○
説明員(
安嶋弥君) お
手元にお配りいたしております
資料につきまして、
昭和三十八年度の
文部省の
概算要求の
内容について御
説明を申し上げたいと思います。
一番最後の九ページをごらんいただきますと
要求の
総額がございますが、
明年度の
要求総額は四千百十四億円余でございます。前年度
予算が二千八百九十五億円余でございまして、差引千二百十八億円余の
増加になっております。
比率といたしましては、前年度に対しまして約四二%の
増額の
要求でございます。
第一ページにかえりまして、以下、
資料の順に従って御
説明を申し上げたいと思います。
まず第一は、
初等中等教育の
改善充実でございまして、
最初に
義務教育費国庫負担金でございます。これは御
承知のとおり、
給与費と
教材費と、それから本年度新たに入りました
共済年金に対する国の
負担金、この三つに大きく分類されるわけでございます。まず
給与費につきましては、御
承知のとおり、
明年度は
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の
標準に関する法律の
実施の五年目にあたりまして、したがいまして、それの
完全実施ということを積算の根底にいたしております。なお、
明年度は
小学校の
児童が約五十八万六千人減少いたします。それから
中学校の
生徒が約三十四万九千人減少いたします。合計で九十三万六千人の
児童生徒の減ということに相なるわけであります。これに対応いたしまして
標準法を適用いたしますと、約二万一千人の
自然減が
教職員の
定数についてあるわけでございますが、これを
最初に申し上げました
学級規模の
適正化、
教職員定数の
充足等にその
自然減を当てまして、なお全体といたしまして六百九十人余の
増員を
要求いたしております。
学級編制基準でございますが、現在は
小学校が五十四、
中学校が五十二になっております。これをいずれも五十に引き下げまして
標準法の
完全実施をはかりたいというふうに考えております。それが
教職員の
定数に関しまする大体の
考え方でございます。それから次は
給与の
内容でございますが、
昇給原資は三%程度
要求いたしております。旅費につきましては、
実績等を勘案いたしまして今年度の四千八百円を八千百円に引き上げる
要求をいたしております。それから校長の
管理職手当でございますが、これは八%を一二%に引き上げる
要求をいたしております。それから宿・
日直手当でございますが、現在、
日直が三百円、宿直が二百十円になっておりますが、これをいずれも三百六十円に引き上げる、そういう
要求をいたしております。それから
特殊学級担当教員の
調整額でございますが、四%を八%に引き上げる
要求をいたしております。
給与費の
内容につきましては、大体以上申し上げたところがその
考え方の中心でございますが、なお、人事院勧告の
実施につきましては、これは例年の例に従いまして、この
要求には含めておりません。次は、
教材費でございますが、これは
単価を約二倍程度に引き上げる
要求をいたしております。なお
児童・
生徒数につきましては、
学校の規模に応じまする補正をいたして、その補正された
児童・
生徒数を基礎にして実際の
教材費が配当されておるわけでございますから、その補正の係数をかなり変更いたしております。その変更の
考え方は、
小規模学校をより有利にするという方向で補正係数の
是正を考えております。それから
共済年金でございますが、これは年金の国の負担分の平年度化分をまず計上いたしておりますが、そのほかに整理資源といたしまして俸給の千分の七を計上いたしております。それが、
共済年金の六十四億円余の
内容でございます。
それから次は、養護
学校の
教育費の
国庫負担金でございますが、この
考え方は、ただいま申し上げました小
中学校の場合と同様でございます。ただ、前提といたしまして、
明年度は
新設の養護
学校二十二校を
予定いたしております。そのほかに既設の養護
学校七十六校の
教職員の給與費等がその負担の対象として上がっておるわけでございます。
次は、市町村
教育長の
給与費の
補助金でございますが、これは
考え方といたしまして従来と変わった点はございません。経費の
増額分は
昇給原資がほとんどでございます。
それから次は
教育会館(仮称)の
設置費でございますが、前年度
予算額の五億九千万円は、これは
建物の新営費でございましたが、
明年度の六千五百万円は、その一部が
建物の新営費の補足でございまして、その額は約四千六百万円に相なるわけでございます。それから現在私
