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1962-03-29 第40回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   委員の異動 本日委員須藤五郎君辞任につき、その 補欠として岩間正男君を予算委員長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      杉原 荒太君    副主査     山本伊三郎君    委員            川上 為治君            下村  定君            村山 道雄君            羽生 三七君            市川 房枝君   国務大臣    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    科学技術政務次    官       山本 利寿君    科学技術庁長官    官房長     島村 武久君    科学技術庁長官    官房会計課長  松田 寿郎君    科学技術庁振興    局長      前田 陽吉君    科学技術庁原子    力局長     杠  文吉君   説明員    科学技術庁資源    局長      黒沢 俊一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) ただいまから第二分科会を開会いたします。  昭和三十七年度総予算科学技術庁所管を議題といたします。  まず政府説明を求めます。三木科学技術庁長官
  3. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昭和三十七年度科学技術庁予算案について概略を申し述べたいと思います。  昭和三十七年度における科学技術庁予算案についてでありますが、  まず昭和三十七年度一般会計予定経費要求額歳出予算額百十五億七千九百三十五万七千円、国庫債務負担行為額三十六億六千七百二万七千円を計上いたしました。これを前年度歳出予算額百十二億九百十二万九千円、国庫債務負担行為額二十一億六千五十七万六千円に比較いたしますと歳出予算額三億七千二十二万八千円、国庫債務負担行為額五億六百四十五万一千円の増額となっております。  次に、科学技術庁予算要求額のうちおもなる事項につきまして、お手元提出いたしました予算要求総表の順を追ってその大略を御説明申し上げます。なおこの表には便宜上大蔵省所管として計上した分も含んでおりますため、これから御説明いたします金額と一部符合いたしませんものがありますから、あらかじめ御了承願います。  まず第一に、研究機関等刷新整備充実をはかるために歳出予算額として八十一億四千二万五千円、国庫債務負担行為額として二十五億七千九百八万六千円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと、歳出予算額では一億九千七百十八万八千円の減額国庫債務負担行為額は十億四千八百十万一千円の増額となっております。  試験研究機関施設設備等刷新整備して、試験研究推進をはかることは、当庁の大きな事業一つであります。このため航空技術研究所金属材料技術研究所放射線医学総合研究所日本原子力研究所に必要な経費、及び国立機関原子力試験研究に必要な経費を計上して、その整備充実を期することにいたしております。  なお、このほか理化学研究所の移転及び整備につきましては、歳出予算額として七億三千万円、国庫債務負担行為額として四億八千五百八十二万四千円を大蔵省所管として計上いたしておりますが、これを前年度予算に比較いたしますと歳出予算額は三億円、国庫債務負担行為額は一億九千七百五十一万七千円のそれぞれ増額となっております。  次に第二として、重要総合研究推進をはかることでありますが、歳出予算額として六億八千五十九万五千円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと、九千九百八万四千円の増額となっております。  この経費生活環境改善等を目的とした科学技術試験研究助成宇宙科学技術開発研究及び原子力平和利用研究等に必要な経費並びに特別研究促進調整費等であります。  重点項目の第三として、国産技術開発についてでありますが、技術革新重要性にかんがみ、国産技術開発利用をはかるため、新技術開発事業団の出資に必要な経費として四億二千万円を大蔵省所管に計上いたしましたほか、特許発明実施化促進するため五千三百十二万四千円を当庁に計上いたしておりますが、これは発明実施化試験助成及び地方発明センター助成に必要な経費であります。  第四といたしましては、原子燃料開発等でありますが、原子燃料公社及び核燃料物質購入等に必要な経質、並びに核原料物質探鉱奨励のため必要な経費でありまして、歳出予算額として十七億八千五百三十四万一千円、国庫債務負担行為額として八千七百九十四万一千円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと、歳出予算額では三億三千二百三十七万一千円の増額国庫債務負担行為額は五億四千百六十五万円の減額となっております。  重点項目の第五としては、放射能調査及び安全対策についてでありますが、核爆発実験の再開に伴う放射性降下物の防護はもとより、原子炉及び各種放射線取り扱い施設の急増に伴う安全対策は、きわめて重要なことでありますので九千二百二十三万四千円を計上いたしました。これを前年度予算に比較いたしますと四千二百九万九千円の増額となっております。  以上申し述べました経費のほか、研究公務員海外留学国際科学技術者交流及び各種国際会議出席等国際交流促進をはかるため一億一千六百四十八万五千円、日本科学技術情報センターが科学技術情報収集整理及びその提供等を行なう事業に対し、その強化をはかるため一億五千百万円、日本科学技術振興財団科学技術に関する普及啓発事業助成するため一億五千万円、資源総合的利用方策調査等に必要な経費として二千八百六十七万二千円をそれぞれ計上いたしました。  最後に、原子力事業者原子力損害を賠償することにより生ずる損失を補償するため、国と契約を締結することのできる金額を、昭和三十七年度においては総額二十六億円と予定いたしました。  以上簡単でありますが、昭和三十七年度の科学技術庁予算案についてその大略を申し述べました。よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 島村武久

