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1962-08-17 第41回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月十七日(金曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田上 松衞君    理事            大谷藤之助君            古池 信三君            加藤シヅエ君            小林  武君    委員            江藤  智君            源田  実君            丸茂 重貞君            山本  杉君            矢山 有作君   国務大臣    国 務 大 臣 近藤 鶴代君   政府委員    科学技術政務次    官       内田 常雄君    科学技術庁長官    官房長     森崎 久壽君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事互選科学技術振興対策樹立に関する調査   —————————————
  2. 田上松衞

    委員長田上松衞君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  これより理事互選を行ないたいと思います。本委員会理事の数は四名といたしまして、互選の方法は成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 御異議ないと認めます。  それでは大谷藤之助君、古池信三君、加藤シズエ君及び小林武君を指名いたします。   —————————————
  4. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  近藤科学技術庁長官及び内田科学技術政務次官から発言を求められております。  近藤科学技術庁長官所信表明を聴取いたすことにいたします。
  5. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) 私は、このたびはからずも科学技術庁長官の重任をになうこととなり、その責任の重大さを痛感いたしますとともに、微力ながら科学技術振興のためあらゆる努力を払ってその責を果たしたいと念願いたしております。委員各位の御支援協力を切にお願いいたす次第でございます。  さて、最近諸外国における科学技術進歩発達は、そのテンポにおいても広さにおいてもまことに驚異的なものがあり、率直に申しまして、わが国科学技術一般的水準は、世界先進国に比べて相当の格差のあることは御承知のとおりでございます。このような時に、わが国においては、一方に貿易の自由化を間近に控え、世界先進諸国に伍して、わが国経済的発展を高め、国民生活福祉向上をはかるための科学技術振興策を進めなければならないとともに、他方、原子力時代宇宙時代言葉で表現されている科学技術の新領域の開発に対処するために、積極的な対策を講じなければならないと思います。  科学技術振興がいかに重大であるかということは、ここに述べるまでもなく、もはや具体的な科学技術振興対策を、国をあげて物心両面からいかに果断に実行するかという段階にあると確信いたす次第でございます。このような観点に立ち、私は今日までに積み上げられて参りました政府振興政策を強力に推進するとともに、さらにこれを一段と飛躍させることを念願いたすものでございます。  科学技術庁長官に就任していまだ日浅い今日でございますが、今後、次のような点についてその施策を実施して参りたいと考えております。  (一) まず、今日の技術革新に対処して国の行なう科学技術振興施策中核的役割をなす国立試験研究機関を、最近の情勢に即応して、いかに刷新充実するかということにつきましては、この七月、科学技術会議から総括的事項に関して第一次答申が提出され、さらに具体的事項については最終答申が出されることになっております。  私といたしましては、とりあえずこの第一次答申の線に沿って研究機関の性格の明確化業務分野重点化立地条件及び施設改善研究者処遇改善等について早急に実施すべきものから逐次実行に移したいと思います。  (二) これらの国立研究機関刷新充実と並んで国産新技術開発促進については、産業界における研究投資を促進するための税制上の優遇処置をさらに前進せしめるとともに、新技術開発業務の拡大、発明実施化助成地方発明センター設置助成等、一連の措置推進いたしたいと思います。  また、民間のすぐれた研究成果を期待するためには、科学技術知識を普及浸透させ、国民一般から卓越した創意工夫がほうはいとして興る気運を醸成することが肝要であり、特に、第一線にある研究者及び技術者に対し、広く最新の科学技術に関する情報を徹底せしめるために、情報提供業務をさらに拡大することが必要であると考えます。なお、現在実施されている科学技術振興に関する諸制度や、国立研究機関等における研究活動の現状などの周知徹底についてもいまだ十分でないところがあり、特に地方に対する浸透に欠けているように思われますので、科学技術に関する知識及び情報普及活動を、いま一段と組織的に強化して参りたいと考えております。  (三) 次に、個別的に若干の問題に触れますと、国土及び生活環境に関することにつきましては、最近、産業発展近代化により国民生活は飛躍的に向上しつつあるにもかかわらず、依然として台風、集中豪雨等自然災害はあとを断たず、また大気汚染水質汚濁等産業発展に伴う障害の発生も増大傾向にあります。これらに対しては、従来とも政府としての諸施策が講ぜられておりますが、これらの災害を防止軽減するために最近の科学技術を総合的に利用することが必要であります。このような点から、いわゆる防災及び環境科学技術振興をはかることは、国民福祉向上のための一環としてきわめて重要でありますので、その総合的研究体制整備強化していきたいと考えます。  また、新しい国作り一環として、特に地域開発推進する観点から、今後さらに資源に関する基礎資料整備をはかり、資源総合的開発利用に関する調査活動を充実して参りたいと存じます。  (四) 原子力平和利用につきましては、従来格段の努力をして参りましたが、今後とも原子力開発利用長期計画の線に沿って、幅広い原子力研究体制整備しつつ、具体的措置を講じたいと存じます。  特に原子力船材料試験炉使用済み燃料の再処理、プルトニウム研究施設及びウラン鉱開発等重要課題につきましては、すみやかに計画を立て、所要措置をはかって参りたいと存じます。  なお、核爆発実験に伴う放射能対策につきましては、昨年来放射能対策本部を中心として各般の措置を講じて参りましたが、放射性降下物降下長期化傾向にかんがみ、今後とも万全の措置を講じて参る所存であります。  (五) 今後の宇宙開発につきましては、その飛躍的発展基礎を築くため、三十五年度以降気象観測用ロケットに関する試験研究等に対する助成を行ない、これを推進して参りましたが、さらに、この五月の宇宙開発審議会答申趣旨に沿ってその具体化のための措置、すなわち宇宙開発機構整備ロケット研究等推進に関する所要措置を逐次進めて参りたいと考えます。  (六) 次に、科学技術に関する国際協力についてでありますが、最近は原子力平和利用宇宙開発を初め、海洋研究、あるいは日米科学委員会の勧告による共同研究等国際協力の要請がとみに高まりつつありますが、研究者国際交流を進め、また各種の国際会議及び国際的共同研究に積極的に参加するとともに、それに即応する国内体制整備する所存であります。  (七) 以上申し述べましたほか、当庁としては関係各省庁の行なう科学技術行政及び多数の国立試験研究機関活動を総合的に調整し、かつ推進する役割を持っておりますので、その役割を十二分に発揮するとともに、特に緊急に促進しなければならない研究及び多数部門の協力を要する研究推進するための措置を強化充実して、国全体として調和のとれた効率的研究推進して参りたいと考える次第であります。  最後に、かねてから課題になっておりますわが国科学技術画期的振興方策統一的指針を与えるための科学技術基本法の制定につきましては、目下科学技術会議において鋭意審議中でありますので、その答申を待って具体的準備を進めたいと存じます。  以上、当面考えておりますことの大要を申し述べましたが、科学技術振興のためには幾多の重大な問題が山積しており、私はその一つ一つについて私の責務の重大さを痛感しております。今後、全力を尽くして参りたいと考えておりますので、委員各位の御支援、御協力を重ねてお願いしてやまない次第でございます。
  6. 田上松衞

