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1962-10-11 第41回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月十一日(木曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 秋山 利恭君 理事 田口長治郎君    理事 足鹿  覺君       浦野 幸男君    亀岡 高夫君       小平 久雄君    齋藤 憲三君       谷垣 專一君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    松浦周太郎君       松本 一郎君    米山 恒治君       石田 宥全君    中澤 茂一君       永井勝次郎君    芳賀  貢君       安井 吉典君    山田 長司君       湯山  勇君    玉置 一徳君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      喜田村健三君         農林政務次官  津島 文治君         食糧庁長官   大澤  融君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)   佐々木喜久治君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月十一日  委員金子岩三君、仮谷忠男君、坂田英一君、野  原正勝君、栗林三郎君及び楢崎弥之助辞任に  つき、その補欠として小平久雄君、浦野幸男君、  齋藤憲三君、松浦周太郎君、永井勝次郎君及び  芳賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員浦野幸男君、小平久雄君、齋藤憲三君、松  浦周太郎君、永井勝次郎君及び芳賀貢辞任に  つき、その補欠として仮谷忠男君、金子岩三君、  坂田英一君、野原正勝君、栗林三郎君及び楢崎  弥之助君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(農業課税問題)  農林水産物に関する件(農産物価格問題)      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  農業構造改善事業に関し参考人出頭を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 長谷川四郎

    長谷川委員長 農林水産業振興に関する件について調査を行ないます。  農業課税の問題につき質疑の通告があります。これを許します。石田宥全君
  6. 石田宥全

    石田(宥)委員 農業課税の問題について伺います。  農業所得税の問題については、本委員会でかつてしばしば問題になったところでありますが、最近対象農家の数が相当減少して参りまして、比較的安定しておったのであります。ところが、本年の所得標準作成の問題について、関信局標準作成を取りやめの通告をいたして参ったのであります。このことは農業所得税についてはもちろんでありますけれども、半面においては住民税に大きな影響をもたらすものでありますので、地方では農民の間に混乱を生じておるような状態でありますが、全国で十一の局のうち、本年度から全面的に農業所得標準作成を取りやめたところはどことどこなのか、それを伺いたい。
  7. 喜田村健三

    喜田説明員 お答え申し上げます。  農業所得課税は、一般農家記帳能力が低いということもございますし、また従来納税農家の数が非常に多かったということもございまして、農家申告する目安といたしまして農業標準を国において作成いたしまして、この標準申告納税ができるように措置して参ったところでございますが、最近税法改正に伴いまして、納税農家が著しい減少を示しております。数字で申し上げますと、三十六年分の所得につきましては、専業農家の数は二十万三千ということになっております。昭和二十五年当時は百八十四万余りございました農家が、三十六年分につきましては専業農家課税人員が二十万三千人に減っております。また課税額にいたしましても、三十六年分は、ただいまの専業農家につきましては約二十一億ということになっておりまして、所得税全体の課税額が千百二十億でございますから、非常にわずかな割合になって参りました。そうした農業課税農家が非常に減って参りましたことと、またそのほかに一般農業所得以外の所得税課税標準につきまして、たとえば譲渡の課税件数が非常にふえている、そういったようなこともございまして、そういった方面について課税の充実をはからなければならない、こうした面が多分にございましたし、国の所得税調査事務全体の総合的な運営という見地から、国税庁といたしましては、こうした農業所得標準作成事務をできるだけ簡素、合理化していく、こういった方針を示して局を指導して参ったところでございます。その結果、本年度はまだわかっておりませんが、昨年度におきましては、約三割の市町村につきまして標準を国において作成していないということになっております。もちろんこれは国税局によって相当差がありますが、全国的に見ますと約三割の市町村について標準作成を省略している、こういった計数になっております。標準作成を省略するという場合におきましても、その地域の納税者の数でありますとか、また住民税課税事務に関する市町村受け入れ態勢と申しますか——国標準作成しない場合には市町村において作成されることになります。その能力といったものもにらみ合わせまして、実情に即したように行なうよう指導いたしているところでございます。
  8. 石田宥全

    石田(宥)委員 質問をしたことだけ答弁してもらいたい。質問をしないところばかり答弁されて、質問したことにちっとも答弁していない。一体十一局のうち、全面的に廃止したのは何局か、こう質問している。ほかのことばかり長々と答弁されたのじゃ——時間の関係もありますから、質問したことだけ答弁してもらいたい。さっきの質問に対する答弁を……。
  9. 喜田村健三

    喜田説明員 ただいま御質問にありました、関信については全面廃止をしたというお話でございましたが、関信についてもそうした方針について検討をしている最中で、まだ全面廃止まで決定した状況ではございません。それからほかの局につきましては、全面廃止をするというふうに決定した局はございません。
  10. 石田宥全

    石田(宥)委員 関信もまだ検討中だとおっしゃるけれども、特に農業所得の多い、専業農家の多いところの新潟県と長野県については、かねて六、七月ころから廃止通告をしてしまっておる。御承知ないのですか。そういういいかげんな答弁をやめて、はっきりしたことを一つ。わからないならわからないでいいです。私あとで具体的に申し上げますから。もっとはっきり答弁して下さい、検討中ではないのですから。あとで具体的に追及しますから。
  11. 喜田村健三

    喜田説明員 一応関信といたしましては新潟長野通告いたしましたが、いろいろ問題も多いということでございまして、現在はまだ検討段階である、こういうふうに私の方は了知しております。
  12. 石田宥全

    石田(宥)委員 新潟長野だけでございませんよ。埼玉、茨城、栃木、群馬、いずれも、管内全部五月中から通告しているじゃないですか。五月中に県の地方課長会議を開いて、取りやめるということをちゃんと提案しておるじゃないですか。だから——そうすれば、これからも標準作成するというのですか。することもあり得るというのですか、どうですか。
  13. 喜田村健三

    喜田説明員 先ほど申し上げましたように、税務署管内市町村納税者の多寡でありますとか、あるいは市町村標準作成能力といったものをにらみ合わせまして、その能力に応じて、たとえばかなり進んでいるところでは国は標準をつくらない。またもう少し指導協力を要するというような市町村につきましては、国が指導協力して標準をつくっていただく。それからさらにもっと進んで、非常にむずかしいというふうなところにつきましては、国と市町村共同でその標準をつくっていく。そういったようないろい段階に応じましてそれぞれの手を打っていく、こういうふうに関信といたしましては方針をきめているわけであります。
  14. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも部長は、農業所得所得税取り扱いですね、標準作成のことは全然御承知ないようですね。これは従来の経過から申しますと、有資格者標準にするとか、あるいは中庸標準にするとか、もう何年間もこれは大混乱を起こしたんですよ、国税庁にも国税局にも。農民が何千人も上京して騒いだり、この委員会でも問題になって、それから基準町村というものをつくって、基準町村というものを厳密に調べて、それに基づいて農業団体農民団体の間に協議懇談が重ねられて、そうしてそこで納得されてようやく落ちついたのですよ。ところが基準町村廃止してしまったから、従って基準町村についての坪刈りもしていませんし、作況調査もしていませんし、何もやっていないじゃないですか。これから一体やれるのですか、どうですか。やれるなら——何かまた別に案があるなら伺いましょう。
  15. 喜田村健三

    喜田説明員 標準廃止いたしました場合にも、事前調査というものをこちらはいたしまして——農家のいろい所得の出てきたものに対して、相談に応ずるとかあるいは審査をするといったような必要がございましたので、廃止するということを一時決定いたしました場合におきましても、事前調査は行なっております。従いましてそれをもとにして共同作成するような場合には、その調査実績もとにして標準作成する、こういうような態勢準備いたしております。
  16. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうもちょっとピントがはずれておるんで……。一体基準町村というものをつくっていろいろやっておったのに、それをやめちゃっているんですよ。いろいろな角度でそれは調査もしておられるでしょうけれども、しかしこれからでも、農民の強い要望があればやはり標準はつくる、つくってもいいんだ、こういうことなんですか、どうですか。これは大事なところですから……。
  17. 喜田村健三

