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1962-08-29 第41回国会 参議院 地方行政、災害対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十九日(水曜日)    午後二時三分開会   —————————————  委員氏名   地方行政委員    委員長     石谷 憲男君    理事      小林 武治君    理事      西田 信一君    理事      秋山 長造君    理事      市川 房枝君            小沢久太郎君            上林 忠次君            西郷吉之助君            園木  登君            館  哲二君            鍋島 直紹君            安井  謙君            湯澤三千男君            占部 秀男君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            松本 賢一君            鈴木 一弘君            基  政七君   災害対策特別委員    委員長     辻  武寿君    理事      藤野 繁雄君    理事      米田 正文君    理事      田中  一君    理事      村尾 重雄君            天埜 良吉君            井川 伊平君            稲浦 鹿藏君            久保 勘一君            鍋島 直紹君            温水 三郎君            林田 正治君            村上 春藏君            森部 隆輔君            杉山善太郎君            林  虎雄君            吉田忠三郎君            渡辺 勘吉君            小林 篤一君            須藤 五郎君   —————————————  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     石谷 憲男君    理事            小林 武治君            西田 信一君            秋山 長造君            市川 房枝君    委員            西郷吉之助君            館  哲二君            鍋島 直紹君            湯澤三千男君            占部 秀男君            鈴木  壽君            林  虎雄君            松澤 兼人君            松本 賢一君            鈴木 一弘君            基  政七君   災害対策特別委員    委員長     辻  武寿君    理事            藤野 繁雄君            米田 正文君            田中  一君            村尾 重雄君    委員            井川 伊平君            鍋島 直紹君            林田 正治君            森部 隆輔君            杉山善太郎君            林  虎雄君            吉田忠三郎君            小林 篤一君            須藤 五郎君   政府委員    内閣総理大臣官    房審議室長   江守堅太郎君    総理府総務副長    官       古屋  亨君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    農林省農地局長 庄野五一郎君    通商産業省鉱山    保安局長    八谷 芳裕君    建設政務次官  松澤 雄藏君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省住宅局長 関盛 吉雄君    自治政務次官  藤田 義光君    自治省財政局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    大蔵大臣官房財    務調査官    宮崎  仁君    大蔵省主計局主    計官      高柳 忠夫君    厚生省社会局施    設課長     瀬戸新太郎君    建設省河川局次    長       鮎川 幸雄君    農林大臣官房総    務課長     石田  朗君    気象庁長官   和達 清夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○激甚災害に対処するための特別の財  政援助等に関する法律案(第四十回  国会内閣提出衆議院送付)   —————————————   〔農林委員長石谷憲男委員長席に着く〕
  2. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) ただいまから地方行政災害対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  前例によりまして私が委員長の職務を行ないます。  これより激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律案について質疑を行ないます。  質疑は、特別委員の方を優先して行なうことといたしまして、通告順に行ないたいと存じます。また、通告した方の御発言が全部終わりましてから、なお時間がございますれば、自由に御質疑をいただきたいと存じます。  なお、本連合審査会は、おおよそ五時ごろまでに終了いたしたいと存じますので、この点あらかじめ御協力をお願いいたしたいと存じます。  それでは、これより質疑を行ないます。  政府からは、総理府総務副長古屋亨君、内閣総理大臣官房審議室参事官局村忠男君、大蔵省主計局主計官高柳忠夫君、建設省住宅総務課長沖達男君、同じく河川局次長鮎川幸雄君、自治省財政局長奥野誠亮君、農林省農地局参事官在田新治君が参っております。藤野君。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は、激甚災害指定基準についてまず最初にお伺いをしたいと思うのであります。災害をこうむった都道府県または市町村が特別の財政援助を受けるためには、法律第二条第一項の規定によって指定が必要であると規定してあるのであります。その規定基準を見てみまするというと、「国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害が発生した場合」こういうふうに抽象的に規定されておるのであって、どう運用されるかが明らかでないのであります。  ひるがえって過去の災害実情を見てみまするというと、災害には風水害あり、長雨あり、集中豪雨あり、地震あり、噴火あり、干害あり、冷害あり、各種各様であるのであります。それで弾力的な運用が望まれるのでありますが、特に必要と認められる災害というのは、どんな基準でこれを定めようとしておられるのであるか、具体的に承りたいと思うのであります。  なお、過去十カ年近くの間の特別立法から考えてみまするというと、特別立法先例があるのでありますが、たとえば被害総額だけをとっていかれるのであるか。今回の特別法かできるのであるから、先例以上に有利なように運用していかなくちゃいけないと思うのでありますが、これらの点についてお伺いしたいと思うのであります。
  4. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) お答えいたします。  激甚災害指定にあたりましては、あらかじめ適切妥当な基準を定めましてこれを指定することが最も望ましいことでございます。この点につきましては、中央防災会議におきまして検討が行なわれるものと承知しておるのでございますが、指定実績を積み重ねながら、慎重精密な作業を進めて参りたいと考えております。お話のように、災害の態様はきわめて、多岐複雑でございますので、さしあたりは既往の実積を尊重しつつ適切妥当な措置を進めて参りたいと思いまして、現在中央防災会議を近く開催されることになると思いますので、その準備をいたしておるのでございまして、実はお話被害総額の金額を中心にいくか、あるいは人的、物的被害中心にいくのか、いろいろの考え方がございますが、これは実情をよく検討いたしまして、中央防災会議意見も聞きまして慎重に定めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に、何条の第二項によって見まするというと、当該災害激甚災害として政令指定する、こう書いてあるのであります。被害者の側から考えてみまするというと、同一程度被害であるのに、一方のほうは特別法適用を受け、一方のほうは適用を受けないというような不公平があってはならないと思うのでありますが、そういういふうな場合にそいういうふうな不公平がないように運用すべきであると思うのでありますが、どうお考えであるか。  次に、第二条第一項の「国民経済に著しい影響を及ぼし、」というようなことが書いてあるのでありますが、これは具体的に言ったらばどういうふうなものであるか、御説明をお願いしたいと思うのであります。
  6. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 第一の点につきましては、全くお話のとおりでございます。これを公平に慎重に措置をいたしたいと考えておりまして、いやしくもそれによって不公平なことが起こらないように、十分注意して参る所存でございます。  それから第二の御質問の「国民経済に著しい影響を及ぼし、」という言葉につきまして御質問かございましたが、やはりこの激甚災害の性格から考えまして、一般社人会経済におきまして、非常にこういうような、法律案考えておりまするよりなこういう措置を当然必要といたしますということを、国民経済的な観点から考えまして、この法をそいういう点から考えまして適用するが適当であるという場合には指定いたしたいのでありまして、一般法律以外に、前の母法以外に非常に激甚であるということが当然考えられる、しかも国民経済上にそれが非常に影響を及ぼすという点をしぼりまして、そういうような場合には政令によりまして激甚災害としてその地域をその災害の名前によりまして指定をいたしたいと考えておる次第でございます。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次には、指定激甚災害が同一地域に重複して起こる、こういうふうなことがあると考えるのであります。そういうふうな場合においては、財政援助額等の算定というものは、各災害ごと計算されるのであるか、または数災害があったならば、その数災害を合わせて計算されるのであるか。これは非常に数回災害をこうむるところは疑問にしているのでありますが、これを明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  8. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 激甚災害が発生いたしまして、一団といたしまして著しくそれが激甚である場合におきましては、包括して一個の激甚災害として指定する考えでございます。その他の場合におきましては、中央防災会議の議にもよるのでございますが、できるだけその状況考えまして御趣旨に沿って参るように努力をいたしたいと考えおります。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今の、ちょっとあいまいであったが、激甚災害として指定されるですね、第一が。また第二も激甚災害として指定される場合に、個々にやられるのであるか、財政援助をやられる場合においては最後には合わせてやられるのであるか、これを明らか  にしてもらいたいということなんです。
  10. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 同一年度内におきましてそういう災害が連続して発生いたしまして、一団として激甚な場合には、包括して指定をしたいと考えております。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、第三条第一項の問題であるのでありますが、第三条第一項本文の「政令で定める基準」であります。第三条と第四条の規定は、地方財政に対する特別援助を総合的な観点から行なうようになっているように考えられるのであります。その考え方は妥当であると考えるのでありますが、特別財政援助額を算定される場合に、標準税収入だけを基準とせずして、いま少しく弾力性のあるように勘案すべきであると思うのでありますが、これがどうであるか。  次に、激甚災害特例における通過累進方式公共事業、今資料をだしていただいているのでありますが、公共事業激甚団体指定によって見まするというと、「当該地方公共団体上記事業別地方負担額合計額当該団体標準税収入の県にあっては二〇%を、市町村にあっては一〇%を超える団体を激甚県、市町村として指定する。」、こういうふうになっているのであります。しこうして、衆議院における附帯決議によって見まするというと、都道府県においては二〇%というのが一五%ないし二〇%、市町村にあっては五%ないし一〇%となっているのでありますが、この衆議院附帯決議に対する政府の見解はどうされたのであるかこれをあわせてお尋ねしたいと思うのであります。
  12. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 第一の問題は、大蔵当局から御説明いたしますが、ただいまお話衆議院附帯決議の問題でございまして、総務長官からその際に、附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして政令決定には慎重に当たりたいということを申し上げておりますので、その趣旨に沿いまして十分政令決定につきましては慎重に措置をいたすつもりでございます。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今のお話にによるというと、政府の原案は、都道府県にあっては二〇%、市町村にあってじゃ一〇%というのを、衆議院附帯決議を尊重してやるということであれば、それは政府の案よりも拡大して財政援助をやるということに了承して差しつかえございませんか。
  14. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) この点に、これから政令の作成にあたりましては、御趣旨趣旨を十分体しまして、しかも国家財政状況その他を勘案いたしまして、慎重に御趣旨趣旨考えつつ事務的に研究と申しますか、措置をいたしたいと考えおる次第でございます。
  15. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 関連質問。ただいまの藤野議員の御質問に関連して申し上げたいと思います。  二〇%の率、市町村にあっては一〇%の率でありますが、その下の累進率の点は、県の場合をいいますと、二〇%でありながら、現実累進率は一〇%から累進されることになっておる。市町村の場合は、一〇%で激甚地指定をして、現実には五%から累進されることになっておる。それはけっこうだと思います。しかし、要するに、県の場合を例にとると、これを実行していく場合、現実負担額標準税収入の一七・八%——二〇%に満たないというような場合においては、全然累進率が課せられない。したがって、この激甚地指定という恩典を浴する場合、そこにギャップが県の場合においても市町村の場合においても出てきて、指定する際非常に摩擦が生じやせぬか。さらに、現実の問題として、地方公共団体であまりにもそれに近い災害の点と激甚地指定をされた公共団体との差がいろいろトラブルが起きやしないか。こういう点について一応のこの基準をきめられた場合においてお考えになっておられるかどうか。これに対する措置をある程度寛大にしながら、目的は災害復旧をうんとやりたいという趣旨法律なんですから、多少何かここにギャップが出てきたときにひとつ政府のほうでお考え願える余地があるのかどうか、この点どういうふうにお考えであるかということが第一点。  第二点は、過去の災害において高率補助が行われております。財政援助が行われてますが、それらの実態とあわせて県を二〇%とし、市町村を一〇%として激甚地指定をして高率補助をしていくということに、現実に佐賀あるかどうか。過去の実態とこの尺度を当てはめた場合において、相当の差が出てくるか、ほとんど変わらないのか、あるいは過去より以上に救われる公共団体か多く出てくるのか、この点政府はどういうふうにお考えになっておるか。この二点を御説明を願いたいと思います。
  16. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) まず第一の点についてお答え申し上げます。今回の方式は御指摘のございましたように、差し上げてございます資料の(2)にあります激甚団体指定、つまり県にあっては標準税収入の二〇%、市町村は一〇%をこえる場合におきまして団体としての指定が行なわれまして、そしてその指定された団体について、(3)にあります超過累進率適用して参るわけであります。超過累進率につきましては、御指摘のとおり、県であれば一〇%から超過累進率を働かせる、こういうことになっております。この点は、二〇%から働かせなければそこに段差ができるではないかという御指摘でございますが、それは御指摘のとおりでございますが、実はこの点は従来の特例方式でありまするいわゆる激甚地指定ということで指定が行なわれますと、非常に急激に補助率が上るという形が多かったわけでございます。たとえば公共土木国庫負担法特例でありますと、激甚地指定されるという基準は、その団体災害復旧事業費標準税収入の一倍をこえた場合というのが従来の基準でございましたが、そういった形になりますると、とたんに最低の標準税収入の二分の一までの事業費につきましても三分の二から八割まで負担率引き上げが行なわれる。その上の二分の一から一倍までについても九割に引き上げられるというようなことで、非常に急激に引き上げられる形になっておりまして、いわば現行制度との落差と申しますか、それか非常に大きかったわけであります。その他のものにつきましても、一般法の場合と特例法の場合とで負担率が変えられておりまして、その間はこういう超過累進方式をとっておりませんから、一段階で変わっていくわけであります。したがってそのボーター・ラインにおきます差というものは非常に大きいわけでございます。そういった実績が従来ございましたものを、今回こういうような形で、比較的なだらかな形で置きかえたわけでありまするが、この際にそういったいわば不連続的に負担率が上がるということも、これは従来の特例法方式として広く行なわれていたものでございますので、全然これを無視するということも必ずしも適当ではなかろうということもございまして、結局従来の方式によります場合の災害の大きさといいますか、その災害地方財政力に比べてどの程度であるかということによっての負担かさ増し程度、今回の方式によるかさ増し程度というものの比較というふうなものをいろいろやってみました結果、こういった形にいたしまして、基準としては三〇%をとるけれども、これに該当した場合には負担率引き上げのほうは一段下の一〇%から計算を始めていくという形のほうが合理的であろうということになったのでございます。市町村についても同様でございます。そういういうことでございますので、こういう形で実施して参るということになりますると、従来に比べますと、指定された場合、されなかった場合というものの差といいますか、そういったのは非常に縮まって参るわけでありますが、その間若干の差が出ることは御指摘のとおりであります。で、これはまあ特例を通用するという形で指定をするわけでございしますから、そこに何らか特別のプラスといいますか、それがはっきりしないといいことでも、これはやはり制度としてどうかという議論がございます。まあこの程度のことは適当ではないか、こう考えておるわけでございます。  それからこういった二〇%、一〇%というものの方式並びにこの超過累進率方式適用いたしました場合に、過去の災害と比べてどうなっておるかということでございますが、その関係は差し上げてあります資料の四枚目にその資料をつけてございます。これは昨日御説明をいたしたかとも思いますが、ちょっと見ていただきますると、  「公共災害嵩上額試算表昭和三十四年災得について)」という表がございまして、ここに県の場合、市町村の場合について具体的に計算をした実績が書いてございます。で県のほうで見ていただきまするというと、ここに六県ほどの例があげてございますが、三十四年の災害と同種の、全く、同じ形のものが起こった場合、今回の計算方式をとったら、どういう形になるかというのがこの表でございまして、この県分というほうを見ていただたきますると、右から二番目に「34災嵩上額」というのがございまして、県別数字があって、合計二十四億七千六百万円という数字がございます。これは三十四年の特例法によって実際にかさ上げが行なわれた、国庫負担の増額が行へわれた額でございます。このものに対しまして今回の方式をかりに適用するといたしますと、一番右の「今回案」という数字になりまして、合計といたしましては二十七億八千四百万円という形になる、こういうことでございます。市町村についても同様でございまして、ここに計算いたしましたのは二百八十三市町村の場合でございますが、まあ三十四年災の場合に比べて若干今回案のほうが国庫負担がふえるであろう、こういう形になっております。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 本法が成立いたしましたならば、いつごろ中央防災会議を開いてその意見を聞かれる考えであるか。また、今日までの災害の中でどれを激甚地災害として中央防災会議に出して意見を求められる考えであるか、これをお伺いしたいと思うのであります。
  18. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 実は防災会議が、災害基本法施行令が七月十日から施行されました。七月の十二に防災会議委員発令が行われております。事務局のほうも次庁、局員以下発令になりました。私の聞いております範囲におきましては、九月になりますと防災会議を開催し、これは失礼ですが、私の考え方を申し上げますからお許しを願いたいと思いますが、第一回は事務上の問題をどういうふうに運営するかということをきめていただきまして、同時に、九月のうちにもう一回防災会議を開きまして、その際にいろいろの指定の問題、そういう問題を行ないたいと考えておりす。したがいまして、今日まで発生しておりますいろいろな災害がございます。これにきましては、十分その前に資料を検討いたしまして、その九月の、あとのほうに開かれまする防災会議において認定の手続をとっていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、まだどれを激甚災害指定するかということは見当が立っていない、したがって、また、特定の地方公共団体というふうなものに該当するものは、どの都道府県である、どの市町村であるということもわかっていないが、大体のお考えがあるかどうか。そうして現在明らかになっているところのものによってみまするというと、いつごろまでにこれが決定されるかということは、災害を受けた地方公共団体が非常に早いことを望んでおるのであります。しかし、いよいよ指定された場合において、非常に災害が大きかったのにもかかわらず、該当しないというようなことがあったならば、これは絵にかいたもちであって、全く中身がないものになってしまうのであります。私は、こういうふうな特別法を作ったのでありますから、災害をこうむった地方公共団体に対しては絵にかいたもちじゃなくて、実際にその地方が立ち上がることができるように運営していかなければならないと思うのでありますか、これらの点について、絵にかいたもちでないようにするように運用していただきたいと思うのでありますか、この点いかがでございますか。
  20. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 過去あるいは最近にありました災害につきましては、事務的に査定が済んでいないのもございます。私どもはただいまのお話の御趣旨をよく念に置きまして、中央防災会議指定にあたりましては十分検討いたしまして、その立法趣旨ということに十分治りように、弾力ある運用をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いま一つの例をあげてみまするというと、三十二災で水害のために川畑を全部流されて、ようやく今年でき上がって田植えをした。そうして、私のところはさなぶりというが、田植え祝いをやったが、翌日は、今度の三十七災によって全部流されてしまった。もう立ち上がる元気も何もない。こういうふうなものを立ち上がらせるためには、今回のこの法律のようなもので救い上げるよりほかに方法がないと思うのであります。五年もかかってでき上がったものが一朝にしてまた元どおりになった、十年たたなければ収入がない、こういうふうな状況に陥った場合において、これを激甚災害指定の個所にされるようなことができるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  22. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 今のお話を承りまして、私どもはこの法の御審議をいただきます場合に非常に感銘深いものがございます。具体的によく実情を調査いたしまして、法の運用はやはり弾力的に行なう必要があると思いますので、十分御趣旨の点を考慮いたしまして、指定にあたりましては慎重な検討をいたしたいと考おえておる次第でございます。
  23. 田中一

