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1962-09-04 第41回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年九月四日(火曜日)    午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君    井原 岸高君       金丸  信君    正示啓次郎君       砂原  格君    丹羽喬四郎君       服部 安司君    八木 徹雄君       山口 好一君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    佐野 憲治君       實川 清之君    西村 力弥君       三宅 正一君    田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  委員外出席者         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (住宅局長)  関盛 吉雄君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     挾間  茂君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 九月四日  委員實川清之辞任につき、その補欠として西  村力弥君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村力弥辞任につき、その補欠として實  川清之君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件      ————◇—————
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  都市計画に関する件、河川に関する件、道路に関する件及び住宅に関する件について調査を進めます。  なお、住宅に関する件調査のため、日本住宅公団総裁挾間茂君を参考人として招致し、意見を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  質疑の通告があります。順次これを許します。三宅正一君。
  4. 三宅正一

    三宅委員 昨日建設委員会は定刻十時から待っておりました。何らの通知なしに十時過ぎまで大臣が来られませんので、ついに散会するという事態になったわけでありますが、私どもとしては大臣が忙しいことはよくわかっておりますので、たとえばおくれるならば、どういう理由でおくれるとか、何時からなら都合がいいとか、その辺のことについて昨日も、補佐する建設省当局委員長に対しましても、私どもは注文をつけたのでありますが、せっかくいろいろの経験を持っておる大臣が、こういうことで国会と対立したり反感を持ったりしたのでは問題にならぬと思いますので、今後こういう点については気をつけていただきたいと考える次第であります。  本日私は、建設行政のうち東京の問題を中心にし、それに関連いたしまして土地政策道路政策の三点について大局的な質問を大臣にいたしたいと考えるのであります。  今、日本の国におきまして、都市過大膨張をどう抑制するかということが非常に大きな問題となっておりますが、その中におきましても、東京の問題は実に重大でございます。私はこの間大阪を調べましてびっくりしたのでありますが、大阪が戦後戦争中に減りました人口が戦前に戻りましたのが、ようやく二、三年前であります。しかるに東京都は、昭和二十年に三百四十八万人に減りました人口が、今や一千万を突破するという状態になっておりまして、東京過大化という問題は、その他の過大都市の問題よりも切り離して大きく考えなければならぬ問題だと存ずるのであります。特にこの間は三宅島に爆発が起きたのでありますが、私どもはしろうとでありますけれども、歴史の教訓から見まして、ちょうど幕末の安政時代東京大震災が起きておるのであります。そうして私どもが早稲田大学を河野君と一緒に出ました大正十二年に関東大震災が起きておるのであります。大体五、六十年を週期にいたしまして経験的には起きておるのでありまして、学者などにおきましても震災津波の問題については非常に心配をいたしておるのであります。問題が人心に大きな影響を及ぼしますので、それに表面立って大きな話をいたしますことがいいか悪いかは別問題といたしまして、今のような状態のままにおきまして、もし関東大震災に匹敵するような大震災が起きて、津波でも出ましたならば大へんなことだろうと思うのであります。新聞によりますと、この間大臣江東地区地盤沈下をしておるゼロ・メートル地帯を見られまして、もっと津波や高潮に対する対策を早くやらなければいかぬという督励をされたようでございますが、三河島の問題等を見ましても、一分か二分で両方から電車が来る、そうして余分の土地はないという状態のもとに——関東大震災のときでも、震災から逃げていきますのには、線路伝いにずっと逃げていったのでありますが、今度災害がもし起きましたならば大へんなことになると思うのであります。私どもは、学問、科学の進歩は、かりに震災を防ぐことができなくても、同じ規模においてもこの前よりは災害が少ないということでなければならないのが、政治の怠慢と申しますか、今日東京をこういう野放図な大きさにいたしまして、どうにもこうにもならぬようになっておると思うのであります。この辺で抜本的な対策を立てなければならぬと考えるのでありますが、まずこの点について大臣の御所見を承りたいと存じます。
  5. 河野一郎

    河野国務大臣 お話通り、私も憂慮にたえない問題であると考えております。
  6. 三宅正一

    三宅委員 東京過大都市の弊害というものは、私は幾つもの点があると思いますが、みんなこれはのみ込んでおることでありますから、あげつらって指摘をたくさんいたしませんけれども、二、三の点について申し上げましても、たとえば交通だけでもどうするか。今日自動車の台数はもう五十万台、もうしばらくで百万台になりますが、オリンピックを前にいたしましていろいろの工事をやっておられます。その単価というものはべらぼうに高いものになってきて、一メートル百数十万円という計算であり、地下鉄にしても、高速道路にいたしましても、あるいは中央線複々線化高架鉄道化にいたしましても、一キロ十六億、十七億、十八億、二十億というようなむちゃくちゃな金がかかりまして、しかもこれができたときには、私どもの見通しでは、今のままでいきますれば人口はますますふえてくるという状態になって、先行手段であるべきこういう社会投資が、しりぬぐいに使われておるという状態だと思うのであります。調べてみますと、公共事業費というものは最近非常にふえてきたのでありますが、東京だけではない、ベルト地帯も含んだいわゆる過大都市中心にする表日本に使っておる。しかも先行投資という建前でなしに、実際においてはしりぬぐいに使われておりますところのこの公共事業費というものが、公共事業費総額の七割である。従いまして、おくれておる地方はいつまでたっても直らない。それでも五年間なら五年間東京のために思い切った公共投資をすれば、そこでもうあと投資というものは、ほとんど必要がなくなってきて、それでいなかに回せるというならば、日本の一部分でありますから私ども考えます。けれども、今申しましたように、やればやっただけかえって人を吸引するという格好になって、しりぬぐいのために公共事業費の七、八割がいつまでも使われてしまって、しかもその結果過大都市となり、経済的にも文化的にもいわゆる格差がますますひどくなるという状態に対しましては、この辺で抜本的な措置を考えなければならぬことは申すまでもないところだと思いますが、これについて何らかのお考えがございましたら承りたいと存じます。
  7. 河野一郎

    河野国務大臣 大方の諸君も同様の立場に立っておられようと思うのであります。従って、首都圏整備委員会等におきまして将来の構想を十分練って、抜本的にこれが対策を今検討中であります。私といたしましては、かねて申し上げております通りに、一応全国的規模全国的視野におきまして道路計画水防計画等を立てると同時に、当面緊急施策と併用してやって参るという所存でございます。
  8. 三宅正一

    三宅委員 私は、言えばそういうことになるかもしらぬと思うのでありますが、その程度施策をもってしては、ほんとうにどうにもこうにもならぬ悪循環を繰り返すだけではないかと思うのであります。たとえば国の予算関係におきましてもそうむちゃくちゃにふえるものではない。重点的にやるといいましても、これがかえって人口をふやすような結果になる。首都圏整備委員会だとか、最近におきまして東京都の企画室が十年あと東京青写真を出しておりますけれども一つは千二百万という人口を見ておりますが、今のままのやり方をして流れほんとうに変えなければ、私どもは千二百万なんということではおさまらぬと思うのであります。そうして金も今の総予算の倍以上のものを事業費に使うことにたっておりますけれども、それがしりぬぐいで先行手段にならぬということであっては、ほんとうに問題にならぬと思うのであります。この辺でもっと抜本的な対策というものを東京について考えなければならないと思うのであります。特に私は、交通の混雑だとか公害だとかいうことだけではなしに、非常に大きな問題として青少年東京における将来について本気に考えなければならぬと思うのであります。私は去年もことしも小学校一、二年の孫でありますが、これをいなかのお寺へ預けたのであります。ともかく東京に置きますれば、外へ出せば交通事故であぶない。統計によれば、大臣よく御存じだろうと思いますけれども、三十五歳以下の若者の死亡率は、病気で死ぬよりは交通事故で死ぬ方が多いという状態であって、交通戦争という表現をジャーナリズムは使っておりますが、交通戦争戦死者交通事故戦死者は、日清戦争戦死者よりもふえましたなんという話が出ておるという状況であります。それでは外へ出して遊べぬからといって、住宅難の今日でありますから、特に庶民の階級において、うちの中だって遊んでおるところがない。従いまして、外へは出せない。テレビなど見せてうちの中にすくませておく。あばれ盛りの、泥んこになって、そうして大地を飛んで歩いて、ドジョウをとって日光の下でまっ黒になって、そうして困難に立ち向かって喜んでいく青年を作らなければならぬときに、東京子供は日陰のモヤシと同じことで、背だけ長くなっちゃって、そうして小学生睡眠剤を飲まなければ寝れない、そういう小学生がたくさんおりますことは、これは私はほんとうに実に憂慮すべき段階だと思うのであります。人間づくりということを盛んに言っておられますけれども学校だけ幾らできたって、そういう骨の細い青少年人口のうち何割を占めるというような状態におきまして、どうにもこうにもならぬと私は信ずるのであります。池田さんが盛んに人づくりということを言っておられますが、その人づくりの根本は、骨の太い、そうして困難に向かって喜んで立ち向かうところの、そういうたくましい青少年をつくっていかなければならぬのであって、たとえば東京子供などは、国が相当な補助をいたしましていなかへ夏だけは預けて、そうしてその太陽と大地の上を飛んで歩くというような施策もやらなければならぬ。これはこれとしてやらなければならぬことでありますが、そういう一点から考えてみましても、大へんなことだと思うのでございます。  この間も隅田川で亜硫酸ガスが出てきて、それが丸の内へきて、宮城の松が枯れるという状態。私の友人がこの間軽井沢からビニールに空気を詰めて持って参りまして、それを丸の内で開いてうまいなと言った。そういう空気が売りものになるというような状態というのは、ほんとうに私は考えなければならない、アンバランスに成長いたしました近代文明の悲劇がここにあると思うのでありまして、こういう点について、今までの大臣の御答弁の範囲ではしようがない。首都圏整備委員会とか東京都とか、実にそういう点について抜本的な施策というものはまだ出ておらないと私は思うのでありますが、その点について大臣の御所見を承りたいのであります。
  9. 河野一郎

    河野国務大臣 実は、私も同様の考えを持ちますが、就任早々でございまして、いずれそういう面について何とかできればしたいものだと思っております。憂いは同じでございます。
  10. 三宅正一

    三宅委員 私が特にきょう大臣に質問いたしますのは、国務大臣として、お互いに国を憂うる者として、ほんとう一つ抜本的な対策というものを考えなければならぬと思いますから申し上げておるのでございます。  そこで私は、東京がこういうむちゃくちゃな膨張を遂げておるのは、これまただれ人も常識でありますから当然でございますが、経済的にも東京は実にいいところでありまして、それだけだって伸びる要素を持っておる。そこへ持ってきて、日本のような、県庁から市町村までが陳情しなければならぬ、もうすべて陳情だという今日の集権的な政治組織のもとにおきまして、首都がここにあるという、その政府機関がここにあるということが二つの吸引力となりまして、むちゃくちゃに大きくなっておると思うのであります。今日首都圏整備委員会等におきましても、川島君なども非常に御熱心で、東京に置かなくてもいい官庁一つよそへ移そうじゃないか、それで三十万人ぐらい人口をそっちへ持っていこうじゃないかという案を出しておられますけれども、その程度の案でどうするかということであります。年に三十万くらい人口がふえておりまするときに、そんなことをやったって問題にならない。ここでほんとに東京過大都市化流れを亡きとめまする抜本的な施策というものは、私は遷都だろうと思うのであります。しかし、非常に強い政治力を持っておりましたって、なかなか都を移すなんていうことができるわけのものではないので、私どもは実は、社会党といたしましても、広域首都建設調査会法案というものを国会へ出しまして、この問題は超党派でやらなければならぬということでもって、建設委員の自民党の同僚、民社党の同僚諸君にも御了解を得つつあるのでございまして、私はやはりこの機会一つ遷都ということの衝撃的な印象のために無用な摩擦を起こすことも避け、そうして東京過大化も防ぎまするためには、少なくとも百キロ離れたところへ政治機関だけは移さなければだめだと考えておるのであります。今われわれはその意味で、たとえば国土地理院などについても、東京近所で百キロぐらいのところで、政治機関を移す適当なところはどこどこだろうかというようなことも実は調査をいたしておるのでありますが、国土地理院などの考えにおきましても、山梨、神奈川、静岡、三県にまたがる富士すそ野へ移すということが一つの案であります。もう一つは、赤城山の近所国土地理院一つの場所だろうと言っております。もう一つは、茨城県の丘陵地帯と申しますか、その地帯がよろしいだろうと言っておるのでありますが、私は、この機会一つ東京都民には、東京広域首都として機能を回復するのだという感覚で、無益な反対運動だとか衝撃を与えずして、しかも東京自体が生き返るというためには、百キロぐらい離れたところへ政治機関を移すという構想を本格的に考えなければならぬ段階ではないかと考えておるのであります。われわれは、現在においては富士すそ野が一番いいと思っております。それは、御承知通り国有地県有地公有地が非常に多いということが一つ、それから火山の爆発でできた溶岩地帯でありますから地盤が強固であるだけでなしに、耕作に適しませんから畑などになっておらぬ地帯が非常に多いということであります。そうして、御承知通り東海道の超特急が横を通る。それから東海道高速自動車道が横を通る。それから富士吉田までは中央自動車道が行く。これにさらに地下鉄でもつけますれば、あそこから四十分か五十分で都心に入れる。今日交通の非常に混雑するところ、私が今住んでいる吉祥寺から自動車で来ましてもここまで一時間もかかるという状態のときに、三、四十分で来れる。そうしてそこへ政治機関だけ、国会及び政府機関、それからできまするならばそれに関連して学校などを移しまするならば、これは二、三百万の人口東京から減ります。そうなればあと東京改造というものは非常に楽なものになると私は考えるのでございまして、そいう点からいたしましても、一つこの辺で、都民の無用な衝撃を防ぎながら、しかも東京自体も生き返るという構想のもとにおいては、三十万ばかしの官庁東京で要らぬ官庁だけ移すというような、そういう政策でなくして、一つこういうことを本格的に考えるべき段階ではないかと存じておるのでありますが、この点について大臣の御所見を承りたい。
  11. 河野一郎

