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1962-09-04 第41回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月四日(火曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木  壽君    理事            岡村文四郎君            仲原 善一君            横山 フク君            相澤 重明君    委員            久保 勘一君            二木 謙吾君            前田 久吉君            谷村 貞治君            山本  杉君            北村  暢君            佐野 芳雄君            横川 正市君            和泉  覚君            高山 恒雄君            奥 むめお君            林   塩君   国務大臣    厚 生 大 臣 西村 英一君    労 働 大 臣 大橋 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    厚生政務次官  渡海元三郎君    厚生大臣官房長 熊崎 正夫君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    厚生省薬務局長 牛丸 義留君    厚生省社会局長 大山  正君    労働省労政局労    働法規課長   青木勇之助君    労働省職業安定    局長      三治 重信君    会計検査院事務    総局第三局長  中島 尚文君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算(第四十底国会内閣提出) ○昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度政府関係機関決算書  (第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度物品増減及び現在額  総計算書(第四十回国会内閣提出) ○昭和三十五年度国有財産増減及び現  在額総計算書(第四十回国会内閣提  出) ○昭和三十五年度国有財産無償貸付状  況総計算書(第四十回国会内閣提出)   —————————————
  2. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和三十五年度決算外三件を議題とし、審査を進めます。  本日は、厚生省及び労働省につきまして審査を行なうわけでありますが、審査の都合上、午前厚生省、午後労働省の順序で審査をいたしますので、御了承をいただきます。  それでは、まず厚生省関係決算につきまして説明を求めます。
  3. 渡海元三郎

    説明員渡海元三郎君) 昭和三十五年度厚生省所管一般会計及び特別会計決算概要について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算額につきましては、当初予算額一千六百四十七億一千四百余万円でありましたが、その後、生活保護費国民健康保険助成費等不足に伴う補正予算額百七億五千八百余万円、総理府所管からの移しかえ増加額一億八千九百余万円、前年度繰越額三十三億一千百余万円、予備費使用額三億六千百余万円、計百四十六億二千七万余円を増加し、予算現額は一千七百九十三億三千五百一万余円となりました。これに対しまして、支出済歳出額は一千七百六十五億三千百五十九万余円、翌年度繰越額は十四億九千二百二十一万余円、不用額は十三億一千百二十万余円で決算を結了いたしました。不用となりましたおもなものは、結核対策費国民年金等事務取扱費社会保険国庫負担金等でありまして、以上が一般会計決算大要であります。  次に、特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。  第一は、国民年金制度実施に要した経費であります。国民年金のうち、福祉年金につきましては、昭和三十五年度より給付を本格的に実施し、延べ七百五十二万四千余人受給権者に対し支払いをいたしました。  拠出年金につきましては、昭和三十五年十月よりその適用事務が開始され、昭和三十六年三月末における被保険者数は、一千七百八万六千余人に達したのであります。  第二は、国民保険の推進に要した経費であります。昭和三十五年度国民保険四カ年計画の最終年度でありますが、ほぼその目的を達成し、国民健康保険におきましても、昭和三十六年四月一日を期して全国普及が実現したのであります。四月一日現在における国民健康保険保険者数は三千六百五十九、また被保険者数は四千八百三十二万四千余人に達し、昭和三十四年度末に比して四百八十八万人の増となったのであります。  第三は、生活保護及び社会福祉増進に要した経費であります。  生活保護につきましては、三十五年度経済情勢の好転による影響が低所得階層にも反映したこと等の理由により被保護世帯数は前年度よりやや減少しておりますが、医療扶助におきましては、結核及び精神病患者収容増加等により、かえって、著しい増大を示し、さきに申し述べましたとおり、予算を補正追加した次第であります。  次に、社会福祉に要した経費でありますが、まず精神薄弱者福祉対策につきましては、各都道府県及び五大市に精神薄弱者更生相談所設置する等、本施策充実に努めました。  また、低所得者階層自立更生の促進につきましては、世帯更生資金貸付等従来の施策のほか、新たに市町村単位に百八十カ所の心配ごと相談所設置いたしました。  第四は、児童福祉及び母子福祉増進に要した経費であります。  児童福祉対策につきましては、精神薄弱児施設児童遊園母子健康センター等施設整備拡充収容児童等処遇改善を行ない、また児童福祉施設に勤務する職員の待遇改善を行ないました。  次に、母子福祉対策でありますが、本年度も五万七千余人に対し母子福祉資金貸付を行ないましたほか、本対策の一環として、新たに母子福祉センター設置いたしました。  第五は、結核対策に要した経費であります。  結核対策につきましては、前年度に引き続き、在宅患者の管理を強化いたしますと同時に、濃厚感染源患者入院措置を重点的に実施いたしました。  右のほか、国立結核療養所に要した経費等を加えまして、百七十六億三千百九十四万余円の支出を行なっております。  第六は、急性灰白髄炎予防に要した経費であります。  急性灰白髄炎は、従来散発的に各地に発生しておりましたが、本年に入り北海道初め数県に集団発生をし、急激に全国流行のきざしをみたのであります。これが対策として、関係施設整備拡充等をはかりますとともに、全国延べ二百二十万人の乳幼児を主対象といたしまして予防接種実施いたしたのであります。これに要した経費として、予備費使用額は二億三千七百九十九万余円となったのであります。  第七は、環境衛生対策に要した経費であります。  簡易水道施設につきましては六百三十六カ所を新設し、下水道終末処理施設は十一カ所、屎尿処理施設におきましては五十カ所を、それぞれ新設いたしました。  以上、厚生省所管昭和三十五年度一般会計決算概要を御説明申し上げましたが、次に特別会計決算大要について申し上げます。  第一は、厚生保険特別会計決算であります。  厚生保険特別会計につきましては、一般会計より七十二億三千七百四十四万余円を繰り入れました。  まず、健康勘定決算額について申し述べますと、収納済歳入額は九百四十二億四千五百四十七万余円、支出済歳出額は八百八十九億六千十七万余円でありまして、差引五十二億八千五百三十万余円の剰余を生じ、これをこの会計積立金として積み立て、決算を結了いたしました。  昭和三十六年二月末の事業所数は三十七万九千余カ所、年間平均保険者数は八百五十四万六千余人に達しております。  次に、日雇健康勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額七十億六千九百九十三万余円、支出済歳出額七十億四千四百二十二万余円でありまして、差引二千五百七十一万余円の剰余を生じ、これをこの会計積立金に積み立て、決算を結了いたしました。なお、年間平均保険者数は九十一万七千余人であります。  次は、年金勘定でありますが、決算額は、収納済歳入額一千五十億六千七百九十九万余円、支出済歳出額百十三億一千八十三万余円でありまして、差引九百三十七億五千七百十六万余円の剰余を生じ、これをこの会計積立金に積み立てました。  最後は、業務勘定でありますが、その決算額は、収納済歳入額六十五億三千二百五十四万余円、支出済歳出額六十億五千二百一万余円、翌年度繰越額一億四百三十二万余円でありまして、差引剰余額は三億七千六百二十万余円であります。  第二は、船員保険特別会計決算であります。  本会計につきましては、一般会計より四億四千五百五十三万余円を繰り入れまして、その決算額は、収納済歳入額八十五億六千三百八十四万余円、支出済歳出額五十八億一千九十六万余円でありまして、差引二十七億五千二百八十七万余円の剰余を生じ、これをこの会計積立金に積み立て、決算を結了いたしました。  本年度事業状況を申し上げますと、年度平均の被保険者数普通保険で二十一万六千余人保険給付につきましては、疾病保険で四十億五千五百余万円等であります。  第三は、国立病院特別会計であります。  本会計には、一般会計より十四億八千九百四万余円を繰り入れまして、その決算額は、収納済歳入額百十三億五千五百九十三万余円、支出済歳出額百十一億六千五百八十五万余円でありまして、差引一億九千八万余円の剰余を生じました。  本年度事業概況を申し上げますと、入院患者延べ数は八百四十一万余人外来患者延べ数は七百三十五万八千余人であります。  第四は、あへん特別会計であります。  その決算額は、収納済歳入額三億九千四百七万余円、支出済歳出額三億七千五十九万余円でありまして、差引二千三百四十八万余円の剰余を生じ、剰余金はこの会計の翌年度歳入に繰り入れました。  本年度における業務実績は、購入五十七トン、売却五十二トンであります。  以上が厚生省所管一般会計及び特別会計歳入歳出決算概要であります。  最後に、本決算につきまして、会計検査院より指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないととろであります。  今回指摘を受けましたものは、一般会計におきましては、簡易水道等施設費補助金経理当を得ないもの二件、特別会計におきましては、健康保険及び厚生年金保険保険料徴収不足の是正に関するものであります。  簡易水道等施設費補助金関係二件、国庫補助金相当額にして百二万円余につきましては、すでに返還を命じておりますが、昭和三十六年度より、事務処理方式改善をはかりますとともに、さらに一そう指導監督を強化し、経理の適正を期する所存であります。  また、保険料徴収不足につきましては、鋭意その解消に努力してきたところでありますが、今般重ねて指摘をうけましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。今後は繰り返し指摘を受けることがないよう、適用事業所に対する啓蒙指導に努める一方、調査の徹底をはかるとともに、事務取扱いについてもその合理化を検討し、適正な保険料徴収に努力いたす所存であります。  以上をもちまして厚生省所管一般会計及び特別会計決算の御説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議のほど御願い申し上げます。
  4. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、会計検査院当局より検査報告を聴取いたします。
  5. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 昭和三十五年度決算検査報告の中におきまして、厚生省関係指摘事項といたしましては、先ほど厚生省当局から御発言がありましたように、簡易水道等施設費補助金等経理当を得ないもの及び健康保険および厚生年金保険保険料徴収不足を是正させたものの二件でございます。  三十五年度におきまして、会計検査院実地検査にあたりまして、二十七都道府県において簡易水道施行状況調査いたしましたところ、福岡県の嘉穂郡鎮西花瀬地区簡易水道新設事業と、それから態本県の天草郡五和御領地区簡易水道新設事業におきまして、補助金の交付が過大であるという問題がございました。  福岡県の鎮西村の簡易水道におきましては、送配水管の布設に当たりまして、その道路復旧にあたり砂利敷をいたすのが、工事費九十三万円程度が出来高不足になっております。二十三万円の補助金の過大となっております。  熊本県の五和町の簡易水道におきましては、工事費が実際には低額であったのを、千七百七十二万円で施行したごとくに精算されておりましたが、実際は千五百四十六万余円で施行されたのでありまして、差額三百十八万円に相当する補助金百二万円が過大になっておったのであります。  次に、厚生保険特別会計健康勘定及び年金勘定における保険料徴収不足につきましては、昨年中——三十六年度におきましては、六千八十二事業所を実際に調査いたしましたところ、その五七%に当たりますところの三千四百八十七事業所において徴収不足事態が見受けられました。これを是正させたものが、健康保険保険料において六千二百四十一万余円、厚生年金保険保険料におきまして二千五百六十二万余円に上っております。この徴収不足の態様を見ますと、保険料算定の基礎となる標準報酬月額が過少であったもの及び被保険者資格取得の届けが適正に提出されなかったことによるものでございます。このような事態は、事業所側届出に不実の点があったり、届出義務を怠ったりしたことにもよるのでありますが、また一方、実施機関側において調査指導が不十分であったことも一つの原因と考えられます。  なおまた、滞納保険料に関しまして、延滞金徴収については、迅速な処理をするように従来から注意して参ったところでありますが、本年度におきましても、二十七都道府県におきまして徴収決定状況調査いたしましたところ、滞納保険料を収納しているのにかかわらず、延滞金徴収決定の遅延しておるものがありました。これを指摘し是正させたものが八千三百二十事業所分、三千六百八万余円に上っております。  簡単でございますが、以上をもちまして説明を終わります。
  6. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 三十五年度決算を見ておりまして、非常に厚生省当局仕事の分野が広がってきたという事情もありましょうが、古くから行なわれている、しかも非常に庶民大衆のために重要な仕事が、なおざりにされているという感を実は受けるわけであります。厚生白書の三十五年度公益質屋の項を見ますと、「公益質屋が、低所得者層に対し、防貧対策として大きな役割を果たしていることを知ることができる。」と、こういう表現を使いながら、そうして「その設置に対する国の補助あるいは地方起債のワクの拡大をはかって、これがその仕事をやっていきたい。」、こういうふうに厚生白書は言っておりますが、そうして政府は、福祉国家による国民大衆生活の向上を行ないたいということで、社会福祉拡充強化を絶えず叫んでおるのですが、そこで、そういうふうな建前から見て、一体公益質屋現状をどう見ておるか、あるいは公益質屋の今日から将来に対してどういう考え方を持っておるかをお聞きいたしたいと思います。  そこで、今日の公益質屋の数が一体幾らあるのか、それが、三十四年、三十五年、三十六年というふうに見た場合に、どういうふうに増減しておるか、積極的に指導育成対策をとっておるかを伺いたいと思います。とりあえず、三十四年、三十五年、三十六年の現状においての公益質屋の数を知らせていただきたいと思います。
  8. 大山正

    説明員大山正君) 公益質屋の数でございますが、昭和三十三年におきましては八百二十五カ所、三十四年には八百三十六カ所、三十五年には八百四十八カ所、三十六年には八百三十一カ所、かような数字になっております。
  9. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そうすると、三十五年から三十六年には設置個所は減っておるというふうに言えるわけですね。
  10. 大山正

    説明員大山正君) 三十五年に比べまして、三十六年におきましては若干減少いたしております。結局、廃止した個所があるということでございます。
  11. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 厚生省のほうでは、公益質屋の減るのはいろいろな事情があるでしょうが、積極的にその対策をとろうという考え方指導してきておるのではないのだというふうに受け取ってよろしいのですか。
  12. 大山正

    説明員大山正君) 私どもといたしましては、公益質屋が、一般庶民と申しますか、低所得階層に対する対策といたしましてたいへん重要な位置を占めておる、かように考えておるのでございます。現在におきましても、若干利用状況は頭打ちあるいは下降ぎみでございますが、それにいたしましても、昭和三十六年度におきましては、口数にいたしまして百九十万口、金額にいたしまして三十億九千四百万円といったような貸付を行なっておりますので、庶民金融といたしましては非常に大事な役割を果たしておる、かように考えるのでございます。ただ、御指摘にもありましたように、一般の景気の上昇と申しますか、経済情勢がよくなっておりますし、他面におきまして、社会保障の諸施策、特にいろいろな公的な貸付金等制度ができて参りましたために、この公益質屋現状は必ずしも伸びておらないというような形に相なっております。私どもといたしましては、今後の公益質屋拡充につきまして、年々、増設あるいは設備整備等につきまして、補助金予算に計上いたしておるのでございますが、遺憾ながらこれも消化が十分でないといったような現状にございます。今後、私どもといたしましては、さらにこの設備予算を計上いたしまして、その円滑な消化をはかる、それによって増設をはかりますとともに、現在公益質屋運営面におきまして、たとえば営業時間が、やはり役所仕事であるために、五時なら五時に終わってしまう。ところが、一般庶民利用の便宜からいえば、むしろ夕刻あるいは夜分にかけて営業してもらったほうが便利であるというような運営の問題もございますし、あるいはまた、利用についての宣伝を行ないましたところが、非常に利用がふえたといったような例もございますので、これらの点の運営につきましては、さらに工夫を加えまして改善をはかって参りたい、かよう考えております。
  13. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 三十四、五億をこえる貸付を行なって、二百七十万件以上の貸付を行なっておるということは、一人で二件以上の貸付を受ける人もありましょうが、それにいたしましても、二百万人以上の庶民大衆公益質屋利用しておることを物語っておるわけですけれども、そういうふうな公益質屋利用するところの庶民大衆金融機関としての公益質屋については、もっと真剣にこの問題に取り組むことが必要であると思うのです。そこで、厚生省が、公益質屋を、今日の時代からいうと有用なものではない、あるいは時代の変遷に基づいて公益質屋というものの活用の方法については多少考えなければならぬというふうなことであるといたしますならば、もはや何をか言わんでありますけれども、有用であると、そうして積極的にその改善あるいは庶民大衆利用に供するような方法を講じたいということでありまするならば、もう少し真剣にいろんな角度から御検討を願いたいと思うのですが、こういう点について次官のちょっとお考えを承っておきたい。
  14. 渡海元三郎

    説明員渡海元三郎君) 実は私、まだ厚生省に入りましてから問もないのでございますが、業務内容説明を受けましたとき、ただいまのような数字を聞きまして、その点の危疑を感じたのであります。公益質屋重要性、また現況に対する把握という点におきまして、佐野委員の御質問、まことにごもっともであろうと私は考えます。必要であるのに、地方自治体が、この業務の困難さから、これを実施しないのであれば、積極的にこれを漸増しなければならぬ。しかし、減ったこと自身が、公的制度によるところの他の貸付制度等拡充、あるいは経済情勢のために需要が減ったのだということであれば、けっこうなことであるが、そうでなく、必要であるのにやるべきところにやらないという点があるのであれば、厚生省としては、ぜひとも推進していかなければならないのであるから、その点を実情についてよく検討して善処してほしいということを事務当局に命じたことも率直に申し述べますとともに、御趣旨の線に沿いまして、もし必要ということでございましたなれば、ぜひともこれの拡充啓蒙をいたしまして、これの需要が増加しますように努めて参りたい、かように考えております次第でございます。
  15. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 先ほど社会局長の話では、庶民のための金融機関活動がいろいろ起こってきておる。そういうことが公益質屋利用の減っておる一つ理由のように言われましたが、たとえば国民金融公庫に、確かに庶民金融金庫及び恩給金庫業務を継承いたしまして、銀行その他一般金融機関から資金の融通を受けることの困難な国民大衆に対して必要な事業資金を供給することが任務であるというふうに理解いたしておりまするけれども質屋利用する人は、きょう金が要るのだ。たとえば、単なる貧しいということでなしに、一週間たてば月給が入ってくるのだ。ところが、突然三千円の金が要る、二千円要るというようなことで、月給日が来れば生活は十分できるのだけれども月給日の前に金が要るからということで、公益質屋利用することになるわけです。こういう方々は、国民金融公庫利用するほうは必要ないわけです。したがって、そういうふうな質屋利用しなければならぬという非常に貧しい人々、あるいは質屋利用する者は、平常の生活上は必要ないのだけれども、突然いろんな需要があって利用しなければならぬ、こういう大衆が非常に今度ふえてきておる。したがって、今日までの、あるいは過去の質屋利用する人の層が変わってきておるのではないかというふうにも考えておるのですが、一体そういう点について局長はどういうふうに実態を把握されておりますか。
  16. 大山正

    説明員大山正君) お話国民金融公庫利用、あるいはそのほかの、厚生省関係といたしましても、世帯更生資金でございますとか、あるいは母子福祉資金といったような公的な貸付制度がだんだん拡充して参ったことが、やはり公益質屋が伸びがとまっておるという一つ理由に相なろうかと思うのでございますが、お話のように、日常生活におきましてわずかの金がないために非常に苦しむ、すぐ数日たてば何とかなるけれども、その日金がなくて困るといったような面におきまして、この公益質屋必要性と申しますか、需要が多々あると思うのでございまして、これらの必要に応ずるためには、必ずしも国民金融公庫、あるいは世帯更生資金母子福祉資金といったものが、十分まかないきれない面があろうかと思いますので、これらの点につきまして、公益質屋充実、また利用拡大につきまして今後努力して参りたい、かように考えます。
  17. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこで、いろいろ次官なり局長お話を伺っておりますと、公益質屋は今日やはり有用である、だから積極的な利用方法考えていきたいということですが、そうですね。そういたしますと、公益質屋の生まれたのは昭和二年です。それから何回か改正されておりますけれども、基本的な公益質屋の本質は少しも変わっていないわけです。したがって、時代が少し変わって参りましたから、この際、公益質屋法改正をして、そして積極的にこれが庶民階級庶民金融機関として活用されるようにしていこうというふうなお考えはございませんか。
  18. 大山正

    説明員大山正君) 今日までも、いろいろな機会に法改正の問題が起こりまして、検討したこともございますが、根本的にどのように改正するかというようなことにつきまして、まだ具体的な案を持つに至っておりませんので、今後さらに検討いたしまして、必要があれば改正にも踏み切るようにいたしたい、かように考えます。
  19. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 どうも今の御答弁ではおかしいのですが、積極的にやるということならば、この際改正の方向に向かって検討したいというのならいいのですが、ただ検討して必要となれば考えてみたいということでは、やはり旧態依然たる姿をそのまま続けていく。現実に公益質屋が必要であるのに減ってきているという姿を是認することになるのですか、その点いかがでしょう。
  20. 大山正

    説明員大山正君) 先ほどもちょっと触れたところでございますが、現在の法律のもとにおきましても、たとえば営業時間の再検討でありますとか、あるいは宣伝を行なう、あるいは流質の処分を行ないます時期なり方法なりを運営面におきまして改善するといったような運用の改善におきまして相当やっていけるのではないか、かように考えておるのでございますが、法律そのものの根本的な改正ということにつきましては、まだ具体案を得るところまで行っておりませんので、今後さらに検討さしていただきたいと思います。
  21. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 改正を具体的にどういうふうにするかということを今お聞きしておるのじゃないのでありまして、現状公益質屋のままで運営しておったのではじり貧である。現在八百からある公益質屋のほとんどが赤字です。これを黒字に転換するということも大事ですけれども、もっと利用条件をよくしていこうということになると、この法律を改正しなければならぬというふうに考えられるが——どこを改正するかは別ですよ。だから、そういう方向にいくということを考えているというふうに言われるならばけっこうですが、今の局長の答弁でいくと、旧態依然で、今日のままでやっていきたいというふうにとられますが、その点いかがでしょう、もう一ぺん伺いたい。
  22. 大山正

    説明員大山正君) お話のように、どの点を改正することによって今後公益質屋の発展を期せられるかというような点につきまして、まだ私ども具体的な案を得ませんので、直ちに法改正を近い機会に行なうということを申し上げることがちょっとできないのでございますが、さらに、御趣旨の線に沿いまして、私ども検討を加えまして、必要な改正個所がございましたら、法改正に踏み切る、かように考えます。
  23. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 どうも局長と討論しているとまだ済まないような気がしますが、どうも実態を十分御承知なしに意見を吐かれておっても、これは済まないことになります。たとえば運営上の問題にしても、時間を五時から六時、七時に延ばしたい。確かにこれはお客さんを吸収する一つ方法だと思いますが、しかし、そのこと自体が公益質屋の本来の性格を生かしているかどうかについては、問題点があると思います。たとえば、今公益質屋利用している人々の中には、お金を借りてそれがそのまま世帯の上に助けになったという貸し方が相当ありますが、一部には遊びの貸しもあるわけです。時間がおそくなることは、当然遊びの貸しをふやすことになるのですが、そういう面から考えると、ただ時間の延長だけを考える、そういうだけでは能がないのですから、そういう古い今までの考え方で、現在の庶民金融機関である公益質屋考えたのでは、いつまでたっても公益質屋はよい方向にいかない、こういうふうに考えます。  そこで、この際お伺いいたしますけれども社会福祉事業法は昭和二十六年に生まれているわけです。公益質屋法昭和二年なんです。そこで、この社会福祉事業法は、その目的は社会福祉増進をはかることにあることは言うまでもございませんが、そこで、生活保護法であるとか、児童福祉法であるとかいうふうに、十に余るような一連の社会福祉関係法が、第一条に関連法規として包含されておるわけであります。この社会福祉事業法の第二条には、一種と二種がある。この法律の社会福祉事業とは、第一種社会事業及び第二種社会事業と言っておるわけですけれども、その二項七号に、「公益質屋又は授産施設を経営する事業及び生活困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業」というふうに規定いたしているわけですね。そうすると、今日の公益質屋をもう少しより時代的なものにしようと思うならば、この社会福祉事業法の第二条の精神に基づいて第一種に指定されているわけですから、こういう点について、昭和二年の法律にこだわるのでなしに、との際昭和二十六年に生まれてきたような新しい社会福祉の法規に準ずるような気持を持つことが必要だと思うのですけれども、どこをどう改正するということとは別ですけれども、その新しい時代に沿うような法律、それによってこの運営ができるようなことをお考えになるかどうか、そういうととを聞いておるわけです。
  24. 大山正

    説明員大山正君) お話の点は、現在のような公益質屋のやり方のほかに、さらにもっと簡易な方法で小口の金融を行なうといったようなこともこの公益質屋にやらしてはどうかという点についての御意見かと思うのでございますが、私どももそのような点につきまして検討を加えておるのでございますが、まだ具体的な結論を得ませんために、法改正というふうなところまで踏み切っておりませんが、今後十分検討に値する問題のように私どもも思いますので、今後さらにその点につきまして調査検討さしていただきたい、かように考えます。
  25. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 どうも非常に消極的な、事情がおわかりにならぬからだろうと思いますけれども、そこで、むずかしい法改正というふうな概念でなしに、たとえば公益質屋という今日の呼び名の改正を八百余の公益質屋の諸君は希望しているようです。たとえば生活金庫、庶民金庫というふうな名称に変更してもらうと、それだけでも、質屋という概念からはずれて、来よいのではないかというふうな希望が出ておるわけです。だから、今局長の言われるむずかしい、検討さしてと言われますが、大きな法の全体的な改正でなくとも、たとえばそういうふうな名称の改正だけでも、この際やはり考えなければいかぬのじゃないかというふうな、この程度ならどうですか。やろうというので検討できますか。
  26. 渡海元三郎

