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1962-03-27 第40回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十七日(火曜日)    午前十時四十二分開会   ————————————— 昭和三十七年三月二十六日予算委員長 において、左の通り分科担当委員を 指名した。            太田 正孝君            川上 為治君            櫻井 志郎君            下村  定君            杉原 荒太君            村山 道雄君            豊瀬 禎一君            羽生 三七君            山本伊三郎君            田畑 金光君            市川 房枝君            須藤 五郎君   —————————————   委員の異動 本日委員市川房枝君辞任につき、その 補欠として柏原ヤス君を予算委員長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    主査      杉原 荒太君    副主査     山木伊三郎君    委員            太田 正孝君            川上 為治君            櫻井 志郎君            下村  定君            村山 道雄君            豊瀬 禎一君            羽生 三七君            田畑 金光君            市川 房枝君            須藤 五郎君   担当委員外委員            矢嶋 三義君   国務大臣    通商産業大臣  佐藤 榮作君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君   政府委員    防衛庁参事官  麻生  茂君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 久保 忠雄君    調達庁長官   林  一夫君    調達庁総務部会    計課長     大浜 用正君    調達庁不動産部    長       沼尻 元一君    公安調査庁次長 関   之君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業大臣官    房会計課長   井上  猛君    通商産業省通商    局長      今井 善衛君    通商産業省繊維    局長      松村 敬一君    通商産業省石炭    局長      今井  博君    通商産業省公益    事業局長    樋詰 誠明君   説明員    大蔵省主計局主    計官      新保 実生君    通商産業省企業    局賠償特需室長 池田 久直君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査互選昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————   〔下村定主査席に着く〕
  2. 下村定

    下村定君 ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  これより正副主査互選を行ないます。互選は、投票によらず、便宜、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 下村定

    下村定君 御異議ないと認めます。  それでは主査杉原荒太君、副主査山木伊三郎君を御指名いたします。   —————————————   〔杉原荒太主査席に着く〕
  4. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 審査に入ります前に、議事の進め方につきましてお諮りいたします。  当分科会は、昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算中、総理府のうち、防衛庁経済企画庁科学技術庁外務省及び通商産業省所管について審査をいたすわけでございます。本日は、通商産業省及び防衛庁所管につきまして審査をお願いいたし、明二十八日は外務省及び経済企画庁所管を、二十九日は、科学技術庁所管について御搭議を願うといった方法で進めて参りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) さよう決定をいたします。   —————————————
  6. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、通商産業省所管事項議題といたします。  まず、本件につきまして政府より説明を願います。佐藤通商産業大臣
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま議題となっております通商産業省予算各案について御説明を申し上げます。  まず、三十七年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は三百十八億二千万円でありまして、これを三十六年度予算額二百三十六億一千百万円に比較いたしますと八十二億九百万円増額することになります。  三十七年度予算のうち政策単項につきましては、これを(一)石炭対策を含む自由化対策費、(二)中小企業対策費目貿易振興及び経済協力費、(四)鉱工業技術振興費、(五)産業適正配置及び産業基盤強化費の五.項目に分け御説明申し上げます。  第一に、自由化対策費といたしましては、貿易為替自由化進展に対処して、わが国産業がすみやかに自由化即応体制を確立できるように、強力かつ総合的な自由化対策を積極的に展開することといたしまして、前年度対比三十億七千二百万円増の六十六億五千百万円を計上いたしております。  まず、石炭関係につきましては、炭鉱近代化資金貸付大幅増額、非能率炭鉱整理促進、これに伴う離職者対策充実産炭地域振興をはかりますため、前年度対比二十七億百万円増の五十九億四千二百万円を計上いたしております。すなわち、炭鉱合理化工事機械化及び石炭専用船の建造を含む流通機構合理化促進いたしますために三十二億一千万円、炭鉱整備に必要な長期運転資金借入保証に必要な基金として三億円、並びに新たに、石炭運賃値上げに伴う延納に対する保証に必要な基金として三千万円、合わせて三十五億四千万円を石炭鉱業合理化事業団出資することといたしております。次に、炭鉱整理につきまして、石炭鉱業合理化事業団が行なう非能率炭鉱買収費に対する補助として二億七千万円のほか、新たに、非能率炭鉱整理を行なう者に対する交付金及び離職金の一部を補助するための炭鉱整理促進費補助十億六千四百万円、保安の確保が困難のため行政勧告に基づき自発的に炭鉱を閉鎖する者に対する交付金及び離職者給付金として二億八千七百万円を計上いたしております。このほか、産炭地域振興対策費として、産炭地域振興に関する自業を行ないますため設立される産炭地域振興事業団に対する出資五億円のほか、調査費三千万円を計上いたしております。また、石炭対策関係といたしましては、右のほかに、石炭技術振興費補助として五千八百万円、炭田総合開発調査費として三千四百万円、石炭鉱害復旧事業費として当省分一億五千六百万円等の経費を計上いたしております。  石炭関係以外の自由化対策費といたしましては、前年度対比三億七千百万円増の七億九百万円を計上いたしました。まず、貿易自由化に伴い外国製品の流入が予想されますので、これに対処するため優良国産品について一般国民の認識を深める等の施策を講じることとし、国産品普及事業費補助二千八百万円、国産機械愛用促進費三千万円を新たに計上いたしますとともに、機械工業合理化促進あるいは国際競争力強化中小企業設備近代化に資するため機械類賦払信用保険対象機種を拡充する所存でございまして、そのため、機械類賦払信用保険特別会計への繰り入れ三億円を計上いたしました。また、このほかに、貿易自由化に対処して、国内鉱業体質改善をはかりますため、国内鉱山の新鉱床探査費に対する補助金を前年度の三倍近くに増額いたしますとともに、自由化体制下におけるエネルギー供給源としての天然ガスにつきまして、探鉱補助金を前年度対比でほぼ倍増いたしました。  第二に、中小企業対策費といたしましては中小企業わが国経済の中で占める地位にかんがみまして、前年度対比二十一億四千五百万円増の六十四億三千五百万円を計上いたしております。まず、中小企業近代化促進につきましては、中小企業者経営合理化のための設備近代化補助金を前年度対比十億円増の三十五億円、工場団地化補助金を前年度の三倍の九億円、協同組合等共同施設補助金を前年度の二倍の三億円と、それぞれ大幅に増額計上し、これにより中小企業設備近代化合理化を一そう推進することといたしております。次に、貿易自由化技術革新進展等に対処して、中小企業における技術向上経営合理化をはかりますため、中小企業診断指導員の養成、研修等を行なう中小企業指導センター事業に対する補助として新たに一億円を計上いたしております。このほかに、中小企業の実態に応じた振興策を行ないますための業種別指導事業診断事業及び技術指導事業強化に要する経費として三億一千九百万円を計上いたしております。さらに、小規模商工業者経営改善指導を行ないます商工会等に対して、その運営に必要な経費補助するため、小規模事業対策費として十億一千九百万円を計上いたしました。なお、中小企業対策費といたしましては、中小企業団体中央会補助八千四百万円、災害復旧利子補給六千七百万円、中小企業施策公報費二千万円等を計上いたしました。  第三に、貿易振興及び経済協力費といたしましては、特に最近における内外経済の動向、国際収支推移等にかんがみまして、前年度対比五億八千四百万円増の三十七億一千四百万円を計上いたしております。まず、貿易振興につきましては、特殊法人日本貿易振興会事業運営に必要な経費として、前年度対比二億二千九百万円増の十七億七千万円を計上いたしまして、従来に引き続き、海外市場調査国際見本市の開催または参加、トレード・センター運営日本商品海外宣伝等海外事業充実いたしますとともに、国内中小企業者に対する海外情報の提供、取引のあっせんを行うための貿易相談所を拡充いたします等、総合的に輸出振興事業を推進する所存でございます。次に、財団法人日本輸出雑貨センター事業運営に必要な経費として、一億二千五百万円を計上いたしまして、輸出雑貨生産技術指導専用機械の試作、デザインの登録認定及び指導奨励常設展示場運営検査機械改善等事業を行なうことといたしております。また、わが国商品輸出構造上、今後大きな比重を占めるべき機械のうち、特に工作機械につきまして、海外における啓蒙宣伝調査等の業務を営みます工作機械輸出振興会に対する助成費として、新たに、五千万円を計上いたしております。このほか、貿易振興関係といたしましては、プラント類輸出振興費二億一千九百万円、生糸及び絹織物輸出振興事業費補助六千七百万円、工業品検査所及び繊維製品検査所経費四億三千七百万円等を計上いたしております。次に、経済協力費でございますが、東南アジアを初めとする開発途上にある諸国につきましては、わが国商品安定輸出市場として、また鉱産物等重要資源わが国への供給源として緊密な経済交流をはかるため、積極的に経済協力を推進する所存でありまして、おもな経費といたしましては、特殊法人アジア経済研究所に対する出資金一億円、補助金二億七千三百万円、低開発国一次産品買付促進費補助三千七百万円、海外技術者受入研修費一億六千四百万円、技術者等海外進出促進事業委託費三千四百万円、海外中小企業技術協力費補助二千万円等がありますほか、新たに、低開発国における開発計画の策定について技術援助等を行なうための委託費五千五百万円を計上いたしました。  第四に、鉱工業技術振興費といたしましては、著しい技術革新が行なわれております今日、技術振興なくして産業発展は望まれないことは多言を要しないところでありますが、特に、わが国においては自由化を控えて国産技術振興緊要度が増大しておりますので、国立試験研究機関につきましては、それらの集結団地化をはかるとともに、研究費を増額し、また、民間試験研究につきましても、その助成を拡充いたす所存でありまして、前年度対比七億五千四百万円増の六十五億六千二百万円を計上いたしました。まず、国立試験研究機関につきましては、総合的かつ能率的な先導的基礎研究等促進をはかりますため、それらを集結団地化することが肝要でありますので、そのための調査費として新たに一千万円を計上いたしましたほか、重要研究費に必要な経費として、前年度対比三億六千八百万円増の二十三億三千二百万円を計上し、試験設備等の更新、近代化をはかりまして、エネルギー関係技術電子技術生産加工技術等わが国産業経済にとって重要な研究を推進することといたしております。また、民間における試験研究助成につきましては、前年度対比四千八百万円増の六億三千八百万円を計上いたしまして、国家的見地から重要と思われる応用研究工業化試験及び共同研究体制による技術開発等について助成強化する所存であります。次に、工業所有権に関する出願等処理に関しましては、その促進をはかりますため、資料整備環境整備定員増加等に必要な経費といたしまして、前年度対比一億九百万円増の八億五千三百万円を計上いたしております。  第五に、産業適正配置及び産業基盤強化費でありますが、今後におけるわが国経済の高度かつ均衡ある成長を達成するため産業適正配置をはかりますとともに、地域格差の是正をはからなければなりませんので、前年度対比十一億九千四百万円増の三十八億五千八百万円を計上いたしております。そのおもなものは、工業用水道事業費でありますが、これは、既成工業地帯における工業用水供給確保地盤沈下の防止、工業開発地帯における工業用水先行的開発をはかるためのもので、東京都、川崎、大阪、臨海、北九州等継続十八地区のほかに、新規事業として、大阪府営第二期、西宮、坂出等地区を加え、計二十四地区事業に対し補助を行なうものでありまして、前年度対比十二億二千六百万円増の三十七億二千万円を計上いたしております。このほかには、わが国産業生産性向上を推進するため、日本生産性本部に対する補助として八千三百万円、工業立地条件調査研究及び工業適正配置指導に要する経費として三千四百万円、産業構造調査研究に要する経費として一千万円等を計上いたしております。  以上をもちまして、当省所管一般会計に関する御説明を終わりますが、詳細につきましては、お手元予算要求重要事項表をごらんいただきたいと存じます。  なお、当省の所管いたしております特別会計につき、以下、歳入歳出予算の大要を簡単に御説明申し上げます。  まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、三十七年度の歳入予定額は五十一億一千七百二十万九千円、歳出予定額は四十四億七千九十万八千円でありまして、資産、売掛金の関係を加減しますと、三十七年度の益金予定額は七億四千六百八十三万円となります。  第二に、輸出保険特別会計でございますが、三十七年度歳入歳出予定額は、ともに百二十六億七千六百八十六万七千円でありまして、歳入のおもなものは保険料収入十九億八千二百五十一万九千円、資金運用収入五億六千五百万円、雑収入四億二千三百七十五万五千円、前年度剰余金九十七億五百五十九万三千円であり、歳出のおもなものは支払保険金十三億一千九十八万三千円、予備費百十二億四千三百十三万一千円であります。  第三に、特定物資納付金処理特別会計でございますが、本会計は、特定物資輸入臨時措置法に基づくもので、三十七年度の歳入歳出予定額はおのおの三十億八千三百五十九万九千円で、歳入のおもなものは納付金二十六億六千四百万円、前年度剰余金四億一千九百五十八万九千円であり、歳出のおもなものは産業投資特別会計へ繰入三十億八千百十九万円であります。  第四に、機械類賦払信用保険特別会計でございますが、三十七年度の歳入歳出予定額は、ともに七億三千百六十七万四千円でありまして、歳入のおもなものは一般会計より受け入れ三億円、保険料収入一億六千三百六十万円、前年度剰余金二億三千七百九十四万四千円であり、歳出のおもなものは支払保険金八千六百八十万円、予備費六億三千百四十五万九千円であります。  以上、一般会計及び特別会計予算の概要につき御説明いたしましたが、次に、当省関係財政投融資計画について簡単に御説明いたしたいと存じます。  三十七年度における当省関係財政投融資総額は二千四百五十三億五千万円でありまして、これを三十六年度当初計画一千九百五十七億円と比較いたしますと四百九十六億五千万円の増加となります。本計画運用にあたりましては、経済情勢金融情勢推移に応じまして弾力的にこれを行なうことにより、重要産業及び中小企業並びに貿易振興促進のための、資金確保につき遺憾なきを期する所存でございます。  まず、日本開発銀行につきましては、わが国経済安定的成長を目標といたしまして、貿易自由化に対処しつつ、産業基盤強化産業構造高度化資源有効利用に直接貢献する産業の育成、助長を目的として、三十七年度におきましては、電力、石炭特定機械硫安等に対する融資を重点的に取り上げることといたしましたほか、地域間の均衡的発展を目途とした地域開発融資を積極的に推進することといたしました。運用総額は、前年度当初計画に対し、百六十億円増の九百八十五億円を確保するものとし、このため財政資金五百七十億円の融資を行なうほか、開銀外債三千万ドルの発行が予定されております。  次に、中小企業金融公庫でございますが、中小企業設備合理化近代化とその企業経営安定化に資するよう、資金運用を行なうことといたします。このうちには、日本開発銀行と並んで特定機械向け貸し出しが四十五億円程度予定されております。運用総額は、前年度当初計画に対し、百五十億円増の九百八十五億円を確保いたし、このため財政資金五百九十億円の融資を受けることとした次第であります。  商工組合中央金庫につきましては、中小企業に対する組合金融充実をはかりますために、前年度の当初計画に対し、五十五億円増の三百六十五億円の貸出純増を行なう計画でありまして、このため、財政資金による出資二十億円及び商中債の引き受け純増五十億円を行なうほか、余剰農産物資金融通特別会計日本生産性本部に対して行なう融資五億円について、日本生産性本部から転貸を受けることといたしております。  次に、日本輸出入銀行でございますが、三十七年度におきましては、プラント輸出促進東南アジア等に対する経済協力賠償実施促進をはかるため、一千二百五十億円の貸付を行なう計画でありまして、この貸付計画確保いたしますために、出資二百億円、融資六百十億円、合計八百十億円の財政資金を投入する計画であります。  次に、電源開発株式会社につきましては、三十七年度におきましても、前年度に引き続き、池原、二又、御母衣第二等の電源開発継続工事に主力を注ぎますほか、若干の新規地点開発計画いたしまして、三百九十億円の工事規模確保し、このため財政資金三百四十億円の融資を行なうことといたしております。  次に、石油資源開発株式会社でございますが、三十七年度におきましては、第二次石油資源開発五ケ年計画の第一年度として、石油資源探鉱を行ないますため、産業投資特別会計から四億円を出資する計画であります。このほか、油田の開発にかかる民間資金調達につきまして、十四億円の政府による債務保証限度額を設定いたしました。  次に、石炭鉱業合理化事業団につきましては、新規事業としまして、石炭鉱業離職者に対する退職金の支払いを円滑に行なわせるため、石炭鉱業長期運転資金を貸し付けることとしておりますが、このため、財政資金十五億円の融資を行なう計画であります。  次に、産炭地域振興事業団でございますが、これに対しましては、さきに御説明いたしました一般会計からの出資五億円のほかに、資金運用部資金特別会計から五億円の融資を行なうこととしております。  次に、日本航空機製造株式会社につきましては、三十七年度事業資金として経済援助資金特別会計から五億五千万円の財政出資を行ないますほか、量産にかかる民間資金調達につきまして、二十五億円の政府による債務保証限度額を設定いたしまして、当社の事業計画の円滑なる遂行を確保することといたしました。  最後に、日本生産性本部でございますが、三十七年度におきましては、米国ICA資金の打ち切りに伴なう事業資金の不足に充てますために、余剰農産物資金融通特別会計から五億円の融資を受け、これを先ほど御説明申し上げましたように商工組合中央金庫転貸を行なうことといたしております。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計特別会計予算及び財政投融資計画の御説明を終わりますが、なお、御質問に応じまして詳細に御説明申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上、可決されますことをお願いいたします。
  8. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) それでは、ただいまから通告に従いまして質疑を行ないます。下村君。
  9. 下村定

    下村定君 私は本日、防衛生産の問題につきまして、通産大臣の御意見をお伺いしたいと存ずるのであります。それに先だってお断わりを申し上げておきます。これからいたします質問は、その性質としては、総括質問あるいは一般質問経過中になすべきことがあるのでありますが、予算委員会議事進行都合から、私にその時間を与えられませんで、それから与党委員からは、防衛に関する問題が出ませんでしたので、やむを得ず、本日はこの分科会質問としては多分ワクの外に出るかもわかりませんが、その点はひとつ大臣御了承を願います。また、性質上、これは防衛庁長官に先に伺ったほうがいい問題もあるのでありますが、これまた議事進行都合上、あと先になりますが、この点もひとつ御了承願います。  第一にお伺いいたしますのは、国防会議総理から諮問される事項の中で、こういうことがありますそれは、防衛計画に関連する産業等の調整に関する計画ということがございます。ところが、国防会議にもレギュラー・メンバーに通産大臣がお入りになっておられないように規則がなっております。これについて通産大臣はいかにお考えになりますか、お伺いいたします。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 岸内閣当時に国防会議を作りまして、そのときからの経緯は、ただいまお話のとおりの経過をたどっております。しかし、私ども通産省は、生産には直接関係があるということで毎回の会議に招集されております。そういう意味では連絡上は不都A口はないようでございます。
  11. 下村定

    下村定君 次は、兵器装備国産化、それから防衛産業助成の問題に入るのでありますが、先週の予算委員会審議過程におきまして、矢嶋委員そのほかから、いわゆる在来型の装備、これは今でも価値があるかという質問がございました。これに対して、総理大臣防衛庁長官及び科学技術庁長官から、それぞれ、在来兵器は依然として必要があるという御答弁がございました。私も結論としてはこれに同意するのでありますが、これに関連しまして通産大臣にお伺いいたしたいのは、日本ではほかの諸国のように国有または国営の兵器工場がないのであります。したがって、自衛隊の兵器生産はすべて民間企業に依存しておる状態であります。これについて、ごく最近における一般金属鉱工業生産総額に対して兵器生産の比率はどういう程度になっておりますか、それをお伺いいたします。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま手元資料を持っておりませんが、そのうち参りますから、その上でひとつお答えしたいと思います。
  13. 下村定

    下村定君 時間の関係上、先へ進めたいと存じます。  ただいま大臣から御説明になりました通産省関係予算につきまして、防衛生産を育成する、助成するという点について、何か特別の処置が行なわれておりましょうか、お伺いいたします。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日本の国力相応の防衛体制を整える、これはもう基本方針でございます。そういう意味から、いろいろ防衛庁とも連携を緊密にいたしまして、それぞれの筋の御注文は受けておるのであります。特に飛行機の製造であるとか、あるいはまた、直接ではございませんけれども、艦船建造と、こういうような意味においては十分の連絡はとれておるように思います。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと関連して。ただいま下村委員の御質問の点は、私、明後日、総括質問の際に承ろうと思っておりましたが、私は防衛生産の育成には疑問を持っておりますし、それから今お話の防衛生産の額も、私ここに資料を持っております。通産省からいただいてここに持っておりますが、いずれにしても、そういう異なった意見の者もあるということもありますので、お含みをいただきます。御答弁は……。
  16. 下村定

    下村定君 防衛生産の一般鉱工業生産に対する比率ということも、これはまた後ほど問題になるかもしれません。私は自衛隊の兵器装備の現状について簡単に所見を述べまして、それに関する大臣の御所見を伺いたいと存ずるのであります。  それは、現在、自衛隊の持っております兵器、なかんずく陸上の兵器は、すでにもう旧式化しており、あるいは著しく衰損しているものが多いのであります。これらは従来、主としてアメリカから補充もしくは更新を受けたのでありますが、もう旧式になっておるために、アメリカにも修理用の部品がない。したがって、現在持っておりますぎりぎりの数量の中から古いものをこわして共食いをしておるというような状況が多々あるのであります。それから新式のものを譲り受けるということも困難である。一方、ドル防衛の見地から見ましても、今後アメリカからの軍事援助というものはだんだん減少するということは、これは免れがたいと存ずるのであります。ただいま申しましたことは、主として兵器の質を改善する、そのために国産化が必要であるということを申し述べたのでありますが、数の問題におきましても、現在は、私の見るところは、はなはだ心細い状態にありす。わが自衛隊の主要兵器は、現在の平時人員に対しましてほんとうにぎりぎりの数量を持っておるにすぎません。しかも、平時ですら、このきまってある数の何割かはすぐ使用ができない状態にあるのであります。これは後ほど防衛庁長官にも伺いたいと思っておりますが、いわんや不幸にして他国の侵略を受けたというような場合には、開戦の初めに、極端に申しますれば、一台の飛行機がこわれても、一そうの艦艇が失われても、速急に補充できないという心配があります。これは決して過言ではないと思います。それから弾薬の備蓄量に至りましては一そうスズメの涙みたいなもので、私の計算をもってすれば、せっかく自衛隊の兵器近代化し、いい大砲や戦車や船を持たしましても、また飛行機を改新しましても、たまがなければ、これはもうほんとうに役に立たぬので、それこそ昔の竹槍でも持たせなければならぬというようなことになりかねないと思うのであります。以上、質の面からも数の面からも、兵器国産化ということは、好むと好まざるにかかわらず、自衛隊を国防基本方針によって効率的に整備するという方針に即応するため、ぜひともこれを促進しなきゃならぬ緊急の課題であると存じますが、これに関して大臣の御所見を伺います。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 戦後の国内工業、ことに軍需生産の部門についてこれを見ますときに、非常なおくれのあるギャップのあること、これはただいま下村さんの御指摘のとおりだと思います。わずかに軍事援助の形におきまして新しい兵器等が導入されておった。また、生産の非常に容易なものにつきましては、国内でもそのつど生産しておるようでございますけれども、しかし、最近の域外調達等も漸次減ってきたという関係から申すと、部品等の生産もなかなか思わしくないのじゃないか、かように私も心配しておる一人でございます。そうして具体的の例についていろいろお話がございました。私どもが承知しておりますところでは、ただいま、先ほど申しました飛行機、あるいは艦船、あるいは自動車等につきましては、これはまず国内におきましても、一部のものを除いては、できることになるのではないかと思います。航空機なども、たいへんむずかしい問題がございましたけれども、ただいま計画を遂行しておる最中だと思います。しかし、新しい火器等につきましては、私自身も全然不案内でございます。よく事情を知らないのでございます。しかし、私考えますのに、日本国内の工業生産力というものが充実して参りますならば、おそらく今の防衛生産の備蓄等、必要ならば、そのほうのものも生産し得るのじゃないか、こういう非常に抽象的な、ばくとした感じを持っているわけでございます。事柄がよほど専門的になると思いますが、その専門的な方向に、各生産工場等が対応できる体制になっておりますかどうか、この辺になりますと、十分のものをまだつかんではおりません。しかしながら、民間工業生産の方々も国防生産のためにいろいろ協力するという体制を整えておりますので、常時そういう点についての研究も遂げられているのじゃないかと思います。問題は新しい防備体制ができ、そういう場合の必要な器材というものがどういうように計画されますか、やはり、防衛庁を主体にして、それを通産省としては、その受け入れと申しますか、そういう形で相談に応じたらと、かように思います。そういう意味から申しましても、私ども通産省のやり得ることは、工業生産力、これを近代化し、内容を充実することということが、まず第一だろうと、かように私考える次第であります。
  18. 下村定

    下村定君 つけ加えて申しますが、昔の戦争では、侵略を受けましてから、国内の潜在工業力を動員しまして、これを兵器生産に転用して補充をし、また間に合ったのでありますが、最近の世界の実例を見ますというと、それでは潜在工業力がいかに大きくても間に合わない、どうしても必要なものは平時から持っておらなければならぬということを痛切に感ずるわけであります。詳しいことは申しませんが、朝鮮事変の際に、アメリカがあれほど大きな潜在工業力を持っておりながら、事変の初期におきましては、補給が間に合いませんで、非常な失敗をなめたことは明瞭な事実でございます。その後に起こりましたインドシナでも、フランスは工業動員が間に合わなくて非常な苦杯をなめました。イギリスはマスカット・オマンの反乱、ああいう小さなものでも同じ苦杯をなめたのでございます。なお、兵器装備国産化という問題は、防衛力を効率的に整備するために必要であるのみならず、政治経済の見地から見ましても、これをむだなものである、あるいは戦争に通ずるとかいって排撃する傾きもないではありませんが、これは私は間違いじゃないかと思います。列国の実例に徴しましても、兵器技術研究開発によりまして、国全体の技術及び生産力の水準を高め、経済の伸びを大きくする。このためにあずかって力があり、また兵器は輸出しませんでも、開発された優秀な民用の平和的資材を国外に輸出することによりまして、貿易振興に寄与することもでき、また一面からいえば、外貨の流出を抑制する利益もあろうと思います。こういう点から考えましても、わが国にとって国産化の推進、防衛産業の育成ということは当面の緊急な課題であると存じますが、御意見を伺います。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの御意見、私も全然同感でございます。必要な防衛体制、これはもうすでに基本方針としてきまっていることでございます。そういたしますと、装備等につきまして、やはり国内でこれを生産するという、そういう体制が望ましいことだと思います。ことに、国際収支等の関係から見ましても、本来、自国内において生産されるというのが緊要な事柄だと思います。ただ、今日までそういう事実が、そういう事態にまで発展しておらなかったということは、おそらく戦後の技術革新に対しまして、国内においてはそういう意味で十分の用意ができておらなかった。これが国産化をおくらしておるのではないかと思います。まあいろいろアメリカの軍事援助、技術援助等を受けることによりまして、わが国装備充実も国産でまかない得るようにこれはできることだと思います。また、ぜひそうなくてはならないと思いますが、十分今御指摘になりましたように、積極的な軍備あるいはそういう意味の備えを持つというわけではなくて、必要な防衛体制に相応する装備を国産でまかなう。これは本来当然やるべきことだと、かように思います。たいへんその意味ではおくれているように感じますが、いろいろ御高見等、ただいまお述べになりました点、十分拝聴いたしまして今後努力して参りたい、かように存じます。
  20. 下村定

    下村定君 ただいまの御答弁を伺いまして私も非常に心強く感ずる次第でございます。ただ従来、政府がおとりになっておりますこの方面の施策は、率直に申しまして低調を免れません。民間会社に対する注文に継続の計画を欠いておる。あるいは生産力を維持させるための助成方策について、ほとんど見るべきものがないように存ずるのであります。もっとも航空機、艦船など一部の兵器につきましては、従来からある程度の長期契約の処置がとられておる。また、ただいま審議中の来年度の予算におきましても、陸上兵器の一部につきまして長期一括契約が認められておりますが、これだけでは十分ではないと思うのであります。これでは民間の会社が事実設備を維持するために非常に困難を感じ、兵器生産に協力することをきらうのは無理はないと思いますし、また、経済上からいいましても財政上からいいましても、かえって損ではないかという感がするのであります。現に私の知っております範囲では、従来、兵器生産をやっておりました有力な若干の会社がそれをやめたということを聞いておるのであります。これではもうますます心細くなるほかはないと存ずるのであります。これについて、ひとつ御意見を伺います。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま下村さんが御指摘になりますように、国内の防衛生産といわれる部門につきましては、戦後におきましては積極的な指導的立場になかなか政府も立たず、防衛庁自身も立っておらないので、そういう観点からいろいろな困難があると思います。どういたしましても、生産側から申せば、ある一定量が継続して発注されるということは望ましい。そういう意味のそういうことによる経営規模、あるいは採算性ということが考えられると思います。場当たり的に注文を受けるのでは、事業経営としては非常な困難に当面せざるを得ないのではないかという欠点もあるわけであります。また新しいものがどんどんできる。そういう意味からも、どうも防衛庁としてはなかなか継続して同一のものを注文することもできなかった。こういうこともあろうかと思います。こういうことを考えてみますと、やはり相当開発費等について特別な考慮が払われないと、防衛生産への協力を求めることはなかなか困難である。ただいま防衛庁自身も、そういう意味では予算等についてもいろいろの工夫をしておるようでございます。しかしながら、わが国防衛体制は、形はある程度できたかのように考えられますけれども、まだなかなか本格的なものでございません。そういう意味におきまして、いわゆる過去のような整備された体制にするためには、なお幾多の努力を要するんじゃないか、かように思います。民間工業生産を担当しております人たちも、防衛生産の大有なことをよく考えて、よく認識しておりますので、いろいろ会合等を持ち、協力態勢等も整備しておりますけれども、事柄が採算ベースに乗るか乗らないかという純経済問題でありますと、ただ気持の上だけではいかんともしがたい、こういうことでございます。これなども将来の工夫すべき点ではないか、かように私は思います。
  22. 下村定

    下村定君 私もこの防衛産業を育成するために、飛躍的に予算を増額するというようなことは、これは全般の関係上困難であろうと思います。この際、政府とされましては、装備国産化するため、一方においては長期にわたる一貫した計画を立てられ、また、民間生産を育成するための必要な法令を制定されるべきじゃないかと思うのであります。私しろうとでございますから、あるいは当たらぬかもしれませんが、たとえば兵器調達の方法、これは防衛庁にも主として関係することですが、そのほか会計法、税法等に所要の改正を加える、あるいは金融面において特別の処置を講ずる、また特に必要と認めるもの、たとえば一般の民間事業と共通点の少ない特殊な兵器につきましては、その生産設備を官有民営とするようないろいろな方策があろうと思う。また、これが望ましいと思うのでありまするが、これに対するお考えを承りたい。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろ積極的に装備を国内でまかなうという基本の方針を進めていくためには、的に各方面にわたりましていろいろ工夫する点があるだろうと思います。ただいま下村さんから非常に示唆に富んだ御高見の開陳もございましたが、私考えますのに、なかなかこれらの事柄はむずかしい問題も幾つか含んでおります。今後よく検討いたしまして、そうして問題は各界の協力を得ることが大下だろうと思いますので、そういう意味でひとつ検討してみたい、かように思う次第でございいます。
  24. 下村定

