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1962-10-27 第41回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年十月二十七日(土曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長代理 理事 安藤  覺君    理事 正示啓次郎君 理事 岡田 春夫君    理事 戸叶 里子君 理事 森島 守人君       愛知 揆一君    宇都宮徳馬君       川村善八郎君    櫻内 義雄君       椎熊 三郎君    田澤 吉郎君       高橋  等君    津島 文治君       保科善四郎君    森下 國雄君       稻村 隆一君    黒田 寿男君       松本 七郎君    春日 一幸君       川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣 志賀健次郎君  委員外出席者         内閣官房長官  黒金 泰美君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         外務政務次官  飯塚 定輔君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (欧亜局長)  法眼 晋作君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         外務事務官         (国際連合局         長)      高橋  覚君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 十月二十七日  委員赤城宗徳君、池田正之輔君、高碕達之助君、  古川丈吉君及び西尾末廣君辞任につき、その補  欠として高橋等君、櫻内義雄君、保科善四郎君、  津島文治君及び春日一幸君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員櫻内義雄君、高橋等君、津島文治君、保科  善四郎君及び春日一幸辞任につき、その補欠  として池田正之輔君赤城宗徳君、古川丈吉君、  高碕達之助君及び西尾末廣君が議長指名で委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件(キューバ問題)      ————◇—————
  2. 安藤覺

    安藤委員長代理 これより会議を開きます。  野田委員長御不在のため、理事の私が指名によりまして委員長の職務を行ないます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。正示啓次郎君。
  3. 正示啓次郎

    ○正示委員 きょうは、外務大臣のお時間が大へん窮屈でございますので、簡単に最近のキューバをめぐる国際情勢につきまして政府の御見解をただしたいと存じます。  キューバをめぐり進展しておりまする最近の情勢はまことに重大でございまして、特に、米ソの動静というものは、世界の平和、従ってまた人類運命に直接つながるきわめて重大な問題と存じます。われわれ日本国民といたしましても、これに対して多大の関心を払わざるを得ないのであります。  今回の米国及び米州のとりました措置は、いわば並々ならぬ決意のもとに確固不動の態勢をもって臨んでおる、こういうふうにわれわれ見られるのでございます。それにいたしましても、本年五月末でございましたか、アメリカタイに出兵をいたしましたときに、ちょうどこの委員会におきまして、そのタイ国進駐についていろいろの議論があったのであります。これは記憶に新しいところでございまするが、この進駐のことが、あとから振り返ってみますると、所期の成果をおさめたかのごとくにも思われるのであります。最近の米国及び米州措置、これにつきましても、われわれは、冷静に、しかもいわゆる良識をもって今後の効果というものについて見守っていかなければならぬと思うのでありまして、すでに政府は、去る二十四日官房長官談話をもって、さらにまた、昨日でございましたか、池田総理大臣は、米国大統領への返書におきましても、米州諸国の今回とりました措置についての立場は十分これを理解するということを明らかにしておられるようであります。  そこで、私は外務大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、まず第一に、米国及び米州諸国立場日本政府としてはいかに御理解になっておるのであろうか、この点が第一。第二に、わが国自体、いわゆる自由主義陣営一員、しかもAA諸国一員としてのわが国自体が、今回のこの米国及び米州措置についていかに判断をすべきであろうか。この二つの点につきまして、外務大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 第一の点でございますが、ソ連側の累次の意見の御表明にもかかわりませず、キューバに新しい攻撃用ミサイル基地が建設を急がれておるということに対して、米国並び米州機構が、これは平和に対する重大な脅威であるという判断に立ちまして、今回のような措置をとらざるを得なかったということにつきまして、私どもは十分理解できるところでございます。  第二の、日本政府としてどう考えるかということでございますが、日本政府といたしましては、もとより、世界の平和が維持されなければならないし、紛争が起こった場合に、これは国連を通じて平和的に解決されるということを希求する方針に変わりはないのでございまして、この問題につきましても、一体、新しく攻撃用基地キューバに建設されるということは、世界平和の観点から見まして、米国米州諸国がその安全に対する重大な脅威であると受け取られたことは当然でございますが、同時に、これは世界の平和に対して甚大な影響を与えるものと思うのでございまして、私どもは、この問題がいち早く国連に持ち込まれたことを歓迎いたしまするし、国連におきまして、世界平和の観点から慎重に審議されまして、平和的な解決ができますことを心から期待いたしておる次第でございます。
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員 今外務大臣がお答えになりましたように、米国及び米州各国といたしましての立場は、これを直接の脅威というふうに考え、また、われわれの立場からいたしましても、世界の今日まで平和が維持されておる基本的ないわゆる均衡の関係、こういうものに大きな変動要因となるという意味において、これは非常に重大な関心を持たざるを得ない、こういうふうに理解しておると伺ったのでありまするが、さて、こうした世界平和、人類運命に対する非常に大きな災厄の原因ともなろうという一つの事態、これを速急に除去する、こういう次元においての措置がとられたわけでございまして、従ってまた、この措置について、単に平面的に、純法律的にこれを批判するということは、私は必ずしも当を得たものではないと存じます。しかしながら、今日は、冒頭に申し上げましたように、米ソ陣営支配者を初め世界人類が最も冷静なる良識をもってこの事態を見守るべきときであろうかと存じまするので、世上とかくの議論もありまするから、今回のこの措置につきまして、私は、次の三点において、それがはたして合法性を持つかどうか、この点についての外務当局見解を明確に示していただきたい。  まず第一は、米州機構によってとられた今回の措置は、国連憲章第八章に従った地域的機関による措置と考えてよろしいかどうか。次に、第二点は、右の措置は、全米相互援助条約、いわゆるリオ条約のいかなる条項に基づいておるものであるか。第三点、国連憲章第五十一条との関連において、今回の米国措置をいかに解釈すべきであるか。この三点につきまして外務当局の御見解を伺いたいと存じます。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 今回の措置に対するアメリカ側法律的見解がまだ示されておりません。そしてまた、私どもが純法律的に問題を分析解明して参る材料は、今の段階では十分整っておらないのでございますが、今まで知られた限りにおきましては、第一の、全米相互援助条約機構を事前に招集いたしまして、そこで、今まさにとらんとする措置について承認を求めておることは確かでございます。すなわち、その条約によって示された協議が行なわれ、その協議に基づきまして、とらんとする措置承認を受けておるということは、周到に履修されておると思います。  また、これが国連憲章との関連におきましてどういう性格になるのかということにつきましては、冒頭私が申しましたように、まだ当事国自体法律的見解も示されておりませんし、判断するに十分の材料がこの段階では整っておりませんので、純法律的な解明ということは今の段階では非常に困難であると思うのでございますが、今の段階において考えられる限りにおきましての御指摘国連憲章との関係という点につきましては、条約局長から説明させます。
  7. 中川融

    中川説明員 大臣の御説明を補足させていただきますが、今正示委員から御指摘のありました第一の点でありますが、今回の措置をとるに至りました全米相互援助条約機構、これは国連憲章第八章にいう地域的取りきめであるかどうか、これはまさしく国連憲章第八章にいう地域的取りきめとしてできておる機構であります。その機構としての活動であると考えるのでございます。  次に、全米相互援助条約の第何条に基づくかということでございますが、これは、アメリカが出しまして、そして全米機構で採択されました決議案にはっきり書いてあるのでございまして、第六条及び第八条に基づくということが書いてあるのでございます。第六条と申しますと、平和を害する脅威があるという場合に、全米機構の国が集まりまして協議して、必要な措置をきめるというのが第六条でございます。第八条は、協議によってきめる措置をいわば書いておるのでありまして、外交、領事関係の断絶、交通遮断とか、いろいろありますが、兵力の使用ということを書いておる規定でございます。これに基づきまして提起されたのであります。  国連憲章との関係は、ただいま大臣の申された通りでございます。
  8. 正示啓次郎

    ○正示委員 この問題はなおいろいろ論議の余地はもちろんあろうと存じますが、外務大臣も言われましたように、すでに問題は国連の場に持ち出されておりまして、国連におきましてこれらの問題もこれから十分討議されるものと考えます。時間の関係もありますから、私は最後質問を申し上げて野党の方にお譲りをしたいと思います。  申し上げるまでもなく、この問題はすでに安保理事会において取り上げられており、国連の場において一日も早く平和的な解決がはかられるということを祈念することにおきましては、私は、これは与野党いずれを問わず日本国民一致したところの信念であり希望である、かように思うのでございます。そこで、最後に、今日までこれがいろいろ新聞に伝えられておりますが、国連の場においてどういうふうに扱われ、また、これからその問題の処理がどういう方向をたどるであろうかという点について外務大臣の御見解を伺って、私の質問を打ち切ることにいたします。
  9. 大平正芳

