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1962-10-30 第41回国会 参議院 決算委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月三十日(火曜日)    午前十時四十分開会    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木  壽君    理事            仲原 善一君            横山 フク君            相澤 重明君            大森 創造君    委員            川野 三暁君            上林 忠次君            鈴木 恭一君            二木 謙吾君            谷村 貞治君            北村  暢君            小柳  勇君            大和 与一君            和泉  覚君            中尾 辰義君            高山 恒雄君            奥 むめお君            鈴木 市藏君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    大蔵省主計局司    計課長     佐々木達夫君    農林政務次官  大谷 贇雄君    食糧庁総務部長 藤波 良雄君    林野庁長官   吉村 清英君    通商産業省通商    局輸出振興部長 土屋 正雄君    通商産業省重工    業局次長    熊谷 典文君    通商産業省繊維    局長      磯野 太郎君    通商産業省石炭    局長      中野 正一君    中小企業庁長官 樋詰 誠明君    会計検査院事務    総局第四局長  宇ノ沢智雄君   参考人    電源開発株式会    社総裁     藤井 崇治君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書(第四十回国会内閣提  出) ○昭和三十五年度政府関係機関決算書  (第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度物品増減及び現在額  総計算書(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度国有財産増減及び現  在額総計算書(第四十回国会内閣提  出) ○昭和三十五年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第四十回国会内閣提  出)    ——————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和三十五年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  本日は、午前中農林省及び農林漁業金融公庫、午後は通商産業省、日本開発銀行、中小企業金融公庫電源開発株式会社決算につきまして審査をいたすことになっております。  それでは、これより農林省関係審査を行ないます。なお、農林省につきましては、去る九月六日の当委員会におきまして、すでに説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 本日、米価審議会がありまして、大臣並びに食糧庁長官出席できないので、まことに残念でありますが、政務次官並びに総務部長が御出席でありますから、特に総務部長数字に明るいようですから、これから数字上の問題を含んで御質問いたしたいと思うのでありますが、まずその大綱として、今年の米作はどれくらいの収穫があると農林省は見ておるのか、この点をお答えいただきたい。
  4. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 本年の米作につきましては、統計調査部発表数字、今正確には、はなはだ恐縮ですが、きょう準備しておりませんが、それをもとといたしまして、政府買い入れといたしましては、大体四千五百万石程度買い入れがあるであろう、こういう前提で考えております。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 次に、三十八年度消費量というものはどれくらい見込んでおりますか。
  6. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) ちょっと資料を見ます。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっとわからぬようだから、いま一つ……。
  8. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 恐縮でございますが、手元に今、本年度需給数字を持って参ったつもりでありますが、持って参っておりませんので、至急取り寄せたいと思います。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、三十七年度予算に計上をした消費量というものは幾らになっておりますか。——これは四百四十万トンかな、一億俵。
  10. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) ええ、大ざっぱに言いますと、一億俵でございます。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 それで、トン数にすると……。
  12. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) トン数にしますと、六百二十万トン前後じゃないかと思いますのですが……。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 数字上のことは決算報告に出ているわけです、普通は。昨年の須賀食糧庁長官も、私の質問に対して全部これは答えておる。そのくらいのことは覚えていてもらわないと困る。  そこで、それでは今度のことについては、まだ今手元資料がないようだから、さっそく調べてもらって、それからこの消費量の中で内地米と外米に分けてどのくらいに考えておるか。
  14. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) はなはだ恐縮でございますが、至急その数字も取り寄せまして御報告したいと思います。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 それで、現在手持米はどのくらいあるか。
  16. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 今需給関係担当官を呼びまして、正確な数字でお答えしたいと思います。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 委員長、これはしばらくだめだね。
  18. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  19. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を起こして。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、米価や米の消費等の問題については一応次に譲りまして、資料が出ておると思いますから、そのほうを先に……。  それでは、全国米穀業者大会が開かれて、そうして農林省陳情をされたことがありますか。
  21. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) ございます。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 その業者大会要請による配給米改定に関する陳情、それらの内容について御検討されましたか。
  23. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 現在検討中でございます。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、検討中というのは、すでに農林省がいわゆるマージンについての改定の成案を得た、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  25. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) マージン改定につきましては、最終的には予算編成と同時にきめられると思いますが、その基礎的な資料固めとしまして、現在事務的に関係方面といろいろ数字を持ち寄って検討中でございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、政府マージン改定に対する態度、今言った各方面折衝中というのは、特にこれは大蔵省との関係が一番重要ですからね。そこで、大蔵省に対して折衝をしておる案というものが出ていますね。それはどういうふうになっておりますか、その案は。
  27. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 現在、その大会の結果出ました数字に基づきまして、具体的に賃金をどう見るか、取り扱い手数料をどう見るか、こういうことをやっておりまして、その途中でいろいろと数字が出ておると、こういうことでございまして、まだ事務的な段階数字と、こういうふうに考えております。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、きのうきょうと米価審議会が開かれておって、最終的にこの米価答申がきまり、そして農林省大蔵省に今年度方向というものがはっきり折衝過程できまれば、これはもちろん三十八年度予算として現われてくるわけです。ところが、その予算を作る考え基本になるものは、あとでちょうだいするけれども、今年度資料というものはどのくらいであるかということが基本になるけれども、それはそれとして、今回のこのマージン改定に対する政府考えは、公務員に対するところの給与改定人事院勧告があった、これを見込んでいわゆる改定を行なおうとしておるのか、それとも、現在の私鉄なり、あるいは電力料金なり、また米の消費者価格の値上げと、こういうようなものを見込んで、そしてこの改定を行なおうとしておるのか、その点はいずれでありますか。
  29. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 今お話のことにつきましては、一応現行のマージンは、公務員給与ベース、これを基礎にしておりますので、その現在までの値上がり分を見て給与計算する、こういう考えで進んでおります。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 現在までの値上がりを見てですか、それとも、今人事院勧告は、臨時国会を開いて、そしてベース改定をしようとしておる、したがって当然この人事院勧告に基づき公務員ベース改定が行なわれるわけでございますから、それをもとにいわゆる改定方向を出す、こういうことですか、その点はっきりして下さい。
  31. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) この前勧告がございまして、一応どの程度値上がりがきまるか、それを見込みまして計算をいたしております。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、改定を見込んでこのマージンの問題を処理するようでありますが、そこでこの中の集荷販売手数料というものが当然改定されるわけですね。もちろん、若干の事務費の問題も出るでしょう。そこで、この集荷手数料という問題については政府はどういうふうに考えておるのか、またどの程度改定をしなければならぬと考えておるのか、この点についてひとつ説明を願いたいと思う。
  33. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 集荷手数料につきましても、先ほどの販売業者マージンにつきましてと同じく、最近までの給与ベースの上昇、これはもちろん御指摘のような人事院勧告を含めましての計算でございます。物価につきましても、最近までの諸般のいろいろな値上がりの状況、こういうものを見まして改定すべく検討中でございます。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、昭和三十年以来実際には改定のなかった集荷手数料、これについては今回は公務員給与改定に伴う方向でやはり改定をする、それからいま一つの問題は、いわゆる保管料の問題であるとか、あるいは販売手数料についても、さきに若干の改正は行なわれたけれども、今年はさらに実情に沿うように、いわゆる公務員給与改定に伴う方向でやはり改定を行なう、こういうことを確認をしていいわけですね。
  35. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) そういう諸般経済情勢を背景としまして、中心は今先生がおっしゃいました給与ベース改定だと思いますが、そういう建前で改定すべく検討中でございます。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今米価審議会が現在審議中でありますね。この米価審議会答申が行なわれると、政府としては作業を進めて、いつごろからそれを実施をする考えですか。
  37. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) ただいまのところ、事務的には三十八年度予算から実行をする予定でございます。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 公務員給与改定は三十八年度予算からなんということは実はない。人事院勧告はそういうふうに出ていない。人事院勧告お読みになりましたか、いつからというのを、総務部長どうですか。
  39. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 五月からだったと記憶しております。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 人事院勧告を尊重をして、そしてその改定を行なうということになれば、当然一般公務員給与改定が行なわれるときに、それだけの差をやはり考えてやらなければいけないじゃないですか。そうするというと、米穀業者だけは結局は半年なり一年なりというものは安くてがまんしろ、こういう政府の言い方になってしまうと思うのだが、そういうことですか、それとも、人事院勧告に従って国会において給与改定が行なわれたときにそういうふうにやっぱり行なうのだ、こういう理解をしていくのですか、その点はどちらなんです。
  41. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 現在のところ、事務的には三十八年度予算から改定していきたい、こういうふうに考えております。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 三十八年度は三十八年度予算として、これは当然な話ですね。三十八年度というのは年間の予算を組むのですから、これはあたりまえなんです。ところが、人事院勧告が行なわれておるということは、現状においてとにかく物価値上がり等によって家計を圧迫をしている、したがってこれを是正をするというのが人事院勧告の出されたゆえんなんですから、しかも政府においてもこの次十二月早々の臨時国会にこの改定案については尊重した予算を組むことになっている。また、私ども国会においても、それを検討をして決定をするつもりなんです。そうすれば、当然そこに、あなた方の言う今の三十八年度予算でなければ実施ができませんということは、その間はそれでは米穀業者というものは安くてがまんをしておけ、こういう理屈になるわけです。この点は間違いないでしょう。そう思いませんか、あなた自身が。どうですか。
  43. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 理屈の上ではそういうことに相なると思います。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 いや、理屈の上でそういうことになったら、その理屈を、人事院勧告が出されたのですから、それが実施のできるように努力するのが私は政府の立場だと思う。この点については、私は、総務部長数字上のことでありますから、ひとつ政務次官から、一体日本国民全体が生活圧迫を受けているときに、どうしたらばその生活ができるか、こういうことについて、政府も努力するし、国会補正予算を組む、こういうことになるわけですから、その場合に、ひとり農林省だけはそういうことをしなくともいい、こういう考えに立ちますか、この点は政務次官からひとつお答えいただきたい。
  45. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) ただいまの相澤委員のお尋ね、まことにごもっともでございます。今、事務当局では、来年度予算からということでございますが、これは大蔵省等関係もございますので、十分に私どもとしましては検討をいたしたい、かように存じております。
  46. 相澤重明

    相澤重明君 次官の政治的な発言で、とにかく実現するように私は希望します。また、することを見守っていきたいと思います。  そこで、総務部長にお尋ねしますが、現在卸売業者構成人数、それから小売業者構成人数は、どういうふうに把握いたしておりますか。
  47. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 質問をちょっと正確にとりかねたのでございますが、業者の数でございましょうか。
  48. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、最初に卸売業者の数、小売業者の数、その次に卸の一店舗の構成、それから一小売業者構成、それをひとつ発表していただきたい。
  49. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) あとで正確なところを申し上げますが、卸は大体六百五十ぐらい、小売は四万軒程度、こう考えております。あとで正確なところを申し上げます。それから小売規模につきましては、まず資料の見つかったところから申し上げて恐縮でございますが、小売につきましては、店主は一人、それから従業員が三軒に一人の割合、こういう計算をしたわけでございます。それから卸につきましては、ちょっと今資料を持っておりませんので、すぐ取り寄せます。
  50. 相澤重明

    相澤重明君 総務部長資料を持ってこなかったんだろう。それから昨年の須賀食糧庁長官が当委員会答弁をした当時と今日では、卸あるいは小売の営業について大きな開きがありますか。卸と小売人数とか、軒数とか、構成について大きな開きがありますか。
  51. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) 本年度でございますか。それは当時とあまり変えないで三十七年度まで考えております。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、こういうふうになっているのだ。卸売業者は、東京都における平均卸売業者当たり従業員数は、常勤役員が九・五、従業員が五十五、非常勤役員が二十三・三、これは食糧庁長官答弁をした速記録です。それから小売業者は、家族従業員が一・一、従業員一・四、他に店主——三軒に一人ではないのだ、こういうふうに食糧庁統計はなっている。この統計がそう変わってないですか、いま一回聞いておきましょう。
  53. 藤波良雄

    説明員藤波良雄君) その数字は、あるいは平均数字を申し上げられたのか、それから前に算定した場合の経営の単位、この関係等が私どうもはっきりいたしませんのですが、前に算定した場合の一つ経営規模、こういうのは必ずしも平均値でないと、こう考えておりますので、その数字とは食い違いがあると思います。今至急調べます。
  54. 相澤重明

    相澤重明君 きょうの総務部長答弁では、数字上においては全然これは触れることができないわけですね。しかし、昨年須賀賢二君が当委員会においてこまかく答弁をしておることは、私はうそではないと思うのです。もしうそだということになれば、須賀君を参考人としていま一回当委員会に呼び出して究明をしなければならないと思う。これはおそらく、須賀君の言ったことを総務部長は勉強しておらない、そういう証拠なんです。数字に明るいなんて、どこが明るいのか、何にもわからないじゃないですか。そういうことで当委員会審議はできないです。第一、先ほど話をした集荷手数料にしても、三十八年度から実施するなんて、一体ことしの米を集めるのに来年まで待ちましょうなんて、そんな徳川家康みたいなのんびりしたことは言っておられない。鳴くまで待ちましょうということは言っていられない。そういう総務部長考え方では、これは農林省の仕事というものは全くなってないと思う。これは私はきょうは質問できません。しても意味ない。やはり食糧庁長官大臣を呼ばなければ話にならない。だから、私はもう与党の皆さんにもお話しして、やはり私の言ったのは、九月に——政務次官聞いて下さい、九月の当委員会のときに、この米価の問題と手数料等の問題について、大きな問題であるから、おそらく十月下旬ないし十一月の初めには政府案がきまるだろう、そこで十月下旬に当委員会に出てもらうから、ひとつ準備してくれ、特に私はこう言っているわけです。それで、数字に明るいから、食糧庁長官大臣米審のほうに出ているけれども総務部長数字に明るいから、きょうは政務次官と二人でけっこうですと、こう言ったけれども、これではちっとも明るくない。少しも前進をしないじゃないですか。そこで、怒ってみたってこれはしようがないから、明るい人にあとで出てもらうことにして、きょうはこの問題についてはあとにしますけれども政務次官どうですか。総務部長準備の都合もあったろうから、そう怒りません。怒りませんが、しかし、少なくとも全国米穀業者大会を持って、そうして生活を安定させるためにこういうふうにしてほしいという要請についても、農林省自体は知っているわけだ。そこで、今年度は、さらに昨年の手数料あるいは集荷料の上に立って改定をするということが基本原則でありますから、そういう要望を入れたものを作って、次の機会に私は答弁をしてもらいたい、こういうふうにしておきたいと思う。それで、今私どものほうの各委員からも非常な不満が出ている。これではしようがないじゃないかということを言っているのですが、実際に準備がなかったものについては、これは仕方がないことですし、私もこれ以上追及しても仕方がないと思う。そういうことで、なるべく早い機会答弁を求めたいと思うのですが、政務次官いつごろあなたのほうでは大体できそうですか、これはあなたの政治的判断でけっこうです。
  55. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をとめて。   〔速記中止
  56. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を始めて。
  57. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) きょうは相澤委員が非常に御不満の点が多々あるわけでありまして、きょうの決算委員会農林省の問題についていろいろ御質問がありますことは、私も先回出て承知をいたしております。大臣承知をいたしておったのでございますが、御承知のように、昨日から米価審議会を開いておりまして、当委員会出席できぬことはまことに申しわけないということを申しているわけでありまして、その点はとくとひとつ御了承をいただきたいと存じます。  そこで、今、いつごろ出せるかというお話でございますが、米価審議会の結論に基づきまして、消費者米価等の問題もさらに検討いたさなければなりませんし、マージン集荷手数料保管料問題等につきましても、急速に決定農林省としましてはいたさなければなりませんが、今、いつまでに、こういうことにつきましては、即答をちょっといたしかねますが、極力誠意を持って早くいたしたい、かように存じまするので、御了承を願いたいと存じます。
  58. 北村暢

    北村暢君 今の米価集荷手数料配給マージン、この問題は、相澤委員が憤慨するごとく、これは今直ちに回答を求めているんじゃないので、もう二カ月以上も前からやっている問題です。それによると、総務部長の言によるというと、三十八年度から実施する予定だ、こういう発言があったように聞くのですけれども、これは正式な決定はどういう機関決定されているのか。ということは、食糧庁内部でそういう意向なのか、農林省省議で来年度からやるのだということを決定したのか、そこら辺のところをはっきりして下さいよ。何だか次官の話を聞いていると、もう少し検討して、もう少し待てば上がるような気もするし、来年のしかやらないというふうにも聞こえるし、何が何だかわからないんですよ、あなた方の答弁聞いていると。だから、総務部長の言う来年度からやる予定なら、それは省議決定したのか、閣議で決定したのか、そこら辺をはっきりして下さい。総務部長が来年度からということは、今度は上げないということを言っているんでしょう。それだのに、今また検討すれば時期はどうかわからないけれども上げるようなふうにも聞こえる。そこら辺のところは、米審との関係もあるかもしれないけれども、これは配給マージンについは年々歳々上げているんですよ。それは行政措置でやっているはずです。それから集荷手数料については、三十年に一俵当たり四十八円であったものが、三十六年に五十円で、これがずっと据え置きになっております。わずか二円しか三十年から上がっていない。それから配給マージンのほうは、三十年に二百八十七円であったものが、三十七年は三百九十六円に、約百何円上がっているんです。したがって、集荷手数料のほうは約七年に二円しか上がっていない。片一方は百幾ら上がっている。そういうことで、配給マージンのほうも、これは中小企業なんですから、私どもは、その生活を維持するために上げなければならないというのなら、上げてもらわなければならぬ。集荷手数料のほうは、これはもう何としてもこれじゃ赤字になっちゃうんですよ、実際問題として。そういう問題なんで、これは二カ月前から上げるような話で、私ども農林水産委員会でも何回かやって繰り返してきているんですよ。ところが、今ごろになってからに、もうとっくにきまっちゃって、今集荷やっているでしょう。どんどん米は集まっちゃってきているんですよ。それだのに、今どき寝ぼけたような返事をされて、いつだかわからないと言われたって、これは一体どうするんですか。米はもうどんどん集まってきているのに、手数料はまだはっきりしないというようなことでは、これはどういう行政措置でやっておられるのか。これは今までの価格でずっとやって、追給するのかどうなのか。しかも、私の理解からすれば、もう何としてもことしは上げなければならないと思うのです。公務員ベースばかりじゃないんです。もうそういう段階に来ているんですよ。だから、来年度なんていう筋合いのものじゃない。総務部長答弁政務次官答弁と食い違っているから、そこのところをもう少しはっきりしていただきたい。
  59. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) 総務部長の申しました三十八年度から云々ということは、省議では決定をいたしておりません。事務的に事務当局でそういうふうに考えてこの計算をいたしたことと存ずるのであります。今お話しのマージンの問題にしましても、手数料の問題にしましても、お話のような実情は私も十分承知をいたしております。  そこで、先ほどお答え申し上げましたように、昨日、きょうと米審でもこの問題いろいろ論議が戦かわされておるようなことでございまして、それらの点を基礎にいたしまして急速に決定をいたしたいということで、ただいま参考の御意見を聞いて決定をいたしたい、かように存じまするので、御了承をひとつ賜わりたいと存じます。
  60. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記をやめて。   〔速記中止
  61. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を起こして。
  62. 北村暢