    下村定君 次は付帯の質問でございますが、新聞によりますと、今アメリカの国防省から甲府技術開発調査団というのが来ております。すでに政府当局とも接触が始まっておるようであります。あの目的は何でありましょう。それから新聞の伝えるところによると、いわゆる域外調達の方式で日本兵器海外に出すというようなことを考えておるんじゃないかということも想像されるのですが、これに対して大臣のお考え、また政府としての方針、これを伺っておきたい。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの技術調査団、これは日本国内における装備についての調査、国内生産といいますか、その技術調査が主体のようでございまして、つまり技術のレベル等を十分検討するということで参ったようでありまして、それから後の処置、これは全然別のようでございます。参りましたのは純技術者ばかりの調査団でありますので、その調査のデータ等によりまして、あとはまた政策的にいかにするかということが検討されるものだと、かように思います。私どもも、そういう点については、ただいままで装備等についての技術調査を積極的にしたことがないものですから、今回の技術団が調査することについては大きな期待をかけておるというような実情でございます。
  26. 下村定

    下村定君 私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
  27. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 通産大臣にごく簡潔にお伺いしたいと思うのでありますが、あえて電源開発だけではございません。あるいは建設省、農林省関係のダム等をも含めてではございますけれども、公共用地審議会等がございまして、公共補償の基準はきわめておるようですが、一番の問題点であろうかと思うことの一つを、たとえば事例をあげて申し上げますと、九頭竜川の電源開発計画というものがある。もちろんまだ審議会にはかかっておりませんけれども、その前に、電源開発をやろうという問題が起こってくると、従来居住しておった者は、これは当然でございますけれども、おそらくは補償を目当てにして、そこへ多数の者が転住してくる、こういうようなものをこのままにしておくということは、将来の公共事業の遂行という点で非常に支障ができるのであります。もちろん居住の自由ということはございますけれども、そういう、ある意味でいうと意図的な、犯罪的な気持を持って公共補償を確保しようという気持だけで入ってくる者に対して、将来の公共補償という観点から見てどういうふうに措置されようとお考でございますか。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この補償の問題が最近非常にむずかしい問題になっております。そこで、ただいま御指摘にありましたように、建設省における公共用地審議会ですか、そのほうの審議会の答申によりまして、大体の基本方針がきまったようなわけです。今後はそういう方向で進めていき、各界の協力を得る、こういうことで工事を進める段階である、かように思っております。ところが、ただいま櫻井さんの御指摘になりますように、当面しておる問題には、どうも幾つも納得のいきかねるものがある。予定される地域に新たに転住して来た人、それに対しても一般の補償方式をとるならば、非常な不当利得が生ずるのじゃないか、こういうような心配がある、あるいは同時に補償費が非常にかさみ、新規工事を進める一つの経費負担増、こういうことにもなる、こういうことで事態を非常に注視しております。まだ政府といたしましての態度が明確に実はなっておるわけではございません。いろいろの事情等もあることだと思いますので、一がいに感情的な議論は避けなければならぬということでございます。しかし、実情等をよく調査いたしますると、本来いわゆる補償に該当せず、あるいは引っ越し料程度で問題を片づけることが常識的であるというような場合もあるやに見受けるのでございますが、よく実情に沿った処置をとることにしたいということで、政府も慎重に対策を立てておる最中でございます。
  29. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 大臣のお答えは、大体ケース・バイ・ケースでお考えのようでございますけれども、私、電源開発で例をとったので、その例で申し上げまするが、審議会を通過した後に転住してきた者等の補償に対しては、若干、行政措置をおとりになっておる。大臣が今お述べになったような考えを織り込んでおやりになっておるように私は承知をしておるのですが、しかし、審議会で一つの基準、目安が立つまでに、おそらくはここが開発されるだろうという見当は常識として固まってきておる。そこを目当てにしてどんどん入ってくる。たとえば九頭竜の例でいうと、私はよく数字は知りませんが、百八十戸に近いものが転住してきておる。しかもその転住なる者が、前の水没地で、またもっと前の水没地で転々として補償かせぎをやっておる。そういう者が入ってきておるやに聞いたんです、事実のほどはよく知りませんけれども。そういう話を聞いております。そういうことが今後の公共事業開発していこうという立場において、野放しにしておくということがあったんでは社会政策上も私は非常によくないことだと思う。何とかしてもっと、ケース・バイ・ケースで処するということじゃなくて、もっと強力な行政措置か、あるいは法制措置をお取りになる考えはないか、その点をもう一度お伺いいたします。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、いろいろ憲法上の問題等もあることでありますから、どうも居住制限なかなか容易じゃないと思います。しかし、審議会でダム建設を決定する、こういうときになったそれ以後ならば、これは制限も可能ではないか、そういう意味でいろいろ研究しているというのが現状でございます。
  31. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 もちろん居住制限ということをいえば憲法に抵触してくることは、これはあたりまえなことでございますが、居住制限という方法はなかなかむずかしいと思いますけれども、いわゆる補償かせぎを意図して入ってくる者に対する補償という、公共事業の補償基準のきめ方において、そういう点をもっと強力に織り込んでいただくことができないか、こういう点でお伺いしておるわけです。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまいわれておりますように、まあ審議会でダム設置が決定した。そうすると、その一定の地域内における移動等は、これは何か法律でできないか、そういう意味のいろいろの検討をしておる。ただ一般的に、その前の段階においての制限方法は非常に困難じゃないかと思いますので、ただ実情等をよく調べて、それに対する補償金額というものを考えることも可能じゃないか、まあ、二つの面からそういう事例を解決していくようにしていかないと、一がいになかなかいえないのじゃないか、こういう感じが実はしております。まあ、いずれにいたしましても、今の憲法下における私権の尊重の議論というのもなかなかなむずかい問題がございます。よく法律的にも検討をしないと、ただ力だけではきめかねるものがある、かように実は思います。最近の事例においては、その実態等を十分把握して、まあ適切な処置をとっておるようでございます。また、こういう事例が非常に多くなるということでございますれば、さらに考え方も変えざるを得ないと思いますけれども、ただいまの状態では、補償の方法と、それから一定の時期以後におけるそういう者に対する制限、まあ二つで解決していくべきじゃないかと、かように私は思います。
  33. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 御答弁はいただかなくてもいいですが、私権の尊重ということは、やはり公共的な立場、社会性というものを尊重するというところに私権の尊重というものは当然出てくる。基調というものはやはり、大臣に申し上げるまでもなく、そえに基調がなければいけないと思うのですが、たいへんむずかしい問題ではあろうとは思いますけれども、審議会通過という一つの基準は、基準としていえますけれども、その前にすでに審議会は通過するであろうという客観情勢は生まれておる。その客観情勢の中に私権の尊重ということを乱用して、補償金かせぎということが起こってくるとすれば、これは社会問題としても、今後の日本の社会資本を充実して行くという立場からいっても、非常に大切な問題じゃないかと思いますので、前向きの姿勢でひとつ大臣のほうで御検討をいただきたい。終わります。
  34. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) ほかに御質疑ございませんか。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど下村さんのお尋ねで、防衛生産額の鉱工業生産額に対する比率というお話がございましたが、昭和三十六年度の防衛生産額の鉱工業生産額に対する比率は、三十六年が一・二%ということでございます。それで三十五年は一・一%ということですら、コンマ一%上昇という結果になっております。
  36. 羽生三七

    羽生三七君 先ほど申しましたように、私、明後日、総括質問の際に通産行政の基本的なことを少し伺いたいと思っておりますので、きょうはそれに関連して、ごく一般的なことを二、三お尋ねしたいと思います。  最初に、物価対策の具体案を三月末までに各省は全部まとめるということになっておりますが、通産省の具体案はできましたかどうか。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事務当局に命じてございますが、まだ私の手元までには参っておりません。ただいま一生懸命作業しておる最中でございます。
  38. 羽生三七

    羽生三七君 これはなるべく月末までということですから、二、三日中に間に合うということですか、それを伺いたい。
  39. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 月末までにということでございます。ちょうど三十日か三十一日くらいにはそういうものをまとめたい、そういうことで、次官会議等で一生懸命やっておる最中でございます。また、最近の月例報告などもいずれございますから、その月例報告等の関係から見まして、おくれましても一両日じゃないかと、かように私は思います。
  40. 羽生三七

    羽生三七君 問題は少し違うのですが、ごく一般的なことになるけれども、EECの動きについて、これはまあ日本経済にとって重大なことだと言う人もおるし、先日の参議院の公聴会の木内信胤氏の意見によると、これは非常に好ましいことだという意見もあるが、それはともかくとして、アメリカの通商法の改正と関連して、日本には具体的にどういう影響が起こりそうなのか、一般的にはいろいろなことがいわれておりますが、具体的になってくると、日本の国内では、私はむしろ一般論よりも個別事業法等を考慮するような、そういうことまで入って行かないと、アメリカの通商法改正に関連をして日本の個々の産業問題は解決しないようにも考えるわけですが、そういう一般的な動きに関連をして、通産省としては何か具体的な動きを示しておるのか、ごく一般的なことでもよろしいですが、ひとつお知らせをいただきたい。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろの見方がございますし、ことに最近は、EECの研究は政界、財界、各界におきまして非常に熱心でございます。おそらくEECの発展は好ましいと言う者もあるし、あるいはまたこれがアウトサイダーに対して非常に強力に力を発揮すれば、アウトサイダーである日本が非常に困るだろう、こういうような言い方をする方もございます。しかし、少なくともこの第二次大戦前までのような、いわゆる世界のブロック化経済というか、それとは違う形において活動するだろうということはいえると思います。その場合に一番私どもが気をつけなければならないのは、大事な点だと考えますことは、日本の経済状態とEECあるいはアメリカの経済状態、これはずいぶん違っておる段階がある。いわゆる生産力そのものの形よりも、制度の面から見ましても非常におくれておる。たとえば、ただいま日本は一生懸命大急ぎで貿易自由化計画を進めておりますが、このEECやアメリカなどは、もうすでに自由化計画を完了したといってもいい地位にまで進んできている。このおくれが、EECの活動なり、あるいはEECヘアメリカが好意を寄せたときに日本産業にどういう影響があるか、これが一番実質的には考うべきことじゃないかと思います。その意味で、私どもは、国内産業がいわゆる国際競争力を十分持ち得るように既定の自由化を進めて、そうしておくれをこの際取り返すということが必要なことだと思います。もちろん、このEECの中における共通関税であるとか、あるいはアウトサイダーに対する二重課税の問題だとか、あるいは関税の差別の問題だとか、いろいろな問題がございますけれども、これらは、出てきている形の上でそういう難関をいかにして、克服するかということになるだろうと思いますが、根本的には、やはり経済状態が同じ域にまで発達して、そうして日本自身が自由化を進めて対等の立場で主張ができる、これは形の上で自由化でございますが、実質的には国内産業が十分の国際競争力を持つ、そこにその内容の充実をはかる、これが私どもの目下の急務じゃないか、かように私は思いますので、そういう意味においてのいろいろの事業内容の整備、特に業界にも呼びかけ、協力を願っておる次第でございます。一部におきまして、自由化するその立場から日本は関税を引き上げる、EECあるいはアメリカは関税を引き下げる、行き方がずいぶん違う、この関税の種類でも間違いではないかというような批判もございますが、これは申すまでもなく貿易自由化に今取りかかっておるもの、国際競争力のまだ弱いと見られておるその過渡的な状況下においては、関税などで国内産業を保護せざるを得ない。そうしてその期間を短くして、そうして競争力を持った暁において、同じような条件下において自由な競争ができる、そういうところへ持っていくべきじゃないか、かように思います。政治的な問題等におきましても、国際競争力充実しないそれまでの間は、EECにも私どもも接近し、EEC自身がいろいろ計画する事柄に対しましても時期的に対策を立てて、いわゆる経済外交推進はこれはもう絶えずやらなければならぬ、かように思いますけれども、根本的な点は、ただいま申し上げたような弱体な日本経済、これをいかにして強化するかということではないかと、かように思います。
  42. 羽生三七

    羽生三七君 EECに加入する場合は別ですが、アメリカのように接近はするが、まあ別に加入でもなさそうだ、日本も、今、大臣からお話しのように接近するという場合は、具体的には、加入国は別として、接近しようとする場合には、具体的にはこれは関税だけの問題になるわけですが、どういうことになるのですか。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあとにかくEECができた当初、これは五七年でしたか、一体どうなるだろうというような見方をしておりましたが、だんだんEECのはっきりした活動目標というものも、もう私ども何ら疑念を持たないようになった。そうしまずと、このEECがまあ封鎖的というか、あるいは排他的というか、そういう形をとらないということもまず信頼してよろしいのじゃないか。排他的ではない。日本のEEC貿易にいたしましても、非常な伸び率をこの一両年は示しておる。そのことを考えると、EECが一つの経済共同体として活動することは日本産業にも望ましい結果をもたらした、こういうことは言えると思います。ちょっと、私、数字があるいは幾分か違うかと思いますが、アメリカのEECに対する昨年の平均の貿易の伸びが、一五%程度の伸びが、アメリカ自身は四〇数%伸びた。イギリスも同じような数字でございます。日本の場合はもっと大きくて六〇%をこしておる。非常な拡大でございます。で、そういうことのこの数字自身を見ますと、EECが強固な経済活動体になる、これは域内調達ももちろん非常に活発でございますから、域外からの貿易拡大より以上に域内からの貿易が拡大しておると思いますが、やはり域外からの貿易も拡大し得る、こういう実績が考えられる。だから、その意味では過去のブロック経済とはよほど違うのだ、こう考えてよい。そういう場合に、いわゆる関税が一番先に問題になります。日本の場合におきましては、日本商品に対する十分の理解がないですから、イギリスのサー・ノルマン・キッビングと申しますのが昨年参りましたが、日本産などをつぶさに視察して、もう日本の低賃金というこの批判が当たらぬというようなことを、これはもう関西の紡績業界などを見て帰りまして、そういうことを向こうでも報告書を出しております。そうなりますと、日本がいわゆるダンピングしておるというようなことに対する批判はよほど薄らぐ、あとは価格なり、あるいは品質の問題でまあ競争をする。貿易自由の立場から考えて、これは承認せざるを得ないというような空気がだんだん醸成されつつあります。だから、これをこういうその空気に対応する意味においても、まあ日本商品が一時に狭いマーケットに殺到しないように、フラッドを起こさないようにすれば、これは十分提携してくれるのじゃないかと思う。そういう意味で新しくこの商品市場への接近、これをよほど研究すべきじゃないかと思います。まあ比較的今日までのところ、カメラにしても時計等にしても圧力をこうむって参りましたが、品質もだんだんよくなるし、デザインなども玩具などは日本は非常に進んでおるとまで言われておりますから、こういうところを十分理解してもらえば可能なのではないか、拡大可能ではないか。ただ、しばしば言われますことは、非常に日本商品が安い、割り安だという、これがしばしば攻撃を受けておるのでございますが、この辺は日本の商社なり、メーカーなりのお互いの過当競争を防ぎ、そうして秩序ある貿易を行なうということになると、今までのような批判が当たらないのじゃないか。そういう意味で、非常な紳士的な貿易を拡大すべきじゃないか、こういうことを私は考えます。まあいろいろ悲観すべき工業部門等もございますけれども、しかし、今日まで築き上げたこの商権とでも申しますか、その確立が、これが秩序正しく行なわれれば排撃を受けなくて済みやしないか。そういう意味で実情を絶えず把握する、そういう意味の機構なり、あるいは心がけが将来非常に必要なんじゃないか、かように私は思います。
  44. 羽生三七

    羽生三七君 これに関連するこの日本産業構造高度化、あるいは企業規模の拡大等はまた明後日伺いますので、ひとつ今、おおよそ事前通告の形で御用意を願います。  それからごく簡単に、こまかいことになって恐縮ですが、これも明後日伺いたいと思いますけれども、景気見通しで中だるみ説を中心にいろいろな議論がされているわけですが、政府は一月の鉱工業生産の動きを見て、これはいろいろ批判がありましたが、二、三月を見てさらに強化するか、あるいは現状どおりで手直しの必要がないか、大体二、三月の動きを見てと言われましたが、大体二月の数字も一応出たようでありますが、この数字から見ても、これは前月に比べて一・四%の下降を示しておるようでありますが、これは季節変動修正というものも問題にはなっておるようでありますが、とにかく一応下降したわけです。それらから見て、一応今まで政府が予定した線はほぼ沿っておるとお考えになるのか、まだこれでは下げ足りないので何らかの規制処置をさらに強化するとか、あるいはその他金融上の処置についても考慮するとか、そういう点は、数前別、参議院の予算委員会で各委員質問したことに関連して大臣がお答えになったことと礎化はないのかどうか、この辺もう一つ伺いたい。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体二月も  一月と同じように今数字が出て参りましたが、鉱工業生産は高い水準だと、こういう結果になったと思います。わずか既設修正をして下がったとは申しますけれども、まあ大体この情勢は二月における電力消費の状況等から見まして、まず一月とあまり変わらないじゃないかという見方をしておりましたが、そのとおりの数字が出た、かように思います。また三月は、今度はもう少し鉱工業生産は落ちるだろうと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、一、二月、この辺が横ばい、二月は横ばいの状況で、これは予算編成の際の見通しから見ると、ややズレがきておる。大体十一月から十二月をピークと考えていたのでございますが、そういう意味から申せばややズレがきておる、かように私も考えます。しからば、今までとってきたものに対して新しい処置がとれるかどうかと申しますと、あまり新しい処置はございません。そこで、しばしば日銀等が申しておりますように、金融の引き締め基調は変えないということを実は申しておるんですけれども、また私ども通産省関係では、もうすでにこれを発表したとおりでございますが、いわゆる設備の資金部会なども少し早目に開いて、そして業界の協力を得るようにしたい。あるいは輸出の目標を示す最高輸出会議なども例年よりも早目に開いて、そして積極的に目標を示し、また業界の協力も得る、こういう体制をとるべきではないか、かように実は思います。そういう意味から申しまして、三十七年度の始まります四月中には、それぞれ、ただいま申すような重要な会議を持つということにして積極的に業界の協力を得たい、かように実は考えておる次第でございます。これなどもすでに予算委員会における質疑の際にお答えしたとおりでございます。これもあらためての処置ではございません。そして十分実情等を認識をいただき、積極的な協力を得たい、かように実は思っておる次第でございます。
  46. 羽生三七

    羽生三七君 抽象的な議論に少しなるんですが、このままの形で進んでいけば、先へいった場合のデフレ・ショックは非常に大きなものになるんではないか。そういう場合に、一般的には物価が下がる。デフレですから物価は下がることになる。しかし、日本の今の経済事情からいって、デフレだから下がるとはきまらない。いろいろ工作をしておる、そういう部分もあるでしょう。たとえば今の消費者物価なんかは、かりにデフレ的な様相を呈しても決して下がるわけではない。むしろ企業によっては、デフレが進行した場合に操短等をやれば、むしろコストが逆に上がる場合もあると私は考える。ですから、そういうことを考えて、物価問題に一体どういう影響が起こるかということも一つありますが、かりに今のような形で進行していった場合に、この間、総理が木村君の質問に答えて、木村君の信用インフレ論に対して、それはむしろデフレの様相のほうが強いじゃないかというお話があった。その辺はどういうふうに考えられておるのか。今の政府の経済の見通しと関連をして、デフレになるのは、その場合デフレになるというのは、政府が今の形でやっていってデフレになるというのか。それからその場合、引き締め政策をかりに今政府が考えておるよりもさらに強化しなければ、それこそ過剰生産になってデフレ的になる危険があるから、それこそ今から何らかの対策をさらに積極的にやる必要があるのではないかということに関連をする、これは一般的な抽象的な議論ですが、何か大臣お急ぎのようですから、長いこと言いませんが、その辺はどうでしょう。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあインフレだとか、デフレだとか、これはいろいろ出たところでそういう批判が出てくると思います。また、見方によりましていろいろの議論が立つと思います。だから、抽象的なデフレ論あるいはインフレ論はあまり私も賛成をするものではございません。右だとか左だとかいうことは、必ずしも望ましいことじゃないと思います。ただ、今この経済の動向を見ておりまして非常に心配なのは、この前の予算委員会でも指摘いたしましたように、製品在庫がふえてきておる。それに対して金融がうまくついておれば次の生産も可能でございますが、製品在庫に対する金融措置がつかなくなると、ここに一つの当惑する事態が起こるだろう、かように実は思います。それに対して、いわゆる操短という問題が起こる。操短も実は容易じゃございません。なぜ容易じゃないかといえば、労務の問題がございますから、簡単に操短というわけにはいかないと思います。比較的業界として操短等の過去の経験を持っております繊維関係などは、これはまあ操短も比較的楽にできるじゃないかと思います。特に今回とりました措置などでは業界も非常に心配しておりまして、むしろ凍結するから生産をしておきたい、こういうことも申しておるようでございます。しかし、今回はよく事情を説明して、そうして操短に踏み切っておったようでございます。これは操短をすると価格は一体どうなるのか、繊維の場合は、特に輸出のことを考えますと、価格が安定することが必要である。貿易の相手方が、日本国内における市価が安定せず、どんどん下がるということでございますと、買い控えをする、輸出が伸びないという心配が多分にありますために、ある一定の下がったところで安定するようにというので操短手続をとる、同時にまた特別な金融措置もとるということで、安定を実ははかっておるわけでございます。これなどは非常に数量的にも、また業界としてもまとまりいいものでございますから、そういう措置をとっておりますが、その他の部門におきましては、なかなか困難でありますし、いわゆる不況カルテル式なものでございますれば公取等も一応納得しますけれども、価格をつり上げるような方法の場面であると、公取もこれは黙っておりません。そう容易にはきめかねる。今後の鉱工業の指標になるものとしてよく言われますのは、繊維、その次は鉄鋼、あるいはその他の非鉄金属等に実はそれぞれなってくると思います。もう銅は、二十八万八千円を二十八万と八千円引いた、そういうことで一応市場も安定の形をとったようでございます。しかし、これも今の状態のままで推移できるかどうか。あるいは鉄鋼も、今度は鉄鋼のうちの特殊品種等については操短したほうが望ましいということを申しております。しかし、これはいわゆる価格つり上げのようなことになれば、通産省としても賛成いたしませんから、需給の状況は十分見通しを立てて、そうして業界が自主的にやるものにいたしましても、その価格に悪影響のない範囲で指導するつもりでございます。だから、いわゆる操短すれば、値段は高くなるとまではいかなくても、安定する方向にはいくだろうと。経済の場合は安定が非常に価格の面では必要じゃないかと思いますので、通産省も思い切ってそういうような措置を実はやらしておるわけでございます。ただ、非常に各産業とも操短ばやりになって参りますと、今度は労務の問題等社会問題にまで発展することになりましょうから、そういう事態は起こらないようにする。先ほどの冒頭に申すような製品在庫がどんどんふえて、金融がついておれば、事業としては一安心でございますけれども、この製品在庫がふえるということが、将来の生産のもたれ、あるいは消費の場合でももたれになって参りますから、そういうようなものはあまり大きなこぶにならないようにするということが絶対に必要だろうと思います。まあ、私ども見ておりまして、大まかに鉱工業生産も頭打ちをし、順次下降すると、三月はやや下がるだろうと、こういう見方をしております。  一面非常に心配なものは、業界における整理に入る企業体というものは新聞等をぼつぼつにぎわして参っております。こういう事態が一波が万波を呼ぶような形になりますと、非常に心配だろうと思うわけでございまして、おそらく金融を担当しておるほうも、そういう意味で非常に注意をしているのじゃないか、かように私は考えております。  だから、今の経済動向の議論にいたしましても、いろいろの議論があると思いますけれども、今のままの姿で推移すれば、国際収支は非常に悲観すべき数字になってしまうでしょう。しかし、池田総理が施政演説に申しましたように、経済の変動に対して時期的にそれぞれの処置をとれば、今予想をされるような事態も免れ得るのじゃないか、こういうことが言えると思います。だから、政府として一番大事なことは、総体の計画計画として胸に持つことでありますが、やはり二、三カ月というような動向を見れば、それに対する適切な処置をとって、そうして不都合な状態が起こらないように対策をそれぞれとることが必要だろう、かように私は思います。
  48. 羽生三七

    羽生三七君 在庫金融は、これは極力行なわないという、日銀でそういう意向のようですが、通産省としてもそういうことでしょうか。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなか一がいには言えませんから、いわゆる日銀自身がそういう態度をとりましても、ものと場所によりましては考えざるを得ないのじゃないか。ことに時期的の関係で在庫が一時的にふえるものもございましょうし、あるいは輸出等の問題にしても、時期的な関係で在庫のふえることもございますから、これはよく内容を見て処理しないと、一がいにはなかなか結論は出ないのじゃないかと思います。
  50. 羽生三七

