運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-08-22 第41回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月二十二日(水曜日)委員会にお いて、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  科学技術の基本問題に関する小委員       安倍晋太郎君    佐々木義武君       齋藤 憲三君    寺島隆太郎君       中曽根康弘君    前田 正男君       松本 一郎君    山口 好一君       石川 次夫君    岡  良一君       河野  正君    松前 重義君       山口 鶴男君    内海  清君  科学技術の基本問題に関する小委員長                 山口 好一君 ————————————————————— 昭和三十七年八月二十二日(水曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 安倍晋太郎君 理事 佐々木義武君    理事 中曽根康弘君 理事 松本 一郎君    理事 山口 好一君 理事 岡  良一君    理事 河野  正君       赤澤 正道君    小沢 辰男君       菅野和太郎君    齋藤 憲三君       石川 次夫君    西村 関一君       日野 吉夫君    松前 重義君       三木 喜夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 近藤 鶴代君  出席政府委員         科学技術政務次         官       内田 常雄君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   森崎 久壽君  委員外出席者         科学技術事務次         官       鈴江 康平君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    杉本 正雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    杠  文吉君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   島村 武久君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    井上啓次郎君         大蔵事務官         (管財局長)  白石 正雄君     ————————————— 八月二十二日  理事赤澤正道君同日理事辞任につき、その補欠  として安倍晋太郎君が理事に当選した。     ————————————— 八月十八日  鳥取県中部地区ウラン鉱粗製練所設置に関す  る請願(足鹿覺君紹介)(第一八三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  科学技術振興対策に関する件      ————◇—————
  2. 寺島隆太郎

    寺島委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  理事赤澤正道君より理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 寺島隆太郎

    寺島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、その補欠選任につきましては、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺島隆太郎

    寺島委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事安倍晋太郎君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 寺島隆太郎

    寺島委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  前会における近藤国務大臣科学技術行政に関する所信表明に関し、質疑の通告がありますので、これを許します。佐々木義武君。
  6. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 先日、新長官から科学技術行政全般に対します所信表明がございましたので、私からその所信表明内容に盛られました諸事項に関しまして、一般的な質問を申し上げたいと思います。  まず、全般的な私の感想から申し述べまして、逐次内容に入りたいと思います。  この一月の前長官である三木先生所信表明、あるいはその前の所信表明等も参照に比較して見たのでありますが、今回の長官所信表明は、前文、後文をよく読んでみますと、わが国の現在におきます科学技術振興の重要件に対しまして非常に集約的によく表現ができているよう考えられます。また、前文最後にも、長官責任感と申しますか、あるいは諸問題の解決に対します決意のほどがよくうかがわれまして、今後の施策実施に対して大へん期待が寄せられるように感ぜられます。また、内容に関しましても、問題点がよく整理されておりまして、非常に簡素ではあるけれども、よく重点をつかまれておるという感じがいたします。ただ、残念なことには、示唆に富む表現が多くて、具体的な内容に欠けているうらみがありますので、きょうはその点を、おそらくは所信表明に盛りますと長ったらしくなりますので省略したのではなかろうかと考えられますから、具体的な問題に関しまして御質問を申し上げたいと思います。所信表明の順に従いまして御質問申し上げます。  まず第一点でございますけれども国立試験研究機関刷新充実の問題であります。これに関しましては、科学技術会議の第一次の答申の線に沿うて逐次施策実施したい、こうありますけれども、その内容の中で、今まで見出し得なかった立地条件及び施設の改善という問題が出ております。おそらくこの問題は、最近新聞等でよく見ます国立試験研究機関集中移転と申しますか、研究都市といったような問題が出ておりますので、こういう問題をあるいは示唆しておるのじゃなかろうかというふうに感ぜられましたので、だいぶ重要な問題でもあり、従来からいわれた待遇改善その他の問題と少し趣を変えた規模の大きい問題でもありますので、この点に関して、もしそのことを意味しておるのでありませば、どういうふうにお考えになっておるのか、構想をお聞きしたいと思います。
  7. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 国立研究所を集中するというようなことが新聞にも取り上げられておったようでございますし、私も、長官として科学技術庁に入りましてからいろいろお話をいたして参りまして、通産省とかあるいは農林省などでお考えになっておられるよう構想も承りましたし、科学技術庁としても、こういう問題に相当熱意を持って取りかからなければいけないというような気はいたしますが、反面において、首都圏整備問題などともからんだ問題もございまして、にわかに実現ということもむずかしいのではないかという感じもいたしますが、そういう方向に向いて強力に検討を進めていこうという意欲を十分燃やしているわけでございます。
  8. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 きょうは初めてでございますから、あまり内容に深く入らずに、さっとお聞きしたいと思います。  次は、国産技術開発促進の問題を大きい問題として取り上げておりますが、これは大へん重要な問題かと思います。そこで、その促進の手段といたしまして、税制上の問題あるいは各種助成の問題、あるいはPR問題等中心に書いておりますけれども新聞等でも、長官は特に税制上の優遇の問題につきましてだいぶ御研究を進めておられるやに承知しておりますが、この点は間接的な開発と申しますか、諸外国でも進んでおるようでございますので、わが国でも列国に負けないよう優遇措置を講じてもらいたい。あるいは、ここにあります発明その他に対する助成に関しましても、特に所信表明にありますように強力に推進措置をとっていくのが望ましいのでありますが、今までなかった新しい一つの提案のよう考えられますのは、所信表明の中にあります原文を読んでみますと、「科学技術知識を普及浸透させ、国民一般から卓越した創意工夫がほうはいとして起こる機運を醸成することが肝要であり、」ということで、いわば現内閣でよく申している人間形成と申しますか、経済の発展その他も、しょせんは、最近の考え方としては、創意工夫機運を起こすということが一番重要な新しい資本主義の課題にただいまなっておるわけでございますけれども、その点を長官が取り上げまして、非常に肝要だというふうに申しております。肝要なことはよくわかっておりますけれども、それでは、これを具現化するために一体どういう方策を用意なすっておられるのか、その点をお聞きしておきます。
  9. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 科学技術振興ということは非常に重大な問題で、よく口にされることでありますが、率直に申しまして、私が科学技術庁長官に就任いたしまして最初に驚いたことは、国会議員先生方の中にも、君の役所はどこにあるのか、一体君らの役所ではどういうことをどうするのだということを聞かれたわけでございます。従いまして、一般国民大衆科学技術振興とか、あるいは科学技術ということに対しての関心が非常に薄いのではないかというようなことも感じられましたので、こういう方面に対してのPR役所としてもうんと力を入れなければいけないのではないかというような話をいたしたわけでございます。従来この役所でそういうようPRの面でやっておりますことは、御承知でもございましょうと思いますが、科学技術庁の月報とかあるいは年報というようなものを定期的に発行いたしておりますし、また近く科学技術白書というようなものを出して、一般の認識を深めて参りたいという考えでございます。また、従来実施していたことではございますが、科学技術週間とか、あるいは防災の日とか、あるいは優秀科学技術映画の表彰、あるいは科学技術関係団体助成などをさらに強化いたしますとともに、科学技術地方においての浸透が不十分と思われますので、この対策として地方科学技術振興協議会、これはまだ仮称でございますが、そういうようなものも設置することを勧奨し、その組織を利用して全国に科学技術知識普及啓発に努めることを検討いたして参りたいと思っております。  また、大へん小さいことではございますけれども科学技術振興という点において、たとえば発明とか発見というようなことに対しても、褒賞というようなことをもう少し考えていったらいいのではないか、非常に地味な隠れたよう発明と取り組み、研究と取り組む人の成果が上がった場合に、国としても、また一般のいろいろな人たちからも、相当に高く評価し、これを称賛するというような形があってもいいのではないか、というようなことについて努力をいたして参りたいと思っております。
  10. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 ただいまの問題は、具体的に問題を進めるという際には、一種の精神問題、あるいは個人の創意を発揚させるにはどうすればよろしいかという問題に触れますので、非常にむずかしいと思いますけれども科学の問題としては根本の問題でございますので、ただいま二、三対策長官お述べになりましたが、それのみならず、今後とも、もっともっと創意工夫を、それこそこらしてもらいたいということを希望申し上げます。具体的に私がどういうことを考えておるかということは、まだ自信がありませんから申しませんけれども、逐次当委員会といたしましても研究を進めまして、お願いを申し上げたいと思います。  次に、個別的な問題ということで、まず第一番目に、天然災害である台風あるいは集中豪雨、あるいは人工災害と見られる大気汚染水質汚濁といったような、防災あるいは環境科学技術振興に対して非常に大きく問題を取り上げて、そのために総合的な研究体制整備強化していく、こういうふうに総合対策整備強化に問題を預けております。そうなりますと、総合的な研究体制というのは一体何であるか。これは長官もよく御承知ように、各省にまたがった問題でありまして、水資源処理問題一つとりましても、よく各省のなわ張りでけんかをして、なかなか問題が片づかない。問題が重要であればあるほどその解決が長引くというのが従来の弊害でございました。この必要性はよくわかるのでありますけれども、はたして総合的な研究体制というものが思い切った施策として打ち出し得るかどうか、あるいはその決心があるかどうかということが非常に重要だと思います。その点に関しまして、口頭禅に終わらぬように、こういう決心であります。こういう体制考えておりますということをおっしゃっていただきたいと思います。
  11. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 防災科学振興対策ということは、佐々木委員仰せ通り、非常に大きな問題であり、重大な問題だと思っております。従いまして、特別研究促進調整費といったようなものの増額をもって、弾力的にこれを活用していくという面も直接には手近な問題としては考えられますけれども、大きくやはり防災科学研究所というようなものが設置されて、総合的に大所高所からの施策を行なっていかなければならないのではないかと考えて、それに対しての検討をするようにいたしております。
  12. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 確かに防災科学研究所よう一つ中心機関をつくりまして、その機関を拠点にして、それに各関連機関協力するという体制をとるのが一番実際的かと思いますので、ぜひそういう方向でお進みいただきたいと思います。  次には、長官所信表明では非常に遠慮がちに出しておる問題で、実は私から考えますと、現時点にとりましては非常に重要な問題じゃなかろうかと思うのがその次に出ております。それは地域開発の問題であります。地域開発に関しましては、資源基礎資料を整備し、資源総合的開発利用に関する調査活動充実するという、資料整備あるいは調査活動充実という点だけで終わっておりますが、実はこの問題は科学技術庁に課せられました新しい任務と申しますか、大きく取り上げていい問題じゃなかろうかとかねがね考えております。御承知ように、所得倍増計画実施に伴いまして、何と申しましても一番問題になっておりますのは所得格差問題大小別産業間と申しますか、農業、中小企業等格差の問題、あるいは地域間の所得格差の問題、言い古されたことでありますけれども、しかしこれは政治の問題としては一番重要な問題で、ただいまその格差是正に全力をあげてわが内閣が驀進しておることは御承知通りであります。その中で、地域格差是正の問題に関しましては、御承知よう後進地域開発促進法とか、あるいは新産業都市開発促進法とか、新しい法案をつくりまして、これからもっぱらその地点の選考、あるいはそれに対する国の援助、助成というようなことで、その開発をはかっていくわけであります。その際に、私ども地方におきまして非常に考えますのは、私、生まれは秋田でございますが、私ども地方地域的にも非常におくれておりますし、どうしても産業別格差の上から見ましても差の激しい地点でございますので、一切がおくれております。言いかえますと、資源総合開発をしようという、その調査活動をどうするかという点におきましても非常におくれておりまして、そのこと自体も中央とは非常に格差を持っております。言いかえれば、そういう人材がおらない。しからば、どうするかといいますと、常時県庁その他に人を置くこともできませんし、そうかといって臨時的に夏に限って人を呼んで調査したりというふうな格好になりますと、なかなか断片的で、総合性は持って参りません。ところが、先ほど申しましたように、国全体の要請としてはそういう方針であり、あるいは新産業都市としてそういうところでも開発ようという方針で進んでおりますので、何とかしてその大方針にも合うように、少なくとも新しい科学技術の面から調査あるいはプラニングというものに対して御助力を科学技術庁あたりでやっていただければ非常に助かるのではなかろうかというふうに、かねがね考えておるのであります。  従来の資源局は、だいぶ昔の話でありますが、経済安定本部資源調査会というものを作る初めから、私関係しておった一人でありまして、今の資源局の前身がどういうもので、何をしてきたかということをよく知っております。非常にりっぱな機関で、戦後の開発のために残した功績はもう数えるいとまもないほど、非常にりっぱな功績を残し、大いに役立ちました。ところが、その調査会がそのまま資源局に移りまして、資源調査会から資源局と名前が変わって、科学技術庁に合併されたわけでありますが、その内容は、どうも従来の資源調査会でやりました資料活動、あるいは資料的な調査活動に終始しておりまして、実際にいわば資源開発に対する科学的な面から見た行政事務ということとは、およそ違った形で、科学技術庁ができまして以来ただいままで何年か過ごしております。  そこでこの際、資源局というものは本来の一種行政機関といたしまして、できますれば新しい技術による国土開発計画と申しますか、国全体の開発計画というものを新技術の面から見直してみる。たとえば新産業都市問題一つを取り上げてみましても、瀬戸内の方がよろしいとある指導者新聞紙上において発表しているようです。ところが、観点を全然変えて、原子力発電なんというものを対えてみますと、決してさにあらずでありまして、むしろ港湾その他の発達していない——あまり港湾の必要はありませんから発達していなくともいい、あるいは人口の稀薄な海辺の近くで、まだ開発が全然できておらぬよう地点が、将来の開発地点としては一番望ましい。それも七、八年、十年先になりますと、そういう事態になっていくわけです。そういうことを科学的に考えていきますと、私は国土開発と申しますか、それを今の時点で経済至上主義的に考え観点からいきますと非常に違ったものになってくるのではなかろうかという感じがいたします。新しい資源局がそういうプラニング行政任務としてお持ちならば、そういう新しい意味の新しい科学技術のサイドから見ました国土開発計画を作るのが妥当ではなかろうか。  もう一つは、さっき申しましたことにつながるのでありますが、地方資源開発に対しまして、系統的に総合的に問題を見ていくという意味合いにおきまして、土木なりあるいは気象なり、あるいは地質調査なり、各種科学技術の要素が必要なわけですが、そういうワン・セットを常に持っておって、地方から要望があれば、いつでもそれに実地に調査計画に参加して指導する、あるいはその相談所になるというような、そういう機関と申しますか、機能も備えたよう一種行政的な色彩を持った資源局にしていく。今の資源局で持っている本来の資料活動ようなものは資源調査会という別の機関に戻してしまって、そうしてやったらどうか。  長官は、所信表明ではつつましやかに表明してありますけれども、ただいま申しました私の見解は非常に重要な問題でありますので、何とかそこら辺を工夫いたしまして、国の要請にも沿い、あるいは国の将来の行き方に対しても、新しい科学的な分野から示唆を与え、同時にまた、現実的には地方開発等にも、現実的な意味資源調査あるいはプラニングで役立つというよう機能に変えていったら、だいぶ国のために役立っていくのではないか。今より以上に役立っていくのではないかという感じがいたしますので、ずいぶん長い質問やら私見やらわからないようなことを申しましたが、この点をもう少しお考え直しと申しますか、御検討いただきたいという感じがいたしますが、長官のお考えを承りたいと思います。
  13. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ただいまの役所資源局機能と申しますか、そういうものについての御意見であったと思います。確かに地方開発に対して科学技術庁資源局がもう少し力を持った働きのできるよう機構になるということも、とうとい御意見であったと拝聴いたしますので、今後の佐々木委員の御意見参考といたしまして、当庁におきましても十分検討いたして参りたいと思います。
  14. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 ただいまの点は、ぜひ一つお忘れなく御検討いただきたいと思います。  その次は、原子力平和利用の問題が出ております。これは後ほど中曽根先生からも御質問があるそうでございまして、私からは別の機会に御質問さしていただきたいと思います。  その次は、宇宙開発の問題が出ております。宇宙開発審議会答申に基づきまして今後逐次所要の措置を進めて参りたい、こうなっております。宇宙開発審議会答申を見ますと、なかなかこれは雄渾なと申しますか、ちょうど原子力開発をこれからやろうかという当時にいささか似たような、列国から見ますとおくれてはおりますけれども、しかしやりようによっては日本としては進め得るという段階にきておるのではなかろうか。その際に審議会答申が出ておるわけであります。あの審議会答申にのっとって今後施策を講じたい、こうなっておりますが、まず第一点は、どういう開発機構でこの問題を処理していくのか、その点から承りたいと思います。
  15. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 お話通り日本宇宙開発ということは、国際的な水準から見ますと非常におくれておりまして、比較にならないような状態であることは御承知通りでございます。しかしながら、日本の立場から考えてみますと、従来もやって参りましたように、基礎的な問題からやはり積み上げていかなければならないのではないかと思っておりますので、宇宙開発審議会の御答申の非常にりっぱなものを背景といたしまして、その中から具体的に一つずつの問題が起きて参りましたときに、宇宙開発審議会委員皆様方の御意見をも参考にして進めて参りたいと思います。私は日本の現在の段階におきましては、あまり背伸びをしないで、あせらないで、着実に一歩々々と固めて開発の域を進めていくのが一番妥当ではないかと考えております。
  16. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 着実に実施していくということでありまして、私も同感でありますが、この着実の度合いでございます。たとえば宇宙開発審議会答申には、予算の問題が出ております。この問題の計画実施するためには、第一年度にはこれくらいの費用がかかる、第二年度にはこれくらいかかるというので、しからば第一年度とはいつかということは書いておりません。なるべく早いのをおそらく望んで、開発審議会はこの答申を出したのには違いないと思います。そこで、第一年度の予算を見ましても、私はそんなにでかい予算とは思いません。ちょうど原子力のときには、初めたしか三億くらいの予算だったが、原子力委員会ができましてすぐ三十六億その年にふえたのですから、何も原子力が急に背伸びしたから宇宙開発も背伸びしろという意味ではありません。ありませんけれども期待の持ちようによっては、今後の重要性考えますれば、これくらいのことはやろうと思えばできるのじゃなかろうかという感じもいたしますので、あまり引っ込み思案と申しますか、慎重じゃなしに、場合によっては蛮勇をふるって、この際決心を固めたらどうかという感じもいたしますので、その点、もう一ぺん御所信を承りたいと思います。
  17. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 宇宙開発予算というものは、見方によっては大したことじゃないということも言えるし、また反面から申しますと、予算面に現われてくる額というものは非常に大きいと思います。けれども、私も長官といたしましては、ほんとうに宇宙開発に対してうんと業績を上げて参りたいと思いますけれども、それにはただいま佐々木委員仰せになりましたように、非常にばく大な予算が要りますので、委員先生方の御協力を得て成果を上げて参りたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
  18. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 最後に、国際協力の面が強調されております。それはいかなる場合でも強調しなければならぬ問題で、今回の所信表明でも強調しておるわけであります。その中で、従来にありませんでした特徴といたしまして、日米科学委員会勧告の問題が出ております。私はこの第二回目の勧告文を、実は恥ずかしいのでありますが、けさ読んで参りました。あれを読んで非常にびっくりいたしましたのは、いろいろな問題を取り上げまして、たとえば科学技術者の交流の問題とか、あるいは情報、資料交換の問題、あるいは太平洋に関する調査、あるいはガンの問題、ずいぶん盛りだくさんでございまして、その調査の仕方等も非常に詳細にわたってお互いに義務づけられると申しますか、そういうことになっております。ですから、あの報告をもし忠実に、科学国家と申しますか、進歩した国柄として、アメリカに負けない、同様の態度でこの問題を処理するということになりますと、これは予算面から申しましても、科学者の動員面からいたしましても、あるいは諸準備の面からいたしましても、大へんにかかるのじゃなかろうかと思います。ですから、まず第一点は、あれに対して、勧告だからほっぽっておいてもいいだろうという行き方なのか。そうじゃなくて、何としても義務だけは果たしたい、またそれを果たすことによって日本ははかり知れない利益を国家として得るわけでございますので、何とかして一つあの問題を忠実に処理したいというお考えなのか。そこら辺をまず初めにお伺いしておきたいと思います。
  19. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 この勧告は、日米両国共通の課題であって、これを実施することによって両国の科学技術の向上に大きな貢献をするものと思われますので、科学技術庁といたしましては、その実施をなるべく早い機会に進めて参りたいと思っております。ただいまのところでは、勧告実施方法などについて連絡協議を行なうために、関係各省の職員及び学識経験者で構成される連絡調整会議を設けることにいたしたわけでございます。この連絡調整会議において協議いたしました事項については、関係各省庁が十分これを実施していくようにという方針でやって参るつもりでございます。
  20. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 ただいまの長官のお考え、私はどうも勧告内容長官あまり読んでないのじゃなかろうかという感じなのです。そういうなまやさしい問題では片づかぬよう感じがするものですから申し上げたのですけれども、もう少しこの問題は真剣に取り組んでいくべきじゃなかろうか。そのためには、そういう連絡機関を設けた程度で処理できるというようなものではなくて、やはりそれぞれ課せられた項目に関しては予算もつけ、研究も進めて、その成果をお互いに発表し合うというような中身を持ったものでないと、単に既存の知識だけで、それをアセンブリで話し合えばよろしいという議論じゃないと思います。新しい分野を切り開いていく問題がたくさんございますので、そういう意味からいたしますと、さらに今まで以上に水準をどんどん高めていくということが相互の国で要求されるよう考えます。今までの官吏の方が集まって、極端に言えばお茶を濁すということでは、おさまりがつかぬと思います。ですから、この点に関しましては、今の答弁では私は不満足のような気がするので、もう少し御研究いただきまして、今後の予算措置その他をお進めいただきたいと思います。
  21. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 勧告に対して大へん重大であるということは考えておりますが、すみやかに実施をしていく一つの方法として、段階として、こういう手だてをとらなければいけないのじゃないかということで、各省庁の職員並びに学識経験者によって連絡協議会というものをつくっているわけでございますので、御趣旨を尊重するよう方向にこの協議会が動いていけば、目的は達成されるのではないかという感じがいたすわけでございます。一応のこの段階からさらに検討されまして、その次に打つべきいろいろの手段なり方法なりが講ぜられていくべきではないかと考えておるわけでございます。
  22. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 関連して。ただいまの佐々木委員日米科学委員会に関する質問でございますが、これは先国会におきまして私も質問いたましたし、また他の委員の方も当局に向かって御質問申し上げた問題であったと思うのであります。これは日本の総理とアメリカの大統領の話し合いの上に日米科学委員会というものが設けられまして、永続的に日米間の埋もれた、または重大な科学上の問題をお互いに取り上げて共同研究をやる。こういうことに対して、その性格いかんという質問をたびたびこの委員会でやったのでありますが、これは勧告機関である、その勧告しっぱなしでいいのかという問題でございます。新しい長官所信表明の中に、先ほど佐々木委員質問が出ましたように、「研究者の国際交流を進め、また各種の国際会議及び国際的共同研究に積極的に参加するとともに、」というような積極策を今度おとりになるということになりますと、これは膨大な予算が必要になってくる。この点につきまして、私も前国会において、勧告しっぱなしでなくして、勧告を受け入れるということになると、これは相当はっきりした体制を確立して、そうして予算措置を講じなければならないのではないか。もっと予算を要求するということになりますと、日米科学委員会の性格、及び今後日本の政府がこれの勧告に従って行なっていくべき体制というものを、何らか確固たるよりどころのあるものできめておかないと、ばく然たる話し合いでもって、勧告を受けたからそれを実行するために予算をとるということでは、この勧告を見ますと相当予算がなければ行なえないよう勧告でありますので、順次これを実行して参るにいたしましても、非常に大きな問題になってくるのではないかと私は思うのであります。たとえて申しますと、この委員会で再々行なわれましたガンの問題にいたしましても、アメリカを相手として共同研究をやるということになりますれば、体制を一変した大きな角度から推進していかなければならない。そういうふうにも考えますので、これが性格、及びその勧告をどういう度合いでもって受け入れるかというようなことは非常に重大な問題である。これは外務省がやるというのならこの委員会において別段頭を悩ます必要はないのでありますけれども、この前の国会において、外務省と科学技術庁と両方出席をしてもらいまして、この問題に対して質問をいたしますと、日米科学委員会を共催していくというそのことは外務省がやるのだけれども科学技術に関する勧告を実際に受け入れてこれをやるという仕事は、どうも質疑応答をやりますと科学技術庁が責任を持たなければならない。はなはだその間があいまいもこたるものがあるよう感じられたのでありますが、そういう点は一つはっきりと体制を確立されたらいいと思います。長官は新しいから、こういうことに対してはまだいろいろ御研究が足りないかもしれませんが、何か従来当局においてこれに対する確実な考えがあるなら、この際一つはっきり表明していただきたい。
  23. 杠文吉