    北村暢君 私は農林省のいろいろな補助金の経理その他決算の問題についてお伺いいたしたいと思いますが、会計検査報告によりまして、農林省関係補助金の公共事業費関係のところで、今度の会計検査院の指摘事項を見ましても、林道その他農業基盤整備等の、あるいは災害、これらの指摘事項は相当多数に上っておるのでありますが、同じ補助金である造林の公共事業費関係の指摘事項というものは一件も載っていないわけであります。従来とも、この不当事項なり何なりは、造林関係には全然ないということになっておったのか。従来からの造林関係の会計検査の方針なり、やってきた実情について、ちょっと御説明願いたいと思います。
  63. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) ただいま北村先生からお尋ねの造林補助金の検査の関係でございまするが、実は、御指摘のように、昨年度の検査報告には造林関係補助金の指摘事項は一件もございません。と申しますのは、全然造林関係補助金は見ていないのかという御疑問のようでございまするが、昨年もこれは全然見ないということではございませんで、現に何カ所か見ておりますけれども、事業の施行なりあるいは経理の実績というものについて指摘した事項はないということでございます。  それで、検査の実情をちょっと御参考までに申し上げまするが、この公共事業、それから林野事業特別会計の治山勘定の関係、それからそれ以外の一般会計の非公共事業でありますが、林業振興費などの関係は、第四局の農林三課——総勢課長以下約三十人でございますが、そこで検査をしておりまして、その検査対象は全部で四十二項目で、補助金にいたしまして四百八十億を三十人で実は見ているわけであります。  それで、検査のやり方としましては、限られた旅費と人員でございますので、できるだけ重点的に検査をしようということで、公共事業のたとえば農林の土地改良とか、災害関係のものなどの比較的工事の大きいものに重点を置いてやるという体制をとっておりまするので、勢い、御承知のように、造林事業費といいますのは二十五億三十五年度補助金については決算額が上がっておりまするが、これを二十七万八千ヘクタールという造林地域に補助をいたしております関係で、一カ所当たりの何といいますか事業費というものは、補助金にしてみますと割合小さいというようなことで、検査も勢い、先生よく御承知のように、全部一本一本造林がはたして行なわれたかというようなことを一カ所について見るのでも二日や三日かかるわけであります。そういうような関係もありまして、これはできるだけ抜き検査の方法によりまして、補助団体などへ行きました場合に、そういうものの経理というような面は比較的見ますけれども、現場の検査という点になりますと、全体が大体公共事業費の関係はまあ六、七%しかやれませんものですから、それに比べますと造林事業費の検査の施行率というものはもっと低いわけでございますけれども、そういったような関係もございまして、私たちもこれで十分だということではございませんけれども、今まである程度見た分については特に指摘するような事項はなかったということでございます。
  64. 北村暢

    北村暢君 今の造林の補助金は、零細補助金で、検査がしにくいということのようですが、過去において不当事項として指摘せられたものはどのくらいあるのか。今度の公共事業費の補助金の経理当を得ないものという六十三件が指摘せられているうち、林道関係が四件指摘されている。造林は一件もないんですね。ですから、今私の質問したのは、状況と、今まで不当事項として指摘したものがあったのか、なかったのかということをお伺いしているんです。
  65. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 今まで造林補助金で指摘したものはございません。
  66. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、私は、これは普通の林道あるいは基盤整備事業の設計に基づく補助金に対しての工事の不足分だとかなんだとかということはわかるわけですね、設計に基づいて会計検査に行った場合。造林の場合、一町歩ここは四千本植えるとか、三千本植えるとかということで、実際に計画がなされてやっておる。それに一体四千本植えたのか、植えなかったのか。あるいは、手入れを三回やるというものが、三回やらずに二回で終わっておったのかどうなのか。こういうようなことは、書類上の監査しかできない。技術的に非常に困難だと、こういうふうに思うんですよね。そのために不当事項がないんじゃないか。やはり不当事項というのは相当あるんじゃないかという私は感じをしておるわけです。ところが、従来ともこの造林について不当事項が全然ないというのですね。それは、ないことは望ましいんだが、実際なければいいんですけれども、私の知ってる範囲だというと、あちこちにやはり不当事項らしいものが出ているんじゃないか、こう思うんです。したがって、この種の設計とかなんとかによらないもので事業不足だとかなんだとかということの認定のしにくいものについて、今あなたのおっしゃることでは、零細にわたるから、検査はしているんだけれどもわからないとかなんとかいう、不当なものはなかったとかなんとかいうことのようですけれども、零細のものであろうが何にかかわらず、この種のものの検査のやり方が非常に形式的に行なわれているんじゃないか、こういう感じがするわけですよ。しかも、林道の予算予算現額で二十九億ですか、造林の場合は三十八億で、予算からいっても林道より造林のほうが多いわけですね。そういう予算を、しかも零細補助金でやってんですから、この零細補助金については従来から問題があって、整理するとかしないとかいう問題が出てきている。しかも、膨大な予算額だと思うんですよ。それが不当事項が一件も今までにないということは、やっぱり検査の方針に何か欠陥があるんじゃないかと思うんですがね。
  67. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 北村先生の御意見、まことにごもっともだと思います。先ほど私がないと申し上げましたのは、検査報告に掲記するほどの事態はないということでございまして、検査は従来とも、先ほど申し上げましたように、何カ所か毎年やっておるわけです。それで、事業費が少ない関係もございまして、ある一部を見ました場合に、なるほどそれは木が植わって、いないというような事態が多少ありまして、指摘金額として、つまり不当としてあげるには非常に金額が微細であるというようなこともございまして、私が先ほど申し上げましたのは、あくまで検査報告に取り上げて不当として批難するほどの事態がないということでございまして、県へ参りました場合でも、いろいろ書類その他の関係で経理の面は十分調査いたします。それから現場へも、全部は見るわけではございませんで、抜き検査、一町歩のうちの一反歩とか二反歩というようなところを見まして、まあ注意すべきものは注意をしているということでございまするので、ただし、ほかの検査に比べまして十分いっておるかということになりますると、なかなか、先ほど申し上げましたようなことで、私たちもこれで十分だとは言い切れない面がございまするけれども、今後ともなおそういうような点については十分検査をできるだけやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  68. 北村暢

    北村暢君 この造林というのは、一年でいいわけじゃないんですよ。植えますというと、その後二年、三年手入れしなければ、せっかく植えたものが育たないということになる。しかし、手入れの補助金も出ているわけです。したがって、この植えたその後の成績の問題が——植えたものがついたのかつかないのかということが非常に問題なわけです。ところが、普通の工事ですというと、手を抜けば、くずれたとかなんとかいってわかってくるわけですね。ところが、造林の場合は、枯れて木がなくなった、はなはだしいのは、植えた木が、杉を植えたのが、何十年たったところが松山であったというような例が出てくるんですよ。それがやはり手入れまで見なければちょっとわからないわけです。成林するかしないか、そういう問題なんですね。しかも、それが、先ほど指摘せられておるように、零細な補助金である、非常に検査がしにくい、こういうお話です。私どもは、したがって、そういう悪いところだけをえり出すようにやるというわけじゃ——そういうことは要望しているんじゃないのでありまして、何か会計検査の報告を見ましても、従来のも調べてみたところが、一件もない。したがって、私どもは、どういう検査の方法をとっておられるのかということで、その疑問がありましたのでまあお尋ねしておるわけです。  そこで、私は疑問があるということは、実は造林の予算の単価と実際に事業する場合の実行と相当開きがあるんじゃないか。それをその予算単価でもって無理をして事業をするというと、結局そういう設計だとかなんとかに基づいてそのとおりやるというわけじゃないものですから、手を抜こうと思えばいくらでも抜ける、そういう性格のものなんですね。そのまた手を抜いたものがわからない、どの程度抜いたのか抜かないのか。そういう意味で、私は、やはり造林というのは、その手を抜いたか抜かないかということは、何年か後の造林の成績になって現われてくるわけです。したがって、この補助金というのは、会計検査の点からいえば、経理上からいえば、これは業務監査に類するかもしれませんけれども、そこら辺ははっきり私はわかりませんが、その年の経理が、これだけの予算で、これだけの補助金を受けて、そして事業実行はこれだけだ、経理上はまことにはっきりしておる。それで会計検査院は終わりだということになって、書類上の、あるいは現地へ行かれても、植えたか植えないか——植えたということは、その年に行ってみれば、四千本なら四千本植えてあるかもしれない。それで、四四千本植えるというのだから、四千本植えてあればいい。四千本植えたというところに三千五百本か三千本しか植えてなければ、すぐわかるでしょう。しかし、四千本植えることは植えても、その植えたものがつくかつかないかということは、二年後、三年後でなければわからないわけです。粗雑に手を抜いてやるというと、つかないという場合が出てくる。そうすると、どうも経理上これは正しかったのか正しくないのかという非常にむずかしい問題が出てくると思うのですがね。そこら辺の、事業の性質からいって、会計検査するのに、どの程度会計検査したらいいのかということが、私はちょっとめんどうな問題だと思うのですよ。それで、特にほかのものと違うのですから、その検査の方針は一体どうしておられるのかということを、植えるには植えたけれども、手を抜いてあれば、来年行ってみれば枯れているけれども、ことし行ったら、植えたというところに行けば、ちゃんと立っている。来年行けば赤くなって枯れておるという、こういうのじゃ、赤くなったのは検査されてないということになる。したがって、造林の成績等、そういうようなものは、やはり一回の検査ではわからないのじゃないか。その検査したところは、確かにことし行って四千本植えてあって、いいといって見てくる。来年行ってみて、同じところを一回でなしに、二回、三回検査しなければわからないんじゃないかと思うのですが、そういうことは一体どういうふうに検査されておるのか、そういうところまで気を使って検査されておるのか、されてないのか、どうなんですか。
  69. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 実は、本院の検査は、補助金につきましては、現年度、たとえば本年の検査で申し上げますると、三十六年度補助金を交付したものを実地に見ておるわけでございます。それで、これはほかの補助金についてもそうでございまするが、行ったときはたまたま目的どおりの施設なりができて、ちゃんと経理も適正に行なわれておる。ところが、その後二、三年たつうちに、その目的外のものに使用しておるような場合がたまたまあるわけです。そういう事態があるかないかということは、これは二、三年たって行ってみなければわからない。できるだけ私たちも、実地に当該年度のものを検査に参りました際に、二、三年先までさかのぼりまして、過去の年度において補助金を交付されました施設その他が、補助目的どおりに使われておるかどうかというようなことは、できるだけ見るようにはしておるわけでございます。そういう点から申しましても、造林の補助金につきましても、当該年度確かにそのとおり事業が達成されておるかどうかということを検査いたしますると同時に、過去において、過去の年度で支出された補助金によって造林されたものが、適正に管理されて、補助金の交付の目的を達しておるかどうかというようなことについては、十分検査する建前にはなっておりまするので、ざっくばらんに申し上げますと、たまたまそういうところが本年度補助金が交付された林地のそばにありますれば、これは簡単に見れるわけでございますけれども、なかなかそのために数年前に交付された補助金の造林地まで行ってみるというようなことはあまりいたさないでおりましたけれども、なお、そういうただいま先生からの御注意もございましたので、今後検査にあたりまして、そういう点も十分勘案して、検査の計画なり執行なりをやっていきたい、こういうふうに考えております。
  70. 北村暢

    北村暢君 それでは林野庁長官にお尋ねいたしますが、造林の補助金予算の組み方の問題でございます。この点についてお伺いしたいと思うのですが、補助金予算単価の傾向はどうなっているでしょうか。私のお伺いしたいのは、一般造林が十分の三、瘠悪林改良の分が二分の一、そういうようなことで、十分の三もしくは二分の一の補助金を出しているのですが、その単価の推移は一体どのような傾向になっているか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  71. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 補助金の単価でございますが、主として労賃、苗木代になるかと思いますが、逐次増額をしておりまして、現在労賃におきましては、三十七年度でございますが、内地三百三十円、それから北海道四百十円、苗木代は五円二十銭ということになっております。
  72. 北村暢

    北村暢君 三十七年度の労賃三百三十円というのは、国の補助する分だけでございますか。全体の単価が三百三十円で、そのうちの十分の三を補助する、こういうことなんですか。
  73. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 全部でございます。
  74. 北村暢

    北村暢君 この民有林の労賃単価で現在事業ができる、やられておるとお考えになっておりますか。
  75. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) この点は、私ども予算を計上いたしますときには、一般作業の重作業、それから軽作業の平均をPWで求めまして、これによって積算をしているわけでございます。私どもも、最近の労務事情で、これで十分できるということを断言できないことはまことに残念でございますが、さらに私どもも努力をいたしまして、この適正な賃金を計上できるようにして参らなければならぬと思っております。
  76. 北村暢

    北村暢君 苗木代の五円二十銭というのは、これは内地ですか、それとも北海道もそうなんですか。
  77. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) これは全国でございます。
  78. 北村暢

    北村暢君 この苗木代で大体五円二十銭、全国平均だろうと思うのですがね。大体杉苗なら五円二十銭ということはあるのですが、トドマツだったら一本十円というのが普通じゃないですか。それは、そういうところへ五円二十銭の苗木代でやって適正な仕事ができる、こういうふうには私は理解できないのですよ。それから労賃が、三百三十円という労賃単価で今日どこで仕事ができるでしょうか。この前私は、農林水産委員会から正式に——国会から派遣されて行って、民有林の最大の林業地の吉野林業を視察して参りましたが、日当大体千円から千二百円です。最低千円でなければ今日作業員が集まらないという現状です。それに予算単価三百三十円で組んで適正な仕事ができるというふうには私は考えられないと思うのです。したがって、会計検査の指摘事項がない——注意はしているということを言っておられるけれども、私はそもそもここに問題があると思うのですよ。こういう予算単価で配賦しておって、そして会計検査院の指摘事項もない、注意はしたことはあるという程度で、事業が一体適正に行なわれているか、行なわれていないか、これは常識的に判断すればわかるんですね。私は、これは会計検査院節の穴で、何監査しているかわからないんじゃないか、こういうふうに実は疑問を持たざるを得ない。  で、お伺いいたしますがね、失業保険の最高の受給額は幾らですか。
  79. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) ただいま資料を持っておりませんので、調査をいたしまして御報告をしたいと思います。
  80. 北村暢

    北村暢君 それじゃ、失業保険による一日の単価は幾らになっておりますか。——この答弁がないように、何にもわからない。ほかのことは一つもわからないで、この予算単価——造林の単価を出している。失業保険の最高受給額は七百円ですよ。それを今千円にしようと言っているのですよ。失業保険で今千円にしようと言っているのです。それから失対事業の単価が、三十七年の四月一日現在の平均単価は四百二十五円です。ところが、あなたのところの三十七年の造林の予算単価は三百三十円ですよ。これで一体適正な仕事ができるのですか。  きょうは大蔵省は来ているのですかね。——大蔵省にお伺いしたいのですが、こういう今申したような失業保険の受給額より低いような予算単価を組み、失対事業の単価よりも低い予算単価を組んで、平気でこれで仕事がなされておると理解する理解の仕方が、私にはわからない。それで、林野庁というところは、自分のところだけ安くやれればそれでよろしい、これでも来るのだからいいんだと、ほかのほうはどうでもいいということでこの予算を組んでおるのですか、どうなんですか。
  81. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) ただいままで御説明を申し上げておりましたのは、補助金基礎の単価でございますが、大体補助金による造林は年々六十六万件ぐらいございます。それで面積にいたしまして二十七万ヘクタールぐらいになるかと思うわけでございますが、したがいまして、ざっと平均いたしてみますと四反歩程度でございます。そういたしますと、この補助金によって、平均的に見ますと、まあ自家の労力でやるというものがかなり多いのじゃないかという気がいたすのでございます。山持ち自身がやる。したがいまして、これで私ども責任をのがれるということではないのでございますが、山持ちの造林の意欲というものも期待をいたしまして、私どもの努力の足りない点はあるのでございますが、完全な造林を推進をして参らなければならぬというように考えておるのでございまして、したがいまして、私どもといたしましては、先生の御懸念のような植え付け後の管理等につきましては、監査というよりも、むしろ指導によりまして造林の完備をはかって参りたいというように努力をいたしておるのでございます。
  82. 北村暢

    北村暢君 大蔵省からは担当の方が見えておられないので、今こういう問題を聞かれてもちょっとわからないようでございますから、これはまたいつかお伺いしたいと思いますが、私は、造林事業の予算単価をきめる際に、長官が今おっしゃったような、自家労働を含んでいるのだから三百三十円でいいのだと、こういうことには私はならないと思うのですよ。これは自家労働を含んでいるものはいい。それじゃ自家労働を含んでいないものはどうするか。これは雇用労働でやっているものが大部分です。特に、今普通の造林には造林の補助金というのは出さないで、拡大造林について補助金を出しておる、これが実情でしょう。したがって、自家労働でやるようなところはほとんどないのですよ。これは造林の実態を調べていただければすぐわかるのですがね。自家労働で森林組合等がやっているというのは、もうごくわずかだろうと思うのです。大部分は雇用労働によって造林をやっている。その場合を想定しての予算単価になっているはずです。それで、大蔵省にお伺いしたいのは、これは一般の事業と違って、土木事業なり何なり、設計に基づいてこれだけかかる、そういう労務費なり資材費なり何なりというものを査定して、そうして幾らかかる、単価幾らだ、こういう場合はもう明確に労働賃金というものは予算査定の際に考えられるわけですね。その場合に、この造林に関する限りですよ——関する限り、先ほど来申しているように、やり方によっては手を抜いたり何かすれば適当にできると、こういうような判断で、一応単価当たり、長官がはしなくも、出ているように、自家労働とか何とかで安くてもいいのだ、奨励の意味なんだから必ずしもその事業をやるための二分の一かっちり行かなくてもいいのだ、適当に行けばいいのだ、こういう考え方が大蔵省予算の編成の際にあるのじゃないかと思うのです。そういう考え方でこの予算を査定されておるのかどうなのか、この点をひとつお伺いいたします。
  83. 佐々木達夫

    説明員佐々木達夫君) ただいま造林関係につきましては、私直接の担当でございませんので、一般予算編成について申し上げますと、その事業を遂行する適正な単価の算出ということにつきましては、大蔵省といたしましてはもちろん、予算の単価というものは計上するものでございまして、その際、その事業が遂行できるかどうかは、その事業実施官庁から予算の要求を受けまして、それと話し合いをいたしまして、この単価ならできるということで、一応予算を計上しているものでございまして、いいかげんにまあ単価をやってもできるだろうというような態度ではないはずでございます。  それからまた賃金につきましては、一般にPWその他いろいろ実態調査等をいたしまして、それで一応できるという単価でございまして、先ほど来のお話を伺いますと、造林につきまして非常に問題があるということでございますので、この点につきましては、私帰りましてから担当者のほうによく連絡いたしたいと思います。
  84. 北村暢

