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1962-03-20 第40回国会 参議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)    午前十時五十分開会   —————————————    委員の異動 本日委員池信三君、成瀬幡治君及び 基政七君辞任につき、その補欠として 小柳牧衞君、大森創造君及び赤松常子 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯澤三千男君    理事            川上 為治君            鈴木 恭一君            平島 敏夫君            米田 正文君            加瀬  完君            藤田  進君            田上 松衞君            千田  正君            加賀山之雄君    委員            植垣弥一郎君            小沢久太郎君            太田 正孝君            大谷 贇雄君            金丸 冨夫君            上林 忠次君            小林 英三君            小柳 牧衞君            櫻井 志郎君            下村  定君            杉原 荒太君            田中 啓一君            館  哲二君            苫米地英俊君            野本 品吉君            村山 道雄君            山本  杉君            横山 フク君            大森 創造君            亀田 得治君            木村禧八郎君            小柳  勇君            佐多 忠隆君            高田なほ子君            羽生 三七君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            赤松 常子君            田畑 金光君            市川 房枝君            奥 むめお君            岩間 正男君   国務大臣    外 務 大 臣 小坂善太郎君    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  佐藤 榮作君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    労 働 大 臣 福永 健司君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    内閣官房長官  大平 正芳君    総理府総務長官 小平 久雄君    総理府恩給局長 八巻淳之輔君    警察庁刑事局長 新井  裕君    防衛庁参事官  麻生  茂君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 久保 忠雄君    経済企画庁調整    局長      中野 正一君    経済企画庁総合    開発局長    曽田  忠君    外務省条約局長 中川  融君    大蔵大臣官房財    務調査官    松井 直行君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省理財局長 宮川新一郎君    文部大臣官房長 宮地  茂君    文部省体育局長 前田 充明君    文部省管理局長 杉江  清君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    厚生省児童局長 黒木 利克君    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林大臣官房予    算課長     檜垣徳太郎君    農林省振興局長 斎藤  誠君    食糧庁長官   大沢  融君    水産庁長官   伊東 正義君    通商産業省石炭    局長      今井  博君    通商産業省公益    事業局長    樋詰 誠明君    運輸大臣官房長 広瀬 真一君    海上保安庁長官 和田  勇君    労働省労働基準    局長      大島  靖君    労働省職業安定    局長      三治 重信君    自治省税務局長 後藤田正晴君    消防庁次長   川合  武君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    大蔵省主税局調    査課長     川村博太郎君    労働省職業安定    局調整課長   北川 俊夫君    自治大臣官房参    事官      大村 襄治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出参議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出参議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出参議院送付)   —————————————
  2. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  本日基政七君が辞任せられその補欠として赤松常子君が選任せられました。   —————————————
  3. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算昭和三十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き質疑を行ないます。岩間正男君。
  4. 岩間正男

    岩間正男君 最初に議事進行の問題ですが、要求大臣運輸大臣が見えない、それから外務大臣も要求していますが、ただいま理事会のほうの意見として、運輸大臣は間に合うように来る、外務大臣は十二時までには来るということなので、こういう了承のもとに進めたいと思いますので、確認しておきます。いいですか。  最近の物価高は、池田内閣に対する人気を急速に低下させています。昨年から今まででも国鉄運賃郵便電話料金医療費、ガソリン、水道料電力、ガスを初め、理髪、理容、クリーニング、パン、みそ、しょうゆ、野菜、土地、家賃などが値上がりを続けてきている。まず、これらの物価値上がり庶民生活にどう響いているか、この点を藤山経企庁長官並びに水田大蔵大臣から伺います。
  5. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御指摘のとおり、昨年物価が著しく高騰をして参りまして、指数から見ましても大幅な高騰でございます。したがいまして、これらの問題が国民生活影響をしておりますことは、これはもちろんのことでございます。特に指数というのは平均でございますから、その内容によっては影響するところが、各方面に違った影響を相当している場合が多いのであります。それによって国民生活にいろいろな面で影響をいたしておりますと、こう考えます。
  6. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 国民所得は相当ふえましたが、物価が上がっているために、それだけ実質所得は減っておるということになりますので、私どもは、そういう点もあわせ考えて、今度は相当大幅な減税をもってやっておるということでございます。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 経企庁長官は、物価値上がり影響していることを一応は認められている。その中で問題なのは、一応指数で出しただけではわからない。これはあくまでも平均値ですから、その平均値だけではこれは推定がつかないと思う。ことに平均以下の労働者、農民、市民、これらの大多数、特に一千万人をこえる低所得者層家計への影響というものは、絶対政府の示している指数ではわからないと思う。われわれの調査するところでは、実際の家計簿では、物価値上がりのために少なくとも最低二〇%ぐらいの影響を受けているというふうに思うのですが、これはどうでしょう。藤山さん、水田さんから今お話がありましたが、あなたたちは一体、たとえば東京の江東の労働者街へ行ってごらんになったことがありますか。ここではもうラジオ、テレビ、こういうようなものは下がった、そういっていますけれども、こういうものを買うことのできない人たちばかりなんです。そういう意味からいうとどうしても血の通った政治をやるためには、死んだ数字だけをあげて、これをごまかしてはならぬと思います。なまなましい生きた実態をつかむということが必要だと思う。  そこでお伺いしたいのですが、最近私のところに江戸川の競艇で働いている婦人からこんな歌が送られてきた。「子供らの泣きつるかたを眺むれば菓子パン値上げの札ぞ下がれる」、この歌の気持が一体わかるかわからないかということが非常に政治の重要なことになるので、この点について藤山長官はどう考えておられるか、水田さんも歌を作られるそうですから、どう考えられるか、伺いたいと思います。
  8. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価指数だけで各階層に対する影響を判断するわけにいかぬことはむろんでございます。したがいまして、私どもといたしましても、若干ではございますが、主婦連等お願いをいたしまして、そうして家計簿その他の面からの状況等もいろいろ調べていただいたりなんかいたしているのでございます。お話しのようなところまで私自身が行ってみるわけには参りませんけれども、できるだけ努力はいたしているつもりでございます。
  9. 岩間正男

    岩間正男君 歌はどうです。
  10. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 歌については、あまり知識がございませんけれども、そういうような歌が読まれることは残念なことだと思います。
  11. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 歌の気持はよくわかります。  そこで、各個人々々の家計ということになりますと、これは個人生活が非常にまちまちでございますから、一がいに言うことはできないと思いますが、全体の傾向として、私どもがこの問題で推算しているところを一つの参考として申し上げますと、昭和三十六年度の個人所得がどれくらいあったか、昭和三十七年度はどれくらいかということを見まして、そのうちで国税の負担額がどうなっているか、直接税、間接税、三十七年度改正前と改正後というものを見まして、税を引いた個人所得が三十六年度から三十七年度にかけてどうなっているかという数字を一応推算しまして、そうして物価が上がっておりますので、物価値上がり分だけ実質所得は減っておりますので、この計算も入れますというと、減税による個人所得増加額がどれくらいになるか、物価事情を織り込んでどうなるかということを私どもは計算しましていうと、国民所得はふえている、物価は上がっているが、減税措置をとるということによって負担が相当軽くなっている。そうして最後は、昨年度の個人所得のそういう意味からのふえ方は七百億前後であったのが、ことしは八百七十五億円、九百億円近い個人所得の増があるという推算になりますので、全体としての押え方をしてみますとそういう傾向でございましたが、個々の家計ということになりますと、これは楽になったかというと、苦しくなった家庭というものも当然あると思います。特に低所得者に対しては物価高はそれだけ響きますので、生活保護基準の引き上げとかいうような社会保障の面の配慮をしますとともに、税制も今度は直接税だけでなくて、税を納めない層の間接税負担というものが非常に多いのですから、間接税中心減税をやるというようなことによって、低所得者層負担を軽くするという措置をとったわけでございまして、傾向としましては、私は国民所得増が昨年よりは実質所得増も三十七年度としては相当ふえるというふうに見ております。
  12. 岩間正男

    岩間正男君 物価と税の問題については後ほど詳しくお聞きしようと思うのですけれども、今のお話では、統計面でそういうことが一応言われておるわけですが、しかし庶民の、ことに低所得層実態はとてもそういうことになっていないと思うのです。藤山さんは先ほどの御答弁では忙しくてまだ行って見ていない、こういうお話ですが、あなたは新しいハンケチだということをかつて言われて、これももみくちゃによごれたハンケチにならなければならないということを言われたのですが、もみくちゃハンケチになること、それは大衆の中に入ることじゃないですか。党内の派閥の争いにきゅうきゅうとしていることではなくて、大衆の中に入る、今の大衆の、国民生活実態をつかむということが私は最大の政治の要諦だと思いますが、この点いかがですか。
  13. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 経済企画庁経済発達過程において十分注意していかなければなりませんことは、国民生活全体の向上である、そうしてその中の格差もできるだけ解消していかなければならないということがわれわれの政策一つの基本的な問題でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、企画庁としても生活実態に即応するように検討をいたして参らなければならぬことは当然でございまして、したがって、消費者行政というものについて力を入れておるということでございます。ただ、私自身がまだそういうところまで行って実態調査をいたしておらぬのでございます。
  14. 岩間正男

    岩間正男君 運輸大臣どうしました、十一時までにということで……。
  15. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 運輸大臣きておりますよ。
  16. 岩間正男

    岩間正男君 ところで、これからの値上がりで大問題になるのは、私鉄運賃、都市のバス代新聞代電力料金など大きく値上がりがすでに予想されておることです。そこで、運輸大臣にお聞きしますがあなたは私鉄運賃値上げを認めるということを言っておりますが、これは運輸大臣だけの考えなのか、それとも閣内の統一した方針なのか、この点を伺いたい。
  17. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 私鉄運賃値上げを認めるとは私はまだ申しておりません、今検討中でございます。
  18. 岩間正男

    岩間正男君 経企庁長官どうですか。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 運輸省のほうから私鉄の問題について御相談がございます、われわれのほうでもただいま検討いたしております。
  20. 岩間正男

    岩間正男君 まあ相談をしておるというのだが、これははっきり政府態度物価抑制のこの方針を貫けば、相談する必要はないと思う。ところでどうですか、十六日の閣議私鉄運賃電力料金値上げの問題が大きな問題になっておる。これはどういうふうに結着を見たのか。そのとき河野農林大臣反対論をぶったというのですが、これは周知のことですが、この反対論もどうなんです、参議院選挙対策ではないのか、参議院選挙が終わったらもう値上げをやるのじゃないか、そうでないのかどうか。この点国民は非常に心配していますから、河野農林大臣にお伺いしたいと思います。経企庁長官からもお伺いしたい。
  21. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価全般の問題については十分検討して参らなければなりませんと同時に、高度に経済が成長を急激にいたしました過程におきましては、いろいろのひずみが出ております。したがって、そういう点について十分検討をして将来の対策を立てませんければ、将来の経済にまた影響を及ぼす問題もございます。したがいまして、そういう点を十分検討しながら物価問題としてのこの値上がり問題を検討中でございます。
  22. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 建設大臣の御答弁と同様でございます。(「建設大臣なんかいやしないよ」と呼ぶ者あり)経企長官でございます。
  23. 岩間正男

    岩間正男君 運輸大臣はそういったことないと言っているが、あなたはどう考えているか。
  24. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 値上げをやると私は言っておりません。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 どう考えている。
  26. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 相当経営上困難を来たしておるし、交通緩和のために今後新しい投資をやっていかなければなりません。この資本費圧迫あるいは人件費圧迫等をどういうやり方でやるかということについて今経済企画庁相談中でございます。
  27. 岩間正男

    岩間正男君 どうもあいまいな答弁ですが、この私鉄運賃値上げの問題は、池田内閣物価抑制を真剣にやるかどうかということをきめる私は試金石だと思っているのです。国鉄運賃の場合そうであったように、私鉄値上げを認めておいて他の物価を抑えようとしてもこれはできない相談です。最近の世論調査でもわかるとおり、物価の問題は案外池田内閣の命取りになりかねない問題です。だからはっきり私鉄運賃値上げをしないということを腹にきめてこれは返答してほしいと思いますが、経企長官どうです。
  28. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価の問題は当面の対策とやはり将来にわたる問題と両面から考えて参らなければなりませんのでございまして、来年度二・八上がらざるを得ないという予想をいたしたのも、私どもは残念でございますけれども、しかし、いろいろなひずみを訂正して、そうして、できるだけその努力目標以内におさめていきたい。こういうことでございます。したがって、そういう条件のもとに今検討をいたしておるのでございます。
  29. 岩間正男

    岩間正男君 昨日もあなたの留守の間に問題になったのですが、この二・八%、これについては私鉄運賃値上げは含んで、すでにもう織り込み済みなのかどうか。この点どうなんですか。
  30. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私鉄運賃そのものを直接織り込んではおりませんけれども、全体の傾向から見まして、あらゆるものに対する検討を加えて、ある場合には上がることもあるだろうし、ある場合には下がるものもあるだろうし、そういうことで、できるだけその範囲内に抑えていこうと、こういうことでございます。
  31. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、昨日の次官の答弁と違うようだが、同じ経企庁の中でそういう意見が統一されているのですか。はっきり確認しておきたいのは、二・八%の値上げには私鉄運賃を見込んでいないのだ、こう言っているのです。これは昨日論議になったのですが、結論が出なかった。あなたが今はっきりこれを確認されましたので、この点を私は確認しておきたいと思います。今後問題になりますから。織り込まないで二・八%で予算を組む基礎をちゃんとしておいて、それに新たに私鉄を上げるということになるというと、全くこれは根本からくずれるのだ、この問題は重大な問題です。今あなたがずばりと言ったことを確認したい。  そこで私は私鉄の問題についてもっとこれは突っ込んで質問したいと思うのですが、私鉄経営は一体赤字ですか。赤字でも何でもないと思うのです。たとえばここに東急資料があります。東急では昭和三十五年度にその鉄道部門で十三億三千二十一万の純利益をあげております。これは営業収入の三〇%以上に当たる。しかも、これだけのぼろいもうけをあげながら、東急鉄道部門への投資をサボっておる。それで三十四年度の鉄道部門投資固定資産を見ますというと、これは五十億四千万円から同三十五年度には五十二億と、わずかに一億六千万円の投資をしているにすぎない。それならばそのもうけは一体どこにいったのかということを調べてみると、これは系列傍系会社への投資です。すなわち系列傍系投資を見るというと、昭和三十四年度の百二十三億五千九百万円から三十五年度の百四十六億三千四百万円と、実に二十二億七千五百万円もはね上がっております。このように私鉄をその鉄道で吸い上げた利潤土地や観光その他の系列事業投資して、さらに膨大な利潤をあげておることは天下周知のことです。これでも、私鉄赤字だとか、設備投資の資金が足りない、こういうことを言って値上げを許すことは、これは許されないと思うのです。国民も断じてこれを認めない。だから現に非常に私鉄値上げに対して反対が起こっておる。ここでもう一度はっきり、値上げを許さないということをこれは言明してほしいと思うのです。それから参議院選挙後に値上げしない——参議院選挙対策でこの問題をぼやかしていて、選挙が終わったら値上げをするのだというのじゃ国民欺瞞です。この点はっきり政府態度を明確にしてほしい、物価抑制と関連して……。
  32. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こまかい数字につきましては、運輸省から御提出を願いまして、われわれのほうでも検討をいたしておりますが、どうしても乗車賃値上げをするというようなことであれば、私は、国会中であろうと、上げるべき理由があれば上げるし、ないならば、参議院選挙が終わっても上げない、ということでございます。
  33. 岩間正男

  34. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 経済企画庁長官の御答弁と同様でございます。今おっしゃるような点も十分検討をいたして参りたいと思います。
  35. 岩間正男

    岩間正男君 私は、もうけをあげながら、設備投資が足りないとか、赤字だといって上げることは許されないと言っているのですが、この点どうです。したがって、大手十四社の経営内容をここに出してもらいたい。
  36. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 大手十四社の経営内容はまだここに御発表する段階にはなっておりません。必要が生じて発表できるようになりましたら、そういうことがあり得るかとも思います。
  37. 岩間正男

    岩間正男君 発表できないと言うが、本年度のことを言っているのじゃないのですよ。今までの過去の実績を見ればわかる。これは五年前の私鉄運賃値上げのときも、私は何回も要求している。なかなか出さない。運輸省は。最後に一カ月ぐらいで非常に抽象的なものを出してきたのです。これではまずいと思うのですが、この点いかがですか、運輸大臣
  38. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) できるだけ新しい資料によって検討をいたしたいと考えておりますので……。
  39. 岩間正男

    岩間正男君 この国会中に出せますか。
  40. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 考慮をいたしてみます。
  41. 岩間正男

