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1962-11-30 第41回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十一月三十日(金曜日)    午前十時三十分開会   —————————————   委員異動  十月十九日   辞任      補欠選任    岡村文四郎君  井川 伊平君  十一月十七日   辞任      補欠選任    吉江 勝保君  米田 正文君  十一月二十一日   辞任      補欠選任    林田 正治君  重政 庸徳君  十一月三十日   辞任      補欠選任    久保 勘一君  青田源太郎君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     辻  武寿君    理事            藤野 繁雄君            田中  一君            村尾 重雄君    委員            青田源太郎君            天埜 良吉君            井川 伊平君            稲浦 鹿藏君            鍋島 直紹君            温水 三郎君            杉山善太郎君            林  虎雄君            渡辺 勘吉君            小林 篤一君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    総理府総務長官 徳安 實藏君    内閣総理大臣官    房参事官    島村 忠男君    大蔵省主計局財    務調査官    宮崎  仁君    農林省農地局災    害復旧課長   梶木 又三君    食糧庁業務第一    部長      田中  勉君    建設省河川局次    長       鮎川 幸雄君    建設省住宅局住    宅総務課長   沖  達男君    自治大臣官房参    事官      松島 五郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○災害対策樹立に関する調査  (砂防事業に対する起債に関する件)  (激甚災害に対処するための特別の   財政援助等に関する法律指定基準   に関する件)  (治水事業に関する件)  (被害米作農家予約概算金返納及  び米穀配給等に関する件)   —————————————
  2. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  十月十九日、岡村文四郎君が辞任され、井川伊平君が選任されました。十一月十七日、吉江勝保君が辞任され、米田正文君が選任されました。十一月二十一日、林田正治君が辞任され、政庸徳君が選任されました。   —————————————
  3. 辻武寿

    委員長辻武寿君) この際お諮りいたします。  委員異動に伴いまして理事が一名欠員となっております。つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より米田正文君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑の通告がございますので、これを許します。田中君。
  6. 田中一

    田中一君 災害対策の何といっても一番の必要な先行すべき事業としては、私ども常々砂防事業が先行しなければならぬということは考えておりますが、農林砂防については地方債というものを認めておりながら、建設砂防については、いわゆる渓流砂防については地方債を認めておらぬという現状は再三今までにも指摘して参りましたけれども、現在どのように取り扱われておりますか。まず自治省から伺います。
  7. 松島五郎

    説明員松島五郎君) お答えをいたします。  砂防事業につきましては、現在、国の直轄事業として行なっております砂防事業については、地方負担金、これは直轄事業債として起債対象といたしております。それから緊急砂防事業あるいは特殊緊急砂防事業として行なっておりますものも同様に起債対象といたしております。  今御指摘のございました問題は、一般砂防の問題でございます。農林省関係は考えておるのに建設省のほうだけ考えてないのはなぜか、こういう御指摘でございますが、農林省治山事業の中には、崩壊地復旧というものと、それ以外のものとがありまして、これは予算科目の上ではっきり分けられておりますので、崩壊地復旧のほうは私ども起債対象として今日まできておるわけでございます。ところが、建設省のほうは通常砂防一本になっておりまするので、そのうちの、農林省のいわゆる崩壊地復旧に相当するものとそれ以外のものとが分けられないという経緯から、今日まで通常砂防については起債対象といたしておりません。もちろん、全部を起債対象にするようにしたらいいではないかという御指摘もあろうかと存じます。これは、御承知のとおり、昭和二十九年あるいは三十年当時、地方財政が非常に窮迫いたしました当時、地方財政窮迫原因として幾つかあげられましたものの中に、地方団体が行ないます事業について、一般財源を与えずに地方債をもってつないできたことが地方財政困窮原因一つであるということが強く指摘されたわけです。そのとき以後、できるだけ一般公共事業については地方債の充当という方法によらず、いわば充足的な財源をもって措置する、将来に債務の残らないような形で財源措置をするという方向起債対象事業を整備して参りまして、主として災害復旧事業あるいはこれに類するもの、それから河川総合開発事業のように、これは多目的ダムでございますが、同時にある地点に特に多額の経費を要するものというふうに限定をしてきておるものでございます。そういういきさつから、今日、通常砂防事業につきましては起債対象となっていない、こういうことでございます。
  8. 田中一

    田中一君 そうすると、まず最初には、農林省砂防予算上の分け方が適当であるから出し得るのだ、建設省砂防予算の立て方が全部一つになっているからできないのだという、何というのですか、人為的な理由が一つ述べられておるのですが、その点については、河川局次長、どういう相違があるのですか。
  9. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) ただいまお話しのように、また、自治省から御説明があったように、建設省砂防事業の中でも、緊急砂防特殊緊急砂防についてはすでに起債対象としているわけでございますが、通常砂防についてはまだ起債対象にはなっていないのであります。  そこで、農林省の中で荒廃地復旧に関する事業については起債対象になっておるので、通常砂防についてもこれを起債対象にしたらどうかという御指摘かと思いますが、これにつきましては、通常砂防全体についてこれを起債対象とするかどうかということについては、ただいま自治省からもお話がございましたように、地方財政立場から、起債によって処理するものと、その他の税金その他のものと分けて考えられておるわけでございます。そこで、これを全部にするかどうかについては、私どもとしましてもいろいろと問題があるかと思いますが、先ほどお話がございましたように、通常砂防の中におきましても、予防砂防的なものと、荒廃渓流に施行するような事業等があるわけでございますが、そういういわゆる災害復旧的な、あるいは農林省崩壊地復旧に相当するような事業につきましては、これは私ども起債対象としてやられるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、通常砂防の中身につきまして、できればそういうものを小分けいたしまして今後起債対象にしてもらうようにということで、今自治省相談をいたしておるという状況でございます。
  10. 田中一

    田中一君 これは自治省に申し上げますけれども、たとえば、一つダムが築造されると、その上流の各沢々の土砂が流れ込んで、大体においてダムというのは百年湛水し得る、埋没するには百年かかるという推定のもとに——推定というか、はっきりした基礎的数字をもって百年という耐用年限をきめてあるわけです。ところが、その上流における各沢にしても、一度災害があれば、直ちにそこから土砂が流れ込む。現に、われわれが知っている範囲におきましても、三年間で三十年分の土砂が流れ込んで、機能が減殺されているということがある。この多目的ダムの多目的目的一つとしては、砂防的要素も含まれているかもしれませんけれども、それが結局、百年という耐用年限というものを推定して、それはしっかりした数字の上に推定している。その推定しているものは何かというと、やはり予防的な要素が、施設が、各支流から流れ出る土砂を防ぐという前提に立って、あるいは土砂が流れないという前提に立って、流れないならば百年でこれを埋没するだけの量しかないのだという前提に立って計算されている。したがって、一つダムができるためには、そのダム機能というものを予定されている年限だけ守ろうとするならば、当然その上流における各支流予防的砂防を施さなければ保てないわけです、現在百年の寿命を考えているならば。百五十年もたす、二百年もたすということになれば、またそれだけ予防的な措置をとらなければならぬと思う。それをしないで、現に莫大もない金を使った多目的ダムが埋没をしているのです。とにかく災害があればそれに対する対策、いわゆる金を出せばいいんだという考えでなくて、どこまでも予防的措置というのが治山のもう第一の要素です。予防以外にないわけなんです。災害を受けないように措置するのが政治の姿なんです。現在では、まるきり、災害があってから初めて防災的な施設をしようという考え方に立っているんです。これは間違いです。したがって、何といいますか、強制されている砂防事業というものを考えた場合には、ダム等ができた上流はどうしてもしなければならないんです。当然これは市町村が行なう場合には、荒廃地云々なんという問題でなくして、将来の問題を考えるならば、当然その意欲を地方自治団体に持たせなければならないと思うんです。そんなことを今さら言うのはおかしいと思うけれども、少なくとも長い間こういう問題を要望してきているんです。  そこで、今河川局の話を聞くと、話し合いをしているというけれども話し合いの段階はどの辺まで進んでいるんですか、そして自治省としてはそれに対してどういうこたえ方をしようとしているのか。
  11. 松島五郎

