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1962-12-05 第41回国会 参議院 決算委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月五日(水曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木  壽君    理事            佐藤 芳男君            仲原 善一君            横山 フク君            相澤 重明君            大森 創造君    委員            上林 忠次君            鈴木 恭一君            田中 清一君            野知 浩之君            二木 謙吾君            山本  杉若            北村  暢君            大和 与一君            横川 正市君            和泉  覚君            高山 恒雄君            奥 むめお君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    農林政務次官  大谷 贇雄君    農林省農地局参    事官      富谷 彰介君    食糧庁長官   大澤  融君    水産庁次長   橘  武夫君    通商産業省繊維    局長      磯野 太郎君    中小企業庁指導    部長      影山 衛司君    会計検査院事務    総局第四局長  宇ノ沢智雄君   参考人    農林漁業金融公    庫総裁     清井  正君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書(第四十回国会内閣提  出) ○昭和三十五年度政府関係機関決算書  (第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度物品増減及び現在額  総計算書(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度国有財産増減及び現  在額総計算書(第四十回国会内閣提  出) ○昭和三十五年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第四十回国会内閣提  出)   —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和三十五年度決算外三件並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を議題とし、審査を進めます。  本日は、午前中農林省及び農林漁業金融公庫、午後は通産省、日本開発銀行及び中小企業金融公庫決算につき審査をいたすことになっております。  それでは、これより農林省及び農林漁業金融公庫審査を進めます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 大森創造

    大森創造君 きょうは大臣がいませんから、ごく事務的なことを一、二お伺いしたいと思います。  まず農地補償問題、現段階農地補償の問題はどういうことになっておりますか。
  4. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 御承知のように、一昨年地主問題調査会内閣に設置されまして、本年の五月答申がございました。その答申は、旧地主のうちに生活困窮者がある、そういう者に対しては生業資金考えるべきであろう、それからなお子弟の教育資金——育英資金でございますが、そういう制度考えるべきであるという答申が出たわけでございます。その後、この答申の取り扱いに関しましては、内閣審議室中心になりまして、関係省の幹事が寄り寄り協議いたしておりますが、現在のところまだこれという答申は出ておりません。
  5. 大森創造

    大森創造君 三十八年度予算編成を前にして、具体的な動きはございますか。
  6. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 現在のところ、農林省関係では特別の動きはございません。
  7. 大森創造

    大森創造君 新聞によるというと、「政府次期通常国会で旧地主補償など戦後処理問題が最大のヤマの一つになるのは必至だとみてこれに対する態度検討してきたが、このほど同問題に対する統一見解をまとめた。近く各閣僚に対して趣旨を徹底し、具体的な対策を講じる方針である。この統一見解では(一)国が補償措置をとれば、戦後つくられた法秩序混乱を生じ、実行不可能なほどの巨額の出費を招く(一)農地改革のように体制民主化のためになされた措置と、やむを得ない事情で損害を与えたものを同一に補償すべきでない(一)これまでに政府がとってきた生活困窮者に対する見舞い金措置も、社会福祉制度が充実した今日において意味を失っている(一)前向きに政策的見地から死に金にならない措置をとることは考えられる」と述べている。これは十二月三日の朝刊でございますが、こういう統一見解を各省に示したことがございますか。
  8. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) ただいまお読みになりましたのは、今週の月曜日の東京新聞の記事だとたしか記憶しておりますが、私もそれを見まして、さっそく担当官に連絡いたしましたのでございますが、内閣のほうからそういう連絡のあった事実はございません。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 前回私から農林省要求をしておきました回答をきょうは求めるのが中心なのですが、まず第一は、新米穀年度でどのくらいの消費量というものを見込むのか、それを最初にお答えをいただきたい。
  10. 大澤融

    説明員大澤融君) 新しい米穀年度でどのくらいの消費を見込むかということですが、私ども計算をしておりますが、それよりは三十七米穀年度でどのくらい売れたかということを申し上げたほうがむしろ最近の事情を御理解願うのにいいのじゃないかと思いますが、三十七米穀年度主食用としまして一般配給いたしましたものが五百十万トンでございます。このほかに特用米がわずか、あるいは業務米に出しましたものがわずかございますので、全部を足しますと五百七十九万トンでございます。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 それから、手持ちは現在幾らあるか。
  12. 大澤融

    説明員大澤融君) これは、今は三十八米穀年度にもう入っておるわけでございますが、三十七米穀年度が十月に締め切って、その十月のときの手持ちの量がございますが、内地米では三百六十二万、それから輸入いたしましたものが——外米の類ですが、十四万七千、合計いたしまして三百七十六万トン余りのものを持ち越しております。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、新しく輸入をするのはどのくらい予定をしておるか。従来、いろいろ対外折衝の問題もありますので、かなり見込まれておると思うのですが、できれば国別に、どのくらいの輸入考えておるか。
  14. 大澤融

    説明員大澤融君) むしろこれも三十七年の実績を申し上げたほうがいいんじゃないかと思いますけれども、買い入れましたのは、準内地米——これは台湾韓国等でございますが、三十七米殺生度の間に八万トンばかり買っております。それから外米——これはビルマでございますが、二万トン程度、それからさらに砕米といたしまして——これは大体タイですが、六万二千トン、合計いたしまして十七万トン程度のものを買っております。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 これはあれですか、今のお話ですと、台湾韓国ビルマタイ……、その他の国はないのですか。
  16. 大澤融

    説明員大澤融君) 台湾韓国ビルマタイ、そのほかございません。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 それから、いま一つお尋ねしておきたいのは、昨年までたいへん議論がありましたところの黄変米等ですね、いろいろ決算上出て参ったのですが、現在はもうこの悪い米というのはなくなりましたか。
  18. 大澤融

    説明員大澤融君) 黄変米は、これはもう今全然ございません。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、今の輸入米等は、これはもう全部食糧に使える、いわゆる食糧米に出さなければならぬ。こういう米はないと確認をしてよろしゅうございますね。
  20. 大澤融

    説明員大澤融君) 食糧と申しましても、主食だけじゃございませんで、いろんな工業用原料、そういう意味でも食糧でございますが、それ以外に出すというようなものはございません。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、さらに深くお尋ねしたいのですが、主食に使う米ですね、それと今あなたの言う工業用原料に使う米、これをひとつ内地米外米に区別して御説明を願いたい、三十七年度
  22. 大澤融

    説明員大澤融君) こまかい数字を申し上げて恐縮なんですが、三十七米穀年度では、先ほど主食用、それから業務用というものの合計を五百七十九万トンと申し上げましたが、このほかに内地米では工業用に回りましたものが四十七万トンあります。それから、輸入米について申し上げますと、これは主食用に回りましたものが約十万トン、業務用はもうほんのわずかでございますが、工業用に回りました——みそとかしょうゆの原料とかいうようなたぐいのものですが、これが約九万七千トン、そういうことでございます。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 それから、この内地米のうちの工業用の四十七万トンですね、これの十キロの価格、それから外米工業用に回した価格
  24. 大澤融

    説明員大澤融君) ちょっと私記憶いたしておりませんので、後刻申し上げたいと思います。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、今の工業用内地米外米価格はあとで御連絡いただくことにして、特用米は、これは総額幾らになったんですか。
  26. 大澤融

    説明員大澤融君) 三十七米穀年度で見ますと、五十六万トンになっております。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 この特用米は、普通の配給米との価格差は十円でしたか、幾らでしたか。
  28. 大澤融

    説明員大澤融君) 十キロにいたしまして八十円の価格差と思います。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、ここで主食に、いわゆる消費者に渡したものと、それから業務用に渡したものとは、総計幾らになりますか。
  30. 大澤融

    説明員大澤融君) その数字を先ほど申し上げたつもりでおったんですが、業務用に渡しましたものが十二万トン、それから主食用に配給いたしましたものが、特用米が今申し上げた五十六万トン、それから一般配給に回しましたものが五百十万トン、そういうものを合わせまして、先ほど申し上げたように五百七十九万トン、こういうことでございます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 そうでありますと、五百七十九万トンが三十七米穀年度配給量であると、こういうことになりますね——特用米業務用米を含んで。そうしますと、これは手数料幾らになりましたか。
  32. 大澤融

    説明員大澤融君) 一石当たり八百八十六円の手数料を見込んでおるわけであります。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 だから、幾らになりますか。
  34. 大澤融

    説明員大澤融君) 総額でございますか。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 そうです。
  36. 大澤融

    説明員大澤融君) 三十七米穀年度で、総額で四百二十六億円でございます。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 これを卸と小売に分けて幾らになりましたか。
  38. 大澤融

    説明員大澤融君) 卸が百五十一億、それから小売が二百七十四億でございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 卸百五十一億、小売二百七十四億ですか。——四百二十六億にならないじゃないですか。
  40. 大澤融

    説明員大澤融君) ちょっと端数を切り上げて申し上げたんで、申しわけありませんが、百五十一億四千万円と二百七十四億三千万円です。それで、それをラウンドにして四百二十六億円、こう申し上げたわけでございます。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、昨年の当初予算に対する補正で値上げをした分は幾らになりますか。
  42. 大澤融

    説明員大澤融君) 当初予算どおりでございます。
  43. 相澤重明

    相澤重君 当初予算どおりですか。昨年は手数料値上げをしたのでしょう。その基本になるのは、おととしの手数料に対する改定をしなければならぬといって昨年改定をされたんじゃないですか、そういうことじゃなかったですか。
  44. 大澤融

    説明員大澤融君) 三十六年の初めに二十五円——三十六会計年度ですね、そのときに一俵二十五円、それから三十七会計年度から一俵十二円、そういう改定をいたしまして、そういうことが、米穀年度ですと十一月から十月ということになりますから、予算どおりということで御了解願っていいのじゃないかと思います。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 三十六年の改定をして三十七年の予算を組んだ、こういうことですね。そうすると、三十六年には補正しましたね。三十六年には一俵当たり百三十三円九十五銭のものを改定をしたわけですね。三十六年には、当時改定をして、引き上げ額が四円八十八銭か幾ら改定をしたわけですね。それ以降は改定額はなかったと、そういうことで三十七会計年度における手数料予算化した、こういうことになりますか。
  46. 大澤融

    説明員大澤融君) こまかく申し上げますと、三十六年の四月からと、三十七年の——ことしですね、四月に改定しているわけですが、卸は、三十五年の五月に改定して百三十四円になりましたのを、昨年の四月に百二十九円、それからことし百四十一円、小売では、二百三十円だったものを、昨年の四月に二百四十七円、それからことしの四月に二百五十五円、そういうふうに改定をしたわけです。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、ことしの二百五十四円はいつ改定したって——いま一回。
  48. 大澤融

    説明員大澤融君) 二百五十五円ですけれども、これは三十七年分四月から改定した。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今年度ですね、米価改定に伴って、集荷手数料、あるいは販売手数料、こういうものを改定をしなければならぬということはおわかりだと思うのですが、現実消費者米価が十二月から引き上げられておるのであって、政府としては、この集荷手数料小売マージンについてどういうふうに決定をされたのか、御報告いただきたいと思います。
  50. 大澤融

    説明員大澤融君) 相澤先生、今までいろいろ御指摘いただいておりますように、マージンあるいは集荷手数料をきめる算定方法等について、そういうものにはいろいろ問題がございますので、私どもこういう機会にそういう考え方についても再検討をして、マージンあるいは集荷手数料考え直してみたいということで、しかし、大幅な改定——考え方を変えるというようなことは、特にマージンにしましても、今申し上げましたように、今年度改定もしておりますし、あるいは集荷手数料にいたしましても、すでに発足をして動いておる過程でございます。年度途中で今申し上げたような大幅な考え方を変えて改定をするというようなことはいかがかと思いますので、むしろ新しい三十八会計年度からやるのがいいのじゃないかという気持でおりますけれども、ただ、今御指摘があったような消費者米価改定もございましたし、そういうこととあわせて、また合印申し上げたようなこととあわせて、なるべく早い機会により合理的なものに改定をしていきたいということで、いろいろ各方面——財政当局その他と相談をしている最中でございます。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 私は、政務次官もおりますが、前回の当委員会の際に、農林省決算のときにあなたや大臣が見えなかったので、少なくとも十一月末から十二月の初句には委員会を開催するから、その際には、それらの業界の要望も出ておるのだし、早急にきめてほしい、それはまた報告できるようにしてもらいたい、こういう話をしておいたのですが、今のところの長官答弁だというと、関係方面とこれから話を進めていってきめたい、こういうことであって、そうすると、また例年のとおり、ぐすぐず、予算がきまらぬうちはというようなことで、実際には先に延ばすということですか。あなたのできるだけ早くきめるというのは、いつごろをめどにしておるのか。
  52. 大澤融

    説明員大澤融君) できるだけ早くというのは、お言葉を返すようで恐縮ですが、できるだけ早くということなんでございまして、(笑声)今申し上げたように、大幅に考え方も変えてひとつやってみようという気持を持っておりますので、やはりそういうことは、来年の予算をきめる——おそらく十二月末になると思いますが、そういうときにひとつ勝負をしたいというようなことでございますので、ぐずぐずするというようなことじゃなくて、ほんとうにできるだけ早くやりたいという気持でやっております。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、今あなたの説明を聞いておるというと、結局は十二月の通常国会召集前後にならなければ実際にコンクリート化せられない、こういう印象を受けるのですが、ざっくばらんに言って、集荷手数料というのは、現実に米は集まっているわけですね。米は集まっているのだから、これはきめなければいかぬと思う。それから保管料にしても、もうとにかく六年も七年も実際に改定をしていないのだから、これは現実に、さっきあなたが答弁をされたのにも、やはり保管をしておる米はあるわけです。そうすると、この保管料もやっぱり早急にきめちゃわなければならぬ。こういうふうに、私は今のこの米価改定に伴う当然の作業だと私は思うのですよ。こういう面で、集荷手数料なり保管料なりというものは現実にもう予算というものを組む前提になってきまっておらなければならぬ、こう私は思っているのですが、こういう点については、全部やはり小売りマージン等の問題も含めて一緒に作業を進める、こういう考えでおるのか、いま一度伺っておきたい。
  54. 大澤融

    説明員大澤融君) 先ほど申し上げたことで御理解いただけるのじゃないかと、こう思うのですけれども集荷手数料は、これはもう、ことしの米が集まりますのは八月ごろからということで、一俵五十円という予算にきまっておりますものを実施をしてやっておる。マージンもそのとおりなんですが、マージンは、消費者米価改定ということがあれば、今までの算定方式からいえば、ある程度の手直しということが必然的に伴ってくるという面がないわけじゃないのでございますけれども、先ほど申し上げたように、ひとつこの際、今までのいろいろ問題になった点を洗い直して、より合理的なものにしようという、今までの算定方式とは変わったような考え方、ことに農業団体集荷手数料引き上げ要求、あるいはまた、お米屋さんのマージン引き上げ要求も、これも従来に見られないような非常に大幅のものでございまして、そういうものを私ども受け取りましていろいろ検討をして、今までと違った考えでやらないと、そういう御要望に近いものにもなかなかならないということでございますので、そういう大きな考え方を変えるということはなかなか年度途中でできないという問題もございますので、先ほど申し上げたように、現実の問題としては、きまりますのが十二月の末くらいになってくるのじゃないかということを申し上げたわけです。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 それでは私は、できるだけ早くこれはきめてやるというのが本来の政府のとるべき態度だという、こういうことは申し上げておくつもりですが、そこで、その最終的にきめる段階に最も必要なことは、消費者米価改定値上げをされたということと同時に、国家公務員等を初めとして、やはりいわゆる賃金労働者もこれは給与改定をしなければならぬことは、これは御承知だと思うのですね、単に米価ばかりじゃなくて、私鉄運賃値上げを初めとして、一連の公共料金値上げが行なわれておるわけでありますから。  そこで、今のいわゆる手数料集荷にせよ保管にせよ、あるいは販売手数料にしても、私は当然、労務費等値上げによる引き上げというものは行なわれなければならぬ、こう思うわけです。政府としては、今回のこれらの手数料改定にあたって、そういう労務費引き上げを行なわなければならぬという前提に立っていわゆる引き上げを行なうのだということが中心であるというふうに考えてよいのかどうか、この点は長官にひとつまず第一にお伺いしておきたい。
  56. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろん人件費アップということを重要な問題として考慮に入れなければならぬ、こう思っております。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 それは、基本的な考えがそこで認められることになると、これは公務員のいわゆる給与改定の勧告、これは尊重をされて織り込まれる、こういうふうに考えてよろしいですか。
  58. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろん集荷手数料にいたしましても、マージンにいたしましても、今までの考え方からいっても、国家公務員給与ベースというようなことが基礎になって考えられております。公務員給与ベースというものがそういうことを考える場合に基準になるのは、これは当然のことじゃないかと、こう思っております。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 今お話を承りまして、必ずそういうことが現実改定の中に出てくると私は思うのでありますが、そうでありますというと、特に中心になりますのは、販売手数料に私はなろうかと思うのであります。政府考えておる小売等のいわゆる従業員給与というものはどのくらいが適当であると政府考えておりますか。
  60. 大澤融

