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1962-12-07 第41回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十二月七日(金曜日)    午後一時十九分開会   —————————————   委員異動  十二月四日   辞任      補欠選任    谷村 貞治君  山本 利壽君  十二月六日   辞任      補欠選任    山本 利壽君  谷村 貞治君  十二月七日   辞任      補欠選任    谷村 貞治君  山本 利壽君    牛田  寛君  北條 雋八君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田上 松衞君    理事            古池 信三君            加藤シヅエ君            小林  武君    委員            上原 正吉君            江藤  智君            源田  実君            白井  勇君            平島 敏夫君            丸茂 重貞君            山本  杉君            山本 利壽君            瀬谷 英行君            矢山 有作君   国務大臣    国 務 大 臣 近藤 鶴代君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    防衛施設庁施設    部長      鈴木  昇君    科学技術庁事務    次官      鈴江 康平君    科学技術庁計画    局長      杉本 正雄君    科学技術庁研究    調整局長    芥川 輝孝君    科学技術庁原子    力局長     島村 武久君    大蔵政務次官  竹内 俊吉君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (防災科学技術振興に関する件)  (原子力施設周辺地域整備に関す  る件)  (科学技術動向調査報告に関する  件)   —————————————
  2. 田上松衞

    委員長田上松衞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  ちょっとお断わり申し上げまするが、公報に掲示いたしました質疑事項を多少変更いたしまして、次のとおりに今理事会で申し合わせをいたしましたので、御承知いただきたいと思います。  防災科学技術振興に関する件を初めに、次に原子力施設周辺地域整備に関する件、最後に科学技術動向調査報告に関する件、こういう工合に変更いたしましたことを御了承いただきたいと思います。  それではただいまから科学技術振興対策樹立に関する調査といたしまして、防災科学技術振興に関する件の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。   —————————————
  3. 田上松衞

    委員長田上松衞君) この際、委員異動について御報告いたします。本日谷村貞治君及び牛田寛君が辞任されまして、その補欠山本利壽君及び北條雋八君が選任されました。以上でございます。   —————————————
  4. 山本利壽

    山本利壽君 今や世界をあげて、文化向上のためにも、産業発展のためにも、科学技術振興をはかっておるということは御承知のとおりでございます。わが国におきましてもその方向へ漸次歩みを進めてはおりますが、科学技術庁ができましてからまだわずかに数年でございますので、その施策が十分には進んでいないように思うのでございます。どういたしましても出発がおそいのでありますから、予算が非常に少ないわけでございます。こういう科学技術振興対策としては非常に多額予算を食うのが多いのでございますけれども、わが国のこういう方面における予算というものは非常に微々たるものでありますが、大蔵省査定方針は、今までの例によりますと、前年度の五割増し程度要求せよというふうなことになっており、それをさらに査定されますので、ますます科学技術予算というものが少ないように思うのでございますが、この三十八年度の予算においてもやはりそういう方針で進まれるものか、あるいはこういう特殊なもの、ことに現内閣は、文教、科学技術振興というようなことを三大政策の一つとして掲げておるような際でありますから、特にこういう方面においては他の省に比べて相当額予算を組まなければならぬというふうな方針でおられるか、幸い竹内政務次官、御出席いただきましたので、大蔵省のこれに対する方針といったものが伺えたらありがたいと思うのであります。
  5. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) お答えいたします。科学技術振興産業経済のみならず、文化あるいは国民生活向上発展のための基礎的条件でございまして、国の重要施策でありますことは申し上げるまでもありません。したがいまして、これに要する予算編成につきましては、予算編成上の重点として従来もその方針で参りましたが、なお一そうその認識を深めて予算編成に当たってほしいという今の山本先生のお説には全く同感でございます。三十八年度予算につきましては、御承知のとおり目下各省大蔵省とが折衝の途中でございます。固まっておりませんので、具体的な点は申し上げるわけには参りませんが、なるべく御期待に沿うように善処いたしたい、こういう所存でございます。
  6. 山本利壽

    山本利壽君 ただいまの大蔵省の御方針を聞いて、われわれも非常に意を強くするものでございますが、それにこたえて、科学技術庁としては大いにこれはがんばっていただきたい。各方面において十分な施策をしていただきたいのでございますから、今日は、どういうような案が立てられており、さらにこれに対して大蔵省側がどう思われるかということを全般的にお伺いしたいのでございますけれども、竹内政務次官も非常に御多忙な御様子でございまして、時間がわずかしかいただけないようでございますから、これに御協力申し上げることにいたしまして、本日はただ一つの問題についてお伺いをしてみたいと思うのでございます。  それは、本年の五月の七日に当委員会におきまして決議いたしました防災科学技術振興に関して、科学技術庁としては一体どういう対策を立てられたか。それで、それに対してどの程度予算要求しておられるか、大蔵省としては、先ほどのお話にもありましたように、まだ査定されておりませんので、大蔵省から数字的なことを伺おうとは思わないのでございますけれども、科学技術庁がどういったような意気込みでわが委員会決議したことに対して対策を立てられておるかということを伺いたいと思うのでございます。それは、特にこの問題は当委員会が非常に力を入れて調査研究をいたしまして、その結果、防災科学というものが非常に重大であるということを認めて、各派共同提案をいたしたものでございますから、参議院において共同提案にかかる決議案が満場一致で通った、それに対して一体どうしたような対策を立てておられるか、大蔵省に向かって要求しておられるかといったようなことをまずお聞きしたいと思うのでございます。一体、あの決議案の前文にもございますように「我が国は、その地理的条件及び気象的環境から自然災害を蒙ることが極めて多く、加うるに産業の急速な発展に伴ない産業公害も逐年累増の一途をたどっておる」のでございます。しかるに今までの政府防災対策のやり方というものは、罹災後の対策に追われて、しかも局部的、弥縫的に流れるきらいがあったのでございます、各省首脳部は、大臣、政務次官等はひんぱんに交代されますので、今回御出席いただいております方々にも特にこのことをつけ加えまして御好意をいただくように注意を喚起したいと思うのでございます。そこでわが委員会決議の第一には「防災科学関係機関相互連絡、特に研究における基礎部門応用部門の連繋を緊密にし、研究総合調整に努めるとともに防災科学研究所の設置について検討すること。」ということをまず一番に掲げたのでございますが、科学技術庁は、これに対してどのような案を樹立されましたか、まず承りたいと思うのでございます。
  7. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) ただいま山本委員から御発言になりましたように、全くわが国災害は自然的な条件、また非常に盛んになって参りました産業投資というようないろいろな事情で、年々歳々思いがけない災害をこうむっておるのでございますが、常に災害のあとからいろいろと問題が起きておるようでございます。で、何とかして災害の起こらない前に相当多額費用をもってこれを防ぐことを考えなければならないということは、すでに非常に長い間にわたって考えられて参ったところでございますが、先ほど仰せになりましたように、参議院の当委員会におきまして防災科学に対しての御決議をいただきましたので、科学技術庁といたしましては、抜本的に科学的にその災害のあり方、派生というようなものに対して十分研究をして、これの処置をしていかなければならないという立場から、防災科学研究所を設置しようという構想のもとに、三十八年度の予算請求をいたしておるわけでございます。具体的にどういう構想を持って、どれほどの予算を充てておりますかということにつきましては、調整局長のほうからお答えをいたします。
  8. 芥川輝孝

    説明員芥川輝孝君) 三十八年度予算におきまして防災科学技術総合研究所構想を立てまして、これの予算要求をしておりますが、三十八年度の予算といたしましては比較的少額でございますが、さしあたり研究所初年度経費に要する分といたしまして、端数はございますがそれは省略いたしまして、六千万円程度。それから実際にやりますテーマその他に引き当てるために研究特別調整促進費というのがございますが、そのうちから六千万円、合計一億二千万円という程度のものをこの総合研究所につきましては考えております。なお、総合研究所構想といたしましては、ただいま長官から御説明がありましたように、大学各省の間をつなぐいわゆる目的基礎と申しますか、その部分と、それから各省がおのおの行政目的に従ってやっております各種の研究境界になる部分、御承知のとおり非常に境界になる部分が多いものでございますから、そこらを考えまして、そして防災を基本的に解決する手段としてこれを立てたわけでございますが、そこへ設備いたしまする施設といたしましては、たとえば河川シュミレーターあるいはプロセスモデルそれから千メーターの横、掘りのボーリング機械、これは御承知のとおり地すべりその他が多いものでございますから、それを基本的に解決するための道具、その他たとえば航空機等、要するに各省で重複して持ちますにはあまりに多額経費で持ち得ない。しかも防災を基本的に進めるには絶対的に必要であるというものを、各省の共有の形でここへそろえまして、そういたしますとこれらが大体二十七、八億になると思いますが、それを三年計画整備したいという構想をもちまして、その初年度経費といたしましては、ただいま申し上げたように当研究所の分として六千万円、それから研究促進費としてさらに別に六千万円というふうに考えております。それを要求しております。
  9. 山本利壽

