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1962-08-30 第41回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月三十日(木曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 岡本  茂君 理事 首藤 新八君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    岡崎 英城君       菅野和太郎君    藏内 修治君       小平 久雄君    始関 伊平君     早稻田柳右エ門君    岡田 利春君       久保田 豊君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    中村 重光君       西村 力弥君    伊藤卯四郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       上林 忠治君         通商産業事務官         (通商局長)  松村 敬一君  委員外出席者         参  考  人         (株式会社小松         製作所社長)  河合 良成君         参  考  人         (日立造船株式         会社社長)   松原與三松君     ――――――――――――― 八月二十九日  新鶴見変電所新設及びこれに伴う道路工事反対  に関する請願松本俊一紹介)(第五四三  号)  公共料金及び諸物価引下げに関する請願外一件  (川上貫一紹介)(第六一三号)  同外一件(志賀義雄紹介)(第六一四号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第六一五号)  同外六件(川上貫一紹介)(第七六七号)  同外二件(志賀義雄紹介)(第七六八号)  同外六件(谷口善太郎紹介)(第七六九号)  東京都城北地帯工業用水道布設に関する請願  (中村梅吉紹介)(第六四〇号) は本委員会に委託された。     ――――――――――――― 八月二十九日  東北電力株式会社電気料金値上げ反対に関す  る陳情書  (第三八二号)  新産業都市建設促進法に基づく拠点都市要件の  法制化に関する陳情書  (第三八三  号)  東北開発促進計画早期改定に関する陳情書  (第三八四号)  九州地方開発促進に関する陳情書  (第三八五号)  豪雪地帯対策特別措置法の一部改正に関する陳  情書  (第三九五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商に関する件  (日ソ貿易問題)      ――――◇―――――
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより会議を開きます。  通商に関する件について調査を進めます。  本日は、日ソ貿易問題についての意見を承りますために、訪ソ経済使節団としてソビエト連邦各地を歴訪され、先ごろ帰国いたされました株式会社小松製作所社長河合良成君及び日立造船株式会社社長松原與三松君の両君参考人として御出席になっております。貿易問題は、日本経済の置かれております立場から最も重要な問題であり、委員会においても常に論議の的となっておるのでありますが、御両君には、民間からの初めての使節団として、大いに成果を上げてこられたことに対しましては、ひとしく敬意を表したいと存じております。どうぞ忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。  それではまず河合良成君から御意見を聞くことにいたします。河合参考人
  3. 河合良成

    河合参考人 実はきょうは何か御質問があることにお答えするつもりで来ましたので、私から何を申し上げていいか実は戸惑いしているところですが、ともかくもわずか二十日くらいの旅行でありまして、日本の六十倍もある大きな国のほんの一部をちょっと見、一部の方にお会いしただけのことで、何も確信を持って申し上げるわけにいきませんが、シベリアウラル中心に見まして、今まであまり外国人には見せなかったような工場ども遠慮なく拝見しました。そして見せてくれというた工場をみな見せてくれて、写真も大部分みなとってきました。それからこんなところまで見せてくれるかと思う技術の場所などについても見ましたので、非常に私どもソビエトに対する認識を新たにしたということであります。  それから資源は、申すまでもなくシベリアは非常に大きな資源を持っておりまして、石炭にしても世界の半分以上がシベリアにあるといわれておる。それから鉄鉱石も十分あります。油はもちろんのこと、これはシベリアでなく、第二バクー中心で、第三バクーシベリアにあるわけです。森林は無限のもので、原始林として少し立ちぐされぎみになっておる。早くあれを切って新しい苗を植えた方がソビエトとしていいのじゃないかと思われるくらいの状態です。ことに一番驚きましたのは水力です。水力イルクーツク中心に、イルクーツクには六十万キロワットくらいのものがあって、一キロ幾らくらいで売ればみな原価に合うかというと、イルクーツクの六十万キロワットのところでは四十銭くらい。それからその二百キロほどのところにブラックという四百五十万キロの世界第一のものをやっておりまして、これはほぼ完成して、あとタービンさえ入れればいい。今三分の一くらいすでに送電している。これは非常に大きなもので、どれくらいかというと日本の十六銭くらい。フルシチョフ首相に会ったときにそのことを話してみると、あれはただみたいなものだと言っておる。どうしてかというと、おそらくその意味は、国家の予算予算を払ってしまって建てたものだから、そのときにはその予算のために経済界にどういう影響があったかわからないが、建ててしまえば金利も何も要らない。メインテナンスと幾らかの償却を見ればよいのだから、ただみたいなものだという意味もわかって、そういうような状況がわれわれの目の前にあるわけであります。目の前というのは、ジェット機で参りますればハバロフスクまで二時間余りで行くのです。今度行ったのは、プロペラのおそい飛行機で北海道の方を回って参りましたから四時間かかりましたが、ともかくも九州とあまり変わらないところにあるわけです。そうしてそこからずっと展開したシベリア、そうしてその奥がウラルです。ウラルというところは、ウラル山脈というて千七百キロから五百キロぐらいの幅ですが、千メートル強のところが一番高いところで、あとは丘です。ここは世界の鉱物のあらゆるものを含んでおるというくらいで、鉄も五五%くらいから上のものもあれば、銅も豊かであり、ボーキサイトもあるというようなことで、いろいろなものがあります。これとシベリアの電力とがどういうふうに結びつくか。そのほか火力も何十カ所と火力発電所がやっております。そういうような状況だから、別に急に現われたわけではないが、今までいろいろ思想問題などで、おいでになった方も多いようだが、あまり現在の実態をごらんにならなかったようです。私ども短時日ですが、みんなくろうとと申しますか、六十五才平均で、みんな会社首脳部の者が参りましたので、割に感覚は早くわかるというのが実情であります。  日本貿易との関係がどうなるのかという問題は、これは私の分野ではなくて政府分野であり、それから財界一般分野であります。私どもは見てきた事実をなまのまま、ありのまま日本に提供して、そうしてその責任にある方がそれに対して考えるべきものではなかろうか、そういうふうに考えております。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に、松原與三松君から御意見を聴取することにいたしたいと思います。松原與三松君。
  5. 松原與三松

    松原参考人 私は本日参考人としてお呼びいただきました日立造船社長松原でございます。  今回私も訪ソ使節団に加わりまして、一員として参ったわけでございます。その使節団使命なりまた目的の達成状況につきましては、今団長でありました河合さんから申し上げた通りでありまして、それに加える点はあまりないのであります。ただ、私は日立造船といたしまして、過去十三年にわたりまして、日ソ貿易を推進して参ったわけであります。その間大量の船舶の修繕、新造、改造等を行ないまして、まず日ソ貿易に占める比重は相当大きい方じゃないかと考えておる次第であります。従って、今回訪ソ使節団に加わりまして、各地施設をつぶさに見せてもらいました。またモスクワに行きましては、かねてソ連船舶輸入公団と折衝中でありましたタンカー、貨物船、浚渫船その他の成約を見ました。これは三菱造船石播それに弊社、三社が成約調印を見たわけでありまして、額におきましても約一億ドルに近い、日本造船界としては一つ商談としては最高の契約調印ということであったわけであります。そういう意味におきまして、本日河合団長とともにお呼び出しをいただいたのかと思いますが、私は日本造船工業会会長といたしましても、まずもってこのことを皆様に御報告を申し上げたいと思います。  しかも私どもモスクワ滞在中にデンマークから経済ミッション十七名が到着いたしました。これは私の方がたまたま関係しておるコペンハーゲンBアンドW社モンク社長団長で、十七名のミッションが来たわけでありまして、私どもは、従来の技術提携関係上、モスクワにおきましてモンク社長に会ったわけでありますが、その使命はわれわれのミッションと全く同じで、船舶なり各種産業機械プラント売り込みに来たんだ、こういうことでありました。また先般はユーゴスラビアからも大きなミッションが来たそうでありまして、これまた船舶約三十万トンの成約調印を見て帰ったようであります。次々とイタリアなり英国方面ミッションが来るようにいわれておりますし、対ソ貿易につきましては、ヨーロッパの英国なりイタリア、フランス、それにデンマーク、北欧三国が非常に熱心に売り込みに活躍していることを先方に参りましてつぶさに聞いて参ったわけであります。従って、今回この訪ソ使節団に加わりまして、向こうに参りましたのを機会に、日本造船業といたしましては、今申し上げた一億ドルの成約があったわけであります。  なお、ソ連船舶輸入公団初め機械繊維、木材その他二十数個の公団幹部と私ども使節団団員が手分けをいたしまして、いろいろ商談を進めて参ったわけでありますが、われわれも五つばかりの公団と折衝したわけであります。  先方シベリア開発をめぐる七カ年経済計画規模は非常に大きいようでありまして、また日本に対して発注を予想せられる種類なり金額も膨大なものであるということを感知した次等でありまして、今後日本といたしましては、輸出を伸ばす輸出振興の建前から、日ソ貿易の特に輸出について努力を重ねるならば相当成果が上がる、こういう考えを持って帰ってきたような次第であります。  なお、シベリア各地におきましては、今、河合団長から御報告申し上げた通りに、各種工場なり研究所なりあるいは集団農場なりにつきまして、当方の希望する個所をくまなく視察させてもらいましたし、また各施設におきましては、戦後外国人には一回も開放したことはないそうでありますが、われわれはいずれも全部視察ができることになりまして、また詳細な数字をあげての説明なり報告を聞いたわけであります。また施設等につきましても、おおむね機械なり電機工場造船工場につきましては、まず日本においても一流に属するような規模と内容の工場視察して参ったわけでありますが、シベリア開発につきましては、われわれが従来こちらで認識しておったよりもはるかにその開発進捗状況は進んでおるということを見て参ったわけであります。また、ただいまお話のあったブラック発電所は、四百七十万キロの発電を再来年には完成するそうでありまして、現に半ば完成しております。これが完成いたしますと、中部シベリアにおける工場開発等もさらに進捗するだろうと思います。またそれらの度合いに応じまして、ソ連各種船舶機械その他の公団から各国相当大量の発注が予想せられるということも考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、日本輸出を伸ばすという点におきまして、今後もソ連相当有望なマーケットであるという信念を私どもは得て参った次第であります。  なお、われわれの今回の商談が、英国なりイタリア方面相当の反響を見ておるように、私はコペンハーゲンで新聞その他で見たわけでございます。これらはいずれもわれわれの競争相手であります。イタリアにしても、英国にいたしましても、西ドイツにいたしましても、日本産業界にとりましてのいわばライバルでありますけれども、われわれはこれらと競争いたしまして十分に日本輸出を伸ばし得るように今後も努力して参りたい、かように考えて帰って参った次第であります。  どうか今後もよろしくお願い申し上げたいと思います。
  6. 逢澤寛