    政府委員島村武久君) ちょっと訂正を申したいと思いますが、ただいま長官から御説明申し上げました事項のうち、お手元に配付いたしました資料で申しますと、四行目でございますけれども、国庫債務負担行為額三十六億六千七百二万七千円と申し上げましたが、二十六億六千七百二万七千円の誤まりでございますので、訂正をいたしたいと思います。
  5. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) これより質疑に入ります。通告に従いまして発言を許します。山本君。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三問ほどちょっと聞いておきたい。長官にひとつお願いしたいと思います。  科学技術に対する必要性については、もう政府も取り上げられておるのですが、国家公務員給与改定も数次行なわれたのですが、そのたびに科学技術関係政府職員を採り得ないというような点が非常に問題になっておりますが、三十七年度においては政府が要求するそういう人材が大体満たせるかどうか、その点お聞きしたい。
  7. 島村武久

    政府委員島村武久君) お尋ねのございましたように、三十七年度におきましても当庁関係人員の増が予定されております。特に当庁におきましては航空技術研究所金属材料技術研究所及び放射線医学総合研究所という三つの研究機関を持っておりまして、これらがいずれも従来建設途上におりましたために、施設の完備いたしますのに伴いまして、新しい人員の増加を他の研究機関に比べまして多く必要とする関係がございます。お尋ねのありましたように、そういう向きに対しまして研究員、特に優秀な研究員獲得するということにつきましては、非常に苦心をいたしております。公務員給与は逐次改善をみっつあるとは申しますものの、やはり優秀な研究員獲得という面におきましては、一般的には非常に困難な状況にあることはいなめないのであります。幸いにいたしまして、そのようなことを予期いたしまして、かなり前から大学等とも連結をとりまして、優秀な人材を迎え入れることに各研究所とも、また科学技術庁といたしましても努力を継続いたして参りましたので、三十七年度におきましては、事実上はもうすでに予算の成立を待たずに、御承知のとおり各方面とも採用試験等を実施いたしまして、予算の通りますことを前提として採用等をきめておるわけでございます。幸いにいたしまして、このような努力を継続いたして参りましたために、三十七年度につきましては、どうやら所期の人員獲得ということが達成できる見込みになっております。なお最終的に締めくくりをいたしました結果、よそへ何と申しますか逃げるといったような者も出ぬとも限りませんですけれども、現在の段階におきましては、一応計画どおりにようやく確保できたという段階でございます。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今官房長から説明がありましたが、私の聞くところによると内閣委員会でも相当この問題は議論になりましたが、現在民間研究所が非常に優遇しておりますからなかなか公務員になり手がない。そこで昨年十月に公務員給与改定をやった際にも問題になったのです。実際率直に言って努力されておるが、われわれとしては、あのような給与状態では無理でないかという考え方でおるのですが、努力していけるならそれでいいのですが、実際今後原子科学が非常に進歩しつつあるのですから、科学技術庁として単にあなたのほうの管轄だけでなくして、文部省管轄も相当あると思うのですね。この点ひとつ長官として、そうかけ離れた優遇ということはできないが、必要人員を充たすに必要な優遇ということはしなくちゃならぬと思うのですが、長官考え方をひとつ聞いておきたいと思います。
  9. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今御指摘になりましたように、民間給与というものと相当差がついてきております。われわれとしても政府機関国立研究機関などにある研究者の待遇を改善したいと思って、これは強く毎回給与勧告の出る場合には、人事院等にもよく話をして多少は改善になっておる。しかしまだまだ不満足で、今度は人事官の中に一人だけ科学技術庁方面出身者をどうしても入れてもいたい、そういうことで御承知のように御承認を得まして入っておるわけなんです。給与ばかりでもなく、そういう国の機関に働いておれば、いろいろ研究施設充実しておるというような環境などもあわせて考えなければならぬのですけれども、給与というのは第一番に重要な条件ですから、今後とも努力をしていきたいと思いますが、現在のところは遺憾ながらわれわれでも満足するような状態ではない、今後の努力を必要とすると考えております。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点政府において考えられておると思いますが、現在国家機関に対する公務員状態を見ますと、裁判所関係司法関係が特殊な扱いをしておるのです。人事院当局にもただすのですが、公務員との均衡があるので、そう一挙にこれを優遇するという勧告もむずかしい、こういう答弁なんですが、その均衡もわかるけれども、現在の国策の最先端にある科学技術をゆるがせにすることは、日本の将来の発展に私は大きな支障があるということから、均衡もあるけれども何とかその点についてわれわれ要望しておるのですが、長官ひとつ十分努力を願いたい。これは答弁は要りません。  