    岩間正男君 あるでしょう。あるはずです。委員長、確認して下さい。
  42. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 運輸大臣はこの国会中に出せますか。
  43. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 今検討しておりまする資料に基づきまして、できるだけ国会中に出せるように努力をいたしたいと思います。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 委員長、確認しておいてほしい。  次に新聞代値上げのことを言われておりますが、どうですか。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 新聞代値上げの問題がいろいろ議論があるようでございますが、政府といたしましても、できるだけ紙のほうの業者の指導を通産省でいたしまして、そうしてなるべく、値上げをしないで済むならば済ませたいというような方針で、まだ確定的に何とも申し上げられません。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 この前の値上げのときに、公取委から、独禁法違反の疑いがあるということが出た。これに対して政府公取委圧力をかけた、こういうことを言われているのです。もしこういうことがまた繰り返されたとしたらたいへんだと思いますが、どうしますか。
  47. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 経済企画庁から公取に圧力をかけたというようなことはございません。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 次にお聞きしたいのですが、私は、今度、三月九日の閣議了解事項としてきめた物価安定策、この十三項目を検討したのですが、その中のどこにも物価を真に押える保証がないのです。これではごまかしの官僚作文で、選挙用と言われても仕方がないと思うのですが、その中で明らかに政府政策と矛盾し、また、予算措置立法措置をしなければならないものがたくさんあるのでありますが、どうするつもりですか。
  49. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価問題が非常に重要でございますので、政府としても各省一致した態度をもちまして物価政策に対処して参りたいということで、総合的な一つ方針をきめたわけでございます。したがって、この方針自身が抽象的であることはやむを得ないことと思います。しかし、この内容をそれぞれ実現していきますために各省お願いをいたしまして、そうして三十日までにその各省のそれぞれの対策を出していただくことにいたしておるのでございまして、ただ大蔵省間接税引き下げについての案だけは早急に実施しなければなりませんもので、先般あのように大蔵大臣としてもその指導をなさっておるわけでございます。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 どうも抽象的で、これは官僚作文のにおいが非常にするのです。たとえば第二項を見ますというと、当面自由化されない物資については、消費者物価影響の多いものは輸入するといっていますが、これは明らかに現在の政策と矛盾じゃないですか。一方では、国際収支の危機、ドル不足があり、政府国際収支の均衡を至上命令として輸入を押えようとしているのです。ところが、ここでまた輸入を弾力的に考慮する、こういうことになりますと、これはくずれると思いますが、経企庁長官どうですか。
  51. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 貿易バランスを合わせますことは必要でございますが、先ほど来申し上げておりますように、貿易バランスを合わせると同時に、物価の問題がやはり本年の重要な問題でございます。したがいまして、かりに例をとりますれば、食肉等、そういうようなものが必要な場合は緊急輸入をするような措置をとらなければ物価安定にはなりませんので、そういう場合にはそういう処置をとるということでございます。
  52. 岩間正男

    岩間正男君 その限度と見通しが問題だと思います。  それから、第四項では、労働力の流動性を増大するといっておりますが、物価抑制の見地から一体どのような予算が組まれているか、労働大臣……。
  53. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 労働力流動化につきましては、いろいろ予算が今度計上されております。詳細につきましては事務当局から申し上げてけっこうでございますが、多分御承知かと思いますが、幾つかの項目に分かれておるのでございます。これらを活用いたしまして、物価抑制のためにもいい効果を上げるように、せいぜい努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 事務当局……。
  55. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 流動化に伴いますところの来年度予算につきましては、安定事務所の設置以下、事務の合理化、機械化のために約一億円、それ以外に雇用促進事業団で住宅の建設それから就職資金の貸付、それから移転資金の支給、そういう関係で約十三億九千万円、それ以外に流動化促進のための融資を来年度新たに認めていただいております、これが約二十億でございます。以上が流動化の予算でございます。
  56. 岩間正男

    岩間正男君 三月九日にこの案がきまったのでしょう、古い予算について聞いているのではないのです。新しい予算をどう組むか。
  57. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) この方針は前からそういうように考えておるところでございまして、急に三月何日かに変わったというのではなく、したがって、従来からの予算にそういうように計上されているということで、矛盾がないと考えております。
  58. 岩間正男

    岩間正男君 どうもそれじゃ新しい当面する政策という点の特徴点がなくなるわけですね。これは陳腐なものだ。さらに第七項目では、中小企業の生産性向上について助成措置をする、とありますが、予算はやはり組まれていない。三十七年度当初予算では、中小企業については自由化対策予算がほんのちょっぴり組まれているだけです。それとも新しい予算を組むつもりですか。これは通産大臣。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 中小企業の問題につきましては、もちろん従前から基本方針をとっておりますが、今回は予算がまだ御審議をいただいておる最中でございます。これが成立いたしました後に、まずこの予算を使うことが第一の問題でございます。さらに必要がありますれば、途中におきましても適当な機会に増加をすることはこれは可能だと、かように私どもは考えております。
  60. 岩間正男

    岩間正男君 どうもはっきりした見通しはないですね。  第九項目を見ますと、地価、家賃の抑制をうたっていますが、政府は、地価、家賃の統制令をすでに撤廃している。こういうことではうまくいかぬと思うのですが、経企、建設大臣、いかがですか。
  61. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 土地価格の問題というのは非常に重要な今日の課題でございます。したがいまして、これをどうしていくかということは、直接にはむろん土地造成ということも必要でございます。現在建設省方面ではその点に力を入れられているわけでございます。将来の土地価格の問題というものにつきましては十分検討する必要がありますので、企画庁におきましても担任官を置きまして、ただいまその問題を整理をいたしておるのでございます。将来何らかの機会に審議会等を作って御意見を伺いたいと思います。
  62. 岩間正男

    岩間正男君 公共料金の抑制というのは、具体的に何をさすのですか、公共料金の抑制というのは。
  63. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 電気料金とかあるいはガス水道、あるいは私鉄というような鉄道、国鉄もそうでございます。そうしたものについても、できるだけ抑制をするという立場から問題の検討をしなければならぬということでございます。
  64. 岩間正男

    岩間正男君 できるだけ抑制すると言いながら、私鉄運賃についてはあいまいな態度、すでにもう腹の中できまっておる、こういうことでは話にならぬと思うのです。今いろいろ時間の関係から全部を尽くすことはできなかったのですが、答弁を聞くと全くちゃらんぽらんです。いいかげんな答弁です。結局、これは政府の今度の対策は、消費者物価は野放しにして置くということではないのか。消費者物価はほって置いても、卸売物価さえある程度落ちついていれば、当面の高度成長政策には支障はない。消費者物価などは幾ら上がってもかまわない、こういうふうな考えではないのか。この前の公聴会でも、政府のブレーンと言われる下村治氏がここでそう言っていましたが、政府の見解をお聞きしたいと思います。
  65. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 卸売物価高騰しないことは、これはむろんそうやってもらわなければならぬのでございますが、しかし、それだけではございません。消費者物価対策というものは非常に重要だと私は思います。
  66. 岩間正男

    岩間正男君 重要だといっても、具体性がないのです。作文です。私はこの今度の政策を見まして、池田内閣の真のねらいは実は第十三項目にあるのではないか、こう考える。これは、生産性向上による利益の一部をまず製品価格の引き下げに振り向ける経営態度の急速な一般化をはかること、そして特に労使の協調を求める、こういうことを言っているのです。つまり大企業は労働強化でどしどしかせいでもうけさせるけれども労働者の賃金はできるだけこれは押えよう、こういうことではないのか。これは物価抑制対策どころか、春闘目当ての低賃金労働対策と言わなければなりません。ここを言おうとするのが政府の腹で、物価対策十三項目中の十二項目は、ほとんどそのためのごまかしの飾りものになっているのですが、いかがですか。
  67. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 生産性向上によります利益というものが、やはり労働者にも均霑されなければならぬことはむろんでございます。ある程度企業家も必要でございます。しかし、それをやはり消費者の立場に立って考えていただくことも、これまた当然のことでございまして、その点を指摘しているわけでございます。
  68. 岩間正男

    岩間正男君 ほんとうに消費者物価を抑制しようと政府は考えているのかどうか。私はそう考えているなら、これは物価を真に安定させるためには、大資本本位のいわゆる所得倍増政策というものを根本的に変えなければならないと思う。当面、さしあたり独占物価をもっと引き下げる。独占価格のしわを中小企業や小売業者や消費者に押しつけないことが、最も大切な物価抑制のキー・ポイントであると思いますが、経企長官はどういうふうにこれを考えるのですか。
  69. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 価格問題につきまして、協定等については、十分公取がその精神にのっとりまして善処していただくことをわれわれは希望しているわけでございます。
  70. 岩間正男

    岩間正男君 政府は、一体わが国の卸売物価の中で、独占価格がどの程度の比重を占めているかということを検討されましたか。四〇%、六〇%、物によっては七〇%になっているものもあります。このように独占物価が卸売物価を決定していると言っても過言ではないのです。これが直接間接に中小企業者の製品や消費物価にしわ寄せられ、消費物価をつり上げているのが現状です。いわば物価値上げの元凶は独占価格です。これは明らかな事実です。政府はなぜこの事実を一体隠しているのか。この物価安定策という中には、このことを全然うたってないのです。なぜこの事実を明らかにしないのか。私は率直にこの点を明確にすべきだと思いますが、いかがですか。
  71. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 総合対策の中におきましても、公正取引委員会が協定価格その他について十分なる厳重な監督をすることをうたっているのでありまして、それをないがしろにいたしているわけではございません。
  72. 岩間正男

    岩間正男君 医者が病気をなおすのに、対症療法をやっただけじゃなおりませんよ。病気の真因をつかまなければならぬ。独占価格の問題を全然安定策の中でうたってない。そうして物価抑制しようなんていうことは、本末転倒です。全くのごまかしだ。  それではお聞きしますけれども、この独占価格を振り上げ、これを指示しているいわゆるカルテルや、これに類する仕組みが日本に現在幾つあるのか。この点をお聞きしたい。
  73. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その点は、公正取引委員会のほうからお答えするのが適当だと思いますが、公正取引委員会が認めておりますのは、七件でございますか、その他各省関係でそれぞれいろいろの協定がございまして、むろんそれの中には環境衛生の問題もございますし、あるいは輸出、水産業の問題に関するものもございます。各省それぞれある程度のそういうような必要性を認めて措置されているようでございます。
  74. 岩間正男

    岩間正男君 大体トータルとしてどれくらいですか、大体でいい。
  75. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 大体私どものほうで直接やっておりませんので、わかりませんので、その点は公正取引委員会のほうへお聞きいただくのが適当じゃないかと思います。間違いますといけませんから。
  76. 岩間正男

    岩間正男君 今、来ていませんか、公取は。
  77. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間さん、政府委員はおられぬようですがね。
  78. 岩間正男

    岩間正男君 今七件その他というふうに言われましたけれども、そんなものじゃないと思います。独禁法の例外規定によるカルテルを初めとして、輸出入取引法に基づく生産者協定、あるいは政府の勧告操短と、その他合わせれば九十から百もある。そのほかに私的独占が、たとえば鉄鋼のとっている公販制とか、非鉄金属のとっている建値制とか、いずれもこれは価格カルテルです。これらを合わせると、百数十に達するはずです。これをカルテルといわないのかといえば、これはりっぱなカルテルじゃないかと思うんです。このカルテルがいわゆる独占価格を作り出していることは明らかです。これらは、幾ら生産性を上げて大もうけをしても、一向に価格を引き下げようとしないのです、もともと価格をつり上げるための組織だから。この事実をはっきり経企庁長官は認めなければならないと思いますが、どうですか。
  79. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公取委員会の七件という、各省でやっておられますものには、必ずしも価格をつり上げるというよりも、たとえば環境衛生を整備して、そうして公衆衛生の完備をするというような意味からの指導的なものもあると私ども存じておるのでございまして、何か全部価格を引き上げるためのカルテルだというわけではないと存じております。
  80. 岩間正男

    岩間正男君 私が今あげたのは、そういう環境衛生や何かのことよりも、もっと中心的な独占企業について話をしているのです。そのほかに国家独占価格、こういうものがある。国鉄でも電力でも、政府が直接価格を決定している。たばこもまあそうです。政府物価抑制を本気で一体やる気なら、率先してこれらの独占価格を引き下げてこそ初めてその実が上がると思うんですが、逆にこれを引き上げようとしているが、これは一体どういうことですか。
  81. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 逆に引き上げるというお話は、国鉄運賃を去年上げたというような立場からのお話かもしれません。その他の、今御指摘のような、たばこその他についてはそういう問題が今起こっておるとは思っておりません。これは、大蔵大臣から御答弁願うほうが至当だと思いますが、国鉄の場合については、今後の国鉄輸送の改善のために隘路を打開し、あるいは乗客輸送の完璧を期するということのための新しい諸般の施設をするために必要な財源の確保というような意味からであったのでございます。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 電力はどうですか。通産大臣は当分の間と言ったが、当分の間とは、これはいかがです。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 電力は先ほどお答えいたしましたように、昨年東京電力を上げましたが、当分の間電力料金は上げない、こういうことを考えております。御承知のように、ただいまも、物価対策で先ほど来御議論がありますように、やはり低位安定というところがねらいだろうと思います。そういうふうに協力する考えでございます。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 当分の間というのは、参議院選挙前、こういう意味ですか。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) さような時期を画して申しておるわけじゃございません。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 隠すより現われるといいますから、大体そういうことではないんですか。このようにお聞きしておりますと、上げない上げないと言っていながら、このような国家独占価格を上げてます。このように、百数十のカルテルや国家独占による価格つり上げが、現在の物価値上がりの最も根源的なものです。そしてこれらの独占価格が卸売物価を支配し、消費物価をつり上げています。これが現実で、全く何よりも証明できる問題です。このように、カルテル価格、独占価格を押えることが物価全体を押えるキー・ポイントであるのです。政府が、もし真に国民のことを思って、物価値上がりを押えようとするなら、まずこれらのカルテルを解体すべきである、こういうふうに思いますが、この具体策について、どうお考えになるか、お聞きしたい。
  87. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) それぞれの所管省におきまして、それぞれ組合があると思います。私のほうは、御承知のように、商工組合あるいは協同組合等がございます。これらの中には、いわゆる価格形成の情報を協議し得るものもございますが、おおむね価格については協議することができない。また協議しても、これは公正取引委員会に審査を願う、こういうような処置をとられております。ただ一つだけ、一つと申しますか、輸出関係のごとく国内消費者に影響のないもの、これは別でございます。おおむねただいま申すような公取委員会で審査を受ける、かようになっておりますので、いわゆる組合自身を解体するとか、あるいはまた、価格の形成の面から見てのみ組合の存在意義を判断することは間違っておる、かように実は私は思っております。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 経企長官、いかがですか。今の問題ですが、カルテルの解体の問題。
  89. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) それぞれ各省理由を持ってやっておられることでありまして、今にわかに、一がいにそういうものを解体するということは相ならぬと思います。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 このカルテルを押えるような具体的な措置については何も聞くことができないのです。私がここで先ほどから強調しておるように、これは、政府自体が独占価格を維持強化する建前をとっているということがこれではっきりする。そうしてそのことが消費者物価を野放しにして、物価安定策の十三項目は、これはかけ声だけで、全然これはやらないということがこれではっきりする。いかがですか。
  91. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 若干御意見が違うかもしれませんけれども、私どもとしては、この十三項目を根幹といたしまして、各省それぞれ対策を立てて、そうして物価の抑制に進んで参りたい、こう考えております。
  92. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して。今の岩間委員の質問に関連して、一点通産大臣にお聞きしたいのですが、カルテルを結成して物価値上げをよけいに政府はあおっているのじゃないかという質問に対して、いやそうではない、公取委員会の審査を厳重にさしておるのだから、別に心配はないという御答弁があったと思っております。私は、この公取委員会の審決状況というものについて、最近次第に審決の数が少なくなっているということを知るわけであります。もちろん、独禁法の改正で強化するとか合理化する、こういうことで独禁法が改正されてから、公取委員会の活動が非常に不活発になったと聞いております。また、行政的にも独禁法を緩和させるような傾向をたどっておるわけです。ほんとうの意味公取委員会の審決というものも審議をきわめているとは考えられない。最近の公取委員会の審決は、どういうふうにこの数が増減されているのか、この点について通産大臣の御確認のほどを一応承っておきたい。
  93. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお尋ねには、公取委員会のほうでお答えするのが本筋と思います。通産省直接ではございません。先ほど岩間委員のお尋ねに対してお答えいたしましたが、そのうちに、私ども、いろいろのカルテルそのものが価格をつり上げる、こういうような不都合な処置があれば、その業種に対しての通産省の監督、行政指導というものは十分いたすつもりでございます。また、ただいま御指摘になりますように、不況カルテルというようなものは、価格等につきましても、これは公取が一応承認しておりますが、いわゆる不況カルテルというものは、価格が非常に低落したような場合、混乱したような場合に発動するものでございます。そういう意味から申すと、一般的に物価つり上げという、そういう形のものではない、かように私は理解しておるわけでございます。審決の状況そのものにつきましては、これは公取から直接御説明をお聞き取りいただきたい、かように思います。
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 公取はおいでになっておられますか。
  95. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) おりません。
  96. 高田なほ子

    高田なほ子君 おりませんか。ただしかし、公取から説明を聞けというのでは、私、無責任だろうと思うのです。やはり公取委員会の審決の状況というものも、これは、通産大臣としては一応やはり御認識になってしかるべきだと思う。くどく申し上げるようですけれども、最近は、独禁法の制限が緩和されている方向にきている。ですから、公取委員会自体としても、なかなか審決の数というものがそう思うとおりには増加しておらない。消費者の立場からいえば、もっと公取委員会のだんびらをふるわれてもいいのじゃないか、こういうふうに考えているのに、逆に審決の件数が減ってきている、最近は。こういう点は、当然あなたは御認識になってしかるべきだと思うので、御質問申し上げたのですが、全然御認識はございませんか。
  97. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 公取から聞けというのは無責任だ、こういうことをおっしゃいますが、これは、もうすでに御承知のように、公取は独立の機関でございます。したがいまして、私が審決の状況等についてとやかく申し上げる筋のものではないということを申して、ただ、やはり独立の機関から、責任ある者からお聞き取りをいただきたい、かようにお答えいたしたのでございまして、むしろ責任のある答弁をしたつもりでございます。また、独禁法自身は、これの改正だとか、あるいは修正だとかいう意見があるということで、あるいは通産省はどういうように考えるかという話を今までしばしば伺っておりますが、この独禁法に対する私の態度は、委員会を通じまして明確に申し上げておりますように、ただいま独禁法を改正するような考えを持ってはおりません。こういうことを実ははっきり申し上げてございます。これで御了承いただきたいと思います。また、審決の実際の問題で、私の耳に入っている最近の事案がございません。だから、そういう意味で、審決の件数が少ないのじゃないかというような御批判はあるいは当たるかとも思いますが、私自身は、審決の状況について報告を受けたことがございませんので、ただいまのお答えをしたので御了承いただきたいと思います。
  98. 岩間正男