    説明員渡海元三郎君) ただいまの問題、二つの問題に分けて考えることができるのじゃないかと私は考えるのでございますが、その一つは、現在の公益質屋が、何と申しますか、需要が、むしろ必要でありながら減少の傾向を示している。現行法に基づくところの運用によってこれの利用を増加さすことができるがどうかという面につきましては、これは、検討を加えた結果、もし運用面におきまして、現行法による運営だけではできない、やはり法改正まで持っていかなければいけないのだということであるならば、当然法改正を行なわなければなりませんので、その点は、今後御指摘のございました点を十分尊重いたしまして、検討さしていただきたいと思います。  なお、もう一つは、公益質屋制度そのものを、だんだん進んで参りました福祉国家としての観念に照らして、現在の制度そのものを根本的に拡充強化するための法改正が必要でないかという点につきましては、御指摘のとおりであろうと思いますので、十分検討さしていただきまして、改正の必要がございましたら、改正を至急検討さしていただくというふうに、考えさしていただきたいと思います。
  27. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 先ほどから何度も私がお尋ねしておりますように、また政府側のほうでもお答えになっておりまするように、ほんとうに庶民大衆がきょう要るという金で、利用するのはもうこれ以外にないのですね。ほかに国民金融公庫や何かがあっても、その場で融資を受ける道はこれ以外にはないわけです。しかも、二百万人以上の人がこれを利用しておるわけでありますから、そういう庶民大衆の便宜をはかるということのためには、公益質屋の持っている意義は非常に重要だと思うのですが、時代とともに国民生活は変わる、質屋利用する条件も変わってきておりますので、それを単に運営の面だけでものを考えるというのでなしに、根本的な公益質屋のあり方をこの際考えなければいかぬのじゃないか。今日八百余の質屋全国にあって、それぞれ市町村が、自治体がこの運営に当たっているのですが、赤字の続いている状態では、もてあましているというのが実態です。職員諸君も、赤字の事業を自分でかかえておるわけですから、自治体当局に対して非常に遠慮してきておる。だから、これはだんだんじり貧になることは目に見えておるわけです。したがって、公益質屋というものは無用だ、今日有用ではないというなら別ですけれども、有用であるというなら、根本的な対策考えなければならぬときに来ておると私は考えておるわけです。そこで、公益質屋の八百余の従業員約二千人ばかりの人々は、そういう点は真剣に問題を取り上げようとしているけれども厚生省の社会局のほうでは、これに対して、今局長の言われるような答弁にすぎぬようだから、一歩も前進しない。こういう状態にあることを、私たちは非常に遺憾に考えておるわけです。  そこで、今運営上の問題を言われましたが、次官は御承知ないと思いますけれども社会局長に聞きたいのですけれども公益質屋以外の、生活協同組合法によるいわゆる公益質屋に準ずる労働質庫というものが現在全国十の都道府県にあることを御承知ですか。
  28. 大山正

    説明員大山正君) そのとおりでございます。十カ所ございます。
  29. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 十の都道府県にあって、約二十数庫の質屋を経営しておるわけなんです。しかも、これは公益質屋にほとんど準じてやっているわけです。生協法によりまして、厚生省の一応指導を受けておるわけです、建前としては。それで、これは黒字です。公益質屋はほとんど赤字です。労働質庫はほとんど黒字、何らかの補助も受けずに生協法による質屋は黒字であるということは、どういうことなんですか、運営上。御承知ならお答え願いたい。
  30. 大山正

    説明員大山正君) 生協関係につきましては、たとえば職域であるために非常に利用が多い、あるいは営業時間等につきましても若干融通がある、あるいは利率につきましても若干高いといったような面で黒字の経営になっている、かように存じております。
  31. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 非常にこれはわからない御答弁をされておるので、これはあまり申し上げても十分御答弁をいただけることは困難かと思いますから、この際、次官なり局長は、わからない点はわからない点でやむを得ませんから、積極的に新しい庶民金融機関として、公益質屋を今後拡張していきたいという決意のほどがあるかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  32. 渡海元三郎

    説明員渡海元三郎君) 前回答弁さしていただきましたとおり、十分検討さしていただきたい。あわせて、私は、営利事業として行なっておられるところの質屋を取り締まり規定によって現在やられておりますが、こういった一般質屋の部面もあわせて考慮いたしまして、至急検討さしていただきたいと思います。
  33. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこでですね、生協法による労働質庫に対しても、この際、それが公益質屋の足らざる点を補っておるというのなら、それに対しても、単なる形式的な指導でなしに、もう少し政府のほうで、協力する条件における育成のために努力する用意があるかどうか、伺っておきたいと思います
  34. 大山正

    説明員大山正君) 消費生活協同組合に対する貸付金の予算厚生省といたしましては計上いたしておりますので、そのワク内におきましてできるだけ努力したい、かように考えております。
  35. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 生協に対する貸付のワクはだんだん減ってきておるのです。そうしたものは減ってきている。そういう答弁を事務当局から聞いておったのでは、たいへんなことになります。こっちから僕ははっぱをかけられてね、もっとしっかりやれと言われたのですが、そういうずるい国会答弁はやめてもらいたい。庶民大衆はもっと真剣にこの問題と取り組んでいるんです。全国質屋で苦労している職員は、真剣にこの公益質屋法の持っておる精神を生かそうとしておる。それを、本省におる若い事務官が、何かわかった偉そうな顔をしておったんじゃだめだ。だから、生協に対するところの資金は年々減ってきているのだ。ここに奥さんおりますよ。だから、その点はもっと考えてもらいたいことを、特にこの際申し上げておきますけれども次官もよく聞いてもらいたい。三十七年の財政投融資の計画によりますと、資金運用部資金が五千億円、その中で、郵便貯金が千五百億円、厚生年金と国民年金が千五百億円をこえているのです。いいですな局長。そういたしますと、財政投融資の中で、特に資金運用部の資金の占めているところの厚生年金あるいは国民年金は三割——五千億円に対して千七百億、三割なんだ。公益質屋利用する人々は、おおむね厚生年金をかけているところの人々なんだ。あるいは国民年金の加入者なんです。そういう人たちが、財政投融資資金の大きなウエートを持って協力しているわけです。そうすると、予算面においても、もっと積極的な態勢を厚生省はとらなければならぬのではないか。だから、あなた方は、公益質屋利用する者は単なる庶民大衆だというふうに考えては困る。財政投融資の大きなウエートを占めているところの厚生年金あるいは国民年金、これは強制貯蓄ですよ。そういう努力をしている人が、実際の生活に苦労している。だから、少なくとも、今後の財政問題につきましても、これは大蔵省にもお聞きしたいと思いますけれども厚生省はもっと腹をきめてやらないと、これはだめですよ。生活協同組合に対する助成の金、補助金——これは、生活協同組合の会員は、ほとんど厚生年金もしくは国民年金の加入者なんです。その点をはっきりひとつお考え願いたいと思うのですが、どうですか。
  36. 大山正

    説明員大山正君) 生活協同組合に対する貸付金につきましては、本年度若干の増額をいたしましたが、来年度におきましても、私どもさらに、来年度予算におきまして、その増額をはかって参りたいと、かように考えているのでございますが、お話のありましたような点につきましても、さらに今後検討いたしまして努力いたしたいと、かように考えます。
  37. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 私はもうこれで一応質問を終わります。そこで、適当な機会にもう一度この問題に触れたいと思いますから、十分それまでに勉強してもらって、そうして実際の姿をひとつ御承知願いたい。そうしないと、これは話になりませんから、いつまでやっていても。だから、これは事務当局の問題でなしに、局長みずから少なくとも課長を督励して、実態を把握してもらいたい。そうして、積極的な対策を立てる用意を持って検討してもらいたいということをこの際希望しておいて、別の機会にあらためて承りたいと思います。
  38. 相澤重明

    ○相澤重明君 その問題に関連して、私からもひとつ聞いておきたいのですが、今佐野君が言われたように、公益質屋の問題は非常に重要性があるわけですが、本省では各都道府県にあるこれらの公益質屋について実態調査を年どのくらい行なうのですか、いつごろ実態調査をやるということを計画的にやっているか、それをひとつ答弁してもらいたい。
  39. 大山正

    説明員大山正君) 本省といたしましては、毎月月報をとりまして、報告を徴しておりますが、ほかに年一回実態調査を行なっております。
  40. 相澤重明

    ○相澤重明君 月報は、これはもう当然の話で、そんなものは何も監督行政で、一生懸命やっておりますということにならぬ。そうでなくて、実態調査を年一回というのは、年一回何カ所ぐらいやりますか。それとも全部やる、どういうことですか。
  41. 大山正

    説明員大山正君) 全部の公益質屋につきまして調査を行なっております。
  42. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、毎年、一年に一回は全部の公益質屋に対して実態調査をしている、そういう報告を受けたのですが、局長はそれには何回ぐらい参加したことがありますか。
  43. 大山正

    説明員大山正君) ただいま申しました年一回の全数につきましての調査は、書面調査でございますので、全部の個所につきまして本省の係官が行って実地に検査するというようなものではございませんのであります。
  44. 相澤重明

    ○相澤重明君 今君の言った速記録をいま一回調べてごらん。私の言ったのは、年に何回ぐらい実態調査をしているかと言ったら、年に一回行なっています、全部行なっていますと言ったでしょう。先ほど、毎月月報を報告さしております、受けております。——そんなことはあたりまえだ。だから、そういうことよりか、実態がどうなっておるかということを調査をしておるかと、こう言ったら、毎年一年に一回全部やっていると、こういう答弁だったじゃないか。それが今度は、書面で審査をするなんということを言う。実態調査とどういう関係がある。実態調査というのは、何をやることが実態調査だ。いま一回、心からあなたがほんとうにやらしておるのか、それとも書面報告だけを受けておるのか、その点を答弁しなさい。
  45. 大山正

    説明員大山正君) 先ほど私お答えの中で、実態調査というのを実地について調査をするように申し上げましたことは、誤りでございまして、月一回月報をとりますほかに、年一回さらに総合的な各種の項目につきまして調査報告をとっておる、かような次第でございます。
  46. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 関連して。僕は、もう言うまいと思ったんですけれども、今訂正したからいいんですけれども、一体厚生省社会局の生活課で質屋の担当の職員は何人おるんですか。専門担当員は何人おるんですか。
  47. 大山正

    説明員大山正君) 係長外一名、合わして二名でございます。
  48. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そういう状態で実態調査をやったとか——これは間違いであったけれども、そういうものの言い方はやめなきゃいかぬと思う。できっこないじゃないか。それから、月報は当然ですよ。政府補助をして、そうしてこれは一つ金融機関なんですから、質屋であっても。毎日日報をつけるのは当然なんです。月報をつけるのは当然なんです。書類調査でも、八百余軒のものを、しかも三十四億円もあるものを、一人や二人で実態調査できますか。まともにできないじゃないですか。次官もわかりゃせねから、気の毒だからやめておきますが、そういう点、局長、もっと真剣に問題を処理しないと、うしろから言われたんじゃだめですよ。一人や二人で——係長と一人の職員でしょう。八百の報告が来た場合に、できますか。
  49. 大山正

    説明員大山正君) 現在、社会局、特に生活課におきまして各種の仕事を行なっているわけでございますが、人手不足のために十分手が回りかねておるということは事実でございますが、今後さらに努力いたしましてこれらの実態の把握に努めたいと、かように考えております。
  50. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは、次官に今度は答弁してもらったほうがいい。今のような、局長がいくら努力するとか、善処しますと言ったところで、少なくとも国の交付金とかあるいは助成金とかという国家資金の問題を監督行政として行なうのに、一人や二人の人間で全国の問題を処理ができるはずがない。それば、やはり書類上の審査になることは、もうだれがやったってあたりまえですよ。そこで、やはりそういうほんとうに監督指導政府が国家財政資金を使う建前で真剣に考えるならば、もっと定員というものを実際にふやして、そして真剣に考えなければ、それはもうできるはずがない。職員が足りないで、いくら職員に一生懸命やれと言ったって、そんなものは馬車馬式ですよ。そういう人権無視のことを、われわれは許すわけにはいかない。そこで、定員をふやす考えが私はなけりゃいけないと思うんだけれども昭和三十八年度も、幸いにして今予算編成を行なうところで、今各省庁から要求をとりつつある。きのうも大蔵省の決算をやったときに、とにかく来月ごろには何とか最終にまとめたい、こういうことである。ちょうどいい機会である。あなたは大臣と——あとで大臣も見えるだろうけれども、大臣にも言わなきゃいかぬけれども、あなた自身が政務次官として、これだけの厚生行政を広範囲に、しかも国民の最も低所得者層に非常に重要な関係のある公益質屋、あるいは生活協同組合、こういうような関連の視野に対して、積極的に行政指導を行なう意思があるかどうか。これは今の定員問題にも関係してくるわけです。したがって、次官としてこれは答弁してもらいたい。
  51. 渡海元三郎

    説明員渡海元三郎君) 公益質屋に関するところの厚生省としての業務内容がどの程度のものであるかということは、繁雑にいたしまして、実情をまだ私不幸にして承知しておりませんので、ただいま御指摘の点もございましたので、これもよく検討して、御要望に沿うよう努力いたしたい、かように考えておりますが、私が承知いたしておるところでは、確かに来年度の要求に対しまして、実は生活課は、同和対策事業の要望もずいぶん拡充を必要とされておりますので、これらをあわせて定員増は要望するということに決定いたしておりますので、それらの線も、ただいま御指摘の点に徴しまして、強く実現のために努力いたしたい、かように考えます。
  52. 奥むめお

    ○奥むめお君 局長にお伺いいたしますが、生活協同組合に対する補助金を来年度増額するとおっしゃった。今まで幾ら出していて、幾ら増額する請求をしていらっしゃるんです。
  53. 大山正

    説明員大山正君) 生協に対する金額といたしまして、昨年度七百万円でありましたのが、本年度一千万円になったわけでございますが、これを来年度におきましては、私どもの要求といたしましては、二千五百万円程度に増額したい、かように考えております。
  54. 奥むめお

    ○奥むめお君 生活協同組合は、あなたのほうの機構の中でどれだけの人が専任しておりますか。専任でございますよ。
  55. 大山正

    説明員大山正君) 三名でございます。
  56. 奥むめお

    ○奥むめお君 ほかにたくさんの仕事をしていらっしゃるから、全然別種の仕事をしていらっしゃるから、人間もよけいないだろうと思いますけれども、この消費者行政の要望される場合に、生活協同組合というものは非常なウエートを占めているものだと思うんですね。中央の連合会の指導にはどれくらい予算をとりますか、今度の要望していらっしゃるのは。その二千五百万の中から。
  57. 大山正

    説明員大山正君) 来年度予算におきまして、日協連に対する経営診断の委託費といたしまして四百万円ほど……。
  58. 奥むめお

    ○奥むめお君 二千五百万の中ですか。
  59. 大山正

    説明員大山正君) 別でございます。別に四百万円。それから、さらに別に、来年度生協学校に対する補助金を出すようにしたいということで、一千万円を要求いたしております。
  60. 奥むめお

    ○奥むめお君 あとでまた……。
  61. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいま厚生大臣が出席されております。
  62. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私はもう質問をすまいと思ったんですが、あまりにもさびしい厚生省の意見が出ますので、ちょっと疑い深くなってきたんですが、不当行為ですが、この不当行為の問題として先ほど検査院のほうから御報告がありましたが、ところが、この不当行為に対しては、まことに済まぬと、こういうふうに言っておられるわけですね。しからば、これを防止せにゃいかぬと言っておられるが、一体事務処理方式改善を具体的にどうしようと考えておられるのか。さきほどの答弁からみると、大事な金を補助しておいて、そうして一人や二人で調査をしておるというような実態を考えると、これはいかに分掌的に事務処理を今度は完備していく、将来はこういうものをなくしたい、こう言われることと実際の問題とは非常に格段な相違があるのではないかと思うのです。どういうことを考えておられるのか、不正防止のためにですね、ちょっと心配になってきたから質問したいのです。
  63. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 先ほど御指摘を受けました件は簡易水道の関係でございまして、私どもの所管事項でございます。まことに遺憾なことでございまして、私からも深くお詑び申し上げたいと思います。  この点の事務処理改善につきましては、一つは路面復旧の問題に関してでございまして、この点は路面復旧を今後の補助対象からはずしたのでございますので、そういう意味では、今後、この問題は出てこないわけでございますが、お尋ねの点は、総括的な事務の改善についてどうかという趣旨に解しまして……。
  64. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうです。
  65. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) この点につきましては、私ども事務の改善という意味で、県の職員の講習を開きまして、この人員の必ずしも十分でない点を質で補おうという意味で、県の職員の質的な向上をはかるという点が一点でございます。  それからもう一点は、事務の促進化をはかるという意味で、知事に簡易水道の事務の一部を昨年委任したわけでございます。そういう意味で事務の簡素化をはかって参りたい。また、委任された事務の範囲内におきまして、県の職員を督励いたしまして、現地の指導監督を十分にさせる、こういうことによりまして、こういった事故の今後の絶無を期して参りたい、かように考えておる次第であります。
  66. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、大臣も見えたことですからお聞きしたいのですが、どの決算書の報告を見ても、こうした不正があるのと同時に、しかもそれを善処していきたいという言葉を使っておられるわけですね。今の言葉を伺ってみますと、私は全般的な問題を、どういうふうにされるのかということをお聞きしたわけでありますが、ただ人間の、つまり堪能な者を入れかえしてみたり、あるいは県知事に、その権利をある程度付与してみたり、なるほどそれはそうでしょうけれども、一体、今まで、どういう欠陥があって、どういう事務処理の方針を変えていくんだということの答弁はないわけです。とれだったら、その答弁がない限りにおいては、これはもう全く詭弁を弄しておられる処理方法だと私は思うのです。  こういう面に対して私はお聞きしたいのですが、これは大臣も、なって間もないことですから無理かもしれませんけれども、他の方でもけっこうですが、こうした検査院のほうで検査された結果が、どこに欠陥があって、どういうふうにしてそれを直すかという、その具体的な検討を今までされたことがあるのかないのか、これが一点、聞きたい。そういう各課が寄って、連絡の不十分であったとか、あるいは一課の担当が不十分であったとか、そういう結論に達するのか。そういうことをやったことはないのか。ただ出たものを、こうして決算委員会になると、方式を変えてやっていくんだ、あるいはPRをやるんだ、こういうことで済ましておられるのか。今実際にやっておられる事実を私はお聞きしたいと思うのです。
  67. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 私厚生大臣の西村でございます。当委員会の皆様方にいろいろ今後御指導を仰がなければならぬと思いますか、よろしくお願い申し上げます。  ただいまの御質問でございまするが、今問題になっておる件につきまして、省で討議をして改善の方策を講じたかどうか。そういうことにつきまして、まだ私は存じ上げてないのでございまするが、会計検査院の御指摘を受けまして、そういうようなことがあれば、十分討議を尽くして、その改善策につきましては、いろいろ考えていきたい。かように考える次第でございまして、ただいまの具体的な問題につきましては、政府委員から答弁させたいと思います。
  68. 渡海元三郎

    説明員渡海元三郎君) 私最初から質問を聞いておりましたので、大臣の答弁に補足しまして、あるいは御質問の趣旨から反しているかとも考えますが、限られた人員で限られた業務を行なっていくという点でございますが、私は国と地方との事務の配分ということも考えまして、今局長が申し述べましたように、地方吏員の質の向上ということに対しまして、本省といたしまして、できるだけの指導啓蒙をやっていかなければならないと考えておりますが、それとともに考えますことは、私はこういったことを地方自治体等が、不当な要望をします裏には、国で補助率をきめておきながら、その補助率の単価というものが、まあ非常に安いような関係で、したがって補助率どおりこない。したがって、そこに水増し的な要望がされ、それが何百カ所もございますから、人員の不足一つ一つ指摘して、これを精密に見るということができずに、書類検査を行なうといったようなところにも、一つの原因があるのじゃないかと、かように考えております。聞くところによりますと自治省におきましては、財政秩序の確立という点から、実情に合った補助率または補助金を出すように、本年度予算要求におきまして措置するということでございましたが、この補助を扱い受けますのは、これは各省でございますので、この自治省の方針ともあわせまして、こういったことを未然に防ぐところの一環として、私たちのいただいております各種の補助金につきましても、単価をほんとうに実情に合ったものにすることによりまして、そういったものの水増し的な要望等による不正が行なわれないように努力するために、本年度予算におきましては、単価の適正化ということについても善処いたしたいと、このように考えているような次第でございます。
  69. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 大臣が来られましたから、この際、先ほどからのお話を多少繰り返すことになるのですが、御意見を聞きながら、強く要望いたしたいと思います。  御承知のように、公益質屋全国に八百ばかりあるのです。三十数億円の貸し付けをして、そうして二百数十万人の庶民大衆が、質屋利用しているわけであります。ところが時代の変遷とともに、昔のいわゆる低所得者、生活困窮者という者のみが、この質屋利用しているわけじゃないのです。今日では普通の生活をしている人々も、公益質屋利用するという社会事情の変遷が起こってきているわけであります。  たとえば月給取りが、サラリーマンの人が、生活は普通に順調にやっているのだけれども、一週間たったら月給が入るのだけれども、突然病気をしたりなんかして、三千円要る、二千円要るというような場合に、やはり利用するのは公益質屋だ。こういうふうに社会福祉の上に非常に重要な役割を持っている公益質屋が、今日全国的に赤字の状態になってきているわけであります。そこで各自治体では、その赤字をもてあましているという実情であります。ところが公益質屋が持っている役割というものは、庶民生活を守る上に非常に大事な役目であり、この点において厚生省では、もっと積極的にこの問題と取り組む用意があるかないか。こういうふうに先ほどからお尋ねしているわけなんですが、局長の御答弁でも、重要であるとも考え、努力したいとも言っているわけでありますが、積極性がないわけであります。この際、大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
  70. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) お尋ねでございますが、今御説明がありましたような状況になっておろうということは、私ども想像がつくのでございますが、それに対しまして、今までこの問題につきましては、私はまだ十分な研究、検討ができておらないのでございまして、この際、ここでどうするということは申し上げかねますが、今申し上げましたような一般の金融のあれになっておる。そのためにいろいろ問題があるということになりますれば、十分検討いたしたいというふうに、かように考えております。
  71. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 検討するのにも、積極的にこれを改善向上するために検討するというのと、現状のままでもよいと思うが、まあ一ぺん検討してみようというのがあるのですが、どちらの検討ですか。
  72. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 積極的に改善の方向に向かって進みたいと、かように考えております。
  73. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そういう態度で今後臨んでもらいたいと思うのですが、もう一つお聞きして要望いたしたいのですが、国民金融公庫の価値は、最近非常に高く評価されてきておるわけです。そしてこれに対しては財政投融資の計画からも相当多くの資金を出して、そして庶民国民大衆のための事業資金貸付を行なっておるわけです。しかもこの間の前国会では、一応継続審議になりましたけれども、たとえば地主に対する補償というような問題は、今度は事業資金に対する貸し出しまでもやろう。それで国民金融公庫に二十億出してやるというふうに、国民金融公庫利用の方針が、政府としては非常に熱心だ。ところがこの国民金融公庫がなお利用できない庶民大衆公益質屋利用しておる。そうすると国民金融公庫が、今日非常に大きな国民生活に影響を持つ役割をしておるように、公益質屋の場合に毛、公益質屋という概念をはずせば非常に重要な役割をしておるのですが、この点に対する御認識を伺いたい。
  74. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) ただいま申されましたように、国民金融公庫では、それまで手が届かない、それ以外のもっと少額の金融の場合、との公益質屋を使うということは十分わかっておりますので、そういう点につきまして、私は今の公益質屋に、どういう改善をしなければならんかということをまだ十分検討いたしておりませんが、前向きの姿勢で改善するように努力をいたして参りたい、かように考える次第でございます。
  75. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこで、この公益質屋法というのは御承知のように昭和二年に生まれておる。三十五年たって、未だに、これだけ時代が変遷してきておるのに、昭和二年と同じような方針で運営されておる、原則的には。ところが、それがもう合わんですね、今日の時代とは。だから真剣にこういう有用なものは考えなければいかんのじゃないか、こういうように実は申し上げておるのです。  それで昭和二十六年には、社会福祉事業法が生まれておる。この社会福祉事業法は、御承知のように社会福祉増進をはかることを目的としておるわけです。その中で、この法律によって一種と二種に社会福祉の事業を分類しておるわけですけれども公益質屋は、その一種に入っておるわけです。だから社会福祉事業法によるところの社会福祉増進をはかる目的を果たすためのいろいろ行なう事業の中の一種に入っておる。だから、この点だけからいっても、昭和二十六年に公益質屋に対しては非常に重要な価値あるものと判断しておるわけですね。ところが昭和二年以来の法律でやっているわけです。しかも今聞きましたら、一体、この全国に八百あるところの、二百万人からの人が利用しておるところの、三十億円の資金を融資しているところのこの公益質屋の総元締めである社会局の生活公益質屋係は係長一名、係員一名だ。これは監督も何もできません。だから、指導するような態勢にないのです。積極性がないのです。その点についてこの際、大臣の前向きの姿勢でおやりになるという御意向をもう一ぺん伺っておきたい。
  76. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 改善の必要があれば、前向きの姿勢で、ことに困っておる方々の金融ということは、いろいろな面で議論されておりますので、改善の方向で考えてゆきたい、かように思っております。
  77. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこでもう一つ社会福祉事業法のことで言っておきたいんですが、先ほど言いましたように、第一種事業だというふうに規定をして、そうしてその第七号で「公益質屋又は授産施設を経営する事業及び生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する」——ことができるとは書いてありませんけれども、それはできるわけですね、公益質屋は一そういう事業だといっておるわけです。この点はもう一ぺん、十分御認識を願いたい。  それから先ほども申し上げたんですが、三十七年の財政投融資八千四百四十億円のうち、資金運用部資金五千三十一億ですか——資金運用部資金、そのうちで厚生年金が千三百二十億円、国民年金が四百億円入っているわけですね、そうすると財政投融資の中で非常に大きなウエートを厚生年金と国民年金が持っておるわけです。この厚生年金と国民年金の強制貯蓄をされておる人々がほとんど公益質屋利用しておるわけです。だから国民金融公庫が大幅に資金がとれるように、こういう有用なる庶民金融機関に対して、もっと積極的な対策をとるよう、この際お願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  78. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 十分御意見のあるところを承りまして、考えたいと思います。
  79. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 とにかく積極的にやってゆくというお考えであると理解してよろしいですね。
  80. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) さようでございます。
  81. 横川正市

    ○横川正市君 会計検査院の検査の項目の中で、大体第四のアヘン特別会計の検査の方法とか、それから検査した結果とかいうものについては、この不当事項その他ではないんですが、実際上検査院として、どの程度までの検査を目標として検査されたのか、その点お聞きしたい。
  82. 中島尚文

