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宇都宮委員 それでは、もう時間があまりございませんから、
韓国問題について
一つ希望を申し上げますが、ただいま申し上げたことも同時に希望にもなるわけですが、さらに二、三点希望を申し上げたいと思います。
われわれは自由主義陣営ということを言っております。共産主義が悪いのは独裁だから悪いと言っておるわけですから、もし自由主義陣営の一員として
韓国を支持する場合には、
韓国の
政権が可及的すみやかに自由な
国民の意思の
基礎の上に立った
政権になるように、
日本が友好関係を自由主義国家として結ぶ以上は、そういうことを推進する
責任が
日本の
国民に対しても私はあると思います。私は何も朴
政権が独裁だからつき合うなとは言いません。私は、ソ連とも中共とも、いわゆる平和共存の原理で、
政権、政体、やり方が違っても、
国民的利害があちこちで錯綜するのだから大いにつき合って相互利益を増進した方がいいと思うので、李承晩
政権なり今の朴
政権がどんなに独裁的であっても、それゆえにつき合うなという
主張は申しませんけれ
ども、これを反共の拠点であるとかあるいは自由主義陣営の有力な一員であるとかいう立場から支持するならば、その限りにおいてはかの
政権をもっと自由な形をとらせる
責任が、
日本の
自由民主党の政治家の
日本国民に対する道義的
責任として私はあると思います。そうしないと、
日本の
自由民主党は何を言っておるのかわからなくなりますから、そういうことを
一つ私は希望したいと思う。
それから、もう
一つは、現在
アジアには、朝鮮、中国、ベトナムという三つの分裂した国家があるわけです。世界の分裂した国家としてはドイツがそうですが、この
アジアにおける分裂をこの
交渉が促進することはない、つまり、緊張の激化という
言葉で言ってもいいでしょう、そういう方向に追いやらない、
日本の
外交がそういう
責任を負わないような注意を持ってやっていただきたいということです。
それから、もう
一つは、これは巷間のうわさに関連するようなきわめて卑俗なことになるわけですが、
日本は戦争の
跡始末としてあちこちだいぶ賠償を払いました。この賠償はだれそれのポケット・マネーではなくて、
国民の税金によって払っておるわけです。ですから、これは戦前の
外交の誤りの
責任を
国民が負って現在清算しておるということなんですね。
国民は損をするのだけれ
ども、しかし、フィリピンにしろインドネシアにしろ、その賠償を多くは物の形で納めることになるわけです。そうすると、
国民の税金で
政府なり向こうなりが物を買って、そしてその物を買う相手は
日本の商社とか
日本のメーカーというものです。そういうものから買って向こうに送る。
日本の
政府が買う場合よりも向こうが買う場合が多いのですが、そういう形になるわけです。フィリピンのこの前のガルシア大統領なんかは賠償をめぐる汚職によって倒れたということさえいわれた。これは事実でしょう。そういうことがあったけれ
ども、
日本の
国民は税金を払うわけだ。いくさに負けて、
外交の
失敗の
責任を負って、そして今度は現在の
外交において賠償を払うことをきめて、そして
自分の税金を払って、税金が、たとえばフィリピンなりそのインドネシアなりあるいは朝鮮なりとの
ほんとうの親善増進に使われずに、ただ業者がもうけちゃったり、その間で何か取引があったりということで疑惑を生むということは、私は
国民としては耐えられないと思いますから、そういう国際的な賠償とか
請求権とかという資金の出し入れに関して業界的利益に左右されないようにお願いしたい。
国民は税金を払うんだけれ
ども、その税金で何でもいいから物を買われどこかへ持っていく、業者の方はこれはもうかるのですから、そういう業界的利益に
日本がお金を払うという
外交に
外務大臣は絶対に動かされないように私はお願いしたいと思います。これは私は単なる危惧として言っているのではなくして、
日本の保守党の正義、あるいは
日本の政党政治の正義のために、あなたは政党出身の大臣として、この点は
一つしっかりして、そういう業界的利益によって外国にお金を払うというようなことがないように、この点は
国民にはっきり申しわけが立つようにやってもらわなければならぬということを申し上げる次第です。
まだちょっと時間がありますので、最後に伺いますが、この前
池田首相のところへ石橋さんと一緒に行きまして、中国貿易を大いにやりたい、大体こういう印象を私は直接総理大臣から聞いたわけです。詳細はここでは申しません。そういうことを聞いた。そこで、今の中国は、政経不可分などとやぼなことはおそらく言わぬだろうと思います。しかし、片方の手で横びんた、をしておいて、片方の手で握手するというようなことはなかなか
外交上できないことであります。ですから、朝鮮問題なんかも、やり方によると中国に対する横びんたということになるけれ
ども、これは
日本と別の国との
外交ですから、一応別として、ただ、中国に対する
外交において、例の中国の国連加盟の問題があります。去年は、それを重要事項に指定するという方式で、いわば
日本の
外交は逃げたわけですね。それも、しかし、単に逃げるだけではなくて、あのとき岡崎国連代表に
政府は指命を出しまして、それで
日本政府は多少新しい
態度を示したわけです。それはどういう
態度かというと、まあ一口に言えば、中国大陸の現実を否定するわけにはいかない、今までの
台湾一辺倒というような
態度じゃなしに、中国大陸において六億五千万なり七億なりの
国民を現実に統治している
政府のあるというその現実を否定するわけにはいかないということをその岡崎発言の中で
政府は言わしているわけですね。ですから、あれは単に重要事項方式という形でごまかしただけなんではない。やはり
日本の
政府としては一歩前進したところがあるわけです。その前進を、無理な形でもっと前進しろということは、これはむずかしいでしょう。あなたは、無理のない形でその前進を継続するつもりがあるかどうかということを私は最後に
質問申し上げたいと思います。