    羽生三七君 三十二年のときは、三十二年から三年にかけてですね、あのときは操短によって、操短のみならず工場閉鎖も出て、雇用問題で非常に大きな問題を起こしたわけですが、御承知のように、あのときは立ち直りが非常に早かった。今度はそれと比較してそれほど深刻なものにはならないようにも思いますが、その辺の見通しはどうか。それからまた、そういう程度のショックが出ることをあえて行なうことなしに、外貨収支、国際収支政府が予期したことになるのかどうか。その辺はどうも政府の御答弁を聞いておると、様子を見て、見てと、次のときもそのときの様子を見てというふうに、まあ通産大臣は比較的率直にものを言われておると思いますが、総理はいつもその点を長期的見通しということで、長期的見通しというようなことになれば、これは問答無用というようなことで、全然意味のないことになると思うのですが、まあそういうことと関連をして、今の程度の政府のやり方で国際収支は予定どおりいくとお考えになるかどうか。
  51. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 経済のことですから、これはまあ総理の言われるとおり、長期に見ることが本筋だと思います。しかし、長期に見ましても、その間における起伏、これがあるわけでございますから、その起伏をうまく過ごしていかないと、そこにいろいろの犠牲者が出るということになる。これは政治の観点から問題になるわけでございます。だから、総理が施政演説で申しておりますように、基本的な政策自身が間違ったとは思わないけれども、常時そのつどできてきておる現象に対しても時期を失しない対策をとることが必要だ。これはまあ反省を総理自身しておられますから、その点、誤解のないように願いたいと思います。先ほど来申し上げておりますのも、時期的な点から、情勢の変化に対する対応が必要だろうという意味で私どもが申しておるわけでございます。  ところで、一年間を通じての国際収支の見通しを立ててみると、これはやはり輸出が四十七億ドルという目標に達するかどうか。また、輸入も四十八億というものの目標でしんぼうができるかどうかということでございます。この二つをやはり目標の数字に合うように経済を動かしていかなければならぬと思いますが、ただいままでのような強い鉱工業生産の姿を示しておりますと、なかなか輸入は四十八でおさまらなくなって、そのほうはふえる危険が多分にあるだろう。また、輸出のほうは、これはまあ相手の市場のあることでございますから、国内の消費が依然として旺盛であるとすれば、またこの四十七億ドルの輸出目標は達成できない。むしろ、このほうは減るという危険がある。輸入がふえ、輸出が減るということになれば、国際収支が予想したとおりなかなかならない、こういう心配があるわけでございます。これを今の時点において想定をしますと、なかなかむずかしい四十七億ドル、四十八億ドルということになるのじゃないか。そういう意味で、私どもが鉱工業生産指数に目を光らしたり、あるいは製品在庫のあり方に目を光らしたり、あるいは素原料の在庫数量にやはり目を通す、また金融の貸し出し残高がどういうふうになっておるか、これはいろいろなことを申しておるわけでございます。また、近くは下期の外貨予算も訂正しなければならない段階になっております。  この三十六年の下期においては、設備抑制など相当思い切ってやったつもりでございましたけれども、なかなか私どもの期待したとおりには動いておらない。下期におきまして輸入の面では、非常に機械の輸入など思い切って削減したつもりでございます。でございますが、なかなか設備投資のほうの要請なり、あるいはクレジット等の関係がありまして、機械の輸入を押える、かように申しましても、そうなかなかできるものではございません。ただいまの状況等から見て、今後は来年度の設備投資も相当思い切って押えざるを得ないんじゃないか。これはもう数字は、御承知のように、民間投資三兆七千億、六千九百億というような数字だったと思いますが、三十五年や三十六年の四一、二%は十二業種に対しての投資でございますけれども、おそらくこの次の計画になると、その数字よりもっと落とすほうが経済の鎮静を促すゆえんじゃないか、こういうようなことも実は考えるわけでございます。そういう点が通産省だけの考えでなしに、設備の、資金部会等の各界の意見をよく総合して、適当なところにおさめていくことにしたい、こういうように実は思うわけでございます。  ただいまの情勢そのものから見まして、直ちに四十七億ドル自信があるか、四十八億ドルの輸入、これは自信があるかといわれると、そう簡単には、なかなかむずかしい数字のように実は思います。しかし、それぞれの対策が講じられ、総合的に進められるなら、必ずしも困難だと、ただいまその目標を変えなければなりません、こういうのは、これはもう私は早計じゃないかと思います。年度が始まりましてからの形を十分見る必要がある、かように思っておるわけであります。
  52. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけで終わります。話は全然変わるのですが、砂糖の差益金を吸い上げて、これを立法化するということになっておるようですが、業界から何か自主調整という……。業界の自主調整というと一体どういうことなのか、そんなことができるのか。こういうことは政府がもっと決断力をもって、報道されておるような形で断固おやりになるようなことを希望しますが、そういうようなことで進んでおられるのか、業界の言われる自主調整ということはどういうことを意味するのか、そんなことで問題が解決する性質のものかどうか、その辺をお尋ねいたします。
  53. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 砂糖は農林省所管でございまして、閣議の段階でまだ相談に上ってはおりません。したがいまして、今後どういうことになりますか、これから十分検討しなければならぬ、かように思います。ただ、与党内におきましても、甘味資源の扱い方等についていろいろ検討しておるものがあるようでございますから、それらとあわせて政府も最終的に結論を出すということになるかと思います。ただいま、右とも左とも申しかねます。
  54. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) それでは、ほかに御質疑もないようでございますから、通商産業省所管についての質疑はこの程度で終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 御異議ないようでございますから、さよう決定いたします。  午後は一時半に再開をいたしまして、防衛庁所管の御審議をお願いいたすこととし、暫時休憩をいたします。    午後零時二十三分休憩    ————・————    午後一時五十五分開会
  56. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。  昭和三十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁所管事項議題といたします。  まず、本件につきまして政府より説明を願います。藤枝国務大臣
  57. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 昭和三十七年度予算につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十七年度の防衛庁歳出予算総額は千九百九十三億九千八百四十七万九千円でありまして、これを昭和三十六年度の歳出予算額千七百四十八億八千九百十七万八千円(補正予算を含む)に比べますと、二百四十五億九百三十万円の増加となっております。  このほか国庫債務負担行為として、航空機の購入について百四億四千六万五千円、器材の整備について三百九億七千二百五十万円、弾薬の購入について二十一億五千五百七十九万二千円、施設整備について十四億四百十九万円、艦船の建造について十九億千五百十三万二千円、計四百六十八億八千七百六十七万九千円を計上し、さらに継続費として、昭和三十七年度甲型警備艦建造費三十億五千五百六十六万二千円を計上いたしております。  なお、昭和三十五年度甲型警備艦建造費につきましては、建造計画の変更等に伴う建造費の増加と建造費の一部を後年度に繰り延べるため、総額、年限及び年割額を改訂し、昭和三十七年度は六億五千九十万円を歳出分に計上し、また、昭和三十五年度潜水艦建造費についても、建造工程の変更に伴って、建造費の一部を後年度に繰り延べるため、年限及び年割額を改訂することといたしております。  また、職員の定数につきましては、防衛庁昭和三十七年度の予算上の職員定数は、自衛官二十四万三千九百二十三人、自衛官以外の職員二万七千百七十九人、計二十七万千百二人でありまして、これを昭和三十六年度の予算上の職員定数に比べますと、自衛官千九百十四人、自衛官以外の職員において八百五十四人、計二千七百六十八人の増加となっております。  以下、予算の内容について組織別に申し上げます。  陸上自衛隊につきましては、昭和三十六年度に引き続き、北部、東北、西部方面隊の二個管区隊、三個混成団を五個の師団に改編し、十三個師団態勢を完成するとともに、既存部隊の改編によって、ナイキ一個大隊等を編成することを目途としてその準備業務に着手することとしておりまして、三十七年度末における陸上自衛隊の職員定数は、自衛官十七万五千百人、自衛官以外の職員一万三千四百五人、計十八万四千九百五人となります。  陸上自衛隊の運営に必要な経費は、防衛本庁七百七十二億四千八百五十三万二千円、航空機購入費四億四千九百六十五万四千円、施設整備費十七億八千四百三十二万六千円、施設整備等付帯事務費三千八十五万九千円、計七百九十五億千三百三十七万千円でありまして、これを昭和三十六年度に比べますと、六十億五千六万四千円の増加となっております。このうち防衛本庁において五十七億八千四十五万二千円の増加、航空機購入費において五千百六十万三千円の減少、施設整備費において三億千六百五十五万三千円の増加、施設整備等付帯事務費において四百六十六万二千円の増加となっております。  このほか陸上自衛隊に属する分として、国庫債務負担行為として、航空機購入五億九千五百六十万円、器材整備百四十一億二千八百八万八千円、弾薬購入十五億九千十三万八千円、計百六十三億千三百八十二万六千円を計上いたしております。  海上自衛隊につきましては、三十七年度就役艦艇及び就航航空機の増に伴う要員確保のため、自衛官千百九十四人、自衛官以外の職員五百十八人、計千七百十二人を増員することといたしておりまして、三十七年度末における海上自衛隊の職員定数は自衛官二方三千二百九十一人、自衛官以外の職員四千五百二十二人、計三万七千八百十三人となります。  次に、昭和三十七年度に増勢を計画している艦船といたしまして、新たに建造に着手する甲型警備艦一隻二千トン、駆潜艇一隻、中型掃海艇二隻、高速救命艇一隻、雑船七隻、合計十二隻四千四百三十五トンの増加を予定いたしております。これにより就役艦艇は四百六十九隻、十二万八千四百六十六トンとなる予定であります。  また、昭和三十七年度中に増加する航空機として、昭和三十三年度より国内生産を開始いたしましたP2V7対潜哨戒機十五機の生産を行なうとともに、新たにP2V7六機の新規継続生産を開始し、また対潜ヘリコプター十一機、練習機十八機を購入することにいたしておりますので、これらにより昭和三十七年度末の海上自衛隊の就航航空機は二百四十四機となります。  海上自衛隊の運営に必要な経費は、防衛本庁三百二十七億七千八百二十九万六千円、航空機購入費六十億千六百七十八万五千円、施設整備費十六億七千七百四万円、艦船建造費二十三億八百四十万円、昭和三十四年度潜水艦建造費四億七千六百五十九万五千円、昭和三十五年度甲型警備艦建造費六億五千九十万円、昭和三十五年度潜水艦建造費三億三千七百四万四千円、昭和三十六年度乙型警備艦建造費二十三億四千五百六十三万六千円、昭和三十六年度潜水艦建造費四億三千四百四十五万七千円、昭和三十七年度甲型警備艦建造費三億三千六百七十一万円、施設整備等付帯事務費一億四百六十六万九千円、計四百七十四億六千六百五十三万二千円でありまして、これを昭和三十六年度に比べますと、四十億九千七百八十七万千円の増加となっております。  このうち、防衛本庁において四十八億六千九百八十万円の増加、航空機購入費において五百五万九千円の増加、施設整備費において六億五千三百六十万五千円の増加、艦船建造費において一億三千三百四十一万五千円の減少、施設整備等付帯事務費において二千四百六十八万七千円の減少となっております。  このほか、海上自衛隊に属する分として国庫債務負担行為として、航空機購入八十五億三千二百七十二万四千円、器材整備四十六億千三百九万九千円、弾薬購入五億六千五百六十五万四千円、施設整備六億五千八百万円、艦船建造十九億千五百十三万二千円、計百六十二億八千四百六十万九千円、また、継続費の昭和三十八年度以降の年割額として、昭和三十七年度甲型警備艦建造費二十七億千八百九十五万二千円を計上し、あわせて、昭和三十五年度甲型警備艦建造費については、総額、年限及び年割額を改訂し、昭和三十五年度潜水艦建造費についても、年限及び年割額を改訂することといたしております。  航空自衛隊につきましては、防空警戒態勢の基盤を造成し、あわせて教育体系の確立並びに後方支援の整備をはかるため、F104J飛行隊及び術科教育本部の新編、補給処等を改編することとして、自衛官七百二十人、自衛官以外の職員八十三人、計八百三人を増員することといたしておりますので、昭和三十七年度末の航空自衛隊の職員定数は、自衛官三万九千五十七人、自衛官以外の職員五千三百五十八人、計四万四千四百十五人となります。  次に航空機の増強につきましては、前年度に引き続きF104戦闘機及びジェット中間練習機の生産を行なうとともに、救難ヘリコプターの購入をはかりますので、従来の就航機数を合わせ、昭和三十七年度末の航空機総数は実用機五百六十三機、練習機五百二十九機、計千九十二機が就航することとなります。  航空自衛隊の運営に必要な経費は、防衛本庁四百二十七億三百三十三万四千円、航空機購入費百九十四億二千六百四十八万二千円、航空機騒音対策費十六億二千六百八十万千円、施設整備費二十五億七千二百三十七万千円、施設整備等付帯事務費四千十一万六千円、計六百六十三億六千九百十万四千円でありまして、これを昭和三十六年度に比べますと、百三十五億三千三百五十六万三千円の増加となっております。  このうち、防衛本庁におきまして二十七億八千百五十万九千円の増加、航空機購入費において九十九億五千五百四十七万二千円の増加、航空機騒音対策費において十億二千八百八十万千円の増加、施設整備費において二億三千四百二万四千円の減少、施設整備等付帯事務費において百八十万五千円の増加となっております。  このほか、航空自衛隊に属する分として国庫債務負担行為として、航空機購入十三億千百七十四万千円、器材整備百十三億七千七十一万三千円、施設整備六億九千八百十九万円、計百三十三億八千六十四万四千円を計上いたしております。  長官官房及び各局、統合幕僚会議防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部、建設本部並びに調達実施本部の職員定数は、自衛官七十五人、自衛官以外の職員三千八百九十四人、計三千九百六十九人でありまして、昭和三十六年度に比べますと、自衛官以外の職員で二百五十三人の増加となっております。  長官官房及び各局並びに統合幕僚会議に必要な経費は、防衛本庁九億四千八百八十三万六千円、施設整備費三億三千六百九十七万八千円、施設整備等付帯事務費五百五十二万四千円、計十二億九千百三十三万八千円でありまして、昭和三十六年度に比べますと、防衛本庁において一億千四百六十五万八千円の増加、施設整備費において二千九百十七万八千円の増加、施設整備等付帯事務費において四十六万八千円の増加、計一億四千四百三十万四千円の増加となっております。  付属機関、すなわち、防衛研修所、防衛大学校、技術研究本部、建設本部及び調達実施本部の運営に必要な経費は、防衛本庁二十四億六千二十三万三千円、研究開発費十九億三千九百五十六万八千円、施設整備費三億五千三百四十九万八千円、施設整備等付帯事務費四百八十三万五千円、計四十七億五千八百十三万四千円でありまして、昭和三十六年度に比べますと、防衛本庁において二億九千四百二十九万三千円の増加研究開発費において七千六百五十万円の増加、施設整備費において八千三百九十七万七千円の減少、施設整備等付帯事務費において三百三十八万七千円の減少、計二億八千三百四十九万九千円の増加となっております。  以上の経費のほか、技術研究本部に国庫債務負担行為として、器材整備八億六千六十万円、施設整備四千八百万円、計九億八百六十万円を計上いたしております。  以上が防衛庁予算の概略でございます。  次に、調達庁の歳出予算要求額について、その概要を御説明申し上げます。  昭和三十七年度の調達庁の歳出予算の要求総額は、八十七億九千百三十六万三千円で、これを昭和三十六年度の予算額八十二億四千五百十五万七千円に比べますと、五億四千六百二十万六千円の増となっております。  これを項別に見ますと、調達庁十六億九千七百八十八万二千円、施設提供等諸費六十億七千三百八万六千円、調達労務管理事務費六億七千六百四十六万七千円、国際連合軍等関係補償費三億四千三百九十二万八千円であります。  次に、各項別について御説明いたしますと、  調達庁、この項より支出するものは調達庁の業務遂行に必要な人件費及び物件費でありまして、この要求額は十六億九千七百八十八万二千円であり、前年度の十六億二千二百万五千円と比較いたしますと、七千五百八十七万七千円の増額となっております。増額のおもなるものを申し上げますと、人件費の給与ベース引き上げに伴う八千五万四千円、外国旅費一百一万七千円、光熱水料一百七十九万三千円、自動車交換差金二百二十五万円、各所新営一百十万二千円、その他一百四十五万四千円、計八千七百六十七万円であります。一方減額のおもなるものは、返還物品処分費九百三十二万九千円、職員旅費九十一万四千円、委員等旅費九十六万八千円、その他五十八万二千円、計一千一百七十九万三千円でありまして、差引七千五百八十七万七千円の増額になったものであります。  施設提供等諸費、この項より支出するものは行政協定および地位協定により、在日合衆国軍隊に対する施設区域の提供に伴って生ずる経費及び駐留軍の行為に基づき生じた損失の補償等に要する経費であります。要求額は六十億七千三百八万六千円でありまして、これを昭和三十六年の五十六億六千二百三十七万七千円と比較いたしますと、四億一千七十万九千円の増額となっております。増額のおもなるものは、施設提供等管理費のうち、借料関係一億一千九百八十六万九千円、不動産購入費一千四百二十八万七千円、施設提供等関連補助金のうち防音工事五億七千三百五十八万三千円、新規提供関係五千五百六十万七千円、各省施行予定分八千五百七十四万五千円、施設提供等補償費のうち、新規提供関係二千百四十九万八千円、漁業補償六千九百三万二千円、その他に四千百二十六万一千円、計九億八千八十八万二千円の増額、となっております。減額のおもなるものは、施設提供等管理費のうち、各省執行予定分一億一千八十四万二千円、施設提供等関連補助金のうち、防災工事八千六百八十九万二千円、返還道路関係一千六百七十五万三千円、施設提供等関連補償費のうち、中間補償一億一千八百八十五万一千円、返還財産関係一億一千六百五十四万円、特損関係六千四百六十一万三千円、事故補償一千八百八十二万五千円、その他に三千七百二十五万七千円、計五億七千十七万三千円の減額でありまして、差引四億一千七十万九千円の増額になっております。  調達労務管理事務費、この項より支出するものは、駐留米軍及び歳出外資金諾機関の使用する従業員の労務管理事務を処理するため必要な経費であります。この要求額は、六億七千六百四十六万七千円でありまして、これを昭和三十六年度の六億八千七百三十二万七千円と比較いたしますと、一千八十六万円の減少となっております。減少のおもなる理由は、退職見込み従業員数の減少に伴う特別給付金及び職業訓練地方公共団体委託費の減額によるものであります。  国際連合軍等関係補償費、この項より支出するものは、国連軍協定を実施するため及び旧連合軍は提供した土地等の返還にかかる各種補償並びに占領期間中の人身被害者に対する事故給付金に要する経費でありまして、この要求額は三億四千三百九十二万八千円で、昭和三十六年度の二億七千三百四十四万八千円と比較しますと、七千四十八万円の増額となっております。増額は事故給付金七千三百二十七万二千円であります。減額のおもなるものは返還等補償費二百四十九万二千円、その他三十万円、計二百七十九万二千円でありまして、差引七千五十八万円の増額になっております。  以上が調達庁の経費の概要であります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
  58. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) これより質疑に入ります。
  59. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず、防衛庁にお尋ねしますが、昨年の本分科会においても、久留米の射撃場における隊員の射撃訓練の際、跳弾が飛んで学校の教員の腹部に当たりかなりの重傷を負わした事件につきまして、補償その他については十二分の措置をした旨の回答があっておりましたが、まだその際には、その原因の科学的究明なり射撃場の防壁あるいは改修等についての具体的な内容が明らかでなかったのですが、今質問しました二点について、その原因とその後の射撃場に対する改造改修等の措置について説明願います。
  60. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 昨年度、久留米の射撃場におきまして、跳弾が当たりまして学校の先生の腹部を貫通いたしました事故を起こしましたことにつきまして、その後直ちに射撃を停止いたしまして、間もなく短距離の射撃が行なわれる程度の跳弾防止工事を復旧いたしましてやっておると聞いておりますが、その後の状況につきましては、いましばらく調査しまして、すぐお答えいたしたいと思います。しばらく時間の余裕をいただきたいと思います。
  61. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 特に私が当時指摘いたしましたように、射撃場から跳弾が飛んで人間にたまが当たるということは容易ならぬ事態でありますし、またそれより数年前にほとんど同じ方角の同家の裏戸口にたまが当たり、炭つぼを破壊した事実も指摘いたしましたが、そういう事実については御存じなかったようですけれども、この跳弾はどういう理由で発生したかという科学的な究明は、向こうの大学の学長もきわめて真剣に研究する旨の回答をいたしておりましたし、同委員会で私も、たまが当たったという事実も重大であるけれども、その後の予防措置というか、射撃場の改修並びに原因の究明というのはきわめて重大な問題だということを指摘しておりましたので、特にその原因とその後の処置について後刻お教えを願いたいと思います。  続いて質問をいたしますが、私、先日から防衛庁に対して、主として自衛隊のジェット基地の周辺学校における騒音関係資料提出をお願いいたしておりましたが、大体私の要求するものとほとんど一致したものが出てきておりますが、ただ、この際に念を押しておきたいのは、私が文部省並びに直接防衛庁の係の人に資料の作成を依頼して一カ月有半の時日がたっても、なかなか資料が出なかったのですが、少なくとも義務教育諸学校に自衛隊の基地があるために騒音が起こり、そのことによって学校教育に支障を与えておる、こういう事態については、別に議会から資料要求がなくても、それを手元に用意し、対策をする旨の前長官の回答も本分科会であったのですが、これが非常に長期にわたって資料提出ができなかった理由について、答弁をお願いします。
  62. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) ただいまの御質問でございますが、たいへん恐縮でございますが、防衛庁のどの部局に御要求下さいましたか。その点、所管の私どもはちょっと記憶がないのでございます。
  63. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 防衛庁に電話いたしましたけれども、たしか官房であったと思いますが、その際に係は堀田という人であるということでしたので、私、堀田さん自身に電話をして依頼いたしました。
  64. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 内部の連絡不十分でたいへん申しわけございませんが、この防音関係経費は経理局並びに経理局の施設課において所管いたしております。官房から私たちのほうに連絡が十分でございませんでした。深くおわびを申し上げます。
  65. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、資料について質問いたしますが、昭和三十六年四月二十日付で防衛庁から私が入手いたしました資料によると、大体十五の基地でそれぞれ該当学校が出ておりましたが、今回の資料によりますと、七基地で七十七、三十六年の資料によりますと百九十六の該当校、こういう数字になっておりますが、前回の三十六年四月二十日の資料と三十七年三月付の資料との相違は大体どういったころに基因するものでしょうか。
  66. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 参議院のほうから正式に資料の御要求がございましたのは、ジェット基地周辺の学校ということでございまして、お出しいたしました資料は、その点にしぼっております。したがいまして、防衛庁といたしましては、ジェット基地以外におきましてもやはりジェット基地におけると同様の騒音の発生いたします基地につきましては、同様の騒音関係の手当をいたさなければなりませんので、それを入れましてわれわれのほうは計画を立てております。したがいまして、今七基地と御指摘ございましたけれども、われわれのほうでは十七基地を対象にいたしまして、その関係防衛庁の手持ちの数字はふくれておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  67. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 資料の違いは、前回の資料は騒音被害が生じてそれに対策する必要がある学校がすべてあげられ、今回の資料はジェット機に関するもののみあげられた、このように理解をいたします。  そこで、まず最初に、ジェット基地周辺の学校における防音工事について、できれば過去三年次における、できなければ二カ年間でもいいのですが、三十四、五、六あるいは五、六等の年度において防音工事を施した学校数並びにその総額を御説明願います。
  68. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 防衛庁におきまして防音工事をいたして参りましたのは、昭和三十二年度からでございます。それで、まず金額について申し上げますと、教育施設並びに医療施設を含めまして、昭和三十二年度から三十六年、これは今年度若干まだ見込みが入っておりますが、これが総額で九億八千六百三十九万三千円でございます。それから、校数でございますが、校数は、学校が、これも三十六年度若干見込みが入っておりますが、学校が九十八件、それから医療施設が二件、合計百件でございます。
  69. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 その中で、私が最初に質問しましたように、三十四年度から実施を始めた学校数と費用の総額、三十五年度、三十六年度見込みを含めて、各年度別において学校のみの該当の数と予算総額を示して下さい。校数と学校の費用総額
  70. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 先ほど件数で申し上げましたが、学校の数で申し上げますと、三十四年度が十九校でございます。それから金額が一億四千七十三万八千円、それから三十五年度が二十校でありまして、金額が一億八千九百二十三万六千円でございます。それから三十六年度、これは若干見込みが入りますが、校数が十九校でございまして、金額が五億二千八百三十七万四千円でございます。
  71. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今あげられた数字の、たとえば三十五年度二十校、三十六年十九校という数字は、前年度から継続しておる校数が含まれていると理解しますが、間違いないですか。
  72. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 一部前年度から引き続き工事をいたします部分と、それから当該年度に工事を始めましてまだ後年度にその工事が継続する1要するにその年度に予算的に支出をしたものは何校か、こういうことでございます。
  73. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十四年度、三十五年度、三十六年度、それぞれ年次別に新たに防音工事を施行した校数をあげて下さい。
  74. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 当該年度だけで工事を始めた分につきましては、多少時間の御猶予をいただきたいと思います。
  75. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十六年度十九校、総額にして五億二千万円という予算が校数と比して非常にふくれ上がっているのは、鉄筋工事が多くなったと理解してよろしいですか。
  76. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) そのとおりでございます。
  77. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十六年度の前年度から継続しているもの、三十六年度新たに鉄筋化に着手したもの、類別してわかればお示し願います。
  78. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 三十六年度で完了した校数が二十三校、それから三十六年度の予算が入りまして、三十六年度、三十七年度と継続をいたします分が四校、それから三十六年度から三十八年度まで継続いたします計画のものが二校でございます。  なお、三十六年度で始めまして三十六年度で終わります分につきましては、若干時間の御猶予をいただきたいと思います。
  79. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 同様の質問を後刻調達庁にいたすつもりですから、資料の御用意をお願いいたしておきます。  長官にお尋ねいたしますが、自衛隊の基地そのものについて、私ども日本社会党としては憲法上からも多分の疑義を持っているのですが、このことは一応当委員会では抜きにいたしまして、自衛隊基地がある、特にジェット機があるために、一般の住民に対して騒音による多大な被害を与えている。特に人体のうちに、青少年に対して、単に学校だけでなくして、居住区においても同様の被害を与えておりますが、御承知のことと思いますけれども、一時間の授業の中に数回の授業中止をしなければならないほどの騒音がある場合もありますし、そのことによって、義務教育九カ年間を累算いたしますと、非常に膨大ないわゆる教育効果の損失を該当児童は受けているわけです。こういう事態に対して、基本的に防衛庁としては自衛隊基地は必要であるという前提に立っておられると思いますが、そういう国の施設が義務教育に対してさえも障害を与えているという点に対して、どういうお考えを持ち、どういう基本的なかまえでこれが施策を施されようとしておりますか。
  80. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 航空機の騒音によりまして、特に教育関係等に非常な影響があり、場合によっては学力低下を来たすというようなことにつきましては、私どももその事実を率直に認めるものでございまして、したがいまして、私ども、ただいま御指摘のように、この基地そののもはぜひ必要だという観点に立ちまして、その地元の住民の方々、特に青少年等に与える影響をできるだけ軽減するという観点に立ちまして、まず教育施設の防音工事等を始めたわけでございます。従来の予算の措置等必ずしも十分であったとは考えておりませんのでございますが、この観点に立って、できるだけすみやかに防音工事が完成いたしまするように、まあ来年度の予算におきましても、御批判はあり、あるいは不十分だという御指摘もあろうかと思いますが、本年度に比べては相当飛躍的な予算を盛りまして、こうした防音工事が促進できまするように努力をいたして参りたいと考えておる次第でございます。
  81. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 再度長官にお尋ねいたしますが、いわゆる学校教育に与える騒音の被害についての対策としては、防音工事を早急に施行していく、こういうことに主として問題を限定して考えておられる、このように理解してよろしいですか。
  82. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 青少年に対するいろいろな影響は、その他にもあろうかと思います。しかし、とりあえず、まず最初に手をつけなければならないのは教育施設というふうに考えまして、教育施設に重点を置いて予算等の措置をとっておるわけでございます。その他、医療その他につきましても、今後基地周辺の環境整備という意味において、いろいろと考えていかなければならぬことはあろうかと思いまして、これらは十分に研究をいたして参りたいと存じます。現段階において、まだまだ防音工事が施されないで、施さなければならない格好で施されていないものが相当に残っておりますので、これをまず重点的に取り上げたいという態度を持っておるわけでございます。
  83. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私から指摘するまでもなく、朝日新聞の三十六年十一月二十七日の夕刊によりますと、簡単でありますので読み上げますが、「政府は去る六月以来、基地問題等関係閣僚懇談会を設けて、複雑化する在日米軍基地問題の総合対策を検討してきたが、政府としては三十七年度から三カ年計画で基地問題を全面的に解決する方針である。」、こういう趣旨の報道が載っております。私もたびたび基地問題関係閣僚懇談会の責任者等にお会いしまして、防音工事の促進につきまして折衝をして参ったのですが、単に米軍基地でなくして、自衛隊基地に対しても、この基地問題閣僚懇談会が設定されて後に予算的にどう飛躍的な解決策がとられようとしておるか、現に予算の中ではどういう組み方がされておるか、再度御答弁をお願いします。
  84. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 航空機の基地といわず、基地全般について、これは米軍の基地、自衛隊の基地を含めてでございますが、その基地があるゆえに地元の住民の方々にいろいろな御迷惑をかけておる、そうしてその御迷惑をできるだけ政府全体の力として、絶無にするわけにはいかなくても、軽減をするということは、どうしてもやらなければならないことでございます。で、ただいまお尋ねになっておりまする防音工事のようなものにつきましては、これはあるいは防衛庁並びに調達庁におきまして、もちろん文部省等の関係もございますけれども、やって参ることもできます。しかし、そればかりでなく、いろいろ基地の周辺の環境整備につきましては、関係各省いろいろと関係がございます。さような意味におきまして、基地問題の閣僚懇談会を設け、あるいは基地周辺の環境整備についての協議会をもちまして、政府全体としてやっていこうということでございます。で、こうした関係からいたしまして、最もまず必要な騒音対策費につきましては、ただいま御審議をいただいておりまする来年度予算において、御承知のように相当飛躍的な増額を防衛庁関係調達関係、両方ともお願いをいたしておるような次第でございます。しかし、これだけですべてではございませんで、ただいま申し上げましたような関係各省に非常に関係のあるものにつきましては、この基地閣僚懇談会等の議を経まして、今後いろいろな面において、あるいは民生安定でありますとか、地方の開発でありますとか、そういう問題につきましても、特に基地周辺なるがゆえの考え方をもちまして対処して参りたいと考えておる次第でございます。
  85. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでは、前向きにやりたいということだけは了解できましたが、三十七年度予算の中で、新規に防音化する学校の数と予算、それから同じく三十七年度において、三十五年度あるいは三十六年度から継続して防音工事を施行しておるところの学校総数と予算、両方に分けてお答え願います。
  86. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 三十七年度予算でお願いをいたしております防音関係の校数並びに予算でございますが、まず学校の数といたしましては十六校、これはもっとも予算の積算上の数字でございまして、実行計画上は、地元との御相談の上で進めていきます関係上、若干ふえることあるいは減ることがございます。一応予算積算上は十六校でございます。その予算額は十二億四千六万三千円でございます。そのほかに医療施設が六つばかりございまして、これが一億九千百五十八万四千円、合計いたしまして十四億三千百六十四万七千円、これだけの要求をいたしております。  それから、三十六年度から引き続いて行ないますものは、予算面上はこの十二億四千万の中に入っております校数といたしましては六校でございます。三十六年度から始めて三十七年度で終了するものが四校、三十八年度までかかりますものが二校、合わせて六校でございます。
  87. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 継続事業の六校ないし四校が十二億四千万の中に入っておるということですが、そうすると、三十七年度新規の十六校の中にはこの六ないし四というのは入っておるのですか。
  88. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 新規のものは十六校でございます。この中には入っておりません。それから、ただいま申し上げましたそのほかに、前年度からの分六校がほかにあるわけでございます。
  89. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 新規でない継続事業の四校が十二憾の中に入っておるということですが、新規の十六校の予算は幾らですか。
  90. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) ちょっと、そろばんを置きます間、時間の御猶予をいただきたいと思います。
  91. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 調達庁にお尋ねしますが、先ほど防衛庁にお聞きしましたように、三十四年、三十五年、三十六年と、防音工事を行なってきた学校総数とその費用の説明をお願いします。
  92. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 三十四年度について申し上げますと、三十四年度が校数三十三校でございます。金額にいたしまして三億三千一百万円。三十五年度が二十八校でございまして、金額は約六億二千六百万円。三十六年度で実施中のものが、校数にしまして十一校でございまして、金額にして八億九千九百万円。こういうことになっております。
  93. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十七年度新規に予定してある校数と、その新規のみの予算の概数をお願いします。
  94. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) 三十七年度といたしましては、全体で四十一校を考えておりますが、そのうち鉄筋化を考えているものが二十九校でございます。二十九校のうち前年度から継続するものが九校、本年度新しく手をつけるものが二十校。それに並行工事その他木造の改造ということになりますが、予算的には鉄筋化のほうが約十二億を予定しております。それから並行工事が、これはこの中には病院のほうも入れてございますが、病院のほうを三施設予定しておりますが、それを入れまして一億三千七百万円、その他の木造の部分が約九百万円というふうに予定しております。
  95. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体今日までの概数は出て参りましたが、提出されました資料によりましても、ジェット機の騒音で八十フォン以下のものも若干ありますけれども、八十以上のフォンの該当数が全国で、米軍関係が百三十校程度あります。同様に、自衛隊の基地関係も大体その程度に上っていると思うのです。こういう膨大な学校数に対して、私ども率直な受け方としては、調達庁、防衛庁のこれを早急に解決したいという誠意は認められないことはないのですけれども、そのテンポがあまりにおそきに失する。なるほど工事としては毎年次増加し、該当校もふえていることも事実であります。これは皆さん方の努力の結果と思いますけれども、しかし、このテンポで進んでおりますと、かなり長年月を要すると思うのですが、まず現在の状態が維持される——もっと詳細にいいますと、機種の変更、飛行場の拡張によってはかなり変更を来たしてきますけれども、それを一応考えないで、現状が維持されると見て、自衛隊の飛行場並びに米軍基地関係で何年くらいの間に鉄筋、木造等の防音工事を終了したい、こういうめどを持っておられましょうか。それぞれ長官からお答え願います。
  96. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のように、従来、と申しますのは、三十六年度までのこうした騒音対策の、特に学校の防音工事等についての予算が必ずしも十分でなかったと思います。そういう点からいたしまして、はなはだまだ、おそらく該当校数にいたしまして、米軍基地並びに自衛隊の基地を含めまして半数程度のものしかできていないと思います。しかし、先ほども申しましたように、来年度におきましては、自衛隊においては約五億程度のものを十四億程度に、それから調達関係においても七、八億だったと存じますが、それがやはり十四億近くに増額をいたしました。私どもといたしましては、こういう情勢を入れまして、特に防衛庁全体、調達庁を含めまして防衛庁全体といたしまして、この防音工事には施策の重点を置きましてやって参りたい。もちろん、財政上その他いろいろの問題はあろうかと思いますが、少なくとも三十七年度の予算にお願いをいたしておる金額以上のものを引き続き盛りまして、そうしてできるだけ早い機会に全部の工事を完了いたしたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、何年くらいかとおっしゃられますと、財政等の関係もございますので、はっきり申し上げられないとは思いますが、現在までの予算に盛りました金額と三十七年度にお願いをいたしておりまする予算の比較等からお考えいただきまして、相当テンポは急速に早まるということは御理解いただけるのではないかと考える次第でございます。
  97. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいま大臣から調達庁のほうのことも御説明があったのであります。ちょっと補足して御説明申し上げますが、調達庁としましては、この鉄筋化につきましては、三十七年度以降大体五ヶ年、その他の教育施設につきましては大体七カ年間に完了するということを目途として、計画を進めておるのでございまするが、もちろん今後このような年限は短縮したいということで、財政当局ともよく協議をして進めて参りたいと、こういうふうに考えております。
  98. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 関係主計官は出席しておりますか、大蔵省の……。官にお尋ねいたしますが、この問題については、被害を受けておる地元の意向あるいは被害の実情については、地元民からも、関係各庁からも十分お聞き取りと思いますが、私どもの承知しておる範囲内では、主計官ですから、これは根本的な問題の答弁にならないと思いますけれども、やはり各庁が、要求した予算よりもかなり下回って予算が査定されておることは事実です。基本的に、ことに学校防音工事に関しての各庁の予算要求に対して、担当主計官としては査定の機会にどういう考え方でやっておられますか。
  99. 新保実生

    説明員(新保実生君) 基地周辺の騒音防止のための予算につきましては、地元の方々の非常に強い御要望なり、あるいは豊瀬先生の前々からの御注意もございまして、私どもとしては事務的にも相当努力して参ってきておるのでございますが、ただいまお尋ねの中に、要求額に対してかなり下回った予算になっておるのではないかという御指摘でございます。要求どおりというわけには参りませんけれども、いろいろな防衛庁なりあるいは調達庁の各種の予算の要求の中では、私ども気持としましては、一番重点を置いた最優先事項というような気持で仕事をして参っておるのでございます。ただいまそれを数字的に、要求がどうで、実際今お願いしておる予算との比率がどうなるかということを、ちゃんと数字的には申し上げられないのですけれども、これはおそらくお調べいただきましても、ほかの経費の要求に比べますと相当優先的に扱われておるということが御了解願えるのではないかと思っております。総額におきましては、ただいま防衛庁調達庁のほうから申し上げたとおりでございまして、三十六年度の約倍ということになるわけでございます。先生も御承知のように、予算で前年度の倍というのはなかなかそう多くはないわけでございまして、私どもとしましては、今後とも騒音防止対策の予算充実強化という点につきましては努力して参るつもりでございます。
  100. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 昭和三十五年十二月二十日、参議院文教委員会において調達庁から提出された「鉄筋化防音工事計画等について」という資料によりますと、「三十六年度以降対象予定のものは、学校三十九校、約四十四億四千万円であるが、調達庁としては、昭和四十一年度までの六カ年間において実施したいと考えている。」、こういう方針のもとに各飛行場別の該当数あるいは説明資料がついておるのですが、現在のところも、この三十五年の十二月、参議院文教委員会に提出された方針について相違ありませんか。調達庁の方に伺いたい。
  101. 林一夫