    説明員中島尚文君) アヘン特別会計は、買い上げを実施されまして、それの経理会計でございますが、昨年実地検査といたしましては、東京と大阪のアヘン取締事務所の検査の際に検査をいたしました。あとはまあ本省のときに、書面で検査をいたしましたという程度でございます。
  83. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと私どもはしろうとですから、関係の係官にお聞きをいたしたいんですが、三十五年五十七トン、売却五十二トン、決算額は収納済み歳入が三億九千四百七万円で、支出済み総額は三億七千五十九万余円、差引二千三百四十八万円、これはだれもが取り扱える品物でありませんから、この種の需要にこたえておるのは厚生省の関係だけじゃないかと思いますけれども、これはもう少し詳しく説明して下さいませんか。
  84. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) アヘン特別会計は、御存じのように、医薬品として使用される麻薬の材料としてのアヘンを国外から大体年間三十トンないし五十トン、それから国産は、大体主として和歌山県中心でございますが、五トン全部を国産として収納がされておるわけでございまして、この国産のアヘンと——これはケシからとれるアヘンでございます、それから主としてインド、トルコから、それからユーゴスラビアからも購入することがございますが、そういう国外からのアヘンの購入、これは日本の医薬品の原料として使うわけでございまして、これを医薬品製造業者三社にそれが原料麻薬として払い下げをされるわけでございます。それがそれぞれの用途に従って製剤されて一般に市販される、そういう形になってくるわけでございますが、アヘン特別会計がタッチしますのは、その原料としてのアヘンを買い上げる場合と、それを医薬品の材料として払い下げる、との両面だけでございまして、これは、非常の場合に考えまして、年間の使用量は大体二十トンから二十五トンぐらいでございますが、倍ぐらいを常に持っている。そうして非常の場合に、医薬品の材料としてのアヘンが切れる、一時なくなるということがあることをおそれまして保管をしているというような状態でございます。
  85. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、この会計は、常に、なんですね、国内の需要に見合っただけのもの、あるいは緊急の用務に必要と思われる額だけを毎年輸入して、そうして会社に払い下げをする、それだけの何といいますか仕事だけをやっている会計ですか。
  86. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) ただいまの御質問のように、買い上げをしまして、その一定量を払い下げ、残りのものは保管をする、それだけのための会計でございます。
  87. 横川正市

    ○横川正市君 この輸入される数量は、これは全部精製された製品で、それから、輸入するものはただ原料だけではないわけですか。どちらですか。
  88. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) ケシからとった粗アヘンでございまして、まだどろどろの、こうゴムのような格好をしているのが梱包されまして、そういうものでございまして、それを、まあいわば、したがって医薬品といっても原料としての医薬品でございまして、それが国内の製薬会社によって必要な医薬品に精製されるということでございます。
  89. 横川正市

    ○横川正市君 これはまあ会計としてはそうなんですが、現物を実際上精製し、原料から製品化していく管理はどこですか。
  90. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 買い上げをいたしまして国家が収納して、それを医薬品製造会社に払い下げるまでの管理は、厚生省がやっております。
  91. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、これは三社に払い下げたあとの製品化されるまでの工程での管理というのは、どこもやってないわけですね。
  92. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) さようでございます。
  93. 横川正市

    ○横川正市君 次にお尋ねをいたしますが、大体この種のまあ薬品として使用される分については益するところが大で、あとは、最近麻薬関係のいろいろな記事が社会的に大きく出ておりますが、そういった面で使用されると、これはまたたいへん悪いものになつて、使用の度合いによっちゃ、また天と地ぐらい違うわけでありますけれども、大体この市販をされている麻薬品の数量なんというのは、どのぐらい市販されているか、その点について何か調べた結果がありませんか。
  94. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) ただいまの御質問の趣旨は二つの意味があると思いますが、国が買い上げまして、そして医薬品として払い下げるものは、直接払い下げのところまでは国が現物を管理しておるわけでございますが、しかしこれがどういうふうに医薬品として使われているかということは全部私どものほうで掌握しておるわけでございまして、どういう材料にどれだけのものが使用されたかということは全部報告をとっているわけでございまして、したがって、これはたとえば麻酔用のものとか、あるいは一番あれは一般のかぜ薬の——これを非常に薄めまして、かぜ薬の原料になるというところまで使用されている、そういうふうなものの数量は全部私どものほうで掌握しております。今そのそちらのほうの量と金額ということの御質問ならば、これは今正確な数字はございませんが、毎年の資料としてあとで御報告申し上げたいと思います。  それからもう一つは、まあこれに関連いたしまして不正麻薬の問題でございますが、私どものほうで国産品の買い上げ、または海外から輸入をしておりますこの麻薬からの不正というものは現在ございません、一件も。で、それぞれ大都市で現在社会的にいろいろと問題になっておりますのは、すべて外国からの不正麻薬でございまして、この点は全然、系統その他、それからその製剤、作られている医薬品そのものも——主としてまあヘロイン等でございまして、ヘロインは医療用としては使わないわけでございまして、形態から何から、全部不正の麻薬と私どもが管轄しております医薬用としての正当な麻薬とは範疇を異にしていると、取り扱いその他すべて異にしているというふうに御理解願っていいんじゃないかと思っておるわけでございます。
  95. 横川正市

    ○横川正市君 その数量どのくらい、不正麻薬としての数量。
  96. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 不正麻薬の数量は的確に掌握することはできませんが、毎年の押収されるものは大体十キロ以下でございます。で、これは、金額とすると、しかし数億円の金額になるわけでございます、そのやみの金額にいたしますと。
  97. 横川正市

    ○横川正市君 私はこの輸入されるものが原料であって、それから精製される製品はどのぐらいかは、これはちょっと聞き忘れましたから、まあ原料からどのくらい残るか、パーセンテージを聞けば大体わかりますが、少しあなたのほうの答弁で、しろうととして、ふに落ちかねるのは、十キログラム数億円もするようなものが、まあ不正麻薬として、こう動いているわけですね。ところが一方正規のルートで三会社に渡っていくものは、まあ数トンのものが国内にはある。で、この数があまりにも開いているものですからね。単に不正密輸ということだけなのか、それとも国内で、それだけ多くのものをやっているわけだから、その一部が流れないか。この点については、今あなたの説明では、まるっきり、全然ありませんと、こういうふうに今言われておるわけでありますが、単に、町あたりで中毒患者になっているのは、ヘロインだけでなしに、実際はその薬品その他からくる常習患者といいますか、そういったものもある程度あって、それがまあ一歩間違えば、いわゆる重患中毒患者というふうにまあなっていくのじゃないかと思うのでありますけれども、その辺がちょっと、私どものしろうとには、管理の内容も、どうも聞いてみれば十分ではなさそうだし、それから、たとえば薬品になんぼ入れましたといってですね、粒の中に入っている、あるいは粉の中に入っている量全部見るわけじゃないだろうから、大体その報告その他でもって、あなたたちが御案内になっている程度じゃないかと思うのですが、この点疑えば、ますます私どもは疑っていい問題じゃないかと、こう思うのでありますけれども、実際の取り扱いとしては、そういう点については、全然問題は私たちないと、こう考えていいかどうか、もう一回ひとつお答えいただきたいと思う。  また、私のこのおか目八目で疑っていることは老婆心だと、被害妄想だと、こういうふうになるかですね、その点をひとつ、私はまあしろうとですから、専門家からひとつ聞かせていただきたい。
  98. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 第一に、その数量の点で、原料として買います三十トン、五十トンというものは、これはあくまでモルヒネが入っている粗モルヒネでございますから、その中でモルヒネの含有量は大体一〇%内外でございます。したがって、一トンから一トンが取れるわけじゃございませんので、そういう点で、数量は御理解願えるのじゃないかと思います。  したがって、あとは、正常な医薬品がどういうふうに流通しているかということでございまして、これは、三社に限っているのも、そういういわば、多くの会社にやりましたら、それだけ危険率が多いということで、なるべく払い下げの会社も限っておるわけでございますが、これは日本のとにかく一流のメーカーでもございますし、それからその精製されているものは全部、数量その他の点は掌握できる仕掛けでございますので、そこの職員その他が、でき心その他で何か不正に搬出するというようなことがありますならば別ですが、そういうことも、しかし過去においてはございません。これ、疑えばどこまで疑っていいわかりませんが、私どもとしては、そのために、そういうふうなものが、正常に流通するための麻薬取締官なり、あるいは府県の麻薬取締員等もございますし、もしそれが不正にどこかに横流しされたということになれば、そとからもわかるわけでございますので、今までの過去において、そういう事例は一件もなかった。私どもはその点は、厳正に行なわれているということを確信を持って申し上げることができると思います。
  99. 横川正市

    ○横川正市君 だから、その確信を持って言えるというのは、ここの審議の場所でのあなたの答弁で、私たちは実際に確信を持てるかどうかということは、さっきちょっと会計検査院の人に、一体麻薬関係の実地や何か見てやったのかと言ったら、その点あまりやっていないのですね。それから会社に対して、あなたたちは、払い下げたあとの監視はやっているかと言ったら、それはやっていないと言う。だから、どういう実際上の有効な手を打っているから、だから正式に輸入された原料からとれた麻薬の市販その他については、不正な使用者に渡るようなことはしていません、こういう何か格好というものがあるのじゃないかと思うのですよ。そうでないと、ちょっと信用しかねるのです。なぜといえば、今の数量の問題からいってもそうですし、金額の問題からいってもそうなんです。もう一つは、お医者さんなんかから、実際上流れているのじゃないかという点もあるわけですよ。実際にはお医者さんは、自分で使った使用量については自分で記入さえすればいいわけですね。そこまで微に入り細にわたって点検するということもなさそうだから、そんなんでお医者さんから流れたもので中毒患者が出てしまったということもあるわけです。また、お医者さん自体が中毒患者になったということもあるわけです。医師の証明書を持っていけば、町ではやはり麻薬をどんどん買える、こういう事情があるわけですから、そういったいろいろなものを総合して、私どもは、今、市中にはんらんしている患者というものを、これを見ながら、どこからいったい薬が来るのかということで、不正輸入の問題もあとで聞きたいと思いますけれども、国内の問題がまず問題で、いったいどうなのかという疑いを持って聞いているわけですから、その点でひとつお答えをいただきたいと思います。
  100. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 直接国が管理しておりますのは、払い下げの段階でございますが、そのあとは、麻薬の工場には精製の指定工場というのがございまして、その工場は、同じ工場の中でも特別に警備員がおりまして、入り口は厳重にしているというふうな、特別な区画をした工場で精製をしております。そして、そういう製造会社から精製された麻薬というものは、これは麻薬の取扱者というものがきまっておりますので、そこ以外には麻薬というものは取り扱いができないわけであります。これは主としてお医者さん、それから薬局でございます。これは毎年その出納を記入して報告するというような義務を麻薬取締法によって課せられておるわけでございますので、それだけの手続をやっていて、随時精製する工場にも私どものほうで取締官が見に行くし、それから各麻薬の取扱者に対しては報告を徴し、また現地に監督に行くというようなこと、その他そのための麻薬取締員というものが府県にも配置してございますので、そういうことで、ただいま私が申し上げているような結果であるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  101. 横川正市

    ○横川正市君 まあ、酒の蔵出しをするとき税務署から、その石数について検査の結果、判こを押すという程度の答弁ですよね、今の答弁は。私どもはもっと麻薬については、何か特別な処置があるのじゃないかと、たとえば日銀の金の出し入れ程度に厳重をきわめているんじゃないかと思ったのでありますけれども、それがどうも、そういうふうに聞けないのは、いささかやはり不安を持っているわけですよ、私のほうとしては。その不安をぬぐってくれる返事ではなかったわけであります。大体麻薬についての、あなたのほうの取り扱い注意といいますか、その取り扱いのための順位といいますか、重要だとか重要でないとか、いろいろあると思うのですけれども、他の劇薬なんかと比べてみて、特別な取り扱い方をしているわけですか、同じような取り扱い方をしておるわけですか
  102. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 麻薬そのものについては、これは劇薬とか毒薬よりも比較にならないぐらいに厳重でございまして、第一、自由にそういうふうな販売ができない。麻薬の入った普通医薬品としてならば、それはもうそこから麻薬を抽出したりなんかするような結果は出ないというようなところまでになった麻薬の製剤は、これはそれほどにもございませんが、麻薬そのものについては、最も厳重なものでございまして、これは一般の薬事法じゃなくして、麻薬取締法という別の法規によって法律の根拠を持っておりますし、取り扱いにつきましても、そういう麻薬の施用者なり麻薬取扱者という指定されたものだけが取り扱いができる、それも毎年出納を帳簿に記入し、それを報告をすることが必要だというふうな取り扱いをやっているわけでございます。
  103. 横川正市

    ○横川正市君 大臣にちょっとお聞きいたしますが、日本の銀行券を発行するような方法とか、それとも専売制度のような格好で、厚生省としては麻薬について省自体が製品化する、そしてその販売については厳重な、使用その他について監視をしながら市販をするというようなシステムを持つ意思はないですか。
  104. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 今、局長説明を申し上げましたように、その辺に誤りはないようにやっておるということをるる申し上げておるのですが、私はその点を自分で十分に確認したわけでもございませんが、今申しましたように、非常に麻薬は、これはもう特別な扱いをしなければならぬようなものでございますから、現在のままで十分そういうことが心配ないようにやれておるのか、あるいはそこにまた少しでも欠陥があるのか、その辺は少し調べまして、これはいやしくもあやまちがあっては絶対にいけないものでありまするから、十分検討したい、調査をしたい、かように思っております。
  105. 横川正市

    ○横川正市君 厚生省で、自分のところで製品にして、そして市販をするような格好を持つ意思があるかどうかということです。
  106. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 今、私はそういうことにつきまして、十分研究をいたしておりませんので、ちょっとお答えをしかねるわけでございます。
  107. 横川正市

    ○横川正市君 私は麻薬患者を目で見たことはないわけですけれども、麻薬の記事はたくさん、いろんな格好で出ているやつは見るわけですね。これがいわゆる探偵小説の種に使われてみたり、それから一つの社会悪の中で最も興味あるものとして取り扱われたり、何か社会悪そのものを表に出すことによって、好奇心を誘ってものが売れたり、そんな材料に使われているきらいが強くて、そして実際には、厚生省としてはいろいろまあ考えているんだろうけれども、なかなか適切な手段がとられていかないという気がするわけですよ。たとえば犯罪なんていうのは、これはもう全部隠されているわけですが、それをほじくり出すのに、司法当局というのは相当苦労するわけですね。ところが、麻薬なんていうのは、町に、この間の横浜のようにあわ吹いて飛び出している、いわば結果というものが目に見えているのに、原因がつかまれないというのが今の日本の……。まあ法律の建前、社会の制度やら何やらですね、そこに、さっき言ったように、麻薬の取り扱いについては、どの程度に注意しておりますかといえば、劇薬以上に厳重だと。それなら私はもっと取り締まりの問題については適切な手が打たれるんじゃないかと思うのに、何年たってみても——まあ事実上は減ってるんでしょう、十二ぐらいな実際の輸入者がいたのが、今五つぐらいに減ったと、あと五つぐらいもこれから減らすんだと、百五十人かの取締官が一生懸命やっている、期待をしてもいいんだけれども、事実はもっと何か放任をされたように、私どもとしては受けるわけですよ。その対策は、一体どうなのかと、実は私どもとしては、一番聞きたいところなわけです。
  108. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 私ちょっと御質問の趣旨を取り違えておりましたので、実際、今麻薬によりまして上がってきた犯罪の件数その他を、今まで厚生省も努力はいたしておりました、また関係個所も努力をいたしておったにかかわらず、どうも結果としては、あまりおもしろくない、だんだん犯罪件数も多くなり、検挙される人が多くなっておるから、いろいろ今問題が起こって、これは何とかひとつ、強力にこれをやはり取り締まらなければならぬ、かように思いまして、その組織につきましては、今われわれのほうでいろいろ考えておるのでございます。  たとえば私のほうの省それ自身につきましても、今、麻薬につきましては一課をもってやっておりますけれども、これでは強力にやれないと、また、人員等につきましても、片手間ではいけない、現場の取締官も相当、もう少し強力にしなければならぬ、また、関係個所が非常に多いのでございまするから、それを総合してやはり取り締まりの本部と申しますか、そういうような中心を作って強力にやっていきたい、また、予算の面から申しましても、今までは非常に微々たる予算でありまするが、これを相当に強化するためには予算の措置等も考えたいということで、少なくとも麻薬問題は非常に重要な問題でありますから、その取り締まりの強化をはかっていきたいということには、今せっかく検討いたしておるところでございまして、初めの質問を私ちょっと取り違えましたので、十分取り締まりの強化をはかりたいということを申し上げる次第でございます。
  109. 横川正市

    ○横川正市君 先般、国会でも現地を視察したという記事も見ましたし、それから麻薬のいろいろな被害の実情についても相当PRをして、それに苦労される取締官の記事も私どもは見ているわけですね。ところが、その記事が絶滅するというところにつながっていく方針というのは、方策というのは、どうなっているのかは、実はあまり知らされておらないんですよ、私たちにもそれから一般国民にも。今、まあ大臣は、課をふやし、人員をふやし、やりますというけれども、一体これは、絶滅というそういう結果を日本の国内で作るということの目的のためには、現在、大臣の考えている処置は、それに結びつくものだと、こういうように信用していいかどうか。  たとえば日本の港、日本のターミナル、これが密貿易の最も世界中で一番何といいますか開放された地域というふうにいわれているかと思うと、実はもう関税にしても、それから羽田の空港にしても、私ども外国を歩いてきたけれども、あそこほど厳重に税関が品物を調べるところないですよ。インドの次くらいですね、日本の税関というのは。それでもなおかつ、日本の国に相当の麻薬が入ってきて、相当の患者がうようよしている。一体どういうふうに見たらいいのか、われわれ実は疑問に思うわけです。そこで今適切な対策等を出されたその方針は、絶滅に結びつくものなのかどうか、この点一つお聞きいたします。
  110. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 非常に少量のもので、そうして不正な輸入でございまするので、一般のものとは非常に違うようであります。したがいまして、やはり情報網をつかむというようなことも必要であろうかと思うので、そういうような懸念の持たれる外地等につきましても、やはり係官を駐在さして、その情報網を持ちたい。もちろん絶滅を期するわけでございまするが、ほんとうに少量のもので、それが相当な高価なものであるというやはり特殊性もありますので、絶滅を期することに目的は置いておりまするけれども、なかなかそこまで到達するということができるかどうかということは、これは今断言はできませんが、少なくとも犯罪が増大の線をたどらないように漸減していく、そのためにこういう施策とこういう施策をやれば必ず減るという方向に向かって努力を傾けたい、かように思っておる次第でございます。
  111. 横川正市

    ○横川正市君 そういうふうな答弁をもらっても、実は私は不思議で仕方ないのは、さっきも言ったように、普通の犯罪ならば、知能犯の犯罪その他で、事件はあるけれども、犯人というのは隠されているんですね。それをほじっていくのがこれは刑事事件のむずかしいところでしょう。ところが麻薬患者というのは町にはんらんしているわけでしょう、この間のように。はんらんしておって、そうして麻薬を打って、麻薬が回ったから、今度はまたどこかうちの中へ入っていったという、その事実がちゃんと現われているのに、取り締まりができないというのは不思議で仕方がないと私は思っておるわけなんだけれども、これはひとつ係の人から、なぜ取り締まりができないのか。法の不備だとか、憲法上基本的人権がどうのこうのといわれているけれども、私はそれは事実上、法律というのをさぼるために変に読んでいるんじゃないかと思うわけですがね。実際には、そういう絶対的なものがあるのに、どうしてつかめないかという、まあ記事を読んでみると、酔っぱらっているものをつかまえたって仕方がないのだ。問題は、そのルートを探すのだという。ルートを探すのに一番いい手というのは、酔っぱらっている人間をたぐっていくより仕方がないんじゃないかと私は思うのですがね。まあしろうとの考えなんだけれども、そういった現われたものを見ていながら、なおかつ絶滅できないというのは一体どこにあるのか。その原因は何か。それをひとつお聞かせ願いたい。
  112. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 麻薬患者がたまたま七月の下旬に横浜地区で、ああいう一つの現象が起こったわけでございます。しかし麻薬の一般的な現象としては、一般の犯罪と同様に、やっぱり隠されておるのが実情でございまして、横浜地区の七月下旬のあの現象は、まあそういう隠されて内密に行なわれていた麻薬の犯罪が、これは、実際にやっているのは、取扱違反をやって、自分も中毒患者として吸っているようなものもあるわけでございますが、そういう麻薬の密売人の連中が、そういうある一つの時期に麻薬が切れて、そして無意識に救いを求めてきたというような、一時的な現象でございまして、一般的には、犯罪と同様に隠されている。  しかしそれにしても、なぜそういうようなものがやれないかということは、これは一つは麻薬取締法の現行の規則では、麻薬を持っていなければ検挙できないような一つの仕組みになっているわけでございます。あるいは麻薬の、そういう密売の現行犯、あるいは麻薬を所持している者、そういうふうな者でございますので、私どもは一番、現在の実際の取締官の声を聞いても残念に思いますのは、麻薬の注射をからだの至るところにやっているあとがある人間を見ても、それが現実に麻薬の取締法違反の現行犯でない場合には、今の法律ではなかなかそれを、そういう注射のあとがあるというだけで、逮捕するというわけにはいかないわけです。そういうふうなところが、これは法律改正しても、はたしてそこまでいけるかどうか、私どもちょっと疑問でございますが、どうしても今の麻薬取締法をもう少し改正をして、一つは麻薬中毒の患者を収容するような一つの強制権を持つ法律上の根拠が必要になってくるんじゃないか、そして中毒、要するに麻薬が密売されるということは、非常に簡単な理屈からいいますと、それを需要する者があるからでございますから、それを需要するのは、結局は中毒患者でございます。したがって中毒患者の絶滅を期していけば、日本から麻薬の不正取引というものは絶滅できるというふうに私ども考えておるわけでございます。それは数年間でできるか、何十年かかるか、これは私どもの努力、あるいは国民全体の努力の問題でございましょうけれども、絶滅を期することはできます。  しかしそのためのそういう努力とともに、法的な整備なり、あるいはそれに応ずるいろんな取締官なり、あるいは装備の増強、あるいはこれは麻薬取締官だけじゃなくして、警察なり、あるいは税関なり、海上保安庁なり、そういう関係当局が全部緊密な連携をして、外からくる麻薬というものを絶滅していけば、そして一方においては麻薬中毒患者に対するそういう施設ができて、それを強制収容する道を開いていきますならば、私は絶滅への道が開けていくんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  113. 横川正市

    ○横川正市君 むずかしい問題だということを聞かされたわけですかね。これは厚生大臣所管の中で、医師会を相手にするよりかだいぶむずかしいようですな。これはまあ最後にひとつ大臣から所信を聞いて、私はこれ以上の質問はいたしませんが、大臣の考え方をちょっと聞きたいと思います。
  114. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) やはり今も局長が言いましたように、中毒患者をどうかしなければならぬ、そうしなければ、跡を断たぬということでございますので、その中毒患者を収容して中毒を直すということ、収容設備は今でも多少あるわけでございまするけれども、さらに何と申しますか、国立の収容所を作る、また県等の収容設備も強化していく、そうしてその中毒者をなくする。そうすれば需要が減るのだということが主眼であろうと思うのでありまするが、その養護施設と申しますか、そういうものについて、これから力をいたしたい。これの運営その他の点については、なかなかむずかしい点が非常にあろうと思うわけでございます。私のほうは、現在ますますこの状況にしておけば悪い傾向になる。これは民族の消長の問題でございますので、厚生省それ自身の機構、あるいは現場の機構、あるいは他官庁との密接な連携、あるいは予算の問題、収容施設の問題と、そういうあらゆる手を尽くして、この漸減をはかり、撲滅まで持っていきたい、かように私どもの省としても最重点に来年度予算、また今年度からの施策としての最重点に取り上げてせっかく今やっておる最中でございます。どうぞ御了承を願います。
  115. 横川正市

    ○横川正市君 次に、市販されている薬品の価格は、これは会社が勝手に申請して、厚生省はそれを認めるということなのか、それとも、そういう認可はいたさないで、会社がそのまま市販に移すのか、その価格は、どういうふうにしてきめられるわけですか。
  116. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 一般の商品と同じように、各会社が設定するわけでございます。
  117. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、あれは普通取引上の問題だけであって、厚生省としては全然タッチしないわけですね。たとえばグロンサンのアンプル一本百円という価格が公定価で、それから今市販では、ひどいのは三十五円というわけですね。そうするとまあ過当競争の激しい東京では三十五円で飲めるわけです。あるところでは十円引くというサービスをするから九十円で飲める、あるところは百円で飲む、それは売った買ったの関係だから、どこも取り締まりの対象にならないということですか。
  118. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 今、横川先生のおっしゃったとおりでございますが、私どもとしては、医薬品がそういう形ではよくないので、医薬品の価格をもっと適正にやっていくということを行政指導の面ではやっておりますけれども、法律上では、ただいま横川先生のおっしゃったように、売った買ったというようなことで、結局公定価格というものがないわけでございます。いわゆるグロンサンの今例がありましたけれども、グロンサン百円というのは、グロンサン・メーカーの設定した価格でございまして、これは別に公定ではないわけでございます。
  119. 横川正市