    大平国務大臣 お答えいたします。  安保理事会は、米国ソ連及びキューバ三国の要請に基づきまして、十月二十三日の午後開催されまして、以後、二十四日、二十五日と審議を行ないました。二十三日には、米国は、キューバからミサイルその他の攻撃兵器を撤去し、そのために国連監視団を派遣するよう事務総長要請いたしますとともに、米ソが平和に対する脅威を除去するための措置について直ちに話し合いを行なうことを要請する趣旨決議案を提出いたしました。一方、ソ連は、米国行動を非難し、米ソ及びキューバ事態を平常化するための交渉を行なうよう要請する趣旨決議案を提出いたしました。さらに、ガーナ及びアラブ連合は、二十四日、事務総長に対しまして、平和に対する脅威を取り除く措置につき直接の関係当事者と直ちに話し合いに入るよう要請し、関係当事国に対しまして直接または間接に事態をこれ以上悪化させる行動を差し控えるよう要請する決議案を提出いたしました。この間にありまして、国連事務総長は、中立諸国要請もありまして、二十四日、米ソ両国首脳あてに、両国が直ちに話し合いに入るようにとの呼びかけを行ないました。これに対し、ソ連は、事務総長提案に同意する旨の回答をいたしております。米国は、攻撃的兵器秘密裏キューバに導入したことによって現在の脅威が生じたのであり、かかる兵器を除去することが問題であることを指摘しつつ、事務総長提案に対して予備的会談に応ずる用意がある旨を回答いたしました。二十五日の理事会で、米ソ両国は、事務総長に対しまして右のごとき回答を行なった旨報告いたしましたが、同日の理事会は、決議案の表決に入ることなく、次回の会合の日取りを未定のまま散会いたしました。事務総長はその後米ソ両国と個別的な折衝に入っておりますが、この内容はまだ発表いたされておりません。  そこで、今後の見通しでございますが、安保理事会と並行して、いわば事務総長のパーソナル・ディプロマシーが今行なわれておりますので、その成り行きを見ないと的確な判断ができないわけでございますが、そうして、私どもは、国連の場におきまして事態を憂慮してその平和的な解決への努力が行なわれておるということを歓迎いたしますと同時に、その成り行きを深甚な関心を持って注意深く見守っていかなければならないと考えております。
  10. 安藤覺

  11. 岡田春夫

    岡田(春)委員 キューバの問題について、非常に重大でございますので、きわめて簡単でございますが、重要な点だけ、二、三の質問をしたいと思います。  その前に、きょうは総理大臣に御出席を求めたのでありますが、どうしても御都合が悪いというので、せめて官房長官だけでもぜひ出ていただきたい、官房長官は、黒金談話という形で、このキューバ問題については非常に責任があるのでございますから、ぜひ出てもらいたいという希望をしたが、いまだに出てこないのであります。そこで、大平さんは、政府外務大臣として、総理大臣並びに官房長官——官房長官は当然でありますけれども政府を代表してきょう御答弁をいただけるかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 もとより政府を代表して御答弁申し上げます。
  13. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、第一点として伺いますが、昨日アメリカに対して回答書簡をお出しになったそうでございますが、それは事実でございますか。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 事実でございます。
  15. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その書簡の中には、私たち読んでみましても、なかなか理解に困難なあいまいな文章がずいぶん書かれております。時間がありませんから簡単に申し上げますが、たとえば、今回のような措置をとらざるを得なかった立場——これはアメリカ立場です。立場を十分に理解すると書いてあります。十分に理解するとは、一体これはどういう意味なんですか。アメリカ立場を支持するという意味なのか、あるいは、この立場は正当であり、かつ合法的であるという意味で支持するという意味なのか、この点が第一点。第二の点は、十分理解するということは、立場理解するという意味か、それとも、今回の措置理解するという意味なのか。これはどういうことなんでございますか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカ米州諸国が、キューバに新しい攻撃的ミサイル基地が急速に建設されつつあるということに対して、それらの国々の安全に対する重大な脅威であると受け取ったことは、十分理解できるわけです。そして、そのためにとられた何らかの——そういう事態を回避し除去する措置をとられたわけでございますが、そういう措置をとらざるを得なかった事態、そして、その事態に対する米国並び米州諸国の不安、そういったことに対しましては、日本政府として十分な理解を持っておる、こういう意味でございます。  しからば、そのとられた措置が合法的かどうかということにつきましては、先ほども申しましたように、問題が国連の場に持ち込まれまして国連審議の過程にあるわけでございますし、また、いまだその法的な解明を行なうに十分の材料がないわけでございますから、今の段階におきましては軽率な判断はできないと思いまして、これは国連が慎重に判断すべき問題だと心得ております。
  17. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大臣、きょうは、みんなからだいぶ質問がありますので、私も、非常に短く、大体二十五分程度で終えなければならないわけです。ですから、大へん恐縮ですが、要点だけ御答弁願いたいと思います。  今の御答弁では必ずしも明確でない。十分理解するというのは、そのわかるという意味ならば、だれだって、事実がそうなんですから、わかっているわけです。十分にという言葉がある限り、これは賛成であるという意味を含んでおるのかどうなのか、このことを聞いている。それから、立場についてわかるというだけなのか。たとえば海上武力封鎖というものが行なわれた。こういうことについて、この措置を十分わかって賛成であるという意味なのかどうなのか、この点を伺っているわけです。もう一度御答弁を願います。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 もとより、その立場理解するとともに、この事態を回避するためにとられた措置はやむを得なかったものとわれわれは理解するという意味です。
  19. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、やむを得なかったものとして了承する、こういう意味だと私は一応了解して進めます。  今回の措置という場合には、これは、キューバ周辺における海上武力封鎖だけを言うのですか、安保理事会アメリカ提案をしたというのを言うのですか、このどちらも含めているのですか、それはどうなんですか。
  20. 大平正芳

    大平国務大臣 両方でございます。
  21. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それから、やはり、回答の中に、核弾頭を運搬できる攻撃的なミサイル発射基地ソ連政府秘密裏キューバに設置しているということは米州諸国の安全に対する重大な脅威であると日本政府断定をしている。ところで、伺いたいのですが、攻撃的なミサイル基地の設置ということについては、日本としてはいかなる方法でこれがあるということを確認されたか。第二は、キューバは、核弾頭持ち込み証拠アメリカも持っておらないではないかと言って、きのうの安保理事会で反論をしておりますね。ところが、アメリカは、これに対して、核弾頭を持ち込んでいるとも持ち込んでいないとも、ジョンソンは答えていない。ところが、日本回答によると、核弾頭を持ち込んでいるということを断定しているんだが、この証拠は何か。第三点としては、こういうミサイル基地というものを設置したことによって米州の安全に重大な脅威があると、このように判定をされたというその理由はどういう点か。それから、けさの新聞に出ておりますように、攻撃的なミサイルであるということを断定されたのはどういう根拠に基づいているか。キューバ大使は、そうでないと言っていますね。こういう具体的な論拠を明らかにしていただきたい。
  22. 大平正芳

    大平国務大臣 それでは、事務当局の方から説明させます。
  23. 安藤吉光

    安藤説明員 キューバ攻撃的ミサイル基地があるということに関しましては、アメリカがそういう声明をしておるのみならず、たとえば各国防衛在官が国防省から説明され、また、国連においても各国に対して説明があり、安保理事会の席上においても説明がありましたが、その説明には幾多の写真が提示されておるわけであります。そして、その写真の示しますところのミサイルというものは、中距離ミサイル、MRBM、それがすでに設置されているということと、それから、他に長距離ミサイル基地がつくられつつあるということでございます。それは写真によって説明されておりまして、われわれの防衛在官からも報告がございました。そして、そのミサイルは、数年来モスクワのパレードで示されておって、核弾頭をうつミサイルであると言われておるものと同様であるということを言われております。なお、これが攻撃的かどうかということは、地対空ミサイル、いわゆる防空ミサイルというものは、これは防衛的であるということが常識のようでございます。しかし、射程距離が、たとえば中距離ミサイルでございますと一千マイル以上ございます。そして、このミサイル核弾頭をいつでも積み得るものでございます。それから、長距離のIRBMは、この倍以上の射程距離があると言われております。こうなりますと、中距離の場合は、ワシントン、パナマ、メキシコ、そういった方面に当然届くわけでございます。今建設されつつあると言われている長距離ミサイルは、これはずっとアメリカ大陸全部、カナダの一部、南はペルーのリマあたりまでいくというので、これは普通攻撃的ミサイルと言われておるようでございます。
  24. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私は今の御答弁では了解できません。  ちょうど黒金官房長官がお見えになりましたから、攻撃的ミサイルであると断定をしたという論拠が数葉の写真によったということでございますが、その写真キューバのものであるということを明らかに確認することがいかなる方法でできるのか。それから、官房長官あとからお見えになりましたけれども、攻撃的なミサイルであると日本政府断定した。ところが、キューバ大使は、きのう公式に日本政府を訪れて、攻撃的なミサイルでないと断定した。こういう点について、いかなる点で攻撃的なミサイルであると断定をされるのか。しかも、この点に関連して、キューバ政府とも日本国交回復をしているのでありますから、キューバとの間に見解の交流その他をやっておられるのかどうか。こういう点、十分な調査をされているのかどうか。国連の総会において何枚かの写真を出したから、それによってそうであると言うことは、それで証拠にするということにはならないと思います。これについてもいろいろ問題がある。たとえば、キューバの上で写したのならば、それは明らかにアメリカ主権侵害です。侵略行為です。そういう侵略行為をもとにして、あなた方は攻撃的ミサイルであると是認するという立場をとられるのか。こういう点ははっきりしておいてもらわなければならない。どうなんです。
  25. 安藤吉光

    安藤説明員 その写真は相当たくさんあるようでございます。そして、その一部はすでに新聞に発表されておりまして、ごらんになった方も多いかと思います。この写真がはたしてキューバでとったものであるかどうかということは、これは要するに心証の問題であろうと思います。私の承知しておりますところでは、各国政府とも、ソ連とか共産圏は除きまして、ことに西欧諸国ラ米諸国は、各国とも、これに対して疑義ははさんでおらないようでございます。  それから、なお、攻撃武器であるかどうかということに関しまして、私も軍事専門家ではございませんけれども、中長距離ミサイルというものが攻撃武器であるということは常識のようでございます。それから、ソ連及びキューバも、防衛的であるということは言っておられるようでございますが、中長距離ミサイルがないというふうにはいまだかつて言っておらないように承知しております。
  26. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この点については、まだ私いろいろ伺いたいのですが、そういう長距離ミサイルがあるということが米州諸国の安全に脅威を与えている、こういうことでございますか。簡単に御答弁下さい。
  27. 安藤吉光

