府当局
の
発言
があれば、御
発言
願います。
上林忠次
4
○
上林政府委員
日本カーリット会社
の
爆発事件
につきましては、現場の御
調査
を願いまして、ありがとうございました。 先ほど来申し述べられました各条項、いずれも、われわれの方で慎重に考えて、措置したいものばかりであります。詳細われわれの方で
検討
いたしまして、
善後処置
を考えておるところでございます。
——
——
◇—
——
——
逢澤寛
5
○
逢澤委員長
次に、
中小企業
に関する件について
調査
を進めます。
最初
に、お諮りいたしておきたいと存じます。 本問題について、
最高裁判所当局
より
発言
の申し出がありました際は、これを承認することといたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
逢澤寛
6
○
逢澤委員長
御
異議
なしと認め、さよう決しました。
最高裁判所当局
からは、
仁分最高裁判所事務総局民事局長
が
出席
されております。
—————————————
逢澤寛
7
○
逢澤委員長
質疑の通告がありますので、これを許します。
田中武夫
君。
田中武夫
8
○
田中
(武)
委員
きょうは、外がだいぶんざわめいておりますし、そのために私
たち自体
も用がございますので、簡単に質問していきたいと思います。 まず
最初
に、
法務省
あるいは
最高裁
の
事務局
の方にお伺いいたしたいのですが、去る六月の一日、私は、
中小企業金融
に関連をいたしまして、町の
金融業者
の問題を取り上げました。そのこと
自体
は、
警察
の手入れがありまして、一応
事件
としては片づいております。しかし、その
金融業者
、これはその一社のみではありません。ほとんどが同じ、あるいはそれ以上のことをやっていると思うのですが、その際に私申し上げましたか、
公正証書——公正証書
と申しますと、御承知のようにこれは公文書になります。しかも、
執行文
を付与せられることによって、
確定判決
を得ずいたしまして、
強制執行
ができるのであります。こういうような
権威
ある
公正証書
をつくる
公正役場
と申しますか、
公証人
が、どうもこれら町の
金融業者
と結託して
——
と言うと言い過ぎかもしれませんが、すべて
印刷
をした、そうしてただ金額とか
連帯保証人等
の住所を書き入れるだけで、
あと
は全部
印刷
したもので
ぽか
ん
ぽか
んと判を押している。しかも、例によって、本職は
債権者
及び
債務者
の
代理者
に面談あり云々ということを
公正証書
に書くことになっておりますが、そういうことも全部
印刷
がしてある。そして
債権者
の
代理者
、
債務者
の
代理者
も
印刷
がしてあって、それば同じ
会社
の社員である、これが
民法
百八条の
違反
にならないかということをその当時指摘いたしましたが、それに関連しまして、
権威
あるべき
公正証書
が、そう簡単につくられているということについて
検討
してもらいたいと言って、そのとき
公証人
の
名前
もあげたはずであります。 さらにもう
一つ
は、これら
貸金業者
が
強制執行
にあたって、
強制執行
に参ります
執達吏
が、それも六月一日には名をあげたはずでありますが、これが
民事訴訟法
五百七十条三号の
違反
の
差し押え
をどんどんやっている、こういう事実をあげて、当時見えておりました
法務省
の方にその後の問題について
調査
し、
検討
してもらいたい、こう申し上げて、そのとき
法務省
からの
出席者
は、その点については、
自分
のところではなく、
最高裁
に属する点もありますが、
十分連絡
をとりまして善処をいたしますと、こう答弁しております。ところが、その後どうなったのか一言も聞いていないのですが、六月一日の
委員会
の
あと
、当時この
委員会
に
出席
した
法務省
の人から、そういうような
連絡
があったかなかったか。あったとするならば、どのような
調査
をしたか、それをお聞かせ願いたいと思います。さらに、もしなかったとするならば、当時出てきました人につきまして、私は今記憶はありませんが、
議事録
を見れば
名前
がわかりますから、その人がはっきりと、私の方で
連絡
をして善処しますと、こう言っておる。その人に対して、その
発言
について追及しなければならぬことになりますが、
一つ
その辺のことに対して御答弁を願いたいと思います。
羽山忠弘
9
○
羽山説明員
六月の当
委員会
に
出席
をいたしまして御質問を承りましたのは私でございまして、ただいま
仰せ
の
通り
、私の所属いたしております
法務省刑事局
の
所管
以外の問題でございますので、担当のところに御
連絡
申し上げたことはその
通り
でございまして、さっそく
公正証書
の件につきましては、
法務省
の
民事局
、それから
執行吏
の問題につきましては、
最高裁判所事務総局
の方に御
連絡
申し上げたのでございまして、本日、