    河野国務大臣 御無礼な申しようでございますけれども、だれも考えることはそう違わないことでございまして、皆さんそういうことをおっしゃいます。私も実はああでもなかろう、こうでもなかろうと考えたことはございます。現に総理からも一つの命令を受けて、せっかく調査中の問題も実は私としてはあります。これは発表いたしますと、実は非常に事業の進捗に支障を来たす場合が多いと考えます。従って、今現に事務当局をして調査立案中の問題も実はあるわけでございます。いずれにしましても、よほど世論が支持していただきませんと——これこそしかられるかもしれませんが、たとえば私は先年農林省を八分割して地方へ出すと言ったら、非常に社会党さんからしかられまして、いまだにその法案が宙に迷っております。建設省にいたしましても、私はことしの冬の国会には、ぜひ建設省をもう少し地方へ分散して、地方建設局をもっと拡充する必要があるだろう、こう考えております。そんなくだらぬことぐらいで何だとおっしゃられるかもしれませんが、やらぬよりはいいのでございまして、一ぺんにといいますと住宅の問題その他、なかなかできません。従って徐々に主流が出て参りますと、ほかのものは自然とそれについてくるようにもなると存じます。ただこの機会にしいて申し上げさしていただきますならば、一昨日でございますが、私は東京都の関係機関懇談会をいたしましたが、東京都というものはもうちょっと奮発していただきませんと、何をお話しいたしましても、大き過ぎるせいか、受け答えがなさ過ぎる。たとえば水道の問題一つを持ち出しましても、これは一体政府の問題なのか東京都の問題なのか、一体何とお考えになっていらっしゃるかわからぬような状態でございます。そして農林、建設省の間に意見の不一致があって利根川の水系がきまるとかきまらぬとかいっていらっしゃいますけれども、そうじゃないのです。こういうふうに、今三宅さんからお話しのような抜本的な大問題をここで取り上げていこうということになりますと、私は、東京都そのものを本質的にどうするかということの方が先じゃなかろうか。それからまた日本全体の行政区画というものは、一体今の行政区画でいいか悪いかというようなものはどうだろうか。ただ、分けるといいましても、そう取って分けるようなわけには参りませんので、やはり将来の日本地方行政あり方はどうあるべきかということもあわせて持っていなければいかぬのじゃなかろうかというふうにも考えられますし、そうなりますと、建設行政というものとの関係がどうあるかということにもなりますし、よく御趣旨のことは閣議にも申し添えまして、十分勉強するようにいたしたいと思います。
  12. 三宅正一

    三宅委員 今秘密に考えておられるというようなことをここで無理に問いただすことは、かえって失礼でありますから問いただしませんけれども、私は、やはり官庁機構をどうするかとか東京都のあり方をどうするかということも、非常に大きな問題だと思いますけれども、やはり東京がここまで大きくなってきたということは、経済都市としての非常な優位を持っておるとともに、政治中心であったということでありまして、しかも河野君なんか経験ある政治家として、これを北海道に持っていくとか、そんなことを言ったらそれはまた大騒ぎになりますけれども、実は東京広域首都として再編成するんだという形でありますならば、世論ももちろん支持することと思うのであります。先般も実は川島君にここに来ていただきまして——前の内閣の改造前のときでありますが、われわれとしては、どちらにしてもそういう気がまえを持った調査会一つ作る必要があろうと思う、これだけでもやらぬか、実力大臣がこまかいことだけ考えておったってしようがないのであって、抜本的なことを三つ四つ、やはり蛮勇をふるわなければ、これだけ行き詰まってしまったものがどうにもならぬからという話をいたしたのでありますが、たとえば今度東京都の企画室が出しております青写真を見ましても、十年で千二百万に押えるという。今のままだったら人口は十年後千二百万でおさまるものじゃないと思うのです。それから三兆五千億という事業費を予定しておるけれども地価の暴騰だとかいろいろなことについて手を打たずにおいて、物価は一割しか上がらないときに地価は三年で倍になるというやり方をそのままにして、問題は解決しやしないと思うのでありまして、この機会に私は、ワシントンとニューヨークではないけれども高速交通機関を使えば三、四十分で都心に来られる地帯に、静かで清潔で、そこにはもう路面電車もないし電柱も地下へ入っている、そして料理屋どもない、ほんとに静かで、政治一本でやれるようなものを今から計画してやりますれば、何でもないことだと思うのであります。富士すそ野は、河野君もよく御存じ通り一つの難点は、富士山のふもとでありまして、また爆発しはしないかということもありまして、そういう点も考えなければいけませんけれども公有地が非常に多いということは、かりに政府機関関係において二百万の都市を想定するといたしましても、土地はうんとありまして非常に有利な条件を持っておると思うのであります。東京改造するよりもずっと安い。先ほど話しました通り、国鉄、高速道路地下鉄、あれだけ込んでおっても、建設費が高いからもっと運賃を上げなければやれないというような状態から見まして、私は費用としてもずっと安いと考えるのでありまして、河野君がせっかく建設大臣になられたのでありますから抜本的に——こういう大きな問題は、必要だからといって調査せずにできるわけではないからして、きっと忙しくてまだ見ておられないと思いますので、あとから社会党のつくりました広域首都建設調査会法案関係資料もお届けいたしますから、一つ本格的にこういう点を考えていただいて、川島君は、首都圏整備委員会にその問題の調査特別機関をつくらせたらどうかと言っておりますが、各省に関係いたしますと相当の政治力がなければできはしませんから、一つこの点だけはあなたのここにおられた一つの仕事としてほんとう考えていただきたいと存ずるのであります。いかがですか。
  13. 河野一郎

    河野国務大臣 お話の点、とくと勉強いたしまして、なるべく結論を出すようにいたしたいと思います。
  14. 三宅正一

    三宅委員 これは大臣に解決していただきたい一つの問題です。  もう一つの問題は何であるかと申しますと、土地政策をこの機会一つ確立しなければだめだということであります。ともかく土地の値上がりというやつは一切の公共事業を停滞させております。この間、ちょうど欠席いたしましたが、大臣建設行政に関する御方針をプリントで拝見いたしますと、繰り越しがあったりして実に能率が悪いといっておられますが、私は見ておりますと、問題はやはり土地の問題が大部分だと思います。土地単価をきめておくと二、三年で倍にも三倍にもなってしまう。そういうことで公共事業費がむちゃくちゃに高くなってしまう。鉄道運賃も高くなる、高速道路自動車賃も高くなるという状態でもって、この辺で土地政策について根本的な施策考えなければならぬ段階が来ておると私は思うのであります。しかも一方で土地の買い占めをやってブローカーが横行する。不労所得の方がもうかるという状態であれば、まじめな勤労所得に生きる気分がなくなるという点においても、まじめに会社で勤めまして退職して二百万円もらった、それで家をつくりたいと思ったけれども、物価は退職するまでに、二十年の間にわずかしか上がらないのに、土地だけは五倍に上がっておって住宅などはできはしないというような状況のもとにおいて、しかも大臣もお気づきだろうと思いますけれども土地の信用でもって銀行が管理通貨で金を出す、土地の暴騰とそれを担保にして金を出すことによってインフレを促進しておるという状況でありまして、とても私は、住宅建設、道路建設、鉄道建設、公共事業全般にわたりましてこのままでは問題にならないと思うのであります。この点はあとから同僚からもう少し詳しくわれわれの方針等も申し上げまして大臣の御決意を促したいと思いますけれども政府がつくっておられる審議会等におきましても一つの答申が出ております。われわれの方も、これこれの手を打たれたらよかろうという方針書を出しておりまして、建設行政などについて一致のできることだったらわれわれも喜んで支持いたしまするので、この機会一つ土地政策を根本的に考えてもらう必要があると思うのであります。単に国有地を解放して住宅の敷地にするなどということで解決する問題じゃなくて、根本的に土地政策というものについて、もっと体系のある対策というものを立てなければいけない。これもまた抵抗もありますし、いろいろなことがありますから、相当実力がある勇気のある大臣でないとできやしませんので、一つこれについても道をつけてもらいたいということを期待をいたしまして、大臣所見を承りたいと存じます。
  15. 河野一郎

    河野国務大臣 私、建設大臣になりましてから日も浅いこともありますが、だんだんやって参りますと、今お話通り建設行政は敷地、用地買収、もしくは話をすることが八割までの仕事だということ等もよくわかるのでありますが、さればといって、これを建設省の仕事として今お話のような土地の問題を取り扱ってどう持っていくかということになりますと、各省との関係等も考慮しなければなりません。今ここで直ちに私申し上げることは少し行き過ぎではないかと思うのであります。従いまして、研究いたしまして御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  16. 三宅正一

    三宅委員 私も、土地政策全体について、たとえば土地基本法からそれに付属する土地増価税だとか、空閑地税だとか、あるいはまた国土の調査だとか、そうして利用区分の設定だとか、そういうようなことを建設省だけでもちろんできるとは思いません。しかし、私は国務大臣としての河野君に建設行政の隘路の一番大きなところがここにあるし、国の弊害の一番大きなところもここにあって、今までこれにメスを加えなかったところに、私は公共事業なんというものの停滞があると思うのでありまして、おそらく大臣ども何をぐずぐずしているのだと言って、工事の遅延について当事者をおしかりになるだろうと思うけれども、そのもとには土地の問題についての非常な大きな隘路があり、そして不合理性があるということはお気づきになっておると思うのでありまして、閣議等の問題にされまして、全体として解決をつけるようにしていただきたいと存ずるのであります。  これに関連して、第三の問題でございますが、それは道路政策に関する点であります。かりに東京首都広域首都ということで富士すそ野に移すといたしましても、経済的に有利な過大都市というものはこの辺で流れを変えさせなければ、むしろ縮小する方向にいくという、流れを一変させるという方向にいかなければ、解決つかぬと思うのであります。やはりそのもとは道路政策にあると私は信じます。この間も大臣が名神国道を視察されて、工事の仕上げを一つ年内にやれということで、非常な指示をされたことを私どもも愉快に存じておるのでありますが、名神国道を大臣ごらんになってお気づきになっただろうと思いますが、あの高速道路ができてインタチェンジができますと、滋賀県の区域だってうんと工場ができておると思うのでありまして、もう東京だって地価の問題があり、それから公害の問題があり、それから交通難の問題があり、住宅難の問題がありますから、流れを変えれば、私は今度は地方へ工場が移っていく段階にきておると思うのであります。流れを変えるという意味はどういうことが、この間東北開発会社の決算を拝見いたしますと、全部赤字であります。国が出しておる東北振興がもう二十五億近い赤字を出しておるので、何もかも赤字というのはおかしいじゃないか、去年はセメントが足らなかった。一時工事がストップするほどセメントが足らなかったから岩手でつくっておる東北開発会社のセメントだってあのときもうかったんだろう。かえって損をした。どうして損したかというと交通関係であります。船で積んでいったら原価を割ってえらい損をする、そして道路といったってまだできておらぬから損をするということで、私はそのときにみなと話をしたのでありますが、東北開発にただつかみ金で金を出して方々に工場を作らせたってだめだ。たとえば高速自動車道東京から仙台まで一本つける。三時間で行けるということになると、その沿線は宇都宮だろうが小山だろうが、高崎だろうがずっと工場ができる。それだけでなしに、すでに数十万の基礎を持ちましたところでありますならば、あるいは部品をつくらせるにしても何にしてもできますから、私はそういうところであるならば、道さえつけてやれば急速に大きくなると思うのであります。また新潟の関係にいたしましても、新潟−東京間の、われわれ関東自動車道という名前で主張しておりますが、三時間で行けるという高速自動車道ができて、雪のときでも無雪道路として動いておりますれば、新潟だけの町でありますならば、東京との関連さえついて参りますならば、私は急激に伸びると思う。そういう東京へ集まる流れ一つ逆に地方へ出るんだという、流れを一変するという政策をとらなければならない。そのためにはいろいろの政策もやっておりますけれども、その先行的なものとは道路政策にあると思うのでございまして、われわれ中央自動車道などについて早くやれということを言っておりますのもそれであります。特に縦貫自動車道というものは、北海道の稚内から九州の鹿児島まで、日本の脊梁山脈のこっちを通って肋骨道路をつけた。あれが将来の大計として、日本の立て直しの大計であると私ども信じておりますけれども、さしあたり必要なのは、むしろ肋骨道路、すなわち細長い日本を北海道から鹿児島まで脊梁山脈を通す前に、肋骨道路としてその狭い表日本と裏日本とをつなぐ道路を方々にずっとつくりますと、私はこれからは、今の東京だって大阪だって実際そこに工場をつくることの不利ということの条件の方がよけい出てきておるという現状におきまして、少し流れを変えさせる政策をとりますならば、そういうことも可能だと信ずるのでございまして、せっかく建設大臣になられたのでありますから、そういう点についても重点施策一つとしてほんとうにお考えを願いたいと思うのでありますが、御意見いかがでございましょう。
  17. 河野一郎