    安藤説明員 OASの会議においてもそれをはっきり決議しておる通りラ米諸国はこれを脅威と感じておるということは、はっきり表明されております。われわれとしても、そうであるというふうに感じております。
  28. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、今度は大平さんに伺いますが、アメリカには、キューバがつくるずっと以前から、長距離ミサイル基地核弾頭を装備したミサイル基地がたくさんありますね。そうすると、長距離ミサイル発射基地アメリカにたくさんあるということはキューバの安全に対する重大な脅威になりませんかどうですか。
  29. 大平正芳

    大平国務大臣 各国とも自衛権によりましてそれぞれの防衛施設を持つことはできると思うわけでございまして、それが攻撃的になるかどうかということは、各国良識の問題であろうと思います。
  30. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そうすると、あなたの御答弁は、アメリカキューバの持っているよりまだ長距離ミサイル基地を持っている、しかしこれは攻撃的なミサイルではない、そしてキューバの安全に対して重大な脅威を与えない、しかし、キューバはそのミサイルを持ったことによってアメリカに対して重大な脅威を与える、こういう政府の解釈ですか。
  31. 大平正芳

    大平国務大臣 世界各国はそれぞれの立場におきまして自国を防衛する用意をしておると思うのでございまして、現在の各国のそういう軍備の状況というものがバランスがとれまして、そして戦後十数年にわたりまして世界の平和がともかくも保たれてきたと思うのでございまして、問題は、そういう均衡状態を著しくくずすような事態が起こるかどうかということが、平和に対する観点から吟味すべき問題だと思います。
  32. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんなことを私は聞いていないですよ。アメリカキューバ関係です。キューバ長距離ミサイル基地が設けられた、これはアメリカに対する安全の脅威であると言う。アメリカは、前から、ミサイル、しかもキューバに設けたよりももっと長距離ミサイルを持っており、キューバは当然射程の中に入る。それはキューバにとって安全の脅威になりませんかと聞いている。それだけのことですよ。どうなんです。
  33. 大平正芳

    大平国務大臣 キューバに対して、私が冒頭に申しましたように、キューバにはそういうものは送っていないのだということをしばしばソ連の方から表明されておりますが、問題は、そこに秘密裏にということが問題なのでございまして、そういったことが秘密裏に実は行なわれておった、こういうことが平和に対する脅威だというように受け取っているわけです。
  34. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはえらい重大な御答弁ですが、秘密裏につくったことが平和に対する脅威だ、そのことだけだという意味ですね。長距離ミサイルをつくったということは、これは平和に対する脅威とは必ずしも言えない、そういう意味でございますね。それならそれではっきりして下さい。秘密につくったことが問題なので、それ以外ならいいのだ、公然とつくったらいいのだ、こういう意味なんですね。
  35. 大平正芳

    大平国務大臣 それは、前に私が申しましたように、ともかくも今まで世界の平和が維持されてきた根基は、東西の力がともかくもバランスがとれているということが平和を支えてきたのではなかろうか。そして、そのバランスを失墜するような新しい事態が起こることは平和の観点から十分吟味せねばならぬということは、先ほど私が申しました通りでございまして、今度のキューバ事態は、私どもの受け取り方は、そういうバランスをくずすような新しい事態秘密裏に進んでおるというような観点から、私ども世界の平和に関する問題としてこれを受け取っておるわけでございます。
  36. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もっと伺いたいのですけれども時間がないのでどんどん進めますが、しかし、われわれの常識、およそ日本の国民ばかりでなく世界の人間の常識で言って、アメリカキューバと比べて、国の規模の点、あるいは資源の点、軍備の状態から見て、今日どちらがどちらの安全を脅威しているかということを考えるならば、明らかにアメリカキューバの安全を脅威しているのですよ。そうじゃありませんか。小さい国のキューバアメリカの安全を脅威していると、どういう常識であなたはお考えになるのですか。それは人間世界常識でございますか何か知りませんが、私はあなたのお考え方はさかさまだと考えますが、その点はどうですか。それが第二の点。  続いて質問いたしますが、アメリカ海上における武力封鎖を行なった。これが、第三国であるソ連の船舶に対する臨検または武力による航行の阻止あるいはまた撃沈、これらのことをやるということを声明しておる。これは明らかに国際法上違反ですね。この点については、日本政府としてはどういうようなお考えを持っておられるのか。国際法上違法でないと言うのならば、その法的な根拠を伺いたい。それは合法的なものであるかどうか、この点についても伺っておきたいと思います。  この二点を伺います。
  37. 大平正芳

    大平国務大臣 第一点は、アメリカ並びに米州諸国が、キューバに新しい攻撃用基地が建設されつつあるということに対して、これは米州圏の安全に対する脅威であると受け取ったということは、理解できるということは先ほど申した通りでございまして、そうして、アメリカ並びに米州圏がそのように判断したのだということは理解できるということを申したのでございます。御理解いただきたいと思います。  それから、第二点の、とられた措置合法性の問題でございますが、とられた措置は、ただいまの段階までに知り得た限りにおきましては、リオ条約の条項を発動されて、関係国が協議して、とらんとする措置承認しておるという手続をとっておりますことと、第二点といたしまして、アメリカ側の発意によりまして安保理事会に報告されて、安保理事会がすでに開かれまして審議が進められておるという限りにおきまして、一応形式的な手順は周到に履修されておるものと思います。そこで、問題は、とられた措置が、岡田さんが御指摘になるように、合法的なものであるか違法なものかという国際法上の吟味は先ほど私が申しましたように、アメリカ側もまだ法的見解を十分示しておりませんし、それから、純法律的な解明を加えるに必要な材料がまだ私どもの手元にございませんので、今、日本政府はこれが合法的であるかどうかというようなことを判断する材料を持っておりません。しかし、これは国連安保理事会等を通じまして判断すべき問題であろうと思うのでございまして、私ども国連審議を十分注視しておるのだということは、そういう意味でございます。
  38. 岡田春夫

    岡田(春)委員 時間がないから先に進めますが、今まで、国際法上、海上における武力封鎖によって、平時において、これは現在のことを言っておるのですが、第三国に対して臨検または航行停止、撃沈ということを行なった事例は今までないはずです。(「ある」と呼ぶ者あり)——あるということを今そこら辺で言っておるが、外務大臣は、あるのかないのか、そこら辺答えて下さい。そういう点から言っても、これはたとえばあっても明らかに国際法違反である。これに対して合法であるか違法であるかわらないということは、アメリカの海賊行為をあなた方は擁護するということになる。  第二の点は、今度は黒金さんに伺いますが、総理の対米回答によると、「日本政府としては、その方向にそって努力している貴国政府立場を強く支持するものであり、今後とも貴国政府と積極的に協力して、平和的解決を促進するため努力する」云々と言っておる。そうすると、これは安保理事会に現在出されているアメリカ決議案を支持するという意味なんですかどうなんですか。  この二つの点について伺いたい。
  39. 大平正芳

    大平国務大臣 国際法上の合法性云々につきましては、先ほど私が申し上げた通りでございます。日本政府見解は、今そういう段階にあるということでございまして、問題は国連判断に待たなければならぬと思います。従来の平時における国際法上の慣例から申しますと、直ちにこれが合法的であると言い切れないものがございます。特に、御指摘のように、第三国の船舶に対する措置は、十九世紀の前半にそういう先例が皆無ではございませんけれども、しかし、国際法上の通念といたしまして、その通念に十分適合しておるものとにわかに判断できない要素を持っておると思うのでございますけれども、この問題は、今申しましたように、国連の場に持ち出されておるわけでございますから、国連判断審議に待って、そういう審議の経過を見て、そこに提示された材料を見まして判断すべきものだと思います。  それから、黒金長官に対する御質問でございますが、私が承知しておる限りでは、安保理事会で今審議中でございまして、三つの決議案が出ておるわけでございます。これは、どういう運命をたどりますか、まだ今のところわかりませんが、これと並行して事務総長の勧告に基づいたいろいろな動きが今あるようでございまして、安保理事会でこの三つの決議案がどういう結末になるものか、そしてまた、その次に一体総会が開かれるものかどうか、総会にどういう決議案が出るか、そういうようなことは、まだ私どもには今の段階では十分読み切れないわけでございます。
  40. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そういうところで時間をとってもらっては困ります。アメリカ決議案を支持するという意味なのかどうなのかということをさっきから聞いておるのです。黒金さん、どうぞ御答弁下さい。
  41. 黒金泰美

    黒金説明員 今のお尋ねの点でございますが、政府としましては、国際連合の場で一日も早く平和的な解決をはかる、こういう意味から申しまして、その方向に沿って、つまり、安保理事会の場でもって平和的に解決しようとしておられるアメリカ政府立場を支持するものでありまして、アメリカともいろいろ協力いたしまして、そうして平和的解決に努力いたします。こう申しておるのでございます。その決議案そのものには何も触れずに、お互いに協力して、そうして平和的な解決を国際連合の場でいたしましょうと、こう申しておるのであります。
  42. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の伺っているのは、文章に触れてあるかどうかというのは、これは読めばわかります。触れてないですよ。これを支持するという意味なのかどうかということを聞いておるのです。支持しないなら支持しないでいいんですよ。それはどうなんですかと聞いておるのです。
  43. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど岡田先生に私が申し上げた通りに、今三つの決議案が出まして安保理で審議されておりますが、日本は安保理に議席を持っておりませんから、この決議案につきましてはどうすることもできないのです。問題は、安保理事会でこの三つの決議案がどういう運命をたどるかは、今の段階ではまだ私にはわからぬというわけでございまして、そういう段階で、次に総会の場に参りますと、御案内のように日本も出て参るわけでございます。そのときにどういう決議案が出されるか、どういう模様になるかということは今のところ読み切れないでおる、こういうことを正直に申しておるわけでございまして、今まだあなたの御質問は仮定の問題になるんじゃないかと思います。
  44. 岡田春夫