法務省
の方は、
民事局
の方から
出席
しておりますし、
最高裁判所
の方も御
出席
下さっておるようでございます。
田中武夫
10
○
田中
(武)
委員
それではそれらの人から
一つ
……。
宮脇幸彦
11
○
宮脇説明員
ただいま
仰せ
の点につきましては、
法務省民事局
として
原公証人
につき
調査
いたしました結果、同
公証人
は、約二年前から
近畿商事株式会社
より同
会社
を
債権者
とする
金銭消費貸借関係
の
公正証書
の
作成
を
嘱託
されておるようであります。それで
公正証書
の
作成
の
嘱託
に際しては、
会社
の
職員
が
債権者側
の
代理人
となり、別の
職員
が
債務者側
の
代理人
となっておるということは、確かな事実のように思われます。しかしながら、これは
最高裁判所
の
判例
にもございますが、
委任状
を取るにあたりまして、
公正証書
の
内容
がすべて確定されておる場合には、このような形で
委任状
を取りましても、
民法
百八条に
違反
する
双方代理
とはならないとされております
関係
上、この
公証人
の職務のやり方も、
民法
百八条に
違反
しないものと私
ども
は考えます。 それからなお
公証人法施行規則
の十三条の二という
規定
がございまして、この
規定
によりますと、
代理人
の
嘱託
による
調書作成
の場合には、
本人
に対してその旨を通知しろということになっております。その通知も、
原公証人
は的確にやっておりますし、従って、
本人自身
も、こういう
公正証書
が作られたということは熟知しておったはずだと推察されるわけでございます。 それから
利息制限法違反
の問題は、お答えする必要はございませんか。
田中武夫
12
○
田中
(武)
委員
それはいいです。
宮脇幸彦
13
○
宮脇説明員
それでは今の点は二点でございますが、それでよろしゅうございますか。
田中武夫
14
○
田中
(武)
委員
僕は
公証人法
及びその
施行規則
というのはよく知らないのだが、一括して
嘱託
を受けるとか、それからあらかじめ
印刷
をしておいて
ぽか
ん
ぽか
んと判だけを押すというようなことで、
公正証書
としての
権威
が保てるのですか。
公正証書
というものは、もっとおごそかなものだと思うのですよ。ところが、あっちの
貸金業者
にやったのは、
ほんとう
にぺらぺらな紙へ
印刷
してあるところに、
ちょんちょん
と
名前
を入れて、
ぽか
ん
ぽか
んと判を押しておるだけですね。
公正証書
というのは、相当な、
確定判決
と同じような
効力
を持つわけですから、そんな形式だけが整っておるというようなことでいいのですかね。
宮脇幸彦
15
○
宮脇説明員
仰せ
の点でございますが、
公正証書
と申しますのは、私
契約
を公証するというだけでございますので、
効力
も、
確定判決
とは違うわけなんです。
裁判所
の関与しない
債務名義
である
関係
上、
異議
の
方法
も幾らか違えてございますし、また
異議
を言える理由の範囲も、
判決
とはだいぶ違うようにしてございます。それで、それが結局
裁判所
の関与しない
公正証書
である、言いかえますと私
契約
を
公証人
が公証するにすぎないという点からそうなるわけでございまして、確かに形の上では
権威
のない
債務名義
であると言えるかもしれませんが、それは性質上やむを得ないものだと考えるわけでございます。
田中武夫
16
○
田中
(武)
委員
もちろん
確定判決
とは違います。だがしかし、
執行文付与申請
をやって、それさえつければ
差し押さえ
ができるということは、まさに
確定判決
と同じ
効力
を発揮する。それに対する
異議
を
申し立て
るということには違いがある。しかし、
一般
の
庶民
は、そんな
民事訴訟
の五編、六編というようなところは知らないのですよ。おそらく大学で
法律
をやった
連中
でも、
民事訴訟
は、五編、六編をやる前に大体終わってしまう。そこに
岡本
さんいらっしゃるけれ
ども
、五編、六編などはやらないで終わったと思う。
ほんとう
にそうですよ。そういうことで、たいてい
民事訴訟
なんて五編、六編
——強制執行あたり
なんかやらないのですよ。そういうところが、実際においては
差し押え
、
競売
というような点においては同じような結果になる。これらの
貸金業者
は、
差し押え
、
競売
それ
自体
が
目的
でなく、そのことによって
債権者
に
心理的圧力
をかけるのが
目的
である。だから、私は、
法律違反
ではないにしても、
法務省
として何かもう少し
権威
ある
方法
を指示すべきじゃないか、こう言っておるのですよ。
岡本
さんの件は取り消しましょう。が、おそらく
岡本
さんといえ
ども
、
民事訴訟
の五編、六編はあまり知らないのですよ。
宮脇幸彦
17
○
宮脇説明員
権威
がないという点は確かにそうではございますけれ
ども