    政府委員(林一夫君) おおむねただいま御指摘のありました方針に基づいて計画を進めて参ってきております。
  102. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 昭和三十五年の十二月では、四十一年までの六カ年計画において実施したいと考えておられたけれども、昭和三十六年十一月で、政府の方針として三十七年度から三カ年計画のもとに画期的な防音対策を実施していく方針であるという新聞発表が行なわれておりますが、この朝日新聞所載の三十六年十一月二十七日の夕刊の、三カ年で基地問題を全面的に解決していきたいという方針は現在どうなっておりますか。この新聞報道は虚報ですか。それとも、事実であるとするならば、どういうふうに進んでおりますか。
  103. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 先ほど御説明申し上げましたように、調達庁の方針といたしましては、教育施設のうち、鉄筋化につきましては三十七年度以降五年間、その他の教育施設につきましては、七年間に完了するということを目途として計画を進めておるのであります。そのときに申しましたように、もちろんこれは一応の目途でございまして、この年限の範囲内に完了するように努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  104. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、三十六年十一月二十七日の政府の方針決定という、三カ年計画というのは虚報ですか、事実ですかとお尋ねしておる。
  105. 林一夫

    政府委員(林一夫君) その報道がどういうところから出たか知りませんが、調達庁としての方針は、ただいま申し上げましたような方針で計画を進めていくつもりでおります。
  106. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、林長官は、政府が発表したと伝えられている三十七年度から三カ年で全面的に解決していく方針であるということについては、今日まで全然関知していない、政府の方針であるかどうかも知らない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  107. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 私が申しましたのは、従来私どもが考えておりました方針としましては、先ほど申しましたような五年間と七年間というような方針で計画を進めて参りたい、こういうふうに考えているのでございますが、もちろん、この五年間とか七年間とかということにこだわるのではないのであります。この年限内において、さらに短縮いたしたいというようなことで考えているのでございます。そのような考え方が、政府の方針であると私は考えます。
  108. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 藤枝長官にお尋ねいたしますが、政府は、私が再三読み上げている三十七年度から三カ年計画のもとに全面的に解決していく方針であるということを決定した事実はございませんか。
  109. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 政府としてそういう具体的な決定をいたしたことはございません。ただ、基地問題の重要性にかんがみまして、防音工事を含めた基地周辺の環境整備について、できるだけ早くあらゆる手段を尽くして解決するようにという意味において、基地問題閣僚懇談会等では話し合っていることはございますが、ただいまお話しのように、具体的にそういう決定をいたしたことはございません。
  110. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 基地問題等関係閣僚懇談会で今日まで論議されてきた主たる問題、あるいはその結論的なものがありましたらお知らせ願います。
  111. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この騒音対策のような防衛庁あるいは調達庁だけで、と申しては多少語弊があるのでありますが、もちろん財政の問題もございますが、それでやれますものは、これは防衛庁なり調達庁として最善の努力を払って、先ほど来お答え申し上げたような方針をとっているわけでございます。そのために、先ほども申し上げたように、基地あるがゆえに地元の住民の方々がいろいろな不利益、有形無形の不利益をこうむっておる、これをできるだけ緩和するというためには、単に防衛庁なり調達庁ばかりではございませんで、農林省や建設省その他、各省にまたがって総合的な施策をしていただかなければならぬものがございます。したがって、そういうことについて関係閣僚の間に懇談会を設け、総合的な施策をやっていこうということでございます。昨年の夏設置されましてから今まで、閣僚懇談会で大きく論議いたしましたのは、富士演習場についての民生安定に関する問題でございまして、その一部は解決をいたしているというようなことでございます。さらに、まだ解決の問題には至っておりませんけれども、ある種の方針をきめて、その方向で今後研究しようといたしておりますのに、上瀬谷の通信基地の問題等がございます。おそらく今後はこうした問題が、噂に米軍施設ばかりでなくて、自衛隊の基地についても考えていかなければならぬ、また閣僚懇談会で、ある種の方向を打ち出さなければならぬ問題が出て参ると思います。
  112. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 再度長官にお尋ねいたしますが、まあ事件としての大きな問題だけの御説明があったと思いますが、現に生じている自衛隊飛行場周辺、あるいは米軍基地周辺の基地反対闘争とか、あるいは地元民とのトラブルという具体的な事件の処理解消ということも、きわめて重要なことだと思いますが、同時に私がたびたび質問して、長官も基本的には早急に実施すべき必要があるという認識に立っておられる、学校防音工事の促進等について、基地問題等関係閣僚懇談会で論議の議題となったことはございますか。
  113. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) これはたびたび申し上げますように、こうした問題につきましては、防衛庁あるいは調達庁の責任においてやらなければならないことでございまして、従来はその問題について閣僚懇談会の議題になったことはございませんが、しかし、今後この鉄筋化についての地元のいろいろな問題等もございます。これは単に防衛庁あるいは調達庁ばかりでなくて、自治省なり文部省なりその他とも関連のあることがございます。そういう問題の生じた際には、なお閣僚間の意見の統一をはかるための協議をいたすこともあろうかと存じております。
  114. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 林長官にお尋ねしますが、現行の特損法並びにその施行令の適用の範囲内だけでは、現存する基地周辺の被害諸問題の解決には不十分の点があると認められておりますか。それで十分であると考えておられますか。
  115. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 先ほどから御説明がありましたように、まず学校の児童に与える影響というものを考えまして、また各基地周辺の関係者の方々の御要望もございまして、まず教育施設の防音工事を優先的に扱うという方針で進んで参ってきているのであります。そのような意味におきまして、防音工事につきましては、まずこの学校施設、病院施設ということに重点を置いて進めて参りたいと考えております。そのような意味におきまして、この特損法のほかに特に新たな立法措置が必要であるというようなことは現在考えておりません。要は、学校防音工事等を早期に実現するということであると存じますので、この線に沿って十分努力して参りたいというふうに考えております。
  116. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 特損法による損失の補償という第一条の定めは、きわめて内容としては広範囲にわたっているかのごとく見えながら、一についても、二についても、政令で定めるもの、政令で定めるものと、いずれも具体的には政令の定めに委任しております。そうして、その施行令を見ますと、学校に関しては、学校教育法による学校教育の事業、第二に、海上運送法等云々、第三に、医療法……調達庁長官が定めるものと、こういう制度になっておるようです。その他いろいろあるようですが、端的に申しまして、人身だけでなくて、各地、各種産業に与えておる騒音の影響というものは、かなり甚大なものだということを認められております。こういう特損法の改正は別問題として、現行の政令で、地元民の被害を完全に解消できる、あるいは地元民の被害の解消の訴え、要求等についても、現行政令の適用の範囲だけで、完全に解消できる、こういうふうにお考えですか。
  117. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいま、私の説明は、防音工事についての説明を申し上げたのでありますが、たとえば防音工事につきましても、現在の政令で、学校、病院ということになっておりますが、そのほか、最近に至りまして、その他の社会施設の防音工事もしたらどうかというようなことで、強い要望がありますので、そういうような点も考えまして、今後、政令の改正で十分カバーしていきたいというように考えております。
  118. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現行政令では不十分であるという御認識のようですが、社会福祉施設とか、あるいは養老院とか、その他の、そういった施設について、政令の改正の必要を認めておられるようですが、いつごろそれを着手したいとお考えですか。
  119. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 先ほども申しましたように、社会福祉施設に対する防音工事の要望は、相当各方面にあるのでございまするが、現在のところは、いろいろの関係で、まず、教育施設の防音、次いで病院についての防音工事というようなものに重点を置いて進めて参っておるのであります。現在においてもあるいは今後も、できるだけ早く、この教育施設の防音工事と合わせて、医療施設に対する防音工事を進めて参りまして、このようなものについての見通しがつきました場合には、その他の公共施設の防音工事を合わせて考えて参りたいと思います。その場合においては、政令の改正等も十分検討して、なるべく早く実現したいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  120. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 学校施設の防音工事を優先していきたい、それをできるだけ早く解消したい、こういうお考えについては、全面的に賛成ですが、現在までの学校施設に対する防音工事に対して、「医療法による病院又は診療所において行なう医療保健業であって、調達庁長官が定めるもの」これに対して、防音工事を施したパーセンテージがおわかりならお示し願いたいと思います。大まかな数字でけっこうです。
  121. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) 医療法施設につきましては、昭和三十三年度に一件、三十四年度に八件、三十五年度に八件、三十六年度に二件、計十九件でございます。
  122. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 藤枝長官にお尋ねいたしますが、林長官がお答えになった学校防音工事を、義務教育であるがゆえに、特に優先してやりたい、このことは、防衛長官も御同様の見解であろうと思いますが、そのことを早急に完了していくということと同時に、特損法あるいは政令の改正によって、現在適用されていない諸問題についても広げていくということが、政府の基地周辺の民生安定の方策として、相いれないものであるかどうか。私としては学校防音工事を林長官の言うように早急にやりたい、これもけっこうです。だが一方のほうが犠牲になっていくのを、現段階ではやむを得ないという考え方については、了承できないのですが、閣僚の一人である藤枝長官としては、当然学校防音関係は一日も早くやるべきである、同時にその他のものについても、民生安定という広い視野のもとに、政府の保障あるいは対策措置が必要である、私はこのように考えるのですが、一方をやれば一方ができないというかね合いの問題ではなかろうかという見解を持つのですが、いかがですか。
  123. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 原則的には御指摘のとおりだと存じます。ただ現在、何分にもこれは申しわけないことではございますけれども、学校の防音工事がおくれている、そうしてこれを早急に完成したいというときでございますので、学校あるいは病院等に重点を置いておりますが、もちろん財政上の都合その他も考慮いたさなければならぬけれども、考え方としては、基地用辺の一般的な環境整備という問題についても、政府としては取り組んで研究をしていかなければならぬという基本的な考え方は、御指摘のとおりだと存じております。
  124. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いろいろ例をあげていくと時間が長くなりますので、省きますけれども、単に学校で防音工事を施されても、自宅に帰りますと、騒音の影響を受けている。また老人あるいは病人または健康な人たちでも、九大の調査によりますと、難聴をきたしてみたり、神経衰弱的なものになっていると思います。したがって、政府としては、調達庁の特損法の適用、あるいは防衛庁の現在の権限責任の範囲内でやっていきたいと、このこともわからないではないですけれども、やはり基地問題の抜本的な解決としては、学校防音工事の優先は当然のことですけれども、やはり全体の基地周辺の民生安定の方策が確立され、その中でたとえば三カ年間のうちに学校防音の工事をやる、医療機関はその次にどの程度やっていく。あるいはその他の社会福祉施設に対してはどうしていく。一般の住民の心身に対する影響については、いつごろまでに調査が終わって、結論が出たらどういう対策をしていくと、こういう民生安定に対する長期かつ広範な視野に立った施策というものが、必要ではなかろうかと思う。私は朝日新聞の三十六年十一月二十七日の夕刊の記事は、そういう善意の見解に立った政府の一つの決意表明であったのではないかと思う。こういう気がするのですが、現在ないとすれば、基地問題関係閣僚懇談会等、しかるべき機関において、単に防衛庁調達庁の所管の範囲内ということではなくて、総合計画、早期完全実施という施策が必要な時期がきているのではないかと、このような判断に立つのですが、長官の御見解を承りたいと思います。
  125. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のとおりでございまして、現在は学校の防音工事に重点を置いておりますけれども、基地周辺の全体の環境の整備ということは、今後これはいろいろ御議論はあろうと思いますけれども、私はその基地を保持していくことが適当だという観点に立ちますれば、なおさらのこと、その基地あるがゆえに受けまする地元の方々のいろいろな積極、消極の不利益等について、それをできるだけ軽減するということが必要です。したがいまして、それを防音工事としてはどの程度まで拡大することが適当である、あるいはまた、その他の施策を地元の地方公共団体にしていただき、そうして、それに対していかなる政府が助力をするかというような問題につきましては、総合的にやらなければならないわけでございます。そういう意味におきまして私どもも早急にそういう計画なり総合的な考え方を取りまとめて参って、関係各省と十分連絡協議をいたしたいと存じております。ただ、何分にも周辺の環境整備と申しましても、その所々によりまして非常にいろいろと地元の要望その他も千差万別でございます。したがいまして、これをある種の法規的なものにまとめ上げるということがなかなか困難ではないかと思います。したがって、行政措置としてそうした方向で総合的な計画を考えていくという方向に現在も進み、将来も努力をして参りたいと考えております。
  126. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 自衛隊の現状あるいは基地の現状を認めるという前提に立っての考え方は、それでけっこうと思いますが、たとえば板付基地におきましては、市議会あるいは市当局、住民一致して移転の決議を行なって、一日も早く板付基地が移転することを強く要望しておることは御承知のとおりであります。で、民生安定という角度から立つならば完全に、自衛隊が違憲であるかどうかという問題は別にして、第一段階としては都市の周辺あるいは中心等にある、いわゆる住民に強く影響を与えておる位置の変更とかあるいは縮小とか、こういったことも民生安定という高視野から考えてくると当然検討されなければならない問題です。で、再度藤枝長官にお尋ねいたしますが、こういった問題の責任ある閣僚の一人として、かなり強く住民に影響を与えている、ほかの形式的な面で言うと、都市の近くにある自衛隊の飛行場については、移転撤廃等も含めて同時に民生安定という問題を検討される用意があるかどうか。
  127. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) この基地の存在地でございます。ただいま御指摘のように、非常に市街地に近いというような面につきまして、もし他に適当な所がありますならば、それも十分考えなければいけないと思います。ただ、何分にも狭い日本の中でございますので、他に代替地を求めるといっても、なかなかそれも困難だというような点もございます。しかし、それは全然そういうものは考慮しないで、現在あるのはもう何が何でもそこに置くんだというような考え方ではございませんで、他に適当な代替地が得られるならば、それももちろん財政的な関係もございますけれども、十分考慮しつつ基地周辺の問題というものは考えて参りたいと考えております。
  128. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この際例をあげることは、例そのものが非常に妥当性を欠く欠陥を持っておりますが、たとえば千歳の飛行場にいたしましても、数年前はあの基地に札幌から行く間には熊が出たという話も聞くんですが、あそこに基地ができてから早急に開けて、非常に密集した住宅地になっているわけですね。これは、そちらに移ってきた人間が悪いんだと言ってしまえばそれまでのことですけれども、当時はあまり都市に対して影響を与えないという判断をされておった飛行場においても、現段階ではかなり影響を与えてきておる状況です。こういう点から考えて、民生安定という角度から、自衛隊の基地の移転、廃止等について今日まで検討を加えられたことがございますか。純粋の自衛隊の設置法に基づく目的からではなくして、その地域に与えている民生安定という角度からそういう検討をされたことございますか。
  129. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 現在まで自衛隊の基地を移転しようというのを民生安定の面から考えた例はないと記憶をいたしております。しかしながら、先ほど申しましたように、非常に市街地に密接している部隊の基地等について、他に適当なものがあり得るならば、それも考えつつ、基地周辺の問題を考慮していくということは、私どもの考え方でございますので、将来にわたりましては、そういう面も含めて研究をいたしたいと存じます。
  130. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 各基地の周辺から現行特損法の具体的な拡大の問題として、たとえば児童、生徒の共同学習所であるとか、あるいは公民館に対する防音工事等の要求が来ていることは、御承知のとおりであります。特に板付基地の周辺の福岡市での例をあげますと、たびたびこれは委員会においても指摘したので十分御承知でしょうから、簡潔に申し上げますが、地域の住民構成のといいますか、父兄の教養度というのは、逐次箱崎中学校においては高まっているにもかかわらず、入学率、文部省の学力調査による抽出テスト等によりますと、学力が低下、高等学校の入学合格率としては低下してきているわけです。こういう点は、直接学校の中における教育効果の低下と同時に、家庭における学習効果の低下も同時に行なわれていることは、御承知のとおりであります。こういう点を考えまして、単に現行特損法政令の適用という範囲内では、現存している被害の実態に対しては、少なくとも義務教育という問題に限定をいたしましても不十分であることは、御承知のとおりであります。こういう点を考えて、やはり先ほど御答弁なさった全体の角度に立って、民生安定ということが早急に検討さるべき時期に来ていると思うんですが、たとえば激甚地に対する自衛隊、あるいは米軍基地等の周辺に単に学校防音工事を施すということでなくして、かなり生徒の収容できる広さ、たとえば三年生で高校受験該当者だとか、こういった者を収容できるような共同学習所的なものを設置してもらいたい、こういう要望を多年にわたって要請してきているんですが、そういう問題に対して検討をしておられましたならば、そのことに対する御見解を承りたいと思います。
  131. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいまお話しのありましたような御要望のありますことは存じております。また、はたしてそういうものが現在の行政的な面、あるいは法律的な面においてやり得るかどうかというようなことについても、検討はいたしております。ただ、そういう今御指摘のような共同学習所というものになりますると、これははたして防衛庁なり、調達庁がそういうものを設置してあげるというようなことがいいのか、あるいは地方の公共団体がその地方に適した施設をやり、それに対して国家的な援助をするというようなことがいいのか、その辺もなお検討の余地があるのじゃないかと思います。思いますが、いずれにいたしましても噂に防音工事、学校の防音工事ばかりではなくて、そういうものも含めて先ほど申しましたように、今後十分に研究をして参りたいと思います。
  132. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 林長官の御見解を承りたいと思います。
  133. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいま大臣から御説明がありましたように、たとえば共同学習所というような問題につきまして、今後教育施設に対する防音工事というようなことを優先的に扱いながら、あわせてそのような施設についても、基地周辺対策の一環として検討して参りたいと存じます。
  134. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 藤枝長官にお尋ねいたしますが、調達庁の計画では、鉄筋五ヶ年計画、木造七カ年計画、自衛隊も同程度のテンポで実施したいというお考えのようですが、御承知のように当時の騒音の度合い、あるいは頻度等によれば木造でよかったものが、数年を出ずして鉄筋化の必要を生じたのは、若干の例があることは御承知のとおり。したがって、現在の基地の中でひとまず木造にする、二、三年の間に機種が変更されたためにさらにそれを改築をして鉄筋化にしていく、こういうことになると非常にむだが多いと思うし、また被害の防止という点から考えても効果が少ないと思うのですが、この際思い切って木造防音というのはあまりやらないで、防音の必要なところは騒音の度合いと頻度に先がけて、先を見越して鉄筋化の必要があると考えておるのですが、かなり木造化も逐次鉄筋化の方が比重を占めてきておることは認めますけれども、まだ木造の防音工事もかなり含んでおると思いますが、基本的に、学校防音工事には、学校の施設という意味からもまた防音対策という意味からも、原則として、鉄筋化をはかるべきだという見解を持っておるのですが、原則論としてどうお考えでしょうか。
  135. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のとおりでございまして、私どもも鉄筋化を原則といたしておりますが、ただまあ、地元の御要望等で木造でも防音工事を施せというような御要望がございますので、すべてを鉄筋化いたしておりませんけれども、原則としてはそういう方向で今後も処して参りたいと考えております。
  136. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 林長官の御見解を…
  137. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいま大臣から御説明があったとおりでございます。
  138. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 次にお尋ねいたしたいのですが、長官の御答弁の中に、地元公共団体が施設して国が適当な補助をするということも考えられる、こういう御見解のようだったのですが、基本的には自衛隊あるいは米軍基地がある、そのために住民はもとより、地方公共団体もそれに対するかなりの予算的な影響というか、被害を受けておることも事実です。したがって、やはり自衛隊基地あるいは米軍基地のあることによって生じてくる被害対策というものは、国が当然責任を持って早急に実施すべきものである、こういうふうに考えるのですが、御見解いかがですか。
  139. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) これはもちろんこの被害の対策としては、国が責任を持ってやらなければならぬことだと思います。私、先ほど申し上げましたのは、そういう観点に立ちつつ、地方の公共団体にはいろいろ独自な考え方もございましょうから、そういうものを一方においては十分考慮に入れつつ、もちろん被害対策の責任は国にあるという基本は捨てるものではございません。
  140. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 昨年、文教委員会から北海道の千歳基地あるいは松島等を視察いたしたのですが、その際に千歳基地であったと思いますが、周辺の高等学校の防音対策の問題として、防衛庁のほうから現存しておる施設のそのままの防音工事でなくして、生徒急増に伴うところの先を見越した防音工事も施してやってもよろしいというふうに受け取れるような見解の披瀝があっておるので、ぜひともそういうふうになるように努力をお願いいたしますという陳情を受けまして、そのことは私どもの委員会の報告書に書いたと思いますが、私どもとしては、現在の高校急増の現状からして、当然そういう措置が必要だと思いますが、自衛隊周辺の特に生徒急増の要素を持っておる高等学校の施設については、そういう点も加味して防音工事を施行していくという方針でございますか。
  141. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私どもの防音工事につきましては、現状と申しますか、それに対しての国の支出でありまして、急増対策と申しますか、将来の高校生の急増を見越して拡張的な工事をやるまで防衛庁あるいは調達庁として認めるということは考えていないわけでございますが、ただ急増対策として、国の、これは文部省系統の国の補助その他があります場合に、それと並行してやるというようなことは、これは考えられると思います。ただ防衛庁だけで、その急増分まで見るということは、現在においては考えておりません。
  142. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 たとえば、三十六年に三十七年度の防音工事の予算の計数を算定される、その際に、現に三十七年度は二学級増というのが見込まれておる、そして全面的な鉄筋化の改築が行なわれる、こういう段階には、たとえば二学級分をふやすために、三教室をふやすならふやすということがすでにそのときの実施計画として策定されておる。こういう場合には、当然現存しておるものだけ防音工事をしても、新たに、設置者が二学級、三学級ふえるものについて木造の建物にしても、すぐ防音工事の問題が及んでくると思うのです。こういう事前に明確に計画が決定しておるものについては、そこまで見るということは至当の措置だと思うのですが、このことについてどういう御見解ですか。
  143. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいま御指摘のような場合に、文部省が急増対策としてそれが必要だと認められる場合は、それに並行して防衛庁といたしましても処置をいたすことになろうかと存じております。
  144. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ただいまの例に対して、調達庁の措置としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  145. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 調達庁といたしましては、従来の考え方は、現在の施設を基準といたしまして防音工事の補助をするということでやってきたのでございます。現状をもととして防音工事をするということだけでも、なかなか十分全部の希望校をまかなうだけの余裕がない。そういうような関係上、現在の施設を基準といたしまして防音工事を進めていくというふうにやってきたところでございます。
  146. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 特損法の建前からして、ただいまの御答弁は当然のことと思いますけれども、先ほど防衛庁長官に御指摘申し上げましたように、本年度実施の学校は、全国の基地関係で二十もある。そのうちの少なくとも三校は三十七年度から二教室増、こういうことがはっきり地方自治団体の予算に組まれ、あるいは組むという方針が決定しておる場合に、現存のものだけは鉄筋化する、あとの残りは地方自治体が木造にする、被害度合いというのは鉄筋よりも木造のほうが多くなるのですから、そうするとそこをまた改築して新たに鉄筋化する、これは特撮法の建前からすると、そのとおりにやらざるを得ないでしょう。しかし、そういう国の施策としてむだなことを法律上そうなっておるからやむを得ませんということでは、きわめて杓子定規といいますか、むだなことだと思うのです。そういう点では特損法の改正になるのか、解釈によってできるのか、あるいは政令の改正等によってできるのか。そういう点については、明らかに予見できるといいますか、もっと強い言葉で言えば、決定に絶対に間違いないようなものについては、同時に施行されていくような決意のもとに、予算の策定をさるべきではないかと思いますが、再度調達庁長官の御答弁をお願いします。
  147. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 先ほども申しましたように、この教育施設に対する防音工事の要望は、各基地周辺から非常に数多くあるのであります。全般的になるべく早くこの教育施設の防音工事を完了したいという念願のもとに、現在の施設を基準といたしまして防音工事の計画を進めておるわけであります。もちろん今後この見通しがつき次第、全体的計画の見通しがつき次第、そのような点もあわせて検討いたしたいと思います。
  148. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 再度調達庁長官にお尋ねいたしますが、鉄筋五ヶ年、木造七カ年ということですが、たとえば板付飛行場におきましても、米軍の基地ですから胴体が完全に三角になっているコンベアというのですか、あれが入ってみたり、かなり大型の四発の爆撃機等がかなり、私三月に帰りまして、頻度多く飛んでいますね。この騒音は私の自宅は従来は滑走路から四、五百メートルの距離にあったのですが、現在は八キロ程度離れているのですけれども、それでもやはり子供がこわがってすがりつくという程度の騒音を発しています。こういう点から考えてみますと、特に自衛隊については基地の変更については、自発的に改正が行なわれていく可能性を持っていますけれども、米軍の場合は、こちらに事前通告して基地を変えますということはないと思うのですね。そうすると、どうしても防音工事のほうが、基地の変更による被害度の増大に対して追つかないというのが現状でなかろうかと思う。それから見ますと、どうしても五ヶ年間というと、小学校に現在入っているのがほぼ終わるころ、七カ年となるともう中学も終わっていく。こういう義務教育の過程においては一番おそく施行されたものについては、ほとんど義務教育が終わるころまでの間には、その恩恵を受けないということになりますね。この人たちの一生に与える影響というのは、目に見えないけれども、若干は現われておりますけれども、非常に大きなものがあると思う。したがって、今日までの努力なり、ことに今年度の予算が飛躍的にふえましたことにつきましては感謝申し上げますけれども、やはり現在の航空機の発達度合いに即応した短期計画のもとに、少なくとも学校防音工事は完成していくという決意でないと、誠意は認めるけれども、具体的な恩恵に乏しいという結果をもたらすと思うのです。こういう点について現在策定されておる五ヶ年とか七カ年とか、あるいは早急の間に実施してきたいということをいま一歩進めて、一日も早く完成していきたい。これの年度は簡単にお答えができないと思うのですが、三年でありますか二年か、こう聞いてもお答えができないと思うのですが、今のテンポよりも、一そうテンポを早めるように両長官に努力を願いたいと思いますが、御見解いかがでしょうか。
  149. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) その点につきましては、自衛隊あるいは米軍の基地を含めまして、いろいろ財政的な関係もありましょうけれども、一日も早くこのテンポを早めるための最善の努力を今後ともはかっていきたいと思っております。
  150. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 新保主計官に、ただいまの件について担当主計官としての御見解を承りたいと思います。
  151. 新保実生

    説明員(新保実生君) 学校の防音工事の促進につきましては、仰せのとおりでございまして、予算的にも今後大いにこれが充実に、私どもとしては配慮をして参りたいと思うわけであります。御参考までにこれも御承知のことと存じますが、三十三年度米軍と航空自衛隊との関係を合せまして一億三千万円程度であったわけでございますが、それが三十四年に三億七千万円、三十五年に六億五千二百万円、三十六年に十三億五千万円、三十七年に二十七億五千万円でありますが、そういうふうになっておりますので、将来何年の計画であるということは、ちょっと申し上げにくいわけでございますが、過去の伸びの状況から見まして、この二十七億ということしの予算にしても、単純に横ばいというようなことでもなかろう。そういうことではなくて、  さらに一そうこれが促進されるように、われわれとしても努力いたしたいと考えております。
  152. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 この際、防衛庁長官にお尋ねをいたしておきたいのですが、昨年の三月二十三日であったかと思いますが、本委員会におきまして当時の西村長官に私が質疑いたしました際に、防音対策の一環として自衛隊基地のジェット機に対しては消音器を取りつけたい、こういう御回答があった。松島であったかと思いますが、現物を見ましてね、やはりかなり周辺に与える騒音の度というのは違っているようですが、現在消音器は全飛行場ジェット機に対してどの程度つけられておりますか。
  153. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 数字は政府委員からお答えいたしますが、来年度の予算におきましても固定、移動を含めまして多分五個だと思いますけれども、予算にお願いをいたしておるようなことでございまして、このサイレンサーの設置につきましては、今後とも努力をして参りたいと思っています。
  154. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 数字について申し上げます。昭和三十五年度からただいま仰せになりましたサイレンサーの採用をいたしておりまして、昭和三十五年度が六個、これは移動式のものでございますが、昭和三十六年度、今年度が八個でございます。それからなお三十六年度には固定式のものを一個採用いたしております。
  155. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これは各飛行機に一つずつつく品物でありませんから、少なくともあすこで整備をする場合には、どうしても必要なものですから、早急に各基地にまず少なくとも一個取りつけるように御努力願いたい。飛翔する場合は、これは使用できないのじゃないかと思いますが、整備の際の音響といいますか、飛行機がとまっているときが、格段の騒音を出しておりますので、御努力願いたいと思いますが、これも調達庁のほうにも米軍にも同様な要請を行なっていただくようにお願いをいたしておりまして、西村長官はそういう努力をしますということでしたから、どちらの長官からでもよいですが、米軍の消音器の設備の話し合いはどう進んでおりましょうか。
  156. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 米軍の基地におきまする消音装置の設置でございますが、現在米軍といたしましては、本国から消音装置を取り寄せてテストしております。その成績によりまして、改良に改良を加えまして、いいのを全基地に配置するという計画で、現在はテストいたしておる状況でございます。
  157. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 米軍も自衛隊も同様ですが、滑走路の進路といいますか、延長線ではこれは困ると思うのですが、そうでない、滑走路がこういうふうについておるとしますと、整備をする際に、こういう方向を向かないで、こちらの方向を向いて整備しておるはずです。そうすると、こちらの住民というのは非常に、私もこのあたりにおったために、私のほうが移転したのですが、このところの私どもの土地の人たちの希望としては、かなりの高い防音壁といいますか、それを設備してもらったならば、少なくとも整備の際の騒音の被害からはある程度逃がれられる、こういう要求があるのですが、このことについて、両庁とも検討を加えられたことがございましょうか。
  158. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 防音壁につきましては、多分小牧だと存じますが、実施をいたしたと思います。この点は考究をいたしております。ただ、現在まででは、必ずしも十分な防音効果を上げておらないんじゃないかと思います。なお検討はいたしたいと思います。それと同時に、自衛隊につきましても、始動いたす場所の選定等も十分考慮させますし、あるいはまた、米軍に対しましては、やはり同様に始動の場所についてその移動を要請をいたして、一部それを要望をいれておる米軍基地もあるようでございます。そういう点もあわせて考えたい、こういうふうに存じております。
  159. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あと一、二問で終わりますが、板付の基地の米軍司令官に地元の代表が会いました際にも、いわゆる特別の軍事目的がない限り、夜間飛行はできるだけ遠慮したい、こういう回答がきておったのですが、現在米軍にどういう軍事目的があるかは知りませんけれども、現在も夜間についてかなりの、板付基地においては飛翔を行なっておることは事実です。こういう点に関しまして、自衛隊としては、都市上空等においての夜間訓練等についてどうお考えか、お聞きしたいと同時に、米軍の全基地に対して夜間飛行の遠慮といいますか、減少については、どういう折衝が行なわれて、どういう回答が得られておるか、お答え願います。
  160. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 夜間の飛行、これはその任務によりましては、どうしてもやらざるを得ないことも、しばしばあるわけでございます。しかし、できるだけ夜間飛行については、その任務達成に支障のない限りセーブするという方針はとっております。またどうしても任務達成上夜間の訓練をしなければならない場合におきましても、その飛翔の方向その他につきましては、十分考慮をいたしてやらしておるような次第でございます。また米軍に対しましても、その点につきましては、同様の趣旨において申し入れをいたし、一部においてはその要望をいれておるところもあると存じております。
  161. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 両長官から御回答がありましたように、現在の各省庁の職務権限の範囲内で防音工事を促進していただくということは異議ございませんが、一日も早く、特に義務教育諸学校における防音工群の促進方についてお願いいたしますとともに、基地全体の民生の安定については、単に特損法の定めにかかわらず、抜本的にこれを改正する検討なり早急にしていただきまして、ぜひとも基地が完全に一日も早くなくなり、自衛隊の飛行場が廃止されることを強く望むのですけれども、それが実現されるまでの過程として、民生安定のために格段の努力をすることをお願いいたしたいと思います。  なお最後に、冒頭に質問しました久留米の射撃場の問題について、回答を承っておきます。
  162. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 冒頭に御質問のありました久留米の射撃場につきまして、事故の原因と事後措置について申し上げたいと思います。眺弾の事故の原因には、通常石や障害物にたまがスリップいたしまして飛ぶ場合、それから銃の射撃によりまして、銃の手元が狂う場合と、両方あるわけでございますが、当日の事故は、摘出されましたたまの痛み工合から見まして、石もしくはそれに近い障害物にぶつかりましてスリップしたものと思われます。なお当日は、地元の幹部候補生学校の学生部隊ではありませず、付近の少し離れた連隊がやっておりましたので、おそらく演習場にも不なれであったろうし、若干の練度におきましてもまちまちの隊員がおったのではないかと推定します。  その事後とりました措置につきましては、そのような事情で、従来は幹部候補生学校のように非常に練度の高い学生がやっております場合には、事故はなかったのでありますが、そういった事情によりまして、事故の生じた以上、何とか慎重にやらなければいけまいということで、いろいろ協議しまして、一時は地元の学生に限り短距離射撃をやろうかという意見もございましたが、事故が起こった直後でありますので、なお慎重を期しまして、この射場は当分閉鎖しまして、同呉下にあります付近の内山射場で現在は射撃をやっております。なお、被害者につきましては、補償金を約七十万円払いました。学校長以下ポケットマネーを出しまして、そういう措置をとりまして、幸い被害者もその措置を了とされまして、療養も順調に進んで、現在は健康で生業につかれているというふうに聞いております。
  163. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 御答弁に対してあげつらうほどのことはありませんけれども、当時私どもが社会党の調査団として学校長に面談して調査した際には、射撃の選手が撃っておったので、よほどの事実でない限りこういうことは起こらないで、射撃場の不備とはどうしても考えられない、こういうお話しであったのですが、下手な者が撃っておったのじゃないように聞いておりますけれども、そういう問題は別にして、射撃場からたまが飛び出して人に当るということが二度も起こるということは重大問題ですから、今後とも十分の御留意をお願いいたしたい。これで終わります。
  164. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 先ほど御猶予いただきました数字が出て参りましたので、御報告いたします。当該年度で防音工事を始めまして、その年度でもって工事が終わったというものにつきましては、昭和三十四年度が十六校でございまして、百万単位で申し上げますが、一億五百万円、三十五年度が十二校で一億一千万円、三十六年度が十四校で一億一千二百万円、三十七年度の予定が先ほど申し上げましたように、十六校で八億五千万円でございます。
  165. 田畑金光