どもこれを特殊法人として
運営することを
検討いたしておりますが、
建物の完成の時期が明年の十二月ごろまでかかるという見込みでございますので、三十九年の一月から三月までの間のこの特殊法人の
運営費の補助を
要求いたしております。これが約千八百万円でございます。合わせて約六千五百万円程度に相なるわけでございます。
それから次は、公立高等
学校の普通課程の家庭科の
設備費の補助でございますが、新規事項として実はこの中に含めて計上いたしておりますのは、商業課程における家庭科の
設備を新規に補助対象にしたいという
要求をいたしております。
その次は道徳
教育の
充実強化でございまして、
内容といたしましては、
研究推進校の
設置それから道徳
教育に関する講習会の開催、それから道徳
教育に対しまする指導、それから道徳
教育資料の配付等を
内容といたしております。道徳
教育資料の配付は、これは小
中学校の学級担任の
教員に対しまして道徳
教育の
資料となるべきものを配付するという
予算でございます。
それから次は公立文教
施設の
整備費でございます。金額といたしましては約百八十三億円余を
要求いたしております。重点といたしまして考えております点は 義務制につきましては統合
校舎の
整備、それから危険
建物の改築、この二点を特に重点として考えております。その他屋内体操場につきましても従前のワクを広げまして、
一般的にこれを
整備していきたいというふうに考ております。それから非義務制につきましては、高等
学校の
建物の
整備に重点を置いております。金額も約十七億円余になっております。昨年度は普通高等
学校の
一般校舎の
整備につきましても
補助金を
要求したわけでございますが、
明年度は
工業課程以外の高等
学校の
一般校舎の
整備について
補助金を
要求するという態勢はとっておりません。ここに「高等
学校建物」と書いておりますのは、これは
工業高等
学校の
一般校舎のみでございます。それからちょっと先に参りますが、
工業高等
学校の実験実習
施設につきましては、これは産業
教育費の
国庫負担金のほうで負担補助の対象になっております。したがいまして、国の直接的な補助の対象にいたしますのは、
工業高等
学校の
関係の
建物の
整備費だけということでございます。
高校急増対策といたしましては、昨年度のように
補助金でこれに
一般的に対処するという態勢はとっていないわけでございます。それから全般を通じまして
単価、
構造比率の改訂を行ないたいというふうに考えております。
単価につきましては、
小学校の鉄筋コンクリート六万二千円を七万二千円と一六%アップ、鉄骨の四万八千円を五万七千円に二〇%アップ、それから木造の三万二千五百円を四二千百円に、これは三〇%アップ、この
単価は
小学校については、ただいま申し上げたことでございますが、
中学校あるいは統合
校舎、危険
建物の改築等についても同様の
単価で積算をいたしております。それから
構造比率でございますが、これは全体といたしまして一〇%ないし二〇%引き上げおります。それから小
中学校の屋体でござますが、従前、耐火造が七五%でありましたものを一〇〇%耐火造にいたしております。これは構造上の問題もあるわけでございますが、一〇〇%耐火造にいたしております。それから統合につきましては、従前七〇%が耐火造でございましたが、これを九〇%に引き上げております。それから義務制危険
建物につきましても、従前七〇%であった耐火造を八〇%耐火造に引き上げております。それから
工業高等
学校の
校舎の
整備でございますが、これは従前七五%が耐火造でございましたが、
新設につきましては一〇〇%、それから既設につきましては七五%の耐火造といたしております。それから高等
学校の危険
建物の改築でございますが、従前は七〇%が耐火造でございましたが、これを九〇%耐火造に引き上げております。通じまして市町村、都道府県の
要望を基礎といたしまして、
構造比率につきましては一〇%ないし二〇%これを引き上げているということでございます。
次は、科学技術
教育の振興でございます。理科
教育設備費の補助につきましては、ほぼ前年並みでございます。
増額いたしましたものの
内容は、これは主として
新設工業高等
学校に対する
設備でございます。それから理科
教育センターは、前年どおり八カ所でございまして同額でございます。それから産業
教育の
国庫負担金でございますが、前年度二十六億円が
明年度は九十四億円ということで飛躍的にふえております。この