    山本利壽君 まことにけっこうなアイデアだと思うのでございますが、国内には研究所が非常に多くて、そうしていろいろな施設が重複するようなこともございますが、その重複を避けて、それらの総合あるいは統合研究をするのが今度の研究所の趣旨でなければならぬと思いますが、ややともすると、同じような名前のがあちこちにありますと、すぐに競争になったり、なわ張りを侵されるのではないかという点でいろいろ横やりの入ってくることも私はあると思うのでございます。そうすると、せっかくいいものも、大蔵省好意を持ってつけようと思ったところで、これはなかなかそういう混乱するような問題について予算つけようはないから、好意は持っていてもこの問題は除外するといったようなことも間々起こり得るわけでございますから、だんだんそういったような既設の研究所、あるいは各大学に設置されておるもの、その他いろいろの点をよく研究して、今回要求したものが絶対そういうものと重複するものではないということを、大蔵省の方にひとつ腹の中へよく入るように御説明にならぬと、これは大蔵省としてもお困りになると思うのでございますから、この点はひとつ強く要望いたしまして、そういうことでせっかくの案がつぶれないように、ひとつ御努力を願いたいと思うのでございます。  次に、第二項として掲げましたのは、「科学研究人的要素を重視し、研究者待遇改善研究費充実設備環境整備努力すること。」ということがございます。だんだん経済状態発展して参りますと、各大学等での優秀な卒業生がみなそのほうへ参りまして、政府機関にはなかなか集まりにくい。そういう点でやはりこの待遇をよくする、設備をよくするといったようなことにも当委員会において思いをいたしたわけでございますが、三十八年度においてこういう方面に対してどういう方針でおられるか、科学技術庁のほうから承りたいと思います。
  10. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 科学者技術者人材確保、優遇ということにつきましては、おそらくどなたにも御異論がないと思うのでございますが、現実にこれを具体化そうと思いますと、いろいろの支障がございまして、おそらく三十八年度の当庁の予算の中には、皆様方が御要望になっていらっしゃいますような画期的なものは出ておらないのではないかと思います。しかし私は、この問題は一年や二年で長い間のしきたりとか、あるいはその他の条件を克服するということは容易なことではないと思いますので、年月は少しはかかるかもしれませんけれども、基本的なこの考え方をなるべく早い機会具体化するようにみんなの力を合わせて努力をしなければならないのではないかと考えておりますので、委員先生方にも格別の御理解をいただいてお願いをいたしたいと思います。  ついででございますが、科学技術庁には実は圧力団体というものがございませんので、あらゆる予算に対しまして非常に難航いたしておるようでございますので、せめて委員先生方のお力添えを十二分にちょうだいいたしたいことを、この機会お願いしておきます。
  11. 山本利壽

    山本利壽君 この項につきましては、まことに消極的なように承ったのでございますが、あるいは事務当局では相当いろいろ予算を出しておられるかもしれませんけれども、とにかくそれではこの科学者というものが政府機関に、ことにこの科学技術庁関係方向へ集まってくるということは少ないのでありますから、これは当然なことでありますから、今後とも飛躍的にこれは増加してもらいたい。ただ学者とか技術者とかというようなものは、金だけでなしに、ほかにも私は方法があると思う。国家的に見ても文化勲章というようなものは非常に高く評価されておりますけれども、科学勲章といったようなものも国家として私は制定してよいことじゃないかと思うのです。非常にすばらしい業績をあげた人に対しては科学勲章を授ける。あるいはまた発明者に対してはまだ若い人にしても外国へ向かっていろいろな特許を売るとか、あるいはいろいろな製品がどんどん外国へ向かって輸出される。そういうような人に対しては、そのうちの利益の何%でもいいからその当人に与えて奨励するといったような方法が私はあると思う。それは今私が新たに言うだけでなく、今までにいろいろな方からすでにこういう意見は述べられたかと思いますけれども、そういう方向に対する科学技術庁の御努力が私は少ないのではないかというふうに感ずるのでございますが、今言ったような名誉的なこと、あるいは物質的にもこの人が発明したおかげで日本の輸出がこれだけ伸びた、何億円これは外貨が入ったのだから、そのうちの何%は本人に還元してやるといったような方法等いろいろ考えられると思うのでございますから、今後とも一そうの御努力お願いいたしまして次に移ります。  第三項には「災害に関係ある自然現象、特に台風集中豪雨地震等に対する観測予報技術高度化のため、観測船飛行機レーダー網ロボット観測所地震計等の早急な完備をはかること。」、これは自然災害のはなはだしいわが国としては、災害を受けてからそれを復興するということの費用と比べると、これはものの数でもないことでございますから、こういうことについて十分な努力をすべきであるという決議をしたのでございますが、この点について今度の予算に現われておるところはどういうことであるか承りたいと思います。
  12. 芥川輝孝

    説明員芥川輝孝君) ただいまの問題につきましては、気象庁の事業というふうなことでございまして、ちょっとこまかく申しますと、科学技術庁のいわゆる科学技術振興費の見積もり、振興費調整の中には若干入らないところもございますが、気象庁のほうからいろいろ調べまして、気象庁予算がただいまの御質問中心となっておると思いますので、数字のほうはわからない点がございますが、来年度気象庁関係の分としては防災振興ということで非常に力を入れまして、本年度予算の約二倍半程度予算要求をして、その設備充実に努めておるように見受けられます。なお、具体的に、たとえば地震計の問題その他の問題につきましては、早急にこれをふやさなければならないというふうな問題でございまして、科学技術庁の持っております特別研究調整費をもちまして五カ所に地震測定関係装置を最近整備することにいたしました。その他大きなものにつきましては、項目別気象庁年次計画をもってその充足をはかっておるように聞いております。  なお、先ほど申し上げました航空機あるいは大がかりな調査装置その他につきましては、防災科学技術総合研究所にこれをつけまして防災科学基礎的な技術の開発をはかることにいたしておるわけでございます。
  13. 山本利壽

    山本利壽君 私はあまり科学技術庁に対して強い言葉を申し上げるのは、私も科学技術庁におりましたので、どうかと思いますけれども、だんだんいろんな省で、気象庁その他でやっておられるようではありますけれども、私の希望するところでは、科学技術庁がなぜもっと強く出ないかということです。これは飛行機が要るなら飛行機観測船が要るならお前のほうでは観測船が要るのだから今度の予算ではそれを絶対組んで出さなければならぬというその指導があってこそ私は科学技術庁各省のこういう方面調整ができるのであって、それが、ただどうもやっておるらしい、やっておったら応援してやろうかという態度では、私はなかなかはかどらぬから、別に科学技術庁予算の中に取る必要はない、それが各省に分かれておってもいいから、そこで十分な要求大蔵省に向かってさせるように、その説明大蔵省について行っても科学技術庁の専門的な知識でそれを説明して、取らせるように、そういうことが各省において行なわれ、認められたときに、私は科学技術庁存在価値というものがあるように思うのです。その点をお願いをいたしまして次に移ります。
  14. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 その点でちょっと関連質問があるのでございますけれども、今、災害防止することについての科学技術がもっと奨励されて、予算が取られなければならないという御発言に対して、私も全面的に賛成いたします。特に日本災害の中でも、台風集中豪雨による災害というものは、もっと予防措置が十分にとられているならば、これは防げるのであって、天災である部分と人災である部分とが非常にそこに密接な関連があって、むしろ避けられるものを避けなかったというようなことが事実起こっておるということは、たびたび私どもが見るわけでございます。その中で、特に白書の中に提起されております三十六年の六月二十七日に伊那の谷を襲った集中豪雨天龍川上流飯田市を中心とした集中豪雨によるたいへんな災害の問題でございますけれども、これなんかも政府当局に伺いたいのは、ダムなどの建設の場合に、そのダム河川集中豪雨の起こり得る可能性というようなものにつきまして、科学的な研究が十分になされて、それが発表されていれば、現在の状態では、集中豪雨があればどこにどれくらいの災害があるのだということは、科学的にちゃんと予測し得るものではないかと思うのでございます。それが、ある方々が予測していろいろ計算していらっしゃるにもかかわらず、そこに政治的ないろいろな不純な問題がからみ合って、それがそのまま放任されていて、ついにこういうような災害でたくさんの人命が失われるというような状態が、この一つの例によっても見られると思うのでございます。したがいまして、科学技術庁においてはそういうような問題について、もっともっと政治的な、おかしな圧力というようなものをはねのけて、科学技術的にいかにこれが危険にさらされておるかという問題を、もっと深刻に具体的に取り上げて、その地方に注意を喚起する、こういうような仕事があってしかるべきだと思いますけれども、そういうようなことに対して何か計画がなされているかどうか、その点を伺いたいと思います。
  15. 芥川輝孝