    田中一君 関連。今の副長官の答弁、これは逃げ口上を言っているのですよ。そういう答弁じゃいけないのです、いくら八百長たって。大体標準税収入というものが根幹となってきているわけなんですよ。今のような規模のものは激甚地指定にはならないとはっきりと言えるはずだと思うのです。今言っているのは三十二災でもって、五年たっていよいよ復旧したと、その部分を言っているのであって、三十二災の規模というものかわからないならば、それはできない。同じようなケースが今後ともありますよ。区域できめていくのか、何できめていくのか。今のような形じゃそれは激甚地指定にならないということにならざるを得ないと思うのですが、その点はどうですか。
  24. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 午前中にも若干議論のあったところでありますが、今、副長官のお話がございましたのは、第二条のいわゆる激甚災害指定の問題、これにつきましては、今お話かございましたようなことで、具体的にはこれから中央防災会議で方針がきめられていく、こういうことになるわけであります。その際に、この第二条の規定としては、「国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害」、これを具体的にどうきめるかというような問題になるわけであります。もちろんその地方の財政というような問題も非常に問題になるかと思いまするが、まあ「国民経済に著しい影響を及ぼし、」というようなことから推察されますとおり、これは災害指定でございますから、従来も議論になったような、災害全体の被害の大きさだとか、そういったようなことが、あるいは場合によりますと、災害によります人的な損害であるとか、というようなことが災害程度をはかる目安として出て参るわけであります。そういったことで激甚災害として指定されました後におきまして、たとえば第三条から始まります公共土木関係、土木施設その他の公共災害、こういうものの条項を適用していくにあたりまして、財政力といいますか、財政力地方負担という問題が出て参るわけであります。したがいまして、問題としましては、まず災害指定が行なわれるかどうかということがまず第一段階。災害指定が行なわれました後において、どういう公共団体が今度はいわゆる第三条にいう特別の措置を受けられる団体として指定されるか、こういうことになって参るわけでおります。第三条のほうの問題として考えて参りますれば、これは標準税収入と事業との問題でありますから、場合によりますると、現在、前に発生した災害についても、たとえば査定事業費等の推定が大体行われておるとするならば、それから大ざっぱな見出はつけられることと思っております。具体的に、それじゃどうなっておりますかつまびらかにしておりませんけれども、そういう関係にあります。
  25. 田中一

    田中一君 それじゃ具体的にどういうものを示すのか、だれでもいいです、河川局でもいいし、農地局でも、どこでもいいから、ひとつ説明して下さい。どういう規模のものは特別なものとして指定されるというものなのか、その例を示して下さい。そんなに防災会議が勝手にものをきめられるものじゃないです、どういうふうな……。
  26. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) ただいま、具体的にどういうものをいうかということについてのお答えを先ほどから申し上げておるわけでございまして、これからが、実際は中央防災会議中心に見ていくのだというのが結論なのでございますが、ただ申し上げられますことは、この法律を基礎として既往の災害特例法というものを背景にして、今回のものができておるわけでございますから、したがいまして、伊勢酒台風であるとかあるいは第一室戸台風であるとか、そういったような実際の相当広範に特例法ができたような災害というようなものと同じようなものが起これば、これは当然こういったものが出てくるであろうと、こういうふうに御了承願ってけっこうではないかと思いますが、何しろここに書いてあります条文からわかりますように、相当広範囲にわたりますので、それを具体的にどうきめて参るかということは、これからきめていくことになるわけであります。
  27. 田中一

    田中一君 それは、中央防災会議でどういうものをきめるということは、これからの問題だということはわかりますよ。われわれが今まで遭遇している災害というものは、われわれの頭に一つのスケールが描かれてあるのですよ。じゃ、過去のどういうものがそれに該当するかということの例示ぐらいはできるはずです。ただ、災害対策基本法によるところの激甚地指定という一番中心の、地方公共団体が一番ほしがっている法律案が今度は出たわけですから、どんなものを想定して中央防災会議考えておるか、今総務副長官が言っているように、そういうような特別のものは今後考えるというけれども、考えられますか。今のような三十二年災が五年たってやっと復旧したところが、三十七年災でもってそれがまた流失したという一つの、藤野委員か言っているところの対象というものが将来考えられるのですか。それは今質問しているような災害考えられるのですか、激甚地指定という場合に。規模とかそれらのものが該当しないような場合には、該当する場合には当然指定されるんですよ。法律によって該当しない場合には考えるなんてことは困るのですよ。
  28. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) ただいまのお話の点、私申し上げましたのは、法の運用につきまして弾力的に、具体的事象をよく検討しまして弾力的に運営したいと、私の先ほど気持を申し上げた次第でございまして、具体的にはそういう事象をよく検討してから、それによりまして当たるか当たらないかということをきめて参りたいという気持の、弾力的に運営したいということを申し上げた次第でございまして、具体的個々の問題につきましては十分慎重に当たりまして、特に最初に申し上げましたように、基準というのは、もちろん基準はあるべきでありますから、いろいろ積み上げ方式その他検討して参らなければなりません。そういう意味で、その検討にあたりましては弾力的によく考えていきたいという私の気持を申し上げた次第でございます。したがいまして、具体的事象につきましては十分検討いたしまして、そして個々の事象について全然該当しないというふうにも考えられませんので、十分その点は今の事象につきまして、よく検討いたしまして、弾力的に運営していきたいという私の気持を申し上げたんでありまして、今当たるか当たらないかと仰せになりますと、非常に私ども直接事態につきまして認識がございませんので、一般的な標準としてそういうことを考えておるということを申し上げたいということを御了承願いたいと思います。
  29. 田中一

    田中一君 藤野委員がそれで満足するならいい。私は満足しない。藤野委員が満足しているらしいならば、それでけっこうです。
  30. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 満足はしないけれども、次に進みます。  次は堆積土砂の排除事業なんです。法律第三条の第十二号によってみますと、「激甚災害に伴い発生した土砂等の流入、崩壊等により河川、道路、公園その他の施設で政令で定めるものの区域内に堆積した政令で定める程度に達する異常に多量の泥士、砂礫、岩石、樹木等へ以下「堆積土砂」という。)の排除事業で地方公共団体又はその機関が施行するもの」こりいうふうになっているのでありますが、政令で定めるところの程度をまずどういうふうに考えておられるのであるか。  続いて長崎県江迎地区の地すべりは、その被害が激甚であるということは御承知のとおりで、あるのであります。しこうして、この被害状況については私の手元には自民党から集中豪雨災害視察報告者をして報告になっておるのでありますが、その一節を見てみまするというと、三百万立方メートルの堆積されたボタ山の土砂が江迎川の本流を越え、炭坑住宅、変電所、国鉄潜竜駅を埋没し、さらに二級国道佐世保——唐津線等々の沿道の商店街、炭住等二百一世帯を一瞬にして押し流した、こういうふうに国道もそれから汽車の線路も一瞬にして流されたのでありますが、そうしてこれは自衛隊の昼夜兼行の作業よって国道はようやく通過するようになり、汽車は応急措置をとって通過するように今なっておるのでありますが、これは非常に重大な問題であるのでありますが、この江迎地区の災害復旧計画というようなものの具体的案があったらば承りたいと思うのであります。なお、このためには堆積土砂を何とかせたくちゃできないのでありますが、堆積土砂に対する処置の方法を政府考えておられればその処置を承りたいと思うのであります。
  31. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 前段のほうの法三条十二号の政令に定めます基準につきまして申し上げます。  これは考え方といたしましては、従来の三十四年災害、二十六年災害のときの指定基準と同様にいたしたいと一いう考え方でございまして、たとえば市町村の区域内の土砂の量といたしましては、その市町村の区域における土砂の量が三万立方メートル以上、もしくは排除の事業費合計額標準税収入の十分の一以上という場合にこの通用をしたいということに関係省間の話し合いがなっております。その他林業施設の場合、漁場の場合等につきましても、大体三十四災害等々と同様の規定をいたすことにいたしております。  江迎地区の問題につきましては通産省のほうから……。
  32. 八谷芳裕