    ○杠説明員 齋藤委員の御質問に対してお答え申し上げます。実は日米科学委員会の性格という問題は、確かに現在においてもはっきりしてないといえば、はっきりしてないような状態でございます。と申しますのは、もともと御存じの通りに、ケネディ・池田会談において成立した。そこで、日本側の措置といたしましては、外務大臣の方から閣議要請をいたしまして、閣議了解によりまして、会合が開かれるつど日本側の委員が任命される。御承知通りに、過去二回開かれておるわけでありますが、アメリカ側におきましては、同じく国務長官の任命ではございますが、アメリカ側の委員というものは常時任命されている。すなわち常勤の委員である。そこに、そのつどの委員というものとの食い違いができてきている。そこで、二回目は日本側はそのつど委員でございますが、三回目以後におきましてはやはり委員の地位の継続性というものを考えまして常勤化をはかりたいということで、外務省で目下研究中でございます。われわれもぜひ常勤の委員にしていただきたいということを外務省に申し入れております。この常勤化ということに関連いたしまして、性格が相当はっきりしてくるのではないかというふうに考えております。実際のところは、ほとんど常勤的な活動をなさっておるわけでございまして、形式的にまだ常勤化というようにはかられていないところに、日本委員の地位のあいまいさというものがあると考えております。  それからまた、これを国内的に実施する、勧告を受けて実施する立場として、それは政府が受けますけれども、政府のどこが受けるのかということになりましたおりには、外務大臣の方が一応日米委員会委員を任命している関係から、外務大臣が首唱者となるという形でございますけれども、国内的の問題を外務省がすべて取り扱うというわけには参りませんから、外務大臣から科学技術庁長官並びに文部大臣あてに、国内的な処理についてはよろしく頼むという文書をいただいております。その文書をいただいたことによりまして、科学技術庁と文部省とが国内的な処理の責任を負った形において、先ほど近藤長官からお答え申し上げましたように、さっそく各省の関係局長を網羅します。また一方学識経験者といたしましては日米科学委員会の中の中心的な役割を果たしておられるような方々に御参加いただいて、連絡調整会議というものを持ちまして、予算措置等もそこでいろいろ話し合いをして、それぞれの実施に当たるところの部局から要求をしよう、というようなことに相なっておるというのが現状でございます。
  24. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 お話を承りますと、ますますあいまいもことして、つかみどころがないという感じがするのであります。私の申し上げておりますのは、ケネディ大統領と池田総理との間で話をいたしまして、日米科学協力委員会というものを永続的に持っていく。それは一体、どれだけの国際間における尊重性をわれわれは認めなければならないかという問題なのです。ですから、今お話しのように、外務大臣がやって、国内的な問題はよろしく頼むというくらいの程度でこれは済まされるものか。大統領と総理との間の話し合いというものは、国際条約ではないけれども、お互いに責任を持ってその勧告を各国において遂行しなければならないという責任がそこについておるのであるか、責任がついておらないのであるか。それによって所管事務というものに対しても、はっきりした体制をとらなければならないのではないか。責任がないならば今の体制でいいだろうけれども、いろいろ話を聞いてみると責任があるようお話であるし、こっちから任命された委員は向こうに言って、向こうの委員と話をやって、互いにこれをやろうじゃないか、やりましょう、という約束をして帰ってくるのですから、当然大統領と総理との話し合いによって生まれたこの会議の遂行に対しては国家的に責任を持たなければならない。そうすると、国家的に責任を持ったそのことを遂行するために、何らかのよりどころがなければならない。よりどころがなければ予算本要求できないということになるのじゃないかというふうに、私の乏しい政治知識では考えられるのであります。今、局長のお話を聞くと、何だかその点さっぱりあいまいで、どれだけの重要性があるのか、やってもいい、やらなくてもいいのか。どうもはっきりしない。まあ、きょうあまりしゃべってあとにまた問題が残るといけないから、あとで文書で一つはっきりしたところを書き表わして、われわれに明示していただきたい。さようにお願いしておきます。
  25. 杠文吉

    ○杠説明員 それでは齋藤委員の御注文の通りに、文書でもってお答え申し上げます。
  26. 佐々木義武

    佐々木(義)委員 今の日米科学委員会の問題は非常に重要な内容でございますので、ぜひ一つもう少し真剣にお取り上げ願いたいと思います。  最後に、もちろんまだ成案ではありませんが、当委員会が全員と申してもいいほど集中いたしまして、科学技術基本法の素案のようなものができております。もちろん成案となるにはまだほど遠い前段階のものでありまするが、しかし、骨子は、進む方向だけはある程度間違いないのじゃなかろうかという感じがいたしますので、三十八年度の予算の編成に際しましては、まだ成文を得ないものではありまするが、その精神をおくみ取りいただきまして、予算の大綱の中に盛っていただきたいという点を希望として申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  27. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ただいまの佐々木委員の御発言に関しましては、できるだけ御希望に沿うよう研究をいたして参りたいと思います。
  28. 寺島隆太郎