    逢澤委員長 以上で参考人方々意見の陳述は終わりました。     —————————————
  7. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に、参考人並びに政府に対して質疑の通告がありますので、これを許可いたします。  なお、参考人の御両君は午後から用事があるそうでございますので、両君に対する質疑を先にお願いをいたします。久保田豊君。
  8. 久保田豊

    久保田(豊)委員 河合先生並びに松原先生には、また団員の御一行の方々には、今お話がありましたように、平均年齢六十五才という財界の大長老で、お年寄り方々が短時間に非常にお骨折りをいただきまして、しかもその成果は予想以上に大きなものがあったかと私どもも存ずるわけであります。これの受け取り方につきましては、日本財界ないしは政府等におきましてもいろいろあるようでありますが、いずにいたしましても日本としても初めての試みでありまして、その影響するところは非常に大きいと思います。そこで、私はこれらの点につきまして順次質問を少しいたしたいと思います。質問の中で多少言葉がむき出しになったりいたしまして、御不快な点もあろうかと思うのでありますが、これは他意はございませんので、あらかじめ一つ御了承をいただきたいと思うのであります。  第一にお伺いいたしたいのは、今度の使節団性格といいますか、使命といいますか、そういう問題であります。それはなぜかと申しますと、御承知の通り経団連中心にしまして、政府業界といいますか、そういうもとで、今度は世界各国に九つの使節団が行くわけであります。これがどういう性格を持ち、どういう仕事を向こうでしてくるかということは、やはり私は相当大きな問題だと思うのであります。そういう点から、そのトップを切って、しかも異色の国へ最初にお出かけになったということでございますので、お伺いいたすのであります。  河合先生の表現を借りますと、今度の使節団は、どこからもひもをつけておられない、ひもつきでない使節団だ、こういうことでございます。これは非常に自由ないい立場だとも一面では考えられるわけであります。しかし、今度の使節団皆さん方顔ぶれを見ますと、少なくとも日本財界代表するとか、あるいは各業界の、造船界なり何なりの全体の代表をするとか、あるいは政府から何らかの委嘱を受けていくとか、こういう点がほしかったように私どもは思うわけであります。非常に自由な点でいい面はあったわけでありますが、しかし、そういう点がなかったために、いろいろ向こうからいうと食い足らなかったような点が相当あったんではないか。特にその一点は、とにかく問題を一つ視察をして、いろいろ向こう幹部とだいぶ大ぜいお会いになったようでありますが、そういう場合に、たとえばこっちからものを売る場合の話は出ましても、まとまってどうするというような話がなかなかまとまりにくかったようであります。また同時に、今日の情勢下においては、どこの国と取引をしますにも、売るだけの方を話をして、買う方の輸入の話のできないということは、これは不自然であります。これでは貿易の発展というものはあり得ないと思います。そういう点で、私どもお伺いをする。これはまた聞きでありますからよくわかりませんが、今度の使節団皆さんとしましては、買う方の話については、これはなかなか触れられない、こういうふうな点が多々おありになったようであります。そういうことを考えますと、これはそのほかいろいろ私どもから言うと疑問の点があると思うのでありますが、これらについては、あるいは日本財界から、あるいは日の政府筋から、あるいは政党筋から、あるいはもっと露骨に言えば、アメリカ筋から、何らかの圧迫妨害ということがあったために、やむを得ず今度の団のような性格と活動をせざるを得なかったのかどうか。こういう点は、今後各国へ出す使節団性格使命等についても、また皆さんが口をあけていただきましたことによりまして、今後ソ連とあるいは共産圏との間にも似たような使節団交換等相当行なわれることがあろうと思います。こういう点から見まして、できるだけ第一回の皆さんが道を開いたものを、今後はますます確実な基礎に乗せてやるというのには、やはり使節団性格なり使命なりというものが、私は相当大きな役割をする。まずこういうところから、日本政府なり財界なり、あるいは代議士の諸公が、私は理解を深めてやっていかなければ、なかなか今後のの問題はうまくいかないと思いますが、こういう点について、今申しましたような圧迫妨害等があってそうなったのか、あるいは今度のような性格を持っておいでになったために、向こう話し合いをしたり何かするのに、非常に御不便やあるいは都合の悪かった点が相当出ているのではないかというふうに推察をいたすのでありますが、この辺の事情はどんなふうでございましょうか。できる範囲におきましてお話を願いたいと思います。
  9. 河合良成

    河合参考人 ただいまのお話は、ごもっともなんですが、私はもうすっぱりとそのまま申します。それは、この話は二年ほど前か、国際貿易促進協会山本熊一君、それから日ソ東欧貿易会北村徳太郎君、この二人のソビエト貿易関係団体がありますので、この方からソビエトへいろいろ話をして、二つの団でだれかミッションを作ろうじゃないかということを話をしていらっしゃった。それで、二人の団でいろいろ財界じゅうをお当たりになっておったらしいのだが、その中で私どもにも話があった。それは考えておこうというので、回答を留保した。みんなも偶然に留保したようですね。ほとんど大部分が留保して、そうして最近まできた。ところが高碕君が、そんなことで二つになっちゃ、これは都合が悪いから、向こうから公式の招待を受けておこうというので、二つを合わせた準備会というものを作りまして、そうして高碕達之助君は向こう商工会議所会頭ネステロフ、これはもう七十ばかりの元老です。その人と話をした。もちろん向こう政府にもそれは話は通じておりましょう。そうしてネステロフから全ソ連商工会議所会頭として招待してきたわけなんです。これは高碕君説明ですよ、聞いたんだが、そこでその招待を高碕君経団連へ持っていきたかったらしいんだ。ところが二つ団体ではこうやって合わして準備会をつくったものだから、そこの工合が悪いので、それで二つ団体を合わせた準備会というものに招待状を持ってきたわけなんです。だから公式は公式なんです。それで高碕君が来て僕らに言うて、君は前に考えておくと言うたがどうだ、行かぬかいと言うから、ああよかろう、おれ行こうという話をした。これをあちらこちらにやったので何名かできた。それから高碕君なりあるいは山本君なり北村君なり、私も電話を二、三回かけましたが、どうだいあの話、行ってみようか、もう行こうじゃないかというので、これは呼び声に答え声みたいにぱっとできてしまった。そうしてできてみておれもびっくりした。おや、これはだいぶおえらいお方がおいでだな。——しかしそのために決して、たとえば鉄鋼業界をまとめるとかあるいは造船をまとめるとかいうふうに、代表的に来ておるわけではない。機械メーカーがだいぶ多い。私ももちろんだし、三菱さん二つにしても石川島にしても、浅田長平君にしても機械メーカーです。で、これは今機械が売りたいのだなと思った。まあ王子などは買手の方だが、そういうことでぱっとまとまったんです。それからいろいろまだ行きたいような人があったけれども、もう一ぱいだという話。それでなるべく社長会長クラスにしようじゃないかという意見でしたが、ほかにいろいろ事情があったりして、最後になって副社長とか専務の方もおいでになった。こういうことがそのままの話です。  それで、経団連との関係も、僕は石坂君は親友だもんですから、石坂君のところに行って、今度こんなわけだから行くぞと言ったら、それはおもしろい、行け、アメリカどもたくさんソビエトへ行くようだからという話で、経団連に正式には話はしません。それから植村君だとか、だんだん話はしました。そういうことで、何といいますか、あけてみたらヒョウタンからこまが出たような人がそろってきた、それだけのことです。  それから政府との話も、政府役人さんもおいでになるとかならぬとかいううわさはどこやらちらちらあったようですけれども、私はそれは政府役人さんは関係せぬ方がいい、もう純民間でいこう、これは私どもの発意です。というのは、商売を持っておる人もありますし、国策の線に沿うてこうだとかああだとかいうことでなく、ともかく現実を見てきて考えなくちゃならぬということです。鉄道の方の連中などにも行くかということを言うてみたけれども鉄道の方はやはり今腹が一ぱいストックも持っておるから、とても買えぬというような話。だから向こうへ行きまして私はその点を非常に強調した。これは君のところにいい資源がある、将来は大いに貿易は発展するだろうと思うけれども、今日本は設備一投資の行き過ぎで、ちょっとリアクテイブになっておる。だから鉄にしても二割減産をやっておる。そのほかもうみなストックを持っておって、ソビエトのプディングはうまいものでも子供のおなかへは入らぬ。しかし日本は今後ぐっと伸びるのだから、伸びたときには大いにまた有望になるだろうということで、初めからおもに売り手ばかりだ、メーカーばかりだ、王子製紙一人を除いてメーカーばかりで、それはよく顔ぶれを見て御承知願いたいというような意味で担懐たる態度で話してきました。それだけです。ほんとうに政府ともどことも結びつきは一つもありません。私ども年寄りはそんなことはきらいです。あまり縛られるのは。
  10. 久保田豊

    久保田(豊)委員 経過から見て、そういう御説明があろうと私は思っておったわけです。その通りだろうと思うのです。ただ今後皆さんのお話し合いの中にも、今度のように財界首脳部をすぐって、——すぐってというか偶然的に今の経過からいって大物の方が一応顔をそろえたということになっておる。今後はこれに続いてもう少し具体化するには、たとえば今お話のありましたような造船界代表であるとか、製紙業界代表であるとか、あるいは繊維業界代表であるとか、産業界代表であるとか、結局こういう日本業界代表というふうなものが相当交流するようなお話し合いもできたようにも聞いております。この点はどうかという点と、そういう場合にはやはりただ偶然にだれかあっせんするような人があって、集まって行ったということじゃなくて、やはりそれぞれ日本財界なり日本政府なり——政府はなかなかむずかしいでしょうが、少なくともそれぞれの業界統一意思ぐらいは持っていかないと、私は今後皆さんの開いてくれた話が具体化してこないという心配を持つわけであります。そこで今度の経験に基づいて今後のそういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。また、今申しましたように、今度の皆さん口あけを土台にしまして、今後各業界代表向こう使節団を出すというふうないろいろなうわさが飛んでおります。こういった点の話し合い現実皆さんとの間についておるのかどうか、ついておるとすればこれを具体化するには、今度の経験に基づいてどういうふうにこれを取り計らっていったらいいのか、またこれに対する政府なり政党なりの態度というものは、どうあったらいいかという点について御意見がありますれば、一つお聞かせをいただきたい、こう思います。
  11. 河合良成