    説明員松島五郎君) 砂防事業の重要なことは、先生も今御指摘のとおりでございます。私ども砂防事業を軽視しているつもりではございません。現在のやり方は、先ほども申し上げましたように、なるべく同じ仕事をやるにいたしましても、借金で将来に債務を残すというようなやり方でなくて、その年の財源で、地方交付税なり、あるいは地方税でもってやれるという方向に持っていきたいということでやっておるわけでございます。したがいまして、国が計画いたします砂防事業に伴います地方負担は、できるだけこれを交付税計算上の基準財政需要額に入れていこう、そして交付税交付対象にしていこうということでやっておるわけでございます。ただ先生も御承知のとおり、交付税計算というのは、一定の客観的な資料に基づいて実施いたします。砂防事業の場合には、荒廃地面積をとって、その面積当たり幾らというようなやり方をやっておるわけでございます。  そこで現実の問題となりますと、ある地点において、あるいはある地方団体においてある年に行ないます事業と、その年に与えられます基準財政需要額といいますか、そういうものと必ずしも一致しない場合があり得るという問題があろうかと思います。この点をどう調整していくかということだと思いますが、今日まで、現実の毎年の事業費基準財政需要額との間に非常に大きな差があります場合は、その差はその年度の問題として特別交付税で処理をいたしておるわけでございます。したがいまして、砂防事業に対して財源を与えない、したがって仕事ができない、というような方向で考えているわけでは必ずしもございません。ただ、今申し上げましたように、一般的に荒廃地面積基準にして計算されます財政需要額というものと、個々団体個々の年に行ないますものとが必ずしも一致しない場合があり得る、それをどういうふうに処理していくかという問題であろうかと思います。その点につきまして先ほど河川局次長さんからもお話がございましたように、通常砂防事業のうちでも、農林省において崩壊地復旧として取り扱われているような類似のものについては何らか考えるべきではないかというお話を承っておりますので、私どももそういう立て方ができますならば、それも一つ考え方であろうということで今検討をいたしておるわけでございます。たとえば、特殊緊急砂防事業のようなものにつきましては二年、通常ならば緊急砂防として第一年目だけかやらないものを、特殊緊急砂防のときは何年間か計画に従って同じものを何年か続けてやる、それは起債対象にしているというわけでございまして、この方向がある程度確立されるならば、私どもは検討したいと、かように考えておるのでございます。
  12. 田中一

    田中一君 今の課長の話を聞いて、一応そういう方向に向かおうとしていることは了解できますが、河川局はもう少し強くその問題を推進して、少なくとも三十八年度の予算が通るまでには、それらの問題を解決していただきたいと思う。その点の心組みはどうですか。
  13. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 先ほどからお話がございますように、砂防事業治山治水事業において非常に重要な役割を占めているわけでございますが、その中でも、特に通常災害事業というものは非常に大きな役割を果たしているわけでございます。したがいまして、それに伴う国費はもちろん、地方負担の額も相当大きくなっているわけでございまして、それに対する財政需要、いろんな面から考えなければならぬのでございますが、その中で特に起債をもってすべきようなものにつきましては、私ども農林省で行なっておりますような方法に準じて、しかもかつ地方財政の原則をくずさないという立場を、調和させるような立場で今後自治省とも十分相談を進めまして、事業が促進しますように努力いたしたいと考えております。
  14. 田中一

    田中一君 いつまでに……。今言ったように、時間が入ってない。三十八年度予算の編成にあたって考慮されなければ困るのです。
  15. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) できるだけ早く解決いたすように努力いたしたいと思います。
  16. 田中一

    田中一君 できるだけ早くじゃ満足しません。いつまで。そうすると三十八年度の予算はそのようなことを含んで措置するというように理解していいかな、自治省も。
  17. 松島五郎

    説明員松島五郎君) 農林省のほうは、建設省緊急治山事業が、二年目以降は通常治山事業と、それから荒廃地復旧という二つの形にして、緊急治山のほうは荒廃地復旧という事業費に移り変わるようになっていると私は理解しております。でございますので、予算の立て方をそういうふうに建設省のほうでしていただきますならば、農林省との均衡もございますので、私どもも同じように取り扱っていくことができるのではないか、かように考えております。
  18. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) そういう方向で私ども作業いたしておりますので、話がつき次第、三十八年度にもできるかと思いますが、現在これを三十八年度にするかどうかということにつきましてはお答えできかねます。
  19. 田中一

    田中一君 じゃ、河川局次長答弁できないのだね。そうすると、だれだったら答弁できるのですか。そのような事務的な、事務的というか、扱い方をしてくれれば、それは当然、おそらく自治省は、現在と同じような形のケースの事業だから起債可能だと言っているにもかかわらず、どうしてできないんだ、大蔵省が何かブレーキをかけているの、君のほうに、河川局のほうに。
  20. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) これは、起債の問題でまだ農林省とは相談いたしておりませんが、通常砂防の全体にも関連がございますので、大蔵省とも十分今後相談しなければならぬと思っております。
  21. 田中一

    田中一君 そういう予算の立て方をするつもりはないのですか。また、今の要求している予算の中にはそういう予算の立て方をしておらないと言うの。
  22. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 予算の立て方というお話でございますけれども、それは起債の場合の取り扱いと、予算を要求する場合と若干差があると思いますが、内容的にはそういうふうな区分で、私たちは起債についてはそういうふうな相談をいたしたいと思いますが、これは予算を作る場合との関連等において、もう少し検討いたさなければならぬ点がございますので、その両方いろんな点がうまく調和されて初めてこれができるわけですから、実質的には私どもは分け得ると考えておりますので、そういう方向で進めて参りたいと考えております。
  23. 田中一

    田中一君 どうも不十分な答弁で……。自治省が要求しているような形の予算の組み方をいたしますならいたしますと言ってくれ。しないならしないと言ってくれ。現在予算要求がそういうふうになっているならなっています、なっていないならなっていないと明確に答弁して下さい。集中豪雨があったからどうしてくれ、こうしてくれというあとの跡始末よりも、まず最初にその施設をしたほうが災害から守れるわけです。予防砂防というものが必要なことは今ではもう常識になっている。河川局はどういう立て方をして要求しているのかということです。
  24. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 現在、その補助砂防につきましては、通常砂防として国費地方費に分けて一本でやっておるわけでございますけれども、それを、今後予防砂防的なものと、荒廃渓流に施行するいわゆる農林省崩壊地復旧に相当するものとを分けて、さらに予算の立て方をするかどうかということになると思いますが、そういう分け方については今のところやっていないわけですが、ただ、これを起債の面だけから見ますと、一応内容的には分けられるというわけでございます。そこで、起債の場合の分け方と予算上の措置等につきましては、いま少し私どものほうも検討しなければならない点もございますので、そういう点を今後十分検討して、できるだけすみやかに解決の方向に進みたいと考えている次第でございます。
  25. 田中一

    田中一君 考え方はどうなんですかというんですよ。三十八年度の予算の面の上において、今のように予防砂防的な工事を地方自治団体が行なう場合には、それに対して起債を認めると言っているんだ、自治省は。認めさせるような予算措置をいたしますと言うのか、検討するのか検討しないのか、何を検討するのか検討しないのか、明らかにして下さい。
  26. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) そういう方向で実現するように進めたいと存じております。
  27. 田中一

    田中一君 三十八年度の予算にはそれは間に合いますね。
  28. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 私どもはそういうつもりでやっておりますけれども、今間に合うということはお答えできません。
  29. 田中一

    田中一君 どうして河川局次長としてはその答弁は明確にできないというのか。それとも建設省河川局の方針としては、三十八年度には間に合わないというような方向作業をしているのか、どっちなんですか。
  30. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 河川局としては、三十八年度に間に合うようなことで準備をしているわけでございます。今のところはその実質的な話し合いをいたしておりまして、これが先ほどのような予算の分け方その他というようなことまで参りますと、大蔵省とも十分相談してやらなければならない点もございますので、そういう点も含めて今後十分検討して参りたい、こういうことでございます。
  31. 田中一

    田中一君 河野建設大臣は、この問題については、前の農林大臣もした人だが、建設省でそういう実情にあるということを知らなかったということですか。知らなかったということで、先だっての委員会では、何とかそれができるように努力しますという答弁をしているのですが、したがって、もう少し、行動力のある建設大臣だから、あなた方にそれに間に合うようにやれとの命令を出しているのかと思って、だから、こういうふうに執拗に伺っているわけです。ところが、どうも砂防事業というと、河川局はそっぽを向くような気持があるのではないかというように邪推するわけですが、そういう命令大臣から出なかったんですか。
  32. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 国会でそういうお話があったというととは伺っております。したがって、私どももそういう方向作業を進めるべきだということで考えているわけでございます。
  33. 田中一

    田中一君 三十八年度の予算の上においてそれが現われるように、ひとつ措置することを約束してもらいたいんだが、河川局次長、君は政府委員だったかね。
  34. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 政府委員ではございません。説明員でございます。
  35. 田中一