    政府委員(八谷芳裕君) 江迎のボタ山くずれにつきましては、各方面に非常に御迷惑を及ぼしております。はなはだ申しわけなく感じておりますが、あれの原因につきましては、当時の六百三十ミリにも及びます集中豪雨の影響によりまして、ボタ山の下で地すべりが起きまして、ボタ山が流出して行った、結論的に申せばこういう災害になっておるわけでございまして、これにつきましては、私ども監督当局といたしましては、直ちに学術調査班を組織いたしまして、この原因の究明に努めた結果が、ただいま申し上げたようなことになったわけでございます。さらにその規模、その地すべりの深さというようなもの、江迎自体のボタ山の問題、さらに今後のボタ山対策につきましていかなる全般の措置をとっていくかということについて、さらに原因を明確にいたしますために、ただいま地盤に、地すべりしたと思われる所までに対しまして、ボーリングを打ちまして、そのボーリングとともに電気検層のような科学的な方法によりまして土質の状態を、地すべり面等を検査しておるわけでございます。大体の日程といたしましては、ただいま第一本のボーリングが、これは影響のなかった所ですが、基本的なボーリングを打ちまして、第二本目のボーリングを打っているわけでございますが、当初三本程度でいいと思っていたのが、あるいは四本程度打たなければならぬのじゃないかと考えられまして、九月の二十日ぐらいまでボーリングはかかっていく、こういうような一応プランにしておるわけでございます。これによりまして通産省といたしましては、ただいま学術調査班の日程によりまして、このボーリングを待たないで、これは一般災害として、単なる通常のボタ山くずれによる鉱害ということでなくて、一般災害である、こういうふうな考え方で進めておるわけでございますが、さらに明確にはボーリングによって関係方面とも明らかにこの点を認定していきたいと、かように考える次第でございます。  復旧につきましては各省が本日おいでになっておりますので、私のほうの申し上げることよりさらに的確なお答えができるかと思いますが、ただいま御指摘のように、国道につきましてはすでに完了いたしました。  国鉄につきましては、私どもの情報では、ボタを敷いて若干の傾斜を持ちながらこれを復旧していくというようなことでまだ完全に復旧貫通していないように聞いておりますが、河川につきましても、すでに応急的な一応の河川工事ができまして、さらにこれから本格的な河川の復旧工事にかかるというようなことになると考えられるわけでございます。  農地につきましては、相当にボタ量が、当時約三百万立米のボタ山があったわけでございまして、うち二百万立米くらいが移動しまして、また、そのうちの六十万立米くらいがただいま御指摘のような地帯に流出してきたということでございまして、農地につきましては相当のボタをかぶっておるので、この復旧につきましてはいかにすべきかということが今後の問題として残されておる、かように考えておるわけでございまして、各省の管轄におきまして、国鉄は国鉄、それから長崎県というようなところでそれぞれ今、応急復旧を急いでもらっている、かような状態になっておるわけでございます。
  33. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 堆積土砂の処置についてはどういうふうに考えておりますか。
  34. 八谷芳裕

    政府委員(八谷芳裕君) 流出しました土砂につきましては、国道関係につきまして、それから国鉄関係につきましても直ちに行なってきたわけでございます。道路につきましてはそれぞれ江迎湾のほう、それから佐々川の下流あります大浦のそれぞれの日からこれを搬出しまして国道が貫通したわけでございます。鉄道につきましても必要なもの、国鉄としまして一応鉄道を通し得る量だけはこれはボタを排除していかなければならぬわけでございますが、しかし、全体の流出しました、今先ほど御説明しました農地関係に、川畑に流れ出ているボタというようなものにつきましては、さらに全体的な見当でこのボタをいかに処置していくか。どこの海洋にこれを埋め立てていくかというような問題も検討しなければならぬと思います。また、これは非常に調査班の報告にもございますように相当な調査をしてでないと、みだりにこれを取り出しますと——一応の流出したままで仮安定をしただけでございまして、この流出した仮安定の口のほうから無計画に排土を取り立てていくと、再度流出が起こるということになりますので、ただいま全般的なこの流れ出たボタを全部どう処理するかということは、応急対策のほかにボーリングによりまして、土質の安定程度その他を調べ、砂防工事をどうやっていくかということで、あわせて進めていかなければならぬとかように考えているわけでございます。
  35. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この問題については、研究中ということであるのでありますから、すみやかに検討を了して災害復旧ができるようにお願いいたします。  次に、湛水関係であります。十四号によってみますというと、「激甚災害の発生に伴い浸入した水で浸入状態が政令で定める程度に達するものの排除事業で地方公共団体が施行するもの」こういうふうになっておりますが、政令ではどの程度のものを規定しようとお考えであるかということがお伺いしたい一点であります。今、一、二の実例を申し上げてみますというと、三十二年災の場合に本明川が大災害を受けたのであります。これが今日では大体においてでき上がりつつありますが、その川が改修の場合において堤防がかさ上げされている。かさ上げをされた結果はどうなっているかというと、旧来の市街地はかさ上げしない場合においては、自然にその川に流れていた。しかるに、かさ上げをしたために、そこで水がとまってしまう。であるから、旧市街地は全部、雨が降ったならば、今度の場合においても床下の問題もあれば床上の浸水というようなものもある。一方のほうにおいて河川は完全になったけれども、完全になった反面には、堤防が水の流れを阻止する。その付近は全部水につかってしまった、こういうことなんです。また、国県道の場合を考えてみてもそのとおりであります。国県道が改修された場合に、国県道を幾らかかさ上げをしたために、そのかさ上げの結果、水が従来は流れていったのが、今回は流れ出ない。そのために、その国県道に沿っているところの住宅は今度の雨で全部浸水した。汽車においても同様であるのであります。こういうふうなことがあるのでありますが、一体こういうふうに国が設計した仕事によって完成して、水害はないようになったが、道路はよくなったが、その結果は、今度はその他の部分が大損害を来たしている。こういうふうなことだったならば、その湛水事業というものは、政府の力によってこれは排除すべきものであると思われますが、こういうふうな点について、どういうふうに政府はお考えであるかお伺いしたいと思うのであります。
  36. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 前段のほうの湛水排除の事例と申しますか、法律の条文を適用いたします基準につきまして申し上げます。  これにつきましても、排土の場合と同様に、三十四年、三十六年の特例の方法と同様の規定をいたそうということに関係省間で一応話ができておりまして、具体的には、一団地の浸水地域につきまして、浸水の面積が引き続き  一週間以上にわたり、三十ヘクタール以上であるということになると思います。  後段の点につきましては、建設省のほうから。
  37. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) ただいま本明川の下流地区におきます湛水の問題に  ついてお話がありましたので、それについてお答え申し上げますが、本明川の改修工事につきましては、すでに御承知のとおり、諌早の災害後本川のほうの改修工事が行われまして完了いたしておるわけでございます。ところが、先ほどお話のように、本川部分は完了したけれども、そのために今度の九州における豪雨災害によって湛水がいろいろはんらんして被害を受けた、こういう点を指摘されましたが、事実は湛水による被害が発生したわけであります。本川のほうを急ぎませんと、これはどうしてもより以上の被害を激化いたしますわけで、これについては河川改修計画に沿いまして、これはいち早く完成をいたしまして、できるだけ治水面における川による大災害を防ぐためにこれを指導を急いだわけでありますが、湛水問題につきましては、さらにまだ不十分な点がありますので、現在のところこの湛水排除につきましては、いろいろな面から検討いたしておるわけでございます。湛水排除につきましては、御承知のように、都市施設による湛水排除や、農地の湛水排除、あるいは河川に関する湛水排除、いろいろと関連がございますので、どういう点からこれを湛水排除に対して施策を講じたらいいか、いろいろな点から建設省といたしましては、関係方面とも連絡いたしまして、その対策を検討いたしておるわけでございます。なお、一般的に申しますと、湛水排除につきましては、災害の起こる、ことに、各地においてこの問題が起きて参っておりますので、湛水排除対策につきましては、三十七年度予算におきましても、また、今後の治水事業におきましても、大いに重点的にこの湛水排除の問題に力を入れて、これによる被害を軽減したいという方向で考えておるわけでございます。
  38. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、改良復旧事業と関連事業についてお尋ねしたいと思うのであります。これも長崎県の例をとってみますというと、三十二災の際に、政府は計画を立てて大村市の大上戸川というのの改修に着手したのであります。しかるに、ある地主がその土地の買収に応じない、自然その工事がおくれておった。それは三十二災の場合であります。で、工事がおくれておったから、今度はその工事がおくれておったところがきずになって、今回三十二災以上の災害を受けたんであります。これは地主の同意を得なかったということが原因であるのでありますから、今回はそういうふうなことがあっては困るということで、その地主のところへ押し寄せていろいろ話をしたところが、今回は了承した、こういうふうなことなんです。こういうふうな手間ぬるいことでなくして、政府のほうで河川改修の根本方針を定めたならば、直ちにこれを実行に移すということで進んでいかなくちゃだめだと考えるのであります。そういうふうな場合には土地収用法があるのでありますが、土地収用法を直ちに適用し、あるいはこういうふうな公共事業であれば簡易に土地収用ができて、河川改修ができ、災害を再び繰り返さないようにせなくちゃできないと思うのでありますが、この点について御意見を承りたいと思うのでございます。
  39. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) ただいま河川改修に伴って用地の問題が解決しないために災等が発生したというお話でございますが、御指摘のように河川改修事業に伴いまして用地問題につきましては、各地におきましていろいろと難問題をかかえておるわけでございまして、私どもといたしましては、できるだけこの用地問題を解決して河川改修を急ぎたいと全般的に考えておるわけでございますが、用地問題の解決につきましては、まず第一には、 協議によってできるだけ話が進めばもちろんいいのでございますけれども、中にはなかなか協議によってできない場合がある。そういうような場合には、お話のように、土地収用法がございまして、これによって土地収用をできるようになっておるわけでございまして、私どもも事態に応じてはそういう土地収用法を適用いたしまして、そういう問題の解決をやっていく場合もあるわけでございます。今後河川改修事業につきましては、御指摘のように、このために災害が発生しないように、さらに用地問題につきましては特に力を注ぎまして、必要があれば法的な措置によって収用問題解決するように今後は努めて参りたいと考えておるわけでございます。
  40. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は河川工事と関連事業であるのでありますが、改良事業が行なわれたところであれば、長崎県の例をとれば、三十二災、三十六災、三十七災と、こういうふうなことの実例から申し上げるというと、改良工事が行なわれたところは再災害は受けてない。しかし、原形復旧であれば災害をこうむっておる。しこうして、その災害を受けたところが山間部落の災害が特に再災害をこうむっている。この原因がどこにあるか、こういうふうなことになってくるのでありますが、私などの聞いた範囲において見れば、工費が下のほうでも上のほうでも同額だと、しかるに材料を運搬する費用が上のほうが高くかかるのだと、こういうふうなことで自然同一工費でやったならば上のほうが工事がおろそかにならざるを得ないような現在の否定の方法じゃないかと、こう考えるのであります。でありますから、今後の災害復旧にあたっては、改良工事に力を入れていただくと同時に、その工事の場所によって実際に運賃その他のものがかかるのであったらば、それは工事費に加算するようなことで計画を進めていかなくちゃできないのじゃないかと、これが一つ。  その次には関連工事であります。今これも例をとって見まするというと、ある一つの河川がある。その河川に、私らの近くはよく竹が植わっている、あるいはその他の樹木が植わっている、そういうふうなところは何回大雨が降ってでもその河川はこわれないのであります、竹の根がはえているから。また、ある近くは岩石によってできているところの河川がある。それはどんなことがあってもその岩石はこわれない。こわれないから災害を受けていないから災害復旧はできない。災害復旧はせないから、上流のほうはこわれたから災害復旧ができた。下のほうはそういうふうなものがあるところはこわれないから災害復旧はさせないというようなことが原因で今回の三十七災は非常にそういうふうな個所が被害か多いのであります。こういうふうな点から考えてみまするというと、現在の関連事業の率を多くして、災害を受けていないところの場所であっても、一方のほうだけを、上流だけを災害復旧やったらば、その水がさらに下流において被害を与えるというようなところであれば、改良工事として進んでやって、再び災害が起こらないようにすべきである、こう考えるのでありますが、この二点についてのお考えをお伺いしたいのであります。
  41. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 第一は、災害復旧に際しては改良復旧を十分にしたらどうかというお話でありますが、御承知のように、災害復旧は原則としまして原形復旧をやっておるわけでありますが、なかなか原形復旧だけでは災害の防止か著しく困難である場合には、改良復旧も原形復旧として考える場合にはこういうことを考えまして原形復旧をやっておるわけでございます。なお、そのほかに災害復旧に際しましては、再度災害の防止のために災害関連事業あるいは災害復旧の治水事業等を行ないまして、再度災害の防止に努めておるわけでございますが、御指摘の点はまことにごもっともな点であると考えますので、さらにそういう趣旨に従いまして改良復旧を大いに取り入れまして、災害の復旧対策を進めて参りたいと考えておるわけでございます。  第二番目は、自然河川のように、全然無堤地区においては災害復旧が行なわれないために災害がさらに激化するのじゃないかというお話かと存じますが、これにつきましては、災害復旧あるいは災害関連事業等において行ない得ます範囲内においては、先ほど申し上げましたような考え方に基づいて、できるだけそういう面につきましても災害復旧事業として、あるいは関連事業としてやりたいと思っておるわけでございますが、一般的にそういう自然河川的なものは一般改修事業において  これを行うべきではないかというように考えるわけでございます。まだ河川の改修が未施行の部分が相当ございますので、私どもは一般河川改修事業をさらに従来よりも速度を速めて、また、内容も拡充いたしまして、今後は改修事業のほうも進めて参る。両面をもって被害の防止の上に即するような施策を講じて参りたい、かように考えておるわけであります。
  42. 田中一