    岩間正男君 税の問題でお聞きしますが、今度の予算案では、税の自然増四千八百億と見込んでいるわけですが、三十六年度は六千億にもなっていることは明らかです。さらに今年度は、生産が政府の見込みよりも上回っている。それに物価値上がりもあるので、四千八百億をはるかにオーバーすると思うのですが、どうですか。大蔵大臣、いかがですか。
  99. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今のところは、三十六年度の当初予算に比べまして、四千八百億円前後の自然増収を見込んでおりますので、まだこの数字は変更するというふうなことを考える段階でもございません。
  100. 岩間正男

    岩間正男君 先ほどあげたように、いつでも自然増は多くなる。だから膨大な自然増が起こります。そうすれば、これは実質的に増税なんですから、当然これは国民に返すべきものだ、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  101. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから、いろいろ考えまして、大体、初年度一千億円をこすという減税は、シャウプ税制改正以来の大幅な減税となるわけでございますが、今年もそれを行なったわけでございます。
  102. 岩間正男

    岩間正男君 これはあとで明らかにしますが、減税になっていませんよ。昨年と比べますと、勤労者の名目賃金は一〇%の上がり。ところが、消費者物価は、大体政府統計でさえも一〇%近く上がっておる。そうすると、大体収支とんとんのようには表面見えますけれども、問題は、ここに過酷な税負担の問題があることです。税制調査会の答申によると、名目賃金が一〇%上がれば税金は五〇%から三〇%はね上がる、こういうことがいわれております。また事業所得でも、この三月の確定申告で、青色四〇%、白色三〇%の申告増が予想されているようですが、実際は五〇%ぐらい追っかけてきているのが実情です。しかもこのやり方は、手数をかけても大したことのない五十万以下のものよりも、五十万から百万円級のものをねらって、今、中小企業者たちは、経費増、消費者物価値上がり増で七転八倒の苦しみをなめているのですが、この事実を水田蔵相は知っておられますか。
  103. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 中小企業は決して楽でございませんので、したがって税制の重点も、昨年と今年、三十六年度と三十七年度、二年間にわたった減税の中心を中小所得者層に置いている、こういうことでございます。
  104. 岩間正男

    岩間正男君 減税だと言われているけれども、国税、地方税を通じて、全体としての税負担、これはどうなっているのですか。昨年の税制改革で住民税の課税方式が変更され、そのため、ちょうどきょうの三月二十日の申告期を前にして、東京、大阪などの都市の住民は戦々きょうきょうとしています。水田大蔵大臣は、所得税、都道府県民税、市町村税を合わせれば、納税者がはたして減税となっているかどうか、この事実を知っておりますか。あったら、その数字を示してもらいたい。
  105. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この点は、私ども十分検討してきめた税制でございますので、地方税の負担の上がることと国税の問題との均衡、それから、地方税も今度は相当大幅な減税をやっておりますから、それらとの関連から、国民負担というものは、両方合わせて非常に大きい負担減になっているというふうに考えております。
  106. 岩間正男

    岩間正男君 具体的な数字はありませんか。
  107. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もしこまかい数字がお入り用でしたら、資料にいたしますが、大体大ざっぱな平年度ベースで見ますと、国税で千四百二十二億円の減税、地方税で四百二十二億円の減税、合わせて、今回の減税改正案で御審議を願っております減税の幅は、千八百四十四億に及ぶという、相当大きい規模の減税でございます。
  108. 岩間正男

    岩間正男君 そういうまあ大きな数字を出されましたけれども、問題は、庶民階級なんですね。ここにこういう例がありますよ。夫婦と子供三人、年収三十九万円、昨年は、これはもう七百円の均等割だけでよかったわけです、住民税。これはもう所得税はかからなかった。ところが、今年度は所得税が千七百八十八円、そこに住民税が、課税方式の変更で、これは二千三百円、合計四千八十八円になるのです。そうすると昨年より三千三百八十八円の増税です。同じように、今度は夫婦子供三人で年収五十万円、これを計算しますと、昨年は一万二千七百十三円であったのが、今年は両方合わせますと、これは一万六千八百六十四円、四千百五十一円の増税になっている。こういう実態をつかまなければ、今の大きなトータルでこの問題を解決しようとしたら、先ほど申しました庶民生活はわからない。さっきの歌のことをよくわかるとおっしゃったのですが、こういう点は大蔵大臣、どうです。こういうところをつかまないでどうする。
  109. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いかなる階層においても、中央税、地方税の関係から負担増になるということのないような配慮をした税制改正でございますので、今のような数字はちょっと間違いじゃないかと思います。
  110. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連、地方税の改正を今年から、三十七年度から適用するわけですね。そうすると、今までは所得税が減税になればそれがそのまま地方税の減税に響いたわけです。今度は打ち切ってありますから響かないわけですね。昭和三十五年度の所得税を基準にして、昭和三十七年度の地方税は、本文方式によりましても変わるわけですから、大体三〇%ぐらい増収といいますか、増税ということになります。したがいまして、所得税のかからない者でも、地方税は、本文方式でもかかることになります。それから大蔵大臣の御説明は、これは本文方式をとった場合に、これだけの減税になるということです。しかし、本文方式をとっておらないところが、少なくも七〇%ぐらいあるわけです。これは、たとえば二十五万くらいの収入の者には、所得割はかからないはずでありますのに、二十五万の者にもかかっている。この前もやはり指摘したように、ゼロである場合に、千七百円くらいかけているところもあります。ゼロのところに千七百円くらいかけている市町村もあるわけです。したがいまして、ほんとうの減税というならば、本文方式なら本文方式一本にしなければ、地方税まで減税ということになりません。所得税で減税をしましても、その減税の響きというものを地方税には遮断してしまったのが去年の地方税の改正でしょう。ですから、ただいまの御説明は、岩間委員数字が正しくて、御説明のほうが私は認識に欠けておると思うのです。この点どうですか。自治大臣にもお答えいただきたい。
  111. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ちょっとさきに岩間さんが、年収五十万円で五人世帯という者の所得税と減税のかね合いにつきまして何かお話がありましだが、私どもの計算によりますと、年収五十万円でございますと、所得税におきましては、三千四百七十七円減になりまして、いわゆる府県民税に当たる住民税の増が九百九十一円、差し引き二千四百八十六円の減税になります。こういうような計算になりますので、先ほどのは何かのお間違いではないかと思います。  なお、いわゆる所得税と住民税とのなにを切り離しをやったということは、これは三十七年度から実施いたしますが、そのために住民税の側だけがふえるというものにつきましては、これは税額控除によって従来よりも増税には絶対ならない、こういう措置をとっていることは、今までも御説明したとおりです。
  112. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは本文方式で、しかも、準拠税率を使う場合は、大臣の御説明に近い数字が出ます。しかし、本文方式を使わないのが七〇%以上、しかも、準拠税率を用いておらない、本文方式の採用が相当あるわけです、地方団体で税率をきめるのは自由でありますから、ただいまの控除をきめるのも自由でありますから。そうすると、交付税、交付税といったって、交付税がそんなに当てにならないわけですから、少しでも取れる方法に改めるのは人情の常です。したがいまして、第一方式よりは本文方式のほうがよけい税金がかかるわけですから、今度は税率も変える、控除も変える。本文方式で取るよりはただし書きのほうがいいですから、ただし書きを採用する。ただし書きでは税金のよけい取れるような税率をきめる。これが実態じゃありませんか。この点どうですか。本文方式の準拠率だけを論じておっては、地方税の問題は解答は出ませんよ。
  113. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ただし書き方式をそのまま採用している分については、依然として状況は同じだと思います。本文をただし書きへ変えるというような場合があり得るかどうか。私は実際はただし書きは本文へ変える。本文をただし書きに変えるということは実際問題としてあり得ないと思いますが、その具体的な問題につきましては、何だったら事務当局からお答えいたします。
  114. 岩間正男

    岩間正男君 自治大臣の私に対する答弁、あれ違いますよ。私は現状を把握した。つまり賃金は一〇%上がっておる。したがって、五十万円の人は五十五万円になる、一〇%上がれば。これは税金は五〇%から三〇%上がるという、こういう方式になっているでしょう。その点を計算したので、あなたのは死んだ統計と言わざるを得ない。そういうことではこれは話にならぬと思うのですが、もっとしっかり先ほどからの論議を聞いておいてほしいと思う。  もう一つ自治大臣に伺いますが、この地方住民税が非常に増税になっておる。今東京各区の予算歳入がこれで大幅の増加になっています。大体山の手では四割から六割の増加、新宿区を調べると大体四億六千万円、杉並区は七億七千五百万円、中野区は三億六千万円。このように自治体の収入を上げることはけっこうだというでしょうが、しかし、国税の減税分より住民税の増税分が多くなっている。これが池田内閣減税の正体じゃないですか。国税だ、住民税だと言っておるけれども、納めるのは一人ですよ。この一人の国民生活がどうなるかという問題、この点どうです。
  115. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 収入が上がって税額がふえるから、それを元と比べて上がったじゃないかと言われるけれども、これはどうもやむを得ない。したがいまして、自然増でふえる分というのは、これは元の所得税額というものが上がるのでありますから、これはやむを得ないと思います。なお、住民税につきましては、全体で増収になることは事実でございます。しかし、今の所得税と住民税とを組み合わせた関係におきましては、その所得税の減りましたうちの四分の一ないし三分の一程度が、平均してこれは増税になっておるだけであります。それでもって全体として比べましては減税になっておることは税制上明らかであります。
  116. 岩間正男

    岩間正男君 時間の関係から詳細にやりませんけれども、よく先ほどのを聞いてもらわないと因るんです。物価は上がっておる。そうすると、賃金では、実際は名目賃金は帳消しになっておる。その上に税金の課税が多いのでたいへんだと言っているんです。そこのところ、あなたはよそ向いているんですが、このように考えてみますと、しかも、国税通則法の問題が非常にこれは問題になっております。こういうやり方。それでも足りなくて、今度は根こそぎ国税通則法で取ろう、こういうことになっておる。これが池田内閣が言っておる一千億減税の正体ですよ。「減税のたびに税金高くなり」、こういう川柳を知っておりますか、大蔵大臣。「減税のたびに税金高くなり」、これは天下周知の川柳です。池田内閣のまさに正体をついたものです。どうです、御存じですか。
  117. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 問題は、所得が上がっていくということを考えなければなりません。税制上の減税をやったと、で、各個人の税金が減らなかったという場合には、個人の所得が上がっているということでございまして、かりに、この十年間の減税というものをやらなかったら、今の各国民の所得を土台にした税金がどれだけふえるかということを考えてみましたら、一兆円以上がふえるという計算になりますので、毎年の減税をやることによって、今の所得を土台にして見れば、一兆円の負担減になっておるということになりますから、減税をやって、そのために税金がふえているということは実際ございません。
  118. 岩間正男

    岩間正男君 減税と言うと体裁がいいけれども、実際は取り過ぎたのを、そのうちの五分の一ぐらい返すのを、これを減税と呼んでいるだけです。そういう実態を明らかにしないと、国民は、国会の論議は言葉の論議でごまかされてしまう。減税々々と言ったって、そうでしょう。自然増が昨年六千億ある。そのうち一千億返すといったって六分の一じゃないですか。取り過ぎなんです。税制審議会の答申だって、半分は返さなくちゃいけないといっているでしょう。六分の一でごまかそうというところに問題があるのです。だから、今の川柳をちゃんと銘記しておいて下さい。  次に、家族手当制度の問題についてお伺いしますが、政府は、昨年六月から厚生省の中央児童福祉審議会に児童手当部会を設けて、児童手当の制度の検討を始めたが、いつからこれを実施するつもりか。また、その内容はどんなものか。厚生大臣に伺います。
  119. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お尋ねのとおりに、現在中央児童福祉審議会に部会を設けまして、児童手当の問題について検討をいたしております。関係するところきわめて大きいものがございます。あらゆる角度からの検討お願いしているわけでございますので、まだその結論に至っておりません。したがって、いつからということを申し上げるわけに参らない段階でございます。
  120. 岩間正男

    岩間正男君 内容は……。
  121. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) いかなる趣旨において、また、いかなる形においてやっていくかというような基本的の問題から検討お願いしておるところでございますので、内容を申し上げる段階でもございません。
  122. 岩間正男

    岩間正男君 昨年六月に部会を設けていて、怠慢と言わざるを得ないですね。それじゃ、お聞きしますが、これは家族手当制度とどう違います、児童手当は。
  123. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 大体家族手当、児童手当共通の問題として検討いたしております。本質的に変わっておるものとも考えておりません。
  124. 岩間正男

    岩間正男君 これは、そういう認識ではたいへんですよ。家族手当制度と児童手当制度は明らかにこれは別のものですよ。物価高の現在、労働者が今必要に考えているのは家族手当制度というものを確立したい。三十六年八月の雇用審議会は、中高年層の再就職をはばむ大きな原因が賃金の問題にあることにかんがみ、扶養家族の多いことが再就職の機会を狭ばめたりすることのないように、いわば家族手当制度ともいうべきものの早急な実施について検討を行なうことといっています。厚生省が児童手当だけいっているのは、現在、労働者が扶養家族としてもらっている家族手当を抹殺し、現行制度を破壊するためではないか、この点伺いたい。
  125. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今お述べになりました雇用審議会の御意見も、私ども承知いたしております。今後の雇用状態あるいは賃金の形態、かような問題も、これは家族手当あるいは児童手当といわれるものについて非常な関係を持つものでございます。関係するところが非常に大きいのでございますので、あらゆる角度から慎重に検討したいと思っている次第であります。
  126. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 技術革新等が進んで参りまして、今御指摘のような考え方を検討する必要は私も強く感じております。ヨーロッパなんかでも、今御指摘になっておりますような方法で、賃金と全然切り離した家族手当の制度を採用しておる国が幾つかございますが、労働省といたしましても、こういう問題につきましては、深い関心を持っているところでございます。したがって、厚生省のほうでこの問題についての検討を進めていただくということを大いに期待いたしておる次第でございます。
  127. 岩間正男

    岩間正男君 児童手当などということじゃなくて、全部を含めて家族手当制度というふうにはっきりいくべきだと思います。今どうなんです、厚生省と労働省の間。はっきりしてない。その点どうなんです。
  128. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほど申しましたように、私ども検討いたしておりますのは、岩間さんのおっしゃる家族手当というふうなものもあわせて考えておる次第でございます。どういう名前で、どういう趣旨のものを作っていくかということが検討の問題でございます。
  129. 岩間正男

    岩間正男君 ところが、そういうことを言っていますがね。池田内閣は、その所得倍増計画で、年功序列型賃金制度を是正し、労働生産性を高めるため、すべての世帯に一律に児童手当の制度を確立する必要を認め、この種の児童手当は、単に所得保障の面からのみでなく、年功序列制度の是正を促進させ、これによって生産性を高めるために欠くべからざるものである、こういうことを言っていますね。政府並びに独占資本は明らかに現在の賃金体系をひっくり返して、これを職務給に改めようとしているのじゃないか、こういうことを言っておるのです。あなたの答弁と違います。どうですか。労働大臣も答えて下さい。
  130. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) わが国の年功序列型の賃金の現在の姿がそのままで最もよろしいかどうかということについては、相当論議のあるところでございます。私自身も、これについては大いに検討を要するというように考えている次第でございます。今お話がございましたような趣旨におきまして、将来の方向といたしまして検討を進めていくべきだ、こういうように考えている次第でございます。したがって、所得倍増計画の中に表現されておることについて、将来の方向といたしましてぜひ検討を進めていかなければならぬ。ただ、まあ日本の年功序列型の賃金も、相当長い間の伝統や、いろいろの根拠に基づいてそういうことになっておりまするので、これを一挙にくつがえすということになりますと、また、そういった面からの問題もございますので、総合的によく考えて処置しなければならない、こういうように考えております。
  131. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 賃金形態の変化、こういう問題につきましては、労働大臣のお答えになりましたとおりでございます。賃金形態が年功序列型から変わってくるというような場合におきまして、この家族手当制度ないし児童手当制度といわれるものに至大な関係を持つということが私どもは考えられるわけでございます。それらの点も含めましていろいろ検討いたしておるわけでございます。
  132. 岩間正男

    岩間正男君 そうしたら、児童手当というのは、ことさらに家族手当制度から切り離してやっておる意図がわからないのですが、これはどういうことですか。
  133. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 先ほどお答え申しましたように、名称の問題といたしまして、家族手当制度という名称になりますか、あるいは児童手当制度という名称になりますか、私ども、これはあわせて考究をいたしておる問題であります。
  134. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことを言っていますけれどもね、これは、家族手当制度と児童手当とは明らかに違っているでしょう。家族手当制度の中には、これは妻や老人が入るわけだ。ところが、児童手当というのは子供だけです。そうすると、現状よりはこれは悪くなってくるわけですね。どうです。今、労働者に支給されている家族手当は、極度の低賃金の実は不足を補うための恩恵的なものなんです。それでさえも全事業所の六二・八%、百人以下の事業所では。わずか四九・九%しか支払っていないのです。だから、そのために労働者の家庭では共かせぎや何かで家計を補っている。また家族の多い労働者は、残業でからだをすり減らしているのが現状です。ことにこれは婦人労働者に非常にしわ寄せされています。政府は、これらの苦しみを解消するために、児童手当などというごまかしの政策をやめて、家族手当一本の全面的合理的な支給を実施するために、家族手当制度というものをはっきり確立すべきだ、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  135. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 現在のいわゆる家族扶養手当の問題でありますとか、そのほか家族とか、あるいは子供に関しましていろいろな制度が行なわれているわけでございます。さような非常に広範に関係する問題でございますから、これらを全部取り上げまして十分検討した上で結論を出したい、かように考えております。
  136. 岩間正男