    河合参考人 あとで若い連中なり専門家なりが多分見にくるだろうということは話しました。しかし、団体とか代表的なものが来るという話、そういう取りきめは一つもしません。何にも一切取りきめせず、共同声明も出さず、もうほんとうにぶらりと行ってきて、ぶらりと帰ったということなんです。しかし、国際貿易促進会のお方などが行っていらっしゃいますから、これは今までいろいろな視察団を送っていらっしゃるから、そういうふうな話をどう言ったか私は知りません。私ににも何の相談はありません。私としてはそういう約束は何にもしてこなかった。行ってきて皆さん報告しよう、大衆、国民に知らせようという気持だけは持ったから、御承知の通りに遠慮なく知らしておりますが、それからの判断はどうか皆さんでお考え願いたい。
  12. 松原與三松

    松原参考人 私からも一つ補足させていただきます。  団結成の経緯につきましては、今、河合さんから申し上げた通りでありますが、実は私もその偶発的に集まった団員の一人でありますが、団員会の席上で私はたびたび発言しました。それは両国間の貿易の増大は輸出入がともに増大することでなければならぬ。しかも大体において均衡をはからなければその成果は上がらぬだろう。従って、今回このメンバーは売り込み団と見られるわけだからして、でき得れば買う方のメンバーも加わらなければ意味がないのじゃないかということも主張いたしまして、団長初め皆さんもやはり買う方の側にいろいろ加わっていただくようにお話したわけでありますが、今お話を申し上げたように、買う方の側は木材以外は今回は見合わせるということになったわけであります。従って、今久保田先生がおっしゃるように、向こうへ行ってからの取り扱いがどうだったかというような御質問のようでありますが、向こうに行きました際に、われわれとしてはメーカー売り込みの方の団員が多いんだということを率直に申し上げましたし、また買う方につきましても、経団連と出発前に関係者が集まりまして忌憚のない意見の交換をいたしました。木材あるいは石油、鉄鉱石その他石炭等につきまして、やはりわれわれ売り込み団と見られる団員であっても、向こうに行って貿易商なり公団なりあるいはフルシチョフなりミコヤンと話をする際に、買ってくれと言う以上は、必ずお前の方で買う方の意見はどうだと聞かれるだろうから、そういう際にそれは知りませんでは困るので、やはり買う方の団体なりあるいは有力業者の御意見を承っていった方がよかろうということが結論になりまして、経団連意見の交換をいたしました。その結果、そういう主要製品についての皆さんのお考えをわれわれは頭に入れまして出発したわけであります。従って、結果的には、売り込み団でありましたけれども、さっき申し上げたように、相当誠意のある扱いをしてくれました。売り込み団であれば非常に冷淡に扱われるんじゃなかろうかと心配したわけでありますが、その心配は杞憂でありました。なお、こちらの買う方のことについても再三触れました。しかし、それについては団長からある程度の御意見の発表がありましたけれども、結局は、大部分につきましてはわれわれとしてはまだそういう結論を得ていないんだ、いろいろな経済界事情もあるし、またその他の事情もあって、決定的の意見は持ってこなかった、従って、今後大いに貴国で買ってもらいたい、同時にそれに見合うものについてはできるだけ協力はする、努力はする、その程度の発言で帰ってきたわけでありまして、別に輸出に見合うものを約束するとか、あるいは具体的にそういう業者の意見向こうに開陳するというようなことはいたしませんでした。大体ソ連の経済開発に必要な機械類なりあるいは船舶類をぜひ大量に買ってもらいたい、またわれわれとしてもコマーシャル・ベースに乗ってそういう商談を進めていきたい。ただし、やはり輸入につきましても木材その他について増大するようにわれわれは努力いたしましょう、その程度で帰ってきた次第であります。
  13. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そういう団あるいは各経済界代表というので行かずに、今、松原さんからお話のあったように、売り込み団として率直に立場を述べられたことが、かえって向こうの好感を得、日本財界の実情をそのまま、裸のままとったという意味におきましてよかったんだとも私どもは拝察をするわけであります。しかし、今後具体的に問題を進める場合にはそうばかりはいかない、こう思うわけでありますので、これらの点についての御意見も、もちろん皆さんのことですから十分お持ちのことと思うのでありますが、これらにつきましても、一つ政府なりあるいは財界にも率直に今後も十分述べられて、啓蒙していただくようにお願いをしたいと思うのであります。  そこで第二の質問でございますが、それはソ連側の態度であります。私どもが推測しまする限り、シベリア開発というのは、今までニクソンが行ったときにちょっと端っこを一つばかり見せたことがあるようでありますけれども、それ以外は、今度のように皆さんの御要求をそのままいれて、工場等を全部見せたというようなことは、ソ連の今までのあれではほとんど初めてであります。そういう点から見ましても、また皆さんモスクワにおきまする向こうの各当事者との間の会談の内容等を漏れ承りましても、向こうは非常に積極的であるというふうに私どもは感ずるわけであります。その積極的だということは、どういう点に現われておるのか、またそのねらいはどこにあるかという点について皆さんのお感じ取りになった点を具体的に一つお話しいただきたいと思うのですが、それはどうでしょうか。
  14. 河合良成

    河合参考人 今の売り込みというのは、実は私はよく知らなかった。団長になれといわれて、私が最年長だったからなったのです。みんな商売をそう思っておることは知らなかった。行ってみて、だんだんわかってきた。これはけっこうだと思いましたけれども、行ったときには、初めからただ見るということだった。だから商売のない人もだいぶあるのです。ということで、行くときはてんでの思惑で行った。別に意思を合致させたわけでもない。デリケーションという言葉は変だぞ。そうすると、これはミッションということで、デリゲートというのはちょっと変だぞということさえも注意したくらいです。それで向こうは非常に喜んで、ことに最後にフルシチョフ首相と二時間ばかりデスカッションして、一時間ばかりは庭園を散歩して、いろいろ話をしました。というのは、向こうはこう言っておるのです。貿易は商品と商品との貿易だぞ、それで国と国とのことでない、たとえばおれは西ドイツはきらいだ、きらいだけれども、あそこからもずいぶんいろいろなものを買っている、クルップなどからも買っているというような話しぶりなんだ、それで政経分離というか、これは徹底して考えていますね、というような話で、それでこちらも話がしやすい。しかし、今お話しの通りに、ものを売れば買わなくちゃならぬ。しかし、それは一年、二年でそうバランスばかり考えないで、今現にソビエトの方はバランスがいいじゃないか。そのうちにまた日本も売るんだから、二、三年くらいにまとめて考えなさい。よけい買ってくれると、また自然日本も買わざるを得ぬようになるよというくらいの話ですね。愉快に見て、愉快に待遇されて、そうして愉快に帰ってきたというのは、そのままのことです。それで先の見通しというようなお話、それでどうするかというお話ですが、これは一つ政府と議会などもいろいろお考え願わなくてはならぬ。それはアメリカ関係もありまするし、それから東南アジアとの関係もあるし、ことにアメリカには、これは御存じの方もだいぶあるが、食糧問題などでずいずんご厄介になって、金融もずいぶん日本経済はご厄介になっておるし、それからまた技術もずいぶん提携しておるし、東南アジアは東南アジアで、われわれはこれだけ技術もあるし、これだけの国策を持っておる。こういう点はもちろん尊重していかなければならぬが、ともかく目の前に驚くべき資源が非常なたくましい勢いで開発されておる。しかもその裏にはアカデミックの技術研究という基本的のものがあるのですな。ノボシビルスク・アカデミックにしても、ほんとうの碩学がおり、それらとも二時間も話をまじえてきましたが、どうもそういう技術がここに厳然としてあるということは、日本の国民とし、また経済としてこれをよく見詰めていかなくてはならぬということだけは感じました。しかし、それを解決する道はどうかとお言いになると、私はそれは責任の衝にないから何にも申し上げるわけではないが、私の意見としましては、日本の将来というものは必ず発達する。というのは、世界に戦争がない。戦争がなければ、物さえよけいにできると人類一人当たりよけいもらえる。そういうことでインフレなんというものの心配はありません。日本には、食糧があって、衣類もあって、何にも心配がない。コスト・インフレなんといいますけれども、あれはぜいたくインフレです。ああいうのは、いざとなればやむものです。早く日本もコスト・インフレの仲間入りをしたいようなことさえも感ずるのであります。そうだから、日本の前途は明るい。これは長い間の私の体験から確信しておる。そうしてこう日本がずっと世界経済の先端にあって展開するだろうと思うているから、そうなれば、自然貿易も大きくなるから、自然目の先にあるものも買わなくちゃならぬという情勢になる。そのロング・ランの見方を中心考えて、今度は話をしてきております。
  15. 久保田豊

    久保田(豊)委員 松原先生、何か……。
  16. 松原與三松

    松原参考人 今のお話に尽きるわけですが、私はミコヤンとも二度会談いたしました。フルシチョフには団長と一緒にお会いしたのでありますが、その際に受けた印象は、はっきりと先方も発言しておったのでありますが、両国経済の、お互いの利益であれば商売をやったらいいじゃないか。たとえば機械とか船舶なんかソ連としてコマシャール・ベースに乗って、性能においても価格においても他国に比べていいから買うんだ、それはやはりソ連の利益のために買うんだ、また日本として木材なり石油あるいは石炭その他は日本側の経済にとって採算の点その他非常に利益であると考えられたらお買いになったらいいでしょう。要するに、売りも買いも両国経済界のミューチャル・ベネフィットに立って考えておるということをはっきり言っておりました。私は経団連と事前打ち合わせをした際にも、政経分離ということはわれわれもはっきり考えているということを話した際に、植村副会長から、政経分離で今度の使節団が行っていろいろ商談をやる、こういうことはけっこうだ、これはわれわれ財界としても一致している見解だと思うのです。従って、今後とも政治とからみ合わせないで、貿易貿易としてこれは伸ばすのがいい、こういう考えを持っておるわけであります。  またこれは想像の域を出ないと思うのですが、EEC対策でソ連日本に大いにアプローチしているということが新聞とか雑誌に出ておりますが、そういうことの発言は全然ありませんでした。従って、売りも買いもお互いの利益であると考えたらこれを増大していこう。しかも貿易協定で入っているけれども、これも二年とか三年の短い期間では輸出というもののバランスがしにくい。従って、ソ連のように七カ年計画あるいは十カ年計画、漁業なんかは十カ年計画を今度立てるそうでありますが、そういうように長期にわたる経済を計画するにあたっては、やはり貿易も売りと買いがロングランに見合うようにしたいものだということを言っておりました。従って、当面日本側の売り込みがふえましても、すぐどうこうという問題は私たちは考えない。従って、長い間に日本が木材その他の輸入をやってくれるならそれで十分じゃないか、こういう発言はありました。しかし、私どもとしてはどこまでも日本政府の政治折衝に影響を及ぼすような発言はやめようということも考えて参ったわけでありますし、また貿易協定についても制約を加えるような発言はしていないわけであります。従って、繰り返すようでありますが、どこまでもわれわれは商売人としての立場で話をして帰ったということでございます。
  17. 久保田豊