  29. 岡良一

    ○岡委員 きょうは特別に事新しい問題を持ち出そうとは思いません。この委員会はあまり法律案件の審議もありませんので、よく決議案を出します。あるいはまた政府や原子力委員会の統一見解などを文書で求めたりすることが非常に多うございました。こういう私どもの要望に対して、どういう答えを出しておられるかということを、この際若干の問題について明らかにしていただきたいと思います。  第一の問題は、防災科学の確立ということがこの委員会としての強い要望であったわけでございます。日本の台風やあるいは集中豪雨などによって年々二千億以上の国費を使っておる。今日のよう科学が発達したのであるから、こうした自然現象に対しても人間の力でその災害をできるだけ押えることができないか、こういう見地から防災科学を確立すべきだということを委員会は繰り返し申し上げておったわけでございます。この私どもの要望に対して、今度の新しい三十八年度の構想としては、具体的にどういう構想をお持ちになっておるか、まずこの点を伺います。
  30. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 防災科学重要性とその振興ということにつきましては、先ほど佐々木委員からも御指摘がございまして、その際大体お答えいたしたのでございますが、その決議に対しましてどういうふうな措置をしてきたかというお尋ねでございますので、詳しいことにつきましては関係の方から御説明をさせます。
  31. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 防災科学に関しましては、御趣旨の線に沿いまして、一つは、防災科学は及ぼす分野が非常に多うございますので、関係各省からいろいろの予算がそれぞれの分野に従って出ておりますが、それに対する総合調整という面から現在来年度予算について検討しておるということでございます。さらに、当庁関係といたしましては、従来の防災科学に関する助成防災科学に関する総合的な観点から、各地方における防災科学振興のためのデータを集めておる、あるいはそのデータをどういうふうに処理していくか、そういった観点から防災科学を総合的に進めるための施策を現在来年度予算との関係において検討中でございます。来年におきましても大いにこの問題は推進していきたいというふうに考えています。
  32. 岡良一

    ○岡委員 御説の通り防災という分野は各省にまたがっておりまするが、しかし、防災科学の確立ということになれば、当然科学技術庁が中核となってやっていただかなければならないと思います。そういう意味で、たとえばこの間の十二号台風のごときも、新聞紙の伝えるところによると、八丈島あたりに来たのでやっと気象庁のレーダーでとらえることができた。進路等もはっきり確認できた。それ以前の台風では十分進路、方向もわからない。アメリカの飛行機が飛んでその情報を得るのであるが、それにしても、アメリカの軍事的な事情によって左右されるので、この情報も気象庁の欲するがままにはいかない、というようなことが新聞記事に出ておりました。そういうことになれば、やはり予算面においては、まず八丈島なり鳥島にレーダーを置く、あるいは日本独自の観測機を飛ばして台風の進路等を観測する。これは予算の問題として、やはり科学技術庁あたりも大いに関心を持ってもらわなければならぬと思います。問題はさらに進んで、こういう台風のエネルギーというものをどうして減弱することができるかというような点は、おそらく今の自然科学界においても、まだまだこの物理学のごときは未開発といってもいいほどでございますので、これからの問題であります。そういう点で、単に各省の調整ということではなく、科学技術庁の責任においてこれを進めていく。こういう決意で、ぜひともこの防災科学の確立を進めてもらいたい、こう私どもは思っておるわけであります。その点については、長官なり、あるいは次官なりの御所信を伺いたいと思います。
  33. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 ただいまの御質問、私たちも全く同感でございまして、科学技術庁自身が防災科学中心として推進していくということについては、従来も検討いたして参りましたし、今後も大いに検討してみたいと思いますが、何分全く方法論的にも未開の分野でございますし、また先ほども申し上げましたように、関係する分野が非常に広く、また行政面に直結するというふうな問題がございますので、そのやり方につきまして今後御趣旨の線に沿いまして十分検討していきたいと思います。
  34. 岡良一

    ○岡委員 この間、九州へ参りまして、人工降雨研究協会の首脳部の諸君に会って、いろいろ体験を聞かせてもらいました。そのときには、やはりもっと科学技術庁として予算を張り込んでもらいたい、責任のある研究、実験のためにはどうもこの予算では乏しいということを言っておられました。しかし、これはやはり予算とともに、組織の問題があろうかと思うのです。防災科学を総合的に研究する研究所をつくって、そうして有為な諸君に研究してもらう。こういうような実験段階から実用段階に進めていくというプログラムをはっきり持ってかかるべきではないか、こう思うの、だが、そういうプログラムはまだお持ちではないのですか。
  35. 内田常雄

    ○内田政府委員 岡さんのお尋ねですが、実は明年度の予算編成とも関連いたしまして、まだはっきりはきまりませんし、非常にむずかしい過程にもありますけれども防災科学技術総合研究所のようなものができるかどうかということの可能性につきまして真剣に検討いたしております。それができることはこの問題を進めるために一つの有力な手段だと思いますが、それができましても、またできない場合におきましても、御承知特別研究促進調整費の仕組みでありますとか、多数の関連研究費の仕組みでありますとか、そういうもので科学技術庁として予算を確保いたしまして、そして新しい部門の研究課題ができました際には科学技術庁から関係各省研究機関予算をつけかえて参るとか、あるいはもう各省のやるべき分を科学技術庁で一括して、総合的見地から予算検討して初めから予算をつけかえていくとか、もう一つは、これまた今お話が出ましたけれども、この問題について各省昭和三十八年度の予算を編成いたします際の予算編成方針の見積もりの調整というようなことを通じまして、今問題になっておりました防災科学技術研究ということに、そういう手段方法とも検討いたしながら進めたいと考えておる最中でございます。
  36. 岡良一

    ○岡委員 ぜひ一つ科学技術庁の責任において総合的な研究を進めていただく、実験を進めていただく、そういう御決意で邁進をしていただきたいと思います。  なお、今も申しました人工降雨の問題などにいたしましても、昨年度の実験では降雨という現象は確認するに至らなかったというような報告もございました。ところが、他の国、たとえばオーストラリアなどでは一〇%なり二〇%の降雨量の効果があるというデータが明らかにされております。なぜそういうズレがあるのかという点では、やはり研究者の側からすれば予算の問題もありましょうし、いろいろ研究に不自由な点もあるようでございます。先般の委員会でも三木長官に申し上げておったように、雨が降らない、東京都が夏場にかけて節水する。そうかと思えば伊豆半島に出た集中豪雨で大雨が降る。それで大雨注意報、洪水警報、ところによったら避難命令が出る。ボタ山がくずれ、がけがくずれるというように、自然の現象を暴力のままにまかしておくということから、雨が降らないようなときには雨を降らす、雨が降り過ぎるときにはその災害を事前に食いとめるということが同じ原理でやれるというのは、九州の人工降雨の当事者も申しておるわけであります。そういう幅広い解釈で、これはやはり科学技術庁でなければ、気象庁だけでもできないのですから、ぜひ一つ熱心にやってもらいたい。  それと関連して、台風なんかの問題でも、これは御存じのはずですが、すでにアメリカあたりでは気象衛星タイロスを三回飛ばし、その結果写真をとって、ハリケーンのいわば小さな目を発見し、このハリケーンのエネルギーをどう押えるか、またこれをどう誘導するかというふうな研究を始めて、まだ成功には達しておらない。しかし、ハリケーンの発生機転、あるいはタイフーンの発生機転、モンスーンの発生機転は、みんな同じ物理学的な原理に基づいて起こってくるわけです。こういう問題もやはり積極的に、アメリカならアメリカと協力をして、そして日本としても台風の問題と取っ組んでいく。こういうことも、まだすぐそういうことをやるわけにはいきますまいが、ぜひやっていただきたい。  特に私は台風問題について申し上げたいことは、御存じのように、気象衛星はソ連も打ち上げようとしておる。すでにアメリカが打ち上げたタイロスの得たデータは、日本にも伝えられておるはずだ。宇宙空間の平和利用ということが今、国連でも大きな問題になっている。ところが、やはり米ソの仲たがいからなかなか宇宙空間平和利用というものが合意に到達しない。むしろ超高空核爆発の実験ということが遠慮会釈なく行なわれてしまう。ところが、しかし、この気象問題については、米ソとも協力ようという意思表示を私は聞いておるわけであります。であれば宇宙空間平和利用の第一歩として、この気象衛星に関しては米ソが、またモンスーンやタイフーンあるいはハリケーンの関係諸国が国際的な協力体制を作って、そうしてこれらの自然現象に基づく災害を大きく食いとめていく方向に国際的な協力方向を向けていく。私は、日本はそういう見地からこの問題については、特に国際協力という問題においては小事にとらわれないで、かつては日本の代表が委員長をしておった宇宙空間平和利用、その実現のために、まず具体的な第一歩として、国際協力をここに大きく進めていくというふうなことも大切なことじゃないかと思います。そういう点については、お役所としてはお考えはないでしょうか。
  37. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ただいま岡委員仰せになりましたように、気象観測というような面に、諸外国と共同して十二分に効果を上げていくという点について努力をいたして参りたい気持は十二分にございますので、今後そういう方面に向かって力を入れて参りたいと思います。
  38. 岡良一

    ○岡委員 これは役所のどの局がやっておられるのか、調整局ですか、やはり乏しいスタッフでやっておるのじゃないかと思います。外務省との関係もあるだろうと思いますが、気象庁とも連絡を持たなければならない。やはりこういう連絡会議を持って、そうして具体的に、今直ちに国連の中にこの問題のための機関をつくらなくても、あるいは国際気象関係の中で各国のシンポジウム、各国の情報の交換をやる。あるいはまたその観測体制についての分担をきめるというようなことで、これは小事面にとらわれない体制をつくる。このことを主張することは、今日ではこれは十分できる条件はそろっておるので、こういう点を当然あなた方がやるべきではないかと私は思う。今の御答弁では、率直に申し上げて非常に手ぬるいと思います。
  39. 内田常雄

    ○内田政府委員 人工降雨につきましては、実はわが国では昨年から初めて予算をとって始められまして、昨年の予算はわずかに二千数百万円でございました。それでも九州方面で実験を開始いたしたわけであります。しかし、岡委員からお話がありましたように、オーストラリアとか米国では、相当予算を使って大規模な人工降雨の実験をいたしまして、人工による気象制御といいますか、そういうものの可能性が現実の段階になってきておるわけでありますから、この問題は非常に希望のある問題でありまして、本年度におきましても、わずかではありますが予算が増加されております。昨年の二千数百万円に対しまして、本年度は三千数百万円予算がついております。来年はさらに一そう増額をはかって参る所存でございます。  なお、東京都の断水対策などにつきましても、東京都から科学技術庁に相談がありまして、東京都の委託に基づきまして小河内の上空における航空機による人工降雨の試験なども、関係各方面と連絡をとって実施段階に入るわけでございます。  ところで、さっきお話のございました日米科学委員会、これは勧告ではございませんけれども日米科学委員会における科学者同士の話し合いの報告を政府は受けておるわけでございます。その中に、お話のございましたハリケーンの問題について共同研究をすることに話し合いがついたという報告を政府は受けておるのでございます。ソ連との関連も、もちろん出て参りましょうが、日米間におきましては、今度の五月の日米科学委員会一つ成果として、この方面に一歩前進をしたように私ども考えますので、庁内におきましても、さらに関係各省との調整機構、場合によっては、たとえば審議会とか協議会のようなものをつくることも考えまして、進めて参りたいと考えております。
  40. 岡良一

    ○岡委員 日米科学協力の課題として、特にハリケーンなり台風と同様な原因から起こってくるものについては協力するというようなことから始めるべきではないかということを、この委員会でも当時私ども強く主張したわけなのです。その後の報告を見ると、これを課題に取り上げていることは私ども非常にけっこうなことだと思います。私がさっき申し上げたことは、たとえば原子力の平和利用にいたしましても、国際原子力機関ができて、全世界の各国が原子力の平和利用の協力体制を結ぶ。ところが、いち早く双務協定で日本が西側の国と協定を結んだ。そこでまたソビエトは東側の方と協定を結ぶということになりますと、せっかく宇宙空間の平和利用のための国際機構機能が非常に半減する危険がある。そういうことから考えまして、幸いソ連は衛星による気象観測には協力するといっておる。そうして、 ハリケーンなりモンスーンなり台風というものが及ぶところの、影響を受ける国が非常に多いのだから、こういう国々がまずこの具体的な台風、ハリケーン、モンスーンのための国際協力体制をつくる。こういう見地に立って、日本の方から強くこの問題を国際的に提起すべきじゃないか、その決意があるのかないのか、そのことを私はお尋ねしておる。
  41. 内田常雄

    ○内田政府委員 岡先生のお話は、私は気持といたしまして同感でございます。現在でも、政府間では西側と東側を含んだそういう協定機構はないわけであります。ことに先般日ソ文化協定が成立をしなかったことは、その意味からも残念であります。幸い学術会議におきましては、国際学術会議連合というものがございまして、これは直接科学技術庁ということではございませんけれども科学技術会議の傘下に入っておりますところの日本学術会議のメンバーも国際学術会議には密接な関連を持っておると思いますので、私ども役所は自分で何でもいたすということよりも、科学技術会議あるいは日本学術会議その他の関係との調整を仕事といたしておりますので、私どもの方からそういう岡先生のお話ような問題を機会あるごとに持ち出しまして、単に国際学術会議の課題に取り上げるばかりでなしに、政府間におきましてもそういうような進み方ができるように努力して参るべきだと考えております。
  42. 岡良一

    ○岡委員 この問題は国際原子力機関の二の舞を踏まないように、東、西にとらわれないで、すべての国々の協力の上に、特にわれわれにとっては被害の大きい台風とか、ひいては集中豪雨と不可分の問題で、自然改造を人間の英知でという確信を持って、ぜひ一つ一歩々々踏み固めながら、科学技術庁として大きくお進めいただくことが防災科学の確立ということに通ずると思いますので、ぜひ一つ御努力をお願いいたしたいと思います。  それから、それに伴って私が常に思うことなんですが、最近は国際協力といえば、科学協力というものが非常に大きな課題になっている。国と国との科学的な協力というものが外交の大きなウエートを占めてきている。ところが、日本の現在の機構で、はたしていいのかどうか。もっとこれは充実をし、強力なものにしなくてはならないのではなかろうか。これはやはり、それこそ学術会議なり、日本の学界の意向も十分取り入れながら、また科学技術庁の方ももっと豊富な、充実した科学協力のための機構というものがもう考えられてもいいのではないかと思うのだが、この点については何か構想があったら聞かしてもらいたい。
  43. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 御承知通り、最近日米科学委員会初め、海洋調査その他いろいろと国際間の科学技術の共同調査、あるいは共同研究というようなものが出てきております。また、その内容一般的な技術に関するものばかりではなくて、基礎科学につながっていくような問題がございますので、国内体制としてはそういうものに対してうまく対応し得るよう体制考えることが必要だと思います。今直ちに、これを現地の機構においてできるかどうかという点については問題がございますが、私どもの方の研究問題として、終始そういうものを今後とも研究を進めていきたいと思います。ただ、現在どうするかというような問題につきましては、たとえば先ほど振興局長から御説明いたしましたように、日米科学委員会においては連絡調整会議、名前は非常に貧弱でございますけれども相当個々の各研究機関が責任を持って問題を処理するというふうな体制をとりつつありますので、さしあたっての問題としてはそういう方法から進めていきたいと思いますが、根本問題については今後十分研究さしていただきたいと思います。
  44. 岡良一