    ○横川正市君 これは行政指導で適切な手を打たれておれば、実はこういう問題は起きないわけですね。今都内で薬品で割り引きしないで手に入る薬品というものはないでしょう。割り引きした薬品は中が悪くて、正規で買った薬品がよくきく薬というわけではないんですね、実際は。だからもうアリナミン、ビタミン剤、それから保健剤からその他一切の薬品に至るまで、全部これは公定価格売買というのは、いなかの値段ですよ、都市から離れた。都市はみんな割引値段ですね。実は私はこの売薬に依存をして保健衛生を維持しておるなんというのは非常に多いんじゃないかと思うんですね。経済上の問題からいっても、都市の者は安く買えるからいいや、いなかの者は公定価格で買っているのだから損はないのだわでは、ちょっとそれは変じゃないかと思っておるわけですが、行政指導の効果が上がらないと、こういうことだけで、あとはやむを得ないことだとして放任されているのか。それとも、この価格については、少し高くきめすぎていて、その幅があまりにありすぎるものだから、そういう結果になるので、少なくとも私は、まああまり自由競争、自由経済の中で、価格については売った買ったですから、それほど統制したりなんかしろとは言わないのでありますが、もう少し価格について幅が縮まっていいのじゃないか。そう言えば、東京の人に高い薬品を飲めと言うわけじゃないのですけれども現状からいけば、あまりひどすぎるのじゃないか、こう思うのです。これは、今電気器具から化粧品に至るまで同じような傾向が出ておりますね、実際には。しかし薬品ほどはひどくないのじゃないかと思うのですよ。  これは何とかあなたのほうは、行政指導をきびしくすれば、高くなると困るわけですが、しかし、今もし安く売られているだけで採算が合うならば、私はそれが常識価格であるべきはずだと思うのですけれども、この点、どういうふうにお考えか。将来どういうふうにされるか、ひとつこの際、お聞きしたいと思います。
  120. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) ただいま横川先生のおっしゃったとおり、私どもも、そういう製薬会社の、いわばメーカーの設定した価格と実際に売られている価格との間に非常に大きな値の開きがある。それから、それが地域によって違うということは、まあ一般の物品の傾向というふうには、私どもは放置できない。医薬品としては全国を、まあ地域差とか何かは別としまして、一般的に全国を通じて実際に売られている価格と設定された価格との間に、そう大きな値の開きがあるべきじゃないという考えをもっておりまして、その線に沿うように今努力をしているわけでございますが、それは一つは、そういうメーカーの自覚を促すということ、それからもう一つは、小売の段階でございます。薬局なりそれから薬店、そういうふうなものが団体の一つの調整事業、そういうものによって、値引き競争とかいうものを是正していく、そういう小売りの段階、それからメーカーの段階、その両面から、もちろんその中間に卸も介在するわけでございますが、ただいまのような趣旨の方向へ努力をしてもらって、そうして価格の間に非常に大きな差がない、この差をなくするようにしてもらう。それから都市と、そういう一般の地方との間の値の開きというものも、したがって同様になくしていくようにやっていきたいと思いますし、今そういう線に沿って努力をしているわけでございます。
  121. 横川正市

    ○横川正市君 大臣にちょっとお聞きしますが、あなた自由経済を信奉されている自民党で大臣になっておるわけですがね。薬の広告は過当だと思わないですか。自由競争やるのだから、どんどん広告して売ればいいと、こういう趣旨であなたは黙認するつもりですか。それとも、少しひどすぎると、こういうふうにお考えになっていますか、お伺いしたいと思います。
  122. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 薬、化粧品、これはもう非常に宣伝をやっておる。その宣伝をやっておるのが過当競争のもとでございまするから、私たちのほうは宣伝の自粛をしようということは、これは行政上業者に自粛を求めておるわけで、はなはだ目に余るような宣伝の仕方が多いので、これはどういう方法によってとめるか、とめる方法がなかなか見つかりませんが、少なくとも業界に対して自粛をせいということは、絶対やらなきゃならぬと、さように感じておる次第でございます。
  123. 横川正市

    ○横川正市君 薬を市販に移すまでは、薬の効果については、どこで調べているわけですか。
  124. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 医薬品は、すべて許可を必要とするわけでございまして、厚生省の薬務局にその許可の申請が来るわけでございますが、そのときに効能効果については、こちらで審査しているわけでございます。
  125. 横川正市

    ○横川正市君 あなたのほうの薬の検査の結果、許可を与えたときの、その薬の持っている効果というのですか、あの広告ほどにきくように判断をされましたか。
  126. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 効能効果は私どもが見ておりますが、これ以外の広告をした場合には、これは虚偽の広告として、薬事法違反でございます。しかし同じように効能効果が、たとえば何にきくということはありましても、その中の文章の問題になりますと、これはまあ広告は文章によってなされているわけでございますが、それが誇大に及ぶ場合には、これも同様に薬事法によって誇大広告として私どもの取り締まりの対象になっております。
  127. 横川正市

    ○横川正市君 今までの点で、あなたのほうで直接取り締まった例がありますか。
  128. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 誇大並びに虚偽として、私どもの取締官の、そういう審査にかかったものは、年間で、今ちょっと数字はここに手持ちでございませんが、相当の数に上っております。
  129. 横川正市

    ○横川正市君 最近では加美之素が化粧品か薬品かということでだいぶ問題になりましたね。ああいうような問題が起こったときに、私どもとしては、たとえば加美之素をやれば毛がすぐはえる、こういう広告は誇大かどうかという点は、どういうふうに判断されますか。
  130. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 加美之素をつけると、すぐ毛がはえるというのは誇大広告と思います。
  131. 横川正市

    ○横川正市君 大臣、私は今の薬品の広告は、ただスペース、大きさですね。大きさで云々はしませんけれども、これも広告に金をかけすぎるという点で、先ほどのあなたのほうの取り締まりの対象、自粛の対象と言いますかにしてもらいたいと思います。しかしそれにしても売らんかなの広告だと思うのですよ。それが商業道徳上許されていいかどうかという問題も含めて、当然私はこまかに検討してもらいたいと思う。今言ったように二、三回つければ髪の毛がはえるような広告は私は誇大広告だと思うのですよ。それから最近は化粧品だって、これは化粧品として取り扱うのか、薬品として取り扱うのか。最近のメーカー品だと思われるもので、使ったら顔がまっ黒になっちまった。それは何か体内にある特殊体質だから仕方がないということで放任をされているような事件が、ぼつぼつ新聞の記事なんかに出ているわけです。しかしそれの広告なんというのは実に誇大な広告をしているわけですね。  こういった点もありますから、この点はぜひひとつ厚生省でも、薬品はあなたのほうの所管ですから、薬品に関して、十分関心を示しておいていただきたい。私どもはあの広告料も飲まされているということじゃ、ちょっと腹がたってしょうがないわけですね。電気メーカー、化粧品メーカー、薬品メーカーが、これは全部テレビやラジオのスポンサーで一番、あれですよ、そのスポンサーが、どういう動きをしているかぐらいは、私どもはわかるわけですが、いくら自由経済の世の中だと言いながら、やはり消費生活を毒するようなことは十分自戒してもらいたい。かように思いますので、行政指導やりますというだけでなしに、この点については、効果の上がるような方法をとっていただきたいと思うのですが、所信をお伺いしたいと思う。
  132. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 私、自由民主党でございまするけれども、そう手放しに、そういうことは許されないと思います。やはり世の中の人をまどわせないように、過大広告は今申しましたように注意深くやっていきたいと、かように思っております。
  133. 奥むめお

    ○奥むめお君 関係当局の方から御答弁をいただけばいいのですが、ひとつの問題は、鯨のベーコンの問題非常に危険なことで死者まで出たと報告されております。あなた方は監督指導行政として、どういうことをなすっていたのですか。それからそれだけじゃございません。ベーコンだけじゃございません。イカの燻製といわれているもの、その他にいろいろ類似品があります。厚生省はそういうようなことに、どれくらい人と予算を使っているか、この二つをまず伺いたい。
  134. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 食品衛生の面で、どのような人員で、また予算で、どういうふうな措置をしておるかというお尋ねでございます。食品の問題につきまして、直接監視をいたしております職員は、全国で兼務も合わせまして大体四千人程度と記憶いたしております。この食品衛生監視員が主として保健所におりまして、保健所から施設その他に出向いて監視をいたす、また指導をいたしておるわけであります。またそれに要する予算といたしましては、そう多額の予算ではございませんが、本省並びに地方庁におきまして所要の予算を計上して活動に備えておるわけであります。  直接お尋ねを受けました鯨のベーコンにつきまして、こういった種類の食品につきまして、食品衛生上どういう措置をしておるかということでございますが、食品衛生法では御承知のように、第四条で腐敗、変敗しておるような食品とかあるいは病原性の微生物等で汚染され、あるいは汚染されておるおそれのある品物というようなものは販売その他が禁止されておりますので、それをよりどころにいたしまして指導監督をいたしておるわけでございますが、製品化される段階におきましても、いろいろと問題があるわけでございますので、食品によりましては、その食品を製造いたしますための規格あるいは基準を作っておるものもございます。また営業施設には、一定の基準を設けまして、たとえば食品の製造工場でありますならば、その工場に対しまして都道府県知事が一定の規格、一定の基準を設けまして、その基準に従わせて設備を整えさす、そこで製造をさせるということを指導と監督をいたしておるわけでございます。設備が不十分である、あるいは規格に合わない製品を出すというような場合には、それに対して営業停止あるいは食品の廃棄というような行政処分を行なって指導監督の徹底を期すというような措置を行なっている次第でございます。
  135. 奥むめお

    ○奥むめお君 環境衛生関係の監視は、どういうふうにして監督指導をしていらっしゃいますか。これと別の人がやるのですか
  136. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 環境衛生の監視は、食品衛生監視員と別に職員がおりまして、これは私の記憶では、兼務も含めまして三千三百人程度と記憶いたしておりますが、これはやはり保健所におりまして、環境衛生の監視に当たっておるわけでございます。
  137. 奥むめお

    ○奥むめお君 問題になっている鯨のベーコンだけを考えましても、いかにあなた方の指導監視ができていないものかということがはっきり出ておりますですね。厚生省は問題が起きたら動き出すということがいつの場合でも多過ぎると思います。だから、これからどうするかということはおきめになるでしょうから、問題はまだきまっていないでしょうが、ベーコンの問題、どうしているのですか。
  138. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 問題になりました鯨のベーコンの中毒につきましては、厚生省といたしましても、さっそく電話その他二回にわたる文書によりまして、関係各府県に連絡をいたしまして、その回収処分、また中毒患者の発生状況、症状、処理方針等につきまして、指導をいたしました。各県でそれぞれ適切な処理をとりました。自後こういう問題のないようにいたして参りたいと存じておるわけでございますが、なお直接問題を起こしました工場に対しましては、東京都知事が二十日間の営業停止を命じまして、施設改善をはかるというような措置をとった次第でございます。
  139. 奥むめお

    ○奥むめお君 ああいう鯨のベーコンのようなものは、あなた方の監督のワクの中に入っていなかったということを言っていらっしゃいますね、当局の人は。あれはどういうワクに入れて監督をしてきたのですか設備とか何とかというのじゃなくて、鯨の燃製ですね。燥製といってもあれは非常に簡単な腐敗し易いものですね。あれはどういうワクに入っておるのですか。
  140. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 鯨のベーコンはやはり食品衛生法上、この製造については、その工場に規格、基準を定めるという範疇に入っておりまして、食品衛生法から全然取り除かれておる品物ではないわけでありますので、私ども指導監督の中に入っておるわけであります。
  141. 奥むめお

    ○奥むめお君 それは衛生設備、工場設備の問題ですか。内容、製品、保存、鯨のあの製品というものは、あなた方は、何に入れていたのか。
  142. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) お尋ねの点は、工場の規格、基準ではなしに、鯨ベーコンの製品そのものの基準、たとえば牛乳の基準というような、あるいは魚肉の練製品の基準というようなものができていなかったのではないか、こういうお尋ねかと思いますが、それは確かに、そうでございます。従来この製品の基準につきましては、硝石の使用というようなことで、ごく一部の基準がございますが、他の魚肉製品あるいは牛乳の製品等に比較いたしまして使用量、頻度等も、従来少なかったわけでございまして、使用量等の多いものから順次取り上げまして、はっきり基準を作って参ったわけでございますが、この点につきましては、今後早急にこの問題を検討いたしまして、必要な基準を作って参りたいと、ただいま検討いたしておる次第でございます。
  143. 奥むめお

    ○奥むめお君 インスタント食品がたいへん急激にふえておりますおりから、鯨のベーコンだけでなしに、私はほかにもあると思うのです。そういう問題に対して、これからどういう方針をお立てになっていらっしゃいますか。
  144. 五十嵐義明

    説明員五十嵐義明君) 最近科学の進歩によりまして、いろいろな食品の保存方法あるいは包装の方法あるいはそれにつけ加えますいろいろな、添加物と申しますが、そういうものが、非常に発達いたして参りました。先生の御指摘のように、インスタント食品その他非常に多種多様の食品が出て参っておるわけでございまして、私どもは、これに対処いたしまして、食品の衛生を確保する上にいろいろな面で努力をし、また苦慮をいたしておるわけでございますが、一つには、直接の指導監督という面がぜひ強化されなければならない、という点から、食品衛生の指導監督に当たる職員の質の向上をはかるとともに、その機動性を増していきたいというような考え方から、そういった予算の要求もお願いしたいというふうに考えております。  また、ただいまやっております食品衛生課の仕事は、大きな二つの流れになっておりまして、一つは微生物等による中毒の問題、一つには添加物による様々な問題というような流れになっておりますので、これを整理いたしまして、最も能率的に仕事を進めていくというようなことを含めまして、人員の増加等についても検討をいたしておるわけでございます。  またこういった食品衛生の面は国民一人々々が三度々々の問題でございます。また関連いたしております業界も非常に多岐にわたっておりますので、この関係当局の指導監督という面だけでは、とうていこの食品衛生の改善は期し得られない面が多々あるわけでございます。したがいまして、食品衛生につきまして業界からも指導員というような形で業界の中から御協力をいただく方々をお願いいたしまして、全国に、そういう方々の御協力を得るというような計画をすでに進めておるわけでございます。また一般国民の方々にも御協力を願いまして、国民のお立場から、こういったいろいろな企画に御協力をいただくという面も考えておるような次第でございます。
  145. 奥むめお

    ○奥むめお君 厚生行政の根幹をなすべきものは、私は健康の安全といいますか、安全の保障だと思うのですね。健康増進ということになければならぬと思うのですね。だけれども、とかく問題が起きたら騒ぎ出すということで、行き届かぬ。第一、監視員だって三千人や四千人で、どれだけの監督ができるか。業者の数から比べたら九牛の一毛ですね。私ども知っていますのは、魚屋へ監督がくると、監視員がくると、すぐ次の魚屋へ電話をかけたりして、今くるぞ、これは町では常識になっております。それくらい監視員というものはなめられている。それで裏口から入ってごちそうを食べる人もある。今度の選挙なんかで、厚生省の高官が選挙運動を始めた。選挙の前でございましたが、業界ではもう当分監視の目はなくなったんだから楽なものだ、これを私ども現に聞いている。それから事業所へ監督にくるのが非常に少なくなった。これは事実でございます。また、先ほども何度監督にくるかといって相澤委員が質問しておいでになりましたが、私ども食品衛生のほうから考えまして、とっても手薄なものだと思うのです。予算をどれだけ増額なさっておるか知らないけれども、これは厚生大臣に、もう国民の安全を保障するということでもって、ぜひとも予算をたくさんとっていただくのが厚生行政の骨組みだと思っておりますから、御奮闘いただきたいと思います。  続けて、この問題はこれとして、私は医療の問題で、統計は厚生省のほうがよく御存じだから時間を省いて言いませんけれども、いろいろな健康保険がございますね。社会保障審議会でも、いろいろな国民保険の種類があるので、掛金も違うし、あるいは年金でも給付の額が違うし、いろいろな点で問題が多いし、早くこれを調整するようにと言っていらっしゃいますね。私どもこれは、もう絶対に必要だと思うのでございます。こういう問題を当局は、大臣といたしまして本気でする気がおありになるのか。また、どういうことをなすってきたか、ひとつ伺いたいと思います。
  146. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 御指摘のように、今までも保険、そのことはそのつどそのつどやってきまして、一定の体系のもとにやられたものではないから、でこぼこが非常にできて不均衡だということは、もう一、二年前からだいぶ問題になっておりまして、そのために社会保障審議会に対しましても諮問を出して、先般御答申いただいたのでございますが、やはりそのおもな内容は、非常に不均衡になっておるから、それを総合調整せよという諮問をいただいたのです。私どもは、その線に沿うて実はこれからいろいろ着手しなければならぬと思っておるのであります。  しかし、一口に総合調整といいましても、なかなかそれは容易なわざではありません。しかし、これはどうしても取り組まなければならぬ問題でございますから、せっかくただいま検討をいたしておるのでございますから、ぜひともこれは不均衡にならないように、各種の保険等不均衡にならないようにやることは絶対に必要と、かように思うわけでございます。
  147. 奥むめお

    ○奥むめお君 そういう希望的なお話は、これは私も同様で、私もそういう希望は持っております。厚生当局として、どうして下さるかということを聞きたかったのだけれども、この際は時間もございませんから伺いません。  ただ、今医療の問題で、非常に高くて、また給付が少なくて困っているのは一般大衆ですね。非常に困っているのは。ことに生活保護を受けております人は、なかなか医療給付をもらっても、なかなか、それはかかっているひまもないし、またかかることができない。そういうふうにして数字の上で見ますと、医療給付を受ける人が、医療扶助を受ける人がたいへんなふえ方ですね。ずいぶん多うございますね、長い間無理をしてからかかるのでしょう。そこで、私は、問題にしているのは、厚生省というところは、落っこちてしまったら、まあほんの少し、焼け石に水のようなものでも扶助金をくれるのですね、落っこちてしまえば。その予算も少なくございませんね。生活扶助とか、医療扶助だとか、いろいろくれますね。けれども金額がとても足りないし、不公平だから無理がある。私から言えば、もう一つ、ボーダー・ライン、まだ落ちないけれども、非常に落ちる可能性があるという、この連中を助けるということが厚生行政の私はもう一つ上の問題、それが本道じゃないかと思うのですね。そうすると、こういう面は、でこぼこがございまして助けてもらえない。厚生省予算を自分のつらい場合の援助に受けられないということがずいぶん多うございますね。今、厚生省社会局長もいらっしゃいますが、かりに問題を限って、社会局というところは、落っこちた人を助ける仕事はずいぶんしていらっしゃる。予算が足りないから、あれもこれも舌足らずの仕事をしていらっしゃる。しかし、まだ落っこちない人の仕事厚生省仕事として入れたらどうか。これが私は厚生省に希望することなんです。  たとえて申しますと、生活保護を受ける人を、もっとさらに落ちないように、あるいはもらっているお金が有効に使えるように、病気にならないように、こういう生活指導でございますね。これは厚生省がぜひなさらなければならない問題だと思うのでございますけれども、その筋金が入っていない。ただ金はくれてやる、あとの使い方は勝手にしろ、病気になっても医療扶助をやってるじゃないか、こういう態度のように見受ける。また事実そうなんですね。だから、生活扶助を与えている人に、まずその金額をどういうふうに、食べ物はどうするか、住宅の、衛生面はどうするか、物を使うときにはどうするかというふうな生活指導ということは、厚生省が一番なすべきことと思っておりますけれども、大臣、いかがでございますか。
  148. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) そういう困っている方々を救うというのが厚生行政の根幹でございます。主眼でございます。したがいまして、従来もやってきたと思うのですが、十分でないというおしかりは当然かと思われるわけでございます。生活保護の問題につきましては、それは行政をするのですから、あるラインを引いて、それらの方々には、最小限度のことを今やっていきますが、それにいたしましても、やはり世間の物価その他に応じ、また格差を縮めるというような意味から、生活保護の基準を上げていくというようなことも考えなければならぬと思うわけであります。  それとともに問題になりますのは、いわゆるどっこいどっこい、生活保護に落ちていくか落ちていかないかという層のことについて、何もやっていないじゃないか、まさに何もやっていないような貧弱な施策でございまして、それではいけないのでありまして、落ちないようにすることもまた、これは重要なことでありますので、私はこれは相当な数には上りまするが、そういうような階層につきまして、いわゆる低所得階層と申しますか、そういうような階層につきましても、もう少し、どういうような内情か、内容か、またその数が、あるいはそのボーダー・ラインの人が一千万人あるいは一千五百万人と言われておる。いろいろ、ただ言われておるのみでございますが、もう少しこの実情を的確につかむ調査をするということから始めなければならないのじゃないか。またそのボーダー・ラインの数によりましても、施策もおのずから違ってくるのじゃないかというようなことも考えられるわけでございます。ともかく生活保護の層に落ちそうな方について施策をやれということについては、私も十分わかるわけでございまして、何らかの方法を講じていきたい、かように思っておる次第でございます。
  149. 奥むめお

    ○奥むめお君 ぜひそれをやってもらいたい。それは予算も要るし、人もふやさなければならないし、部局もふやさなければならない。  たとえば例を申し上げますと、妊娠は非常に減りました、このごろちょっとふえていますが、ところが中絶に至っては実にふえております。生まれる子供の三倍くらい中絶している。これは母体にたいへんな障害でございますね。この間ちょっとそのほうの、衛生関係の会がございまして、婦人会からこの問題を大きく取り上げたいと出ましたところが、ある業界の圧力があったと私は聞いておりますが、妊娠中絶の問題は扱わないで済んでしまった。それは、そういうことでもうける人もあるでしょう。またしなければならぬ人もあるでしょう。だから、いろいろですけれども厚生省は、少なくともそういう生活指導をすべきです、お金をくれてやるだけが防貧、救貧じゃなくて、くれたお金を百パーセント有効に使うような指導、それからからだの面からも、これは経済とからだというものは一体でございますから、そういうもので消耗をさせないような生活指導、病気にならない生活指導、こういうことを、もっと予算をたくさんとって行なってもらわないと困る。いろいろ例は、また追い追い書いたものでお目にかけますけれども、特に厚生大臣に期待いたしますから、新しい厚生行政を樹立していただきたい、これが私の希望でございますが、どうぞ御所見を伺って終わりにしたいと思います。
  150. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 御趣旨のあるところは十分に尊重いたしまして、いろいろやっていきたいと思います。
  151. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 国民保険を達成しつつある今日、社会保険の診療の報酬に地域差があるということは、私もどうも不合理なように考えますが、この点について、ひとつどういうふうにお考えになりますか。
  152. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 医療費の地域差の問題ですが、これも従来からいろいろ問題があった点でございまするけれども、でき得れば地域差をなくする方向に、大体進まなければならないのじゃないか。これはしかし相当な予算が伴います。いろいろ考えなければならぬのじゃないかと思われまするが、大体の方向としては、やはりこれは地域差をなくするような方向にいかなければならないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  153. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 昨年の医療懇談会で、地域差を撤廃するということをはっきり前の大臣がおっしゃったというようなことを聞いておりますが、それはどうですか。
  154. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 灘尾厚生大臣のときに懇談会をもちまして、その懇談会の申し合わせとして、そういうことが申し合わせの事項に入っておったように承っております。
  155. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 医療問題は、一番大切な人の命を取り扱う問題でございますので、都市と農村との命の軽い重いはないのでございますから、どうかひとつ、地域差をすみやかに撤廃をしてもらうように強く要望いたして、私の質問を終わります。
  156. 相澤重明

    ○相澤重明君 簡単にひとつお答えいただきたいのですが、まず第一に、精神患者に対する看護人の人がいるわけですが、この看護人の名称変更について、私ども何回も本委員会で政府に要望しておいたのですが、関係者として今度、林委員も出席をしているわけでありますが、この看護人の名称変更を政府が提案をする考えがあるかないか、これをまず伺いたい。
  157. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 政府委員をして答弁させます。
  158. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまの相澤先生のお尋ね、精神衛生というお話でございましたが、これは看護婦、保健婦等の法律によりまして、一般の看護婦の中の男の場合を共通的に看護人といっている問題でございまして、これは精神衛生病院だけでない問題でございます。これは私の記憶でも、前に当委員会でも御質問ございまして、やはりこれは医務局所管の看護婦法そのもの、これの変更でいかざるを得ぬ、精神衛生法の中には、さような思想は入っておりませんので、一般的に検討する、こういうことになって現在に及んでいる。こういうふうに存じております。
  159. 相澤重明

    ○相澤重明君 私の質問しているのは、従来の政府の態度は、まあ字を一字変えるぐらいの法律であるから、予算も伴なわないし、実際にめんどうくさいから、議員立法で出していただけるならとにかく、私のほうからはなかなか提案しにくい、こういって、事実は、関係者の人たちの要望にもかかわらず、なおざりにされておった。しかし、看護協会や学界の人たちが皆統一しまして、昨年以来非常に、全国大会ももたれて、努力されているわけでありますから、やはり名称は、どういう名称をつけるかは別として、男性女性それぞれの立場もあろうと思いますが、やはり近代国家の名称を私はつけてやるべきだ。こういう人という名称をつけているのは、これだけですよ。鉄道の、たとえば運転手というのは運転士に、士になっていますね。調理師の場合も調理人とはいわない、調理師といっている。こういうような、近代国家の社会において人という名称を使っているのは、ほかにない。だからこそそんなことくらいは政府が、もう条文整理でできるのだから、関係者とよく話し合って提案をすべきだ。昨年、時の安藤政務次官は、まあ昨年の九月ころになったら、政府のほうでも検討したいといって、私にお答えになったはずです。しかし、その後依然として進んでおらない。こういうことはまことに遺憾でありますから、内容を聞いているのじゃなくて、内容はわかっているのだから、政府が提案をする意思があるのか、ないのか。できれば通常国会のうちに、そういうものを関係者とよく相談して提案をするくらいの私は努力をしてもらいたい。こう思うのですが、再度御答弁いただきたい。
  160. 林塩

    ○林塩君 関連であります。  今の相澤委員の質問でございますが、私も、それに関係がございますのですが、看護問題の中の大きな一つの関連として、看護人の名称改正が出て参りました。それで、それに対して、当局が看護関係についての積極的な態度がないわけでございます。それで昨年来、協会といたしましても、看護関係についての、いろいろな請願をしておりますが、その中に、看護問題は、一ぱい問題を持っておる。名称のみの問題でございますが、にもかかわらず、比較的消極的な態度、いわゆる前向きの態度でなく看護問題を取り扱っておられると思いますが、今回、それと関係いたしまして、名称の問題もさることながら、今、関連事項として、私も要望したいと思います。以上でございます。
  161. 西村英一

