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説明員(鈴江康平君) 御
説明申し上げます。アメリカの科学ステーションを
日本の内地に置きたいということでございますが、それはことしの二月でございましたか、アメリカ
政府から
日本に、アメリカのいわゆるNASAと申しますか、航空宇宙局と申しまして、これは宇宙の平和利用を促進する
機関でございますが、そのNASAが、人工衛星——これは通信とか、天体観測、そういった平和利用のための人工衛星を地球上のまわりを回しますときに、それのトレースをするというか、その人工衛星がいろいろ調べました内容を
日本でそれを受け取りまして、そのデータを受け取りたい、そういう場所でございますが、トラッキング・ステーション、このトラッキング・ステーションは、アメリカだけでは観測が十分でございませんので、カナダとかあるいはオーストラリアにすでにそういうものを置いております。地理的にも、
日本あるいはフィリピンにそれを置きたいという申し出がございまして、
日本でそういったものを置くための土地の
調査をしたいという申し入れがあったわけでございます。そのときに、われわれといたしましても向こうの内容は十分まだ把握できませんので、いきなり土地の
調査というよりは、むしろ内容の
説明をし、またこちらの意見も聞いてもらうという
説明員をよこしたらいいのじゃないかということを言ってやったのでございます。その後アメリカといたしましては返事がございませんので、立ち消えになったかと思ったわけでございますが、そういたしましたところ、ことしの九月になりまして、またさらに向こうからもう一度同じような申し入れがあったわけでございます。そのときにはすでに
政府の中に
各省の連絡会議、これは宇宙開発合同推進会議というものを組織いたしておりますが、これは閣議決定の
委員会でございまして、
科学技術庁長官が
委員長になり、
各省の者が集まりまして宇宙関係の連絡会議を持っておりますので、そこで十分何回も話し合ったわけでございますが、その結論といたしまして学問上の国際協力ということは、これは
方向としては認めるべきことであろうということでございまして、したがいまして、トラッキング・ステーションを置くということを否定をするという考え方にはなっておりません。ただし
日本といたしましては、宇宙の利用はあくまでも、平和
目的に限りたいという強い考えでございます。これは宇宙開発審議会というのは総理大臣の諮問
機関でございまして、その答申にもございますので、やはり平和利用に限るというこの原則をアメリカにおいても十分保障してもらうような措置をとってもらわなければ困るという点が一点。
それからもう
一つは、
日本としましては航空路とかそれから電波網の関係からいいまして、米側が言っておりますように、ほかの
飛行機とかあるいは電波の障害のないような所をやりたいという希望に対しましては、なかなかそういった措置がむずかしいだろうということもつけ加えて向こうに返事をしたわけでございます。申し忘れましたけれども、米側で言っておりますのは、九州かあるいは四国地区ということを言っておるのでございますが、運輸省ともあるいは郵政省ともいろいろ話し合いをいたしました結果、なかなかそういった適地はむずかしいのじゃないだろうかということ。
それからもう
一つ、第三点は、電波法の関係がございまして、アメリカ人自体だけで電波を発信するということは、現在の法律ではなかなかなかむずかしいのだ、そういう
状態。その三つの点を、つまり平和保障とかそれから保障の措置、あるいは航空路、電波網の問題及び電波発信の問題、そういった点でそう簡単にはいかないのだ、そういうことを十分含んだ上で話し合いをし、また、その上で話し合いが十分うまくいくようであれば土地の
調査もやってもよかろう、そういうふうな考え方で、とにかく一応そういう問題点がある、そういうことを含んだ上で来るならおいでなさいということを外務省から向こうへ返事をしてもらったわけでございますので、それに対しまして、ただいまのところ、まだ何とも返事がないわけでございます。もっともアメリカ側といたしましても、トラッキング・ステーションはこれはいつでも公開をする、
日本の学者あるいはだれにでもそれは見せてもけっこうであるということ、並びにそれを扱います人間も漸次
日本人に置きかえていく予定であるというふうなことを言っております。それに対するいろいろな
施設等は向こうの金で向こうが持ってきて、
日本には迷惑をかけないというようなことも言っておるのでございますけれども、何分そういったような問題点がございますので、そういった点もつけ加えまして向こうに回答いたしておるわけでございます。
それからもう
一つ御
質問がございました学術会議とそれから
科学技術会議の関係でございますが、学術会議は、御
承知と思いますけれども総理府の
機関でございます。
機関でございますけれども、これは
政府の意思とは別個に動く
機関でございまして、御
承知のように、これは
科学者の選挙によって選ばれた
方々が会員になりまして、その会員の
方々が学術会議自体の意思決定をしておるわけでございまして、法律上これは
科学者の内外に対する代表であるということになっておるわけでございまして、
外国との学術上の連絡をいたします場合には、学術会議が代表をして学術上の連絡をするということもやりますし、あるいはまた
科学者の代表といたしまして
政府にいろいろな意見あるいは勧告というふうな形で申し入れがあるわけでございます。そういうことでございますが、一方、
科学技術会議と申しますのは、総理大臣の諮問
機関でございまして、同時にこの
仕事といたしましては、
科学技術の行政に関しまして
各省庁の連絡
調整を要します場合には、総理大臣は、連絡
調整についての諮問を要するということになっておりまして、性質がかなり違うわけでございます、
科学技術会議は、今申し上げましたように
政府の
施策をいたします場合に、総理大臣の諮問にこたえるということでございます。で、そういうことでございますけれども、その間、
科学技術の関係に対しましては、学術会議と
科学技術会議は非常に縁が多いわけでございますので、ただいまのところ、
科学技術会議の議員といたしまして必ず学術会議の会長が入るということになっております。したがいまして、学術会議から
政府に勧告、申し入れがございました場合には、これは
各省に非常に関係のある問題が多いわけでございますから、それを実施いたします場合には
各省の
調整を要する、そういう点がございますので、学術会議の勧告が
政府にありました場合には、必ず
科学技術会議が一応それを受け取りまして、そこで学術会議の勧告をどう処置していくかということを
各省と相談をいたしまして、その結果を学術会議に付し、また、できるだけその実現に
努力するということの建前になっておるわけでございまして、今申し上げたようなことで、学術会議の会長を
科学技術会議の議員として出席させていますが、議員ばかりでございませんで、
科学技術会議にはいろいろ専門部会がございますものですから、この専門部会の専門
委員の中に、相当学術会議の
方々がお入りになりまして、内容の問題につきましては、深く突っ込んで実際に審議していただくというような運営をいたしておるわけでございます。