    ○岡委員 小さいところでは、私ども外国で科学技術庁から出向しているアタッシェの諸君に会ってみましても、非常に数も少ないし、予算もないし、調査に行きたい、視察に行きたくても、実は旅費もないというような内情を率直に聞かされておる。国内体制一つを見ましても、国連局の中の科学課というようなものが一応公式の窓口になっておる。こういうようなことでは、日本の諸外国との間における科学の国際交流において非常に力が弱いと私は思う。もっと強力な窓口をつくって、こういう方向に向かって今後十分検討を加えていくべきだと思います。  それから、国産技術確立の問題です。これもしばしば科学技術庁長官は、御就任のたびごとにその所信の一端をお述べになっておる。  この間私は、水田大蔵大臣に外資法を改正されるかどうかということを聞きましたところが、外資法は改正の方向におい検討するということでございました。そういう報告でございますが、そうしますと、特に科学技術庁としては外国技術の導入問題について相当決意が要るのではないかと思います。いよいよ貿易も自由化になる。アメリカはドル防衛、ヨーロッパにはEECができた。EECがなぜできたかということにしても、純粋な経済学者は、これはやはり技術革新が生んだものだたというようなことを言っておる。そういうような中で、要するに日本経済が国際競争にたえ得るためには、何としても国産技術の確立ということが生命線だといえると私は思う。これに対して、国産技術の確立をうたううたい文句だけではいけない。外資法を改正しようということがあるならば、それはどういう方向に改正すべきものか、あなた方の方にも一つのまとまった意見があってしかるべきだと思うが、この点についての科学技術庁方針をお聞かせ願いたい。
  45. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 外国技術の導入につきましては当局の方から御説明をさせたいと思いますが、その前提としての国産技術開発促進に対して私どもが心がけて参ろうといたしておりますことは、新技術開発事業団の事業を拡充強化すること、また発明実施化試験費補助金の拡充、地方発明センターの設置の助成、並びに科学技術功労者の表彰など、発明の奨励に努めることが一つの問題でございます。また、他面において民間の研究投資活動を活発にさせるために試験研究準備金制度の創設など、試験研究に対する便宜を与えるように、たとえば税制上の優遇措置考えるといったような、こういう事柄をもって今後とも国雄新技術開発促進に対しての努力をして参りたいと思っております。
  46. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 ちょっと関連。私は長官所信表明に対しまして、今回は御質問を申し上げないことにいたしておるのでございますが、ただいま岡委員国産技術振興、外国技術導入という問題は非常に重要な問題でございますので、この際関連質問として当局のお考えを承っておきたいと思うのであります。問題はきわめて重大でございますので、またこれも御即答を要求するわけでありません。十分御勘考の上御答弁を願いたいと思うのであります。  それは、昨日の日本経済に通産省の技術導入の報告書というものが発表されておるのであります。これから推測いたしますと、非常に日本の外国技術の導入というものは大きな役割を日本経済界に占めておる。私の従来記憶いたしておりました数字は、昭和二十八年から三十六年の九月を入れまして、甲種技術援助契約の特別認可件数が千五百五十二件、これに要する金が三億五千二百四十一万九千ドル、こう私は記憶しておったのでありますが、これによりますと、二十五年から三十六年三月までの十一年間に認可された甲種技術導入契約千三百九十六件、ちょっと減っておるようであります。がしかし、これに要した金というものはやはり三億六百万ドル、こう書いてございます。それともう一つは、三十年から三十六年までの累計で千五百億の乙種技術援助というものがあるということが、ここには書いてないですけれども、われわれの記憶にあるのであります。この新聞を読んでみますと、日本産業界に及ぼす外国パテント及び外国技術導入というものが非常に大きなウエートを占めておる。外国貿易で直接入るのが三億ドル、国内需要で内需充足、輸入防遇に入るものが四十億ドルと書いてある。ここには一つの大きな外国パテント及び外国技術導入に関する日本経済産業界というものを感ずる点があるわけであります。しかも、ノーハウよりはパテントを多く日本では金を払って導入をしておる。そうしてこのノーハウ及びパテントには外国輸出の制限がついておる。大体これを読みますと、東南アジアには七五%くらいは輸出ができるようになっておるけれども、その他の地区においては一五%ないし二〇%しかできない。パテントを、ノーハウを入れて金を払っておいて、そうして一五%ないし二〇%しか外国貿易ができないというのが大体の外国技術導入の状態のようであります。私の御質問申し上げようとしている焦点は何かと申しますと、今日の技術革新に対処して、国の科学技術振興策の中核的役割を果たす国立の研究機関を、最近の情勢に即応していかに刷新充実するかということです。これは長官所信表明の中でも非常に大きな問題である。「この七月、科学技術会議から総括的事項に関して第一次答申が提出され、さらに具体的事項については最終答申が出されることになっております。私といたしましては、とりあえずこの第一次答申の線に沿って研究機関の性格の明確化、業務分野の重点化、立地条件及び施設の改善研究者の処遇改善等について、早急に実施すべきものから逐次実行に移したいと思います。」こう述べておられます。先ほど私は国立試験研究機関刷新充実するための方策についての第一次答申書を読んで見ました。これには、われわれも前々から考えておることが書かれておるのでありますけれども、今、日本が差し迫った貿易の自由化を前提として、これほど日本産業界に大きなウエートを占めておる外国のパテント及びノーハウに対して、いかなる角度から国立研究機関の整備充実をはかって、外国技術依存からの脱却をはかるかということは、答申には書かれていないのであります。私は科学技術庁設置法第三条の条項をいつでも読んでみますと、これは明らかに科学技術振興によって国民経済に寄与するということですから、直面しておる問題と、それから国家百年の大計というものは、科学技術の面においては常にあるわけであります。ですから、いつもわれわれの考えなければならないことは、通産省が出しましたこの外国技術導入によって日本がこうむっておる産業の実態というものにメスを入れて、科学技術的にこれをどう処置していったならば日本産業体制というものが、日本独自の体制において世界におくれをとらざるよう充実したものになっていくか、そのことをはかっていくことが私は科学技術庁設置の大眼目だといつも考えておるのであります。残念ながら、そういうところにこれは触れておられないのであります。これは大問題でございますので、きょう御即答を要求するのではございませんが、長官の御所信の中における、貿易の自由化を前提として、日本科学技術のおくれを取り戻さなければならない、しかるに、膨大な科学技術の面において外国依存をやっておる。しかも、その率は年々増加の傾向がある。これをしも防ぎ切れないよう科学技術振興対策であったならば、それは羊頭狗肉の策であるといわれてもやむを得ないので、われわれとしてはどうしてもこういう根本的な問題を菱除して、日本の力において日本産業体制の確立をはかる。それはあくまでも日本科学技術振興にあるんだ、これを国立研究機関を総動員して、どういう角度から充実刷新をはかっていくかという具体策がなければ、やはりその所信表明というものは口頭禅に終わるのではないかと思います。ですから、どうか一つ予算編成を前に、そういうはっきりした体制をお示し下さいまして、われわれをしてその国立研究機関充実に対して、全力をあげて御協力を申し上げるよう体制の確立されるようにお願いを申し上げておきたいと思うのであります。どうも質問にはなりませんけれども、関連してそういうことをお願い申し上げておきたいと思うのであります。  もう一つ、国立研究機関刷新充実するための方策についてという答申を拝見してみました。ところが、ここに新しい言葉が出てきた。「純粋科学」の研究という言葉が出てきたのです。科学というものに対する用語は、この際一つ統一してもらいたいと思うのです。用語がでたらめになるとわれわれが戸惑うわけであります。官庁は勝手な用語をつくる。用語の解釈によってまた非常に時間を費やすわけになりますから、一つ統一をしていただきたいと思うのであります。通産省で常に使っております重化学工業という言葉、私が外国に参りましたときに、それをヘビー・ケミカル・インダストリーといったら、とんでもない誤解があったわけであります。なぜそういう誤解があったかと申しますと、外国語ではちゃんとライト・インダストリー、ライト・ケミカル・インダストリー、ヘビー・インダストリー、ヘビー・ケミカル・インダストリーと区別ができておる。そこに向かって日本のいわゆるヘビー・ケミカル・インダストリー、重化学工業というものの中には機械工業も何もみんなぶち込んであるわけです。ですから、もう日本科学技術というものが国際的になって参りましたならば、国際的な用語の統一ということを考えないと、非常にあやまちが出るのではないか、かように私は最近痛感いたしておるわけであります。そういうことで、よけいなことでございましたけれども、私も字引を引っぱって見ましたら、私の引いた字引には、純正科学、ピュア・サイエンス、アブストラクト・サイエンス。応用科学、アプライドサイエンス。それから自然科学、ナチュラル・サイエンスまたはフィジカル・サイエンス。絶対科学、アブソリュート・サイエンス。厳正科学、イグザクト・サイエンス。人文または精神科学、メンタルまたはカルチュラル・サイエンス。社会科学、ソーシャル・サイエンス。文化科学、カルチュラル・サイエンス。科学技術、サイエンティフィック・テクニックと書いてある。ですから、官庁においてはこういう字引を引っぱって、やあいい言葉を見つけたといって使われたのでは、われわれ読む方では、一体純粋科学とはどういうものを意味するのかさっぱりわからない。純粋科学というものが科学技術の中に入ってくるということになりますと、科学技術というものに対する定義が非常に変わってくるのではないかと思います。これは前国会において、三木長官に私は科学技術の解釈をただしておるわけであります。科学技術か、科学技術という一つの熟語か、どう解釈していったらいいかと言ったら、いわゆる科学技術という一つのテクニックだ、技術の伴わない科学というものは国民経済に寄与することにはならないのだから、「科学技術」と解釈した方がいいのではないかというふうなお答えもあったのであります。まだ私は、科学技術庁の言ういわゆる科学技術というものの用語統一に対してはすっきりしないのでありますから、国際的に複雑多岐になって参りました最近の科学技術をすっきりする意味において、どうか用語の統一をはかっていただきたいと思います。関連質問にはなりませんでしたが、これだけを一つお願い申し上げておきます。  それから、私の申し上げました外国技術導入に関する問題に対しての当局の御意見は、これもまた何らかの文書の形をもって、参考資料をつけて御回答願いたいと思います。
  47. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 ただいま齋藤先生からお話のございました資料は、後日お届けいたします。  なお、用語につきましては、十分注意をいたしまして、特に科学技術白書を今私ども検討いたしておりますので、まずさしあたりそういう段階から十分用語に気をつけて参りたいと思います。
  48. 岡良一

    ○岡委員 次に、私が申し上げたいことのある部分は、齋藤委員からも申されました。あとに質問御希望の方もおられますので、私は国産技術の確立について希望を率直に申し上げておきたいと思います。この国産技術の確立ということは、どの長官も言っておられる。ところが、さて国産技術を確立するためには、相当過酷な条件をもって、しかも日本のメーカーは外来技術の導入を競合しておる、これは先般通産省の技術導入白書でも明らかになっておる問題であります。ところが、これに目をおおって、しかも文章を見れば、国産技術開発にとって不利を招くようなものは審査方針としては拒否するということをうたっております。しかし、外資審議会では、科学技術庁の少なくともそこへ出ておられる諸君はイエス・マンに終始しておる。だから、うたい文句だけではやはりだめだ。やはり一つの新たな覚悟を持っていただかなければならぬ。特に貿易自由化ということであれば、いよいよ新技術革新の時代に技術をもって外国と競合するというときには、これは当然国産技術の確立ということがなければならない。これは先ほど長官が言われたことも一つの大きな手段でございましょう。あるいはまた、民間の研究意欲を誘導するためには、税の減免なり、あるいは助成なりの措置も必要でございましょう。事業団にいたしましたところで、事業団の予算では、おそらく日本の民間産業の少し研究に熱心なメーカーの研究投資の二、三倍くらいの予算ではないか。こういうことでは、なかなか国産技術の確立がやれるものではないと思います。発明の奨励とか発明センターとかいうようなことでは、国産技術の確立という大方針に対しては、なかなかやれるものではない。やはり外資審議会においては、科学技術庁の立場から明確にこの技術を導入することの是非というものを、純粋に国産技術を確立する見地から検討して、そうして十分にその主張を貫いていくという覚悟がなければならぬと思う。言われることはまことにその通りであるが、実際にはイエス・マンになっておる。いわば科学技術庁には国産技術確立に対するはっきりした態度、方針がないというところに、私は日本の大きな不幸があると思う。なるほど外資審議会の会長は大蔵大臣になっておるが、事実上は大蔵大臣と通産大臣の共管になっておる。外資法改正の際には科学技術庁長官にも相談があるだろうと思うが、その際は参画して、国産技術の確立という立場から外資法の改正にあたる、こういう積極的な態度をぜひ一つとっていただきたいということを、ここに一つの希望として申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つ懸案の問題として、先般日本経済界のある有力な方が、原子力発電に関連して原爆云々というような発言がありました。これについて原子力委員会は一体どういう見解を持たれるか、文書で御報告願いたいということを申し上げておいたのでありますが、原子力委員会として何らかの結論に到達せられておるならば、この機会に御報告をお願いいたしたいと思います。
  49. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 原子力委員会委員長をいたしております立場から御返事をいたしたいと思います。この問題につきましては、御承知通り原子力基本法において、原子力の利用はあくまでも平和利用であるということを明確に規定いたしておりますので、たといどのような立場の人がどのよう考え方で発言をされたといたしましても、私といたしましては、この基本法に沿った考え方以外にはないことをはっきり申し上げておきたいと思います。
  50. 岡良一

    ○岡委員 それでは、その某氏の発言というものは、原子力基本法を無視したきわめて不謹慎な発言である、こう原子力委員会は認定をされたわけでございますね。
  51. 島村武久

    ○島村説明員 私からかわりまして御返事を申し上げます。前国会におきましてそのような御質問がございまして、原子力委員会として、その真偽も確かめた上で原子力委員会としての見解を明らかにすべきじゃないかというような御意見があったわけでございます。原子力委員会といたしましては、その後その事実につきまして一応調査もいたしました。その結果、六月六日に次のような見解を表明いたしたわけでございます。簡単でございますので、読み上げさせていただきます。   原子力の平和利用について最近、原子力発電コストの低下を図るためプルトニウムを爆弾の製造に利用することも考えられようとの意見を有力産業人が述べたと一部新聞紙上に報ぜられたが、わが国原子力研究開発及び利用が平和の目的に限られるとする原子力基本法第二条の規定からみて、これが発言者の真意とは考えられない。原子力委員会は、核燃料経済の見地から使用済燃料から生ずるプルトニウムを再び燃料として使用する研究がきわめて重要な意義を有することを考慮し、今後、原子力発電コストの低下のためにも、一層その研究促進を図る所存であるが、このよう意見一般にプルトニウムの研究は直ちに非平和的目的をもつものであるかのごとき誤解を招くことを憂い、あえてわが国における原子力研究開発は厳密に平和的目的に限られるものであることを明かにする次第である。  このような見解を表明いたしたわけでございます。ただいまの岡委員のお尋ねに答えることになるかと思います。
  52. 岡良一

    ○岡委員 ところが、またそれからしばらくして、七月十二日に、政界においても長老と目されておる、いわば実力者、われわれは核兵器について文句ばかり言っておるべきではない——文句言っておるのはぼくみたいな気がしたのですか——必要とあらばみずから核兵器を持つ決意を持たねばならぬ、こういう発言が公式の席上であった。これは国際的にも明暗さまざまな影響を与えておることは、その後のあるいはワシントン電などで伝えられておる。こういう発言に対して原子力委員会はどういう態度を持っておられるか。
  53. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 先ほどお答え申し上げた通りでございます。
  54. 岡良一