    ○国務大臣(西村英一君) 前回の質問のときにお約束したということで、まだそれが実現されてないというのは、はなはだ残念でございますが、どういうふうな名称にしたらいいのか、私も初めてでございまするが、今のあれは、よく御趣旨はわかりましたので、検討して御趣旨に沿いたいと、かように思っております。
  162. 相澤重明

    ○相澤重明君 ただいまの大臣の答弁で了承いたします。  次に、箱根の国立病院にいる脊損患者の問題でありまするが、これは長い間非常に苦労されている人が多いわけです。全国にもたくさんの同様の患者がいる。そこで、こういう脊損患者等に対する特別の法律を考える必要があるのではないか、現在の段階で。内容を申し上げますと時間がかかりますから、わかっておることですから、その考え方だけを私はお尋ねをしておきたい、いかがでございますか。
  163. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 箱根の療養所、これは病院でございませんで療養所でございまして、脊髄の損傷患者を収容して、治療をいたしております療養所でございますが、脊損患者につきましては、御意見のような、御趣旨のような立法を考えるということも、十分考慮に値する問題であろうとは存じますが、一般的に身体障害者福祉法という立法でもって、この範疇で取り上げているのでございまして、脊損患者につきましては、国立箱根療養所以外に、社会局関係の施設で国立の保養所を全国で三個所持っておりますし、そういう収容施設に努めるということでもって、この問題を積極的に解決していくように、今後とも努力をいたしたいと存じます。
  164. 相澤重明

    ○相澤重明君 局長考えは、現行法の中で、まだ幾らか操作、運用しようという考えがあるから、そういう答弁があるので、私は現地調査もしているし、内容を言えばたくさんあるが、時間がないから、私はただ考えだけをただしているのですが、それだけでは救済ができないのですよ。ですから、あなたのほうにも、何回も全国の療養所の人たちが陳情をしている。私たち議員にも、そういう請願がきているわけです。したがって、私はこの際、もうこの時点に立っては、やはり脊損患者に対する特別の立法を、そろそろ作る段階になってきている。当局もそういうことは御検討されているはずだから、できれば通常国会あたりに、私はやはりそういう御準備をされてはどうか。先ほどから各委員から言われているように、厚生行政というものを前向きにしていくということは、たとえば全国の中では千人か二千人という限られた数かもしれないけれども、それはほんとうに谷間に落ちた人たちなんです。その人たちにささやかながらも希望を持たせてやる。これは私ども日本国民としての大きな仕事であると思う。そういう中における厚生省の皆さんのひとつ努力を、前向きの姿勢を私は望みたい。これが私の実は特別立法をする考えはないかという質問なんでありますから、その点で再度お答えいただきたい。
  165. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) よく御意見の趣旨は、十分私ども了承できるのでございますが、ただそういう脊損患者の生活保障なり、医療保障をどのようにするかということは、との問題の解決の根本だと思うわけでございます。現在箱根療養所におります脊損患者あるいは保養所におきましても、まだ十分とは申しませんけれども、この人たちは、結局職業戦線のほうにはなかなか出ることは困難な方でございますので、一定の場所で、十分手の届く治療をやっていくということでもって、結局一生終わるということが、その方々の一番の関心事であろうと思いますので、先生のおっしゃるような趣旨も含めまして、今後とも十分検討いたして参りたいと存じます。
  166. 相澤重明

    ○相澤重明君 では、その努力を多といたしまして、次に、簡単にお答えして下さい。  先ほどから奥委員からもお話がございましたが、三十五年度決算の中で生活保護費については五百五億三千三百五十九万五千円の予算現額に対して、繰越金が五千九百二十万二千円、不用額が八百二十二万九千円となっておって、翌年度繰越額は保護施設設置に要する用地の選定に日時を要したこと等により、年度内に支出ができない。しかも不用額は経済の好況を反映して、予算上見込んだ被保護人員に達せず、生活保護費補助金を要することが少なくなったこと。こういうような理由をあげられておるのでありますが、なぜこの保護施設設置に要する用地の選定に、そんなに日時を要したのか。こういう点は、先ほどからも各委員の質問にあるように、非常な厚生行政に対する実際上の面における姿勢が少しなまぬるいんじゃないかということが言われておるわけですが、これのひとつ説明をしてもらいたい。  その次に、もうまとめてやってもらいたいと思うのですが、次に、離職者対策のところの中で、この二十五ページですね、二十五ページの炭鉱離職者の援護対策事業費補助関係、これが非常に不用額が残っておる。これもやはり、そういう理由をあげておるように思うのですが、なるほど三十四年、三十五年と比較をしてみるというと、ですね、政府の言っておることもわかる気がするのだけれども、非常に社会問題になっておった炭鉱離職者に対する援護対策が、これがどうもやはり欠けるように思われる。これらについては、どうしたのか。  それから、これらを通じて先ほどの奥委員の言われたように、生活保護とか失業対策というものは、ボーダー・ラインのことも含んで、たいへんな問題でありますから、三十八年度に対する考え方はどうなのか。これは厚生大臣からひとつ承っておきたい。  それから二十四ページにありますところの失業対策費の問題でありますが、これも含んで失対事業打ち切り問題というものがやかましくなっておりますから、それの見解について、大臣から再度答弁を願っておきたい。  以上、三つまとめてお答えをいただきたい。
  167. 大山正

    説明員大山正君) 生活保護施設費の繰越につきましては、地方に対しまして保護施設を作る場合に補助金を出すわけでございますが、各現地におきまして、土地の選定その他がおくれましたために、年度内にその工事を完了することができなかったということで繰り越したのでございますが、このような事態はたいへん遺憾でございますので、私ども今後そのようなことがないように、年度内に完成するように、さらに地方とも十分打ち合わせまして努力して参りたいと、かように考えます。
  168. 相澤重明

    ○相澤重明君 それからあとの問題ですが、コレラ対策について緊急にしなければならんというのはありますね。新聞を見ますと、沖繩はコレラが非常に発生をしておるという報道が伝わっておるわけですが、これに対して、先日はバナナの問題も出ましたけれども政府としては、どういうふうに処理をするのか、この点をひとつお答えをいただきたいと思う。  それからいま一つは、これは資料で提示をしていただきたいんですが、国立病院のベッド数と、それからこれに収容しておるところの患者数、それから看護人の数、これをひとつ資料として現状を御報告をいただきたいと思うのです。それは非常にベッドが足りないという意見があるのと、完全看護の問題に対する点が非常に強く要望が出ておるわけですので、きょうは、質疑の時間がなくなりましたから、それらは資料としてひとつお出しをいただきたい。先ほどの二十四、二十五ページの問題は、労働省関係の問題でもありますから、それはあとでまたやりますから、その上に立って、またあとで一般的に御質問いたします。  以上、二点、コレラ対策とそれから国立病院の問題、それについてのお答えをいただきたい。
  169. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 沖繩のコレラ問題についてお答えいたします。沖繩のコレラは、現在非常にまだ蔓延したという状況では実情ございませんで、航空施設の中の一用員が、去る三十一日の検便の一回だけ保菌状態にある。すなわち菌だけが生じまして症状がない、それから翌日の第二回以降消えた、これだけが実際の確証を得ましたコレラ関係者でございまして、その他には現在のところ、いろいろ新聞記事には出ましたが、現地の政府当局並びにその関係を通じまして、詳細調べました現在までの判明いたしましたところは、その一名だけであります。しかしながら、その情報が入りましたので、わが国としては奄美大島諸島が非常に近いところでございますし、台湾よりもはるかに短かい時間で鹿児島県その他本土との交通がございますので、一日以降情報のキャッチとともに、台湾と同様な対策を沖繩との関連のものについても実施をいたしました。さらに物量的には、出漁船あるいは密入国船等が台湾よりもひんぱんに予想されますので、このほうの取り締まりと監視、あるいは排除の措置を、これはつけ加えまして、もう実施いたしております。したがいまして、現在むしろわれわれおそれておりますのは、もしこれ以上に向こうが発展いたしませんと、あまり長期にかような非常な拘束措置を継続すると非常に損害が大きくなりまして、無用のいろいろな不便を生ずるということで、早くこれ以上発展しない、ないしは向こうの隠しているのではないかという情報を正確にキャッチする方法を、これは極力総理府の特連にもお願いいたしまして、さらにその他の情報網もございますので、現在、きょうもひんぱんに入手中でございます。これによりまして、もし実際の背後に、いろいろな心配な点があるということになれば、一そう強化する。そうでないということならば、むしろ日本といたしまして、将来こういうことがないように、援助できることならば、台湾にも今派遣員をやっておりますが、沖繩にはそれ以上に協力をしようと、こういうような方針で今進めておりますので、今後の様子を見たい、こう思っております。
  170. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 国立病院関係の資料は、至急取り寄せ提出いたします。
  171. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 他に御質疑のおありの方はございませんか。——他に質疑もなければ、厚生省に関する審査は、これをもって終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 御異議ないと認めます。よって厚生省に関する審査は、これをもって終了いたしました。  午後は二時三十分より委員会を再開し、労働省に対する審査を行ないます。  暫時休憩いたします。    午後一時二十四分休憩    ————・————    午後二時四十分開会
  173. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ただいまより決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和三十五年度決算外三件の審査を続けます。午後は労働省の部でございます。それでは、まず労働大臣より労働省関係の決算につきまして御説明願います。
  174. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 労働省所管の昭和三十五年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計の歳出決算につきまして御説明いたします。  歳出予算現額は四百十五億四百八十三万九千円でありまして、支出済歳出額は四百十億二千五百二十五万二千円、翌年度繰越額は二億三千八百十六万八千円、不用額は二億四千百四十一万九千円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額四百十三億四千二十四万三千円、前年度繰越額一億六千四百五十九万六千円でありまして、前年度繰越額は、炭鉱離職者援護会補助金及び年少労働者福祉施設設置補助金であります。支出済歳出額のおもなものは、失業対策費でありまして、緊急失業対策法に基づく失業対策事業費補助、失業保険法に基づく失業保険費負担金及び炭鉱離職者臨時措置法に基づく炭鉱離職者援護対策費に属する経費であります。  失業対策事業費補助の事業実績は、事業主体数一千二百三十七、事業数三千百九、失業者の吸収人員一日平均十九万三千八百十一人であります。  炭鉱離職者援護対策費の事業実績は、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数六十二、事業数四百五十六、吸収人員一日平均六千五百九十六人、炭鉱離職者業訓練につきましては、施設数十カ所、訓練人員延べ二千三百二十人であり、炭鉱離職者援護会におきましては、移住資金の支給一万二千百四十一人、寄宿舎及び労働者用宿舎の建設十一カ所、労働者用移動式宿舎の建設九十八棟、就職あっせん五千七百五十九件等を実施いたしました。翌年度繰越額のおもなものは、炭鉱離職者援護対策費に属する経費であります。不用額のおもなものは、炭鉱離職者援護対策費及び政府職員等失業者退職手当に属する経費であります。  次に、労働者災害補償保険特別会計決算につきまして御説明いたします。  歳入予算額は三百九十三億六千六百七十七万一千円でありまして、収納済歳入額は四百六十六億八千百十万一千円、差引七十三億一千四百二十三万円の増収となっております。そのおもな理由は、製造工業、土木建築事業等の雇用の増加、賃金水準の上昇により、保険料収入が増加したため、及び支払い備金受け入れが多かったためであります。  歳出予算現額は三百九十三億六千六百七十七万一千円であります。支出済歳出額は三百十七億三千五百八万七千円でありまして、そのおもなものは、保険費であります。昭和三十五年度末における労働者災害補償保険適用の事業場数は八十万七千、労働者数は一千六百十八万六千人であり、昭和三十四年度に比較してそれぞれ七%、一五%の増加を示しております。災害補償の実績は、件数二百七十六万八千件、支給金額二百七十一億七千二百十一万九千円であり、昭和三十五年度において新しく災害補償費の支払いを受けたものは八十七万三千人であります。翌年度繰越額は五千九十五万七千円でありまして、そのおもなものは、公務員宿舎施設費であります。不用額は七十五億八千七十二万六千円でありまして、これは、予備費を使用しなかったこと等のためであります。  次いで、失業保険特別会計決算につきまして御説明いたします。  歳入予算額は五百二十六億五千三百一万三千円でありまして、収納済歳入額は六百億二千三百二十四万二千円、差引七十三億七千二十二万九千円の増収となっております。そのおもな理由は、被保険者の賃金の上昇率及び被保険者の増加率が当初の見込みより上回ったこと等により保険料収入が増加したため、及び運用収入が多かったためであります。歳出予算現額は五百二十七億二千五百五十一万六千円であります。予備費使用額は五十二億七十三万二千円でありまして、そのおもなものは、給付件数の増加等に伴う保険給付に要した経費であります。支出済歳出額は四百四十四億五千五百七十五万八千円でありまして、そのおもなものは、保険金であります。  昭和三十五年度末における失業保険適用の事業所数は三十七万五千、被保険者数は、一般失業保険一千三百八万六千人、日雇失業保険五十六万九千人であり、前年度に比較して、事業所数一般保険者数につきましてはそれぞれ一〇%、一二%の増加、日雇被保険者数につきましては三%の減少を示しております。保険給付の実績は、平均受給者実人員、一般失業保険三十七万五千人、日雇失業保険十八万一千人、支給金額、一般失業保険三百七十四億五千百二十二万六千円、日雇失業保険二十一億一千八百八十二万四千円であります。翌年度繰越額は三千七百七十五万七千円でありまして、これは、公務員宿舎施設費及び庁舎等新営費であります。不用額は八十二億三千二百万円でありまして、これは、予備費を使用すること等が少なかったためであります。  以上をもちまして、労働省所管の昭和三十五年度決算説明を終わります。  なお、昭和三十五年度決算検査報告において掲記された事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。指摘事項につきましては、鋭意改善に努めるとともに、かかる御指摘を受けることのないよう努力する所存であります。
  175. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 次に、会計検査院当局より検査報告を聴取いたします。
  176. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 昭和三十五年度決算検査報告に掲記せられました労働省関係の指摘事項について御説明申し上げます。  第一に、失業保険給付が適正を欠いているという観点でございますが、これは受給者が再就職しているのに、これに対して保険金を支給したものでございます。全国には六百八十カ所の公共職業安定所がありますが、このうち東京都外五府県にわたりまして、飯田橋公共職業安定所外九十カ所を選びまして、失業保険金の受給者二万一千九百十五人について実地調査をいたしました結果、その三分の二に当たるところの六十カ所におきまして二百六人の不正受給者が発見せられまして、その金額は二百八十六万三千三百七十円に上っております。都道府県別に表示いたしましたものを七十八ページに掲げております。これが発生原因は、各安定所におきまして被保険者資格取得届と支給台帳との照合や、他の安定所への通報を漏らしたことによるものでありまして、このような事例が跡を断たないことはまことに遺憾なところでございます。  次に、失業対策事業費補助金経理が当を得ないという問題でございまして、これは就労していない者に支払った賃金あるいは失対事業に使用しなかった資材費または県が負担すべき事務補助員に支払った賃金、これらを国庫補助金の対象とした事例でございまして、二十九都道府県及び二百六十二市町村、これらの事業主体につきまして実地検査をいたしました結果、一事業主体当たり十万円以上の国庫補助金の返納を要するものが三十七事項、一千百四十一万六百三十一円に上っております。これは十六都道府県に関係しております。そのうち一事項二十万円以上のものを七十九ページに表示をいたしております。  次に、不正行為につきましては、神戸公共職業安定所の職員にかかるものが一件ございますが、これは就職支度金支給の調査確認事務に従事いたしておりました職員が、受給者から就職支度金の受領の依頼を受けたと偽って、七十一名分の就職支度金合計百九十万三千円の交付を受けて領得したものでございます。  最後に、是正させた事項として掲記いたしておりますものは、労働者災害補償保険及び失業保険におきまして、保険料及び追徴金の徴収不足を来たしていたため、これを是正したものでありまして、労働者災害補償保険におきましては、四百三十事業所、一千五十一万七千六十七円、失業保険におきましては六百七十三事業所、一千四百二十三万三千百七十七円に上っております。これらはいずれも事業主体の申告した保険事業費算定の基礎となる賃金総額が事実と相違しているのに、その調査が不十分であったことに基因するものと認められるものでございます。  簡単でございますが、以上をもって終わります。
  177. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) これより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  178. 北村暢

    ○北村暢君 私は失業保険特別会計の問題についてお伺いいたしますが、この会計における失業保険法の政令改正ですか、によりまして、この農林水産業の関係労働者が失業保険の対象になったようでございますが、これが当初は北海道のみに適用されて試験的に実施されたようでございますが、その後昨年からか、全国的にこれを実施する、こういうことのようでございますが、これの大体内容がどういうふうになっておるのか、資料をいただいたのでありますけれども、一応この実施状況を御説明を願いたいと思うわけでございます。
  179. 三治重信

    説明員(三治重信君) 農林水産業の適用の関係につきまして、御質問のように北海道で昨年まで実施いたしまして、その実績を見まして今年度から全国に適用するようにしたわけでございます。その適用のやり方は、農家並ひに林業、水産業関係はやはり零細な雇用主が多いわけでございまして、その事業主一人ごとに適用するのは非常に無理がかかったわけです。したがって、ことに農家におきましては、農業協同組合の団体単位にやるか、あるいは、それをさらに部落単位にやるかというような問題で、それは実情に合うように、大体団体単位の適用を認める、それを一事業主とみなしているようなことで、一つの適用の弾力的な運用をやったわけでございます。  それからこの産業につきまして、現実の雇用者が非常に季節的な規制を受けておりまして、元来からいえば、保険事項にならない問題であろう、それを保険事項的に最大限に適用していく場合に、われわれは類似の業種の失業率を見たわけでございます。それは建設業関係におきましては、保険始まって以来ずっと強制適用になっているわけでございますが、それが北海道におきましては、やはり天候の事情によりまして冬季建設業が全部やまる。したがって、これは非常に季節的な労務の性格があるわけでございますが、そういうのを全体を見まして、建設業における失業率がどの程度であろうかというふうな関係から見まして、大体半分ということで、最小限半分くらい、五〇%でやるということで、やはり年度間における失業率を五〇%の程度で押えるというふうな弾力的な規定を設けて現在やっておりまして、その実数は全国で農林、水産業合わせまして、適用事業所数が一万一千でありまして、被保険者数が約三万二千人ほどでございます。
  180. 北村暢

    ○北村暢君 今、概要説明があったわけでございますが、三十六年度の試験的に北海道に適用をして実施した状況は、資料をいただきますというと、農林業、水産業全体で事業所の数が九千八百八十一、被保険者数が一万四千三百八十八ということで、その実績が農業、林業、水産業で総体的にいえば、保険給付保険料と国庫負担分の収入と、それから給付額との関係を見ますというと、収入が六千九百三十五万、それに対して給付額が一億六千一百四十万何がしと、こういうことで差引大体九千二百万程度の赤字になっておるようであります。そういう実績の上に立って全国的にこれを実施する、そういう踏み切り方をするのには相当やはり検討されたのだろうと思うのですが、全体的に失業保険特別会計状況を見ますというと、内容的には黒字運営のようでございます。したがって、この農林業が加わることによって、これは当初だからこういう赤字になったのか、将来の見通しは、一体黒字運営がやれる可能性という見込みがあって、それで全国的に適用するように踏み切ったのかどうか、そこら辺のところがちょっとわかりかねますので、事務的にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  181. 三治重信

    説明員(三治重信君) この農林水産業関係その他季節的な産業までなかなか踏み切るのは、われわれのほうとして従来非常にちゅうちょしてきたわけなんですが、国会におけるいろいろの質疑を進める過程におきまして、われわれとしても非常に人手不足の関係で、ことに北海道の農業が非常に人手不足のために産業的に打撃を与え、したがって、どうしても失業保険を適用してほしい、人集めのためにもということで、われわれは赤字は覚悟の上で適用することに踏み切ったわけでございます。その点そういうまあ収支の赤字を覚悟してやるというのは冒険じゃないかと言われることも、ある程度われわれの方としてそういう理由は十分成り立つわけでありますが、われわれのほうとして、全体のやはり雇用対策、それから産業上の労務供給というふうな、全体的な見地で、しかも保険経済で、やはりある程度の産業による黒字、赤字は出ても、全体として何とかやれる範囲内ならばということで踏み切ったわけでございまして、との関係を、収支を見ていけば、ごらんのようなことでありまして、この赤字が解消するものとは考えておりません。
  182. 北村暢

    ○北村暢君 そういう赤字の見通しがあるにかかわらず踏み切ったということについては、私ども農林業に適用すべしという主張をした者からいって非常な英断だったと敬意を表するわけなんですが、ここでちょっとまた事務的なことになりますが、三十六年七月の場合は、これは北海道だけで誠験的にやったと、ところが、三十七年、ことしの七月、これはまだおそらく全国的に普及していないから、また調査が行き届かないためにこうなったのかも知れませんが、件数において、事業所数が九千八百八十一、これは北海道のみである。それが三十七年で一万一千六十七、これはもうほとんど北海道のようでございます。全国的といえども、大体五百件ぐらいしか北海道以外のところはない、一万五百幾らというものは北海道である、事業所数においてそうである。この点はまだ調査が行き届かないためにこうなるのではないかと思いますが、一体全国的にとればどのくらいの件数に、事業所数になり、被保険者の数もどのくらいになるのか、これがおわかりになっていたらお知らせ願いたいと思います。いただいた資料ですというと、全国的に適用になったというふうに言われますけれども、内容はほとんど北海道である、こういうふうにしか見受けられませんので、この点の御説明を願いたいと思う。  それからもう一つは、農家を一つの事業単位と見るということになれば、これは個々の農家で非常に零細でありますから、保険適用に該当しない、こういうことになるようでございまするので、先ほど説明がありましたように、農業協同組合の団体を単位として、一事業所として加入をすると、まあこういうことのようでございましたが、農業のところを見ますというと、事業所数が九千八百四、被保険者数が一万二千三百七十三、これは北海道の昨年の場合でありますが、事業所数と被保険者の数がたいした変わりがないわけでございます。したがって、これは団体で入ったのが被保険者の数になるのか、個人じゃなしに協同組合自体がそういうふうになっているのかどうなのか、ちょっとこれはわかりかねるわけです。したがって、この点の説明をしていただきたいのと、それから林業の場合は、北海道の場合三十三という非常にわずかな事業所数ですが、人員、被保険者のほうは一千百二十六と、これはまあ何倍になりますかね、一事業所が三十人か四十人ぐらいの平均になっておるようでございますが、水産関係においても、これは林業の関係からいけば半分くらいですが、まあ農業が先ほど言ったように、今、事業所数において被保険者の数が同じような数で説明のような形にはならないじゃないかという感じがいたします。この点をひとつ説明をしていただきたいと思います。
  183. 三治重信

    説明員(三治重信君) 先ほどの適用事業所数等につきましての御説明がちょっと不足だったかと思いますが、保険法の建前とすれば、その雇っております農家、そこが事業主ということで適用事業所数に入ってきておりますが、先ほど申し上げました弾力的な運用をやったというのは、そういう事業主が個々に直接その保険料を納めるのは非常に適用がむずかしいから、そういう保険料の納付や、そういう手続の関係をそういう単位でまとめていく、法律上のやはり適用事業主という関係になりますと、その保険料を納めている個々の農家の数を統計上じゃ計上している、こういう格好でございまして、個々の適用事業主が個々にばらばらに加入しているという、法的にはそういうふうな格好になりますが、実際の運用といたしまして先ほど申し上げましたように、協同組合単位、部落単位でその方が全部が適用を希望するということでございます。したがって、何と申しますか、一種の失業保険組合、失業保険の適用の事務手続の組合を作ってやっているというふうな弾力的適用をやっているということでございます。統計上の適用事業主はそういう個々の農家が計上してある、こういうことでございます。  それから大体の見込み数、われわれのほうといたしましては、労働力調査や、その他の全国のいろいろ事業所調査というふうなものから勘案いたしまして、これが適用になって最大限現在のところ見込み数は、農林業で約二十四万五千人、それから水産業で九万七千人、計三十四万二千人、これが大体最大限の数であろう。しかし、これは全国集計した統計から最大限の数と予想されますので、実際にこれは——しかも強制でございません、任意加入でございますので、相当やはり加入数は、漸次ふえるとは思いますけれども、ここまでいくには相当年数がかかるのじゃないかというふうな感じを持っております。
  184. 北村暢