    北村暢君 そうすると、次にお伺いしたいのは、公団の造林の予算単価はどうなっているのですか。それから国有林の造林の予算単価はどうなっているのですか。
  85. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 国有林造林から申し上げます。国有林造林が四万六千百六十三円、それから公団造林が六万九千六十円、それから一般民有林造林の再造林が二万六千二百六十円、それから拡大造林が六万四千四百八十円、以上でございます。
  86. 北村暢

    北村暢君 これは一ヘクタール当たり予算単価だろうと思うのですが、それの賃金の積算根拠はどうなっておりますか。
  87. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 国有林が六百八十九円でございます。それから公団が六百八十一円でございます。それから民有林は先ほど申し上げました三百三十円と四百円でございます。
  88. 北村暢

    北村暢君 公団が六百八十一円、国有林が六百八十九円、民有林が三百三十円、これは、この違う理由は何ですか。
  89. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 国有林の造林事業の賃金は、労働組合との協定賃金でございます。もちろんこの基礎には、地場の賃金が反映をしておるわけでございます。それから公団は、大体そういうような国有林の造林に準じた考え方でやっております。それから民有林につきましては、PWを基準にいたしまして、先ほど申し上げました一般作業の重軽の平均ということになっております。
  90. 北村暢

    北村暢君 このPWの、一般作業というPWというのは、どういう賃金なんですか。
  91. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) それぞれの地方の平均賃金になっております。
  92. 北村暢

    北村暢君 その地方の平均賃金というのですが、何の平均賃金か知りませんけれども、こういうもの、PWというものが、今日できていること自体に私疑問を持っている。これは労働省か——きょう労働省見えておりませんからわかりませんが、労働省の告示によって、このPWというものが行なわれているわけですが、どこからどこを基準にしてこういうものを出すのか知らないけれども、先ほど言ったように、失対事業の単価の平均が四百二十五円なんですね。それで同じ労働省の中で、失対事業よりも安い賃金で働いている者がなければ——はるかに安い賃金で働いている者がなければ、三百三十円というものは私は出てこないと思う。そういうものが実際に実在するのかしないのか。それをとって仕事ができると思っておられるのかどうなのか、これをひとつ、私はPWがどうなっておるか、予算単価をそれで組んでいるのだと、これで仕事ができていると思っておられるのかどうなのか、そこら辺のところが私は非常に疑問に思うのですけれども、実際これで仕事ができると思っているのですか。
  93. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 御指摘のように、なかなか十分にできるということは申し上げられないと思うのでございますが、この配賦の方法も工夫をいたしまして、たとえば拡大造林のようなものから再造林に至りますまで、それぞれのランクを作りまして、最低一割八分から最高七割までのランクを作りまして、補助のこの予算の範囲内での適正な配賦をいたしまして、それによって造林の確実な実行というものを期して努力をいたしておる次第でございます。
  94. 北村暢

    北村暢君 私はこの三百三十円という非常識な予算単価で予算を組んでおって、これが正当な経理がなされているというふうには全然理解できないです、これは。  だから、会計検査院はひとつ、今後この予算の造林の関係について、これはもうおそらくこれでやっていないはずです。事業実行の民有林の今、地場賃金というものが出ましたですけれども、三百三十円なんという地場賃金は、どこの世界にもないと思うのですよ。日本以外のところはどうか知らないが、日本のどこへ行っても、三百三十円で今働いている人というものはいません。これは絶対にいないです。最低——私の知っている範囲ならば五百円、これはもう山間僻地の一番おくれた後進県の条件の一番悪いところで六百円近いでしょう、おそらく。ちょっとベルト地帯、関東関西における賃金だったならば、もう千円以上でございます。それでなければ実際に仕事はできない。そういうものを三百三十円の予算単価を組んで、それで涼しい顔をしておられたって、PWがそうですからそうですと言ったって、これは事業は実際にできませんよ。これで事業ができていると思ったら大間違い。また大蔵省もこんな三百三十円で予算を組んで、仕事ができていると思っているのは、どういうことなんでしょうね。これはすみやかにこのPWというものの考え——労働省に要求しなければいけないわけですけれども——これは改めてもらわなければならないと思う。私はそれでなければ、会計検査上の不正行為が必ず出てきますよ、これは。改定する意思があるかどうか、ひとつそういうこと検討されたかどうかお伺いいたしましょう。
  95. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 私どもも、この造林の問題は林業の基本でもございます。これが適正に行なわれるかいかんということは、将来の林業に非常に影響の大きいところでございますので、造林の補助金の特に大きな部分を占めます労賃につきましては、年々検討をいたして参っております。その適正化について努力をいたしておるのでございます。さらにこの点につきましては、今後努力をいたしたいと考えております。
  96. 北村暢

    北村暢君 それでは今発表になったのは、おそらく三十七年度でないかと思うのですがね。私どもは、最近の造林の傾向として、拡大造林に移行した、民有林の再造林、拡大造林で、だいぶ予算単価違うようでございますけれども、私どもはこの予算の編成における考え方として、造林を今、長官がおっしゃったように、重点施策中の重点施策——林業政策上の。その場合に、今皆さんの指導しているのは、短伐期の密植ということを指導しているわけですね。そうすれば当然予算単価からいっても、これは考えられなければならないわけですね。一町あたり三千本植えるのも五千本植えるのも、予算単価が同じということはあり得ないのです。これは苗木代から植える手間から、当然単価は上がってこなければならないと思うのです。それからまた最近の農山村における労働賃金の上がり方というのははなはだしいものなんです。この労働者の賃金上昇ということから考えると、予算単価は比例的に上がってこなければならないと思う。これは三十六年あたりから比較しますと、たいへんな単価の上がり方だと思う。  したがって、この三十八年度予算には、一体一町歩あたりどれだけの要求をしておるのか、この考え方について、一体どのような予算単価の要求の仕方をしているのか、大蔵省との話し合いで、どんなふうになっているのか、このことをひとつお伺いしたい。
  97. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) お答え申し上げます。三十七年度が拡大造林三万八千百七十円でございます。再造林が三万一千五百七十円でございまして、先ほど二万六千二百六十円という再造林の単価を申し上げましたが、これに比較いたします標準単価にいたしますと、三十八年度が四万三百六十円でございます。それから拡大造林が四万八千三百六十円でございます。ただいま、かような要求をいたしまして説明をいたしているところでございます。
  98. 北村暢

    北村暢君 それじゃこの再造林の二万六千円のものを三万一千円、それから拡大造林のほうはどうなんですか。三十七年度六万四千というのは、幾ら要求しているんですか。今は四万八千くらいに上がると言いましたね。
  99. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 先ほどの訂正をさしていただきまして、標準単価で参りますと、三十七年度が拡大増林は三万八千百七十円で、三十八年度が四万八千三百六十円の要求をいたしております。それから再造林のほうが三十七年度が三万一千五百七十円を三十八年度は四万三百六十円に要求をいたしております。
  100. 北村暢

    北村暢君 それは先ほど言った数字と違いますから、速記録訂正しておかないというといかぬですよ。  それでとにかくそういうふうに予算要求をしたということで、従来これは前年どおり程度にたいてい押えられているんですよ、大蔵省との折衝で。結局決定した、確定した予算が問題なので、今のは林野庁の意思として要求しているわけです。そういう要求したものを要求どおりとおったためしがない。昨年どおりの単価で押えられるというのが従来の例ですよ。これはしたがって、それだけ要求するなら、かかるものは要求して、これはどうしてもやられるというなら、それでもいいんですよ。それらの内容が、今言った一ヘクタール当たりの種苗費とそれから労賃その他の問題について詳しくやればいいんですけれども、これはまた、資料をもらってでも検討しないというと、ちょっとわからない問題ですけれども、とにかく今申し上げたように三百三十円という全く非常識な予算単価では仕事ができない。したがってやっぱりこれは根本的に改定する考え方を持たなければ、これはお話にならないと思うのですけれども、その意思があるのかどうなのかと先ほども質問したのですけれども、その間の答弁、私聞き漏らしたのかどうか、はっきりいたしませんので、国有林のほうは団体交渉でやるから、こういうふうになる、民有林のほうはPWだからといって、全く半分以下のものでいいのだというのは、団体交渉でやったら、これだけになるし、公団のほうは、団体交渉でやっているわけではないが、公団のほうはこれだけかかる。森林開発公団のほうの単価と労賃の単価と、民有林のほうの労賃単価と、半分以下ということは、これは同じ造林をやるのに、はなはだしい矛盾だと思うのですがね。政務次官、そういうふうにお考えになりませんか。
  101. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) 北村委員お話、承っておるというと、私もまことにごもっともだと実は承っておるのでありますが、ただ、この補助金ということだそうでございますので、ちょっとその点が、私割り切れぬ気持がいたしますが、しかし林野庁長官も、これは逐次改定をしなければならぬと申しておりますので、私どもも、そのようにバック・アップをして参りたい、かように存じております。
  102. 北村暢

    北村暢君 それから、これらの問題は、賃金問題はこれはもう、この一回だけでできませんから、私は今言った公団の六百八十一円、それから国有林の六百八十九円、こういう単価で、実際に事業はできません。これは、公団もできない、それから国有林もできません、六百八十九円では。これは事実どのくらいかかっているか、あなたのところの団体交渉できめているというものの、いわゆるこの機械造林の方々の標準賃金というのは、七百円以上というのが大体多いですね。七百円以上です。で、この団体交渉できめている七百円以上のものでも、七百円でも、これは実際に仕事ができておらないです。で、公団造林の七百円くらいのものでやるということになれば、これはもう現実に千円出さなければ人が集まらないのですから、今日。したがって、これはもう植えるだけは植えた、もうその後の手入れというものはやらないで、ほっぽらかしておくというところが、現実に出てきているようであります。そうすれば杉を植えたものが、手入れしなければ消えてしまって、これは松山になってしまうという例がまた出てくるんです。しかも公団造林というのは、私はこれは水源林の造成ですから、決していい所に造林はしてないです、これは。でありますから、その単価も低過ぎる。それでもなおかつ現状では、国有林よりも公団のほうが賃金を高く出しておるということを私は聞いておるのです。はるかに高く出しておるというと、予算単価ではやってないのじゃないか。はるかに高い賃金を払って実際はやっておる。そうせざるを得ない。そうすれば、結局百町歩植えるところを八十町歩くらいしか植えられないので、あとの二十町歩はほっぽらかしておく、そういう結果になっておるのじゃないかということが考えられるのです。そういう地帯が実際は出てきているのじゃないか、こういうふうに思います。  それから国有林の七百円のこの単価ではできない。したがって、今日どういうやり方をやっているか、林野庁は、どういうことをやっているか。これは直営ではとてもできません。したがって、請け負いに出すということもやっておるようです。請け負いに出した場合に、この単価で押し付けてしまう。業者は赤字を出してやっておる。赤字を出しても、しかもこの造林専門の業者ではなくて、伐木業者にこれをやらさしておる、との造林をやらないというと、立木処分のほうが当たらない。木をもらう関係から造林は赤字でもやむを得ずやらざるを得ない。上から、そういうふうにやられておる、こういうのが出てきておる。  それから最近この七百円程度の標準賃金では、国有林労働者はやっていけない、日給制でやっていったのでは。そこで、出来高制にしてくれと労働者自身から言ってきておる。その出来高制でやったならば、一日一千三百円になる、こういう実情です。日給でいけば七百円、出来高で無我夢中でやれば一千三百円になる。これは実態であります。調べていただけばわかる、一千三百円になる。したがって、労働者はそっちのほうを選ぶ。林野庁はなるべく日給ではなしに、出来高制になることを望んでいるのかどうか知らんけれども、労働者は七百円では食っていけないから、千三百円のほうの出来高をやる。その出来高でやった場合の事業の内容が、一体どうなっているか、これが問題なんです。日給制なら七百円のものが、出来高で能率を上げれば一千三百円はもらえるというのですから、倍です。八時間労働をやっている者が十六時間働くわけじゃないのです。働こうといったって働けないのですから、したがって十時間くらいの間で、時間も延びるでしょう。そうして非常に無理をしてやるのでありますが、能率を上げたということは言うかもしれないけれども、ある程度は上がるでしょう。しかしながら、その出来高でやった結果が非常に能率を上げるために、粗雑な仕事をやっているということになる。  たとえばブッシュ・クリーナーでもってやる場合に、機械化したから能率が上がるということで、予算単価は若干上がっても——賃金単価は若干上がっても、その日給制でしぼるものですから、必然的に能率を上げなければならぬ。したがって、日給制で今七百円もらっている人が、ほんとうに休憩時間に休んでいたならば、もう言われただけの仕事は、とうていできないというのですよ。休憩時間も休まないでやらないというと、日給制ですら、ブッシュ・クリーナーが入ったのだから、これだけの能率を上げろという形でやってくるわけです。したがって、そうやらざるを得ない。それを今度は、出来高でやったらば、まだ能率を上げなければならぬ。そんなことは不可能に近い。したがって、もう粗雑な、せっかく植えた苗木であろうと何であろうと、手入れのときにちょん切ってしまう。造林をやっているのか苗木を刈り払っているのか、わけのわからない事業が今日行なわれている。こういうことは、造林に力を入れて能率を上げるとか何とか言っているけれども、私どもは非常に理解ができない。そういう実態が出てきている。  これは、われわれが常識的に考えて、日給制七百円のものが、出来高にすれば一千三百円になる。倍上がるということは、どうやって出てくるかということですね。これはひとつ、長官に十分考えていただきたい。人間の能力が急に倍になるのかどうであるのかということですね。それは出来高でやったらばいいと、ある事業所でこれは出来高でやったために、どういう結果が出ているかというと、こういう結果が出ている。営林署から管理官と経営課長と監督主任が行って、その作業員と集まって、なんでもいいからとにかく出来高で、ここのところを坪刈りでもなんでもいいから、これだけやってくれということで、監守もつかなければ監督もいない。それでとにかく作業員まかせ、そういう形で作業をやっておる。出来高だから、できただけ払えばいいんだからという考え方です。それで行ってみて監督主任なり何なりが、どこで作業員が仕事をしているのかわからない。もう請け負わしたような形になっちゃっている。そういう実態でやっておるのです。これは低賃金だから、そういうふうにせざるを得ないのですよ。そういうことで成り立っていると思っていたら、私は大間違いだと思うのですね。  それで、まあ感覚からいって、そういうことですから、私どもは単価が低いために、いかに無理して仕事をやっているかという、したがって造林の成績がどういうふうになって現われてくるかということに非常に疑問なわけです。大きな問題としては、木材を切るほうは収入は上がるのですから、予算は相当潤沢にいく。植えるほうは何十年後しか収入は上がってこないから、これは切りつめ切りつめてやっておる。これは事実だろうと思う。それで、もう同じ事業をやる中において、営林署で非常にへんぱな予算の状況で非常に困っているのが実態です。  それからお伺いしたいのは、ブッシュ・クリーナーを入れたために非常に能率は上がるわけですね。今まで一ヘクタール十人なり、二十人なりかかっていたものが七、八人でできる、あるいは五、六人でできる。こういうようなことで能率は上がるような形になっている。これは最近の機械化ということで、機械化そのものに私は反対いたしませんけれども、入れ方に問題があるのです。機械を入れたから直ちに能率が上がるということで、その年から、すでにもう予算を削ってしまう。単価をぐっとしぼってしまうのですね。だから、もらった者は使い方も知らなければ何も知らない。機械をもらったということだけで、もう能率は上がるという前提に立ってやられているのです。切りかえ方が非常にまずい。労務者の訓練なり何なり行き届いて、ほんとうに能率が上がってから予算をしぼるならわかるが、そういうむちゃくちゃなことが今日行なわれているのです。  したがって、これらの問題については十分ひとつ理解をしていただきたい。これはもう明らかに生活保護世帯基準よりも以下の賃金、失対事業単価より以下の賃金、こういうもので事業がなされている。これは造林手の賃金でありますけれども、育苗手、いわゆる苗畑等においては三百円台の失対事業の単価よりはるかに低い賃金単価が民有林だけでなしに、国有林にも実在をしているということです。これらの点については十分ひとつ考慮してもらいたいと思うのです。したがって、これらの点について、一体事業の運営上の問題からいって、予算の単価からいって、私はこの予算単価が、あまりにも窮屈にしぼっておるために、事業の実行者は非常な無理をして成績の上がらない仕事をやっておる、こういう結果に陥りがちである。したがって、上から下に押しつけていって、末端の事業担当者は非常にこれがために苦労をしておる。そういう実情というものをやはり知ってもらわなければいけないと思う。これに対するひとつ見解を承っておきたい。
  103. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 御指摘によりまして、特に造林事業の賃金が非常に無理があるということでございました。私どももさような点につきましては、非常に真剣に考えなければならぬのでございますが、今御指摘の七百円が千三百円になるというようなお話でございますが、あるいはそういうところが特に異例な例としてあったかと思いますが、私どもの常識といたしましても、なかなかそういうことはあり得ないのではないかというように考えます。その点ひとつ、十分具体的に調査をいたしたいと思っております。また、この造林事業そのものに非常に無理がありはしないかという点につきましても、私ども内部監査におきまして、成績はもちろんでございますが、そういう面での事業の運営が合理的に行なわれておるかどうかという面でも監査の十分な慎重な目を向けさせるように指導をいたしておるのでございます。で、確かに平均をいたしますと七百円というような賃金も出て参るわけでございますが、これもいろいろな業種の平均になっておりまして、そういう点では協定をいたした限り、運営は順調にいっておると考えておるのでございますが、さらに地方々々の実情も十分調べまして、改善はいたさなければならないと考えておる次第でございます。  また、機械化によります工程のアップの問題でございますが、これも御指摘のとおりでございまして、機械を入れれば、それによって工程が翌日から上がるというようなものでないことは御指摘のとおりでございます。私どもも機械になれるという期間は十分に与えまして、それによって機械を使いこなして効率を上げて参るという方向に指導をいたしておるのでございますが、場合によって現地に、さような無理がかかっておるとすれば、私どもも監査あるいは営林局の指導を通じまして改善をいたして参りたいと存ずる次第でございます。
  104. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 農林省関係はまだ続くようでございますが、午前はこの程度といたしまして、午後二時に開会をいたしまして質疑を続け、さらに予定どおり通産関係審査を進めたいと思います。  暫時休憩をいたします。    午後零時三十六分休憩    ————————    午後二時四十二分開会
  105. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和三十五年度決算外三件中、農林省に関する審査を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  106. 北村暢