、今の
法律
がそうなっております以上はやむを得ないわけでございまして、もしこれ以上
公証人
に正当な
手続
々要求するとすれば、
法規自体
を変えざるを得ない。
原公証人
は、もちろん適法に
執行
をやっておりますし、むしろ
公正証書作成
の
委任状
に全
嘱託事項
が正確に書き込まれていたという点では、
債務者
にとってその
内容
は熟知されていたはずでありますから、私は決して不利益を与えたことにはならないのだと推察いたします。
田中武夫
18
○
田中
(武)
委員
僕は
公証人法
とかは一々読んでいないからよく知らないが、悪ければ改正したらいいと思うのです。改正できるのだから……。それよりか、私は、何か
法務省
の
通牒等
でもう少し慎重にやるべきである、こういうような通達はできると思うのですよ。大体
公証人
というような
連中
は、
判事
の
上がり
ですよ。
判事
でもいいところじゃないのです。いいところなら、もっといい商売がある。もう大したことのない
判事
の
上がり
がやっておるのです。
公証人
というのは、いわば、
内輪同士
だからというのでいいかげんなことをしておるのだ、
ほんとう
のところ。僕はそう思うのですよ。だから、もう少し
法務省
としてもその点について
検討
してもらわなければ、私もっと資料をもってあなたに迫るところがあると思います。 それから
最高裁
の方ですが、その問題について、
執達吏
が
民事訴訟法
の五百七十条三号でしたか、
違反
の
差し押さえ
をやっておると思われる点がある。そういう点についてはどうですか。
仁分百合人
19
○
仁分最高裁判所長官代理者
お示しの
事件
の
執行史
の
執行
の仕方でございますが、
執行
の
目的物
になったのは、
コンニャク製造
の
機械
でございます。これが
民訴
の五百七十条の三号にいう
技術者
あるいは
労役者
に当たるかどうかということが、問題のポイントになるのではないかと思うのでございます。従来の学説、
判例
によりますと、
技術者
と申しますのは、技芸を業とする者で、
絵画師
、
彫刻師
、
音楽師
、
写真師
というような者がこれに当たるとされておりますし、職工及び
労役者
と申しますと、主として
自分
の
労力
によって営業に従事して生計を立てている者をいうというふうになっておりまして、職人とか人夫、あるいは
自分
で持っておる車馬を使って運送に従事する
運搬業
といったようなものがこれに当たるとされておりまして、
機械
を使いまして清酒を
製造
しておる者、それから電力によって運転する
印刷機械
を使用しておる
印刷
所の主人というようなものは、これに当たらないというふうにされておるのでございます。結局問題は、
物的施設
の力が主で人の
労力
というものが従たる
関係
に立つか、あるいはその逆に、人の
労力
が主で
物的施設
の力が従たる
関係
に立つかということが問題のきめ手にたるのではないかと思うのでございます。もとより法文のこの意味、
内容
は、社会の移り変わりと同時に変わって参るわけでございますので、本件の
コンニャク製造
の
機械
というものを五百七十条の三号に当たるものとするかどうかということにつきましては、にわかに断定いたしかねるわけでございますけれ
ども
、少なくとも、
執行吏
が
コンニャク製造
の
機械
を押えたからといって、明らかに違法だということまでは言えないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。非常にデリケートなケースのようでございますので、
差し押え
を受けました
債務者側
といたしましては、もし不服があるということになりますと、
民訴
の五百四十四条の
執行
の
方法
の
異議
を
申し立て
て、
裁判所
の判断を仰ぐという
方法
をとるほかいたし方がないのではないかというふうに一応考えます。
田中武夫
20
○
田中
(武)
委員
最高裁
の
事務局
ですから、すべて
法律
で言うのは当然だろうと思うのですが、
民事訴訟法
何条に基づく
異議
の
申し立て
ができる、こういうことだけでは私は片づかないと思う。今の場合は、
コンニャク製造業者
の
機械
だということですね。これがあなたの言う物が主たるものであるか、人が主たるものとなるかということは、これは争えば、
最高裁
までいかなければ結論が出ない問題だと思う。しかしながら、私は、実際の政治というものはそんなもんじゃないと思う。これは
一つ
の例としてあげておるが、
執達吏
のやっておるのを見たら、
ほんとう
になべ、かままで抑えかねないのですよ。それじゃ、たとえば
肉屋
さんの看貫を抑えた場合どうなります。
肉屋
さんの
冷蔵庫
を押えた場合どうなります。そういうこともやっておりますが、そういうときはどうなります。
仁分百合人
21
○
仁分最高裁判所長官代理者
そういった事例は、われわれの方で
報告
を受けておりませんのでよくわかりませんけれ