内容といたしましては、
新設課程に対する
施設設備の補助が大幅に
増額になったわけでございます。
明年度は
工業高等
学校の新増設といたしましては、従前の学年進行によりまするもののほか、三十八年度に新たに増募するものといたしまして、約三万八千人の増募を
予定いたしております。学年進行といたしましては、三十六年、三十七年に増募いたしましたものの第二学年、第三学年分が計上されてくるわけでございます。その分がこの九十四億の
増額の一番大きな要素となっているのであります。なお、
設備の
関係でございますが、物価の上昇等がございましたため、現在の
設備単価では時代の進展に合致した
設備が困難であるということでございまして、その
単価を約二・五倍に引き上げるような
要求をいたしております。
それからちょっと先ほど申し落としましたが、公立文教
施設整備費の中の
工業高等
学校の
一般校舎についてもそうでございますが、従来は対象
事業の七〇%を補助対象
事業として取り上げておりまして、三〇%は単独
事業ということで扱っておりましたが、
工業高等
学校につきましては一〇〇%、その全部を補助対象に取り上げるという積算をいたしております。それから高等
学校の
農業教育の近代化の促進
補助金でございますが、これは前年度に引き続きまして、畜産、園芸
農業科等の
農業科の
内容の
充実をはかる、ないしは従来の
農業科のこれらの学科への転換をはかるということが、従前に引き続きました
内容でございます。それから新規事項といたしましては、
農業経営の実習
施設を、畜産、それから穀作、園芸、それらについて二校
新設する
予算を
要求いたしております。それからその次は、
中学校の技術家庭科の
設備費につきましては、一応、三十七年度をもって既定
計画が終わったわけでございますが、さらに現状では、不十分でございますので、第二次の五カ年
計画を立てまして、一校約三十万円の
設備を
整備することについて補助をしたいという
予算を計上いたしております。それからちょっと戻りますが、実習船の建造費の
補助金といたしましては、大型四隻、中型一隻を計上いたしております。
それから次は、私立の高等
学校の
新設工業課程の
施設費の補助でございまして、これは新規事項でございます。さいぜん申し上げましたように、公立の高等
学校につきましては、
工業高校の
一般校舎の
施設費の補助があるわけでございますが、私立ではそれに当たるものがございませんでして、それを
明年度新規として
要求したい。実験、実習費につきましては、これは従来から私立も産業
教育費の
国庫負担金の対象になっております。それから科学技術
教育に視聴覚教材を利用するということでございますが、これは
工業高等
学校に十六ミリの映写機の
整備をさせまして、それに対して、
計画的な補助をするということがその
内容でございます。
次は、国立
学校の理工系の
学生の増募でございますが、この点につきましては、三十六年度来約二万人の増募
計画があったわけでございますが——三十六年度から三十九年度までの四カ年にわたり二万人の増募
計画があったわけでございますが、私立
学校における増募の
実績等を基礎にいたしまして、この既定
計画を一年繰り上げまして、三十八年度で二万人の増募の目標を達するということにいたしております。国立
学校といたしましては、
学部の創設、これは一
学部でございますが、一
学部におきまする機械と電気の二学科、それから学科の
新設、拡充改組といたしまして五十学科、それから
短期大学の学科の
新設といたしまして一学科。それから次の事項に参りますが、高等専門
学校十七校の創設、合わせまして国立におきまして三十八年度は約三千八百人の理工系の
学生の増募を行ないたいということでございます。
大学、
短期大学につきましては、これは電気、機械、応用化学、そういったものが学科の主たる
内容になっておるわけでございます。それから高等専門
学校の十七校でございますが、これはその場所につきましては、まだ最終的に確定はいたしていないのでございますが、昨年と同じ校数の十七校を
要求いたしております。十三億円と申しますのは、この十七校分の
設備と人件費その他の経常費でございまして、
施設費は備考にございますように、約二十三億円、
国立大学文教
施設整備費の中に含めて計上いたしております。
それから公立
大学及び
短期大学の理科系
学部学科の
整備助成でございますが、これは新規でございます。理工農系の公立
大学に対する助成をしたいということでございます。
私立
大学の