    田畑金光君 時間の関係もありますので、ひとつ二、三点だけお尋ねしたいと思いますが、まず最初に、二月一日の発行で、「政府の窓」で、藤枝防衛庁長官が細川隆元氏と対談をしておられまして、いろいろ抱負経綸を述べておられますが、その中で、特に今後防衛産業の育成発展に留意して参りたいというようなお話がございますが、長官にひとつ防衛産業育成論を承っておきたいと思います。
  166. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、わが国の自衛隊発足当初は米国の供与、あるいは無償援助等によってやって参ったわけでございます。しかし、それらの供与品等も年を経ましてだんだん古くなっておるわけで、これを更新していかなければならぬのでございます。あるいは艦艇、航空機等につきましても、国産に切りかえていかなければならない。また、米国の軍事援助の面から考えましても、だんだん経済力の充実した国に対しては直接の軍事援助は削減していくという方針でございます。したがって、どうしても自衛隊の持ちます装備、あるいは艦艇、航空機等、できるだけ国産に切りかえていかなければならないわけであります。現在御承知のように、国民の総生産から考えますると、防衛庁の発注いたしまするこれらの装備その他は、航空機等を除きましては非常に全体としてはわずかなものでございます。それと同時に、従来各その年度々々におきまして発注をいたしまする装備等につきましても、必ずしも一定をいたしておらない。したがって、これを受け取る、この防衛関係産業をいたしまするほうにおきましても、計画が立ちにくく、設備等の改善等もなかなか思うようにまかせないということでございます、この三十七年に至りまして、陸上自衛隊の装備品甲類等は五ヶ年間に一括長期契約をお願いいたしておるようなことでございまして、今後こうした長期の見通しのもとに立ちまして、これを受け取る防衛産業の面につきましても、計画的に生産ができまするように努力をいたし、そうして、ただいま申しましたような、だんだん米国の軍事援助も減って参る、あるいはその他の関係からいたしましても、できるだけ国産化の率を上げていくという方向に進んで参りたいと考えておる次第でございます。
  167. 田畑金光

    田畑金光君 まあ、かりに三十六年度、あるいは三十五年度でもけっこうですが、今御答弁になりましたように、国民総生産の中で、防衛庁関係の発注、あるいは生産というものがどの程度の比率に上っておるのか、航空機を別にしたら非常に少なくて話にならぬというお話ですが、国民総生産の中で航空機を含めて一体防衛生産というものの比率はどの程度に上っておるのか、これが一つ。それからもう一つ、同時に御答弁願いたいことは、防衛五ヶ年計画というものができて、いろいろ今後の防衛力整備計画の概要というものがわれわれに示されておりますが、その防衛力第二次整備計画の中で、アメリカの援助というものの推移はどういうことになっていくのか、これと関連して、今お話しの国内における防衛生産防衛産業を通じ、国内において発注するという金額の推移はどうなっていくのか、これを一つ。
  168. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 最初の防衛産業の国民総生産に占める比率でございますが、かりに防衛庁の国内の調達額と、駐留米軍の特需額の合計を防衛生産と見なしましてこれと、国民総生産額との比率を求めますと、三十五年においては〇・六%にすぎません。もっとも品目別に言いますれば、たとえば武器の弾薬のようなものは一〇〇%近い、あるいは航空機などは九〇%に近い、こういうものもございます。しかし、全体としては、ただいま申し上げましたような、〇・六%程度でございます。もっとも国民総生産額とただいまのような比較をいたしますのが、はたして妥当かどうかということは、多少問題があろうかと存じます。いずれにいたしましても、現在占めているウエイトは低いものでございます。五ヶ年計画におきましては、ただいま御審議をいただいておりますように、先ほど申しました、たとえば陸上自衛隊の装備品甲類というようなものは、これは一括五ヶ年の長期の発注をできるように御審議をお願いいたしているわけであります。第二次防衛計画におきましては、御承知のように、大体毎年度平均百九十五億ないし二百十五億の増ということを考えているわけでございます。もちろん、そのときどきの年度の予算の情勢、財政の情勢その他で動くわけでございますが、今第二次防衛計画として考えましたのは、平均百九十五億ないし平均二百十五億ということでございます。その中におきまして、対米期待額というものは、約九百億を見込んでいる次第でございます。
  169. 田畑金光

    田畑金光君 三十五年度の軍需生産〇・六%というお話しでしたが、金額はこれは幾らなんですか。
  170. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど申しましたように、防衛庁の国内調達額と駐留米軍の特需額の合計を一応考えまして、これが千五十四億でございます。総生産額が十六兆九千九十七億。
  171. 田畑金光

    田畑金光君 今度の第二次五ヶ年計画の最終年度というと、昭和四十一年度になるわけですが、昭和四十一年度にはどういうようなこれが比率になるわけですか。
  172. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 四十一年度末までにどのくらいということは今試算をいたしておりません。それから、先ほど申しましたように、この総生産額と防衛生産額を比較するのがはたして妥当かどうかという問題もございます。ただこれは非常に大胆な、あるいは迷うかもしれませんが、予想をいたしますると、この〇・六%というのがそう大きく動いてくるということではないのじゃないかと考えております。
  173. 田畑金光

    田畑金光君 陸上自衛隊の資材装備については、五年計画を見通して、継続的に発注するというようなお話しですが、それは資材、装備等の内容は具体的にどういうものですか。弾薬その他いろいろあると思いますが、それと関連しまして防衛産業を担当しておる工場ですか、たとえば冨士重工とか、いろいろありますね三菱新重工とか、等々の会社についても発注先が大体予定されておると思うのですが、そういう発注先並びに発注量等々について一応きまっておるならば、あるいは内定しておるならば、それもあわせてひとつ御答弁願いたいと思います。
  174. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 陸上自衛隊で三十七年度予算から要求をいたしております一括発注の兵器類を申し上げますと、まず中型の戦車でございますが、これが九十両、それから装甲車百二十両、百六ミリの無反動砲三百五十門、新機関銃九百挺、大型雪上車二十両でございます。
  175. 田畑金光

    田畑金光君 金額、で幾らになるわけですか。
  176. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) これは予算上の見積もりの金額でございますが、中型戦車が七十九億三千九百万、それから装甲車が二十六億四千万、百六ミリ無反動砲、十一億二千万、新機関銃が九億二千四百万、大型雪上車が一億八千六百万、合計いたしまして百二十八億九百万円でございます。
  177. 田畑金光

    田畑金光君 これは三十七年度の分で毎年、こういうような、たとえば陸上自衛隊の装備品でもこの程度の発注というものは継続されるというわけですか。
  178. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) これは三十七年度の歳出のみならず、三十八年度以降の国庫債務負担行為を含めました数字でございまして、契約は一括契約をいたしますけれども、歳出化される分はたとえば三十七年度でございますと、さっき申し上げました百二十八億九百万円のうちで三億四百万円が歳出として要求をいたしておるわけでありまして、三十八年度以降に逐次歳出化される、こういうものでございます。
  179. 田畑金光

    田畑金光君 それからアメリカの援助というのは、これから五年計画のうちに毎年どのような推移を予定されておるのか。先ほど総額九百億ですか、のお話がございましたが、年度別にどういうことになっているのか。
  180. 海原治

    政府委員(海原治君) 先ほど大臣からお答え申し上げました総計約九百億という五ヶ年計画におきますところのアメリカの対日援助の見込額につきましては、一応当時計画を作成いたしましたときの見積もりでございます。具体的にはたとえば来年度におきましては二百億をこえるものがあるんじゃないかという見積もりがございますが、一応各年百八十億といたしましたので、これは漸減をしていくという形で、総額におきまして、たとえば軽戦車であるとか、あるいは艦艇の装備品であるとか、そういう特定の品目を定めましたものが、毎年々々の援助計画の作成によって逐次品目が確定されていく。したがって額もそのつど変わっていく、こういうことで一応大づかみの数字を九百億ということで考えた、一般の予想といたしましては逐次漸減をしていく、こういう考え方でござい  ます。
  181. 田畑金光

    田畑金光君 今、お話しのだんだん減っていくという見通しでございますが、そうしますと、これまた今から予想は困難であるかもしれませんが、昭和四十一年前後のアメリカの援助の予定というのは、どの程度予測されておるわけですか。
  182. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいまも申し上げましたように、一応五ヶ年間を大づかみでとってみまして、その間で具体的な品目で申し上げてみますと、先ほど申しましたような軽特車あるいは百五ミ自走榴弾砲、百五十ミリ自走榴弾砲、自走砲車M42、艦艇装備品、対潜ヘリコプターの搭載用の兵器であるとか、半自動警戒指揮組織、バッジと称しておりますが、こういうものの関連部品、あるいはナイキ、ホークの関連装備品、こういうものが一応品目としては考えられております。それがアメリカのほうの日本に対して援助いたします毎年度の計画と何と申しますか調整をいたしまして出て参りますので、今、御質問がありましたように、四十一年度末に何億になるかということにつきましては、実は推定をいたしておりません。そういう事情もひとつ御了承いただきたいと思います。
  183. 田畑金光

    田畑金光君 きょうの新聞で私読んだのですが、きのうですか、米国防省の技術開発調査団が日本にやってきて、いろいろ防衛庁当局と話し合いを進めておるようですが、技術資料の交換とか、技術援助の可能性調査のため日本にやってきた、こういわれておりますが、この調査団の目的はどういうことなんですか。
  184. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 今回の調査団は、米陸軍省の研究開発部の国際課長ヨーク大佐を団長にいたします十名程度でございます。これはただいまお話がございましたように、防衛関係技術について、技術関係資料を交換する可能性がありやいなや、あるいは技術援助についての可能性がありやいなやということを調査するということが目的でございまして、昨日第一回の会合をいたしましたが、その席においても、そういうことで話し合いをいたしておるような次第でございます。
  185. 田畑金光

    田畑金光君 技術資料の交換とか技術援助の可能性があるかどうかということですが、もっとこれは内容を掘り下げて、どういうことなのか、いろいろな面にわたって話し合いをなさるようですが、説明願いたいと思うのです。
  186. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 具体的の内容につきましては、昨日から会談が始まっておりまして、昨日の会談では、今言った目的それから米国の研究開発の状況の説明がありまして、本日こちらの研究開発をいたしておりますおもな内容につきまして説明をいたすようなことになっております。
  187. 田畑金光

    田畑金光君 でございますから、アメリカの説明された研究開発というのは、どういう内容の技術説明されておるのか。これに対して防衛庁としても防衛庁みずから技術研究本部を中心に研究開発された実績についての説明を交換でなさるそうだが、それは一体どんなものを取り上げておるのかということです。
  188. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 米国のほうで話しました内容は、どういう機構でどういう程度でやっておるかということでございまして、そう具体的な内容のものではないと思います。こちらから説明いたしますのは、特に今度参りましたのは、陸の関係でございますので、機関銃でございますとか小銃でございますとか、そういったものの研究開発をこちらでやっておりますので、そういうものの内容を説明することになっておると思います。
  189. 田畑金光

    田畑金光君 これはしばらく前の新聞でございましたが、今度の調査団の一つの目的が、兵器日本での域外調達を目的として来るであろうというような、数口前に新聞でも見ましたが、現に二十六日、昨日来たわけです。アメリカのほうにおいても、いろいろ兵器については、アメリカの兵器東南アジアの国々に送るというよりも、むしろ日本において生産し、日本東南アジアの国々に送るということが実際的だろう、こういうようなことで、いわゆる兵器の域外調達ということをアメリカとしては考えておる、こう言われておるのですが、そういう点についての話し合い等はこれからなされるのか、なされないのか。もしそのような事態に対して向こうから話し合いがあったとすれば、日本政府として、あるいは防衛庁として、あるいはまた防衛産業を育成していこうという立場からいうならば、これは藤枝長官の持論からいうなら、域外調達OK、こういくのがこれはほんとうじゃないかと思うのですが、この辺はどういう御方針ですか。
  190. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 今回の視察団は、ただいまお話しのような域外調達というようなものまで調査する目的は、全然持っておりませんので、先ほど申しましたような資料の交換の可能性あるいは技術援助の可能性について話し合うということでございます。また先ほど申しましたように、向こうの調査団も主として技術関係のものでございまして、そういう域外調達等について話し合う権限を持っておる人ではないようでございます。したがって、今回の技術の相談につきましては、ただいま御指摘のような域外調達とかいう問題についての話し合いは行なわないというふうに考えております。
  191. 田畑金光

    田畑金光君 今度来た方は権限のない人であるかもしれませんけれども、私のお尋ねすることは、アメリカが兵器日本で域外調達して、東南アジアの国々に出そう、出したい。こういうこともこれは当然予定されようとこう思うのです。やはり防衛庁長官のお話しのように、防衛産業というものを育成し、もっと発展させていこう、こういう考えをとる限りにおいては、これは国内産業に、自衛隊の発注というものをもっと継続的に関連産業に契約されることが必要であるし、あるいは駐留米軍の調達ということも継続的に必要であろうし、やはりそれだけでは、なかなか今の日本の関連産業の中においては、防衛産業として育てていくということは、これは容易でないと思うのです。総生産の中で〇・六%程度の受注しかないとするならば、そういうことになってくると、当然、日本東南アジアの自由陣営諸国に対する兵器工場としての役割を果たしていくということが、今後のひとつの方向としては出てくるのじゃないか、こう思うのですが、そういうような行き方に対して防衛庁長官としてはどういう御方針かとお聞きしているのです。
  192. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 単なる産業振興という面から見れば、ただいまお話しのような点も考えられないではないと思います。しかし、これは一面においてアメリカの例のドル防衛政策もございますし、また日本としてさような立場に立つのがはたして妥当かどうかということは、これは十分今後考えなければならないことでございまして、私といたしましては現在その方向を考えるよりも、まず国内の自衛隊の発注にかかる各種の装備品等について計画的な長期の発注をいたしまして、これを生産する産業の基盤を作って参りたいというふうに考えております。
  193. 田畑金光

    田畑金光君 同じくきょうのこれは読売新聞で読んだのですが、明日米海軍の使節団として海軍省の兵器計画部次長ロック博士以下三名が日本にやって来る、その目的は、例の対潜水艦哨戒機のP2V7の次期機種の問題について、これは今の予算の中にも出ておりますが、この問題について、飛行艇の問題ですが、この問題についていろいろ日本防衛庁と相談をする、打ち合わせをするというために来るようでありますが、これは事実なのかどうか。さらにこの使節団とどういう話し合い、あるいはどういう内容のことを相談されようとするのか、この辺の事情をひとつ御説明願いたいと思います。
  194. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいま御指摘の点は、防衛庁が対潜飛行艇の設計の資料を受けるために米軍から供与を受けましたUF1飛行艇、これは現在実施の工場は新明和でございますが、そこで解体あるいはそれのさらに再組立等をやっているわやでございます。これに対しましてアメリカの技術者が技術的な勧告を行なうために来日するということを聞いております。これはあくまで今の飛行艇の改装について技術的な勧告を行なう技術者が数名来るというふうに聞いております。
  195. 田畑金光

    田畑金光君 御答弁によりますと、聞いておりますというお話しで、何か第三者的な話し合いをお聞きしているようで、肝心の防衛庁当局が、今お話しになりました米供与の水陸両用の飛行艇UF1というのですか、これを防衛庁としても、いろいろ試作して将来の新しい機種に採択されるという方針で進められているとわれわれは見ているのですが、そうじゃございませんか。今のお話は何か聞いているとか、向こうでだれか言っているようなお話しですが、防衛庁としてはそういう傍観的なあれはおかしいと思いますが。
  196. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 防衛庁といたしましては、ただいま申し上げましたように、UF1の飛行艇を米から供与を受けまして、これは技研が中心になりまして、実施工場は新明和で解体し再組立をし、将来の対潜飛行艇の母体にしようとして研究しているわけでございます。これについての予算も御審議をお願いしているわけであります。それに対して米国の技術者が技術的な勧告を行なうために来る、こういうことでありまして、このUF1の研究につきましては、防衛庁としては非常に力を入れてやっているわけであります。
  197. 田畑金光

    田畑金光君 その御答弁でわかりましたが、三十六年度も予算を取り、三十七年度も予算措置を現に防衛庁はとって、今のUF1の改装あるいは開発について非常な熱意を示しておるわけですから、いずれは技術的な問題が解決されるならば、将来新しい機種としてこれは採択される方向にいくものだと考えておりますが、そう理解してよろしいですか。
  198. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま将来の対潜哨戒機として採択する考えがあるかというような御質問でございますので、一応私どもが二次計画を考えました過程におきます考え方を申し上げてみたいと思いますが、御存じのように、二次計画は三十七年度、この四月一日から向こう五ヶ年間で考えられております。この五ヶ年の計画におきましては、今のUF1を改造しましたような対潜哨戒にあてるための飛行艇というものにつきましては、具体的にこれを将来いわば第三次計画と申しますか、二次計画のあとでそれを作るかどうかということは決定いたしておりません。ただ将来のことも考えまして、一応飛行艇についての基礎的な技術面の研究と調査、その結果あるいは開発にいくかもしれませんが、開発にいくという前提で考えておりません。したがいまして、先ほど大臣からお答えいたしましたような、新明和におきますいろいろなデーターの集まってくる工合によりまして、かつ将来の三自衛隊の姿ということにも関連いたしまして、あるいは対潜哨戒機といたしましてこれを生産するということになるかもしれません。現在におきましては、そういう方向で、そういう見込みのもとにやっておるものではございませんということをひとつ御了承願いたいと思います。
  199. 田畑金光

    田畑金光君 今回のアメリカの視察団は、直接はその仕事をやっておる新明和のほうで呼んで、いろいろ技術的な検討等も話し合いを進めるようですが、こういうような場合は、この種アメリカのほうから持ってくる技術というか、こういうような技術の問題は公表されるのですか。あるいは例の防衛秘密保護法による秘密事項の中にこれは入るわけですか、どういうものです。
  200. 海原治

    政府委員(海原治君) 現在新明和の手において開発されておりますUF1につきましては、具体的には私の記憶では防衛秘密に該当するものはないかと存じておりますが、今後の研究開発の結果によりましては、あるいは防衛秘密的な指定が行なわれる可能性ということは考えられます。現実にあの飛行艇につきまして、防衛秘密の指定を受けた部分があるかどうか、私の現在の記憶ではないと存じておりますが、なおこれは調査いたしました上でお答えいたします。
  201. 田畑金光

    田畑金光君 藤枝長官は、防衛産業の今後の発達のためには、いろいろな研究開発等も並行して積極的に進めなければならない。しかし日本の今日の状態においては、いかなる秘密にわたる兵器開発をやっても、その秘密を保持することができない、国家機密を守る法律というのは一つもない、そういう点でアメリカから特に機密度の高いものを譲り受ける、あるいは教わるということは困難だ、まことに遺憾である、こういうことを言われておるわけですね。幸いに今度は刑法の改正試案が出たが、スパイ活動を防止する規定が入るということで非常に期待して喜んでおる、こういうお話しですが、この点はどうですか。細川隆元氏と話しておられるのですから、またごまかした御答弁でなく、率直に、私はこう考えるのだ、今言ったアメリカから入ってくる飛行艇の開発についても、相互武器開発援助協定の締結についても、非公式に打診したい、こういう意向のようですが、その点はあわせて政府としては、そういう場合にはどういうお考えなのか。
  202. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私は日本工業水準というものは、米国その他各国における兵器の軍事科学と申しますか、軍事技術科学、こういうものに相当追いつけるものだと考えております。しかしながら、そういうものの中には相当機密度の高いものがございます。せっかくこちらにそういう技術的な水準としての態勢はあっても、なかなかそういうことがやり得ない部面もあろうかと、そういう意味で、単に兵器、いわゆる軍機というようなものでなく、一般的に国家機密を保護する何らかの規定はあってもよいのではないかという気持を持っております。したがいまして、今回の刑法改正案というものは、そういう意味で注目をいたしておるのでございます。しかし、現実にただいま第二段でお尋ねの、先ほどの飛行艇について、それを相互開発援助協定を結ぶというようなことにつきましては、まだ何ら結論を得ていないわけでございまして、そういうものを開発援助協定に結びつけるかどうかということは、今後の研究に待たなければならぬと思っております。
  203. 田畑金光

    田畑金光君 御趣旨はややわかりましたが、しかし、これはどうなんですか。政府としては、今回のアメリカの海軍視察団の来日を機会に、長い間の懸案であった次期対潜水艦の飛行艇の開発ということは、これは本格的に取り上げて進めるということになるのじゃございませんか。
  204. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 将来の対潜飛行艇というものをどういうふうに考えるか、これは先ほど防衛局長も申しましたように、今、現在のUF1の改装によってそれを充てるというものではございません。ただ、日本の海上自衛隊の現況からいたしまして、対潜兵器と申しますか、対潜航空機というものは重視しなければなりません。また、日本技術におきましても、特に耐波性の問題等につきましては、相当優秀な技術を持っておるわけでございますから、この飛行艇の調査、開発研究こういうことに十分力を入れて参りたいと考えておりますが、それを直ちに開発援助協定に結びつけるということにつきましては、ただいまのところは考えておりません。で、今後の研究に待ちたいと思っておる次第でございます。
  205. 田畑金光

    田畑金光君 時間も経過しましたので、私は最後に自衛隊員の募集の問題ですね、この間の予算委員会でも質問があって、政府はそれを肯定する立場で答弁されておりましたが、これはいつかの新聞で上野の駅で浮浪人と言ったらなにですけれども、家出をした、いなかから出てきた青年を募集して、そうしてそれを自衛隊に入れているということですが、この間の予算委員会での質問に対して、答えはもう否定をなさっておられなかったのです。まことに驚いたのですが、これはどうしてそんなことをなさっておられるのか。   〔主査退席、副主査着席〕
  206. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) たとえば地方から東京に就職、あるいは集団就職その他の方法で就職された。しかし勤務先が必ずしも適当でなくて、そこをやめたというような人があります。こういう人に対しまして、防衛庁なり自衛隊のあり方等を説明し、その人が自発的に、それでは自衛隊の試験を受けてみようかというようなことも、これは幾つかの例もございます。そういう意味で、いわゆる街頭の募集ということもやっているわけでございます。ただ、先般のあの事態そのものは、必ずしも事前の措置、連絡等が十分でなかった点はあろうかと思います。しかし、町にいる一般の人たちの中でも、そういう意味で自衛隊の内容等を承知すれば、それでは自衛隊に志望してみようかというような人もございますので、いわゆる街頭の募集ということもやっているわけでございます。ただ、ここで御理解願いたいのは、そういうことで募集いたしました者でありましても、これは十分に学力あるいは身体の検査もいたしますし、身元の調査もいたしまして、いわゆる前科者というような者は全然採っておらないわけで、身元の確かな者だけを採っているわけで、その意味においては、やはりこうした募集の方法も考えることはよろしいのではないか。ただ、やり方その他については、十分今後改善を加えて参りたいと考えております。
  207. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと、今後も街頭募集というようなことをやられるわけですか。街頭募集をやるような場合ですね、一体何ですか、旗でも立ててやっているのですか。それとも、うろついているのがいたら、警察官でも尋問するがごとく、どうかというようなことでやっているわけですか。
  208. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、募集の事務は、いわゆる地方連絡部の部員がやっているわけでございまして、その身分証明書その他持っておりますが、別に旗を立てたり何かしているわけではございませんし、また、警察官が尋問するようなことでやっているわけではございません。ただ、募集をやっている者はなかなかそういうことで努めてやっておりますので、自衛隊の内容等を書きましたパンフレットその他をそうした街頭の人たちにお渡しをしているというようなのが現状でございます。
  209. 田畑金光

    田畑金光君 自衛隊の募集に要する予算というか、費用というのはどれくらいなんですか。年間にどれくらいをこれは見積っているわけですか。
  210. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 三十七年度で要求いたしております募集のための経費は二億四百七十四万三千円でございます。
  211. 田畑金光

    田畑金光君 それは、たとえば地方の市町村等に対して委託して募集をやるというような場合には、補助金として交付してやっているわけですね。
  212. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) これは、ただいま御指摘の地方公共団体に対する募集の委託費も含んでおります。全部の募集に関する経費でございます。
  213. 田畑金光

    田畑金光君 今私のお尋ねしました、たとえば上野駅で立ってやっているというのは、それは自衛官なんですか。それとも東京都の、何か公務員なら地方公務員がやっているのですか。
  214. 小野裕

    政府委員(小野裕君) ただいまお尋ねの、たとえば上野駅というお話でございますが、それに出ております募集の係員は、東京地方連絡部所属の自衛官でございます。ときに、やはり私服の事務官もおりますけれども、大部分は地方連絡部所属の自衛官でございます。
  215. 田畑金光

    田畑金光君 制服を着てやっているのですか、私服ですか。
  216. 小野裕

    政府委員(小野裕君) 制服の者もおりますが、自衛官が私服着用で出ている者もおります。
  217. 田畑金光

    田畑金光君 長官にお尋ねしますけれども、そうまでしなければ集まらぬということが、これは非常な問題だと思うのですけれどもね。もっと何か自衛隊は自衛隊員としての誇りを持たすことが大事だと前の西村長官もお話になったし、藤枝防衛庁長官のお話の中にもよく出ているのですが、どうして誇りを持たすかということ、あるいは自衛意識を自衛隊員が強く持つということも大切だとお話になっておりますが、そういうことまでしなければ隊員が集まらぬということは、まことにどうも自衛隊員としての誇りどころか、非常に自衛隊員の誇りを傷つけるような結果になると思うのですが、この点はどうお考えでしょうか。
  218. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 自衛隊の募集は、もちろん原則として市町村その他にお願いをいたし、また、地方の連絡部の部員が地方に出向きまして、自衛隊の内容その他につきまして十分な説明をいたし、そして志望をしてもらうことが通例でございます。御承知のように、最近における経済事情からいたしまして、若年労働者等の払底から、一方において、会社、工場等も相当地方に入りまして、いわゆるスカウトというと言葉が悪うございますが、若年労働者のスカウトをいたしているようなわけで、なかなか自衛隊の募集も、必ずしも思うにまかせておらないわけです、結局この自衛隊に入った者が、数年の自衛隊の教育を経まして、そうしてさらに第二の人生を踏み出すわけでございます。したがって、自衛隊を除隊した者がスムースに第二の職場に入れるような、あるいは職業訓練であるとか、あるいは雇用者側、経営者側との十分な連絡であるとかいうようなものを考える、あるいはまた、自衛隊の中におきまして、十分特技を修得させるというようなこと、さらには制度そのものにつきましても、自衛隊に安心して入れるのだというようなこと、また、自衛隊のあり方、自衛隊の内容等について、さらに一そうの一般国民の方々の理解をいただくような方法等、この募集がなかなか思うにまかせないのに対しまして、別に特効薬はございませんけれども、ただいま申し上げましたような幾つかの施策を総合的にいたしまして、そうして充実に努めて参りたいと考えているわけでございます。
  219. 田畑金光

    田畑金光君 沖縄の場合は今どうなっているのですか。沖縄でやはり募集しているのですか。また、今度沖縄の新政策で、沖縄に対する日本政府の援助等も相当これはふえていって、新たな政策が展開されるようですが、今まで沖縄についての募集等はどうなっていたのか、今後どうなるのか。
  220. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) たしか昭和二十八年だったと思いますが、このときはこちらから沖縄へ参りまして募集業務をやったことがございますが、その後は沖縄へ防衛庁のほうから出向いて募集をしているというようなことはございません。現在のところ、私どもは、特に沖縄についてどうしようということを考えておりませんが、ただ、西村前長官が、現在の高等弁務官であられるキャラウェイ中将に、沖縄で募集をすることについての考慮を申し入れたという事実はございますが、その後は特にそうした沖縄においての募集ということを考えたことはございません。
  221. 田畑金光

    田畑金光君 私は、もっとほかの問題もありますけれども、きょうは時間の関係もあるし、内閣委員会でまた別の機会に御質問申し上げることにして、ただ、特に一つ考えてもらいたいことは、上野の駅頭でああいう姿や方法で自衛官を募集するということは、まことにどうも不見識きわまる態度であり、また、その結果を見ましても、あなた方がそんな努力をなされて、じゃあ、たくさんの自衛官が募集に応じてきたかというと、この間の予算委員会の答弁を聞いておっても、労多くして収穫はないのです。むしろ私は、より失う面が多いと、こう見ておるわけで、まあ十分ひとつこの点は再検討願いたいと、こう思のです。  以上だけ申し上げて、私の質問を終わります。
  222. 海原治

    政府委員(海原治君) 先ほど調査することを約束しました防衛秘密の件、結果がわかりましたので、お答えいたします。  先ほどFU1におきまして防衛秘密があるかどうか、私の記憶では、ないと申し上げましたが、調査いたしましたところ、やはりMSA協定に基づく秘密保護法の対象となる防衛秘密はございません。
  223. 下村定

    下村定君 私は、午前の本分科会におきまして、通産大臣に次の二つの質問をいたした。  その第一は、先ほどから申されております装備国産化、ひいて防衛事業の育成という、これにつきましては、後ほど藤枝長官にお伺いしたいと思う。  第二の点は、ただいま田畑委員も御指摘になりましたが、目下アメリカの国防省から来ております技術開発調査団、その性格、それからこれに対するわが政府当局の態度ということをお尋ね申し上げたのです。それに対しては、通産大臣から、先ほど藤枝長官のお述べになりましたと同じような御答弁がありましたから、これは繰り返しません。ただ、田畑委員質問の中に、国の一般総生産に対する防衛生産費の比率ということ、これは私は、午前には通産大臣にこういうふうにお尋ねしたのです。それは一般じゃなくて、国の全般の金属工業生産、それと防衛生産費の比率、これをお尋ねいたしましたところが、通産大臣から、三十五年度は一・一%、三十六年度は一・二%であるという御答弁をいただきました。この数字はお認めになりましょうか、長官にお伺いいたします。
  224. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私のほうでは、実は金属工業生産というものについてどういうふうに分数してよろしいのか、通産省とまだ十分に打ち合わせばいたしておりませんので、ただいまおあげになりました数字を私のほうといたしては持っておりません。
  225. 下村定