ども
、私
ども
、毎年弁護士、
執行吏
をまじえまして、もちろん裁判官も入るわけでございますが、
執行事務
の
協議会
をやっておりまして、
執行事務
の適正な処理ということにつきましては、非常に力を払っておるわけでございまして、そういった事態はあってはならないということで指導しておるわけでございます。
田中武夫
22
○
田中
(武)
委員
指導しておるかしれないが、事実はあるのですよ。それじゃ、今後
肉屋
さんの
冷蔵庫
、あるいは
小売店
のはかり、こういうのを抑えた事実について申し上げてもいいと思います。私は、そういうことじゃなく、このような場合は、いわゆる
貸金業者
は
差し押え
をし、
競売
をし、
民事訴訟法
の
手続
によって
貸金
を回収することがねらいじゃない。
心理作戦
なんですよ。
差し押え
をすることによって、心理的に無理な金をつくらそうというのがねらいなんです。それに利用せられておる。悪く言うならば、結託しておるのじゃないかとすら考えられるわけです。従って、私があげました
コンニャク製造業
というような事実、
差し押え
調査
がありますから、それでやったわけですが、そういう場合も往々にあるから、私は十分注意してもらいたい。同時に、
執達吏
に対して厳重な訓告といいますか、警告を出してもらいたい。 現に、これは私の地元の
神戸新聞
の十二月八日号なんですが、見出しが「借金取りが
窓口占領
」「目つけた手軽さ」「
給料
差し押え
など不況で連日
申し立て
」、事実この中を見ますと、町の
貸金業者
がその
貸金
を取り立てるために
裁判所
の
窓口
を占領しておるという事実なんです。この
人たち
は、こういう手軽な
方法
によって
自分
の
債権
を取り立てる。言いかえますならば、違法に近い金利の
債権
を
裁判所
を利用して取っておるというのです。ここに
神戸裁判所
の係官というのはだれか知りませんが、こういうことを言っておるのです。「
高利貸し業者
のためにわれわれが国から
給料
をもらって働いているようなものだ。
神戸
に小さな
金融業者
が多いのが
原因
の
一つ
だが、
業者自身
、
公共機関
の利用について反省してほしい」、
あと
でこの
新聞
を見せますが、と言っておる。そのように、ともかく
裁判所
を利用して、
債権取り立て
のために
給料
を
差し押え
る。そういうのがどんどんやってきて、
裁判所
の
窓口
をほとんど占領してしまっておる、そういう
状態
であります。これも、なるほど
法律
的にはできるのですね。だから、
法律
でできるやつを断わるわけにいかぬというが、これは
貸金業
を監督しておるところも、そういうことについて注意を促すようにしてもらいたいのと同時に、何らかの
方法
を僕は考えなければいけないのだろうと思うのです。
裁判所
も考えてもらわなければいけない。ということは彼らは
——
彼らというのは、
貸金業者
です。彼らは
民事訴訟法
とかなんとかいったような
法律
を手軽に利用し、それを悪用しておるというか、そのことによって
自分
の仕事をやっておる、そういうことなんです。
一般庶民
は、そういう
法律
には暗い。だから、あなたの行うように、おかしければ
異議
を
申し立て
たらいいのだということだが、そういうことじゃなしに、今の場合、
労働者
の
給料
をそのまま
裁判所
の
手続
によって押えておるわけです。ごっそり固めて
会社
で取ってくれて、それをもらうという
——法律
で許されているのだからやむを得ないけれ
ども
、その
裁判所
の実態を見た場合に、あなたはどう感じますか。
仁分百合人
23
○
仁分最高裁判所長官代理者
その
新聞
は初めて拝見いたしたわけでございますが、
高利貸し
が非常に害悪を流すということは、これはもう申し上げるまでもございませんが、
高利貸し
をどういうふうは規制していくかということは、
一つ
の国の政策でございまして、これは私
ども
の
所管
には属さないわけでございますが、私
ども
の立場といたしましては、やはり
法律
に基づきまして適法な
申し立て
がある、こういうことになりますと、
高利貸し
といえ
ども
、正当な権利だけは保護してやらなければならない。それ以外ちょっと
方法
がないわけでございます。なお、この
執行吏
の
執行
の問題につきましては、御指摘のような事例があるということでございますれば、これから監督をますます強化していかなければならぬというふうに考えます。
田中武夫
24
○
田中
(武)
委員
なお、その
新聞
記事の中のことで、これは
最高裁
じゃなしに、
法務省
なのかもしれないし、あるいは銀行局なのかもしれないが、それを一ぺん回覧して下さい。月九分の利子で借りてなんということを
新聞
が言っておるでしょう。それは日歩三十銭以上になりませんか。そういうのは、どんどんと形式さえ整えば
——
これは
法律
の制度がそうであればやむを得ぬと思うのですが、形式さえ整えば、それはどんどん