    喜田説明員 先ほど申しましたような市町村側自治体側受け入れ態勢の問題とか、それから数とか、またそういったいろいろの情勢を判断いたしまして、国と地方団体とで共同作成する、そういったような方法も考えております。
  18. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、最初に私の質問をしないことでずいぶん長々と答弁をされたのですが、対象農家が非常に少なくなったからというお話でしたけれども、実は先般安井委員要求に基づいて、予約減税廃止が今問題になっておって、予約減税廃止した場合にどうなるかという資料要求に対して、資料が出ておりますね。予約減税廃止した場合に対象農家が六万六千人ぐらいふえる、こういうことです。私は、必ずしもそうならないのじゃないか、税法改正もあるけれども、その及ぼす影響というものはそれくらいのものではなかろうと実は考えておる。そこでこの資料を見ますると、これは昭和三十四年六月に大蔵省農林省自治省合同調査によって出た数字基礎にして、いろいろなものを引き延ばしたり、いろいろやっておられるのですね。ところが、この調査が実はきわめてずさんなものであったのです。そうして、これは国の統計とか農林省統計調査部統計とかと合わない数字がたくさんあって、理論的にこの資料というものに基づいて措置できないということになったので、予約減税を取りやめるつもりであったけれども、またそれは存続することになったのです。そういうきわめてずさんな調査資料にして、そうしていろいろな面を引き延ばしをやっているのですね。どんなものができると思いますか。一体そんなものが信用できますか。これは私は、この影響が六万六千人だというこの数字の、そういう間違った基礎の上に立っていろいろなものを組み立てて数字を引き延ばしてきたものによって、さたするわけにはいかないと思うのです。これは、やはり大蔵省農林省自治省の間で今日の時点において、今日の農業経済実情に即した、そうして今日の政府統計に基づいた数字一つ出してもらいたい。そうでないとこれは承知できません。これはつくってみて下さい。こういういわくつき資料に基づいて今度の資料を出されても、これは絶対に承服できません。問題がなかったのなら別ですよ。問題があってこれを資料にすることはできないということで、そのときに予約減税廃止するつもりであったけれども、それは廃止できなくて存続しているのですから、それを一つ頭に置いて、もう一ぺんこの数字基礎となる数字を示して下さい。積算の基礎はどこにあるんです。そうでないとこれはだめです。  それからもう一つ。どうもはなはだ心もとないんだけれども、これは直税部長だからはっきり言えると思うのですが、農業所得の場合に、農林省の七月の二十八日に発表した三十六年度農業所得調査ですが、これによりますと、対前年度では所得が一七・四%伸びておるのです。ところが農家所得は伸びておるけれども、農業所得は減っておるのです。そこでなぜそうなるかというと、労賃収入が二四・二%ふえておる。こういう最近の労賃収入が著しく増加したということが農家所得にどう影響すると考えるかということが一つ。それから農家所得の場合に、労賃所得所得税対象としないのかどうか。私は、ほんとうは労賃収入農家所得から除外すべきであると思う。それならば今の部長最初答弁も了承しますよ。労賃収入はすべて農業所得でないのであるから課税の場合に全部はずす、こういう取り扱いをされますか。それならば私はあなたの最初答弁を了承できるのです。
  19. 喜田村健三

    喜田説明員 最初予約減税廃止になった場合に納税人員がどのくらいふえるであろうか、その問題につきまして、先ほど私が三十六年分の主たる農業者について二十万三千と申し上げました数字は、まだその予約減税廃止になる前の昨年度実績でございますので、先ほど六万とかお話しになりました数字はまだそこには入っておりませんし、また私どもの方では、先ほどの資料作成されたときにはどんな資料か私存じませんので、はたしてその数字に根拠があるのかないのかという問題につきましては御返事いたしかねる次第であります。  それからあと労賃収入の問題につきましては、課税農家につきまして労賃収入があった場合には、もちろん所得税課税所得の中に算入されますから、それは入っているわけでございます。ただし、その労賃収入経営主でなければ失格ということになるでありましょうから、その人員経営主でない限りはふえないと考えております。
  20. 石田宥全

    石田(宥)委員 そうすると、経営主以外の者であればはずしてもよろしい。これは一つ確認しておきます。  それから通年性給与所得者の場合は、現在も別建てにされておるのです。一軒の中でもはずされておる場合とそうでない場合とある。従来はおよそ合算されておったが二、三年前からそういうものは別にするという取り扱いがあったのです。そうすると今の答弁で非常にはっきりしたと思うのですが、経営主以外の者の労賃収入給与所得というものはその農家所得税対象からははずすということがきわめて明確になりましたが、それはそれでよろしいか。
  21. 喜田村健三

    喜田説明員 先ほど、経営主でなければ課税人員の中には入ってこない、こう申し上げましたが、その人が控除失格にならないで、たとえば給与所得について課税を受ける、そういうことになった場合にはもちろん税金はかかるわけでございまして、経営主でなければすべて労賃収入に対して税金がかからないという意味ではございません。ただ事実上失格する場合が多いんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。もちろんその人に課税所得が生じます場合には、控除失格になりません場合には、税金はかかるわけでございます。
  22. 石田宥全

    石田(宥)委員 ちょっとあいまいですな。所得税の場合にはそれでいいんですよ。さて、国税庁としては納税失格する場合はもちろん問題はないけれども、さきの答弁は、その経営主以外の労賃収入というものは課税対象にしないという答弁なんだから、私は明確でよろしい、とこう言う。それは取り消しますか。
  23. 喜田村健三

    喜田説明員 私の申し上げました言葉が、あるいはあいまいでなくて、そういうふうにとられるようであったとすれば申しわけない次第でございます。そうした意味じゃなくて、すべて課税対象にならないという意味じゃなくて、課税所得が生ずればもちろん税金対象になる、こういう意味を含んでおったつもりなんでございます。
  24. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうもそういうあいまいな答弁をしてもらっては困りますね。これは非常に重要なポイントなんですからね。そうすると今まで通りだということなんですね。そうなりますと、農林省統計調査部統計というものがどの程度実際の課税の場合に援用されるかは別としまして。昨年度の対前年比の労賃収入というものは二四・二%も伸びておるということがやはり農家所得の伸びとなって、課税対象農家の数は当然多くなるじゃないか、こういうことを言っておるのです。それはそうでしょう。
  25. 喜田村健三

    喜田説明員 ただいまの、たとえば経営主が行っている場合の労賃収入がある場合は別といたしまして、たとえば家族の者が行って給与所得者として課税されている、そういった場合には、この数は二十万三千人の中には入りません。従いまして、そういう家族労賃収入に対して課税されているという場合がありましても、それはこの給与所得課税人員の中には算入されません。
  26. 石田宥全

    石田(宥)委員 あなたはほかのことばかり答弁しておる。そういう意味じゃないのですよ。一世帯単位課税だから、その世帯の中に労賃収入があろうと何があろうと一これは月給取りは別ですよ、ちゃんと源泉徴収されるから。それでも合算課税をするのが建前じゃないかというのです。それを経営主以外のものは合算されないと言ってみたり、そこをあいまいにしてみたり——これはどうなんですか、はっきりして下さいよ。
  27. 喜田村健三

    喜田説明員 現在の所得税課税世帯単位課税しているのでございません。個人別課税する、こういう建前になっておりますので、そうした家族労賃収入があった場合にも、合算して世帯全体に課税するというようには取り扱っておりません。
  28. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうもちっとも確信のない答弁で、こっちもこれじゃ質問を続けてもあまり意味がないのですがね。そうすると根本の問題ですが、関信局は全面的にこの標準作成廃止通告して、従来のような取り組み方を拒否し続けているのですよ。それは国税庁方針かどうか、これをはっきりして下さい。
  29. 喜田村健三

    喜田説明員 国税庁といたしましては、最初に申し上げましたように、農業課税の現状から見て簡素合理化を漸進的にはかっていく、そういった方針でおります。関信局といたしましても、一挙に全面的にすべて国が作成せずに市町村にでもお願いする、そういった方針では現在ではないように聞いております。
  30. 石田宥全

    石田(宥)委員 関信局はさっき述べた管内各県全部全面的に標準作成についての一切の準備は放棄したのですよ。だからそれは庁の方針なのか、関信局が勝手にやったのか。
  31. 喜田村健三

    喜田説明員 国税庁現地局署実情に応じて簡素合理化を進めていくようにといった一般的な方針を出しただけでございまして、一挙に全面的に廃止するとかあるいはどの程度進むかということは、現地局署にまかせたところでございます。また先ほど、全面的に作成事務を放棄したために一切準備態勢が整っていないというお話でございましたが、前に申しましたように、関信局といたしましても事前調査を行なっております。もし共同調査をするといったふうな態勢をとります場合にも資料としては整っている、こういうように聞いております。
  32. 石田宥全

    石田(宥)委員 それはやっていないと言っておるのです。必要ないと言っておるのです。そういう実情なんだから、そこで標準を持っていないので——個々農家申告納税をやりますね。それを査定する標準というものはあるのかないのか、どうですか。
  33. 喜田村健三

    喜田説明員 農家の方々が申告されました場合に、これを審査して、もし著しく低いと認められましたものにつきましては個別に調査をすることになるわけでございますが、その場合の審査するための資料といたしましては、たとえば先ほど申しましたように、事前調査をいたしました資料でありますとか、作況指数あるいは物価指数、そうしたいろいろの資料によって審査いたしますと同時に、先ほど申し上げました地方団体市町村作成いたします農家所得標準、これを尊重してそうしたもの全体を資料として審査いたしまして、著しく申告の低いと思われる農家に対して個別に調査をして課税をしていく、こういった方針で進むことになっております。
  34. 石田宥全

    石田(宥)委員 従来はその標準作成というものによって全国バランスをとり、各県間のバランスをとり、市町村間のバランスがとれておったのですが、そういう標準をつくらないとすれば、そのバランスはどこでやらせるのですか。そしてまた標準はつくらないでおいて個々の係員がこれを査定する場合には、虫の居どころが悪いなんという役人がどんなことをやるかもわからない。農民の方も見当もつかない。そういう場合の混乱が予想されるわけです。そこで時間がありませんから、一体そういう場合に、申告納税に対する何か一定の査定の場合の許容標準というようなものは持っておるのかいないのか、これを一つ……。
  35. 喜田村健三