    田中一君 それではだめ押しをするのはやめておきます。
  36. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 激甚災害指定の件について簡単に要点だけを伺いたいと思います。  御承知のとおり、ことしの八月の臨時国会激甚災害特別財政援助法が通った。この通ったことの趣旨としては、少なくともことしの災害から、各地のお困りになっている災害地のほうの災害復旧に全力をあげてわれわれ御協力しようというのが趣旨でありました。法律は通ったが、それの具体化について全然まだこの法律が今日動いていない。それは、要するに災害地指定というものが今日まで行われていない。十一月の中旬に中央防災会議が開かれて大体そういったことは決定すると伺っておったのでありますが、今日に至るも中央防災会議は開かれていない。しかも、その指定の件について内容を伺ってみると、まず第一に、この法律の第二条によって、災害地激甚災害指定ということが行われ、その激甚災害指定が行われると、それに基づいて、災害地地域指定が第二段に都道府県市町村ごとに行なわれるというふうに聞いております。第二段の地域指定の件については、すでにこの法律の審議の中において、都道府県においては財政収入額との関連において二〇%、あるいは市町村においては一〇%といったような具体的な大体の指定基準ができておるので、この点はそれぞれ各市町村とも計算もしておりますけれども、その前段である激甚災害指定について、その基準というか、政府の態度がはっきりしない。そのようなことで延々今日まで至っております。災害地の方々は、北九州災害地の人も北海道もその他の災害地の方も、この激甚災害指定ということについて最近非常に不安を感じてきている。一体ことしは激甚災害法の恩恵を受けられるのかどうかという点に非常な関心をお寄せになっているし、ただいまも北九州災害市町村を代表して長崎県のほうから御陳情があった。  この点、第一点に伺いたいことは、激甚災害指定に関して、政府として、この指定基準といいますか、いろいろ巷間伝えられておりますけれども政府部内において意見が違うとか、いろいろ伝えられておりますが、今日の現況はどうであるか。いつごろまでに災害地指定が行われるかどうかという点をまず伺って、それによって次の御質問に移りたいと思います。
  37. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 総理府でございますが、総理府から総括的に申し上げさせていただきます。  ただいまの御質問は、指定基準作業進捗状況というような点かと拝承いたしました。たいへんおくれておりまして、まことに申しわけないと思います。ただとの作業は、決して私ども弁解するわけでございませんが、一体この基準をどういうところに求めるかというそもそも論からいろいろ話がございまして、いろいろめぐりめぐった結果が、ただいまのところは、過去の歴史的な経験的なものに基づいて基準を作る、飛び離れた一つ理論構成というようなことではございませんけれども、めぐりめぐってそこに参ったわけでございますが、そういたしますと、過去十年間にわたる個々災害についてのあらゆる資料を洗い出していろいろな角度から検討しなければならないというようなことから始まりましたために、たいへん手間がかかりました。たいへんおくれて申しわけございませんが、ただいまのところの進捗状況は、全部とは申しません、この特例法には、御承知のとおり、個々の実質条項にいたしまして約二十一本の柱がございます。その二十一本の柱につきまして、それぞれの基準を作るべきだということになりますけれども、ただいまのところはまだ全部までは行っておりません。ただまあ、重要なところはほとんど一つの事務的な試案はできて参っておる、こういうことでございます。その程度でよろしゅうございましょうか。
  38. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 どうもその程度はよくわかっておりますが、要するに、その試案を作られたのが、いつごろまでにそれがまとまって政府として中央防災会議にかけて地域指定が行なわれるお見通しであるか、まずこれをちょっと伺いたいと思います。
  39. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 実は、おそくとも十一月一ぱいには政府といたしましても中央防災会議を開いていただきまして、もちろんこれは内閣総理大臣から諮問をいたすわけでございますが、そうして直ちに……(「十一月一ぱいだときょうじゅうか」と呼ぶ者あり)というつもりで進めて参っておるわけでございますけれども、申しわけないのですが、やはりなかなかこまかいところで政府部内でもいろいろ問題がございまして、今の見通しといたしましては、十二月の上旬には必ずしよう、これはこれ以上は絶対に延ばさないというつもりで追い込みの作業を進めております。
  40. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 そこで、この基準の問題によって、北九州災害地区も、北海道の災害地区も、激甚地に指定されるかされぬかという大きな問題になるわけでございますが、その指定基準の総括として、この法律が通るときに附帯決議が両院でついておったと思いますが、少なくとも激甚災に指定されてきたという実績は下回わらない、それ以上に恩恵を与えられるようにこの法律の運営をすべきであるというようなことがありましたし、具体的に二十一本、これは公共災害から農地災害、最後は地方災の元利補給、公営住宅から一切のものを含む激甚災の財政援助があるわけでありますが、その点について、政府として——これは総理府の御見解じゃなくして、いわば政府自体としての御答弁を願いたいのです。そういうことを下回わるか下回わらないのか、今日の段階においての見通しとして、十分尊重をなさるのかどうか。
  41. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 私政府委員でございませんので、政府自体としてとおっしゃられるとつらいのでございますが、事実上の問題として申し上げたいと思います。ただいまの過去の実績尊重、附帯決議もさらにございます。その線だけはこれは絶対に確保するという線で事務的には進んでおります。
  42. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 その基準の大要を、事務的な面をまだ御発表になる段階には至っておりませんか。この点、どうも政府委員ではあられないから、その点まで申し上げることは無理だとは思いますけれども、どうでしょうか。
  43. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 政府委員でございませんので、つらいのでございますけれども考え方はある程度固まっております。ただし、問題は、これはあくまでも性格的に政府の内規でございまして、内閣総理大臣から中央防災会議に諮問をされまして、その上で決定、そうしてそれぞれ指定するということになりますので、中央防災会議というものを絶えず私ども第一に念頭に置いて考えなくちゃなりませんので、あまり全貌にわたって事務的な案を御披露申し上げるということもいかがかと思いますけれども、差しさわらない程度におきまして基本線を御説明申し上げたいと思います。  第一に、私ども作業の全般を貫く思想といたしまして、前提といたしまして、ただいま鍋島先生からおっしゃられました実績尊重、これはもう第一の前提である。第二の前提といたしまして、同じ国費を出すのであれば、できるだけ公平に行き渡るようにしたいという二つの点を前提にいたしまして考えております。そのために、全般を貫く方法論でございますが、全国的な大規模な激甚災害、それから規模的にはそれほどではありませんが、各それぞれの地域に非常に大きな影響を与えている、まあ公共土木等の例で申しますと、地方公共団体の受ける傷が非常に深い、いわゆる局地激甚災害とでも申しますか、そういったものの二本建で考えて参りたい、そのように思っております。
  44. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 そこで、まだ中央防災会議がないので、内規として先のことを見通して御質問をするのは非常にちょっと私としてもどうかと思うけれども、差し迫って問題になっているのは、三十七年度にこの法律を早く通して、恩恵を北九州災害あるいは北海道災害等にも早くこのことを現地に知らして、復旧に拍車をかけ、また県・市町村の財政的な措置なり、資金の運用、資金繰りなりに資して、災害をほんとうに早く復旧していただき、不安を解消しようというのが趣旨でございまして、今日これを質問することは少し早いかと思うのでございますが、どうですかな。この北九州災害なり、北海道災害等々、この激甚災の指定を受けられるような努力をしていただいて、そうしてひとつ恩恵を受けるというふうに皆さん方のお考えができ得るかどうか、またこれはできなければ政治的な大きな問題になると思いますけれども、この見通しをひとつ——気の毒だと思うけど。
  45. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 鍋島先生のお尋ねの北九州あるいは北海道、これはどうかという見通しの御質問でございますが、中央防災会議におきましてあの二つとも落とせ、やるべきでないという御判断が出るかどうかもわかりかねますので、今のところ何とも申し上げようがございませんけれども、また申し上げるのは越権だとは思いますけれども、ただ私ども努力しているかというお話でございますので、その点にしぼってお答えいたしますと、努力としては今までわれわれが描いておりまするラインの中には、北九州、あるいは北海道も、これはすなおに入ってくるであろう、このように考えております。
  46. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 大体御苦衷はわかりますので、これ以上この点についての追及はやめますが、ぜひひとつ、この法律を急いで作り、またやった趣旨というものがそういう点にあったということを御了承願って、各省とも御努力願い、本年度災害がこの法律の恩恵を受けられるようにしていただきたいし、もし受けないということになれば、私たちとしてはこれは政治的な問題として取り上げていかなければならぬと思います。  なお、過去の災害を下回わらな——私は、過去においては、大体の災害の傾向から見ると、六〇%前後激甚災の指定を受けてきておった。したがって、今度の基準から見てやはり六〇%を先ほどの御答弁によってオーバーするであろうというようなことは考えておりますが、もう一ぺんひとつ、それをオーバーするような運営を、事務的な御交渉なり取りまとめを願っているかどうかということと、中央防災会議というものが、先ほどの御答弁によって、大体十二月上旬には開かれて、一応地域指定の決定が行なわれていくであろうというようなことになるかと思いますが、この点、二点をもう一ぺん確かめておきたい。
  47. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 公共土木の場合でございますと、これは実績でございますから、昭和三十年から三十六年までのデータをとってみますと——この三十年からとったと申しますのは、公共土木の負担法が連年災の規定の挿入によって改正された年でございます。その年からをベースにいたしましてやりますと、六〇・五%というのが過去の実績であったということでございますが、作業の中では必ずしも——大体それを目安にして進んで参っておりますけれども、ただいまのところの作業の線では、もう少し上回わって、くるのではないか、大体におきまして六〇・五%から六五%の間くらいまでは前進してくるのではないか、まあこのようになっておるようでございます。
  48. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 それからもう一つ中央防災会議が十二月上旬くらいまでに開かれるかどうかという点は、お見通しはまだおわかりになりませんか。
  49. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 中央防災会議の開催予定日は、先ほども申し上げましたように、十二月の上旬にはおそくともやりたい、開いていただきたいということで、この点はもう政府部内でも一致しております。
  50. 鍋島直紹