研究施設設備の助成でございますが、これは私立
大学における大型の
研究施設設備に対しまして補助をするという
内容でございます。新規といたしましては、
施設を補助対象にするということと、それから
補助率を二分の一から三分の二に引き上げていくということがその
内容でございます。
それから私立
大学の理科特別助成でございますが、これは増募に伴いまする
設備の助成と既設の理科系の
学部学科の
設備に対する助成、この二つが含まれておるわけであります。私立
学校におきましても
相当数の理工系の
学生が増募されておりますので、それに対応する
設備費の助成を行ないたいという
内容でございます。
それから次は、科学
研究の振興でございますが、
内容的には従前と特に変わったものはございません。金額的に
教官研究費等と同様、前年度の五〇%を
増額したいという考えでございます。
次は、民間
学術研究団体の振興でございますが、前年度に比べまして千五百万円ばかり
増加いたしておりますが、
内容といたしましては、東洋文庫に東洋学に関する文献センターの役目を引き受けてもらう考えでございますが、その
関係の
補助金を
増額したいということが主たる
内容でございます。
一般的に申しますと、従来のような
学術研究団体の、何と申しますか、赤字を埋めるといったような補助の態勢を改めまして、より積極的な助成を考えていきたいということでございます。
それから次は、特殊法人日
本学術振興会の設立
運営でございますが、これは現在、財団法人として日
本学術振興会があるわけでございますが、これを組織変更いたしまして特殊法人にしたいということでございます。で、
内容的には現在の財団法人が行なっておりまする各種の
事業をさらに
充実していきたいということでございます。そのほか、金額が非常にふえておりますのは、日米科学合同
委員会の勧告に基づく
学術調査の仕事をこの団体を通じてやらせていきたいという考えでございます。その
関係の経費が約三億円この中に含まれておるわけでございます。
それから次は国立
学校の拡充
整備がございまして、まず備考のほうから御
説明申し上げますと、認証官
学長の
設置ということで約六百六十万円
要求をいたしております。
内容といたしましては、旧七帝大の
学長を認証官といたしまして、これに対する
給与処遇を大幅に
改善して参りたいということでございます。結果的には、旧七帝大ということでございますが、これらの
大学はいずれも伝統のある
大学でございます。
教育研究の規模、
内容におきまして非常に大規模であるということのその他の
大学とはだいぶかけ離れておること、それからこれらの
大学におましては、それぞれの
学部にすべて
大学院が置かれておるということ、そういう点から、この旧七帝大の
学長を認証官といたしまして
給与の大幅の
改善をはかるということでございます。大体
給与は約十八万円ないし十五万円にしたいというふうに考えております。
次に、
教官の
待遇改善でございますが、
内容といたしましては、
大学院、
大学の
教官の待遇の
改善でございまして、従前は
大学院の
大学院
研究科担当手当という特殊勤務手当がございまして、これは規定の上は定額でございますが、
内容といたしましては本俸の約七%程度になっております。これを今回は特殊勤務手当ではなくて、俸給の
調整額といたしまして、調整率を五、したがいましては、本俸の二〇%を
調整額として支給したいというふうに考えております。
学生経費、
教官研究費は、それぞれ戦前の水準に返るというまで、とりあえず持っていこうという観点のもとにそれぞれ五〇%
増額いたしております。
教官研究費につきましては、これは現在非常に不十分でございますので
増加していきたいということでございます。
設備費でございますが、これは学問の進展に対応いたしましてさらに
充実する。それから古い機械の更新をはかっていくというような観点から百五十億円を
要求しております。
それから次は営繕費でございますが、これは国立文教
施設整備費とは別個に事項をあげてございますが、
内容といたしましては、各種の新営、修繕がその
内容でございます。
大学建物が急ピッチで
整備されつつあるわけでございますが、そういたしますと、下水の
設備でございますとか、構内の道路の舗装でございますとか、あるいは受配電の
設備、それから電話の交換
施設、そういったものが非常に手狭に、不十分になってきております。そういう
内容その他こまかい
建物の新営、それから各種の修繕費、それから