    岡田(春)委員 仮定じゃないですよ。決議案は出ているんだもの。賛成かどうかということは仮定じゃない。  それでは、あなたに伺いますが、アメリカ決議案の中には、武力による海上封鎖について、憲章上の規定に従うとは書いておりませんよ。この点はどうなんですか。武力封鎖の問題については、日本政府賛成なんですか反対なんですか。どうなんですか。アメリカ決議案の中には、憲章に従うとは一言も書いてない。禁制措置を事実として認めろと書いてある。それならば、アメリカの海賊行為であり憲章違反である海上における武力封鎖というものを日本政府は認めるのか認めないのか。認めないのならば、この決議案に対する態度というのは明確になるはずだ。これは一体どうなんですか。あなたはウ・タント事務総長の話をあれしているが、ウ・タント総長のアメリカソ連キューバに対する提案は、アメリカに対しては武力措置をやめろということを言っておる。これをアメリカはやらないじゃないですか。これはまとまりっこないじゃないですか。ここの点に問題がある。これについて日本政府が態度を明確にしないということは、アメリカの海賊行為を擁護するということ以外にないじゃありませんか。どうなんですか。
  45. 大平正芳

    大平国務大臣 御結論を急がないようにしていただきたいのですが、こういう案件が、私が先ほど申しましたように、国際法上の合法性を持つかどうかという問題は、従来の国際公法通念から申しますと疑問がありますということを申し上げておる。しかし、この問題は、すでに国連の場に持ち込まれまして慎重に審議されておる段階でございますし、私どもは今純法律的な解明を加える十分の材料を持っておりませんので、国連審議とその判断を注目いたしておる段階でございますと申し上げておるわけでございまして、一体、言われるように、これが海賊的な行為になるのかならないのか、そういうようなことは今国連の場でせっかく審議されておるわけでございますから、もう少しこれを見守っていただくのが穏当じゃないかと思います。
  46. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたの答弁を一つ一つ聞いていると、キューバに設けたミサイル基地アメリカに対して攻撃的な重大な脅威を与える、アメリカにあるミサイル基地は重大な脅威を与えない、アメリカのやった海上武力封鎖というものは海賊行為であるかどうかはわからない、こういうわけで、これは、全部、日本政府の言っている言葉じゃない、アメリカ政府の言っていることじゃないですか。いつアメリカ政府の代弁をやることをあなたは決心したのですか。アメリカ政府の言っていることですよ。その発言は、明らかにアメリカ政府の手先になっている結果じゃないですか。  それよりも、志賀さん、お見えですから伺いますが、二十五日に、在日米軍司令部では、日本にいる米軍の配置体制に大きな変更があった場合でも、報道管制をしいて日本の国民には発表しない、そういう発表があったといわれていますが、この点はどうですか。
  47. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 ただいまお尋ねの件は、十分に存じておりません。
  48. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは聞かされなかったわけですね。防衛庁の中で大臣浮かないようにして下さいよ。これは防衛当局が発表していることですよ。違いますか。
  49. 志賀健次郎

    ○志賀国務大臣 ちょうど九州に公務出張中でございまして、官房長から私にかわって答弁させます。
  50. 加藤陽三

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  今の問題について思い出しますのは、在日米軍司令部から、アメリカ本国において国防総省から、新聞その他に対しまして、十二項目の事項については国家の利益に反するようなことをしないように協力を求めるという通達を出したからというので、その写しをわれわれの方に送って参りました。その事実を記者クラブで申したわけでございます。
  51. 岡田春夫

    岡田(春)委員 では、続いて伺いますが、それは日本においては発表されないということでございましょうか。
  52. 加藤陽三

    ○加藤説明員 日本において発表されないかどうかということ、それには触れておらないのでございます。アメリカ本国においてこういうことをしたからというので写しを送ってよこしたわけでございます。
  53. 岡田春夫

    岡田(春)委員 日本にはアメリカの軍隊がいますね。これの移動は当然発表にならないわけでしょう。そういうように解釈してもよろしゅうございますね。
  54. 加藤陽三

    ○加藤説明員 発表しないとかするとかいうことではないので、それは、十二項目については新聞報道関係に協力を求めたい、自主的に協力をしてもらいたいという趣旨の通知を出したということを言うてきたわけでございます。
  55. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、要するに、キューバのこの事態が起こってからそういう点に何らかの拘束、制限を受けることになるのだ、こういうことですね。
  56. 加藤陽三

    ○加藤説明員 アメリカにおきましてどういう措置をとったかということにつきましては私ども承知をしておりませんが、私どもが知っておるのは、国防総省として新聞社等にそういうふうな通知を出したということでございます。
  57. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、私もうこれで終わります。まだいろいろあるのですがやめますが、これほど、日本にいる米軍にも大きな変動があっても国民には知らせない。これは、外務大臣、重大なことですよ。それから、キューバのこの問題が拡大したら世界戦争になる。これはだれが見たってわかりますね。だから慎重にいろいろ協議されたでしょう。こういう重大なときに、一国の総理大臣である池田さんがふらふらヨーロッパへ行くのなんかおやめなさいよ。国民の命にかかわる問題のときに、一国の総理大臣の池田さんがヨーロッパに行くのなんかおやめになった方がよい。しかもお礼回りに行くのでしょう。あなたは政府を代表してさっきお話しになったが、そんなことはおやめになるようにはっきりした御答弁をなさい。それはどうなんですか。
  58. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいまのところ、そういう考えはございません。
  59. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、これで終わりますが、あなたは考えがないと言うのだが、そうすると、世界戦争になって日本の国が被害を受けても池田さんだけはふらふらとヨーロッパを回って歩く、こういうことですね。  そこで、私は、最後にケネディの言葉をそのまま使いましょう。ここに声明全文があるから使いましょう。ケネディはこういうように言っております。日本政府にケネディの言葉で私は注意を喚起します。ケネディは、侵略行為はもし抑制も反抗もしなければ結局戦争に導くことになるというのが一九三〇年代の教訓であると言っている。侵略行為はだれがしているのか、だれがこれに抵抗しないのか。あなたが何と答えようと、侵略行為、海賊行為をだれがやっているかということは、日本国民ははっきり知っていますよ。これに抵抗しないのはだれであるかということははっきり知っていますよ。国内の中間選挙に世界戦争という大へんなことを利用しようとしているこのような半狂乱の男が侵略者であるということを明らかにしているではないか。これはアメリカ帝国主義じゃないか。これは明らかじゃありませんか。しかも、このアメリカ帝国主義に対して抵抗もしないでヨーロッパにふらふらふらふらお礼回りに行こうという、これに協力をして戦争に導いているというその一人はだれであるか、これははっきりわかっているではないか。協力をして戦争に導くような、抵抗をしないこの池田首相の態度に対して、あなた方は十分に反省してもらわなければならない。これがアメリカ帝国主義の本性であり、しかも池田内閣の本質がここにある。この点は、あなたがここで言葉の上で何とごまかして答えようと、日本の国民ははっきり知っている。こういう池田内閣に対して、ケネディの言葉をもって十分な反省と注意を喚起します。  私の意見をこれで終わります。質問も終わります。
  60. 安藤覺

    安藤委員長代理 稻村隆一君。
  61. 稻村隆一

    ○稻村委員 今度の問題は非常に重大ですから、私は簡単に率直に外務大臣見解をお尋ねしたいと思うのです。  ケネディ大統領は、キューバから攻撃も何もしないのに、公海を封鎖して、そして第三国の船を点検するということを三軍に命令した。ソ連船がもしそれを拒否すれば撃沈するということを国防総省は言っているわけであります。これはまことに驚くべきことでありまして、もしソ連が自制しなかったならば核戦争に必然に発展する。そういうときに、これは合法的であるとかないとか、安保理事会にまかせるんだとかいうふうなことではなくして、今幸いにソ連の柔軟なる態度によって小康を保っておるけれども、また今後の発展いかんによってはどうなるかわからない。そういうときに、日本政府が、アメリカの友邦であればあるほど、はっきりした態度をもって、合法的であるとかないとかということでなしに、アメリカに切に自重を求めるというのが日本政府の態度であると私は思うのです。安保理事会でやってくれるであろうとかなんとか、これは全くの責任のがれであって、人類運命とか日本民族の生死の問題なんかに対して無関心な言い方だと思うのです。そういうことに対しまして、社会党はいち早くも、アメリカは封鎖を解くこと、ソ連は武器を輸送しないこと、こういう態度を明白にしているのです。これは、社会党と自民党とは外交政策は違うというけれども、このくらいのことは当然政府としても言うべきであると思うし、現に、偶然でありますが、ウ・タント国連事務総長は、そういう線で今問題の解決に奔走しておるわけです。社会党と同じ線においてやっておる。それなのに、新聞の報道するところによりますと、黒金官房長官は、はっきりしたことは言っておらぬが、国連にまかせる、そういうことを言っておる。それからまた、岡田委員が言ったように、池田首相の返書というものは、こういうアメリカの乱暴な態度を認める、こういうふうなことを言っているのですが、私は、これは実に不都合千万な返書であると思うのです。核戦争を防止するために、友邦であればあるほど、アメリカに対して自重を切に望むというのが当然であると思うのですが、そういうあれは全然ない。一体、アメリカ大統領の親書というものはどういう内容を持っているのであるか、ここで外務大臣にはっきり公表してもらいたい。これは重大問題ですから。
  62. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカ大統領の親書はすでに発表した通りでございます。
  63. 稻村隆一

    ○稻村委員 具体的にこれは発表になっておりますか。新聞発表ですね。ほんとうの正文発表はできませんか。配付したらいいのです。ただ新聞発表ではわからない。
  64. 大平正芳

    大平国務大臣 正文をそのまま発表しております。
  65. 安藤覺

    安藤委員長代理 ただいまの御要求に対しては、後ほど外務省から配付いたさせます。
  66. 稻村隆一

    ○稻村委員 次に外務大臣にお尋ねしたいのですが、外務大臣は、二十六日の毎日新聞の座談会で、今回アメリカがとった行動というものは、国連憲章第五十二条には地域的行動を認めており、米国国連に問題を持ち込んでおるから、不法な行為ではないと言っているのですが、これは合法的であるという意味ですか。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 今までとられました手続は、合法的に履修されておると判断しております。
  68. 稻村隆一