    久保田(豊)委員 次の問題といたしまして一つお伺いをいたしたいのでありますが、ソ連側の日本に期待することは非常に積極的だということはわかりますが、シベリア開発規模なり将来性というふうなものから見て、私は今までやってきたような貿易とは態勢が変ってくるのではないかと思うわけであります。と申しますのは、御承知の通りソ連側のいろいろな発表の文章を見ますと、ソ連資源の大体七一%というものは今のシベリア開発地帯にあるんだ。それに対して七カ年計画では、はっきりしたことはわかりませんけれども、七カ年計画の一年間の経済建設投資がアメリカの金にして大体三百八十億ドルくらいではないかと思う。それの四割くらいのものがシベリアに投資されている、こういうことですが、御承知の通り、今までどっちかといえばほうっておいた地帯でありますから、いろいろな点でなかなかうまくばかりはいっていないように私どもは思っております。従って、これを二十カ年計画に結びつけて発展をするということになると、いろいろの問題が出て参るわけであります。今度皆さん話し合いの中で一つお聞きいたしたいのは、こういうことがほぼ話し合い——話し合いと言うと語弊がありますけれども、大体向こう側が了承したということを聞いておるのであります。その第一は、何といいますか、今までは日本からソビエト、特にシベリア開発に出すものは、いわゆる基幹産業の製品であるところのプラントないしは船舶等を含めまして機械類が主であります。ところが今回は、つまりコストが安いものならば生活必需品、軽工業品も買っていいというふうな意向を向こうで漏らしておる。場合によれば、その軽工業品をつくるための工場等の建設というふうなものは、ある一定の条件下において日本にまかしてもいい、こういう線がかなり強く出てきたということが皆さん方との間の話でも出たという話を聞いておるのであります。これは向こうの学者等も言っております。スターリン時代と比べて、今のフルシチョフになりましてから、貿易に対する基本の考え方が変わってきた。スターリンの時代は何といっても社会主義アウタルキーといいますか、こういうのが中心でありましたが、フルシチョフの時代になってから、特に最近は経済建設に非常に向こうでは自信を持ってきて以来、採算的に悪いものはある場合においては資本主義国に軽工業品であってもこれはやっていいんじゃないか、あるいは製品を輸入するだけでなくて、場合によればそれの施設を建設することも、あるいは場合によればもう一歩進めて、これはもちろん資本主義企業と社会主義企業ですから企業は違います。違いますが、一定の限度においてその運営についても参画を求めていいじゃないか、こういうような意見向こうの学界には相当出ておるようであります。こういう点は日本政府が、そう言っては失礼でありますが、財界皆さんや自民党の皆さんが一番知らないところであります。向こうではそういう点は出ておるようであります。こういう点も今度の皆さんとの話し合いの中できまったことではないが、話し合いが十分出て、皆さんの方でもその点についての了承——というと語弊がありますけれども、そうかといってかなり考え方を変えていらっしゃったというふうな、あるいはそれの約束ということではないにしましても、相当努力し合おうじゃないかというふうなことが話の中で出たという情報を私どもは得ておるのでありますが、これは事実でありますかどうですか。
  18. 河合良成

    河合参考人 ちょっと私はそこまでのことはなかったのだと思いますが、大体の話をしますと、われわれ機械とかプラントを買ってくれ、しかし、これをもう少し大きくしてコンビナートを一つとか何とかまかせぬかという話もしてみたのです。私どもはなるべく言うことだけは勝手に言ってみようと腹をきめたのです。どうも向こうに行ってみると水力などはもうみんな向こうでつくるというのです。発電所などなかなかりっぱにつくっているから、水力発電一つやらしてくれということでは、向こうの様子では見込みがなさそうでした。しかし、機械のプラントなどは、もちろん単独のものは買う。これも一歩進めて、ナホトカでも日本のために開放して、あそこの地面でも少しわれわれの工場を建てさしてくれぬか、そこで一つ機械でもつくってみたいがというようなことを言うた。まあ考えておこうというような話で、望みがあるかないかわからぬ。そんなことくらいは、機械とかプラントについては言いました。それから繊維のことは帝人の大屋君なり東レの岩永君などがいろいろ公団などに当たっていますから、いろいろなこまかい話が出たと思いますが、私は知りません。首脳部の、貿易長官とミコヤンとそれからフルシチョフ首相考えだけは私知っておりますが、そのときにはそんなところまで出ておりません。繊維はもちろん買いますよ。これは御承知の通り今ちょっとアンバランスでどうしても建設の方が先に進んで、消費の方はおくれておりますから、それを向こうの国民はみなだんだんそれが来るだろうということを望んでいるわけです。住宅にしても約束すればちゃんと建てる、それから温水なども無料で供給してくれる、向こう政府は約束をしてそれを実行しておるところに民心をつないでおる。それだから、これからだんだん消費をよくしようというふうなことはもちろん言っておりますから、そういう面において消費品はこちらから今も売っているが、まだ増加するでしょう。われわれとして非常にけっこうなことだと思っております。しかし、向こうはやはり消費物資のプラント、たとえば紙とかあるいは人造繊維のようなものについてのプラントの輸入をどんどんイタリアあたりとか西独あたりからもやっておるし、日本からもやっておるが、さらにそういうものは大いにやるというわけです。けれども日本繊維工場向こうに建てるなどということは、プラントを買うだけで、できませず、それから繊維日本にまかせろというようなこと、そんなことはできません。それくらいの程度です。
  19. 松原與三松

    松原参考人 今の河合さんにちょっと補足いたしますが、輸出に対する基本的な考え方が多少変わったのではないかというお尋ねですが、それは確かにあると思うのです。幅広い考え方になりつつあるということは言えると思うのです。たとえば私は貿易大臣、フルシチョフ、ミコヤンとの会談に提案したことがあります。それは、沿海州、ナホトカ、ウラジオあるいはその他の沿岸に数百隻の船舶を貴国は持っているではないか、これを一々レニングラードの造船所に持っていって改造とか修繕をやるということは、われわれ経済人としては非常につまらぬことでないかと思う。従って、日本の、対岸の日本海沿岸に、舞鶴の飯野重工あるいは日本海ドック、函館ドック、こういったような修繕のできる造船所が多数あるのだ、従って、そういう沿海州なり樺太方面にある船舶日本で修理をする、改造をするということを提案するがと言いましたのに対しまして、それは非常にグッド・アイデアである、ぜひそれはやりたいということは、フルシチョフも言いましたし、ミヤコンも言いましたし、また貿易大臣も賛成だと言いましたので、おそらくこれは実現するであろうと考えておるわけであります。また懇談の際に、幅広い考え方になったという一つの証左といたしまして、王子製紙の方からいろいろな意見書も出ましたが、従来の木材の引き取りなり契約の内容について、いろいろクレームがついて困る、従って、輸入の増大をはかるにはこれらの不都合な点を是正してもらわなければ困る、たとえば適寸のものを輸入しなければならぬという場合に、カナダなり南洋あたりはむしろその約束の寸法よりも長いものを供給するのに、貴国においてはいずれも、原則として短い、これは非常に採算も合わない、また契約の単価の決定時期につきましても、非常にロングランにわたっておるので、危険が多いから、これを半年ごとにきめるとか、あるいはその他港湾施設をうんと改善してもらわなければ困る、あるいは貯木場の問題、いろいろの問題を提案したのです。それに対して、先方としては全面的に考える。——われわれちょうど貿易大臣との懇談の際に、うしろに公団の総裁がみな並んでおったわけですが、私通訳がおるものですから、それを通してあとで詳細にわかったわけですが、貿易大臣から公団の総裁はこっぴどくしかられておった。と申しますのは、現地における事情が上層部まで通じていないということでないかと思うのです。これが貿易の障害だったと思うのです。これにつきましても今後貿易大臣としては改善するという約束をしております。従って、売りも買いも大幅に伸ばそうということは、従来の意味から、単体を輸入するにとどまらないで、いろいろな造船の修理にいたしましても約束するし、また技術の提携にしても造船所と造船所との間の技師なり職員の交流をしよう、これは両国政府の認可を得た上でという前提のもとに私は話したのです。これらについてもレニングラードの一番大きな造船所ですが、アドミラルティ造船所の首脳部は賛成をしております。かようにだんだん、単に物を買う、製品を買うだけでなしに、いろいろな面で提携をしていきたいという気にはなっておるようであります。ただし、発電所発電機とか、水車とか、モーターを買うことは買っても、一つのプラントを一括して日本発注する、あるいはそれの運営を日本にまかせるというようなことは賛成してないのです。これは当然だろうと私は思うのです。また森林の伐採にいたしましても、日本人のきこりを入れて、もっと能率的に伐採して輸出することは、貴国のためでないかというような発言もしておりましたが、これもいろいろ条約等の関係がありますから、またソ連の方は労働資源が不足しておるように思うから、日本人を入れてやったらどうかという発言もしたのでありますが、それらについては労働資源はあるという返事でありました。そこまでまだ踏み切っておりません。従って、今後の貿易協定の長期化によって輸出貿易を計画的にふやしていこうということは再三言うておりました。しかし、経営権をまかせるとか、ナホトカを自由港にするといったようなことについては、先方としては強くは否定してないですが、賛成はしておりませんでした。大体そういう状況でございます。
  20. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは時間の関係もありますから、具体的な点でもう二点お尋ねいたしたいと思います。  その一つは、今度の松原さんたちのまとめられた船舶商談を見ましても、その規模が非常に大きい。日本会社にしますと、なかなか一社では受け取れない、こなし切れないというような程度の規模のものになって参り、同時に取引も長期になっておる。従って、今度はそういうことはありませんが、今後はそれに見合うところの輸入ということも考えなければならぬ。こういうことになりますと、私はやはり今後のシベリア開発中心にした、全部が全部でありませんけれども、おもなものは、これは日本としては、いわるそれぞれの企業が単独でできることではない。従って、たとえば造船業界とか、造船協会とか、何という名前か知りませんけれども、そういう団体が内部で協力しながら、しかもその見返りになる原料を受け取るものを、やはりこれとも協力関係を密にしながらやるという長期の大量契約ということに今後なろうかと思うのであります。こういう点について少なくとも今までの方式ではうまくいかないという点を痛感をするわけでありますが、この点はどうか、どういうふうにお感じとりになって参られたかということが一つ。  それから、そういうことを内容としまして、向こうは計画経済の国であり、こちらは自由主義経済の国で、向こうでは出すといったものは出す、引き取るといったものは引き取るでしょう、ほかに条件がなければ。こっちは景気、不景気がありますから、引き取るといっても、景気が悪くなって引き取れないというようないろいろな問題があるのであります。こういう点も含めて皆さんとの間の、これまたはっきりした取りきめではないが、次に何らかの方法で、ソ連側としては、シベリア開発に関連をする六五年までの間において、日本にどのようなものを発注するのか、また向こうとして日本にどのようなものを提供するのか、こういう、いわゆる年次別の、品目別の計画ですね、こういうものを中心にしてやらなければだめだという話が出て、そうしてそれを向こうはよしそれならそういうものを早急につくって、何らかの形において、日本政府なり、財界に提供しよう。従って、これに応じて日本はこれをどうこなせるかということを真剣に考えてほしいという向こうの希望が皆さんに伝えられて、皆さんもその点では努力しようというようなお話をして帰られたということを聞いておるのでありますが、これは私は今の二点の、契約そのものが非常に大きくなって、日本の現状ではなかなか一企業だけではこなせないから、従って、同一業界が協力をしてこれを受けていくという態勢、同時に原料——それに見合うところの、つまり向こう輸入をこなすという点から見ても、これからのソ連との貿易の大宗というものは変わってくる。従って、そういうものを内容としたところのいわゆる計画表というものをお互いに提示して、これをやっていかなければ円満にはいかない、こういう点が二点向こうからも提示をされ、皆さんも検討されて、こういったことについて話し合いをされてきたということですが、そこらの実況はどうでありますか。
  21. 河合良成