    鍋島直紹君 もう質問を私やめますが、どうか現実の問題として、七月の災害、それから九号、十号の北海道の災害、あるいは長崎県の災害等も、福江の災害等もあります、こういう点について、非常に激甚災の恩恵を受けるということ、財政的援助を受けるということを、実際言いますと期待し、かつそれを前提としての各県市町村考え方、あるいは一般国民の考え方も、激甚災法の恩恵を受けるのだ、災害がくれば——というような気持で今日いられるにかかわらず、事務的に考えていくというと、まだ災害指定が行なわれていない、ある意味においては、これは政府自身としていろいろな御事情があり、御都合があったとは、私、重々承知しますが、災害地の人間あるいは関係者にとってみれば非常に不安があり、一体政府はやってくれるのかどうかという不満も爆発し、心配もしておるのが今日の現状でございます。どうかひとつ、私は政府が怠慢であったとは申しませんけれども災害地の方々のほんとうの心になって、ひとつこの激甚災害の事務的な段階を、かけ引きとか何とか一切やめて、真剣になってひとつ早く事務的にお取りまとめいただいて、そうして災害地に対して安心をさせ、あるいは関係各市町村なり県なりの災害復旧に対する仕事の進捗をはかる、そうして皆さん方のお力によってりっぱに災害復旧ができるように一日も早くやっていただきたい。しかも、三十七年度災害は、端的に、もう今日復旧状態に入っておるわけだし、またとの基準が三十七年度だけを基礎としないで、やはり今後災害が三十八年度に起こらなければいいんですが、日本の今日の現状として起こってくるわけですから、できるだけひとつこの財政援助の恩恵を受け得るような事務的なお取りまとめを政府部内としてお願いを申し上げておきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。   —————————————
  51. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 委員の変更について御報告をいたします。  本日、久保勘一君が辞任され、青田源太郎君が選任されました。   —————————————
  52. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は、この前の委員会及びその前の委員会において、第一次の査定は、災害の査定は円満に進んでおるが、問題が残っておるのは第二次査定である、第二次査定についても、建設省及び農林省はできるだけ災害の復旧のみならず、改良工事及び関連事業について大幅に取り入れるようにお願いしたい、こういうふうな希望を述べておったのでありますが、幸いにして建設省及び農林省は、現地において改良事業関連事業も大幅に取り入れて査定されたということはまことに喜びにたえないのであります。また、この査定に対しては、大蔵省も立ち会って、両々相待って関連事業その他が大幅に決定せられたということはまことに喜びにたえないのであります。しかし、その後の状況を伺ってみると、まだ中央においてこれが決定されていないということであるのであります。一例を長崎県の例にとってみますると、今長崎県知事と議長との要望書を見てみましてでも、出先で査定になったところのものはすみやかにひとつ承認してもらって、災害復旧工事が進むようにしてもらいたい、こういうふうな要望が出ておるのであります。それで、どういうふうな状況になるかということを、まず私の手元にある材料の長崎県の例をもって、九州の残りの三県及び北海道の場合も同様であろうと思うのでありますから、例をとってみますると、三十七年度の農地局の査定の状況、それは十一月十七日現在であるのでありますが、農地復旧が十二億数千万円、施設復旧が百三十八億数千万円、関連事業が十六億数千万円であるのであります。そして、このうち長崎県の七月災害は、農地復旧が二億、施設復旧が四十四億、関連事業が十億であるのであります。そうしてこの関連事業のうちのB項に関係するところのものが五十カ所で約六億円あるのであります。災害関連事業の採択基準によってみますると、これは一件当たりの工事費が三十万円以上のもの及び災害復旧工事費に対して一〇〇%以内のもの、総工事費は災害復旧総工事費の八%以内とする、こういうふうなことが採択基準になっているように承っておるのであります。しかし、こういうふうなことであったならば、一体どういうふうになるかということを検討してみますると、今回長崎県で建設、農林及び大蔵立ち会いのもとに決定された長崎県の災害復旧の大部分というものは排水路であるのであります。中小河川であるのであります。また、三十二災の復旧地の再災害であるのであります。この前の委員会で、建設省のほうでは、それは関連事業によらずして中小河川でやったらばいいじゃないかというふうな話があったのでありますが、これは関連して災害復旧としてやったほうがよかろうということで、現地でもそういうふうに査定されているのであります。また、そういうふうな関係であるから、再災害を防止する必要からは、復旧と同時に一定の計画でこれをやらなくちゃできないのであります。そういうような関係から関連事業が比重が多くなってきておるのであります。そしてさっきも申し上げたB項については、これは大蔵省農林省が一件ごとに協議せなくちゃできないようになっているということであるのであります。今それをさらに申し上げてみまするというと、十一月十七日現在の関連事業の総額は、さっきの協議によるというと、八%であるのが一二・二%であるのでありますから、その点からいえば大幅に上回わっているのであります。そういうような関係で、出先では話がまとまっておるのであって、そのとおり工事を進めようと思っておるのであるが、その工事は、中央のほうにおいて一件ごとの話がまとまらない結果、今日まで仕事ができないというような状況であるのであります。それであったらば、工事ができない、来年まで持ち越すというようなことになれば再び大災害をこうむらぬとも限らないのであります。こういうふうな実情が現在の九州各県の状況であるのであります。ただ私は長崎県の一例を申し上げたのであります。でありますから、私がお伺いしたいのは、政府はいつまでにどのように解決されるところの方針であるか、農林省大蔵省との御意見を承りたいと思うのであります。
  53. 梶木又三

    説明員(梶木又三君) ことしの長崎の災害につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、小災害が多く、かつ中小河川あるいは排水路でございまして、未済部分等がところどころ残っておった、こういう現況でございまして、われわれとしましては、それも一定の計画のもとに関連事業として採択しなければ、また再災害を受けるのじゃないか、こういう立場に立ちまして一応査定は実施いたしました。ところが、B項に関連するものが、先ほど説明ありましたように、約六億近くございまして、これにつきましては全部大蔵省との協議が必要になっております。現在それにつきまして一件ごとに協議中でございますが、全部につきましては今のところまだ話し合いがついておらない状況でございます。
  54. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) ただいまの農林省のほうのお答えで大体尽きておると思いますが、災害関連事業につきましては、原則として八%という基準がございまするけれども、これは現地の実情等によって八%をオーバーしてもよろしいということで従来運用しておりますが、ただいまのようなことで個々に話を詰めておるそうでありますから、できるだけ早く決定するように努力いたします。
  55. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この、過去において関連事業が八%というようなものは、その当時協議されたのであって、今回のように激甚災害があった場合においては、さらに災害が起こらないように、再災害を防止するためには、こういうふうな基準も改めるべきじゃないかと、こう考えておるのでありますが、その点いかがです。
  56. 梶木又三