    説明員大澤融君) これはなかなかむずかしい点だと思いますけれども、今は小売従業員、これは、店主とそれから店主でない方との考え方で変わっておりますが、店主のほうですと、二万八千円ぐらいだと思います。それから従業員のほうは一万二千円、これは公務員ベースアップに応じて引き上げられてしかるべきじゃないかというふうに考えております。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 これは、少なくともまあ今の長官の御答弁のように、公務員給与改定に伴うものが中心で、その他の諸経費というものを見込んで改定をされることでありますから、私もその点は結果をひとつ待ってみたい。しかし、そのことについては、ひとつ資料要求をしたいわけなんでありますが、あなたのほうで作業をされるわけですから、現在のいわゆる東京都がまあ一つの最も大きな問題ではあろうと思うのですが、全国の販売業者の数ですね、卸、小売にひとつ区別をして下さい。それから卸の人数とそれに対する給与額、それから小売人数給与額、それを先ほどのあなたの御指摘のように、小売の場合には店主従業員ということになろうと思いますわ。それからそれに対する今度は小売等が使う機械化を、現在では相当自動車とか、オートバイとかあると思うのですが、そういう点がどの程度政府として考えられておるのか、それをひとつ資料として出していただきたいと思う。それからいま一つは、非常に大事なことだと思うのですが、小売のそういうマージン算定する基礎で、従来政府が経営の内容について分析をするのに、八〇%で小売マージンによる生活を認めるか、九〇%による生活を認めるかと、こういう点は議論のあったところだと私は思う。それを今回の場合にはどのぐらいに算定をされるのか、そういうこともひとつ資料として御提示をいただきたい、こう思うのです。私どもとしては、従来の各手数料関係を見ると、非常にこの時代に即応させるためには、思い切ったやっぱり改定をしてやるのが、かえって議論も、あるいはまた混乱も起こさなくて済むのじゃないか、こういう点をひとつ、農林団体なりあるいは米麦取扱い業者団体の意向というものを十分尊重されて今回の改定はやっていく、そうすれば、毎年々々まあ通常にいう米価改定消費者価格改定というものがない以上は、普通もうあとごたごたしない、こういうことが望ましいと私は思うのですよ。そういう点で、ひとつこの際抜本的に、さっきあなたが十分慎重にしかもできるだけ早くということを言われたのだけれども、そういうふうに今回の大幅に米価改定された際に私はきめてほしいと、こう思うのです。そういう考えを持つかどうかということは、これはまあ政治的な問題でもありますので、政策議論でありますから、ひとつこれは政務次官から御答弁いただきたい。
  62. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) なるべく早く、よりよい結果になりまするように努力をいたしたいと思います。
  63. 相澤重明

    相澤重明君 それで私は日程の関係ですが、今八日からの臨時国会を前にしているわけでありますが、これはまあ関係人たちは非常な関心を持っておるし、また農林省にもたびたび促進方を陳情されておると思う。そこで、先ほどの長官のいう時期の見通しでありますが、少なくとも臨時国会の中でというのはなかなかむずかしいと思います。けれども通常国会は二十四日から召集されますね。したがって、その通常国会の冒頭には、これはもう、私はわかるようにしてもらいたい。予算の時期ということになれば、来年の三月までということになりますからね。そんなことじゃ私は困る。したがって、年内に解決をするという一つの目途でいくならば、二十四、五日にはやはり最終決定ができると、こういうことでなければいかん。また暮れから正月を迎え、多くのこれらの働いておる人たちは、非常に希望を持っておるわけですから、そういうことで、通常国会召集早々決定のできるように、その時期に、また当決算委員会も開いていただいて、報告をいただく、こういうふうにしたいと思うので、あらかじめそういう時期を要望しておくわけであります。これもひとつ政務次官から御答弁願いたいと思います。
  64. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) 各団体からの要望等につきましては、私も十分承知をいたしております。そこで、通常国会早々に決定をするようにと、こういう相澤委員お話でございますが、極力、関係当局との折衝を早く事務当局で終わらせるようにいたしまするが、予算編成との関係もありまするので、通常国会早々に決定を報告をしてもらいたいと、こういうお話でございますが、そこのところは、予算編成にからんでおりまするので、今すぐに、さよういたしますということは申し上げかねますが、極力早くいたしまするように、事務当局の折衝も早くするように努めさしたい、かように思っております。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官答弁を了承いたしまして、できるだけ、私の申し上げたように努力してもらいたいと思います。  その次に、せっかくの機会ですから、消費者の立場に立ってひとつお尋ねしておきたいのは、いわゆる特選米なるものですね、これは、政府として、甲乙丙ですか、何か、地域を区別してやられたようでありますが、まず、特選米、配給米・普通米と区分けをして、あるいは地域別に指定をされたように新聞には何か出ておったと思うのですが、まだ私は政府からはっきり聞いておらないので、その地域と、それから各ランクと、その金額と、こういうものをひとつ御説明をいただきたい。
  66. 大澤融

    説明員大澤融君) 普通米が十キロ九百五十五円、それから特選米が千十五円、こういうことでございまして、これは従来からも、地域によって、たとえば六大都市のようなのを甲地と、こう称しております。普通の消費県を乙地、それから大生産県を特地というふうに六段階に分けているわけでございます。甲地は、普通米が九百五十五円のが、二十円アップで九百七十五円、それから特選米が千三十五円、乙地が先ほど申し上げた九百五十五円と千十五円、それから丙が、それから二十円下がって九百三十五円と九百九十五円、それから特地が九百十五円と九百七十五円、こういうことでございます。これの乙と丙との間に、乙ダッシュが十円差であり、丙と特地との間に丙ダッシュの地域が十円差である、こういうことになっております。
  67. 相澤重明

    相澤重明君 こういうことになっているという資料があるようですからね。決算委員会ですから、正確に、この地域とこの地域は幾ら、こういうのをひとつ答弁して下さい、議事録に載りますから。
  68. 大澤融

    説明員大澤融君) 今申し上げたとおりなんです。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 今申し上げたとおりといったって、乙ダッシュとか丙ダッシュとかいったって、わからない。だから、その地域をあなたの方できめてあるのでしょうが、それをちゃんと言って、甲地域と乙地域はこれの範囲と、こういうふうに、あなたの方で資料を作ってあるはずなんだから、それを答弁して下さい。
  70. 大澤融

    説明員大澤融君) 甲地はどういうところ、乙地はどういうところ、これは資料でひとつ差し上げたいと思います。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、その資料を提出していただきます。  それから次に、政府がこの特選米を設けたことは、まあうまい米を食いたい人、いい米を食いたい人は、ひとつ特別に、二十円アップですか、二十円高く出せば食ってもらえる、こういうことで特選米というのをきめたようでありますが、この特選米というのは何等級のものから選ぶのか、全体の、何でもとれた米の中から、そういうふうに特別の選別機にかけて選ぶのか、これはどういうことなんです、基準ということは。それをひとつ教えていただきたい。
  72. 大澤融

    説明員大澤融君) 一、二等の玄米を原料にいたしまして、従来より、たとえば小米の入り方を少なくいたしますとか、あるいはぬか切れをよくするとかいうように、いわばみがき上げた米という形でございます。みがき上げておりますので、舌ざわりがいいというので、うまい米ということがいえるかと思いますけれども、個人的な嗜好というような意味でのうまい米じゃございません。そういうものでございます。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、政府のその特選米というのは、一、二等米の中から特別によくみがき上げて、それで小米とかぬかを少なくした、つまり、よくみがけばぬかはたくさん出るし、小米も出るけれども、それはふるっていい粒の米を作る、こういうことでございますね、今の表現を端的に言うと。そういうことですか。いま一度おっしゃって下さい。
  74. 大澤融

    説明員大澤融君) 従来の配給米と申しますのは、農産物検査法ですか、あれに基づきまして、一等精米、二等精米という規格がございます。それの二等精米ということで配給の米にあてられておったわけです。その規格を、今申し上げたように、小米とかいろいろなことがございますので、さらに高めるということをしたものが特選米でございます。こまかい規格を今御必要ならば、申し上げてもいいと思いますけれども……。
  75. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっと関連して。その点で、こういうことはないのか、お聞きしたいのですが、その産地米、たとえば高知米とか新潟米とか、そういうものの区別は全然ないのですか。  それからもう一つ、その早場米ですね、早くできるやつがあるでしょう。こういうのは特選米に入るのか入らぬのか、そういう点をちょっとお聞かせ願いたい。
  76. 大澤融

    説明員大澤融君) 今申し上げましたように、一、二等というものを原料として作ろうということを考えて、それから先ほど申し上げましたように、個人的嗜好というような意味での味というような要素を取り入れておりませんので、産地銘柄とか、あるいは品種銘柄というようなことはこの中へ考慮しておりません。これは、今のような統制の中で、どういう品種のものがいいのだ、あるいはどういう品種銘柄のものが、どういうものとはどれだけ格差があっていいのだというようなことは、統制の中で、行政の力でこうだというふうにきめることは、これはなかなかできない、望ましいことでありますけれどもできない、そういう意味でこれはとり入れておりません。  それから早期米というようなものも、これも一、二等で、先ほど申し上げたような特選米の規格ができるものはもちろん原料になって入るということでございます。
  77. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今の御説明をいただきますと、地域の条件は別にとってはおらない、そうして一、二等米の中から選別をする、その選別というのは、今お話の出た、よくついて、そうして小米等もなくして、ぬかもできるだけついておるのは少なくなる、こういう、見たところは普通の普通米よりはいい、まあこういうことが特選米の定義ということになるのですね。そうすると、これは、あなたのお話を聞いておりますと、普通米というのは、ぬかもあまりよくとらないし、小米も入っておるのをまあ配給にする、こういうことに逆論はなるのですが、そういうことですか。
  78. 大澤融

    説明員大澤融君) そういうことじゃございませんで、普通米は今までどおりの米が配給される、こういうことでございます。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 これはいずれ消費者から、特選米のいかなるものであるかということは、味わってからこれは政府に対する注文が出ると私は思う。それで、今の小米論争、鳥のえさ論争というのは、これは後の問題になると私は思うのですが、まあ日本の農民の諸君の努力によって非常に毎年豊作でありますが、せめて私は、やはり政府考えがいいか悪いかということは後の議論になると思うのですが、おそらく消費者としては、政府のそういう考え方でなくて、やはり瑞穂の国に育った国民としては米を主食とする、こういう建前でいけば、やはりむしろ特選米を設けるような考えを普通米として私は出すのがあたりまえだ、こういうふうにむしろ国民は強い意見を持つと思うのですが、それはともかく、政府考えたことがたとえば実施をされていっても、逆論として出てくる心配が一つあるのは、いいですか、長官、あなたはそういうことはないとおそらくおっしゃるだろうと思うのですが、一、二等米の中から特選米を選ぶということは、逆をいえば、もしその量において問題が出れば、農民の生産をしたものを逆に等級差を落とすということが将来行なわれはしないか、こういうことが考えられるのですが、こういう点は心配はないでしょうね。これは考えられるから、私は心配ないようにしてもらいたいという質問です。いかがですか。
  80. 大澤融

    説明員大澤融君) 今申し上げたように、特選米と普通米との値段の格差が直ちに原料の玄米の価格に反映するということにはならないと思います。
  81. 相澤重明

    相澤重明君 いや、私の申し上げておるのは、長官、こういうことですね、ざっくばらんに言うと、検査です。今までは一等米なり二等米に格づけができたけれども、特選米々々々ということでやかましくなると、本来ならば、当然二等米になるのを三等米に規格を落とされる、こういう可能性がありはしないか。こういう点、生産者の立場に、農民の立場に立つと一番問題が出はせぬか。したがって、そういう心配はありません、こういうことを、私はこの際政府からやはりはっきりと答弁をしておいてもらいたい、こう思うのです。この点は間違いないでしょう。
  82. 大澤融

    説明員大澤融君) 検査のやり方が、規格を変えない以上は今までと変わるということはあり得ないことだと思います。
  83. 相澤重明

    相澤重明君 それから政府考えておる、特選米と普通米の区分けをしたわけですが、特選米というのはどのくらい見込んでおるんですか。消費をどのくらい見込んでおるのですか。
  84. 大澤融

    説明員大澤融君) 全国的に考えまして二割、全体の配給量の二割程度のものを考えております。
  85. 相澤重明

    相澤重明君 あとは、大体政府が実施をした後の問題に移ってくると思うのでありますが、これもやはり一つ私は心配なのは、小売店によって問題が違ってくると思うのですが、これは、政府の今回の米価改定に伴って、登録応については、これは何か方法を変えたんでしたね。それから店頭に対する表示、こういうものはどういうふうになったか御説明いただきたい。
  86. 大澤融

    説明員大澤融君) 小売消費との間の結びつき、今一年に二回登録がえがてきるという制度になっておりますが、今申し上げた特選米というような制度を開きましたことと関連して、もちろん米屋さん自身の相互牽制と申しますか、あるいは消費者の自由選択と申しますか、そういうことが前提になって特選米という制度がうまく円滑に行なわれるということでもありますので、しかし一方、配給をする、計画的な配給をするという面もございますので、小売消費者の間を全然自由にしてしまうということはできませんので、そういう両面から考えて、小売消費者との結びつきは、この米屋さんじゃなくてあの米屋さんから買おうということは、登録の変更をいつでもできるわけですけれども、しかしそれが結びつきが変わるのは翌月からというような制度にしたわけです。店頭展示は、これは特選米と配給米を、見本を、標準品を店頭に展示をするように指導をしております。
  87. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今の特選米は大体配給量の二割、こういうことになりますと、これは大体その地域別、先ほどランクがありましたね、そこで特に大都市の消費地ですね、ここの地域の配給については、卸から小売にいく、小売が、今言った、あなたの言うとおり店頭に表示する。こっちはうまい米です、こっちはまずい米——まずい米とは表示しないでしょうがね。そういうことで一応やる。その場合に、非常に特選米を買いたいという人が多くなった、こうなると、それはやはり特選米を次によけいに作らなければいけない、こういうことになるわけですね。そういうことじゃないですか。
  88. 大澤融

    説明員大澤融君) 特選米は、今申し上げたように、一、二等から作るということですから、原料的に制限があるんです。したがいまして、今特選米が売れます量を全国的に二割というようなことを考えておる−わけでございますけれども、これがもっと需要が多いというようなときには、今のようなやり方では需要に応じ切れない。ですから、特選米はほしいんだけれども特選米がございませんという場合はあり得ると思います。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 一つそこで疑問に出てきたのは、そうすると、配給米についての政府の先ほどの御答弁では、結局五百七十九万トン、それが見込まれておるわけですが、そのうち、一家庭単位の配給量というものは、従来から増量というものを考えていない。現存は幾らの配給というのを月に考えておるのか、それを先にひとつお答え下さい。
  90. 大澤融

    説明員大澤融君) 御承知のように、ただいまは一月一人十キロの限度内ならよろしいということで配給をしているわけですが、これは各家庭によっていろいろ差がありまして、平均で、昭和三十七米難年度でたしか一人六・七キロぐらいになっております。この量が今後どうなるかというようないろいろな考え方があると思いますが、大体そういうことでございます。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 これは、今政府のおっしゃったとおり、せっかく配給量を、消費量というものを政府が十キロ単位にきめても、生産地の場合と消費地の場合と二つあるわけですが、特にやみ米の問題が私は重要な問題になっておったと思うのです。そこで、今やみ米は、おそらく政府のいうこの特選米制度によってなくなってくるという考えで出されたと思うのですが、逆にやみ米が特選米になる可能性はございませんか。今の政府が十キロ配給ということをお考えになって、それでまあ特選米というものは二割に一応想定した。しかし今度は、これを扱う人たちが特選米のほうが事実いいと、こういうことになって、その特選米にやみ米が化けていくというようなことはございませんか。そういうことはどこで押さえますか。その点ひとつ政府考えを聞いておきたいのですが。
  92. 大澤融

    説明員大澤融君) 特選米を考えましたのは、今までの統制では、いわば量だけの統制……、しかしこういうふうに需給が緩和して参りますと、現実にはうまいやみ米が流れるというようなことがある。それは、消費者が量というよりはむしろ質の問題に大きな関心を持ってきたということだと思います。今までのいなかでも、やみの流通というのはむしろ経済外的な要因からのものがあるというようなことがいろいろ考えられますけれども、むしろ都会地でのやみというようなものは、やはりうまい米というか、品質のいいものを求める消費者動きということとも相関連してそういう現実を土台にして考えると、この統制のワクの中でも、なかなかむずかしいことだけれども、質の問題に入っていくべきじゃないかということで特選米というものを考えたのです。したがいまして、今後の事情動きをいろいろ見ていかなければいけないことですけれども、特選米が今までのやみ米に変わってくるということは考えていいことじゃないかというふうに思います。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 きょうのところは、大体米の点はその程度にとどめて、魚価の問題に入っていきたいのですが、ちょっと速記を……。
  94. 奥むめお

    ○奥むめお君 関連。消費者米価値上げによりまして政府はどれだけの増収を考えたのですか。
  95. 大澤融

    説明員大澤融君) 増収を考え値上げをしたわけではございませんけれども、結果として約六百億か六百五十億ぐらいの赤字は出るという勘定になっております。
  96. 奥むめお

    ○奥むめお君 それは特選米の増収を考えない数字ですか。
  97. 大澤融

    説明員大澤融君) 特選米も入れてです。特選米だけで赤字の減といいますか、四十億ぐらいに考えられております。
  98. 奥むめお

    ○奥むめお君 四十億は特選米で増収の予定を加えてあるわけですね。私どもから言いますと、特選米というのがあとから出てきて、そしてそれだけ高くなるわけですね、一キロについて十六円。そうしましたら、その分だけ普通の配給米は上質の米が削られるんですからね。そうでしょう。
  99. 大澤融