    ○稻村委員 ここで合法的であるとかないとかいう議論よりも、常識をもって申し上げるのですが、たとえば、トルコにアメリカミサイル基地がある。その場合、これはソ連を攻撃するものであるから、そこで、ソ連が、ワルシャワ条約諸国と一緒になって、黒海とブルガリアからダーダネルズ海峡を封鎖して、そして第三国の船を点検し、そして、もし拒否するならば撃沈する、こういうことも安保理事会の問題にすれば合法的なのですか。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 国連の憲章に基づく地域的な安全保障機構協議しまして、そこで今とろうとする措置を認めておるということは、先ほど条約局長説明した通りでありまして、それと同時に、アメリカの発議によりましてこの問題が国連に持ち込まれておる、その限りにおきまして私は手続上瑕疵はないと思っております。
  70. 稻村隆一

    ○稻村委員 時間が来たからこれでもってやめますが、とにかく、今回のアメリカの封鎖というものは実に驚くべきものでありまして、これは過去の国際法においても例のないことであり、政府の公然とした政策として、——出先が間違ってやるとかあるいは勝手にやったということは別として、例のないことであり、これは国連憲章に違反すること明瞭なんです。幾ら追随外交でも、こういう重大な問題に対しては、アメリカに対して自重をして核戦争にいかないように努力するものが当然であるのに、何もしないで、アメリカの言うことは十分理解できる、もっともであると言うようなことは、全然外交をやる資格はないと思う。大平外務大臣外務大臣の資格はないと思う。実にけしからぬと私は思う。もう少し自己の見識を持って、アメリカが言う通り何でもくっついて歩くということは今後はやめてもらいたい。こういう場合は、法律問題は別ですが、自己の考えを持ってやってもらいたい。それだけを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  71. 安藤覺

    安藤委員長代理 松本七郎君。
  72. 松本七郎

    ○松本(七)委員 先ほど正示委員から、キューバの問題については日本政府としてはきわめて慎重にやるべきであるという御意見が出たのですが、私どもは全く同感だと思うのです。それで、今度出された書簡なり、あるいは官房長官談話、あるいは今の御答弁からわれわれが理解しておるような日本政府判断及び態度というものは、きわめて軽率じゃなかったか。正示さんの指摘された、もっと慎重にということから言っても、きわめて軽率な処置であったように思うのです。というのは、今の答弁外務大臣が言われるように、第一、あの封鎖措置というものが国際法上合法的かどうか、国連憲章に照らしてどうなのかという点についてははっきりした結論は得られないんだ、これは国際連合にまかせるんだ、こうはっきり言っておられるわけです。さっき岡田君が質問した場合にでも、総理の書簡にある「強く支持する」とか、あるいは官房長官談話にあるところの「十分理解する」というようなことが、この武力による封鎖の措置も含めたものかどうかという質問をしたのに対して、外務大臣答弁では、当然それは含まっておるということで、そういうふうにアメリカ立場に立って言っておられる。それから、攻撃用ミサイル基地が設けられたということが、米州に対し、またアメリカに対して重大な危険である、それから、世界の力の均衡を破壊するものだ、こういう理由のもとに、経済、武力による封鎖に出たその措置を含めてこれは理解もし支持もするというふうにさっきの答弁理解したわけですけれども、一方では、その経済封鎖の国際法上の合法性、非合法性というものはまだはっきりわからない、こういう答弁さえされておる。そうすると、このきわめて重大な問題についての法的な解釈もまだはっきりしないうちにそういう態度をとられている。しかも、さっき岡田さんの質問での答弁で出てきたように、一体この攻撃用ミサイル基地があるという確認は日本独自の努力でどれだけなされておるか、ここにも問題があると思う。代理大使はちゃんといるのですから、また、ハバナには日本大使館があるのですから、こういう早急な措置をとる以前に、日本政府独自でもって、これがはたして米州に対する脅威になる基地なのかどうか、そういう点は自分の努力でもっと確認すべきだと思う。それが、さっきの説明によると、外国でとった写真だとか、外国の情報だとかによっておられる。この写真にしても、アメリカのU2型機がキューバの領空を侵犯しながらとった写真でしょう。もしあれがほんとうにキューバ基地だとすればそういうことになる。キューバの代理大使はそれ自体にも疑いを持っておるようですけれども、さっきの外務大臣答弁によると、U2型機によるキューバ領空を侵犯しての基地の撮影というものは、これは日本政府も認められるのですか。相手が自分に対する脅威を与えている、危険だという判定をしたら、自分の方は領空を犯してU2型機を飛ばして写真までとってもいい、そういう理解立場でものを言っておられるのかどうか。まずこの点をはっきりさしていただきたい。
  73. 大平正芳

    大平国務大臣 日本政府といたしましても、この事態を憂慮し、可能な限りあらゆる材料を集めまして、慎重に検討いたしたわけでございます。と同時に、私どもは、米国並び米州機構十九カ国がこの事態を憂慮して、やむにやまれずああいう措置をとることを承認したという事実を重視するのでございまして、私どもの友邦が非常な憂慮を抱いている問題について、日本は友情に欠けるところがあってはならぬと思うのでございます。同時に、ヨーロッパ各国等の態度も私どもは十分聴取いたしたわけでございますが、自由圏各国はみな、今度の事態を憂慮し、また、これに対してとられた暫定的な緊急措置というものはやむを得ないものと認めておるようでございます。そこで、日本政府といたしましても、大局に立ちまして、この間官房長官にお願いして談話を出していただいたような次第でございまして、今御指摘の個々のデータ、すなわち、この写真はどうしてとられたものか、そういう点につきましては、私ども材料を持っていないわけでございまして、今申しましたような情勢判断に立ちまして、私ども日本政府としての態度をきめたわけでございます。
  74. 安藤覺

    安藤委員長代理 松本さんにちょっと申し上げます。黒金官房長官会議の途中から出てきておりますが、もし御質問を外務、防衛大臣に御集中いただけますならば、官房長官をちょっと帰したいと思いますが、よろしゅうございますか。
  75. 松本七郎

    ○松本(七)委員 それは、当然外務大臣政府立場を代表して答弁されるのだから、外務大臣答弁総理大臣も含めた内閣全体の責任においての答弁であるということを了承して、私はかまいません。  今外務大臣の言われるように、日本の今の政府アメリカに対する友情ということを非常に強く考えられておるその立場はわかりますよ。けれども、どういうふうな態度をとることがほんとうにアメリカに対する友情かということは、これはまた別問題で、この今回の措置をそのまま支持することは、逆に、アメリカに対して、特にケネディ政権に対して非常に非友好的な結果になることをおそれるから、これはもっと問題を広げて質問したいと思いますけれども、先ほどから、あなたは、今度の武力封鎖という措置が合法的かどうかまだ問題だと言われていますね。そうすると、あなたは、この措置を含めて今支持するという態度を早急に出して、そうして、将来国連でこれが検討されてということになると、外務大臣自身、問題だと言われながら、必ずしも合法的でない面もあるのじゃないかという疑いさえ持っていられるでしょう。国際連合でこれが国際法上認められないという結論が出た場合に、あなた、この責任をどうしますか。大へんなことですよ。それだけ疑いがあるならば、これはもっと慎重にやるべきだったし、従って、これは早急にもうやってしまったことですが、今後それじゃあなたの言われる疑いがある間はどうやって慎重な態度に引き戻すかということがこれからの問題だと思いますよ。そうすると、少なくとも、私は、アメリカ政府に対して、日本政府はこの武力による封鎖は国際法上から照らしても非合法という結論が出るおそれを持ったものだから直ちに停止しろというくらいの線は当然出してしかるべきだと思う。どうですか、この点は。おそらく今でもその点は考えておられるだろうと思うのです。こういう国際世論の動向その他を考えて、この問題が起こってからまだわずかしかたちませんけれども、その点一つ外務大臣の率直な心境を聞かせていただきたい。
  76. 大平正芳

    大平国務大臣 私も法律の専門家でないので、御質問に十分答えられ得るか疑問でございますけれども、私はこう考えるのです。従来の平時国際法的法源というのは、今までいろいろ国際的な先例がございまして形成されておりますが、これは今日のように非常に軍事科学が発達いたしまして新しい兵器が続々と現われるような事態を予想しての国際慣例ではないであろうと思うのです。今問題になっている点について、アメリカでは封鎖措置と言っておりませんで、隔離措置と言っておりますが、このクォーランティーンという措置を一体国際法的にどう解釈すべきものかという点につきましては、先ほど私が申しましたように、まだアメリカ当局自体も法律的な解明をお出しになっていない段階でございまするし、まず当事国自体がどういう見解に基づいてやったかということをやはり吟味する必要があると私は思うのでございます。従って、幸いに本問題はアメリカの発意によりましていち早く国連に持ち込まれたわけでございますから、国連が今審議を始めたばかりでございますから、私どもはこの国連審議状況を注視していきたいと思うわけでございまして、早急な結論はまだ軽率に出すべき段階ではないと思っております。
  77. 松本七郎