    ○岡委員 原子力基本法というのは、御存じのように、与野党が一致で国会に提出した議員提出立法だ。この発言をなさった方もやはり賛成者なんだ。日本原子力の平和利用、原子力研究開発は平和目的に限るという原子力基本法に対しては賛成者なんだ。その方が、しかも公の席上で、こういういわば放言をしておる。これに対して原子力委員会としては、きわめて遺憾であり、断じてそういう放言は許し得ないというストリクトな、厳格な立場を持っておられるのか、決意のほどを承りたい。
  55. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 どういう機会にどういう発言をされたか、そのニュアンスもわかりませんので、何ともお答えいたしかねますけれども、不用意な間にふとしたそういう言辞が弄されるような事態はほかにもあるかもしれないということは感ぜられると思います。しかしながら、ただいま御指摘になりましたように、この基本法を全国民の総意においてつくり上げたいという点において、どのような発言がされましょうとも、行為となっては絶対に現われてはならないことであるし、また現わしてはならないという固い決意を持っておればいいのではないかと考えておるわけでございます。
  56. 岡良一

    ○岡委員 この発言内容は、実は今のところ全然入手することができない状態です。せいぜいジャパン・タイムスの記事を読んでみると、明確にそういう意思表示がなされておる。これは外務省でも出しておらない。池田さんはこの発言に対して七月十九日に、どなたが何とおっしゃろうと、池田政権が続く限り核兵器の保有は考えません、と言っておられる。しかし、私は池田内閣の続く限り核兵器の保有はいたしません、考えませんではない、原子力基本法が現存する限り日本においては核兵器の保有などということばとうていあり得ないという、この大きな覚悟の上に原子力委員会は立ってもらわなければならぬと思うしその御決意があるかどうか、重ねてその点をお伺いいたします。
  57. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 お説の通りだと思います。池田政権が続く限りではなくて、日本の国民が続く限りにおいて核兵器を持とうというような意思は毛頭ないというのが皆さん方の一致した考え方ではないかと私は確認いたします。
  58. 岡良一

    ○岡委員 私は若干の情報を取り寄せまして検討してみますると、中共の核実験という問題がクローズ・アップしてきた。原料もある。実験場もある。プルトニウムの処理場もある。原子炉もすでに十年近く前から運転しておる。すでにプルトニウムの処理場もあるのじゃないか。しかも中共の国際的地位からいたしましても、中共の原爆実験というものは、予想の問題でなく、現実の問題としてわれわれは切実に考えなければならぬ。もしそういう事態が起こったとすると、この間の世界大会における中共の態度をごらんになってもおわかりだろうと思いますが、やるでしょう。それが一体日本にどういう影響をもたらすか、力には力をという、いわば力の均衡などという方針を持っておられる方々にとっては、核兵器の保有ということが持ち出されないとも限らない。その場合において、私は原子力委員会任務は非常に重大だと思う。そういうことも懸念いたしまして、原子力委員会は今委員長の言われた通り原子力基本法をあくまでも擁護するという決意において、日本の核兵器保有は絶対に許さない、かりにもそういうことはあり得ない。させないという決意をもう一度的確にこの機会にお示し願いたい。
  59. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 たびたび繰り返して申し上げました通りでございまして、原子力利用というものはあくまでも平和的に利用されなければならないという確信を強く抱いておるわけでございます。
  60. 岡良一

    ○岡委員 いろいろ申し上げたいこともございますが、一応これで私の質問は打ち切って、あと次会に譲りたいと思います。  くれぐれも申し上げたいのは、防災科学という構想は、次官もおっしゃいましたが、これはぜひやっていただきたい。もう人間の知恵の力で自然改造ができないことはないと思う。そこまできていると思いますので、功を急ぐという姿でなく、今から着実に一歩一歩積み上げていく。その第一歩をはっきり踏み出す。国産技術の確立も、今後非常にきびしい国際競争の中でやらなければならぬ。私は何も外来技術を全部否定するわけではない。何と申しましても、新製品というものは五年くらいの寿命しかない。外来技術で新製品をつくっても、さてそれがまた流行しなくなって、新しい非常にすぐれた製品が出てくるとまた技術導入ということになる。これでは外国の花園に育った切り花を日本の床の間に飾るだけで、花は開いても実が結ばない。日本にその基礎研究という土壌がないから。これでは、いつまでたっても先進国のいわばあとをなめていかなければならぬということにもなるのであります。  国会のつど問題になりますのは、原子力基本法が健在なる限り、原子力委員会が健在なる限り、核兵器は絶対に日本の国は持たないのだという立場をとっておりますわれわれと同様に、また今長官のおっしゃったように、あくまでも原子力基本法を守ることが原子力委員会の重大な務めだということで、ぜひ一つ今後とも御努力願いたい。  それから、この機会に、島村局長も原子力局長になられて初めてなので、一言だけお伺いいたします。問題は、原爆云々の話が出るのも、いよいよ動力炉が動き出してくる。使用済み燃料が出てくる。さてこれをどうすればいいか。アメリカも思ったほど高値で買ってくれないし、英国へ持っていこうとしてもなかなか大へんである。これがいわば十分なめどがつかないがままに、あるいはめどは若干ついておっても、当てがはずれたというようなことから、この原爆云々というような問題が日本のオピニオン・リーダーに位するような諸君の口から出てくるようなことになる。だから、プルトニウムの平和利用というものは、プロジェクトとしてははっきり掲げてあるが、これまでのよう体制でなく、真剣に原子力局なり原研なり燃料公社はやってもらわなければいかぬ。あなた方は使用済み燃料の処理問題についてどういう構想を持っておられるか。具体的なものがあったら、この機会にお示し願いたい。
  61. 島村武久

    ○島村説明員 おっしゃいました通りわが国原子力開発を進めて参ります過程も、原子力の利用そのものが非常にまだ不安定で、たとえば発電炉にいたしましても、決定的に将来に優位性を確認されたものがまだないというような発展過程にあるというような事情もございます。従来予期しなかったような問題が発生することもございますし、予期はしておりましても、その重要性意味がまた違ってくるというようなこともあると思います。今御指摘になりましたような問題は、今日の日本原子力開発を進めて参ります場合におきまして最も重要な、最も深刻な問題であろうかと存じます。そこで、岡委員も御指摘のように、爆弾に利用せられるというようななにも、一つのあせりとして出てくるものかもしれません。私どもといたしましては、こういう問題こそ最もまともに真剣に取り組んで今後やって参りたいというふうに考えております。おっしゃいました通り原子力研究所、燃料公社その他の機関も動員いたしまして、と申しましてもいたずらに大きな計画を夢のごとくに立てるということでなくして、じみちに進めて参りたい。その内容につきましては、来年度の予算にも関連いたしますので、目下慎重に検討をいたしておるところでございます。明年度の原子力予算の中でも一番重要な問題としてまともにこれに取り組んで参りたい、そう考えておるわけであります。
  62. 岡良一

    ○岡委員 何しろプルトニウムについてこのたび視察団あるいは調査団がアメリカへ渡られるというお話も聞いておる。おそらくハンフォードあたりへ行ってプルトニウム・リサイクル・テスチング・リアクターを中心に御調査になるのだろうと思いますが、しかし、 ハンフォードのTRTにいたしましても一カ年の運営費だけで大体六百万ドルくらいです。そうすれば、日本の原研と燃料公社の一カ年の運営費の半ばに当たる。四年目でなお六百万ドル出さなければまだ研究成果というものがはっきりしないというくらい、非常にむずかしい問題である。だから、プルトニウムをやろう、予算に要求しようと今おっしゃいましたが、プルトニウムの平和利用に伴う研究に対しても相当思い切って、総花的じゃなく、本気でそれをやるならば重点的に予算を集中して、プルトニウムの平和利用については原子力局としてもぜひ努力を願いたいということを私は強く希望しておきます。  なお、近藤長官なりあるいは内田次官なりに対していろいろぶしつけなことも申し上げました。しかし、科学技術関係の仕事は私ども六年の間やっておることでございまして、これは永遠の生命のある大事な仕事だと思う。でありますから、原子力委員長は、インドへ行けばネール首相、ドイツでは現在のシュトラウス国防相が兼職である。フランスでも副総理がやっている。だから、私は近藤原子力委員長も勇気と自信を持って当たるべきであると思う。われわれも、日本科学技術なり原子力平和利用のためには惜しみなく御協力申し上げますから、どうか一つ元気に、勇気と自信を持って今後ともこの科学技術に御邁進いただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  63. 寺島隆太郎

  64. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私は具体的な問題だけを御質問いたします。  近藤さんが、今度御婦人で科学技術庁長官におなりになったということは、非常に画期的な事件で、おそらく天照大神以来の一大エベントであると私は思う。それで、今まで男性では気のつかなかった新しい分野を独特の見地から切り開いて、日本科学技術に新風を吹き込まれることをわれわれは期待いたしますし、大いに御協力申し上げようと思います。科学技術庁は、すでに御存じのように、総理府にある総合企画官庁でありますから、普通の各省と違って、むしろ各省の気のつかないことを先に見渡して取り上げて各省に仕事を与えていく、そういう性格であるだろうと思います。今まで手がけてきた原子力研究所とか、宇宙開発であるとか、あるいは特別研究調整費であるとか、いろいろな仕事がございますが、それを実現していくと同時に、やはり世界じゅうの水平線を見渡していて、新しい次の時代の用意をするという非常に大事なポストであると私は思います。潜水艦の潜望鏡に当たるもの、あるいは国家のレーダーに当たるもの、そういう場所である。ですから、やろうと思えば無限大にやれるし、やらなければ何にもしなくもいいというところで、そういう意味で私は国家のためには非常に重大なポストであると思いますので、御健闘をお願いいたしたいと思います。  そこで、大きな問題は、たとえば日米科学委員会の問題なんか非常に大きな問題なのですが、皆さんの御質問がありましたから私は申し上げませんが、具体的に一つ一つ今度お聞きしたいと思うのです。  第一は、そういう意味からテルスターの問題です。御存じのように、アメリカが宇宙開発の一環として、東京オリンピックに間に合わせるために人工衛星を上げて世界のテレビ中継をやろうとしている。これはしかし、新聞で何となしにみんなおもしろいことだと思って読んでいるかもしれないが、科学技術庁としては見落とすことのできない国家の権益に関する大きな問題になります。言いかえれば、この空が日本の空でない、人に勝手に使われるというおそれもある。そういう意味で、われわれはすでに数年前に郵政省の電波研究所に、こっちから押しつけるくらいに金をとってやって、三十メートルのパラボラ・アンテナを茨城県に建設している。アメリカの議会においては議員提出法案で、アメリカの電信電話会社でありましたか、開発法案が今出ておる。これが今上院で非常にもまれているのは御存じでありましょう。一体東京オリンピック大会を控えてのテレビの世界中継というテルスターの問題は、これからどういう工合に開発されていくか、それに対して日本はどういう措置をとらなければならぬか、その点の対策をまず伺いたいと思います。私に言わしむれば、これこそ科学技術庁が郵政省、外務省その他の関係各省を集めて、テルスターの対策委員会くらいをつくって、そうして各省に仕事を与え、分担をきめ、その対策をつくって、一緒に大蔵省に要求すべき性格のもので、オリンピックを控えてみるというと、これは高速道路をつくると同じ以上に急を要する問題になりつつある。しかし、これに対する関心が非常にまだ薄いように思う。そういう点からまずお伺いいたしたいと思います。
  65. 芥川輝孝

    ○芥川説明員 テルスターの協力の問題につきましては、通信衛星の大陸間の実験というふうな見地からいたしまして、アメリカと日本との協力につきましては、外務省が窓口になりまして、国内体制の取りまとめ面につきましては科学技術庁がその主体になりまして、技術的にいろいろ複雑多岐な問題がございますので、この点につきましては郵政省で立案いたしまして、問題を進めて参るという形で事を運んでおります。
  66. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今のような紋切り型の答弁に私は満足するはずがないのです。ここで私はいろいろ議論しようとは思わぬ。しかし、これが大きな問題であるということをまず火だけつけておきたいと思う。そんなものは郵政省にまかすべきものではない。総合開発庁である科学技術庁がやるべきことだ。郵政省には仕事をお下げ渡しになるべき立場にあると私は思う。そういう点から、各省を集めてテルスターに対する基本的な対策を講ぜられることは非常な喫緊の仕事になると私は思う。今みんな安閑としておるけれども、アメリカの速度からいうと、来年くらいになるとこれば非常に大きな仕事に必ず成長していく。そういう点から、至急に対策をとられるようにまず要望しておきます。これ以上は申しません。  それから第二に、宇宙開発本部をつくるという構想三木さんがこの前発表されましたが、近藤さんはそれをおやりになるのかどうか。かりにつくるとすれば、具体的にどういう構成のものをつくるか。来年度予算を概算請求をしておるということでありますから、科学技術庁考えがあると思いますが、その点をお伺いしたいと思います。
  67. 芥川輝孝

    ○芥川説明員 宇宙開発につきましては、御承知通り技術分野が、非常に関連する分野が広いということと、もう一つ大学におきまする学術研究としてのプロジェクトが若干進んでおるという面がいろいろございます。科学技術庁といたしましては、宇宙開発重要性にかんがみまして、ロケットの開発中心といたしました宇宙開発技術本部をつくりたいと思いまして、原局としてはいろいろ案を立てておるところでございますが、庁としてまだ決定に至っておりませんので、これ以上私は申し上げることを差し控えたいと思います。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の言葉は非常に気を使っておられる。宇宙開発技術本部というよう技術を入れてきた。こういう点で、東大の生産研とぶっからないようにとか、いろいろな考慮があるだろうと想像する。しかし私は、東大生産研の仕事もだんだん大きくなってきて、科学技術庁と密接な協力をしていかなければもうできない段階になると思う。予算を取るにしても、大学のああいう形では限度があると私は思う。そういう面から、そう遠慮する必要はない。大学ともっと密接な協力をする形をとらなければ、これは国全体として発展しない。向こうも手を差しのべなければならぬが、こっちも手を差しのべなければならないという必要が現に出てきておる。そのかきねを突き破らなければ、日本宇宙開発はこれ以上伸びないと私は思う。この点は糸川さんにもよく言ってもらいたい。そういう点から、いろいろ案はおありであろうと思いますが、ここで具体的に聞くのは遠慮いたします。十分成案を練っていただきたいと思います。  宇宙開発審議会があって、兼重さんが会長をして一生懸命仕事をおやりになっておるが、大体宇宙開発審議会の皆さんや学者の皆さんの考えというものは、女房役的な考えが多いのです。特に宇宙開発審議会なんかは、今までの長官が割合に暴走したり独走するというので、ブレーキ的な役目をしておる印象があると、兼重さんも前にそういうことを言ったことがある。しかし、ブレーキばかり集まったのでは進まない。やはり機関車が要る。そういう面から、近藤さんは女性であるから女房役には向くかもしれないが、だんなの役、機関車の役には向かぬというおそれがなきにしもあらずです。しかし、ここで勇断をふるって、一つ兼重さんをうまくくどいてもらって、りっぱに機関車の役目を果たしていただく必要があると私は思う。大体あそこには女房役が多過ぎる。具体的に申し上げるとそういうことです。でありますから、宇宙開発審議会、東大の関係、いろいろな関係をお考えになって、ちょうど河野建設大臣みたいに、ここはばりばりやれる分野だと思う。一つ河野さんともゆっくり相談して、秘術を教わって、適用してやっていただきたい。私は、宇宙開発の分野は今はそういう段階にあると思う。  それから、その次は原子力発電の問題です。原子力は停滞しておるとかなんとかいわれておるけれども、コールダーホール型のものや、アメリカにおける沸騰水型や、そのほかのものがどんどん建設されておるのはもう事実である。そういう面から見て、日本のエネルギーの総合対策上、これは前にも私、質問したことがあるのですが、そろそろ日本原子力発電会社の第二号炉以下をどうするかという準備期にも入る段階です。そこで一つ問題点は、一体日本で火力や重油と比べてペイするのかしないのかという問題が基本になる。ところが、今までのいろいろな資料を見れば、日本における地震対策やそのほかを入れても重油に負けない程度までいけるかもしれぬという可能性が私はあると思うのです。そういう面からして、原子力発電経済的効果という問題について、もっと正確な資料を、原産や海外の資料を集めて、正確に国民の前につくる責任が原子力局あるいは原子力委員会に私はあると思う。それが一切のスタートの根本になると私は思う。そういう点から見ると、そういう努力がまだ足りないようです。これは非常に大きな仕事で、たとえば重油を入れるとすればタンカーをつくらなければならぬ、十万トン・タンカーをつくるのに幾ら要るか、それに対する陸岸設備が要る、パイプ・ラインが要る。そういう公共事業的な経費まで入れて、重油を入れるのが安いか。あるいは飛行機で向こうの核燃料をちょっと持ってきて、それを装填する方が安いか。そういうところまで計算すれば、私は十分日本で成り立つと思う。しかし、これは私の独断であって、あるいはそれが間違っておるかもしれません。その点を、原子力委員会中心になって海外の資料を集め、特にアメリカにおける発注者の方、電力会社の、使っておる方のいろいろな意見やその他を聞いて、正確な資料を出す必要があると思う。その点について、原子力委員会はどういうふうな用意をしているか、承りたい。してなければ、もう至急に関係方面を総動員してつくるべきであると私は思う。
  69. 島村武久