裁判所
の力によって、
裁判所
の手助けによって
貸金業者
の取り立てをやっておる、こういう点については、私は何らか考える必要があるのじゃないか。これは
裁判所
の題題じゃなく、銀行局等で
貸金業者
についての何らかの措置を考える必要があるのじゃないか、こういうように思うのです。前から
銀行局長
に申し上げておるけれ
ども
、いわゆる預金を預からないのだから、
一般
債務者
に影響はないので、それでいいのだということですが、実際は近畿商事も、御承知のように、預かっているものが多いのです。もうちょっと何らか法制的な、政策的な措置が必要じゃないかと思うのですが、どうですか。
あと
でそれを見て下さい。
大月高
25
○大月
政府
委員
ただいまお話のございました月九分というのは、日歩で申しますと三十銭でございます。従いまして、
法律
的には合法でございます。ただ、こういう高い金利が横行するということは、非常に嘆かわしいことでございまして、いろいろわれわれとしても金融面から考えなくてはいかぬと思います。ただ、現実の間遠といたしまして、普通の
貸金業者
の金利は、そういう高いものではございません。大体日歩十何銭ぐらいのところだと思います。月九分を取っておりまものは、質屋さんが月九分で貸しておりまして、大体八割程度の質屋さんは、その程度だと思います。
あと
の二割程度の質屋さんは、月七、八分というようなことでございます。質屋さんは、御存じのように、やはり
庶民
のためにはどうしても欠くべからざる金融機関でございまして、そういう
一つ
の具体的な限界がございますので、これ以上、三十銭を下げてこれでいこうとするということは、現実としては非常にむずかしいことじゃないか、こう思っております。ただ、全体として非常に高い金利で
一般
の人に金を貸して、いろいろ迷惑をかけるということは、できるだけ社会現象としてなくしたいと思いますが、それでは
貸金業者
自体
を、たとえば大蔵省の監督に入れて、免許にするとかなんとかいうことにつきましては、この間申し上げましたように、われわれの管轄は、やはり金融を保護するというところにあるべきだと思います。そういたしますと、今の近畿商事のような具体的に違法な預かりをする、これは
警察
力及び司法権をもって断固禁圧する。それ以上の手段は、やはり国としてはむずかしくなるのじゃないか、今のところそう考えております。こういう問題については、常時
警察
あるいは
法務省
の方と御
連絡
いたしまして、どうしようかという研究はいたしておるわけでございます。
田中武夫
26
○
田中
(武)
委員
あなたとの間には、この
貸金業者
のことはだいぶやりとりしたわけで、あなたの考え方は私もわかっているし、私の言わんとするところもあなたはわかっていると思う。これを制度としてどういうふうにするかが問題だと思います。あなたもその
新聞
を見て下さい。月九分、三十銭ということ、その
あと
に何かついてひどいことになっている。それと同じようなことが、どこか兵庫県で、いわゆる暴力金融ということで問題を起こしております。それをよく読んでもらいたい。
裁判所
の方でも、
法律
にきめられたやつだからやむを得ぬ。それはそうだろうと思う。だがしかし、何らかの
方法
をしないと、年末になって、
裁判所
の
窓口
を
高利貸し
が占領しているということでは、どうかと思う。
裁判所
が、
高利貸し
のためにあるということでは困る。こういうことについては、
法律
は
法律
として、何らかの措置ができると思う。やってもらいたい。いかがでしょうか。それは
銀行局長
、
裁判所
、両方とも、何かやればやる
方法
があると思う。
大月高
27
○大月
政府
委員
この問題は、
裁判所
がどうすかということで、私はしろうとでありますから……。
田中武夫
28
○
田中
(武)
委員
貸金業
のコントロールの方は君の方だ。
大月高
29
○大月
政府
委員
貸金業
自体
の取り締まりは、今申し上げたように、預かり金をしないということと、三十銭以上の日歩を取らないという二点で簿ってあるわけでございまして、
あと
それでは何を監督するかということを具体的に考えて参りますと、
一般
の大衆に対して害を与えるという問題は、要するに高い金利だという一点にしぼられる。そういたしますと、その金利は今申し上げたような具体的な限界がございまして、三十銭はいけないのだ、十銭にしろということでは、今度は
一般
の質屋さんあたりから金を借りている人に対して、また逆の迷惑をかけるということがございまして、実は上限下限の問題につきましても、非常にむずかしいのではなかろうかと率直に考えます。
田中武夫
30
○
田中
(武)
委員
このことも、前から、三十銭が適当であるかどうか、何を
基準
に三十銭にしたのかということも、あなたとやったから、同じことを繰り返しませんが、ともかく何らかの
方法