    河合参考人 この大量輸入を計画的にこちらが組合などが中心にして取りまとめるというようなことまでは話はいっておりません。向こうもそういう話はしません。しかし、やはり団員の中には、できるだけ日本へ帰ったら尽力しようというような御意見の開陳はありました。それでそういう問題は、ともかくも二週間や二十日であわてて見てきたのですから、これからは皆さんに御相談して、皆さんはどうお考えになるかというようなことを考えなくちゃならぬ。先ほど申しました今までの自由国家群との親善関係もあるし、そこらをどんなふうに線を引いていくかということは、私どもではちょっと荷が重過ぎる。それを私どもはよく自覚しまして、それで幾分か慎重な態度で話をしております。  それから、この輸入計画について、これは具体的にあなたの方は計画経済、われわれは自由放任でやっておる。そこであなたのところで確かに七カ年計画に何と何をコメコン以外から買い入れるのだ。日本関係のあるものはどれくらいだ。日本に幾らとは言わぬけれどもイタリアなり、西ドイツなり、日本でやらなければどこかで——ソビエトを強くするのかということをわれわれ聞いたが、われわれが強くせぬでも世界各国が強くしますから、それは当たらぬと思いますが、ともかく向こうはどういうふうに輸入計画を自由国家群から持ってくるかということは知らして下さいということをちゃんとはっきり述べてきた。このことにかかわらず、向こうでは私どもの言うたことにみんな返事すると言っています。何か非公式のなにでありますけれども、返事をしてくるだろうと思います。ということで、そこはなかなかがっちりものにふれておるようであります。  それから七カ年計画の話がありましたが、それはこのことだけお考えになるといえば、シベリアを非常に重点といっても、ウラルから東シベリアを重点にして、それから西シベリアを重点にして、そうして今度は東とかハバロフスクの方は極東というてシベリアの中へ入れていない。極東の方へはやはりおそくなるわけですね。おそくなるけれどもイルクーツク中心のところは非常にまだ重大だから、それには相当力を入れてくるだろうと思います。七カ年計画は一つ組んでおるけれども、七カ年計画に何も日本の問題はそれに入っていないからと言っても、それに問題にしないというわけではない。たとえば機械をどんどん君の方で提供してくれれば、そうして木材をこちらが切ってそれで支払いするとか、石油パイプを、今度は君の方で石油を買ってくれればパイプは引くとか、こういうものは何も計画には入っておらぬ。入っておらぬけれども、そういうクレジットを与えて物で受けるというようなことができれば、それはみなそれにつけ加えて考えていく。だから今は木材を切る費用を予算に七カ年計画に立てておるわけでもないし、イルクーツクーナホトカの間をパイプを引くという計画を立てているわけでもないが、そういうような案件があれば、それはまた別に考えるというようなことを言うております。  それから木材の値段の問題も出ましたが、これらにつきましては、ことに木材の問題で見ましたところ、もう無限ですね。沿海州だけでも大へんなものです。その無限の木材を入れると——原始林が過熟、これは熟し過ぎている。くだものがくさりかけたようなところですね。だからこれはなるべく早く切って、あと新しい木を植えた方がソビエトのためじゃないか、早く切ったのを日本にでも安く売ってもらう方がいいじゃないかというような意味のことを言いますと、フルシチョフ首相ども耳を傾けておったようです。もちろんこれは向こうではよくわかっておることだと思います。それで、日本の木材の値下がりで日本の業者が困ったという問題もこの間あった。これについてもあまり向こうは非難がましいことは何にも言わなかった。こちらもあんなこともあったけれどもというような話で、あれなども日本海沿岸に貯木場などを——淡水でなくちゃ工合が悪い。貯木場なども考えれば考えられるのだから、どうだい、一つ日本海沿岸に海洋いかだを持ってきて、そこに貯木場を作って君の方で売ったらどうか、そうすると日本の買い手に対しては銀行の金融がつきやすいから都合がよい、すぐこれは心配がなくなる、しかし、これはわれわれの思いつきで、これから農林大臣にもお目にかかってわれわれの意見も述べてみようというような話などしますと、それはおもしろい思いつきだと言うて、こんな問題をみんな検討しましょう、ナホトカのことも大臣によってはあまり進まぬような顔をしているけれども、フルシチョフなどはあんなこと好きと見えまして、何か考えておこうというようなことでしたよ。だから何と言うてくるか、多分私に答えてくると思います。そういうような状況です。
  22. 松原與三松