  7. 内田常雄

    政府委員内田常雄君) お許しを得まして一言あいさつ申し上げます。  このたび科学技術政務次官を命ぜられまして、近藤大臣を補佐して、わが国科学技術振興施策推進、また、資源総合的開発利用などのことにつきまして、微力でありますが、政府において努力をいたす所存でございますので、参議院の皆様方からよろしく御指導、御協力をいただきたいと存じます。  一言あいさつを申し述べます。
  8. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 科学技術庁長官所信表明に対する質疑は、後日に譲ることにいたしたいと存じます。御了承いただきます。
  9. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 大臣所信表明につきましての質問は、次の委員会に譲ることを了承したいと思いますけれども、それとは別に、この御所信の中に含まれていることの一部分にもなりますことなので、近藤長官のお考えでちょっと一つ承りたいことがあるんでございますけれども、その質問を許していただけますか。
  10. 田上松衞

    委員長田上松衞君) 加藤君。
  11. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 この今日の御所信表明の第(六)に書いてございます中に「海洋研究」というような項目も入っているわけでございます。また前のほうに、民間のいろいろ科学技術研究についても大いに協力助成したいと、そういうような御所信も述べられたわけでございます。  最近新聞に出ました、一人の青年が小型のヨットをもって九十日間かかって太平洋を横断し、サンフランシスコに無事到着することに成功した、こういうことが新聞に報道されまして、私どもは、非常に珍しい冒険であり、また、これは容易ならぬことであった、にもかかわらず、幸運にも無事にその目的を達することができたと、まあ非常に喜んでいるわけでございますけれども、こういうことは、やはり若い人たち一つ海洋研究というような科学を発達させようというその目的の中にも加えられる問題だと思うのでございます。したがいまして、私といたしましては、やはりこういうことは出入国に関する法律の問題もあることではございますけれども、非常にアメリカではこれを高く評価されている。ところが日本のほうでは、先だって衆議院の運輸委員会などでは、非常に激励の言葉あるいは基金を集めて旅費のために援助するというようなこともなされたように伺っておりますけれども、やはり私は、近藤長官が、特に若い人たち科学的向上心というものを激励するというような意味においても、これが出入国管理法法律の問題を超越して、こういうようなものはやはり奨励したいというようなお気持を持っていただきたいと思うものでございますけれども、それに対して長官のお考え方を承ることができれば大へんしあわせだと思います。
  12. 近藤鶴代

    国務大臣近藤鶴代君) ただいまの加藤委員のお説に対しましては、私も科学技術庁長官立場におきましては全面的に同感でございまして、法務省法務省立場としてのいろいろ御議論の根拠はあるかと思いますけれども、どうかそういうこともスムーズに解決いたしまして、この若い人たちのこういった壮図に対する気がくじけないようにというような気持を持っておるわけでございます。
  13. 江藤智

    江藤智君 今の所信表明につきましての質問は次回に譲るといたしまして、今いろいろな項目についてお話がありましたが、今年度の予算的な裏づけですね、一体どういうふうになっているか、これはことしの予算でもわかっていることではありましょうけれども、この次に資料として、そういう方面の資料をひとつ出していただきたいと思うのです。お願いいたしたいと思いますが……。
  14. 田上松衞

    委員長田上松衞君) ただいま御要求の問題につきましては、委員長のほうで御趣旨に沿うように取り計らうようにいたしたいと思います。  なお、今後の委員会の運営あるいは定例日決定等の問題について御相談申し上げたいと思うのですけれども、これらはあげて理事会に御一任いただきたいと考えますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 田上松衞

    委員長田上松衞君) それではさように取り計らいます。  本日はこれで散会いたします。    午前十時五十三分散会