をとらなくちゃ、このまま野放しじゃいかぬということは言えると思う。そういう点について、これは
銀行局長
だけでなく、当
委員会
においても、私は、
委員長
、考えてもらわなければいかぬ問題があると思う。それから
裁判所
に対してわれわれが資料要求をするということは、国会法上問題があるかもしれませんが、ともかく
神戸
地裁のことがたまたま
新聞
に出ておりますから、どういう
状態
であるか、実情を一ぺん調べて下さい。まんざら根も葉もないことを大きく
新聞
に書くものでないと思う。それを調べてもらって、これは後ほどでけっこうですから、文書か何かで私に知らせてくれませんか。
裁判所
にそういう要求をする権限が国会にあるかどうかということについて問題があることは、私は承知いたしております。だがしかし、そういうことをしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
仁分百合人
31
○
仁分最高裁判所長官代理者
善処いたします。
田中武夫
32
○
田中
(武)
委員
それじゃ
一つ
、資料要求という格好じゃありませんが、調べて実態を知らして下さい。それから
銀行局長
にお伺いしたいのですが、これは
銀行局長
十分御承知のことと思いますが、これは
一つ
の金融難といいますか、そういうところからきた
一つ
の現象であろうと思うのですが、最近各企業、各
会社
において、いわゆる年末一時金等を出す場合に、社内預金ということを強制している、こういう事実。たとえば労働組合が幾らという要求を出します。それに対して
会社
が問答する場合に、幾ら幾ら、うち二割、あるいはうち三割なり三分の一は社内頭金とする、こういう回答が出てくるわけです。そういうことについて、社内預金ということ、いわゆる金融機関でない企業が、従業員から金を預り、利子をつけるということ、こういうこと
自体
について、どう考えておられますか。
大月高
33
○大月
政府
委員
社内預金
自体
の制度につきましては、率直にお答え申し上げますと、われわれの金融
行政
の立場から申し上げれば、この制度はやめていただきたいと思っております。ただ、この制度
自体
は、古くからわが国の慣行として実行されておるところでございまして、その趣旨も、
労働者
の保護、福祉
施設
ということからきておるわけでございます。そういう意味で、この制度も、労働
基準
法に基礎を置いております労働政策から出ておりますので、われわれの金融
行政
の立場からのみ主張すべき問題ではない。そういう意味で、金融
行政
上はわれわれとしては希望はいたしませんけれ
ども
、国全体の
施設
としてはこれをやめない方がいいのではないか、つまりやむを得ないのではないかというように考えておるわけでございます。 それから第二の社内預金は、
法律
によりまして強制預金が禁じられております。今の労働組合との実例におきましては、これは
会社
と労働組合との相談の問題でございますから、労働組合の方でそれはいやだと言えば、もちろんやる必要はない。そういう意味において、これは強制されておらないということであろうと考えますが、ただ、この問題は労働省の
所管
でございますので、正確なお答えは労働省の方からお聞き願いたいと思います。
田中武夫
34
○
田中
(武)
委員
労働問題については、労働省に来てもらっているから、
あと
で聞きます。私が今言っているのは、あなたの方に対して、金融というか、そういう点からお伺いしておるのです。やむを得ないんじゃないかということは、わからぬことはない。だがしかし、はっきりいえば頭金業務ということは
——
これは業としてということに、上にかかってくるから、業としてではないと思うのですが、しかし、預金業務ということは、一定の
法律
において許されたものだけしかできないのじゃないですか。おそらくこれらの
会社
は、業としてではないからいいのだ、こういうように言われるかもしれませんが、それが
一般
金利よりか高く金を払う。労働金庫よりか高い。われわれが見たところでは、このねらいは、労働金庫に対する攻勢なんです。従って、それは屈するということが、労働組合にも問題があると思うのですが、
法律
で認められていないものが金を預かるという行為、これは業でないからかまわないのだという解釈なのか。その点はどうですか。
大月高
35
○大月
政府
委員
出資等の取り締まりに関する
法律
におきましては、
法律
で認められておらない預り金は絶対禁止するということでございまして、先ほど来お話の
貸金業者
の預り金は、この
法律
に基づいて、違法とされておるわけであります。この
会社
の社内領金の問題は、労働
基準
法に十八条という
規定
がございまして、公認されておりますので、そこで違法が阻却されておる、こういうことでございます。
田中武夫
36
○
田中
(武)
委員
労働
基準