    説明員(梶木又三君) 今のところ前の基準が生きておりますので、今までの例で申しますと、三十二年から三十六年災までにつきましては、関連事業は五・四%ぐらいであったわけでございますが、今回の長崎がいろいろ自然的条件等によりまして関連事業のパーセントがふえておるような現状でございます。今のところは、この基準を変えるというところまでは踏み切ってはおりませんが、いずれ上司とも相談いたしまして検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
  57. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今のところは、さきに申し上げたように長崎県下の例から申しましたならば、B項該当が五十カ所、六億円というようなもので、この災害復旧が、あるいは関連事業が完了せなかったらば再災害を受けることは明らかであるのであります。しかも、これは三十二災のところがまたやられた。そのままにしておったらばまたやられるのです。そういうふうなことがあるのでありますから、出先の大蔵省農林省が話をまとめて、これならば適当であろうという最小限度の決定をやったのでありますから、過去におけるところの八%というようなことにこだわることなく、現在の災害に再災害があったのを、また再災害がないようにするためには、こういうふうなものはすみやかに改めて再災害がないようにせなくちゃいけないと思うのであります。でありますから、農林・大蔵両当局によってこの点十分に考えて、すみやかに出先で決定したところのものが決定せられ、そうして来年におけるところの再災害が起こらないように協議を進めていただきたいという希望を申し上げておきます。  次に、江迎のことについてお伺いしたいと思うのであります。  江迎は、御承知のとおりの激甚災害を受けたのでありますが、まだあれが鉱害か一般災害かということが未決定のために工事の進行に非常に困っているような状況であるのであります。しかし、そのままに放任するわけにはいかないのであるから、県のほうでは、河川であるとか道路であるとか鉄橋の橋梁であるとかいうようなものについては、県の責任においてこれを進めておるような状態であるのであります。これは建設省が御承知のとおりであるのであります。それで、政府はいつごろまでに、江迎の災害というものは一般災害か、あるいは鉱害かということに決定せられる見込みであるかどうか。また、聞くところによれば、炭鉱側が災害予防施設として二千万円ぐらいの金を出して防災設備をやったらば一般災害として認めてもよろしいというような意見を大蔵省は持っておられるようなことも聞いておるのであります、一体との点について建設省はどういうふうな考えであるか、大蔵省はどういうふうな考えであるか、通産省はこれをまた一般災害とするという大体の方針は決定しているように聞いておるのでありますが、これらの点について政府の御方針を承りたいと思うのであります。
  58. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 江迎の問題につきましては、建設省の問題のみならず、ただいまお話がございましたように、通産省、大蔵省等が関係いたしており、農林省も関係いたすわけでございますが、建設省立場において私のほうからまずお答えいたしたいと思いますが、ただいままで各省、江迎の災害のときにおきましていろいろ相談いたした状況を申し上げますと、あの災害はいわゆる地すべりの原因によって発生したものである、こういう点については関係各省原則的に一致いたしておるわけであります。ただしかしながら、それによって鉱業権者の立場で全然責任がないのかどうか、いわゆるそのために鉱業権者の立場は一切なくなるかどうかという点については、まだその点についての関係のところの意見の一致を見ていないというふうに私どもは聞いておるわけでございまして、その点の問題につきましては、通産省、大蔵省等でさらに検討を進めておられるように私どもは承っておるわけでございます。建設省といたしましては、河川の復旧、道路復旧等につきましては、先ほどお話がございましたが、応急復旧等も進めておりますし、また本復旧の工事等も極力現在の事態において進めて、災害復旧ができるだけすみやかに行なわれるように尽力いたしておるわけでございます。
  59. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 私、この問題に直接関係しておりませんので、詳細な内容を承知いたしておりませんが、先ほどちょっと藤野委員のおっしゃいましたような一部の地元負担金ということを含めて一般災害で実施する方向で考えておるというふうに伺っております。近く方針もきまるのじゃないかというふうに考えております。
  60. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これが、今大蔵省お話のように、一般災害として認められるかいなかによって、今度はその次の災害公営住宅に関係があるのであります。政府のほうにおいては、本年度の災害公営住宅を六十戸建設する予定で指示されておるのでありますが、これが鉱害であるか一般災害であるかということによって政府の補助金の率が変わってくるのであります。変わってくるということであれば、それが町の負担に重大影響を及ぼすのであります。町の負担に重大影響を及ぼすから、一般災害であるところの補助金をもらうことができるように努力中であって、そしてそれができるかできないかということが現在まだ決定してないために、だんだん寒くはなる、家は作ることはできない、こういうふうなことで、非常な困難な状態に陥ると言っているのであります。こういうふうなことであるのでありますから、政府災害公営住宅を六十戸建設するということであるのであるから、今大蔵省お話のように、一般災害として認めるという方針であったならば、その方針をできるだけすみやかに通知してもらって、決定してもらって、そして災害公営住宅が一日も早くでき上がるようにすべきであると、こう考えておるのでありますが、この点について、いつごろまでに決定されるか、そして公営住宅がすみやかにできるようにすべきであると思うのでありますが、この点について御意見を承りたいと存じます。
  61. 沖達男

    説明員(沖達男君) 江迎町の罹災者のための公営住宅の建設につきましては、建設省といたしましては、災害か鉱害かの決定を待っておりましたが、いずれにいたしましても、災害の公営住宅におきましても、あるいは一般の公営住宅におきましても、第二種公営住宅の建設ということになりまして、補助率はいずれも三分の二ということで町の負担には影響ないわけでございます。そこで、災害に決定にならない場合でも、建設省としては、この三分の二の補助による公営住宅の建設をするように進めたいという考えで参ったわけでございまして、町当局では、災害公営住宅ということでいく場合には起債の率が十分いくということで、ぜひ災害の決定を待った上で公営住宅の建設をいたしたいという御希望のようでございましたが、その後、ごく最近でございますが、災害かいなかの決定を待つことなく、いずれにしても第二種公営住宅を建てて救済したいという御決意のように聞きまして、建設省といたしましても、それに賛意を表しまして、公営住宅の建設を行なわせることに決定いたしております。したがいまして、近日中には建設にとりかかるというふうに考えておる次第でございます。
  62. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今お話しのとおりですね、災害ワクであれば起債が一〇〇%、一般のものであれば四〇%というようなことになるから、どうしたって災害でやっていただいて、起債のワクをある程度拡大してもらわなくては、町の負担に非常に支障を来たすというのが現在の状況であるから、できるだけすみやかに災害ということに決定し、そうして三分の二の補助金を支出することができるようにし、かつ起債のワクが一〇〇%できるようにして、被害を受けた江迎町の財政に支障がないようにしていただきたいという希望を申し上げて、この問題の質問を終わります。  それから次は、福江市の大火の問題であります。  さっき島村事官から激甚災害の大体の構想は承ったのであります。ぜひその構想によって来月の上旬までには激甚災害指定ができるように私もお願いしておきます。ただ、激甚災害指定する場合において、指定市が受くる特典は、まず災害公営住宅であろうかと思うのであります。この災害公営住宅に対してどういうふうにお考えであるか、これをまずお伺いしたいと思うのであります。
  63. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 先ほど北九州と北海道の災害のことについて触れただけでございまして、福江の火災の問題までは触れて申し上げるのを忘れました。この住宅関係の災害につきましては、基本的には全国的な規模のもの——これは主としては原因が風水害であるということであろうと思うのでありますが、全国的な規模のもの、それから局地的なものを考えていく。ただその際に、住宅の滅失する原因が、御承知のとおりいろいろございます。そこで、火災といったような原因につきましては、これはおのずから別個な扱い、その基準の中でもまた特別な扱いをすべきではなかろうかという考え方をいたしております。そういう考え方で参りまして、こまかいことは申し上げかねますが、まあ大体福江の火災も、これは事務的なラインではすらっと入ってくるのではなかろうか。ただし、防災会議の問題がございますかう、これ以上のことについては申し上げられませんが……。
  64. 沖達男

    説明員(沖達男君) 福江市の大火の復興に当たっての災害公営住宅の建設の件でございますが、建設省といたしましては、地元の御要望によりまして、すでに災害公営住宅の百戸の建設を計画いたしておりまして、これは公営住宅法によりまして当然補助ができるものでありまして、第二種公営住宅で三分の二の国庫補助でございます。そこで、ただいまお話しのように、激甚災害指定になりますと、これが補助率四分の三になるわけでございます。今のお話のように、事務当局の線では、福江の大火も激甚災の指定になるような考え方で今進めております。したがいまして、その指定がありましたら、補助率の四分の三ということになるわけであります。
  65. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この前の委員会でも私質問しておいたのでありますが、福江市の大火に対する跡始末として一番大きい問題は、都市計画——区画整理なのです。それで、この区画整理であるとか、都市計画であるとかいうようなものは、これは激甚災害とは別個に処理されるのであるかどうか、この点、私不勉強で、あまりわからないのでありますが、何といっても、福江市は過去において五回の大火にあっておる。そういうふうなところだから都市計画をやらなくちゃできない。また、今回中央部が全部やられたのだから、この際こそ区画整理もやらなくちゃできないということで計画も進め、また政府のほうにおいても、それをやらすべく協力していただいているような現状であると信じておるのであります。激甚災害指定と区画整理の関係はどういうふうになるものであるか、これひとつお伺いしたいと思うのであります。
  66. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 本日、都市局の担当官が見えておりませんので、私どもがあらかた聞いているところだけでお答えしたいと思います。  都市計画が今度の福江の場合にも行なわれるということになっております。で、それはいわゆる改良事業でございまして、補助率は二分の一である。それ以外には、都市計画法、あるいはその他の法律におきましても、都市計画をそれ以上特例扱いをする、あるいは災害関連づけて特例扱いをするということは、現在の法制上一切ないわけでございます。したがいまして、福江の場合はいいチャンスでもありますが、従来も災害復旧という観念が都市計画にはございませんので、お気の毒ではありますけれども、今のところ特別にどうこうするという動きがないわけでございます。したがいまして、従前どおり……。従前も至るところで火事がございました。火事を原因にいたしまして都市計画の行なわれた例も相当あるようでございますけれども、いずれも二分の一の補助、これはまあ災害復旧という観点からではなく、都市計画そのものとしての二分の一の補助でやって参っておる、こういう状況でございます。
  67. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この激甚災害の特別法を制定する際に、政府においても、あるいは国会のほうでも、大火による問題は研究がミスであったのじゃないかと思っている。落ちておったのではないかと思っている。であるから、大火のような場合においても、激甚災害法が適用されるように検討すべきであると、こう考えているのでありますが、今お話しのとおりであったならば、今後研究されるお考えはございませんか。
  68. 島村忠男