    説明員大澤融君) 先ほどから申し上げましたように、普通米は今まで配給しておりましたのは二等精米の規格、それで配給されておったわけです。それがこれからもそのままですから、普通米が今までよりもまずくなるというようなことは一般的にはないと思います。
  100. 奥むめお

    ○奥むめお君 それだけよくする分を配給米から減らさなければ特選米が出てこないじゃありませんか。それだけ分量を。ほかの米がくるんだったら別ですけれども
  101. 大澤融

    説明員大澤融君) そういうことではございませんで、今までは、一、二等でも、三、四等でも、二等精米の規格のものを作っておる。しかしながら、一、二等精米は、今申し上げたような特選米というような優秀な規格のものを作り得る材料、今まではそれが死んでおった、それを生かして、先ほど申し上げたような新しい消費者の需要に応じていこう、こういうことでございます。
  102. 奥むめお

    ○奥むめお君 その話はわかるけれども、全軍としては、その規格をよくするために一、二等の米をよそへ取ったわけですね。特選米用として取ったわけでしょう。二割とあなたはおっしゃるけれども、そうすると、その分のあとの配給一、二等の米を特選米として取ったんだから、そのあとの三等以下の米が配給になったわけですね、操作は別として。そうしますと、その米を、余分に特選米として一キロ十六円ずつ上がる分を減らす、安くするのが一番正しいあり方じゃないですか。
  103. 大澤融

    説明員大澤融君) そうではございませんで、普通米は普通米の適当だとする値段を一応きめて、さらに特選米としてみがき上げた米をその上により高い値段で作って売るということでございますので、おっしゃる意味は、それは高い米を取ったんだから、普通米のほうはもっと下げていいじゃないかというお説だと思いますが、普通米は今までどおりの精白をして二等精米の規格で売るんだから、今までと考え方は変わっていないわけですから、上に取った分だけをこっちは下げるということにはならないと、こう私は思います。
  104. 奥むめお

    ○奥むめお君 それは、あなたのほうの考え方はそうでありましょうけれども、国民からいえば、一番いい米と二番目の米をよく精白して砂も取って、そうして国民に売ったんだから、配給米はそれ以下の米しかないということは、これはたしかですね。絶対量はきまっておるじゃありませんか。
  105. 大澤融

    説明員大澤融君) 今まで私どもが食べていた米というものは、一、二等からも三、四等からも同じような程度の小米があり、ぬかがある米を食べておった。それが二等精米。いわば、一、二等玄米というのは、もっといい米ができるのにそういうことをしていなかったということでございます。しかしながら、われわれの口に入った米は、一、二等の玄米を材料にしても二等精米規格のものであった、こういうことでありますから、そういう意味で私が申し上げたようなことでいいんじゃないか、こう思います。
  106. 奥むめお

    ○奥むめお君 それは非常に国民をごまかしていることですよ。特選米といって増収をはかった、これは表向きの数字でないものでよけい増収をはかっておる。国民は、一、二等米であったものが、もう普通米を買えば食べられないということになった。これは、国民を非常な謀略にひっかけたものです七私はそう思う、あなた方もきっとそう思っておると思う。そういう計画でなさったと思いますけれども、ほんとうをいえば、こういう特選米制度というものは、来年度の、三十八年度の米収をどう操作するか、三十八年度の収穫の米をどう処分するのかということをはっきりおきめになってから特選米というものが出てくるのがほんとうです。今までどおりのことでやっておって、百姓から出させて、そうして出したものの中から、一、二等米は特選米と称するのだ、高くするのだ、そのかわりよくついてあるぞ、こうおっしゃるのですね。ほんとうは今それをなさる時期ではないと思うのです。少しごまかしがきつ過ぎるというのが私ども考えだし、政府もそれは反省なさらなければいけないと私は思いますが、いかがでしょうか。
  107. 大澤融

    説明員大澤融君) 特選米の制度は、決して四十億の財政収入をということでやったわけではなく、私ども先ほどから申し上げましたように、量から質へという動きに応じて、せっかくそういう材料を、死んでおった材料を生かして、そういう需要に応ずるということでやったことでございまして、いろいろの御批判はあろうと思いますけれども、統制のワク内で新しい方向に一歩踏み出したということで私どもやっておるわけで、御批判はいろいろあろうと思います。
  108. 奥むめお

    ○奥むめお君 お米の二割程度特選米が出るだろうという御予定のようですけれども、おそらくそれ以上出るでしょうね。そうなったら、特選米はもうありませんと米屋は言いますとおっしゃるのですか。
  109. 大澤融

    説明員大澤融君) それは正直な米屋ならそう言うことだと思います。
  110. 奥むめお

    ○奥むめお君 不正直な米屋ならどう言いましよう。
  111. 大澤融

    説明員大澤融君) 別の米を、特選米まがいのものを特選米だといって売る米屋が、多い中にはないとは限らないと思います。しかし、そういうことは、先ほど申し上げたように、相澤委員からも御質問がありましたように、米屋相互の監視あるいは消費者の監視というようなことの中で解決をしていかなければならない問題だと思います。また、量から質への要求ということは、そういうようなことが多少はあるかもしれないというようなことでも、この際はやったほうがいいのだというような社会的な要求でもあるのじゃないか、こういうように思っております。
  112. 奥むめお

    ○奥むめお君 お米屋さんは、それじゃ、特選米を扱いますと、普通の手数料よりもどれだけよけいもらえますか。
  113. 大澤融

    説明員大澤融君) マージン改定の問題を控えておりますが、現状では十六円程度でございます。
  114. 奥むめお

    ○奥むめお君 よけいに精白することと、ごみをとることで十六円ふえるわけですね、お米屋の収入は。お米屋には、必ずあなたのほうから渡すときに一、二等米だけ別に渡しますか、これから。
  115. 大澤融

    説明員大澤融君) もちろんそうで
  116. 奥むめお

    ○奥むめお君 お米屋手数料の問題が出ておりますが普通の米は幾らですか、今までの手数料は。
  117. 大澤融

    説明員大澤融君) 搗精賃や副産物収入を差し引いて三百五十四円です、卸し小売り合わせて、一俵。
  118. 奥むめお

    ○奥むめお君 小売りと卸しを別にして下さい。幾ら幾らという、卸しと小売りを別にして。
  119. 大澤融

    説明員大澤融君) 卸しが百四十一円、小売りが二百五十五円でございます。
  120. 奥むめお

    ○奥むめお君 これに特選米が加わるのですか、十六円というのは。
  121. 大澤融

    説明員大澤融君) そうでございます。
  122. 奥むめお

    ○奥むめお君 それからいつでも米屋には表示米が置いてあるわけですね。今まででも置いてありましたわけですね。これからまた特選米と普通配給米を表示させる、こうおっしゃるのですね。私ども役所のする仕事に非常に不満を感じますのは、表示させておりますこれは相当の量になります、全国的に見ますと。だけれども、われわれが見に行ったら、時にはもう糸がついたようにつながるような古いお米がびんに入って並べてあるというだけであって、それは標準にならないものが置かれているのですよ。こういう制度をお作りになっている以上は、今度は特選米はこういう米だ、普通配給米はこういう米だということを啓蒙なさる義務が私はお役所にあると思うのです。ところが、そういうものが足りない。これは米屋の努力じゃなくて、あなた方の努力だと思うのですよ。一体お役所というものは、機構を変えたり制度を変えたりなすっても、ちっとも国民には徹底していません。ですから、普通の配給米をちょっとよけいついて特選米です、四等米、五等米を白くついてこれは特選米ですと持ってこられてもわからない、教えてもらってもわからない、そういう人もあるでしょうけれども、これを徹底させるという予算は役所は持っているはずです、教育的に。ところが、そういう努力はちっともしない。ですからごまかされて、また、これはまずいからもっといい特選米があるはずである、特選米を持ってこい——現に私とも聞いておりますのは、変えて持ってきたといいながら、ちっとも内容を変えていなくて、悪い米をただ白くだけついてきているのが多いのです。きっとこれは多いはずです。そういう点で、あなた方はどういう監督をなさいますか。
  123. 大澤融

    説明員大澤融君) 私ども小売店六万以上のものがございます。とても国が直接一つ一つ監督するということは、なかなかいかないと思います。もちろん、いろいろの意味での、またいろいろの方々での監督なり監査なりはやってはおりますけれども、そういうことは、むしろある程度相互間の自由競争、消費者の方の自由選択というような道を開いて、お米屋さん自身の自覚をしてもらうということの上にこういう制度をやらなければいかぬと思います。ですから、たとえば私どものところへいいかげんな米を特選米だといって持ってきた、舌ざわりもよくないというようなときには、われわれ消費者は、今度は半年間その米屋に結びついている必要はないのですから、別の米屋に行って買うというようなことで、お米屋さんもいろいろ誠意を尽くして競争するというようなことでやっていかなければならないということだと思います。もちろん、役所も監督いたしますけれども消費者自身の監督といいますか、米屋さん相互の相互監視といいますか、そういうふうなことと相待ってこういう制度はうまくいくのだ、こういうふうに思います。
  124. 奥むめお

    ○奥むめお君 ありがとうございました。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 それではその次に水産関係、漁業資金、よろしいですか。まず、水産庁にお尋ねしたいのですが、来年ですか、漁業権の免許改定は。
  126. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 漁業法を明年施行いたしまして、それに伴いまして明年度改定してもらいたいということであります。
  127. 相澤重明

    相澤重明君 この漁業法改正ももちろんでありますが、水産庁としては、現在の漁業組合、これの再編成問題ということはお考えになっておるのですか。
  128. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 水産業協同組合につきましても、水産業協同組合法の改正が行なわれたわけでございまして、これにつきましては、今年十二月、今月の十日ですか、改正法が施行になるわけでございます。その改正法に伴いまして、新しい水産業協同組合の施行なり実施をいたして参りたい。それに伴いまして、ある程度加入資格その他に変更がございますが、抜本的に今の協同組合の制度を全く一挙に一新したものにするということは、今直ちには考えておりません。
  129. 相澤重明

    相澤重明君 少なくとも法施行になる一わけですから、指導ということが非常に大事になると思います。現在の全国の漁業協同組合の実情か見ても、専従者はきわめて少ない中で多岐な仕事をしておると思います。そういう面で、政府考え方をひとつ、改正にあたってどういうふうに今指導しておるのか、その指導の考えをここで明らかにしてもらいたい。
  130. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) おっしゃいますように、今後の沿岸漁業のあり方というのは、非常にいろいろ困難な問題をかかえておりまして、そういう中におきましての水産業協同組合の役割というものは、今後ますます市要になってくるというふうに考えております。そういう点にかんがみまして、たとえば生産組合などにつきましても、できるだけその機能が十分にできますように、いろいろ資格その他につきましての改定を加えたわけでありまして、そういうことと相待ちまして、協同組合の機能を、今後生産面におきましても、あるいは加工面におきましても、さらに従来の機能を強化して、個々の経営体がさらに水産業協同組合を中心といたしましての共同の体制に持っていくように、強力に指導して参りたいというふうに考えております。
  131. 相澤重明

    相澤重明君 まあその持っていきたいという話は、法改正をしたのですから当然だと思うのですが、具体的に促進をはかるのには、指導要領というようなものがなければ、これは先ほど食糧庁長官の言うように、全国の漁業協同組合を一々本省から出ていって指導するということはなかなかこれはむずかしい問題だ。やはり各都道府県というものを通じて政府も指導をされると思うのです。そういう点で、指導要領というものはもうでき上がって、各都道府県に流しておるのですか、この点はいかがですか。
  132. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 現在一応案を作りまして、内部で決裁の準備を進めております。まだ流すところまではいっ  ておりません。十日改正法が施行になりますのと前後いたしまして、各都道府県にこれを徹底さしたいというふうに思っております。
  133. 相澤重明

    相澤重明君 今月の十日ですか。
  134. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) そうでございます。
  135. 相澤重明

    相澤重明君 日前後に……。私は、ある程度、この漁業協同組合整備促進法について、漁業協同組合の資金関係というものがきわめてやはり重要な問題だと思います。そこで、現在の農林漁業金融公庫から漁業関係にはどのくらいの資金をお考えになっておるのか。これは政府、水産庁と金融公庫のほうと両方からひとつ御説明をいただきたい。
  136. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 三十七年度におきまして、公庫の漁業関係の資金といたしましては七十億円程度の金額を考えております。
  137. 清井正

    参考人(清井正君) ただいま椅次長がお答え申し上げましたとおりでございますが、三十七年度におきます私どもの水産関係の貸付額は総計七十億九千万円でございます。内訳を申し上げ一まずと、漁港に四億四千万円、漁船に五一十億、それから沿岸魚家の経営安定資金に一億、それから漁業協同組合等の行ないます共同施設に十億、それから個人がやりますこまかい施設に五億五千万円でございまして、合計で七十億九千万円ということになっております。
  138. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今のワク、ちょっと早かったから書きとれなかったのだけれども、たとえば今度の協同組合を整備させるについて、何といっても一番大事なのは、まず漁があることが漁民にとっては一番大きな生活の問題で重要な問題だと思う。それから漁はあったけれども、その魚が、あるいは水産の問題としては、価格が安定をするかどうかということが私はやはり重要な問題だと思う。三陸や北海道で、イワシにしろ何にしろたくさんとれたときには、バケツで一ぱい幾ら、これはとても東京まで持ってこられないからこやしにしなければいかぬ、捨てなければいかぬ、こういうようなことでは、漁民のほんとうの生活を安定させることにはならない、漁業法の第一条の精神にも私は沿わないと、こう思うのです。  そこで、魚価安定基金というものを政府はどのくらい考えておるのか。また公庫としては、この魚価を安定させるためには少なくとも冷凍庫がなければならぬ、こう思うのです。そういう点について、漁業協同組合単位にどのくらいの貸し出しを行なうのが適切であるか、あるいはそういう施設を作らせる指導方針というものを政府は持っておるのか、政府のほうでそういう指導精神がなければ、金を出すといってもなかなかできない。公庫のほうでも、たとえばこの冷凍庫を持つにしても、資金がなければこれは漁民はなかなか作れない、こういう関係が生まれてくるのです。ですから、第一は、魚価安定基金というものはどのくらい本省としては予算として出すつもりなのか、あるいは現在は幾ら出しておるのか、それからこの冷凍を行なわせるためのそういう指導について、協同組合単位に行なっておるのかどうか、あるいは地域的な条件でそういうものを設置をさせるのか、その場合に公庫に対しては融資はどういうふうにやらせるのか、この点をまず御説明をいただきたい。
  139. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 漁家の経営の安定ということを考えましての、いろいろ沿岸漁業を中心にいたしまして、沿岸漁業構造改善という趣旨から、それぞれの県を中心といたしまして、それぞれの県の地域ごとに長期の計画をもってその沿岸漁業の改善をどういうふうに進めていくかということを、逐次年次を追って計画を立ててもらいまして、その計画に沿っていろいろ政府といたして助成もいたし、また資金の融通もあっせんして参るということで、今年度からそのための、漁業の構造改善というためのいろいろ養殖施設の設置でございますとか、あるいは共同加工の施設でございますとか、あるいは漁船の建造でございますとか、そういうような施設を近代化して参るための資金として、現在三十七年度には、その構造改善という趣旨から五つの地域が指定されておりまして、その五つの地域に対しまして、今年度近代化のために三億五千万、それからそれぞれの漁家の経営安定という趣旨から、漁業協同組合を通じまして貸し出すことを予定しておりますのが一億円、さしあたりそういう額をそういう漁業の経営改善という趣旨で融資を予定しております。
  140. 相澤重明

    相澤重明君 これは私今聞いてびっくりしたのですが、少なくともこの漁価の安定に対する政府考えというものは、まあやっておりますということだけですね。それは、一億くらいの金でもってどうして漁価の安定ができますか。これはほんとうの漁民の生活政府は真剣に考えておらない、おそらく。各都道府県のこの沿岸漁業なり、あるいは遠洋もありますけれども、特に日本の場合は、沿岸漁業が一番重要な問題だと思う。それで構造改善の長期計画ということを政府はうたっておるわけでありますが、少なくとも各県で、私は一億やそこらの金がなければ、ほんとうの漁価の安定対策にはならないと、こう思うのです。それを次長の今の御説明では、漁価の安定基金として一億、それから三十七年度に五つの地域を指定して、この構造改善を進めるための三億五千万円、こういう説明なんですね。こんなことで何が一体漁価の安定ができますか。これは、三十七年度予算ということで今聞いたわけですが、三十八年度もこういう考えで踏襲するつもりですか、次長にいま一度その点伺っておきたい。
  141. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいまの一億ということで非常に額が零細であるという御指摘があったわけでございますが、これは三十七年度から地域を指定いたしまして事業を開始する。で、一応全国四十二くらいの地域、各県ほぼ一県一地域ということでございますが、四十二地域に分けまして、それを逐次五カ年間で指定をして参る、その指定を受けた県が、さらに五カ年でその事業の計画を進めて参るということになっておりまして、さしあたり今年度から事業に入りますものが五地域あるわけでございます。その五地域の初年度分ということで、その漁家の経営安定のための経営安定資金というものが応一億円というふうに計算されているわけでございます。三十八年度になりますと、その五地域につきましての第二年度分、さらに新しく八地域がつけ加わりますので、額といたしましては、三十八年度としては、一応今の一億に相当する額としては、二億八千万円程度に額がふえるものと考えております。
  142. 清井正