    北村暢君 午前中に、造林の予算単価についてお伺いいたしまして、いろいろ説明があったわけですが、実は過日森林組合の全国大会があった際に、造林の単価、事業の拡大等の問題について要望せられているのを私聞いておったわけです。この大会には、長官も農林大臣代理も出席せられておったわけですが、実際に論議するころは、大臣も長官もおられなかったわけですが、私ずっと残って聞いておりますというと、造林事業の実態報告がなされておったものを聞きますと、事業が非常に困難になってきた、そうして一ヘクタール当たりの単価が大体七万から八万かかる、こういう実態報告がなされておるのですね。  それに対して先ほどの説明を聞くというと、再造林の場合、来年度要求で三万八千円、拡大造林で四万八千円という要求をしておる、これは三十七年度よりもはるかに今後の重要性を見て、そして要求しているというのが、今言った数字が、先ほど報告されたわけです。そうしますと、これですら来年度要求しようとしている、林野庁の要求ですら、この前の森林組合の大会において発言せられている実態報告から見れば、やや半分くらいの予算単価しか要求しておらない、これは私はくどいようですけれども、実際に仕事をやっている人は、そういう実態にあるわけです。ですから、補助率を引き上げよとか何とかという前に、ほんとうに実態に応じた予算というものが組まれているか組まれてないかということが問題なんです。この全森連の大会に集まってきている人は労働者ではありません。森林組合の責任者で、どちらかと言えば経営者の部類に属する人なのです。こういう人が事業をやっていく上においての切実な事業の実態からの要望をしているのです。労働者が賃金を上げろというなら、これは相当理想的なものを要求するとか、何とかということもあり得るけれども、この全森連の大会の要望というものは、これは事業経営者の面から見て、これだけは要るのだという実態からしての要求だと思う。  ですから、先ほど三十七年度よりは増額して要求しているのだ、こう言っているが、要求しているものが、すでに実態の半分くらいしか要求しない結果になっている。これは大臣も長官も、あの全森連の大会に行かれて祝辞を述べて、そして森林組合の皆さんひとつがんばってやって下さいと、こう言っているのだが、がんばって仕事をやって下さいというのに、予算のほうは半分ですよ、これはどう考えてみても、私はちょっとつじつまが合わないじゃないか、こういうふうに思うのです。実際予算編成の際の要求というものより、全森連のこの前の大会の要求は、過大過ぎるのかどうなのですか。そうだったならばしようがないということもあり得るのですが、ここら辺の開きというものは、どうなのですか、全森連の大会での報告をしているのを聞きますというと、あながち輪をかけて要求しているようには、私には聞こえませんのですけれども、ここら辺のところ、一体どのように判断されているのか、重ねてお伺いいたしたいと思います。
  107. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 全森連の大会で、さような要望があったということを私どもも承っているわけでございます。この造林の単価につきましては、私どもも、けさほど来いろいろと御説明を申し上げたわけでございます。造林で一番大きな部分を占める賃金の面で、なかなか私どもの努力も足りませんで、十分でない面があるわけでございまして、森林組合の大会発言のあった七、八万というものが、場所にもよりますが、非常に高過ぎるというような、まあとほうもないというようなことでないことは、今私どもも認められるわけでございます。しかしながら、全体的に平均をしてながめてみますと、やはり七、八万というのは、高いほうじゃないかというような感じを持っておる次第でございます。
  108. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、七、八万というのは高いとおっしゃるのだが、先ほど公団は六万九千円というのを長官おっしゃっておるのだが、六万九千円というのは、大体三十七年度で、三十八年度はもっと高くなるんじゃないかと思うのですがね。そうすると、公団の場合と民有林の拡大造林の場合と、どういう趣旨で、こういうふうに違うのか。それから公団と国有林の場合、一ヘクタール当たり、公団は六万九千円で、労働賃金の単価は六百八十一円、国有林のほうは四万六千円なにがしで、賃金の単価は六百八十九円、これは一体、どういうことなんですかね、われわれちょっとわからないんですが、賃金単価が高いほうが一ヘクタール当たりの単価が安くなっていますね。公団のほうは賃金が安くて一ヘクタール当たり六万九千円ということで、国有林より高くなっている。ここら辺の説明は、どういうふうに説明されるのか。民有林との関係はどうなるのか。  そこで私は、公団のほうは先ほど言ったように、国有林よりよけい払っている、こういうことを先ほど言ったのですけれども、これは賃金単価を上げて人区数でしぼるという形が実は出てくる。総額においてはあまり変わらないけれども、賃金は高くなっている、まさしく。ところが何人区という人区数で削ってきて、事業費そのものは大体同じ、こういう形を苦しまぎれにやっているようですがね。したがって、これは私は国有林の場合は、公団と比べて賃金が高くて、一ヘクタール当たりの単価が安いんですから、これは結局賃金を高いものにしておいて、人区数で削っておるのではないか、こういう感じがするんです。したがって、やはり総体的に言えば公団のほうが一ヘクタールあたりのほうが高いのですから、単価が高いのですから、実際はやはり高い賃金払ってもやっていけるんじゃないか、こういうふうな感じがするんですが、どうも先ほど来の説明を聞いておっても、予算を組む方針というものが一貫していないんじゃないか、こういうふうにうかがえるんですが、その点のことは、どういうふうになっているのか。
  109. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 予算の積算に使いました因子でございますが、やはりその国有林の直接の造林、公団の造林、それぞれでやはり場所等も違いまして、造林の難易度も変わってくるわけであります。先生の今の御指摘の人区数でしぼっておるじゃないかということでございますが、しぼったということではなくて、そういったいろいろな事情から、現地の事情から差が出て参っておるわけでございます。
  110. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっと関連して。民有林の場合、大体三百三十円と、こうおっしゃっているのですがね、一体、林業というのは何日働くのです、月に。どういう標準で出しておられるのですか。労働日は何日かということです。
  111. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 民有林のほうは、先ほどもちょっと触れて御説明申し上げましたが、六十六万件、二十七万ヘクタールというような非常に数の多い、どちらかといいますと小さい面積のものが非常に多いわけでございます。したがいましてごく臨時的な仕事になっておるわけでございます。雇用いたしますとすれば、ごく零細なものは、自家労力でやっているというものも非常に多いわけでございます。そういうようなことで、一月の稼働日数が何日かということからはじき出しておるのでございませんで、PWの一般作業と申しますか、それの重作業とそれから軽作業の平均で出しているというのが今の実情でございます。
  112. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ちょっと関連質問を続けたいと思うのですが、一体、最近の林業にしても農業にしても、都市との較差が非常に大きいのですが、これは大きいとお考えになっているのか、いやそうじゃない、ある程度接近していると思われるのか。幾らあなたのさっきからの御説明を聞いておっても、私はこの三百三十円では問題にならぬと見ておるのです。だから、そういう点を、都市と林業、農業、いわゆる僻地と、どのくらい一体今日の収入が違っているというお考えを持っておるのか。また、調査したことがあるのかないのか、これを一ぺん聞かしてもらいたい。
  113. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 都市の産業の労賃との較差というものの比較はしたことがございます。それによりますと、やはり御指摘のように較差があるというように私ども考えております。そういった較差というものは、将来私どもの行政の努力の中でも縮めて参らなくちゃならぬということを考えておりますし、努力もいたしておるわけでございます。ただ、ここの三百三十円というのはまことに非常識じゃないかという御指摘を受けるかと思うのでございますが、その点はやはり、それぞれのPWという平均的な地方の賃金というものの調査が労働省から出されておる関係で、公式の調査があるわけでございますが、そういったものにたよっている、それではだめじゃないかという御指摘が、先刻来の北村先生の御指摘でございますが、そういう点につきましても、私どもも、こういった面を改善をして参らなければならぬという考えで、予算の要求には努力をいたしておる次第でございます。
  114. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つお尋ねしますが、農、林、両方を含めて非常に人員不足を来たして困っておる、このことは御承知ですか。青年がほとんど他県に流出してしまう、こういう実態は御承知ですか、今。
  115. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 御指摘のような点につきましても、十分心配もいたしておりますし、承知をいたしておる次第でございます。ただ、最近の事情といたしましては、若干そういった事情が緩和しているという報告も聞いておるのでございます。それが、そういう事情で安心をしていいという状態には私どもは見ておりません。さらに努力をいたしたいと思います。
  116. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ質問しますが、農業関係にしても、林業関係にしても、農繁期に学童の動員をしてもらいたい、あるいは自衛隊の応援を求めたい、こういう実情も御承知ですか。
  117. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) そういうことも承っております。
  118. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それにしますれば——先ほどから私は聞いておるのですけれども、私が横取りしたような質問になって済まないのですが、この三十八年度予算の立て方としては、あまりにもその点の突っ込み方と検討が足らない予算ではないかということは指摘してもいいんじゃないかと私は思うのですが、どうですかその点、これはひとつ政務次官のほうからお答え願いたいと思います。これは全く、いろいろ答弁はされますけれども、現実の姿として手不足が緩和されたと、そんなことはありません。私は、この問題をもっと掘り下げて追及するなら、一体都市の新制中学卒業生が高等学校に進学する率は何%と思っていますか。さらに農・林両方の僻地の学童は、一体なんぼ入学しておるのか、四分の一ですよ、こういう生活の安定ができないような林業政策をとっておるというところに大きな問題がある。それを依然として、さっきから御答弁されておりますけれども、私は思い切って三十八年度予算は、今こういうふうに出しておるけれども、まるきり通してもらう、そうして次の段階には、もう一歩前進する、こういう熱意の答弁があって私はしかるべきだと思うのです。これは私基本的に質問したのじゃないですけれども、私はさっきから聞いておりますし、私もそういう問題、基本的にきょうは触れようかと考えたのですけれども大臣も見えないし、最初から見えていないのですけれども、これはひとつ、政務次官のほうからでも、是正をする意思があると私ははっきり答えていただきたいと思う。
  119. 大谷贇雄

    説明員大谷贇雄君) 都会と農村の非常な較差があるということは十分私ども心配をいたしております。また、青少年が農村を離脱するという傾向につきましても非常に実は心配をいたしております。  そこで今予算の問題が実態に即せぬじゃないかということでございまして、私もだんだん承っておりまして、どうもその点、ふに落ちぬ点が非常に多いわけです。しかし林野庁長官におきましても、その点につきましては努力をいたして参りたいということを申しておりますし、私どもとしましても、賃金が上昇しまするために、現実にお話のような点がありまするので、ひとつ一生懸命に努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  120. 北村暢

    北村暢君 それで、今高山さんも触れているところですが、私ももうこの問題は、根本的にいろいろ問題があり過ぎるので、きょうはあまり徹底して予算のほうにまで波及しての質問は差し控えたいと思いますが、ただ実情だけはひとつ、十分政務次官にも御理解を願っておきたい、こう思うのです。これは民有林の場合は、先ほど言ったように非常に極端に、これはもう全然お話にならないくらい予算は低いわけですが、それじゃ一番高い国有林のところを見て一体どうなっておるか、一番高い国有林、これで——機械造林、これは男ですね、それでその最高が七百六十六円、それで標準作業日数二十四日働いたとして一万八千三百八十四円しかならない。これは帯広が最高なんです。最低は青森県で五百二十一円しかなってない、これも二十四日でいきますと一万二千五百円です。これは大の男が機械造林でやって一万二千五百円しかならない。生活保護世帯の一カ月の支給が一万五千円なんです。そうしますというと、これは保護世帯になったほうがいいということです。保護世帯以下の生活をしいている賃金である。こういう結果になる。これは、保護世帯は四・五人平均くらいですか、四・五人くらいの家族で一万二千五百円で一体食っていけといっても、これは食っていけない賃金です。しかもこれは雇用契約をして半年なり何なり、ほとんど専業的な労働者としてやってきて、そして一万二千五百円で大の男がやっている、食べていけるような筋合いの賃金ではないです。そういうものが平気で今日国有林という事業の中に、こういう低賃金があるといいうことをよく知っておいていただきたい。  それから育苗手です。育苗手というのは、苗畑で働いておる人ですが、これの最高が四百二十六円、これも二十四日で一万二百二十四円しかならない、最低が名古屋で三百五十円、八千四百円しかならない。三百五十円というものがこれは平均ですから、これ以下のものがあるのですよ、三百二十円、三百三十円というものがある、そういう低賃金というのは、今ちょっとどこを見ようたってない、ところがこれは林野庁だけではなくて、政務次官知っておいていただきたい。農林省の試験場とか、あるいは種畜牧場とか、こういうところへ働きに来ている人の日給は、ほとんどこれ以下なんです。そういうものがある、林野庁はまだ若干高いほうです。こういうことが、国の機関の中で、国でやっておる仕事の中で働いておる人がおる、これは何といっても説明つきませんよ、予算単価のあれを調べてごらんなさい、これ以下のものがある、三百二十円だの、驚くなかれ二百八十円というものが最近まであった。そういう実態で仕事をやりなさいと言っている。そういうことはあり得ないことなんです、できないのです、実際問題として。にもかかわらず、そういうことで予算が流れて、それで仕事をやらされている。これもひとつ私は知っておいていただきたい。これは、この国有林の場合は団体交渉で賃金をきめるのですから、仲裁委員会というものがありますから、仲裁委員会できまったものを予算化すればいいですから、それですから、私どもがとやかく言う筋合いのものではない。国有林の場合は、それはよく心得ております。しかし予算でそういうふうに縛っておいて、こういうものがありながら、仲裁委員会でどういう説明をしているか知りませんけれども、そういうものが公然と賃金として行なわれておるという事実は、私は改善する余地があるのだろうと思います。したがって、これはひとつ、生活保護世帯以下の賃金があり、失業対策事業の単価より、より低いものがある。したがって、この頃いよいよ人がいないということで営林署が職安に行って、ぜひひとつ世話してもらいたい。職安から来る人の賃金単価が高くて営林署ではとても合わない。したがって、職安から来た人は使えないということになってしまう。そういう事態すら出てくる。こういう実態をひとつ、よく知っていただきたいと思うのです。賃金問題は、したがって私は、これでいかに低賃金であるかということだけをひとつ知って、この改善を要望して終わりたいと思います。  それから次に、合理化の問題ですが、そのように、今指摘されましたように、農山村の若い優秀な労働力というのは、どんどんほかに行って、労働者がいなくなってしまう。したがって造林でも何でも、結局労働力を節約するために、機械化、合理化が急速に進んできているわけです。したがって、もう木を植えるのも機械でやる。刈り払い、手入れも、機械でやる。こういう状態です。刈り払いどころではなしに除草剤を使って仕事をやる。除草剤で草をはやさないで苗木だけを育てる。こういうことをやっているようであります。  そこで私お伺いしたいのですが、除草剤を使っているのですが、林野庁におきましては、一体この除草剤をどのような方針で使っておられるのか、これをひとつお伺いをいたしたい。
  121. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 除草剤について御説明を申し上げます。除草剤は、商品名はいろいろございます。クロレートでありますとか、デゾレートでありますとか、ウォトールでありますとか、そういうものが出ておる、市販されておるのであります。これを使いまして造林の地ごしらえの場合の雑草、あるいはササ類の枯殺、また造林後の下刈りのササや雑草の枯殺、こういう目的で使っておるのでございます。大体そういう方針で使っております。
  122. 北村暢

    北村暢君 そういうことをお伺いしているのではないのでありまして、除草剤というのは、経済効果を上げるために除草剤を使うのだろうと思うのです。それで除草剤を使う場合に、今市販されておるものは何々であると、こうおっしゃられましたが、この市販しているものを、そのままいきなり事業化して使っている。そういうやり方をやっているのですか。
  123. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) そうでございます。
  124. 北村暢

    北村暢君 これは、そういう答弁ですというと、私は非常に軽率だと思うのですがね。除草剤については林業試験場で過去十何年、もう二十年近く研究されているわけですよ。その除草剤の、林業試験場で研究されている除草剤と、今市販をされておる除草剤と、どういう検討をなされて、その除草剤を使ったんですか。ただ市販は宣伝がいいから、宣伝を見ただけで、その除草剤を事業化して使っているか、どうなんでしょう。
  125. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 御指摘のように、除草剤を試験的に使い始めましたのは昭和二十四、五年のころからと考えております。その後いろいろな試験をいたしまして、現在申し上げましたような除草剤が適当である、これは塩素酸ナトリウムの主剤の除草剤でございますが、これが適当であるということで、最近かなり大々的に試験的な施用をいたしておるわけでございます。で、三十七年度には約三千ヘクタールほど全国で実験的な施用をいたしておるところでございます。
  126. 北村暢

    北村暢君 今長官の話に、初めて試験的に使っておるという言葉が出てきたんですがね。私はだから、この市販をされている除草剤を試験をされて、経済効果があり、危険性その他全部試験済みで、そうして使って、何といいますか事業として使われているのかどうか、そういうことを実は先ほどからお伺いしているのですよ。  それで、林業試験場のそれでは試験をした結果ですね、相当長い期間試験してきているわけですから、そうするとクロレート粉末剤ですが、これは適当な除草剤である、こういう結論になっているのですか、どうでしょう。
  127. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) おおむね適当だということになっておりますが、試験場ではやはり危険物だという点について、若干危惧を持っておるようでございますが、一方ほかのほうの試験等によりますと、必ずしも危険物ではないというような意見もあるようでございます。
  128. 北村暢

    北村暢君 どうも専門のことになってくるので、長官には非常に恐縮なんですけれども、私もあまりこれは詳しくないのです。しかし私の調べた範囲ですというとクロレート粉末剤は相当危険がある。しかも青草の上に、青いササの上に撒布した場合は、これは発火の危険性がない。しかしながら、これが枯れ草等の上にまかれた場合には爆発の危険性がある、こういうふうに言われておるのです。それからこれは私、農薬検査所で実は調べてきているのです。したがって私の調べた範囲だと、そういうふうになっている。で、爆発の危険性がある。それよりも塩素酸石灰——クロシウムというのもあるわけですね。これは引火の危険がないと、こういうふうに言われているのです。そして林業の場合、これを奨励するというのが普通でなかろうか、こういう意見があるということを御承知でしょうか。
  129. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 私自身では、クロシウムがあるということは承知しておりますが、そのほうが適当だという意見までは、まだ勉強が足りませんで聞いておりませんが、私が調べました範囲では、クロレートは、一たん溶解をしまして、それで何かに付着をして、かわきますと引火性が強くなるというようなことを聞いております。
  130. 北村暢

    北村暢君 これは、粉末剤でやるというのと、水溶液、水に溶かして使うのと、両方あるのですよ。それが、水で溶かすほうだと、濃度が濃いというと、普通の場合は爆発しないというのですね。爆発というか、引火というか、危険性というものはないのだけれども、枯れ草であったならば爆発の危険性がある。これは水溶液でも粉末でもある。私の調べた範囲ではそう言われておるのです。ですから、クロレートよりはクロシウムのほうが引火の点からいって非常に火災の危険性というものは少ない、こういうふうに言われておるのです。したがって、これは林業試験場でおそらく長い間かかって研究せられてきている問題なんです、除草剤としては。  したがって、私がお伺いしたいのは、試験場で十何年も研究されておるものが、それがどういう結果で事業化されているか、そういうことでなしに、農薬メーカーの宣伝ビラだけでこういうものが事業の中に取り入れられており、市販されておるものを取り入れられておるという、こういうところに問題があると思うのですよ。したがって、先ほどどういう方針で除草剤を取り入れられておるのかということを御質問申し上げたのはそういう意味なんです。市販をされておるものを十分試験をされ、先ほど三千ヘクタールにわたって試験的にやっておられるのであるということでしたから、試験の段階なのかどうなのかということなんですね。そうして、これが実際に経済効果を上げる、除草剤としての経済効果を上げるということについて、まだ確信がないのかあるのか、今後どういうふうなつもりで使っていこうとするのか、こういう点をお伺いしておるのです。
  131. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) 先ほど三千ヘクタールにわたって試験をしておりますということを申し上げたわけでございます。全国にわたりまして、特に熊本、青森の局の管内が多いわけでございますが、それぞれ全般的に試験的に施用いたさせております。で、この施用は、ヘクタール当たり百キロくらい、約一万円薬代がなるかと思うのでございます。この散布には、ヘクタール当たり三ないし五人くらい必要かと思います。これを人力によりますと八人ないし十人になるわけでございます。この散布を、一回だけの比較をいたしますと、確かに薬のほうが高くなるということもあり得ると思うのでございますが、これが二年にわたって草がはえてこないというようなことを計算をいたして参りますと、やはり薬剤を使ったほうがいいんじゃないかというような考え方を持っているわけでございます。いずれにいたしましても、やはり小さい部分の試験ということはやって参りましたけれども、さらにそういった効率の面もあわせまして、試験的なかなり大きな施用をいたしているところでございます。
  132. 北村暢