    田中一君 大体まあ三十四年災、六年災でもって特別立法したものの精神を受け継いでおるのだから、質問が同じになりますから、同じにならぬ点だけをひとつ聞いておきます。そこで、激甚地指定の問題ですけれども、これは先ほど藤野委員からも質問をし、かつまた、副長官並びに宮崎君からも答弁があったのですが、それはうまくすりかえて逃げておられるのですが、大体中央防災会議のメンバーというものはどういうものかと聞くと、閣僚と、日銀総裁、日赤社長、これだけが入っておるのです。こんなことなら何も日銀総裁、日赤社長はこちらで要請すれば動くのであって、閣議で決定すればいいのだということになるのです。中央防災会議なんといういかめしい会議を開かないで、閣議で決定いたしますと率直に言ったほうがずっと早いわけです。これは一方的な政令の作成なわけです。これは原案というものは、むろん各省の事務当局から出るものをやるのでしょうけれども、おかしなものですよ。閣僚と日銀総裁、日赤社長だけが入っておる。これが中央防災会議だ。これは一体どうしてこういう方法をとらなければならないかといった、ここまできたという理由をひとつ副長官から説明してほしいと思うのです。もっと国民がほしいのは、政府が一力的に押しつけるのじゃなくて、国民の声をも、罹災者の声をも、その地方の総合された声をも十分聞いてもらって、指定してほしいというのが願いなわけでございます。同時に、これはまた、激甚地指定というのは比較さるべきものだ。だから、内容というのは大体ここに標準税収入という一つのワクをはめて、そこで一応きわめているわけです。しかし、きめていながらも先ほど藤野委員質問に答えて、国民経済に著しい影響を及ぼしかつ当該災害による地方財政負担を——地方財政負担はいいが、国民経済に著しい影響を及ぼしなんという抽象的な言葉でごまかしている。先ほど藤野委員質問したわけですが、三十二年災、それが五年たって復旧して、それがまた三十七年災、当年災で流失したというのはどういうふうなものであるか、これが一万町歩のものであるか、あるいは、五千町歩のものであるか、その規模によっておのずから指定の問題は変わってくるわけです。もう少し一切が政令にまかす以上、政令の内容というのは、指定基準というものをわれわれは明らかにしてほしいということであります。政府に一切おまかせするわけです。三十四年災、三十六年災では少なくとも特別立法という方法で行ないました。したがって、国民の意思というものをわれわれが国会において代弁をして十分に織り込んできた。しかし、今回のこの災害対策基本法による激甚地指定というのはそうではない。一方的に閣議で決定するということになる。中央防災会議なんといううまい冠をかぶしているが、事実これは閣議じゃありませんか。閣僚と日銀総裁、日赤社長、これが入ってきめるということになり、きかなければならぬことになっている。そうしてきめるのは全部政令、いわゆる行政権にまかされた権限内においてそれを一きめようとする。三一四年、三十六年災に対する国民的な要求から行なった特別立法のほうがずっと民主的です。それも先ほど宮崎君が鍋島君の質問に答えて、そのままずばり言っているわけじゃないのです。非常に抽象的なものになってきているのです。これは副長官にはどうしてこうなったかということを、それから宮崎君には、これはかつての特別立法で制定したときよりも後退しているか前進しているかということです。これはあなたは、あれよりももう少し罹災者に対してはあたたかい手当が今度の政令でできるのですという答弁ができるか、それともあれでは公平という言葉による不公平があるから現実には後退をしているということになるか、その点お二人から答弁して下さい。
  43. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) ただいまの質問でございますが、私実はこの五月からこの仕事を始めさせていただきまして、その沿革等につきましてはまだ十分先生に御納得していただけるだけの資料を持っておりません。ただ、災害基本法によりまして中央防災会議ができまして、結局中央防災会議が会長、副会長、委員十七名をもってやったのでございまして、十七名のうちには十五名の関係大臣とお話の二人の日銀総裁と日赤社長が入っております。それでもちろんお話のように、地方実情、情報というものを十分察知し、民意によりまして措置しなければならぬことはお話のとおりだと私は思うのであります。政府は毎年防災計画あるいは防災にとった措置の概要を御承知のように国会に報告する建前をとっております。激甚地災害指定等の措置につきましても、十分国会の意見を尊重して措置して参りたいと考えておりますことを申し上げまして、非常に先生のお話のお答えができなかった点が多々あると思いますが……。
  44. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 今回の法律によります措置が従来の古い法に比べて手厚いかどうか、あるいは前進か後退かということでございますが、一がいに前進、後退というふうに割り切って申し上げることばなかなか困難な面もあるかと思いますけれども、全体として申し上げられますことは、全共施設災害の関係、公共団体災害の関係、第二章の関係でございますが、これにつきましては資料として差し上げましたものについて先ほど御説明申し上げましたが、要するに、従来の特例法としては最も手厚くかつ広範に行なわれた三十五年の伊勢湾台風、この措置と比較いたしてみまして、しかもその伊勢湾台風のときの災害、その災害と同じものがかりに今起こったとした場合にどうなるかという検討をしてみますると、国の負担の増加額という面で見ますると、総体としては今回の措置のほうが若干手厚くなる、こういう形になっておるわけであります。農地、農業用施設、第三章関係などにつきましてもその関係は同様でございまして、従来と方式を変えておりますけれども、総体としての国の補助額は若干従来よりも増加するという形になっております。第四章以下につきましては、これは大体従来の特例法の内容と同様の規定を今回入れ込んでおりますので、これは同様と言っていいかと考えます。  なお、補足的にちょっと申し上げておきますと、今回の法律において三条以下いろいろ政令規定できめるものがございますけれども、従来の特例法におきましても、激甚団体指定というようなものは政令で行なわれることになっておりましたものでありまして、今回はそれをこういうふうな形で取りまとめましたので、形は変わりますけれども、その点は形式的には変わっておらないわけです。変わっておりますのは、第二条の激甚災害指定というところが従来と非常に大きく変わっておるということでございます。
  45. 田中一

    田中一君 宮崎君のお言葉を聞くと全身だということなんだが、言えるかな、ほんとうに。今のあなたの答弁を聞いていると前進だ、手厚くなっておりますということですね、結論的に言えば。
  46. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 国の財政援助の額、総額ということで申し上げれば若干前進しておると言っていいかと思います。
  47. 田中一

    田中一君 まあいいです。それから二十四条に小規模災害の問題を取り上げておりますが、これは自治省に聞いたほうがいいのかな。これは従来は元利補給なんということはしておらなかったのですかね。
  48. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 三十四年災害についてとりました小規模災害に対する措置と同じことをやろうというのが二十四条の趣旨でございます。小規模災害に対しましても、国庫負担をしたと同じ額について地方債を認めました。地方債の元利償還額については、他の災害について基準財政需要額の一部を算入しております。これについても、一部を算入しまして残りの部分を元利補給する。したがって、元利補給の額と地力の基準財政需要額に算入されるものを合算いたしました額が国庫負担相当額ということになっております。
  49. 田中一

    田中一君 もうこの辺になると、激甚地のみならず一切、もう少し小規模の災害も、全部、国庫負担補助は御承知のように除外しておりますから、激甚地以外のものをこういう措置でできませんか。
  50. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 地方公共団体が復旧に責任を持っておりますものにつきましては、激甚地災害でございませんでも地方債を認めるわけです。地方債の元利償還額につきましては、一定部分を基準財政需要額に算入するという方式当該団体に対する援助をいたしておるわけでございます。ただ御承知のように、地方交付税制度は財源の不足する団体に対する財源交付の制度でございますので、不交付団体でありますとそういう措置はないわけでございます。しかし、一般災害でありますと、小規模災害もそれほど大きな分量ではない。したがいまして、不交付団体でありますと地方債を認めるだけでそれ以上の援助はいたしませんけれども、まずやむを得ないじゃないか、こう思われるわけでございます。しかし、激甚災害になりますと、小規模災害一作当たりの額は小さいものでありましても、分離が非常に多いわけでございまして、やはりこういう措置で国が援助する必要が生じて参る、かように存じております。
  51. 田中一

    田中一君 何も激甚地に小規模災害が多いということにもならない。激甚地でなくても小規模災害が多い場合もあります。そこで、この小規模災害災害復旧費というものを頭に置いて小規模災害というきめつけ方をしておるのですけれども、たしか農林関係の小規模災害というものは、額も三万円ですか、非常に低い。そうして隣接する距離というものをたしか三十メーターぐらいにきめてあるはずなんです。その災害と三十メーター先にまた同じような三万円鮮度の災害があった場合には、一つの災害と認めるという形になっているのですよ。これは激甚地はかりじゃございません。一般公共事業の部分のうちでも、公共土木の場合にはどういう距離というかな、一個の災害を、関連する二つの現象、それが距離的にはくっついていれば、三つ一緒にして、三万五千円のものが三つあれは十万円だから、これは対象になるということになると思うのですが、どういう見方をしておるのですかな、これ
  52. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 国庫負担の対象になる一カ所の工事の工事費は、県工事は十五万、市町村工事が十万円でございますが、その一カ所工事といいますのは、多少離れていてもそれをくっつければ一カ所、こういうことになる。その距離は二十メートルときめております。ただし橋梁のように、一つの構造物である場合には二十メートル以上上離れていても合計一カ所の工事とみなすということで現在取り扱っております。
  53. 田中一

    田中一君 道路の場合には、歪曲している場合に、直径でいうのか、それとも道路面で距離をはかるのか、 どっちです。
  54. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) ただいま申しましたのは橋梁でございます。したがって、橋梁の長さ、中心線の方向といいますか、その方向で二十メートル以上でありましても一つの橋梁の場合には一カ所の中に入るのであります。
  55. 田中一

    田中一君 橋梁なら橋梁一つのもので一わかります。道路なんかどうでしょう。
  56. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 道路の場合には、やはりその中心線に沿いまして二十メートル以下でなければ一カ所の工事とみなされないのであります。
  57. 田中一

    田中一君 農林省はどういう……。
  58. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 農林関係の農地及び農業施設の災害につきましては、御承知のように、従来、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、これでやっておるわけでございまして、それの補助対象になります部分につきましては一カ所の工事の費用が十万円以上、こういうことになっております。それで小災害は十万円未満三万円以上、これが小災害になりまして、この暫定法の対象外になっており、これにつきましては先ほど奥野財政局長からも御説明がございましたように、激甚災の特例のない場合は、一般市町村がやります場合には一般の起債、こういうことに相なりますし、激甚災の特例法指定されますればそれによりまして今度御審議願っている財政援助に関する小災害ということで地方債の充当率と元利補給ができる、こういうことでございます。で、この小災害の三万円以上十万円未満の分につきましては、「一の施設について災害にかかった御所が五十メートル以内の間隔で連続しているものに係る工事並びに一の施設について災害にかかった箇所が五十メートルをこえる間隔で連続しているものに係る工事又は二以上の施設にわたる工事で当該工事を分離して施行することが当該施設の効用上困難又は不適当なもの」、こういったもので一工事を三万円以上十万円未満、こういうふうに運用しております。この規定運用につきましては、相当弾力的に現場の実情に応じて処理する、こういう方針でやっております。
  59. 田中一

    田中一君 山内君、これ、農林省の行き方にまねたらいいじゃないか、二十メートルなんてけちけちしないで、五十メートルにしなさいよ。こんなものは法律の問題じゃないのだから、どうです、河川局長。
  60. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 今の点は、やはり国庫負担法の中に法律事項としてうたわれております。したがって、二十メートルをどうしてきめたかという問題になりますが、二十メートル程度が一カ所工事としてみなすのにどうも件数が多い、それ以上離れますとばらばらになる、こういうふうに画一的なところからきめられたようであります。しかし、いろいろ最近になりまして、距離の問題も地方の要望もございますので、いろいろ検討いたしておりますが、現段階ではそういうような点でこれが一番いいのではなかろうか、こういうように考えております。
  61. 田中一

    田中一君 この激甚地指定の問題は、非常に微妙なものがあるのですよ。たとえば集中豪雨がある、もう災害が起きている、大体の見当はつくのですよ。もうこれは、鍋島君行っちゃったけれども、地方長官した人たちは大体わかるのです。これを守って、この堤防がこわれないと激甚地指定にならないで、それじゃ、こいつ水防活動をやめたほうがいいじゃないかという判断をする場合があるかもしれない。非常に微妙なものがある。的確につかめぬだろうけれども、かりに水害の問題にしても、水防活動なんかが少しブレーキかけられるというおそれがあるのじゃないかと思う。一ぺん破堤した場合、それから長崎県、佐賀県等のボタ山の災害にしても、もう一歩やったらば守られるけれども、非常に違いますからね、激甚地指定指定でないのとは。ということを考えると、そういう意欲を失うのじゃないかという気もするのですが、その点は副長官どういう考え方を持っておるか、考え方というか、どういう工合にそれに対しては防護意識というものを高揚するか。どうもやっぱり激甚地指定とそれに準ずるものとの間には薄い細い線一つしかないのですよ。
  62. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) お話のような点がありましては、結果としてそういう結果がもし現われましては、結局この法律ができました趣旨が失われると思いますので、運用にあたりましては十分そういうことを注意いたしまして、御趣旨の点を注意いたしまして、防護活動も十分やる、そうして指定の場合にも十分そういう実情をよく現地に当たりまして、ただいまの御注意のせられましたようなことができないように十分注意して参りたいと思っております。
  63. 田中一

    田中一君 どんな方法をとりますか。災害があって復旧する、災害があるのを前提にものを考えるのではなくて、災害をなくするということか一番大事なんですよ。そこで、従来——これはだれに聞いたらいいかな、国一家賠償法をもって国と争った例はありませんか。
  64. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 災害に伴う件で国家賠償法の問題になったものは、従来一、二実例がございます。
  65. 田中一