    岩間正男君 どうもその関係が明らかでないので、非常にこれは労働者は疑惑の目を向けているのですから、この点について、あくまでも家族手当制度を社会保障という立場からこれは確立すべきだ。この家族手当制度というのは、元来、所得保障の原則に基づいている。私はそういう点で、党を代表して、今最も必要なのは、真の最低賃金制を確立し、この家族手当制度を即刻実施すべきだということを要求します。  さらにお聞きしたいのですが、ILO百二号、あるいは第二次大戦後のILOのフィラデルフィア宣言、世界人権宣言、こういうものによっても、家族手当制度を実施する点を強くうたっております。こういう点どういうふうにこの世界の情勢を見ていられるのか。あわせてイタリー、フランス、イギリスなどの実施状況を労働大臣に伺いたい。
  137. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 詳しくは存じませんが、ILO百二号条約は、たしか十三カ国ぐらいがすでに批准を終わっていると存じますが、これらの国々におきましては、今お話がありましたようなこと等につきまして、相当徹底した施策を講じておると認識いたしております。
  138. 岩間正男

    岩間正男君 やはりこういう問題、だれか事務局でもいいですが、もっと詳しくここで明らかにしていただきたい。どうですか。もっと認識をやっぱり新たにしないと、この問題、新たな非常に大きな問題ですから、認識を新たにしなきゃならない。
  139. 大島靖

    政府委員(大島靖君) 各国における児童手当の制度ないしは家族手当の制度、まあ全般的な児童手当の形で実施しております国もございますし、また、今、先生御指摘のような家族手当という形で支給しておる制度の国もございます。両者ございまして、各国においては、その支給額、あるいはその対象、あるいはその財源、それぞれ制度を別にいたしておるようでありますが、わが国においても、将来の問題としてこれがいずれの形をとるか、これが現在総合的に審議検討されている状況でございます。
  140. 岩間正男

    岩間正男君 世界の情勢を言っているので、そういうことを聞いているのじゃない。世界はどうだ。ILO百二号、こういうものを詳しく言って下さい。
  141. 大島靖

    政府委員(大島靖君) 百二号の批准状況については、先ほど労働大臣から御説明申し上げたとおりであります。家族手当の制度、児童手当の制度の各国における実情につきましては、私ただいま詳細の資料は手持ちいたしておりませんが、後ほどまた御連絡申し上げたいと思います。
  142. 岩間正男

    岩間正男君 資料として出してくれますか、いいですか、委員長。今の、資料として出してもらいましょう、時間がありませんから。
  143. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 労働大臣、よろしゅうございますか、資料として。
  144. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) よろしゅうございます。出します。
  145. 岩間正男

    岩間正男君 今の家族手当制度というのは、これは低賃金に苦しんでいる今の労働者にとっては非常に重大なものです。妻、子供、老人を含むすべての扶養家族の生活を保障することは、当然これは社会保障制度政策の一環ですからね。こういう点をわが党としては、家族手当制度の実現のために、総評や社会保障協議会その他多くの労働者とともにこの要求を実現したいと思うのです。これは労働大臣、いかがです。
  146. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 先刻来繰り返して申し上げておりまするように、将来の方向といたしまして、私どももその検討を進めて参り、実現のすみやかなることを望んでおる次第でございます。
  147. 岩間正男

    岩間正男君 それでは次にお伺いしますが、地公退職金制度の問題です。政府は今実施している公共企業体、国家公務員の退職年金制度とあわせて地方公務員の退職年金制度を実行しようとしていますが、現在、地方公務員が積み立てている総額は八千三百億円と推定される。この積立金はどうなっているか、またどうなるのか。国公労働者の場合は、約二千億という過去の積立金がたな上げにされています。地公労働者の場合も同様になるのではないかと心配されますが、大蔵大臣、自治大臣、答弁願います。
  148. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 御承知のように、現在この恩給制度をとっております地方公務員の団体につきましては、これは積み立て制度をやっておりません。百分の二は、これはそのまま地方団体の収入におさめるわけであります。そうして、やめました場合に恩給がまた別途に支出される。さらに、いわゆる共済組合制度で積み立てをやっております分は、これは新しい制度にそのまま資金は引き継いでいく、こういうふうに考えております。
  149. 岩間正男

    岩間正男君 どういうふうに使うのですか、使い方。
  150. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 使い方につきましては、これは地方自治体の行政目的に沿うように、及び積み立てた組合員の福祉の目的に沿うように、これを使用していきたい、こう思っております。
  151. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今、自治大臣のお答えになったとおりでございます。
  152. 岩間正男

    岩間正男君 どうも、これは市町村と府県の場合と違っているようですが、一本で答弁されているようですが、不明瞭です。この金の使い方は非常にばく然としているのですが、この金は年五分五厘としても、この利子だけでも四百五十六億になるわけですね。労働者の掛金がまあ二百四十五億ですが、ただにしても現在これはおつりがくる。これはどうするか、自治大臣。
  153. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ただいま申し上げましたように、この積み立てました金は、安全な投資の方法といいますか、を考えながら、この組合員の福祉のほうと、それから地方行政の行政水準の向上のために有益に使用するわけであります。そのほかの目的に使うようにはいたしておりません。ただ、それを幾ら今どう使うかという計算はまだ正確なところはできておりません。
  154. 岩間正男

    岩間正男君 これははっきりさせないから非常に不安が起こっているのですね。大体、現在、地公労働者負担は、吏員が賃金の千分の二十、雇用員が最高で千分の三十八、で、新年金制度では、国庫負担がなくて自治体が五五%、労働者が四五%の負担となる。そのほかに、医療と災害などの短期給付の掛金を千分の二十四から千分の四十四取られている。この両方合わせると共済掛金は実に賃金の七%から九%という高率になるのです。本来、全額を国と使用者が負担して無拠出の真の社会保障とするのが当然だと思うのですが、現行はこういう形である。これはどうですか、どう思いますか。少なくともこれは人事院勧告、昭和二十八年の使用者七五%、労働者二五%、この線を確保すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  155. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) その従来の積立金が何千億あるというようなお話でありますが、これはそんなものはないのでありまして、現在そういったような関係の積立金は七百億程度のものが総額でございます。なお、今度新しく恩給制度から新しい共済組合制度へ移行するのでございます。それの支払われる額といったようなものも恩給制度よりは非常にいい条件になって参ります。まあ国と同じようなものへ率を直すわけでありますから、これは従来からいえば掛金が若干上がるということはいえますが、ほかの条件とあわせて考えるならば、やむを得ないことだろうと思います。
  156. 岩間正男

    岩間正男君 そう言っていますが、あなたはこの関係者が今どういうふうに心配して、この問題を運用しているかということを御存じないから、そういうことを言っておるのですね。そういうことじゃ話にならぬと思います。その運用の仕方、その運用制度はどうなっておりますか。
  157. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 運用の仕方につきましては、従来、国家公務員の共済制度に準じて扱っておりました。大体それにつきましては従来と同じように、いわゆる審議会方式によって運用いたしました。それからさらに新しくできます共済組合、市町村等の組合につきましては、これは組合会方式によってこれを運用することになっております。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 これはまあ二本立てになっておるようですが、どうなるのです。運用の仕方ですが、これは労働者が参加できないようになっているでしょう、ほとんど。府県関係では大臣任命の審議会、市町村関係は全国一本の連合会、そうして自治体の長が運営する、こういうことになるというと、労働者は自分で金を出しておりながら、この運用には参加できない。全くこれは地公労働者や労働組合を排除するということになるのですが、一体このようなやり方というものはこれはどうです。大蔵省の資金運用部資金を自由にそこに投げ込んで使う、こうやるためのねらいだと思うのですが、どうですか。
  159. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今申し上げましたように、従来、国家公務員の制度と同じようにとってておりました。警官の共済組合、それから教員の共済組合、都道府県の連合体の共済組合、これは従来どおりこの審議会方式をとってやるわけでございます。その他の市町村の団体、それぞれの東京都初め市町村の団体につきましては組合会方式をとる。組合会方式には組合側と理事者が半々で出ていく、同じような発言力を持つ、こういう組織になっている。したがいまして、これは地方の公務員の拠金あるいは地方団体の積立金でございまするから、大蔵省へ直接預金部資金のような形でその資金を回すというようなことはいたしません。ただ、国家公務員の部分が地方の中にあります。その積立金の部分についてはこれは大蔵省の関与するところとなりますが、地方限りのものについてはこれは地方限りで処理をする、そしてその目的は、何回も申しますように、組合員の福祉、あるいは地方団体の行政事務の向上、こういったものに使用する、こういうようにいたしております。
  160. 岩間正男

    岩間正男君 運用のやり方について資料を出して下さい。今のような答弁だけではこれは納得いきません。
  161. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今申し上げたとおり、資料といいましても、組合会方式で同数のものを出して組合会によってそのすべてをきめていく、教員と警官とそれから都道府県の一本になっておる連合体、これは従来の国家公務員の共済組合法を適用されておりまするから、これは審議会方式、これが資料と申しましてもないようでございます。
  162. 岩間正男

    岩間正男君 そこのところが問題なんですね。しかも自治体の長が運用する、こういうことになっておるのですから、その組織については非常な関心が高まっているのですよ。  それから日経連と政府が今考えている民間企業の退職金と厚生年金を一本化する法案作成の動きも全く同様だと思う。このようにして、国公、地公、公企体共済、厚生年金、国民年金等による膨大な積立金が設備投資に今使われている。これは物価、税金の収奪だけでなくして、年金制度までも収奪の手段にしているというのが現在のやり方じゃないかと思うのですが、この点は、これでは福祉国家が泣くのではないか。この点について今非常に地方公務員労働者が関心を持ち、現にまた何回もこの国会にも請願がきているのですが、これに対してはっきりした態度をとってもらいたいと思います。いかがですか。
  163. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 厚生省の関係で申しますというと、厚生年金、あるいは国民年金、あるいは船員保険の積立金等が問題となってくるわけでございますが、この資金の運用につきましては、その資金、積立金の性質にもかんがみまして、被保険者ないしは国民生活に直接間接に密接な関係のある方面にこれを使用する、こういう建前でもって運用いたしておる次第でございます。いわゆる財政上の投融資という関係におきましても、産業の基盤強化というような方面は別の資金でやっておりまして、国民生活に直接間接に密接な関係のある面に関係するもののみこれを運用する仕組みになっております。
  164. 岩間正男

    岩間正男君 次にILOの結社の自由委員会の第五十四次報告、これが出ているのですが、労働大臣から説明をしてもらいたい、これに対して。当然これはストライキを禁止しているのは正しくない、公益事業、公有事業の中にも、画一的にこういうことはできない——その勧告だと思いますが、どういう態度をとるか、政府態度を……。
  165. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 現行公労法は、公共企業体などの持つ高度の公共性にかんがみまして、結社の自由委員会第五十四次報告にいうその業務の中断が公共の混乱を惹起するがゆえに、真に必要不可欠な企業であることにかんがみまして、ストライキを禁止しているものであります。かかる措置が必要であり、また、これが憲法に違反しないものであるということにつきましては、すでに最高裁の判決にも明らかにされておる次第でございます。で、わが国におきましては、公労法の適用を受けます三公社五現業以外の数多くの公社、公団等の公有企業が存在しておりますが、かかる公有企業も公共の福祉と密接な関係を持つものではございますが、三公社五現業などと異なりまして、民間企業と同様にストライキが禁止されておりません。すなわち、わが国におきましては、公共性を有する公有企業のうちで、特に高度の公共性を有する三公社五現業についてのみ公労法においてストライキを禁止しているものでありまして、また、この場合におきましては、公労委によります調停、仲裁制度を設けており、仲裁裁定は御承知のように、三十一年以来、すべて完全に実施しているのであります。したがって、適当な代償保障措置が設けられておるのでありまするから、労働組合権が侵害されていない、こういうように考えておる。したがって、今、岩間さんのおっしゃいまする報告に指摘されておりますることに、おおむねわが国の場合合致しておる。つまり、向こうの指摘しているところに違背しているのではない、こういうような見解をとっている次第でございます。実際におきまして、百十二件の仲裁裁定がすでに行なわれ、これを完全実施いたしまして、よき労働慣行が確立されておる、こういうように私どもは考えておる次第でございます。
  166. 岩間正男

    岩間正男君 今のような説明ですけれども、ストライキ権を奪われて今ぎりぎりの生活に追い込まれている労働者は、その回復を心から望んで現在戦っているのですよ。私は国際的に顔向けがこれじゃできないと思う。まじめに勧告を受け取って、これに対して対処すべきじゃないか。ところが、政府のやり方というのは、ILO八十七号の批准、これは全くサボっておる。そして国公法、地公法なんかの関連法規を逆に改悪しよう、こういう意図が明らかになっておる。この問題は、全く私はこれは事実に反していると思うのです。労働大臣の再考を促したいと思いますが、いかがですか。
  167. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 御意見は承りまして参考にいたしたいと存じますが、ただいま申し上げましたように、私どもは特に岩間さんがおっしゃるようなまずいことをやっておる、こういうようには考えておりません。
  168. 岩間正男

    岩間正男君 委員長、どうですか、外務大臣は。
  169. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、あなたの御質問は外務大臣だけが残りましたのですか。まだありますか。
  170. 岩間正男

    岩間正男君 もう一つありますけれども外務大臣を先にやる、時間の都合で。
  171. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 外務大臣は、あなたの御要求があったから、それで外務大臣は今衆議院の外務委員会で質問応答中なんです。それで、打ち切りがちょっと困難な状態です。
  172. 岩間正男

    岩間正男君 午後から出られますか。
  173. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) それで、あなたが質問時間を、持ち時間をさいて、午後には出席ができるだろうと思います。そういうようなふうでやっていただきたい。
  174. 岩間正男

    岩間正男君 そうしましょう。
  175. 藤田進

    ○藤田進君 理事間で運営はいろいろ折衝をしているわけで、委員長と質疑者だけの間でものをきめられても、実は困る。
  176. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 僕は、あなたの方の御相談の結果に基づいたと思って今答弁しておる。そうじゃないのですか。
  177. 藤田進

    ○藤田進君 そうじゃない。それで、委員長を補佐する意味で、与党、野党を通じて外務大臣の出席方については衆議院の外務委員会にも出向きました。しかるところ、社会党は緊急に理事打合会を場内でやってくれまして、いつでも岩間君並びに引き続き矢嶋委員外務大臣要請については、両党国会対策委員長の間でも予算委員会優先ということが確認されているし、繰り合わせて、いつでも社会党の質疑者並びに会派理事としては打ち切って、参議院の要求される予算委員会のほうに出向いていただくことに何ら支障はないし、そういたしますということでございます。続いて、田上理事も民社党について同様連絡をいたしました結果、よろしいということで連絡を私も受けました。与党も川上理事が再三行かれたように思うのですが、その内容は詳しく聞いておりません。御承知のように、委員長もさきにそれぞれ所要の理事会決定の線に沿って措置をされて、政府答弁もあったわけであります。ここに何だびかまたきょう遺憾なこういう状態になったわけであります。そこで私は、岩間委員がどういうふうに判断せられるかによって、ここは質問者の意思を尊重いたしたいと思います。今厳密にいえば三分間残っておるそうでありますから、この三分間は他の閣僚に対する質疑があるからこれに使って、引き続き質疑をなさるか、あるいは留保されて外務大臣の出席を待つか、これは岩間委員の自主的な御判断にまかしてもいいのじゃないだろうか。他の会派の理事の御了承があれば、それでいいのじゃないだろうか。委員長、その線に沿って進行されてけっこうだと思います。  そこで、問題は、私の情勢の判断ですが、このまま岩間委員が席について外務大臣を待たれて、後質疑が続けられるのか、あるいはもうすでに十二時三十五分ですが、一時間の休憩をとって、一時三十五分かっきりに再開されて、そのときにぜひひとつ委員長とされても、各会派理事としても、特に与党理事としても、外務大臣の出席を、絶対的にこれは待てない線として一時三十五分には出ていただくということにして、その壁頭の三分間に残りをやられるか、あるいはそうでなければ矢嶋委員が質問に立つか、こういうことについて、少なくともあとの保証がなければ問題だと思います。この点をひとつ委員長とされても、その決意なり、今後の処理なりということを委員会に表明せられて、私どもも、もし休憩するとすれば、再開の一時三十五分に外務大臣が絶対に来るという保証を取りつけた上で休憩をしていただきたいと思います。
  178. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) わかりました。
  179. 米田正文

    ○米田正文君 今の藤田理事の提案ごもっともだと思いますが、本日の岩間委員要求大臣はきのうまでの要求では八名であって、きよう私は外務大臣の要求があったことをけさ知ったような次第であります。外務大臣の出席要求については、先ほど藤田さんから申し上げたように、川上理事も奔走いたしましたけれども、午前中の出席はどうしても困難だということでありますが、午後については、実は私ども聞いておりますところでは、午後一時半から外務大臣はソ連の今エカフェの代表で来ているレセチコ氏と会談をすることになっている。そこで、私どもは今藤田理事の御提案になった一時半ごろという線については無理だと。そこで、この昼の休みの時間を利用して理事会あるいは理事懇談会をやって、そこでひとつあらためて残りの時間をいつやるかということを相談したいと思います。
  180. 藤田進