    説明員芥川輝孝君) ただいま天龍川の問題を御指摘になりましたが、実は河川にもプロセスモデル等を利用した防災研究所を設置いたしまして、日本河川ダムを作ったために災害がかえって増加したというふうなばからしいことが起きないように、基本的に集中豪雨の問題、それが河川洪水を起こして、災害を起こすというふうなことのないようにいたすためには、どうしてもどこかで大がかりにこの点を解明ずる必要がございます。そこで、御承知電子技術をこの防災に活用いたしまして、河川シュミレーターを作りまして、ただいま御指摘のような点を明確にして、災害防止ということを基本的に進めて参りたいと考えておるわけでございます。ただいまの設備は、来年度の防災研究所の第一番に着手する施設というふうに構想を立てて予算要求をいたしております。
  16. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 それでは、そのシュミレーターとかいうのは、どういうものか私にはわかりませんけれども、そういうようなものの予算をお取りになって、災害が起こり得る可能性があるということを知られましたときには、長官はそれをどういうふうに強く、そこの特定の個所においてその災害防止するために仕事を進めるという段取りになさるか、どういう御計画でなさるか、それを聞かしていただきたいと思います。
  17. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) ただいま加藤委員がおっしゃいましたように、ダムを作って、かえってそのために災害が起きたというようなことは、従来わが国防災ということに対して、農林省農林省管轄範囲仕事をする、また建設省建設省管轄範囲仕事をするというように、個々別々の所管において事をなされて、総合的にできておらなかったことが、要するにそういう結果になってきた。そこで、そういうことのないように、各省所管以外の、継ぎ目と申しましょうか、そういうようなところを科学技術庁において取り扱い、全体の各省研究に合わせて科学技術庁総合的にこれをよく調整していくことが、災害防止に役に立つことであるという前提に立って、今年度初めて災害防止というような意味での予算請求をしたわけでございます。したがいまして、権威のある研究調査ができましたならば、私は、その方向に向かっていく場合に、必ずしも政治的な、まあ加藤委員がおっしゃいますように、妙なことのために大事な方向が誤られるというようなことは起こり得ないと思います。今までそれが起こり得る余地があったということは、やはりそれだけ科学的な研究基礎がなかったから、ああ言えばこう、こう言えばこうというような調子で、あるいはゆがめられたというようなこともあったかと思いますけれども、はっきりした基礎の上に立って事を行なって参りますようになりましたならば、おそらくそういうことは起こり得ないと思いますので、そういうふうに御解釈をいただいたらと思っております。
  18. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ただいまの長官の御答弁に大いに御期待いたします。
  19. 山本利壽

    山本利壽君 次に、「自然現象並びに防災科学研究には国際間の協力が必要であるので、国際協力観測及び研究者の交流、情報の交換、国際シンポジウムの開催等について今後一そうの努力をすること。」、この点について、三十八年度においてはどういう構想を持っておられるか承りたい。
  20. 芥川輝孝

    説明員芥川輝孝君) 御指摘のとおり国際協力というものは非常に必要でございまして、そこで、その一つといたしましての研究者の交流ということにつきまして、在外研究員制度、それからもう一つは国際の科学技術交流制度、この二つの制度をもちまして、御承知のとおりすでに相当の実績を上げておりますので、来年度におきましてもこの制度を十分活用して、一そう国際協力を増大して参りたいと考えておる次第でございます。  また、国際協力によりまする観測、情報交換等につきましては、ほんの一例でございますが、これをあげますと、たとえば日米科学委員会の勧告に基づきまして、科学技術に関する情報の交換、津波、高潮に関しまするゼミナーの開催、台風に関しまする共同研究の推進というふうに、逐次具体化を検討して、今後十分に国際協力を推進して参りたいと考えておる次第でございます。
  21. 山本利壽

    山本利壽君 今の科学技術庁のお答えでありますが、私がほんとうに希望するのは、何名くらい外国にやるためにこれだけの予算要求したとか、向こうから迎えるためにこれだけの予算を取ってあるとか、科学技術庁にはないがこれこれの省でこういう工合にしてあるとか、そういう具体的なことを聞いて、それにわれわれは協力したい、それでそのことを大蔵省お願いしたいのです。そうでなければ、作文のような抽象的なことを言ったり聞いたりしておるのでは、今までの委員会のあり方と私は違わないと思うのです。一体、決議をしても、国会の決議というものは、たいていはおざなりです。決議をしたら、あとは流れてしまう。ところが参議院には、ちょうど前国会からこの科学技術振興対策特別委員会というものがせっかくできたのだから、しかも参議院は、衆議院のように選挙々々で追われることがないから、選挙の票目当てでない大きいところから、ほんとうに参議院というものはいいことをやる、国家的にほんとうに良識の府だといわれるように、この委員会科学技術振興をはかろうとわれわれは努力しておるのです。ただおざなりのことをお互いに言うたり聞いたりしようと思うのではない。竹内政務次官も、きょうは政務次官会議があるから出にくいと言われたのをここに出てもらったのは、竹内政務次官としても、科学技術に関するところのいろいろな議論を聞かれる機会あるいはお読みになる機会は少ないであろうから、われわれの熱意をくんでいただいて、大蔵省においては、ほんとうに科学技術振興ということは必要である、ことにこの防災科学というようなことは、非常にじみな問題であるけれども、国家的に必要であるから大いに予算をつけなければなるまいと政務次官にもお考えいただこうと思って、私はここにお呼びをしたわけなんです。でありますから、時間が参りましたし、これ以上私は質問を続けません。われわれは科学技術庁の味方となって、今後も一生懸命でやろうとせられるところに対して、当委員会はそれをバック・アップしていくつもりでありますから、大いに御努力をいただきたい。そうして大蔵省におきましても、どうかおざなりの査定をされないように、一番初め申されましたように、この科学技術振興対策というものが非常に大切なことであるということを御認識の上で、今までより一そう寛大にこの問題をはかっていただきたい、このことをお願いいたしまして私の質問を終わります。
  22. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 竹内さん、要望のようですが、何か御発言ありますか。
  23. 竹内俊吉