    下村定君 昨年西村長官は、三十五年度につきまして同じ数字をあげておられた。すなわち、比率は一二%であるということを申しております。私がこの数字をお尋ねしましたのは、一体兵器生産というものの比率が、全般に対してどういう程度にあるかということを一例としてお伺いしたわけです。そこで、兵器装備国産化、それから防衛生産の育成ということになりますが、これをやるかやらぬかということを考える一つの理由として、全部じゃありません。一つの理由としては、現在日本防衛庁、自衛隊が持っておりますいわゆる在来型の兵器、これの価値はどういうことが一つの理由になろうかと思います。これは先週、ここにおられます矢嶋委員その他から質問がございまして、総理大臣防衛庁長官並びに科学技術庁長官からそれぞれお答えがありました。で、そのお答えは、述べ方はいろいろ違いますけれども、とにかく、依然としてこれは維持し、開発する必要があるのだというふうに私は承ったのです。ただ、御説明が、時間の関係で非常に抽象的でありましたので、あれだけの御説明では、この問題が世間でいろいろ言う人があるのに対しまして、少しもの足りないのじゃないかと感じる次第であります。それで、はなはだ恐縮でございますが、列国、ことに強力な核兵器を持っておるソビエト、アメリカ等の態度、それから日本の国土防衛という見地から、並びにアメリカに対する共同防衛の見地から、この在来兵器の価値というものは、日本としては依然として重大であって、維持開発をする必要があるという点について長官からお伺いしたいと思います。
  226. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 予想される国際紛争というものは、これはちょっと多種多様で、どうと断定はできないと思います。しかしながら、現在の核兵器の発達の度合い、あるいはそれの運搬器具の発達、こういうものが、しかも東西両陣営において、非常に高度に発達したという現状を考えまするときに、いわゆる原子兵器というものが、これを使わない、いわゆる抑制力としては強く働くと思うのでございますが、これを初めから、使用するということは困難というかもう不可能に近い状態ではないかということが考えられます。したがいまして、いわゆる全面戦争でありますとか、全面戦争を誘発するような核兵器を使用した局地戦というものは、まずまず考えられないのじゃないかということがまず第一段階として前提になるわけであります。しかしながら、そうかといって、第二次大戦後しばしば世界の各地で起こっておりまするいろいろな国際的な紛争、あるいは国際的な背景を持った国内的な紛争というものを考えて参りまする場合に、こうした在来兵器による紛争というものは、なお今後も起こってくる可能性というものは相当にあるのではないかと考えられるわけでございます。こういうことを前提にして考えました場合に、そうしてまた、日米安保体制というものが根底にありまするわが国の立場といたしまして、そうした在来兵器による紛争を未然に抑制する、あるいは不幸にして万に一そういう事態が起こった場合に、これを制圧するというための装備というものは、これはどうしてもわが国の事情として必要ではないか、そうして、その意味において在来兵器の、しかも、それをできるだけ近代化していくということは、やはりわが国のとるべき道であるという考え方に立ちまして、私どもは与えられた条件のもとにおきまして、在来兵器の、しかも、それが進歩したものをできるだけ装備いたしたいと考えておる次第でございます。
  227. 下村定

    下村定君 次の質問に移りますが、先ほど長官の御答弁によりますと、現在自衛隊の持っております兵器、特に陸上の兵器は非常に衰損しておる、旧式化したものもたくさんある。これを従来はアメリカから補充し、更新してもらっておったのであるが、今はそれができない。困難であるのみならず、ドル防衛の見地からも国産化の必要があるというふうに承りました。なお、これは主としてただいまの御答弁は質についてと思いますが、量につきましても、私はやはり国産化の必要があると考える。   〔副主査退席、主査着席〕 これはもうこまかいことは私から申し上げるのはさかさまでございますから略しますけれども、私の知っておりますところでは、現在自衛隊の持っております兵器は、もう平時の定員に対してぎりぎりの数量である。しかも、全部がいつも使えるわけではない。若干のものは、もうしばらく修理その他で使えないのだということを聞いておる。で、伺いたいのは、現在の定数に対して、これはむずかしい問題かもしれませんが、大体どういう兵器はどれくらいの割合でいつでも使えるのか、つまり稼働率ということについて何か数字を伺いたい。
  228. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) ただいまのお尋ねの現在の持っておりますものの稼働率でございますが、一例をあげますと、たとえば、戦車等につきましては、大体九〇%から九三%ぐらいはそのまま稼働ができるということでございます。その他いろいろございますが、たとえば戦車を例にとりますと、大体九三%ぐらいは稼働し得る状態にあるということでございます。
  229. 下村定

    下村定君 飛行機はいかがですか。
  230. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) たとえば航空機のうちで、86F等は九四・四%という数字が出ております。それからP2V−7は八七・二%という数字がでております。
  231. 下村定

    下村定君 今の率は比較的高いものをあげられたのではないかと思うのでありますが、いずれにしましても、人員に対してぎりぎりの兵器を持っておる。あと何もないということになりますと、不幸なことでありますが、一たんいくさが始まったときには、たちまち壁にぶつかってしまうと思う。昔のいくさでは、いくさが始まりましてから国の潜在工業力を動員しまして、これを戦時生産に転用して間に合わせたのではありませんか。御承知のとおり、今はそんなことでは間に合いません。たくさんの例をあげるまでもなく、あのアメリカの大きな潜在工業力を持ちながら、わずかの朝鮮事変でも、補給が間に合わぬために、初期には非常に苦難をなめました。それからインドシナにおけるフランス軍も、国内の工業動員が間に合わなかったために苦杯をなめておる。イギリスにおいてもその例がある。こういう点から考えますと、これはむだではないので、必要最小限の兵器というものはふだんから持ってなきゃいかぬと思う。その点において、私は、現在の数量に非常に不安を感ずるのであります。弾薬においてもそうであります。詳しいことは、もう防衛庁の方のほうがよく御存じですから、これ以上追及いたしませんが、こういう点においても、数の点においても、兵器国産化防衛産業の育成ということはぜひ必要だと思います。  次に、防衛庁長官にお伺いしたい。この防衛産業というものはむだなものである、あるいは戦争に通ずるというようなことを言う人がありますが、私は、実はそうは考えません。この兵器技術並びに生産向上するということによりまして、国の一般の技術、それから生産力を向上いたしまして、また、輸出の面におきましても、兵器は輸出しませんでも、軍事技術と並行して開発された全く民用のこれらの資材、船とか飛行機とか、あるいは電気の資材、こういうものを輸出することによって貿易振興にも役立ちます。反対にいえば外貨の流出も抑制することにもなると思います。軍事、政治、経済両方の面から見まして、この防衛産業の育成ということは、日本としては大事な施策でないかと私は存ずるのでありますが、この点、防衛庁長官にお伺いいたします。
  232. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 最近における軍事科学の発達というものは非常に驚異的なものがあります。そうして、それは必ずしも兵器生産ばかりでなくて、ただいま御指摘のように、平和産業にも十分役立つ科学技術が含まれているわけでございます。そういう意味において、現在の日本工業水準というものは相当高いとは存じますけれども、さらに、そういう要素が入りまして、日本工業水準全体をさらに引き上げ、そのことが、あるいは平和産業海外輸出というようなことにもつながるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、一面、わが国の自衛隊の装備充実と、そうして、それの常に補給態勢ができるようにという観点もありますが、一面においては、ただいま申しましたような観点からいたしまして、できるだけ防衛産業についてもその育成をはかって参りたい。もちろんこれは防衛庁だけでできるものではございませんで、政府全体として考えていかなければならないことでございますが、その一端をになうものとしてそういう心がまえで、したがって、今後の装備品その他についの発注その他につきましても、十分長期の計画がこれを受け取る産業側で立ち得るような態勢に持って参りたいというふうなことでございまして、来年度の予算で御審議をお願いいたしておりまする陸上の装備品、甲類の長期一括購入というようなものも、その一端の現われと御理解いただきたいと思います。いずれにいたしましても、私どもとしましても、その方策その他を考えまして、防衛産業の育成に一臂の力をいたしたいと考えており  ます。
  233. 下村定

    下村定君 長期の一括契約その他継続的の御計画のあること、また、それが逐次実施されていることは私も承知いたしております。しかし、それだけでは現在の範囲では、はなはだ防衛産業の育成としては不十分と思うのであります。現に私の聞きましたところでは、若干の有力な兵器生産をやっておった会社が兵器生産をやめたということを承知したんでありますが、これはいかがでございますか、事実について。
  234. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 過去におきましてはいろいろ例は若干ございましたけれども、現状におきましては、特に辞退したというようなことは、最近においては聞いておりません。一応やはり予算的な問題、単価の問題等で、一般の民需のほうが非常に景気がよくなりますると受けたがらないという傾向はございまして、そういった例は過去にございましたけれども、最近はそれほど聞いておりません。
  235. 下村定

    下村定君 私の聞きましたところでは、少なくも、有力な会社が四つも兵器生産をやめたということを、これはごく最近でございますが、聞いたのでございますが、そういうことはお耳に入っておりませんか。
  236. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 最近の例といたしましては、車両の修理等を辞退した会社があることを聞いておりますが、その他については私は聞いておりません。
  237. 下村定

    下村定君 これはひとつお調べを願いたいと思います。その問題はこれで打ち切りますが、防衛生産といいましても、これに対する予算を飛躍的にふやすというようなことは、これは全般の関係上、私もこれは困難だと思いますが、予算を急激にふやしませんでも、法令の上において、あるいはさっき長官からお話のありました長期一括契約というような措置によりまして、まだまだ防衛生産の育成についてとり得る余地があるんじゃないか。このことは午前に通産大臣に申し上げましたから、ここで御答弁はいただきません。  それから次は、国防意識の高揚でございますが、本年の国会壁頭における池田総理大臣防衛に関する発言の一句の中に、国防意識の高揚に期待するというお言葉がある。こういうことを言われたのは、池田内閣組閣以来初めてでございます。そこには、戦後いろいろな原因によりまして、国民のいわゆる国防意識なるものが非常に低下しておる、これではいけないという意味だろうと思います。そこで、防衛庁のただいま審議中の予算におきましても、国防意識の高揚という費額は前年度から飛躍的にふやされております。つきましては、従来の御経験からしまして、そのふやされた経費をどういう目的にどういう方面に使うかというような概略の御方針をひとつ伺います。
  238. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 一つは、自衛隊自体といたしまして、自衛隊のあり方、あるいは国防に関する考え方、こういうものが国民の深い理解と御協力を得なければならないわけでございます。そういう意味において、従来もいろいろと国民の御理解をいただくような方法を、たとえば出版物、映画あるいは視聴覚に訴えるテレビ、ラジオ等によってやって参りました。しかし、非常に不十分であったのでございます。ことに、いわゆる国防意識と申しますか、これは防衛の手段についていろいろ御議論はありましょうけれども、とにかく民族の生存を確保すると申しますか、みずからを守るというその意識というものは、これはいかなる国民においても持たるべき、また持たなければならぬ問題であると考えております。そういう意味で、今回は従来に比較いたしまして、相当増額した予算をお願いをいたしておるわけでございますが、特に目や耳に訴える手段、ラジオ、テレビとか映画とか、こういうものに中心を置くと同時に、やはりわれわれ自衛隊の者がいかなることをやっておるかということを国民に見ていただくという方向、この二つを中心にいたしまして、特に何と申しますか、お役所仕事の広報というものは、えてして型にはまるものでございますので、広く一般の御経験のある皆様にいろいろと御意見を伺い、御注告を受けながらこの予算を有効に使って参りたいと考えておる次第でございます。
  239. 下村定

    下村定君 御趣旨は了承いたしました。私ども今後できるだけ御協力を申し上げたいと思います。ただ、この問題は、防衛庁だけの仕事でなしに、関係の各省庁がそれぞれ協力をされなければ成果があがらないと思います。その点につきまして、たとえば文部省、外務省内閣の広報室、ああいう方面に対して防衛庁のほうから積極的に御連絡はなされておりますか。念のために伺います。
  240. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) たとえば総理府の広報室の広報活動の利用というようなものにつきましても、私どもとしましては、積極的にこれをお願いをいたしております。しかし、何ぶん総理府でやっておりますのは国政全般でございますから、その中で防衛庁関係が割り込める余地もおのずから限度があるわけでございますが、この辺も十分連絡をいたし、そうして経費の重複にならないようにして有効に使って参りたい。また、その他文部省あるいはその他のこうした特に青少年諸君に呼びかける、あるいはそれに関係を持つ各省庁とも十分連絡をいたしまして、単に単刀直入に国防意識とか、あるいは自衛隊のあり方というばかりでなくて、それを醸成するいろいろな基盤なり気風というようなものについては、おのおの関係の各省庁において施策をしていただいて、そうして総合的にこれらの問題が有効に働き得るように、政府全体として考えて参りたいと思っております。
  241. 下村定

    下村定君 国防意識の高揚に関連しまして、先ほど田畑委員からも発言がございましたが、自衛隊の人の士気を高揚する、自分の使命に対する堅確な自覚を持ち、誇りを持つということは私は、国家の組織体である以上、ぜひ必要なことだと思う。総理大臣も、また、防衛庁長官も、非常に御配慮になっていることを私はよく承知しております。また、その成果も着々上がっておるようでありますが、その一面におきまして、まだよほど遠慮をしておられるという感じがいたしました。逆に言えば、自衛隊の人が何だか今でも肩身の狭いような思いをしておるということがどうも見受けられるのであります。  そこで、これから申しますことは、分科会質問としては脱線というおしかりを受けるかもしれませんが、私ちょっと納得のいかないことがある。それは、これは長官にお伺いするのでございません。どなたでも政府委員の方にお尋ねするのでございますが、今月の二十日に天皇陛下が上野の動物団においでになりました。テレビで見ますと、チンパンジーがお出迎えに出ている。あれをごらんになった方がございますか。あれは私は、どうもふだん考えていますことと思い合わせて、非常に奇異な思いをしたのです。と申しますのは、今、天皇陛下は、もう全国の津々浦々の団体にも、学校にも、護施設にも、今の動物園にもおいでになりまして、チンパンジーまでがお目にかかっている。ところが、終戦ではありませんが、自衛隊ができましてから、自衛隊においでになったことは一ぺんもないように私は思います。  それからもう一つ不思議なことがある。それは、たとえば外国の大統領あたりが羽田に来ますと、自衛隊の栄誉礼を受けて閲兵するのは、外国人と日本総理大臣、陛下は、その間、わきによけておられる。これも私はおかしいことじゃないかと思う。それはいろいろ天皇の御地位についてかれこれ言う人もあります。私どもも、天皇の地位を昔のようにしようとか、あるいは自衛隊と天皇とを特別に結びつけようとか、そういう考えは毛頭持っておりません。が、しかし、いやしくも現在の憲法によると、国民統合の象徴であるといわれる天皇陛下は、国家の組織である自衛隊においでにならぬということは、私はどうも合点がいかない。その点で、これは御即答はお願いいたしませんが、防衛庁長官のお考えだけを伺えれば幸いと存じます。
  242. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 自衛隊員が、みずからの使命を自覚し、誇りを持ってその職務に邁進する方向を正さなければならぬことはもちろんでございまして、各教育訓練においてそういう努力を払いますと同時に、また、この二十数万の自衛隊員をお預かりしている私どもといたしましては、やはりきめのこまかい各般の施策をいたしまして、常に隊員諸君が前向きで職務に邁進できるような、これは有形無形の待遇を初めといたしまして、それを常に心がけ、実現に努めなければならないと思います。それと同時に、やはり国民の皆様から、隊員が、あたたかい目と申しますか、信頼をされて、これをながめていただく方向についてわれわれとして努力をしていかなければならないと思います。ただいまおあげになりましたのは、一つの例としておあげに相なったことと思いますが、そういう問題につきましても、わが国の現状として、いかなる形でやることが、今言った自衛隊員全体がほんとうに誇りを持って、そうして、また、すべての国民の皆さんから注目して見ていられるのだという気持をふるい起こすことにつきまして、ただいま申しましたように、われわれとしてはきめのこまかい、行き届いた施策というものを、今までも考えて参りましたが、今後も考え、実現に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  243. 下村定

    下村定君 これはもとより防衛庁だけの問題ではございません。したがって、また、ここで御即答をお願いするわけでもないのでございますが、いやしくも国の象徴、国民統合の象徴という天皇に対して尊敬を払い、適切な礼儀をささげるということは、これは超党派的なものだと思う。はなはだ失礼でございますが、本年の新年の拝賀のときには、ここにお見えになります矢嶋さんも山本さんもおいでになっている。これが私はほんとうだと思う。ただ、自衛隊に限って——チンパンジーさえお目にかかれるのに、兵隊が、自衛隊員であるがためにお目にかかれないということは、私はどうしても納得できません。それだけ申し上げておきます。
  244. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 速記を中止して下さい。   〔速記中止〕
  245. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 速記を始めて下さい。
  246. 須藤五郎

    須藤五郎君 安保条約で、日本は米軍に武器等の調達義務を負わされておると思いますが、在日米軍調達本部による調達物資の種類、内容、その額はどのようなものでありますか、お尋ねします。
  247. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 在日米軍が、地位協定十二条によりまして、直接業者から購入をすることができるようになっております数字につきましては、なお詳しくは政府委員からもお答えするかと存じますが、昨年にやりましたものでおもなものは、食糧の七百八十万ドル、あるいは運輸機械の四千九百七十五万ドル、それから非金属鉱物製品の三百万ドルというようなものがこの需品としてはおもなものでございます。合計で七千三百万ドル程度になっております。
  248. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは通産省の分は入っていないのですか。
  249. 林一夫

    政府委員(林一夫君) お話のように、米軍の必要とします需品資材の調進は、地位協定十二条によりまして、米軍が業者に直接調達をするという方式をとっておる。そのような関係で、調達庁といたしましては、調達方法とかその内容については実は存じておりません。
  250. 須藤五郎

    須藤五郎君 この米軍の調達は、実は野放しで条約でできるということで、アメリカ側も自由自在にどれだけでも調達できるということですか。
  251. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 目的は、地位協定十二条にありまして、地位協定による分につきましては、「この協定の目的のため又はこの協定で認められるところにより日本国で供給されるべき需品又は行なわれるべき工事のため、供給者又は工事を行なう者の選択に関して制限を受けないで契約することができる。」ということで、十二条に規定されているところによりますと、この協定の目的のため、日本国で供給されるべき需品というようなものにつきましては、その選択に関して、制限を受けないで直接契約することができるという規定になっております。この規定によりまして、このような物資資材につきましては、米軍は業者に対して直接調達をするという方式をとっておるわけであります。
  252. 須藤五郎

    須藤五郎君 だから、アメリカの思うままに調達できるということに理解していいわけですね。
  253. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 十二条によりますとさようでございます。
  254. 須藤五郎

    須藤五郎君 その調達した物資の仕向地はどのようなことになっておるのか。日本政府は全然知らないのか。この仕向地は、安保条約にいう極東の範囲に限られているのか。もしそうとするならば、極東の範囲とはどことどこなのか、そんなことにおかまいなしにやられているのかどうか、その諸点について。
  255. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 位地協定十二条は、ただいま調達庁長官からお答え申し上げたようなことでございまして、いわゆる地位協定そのものが、在日米軍が在日する目的のために必要なものを日本国内で調達する場合に、それが業者に直接調達できるということでございまして、したがいまして、そういう形でやっており、しかも、この問題につきましては、おそらく私の記憶では、調達した数量等につきまして通産省のほうに報告があると思います。ただいま私が申し上げた食糧その他につきましても、その報告に基づいた経済企画庁資料によってお答えをいたしたわけでございます。したがって、おそらく十分承知しておりませんので、もし誤りがあれは、他の省——通産省等でお答えいただいたほうが適当かと思いますが、その仕向地というようなことはないのではないかと考えております。
  256. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、仕向地はあげることはできないが、しかし、どこへでも持っていけるということなんですか。それとも、あの安保条約にちゃんといわれておるところの、いわゆる極東という、この極東に限られているのか、極東だけじゃなしに、どこへでもいけるのか、極東と限るのなら、極東というのは一体どことどこをさしているのか、こういう私の質問なんですが、もう一度お答えいただきたい。
  257. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいま申し上げましたように、この十二条によって業者から直接調達ができるのは、この地位協定の目的、すなわち、在日米軍が在日をするという目的のための調達をするものについていわれているわけでございます。したがいまして、おそらく他へ持っていくというようなことはあまりしないのではないかというふうに考えておりますが、何分にも、今これの内容等については、通産省のほうでやっておりますので、私のほうとしては明らかにいたしておらないわけでございます。
  258. 須藤五郎

    須藤五郎君 防衛庁としては、どこへ持っていかれるか知らない、通産省のほうでやっているのだからという、それなら通産省のほうにお伺いしたいと思います。通産省関係の方がいらっしゃらなくて残念ですが、それじゃまた別の機会に伺いますが、通産省の人を呼んでくれますか、どうしますか。
  259. 杉原荒太

    主査杉原荒太君) 連絡はさせます。
  260. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ通産省の方が来るまで次の質問を続けましょう。  戦車、小銃、それから鉄砲のたま等が調達されているだろうと思いますが、どうですか。
  261. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいまの御質問は、米軍がそういう調達をやっておるかどらかという御質問ですか。どういう調達方式をとっているか、また、どういうものを調達しているか、これは調達庁の所管ではございませんので、当庁としては存じておりません。
  262. 須藤五郎

    須藤五郎君 防衛庁としてこんなこと知らないのですか。これはおかしいじゃないですか。このくらいのことは防衛庁知らんわけはないでしょう。米軍が戦車を調達しているか、小銃を調達しているか、鉄砲だまを調達しているか、こんなことは何でもないことじゃないですか。そんなことを防衛庁が知らないで何をしているのですか。調達庁おかしいじゃないですか。こんな答弁承諾できませんよ。それじゃだれが知っているのですか、防衛庁が知らないで。
  263. 林一夫

    政府委員(林一夫君) この調達方式が、ただいま申しましたように、業者からの直接調達ということになっておりまして、このようなことについての主管官庁は通産省でございまして調達庁においてはそういうことは存じておらない。占領時代におきましては間接調達というような方式がとられておったのであります。その当時におきましては、このような物資の調達は、調達庁が間接的に調達をしておった。直接調達の方式がとられるようになりまして、このようなことについての所管は通産省が行なっているということであります。
  264. 須藤五郎

    須藤五郎君 僕は調達庁が何も知らん間に、通産省の範囲内でそういうことがやられているというのはずいぶんおかしいことだと思いますが、何も知らされてないというならば、やむを得ないから、通産省が来たときにこれをあらためて質問することにしましょう。それじゃ次の質問ですが、東京大田区にある三菱東日本重工下丸子工場において生産している戦車が韓国に送られているのをあなたたちは知りておりますか。
  265. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 調達庁といたしては存じておりません。
  266. 須藤五郎

    須藤五郎君 防衛庁長官これ知らないですか。
  267. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 存じており  ません。
  268. 須藤五郎

    須藤五郎君 皆知らんのやね。不思議なことがあるね。これも通産省に聞きましょう。  防衛庁が現在発注しており、また、この予算で発注しようとしておる武器兵器、いわゆる装備総額、陸海空それぞれの部門別金額はどのくらいになるのか、主要契約会社名をお知らせ願いたいと思います。
  269. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 三十七年度の予算調達を予定しておりますのは、総額で百二十八億円でございます。これは国庫債務負担行為にきめましたものでございます。内容といたしましては、戦車が九十両ございます。これは三菱日本重工で生産をいたします。装甲車百二十両、これは小松製作所と三菱日本重工で製作いたします。それから百六ミリの無反動砲を三百五十門、これは日本製鋼所でございます。大型雪上車は二十両、これは小松製作所と大原製作所であります。新機関銃が九百丁、これは日特金属でございます。船につきましては、三十七年度におきまして十二隻、五十一億でございます。相手先はこれはたくさんございますので、その都度きめていくことになっております。現在きまっておりません。  航空機は全体で百五十億でございます。これも会社もきまっておるところもございますが、これからきめるところもございます。
  270. 須藤五郎

    須藤五郎君 きまっておるところを言って下さい。
  271. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) たとえばP2V7の追加の分は六機ございますが、これは川崎航空機でございます。それからヘリコプターにつきましてHSS2というのが十一機、これは新三菱重工でございます。おもなものはそういうものでございます。
  272. 須藤五郎

    須藤五郎君 それから、第二次防衛計画が今年度から始まるわけなんでありますが、この計画中に発注する予算金額はどのくらいになりますか。
  273. 海原治

    政府委員(海原治君) 今御質問ありました第二次防衛整備計画は、昨年の七月十八日に決定したものでございます。したがいまして、その当時における見積もりでございまして、これは現在御審議を願っております三十七年度の予算が確定いたしました場合においては、これに従って計数の整理をいたすものでございますので、今後変わっていくものであるということをあらかじめ御了承願いまして申し上げますというと、その当時におきまして、二次計画では、一応先ほど大臣からもお話がありましたように、年平均二百五億円程度増加していった場合の一応経費内容におきまして、陸上自衛隊につきましては約九百億円、海上自衛隊につきましては約八百八十億円、航空自衛隊関係では約千八百八十億円程度の調達見込みを持っております。これは、しかし、先ほど申しましたように、当時におきます推算でございまして、現在三十七年度予算に伴ってどのように変更するかということを、私どもの手元で検討中のものでございます。
  274. 須藤五郎

    須藤五郎君 ちょっと前後いたしますが、もう一点、市日米軍調達本部、あるいは米駐留軍が、生産、修理等のために契約している会社、工場名はどのくらいになるのか、会社、工場名をちょっとお聞きしたいと思います。
  275. 林一夫

    政府委員(林一夫君) そういう点につきまして、直接このようなことに関係しておりませんので、存じておりません。
  276. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは御答弁聞いていると、調達庁は何も知らない、つんぼさじきに置かれているような形になっているのだが、知っておって私に答弁しないのじゃないかと思ったりもするくらいでありますが、これも通産省関係に聞かないとわからぬということなんですね。
  277. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 調達庁でやっている仕事は、御承知のように、この地域協定によりまして、米軍に提供いたしております米軍の施設区域その他労務、このようなことについての調達につきましては、所管事務でございますので、存じているのでございますが、米軍がどういうような調達方針をとっているか、あるいは調達内容がどういうものであるかということについては、存じていないのでございます。
  278. 須藤五郎

    須藤五郎君 知らぬ者に尋ねるわけにいかぬから、次にいきましょう。  最近、日本における軍需生産の問題は、きわめて注目すべき動向にあると思うのです。所得倍増計画によって、日本の重化学工業強化する政策を強行しつつあることと考え合わすならば、この問題はほうっておけないことであると考えます。そこで、第一にお聞きしたいことは、防衛庁、通産省など、政府機関と自民党国防部会及び経団連の防衛生産委員会で構成されているところの防衛装備国産化懇談会、この懇談会の会長は、防衛庁長官の兄さんである船田中さんがやっていると思うわけですが、この懇談会で、一、わが国の気象、地勢、隊員の体格に適した小銃の国産化、二、対戦車ミサイルの性態向上、ナイキ、ホークの部品の国産化等の国産化推進の要望書、意見書が提出されていると思うのです。その内容はいかなるものであり、政府防衛庁ではいかなる検討をしているか、その点をお聞きしたいと思います。
  279. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 防衛装備国産化懇談会は、だたいまお話しのような構成メンバーでやっております。これは先ほど来、防衛産業についての御質問がございましたが、われわれとしましては、片方においで米国の軍事援助等も漸減の傾向にありますので、できるだけ国産化を推進いたしたい、そういう意味をもちまして、民間の方々等も入ったこうした懇談会を持っているわけでございます。だたいまお話しのような小銃の研究、あるいは対戦車ミサイル等につきましては、防衛庁といたしましても、その研究開発をいたしているわけでございます。で、これらの問題につきまして、懇談会といたしましては、十分それらの研究開発がスムーズにいくように、予算的その他の措置をとるようにというような意見が述べられておるわけでございます。
  280. 須藤五郎

    須藤五郎君 この防衛装備国産化懇談会には、防衛庁、通産省などが参加しておるはずですが、政府機関はどことどこが参加しておるのか。政府はこれにどのような資格、見解で参加しておるのか。また、この懇談会には九つの専門委員会があるが、この専門委員会の各内容についてお知らせを願いたいと思います。
  281. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) この懇談会に参加いたしております役所は、防衛庁のほかには通商産業省、運輸省等が入っております。実際に出ますのは防衛庁から出ているわけでございます。あと通産省は……。
  282. 須藤五郎

    須藤五郎君 九つの委員会は。
  283. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 九つの委員会につきましては、ただいまここに資料を持って参りませんでしたので、具体的に申し上げられないと思うのですが……。
  284. 須藤五郎

    須藤五郎君 それならば、今資料がないなら、資料提出して下さい。
  285. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 提出いたします。
  286. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは政府が参加しているのだから、ないはずはないから、資料を出して下さい。  次に、この懇談会は、本年二月提出した防衛装備国産基本方針は、核戦争に即応する態勢をとるための近代装備の必要を強調しているわけです。これはことしの二月十一日の東京新聞にこの趣旨のことは出ておったわけです。これは単に国産化などという簡単なものではない、大いに考えなければならぬ。この基本方針にはこういうふうに出ておるわけです。  「一、装備国産の背景=1わが国防街上最も重視すべきは制限。局地戦争(浸透、暴動等の間接侵略を含む)を抑制し、またはこれに対処することであり、在来装備兵力を保持することが重要である。  2在来装備兵力とは核戦争兵力に対する言葉であって、旧型装備の兵力をさすものではない。核兵器時代にふさわしい近代装備を持たねば、兵数と訓練だけで補うことは不可能である。」と、こうある。  次は、「装備国産はこの外貨流出を防ぐのみでなく産業構造高度化し、輸出の商品構成を改善して貿易の将来に資し、国民生産の将来の伸びを大きくする。この意味において装備国産に振り向けられる予算の大部分は一種の投資と見なし得る。」先ほど下村さんがおっしゃったような意味もここに入っておるわけです。こう書いておるわけです。ここには、国民の平和を願う意思とは全く反した、煙硝くさい死の商人の意図が明らかに出ておると私は考えます。政府防衛庁長官は、一体これをどう考えるのか。この意見書を資料として提出していただきたい。  それから、防衛庁は、核戦争に即応する近代装備をするつもりかどうか。二は、通産省は、これまた通産省いないからあと回しになるでしょうが、通産省は装備国産による輸出をどのように考えているのか、現在いかなる軍需品がどのくらい輸出されておるのか、この三点についてちょっと。
  287. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 懇談会から基本方針として出されましたのは、ただいまお読みになりましたが、私どもは、いわゆる核兵器を使う戦争でなくて、在来兵器による局地戦というものの発生というものはある程度考えなければならない、そういう際においてその在来兵器をやはり近代化しなければならない、そういう意味で、そういう前提に立ってこの防衛産業というものを考えるべきだと受け取っておるわけでございます。したがいまして、これはまた私どもも常日ごろ申し上げておるように、核戦争に対処するような自衛隊の自衛力というものを考えておるのではなくて、そうした在来兵器による脅威に対してこれを抑制し、万々一不幸にしてそういうことが起こった場合に、これを制圧できるような、そうした在来型の装備充実して参りたいと考えておるわけでございます。したがいまして、この国産による問題は、そういう意味において私どもは今後防衛産業というものについて考えて参り、またそれが先ほど申しましたように、下村さんからの御質問にお答えしましたように、そうした高度の技術というものが一般の平和産業にも役立ち得るものというふうに受け取っておるわけでございます。
  288. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、防衛庁は核戦争に即応する近代装備をするというふうに理解していいのですか。
  289. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) いえ、核戦争というものを予想いたしませんで、在米型兵器による脅威というものに対処するだけの力を持って参りたいと考えておるわけです。
  290. 須藤五郎