    喜田説明員 最初の県間のバランス市町村間のバランスはどういうふうにしてとるかといったような御質問に対しましては、たとえば関信の例で申しますと、各市町村間で協議会をつくりまして、またそれに税務署側も参与とかあるいはそうした資格で参加いたしまして、それによってバランスがくずれないようにやっていく、こういう方針をとっております。  それから二番目の申告が出てきた場合、これを実地調査に回すかどうかの目安といたしましては、先ほど申しましたような市町村でおつくりになります農業標準でありますとか、そのほかの物価指数あるいは調査実績、そうしたものを目安にいたしまして相当低い申告がある場合に実地調査に回す、こういうような方法で選定をいたしますので、個々担当官の恣意によってそれが非常に変わってくる、そういうことはないものと考えております。
  36. 石田宥全

    石田(宥)委員 町村間の、町村関係はこれはあと自治省から見えておりますから伺いますが、国税庁では昭和三十二年に農業農民団体代表意見を聞いてきめろ、それから急激な変動を来たさないように特に配慮せいという通牒が出されておったわけです。この通牒一体お取り消しになったのですか、あるいはまた関信局だけ特例をお認めになったのですか、この通牒は生きておるのですか死んでおるのですか。
  37. 喜田村健三

    喜田説明員 その通達と申しますのは、今お話しになりましたのは、三十年に従来の石当たりを反当たり所得標準に切りかえられるにつきまして、そういう標準を切りかえることによりまして税の著しい増加が行なわれないようにということと、またその標準作成にあたりましては関係市町村長農業委員会農業協同組合等農業関係団体の長と緊密な連絡を保って現地実情を反映させるようにしろ、こういった通達をおさしになったことと思われますが、これは農業標準をつくる場合にこうした現地町村ないし農業団体意見も十分聞いてつくるようにということでございまして、形式的に申しますと個別課税という場合には適用はしないわけなんでございますが、先ほど申しました市町村所得標準をつくる、またこれを国が尊重していくという場合には、市町村とされましても農業団体意見を聞いていく、また先ほど申しました地方協議会組織の場合には、そういった協議会の場において現地農業団体意見も十分聞かしていただく、そういうふうになることと思われます。
  38. 石田宥全

    石田(宥)委員 その問題はまたあとで触れますけれども、そこでもう一つ伺いたいのは、従来これは自治省関係もありますが、実は農業所得標準作成いたしますにあたって、農業所得税のための標準作成というものは住民税標準とは若干建前が違うところがあるわけです。そこで、昭和三十三年にこれも当委員会で問題になりまして、特に国税庁長官の出席を求めて国税庁長官もそのことを認めたわけです。そこで、従来は住民税課税標準というものと所得税課税標準というものが、建前は違っておるけれども、大部分の市町村税務署所得標準を準用しておった。しかしそれは適当でないので、それを全面的に準用すべきでないという通告国税庁長官から自治省に出したのです。私はそのときその写しももらいました。しかし依然としてそれが大部分の民税の標準になっておったわけです。そこで、今度関信局が全面的にそれを廃止いたしますと、今度は民税の標準がほんとうの建前に戻って、そして市町村が独自に標準をつくらなければならないことになったわけです。それでその国税庁長官から出された通牒というものが生きておるかどうか、その場合にそれがほんとうに行なわれておれば問題はないのです。その通牒が行なわれていないのです。自治省側はそれをまともに受け取っていないのです。そうすると今度は、さっきもちょっと触れたように、各県間のバランス、各町村間のバランスというものがくずれてくるわけです。こういう点について一体自治省はその通牒、申し入れをどうお受け取りになったのか。そして今度は独自にどういう具体的な民税の所得準標作成についての指示をしておられるか、これは一つ自治省側からお伺いしたいのです。
  39. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 住民税課税方式の改正、あるいは国税における農業所得税の有資格者の減少というようなことで、市町村が特に農業所得について所得標準というものを作成しなければならないことになってきたということはおっしゃる通りでございます。この点につきましては、現在私どもの市町村あるいは県の方からの連絡等によりまして、各国税局間における扱いが若干相違があるということも事実のようでございますし、特にこの所得標準につきましては、関信局管内というものについて、早急に市町村の方としてもつくらなければならなくなってきているということも事実でございます。従いまして、住民税において所得標準をつくります場合には、何分にも農業所得者の大部分を占めますものは、こちらの特にただし書き方式の場合には、所得税の控除資格者が非常に大きいウエートを占めている。そういたします場合に、今までの国税の有資格者である農業所得者の農業所得所得率と、控除資格者である農業所得者の所得率との間にある程度の差があるであろうということは、予想されることであると思います。ただその場合にどれだけの差があるかということを、私ども比較的早い時期から二、三そういうことについて検討をし、自主的につくっております団体等の内容を聞いてみますと、国税の有資格者の所得率との間にそう大きな差はないというようなことを聞いております。ただ現実に差があるということは事実であります。そういうような内容が織り込めるような所得標準率というものを作成したいということで、私どもも市町村の方もそれぞれ検討を進めておりますが、現在の段階におきましては、まだ私どもの方としまして、その作成方法についてどうすべきであるというようなことについて、検討が終わっておりませんので、まだ具体的には市町村に流しておりません。ただ現在の段階では、特に関信局管内においては、独自に市町村がつくらなければならないという態勢が次第に近づきつつあるということを前提にして、それぞれの標準率の作成について所轄の税務署等からの指導も受け、そうした所得標準率の作成準備を進めるということについて、今その準備事務を進めさせておる段階でございます。
  40. 石田宥全

    石田(宥)委員 われわれの知っておる範囲では、どうも自治省の方では全く指導力を持っていない。また今まで経験もないし、市町村の吏員等がとほうにくれておる状態であります。だからある町村では、何か市町村長の諮問機関としての審議会をつくるというような提案をしておるところもある。税務署の指導で坪刈りだけは一応やったようです。しかし農業所得というものは、あなた方はどの程度勉強しておられるかわかりませんけれども、乳牛一頭飼った場合の一頭の所得がどうなる、二頭飼った場合にどうなる、三頭飼った場合にどうなるという、これは農林省統計を見てもわかる。鶏百羽飼った場合にどうなる、千羽飼った場合にはどうなるというような、これは非常にむずかしい問題です。それでこれは税理士などもほとんどやり得ないのです。実際問題としては、そういう問題について具体的なことはまだこれから検討するでは、これは所得税とは時限が違うから、申告納税は三月十五日だし住民税は今度は来年度に入りましてから今年度所得課税をするのだから違うけれども、ちっとも統一したところの指導態勢が出ていないので今混乱状態に陥っておるのです。そこで、さっき直税部長も触れられたけれども、民税の所得標準作成にも何か相談にあずかっておるというようなことを言っておられるが、一体自治省自治省独自で農業所得標準率の作成というようなことについての自信があるのかないのか。今のやっておられる姿では県の地方課あたりでは全くお手上げだと口に出して言っておる。そうして税務署に寄りかかろうとしておる。税務署はもうわれわれの方は独自の調査はやめたんだ、こう言う。一体どうなる。自治省はそういうむずかしい問題について具体的な指導をやり得る自信をお持ちなのかどうか、一つここで伺っておかなければならない。どうでしょうか。
  41. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 私どもの方で具体的に標準率がどういう数字になるということは、現在示すつもりはございません。私どもの方でやりますことは、要するに、その所得標準率についてどういう資料をとり、どういう内容で作成をするのかというような方法についての指導をするつもりでございますが、具体的に所得率がどれだけというような数字を出して指導するという考えは、今のところございません。そしてまたこういう農業所得についての標準率を、他の営業所得の場合も同様でございますけれども、一律的なものを作成いたしましたところで地方の実態には合わないわけでございます。これはすべて市町村段階で作ってもらうという考え方で、ただ全部の市町村個々にそれぞれつくるということにしましたところで、現実問題としてそういう能力のない市町村もございますし、そういう意味においてできる限り市町村が大体今までの国税の扱いに準じていくという前提で、税務署単位くらいで市町村協議会をつくり、その協議会でお互いの資料を出し合いながら、あるいは作成ができないようなところについても、お互いに指導し合いながら作成していくという方針でそういう協議会でもって具体的なものをつくっていくということでやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  42. 石田宥全