もう一つお尋ねしておきたいのですが、アメリカクリスマス島における原爆の試験ですか、これはその後どういうことになっておるのか、十八カ国の核実験停止会議をやられておるようですが、あまり近ごろやかましくいわれておらないですが、ちょっとおわかりでございましたらどうぞ。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は詳細を存じておるわけではないですが、どうもやはり国際間に相互不信感情といいますか、そういうことで、われわれは核爆発実験停止協定、進んで軍縮協定のようなことが実現をされて、核兵器を伴うような軍備拡充競争というものが終止符を打たれるような世界の実現を望んでおるのですが、今言ったような相互不信感情があって、どうもうまくいっていないような情報でございます。したがって、われわれはそのクリスマス島などで核爆発実験も行なわれる可能性があるという前提に立って、今放射性降下物に対する対策を検討いたしておるのでございます。まだやるかやらないかということはアメリカ自体の問題でございますが、われわれとすればそういう公算が非常に大きいというような立場に立って、対策を検討いたしておるわけでございます。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 多分十八カ国核実験停止会議ですか、あれの牽制の意味においてケネディ大統領がああいう声明をしたともとれるのですが、わが国としては非常に大きな問題でありますので、なお一つその点、池田政府もそれに対して相当強くアメリカに対する要請書を出されたそうでございますが、なお引き続いてやらないような措置を考えてもらうように努力をしてもらいたいと思います。その点一つ長官から。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ごもっともで、いろいろ対策を考えると申しましても、百パーセント国民の被害をなくするということは不可能であります。したがって、これは核爆発実験をやめてもらうということが第一の対策でございますから、今後とも努力をいたしたいと思います。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一点、東海村の電力発電用原子炉は間近に発電が始められるというようなことを聞いておるのですが、これは電力需要家としての商業ベースに乗るようなコスト発電がされるものか、その点ちょっと聞いておきたい。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、研究炉はともかくとして実用炉としてあれは第一号炉でございますから、昭和四十年の三月ごろにこれが動くという現在の予定でございますが、その場合における発電コストはやはり火力発電などに比較して相当高い、したがって、これが直ちに経済ベースに乗るとは思えませんが、原子力開発なども進んで参りますといろいろ改良が加えられて参りまして、やがては火力発電等にも匹敵するコストに必ずなる日がある。そうなったときにあわてて日本がやるということでは、いろいろ技術的な研究もできませんから、今日からやっておくことが必要で、一号炉建設にかかっておるわけですが、それはやはり相当火力発電などに比較してコストは高い、経済ベースには乗らない、しかし長い目で見ればそれはやがて原子力発電時代に備えるために貴重なる事業である、こう考えておるわけであります。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると経済ベースに乗らぬということになれば、やはりそれまでの期間というか当分の間は国営でそれが運営される、こういうことですか。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは御承知のとおり、原子力発電会社民間ベースでやっているわけですが、四円九十九銭というキロ当たりコストであります。火力発電は三円五十銭ぐらいでありますから、それでベースに乗らぬというふうに私が申し上げたのはそういうことでありますが、やがてはコストが下がって参りますから、そういう意味において現在は経済ベースに乗りませんから、原子力発電会社としても利益が上がるというわけではないけれども、長い一つの目盛りで計算をすれば、その犠牲は原子力発電会社が負担しても、将来においてカバーできるということになるわけでございます。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、経済ベースに乗らぬけれども政府としては一応何か助成金とかそういうものは出さないのですか、その点どうですか。
  19. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 現在は助成金は出しておりませんが、原子力発電をやっている人たちもやがては原子力時代がくるのだ、そうしてエネルギー源としては原子力に置きかえる日があるという前途に希望を持っておりますから、自分たちでやろう、国営とかいう形式ではなしに民間民営形式でやりたいということで、長い将来にわたっての計算でやっているものですから、政府助成金等は出していない、民間民間でやる能力を持っているのであります。
  20. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 速記をとめて。   〔速記中止
  21. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 速記を始めて。
  22. 市川房枝