    説明員竹内俊吉君) ただいまの山本先生科学技術振興に対しまする御熱意のほどを拝聴いたしまして感銘いたしましたとともに、深く敬意を表します。今年五月の当委員会における防災科学技術振興に関する決議につきましては、申し上げるまでもなく、これを尊重する建前で予算の折衝に当たりたいと考えております。先ほど科学技術庁のほうからお答えがありましたように、災害防止のための共通的、基礎研究及び関連部門との総合研究を実施するため科学技術庁の付属機関として防災科学総会研究所を作るという趣旨の予算要求は、大蔵省に参っております。内容につきましては、先ほどお答えがあったとおりでございます。災害の多いわが国としては、国土の保全、人命の保護の見地から防災科学技術総合的に高めていかなければならないということにつきましては全く同感でございます。ただ、当委員会における御決議の中にも、第一番にうたっております点は、前段、後段二つに分かれておりまして、後段は、防災科学研究所の設置について検討を要するという御趣旨に解釈いたしておるのであります。確かに今申し上げたような観点からすれば、この研究所を設けるということも有効な方法であることはよくわかるのであります。しかしながら、一方、現在先ほどお話のあったように、各省専管の研究所または大学付属機関等で実施しております防災科学研究総合する方法が他にもないであろうかということもあわせてこの際検討することが、予算をあずかっておりますわれわれとしてはなすべきことではないかという点もありますので、それをも含めて予算の交渉の途中において科学技術庁と密接にその検討を進めておる段階でございます。
  24. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 防災科学技術振興に関する件で他に御質疑がございますか。——御発言がないようですから、本件はこの程度にいたしたいと思います。   —————————————
  25. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 次に、原子力施設周辺地域整備に関する件について質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  26. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 前回の委員会でも矢山委員から質問が出ておりますが、水戸のアメリカ軍の射爆場の問題について質問をしたいと思います。  御承知のとおり東海村の原子力研究所では、国産の原子炉が活動を開始するようになりましたし、また、近いうちに原子力発電所も完成の運びになる、こういう段階にきておるわけでありますけれども、その周辺にある水戸の米軍射爆場の問題については、その後一向に進展をしていないようでありますので、一体この問題がどうなっておるかということを、せっかく大臣が見えておりますので、御質問を申し上げたいと思います。
  27. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 速記録を見てみますと、歴代長官もとの問題について衆議院でも参議院でもしばしばお答えになっております。したがいまして、私は、就任当初の衆議院の特別委員会でこの御質問を受けましたときに、実を申しますと歴代長官があれほど骨をお折りになった問題が私の力で解決できるかどうか、実は自信はございませんと、はっきり申し上げたわけでございます。しかし、自信がないからといってそれを捨てるというわけではなくて、地元の皆さん方の御要望もさることでございますし、また、私どもといたしまして、あの地区に射爆場があるということが決して安全な状態でないということを十二分に承知いたしております。しかし、私どもが対象といたしまして交渉しますのは、何と申しましても直接に交渉するという建前になっておりませんので、どうしても防衛庁のほうの施設——防衛施設庁でございますか、そこを通じてしばしば催促をいたしますが、それ以上の御返事をいただくわけに参っておりません。御承知のとおりアメリカといたしましては、代替地があれば、適当な所があれば移してもいいということで、代替地をだいぶお探しになったようですし、それらについても個々について検討されましたが、どうも水戸の射爆場より以上の所がないということになって、また、一頓挫を来たしているようでございます。けれども、いつまでもこのままでおいておくというわけにも参りませんので、施設庁とも相談いたしまして、何らかの方途を考えてみたいということにはなっておりますが、そのことについて具体的にそれではどう考えてどうするつもりかということにつきましては、もうしばらくの間様子を見ないとお答えができかねるわけでございますが、決して自信がないと申したからといって、安閑としてほうっているわけではなくて、私の可能な限りにおいての努力は繰り返してやっているというとだけを申し上げにおきたいと思います。
  28. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先ほど防災科学技術振興に関する問題で質問がございましたが、そのときの質問の中でも、決議がおざなりになってはならないという御趣旨のことを強調されておられました。ごもっともだと思います。この点は射爆場の問題についても言えると思います。昭和三十六年五月十八日衆議院の科学技術委員会で三党共同提案で満場一致でこの射爆場返還に関する件は決議をされております。その決議関連して当時の池田国務大臣が、内閣としては当然これに対する措置を講ずる、アメリカ訪問にあたってはアメリカ側とも折衝をして問題の解決をしたいという意味のことをおっしゃっておられるわけです。衆議院の科学技術委員会決議をされてからもうすでに一年以上たっているのでありますし、当然この決議に基づいて大臣も何回か渡米をしてこの問題について折衝をしているというふうに考えられるのですけれども、それにもかかわらず、先般、九月でありましたけれども、茨城県の県議会から陳情を受けております。まだこの問題が解決しない。一体どうなっているかということがいわれているのであります。だからこういうふうに一度決議をされたものが一年も二年もそのままの状態になっているということは、はたして日米間の問題が対等の立場でもって話が進められているかどうかという点について疑問を持たざるを得ない。これはいましばらく様子を見るということよりも、もっとどうしても積極的に、今までの問題を検討した上で、すみやかにこれは措置しなければならぬことじゃないか、こういう気がするわけであります。今までの衆議院における決議が行なわれた以後の折衝経過等が、もしお答えできるのでしたらお答えをいただきたい。  それから近藤長官はたいへん謙遜して言われておりますけれども、私は今までの男の大臣でできなかったことなんですから、女の大臣にできるのじゃないか、アメリカは女の人に弱いそうですから、アメリカとの折衝は近藤長官が行ってこられるなら一挙に解決しちゃうのじゃないかという期待を持っているのです。その点は遠慮せずにひとつやっていただきたいと思います。大臣その点について重ねて御努力お願いしたいと思います。
  29. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 池田前長官もアメリカでこの問題についてのお話をなさいましたし、また、当庁の事務次官の鈴江さんもやはりアメリカでこの問題について非常に積極的なお話し合いができたわけでございます。向こうといたしましては代替地の五カ所について十分検討しておるというような状態で、向こうも水戸の射爆場に対して絶対かわらないという考え方でもないと思いますので、その間の動きも私どもとしてはやはり見る必要があると思っております。もちろん決議を尊重しないわけじゃございませんけれども、国内問題に対する決議とまあ今のような少し性格の違っておる決議に対しましては、やはりある程度の時間をかしていただかないと解決はできないのじゃないかと思いますし、先ほど私申し上げましたように、ある一つの段階を迎えて交渉をしたいという考え方を持っておることだけは事実でございますが、アメリカ人が女に弱いからといって弱みにつけ込んで交渉することもいかがかと思いますので、その辺のところはほどほどにさせていただきたいと思います。
  30. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 現実の問題として茨城県の県議会から陳情があることは事実でございます。歴代の長官努力をしておられることですから、大臣にもぜひこれはやってほしいと思うし、おだてるわけじゃないけれども近藤長官なら何とかできそうな気がするので私も申し上げたわけなんです。この内容でありますけれども、米軍が代替地を見つけたならばということを言っておるようですけれども、こんなのは私は理由にならぬと思うのです。火葬場だとか塵芥焼却場なんというのなら代替地を見つけるということはそんなにむずかしいことじゃないと思う。あれだけの広大な土地でありますから、日本のような狭い国にあっさりとそういう適当な場所が見つかるはずはない。これはアメリカのように地所のあり余っておる国で、自分の国の中で代替地を見つけてもらうのが一番いいと思うので、そういう強い線でもって今後交渉を継続していただきたいということを要望したいと思います。
  31. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 瀬谷君のあれは要望でしたが、この際どうでしょう、防衛施設庁から見えておりますから、施設部長の鈴木昇さんのほうから、もし御発言があるならば……。
  32. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 防衛施設長官が見えるということだったのですけれども、見えていないので、防衛施設庁関係の質問という形でなくて近藤長官質問したわけです。だから、そちらの関係の方が見えておって、もう少し具体的な折衝過程があるならばひとつ御説明をいただきたいと思います。
  33. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 先ほどお話がございましたように、昨年の五月十八日に衆議院の科学技術振興対策特別委員会で返還の御決議がございましたことは御指摘のとおりでございます。その後直ちにこの決議のことを施設委員会を通じまして米側に正式に返還についての善処方を申し入れた次第でございます。その後におきましても、昨年十二月に水戸の爆射撃場を他の施設に移ってもらって、演習場を返還してくれということを施設委員会で正式に提案いたしましたわけでありますが、先ほど御指摘がございましたように、米軍といたしましては、この爆撃演習場は非常に重要な演習場の一つであって、代替地がない限りは返せないということでございました。したがいまして、まあ非公式ではございますが、その後今日まで代替地につきまして、日本側におきましてもいろいろな調査等を数カ所について進めて参った次第でございますが、御承知のように爆撃演習場のようなものは、相当広大な土地を必要とするわけでもございますし、なおまた、これは受け入れ側の地元といたしまして、決して歓迎するような施設ではございませんので、今日までまだどこということもきまっておらないような実情でございまして、はなはだ遺憾な、と申しますか、状態になっておる次第でございます。
  34. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうすると、昨年の決議案が衆議院で決議されて以来というもの、全然話は進展していないということになるわけなんです。米軍側は代替地を見つけなければだめだというふうに言うのは、これは米軍のわがまま勝手というものなんです。こんなことは今日許せないと思う。言われてそのまま黙って、ちんとしてしまうというようなだらしのないことでは、防衛庁としても困ると思う。日本の防衛庁なら日本の防衛庁らしく、少し筋を通して折衝に当たってしかるべきだというふうに考えます。全然進展していない。決議が文字どおりおざなりになっておる。これは私は遺憾だと思う。いま少しこの問題について責任を持って私は折衝に当たってもらわなければならぬと思います。もしこのままの状態で参りますと、地元の茨城県のほうでも反対運動というものが——何とか国会でも決議をされたので、してくれるんじゃないかという期待を持って見守っているわけです。それをずるずると何もなさらないということになると、何らかの反対運動というものが現地でもって爆発をするということもこれは考えなければならぬと思います。そうなった場合に、一体日本政府としてはどうするのか、防衛庁としてはただおろおろしているだけなのか、こういうことになっては話にならぬと思います。だから現地でもって実際の反対運動が起きた場合に、一体これをどうするつもりなのか、それを一体押えるつもりなのか、それとも米軍とより積極的な折衝をする気があるのかないのか、これらの点について、はっきりした見解を承りたいと思います。
  35. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 防衛施設庁といたしましては、米軍側との間におきまして、かりに代替地を求めるといたしましても、いろいろな条件等もあるわけでございますので、先方の希望する条件も聞き、特に日本側といたしましても、いろいろとこれを他に求めると申しましても、先ほど申し上げましたようになかなか狭い日本では簡単に見つけられるようなものではないわけでございますので、そういうことにつきまして、各種の事項について詰めるというふうな考え方でもって参ってきておる次第でございまして、御指摘のように何もせずにずっとおったということでもございませんわけなんで、御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  36. 矢山有作

    ○矢山有作君 今、瀬谷委員のほうから御質問があったので申し上げることもないわけですが、しかしこの問題は、この間ちょっと話を聞いたのによると、原子力施設の周辺地帯の整備ということには本格的に取り組まなければいかぬ、こういうことから、何か原子力委員会の中ですか、専門部会ができた、こういうお話を聞いておりますが、この間第一回の会合が持たれたはずなんで、そのときの会合の結果はどういうふうになっていますか。
  37. 島村武久

    説明員(島村武久君) 私から御説明申し上げます。十月三十一日でございましたか、当委員会が開かれました際に御説明申し上げましたように、原子力委員会といたしましては、原子力研究所あるいは日本原子力発電株式会社等、幾多の原子力施設が、現に存在しております茨城県東海村、これの周辺地区を、原子力施設がある地帯としてふさわしいような形に整備するには、いかなる形態がいいかというようなことにつきまして、専門的な立場から調査をいたしますための専門部会の設置を決定いたしましたわけでございます。その後、二回開会いたしております。この専門部会は、この過去二回の会合におきまして、ただいま申し上げましたような趣旨にまず合うようなふうに、地帯を整備する場合の対象地域をどう考えたらいいかということについて、慎重な御検討をいただいたわけでございます。なかなか一回の初めの会合では結論も得られませずに、二回目の会合におきまして、一応、作業の上の前提という意味におきまして、この程度の地帯を対象にして、今後作業を続けていくということをきめたわけでございます。その地域の詳細は、申し上げる必要もないかとも思いますけれども、、水戸及び常陸太田西の一部を含みますところの、他の町村も合わせまして、九町村に及ぶ範囲ございます。今後この専門部会は審議をできるだけ急ぎまして、なるべく早く結論を出したいという前提で作業をいたす予定でございます。第二回の専門部会で、同時にきめていただきましたことは、まずこの次は、今一応きめました地帯について人口分布をどのようにやったらいいかという問題を検討しようということになりまして、専門委員の中からさらに小委員を選びまして小委員会を形成し、そこで作業をやっていただくということをきめたわけでございます。おそらく、人口分布の問題も、非常に技術的にもまた考え方としてもむずかしい問題でございますが、ある程度、その小委員会のほうの作業が進みました場合に、今度は放射線管理でありますとか、あるいは都市計画上のいろいろな問題をどういうふうに考えたらいいかというふうに話が発展して参るものというふうに期待しておるわけでございます。  以上簡単でございますけれども、専門部会の状況を御報告申し上げた次第でございます。
  38. 矢山有作

    ○矢山有作君 その対象地域が決定された中に、この水戸の射爆場というものは中心的な地域として入っておるのじゃないかと思いますが、これはどうなのですか。
  39. 島村武久