    ○藤田進君 ここで理事懇談会をやらなければならぬという問題ではないと思います。委員会の諸般の問題がデッドロックに乗り上げたとか、会派間でぜひ話し合わなければならない問題ではないので、理事会を前置きして開会する必要はない。予定どおり委員会は開会せられてけっこうだと思います。ここで今言われた点は、私も今聞くのが初めてでありますが、外交上の都合だとかりにするならば、それが何時から何時まで、それが確実にそうであるのかないのかということを確める必要があると思う。それさえわかれば、午後の開会時間もきまるわけで、理事会を開いて四の五の言って時間を空費する必要は私はないと思うので、そういうことがわかっていれば、重ねて与党理事からでもけっこうですが、一時三十分から一体いつまで、外交折衝なのか儀礼的なものかどうかといったような性格を含めて、そういう時間的にひとつ御披露願いたい。私が聞いているところでは、そういうことよりも、実は衆議院のほうできょうはあとやりたいということが実は焦点のようでありますが、しかし、それは社会党並びに民社党を含めて、衆参両院で連絡をとった結果、予算優先でやってよろしいということになっておりますので、与党の協力さえあれば、議事は予算委員会として進行できるのであります。私はもっとそのほうにウエートがあると思います、衆議院との折衝の結果。だから、幾ら理事会を開いてみたところで、問題は前進いたしません。
  181. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 米田君、今外務大臣は渉外事項で一時半から会談するというのは、何時に出られますか、それはわかりませんか。
  182. 米田正文

    ○米田正文君 それはわかりません。それはあとで確認いたしたいと思います。
  183. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) それを確認するのに多少時間がかかる……。
  184. 米田正文

    ○米田正文君 だから、それは後ほど申し上げたいと思います。
  185. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行。私、当事者でありますから。私は先般の総括質問のときにも外務大臣を要求したわけであります。あのときに私の公職選挙法に関する質問を中断して、そうして本院で理事会をやっている間に、総理大臣と外務大臣はそれぞれ第一院の選挙法特別委員会と外務委員会に行って、そして委員会を終了して、五時前になって、委員長は、これから矢嶋君質問をしてほしいということでありましたが、そのときに私は、率直にいって、私の審議権を侮辱された、軽侮された感じを受けました。そしてお互いに話し合いの結果翌日に持ち越されましたけれども、非常に悪い印象をいまだに持っております。本委員会発足以来、委員長の御配慮によって行政府にいろいろの注意を喚起されております。また、総理初め官房長官は、幾たびかここで釈明あるいは確約をされております。私は本日外務大臣の出席要求をしておるわけですが、戦術戦略、何でもありません。質問を申し上げる重要な問題があるわけであります。私たち野党は、質問するにあたりましては、国民にかわって質問をするのであって、休みも休まないでふつつかの頭を駆使して真剣に勉強してこの場で質問するという、この気持政府の方はよくわかっていただかなければならぬと思うのです。きょう渉外事務で云々というのならば、その時間に限っての私は外務大臣の出席を避けて質問の工夫をする用意も、理事の御指示次第ではあります。ただ、先般のように、こちらで理事会を何べんかやっているその間に、衆議院でやるだけの委員会をやって、終わったから、これから、質問をして下さい、かようなことでは、矢嶋個人の問題ではないと思うのですよ。私は、そういうことを繰り返すようであったら、委員長は辞表をふところにしなければならないと思いますよ。真剣ですよ。私は、これだけ当事者として御要望を確と申し上げておきます。
  186. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 今お話のありました点で、渉外事項ということになるのですが、それについての時間の必要な点がわからぬ、そのために今外務大臣が何時に出てこられるかということは、それはほんとうのことを確かめることがちょっと時間上都合ができないだろうと思うのですよ。そこで、今この際、午後の時間をはっきりきめることができないと思うのです。
  187. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと委員長、その点で議事進行。きのう委員長から閣僚に対しまして御注意が重ねてあったわけですね。きのうのきようですよ。しかも、大体の大臣はそれぞれの御都合をわれわれ理事のほうに御連絡がありまして、十分了解の上に、われわれも差し繰って了解を与えておるのです。外務大臣は、何も、きのうもきょうも御連絡がないのです。御連絡がなくて勝手に行動されて、それを本院で黙認するということであれば、きのうの委員長の御発言は全くナンセンスということになるわけです。そういうことはわれわれは許すわけには参りません。外務大臣はどうしても定刻に御出席をいただかなければなりません。なぜならば、矢嶋委員外務大臣の要求はきのう、きょう出したものではありません。当初から出しておるのでありますから、差しつかえる業務がございましたならば、事前に十分連絡がとれておるはずです。それをとらなかったということは、われわれは、きのうの委員長の御意思を全く無視しておるというようにしか考えられません。本日の外務大臣の出席は、どうしても委員長の御権限で出していただきたい。
  188. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 加瀬君のお話でございますが、外務大臣の本日のことにつきましては、午前中は外務委員会のほうに出なければならぬ。それから午後の問題ですが、これは一時三十分から、これは先ほど川上、米田委員から言われたとおりでありますが、外務大臣のほうからもその用件のあることは言うてきておるのです。(「どこへ」と呼ぶ者あり)それは詳しく申し上げれば、私のところに今来ておるわけです、午後のやつは。午前はあらかじめそういう通知があったわけです。そこで、午後の何時に終わるかということをはっきり確かめないと、午後の時間を皆さんにお約束することは私はできないと思う。それで、その点を保留して、いつまでもそう長くかかるわけではないと思うのです、問題は。約三十分……。
  189. 藤田進

    ○藤田進君 それならば、二時からにしようか……。
  190. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 二時からならば、大体見込みがつくと思われますが。
  191. 藤田進

    ○藤田進君 それでは、三十分なら、どこの国か知らぬけれども、とにかく渉外事項ということで正式に来ているならば、二時から開会するということで、その間休憩にして、そのかわり二時にはかっきり来ていただく、厳重に連絡していただく。他の委員会で出てこられないということがあってはならぬ。その点はあらかじめはっきり申し上げておきます。
  192. 米田正文

    ○米田正文君 今私が申し上げたように、外務省において外務大臣はレセチコ、ソ連のこれは国務大臣と書いてありますが、あそこは国務大臣とは言わぬと思うのですが、そういう予定がされておって、三十分というお話初めて私は聞きましたが、その辺はこれは会談のことですから、あるいは時間の予定もできないかとも思うのですが、私は先ほど提案したように、昼の時間に相談をして、そのときには正確な予定を聞いた上で決定したほうが、私は正しい運営が今後できると思うのですが、ひとつ重ねて私は要望いたします。(「二時再開だ」と呼ぶ者あり)
  193. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) どうですか、三十分ということに対して信用を置けるか置けないかということになるのですが……。そうすれば二時ということにしまして、そして、二時に再開をするという見込みで、岩間君の問題はその機会にひとつ、時間が幾らありましたか……。あと三分あなたの持ち時間があるから、その際にやっていただく、そういうふうにきめたいと思います。  それでは、二時に再開することといたしまして、休憩いたします。    午後零時四十八分休憩    ————・————    午後二時十分開会
  194. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を再開いたします。  委員の変更について報告いたします。  本日成瀬幡治君及び古池信三君が辞任せられ、その補欠として大森創造君及び小柳牧衞君が選任されました。   —————————————
  195. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。岩間正男君。
  196. 岩間正男

    岩間正男君 小坂外務大臣にお伺いしますが、ケネディ大統領が十九日発表した沖縄に対する行政命令、さらに声明の内容はどんなものか、まず伺いたいと思います。
  197. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今朝六時日本時間でケネディ大統領が沖縄に対する声明を出しました。その中でアメリカとしては沖縄に施政を続けることが軍事上絶対に必要である、しかし、自分としては、流球が日本本土の一部であることを認める。沖縄が完全に日本の主権下に復帰することを許す日を待望している。それまでの間はすべての関係者が、寛容と相互理解の精神で対処しなければならない事態にある。なお、流球諸島が日本の施政下に復帰することになる場合の困難を最も少なくするために、幾つかの特定の措置をとるように指令した。こう言っております。  プライス法の現在の制限を撤廃することについての改正案を議会に要請する。  米軍及び琉球政府が雇用している琉球人に対する給与水準並びに公衆衛生、教育及び福祉の水準を、数年後には日本本土の相当する地域の水準に達するよう引き上げを行ない、このために新しい計画を実施する案を議会に提出する。  琉球の経済開発のための資金を今後年々着実に増加するため、議会にその提案の準備を行なう。  昨年の池田総理大臣のワシントン訪問に際して、自分と討議したことに基づいて、池田総理大臣は施政権の返還を要求されたのであります。これについての実現に至るまでの間、琉球における住民の安寧福祉及び琉球の経済開発を増進するための援助供与について、日本との協力関係実施に関する明確な取りきめを作成するため、日本関係と討議を開始する。  施政権者としてのアメリカが、必ずしも保留しておく必要のない行政機能を、いかなる状況のもとで、今まで以上に琉球政府に委譲することができるかを決定するために、継続的な検討を行なう。  琉球にあるアメリカの軍事施設または琉球諸島自体の安全維持のため、必ずしも必要でないすべての統制を撤廃するために、琉球住民の個人的な自由を不必要に制限していると考えられる諸統制について、継続的な検討を行なう。  ということで次に行政命令の改正の目的を言っております。立法院が琉球政府の行政主席を指名することを定める。  高等弁務官の拒否権について、それの制限された目的を強調するため書き改める。  立法院議員の任期を二年から三年に延長する。  立法院が選挙区の数と区域を変更することを認める。  民政官は文民でなければならないことを定める。  琉球におけるある種の米国人に対する刑事裁判権についての規定に、若干の技術的変更を認める。  というのが大体であります。以上であります。
  198. 岩間正男

    岩間正男君 あなたの読まれた今の中で私は、非常に軍事上必要だ、こういう点が実は相当詳しく言われたと思うのです。ここのところが出ていないと思う。あとのいろいろな今後のやり方について、内政上の問題については詳しく言われましたが、こういうことでないかと思うのです。米国が琉球諸島の基地の重要性を認めることをあくまでも強調している点、これらの地域の基地に展開された兵力は極東の平和に対する脅威にかんがみ、われわれが阻止力を維持する上で最も重要である。一たん事あるときは米国は援助におもむく意思も能力もあることを保証するのに役立っている。  第二の点は、米国の施設は続けることが軍事上絶対に必要である。琉球住民の希望をこれといかに調和させるかというので、今のようないろいろなあなたが述べられたことが言われていると思いますが、これは立法院の決議、並びに当日本国会においての満場一致の決議にかんがみまして、非常に前半のところが問題だと思う。これではこの二つの決議の趣旨にある、施政権の返還と軍事基地の返還を要求する、こういう沖縄島民の切実な要求というものを果たすことができないと思うのですが、いかがですか、その点。
  199. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) あなたのおっしゃるようにはできないと思います。
  200. 岩間正男

    岩間正男君 これはこういうことをここで新たに処置をとらなくちゃならないというのは沖縄島民、日本国民の側からの発言、要求があって、これに対して、しかも実質上、事実上沖縄の永久占領と軍事基地の拡大強化、こういうものは絶対これはアメリカの政策では必要だ、これを今度はもっと合理化するために、こういうものがいろいろな手段を尽くしておりますけれども、その中心のこれは精神はそこにあると思う。どんなことがあっても沖縄は離さないという意思のこれは表われのように考えられますが、どうでしょう。
  201. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、持ち時間が切れましたから御承知願います。
  202. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 極東における平和に対する脅威と緊張が続いている間、アメリカは沖縄をその平和の維持のために保有したい、こういう意思を持っていると想像されます。
  203. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、持ち時間が切れております。
  204. 岩間正男

    岩間正男君 最後に一問だけ。
  205. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) きわめて簡単に願います。
  206. 岩間正男

    岩間正男君 時間がありませんから……、お聞きしたいのですが、そういう意思の表明というのはこれは少しもありません。施政権返還の要求、さらに沖縄島民の要求は単に内政をどうしてくれというだけじゃない。一番大きな問題はやはり平和の問題です。軍事基地の下にじゅうりんされている沖縄島民のこの意思を尊重すれば、私はこういうことではこの立法院の決議並びに日本国会の決議も果たされてないと思う。政府は一体これに対して今後どういう措置を取るのか。第一にこのような声明や、あるいはまた行政命令を出さざるを得なくなったということの根本原因はここにあるのじゃないか、この行政命令、声明の中で沖縄を日本本土の一部であるということを今さら持ち出していますけれども、これは言われなくてもあたりまえのことです。こういうことを今ごろやすやす持ち出すというのは、実は池田・ケネディ共同声明の中で、自由と正義に基づく世界平和確立を目指して、両国が努力を強化することを再確認した、こういうふうに言っております。これは池田・ケネディ会談で沖縄住民を全くこれはアメリカに売り渡たしたということに私はなると思う。こういうことを一方でやっておいて、そうして施政権の返還要求あるいは両院の決議を尊重します、その方針を貫きます、こういうことを言ったとしても、実質的には全然向こうに受け入れられない結果になると思うのです。私は、昨日、ベトナムの問題についても、最近沖縄は非常に緊迫した情勢にある、アメリカの軍事基地として使われている、ここには海兵隊がどんどん入ってきておる、あそこで訓練をしておる、西表島では現にゲリラの訓練が行なわれておる、こういうことでますます平和に対する沖縄島民の脅威があり、平和を守る気持からいえば、現在のようなやり方に甘んずるものではない、こういう点からこのような非常に強い要求が出ているのです。そういうことをほんとうに果たすとすれば、あなたたちのやってきた今までの政策の中に大きな矛盾があると思う。したがいまして、ほんとうに二つの決議を当面どのように新しい事態に対処してあなたは実現されようとするのか、これは非常に重大な問題ですから、最後に私は伺いたいと思います。
  207. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) われわれは沖縄に対する施政権の返還を要求いたしております。ところが、アメリカ側は極東における緊張と脅威が続いている限りはこれを保有したい、こういっておるのであります。しかし、今回のケネディアメリカ大統領の声明においては、日本の施政権下に返すということをはっきり約束したのであります。これは非常な前進だと思います。しかもその返る日に備えて、この施政の権利が移りかわることを円滑にいたしまするために、日本側の考えも十分にいれて、また沖縄島民同胞の気持もいれて、いろいろ社会経済関係の福祉増進に努めていく、こういうようにいっておるのであります。  それからベトナムのことをいわれましたけれども、ベトナムについては今お答えしたように、ラスクアメリカ国務長官は、アメリカ側としては三月一日の新聞記者共同会見でいっておるように、この南越における状態というものは、これは共産主義の侵略が根本的原因である、こういうようにいっておるのであります。それに耐えかねて援助を要請してきておるものに対してこたえているのであって、そういうことをやめればそういう事態はなくなるであろう、こういうふうにいっておるのであります。
  208. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君の質疑は終了いたしました。   —————————————
  209. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次に、矢嶋三義君。
  210. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長、始める前に、外務大臣は途中で中座するようですが、私は外務大臣にだいぶ質問があるものですから、とりあえず沖縄問題について質問をして、あとで伺うことがありますので——理事の話では、三時半においでになるそうですから、その点を確認して質問をしたい。
  211. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 二時半に外務大臣は外務委員会に参ることになっておりまするから。これはあなたも御了承です。三時半にはまたおいで下さることですから、その意味であなたも二時半に外務大臣答弁が終了するようにひとつお述べ下さい。
  212. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まず沖縄問題について外務大臣に伺います。  今朝の沖縄新政策に関する米側発表は、大した進歩がなく、沖縄在住民ないし内地国民の期待にこたえない内容のものと考えます。次の点についてお答えをいただきます。  施政権の返還はかえって遠ざかった印象を私は受けますがいかがですか。  それから渡航制限は緩和されたのでありますか、どうですか。  プライス法を改めるというが、援助のワクはどのくらいに拡大されたのか。一説では六百万ドル以下というのが二千万ドルになったと伝えられておりますが、その真相はいかがですか。  最後に、高等弁務官の拒否権の範囲をどの程度制限されたのか。以上について答弁を求めます。
  213. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えを申し上げます。  まず施政権の返還の問題でありますが、これは日本にはっきり返すということをきわめて明確にいった点で非常な進歩であると考えております。  それからプライス法の点でございますが、まあこれは私どもまだ完全に詳報を得ておりませんけれども、三倍になるというふうに聞いております。  それから渡航制限の問題でございますが、これは現在でも非常に円滑になっておりまして、これはもう制限される場合は非常にレア・ケースであるということに従来でも承知しておりまするし、今後もますますこういう点は緩和されるであろうと思います。  それから拒否権の範囲でございますが、この点については私どもまだ十分な詳報を持ち合わしておりませんけれども、聞いておりますところでは、この沖縄を基地として使用する目的に反するような問題、そういう問題ではないかというふうに聞いておりまするが、まだ詳報は得ておりませんので、また追って申し上げることもあろうかと思います。
  214. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今後、新政策、新行政命令について日米協議するとのことでありますが、いつ、どこで、いかなる事項について協議しようとされるのか、外務大臣答弁を求めます。
  215. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今この点につきましては、アメリカ側に問い合わせて打ち合わせ中でございます。なお、この準備の期間もございまするし、まあ今のところでは三週間ぐらい準備にかかるのではないか、こう考えております。われわれとしましては、沖縄住民同胞の考え方というものも承知しながら、十分にその意思を盛り上げる交渉をしたいというふうに思っておる次第でございます。
  216. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どういう内容ですか。
  217. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 内容は今先方と協議いたしておりまするので、これは詳細これだということを今申し上げる段階でございませんけれども、要するに、わが沖縄同胞の社会、経済、文化的な各種の福祉増進、そういう観点からこの内容はあるものと、かように承知しております。
  218. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 外務大臣は、施政権に関する問題は前進したといいますが、私はそうは思いません。軍事上必要である云々とあれば、今度の新政策、新行政令でかえって私は遠ざかったと思う。たとえば施政権について教育権だけは返還する、こういう分離して返還する場合もあり得るのかということと、次いで私は意見を申し述べて御答弁を求めますが、米国は、沖縄は極東全域の安全保障上の重要軍事基地として半永久的に占有する考えでないか、また、政府は暗黙にそれを認めておるのではないか、政府は沖縄施政権返還を強く要望しておると答弁されますが、すでに沖縄にはIRBM、メース、ハーキュリーズ、ナイキ、ポラリス等核武装しております。政府の核武装はしないという国民への公約と早期沖縄施政権返還とは矛盾、両立しないと私は考えます。返還後は核武装を解く方針のもとに返還要求をされているものと考えますが、外務大臣、防衛庁長官の責任ある明確なる答弁を求めます。
  219. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府といたしましては、極東の緊張と脅威、これが続く間、アメリカは沖縄において施政権を持っておりたい、こういうことをいっていると承知しておるのであります。われわれはあくまで施政権の返還要求をいたしております。したがって、その間にやはりわれわれとしては、極東の緊張、脅威が緩和されることを望んでおりまするし、またそういう状態ができまするように、われわれの立場から努力したいと考えております。もとより日本に復帰する場合には、われわれとしてはその間に相互信頼の関係がなければ施政権というものはなかなか戻ってこない。そういう観点からいたしまして、私どもとしては沖縄の施政権を奪い取る形よりも、相互信頼の上に立って沖縄の施政権を回復するように努力いたしたいと、かように考えて、かような方向で努力いたしておる次第でございます。
  220. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 教育権と核武装の点。
  221. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 教育権につきましては、これは今後の折衝の問題でございまするが、戸籍事務というものは当然これはわがほうに帰ってきているわけでございますが、教育権の問題についても教育主事の問題等を通じていろいろ従来やって参りました。しかし、この問題については、今後いろいろ折衝する段階で一つの問題点であろうかと考えます。  核武装の問題は、日本は核武装はしないのでございますから、日本に入ってきた場合には、これは核武装をしないという日本の考え方のもとに、日本の施政権下に入る、こういうことになろうかと思っております。
  222. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 現在、沖縄におきましてはナイキ・ハーキュリーズが設置されております。これは御承知のとおり核、非核両用でございます。それからメースにつきましては、基地ができましたということは報道を受けておりますが、現実にメースが装備されたかどうかはまだ確認をいたしておりません。また、調査をいたしましたところでは、ポラリスを搭載する潜水艦は、沖縄には来ておらないようでございます。いずれにいたしましても、そういう核武装の装備がございますけれども、これはただいま外務大臣お話のように、日本に復帰をいたしました場合には、そうした核装備というものはいたさないという方針は変わりはないわけでございます。
  223. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連。外務大臣にほんの二、三分残ってもらおうと思いましたが、退席しましたので、大蔵大臣に今の矢嶋質問に関連してお尋ねいたします。今度のアメリカの沖縄政策に関する発表によりますというと、沖縄に関するアメリカの援助は、プライス法によって六百万ドル以内に制限されております。それが、今の外務大臣の発言では、多分三倍程度になるだろうと言われました。千八百万ドル程度になるだろうと思います。その場合に、かりにアメリカがプライス法を改正して、三倍程度の沖縄援助を行なう場合には、日本においても今とりあえず十億円を予算計上しておる沖縄に対する援助は、当然アメリカの援助拡大に見合う予算修正を行なうことになるべきだと思いますが、この点、大蔵大臣としてはどうお考えになりますか。
  224. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 米国の援助額と見合って日本が沖縄に対して今後どうするかということについては、おそらくいろいろ協議の場が持たれると思いますが、明後年度の予算には関係するかもしれませんが、三十七年度の予算には、私はそう大きな変更はないのじゃないかと考えております。
  225. 羽生三七