大学の構内が非常に今荒れておるわけでございますが、これを何とかもう少しきれいにしていきたいといったような経費が含まれております。
次のページに参りまして、患者の医療費でございますが、これは
大学付属病院におきまする診療を行なうために必要な経費でございまして、従来の実績から考えまして約一〇%
増額をしたいということでございます。
それから次は原子力の
研究でございますが、これは学科の
新設等はことしは見送っておるわけでございますが、既定の学科、講座の
設備の
充実、それから大型の
設備をさらに
充実するという
内容の
予算でございます。それから
学部の創設は再掲でございます。先ほど申し上げました
短期大学の創設といたしましては、これは現在
文部省の直接の
施設といたしましては、上野に図書館職員
養成所があるわけでございますが、これを国立図書館
短期大学にいたしたいという
内容でございます。これは現在のところ人員、
設備等、非常に貧弱でございますので、これを
短期大学という形にいたしまして
整備して参りたいということがその
内容でございます。
それから
学部学科の
新設及び拡充改組でございますが、これは大体先ほど申し上げたわけでございますが、農
学部の体質
改善といたしましては、従来の総合農学科を
農業機械、獣医、畜産、園芸、そういった
関係のものに
内容を転換させまして、その体質の
改善をはかりたいという
内容が主でございます。
それから
大学院の拡充強化でございますが、この点につきましては、従来は
文部省は旧制
大学と申しますが、講座制の
大学以外には
大学院を作らないという
方針をとって参ったわけでございますが、
明年度は、その
内容において、
大学院の修士課程を置くに値すると見られる
大学につきましては
大学院の修士課程を置いていきたいということでございまして、新規の事項でございます。分野といたしましては、理学、工学、薬学、それから家政、音楽、美術、そういった
学部の上に修士課程を置く考えでございます。
それから次は
教員養成学部の
整備でございますが、これは
教員養成学部は他の
学部に比べまして
教官陣容が非常に不十分でございます。そういうものを
充実する、それから養護
学校の
教員養成課程を設けていきたいそういったようなことがこの
内容になっております。
それから
研究所の創設でございますが、これはまず第一は、京都
大学に共同利用の
研究所といたしまして原子炉実験所を
設置したいということでございます。これは実際の
建物等はすでに着工されておりますし、炉もすでに発注済みでございます。現在は京都
大学の工学
研究所の一部として仕事が進んでおるわけでございますが、非常に大規模なものでございますので、これを工学
研究所から切り離して独立の共同利用の付置
研究所として創設をしたいということでございます。それから第二は前年度も
要求いたしましたが、京都
大学に共同利用の
研究所といたしまして数理解析
研究所を設けたいということでございます。第三は、群馬
大学に内分泌
研究所を設けたい、これは現在
研究施設といたしまして
相当整備されたものがあるわけでございますが、これは
学部の
研究施設から独立の付置
研究所に転換させていきたいということでございます。
それから国立文教
施設の
整備でございますが、前年度百三十一億円を二百五十九億円に
増加したいということでございます。
内容といたしましては、理工系の
学部、学科の増設に伴う分が金額的には非常に多いわけでございまして、その分が約百二十九億円でございます。二百五十九億円のうち約百二十九億が理工系の
関係の
整備でございます。それから老朽の改築でございますとか、あるいは
一般的な
建物の不足を解消する分といたしましては約六十一億円を
要求をいたしております。それから病院の
建物の
整備といたしましては百三十三億円を
要求いたしております。それから特定財源の
施設の
整備といたしましては約二十五億円を
要求をいたしております。二十五億円の中で重要なものは、大阪
大学の理
学部を中之島から石橋地区へ移転する、金沢
大学の理
学部を城内に統合整理する、それぞれ不要になった土地
建物はこれを払い下げまして、その財源でもって所要の
整備を行なうという
考え方でございますが、そういうものが主たるものでございます。
それから次は在外
研究員の点でございますが、これも大体戦前水準にまで在外
研究員をふやしたいということで、約二億七千万円を
要求いたしております。
次は、育英でございますが、まず、