    石田(宥)委員 これはもちろん厳密に言えば、個々農家の経営規模なり、経営の内容によって、個々農家ごとに違うのです。だけれども、それでは非常に繁雑なので、長い経験の中から、水稲ならば反当所得で幾らというふうな一定の標準をつくるようになったわけです。ですからその長い間の経験から生まれた標準作成するにあたって、民税は民税として独自の標準をつくる指導性を持たなければならないのではないかというのです。ところが今のところはその指導性を欠いているのではないか。そして税務署に寄りかかろうとしておるのじゃないか。それでいいのか。本来ならば国税と民税とは建前が違うのだから、民税の方は自治省がきちっとやはり具体的な指導性を持たなければならないじゃないか。それを今のように税務署に寄りかかりながら自主性を持たないでおると、これは大混乱に陥るおそれがあるぞというのです。われわれの知っている一部の地域ではおそらく所得税対象農家の数は少ないけれども、民税はほとんど大部分は対象になるから、これが全面的に異議の申し立てをした場合に一体どういう状態になるか、収拾すべからざる混乱を生ずるのではないか。それでも従来のように税務署農業団体農民団体の納得のできる所得標準というものをつくっておった場合に、それは所得税の有資格者とそうでない者の基準は若干の相違はあっても、一応各町村間なり各府県間のバランスもあり、一応納得できるところだけれども、それがない場合に民税をいいかげんにしてつくった場合に全面的に異議の申し立てを出そうと今気がまえておる地方が相当多いのだが、そういう混乱が生じた場合に収拾される用意と自信がおありであるか、それを一つ承っておきたい。
  43. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 ただし書き方式を採用しております市町村におきまして従来から所得税控除失格者につきましても、所得割の課税対象にしておったわけでございます。そうした課税資料というものは過去の積み重ねもあるわけでございます。ただ現実的にこれから農業所得標準率について具体的に全く新しいものをつくり上げていくというようなことには、また今までの課税の実態からいいましてもあり得ないことであろうというふうに考えます。そしてまた具体的に申しまして、私ども自体で個々町村あるいは地方についての所得標準率をつくり上げていくということは現実問題としてもできないことでありますので、現在の段階におきましては、仰せの通り税務署にいわば寄りかかるという態勢といいますか、税務署が過去に積み重ねて参りました資料をそのまま市町村の方でちょうだいをして、そしてまた税務署が過去においていろいろ計算方法として確立して参りましたその方式というものを基礎にしながら、今後数年間は少なくともこの税務署あるいは国税局の指導を受けながら、そうした市町村の方式を確立していくという方向に進むべきではないだろうか、こういう考え方をしておるわけでございます。
  44. 石田宥全

    石田(宥)委員 最初にもちょっと申し上げたように、今農業というものは激動期にあって非常な変革過程にあるわけです。ですから去年の標準に基づいて多少どこかいじくり回したくらいでは済まないような実態になっておるのです。ところがそれに対してほとんど確たる指導要綱というものも持たなければ実際地方の県の地方課あたりでも完全にお手上げだと悲鳴をあげておる実情なんです。このまま放任しておかれれば私は大混乱が生ずることは必至であると思う。まことに不勉強きわまるものである。これはきょうは時間がありませんからいずれまたもう少し実態も、あなたの方も調べていただき、私の方もいろい資料をあげてきます。それで国税庁の方は先ほどから市町村の方でも準備を進めておる、そうすればそこで市町村の方の標準がきまれば、はっきりは言われないけれども、若干手直していくならいくでこっちの方もそれできめたいというお話なんですが、さっきも触れたように、所得税の納期と民税の課税とはおのずから時限が違うわけです。市町村の方がきまればとおっしゃるけれども、市町村の方はなかなかこれは簡単にきまりませんよ。その場合に三月十五日の申告納税の時期がきてしまうわけです。そういうときはどういう措置をとるのですか。
  45. 喜田村健三

    喜田説明員 市町村民税の申告書の提出時期が三月二十日になっておりまして、五日の差があるわけでございますが、こうした違いにつきましては市町村の方にお願いいたしまして、所得税申告時期までに間に合うように所得標準をつくっていただく、こういうふうに御協力をお願いすることになっております。
  46. 石田宥全

    石田(宥)委員 一番最初の話に戻りますが、国税庁としては全面的にとりやめの方針ではない、関信局にまかしてある、関信局は今検討中だ、この答弁はそのまま受け取ってよろしいですか。
  47. 喜田村健三

    喜田説明員 全面的に国税庁といたしましては本年度一気にやる、廃止するという方針はきめたのではないと申し上げたところでございます。将来の方向としてはそうした方向に進んでいく、こういった考えでおりますし、それから関信局といたしまして全面的に廃止するという方針は現在も引き続き変えていない、こういうことではございません。どうしたやり方で、どの程度まで簡素合理化を進めるかについては、目下現地実情なんかをにらみ合わせまして関信局においても検討中である、こういうところであります。
  48. 石田宥全

    石田(宥)委員 関信局検討中だということであれば、これは私どもまた関信局と話し合いをいたしまして——これはおそらく今の関信局の当事者が過去の苦しい経験をお忘れになったんだと思うのですよ。数が少ないとかいうけれども、ほんとうに標準をつくらないで申告納税だからということで各農家が自主申告をやられたら、困るのは税務当局なんです。それでもう大混乱に陥るのでそこでそれを回避するためにいろいろな方策を講じてきたんです。今の関信局長はお坊っちゃんだからそういう苦労をしたことはないし、あの当時苦労した人たちは今おられないのでおわかりにならないのだと思うのです。特に農業課税対象農家の多いところの関信局では、新潟長野、そういうところは全面的に廃止したいと今通告をしてきている。その後の措置については、新潟県のごときは農業会議の会長と中央会の会長の名前で事後処理をどうおやりになるのですかという質問を十月一日に出しているのだけれども、それに対する答弁もできない状態なんです。大体今日の方針がそのようだとすれば、私どもまた別に国税局一つ協議をしまして、そうして収拾すべからざる混乱を生ずるようなことのないように手配を極力つけてみたいと思う。その上でさらにまたここで今日の方針なり意見を承ることもあるかと思いますが、一応国税庁のきょうの方針というものがわかりましたし、それからそれに伴う自治省の方の考え方も全く不見識のそしりを免れないけれどもほぼ明らかになったので、しかしこのままでいけばどっちも私は農業課税というものは混乱状態に陥るおそれが十分あると思う。われわれはそういうことの起こらないような対策をいろい地方関係当局と話し合いを今いたしておるのでありますが、実は今日まで国税庁自治省の考え方というものがあまり明らかでなかったわけです。文書によらないで、懇談とか協議とかいうようなことで通達されて参りましたので、真意がわかりかねたのでありますが、大体その方針がわかりましたから、それに基づいて対策を講じまして、あとでまた一つここへおいでを願って、さらにその後の対策を考えたいと思いますので、きょうは時間の関係もございまして私の質問はこの程度にいたしておきたいと思います。      ————◇—————
  49. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に農林水産物に関する件について調査を行ないます。  農産物価格に関する問題につき質疑の通告があります。順次これを許可いたします。永井勝次郎君。
  50. 永井勝次郎

    ○永井委員 食糧庁長官にお尋ねいたしますが、バレイショ澱粉の政府買い入れ価格について今どのような作業が進められ、決定の時期のめどはどういうところに置いておられるか、第一に伺いたいと思います。
  51. 大澤融

    ○大澤説明員 先日の小委員会のときにもお話し申し上げましたが、ただいまの作業といたしましては、この前一つの試算をお見せいたしましたが、澱粉、ことにバ澱の将来というようなことを見通した場合に、基準価格がどの辺にあるべきかというようなことを考えますと、この前の試算では、たしか現在の基準価格が下がるというような試算になっておりましたが、そういう問題を詰めて、各方面の御意見も拝聴して作業をしておる段階で、あるいは財務当局と話し合いをし、あるいはその他関係者とも話し合いをしておるというようなことで、近いうちになるべく早い機会にきめたいということでやっております。
  52. 永井勝次郎

    ○永井委員 そうしますと、価格決定のファクターは農安法その他に定められておるいろいろな事項以外に、この作物に対して将来どうするかという農業政策的な立場も加味して考慮する、こういうようなことになるわけですか。
  53. 大澤融

    ○大澤説明員 農業政策的なと申しますか、そういうことではございませんで、農安法で基準価格をきめるときにはこういうことできめろ、また政令にもそういう条文がございますが、その趣旨に従って考えてきめるということでございます。
  54. 永井勝次郎

    ○永井委員 先ほど長官はバレイショの将来はどうあるべきかということも考慮しつつというような話があった。そういうものがことしのバレイショ価格決定の一つのファクターになるわけですか、お伺いいたします。
  55. 大澤融

    ○大澤説明員 農安法の買い入れ基準価格をきめる条文には、パリティだとか、生産費だとか、需給状況だとか、その他広く経済事情を参酌してきめるということでございます。今のバレイショの需給関係はどうか、今後の見通しはどうだというようなことは当然考えてきめるべきことじゃないかと思います。
  56. 永井勝次郎

    ○永井委員 それは現状としてあるいは傾向としてこれを展望し、分析してきめるということは、これは経済的な事情の内容になると思う。しかし政府がこれをふやすべきである、あるいは減らすべきである、こういうような意図的な政策を内容として、そうしてそういう立場から価格操作をするということになりますと、これは農安法でいっておるところの内容とは少しはずれてくる、こう思うのですが、その点はいかがですか。
  57. 大澤融

    ○大澤説明員 おっしゃる意味、私、正確にわからないのですが、やはり需給事情というような経済の事情は価格をきめるときに考えていかなければいかぬということは当然じゃないかと思います。
  58. 永井勝次郎

    ○永井委員 私の言ったのは、政府の政策としてバレイショの作付は減らしていく、減らしていくためには農家を経営的に採算がとれなくするような政策をとっていく、そうすると自然に減っていく、こういうような意図的な内容を持ってこの価格をいじるのかどうか、こういうことを言っているのです。
  59. 大澤融