    参考人(清井正君) 私から補足をさせていただきたいと思います。  先ほど私申し上げました三十七年度の私どものほうの公庫の漁業関係予算のワクは、漁港を作ります場合に貸し付ける額が四億四千万円、漁船を作ります場合に貸し付ける金が五十億、それから沿岸漁家の経営費定資金でただいま次長が御説明申し上げました一億、それから共同利用施設に貸す金が十億、それから個人がこまかい施設をやります場合に貸す金が五億五千万円、合計七十億九千万円という数字を申し上げたわけでございます。  なお、ただいま次長が御説明申し上げました一億の本年度の漁家経営安定資金は、沿岸漁家の経営安定資金でございますが、さらに、相澤先生御心配になっておりました魚価安定資金のうち、公庫で心配をいたして貸し付けをいたしておりますのは、製氷施設、冷凍施設と産地におきまするとれました魚の貯蔵施設でございます。この点が、魚価安定のためには非常な大きな貢献をいたすわけでございまして、特に一時に多くとれます大衆魚のほうは、とれたものをすぐ一時に出荷いたしますと、供給過多のために魚価が下がるわけでありますので、それを産地の倉庫に貯蔵いたしまして、それを逐次出荷するということによりまして魚価を安定させるという効果が非常に大でございます。したがって、漁業関係の製氷・冷凍施設に対します資金需要が相当漁業組合関係から多いわけでございます。それに対しまする私どもの三十七年度におきますワクは、ただいま申し上げました共同利用施設の十億の中でまかなうわけでございますが、一応予算ワクとしては六億四千九百万円を予定いたしておりますけれども、これはもっとも需要に対しては相当少なめの数字でございます、正直に申し上げまして。むろん、昨年度よりはこれはふえているわけでございますけれども、なお相当これに対する一般需要が多いわけでございますので、私どもといたしましては、今後製氷・冷凍施設を含めまして、共同利用の施設、特にただいま御指摘の魚価安定に関係いたします製氷・冷凍施設のごときは今後もっと公庫の予算ワクをふやしまして、大方の需要にこたえなければならないと思いまして、これは政府とも相談をいたしまして、明後年度におきましては相当予算を獲得いたしたいと考えておるものでございます。この点は、十億未満のごくわずかの金でございますが、相当効果が上がっているものであり、また民間の需要も相当多いということでございますが、何しろ、御承知のとおり水産関係は、金融という立場から申しますと、きわめて一般の、農林業もそうでございますけれども、いわゆる弱点が、一般の工業に比べてあるわけでございます。それを押して私どもも貸し付けるわけでございます。したがって、私ども漁業金融を担当いたします農林漁業金融公庫といたしましては、もっと水産関係に融資を集中しなければならないと考えております。利子は安く期間は長くというととで、できるだけ借りる利用者の負担を軽くするということは、系統金融機関よりも私ども政府金融機関のほうが性格上いいものと思いますが、今後漁業関係予算のワクをふやしていきたいと思います。  ただいまは御説明申し上げましたような数字でございまして、今後はもっとこの予算はふやしていかなければならぬと考えております。直接には製氷・冷凍施設でございますけれども、私どものほうといたしましては、一般の流通資金にはお貸しいたしませんで、施設資金のみにお貸しするわけでございまして、したがいまして、大きな漁船を作ったり、りっぱな漁港を作ったり——これは直接関係ございませんが、いろいろな施設に対してお貸しすることによって漁家の経営の安定性が増してくるということになりますれば、それが間接には魚価安定にも影響するということでございますが、直接には製氷・冷凍施設でございますけれども、それに関連いたしまして、漁業関係予算全体が漁家の経営安定、ことに魚の価格の安定ということに影響するところがきわめて重大なものがあるのではないかというように私ども考えているわけでございます。今後この予算ワクの増大につきましては、極力努力をいたしていきたいと考えているわけでございます。
  143. 相澤重明

    相澤重明君 公庫総裁にひとつワクを一応説明願いたいのですが、農業関係、林業関係、漁業関係と、そういうふうに分けて、公庫の全体の額は幾らか、それをひとつ説明して下さい。今、漁業関係は七十億九千万、こういうことですね、水産関係は。それをちょっと説明して下さい。
  144. 清井正

    参考人(清井正君) 昭和三十七年度、本年度におきますワクを御参考までに御説明申し上げたいと思います。  農林漁業金融公庫の本年度のワクのうち、本年度が七百十億の貸付ワクでございますが、このうち土地改良が二百五十二億でございまして、三分の一近い数字を占めております。それから自作農維持創設資金、これは御承知のように、零細な農家にお貸しする自作農創設資金、これが百九十五億、この二つが非常に大きいのでございまして、土地改良関係で大体三分の一の金額であるというふうに御了解願いたいのでありまして、それと同額程度のものが自作農創設資金ということでございまして、この二つで相当の割合を占めるわけでございます。それから林業資金が六十七億、それから漁業には、今申し上げました七十億九千万円、開拓が十三億、その他こまかいものがございますが、そういうふうな割合でございまして、大体この業種別比率というものは各年度同じくらいの比率でございますが、だんだん漁業関係等は毎年少しずつふえてきておりますけれども、全体の比率としてはそう変わっていない、端的に申し上げましてそういう比率でございます。
  145. 相澤重明

    相澤重明君 三十八年度政府に対する公庫からの要請はどのくらい行なっておりますか。
  146. 清井正

    参考人(清井正君) 三十八年度のワクについて、これは私どもがこれからなおこまかい折衝をしなければならぬ数字でございますので、確実な数字、あるいは権威ある数字とはむろんお考えいただいては困るわけでございますが、私ども農林漁業金融公庫は、本年度は七百十億でございますが、明年度は、御承知のとおり、政府で、農林漁業の経営構造改善計画で、わが公庫から貸付をいたそうということでただいま計画中でございますので、これがもちろん膨大な金額になっております。したがいまして、そういうものを含めまして、ただいま私どもは千百六十二億の予算要求政府に対していたしておるわけでございます。そのうち水産関係、沿岸漁業関係といたしましては二十七億、それから一般の漁業全体として七十億、その他共同利用関係の中にも製氷・冷凍関係が入っておりますが、三十億だと思いましたが、ただいまはっきりした数字を持っておりません。そういう数字予算要求をしておるわけでございますが、いずれにしましても、私どもの公庫のうちの相当部分は農業関係に貸し付ける、こういうことになっておることには変わりないわけでございます。私どもといたしましては、ことに沿岸漁業というものは、融資対象としては非常に弱体なものでありますから、他の漁業に対抗するためには、どうしても公庫のごとき長期低利の施設資金を貸すのが私どもの使命ではないかというふうに考えております。したがいまして、この漁業全体に対する融資ワクというものは、今後、逐次増加をしていくように政府とも御相談いたしまして努力いたしていかなければならないと思うのであります。現状では、まだ十分満足すべき状態にあるとは必ずしも言えない、そういう状態でございます。
  147. 相澤重明

    相澤重明君 少しこまかくなりますが、この漁業振興資金で少し区分けをして、小型漁船の近代化資金、それから協業化促進資金、組合の再編成資金、整備資金、こういうふうに分けて、どの程度考えになっておるか、御説明いただきたい。水産庁から……。
  148. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 沿岸漁業の構造改善に関連いたしまして、三十八年度といたしましては、構造改善の関係で十七億程度、それから沿岸漁船の整備促進のために八億程度、それから沿岸漁業の協業促進の関係で二億程度の額を現在考えております。
  149. 相澤重明

    相澤重明君 実際、今の公庫の総裁の御説明を聞きますと、水産関係、特に漁業関係では、公庫の資金の中の約一割、今までもそうであるし、来年度要求も、膨大にふえておるといっても、やはりそういう考え方ですね、一割程度。  そこで、そうしますと、先ほど公庫の総裁が説明をされたように、魚価安定について一億の政府考え方でありますが、特に公庫は、十億のいわゆる資金の中で、製氷関係あるいは冷蔵庫施設関係、そういうもので六億四千九百万程度が今までの実績のようでありますが、政府、水産庁としては、一体、冷蔵庫を設けるとか、製氷部門をやるというのに、一カ所にどのくらいの資金が必要だというふうにお考えになっておるのか。政府の指導の問題と、予算の裏づけというものが必要でありますから、それをひとつ御説明いただきたいと思います。
  150. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 製氷・冷凍施設、生産地におきます冷蔵関係、それから消費地におきますものとで、それぞれ規模が違うのでございますが、生産地におきます冷蔵庫といたしましては、一応五千万円前後の規模のものというものを考えております。消費地になりますと、もっと大きな、一億とか三億とかいうものが必要だということでございます。
  151. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、第一の御質問は、先ほど次長から御説明いただいた三十七年度の五つの地域を発表願いたいことと、三十八年度に八つの地域を考えておる、その地域の場所を御説明いただきたい。
  152. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 三十七年度に指定いたしました地域は、宮城県、京都府一愛知県、山口県、それから長崎県の北部地域、一応長崎県は県を二つの地域に分けて考えておりますので、その五つを指定いたしております。  それから三十八年度に事業を実施いたしますものとして考えておりますのは、岩手県、秋田県、千葉県、静岡県、三重県、兵庫県、和歌山県、広島県、その八地域を考えております。
  153. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、この構造改善の長期計画に基づく地域には、たとえば生産施設、いわゆる製氷部門とか冷蔵陣、こういうものは当然率先できるわけですね。同時に、今の消貴地等を考えますというと、消費地に対するところのやはり貯蔵施設というものは、これは最も大事な魚価安定の重要な部門だと私は思う。たとえば東京市場を一つの例にとってみますと、東京市場に魚が少なくて、しかし反面輸送というもので生産地では非常に多くの物量がある、こういうような場合、実際のアンバランスというものが生まれてくると思うのですね。したがって、そういうものを確保していくというのが今の施設の問題なんでありますが、これらの構造改善計画を行なう地域に、そういう指定をした地域には、そういう消費面に対するものも考えておると、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  154. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 先ほど御説明がちょっと不徹底だったわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりました構造改善の事業といたしましては、主として生産面の施設——養殖施設でありますとか、あるいは加工施設でございますとか、漁船でございますとか、そういうものを二心補助対象なり融資としては重点的に考えております。製氷、冷凍、そういう流通段階におきます施設、これはもちろんそういう生産面と非常に密接に関連を持つ事業でございますが、これは先ほども庫総裁からお話しになりました共同利用施設ということで、応構造改善事業と並行はいたしますけれども、それの外で考えておるわけでございます。それで、先ほど申し上げました構造改善事業の数字外に、共同利用施設としての六億幾らというようなものが事業としては見込まれているわけでございます。そういうことで、もちろん構造改善事業が進むに伴いましてそういう製氷、冷凍施設というようなものもさらに重要性は加わって参ると思いますし、そういうものとの関連において計画していかなければならないと思います。そういうことで、共同利用施設としての製氷、冷凍施設を進あて参りますと同町に、明年度は、特に東京とか大阪とかいう大消費地につきましては、消費地の大型の冷蔵庫というものも進めて参り、相待ってそういう魚価安定のための冷凍、冷蔵関係の施設の充実に努めて参りたいというふうに現在のところ考えております。
  155. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今の次長の答弁では、消費地にも、国民の蛋白資源の重要な問題として、この冷蔵庫あるいは製氷等の生産地における量を確保するものをあわせてひとつ考えていくと、こういう御説明をいただいたわけでありますが、具体的に公庫のほうでは、先ほどまあ千百六十二億の要請の中で——漁業関係ですか、この二十七億の中にそういうものを考えておるのか、このほかに何かお考えを持っておるのか、そういう点は政府と公庫の関係についてはどういうふうにお考えになっておるのか、御説明いただきたい。
  156. 清井正

    参考人(清井正君) 申し上げるまでもなく、私どもまあ一応政府企業の一端をおあずかりいたしておるわけでございますので、政府のおとりになります生産政策全部のごく一部しか私どもの公庫では担当いたしておりません。私ども公庫といたしましては、農林漁業者だけが貸付対象でございまして、しかも貸し付けするものは流通資金は入っておりません。全部施設に対する貸付資金だけでございます。したがいまして、私どもで最も直接魚価安定に役立つものと思われるものは、先ほど御説明申し上げました、先生お話しの製氷、冷凍施設というものが直接の貸付対象になりますが、その他は全部漁業者に対する貸付でございまして、ただいまお話がありました、また次長から御説明がありました、消費地におけるそういった施設に対しては、直接私のほうからは融資はいたしていないのでございますが、なお他の金融機関におきましてはそれに対する施設等も用意しておるように聞いているわけでございますが、私ども公庫といたしましては、ただいまのところは、消費地における製氷、冷凍、貯蔵関係の融資はいたしていないのでございます。もっぱら生産地における漁業関係の施設、漁業関係の製氷、冷凍ということに限られておる、こういうことでございます。
  157. 相澤重明

    相澤重明君 これは今の総裁の言うとおりだと思うのですが、政府としてはそうはいかない。先ほど次長のお話しになったように、やはり魚価安定のためには、消費地における貯蔵ということも重要な問題である。前の河野農林大臣は、映画館を開放して農林水産物資のマーケットとして使おう、こういう構想まで出したわけです。しかし、実際に映画館がつぶされてどのくらいできたか報告を聞いていないけれども、いずれにしても構想は私はたいへんいいことだと思う。そこで、今の政府の資金的な一そういう需要供給の問題に立って資金をお考えになっていると思うのですが、それはどのくらいのものをお考えになっているのか、御説明できたらひとついただきたいと思う。
  158. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいま申し上げました東京、大阪の消費都市に建設を期待しております冷蔵庫につきましては、一応国が三割程度の補助を、二億八千八百万という額の国庫補助を——これはなお今後大蔵省との折衝によって額がきまることでございますが、現在の段階では一応そういう程度のものを考えております。そのほか国の補助以外の部分——全体の建設費の約半額程度のものは、開発銀行からの融資ということをわれわれとしては考えているわけでございます。
  159. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、これは先ほど私は、この魚価安定のための基金としては、政府が一億出しているというのを少ないと申し上げたのですが、これはもっとやはり増額をして、そうして今の公庫総裁の言う施設関係の費用も大幅にふやしてやらなければ、実際の効果というものは、いかに政府が構造改善を奨励しても、実際にはできないと私は思う。裏づけがないものが、漁民にいくらやれと言ったって、これはなかなかできるものじゃない、こう思うので、安定資金だけは、ぜひこれはひとつ私は多くふやしてもらいたいと、こう思うのです。  そこで、いま一つ聞いておきたいのは、政府は漁船の保険について、小型漁船については、義務加入の促進をはかられたと思うのでありますが、国庫負担として出された金額、それから小型漁船の保険料の引き上げをどのくらい実際に行なわれておるのか、漁船再保険特別会計に対する経過をひとつ説明してほしい。
  160. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 漁船保険につきましての数字的な資料は、現存ちょっと持って来ておりませんので、正確にお答えいたしかねますけれども、漁船保険の保険料の国庫負担につきましては、従来から何度かいろいろ改定を加えて、逐次国庫の負担の程度を高くしているわけでございますけれども、なお現在でも非常に不十分であるという声は強いわけでございます。その実際に損害保険の保険に付する率というのは、義務加入という制度のものもございまして、逐次高まっておりますけれども政府のそれをさらにより以上に高めて参りますために、保険料率などにつきましても、三十八年度におきましては、料率の全面的な再検討考えて参りたいと思っております。また、その補償金額につきましても、特に二十トン未満の小型船につきまして国庫負担の対象となる限度額というものの引き上げ考えて参りたいということで、計画を進めている次第でございます。
  161. 相澤重明

    相澤重明君 私は、三十五年度決算を見てみますと、漁船再保険特別会計へ繰り入れたのが一億五千五百十九万九千円なんですよ。これだけがいわゆる政府が促進をはかられた中における問題なんですね。全体の漁船再保険特別会計へ繰り入れた五億四千六百五十六万九千円の中で、不用額として百五万六千円も出ておる。こういうことを見て、しかも現在の小型漁船というものを考えていくと、これはもう政府が義務加入の促進をしておるといっても、実際あまりやってないのじゃないか。これはもう漁民自身がそういうふうに自分から危険であるから進めておるだけであって、政府は実際の進行をしていないのじゃないかという気がするわけだ。これは三十五年度ですよ。三十五年度のを見て、そこで三十七年——今日ですね、今日どうその促進がされておるのか、それで保険料というものは具体的にどうなったか、こういう点を知りたかったのでありますから、一.二十七年度をあとで資料でひとつ御説明を願うように出してもらいたいと、こう思うのです。  それからいま一つ、その資料を出すときに、小型漁船というものは全体で何隻あるのか、何トンになるのか、その中で未加入のものはどのくらいになるのか、この点もひとつあわせて資料で提出を願いたい。よろしゅうございますか。
  162. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 承知いたしました。ただいまの御要求資料、三十七年度の計画、それから現在の小型漁船の隻数なり、そのうち保険に入っておりますものの比率、割合というようなものを資料として差し上げるようにいたしたいと思います。
  163. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、公庫の総裁にいま一つだけお伺いしておきたいのは、相当規模の長期資金というか、まあ基金といいますか——がなければ、なかなか協同組合も実際の運営というものは困難だと思うのですよ。私もかなり漁業協同組合の内容を聞いてみたのですが、赤字になるようなところもかなりあるわけなんですね。そういうところへ長期貸出を公庫のほうではお考えになっておるのかどうかですね。現在の貸出期間、これを改正しなければならぬ、こういう点についてお考えがあるかないかですね、この点もひとつ資金量とともに御説明をいただきたい。
  164. 清井正

