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参考人(清井正君) 御
指摘の点、ごもっともなことでございますが、私
ども、水産全体に対する公庫資金のあり方ということは、先ほど私の
考えを申し上げたわけでございますが、まあ公庫の貸付条件と申しますのは御
承知と思いますけれ
ども、かりに冷蔵庫の例で
考えてみますと、七分五厘でございます。それから据え置きが最高二年、それから償還が十五年以内ということの範囲内で・それぞれの
事情に応じてきめておるわけでございます。で、この貸付条件は、申すまでもなく、貸付対象の、いつになりますれば貸し付けられた金によって作った倉庫がその成果をあげるか、果実を生むかということと見合って、その据え置き期間なり償還期限をきめております。それから利子も安ければ安いほどいいわけですけれ
ども、他の農業
関係の一般の貸付利率等とも見合って、ただいま七分五厘ということで貸し付をいたしておるわけでございまして、農林公庫全体といたしましては五分五厘
程度の実は貸し付になっておるわけでございます。と申しますのは、開拓者であるとか、非常に零細な農業者に対する貸付の利子が非常に低いのでございまして、平均そのくらいになっておるわけでございますが、共同利用
関係は割合に公庫としては商い率になっておるわけでございます。したがいまして、この全体の率なり据え置き期間なり償還期限なりの条件をさらに債務者に有利に緩和するという問題は、これは農林公庫全体の実は問題として取り上げなければならない問題だと思います。ことに貸付の相手方が御
承知のようなことでありまして、ことに漁業者の方につきましては、経営の、安定性を欠く場合がしばしばあるというような問題もありまして、担保力等から申しましてもなかなか普通の融資の
ベースに乗ってこない相手方でございますので、私
どもといたしましては、できるだけ条件を緩和する方向に持っていかなければならないということには
考えております。しかしながら、具体的にじゃどれをどうするかということになりますと、やはり他の金融対象との見合い等もございますので、一がいにこれをこうしたらいいという具体的なお答えはいたしかねるのでありますけれ
ども、一般的な
考え方といたしましては、できるだけ現在の
制度におきましてもそれぞれの借入者の実情に合うように、いわゆる貸付条件を限度一ぱいまでゆるく見てあげるということにいたしたいということで、実際の貸付担当者にもその旨をよく指示してあります。私
どもも、そういうふうに心がけまして、努力いたしておるわけでございます。また、こういった場合に、よく初めは、借り入れを受けた方が実際上成績をあげておられましても、ことに水産のごときは、全然自己の意思によらずして不漁に会うことが相当多いわけでございます。そういった場合にどうするかということがすぐ問題になってくるわけでございますが、そういった不漁のために、当然返す意思を持っておりながら、物理的に返すことができないという事態に立ち至りました場合には、現在では、それぞれ具体的な
事情に応じて、その据え渇き期間なり償還期限なりを若干限度の範囲内においてこれを延ばしまして、それぞれの
事情に応じて緩和するという具体的な
措置はとっておるのでございますが、これはあくまで現状における緩和でございます。それをさらに進めまして、現状の条件をさらに債務者に有利に緩和するという問題までさかのぼることにつきましては、ただいま申し上げましたとおり、抽象的にはその方向でありたいと思いますけれ
ども、具体的にはどれをどうするということまでには私
どもはまだ決心をいたしかねておるのでございます。この点は、なお、私
どもの
考え方を農林、大蔵両省とよく相談をいたしまして、そういう方向で持っていくように今後努力をいたし、同時にまた貸付ワクも、ことに需要の多い冷蔵庫等のようなものに貸付をするとか、あるいは御
指摘のありました漁業についてもっとふやすということで、漁業者一般の経営能力を増加するということに私
ども公庫としても努力をいたしたいと思います。なお、これは申し上げるまでもなく、私
どもの公庫以外に系統金融機関がございます。御
承知のように、漁信連、農林中央金庫、そこでも相当漁業
関係に貸付をいたしておるのでございます。そういったようないわゆる系統金融機関の貸付と、私
どもの農林公庫の貸付と、あるいは場合によっては、先ほどちょっとありましたが、
消費地における製氷、冷凍施設に開発銀.行からも融資をするというようなことも
考えております。そういった
政府金融機関と系統金融機関両方合わせまして、双方見合いになるものでございますから、それぞれの職分に応じてできるだけ漁業者の有利になるように資金ワクをふやし条件を有利にするという方向で努力をしていかなければならない、こういうふうに私は
考えておる次第でございます。