    河野国務大臣 お話通り地方の産業都市をいかに整備して参るか、または各地にそれぞれコンビナートをつくってどうするかという問題も、基本は道路関係にあると私は思う。従って、これから次に日本の開発がどの方面にいくかということも、道路をまずその方面に優先して道路政策をやっていくことが必要であるということは、お話通り考えます。今お話になりましたことはいずれも重要な問題で、私も傾聴いたしますが、ただ私はこういうことを独断で申し上げてどうかと思いますけれども、これからの日本のあるべき姿といたしましては、どうしても国際産業競争に勝ち抜くためには、産業立地ということを第一義に考えていく必要がある。日本の国内の開発はもちろん重要でございます。国内の開発は重要でございますが、その国内の格差を縮めるというような意味合いからするところの、地方産業都市の拡充はもちろん必要でございますが、それと相関連し、いずれはいずれといたしましても、国際産業に勝ち抜く立地がどこにあるかというところに重点を置くことが、相当重く考えられなければならぬのじゃなかろうかと私は思うのであります。その意味において最もすぐれておる場所は、瀬戸内海であると私は実はにらんでおるのでございます。瀬戸内海を一周するところの臨海道路をまず瀬戸内海につけまして、そしてこの瀬戸内海に橋を二、三本かけるということにして、ちょうど欧州大陸におけるライン川と同様に日本においては瀬戸内海をはさんで、その両岸に産業都市をつくることこそ、私はアジアの中心産業基地になり得る性格のものではなかろうかと思うのでありまして、これはどのいずれがどうかということは大方の専門家、学者等の意見も聞かなければならぬのでございますが、いずれにいたしましても、今三宅さんがお話のように、流れを変えると申しますか、東京都自体の問題につきましては、東京都をいかように整備して参るか、広域首都にして参るかということが一つの問題でありまして、さらに今申し上げますように、日本全体をながめて産業の分布、産業の発展の方向をどの方面に求めるかということが第一義の問題として大きく考えていかなければならぬ問題だろうと私も考えております。
  18. 三宅正一

    三宅委員 ほかの同僚の時間をあまりとっては悪いから、これで私は失礼いたしますが、私も瀬戸内海が産業立地として非常にいいということについては、そうだろうと思います。思いますけれども河野君などもEECを見てこられて、これからは経済の単位が一億以下じゃ仕事にならぬという話をしておられますが、国際競争力をつけますのでも、一億近い人口を持っておる日本の国内購買力というものをうんと上げなければ、国際競争力はつきはしない。それから過大都市を分散させるという意味においても、私はたとえば東京のことを申し上げましたけれども東京などの産業の流れを変えて地方へ出るようにするには、今申し上げましたような高速道路は非常に重要だと思いますので、十分お考えを願いたいと思います。  これで私の質問は終わります。
  19. 福永一臣

    福永委員長 岡本隆一君。
  20. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 先般の所信表明の中に、建設大臣は治水問題について、まず第一は抜本的な国土保全対策を推進したい、そのためには治水、利水の総合的観点に立って現行の治水事業十カ年計画に再検討を加える、こういうふうに軽く触れておられるにすぎないのでございます。ところが新聞を見ますと、その具体的な内容についてかなり詳しく記載されております。そこでその新聞の内容を見ますと、昭和三十五年十二月に閣議決定されましたところの治水十カ年計画の前期五カ年計画のうち、あと残っておる二年分の残事業、それに加えて残りの後期五カ年分の事業を加えて七カ年分を、五カ年間に繰り上げ実施する。そういうふうな御意向のように新聞には報道されておるのでございますが、そういうふうな理解でいいのでございましょうか。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 打ち割った話を申し上げます。  実は、初めそういうふうに所信表明に書いておいたのでございます。ところが私これをやりますときに、ただこんなことを言うても仕方がありませんので、大蔵大臣、大蔵省の事務当局に、こういうことをしゃべるがよろしいかと言うて見せたわけです。そうしたら今話し合い中の問題のものについては、数字はとっておいていただきとうございますということで、今の点を一応これから抜いたということでございます。しかし、私としては、今お話になりましたようなことをぜひ明年は予算を要求し、明年度予算には盛り込んで、そういった方向の基本を固めなければいけないと考えております。
  22. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういう基本的なお考えは、国民の側に立ちますと非常にけっこうなことでございますので、どんどん力強く推し進めていただきたいと思います。  そこでお尋ねいたしたいことは、この治水十カ年計画というものが、当時の閣議決定のあれによりますと、主要百河川についてその治水効果を上げていくためにというふうな形で打ち出されているのでございますが、大体それらについては、どれくらいの程度の治水効果が期待できるのか。この計画は投資額を決定したものでございますが、国民が期待しておるのは投資額よりも、その投資によってどれだけの治水効果が上がってくるか、このことの方が国民が大きく関心を持つ点であると思うのです。それについてはどういう。パーセントにおいて治水効果が上がるか、どういうふうなお考えに立っておられるのかお伺いしたいと思います。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 そういう話になりますと、質問していらっしゃる人よりも、まだ私の方が知識が少ないのでございまして、これは事務当局から御説明させることにいたします。
  24. 山内一郎

    ○山内説明員 ただいま新しい五カ年計画について、先ほど岡木先生の言われましたような構想でやっておりますが、その詳細な結果は出ておりませんが、従来よりも相当スピードを高める、これだけは確かでございます。現在までの十カ年計画で参りますと、全国はんらん可能面積といいますか、三百万ヘクタールくらいありますが、それを十カ年で最初からずっと入れまして、七割ぐらいまでは防ごうという計画でございますが、それをさらに早めよう、こういうことで目下作業中でございます。
  25. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 昭和三十五年十二月の閣議決定を見ますと、一応十カ年間に八千五百億の投資を行なう、しかしながら十五年を目途として十五年の間に大体治水事業を完成する、こういうふうな前提に立って十カ年計画を策定するのである、こういうふうなことが閣議決定に書いてございます。そういうことになって参りますと、一応予想しておられるところのこの百河川につきましては、前期五カ年間、さらにまたそれに続く五カ年の間に、事業の伸び率がございます。その事業の伸び率というものをなくしても、三つに割れば三分の二、そうすれば今河川局長のおっしゃるところの六六%というものが出てくるわけでございますが、しかしながら、そういうふうな考え方に立つといたしますと、おそらく六〇%に満たないのじゃないか。従いまして、十カ年計画が完了いたしましても、全国の主要河川について治水効果は六〇%に満たない、こういうふうなのが今日の日本の治水計画の基本になっておるわけです。しかもこの治水計画というものは、治山治水緊急措置法に基づきまして、あの大水害のあとで、こういうふうなことではいけないから国は治水対策に本腰を入れる、こういう形で策定されたのがこの十カ年計画であり、しかもその十カ年計画が、なお主要河川について六〇%の治水効果より期待できない、こういうことになって参りますと、われわれはその十カ年計画に続くところのあとの五カ年計画というものを一日も早く完成していただいて、それでもって一〇〇%の治水効果を上げてもらいたい、これは国民の当然望むところであると思います。しかも国民は、閣議決定にはこういうように十五カ年ということをはっきりうたってありますが、発表されておるところの治水計画というものについては、十カ年で治水にうんと力を入れてやるのだということでもって政府の方も大きく打ち出されておりますから、従って十年たつと一応われわれは水害の心配がなくなるのじゃないか、こういうふうな夢を持っておる。しかしながら、私はそういうふうなすぐ砕けるような夢を現在国民に抱かせておいてはいけないと思います。この際やはり計画の内容というものをはっきり国民に示して、昭和三十五年にきめられたところの治水十カ年計画はその程度のものである、だからこれを七年間のものを五年に繰り上げて実施して早く治水効果を上げていこう、しかしながら、なおそれにはそれに続くところの五カ年計画というものがあるのだ、だからしっかりわれわれはそれを推し進めていくのだ、こういうふうな気がまえを今度は一つ河野建設大臣に大きく期待いたしたいと思います。またそういうふうな日本の今の治水計画の現状を国民にはっきり認識させ、またそれに伴うところの国民の協力を大いに求めて、そして一日も早く日本の治水事業を、おおよその台風——超大型台風が来た場合は別でございます。しかしながら、普通の大型台風には耐え得る程度の治水効果を完全にあげていく、こういうふうなことを新政策として新治水十カ年計画を新たに策定する、こういうふうな方向へ進んでいただきたいと思うのでございますが、建設大臣のお考えを承りたいと思います。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 ごもっともなお話でございまして、できるだけ御期待に沿うように努力いたします。
  27. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そこで私は建設大臣に治水問題についてもう少しお尋ねいたして参りたいと思うのでございますが、現在策定されておるところの十カ年の計画、その十カ年計画では大体六〇%、それではその治水効果がどの程度上がるかということを私は代表的な河川について具体的に御説明願いたい。そこで、淀川、それから利根川、石狩川あるいは木曾川いろいろ大河川はございます。しかし、私が具体的に一番よく知っておりますのは、やはり私の地元の淀川でございますので、私は地元問題としてこれを取り上げるのではなしに、全国の治水対策の代表的な河川として説明する、こういうふうな意味において、淀川について、大体緊急措置法に基づいて策定された治水計画、それによるところの淀川の治水計画というものは、どの程度のものであるかということを一つこの際御説明願いたい。
  28. 山内一郎