    説明員島村忠男君) 何と申しましても、これは建設省の問題が第一でございますから、たとえば総理府とか、その他のところでああだこうだという前に、建設省がお考えになるべき問題だろうと思いますが、きょうは残念ながら建設省の都市局の方がお見えになっておりませんので、その点はよく伝えまして善処いたしたいと思います。
  69. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の問題は次の委員会でさらに質問することにして、私の質問を終わります。
  70. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 速記やめて。   〔速記中止〕
  71. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 速記を起こして。
  72. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この際、昭和三十七年災害の復旧促進に関して、この委員会におきまして決議をしていただきたいと思います。案文を朗読いたします。    昭和三十七年災害の復旧促進に    関する件(案)   政府は、本年災害の実情にかんが  み、災害復旧事業の円滑な施行をは  かり、激甚災害地における地方負担  の軽減と被災者の援助に資するた  め、とくに次の事項に万全を期すべ  きである。  一、「激甚災害に対処するための特   別の財政援助等に関する法律」第   二条の政令指定については、既往   の特別措置の例を下回らない方針   の下に、早急にこれを決定するこ   と。  一、災害復旧事業及び災害関連事業   の施行に当つては、従来の経緯に   とらわれることなく、当該施設の   完全な機能の回復とともに改良工   事等をも加え再災害の防止の見地   から、これを行なうこと。  右決議する。  この際、簡単に趣旨説明を申し上げます。ただいままでの質疑応答の経過から、その趣旨につきましては十分御了承いただけると思いますが、特に法第二条の規定により政令指定がおくれておりますことは、きわめて遺憾でありまして、災害復旧費の負担区分が確定しないことにより、地元の財源措置が立たないこと、あるいは激災法の規定からはずされるのではないかという不安が、激甚な災害を受けた地域に流れ、ひいては復旧事業の円滑な施設地方財政、被災者の安定等に影響が大きいと考えられるのであります。また災害関連事業の査定及び施行につきましては、たとえば災害関連事業費の総額は、災害復旧事業費の一定率にとまる等、いろいろの内規によって規定している実情であるため、現在問題が起こっているのでありまして、案文にありますように、施設の完全な機能の回復と再災害の防止という復旧事業の本来の趣旨を貫くよう強く要求したいのであります。  以上、簡単に決議案の趣旨を申し上げましたが、委員各位の御賛同をお願いする次第であります。
  73. 辻武寿

    委員長辻武寿君) ただいまの決議案に対し、御質疑がございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本決議案に賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  75. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 全会一致と認めます。  よって、本決議案は全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、徳安総理府総務長官から発言があります。
  76. 徳安實藏

    説明員徳安實藏君) ただいまの御決議の御趣旨を尊重いたしますことを申し上げておきたいと思います。  なお、この際一口だけ申し上げたいと思いますが、激甚災害の特別法に基づきます地方災害に対する指定が非常におくれておりまして申しわけないと思っておりましたが、最近ようやく話がまとまりまして、これを指定する基準も、やや話し合い政府内でつきまして、数日のうちに総理の都合を伺いまして、防災会議を開きまして基準も決定すると同時に、政府のほうから、本年におきまする災害に対する激甚法に直ちに指定するかどうかの諮問をいたしまして、その答申を得て、直ちに政令で指定をするという段どりまで参りましたので、たいへん長い間、皆さまからお叱りを受けましたり、御注意を受けましたり、御督促を受けたりいたしましたが、ようやく目鼻がつきましたので、一応御了承願いたいと存じます。おそらく、もちろんこれは、臨時国会前に全部指定をすることになろうかと思いますが、たいへんおくれて済みませんでしたが、御了承いただきたい。
  77. 井川伊平

    井川伊平君 第二項に対する御意見ありませんか。
  78. 徳安實藏

    説明員徳安實藏君) これは、私のほうのむしろ所管ではございませんので、ほかの大臣からお答えすることがいいと思いますが、第一項につきましては、今申し上げましたようなことで、さらに、大体委員会で御説明申し上げておりましたように、災害激甚法に指定するのはどういうものかという御疑問がございましたので、過去において特別立法で処置いたしましたようなものは、おおむねこれに加えまして、御心配ないようにやりましょうという政府の所信を申し上げておりましたが、大体今度の作りました基準案によりますれば、そうしたものはことごとく、大体入ることになりますので、御心配を受けるようなことはないと思いますから、この際、申し上げておきます。
  79. 小林篤一

    ○小林篤一君 第一に、建設省のほうにお伺いいたしたいのでありますが、前のこの委員会で、北海道の開発計画というものが本年で終わる。ところが治水計画というものは、その計画から見るというと非常に進行率がおそいのであります。それで、それがために昨年、本年引き続いて災害が起こっているわけであります。これはなぜこういうふうにおくれたかということを、実はお尋ねしたところが、河川局長は、これは工事能力というのには限度があるから、それで思うようにいかなかったと、こういう御答弁があったのです。だが私は、そのときにも、観光道路のような遊んで歩くようなもの、あるいはその道路の沿線には、人の住んでおらぬ、住めないようなところに非常にたくさんの金をかけて、そしてこの治水計画を怠って災害を起こすなんというようなことはいかぬじゃないかというようなことを、実は申し上げておったのでありますが、私は工事能力には限度があるから、そのためにこれができなかったということについては、非常にその当時不満であったけれども、よくわからぬから、私はそれでまあ質問をとめておいたのですが、その後私は開発庁関係なんかなどに、そういうようなことのために、これがやれなかったものかどうかということを、いろいろ私調べてみました。ところがそのほうでは、これは予算がないからやれなかったのであって、工事能力がなくてやれなかったというようなことはないと、こう実は言うておるのです。そうするとどっちがほんとうなのか私はわからぬ。これはひとつ追求してみたいとも思うが、しかし過去のことを追求してみたところで、これはまあしようがありませんから、それはそれにしまして、今後もこの治水計画を立てておいて、そうして工事能力がないために、今度もまたできなかったというようなことがあっては、これは大きな問題であります。二カ年の引き続いた災害——しかも同じところが災害を受けて、そうして農家はとうてい、こういうところでは見込みが立たぬといって離農しようという傾向がだんだんとふえてきまして、今、この離農者をどう扱うかということでもって非常に悩んでおるというような状態であります。それがまた計画を立てても、工事能力の関係だなんていってうっちゃられたのでは、これは非常に大問題であります。これについては、やはり計画を立てた以上は、これは遂行するのでないと困るのでありますが、その点についての確信をひとつお伺いしてまずおきたいと思いますが、いかがでしょう。
  80. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) ただいま御指摘の具体的なことにつきましては、私ども了承いたしておりませんので、その地区についての仕事が進まなかったという点が、工事的な問題なのか、予算的な問題なのかという点についてのお答はできかねますが、一般的に申し上げまして、北海道につきましては、先ほど指摘のように、年々災害を受けておるわけであります。これにつきましては、北海道には、特に地方的に集中豪雨、台風の影響等ございまして、年々にわたって、過去にないような気象条件が悪かった点もあるわけでございますが、さらに治水計画の面で見ますと、御承知のように、現在治水事業につきましては、治水十カ年計画に基づいて仕事を進めて参っておるわけでありますが、今年がちょうど十カ年計画の三年目になっておるわけであります。その三年の実績でございますので、まだその残事業が相当残っておるわけでございまして、全国的に見まして、まだ治水事業は計画どおりにいっていない、計画が全部終わっていないということでございます。  ただし、計画そのものと、全体の実施状況を申し上げますと、むしろ当初の十カ年計画を立てました以上に事業を上回って、毎年の予算は繰り上げ実施をいたしておるような状況でございまして、計画以上の実は進捗をいたしておるという状況でございます。しかしながら昨年来、また災害が頻発いたしまして、現在の治水計画では、十分な治水の目的を果たすことができないという状況がいろいろな面に発生して参りました。私ども建設省といたしましては、この際、十カ年計画を改定いたしまして、できるだけ治水の事業が促進するように、治水事業の促進の面と、また十分、従来の計画において不十分な点につきまして、できるだけこの機会に内容を改めまして、さらに計画を拡充いたしてやりたい。このためには、新たに新五カ年計画を作りまして進めたいということで、ただいま大蔵省とも話をしておるという状況でございます。
  81. 小林篤一