    ○島村説明員 今、中曽根委員のおっしゃいました御意見は、前国会で全く同じ意見を述べておられるのを速記録で私も承知いたしております。発電コストの問題その他につきましては、もう刻々変わっていくというような情勢でございます。見通しといたしましては、私も中曽根委員の言われるように、原子力発電がいろいろな面から考えて、従来の石炭でなくて重油だけに比べても優に匹敵していける時期は近いというふうな感じを持っておりますが、今、中曽根委員もおっしゃいました通り、それはやはりすべて正確なデータの上に立って論じなければならない問題であるというふうに確信いたします。従来原子力局といたしましても、そのようなデータも集めていろいろ比較検討ということもやっておりますが、今まではちょっと憶病に過ぎた点もあるのではないか。もちろん広範な資料をそろえまして、だれからも何とも言われないような権威のあるものをつくりたいという気持から申しますとまだまだということで、ちょっと憶病に過ぎる点もあると思うのでありますけれども、今おっしゃいましたように、非常に重要な時期でもございますし、各方面から原子力発電の推進に関しまして現在の体制でいいのかというような声も起こっておる最中でございますので、まず科学的にそういった点につきましても十分な資料を速急に整えまして、その上で今後どういうふうにやっていくかということを、原子力関係者の中だけでなく、広く訴えもし、また判断もしていただきたい、そう考えておるわけでございます。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私はこの問題ば原子力局でやるよりも、むしろ資源局でやったらいいだろう。今まで資源委員会あるいは資源局日本の人工繊維の問題であるとか、いろいろな問題について非常に客観的な正しいデータに基づいた献策がありました。これが国のために非常に有益であったことは御承知通りであります。原子力委員会原子力局がこれをつくると、ややともすれば手前みそのように受け取られるおそれもあるし、これは単に原子力関係のみではなくて、陸岸設備とかタンカーの問題とか、あらゆる経済効果の問題がここに入ってくるわけであるから、むしろこれも資源局あたりで相当な金をかけて、相当なスタッフを入れてやってみたらどうか。その方が客観性が出てくるし、説得力もあると思うのですが、この点は長官はいかがお考えになりますか。
  71. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 あまり詳しいことはよくわかりませんけれども、中曽根委員のただいまの御発言はなるほどなあという感じがいたしておりますので、そのつもりで私もやって参りたいと思います。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その次にお伺いしたいと思いますのは、人材の問題です。池田総理が人材養成ということを大きくうたっておられる。それと同時に、大学の管理制度の転換ということもいっておられる。そういう面からして、今年の秋から来年にかけて、大学の問題というのは相当大きな問題になると私は思う。そこで、科学技術庁として特にこの問題について乗り出していただかなければならぬのは、大学教授の、特に科学技術関係の大学教授の待遇改善の問題及び研究費の問題です。この問題については、もう歴代の長官やあるいは科学技術会議の議員さんが努力して、研究費は大体毎年十億円くらいふえてきている。それから給与については、戦前の姿に返そう、大体戦前の姿の三分の二くらいまで今返ってきている。しかし、大学の管理形態の問題が出るならば、待遇の問題や研究費の問題はぐっと出すべきチャンスにあると私は思う。その点を一つぜひ御研究願って、閣議その他において有力な発言をしていただき、確保していただいたらいいと思うのですが、この点はいかがですか。
  73. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 先ほど女としての一つのセンスの上からというお話がございましたが、私も就任いたしまして以来、最初に自分で考えて参りましたのはそのことでございまして、研究者の待遇をよくするということは非常に大事なことだ、一番基本的な問題だと思うのです。その点がいろいろ拘束される面が多いようなことも聞き及んでおりますので、それにかわるものとしては、やはり研究の設備とか、あるいは研究の環境といったものからでも、研究者を優遇するというようなことに向いていかなければならないということは、非常に強く感じておりますので、仰せ通り、私もできるだけ一生懸命にやって参りたいと思います。
  74. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 新聞によりますと、特定の大学の学長を認証官にするとか、いろいろ文部大臣側の構想があるようです。私の想像では、大学の学長は自分の地位を認証官にしてもらうよりも、研究費をふやしてもらう方がどのくらい喜ぶか知れぬと思う。また、そのことが具体的には国家のためになることだろうと思います。認証官になることをわれわれは排撃するものじゃないのですけれども、そういう身分上の地位を与えることよりも、もっと大事なことが実質的にあるということなんです。その点は科学技術庁の方から文部省によく話をして、そうして具体的な成果を上げるよう措置をやってもらったらいいのではないか。この点は近藤さんが直接池田さんに話をして、池田さんの頭をそのように切りかえてやったならば、一番早くできるのではないか。おそらく池田さんはフェミニストでありますから、近藤さんの言うことは聞くだろうと思う。それが一番早道だと私は思いますので、ここでお願いをしておきたい。  それから、基本法の問題も非常に大事な問題なのです。これは当委員会のみんなでかかってやった問題で、科学技術庁も力を入れている問題で御存じと思いますから、これをどういうふうに政治の中にころがして展開していくかということをお考えを願いたい。われわれも協力いたします。  それから、今から四カ月ぐらい前に、この委員会で中性洗剤の有毒、無毒という問題が出て、三カ月以内に調査をして当委員会に報告すべしとの決議までしている。三ヵ月の期間はたしか七月六日で切れているはずである。もう一カ月以上も経過しておる。この問題はいかが相なったか、その経過を説明していただきたい。
  75. 芥川輝孝

    ○芥川説明員 御承知通り、合成洗剤の問題につきましては研究事項が非常に多いのでございますが、問題の性質上三ヵ月以内に結論を出すというお話がございましたその趣旨を体しまして、鋭意研究を進めたのでございます。大別いたしまして、八項目の研究分担がございまして、そのうちで、急性というものにつきましては十月の中旬ごろまでに結論が出るのではないかという見込みでございます。急性と申しますのは、急性毒性試験というものでございまして、その分につきましては十月の中ごろまで。それから、慢性試験というのもあわせてやらなければならないと存じまして、慢性と申しますと若干時期をいただかなければなりません。この点につきましては一年ないし二年。それからもう一つ、皮膚障害の点がございまして、皮膚は冬期に非常に荒れるものでございますので、これはぜひ冬も試験範囲に含めたい、こういうことでございまして、その分につきましては来年の三月ごろまではどうしてもかかる。こういうふうな状況になっております。従いまして、急性試験につきましては十月の中旬ごろまで、それから慢性試験は除きまして、その他の大半の試験は来年の三月までに結論が出る見込みになっております。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その調査を進めるについて一番大事なことは、どういう方法をとっておるかという方法論が非常に大事であると思うのであります。つきましては、次の委員会ぐらいまでに、文書で、どういう手順で、どういう人を使って、どういうお金をかけて、おのおのの分野について研究調査を進めておるか、報告をしていただきたい。結論が出るのはそのときでなければやむを得ないと思いますが、今の点についてわれわれに認識をさせてもらいたい。  最後に、もう一つ伺いたいのは、放射線化学中央研究所の問題です。この間の原子力委員会で、群馬県の岩鼻に決定したということをわれわれは知りましたが、すでに予算をとってからもう半年近く経過しておる。これで冬になったり何かすると、コンクリートを打つのもなかなかむずかしくなる。そういう面から、敷地を至急決定する必要がある。一体この敷地の決定はいつきまるか。あそこはたしか二十万坪ぐらいあいているはずですけれども、一体何万坪要求しておるか。書類はいつ出したか。そして大蔵省はこの取り扱いをどうするか。こういう点について関係当局の意見を聞きたいと思います。
  77. 島村武久

    ○島村説明員 放射線化学中央研究所の敷地を岩鼻に決定したということでございますが、これは原子力委員会がきめたのでございますけれども、岩鼻に置くことを国としてきめたというわけでございます。本来は原研がきめる筋合いのものを、原子力委員会が相談されたので、岩鼻がよかろうという意見を原研の理事長に伝えた、こういう意味の決定でございます。それに応じまして、原子力研究所といたしましては、さっそく今度は岩鼻を国に使わせてもらいますための作業に取りかかったわけでございまして、現在は、今御質問がございましたが、正式の申請書というものはいまだ提出いたしておりません。と申しますのは、敷地の実測等の問題がございます。で、大蔵省の関東財務局の前橋財務部、ここにお願いをいたしまして、現在測量等をいたしますため立ち入りの許可を得まして、測量を請負わせまして、実施中でございます。そういう測量をいたしますと同時に、財務部あるいは財務局等に対しまして原研からその計画内容等を説明いたしまして、協力をお願いいたしておる段階でございます。原子力委員会が岩鼻がよかろうということをきめますにあたりましては、敷地の見通しの全然ないところにここがよかろうときめたわけではございません。内々ではございますけれども、その入手の見通し等につきましても見当をつけまして、その上でああいうふうにいたしたわけでございます。おっしゃいますように、予算がすでについておる問題でもございます上に、早く取りかかりませんと、実務的に申しますと来年度の予算にも支障を来たしますし、全体計画が非常に変わってくるようなことにもなります。そういう事務的なこと以外に、放射線化学中央研究所はそもそも四年も前から話があって、必要であるということになっておりながら、その組織形態をどうするかということで非常におくれておった問題でございます。一刻も早くこのおくれを取り戻すくらいにやって参りたいというふうに考えておりますので、私どもといたしましても、原子力研究所というものはほとんど国の出資で行なわれておりますところの機関でもございますし、原子力研究所が申請者の立場になるわけではございません。一般の工場の払い下げ等と違いまして、これはきまりますれば国の現物出資という形にもなるような関係もございますし、原子力研究所と一体となりまして、大蔵省に対してできるだけすみやかに現物出資が決定いたしますように、今後も努力いたしたいと考えておるわけであります。幸いに大蔵省関係でも非常に好意的に御検討をいただいておりますので、他の場合に比べますれば、相当すみやかに手続が進捗するものというふうに期待もいたしておるわけであります。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 大蔵省の管財局長質問いたします。あそこの敷地は約二十数万坪あって、それが今カラスの巣とか、スズメの巣とか、ともかく野鳥類の巣になっておる。それで二十数名の人間を使って、終戦以来そのままほうり出して管理しておったわけです。今まで管理費はどれくらいかかったかというと、一億円以上も実際かかっている。たとえば使用人を初めのうちは三十人以上使っていましたけれども、一人年五十万かかるとしても、それで一千万円です。十七年間だから、実際数字で計算すると、一億七千万くらいかかったことになる。しかし、人間を減らしてきたり何かしているから、少なくとも最低一億はかかっている。私は現に調べてみた。これが使われないで国費がむだになって捨てられているわけです。こんなもったいないことはないので、できるだけ早く適当な機関にあの敷地を引き渡して、経費を節減しなければならない。私はそれを前から大蔵省にも言い、適当なところに早く処理しろと言ってきている。ようやく原研があの土地が適当であるというので、大蔵省のお世話になるという段階になったのですから、そこで大蔵省側としても、なるべくすみやかに、できるだけ多くの土地を原研に与えた方がいいと私は思います。特にこれからの放射線化学という面を見ると、今までのポリエチレンとかあるいはそのほかのもの以外に、たとえば空気中の窒素を放射線の作用によって直接抽出する方法を考えるとか、いろいろな分野が今開けつつある。そうすると、かなり広い地域を将来のためにも確保しておく必要がある。それから、そういう研究所というものは、今までの研究所のようにごみごみしたものでなくて、研究所の中に公園くらいあってもいいと思う。管財局長も御存じでしょうが、東大の中にある三四郎池というのがどれくらい慰安になり、あるいは教授の頭をいやして新しいアイデアの力になっているか。それと同じようなことで、研究所の中にはそういう小さな公園や池を置くくらい、これからは整備しておくべきだ。そういう面から考えると、原研の連中は割合に肝っ玉が小さいから、現実の必要部分しか要求しないと思うが、しかし将来のことを見通して考えると、私は実は全部やった方がいいと考えている。私のところに原研の者が来て、私が説明を求めたら、何か八万坪か九万坪を要求しているという話で、そんな少ないことでどうするか、と言って帰したのが一週間くらい前です。それで、原田大蔵政務次官と二度ほど話し合って、一体いつきめるのだといって聞いたら、来月の九月の審議会できめる予定ですということをさっきも言っておりました。これは私に個人的に言ってくれたので、審議会の議を経なければきまらないだろうと私は思う。しかし、行政のスピードから見ると、おそくとも来月の審議会くらいできめなければ、建設工事に入るということはもっとおくれてしまう。そういう面から、今申し上げたことをお考え願って、なるたけ将来を考えた広い土地をすみやかに、おそくとも来月の審議会で決定するくらいのスピードで御処理願いたいと思いますが、大蔵省はいかにお考えになりますか。
  79. 白石正雄