    説明員(島村武久君) 入っておるどころではございませんで、実は、私どもといたしましては、現にございます原子力施設のほかに、これは先ほど来のお話で非常に期待的な要素になるわけでございますけれども、あすこの射爆場というものがもし返還にでもなりますれば——これは大いに希望しておるわけなんでございますが——そこを、原子力関係の目的のために使いたいという希望も持っておるわけでございます。これは、地元の方々も、非常に切望もしておられることでございますので、問題の地帯をきめます場合に、中心点といたしまして——現にある施設のほかに、あの地帯を中心として考えておるということでございます。何分にも地帯整備というような非常に大きな仕事でございますから、間違いがあるかもしれませんけれども、かなり先の将来を予想いたしまして、むしろ、入っておるということじゃなくて、そこを中心にして考えておる、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
  40. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうすると、長官は、たしか原子力委員長でもあるはずなんで、お尋ねしたいのですが、そういうふうに地帯整備をやっていくということは、これは非常に重大な問題だと思うのですが、今後、その専門部会で、いろいろな人口分布だとか、あるいは都市計画との関連あるいはその他の道路、用排水、いろいろな問題が調査もなされ、計画を樹立されていくと思うのです。ところが、一体その水戸射爆場がどうなるかというような見通しが全然ないような今の段階でそういう作業をやるということは、非常に無意味になってくるのですね。だから、今までのようにただアメリカさんに頼みに行ったけれども聞いてくれなかった、どうも返還はむずかしゅうござんすで済まされぬようになった。で、委員長として、どういうふうに考えておられるか。これはやはり真剣に取り組まぬと、日本の原子力研究全体にとっての大きな問題になると思うのですがね。ちょっと御所見を伺いたいと思います。
  41. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 矢山委員は若いから気が早いのですが、私どもつくづく考えて、それは気持ではわかっておられると思いますがね、そう簡単に解決つく問題でないし、また、一方において地帯整備という問題も、そう、きょうやあすでできる問題ではないのですから、それに十分間に合うように、並行して格別の努力をいたして参りたいと思っております。
  42. 矢山有作

    ○矢山有作君 そうなってくると、御努力を願うと申し上げて質問を打ち切るということになるのですが、われわれが申し上げたいのは、今、瀬谷委員も言っておりましたが、この問題が長引き、しかも政府の態度もあいまいだと、一体どの程度の交渉ができているのか、さっぱり当てにならぬじゃないかということになりますと、日本の原子力の研究それ自体の問題もさることながら、地元でも今指摘されたような問題が起こってくると思うのです。瀬谷君の指摘したような返還運動というような……。そういうときに、気が早いとか早くないとかいう問題でなしに、また返還運動が強力に盛り上がっていったら、今度また警官を出して、その返還運動を押えつける。そういうようなことを繰り返しておったのじゃ、こういう問題は、らちあかぬのです。そうなってくると、政府のアメリカに対する交渉態度というものに問題がある。腰の抜けた形で交渉しないで、しゃんとして交渉してもらいたいと思うのです。ひとつそれを特に注意しておきまして、この質問を打ち切ります。  と同時に、委員長お願いしたいのは、これは日本の原子力発展のために、周辺地帯整備ということは非常に重大なことですから、この委員会としても、ただおざなりの決議じゃなしに、返還のための決議をやっていただきたいと思います。
  43. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 御趣旨は十分了承しておきます。  原子力施設周辺地域整備に関する件の限りにおいて、他に御質問はございませんか。——御質問がないようですから、本件はもの程度にいたしたいと思います。   —————————————
  44. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 最後に、科学技術動向調査報告に関する件について質疑のおありの方は逐次御発言を願います。
  45. 小林武

    ○小林武君 三点ぐらいをこの調査報告についてお尋ねをしたいのです。  その第一は、国際協力の拡大の問題であります。科学技術について、国際協力といいますか、そういう提携というものが必要であるということは、これはもう申し上げるまでもないと思います。そういう角度から考えまして、科学技術の面で日本が国際的に孤立するというようなことがありますれば、事はきわめて重大であると考えるわけでありまして、この「総論の要旨」の七ページの「科学技術研究の面で国際的孤立化する恐れも生じている。」ということは、大体その前の説明でわかるような気もするのですけれども、しかし、これだけではどういうことを一体おそれているかということについて明らかでありませんので、この点についてひとつ御説明を願いたいということ。  それからもう一つは、その国際的孤立化をおそれるから、この文章の趣旨からいきますと、日米科学委員会との提携を深める、科学委員会の重要性があるかのごとく読み取られないわけでもないわけでありますが、この点についてひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。  その次は、少し具体的な問題としてお尋ねをいたしたいのは、人工衛星の観測ステーションですか、この問題については一体どういうことになっておるのか、この点についてひとつ今までの経過並びに現在の状況を明らかにしてもらいたいわけです。  第三の問題は、同じく国際協力の拡大の問題ですが、この文章上からいいますと、欧州原子力共同体というような例を上げて、地域共同体制の結成というようなものを非常に評価して、その点で日本が何かおくれておるということを考えられているようですが、そういう国際学術団体の面では日本学術会議が連絡に当たって、今まででも百五十件ほどあると、日本学術会議のことが出ているわけです。私は日本科学技術というものを発展させるためには、日本政府が一体日本学術会議というようなものをどのように扱っているのか、これをどのように科学技術の面で一体貢献さしていくのかということが問題だと思うのです。この点につきましては、科学技術庁として、学術会議というようなものを一体どう有効にやっているかということが明らかでないのです、私の調べでは。何か学術会議にかわる科学技術会議というようなものができているようにもちょっと考えられる。逆に、日本学術会議というのが、まま子扱いにされたような形にどうも考えられる。そういう意図というものが出ているせいか、何か日本学術会議に対するさまざまな批判のようなものが新聞紙上でも出るというようなことになっているわけであります。この点について、政府は一体どういう態度をとっているのか、この点ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。  三点について一応ひとつ御答弁をお願い申し上げたいわけです。特に人工衛星の問題につきましては、長官の御態度もひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  46. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 最初の国際交流、特に国際的な共同研究ということに関しまして総論の要旨の七ページに、「わが国科学技術研究の面で国際的孤立化する恐れも生じている。」というようなことが書いてございます。これは本文にも同様な簡単な表現が使われております。ここで言っておりますのは、本文のほうに書いてございますように、国際協力に関しましては、最初に世界の動向をそのまま書いたつもりでございまして、二番目にわが国の現状を書いてございます。このわが国の現状の中で国際共同事業というようなことがまず第一に書いてあるわけでございます。その国際共同事業と申しますのは、御承知のように、学問と申しますか、主として純粋研究中心といたしました分野から、最近では地球物理的なたとえばインド洋の共同観測または国際地球観測年さらに太陽極小期国際観測年ということに関しまして、各国が一緒になって研究をするというような事業が非常にふえて参りましたということを述べております。そういう面で日本が存在いたします地理的な条件、太平洋の孤島のようにございます日本という地理的な位置の問題、そういうような面から日本の協力が逐次非常に要請されていることでございますので、そういう意味で十分これに対応して共同研究ができる、共同観測が実施できるというふうに持っていきませんと、科学技術研究面で国際的に日本だけが取り残されるという心配が出てくるのであります。現在までにこういう面の予算その他でだいぶ苦労があるようにも聞いておりますが、そういう点を考えまして、国際的な孤立化というような文字を使ったわけでございます。  それから二番目の点でございますが、日米科学委員会と、この孤立化を救う一つ方法として提携を深めるんじゃないかという御質問でございますが、こういうバイラテラルな国際協力と申しますものは、そのつど必要に応じまして国同志でやられるわけでございまして、本文のほうで論じておりますのは、広く多数の国が一緒になってやります共同研究、たとえば宇宙で申しますと、日本が非常な役割を占めておりますコスパルという研究特別委員会がございますが、そういうことを強調しておりまして、本文のほうにも日米科学委員会が国際的の孤立化を救うためにあれしたんだという分析はやっておりません。書いたものもそういうふうに考えておらないわけでございます。  それから第三の人工衛星と申しますか、観測ステーションの問題に関しましては、私事務担当でございませんので、その担当のほうから……。
  47. 小林武

    ○小林武君 今のことでちょっと質問したいのですが……。今の質問について答弁者がかわるようですから、その前に今の孤立化の問題について……。そうすると、孤立化の問題は地理的な条件だけと、そういうことなんですか。
  48. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 地理的と申しましたのは物理的に孤立化するという意味ではございませんで、国際的な協力の事業と申しますものが最近非常にふえて参っておりますが、そういう場合にはその国の地球上におきます場所によりまして非常に重要になってくる。たとえばヨーロッパではすぐ隣同士が観測するということで同じようなデータをとれますが、日本はそういう所から離れておりまして、ですから日本でたとえば国際地球観測年、それから太陽の極小期というふうな観測に、日本の観測が非常に重要な価値を持つと申しますか、そういう意味で日本がそういう共同研究に入ることが、わが国科学研究の成果を上げるためにも、それからそのために各国からやりますことを要請される度合いがどんどん増してきている。したがいまして、十分即応いたしませんと、日本だけが取り残されるのじゃないか。各国から、共同研究ということに協力いたしません国として扱われるようになるのじゃないかというふうな意味で申し上げたわけであります。
  49. 鈴江康平

