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参考人(靱勉君) お
手元に財団のほうから若干の
資料を提出してございますが、この中に「設立趣意書、寄付行為」というのがございます。財団の性格につきましては、ただいま
政府のほうから御
説明がございましたように、まあ大会
開催に関連しまして、
道路その他いろいろな巨額な
経費がかかるわけでございますが、大会の
開催の
準備、
運営あるいは
日本選手の
強化等につきましては、これは
政府あるいは
東京都、それから
組織委員会、体協等におきましてもこれが必要なる
資金を調達することに相なっておりますが、いずれにいたしましても、すべて国に依存するだけではなくして、できるだけ国民全般、スポーツを愛好されます人の御協賛を得まして、そういう御協賛によって
資金の調達をいたしまして、大会の成功を期したいというような趣旨のもとに、三十六年一月早々に
文部大臣の許可を受けまして、
財団法人東京オリンピック資金財団というものが設立された次第でございます。
そこで、この寄付行為の三ページの第三条をごらんになりますと、「この法人は、
オリンピック東京大会の
開催にあたり、これに必要な
資金の調達および配分を行ない、もって大会の成功とわが国アマチュアスポーツの振興に奇与することを目的とする。」としまして、
事業としまして、第四条に「との法人は、前条の目的を達成するため、次の
事業を行なう。一、大会の
準備および
実施、大会に備えての
日本選手の
競技技術の向上、大会
運営の本部等となる会館の建設等に関し、これらに必要な
資金の調達に関する
事業」、二としまして「
財団法人オリンピック東京大会組織委員会および
財団法人日本体育協会に対し、大会
開催に必要な前号の
資金の分配に関する
事業」、三としまして「前各号の
事業の達成に必要な広報その他の付帯
事業」ということに相なっておるわけでございます。すなわち、昨年一月に設立されたのでございますが、その年度としましては三月までわずか三カ月でございまして、それまでにおきましては、
組織委員会ないし体協におきまして若干の
資金調達をいたしておりました。それで、それの
事業を財団に新たに引き継ぐということで大体その年度を終わりまして、先に三十六年度の
事業の
計画を立てたわけでございますが、三十五年度の三カ月間におきまして、財団といたしましては引き継ぎまして、結局
組織委員会並びに体育協会に配分し得るものとして、別紙に
資金調達の実績及び
予定というのをごらんに入れておりますが、この第一ページの上の左の表をごらんになりますと、四千百九十二万円というものを夫配分
資金として三十六年度に繰り越したわけでございます。そこで三十六年度に初めて
資金財団としての活動を開始したわけでございますが、何と申しましても、三十六年度におきましてはほとんど実績がないという
状況でありましたので、財団としまして
予算を立てます場合におきましても、全くまあ見当で立てるよりほかにいたし方がなかった。そこで二ページの上欄をごらんになりますと、結局調達できました
資金というものは四億五千九百万円で、私ども
予定としましては六億五千万円
程度は集めたいという考えでございましたが、これは二億
程度の差が生じております。しかしながら、支出のほうでごらんになりますと、
組織委員会に配分するものは三十六年におきましては六千三百万円余り、それから
日本体育協会に配分するものが一億一千八百万円余りということでございましたので、結局諸
経費すべてを差し引きまして、純粋に
組織委員会並びに体育協会に配分し得る
資金としまして、三十六年度は二億五千百万円というものを残しまして三十七年度——すなわち本年度に入った次第でございます。しからば、三十七年度の
予算はどうなっているかという問題に相なるわけでございますが、これは三ページにごらんに入れておりますが、今度は三十六年度におきまして相当実績を生じて参りましたので、かなり
予算を確実に概定いたしまして、新たに調達すべき
資金としましては十億余りというものを概定いたしました。そういうことにいたしますと、前年度の繰り越し等を加算しまして、三十七年度としまして
組織委員会及び体協に配分しなければならないというふうに確定いたしておりますのが、
組織委員会に対しまして一億八千九百万円余り、それから体協に対しまして三億四千六百万円ということになっておりますので、三十八年度に五億円余りを持って上がれると、こういう
予算を立てまして、現在これを
実施しておるような次第でございます。
そこで、問題は今後の
見通しでございますが、これにつきましては、先ほど来御
説明がありまして、また
組織委員会等のほうから
資料も御提出してございますが、別紙Iというのがこの刷った中にございます。これが先ほど
古屋副
長官からも御
説明のありました、全年度の
組織委員会、体育協会におきまして概定されておりまするところの
資金計画です。私ども三十五年度から三十六年度、また三十七年度の
予算を立てます場合におきましては、もとより全く目標なしで立てたのではございませんで、この表におきまする「前回」というのがその目標でございました。これによりますと、前回と書いてある支出の一番左のほうの下を見ますと、百十八億四千五百万円とございまして、右のほうをごらんになりますと、欄外に小さく書いてございますが、そのうち、
政府あるいは自治体、
組織委員会、体協等の収入以外に、財団としまして調達しなければならぬものの合計が三十八億一千万円ということに相なっておったのでございますが、七月に改定されましたる、先ほど御
説明のこの全年度
資金計画におきましては、これが百三十四億ということになりまして、この増額は、主として
