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久保田(豊)
委員 私が今申しましたのは、
造船一社では無理だろう、こういうわけです。従って、
造船業界といいますか、
造船団体で一応こなすということになるのじゃないか、こういう
意味でありまして、決して
日本が能力がないと思っていたわけじゃありません。
そこで私は、時間の
関係もあるし、お次の方の
関係もありますから、まとめて最後に二、三お尋ねをいたしたいと思います。
一つは、今度
皆さんが、何といいますか、
河合さんの、ただ全体の
性格としては単なる
視察ということになりますが、実質的な効果としては
一つの
売り込みというような格好になったわけでありますが、結局、今後の日ソの
貿易をシベリヤ
開発を
中心にしてやるということになりますれば、売りと買いということに当然なるということであります。その後
皆さんがお帰りになってから、
日本の
財界その他で言っておるのは、
向こうへ
輸出をするのはいいが、
輸入が問題だということを盛んに新聞その他で言って索制をしておるのであります。しかしながら、私
どもは少し深く
考えてみれば、たとえば鉄の問題にしましても、今のように
日本の鉄がいわゆる海上輸送航路一万キロ近くの遠いところから持ってくるというようなことは、しかもそういうところのいわゆる
開発をするには、
日本が
発電所から港湾から何から全部つくらなければならぬというのでは、コストが高くなるのはきまり切った話であります。ですから、今度のように、シベリヤ
開発ということになりますれば、これはまだまだ手をつけてない山で、前から
日本に話の来ておる山もあるわけでありまして、
日本の取り組みよういかんによりましては、非常に近距離であって、陸上が入りますけれ
ども、少なくとも海上では二十分の一程度に詰まるわけであります。一万キロということになりますれば。しかも今
お話のありましたように、
向こうは電力と石炭がべらぼうに安い、
お話にならぬほど安いのであります。従って、そういうものを勘案した場合に、石炭にしろ
鉄鉱石にしろ、あるいは
事情は多少違いますけれ
ども石油等にしろ、
日本がこれを受け取って
輸入をして損だという品目は、ほとんどないと思うのであります。こういう点についての非常に得ができて、しかも安定をしてくるということは確実であります。それができないいろいろの
現実と目の前の
事情についてはいろいろありましょうが、少しロングランに見る場合におきましては、
日本の主要なる原材料でも
輸入に依存するよりほかにありませんので、それが全部というわけには参りまんけれ
ども、おもなものをこういう
共産圏といいますか、特に
シベリア開発等に安定的に求めるということは、これは
日本の産業を安定させる、発展させる、両面から見てぜひ必要な対策と思うのでありますが、これに対するいろいろな非難といいますか、索制が新聞その他にたくさん出ておるのが今日の実情であります。こういう点についてどうお
考えになるかということが第一点。
それから、さっきから
ソ連側の方は盛んに政経分離ということは徹底してやっているということであります。ところが
日ソ貿易に関する限り、これは今度の問題ではありませんけれ
ども、政経分離をしておらないのは、はっきり申しまして
日本側であります。今までもいろいろのあれがありましたが、ともするとそういう問題が最後になってだめになってきた。そしてそれはもっぱらイデオロギー的な
立場その他からする
——中国は
事情が違いますけれ
ども、少なくとも政経分離をして参らなかったのは、
日本側の
政府ないしは
財界だと思うのであります。この点を改めることがぜひ必要だと私は
考えるわけでありますが、この点について
一つ皆さんの率直な御
意見が聞ければお聞きをいたしたい、こう思うのであります。
それから第三点の大きな問題は、結局
皆さんが行っていろいろお感じになった点から見て、問題を具体化するには、ことしの九月から始められるいわゆる
貿易協定、これは御承知の
通り支払い協定と
通商条約の問題と
二つでございます。この
二つが今のような形では発展はできません。内容から見ましても、
ソ連貿易というのは、大きく言えば今の協定のできる前と協定ができてから、そして今度、これは
日本側が本気になりさえすれば、私は双方から新しい一段階、もっと進んだ段階になると思うのであります。その道を開いていただいたのが
皆さんと、私
どもは非常に感謝をいたしておるわけであります。そういう
意味から見て、どうしても今度の条約の改定並びに協定の改定というものは、これは今のものを根本的に改めなければいかぬ。
日本の
政府、特に外務省等の間には、一部ではま
あとにかく今のものを通告すれば延びますから、それでもって間に合わしておけというふうな
意見もあるようでありますけれ
ども、そういうことでは
シベリア開発を
中心とする
日ソ貿易の拡大ということにはならぬと思うのであります。この条約並びに協定の具体的なこまかい点は別といたしまして、おそらく
皆さんも最後の結論はそこにいかれておるのではないかと思うのでありますが、この三点について、
一つ御感想をお持ちであればお述べをいただきたい、こう思うのであります。