    参考人(清井正君) 御指摘の点、ごもっともなことでございますが、私ども、水産全体に対する公庫資金のあり方ということは、先ほど私の考えを申し上げたわけでございますが、まあ公庫の貸付条件と申しますのは御承知と思いますけれども、かりに冷蔵庫の例で考えてみますと、七分五厘でございます。それから据え置きが最高二年、それから償還が十五年以内ということの範囲内で・それぞれの事情に応じてきめておるわけでございます。で、この貸付条件は、申すまでもなく、貸付対象の、いつになりますれば貸し付けられた金によって作った倉庫がその成果をあげるか、果実を生むかということと見合って、その据え置き期間なり償還期限をきめております。それから利子も安ければ安いほどいいわけですけれども、他の農業関係の一般の貸付利率等とも見合って、ただいま七分五厘ということで貸し付をいたしておるわけでございまして、農林公庫全体といたしましては五分五厘程度の実は貸し付になっておるわけでございます。と申しますのは、開拓者であるとか、非常に零細な農業者に対する貸付の利子が非常に低いのでございまして、平均そのくらいになっておるわけでございますが、共同利用関係は割合に公庫としては商い率になっておるわけでございます。したがいまして、この全体の率なり据え置き期間なり償還期限なりの条件をさらに債務者に有利に緩和するという問題は、これは農林公庫全体の実は問題として取り上げなければならない問題だと思います。ことに貸付の相手方が御承知のようなことでありまして、ことに漁業者の方につきましては、経営の、安定性を欠く場合がしばしばあるというような問題もありまして、担保力等から申しましてもなかなか普通の融資のベースに乗ってこない相手方でございますので、私どもといたしましては、できるだけ条件を緩和する方向に持っていかなければならないということには考えております。しかしながら、具体的にじゃどれをどうするかということになりますと、やはり他の金融対象との見合い等もございますので、一がいにこれをこうしたらいいという具体的なお答えはいたしかねるのでありますけれども、一般的な考え方といたしましては、できるだけ現在の制度におきましてもそれぞれの借入者の実情に合うように、いわゆる貸付条件を限度一ぱいまでゆるく見てあげるということにいたしたいということで、実際の貸付担当者にもその旨をよく指示してあります。私どもも、そういうふうに心がけまして、努力いたしておるわけでございます。また、こういった場合に、よく初めは、借り入れを受けた方が実際上成績をあげておられましても、ことに水産のごときは、全然自己の意思によらずして不漁に会うことが相当多いわけでございます。そういった場合にどうするかということがすぐ問題になってくるわけでございますが、そういった不漁のために、当然返す意思を持っておりながら、物理的に返すことができないという事態に立ち至りました場合には、現在では、それぞれ具体的な事情に応じて、その据え渇き期間なり償還期限なりを若干限度の範囲内においてこれを延ばしまして、それぞれの事情に応じて緩和するという具体的な措置はとっておるのでございますが、これはあくまで現状における緩和でございます。それをさらに進めまして、現状の条件をさらに債務者に有利に緩和するという問題までさかのぼることにつきましては、ただいま申し上げましたとおり、抽象的にはその方向でありたいと思いますけれども、具体的にはどれをどうするということまでには私どもはまだ決心をいたしかねておるのでございます。この点は、なお、私ども考え方を農林、大蔵両省とよく相談をいたしまして、そういう方向で持っていくように今後努力をいたし、同時にまた貸付ワクも、ことに需要の多い冷蔵庫等のようなものに貸付をするとか、あるいは御指摘のありました漁業についてもっとふやすということで、漁業者一般の経営能力を増加するということに私ども公庫としても努力をいたしたいと思います。なお、これは申し上げるまでもなく、私どもの公庫以外に系統金融機関がございます。御承知のように、漁信連、農林中央金庫、そこでも相当漁業関係に貸付をいたしておるのでございます。そういったようないわゆる系統金融機関の貸付と、私どもの農林公庫の貸付と、あるいは場合によっては、先ほどちょっとありましたが、消費地における製氷、冷凍施設に開発銀.行からも融資をするというようなことも考えております。そういった政府金融機関と系統金融機関両方合わせまして、双方見合いになるものでございますから、それぞれの職分に応じてできるだけ漁業者の有利になるように資金ワクをふやし条件を有利にするという方向で努力をしていかなければならない、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  165. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  166. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をつけて。  午前の質疑はこの程度にしまして、午後二時再開いたして、質疑を続行いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩    ————————    午後二時十二分開会
  167. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、農林省関係の残余の審査を進めます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  168. 相澤重明

    相澤重明君 午前中に引き続きましてお尋ねしたいわけでありますが、漁獲共済と漁具共済において、現状がどうなっておるか、御報告をいただきたいと思うのであります。この共済制度関係は、きわめて重要な問題でありますので、ひとつできるだけわかりやすく御説明いただきたい。
  169. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 漁獲共済、漁具共済ともに、昭和三十二年度以来全国水産業共済会によって始められておりまして、三十二年度から逐次その共済金額なり支払い、いずれも拡大してきております。共済金額について見ますと、三十二年度一億八千万円ばかりでありましたものが、三十三年度には十八億、三十四年度には十五億、三十五年度二十億、三十六年度になりまして−五十一億というふうに、逐次ふえてきております。それに伴いまして、支払い共済金ももちろんふえて参ってきております。共済金の支払いの差引の不足額は、政府においてその試験期間の間填補することになっておりますが、その填補額も累計逐次ふえてきておりまして、三十六年度までですでに現在までのところ一億七千万余りのものを、政府として不足額を填補してきているわけでございます。一応政府といたしましては、三十八年までをそういう意味での試験実施の期間というふうに考えております。この漁獲共済、あるいは漁具共済をどういうふうに組み立てていくかということは、三十八年度さらに研究会等を設けて検討を続けて、三十九年度以降の本格的実施に備えて参りたいというふうに考えております。
  170. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今、政府の補てんをしたものが一億七千万と、こういうのでありますが、これをひとつ実績で御説明いただけませんか。  漁獲共済については何件あって、それで掛金と、いわゆる支払った額、それから三十五年、六年、七年と、大体おわかりになりますと思いますから——もしわからなければ、あとで資料で出していただいてもけっこうですが、わかったら御説明いただきたい。  それから、漁具共済についても、同じように年度別に件数をあげていただきたい。
  171. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 三十七年度の分は、実はまだ現在実施中でございまして、数字が固まっておりません。三十五年度及び三十六年度について申し上げますと、漁獲共済が、件数で三十五年度が四百九十九件、共済金額にいたしまして十六億三千七百万円ということになっております。それに対しまして、漁具共済が、同じく三十五年度、件数が一万六千件、共済金額にいたしまして四億五千六百万円という数字になっております。  三十六年度は、漁獲共済が、件数にいたしまして六百四十七件、共済金額が四十二億八千五百万円、漁具共済は、件数が一万八千件でございまして、共済金額が八億五千八百万円という数字になっております。
  172. 相澤重明

    相澤重明君 これは、非常に年々ふえていくということは、またそれだけ漁民の立場ではたいへんなことだと思うのでありますが、全体を三十九年度以降は完全にこれは実施するということですね。
  173. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) そうです。
  174. 相澤重明

    相澤重明君 したがって、今度は掛金の問題ですね。これを私話を聞くというと、どうもいま少し掛金が安くならぬものかという意見があるのですが、政府ではそういう面について検討されたかどうか。  それから、特に来年は、この三十九年度以降完全実施ということになると、三十八年度予算ではそういう面を十分織り込んだものにしなければ、三十九年度以降の措置がとれないと思う。そういう面で、三十八年度のそういう予算要求をする考え方をひとつ御説明いただきたいわけです。
  175. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 予算の面におきましては、先ほども申し上げましたように、予算といたしましては、債務負担行為をまず立てまして、赤字が出た場合にそれを負担するという建前になっております。それで、事業自体といたしましては、共済会がみずからの負担において事業を実施する。そういう趣旨で、掛金を負担するという形は現在とっておらないわけでございます。ただ、共済会が事業を実施した場合に、掛金の収入よりも支払いが上回って赤が出たという場合に、それを一定の限度内で政府が債務負担行為に基づいて補てんをして参るという建前をとっておったわけでございます。そういうことで、現在今までの仕組みを三十八年度で直ちに大幅に変更するというふうな考え方はとっておりません。ほぼ従来の考え方に基づく漁獲共済、漁具共済を実施するという前提で、さらにその結果によりまして三十九年度以降の本格実施をどうするかということを検討して参るという意味におきましても、著しくこの際変更するということは考えておりません。
  176. 相澤重明

    相澤重明君 私は、ことしは台風が比較的少ないから被害も実は少ないのでありますが、おそらくこの年度予算としては十分そういう点を配慮しないといけないと思うのですよ。  それからもう一つ、きのう実は運輸省の決算の際に私が申し上げたんですが、これはひとつ政府検討願いたい。それは新島のミサイル試射場の問題ですが、この場合におきましては、きわめてこの近海は漁の多いところなんです。ところが、この試射をすると、魚が実は寄りつかないということになる。こういうことで、漁民としては相当反対の態度をとっているわけです。でありますから、そういう補てんといいますか、補償といいますか、こういう問題については、やはり政府が積極的な対策を立てるということが私は重要だと思うのです。で、きのうはまあ運輸大臣ですから、魚のことはよくわからぬから、もちろん農林大臣のほうでなきゃいかぬというわけですが、これは私は関東近辺の沿岸漁民にとってはきわめて重要な問題だと思いますので、どういうふうにするかということは、まあきょう説明するといっても無理でしょうから、そういう方面のひとつ検討を加えておいてほしいと思うのです。それは当然、共済等の、私はやっぱり、人為的であるか自然的であるかということは問題であるにしても、一応対象にしなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるのです。これに対して政府検討される用意があるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  177. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいまお話しの、新島付近におきます漁獲のミサイル試射によります影響をどうやってカバーするかという問題、これは当然大いに検討しなければならぬ問題だと思っておりますが、ただいま先生の御質問にもございましたように、その漁獲の減少というものが、この試射による——試射という人為的な事柄による減少だということになっておりまして、非常にそういう人為的な原因というものがはっきりいたしておって、それに伴って当然漁獲が減少するという場合でありますと、共済といいますか、保険というものの考え方の性質上といたしまして、これを共済の中で救うことがはたして適当かどうか、またどこまでやれるかどうかという問題は大いにあると思いますが、そういう点も含めまして検討いたして参りたいと思っております。
  178. 相澤重明

    相澤重明君 それから、冒頭に申し上げました、来年はいわゆる漁業権の改定になるわけですね。そこで、ひとつ政府考えをここではっきりただしておきたいと思うのですが、先ほど申し上げたように、整備促進を行なうということは、反面、指導を誤るというと、せっかくの漁民が漁業権をなくするという場合も考えられる。ということは、漁民の中にいわゆる漁民でない者がやはり入っていきますね。そうして、指導運営をするうちに、実はどうも、漁業組合の年間の収支というものを考えた場合に、これはもっと他の方法を考える必要があるのではないか。それを端的に表現すれば、人に貸して、そして収益を上げたほうがいいではないか、こういう意見が出る可能性もないとは言えぬわけですね。現実に、小さい漁場においてはそういう問題が起きているわけなんです。私はやはり、漁業権というものは当然漁民に与えられるものであるから、いかなる場合でも、漁民の保護をする、こういう建前でなければならぬと私は思う。昭和二十四年のいわゆる漁業権補償を出された当時のこの政府態度からいっても、あるいはまたそれを育成してきた今日までの事情からいっても、当然そうあるべきだと思う。ところが、たまたまこの漁業協同組合の改組に伴う問題として、そういう問題が起きないとは言えないわけです。現に、私は、一つ申し上げておくのでありますが、真鶴において、漁業協同組合が、いわゆる海女の人たちに仕事をさせない、こういう問題が出ているわけなんです。これは私はたいへんなことだと思うのですよ。従来当然そこの沿岸におって祖先伝来の仕事をしてきた者が、たとえば協同組合の運営上の問題や、あるいは若干の赤字の問題等によって、そして漁民に漁業の権利を行使させない、こういうことは、私は重大な問題だと思う。そこで、当時私からも水産課にこの決算委員会で質問をしたのでありますが、やはりあくまでも漁民には仕事をさせるというのが、そしてしかもそれが民主的に行なわれ、しかも赤字の出ないように、先ほど申し上げた魚価の安定とか、あるいは建設的な意見を政府としては指導していく、こういう立場にあるわけですから、そういう面で、海女組合等が生産組合を作って、漁業権を確保しておきたい、こういう点についても、どうも指導上、生産組合を作っても漁業権というものはないから、作ったってむだだ、そしていわゆる上のほうの指導からいって、もう漁業協同組合というものは、漁民だけでなくて、一般の人も入っていいのだから、そういうところの中で多数決でものをきめるべきだというような意見まで飛び出すおそれもあるのですね。まあそうあってはいかぬと思う。こういう点について、漁業権の改定について、特に水産庁としてはそういう点の配慮をしないというと、全国の漁業権の改定をする際に混乱を起こしゃしないか、こういう点で心配をするわけです。そういう点について、次長としてどうお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思う。
  179. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) ただいまの問題、漁業法あるいは水産業協同組合法の改正以前であろうと、改正後であろうと、当然その漁業権、ことに漁業団体——漁業協同組合なり生産組合なりの持ちますような漁業権というものは、その組合員たる漁民の総意に基づいて、できるだけ漁民の意思を生かすような形で運営されなければならないということは当然のことで、ますます今後においてもその原則は生かしていかなければならないと思います。今のおっしゃるような海女の組合員の中で、海女をやっておられる方のその漁労の権利といいますか、生計を立てていく上に、そういう貝類だとか海草だとかをとっていく権利というものを、そういう漁業法なり水産業協同組合法の中でどう生かしていくかという問題も、これは一応漁業権ということで考えますと、従来の第一種漁業権でございますか——に該当することになると思いますが、当然これは漁業協同組合がみずから管理する漁業権ということに相なると思います。その場合、従来の漁業法では、一応、その組合員のメンバーである漁民というのは、完款の定めるところによって「各自漁業を営む権利を有する。」というような、御承知のような規定があったわけです。その「各自漁業を営む権利」というものを、一そうその内容を実態に即して明確化させる意味におきまして、今回の改正におきましては、その行使の仕方というものは、漁業権行使規則というようなものを組合自体で設けまして、それに基づいて規制をして参るようにというように改まったわけでございます。その漁業権行使規則というものを組合自体が作るにあたりましては、当然、組合の地区内の漁民の三分の二以上の同意がなければ作れないというふうな格好で、漁民の総意が十分に反映できるような措置を法律の条文の上で講じているわけでございます。そういう趣旨に沿いまして、御質問のようなお考え方が生きるような形で私どもとしては十分指導して参りたい、そういうふうに考えております。
  180. 相澤重明

    相澤重明君 あと一つだけお尋ねをして私のこの水産問題を終わりたいと思いますが、それは東京湾のことであります。昨日も運輸省の決算のときに申し上げたのでありますが、東京湾口における汚物処理、糞尿処理はきわめて重要な問題なんであります。これは漁民を保護する立場にある水産庁にとってはまことに重大な問題だと思うのです。現在のままで推移すると、おそらく東京湾の付近でとれる魚は、衛生上からも、あるいは他の面から考えても、どうもよくないという結論になるかもしれぬ。これはもう漁獲を中心とする漁民にとっては非常な大事なことである。厚生省令では、御承知のように、大島付近まで持っていって捨てる、こういうことになっておるけれども、いわゆる引き舟や料率の問題等によって、業者自体がなかなか沖まで行かない。そこで、できるだけ近いところでこれを捨て去る、海上に投げてしまう。これが今、東京湾を中心とした、東京、神奈川、千葉等の漁民の一番大きな実は叫びなんです。これを放任しておくということは、私どもとしてはどうしてもこれは許されない。しかもオリンピックを目前に控えて、日本の港というものはずいぶんきたないというようなことであってはならないと思うのです。私はきのうは、端的な話で、東京湾口の航路はその汚物によって実は航路が狭められたと、こういう漁民の話をしたわけですが、それほど実は東京湾というものは不快きわまる状態になっておる。当然、これは厚生省が、省令としては厚生省なり、あるいは法としては、そういう清掃法といいますか、そういう関係のものになろうと思うのですが、漁民を守るという建前で、私は農林省が積極的な意見をこの際出すべきじゃないか。そうして、できるならば、全国の浄化槽といいますか、そういうものを作る。その中にとにかく汚濁の問題を含んで、特に漁獲に影響を与えるものについては、あらゆる水産資源を壊滅させるような問題については、この際やはり抜本的に考えていく必要があるのじゃないか。そのための予算ならば、国民の皆さんも、政府が提案をしても、決して反対をしない、国会も良識を持っておると私は思う。ところが、どうもこういう問題は、海の中ですから、なかなか手が回らぬ、こういうところが現在の悩みじゃないか、こう思うので、東京湾口における糞尿処理の問題について、水産資源、特に漁獲問題をかかえる農林省としてはどうするか、こういうことをぜひこの機会に、ひとつ政務次官なりあるいは次長のほうから、補足でけっこうですから、政府考えを明らかにしていただきたい。
  181. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 今の糞尿処理の問題特に東京湾におきます糞尿処理の問題は、御質問のように、非常に湾内の漁業に大きな影響を及ぼしているわけであります。建前といたしましては、先ほど御指摘のように、厚生省関係の清掃法に基づく規制が行なおれているわけでございまして、東京湾内での糞尿の投棄は禁止されているわけでございます。その法規をどうやって励行していくかという問題が、一つの問題でございます。  それからもう一つは、さらに根本的には、これも御質問で御指摘がございましたように、そういう海上投棄をしないで済むような陸上処理施設というものをできるだけすみやかに完備いたしまして、海上投棄を必要とするような事態を抜本的になくしていくということが本来の抜本的な対策だろうと思います。これにつきましても、東京都といたしましては、逐次整備に努めておりまして、私ども聞いておりますところでは、四十二年までには海上投棄ということを一切しないで済むようなところまで陸上の施設を完成して参りたいということで、着々と進めているというふうに聞いております。ただ、それまでの間といたしましては、どこまでも現在の法規を励行をしてもらうということを私どもとしても強く要望せざるを得ないわけでございまして、その点につきましては、ただいま申し上げましたような陸上の処理施設の促進方並びに現在の法規の励行万につきましては、厚生省とも話し合いの機会を持ちまして、農林省からもたびたび要望を繰り返しているわけであります。そういうことのために必要な農林省としての協力なり努力は、今後ともなおできるだけいたして参りたいというふうに思っております。
  182. 相澤重明