補助金といいたしましては、重点を返還回収事務の強化という点に置きます。昨年度は大阪に支所ができまして、それから今年度は名古屋と東京に支所ができまして、それぞれのその所管地区の返還金の回収に当たっているわけでございます。その他集金人等の制度も設けまして、かなり成果をあげているわけでございますが、それにいたしましても、不十分な点が多少ございますので、そういった返還回収事務のオートメーション化といった方向に事務の
整備をはかっていきたいということがこの
内容でございます。
それから次は、貸付金の
内容でございますが、高等
学校のまず
一般貸与の奨
学生につきましては、現在採用率が全日制で三%、定時制で二%でございますが、これを五%に引き上げる、貸与月額が千円でございますものを二千円に引き上げるということを考えております。
大学につきましては、現在採用率は二〇%になっておりますが、この採用率は据え置いておきまして、貸与月額は
一般奨
学生の場合でございますが、三千円と二千円と二口あるものを三千円口に統一をしたいということでございます。それから
教育奨
学生というのが現在五千人のワクであるわけでございますが、そのうち、三千人につきまして貸与額の特別額をつけまして、これは特別奨
学生と同じ
単価でもって貸し付けをしたいということでございます。その
単価は自宅外が九千円、自宅が六千円でございます。それから次は、特別奨
学生でございますが、高等
学校、
大学とも特別奨
学生の採用人員は、学年進行分のほかは特に
増加をいたしておりません。その
単価は、高等
学校が従来三千円でございましたものを四千円にしたいというふうに考えております。それから
大学につきましては、従来自宅外が七千五百円であったものを九千円、それから自宅四千五百円であったものを六千円にしたいというふうに考えております。それから高等専門
学校につきましては、
一般奨
学生といたしまして一〇%の採用、それから貸与月額は高等
学校と同様二千円でございます。次に、
大学院でございますが、この
考え方は、従来どおり、
研究者あるいは学者の
養成ということでございますが、
定数的には従前の
定数をとりまして、金額を全部博士課程を一万五千円、それから修士課程を一万円にしたいということでございます。実は三十七年度は、
単価がいろいろございまして、低い
単価があるわけでございますが、それを一万円、一万五千円にそろえたいということが
内容でございます。この金はやはり貸与ということで考えております。
それから次は、準要
保護児童生徒対策でございますが、
事業的には大体従前のとおりでございますが、下から三行目の通学用品費が事項的に新規でございます。それから対象率でございますが、教科書その他につきまして、準要
保護児童の対象を七%に引き上げております。現在五%でございますが、これを七%に引き上げております。それから、要
保護児童につきましては、生活
保護基準の基準の改訂が厚生省から大蔵省に
要求されておりますので、その
内容に合わせまして要
保護三%を三・四%にしたいというふうに考えております。その他、個々の
内容につきましてはいろいろございますが、
単価等を実際に即するように改訂して参りたいということがこの
内容でございます。
それから、四ページに参りまして、僻地
教育の振興
関係でございますが、事項的に新規な事項は、まん中に小
中学校の飲料水給水
施設設備費
補助金という項がございます。僻地
学校においては、天水、川水その他を利用している
学校も少なくないわけでございますが、そういう
学校に対して濾過の
設備を補助したいということでございます。僻地
教育のその他につきましては、おおむね従前の
方針に従いまして
内容をさらに進めていきたいということでございます。
次は、特殊
教育の振興でございますが、これも
考え方といたしまして従前と著しく変わった点はございません。それぞれ従来の
方針をさらに進めていきたいということが、その
内容でございます。
次の、全国の学力
調査も前年度とほぼ同様でございまして、経費の積算不十分な点がございますものを
是正にしていきたいということでございます。
次に、学力能力の
調査研究費補助でございますが、これは、現在、
大学入試が
教育的にも社会的にも非常に大きな問題になっていることは御
承知のとおりでございます。これを何らかの形で
改善をしていきたい、そういうねらいをもちまして
調査、
研究をする機関を設立いたしまして、その機関に対してそういった問題の解決のための
調査研究費を補助するということがその
内容でございます。
それから五ページに参りまして、勤労青少年
教育の振興で、
最初は高等