    ○山内説明員 現在の十カ年計画のお話かと思いますが、現在淀川は直轄河川といたしまして十五年完成を目標として十年分の計画は織り込んであるわけでございます。しかし、その後いろいろな条件で事業費も多少ふえて参るかと思いますが、それは現在先ほど申し上げましたように極力作業をやっておる段階でございます。従って、その作業ができました際に、今度の新しい五カ年計画ではそれを全体の目標としてどういうふうに進捗を示すものであるか、そういうことをその際にはっきりして参りたいと思います。
  29. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 非常に抽象的でお尋ねしている内容が全然ないのでございますが、私が知っている範囲におきましては、大体三川合流地点におけるところの計画高水位というものは、たしか六千トンですか、その程度に置いて・それに見合ったところの諸種の護岸あるいは流量調節というような計画を立てておられるようでございます。ところがここで特にこの河川の問題について建設省にお考え願っておかなければならないことは、川は一つの生きもののようなものであるということです。だから常に姿を変えていくということをわれわれは忘れてはならない。だから、計画高水位というものを立てられましても、私は他の河川についてはよく実地には知らないのでございますが、利根川の例なんかをとりましても、明治時代に置かれておったところの計画高水位と現在置かれておるところの計画高水位には非常に大きな開きがございます。三倍か四倍ぐらいに栗橋におけるところの計画高水位が変わってきている。それはやはり今も昔も大雨はあった。しかし、それがそのように変わってくるということは、山の姿あるいはまた人類が河川にいろいろな手を加えておるということのために計画高水位がそういうふうに変わっていくのであろうと思います。だから、そのような形においては計画高水位そのものを現段階におけるものという考え方に立っていかなければならないし、長期の計画にありましては、よほど大きなものとして立てていっていただかなければならないということがまず第一点であります。  その次には、現在淀川における治水計画の中には河川にいろいろ改修を加えます。あるいは護岸を強くしたり、あるいはまたショト・カットをいたしまして、水が早く排出されるようにやっていきます。そうするとそれがどんどん下流に早く流れていくために、下流の流量が高水位時に非常にふえるような傾向がございます。ところが淀川には幾つかの狭窄部がございます。たとえば、いつも私は例に申すのでございますが、伊賀の盆地であるとか亀岡であるとかあるいは宇治川ラインで狭められておるところの琵琶湖の周辺の問題であります。狭窄部では大きな流量がショート・カットされたりして流れて参りましても、はくことができませんから、狭窄部の上には大きな水害が常に出て参ります。ところが、現在の策定されておる十カ年計画の中にはその狭窄部における対策、狭窄部を一体開くのか、あるいは開かずにそのままおくとするならば、それらにおけるところの水害を防除するためのさらに上流におけるいろいろな流量調節あるいは砂防というふうな措置が何ら講じられておらない、こういうふうに思うのでございます。これは河川局長からは何回かいろいろ御答弁いただいておりますが、建設大臣として、狭窄部を持つところの、狭窄部の直前にあるところの住民にとりましては、これは河野さんの側近の宇野君にとっても大きな問題でございますけれども、琵琶湖沿岸を一体どうするのか、あるいはまた伊賀上野盆地をどうしてやる、あるいは亀岡盆地をどうしてやる、そういうふうな点について、この十カ年計画の中に織り込んで、従って、今度あなたがやられる五カ年計画の中でそれらの問題を解決しようとなさるのか、あるいはそれはさらに引き継ぐところの五カ年計画の中に取り入れていくつもりだ、こういうふうなお考えでございますか、その辺のところを承りたい。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 そこらに問題があることは私もかねて聞いておりました。今事務当局に聞きますとそういう問題を今度は取り入れて今検討中だと言っております。
  31. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは非常に大きな問題でございますから、あなたの実行力をもってぴしぴしと推進させていただきたいと思うのでございます。  そこで、今建設大臣から瀬戸内海は非常に日本の今後の工業の中心地帯として有望な土地だというふうなお話がございました。これはなかなか卓見であると私も思います。ところが瀬戸内海沿岸というところは割合に水に乏しいところなんですね。だから、それについては瀬戸内海の流域に大きく水利用の資源を求めるとするなれば、やはり何としても琵琶湖の水を一番に考えていかなければならないと思う。ところが、現在建設省が、決定的なものではございませんがおよそ方向として打ち出しているものは、いわゆる堅田締め切り案ですね。堅田の、琵琶湖の狭い部分でもって堰堤をつくりまして二つに区切って、渇水時にはどんどん北の方の大きい部分の水をくみ出して、それでもってうんと水を使っていこう、こういうふうな考え方のようでございます。しかしながら、これは琵琶湖の沿岸の住民からは非常な反対が出ております。そのことは、ひどい渇水が北方の方で起こりますと、沿岸の漁業あるいは農業あるいは環境衛生その他の面に非常に重大な影響を与えるという点でもって非常な反対が出ております。私は宇野君ともいろいろ話し合ってみたのでございますけれども、宇野君は、そういう大きな問題になると地元の者は口にしにくいから君やってくれ、こういうふうなことでありますが、私は琵琶湖というものは、瀬戸内海をそういうふうな形で大きく打ち出していきたい、同時に、また内陸にやはり一つの工業地帯というものを発展さしていくということも一つの着想ではないか、だから琵琶湖沿岸を、湖に臨むところの臨湖工業地帯というような形で開発していく、そのためには琵琶湖沿岸の常習的に浸水する地域——これは今度天ケ瀬ダムができます。あるいは洗堰でもって琶琵湖の水を洪水のときに締め切ります。締め切りますと、五日間にもわたってその水をどんどん放流しなければならないから、下流の沿岸の住民にとっても、これは非常に密接な関係があるのです。だからその水を長く抱いてやって、その水をそこでもってどんどん利用していく。そのためには琵琶湖の沿岸に大きく盛土をいたしまして、それでもって琵琶湖の沿岸に工場地帯の造成をやっていく。また一面その水は、そのまま長く抱くことができるようにして、そこでもって琵琶湖全体を工業地帯として発展さしていく中で、琵琶湖を天然のダムとして利用して、その水を——現在洪水時にはどんどん無効放流しているわけなんです。その無効放流しているものを無効放流しないようにやっていく、こういう方針が私は打ち立てられるべきではないが、こういうふうな考え方を持つのでございますが、建設大臣としてのそれについての御感想を一つ承りたいと思います。
  32. 河野一郎

    河野国務大臣 お話通りに、関西の工業地帯には比較的水が乏しいようでございます。これ以上に琵琶湖の水を有利に使うということは一番大事な問題であることは、私も同感でございます。ただ、琵琶湖の締め切りを建設省考えておるというお話でございますが、従来そういう案もあるようでございますが、私はこの案には賛成いたしません。むしろ私は関西に参りまして、よく経済界の諸君と話すのでございますが、人の水を黙って持ってくるという量見がよくない、琵琶湖の水を買ってくる量見を持ちなさい、ただでなければ滋賀県の人も賛成しますし、そこでいろいろな問題が起こったらば、滋賀県自体の問題として滋賀県の人が解決すればよろしいんだ、ただ水をとってくるというようなことを考えるから問題が起こる、買うことを考えなさいとよく言うのでございますが、もし私はやれたらば、今の名神国道の下に鉄管をいけるべきだったと思います。そして琵琶湖の水を流して持ってきて阪神に入れるべきだったと私も気がつきまして、調査をさせましたが、もう手おくれだというのでいかぬようでございますが、何にしても、今の宇治の締め切りあたりから持っていくか、いずれにいたしましても、琵琶湖の水を工業用水もしくは水道用水として阪神の問題を片づけるということは、早急に手をつけなければならぬところだと思います。それと同時に、琵琶湖沿岸の工事化につきましては、すでに申し上げるまでもなく、あれだけ工業化されておるわけでございまして、そのほか内水面の湖畔に適切な工業というものが当然起こって参ると思いますが、ただそこはおのずから内水面の沿岸と外洋の沿岸との間には問題が別にあるだろうと思いますので、決して私は琵琶湖の周辺が工業化されることに反対じゃございませんけれども、おのずから限界があるだろうという考え方でございます。
  33. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私が申しおりますのは、現在琵琶湖の水が非常に無効放流が多過ぎて、洪水時にはどんどん十日、二十日にわたって無効放流を大量にやります。そのために下流で水害が起こるのが、淀川の水位が高いから水がなかなか引いていかない。こういうような問題があるから、それとあわせて長期に抱けるような方法を考えていただいてはどうか。長期に抱けるようにするのには、琵琶湖の沿岸というものが長期浸水地帯になりますから、だから、その長期浸水地帯になるものを、もう地上げして半分はブルでまくし上げてきて、片一方に土を盛土していく、そういうような形で工業用地の造成をやる、長く琵琶湖の大きな水を抱いて、有効に琵琶湖の水を使えるような構想を持って進んでいってはどうか、こういうようなことでございますが、もうその点のあなたのお考えがわかりましたから、御返事を承らなくていいと思うのでございます。  さらにもう一点お尋ねしておきたいのは、治水事業の十カ年計画を繰り上げ実施される、しかしながら、それは治山事業とは無関係のものではございません。従って、閣議決定でも治山治水緊急措置法に基づくところの十カ年計画として治山治水を合わせた投資額というものが決定されているわけです。従って、今度治水計画の繰り上げ実施をされた場合に、建設大臣は、前に農林大臣をやっておられましたし、農林行政についても造詣が深いのでありますから、従って、それに合わせたところの治山上の計画というものをやはり一緒にやっていただかなければ何にもならないじゃないか——何にもならないということはないでしょう。やらないよりいいには違いはないでございましょう。しかしながら、治山問題というのは——緊急措置法に基づくところの計画が治山事業にさかれているところの金額が、十カ年で千三百億という数字でございますが、治水というものは、むしろ治山に始まると言っても過言ではない。ことに砂防が非常に重要でございます。従って、治水の中にも砂防費が千七百億入っておりますが、しかしながら、合わせて三千億というものを今実施していただいているわけでございます。しかしながら、それにもまして同じように治水計画とマッチしたところの治山計画というものの繰り上げ実施をやり、さらにまたそれに基づくところの新十カ年計画というものも同時に策定していただかなければならないのではないかと思うのでございますが、大臣の御所見を承りたいと思います。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 お話ごもっともなことでございまして、当然新しい計画につきましても、治山治水は並行して計画いたしたいと思います。
  35. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それでは、次に河川の管理問題を一点お伺いしておきたいと思います。  数日前でございますが、もう少し前でございましたか、相模川に水死事故がございました。あれは神奈川県庁の方が調査に参りまして、その方から事情を私は聞いてみたのでございます。ところが相模川でもって六名の人が水死し、十二名の人が米軍のヘリコプターで救出されている、こういう事故でございますが、私はあのときの事情を聴取してみたのでございます。そして神奈川県の方からの報告書もここにもらっております。これはあなたの方にも御説明に参ったそうでございますし、詳しく報告してある、こういうふうに申してありましたが、この報告書にあるところの図表を見てみますと、同日午前一時から雨が降り始めた。その雨が降ったところの第一回の降雨のピークの水が、午前十時に九時間かかってダムに流入し始めております。そのダムでどんどん流入量がふえて参りました。そしてその当時すでにもう第二のピークが七時から始まりまして、午前十時には最高のピークに達しておるわけであります。だから九時間後には、第一回目の山よりもはるかに大きい第二回目の降雨の山が入ってくるということがわかっておったのが、午前十時の状況なんです。ところがダムは予備放水をやらないでそのまま一時間も水を抱いております。そして十一時になりまして、ピークが意外に大きいからというので、どんどん放水を始めた。そのことがあの急激な増水となって現われて、あのような犠牲者が出た原因であると、私は思っております。いろいろな諸種の条件はあったかもしれません。そのほかに警報伝達がうまくいかなかったとか、そういうようなことも一つの原因ではございましょう。しかしながら、何をおいても大きな原因は、急激な水量の増加であります。その水量の増加というものは、すでに流入量の増加というものが午前十時に予想せられておったのに、そのときには全然予備放水を行なわなくて、十一時まで一時間抱いて、しかもそれから急激な大量の放水をやったというふうなことがあの事故の原因であると思います。私は、あの事故が、下流の方では雨が降っておらなかった、あまり増水がない、こういうような状況の中で起こった事故であったから、数名の人が死んだだけでもって済んで、事故が比較的少なかったのではないかと思う。しかしながら、今まで全国で幾多の河川、幾多のダムでもって、いつもダム放水の問題が大きな紛争の原因になっております。それはやはりそのダムが水を大切にし過ぎて、抱きたがり過ぎて、あまりに長く抱いたために、一挙放水をやらなければならぬ、こういうようなことであります。増水してところへ一挙放水がある。だから大きな奔流が堤防を破壊し、あるいはその他の工作物を破壊し、あるいはそれが大きな家を押し流したり、その他の災害の原因になる、こういうふうな問題が起っておるのであります。私はこういうふうな点において、もっと河川管理をしっかりやっていただかなくてはならないのではないかと思います。  そこでまず第一に、この相模ダムは多目的ダム法によるダムではございません。この中には洪水調節というものが一つもございません。従って、ダムの構造そのものが洪水調節の容量がございませんから、ダムがある程度増水したならば、どんどん放水しなければならぬというふうなことでございます。こういうふうな発電オンリーのダムにも——これには上水道も幾分加わっておりますが、主として発電でございます。こういうふうな発電オンリーのダムにも、洪水調節義務を負わせる必要があるのではないか。それなくしては災害が防げないのではないか、こういうふうに私は思うのでございますが、建設大臣のお考えを承りたい。
  36. 山内一郎

