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政府委員(
木村睦男君)
個人タクシーの問題につきましての
お答えでございますが、
お話のように、
個人タクシーはその
人自身を対象にして認めておるのでございまして、したがいまして、その人、つまり属人的な
考えで認めておるわけであります。したがいまして、
本人が
病気あるいは一身上の
都合で働けないというときには、当然休まなければならないわけでございます。そこで、問題になっておりますのは、
本人がいろいろな
都合でかせぎに出られないときに、
身がわりの
運転手をもってこれに充てることを認めてほしいという問題が
一つございます。また、
病気等になりまして、再起の見込みがないとき、これを適当な人が譲ってくれという場合には、譲渡を認めてほしいという問題が
一つございます。それからさらに、
病気等でなくなりました場合に、
一身専属の
一つの権利、利権でございますので、これをその相続を認めてほしい。この三つの問題が実はあるわけでございます。
身がわり運転手の問題につきましては、
個人タクシー制度を認めました当初の
趣旨からいいまして、
本人が車を持って
運転に従事するということに重点を置いて
免許の当時
審査をいたして参っておりますので、これに
身がわりの者を充てて代役を勤めさすということになりますと、この
制度を認めた
趣旨といささか離れてくるという結果になるわけでございます。
理屈はさようでございますが、しかし、明瞭に十日なら十日ぐらいでなおるかぜを引いて休んだという場合に、たちまち、
一家の支柱である
運転者が休みますと、それだけ
収入にこたえるわけでございます。
理屈は
理屈でございますが、まあ
行政にも涙があるというふうな
考え方から、期限を限りまして
身がわりの
運転者を認める。ただし、
身がわりとなるべき
運転者の
資格も、
本人が
個人タクシーの
申請をすれば十分その
免許がもらえるにふさわしいだけの
資格を持っておる人でなければならないということで、
身がわりの場合の
審査をいたしてこれを認めております。ただ、
身がわりでありますというと、やはり雇い人でございます。上がった水揚げが全部その間
病気で寝ておるほんとうの
運転手の
収入にならないわけでございます。なかなか
収入の面からいいますと、
そう身がわりそのものがいいとは限りませんが、多少のまあ
収入があるということで、それを欲する人は、今のような
条件のもとで認めております。
それから、この
個人タクシーを、やむを得ぬ
事情が起きて他に譲りたい、また譲り受けたいという問題と、それから
本人が死んだ場合に、たとえば長男がこれを相続して、幸い
運転の
免許を持っておるからやりたいというふうな問題につきましては、やはりこれも、
個人タクシーを認めました
趣旨からいいまして、かなり相隔たる
考え方になりますので、この問題につきましては、目下私のほうで慎重に
検討をいたしております。いずれ上司の御了承を得まして、適切な結論を出したいとは
考えておりますが、
目下検討中でございます。
それからその次は、
東京都内ハイヤー、
タクシーの
輸送力の
増強に関しまして、
自動車運送協議会の
答申によってこの
措置をいたして参っておりますが、
現状はどうなっておるかという御
質問でございます。実は、
東京につきましては、昨年
増強をいたしまして、今日に至っておるわけでございますが、昨年
増強をいたしました結果、
東京都内のまず車の両数を申し上げますと、二万一千三百八両になっております。このうち、
法人の車が一万九千八十一両、
個人タクシーが二千二百二十七両、これが現在の
東京二十三区内におきます
ハイヤー、
タクシーの
輸送力の全体でございますが、こういうふうな結果になりましたその後の
状況を見てみますというと、一番顕著に現われましたのは、先ほども触れましたが、
運転手が非常に足りなくなってきた。この点について、目下詳細な
数字は調べておりますが、ことしの五月に一応
東京の
乗用協会で調べました報告によりますというと、この約二万両の車につきまして、
運転手の数が四万三千人くらい要るわけでございます。で、当時、つまりことしの五月では、この四万三千人ほど必要な要員の中で、
不足しておりますのが二千八百人ぐらいでございます。最近だいぶ充足されまして、この数は減っておるように聞いておりますが、確実な
数字はまだつかんでおりません。そういう
状況でございます。
それから、ことしの四月に思い切った
交通規制が行なわれたわけでございますが、それにいたしましても、
都内の
交通の
混雑がますます激しくなってきておりますために、
ハイヤー、
タクシーのかせぎ高といいますか、それも昨年に比べまして少し下回っておるというふうな
状況でございます。しかし、一方
利用者の側から
考えてみますというと、
混雑すればするほど
ハイヤー、
タクシーを利用することが多い。したがって、現在の
ハイヤー、
タクシーではまだなかなか拾えないというふうな
実情も反面出て参っております。そこで、ことしの春、
東京陸運局長は、
自動車運送協議会に対しまして、
東京都内の
ハイヤー、
タクシーの
輸送力の
増強はいかに
考えるべきであるかという
諮問をしたのでありますが、何分にも
運転手の
不足の
状況がひどいために、
交通混雑の
緩和の
状況と
運転手の充足の
状況をいましばらく見たらどうであろうかという答えをもらっております。現在そういう
状況で、その推移を見守っておるわけでございますが、また適当なときには、そういう問題につきまして
協議会の
意見を
陸運局長として聞くようになろうかと思いますが、これが
現状でございます。
それから、そのほかの
各地におきましては、特に
東京周辺、あるいは
神奈川周辺におきましては、
自動車運送協議会の
答申によって
輸送力の
増強措置をいたすという
方法をとらないで、
陸運局長が
実態を調べまして、必要のつど
増車の
措置を講ずるという
方法をとって参っております。ただ、
事務処理上、引き続き
申請がございますので、たとえば三カ月なりあるいは四カ月の
期間に出ました
申請を一応取りまとめまして、そうして
審査をいたしまして、
増強の必要がある両数だけ
審査の結果
許認可を決定するというふうな
措置を講じて参っております。