    松原参考人 久保田先生のお尋ね、二点あると思うんですが、まず第一点、今回なるほど一億ドルということの成約は見ました。これは一つの契約としては画期的なものであろうと思うのです。しかし、日本造船業は、先生も御承知の通り、年間二百万総トンの建造能力を持っておるわけです。またそのうち国内船の計画造船あるいは自己資金船等を入れまして、大体百万トン、それからあとの百万トンは、輸出船ということになっております。昭和三十七年度の輸出目標も百万総トンということになっております。ところが今回成約しましたのは、全部合わせましても三十万総トンで、デッド・ウェートはもっと多いのですが、総体にすると三十万総トンにすぎない。従って、輸出目標の三分の一にもならぬ。従って、今後百万総トンの輸出船の目標達成のためには、私どもは今回のものを入れましても、なおよほどの努力をしなければ目標額の達成ということはむずかしいと思うのです。従いまして、通産省には輸出振興に対する特別の御措置を絶えずお願いしていることは先生も御承知の通りなんです。従って、今後ソ連から出る船舶発注につきまして、日本側がこれを消化がむずかしいのじゃないかというふうなお尋ねだとも思うのですが、そういう心配はありません。と申しますのは、先方ソ連の今後一九六五年までの四カ年に発注せられる船舶の総トン数は、はっきりはわかりませんが大体毎年百五十万トンぐらいの船舶を持たなければならぬのじゃないかと思うのです。そうしますと、ソ連の国内のアドミラルティという造船所を初め、主要造船所が六カ所あると思いますが、これらを合わせましても、年間の建造能力は、従来は五十万総トンといいましたが、今度行ってみると相当能力が増しておりますので、おそらく七、八十万トン、百五十万トンの所要船舶に対しまして半分は国内でまかなえるのではないかと私は思うのです。そうしますと、年間約七、八十万総トンをフランスとか英国とかデンマークあるいはユーゴスラビア、日本という方面に発注せられると思うのです。従って、日本がかりにこれを全量受注いたしましても八十万総トンでありまして、これくらいのものを日本の主要造船所で消化できぬことはありません、十分に消化すると思います。特に国内の計画造船あるいは自己資金船につきましてはいろいろ困難な問題もありまするで、これらを補う点からいいましても、ソ連の七、八十万総トンを全部獲得しても、そう苦労することはない、こういうふうに考えておりますので、別にそういう大量の成約があったから今後造船業界として何かの受け入れ態勢をつくって消化をしなければならぬというような段階ではありません。大した驚くほどの成約じゃないと私は考えております。  第二点は、これに見合う輸入物資の問題のようでございましたが、これにつきましては、さきに申し上げましたように、今度改定される貿易協定に今回成約しました一億ドルの船舶は入れるということをはっきり向こう貿易省で言っております。従って、この問題は政府間の問題でありますので、私どもにはどうにもならぬことでありますけれども、できますならばそれも今度の貿易協定に入れていただく、さらに続いて毎年来るであろう相当数の船舶貿易協定の品目に入れていただきたいということを先生方にお願い申し上げたいと思うのです。要するに、今度会談の結果、なるべく長い間に輸出輸入が見合うようにすることが両国のためであろうということを向こうも言いますし、われわれもああいう長期にわたる——今度船をとりましたのも、来年、再来年、その先、三年にわたっておるわけであります。これも年度別にすれば大した金額じゃありません。今後毎年七、八十万トンのうち、かりに三割来ましても二十万トンそこそこでございますので、これも年度別に入れていただくならば、他の商品の輸出に障害を来たすという程度ではなかろうと思うのでございます。従って、この輸出に見合う輸入につきましても、何とか一つ貿易協定で輸入の方も見合うように政府の方へお願いしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  木材の方は、さっき触れた通りでございますが、これは相当ふえる見通しがあると思います。石油とか鉄鉱石、石炭については今の段階では何とも申し上げることができぬような状況であります。  大体そういうことでございます。
  23. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私が今申しましたのは、造船一社では無理だろう、こういうわけです。従って、造船業界といいますか、造船団体で一応こなすということになるのじゃないか、こういう意味でありまして、決して日本が能力がないと思っていたわけじゃありません。  そこで私は、時間の関係もあるし、お次の方の関係もありますから、まとめて最後に二、三お尋ねをいたしたいと思います。  一つは、今度皆さんが、何といいますか、河合さんの、ただ全体の性格としては単なる視察ということになりますが、実質的な効果としては一つ売り込みというような格好になったわけでありますが、結局、今後の日ソの貿易をシベリヤ開発中心にしてやるということになりますれば、売りと買いということに当然なるということであります。その後皆さんがお帰りになってから、日本財界その他で言っておるのは、向こう輸出をするのはいいが、輸入が問題だということを盛んに新聞その他で言って索制をしておるのであります。しかしながら、私どもは少し深く考えてみれば、たとえば鉄の問題にしましても、今のように日本の鉄がいわゆる海上輸送航路一万キロ近くの遠いところから持ってくるというようなことは、しかもそういうところのいわゆる開発をするには、日本発電所から港湾から何から全部つくらなければならぬというのでは、コストが高くなるのはきまり切った話であります。ですから、今度のように、シベリヤ開発ということになりますれば、これはまだまだ手をつけてない山で、前から日本に話の来ておる山もあるわけでありまして、日本の取り組みよういかんによりましては、非常に近距離であって、陸上が入りますけれども、少なくとも海上では二十分の一程度に詰まるわけであります。一万キロということになりますれば。しかも今お話のありましたように、向こうは電力と石炭がべらぼうに安い、お話にならぬほど安いのであります。従って、そういうものを勘案した場合に、石炭にしろ鉄鉱石にしろ、あるいは事情は多少違いますけれども石油等にしろ、日本がこれを受け取って輸入をして損だという品目は、ほとんどないと思うのであります。こういう点についての非常に得ができて、しかも安定をしてくるということは確実であります。それができないいろいろの現実と目の前の事情についてはいろいろありましょうが、少しロングランに見る場合におきましては、日本の主要なる原材料でも輸入に依存するよりほかにありませんので、それが全部というわけには参りまんけれども、おもなものをこういう共産圏といいますか、特にシベリア開発等に安定的に求めるということは、これは日本の産業を安定させる、発展させる、両面から見てぜひ必要な対策と思うのでありますが、これに対するいろいろな非難といいますか、索制が新聞その他にたくさん出ておるのが今日の実情であります。こういう点についてどうお考えになるかということが第一点。  それから、さっきからソ連側の方は盛んに政経分離ということは徹底してやっているということであります。ところが日ソ貿易に関する限り、これは今度の問題ではありませんけれども、政経分離をしておらないのは、はっきり申しまして日本側であります。今までもいろいろのあれがありましたが、ともするとそういう問題が最後になってだめになってきた。そしてそれはもっぱらイデオロギー的な立場その他からする——中国は事情が違いますけれども、少なくとも政経分離をして参らなかったのは、日本側の政府ないしは財界だと思うのであります。この点を改めることがぜひ必要だと私は考えるわけでありますが、この点について一つ皆さんの率直な御意見が聞ければお聞きをいたしたい、こう思うのであります。  それから第三点の大きな問題は、結局皆さんが行っていろいろお感じになった点から見て、問題を具体化するには、ことしの九月から始められるいわゆる貿易協定、これは御承知の通り支払い協定と通商条約の問題と二つでございます。この二つが今のような形では発展はできません。内容から見ましても、ソ連貿易というのは、大きく言えば今の協定のできる前と協定ができてから、そして今度、これは日本側が本気になりさえすれば、私は双方から新しい一段階、もっと進んだ段階になると思うのであります。その道を開いていただいたのが皆さんと、私どもは非常に感謝をいたしておるわけであります。そういう意味から見て、どうしても今度の条約の改定並びに協定の改定というものは、これは今のものを根本的に改めなければいかぬ。日本政府、特に外務省等の間には、一部ではまあとにかく今のものを通告すれば延びますから、それでもって間に合わしておけというふうな意見もあるようでありますけれども、そういうことではシベリア開発中心とする日ソ貿易の拡大ということにはならぬと思うのであります。この条約並びに協定の具体的なこまかい点は別といたしまして、おそらく皆さんも最後の結論はそこにいかれておるのではないかと思うのでありますが、この三点について、一つ御感想をお持ちであればお述べをいただきたい、こう思うのであります。
  24. 河合良成

    河合参考人 輸出入のバランスの問題ですね。これは先ほどから申したようなことで、向こうと折衝をしておるだけで、具体的には何にもきめてきませんけれども、ただ私はこういうことは非常に話をしてきたのです。ソビエト民族というものは非常に大がかりな、大まかなことをやるのに得意な民族であり、われわれはそれを精巧な商品に向くようにやるにはなかなかイニシアチブを持っておる民族だから、両民族の間に国際分業がおのずから行なわれるという大原則は、これは間違いないと思うというくらいの程度で、これから輸入をどうしますとか何とかいうことは私ども分野でないんだ、これはむしろ政府分野であり、あなた方の分野に来るものだから、あなた方の方へ事実を提供して、どうかしかるべく……。
  25. 久保田豊

    久保田(豊)委員 お感じを述べて下さい。
  26. 河合良成

    河合参考人 感じは、できるだけ仲よくして、しかしあまりほかの国にもいやな思いをさせぬでという気持は人間だから持ちます。それだけのことで、どうかこれ以上質問なさるのはごかんべん願いたい。  それから政経分離のことは、フルシチョフ首相は非常に明瞭に言うております。しかし、これは先ほどの先生のを訂正するのではないけれども日本海側に大いに修繕をやってくれということはもっともだ、それはもっともだけれども、競争者があるぞというようなことを言っておりました。結局値段の問題だぞ、なかなかはっきり割り切っております。だからこっちは勉強しなくちゃ恩恵的にもらうわけにはいかないというようなことで、この点は日本側は政経分離がどうなんですか。しかし中共とソビエトが違うというようなことをよくお役所の方でもお言いになるようであります。外務省はどこまでどうか、これも私は存じません、これから勉強します。  もう一つは九月の貿易協定、何か向こうから申し出があるかと思っておったのですが、申し出があるとこちらの政府の御方針もあるだろうし、われわれはどこまでそのことに受け答えするかということを心に思っておったのですが、あまり触れてきません。やはりこれは民間人だから触れても仕方がないと思ったのか、そんなことを触れてきませんが、ただ品目だけは増加してほしい、これは両方とも申しておりました。しかし、期限が三年は短いから五年にするように君らやってくれとか、君らどう思うという話さえも、個人々々にはあったかもわかりませんが——しかし、ものによってはほんとうに長期になるのはいいと思います。たとえばクズネツの石炭のようなもの、それから木材にしましても現に王子は八年にしております。ものによっていいものもなかなかあるだろうと思うから、そこらはだんだんお役所の方も事情がおわかりになっておると思うので、特にこの団のことはお役所にはすっかりそのままお話しておりますので、われわれの方のことを御参考になって、将来日ソ貿易が円満に増加するようになるように処置されることを希望する次第であります。
  27. 松原與三松

    松原参考人 今後予想せられる船舶の受注の消化の問題です。これを一社でなしに、今回のように大量になれば数社でというお話はその通りなんです。これは十三年前からソ連船舶の受注は日立造船一社で消化して参ったわけでありますが、一昨年から相当量ふえておりますので、三菱造船、播磨その他が加わりまして成約を見ております。また今回も三社がこれを成約したというわけであります。ただ今後出る年間七、八十万総トンのうちの相当量を受注いたしましても、日本造船能力からいきまして、また国内船の問題等からいきまして消化には差しつかえない、またこれは当然各社とも生産能力が備わっておりますから、各社が分割して受注するということは申すまでもないことであります。  今回の問題は、最初私が申し上げたように、これがコマーシャル・ベースに乗って向こうも採算が合う、われわれも採算に合うということで成約したわけでありまして、これにちょうど見合うものを輸入するという義務はわれわれは負っていないわけであります。従って、日本政府として、輸出入を伸ばすために、貿易協定のときにお考えいただくことがわれわれとしては望ましいということを申し上げたいと思います。  なお、貿易協定につきましても、現在相当大きな輸出目標を達成するのには、市場の状況が一番大事だと思うのです。どこを押せば輸出が伸びるか、また安定した恒久的な輸出仕向け先として考えられるかということに尽きると思うのであります。そういう面につきまして、私どもは今回各地視察し、また首脳部と会談した結果は、相当量長期にわたって大きな機械プラントなり船舶輸出が見込める、こういう考えでありまして、やはりマーケットとしては最も安定し、好ましい分野であろう、こういう印象を持って帰ったわけであります。  政経分離はわれわれ財界人の考えておることでありまして、先方もそういうふうに考えております。日本政府としても輸出を伸ばすことが国是でもありますし、絶対要件であると思うのであります。従って、どういう障害でも除去していただいて、輸出が伸びるように政府の方でお考えいただきたい、こういう考えを持っておるわけでございます。  なお、今回行ってみまして、いろいろこちらで予備的の知識を持っていったのとは相当認識の度合いが違っておったということを申し上げたいと思います。かりに住宅問題一つをとりましても、レニングラード初め、われわれの参りました六つの大都市におきましては、郊外に膨大な団地を実現しております。これは三年来完成したということであります。従って住宅問題も、私はここ一、二年のうちに相当解消するか緩和するであろうという印象を受けました。これはハバロフスクからモスクワまで一様な状況で進捗しておりますし、また衣服につきましても、黒一色で非常に憂うつだというような報告も読んだわけでありますが、それどころじゃないです。日本と同じです。ハバロフスクが幾らか質が落ちるだけでありまして、モスクワでもレニングラードでも日本と同様の服装をしておりますし、ハイヒールもはいてますし、また婦人はお化粧もしておるのです。ですから、われわれがこちらで考えたのと格段の相違があるということを認識して参ったわけであります。また私どもは、あらゆる機会をとらえまして、向こうの大衆に接するようにしたわけでありますが、やはり数年前と今は非常に大衆の気分が変わっておる、明朗になっておるということは、われわれも受け取れました。また警察なんかはどこかすみっこに押しやられておって、大衆は自信に満ちた態度シベリア開発なりその他の開発をやっておるんだというようなことが受け取れました。工場なり原子力研究所、その方の最高の指導者がわれわれに説明したわけでありますが、いずれも年は若いし、また非常に研究的で、自信に満ちた態度で……。
  28. 逢澤寛