    ○松本(七)委員 軽率に出すべき段階でないならば、この武力封鎖措置を支持するという態度も軽率に出すべきではないです。そういう政府の方針をいち早くきめたから、あるいは総理の書簡となり、あるいは官房長官談話でそういう態度をきめて、それをあとで外務省がそれでは理由づけをどうするかと一生懸命に考え出している。その出てきた理由づけというのは、全く六法全書に目と鼻をつけたような、全く役人の考え出した三百代言的な弁解なんです。それを今度は、政治的な判断でこれを処置しなければならぬ外務大臣が、それを後生大事に説明材料に使って国会の答弁に使う。こんなばかげた話はないですよ。外務大臣は、もっと政治的にこれを判断して、日本がどう対処すべきかをきめる立場でしょう。それを、あなたは、さっきから、法律的にもまだ解釈には疑義があると言いながら、もうすでに全面的に海上封鎖を支持するという態度をきめてしまって、そうして、あとでその理由づけを外務官僚に命ずる。これはやり方が転倒していると思う。今後十分反省してもらいたい。  第一、このキューバ防衛力が侵略的、攻撃的であるというようなことを言っていますけれども、すでに、二十五日の安保理事会におけるキューバの代表の発言を見ても、はっきり当事国が言っているでしょう。また、キューバが西半球諸国に核兵器脅威を与えているとのケネディ大統領の証言を確認したものでもない。キューバの持つ兵器防衛的なものに限られ、これらは米国の侵略的政策のため保有せざるを得ないものである、こういうふうに断定している。それから、ソ連の方も、キューバ攻撃用兵器長距離ロケットはないということを言明している。  そこで、この点について私は少し聞きたいのですけれども、第一、一つの武器を、攻撃用とか防御用とか、そういうふうなきちっとしたカテゴリーに分けることは私はできないと思う。同じ武器でも、それが政治的あるいは軍事的にいろいろな条件では攻撃的なものになるでしょう。今の米国キューバとの関係を歴史的に考えた場合に、キューバには米国基地さえあるではないですか。米国の軍事基地がちゃんとある。そうして、あの革命が起こったときに、アメリカは、亡命者やその他を使って、このキューバを壊滅させようといろいろ干渉してきている。そういう中にあって、キューバが、何とかして自分の国を守ろう、このために真剣になって軍備を増強するのは、私は当然だと思う。その武器そのものは攻撃用に使えても、キューバアメリカの侵略に対してこれを使うときには、完全に防御の武器になるのですよ。今度の事態は、そういうものを一方的にアメリカ判断して、しかもスパイ機を飛ばして写した写真を根拠にして、これが攻撃的だといって、それで海賊行為に出てきたんだ。それに対して慎重な検討もしないで、いち早く、これを十分理解できる、強く支持する、こうしてこの武力封鎖措置というものを支持するという態度を出したということは、これは私は大きな間違いだと思う。  私はちょっとここで伺っておきますけれどもキューバに対する日本政府の基本的な態度です。アメリカはこれは非常にはっきりしていますよ。核兵器を持っているとか、あるいはミサイル基地が攻撃的であるということだけではない。アメリカの言っておるいろいろな言い分を見ますると、キューバが共産主義的なものになってきておる、共産主義の政権である、このこと自体がアメリカに対しては脅威だ、こう言っているのです。日本政府はこの立場も認めるのですかどうですか。それを一つ伺いたい。
  78. 大平正芳

    大平国務大臣 日本キューバとの間には国交関係がございますし、日本といたしましては、キューバが平和愛好国として安定しかつ繁栄していくことを望んでいます。
  79. 松本七郎

    ○松本(七)委員 だからこそ、国交を結んで、そうして大使館も置いているのでしょう。それならば、なぜ、外国の資料を根拠にしないで、キューバ大使自身にもう少し事情を聞くなり、あるいは日本大使館を通じてキューバの現状というものを自分の目で確認する努力をしなかったのですか。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもの政治的判断といたしまして、今度の問題は、米国並び米州機構の諸国が、これは自分たちに対する新しい重大な安全に対する脅威であると受け取ったということ、その気持はよくわかる。そうして、これら友邦の心配事に対しまして、日本が冷淡であり得ないのは松本先生も御理解いただけると思うのでございます。と同時に、この問題はいち早く平和的に解決されるようにわれわれは希求いたしておりますわけでございますが、アメリカも、これを国連に持ち込みまして、国連の場で今話し合い段階に入っておるわけでございます。従って、これがいち早く解決されることを私どもは国民とともに期待し、そうして国連の場で日本としても最善の努力を尽くさなければならぬという立場をとっておるわけでございまして、私どもは、キューバの政権ということと今の事態というものと直接関連した問題であるとは考えておりません。
  81. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そこのところがだいぶわれわれとは判断の相違なんですけれども、それは、アメリカが今までやってきたように、武力によらざる経済封鎖といいますか、もしこれがうまく順調に成功していれば、こういうむちゃな行動には出なかった。ところが、アメリカキューバに対する経済封鎖をやろうとしたこと自体、イギリスやフランスの反対にあっているのです。これがうまくいかない、自分の友邦諸国の反対にあって思うようにいかないために、だんだんと気持がいらいらしてきて、そうしてああいうふうなむちゃな海賊的な行為にまで出てしまったというのが、今までの経過から来た今日の状態なんです。だから、やはり、日本政府が、今あなたの言われるように、アメリカ政府とは違って、キューバの政権というものは認めるんだ、そうしてこれが順調に発展することを望む、それがほんとうならば、こういうむちゃな海賊行為というものをすぐ支持するというような態度に出ようはずがない。だから、今の答弁はあなたの本心じゃない。今まで行なってきたアメリカの政策、アメリカが経済封鎖その他でキューバをつぶそうとしてきたことを、あなたはほんとうにそれは行き過ぎだという政策をとられるならば、こういう態度に出るはずがないと私は思うから、このことを言っているわけです。  もう一つ、日本政府が今度のアメリカ行動を支持する理由として、力の均衡が破れる、こういうことを言っておられますね。これはやはり支持される理由の一つに入っているのですか。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 今のはキューバ国のことから議論が出ましたけれども、私ども、この問題のとらえ方は、世界平和という視点から見ておるわけでございまして、世界平和に対する新しい脅威を取り除かなければならぬ。今まで世界にはいろいろな軍備の配置があるようでございますが、ともかくも一応の平和が戦後維持されてきたという基礎には、やはり力の均衡ということがこのささえになっておったのではなかろうかと思うわけでございまして、この均衡状態に対しまして、新しいこの均衡をくずすような事態が起こることに無関心ではあり得ない。そういうことは従来の歴代の政府が終始申し上げてきたところでございまして、今回の事態に対しましても、私どもはそういう観点からこの事態を憂慮いたしておるわけでございまして、おっしゃる通り、それも私ども立場をささえる論拠になっておることに間違いありません。
  83. 松本七郎

    ○松本(七)委員 この力の均衡論というのが私はずいぶん身勝手なあれだと思うのですけれども、それは別な機会にまた論ずるとして、キューバは、人口わずか六百四十万、そして、やっと生まれたばかりの独立国、これが全力をあげて武装を強化しても、私は、力の均衡が破れるとは思えない。けれども、やはり、キューバ基地を強化されれば力の均衡が破壊されるとあなたは考えておられるのでしょうね。そうなると、ここで聞いておきたいのは、沖繩にも基地がある。メース、ミサイル基地というものは、当然攻撃用とか防御用とかいう議論がまた出てくるでしょう。その余地もあるでしょう。しかし、少なくとも沖繩の基地は中ソに対しては十分射程距離に入っておるわけです。あるいは日本基地、こういうものに対して、ソ連は、しばしば、中ソに向けられた基地だと言っている。今あなたは、安保体制でもって力の均衡が保たれておるから、だから平和が維持されておる、こういう認識なんでしょう。これも、日本で在日米軍及び日本の自衛隊その他を含めた力がもっと増強されることは、力の均衡を破るものとして平和の脅威になるという認識につながり得ると思うのです。日本の場合は、現在もうこれ以上少なくもできない、強化もできないという考えなんですか、外務大臣
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 今まで私どもに確認できることは、戦後ともかくも平和が保たれてきたということです。御指摘のようないろいろなことがございましても平和が保たれてきたということは厳たる事実でございまして、それをわれわれが考えてみると、力のバランスがほぼとれておるということからこういう結果が出ておるというように判断するわけでございまして、この均衡を破る新しいことが行なわれるということに無関心であり得ないということを申し上げたわけでございまして、日本の場合は、私ども一番大事なこととして考えておるわけでございますが、御承知のように、核兵器は持ち込まないという方針を堅持いたしておるわけでございますし、安保条約にいたしましても、自衛隊にいたしましても、すべて寸毫も攻撃を考えていないわけでございまして、われわれの国をいかに防衛するかということに全力をあげておることはあなたが御承知の通りでございます。
  85. 松本七郎

    ○松本(七)委員 あなた、日本の場合はかりに自衛隊をもっと増強しても寸毫も攻撃を考えていない場合はいいのだということになるならば、キューバについても、基地は強化されたけれどもキューバ政府は一体これを何の目的でやっておるかということをもっと確かめましたか。あなた、どれだけ一体キューバ政府に対してその点確かめたのですか。
  86. 大平正芳

    大平国務大臣 アメリカ政府も申しておる通り攻撃用ミサイル基地の建設が新しくキューバに急がれているということから今度の事態が起こったというふうに理解しておるわけでございまして、攻撃用ミサイル基地というものが新しく設けられるということにわれわれは無関心ではあり得ない、こういうことを申し上げておるわけであります。
  87. 松本七郎