法で認められておるというのは逆なので、十八条一項は禁じておるわけですね。ただし二項において、この条件を満たした場合、こうなるのです。これは、いわゆる従業員の過半数で組織する労働組合、これとの間に労働協約による、このことが条件なのです。これは法令または労働協約にないものは賃金から引いてはいけないということも、別にあります。だから、この場合、問題は労働協約をしてそういうことが行なわれておるかどうかということ、さらにもう
一つ
は、
行政
官庁、すなわち
基準
監督署に対してそういう届け出がなされておるかどうか、こういう問題になってくるのですが、これは労働省、どういうことになっておるのですか。
小鴨光男
37
○小鴨説明員 ただいま先生御指摘の
通り
でございまして、二項で、
労働者
の過半数を代表するところの労働組合、これとの協定を結びましたならば、十八条の一項の
規定
は免責される形になっております。従って、過半数を代表しておりませんところの労働組合と結びましても、直ちに十八条一項の
規定
は免責されない、こういうふうに解釈しております。それで、これらの結果については、労働
基準
監督署に届け出まして、私
ども
は、その届け出を受けまして、三項以下の
規定
についての監督を実施しておる、こういうことであります。
田中武夫
38
○
田中
(武)
委員
ところが、あまり実際は届け出ていないのではないですか。それは労働協約は、要求を出し、
会社
が回答する、これを受諾する、これで労働協約ができ上がったという解釈ですか。
小鴨光男
39
○小鴨説明員 私
ども
の方で把握しておりますところの社内預金、これについて届け出け出がございましたのは、全国的には把握してございませんけれ
ども
、八大都道府県について
昭和
二十七年から
昭和
三十六年まで届け出がございましたが、約二万五千程度でございます。 それからただいま御質問を受けました労働協約でございますけれ
ども
、私
ども
の方としては、協約は協約なりに有効に成立するかもしれませんけれ
ども
、十八条第一項の免責としては、過半数で組織する労働組合、これによるところの協定、これがなければ十八条第一項は免責されない、こういうふうに解釈しております。
田中武夫
40
○
田中
(武)
委員
それから三項、四項に、そうした場合に、こういうことをしなければならないということになっておりますが、そういうことは、すべて
会社
はやっておりますか。
小鴨光男
41
○小鴨説明員 全国的に把握しておるとは申し上げられませんが、私
ども
の方で八大都道府県について調べましたところでは、管理規程というものを具体的に定めて実施しております。
田中武夫
42
○
田中
(武)
委員
それじゃ、労働組合との交渉の席上において、回答の中に、幾ら幾ら、うち何側は社内預金とする、こういうような回答はどうですか。
小鴨光男
43
○小鴨説明員 うち何割を社内預金とするということによって、直ちにこの十八条一項の
規定
は負責されませんで、それが過半数を代表しておるかどうかということが
一つ
でございます。それからその協定を出しましても、それはあくまで十八条一項の
違反
にならないということだけでございます。その結果におきまして、個々の
労働者
から強制的に社内頭金にするという実態がございますれば、それはやはり十八条一項の
規定
に
違反
するのではないかと思っております。
田中武夫
44
○
田中
(武)
委員
そこなんです。十八条はまず禁止なんです。禁止が建前なんです。そうしてそれに対して、こうこうこういう条件の場合には免責される、こうなっておる。ところが、実際はさかとんぼみたいな格好になっておる。原則は禁止なんです。こういう条件の場合、それがさかとんぼになってきておるわけです。それを回答の場合に、うち何割を社内預金とする、こういうときに、これは組合の力
関係
だと思うし、あるいは交渉の現実においては、それをのまざるを得ないということになるかもしれない。そうなると、そこで君面を書いて判を押す、ここに労働協約ができるということになると思うのですが、実際はそれほどのこともやらないところが多いだろうし、それを労働
基準
監督署に届け出ておらないところが多いと思う。さらに、あなたが言うように、そのことによって個々の組合員、個々の従業員は義務を負わなければならないわけです。ところが、うち何割ということになると、一時金支給のときにぽんと
給料
からとられてしまうわけですね。その間の事情はどうです。
小鴨光男
45
○小鴨説明員 労働協約成立の過程について監督署
自体
が中に入って事情を調べるということは、実際上は困難だと思います。しかし、その協定を届け出た結果について、私
ども
が、この十八条の趣旨にかんがみまして、それが
労働者
の同意を得ずして強制的にやられたかどうか、あるいは管理
規定
に
違反
しているかどうか、特に引き出し期間というものを設けまして、その期間内は
労働者
の請求があっても払わないという点は、いろいろ問題がございます。この点については、十分監督、指導しておるつもりでございます。