    須藤五郎君 だって、この意見書の中に、「在来装備兵力とは核戦争兵力に対する言葉であって、旧型装備の兵力をさすものではない。」と言って、やはり明らかに核戦争装備というものをちゃんと対象にしてこの意見書が出されているのじゃないですか。
  291. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 今意見書の内容を詳細記憶をいたしておりませんが、ただいまお読みになりましたように通常型兵器在来兵器というものは、この核兵器とは別のもの、それに対する考え方、いわゆる核弾頭等をつけるような兵器でなくて、その核を使わない兵器であるということを強調されておるものと考えております。
  292. 須藤五郎

    須藤五郎君 これに、在来装備兵力とは核戦争兵力に対する言葉であって、旧型装備兵力に対する言葉じゃないのだ、という意見書が出ておるわけですね。だから、この意見書に従って防衛庁が国の装備をやっていくというならば、それはとりもなおさずいわゆる核戦争に即応するところの近代装備防衛庁がねらっておるのだと、こういう理屈になりやしませんか。
  293. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) いわゆる核兵器在来兵器と分けて、その核兵器に対して在来兵器充実する。しかも、それはだんだん近代化される在来兵器というふうに私どもは受け取っておるわけでございまして、どこまでも核戦争というものは予想しない局地的な在来兵器による脅威というものを対象にいたしておるわけでございます。
  294. 須藤五郎

    須藤五郎君 時間がありませんから、次に参ります。  政府は考えていないと言っても、防衛庁、通産省が参加したこの防衛装備国産化懇談会がはっきりと意見書をまとめているんですな。このような日本軍国主義復活、日本兵器計画は、これはわが党としては許しがたいものだと思います。この懇談会から、政府機関、防衛庁、通産省は引き揚げるべきだ、かように考えますが、どうですか。
  295. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) この懇談会は、防衛装備国産化を円滑にやるための連絡機関でございます。したがいまして、民間産業等と円滑な遂行ができますように連絡をいたしますることは、これは必要なのではないかと考えております。
  296. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ、防衛庁長官の兄さんが中心人物でありするようなことですからね。防衛庁長官、いろいろな疑惑も持たれるし、また私が今述べたような意見も成り立ってくるわけですよ。だから防衛庁としては、政府機関は、こういう懇談会には出席しないのが穏当じゃないですか、どうですか。
  297. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 国産化を円滑にいたしていくということは、したがいまして、業界その他と十分な連絡をとりつつやることは必要なことでありますので、運営についていろいろ御意見もありましょうし、今後研究していかなければならぬこともあろうかと思います。しかし、そういう連絡調整、事実上の連絡の会合というものはこれは必要ではないかと考えております。
  298. 須藤五郎

    須藤五郎君 兵器国産化兵器開発中期計画が立案進展しておるおりから、きのう立川基地に右翼調査団一行十三名が到着しました。またあすは立川には米海軍兵器計画部次長のF・W・Sロック博士ら米軍使節団一行が来日するわけです。これら一行の目的と任務は一体何なんですか。
  299. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 昨日参りました米陸軍省の調査団は、この資料の交換の可能性あるいは技術援助の将来の可能性について調査をするということであります。また今後参りまするのは、これは現在技術研究本部が中心になりまして調査開発に努めておりまする飛行艇に対しての技術的な勧告をする目的でございます。
  300. 須藤五郎

    須藤五郎君 この一行が来た目的は、伝えられるように、相互武器開発計画協定、MWDPですか、を結ぶためにやってきたのではありませんか。アメリカ政府から協定を結ぶ何らかの提案があったと思うが、その点をお伺いします。
  301. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) MWDPにつきましては、日本においてそれに対する関心の有無について、従前そういう口答での連絡はございましたが、現在におきましては、これについては慎重に検討中でございます。そうして今回の米陸軍の調査団一行につきましては、そうした開発援助協定を結ぶというような使命を帯びておるものではございません。
  302. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういう使命を帯びていないということは、はっきり明言できるのですね。
  303. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) さようでございます。
  304. 須藤五郎

    須藤五郎君 それではどういう使命を帯びて来ているのですか。
  305. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 日米間において、その技術関係資料の交換ができるものがあるかどうか、あるいはまた、お互いに技術援助につきまして、そういうものがあり得るかどうか、こういうものを調査に来ておるわけでございます。
  306. 須藤五郎

    須藤五郎君 見受けたところ、日本政府はこの協定を結ぶに積極的なように見えるが、その点どうか。そうして交渉はすでに始めているようでありますが、その点はどうか。
  307. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 武器開発の相互協定につきましては、先ほど申しましたように、それぞれの可否について目下検討をいたしておる段階でございまして、特に積極的にこれを結ぼうとしておる段階ではございません。
  308. 須藤五郎

    須藤五郎君 この相互武器開発計画協定とMSA協定の関係はどのようになるのか。MSA協定第四条に基づくところの、防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日米間の協定、この関係は一体どうなるんですか。
  309. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) ただいまの御質問の、いわゆる相互武器開発計画ですか、要するにMWDP計画と相互防衛援助協定の関係はどういうものか、こういう御質問でございますが、これはMSA協定の第一条の、いわば実質的な協定のような性格のものになるんじゃないかというふうに考えております。ただ、具体的な交渉にまだ入っておりませんので、その具体的交渉の内容を見ませんとはっきりしたことは申し上げられませんけれども、大体MSA協定第一条の細目取りきめのような性格のものではないかというふうに考えております。それから、MSA協定の第四条に防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本政府とアメリカ合衆国政府との間の協定は、これは防衛生産等のための工業所有権及び技術上の知識の交換の方法でございますが、第四条に関連するものもあろうかと思いますが、考え方としては、むしろ第一条の性格のものではないかというふうに、ほかの国の協定等から見ますと考えられるわけです。ただ、具体的内容等はわかりませんし、こちらの交渉方針、こういうものもまだはっきり決定しておりませんので、その辺のところは明確に申し上げるという段階にないわけです。
  310. 須藤五郎

    須藤五郎君 今の答弁を聞きましても、矢嶋君も指摘しましたように、協定を結ぶという前提で答弁しているということははっきりしているし、おそらく協定は結ばれるのだろうと思いますが、今MSAの話が出たわけですが、このMSA第四条に基づく協定で、日本からアメリカに持ち出されたところの日本防衛技術は何件あったか、いかなるものがあるのか、いわゆるこの中には特殊潜航艇の改良など十点以上があるはずだと思うのです。その点明らかにしてもらいたいし、また日本技術とともに科学者、技術者もアメリカに行っていると思うのですが、何人行っているか、どういうような人が行っているのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  311. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本政府とアメリカ合衆国政府との間における協定で、日本から特許権あるいは〔主査退席、副主査山本伊三郎君着席〕技術上の知識を特に提供したというような例はまだないように私の知っている限りでは存じております。
  312. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、MSA第四条によって日本からアメリカに持ち去られたところの日本防衛技術、それは一件もないというのですか。
  313. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) この協定は、いわゆる防衛生産を容易ならしめるために特許権とかあるいは技術上の知識を提供するわけであります。アメリカの防衛生産をやるということで日本から特許権なり、あるいは技術上の知識を日本政府が媒介として提供したというものは、今のところこの協定に基づいて提供したというようなものはまだ聞いておりません。
  314. 須藤五郎

    須藤五郎君 特殊潜航艇など行っているんでしょう、アメリカヘ。
  315. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 特殊潜航艇の問題とこの関係とは別に関係はないと思います。
  316. 須藤五郎

    須藤五郎君 特殊潜航艇が行ったのは、どういう法的な関係でいっているのですか、条約上は。
  317. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) おっしゃる特殊潜航艇というのは、第二次大戦中のアメリカ合衆国の戦利品であると記憶しております。したがって、戦争中の戦利品としてアメリカで押えておった、それが戦後こちらとの話で日本に戻ってきたということじゃないかと思います。
  318. 須藤五郎

    須藤五郎君 戦後あらためて日本から行ったものではなく、あちらへ戦利品として拿捕された、それをアメリカが研究したものであると、こういうことですか。
  319. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 最近の新聞に載っておった特殊潜航艇のお話だろうと思いますが、これは要するに戦時中の戦利品を日本に返還してきたという問題でありまして、この技術協定とは何ら関係ないものというふうに承知しております。
  320. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、MSA第四条によって行ったものは一点もないと、こういうことですね。それじゃ、科学技術者など学者や技術者は行っていませんか。
  321. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) この協定で特に技術者を派遣したという事実は私は聞いておりません。
  322. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかし、科学者や技術者が行っているということは事実でしよう。
  323. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 要するに、防衛目的のために技術者をやるということ自身は直接には関係ないでしょうが、また、この委員会の日本委員装備局長がやっておられるわけですが、この委員会で技術者を向こうに派遣するというようなことをきめたことはまだないのじゃないかというふうに私は存じております。
  324. 須藤五郎

    須藤五郎君 このMWDPとは一体いかなるものなのか、説明してもらいたいと思うんですが、私の理解するところでは、研究開発計画技術センター計画資料交換計画技術援助の計画、この四部門に分けられておる。それで、NATO諸国もこの協定を結んでおると言われておるが、どこどこの国がこの協定を結んでおるのか。各国で結ばれている協定の内容と防衛庁が今結ぼうとしておるものと内容が同じなのか違うものか。防衛庁が結ぼうとしておるものの内容はどうなのか。こういう点について。
  325. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 現在加盟しております国はNATO諸国でございまして、具体的に申し上げますと、イギリス、フランス、西独、イタリア、ベルギー、オランダ、トルコ、ノルウェー、デンマーク、最近オーストラリア、これだけの国が締結をいたしております。これらの国と締結しております内容は、ただいまおっしゃったとおりのような内容のものでございますが、日本といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、まだ事務的段階で検討の段階でございまして、具体的にどういう内容になるかはまだきまっておりません。
  326. 須藤五郎

    須藤五郎君 まだ決定してないけれども、すでに協定の案ができているということを聞いておるんですが、どうですか。
  327. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) まだできておりません。
  328. 須藤五郎

    須藤五郎君 この協定は、締結すれば国会に当然承認を求めるべきものだと思いますが、どのように政府当局は考えておりますか。防衛庁長官も答えて下さいよ、この問題は。
  329. 麻生茂

    政府委員(麻生茂君) 先ほど御答弁申し上げましたように、まだ交渉を正式にやっているわけではありませんので、したがって、その内容もわからないわけです。したがって、内容がはっきりしませんとこれが国会にかけられるものであるかどうかということはわれわれとしてはお答えいたしかねるものであります。
  330. 須藤五郎

    須藤五郎君 僕はまだ協定ができてないということを知っていますよ。しかし、協定を締結すれば当然国会の承認を求めるべき性質のものだと思うが、どうお考えになるかということを防衛庁長官に聞いておるのです。
  331. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほどから私申し上げるように、これを協定を結ぶかどうか、まだ決定していないのでありまして……。
  332. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ほど来の答弁で協定を結ぶという前提になっておるではありませんか。
  333. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) いえ、答弁はそうではないのでありまして、ただ、今まで知っている範囲内について政府委員から答弁を申し上げたわけで、私が先ほど申し上げたように、これは協定を結ぶかどうかについて研究をいたしておる段階、したがって、もちろんその内容等も判明いたしませんから、国会に承認を得べき協定になるのかどうか、こういう点につきましてはもう少し研究をいたしませんと、にわかにお答えするのはいかがかと存じます。
  334. 須藤五郎

    須藤五郎君 このヨーク調査団は一般武器、通信、施設器材、輸送、補給、医療、化学関係の七分科会に分かれて防衛庁と討議することになっているようですが、この七分科会に分かれてやることになった理由は何か。それぞれいかなる問題をかかえておるのか伺っておきたいと思います。
  335. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) ただいまお話の委員会のことにつきましては、きょうぐらいにおそらくそういうことで話し合いをしていると思いまして、私は出ておりませんので具体的に内容を聞いておりません。おそらく昨日から始まったわけでございますが、昨日の話では私はまだ聞いておりません。
  336. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう会議が始まっているんでしょう。会議が始まる前に何にもわからず白紙で出るわけではないでしょう。こちらにはこちらの考え方があるわけでしょう。だから、七つの分科会に分かれてやることになった理由は一体何なのか、そういう七つの分科会はそれぞれどういう問題をかかえ込んでおるのか、これくらいのことはもうあなたたちにもちゃんとわかっているはずでしょう。
  337. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) この調査の問題につきましては、技術的レベルの問題でございますので、装備局におります技術関係審議官がこちらの団長になっておりまして、それがやっておりまして、で、きょうあたりおそらくそういう分科会の問題について話が出ていると思いますので、現状では私まだ聞いていないということでございます。
  338. 須藤五郎

    須藤五郎君 ヨーク調査団が在日中に見学視察の予定になっている工場はどこなのか。また、海軍使節団が来て視察するところの工場などはどこどこを見にいくことになっておるのか、その点はわかっているでしょう。
  339. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 昨日の会談の結果を昨晩聞きましたところでは、技術研究本部の関係研究所を視察するということは聞いております。しかし、民間の会社のどこということはきのうの話では私まだ聞いておりません。それからもう一つの海軍の、飛行艇の関係のものはおそらく飛行艇を現在やっております新明和のほうへ行くことになると思います。
  340. 須藤五郎

    須藤五郎君 相互武器開発計画協定の中ですでに防衛庁研究開発計画として具体的に研究しているのは、どのような部門、いかなる研究か。新明和——これは前の川崎航空だと思いますが——を初め富士重工、日本飛行機の三社による対潜飛行機、飛行艇、それからC装置、旧海軍時代から開発を続けていた中波による潜水艦探知装置、それから三が遠距離レーダー、四が対戦車ミサイル、これは川崎航空、日本電気、日本油脂、大日本セルロイド、大阪金属などであります。それから酸素魚雷、第二次大戦中日本海軍が使用した、などがあげられていますが、このほかに、防衛技研ですね、防衛技研などで取り組んでおる研究開発はどうなのか。知らせていただきたい。
  341. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 現在研究しておりますおもなものは、今おっしゃったようなものでございますが、MWDPの対象に何をするかということは、先ほど申し上げましたように全然きめておりません。
  342. 須藤五郎

    須藤五郎君 MWDPの問題点としてすでに新聞にも指摘されておりますが、一番は、プロジェクト——計画は、米国の財政的援助によりその完成が効果的に促進される性質のものである。二番は、日本政府は、そのプロジェクトに対する自身の計画的財政支出の継続に同意し、また米国は指定金額(援助期間中の財政分担は一般方針として米政府が五〇%以下)まで財政援助で寄与することに同意する。と、こういうことになっているわけです。これは、アメリカが、自己の戦略計画に従って、その軍事研究の足りない面を、わずかばかりの援助で思いのままにやることだと私は考えます。しかも、これによって、今でも莫大に出されておるところの日本国民の血税が、一そう軍事研究につぎ込まれることを義務づけられることになると思いますが、どうですか。
  343. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) ただいまおっしゃったことは、おそらく新聞に出ていたことだと思いますが、これはNATOの諸国が結んでおります内容を宣伝川に出しておるわけでございまして、その中にそういうような文句が入っております。それを新聞に出したのだと思いまして、われわれも現在まだ先ほどから申し上げておりますように、具体的にいろいろ検討をしておる段階でございますので、日本の場合どうなるかということははっきりわからないわけでございます。
  344. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本もこのようになるという危険はないのですか。おそれはないのですか。絶対にないと言い切ることができるのですか。
  345. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) その点は、具体的の検討の結果によりまして方針を決定したいということでございます。
  346. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは、研究の結果、こういうふうになり得るということも言えるわけですね。三番にこういうことが書いてありますね。日本政府は、このプロジェクトに関するすべての情報を記載した半年ごとの技術研究報告及び最終報告書を米国に提出することに同意する。(4)日本政府はこのプロジェクトから生ずるある種の特許権を米国政府が特許料の支払いなどなしに利用することに同意する。しかも、米国のための生産及び全世界における米国軍による使用に限定している。(5)もしこのプロジェクトにさらに資金をつぎ込むことが妥当でないなら、どちらの国でも協議後に作業あるいは援助を終結することができる。この計画のもとで実施される作業から生ずるかもしれないいかなる苦情についても責任を負わない。もしこのプロジェクトが完成したならば、持つであろう権利と同じ権利を一部完成した計画、図面、技術情報及びその他の物品に対し当然持つものとする。(6)諸条項は機密保護法などで守られなくてはならない。こうなっておる。このような協定案内容について、新明和の菊原静男博士あたりでもこういうふうに言っておるのです。はっきりと、親分と子分の条件では話にならぬではないかと、こう言っておるわけですね。防衛庁内部でもこれに反対するものがあると聞いておるが、その点防衛庁長官にお伺いいたします。
  347. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいまおあげになりましたような、これはNATO諸国と米国とが結んでおる協定の内容でございますが、いろいろな問題がございます。すなわち特許権等の国内法の問題もございますし、あるいは日本の財政支出の問題もございますし、したがって、いろいろ比較検討し、これによって受け得る利益、あるいはそれによって制約されるいろいろな不利益、こういうものを十分検討をいたさなければなりません。また国内法の問題等もございますので、そういう意味で、私先ほどからお答申し上げておるように、それらの点を研究をいたしておる段階であるということを申し上げたいのでございます。
  348. 須藤五郎

    須藤五郎君 前に申しました中にも、この計画のもとで実施される作業から生ずるかもしれないいかなる苦情についても責任を負わないと、これは一体いかなることを考えておるのか、伺いたい。  また、機密保護など、実際に新三菱重工、神戸造船所、川崎重工、三菱電機などで防衛庁監督官が職場を回って、職制の監視が強化されております。防衛庁の仕事には時間と人間を幾らかけてもかまわない、こういう訓令が出されており、労働者には一々尾行がつけられたりしているわけです。その上、この協定が結ばれるようになって、早急に機密保護法の制定が義務づけられるのではないだろうか、この点長官にお答えを願いたいと思います。
  349. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) そういう国内法の問題等もございますので、繰り返して申し上げるようですが、研究をしておる段階であるというふうに御了解いただきたいと思います。
  350. 須藤五郎

    須藤五郎君 じゃ、防衛庁長官は、こういう結果、将来機密保護法なども作らなければならぬという、義務づけられるということが起こった場合、そういうおそれのないように考えておるのか、そういうおそれが起った場合、この協定に対してどういう態度をとられるのか、伺っておきます。
  351. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 目下そういうことについて研究を進めておる段階でございます。
  352. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう相手は来て、毎日会っているのです。研究しておる段階じゃないのです。もうこちらには態度がはっきりしてなければ応待ができないじゃないですか。今から研究して応待するのですか、それじゃ少しおかしいじゃないですか。防衛庁はやっぱり向こうの要求に応じる腹がきまっているからのほほんとしているのじゃないですか。
  353. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほどからお話申し上げているように、今度の調査団はそういう段階の調査団ではないわけで、したがいまして、このMWDPの点につきましては、日本政府といたしましては、今後十分研究をいたして、それに対しての態度をきめていくということでいいのではないかと考えております。
  354. 須藤五郎

    須藤五郎君 さらに、米国政府の要請があり、かつ妥当な秘密保護が保証されるとき、日本政府は自由諸国防衛のために必要とされる量的生産及び適当、公正な契約条件による売り渡しによって、プロジェクトから生まれた品目を他の友好諸国が利用することに同意しなければならない、と、こういうふうにいっておるわけです。この協定を結べば公然と韓国、台湾、南ベトナム、タイなどに武器を輸出することになると思いますが、どうお考えになりますか。
  355. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) そういう問題がございますので検討をいたしておるのでありまして、何か私どもそのMWDPの協定を結ぶということを前提にして何か考えているというふうにおとりのようでございますが、そういうことではないわけでございます。
  356. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは、こういう問題に対しては防衛庁長官は賛成してないんだと、だからこういう問題は、出てきた場合は違った態度をとるんだと、こういうようにおっしゃることができるのですか。
  357. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 研究中でございます。
  358. 須藤五郎

    須藤五郎君 たいへんなことだな。こういうことをしていることに対して、はっきり態度を示さないで、研究中だというような言葉で逃げられることは、はなはだ私は遺憾であります。ヨーク調査団は、「一応域外調達を当面の目的としたものではない」、こう釈明しておりますが、あくまで「一応」であってですね、「一応」ですよ。ヨーク調査団は何のために、日本に来る前に南ベトナムなど極東を回って来たのか、こういう行動を見ても、何を目的としているかということがはっきりすると思う。明らかに、当面ジャングル戦争などに適合する武器、装備などを開発研究するためで、輸出することが前提ではないでしょうか。調査団が、化学繊維や冷凍食品に関心を持っているのはなぜだとあなたは思いますか。そういうことを日本にやらして、それをジャングル戦に利用しよう、南ベトナムや韓国に持って行こうという、こういう考えがあるからやって来たのであって、それさえなかったら、あの調査団は日本に来る必要はないのです。その調査団に対して、どう対処するかということを私は伺っているのです。
  359. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私どもといたしましては、あくまで技術関係資料の交換の可能性があるかどうか、あるいは技術援助についての可能性があるかどうか、こういう点について話し合うだけでございまして、またおそらく調査団のほうも、正式に申しておりますように、そういうことでございますので、ただいま御指摘のような点について考えておるとは思っておりません。
  360. 須藤五郎

    須藤五郎君 通産省も、域外調達の問題を出すかどうか疑問、などといっているわけです。そんなことで私は済まされないと思うのです。先日ハリマンが来日し、近く四月五日には、レムニツァー米統合参謀本部議長が来ることになっております。新三菱や小松製作所などの兵器生産業界は、この調査団との協定に大きな期待を持っているではありませんか。国産化兵器生産の推進及び外貨獲得にも役立つとしているのは、兵器輸出をこの機会に公然と拡大しようとしていることだと私は言えると思いますが、どうですか。
  361. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 産業界においてどういう意図で考えておられるか、私どもはわかりませんが、しかしながら、あくまでこの調査団は、先ほど来お答え申し上げたようなことでございます。その線を出るものではないと存じております。
  362. 須藤五郎

    須藤五郎君 長官は、くさいものにふたをするために、今研究中だとか、調査中だとか、そういう無責任な言葉で逃げようとしていますけれども、日本政府は何を意図しているか、アメリカ政府が何を意図しているかということは、これまでのずっと一貫した彼らの行動、日本政府がやろうとしている、これまでとってきた行動を見れば明らかになるんじゃないですか。そのことは幾ら長官が否定しても、日本国民なら、直ちに気づくところです。そういう無責任な答弁は、私は非常に不愉快だと思うのです。  通産省が、域外調達に応ずるかどうかは、まず高度の政治判断に待たねばならないとしているのは、どういうことですか。通産省は、まだ来てないのですか。
  363. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  364. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) 速記を起こして。
  365. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃお尋ねしますが、現行憲法下、はたして武器などの軍需品を輸出することが許されるのかどうか、防衛庁長官に伺いたい。
  366. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) これは私からお答えするのはいかがかと思います。憲法の解釈の問題でございます。したがって、それが憲法に違反するかどうかということをお答えするのは差し控えたいと存じます。
  367. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本の憲法をよくわきまえた人ならば、この答えはだれであろうが、小学校の生徒でも僕は答弁ができる問題だと思うんです。それが、防衛庁長官ともあろう人が、憲法に違反しているかどうか、憲法で許されるのか——許されるなら許されると答えたらいいのです、そういうふうに理解するならば、許されないと考えているなら許されないと答えたらいい。許されるか、許されないか答えができないというのは情けないじゃないですか。小学校の子供でも答えられますよ、法を知ってる者ならば。どちらなんですか、一体、この平和憲法のもとで武器を外国に輸出することが許されるんですか、許されないんですか、どちらですか。防衛庁長官はどういうふうに考えるんですか。
  368. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 憲法の解釈のことでございますから、私からそれをお答えするのは差し控えたいと存じます。
  369. 須藤五郎

    須藤五郎君 防衛庁長官は憲法の解釈ができないのですか。国の大臣たる者が憲法の解釈ができないのですか。おかしいじゃないですか。それはどちらなんです。できるのですか、できないのですか。それぐらいのことは答弁してもらいたい。考慮中ですか。研究中ですか。答弁を要求しますよ。これくらいの答弁ができないことはないでしょう。
  370. 藤枝泉介

    ○国務大原(藤枝泉介君) 十分意思の統一をはかってお答えしたほうが妥当だと存じますので、ただいまのところはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  371. 須藤五郎

    須藤五郎君 軍需品の輸出を制限している法律はあるのか、ないのか、どうですか。それは知っているでしょう。
  372. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私の知る限りでは、積極的に禁止した法律を記憶いたしておらないわけでございます。
  373. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは、高度の政治判断さえあれば、つまり政府がやるつりもならば、武器の輸出はできるのですか、どうですか。政府の一員として答えて下さい。
  374. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) これは通産省の所管でありますが、この輸出をするについての輸出の承認等をやっておられる通産省の解釈あるいは判断に相なるかと存じます。
  375. 須藤五郎

    須藤五郎君 全く答弁にならないですよ。重要な問題は全部答えられないで逃げちまう。しかも肝心の通産省が来てないということじゃどうにもならない。国の大臣ともあろうものがこのくらいな答弁ができないというのはおかしいですよ。実際防衛庁長官、おかしいですよ。そういう答弁は無責任千万ですよ。  それじゃ、政府はとにかく今ただいまのところは武器を輸出してもいいか悪いかということは、一切政府は判断ができない、答えができない、しかも政府が判断できぬにもかかわらず、現実にはそれがなされておる、こういうことなんです。こういうむちゃなことが今日現実にあるわけです。そうすれば、この協定を結んで武器輸出をすることができた場合、法律的にはどうなんですか。そういう法律がないという場合。
  376. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 繰り返すようでございますが、協定をするかしないか、研究をいたしておるわけでございます。したがって、その協定がどういう形になりますか、これは未知のものでございます。したがって、そういう未確定の問題について今お答えするのは不適当かと存じます。
  377. 須藤五郎

    須藤五郎君 重ねて言うようで悪いですがね。そうすると、もしこの協定ができた場合は、何らかの法律法規の改正が必要になるんでしょうか、どうでしょうか。それとも協定さえ結べば何でもやれるというような結果になるんでしょうか。これは重大な関心を持ってるわけです。
  378. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど申しましたように、国内法——特許権その他の国内法もございますし、ただいま須藤さんからおあげになりました機密保護法というような問題もございます。したがって、これはやはり国内法的ないろいろな措置と相待たなければならないものと心得ております。
  379. 須藤五郎

    須藤五郎君 防衛庁長官はいろいろ言っておりますがね。新安保条約のもとで、今日でも、今まででも在日米軍調達部を通じて南ベトナム、韓国に武器を輸出しているのは事実ではありませんか。それを知らぬ存ぜぬでのがれようとするのは私はいけないと思うのです。今度のMWDPを結ぶのを絶好の機会にして武器輸出をはかろうとしている、これがこのねらいだと思う。そうしてまた秘密保護法もこれをチャンスとして、機会として作ろうとするんではないですか。このような策謀は私は許されないと思います。憲法の前文を読んで下さい。憲法の前文には「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、」「恒久の平和を念願し、」、こうなっているのです。この憲法の規定、精神を踏みにじって、新安保条約、MSA協定、MWDP協定と一連の条約、協定はアメリカの戦争政策に従属する結果として、日本を戦争に引き込むものだと私たちは考えます。このことは日本がアメリカに従属し、再びアジアの兵器廠であることを公然と宣伝することである。これはアジア諸国民から猛烈な反撃を受けるでありましょう。われわれもまたこのようなことを絶対に許さないことをここで警告しまして私の質問を終わることにいたします。
  380. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) この際、お諮りいたします。矢嶋三義君から、担当委員外委員としての発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  381. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) 御異議ないと認め、発言を許します。
  382. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 本日の質疑の冒頭にわが党の豊瀬委員から騒音対策について伺ったわけでありますが、あと防衛庁並びに調達庁の予算全般に一通り目を通したいと思いましたが、時間がたいへん延びておりますので、できるだけ簡単に若干伺わさしていただきたいと思います。藤枝長官に申し上げておきますが、答弁は短くして要を尽くすことを尊しとしますから、それで大臣の評価を矢礼ながらするつもりですから、そのつもりでお答え願いたい。  その前に私は本日の委員会ずっと拝聴しておりまして、いつも言う文民優先という立場から、シビリアン・コントロールを守っていく立場から、内局の幹部の皆さん方に若干私は何ですがね、ちょっと不安があるのですがね。これは皆さん方優秀なお方でそれぞれ内剛外柔の型かもしれません。しかし、何か必要以上に御遠慮なさっているような感じを受けるのですがね。これは防衛の問題については、国民の間でも国会でもいろいろ議論があることは万々お互い御承知のとおりですね。しかし、この法律が通り予算が議会政治のもとできめられたら、それをいかに効率的に有効に間違いなくこれを運用するかと、そうしていかに研究をし、より合理的な、より適正な、よりよきものにするために研究され、上司に助言されるか、建設的な建議がなされるかということは公務員としての基本的態度であって、私は何かやはり憲法上の問題から必要以上に御遠慮なさっているのじゃないか。僕も、まあ防衛庁に行って、内局に行って二年か三年腰かけておらなきゃなるまいというような、失礼かもしれないが、そういうのが心の片すみにあるのじゃないか。私は地方行政で、警察庁の幹部諸君に委員会でお目にかかるのですが、違うのですよ。さすがに加藤官店長は頼もしく、がっちりしていると私は思うのですかね。これは僕は、ごく心配になるから申し上げるのですが、なにしないと、これは文民優先——シビリアン・コントロールといってもこれは問題が私は起こってくると思うのです。防衛庁長官もさっき武器輸出の問題について質問を受けて、ああいう答弁をしていますが、これは防衛庁長官不見識ですよ。これはあなたの私は必要以上の低姿勢の一つだと思う。自分は国務大臣としてこう考えるということをお述べになったらいいじゃないですか。そしてその批判を仰がなければならぬと思う。そういうところで、何か憲法との関係で必要以上に低姿勢といいますか、御遠慮なさっているということは、私は気にかかるのですがね。そういうことは防衛庁長官気づかれておられないか、まず、簡明にお答えいただきたいと思う。
  383. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 前段でお述べになりましたようなことは当然なことでございまして、私ども勉強の足りない点で、あるいは委員会等の答弁で御不満の点もあろうかと思いますが、十分勉強をいたして、お話のような趣旨をさらに生かして参りたいと考えております。
  384. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 大蔵省の担当主計官に伺いますが、あなたは担当主計官として世界の兵器開発の状況とか、世界の軍事情勢等について研究をする機会をどういうふうに与えられておりますか。あるいは外国出張とか、あるいは国内出張でもよろしい。何かそういう点について担当主計官として専門的に研究する研修の機会をいかように与えられているかどうか、承りたいと思います。
  385. 新保実生