    ○山内説明員 先般相模ダムの放流で事故がございましたが、建設省としても放置できないので調査をやっております。ただいまお話がございましたように、十時以前にも降雨がございまして、その降雨が少しやみまして、さらに強く降ってきた、こういう状況でございます。従って、最初の降雨がどのくらい続くかということは非常にむずかしい問題でありまして、この点気象庁とも連絡しながら研究を進めておりますが、次の降雨のときにどういうような措置をしたか、これが問題だと思います。十時から放流をしなければならないという予測が午前七時にできまして、七時に各方面に十時から放流を始めますという連絡をいたしまして、その連絡は末端まで到達いたしております。従って、調査した結果から申し上げますと、事故にもわれた方もその通報を受けておられます。しかし受けられましてからまた釣に入られる、こういうようなことが神奈川県の方からの調査ではっきりしております。  それではその放流が流入よりもよけい出ていたかどうか。その点につきましても十分調査をいたしましたが、上流から入ってくる量よりはよけいに下流に流れておりません。従って、現在のあらゆる技術的あるいは予報的な面から考えまして、最高これ以上ちょっとできない措置ではなかろうか。今後問題は放流と通報の問題でございますが、通報も今度は事故者にも通知をしたわけでございますが、今後さらに気をつけまして警報車の動員とかそういう点を十分注意してやりたい、こういうように考えております。
  37. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そのときの措置が適切であったかなかったかの詳しいことにつきましては、私は今度別な機会に現地の関係者等も来ていただいて状況を詳しく聞きたいと思います。  しかしながら、今局長の言われました、流入量の範囲をこえなければ、それでダム操作としては間違いはないのだ、こういうようなお答えそのものの中に、そこに調節ということを全然考慮しておられないという問題があると思うのです。  この図面を見ますと、午前十時に流入量が約二百トンであります。午前十時に二百トンであった流入量が、午前十一時には四百五十トン近くになっております。そして十二時にはもうそれが六百トンというふうに急激なカーブでもって流入量が上がっております。二百トンであったものが二時間で三倍の流入量になっております。ところが、そのように流入量が急激に増加して参りますと、今度は放流の方も十一時に百トンであったものを十三時には二時間の間に六百トンまで上げております。だから流入量と放流量とがそのように完全に並行です、パラレルです、このように下流に大きな影響を与える場合には、流入量が大きくても幾分それを早くから始めて——十時から放流しなければならぬということを予報しておきながら、実質には十一時から放流しておる。一時間抱いておるのです。だから放流をしなければならぬということを予告し、知っておりながら一時間水を抱いておるのです。十一時になってから一挙にどんどんせきを開いて放流しておるのです。そのような急激な放流が事故の原因であるから、むしろ発電ダムといえども予備放流をまずさすべきである。事前にある程度の放流をさせ、ゆるやかに放流量をふやしていって下流における急激な増水をないようにしなければならない。そういうような義務を負わせるべきではないか、こういうことを私はお尋ねしておるのであります。これは局長では事務的な御答弁になると思いますので、建設大臣からそういうような点についての——とにかく発電オンリーのダムというものは、水をセーブしたがり過ぎますから、いろいろ事故を起こすのです。そしてこれは今まで通産省の関連もある問題です。今まで何ぼ下流住民がそれについて申しましても、今局長が言われると同じように、私の方では流入している以上のものは出しておりません、それは自然に出るからしようがないじゃないか、こういうことです。しかしながら、調節機能を果たそうと思えば果たせるはずです。だから急激な増水のために下流に重大な影響を与えないように、そういう発電オンリーのダムといえどもこれは調節義務を負わせるべきではないか。そういうような法改正が必要ではないか。河川法あるいは河川堰堤規則、こういうものの改正を行なうべきではないか。私はこういうふうなことを考えるのでございますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨の点私もよく了承いたしました。お話通り一つ考え直す必要があると思います。しかし、なお事務当局意見をよく聞きまして、あらためて適当な機会に正確な御返事を申し上げます。きょうのところはお話を承ってよくわかりまして、そうすべきだという感じがいたします。しかし、いずれ勉強しまして、なるべく早い機会に正確なお返事をあらためて申し上げます。
  39. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 最後に希望を申し上げて質問を終わりたいと思うのでございますが、現在の河川法、あるいは堰堤規則というものは非常に古く制定されている。もともと河川法というのは、水の利用は農業用、あるいは水車を回す程度というような時代から入って参りまして、今日のように非常に巨大なダムというような工作物をつくる段階まで入り、水の利用ということが非常に大きな問題になって参りました。そういたしますと、水の利用と治水ということは背中合わせなんです。だから水の利用をうまくやらせようと思えば、どうしても治水にいろいろな阻害が出て参ります。しかしながらわれわれ国民としては、大臣も所信の表明の中に国民一人々々の立場に立ってというふうにおっしゃっておられますが、国民の立場に立つなれば、まず第一に治水というものに重点を置いてもらわなければならない。治水の観点からそのような工作物にどう対処していくか、どういうような義務を負わせ、どう規制していくか、こういうふうな点については、特定多目的ダム法がございますけれども、それだけでは不十分である。しかも多目的ダム法によるダム以外のものについては堰堤規則が適用されるだけである。その堰堤規則にはダムの安全性については強い規制がございます。しかしながら、ダムの操作の安全性についての規制は全然ないのです。それは知事との話し合い、それとダム操作規程にゆだねられておる。ところが今度の神奈川県の場合にはダムの管理をやっているのは、県営ですから知事なんです。ところが河川の管理者も知事なんです。知事一本で管理され、同時に監督されておるのです。しかもこういうようなダムがこのような事故を起こしてきておるということは、非常に考えなければならないことではないかと私は思うのであります。従って、そういう点について河川法あるいはそれに付属するところのいろいろな政令というふうなものについて、もう一度再検討を加えていただきまして、工作物の下流にあるところの住民が完全に安心して生活できるようなものに治水問題を改正していただくよう御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 お話を承ってよく了解いたしました。私も全く同様に考えておりまして、おそらくこういった諸般の法律取り扱いは戦前の知事時代、土木局長、内務省時代に適用しておった法律が、今日地方自治が確立され、そこで内務省も分散して建設省になって参りまして、その間に血のつながりが以前ほどには徹底しないというふうになってくると、この程度の法律で一体ほんとうに行政が運用でき、完全に監督ができるかということになりますと、遺憾の点が各所に出てきておるのじゃなかろうかと思うのであります。従いまして、諸般の点につきましてあらためて研究し、全面的に検討を加えまして、もし結論が出ますれば、一つなるべく早い機会に法律の改正等もやっていきたい。実は本日の閣議で河川の砂利、それから切り取り等について政令の改正をいたしました。これらにつきましても、単なる政令の改正でなしに、抜本的に河川法の改正なり管理の問題等について、建設大臣の責任をもう少し強化するということにいたすべきだ。直轄河川でありながら府県知事が管理しておるという現在の状態がはたしていいか悪いかという問題につきましては、いろいろ検討の余地があるだろうと思います。十分研究いたしまして、あらためて御相談を願うことにいたしたいと思います。
  41. 西村力弥

    西村(力)委員 関連。大臣に五分間くらいお尋ねします。建設行政をやる場合の消極的な部面というべきかと思いますが、一つ治水なら治水、道路建設なら道路建設をやる場合に、それによって派生する事態に対する匡救策を立てて、それを一体としてやってもらわなければならぬということは、具体的な事例に基づいて私は見、また痛切に感じておるわけなのであります。河川局の治水問題は、治水というところは十分考えるけれども、それによって堤防の外側に流入するその川がどういう変化をもたらして、そこの住民に対してどういう影響をもたらすかという関連性の考慮がないままに行なわれるために、治水はできた堤防はできたけれども、その川がうまく流れないために、雨のたびごとにそれが満水になって湛水してしまって、そこが水没してえらい目にあっているという事態、あるいはまた国道線のバイパスをつくって、りっぱな線をつくった。ところが雨が降るとその道路が水路のようになって流れて、その取り入れ口からずっと今まで入ってなかった川に流れ込む。その川が入り込むために、そこの住民が、明治以来一ぺんもかかったことのない水害にかかってえらい目にあっている。私は事実そのときにその場所におって見てきておる。また三、四年前に青森県に参りましたときに、森林を全部切り払ってしまってそこを開拓地にした。水はそこにたまらないものだから一挙に流れて、盛り上げてつくった道路が切断されるという事態にぶつかった。こういう工合に、消極的な面に対する匡救策というか、考慮し、連携をとりながらやっていかないと、国民のためといいましても、一方は国民のためにマイナスの面がその関係者には大きく現われてきておる。こういう事態になっておるのですよ。建設行政はそういう関連でもってやっていただきたい。これは当然のことであると思う。ですからその点大臣に言明を願いたいわけなのです。  それと同時に現実にそういう工合に困った人が出ておる。それであなたが農林大臣のときに、しょうがないから揚水ポンプのポンプ排水に補助金を六千万円もらった。ところがその提防を切っていかなければならないというと、今度は河川行政の方からいって建設省としてはうかつにはさせられない。これはもう絶対に安全度を保たなければならないということになる。そうするとえらい金がかかってしまって、せっかく農林省からそういう配慮を願っても、地元負担の過大からこれはちょっと足踏みをせざるを得ないという状態になってきておる。しかもそうやれば、今度は電気料、機械の修繕、取りかえ、そういうためにずっと今後とも費用がかさんでいく。こういう事態になってきておるわけなのです。その具体的な場所については、事業当局に話してありますし、また話しますから、そういうものは早急に救済をするということを、法的云々はともかくとしまして、これは建設省の責任だという立場で思い切ってその救済をやるんだ、こういう立場をとってもらわなければならぬ。行政としましてはやはりそういう関連を十分に考えて、一体としてやっていかなければならぬということは根本ですが、現実の問題は直ちに救済策をとろう、こういう工合にやってもらわなければならぬと思うが、一つ……。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 ごもっともなお話で、設計をいたします場合にそういうことのないように諸般の配意をしつつ設計をして工事をやることは当然であります。しかし、結果において今お話しのような事態が各地に起こっておるという場合には、その結果に対してすみやかにこれを匡救する対策をとるということはあたりまえでございます。これはもう具体的に事例があり、事実がございますれば、いつでもすぐに改善さすようにいたしますから、お申し出下されば大へんしあわせでございます。今お話しの点の農林、建設両省の関係問題等につきましては、そういう事態がありましたならば、すみやかに両省にわたって解決策を講じまして御期待に沿うようにいたしますから、どうぞ遠慮なく御注意いただきましたならば大へんしあわせでございます。
  43. 福永一臣