    ○白石説明員 ただいま中曽根委員から国有財産の処分につきまして、いろいろ管理費用も要ることであるから、すみやかに処分をしろ、なお原子力研究所につきましてはできるだけ多くの土地を提供するように、という趣旨のお尋ねであったわけでございます。私どもといたしまして、今おっしゃいました通りに、国有財産につきましては、旧軍用その他の財産を鋭意処分をしてきたわけでございますけれども、これは全般の見地から、公共用地と申しますか、また国民経済的な見地から、有効適切に処分をするという見地から努力してきたわけでございまするし、現在もまたそういった方向で努力しておる次第でございます。問題の土地につきましては、先般私ども原子力当局並びに原子力研究所からそういう申し出を受けましたので、国のそういった研究機関でございまするので、できる限りこれにつきまして協力するようただいま検討いたしておる次第でございます。時期その他につきましては、できるだけ早く決定いたしたいと思っておりますが、研究所からのお申し出等を承りまして、こちらといたしましても、また他の要望との関連もございますので、それらの調整もいたしまして、すみやかに決定いたしたい、かよう考えておる次第でございます。
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 その答弁で私了承いたしますが、一つ今の最後の、他の要望という言葉があったから申し上げます。というのは、東邦亜鉛という工場があの中にあって、あれがあの土地をほしいといって申し出たことがあるので、それを言っているのだろうと思います。ところが、あの東邦亜鉛の工場を一部でも持ってくることに対しては、地元は非常に反対している。なぜかといえば、あんなところでまた亜硫酸ガスを出されてしまったら、お蚕はすぐ死んでしまうし、水は鉱害が出る。こういうことで、今まで東邦亜鉛の鉱害問題というのはわれわれ住民が非常に苦しんだ問題で、大蔵省も知っている。そういうことから、地元の町村長、市長は、東邦亜鉛を持ってくることに対して今非常に反対して、群南村の村長、高崎市長、前橋市長が、財務部に行ってそのことを陳情しているはずです。関東財務局にもその文書がきているはずです。従って、地元のそういう状況を見ると、ほかの工場がくるのならまた別の考えが多少あるかもしれないが、その場合にも私は原研を優先さすべきだと思っておりますけれども、そういう状況を管財局長はお知りになっておりますか。まだそういう情報はあなたの耳に入っていませんか。
  81. 白石正雄

    ○白石説明員 ただいまお話しになりました会社からの要望があるということは承知いたしております。地元からの反対ということにつきましては、そういったことを耳にした時期もあったようでございますが、最近におきましてはそういった反対もないようなふうにも承っておりますので、それらの点もとくと調査の上、適当に処理いたしたいと考えておる次第でございます。
  82. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 放射線化学中央研究所を持ってくることについては反対は一つもない。全部賛成なんです。ところが、その東邦亜鉛を持ってくることについては全部反対なんです。これは、あなたはあそこの村長や高崎の市長をお呼びになればすぐにわかります。あの中の東邦亜鉛の鉱害というものは実にひどいものなんです。そういう実情を見ていますから、初めは地元も固定資産税でもとれればいいなというので賛成をしたけれども、その実情がわかるにつれて今はほとんど、ほとんどじゃない、全部反対ということになっております。その実情をよく調べていただいて、すみやかに処理していただきたいと私は思います。
  83. 白石正雄

    ○白石説明員 地元の係員等も動員いたしまして、いろいろ実情を調査をいたしておりますので、十分それらの問題も調査をいたした上、善処いたしたいと考えております。
  84. 寺島隆太郎

    寺島委員長 三木喜夫君。
  85. 三木喜夫

    三木(喜)委員 時間がだいぶん過ぎ  ましたので、よそうかと思ったわけですが、長官所信に対する質問は後日その機会がないと思いますので、この機会に、前の科学技術特別委員会から継続いたしました問題で、若干、重複を避けまして要望を含めながら御質問を申し上げたい、このように思っております。  第一は、中曽根さんも言われましたが、科学技術庁長官が女性であるということに対する世論は、必ずしも支持的ではないわけでありますけれども、御自分も科学には弱い、このようにおっしゃつでおりますけれども、そういうことは決して御遠慮なさる必要はない。ただいま、女性であられるために、人命尊重とか平和とか母性愛とか、こういうものに対する熱意から施策を生み、そして施策を動かしていく、このような御決意が出ましたことは、私は非常に頼もしく思った一人でございますし、そのことに期待したい、このように思うわけです。  第一に、私心配しておりましたことは、岡委員の方からも御質問がありましたが、科学技術が軍事化する、軍事と同化するということでございましたが、池田政権が続く以上そういうことはやらない、こういうことから一歩出て、日本人の続く限りこの悲願はどうしても守り続けるというような、核兵器を持つということ、あるいはプルトニウムから原子爆弾を作るということに対しての確信ある御答弁をいただいたので、非常に意を強くしたものであります。  ここで私はもう一点お聞きし、御決意を持っていただきたいと思いますことは、毎日新聞だと思うのですが、河合君が「不思議な国の原子力」という冊子を著わしております。これを国民のかなりの数の人が読んで、原子力利用に対するところの疑義というものは一向に解明されておりません。これはなぜかといいますと、私はその原子力の平和利用ということに乗じての財界のしのぎを削るところの競争であろうと思うのです。この中にあって、女性が非常に女性を知って、近藤長官に拍手を送り、あるいはまた参議院選にもそうした場面はたくさん出たわけでありますが、それはなぜかということを私考えてみますのに、やはり女性は非常にきれいだ、肉体的にきれいということも近藤さんの場合は当てはまるだろうと思いますけれども、それよりも、もっと政治に対する姿がきれいだということを希望しておると思うのです。汚職、酒、女、こういうものにともすれば男性政治家が引つけられたものですが、そういうものと関連が非常に少ないということにおいて、選挙においても女性に対する票が非常に伸び、あるいは自民党内閣といたしましては第二回目かと思うのですが、女性の大臣に対する期待はやはりこの点にあろうと思います。そこで河合君の書いております「不思議な国の原子力」にあるように、もし財界のしのぎを削るみにくい面があるとすれば、そうした面はやはり女性の非常に清潔な考え方によって排除しながら進んでいただかなかったならば、日本原子力産業というものがやはりそうした面からくずされていくというおそれがある。国民の信頼がその面からくずれてくるのではないかということを心配する。その面を一つ要望しながら、近藤長官の御決意をその辺についても最初に承っておきたい、このように思います。
  86. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 私は「不思議な国の原子力」という冊子を実は読んでおりませんし、原子力経済界においてそのような動きの中に取り上げられているというような実情についても、実は全然知らないわけでございます。何と御返事を申し上げてよいかわかりませんけれどもお話の中にございましたように、政治があくまでも清潔でありたいということ、またあらゆる事業面においても不当な、不愉快な競争がないようにということを念ずるのは、女性の共通の願いであろうと思いますので、そういう観点から、もし御指摘のような事実があったといたしましたならば、私は私なりとして努力をいたして参りたいと思います。
  87. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それに関連いたしまして、こうした原子力産業を国の補助とかあるいは国の主体においてなす場合には、やはり国民の血税であるということを考えていただいて、そのことに対処する女性の清潔な政治姿勢、そういうものを十分に生かしていただきたいということと、先ほどからもよく論議になりましたが、米国との科学技術の提携というような名のもとに、原子力兵器を持つようにとか、あるいはそこまで露骨でなくても、財界の中から、今、岡委員から出たように、これは「世界」の八月号に書いてあるのですが、プルトニウム爆弾をつくってもよいでないか、このよう意見が次第に多くなってきているという。こういう可能性をなしくずしにつくっていくという考え方ですね。米国との技術提携ということは非常によいと思うのですが、そういう押しつけがなされるということについても、なかなか至難なさばきが要ると思うのです。その点も一つ冒頭にお述べになりました御決意によってやはり考えていただきたい。  それから、これは放射能の問題でございますけれども、アメリカ、ソ連、ともども核爆発実験をやりまして、日本がその谷間になっておるわけです。そのことに対するところの至難なこれからの行政が待ちかまえておると思います。それもそうした見地に立ったお考えと提案がなければ、国民のあなたに対する希望というものもくずされると思いますので、ぜひお聞きいたしたいと思うのであります。そこで、三点とも私の疑問に思っておりますことをこの際御解明いただくなり、あるいは後ほどでもけっこうでありますから、出していただきたいと思うのです。  科学技術庁長官というのは、歴代非常に特異の方が長官になっておられる。私は池田長官から前の三木長官、そして近藤長官と三代しか知らないわけでございますけれども、池田長官は新しい省庁としての位置づけをしっかり足固めをしようということに非常に努力されたと私は見ております。従って、文部省に仮住まいをしておるということについての劣等感を抜いていきたいというよう考え方もあったし、文部省と相当やり合ったわけなんです。それから三木長官にいたしますと、これは実力者だというので、省庁としても何か安心感があったのですが、やめてしまわれたから、何らその効果が三十八年度予算に出てこないわけなんです。そういうような特徴があったわけで、その中で私は一つ強く印象づけられておることは、池田正之輔大臣のときに文部省とやり合いをした科学技術者の養成の問題です。所得倍増計画によると、科学技術庁考えるところの科学技術者の数と、文部省の考える数と食い違ったまま現在いっておる。これでは国民なり、あなたも文教の方の参議院の委員をなさっておって種々論議されたと思うんですが、納得がいかないと思う。この点の調整についてお考えをいただかなければいかぬのじゃないか。これがそのままになっておることについての御見解。  それから第二点といたしましては、文部省では産業界の要請が非常にきついために、技術者の養成ということがインスタントに、極端に言うなれば人間ロボットをつくるというような極端な考え方になって、技術方面だけをたたき込もうという教育の形態をとってきた。科学技術庁は必ずしもそうではない。今、工業教員養成所の中においては、三年制でインスタントに教師になることについては生徒自身からの反撃が出てきておる。もう陳情なんかお受けになっておるだろうと思う。こういうように人文科学、自然科学のアンバランスからくるところの早期養成というものの問題も科学技術庁の中にはあると思うのです。そういう点、文教委員をしておられた立場から、どういう工合に今後解決づけようとお考えになるか。これは前からの問題で、私は疑問に思っておりましたから、一つお聞きしたいと思います。
  88. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 科学技術者の養成について、文部省と科学技術庁長官の間にかなり論争がございましたことはよく承知いたしております。しかし、その後池田前長官も了承されるよう一つの見通しができて、それによって文部省は養成をやっていっているのでございますから、私はこの点はそれでいいのではないかと思います。  また、技術者の要請が非常に強いというので、即席につくるという悪い傾向があるというお話でございましたが、これも、私が文教委員をいたしておりまして、そこで取り扱いました限りにおいては、もちろん正規の学校を卒業するというほどにはいかないまでも、やはり教育という場においてその欠点を補っていくということについては十二分に努力を払うということが前提となっておりまして、要請される技術というものを早急に身につけなければならないというその方向に向いていっているのでございますので、これはいたし方ない、この程度でけっこうだと私は思っております。
  89. 三木喜夫

    三木(喜)委員 論争はまた後にしまして、実態をもう少し申し上げたいと思うのです。この工業教員養成所においては、教授の手が足らないとか、あるいはやはり学制の上から袋小路的な地位に置かれておるということから、やはり重要視されていない。そういう面もあって、休講々々が続いておるのです。これでインスタントにもせよ、科学技術者の養成ということにこたえ得るかという検討科学技術庁の立場から、先ほども各省庁に対して仕事を与えるという立場をとれというお話がありましたが、そういう高い立場から御検討をお願いしたい。妥協して、これだけで事足れりということでは私たちは満足ができないと思いますので、それをお願いしておきたいと思います。  それから、第二点といたしまして、他国との技術協力ということも必要でございますし、あるいは他国の科学技術の進歩に対しまして私たちは目をおおうてはならないと思います。従いまして、この所信表明の中に入れるにはもう時間的に余裕がなかったのかどうかわかりませんが、このたびのソ連のボストーク三号、四号、あの成果長官としてはどのようにお考えになっておるか。あるいはまた日本にどんな影響があるとお考えになるか。これは率直でけっこうですから、一つお聞かせいただきたい、このように思います。
  90. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ソ連のボストーク三号、四号、この成果は、もう率直に申しまして、私たち日本人だけでなくて、世界の人たちが非常な驚異と尊敬を払っているところだと思います。私どももこの壮挙に対しまして心からの敬意を表しておることば御承知いただけると思うのです。私、女の立場から、先ほど来、るる申しておりますように、このソ連のボストークの成功が、ただほんとうに平和の目的のために今後も引き続いて開発されるべきものでありたいという願望——非常に敬意を表し、感心しながら、反面においてこの気持が動いていることも事実でございますし、この壮挙によって日本が確かに宇宙開発においておくれているという姿をまざまざと見せられた一つのあせりというものも十分ありますので、これが一つの刺激になって、民間の人たちも、また私たちも、ほんとうにやっていかなければならないということに対して、非常な飛躍的な考え方を持ったことは事実だと思います。ただそれを具体的にまねをしていこうという段階になりますと、つまずきがいろいろ出て参りますけれども、気分的において、この立ちおくれをどうして取り返したらいいのかということについて、みんながともかくも真剣に取り組む気持は十二分に養われているのではないか、こう考えております。
  91. 三木喜夫

    三木(喜)委員 先ほどのお話の中にも、率直な御意見を承った中にも出ておったのですが、やはり背伸びすることは自分らとしては戒めるべきだ、これはソ連のボストーク云々のお話ではなかったようですが、そういう御所信を表明されておりますし、私もこれについては賛意を表したいのです。ただ、ここで十分お考えいただきたいのは、中曽根委員からもお話がありましたように、この成果は国全体、あるいはいろいろな要因があろうと思いますけれども、私はこの際やはり科学者の待遇を画期的によくするというこのことが必要でないか。これをここで強く思うのです。そうでなかったら、今のよう科学者が非常に不遇な状況に置かれておるという状態、あるいはまた科学者が足らぬといいながら、優秀な科学者が定年制という名でやめていっておる。これなんかも、私はやはり考えるべき一つのポイントじゃないかと思うのです。これを前の長官にも、あるいは文部大臣等にも強く言ったのですが、やはり慣行は慣行としてずるずるといってしまっておる。これでは飛躍的発展とか、非常に考えるべきだとかいうことが、具体性を帯びてこないと思いますので、どうかこの点についてもお考えをいただきたい、こう思うのです。  その次、最後に申し上げたいことは、民間においても科学者がいろいろ寄って、そして日本科学のあり方とか、あるいは特に平和の問題に関係して非常に腐心をしておる。この実態を、長官としてもどうお考えになるかということをお聞きしておきたい。それは、科学者京都会議のアッピールがありましたが、このことはぜひ所信の中にも、民間の気持を受け入れるという考え方もあってしかるべきだと私は思う。日本の民間においても科学者がいろいろなことと対処して、渾然、勇気と努力を払っておる。このことに対する御所信を承りたい、このように思います。
  92. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 ちょっと私、お尋ねの内容が詳しくはわからないのですけれども、民間科学者に対してもその知識とかあるいは技能というものを尊重しなければならないし、またそれを役立てていかなければならないということは、別に区別して考えるべき筋合いのものではないと思っております。
  93. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ちょっと意味が違うのです。科学者京都会議がああいうアッピールを出しましたが、非常に重要なことですので、この際科学技術庁長官としての御所信を伺っておきたい、こう思うのです。
  94. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 実はその科学者の京都会議ですか、書きものか何かになっているのでしょうか。それを私全然読んでいませんので、よく御返事ができかねます。
  95. 三木喜夫

    三木(喜)委員 またあとでけっこうでございますが、私この中で特に御注意をいただいて、冒頭に御所信を御表明いただきました日本人の生命に関係するところのこういう問題については、人類の破滅に関連するような問題については、京都会議が非常に重要な関心を払っておりますので、これは何も左翼のなにでも、こざいませんし、東大の茅さんとか、湯川さんなんかが入っておられて会議をやられた。こういう問題も科学技術庁としてもよく連絡をとって、一つそれにこたえる施策をしていただきたい。これは強く要望しておく次第であります。  いずれにいたしましても、私は女性の大臣が出られたということに非常に期待するものですし、それから全国のおよそ女性は注視しておりますから、拍手を送られるような結果を一つ、どれだけ任期が続かれるかわかりませんけれども、やっていただく。そのことが科学技術庁予算充実さしてやっていく一つの原動力にもなると思いますので、お願いしておきたいと思います。
  96. 寺島隆太郎

