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参考人(
清井正君) 最初にお述べになりました支店の問題でございますけれども、委託貸しを全部やめて直接貸しとする考え方の問題でございますけれども、私どもといたしましてはただいま九支店をブロック別に持っておりまして、
職員は大きいところで四十五人、小さいところで三十五人ぐらいの
職員でやっているわけでございますが、片一方に御承知のとおりに農林中央金融金庫がそれぞれぞれ重要なところに支所を持っておりますし、各県には各県の信連がございますし、それから地方銀行があるというような形で、相当各地方には、地方の実情に明るい金融
機関があるわけであります。したがいまして、私どもの立場といたしましては、全府県にわたって支店を
設置して、そうして直接貸しを全部するというところまでは、いささか私どもの仕事としては適当でないのじゃないかという考え方っております。むろん今の支店九つだけでいいとは考えておりませんが、しかし、ある意味において全部の地方に支店を作りまして直接貸しをするといたしますれば、やはり機構の重複というような問題もございますし、人員の合理性を欠くという問題もありますし、いろいろな観点から申しまして、かえってこれは複雑になるのじゃないかという考え方を持っております。
その大きな
理由は、私どもの
貸付をいたしておりますのは
土地改良が三分の一、残りの三分の一が自作農創設維持
資金、あとは漁船とか造材というものを除きますれば、ごく零細な
農家に貸すことが多いわけであります。たとえば
北海道の寒冷地の
農家、あるいは宮崎地方の特殊土壊地帯に貸し付ける
資金とか、それから開拓者に対する
貸付資金とか、非常に山奥の
農家に対する
貸付資金、そういうものが相当多い、
実地を見て貸し付ける
金額が非常に多い。したがって、現地をしょっちゅう見ておりまして、そういうふうな
農業資金の実情をよくつまびらかにいたしている金融
機関におまかせするほうが、金融を円滑にする一つの手段であると考えまして、現状では、ただいまの九支店じゃ不足だと思いますが、全部に支店を持って委託貸しをやめて直接貸しにするということは考えていないのであります。ただ、どちらが経済的になるかという点を申しますと、これは私どもの計算でいいますと、やはり直接貸しをしたほうが経済的だと思います。今まで支店を作りましたところでも計算をいたしますと、二年までは赤字だが三年目からは黒字になったということで、両方を比較いたしますと、
公庫だけの採算からいたしますと、全部直接貸しにしたほうが採算上はいいと思いますけれども、しかし、これはもっと詳しく計算しないとお答えができませんが、そういうような計算になりましても、建前としては、私は今の
公庫の支店を若干
増加する程度でいいのじゃないかという感じを持っております。それは現状に対する考え方でございます。
ただいま後段で御
指摘になりました農林金融全体の改編の問題でございますが、この点につきましては、今直ちに私がどうこうというふうに申し上げるわけにはいかぬのでございますが、ただ、私が日ごろこの金融を担当いたして感じておりますることを率直に申し上げますれば、あくまでもこれは長期、低利の
資金が必要であるということは、私どもが実際
貸付をいたす上において非常に考えらられることでございます。ということと同時に、単なるこれは金融だけでなしに、金融と行政がもっとマッチしていくべきじゃなかろうか。あるいは
貸付後の
指導、外国の例もお引きになりましたが、外国にも、そういう例があるのでありますが、もっと金融だけでなしに、金融と行政
指導、
農家の
経営と直接マッチしていく
指導というものが、十分金融とマッチして、この系統金融というものがうまくいくのじゃないかという気がいたしておるのであります。現在の私どもの
貸付がさらに長期、低利でいけばけっこうでございますが、それとともに必要なのは行政と金融とのマッチ、これを並行していくということが行政をよくし、また系統金融を意義あらしめるものであるというふうに私は考えておるのであります。これを一つを取り上げましても、大体同じような問題でございまして、つくづく私どもといたしましては、行政と金融というものを、さらに緊密化することが必要であるというふうに考えます。
ただ、長期、低利にいたしますと申しましても、ただいま私どもが当初に申し上げましたような条件がございます。ただいたずらに長期低利がいいというわけにもいかないのでありまして、やはり金融
機関である以上は、金融の独立性、機構の独立性という面も考えていかなければなりませんので、かりにもっと現在よりも長期にし、現在よりも低利にしようとしますれば、それに対する財政的な裏打ちということが必ず必要であります。これは単なる
農業金融だけの問題でなしに、政府全体の問題になって参りますので、抽象的には、そういうことがいいということがいわれますけれども、今直ちにそれを実行するかどうかという点につきましては、いろいろの観点から御検討を願わなければいかねと思いますが、率直に金融対象をながめてみまして感じましたところは、そういうところでございます。
要するに今後に対する融資条件の緩和の問題と、それから行政と金融との関連をもっと強くする、それから、しいて申しますれば、同じ金融でも一つの対象に——私どもは施設
資金でございます。運転
資金は貸さないのでございますから、運転
資金は系統金融から借りるということになりますと、その系統から貸します運転
資金と、私どもが貸します施設
資金との
関係が、ときどきうまくいかない場合があり、厩舎はできたけれども牛は入ってこないとか、牛は買っても厩舎ができないということが、ままあり得るわけでございます。そういうことは、われわれがよく注意をすればできることでございますから、もっともっと注意して、遺憾ないようにいたしますけれども、まあ
制度的にも、いわゆ
公庫金融と他の系統金融との関連をもっとつける、運転
資金と施設
資金との関連をもっとつけて、総合的に
貸付をするようにする、いわばセット融資的なところがあますが、そういうことをただいまの私どもがやっております融資の中に取り入れることも必要ではないかというふうに考えるわけでございます。まあいろいろほかにも個々に問題はございますけれども、大体感じました点は、以上のような点が
公庫をおあずかりいたしまして、実際
貸付をいたしまして、借り受けを受けた人々の意見を聞いたり、感想を聞いたりしているうちに感じました点を御参考のために申し上げた次第ございます。