    ○羽生三七君 アメリカの会計年度からいって、おそらく七月以降にプライス法を改正して、正式に予算計上になると思いますが、日本としてもこれだけ政府が沖縄関係を非常に緊急の問題として急いでいたのに、明後年度必要があれば明後年度考慮するというようなことじゃおかしいと思います。向こうが明らかに法改正をして、相当額の予算支払をした場合には、これに見合う予算支出は当然年度内において補正等をもって考慮すべきだと私は考えますが、そんなのんきな、三十八年度予算で考慮するというような性質のものではないと思いますが、重ねてお尋ねいたします。
  226. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今年度の沖縄に対する援助予算を私どもが査定しましたときには、単に予算額を増すだけでは解決しないいろいろな問題にぶつかりました。で、この行政水準というものをなるたけそろえたいという目的からやりましたが、全く行政のやり方が違っておりますので、したがって個々の問題を取り上げて、この点についてはとりあえずどういうことをやったら金の有効な使い方になるかというようなことで、個々の問題を取り上げて、予算援助の査定をやりましたが、結局、この実態をもう少し日本側として研究しなければ、予算強化の手本出ないということから、各省でこの問題を調査に行くということがやはり先であるということになりまして、その調査費そのほかを今度の予算でも盛ってございますが、行政のやり方が違っておりますので、したがって、本格的に沖縄に対する援助予算を計上するためには、まだまだよほどの準備が必要だということが私どもの結論でございまして、と同時に、向こうの行政府に対する米国援助というものが、いろいろな意味から、私どもは少ないということを考えましたので、この点の援助要請がまず先であるという観点から、いろいろ米国に対してもそういう要請をしておったところでございまして、まず米国側からこういう問題が解決してくるということになりますれば、これに応じてこちら側の予算援助のやり方もおのずからきまってくると思いますが、まず米国政府予算を強化してもらうことが、沖縄について私どもは先だと思います。このやり方を見てから、われわれも検討したいと考えております。
  227. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は沖縄問題に引き続いて財政、経済、文教等について一般質問をいたすわけでありますが、本論に入る前に、官房長官に一言お伺いいたします。  最近私の手元には、最近の閣内の事情や参議院選挙前でもありますので、ことさら政治資金と結びつけたさわやかならざる投書が参ります。私は投書を特に取り上げたりはいたしませんが、池田内閣も若干たががゆるみかけているのではないかと感ずる向きなしとしません。池田内閣は大卒で持つという言葉がありますが、この内閣の大番頭格である官房長官の適切なる御善処を、国政のために特に御要望申し上げておきたいのであります。御所信を伺います。
  228. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) たびたび申し上げておりますように、私ども政権をあずかる者といたしましては、身を正しえりを正して行政に当たらなければならぬという決意で、総理以下各閣僚終始心を引き締めてやって参りましたし、今後もやって参る決意でございます。
  229. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 しっかりやっていただきたいと思います。  そこで、防衛庁長官に承りますが、ソ連の新型ロケット、いわゆる地球ロケットは全方向飛行、全目標攻撃の性能を持つロケットと伝えられております。防衛庁長官の御説明を願います。
  230. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先般ソ連のフルシチョフ首相の演説の内容として、モスクワ放送が伝えたところでございますと、新型のロケットは、現在米国が装備しているレーダー警戒網に捕われることなく、米国本土の攻撃ができ、あるいはいかなる地点からでもいかなる方向にもできるということでございます。しかしながらこれだけでございまして、いろいろ考えられることもあろうかと思いますが、もう少し各方面の資料検討をいたして、十分この問題について研究を進めたいと存じております。
  231. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 米ソ両国の水爆衛星の開発情況について、防衛当局はどういう情報を持っておるかお答えを願います。
  232. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御質問になりました水爆衛星につきましては、米ソ両国とも、これが開発状況、あるいはそういうものを保有しているかということについての公表はございません。ただ、ソ連側から、あるいはフルシチョフ首相の演説等で、いわゆる人間衛星のその人間にかえて他の荷物を積み、そうして所定の所に落とすことができるというような演説の内容もございます。しかし、それがはたしていわゆる水爆衛星を指しておるのかどうか、なおつまびらかにいたしておりません。また、そういうものがはたして現在のICBMと比較いたしまして、この精度その他の能力において、いずれがまさるかというようなことについては、もう少し研究させていただきたいと存じます。
  233. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 日本の新聞報道によると、公安調査庁は、中共は、おそくとも年内には核実験を行なうであろうとの確証を握ったということであります。外務、防衛両大臣の御所見をお伺いいたします。
  234. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 公安調査庁がどういう御発表をいたしましたか、連絡をいたしましたところによりますと、そういう情報があるということを御発表になったように伺っております。これはお確かめをいただきたいと思いますが、そういう未確認の情報のあることは私どもも存じておりますが、しかし、中華人民共和国において核実験をする、あるいはさらに核装備をするということにつきましては、先般お答え申し上げましたように、そう最近のことではないというのが私どもの専門家の意見でございます。
  235. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に、財政経済の質問に入ります。  まず、佐藤通産大臣にお伺いしますが、あなたが大蔵大臣当時、予算案の説明並びに答弁の際、よく用いられた熟語がありますね。何でしょう。想起してお答えいただきたいと思います。(笑声)
  236. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 第一ヒントじゃちょっとわからないのですが、何か教えていただいたら思い出すと思います。
  237. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたが大臣当時に安定均衡、成長拡大、この安定、均衡、拡大という言葉をよく使われたと思うのですが、いかがでございましょうか。
  238. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。
  239. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三十六年度の予算を執行した結果は、安定均衡、成長拡大でありましたでしょうか。現時点における御感想をお伺いします。
  240. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私大蔵大臣の当時、ただいま言われたように、経済の成長、健全性、特にそういう点を主張して予算を作ったのであります。大体そういう方向で堅持して参った。現時点は御承知のように設備投資の過大、こういうような意味で昨年来調整に入ったことは御承知のとおりでございます。
  241. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 安定均衡でないですね。
  242. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 景気拡大、設備投資の過大、こういう点についての矯正をただいまいたしておるのでございます。
  243. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは、心中ひそかに施策はまずかったと反省され、佐藤なりせばと思っておられるのではないかと存じます。池田内閣に入閣していなかったならば、おそらくあなたは本年中に国家のために救援投手として雄飛されるチャンスがあったでありましょう。そんな反省、御感想を持っておられるかと、ひそかに推察をしますが、御同席の藤山さんも同様、あるいは佐藤さん以上かと存じますが、時間の関係上、本日のところ、佐藤さんからお聞かせ願います。
  244. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) この経済というものは、いろいろ、政府自身一つの目安は持っております。しかし、やはり協力体制と申しますか、実施に当たっておるのは、民間、財界人でございます。そういう意味で、民間、財界の動向を十分把握することが必要だろう、かように思います。だから、もちろん健全性をそこなうということは、だれしも考えないだろうと思います。時に、ただいま申し上げるような情勢の変化を生ずるということでございます。やはり、これは一貫した経済の継続性、連続性の形において判断していかなければならぬと思います。
  245. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 反省ありますね。
  246. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 私は、経済の動向から見まして、今日のような事態が起きたということ、まことに残念しごくの次第だ、かように実は思っております。
  247. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 質問を続けたあとで、また心境を伺います。  水田大蔵大臣は、昨年の予算国会に、次のごとく財政演説をされておりますが、現時点における結果、実績、見込み等をお答えいただくとともに、御感想をお伺いいたします。「産業間、地域間、階層間等に見られるいわゆる所得格差の縮小をはかる」「経済の成長が安定したものでなければならないことを強調いたしたい」と演説されておる。
  248. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 高度成長が進めば、それによって地域間、企業間の所得格差がおのずから解消される部面があると同時に、この高度成長が進めば進むほど、各間の格差が当然拡大していくのだという部面もございますが、高度成長によって拡大する部面のものは、格差を縮小するというよほどの政治的ないろいろな施策をしなければならぬと考えております。したがって、私どもが今やっておりますことは、各企業間の所得格差、国民生活上の格差というようなものは、特にこれを重要視して、減税なり、社会保障政策の強化というようなものを今やっているわけでございますが、この格差を解消するということが、同時に次の経済成長への前提条件でございますが、こういう点については特に施策上気をつけるということを申したわけでございまして、ただいまやっていることも、大体この方向に沿った施策であると思っております。
  249. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さらに、「相当の輸出増加を期待し得るのでありまして、国際収支の均衡は保持し得る見込みであります。」と演説されている。御感想を承っておきます。
  250. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 当時の見方は、三十六年度は、御承知のように設備投資が三兆一千億円程度にとどまるであろうという見通しから出たことでございましたが、御承知のような情勢で、設備投資が非常な行き過ぎをやって、六月前後に見られた情勢は、このままに推移したら四兆円にも及ぶのじゃないか、こういう情勢が出てきたくらい、この見通しにおいて相当の誤りがあったということは遺憾でございますが、私ども予算編成をやりました当時は、三十六年度は三兆一千億円前後にとどめたい。また、とどまるであろうという見通しを立てたわけでございますが、これが現実には大きい狂いを生じたという点でございます。
  251. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今申し上げた点は、あなたの昨年の国会における財政演説の重要なポイントです。非常なズレがあった、こういう点について反省を持っておられますか。
  252. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは、ただいま申しましたように見通しが相当間違ったことでございますので、当然政府としては、これについて、見通しの誤りについては、反省の上に立った施策が必要であろうと思っております。
  253. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 昨年の予算国会において、当時の経企長官は次のごとく経済演説をされております。藤山経済企画庁長官から、現時点におけるその結果、実績見込み等を伺い、あわせて御感想を承ります。「国際収支は、経常取引で収支ほぼ均衡することとなる」と演説されております。
  254. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 残念ながら、国際収支は均衡は得ておりません。
  255. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どのくらい。
  256. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 約八億程度の開きをみておる状態であります。
  257. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは経企長官数字が違うでしょう、三十六年度見通しでは一千万ドルの黒字、それが予算国会に出された資料で、それで三十六年度以降の見込みでも九億二千万ドルとなっているのでしょう。いかがです。
  258. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 一千万ドルの黒字ということは承知しておりますが、こまかい数字等につきましては、いずれ調整局長から申し上げさせたいと思いますが、大きな開きがあったことはまことに遺憾だと思っております。
  259. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 現時点において、実績見込みとして、いくら狂っているのか、お答えいただきます。
  260. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 調整局長から、お答え申し上げます。
  261. 中野正一