    北村暢君 これは使い方の問題ですがね。今、除草剤をまけばそれでいいんだと、こういうのですがね、実際にどうやって使っているかというと、植えた木のまわりはかまで刈っておいて、そうしてそれから除草剤をまいているという形、私の知っている範囲の報告ではそういうふうになっている。初めから除草剤をまいただけということではないようですね。ですから、これはどういう試験結果が出るのかわかりませんけれども、とにかく今の説明のとおりだというと、だいぶ合理化されるような説明のようですが、それでは、植栽した木ですね、これに害はないんですか。この点はクロレートの溶液剤を使って試験した例がやはりあるのですね。あって、鉄道の沿線での除草のために使ったそれが、五メートルも離れている桑の木に影響して、桑の木が枯れたという問題が実は出ているのですよ。それで、その桑は全然枯れて使いものにならなかったわけじゃないんだが、葉が落ちて一時生長がとまった、こういうことが起こってきているのです。それで山林に、実際の造林したものに使う場合に、これは浅根性の樹種であったならば、被害を受けて、植えた木そのものが枯れるか、または生長がおくれるということがあり得るのです。こういうふうに思われるのです。特に機械で植える場合、機械で穴を掘った場合、あの機械、植栽の穴掘り機でやった場合には、穴を掘ったところは非常に土がこまかにされて、ふわふわになっちゃうのですね。そうして、そういうようなところへ除草剤をまくというと、それが雨その他でもって流れて、地下に浸透をして根にいくというと、これは生長を害するということがいわれているわけなんです。したがって、そういう害のない除草剤というものを選ばなくちゃならないわけです。ところが、クロレートの粉末剤、これは引火の危険性もあるし、またこれの試験結果では、樹木の根に影響をして、ササのように地面に根の張っているものは非常に有効だけれども、それ以下に浸透した場合にはやはり影響がある、こういうふうにいわれている。そういうところまで検討されてこの除草剤を使われたのか、使う方針でおられるのかどうか。私はもう少し事業的に試験をしてから、また林業試験場——当然これは試験をやっていなければならないはずです。こういう点をひとつ。今度の場合、九州、青森でやった場合、これは非常に軽率じゃないかと思うのです。そういう点についてお伺いしたいと思うのです。  特に、作業員がこれでやけどをして、青森の場合は、それが原因で死亡した人が出たわけですね。その三名くらいの人のほかにもやけどをしているのです。その中の一人は死亡をしているわけです。やけどが直接の原因で死亡診断書等全部出ている。それで公務障害としてやはり死亡しておるのです。そういう問題が出ているのに、しかもその事業効果がどうかということがまだはっきりしない中で、こういう問題を、この除草剤を試験的にというのだったならば、私はもう少し厳重に使われるべきだと思う。青森でこの死亡者が出たときには、実際にそこに担当官もいない。だれの監視もない。どういう命令で、どういうふうに使えということでもない。ただこの除草剤を作業員に使わしている。これでまいてやればいいんだといって、まいてやっている。何らの使用指示というものもない。試験的にやるのだったら、試験的にやるような態勢をもってこれが使われなければならないはずです。効果であるとか、危険性であるとか……。何らの監視も監督もなければ、事業的に使っているのか試作的に使っているのか、そこら辺のところがさっぱり区別がはっきりしない。そうしてやけどをして、それが原因で死んでいる人が出ているのですよ。これは私は非常に重要だと思うのです。したがって、先ほどの御答弁にあったように、火災的には危険であるということも言われているが、そうでないということもあるようだと、こういう意見のようですが、そういう軽率なことでこの除草剤が使われていっていいんでしょうか。やけどしたのは、九州と青森と、重点的に使っている。しかも両方とも作業員がやけどをしておる。そういう問題が出ているのです。これは一体どういうことなんでしょうか。
  133. 吉村清英

    説明員(吉村清英君) この引火性の問題でございますが、粉末の状態のままでは引火性も何もないということでございます。これが御指摘の熊本あるいは……。まあ熊本の場合を、報告を受けておりますのを申し上げますと、朝、朝露で地下たびがぬれていた、それでこの粉末剤をまいて、それが地下たびに付いていて、これでたばこの火を消したところが、火がついてやけどをした、こういうような状況のようでございますが、これを使います場合に、あらかじめさような注意は、私どもが報告を受けております範囲におきましては、十分にしたということなんでございます。また、十分にした、しないという問題につきましては、私とももさらに慎重な取り扱いをさせなければならないと思うのでございますが、さような注意をいたして実施をいたしたところが、そういうような事故が起きたということでございまして、さらに、この衣類、手袋あるいはビニールのズボンでありますとか、マスクでありますとか、そういったものを備え付けまして、この薬剤を使用いたしますときには必ずそれを着用をしてするということも励行をさせるように、さらに厳重に注意をいたしたところでございます。
  134. 北村暢

    北村暢君 これはクロレートの粉末剤で、これは手でまいておるのですね。両方とも手でまいておる。そしてこの粉自身では爆発しないのです。おっしゃるとおりなんです。ところが、これが有機質と一緒になると爆発するのです。塩素酸ソーダというのはダイナマイトの原料なんですから、そういう危険なものですからね。したがって、有機質と一緒になるというと爆発する可能性が出てくる。でありますから、たばこの火なんかで火を直接点火しても爆発しない。ところが、たばこの灰とこの粉とが一緒になって有機質が一緒になると、これが爆発するのだそうです。したがって、先ほど言っておるように、よく私も説明を聞きますと、青草ではならない、しかし枯れ草だと粉末と一緒になると爆発の可能性が出てくるというのですよ。これは、私は農薬検査所の専門家から実は聞いてきたのです。調べてきたのです。そういう爆発する可能性が出てくるものなんだそうです。ですから、これは確かに昭和電工のクロレートを使っておるわけなんですが、昭和電工の強力除草剤という宣伝文のそのプリントを見ますと、そういうように確かに火気には厳重に注意してもらいたいと赤で書いてある。  それで、営林局の経営部長の指示を見ましたところが、何ということはない、このプリントの内容のものを、ただそれを、製薬会社の昭和電工から出た内容のものを文書にして指示してあるだけです。そういう内容ですよ。私が読んでみますと。したがって、そういうもので指示をしているようです、青森の営林局では。したがって、何というのですか、昭和電工の宣伝ビラ——広告式のものですよ。これはそういうものの程度の指示しかしていないのです。したがって、クロレートの試験実績というものを林野庁は、実際に林業試験場なら林業試験場に指示をして、そうしてこれを施用するということを九州なり青森でやろうということでやったのかどうなのか。今、三千ヘクタールもの間試作、試験的に使っておる、こういうのですよ、先ほどの答弁を聞いておると。三千ヘクタールにもわたって、そうして一般的に使って、試験的にやっておる。これはどういうことなのか。御答弁を聞いておると、ちょっとわからないのですけれども、試験的というと、林業試験場なら林業試験場において試験データというものができて、そうしてどういう範囲にまいたら造林木に影響ないとか、どういうふうな使い方をすべきであるとか、その下刈りをやらないで青い集団したササならササに噴霧器でやる、そうしてその跡に造林木を植えるとか、何とかありそうなものなんですがね。そうじゃなしに、この場合は、もう造林木は植えてあるのですね。植えてある下刈りの手入れのためにクロレートを使っておる。したがって、造林木のまわりを切って、まわりの草はかまで刈っておるのですよ。わざわざ刈って、ややかわいたところへ後から除草剤をまいておる。こういうやり方をやっておる。そういうことが一体技術的にいいのかどうかということ。それから今言った危険性の問題については、労務者は実際に使っておるのですから、その場合に何らの監視者なしに、それらの試験データをどういうふうにとろうということでもなしに使っておる。  これは試作と言うけれども、試作じゃないのじゃないですか。実際合理化のためにクロレートを使い始めたのじゃないですか。そこら辺はどういう感覚なのか。長官の説明を聞いていると、三千ヘクタールにわたって−三千ヘクタールといったら相当の面積ですからね。そういうことで三千ヘクタールも使わなければ試作の試験ができないのかどうなのか。それは試験をやるとするならば、相当のデータを整えて、そのような態勢をとってやはりやらなければならないのじゃないか。そういうような措置がなされているのかなされていないのか。また、九州等においては、そういう問題が起こったので、労働者は危険を感じて使わないという者に対して、管理者が、しかも付近の営林署の管理者が数名、数名どころじゃないでしょう、集まってきて、そうして労働者を監視している。命令的にやっている。そうして実施をしなさい、まきなさいと、こういうことをやらしておる。私は、これは林野庁の労務対策にも関する問題なんですけれども、実際問題としてそれだけ危険のあるものを、いやがって使わないものを、使えと、こういうことをやっておる。しかも管理者を集めて監視している。強制労働的な労働をさせておる。これは私はちょっと行き過ぎじゃないかと思う。あくまでも試験データを示して、こういうふうに危険じゃない、こういうふうにやれば危険でないと、納得の上でやはりやってもらうべきではなかったか。こう思うのですね。そういうような、死人まで出ている問題なんですから、青森の実情を知った者が、実態をこういうふうに報告しておるのを私もらっておる。どういうふうな経過でやけどをして死んだかという、医者の診断書から、写しから全部ある。地方の新聞も取り上げている、そういう問題を。ことしから除草剤を使うことになったのだからしゃにむに使わなければならない、こういういき方というものは軽率じゃないのか。だから私最初にお伺いしたのは、その林業試験所なり試験場でやった結果に基づいて、林野庁としてこういう使用方法でもってこういうふうに使え、こういうふうにやればこういうふうな効果が出るのだというものがなければならないはずなのが、市販にあるものが、こういうふうにありますからということで、それで使っておるのです。これでは私は理解できないと思うのです。  ですから、この問題は、もう私の時間がきましたからこれで私は終わりますが、とにかくこういう問題については、ひとつ合理化なら合理化の線でけっこうですから、今後合理化されていくのは、近代化していくというのは、これを拒否する何ものもないと思うのです。しかし、機械を入れるにしても、農薬を使うにしても、ほら合理化だ、ほら除草剤だ、クリーナーだ、それから穴掘り機だ、こういうふうに機械をどんどんどんどん入れる、使う態勢も何もないのに機械を入れて、合理化だ、それで合理化が成り立ったと、こう思っていたら、これは私はあまりにも軽率じゃないかと思うのです。実際問題として自動耕耘機なんかも苗畑に相当入ってきておる。この耕耘機の入れ方が合理化の線に沿うていない。ということは、イギリス製の耕耘機を入れている。いなかのとんでもないところにいて、故障したってだれも直す者がいない。機械は入れたけれども倉庫に眠っているという、そういうものがたくさんありますよ。したがって、機械さえ入れれば合理化されたと思ったら大間違いだ。機械がいかに効率を上げ、能率を上げているかというところに問題がある。その地域で修理もできない。だれもわからない。とんでもない舶来製のすばらしいのだそうですけれども、使いきれない機械が入ってきている。それで、機械を入れたから合理化された。これでは少し私はおかしな合理化じゃないかというふうに思うのです。したがって、こういう問題については、当然そういう機械を使う人もいなければならないし、そういう近代化されたものを使う人もいなけりゃならない。指導する人もいなければならない。指導が徹底されて、企業化されなければならない。そこら辺に非常な手ぬかりがあるし、指導監督面において私は手ぬかりがあると、このように思うのです。したがって、これらの問題についてはぜひひとつ十分検討をしてやっていただきたい、このように思うのです。  この問題は、いずれまた人命に関する問題でもありまするので、私は他の機会に詳しい質問をいたしたいと思います。通産大臣もみえておりますから、私の質問を終わります。
  135. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  136. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を起こして。  他に農林省関係質疑のおありの方はございませんか。  他に質疑もなければ、農林省に対する審査は、本日のところこの程度にとどめます。    ——————————
  137. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、昭和三十五年度決算外三件並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を議題とし、通産省、日本開発銀行、中小企業金融公庫及び電源開発株式会社に対する審査を進めることにいたします。  なお、通産省につきましては、去る九月六日の当委員会におきましてすでにいずれも説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  138. 相澤重明

    相澤重明君 通産大臣に忙しいところを出席願ったので、できるだけ要点を私はまとめて御質問したいと思うのです。前回の九月六日のときに出られないでたいへん失礼しました。  きょう第一に御質問申し上げるのは、国内産業の中で兵器生産というのは非常に重要な部門を占めておるわけであります。それに対して、通産省に、米国のGE社と東芝との関係で合弁会社を作る、こういうことの申請が出ておるということを、実は前回に防衛庁の決算の中で私からお尋ねをしたのでありますが、防衛庁はそういう点についてはよく知らぬわけでありまして、通産省としてこの問題をどうするか、こういうことについて大臣の所見をひとつ伺っておきたい、こう思うわけです。
  139. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のとおり、GEから東芝に対して合弁会社を作りたいという申し出が出ておりますが、ただいまどういうふうに措置をするかということを審議をいたしておるわけでございます。  なお詳しいことは事務官から説明をいたさせます。
  140. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) 本年の七月二十四日に、先ほどおっしゃいました東京芝浦電気とGEとの技術提携の認可申請書が出ております。現在外資審議会で審議中でございますが、その内容は、御承知のとおり、F104に搭載いたします火器管制装置の照準及び計算装置に関する技術提携の認可申請書でございます。
  141. 相澤重明

    相澤重明君 私は、昨日の当委員会の冒頭に現地調査の報告をいたしたわけであります。それで、私ども委員会といたしましては、新三菱なり、あるいはまた愛知用水の現地調査をそれぞれ行ないまして、その結果の報告を昨日申し上げたわけです。そこで、現地調査の中で考えることは、兵器生産について現状ではたしてよいのかどうか、あるいはこれより数多くのそういう生産会社を作ることが関係の会社のいわゆる経営状況に及ぼす影響、こういうようなものを考えた場合にどうなのか、それから今後の国内生産に関する問題としてどういうふうな状況が出てくるだろうか、こういうような点を、F104Jなり、あるいはYS11なり、状況を見て私どもはその状況を報告をしておるわけです。これについて、特にこれらの生産については、重要な部面を、いわゆる監督行政を持つ通産省として一体どう考えるか、こういうことはきわめて私は重要な問題だと思うのです。そこで、兵器生産に対する関心というものはきわめて高まっておるのでありますけれども、それが断続的にそのときの政策によって兵器生産というものが関係の会社にまかされる、こういうことがいいのか、それとも一定のやはり計画生産というものを持つ、こういうことが国内の産業というものを振興するのか。私は兵器生産がいい悪いと言うのじゃないのですよ。兵器ということになれば、私は社会党の所属ですから、これはもう重大な問題なんです。けれども、そうじゃなくて、国内産業の面においていいか悪いか、こういうことになると、これは通産省の関係としてはきわめて重要な問題だ、こう思うので、その点について、GEの今の申請に関連をして、一体どう政府考えておるか。こういう点をひとつお尋ねをしたいわけです。いかがでしょう。
  142. 熊谷典文

    説明員(熊谷典文君) どういうように考えておるかという問題でございますが、一般的に申し上げまして、機械産業について申し上げますと、やはり非常に不安定な需要のもとに生産を行ないますということは、やはり産業政策としては非常にまずいと思います。したがいまして、確実な需要をつかまえまして安定した生産をやるというように持っていきたい、かように考えております。  武器の生産の問題でございますが、御承知のように、この問題には従来から輸出の問題がございますが、私どもといたしましては、輸出とか特需とかいう問題はどうしても不安定になりがちな問題でございます。したがいまして現在の武器生産の体制といたしましては、大体防衛庁の調達計画を基礎にいたしまして、確実な需要のもとに生産を持っていく、こういう考え方を持っております。  それから、しからば今後どしどし新しい会社を作っていくかという御質問でございますが、御承知のように、武器生産は、過去におきまして特需の関係がありまして、相当生産をいたしたことがございます。もちろん、今後の防衛庁の調達計画は、特需の内容とは相当違いますが、過去の既存会社におきまして相当の能力を持っております。したがいまして、特殊の場合を除きましては、既存会社が相当の設備を持っておりますので、そこを中心にして確実な生産をやらしていきたい、かように考えておるわけであります。ただし、先ほど御指摘の東京芝浦電気とGEとの技術提携の問題は、これはF104に搭載いたします特殊な機器を生産いたす計画でございます。特にF104に搭載いたしますこの機器といたしましては、GEのもののほかには不可能だとわれわれは聞いておるわけであります。そういう意味におきまして、GEと東京芝浦電気が新しい会社を作ってその特殊なものを生産するのもやむを得ないというように考えております。これは一つの例外的な問題であるというように考えております。
  143. 相澤重明