    説明員(鈴江康平君) 御説明申し上げます。アメリカの科学ステーションを日本の内地に置きたいということでございますが、それはことしの二月でございましたか、アメリカ政府から日本に、アメリカのいわゆるNASAと申しますか、航空宇宙局と申しまして、これは宇宙の平和利用を促進する機関でございますが、そのNASAが、人工衛星——これは通信とか、天体観測、そういった平和利用のための人工衛星を地球上のまわりを回しますときに、それのトレースをするというか、その人工衛星がいろいろ調べました内容を日本でそれを受け取りまして、そのデータを受け取りたい、そういう場所でございますが、トラッキング・ステーション、このトラッキング・ステーションは、アメリカだけでは観測が十分でございませんので、カナダとかあるいはオーストラリアにすでにそういうものを置いております。地理的にも、日本あるいはフィリピンにそれを置きたいという申し出がございまして、日本でそういったものを置くための土地の調査をしたいという申し入れがあったわけでございます。そのときに、われわれといたしましても向こうの内容は十分まだ把握できませんので、いきなり土地の調査というよりは、むしろ内容の説明をし、またこちらの意見も聞いてもらうという説明員をよこしたらいいのじゃないかということを言ってやったのでございます。その後アメリカといたしましては返事がございませんので、立ち消えになったかと思ったわけでございますが、そういたしましたところ、ことしの九月になりまして、またさらに向こうからもう一度同じような申し入れがあったわけでございます。そのときにはすでに政府の中に各省の連絡会議、これは宇宙開発合同推進会議というものを組織いたしておりますが、これは閣議決定の委員会でございまして、科学技術庁長官委員長になり、各省の者が集まりまして宇宙関係の連絡会議を持っておりますので、そこで十分何回も話し合ったわけでございますが、その結論といたしまして学問上の国際協力ということは、これは方向としては認めるべきことであろうということでございまして、したがいまして、トラッキング・ステーションを置くということを否定をするという考え方にはなっておりません。ただし日本といたしましては、宇宙の利用はあくまでも、平和目的に限りたいという強い考えでございます。これは宇宙開発審議会というのは総理大臣の諮問機関でございまして、その答申にもございますので、やはり平和利用に限るというこの原則をアメリカにおいても十分保障してもらうような措置をとってもらわなければ困るという点が一点。  それからもう一つは、日本としましては航空路とかそれから電波網の関係からいいまして、米側が言っておりますように、ほかの飛行機とかあるいは電波の障害のないような所をやりたいという希望に対しましては、なかなかそういった措置がむずかしいだろうということもつけ加えて向こうに返事をしたわけでございます。申し忘れましたけれども、米側で言っておりますのは、九州かあるいは四国地区ということを言っておるのでございますが、運輸省ともあるいは郵政省ともいろいろ話し合いをいたしました結果、なかなかそういった適地はむずかしいのじゃないだろうかということ。  それからもう一つ、第三点は、電波法の関係がございまして、アメリカ人自体だけで電波を発信するということは、現在の法律ではなかなかなかむずかしいのだ、そういう状態。その三つの点を、つまり平和保障とかそれから保障の措置、あるいは航空路、電波網の問題及び電波発信の問題、そういった点でそう簡単にはいかないのだ、そういうことを十分含んだ上で話し合いをし、また、その上で話し合いが十分うまくいくようであれば土地の調査もやってもよかろう、そういうふうな考え方で、とにかく一応そういう問題点がある、そういうことを含んだ上で来るならおいでなさいということを外務省から向こうへ返事をしてもらったわけでございますので、それに対しまして、ただいまのところ、まだ何とも返事がないわけでございます。もっともアメリカ側といたしましても、トラッキング・ステーションはこれはいつでも公開をする、日本の学者あるいはだれにでもそれは見せてもけっこうであるということ、並びにそれを扱います人間も漸次日本人に置きかえていく予定であるというふうなことを言っております。それに対するいろいろな施設等は向こうの金で向こうが持ってきて、日本には迷惑をかけないというようなことも言っておるのでございますけれども、何分そういったような問題点がございますので、そういった点もつけ加えまして向こうに回答いたしておるわけでございます。  それからもう一つ質問がございました学術会議とそれから科学技術会議の関係でございますが、学術会議は、御承知と思いますけれども総理府の機関でございます。機関でございますけれども、これは政府の意思とは別個に動く機関でございまして、御承知のように、これは科学者の選挙によって選ばれた方々が会員になりまして、その会員の方々が学術会議自体の意思決定をしておるわけでございまして、法律上これは科学者の内外に対する代表であるということになっておるわけでございまして、外国との学術上の連絡をいたします場合には、学術会議が代表をして学術上の連絡をするということもやりますし、あるいはまた科学者の代表といたしまして政府にいろいろな意見あるいは勧告というふうな形で申し入れがあるわけでございます。そういうことでございますが、一方、科学技術会議と申しますのは、総理大臣の諮問機関でございまして、同時にこの仕事といたしましては、科学技術の行政に関しまして各省庁の連絡調整を要します場合には、総理大臣は、連絡調整についての諮問を要するということになっておりまして、性質がかなり違うわけでございます、科学技術会議は、今申し上げましたように政府施策をいたします場合に、総理大臣の諮問にこたえるということでございます。で、そういうことでございますけれども、その間、科学技術の関係に対しましては、学術会議と科学技術会議は非常に縁が多いわけでございますので、ただいまのところ、科学技術会議の議員といたしまして必ず学術会議の会長が入るということになっております。したがいまして、学術会議から政府に勧告、申し入れがございました場合には、これは各省に非常に関係のある問題が多いわけでございますから、それを実施いたします場合には各省調整を要する、そういう点がございますので、学術会議の勧告が政府にありました場合には、必ず科学技術会議が一応それを受け取りまして、そこで学術会議の勧告をどう処置していくかということを各省と相談をいたしまして、その結果を学術会議に付し、また、できるだけその実現に努力するということの建前になっておるわけでございまして、今申し上げたようなことで、学術会議の会長を科学技術会議の議員として出席させていますが、議員ばかりでございませんで、科学技術会議にはいろいろ専門部会がございますものですから、この専門部会の専門委員の中に、相当学術会議の方々がお入りになりまして、内容の問題につきましては、深く突っ込んで実際に審議していただくというような運営をいたしておるわけでございます。
  50. 小林武

    ○小林武君 先ほどの私の質問地理的条件ということでありますが、御答弁については、私ははっきり理解できなかった面もあるわけで、さらにお答えを願いたいわけですが、たとえば、御説明のようなことですと、研究者の交流とか、科学情報とか資料とかいうようなものは、そういう種類のものの交流、交換なんということは、これは別に孤立化するというようなことはないわけですね。
  51. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) ただいまは、主として共同研究について申し上げたので、情報交換、その他に関しましては、研究というよりは、その程度がだいぶ異なりまして、白書を書きます精神におきましては、孤立化するということは強く考えてはおりません。それから、本文には特にそのことについては触れてございません。
  52. 小林武

    ○小林武君 それでは、どうも私の受け取り方が悪いのかとも思いますけれども、何か日本の地理的な条件、位置というようなものが、これがどうも孤立化の主たる原因だということは、ちょっと理解できないのですよ。この調査の中にも、地球は狭くなったといっているし、お互いに科学技術の問題について大いに共同研究をやろうというような態勢が生まれていると、こう言っているのですから、私は、位置の問題が、いわゆる国際交流の一番問題点である孤立化ということと結びつくのだという考えであれば、私は、この表現というのは誤りのような気がするのです。どうも先ほど来、そういうように御説明になっているように私は思えるものですから……。
  53. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) そういうふうに申し上げているわけではございませんで、地理上の問題がら国際協力ということが非常に日本に要請される。それから、日本のそういう国際協力の研究の上でおくれている日本が参加するということは、非常に重要性を帯びてくる。ですから、日本もそれに応じまして、これからそういう共同研究計画、または共同観測計画に参加いたしませんと、日本だけが孤立化が多くなるのじゃないか。孤立化という言葉は十分当たらないかも存じませんが、そういうふうに考えたいと思います。
  54. 小林武

    ○小林武君 長官にちょっとお尋ねいたしますが、先ほどの宇宙人工衛星のステーションですか、この点で平和利用の問題が出たのですね。平和利用でなければ日本では話に乗らないというお話ですけれども、一体、この宇宙開発の問題を軍事的であるか平和的利用であるかということを、はっきり区別できるというあれはあるのですか。こういうことはこれは平和的、軍事的なものは何ら含まれておらないというようなことを、一体やれるものかどうなのか、この点をちょっとお伺いしたい。これは長官にひとつお尋ねして、もし工合が悪ければ別の方でよろしいですから……。
  55. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) まあ私も乏しい知識で判断いたしまして、たとえば現在、日本で目標にしておりますような観測とか通信とかいうような問題であれば、もう明らかにこれは平和利用であると解釈していいんじゃないかと思うのでございます。
  56. 小林武

    ○小林武君 人工衛星の観測ステーションの問題で政府が特に平和利用の問題を出されておりますから、私は平和利用ということを非常に大きな条件にして出されたことについては、私も賛成です。敬意を表しますが、この点について平和利用だということを明らかにするようなあれがないような気がするのです。これは私のしろうと考えですけれども、今の長官の答弁では、私は、いささかどうもちょっと納得しかねるのです。それで、もう少し何か御説明をいただいておきたいと思うのです。
  57. 鈴江康平