    逢澤委員長 松原参考人にお願い申し上げますが、まだ質問者がありますから、質問にお答えを願いたいと思います。
  29. 松原與三松

    松原参考人 以上であります。
  30. 逢澤寛

    逢澤委員長 首藤新八君。
  31. 首藤新八

    ○首藤委員 松原、河合両先生が非常に御多用中であるにもかかわらず、ソ連視察をされましたことにつきましては、深く敬意を表したいと思うのであります。そこでいろいろお聞きしたいのでありますが、参考人は十二時からほかに用事があるそうでありますので、あとわずかでありますから、よけいなことを省きまして、卒直に具体的な問題を二、三お尋ねしたいと思います。  それは、先ほど河合先生の御意見によると、今回の視察はぷらっと行ってぷらっと帰ったんだということで、まことに簡単な御旅行のように承ります。しかし新聞紙が非常に大きく取り上げた。従って、今回の皆さん視察は、国民に与える影響がきわめて大きかった。しかもそれはひとり国内だけでなく、アメリカの方面にもかなりなショックを与えておるかに実は承っておるのであります。河合さんはぶらっと行ってぷらっと帰ったんだと申されておりますが、事態はそう簡単でないように実は見受けるのであります。そこで先ほどのお話によりますと、ソ連に非常な好意を示してもらった。ウラルの地方では、今まで絶対に秘密にしておった工場使節団のために全部開放された。またその他においても非常な好意を示されたということであります。まことにけっこうでありまして、しかもそれが政経分離という立場で、経済的に重点を置いた考え方に立ってそういう好意を示されたということは非常にいいと思います。ただしかしながら、国民はさようには全部の方は受け取っていないと思うのです。この二、三年来、ソ連の大使館を中心として日本のある数人の方が、親ソムードをいかに高めるかということについて、相当積極的に運動されておった。そういう一環として、今回のソ連首脳部はいわゆるそれと関連いたして、特に好意を示すような、親ソムードをもっともっと高めるというようなねらいがないとは保障できないような受け取り方を国民の一般は持っておるのであります。ほんとうにソ連が腹から好意を持つならば、日本国全国民が要望しております歯舞、色丹あるいは千島、イルクーツクからの飛行機の乗り入れ……(「話が違う、違う。」と呼ぶ者あり)むろんこれは政治問題であります。政治と経済を分離しておるという建前をとっておりますから、あるいはこの問題は多少的はずれになるかもしれませんけれども、しかし、国民一般の感じは、ほんとうにソ連が好意を持つならば、その辺までは踏み切ることが今後のためにいいのではないかという気持を持っておりまするから、私は率直にそれは申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、今回の使節団の一番大きな仕事は、いわゆる船舶中心とした一億ドル前後の輸出契約であります。ところが先ほど同僚委員もたびたび質問されておりましたが、輸出商談は一億ドルを突破した、ただし輸入はほとんど見るべきものがないじゃないか、こういうことであります。私もこの点に実は非常な関心を持っておるのであります。先ほど河合さんのお話によると、木材あるいは鉄鉱、石油、無尽蔵であります。そうしてコストが非常に安い。現在日本はこれらの商品を、非常に高価に日数のたくさんかかる遠方の国から輸入しておるのであります。コストも非常な違いがあると思うのであります。それであるならば、当然この輸入商談輸出商談よりもっと可能性がありはせぬか。それが輸出だけで一向輸入商談がないということに若干私たちは疑問を持つのであります。そうしてその原因は、私は、価格は今申し上げた通りで、非常に向こうは原価が安いところだそうでありますから、問題は結局は支払い条件ではないかと思うのであります。聞くところによると、日本輸出は四年、五年、今回の契約は、向こうは六年の延べ払いを実は要求しておるというように新聞で承っております。はたしてさような長期の要請をしておるかどうかは、まだ私ははっきりしておりませんけれども、この点を一つ松原さんから承りたいと思います。一方の輸入の方は、延べ払いを絶対に向こうは承認しない。いわゆるキャッシュ・オン・デリバリーというか、キャッシュ取引だ、買う方は五年も六年も長期の支払い、売る方は現金だ、ここに輸入商談のできない一番大きな原因があると実は聞いておるのでありまするが、今回のいわゆる船の契約は何年の延べ払いであるか。  それから輸入決済がどうなっておるかということは、通商局長から答弁をしてもらいたいと思います。まずその点から一つ御回答願いたい。
  32. 河合良成

    河合参考人 ただいま、国民に与える影響その他のお話がありましたが、この団は商売、取引だけの人が行ったので、もうほかの問題には触れないという原則でやっております。そうして私どもはやはり取引をやる商人としまして、自由にやれる範囲内にやっておるのであります。それがどういう影響を政治に及ぼすかということは、ちょっと私にもはっきり申し上げる確信も持ちませんが、しかし商人であってもやはり愛国者です。それだから、その考えは私どもはがっちり腹に持ってやっておりまするから、御心配下さらぬでいいと思っております。
  33. 松原與三松

    松原参考人 今の親ソムードについてはわれわれの何ら関知するところではありませんし、また今回の使節団の国民に与える影響については、今、河合さんが述べられた通りでありまして、私も全く同感であります。  それから第二点の船舶の支払い条件でありますが、これはやはりどこまでもコマーシャル・ベースに立って商談を進めたということを申し上げたいと思うのです。と申しますのは、ソ連が買う船舶の支払い条件は、ヨーロッパ、要するにイタリアデンマーク、スエーデン、英国あたりがおもでありますが、それはいずれも八割八年の延べ払いで買っております。それからまた、イタリアその他から買い付ける繊維等については、別に延べ払いでなしにやっておるようであります。これはどちらも買う方であります。しかし日本としましては、われわれ出発前にいろいろ通産省なり大蔵省の御意向も承りまして、われわれとしてはできるだけ有利な支払い条件で成約したいと考えまして、われわれ関係者はそろって先方とのネゴに当たったわけであります。その結果、ヨーロッパとは違いまして、ヨーロッパは八割八年でありますが、日本は七割六年ということで成約を見たわけであります。これは、従来の実績も大体それに近いものでありますし、今回もその線できめたということであります。  それから見返りの輸入につきましては、もう何回も、さっき申し上げた通りでありまして、私どもとしてはソ連といわずどこの方面とも輸出をふやしたいと考えておりますので、その輸出入のバランスがとれるような措置を講じていただけば、さらに一そう輸出業者にとりましては今後成果が上がるであろう、かように考えておる次第でございます。
  34. 松村敬一

    ○松村(敬)政府委員 ただいまお話しの点でございますが、今回の決済条件についてはまだ正式にはお話を伺ってないわけでございますが、今、松原参考人お話のように、六年ということで大体話がつきましたようなことでございますが、こちらの輸入いたしますものは、これはいろいろ物資の性質にもよりまして、木材とか石炭とかそういうようなものでもございますので、原則として現金決済ということに従来なっております。
  35. 首藤新八

    ○首藤委員 そこで、私が今指摘したように、買う物は現金、売る物は六年というような長期で、ソ連開発計画は六四年か五年かを目標としておる。今から四、五年の間ですか、そうすると、この四、五年の間に必要とする物資は五、六年という長期の延べ払いで売りますれば、結局ソ連は自己資金はそう使わなくて、要するに他国からの借金で建設をするという結論に到達すると私は思うのであります。河合さんなり松原さんが愛国者であることはもう私ども確信しておりますから、その点かれこれ申し上げません。ただ国民に与えるところの影響、これが相当大きいから、今申し上げた点を実は私は触れたのであります。  そこで問題は、シベリア開発は今後四年の間に膨大な計画によって進行するんだ。日本輸出もそれに対応するようにできるだけ増進しなければいかぬという御意見であります。それもけっこうだと思います。ただ、今申し上げたように、非常な長期な延べ払いで毎年々々相当大きな輸出貿易が続く。片一方は現金決済、片一方は長期の決済ということになってくると、いわゆるクレジットと申しますか、向こうに対するクレジットの量は非常に大きくなってくるわけであります。そういうことがソ連の今日までの長い間の言動から見て絶対安心できるかどうか、この点にも若干不安を持たざるを得ないような気持が実はいたしておるのであります。むろん日本の経済の発展のために輸出は大いに振興しなければなりません。しかし、シカを追う猟師山を見ずというようなことになっては、これまた多少考慮しなければならぬと思うのであります。  そこで、もう一つ私が疑問に思いますのは、シベリア開発は非常に膨大だということでありますが、現在のソ連の産業の内容を分析いたしますると、これはあなた方の先ほどのお話から伺っても、あるいは新聞紙の報道を見ましても、ソ連の産業は非常にアンバランスになっておるように見受ける。いわゆる戦力に関係あるものは一切の犠牲を投じてもこれを増強するということにやっきとなっておる。ただし、民生物資あるいは国民生活の必需品、いわゆる軽工業、こういうものの生産はまことに劣っておる、おくれておるというような感じがしてならぬのであります。むろんソ連もそういうことを私は希望せぬと思う。希望しないにもかかわらずこういう事態になっておるということは、結論的には人的資源ソ連では現在欠乏しておるのじゃないか。そこでいわゆる戦力物資の生産を優先的にやる。人的資源はその方面にほとんど吸収されて、軽工業的なことは閑却されてきておるということから人的資源が不足しておるんじゃないか。その上に、シベリアの大開発はこの不足しておる人的資源を一番大きな条件としており、皆様方のお考えになっておるように開発が進行する可能性があるかどうかという点に私は若干の疑問を持っておりますが、親しく皆様が見られたソ連の現状から見て、この可能性があると思われまするか、この点一つ承ってみたいと思います。
  36. 河合良成

    河合参考人 私はそこまでよく詳しく知りませんけれども、原料の買い入れの貿易では、大体キャッシュのもののようですよ。そして設備、船舶などは長期になるのが原則的に考えております。これは確言を申しません。大体そういうもんじゃないかと思います。別にソ連だから物を買うのに別な扱いは考えておらぬのじゃないかと思っております。  それから今の人口の点は、さっきも申しました通り、木材のところで日本のきこりが非常に上手だからシベリアへ入れてはどうかということをかりに質問してみましたが、向こうはそれは要らぬというのです。住宅が困るので、住宅さえ建てると、おれのところには労力は非常にたくさんだということを言っておりました。これは向こうの答弁ですよ。御参考のために申しますが、それ以外に私どもは人口の点まではわかりません。
  37. 松原與三松