    相澤重明君 福田通産大臣にお尋ねをするわけでありますが、私は先日防衛庁長官に本委員会審議の際にお尋ねしたのでありますが、ロッキードF104Jのいわゆる生産過程等も考えて、なかなかこれはたいへんだ、このままでいくというと、いわゆる昭和三十九年度の七十機を最後に、とにかく過剰な設備投資をしておるにもかかわらず、これはあとどうするかということは非常に問題になる、こういうことを言われておる。そこで、現在の国内生産会社のそれぞれの場を考えると、これ以上ふやすことについてはなかなかこれは問題があるというような私は説明を志賀君から受けたのです。今の重工業局次長説明を聞くと、GEは特別であるから、特別なものは許可をするということになると、特別なものがほかに出たならば、それはやはり許可をする、こういう方針に私はなると思う。私がまあ防衛庁からいろいろ資料を提供をしてもらって見ておると、いわゆる米国のGE社との合弁会社、東芝エレクトロニクス・システム社、この設立の申請があなたのほうに出ておる、通産省に。しかし、これを直ちに認可をする、こういうことになると、関係の一体新三菱なり、あるいは今までの日本電気なり、三菱なりが持っておったそういう問題にどう関連をしてくるのか。これは私は通産大臣の意見を聞かぬというと相当問題になると思う、場合によっては……。あとで聞きましょう、そのほうを先に答弁してもらいましょう。それによって食言か食言でないか追及することがいいと思う。先に答弁してもらいましょう。
  144. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 兵器生産に関連いたしまして、断続的に注文が出る、あるいはまた相当な注文があったのが途切れるために、あとそれに使った設備が有効に使えなくなるのではないか、そういうことに対する通産省の意見はどういうことかというお話だと思いますが、私の了承しておるところでは、大体そういう今度のF104につきましても、またそれに関連する兵器については、大体当初からこれくらいのものを作るという予定であったと思うのであります。そしてその立場において各会社と話をして、そしてその会社が引き受けておる、このように了承いたしておりますので、会社自体からいってある意味で迷惑というような感じはいささかあるかもしれない、また技術面その他において得をすることもございますから、あながち頭からそういうことはいやですと言うわけにも——わけにというか、いやですと言わないほうがかえって得の場合もある、こういうこともございまして、一応引き受けられておるのだと思うのであります。したがいまして、今この場合において非常に会社がそういうことで今度機械があいちまって困るじゃないか、人があいて困るじゃないかということは、そのこと自体はよくわかりますが、当初引き受けられたというか、契約されるときにはそれを了承して引き受けられたものだと私たちは考えておるわけであります。もちろん、そういうことが好ましい事態であるかどうかということになりますと、決してこれは好ましいことではないのでありまして、仕事がずっと続いておるような、そういう仕事を受注していくということが会社にとって利益なことは申すまでもないのでございますが、そういう意味からいいまして、こういうような、たとえば今度出てきておるようなものについても、一応会社、東芝なら東芝も了承してやっておるのだ、こういうふうに私たちも考えておるわけでございます。
  145. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと通産大臣、あなたの今言ったことはたいへん池田内閣としても問題になりませんか。会社は了承をして、たとえば今のあとのGE社の申請を許可するということですが、今までの既設の日本電気なり三菱なり新三菱なりが兵器生産をやっておる、原子力関係をやっておる、そういうものについて、そういう会社は若干の問題はあっても仕事をとにかく受けたのだから、このまま継続する。しかし、それに対して、今度はたとえば今の重工業局次長の言うように、部分的な、いわゆる米国のGE社との提携の問題が出てくる。これについてはやっぱり提携をして新しい会社を設立したことを認めていくというのがよろしいという解釈に私は今受け取ったわけです。そういうことが、あなたの方針として、政府の方針として出ておる、こういうふうに、私の今聞いたところでは受け取れるようになるんだが、そういうことですか。
  146. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) そういうことになるかどうかという御質問ですが、私は、やっぱりパテントの関係とか、その他いろいろ特殊事情があって、今度の場合GEが東芝と別途の一つのものを作る、合弁会社を作りたいということを申し出ておると思うのであります。そういう場合に、今までの受注の関係その他から見て、何もそういうことをしないでもやれるのじゃないかという問題もあり得るかもしれません。そういうようなことはやはりよく具体的に研究をしてみた上で処置をしていきたい、こういうように考えております。
  147. 相澤重明

    相澤重明君 まあ、これはむしろ私の立場より、与党の諸君のほうがほんとうはやることなんですがね。私はいろいろ調査をしておるから、実は代表して言っておるわけです。そこで、今のあとの通産大臣の言うことならば、やや了解点というか、大体そういうものだろうということはわかるのだけれども、もし前段の私が質問したようなことであると、これは池田内閣としても重大な責任が生まれてくるのじゃないかという気がするわけです。私もいろいろ資料を防衛庁から出してもらって、防衛庁自身がその生産をやらしてもはたしてこれでいいだろうか——それを現地のいわゆる工場長、あるいはその責任ある技師の諸君を呼んで聞いても、はたしてこのロッキードの単価が幾らになるかということはわからぬ、もう実際に最終的にすべてやってみなければわからぬ、しかし政府のいう方向でわれわれは努力すると、こういうことなんです、すべてが。そこへもってきて、それだけ一生懸命自分たちはやろうとしているのに、このパテントがあるからほかの会社を新しく作って、この部分だけはその会社でやる。そうすると、もっと端的にいえば、抜けがらだけをお前のほうでやって、いいところだけをおれのほうによこせ、こうなったらどうなります。私は、こういうことになったら、これは国内生産の問題はたいへんな問題になるのじゃないかと思う。まあ通産大臣も知っているだろうと思うのですがね。三十六年度に単座を一機、三十七年度に単座を三十一機、複座を十六機、三十八年度単座を七十八機、複座を四機、三十九年度に単座を七十機、合計二百機、こういうことをやっておる。これだけではできない、これだけでは会社は持たぬ、こういうことで、YS11のいわゆる中型旅客機を今あなたたちのいうように作っておるわけです。しかしそれにしても、きのうも決算委員会でやったように、日本航空と全日空、ローカル航空が、一体これが政府の中でどのように計画されておるか、あるいはその航空機会社がどのように買付をやろうとしておるのか、このようなことから考えても、これは航空機会社だってなかなかたいへんだと−政府もたいへんだと思うよ。けれども、航空機会社もたいへんだと思う。現地を見て、あの格納庫の中を、生産の実情をいろいろ調べてみて、なるほどこれはたいへんだということがわかった。  そういう中で、今たとえば米国のGE社との技術提携の問題が出てきた。こういう中で、単に通産省が、出てきたのはこれはパテントの問題だから、それは許さなければいかぬということになったら、国内生産会社というものの既設のものに対してどのような補償をするか。補償というのは、私のいうのはやっぱりそこに従業員をかかえなければならぬ、それからそれだけの設備投資をした、これをすべてどう経営上守っていくかということになるわけです。そのことが私としては一番心配——兵器の問題については議論はあるのだよ。だけれども、そういうことでなくて、私が今決算委員会であなたがたに質問をするのは、兵器の議論でなくて、そういう国内生産会社に対するやはり生産というものを考えた場合に、これはもう十分考えなければならぬじゃないか。それが通産省のいわゆる産業を伸ばすやはり大きな考えではないか、こういうことを私は実はお尋ねをしておるわけです。この点について福田大臣のいま一度御答弁をいただきたい。
  148. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説十分拝聴いたしました。よく理解をいたしておるのでありまして、われわれ通産省としては、ただいま仰せになったとおり、設備の問題、それからそとに働く人たちの将来の問題等々も考えまして、十分こういう問題をいい意味において処理をしていくように努力をして参りたいと思います。
  149. 相澤重明

    相澤重明君 それで、なお深くいろいろ言うことは、資料が出ておるので言いたいのですが、時間がありませんから大きな問題点だけでひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。  その次に、何といっても通産省の一番大きな問題は、貿易振興の問題だと思うのです。そこで貿易振興について、特にこの輸出入関係については重要なやはりお考えを持っておると思うのです。それで、三十七年度の見通しとして、輸出入についてはどの程度の、いわゆるパーセンテージが実現できるのか。この点をひとつ伺いたいことと、それから、大体貿易振興のために政府も毎年大体二百億ぐらい輸出入銀行に対する増資を行なっておるのでありますが、この輸出入銀行に対する政府の見解というものはどういうふうに持っておるのか。この点をひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  150. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) この数字のことは、もう実は私が申し上げるまでもなくおわかりかと思いますが、念のため申し上げてみますと、当初予定をいたしておりました輸出入の関係は、大体輸入が四十八億ぐらい、それから輸出が四十七億ぐらいで、経常収支で一億ぐらい赤が出るだろうという想定であったのでありますが、その後、九月初めぐらいに見通しを立て直してみますと、今度は輸出が四十八億で輸入が四十六億六千万ドルぐらいになるだろう、こういうことに相なって参りまして、相当この点では収支の好転が見られることになった。こういうことでございます。その後の経緯から見てみましても、輸出入の関係においては黒字がますます出てくるような傾向にあるわけでございます。そこで、いずれにいたしましても、輸出入の貿易関係を振興するということは、わが国にとっては最大の命題でございますので、その輸出入の問題について大きな役目を果たしておる輸出入銀行の資金につきましては、今後も極力これを増大していかなければならない。したがって、予算的にもこれを増加するように考えておるわけであります。その数字は事務から御説明させます。
  151. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) 輸出入銀行の問題につきましては、当初私ども三十七年度といたしまして、貸し出しが約千三百三十億程度ということを予定いたしておったわけでございますが、その後プラント類の輸出制約その他で多少上期は不振でございますが、おおむね当初予定どおりの貸し出しに達するのではないか、かように考えておるわけでございますが、来年度もこれに力を得まして、私ども千四百億程度の貸し出しを輸銀として想定し、目下大蔵事務当局のほうにも御相談をしておる際でございますが、何分にも、最も輸出振興の基本であります輸出金融の問題につきましては、金利を上げないように、各国並みの競争が十分できるような態勢に事務当局としては持っていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  152. 相澤重明

    相澤重明君 前段の通産大臣の、輸入、輸出の逆転をした、こういうことについては若干私は意見がある。それはなぜかといえば、日本の高度経済成長を考えてくれば、実はもっと輸入をほしいのが現実なんです。たとえば国内産業を見た場合に、石炭産業の困難な事情もしかり、鉄鋼産業の操業短縮もしかり。基幹産業といわれるようなものについては、ほしいものはあるけれども事実上それはできない、こういうところが私は現実ではないか。だから輸入は押えて輸出を多く出していく。そしてまた、国内生産品については国内消費を多くする。こういう問題が、福田さんもずいぶん勉強されておるが、私どもからいえば、実際はもっと日本の産業というものは伸びるのだけれども実際に輸入を制限せざるを得ない、こういうのが国際的な視野に立つ経済学者の判断ではないか。私どもの党の木村禧八郎参議院議員も、ずいぶんそういうこといろいろ研究して、よく私どもにも話してくれますが、私がいろいろな資料というものを調べて見ると、やっぱりまだ実際には国内においては輸入を必要とするものはあるけれども、それをやったらやはり国際収支は赤字になってしまう、こういう点で残念ながら食いとめなければならぬし、そして輸出をできるだけ多くしていかなければならぬというのが至上命令の現状ではないか、こう思うのです。そこで、そういう点から考えてくると、消費に転換をして今日はとんとんというか、若干の黒字を生み出すような形になっておる。これは人工的であって決して自然的ではない。こう私は判断をしておる。この点について、福田君もずいぶんそういう点では苦労されておると思うのだが、もっと、いま少し、ほんとうに日本の生産を伸ばして貿易振興をする考えというものを三十八年度の中に盛り込んでいく考えあるのかどうか。これはひとつあとでお答えをいただきたい。  それから次の問題というか、三十七年度の貸し出しを千三百三十億程度考えて、現在千四百億程度、まあこう言うのだが、九月の仮決算ではどの程度になっているか、九月の仮決算、これをひとつあと局長から答弁を願いたい。
  153. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のとおりでございまして、輸出入の問題については、来年度においてもっと積極的に相互のバランスをふやしていくということはわれわれの最も希望するところでございますが、ただいま御説明がありましたとおり、今日こういう輸出入の経常収支が黒字になったという裏には、いささか昨年中に仕入れましたいわゆる原料在庫を食って、そして輸出をしておるという面が多分に反映をいたしておると思うのでございまして、そうすれば、在庫を食いつぶしてしまいますと、今度はまた大きく輸入をしなければならないという事態が出てくることは当然でございます。これらのことを勘案してみますというと、経常収支がいささか黒字になっているということだけで日本のいわゆる経済が発展的な運営をしておるということには相通じておらないと思うのでございまして、こういう点は、私たちとしても十分その内容を見きわめまして、そして来年度において、お説のとおり発展的な輸出入の拡大していきます方途をひとつ十分考えなければならない、かように考えておるわけでございます。
  154. 土屋正雄

    説明員(土屋正雄君) 輸出入銀行の九月仮決算数字でございますが、ただいま手元にその資料がございませんので、さっそく取り寄せまして、御報告申し上げたいと思います。
  155. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、今の部長の答弁については、九月仮決算あとで提出してもらいたい。  さて大臣、今のお説、私も同感です。そこで、先日日ソの使節団の仮調印といいますか、河合使節団が夏に行きましたね。それについて、一億ドルくらいの船舶輸出、あるいは木材の長期輸入、こういうようなことと、今現在中共に高碕使節団長が行っておる。こういう問題について、まあ延べ払いの問題も含んで、かなりこまかくいえばたくさんの問題が出てくると思うんだが、こういう点について、日ソ、日中、日朝等の、日本に一番近い所の貿易関係についてどうやろうとするのか、その姿勢の問題をひとつ話をして下さい。それをされなければ、あなたが幾ら来年度はもっと積極的にやりたいと言ったところで、それはから念仏に終わってしまう、こういうことなのでありますから、ひとつ政府が、通産省がやろうとする姿勢をこの際お聞かせいただきたい。
  156. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 通産省といいますか、われわれといたしましては、日中であろうと、日ソであろうと、これは貿易関係でございまして、特に中共とはまだ政治的なあれがついておりませんけれども、経済の問題では、これは別といたしまして、できるだけ相互に貿易が進められれば非常にけっこうである、こういう考えで臨んでおるわけであります。ただし、その場合におきまして、中共だから特に利益を与えるとか、中共に特に都合のいいようにするという考え方に立ちますと、また御承知のように、日本の貿易というものは自由主義経済の国との貿易が大宗を占めておるような関係もありまして、そういうことはなかなか困難であろうと思います。要するに、商売でございますから、相手が違っておっても同じような値段で売る、同じような条件で売るんだ、こういう考え方でできるだけ相手をよけい探すということは、これは商売の原則として当然だと思うのでございまして、そういう意味合いにおきまして日中貿易を見ますと同時に、たとえば未開発国といいますか、低開発国といいますか、アフリカとか、あるいは南米とか、その他の国国におきましても、そういうような、今後貿易を進められるようなところがあれば極力やっていく、もちろん自由主義経済の国々等に対しましても一生懸命売り込みを策する、こういう形で、政治の問題を切り離した形において、特に日中、日ソの貿易等は考えていけばいいのではないか、こういう姿勢で進んで参りたいと思っているわけであります。
  157. 相澤重明

    相澤重明君 端的にひとつ伺いましょう。三十八年度は、今の構想では輸出入について、どのくらいの額をお考えになっているのですか。三十七年度は輸出四十八億、輸入四十七億と、先ほど大臣答弁になりましたね。それは逆転をしても、三十八年度はどのくらいとお考えですか。
  158. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) そのことについては、これは企画庁、大蔵省その他政府全般の問題でございまして、もちろん予算編成の前後までにはきめなければならないと思いますが、まだその資料は整っておりませんので、残念でございますが、お答えをする自由を持っておりません。
  159. 相澤重明

    相澤重明君 これは私は、政府か企画庁を中心に今後の日本の貿易関係を進めるにあたって、やはりアメリカの現状についても、あるいはソ連の現状についても、正しく認識する必要があると思うのです。私自身アメリカ大使館の情報をいろいろ聞かしてもらっておりますけれども、やはり何といっても今EECの成立した今日の条件の中では、日本の動き方というものはきわめて微妙なものでもあるし、重要な段階を迎えると思う。そういう意味で、できるだけ、先ほど大臣答弁されたように、事貿易については、これはイデオロギーの問題であるとか、あるいは気に食わぬとか気に食わないとかいうことではないと私は思う。そういう問題で、政府としても十分私は慎重な中にも積極的な意欲を持った態度を出すべきだ。それが今日の高碕使節団長なり、あるいはこの夏に行った河合団長の趣旨にも沿うことでもあるし、多くの日本国民が期待をしておることだと思う。そういう問題で通産省のからに閉じこもることなくして、もっと全体の意欲を出してもらうように期待をしておきたいと思う。これはいずれあとのことでありますから、その報告を、どうやったかということも、いずれまた決算委員会でお尋ねをしますが、きょうは、こまかい今後の見通しについてまだ策定ができておらないようでありますから、そういうことを希望しておきます。  そこで、その次にお尋ねをしておきたいのは、石油と石炭関係というものはきわめて重大な問題ですが、これは小柳委員からも石炭政策の問題について若干ありますから、私は、あなたが今の石炭政策の問題について、総評や炭労や、あるいは池田総理との話し合いの中で、今後努力するということについては一応敬意を表しておきたいし、そうあってほしいと、こう思うのですが、やはり決算委員会ですから、今後石炭政策についてどうやるということだけぐらいは、きょうやっぱり発表しておくのが私はよかろうと思う。それに伴う開発銀行の融資の問題等についても当然端を発するわけでありますから、そういう面で当面の危機打開について通産省としてはどう考えておるか。こういう点についてどうやろうとしておるのかということをこの際ひとつ御意見を出してもらいたい。
  160. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 御承知のように、四月六日の閣議決定に基づきまして、有沢調査団なるものが設置されました。そうして数カ月にわたる審議の結果、ここに答申が出されたわけでございます。われわれといたしましては、この答申を尊重することはもちろんでありますが、これは総理も言っておられますように、また一方において炭労あたりからも意見が出ておるわけでございまして、こういうことも十分聞いて、そうして政府の責任において石炭問題を解決するというとの態度をもってこの問題を処理していくというのが大筋でございます。  それから現在さしあたりの問題についてどうするかというお話でございますが、もしそれがさしあたり年末あるいは年度内の問題ということになりますならば、これは、中小炭鉱にいたしましても、大手にいたしましても、ただいま資金繰りで非常に苦しんでいる段階でございますので、これに対する年末金融の手当を急がなければなりません。したがいまして、この点は事務的に今これを詰めているわけでございます。で、いろいろしからばこの年度内においてやる問題もございますが、しかし態度として、大きな方針としてかまえていくということになりますと、有沢調査団の案で一応の案ができておりますが、それを実現していく場合においては、必ずしも機械で割ったような、いわゆるとうふをやっこどうふでも作るようにぽんぽんと切るようなふうにはなかなかいかない面が起こり得る、実際担当いたします通産省から見ますと、そういう問題があり得るのでございまして、こういう点については特別の摩擦がないようにひとつ十分な誠意をもって私たちは責任を持ってこの問題の処理をしていく、こういうことを心がけなければならないと思っております。また同時に、調査団の報告の中にない部面で、やはり公平を欠く等の面がありますならば、われわれは十分取り入れていくことにやぶさかではありません。以上のような方針をもって石炭問題の処理に当たりたいと思います。
  161. 相澤重明