    ○北村暢君 そこでお伺いしたいのは、私は、今後の農林業、水産業の近代化の問題と関連いたしまして、農業においても、季節的な産業であるということですが、これを畜産あるいは果樹というものを含めて多角経営をやっていくような農業というものが今後出てくる。特に畜産関係においては、多頭羽飼育というものが今盛んに奨励されておるわけでございまして、そうしますというと、畜産関係においては、大体これは年間通じて飼育していくわけですから、そうしますと、これに関する従業員というのは、農家という規模ではなしに、相当、農業とはいえども雇用労働というものによってやっていく傾向というものが非常に多くなってくるのじゃないか。したがって、第一次産業でありながら、生産業その他工場労働者といったようなものと関連するような雇用形態というものが、今後の農業というものには相当出てくるのじゃないか、このように思います。それから水産業においても、そういう傾向が、水産業それ自体としては、通年、一年間というふうなことでなしに切れるかもしれませんが、この畜産というものと兼ねていくということになるというと、沿岸漁業等においては畜産を兼ねた漁業者というものが相当出てくる、こういうことが考えられるのです。そうしますと、農林業そのものも企業的な経営というものが出てきて、雇用労働というものが相当出てくる、こういうふうに思われます。したがって、そういうことで、そういう方向に今後なっていくのに対して、御存じのように、今農山村の若い労働力というのはどんどん都会へ移動しておりまして、非常に労働力を確保することが困難になってきている。こういう状態の中で、やはり農林業という原始産業といえども、近代的な雇用形態というものをとらない限り、農山村に若い人が希望を持って残らない、こういう趣旨から、この農林水産業に失業保険法を適用する。まあ失業保険法ばかりでよくなるわけじゃもちろんないのですけれども、そういう趣旨からここの適用がされたと思うのです。したがって、総体的な見通しにつきましても、今、農林業でもって二十四万五千、それから水産業九万七千で、将来三十四万二千程度の任意加入、事業所数にしてそのくらいである、この見通しは、私はちょっとやはり甘いんじゃないか、こういうふうな感じがするのです。ということは、北海道ですでにもう一万ですからね。そうすると、今後の全国的な規模でいけば、これはやはり相当加入数というものは、今の見込みよりは若干伸びるような感じがいたします。これはまあ今後の問題ですから、ひとつ農業、農林業という原始産業自体がそういう方向にいっているということを、労働省でもひとつ十分頭に入れてやっていただきたい、このように思うのです。その場合、この林業の場合なんですが、適用する条件が、どうもこの林業の場合は通年しての事業ということになって、しかも、その半数が一年間はどうしても残らなきゃならない。半数が失業した場合にこれを適用する、こういうことなんで、季節労働ということになるというと、これは適用されないわけですね。したがって、一年間のうち、林業で大体八カ月以上というのは相当あるわけです。ところが、八カ月では、これは失業保険は適用されないのだろうと思うのですが、北海道等における林業の事業所数でわずかに三十三ぐらいしか適用になっておらない。また、これは任意加入だから、制度がわからなくてこれは加入しないせいも当初ですからあるのかとも思いますが、やはり北海道においては、今申したように、八カ月ぐらいどうしても適用になる期間というものが切れる、こういうことではないか。ところが、林業の従事者の実態からいえば、その企業自体からいえば、やはり五十人、六十人使っている企業は相当あるわけです。そしてまた、それに要する事務関係その他と実際の作業をやっている現場関係と、こういうようなことで企業関係からいえば、そういうことが総体的に企業として成り立っている。その場合、半数という規定があるものですから、したがって、この現場の事業そのものは実は二、三カ月どうしても切れる、まあそういうことで、ですから企業全体として半数ということも非常に無理がある。半数以上どうしてもやめるというようなことが出てくる。こういうようなことで、従来の農業の形からいえば、先ほど言った畜産その他は、通年というようなことは、仕事が続いていくということは工夫できるのですが、林業の場合、どうしても季節で切れるということが出てくるわけです。そのために、せっかくの制度があってもこれが適用にならない、こういうことになってくるのじゃないかと思うのです。ところが、国有林の場合は、林業のように切れる場合があっても、これは全部適用になっておるわけなんですね。そして、民有林と国有林の場合とそこに差が出てくるのじゃないか、このように思うのですが、これを救済するような形というものが考えられないのかどうなのか、お伺いしたいのですが、特に農業と林業、水産業の事業所数を見ますというと、せっかくの制度ができて、林業と水産業に非常に少ないものしか適用にならないのじゃないか、このように思われまするので、ここら辺の実態がどのように把握されておるか、お伺いいたしたいと思います。
  185. 三治重信

    説明員(三治重信君) 林業関係につきましては、御説のように、われわれも調査に十分予算と人員を使っていないということもありますけれども、実態は、正直のところ、いろいろの陳情も受け、事実は、地方からもいろいろ説明されておりますけれども、どうも実態がよくわからないということにおいて、全く悩んでおります。したがって、林業の実態につきましては、検討中というふうに御了解願いたいと思います。水産関係につきましては、御承知のように、近代的な水産業は、みんな船員法の適用を受けておりますので、沿岸関係の零細関係になりますが、そういう関係につきましては、これは割合に数が少ないのじゃないかというふうに思います。それは、沿岸漁業と畜産、農業と、そういう多角的になってきた場合に、はたして、そういう半農半漁家が雇用者を相当雇うようになるかどうかという問題については、私たち何とも見通しは申し上げられません。したがって、林業関係が一番問題になろうかと思いますが、御承知のように、国有林のものは、政府対象のもので失業保険を準用する格好で給付ができるようになっております。民有林の関係につきましては、そういうふうな事情がありますので、したがって、われわれのほうでは、いま少しその実態を研究して、どういうふうにすればいいか、ことに、こういう関係もあるかとも思われますが、北海道の場合でございますと、農業関係の方は、割合内地の方が多いわけです。したがって、帰られてから、安定所の失業保険をもらいに行くのに、割合いいわけです。北海道の方は、林業は土地の人が多いということになりますと、非常に安定所から遠くなると、したがって、実際適用しても失業保険を安定所にもらいに行くのに、非常に手間ひまがかかるというような関係があります。これは内地と非常に違う関係であります。内地でも、山奥の関係でありますとかに、こういう近代的な社会保険の適用で現金給付をやるというような関係になりますと、やはりそういう安定所まで通うのに、距離に非常に関係があるというふうに見ておるわけであります。
  186. 北村暢

    ○北村暢君 林業関係に適用する場合に、まず、実態がよくおわかりにならない。これは試験的に昨年からやったのですから、私も、わかれというのも無理だと思いますから、やむを得ないと思いますけれども、今後、ひとつ十分検討していただきたいと思うのですが、国有林の労働者と民有林の労働者と、これは作業の実態からいえば、何にも変わらないのです。変わらないのですが、雇用主が国であり、一方は民間の造材業、林業者である、こういうことで、ほとんど労働の実態、内容というものは変わらなくて、一方は失業保険が適用になり、一方はならない。制度は開かれたが、条件がむずかしくて、結局は適用にならない、こういうことなんでありますから、これは民間、国有林を通じましての林業労働の政策上からいっても、また、非常に林業というものが機械化されて参りましたために、今までの手のこで木を切っているなんていうのは、ほとんどなくなってしまった。ほとんど機械化されて、チェーン・ソーで切る。運材等についても、トラクター運材あるいは集材、こういうものが今民間にどんどん入ってきている。で、国有林がこういう総合形態で近代化して参りましたが、その国有林の訓練をしている技能者というものが、国有林におらないのですね。おらないということは、幾ら訓練しても、どんどん今民間へ民間へと移って行ってしまうのです。そういうことで、一時的にそういうような形をとっているのですから、いわゆる林業という原始産業という感じのものが、最近では非常に変わって参りまして、炭鉱における労働者が、機械を使って採炭しているのと同じような形で、林業労働者というものも、実はそういう方向へ今変わってきつつあるわけです。したがって、一つの採取業といいますか、石炭を掘るのと同じように木を切って出す、これが機械化された形に変わってきておりますから、したがって、そういう点からいえば、この農林業という第一次産業——原始産業というものに対しては、労働省は基準法においても、それから失業保険法においても、農林業というものを差別して考えてきたという考え方というものを、今日改めなければならない。やはり近代的な雇用形態というものができてきている。この事実はやはり見のがしてはいけないのじゃないかと思う。したがって、今後のこの労働者に対するいろいろな政策として、従来の考え方というものをひとつ改めて、あらゆる面から見ていただくことが必要でないか、このように思うのです。したがって、従来主張して参りました失業保険が林業にも適用になったという第一段階、こういう段階に来たわけなんで、私ども非常に喜んでいるわけなんですが、今後のこの運営において、ぜひひとつ、適用条件が非常に窮屈なために国有林と民有林の林業労働の中に、画然と差があるということ自体も、これは林業の政策上からいっても非常に困る問題なんです。したがって、これらの問題について、林業だけでなしに、そういう観点からひとつ見ていただきたい。この点はひとつ労働大臣から、そういう方向でやっていかれるのかどうか、今後の研究問題としてぜひ考えていただきたいと思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  187. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この問題につきまして、有益な御意見を承ることができまして、今後十分に検討を加えて参りたいと存じます。
  188. 北村暢

    ○北村暢君 事務当局から先ほど説明があったのですけれども、私、やはり適用条件がちょっと実態に合わないと思うのですよ。ですから、全体の保険経理の上からいって、労働省としても、むやみやたらにというわけにはもちろんいかないだろうと思うのです。したがって、相当検討して、やはり計画的にされるということはわかるのですけれども、私の検討した範囲内で言うと、もうちょっとのところで、工夫をするというと、相当救われるものが出てくる、こういうふうに思うので、企業主の事務関係の人と、ほんとうの現場の人と、企業全体から見たことでいけば、何とか適用がされていくのじゃないか、こういうような感じがいたします。  それから先ほど農業と林業の北海道の関係のことについて、局長がちょっと話されましたけれども、林業においても同じなんです。これは秋田、青森等の出かせぎ的な労働者は、非常に林業の場合は多いのです。しかも林業の場合は、東北から行く人は、ちょっと普通のことでは考えられない出かせぎであって、一年間北海道に行っている、常識的にそういうことはあるのだろうかと、こういうふうに思われるのですが、実際問題としてこの林業労働者は、東北から行く人は、盆と正月しか帰らないのですよ、青森、秋田に。そういう労働者がずいぶんたくさんいるのですよ。盆と正月だけ帰るのです。そういう人がたくさんおりますし、そういう点からいくと、かえって北見地区は地元の労働者が多いのです。それ以外の地区は、大体において内地の労働者が多い。それは北海道の労働者は非常に賃金が高いのですよ、高く要求される。東北からの出かせぎの人は、賃金が安くて、しかも、出かせぎで来ているから、山に泊り込んだまま里へ帰らないわけなんですよ。そうして山小屋の中で一年間、それは家庭が内地ですからちょいちょい帰るわけにいかない、したがって、出かせぎの人は非常な能率を上げるわけなんです。北海道の労働者なんか全然問題にならないほど東北の出かせぎの人は、賃金が安くて、しかもなおかつ、ものすごく能率を上げる、そういうのが北海道の林業労働者の実態なんです。ですから農業が、農家に泊まって出かせぎの人が働いているだけでなくて、実際は今言ったような形で、林業労働者というものは北海道の場合はそういうものが非常に多い、こういうことですから、あの北海道の冬の間仕事の切れるようなところですら冬山——昔は、冬山ばかりで夏山は逆になかったわけですが、最近は、冬山をやめて夏山をやる、これが非常に多くなってきている。それをもう少し技術的に改善をすれば、今林野庁等も北欧に、スカンジナビアその他の林業労働の実態調査をして、そうしてこの一年間通じて夏冬林業の労働者が継続して収入が入るような方向、そうして技術優秀な者を養成するために一体どうするか、その作業形態等についても今検討を加えているわけなんです。で、今視察に行って、北欧の林業の実態調査をして、日本の林業も合理的な近代的な林業に、季節的でないものにするためにどうするかということで今検討を加えられているわけなんです。そういう段階ですから当然私は、将来、北海道においてしかりでありますから、関東以西、しかも、東北においても太平洋沿岸の三陸海岸、あちらのほうまでいけば通年雇用する、一年間ずっと林業で冬も夏もなしに一年間働いておるというのが圧倒的です。したがって、関東以南は一年間継続してできるという形が出てきておるのですから、したがって、雇用の半数は一年間続かなければならない、あの点がどのようになりますか、若干考慮されるというと相当適用せられる者が多くなってくるのじゃないか、このようにも思いますし、実情はそのようなことでございますから、まあ今後も労働省として、実際に実態を見て、この適用が合理的にひとつ失業保険運営されていくように、重ねて御検討いただきますようにお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  189. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 池田内閣の政策の一つで、所得倍増計画ということから、産業の拡大がどんどんどんどんなされたわけですが、私はその中の大きな問題として、青少年労働者の不足の実態がどうなっておるのかということが聞きたいのですが、三十六年度の一体雇用というものの状態はどういうふうな状態になっておるのか。しかも、中小企業、あれを中心にして大企業との就職率の格差がどういうふうに出てきているか。まず三十六年度をひとつお知らせ願いたい。
  190. 三治重信

    説明員(三治重信君) 新規学卒、ことに労働省がやっておりますのは、中学卒業生でございますが、これにつきましては、大企業で、大体五百人以上の事業所では六三・六%の充足率、百人から四百九十九人のところで三五・二%、十五人から九十九人のところで二二・五%、十四人以下では一八・八%の充足率となっております。そういうふうに非常に中学卒の採用希望について、やはり大きい規模のほうの充足率が高くて、中小企業の充足率が低いというふうな関係になっております。それからなお、実際の絶対量におきましては、大体において、今まで五百人以上の事業所よりか、中小企業のほうが雇用者数は多かったわけでありますが、昨年では大企業のほうが若干多くなり、中小企業のほうが絶対数が少ないというふうな関係になっております。それで、学卒関係につきまして非常にまあ不足を訴えられる——わけなんですが、この所得倍増計画によりまして、先生も御指摘のように、非常に進学率が高くなった、それからちょうど昨年ないしことしは、終戦まぎわの非常に混乱時期のために出生率が非常に悪かった、その二つが相原因してきてこういうふうなことになりましたのですが、三十八年——来年の三月から四十年まで約三カ年間くらいは戦後のベビー・ブームで非常にふえます。しかし、それが進学率の上昇によりまして、その新規中学卒業の卒業者の増加割合ほどはふえない、したがって、絶対数の増加は、われわれのほうでは十万ないし十五万程度ふえるという程度じゃないかというふうな感じを持っております。それにいたしましても、今後とも新規中学卒で産業界に出る人は絶対的には減ってくる、しかも、産業界のほうでは割合に、ことに中小規模のところでは、そういう事業が今後とも多くなるというところで、私たちは今後ともこの関係を基本的な地点において職業紹介の態勢に、人のお世話をする立場、それからことに人を雇われようとする立場の方々といろいろ協議し、そういう雇用政策と申しますか、個々の企業が人を雇う場合にどういう人が得られるか、求められない人を幾ら求めておってもしようがない、そうすると、営業のやり方や人の使い方というものまで非常に響く態勢で、ちょうど転換期に来ているんじゃないかというふうに考えます。
  191. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 三十六年度がそういう状態であったのですが、三十七年度も私は同様かと思うのです。中小企業は、今日の現状を申し上げますと、むしろ人員縮小のために十分な生産もできぬという事態が起こっておることは、労働省も十分お考えになっておると思うのです、三十六年がこういう状態でございますから。そうしますと、一体三十七年もそう満たされた青少年労働者はないんだという見解に立っておられるにもかかわらず、一体三十七年度の場合はどういう手を打たれたか、所管としてはどういう手を打たれたか、また、ただ地方にだけまかされたのか、中央から何か指示をして、そうして適正なる中小企業の充足の問題について真剣に考えておられたのかどうか。その点をひとつ……。
  192. 三治重信

    説明員(三治重信君) 適切な指導につきましては、実はわれわれのほうも案がなくてここ一両年過ごしたということでありまして、私たちとしては、目下、やはり中小企業主の方たちが中高年令の方たちを雇い入れていただくような方法、しかも、今まで子供ばかり使っておられた方が中高年令層を雇い入れる場合のいわゆる賃金の問題、それから人の使い方の問題というものが非常に変わってくるのじゃないか。賃金の問題につきましては、非常に初任給がここ三年急激に上がりましたために、中高年令層の方たちと必ずしも、そういう今までの賃金から見た場合において、相当格差が縮小になれば、中小企業においてはそういう代替雇用が可能になる条件が出てきたのじゃないかというようなわけでして、中高年令者の方たちもやはり遊んでいるよりか仕事をしたほうが、しかも、何と申しますか、移住してというか、移転してまではなかなかできませんが、ことに中規模以上の都市の中では、やはり通勤で短時間ならば、軽い作業ならばできるのじゃないか。そういう関係でやはり雇用主の理解と、仕事についての理解ができてくれば相当可能性があるんじゃないか。事実、われわれのほうでは、ことにアメリカやヨーロッパにおいて、非常に労働力不足の場合に、小さな店、それからサービス等関係におきましては、ほとんど中高年令者で占められておって、デパートといえども若い人がほとんどいないというような関係でありますので、そういう資料や何かを集めて——また、事実そういう方を利用する場合に、経営としても損失がいかないで経営できるんじゃないかというような資料を目下研究さしておりますので、そういうことで、具体的に実例を作りまして参るよりか——政府が直接集団的に雇うわけでもございませんので、個々の中小企業の方々、団体を通じていろいろと説得をし、また、そういうことで安定事務も動いていかなければならないというふうに考えております。
  193. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 どうも私の質問に対しての答弁じゃないと思うのです。私は、三十六年にそれだけの中小企業に人が入らなかったんだから、一体これをカバーするためにはどういう尽力をされたかということなんです。手の打ちようがないと言うけれども、たとえば地方職安が中心になって、できるだけ、その県には要望意見が来ていると思うのですね。なるほど、それは学校からの就職あっせんなり、あるいはまた、いろいろ大企業からの事前契約ですか、こういうこともあり得ると思うのです。けれども、中小企業に対する対策としては全然野放しで、三十六年がわずか小金業にとっては二二・五%しか入っていないというのに、野放しでやってこられたのかどうかということを私はお聞きしたい。それで三十七年度は一体どうなったのか、何%入ったのかですね、希望の。どういう状態か、それを聞きたいのです。
  194. 三治重信

    説明員(三治重信君) 中小企業の方たちのそういう新規学卒の充足に対するやり方につきましては、集団求人方式というものをとっておりまして、できるだけ各商店街なり、その製造業の組合を通じて、業者が同一労働条件で同一の求人を出すという指導をやっております。それ以外に、今までの個々の人が人一人雇うために、そういう労働条件なり何か違うために、なかなかできなかった。したがって、せっかく子供が来てもすぐ帰ってしまうという離職率が非常に高かったのでありますが、今現在はそういうふうな集団求人方式で労働条件を、その業主、商店街で統一して、集団的に求人を出す、したがって、そういう求人を出す場合に八方に手を伸ばさぬで、できるだけ来年もことし来た人と同じところから呼ぶように、そうすればやはり前に来た人がそこに落ちついておれば、あとから来た人も安定するというふうな関係になって参ります。それからまだなお、非常に中小企業については福利施設やその他がないために雇用が安定しないという関係がございますので、福利施設の融資としまして本年度約三億円、それから住宅融資として、中小業者に限って約十七億の融資をやって、目下全国から受付を終わりまして、貸付について審査中でございます。そういうふうに、できる限り施設や住宅の環境を整備して、受け入れやすいようにするように指導していっておるわけであります。
  195. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 三十七年は大、中、小に区別して何%入ったのか。それを教えて下さい。
  196. 三治重信

    説明員(三治重信君) 三十七年はまだ最終集計ができておりません。大体十月——毎年文部省の学校のほうからの全体の集計と、それから安定所のほうと、両方突き合わしてずっと全部の集計をやりますのには、十月に最終集計になります。
  197. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、文教の場合も完全な資料なしに言っておられることがよくわかったのです。それで私は聞いておるわけですが、三十七年の実績がもう四月以降まだ政府がつかめないというのは一体どういうわけか。私は、このことは大体六月ごろから職安にも聞いたことがあるのです、電話で。まだできません、もうできるという話を聞いておるわけです。きょう聞いてみるとまだできてないわけですな。一体、もう来年の契約はこの十一月ごろにはこれはほとんどなされると思うのです。何を基準にして一体指導をしようとおっしゃるのか、その点ちょっと理解に苦しむですね。三十六年に中企業で三五%しか入ってない。小企業で二二・五%しか入ってない。その実績が出ておるわけですね。そうすると三十七年にはどういう状態になっておるのかということが問題になってくる。その三十七年のデータに基づいて三十八年の、来年の学卒というものについてどういうふうに努力されるのかということが、中小企業の今日の現状を救う私は一つ方法だと思う。それがデータがないとおっしゃれば仕方がありませんが、これは私は労働省の怠慢だと思うのです、いまだにそのデータができてないということは。そうすると私は聞きますが、文部省との関連性を先ほどお話しになりましたが、文部省が、進学率が非常にふえた、そのふえた率は何ぼに見るのかということで、この前も質問したところが、六〇%見るのだと、一体現在人員は何人かというと、これもつかんでないようですね。あなたのほうもつかんでないだろうと思うのです。来年の学卒は何ぼであるのか、それがあったらひとつ教えて下さい。そして十万名ふえるというのは、学卒の何%が進学するのか、どういう予測の上に立っておられるか。
  198. 三治重信

    説明員(三治重信君) ことしの三月の就職希望につきましては、総数で約四十七万九千人、来年の三月で八十八万八千人というふうな予定をしておりますが、現在安定所で六月に各希望をとっておりますところによりますと、一応そういうふうに計画しておったのですが、第一次の毎年六月から求人求職はやるわけですが、それの第一回目に、来年の三月卒業する場合に就職をしたいという数が五十一万五百五十人でございます。これに対する求人数は、今年の六月現在で、来年の卒業見込者に対して約百十一万二千人でございます。これを約四半期に一回ぐらい各地の需給調整をやる、こういう格好でございます。したがって、本人で途中でいろいろ二つ三つ試験を受けたり、途中で一応約束したのが変わったりというふうに、相当子供の関係で、実際は約束したのに行かなかった、こっちへ行ったはずだと思っているのにほかのところに行っておるというふうなことで、誤差や、実際各地の業者と実際の連絡をやるために最終決定数字を出すのが、そういう、ふうにおくれるという関係でございまして、実際のこういうやった場合の求人求職の暫定数字はわかります。
  199. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 暫定数字は、そうすると来年の就職の中小企業を何とかしてカバーをしてやりたいという努力をしていきたいと、こういう考え方ですね。そこで、先ほど言われた五十一万ですか、これが就職の希望者でしょう。この五十一万の希望者は一体学卒の何%になるのか、学卒を何ぼ見ておるのか、これは文部省とも連絡をとってやらなければいかぬと思っておるとおっしゃるのだから、文部省は学卒の六〇%が進学率であると、こう言っておられる。しかし、私たちは六〇%以上だと思っている。だから、労働省は来年の学卒に対する何%の就職率があって、就職希望者五十一万というのはどうして出たのかということが聞きたい。
  200. 三治重信

    説明員(三治重信君) ただいま申し上げましたのは、安定所が第一回の求職希望をとった場合の実数でございまして、そして来年の三月卒業者は、これは御存じだと思いますが、大体約二百五十万人というふうに考えております。
  201. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それで、大体そうなってきますと、各希望者数が来ていると思うのですね。大体来年の学卒をどのくらいとるのか。それから比較してみてどのくらい足らぬと思いますか。
  202. 三治重信

    説明員(三治重信君) 先ほど申し上げましたように、求人が約百十一万二千人でございます。したがって、二倍強の求人ということでございます。
  203. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで、もう一度お聞きしたいのですが、中年層の労働者としてどのくらい離職している者があるか。
  204. 三治重信

    説明員(三治重信君) 中高年齢者についての特別な統計はとってありませんが、われわれのほうでいろいろ推計した一時点で失業保険の受給者を毎年十月に調査するわけでございますが、三十五才以上から三十九才の就職を申し込んでおられる方で、全体の求職を一〇〇といたしますと、八・五%、四十から四十九才の方が九・二%、五十才以上の方が一四・四%ということでございますので、合計いたしまして三五%程度になりますか、そういうことでございます。  なお、これにつきまして求人のほうは、同じ月で全体の求人を一〇〇といたしますと、三十五才から三十九才の求人は、全体のパーセントとして九・四%、四十才から四十九才の方については四・四%、五十才以上の方については一・九%と、非常に求人は、ほとんどなくなるわけでございます。したがって、その就職件数をその順序に申t上げますと、七・五%、六・五%、四・五%、こういうふうになっております。したがって、一求人に対して求職者は、三十五才から三十九才につきましては一・一倍、四十才から四十九才につきましては二・五倍、五十才以上につきましては八・九倍というふうになっておるわけでございます。で、現在のわれわれの技能からいきますというと、五十才以上の方の一般の労働市場でのお世話は非常にむずかしい、こういう関係でございます。
  205. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうなってきますというと、一時点をとられた今の報告のようでありますから、これ以上質問を申し上げてもだめだと思いますが、この来年も青少年が足らぬと同時に、人は足らないという見通しですね。前に皆さんのほうから出た資料を見ますと、白書でもそう書いてありますけれども、来年の学卒が一番ピークだ、最高だとおっしゃっているわけですね。そこで、中小企業がさらに足らないということになると、これは特別の何か政府指導をする必要があるんじゃないかと私は思う。こういうふうに考えるわけですが、そこで、最賃が非常に上がったということをさっき言っておられますが、これは青少年労働者が足らないからですね。その下の層が上がったのであって、私はここでもう一つ聞きたいことは、標準家族、たとえば子供三人を持つ五人家族ですね、あるいは三人家族、これらの生活が、これは労働大臣に聞きたいのですが、池田内閣は、消費物価は多少上がったけれども、所得も上がってきている、こういうことをこの間の議会でも発表しておられるわけです。私は、奥さんが質問されたと思いますが、私たちの考え方では、そういった青少年労働者が足らないために自然に上げなくちゃならない要素が出たのであって、しかし、生活の困窮者というものは、標準家族的な三人家族とかあるいは五人家族とか、こういうところの層の賃金は私は上がっていないと思うのです。物価の値上がりに比較してうんと安いと思うのです。こういう点に対して一体、これは大臣でなくともいいけれども、その調査をされたことがあるのかないのか、それをまずお聞かせ願いたいと思います。
  206. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 局長からお答えいたします。
  207. 三治重信