    寺島委員長 次に石川次夫君。
  97. 石川次夫

    石川委員 実は時間が大へん経過しましたから、結論的に簡単に端折って申し上げます。  まず第一に、射爆場の返還の問題です。これは委員会では何回も何回も申し上げておりますので、今さら申し上げる必要はないと思いましたけれども、昨日来地元の茨城県から大挙陳情に見えております。ここが終わりましてからまた皆さん方にあらためて陳情いたすことになっておりますけれども長官及び委員長さんがおかわりになったものですから、今までのいきさつもおわかりにならないと思いますので、ごく簡単に申し上げたいと思います。  これは、前にコールダーホールの発電所が東海村にできましたときに、当時の友末県知事がこの席に見えましたが、射爆場が原子力研究機関に隣接してある。日本じゆうでのただ一つのメッカと言ってもいい重要なところに隣接して、膨大な土地を持った射爆場があるわけです。このようなことは世界じゆうにも類例のないことです。特に茨城県は非常に野放図に受け入れた格好になっておりますけれども、おそらくアメリカあたりでは実現させることはできないと思う。世論がとうてい承知しないだろう。きわめて異例なことに属するわけであります。そういうことで、何回も返還を望んだ。コールダーホールの発電所をつくるときに、県知事も県民の意思を代表いたしまして、射爆場の返還ということを条件としてこれを受け入れよう、こういう決定になっておりますから、当然射爆場が返還されるものである、こう考えております。その土地は非常に広い。三百六十万坪というような広い土地であります。たまたま首都圏整備の開発地域が十六ありますが、その中で最も重点的に力を入れておる場所の中に含まれております。そこが非常な隘路になっております。その膨大な土地の開発ができないということによって、あそこの開発というものが促進できないというような、地元としての別の悩みも持っておるわけです。このことにつきましては、茨城県の地元としては、いつ返してくれるかということで、五年来何回も陳情しております。また別な事情といたしましては、誤爆が大体三百回くらい行なわれておる。非常に危険です。その上に人も五人くらい死んでおります。数は私正確に覚えておりませんが、その中の一人は飛行機でひき殺されたという者も含めて、五人くらい死人も出ておるというようなこともあります。何はともあれ、あのような重要な原子力施設に隣接して射爆場があるということは、どう考えても納得がいかないということで、ここで昨年の五月に、射爆場は返還せしむべきであるという決議をいたしております。実は去年の暮れに前の前田委員長を団長として私どもはアメリカへ参りまして、関係各方面にるる陳情しますと、どこでもよくわかってくれますけれども、代替地がなければ困るのだというようなことで、代替地の条件の緩和というようなことも、こちらの方へは、日本の政府に対してはわれわれが向こうへ行っておる間に連絡はしてくれてはおるようでありますけれども、まだ代替地の見通しがつかないということです。県民の率直な考え方から言いますと、代替地がなければ返してもらえないということは聞いておらない。これは初めから返すということが条件になっておった。そういうことでコールダーホールを受け入れるということも、県民としてはやむを得ずこれを了承したといういきさつになっております。そういうようなこともあるわけです。なかなか相手があることで、しかもこれは相手はアメリカということになっておりますから、日米合同委員会でも協議をしなければならぬということにもなっておりまして、非常に困難な問題でもありますけれども、このままいったならば、いつになってめどが立つかわからぬというあせりがあるわけです。従って、新しくなられました長官といたしましても、前からそのことは非常に大きな関心事になっておりますので、大きくこれを取り上げていただいて、具体的にどう処理していこうという決意を実はここでお伺いをいたしておきたい。しかし、就任まだ間もないことで、なかなか困難なことでありましょうけれども、これは相手があってなかなか容易じゃない、代替地が見つからないからだめだというようなことで、うやむやに延ばされるべき性質のものではないということをしっかり肝に銘じておいていただいて、どう対処されるつもりかということを一つ伺いたい。
  98. 近藤鶴代

    近藤国務大臣 数年にわたるこの問題でございますし、歴代有力な長官がおそらく無関心でおられたとは思いません。その間解決しておらないことが、はたして私で可能かどうかということについては自信はございません。いろいろな事情があると思います。しかし、就任いたしまして間もなく、関係当局の方からこの問題をいち早く聞き及んでおりますので、何とかしてやらなければ地元の人は大へんだなあということは私肝に銘じておるわけでございますので、微力ではございますけれども、できるだけ努力をいたしてみたいと思います。しかし、どういう方法で、いつどうするかということまでまだ考えておりませんので、落ちつきましたらこの問題と取り組んでお答えをいたしたいと思います。
  99. 石川次夫

    石川委員 実は今の答弁では非常に不満なんです。自信がないと言われては、現場の気持から言いますと非常に困るのです。ぜひともこれは外務大臣、あるいは総理大臣、あるいは防衛庁長官あたりと連絡をとって、早急に解決するのだという決意を示されたい。初めから自信がないようでは、またあなたの在任中に実現しないのじゃないかという不安を持たざるを得ないわけです。地元民としては、このことで月に一回くらいずつ陳情のために上京するというようなことで、非常なあせりもあり、非常な費用をかけておるわけです。でありますから、そのことをよく肝に銘じていただいて、積極的に何とか解決をはかるのだという一歩前進した前向きの姿勢で、ぜひこれに取り組んでもらいたいということを申し上げておきます。あらためてこの点については、具体的にどうするかということについてまた質問する機会を持ちたいと思いますけれども、この点についてはあとからまた陳情もありますので、十分お聞きを願いたいと思います。  それから、実は所信表明について質問をしたかったのですが、時間がありませんから、結論だけを申し上げます。  女の方は科学に弱い、その科学に弱い人が科学技術庁長官になったという批判がジャーナリズムで取り上げられておるようでありますが、私はこの点については少し酷ではないかと考えております。われわれ自身としても、資源の問題、防災の問題、宇宙開発の問題、原子力の問題、電子工学の問題、ガン対策の問題、海洋科学の問題、こういうようなことに専門知識を持っておる道理はないのであります。従って、科学に強いに越したことはありませんが、そういう専門知識がないことを恥じるというか、弱気になる必要はないのじゃないか。ただ問題は、私は今度の内閣科学技術振興に対してどういうかまえを持っておるかということが非常な問題になる、こう思っておるわけであります。その点を適当に考えて処理され今度の大臣任命となって現われた、ということになると問題じゃないかというふうに考えるわけでございます。先ほどの答弁の中でいろいろありましたが、科学技術に対する国民の関心が薄いのでPRを積極的にやらなければならないというような御意見もありました。それは確かに必要で、また重要なことだと考えますけれども、その言葉じりをとらえるわけではありませんが、顧みて他を言っているのじゃないかという感じが、率直にいって、あったのであります。内閣自体、政府自体がほんとうに科学技術というものを重要な問題としてとらえておるかどうかということが、まず第一に解決されなければならぬ問題じゃないかと私は常々考えておるわけであります。  従って、科学技術基本法というものをこの委員会としては積極的に取り上げて、熱心に検討して一応の原案はできましたけれども、与野党ともいろいろ問題が残っておりまして、まだ固まっておりません。これに対しても、政府のかまえは非常におくれておる。政府提案ではなかなか所管の問題があって、簡単には実現しないだろう、従って、与野党一致の議員提案にしようということで、われわれは積極的に手を打って参りましたが、われわれだけで処理できる問題ではない。政府の方もこれに対応した態度をとってもらわなければならぬと思っておりますので、その点を要望しておきます。  それと、なお一つは、先ほど申し上げましたように、前田前委員長を団長として、アメリカ、ドイツ——私はそれからソ連なんかに行ってきましたけれども、そういうところで科学技術に対するかまえをほんとうに考えさせられる問題がたくさんあったわけであります。たとえばアメリカは恒常的に国際収支が赤字である、このままいきましたら財政の破綻を来たすので、これをどう打開するか、あるいは失業者の問題、あるいは成長率の問題等をどう打開するかということは、かかって科学技術を前進させる以外にはないのです。日本では科学技術行政という行政の一環なんであります。ところが、アメリカではそうではない。科学技術振興それ自体が政治なんです。こういうかまえが必要である。ところが、日本では、残念なことには科学技術というものは行政の一環であるという程度にしか考えていないのじゃないか。そういうことをわれわれとしては非常にわびしく思うわけであります。  ドイツに行きますと、マックス・プランク協会というものがありまして、政府は全然この協会には干渉いたしません。このマックス・プランク協会には、ノーベル賞をもらった人が現役で八人くらいおると思いますけれども、黙々として研究に従事しておるわけであります。私は日立製作所に所属しておりましたが、中央研究所は日本一だといわれておりますが、その中央研究所どころのものではありません。民間の事業体の研究所というものは、いかにりっぱであっても、これを利用して将来に利益を得ることの方にどうしても関心が向けられてしまって、じっくりと何年かかってもいいから研究ようという体制は民間ではとれない。どうしても国の施設で取り上げてもらわなければならぬ。そしてまた、それができるかできないかということが日本の盛衰を決定する重要なポイントになっているということを、ぜひ科学技術庁長官としてはよくお考えをいただきたい。  ソ連へ行きますと、科学技術者の養成のためには、モスクワ大学なんかでは、非常に大きな教室で大ぜいの人を  一つの教室に入れて、設備をよくして、一挙に大ぜいの科学者を養成しょうという体制も私、見て参りました。教育者の不足ということをそういう面でカバーしておるというようなことも見て、いろいろ考えさせられたのでございます。  日本科学技術行政に対する政府のかまえは、非常に及び腰だ。これは日本が乏しい資源で、世界の列強に伍して一挙に伸びるためには、科学技術振興させる以外にはないではないかという気持に内閣全体がなって、取り組んでもらわなければ、とんでもないことになる。どんどん先進国との差が開いていくばかりではないかということを痛感いたしております。従って、これも所信表明にも出ておりますように、十分な責任を感じておやりいただいてはおりますけれども、単に責任を感ずるということではなくて、日本の盛衰にも関係するのだから、内閣全体のかまえをしなければならないという点で、決意を、新たに就任された長官としてお持ちになっていただかないと、とんでもないことになる。  技術導入の問題につきましても、先ほどお話もありましたけれども、外国から技術導入をするときには、向こうではすでに次のものができる段階にならないと日本には導入させません。従って、導入したときには、すでに一歩おくれておる。イタリーでは、技術導入を、五とすると、五対一というようにきちっと比率をきめておる。先ほど岡委員の方からお話がありましたけれども技術振興させるかまえをとるためには三百億くらい導入して、それに関連する設備を入れますと優に千億円はこすだろう。こういうことをいつまで続けておくわけには参りません。これに対して相当真剣なかまえをとるべきだ。  そういうことで問題は山積しておりますので、長官一つ決意を新たにいたしまして、科学技術に対しては政治の姿勢を変えるという方向一つ検討願いたいということを御要望申し上げ、質問を終わります。
  100. 寺島隆太郎

    寺島委員長 次は齋藤憲三君。
  101. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 大へん時間がおそくなりましたが、将来の論議のために原子力局長一つ資料を要求いたしたいと思います。これは長年にわたる当局に対する私の質問でございますが、その結論が明確に出ないので、結論を明確に出してもらいたいと思って資料を要求するのであります。  それは、ただいま御配付を得ました原子力年報二〇ページに原子力発電の長期計画推進ということがございます。十年間に百万キロワット、二十年間に七百万キロワット、これを長期計画として遂行していくということは、おそらく日本のエネルギー対策の一環としても、所得倍増十カ年計画の中にもこれはあげられておる数字だと思うのであります。これを現実に遂行していく方途は、具体化されていないわけです。その原子力体制というものを日本の総合エネルギーの観点から将来いかように取り扱っていくかということも、まことにこれは不明瞭である。また原子力発電そのものの実態からいって、将来火力発電、水力発電、いわゆる重力化学反応によるところのエネルギーと、原子力によるところのエネルギーというものの観点から、将来は日本がこれを大きく取り上げて、資源の足らざるエネルギー対策の最も大きな問題として急速にこれが実現をはかっていくために長期計画の数字が出てきておるわけであります。それを一体どういうところに、どういうふうにつくるかというような点に対して、私もずいぶんこれまで質問しておりますけれども、その所掌がはっきりしない。  たとえば将来二十カ年に七百万キロワットの原子力発電をしようとする候補地の選定を一体どこにするか。現状を調べてみますと、これは通産省の公益事業局に原子力発電課というものがあって、これに頼んでおる。どのくらいの予算かというと、昭和三十七年にわずか二、三十万円。一体何をしているのかというと、五万分の一の図上調査をやっておる。しかし、その図上調査に対するところの条件というものはあるかというと、十何カ条かいわゆる原子力発電の候補地としての条件というものがある。私の考え方からいたしますと、そういう候補地の選定という問題に対してこそ、原子力委員会がそれだけの条件を出しておるとすれば、みずからその条件の地帯というものを検討を加えていくべき筋合いのものじゃないかというふうにも考えられる。その点はまことにあいまいもことしておる。では、ほんとうに十カ年間に百万キロワットの原子力発電ができるかという問題を突き詰めていくと、できるかできないか、あいまいもことしておる。そういう点からいうと、二十カ年間に七百万キロワットができるかどうかということも、すこぶるあいまいもこである。そういう点に対して、一貫した十年間に百万キロワット、二十年間に七百万キロワットという長期計画を立てたならば、それを責任を持って遂行する具体的な方途というものを示していただかないと、われわれとしてはやはり納得いたしかねるわけであります。この点は、歴代の原子力局長及び当局に私はずいぶんただしたつもりであります。速記録を読み返してみると、その質問を何回も繰り返しているが、さっぱりわれわれの得心のいくような具体的な結論というものは出てきておらない。この問題に対しましては、昭和三十八年度の予算にも重大な関係があると私は考えておる。そういう基礎的な問題が一年おくれると、原子力発電の実現というものはまたずっと延びていく。エネルギー対策というものは今刻下の要望として打ち立てられなければならない。原子力発電だけがあいまいもこたる形で許されるということにはならぬのでありますから、十年間に百万キロワットをどうしてつくるのか、二十年間に七百万キロワットの発電をどうしてやるのか、それにはかくかくの方途を持ってこれを推進していくという、はっきりした一つ構想を、これもまた文書をもって御回答願いたいと思うのであります。  以上、私の要求いたしました文書回答は三つでありますから、なるべく早い期間にこれを御提示願いたい。これは委員長一つ特段の御配慮を願いたいと思うのです。
  102. 寺島隆太郎

    寺島委員長 わかりました。      ————◇—————
  103. 寺島隆太郎

    寺島委員長 この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  理事会における協議に基づき、科学技術の基本問題について調査を行なうため、小委員十四名よりなる科学技術の基本問題に関する小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 寺島隆太郎

    寺島委員長 異議なしと認めます。よって、さよう決しました。それでは、小委員に    安部晋太郎君  佐々木義武君    中曽根康弘君  松本 一郎君    山口 好一君  齋藤 憲三君    前田 正男君  岡  良一君    河野  正君  山口 鶴男君    石川 次夫君  松前 重義君    内海  清君  寺島隆太郎君 以上十四名を指名いたします。  なお、小委員長山口好一君にお願いいたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会