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八木(一)
委員 一生懸命やっておって下さるそうですから……。私は違うところで池田さんに猛烈な批判を持っております。しかし現在の日本の
総理大臣ですから、
国民のためにあたたかい
総理大臣であってほしいわけです。政党の競争は別としまして、現在の
国民のために池田さんがそういう人物であることを私は期待しています。ところが池田さんも人間で能力に限りがありますから、すべての問題はわからない。
厚生省はこのような
決意であるということを強く披瀝して十分に
説明されたならば、池田さんがかりにあたたかい政治家であって、有能な政治家であったらわかる。そういう気になるはずです。それをやらせないのであれば、これは
厚生省の
努力が足りないということになる。その点でどんなことがあろうとも、
厚生省が池田勇人氏を理解させて、前向きに、より以上にやろうという
気持に持っていく。
大蔵大臣も持っていくというふうにしていただきたいと思います。
時間が制約されておりますかりほかに参ります。今
生活保護のうちの大事なことの一部のみを申し上げました。そのほかに、不服申し立て機関というものが必要であります。これは今
厚生省が
生活保護の
予算をしばる、地方
行政団体もそういうようなまずい
やり方をする。それで
ほんとうは、対象者から見たらこれくらいもらえると思っているのに、収入の認定をしたりいろいろなことをして、実際にもらえると思っている金額がもらえないことがある。それはもちろん対象者の思い違いもあるけれ
ども、その中には、
役所の方が非常にそういうような
予算の
ワクから
考えた意地の悪い、無理やりにこじつけて、出せるものも出せなくしたような事例もあるわけです。そういうものに対して
国民は泣き寝入りであります。特に
生活保護対象者はそうです。そういうことをちゃんとやるために、不服申し立て機関をつくるということは絶対に即時必要であります。こういうことも
改正案に即時盛って入れていただきたいと思います。どういうような構成でいいかということについては私
ども具体案を持っておりますが、他日または臨時
国会が終わりましたならば、御必要だったらいつでも私
どもの
考え方を申し上げます。そういうことであります。
それからそのほかに扶養義務の点であります。扶養義務が追及されるので非常にまずいわけであります。北海道に兄さんがいる。だからそっちに先に養ってもらってからにしろ、九州に弟がいるというようなことが行なわれている。実際に対象者については、あたたかい配慮をやっておられるところもあれば、非常にあたたかくない、冷たい配慮をやっておられるところもあります。これは役人々々の個性にもよりますし、それからそのときどきの
社会局の締めつけ方、あるいはゆるめ方、それにもよろうと思いますが、そういうことがある。非常に冷たいところがかなりあるわけです。そういうことでこれが実態に合わないわけであります。たとえば片方が急に病気になって扶養を受けられる、それは扶養義務者として二等親でございますから、今の
法律上でいくと、その片一方もぎりぎりの
生活をしてやっているときに、人情は厚くてもいきなり
生活を切りかえて、そっちに金を持ってくれということは、なかなか実際上できないことであります。ですから先方の方は困る。そういう困ったときには大丈夫なようにしてありますとおっしゃるかもしれませんけれ
ども、実際にそれを問い合わせたり、そういうことをごちゃごちゃしてからでなければ適用しない。実際に負担能力がなくても、あるはずだ、それだけ出させろ、それまではしないということが行なわれておるわけであります。こういうことは非常にいけないことでございまして、扶養義務というものは、これは夫婦と未成熟の子と親との間、それだけに限るべきだと思います。扶養義務について今やっておりますが、そういう点について先ほどの単位の問題とも関連があるわけでございますが、現状非常にそぐわないものがあるので直すような
生活保護法の
改正案を出していただきたいと思います。まだまだございますが、以上の主要点を加えて、さらにこれから申し上げますようなことを加えた
生活保護法の
改正案をお出しになるという
気持で前向きに検討されて、
厚生大臣のお
気持としては出されるというような先ほどの御
決意を伺いましたので私
どもは見守っておりまするし、さらにその具体的な計画がいつ固まったかということを随時々々、毎月の休会中の審査でお伺いいたしますので、特に急速にこの案を固めていただきたいと思うわけであります。
生活保護だけで時間がつぶれましたが、
制度審議会の
答申、
勧告はいろいろな点について申しております。たとえば年金
制度についてても、医療保障についても、あるいは