    田中一君 その結論は。
  66. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 私、知っておりますのは、岐阜県の高須輪中という輪中かございますが、この破堤問題につきましてそういった訴訟がございました。これは結局、訴訟の結論は、訴訟が行なわれましたけれども、実際問題としては和解いたしまして、そしてここに相当の工事を行なうということで、防災工事並びに干拓工事等を行ないまして措置をいたしたことを記憶しております。その他のものもあるかと思いますが、裁判上結論が出たという実例は聞いておりません。
  67. 田中一

    田中一君 それから第二十一条の「水防資材費の補助の特例」、これは河川局長、普通水防活動を十分にやった、あるいは自分の持っているものも、この前も例があったように、米俵を積んでまでもやったということになると、これこそ特例をもって処置をしなければならぬと思うのだ。ところが、激甚災害地だけが特例でもって手厚くするということはちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、どうですか、それは。
  68. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 激甚災害につきましては三十四年災、六年災と同様の措置をとりたいと思うのですが、それ以外に予算補助で率は少ないのでございますが、現在でもやっておるわけでございます。しかし、激甚災害になるほど水防資材もたくさん使いますし、非常な費用がかかるわけでございますので、やはり激甚災害についてはいろいろ特例で見ていくべきじゃないか、こういうふうに考えております。
  69. 田中一

    田中一君 一般の通常予算において国土保全の予算措置あるいは施策が足りないから災害を受けるのです。私はまあ三十四年災、三十六年災ともども特別委員会の委員としていろいろ審議に当たったのですが、大体において地元出身の、罹災地出身の議員がこまかい問題まで一つ一つの問題を、たとえば一つの法律を作って一体そこに幾ら補助金が要るのか、こう言うと、十万円足らずの補助金が特定の一つの形の災害に補助金が流れていくというようなものをも立法化しているのですよ。それを受け継いで、今度はこういう基本法というか、標準法ができたのですけれども、これなぞは実際おかしなものなんですよ。たとえばここに示されているところの各項目、対象ですね、補助対象というものを三十四年災でどの項目、対象に対しては幾らの補助金が要ったというように例示してみると、ずいぶんおかしな——おかしなものと言っては——むろん被災者にとっちゃ真剣でしょうけれども、そういうものが、常時なし得るものもあるわけなんですよ、何でもかんでも。伊勢湾台風のときにもあったように、塩が入ったからといって石灰をまく補助金までやろうではないかという話し合いが出ればそれはやろう、それはやろうじゃないかと言って、たいした金じゃないですが、やってみたところが塩害はそんなになかった。それでも一つの被災地からそういう声が上がると、直ちにそれを取り上げて立法化するというような形があったわけですよ。今度のこの法律案を見ますと、それを受け継いで、経常費で従来手厚くしておれば災害も相当守り得たというようなものまでも補助の措置が不十分だから災害をしたというようなこともあるんではないか。何もかにも全部一災害の補助対象というものをここに取り上げて明示しないでもいいんではないかという気がするわけなんです。そこでまあ金を出ししぶるのは大蔵当局なんだから、宮崎君、ここまでしなければならぬかということか一つ、それからこれ以外に特異災害というものがどんなものを想定し得るかといったような問題、これは河川局もそれから農地局も、その他各省の所管の常に今まで受ける状態の中でここにあげられたもの以外の特異災害というものがないだろうかあるだろうかという点について考えたことありますか。私は三十四年災、三十六年災ともにこんなものまでもと実はひそかに思ったのです。そんなことを言うとこれはたたかれるから言いませんけれども、こんなものまでもしないでもいいんじゃないか、 これは別の措置でできるのでないかという気持もしたものです。それが大部分これに入っているのです。これ以外のもの、もう一つ特異災害といいますかは考えられないか。もしあるならばそれもここに入れるべきであるということを考えるのですが、各局長から所管の過去の災害、これは三十四、三十六の災害の特別措置法にのっとってこれを作っておりますから、それ以前の特異な災害が想定されるならばどんなものがあるか、ひとつ一人々々所管によって意見を聞かして下さい。
  70. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) まことに傾聴すべき御指摘を伺ったわけでございますが、この法律全体の構成におきまして、やはり三十四年、三十六年の特別法実績というもの次基礎にしていろいろな事情を考えていこういう基本的な方針によっておりますので、大体そのときに特例法立法が行なわれたようなものは原則的にこの中に取り込んでいくという形でこの法律がきておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、たとえば例が適当かどうかわかりませんが、水防資材のようなものは別途水防法なりあるいは予算的な方式でやればやれないことはないのではないかというよりなことになりますると、それはもちろんそういう方向でもできるわけでございます。ただ、何分にもただいま申し上げましたような経緯で全体を作っておるわけでございますので、従来そういった特例が行なわれ、かつ今後ともそういうことが予想し得るというようなものはこの法律に取り込んでいく、こういう経緯でございます。
  71. 田中一

    田中一君 河川局から、一人ずつ。君、今までの三十四年、三十六年災害ばかりを中心じゃいけません。その以前に特異な災害の現象があるならばそ  れはどんなものがあったか。
  72. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 河川局の関係では、従来の特例は全部この規定に網羅されております。
  73. 田中一

    田中一君 この特例は、過去河川法ができてからもう七十年ぐらいになるのですね。七十年間の災害は全部これに盛り込まれておると、こういうわけですか。
  74. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) ずいぶん古い点につきましてはよく記憶がございませんが、最近の特例措置については網羅されておる、こういうふうに考えております。
  75. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 農地局関係でございますが、大体盛られておる、こういうふうに考えております。
  76. 田中一

    田中一君 ほかに来ていないかな。林野庁来ていないですか。
  77. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 厚生省でございますが、大体従来特例措置をとられたものは今回の法律に盛られておると思います。
  78. 田中一

    田中一君 これは奥野君に伺いますが、地方公共団体が行なってている公共企業体、この災害はどういう措置をとっておられますか、今まで。
  79. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) たとえば水道事業などにつきましても、災害を受けますと国が予算で補助をいたしております。そういうものは若干この法律の外であるわけでございます。それらにつきましてはやはり従来どおりやっていこう、こういう話し合いになっております。
  80. 田中一

    田中一君 たとえば一級国道、これはもうめちゃめちゃになっちゃった。その路面に市営の電車が通っている。むろん軌道ももう災害を受けておる。これを復旧する費用はその場合にはどういう分担で復旧しているのですかな。
  81. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 一般的に公営企業の災害復旧につきましては、特別な国庫負担制度制度化されていないわけでございます。水道等につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、そういう点につきましては地方債を発行し、地方債を財源として当該地方団体が行なうということになっておるのであります。ただ軌道敷等につきましては、道路の負担と、それから企業の軌道の負担といろいろ区分がございしますから、それに応じましてそれぞれの負担区分が適用されていくということになるのであります。
  82. 田中一

    田中一君 そうすると、大体起債で復旧をさしているということなんですね。
  83. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) そのとおりであります。
  84. 田中一

    田中一君 そのくらいこれは公共企業なんですから激甚地指定された場合には、そういうものは特例はないのですか。
  85. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) この法律にいいますいわゆる特別に財政法の対象になります事業は、法律の第三条に掲げてございますように規定されております。今御指摘のような点につきましては、公共土木国庫負担法の事業として対象になるかならないかという問題になるかと思いますが、この道路として公共団体の管理に属するものは公共土木施設になるわけでございますが、そういった軌道の財産になるようなものは、これは当然公共土木施設になりません。したがって、この法律の対象にならない、こういうふうに考えております。
  86. 田中一

    田中一君 やはり地方財政の窮乏というか、地方財政がきびしくなるということは明らかなんだから、やはり何もその公共団体が、大体において市街地電車なんというものは赤字です。黒字のところはありません。市民のためにやむを得ずやっているというところが多いのですよ。それが激甚地指定の場合には何にも一般災害の場合はむろんのこと、こういうきびしい災害を受けた場合には、何にも対象にならぬということなどは考えられなければならぬと思うのですが、その点どうですか。
  87. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 私は制度的にそういうものが現在ない、こう申し上げたわけでございまして、あるものは水道事業などでございます。その他のものにつきまして、やはり個別に事態に応じまして必要な経費は国が援助をするということになるのじゃなかろうかと思います。過去の例一々覚えておりませんが、事態によりましては、そういう公営企業につきましても国の援助を求めなければならないというよようなことが生じてくるのではないだろうか。こう考えておるわけでございます。団体の財政事情なり、あるいは災害の区分なり、そういうことから個別に判断せざるを得ないのじゃないか。  こう思っております。
  88. 田中一

    田中一君 宮崎君、これ君か立案したのだから、それ考えなかったのか。
  89. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) ただいま御指摘の問題につきましては、地方鉄道軌道等の災害についての特例として、これをどうするかというような議論も当然ございまして、いろいろ検討いたしたわけでございます。これにつきましては二十八年特例法においてそういった立法が行なわれた事例があるわけでございますけれども、その後現行の法律が改正されまして必要な場合には補助をし得る規定になっておりますので、これで対象とし得るであろうという所管省との話し合いで今回の法律に特別の条章は入れることはしなかったわけでございますが、ただいま財政局長のおっしゃいましたように、そういった非常に特別の事例がまた出て参りますと、この法律の外において問題にならないとは考えておりません。まあ二十八年当時に比較すれば、現行法のほうで前進いたしましたので、大体これでよかろうという主務官庁のほうの御判断で、これは今回盛り込んでおらないわけです。
  90. 田中一

    田中一君 最後に一つ。三宅島の噴火によって、噴火、あれは災害と見るのですか。何と見ているのです。そうしてあれに対しては救助法でも発動されましたか。小規模災害ですか。どういうことになっています。あの三宅島の噴火のことについてだれが一番適格かわからぬが、ひとつ詳細説明して下さい。それで対策としてどういう考えを持っているか。
  91. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 三宅島におきまする爆発につきましては、救助法では現在、世帯を単位に救助法の適用のものをきわめておったのでございますが、第四十国会で法律を改正いたしまして、多数の者が身体、生命に危険が生じ、また生ずるおそれがある場合、という規定を新たに設けまして、その規定に基づきまして災害救助法を適用いたしました。現在、乾パン一万八千四百食、カン詰五千食、寝具一千枚、衣料が四千点、その他副食が福神漬でありますとか、梅ぼしでありますとかたくあん、こういったものを相当現地に送付いたしましたほか、さらに医療班等も現地に派遣いたしまして診療にかかっておるわけでございます。
  92. 辻武寿

    ○辻武寿君 最初に、激甚地指定について二、三質問申し上げます。  激甚地指定については、これは当然公平にやるということは、先ほども総務副長官さんからお話がありましたが、いわゆるサンドイッチ台風というようなものが、大きな台風と台風の間にはさまったときの災害にあった場所、ふだんなら激甚地指定にならないような場合でも、そういういうような場合に激甚地指定になる場合がありそうであるということを聞いておりますが、そういうことについてはどういうふうに考えておりますか。不公平な場合も出てくるし、また、運がいいというものの見方もできる。そういういうようなサンドイッチ台風のために激甚地指定されないようなところでも指定されてしまうということがあるかどうか、これをお伺いいたします。
  93. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 従来の災害特例法のやり方におきましては、御承知のように、五月から七月ごろの豪雨あるいは秋の台風があったという場合に、五月から九月までというようなことで期間で特例法を作ったようなことになっております。その間における小さな災害もすべて特例法の対象になった場合が通常でございます。今回の法律適用するにあたりましても、基本的にはやはり標準税収入というような年度間の尺度をとりますと、年度間の通算は大体行なわれるであろうということは、いろいろ先ほど副長官から基本的な方針が示されたわけでありますが、御指摘のような小さなものを通算すべきかすべからざるかということになりますと、理論的には当然そういうものは通算すべきではないということになろうと思います。ただ、従来やっておりますのはどういうことかといいますと、やはり査定の技術上の問題もあるようです。ですから、査定技術上そういったこまかいものを一々区別して査定することができるかできないかという問題があるわけでありますし、いろいろございますので、結論的にはやはり中央防災会議において検討して方針を決定するそういうことになろうかと思います。
  94. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に、ダムの堤防決壊と  か、流水増のために下流の町村の一部が被災したような場合、いわゆる天災と言いがたいような災害の場合も激甚災害として指定した場合があるかどうかこの辺の見解を明らかにしていただきたい。
  95. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) こういった財政援助に関する法律は、そのもとになる公共土木施設国庫負担法、あるいは農林水産業暫定措置法というものに対しての特例かさ上げをしていくという考え方でござしいます。御承知のとおり、たとえば公共土木施設国庫負担法でありますれば、異常なる天然現象に基づく災害ということで、災害規定かございます。暫定措置法につきましても同様でございます。そういった場合には、異常なる天然現象という規定でございます。ただいまの御指摘のような人為的なものは、公共土木国庫負担法などの対象にならない、こういうように考えるべきかと思います。したがいまして、そういった母法において対象にならないものは当然激甚災害の対象にならない、こういうふりに考えるべきかと思います。
  96. 辻武寿

    ○辻武寿君 これは大蔵省関係になりますが、この法案が成立した場合、公布の日から施行する。予算の外債をどういうふうに未婚でおられるか。今まですでに発生した事例もありますが、総額の内訳をどういうふうに見込んでおるか。現在、予備費が二億ですか、それをこえた場合はどうするか。補正予算を組むのはどうか。
  97. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) ただいまのところ、被官報告額は、北海道の十号までを含めまして、大体公共土木関係で六百三十九億程度になっております。で、これらの従来の例によりまして、国庫負担する初年度の額というものを一応試算しておりますが、この前御説明申し上げた当時よりも若干ふえては参っておりますが、百億ちょっとの額が推計されるわけであります。もちろん、それは被害報告和を基礎にした推計でございますので、実施官庁からそれぞれ災害査定官を現地に派遣して目下査定して、それの復旧事業費を確定すべく努力しておるようでございますので、その確定次第によって数字に若干の異同のあることは当然でございますが、この程度の本年度災害に関する限りは、ただいまお話のありましたように、予備費の残も約百八十億円前後ございますので、査定が進行次第、予備費を順次支出して、災害復旧に充てることが可能であると思っております、すでに百億ちょっとこえた中には、一月−三月の冬季の風浪等に対する災害復旧につきましては、現地の査定が済みましたので、十億三千万円、八月の初句に予備費の支出を決定いたしております。
  98. 辻武寿