    相澤重明君 そうするというと、調査団の答申に対して、政府はやはりこれらに慎重に対処して、できるだけこれらの多くの人たちに心配をかけない、こういうことで対処するということでありますが、私のお尋ねしたいと思うのは、内閣の中に、これら通産、労働、運輸等のいわゆる関係省がもちろんあるわけでありますが、そういう調査団の意向に沿った、いわゆる何と申し上げますか、対策本部というのか、あるいは対策委員会というのか、よくわかりませんが、そういうようなものを設けて、そうしてこの年末にせよ、あるいは来年度以降にせよ、ひとつあなたのほうでは検討をしていく、こういうお考えでいるのかどうか、その点をいま少しはっきりしてもらいたいと思うのです。
  162. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 処理をいたす機関の問題になりますと、石炭関係閣僚会議というものを内閣に設けまして、そこで一応問題を詰めて参ります。そこで結論を得たものは閣議の決定によって処置をしていく、こういうやり方に相なるわけでございます。
  163. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連して。石炭問題については通産省のほうが中心で今対策を考えておられますので、まだ十分具体的な問題の検討も済んでいないと思いますが、今相澤君が言いました問題に限って関連質問をいたしたいと思います。  各省非常な熱意を持ってこの問題に取り組んでいることには敬意を表しますが、総合的に——事務的なものも含んで総合的な推進機関というものがまだ設置されておらない。したがって、頭のほうでは閣僚懇談会などできまりまして閣議決定しましても、それが事務的に流れて参ります場合には、各省ばらばらで措置しなければならぬような実情にあるので、こういうような総合的な対策推進機関を設置するべく努力してもらいたいと思いますが、通産大臣の御決意を聞いておきたいと思います。
  164. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) もちろん、この問題につきましては、上のほうからおろして処置をしていく場合もございますが、しかし大体の姿といたしましては、事務のベースにおいて一応こうやれということを大体問題を提起してございまして、それについては事務のほうでこれを詰めて参ります。そうして事務次官会議で、いわゆる石炭関係閣僚、関係省の事務次官段階においてこれを詰める。そうしてまた石炭関係閣僚会議に上げていくのが大体の筋になっている。したがって、石炭関係閣僚会議に上がってきた時分にはかなり問題は詰まっておりますから、閣議の決定があります場合には、相当すみやかにこれが実現するように相なるとお考え願って差しつかえないと思うのでございます。
  165. 小柳勇

    ○小柳勇君 すみやかに実現すればこういう問題は起こらぬのですが、すみやかに実現しないから、各産炭地域の市町村、県議会などは、一日も早く総合的な対策の推進機関を作ってほしいと、そういう要請があるわけです。頭のほうできめましてそれを各省にやりますと、各省は各省でやっている、そういうことでは総合的な早急な対策はできない。したがって、たとえば総理府なら総理府に中心を置いて、あるいは通産省なら通産省に中心を置いて、各省から出てもらって、そこで一本で仕事ができるような対策推進機関はできないものだろうか、そういうような要請があるわけです。それについての検討がなされたのかどうかお聞きいたします。
  166. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) その面についてまだ閣議においてそういう相談をしたということはございませんが、われわれ関係各省におきましてはいろいろ検討をいたしました。しかし関係各省から、たとえばそういう事務の人を集めて何か機関を作ったといたしましても、はたしてそれがそういうようにいくかどうか。むしろ私は、今の形で、通産省は一応石炭の山をどこをどうし、どこをこれから開発をしていくというような姿をどんどん進めて、一方においては雇用対策を労働省で十分にめんどうをみて、そうしてそれをすぐできるだけ早く突き合わせる。そうして突き合わせた上で、雇用の面が十分の措置ができるというような点を考えたときにこれを措置していくというふうにいたせばかえっていいんじゃないか。今おっしゃるような機関を作ってみますと、かえって何といいますか、その機関で一ぺんきまったものを関係各省に持って帰ってもう一ぺん相談するということになりまして、かえって二重の手間になるのじゃないかというようなふうにも考えられますし、今のところはこの姿でやらしていただいても皆さんにそうおしかりを受けるような事務の渋滞を来たすとは実は考えておらないわけでありまして、そうしてかなり、表面には出ておらぬかもしれませんが、事務的には問題を詰めてどんどんすみやかにこの問題を処理するように今進行いたしておりますから、そういう意味でしばらくの間この動きを見守っていただきたいと思う次第であります。
  167. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは具体的に二、三関連して質問いたします。たとえば産炭地振興計画といえば、通産省を除いてはおそらく話はできませんが、昨日運輸省のときに、この産炭地振興計画の一環として鉄道建設の問題を取り上げました。その場合に話に出たのは、運輸省としては国鉄等とも話し合って早急に油須原線、篠栗線を開通したいと思っているが、鉱業権の補償の問題が解決しないためにこの開通ができないという問題がある。そのようなときに、私はこれはこの前の予算委員会でも問題にしたのでございますが、たとえば油須原線を開通するというときには、もちろん通産省と運輸省の問題もありますが、同時に労働省の雇用の問題もこれに引っくるめて相談しなければならないとか、あるいは地方自治体の問題と関係して自治省の問題も含んで参るだろう、そういうような総合的な話し合いができておらぬのではないか。国鉄に言わせますと、補償の問題さえ解決すれば六キロですから開通いたしますと、こう言っている。その六キロの問題はだれが一体ガンかといいますと、鉱業権者が四人おりますけれども、三つしか解決していない。一番大きい古河鉱業に参りまして調査いたしますと、古河鉱業は通産省に一任しておりますと言っている。昭和三十七年の三月三十一日に古河鉱業は通産省にその補償の問題を一任いたしておりまして、通産省から数字が明示されましたならばこれに応ずる用意があると言っている。それが今日まで通産省では話し合いがされておるのか、されておらぬのか一向にわからぬ。それで地元民も不満でありますし、国鉄としてはこの問題だけが解決さえすれば何とかやります、と言っておるこの問題について、これは大臣がお聞きであるかどうかわかりませんが、まず大臣から、こういう問題が起こった、どうすればいいか、そのことから意見をお聞きいたします。
  168. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 具体的な問題は局長からお答えさせたいと思いますが、態度いかんということになりますれば、やはりこういうことは関係省でよく打ち合わせをせざるを得ない、かように存ずる次第であります。
  169. 中野正一

    説明員(中野正一君) 油須原線の問題につきましては、今御指摘がありましたように、古河鉱業の鉱区の上を鉄道が通るという関係で、その下の炭が掘れなくなるというようなことで補償問題が起こっておりまして、この問題が実はまだ片づかないために、御指摘のような問題が解決いたしておりません。これにつきましては、かねてから関係省で十分話し合いを続けておりまして、また通産省としては関係の鉱業権者とも話を続けておるのでございます。産炭地振興の関係からいいましても、また石炭輸送の合理化という点からいいましても、早急にこれを解決いたしたいというふうに考えまして、ただ損失補償の問題等でやや複雑な問題もございますので、われわれも中に入りまして一日も早く解決したいというふうに考えております。
  170. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは、この前のこの委員会でも問題になった問題でありますが、この前もちょうどそのような答弁がありました。話し合いを進めております、微妙な問題がありまして解決しません、と同じような答弁を何回もこの委員会で言ってもらっては問題解決しないのではございませんか。もう少し、委員会もございますから、要するに今現在とられておる措置、はっきりここに書いてあるのですから、通産省が出しさえすれば、まかしてありますから、数字まで出しております。そういう問題が出してあるのに解決しないのは、サボっておるとしか受け取れぬのでありますが、いかがでありましょうか。
  171. 中野正一

    説明員(中野正一君) この問題は、御承知のように国鉄側と古河鉱業というか、鉱業権者の間の問題でございまして、今の具体的な問題、補償問題等になりますというと、問題が非常に微妙な問題でございますので、もちろん役所も中に入って話し合いをうまくつけるようにやっておりますが、まだ最終的な結論には到達いたしておらないわけであります。通産省と古河鉱業の問題というよりは、要するに国鉄と古河鉱業、通産省、こういうような関係になっておるのですから、その点をもう少し話し合いを続けまして解決に努力したい、こういうふうに考えております。
  172. 小柳勇

    ○小柳勇君 石炭局長は御存じの上でそういうふうな答弁をされるのかどうかわかりませんが、これには、はっきり通産省に一任の形でお願いしておるので、一定の価額を明示されれば、それに応ずる用意があると、そう回答してあります。そういたしますと、問題は国鉄と通産省の間の問題じゃございませんか。そういうふうに私はとるのでありますが、いかがでしょうか。
  173. 中野正一

    説明員(中野正一君) 御指摘のようなふうにも考えられますが、実際起こっておる問題は、国鉄と古河鉱業の問題でございます。その間に通産省なり運輸省が入って解決をしなければいかぬのじゃないか、こういうことになっておりまして、鉱業権者のほうからいえば、この金額等については、今御指摘のような通産省におまかせをするという態度のようでございます。ただ、そうは言いましても、今度は国鉄側の事情もございまするので、そこらをもう少し話し合いを続けさせないと、われわれ中に入りましてもうまくいかないのじゃないか、現在のところはそういう段階になっております。
  174. 小柳勇

    ○小柳勇君 この問題はあとでまた質問いたします。  大臣はお急ぎのようでありますから、大臣に一、二大きな問題を質問いたします。あと高山委員が待っておられますから……。  次は、これに似た問題でありますが、鉱害復旧の問題があります。鉱害復旧の問題については、先般予算委員として山口県地方も見て参りました。福岡県はもう毎日見ております。鉱害復旧については、安定の問題あるいは未安定の問題などいろいろ問題がございますが、今当面しております問題は、閉山になりましたあとでもう補償するその資本家がない。この鉱害については、一体どうなるであろうかという社会的な不安があります。そういう問題について、通産大臣、鉱害の問題、これも産炭地振興計画としては根本的な問題でありますが、御決意を聞いておきたいと思います。
  175. 中野正一

    説明員(中野正一君) ちょっと私から先にお答え申し上げますが、今御指摘になりましたような一山一社のような場合で、その山が閉鎖になりますと会社もつぶれてしまうというような案件が今後予想されますので、こういう点につきましては、現在鉱害復旧につきまして、大体鉱業権者が残る場合には、国と府県というものが、御承知のように大体全体の復旧額の五割程度を持っておりますが、無資力の場合には、これは全部国の費用で復旧をするということになっておりますので、そういう制度を活用いたしまして、できるだけ鉱害復旧の問題について関係者に御迷惑がかからないように努力したいというふうに考えております。ただ具体的なやり方等につきましては、まだ今後政策を、答申案が出ましたばかりでございますので、もう少し研究さしていただきます。
  176. 小柳勇

    ○小柳勇君 これに関連してもう一つありますが、それは普通の災害の場合の公共事業の復旧の場合は起債ができますけれども、地方公共団体が鉱害の場合には起債ができない。したがって、起債ができるようにひとつ考えてくれないかという要請がありますが、大臣、いかがでしょう。
  177. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) その問題については十分研究さしていただきたい。努力いたしたいと思います。
  178. 小柳勇

    ○小柳勇君 ただいまの大臣答弁は、起債ができる方向に御研究なさると、そういうふうにとってよろしゅうございますか。
  179. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) さようでございます。
  180. 小柳勇

    ○小柳勇君 次にもう一つ具体的に、小さい問題でありますが、これは関連することが広いので……。今、電発が若松に火力発電所をお作りになりました。開発銀行から金が出ておりますが、これを先般決算委員として調査に参りました。ほかの委員はどうお感じになりましたかわかりませんが、私は、これの説明を聞きながら問題を二つ持っております。一つは、低品位炭、ボタなどを中心にして三千カロリーの炭を使って工事を行なっております。第一期工事は、十五キロワットの発電であります。ところが、北九州の若松の一番はずれの海の埋め立てです。これに低品位炭を運びます。もっと道路もりっぱになりますけれども、どこから運ぶかというと、日炭高松あるいは貝島から運んで参る予定でありますけれども、まだ確たる方針、計画は聞いておりませんという話であります。したがって、そういうことで私もその工場を見ますと、石炭をたくようにはしておりますけれども、重油をたく用意もしてあります。で、電発としては利潤も上げなければなりませんでしょうし、開発銀行から金が出ておりますと、損する発電所では困ろうからしばらくは低品位炭をたくけれども、少し工合が悪くなると重油に切りかえて、どうしてもやっていけませんのでということで重油に切りかえをせぬかという心配を持って私は見て参りました。その点について大臣にまず御決意を聞きたいのは、これは若松の火力発電だけではございませんが、私は、今の石炭の危機というものを乗り切るためには、当分重油の規制をしたり石油の規制をしたり、低品位炭を使うとかして、あるいは火力発電なり、その他の工場にも石炭を使わなければなりませんと思うのです。したがって、われわれが調査して、安心して、そうか、三千カロリーの石炭をどれくらい使うか、したがって、この山は何年ぐらいまだ寿命があると、そういうようなことでなければ、ほんとうに産炭地振興計画は口に言うだけであって実際の腹は違う、そういう意味にわれわれはとらざるを得ぬのですが、その大方針について通産大臣の意見を聞いておきたいのです。
  181. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 将来の石炭問題解決にあたって、電気で石炭を相当使ってもらわなければいけないわけでありまして、そういう意味で私たちとしては、調査団の報告等にもございますが、極力これは進めて参る所存でありまして、今言ったような油が安くなるからどうとか、そういうような考え方では処置をいたさない方針でございます。  具体的に今度は若松の電発の火力発電でございますが、私の承知いたしております限りにおいては、お説のようなことは毛頭起こり得ない。現地の炭も使うし、また油も使うという計画を持っておることを聞いております。これについては、ひとつここに総裁も出ておいでになるから、総裁からもお答えをお願いしたいと思います。
  182. 藤井崇治

    参考人(藤井崇治君) ただいまの問題でございまするが、お説のように若松火力は低品位炭を対象にしてすべての設計が進められておるのでありまして、これはもっといい炭を使うとかというようなことは設計上できないので、三千カロリーを標準にしたものを使うということになっております。ただ御承知のように、三千カロリーというような粗悪炭は、従来使ったことがないために、万一の場合に消えたりすると困りますから、そういうときの念のための予燃として、予備にわずかばかりの重油を用意しておるのでありまして、これは若松火力に関する限り、将来重油火力にかえることは私ども考えてもおりませんし、そういう設備になっておりません。それからあの方面で買い付けまする石炭は、何分にも低品位炭でありまするために、遠方から送りますると非常に輸送費がかかりますので、できれば近い所で所要の炭量を確保したい、かように考えまして、今二、三の炭鉱と折衝中でございます。  これはお尋ねではございませんでしたが、念のために申し上げますると、本年度中は約二十九万トンばかりを用意することに手配を進めております。平年度はそれが七十六万トンになりまするが、ただいまは、先ほどお説はございましたが、第一基としては七万五千キロワットでございまして、第二基ができまして十五万キロワットになる、それが第一期計画でありまして、今のところはそれを対象にして計画を進めておるような次第でございます。大体さようなことで御了承願いたいと思います。
  183. 小柳勇

    ○小柳勇君 電発の総裁、せっかくでありますから、もう一問だけ質問いたします。  第一期工事ができまして、もう試運転に入っております。道路がございまして、トラック輸送をするということを聞きました。ところが、本年度二十九万トンの低品位炭を輸送するのは相当の量です。これを日炭高松は近所にございますが、貝島という言葉も聞きました。一体この二十九万トンをどこから集めようとしているか、できましたならばお話し願いたいと思います。
  184. 藤井崇治

    参考人(藤井崇治君) まず最初に、先ほど申し上げましたことを、ちょっと私勘違いをいたしたようにも思いますので、数字について補足させていただきますが、七万五千キロワットと申しましたのは、第一期計画の第一号機のことでございまして、二台で一期分が十五万キロワットでございますから、二期には三十万キロワットになるわけでございます。  石炭はすべて、先ほども申しましたように、運賃が非常な大きな問題でございまするので、近い所からなるべく取りたいと思います。そういたしますれば、日炭の炭鉱が最も近いのでございまするから、自然そこからは多く取るようになると思いまするが、貝島その他の炭鉱からも二、三引き合い中でございまして、値段さえ折り合えば、もう少し範囲を広げてちょうだいするようになるかと思います。  それから輸送の問題でございまするが、お説のとおりに、相当な量でございまするので、道路のみにたよるということは将来問題がございまするので、これにつきましては新しい輸送方法を講じたいと思いまして、目下そうした場合にどれだけの資金が要るか、それが輸送費にどういうふうに影響するかというようなこと、その他いろいろ調査を進めております。  内容につきましては、いろいろ補償その他の問題もございますので、しばらく答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  なお、先ほどちょっとお話がございましたが、開発銀行さんから私どものほうが融資を受けておるようにお考えのようでございまするが、私のほうは開発銀行さんからは融資を受けておりません。全部政府の財政資金によって直接まかなっております。
  185. 小柳勇

    ○小柳勇君 今の総裁の答弁ではまだ私わかりません。石炭の輸送が、もう試運転が始まっているわけです、石炭は本年度二十九万トンお運びになるのはたいへんなことです。私はあれをすっと調査いたしまして——まあ地元ですから調査せぬでもわかっておるのでありますが、もうしばらくは三千カロリーでいくけれども、二、三年すれば重油に切りかえるのではないかという心配を私持っているし、地元の人も持っているわけであります。それでこの公式の場である決算委員会質問したわけでありますから、あとのこまかい筋は総裁でございますからわからないでございましょう。もう少し私も勉強しまして質問いたしますが、ただ、今大臣と総裁のおっしゃったように、私どもはこの若松の火力発電所は三千カロリーの炭で、当分重油ではない低品位炭の火力発電所である、そういうことを確信してあれをもう少し勉強させていただく、こういうことで私は大臣に対する質問はこれで終わります。
  186. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣も五時十分には御用件があるようですから、私簡単に申し上げますが、非常に繊維界が悪いということは、私が申すまでもなく大臣も御承知ですが、ただ一つ聞いておきたいことがあるのですが、それは結果的には買い上げ機関で買い上げてみても、あるいはまた操短をやってみても、景気の安定が出てこない。こういう状態が続けば、これは第二の石炭みたような道をたどっておるのではないかというような気がするわけです。今国会に何か調整法を、今までの設備調整法というものを廃止して、今度新しく調整法を通常国会に提案される、こういうようなお話を聞いておるのですが、それは事実そういう考えなのかどうかですね、ひとつお聞きしたいのです。
  187. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のとおり、ただいま繊維産業の面も必ずしもいいわけではない。まあ一部どうやらやっておるところもありますが、一部は相当困っておるものもあります。ただ、しかし、それでは改正法案を今度の通常国会に出すかどうかということになりますと、ただいまのところではまだ用意いたしておりませんので、大体三十九年度に出そうかと、こういうようなわけで準備を進めておるわけでございます。
  188. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つの問題は、かりに設備過剰の問題の整理をするにしても、もし二百万錘もの錘数を廃棄したいと、こういう意見が強く出ておることも、新聞その他に発表されておりますが、こうした場合に、これは紡機が廃棄されるということになれば、これに関連します織機もおのずとそうでありましょうし、あらゆる関連産業がそういう状態になろうかと思うのです。そういうような状態の場合に、転換指導をしようとされるのか。もし転換指導でもする場合には、政府が買い上げ機関的な一つ機関を作って、政府の責任においてやろうとされるのか。そういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  189. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 過剰設備の二百万錘をどのように処理していくか。スクラップ化していくか、どうするか。また、そのやり方をどうするかというようなことにつきましても、今いろいろ検討を加えておる段階でございまして、これについては、具体的なことについては、局長から説明をさせたいと思います。
  190. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) ただいまお話のございました二百万錘の買い上げの問題、スクラップ化の問題につきましては、ただいま業界といろいろ話し合いをやっておる最中でございまして、通産省といたしましても、具体的な試案はまだ出ておりません。御承知のとおり、繊維産業全体、工業界全体といたしまして、ただいま約五百四十万錘程度のものを格納いたしております。これが過剰設備という格好に相なっておりますので、この過剰設備を何らかの格好で処理しなければ、長期的に見て繊維工業界の発展と安定はないという考え方のもとに、今せっかく検討いたしておる次第でございます。
  191. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 具体的にその案はないとおっしゃるのですが、二百万錘前後というものを廃棄すると、このことはやる意思があるわけですね。それをお聞きしたい。
  192. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) ただいま申し上げましたとおり、ただいまの考え方としては、そういう過剰設備をスクラップ化といいますか、なくさないと繊維工業界としては発展がない、発展できないというふうに考えておりますから、何万錘ということは別にいたしまして、今格納いたしております長期格納約百四十万錘、短期格納三百九十万錘というような数字に相なっておりますけれども、そのうちの相当部分をスクラップ化するといいますか、なくすことが必要だということで考えております。
  193. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大臣に対する質問はよろしいですから……。
  194. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、大臣、時間が少しありますから、もう一問だけお願いいたします。  大きな問題ですけれども、炭鉱離職者の退職金が支払われないために問題が起きてきている。具体的には大正炭鉱ですが、その他にもずうっと聞いてみますと、退職金を払ってない。炭鉱労働者はたいへんだというわけです。先般労働大臣にもいろいろ話しますと、もう退職金を払わぬような会社はひとつ告発をしなければならぬ、そこまで言っております。告発しても金が出るわけじゃございません。退職金をやらないで離職させるということについては、もう社会問題ですよ。どうでしょう。前から通産大臣は、もう前の大臣もその前の大臣も、炭鉱の退職金などについては、相当努力してもらっておりますが、ひとつ福田大臣も退職金の支給ができるようにあっせんなり御努力願いたいと思います。いかがでございましょう。
  195. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 御説のとおりでございますので、ひとつ私も一生懸命努力さしていただきたい。また具体的な問題で実はやっておることもございます。
  196. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、石油審議会も開かれておると思うから大臣に聞いておきたいのですが、石油業法十五条の発動をやるんですか。
  197. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) その問題につきましては、ただいま石油審議会において検討をいたしておるようなわけでございまして、通産省としてどういうことかというと、今のような石油の姿というものは不正常であるということについては、私たちはそういうものの見方をいたしております。したがって、何とかこれはせにゃいかぬということでございまして、どういう時期にどうしてどうするかということについては、石油審議会の意見等も聞いて態度をきめたいと思っております。石油審議会も、ただいま小委員会を開いてこの問題の詰めを行なっている段階承知をいたしております。
  198. 相澤重明