    説明員(三治重信君) 勤労者世帯の家計調査から見ますというと、三十六年平均で一〇・四%増になっております。三十七年の一−四月で、前年に対して下五%上がっております。新学卒の賃金上昇率から見ますというと、率としては非常に——非常にと申しては語弊がありますが、少ないわけでありますが、中高年令者や家庭を持っておる方たちの賃金がそんなに上がっていないということは、あらゆる統計から見ても、ないというふうに、異常な上がり方をしたのが新学卒であるというふうに考えております。
  208. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは労働大臣お認め願いたいと思いますが、したがって、池田内閣が議会で発表された物価値上がりと所得の問題の均衡というのは、ある程度上がってきておるというこの考えは、一部のそうした特定の青少年のクラスが上がっただけであって、物価の値上がりから比較してみて、今の一〇%内外であれば生活は依然として苦しい事態が続いておるのだ、これは労働大臣お認め願いたいと思いますが、どうですか、その点は。
  209. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど政府委員からお答え申し上げましたごとく、賃金の上昇率は、年令によって非常に違いがございまして、特に独身の若年層において非常な高率で上がっております。したがいまして、平均の上昇率から見ますというと、家族のたくさんあります高年令層はそれほど上がっていないということが言えると思います。おそらく物価の上昇率に比較いたしまして、若干上がった程度であって、ほとんど前と実際の生活の内容が特に変わったというほど向上させる上がり方はしていないということも、概括論としては確かに認めることができると存じます。
  210. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そこで、私希望意見を申し上げておきたいのですが、その実態を個々にとらえてみると、非常に生活困窮者はあるのだという事実はおわかりだと思うのです。そこで、人事院の勧告は、皆さんも御承知のように、物価の値上がりに相当したものを上げていないわけです。したがって、それ以下のものを人事院としては実は勧告しておるわけですね。それにもかかわらず、二の間からある人に対して何回か聞きますけれども、人事院勧告としては認めるが、実施期日については、これは五月ということが書いてあるけれども、十月か十一月にしたいという意向が多分にあるようです。大蔵もそのようです。その点私はひとつ労働大臣の立場から、事実上生活が苦しいというこの事実を私は認めていただいて、むしろそういう人たちに五月からバック・ペイしていくということになればある程度救われると思うのです。したがって、その点をひとつ労働大臣から強く私は主張してもらいたい。希望をひとつ申し上げておきます。  この問題でさらにお願いしておきたいことは、統計的なすべて資料が十分でないということ、これは僕は少なくとも所得倍増計画という大きな計画を立てられて、日本の産業がわずか一年か一年半の間にものすごく拡大してきたのだから、それに見合う調査となにをもって、そうして雇用問題等に対しては、就職をどう勧告するのか、いわゆる厚生施設をよくするのもその一つですが、その点は手がおくれておるわけです。すでにおくれておる上に、今度は進学率はさらにふえてくる。来年の四月を今度はとりますと、三十八年からはもう一つ今度は少なくなるわけですね。進学率はさらにふえてくるでしょう、学校はどんどん建てるというのですから。そうなってきたような場合に、この統計すら十分でないというような状態で、私は労働省として計画をやっておられるということについては、これは十分考え直してもらわなければいかぬと思います。この点については、これは中小企業は浮かばれないですよ。現在でもまだ十分なる、同じ学卒であっても、これはたとえばクラスをつけるならば、ある程度、やはり健康上から見ても、あるいはまた体格上から見ても、さらに学校の成績上から見ても、十分な人は中小企業には来ていないわけです。その上に人が足らぬという状態が起こってきておるのですから、それは大いに中央の省としての指導を必要とするのじゃないか。これはぜひ統計的なものを作成することをお願いしたいと思うのです。  次に私がお聞きしたいことは、これは検査院のほうにお聞きしたいのですが、ここに「保険給付の適正を欠いたもの」の中に、適正をはかるように注意をしたと、何回か注意されたと思うのですね。これはもう毎年こういう状態なのかどうかということも、検査院のかたは十分御承知でしょうが、その適正なるひとつ計らいをやるような注意をされた後の一体手が、どういう手が打たれたのか、注意は、適正にやれということは注意はしたが、一体あとからやったことはどういうことをやったのかということを検査院のほうではひとつ確認して自後の検査に移っておられるのかどうか、再三注意をした、こういう報告もありますね。ここでは「適正」という言葉が使ってありますが、そういうふうに注意することはしたのだが、一体したあとの自後の処置はどういうことがなされて、ある程度改善されたけれども、これだけの不正が出たのだとおっしゃるのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  211. 中島尚文

    説明員中島尚文君) ここに「適正をはかるよう注意してきたところである。」と、こういうふうに記載をいたしております。毎年検査報告を見ましても、掲記いたしまして注意して参ったのであります。労働省におかれましても、この保険給付の適正を欠くという問題につきましては非常に重要視されまして、地方調査官等を置かれまして、そうして、かなり保険給付の不適正の問題をみずからも発見しておられます。それから給付を受けましたところの職業安定所と、それから失業登録をいたしました公共職業安定所との間の連絡が悪いとかいったようなものは前にあったのであります。いろいろ努力をされまして、前にあげました原因はだいぶ是正されております。これもまた他の県の、その公共職業安定所の所在する県が違ったような場合とか、事態が多少変わってきております。前の事態のものはやはりかなり努力をして是正をしておられるというところは認め得ると存じます。
  212. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 検査院からもう一ぺんお聞きしたいのですが、そうした注意をされておってどうですか。検査されて、これだけの多くの不正と申しますか、これは私は、決算委員会でもうだいぶ半数以上——きょうの労働省が済めばあとはわずかしかないのですが、これだけの件数は、労働省が統計を見ても番多いのですね。それで一たん就職しておる者にまでそうした不正があったという点は、検査院のほうとしては、これは制度が悪いのか、制度が悪いからこういうことが起こっておるのか、また、非常にそこが人員が少ないためにこういう欠陥が出ておるのか、その点はどうですか。注意された後のそういうことが聞きたいのですがね。制度上これは悪いのだ。制度が悪ければ検査院のほうも入ってそれを修正する必要があると私は思うのですよ。
  213. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 制度自体が悪いというところまでは私どもといたしましては考えておりませんが、何しろ限られた定員で、そして取り扱われるところの案件が非常に多くなってきて、地方調査官を設けられましても、おそらく一安定所に一、二名、多いととろで三名か四名くらいじゃないかと存じますが、結局人手不足というところが大きな原因じゃないかと思います。
  214. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 人が足らないのですか。
  215. 中島尚文

    説明員中島尚文君) はい。制度自体に非常な欠陥があるというところまではちょっと考えておりません。
  216. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この統計を見ると、多少また上がりぎみのような状態もあるわけですね。これは大体十二億ぐらいあったものが最近はどんどんどんどん減ってきて、また三十五年度あたりから、多少全体を見てこういう不正不当が出てきておるわけです。私はこれは何としてもなくしてもらわなくちゃいかぬ問題だと思うのです。私は、こういうふうに公金がめちゃな取り扱いがされておるということは、これは池田内閣の言われるように、人作りとかなんとか言ったって始まらぬと思うのですね。やっぱり正常な形の中から人を作っていくということでなければ、これを国民が見て知ると、これは役所は一体何をしているのだということになりかねないと思うのです。私はこういう点は注意をしてもらいたいと思うのです。  さらにこの問題でお聞きしておきたいことは、こうした不正が出ておる事実を知りながら、一体人が足らないというようなことが何年となしに繰り返されておるという、ふやせない理由ですね、それはどこにあるのか、これがひとつ聞きたいのです。人が事実足らぬとするならば、どうしてもう少し人をふやして、これを防止することができないのか。こういう点が聞きたいのですがね。
  217. 三治重信

    説明員(三治重信君) 失業保険関係につきましては、特別会計で、事業予算の関係で毎年できるだけ人員はふやして、現実に一般会計ではふえないときでも失業保険関係はふえてはおります。ところが、適用事業所数が非常に増加する、安定所の数も増加するということで、なかなか十分とまではいかないわけでございまして、われわれのほうとしても、できる限り予算人員の面については強力に折衝をして、逐年その増加をさしているつもりでございます。  なお、御参考までに、われわれのほうで調査官が不正受給としてあげて実際においてやっておりますのが、三十五年度におきましては一万五千五百四十四件、それで防止し得た金が一億三千三百万円というふうに相当安定所の中で努力をしている。それでもなお努力が足りなかったのがここに現われたものであるというふうになっております。  失業保険の不正受給がどうして起こるかという問題につきましては、いろいろ問題があるわけでございますが、どうもまだ失業保険の趣旨が、本人たちにやはりもらい残して就職したのだけれども、われわれはもらっておかにゃ損だというような気分が非常にあるのじゃないか、やはりこれは受給する場合にもっと本人たちの心得をしっかりするように、毎週々々安定所へ来るわけでございますから、そういうふうなことをしなければいけないと思いますし、それからもう一つは、やはりわれわれのほうはこういう非常に膨大な数を扱うので、それを精神面なり人の足とだけでこれを完全に防止するというのはほとんど不可能である、したがって、われわれのほうとしては、そういうふうな就職していてもらっている人は、片方は被保険者として出てくるわけなんですから、それを全国的にチェックできる機械ができれば、これはそう一生懸命で精神訓話をしたり人を働かせぬでもできると思っております。したがって、そういうことをここ三年来研究いたしまして、大体成案ができておりますので、新しくユニヴァクを使った電子計算機でやることを、目下大体検討はついておりますので、来年度以降それを要求しまして、四十年度を目標にして完全にそれができるようにしたいというふうな構想が、大体いろいろ技術的に研究していただいたところも成果が出ております。そういうふうにして、こういうふうな非常に事務的な努力、人手不足でいかに努力してもやれないのを、機械化によって作業できるであろうというふうなことで研究した成果も、われわれのほうで何とか実現していきたいというふうに考えております。
  218. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そういうふうな構想を持っておられるということについては、非常にけっこうなことだと私も思うわけですが、失業保険の各県におけるここに出ております九百五十五万一千円ですか、こういう不正な問題が依然として地方で整理ができないままに、それは今度だけじゃないと思うのです、毎年あったのだと思うのですね、こういうものが役所としても十分なるその整理ができないままに、今失対の問題を取り上げて調査研究をやっておられるようですが、これはもう御承知のように、今度の請願にもたくさん出ておりますから、大臣は御承知だと思うのですね。この失対をやめようという腹なのか、政府はこういう不正ですら十分防げないような状態があるから、こういうものは腐ってしょうがないのだ、だから失対みたいなものはやめにゃ仕方がない、こういう腹なのか、どういうところに原因があって今度の失対を廃止しようという考え方でおられるのか、それとも、まだ廃止しないのだ、あるいは目下調査中なんだから、その結果によって判断していきたいとおっしゃるのか、その点ひとつ大臣のほうからお聞きしたいと思うのです。
  219. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 失対事業につきまして、廃止をしようという考えは毛頭ございません。ただ御承知のとおり、昨年の夏以来特に失対事業のあり方につきましていろいろ批判が出て参りましたのと、特に失対事業を管掌しておりまする責任者でありまする市長会のほうで、どうも今までの失対では、地方財政の関係もあるし、また、失対事業の管理がどうも市長の手に合わない面もあるので、何とか政府でこれを引き受けるか、あるいは内容を改善するか、処置を講じてもらいたいというような強い意見が出てきておるわけでございます。そのために、昨年の夏以来、いろいろ労働省としてもこの失対事業の改善策につきまして検討すべき点があると思っておりまして、できれば本年度予算を取りきめまする昨年の暮れごろまでに改善案を作り上げたいと、こういうつもりでおったのでございますが、何分にも非常に大きな仕事でございまするのと、いろいろ関係するところが多いので、急に案が立ちそうもございません。そこで、今年度は、とりあえずの処置といたしまして、特別失対事業並びに臨就事業につきましての失業者の吸収率をそれぞれ一〇%ずつ引き下げる措置を講じたわけでございまして、失対事業全般についての改善の本格的な検討は今年度に持ち越すことに相なったわけでございます。今年の年度初めから特に専門家にお願いいたしましていろいろ検討を続けていただいておりまして、今月中にはまずその答申が出るような運びになって参りました。  御承知のとおり、失対事業について一つの問題は、地方財政の問題ももとよりございまするが、失対事業の適格者というものが非常に年寄りの方がふえて参りまして、六十才以上が約二割近く、五十才以上が五割以上ということになっております。それから男女の別について見ますと、女子が四割以上というふうになっております。それから失対事業へ入りまして現在までどのくらい長い間続いて従事しておられるかという点で分類をいたしてみますというと、五年以上が約六割でございまして、それから十年以上が約二割というような状況でございまして、老齢化と同時こ失対適格者の測定化という傾向が見られておるわけでございます。こういう点から見ますというと、失対事業というものは、今や雇用対策というだけの面ではなくして、社会保障的な面が多分に含まれておると申しますか、あるいはそういう役割を引き受けざるを得ないような状況になってきておるということが言えると思うのでございまして、これらの点を考えまするというと、失対事業の性格というものは当初考えておられたものからだいぶ変わってきておるんじゃないか。で、とのことを根本といたしまして今後の失対事業をどういうふうに中身を変えるべきものは変えていくかというような点が問題になるわけでございまして、打ち切るわけではございませんが、老齢の方には現在のような土木事業を主体とした仕事がはたして適当かどうか、もっと適した仕事があるんじゃないか。あるいはまた、そういう状況でございまするからして、若い人たちについては何か適当な方法をその失対事業の適格者についても考える必要があるのじゃないか。まあこういった点からいろいろ検討すべき点があると思いまして、その検討をお願いいたしておるわけでございます。まだ答申が得られませんので、労働省として具体的な意見を申し上げる段階にはなっておりませんが、この検討を基礎にいたしまして、できるだけ失対適格者の将来の生活の安定に資し、また、失対事業本来の趣旨が生きてくるような、そういう方向に改善をいたして参りたいという考えでこの問題に対処したいと思っております。
  220. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 大体大臣の意向はわかりましたが、なるほど年令層の高い人もおりますし、若い人もおるようですね。その点はわれわれもある程度承知しておるわけですが、したがって、大臣の今の言葉から聞けば、内容において多少の検討を加えておるだけで、廃止するというようなことは毛頭考えてないと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。  それからもう一つお聞きしたいんですが、これは大臣じゃなくてもいいんですが、このいわゆる不当の問題ですね。これは単なるそこの事務官のやり方でこういうことが起こってくるのか、あるいはまた、その失対に来ておる本人らもごまかしてやっておるのがあるのか、何かもっと詳しい状態を、きょうの午前中もいろいろな問題が出たけれども、午前中の厚生省は、この不正は絶対なくしていきたいという大きな確約をして、僕はこの熱意は買ってやりたいと思うんです。ところが、皆さん方のこれには、次第にこれを何とかして遺憾ではあるけれどもと、ほんとうの心構えですね、これを絶対なくなさにゃいかん、どういうところに欠陥があるんだということを十分つかんでないのじゃないかと私は思うんですね。そういう点について、どういうところに欠陥があるのか、こういった何百万円という金が急に政府によって出さなくちゃいかんというようなことはどこに欠陥があるのか、もっと詳しく知らしていただきたい。
  221. 三治重信

    説明員(三治重信君) こういうふうな結果が出てはまことに申しわけないんですが、それは事業主体の現場における労務管理要員、労務管理体制が不十分であると言うことができるわけです。それに対する地方独自でも努力してやらなければならんことでございますし、また、国としてもできるだけ財政的にも行政的にもまだまだ完全を期してやる余地は十分あると思いますが、今後それも含めて失対事業の改善について、こういうような不正をできるだけ減少さしていくように努力してみたいと思います。
  222. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 最後に、これは希望意見ですが、労働省は労働者のサービス機関の一つの省でありますから、みずから首を切るような、あるいは生活が困窮していくような状態はお作りになるとは思っておりません。したがって、こういう不正はこれはあってから処分をするということでなくて、事前の策がほんとうに適切であったかどうかということのほうに重大な責任がある。したがって、これはやった本人らの失敗よりも、むしろ担当責任者に大きな責任があるのじゃないかという気がする。どうかそういう面に対する私は、早目の手を再三再四注意されても、何ら次の手が打ってないというような状態では困ると思うのですね。その点は大いにひとつ反省してやってもらいたいという希望意見を申し上げて、私は質問を終わります。
  223. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 ひとつ関連してお尋ねをいたしますが、現下の石炭事情並びに将来の石炭事業に対する見通しからいたしまして、非能率な山は、政府といたしましても買い上げて、これを閉山する、そうすればそこに離職者ができるわけです。また、石炭事業の経営の合理化等から見ましても、山の人員整理ということが将来行なわれるということを考えるのでありますが、これらの離職者に対して、就労その他、就職その他についてどういう対策をお考えになっておりますか、なにがございましたら、ひとつ御教示願いたい。
  224. 渡海元三郎

    説明員渡海元三郎君) 今年度やっておりますのは、移転就職者のための移転資金、いわゆる移転費でございます。これは最高九万円まで出せるようになっております。それからその移転先の宿舎について、事業主にそういう宿舎を建てる資金として二十万円出す、あるいは移動式住宅を、暫定的な住宅を建てるというふうな、さらにまあアパートなんかを借りる場合の権利金、敷金としてそういうような頭金の支給ということを住宅対策としてやっております。  なお、雇用促進事業団のほうで、失業保険の福利施設といたしまして、住宅を約千百戸ばかり建てる。この大部分は炭鉱離職者関係の人を入れております。新聞へ出ました郵政省の採用者につきましても、この家ができたために、郵政省も採用に踏み切って、この方が今訓練を終わって各地に配属をされておりますが、そういう方たちが間もなく家もでき次第家族を全部呼び寄せるということができるわけであります。それから、さらに雇用した事業主に対しまして約五千円一年間支給をする、そうして雇用促進をはかるというふうな種々の対策をとっておりますが、さらに今度の石炭調査団のいわゆる石炭産業の安定のための種々の施策をとる場合の答申の中に、今のやっている政府対策をさらに検討していただいて、離職者対策も種々答申に出ると思いますので、その出た暁におきましては、できるだけそれを実現するように、大いに努力してみたいというふうに考えております。
  225. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 私は、そういう離職者ができると、将来の産業の発展の基盤をつちかう意味におきましても、道路の整備、こういうものの土木事業を起こす。たとえて申しますならば、九州でいえば九州循環道路、また中国地方でいえば下関あるいは大阪にかかるところの自動車の高速道路、そういう大きな土木事業を起こして、これに離職者を吸収する。そうなって、中心の大きな道路ができれば、またそれについて土地の発展にもなる。こういうことでひとつ大きな土木事業を起こされる計画をやられちゃどうかということを私は考えておるのでございますが、大臣は池田内閣の有力な大臣でありますから、ひとつ大いに土木事業を起こして、これらの離職者を吸収するというお考えなり、構想ございませんか。
  226. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 土木事業のほうは労働省ではやっておりませんですが、いろいろ中国縦貫の道路だとか、あるいは九州にもいろいろの土木の仕事はあると思いますが、よく建設大臣とも相談をいたしてみましょう。
  227. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 だいぶ時間がおそくなりましたので、きょうはほんとうは失対事業について、ようやく調査会の答申も出そうですが、政治問題化しようとする傾向が出てきておりますが、この問題について少しお尋ねしたいと思いますが、時間がございませんので、次の機会に譲りたいと思います。  そこでまだあとで相澤委員のほうの御質疑もあるようでありますから、私の質問に対しましては、簡単にお答えだけ願えればいいと思います。なるべく時間を省略する意味におきまして。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、この間の国会で産投法が成立いたしまして、この法律制定の過程で、いろいろ審議しておりますときに、ガリオア・エロアは債務か賠償かということで、意見が今日なお私たちとは一致いたしていないのでありますが、この審議の中で、たびたび大蔵大臣なり政府関係者が言っておりますことは、総理もいろいろの機会に言っておりますが、この法律を制定して、早く返済協定を履行しないと、国際信義に重大な影響がある。それだから、アメリカと協定したことは国際信義上からも絶対に早く履行したい、そのためにはぜひ産投法を通したいのだということで、異常なまでの熱意を示されまして審議してきたわけであります。そこで政府はまた別の機会に、日本の国際外交の基調は、国際連合を中心にするのだ、こういうことを言っておられます。このことはいずれもけっこうだと思うのですが、その点についての大臣の一応のお考えは、これは政府の方針ですから、そのとおりだとおっしゃると思うのですが、一応お伺いしておきたいと思います。そういう国際信義はあくまで尊重しなければならぬ、それから日本政府としては、国際外交の基調は国際連合が中心である、この二つの点を  一ぺんお聞きしておきたいと思います。
  228. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私もお述べになりましたとおりに考えております。
  229. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこで重ねてお伺いいたしたいのですが、ILOの問題でありますが、ILOは御承知のように国際連合の機関であります。したがって国際信義を尊重する上からも、特に国連の機関を尊重し、あるいはそれの決定に対しましては尊重するという建前からも、ILOが行なっております条約の批准あるいは勧告の行なわれておりますことについての、内容についての実行、そういうものについてはやはり誠意をもって努力されなければならぬと思うのでありますが、この点の御決意を一応承っておきたいと思います。
  230. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ILOの条約は、日本といたしましても、その決議の際に関係をいたしております。賛成をいたしておるのもありまするし、反対をいたしておるのもあるわけでございますが、しかしながら、やはりこれが一たん条約案として成立いたしました以上は、国際連合に協力するという意味から申しましても、日本としてはできるだけこれを批准し、実行するように努力するのが当然ではないかと思います。
  231. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこでこれは事務当局からでけっこうなんですが、昨年のILOの総会に政府代表並びに顧問として、何人ぐらい行きましたか。それから各省から何人ぐらいずつ行っておりますか、それをちょっと。
  232. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) 正確な数字はちょっと今持っておりませんが、十七名ぐらいかと記憶いたしております。
  233. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 省からは、どの省から。
  234. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) 建設及び労働と記憶いたしております。
  235. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 もちろん外務省も行っておるわけですけれども、そこでILOは、労働省だけの所管ではなしに、もちろん日本政府として参加しておるわけですから、政府全体の責任になると思うし、特に昨年の総会には建設省からも行っておりますし、お聞きいたしますると、政府代表並びに顧問団は十七名、これは今までにかつてないたくさんの人が実は行っておるわけです。それだけに昨年のILO総会は関心が深かったとも思えるわけでございます。特に労働時間の問題がございましたから、そういうこともございましょうが、建設省からも行っておるとすると、このとき一つの議題として労働者住宅の勧告が上程されておりますので、そういう意味からも建設省がILOの総会に参加したというふうに考えられるわけであります。そこで昨年の総会では、労働者住宅の勧告が満場一致で採択をせられておりますが、今、大臣が言われましたように、条約あるいは勧告でも、政府側は日本政府として反対の立場あるいは保留の立場をとったものもありましょうが、そういう場合にも、きまった以上は、ぜひ実行するように努力いたしたい、こういうことでありますが、この勧告は満場一致で賛成されておりますから、当然政府代表も賛成してきているわけですから、特に政府は深い関心をもってこの勧告の内容の実行のために努力されなければならないのではないかと存じます。そこで勧告はその実行への努力を報告する義務を持っておると思うのですが、すでに一年たっておるのでありますが、その後一体どのように処理されておるか、事務当局から伺っておきたいと思います。
  236. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  237. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 速記を起こして。
  238. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいま御指摘の勧告につきましては、政府といたしましては、一応国会に対してはこれを尊重していきたいという御報告をいたしてあるそうでございますが、それ以上のことはよく取り調べまして他の機会にお答えするようにいたしたいと存じますので、よろしくお許しをいただきたいと思います。
  239. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 どうも満足のできない御答弁なんですが、まあそれはそれでやむを得ませんが、もうすでに一年たっておるのですから、国会にもそういうふうに御報告をされておるということになりますると、今度は実行への努力をしてもらわぬと、これは困ることになるわけですから、その点ひとつ御注文申し上げておきます。  そこで、今日の日本の住宅問題は、最も重要な政府としての政策でなければならんというふうに考えておるわけです。しかもそういう住宅政策が非常に大事なものであるとともに、その対策のために努力することが経済の成長と生産性の向上に深い関係があるわけです。したがって住宅問題は、単に家のない人、家のほしい人に家を与えるというだけではなしに、そのことが日本の経済成長と生産性の向上に重要なる関係がある。その意味において労働者住宅のILOの勧告をすみやかに実行に移すことが労働省としては当然一番強く手を打たなければならん問題であると想うのですが、大臣の御決意を伺っておきたいと思います。
  240. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 労働者の住宅問題は、経済成長を押し進めていく上から申しましても非常に大事な問題でございまして、焦眉の急を要するものと考えております。労働省といたしましても、この点は始終注意をいたしておりまして、今後とも所管の建設省と十分に連絡をとりまして、御期待に沿うようにいたしたいと存じます。
  241. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこで先ほどの高山君の御質問に対する御答弁をいろいろ聞いておりましたときにも、その問題に関連するんですが、青年労働者が足りない、これを何とか充足する方法考えなければならぬ、これは非常に重要なことだと思う。と同時に、青年がやはり不良化しないように、よりよい生産人になるということも考えねばならないと思うんです。そのために住宅問題は切り離すことができない問題だと思うんです。狭い家に夫婦が寝ておる、そこで成年に達した子女が一緒に寝ておる、こういうことで家にはもういずらいんだということで家にいなくなる、特に三畳、四畳のところに夫婦と成長した子供が一緒に寝ておるということは、これで不良化の防止ができると考えたら、大間違いだ。そういう意味においても労働の安全あるいは生産性の向上、そういうことからも早く適当なる住宅を労働者に与えることが絶対必要な条件ではないのかというふうに考えるわけです。特に大臣その点で御承知おき願いたいと思うんですが、勧告の付属文書の住宅基準のところの七に、「各家族は、分離し、住宅として機能を有する住居を持つべきである。」、これはILOの住宅基準の示しておるところなんですが、これはもちろん御異議ないと思いますが、賛成と書いてありますから、御異議ないと思いますが、一応伺っておきたいと思います。
  242. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) そのとおりでございまして、努力をいたします。
  243. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 そこでこれもすでに勧告として承認をされておりますから、もちろん御異議ないと思うんでございますけれども、勧告の一般原則に、国の政策の目的が明らかにせられておりますが、これはすべての労働者に適当で上品な住宅施設と住環境が与えられなければならない、そうしてその適当で上品な住宅施設は、家賃であれ、あるいはこのような施設の購入費の分割払いであれ、労働者にとって彼の収入の適当な割合以上に高いものとならないことを目標とすべきである、こううたっておるんですが、これまた勧告ですから、反対はないと思うんですが、そのとおりだと思うんですが、答弁して下さい。
  244. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 当然留意すべき点だと思います。
  245. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 当然なことばかりお伺いするんですけれども、そこで「機関」の九のところには、「公共団体は、要求される範囲で出来る限り、労働者住宅、特に賃貸住宅の建設を行ない又はその供給を刺激する責任を引受けるべきである。」、こういっておりまするが、これまた当然御了解だと実は思うわけであります。そこで失業保険特別会計は逐年増加をいたしておるわけです。そして三十六年度末の積立金は総額千百二億円になるといわれておりますが、それが資金運用部に預託されまして、そうして財政投融資の原資になっておるわけです。したがって当然こういう失業保険特別会計積立金のようなものは、労働関係の事業へ還元するということが優先的に考えられなければならぬ。勧告は、政府は労働者に対して住宅建設のために、あるいはそういうところに、賃貸住宅に入る者のために財政的な援助計画を考えなければならぬとうたっておるのですが、それを具体的にするためには、この失業保険特別会計の運用等につきましても、今後前向きの姿勢でひとつ御検討を願いたいと思うわけです。もっとも労働福祉事業団の発足によりまして、還元の一つ方法が示されておりまするが、住宅問題が非常に今重要なときであり、しかも生産性の向上あるいは青年労働者のよりよい方向への、何といいますか、指導をいたしますというふうな立場において、住宅問題がやはり関連するという限りにおいて、この勧告の精神をすみやかに生かすという方向で財政的にも新しい角度からの御検討をお願いしたいと思うのですが、その点の御見解を伺っておきたい。
  246. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 現在は資金部のほうへまとめて預けまして、それから労働者関係のいろいろな財政投融資に向けられておるわけでございますが、昨年からは、御指摘のように二十億円を雇用促進事業団に借り受けまして、そうして特に労働関係の福利施設に流すということをいたしております。今年も、予算要求に際しましては、できるだけこの線を強化するような方向でただいま要求をいたしております。漸次そういうふうにいたして参りたいと思っております。
  247. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 まあ時間がございませんから、この問題はいずれ近い機会に十分ひとつお尋ねもいたしたいし、あるいは御決意を促したいと思うのでありまするが、幸い労働大臣は労働福祉の問題について非常に理解があられるわけでありまするし、たまたま住宅問題を所管いたしまする今の河野建設大臣は、住宅問題に非常に意欲的であるように私たちは新聞等を通じて承知いたしております。したがって、この機会が一番この問題を前向きに進行せしめる機会ではないか。だから、労働大臣は理解があり建設大臣は意欲的である、これじゃもう話ができなければならぬ筋合いのものであるというふうに考えて、大いに期待をいたしておるわけであります。  そこで最後に、この勧告は、労働者住宅の勧告の精神の内容はすみやかに実現するように努力いたしたいという御決意を伺いました。そこで最後に、この勧告の中の「公共団体の責任」というところで、「権限のある国家機関は、住宅建設になんらかの責任を持っているすべての公共団体が加盟すべき中央機関を設立すべきである。」、こううたっております。そして「機関」のところの一一で「政府、使用者及び労働者の機関は、特に、住宅協同組合を奨励すべきである。」、こういうふうにうたっておるわけです。これは政府代表みな賛成して帰ってきていますし、特に建設省からは大津留課長が参りまして、これまた賛成して帰ってきているわけですから、当然、誠意をもって前向きの姿勢でこのために努力するということになると思うのですが、一応大臣の御決意を伺っておきたいと思います。
  248. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) その点につきましては、よく建設省とも相談をいたしたいと思います。
  249. 佐野芳雄