    市川房枝君 科学枝術についてはまことに弱いのでございまして、あるいは見当違いのことを伺うかもしれませんけれども、一般大衆ことに国民生活の根拠である家庭生活を担当しております婦人の立場から、長官にちょっと簡単に伺いたいと思います。  先ほど御説明いただきました科学技術庁予算、あるいはその予算を使ってのお仕事なりはすべて国の発展国民福祉増進の基礎となるものだということはわかりますけれども、直接に日常生活科学技術庁はどういう関係のあることをやって下さるかどうか、そういうことは望むほうが無理でございますか、長官にちょっと伺いたいと思います。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 科学技術全般ということになりますと、国民生活を顧みてみれば全部科学技術所産だと私は思います。こんなに便利になりこんなに豊かになった原動力は、科学技術というものの発達の所産だと思いますが、これは政府各省がいろいろ分担してやっているわけでございまして、科学技術庁として直接に国民生活にどういうことをやっているかというお話でございますが、たとえば環境科学といいますか、水質の汚濁とか大気汚染とか、あるいは都会生活騒音防止であるとか、こういうわれわれの日常生活環境をもっとよくしたいということに科学技術庁予算を持ちまして、これに対してこういうことを委託研究するためにわれわれが研究所を持っているわけではないのです。そこでそういうことをやっている民間のいろいろな研究所に対して、委託研究をして、そうしてどうすればお互い日常生活環境がよくできるかということを研究をしてもらっている。それから防災科学技術といいますか、日本はいろいろな災害が多いですから、まあ地震から始まって台風、高潮、地すべり、いろいろな災害の多い国でありますから、そういう災害を防ぐというようなことについても科学技術庁として相当力を入れておるのでございます。また国民の保健とか福祉の向上に資するために資源局という局がありますが、食生活改善とか家庭燃料利用合理化とか、合成繊維利用とかそういうふうな問題についてもこういう意見を出しまして、それを政府行政に反映さすようなことをいたしておる。国民生活の身近い関係ではこういうことを科学技術庁ではやっておるわけでございます。
  24. 市川房枝