    相澤重明君 次長にそういうふうに御説明をいただくのは、たいへんありがたいと思います。そこで、それならば、四十二年度にそういうふうに抜本的に改正のできるような努力をしていくという政府の方針があるならば、その間でも暫定的に——政府としても努力をするということでありますから、私は、被害者たる漁民等の代表といいますか、それから、この港を使うために、言いかえれば加害者というのか、東京都まで含んでそうかもしれませんが、そういうところと、政府——農林省、厚生省、あるいは運輸省、そういう政府並びに被害者、加害者といいますか、そういうようなところで、連絡機関といいますか、あるいは協議会というのか、その対策についてのそういうものを早急に持って、そしてそれだけでも実際に被害があった場合には補償をするとか、あるいはその被害が出ないようにできるだけこれを監視をするとか、そういうようなことをやはり進めるということは当面必要じゃないか。もうやることはわかっている、非常に希望を持っているわけでありますね、持っておるけれども、四十二年までそのままでいいということには私はならぬと思います。そういうことで、−私は、今申し上げたような三者構成によるそういう一つの機関というようなものを、どういう形で作るのがいいのか、それは検討の余地があろうかと思いますが、そういうものを早急に樹立して、そしてお互いにこういう問題に対処していく、こういうような努力はできませんでしょうか、この点ひとつお答えいただきたいと思います。
  183. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 今お話しのような、四十二年になればでき上がるからというので、その間もう放っておいていい、あるいはあきらめるということではございませんで、その間にも、できるだけ現在の規則が守られるような努力、被害を最小限に食いとめる努力というのは当然しなければならないと思います。先ほど申し上げましたように、主管といたしましては厚生省ということになりますので、厚生省を中心として、農林省としてもできるだけそういう被害者としての漁民の利害を守っていくという見地から、先ほどおっしゃいましたような形、これも一案かと思いますが、どういう形がいいかということはなお検討さしていただきたいと思いますが、私どもとして有効な対策の進め方というものを検討して参りたいと思います。ただ、何せ、先ほど申し上げましたように、海の上のことで、非常に違反の実態もとらえにくいということもございます。また、被害の実態につきましても、そういう被害があるということが非常にはっきりしておりましても、その被害が、一体糞尿による汚濁による被害がどの程度だということをなかなか数字的にはつかみにくいという点がありますので、そういう点も考え合わせました上で、できるだけ適切な対策を厚生省とも連絡をとって進めて参りたいというふうに思います。
  184. 相澤重明

    相澤重明君 きのうもやはり同じようなことを私申し上げたのですが、たとえば沿岸のノリ栽培の漁民が、油が流されて、そうしてノリが壊滅をすることもある、あるいは魚貝類を繁殖させるのにこれがもうみな死んでしまうというようなこともあるわけです。これは、千葉県の浦安の問題で、江戸川の汚水の問題で、ずいぶん当委員会でも実はお話をしたわけです。そういうようないろいろな問題と同時に、この糞尿の問題は非常に大きな問題なんです。全国の漁業協同組合連合会は片柳真吉君がやっておるわけですから、農林関係についてはかなり明るいわけです。ですから、私はやはり、そういう全国の漁業団体、あるいは特に東京湾口における問題としては、神奈川、千葉、東京のそういう漁業団体、そういう被害者の立場にある人たちも含んで、私はやはり早急にそういうものをひとつ樹立をしてやってもらいたいと思うわけです。これをやることによって政府のそういう誠意を持った推進策というものも私は進められるんじゃないか、こう思いますので、ぜひそういう業界、あるいは業者を含んで、特に政府は積極的に、農林省が積極的に進めなければ、これはやはり、金のかかる問題だとか、あるいは清掃法だとか、衛生法だとかいうことで議論をしておっては、なかなか私は進まないと思います。そういう点を積極的に、厚生省にも腰を上げるように、ひとつ農林省が指導的な役割をとってほしい、このことだけを特に私は申し上げて水産関係の質問を終わるわけでありますが、最後にひとつ次官から決意のほどをお答えをいただきたい。
  185. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) 東京湾の糞尿による漁民の被害につきまして、ただいま相澤委員から特に御要望がございました。十分農林省、水産庁といたしましては検討をいたしまして、御趣旨に沿うように、漁民のしあわせのために努力をいたしたい、かように存じております。
  186. 横川正市

    ○横川正市君 関連して。ちょっと資料を忘れてきたので、具体的なものはまた後の機会に譲って、考え方だけ聞いておきたいと思うのですけれども東京湾の千葉県側の内湾の地帯がずっとこのごろは工業地帯で、相当進捗状況というものは激しい状況であるわけなんですが、これは私は、工業関係の工場が建つことによって出てくる公害というものに対して、どこの役所とどこの役所が責任を持って、具体的に言えば、水俣のような奇病が発生するという原因を、再び起こさないように防止をしておるのか。非常に目まぐるしい発展をあそこはしておりますから、そういう点では懸念なしとしませんけれども、その点が一つ。  それからもう一つは、埋め立てをされた地点の沿岸の漁業権に対する補償といいますか、というのは、一つはブームみたいなものが起こっておるようです。ですから、そういう補償というのは適正にやられたのだろうと思うのですけれども、どういう基準で補償が行なわれておるのか。それから、関連して補償の範囲ですね。これは、たまたま千葉県の館山に行きますと、館山では東京湾に生息するおもにイワシ等の漁業で生計を営んでおる網元その他がいるわけですけれども、最近行ってみますと、今まであった網元が、二軒、三軒と船を畳んで廃業しておるというような状況があるわけです。原因を聞いてみますと、イワシ等の魚礁になっておった、内湾の、いわば何といいますか、ノリを採集するような礁とか、それからまたそれに類似するような魚礁というものがあって、それが埋め立てをされるために、魚族の生息地を失って、逐次その数量が減少してくる。結果的には、内湾の埋め立ての被害が館山の漁をする人たちの生計に非常に大きく影響しておる。そういったようなことが明確になっておるけれども、補償という問題になりますと、全然問題にならない。そういうことからいくと、漁業権とかあるいはそれに従事する既得権というものは私はあるのだろうと思うが、その権利というものが侵害をされておるという事実が出てきておるのにもかかわらず、一部にはブームを呼ぶような補償があり、一部にはゼロであるといったようなことは、これはどういうことなのか。関連して、これは現実の問題ですから、お聞きしておきたい。あとはまた次の機会に詳しく聞きます。
  187. 橘武夫

    説明員(橘武夫君) 非常にむずかしい問題だと思いますけれども、そういうたとえば千葉県の工業地帯が逐次造成されていくに従って、そこら辺の水質が非常によごれてきて、漁業を続けていくことが困難になってくる、そういうものの一体対策なり、あるいはこれはどういう格好で、どこの役所が責任を持ってやるかというのが、第一点のお尋ねであると思います。これは、損害を与える側と、被害をこうむる側と、非常にそれぞれ多岐にわたりますので、単一にというわけには参りません。水質汚濁という関係では、先般制定をみました水質汚濁防止に関する法律の場合のように、通産、農林、建設、厚生の各省がそれぞれ関係いたしまして、それぞれの持ち腸持ち場でそれを防止すべき基準をきめていくということに相なると思います。その汚濁の起こる原因のいかんによりまして非常に簡単には参りかねまして、水質汚濁の防止に関する法律におきましても、そういう各省にまたがるという趣旨で、経済企画庁が一応窓口になって、関係各省と連絡をとりながら対策を立てるという形になっております。ただいま御指摘のような問題につきましても、そういうような多元的な形で協議をしながら考えていくというふうにならざるを得ないのじゃないかというふうに思います。  それから次に、今の漁業の補償の問題でございますが、一方に非常にブームのような多額の補償が行なわれ、一方においては非常に漁業権が侵害されていくことがはっきりしていながらも泣き寝入りになっておるという御指摘でございますけれども、そういう漁業権に対しまして、漁業権が非常にそこなわれた場合の補償というものは、漁業権の価値と申しますか、その漁業権によって漁業することによる収益というものが基準になって当然それの補償というものが算定されるべき建前のものだろうと思いますが、具体的には強制的に漁業権を没収するという格好をとりませんで、逐次協議を進めながら話し合いで事を解決していくということで問題が現実には処理されておりまする関係上、その補償というのは結局はケース・バイ・ケースでのお話し合いにならざるを得ないという面があるわけでございます。その結果、今おっしゃるような御指摘の面が皆無とは申せないと思います。  もう一つは、これも先ほども申し上げましたことでございますけれども、いろいろ、工場ができる、あるいは何ができるということで、水が濁ってくる。そのそれぞれの施設によって水の濁った濁り工合の程度というものを判定することが一つには非常にむずかしいということがあります。それから、たとえば川の河口で濁ったといたしましても、それが一体それから何キロか離れたところでどれくらい影響をこうむるか、あるいは館山まで行くとどれくらい影響をこうむるかということの判定が非常にむずかしいのでございます。それは海流の流れ方によっても影響されますし、いろいろなそういう工場なら工場だけの原因とほかの原因とが複合的に影響を生ずるということになりますので、そういう点からも、非常にその影響度なり被害の度合いの判定、それからその被害を与えた者がだれであるかということの判定がきわめて実際上にはむずかしいという現実がございますので、それが非常にはっきりしている近間の場合には非常にそれが大きくクローズ・アップされる。かなり影響があることが想定されましても、それが間接的な遠いところになりますと、その立証がきわめて困難であるということのために、もしそれが立証されれば当然補償を受くべき利益というものを受け得ないままでとどまっているというのが、現実問題としてはあるかと思います。そういう事実認定を伴いますために、非常に問題の解決が困難であると思いますけれども、なお私どもとしてもよく検討いたしまして今後の進め方を考えて参りたいと思います。
  188. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 前回農林省の不正の問題について資料を出してもらったことに対して、それに基づいて、その補助金の不正、不当の問題で質問してみたいと思うのです。  会計検査院のほうに質問したいのですが、昭和三十年と三十一年の不正、不当が、大体三十年に九百八十九件、三十一年に六百二件、こういうふうにして相当の金額の不正、不当があるわけです。ところが、三十二年度になると、これが百四十四件というふうに、非常に、何といいますか、四分の一くらいに減ってきた。この多い時期の場合の対策として、検査院としての、これに対する、つまり意見の表示をされて、その結果、農林省なら農林省が努力をした結果がこういうふうに件数が減ってきたのか、何もしなかったけれども、こうした不正があまり多かったので、世論も許さないし、あるいはまた自主的に農林省もそれを見て減らすことに努力したのだ、こういう結果で三十二年はこういうふうに減ってきたのか、ここをまず一点お伺いしたい。
  189. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) ただいまの高山先生の御質問にお答えいたします。  農林省の不当件数の、年によって非常に増減があるという御指摘は、まさにそのとおりでございまして、これは主としてその年度におきます指摘事項の中の公共補助事業の関係の不当事項の多寡によって、これに非常に左右される、こういうことになっているわけでございます。  今御指摘の、三十二年に非常に減っているじゃないかということでございますが、これまでの本院の公共事業に関します検査の推移について、ごく簡単に概略を申し上げますと、公共事業の補助関係の不当事項について検査報告に取り上げて参りましたのは、昭和二十五年度以降でございます。それで、たまたま二十五年から二十八年までにかなりの数の不当事項を掲記して参ったわけでございますが、二十八年に御承知のような非常に大きい災害があったわけです。それで、その後の検査の結果にかんがみまして、二十八年、二十九年は非常な検査報告に多数の不当事項が指摘されたわけであります。その結果にかんがみまして、二十八年の七月に、会計検査院法の三十六条によりまして、不当行政についての改善処置を主務大臣要求したわけです。
  190. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 出したのですね。
  191. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) そうです。それによりまして、そういう主務省でも、その後の行政に対する経理面の監督その他の、事業の遂行等について厳正な監督を行なわれました結果、事態が漸次よくなってきておったわけでございますが、さらに三十年の八月に、政府におかれましても、例の補助金適正化に関する法律が施行されて、一応そうした補助工事の施行に関しまする、適正な執行につきましての基準といいますか、そういうものが示されたわけでございます。そういうようなこともありますと同時に、私のほうでも、三十年のこれは八月かと思いますが、従来農林省関係の検査は一課、二課とやっておりましたのを一そのときから二課増設いたしまして、全部で合計四課、人員はたしかその当時三十人前後ふえたと思いますけれども、課を二つふやして、それで補助工事関係の検査の浸透度を高めるということで検査をいたしましたのと相待ちまして、先ほど申しましたように、監督官庁における監督が厳正に行なわれたということと、事業主体における自覚といいますか、事業執行に対する態勢を整えたといいますか、そういうことも相待ちまして、三十年から見ますと三十二年は非常に事態が改善された、こういうふうに私どもは思うわけです。
  192. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大体三十年と三十一年の処置は、そうした意見の表示をされた結果、あるいはまた主管大臣のほうの努力によってそういうふうに不正、不当が減少したということですが、三十三年度とか三十四年度には非常に件数が少なかったのに、三十五年度には倍になっております。しかもまた、けさの新聞では、三十六年度はさらにこの倍ではないのかということが出ておるのですが、一体、こうした不当、あるいはまた不正が増加する今傾向にあるのじゃないかということが予想されるのです。そういうことに対して一体検査院のほうとしては、現在どういうふうにお考えになっておりますか。これに対して、そうしたまた、意見の表示でもされているのか。本年三十五年度については意見表示をされているのかどうか、この点ひとつ、お聞きしたいのです。
  193. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 三十四年、五年から、また補助金関係の不当事項が漸増しているじゃないかという御指摘ですが、まさにそのとおりでございまして、これは三十四年にまた非常に、二十八年に次ぐような大きな災害があった。それでちょうど三十五年は補助金関係の事業量といたしましては、ちょうど第二年度に当たるわけです。三十四年の災害の復旧事業の二年度に当たるわけです。それで非常に予算も増大いたしましたこと等もありますし、まあ事業主体といいましても、何分これは府県を除きましては、弱小な市町村とか、その他の組合というようなものが多いわけでございまして、十分なそうした補助工事を施行するだけの態勢、人的並びに財的な態勢が、そういう急激に大きな予算をつけられて補助事業をやるときに、なかなかそれにマッチした態勢が整っていないというような関係もございまして、そのほかいろいろ原因があると思いますが、まあ私たちは主として、そういうような点に原因があるのじゃないかというふうに考えております。  三十六年度の検査の結果につきましては、先ほど御指摘のように、非常な三十五年に比べて指摘件数が倍も増加しているというようなことで、この原因は、一体どうしたことであろうかということで、個々のそうした不当な事態について、いろいろ原因を当局者について質問いたしますと同時に、私のほうとしても、できるだけそういうような調査をして参ったわけでございますが、まだ的確にそれを改善意見として、この点が悪いから、こういうふうにしたらいいんじゃないかという点までの検討は、目下、仕事の、そういうものをまとめ中でございまして、いずれできるだけ近い機会に、そうした点についての改善要求というようなものがまとまれば要求いたしたいと、こういうふうに考えております。
  194. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 今、検査院のほうの答弁を聞いていると、なるほど三十四年に災害があったことは、伊勢湾台風があったから、これはよくわかりますが、こうした災害があったという事実のもとに、それだけの補正がよけいあったということが、これはわからんことはないのです。ところがこれは三カ年計画とか五カ年計画とか、計画の中で、その年々補助されているわけですね、一ぺんじゃないのですから。そうすると来年——三十六年度もふえておれば三十七年度もふえるということが言えるというわけですな、それがお聞きしたいのですが、そういうことが言えると思うのだが、ふえるということが前提になっての検査であれば、一体、検査院としては、どういう方法をとったらいいのか。たとえば処分の要求権も検査院が握る。あるいはまた金額の返還要求権も、それを請求することができるとか、何かそういう方法でなければ、こういうものは絶対減らないのだ、こういうふうにお考えになったのかどうか。ふえるということは前提になっているわけですね、補助金がふえるにしたがって。この点をひとつ。
  195. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 私の説明が、ちょっと不十分であったかもしれませんが、補助金が年々ふえるということではございませんで、災害がありました翌年くらいが非常に補助金が多い関係もございまして、したがって、それの受け入れ態勢も事業主体において十分じゃないから、そういう年には比較的工事の監督面とかそういう点で手抜かりが生じて、不当な事態が発生しやすい。こういうことを申し上げたわけなんで、年々そうして公共事業の補助金がふえていくということではございませんで、傾向的には物価の上昇とか、いろいろなことがございまして、ふえていきますけれども、ちょっと御参考に申し上げますと、三十年度から以降の国庫補助金の推移を申し上げますと、三十年度が三百五十二億、三十一年度が三百十九億、三十二年度が三百二十九億、三十三年度が二百四十三億、三十四年度は三百六十一億、三十五年度は五百二十三億、三十六年度が四百九十六億ということで、必ずしも補助金が年々著しく急増するということではございません。
  196. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私も補助金がふえるということではないのでございまして、あなたのほうで三十四年度は、特に災害が大きかったので、したがって災害復興のそういう補助金というものは、三カ年計画が立つならば三カ年の間に、それだけの補助金がなされる。したがって伊勢湾が終わった、今度は台風があったとか、いろいろな災害があったら、これまた補助金が出れば、ふえるということに、あなたの意見は通ずるわけです。そうでしょう。そういうことが前提になっておるならば、それの防止方法として、何かあなたのほうに権限を強化してでも、これをなくするという意見があるのかないのかということをわたしは聞いておる。
  197. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、まず先ほど私が申し上げましたように、一体こうした不当な事態がどうしたならば防げるかというには、まずその原因を十分探究して、こういうところに原因があるのだから、こういう点を直したらいいじゃないかということが、まず第一番です。  それで、その点についての事態の検討を三十六年度としましては、個々の工事につきましてやったわけでございますが、それに対してまだ十分意見として、それを外部に表示するだけの意見がまとまっておりませんので、それがまとまり次第、改善意見なりを要求しまして、それによって対策を考えていきたいと、こういうふうに思います。
  198. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それでしたら聞きますが、もう一つお尋ねしたいのです。たとえばこういう補助金の問題については、あなたのおっしゃるように三十年からずっと年々補助されるわけですね。そうするとこうした問題の、たとえば農林省におけるこの統計ですね、皆さん検査された中で十年間なり二十年間で、どの県が一番やはり不正としてあがっておるのか、こういうのも統計の資料一つだと思うのです。その年々指摘をされるという、この検査報告というものは出ておりますけれども、十年間なら十年間の統計の中で、同じ補助金を各県に出しておるけれども、どの県は、もう十年間継続してこういう不正不当があるのだ。こういう一体検討されたことがあるのかないのか。この点一つ。  たとえば農林省は、あるいはまた建設省は建設省でもけっこうです。全部をやるということは困難でしょうが、特に不正の多いもの−十年間の統計を出して見て、ある県が一番多いのだ、こういうものは農林大臣に皆さんの意見の表示をして、そして徹底的に補助のやっぱり減額をさせるとか、何かの方法がありそうなものだと思うのです。意思表示ができることになっているのだから、法律上、三十六条にちゃんと出ているのだから。それを統計をとられたととがあるかないのか、私は一ぺんお聞きしたい。
  199. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) ただいま先生のおっしゃるような見地に立って、統計をとったことはございませんけれども、すぐ集計いたしますれば、そういうものはできると思いますが、まだやったことはございません。
  200. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは次官にお聞きしたいのですが、私は、少なくともこれはまあ今検査院のお話を聞いておっても、昨年の三十四年と五年を比較しますと、倍に近い数字の不正不当があるわけですね。そうすると、これはまあ所管大臣は必ず見る、見られるには違いないでしょうが、また各係官に対して、それぞれ注意を与えられるでしょうが、こういう不正不当が出てくるという事態を、何で一体牽制するのかという一つの私は基礎があるべきだと思う。先ほど私が言った統計の一つも、科学的な資料一つです。ところが、まじめに国家の補助金を受けて、まじめなそういう工事もやり、いろいろな復興もやったというところと、やらないところと同じように見て、不正があるじゃないかといったって、これはぬかにくぎを打つようなものです。少なくとも私は、大臣要求として検査院のそういう統計を出させて、どうしてもいかぬそういう不正不当のある県に対しては、特別補助を出さないんだ、君のところはいかぬと、このくらいの科学的な資料をもって、今日のやっぱり各自治に対して私は牽制すべきだと思う。これは大臣の責任において防止することになっておるのですから、検査院はむろん検査されるだけで、先ほど私は要求したのですけれども、処分の要求権を握らなければ、そんなことはできませんと言われるのか、それとも金額に対する返還の要求権を検査院に与えてくれたら、そのくらいのことは一ぺんになくするとか、こういう元気のある回答をもらおうかと思ったのですが、なかなかむずかしいようですから、私はそこまで追及しませんが、少なくとも次官は、そういう点については——きょうは大臣がおられると非常にいいのですけれども大臣が見えませんから、次官として、私はその点については、そのくらいの統計をもって、各都道府県に指導するんだ——いわゆる行政措置一つとして指導するんだと、こういう考え方を持っておられるのかどうか。何も牽制のしようがない——大臣がやられたのかやられないか、私にはわからない。実際のところは、決算委員会は、それが大事だと思うのです。一ぺんお考え方をお聞きしたい。
  201. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) この検査院の不当事項が非常に多いということに関しましては、非常に、きわめて残念至極でございます。これは、今お話のように、統計等に基づきまして十分に内部監査もしっかりやるべきであり、各府県あるいは補助を受ける団体に対しましても、厳重にこれが戒告をいたさなければならぬ、かように思っております。
  202. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つお尋ねしますが、検査院の方は——進行中の監査をやる必要があるのですね。進行中の監査をやったかやらないかという、事実の上に立って検査される場合があるのかないのか、この点はいかがですか。たとえば、一つの工事をやるでしょう。そうすると、その進行中には、各都道府県における監査の方が当然これは監査されておると思うのです。したがって、進行中に、工事は一体監査は十分やったかやらないか、そういう連絡もあって、でき上がったものの一つの検査をされる場合、何かそういう連絡も密にしてやっておられるのかどうか、それをお聞きしたい。
  203. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 原則といたしまして、私のほうの検査は事後検査でございますので、竣工したあとの出来高その他について検査をやるわけでございますが、その検査の結果、不当な事態が発見されました場合には、それについて内部監査なりなんなりで、工事の進行中に当局者として出来高その他について、あるいは工事のやり方などについて中間検査をやったかどうかというようなことは、こちらとして十分質問等いたしまして、そういう点については、十分納符のいくようにいたしております。
  204. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それもあなたの御答弁を聞いておると、なかなかしっかりしたことは言っておられると思うのですが、私はやっぱり検査院のほうは、いわゆる進行中の監査というものが徹底しておれば、検査はこれは残るものは、その不正があるかないかの問題、工事自体に不正があるかないかということはわかりにくいと思うのですね。そういう点でやっぱり連絡というものは密にしていただいて、そうして不正事項の摘発をするのだ、こういう観点に立つべきじゃないかと思うのです。これはひとつ、今後十分検討していただいて私はやってもらいたい。  さらにまた、農林省なら農林省のそういう統計的なものをひとつ出していただいて、十年間の統計でけっこうです。どういう県が一番そういう不正が多いのか。これは拾えると思うのです、農林省だけなら。したがって、農林省だけのを一ぺん出してみて下さい。十年間の統計で、どの点がどういう不正が一番多かったかということを一ぺん出してもらいたい。  以上でございます。
  205. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官、あと一つ、これは緊急問題ですからお答えをいただいて、私は農林関係のきょうのところは終わりたいと思います。  それは、今全国の農民の中で酪農関係で牛乳の乳価、これはまあ非常に大きな問題になっておる。私ども社会党も実は政府に対して、この乳価安定のための申し入れを党として行なっておるわけで、政府としても善処するというお約束はいただいておるわけです。しかし現実に、それがどうなったかということについて聞いておらぬわけです。乳価の下がることについては、これは業界のやはり買いたたきといいますか、とにかくうちでは、それでなければ受け取らぬ、こういうようなことをやられては、これはもう生乳は、そう保存がきくものじゃありません。したがって、農民にとっては、きわめて重大な問題だと思う。それについてひとつ政務次官から、その対策はどうなったのか。政府は十二月早々にこの対策をする、こういうことで答弁があったはずなんですが、いかなる経緯になっておるか御説明いただきたい。
  206. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) 乳価の問題は、私ども非常に実は心配をいたしておりまして、ただいま、あるいは学校給食の問題とか、あるいはそのほか数点にわたりまして検討をいたして、乳価安定をせしむるように今せっかく対策を立てて努力をしておる最中でございます。ただいま畜産局長もまだ参っておりませんが、局長から詳細申し上げると思いますが、私どもとしましては、非常に実は畜産奨励をしておりながら、乳価が下がってくる。農家がせっかく生産意欲に燃えておるのに、逆な方向をたどっていくことに関しては政治的な立場としまして非常に心配をして対策を至急立てるようにということで進めておる次第でありますので、御了承いただきたいと思います。
  207. 相澤重明