    佐野芳雄君 先ほどから申しておりますように、河野建設大臣は住宅問題に意欲的ですし、労働大臣はまた非常に御理解が福祉問題にあるわけでありますから、この際、建設省と御相談になります場合に積極的にこの勧告の精神が実行に移されるようにお話し合いを願いたいと思います。そうして、ILOとの関係で、八十七号条約その他の関係で相当日本は不信を買っておりますから、いろいろ事情はあったけれども、こういう問題についてはできるだけ努力しておるのだ。たとえば住宅問題を見て下さいというふうになりますように、この際要望いたしまして、一応きょうはこの程度で質問を終わります。
  250. 相澤重明

    ○相澤重明君 会計検査院にお尋ねしたいのでありますが、この八十一ページの「職員の不正行為により国に損害を与えたもの」、先ほど御説明をいただきましたが、これについてあなたのほうで検査をした結果、労働省自体の内部監査機構というものは、どういうふうになっておるか。これは当委員会としては毎年この各省庁の決算を伺っておりますが、やはりこのことのあとを絶たないということは、まことに遺憾なわけです、したがって、この内部監査というものは厳重に励行するように常に申し上げておるわけであります。会計検査院が検査をした結果どういうふうになっておるか、それを報告して下さい。
  251. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 労働省におかれましては、監察官を設置されまして、こういった不正行為の防止にはかなり努力をいたされております。しかし、まあ不幸にして神戸公共職業安定所におきまする不正行為については防止できなかったようであります。この安藤某労働事務官は、就職支度金支給についての調査確認事務に従事しております間に、他から依頼を受けたというように偽って保険給付係から交付を受けたわけでありまして、まあなかなかその不正行為の問題が、これを行ないます者が巧みに、またその事務上の経験に基づいてその虚をついてくるわけでありまして、かなり監察官も監査官も努力はしておられると思いますけれども、見のがしたのであろうと思います。特にその後とりたてて内部監査制度充実されたというふうには聞いておりませんけれども、まあ既存の監察官を督励して不正防止に当たっておられるというふうに了解しております。
  252. 相澤重明

    ○相澤重明君 労働省のほうにお尋ねをしたいのでありますが、今の会計検査院の報告によれば、この不正行為事案をなくするために、監察官でこれは調査をされたようでありますが、特別にこういう事故をなくするための対策というものは持っておらなかったと、こういう今の会計検査院の報告だと私は了承するのですが、そのとおりですか。今まで毎年指摘をされておるのに何らの改善策はないのですか。
  253. 三治重信

    説明員(三治重信君) こういう職員の不正行為につきまして、非常にまあわれわれのほうとして努力をしておりまして、毎年起きるというふうにはなっておりませんが、こういうふうな、たまたま三十五年におきまして起きました、これも御存じだと思いますが、まず最初の発見は、所内の監察機構で発見した事件でございまして、そういうふうに、全然われわれの監察機関が知らなくて、会計検査院の御指摘を待つまで知らなかったという事件ではございません、これは。われわれのほうが内部監査並びに人事異動で発見して、それが仲よく検査し、そうして会計検査院で最終的に確定をしていただくとこれだけの膨大なものになった、そこまでに相当に年月がたっているわけで、それが非常に何回か監察をやっていながら発見しなかった。所長もその間に、もっと早期に発見すればこういうことにはならなかったはずだというふうに思っております。したがって、われわれのほうといたしましては、こういうふうに処理しておるわけでございまして、できる限りこういうふうな金銭的な給付の関係をやるものについては、いかに信用をしておっても、その本人がそれになれるために、ついこういう不心得なことを起こすことになるから、やはり定期的に異動するということをやりなさい、それから監察官につきましては、そういうものにつきましてやはり人事異動その他、所長に対して、部下のそういう金銭の経理につきまして、どれくらいの回数、また常時どれくらいの注意を払っておるか、そういうものについてさらに指導をし、その実際の所長の部内の統制をよくやっているかどうかということを現地を見て、そうしてそういうことのないように指導させるというふうにやっておるわけでございまして、こういうふうなことにつきまして、本人をこういうふうな刑事被告人にしたということについては、やはりわれわれ指導者の責任だと思っておりますが、今後こういうものを早く発見して、その不正をなくしていきたいというふうに考えております。
  254. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の説明だけではまだ私を納得させることはできない。そこで監察機構、監察官それから監察をした内容、そういうものを具体的に書類で報告して下さい。資料として提出を願います。  その次に、会計検査院にいま一つお尋ねをしたいのでありますが、失対の補助金の検査をよくやられているわけでありますが、やはり依然としてこの事案に対するところの事項は非常に多いわけです。したがって、これに対して、どうしたならば減るかということを、会計検査院として、検査をした結果お考えになりますか。この点を御報告をして下さい。
  255. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 失対の補助金の問題は年々改善をされていく傾向にはございますけれども、その事項も、三十五年度につきましては、就労をしていないものに支払った賃金、それから失対用に使用しなかった資材費を計上したもの、こういうことでございます。これの対策につきましては、やはり府県の当該担当機関において労務管理をしっかり行なっていくということ、またその職員がこういう、失対に使用しない資材を補助の対象にして計上したりするようなミスをやらないように十分に訓練をしていくこと等であろうと存じます。
  256. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで会計検査院が重点的にこの失対補助金の検査を行なったということはわかりました。  そこで具体的に、三十四年には何件不正があったか、三十五年度には何件あったか、それで国に返還をさせた金額は幾らか、これを報告して下さい。
  257. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 三十四年度におきましては、補助金の返還の件数は、十万円以上二十万円未満のものが十四件で、金額にして二百五万八百八十一円、それから二十万円以上のものが三十件で、一千百九十八万四千二百七十一円でございます。合計四十四件で一千四百三万五千百五十二円と相なっております。三十五年度は、ここにございますように、一件十万円以上の国庫補助金の返納を要するものが三十七事項で、千百四十一万六百三十一円になっております。この中で二十万円以上のものは二十四件で、九百九十五万一千百二十四円になっております。
  258. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、やはり今の報告によると、若干件数は減ったけれども、やはり依然として不正不当なものは多い、こういう結果になりますね。そこで、会計検査院は、検査の着眼をどうしたらいいか、どうしたらばこれをもっと早く、こういう問題をなくすようにできるのか、そういう点について会計検査院考え方を述べて下さい。
  259. 中島尚文

    説明員中島尚文君) 不正不当防止につきましては、先ほども申し上げましたように、最近の事件といたしましては、就労をしていないものに支払った賃金を計上していたもの、これが一番多いわけでございますが、三十四年度は、このほかに認証外事業に就労したものに支払った賃金を計上したものといったような事項がございました。三十五年度は、その事項は是正されておりまして、失対事業に使用しなかった資材費を計上していたものというものが新しく事項として取り上げられております。これは担当者のミスであろうと思うのでありまして、依然として根絶しないのが、就労していないものに支払った賃金を計上していたものという原因のものがあるわけでございまして、やはり先ほど申し上げましたように、労務管理をしっかりやって、現場の労務管理をしっかりやって、制度の精神からいきまして、いやしくも就労していないものには賃金は支給しないのだということを徹底して励行することが一番とるべき策だと存じます。
  260. 相澤重明

    ○相澤重明君 時間があれば会計検査院自体について、もっと私は検査しなければいかぬと思います。しかし時間がないからきょうは終わりますけれども会計検査院自体が現在のままではなかなか骨が折れるのですよ。実際は十年以上も失対事業に取り組んで、非常に上手に検査をやりよいようになっている、そのことは私どももよく認めておる。けれども、まだまだ全体のものから見れば、パーセンテージからいけば、決してよいほうにはなっておらない。こういう点を会計検査院自体もどうしたらいいかということを、いま一度検討してもらいたいと思います。そのことはきょう、あと時間がないから申し上げませんが、ひとつそれは懸案事項にしておきます。  それから労働大臣に、これはやはりお答えをいただいておきたいのですが、先ほど高山委員やあるいは佐野委員からも御質問がありましたが、失業対策ということは非常な重要問題でありますが、政府の中に失業対策問題の調査研究会というのが設けられておる。これは一体どういう性格なんですか、これをひとつ御説明いただきたい。
  261. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 失対事業についての調査研究会は、労働省において、行政の実際として置いておるのでございまして、法令等の根拠はございません。
  262. 相澤重明

    ○相澤重明君 何ですか、労働省仕事の上の、実際的に必要なものだから置いたと、こういう御答弁のようで、法令とは関係がないということでありますが、失業対策問題については、雇用審議会というものが労働省の中にはあるのではないですか。この雇用審議会というのは、これは少なくとも政府なり国会において、公的機関としてこれらの問題について真剣に取り組んでもらうということで作っておるはずでありますが、雇用審議会というのは、要らないんですか。今のあなたのように、別に法令には関係なく、実体としてこのいわゆる失業対策問題を調査研究する会というものを設けていれば、それで足りると、こういうふうにお考えになって、政府の中に置くのでしょうか。その点はどうなんですか、関連性は。
  263. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 失対事業の改善等にあたりまして、政府としての方針を決定するに際しましては、雇用審議会に諮問をするという建前になっており、また雇用審議会は、そういうために設けられました法律的な機関でございます。ただ、先ほどから申しましたるごとく、失業対策事業につきましては、労働省といたしましては、改善について検討をする必要があると思っております。したがいまして、そのためには、雇用審議会に対して、当然政府としてかような点についてかように改める考えだがどうであろうかというような形で諮問をいたしたいと思っておるのでございますが、その諮問をいたすもとになる案は、これは本来労働省がこしらえるべきものであることは申すまでもございません。そこで、労働省としては、昨年の秋以来いろいろこの問題を検討いたして参ったのでございますが、これはなかなか事業の沿革も古く、またいろいろ複雑なる関係がございまするので、なかなか労働省の固有の機関だけでは十分な自信のある成案を得るに至らなかったのでございます。そのために、労働省といたしましては、との調査研究を学者その他の方々に委託をいたしまして、そして本来労働省の責任で作るべき事柄につきまして、事実上お世話をわずらわしておる、こういうわけでございます。したがいまして、労働省はこの調査研究会の答申を基礎にいたしまして、労働省の責任で改善案を作り、そしてそれを内閣の雇用対策審議会に御相談をしたい、こういうふうに思っております。
  264. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は、これはあとで、高山君の話じゃないけれども、いま少しこれらの問題については、後日またお尋ねをする機会があろうと思うのですが、きょうは時間がないから、あまり深く申し上げません。今のような大臣の御答弁でありますというと、実際に雇用審議会というものはたいした役割をしないと、こういうことですね。実際この調査研究会というものが骨組みを作って、これは大臣が、非常にいいからひとつ雇用審議会に諮問をしようと、形式上の問題になってくる、こういう印象もやっぱり強いですね。まあしかし、それは私の受けた印象であって、大臣のお考えとしては、やはりそういうことではないと、こうお話しになるかもしれませんが、その点についてはいま少し突っ込んだお話を聞かないと私どもなかなか、ああそうかと、こういうわけにはいかないわけで、そこできょうはひとつあとでこれは資料で出していただきたいのですが、調査研究会のメンバー、それからどういうふうにあなたが御相談をされるのか、そういう議案の取り扱い方ですね。そういうものをひとつ出していただきたいと思う。年に何回やるとかということもあるでしょう。あるいはその時期に応じてやるとかということもあるでしょう。それはいろいろ方法があるでしょうから、そういうことをわかりやすくつけ加えてほしい。
  265. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) わかりました。
  266. 相澤重明

    ○相澤重明君 それから、この調査研究会というのは、結局学者等の専門家の人たちに御依頼をしたのであって、予算関係としては別に政府は関係がないんですか。この点、もしありましたら、その点をつけ加えて御報告いただきたいと思います。この点、よろしゅうございますか。
  267. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この調査研究会というものがおもであって、雇用審議会はたいしたことはないのではないかというふうな御質問でございましたが、私どもはそうではなく、雇用審議会に十分御検討をいただきたい。それについては、この問題につきまして十分な資料を労働省として提出しなければならないと思っております。それらの資料を得ることについて、調査研究会の方々に委託をしてお手伝いをいただいておる。まことに労働省は微力でありますので、かような有力な方々にお手伝いをいただくと、こういう意味でございまして、どうぞこの点はくれぐれも誤解のないようにお願いを申し上げます。  なお、予算の関係につきましては、政府委員から申し上げます。
  268. 三治重信

    説明員(三治重信君) 今年度調査委託費を計上いたしておりまして、その中に計上いたしております。  それからなおその資料の関係につきまして、簡単でございますから、ここで御説明いたしますが、座長は一橋大学の山中先生でございます。それから大河内東大教授、それから近藤大阪市大教授、それから江幡朝日新聞論説主幹、それから大内立教大学教授、これはいずれも雇用審議会、それから社会保障制度審議会、職安審議会、それから大河内先生は市長会から依頼されて、失対問題をずっと長年研究されている方々で、そういう方々にお願いして、実態的ないろいろな調査分析をしていただくということでございまして、その調査分析のやり方や問題点につきましては、労働省としては白紙でお願いをしているわけでございます。その結果を見て、大臣にいろいろ政策をきめていただくということでございます。
  269. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の点については、文書で出していただくということにしまして、あと項目別にちょっと申し上げますから、お答えいただきたい。  一つは、今の雇用審議会の問題にも関係をするわけでありますが、港湾労働関係について、きわめて重要でもありますので、港湾労働者の雇用安定については、政府も非常に努力をされておると思うのですが、いろいろな問題を投げているわけです。そこでどうしたらいいか、こういう点について、政府の見解をここで示しておいていただきたい。
  270. 三治重信

    説明員(三治重信君) 港湾労働関係につきましては、今年度、内閣の付属機関として港湾労働等対策審議会で、根本的な問題は検討していただくことにしております。八月の初めに第一回の審議会を開きまして、今後熱心な検討が行なわれることと思います。それから労働省といたしまして、来年度につきましては、やはり港湾労働の関係につきましては、宿泊施設並びに福利施設は、雇用促進事業団を通じて、できるだけ予算を獲得していくようにやりたいと思っております。それからなお六大港につきましては、やはり職業紹介を現在の官庁勤務時間ばかりでなくて、船が夜昼なく入りますので、二十四時間の紹介ができるような態勢、これによって手配師なり、その他のいろいろな好ましからざる関係をできるだけ断って、少なくとも六大港につきましては公共職業安定所を通して全部が就労し、しかもそれをできるだけ登録制度的にしていって、安定してそこに港湾労働が確保できるような関係を作っていきたい。なお、事業主関係につきましては、そういうためにいろいろ資金状況や使う人数に応じて、いろいろな福祉施設対策を積み立ててもらうような対策もいろいろ計画しておりますが、できるだけその実現に努力していきたいというふうに考えます。
  271. 相澤重明

    ○相澤重明君 訓練の問題も一緒に答えて下さい。
  272. 三治重信

    説明員(三治重信君) 港湾労働者の訓練の関係につきましては、たしか私がこの前の決算委員会でお答えしたことと思いますが、やはり神奈川県で計画しておる船の買収がうまくいかなかった、それから、非常にその後労働者不足になって、訓練する労務者がいなくなりたというふうな関係から、その計画を一時中止してしまっております。それで、そういう港湾労働者の荷役訓練という問題につきましては目下、何と申しますか、中止の形になってまことに申しわけないわけでございますが、もう少しその訓練のやり方については、その県と相談して再検討、再出発をしてみたいというふうに考えます。
  273. 相澤重明

    ○相澤重明君 まことに遺憾である。これは今の局長の言うように、せっかく計画をしたのが実行できないようではだめなんです。特に国際収支の関係には港の関係というものは、これは欠けることができない問題である。全国の六大港がみんな船がとまったというようなことを年中繰り返すようなことでは、私は仕方がないと思う、こういうふうでは。特に大橋労働大臣——労働大臣にひとつ、このことは前向きにやるようにあなたに希望しておきます。事務的にはよく事務局で知っておりますから、ただ私はそういうお答えをしてもらえばいいんであって、これから一生懸命やってもらいたい。  それはそれとして、その次に、西ドイツに炭鉱の労働者を日本からも送ったわけでありますが、今後の問題はどうしますか、それをお答えいただきます。
  274. 三治重信

    説明員(三治重信君) やはり、ドイツが要求するような年令階層で、しかも非常に身体検査がきびしい条件でありますと、目下のところ、われわれは供給不可能だということで、今年度におきましては、また来年度も、特別な事情のない限り、派遣をする計画は今、もう少し模様をながめるという考えでございます。
  275. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、先ほどのいわゆる青少年対策も含んででありますが、国内での若い人たちの雇用というものが非常に望まれておるわけでありますが、その中で私は、沖繩の人でやはり相当内地に来るのを希望を持っておるわけで、私どもときどき、レターをもらうわけでありますが、こういう点について、政府はどうお考えになっておるか、この点をひとつお答えいただきたい。
  276. 三治重信

    説明員(三治重信君) 沖繩の政府の労働局とは、われわれのほうも常時連絡をとっておりまして、この新規学卒につきましても、われわれの一般の学卒と同じように、沖繩の労働局でやっていただいておりまして、連絡ができております。今年はたしか二千三百人ぐらい入っております。今後ともそういうふうに……。ただ、やはり非常に何と申しますか、そういう方々の就職場所や業種につきまして、やはり各島が分かれておりますので、それぞれだいぶん民情も違いまして、その関係のいろいろの納得や、何と申しますか非常に隔地になるわけなんで、日本内地の新規学卒のように、いやだったら国に帰るというふうにはなかなか参らぬわけで、その点を非常に慎重にやるつもりでおります。
  277. 相澤重明

    ○相澤重明君 慎重にというよりは、希望者が非常に多いのでありますから、内地へもらうことにして、それのためには、先ほどもお話がたくさん出ておりますように、厚生施設にしろ、あるいは集団的な訓練にしろ、そういうことをやっていただけば、沖繩の人は非常に喜ぶと思うのです。そういう点を特にひとつ努力願いたいと思います。  それからいま一つは、地方議会で、初任給の問題について、近ごろの生活条件からいけば最低一万円は必要である、こういう決議を地方議会が大半行なっておるわけですね。これらについて、先ほどもお話がありましたが、最低賞金法の問題について、政府はどう考えておるか。で、現在の業者間協定というものをどうしていくのか。こういうようなことについて、もう簡単だと思うからお答えをひとついただきたい。いずれまたこまかい点はやりたいと思うのですが、当面、そういう地方自治体が、もうやはり一万円以下の労働者は気の毒だ、こういうことで議決をしておるわけです。ですから、政府にも当然そういう反応がきてしかるべきだと思うのですが、業者間協定と最賃法問題についての答弁を願いたい。
  278. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 最低賃金につきましては、現在の最低賃金法の運用によりまして、約百五十万人くらいの労働者が、これに関係をいたしております。これはまあ、御指摘のとおり、業者間協定を基礎といたしておるのでございます。労働省といたしましては、もうしばらくこの方式を徹底させて参りたい。すなわち、来年度におきましては二百五、六十万人まで伸びるように現在の制度拡充強化するように指導を行ないたい、かように考えておる次第でございます。
  279. 相澤重明

    ○相澤重明君 最後一つ。これは特に労働省の、サービス省としての立場で努力をしなければならぬということでお尋ねしたいと思うのですが、最近、自動車関係、特にハイ・タク関係において労働争議が長期化するものがたいへん多い。中には悪質な事業主でロック・アウトをするものがある。こういう問題について、政府はどう考えておるか、との点について、まず最初にひとつ考え方を聞かしてほしい。
  280. 青木勇之助

    説明員青木勇之助君) お答え申し上げます。先生御指摘のとおりに、最近のタクシー会社関係の争議行為につきましては、ストライキ、それに対するロック・アウト等の問題を惹起しておる面もございますが、それぞれの争議行為の実態に応じまして態容は違っておると思います。現に争議行為が行なわれている場合ないし行なわれるおそれがきわめて切迫しておりますような際は、使用者側につきましても、ロック・アウトは行ない得るということは裁判例上も明らかにされております。しかしながら中には労働者側のほうで、もう争議行為はやらないという場合にも、なお行なっておるようなケースもあるようでございます。そういう点につきましては、われわれといたしましても十分注意して指導して参りたい、こういうように考えております。
  281. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は一つの具体的な例でお話ししたいと思うのですが、横浜に相鉄交通というのがあるのです。これはストライキが非常に長かった。賃上げの問題で非常に長期間かかった。そのうちに会社がロック・アウトをした。ロック・アウトしておるうちは、まだこれは今の労働争議なんです。ところがその労働争議中に、今度は会社が会社解散を決議した。そして運輸大臣に、解散決議をしたのでありますから、事業の撤廃を申請をした。そこには約三百人の労働者が働いていた。関係の家族を含めて約千二百人。これについて、私は運輸専門委員でもありますから、運輸委員会でも、その点は運輸大臣にやったんでありますが、特にこれは、労働者関係としては労働者の問題でもあるわけです。これはどちらがいい悪いという問題は、裁判をやれば裁判で決着がつくけれども、問題は、社会情勢ね、社会不安をなくすという、こういうところに、私どもは大きなねらいがあると思う。  そこで、今そこの労働争議をやっておった労働者側でも、第二組合に行っているものもあれば、第三組合に行っているものあるし、第一組合に残っているのもある。それぞれが目的に向かって進んでおるようでありますが、とにかく会社側は会社をやめちゃったんですから、そうすると、あとに残った債権の紛争が今起きているわけです。それは裁判で私は決着のつくものだと思うのですね。そういうものは、両方がやっているのですから。それはそれとして、これらの実際に失業をした人たちを、どう立ち直らせるかということが私はやはり問題だと思う。これらの人は、運転の技術を習得しておる人たちでありますから、私はむしろ社会問題としては、他に転職をすることができるならば、その就職をあっせんをする。それからどうしてもその道でいきたいというのであれば、私はやはり労働省が率先をして、それらの人たちと話し合って、そうしてハイ・タクの事業が営めるならばハイ・タクの事業をやらしてやる、こういうような社会不安を一つでも早く除去していくというサービスをしてもらいたいと私は思う。私ども話を聞いてみるというと、中にはすでに百人くらいの人は退職金で、それではハイ・タク事業を申請しようじゃないか、それには労働省が一枚加わってもらえば非常にありがたいが、こういうお話も私どもは聞いておるのです。それでこまかい点はわかりませんが、まあもしそうだとすれば、彼らの陳情、請願等があった場合には、ひとつ労働省は積極的に、それらの内容を聞いて、そうしてこの事案について処理ができるように努力をしてもらいたいと思う。この点はサービス省としての、特に国務大臣の大橋さんに、ひとつお答えをいただきたい、それによって私は終わります。
  282. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この相鉄運輸でございますか、相鉄交通株式会社の争議のことは、私も報告を受けております。争議の最中に会社の営業権が解消されてしまった。そのために従業員の今後の職業の基礎がなくなってしまったということにつきましては、私もまことに遺憾な結末である、こう思っておるわけでございます。ただいま仰せられましたこの三百人の方々の今後の生活、ないしお仕事ということにつきましては、これは労働省といたしましても、十分関心を持っておるところでございますので、当事者から御相談がありましたならば、できるだけ好意的に御相談に乗るように心がけるつもりでございます。
  283. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 他に質疑のおありの方はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  284. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 他に質疑もなければ、労働省に関する審査は、これをもって終了いたしたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  285. 鈴木壽

    委員長鈴木壽君) 御異議ないと認めます。よって労働省に関する審査は、これをもって終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十五分散会