    市川房枝君 今試験研究を委嘱したり御調査になったりするということを伺ったんですが、その試験研究の結果はどうなりますか。行政に反映するというのは、まあたとえばさっきの環境の衛生の問題でございますか、水質だとか、何ですか、大気汚染だとか、騒音防止ですか何かというようなことなんかは、今度は行政官庁それぞれ所管しておりますね、そっちのほうへ、何といいますか移管されるということになりますか。それでそこで実行するということになりますか。
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろな今申したような国民生活関係するようなことでも、各行政官庁に分かれていますから、そこで科学技術庁というものがそういう総合調整という役目があるわけであります、総合調整という。そこで今度研究調整局のような局も設けまして、各省寄せるわけですね、ある問題について。われわれのほうでも委託研究などの費用を出して研究しておりますし、またほかもやっておる役所もあるわけですから、重大な問題によっては何と申しますか、その問題の解決推進する一つ連絡協議会のようなものを作りまして、そうしてみなが持ち寄ってそれを政府行政の上に反映させる。大きな問題に対しては各省寄ってもらって、そうしてみなで相談して研究の結果を持ち合ってそれを政府行政に反映させる。たとえば最近も私が議長になってやったんですが、静岡県の由比の地すべりという問題があって、各省みんなそこへ寄ってきてそしてどうしようという案を立てて、実地は行政官庁がやりますけれども、どうやるのかという当局の方針は科学技術庁音頭とりになって計画を立てて、そしてそれを行政に移していく、こういう役目をしておるわけであります。
  26. 市川房枝

    市川房枝君 まず、それはほかの方面でもそういうふうな組織で行なわれていることは幾らか承知はしておりますけれども、それが各省のみんななわ張りがありまして、なかなかうまくいかないということを幾らか私ども承知しておりますけれども、そういう点はどうでございますか。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今の、役所というものはかなりなわ張り根性が御指摘のようにありまして、なかなかうまくいかない面もあるのですけれども、しかしこういうふうな、環境改善するとか防災とかいうのは、あんまりなわ張りといってもそうほかのような問題でなくして、れは国民生活にいろいろな関係を持って、何とかしなければならぬというせっぱ詰まったときですから、あまりほかの問題のようになわ張り根性が、われわれがこうやろうとする仕事には入ってこないのです。各省ばらばらの割合にうまくいっておるほうだとまあ私ども思っておるわけであります。
  28. 市川房枝

    市川房枝君 そこで、連絡調整のためにまあ今お取り上げになるテーマ、題目といいますか、今の大気汚染とか騒音とか災害とか——災害はまあこれは災害があったときあれでしょうけれども、それはどこでおやりですか。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり科学技術庁で、問題は、いろいろ大きな問題起こってくると、まあ科学技術庁で取り上げるわけです。そうして各省にひとつお互いに共同してやろうじゃないかということで寄ってもらって、そうしてその問題に対してお互いに知恵をしぼって何とか行政に反映していこうということになるわけですから、そのイニシアチブはやっぱり科学技術庁がとるのであります。
  30. 市川房枝

    市川房枝君 私まあこの全般はまだよくわからないから言えないのですが、ちょっとまあ先ほどからお取り上げいただいた問題も、何かこうばらばらみたいな感じで国民生活環境のまあ改善改善ではあるのだけれども、その問題の所在はもっといろいろあるのだろうと思うのですけれども、それはまあ一時にそうできないからといいますか、その緊急なものからといいますか、ということになるわけでございましょうか。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことにまあなる。いずれ私がここであげた問題は、まあ大気汚染にしてもこれ非常に関係するところが多いものですから、なかなかこれを一気に、しかも短期間というわけにもいきませんから、多少のまあ時間はかかりますけれども、まあ何とかしなきゃならぬというのは皆各行政官庁も考えておるわけですから。そこで、皆それぞれに各行政官庁でも研究しておるわけですから、まあ国民の側からすればすぐにでもこれは解決してもらいたいと思われることはもっともですけれども、それにはやはり研究もしなけりゃならぬわけですから、調査とか研究という段階もこれは要るわけですから、そういうことでまあ多少の時間がかかることはやむを得ないですけれども、まあその問題の解決に向かってこれは皆歩調を合わしてやっていくよりほかにないと思っております。
  32. 市川房枝