    ○辻武寿君 まだ災害はこれからもやってくることが予想されるわけでありますが、そういことも考えて予備費で間に合わせるという方針ですか。
  99. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) ただいまお答えしましたのは、今までの災害と、それからまだ若干の災害があっても幾分余裕があるという見通しでございますが、まあ今後のことでございますし、今後またどんな大きな災害が来るかもわかりませんので、その災害の来方いかんにより、また、被害額の大きさいかんによっては、予備費でまかない切れない事態も生ずるかもしれません。そのときには、国全体のその他の財源措置とからみ合わせまして、場合によっては補正予算で対処するということも考えられるわけでございます。
  100. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に、復旧工事のことについて質問いたしますが、例を一つ狩野川にとってみますと、台風があったのは、三十三年九月、田畑一万町歩を濁流にのまれた。それ以来、五年間もたっておるのに変わらず、農夫はまた水をかぶるのじゃないか、非常に不満をぶちまけておる。この最大の原因は復旧工事があまりにもおそく不合理なものであるということである。狩野川自体も、川の管轄が国や県や町というふうに三分割もされ、復旧作業も三者分業であります。工事が、始まると、町や県や国というふうに、事業主体が三者であるため、三者三様の利害が衝突して、いまだに手がつけられない場所がある。川の支流のごとき、台風当時のままでほうりっぱなしになっておる。これはほんの一例でありますが、こういう悩みを直接受けるのは国民自体である。こういう際に、対策が一元的にいかない点は、これは縦に考えれば、国や県や町というものにセクショナリズムがある。横から見れば、十一省にもわたる、あるいは建設省とか農林省とか運輸省とか厚生省とか、そういう官庁間のセクシヨナリズムに原因があると思うのですが、こういうセクショナリズムを排撃していべきである。こういう対策にはどういうことを考えておられるか。これは大臣がいれば一番いいのでありますが、大臣いなければ、次の人……。
  101. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) お話のように、所管が縦横とまたがっておりましてお話のような結果になりますことは、きわめて遺憾でございます。法的に、そういう情報を受けまして、私どもは連結調整という立場を持っておりますので、実はその他の問題につきましても、関係省のお集まりを願いまして、連絡調整という立場から措置をしておるのでございますが、ただいまのお話の件につきましては、即刻調査をいたしまして、必要でありまする場合には、関係者の、あるいは県、町村等も対象といたしまして連絡調整に当たりまして、今後、そういう事態が起こらたいように、あるいはこの場合には、すみやかにそれに対する措置考えたいという所存でございます。
  102. 辻武寿

    ○辻武寿君 そういうことは一元化するとともに、国土総合開発と同歩調で進めなければならないと思うのです。一元的な責任体制を確立すべきであると思うのですが、あなたも、そういうことはどうですか、一元的にすべきだと考えませんか、たとえば国土省というものでも設けて。
  103. 藤田義光

    政府委員(藤田義光君) 災害対策の一元化の問題に関しましては、先月十日に施行されました災害基本法に基づきまして、中央地方防災会議ができることは御案内のとおりであります。これに基づきまして、従来の縦横のばらばらの不統一の状態が相当改善されるしわれわれは確信いたしております。
  104. 辻武寿

    ○辻武寿君 中央防災会議ができたから、それで今までのようなセクショナリズムはなくなる、こういうお考えですか。
  105. 藤田義光

    政府委員(藤田義光君) こういう機構ができたことによって直ちに解決するとは思いませんが、御存じのとおり、地方にも会議がありますが、たとえば中央防災会議は、先ほど田中委員指摘のとおり、十七名の委員のほかに、事務局ができまして、総務長官が局長になり、下に三人の次長がすわり、局員として二十四名各省から全部出て参る。その下に三十四名の主事を置きまして、縦横の連携をとれる体制になりましたことは数歩前進じゃないか、かように考えます。
  106. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は中央防災会議ができたといって簡単にこの問題解決つくとは思いませんが、それはそれといたしまして、復旧費の支出がきわめておそい点についてお伺いするのですが、非常に復旧費の支出がおそい。狩野川の場合なんかも、最初の援助金は三カ月たってやっと個人の手におりた。ましてある町の例をとれば、約二億円のものが四年間たって支給されている。町や村ではその間ほかから借金をして工事の代金を立てかえている。こういう現状であるが、そういう弊害はもってのほかだ。こういうような行政上の欠陥は、すべからく被災地の復旧費の支弁をより円滑にすべきだと思うが、この点をどういうふうに解決されるおつもりであるか、大蔵省関係。
  107. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 災害の復旧につきましては、復旧工事の技術的な問題並びに補助事業等におきましては、国庫負担のかね合い等も勘案いたしまして、おおむね三年ないし四年で工事を進捗させることに今実施しておるわけでございますが、その計画に従っての復旧工事の場合には、その出来高に従って国からの補助金が支給されるわけでございますので、御指摘のような場合には市町村が仕越をしたような場合に立てかえ払いをしておるという事例かと思いますが、一応実施官庁におきましては、一定の復旧工事の実施計画に基づいてやっておりますので、工事のできた分については国庫の支払いがおくれるということは一応ないわけでございます。
  108. 辻武寿

    ○辻武寿君 実際には現地に行って見ると、そういう報告を受けるわけですから、そういうことはないようにしてもらいたい。  次に、復旧工事が計画が雑である。同じく狩野川を例にとると、その最もひどかった神島部落では下流に向かって左岸の護岸工事は完成しているが、一番早く工事をしなければならない危険なはずの右岸工事はまだほうりっぱなしで雑草が生えている。また、下流の三島付近は両岸に護岸工事が完成しているが、川底が毎年上がってくるため、四年後の今日さらに堤防を高くしなければ危険な状態となっている。現地の農民はなぜもっと恒久的な工事対策をやってくれないのだろう、こういうふうに言っておる状態であるが、伊勢湾台風の被害地も同様であります。こういう希望や嘆きは当然であると思いますが、計画を迅速に、すべてを一時しのぎの応急処置でなくて、恒久的な計画を施行して国民の生命財産を守ってやらなければならないと思う。そういうことに全力をあげなければならないと思うが、建設省はこういうことに対してどういうふうに考えておられるのか、こういう結果を知っているのか。
  109. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 狩野川台風は三十三年災でございますので、災害復旧としては昨年度で完了いたしております。したがって、ただいま御指摘の点は、災害復旧というより治水事業で措置をすべき個所ではなかろうかと思いますが、今後治水事業を促進する、そういうような点とあわせましてよく調査をいたしまして措置をしたい、こういうふうに考えております。
  110. 辻武寿

    ○辻武寿君 次に、伊勢湾台風の被災地を視察したのでありますが、そのときにこういう御意見があった。災害後金を持っておる人のほうが前にもましてりっぱな家ができた。金のない人は流されっぱなしで前の家とは比較にならないような貧しい家に住まなければならないようになった。天災が公的なものである以上、私は災害復旧費は全額国庫負担に移行させなければならない。国をあげて防災に努めるべきであると思うが、こういうことに対しては大蔵省はどういうふうにお考えですか。
  111. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 災害復旧につきましては、普通の復旧費につきましても、その地方公共団体財政力に応じて相当手厚い国庫負担をしておるわけでございますし、また、今回御審議願っておりますこの財政援助特別措置法も、さらに被害が大きい場合にはさらに国庫負担額を増大させていく、こういう考え方でおりまして、災害については国全体が国民の安寧福祉のために多額の国庫負担をする、こういう基本的な考え方は御指摘のとおりでございますが、また半面、災害につきましてはそれぞれの局地的な、地域的な事情もございますし、また、その復旧によって被害もありますが、半面利益も享受する面もございまするので、その一部につきましては当該地元民が負担をするというのが国全体の公平の見地から妥当ではないかと思います。
  112. 辻武寿

    ○辻武寿君 そのことについてはもっと聞きたいこともありますが、時間がありませんので、最後に象庁の長官にお伺いするのですが、災害を最小限度に食いとめるいめの気象予報設備についてでありますが、たとえば定点観測船が二隻あると聞いておる。交代に出るので実際は一隻の役にしか立たない。その一隻は戦時標準型といわれる船の改造船で、スクラップ寸前のものだということでありますが、常時三隻は必要だと聞いているのであるのに、レーダーも足りないし、観測用の飛行機も皆無で、台風の空からのデータはすべてアメリカの軍用飛行機の力を借りているという現状であると聞いております。こういうことではこの災害をほんとうに的確にキャッチして防ぐことはできないと思うのでありますが、気象庁の長官はこういうことに対してどういうふうに考えでどういうふうに努力をしておるのか、それをお聞きしたいと思います。
  113. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 災害防止に気象庁の役目の重大なることは十分に認識して、できるだけはお役に立ちたいと努力いたしております。御指摘の定点観測船でございますが、定点観測は現在土佐沖で五月から十月まで観測をいたして、この観測は昭和三十九年以来海上保安庁がその運営をいたし、気象庁が観測一員を派遣いたしております。海上保安庁におきまして船舶が老朽いたしまして次第に困難いたしておることを伺っておりまして、三十六年度に一隻新造いたしましたが、なおさらに船が必要と私も思いまして、できるだけ保安庁が船を整えられることを強く希望しておる次第であります。  次に、レーダーでございますが、気象用レーダーは台風あるいは豪雨の観測に非常に重要であるということは近年ますますわかって参りました。気象庁におきましててはすでに十一カ所全国にレーダーを設置いたす予算が成立しておりまして、実際にすでに観測をいたしているのが八カ所ございまして、札幌、仙台、新潟とただいま建設中でございます。  次に飛行機のことでございます。飛行機による観測は、台風の襲来にあたりまして非常にに有効であることは申し上げるまでもないと思いますが、この飛行機観測は現在米国空軍の手によって行なわれ、その観測資料は私どものほうに即刻届けられている次第であります。したがいまして、現在のところ、私どもはこの資料を活用し支障なく業務を行なっております。しかしこういうような飛行機の観測が自分の手で行ないますれば必要なときに必要な場所に派遣することができると非常に効果においても違いがあるかとも思いますし、また、米軍の資料を受けているということは、米軍と突然変更しないという約束はいたしておりまするけれども、不安がなきにしもあらずでございますので、私どもといたしましては、わが国の手で飛行機の観測をすることを計画いたし、ただいま気象審議会というものがございますが、それで検討をいたしている次第であります。飛行機は御承知のように、莫大の経費とかなりの危険を伴うものでございます。現在においては台風に対して最上とも思う有力な手段でありますけれども、現在の科学の進歩から見ますと、あるいは飛行機にかわるものも将来出ないとは申せないところもございます。私どもといたしましては、現在の気象事業というものは、この相次ぐ災害に対して内容を充実し、少しでも世間の役に立つというような気象打業にもっていくことに、またまだ手を入れなければならないことがたくさんございますために、このよりな莫大な経費と研究を要するものがおくれておったということは、はなはだ申しわけないのでございますけれども、私どもとしては、まず第一に、現状の内容を整備して、役に立つものにいたしたいということによってこうなった次第でございます。
  114. 辻武寿

    ○辻武寿君 私は、今お聞きのとおりでありますから、もっともっと政府は気象庁の設備を完備するように予算をとって強化すべきであることを要望して、質問を終わります。
  115. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連……。政府災害対策は、一言で言えば台風が来て堤防か切れる、橋が流れる、そこでそれを復旧する、こういうわけなんですね。原形復旧だから、また来年同じ台風が来ればまた堤防が切れる、これを毎年毎年繰り返しているだけだと言わなければなりません。これではいつまでたっても災害日本の汚名は返上することができないと思うのです。世界一の高度成長を誇っても災害に関する限りは、神武天皇の時代のほうがよかったのではないかと、こういうことになるわけなんですね。で、この際、政府はむだな軍事予算を大幅に削減することによって思いきって治山治水、災害防止対策を立てるつもりはないかどうか。これが一点です。建設省、自治省は災害防止の抜本策をどう考えているか。明年度の予算ではどのくらいの予算を組むつもりであるかどうか。これは自治省の政務次官ひとつ答えて下さい。
  116. 藤田義光

    政府委員(藤田義光君) 第一問は、これは私の所管外のことに関連いたしておりますが、須藤委員の御指摘の原形復旧ではだめだ、改良工事中心にすべきだという御意見には全く賛成でございます。国の財政と地方公共団体の財政の力がつくにつれまして、現在、原則は原形復旧になっておりますが、漸次改良工事のワクを広げていく、将来は改良工事を原則とするこういう方向にもっていくということをわれわれは念願いたしておるし、また、そういう計画もいたしております。  軍事予算関係に関しましては、須藤委員の御発言があったことだけはその筋に伝達いたしておきます。   それから、恒久的な対策、これは非常にむずかしい問題でございますが、戦後十七年経過いたしておりますので、この際抜本的に各方面の施策を総合して、そこで防災対策を研究する段階に来ておると思います。今回の中央防災会議の設置は、これに一歩前進を示すと私たちは期待いたしておりますが、現に建設省を中心に、治山治水十カ年計画、これは相当思い切った計画を現在立案中でございます。漸次御指摘の方向にもっていきてたいと考えております。
  117. 須藤五郎