    相澤重明君 この決算報告については、だれが答弁できますか、畜産関係は。
  208. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ちょっと速記をとめて。   〔午後三時二十一分速記中止〕   〔午後三時四十二分速記開始〕
  209. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を起こして。
  210. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官に特に私は御注意を願いたいと思うのでありますが、それはこの三十五年度の畜産振興対策費のうちで、特に牛乳、乳製品、学校給食費補助金が五一%、こういうような使用率です。全体としてこの畜産関係については七六%の比率なんです。これは他の省と比較してみて使用率が非常に悪い。これは予算に忠実でないということだと思うのです。こういう点で、私は本日は重大な緊急問題として乳製品等の問題を実は質疑をするつもりでしたが、畜産局長がだいぶ待ったけれどもお見えにならぬ。私は、本来各省庁の審査をするときに、大体関係者が出ていないというのが、そもそもいかんと思う。これは議員の質問を一々全部メモして、それでなければ、あとできないというようなことはいかぬと思う、決算というのはやってきた仕事なんだから。こういう点で、前の佐藤委員長の際にも、その省とは別に大蔵省関係者は必ず来ておれ、こういうことまできめてある中で、その担当の省が、その説明ができる人がいないというようなことは私はまことに遺憾だと思う。これはひとつ帰って、十分次官から関係者に反省をするように。国会をそういうふうに審議をむだにしないように、今後ひとつ努力してもらいたい、このことを要請をし、さらに乳価の引き上げの問題は、酪農問題としてきわめて農民に重大な影響を与えますので、ぜひこの点は、ひとつ皆さんが御検討を願いたいと思う。もう私はやりません。もうきょうはやらぬ。そういうことで、以上、次官からお答えいただきたい。
  211. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) まず第一に、決算委員会に、その当該省の不当事項についての御質問がある際に、当該省の幹部が出てこないという御指摘は、まことにごもっともであります。十分これは注意をさっそくいたすことにいたします。  第二の乳価の先ほどのお尋ねの問題につきましては、たいへん畜産局長おくれて参りましたが、参りましたので、その対策については、農林省としましては非常に心配しまして、ただいま対策を準備いたしておりますので、局長からお聞き取りをいただきたい、かように思います。
  212. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 農林省関係審査は本日のところこの程度にとどめ、次に日程に従いまして通産省関係決算につき審査を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  213. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 先般、近代化資金の調達状況について資料を出していただいたんですが、この資料に基づきますと、この自己資本はさりながら、一般金融を非常に多く使用しておる業種と、また政府の金融機関を多くやっておる業種がございますが、これでお尋ねしたいんですが、一般金融を利用しておるということは、現在の近代化資金を借りるのについて相当な困難性があるのか、たとえば裏づけが非常にきびしいのか、あるいはまた系列下でないために親会社が保証するというようなこともできないし、それがために近代化資金というものを中小企業が利用しないで、その他の金融をやっぱり利用しておるのか、そういう点をひとつお聞きしたいと思います。
  214. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) お答えいたします。設備近代化補助金の対象になります企業は、これが所要資金の半額を県のほうから無利子で貸し付けるという制度でございますので、この無利子貸付をするにつきましては、できるだけ金融ベースにのらない企業を選定して貸すという方針をとっております。したがいまして、一般金融機関にそのままではのらないというような業種を選定しまして、これに半分を貸し付けることによりまして、逆にそれがさそい水になりまして、一般の金融機関のほうがついてくるというシステムになっておりまして、系列企業などは、二分の一以上資本が入っておりますのは、実質大企業といたしまして、そういうのは貸し付けないという方針も立てております。ただ何分、設備近代化に対する所要資金の希望というものが非常に中小企業でも多いわけでございまして、三十八年度あたりでも六千八百億円ぐらいを要望しておるわけでございますから、そのごく一部分を設備近代化補助金のほうで、財政上の限度もございますので、それで調達しなければいけないということになりますので、一般関係金融機関に依存するという部分が結果的に多くなっているというふうに考える次第であります。
  215. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それならもう一つお尋、ねしますが、実はこの三十二年でしたね、これが発足したのは。
  216. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) はい。
  217. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 三十四年度の、いろいろ調査した結果も出ておるようですが、これは御承知のように一千万の資本金に三百名以下の従業員を擁する者が借りる資格を持つわけですね。あなたの仰せのとおりですと、地方公共団体が半額出す、政府が半分出す、これが近代化資金として地方でこれを借りていくことになる。そういう意味から地方銀行に、やっぱり無利子で借りるということで、一般系列化とか、そういうことは問題なしに、地方銀行に依存するのが大きいんだ、こうおっしゃるんですね。ところが、それ以外のやはり借用をしておる事実があるんじゃないかと思う。たとえば皆さん御承知のように、あれは第三者として稲葉秀三氏を中心に十三名か四名の人を定めて、そうして一々栃木県だとか愛知県、あるいは七県か八県かの調査をされた。そのときには相当のまあ資本金は一千万円であっても従業員は三百八十人ですか、こういう人が多いのにかかわらず、まあ違法的な貸付がなされておる、こういう事実があるわけですが、こういう事実から見ると、あなたの考え方以外に、やはり私が言うように、系列化の裏づけが大きくやはり作用するのであって、系列化以外のものは、無利子で借りることが魅力じゃなくて、むしろ借りることができないのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。その点の見解は、あなたと私と違うわけですが、あなたのほうが正しいのか、もう一ぺんお聞かせ願いたい。
  218. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) お答えいたします。三十四年に、たしか三十四年度でございましたが、稲葉先生その他の委員をもって構成します補助金合理化の懇談会が各地を調査いたしました結果、まあ優良企業、先生のおっしゃいますように系列化関係を含めまして優良企業に貸し付けるという例が非常に多いではないかという御指摘を受けたわけであります。その結果私ども中小企業庁といたしましても、非常に金融ベースに乗らない企業に貸し付ける、優良企業に貸し付けないという指導をやってきております。その具体的なケースといたしましては、たとえば従業員百人以上にわたるような場合は、通産局のほうに協議をいたしまして、その場合通産局のほうで中小企業金融公庫または商工中金あたりと、金融機関も入れた委員会を作りまして、そこで金融ベースに乗る企業であるかどうかという判断をした上で貸し付けるものは貸しつけるというようなもの、あるいは県のほうで企業診断制度というものがございまして、それで企業の近代化の診断制度というものをいたしまして、これが金融ベースに乗らないけれども、将来設備の合理化、近代化をしてやっていけば伸びる企業であるという認定をいたしましたものにつきまして貸し付けるというふうな、事前の診断制度というものを併用をいたしまして、優良企業にいかないようにというふうな措置をいたして参っておるわけでございます。その後は非常に改善して参っておると思います。
  219. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなると、まあ昭和三十四年以降は、そういう対策が四年以降にできたわけですね。
  220. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 三十五年以降に。
  221. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 五年以降になる。そうすると、そういう診断委員というのは、どこが設置したのですか、どういう構成でやったのですか。
  222. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 各県に診断員、企業経営診断員というのを設置しております。全国で三十七年度で八百二名ほどおります。
  223. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それは構成はどういうことですか、構成は。
  224. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 構成は、県のたとえば商工指導所とか、それから近代化研究所とか、指導所とかいうふうな、各県に附属機関がございまして、そこにいわゆる経営コンサルタントを抱えまして、それは県の吏員でございます。非常に有能な人たちを抱えております。
  225. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうすると、その診断員の診断した結果、たとえば今紡績みたような非常に過剰設備もある。まあ紡績に関連する織機ですが、そういう織機五十台以下とか、あるいは百台以下とかいうような企業で、まあ今近代化してみたって設備過剰なんだから、将来の見通しもないというような判断をした場合は、金を貸さぬということですか。
  226. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 繊維産業におきましては、御承知のように設備の制限をやっておりますので、こういう近代化設備の補助金を貸し付けます場合には、老朽施設はスクラップ・ダウンするということを条件にして貸し付けております。
  227. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなってきますと、何ですね、実際問題として、その近代化資金というものは過剰設備の場合は、これは考慮の中に入れていない、こういうことがはっきりいえる、わけですね。ダウンするということになると。
  228. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) そういうことを条件にして貸し付けておるわけでございますから、できるだけそれ以上過剰にならないということを考慮に入れて貸し付けておるわけでございます。
  229. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは繊維局長にお聞きしたいのですが、この前十一月の十二日でしたか、繊維総合対策委員会が開催されたと私は思うのですが、いろいろ情報その他を見ると、対策委員会の結論が出なかった。したがって、特別委員会を設置されて、そこで検討するということになったということですが、何と何と何を、その委員会では今後検討しようということになっておるのか、この点についてお伺いしたい。
  230. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 今お話のございましたとおり、十一月十二日に繊維工業設備審議会の総合部会の中の稲葉小委員会で、ここで御承知でございます現行臨時措置法の改正を審議しておるのでございますが、この第九回目を十一月十二日に開催いたしまして、同日は、その前に繊維局のほうから過剰設備があるから二百万錘程度をスクラップ・ダウンすることを考えたらどうかという提案をしたわけでございますが、それに対する各業界の回答がございまして、その回答について審議をしたわけでございます。まあ審議の大体の方向といたしましては、いろいろな希望条件があるわけでございますけれども、過剰設備をスクラップ・ダウンするという方向は原則として賛成である、その方向は正しいということで、一応小委員会としては審議を終わった一わけでございます。
  231. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなってきますと、結果的には今審議されておる問題は、二百万錘の問題をどうするかということが中心になって、その小委員会が持たれた。たとえば、設備調整法を改正するのかどうかということが中心になっての委員会だ、こういうことですか。
  232. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) もう少し詳しく申し上げますと、これはよく御承知でいらっしゃいますけれども、ことしの三月から現在の臨時措置法が業界の実態に合わない古い法律であるというふうな一応結論になりまして、この法律か御承知のとおり昭和四十年の六月で期限満了となりますので、その期限満了の際に、もう法律を作らないのか作るのか、もし作るとすれば、現在のその措置法をどういうふうな点について、どういうふうな方向で改正すべきであるか、こういうようなことになりまして、三月以来、大体におきまして毎月一回、稲葉小委員会を開いて検討しておる次第でございます。
  233. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうすると、このスクラップ・ダウンされる範囲ですね、範囲はどういうところに、その判定をして、今金融処置をしないのかということの関連が出てくると私は思うのです。一方では、そういう金融は出さない、しないということがやっぱり前提になるということになりますと、たとえば織機なり織機の百台持っておる場合は、その判定のいかんによって、金融がなされるかなされぬかがきまってくるわけです。ダウンという範囲内というものは、どういうふうに繊維局としてはお考えになっておるのか、そいつを一ぺん伺っておきたい。
  234. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 今二百万錘程度ということでダウンを検討しておりますのは、織機の段階ではございませんで、その前の段階の紡績段階、精紡機について議論をしておるのでございます。
  235. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなってくると、判定の問題に移るのですが、もし今紡機の二百万錘以上を何とかして整理したい。それで、そのために設備調整法を改正しよう、こういう委員会が持たれたわけです。ところがさっきから聞いておるのは、たとえばここに御報告を願ったように、年々ふえておるこの近代化資金というものが三十六年では倍になっておるわけです。さらに三十七年では三倍になっておるわけです。こういうふうにどんどんふえてきておるにかかわらず、たとえば麻織物製適業とか、タオル業とか、さらに染色業並びに織物、こういうものは地方銀行に依存した形の金融しかできていない、こういう実態を見ると、やはり私は紡績の二百万錘というものが整理されるという前提に立てば、関連の織機でございますから、これはやはりダウンされるという見方をせざるを得ないと思うのです。そのダウンされる織機というものが五十台以下というものはだめだと、こういうふうにお考えになっておるのかどうかということを聞きたい。いや五十台だろうが百台だろうが、そういう問題については問題なしに、まだ現段階ではダウンの段階に入っていないのだと判断するのかしないのかという点がむずかしい問題だと思うのです。その点をお伺いしたい。
  236. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 紡績の精紡機の段階につきましては、先般繊維局のほうで昭和四十年度の需給見通しを計算いたしましたところ、御承知のとおり、合繊の関係の精紡機は今不足している状況でございますけれども、それを差し引きまして、大体四十年度についても二百二十五万錘程度が余るという一応の試算ができたわけでございます。それを中心にして議論をしておるわけでございますが、今御指摘になりました織機の段階につきましては、まあ現状においてもちろん足りないとか、そういうようなことではなくて、むしろ余っているということだとは思いますけれども、それを精紡機と同じようにダウンするのかしないのかということにつきましては、まだ議論をいたしておりません。
  237. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなるとお聞きしたいのですが、その金融の判定ですね、判定はどういうものを基礎に置いておられるのか、地方で構成されておる判定委員というのは、何を一体判定の基礎に置いておられるのか、それが一ぺん聞きたいのですがね。
  238. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 原則といたしまして、やはり金融ベースにのるかどうかということをまず第一に考えるわけなんでございまして、それはおのおの各企業の実情によりまして違いますので、画一的な基準ではやっておりません。繊維あたりにおきましては、今来お話のありましたような政府の対策というものを考慮に入れまして考えておるのでございます。
  239. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうすると何ですね、金融ベースにのるかのらないかで判断がきまるわけでしょうが、現在の段階では、そうした紡機の二百万錘が整理中であるから、したがってそのベースの中には入ってないと、こういうことがはっきりしているわけですね。そうすると、近代化しようという産業というのは、今日のような過剰設備を持つ産業としては、これは金が借りることができないという前提に立ってもいいわけですね、そういうことですか。
  240. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 今の二百万錘前後のスクラップ、これは精紡機でございますが、スクラップのダウンにつきましては、これをたとえば金の点で、どういう格好でスクラップするか、まあ買い上げとかなんとかいろいろ方法がございましょうけれども、そういう点はまだ、未検討でございまして、いずれにいたしましても、組織的にそういうスクラップ・ダウンを行なうということは、現在の措置法を改正いたしましてからやる、こういうことに相なっておりまして、現在そういうようなスクラップ・ダウンが進行しているわけではございません。  それから金融の問題でございますけれども、これは御指摘のとおり、まあ織布段階は典型的な中小企業でございますから、そう金融的に非常にうまくいっているということではもちろんございませんが、まあ一応の私どもの感触といたしましては、たとえば商工中金と中小企業金融公庫の貸付残高について見ますと、両方合わせまして九月末現在でございますが、今私の手元にございます資料では、商工中金の貸付残高、繊維に対する貸付残高が二百七十億円、中小企業金融公庫の同じ九月末の貸付残高百九十四億円でございまして、合わして四百六十四億円というような数字になっておりますが、前年度の貸付残高に対するパーセンテージは、大体一〇%程度でございますので、まあこれはいろいろな業種の関係、つまり中小企業が非常に多くて商工中金、中小企業金融公庫に対する依存度が高い、あるいは低いというような問題がございますから、一様に産業別のパーセンテージで比較することはもちろんできないと思いますけれども、約一〇%の貸付残高の比重は、ほかの産業、業種と比べまして、それほど非常に低いということではありませんで、むしろ卸売、小売業別といたしますと、繊維の製造業に対する構成比につきましては、各産業を通じまして非常に高い、これはまだ十分ではございませんけれども、そういう点からいきましても、まあかなり商工中金、中小企業金融公庫というような政府関係機関が繊維産業に対して相当の融資をしているというようなことは、大体そういうように考えていいのではないかと考えております。
  241. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いや、その点はわからぬことないです。資料を提出してもらったところによると、繊維工業が二六・八%の近代化資金を出しておるのだから——けれども、私がお聞きしたいのは三十五年、これは三十五年度までだから、三十五年以降は今のその判定委員ができて、それから大体スクラップ・ダウンするということの建前に立って金が借れないようになっておるのかということを聞きたいのです、私は。そういう判定委員会というものが各都道府県に設置されて、そこで判定すると、一体その金融ベースにのるかのらぬかという判定のもとに金を貸すのだと、こうおっしゃるのだから、二百万錘というものを今後一体どうするかという問題が起こっておると、それと関連して繊維産業織機というものは、少なくともこれはやっぱりダウンのケースに入ると思うのです、私は。そうすると、判定は金融ベースにのらないから、現段階では貸さぬのだということになると、全般的に見たときには、あなたのおっしゃるように二六・八%というものが近代化資金として出ておるわけですから、それだけは近代化されたと私は考えているわけです。けれども、実際には、金は借れないような状態にあると、借れないような状態にあるならば、繊維局は一体、これにはどう考えておるかということ、そういう状態であるならば。そうなると、繊維総合対策の委員会というものは、早急にこれをどうするのかという結論を出さなければ、現状不安のままでいつまでほおっておくのかという問題が起こってくると、その点どうですか。
  242. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) 私の説明が少し足らなかったかと思いますが、ただいまの二百万錘の問題につきましては、まだ繊維総合対策委員会のほうでも結論を最終的にお出しになっておりませんので、そういう政府の方針がきまりませんと、県あたりも流しておりませんので、今のところは、そういうところは判断の基礎になっておらないわけでございます。
  243. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 判断の基礎になっていないということですね。
  244. 影山衛司