    政府委員中野正一君) お答え申し上げます。三十六年度の見通しを当初作りましたときには、今御指摘でありましたように、経常収支で一千万ドル、それから総合で二億ドルの黒字と、こういうふうに計画ができておったわけでございますが、お手元にお配りしてあると思いますが、今度三十七年度の経済見通しにおきまして、三十六年度の実績見込みを出しておりますが、これによりますというと、経常収支で九億二千万ドルの赤字、総合収支で七億二千万トル——ただ、これは米国市銀からの二億ドルの借款を含んでおりませんので、実際には五億二千万ドルの赤字と、こういう数字になる、こういう見通しでございます。
  262. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さらに「総合収支ではその黒字幅を多少減じつつも、全体としての黒字基調には変化がないものと見込まれる」と、演説されております。経企長官、どうですか。
  263. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) その点でございますが、昨年の見通しが、そのとおりに参らなかったことは、まことに残念だと思っております。なお今回の場合におきましては借款等の問題も——借入金等の問題もございますので、そういう点を勘案して数字を考えなければならぬ、これは当然でございます。昨年の見通しがそのとおりに参らなかったことは、実は認めざるを得ないと思っております。
  264. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さらに消費者物価は、「対前年度比ほぼ一%強の上昇となるものと思われる」と述べられておりますが、予想と現在の結果はどうなったのか、それもお答え願いたい。
  265. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 現在三十六年度の予想をいたしまして五・八%と考えておりますけれども、今三十六年度の初期における経済企画庁長官経済演説から見れば、非常に大きな食い違いがございます。
  266. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 経企長官はいかなる反省を持ち、いかなる対策を立てようとされるのか、お答え願います。
  267. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私どもは、この大きな食い違いをぜひとも是正して参らなければならぬことは、これは当然のことでございまして、したがいまして、昨年就任以来、貿易バランスの改善ということのために、総合的な対策を九月に立てまして、そして、これが是正に努めてきたということをやっております。また、物価問題につきましても、これが是正をして参らなければならぬのでございまして、したがって、最近総合対策を立てまして、そして、それぞれ各省にも実施内容を明らかにしていただきまして、そして実施の方向に向かっていきたい、こういうふうに対策を考えておる次第でございます。
  268. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私のこれからの質問は、ことしの国会におけるあなた方の演説で問題が解決するか、やれるかどうかという点に移って参るのであります。その前に、水田大蔵大臣は財政政策について、藤山経企長官経済政策について、それぞれ自分の考えを諸般の情勢で貫き得なかったという反省と、本日、顧みてあまり上手でなかったという感懐を抱かれているのではないかと拝察しますが、お伺いします。
  269. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私、一月中ごろの材料をもちまして経済演説をいたしたわけでございます。当時、九月、総合対策をやりまして、そしてそれが逐次浸透をしてくることを期待して、十一月をピークとして、十二月には生産も下がってきた、あるいは輸出入の信用状の関係から見ましても、改善の兆が現われてきているという感じを持っておりまして、しかしながら、その材料の上に立ちまして経済演説をいたしたのでございますが、一月には生産が、再び、季節修正値の問題がいろいろ議論がございますが、季節修正をいたしますと、その点七%でございましたか上昇をいたすような状況でございます。その後の状況を十分考えました上で、これらの問題については、われわれとしても、本年の努力目標というものを、どう達成していくかということを考えていかなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  270. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 問題は、経済の見通しというものの困難性にあることから、いろいろの問題が起こっておるのだと考えます。過去の日本の経済を見ますというと、設備投資が非常に多くなったときは、国際収支赤字になる、この周期が二年もしくは二年半ぐらいに来ておりまして、この設備投資が一段落しますというと、その次には国際収支の黒字が出てきて、国際収支の回復が行なわれると、次の設備投資の段階が始まるというふうに、周期的に来ておりますので、政府としては、実際の経済の見通しの誤りは、すでに三十五年度から私どもは始まっておると思います。三十三年から四年に対する経済の伸び率の非常に大きかったこと、設備投資が三割以上ふえておりますので、このふえ方が二年続くかどうかということについては、当時から見通しの問題に、いろいろ問題がございまして、三十五年の下半期からは、少し日本経済はダウンするだろう、これが当時から一般の見方でございましたので、三十五年度におきましても、そういう見方に基づいた予算の編成なりいろいろしましたために、三十五年度に減税が見送られたという事情も、やはり下半期以後の日本の伸び率は、ある程度鈍化するという見通しでございました。そのあとを受けた三十六年度は、三割以上の設備投資増というものが、一体三年続くかどうかということについては、いろいろ議論がございまして、三十六年度の下半期以降というものは、この調子で設備投資がふえるとは思えない。ある程度の鈍化は始まるだろうということが、やはり私どもの見通しの中にございましたので、そういう点からの食い違いから、いろいろこの見込み違いが出てきているというのが実情でございます。  で、三十六年度の下半期からは、ある程度そういう経済成長の鈍化が見られるだろうという予算編成のときは見込みでございましたが、そうでない、実勢は依然として強くて、設備投資意欲が減る方向にはないということは、四月、五月、六月ごろから、この方向がはっきりして参りましたので、そこで私どもは六月から、各企業の設備投資計画の吟味に入って、金融機関を通じた抑制策やいろいろのことを行なって、十分の準備をしておいてから、総合的な引き締め政策をやったという事情がございますので、こういう事情がはっきりしてきましてから、私どもは、今までのやり方一本では、この行き過ぎをとめられないということから、いろんな政策の、ある程度の転換と申しますか、調整をやり出したということでございますので、問題は、やはり経済情勢の推移が、私どもの思ったとおりにいかなかったというところに問題があるだけでございまして、問題がはっきりしました段階々々に対する対処の仕方としては、私どもは、政府も、相当その場合に適切と思われる措置をとりながら今日まできているというふうに、私どもは考えております。
  271. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は三十二年当時から、ずっと詳細に私なりに調査してみたわけですが、ズレ、あるいはひずみが生じても、私はおのずと幅があると思うのです。限界があると思うのです。あまりにも大きく計画を誤っていると思うのです。日本経済にしても、あるいは国民にしても、モルモットじゃないと思うのです。これは政治的に責任があると思う。  一、二例をあげれば、昭和三十五年に国税、地方税を合わせて約二千九百億円の自然増収があって、国税、地方税の減税はゼロ。三十六年にきて、国税、地方税合わせて約四千六百億円の自然増収があったにかかわらず、減税は千二百億円足らず。本年度は、国税、地方税合わせて自然増収は七千億に及んでいます。しかも減税は、私の調査では、国税、地方税合わせて千六百億円程度しかやってない。こういうところに私は、大きな政策上の誤りがあると思う。政府側に責任があるのじゃないですか。
  272. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 政策上の誤りというよりは、根本的には、今申しましたような経済の伸びに対する見通しが的確でなかったということが原因だろうと思います。
  273. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連。企画庁長官にお伺いしますが、先ほど、予想に反して一月の鉱工業生産が、季節修正をして、かなり上がったというお話があったのですが、きのうも、この問題で非常にここで論議になったのでありますが、予想とかなりずれているわけですね。企画庁の試算として、四−六月は二八七という一応の試算ですから、これに対する責任を問うわけじゃありませんが、それと三月は、大体三〇四−五になる−四ぐらいになると思うのです。非常にかけ離れているわけですよ。  そこで、今後見通しを修正される必要があるのじゃないかと思うのですが、大蔵大臣は、今後の一、二カ月の推移を見なければならぬと言われましたが、もうすでに非常にずれていると思うのです。ですから、ここで修正をしませんと、私はまた、三十六年度と同じあやまちを犯すのじゃないかと思うのです。ちょうど三十六年度の九月ごろから、金融を締めざるを得なくなりましたね。ちょうど今、私は見ておりますと、このままでは、三十六年度と同じあやまちをやるのではないか。二億ドルの黒字だと思っていたのが、八億ドルの赤字になったのですから、そこで思い切って、やはり見通しを——とにかくこの予算を編成した当時と違ってきておるのだ、私は見通しを、ここで修正される必要があると思うのです。これは、私は政府の責任じゃないかと思う。この点について伺いたい。
  274. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は、見通しそのものを確定的なものとしておりませんで、努力目標としております。おのおの総合政策その他の浸透状況を見まして、必要があれば、むろんこれを訂正いたして参らなければ、全体の経済の動向を誤ることになる。したがいまして、三月の指数がまだ出て参りません。したがってこういう点もにらみ合わせ、かつまた先般、通産省にもお願いをいたしたのでございますが、例年六月に産業合理化審議会の資金部会でもって、設備投資の資金の問題を審議されますが、それを四月にやっていただくことになっておりますので、それぞれあわせまして、その辺の状況から見通しを、必要がありますれば、ある程度、当然努力目標として変えていく、あるいはそのために必要とする政策を変えていきながら、やっていかなければならぬのじゃないかと思っております。
  275. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一問して、それらの点について、数的に追及して参る予定であります。  そこで、さらに大蔵大臣は、次のごとく演説しています。「輸入は鎮静し、輸出は増加し、国際収支昭和三十七年度下期中には必ずや均衡を回復し得るものと、深く確信いたしております。」との演説をされております。経企長官は、下期中に国際収支の均衡を達成することは至上命令と、それぞれ演説されていますが、信用状は二月から黒字幅が縮小するし、生産指数は堅調にして予想をはるかに上回り、五、六月ごろから輸入は増大し、下期中に国際収支を均衡させることは至難な状況になったと予想されますが、大蔵、経企両大臣の御所見を承ります。
  276. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今、木村委員にもお答え申し上げましたように、われわれは本年の見通しというものを、努力目標といたして、十一月にできるだけ均衡基調を回復するために目標を立て、それに向かって政策を合わせて努力していかなければならぬ。したがって、昨年の総合政策の浸透状況を見なければならぬということでありまして、これは御承知のとおり、やはり輸出入の総合政策をやりましても、あの時期にやりましたのでは、やはりどうしても三、四カ月先に影響が来るわけでございますから、この辺の状況を十分にただいま見ておりまして、そうして、それらの結果によって、修正しなくてもいいか、あるいは見通しを、目標を立てていきまして、そうして民間の方々にも、それに協力していただくような体制を作らなければならぬ場合には、そういうふうに努力していくことが必要だろうと私自身考えております。
  277. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今ごろ、まだそんなことを言っておられることは、当たらないことを私は追及して参ります。  まず伺いますが、昭和三十六年度実績見込み鉱工業生産指数を二八四・二にとどめるためには、三十七年度の第一四半期の指数は、二八八・四となることを要すると思いますが、いかがですか。
  278. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 数字に、まことにうといものでございますから、そういうような数字等につきましては、調整局長からお答え申し上げます。
  279. 中野正一

    政府委員中野正一君) 鉱工業生産の今後の推移につきましては、一月までの数字は、御承知のように出ております。二月は、どうも電力消費その他の数字から見ますと、大体横ばいか、少々下がるのではないかというように予想いたしております。まだ数字は出ておりません。したがいまして、まだ先生御指摘になりましたように、本年度の実績見込みにかりにおさえるためには、三月に相当生産が下がらないと、そういうことにならないと、ただ二月、三月の数字がまだ出ておりませんので、今の四半期別の数字は、ちょっと私、今手元に持っておりませんが……。
  280. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二八八・四と私は計算しているんですが、違いますか。
  281. 中野正一

    政府委員中野正一君) まああまり大きな違いはないんじゃないかと思います。これは、いつでも計算できるわけでありますから。二月、三月に相当下がらないと、実績見込みのとおりにならないということは、これはだれが計算しても、そういうふうになるわけであります。
  282. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうすれば、一月の鉱工業生産指数は三〇七・九でありますから、二月、三月を二八八・四平均に持っていかなければ、平均二八四・二とならない。そういうことは可能でしょうか。
  283. 中野正一

    政府委員中野正一君) 数字的な計算から申しますと、そういうことになるわけでありまして、先ほど長官もお答えになりましたように、生産について見ますというと、景気調整のズレが相当ございますので、実績見込みにおさまるのは相当むずかしいんじゃないかというふうに、われわれも事務的に見ておるわけでございます。しかしまだ二月、三月の数字がわかりませんので、これは事務的に、いろいろわれわれ検討いたしますと、三月は相当下がるんじゃないかというふうに見ております。特に生産者の在庫が相当ふえておりますので、相当なダウンにいくんじゃないかと、しかし、数字的にまだ十分な検討はいたしておりません。
  284. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 経企長官の演説のとおりに持っていけば、二月、三月の指数を合わせて四〇下げなくちゃならぬのですよ。そういうこと可能でしょうか。
  285. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま御答弁申し上げておりますように、その後の情勢の推移によりましては、われわれとしては、これはやはり政府が、こういう見通しを出します際は、努力目標でありましても、出します以上は、それが一つの、何と申しますか、目標にもなり、刺激にもなるわけでございますから、そういう点については慎重にして、十分な材料を得た上で訂正すべきものは訂正して、あるいはそれでよければいいということで、そういう点については、経済は生き物でございますから、私はこだわっておらぬつもりでございます。
  286. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 幾ら生き物でも、あなたの演説のとおりに持っていくために、二月、三月そういうこと、できませんよ。二月自体も一月の三〇七・九とよけい違わないような数字が出そうなんですよ。絶対できませんよ、もしそうなれば。三十七年度の前年度比の一〇五・五のこの数字は、分母は大きくなって、分子は小さくなりますから、どういうふうに動くと思いますか。
  287. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 二月、三月の数字が、どういうふうに出るかということによって、今の矢嶋委員のお説のように、そうならないような場合には、われわれは、ただいま申し上げておりますように、そういう材料によりまして、今後の努力目標としての数字を改善していくことは、これは決してやぶさかでございません。また、申しますように、それが一つの指標になるわけでございますから、そういう点について、政策の上からいきましても、あるいは民間人の気持の上からいいましても、そうでございますから、そういう点については、十分慎重にひとつやって参るつもりでございます。
  288. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は各年度の一月、二月、三月の変化を調べたんですが、過去において三カ月間の指数が二〇%も変わるようなことはありませんよ、前例が。それであなたの三十七年度見通し二九九・八と、これを守られるとすれば、三十七年度の伸びの一〇五・五、すなわち五・五%アップというのは、いかようになると見通されておりますか。
  289. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) それでございますから、今申し上げているように、十分検討した上でもって、われわれは新しい目標を必要とするならば、そういうふうに改善するととに決してやぶさかでないのでありまして、そのこと自体に固執するものではございません。  しかし、今までの見通しから申しますと、われわれ年末までと一月以降と、若干われわれの見通しが甘かったという点は持っております。したがって、この際、いわゆる総合政策を非常に引き締めながら、そうしていかなければならぬということを考えておるのでございますが、しかし実際には、そういうものを修正して出す以上は、やはりもう少し時期を見て、正確な数字の上に立ってやるべきではないか、こういうふうに思って、ただ、それがおそ過ぎては前年の轍を踏むのじゃないかというお叱りもございます。したがって、その辺のところは、十分われわれも考えながらやって参るつもりでございます。
  290. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣と通産大臣にお伺いしますがね、もう数字的に手直しをしなければならぬということは、はっきりしていると思うのですよ、いかがでございますか。
  291. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 引き締め政策経済の各部門にようやく浸透して、その効果は出ております。が、ただこれが生産段階に、まだ及んでいないということが一つ特異な現象であるということがいえると思うのですが、きのうも御説明いたしましたように、これはもう私は二月、三月、一、二カ月ずれたということで、この生産が落ちてくることは、もう三月以後、これは必至だと思います。ほかのいろいろな先行事情から見ても、これは見当がつくのでございますので、若干ずれたというだけであって、今後本格的な在庫調整という段階に私は入っていくものだろうと思います。  で、生産が予想以上に落ちないということが、いわゆる中だるみ現象で、この引き締め政策が不徹底であるという批評もございますが、また反対に、そうじゃなくて引き締め政策が相当きいておるために、金融のいろいろ梗塞から操業、あるいは生産を制限する方法をとらないで、ある材料を、やはり生産だけは上げておいて、これを金融の種にしようとかいうような、金融が苦しくなっているための一時的現象であるという見方も行なわれるときでございまして、この引き締めが不徹底であるのか、相当きいてきたための一つの現象であるのか、これはまだ、業界の事情を見ても、はっきりいたしませんが、いずれにしましても、製品在庫がふえているときでございますから、在庫調整の段階というものは、これから入るのだということは当然予想されますので、一、二カ月のズレがあったとしましても、今後もう少し情勢を見なければ、これはここで計画の建て直しをやるとか、そういような変更をするということは妥当でないと、私は、そういうふうに考えております。
  292. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお答えしたように、ある程度のズレのあることは、これは私どもも、その事実は否定するものではございません。ことに大体鉱工業生産は十一月がピークだろうということを実は申したのです。十二月は、やや下がるというので、大体ピークが十一月だろうと、かように思いましたところ、一月が今度またふえた、三・八%。二月はただいまのところ、電力料の資料等から想定する程度でございますが、あとまた一週間ほどすれば、二月の実績も数字が固まるだろうと思います。そうしますと、大体横ばいということになるだろうと思います。この点は、どうしてこういう数字が出たか、いろいろ私どもも季節修正値そのものにも、最近こういう傾向があったのです。どうもとかく十二月は低目、一月は高目になっている、こういうような過去の経験等がございますから、そういうようなこともあるのではないかと思います。  言いかえますならば、その一カ月一カ月だけで全部を判断するのは、まだやや早計じゃないか。もう一つ別な数字から申せば、十月以降の鉱工業生産指数は、前年同期の十二月、一月と比べてみると、若干ずつではございますが、下っておるはずでございます。お手元にあれば、おそらく一二三くらいが十月で、それから順次下がって一月は一一九くらいになっている、二九幾らということになっていると思います。これは数字の見方でございますから、この点から考えると、やや引き締めの効果は出てきたのじゃないかと思います。もう一つ引き締めの効果が、今後出てくるのじゃないかと期待いたしますものに、たとえば繊維や鉄鋼関係が本格的な操短に入る、あるいは機械の受注が、やや手控えぎみになっている、その他二、三の例等を考えますと、この辺に、やや景気の引き締めのいわゆる調整の効果が出てくるのじゃないか、実は、かように考えます。  ところで一方、やや心配なのは、この製品在庫のほうも相当ふえてきておりますから、それがやっぱり重みになる。今後、どういう形を経済がたどるか、これは製品在庫がふえたということは、実は調整の効果だと思います。そういう意味の調整の効果が出てきたと、こういうものも一面ございますが、先ほどの鉱工業生産の伸び、これは、私のように二通りの見方をいたしましても、ただいま高水準であることは、これは間違いございません。その点から見ますと、ここらに一つの心配があるわけであります。ことに鉱工業生産の強含みということ、これが一体、どういうところによっているか。一つは一月に入って金融が一服したという気持、あるいは今後のあり方から見て、今までのような引き締めの状態で推移するものじゃないだろう、いわゆる財界の生産気がまえというものが、私たちが調整を期待していながら、調整の効果を期待しているにかかわらず、依然として強い。こういうところに実は問題があるのじゃないかと思います。藤山長官も、かつてこの予算委員会等で指摘しておられましたが、政府といたしましては、こういう情勢の推移というものをたえず注意してみまして、そうして時々適切な施策を打っていかなければならぬものだ、かように思います。  いわゆる全体的な計画の変更云々ということもさることだと思いますが、やはりそのときどきに対する施策が必要ではないか、かように考えますると、一番心配なのは生産の強含み、また同時に金融が一服したというそういうような形における物価のあり方などが、実は一つの心配の点だ、かように思いますので、新しい施策をとるわけではございませんが、今までの調整策の不徹底なものを徹底していくということが、この際必要ではないか。先ほど期待しておるように、調整の効果が一面に現われておる、同時にまた、調整策の具体策のものを実効が上がるように推進していくというようなことになれば、あえて基本的な計画を、また変更するというところまではいかぬでも済むのじゃないか。問題は、今の状態を、ただあれよあれよと言って過ごしちゃ相済まないのですから、十分注意し、そうして適切な措置をとる、これが政府として一番大事なことだ、かように考えております。
  293. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、早く手直ししなければ、重大な問題が起こると思うのですよ。こういう事態が起こるということは、予算案がきまった瞬間に私は予想されたことだと思う。私はあなた方の所見に反論をいたします。お答をいただきたいと思います。  それは、下期に国際収支の均衡をはかるということは、予算編成の骨格であり、至上命令として取り上げられたのであるが、当初、経済成長率を与党は約七%、大蔵省は五%を主張しましたが、結果として五、四%となったのであります。一方大蔵省予算案の構想は、与党の干渉に踏み荒らされて一般会計予算並びに財政投融資計画は、それぞれ対前年比二四・三%、一七・九%伸びをみてあります。一般会計予算の伸びは二四・三%財政投融資計画一七・九%という数字は、与党の選挙対策向けのものであり、下期に国際収支の均衡をはかり、総合収支のしりを、赤字を一億ドルというこの数字は、政府向きのものであり、さらに経済成長率五・四%、鉱工業生産の伸び五・五%というこの数字は、国際通貨基金等対外向けのもののごとく考えられる。これらの数字は、共存できないと予測します。したがって、予算案と財政投融資計画がきまった瞬間に、今日の事態が起こるということは私予想されたと思うのです。  したがって、早急に手直ししなければ、重大なことになると思うのでありますが、大蔵、経企両大臣の御所見を承ります。
  294. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今回の予算の編成にあたりまして、私どもとして考えましたことは、御承知のとおり、経済の全般的な安定成長を考えて参ることが必要でございまして、同時に最大の至上命令と申しますか、問題でございます貿易バランスを合わせ、そうして物価の安定をはかっていくということが必要だと思います。それにつきましては、むろん民間の設備投資というものをできるだけ押えて、この際参りませんければなりませんが、同時に、今日までの過去の公共投資等の何と申しますか、社会投資の少なかった結果起こっておりますいろいろなひずみというものも、これを直して参らなければならぬのでございます。それを直しませんければ、やはりいろいろな面において、今後の経済運営の面にゆがみが出てくると思います。そういう意味から申しまして、予算編成にあたりまして、大局からそういう点を考慮して作られたものでございまして、この予算自身が、すぐに景気を非常に刺激したということではないと私ども考えております。
  295. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 数字が合わぬですよ。大蔵大臣お答えいただきます。
  296. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 問題は、輸出がどうなるか、輸入がどうなるか、一応の予想を立てております。それから国民消費がどういう数字になるか、それと関係のある設備投資がどれくらいで、在庫投資がどれくらいで国の予算も、この程度の予算によって、政府の財貨・サービス購入費がどれくらいをみる、これをみた組み合わせの結果、国民総生産が五・四%伸びるということになっておりまして、予算自身は五・四%と見込む中の大きい要素となっておりますから、この数字の食い違いはございません。もしこれが狂うとするならば、ほかの要素がみんな狂ってきたという場合には、この予算の見方が、少し多かったか少なかったかという問題は起ころうと思いますが、他の諸条件が、大体、今見込んでおるとおりに動くということでございましたら、この予算のワクというものも、当然計算の中に入っての五・四%でございますから、各数字間の狂いとかいう問題はございません。
  297. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、絶対それは了承できません。もう少し質問を進めて、また返りましょう。  経企長官に聞きますが、日本経済指標というものを出しておりますが、これの数字を並べる場合に、基準年次を三十年にとったり二十七年にとったり三十五年にとったりしておりますが、統一しなければ、私は意味をなさぬと思いますが、いかがですか。
  298. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 経済統計のいろいろな整理をしなければならぬことは、むろんでございます。おそらく過去におきますいろいろな状況から見て、そういう状況が起こっているのだと思いますが、その点について、もし御不審があれば、調整局長から御説明いたさせます。
  299. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 各省ばらばらで出しているのだな。統一して作らなければ意味なさぬと思うのですが、所管庁政府委員答弁して下さい。
  300. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今、先生の御指摘の点は消費者物価の問題だと思いますが、消費者物価につきましては、御承知のように、昨年までは、三十五年までは三十年を一〇〇にいたしまして数字を出しておったのですが、それでは相当消費構成等がウエートが変わっておりますので、総理府のほうで三十五年を一〇〇といたしまして出しておるわけであります。その場合は過去にさかのぼって数字を調整しておると思います。したがって、各省数字がばらばらというようなことはないんではないか。消費者物価については三十五年度で総理府で出しております。卸売り物価は二十七年を基準にして出すということで、それぞれ元の基準年次は違いますが、それぞれの物価なり、それぞれの資料の性格によりまして異なっておるというふうに御了承願いたいと思います。
  301. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 答弁了解できませんが、具体的に伺います。昨年度出された資料によると、三十六年度消費者物価指数の見通しは、三十年を基準として一〇九・五、本年度出された三十六年度の実績見込みは三十五年をベースとして一〇六・八となっておりますが、比較するために三十五年度を基準に取ったならば、三十六年度の消費者物価指数の見通しの一〇九・五というのはどういうふうに変わるのかお教えいただきたい。
  302. 中野正一