    ○大澤説明員 それは将来作物を減らすとかふやすとかいうようなことを意図的に考えて操作をするということではなかろうと思いますけれども、ただ御承知のように、基本法でもいっておりますように、これから需要の伸びる作物は伸ばしていく、需要の減っていくものはむしろ減らしていくというような、いわゆる選択的拡大というようなことを言っておりますが、そういうことをやる一つの手段といいますか、価格政策にはそういう意味の役割もあると思いますけれども、しかし単にそういうことだけじゃなくて、農民所得の確保とか、価格そのものの安定ですとか、あるいは消費という面について増進をするというような面の役割もございますので、農安法もそういう広い安定制度の役割を果たしているのだ、こう思います。
  60. 永井勝次郎

    ○永井委員 この問題はまたいずれ機会を見て基本的な考え方についていろいろ論議をしたいと思いますが、時間がありませんから省略いたします。ただ農安法の第一条の目的には、「重要な農産物の価格が正常な水準から低落することを防止し、」こうあるのであって、ここにはバレイショ澱粉その他が特記されているわけであります。さらにそのようにして農業生産及び農家経済の安定をはかるということでありますから、少なくも低落を防止するのだ、そうして積極的に農家経済の安定をはかるのだ、こういう大きな目的が掲げられております以上、全体的な農業政策の中で、ここに掲げられたるものを取り上げて、そうして意図的にどうこうしようというような、そういう作業が内容に入ってくるとするならば、ふやしていこう、下げていこう、ふやそうというので値段を上げていく、減らしていこうというので値段を下げるとか、そういうような意図的な内容を持つものではない、この法案の趣旨はそういうことだけは明確にしておかなければならないと思います。  そこで大体決定する日時のめどはどういうところに置いているのですか。
  61. 大澤融

    ○大澤説明員 いつごろということをちょっと申し上げにくいのですが、いろいろ先ほど申し上げたような検討をしております。各方面の意見も聞いておりますので、早急にきめたい、一日も早くきめたいという気持で作業を進めております。
  62. 永井勝次郎

    ○永井委員 しかし、一日も早くきめたいというその気持はわかるのですが、その一日も早くきめられるような条件が整備されているのか、そういうものをするにはいろいろあっちこっちぶつかって、なかなかきまらないという実情にあるのか、そういう実情が、壁があるとすれば、それを破っていくとすれば、現在の実情からいって大体どのくらいのところにめどを置くのだ、こういうことが大体おわかりだろうと思います。そういう点をもう少しはっきりと伺いたい。
  63. 大澤融

    ○大澤説明員 いろいお話を伺うこともございますし、またいろいろの御意見もございますので、どうも大体のめどをいつごろというような日数を限ってちょっと申し上げかねるので、気持としてはほんとうにもう一日も早くきめたいということで各方面に当たっておるわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  64. 永井勝次郎

    ○永井委員 すでに生産が始まっておるのです。そうしてこの農安法に基づく農産物価格安定法の役割というものは、これからの市場にいろいろな影響を与えるのでありますから、もうとっくにこういうものはきまっておらなければならないはずであるのにきまらない、きまらないところに問題があるのか、まあ例年これはやっておることでありますから、そう大した問題はないと私は思う。もし問題があるとすれば何がその決定をおくらせる原因になっておるのか、問題点をあげていただきたい。
  65. 大澤融

    ○大澤説明員 先ほど申し上げたようなことで、たとえばこの前小委員会のおりにもちょっと触れましたけれども、バレイショの北海道の被害というような特殊な、例年にない条件もございました。そういうようなものをいろいろ当たってみるというような問題もございましたしするので、早くしたいのですけれども今日までおくれております。また澱粉の今の需給状態を、今から将来に向かって一体どういうふうに考えたらいいかというようなこともなかなかむずかしい問題でございます。慎重に各方面の意見も聞いてやりたいということで決定はおくれておりますけれども、先ほど申し上げたように一日も早くやりたいという気持で努力をしております。
  66. 永井勝次郎

    ○永井委員 そうしますと、今例年と特殊な事情、条件として検討しなければならない課題としては、北海道における災害の実情、これは現実に起こっているわけでありますから、これは十分に調査をされまして、もう大体わかっておるわけですから、こういうことはすぐできると思います。ことに農林省の農産課長が現地を回っておりますから、この報告があればすぐわかると思います。この条件は十分取り入れていただくことを希望いたします。また需給の関係の問題、これはもう毎年大体きまっておることでありますが、ことし特に需給の関係の分野から検討しなければならないという新たなる条件あるいは累積された条件あるいは政府としてこういうものの政策に取っ組んでいく上における一つの問題点、こういうものがあるとするなら、それは具体的に何でありますか、伺いたいと思う。
  67. 大澤融

    ○大澤説明員 需給関係でことし特殊なと申しますか、必ずしもことしだけに限らない問題だと思いますけれども、バ澱あるいはカン澱の需要というものが今後どういうふうになっていくだろう、現在はたまたま、たとえばカン澱につきましては、政府のものが蔵を払って底をついている、高い値段を出しているというようなことがありますけれども、一体こういうような状態は今後もずっと続くのかどうか、一体将来の需要がどうなっていくのか、それはブドウ糖の大きな原料になっているわけですけれども、甘味全体の問題として、その中でブドウ糖がどういう位置を占めることになるだろうか、その原料としてのカン澱あるいはその他の澱粉がどういうふうになっていくんだろうというふうなことは、たまたま今政府のものが底をついて値段が上がっておるというような状態でありますけれども、そこまでやはり見きわめて需給事情というようなことは考えなければいけないんじゃないかというような特殊と申しますか、そういうむずかしい問題もかかえておると思います。一例をあげればそういうことじゃないかと思います。
  68. 永井勝次郎

    ○永井委員 そういたしますと、バレイショの買い入れ基準価格を決定する立場から、そういう価格の決定の作業から逆算して、甘味資源の総合的な施策あるいはバレイショ耕作に対する農政の立場からする政策、こういうようなものを逆算的に検討すると、こうおっしゃるのですが、これは本年のこういう価格関係というものはすでに年度当初にきまって、そうして進んできておるのであるから、そういう問題はあることはありましょう、背景として問題はある。こういうものは新しい立場で、それはそれの立場で検討し策定すべきものであって、価格操作の立場から、価格決定の立場から逆算的にそういう問題まで問題を発展させていきますならば、これは決定するのはもう大へんなこと、もうすみやかにも何にもそんなことは食糧庁だけの問題ではありませんから、これはもう決定なんか簡単にできるものじゃない。そういうところまで問題を発展させるのは、少しこの現在扱う価格の立場からするならば行き過ぎではないか、脱線ではないか、私はこう思うのであります。そういうものがあってそういうものを策定されて、策定されたから当然需給の関係や価格関係、そういうものに影響するという立場で、これをファクターとしてとってきて議論するというなら、これは話はわかります。そういうものはないのに、価格の関係から逆算してやるというのは行き過ぎではないか、そういうことが一体食糧庁長官の手元で総合的にできるのですか、どの程度までこれはおやりになるのですか。
  69. 大澤融

    ○大澤説明員 私の言い方がちょっと誤解を招く言い方だったのかもしれませんが、あくまでも先ほどの一条をお読みいただきましたように、一定水準で価格が低落しないようにするということ、しかしその水準たるや条文にもございますように、あくまでも正常な価格といいますか正常な水準ということで——正常なと申しますのは、需給事情その他あるいは政令の算式がございます。ああいうようなことを総合的に考えてきめるということだと思います。需給事情を考える場合にも、そういう意味で私申し上げたのであります。何か誤解があったのは非常に残念でございます。
  70. 永井勝次郎

    ○永井委員 まあ展望的に達観的にそういう問題を考慮にも入れてと、こういうことならそれはけっこうであります。そういたしますと、災害の関係農業パリティの関係、価格変動率の関係、こういったいろいろな条件から申しますと、今長官の手元ではそういう作業をまじめに考えて参りますならば、これはどのくらい値上げをしたらいいか、こういう値上げ率の作業の過程である、こう思わざるを得ないわけでありますが、どのくらい値上げしたらというような数字的な根拠は示されなくても、作業の過程でありますから伺わなくてもいいのですが、少なくとも値上げをしなければならない条件がたくさんある。こういうところでそれを検討されている段階、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  71. 大澤融

    ○大澤説明員 値上げ、値下げということは最初から結論づけるわけに参りませんので、どういうふうにしたらいいかということで検討しているわけであります。たとえば先般のこの委員会一つの試算をお話申し上げましたけれども、それによりますならば多少下がるというような試算も出てくるわけであります。しかしそういうようなことであっていいのかどうかというようなこと、たとえば生産費のことを考えれば、今のバレイショの生産費がかなり低いものでございますけれども、あるいはきのうですか、農林水産委員会の御決議もありましたように、歩どまりについては一体どういうふうに考えるかというような問題もございますし、そういうことをいろいろ研究をして、下げるか、上げるか、あるいは据え置きにするというようなことの結論を得なければならぬ、こう思っております。
  72. 永井勝次郎