    須藤五郎君 明年度予算ですね、こういう方面予算についてどのくらいの腹づもりをしていらっしゃるか、どうでしょうか。
  118. 藤田義光

    政府委員(藤田義光君) その点に関しましては、現在関係各省事務当局で立案中でございます。もうしばらくしますと案が漸次固まってくると思いますが、ただ、新聞の一部に、原案ができて自民党の政調会に報告したというような記事もございますが、まだ案は固まっておりません。したがいまして、ここで正確な御答弁なする段階でないと御了承願いたいと思います。
  119. 須藤五郎

    須藤五郎君 抜本的対策を立てるためには金がかかるのだということは、これは、その金はどこから捻出するかというと、どうも膨大な軍事予算を削限する以外に金の捻出場所はないと思うのです。また、これが一番正しいことじゃないかと私たちは思いますので、この点大いに次官ひとつ努力してもらいたいということと、来年の予算編成にあたっては、こういう法案も出ておることですから、やはり大幅増額の予算を立てて当たってもらいたいということを要望して、今予算を聞いてもまだ立案中だということで、数字をあげられることは困難だろうと思いますから、まあ、この程度にしておきます。  最近の災害として目立っておるのは、天龍川の北流に見られるように、電力会社のダムによる常時の災害だと思うんです。この間も相模川で六人の人がダムの放水のために流されて死んだというような事故が起こっておるわけですが、このダムの管理を独占資本にまかせておることによって、地域住民は甚大な被害を受けておる。この問題につきましては、政府はどういうふうに考えておられるか、具体的な対策、すなわち規制措置などを考えておられるかどうかということをはっきりひとつ説明していただきたいと思います。
  120. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 大災害がありますごとにダムの放流による被害の激甚、こういうことがよく言われるわけでございます。このダムの放流の点につきましては、河川堰堤規則によりまして操作規程をきめているわけでございます。その基本的な考え方は、上流から来る水以上にはダムから出さない、したがって、ダムがないときと同じような状態で放流の原則をきめておる、こういうわけでございます。したがって、異常な豪雨がございました場合には、下流におきまして気がつかないのに上流かどんどん豪雨がありまして、その場合にやはりその操作規程によって放流する場合に相当な量が放流される。ただし上流からの水以上には出していないのでございますが、そういう点についてやはり放流の通報といいますか、放流をする場合にいつどのくらいに下流でどういうことになるか、こういう通報の義務もあるわけでございます。そういう点を十分注意して注意しているわけでございますか、なお足らない点がございますので、今後さらに徹底してそういう通報の方法等について指導して参りたいと思います。
  121. 須藤五郎

    須藤五郎君 具体的にいうならば、この間の六人の死亡したようなあの責任は一体どうかとるのか、どこが賠償するのかという問題が起こってくると思うのです。あれは電力会社の放水によって起こった事件だから、その責任はすべて電力会社が持つのですか、どうですか。
  122. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 先般の相模川の問題につきましては、いろいろこちらとしても河川管理者の立場、県、市でございますが、それを監督している立場において現在調査いたしております。あれはダムの放流によるということになっておりますが、そのダムは県営の水道、灌漑用水、それから発電ダムでございます。したがって、さらにその調査を十分にやりまして、どういうところに責任があるかどうかということを現在検討中でございます。
  123. 須藤五郎

    須藤五郎君 河川は県知事の管理下にあると思うのですがね。ところが、ああいうことが一方的にダムの管理者によって、発電会社の一方的な行為によって、ああいう事件が起こったということについては、私はやはり発電会社は全責任ではないだろうかと思うのですよ。ところが、それを監督しておる側にもやはり責任があると思うので、この際ああいうことが再び起こらないように、はっきり責任の所在を明らかにして、そして一独占資本にああいう管理をまかしておいていいかどうかという点を、もっと政府として僕は研究しなきゃいけないんじゃないかと思うのです。まだ責任の所在は明らかにならないのですか。
  124. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 現在調査の段階でございますが、相模川のダムは県営の水道とそれから灌漑用水、それから発電に使っておりまして、今県営ダム、こういうことでございます。今後十分調査をやりまして責任の所在を明らかにするつもりでございます。
  125. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 関連して。ダムのことですが、フランスでこの前アーチダムか決壊して相当大きい事故を起こしたわけです。日本でもかなりアーチダムかできているか、先ほど人災であるから、激甚に指定できないという話でしたが、決壊はあのようなアーチダムがあちらこちらにできている。これではいつ起きるかわからない、かなりの被害の出る場合も相当出るだろう、そういう場合の考え方をちょっと聞いておきたい。
  126. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 最近ダムの一つの形式としてアーチダムを方々で作っておりますが、日本は地震が非常に多うございますので、地震の点を十分考慮して指導しておるわけでございます。したがって、ダムが決壊するといるようなことはないと思います。  しかし、今後もしそういうことが起きたと仮定したような場合には、やはり異常な天然現象によるものであるか、あるいは設計が悪かったかどうか、そういうような点も十分検討いたしまして、これが災害の対象になるかどうか、そういうことが問題になってくると思います。具体的に起きました場合には、十分調査してそういう点を検討して参りたい、そのように思います。
  127. 須藤五郎

    須藤五郎君 次に、お伺いしたいのは、地盤沈下の問題です。  伊勢湾台風並みの台風が、もしまともに東京を襲うとしましたならば、罹災者は実に二百万人、死者の数は、五万人を出すだろう、こういうふう専門家が警告しているわけです。これは八月二十日の読売新聞の座談会で専門家がそういう意見を述べておりますね、独占資本が勝手にポールを立てて地下水を汲み上げる、そのために地盤がますます沈下して大都市住民がこのような被害をこうむる、このような事態を政府は、いつまでもほっておくつもりであるかどうか。わが党は、政府は直ちにこれに対する抜本的な対策を立てることを要求するわけです。政府はこの地盤沈下に対してどう考えているか、それを明確に答えていただきたいと思います。
  128. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 建設省の所管が今の問題は全部ではございませんが、一応関係したところだけを申し上げますと、地盤沈下は地下水の過剰汲み上げということが研究の段階でありますし、今度百パーセントまではいきませんが、百に近いこういう結果が出ております。それの対策でございますが、やはり汲み上げを規制するという法律も通産省の関係でもできておりますが、それにその規制をするにはやはり地下水にかわる工業用水、これを作る必要があると思います。これを通産省の関係でただいまやっておられますが、この対策は早急に今着々実行中でございまして、あと一、二年で大部分は地下水の代替用水ができると、こういうように見ております。したがって、多少おくれるかもしれませんが、そういうような措置を現在やっております。
  129. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは大阪でこの間問題になりまして、地下水を汲み上げることを規制しようという法律ができたのは知っているわけです。しかし、あの程度法律でこれが全然防げるかどうかという点に私たちは疑問を打っているわけです。絶対地下水を使わないという法律にこれをはっきりさせておかないと、やはり地下水を汲んだほうが安くつくと、工業用水を買ったら高くつくというので、なかなか大資本家は工業用水を使おうとしないだろう、この点政府はどういりような見通しを立てておるのですか。
  130. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) そういう点になりますと、私のほうの所管外になりますので、お答えはしかねます。
  131. 須藤五郎

    須藤五郎君 所管が通産省ですか、通産省関係の方は来ておらないのですか。
  132. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 通産省からお答え願うべき問題でございますが、予算関係でタッチしております範囲でお答えいたしますと、建設省のほうからお話がございましたように、御指摘の江東地区につきましては、三十一年ごろから調査にかかりまして、沈下の状況並びにこの地区における地下水のくみ上げ状況等について詳細な調査を行なった次第でございますが、その結果によりまして、一つは当面の緊急対策としての堤防の補強並びに築造の事業をやるということで、東京湾恒久高潮対策事業という名称のもとに、建設省及び運輸省の所管によりまして高潮対策の事業を実施いたしております。この事業は、相当の進捗を見せておる次第でございまして、一応三十二年から始めました当初の計画は、あと一、二年で完成するという段階に来ております。  それから御指摘の地下水のくみ上げに対する対策といたしましては、根本的には江東地区におきまするくみ上げというものを非常に大幅に減少するという必要があろうかと思うのでありまするが、水源量の制約もございまして、まずとりあえず着手する問題として、三河島下水処理場における下水の浄化用水を転換するという計画が実現いたしまして、これが一昨年度から工事にかかっておりまして、工業用水事業としての国庫補助が行なわれております。  なお、今後の問題といたしましては、江戸川並びに中川方面から工業用水を送ったらどうかという計画もすでにいろいろ調査が行なわれております。さらには利根用水系からの工業用水の取得という問題につきましても、水資源開発の一環といたしまして、今年度から水資源開発公団も発足をしておりますので、その事業を進めるということになっております。  なお、これ以外に地下水のくみ上げといたしましては、ビル用水等のくみ上げも相当の量に達するわけでございますが、これにつきましては、前国会におきまして規制の措置法律がができまして、今後そういった方針によって実施し工いくということになろうかと思います。
  133. 須藤五郎

    須藤五郎君 地下水の問題は、徹底した政策を立てないと、工業用水が間に合わないから地下水を使っていくのだというような、そういうのんきなものの考え方をしておったのでは、地盤沈下がどんどんどんどん今日沈んでおりますから、結局独占資本が地下水を使うことによって安い地下水を使って金をもうけていく。そして地盤が沈下していく。その跡始末は国庫が金を出して、不細工な堤防を作って、都市として見た場合にずいぶん体裁の悪い都市になっていくというような悪循環がありますから、これは多少思いきって地下水を使わせないということと同時に、工業用水を一日も早く確保するということを決意をもって当たらないと、問題になかなか解決しないだろうと思うのです。  第二の問題は、所得倍増計画によりまして拡大される工場敷地は、各府県による工場誘致の分を入れると、今日計算すると約五億坪にもなると言われておるわけです。ところが、これらの工場用地に必要な道路港湾などは全部を国が作るわけではないのです。大部分が地方自治体の負担となっておるわけです。ところが、こうして地方自治体が地域住民の負担で工業地帯の造成をやっても、最近では設備投資の繰り延べによりまして独占資本が土地代金などを払わない、こういう状態が起こってきておる。その払わないために地方財政に大穴があくという事例が、千葉児、岡山県、神奈川県、大阪、大分など各地に起こっておるということを聞きます。これも八月三日の読売新聞に出ておるわけです。この実態は一体どうなっておるのか、詳しくひとつ説明をしていただきたい。土地代金などの滞納額がどのくらいになっておるのかということもあわせて御答弁願いたいと思います。
  134. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 工場誘致のために土地を造成する、特に埋め立てに上りまして土地を造成するという、企業の誘致を行なうというようなことが一般の例でございまして、おあげになりましたのも大体そういう地域のようでございます。その場合に、所要の資金につきましては、なるべく工場がそこに来ることが確定したところからやらしていきたい。そういう意味で、その所要資金について地方債を認めますことと、来るであろう工場に資金を引き受けてもらうというような方向で、地方債の許可を行なっておるわけでございます。なおまた、売却いたします場合は、その金額について、たとえば港湾施設を必要とするとかあるいは道路を必要とするとかいう場合に、それらの経費も造成費の中にぶち込んで単価をきめるというふうな方向で指導して参ってきておるわけでございます。大体においてはそういう方向で運営しておると思います。ただ、その場合に、将来来るであろう工場に資金を出してもらいまして仕事を進めていくわけでございますけれども、金融がかなり逼迫をして参ってきておりますので、その資金があてにできなくなってきておる。こういうことが千葉県その他において相当見受けられて参ってきておるようでございます。しかし、すでに完成しておる土地を引き渡したにもかかわらず、また土地代を支払わない、こういう例はまずないのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。なるべくは工場が来ることが確定して、当該団体が土地を作ったけれども工場が来てくれないこういうような事態を避けようとしますために、なるべくそういう資金については縁故資金、来るであろう工場に資金を出し  てもらう、そういうことで指導して参ってきておるわけでございます。そういう部分が、今の金融逼迫からかなり計画くずれになってきておる、そのために千葉その他においてはかなり困ったことで、できる限りその資金を政府資金その他で持ってもらいたいという意見が相当出てきて参っておるわけでございます。
  135. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかし、新聞によりますと、もうすでに金を入れた……、それじゃ買うてもらうという約束で地方自治体が金を注ぎ込んでそれを埋め立てをしたところが、その金が払ってもらえないという状態が起こっているでしょう。
  136. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 今おあげになりましたような事例が皆無だと申し上げるわけじゃございませんけれども、多くのものは私が申し上げたようなことでございます。金額的にも大量に宅地造成をやっておるものですから、相当なものに上っておるだろうと思います。すでに土地を売り渡しているのに金を渡さないというようなのは、まず例外的なことじゃなかろうかと、こう思います。
  137. 須藤五郎

    須藤五郎君 その払うべき金を払わないという状態が起こっておるということは、あなたも認めるわけでしょう。要するに、約束して、払ってもらえるということを前提として自治体か埋め立てをする、ところが払ってもらえない、そうしたらその払ってもらえない金はどこが負担をするか、自治体が負担をする以外に道がないでしょう。自治体財政を脅かすという結果になっておるので、その金額は合計どのくらいでありますか。
  138. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 今私が申し上げましたように、資金繰りの問題もございます。会社がその資金を出してくれると思っておったけれども、会社のほうが金詰まりで資金を出せない。そこで地方団体のほうでは政府資金で持ってもらいたいこういう話が出て参りましたり、あるいは銀行資金に仰いだりする等で、いろいろ苦慮しておるわけでございます。全国でそういうような宅地造成を計画をしておりますのはたしか二百億円内外じゃたかったかと思います。その中で縁故の資金を予定しておりますのが、百億内外でございます。
  139. 須藤五郎