    説明員(新保実生君) 特に武器につきましてその日を定めて講義を伺うというような、そういうことはやっておりませんけれども、技術研究所の見学なり、あるいは各研究開発項目に対する御説明なりを随時伺っております。また、各自衛隊の基地とか、そういうところにも年次何回かおじゃまいたしまして実際の兵器を見せていただく。そのほかいろいろ各幕あるいは技術研究本部におきまして、そういった兵器なり、そういうものの国際的な研究の状況、そういったものについての情報なども、これは定期的な刊行物になっているものもございますし、臨時に発行されるものもございますが、そういうものも見せていただいております。そのほか、まあ外国出張というようなお話もございましたが、昨年はたまたまそれをやらしていただきまして、これは御質問兵器ということではございませんけれども、話程度のものはその機会に伺うことができました、ごく一端ではございますが。
  386. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 藤枝長官に伺いますが、約千九百九十四億円、二千億の大台に達しようとしておるわけですが、これだけの予算を組むとなれば、予算編成にときどき大蔵省をのぞいてみれば新保さんも御苦労されると思いますが、おたくさんがいろいろデータを持ってきて張り回して説明をされておりますが、説明するほうも真剣だろうし、そしてこれを説明する新保さんもたいへんだと思いますが、ともかくいろいろ賛否がありましても、二千億の大台となってきたわけですから、僕はやはりたっぷり人員もそろえて専門的に研究をゆっくりされるような機会を与えることが大事じゃないかと思いますが、閣僚の一人としてどういうふうにお考えになるか。あなたの御意見次第では大蔵大臣にあなたの希望意見を申し述べておきたいと思います。
  387. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) お話のとおり相当大きな予算を使うわけでございまするから、これが効率的に、しかも有効に使われる、そのためには兵器と限らず、各般の研究をいたさなければなりませんわけで、防衛庁の職員全体としてその気持でやっております。まだまだ足りないところもありますが、十分今後さらに勉強をいたさせまして、そうして相当多額に上りました経費を有効に能率的に使うように努めて参りたいと思います。
  388. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 私、すわって質問しますから、長官もすわって答弁して下さい、そうすると、時間も節約できますから。アメリカの核爆発、実験ですね、これに政府が申し入れておるわけですが、それから十八カ国の軍縮会議が開れておりますね、これらの点について閣議において所管大臣からどういう見通しについての報告があり、防衛庁長官あなた個人としてはその見通しについて——アメリカの核、実験を食いとめ得るかどうか、それから軍縮会議の動向について藤枝長官としてはどういう見通しを持っておられるか、簡単にお答え願います。
  389. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) お許しが出ましたので、すわったままやります。所管大臣から報告を伺っております。なかなか、特に核実験停止についての小委員会等の内容は困難なようでございます。しかしながら、一方において十八カ国の他の国が極力核実験の停止を要望し、そのほうの協定に努力をいたしておるようであります。前途にわかに予断できませんけれども、こうした各国の努力が実を結ぶように、これは日本政府といたしましても十八カ国全体にもアッピールをいたしておるような次第でございます。そういう方向に向くことを希望し、また各国にさらに要請をいたすべきだと考えております。
  390. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) アメリカの核爆発実験の主たる目的はどこに置いておると判断しておりますか。
  391. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ケネディ声明にもありましたように、昨年のソ連の核実験再開等を考えて、このアメリカの装備の全体の向上をはかっでやるものというふうに理解をいたしております。
  392. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) いや、その実験の軍事的な専門的なねらいは何を実験しようとしておると判断しておられるか。
  393. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) これはいろいろ推測の情報はきておりますけれども、はっきり私どもは確実なものをつかんでおるわけではございません。
  394. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 装備局長の見通しを伺います。
  395. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 新聞で承知しておる程度でございまして、はっきり具体的なことは……。
  396. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) ちょっと勉強して下さいね。新聞で見て一そうして軍事顧問団もいるんですから、アメリカの在日公館もあるのだから、そのセクションには専門家もおられるんだから、そういうところに伺って、そうして大臣に進言をし、そうしていかにすべきかということを考えなければいかぬ。もう少し御勉強していただきたい。  公安調査庁の次長に伺いますが、先般、公安調査庁確証を握る、中共の今夏原爆実験、こういうタイトルで日本の日刊新聞にも報道せられておるのですが、出所はどこで、どの程度の信憑性があるものか、またどの程度の情報を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  397. 関之

    政府委員(関之君) お答えいたします。その件につきましては、次第は次のとおりなのであります。三月十六日の日本の二、三の大新聞でございますが、アルバニアからの情報として、中共がたしか六月とか書いてあったと思いますが、六月に核実験をする、こういう外電が参ったことを相当大きく取り上げているのであります。それに関連しまして、法務省に詰めておられる記者の皆さんが参りまして、翌日だか翌々日だか、そういうアルバニアの情報が新聞に出ているが、何か国内に情報がないか、こういうお尋ねがあったわけでございます。ところで、私のほうにはその少し前に、一部の共産党員の間で、どうも中共は近く何か核実験でもやるようなことをいわれておるが、というような情報が、そこの上から流れ出てきたものがあるわけであります。そこで、いや、そういうものはあります、こういうふうに私は答えたのであります。その場では実はまあ市販、巷間、印刷その他で出ておる中共の核実験あるいはその研究というようなものの伸展についてのことが、座談的に双方にかわされまして、そのことが、いわば公安調査庁において確証を握ったというふうにお受け取りになって、新聞にそういうふうに出たのであります。事実は今のような次第でありまして、アルバニアの外電との関係でそういう情報が日本にも、一部の共産党員の間の話として出てきている。こういう事実を申し上げたことなんであります。実は以上の次第でありまして、その情報については、今お尋ねの、どの程度の確度があるかどうかという問題については、どうもそういう情報でございまして、私どもまだ間違いないものであるのか、内容性については、この席で断定的に申し上げる段階にまだ至っていないのであります。
  398. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 防衛庁長官に伺いますがね、国内でも国際的にも報ぜられているのですが、中共が第五番目の核兵器保有国になるかどうかということは、アジアはもちろん世界でも大きな問題だと思うのですね。それで、防衛庁長官としては、中共が核爆発実験、核兵器保有能力がある云々というような報道は、これは世界政局に対する思惑、あるいは配慮からああいう報道がなされるという判断に立っておるか、それとも中共の核兵器保有というのは、技術的にも相当のレベルに達してまあ時間の問題だと、こういうような認識の立場に立っておられるか、いずれか伺いたいと思います。
  399. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) これは必ずしも単なる誇示とばかり言えない。ある種のとにかく起爆装置があり、プルトニウムが相当数になればやり得るわけでございますかち、単なるブラックというふうには考えておりませんが、ただわれわれの入手し得る情報等を判断いたしますると、必ずしも現在いわれておるような早い時期ではないのではないかという判断に立っております。しかし、これはただいま御指摘のように、中共の核爆発実験あるいはそれに相続いて核武装というふうなことについては、非常な世界の情勢に関係することでございますので、注目をいたしておる次第でございます。
  400. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) それでは、ここでちょっと報告いたします。  説明員として通産省企業局賠償特需室長が出席いたしました。それで、先ほど須藤委員から質問のあった、通産省関係の答弁だけ求めます。
  401. 池田久直

    説明員(池田久直君) 池田でございます。実は、特需関係の仕向け先はどこかという御質問だと思いますけれども、これにつきましては、三十六年におきまして一千万ドルが海外向けに出ております。仕向け地は韓国、沖縄、台湾、それからその他地域でございますが、大部分が韓国、そのうち六百七十二万ドルが韓国でございます。あとは沖縄が六十四万ドル、台湾が三十七万ドルでございまして、残額はその他の地域となっております。
  402. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  403. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) 速記を始めて。
  404. 須藤五郎

    須藤五郎君 戦車と小銃、銃弾等が調達されているのではないかということ。
  405. 池田久直

    説明員(池田久直君) 最近におきましては、武器は一つも調達されておりません。
  406. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) 速記がついておりますから、私語は慎んで下さい。
  407. 池田久直

    説明員(池田久直君) それから契約のうち、いかなる品目が出ているかということでございますが、その内容といたしましては自動車部品、金属製品、くつ、セメント、タイヤ、チューブ、繊維製品、それから電気機器、化学製品、こういうようなものがその内容になっております。  それから次に、ただいま米軍と契約しております修理会社の名前というお尋ねのように承っておりますが、これにつきましては、新三菱重工、新明和工業というものが飛行機。それからビクター・オートが車両関係の契約を米軍との間に結んでおります。それから、戦車が韓国に輸出されたというようなお話でございますが、これは航空機課のほうが主管かと思いますが、私のほうとして、これにつきまして今まで輸出されたということを聞いておりません。それから、MWDPの輸出というお話でございますが、これはちょっと私のほうでわかりかねます。  武器、兵器の域外調達の可能性につきましては、むしろ私のほうの航空機課のほうが主管になっておりますので、そちらのほうからお答えするのが適当かと存じます。
  408. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) もう少し伺わせていただきます。  それで、公安調査庁の次長並びに装備局長に伺いますが、今、中共には原子炉が何基動いていると情報をキャッチしておりますか。また、プルトニウムの生産状況はどうだと、情報をキャッチしておられますか、お答えを願います。
  409. 関之

    政府委員(関之君) お尋ねの問題につきましては、どうもそう具体的に私どもが直接に情報を入手しておるという事情はございません。私の知識も新聞を読む程度だけでございまして、この席で申し上げることはございません。
  410. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 私の主管でございませんので、責任を持った答弁はできません。
  411. 矢嶋三義

  412. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 一万キロの実験炉が一基、北京郊外に設置されたということについては確認をされておるようでございます。その他に実験炉があるというような情報がございますけれども、これについては未確認でございます。したがいまして、どの程度のプルトニウムが蓄積されたかということについては確かでございません。
  413. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 日本の外交政策並びに国防政策を立てるにあたっては一つの私は大きなキー・ポイントになると思うのですよ。それはよかれあしかれ日米安保条約を結んでおれば、アメリカにおいてもそうだと思うのですね。それらの点については、アメリカからその情報を得られておると思うのですがね。あなたの先ほどからの、当分はできないであろう、まあ小さな実験を無理にすれば本年中でも、あるいは来年には必ずできるだろう。ただ、それが兵器化するには三年くらいかかるかもしれないというようなところが世界の学者の大体一致した見方だと思うのですがね。アメリカからも情報を入れられていると思うのですが、そういう点についてはどういう見通しを立てておるんですか。一国の外交政策、国防政策を立てる場合に、こういう点ががっちりしていないと、それが相当誤らない見通しを立てていなければ、二千億になんなんとするこの予算というものがあまり意義を持たなくなってくるのですね、その立場で伺っているのです。
  414. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 今お話のように、私先ほどお答えいたしましたが、この現在のいろいろ入手し得る情報によりますれば、まあ無理に実験だけをやろうとするならば、あるいはそう遠くない時期にやれるかもしれないということは考えられるものと思います。しかしながら、ほんとうに中共が核装備をいたすということにつきましては、これはそう近い将来ではないという判断に立っておるわけでございます。
  415. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 質問続けますが、私はこの前の総括質問でも憲法との関係で、もうぎりぎりのところにきているのじゃないかと伺ったのですが、答弁は御承知のような答弁をされましたが、たとえばこの募集状況を見ましても、採用計画数と応募者数、昭和三十四年度は六・五でしょう、この倍率が。三十五年度はこの倍率が五・九となり、昭和三十六年度には四・六というものすごい下がり方でしょう。これが街頭募集という形にも現われてきているのです。また、二士の応募者の学歴状況を見ますと、短大、大学の卒業者というのは全くものすごいカーブで落ちているのですね。このことは、今自衛隊約三万六千八百人ほど欠員があるわけですが、これらとあわせ考えるときに、たとえば陸上自衛隊で十七万以上確保するという点については、今の募集制度ではやっぱり限度にきたと、それから先ほどの質疑応答からいろいろ察知されるように、憲法の問題というものはやっぱり主権者の総意を伺ってみなければならぬという段階にきているんじゃないですかね。でなければ、僕はいずれの道を選ぶとも、ごまかし的なことをやって非能率的なことを昭和の三十年台にはやったということは後世の人から批判される確率は私は相当多くなっているという感じがするのですね。近くは参議院選挙があるが、なぜこういう問題を政策に掲げて主権者の前に堂々と立って黒白を決しようと総裁以下政府与党はそういう態度をとられないのかというのが私は不思議でならないのですがね。あなた防衛庁長官として、この二千億になんなんとする予算を組み、国会審議を仰ぎながら、また募集計画と考え合わせまして、そういう悩みというものがいささかもないのかどうか、伺いたいと思いますがね。
  416. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 募集につきましては、先ほど来お答えしたようなことでございまして、なるほど応募率等は一時下がっております。しかし、ごく最近の状況は必ずしもそうでございませんのと、それから非常に好況のときには退職者が多いわけでございますが、そういうものの退職者の減少というものも目立っておりますので、いろいろな手段を講じますならば、まだ私は志願制度と申しますか、現在の募集制度というものが頭打ちになった、もう方向転換しなければならないという時期ではないというふうに考えております。  憲法の問題について私が申し上げるのはいかがかと存じますが、これは政府といたしまして、国会でも総理以下答弁申し上げているように、やはり憲法調査会の結論その他と、さらにそれに対する国民の反響と申しますか、世論と申しますか、そういうものを見きわめながらやはりその可否について打ち出して、そうして、国民世論に問うべき時期で、まだその時期には至ってないというふうに心得ておるわけでございます。
  417. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 私の党並びに私個人も意見を持っていますが、かりに私がやるとするならば、あなたたちの立場に立つならば、こういうやり方はしないという、私は考えを持っておりますので、あえてそういうことを伺ったので、時間がないから具体的なことを若干伺って終わりますが、その一つは、新たな整備五ヶ年計画が出ているが、これは次のように了承していてよろしいですか。一応のこれは努力目標である、相当変わるものだと。というのは、計画のスタートと完成時の時差というものが相当大きいと思うのですよ。だから、一応の努力目標としてあなた方は考えられておる、かように了承しておってよろしいですか。
  418. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 単なる努力目標とおとりになるのはいかがかと存じます。昨年、国防会議で決定いたしました時点においては、これを実現するということを国家の計画としてやっておるわけでございます。しかし、ただいま御指摘のように、五年間の年月があるわけでございます。また、国の財政状態あるいは国民所得の問題等もありますから、これをさらに常に検討いたしながら、実際的なものを考えていかなければならぬということはありますが、単なる努力目標以上のものであると御理解いただきたいと思います。
  419. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) じゃ具体的に聞きますが、装備の更新をはからなければならぬ部面がたくさんできていると思うのです。国の財政負担との関係があるのですが、装備の更新というのに非常に重点を置くのか、それは、ある程度やっておいて、少数精鋭の近代化というところに非常なウエートをかけるのか、どういう方針でいくつもりですか。
  420. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) やはり装備近代化というものを中心にいたして、自衛隊の与えられた目的が最大限度に達成できるようにということが中心に相なると思います。
  421. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) それで、この予算書を見ましても、陸上自衛隊約七百七十二億円、海上自衛隊三百二十七億円、航空自衛隊四百二十七億円というのが概算ですね。こういう陸海空の比率というものは、これでいいのですかね。あなたの方、どういう見解を持っておられますか。どこに重点を置いていこうというの。
  422. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) この、ある一年度をおとりになりましての御比較でなく、長い計画としてごらんをいただきますならば、やはりこの三自衛隊が均衡のとれたような整備計画を持っておると御理解いただけると思うわけでございまして、やはりおのおのその目的がございます。したがって、これらがびっこにならないように、平均のとれた、均衡のとれた発達をしていくように努めたい、また、そのつもりで第二次防衛計画なども作成をいたしておるわけでございます。
  423. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 次に承っておきますが、今の防衛庁の人件費は、それらに対して何%になっておりますか。
  424. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 具体的な数字は、あるいは政府委員からお答えいたしますが、昭和三十七年度、現在御審議をいただいておりますのは、人件費が……。
  425. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) パーセント。
  426. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) パーセントは三九・六八%でございます。大体の傾向はその前後、すなわち四〇%ないしはそれを下回る傾向でございます。
  427. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 教育訓練費が約三億減額になっておりますね。これはやはり人件費の圧力を受けてこういうことになるのですか。ともかく人件費の占める比重というのは大きいですね。
  428. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) これは陸上、海上、航空各自衛隊につきまして予算上の充足率を若干落としておりますのと、それから教育訓練費の中にはいろいろな教育訓練の材料等がございます。そういうものの購入が前年度あって、今年度はすでに購入し終わったというようなものもあるわけで、落ちておるわけでございます。
  429. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 教育訓練に関連してですが、民生安定、公共事業への協力、自衛隊法に基づく。あれは一年間で現在どの程度しておりますか。また、それは地方公共団体の要望の何%程度消化しておりますか。
  430. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 民生安定の関係経費と申しますと、中身といたしましては、施設部隊等で使いますいろいろな機械、器具類の購入でございますとか、これは主として陸上自衛隊でございますが、あるいは海上自衛隊等につきましては、やはり掃海に関するいろいろな経費、それから航空自衛隊につきましては、民間航空の協力関係の資材等がございます。そのほかに、地方公共団体等から委託を受けて工事をいたします、そういう関係経費、それからもう一つは、災害出動等に際しまして、いろいろな被災地の救助のために……。
  431. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) それはわかっているから、私は通告してあるから、結果を言って下さい。
  432. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) それで、ただいまのいろいろな機械、器材費関係につきましては、数字が出ますけれども、しかし、災害救助の関係あるいは委託工事の関係については、予算上は特掲をしてございません。たとえて申しますならば、災害救助に出動します場合には、教育訓練費の一部を使い、また、燃料等につきましては、一般の燃料費を食っているわけでございます。そういう関係予算にどれぐらい見積もっているかということは、この際ここで数字を明らかにすることはできないと思います。
  433. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 防衛庁長官に承っておきますが、これは非常に一部から感謝され、また、団体からの要望は強いわけですから、できるだけそういう団体の要望、期待に沿うようにやられるべきだと思いますが、御所見を承っておきます。
  434. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 地方公共団体等からの受託工事につきましては、できるだけ御要望に沿うようにいたしたいと思います。ただ、これら特に大きな工事その他につきまして、あまり一地区に固まることはいかがかと思います。できるだけ全国的にばらまくと申しますか、そういう考え方でやっております。今後も、もちろん訓練教育等に支障のない限りにおきまして、こうした地方公共団体等の依頼にはできるだけ応ずる所存でございます。
  435. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 次に、飛行機のことを承っておきたいのですが、最近領空侵犯事犯というのはどのくらい起こっておりますか。
  436. 海原治

    政府委員(海原治君) これは領空侵犯事犯ということでございませんで、領空侵犯の疑いがあるということで、飛行場で待機しております航空機が発進いたしました回数でございます。したがいまして、領空侵犯の事犯でございません。最近ということでございますので、昭和三十五年度におきましての回数は、日本側が百五十回、それから米側が二百四十三回、それから昭和三十六年の四月から十二月まででございますが、これが日本側が百三十四回、米側が同じく同期間におきまして三百一回、この中で具体的に領空侵犯というような事態は一件もございません。あらかじめ通報を受けるべきフライト・プランの提出がなかった、あるいは航路をはずれておったということでございまして、それぞれ所要の処置をいたしてそのまま基地に帰投いたしております。
  437. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) それにつけても最近飛行機がどういうわけであんなに落ちるんですかね。ことしになって七件、八機、十六人なくなられて、これは何か訓練の方法等に十分でない点があるんじゃないですか。研究反省の結果はどういうことになっておりますか。
  438. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 詳細は政府委員からお答えいたしますが、この三十六年度全体を通算いたしますと、実は三十五年度に比べてはやや減少の傾向でございます。ただ、ただいま御指摘のように本年に入りまして和次いで起こりまして、ことにその中には民家を焼き、あるいは破壊をしたり、あるいは国鉄に御迷惑をかけたり、はなはだ申しわけなく思っておるわけでございます。具体的な事故の原因等につきましては、まだ詳細に集まらぬものがありますが、もちろん操縦士の過誤あるいは天候の激変等もありまして、それぞれにつきましてその事故原因の探求に努め、そうしてそれの再び起こらないように努めますと同時に、被害を与えました民間の方々にはできるだけの補償その他の道を講じておるわけでございます。
  439. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) ロッキードが近く新三菱から防衛庁に引き渡されるんですが、これは離着陸できる飛行場は今日本にどこどこありますか。
  440. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいまの御質問で、離着陸できるということでございますと相当数ございますが、一応私どもが104の基地として考えております飛行場について申し上げてみますと、先般の委員会で申し上げましたが、二千七百メートル程度の滑走路を持っておりますものが、千歳、松島、小牧でございます。さらに二千四百メートル程度の滑走路を持っておりますものが、浜松と小松、それから新田原、百里も一応二千四百で考えております。さらに離着陸可能ということになりますと、たとえば共用いたしますジョンソンの入間川基地は約二千百強でございます。これにも離着陸は可能であります。
  441. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 最近の飛行機事故から、僕ははたして本年度四十数機のF104Jが就航する、就役するわけですが、離着陸できるかどうかということに、しろうとながら非常に懸念するものですが、発進を見ても。滑走路は、千歳、小牧程度ですね、これが機種を選定した場合は八千フィートで大丈夫ということですが、源田報告には一万フィートでなければ安全でないと書いてある。これはどうも真相らしい。発表しないのは、ここにあると思う。八千フィート、とんでもないと思う。なるほど今名古屋で試験飛行やっているようです。これは重装備しないで飛んでいるのだが、まず飛んでいるのですが、これ装備して離着陸飛行訓練を、はたして、その八千フィートの約束どおりに、やれるかどうか、やってみてもらいたいと思うのですが、これはたいへんな僕は事故が起こるのじゃないかという懸念をしているわけなんですが、これは専門家としては、そういう懸念一切ないのかどうか、防衛局長お答えいただきたい。
  442. 海原治

    政府委員(海原治君) 104の飛行場の滑走路につきましては、従来いろいろな機会に大臣からもお答えいたしたように、一応二千四百メートル程度で間に合うということでございますが、ただいま御指摘もありましたように、万一の場合事故が多いというような現状等から考えますと、他の条件がこれを許すならば、何ものにもかえがたい人命の尊重であるとか、あるいは高価な機体の保護のために、さらに現在二千四百メートル程度のところは二千七百メートル程度にまで延長したい、これが事務的に考えておるところでございます。というのは、昨年の本院の内閣委員会でも、私から御説明いたしておるところでございます。今後もそういうことで実施していただきたい、このように考えております。
  443. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) もう時間がないから申しませんが、これの経過からいって、簡単に滑走路の延長を立法府に申し入れるということはあなた方もできない事情になっていると私は思うのですがね。で、時間がないからもう数点で終わりますが、先般の親委員会では、価格が当初より二百四十三万ドル漸くなったというのですが、この現出。それから今後も高くなるおそれはないのか。私が感ずるのに、内局は高くしてはならぬと押える、それから第一線は安全にして優秀なものにしようと思って価格をもっと上げて、安全な優秀なものにしてもらいたいという要求がある。内局は予算面で押えようとしている。これは僕はそれぞれの立場から対立があっているのじゃないかという感じがしますよ。その結果というものは、でき上がったロッキードは、場合によったら中途半端なものになって、飛び立つというと、しょっちゅう事故を起すというような事態が起こるのじゃないかと杞憂しているのですが、この点お答えいただきたい。
  444. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先般お答えいたしましたのは、三十五年に契約以前において予算を御審議願うときに、一応の平均単価といたしまして百十二万四百三十八ドルというお答えをいたして、その後米空軍並びにロッキード社、その他いろいろ折衝の結果、新三菱を含めまして、契約時において百十二万六百八十一ドル、一機当たり二百ドル余の増加になったわけでございます。で、これは予算において見積もった際と現実の契約との違いでございますが、これはすでに契約を了しまして、また、現在の生産の状況からいたしましても、これを今変更するような要素は出ておりません。今お話の、何かもうむちゃくちゃに予算で押えようというがために手抜きをするというようなことがあってはならぬことはもちろんでございまして、現在生産された並等につきましては、この一機当たりの単価においてやっていけるものと考えておる次第でございます。
  445. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) バッジ組織はいつ採用して、予算要求はいつされる予定なのか、お答えいただきたいと思います。
  446. 海原治

    政府委員(海原治君) バッジ組織といわれております、半自動化の警戒管制組織につきましては、現在どのような組織が日本の防空のために適当であるかということにつきましての検討をいたしておりまして、本年度は予算上これらにつきましての基本的な構想を立てるためのいろいろの経費が見込んでおるのであります。したがいまして、現在検討中のものが一応成論を得ましたときに、バッジ組織というものをどういう形で日本に持つことが適当かという考えが出るわけでございます。それに基づきまして、これは主としてアメリカの会社で生産を行なうことになるかと思いますが、現地のアメリカのそれぞれの組織というものを見学いたしまして、その上で結論を出すことに相なっております。この調査団の派遣は、現在私どもの考えではこの八月ごろ、その前後に相なるかと考えます。それまでのところバッジというものを持とうということで検討はいたしておりますが、まだそれを持つということの確定はいたしておりません。
  447. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 防衛庁長官に伺いますが、防衛庁のほうとしては三十八年度の予算でも要求しようというお考えですか。
  448. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいま防衛局長からお答え申し上げたようなことでございます。各社から出ますものを評価をし、さらにそれをいかなる形で受け入れるか、さらには調査団を派遣する。ですから、その結論を待ってやるわけでありまして、まだいつということは考えませんけれども、私どもといたしましてはできれば三十八年度あたりから頭を出して参りたいということは考えております。
  449. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) ロッキードF86F、あるいはDと比べた場合にエンジンをふかす際の騒音ですね。それから変速する場合の爆発音ですね。これはホーンにしてどのくらい違うのですか。何倍ぐらいあるということに試験飛行の結果なっておりますか。これはまあ騒音対策と関係あるのだと思うのですけれどもね。
  450. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) この脳につきましては、まだこの間国内における試験飛行をやっただけでございまして、詳細なデータはとれておりません。ただ、その際に調査をいたしました数値を申しますと、86よりも四、五ホーン多い程度のようでございます。
  451. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 思ったよりあまり音を出さないのですね、そうですか。  そこで冒頭に豊瀬委員から御指摘があったので繰り返しませんがね。この騒音対策というものは、米軍基地関係のは調達庁の手で割に早く手を打たれたと、ところが、自衛隊関係のはしばらくの間放置されておったわけですがね。現在においては米軍飛行機基地関係と自衛隊航空基地関係は、騒音対策としては同じレベルで処理されているかどうか、調達庁長官に伺いたいと思う。
  452. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 米軍基地のほうは、御承知のようにジェット飛行機が早く入りまして、したがいまして、騒音対策が早く準備され、早く計画され、実行されつつあったわけでございます。そのような関係で、自衛隊に比べて割合に早くからこれにかかり、現在までに至っておるのでありまするが、現在においては大体同じような程度において防音工事を行なっておると、こういうふうに私は考えております。
  453. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) あと一、二点で終わります。防衛庁長官並びに調達庁所管の国務大臣としてあなたに伺いますが、調達庁でやられておる特損工事あるいは補償等の査定については、私は大蔵省方面は少しから過ぎると思うんですよ。普通の災害の査定のような気持でやられると——これは調達庁では相当指導されましたけれども、地域によれば、十分知らなかったために、非常にいためつけられたが、補償も受けないできた。その後年月がたつとともに草がはえ、いろいろ地形が変わって、今見ればたいした被害がないように見えるけれども、当時としては非常に被害があったような事態がたくさんあったわけですね。それを一カ月ぐらい前あった災害を査定するときと同じ態度で査定をやる、特損工事等の対策を立てられるということは、僕は現状に即さないと思うんですよ。で、この点は、おりおり調達庁と大蔵省、あるいは会計検査院等で意見の対立があるようですね。まあ、調達庁という役所は、私は、相当良心的に物事をやられておると見ておるわけなんですがね。しかし、こういう補償とか特損工事というものは、米軍関係であろうと、また自衛隊関係であろうと、十分その損害を補償するという基本線を貫くことが私は大事だと思うんですがね。この点と、それから、私はある方面から入れた情報では、補償等についてある大臣の選挙区から、ちょっと、まあ圧力とまでは言わなくても、ちょっとした働きかけがあって、若干その大臣の政治力で政治補償的なにおいが少し出たんじゃないかというような、まあ私はちょっと感じを受けた事件があるんですよ。ここではまあ具体的にあげませんけれどもね。そういうことは厳に慎むべきであって、ほんとうに基準に照らして、補償を受ける資格のある者に適正なる補償を迅速にやる。それから、しからざる者に対しては補償しない、政治的な配慮等はしない、こういう厳たる方針で、住民に不満のないような処置がとらるべきである、かように思うのですが、担当国務大臣としての御所見と、今後の方針を承っておきます。
  454. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) どこまでも補償というようなものは実損補償の建前でございます。したがいまして、ただいまお話のありましたように、現実に損害のあったものは、それを補償をするし、損害もないのに補償をするというようなことは絶対にいたさないで参ったつもりでございます。まあ、今後もその点はそういう方針でやって参ると同時に、そういう特撮工事等につきましては、十分財政当局その他の御理解も得て、住民が納得するような方法でやって参りたいと思います。
  455. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 調達庁長官に伺いますが、担当国務大臣の今の答弁でよろしゅうございますか。それでやれますか。あなたの所見を承っておきます。
  456. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 従来私どもがやっておりましたのも、ただいま大臣から御説明があったような方針でやってきておるわけでございます。今後ももちろんその方針を貫いてやっていきたいと思っております。
  457. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) 大蔵省の主計官に伺いますが、新保さん、ずいぶん理解をもってこれに対処されているようですがね。もう一歩、私は調達庁側の意向をお聞き入れになられてもいいのじゃないかと、そういう感じを持っているのですがね。今担当国務大臣調達庁長官がああいう答弁をされましたが、まあ、お互いに協力して、あなたのほうで譲るべきところは譲って、そしてやっていかれる御用意がございましょうか。承っておきたいと思います。
  458. 新保実生

    説明員(新保実生君) 従来この特損工事につきましては、もう調達庁なり、あるいは防衛庁の御説明によってやって参ったわけでございますが、これは相当時日を経過したものもございまして、どの辺が実損の補償になるかという点が、いろいろむずかしい点があったわけでございます。そこで、三十六年度でございますが、一部、私どものほうも実地調査に参加をさせていただくことにいたしまして、これは補償ということでございますので、少な過ぎてもいけないし、また多過ぎても問題があるというようなことで、なるべく、現状を正しく調査いたしまして、適正な特損工事ができるように努力いたしたいと思います。
  459. 矢嶋三義

    担当委員外委員矢嶋三義君) お与えいただいた一時間の質問時間が参りましたからここでやめますが、十分尽くし得なかったことを非常に残念に思います。私は、冒頭に申し上げましたように、ただ、感じとして申し上げておきたい点は、二千億の大台に達しようとしておる。予算が太ってきたわけです。それを、今までどおりの憲法解釈で、二千億の大台をこえて、それでずっといくと、それでよろしいのかどうかという点について、非常に僕は割り切れないものを持つのですが、これは国民審判を受ける。その結果次第では、日本の外交政策をいずれに置くかによって、日本の外交政策、それから国防政策はもちろんのこと、国内政策にもいろいろな影響ありましょうけれども、一つの惰性としてこのままでずっといってよろしいかどうか。僕はいけないと思います。憲法上から、それからまた国民の血税の二千億の効率的な運用という点からいっても、僕はこれもぎりぎりの線にきているというような感じが非常に強いという意思表示をしておきます。  そういう角度から、もう少しみっちり御意見承りたいと思ったのですけれども、たいへん時間もおそくなっておりますので、これで終わります。
  460. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、防衛庁所管に関する質疑は、終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  461. 山本伊三郎

    ○副主査山本伊三郎君) 御異議ないものと認めて、さよう決定いたします。  明二十八日は、午前十時に開会し、外務省及び経済企画庁所管審査をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十二分散会