    ○永井委員 政府はまだ災害の実情なり、それから需給の展望なり、あるいは農業パリティの計算なりあるいは歩どまりの問題等、価格に影響する諸条件について作業の過程でありますから、今かれこれあんまりお尋ねしてもお答えはできないと思いますから、その関係はこの程度にとどめておきますが、少なくもいろいろなめくら算用的に見ましても、あらゆる諸物価がこれだけ騰勢をとっている、前年に比べたらこれだけだという比率はありましょうけれども、もっと長期の年度をとりますと非常な値上がりです。そういう中において生産の条件なり何なりそう合理化されておらない中で、澱粉価格だけがそういう経済の実勢に逆行して、そして政府の政策の意図的な立場からこれが逆な方向に算定されるということのないように強く要望しておきたいと思うのであります。  買い入れの数量については大体どのようにお考えになりますか。
  73. 大澤融

    ○大澤説明員 先ほどもお話がありましたような需給事情でございますので、本年度は買わなければならぬというような事態はおそらくない。むしろこの間芳賀委員からお話がございましたように、政府が十二、三万トンのストックを持っておるのですが、カン澱の穴埋めに、あるいは場合によればバ澱の方も例年十七、八万トンぐらいのものが災害で減っている、需要が十五万トン程度のものが十三万トンくらいしかできないというようなことになれば、これまた政府のものを放出しなければならないというようなことがむしろ考えられて、買わなければ価格が支持できないというような事態にはおそらくならないのじゃないかというふうに今では考えております。
  74. 永井勝次郎

    ○永井委員 大体長官の展望としては、本年のバレイショの澱粉の価格の推移は達観的に見てどういうような展望を持っておりますか。需給も含めて一つお伺いしたい。
  75. 大澤融

    ○大澤説明員 価格の見通しはなかなかむずかしいのですが、大体今のような値段あるいはそれに近いようなものが続くのじゃないかというふうに考えられますし、またバレイショあるいはバ澱、カン澱の澱粉の需要の見通しも、先ほど来申し上げますようにやはりことしの生産のままでは不足をする、大ざっぱにいって七、八万トンくらい、ないし十万トンくらいのものが不足する、政府のものをつぎ込まなければいけないというふうに見通されるのではないか、こう思います。
  76. 永井勝次郎

    ○永井委員 聞くところによりますと、重政農林大臣はこの十五日に北海道の方に何か招待されておいでになる、こういうことを承っているのですが、バレイショの澱粉の価格を決定して北海道に乗り込んで、あそこで発表するというのは、政治的な点から見ても、また価格の点から見ても、農林大臣以下北海道に行くというそういう状況から見ても、いずれの点から見ても一番いいタイミングの合う発表ではないかと思うのですが、事務当局はそういうことももちろん考慮に入れてしなければいけないのですが、もうそういう十五日ごろ北海道で発表できるというような段階はできませんか。
  77. 大澤融

    ○大澤説明員 先ほど来申し上げましたように、私どもきわめて事務的に一日も早くきめたいということで作業を進めておりまして、そういう政治的な配慮というようなものは私どもの仕事の範囲外ではなかろうか、こう思いますので、悪しからず。
  78. 永井勝次郎

    ○永井委員 ほかの同志も質問されますから私はそれに譲りたいと思いますが、そこで問題をこれから発展さしていく一つ基礎的な条件であるバレイショ耕作の問題です。これは食糧庁長官だけに質問するのは無理だと思いますけれども、需給の関係からだけでなくて、農政的な立場も含めまして、一体、これからの作業にも影響すると思うのですが、長官は北海道におけるバレイショ耕作というものが農政上の位置、それから経済的な立場、地位、それから寒地農業確立、あるいは畑作経営、こういうものを総合的に含めまして、もちろん食糧政策その他もあるわけですが、そういうものを総合的に含めましてバレイショをどのように把握しておられるのか、それをちょっと伺っておきたいと思います。
  79. 大澤融

    ○大澤説明員 大へんにむずかしい問題で、むしろ永井先生お詳しいのでお教え願わなければいかぬ点だと思いますけれども、たしか例の基本法に基づきます農産物の長期見通しでは横ばいか、多少減るというふうな見方をしておったはずでありますけれども、バレイショは北海道の畑作農業にとって非常に重要な地位を占めております。しかし将来の澱粉の需要というようなことを考えた場合には相当合理化といいますか、生産性を上げる、バ澱等も太刀打ちができるというようなものをつくり得るような生産性の高いバレイショ生産に持っていく。たとえば高澱粉化のようなものをやる、あるいはもっと耕作する場合に労力を減らしていく、反収を上げるというような生産性の高いやり方に持っていくということが一番大事なことじゃないか、そういうふうなことに持っていかないと、やはりたとえばコーンスターチですとか、あるいはバ澱とかいうようなことを考えますと、なかなか北海道農業というのは、特にバレイショというのは大へんな問題になってくるのではないだろうか。生産性を高めていくということで北海道の寒地農業の中で生きていかなければならないというふうな感じがいたします。これはむしろ先生からお教えいただかなければならぬと思っております。
  80. 永井勝次郎

    ○永井委員 私はバレイショ耕作について、ヨーロッパその他の畑作経営地帯の実例から見ても、これは主要な作物であって、これの増産のためのいろいろな品種の改良とかあるいは土地改良とか、そういった経営上の技術的な改善はもちろんであるけれども、価格関係においても、あるいはこれの需要面における新たな開拓等についても政府はもっと積極的に進めて、そうしてこの問題の安定をはかっていくということが、これが政府として積み重ねていかなければならない努力目標であると思う。ほったらかしておいて、余ったからこれを削る、足りなくなったから増産するんだ、そのときどきの動きにただまかせて、その上に立って価格を操作する、あるいは農政を閑却する、こういうような無責任な、あるいは短期的な展望に立ったやり方に対しては、われわれは断じてこれを許すわけには参りません。またこの問題についても早くきめませんと、これは相場に影響するわけであります。そしてまた経済の実勢としては、とにかく諸物価漸騰の状況にあるわけで、これは消費物価の値上がりの情勢をごらんになればおわかりの通りであると思う。そういうときに、これを消費する者の、需要する者の利益をはかるという立場で、市場として買いたたかれるような条件を政府みずから出すということがあってはならぬと思う。ですから価格の決定は、価格についてはもちろん、そういう実勢に即応して、農家の経済を安定させるという役割を果たすものであること。それからその時期は、そういう値下がりを防止するという役割を持っているわけでありますから、そういうことにならないようにその時期を選ぶこと、こういうことを強く要求するわけであります。また政策としては、私は北海道に関する限りあえて申しますならば、政府はビート耕作について行き詰まりました。その行き詰まった事柄に対する自己反省というものを深くして、問題がどこにあるかという追及から問題を出発させないで、表面に現われたビート耕作と競合するバレイショの耕作が、これを減らさなければ、ビートの面積を拡大できないのだというようなあさはかな現象的な面からだけこれを見て、そしてバレイショをつくっても採算がとれないというようなところに追い込んで、そうして逆にいやおうなしにビート耕作を追い込もうとすれば、そういう意図がないとは否定できないと思うのであります。でありますから、ビート耕作はビート耕作でビートの価格をもっと上げて、そうして他作物と競合できるような価格政策をとればいいし、政策としては土地改良その他農業技術の改善等、もっと腰を据えて、でたらめでなしに、利権的な糖業政策ではなしに、まじめな農業としてこれを出発させるべきであるし、バレイショの価格についてはビートと競合させて、そうしてこれを採算的に追い落とすというような卑劣なやり方でなしに、私はもっとまじめにこの長期の経営の上に立って農家経済の実情というものを判断して処置すべきである、こういうことを強く要望いたしまして、小さい問題については後刻また論及したいと思います。本日はこの程度にしておきます。
  81. 長谷川四郎

  82. 安井吉典

    安井委員 この委員会といたしましては、すでに昨日この澱粉価格等につきまして決議が行なわれている段階でございますので、ごく簡単に二、三の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  初めに農業基本法第十一条の規定による農産物の価格安定に対する措置についてでありますが、政府は総合的にそれを検討し、その結果を公表しなければならないという規定があるわけであります。新聞等の報道によりまして、あるいはまたこの間の長官の御答弁の中にもあったわけでありますが、政府部内で現在進みつつあるということを伺うわけでありますが、今どういう段階にきておりますか。
  83. 大澤融

    ○大澤説明員 私、直接参加しておりませんので、ちょっと聞き知った程度のことでありますが、去年八月ごろと思いますけれども、農政審議会の中に専門委員会を設けまして、農政審議会の委員である大川教授が主査になって専門委員数名の方、これは学者の方あるいは農業団体の方だったと思いますが、むしろ役所がやるというより役所とその委員会を一緒につくって検討していくというような形で作業が進められて、現状分析くらいの程度のところは作業が終わって、最近農政審議会に中間報告があった。さらにその検討を深めていく段階だと思います。
  84. 安井吉典

    安井委員 その中で今問題になっておりますカンショ、バレイショ等の問題につきまして、どういうふうに今扱われつつあるわけですか。
  85. 大澤融

    ○大澤説明員 これも私深く知りませんですが、価格と農家所得関係とか、価格と消費の関係、価格といわゆる選択的拡大というような面からいろい検討はされているようでありますので、そういう問題の中の一つのものとして、バレイショやカンショなどの価格の問題も扱われているんじゃないかというふうに思います。詳しいことは知りません。
  86. 安井吉典