学校の定時制
教育及び通信
教育振興の
内容でございますが、これらも
内容的には従前と著しく変わる点はございませんが、新規的な事項について申し上げますと、備考の上から五番目に通信
教育用学習書の
給与というのがございます。これは昨年度も
要求をいたしたのでありますが、約六万人の
生徒に対しまして学習書を
給与して参りたいということでございます。それから、二つ飛びまして、夜間の定時制高等
学校の運動場の照明
施設費の補助というのがございます。これは新規でございまして、夜間の定時制高等
学校の運動場を二十ルクス程度に明るくしていきたいというのがその
内容でございます。その次は、定時制高等
学校の夜食費の補助でございますが、大体従前の
考え方でございますが、
実施の
状況は非常に普及いたしておりますので、その
実施率を引き上げたいということで金額がふえております。その他
単価も若干
増加いたしております。それから、
施設設備の
整備につきましては、これは従前の四十校を申請の
状況等を勘案いたしまして、若干減少させる考えでございます。
それから青年学級等の振興、
充実でございますが、これも
内容的には従前の方向を進めたいということでございます。青年学級につきましては、その間に
内容に応じました補助の段階を設けまして、六万円、九万円、十五万円、二十一万円という四段階を作りまして、それぞれその
内容にマッチした
補助金を交付していきたいというふうに考えております。その他青年学級に準ずるものといたしまして、青年教室の
運営費の補助、それから勤労青年
学校の
運営費の補助、この二つを新規として
要求したい考えでおります。で、青年教室のほうは、これはその
内容から見て青年学級にまではいかないというものでございます。それから勤労青年
学校は、これはその
内容から見て、青年学級よりはむしろ
学校的な形態に近いというものでございます。そういうものを助成して参りたいということでございます。
それから次は社会
教育の振興でございますが、指導者の
養成、それから青少年団体の活動促進、成人
教育、婦人
教育、そういった
内容につきまして、これまたおおむね従前の方向で
事業を進めていきたいというふうに考えております。
それから婦人
教育でございますが、これも婦人学級の個所をふやすこと、その他がこの
増額の
内容でございますが、事項といたしましては、家庭
教育の振興が前年に比べまして若干ふえております。これは家庭
教育のあり方について
研究、協議し、あるいは必要な
資料を
作成、配布するということがその
内容でございます。
次は芸術、
文化の振興でございますが、これも従前と特に変わった点はございませんが、備考の一番下にございまする芸術
文化関係団体補助六千五百万円、これは従前は社会
教育関係団体と一本の柱になっておったわけでございますが、それを取り出して事項を立てたいというふうに考えております。
それから規聴覚
教育の振興につきましてもほぼ従前の方向で進めて参りたい。
その次は社会
教育関係団体の補助でございますが、これはこの中から芸術
関係のものを抜きまして、青少年、成人、婦人、その他の社会
教育関係諸団体を助成していくということがその
内容でございます。
それから、社会
教育施設の
整備といたしましては、公民館、図書館、
博物館等の
整備をさらに促進をしたいと考えております。
次は体育の振興でありますが、オリンピック東京大会の
実施に備えまして各種の
施設の
整備費を織り込んでおります。それは国立競技場、屋内総合競技場、戸田漕艇場等がそれでございます。そのほか防衛庁に移しかえをするものといたしまして朝霞の射撃場の
整備費が計上されております。それから
一般的な経費といたしましては、オリンピック東京大会組織
委員会に対する補助、それから選手強化のための競技技術向上のための助成、そういったものが含まれております。それから大会参加選手の練習場
整備といたしましては、これは外国選手の練習場でございまして、これも
整備していきたいというふうに考えております。
それから体育
施設の
整備でございますが、一番
最初にございますものが、先ほど申し上げたとおり新規でございまして、プール、体育館、運動場等について
整備を進めていきたい。キャンプ・センターも新規でございます。それから地方スポーツの振興でございますが、これはスポーツ教室の育成奨励、これは従前に引き続いてさらにやりたいということでございます。スポーツ・テストの普及奨励は、これは新規事項でございます。次は、国体でございますが、これは
内容的には、