    説明員(鈴江康平君) 確かに御疑念の点もあるかと思うのでございますが、科学技術と申しますのは、これは使いようによっては、確かに兵器にもなるような問題もあるわけでございます。したがいまして、人工衛星というものが将来発展して軍事利用に使いたいというものがあれば、それは防ぎ得ないかもしれませんけれども、しかし、私ども、今回の問題は天体観測、それから宇宙から地球の状態を知るということ、地球物理学的な問題、あるいは通信の問題というふうに、ただいまのところ、アメリカの人工衛星は限定されておるわけでございまして、私どももその内容、性能等は若干承知しておるわけでございます。したがいまして、その範囲内におきましては、直接戦争目的ということは全然あり得ないというふうに考えておるわけでございますし、また、われわれのほうといたしましては、先ほど申し上げましたように、その扱いまする人間も漸次日本人にかえていくということ、それから向こうが平和目的に限定するという場合におきましては、平和保障についてわれわれもいろいろな案を考えておりまして、そういった武器のほうに使われることが全然ないということの保障としては十分講じ得るものと考えておるわけでございます。なお、これは何も役人と申しますか、われわれ行政官だけの考え方でございませんで、そういったような問題を扱います場合には、それに日本の学者も参加していただきまして、学者あるいは役所、両方の面からも十分それは監視できるような機構を作っていけるのじゃないかと思っておるわけでございます。
  58. 小林武

    ○小林武君 まあ人工衛星そのものについて知識がないところから、私はいろいろな危惧を持つわけですけれども、たとえばアメリカの大統領記者会見の模様の中に、宇宙平和利用の分野で米国は先頭に立つと大統領は言っておるが、軍事的部門では、そういうことではソ連におくれをとるのではないかという記者の質問があった。それに対してアメリカの大統領は、そういうことはない、結論を申し上げますと、われわれの宇宙の平和的な努力というものは、明らかに軍事的にも有益だ、一朝事あるときには、それはもう直ちに使えると、こういう答弁をしておるわけです。これは公式の記者会見の内容ですから、私はそう曲げられてないと思う。この受け取り方は、学者同士の話で、いわゆる専門家同士の話であれば別ですけれども、これは平和という問題とか、そういう問題になると、学者同士の理論的なあれじゃないですよ。このことは、軍事的に使われるのか、軍事と平和というようなものが、とにかく、はっきり区別できるとかできないとかいうことが一番問題になるわけですから、私は、そういう点では、やはり国民の立場で理解できるような、こういうやはり態度というものが日本政府の中にはっきりないと、あとで私は結局知らなかった者をだますというような結果になると思うのですよ。そういう点をおそれるものですからね。態度としては、その平和利用ということに限定してお考えになった点については、先ほどから申し上げたとおり私はたいへん敬意を表している。しかし、このことをおそれるものですからね。この点はどうなんですか。たとえばアメリカにおける記者会見における大統領の発言というものはどうなんですか。日本ではどういうふうに考えておるのですか。
  59. 鈴江康平

    説明員(鈴江康平君) アメリカの大統領の話しましたこと、私は実ははなはだ恐縮でございますが、直接に見ておりませんものですから、あるいは誤解があるのかもしれませんけれども、アメリカの大統領の言っておりますとおり、確かに人工衛星を打ち上げるに対しまして、おそらくそれを上げますロケットが必要でございます。で、ロケットはまた同時に兵器にも使われるということが考えられるわけでございます。しかし、今のトラッキング・ステーションは、そのロケット本体と全然関係がないのでございまして、天体で観測いたしましたデータを下でキャッチするというだけでございます。そのキャッチいたしましたデータは、必ずこれはオープンにするということは向こうが言っておるわけでございます。でございますので、そのデータ自体を見ますれば、それは軍事目的か平和目的かもわかるわけでございますし、おそらくその軍事目的のものはあり得ないだろうと、もしあるにいたしましても、われわれそのキャッチいたしました内容を十分把握できるような態勢でなきゃならぬということは十分申し入れたいつもりでおります。
  60. 小林武

    ○小林武君 その点についてはそれならもう心配がないと、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
  61. 鈴江康平

    説明員(鈴江康平君) さように思います。さように思いますし、また、そう必ずできるような保証を取りつけたいという努力はいたしたいと思います。
  62. 小林武

    ○小林武君 努力、その努力というのはね、努力をしたいというようなことは、先ほどのその問題と同じでね、幾ら努力をしても相手が聞かなければどうにもならぬというような話であっては、これは困ると思うのですよ。
  63. 鈴江康平

    説明員(鈴江康平君) 私が申しました努力と申しますのは、できるという確信を持ちましていろいろ考えていきたいのでございますけれども、そういったことに抜けのないように十分配慮したいという意味でございます。
  64. 小林武

    ○小林武君 わかりました。時間もたったようですから、ひとつ簡単にあとの問題を。  科学技術の進歩によって労働の質的な変化が起こってくるというところがあるのですが、これは第三部の四十一ページ。この質的な変化が起こってくるということは、これは当然なことであって、そういうことが一つのやはり科学技術の進歩のねらいでもあるように私ども考えるのです。その中のこの第二の特徴点のところですね。現在これはあれですか、「第2の型は」というところですね、「熟練労働が半熟練労働ないし未熟練労働に代替された変化である。」と、こういうところです。その例として、「若年工あるいは女子工員によって殆んど占められているのは、このような変化に対応するものである。」と、こう述べられておるのですが、こういうこの変化はあれですか、科学技術の教育の問題とはどういう関係があるのですか、こういう変化は。
  65. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 御質問は、こういうような変化に対して教育の問題とどういう関係があるかということと存じますが……。
  66. 小林武

    ○小林武君 そうです。いわゆる熟練工でない未熟練工に代替されるというような変化ですね。
  67. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) これに関しまして本文の——今ページ数ははっきりいたしませんが、現在従事しておられます熟練工と申しますか、中年者、高年者の問題が白書の中に述べられておると存じます。で、そういう方々の有効な拡張と申しますか、そういう方々の問題ということを指摘しておりますが、それに関しましては企業内でもって責任をもってと申しますか、企業内におきまして再訓練をやるということ並びに国家が重要な事項として考えまして中年、高年者に職業再教育と、そういう面でもって教育の面で関連を白書の中では取り上げておる。
  68. 小林武

    ○小林武君 私の質問が悪かったようです。そういう意味ではなくて、この科学技術の進歩によって、こういういわゆる未熟練工ですか、若年のいわゆる未熟練工のようなものの必要というものが出てくるということになるわけですから、というのはですね、一つはそういうものの必要が、たとえば技術者をどうする、あるいは研究者をどうするということと同時に、研究者については何万人必要だ、あるいは技術者にしてはどれだけ、熟練工にしてはどれだけとかですね、いわゆるこういう半熟練工というもの、こういうものがどのくらい要るというようなことを考えてこれは記載されておるかどうか。そういう意図があるかどうかということです。
  69. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 御質問に満足なお答えになるかどうか存じませんが、まあそれに関しまして教育の問題といたしましては、中学校並びに高等学校を対象にいたしまして理科教育の充実と、それからもう少し高い程度といたしましては工業専門学校でございますが、工業専門学校に対しまして逆にまた一般的な教養の教育の問題とか、そういうものが非常に重要になってくるというような点でふえておりまして、そういう面で国が今後努力しなきゃならないということを示唆したつもりでございます。
  70. 小林武

    ○小林武君 いやどうも私のやっぱり言い方がだいぶ悪いらしいので……。そういうことではなくて、企業の要求というようなものがたとえば科学技術技術研究者とか技術者というようなもの、労働者ならば熟練工、半熟練工というようなものがどのくらい必要だということになれば、科学技術の進歩というようなものによっていわゆる中学卒業程度の、いわゆる若年の、何も技術とか技能とかというものを身につけないところの、つけないですぐ間に合うところの労働者というものを必要とするとここに書いてあるように思うのですよ。そういうふうに私はこれを理解しておる。それはこの中に書いてあるでしょう。「産業の組立工程の従事者が若年工あるいは女子工員によって殆んど占められている」その程度の必要があるからこれを頼んであるのでしょう。だから、そういうもので間に合うというそういう労働者がどのくらい必要だというようなことが、やはりこの中に見込まれているのじゃないですか。
  71. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 若年の労働者云々と書いてございますのは、従来必要な熟練を要さなければならない、たとえば十年とか十五年とかというような訓練を積んである熟練工でなければできないものが、若干のといいますか、従来に比べますると、非常に短い教育訓練でもって、同様な作業ができるのだということでございまして、それに関しまして技術革新によりまして産業の規模、条件——どういうような階級の方々がどのくらい必要になるかという数を見込んであるかという御質問だと存じますが、これに関しましては、今までのこの白書は、大体ことしの三月現在の届け出でございますので、大体三十五年度までが多いのでございますが、従来の第一次産業から第二次産業への産業従事者の移動というようなことだけをとりまして、具体的に今後どうということについては書いておりません。
  72. 小林武