    安井委員 その結論が出るのは、いつごろというふうに、これは直接の御担当ではないそうでありますが、なっておりますか。
  87. 大澤融

    ○大澤説明員 先般ありました中間報告を、さらに深めるということだと、はたから見るとまだ相当時間がかかるのではないかというふうに思います。
  88. 安井吉典

    安井委員 長官の方で、この間もこの総合対策ということにお触れになったわけでありますが、何か総合対策ができるまでは今のカン澱、バ澱等の問題にあまり触れないで、今のままの価格でそっとしておこうというふうなお気持があって、総合対策といったような面を強くお出しになっているんじゃないかというふうなことも考えるわけでありますが、その点いかがですか。
  89. 大澤融

    ○大澤説明員 そうではございませんで、この間農産物価格安定法、これを再検討——この制度自体を検討して改正をしたらいいじゃないかというふうなお話がございましたので、そういう問題は、やはりあの作業は、各いろいろな価格制度が総合的に検討された結果を見てやるのが本筋ではないか。現状ではこの制度によってバレイショなりカンショの価格を考えるということだと思います。
  90. 安井吉典

    安井委員 一応その対策が今間に合うわけじゃありませんので、今の法律でおやりになることは当然であろうと思いますが、ただ今の農産物価格安定法は需給安定法的な性格を持っているように思います。需要と供給の関係を、特に需要者側の面を相当強く押し出されているような印象を受けるわけです。これは法律規定だけでなしに、特に政令などに参りまして、そのいわゆる附録算式等の性格は、私はそういうものを如実に現わしているような気がいたします。需給安定法だというふうに私言ったら、ある人はそうではなしに供給者の不安定法だ、需要者の方ばかり安定の面が強く出されて、供給する農民の立場はきわめて不安定なままに放置されている事実と、農産物価格安定法によって導き出された今日までの価格は、カン澱についても、バ澱についても、ずっと物価の上昇にもかかわらず据え置きということはちっとも生産者のためになっていないということが、この中に明らかに見取ることができるわけです。その中で、私特に今度の法律のままでおやりになるにしても、十分お考えになっていただかなくてはならない点は、供給と需要とのバランスが合わなくて、特にバ澱の場合はそういうふうな傾向にあるということをこの間から繰り返しおっしゃったし、私どももそれはよくわかります。ところが、この農産物価格安定法ができたのはたしか二十八年ですね、その後の段階において供給の方の仲間がだいぶふえているわけです。たとえばコーンスターチといったような問題がある。これは私ちょっと当たってみましても、三十年ごろでは九千トンくらいだったのが、今は五万トンというふうに長官がおっしゃっておるが、おそらく六万トンになっているのではないかというふうな見方が行なわれております。こういうことになりますと、当時この法律のできたときは国内のカンショ、バレイショをつくる農民と、そのできた澱粉を使う消費者との間を予想してつくっておった。ところが供給の方にどんどん仲間がふえて、澱粉そのものは政府は押えておりますけれども、コーンスターチの原料のトウモロコシの方はどんどん安い関税で入ってきて、その生産がどんどんふえているわけですね。つまりカン澱、バ澱の方はこれもまあ伸びてはきておりますけれども、そちらの方の供給のほかに、ほかからどんどん——今なら五万、六万という台まで、大きく供給の方を底抜けにしておいて、需要が伸びない伸びないというふうな言い方は私はおかしいと思うのです。コーンスターチの問題は別な機会にまたさらにいろいろ政府の態度を改めていただくために私も質問いたしたいと思っておりますが、そういうようなことを考えれば、今度のこの算定の場合においても需要と供給とのバランスの問題を価格に反映させるに際しては、少なくもそういう国内産以外の——まあ国内で生産されておりますけれども、原料は国内からできている以外のものが入ってきたことによって、需要が若干減っている。そういう問題は算定の中から除外して考えるべきではないか、私はそういうような気がするわけであります。その点いかがですか。
  91. 大澤融

    ○大澤説明員 おっしゃる意味が必ずしも私まだはっきりしていないかもしれません。バ澱の問題を考えます場合には、もちろんそれと用途は競合するというようなものについての事情もよく頭に入れてやらなければいけないということは当然じゃないか、そういうふうに考えております。
  92. 安井吉典

    安井委員 需要が伸びないということが、今長官が新たな価格を決定する場合に頭を悩まされている一つの原因だと思います。しかしその需要が伸びない一つの原因にはやはりコーンスターチが、そういうふうな一番初めに農安法が予想していなかったものが供給の面に入ってきて、そういうことがバ澱の市場化を妨げている一つの要素になっていると思います。それだけがバ澱の市場化を妨げていると私は申し上げているわけじゃありませんが、少なくも農安法ができた当時よりはバ澱の市場化を妨げている要素の一部になってきていることは私は事実だと思います。ですからそういうようなことを頭に入れて今度の計算がなされなくてはいけないし、最後的な結果がはじき出されなくてはならない、そういうふうな意味で私は申し上げているわけですが、いかがですか。
  93. 大澤融

    ○大澤説明員 その他の経済事情として当然考えらるべきことと思います。
  94. 安井吉典

    安井委員 いずれにしてもそれだけが全体原因ではないと思いますけれども、しかし業界が、澱粉を使う方の方が非常な強気になっている原因の一つにこれはなっていると私は思います。農安法の算式そのものの中にこれをそのまま入れることができれば私はそれに越したことはないと思いますが、それがたといできないにしてもそれは十分に考慮に値する問題だ、私はそういう点で申し上げているわけです。  それから反収の問題でありますが、この前試算で発表されました反収は、どうも北海道の実情に合わないのじゃないかというふうな見方があり、あの記事が北海道の新聞に出ましてからごうごうたる非難が起きているような状態です。その点最後的な結論に至るまで、もっと災害やあるいはまた長雨の被害、こういう実情を十分に反映した資料で計算がなされなくてはならない、そう思うわけでありますが、いかがですか。
  95. 大澤融

    ○大澤説明員 もちろん実情は正確に把握してやりたいと思っております。
  96. 安井吉典

    安井委員 この間、統計調査部長の御発表では、何か十月の二十日に最後資料がまとまるというようなお話でございましたが、それを当てにしているわけですか、どうですか。
  97. 大澤融

    ○大澤説明員 それまで待ちませんでも、統計調査部の方と連絡をいたしまして現状よりは詳しい正確な資料がつかめるのじゃないか、こう思っております。
  98. 安井吉典

    安井委員 あの試算をいろいろしさいに検討いたしますと、問題点があるわけでありますが、だれでも一番目につくのは、あの反収の問題だと思います。あれだけ大きな九号、十号の台風があって、しかも全道的なあの大きな長雨の被害があって、それでああいう反収じゃ、これは農林省の目は節穴かということで、農民の間で、この間も何か帯広で全道農民大会が開かれてそれらの問題を鋭く追及した決議がなされておりますが、そういうような事情のもとにあるようです。道庁の発表もありますが、それらとにらみ合わせて、はっきりした、だれでもが納得できるような、そういう資料一つ結論を出していただきたいというふうに思うわけです。  それから加工賃の関係でありますが、昨年の例などを見ますと、原料イモの価格をちょっといじって、しかし加工賃を上げないで澱粉価格据え置きというふうな結論をお出しになっているようでありますが、しかしバレイショの方をいじってはいるけれども、実質的にはあまり変わりはないが、幾らか含澱率の関係で上がる人も出てくるかもしれませんけれども、しかしバレイショの価格を幾ら上げても澱粉そのものの価格を上げなければ実際上の農家への支払いというものは伸びてこないのです。これはだれが考えてもあたりまえであります。だから農民の方から価格を上げてくれというので澱粉の価格だけはちょっぴり上げてやろう、しかし加工賃の方は据え置きだ、そういうふうなごまかしの操作では、それはそのからくりをみんなわかっているものですから、だれでも了承はしないと思うわけです。そのような点どういうふうにお考えですか。
  99. 大澤融

    ○大澤説明員 それも正確な資料に基づいてこれからなお検討する点でございますけれども、昨年はたしか加工賃は上げたのじゃないかというふうに記憶しております。——上げているはずです。ことしの考え方といたしましては、先般試算のとき申し上げましたのでは、原料据え置きでいいのではないかというようなことを申し上げましたが、かなり合理化されまして、コストが下がっているというような調査もございます。しかしことしは凶作であって、一工場で扱う澱粉のイモの量も、去年に比べればまた少ないんじゃないかというような面も考えますと、だんだん下がっていくという傾向をそのまま織り込むというようなこともどうかと思うのです。労賃の上がり方とか、あるいは資材の下がり方、あるいは合理化の進み方によるコストの低下というようなことを彼此総合して考えて最終的には決定したいと思いますけれども、今までの私どもの考え方では上げなければならないというような結論にはまだなっておりません。
  100. 安井吉典