選手強化の
経費、それから記念体育会館の建設費というものに相なったのでございますが、それらの大部分が
資金財団の調達に依存されるということになりまして、この表の一番下の欄外をごらんになりますと、今回は五十二億一千五百万円ということに、もしこの案のとおりになりますれば、調達しなければならぬというふうに、かなり目標額が大きく変わって参ったのでございますが、これは先ほど御
説明ありましたように、まだ確定いたしておりません。最近におきまして、これの大体のところが確定されると思いますので、私どもとしましては、ただ
資金を無鉄砲に集めるというものではありませんで、あくまで
組織委員会、体育協会の御要望に対しまして、それを確実に調達するということを任務といたしておりますので、ただいまのところは、私ども前回の目標額につきましては、これはぜひ完全に
実施したいというような考えで三十七年度の
計画は進めておると同時に、全体
計画を考えておるわけでございます。
しかしながら、
資金調達の
事業と申しましても、私ども昨年の七月に特に法律を作っていただきまして、郵政省、専売公社、
日本電信電話公社、国鉄という準
政府機関の御協賛も得ることになっておりますが、その他におきましては、大体におきまして、純粋のところ、これはいろいろ
事業をやっておりますが、その実質におきましては寄付でございます。したがいまして、これにはやはり一定の限度がございまして、ことに三十六年度の実績を考えてみますと、やはり経済界の何と申しますか、非常に緊縮するような傾向にありまして、また三十六年度は、かなりまだ大会
開催までに余裕があるというような一般的観念、率直に申せば
オリンピックに対するムードはあまり上がってなかったというような実態でありまして、なかなか
資金調達には苦労いたしたのでございます。いろいろ昨年度経験いたしまして、私どもとしましては、今後におきましてはもうどうしても、三十七年度の下半期から三十八年度をピークとして、大会
開催の三十九年度におきまして、金が集まらぬといってあわてるようなことでは、とうてい問題になりませんので、今この秋を目がけまして
計画の推進に努力いたしておる次第でございます。
なお、全体の
計画として財団はどういう
資金調達の見込みを持っているかということを別紙のIIでごらんに入れております。ここにはなはだおもしろい表がございまして、見込額と期待額と二つに分けてございますが、見込額というのは、これはまあ最低の線ということを私ども考えておりまして、期待額というものは、これはまあそれだけの当然まあ調達——その相手方さんのお考えによりましても、この
程度まではいけるものだということに考えましたまあ私どもの作った表でございますが、これによりますと、見込額におきまして、要するに最低のところでおよそ三十一億、三十億余り。まあこれにはさらに昨年七月作っていただきました、専売公社の御協賛に対しまして御改正を願いまして、もう少し有効なる方法で三億
程度の
資金が調達できるようにお願いしなければならん次第でございますが、期待額のほうは大体三十九億ぐらいというような見込みを持っておりますが、これにつきましては、期待額のほうは相当のこれはまだ
関係方面の御支援、ご
協力を得なければならん次第でございますが、要するにこれは財団として確実なところはどこだと言えば、最低の線をお示しするよりほかにないわけでございまして、およそ三十億
程度は、まず今までの方法で絶対に確保できるだろうという考えを持っておる次第でございます。
そこで、なお参考に、ただいまの
資料の五ベージのほうに戻っていただきたいのでございますが、この上のほうの(四)というととろに、ただいま申しました全年度
計画は別紙で御
説明しましたが、この全年度
計画によるところの各年度の配分
計画はどうなっているかということが、ひとつのやはり
問題点でございまして、これをごらんになりますと、三十六年はもう済んだわけでございますが、三十七年度はこれは
予算によるところのものでございまして、これも確定いたしております。あと三十八年、三十九年ということになるわけでございますが、これに対しましては、三十八年度は、在来に比べまして倍額の十一億七千三百万円、三十九年度はさらにこれが増額されるというような
関係にあります。もっともこの中には、記念体育館というようなものと、財団の所要
経費というものを含んでおりません。そういうような大体
計画をにらみつつ、私どもは絶対に時期におくれず、また確実に調達できるように努力いたしておる次第でございますが、これにつきましては、各方面の御支援をいただかなければならん次第でございまして、今後ともよろしくお願い申したいと思います。
そこで、
問題点といたしましては、私どもやはり
資金計画というものは
組織委員会、体育協会においてお立てになる、これは早く確定していただく。
準備が早ければ早いほどいいわけでございますから、そういう
意味合いにおきまして特にお願いいたしておくような次第でございます。それから、何と申しましても実質は寄付でございますので、普通の方法ではなかなか多額の
資金の調達は、これはできないというふうに考えておりますので、ぜひ専売公社の御協賛につきましては、新たにひとつ方法を考えていただきたい。なお、この額いかんによりましては、さらにいろいろな新規の調達
事業を起こさなければならん。しかし、時期はもう二年そこそこということに相なりますので、新たなものを考案するというわけに参りませんので、既存の
事業等において御協賛を願えるところにお願いするというような格好に相ならざるを得ない。今後この
資金計画の確定を待ちまして、また皆さん方に特に御支援、御指導をいただきたいと存じます。
以上、簡単でございますが、御
説明を終わります。