    ○小林武君 その点はちょっと私はお答えは不満なんですがね。たとえば科学技術者については何人不足だということは、これはまあいろいろな説が部内でもあるらしいですけれども、文部省の計算とかどことかの計算とかというようなのがあるらしいですけれども、その推算が一つできているのです。その推算があって、その下の労働者の一体推算ができていないというのは、私はこれはちょっとおかしいと思うのですね、労働の問題を扱っている限りにおいては。ここでは、あなたのおっしゃっている、いわゆる中学を出たくらいの若年の経験のない者でも間に合うという労働者はどのくらい要るのかという大体のあれがなかったら、私は計画じゃないと思う。上のほうだけの計画はあって、下の計画の数がないのだということでは成り立たない、これはしかし私は計画はあると承知してお伺いしているのですがね。私の質問の意味がわかりませんか。どうも言い方がよくないのか……。
  73. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 御質問のほうを私がよくわかりませんでしたので……。やっとよくわかりました。  とかく従来科学技術者の不足というようなことで、短期大学以上のものについては相当数字的に論じているのじゃないか、それに対して技術革新によって非常に数が増してくる、たとえばトランジスタの組み立て工場における技能者については数字的なものがないということは、白書としては非常に不完全じゃないかという御意見。その白書は、前にも申し上げましたように、現在までの動向だけは調査してございます。たとえば、そういう方々をどの程度把握し、これが実際に今後どの程度数字的に増加するかというようなことを調査することが間に合いませんでしたので、続けてずっと調査を——実は言いわけのようでございますが、四年半目に出しましたものでございます。今後事業を強化いたしまして、しっかりしたものを作るように実は予算要求をやっているわけでございますので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  74. 小林武

    ○小林武君 まあもう時間もありませんし、そう長追いする気もありませんけれども、私はやはりちょっとそういうお答えは不満なんですよ。結局どの学校教育においても私は政府一つ計画がはっきりあると考えているのですよ。たとえば、大学の卒業生の理工学部の者はどのくらいほしいとか、工業学校の卒業生はどのくらいほしい、そういうものがあって、中学卒業くらいの労働者というのはどのくらいほしいという見当があるのです。私はその計画については反対なんです。反対なんですけれども計画を持っているのです。計画を持っていなければおかしいですよ。科学技術庁というのはそういうことをやるところじゃなくて、別なことをやるところかもしれませんけれども、少なくともここで科学研究者、技術者というものをあげたからには、その問題についてはここにしっかりした数字を持たぬというのは、何かだまされたような気がするのです。しかし、これは研究されておらないとすれば仕方ありませんけれども、その点については、いつかひとつはっきりした数字というものをお知らせいただきたいと思います。これは横に連絡すれば、どこかで明らかになると思います。技術庁だけがわからないということになっているのではないかと思いますが……。
  75. 田上松衞

    委員長田上松衞君) ちょっと今のことに対して杉本局長から……。
  76. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 言いわけになるかも存じませんが、科学技術白書を書きましたのは、先ほども申し上げましたように、この前の白書から四年半ほどの動向を述べまして、その分析を出してございまして、科学技術者に対しましては、御承知のように文部省その他でもって、私のほうの事務局でやっております科学技術教育という面を取り上げてやっております。数学的な問題もありましたので、そういう経過に関しまして論じました。ただいま御質問のことに関しましては、今度科学技術庁計画局といたしましては、他の関連各省と連絡いたしまして、御要望のような調査を続けることになるのだろうと思います。
  77. 小林武

    ○小林武君 そのことはもういいです。あと企業内訓練ですか、企業内における人材養成の問題についてですが、私は今いただいた大きいのではわからないから、前にいただいた第三部の四十七ページのところに関連してちょっとお尋ねしたいのですが、このところで述べていることは、私もそのとおりだと思うのです。そうなければならないと私も思っている。と申しますのは、「技術革新に基づく産業構造の高度化が円滑に推進され、また社会的問題として完全雇用が達成されるためにも地域間の労働移動を円滑に行なうようにすることが必要である。このような労働移動は、従来わが国の労働市場の特殊性であった封鎖性を打破するものである」。これがまた賃金と関連して年功序列型賃金がくずれていくというようなことも、これもまた私はこのとおりだと思う。そうなっていくだろうと思いますが、その場合に、労働移動という問題が考えられた場合に、この企業内の人材養成の問題で、私は、何というのですか、二つあるようにここに書いてありますが、ほんとうは、すでに学校教育等で養成されたものを使いたいのだけれども、それができないから、とかく企業内で養成するという行き方は、これは私は誤りだと思うのです。これは大体国が責任を負うことだと思う。そういう間違ったやり方をやっておって、今度はだんだん進歩していけば、企業内の労働の移動が自由になるということになり得ると、企業内訓練というものはだんだん成り立たなくなると思うのですが、ところが、科学技術庁の考え方では、企業内の人材養成というものに非常に何か重点を置いていろいろな特典を与えるというようなやり方になっておるのですが、そういう点は非常に誤りだと思うのですが、この点はどうなんですか。
  78. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 企業内の訓練と申しますか、再教育という……。
  79. 小林武

    ○小林武君 再教育のほうじゃないんです。再教育は適当にやらなければいかぬと思いますけれどもね。読みます、また質問がおかしくなると困りますから。「技術者、技能者の新たな供給源を企業の外から容易に求め得られない現状において、企業自らの手でこれらの者を養成しようとする」、このことについて、かなりあれでしょう、何か税の問題とか、何とかというのがあるんじゃないですか。特典を与えているんじゃないですか。こういう行き方というのはどうかということなんですよ、一つはですね。それはすなわち、先ほど申し上げた科学技術の進歩によって労働の問題が変わっていくのに、何か逆の方向をたどっているように思うのですがね。
  80. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) まことに申しわけありませんが、今印刷ができたのを見ておりませんので……。
  81. 小林武

    ○小林武君 僕の問い方も、整理してこなかったものだから……。
  82. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) これを書きました考え方は、御質問、御意見にございましたように、現在科学技術者以外の技能者と申しますか、若年の労働に従事する人に対しましても、従来のように非常に熟練は要しない時代になっておりますが、すぐ現場で使うというようなことは不可能でございまして、不可能と申しますか、困難でございまして、それに対しまして企業内でもって訓練をする。  それからもう一つは、こういうような方々が、さらに一段上の、高度の科学技術的な能力を必要といたします作業に従事する、そういう素質を持っている方がずいぶん出ているわけでございますが、そういうような方々に対して、企業内でもって再教育ということになるかも存じませんが、再訓練というようなことで考えておるわけでございます。それで、国もこういう面の教育には十分努めなければなりませんが、現在までの状態では、この科学技術白書を作りますまでの状態、現在でも続いておると存じますが、企業内におきましても国と一緒になってやらなきゃならない状態であります。そこで、そういうような現状を把握いたしまして、ここに書いたようなわけでございます。特にこれに対しまして、国が今後特別な何か税制上の恩恵を与えるとかというようなことが必要だというふうなことは、技術白書にはなかったというふうに私は思っているのでございますが……。
  83. 小林武

    ○小林武君 どうもあれなんですけれども、第二部の九十六ページをごらんになれば、企業内における人材養成は二つに分けられると書いてあるのですが、第二の場合は私はこれは企業の中において企業の能率を上げようとすれば、こういうことをやることは当然だと思う。第一の場合のことを私は取り上げているのです。第一の場合に、技術者というようなものの供給源を企業の外から容易に得られないという理由のもとに、企業内訓練をやるという、そういうことを何か科学技術庁も、何といいますか、奨励しているような行き方というものは、やはり誤りじゃないか、これはやはり国の学校教育の中で当然果たさるべきことなんですよ。これは予算があるとかないとかいうことは別ですよ。当然そうやらなければならない問題を、企業内にまかせるということが一体おかしいじゃないか。今材料を持っていないのですけれども、どっかにあったと思うのですが……。今はっきり申し上げられませんけれども、恩典を与えるというようなことになると、なおさらこれは妙な話だ。もう一つは、あなたたちはそういうことをやっているかと思うと、今度は第三部におけるところの四十七ページには、技術革新というものが産業構造を高度化していった場合に、企業のワク内における、企業の中で組合を作らなければならぬとか、あるいは賃金は年功序列型に従っていかなければならぬとか、労働の移動というようなものが自由に行なわれないというようなことは解消されると書いてある、これは当然だと思う。日本だってそういう形をとらざるを得ないと思うのです。すでにほかの国はやっているのであるから。そういう点をあなたのほうで指摘しておきながら、逆に今度は企業内の人材養成なんということに重点を置くということになると、これはちょっと矛盾を来たしているのではないかと、僕はそれを言うわけなんです。
  84. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) 御指摘のとおりでございまして、科学技術白書で書きましたのは、毎度申し上げますように、現在までこういう状態がとられてきたのでございまして、特に企業でもってやるべきだとか、やることに対して特に今後もっとやってくれというようなことは、そういうような考えでは書かなかったつもりでございます。
  85. 小林武

    ○小林武君 いいです。しかし調べておいて下さい。確かに企業内の人材養成に関して何か恩典、特典のようなものがあるのです。それはありませんか、絶対に……。
  86. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) それは科学技術白書の中でございますか。
  87. 小林武

    ○小林武君 白書の中にも書いてあるしね。この前、何か科学技術委員会のときに、長官の所信表明の中にあったか、私は今それを持っておりませんから、後ほど調べてひとつ……。
  88. 杉本正雄

    説明員(杉本正雄君) それでは調べまして御報告申し上げます。
  89. 小林武

    ○小林武君 終わります。
  90. 田上松衞

    委員長田上松衞君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がないようですから、本件はこの程度にいたしたいと思います。   —————————————
  91. 田上松衞

    委員長田上松衞君) なお申し上げておきますが、先刻矢山委員から御提示のあった原子力施設周辺の整備に関しての決議等に関する取り扱いにつきましては、次期の臨時国会において再び科学技術振興対策特別委員会が設置されますなら、同委員会において協議願うことにいたしたいと考えますので、御了承いただきたいと存じます。  本日はこれで散会いたします。    午後三時三十分散会