社会福祉についても、公衆衛生についても、すべての点についても改善されなければならないことが非常にたくさん言われておるわけであります。その点で、
国民年金法の
改正、厚生年金保険法の
改正、その他
国民健康保険法の
改正等、それから健康保険法の
改正というようなことがすべて必要になってくるわけであります。そして、ことに年金の問題について少しく申し上げてみたいと思いますが、
国民年金法が
昭和三十四年に
審議をされましたときに、徹底的に
論議をされまして、その
内容がありとあらゆる点で不十分であるということを時の
厚生大臣坂田道太君ははっきりと認められました。時の
総理大臣岸信介君も認められたわけであります。ただし、とにかく最初であります。最初であるから、とにかく不十分過ぎるほど不十分であるけれ
どもこれを発足さしてもらいたいということをで、あれが発足を見たわけであります。私
どもは、あまりに不十分であり、またその組み立ての中にあまりに
社会保障の精神に相反した間違った点がございますので、わが党の完全なる法案をもって、それをよしとして対決をいたしました。われわれの反対にもかかわらず、多数決でこの不十分、不合理な
法律が通ったわけであります。不合理な点は多々あります。不十分な点がございますけれ
ども、しかしながら、たとえば福祉年金等におきましては、その対象者は喜んでおります。喜んでおりますけれ
ども、まことに不十分であります。その不十分な点を直すべきことが、もう毎年々々直すと言われておりますけれ
ども、直す点については非常にまだ不十分だったわけであります。それは歴代の
厚生大臣、歴代の
総理大臣が、できるだけ早く直すということを言っておられるわけでございます。それが非常にちょっとしか果たされておらない、少しずつ直っておるという時期であります。今回は、今までたまったものを大幅に前向きな前進を遂げなければならないときでございます。その問題点はたくさんございますが、端的に一、二点だけ申し上げますと、福祉年金の金額、この金額については開始以来一回もいじられておりません。年寄りについては年一万二千円、月千円、しかも老夫婦そろっているときには値切られて、二割五分減ということになっております。それから母子福祉年金、また準母子福祉年金について、それに見合うべき児童手当、これは
ほんとうの児童手当でなしに、生別母子世帯をおもな対象にしたものでございますが、そういうものについては、母子年金については千円を単位として扶養加算が途中で幾分ふえましたけれ
ども、基本金額はふえておりません。障害については一級障害、特に外科的な外から見えるような障害については、月千五百円という低水準でございます。千円とか千五百円というようなものは
ほんとうのつまみ金である。
ほんとうの
社会保障の
意味を持っているおるものが具体的にそれほど役に立たないということは、
厚生大臣、実感からおわかりだろうと思います。私
どもは倹約をいたしております。
厚生大臣はわれわれよりいい
生活をいたしておられると思いますが、倹約している、私
どもですら千円という金額はまたたく間です。知らず知らずの間に飛んでしまう金であります。そういうようなことで、これは大幅に今回は変える時期に達しております。すべて変えなければならないことでございますが、日本政府の低いベースでは、ほかのことをいじくって、この金額が置き去りに今までされてきました。しかもその間には物価が高騰しました。物価の高騰分は絶対に引き上げないと、実質的に給付は減ってくるわけでありますが、そんなことではならないわけであります。物価高ということを
大蔵省は言いかねないので、
厚生大臣は腹の中によくたたき込んでおいていただきたいのは、最初から千円では少ないのです。最初から三千円、四千円にならなければならぬ。そういう
努力をすることを政府は誓ってやってもらいたい。ほかのところをいじくり回してとめ置かれていたが、いよいよ今度はその金額が変わらなければならない時期に達しているわけであります。
厚生省もそう
考えていることでございますから、この金額を大幅に引き上げる、そういう時期に達しておりますので、
年金局長に厳重な督励をして、そのような大幅引き上げのための案を至急つくらせて、強力な
要求をさせるという
決意を固ためていただかなければならないと思います。金額だけではございません。福祉年金の中の中枢である老齢福祉年金の場合には、七十才からしか開始されておりません。今の
国民の平均年令は六十七才です。ですから、その前に死ぬ方がずいぶん多い。残念ながら非常に政府の施策よろしきを得ないために、苦労をしてきた
国民の人々、そういう人々は早く老衰をする、残念ながら寿命がほかの人よりも短い。でございますから、年金に不可避的な欠点でございますけれ
ども、しあわせな人の方にそういうものが回ってしまうという、その欠点があるわけであります。それを最小限度にするためにも、現在の