    説明員(影山衛司君) はい、なっておりません。
  245. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それじゃ繊維局長にお聞きしますが、非常にまあ繊維界は深刻な問題だと思うのですが、資料の提出でわかったわけですが、大体、との近代化資金の調達状況というのは、この資料は三十六年の中ごろに調査されて、さらに麻及びタオルなんかは本年の中ごろに調査したんだと、こういう資料を私もらったわけです。したがって現在は、金融面の処置からいくならば、中小企業というのは、これは少なくともやはり近代化資金としては、裏づけがない限り貸せないような状況にある。しかし、大きな会社の、メーカーの裏づけのある系列には、相当の金融がなされておる、こういう状況を僕は判断できるわけです。  そこで私は繊維局長に聞きたいんですが、現在すでに、この繊維産業の、何と申しますか、非常な不況のために、賃金の遅払いが起こっておる。これは大体三百人ぐらいの従業員です。しかも、遅払いが起こると同時に、今会社は整理されるかどうかというような危険性が起こっておる。こういう状態が一方にはあり、近代化はできないという状態が一方にある。総合対策委員会を開く、特別委員を作ってどこまで持っていかれるのか私は知らないけれども、このままほうっておいた場合は、石炭産業以上のものが関連産業として起こってくるんではないか。一体これに対する指導を、どういうふうに繊維局としては——まあ繊維局だけのお力ではないでしょうけれども、これは通産省として重大な問題だと思うんですが、どういうふうに一体指導をされておるのか。また、されようとしておるのか。しかも景気の問題を今一つ取り上げてみても、赤字になるか、あるいは赤字すれすれのところで安定しそうな形も見えております。こういう状態の中で、私は一日も早く、そうした見解を明らかにして、中小企業をやっぱり助けるという方針を繊維局としてはとる必要があると思うんですが、繊維局長、これはどうお考えになっておるのか。
  246. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 確かに繊維業界の状況は、今先生から御指摘のございましたような状況かと考えております。ただ、全般的に申し上げますと、これは一般の金融経済情勢というようなこともあろうかと思いますけれども、たとえば繊維の中で主軸になります綿製品の在庫、これを御承知のとおり綿糸で換算して出しておるわけでございますが、この在庫は、最高ピークにおきまして七十九万九千コリ、約八十万あったわけでございますが、去る十月には、これが六十八万コリまでいっておるわけでございます。まだ適正在庫に到達したというふうには考えておりませんけれども、まあだんだんそれに近づいてきておるというふうには考えております。それから、そういうふうな市況を表わす価格面等におきましても、これは御承知のとおり定期が立っておるわけでございますけれども、そういう点からいきまして、従来の金融引き締めを主軸にいたしました繊維工業の底というふうなものも、一応底はつきまして、今後徐々ではございますが、大体上向いていく。あるいは、もうこれ以上悪くなることはなくて、徐々によくなるんではなかろうかというふうに一応考えておるわけでございます。  それから、今御指摘のございましたように、いろんなところで非常にシビアな操短をやっておるところもございまして、企業の安定的な経営が非常に困難であるという現状も出ておるわけでございますが、こういう点につきましては、いろんな従来の経営上の問題もあったかと思いますけれども、もちろん繊維局、通産省の立場といたしましては、いろいろそういう点で企業の再建等につきましても、あっせんを行なっておる次第でございます。金融につきましては、今御指摘のような中小企業の、特に零細企業につきましては、なかなかその金融ベースにのりにくいというふうな問題があるかと思いますが、御承知のとおり、中小企業業種別振興措置法というのがございますので、ここで先般、タオルと麻織物につきまして、これを取り上げて、改善事項を出したわけでございますけれども、逐次そういう格好で繊維の中小企業の実態を調査いたしまして、その問題点を取り上げまして、いわば教科書みたいなものを作りまして、それにのっとってできるだけの努力をしていきたいと考えております。
  247. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは私は、きのうの朝からけさにかけて電話で聞いておるのですがね。繊維局長は知っておられるのか知らんけれども、大体二千万円の資本金、しかもこれは何ですよ、どうかと言いますと、従業員が三百人おります。それで、十一月分は賃金遅払いです、現在。きょう五日は債権者会が聞かれていると私は思っておりますがね。今指導する、指導すると言われるけれども、こういうのはどういうふうに指導されるのですか。たとえば私、これの実態を聞くと、御承知のように下請の代金支払いというのは二カ月が原則です。二カ月以上をこえる場合は利子を払わなくちゃならんという、ひとつの方向があるわけですね。そういうのも払われていない。そして、大体百万円か、二百万円のいわゆる何ですか、今の手形が期限が切れて、全く債権者があわてて来ておる。そこで、下請の工賃は払われていない、従業員は遅払いが起こっておる。そこで債権者があわてて、きょう開かれておる。これは繊維局長の指導しておるということと——こういうのはどういうふうに指導されるのか。たとえば独禁法にでも持っていってやらうとされるのか、あるいは会長更生法に、でもかけて、何とか救い上げようと考えておられるのか。こういうのは御承知なんですか。こういうものの指導と、実際起こっているということとを私はお聞きしたい。
  248. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 今例としておあげになりました会社が、どの会社であるか、ちょっと私あれでございますが、まあ一ノ宮あたりでも、最近いろいろな問題が起こっております。これはまあ非常にそういう場合には——まあこんなことは申し上げるまでもございませんけれども、相当多額の債務がございますし、それから——しかし一方では、どうも非常に零細企業と申しますよりは、今おあげになりましたように、ある程度の中堅企業にその例が出て参りまして、そうして中堅企業でございますから、やはりそれ自体として下請を相当持っておるわけでございます。それから、上に対する系列の関係では、そういう会社でございますと、非常に大きな会社の系列に入っているというふうなものもございまして、そういうものについて、そういうふうな例が起こっております。まあそれにつきましては、今実態を調査いたしておりますが、これはできるだけ早く調査をいたしまして、私たちとしてもできるだけのことをやっていきたいと思っております。
  249. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、これは最後に希望意見として申し上げておきたいのですが、今おっしゃるように、この下請が大体百八十軒、それに関連する産業のもうひとつ下請が百三十軒、三百十軒あるわけですね。これはもう社会的な問題だと思うのです。ところが、なるほど大メーカーの下請的な産業をやっておるけれども一つの会社は今度は引きあげ——もう下請をやめさす、そしてその代金も払っていないというのが現実ですね。これらは最も私は政府の責任で解決をつけてやるべきだ、と申し上げますことは、この会社の私は実態を十分まだ調査はいたしておりませんけれども、少なくともこの会社が、新しい会社を設置した、これがちょうど昨年の金融引き締めの途中なんです。それで、わざわざ自分が建てた工場は、他にもう今日では移譲している、そうして自分のところの本社と称する二千万円のその会社に、また火がついた、そうして下請は、私が申したように三百十件からある。そこでこれは政府のやはり昨年の秋の金融引き締めが、かくあらしめたと私たちは見ざるを得ないのです。拡大せよ、拡大せよといって奨励して金を出したと思ったら、今度は一ぺんに金融を引き締めた、その途中にある拡大しておったものに対しては、どのくらいの打撃がきているかということは、これはその実態が私は今日出ている、こういうものこそ、政府の責任において行政指導の一端を背負って私はやってやらなければ、繊維界には、こういう問題がたくさん今後出るということを私は心配するわけです。なるほど指導しているといわれることと、実際にはそういうことが起こっているということとは大きな差がある。これは何としても、私は繊維局として早急に、この将来の二百万錘をどうするか、そのほかにやみ紡機の八十万錘と称しておられますが、これを一体どうするかという問題を早急に解決をつけて、そうして打つ手は打つ。これは相当経営者には抵抗もありましょう。けれども、私は中小企業のもっと意見を聞いてもらいたい。中小企業が今どういうみじめな立場にあるか。これを擁護しないような通産省なら、私は行政の指導なんというのは、これは必要ないと思います。やはり日本では、特にこの長い歴史を持つ繊維産業等は、歴史が長ければ長いほど、中小企業は多いわけです。そういうものを、ほんとうに取り組んで、こういう不況下に、また政府がとった施策の失敗を何とかして救ってやるという私は観点に立って真剣な指導が望ましい。そうしてもらわなくちゃいかぬ。この点をひとつ私は強く要望申し上げて、今後善処方をお願いしたいと思う。これは一つの例を私は申し上げたのですが、どうかひとつよろしくお願いします。  以上で終わります。
  250. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 今御指摘になりました繊維業界のいろいろな問題につきましては、ただいま申し上げました小委員会でも、できるだけ早く方向づけをするように進んでおります。それから今おあげになりましたような、そういう企業につきましては、私どもも御趣旨のとおりに考えておりまして、今調査をいたしておる次第でございます。
  251. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 通産省関係審査は、本日のところ、この程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会