    福永委員長 石川次夫君。
  44. 石川次夫

    ○石川委員 大臣が予定があってゆっくり質問できないのが非常に残念でございますが、所信表明に見合う程度の大ざっぱな質問を申し上げたいと思います。  大臣の所信表面では、国土保全、道路、宅地、住宅、下水道を緊急に整備していかなければならぬという大体五つの柱を立てられました。これは建設行政としては別に耳新しいことではございませんけれども、それが非常に重量感を持って斬新な響きを与えるというのは、やはり実力者の大臣としての重みが言葉に響いているのじゃないかというふうに感じる。ぜひ一つ国民の期待にこたえて、柏戸的な寄り身の早さでこれはどんどん実現をしてもらいたいということを希望するわけです。しかし、われわれといたしましては、こういうふうな五つの柱の前提条件となりましたものは、所信表明の中にも若干触れておりますけれども、先ほど三宅さんが言われたように、何としても地価の値上がりというものを抑制するということなくしては、これらの五つの柱というものが完全に立つことはできないのじゃないかというふうに考えるわけです。この問題についていろいろ申し上げたいことはたくさんありますが、時間がありませんから私は結論的に申し上げますと、地価の問題というものはいかに重要かという理由を若干申し上げたい。  まず第一に、老後の安住の地としての住宅を求めるためには、地価がこのように上がったのでは求めることができないというのが実情でございます。宅地をいかに造成いたしましてもそのバランスをとれないというのが現状であって、この点で何としても政府政策の責任ではないかということを常々考えておるわけです。  次に、去年とおととしの生産というものを比較いたしますと、相当去年は景気がよい結果生産が上昇いたしております。上昇いたしまして、これは確かな数字ではございませんけれども、増加した付加価値の中で国民の個人所得に所属するものは大体一兆三千億円だというふうにいわれております。ところが一方では、東京都だけで土地の値上がりが一兆円、全国的に見れば相当な大幅な値上がりがあったのではないかというふうに考えられるわけです。  それで、そのことからいろいろな結論が出て参りますけれども、まず第一に、先ほども触れましたように、これから地方を開発しよう、格差を解消しよう、あるいは東京都の対策を何とか考えなければならぬというような問題につきましても、土地がこのように値上がりを続け、用地買収費というものが公共投資の費用の大半を占めるというような状態がどんどん続いていく限りにおいては、これはとんでもないことになる。地方開発のガンになる、あるいは東京遷都の問題のガンになるということが、まず第一点として考えられる。  それからあと一つ、これも三宅さんが若干触れられましたけれども、全部が全部二重抵当になって信用造成のもとになるとは考えられません。しかしながら、少なくとも政府はよくコスト・インフレの様相があるというようなことを言われております。しかしながら、労賃の値上がりというものは何らかの形で生産を伴っておるという意味で、私はコスト・インフレ的な要素が全然ないとは言いませんけれども、それよりももっと信用インフレ的な要素の方が最近の物価の値上がりについては大きな要素を占めておるのではないか、こう考えておるわけです。この土地の値上がりというものは国民所得ではありません。しかも、もちろん貯蓄にはなりません。そういうものを背景として二重抵当として信用が造成されるということになれば、どう考えても信用インフレの一つの大きな要因になっているということは否定できないのではないか、こういうふうに考えるわけです。  それからあと一つは、株の値上がりが昨年中に三兆円をこしているといわれておりますけれども、この問題は資本主義の当然な現象でありますから、いまさらここに取り上げようとは思いません。しかしながら、ともかく株の値上がりだとか土地の値上がりだとか、勤労所得に依存しないものの方が勤労所得よりもはるかに大きな利潤を獲得できたのだということになりますと、勤労意欲というものはどうしても低下せざるを得ないのではないか、こういう問題もそれから当然な結論として出てくるのではないかというようなことをわれわれとしてはおそれております。一攫千金あるいは射幸心をあおるということになったのでは、長い目で見た日本民族の将来のためにはとるべきではない。そういう意味でも地価を抑制しなければならないという結論が出ます。  それからあと一つは、現在の日本の工場用地というものは、他国に比べて十倍程度になっているというふうな統計が出ておりますけれども、これは先ほどから問題になりますように、国際競争力にどうしても大きな影響を与えるのだ。今のうちはまだよろしい。しかしながら、これからこの調子で地価が上がるということになりますと、工業製品あるいは農業製品についても当然はね返ってくるということで、国際競争力には相当の影響を与えるということも考えなければならぬと思います。  それからあと一つは、これは老婆心かもしれませんけれども、貿易の自由化あるいは為替の自由化に伴って、今度は資本投下というものも自由に入ってくるということになりまして、最も安全で確実な有利な投資土地だということになりますと、非常に膨大な資本というもので日本の国土を第三国人が占有するという結果になるおそれがなきにしもあらずではないか。これは法的措置やその他で考慮してもらわなければなりませんけれども、そういうようないろいろな事情からいたしまして、何としても私は先ほど大臣が言われました五つの所信表明の柱というものの前提条件として、この地価を抑えるのだということだけ一つ実現をすれば、歴代建設大臣の中での最も大きな業績になるのではないかということを考えざるを得ないわけです。若干この点は触れられておりますけれども、私の今申し上げましたように、地価がいかに日本の経済にとって、あるいは日本の国民の道義心にとりましても大きな問題の重点になっておるかということについての御意見があれば、あるいはもし私の申し上げたことでこういう点は違う、間違っておるという点があれば、一つ御所信を伺いたいというふうに考えております。
  45. 河野一郎

    河野国務大臣 私もかねがね土地と株の値上がりが今の経済にどういう影響を与えておるかということについて、多少の勉強はいたして参りました。同感でございます。
  46. 石川次夫

    ○石川委員 いろいろ申し上げたいことがあるのですが、時間がありませんので住宅の問題と関連をしながら一つ申し上げたいと思うのですが、実は憲法の二十九条でもって、私有財産権というものは神聖にして侵すべからずということになっておりますが、実はマッカーサーがこちらへ来て作った憲法の原案につきましては、土地国有とは言っておりませんが、土地は非常に公共的な要素が多いという意味で、その公共の福祉のためには土地というものは十全に用いられなければならぬという意味の原文がありますけれども、これは憲法には削除されておる。しかし、私はその考え方には全く同感でありまして、狭い日本の国土を何とか利用区分をきめて土地基本法を確立するということ、公共のために土地というものが使われる、ほかの私有財産とは全然性格が違うものだというふうに考えなければならないのではないか、そういうふうな考え方の上に立たないと土地問題というものはなかなか腰がきまらないのではないか、こういうふうに考えておりますけれども、その点についての大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  47. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいまの御意見につきましては、私はここで私の意見を申し上げることは適当でないと考えます。
  48. 石川次夫

    ○石川委員 続いて申し上げます。  この土地の問題につきましては、建設省だけの問題として処理すべき問題ではないし、処理もできない非常に重要な課題ではないかと考えておりますが、建設省の中には宅地制度審議会というものがございまして、これに対して大臣がいろいろ諮問をされておるということも新聞で散見をいたしております。ところで、私は土地の問題というものは建設省中心になるということは異論はございませんけれども建設省だけでこれを処理できる問題ではなかろう、こういうふうに考えます。従って、この宅地制度審議会というものに基本的な調査あるいは土地の供給計画あるいは利用区分の設定というものを含めて考えなければならぬという場合には、建設省だけの問題としてではなくて、これを内閣に所属をする大きな重要な機関であるというふうに考え直して、たとえば土地の問題は、今度の本会議でもあるいは予算委員会あるいは大蔵委員会でも、住宅の問題とからんで質問が出たことは、建設大臣も御承知通りでございますが、それだけに、やはり建設省だけでの所管ではないという一つの証明になろうかと思います。従って、この宅地制度審議会というようなものの性格を、もっと根本的に考え直して、これを内閣に移管をする、建設省中心になることはもちろんでありますけれども、そういう大きなかまえで対処しなければならぬのではないかというふうに考えますけれども、その点御意見があれば承りたい。
  49. 河野一郎

    河野国務大臣 よく検討いたします。
  50. 石川次夫

    ○石川委員 それで大臣が矢つぎばやに出されたいろいろの具体策の中で、たとえば都市内に大規模に宅地、住宅を開発していく、すなわちわが党でもいろいろとこの問題については対策考えておりますけれども、その中で宅地開発区域というものを設けたらどうかということをわれわれとしては提案いたしております。その中に対しては、たとえば宅地開発地区というものを設けるというふうなことがどうしても必要じゃないか、それから農村では修理にも公庫融資をする、あるいは低家賃住宅というものを大量に建設する、あるいは宅地開発法というものが必要なら設けたい、それからプレハブ建築拡充というようなことで、住宅建設費というものを引き下げたい、あるいは住宅貯蓄というものによって資金難を打開していきたいという考え方、あるいは国有地、公有地というものを大幅に開放しょうという考え方、矢つぎばやにこういう案が出されておりますけれども、これはわが党の考え方と全く同じだというふうにわれわれも考えざるを得ない。従って、これを何とか実現に移してもらいたいということを強く要望するわけであります。  ところで多少こまかい具体的な問題になりますけれども、宅地開発区域を設けるということについてこれを何とか実現するというふうなお気持があるかどうか。それからわが党といたしましては、土地鑑定員というものを何とかつくらなければならぬ。しかしながら日本では、土地鑑定のための特殊の大学のコースというものはございません。アメリカでは御承知のように、不動産学部というようなものがございまして、都市計画あるいは不動産経営、あるいは鑑定評価というものについての特定の学部というものが設けられて、これは一定のコースを出た者が土地鑑定員として一定の資格を持つということになっております。日本ではそういうコースがないために、にわかにこれをつくるということについては非常に難点があるだろう、こう考えますけれども、しかし、何とか内閣として土地を下げるのだというかまえをとるための具体的な方策の一つでも二つでも打ち出して、土地の値上がりを抑制する、抑えるというふうな決意、そういう姿勢というものをはっきり見せないとこれはいけないのではないか、従って、どれもこれも非常にむずかしい問題です。たとえばわれわれとしては土地住宅のあっせん所というものを設けまして、多少憲法違反のきらいはあるかもしれませんけれども土地の取引というものはそこを通じてやるというようなかまえ、あるいはまた不動産取得税、休閑地税というふうなものを設けるというようなことで、これはもちろん外国にも例のあることでございます。日本には休閑地税というようなものは設けられておりませんけれども、一定の面積を越したものについては、そういうものを断固として行なって、土地ブローカーの暗躍を抑制するというようなかまえ、いろいろと具体的に考えられることはたんさんあるけれども、これを全部総合的にやらなければならぬという考え方ではなくて、とにかく内閣としては、政府としては土地の値上がりを押えるのだというようなかまえを、一つでも二つでも打ち出すということを、何としても寄り身の早い実力ある建設大臣としてはやっていただきたい、そうすることによって、土地は野放しでもって上がるのだというふうな考え方を、国民の中からぬぐい去ることをどうしてもやってもらわなければならぬ、こう考えるわけですが、今申し上げたような具体的な対策について、もし異論があれば伺いたいと思います。
  51. 河野一郎

    河野国務大臣 いろいろお話しになりましたが、個々の問題につきましては、なお検討の余地がある問題もあると思いますが、総じて土地の値上がりを抑制するということにつきましては、私も何らかの方途をできれば講じたい、そのために努力をする、しかして緊急の問題であるということについては、意見は全く同じであります。
  52. 石川次夫

    ○石川委員 地価の問題はまだまだ掘りさげて具体的にいろいろお伺いしたいことがたくさんありますけれども、時間がないというような関係があって、非常に大ざっぱな、所信表明で表われた程度のことの質問しかできないことは、きわめて残念であります。それで地価に対する基本的な態度をどういうふうにかまえるかという点で、一つ大臣考え方を一点だけ伺っておきたい。ということは、地価とは何ぞやということをまず考えなければならぬ、それから地価がなぜ上がるのかという原因をまず究明しなければならぬ、それによって対策考えなければならぬというふうな段階になろうかと思います。地価の要因といたしましては、たとえば取得価格の問題とかあるいは利子の問題、それから分譲施設の問題、公租公課、管理実費がどう、地代がどう、適正利潤がどう、物価指数がどうなっているといういろいろの要素が地価の中には含まれておるというふうに考えます。それで地価というものは、一体どこで押えるのが最も妥当であるかという基本的なかまえをまずとってもらわなければならぬ。その中で、これは理論的な問題でなくて、孫文も言いましたように、地権平均説というものがございますけれども、とにかくそこに、一定の地域に道路が敷かれて住宅ができて地価が上がる、その地価の値上がりというものは、これは個人に所属せしむべきではない、この値上がり分というものは社会に帰属せしめなければならぬ、国家に所属すべきであるという考え方を現実の政治をやった上から孫文は出しております。これはむずかしい経済理論でもなんでもなしに、きわめて妥当な考え方ではないか。地価とはどういうものだ、ここで押えなければならぬのだ、基本的なかまえがないと、地価の抑制対策一つの基本的な態度というものが生まれてこないのではないか。それからその次に、値上がりをする原因は何かといいますと、これはいろいろありますが、ここでは取り上げません。たとえばブローカーが暗躍する、都市人口が集中する、あるいは衣食というものがだんだん足りて、今度住の方に国民の欲望あるいは需要というものがかわってきたという需給関係もあるというふうな、いろいろな個々の原因というものはあげられましょうけれども、それについてはここでは触れませんが、私も、地価というものは、この点で抑えなければならぬというような基本的なかまえがまずできなければ、この地価対策というものは生まれてこないのではないか、こういうふうに考えられますけれども、この点について御意見があったら伺いたい。
  53. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、お話がそこまで参りますと、建設大臣の所管のわきにいきやせぬかと思います。むろん私も一半の責任を持って当たらなければならぬことは当然でありますけれども、内閣全体の農林省、通産省一緒に考えていきませんと、私だけで個々の意見を申し述べることは行き過ぎだろうと思いますから、差し控えたいと思います。
  54. 石川次夫