    ○小林篤一君 どうも今のお話は、私の質問とはとんちんかんでして、北海道には、開発五カ年計画の第二次計画というものがあって、本年でもって、この計画が終わるのであります。そうして来年度から、新しい開発計画でもって、この計画を行なうことになっておるわけでございます。  そこで私の申し上げるのは、従来どおりいかなかったんじゃないか。非常にそれが、また進行率が低かった、三分の一くらいしかやっていない。そうして水害を起こしておる。だからして来年度から、との計画を立てても工事能力が云々、また、それができぬようでは困るじゃないかということを実はお聞きいたしておるのであります。北海道開発計画を御存じなければ、これはしようがない。
  82. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) ただいまの御指摘は、北海道の開発全体の計画のお話だと存じますが、との点につきましては、北海道開発庁のほうで所管されておりますので、私からお答えできかねますが、私が申し上げましたのは、治水事業だけの、治山治水緊急措置法に基づく治水計画について申し上げたわけであります。  これにつきましては、現在は先ほど申し上げましたような十カ年計画をもってやっておるわけでございますけれども、まだその事業は、計画の三年しか終わっていない、こういう状況でございまして、全体の計画は終わっていないということがございまして、必ずしもまだ、治水事業が十分な点に至っていないという点はあるわけであります。しかしその計画自体を、さらに私どもは変えて、もう少し促進したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  83. 井川伊平

    井川伊平君 関連しまして。治水事業についての小林さんの御意見は、そのとおりでありますが、私ただ、ひとつ誤解を生んではいかぬと思って、一言つけ加えておきますけれども、治水の急なるがゆえに、観光道路は要らぬもんだと誤解をされては困る。観光道路は、物を直接生産しないかもしらぬが、道民には直接に収入を増しておる、こういうわけでありますから、そのほうは、既定の計画を変更するというようなことはあってはならぬ、かように存じますから、その点だけ、つけ加えておきます。
  84. 小林篤一

    ○小林篤一君 私は、井川委員に反駁を加えてみたところでしようがありませんけれども、私は観光道路というものが必要ないとは言いません。しかし、そういう遊んで歩くような道路ばかり金をかけて、そうして災害が起こらないような治水事業を進めていこうというものがおろそかになって、しかも工事能力がないから、それがために、これができなかったのだというようなことは、私は観光道路はあと回しにして、そうして治水事業をやれば、工事能力は、それでもって補っていけるのではないか、こういう考え方をしておるのですが、さっき申し上げたように開発局などでは、予算さえあれば、工事能力は何とでもなる、こう言っておるのです。それが今度も計画を立てても、工事能力がなかったためにできなかったというようなことのために、さらに、また災害を受けるようなことであっては、これは一大事、こういう考え方を持っておるのであって、そういう今後、工事能力云々でもって、またできないというような考え方をしておるのかどうか。それを聞いておきたい、こう思うのです。
  85. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 全体的な計画は、先ほど申し上げたとおりでございますが、毎年度の予算につきましては、当然その年度において、その消化ができる、実施ができるという建前で予算を編成し、それに基づいて仕事をいたしておるわけであります。私どもといたしましては、そういう突発的な事故は別といたしまして、確定いたしました予算の範囲内で、十分工事もそれに伴ってできる、こういうふうに考えて、仕事を進めておるわけであります。
  86. 小林篤一

    ○小林篤一君 これは、私はこれ以上追及してもしようがありませんけれども、そこで、今非常に北海道で大災害を起こして昨年とことしで、同じところを重ねて災害を起こして、非常に大きな国家的な損害を及ぼし、そうして住民は塗炭の苦しみを受けておるわけです。それで今は、これはもう役所の怠慢である、だから損害を要求しなければならぬというような声さえ起こっておるのが事実であります。であるからして、この災害が二カ年続いたのであるから、もうあとは、そういうことが起こらぬようにしなければならぬというふうにするのが、これは政府の責任であると思うわけです。  そうして、そういうことについて、石狩川水系に対する治水の計画というものは、今どうお考えになっておるか。これを細部のことは別として、大略どういう考え方であるかということをひとつ、お聞きしてみたい。
  87. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 石狩川水系の治水計画につきましても、現在の治水十カ年計画の一環をなしておるわけでございまして、したがいまして、この治水十カ年計画に即して石狩川の河川計画も作ってあるわけでございます。  石狩川の河川計画におきましては、石狩川には、まあたくさんの河川が入ってきておるわけでございますが、下流部におきます計画流量は、毎秒八千三百五十トンになっておるわけでございますが、この八千三百五十トンの流量を基本といたしまして、安全な河道をまず作る、こういう問題。あるいは、掘さく、浚渫、築堤、護岸等も、その水の流量を処理するという立場でやっておるわけでございますが、さらにこの河川の計画におきましては、ダムの計画、あるいは砂防事業等もあわせまして、基本的な先ほど申しました水量に耐え得る治水事業を行なうという考えで進んでおるわけでございます。
  88. 小林篤一

    ○小林篤一君 そういう私は抽象的な、何が何だかわからぬようなことのお答えをしていただこうとは実は思っておらないのです。もう少し具体的にそれじゃ質問をいたしますが、あなた、おわかりにならなければ、わからないと言っていただいたほうがいいのです、しいてお答えを願わないで。どうでしょう。もう少し細部にわたってお聞きしたいのだが、よろしいですか。
  89. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 御質問内容はよくわかりませんが、私はまあ基本的な問題だけをお答えしたつもりでございますが、細部について、中身、わからぬことがございましたら、その点は御質問によって、そう申し上げたいと思います。
  90. 小林篤一

    ○小林篤一君 それではお尋ねいたしますが、石狩川の水は、江別より下流が非常に川幅が狭いところがある。あるいは川べりにたくさんの木がはえて、それがために水の流れをとめておるところがある、あるいは底が波形になって非常に浅いところもある、そういうようなことを処理するんでないと、上ばかりやりましても、そのために流れがさえぎられて非常に災害の率が多くなる。ことに支川のような、支流のようなところも、それがために水位が高くなって災害を受けておるところがたくさんある。これについては、この前は、それはひとつ、調査をしてお答えしようということになっておったが、その調査は、どうなっておるのですか。
  91. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) ただいま御指摘の点の調査については、私も直接伺っておりませんし、その点についてのお答えはできかねるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、石狩川の治水計画は、基本的には過去における調査をもととして、基本的な河川計画というものを作っておるわけです。その河川計画に基づきまして、さらに毎年度の予算に即して重点的に仕事をしておるわけでございまして、まだ相当、未施行な個所があるわけでございます。今の御指摘の点は、その計画の全体の計画が悪いのか、あるいは計画には入っておるけれども、まだそこの点が、いろいろな仕事の進め方において、そこに至っていないというような点の御疑念か、ちょっと私もわかりかねるわけでございますが、全体としましては、先ほど申し上げましたような基本的な計画洪水量を、どうして防止するかということを考えまして、さらに先ほど申し上げましたような本川の工事とともに、たくさんの支川が入っておるわけでございまして、また本川の水が、支川との関係をよほど考えませんと逆流するという点もございますが、そういう点も十分考慮して、そういう逆流防止のための措置等も考慮しながら作られておる、こういうことになっておるわけでございます。具体的な個所とか、あるいは先ほど指摘の点の中身については、十分お答えできないわけでございます。
  92. 小林篤一

    ○小林篤一君 そこで、先ほど申し上げたように、二カ年続いて同じ所が大きな災害を受けておるのであって、そうすれば、それをもう手っとり早く、ここだけはひとつやって、そうして、その災害を防ごうという何か考え方がなければならぬ。先ほどのような基本的な問題は、これはもう、今あなたがおっしゃらなくても、前から基本的の計画はちゃんとある。あるけれども、それを実行しないから、そういうような災害が起こっておるのです。だからして、今急速にこの災害を防ぐ、二年続いたんだから、もう三年目は、そういうことは災害のないようにしようとか、その計画を私は聞きたい。
  93. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 御指摘のように、この二カ年災害が続いたということは、まことに私どもも大きく反省しなければならない点でございますが、さらに最初に申し上げましたように、この二カ年続いた原因としましては、気象条件もだいぶ違っておったという点もあるわけでございますが、まず、それはそれといたしまして、過去の災害を十分に検討いたしまして、私どもとしましては、まず災害復旧工事を迅速にやる、これが第一でございますが、さらに既定の計画をできるだけ早くして、なるたけ危険な個所を早くなくするようにしなければならぬ、こういうのが私どもの基本的な考えでございます。  したがいまして、それに対しましては、現在十カ年計画では、残事業が七カ年になっておるわけでございますが、これを五年に縮めたいというのが、今の考えの基本になっておるわけでございます。また、それと同時に、過去の災害によって、いろいろと検討すべき点がございました点については、さらにそれの整備内容を検討して、それを織り込んだものを、新しい五カ年計画の事業内容に取り上げて、それを実施したいというのが現在私どもの考えておる新治水計画の中身でございますので、石狩川につきましても、大体そういう方向で、必要なところはできるだけ早くやりたいという気持で進んでおるわけでございます。
  94. 小林篤一