    須藤五郎君 ちょっとあなたの言うのとこの新聞記事とは違っているのですがね。「千葉県は千葉市南部の五井・市原地区に続いて、今春から隣接地五井・姉崎」何々々ですね、「埋め立て造成工事に着手、ここに丸善グループ、三井グループ、東京電力、出光興産が進出することになった。ところが景気調整にともなう極度の金詰まりから、進出会社の予納金支払いがおくれ、滞納額は同県の県税収入に見合う約五十億円に達している。このため同県は三井、三菱、三和、富士、地元銀行など二十三行からの協調融資、縁故債、千葉県開発公社の肩代わりなどによって立て替え払いをしているが、」云々と、こういうようなことになっているんです。
  140. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 若干その記事が正確を欠いているんじゃないかと思います。今お読みになりましたところにも縁故資金とかいうようなことが出ておりましたが、実態は私が申し上げているようなことでございます。
  141. 須藤五郎

    須藤五郎君 独占資本のこのようなめちゃくちゃな投資計画によってその犠牲がすべて地域住民にしわ寄せされることよ、これは許すことができないと思うんです。そういうふうに私たちは考えるわけです。こんなことでは災害が起こっても地方自治体が災害を復旧する財政能力がなくなってしまうと私は考える。だから、地方財政を守る建前からも、こういうことは許してはいけないんじゃないですか。それに対してどういう対策をあんたたちは考えていますか。
  142. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、土地を作った、それだけでその土地が生きて使えるわけじゃございませんで、護岸を整備いたしましたり、道路を作りたりしなきゃならないわけでございます。それらの費用を土地代にぶち込んで土地の価格をきめていく、こういう指導をして参っているわけでございます。同時にまた、資金が政府資金ばかりに求められませんので、縁故の資金その他の資金を使うわけでございます。その利息分をこの造成費の中にぶち込むわけでございますので、実際かかった金で買ってもらう、こういう約束をしているわけでございます。その場合にでも、約束をしておきながら土地を買ってくれない場合には困るわけでございますけれども、なるべく来るであろう会社に資金を持ってもらう。同時に、買ってもらいます場合には、単に元本ばかりじゃございませんで、利息も加えた額で最後の引き取り価格にするというような約束をして参っておるわけでございます。そういうことで、企業資本のために住民に負担が転嫁されるということのないように指導をして参ってきております。今後ともそういう気持で指導していきたいと思います。
  143. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たいへん時間がなくなりまして、与えられた時間が十分程度ですから、簡潔に質問なり意見を申し述べてみたいと思うんです。  本法は、今までの三十四年災並びに三十六年災の天災の経験から基づいて、その不備なり不足を補って、国民の安寧福祉に寄与する、こういうことが根本の理念になっているんじゃないかと、こう思うんです。そういう立場で全般の法律をながめてみ、さらに参考資料を出されておりますから、この資料の中での国庫負担額なりあるいは補助率を見て参りますと、かなり従来の法律から見ますると前進しておるようにうかがえるわけで、さらにただいままで各それぞれの委員から質問がありまして答弁を承っておりまして、おおむね認識を新たにし、理解を深めたのでありますけれども、ただ一つだけこの際この法律の中で若干さらに考えなきゃならぬ点があるように思うんです。その一つというのは、今度の災害をながめてみましても、従前もそうでおったと思いますけれども、非常に個人災害が多いんです。ですから、個人災害なりあるいは被害に対しても財政的な補助なり援助なり助成という特例がないように思うけれども、この点について総理府の副長官ですね、どう考えておるかということを伺いたい。
  144. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 今もし私聞き間違いましたら、ひとつお許し願いたいし思います。純個人的なものは入っていないように私は考えております。そういう御質問ではなかったでございましょうか。
  145. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ここに入っていないでしょう。
  146. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) はい。
  147. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですから、こういうものに対して特例考えられないかどうかですね。
  148. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) 第五章の関係で若干入っているのがございます。
  149. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ほんの部分的なものですね、生活保護法の関係とか。
  150. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) はい。
  151. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうでなくて、もうちょっと端的に言うと、個人災害というのは被害ですがね。現実に家屋が流失してしまう、あるいは自分の持っておる水稲——水稲などは共済制度があり出すから、ある程度補償されますがね。田畑などというものは、全く今のところないわけでしょう。こういった個人財産といいますか、こういうものに対する大きな被害をこうむったような場合の補償なり財政援助なりあるいは助成というものは、どう考えておりますか。
  152. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 個人災害にもいろいろございますが、御質問趣旨を大きく分けて、農家のような場合に、田畑の被害を受けた、その田畑に対して国の援助の措置があるかないか、また、農家でない一般の商店とか勤労者のような場合に、自分の持ち家を壊したとか、または持ち物を滅失した、そういう場合に援助の措置があるかないか、こんなに大きく分けて二つになろうかと思います。その際に、前者の農地の場合には、この激甚災にもありますように、市町村かかわってその農地、農業川施設の復旧してやった場合には、国からその起債の元利償還の規定がございます。一般の勤労者等の個人災害に対して国から見舞金等の措置、そういうものはございません。ただ、世常更正資金または母子福祉貸付金、災害救助法に基づくところの災害の生業資金、こういったふうな制度として貸付金の制度はございます。また、この本法にもございますような中小企業のような場合には、それぞれの公序、金庫から融資の道があるわけでございます。ただ、一般的に被災者に国から弔慰金なり見舞金なり、こういったふうな措置考えられないかというふうな御意見かと思われますが、この点につきましては、従来から政府として、過般の国会でも総理からもお答えいたしておるわけでございますが、災害もちろん当事者にとってはお気の毒でございますが、国全般の公平の原則、または、そういう措置をとることによる国の莫大なる財政負担等を考慮して、そこまで被災者個人に対する見舞金等の措置は現段階では行き過ぎではないか、こう考えて、今回の法案にも取り上げておらない次第でございます。
  153. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 今の答弁で非常に私は特にそのことを強く感ずるんですけれどもね。この法律全体でいくと、公共災害についてはかなり高い率で救済されるようになっていること、御承知のとおりなんですよね。でまあ今の答弁でいくと、見舞金制度なんというものはない。こんなことでなくてね、法律で個人の災害なり被害というものは——それぞれ制度はありますよ、天災融資の関係であるとかなんとかかんとかで、ここにありますね。あるけれどもね、これはあくまでも本人の借り入れた金になるわけですから、いわば借金になるわけでしょう、端的に言ってね。平易な言葉で申し上げますと、そういうことになりますね。そこで、現実の問題としては、去年の災害、ことにことしの場合は、九号の災害——北海道の場合ですね——災害を受けて一週間を経ずして第十号台風を受けている。それが累積されて、災害自体の原因にさえもなっている。こりいうことになりますと、現状、この一人の農民を例にとってみましてもね、すでに五十万から百万くらいの金額をそれぞれの措置における借金をしょっているわけですよ。ですから、さなきだにもう生活が疲弊こんぱいしているわけなんです。こういうものですから、こういうものに対しても、今度まあまた貸してやるから、立ち上がる資金貸してやるから、やるからいいじゃないか、こういうことでなくして、こりいうものに対して、やはり救済をしたり援助ということが、この法律適用したらそれで、生業資金貸したらそれでいいじゃないか、こういう理屈になるから、納得のいくもっとあたたかい、大きな、国としての立場からですね、そういう特別の措置がとれないものか。この法律で直ちに考えることはできないとするならば、将来に向かってそういうことをやはり検討してみべきじゃないかというような気が、現実われわれ調査してみて、わかるわけです。それで私はここで副長官にお尋ねしたわけです。どうですか、その点。
  154. 石田朗

    説明員(石田朗君) お答え申し上げます。  若干補足してお話し申し上げたいと思いますが、ただいま、個人災害に対する手当がないではないかという趣意のお話でございました。これにつきまして、農業関係につきましては、先ほどもお答えがあったわけでありますが、農地等につきましては、田畑にかかわらず、これは国の補助によりまして災害復旧をやっておりますことは御承知のとおりでございまして、激甚災害につきましては、今回の法律でその補助率かさ上げをしております。それから、今先生からもお話しございましたよりに、個人のさらに経営費その他につきましては、たとえば稲であるとか麦であるとか家畜等につきましては、これは共済の手当、それからいま一つ、これは借金であるから返さねばならぬというお話でございますけれども、確かにそういう点もあるわけでございますけれども、これは経営費というものの性質からいたしまして、天災融資法によりまして低利の資金を貸し出しております。これも今回の激甚災の法律によりまして、その貸付額、限度額を引き上げるというような措置を講じておるわけでございます。ほか、中小企業等についてもいろいろ措置があるかと思いますけれども、農業部面につきましては、今までいろいろ考えられます制度としては、まあできるだけ手を打って参ったというつもりでおります。もちろんこれで十分ということが言えるかどうか、これは今後とも  検討いたさなければならぬと思います。私どもも検討を進めておりますけれども、個人災につきましても、農業生産の面、農業経営の面、これらのことを考えまして、農業政策上から必要と思われます措置はそういうふうに執行して参るということは追加して申し上げておいたらよろしいかと思いまして。
  155. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 今総務課長が申されたようなことは承知しておるのですよ、僕はね。問題は、同じ農民で、この畑作の農民などというのは、この災害にあっちゃってですね、一つの例は、馬鈴薯なら馬鈴薯を作っておるもの、あるいは燕麦など同じことですが、全部流失しちゃって、それに加えて土砂が全部流されて、畑などと言われるようなものじゃなくて、全く河川の一つの状態になっておる。こういうものについては今何もないでしょう。全然ないとは言えないけれども、ほとんどないと言っていいですね。そうですね。で、そういうものについては営農資金とかあるいは天災融資ということでやるということになっておるけれども、それだけじゃもうとてもじゃないけれども、勤労意欲どころか、それは国民の安寧福祉を基本としてなどといったって、ナンセンスな話なんだね。だからそういう面についてやはり、今ここで私は直ちにできないとは思うけれども、将来に向けてそういうものについてもやはりかなり各省で検討してみて、いつかはやはりそういう実情に即するような特例法というものを作らない限りは、これはやはりいけないのではないかというような気がしたものですから、この立案者のほうに尋ねをしているわけなんです。副長官どうですか。
  156. 古屋亨

    政府委員古屋亨君) そういうようないろいろの御事情もございます。関係省において現在までのいろいろの法令の適用におきましてなお措置し得る点があるかどうか、あるいは行政措置等についていかに処置できるかということを十分検討いたしまして、その意味において私も検討してみたいと思います。
  157. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、今までいろいろ答弁をされてきて、特にこの災害指定、さらに査定の問題ですけれどもね。この法律ではすべて地方防災会議なりあるいは中央防災会議できめるということなんですね。ですからこの法律をそのままこうながめてみますると、結果的にはこの災害激甚災害地を指定するということではなくして、災害のこの規模の指定被害の査定をする、それがつまりこの中央防災会議なりあるいは地方防災会議でやる。まあこういうことになっておるようにうかがえるわけです。  そこで、私はこの法律がかりに成立いたしたとしても、これを具体的に執行していく点においては、かなりその会議でそれぞれ指定してみたり、あるいは政令指定するわけですから、こまかな問題ですね。たとえば補助率の問題なんかもそういうことになるわけですけれども、要はですね、この成立後の法の運用と私は適用にかかわるのじゃないか、その実を上げるにはですね。こう思いますので、ぜひ、この法を具体的に審議、審査するのは地方行政委員会のほうでやることになろうから、私は追って私どものほうの災害特別委員会の方々ともお諮りしてですね、意見意見として出しますけれども、この際は、たとえばこの率の問題にしてもですね、この地方負担額の点ですが、市町村負担等の問題についてもゼロから五%と、こういうふうにまあなっているわけですが、こういう場合はおおむねこの五%とかあるいは道のほうの関係、都道府県のほうの関係ですね、こういう場合はゼロから一〇%と、こういうふうになっておりますね。ですからこれは本法三条の指定規定からいく標準額だというふうに思いますけれども、こういう点についてもですね、都道府県の場合はおおむね一五くらいから二〇にすると、こういうふうにさらに緩和をするような私は努力をしていただきたいというふうに思うのです。  それからもう一つは、さらにせっかくこれだけの今までの体験、経験を生かしての法律を作り上げるわけですから、したがって、この従前の地方の財政収入基準額の百分の九十というやつを百分の百というようなことがなされないかどうかですね、こういう点についても地方行政委員会のほうとしては、もっと私は議論していただきたいものだというふうに実は希望を持っているわけです。とりわけこの査定の段階に入ったならばできるだけ、御承知のように、地方市町村、自治団体というものは、私も地方の行政制度を若干預かってきた者として申し上げるわけですけれども、きわめて財政が逼迫をしております。ですから、そういう中におけるこの法の適用ですから、できるだけ弱小の地方公共団体の財政負担を軽減していくという精神でこの本法をできるだけ生かしていただきたいものだ、こういうことが一つ、これまた希望として申し上げておきたいというふうに思うのです。  さらにその他いろいろございますけれども、いずれは地方行政委員会で審議、精査され、そうしてまた、議論をするわけですから、そういうところに私どものほうとしてもさいぜん申し上げたように、いろいろ御相談申し上げて意見を出すことをこの機会に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  158. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑もないようでございますので、本連合審査会はこれをもって終了することにいたしたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 石谷憲男

    委員長石谷憲男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これをもって散会いたします。    午後五時十二分散会