    ○石川委員 御意見わかりますけれども、しかし国務大臣としての河野さん、建設大臣としての河野さんに非常に期待するところが大きいので、これは建設省所管ということだけではなしに、一つ内閣全体の責任で処理しなければならぬということもよくわかります。そういう意味で、この地価の問題は、いろいろな先ほど申し上げたような重要な案件の原因になっておるという意味で、一つ河野さんが中心になってこれに対処して、そしてその対策考えてもらいたいというふうに考えますが、地価の問題はいろいろ申し上げたいことがございますけれども、時間の関係で、これくらいにいたしまして、住宅の問題を二、三点だけちょっとお伺いしたいと思います。  一つは、いろいろ申し上げたいことはありますが、政府住宅のパーセンテージが日本では一八%といわれておりますが、外国では大体六割をこしておるというふうなことで、どうも住宅に対する熱意、重点の置き方というものが薄いのではないかというふうにわれわれは考えております。そこで量より質ということが大臣所見として出ておりますけれども、やはりまだまだ量自体が足りないのではないか、絶対量が足りないのだ、こういうふうに考えております。そこでわれわれといたしましては、十カ年一千万戸という政府の方針が出ておりますけれども、これではまだまだ不十分ではないか。これを何とか先進国並みに需給をバランスさせるためには、われわれが考えたところは五カ年に七百五十万戸つくれば、この時点で需給がバランスするというようなこともございまして、ぜひこの十カ年一千万戸という思い切った方針ではございましたでしょうけれども、これをあと一歩前進をさせるというお気持はないかどうかという点が第一点。  それからあと一つだけ申し上げますけれども、大蔵省の方で大臣所見といたしまして、住宅建設の財源が非常に不足をしているということで、公営住宅の払い下げというものが出ております。しかしながら、せっかく確保した団地というものを個々に払い下げる二とによって、団地として全体として活用できない、しかも老朽化しておるし、非常に古い住宅もあるし、それから財源としてもいくばくにもならぬということで、これを思い切って高層建築にするということで住宅難を緩和するという対策に出なければならぬところを、逆に目先の財源難のためにこれを払い下げるということでは、住宅対策には逆行するのではないかという懸念を持っておるのであります。そのほかいろいろ申し上げたいことはございますけれども、この点についての御意見を伺いたい。  それと、先ほどの大臣の御意見を聞きますと、われわれ国民の立場で考え考え方と食い違いはほとんどないのじゃないかというふうに考えます。そこで、宅地開発法というものを通常国会に出される意図があるかどうか。われわれは是が非でも早急にこの対策考えなければならぬというふうに考えるので、もし出されるのに間に合わないということになれば、きわめて粗雑な案ではあるけれども、わが党自体がこれをつくって超党的に——修正にはもちろん応じますけれども、これを一緒に議員の提案という形でも出してみたいという気持を持っております。宅地開発法を通常国会に間に合うかどうかはちょっと今のところは見通しがつかないかと思いますけれども、そういう面での見通し、それから今申し上げた十カ年一千万戸あるいは公営住宅の払い下げという問題についての御所見を伺いたいと思います。
  55. 河野一郎

    河野国務大臣 お述べになりました三点につきましては、なお勉強いたしまして正確なお答えをいたします。
  56. 福永一臣

    福永委員長 兒玉末男君。
  57. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣がお帰りになりましたので、特に今年度の建設行政の重点施策一つである住宅政策の問題で二、三点、それから住宅公団の関係で御質問をしたいと思います。  特に住宅政策の重点項目として、住宅の質の向上ということが表明されております。第二点は都市計画との関連、第三が地域的な重点配分、第四点が農漁村住宅対策といたしまして、今までほとんど放置されておりました農漁村の個人に対しまして住宅の増改築に融資制度を設けるという、これは画期的なやり方だと私は非常に関心を持っておるわけであります。  第一の、大臣の所信表明の中にも明らかにされました住宅の質の向上ということは、これは今日多くの人が望んでいるところでございまして、現在では第一種公営住宅の場合は、木造で十一坪、公団住宅の耐火住宅の場合で十六坪というふうに、単価関係で規制をされておるわけでありますけれども、今日の一般国民の要望というものは、いま少し住宅の質を向上してもらいたい、あるいは坪数を大きくしてもらいたいというのがみんなの願いであろうかと思うわけであります。ところが今までの大蔵省等の折衝の過程において建設省が一番悩んできたことは、この単価の基準というものがいつも非常に厳密な査定をされる関係において、地方の自治体においてはせっかくの公営住宅の割りつけをもらっても、これの消化ができないというのが実態でありますが、この住宅の質の向上という問題について、住宅局長としてはどういうふうな実現する見込みなりあるいはまた今後の可能性の問題等について、対大蔵省との交渉は相当困難が予想されるわけでありますが、特に住宅政策を久しぶりに重点施策として取り上げた立場から、相当の見通し等をお持ちかと私は思うわけでございますけれども、この質の向上ということについての住宅局長の御見解を承りたいと思います。
  58. 関盛吉雄

    関盛説明員 ただいまお尋ねのございました政府施策住宅の質の問題のうちで、特に規模等についてのお尋ねでございますが、これはやはりある程度予算の内容の規模関係する問題になって参りますが、現在の住宅政府施策規模等につきましては、やはり明年はできるだけ予算の範囲内におきまして坪数を上げていきたい。それから公営住宅につきましても、公団住宅につきましても、公庫につきましても、逐年その方向で今日まで進んできたわけでございますが、さらにそれを整備するようにしていきたい。公営住宅等につきましては、第一種のある程度の分量は狭いながらも三室を確保するというような方向で、今試算をいたしておるわけでございます。  なお国の予算関係は、ただいま御指摘の通り単価の問題もございますので、両方見合って十分質の向上の線に沿うように検討を進めておるわけでございます。
  59. 兒玉末男

    ○兒玉委員 具体的にお尋ねしたいと思うわけでありますが、現在の公営住宅の場合は十一坪、あるいは公団住宅の場合が十六坪というように制限されておるわけですけれども、坪数の拡大ということについては大体住宅局長としてはどういうふうなお考えを持っておられるのか、ただ坪数を広げるという抽象的なことでなくて、どの程度の拡張をお考えになっておるのか、御答弁していただきたい。
  60. 関盛吉雄

    関盛説明員 これは坪数も同様でございますし、ただいま木造というお話も出ましたように、木造のようなものをなくするという度合いの問題にも関係がありますし、それからまた単価の問題も非常に大きな問題でございますので、これは全体がからみあっている問題でございます。しかも戸数がさらにその次の問題として現われて参りますので、これらをいずれもにらみ合わせまして予算の試算をいたしまして、適正な規模が実現できるようにということで目下検討いたしておる状況でございます。
  61. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に農漁村の住宅対策、これはこれから特に注目いたしておるわけでございますけれども、特に農漁村の場合はその事業の形態から、一般のサラリーマンが住むようなアパート式の住宅では用をなさないわけでありますけれども、これに対しまして個人に対する融資制度を考慮するということが言われておるわけであります。大体融資制度を考慮するということであるが、これの可能性、あるいはまたその制度をどういうふうな仕組みに持っていくか、この農漁村住宅対策について、その内容について一つお聞かせ願いたいと思います。
  62. 関盛吉雄

    関盛説明員 農山漁村の住宅につきましては、すでに御案内の通り住宅金融公庫におきまして農山漁村向けの建てかえの融資制度の道が開かれているわけでございます。これをまず拡充するということが一つの方法でございます。もとよりその内容的にはさらに規模等についての拡充の検討も必要だろうと思うのであります。さらに農山漁村におきましての経営の協業化という体制に即応いたしまして、いわゆる作業場等の近代化資金を導入いたしまして、上は共同住宅というものが建て得られるような地域があるかどうか、こういう問題も住宅の建設の第二の検討事項だと思っております。  さらに農村等におきましては、老朽なり修理を要する住宅が相当あって、ことに間取りとかあるいは模様がえ等によって都市住宅とやや似たようなプライバシーが保てるし居住性がよくなるという住宅もございますので、こういうようなことは都市についても同じような問題かと思いますが、特に農漁村にはそういう問題があるのではないか。いわゆる改修制度というものを新たにつくる、こういうことも一つの農山漁村の対策として目下検討しておる問題でございまして、そういう線をはっきり成案を得まして内容を固めたい、こういうように考えております。
  63. 兒玉末男

    ○兒玉委員 その構想は非常にけっこうでございますが、農漁村の場合は、一般の給与所得者と違いまして、低額収入ということが非常に問題点になるわけでありまして、返済の問題についてもやはりある程度長期の計画でないと、せっかくの制度が確立されましても、利用する人が非常に少ない、せっかくのこういういい構想が生かしていけないという、資金の面において相当ネックになる点が多いのではないかということを考えるわけであります。この点については、もちろん今後の課題でありましょうけれども、そういうことを十分考慮されて、そしておくれている農漁村の人たちが十分これが活用できるということを最も重点に置いて一つ今後の構想をきめていただきたい、こういうことを考えるわけですが、一つ局長の御見解を承りたいと思います。
  64. 関盛吉雄

    関盛説明員 建てかえというような場合は、これは新築の問題でございますから、これは一般の新築されます木造なり、あるいは北海道等は耐寒防火建築でございますから、そういうものの償還年限で相当長期でございます。改修資金のようなものは比較的短期でまかない得るものだと性質上思っておりますが、なお実情によりましてうまくいくように検討して参りたいと思います。
  65. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、これは住宅公団との関係もあるわけでございますけれども住宅政策の第二点の重点施策として都市計画との関連ということがいわれておるわけでございますけれども、この点は公団総裁にもお聞きしたいと思うわけでありますが、行政指導上の立場から、特に先ほど石川委員も指摘されました通り、現在宅地が非常に高いので、どんどん郊外に公団の住宅はできているわけでありますが、肝心の足の方が全然ということは言い過ぎかもしれませんけれども交通機関との並行的な団地の設定ということがあまり考えられておらない。そういう点もやはり都市計画との関連ということにおいて今後十分考えなければいけないし、同時にまた大都市の市街地再開発ということも都市計画との関連において考慮するということがいわれておるわけでありますけれども、すでに現在できておる住宅団地の交通機関の整備ということは、そこに住んでいる人たちがきわめて大きな課題として考えておろうかと思うわけですが、現在できておる団地と交通機関の関係、こういうこと等について、局長並びに公団総裁としてはどういうふうにこのような問題を解消する御意思なのか、この点についての見解を一つ承りたいと思います。
  66. 関盛吉雄

    関盛説明員 明年度の予算の編成といいますか、住宅をどういう方向で不燃高層化したものを建てるか、あるいは団地をどういう方法で選ぶか、まさに都市計画の問題で、特に大団地を大規模考えていきます場合は、既成都市の周辺でありましても、新しい都市をつくることになるわけであります。住宅の建設は、既成の市街地におきましては一つ都市構築の一部でございまして、従って既成市街地におきましては、幹線の街路等の整備に即応いたしまして、高層の建築物を、あるいは公庫融資であるとか、あるいはまた公団の市街地住宅の建設をはかりまして、そして整備された都市施設をその建築物に居住する人たちがうまく利用できるようにしていこう、従って、そういうところはもとより高層化を重点に考えていく。それからまた国有地等におきましても、そういう既成市街地の中の国有地を住宅公団が活用いたします場合におきましては、できるだけ高層化をはかっていくというような格好で、大都市人口がさらにこのことによって集まることのないように、現在おる地域の住宅困窮者層の数と見合いました建築方式を考えていきたい。周辺の地域につきましては、大規模住宅団地を整備いたしますと同時に、所要のところには住宅公団がいわゆる賃貸住宅を建設するわけでございますが、こういう施設の計画なり団地の選定につきましては、公共投資ももとより、関連の道路の整備につきましても、初めから十分タイミングを合わせた整備の仕方をやっていきたい。現在あるものにつきましては、おくれているところについては建設省全体として、また関係地方公共団体等の協力を得まして、団地の施設の利用者はもとより、関係の住民に御迷惑をかけないような方法で整備を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  67. 挾間茂