    市川房枝君 さっき資源局で、まあ食物ですかの問題なんかも取り上げているとおっしゃいましたが、それをもっと具体的に。
  33. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) ただいまの食生活の件でございますが、資源局におきましてただいままでに発表いたしましたものは食品成分表でございます。たとえば牛肉というのは何カロリーあって、ビタミンがどんなものがあるか、蛋白質が何ぼあるという食品成分表の作成をやって公表しております。それから日本人栄養所要量の決定、それから日本人食糧構成の大体の見通し、ただいま申しましたようなカロリーだとか蛋白質だとか、あるいはその中に動物蛋白質が幾ら、ビタミンがどうとかというようなことをやっております。それから農民栄養の実態というようなことも調査いたしました。それから最近非常にビタミンの合成が進歩いたしましたので、従来麦を入れて脚気を防止していたのを、ビタミンBを強化した強化米と、あるいはそのほかビタミンCを強化したカン詰というような強化食品の最近の動向、それを普及したらどういう効果があるかというような調査もいたしました。それからごく最近でございますが、牛乳をたくさん飲ませるためにどういう問題があるかということを調査いたしまして、これは日本の乳牛の飼い方が購入飼料、つまりふすまのような濃厚飼料を購入して飼うというようなことが多くて、草が足らない、それで乳牛に対して草が足らないために乳の値段も高くなりますし、それから乳牛自身の乳を分泌する寿命が短いというようなことがわかりまして、その調査もようやくその面で完了いたしましたので、近く印刷に付することにいたしております。そういうような関係でございます。それからなお、今後そういうようなものをやっていった場合に、国民の体位がどう変わるか、栄養がよくなった場合に体位がどうなるかというような例をスエーデンにとりまして、スエーデンの国民体位の上昇を栄養の関係というような調査も現在やっておりますが、それがおそらく日本に適用できるのじゃないかという工合に考えております。
  34. 市川房枝

    市川房枝君 今栄養改善だとか栄養の所要量といいますか、あるいは農民の栄養問題なんかを研究して下さるというのですが、これは厚生省の所管の栄養研究所といいますか、というような所でも、もう調査をやっておるのじゃありませんか。
  35. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) 厚生省のそういう方面調査、農林省における調査とか、それからそのほか民間調査とか、いろいろな調査がございますので、そういうのを総合いたしまして、その総合的な立場、それからなお日本の土地資源利用の方法とかいうようなことを総括的に見まして検討をやっておるのでございまして、個々の調査はもちろん、厚生省とかあるいは農林省のそういう方面の、あるいは大学の学者の調査をいただいているわけでございます。
  36. 市川房枝

    市川房枝君 そういう各省でやっておるのを総合したものを科学技術庁でやっている、そういうものも私は拝見していないから、ほかのものと比べてといいますか、その御調査の意義があるといいますか、御調査なさっただけの成果が出ておるかということですが、私自身それをはっきり拝見していないからわかりませんけれども、何だか重複といいますか、あるいは科学技術庁がやっていて下さることがほんとうに権威があるといいますか、どうなんでしょうか。
  37. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) 例を食品成分表にとりますと、食品成分というようなものは各省でやっておられるのでございますが、ところが、そのやっているところによりまして、それぞれデータが違ったような場合に、それを統一して議論する場というものが私どものほうのところの役になっておりまして、たとえば今の食品成分表は、科学技術庁の付属機関である資源調査会で実際に審議しておりますが、その資源調査会で承認したものがみんなに公認されるということになっております。
  38. 市川房枝

    市川房枝君 そうすると、科学技術庁調査が一番権威のあるものでございますか、一番信頼できるものということになりますか。
  39. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) それで、ただいまの食品成分表でございますが、これはおそらく全国の高校あたりでみんな栄養をやっておりまして、それからほうぼうに使っておりますが、その出版の部数あたりは、毎年それから引用したものまで含めますと、おそらく数万部は出ておると思います。資源局で頒布いたしますのは千部でございますが、これを方々でもって複製いたしまして頒布いたしますのは、おそらく年間数万くらいには上がっておると思います。
  40. 市川房枝