    ○小林篤一君 そういう文句を言っておってもしようがないが、それでは三十八年度に、どういうことをおやりになりますか、今の災害地に対する問題を。
  95. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 災害地の問題については、まず災害復旧を早くやるということが、今年からやるわけでございますが、それはできるだけ早く、またそういう直轄事業については、北海道の場合は三年でございますが、三年復旧ということで、原則として災害復旧工事をやるとともに、来年度は、私ども来年度の石狩川の工事の中身まで、現在お答えできかねますが、できるだけ従来の災害を受けた河川でございますから、そういうことがないようにということで、全体として石狩川の予算としましては早期に、そういうことがないように、特に予算としても要求をいたしておるわけでございますが、中身については、ただいまお答えできないわけでございます。
  96. 小林篤一

    ○小林篤一君 中身を聞かなければ、この問題解決を、どこに求めておるかわからないのです。三十八年度はこことこことここを、こうやるのだという、つまり、そうすると三カ年計画といえば、三カ年間のうちには第二年度は、三十九年度はこことこことここをやる、それを聞かぬと、私は質問をしても意味がないのです。——そういう概括的なことを聞こうとしておるのでは私はないのであります。おわかりにならぬようだから、次の機会にまたひとつ、これは質問をすることにいたしたいと思います。  次は農林省の関係について、これは事務的な問題なんでありまするが、お聞きいたしたいことは、これは役所に聞いてもいいくらいのことなんですが、ことしの災害で、米の概算金の払わないものがたくさんあるわけです。おそらくこれは道のほうからも、これについての資料が出ておると思います。ところが、米の概算金を返納するについて、府県ならば郡単位でもって、二割以上の減収のあった場合ということになっておるらしいのです。ところが北海道は支庁単位、北海道には支庁というのがあって、その支庁単位になっておる、こういうのです。北海道は非常に区域が広うございます。そしてまた、一町村の面積でもたいへん大きいものですから、村によっては、政府へ納入する米でも三十万俵をこすところがあるくらい大きいのであります。しかも、それが一支庁管内単位でもって、郡単位でもなしにということになると、非常にこれは北海道は不利益な立場に立つわけです。だから私は、これはできれば、一町村単位くらいにしてもらいたいという考え方があるわけですが、一挙に、そこまでいかなければ、北海道も郡単位、その郡といっても、府県の郡より非常に大きいのであります。だからして郡単位くらいでもって、お考えを願う必要があると思いますが、この点については、お考えになったことがあるかないかということをひとつお伺いいたします。
  97. 田中勉

    説明員田中勉君) ただいま御指摘の点は、内地と比較いたしまして、現在概算金の返納を願う場合、政府に売り渡しの予約数量が、これが売り渡しができなくて概算金を返納しなければならぬ場合におきまして、その概算金の返納をする場合に、利子減免の規定があるわけですね。その場合に、内地の場合におきましては、郡単位で減収が、対平年率二割以上の減収が必要である、こういう一つのワクがございます。これに対応いたしまして、北海道におきましては、支庁単位ということになっております。確かに私どもも、昨年の北海道の一部地帯の災害、それから本年、こういう工合に続いておりますが、一応検討いたしまして、財政当局とも、との問題につきまして、せめて北海道は、郡単位くらいにして内地と一応バランスをとるというような考え方を検討いたしておりまして、財政当局ともいろいろやっておったわけでございますが、本年の場合については、その点結論を得ないままに一応支庁、それから内地は郡、こういうことになっております。  そこで今後の問題といたしまして、私のほうといたしましても、この点を、もう少しこれを詰めまして、来年あたり以降におきましては、そういう点が実現し得るように積極的にひとつ財政当局の了解も得るようにやって参りたい、こういう工合に考えております。
  98. 小林篤一

    ○小林篤一君 ただいま実現し得るように努力をしようということでありまするから、そういうことを、ひとつ何とか実現できるように、さっそくやっていただきたいと実は思うわけであります。  次は、この災害の罹災者が、水田を作っておる者が、飯米もとれない者がたくさんできておるわけでございます。この飯米の配給については、これは延べ払いにしていただかなければならぬのですが、十月までは、この配給が行なわれておるのです。ところが十一月から、これが配給がとまってしまっておるのですが、これはなぜ、そういうことになっておるか。やはり引き続いて、これはお願いをしなければならぬ状態でありますが、これはどうなんでありますか。
  99. 田中勉

    説明員田中勉君) この問題につきましては、道当局からも要望が出ておりまして、いろいろ所要量の検討もいたしておったわけでありますが、現在財政当局とも話し合いをいたしまして、早急に実施するように取り計らって参りたい、こういう具合に考えております。その場合に、この制度は、これは無金利、無担保、それから翌年の米の出来秋までの一年間の延納ということになっておりますので、これを実施する場合におきましては、そのつど財政当局との協議の上に、了解のもとに、これをやると、こういう建前になっております。そこで私のほうといたしましても、現在資料も整いまして、道当局からの、いろいろ詳しい資料もいただいておりますので、これを検討いたしまして、早急にひとつ実施をいたしたいと、かように考えております。現在、大体御要望が出ております数字は、約二百五十トンぐらいの数字が出ておるわけでございます。
  100. 小林篤一

    ○小林篤一君 大へんけっこうなんですが、その早急というやつが、いつになるかわからぬじゃ、これは困るのですが、ごく近いうちに、それはおきめを願えませんか。
  101. 田中勉

    説明員田中勉君) 十二月から、この制度を実施したい、こういう工合に考えております。
  102. 小林篤一

    ○小林篤一君 わかりました。  それから次は、その係の方がお見えになっておるかどうかはわかりませんが、北海道におけるバレイショというものは非常に減産をいたしておるわけであります。ところが当庁においては作柄一〇一%というようなことをいって、道のほうの調査では八〇%と、こういうことになっておるのです。そういうことを基準にして澱粉価格がきまったんですが、それは、澱粉価格とは今関連をするわけではございません。しかしながら、この収量の査定そのものが、直ちに農家の税金に影響してくる問題で、非常にこれは、今問題に農村側でしておりますが、前に農林大臣は、バレイショの収量については、もう一度調査をしようというような衆議院のほうの関係で約束をされておるという話であったが、それは調査ができておるのかどうかということを、ひとつお聞きいたしたいわけであります。
  103. 田中勉

    説明員田中勉君) 恐縮でございますが、この主管は、第二部長の主管になっておりまして、私からこの間の事情は承知いたしておりませんので、御指摘の点ございましたら、私帰りまして、至急ひとつ連絡して御返事を申し上げたいと、かように思います。
  104. 小林篤一

    ○小林篤一君 そこで、それに関連をするわけでありますが、米の収量調査というものも、これがバレイショのような、ああいう調査では困るのであります。われわれがざっと、統計なんというものを考えてみなくとも、北海道には、御承知のように至るところに澱粉工場がある。澱粉工場は、これまでは、その北海道の原料に合わしてちゃんと工場というものができておる。ことしは減収のために、どの澱粉工場もお手上げです。非常にイモがなくて困っておる状況でありますが、だから道庁の調べなどは、幾らか政治的な配慮もあるんじゃないか、当庁の調べは、作報時代から割合正確だという気持も実はいたしておったのでありますけれども、ことしのバレイショの調査から見ますと、全く当庁の調べは私はずさんだと、北海道の農民は当庁に対して反感を実は持っておるのであります。ところが今度は、米の収量調査であります。これもああいうずさんな調査をされたんでは、これまた税金に非常に影響いたしまして、農家がたいへん迷惑をするのであります。だからして、米の収量調査というものも、バレイショのような轍を踏むようなことなくして、もっと厳重な調査をしていただかないと困ると思うのでありますが、それについての御意見を承っておきたい。
  105. 田中勉

    説明員田中勉君) この点も非常に恐縮でございますが、統計調査部の所管でございまして、御指摘がございましたような点は、私も帰りましたら、すぐ統計調査部のほうに連絡を申し上げてみたいと、こう考えております。
  106. 小林篤一

    ○小林篤一君 実は、今お尋ねしておるような問題は、あらかじめこういうことをお聞きしたいということを申し出てあったんでありまするけれども、まあ係の方がおいでにならぬからしようがありませんが、ひとつ統計調査部のほうでも、イモのような、ああいう疎漏な調査でないように、もっと厳重な調査をしていただきたいと思いますので、お伝えおき願いたいと思います。  以上で終わります。
  107. 辻武寿

    委員長辻武寿君) 他に御発言なければ、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十一分散会