    挾間参考人 ただいまお尋ねの点につきましては、住宅局長からお答えがございまして大体尽きていると思いますので、住宅公団として団地の経営なり市街地再開発をいたしたいと思って努力いたしておりますその方法について、簡単にお答えいたしたいと思います。  問題は二つございますが、いずれも都市計画、ことに首都圏の範囲内におきましては首都圏整備計画と相マッチして、団地の選定等について実施をいたしております。交通機関の問題につきましては、御存じ通り、特に東京都周辺におきましては相当の混雑をいたしております。公団の団地を構築いたします場合には、必ずその団地の選定につきましては、交通機関のことは十分配慮をいたしております。国鉄あるいは私鉄、バス、道路関係というようなことも十分調査をいたしまして団地の選定をし、なお相当大きな団地でありました場合には、私鉄等につきましては、特に停車場等の新設もお願いして、実行いたしております。なおさらに交通機関の整備につきましては、多少駅から離れておるというようなところには、私鉄等のバスの運転を開始してもらいますように考慮いたしました上で、団地の選定をし、そこに住宅の構築をいたしております。道路等につきましては、都市計画と十分マッチして進めておりますが、必ずしもそれが一〇〇%マッチしないという場合には、計画を、そのマッチする段階に至るまで考慮をいたして進めております。  市街地の再開発につきましては、住宅公団といたしましても非常に関心を持っております。今年度におきましては東京大阪等におきまして市街地再開発のために賃貸住宅を市街地に持ちまして、俗に申しますげたばき住宅という形において三千戸を建設していく計画のもとに着々と進めておるわけであります。  なお、市内の都市計画等につきましては、たとえば東京でございますれば東京都あるいは首都圏の整備計画等とも十分に連絡をとって進めておるのであります。理想といたしましては、個個の住宅を建設するというよりも、少なくとも街路拡幅にマッチしてその街区全体の再開発を目途とした市街地施設の建設をする方針で進めておりまして、現に放射四号線につきましては今日拡幅されつつありますので、ここに高層建築をいたしまして、市街地の整備と同時に便利な場所に賃貸住宅の建設を進めて参ることにいたしております。今日工事に着工いたしておりますものでは、青山通りにおきまして放射四号線に沿うて一つ、すでに実施の段階に進んでおりますのが四ブロックございます。その他につきましても、でき得る限り都市計画と相呼応して市街地の再開発を進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  68. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは要望でございますけれども、特に団地から都市中心に通勤する人が、歩いて、二回も三回もラッシュのとき車なり汽車に乗りかえなければ来れないという情勢が相当あるわけですね。ですから国鉄、私鉄相互乗り入れだとかあるいはできる限りそういう乗りかえ等を少なくするようなことを今後運輸省等とも十分相談しまして、せっかくりっぱな団地ができても往復の通勤に非常にエネルギーを使ってしまう、これではせっかくの団地の意義が半減されるわけですから、総裁としてもその点を十分配慮して今後対処していただきたいと思います。  次に団地内部の問題でございますけれども、私も二、三の団地をいろいろと見て参りましたが、住宅公団が設立されて七年間の歴史の流れというものを見て参りますと、相当団地住宅の改善に努力していることには十分敬意を表するわけでございますけれども、三十八回の通常国会日本住宅公団法の一部を改正する法律、昭和三十六年四月一日の法律第五八号で、サービス機関の設立ということがきまったわけです。その際附帯決議として「日本住宅公団は、公団の投融資による公団住宅居住者へのサービス機関の設立に当っては、居住者の意思が充分に反映し、且つ運営が営利に走らないよう措置すると共にその規模並びに業務を充実して公団々地間に著しい格差を生ぜしめぬよう考慮すること。右決議する。」こういうことが建設委員会で決議されたわけです。ところがいろいろと各地の事情を聞いて参りますと、このサービス機関の機能というものが十分に発揮されておらぬのではないか、現在どういうふうな状況になっているか、その概略を一つ簡潔でいいですがお聞かせを願えたら幸いだと思います。
  69. 挾間茂

    挾間参考人 団地サービスは、昨年公団法の改正によりまして公団の投融資をお認めいただきまして昨年七月発足いたしました。その経由の内容は、一面におきまして公団の投融資いたしましたものと民間資金の借り入れとの二つになっております。国会での附帯決議等の御趣旨に従いまして、公団の投融資によりますものは、大体保育園あるいは貸し倉庫その他の公共的な性格を持っております施設に充当いたしております。民間資金の融資を受けましたものを利用いたしまして、居住者の利便に供する各種の仕事を進めておるわけであります。現在におきまして団地サービス会社の状況を見ますと、発足一年余りでございますので、まだ非常に目立った仕事もいたしておりませんけれども、保育園は数カ所に設置いたしましたし、あるいは団地の方々の利便のために清掃の業務あるいは小修理に必要な工事ないし移転、入居等の場合における小運送の業務、その他身近な仕事をいたしまして、団地の居住者の利便に資するように努めております。  店輔の経営につきましては、国会での附帯決議の御趣旨もございまして、民間企業の圧迫をするということのないように、またあまり高い収益を上げないように、この御趣旨に沿うてできるだけサービス会社の幹部を勉強いたしまして、仕事を進めて参っておるようなわけでございます。
  70. 兒玉末男

    ○兒玉委員 機関の具体的な問題については、本日は時間の制約もございますのでまた後日の機会に譲りますが、特にさしあたっての問題として、医療施設それから通信施設が非常に少ない。特に船橋の高根台等に私は行きましたけれども、三千近くの世帯があるのにお医者さんがたった一カ所、しかも診療時間というのは夕方五時であとはおらない。こういうことでは、全然付近に医者のない地域で不測の事態が起きた場合にはこれは基本的人権に関する問題でありますので、これらの点についてはもう少し積極的な施策がほしいと私は思うのです。というのは、たとえばこの団地をつくる場合に十分に開業できるような施設を住宅公団の方で提供するとか、そういうふうな積極的な施策によって、ここに住んでいる住民が病気等にかかった場合に安心して療養ができる、こういう態勢は私は最も基本的な、重要な問題だと思うのですが、この点がまだほとんど解消されておらない。この医療施設の問題について一つ総裁の積極的な構想なり——これは早急に私は手を打たなくてはいけない問題だと思うのですが、厚生省当局とも十分相談されましてこれの解決をはかっていただきたい。この医療施設の点について一つ見解を承りたいと思います。
  71. 挾間茂

    挾間参考人 大へん御親切なお尋ねでございまして、診療所につきましては現在公団といたしましても入居者の方々が医療に事欠くということのないように、できるだけの努力をいたしたいと思います。方針としましては、大体団地を設定いたしました場合に、その近所に病院なりあるいは相当の診療機関がございます場合にはそれを利用されて、十分やって参れます。たとえば西武の沿線にひばりケ丘というかなり大きい団地がございますが、戸数は二千七百数十戸ございますが、ここはその近所に田無の病院がございまして、これはもうちょっと出ればその病院が利用されるわけでございまして、かような場合には特にその団地の中に診療所を設けるという必要もございませんし、また入居者の方々の御意向も、それで十分であるというような場合もございますので、そういう場合には施設の診療機関を利用することになっておる。近所に診療所がないというような場合には、診療設備を設定することにいたしております。現在相当の団地には、近間に診療所や医療機関がないところでは、大体十六カ所ばかりの診療所を設けております。それから団地をつくります場合に、相当の規模の団地でございますと、中に施設を設けます。店舗、その他の施設を設けますが、その施設のうち医療機関として使っていただくために、診療所をそこで開設してもらうという方針で進めて参っておりまして、店舗と並んで診療機関でございますところも相当ございます。また分譲宅地をいたします場合に、そこでお医者さんが開業されるというような場合には、優先的にその分譲を認める、こういう方針でございます。御指摘になりました高根台は、ただいま目下建設の中途にございます。しかしその人々の診療に事欠かないために、施設の一部の賃貸を認め、あるいは宅地の分譲をして、そこに病院を経営していただくというような方針で進んでおりますので、完成の暁におきましては、診療機関もさらに数を増しまして、十分医療の問題につきましては、手落ちのないようにいたしたい、こういう方針で鋭意計画を立てております。
  72. 兒玉末男

    ○兒玉委員 高根台だけでなくて、完成の暁ということですが、もうすでに相当数入っておるわけですね。しかも夜間に急患が発生しても、電話はなかなかあかない。しかも医者はそばにいない。こういう相当、二千世帯近くあそこは入っておるのじゃないですか。そういうところは早急に——私は全体の宅地計画が完成するというような、そんなのんきなことではいけないと思うのです。だから早急に医療機関の整備をはかってもらいたいということを強く要望したいと思います。  それから第二の通信施設の問題ですけれども、これはどこの団地でも共通の悩みになっておるのでございますが、やはりたとえば電報なんかでも、二時間も三時間もかかって間に合わないということが非常に多いわけです。そういう例も一部横浜地区の団地等においてあったということを聞き及んでおるわけでありますが、とにかくそれと電話が非常に少ないということでございます。この電話施設等については、おそらく公団が直接電話の取り扱いをするということは非常に困難だと思うのですが、既存の集団の住宅の電話協会とか、いろんな今までの既存の機関があるわけですから、こういうもの等を通じて、やはり通信というのは今日きわめて重大な問題でありまして、特にこれの解消について積極的な手を打つべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、対郵政省との関係はどういうふうな折衝をされておるのか、この電話通信施設の解消ということについて、一つ総裁の見解を承りたいと思います。
  73. 挾間茂

    挾間参考人 団地の通信設備につきましては、私も痛切にその必要を感じております。公団の総裁を承りましてまず第一に団地の視察をいたしましたときに、最も初めに私印象づけられましたのは、団地に電話のなかったということでございます。むろん赤電話はございますけれども、赤電話だけでは足りないということを感じまして、その後電電公社等とも絶えず交渉を続けまして、集団電話を設けるという方針を立てまして、現在団地で集団電話を持っておりますものが、これはまだ大阪はそれほど普及しておりませんが、東京周辺の団地におきましては、十七カ所の電話交換所を設けております。これは御存じと思いますが、回線の余力がございませんとなかなかできませんので、この点は電電公社とも十分折衝を遂げ、電電公社におきましても非常に協力していただきまして、団地の居住の方々の希望に従いまして、そこに私の方で交換室を建設いたしまして、それを団地の方々の組合なりあるいは組合に委託された経営主体なりが、そこで何回線かの電話の設備をし、それを各希望者の各戸に電話をつけて、十分通信の便利がはかれるように現在十七カ所を開設いたしておりますが、さらに電話公社の拡充に伴いまして、集団電話はできるだけ団地の方々の希望に沿うように増設して参りたい、こういうふうに考えております。
  74. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間もあまりないようでございますから、公団関係はまだ申し上げたいことはございますが、これくらいにしまして、最後に河川局長にダム建設の問題で、私の地元の方で非常に問題が起きておりますが、ここで二、三点だけお聞きしたいと思います。  宮崎県の北諸県郡の高崎町というところで大淀川の上流でありますが、このダムの設置の調査につきましては、すでに建設省関係では昭和二十八年、通産省では昨年からそれぞれ河川総合開発なりあるいは国土総合開発による調査がなされておるわけでありますけれども、大体田畑山含めて三百町歩、それから戸数にして約百五十戸が水没するという、宮崎県におきましては、今までの多目的ダムのうちでは最も規模の大きいダム建設なんですけれども、これの調査がまだ終わってない。しかし地域住民というものは、非常にこれに不安を持っておる。しかも関係の町が三つあるわけでございますが、このうちの野尻の議会では、いろいろなそういう補償の問題あるいは非常に地力の高い田畑が水没する関係で、農民の生活が非常に困る、また道路が数カ所に寸断されて非常に困難を来たすということで、町議会はすでに反対の決議をいたしておるわけでありますが、この点について私たちはダムのその目的から申しましても、決してこれに反対という立場ではないのでございますけれども、こういう地域住民の不満を解消するためには、早急にこの建設の計画をはっきりさせまして、そして議会と協力態勢をつくることがきわめて私は大事な問題ではなかろうかと思うわけでございますが、この見通しはどういうふうになっているのか、またいつごろ全体的な計画が確定するのか、この点について河川局長の見解を承りたいと思います。
  75. 山内一郎

    ○山内説明員 ただいまの野尻ダムにつきましては、建設省といたしましても数年前から調査をやっておりますが、ただいまのところでは来年度から実施計画調査の要求を大蔵省にやりたい、こういう準備を進めておる段階でございます。従って、実施計画調査にかかれば早急にはっきりした計画ができまして、地元の御協力を得てダムの建設にかかりたい、こういうふうに考えておるわけです。
  76. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この問題は下筌ダム等の例もありまして、水没する面積が非常に広いということと、それから特に宮崎県等は農家の所有反別が狭い関係でほかへの転業ということもなかなかできないわけですけれども、こういうような補償関係と今後の計画について早急に一つ建設省等の態度というものを明らかにしてもらいたい。今後の問題として転業と補償等については、もうすでに地元では非常に騒いでいるわけですけれども、そういう住民に対する理解と補償対策、こういうこと等についてはどういうふうな考えをお持ちか、明らかにしていただきたいと思います。
  77. 山内一郎

    ○山内説明員 ただいまの御指摘の趣旨を尊重いたしまして、できるだけの補償はやりたいと思っておりますが、具体的にどういうことになるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、来年度実施計画調査にかかりたいという段階でございます。はっきりするにつれまして、よく地元の方々の納得のいくようにいろいろお話し合いをして参りたいと思います。
  78. 兒玉末男

    ○兒玉委員 さっき三百町歩と言ったのは私の間違いで、六百町歩でございますので、訂正させていただきます。  地元の企業局としましても、ほかに相当多目的ダムの建設の経験を持っておりますし、われわれとしても下流の住民が集中豪雨等の場合に非常に莫大な被害を受けた経験もありますので、これにまっ向から反対ということではないわけでありますけれども、約百五十戸、しかもほとんど農業一本で食っている住民の立場、こういうこと等を一つ十分に考慮に入れまして、円満な解決ができるように建設省当局の積極的な指導と協力をお願い申し上げますと同時に、県の企業局としても地域住民からの突き上げによって相当混乱を来たしておるのじゃないかと考えますので、特に建設省当局の積極的な協力と理解ある態度をとってもらうということを最後に要望申し上げまして、大へん時間も経過しましたので、私の質問をこれで終わることにいたします。
  79. 福永一臣

    福永委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は公報をもってお知らせいたします。    午後二時五分散会