    ○松本(七)委員 それでは、日本にはミサイル基地というものはもう新しくつくらないのですか。
  88. 大平正芳

    大平国務大臣 従来政府が声明申し上げておる通り日本は核兵器は持ち込まないということを堅持しておるわけです。
  89. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そうすると、今までの答弁によると、とにかく、キューバのこの新基地というものが攻撃的で脅威であるということから、今回の武力封鎖も、合法的かどうかは問題だけれども、これは支持するのだ、こういう立場をとるということになれば、日本のいろいろな基地についても、あなたは、これは防御用だとか、あるいは核兵器は持ち込まないのだとか、そういう政府としての考えをいろいろ述べて、問題ないように考えられても、かりに、第三国が、日本基地は自分の方にとっても非常に脅威になってきた、その脅威は、単に日本政府の意図ばかりでなくて、世界情勢その他の客観的な条件から、第三国に対して脅威になってきた、しかるがゆえに、場合によっては武力による海上封鎖、ちょうどキューバに対してアメリカがやるように、そういうことも起こり得るのだ、それを認めることになりますね。一方には認めながら片方には認めないというわけにいかなくなるだろうと思うのです。その点はどうでしょうか。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 戦後十数年の経過に顧みまして、日本基地があり、自衛隊が最小限度設けられておるということによりまして危機が助長されたものと私ども思っていないので、これが世界の平和に貢献こそすれ、これに脅威を与えたというような事跡はないわけでございますので、私どもは、現在の私どもがとっておる政策で間違いはないと心得ております。
  91. 松本七郎

    ○松本(七)委員 持ち時間が来ましたからこれで終わりますが、最後に、アメリカの国防総省が二十四日にこういうことを言っております。これによると、米国は、キューバへの武器輸入を阻止するためばかりでなく、キューバミサイル基地をなくするための直接行動をとるのでないかとも見られる。また、この国防総省のスポークスマンが言っておるところも、途中は飛ばしますが、キューバ攻撃的兵器を取り除くためにはいかなる措置をとることも辞さない、キューバミサイル基地の爆撃も考えられるかとの質問に対して、さらに行動を起こすこともあり得る、こういうふうに国防総省は述べておる。これは、御承知のように、アメリカの国内には相当前から予防戦争論というものがあるわけですから、アメリカキューバ事態というものが自分の方にとって危険だという判断をしておる以上は、その判断に基づいて予防戦争論というものがまた起こり得ると思うのです。そういうことは絶対にあり得ないという確信はおありですか。その点ちょっと聞いておきたい。
  92. 大平正芳

    大平国務大臣 そういうことについて、今あなたから御質問がありました限りにおきましての材料によりまして日本政府見解を表明するということは差し控えたいと思います。
  93. 松本七郎

    ○松本(七)委員 こういう大事なときですから、私は、国連総会でもう少し日本中立諸国と一緒に連絡を密にして行動したらどうかと思うのです。この間四十カ国の中立諸国が集まっておりますね。ああいうときに日本はどうして入らないのですか。もう少し連絡を密にして、こういうところと十分協議する機会を持ったらどうかと思う。ブラジルも入っておる。メキシコも入っておる。チリーも入っておる。私はもう一度これはあなたにお願いしたい。先ほどから伺っていても、法的な解釈がまだ確定しないし、しかも、これはどのような戦争に発展しないとも限らないような重大な危機にさらされておるのですから、この武力封鎖措置だけはここでアメリカに中止させる努力を日本政府がやはりやるべきだ。これを私は強く警告もし勧告もして、質問を一応終わりたいと思います。
  94. 安藤覺

  95. 春日一幸

    春日委員 アメリカの今回のキューバを対象とする封鎖措置は、これはそのまま世界核戦争に直結する心配ありとして、全人類は恐怖の眼でその推移を見つめておると思うのであります。わけて、わが国は、地理的にも米ソの谷間にあり、かつて原爆の試練を受けた国民といたしまして、その不安はひとしお深刻であります。従いまして、わが国政府のこれに対する態度というものは、これは戦争と平和への分かれ道になるものであり、非常に重大な使命を課せられておると思うのであります。従いまして、大平外務大臣は、このような使命観の上に立って、かつは全国民の不安がどのようなものであるかを十分認識、理解されて、厳然たる態度をもって対処願いたいと存ずるのでございます。時間が十五分でございまするから、ごく要点のみについて政府の所見をただしたいと思います。  まず第一番に、この封鎖措置なるものは、国連憲章第二十四条の中に明示されておりまする軍事行動であると思うのであります。この軍事行動が行使できる場合というのは、同じく憲章第三十九条に基づいて安保理事会が決議するにあらざればその措置をとることができないものとされておるのであります。今回のアメリカ措置はそのような手続を経ておりません。従って、アメリカの独断でかかる行動をとることは国連憲章に照らして違法行為にあらざるや。政治論は別にいたしまして、法律論として政府見解を明らかにいたされたいと思います。
  96. 中川融

    中川説明員 法律問題でございますので私がお答えいたしますが……
  97. 春日一幸

    春日委員 私は外務大臣から答弁を求めておりますから、やはり政府の最高責任者の答弁をいただきたい。
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しましたように、法律的な判断は今の段階で私どもが的確な結論を出す十分の材料がまだございませんので、国連審議判断を注視しておるという段階でございます。
  99. 春日一幸

    春日委員 法律はすべて秩序の基であります。このような混乱をしたときにおいてこそ法律の権威というものが確実に順守されなければなりません。私は、こういうような明確な問題についてわが国政府が厳然たる態度をもってその法律論を断定的に下し得ないということを非常に遺憾と思います。  これはこれといたしまして、ならば次に進みます。  一般国際法上から考えまして、今度の封鎖措置政府は適法だと考えておるのであるかどうか。国連憲章によりますると、このような武力行使を行ない得る場合は、やはり戦争宣言とかあるいは国際法上要求されておる何らかの形式の戦争状態というものが宣明されておらなければならぬと存ずるのであります。キューバはその措置アメリカに対してとっておりますかどうか。この点を明らかにいたされたいと思います。
  100. 大平正芳

    大平国務大臣 先ほど申しました通り、まだそういうことを政府の責任ある見解としてつくり上げて参る場合の材料が不足しているわけでございまして、ただ、私が申し上げましたのは、ただいままでとられた米州機構協議、それから安保理事会の報告、そういう手順に関する限りにおきましては、手続上瑕疵はないと認められる。問題は、現実にとられた行動の実態が国際法上合法性を持つかどうかという問題につきましては、今から国連の場におきまして周到な材料をもちまして審議されることでございますので、それをよく見守らなければならぬと考えておるということでございます。
  101. 春日一幸

    春日委員 私は、すべての秩序は法律の規定に従い、その手続を追って進められなければならぬと存ずるのであります。それで、そのことがなされておりませんときに、これは法律に違反をする行為であるならばあると、やはり厳然たる態度をもって、それぞれ関係諸国の猛省を促し、世界の世論の造成をはかっていく、これが日本政府に課せられておる使命でないかと思うのであります。  ならば伺いますが、国連憲章第五十一条に基づいて自衛権の行使が行ない得る場合は、やはり武力攻撃というものがなされた場合に限られておると思うのであります。   〔安藤委員長代理退席、櫻内委員長代理着席〕 従いまして、今回のキューバミサイル基地建設というこの事実は、この武力攻撃に該当すると政府理解しておるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  102. 大平正芳

    大平国務大臣 条約局長から答弁をさせます。
  103. 中川融

    中川説明員 国連憲章五十一条が武力攻撃を前提としているごとは御指摘通りでございます。なお、今回のキューバの状態が武力攻撃に当たるのかどうかという点、これは、われわれはわれわれとして一つの判断は持ち得るわけでございますが、現実の問題と対比いたしまして考える際には、現実今問題となっているこの事態と切り離せないのでありまして、国連の場におきましてこれが討議されており、その結論を見てこの判断を下すべきものであると考えて、早急に政府としての見解を言うのは今適当でない。大臣の言われた通りであります。
  104. 春日一幸

    春日委員 まことに残念な態度であります。きぜんたる態度のないことははなはだ遺憾に存じます。  では伺いまするが、中距離長距離を問わず、いかなるミサイル兵器をどの国が所有することができ、また、どの国がこれを所有してはならないか、こういうような決定的な裁量権というものがアメリカにありと考えられまするか。主権国家はすべて自己の裁量でどのような兵器を所有するかということの決定権があると思うのであります。どの国がミサイルを持っていいか、どの国が持ってはならないかという裁量権を一体いかなる機関がアメリカに付与したのであるか。付与していないとすれば、付与されていない権限を行使するということは他国の内政に干渉することになると思うが、政府の解釈はいかがでございますか。
  105. 大平正芳

    大平国務大臣 問題は、そういう問題ではなくて、現実にキューバにおける事態世界平和との関連米国内部並びに米州圏の安全ということから起こった問題でございまして、春日委員の言われるような純粋理論的な立場からのそういう判断に基づくと申しますよりは、むしろ、こういう新しい事態世界平和との関連において憂慮にたえないのでこういう事態が起こったというわけでございまして、現前にわれわれの当面しておる事態は、原理的な問題というよりは、非常に政治的な問題ではないかと私は思います。
  106. 春日一幸

    春日委員 政治的な解釈に入るのは、話が相当に煮詰まって、さてどうするかというひざ突き合わせての談合になったときに政治的な配慮や話し合いがあっていいと思うのであります。ただ、問題が今突発したときに、憲章の各条章に照らして、これが合法か適法か違法かということを、それそれまず打ち出していかなければならない当初の段階において、政府がそのような態度で臨んでおられるということは、一言で言うならば、おずおずとしてアメリカあとからついていくというような感じを世界に印象づけるものでございまして、日本国が果たさなければならない使命を果たすことにはならないと思うのであります。  それはそれといたしまして、次に伺いまするが、このほど、官房長官談話によりますると、こういうことが述べられております。すなわち、キューバミサイル基地を持つことが世界の平和をささえてきた国際的均衡を著しくくずすものであると言われておる。私はこのことについて具体的な説明が願いたいと思うのであります。裏から申しまするならば、たとえば、アメリカは、トルコにおいて、あるいはまた沖繩におきまして、朝鮮におきまして、ミサイル基地を設けております。それで、このような特定の地域においては、ミサイルを持つということがすなわち国際平和を増大することになり、片一方、キューバにおいて持つことは、これは戦争の脅威を増大することになるという、こういうような政府の考え方というものは、これは論理としてなかなかわれわれとして理解できません。ある地域においては平和の増大、ある地域においては戦争の危険の増大、こういう首尾一貫せざる論理は、何人も理解することができないと思います。政府は、しかし、そのことを官房長官談話の中において政府の統一見解として出されております以上は、相当の事実的な論拠があると思うのでありますが、御説明を願いたいと思います。
  107. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもの承知している限りにおきましては、ソ連邦も、東西の軍事力におきましては、優勢でありこそすれ、劣勢であると言われたことはないと思います。ケネディ大統領の今回の事件に対する声明を読んでみましても、核兵力のバランスということを非常に重視されております。いわば今日あるがままのステイタス・クォーにおきましてともかく平和が維持されておるわけでございまするから、この均衡状態、現状を新しくくずすような事態は、平和に対する脅威であるというように私どもはとっておるわけでございます。
  108. 春日一幸