事業自体といたしましては、従前と特に変わった点はございませんが、
補助金を若干
増額したいということが
内容でございます。それから国際スポーツ交歓、これも日独のスポーツ青少年の交歓等がその
内容でございます。スポーツ団体の助成、これも高等
学校の体育連盟その他の体育団体に対する
一般的な
事業の助成でございます。
学校給食の
内容でございますが、今までいろいろなところで申し上げておるものを除きまして申しますと、備考のまん中あたりに、脱脂粉乳の供給費の補助十二億円というのがございます。これは新規でございます。その次の、栄養
管理職員の
設置費補助も新規でございます。それから下から二番目の、都道府県の
学校給食会に対する補助、これも新規でございまして、小麦とミルクの取り扱いに関する事務費を補助していきたいということでござます。食管の繰り入れは、これは従前どおりの
考え方でございまして、百グラム一円の食管繰り入れを計上したい、金額的にはややふえておりますのは、小麦の消費量について若干増を見込んだものであります。
それから次は、
学校安全会でございますが、
学校安全会につきましては、事務費につきまして、全額、国で補助したいというふうに考えております。そういったことがこの
内容でございます。
次は、私学振興でございますが、まず、私立
学校振興会に対しましては、十二億円、前年度出資いたしたわけでありますが。これを四十一億円に
増加したいというふうに考えております。私立
学校関係の三十八年度の全体の資金需要額は百二十六億円と見込まれております。そのうち二十五億円は振興会の貸付金の返還金その他で調達が可能でございますので、差し引き百一億円の新規の貸付財源が必要である、そこでそれを分けまして、四十一億円は
一般会計からの出資、他の六十億円は財政投融資のほうから借り入れをしたいということを考えております。財政投融資のことはここに書いてございせまんが、そういう重要な要素をここでは含んでおります。その他につきましては、特に申し上げることはございません。
次は、国際
文化の交流でございますが、まず、アジア諸国に対する
教育協力といたしましては、これは本年度においても行なった
文部大臣会議のあとを受けまして、
教育計画の担当者会議を持つとか、あるいはアジア諸国の
教育指導者を短期間
わが国に招致して、その実情を見てもらうといったようなことがその主たる
内容でございます。
外国人留
学生につきましては、これは
学部留
学生の数はそのまま据え置きまして、
研究留
学生の数を約四十名ふやしたいというふうに考えております。それから新規な事項といたしましては、着後手当、一人一万円でございます。そういうものを
要求いたしております。その他、備考にございますように辞典編集をするとか、あるいは外人留
学生の問題につきましては、問題協議会といったふうな受け入け態勢の
整備ということに重点をおいているわけでございます。国際
教育協会の補助も、
考え方といたしましては、ただいま申し上げましたとおり、
研究留
学生の
増員に対する寮の
整備、その他、現在すでに来ております者の世話をさらに十分していきたいということが
内容でございます。それからユネスコ
関係の団体の助成といたしましては、これは新規でございますが、千四百万円ばかり
要求いたしております。
次は、沖繩に対する補助でございますが、新規事項といたしましては、備考の上から四番目の国体、それから全国青年大会等における沖繩代表の招致費補助、それから次のページに参りまして、上から三番目の
文化財の援助、これらも新規でございます。それから学力
調査につきましては、これは琉球政府の負担におきまして、すでに毎年
実施されているわけでございますが、その問題要旨を日本政府において印刷の上、送付したい。それから
学校長等の海外
事情視察
調査、これも新規でございまして、沖繩から二人、全額
国庫負担で海外に派遣したいということでございます。
最後に、
文化財関係といたしましては、従前の
保存、
修理関係の
事業をさらに継続いたしまするほか、若干の新規事項を
要求いたしておりますが、その中で金額的に一番大きなものは、先ほ
どもお話がございました平城遺跡
買い上げの十一億円でございます。
文化財関係の
事業費の対前年度増のほとんどが、この
関係だと申して差しつかえないかと思います。それから無形
文化財保持者に対する年金、一人四十万円の支給が事項としてございます。これは二千四百万円の
増額要求をいたしております。
以上、
文部省所管の
予算の概要について御
説明申し上げました。