    市川房枝君 牛乳の問題、それから体位の関係の問題もやはり同じことになりますか。
  41. 黒沢俊一

    説明員黒沢俊一君) やはり徹底して末端まで浸透いたしますまでには相当時間がかかるのでございますが、なるべくそういう方向へその徹底をはかるように努力しておるわけでございます。
  42. 市川房枝

    市川房枝君 今伺いますと、そういう問題は、家庭生活をしております婦人からいえば直接の関係のあることで、ありがたいことではあると思うんですけれども、今の問題は、これは特に生活関係あることですね。それで、この間実は私は一般質問のとき伺ったのですが、経済企画庁で国民生活研究所という今度特殊法人をお作りになるわけなんですが、その生活問題研究所というものは、拝見しますと、別に大したこともない、予算も少ないし、結局今まで企画庁でやっておいでになった消費者何とか調査とかいうようなものをなさる、少なくとも現在の予算ではそう見えるのですが、しかし、国民生活研究所という名前がある以上は、今のお話の栄養の問題だとか牛乳の問題、体位の問題といいますか、そういうものもあすこの中に入るといいますか、当然入れてもいいと思うんですが、非常に私ども感ずることは、行政機構の中で同じことが方々で行なわれている、だから、それを科学技術庁で、少なくとも科学技術に関する問題は調整をおとり下さるということなんですけれども、しかし、一般の主婦、婦人たちが一番要求しますのは、毎日の生活、その生活をどういうふうにするか、ことに最近のように物価が高くなりますというと、それに比例して収入はふえない、そうすれば、家族の栄養をとるためには、どういう食料を選択したらいいかとか、そうして少しでも安い物をどこに買いに行ったらいいか、ほんとうに一円か、二円の差でも、方々出かけて買っているんですけれども、そういう日常生活の、健康でしかも明るい家庭生活というものを建設していくための指導といいますか、具体的な指導というものは、政府のどこでもやって下さらない、皆部分ちりぢりで考えているので、こま切れになっているということを実は私は痛切に感じているんですけれども、そういう点からいきますと、科学技術庁がやって下さるのもけっこうはけっこうなんですけれども、いわゆる経済企画庁の仕事も私十分よくわからないんですけれども、しかし、とにかく安くて経済的にいくというその経済と、それから科学技術の進歩に伴ってのその進歩を国民は享受するというその二つのかね合わせですね、そのかね合わせの上にやはり国民生活というものがほんとうにあるべきなんであって、その点を考えて下さるというか、総合的に考えて下さる所が実はないことを感じていますが長官いかがですか、私の言うことは少し……。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 確かに消費者の立場ですね。これをやはり政治に反映さす場が日本行政の中で少ない。そういう点で今度経済企画庁に生活研究所ですか、ああいうものを今度作ろうというのはいいことだと私は思います。いろいろ国民生活の面で、理屈でなくして、実際に国民生活に即したそういういろいろな指導といいますか、そういうものが必要だと思います。われわれのほうでは資源局は大きな日本のこの資源利用というような見地が中心になるわけですが、牛乳の問題についても、日本の飼料、乳牛がふえなければならぬ、牛乳の増産のために。そのためには日本の土地利用というものはいかにあるべきかというような、こういう見地から入っていくわけですから、そういう点で科学技術庁の役割というものは持っておると思います。今後そういう生活研究所などができますと、科学技術庁の資料も、報告書ももう少し刷って、委員の皆さんにもお配りするようにしたらいいと思うのですが、やはり相当貴重な資料が出ておるわけですから、それは政府行政の中に反映していこうとし、また、それはいっておるわけですが、生活研究所のようなものができれば、そういうところと結びついて、科学技術庁科学技術庁としての立場から生活改善というようなことを考えていく面は相当ありますから、そうすればそういう調査というのは、もっと今までよりも国民生活と密着して生かすようなことにもなる。そういう点で結びつけていくことは必要だと考えております。
  44. 市川房枝