田中武夫
46
○
田中
(武)
委員
そのうち何割は社内預金という社内預金は、六カ月据置だというようなものもあるわけです。それを交渉の結果引き出しは自由だなんていうことをとって、勝ったなんて言うておる組合もあるわけですが、そういういろいろなケースもあるが、私は、労働
基準
法の十八条というものは、社内預金を許すんだという読み方をしてはいかぬと思う。あくまで禁止しておるんだという建前に立って、かくかくの条件を備えたときにのみ免責せられるのだ。ところが、その条件たるや、
ほんとう
にやられておるかどうかが問題なんです。今あなたに、全国の企業における社内預金の状況を、実際と届け出との
関係
がどうなっておるかと言ったって、調べにくいと思います。一ぺん私の方で調べてみます。はたして
基準
監督署に届け出がなされておるかどうか、それから第三項以下の管理が十分に行なわれておるかどうかということは、疑問であります。そういう点について、不況というか、金繰りが悪くなればなるほど、そういう問題が深刻になってくる。従って、労働省としても、ただ十八条二項以下によって許されておりますからというような安易な考え方では困る。また、
銀行局長
もそうおっしゃったが、この条文の読み方は、やはり禁止が建前なんですね。それでかくかくたるときだけに限ってというのですから、そのただし書きというか、特例は厳格に解釈してほしい。それが私は
法律
の解釈の基本ではなかろうかと思うのです。そういう点において、これは銀行局も、金融の面から、ことに労働省は
基準
法の実施というか、
基準
法を守るというか、そういう上に立って、厳重な態度をもって臨んでもらいたい。でき得れば、労働省になるのか、あるいは労働省と大蔵省が連名になるのか知りませんが、各企業に対して、このことについて、最近多くなってきて、往々にして法の精神に反するようなものがある。従って、そういった条文をさかとんぼにするのではなしに、あくまでも禁止の建前である。こういう意味の通牒というか、何かそういうものを出してもらいたいと思うのです。その点についてはいかがでしょう。
小鴨光男
47
○小鴨説明員 昨年あたりから社内預金についていろいろ問題がございますので、私
ども
の方も、大蔵省の銀行局と
連絡
いたしまして、その点については十分配慮しておるつもりであります。また、今先生御指摘のように、第一項が十八条はあくまで原則でございます。長期にわたるところの
労働者
の社内の足どめ、こういうことから十八条一項が出てきたわけであります。従いまして、そういう弊害のないように、第二項について。最近の状況も反映いたしまして運営するように、実はこれは各ブロック
会議
その他でもって指示はしておるのであります。あくまで今後とも銀行局と
十分連絡
をとりたいと思います。
田中武夫
48
○
田中
(武)
委員
ぜひやってもらいたいと思います。それが、将来その
会社
が発展する、そうすると、
一般
よりいい利子で金が返ってくるということもあり得るのですが、問題なのは、その
会社
が行き詰まったときに一体どうなるのか、そういうことをめぐっての労働争議も相当あるということは、御承知の
通り
なのですね。そういう点について、今後も十分な配属というか、監督というか、これを十分やってもらいたい。同時に、
一つ
各監督署へ通牒でも出していただいて、実際に一時金あるいは
給料
等から半強制というか、強制的に社内預金をさせておるが、届け出をなされていないやつに対しては、直ちに届け出をさすとか、あるいはそういう不合理なやつに対しては、ある程度の規制をやらすということを、あくまでも十八条一項の原則の精神でやるようにということを徹底させてもらいたいと思いますが、どうです。
小鴨光男
49
○小鴨説明員 今度の各地方のブロック
会議
において話しましたところも、まさにその
通り
でございまして、この社内預金ということで、労使の協約があるということだけでもって私の方は免責にしておるというわけではございません。繰り返すようでございますが、今申しましたような点について、
労働者
に実害がない、焦げつきが生じないように、私の方として厳重監督いたしたいと思います。
田中武夫
50
○
田中
(武)
委員
そういうことをやってもらいたいと思うのです。それから
銀行局長
も、先ほど鬼の首でもとったように、十八条二項によって許されておりますなどというのは、やはり条文をさかとんぼに読んでおると思います。あくまで禁止せられておるということが建前なんだから、そういう考え方でなく、禁止が原則だという考え方で市に臨んでもらいたい。何回も言うが、特例というものは厳格に解釈する、これが
法律
解釈の原則である、そういうことだけ申し上げて、きょうはおきます。
逢澤寛
51
○
逢澤委員長
次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれで散会いたします。 午前十一時三十七分散会