ほんとうに恵まれなかった年寄りの人々に対処するためにも、この七十の開始年令は断じて下げなければなりません。これを同時にやらなければ、金額だけ上げたのでは、
厚生大臣は年金については何もしなかったということになろうと思う。金額の方は上げる大勢にあって、上げなければならない時期にございますから上げるのはあたりまえ、これを完全にしていただければ、
厚生大臣は年金について
努力していただいたということになりますが、それとともに、年令を下げるということが必要であります。
それから所得
制限についても、いろいろな点で緩和しなければならない点があります。特に年寄りが二人いるときは二割五分削減とか、所得
制限というもの中の配偶者所得
制限というような問題については、断じて即時これを取り去らなければならない問題であります。時間がありませんから
説明はしませんけれ
ども、
厚生大臣、御自分で全部御理解でございますからよろしゅうございますが、そうでなければ、
山本君に即時今名前だけ申し上げましたから、その点について御
研究を願いたいと思います。それから配偶者所得の
制限というようなつまらぬものは、即時撤廃をしなければならぬ。それから障害者については、一級、二級、三級というようなことが普通いわれておりますが、一級障害しか対処がされておりません。政府の年金は、年金の主体は老令ですから、年令が一番多くなって一番
論議の中心点になりますけれ
ども、
社会保障の精神からいえば、障害、母子の方が先になります。両手両足がない人、片手片足がない人、そういう
人たちは、自分が暮らすほかに子供を養わなければならない。また二十にして両足がなくなったら、自分の生涯が続く限り、その状態で過ごさなければならない。そういうことを
考えると、親孝行むすこさんを持っている老人よりは、はるかに所得保障の必要があるわけです。対象者が少ない、対象の
団体が力がないということのために、これが置き去りにされております。上級障害でも三級障害でも年金をつけなければなりません。一級障害の千五百円なんか問題になりません。直ちに五千円か七千円くらいに上げる必要がございます。ことに外から見た障害だけで、肺が半分なくなったとか心臓がどうしたとか、そういうような内科障害が、労働能力、所得能力から見て外の障害と同じ程度に悪いということがわかっているのに、それについては、一切、一級であろうと一文も支給をしない。そのような間違ったことが行なわれておる。
年金局長が何を言おうと、これは間違いであります。
山本君は熱心でありますから、それは間違いという
意見具申をするだろうと思いますが、
厚生大臣は、もしそんなことは必要ないということを
山本君が言いましたならば、そのような不適任な
局長はすぐ解職をしていただきたい。
そういうことで、年金について
国民年金法案の大幅な一すべての点にまだありますよ。たとえば国庫負担だけでは足りない。免除者に対しては国がすべての保険料については充填をして、保険料を支払う能力のない人が年をとったときに特に年金が必要であるという現象を十分に把握をされて、そういう
人たちの年金が、ほかの払える
人たちと同じようでなければならない。少なくとも同額でなければならない。そのような
社会保障の基本原則、ここにもそういうことが書いてあります。よく御勉強になって、
社会保障というようなものとは違う、必要な人に必要なものがいくのだ、負担の方は能力のある者は負担して、能力のない者は負担させるべきでないということがちゃんと書いてある。そういうことをよく読まれて、そういう方向に年金を変えていくということのために、
国民年金法の抜本的な
改正案を出される必要がございます。なまいきな話でございますが、その完全な手本はわれわれが用意をしております。事務的な必要はございません。それをお読みになったらそのままお出し下さってけっこうです。そこまで一〇〇%いったら、九八だけやるというのならその点だけを御
研究になったらよろしい。そういうことであります。でございますから、来
国会に
国民年金法の
改正案を出される。
それからもう一つ、厚生年金保険については、改法案を出さなければならない時期に達しているわけであります。これについては、この
答申の中に一番大事なことが書いてある。この年金額をぐっと上げなければならないということと、定額
部分をふやさなければならないということと、上げた場合に、昔損をした今支給をされている人々の分も上げる、その分の原資は国家が絶対全額持たなければならないということが書いてあります。これは絶対にやらなければならないことにしてあります。これをちょっとでも曲げることは、民主的な
審議会や
国民の世論をじゅうりんし、
社会保障の精神をじゅうりんすることになります。これは絶対にいかぬ。厚生年金保険法や
国民年金法の
改正案を来
国会に必ず出される、そのことの御
決意を示していただきたいと思うのであります。