    市川房枝君 今、企画庁で作ります特殊法人の国民生活研究所というのは、私さっき申しましたように、ちっとも私どもが期待しているようなものじゃないのです。それはあれはあれでけっこうかもしれませんが、内容を拝見しますと、あれじゃちっとも私どもに直接大して関係がないといいますか、そういうもので、あれ自身をもっと日常生活といいますか、科学技術庁の今の研究がすぐ生活に生きるようなふうにそれを具体的に配列するといいますか、まとめて、そうして国民にそれを普及させて、すぐ実行できるようにしていただきたいと考えているわけですが、これは長官からもひとつその問題をもう少しお考えいただきたい。これは消費ももちろん生活の中の主要なる部分ですけれども、いわゆる消費者行政といいますか、あるいはそういう国民生活を安定向上させるためのいろんな官庁でのできたことを総合する、ちょうど科学技術庁科学技術行政について総合しておいでですから、私はそういう消費者の側、生活の問題だけを各官庁に個々ばらばらに、農林省は農林省だけの、農民の家庭生活の指導——これは割合によくやっていますけれども、しかし農民だけ、農民の家庭だけでありまして、一般の家庭には全然関係ないわけなんであります。そういう生活総合調整する、さっき私言いましたような経済的にといいますか、ちょうど科学技術庁と経済企画庁の間といいますか、同じ内閣に、消費者省という主張があるのでございますが、庁くらいでもいいんですが、そういうものが一つあって、そうして連係していただいて、ほんとうにいい直接の国民生活を考えていただきたい。これは行政機構の制度の問題になりますけれども、それはどうなんでしょう。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり政府に臨時行政調査会などもできているのですが、やはり今御指摘のように、国民の消費生活というものに結びついた行政というものは私は弱いと思う、今の行政機構の中で。したがって、そういうことも行政機構の改革のときには、ひとつ検討いたすように私からも行政管理庁などに伝えまして、研究をしてもらいたいと思います。
  46. 市川房枝

    市川房枝君 今の消費者行政が弱いというお話、弱いというよりも、これも私まだよく調べてないから見当が違うかもしれませんけれども、通産省が消費者行政をやっている。それから経済企画庁がお取り上げになっていて、両方でちょっと張り合っている格好なんですけれども、通産省が消費者行政を取り上げているというのは、ちょっと私はおかしいといいますか、今の行政機構ならば当然経済企画庁が取り上げるべきなんですけれども、その消費者行政という、名前はえらい大きいのですけれども、実質はほとんどないみたいなものでして、通産省は消費者行政なんとおっしゃるけれども、実際の予算の面から見れば、消費者協会に補助しておいでになるのが三十六年度は百万円、来年度は三百万円、あの通産省の大きな予算の中で、それで消費者行政なんておっしゃっては、ちょっとおかしいと思うのです。それから内容もまたどうも私は感心しない、こう思っているのですが……。だから消費者行政というものをやはり政府のほうでもう少し本気でといいますか、消費者の側に立って一ぺん考えていただきたいということを実は希望しているわけなんですが、それが今の庁につながるものなんでありますけれども、別に消費者行政についてもお考えをいただきたいと思います。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり通産省というのはメーカーの立場でしょうから、私は、まだお話のように省とか庁とかいう、そこまで私の考えは飛躍していないのですけれども、やはり消費者の利益、消費者の便宜というものを守る役所は経済企画庁である、経済企画庁の中にそういう国民の消費生活に結びついていろいろなお世話をできるような部局が要るということは、私どもも同感です。しかし、それを庁とか省というものまでは。私は飛躍して考えていないのです。それをやる役所は経済企画庁である。消費者行政というものは、相当大きなあそこの役所立場でなくてはならぬと私は思っているのです。
  48. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) ほかに御質疑もないようでございますので、科学技術庁所管に関する質疑は、これをもって終了したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  以上をもちまして本分科会の担当事項であります昭和三十七年度総予算中、総理府のうち、防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁並びに外務省並びに通産省所管の予算の審査は全部終了いたしました。  予算委員会における報告の内容及び審査報告書の作成につきましては、主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 御異議ないと認めます。  それでは本分科会はこれをもって散会いたします。    午前十一時二十八分散会