    松原参考人 支払い条件の点をはっきり申し上げます。それはソ連についても、われわれ日本政府といろいろ事前にお話し合いをしまして、自由諸国に対する支払い条件とはシビアな条件でやるという原則で参ったわけであります。現在アルゼンチンその他日本は八割八年という線を出しております。または東南アジア方面にもいずれも八割八年に近い線で決済条件はきめておるわけでありますが、しかし原則的には、従来の実績からいって、ほかの問題は知りませんが、実績からいってソ連には七割六年という線で妥結したわけでありまして、またソ連に対しまして、英国、イタリー、デンマーク、スエーデン、西ドイツ、いずれも船舶については八割八年でございます。これははっきりと文書でも見て参りました。ただ日本としては、さっき申し上げたように、船舶の建造能力、性能その他の点からいって相当シビアな条件であっても成約できたという状況でございます。  それから人口、労働資源の問題でありますが、これは私もわかりません。しかし、向こうのどこの工場に行きましても、七時間労働、それから土曜日は六時間労働である。しかも三交代でやっております。しかもこの男子従業員の比率は六割対四割という状況でありまして、女子の従業員は男子の職種に非常に大幅に進出しておりますし、従って生産高を逐年増強するために三交代でやっておる。日本では一交代であります。残業によってある程度はやっていますが、一交代でやっておるのに、向こうは三交代の労働資源を持っているということが言えるかと思うのです。これはいろいろ見方にもよりますけれども、木材の問題にしましても労働人口は不足してないと言いますし、工場に行って見ましても、いずれも三交代で人海戦術式に大量に労働者を使っておるということから言いましても、労働資源はそう枯渇しているんじゃない。これは設備を近代化すれば、さらに生産は上がるということもわれわれは指摘してやったのですが、それはこれから皆さんから機械なりそういうものを買って、上げていきたいんだ、こういうことでありました。  それからシベリア開発でありますが、これから日本なりまた英国その他から大量に建設資材を購入しまして、それによって物資の地下資源開発していこうという考えのようであります。従って、われわれ側としましては、そういう輸出を伸ばす面また日本のそういうプラント類を入れますならば、次々と継続して受注がある。これは機械の性質からいいまして、一たん入れた設備は、その次は異質の機械を入れるということはむずかしいのでございます。これはビルマを初め東南アジアで苦い経験を持っているわけでありますが、機械類は一たん入れれば、あとは継続して受注がある性質のものでありますので、なるべくならばそういう建設資材を日本から入れて、恒久的に輸出を伸ばしていく、こう考えております。  決済についての不安については、われわれは十三年の経験がありますが、一回も滞ったことはありませんし、今後は大量な資源を持った国として必要なものの決済は当然やるだろうと思うのです。木材を売るなりその他を売っても必要である船舶なり機械なりの代金が滞るようなことはあるまいと思う。ことにこれは耐久資材でありますので、食べてしまうものではありませんので、二十年、三十年あるものでありますから、これに対する担保力の問題でもありますし、そう大きな心配はないのではないか、こういう気がするわけでございます。
  38. 首藤新八

    ○首藤委員 今までの決済はスムーズに行なわれた、これはその通りであります。この金額はわずかな金額で、一年四、五千万ドル程度でありますから、問題はなかったと思います。ただ先ほどの御意見を承りますと、今度は一億だ。ただし繊維その他が相当入る、かもしれぬ。また将来はもっともっとふやさなければならぬという御意見であるし、また正常な取引であるならば、これはふやさなければならぬと思うのですが、そういう場合に、いわゆる長期延べ払いの輸出金額が今後非常な勢いでふえていく。この点についてなお安心が絶対に持てるかどうかという点に私たちは若干の不安を持っているから、実はお尋ねした次第であります。  労働資源でありますが、現在のところは支障ないように見受けたということであります。それはあるいはそうかと思いますが、ただ私たちは、そうであるならば、もう少し国民必需物資の生産が増加して、デパートにおける商品でももっともっと陳列はできそうなはずだというような簡単な考え方から、この方面の生産が劣っている、それほど労働力は不足しているのではないか、女性が非常に進出しているということでありますが、この女性の非常に進出しているということ自体があるいは全般的な労働力が多少不足した結果がそういうことになっているとも限らぬと思うのであります。むろんソ連は労働者の天下でありますから、待遇その他には申し分ないと思いますが、それだけにシベリア開発というような大きな事業を遂行する場合には、おのずから限度というものが出てきやしないかと私は思うのであります。従って、そういう点を考えました場合に、皆さん方が受けられた感じのような大規模開発工事がごく最近のうちにできる可能性ありやいなやという点に非常な疑問を持っておるのであります。しかし、これはいわゆる意見でありますから、皆さん方の受けられている意見がそうであるならば、一応私たちはそれを承っておきたいと思うのであります。  ただ問題は、政経分離、けっこうなことでありますが、しかし、結論的には、やはり政治が優先するという時期も決してないとは限らぬと思うのであります。従いまして、今後貿易を促進する上におきましては、やはり頭のどこかにはそういう点も保留いたして、その上において貿易を進めた方が安心ではないかというような気持を私は持っておりまするから、率直に意見を申し上げた次第であります。  時間がありませんから、この程度で私の質問を打ち切りたいと思います。
  39. 逢澤寛

    逢澤委員長 田中武夫君。
  40. 田中武夫

    ○田中(武)委員 十二時までだということだから、お尋ねしたい点はたくさんあったのですが、久保田さんの質問でもだいぶ明らかになりましたので、きわめて簡単にお伺いいたしたいと思います。  一つは、これは二人の参考人方々のお仕事の上からは専門外になるかもわかりませんが、自由化を前にして、ことに石油業界が大へんごたごたしていることは御承知の通りなんです。前国会において、われわれも石油業法というものを成立さしたのでありますが、そのとき問題になりましたのが、ソ連原油なんです。現在の実情は米英系のシェアのついたのが大体八〇%から八五%、あとの一五%くらいしか自由にできない。われわれはそういうようなひもつきといいますか、シェアを少なくしていく、こういう面からソ連の石油をもっと入れるべきじゃないかという考え方を持っているのですが、石油の問題等についてどういうような話が出ましたか。あるいはまたどういうようなことを見て参られましたか、一つ伺いたいと思います。
  41. 河合良成

    河合参考人 石油の問題は、買うものの方の説明もしなくてはならぬものですから、こういう事情だということを石油、鉄その他について述べた。石油はこう申しました。今、日本は不景気のために石油はちょっと輸入が多過ぎて困っておるくらいのところだ。ことに日本資本を投下しているアラビア石油をやはり一千万トンまで入れなくちゃならぬから、もう四百万トンくらいは来年はふえるだろう、それだから来年はソビエトの石油はあまりふえぬだろう、現状維持くらいじゃないか、これは見込みですよ。しかし十月から貿易が自由化するから、実際の運用はどうなってくるかわからぬ。それが一つ。それから先の問題については、アラビア石油が入ると英米系、日本資本系、それからソビエト系と三つの石油になるんだ、そこでおのずからそこに何か割合が出てくるだろう。その割合が永久に続くかどうか、それはわからぬけれども、まあまあ日本は年に五百万トンくらいふえていくんだから、そうすればあなたの方の石油もやはりそれから以後に自然にふえていく傾向になるだろう、それだけのことを言ったのです。どうもそれより言いようがない。
  42. 田中武夫

    ○田中(武)委員 一緒に行かれた中にエネルギー関係の方はおられたわけですか。——それではしょうがない。  それで、先ほど久保田委員等の御質問に対しまして、ぷらっと行ってぷらっと帰ってきたんだ、あくまでも商売人として行ったのだから、こういうことなんですが、しかしやっぱし、政経分離を向こうははっきり言っておるけれども、それにこだわっておるのはむしろ日本ではないかと私は思うのです。そこで、ことに河合参考人のごときは相当与党内にも話ができる人もあろうと思うのです。ただ行って見て帰ってきた、見たままを言うだけだ、こういうことでなくて、それが有望なものである、あるいは日本経済の発展のために必要だ、こういうことならもっと積極的に——われわれもやります。われわれもやりますが、積極的に何らか政府その他に呼びかけるというような御意思はないでしょうか。
  43. 河合良成

    河合参考人 激励を賜わってけっこうなんですけれども、私もだいぶ年がいきましたし、報告するだけで任務は一たん終わった、国民なり社会に現状を報告することで、あとのことはまたあと考えます。
  44. 田中武夫

    ○田中(武)委員 松原さんどうですか。
  45. 松原與三松

    松原参考人 私は最初から申し上げておるように、純粋の財界人としての商取引で今回の問題は処理して参ったわけであります。しかし、基本的には、輸出を振興するにはやはり政府においてもそれに十分な施策をしていただくということを、今後とも強く要望する考えでございます。
  46. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほど首藤委員質問の中にも出てきておりましたが、皆さんが行ってソ連を見て帰られた、それでいろいろな談話が出た、こういうようなことでアメリカ筋といいますか、ワシントンあたりではある程度感情化したようなところがあるようなニュースも伝えられておるわけです。感情化するということは向こうの勝手なのだが、それを何らかの手でほぐすと同時に、やはり政経分離だということで、私はせっかく見て帰られたのですから、お年寄りだといったってまだまだ大したものですよ、従って見てきただけでなしに、見てきていいと思うならどんどん積極的な働きかけをやってもらいたい、こういう希望を申し上げておきます。  それから実は参考人の方と同時に、通産大臣に一緒に来てもらって参考人意見も聞きながら、通産大臣の今後の通商の方針、そういうことを聞きたいと思っておったのでありますが、実は参議院の審議あるいは石炭問題等で参考人と同席してもらうことのできなかったことを遺憾に思います。そこで通商局長はきょうの参考人意見、こういうことを十分大臣に伝えていただいて、私はむしろ参考人の方には見てきたままをみなに話されて、それだけでなく、進んで道が開けるように、ことに松原参考人は将来有望なマーケットである、こう申されておるのですから、日本経済発展のためにどんどんと積極的な、たとえばある筋に対して遠慮することなくやってもらいたいということを希望すると同時に、通商局長もこういった話の内容等を十分大臣に伝えて、そうしてわれわれと道を開いていきたい、こう考えます。従ってきょうはこの程度にいたしまして、あらためて通産大臣に、ソ連貿易の問題を取り上げて、通産大臣の見解を聞く機会をあとに置きたい、こういうふうに思います。
  47. 逢澤寛

    逢澤委員長 以上をもちまして本日の委員会を終わるのでありますが、参考人の御両君には、御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、資するところきわめて大なるものがあったと存じます。委員会代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)  次会は明三十一日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会