    安井委員 澱粉は上がっておりますか。イモは上がったけれども……。
  101. 大澤融

    ○大澤説明員 昨年は、それまで三百十二円四十三銭だったのが、三十六年は三百二十七円八十四銭、十五円程度上がっております。
  102. 安井吉典

    安井委員 十二貫当たりで……。
  103. 大澤融

    ○大澤説明員 そうでございます。
  104. 安井吉典

    安井委員 いずれにしても澱粉そのものの価格が上がらないで、イモだけ上げた、そういうようなことでは、実際上澱粉工場は自分の澱粉の売れる価格に応じて農民に支払いをするのですから、売れた澱粉の価格のいかんによってイモの価格がきまってくるわけです。こんなことは取り立てて言わなくてもあたりまえのことです。イモそのものを政府が買うのならこれはいいですよ。そういうふうな仕組みにするのなら、これはまた話は別でありますが、そうでないのです。ですから澱粉価格そのものを引き上げるというふうな形で最後的に結論を出されないと、イモだけ何かちょっぴり上げたからもういいだろうというふうな——そんなことはなさらないと思いますけれども、そういうようなことでは、これは大へんなことになりますから、その点を一つはっきり申し上げておきます。  そこで、原料基準価格の建値場所の問題ですが、従来この点が明らかでなくて、工場持ち込みか、圃場価格か、それがはっきりしないで、地方混乱を生じている例が多いようでありますが、同一市町村内の圃場というようなことで、運賃を別に見るとか、こういうふうなことが必要ではないかと思うわけでありますが、いかがですか。
  105. 大澤融

    ○大澤説明員 従来からの取り扱いは、生産されました同一町村内での価格ということで扱っております。
  106. 安井吉典

    安井委員 その同一町村内のどこですか。
  107. 大澤融

    ○大澤説明員 同一町村内の価格ということで、これは地域によっていろいろ取引の商習慣があるようでございますが、ある地域では生産者が運搬をしている、またある地域では工場が運搬をしているというような実情、あるいはまた豊凶によっては今まで生産者が運搬しておったが、今度は工場が運搬をするというようなことでやる場合もあるようでございますが、そういう商習慣をベースにして、今言ったようなきめ方をしておるわけであります。そういうベースの中で考えていただいていい、そういうことだと思うのです。
  108. 安井吉典

    安井委員 だから地元では混乱が起きているのですね、地方によって違う、あるいはまた工場によっての取り扱いが違う、そういうような事情があるわけでありますから、基準価格をおきめになる際に、同一市町村内の圃場価格でやる、そのかわり運賃を別に見てやる、こういう仕組みで問題をこの際はっきりお示しになることが親切ではないかと思うわけですが、いかがですか。
  109. 大澤融

    ○大澤説明員 今申し上げたようないろいろな取引の商習慣がございますから、そういう実情をやはりベースにしてきめなければいけない。ですから、一義的にどこどこだというふうなきめ方でなくて、今までのようなきめ方が制度の運用には最も妥当なものだというふうに考えております。
  110. 安井吉典

    安井委員 それは商習慣はいろいろあるでしょう。だからたとえばその運賃部分は農民の負担になっているところもあるし、あるいはまた工場が負担しているところもある。そういうようないろいろな仕組みが現実にあるわけです。しかしせっかく国が原料価格をおきめになる、あるいはまた買い入れ場で澱粉の基準価格をおきめになるという際に、そういう問題をいいかげんにしておくことはおかしいと思うわけです。お米の場合にはこれははっきりしていますね。お米の価格の建て方とこれとは違うということはわかりますけれども、どうでしょう、もう少し御検討をしていただけませんか。
  111. 大澤融

    ○大澤説明員 もちろん常にいろいろな問題を検討しなければならないと思っておりますけれども、やはり考え方としては、実際をベースにして考えなければいけませんし、先ほど来申し上げましたように、どちらかのサービスというような形になる、そういう実情をベースにしてやはりきめていくのがいいのではないかというふうに今の段階では私は考えております。
  112. 安井吉典

    安井委員 じゃお尋ねしますけれども、圃場価格でやっているものと工場価格でやっているものと実際の状態はどうなっていますか、お調べになっていますか。
  113. 大澤融

    ○大澤説明員 両者がどのくらいの関係にあるかというようなことは、私どもまだ正確にはつかんでおりません。
  114. 安井吉典

    安井委員 そういうようなことを正確につかみもしないで一方的に価格をきめて押しつけている。そういうようなことが、私は今の価格操作がいろいろな問題を末端において起こしている一つの現因になっているのじゃないかと思います。総合対策をおきめになるということもこれはいいでしょう。そういうような大きな面で問題をおきめになるという、そういう努力は、これは農業基本法の中にはっきりあるのですから、おやりになるのは当然だけれども、もう少しきめのこまかさがあっても私はいいのじゃないかと思うのです。もっと現実をお調べになってどちらがいいか、それをやはりはっきり決断をお下しになる時期にもうきているのじゃないでしょうか。
  115. 大澤融

    ○大澤説明員 相互にどのくらいの割合になっているかというようなことは、なお私ども調査なり検討を深めたいと思いますが、現状私どもの考え方は先ほど申し上げたようなことで、何事によらず最も正しい姿勢にしていくというのがいいことだと思います。調査なり検討はさらに深めて参りたい、こう思っております。
  116. 安井吉典

    安井委員 ぜひそういったような具体的な問題についてもきちんとした資料を整えていただいて、それでぜひお進めをいただきたいと思います。  時間がだいぶ回っておりますので結論を急ぎますが、今の農安法の中で、私この前も農林大臣にも申し上げたところでありますが、農家の収入だとか、農家所得だとか、そういうようなことは全く無関心に農安法があり、そして、特に農安法の精神を若干ゆがめているのではないかと思うのですが、附録算式がある、こういうことではないかと思います。今度臨時国会が開かれれば、人事院の勧告について、それをどう処置するかという政府の方針が示されまして、審議が行なわれるわけです。それによって長官の給料も上がるし、それから中西第二部長の給料もおそらく上がるのではないかと思います。しかし、国家公務員には人事院があるけれども、農民のベース・アップはだれがやるのですか。これは私は農林省以外にないと思います。農林省が人事院のつもりで農民のベース・アップを考えてあげなければ、一体だれが考えるのですか。今の農安法の中で、やはり需要者の側の立場がずいぶん考えられておって、私の方へも需要者の側からのいろいろな請願書、陳情書も参っておりますが、澱粉価格は上げないでくれ、あるいはむしろ下げてくれというふうな言い方もなさっているわけです。しかし、需要者の側の立場をこの決定の考慮の中に入れていくということは、需要者の側がそれによってきちんと利潤を得、それから従業員に賃金を払い、その従業員のベース・アップも——どのくらいしているかわかりません。特に中小企業者の人も多いようですから、水あめ業者は。どういうようなベースになっているかわかりませんが、需要者である方はとにかく適正な利潤や、あるいはまたそれに働く人々の給与等が保障されている。しかし一方、供給をする農民の方はずっと据え置きで、物価の方はどんどん上がって——これでは需給安定法にもならないということになるのではないかと思うわけです。農産物価格安定法どころか、需給安定法にもならない、そういうような印象を受けるわけです。自民党の内閣が所得倍増というスローガンを、まだおはずしになったわけではないのじゃないかと思います。おはずしになっているといえばまた別です。農民の方には、何か倍ぐらいにしてくれるのじゃないかというような幻想をいまだに持っているようです。これは長官に申し上げてもしようがないのですが、とにかくこういうような全体的なムードの中で、ことしのバレイショの価格がどうきまるかということに国民はみんな注目をいたしている、こういうふうな段階だと思うわけです。今私が申し上げましたこういうような考え方を反映して、この委員会も先日のような決議をいたしたわけです。あくまでも「最近における農業パリティ指数の上昇、労賃の値上り、米麦価の値上り等に見合った値上げを行なうこと。」このような決議に対しまして、長官はほんとうに真剣に取っ組んでいただかなくちゃならない、こう思うわけですが、いかがですか。
  117. 大澤融

    ○大澤説明員 いろいろのお話でございますが、もちろん労賃の値上がりその他の事情も考えなければなりませんし、またバレイショやカンショ等の生産費というようなことももちろん考えますし——労賃は上がっておるけれども、生産費は、カンショあたりに比べますとむしろ低値に下がっているというようなことで、同じ価格であっても、農民所得というふうなものが逐年ふえてきておると思いますけれども、そういうようなこと、今御指摘になられたようなことをいろいろ考えて、農民所得が増していくということは、もちろん頭に置いてある。しかし、むずかしいと思います。
  118. 安井吉典

    安井委員 最後に、これは最後的な決定は大臣がなされるわけですが、しかし大臣が決定されるその基礎をおつくりになるのは事務当局なんで、第二部長やあるいは食糧庁長官がお出しになるその資料によって、大臣は全体的な情勢を判断したりあるいは決断を下したりするわけです。だから事務当局の双肩に、これからあとのカン澱、バ澱あるいは原料イモ等の価格がみんなかかっているというその事態を十分に認識をしていただきたいと思います。そういうような中で決議を絶対に守り抜くというお立場で、ぜひ御努力を願いたいと思います。
  119. 長谷川四郎

    長谷川委員長 本日はこれにて散会をいたします。    午後零時三十六分散会