    相澤重明君 政府としてはいつごろ結論を出すつもりですか。
  199. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) なるべくといいますか、早い機会に相なろうかと存じておりますが、審議会の答申を待ってということになりますから、今委員会でやっておりますから、その委員会がどれくらいかかるかということにもかかってくるわけですが、その委員会答申が出ました上は、すみやかに態度をきめていきたい、かように考えております。
  200. 相澤重明

    相澤重明君 次に、資料として提出願いたいのは、石油関係の年間の需要量、同時に、アラビア原油の問題については、実は私は昨年も佐藤通産大臣にこの問題を質問したことがあるのですが、これらの問題をどう処理するか。やはり外国資本、民族資本という問題と二つに区分けをしてひとつ私は資料の提出を願いたいと思います。きょうは五時十分までという大臣の時間の制限があるので、実はやりたいことがたくさんあるのですができないのですよ。次回にいずれお尋ねしなければならぬと思いますが、やはり資料要求としてそういう点ひとつお願いしたいことと、ガソリンの消費量、これをひとつ出して、年間どのくらいこれから見込んでいくのか、ガソリン税の値上げについてどう考えるのか、こういう点を含んで資料を出してもらいたい。これはよろしいですね。  それからその次に、時間がないからずっと申し上げます。中小企業金融公庫の問題でありますが、中小企業金融公庫は、大臣、どうなんですか。三十二年度から三十六年度までのいわゆる金融機関に対する状況を考えて参りますと、どうも中小企業金融公庫そのものが決して全般的に多いとは言えないように思うわけですね。そこで、中小企業金融についてもっと積極的にやる意思があるのかないのか。それから特にその中で、中小企業というと、中小企業の中には工と商とがありますね。いわゆる工には多分に金が多く出るけれども、商には比較的少ない。たしか三十七年度でも一億なかったのじゃなかったかね。どうだったかね。その点は予算を見ないとわからぬが、それをいま少し三十八年度においては、前回のいわゆる国会においても、商店街振興組合法というようなものもできたわけですから、こういう面からいって、商の面についても、もっとやはり政府としては融資問題を考うべきではないか、こう思うのです。こういう点について、中小企業として全体のワクをどうする、それからその中で工商のバランスをどうする、こういうようなこともひとつあわせて報告願いたいわけです。  それからいま一つは、信用保証協会。信用保証協会というのは、中小企業に対してはきわめて重要な役割を果たす。ところが、私の調査をいたした結果によっては、必ずしも信用保証協会というものは十分利用されておらない。時間があれば十分一問一答やりますよ。時間がないから私は言わないけれども、この私の調査をしたところによると、必ずしも中小企業のために十分利用されておらない。ましてや二重に利用されている状況を考えていけば、一般的にいって、ほとんど十四人に一人かあるいは二十人に一人かくらいしか、実際には中小信用保証というものは利用されておらない。こういうようなことが、これは私の数字上明らかになっておるわけです。こういう点について、もっと信用保証について積極的に政府が利用度浸透策というものを考うべきではないか、こういうように思うのだが、そういう点についての考え方というものも明らかにしてもらいたいと思う。  それから先ほど中小企業金融公庫の資金の問題について申し上げたわけでありますが、中小企業金融公庫自体が代理貸付をやらしておるわけですね。この代理貸付そのもの自体、これは中小企業金融公庫関係者がおると思うのですが、政府のいわゆる中小企業振興に対する意思に沿っておるかどうか、こういうことは、私が民間金融機関を、中小企業の代理貸付を行なっておるものを調査したところによると、必ずしも妥当でない、そういうものについてはどうするか、こういう点について通産大臣中小企業金融公庫総裁とのひとつ意見というものを私は出してもらいたいと思う。  それからいま一つは開発銀行でありますが、先ほど電源開発の藤井総裁の話にもありました、開発銀行の当初の考えというものは、基幹産業に対する融資をするのが目的であって、現在のこの開発銀行に対するところの融資状況というものを見た場合に、これでよいのか、このままでいっていいのか、これは今開発銀行自体について、いま一度検討する必要があるのではないか。今、開発銀行に対するところの重点的な融資状況を見ると、必ずしも開発銀行を設立した当初の趣旨そのものには私は沿っていない、むしろ発展的にこれは改正されておると思う。先ほど電力の問題を言われたとおりであります。そういうことからいって、政府自体がこの開発銀行のあり方について、いま一度御検討をされる必要があるのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。そういう点について政府はどうするかということをひとつ考えてもらいたい。  それからさらに通商産業省自体について、見本市の問題というものは大きなやはり役割を果たすわけでありますが、昨年度実施した反省の上に立って、見本市を今年度昭和三十八年度ですね、どういうふうに計画をしてやろうとするのか、また、今までの赤字になったものはどう処理をするのか、こういうことについても、決算委員会ですから、当然そういうことは全部報告を受けなければならぬのでありますが、残念ながら時間がありません。時間がないので、今申し上げたようなことを、それぞれひとつ検討をされて資料を提出をしてもらいたい。  私の申し上げることはたくさんありますから、きょうは大ざっぱに申し上げました。その点をひとつお願いしたいと思うのです。
  201. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は繊維局長にお願いしたいのですが、私も資料だけでけっこうです。中小企業の設備近代化の補助金の問題ですがね、これは全般的な問題になろうかと思いますけれども、四千四百六十三企業に対して近代化をはかった、三十三億九千万円の貸付をした、こういうことで非常に効果が大きく上がったという報告がなされております。これは一体どういう業種と業種が——これは繊維局ではありません。該当になった四千何ぼという近代化されたものは、どういう業種とどういう業種か、これをまず提出してもらいたい。  今度は繊維局のほうですが、繊維局のほうとしてお願い申し上げたいことは、近代化はどういうふうにして、どういう業種とどういう業種が近代化されてきているか。種別に言うならば、綿紡ではほとんど近代化したのか。それから毛紡はどうか、紡毛はどうか。さらに染色整理並びに綿布あるいは絹、人絹、合成繊維、こういうような状態に分けてもらえばけっこうです。これをぜひひとつ近代化された効果というものを発表願いたいと思うのです。あとでけっこうですよ。  それからもう一つお聞きしておきたいことは、この織機の家内工業的な産業は日本にどのくらいあるのか調べたことがありますか。五台か六台持って家族だけでやっている産業はどのくらいあるか、あったら一ぺん答弁して下さい。
  202. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) ただいま御指摘になりました点は、今私手元資料を持っておりません、繊維局では調べているだろうと思いますけれども。後刻提出いたします。
  203. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 では、資料を出してもらいましょう。  それからこれは通産省の職員の方でけっこうですが、経営の改善に対する普及員として二千三百二十八人の人を派遣した、こう言われているのですが、どういうふうにこの派遣人員というものは各県に派遣されたのか、あるいは業種別ででもよろしい、各県ごとでもよろしい、これをひとつ資料を出してもらいたいと思います。どういうふうに派遣がされたか。その派遣された人員はあとで御報告願えばいいが、これは質問ですが、その普及員の報告を毎月受けているかどうか、これをひとつお聞きしたい。普及員を派遣しているが、その報告は毎月政府として受けているかどうか、この点お聞きしたい。
  204. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) ただいまの商工会議所または商工会に配付いたしております四千四百十七人の経営指導員、それから二千二百九人の補助員というものの一応定員をいただいております。大体ほぼ充足いたしておりますが、こういうものの県別というものにつきましては、これは後刻資料として差し上げさせていただきます。  それから毎月々々どういうことをやったかということは、月別には報告を受けておりません。ただ年度間でどのくらいの指導をやったかということは、年度としては受けているが、毎月どうやったかということについての報告は受けておりません。
  205. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 三十五年からこのことを実施されておられるのですが、私は現実に見てきたのですが、これは繊維局もひとつ聞いておいてもらいたいと思うのです。栃木の坂西町ですか、ここで大体働いておる労働者が家内企業的なやり方をしています。私は一万人おると思いますが、十七時間働いておりますよ。そうしてスカーフをやっておるわけですが、六十ヤール物で約千円ぐらい、十七時間で六十ヤールしか織れないわけですな。そうすると、あらゆるその材料、電力代とか消耗品とか、そういうものを引くと、四百七、八十円にしかならぬと、こういうのですがね。これがほとんど土間ですね、早くいえば土間の上に機械を据えて、そして朝の六時から晩の十時、十一時、ひどいのになると一時ころまでも操業をやっておるという実態があるわけです。これは軒並みです。こういう問題を三十五年から指導しておられるにかかわらず、依然として三十年前の機械を使って家内企業的なやり方をほうっておくというその手は、一体何をしておるのかというのです。これはどうです、この実態は。私はそれでさっきから聞いておるのは、それだけの人間を派遣されたのなら、ほんとうに経営の状態から見ても企業の実態から見ても、一体、地方の官庁にそれがおるとするならば指導すべきじゃないか、どうして指導ができないのか。その点ひとつ答弁願います。
  206. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) ただいまお話のありましたような実態が絹、人絹の関係で、部落の関係で栃木県でございますとか、その他のところにあるということは承知しております。まあこれは企業家の立場からいきますと、結局農村における農閑期の余剰労働力といいますか、そういうようなものを利用したような格好に相なっておると思いますけれども、まあそういう点でお説のように機械も非常に古い機械でございますし、それから実際に働く場所もこれは工場というようなことではございませんで、自分のうちで長時間労働というような格好に相なっておるということを聞いております。こういう点につきましては、もちろん繊維局といたしましてもだんだん指導はいたしておりますけれども、何分非常にむずかしい問題でございまして、今後いろいろ指導はやりたいと思っておりますが、まあたいへんむずかしい問題であるということをひとつ御了承願います。
  207. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 むずかしいむずかしいと言ってほうっておかれるということになりますと、私はもう一度聞きたいのだが、一体金融引き締め以来、第二次の調整をやっても三次の調整をやっても、いわゆる長い歴史を持つ綿製品とかあるいはウールとかスフとか、こういうものが依然として価格の安定がしないのは、こういうものの指導というものをもっと合理的にやって、そうして長時間労働でその加工賃だけでやるというような行き方が、これはこの欠陥として価格の安定のできない大きな要因でないかということを私は思うのだが、一体繊維局長はその点についてどう考えるか。
  208. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) ただいまのお話の綿でございますとか毛でございますとか、従来からの日本の古い繊維製品、衣料品が非常に底の状態になっておりまして、なかなか低迷状態からはい上がれないという状況は御指摘のとおりでございます。この原因につきましては、いろいろあろうかと思いますけれども、まあ私の感じといたしましては、ただいまの段階におきましては、金融引き締めのしわの関係一つあると思います。それからもう一つは、よく御承知のことだと思いますけれども、繊維製品全体といたしましての内需といたしましては、大体日本の個人消費の伸びのテンポとある程度の相関函数で伸びております。でございますから、全体としては多少の——多少といいますか、ある程度のテンポで伸びておるわけでございますけれども、御承知のとおり、これはアメリカを初めといたしまして、ある程度の先進国の世界的な現象でございますけれども、合成繊維が最近非常に普及をいたしました。それでそういう意味で消費者の繊維製品に対する需要の型が多少変わりつつあるのではないかというふうな現象が生じております。そういう関係で綿とか毛の関係が合繊等に比べますと、ある程度おくれておるわけでございますが、まあそういう関係。それからもう一つは、さっき御指摘になりました綿、毛、スフ等につきまして相当の過剰設備が企業経営の足を引っぱっておるというふうな、大体三つの原因が今申し上げました綿とか毛を低迷さしておるというふうに私は考えております。また、御指摘のように、たとえば合成繊維の売り方だとか、あるいは作り方の関係を見ますと、これは合成繊維は紡糸の段階までは非常に化学工業、近代工業でございますから、ただいま御指摘になりましたような絹、人絹等に見られます非常に前資本主義的な残滓というものを持っておりません。したがいまして、その売り方等につきましても非常に近代企業的な売り方をいたしております。そういうような点で、御指摘のように綿とか毛は合繊に比べましてある程度非常に悪い点を持っております。
  209. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 時間がありませんから、私簡単にやりたいと思うのですが、おっしゃるとおりに、それは合繊が非常に伸びて、旧来の繊維、先ほど申し上げた綿とかあるいはウールとかスフが悪いという点は私もわかりますよ。けれども操短をして、しかも、四割近くの操短をしておるという事実で、小売は減っておるわけです。あなたも御承知のとおりに、それでも価格の安定が出てこないというのは、私が先ほど申しました足利市の問題も、これはこの前まで綿をやっておったのです。ところが、これだけ金融引き締めで長期にわたる不景気というものが続くと、原糸の安いものを買うております。その原糸の安いもので仕入れて新しい来年の夏のものを売ろうとしたら安く売るのはあたりまえです。これじゃ価格の安定はできませんよ。だから私は、三十五年以来これだけ政府はやはり設備改造費として出して、人員も相当派遣して指導しようという立場をとったのであるならば、この二年間にもっと積極的な指導方針というものを打ち出して、そうしてそういう中小企業を早く助けておく、そうして乱売しないような方法をとる、食うためにそれはやりますよ。さっきおっしゃるような、半農半工とおっしゃいますけれども、これは全くたんぼはわずかです。そうして原糸がないわけです。綿がないから、仕方がないから頼みに頼んでそうして商社に頼んで合繊の原糸をもらって今やっているわけですね。私はこれは政府の指導が足りないと思うのです。そうして一方においては大きな操短をやっておる。こういう問題は、私は、これは単に金融引き締めだけじゃない、行政措置の指導が十分でない、二年間にわたって。まだ申し上げたいことたくさんあるのだけれども、むしろ繊維界が今やっておられることは、系列化に相当の近代化資金というものを使われて、系列化以外のものには近代化の資金が使われていない事実を私はたくさん知っている。そういう点を一体どう繊維局長はお考えになるのですか。こういう点は私は行政措置の誤りじゃないか、こういうふうに指摘したいのです。  最後に、私は御質問申し上げますが、もしこれが転換するというような場合、これは政府はほんとうに買い上げ機関で買い上げて転換の指導をするという意思があるのかないのか、繊維局長自身のお考えはどうなのか、それを一ぺん聞かして下さい。もう一ぺんあと質問しますが、きょうは時間がありませんので、これで終わりますが、繊維局長自体としては、こういう問題については一つの救済の手を伸ばそうとしておられるのか、この意見を私は聞かしていただきたい。
  210. 磯野太郎

    説明員(磯野太郎君) 今いろいろ御指摘になりましたような状態だとか、それから私が申し上げましたようなこともございまして、繊維全体についてある程度の転換が行なわれるだろうと思います。そういう点につきまして、これは政府としても、それはスムーズにいくようにいろいろ手を打つ必要があると思いまして、今せっかく検討中でございますが、特に中小企業関係につきましては、これはなかなか自力で転換不可能でございますので、通産省といたしましても、今の転換に必要な資金その他につきましては、できるだけのことをやりたいと思っております。
  211. 小柳勇

    ○小柳勇君 私はこれで最後ですが、石炭局長に、さっきの話の続きを伺いたいと思いますが、要望と最後に御意向を聞いて終わりたいと思いますが、油須原線を先般調査団が調査に参りまして異口同音に言いましたことは、七年間もう路盤ができまして、約七割は完成しております。雨ざらし日ざらしであります。川崎町の役場に参りまして、地元の促進協議会の人たちが全部集まりまして陳情がありました。結論的に言いますと、長い間陳情してきて、結局は今残っているものはこの川崎町近郊の鉱区補償の問題だけである、これさえできれば問題は解決する、その鉱区の補償については、われわれも足を運んで古河鉱業なりその他の鉱業権者と会った、話は結局は通産省にもう行っている、通産省が国鉄と話し合ってくれさえすればこの問題は解決するのでございますと、これが私どもが聴取して参った調査の実態でございます。ところが、さっきから、石炭局長が努力しておられることはもちろんよくわかっておりますが、問題が解決しませんと、幾ら努力されましてもそれが現われぬのでありまして、近い日に国鉄なりあるいは地元を呼んで、あるいは鉱業権者を呼んで、これが補償の問題を解決するように努力していただけるかどうか。いただけるならば私もそれに参加さしていただきまして、早急にこの問題を解決して、今地元の人たちはこれさえできれば何とか生活がなるような希望を持っているわけです。石炭局長、通産省を代表して石炭局長の御意向を聞いて、私の要望なり質問を終わりたいと思います。
  212. 中野正一

    説明員(中野正一君) 油須原線の問題につきましては、通産省として、一日も早く問題が解決するように、関係のところと早急に話し合いを進めまして問題の解決に当たりたいというふうに考えております。
  213. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 残余の審査は後日に譲ることとし、本日は、これをもって散会いたします。    午後五時三十二分散会