    春日委員 何人も納得することができません。そういうようなことは一方的独断であり、かつ一方に偏した見解にしかすぎないものでございます。  ならば私はさらに伺いまするが、このキューバミサイル基地を持つことがかりに好ましいことでないと世界的に判断がされたといたしましても、国際法上それは一国に付与されておる主権の行使である限りは、これは現在国際法上の判断においてとがめることはできないと思うのでございます。さればこそ、ここに、一つの大いなる戦争の不安といいましょうか、国際平和に対する国際的な取りきめにおける一個の欠陥があると思うのでございます。そういうようなものを設けることは違法である、こういうことを明確に打ち出しますることのためには、今こそ、ここに、平和に対する条約、すなわち国際的な軍縮条約というものが最もすみやかに締結されなければならないと存ずるのでございます。どの国においてそういう核兵器を装備してはならないか、どの地域においてどうあるべきか、力の均衡を保ちながら、なおかつ、戦争の不安、そういうものを除去することのための軍縮条約というものが今こそ必要であるとわれわれは痛感せざるを得ないのでございます。   〔機内委員長代理退席、安藤委員長代理着席〕 そういうような条約が取りきめられておりまするならば、あの地この地において今回のごとき事態が起きます場合、その国際取りきめに基づいて、違法性に基づいての制裁処置も講ずることができる、報復措置も抑制措置もとることができると思うのでございます。このような考え方の上に立って、今こそわが国の提唱によって最もすみやかにこの軍縮条約というものが締結されなければならぬと思うし、わが国こそそれをイニシアをとって国連の場においてその問題の解決をはかるべきであると思うが、大臣の御所見はいかがでありますか。
  109. 大平正芳

    大平国務大臣 全く同感でございまして、ジュネーブにおきまして十八カ国がその問題と取っ組んでおるわけでございまして、わが国はそのメンバーでございませんけれども、その国々を鞭撻をいたしまして、そういう方向に実効ある軍縮協定ができますことを世界平和のために希求するばかりでなく、これを推進していくことにやぶさかではございません。
  110. 春日一幸

    春日委員 大平外務大臣の誠意によりまして、ことにショッキングな今回のキューバ問題を契機といたしまして、世界の軍縮協定締結のために大いに御努力あらんことを強く御要望いたします。  いろいろたくさんございまするが、時間でございますので、次の機会にあらためて伺います。
  111. 安藤覺

    安藤委員長代理 川上貫一君。
  112. 川上貫一

    ○川上委員 時間が非常に制約されておりますから、私は質問をまとめて行ないますので、外務大臣もまとめて御答弁をお願いします。  一体、このケネディのキューバに対する終始一貫した政策、干渉、圧迫、脅迫、攻撃、これは言語道断であります。世界がこれを認めます。彼は、大統領になるときに、すでにキューバを撃滅するということを公言しておる。そのあとで彼は国交を断絶している。この四月には、反革命の徒党を援助して、キューバに上陸作戦というものをやらしておる。これはケネディです。これが失敗に終わると、今度は、ラテン・アメリカの諸国を強要して、キュー火に対する経済封鎖を行なう。さらに、米州機構からキューバを除名している。そのくせ、アメリカはどういうことをやっておるか。キューバの国内に自分の軍事基地を置き、キューバの横っ腹にどすを突きつけておいて、こうしておいて、カストロ政権の転覆、キューバの独立の圧殺ということにあらゆる陰謀を続けてきております。これは外務大臣御承知の通りだと思う。キューバの人民が怒るのはあたりまえであります。キューバ人民が自分の祖国を守るためにしかるべく防衛の手段を講ずることは当然の権利であります。そこで、ケネディは今何をやったか。彼は、キューバ国内にスパイを入れて、攻撃用ミサイル基地を見つけたと騒ぎ出して、それを口実にして今回の武力による公海上での外国船舶の臨検、拿捕、撃沈、すなわち海上封鎖という暴挙に出たことは、これまた外務大臣御承知の通りでしょう。これはもちろん国際法違反です。国連憲章じゅりんであります。これは無法、無謀、言語道断、明らかに海賊行為であるということは、何人も否定することはできません。しかるに、あなた方は、このケネディの海賊行為を支持したのです。きょうの答弁でも支持しておる。  そこで、私は、次のことを時間がありませんからまとめて質問します。  およそ独立国家は主権を持っておる。自衛権を持っておる。政治、経済、軍事にわたる独自の政策、すなわち自主独立の政策を持ち、自由と権利を持っております。この主権は、いかなる国といえども、また、どういう口実をもってしでも、これに干渉し、これをじゅうりんすることは許されない。これは原則です。キューバは、御承知のように、国連加盟の厳然たる独立国であります。従って、この独立国が、キューバに対する一貫したアメリカの陰謀、カストロ政権の転覆とキューバの独立の圧殺という公然たる侵略を受けておるときに、これに対して自主自衛の政策をとることは独立国キューバのあたりまえの権利でありませんか。すなわち、キューバは自分自身が決定した政策に基づいて他国とどんな経済上、軍事上の協定を結ぼうとも、あるいはミサイルを持とうとも、このアメリカの攻撃の危険にさらされているキューバにとっては全く当然のことでなければならぬ。政府は、この独立国の権利、このキューバの自衛の権利、この権利の原則を認めるのか認めないのか。ほかの文句は要りません。私が今述べたこの権利を日本政府は認めるか認めぬか、これだけを言うて下さればいい。もし、国の大小を問わず、独立国の自主独立の政策がアメリカの気に入らぬ、こういう理由によって干渉され、攻撃をされ、武力制圧もまた許される、こんなことになりましたら、新しい独立国はどうして自主存続ができるのですか。新しい独立国がどうしてみずからの国を守り、存続することができますか。できません。アメリカのお許しを請わなければ自衛力も持てず、アメリカの御意見に従わなければ防衛力も持てない、これでよいのかどうか。日本政府はそれでよろしいというのか。それでよいと思うておるからアメリカの声明を支持したのでしょう。この点をお聞きしたいのです。たくさんの答弁は要りませんから、簡単に言うて下さい。  もう一つの点、政府は、このたびアメリカの無法な海賊行為を支持なさった。外相はこの委員会でも支持しておられる。これは第三次大戦を覚悟の上でありますか。今当面はソ連政府の懸命な平和政策によって一応危機は免れております。しかし、アメリカの海賊どもが一ぺん引き金を引いたらどんなことになりましょうか。それだけじゃありません。ケネディはどんな声明をしましたか。アメリカの言うことを聞かなければ、海上封鎖、撃沈、それ以上のことをやることを声明しておるじゃないですか。政府はこの声明を支持したじゃないですか。それ以上のこととは何ですか。キューバへの公然たる攻撃、これを言うておるのです。しかも、この危険が今後全然ないとは言われません。私は予想される危険であると考える。これが今度の海賊行為をあえてやり無法をあえてやる戦争屋の私は精神だと思うのです。日本政府は、この戦争の張本人のケネディの声明、海上封鎖以上のことをやると言うた声明を支持しておる。これは一体どういう量見でありますか。われわれはこれを了解することができない。これはいわば大戦の計画と陰謀そのものを支持なさったのであります。これが日本人民の安寧と幸福を代表する政府のやるやり方だとお考えになっておりますか。大平外務大臣、そう思いますか。現在、在日米軍、アメリカの第七艦隊はもちろん、自衛隊まで非常警戒態勢に入っておる。大阪の近郊では新明和工業は日本人の労働者まで足どめをしておる。日本政府は、あなた方は、アメリカの戦争強盗政策によって日本が戦争に巻き込まれるすぐ危機一発のまぎわになっても、なおかつアメリカの無法を支持しておられるのか。これは大戦覚悟であろうと言われても、何の言葉も私はあるまいと思う。私は、あなた方は世界の平和、日本の安全、これにほんとうに貢献しようという一片の真心さえないのではないかと考える。こういう政府の態度が日本国民の念願を代表しておると思えますか。私は時間がないから多く言いませんが、これは共産党の一代議士が質問すると思わぬで下さい。日本人民はこれをおそれておる。日本人民の第一の念願は平和と独立なんであります。これをつぶそうとしておる。私は、ここで、平和を念願する日本の広範な人民、これにかわって、ほんとうに憤りをこめて政府のはっきりした答弁を要求します。
  113. 大平正芳

    大平国務大臣 キューバの問題でございますが、キューバ国の主権はもとより私は認めます。私は、キューバがその主権の行使にあたりまして世界平和との関連におきまして慎重に行動されることを期待いたします。  それから、今回の措置世界戦争に発展するものかどうかという点につきましては、今日先生と見解を異にしておりまして、各当事国の良識によりましてそういうおそるべき事態にはならないものと考えますし、私どもも、相協力いたしまして、そういう事態を惹起しないように努力しなければならぬと思います。  それから、わが国の安全と繁栄につきましては、私としても、日本政府といたしましても、重大な責任を持っておるわけでございますから、それを希求し、それを招来するという努力におきまして、決して人後に落ちるものではございません。
  114. 安藤覺

    安藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会