    政府委員中野正一君) 先ほど御説明いたしましたように、消費者物価につきましては、昨年の十月ごろだったと思いますが、総理府のほうで三十五年を一〇〇にして比較的新しいとしを取りまして、消費の構成がウエートが変わっておりますので直したわけでございます。したがいまして、今先生御指摘になりましたように、三十六年度の見通しを作るときは三十年一〇〇の数字を見通しの数字に乗せまして、ことしは、三十七年の見通しを作る場合には、すでに総理府の統計が変わっておりますので、その変わった数字によって見通しを立てたということで、確かに去年とことしと違った数字を使っておるじゃないかという御指摘の点はそのとおりでございますが、これはもう統計の元が変わっておりますので、われわれはそれに従ったわけでありまして、もし御質問がありますれば、三十年を一〇〇にした数字はわれわれのほうで作成をしておりますので、したがいまして、あとで御提出したいと思います。大体われわれの出しておりますものは、三十五年を総理府が一〇〇にしまして過去にさかのぼって、数字は前と後を並べておりますからその傾向ははっきり出ておると思います。この点でそう世間に誤解を招くようなことはないんじゃないかと考えております。
  303. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはお教えいただきたいと思う。ということは、この年次の流れを、変化を見られないわけですよ。一〇九・五という数字と一〇六・八という数字は質が違いますから比較ができない、お教えいただきたいと思う。  それで消費者物価についてお伺いいたしますが、あなたの演説では、消費者物価指数というのは横ばいということを述べられたのだが、ことしの一月以来の変化をずっと見ますというと、消費者物価指数は総合において特に食料品においてぐんと伸び続けております。一月がついに一一〇・二になっておりますが、この一体消費者物価指数は横ばいという演説が一体通るかどうかお答えいただきたい。  大臣、あなたの演説ですから……、演説の点ですよ。
  304. 中野正一

    政府委員中野正一君) 長官の演説、そういうふうにされたかと思いますが、要するに、消費者物価については、三月、本年度の三月末ごろの数字を想定しまして、大体、そこから線を引くと、大体横ばいというふうに見ております。これは何べんも御説明していると思いますが、ただそれを、三十六年度自身が相当上がっております。御承知のように一月が、昨年の一月に比べて八・三%、二月から比べてみますと八%の上昇になっておりますから、したがって、年度々々で比べますと二・八%くらい上がるのじゃないかという見通しで書いておるわけです。横ばいというような表現があったとすれば、三月末ぐらいのところからいって大体横ばいに持って行きたいという気持を表わした表現ではないかというふうに解釈しております。
  305. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 事務当局に伺いますが、三十六年度実績見込みは一〇六・八という数字が出ております。ところが、一月、二月と週間小売物価指数ですね、消費者物価指数、これ等から見て、一〇六・八というのは現時点に立った場合に幾らぐらいにされるというお考えですか、お答えいただきます。
  306. 中野正一

    政府委員中野正一君) お答えいたします。これもまあ一月がたしか一一一というふうに全都市の消費者物価がなっておると思いますが、二月、三月はどうなるかまだ数字は出ておりません。大体東京の消費者物価は御承知のとおり二月が〇・二%、対前月でございますね、対前月で〇・二%下がったわけでございます。これはいろいろ調べてみますと、正月用品が下がった、繊維が下がった、薪炭あたりが季節的に下がった、こういうことでございますが、大体三十五年、六年の二月の数字を見ますと、そういう季節的なものがあるにかかわらず、相当上がっておるのですね。そういうところから見ると、われわれはわかりません、まだ数字が、統計が出ませんが、全都市の二月も相当落ち着きを示すのじゃないか、三月は毎とし季節的に下がるときでございます。そういうようなところから見まして、三十六年度の実績見込みは五・七%、三十五年度に比べて上がるという数字を見通しで出しておりますが、そんなに狂いはないのじゃないかというふうに考えておりますが、かりに二月、三月を一月の横ばいというような数値をおいて、これはもちろん仮定の問題でありますが、計算いたしますと、六%強上がるという計算に、五・七%か六%というふうな数字になると思いますが、先ほど申しましたように二月、三月の情勢を、これは最近小売りの売り上げあるいはデパートの売り上げ等、いろいろな指標から見ましても、やや消費の動きは落ちつきを示しておるのじゃないかというようなデータも出ております。もう少し今後の推移を見たいというふうに考えております。
  307. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 経企長官に伺います。あなたは経済人で非常に敏感でありますが、演説では、卸し売り物価のほうは軟調、消費者物価のほうは横ばい、こういう報告書を出されているわけですが、現時点に立って、あなたの直観ではどういうふうに感じられますか。
  308. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 卸し売り物価のほろはそう大きな狂いはなく行くのじゃないか、今の時点で。むろん今後の情勢によりまして変化がございますれば、それは変えるにやぶさかではございません。消費者物価のほうにつきましては、今調整局長が御説明申し上げましたように、五・七%という予想が、六・三%くらいになりはしないかという一、二月の情勢でございます。したがって、来年度三月末を基準にして来年度横ばいになって、八%上がるということで、本年度平均から見ますと、ぜひともその中で押えて行きたいという、われわれは努力目標としてやっておるわけでございまして、そういう点について今後の情勢を見て参らなければならぬことと思います。
  309. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 卸売物価も一月下旬から二月上旬にかけて上昇していますよ。反騰している。こういう点は予想しなかったところなんですね。そこで時間が長くなりますから、私は結論的なことを伺いたいと思うのですが、今後の施策としては、経済見通しどおりに推進するために、引き締め政策を一段と強化するか、あるいは計画を手直しするか、すなわち下期国際収支を均衡させるという最大目標、至上命令を犠牲にしても、経済政府見通し以上に伸びることを認めるか、いずれを選択するかにあると思います。いずれを取りあるいはいずれに重点を置かれる方針か、大蔵、経企両大臣に答弁を求めます。
  310. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今後の問題でございますが、実は昨年の九月の総合政策が相当きいてこなければならぬわけでございます。ところが何か幾らか気のゆるみと申しますか、あるいは楽観論と申しますか、そういうものがあるという事実を考えますと、私は去年の九月の線でやはり厳重に抑制をして、まず第一にやらなければならない。その効果が十分じゃなければ、それは第二段の方針をきめて参らなければならぬのでありまして、それらについては、今申し上げましたような三月ぐらいの状況を見、あるいは四月における合理化審議会における設備投資等の要求等を勘案しまして考えていくべきだと、こう考えております。
  311. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 引き締め政策は依然として今の態度を私ども堅持していくつもりでおります。したがって、先ほどから申しましたような、あと一、二カ月の推移が重要でございまして、これを私どもは見たい、こういうふうに思っております。同時に、昨年は民間の設備投資計画の準備が六月から行なわれたのでございますが、これが少しおそかったという気がいたしますので、本年は四月からこの準備を始めて、民間の設備意欲がどういう方向になっていくか、具体的なものを見て、この準備を始めるということとあわせていくのでしたら、私は今のままでやっていけるのじゃないかという気がいたします。これは推移によって政策は具体的にいろいろ措置はやるべきものでございますから、推移によっては予算の執行というものについての弾力的な考えもしなければならぬと思っておりますが、まだそういうことを考える時期には、私は来ていないと思っております。
  312. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 わが国の外貨準備高は、最小限幾ら必要だとお考えになっておりますか。
  313. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは矢嶋さんも御承知のとおり、この間、学者仲間でもこういう論議は行なわれましたが、これは定説というものがございませんで、最高これくらいという最高は、一年の総輸入額の半分ぐらいでなければならないという人がございますし、外貨というものはそう要らぬものだ、一、二カ月あれば上等である、極端な人は要らないという議論まで学者の間で出ましたが、これは極端だろうと思いますが、かりに一、二カ月ということでしたら、日本の八億ドル前後ということになりますし、最高を主張する学者でも二十何億ドルという程度でございますので、これについて幾らなければならないかというような問題は、私はないと思っております。ただ、今私どもが外貨について国際収支を回復するということが本質的な問題でございますし、あとは外貨の金繰りの問題でございますが、金繰りとしましては、今持っておる外貨を、特に金と預金になっておるもの、このくらいはくずさない線で国際収支の回復をはかっていきたい、こういう金繰りについての気持は持っております。幾らなければならぬという問題じゃないと思います。
  314. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなた方の計画された三十七年度見通しと、この数字を守っていこうとなると、極端な金融引き締めをやらなければならぬと思う。それはデフレ政策になり、失業者が出てくると思うのです。ところが現在伸びつつあるのを、それをある程度認めるという形になって参りますと、これは本年度末総合収支じりが一億赤字となっておりますが、外貨危機が参ると思うのです。私はもう現時点においても、これはさらにこの調子が少し進んだならば、十億ドルを割ると思うのです。そういう外貨危機が訪れると思うのです。いずれか来ると思うのです。そのいずれにも陥いらないようにやっていくためには、もう少し昨年度の経過を反省して、そうして現時点に立って若干の手直しをされる謙虚さと聡明さがなければならぬと思います。大蔵大臣経企長官の御答弁を求めます。
  315. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから問題は、国際収支の均衡を回復するということが問題でございまして、この回復が今年度、三十七年度において完全な回復ができるというふうには今政府は思っておりません。年度間を通じては、また国際収支赤字は一億ドルくらいは避けられないだろう。しかし下半期においては回復させるという考えでございますが、そういう見込みのとおりにいって、そうして国際収支の回復ができるということでございましたら、外貨の資金繰りには今のところ全く困らない、こういう状態にございます。
  316. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 昨年度のようなあやまちと申しますか、三十六年度のようなあやまちを犯さないようにわれわれとしては努力をいたして参るつもりでございます。
  317. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 通産大臣に伺いますが、九月末自由化率九〇%の計画を若干修正する必要があるとお考えになりませんか、お伺いいたします。
  318. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) この自由化の計画はすでに発表したとおりでございますし、また業界もこれに協力するという立場で、ただいまいろいろ準備を進めておることは御承知のとおりでございます。しかし、もちろんこの自由化そのものは業界でかような協力を得、その意味の秩序はできておりますが、本来国際競争力のないものを自由化するということは、これは自由化という本来の趣旨からいきまして、私どもは避けなければならぬものと、かように実は考えております。だからそういう意味から、国際競争力がないという事態になったときに、それでもなおかつ計画どおりだからこれを進める、かような暴挙はするつもりはございません。しかし、ただいままでの準備の段階等から見ますると、私は大体準備は順調に進みつつある、かように実は考えておりますので、ただいま自由化計画を変更する、こういうような考えはございません。きわめて特殊なもの、たとえば沖縄のパイナップルというようなものを除外するというようなことは、部分的なものはございますけれども、本筋を変更するというようなことはする必要はないようでございますし、また本来してはならないものだと、かように実は考えております。
  319. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 藤山さんに伺いますが、これは入閣していなければよかった、そうすれば矢嶋ごとき者にもこういう質問を受けなくて済んだというような御感想はございませんか。
  320. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 入閣をいたしまして、できるだけ昨年度、三十六年度のようなあやまちをしないように努力して参ることが必要だと考えております。
  321. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私のたのんだことに答えてくれなければ困りますよ。委員長、私の所見を求めて下さい。答弁にならぬ。
  322. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 経企長官、どうですか。
  323. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 入閣をいたしまして矢嶋さんから御質問を受けて、そういう質問を受けることは非常な勉強になると思い、大いに今後戒慎をして参るつもりでございます。
  324. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 質問を転換いたしまして、先日厚生省発表にかかる事故死亡の分析を見ると、昭和三十六年に推計約四万一千人で、日本人の死因第五位を占めています。そのうち自動車事故によるものが三五・四%を占め、しかも歩行者が多いのは他国に見られないわが国の特徴であります。池田内閣誕生以来、急増の傾向にあります。厚生大臣、大蔵大臣の御所見と対策を承りたいと存じます。
  325. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 厚生省で調べております死因統計ですね、統計の中の死因別にこれを調べました場合に、事故による死亡が非常に高くなっているということをしみじみ実は感じさせられたのでございます。また、事故の中にもいろいろございますけれども、近来交通事故によるものが非常に高くなってきておる、こういうことが私どもの統計のほうからも出て参っておりますので、われわれといたしましては、この事実に基づきまして、かような事故の防止のために関係各省それぞれ協力して、状態の改善に努めなければならないと考えておる次第でございます。
  326. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣予算が悪いらしいですよ。
  327. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ事故死の問題は、御答弁は主管大臣に譲りたいと思います。
  328. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 人命は大切ですから、予算を組むときに御注意いただきたいと思うのです。  運輸大臣に伺いますが、長い懸案でありました車種別規制は、本日の閣議できめられたように伺っておりますが、いかように車種別規制を決定されたか、実施時期を含んで、その内容を御報告いただきたいと思います。
  329. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 車種別の規制につきましては、私のほうもいろいろ意見を持っておりましたが、これは主務大臣から答弁をしていただきます七
  330. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 車種別規制につきましては、直接の責任者は東京都の公安委員会でございます。しかし、これは警察全般といたしまして、これは社会、経済的に非常に大きな問題でございますし、また、取り締まりの全体の対策上、いろいろ指導助言もいたしておったわけでございます。ただいま話し合いが事務当局ででき上がっておりますのは、七トン半以上の大型車を朝の七時から十一時までと、一時から朝七時までとめるという案が一つ。それから、さらにそれに付け加えまして、長大物——長い大きな貨物自動車について、これも同様の規制をする。さらに旅客といいますか、遊覧バスにつきまして、やはりこれも午後五時から七時の間はこれを規制する。それは二十三区全地域ではございませんで、そのうちの主要路線二十路線を限ってこれを実施したいというようなことでございます。しかし、これは同時に、全体の乗用車につきましても、できるだけ自主的な規制を願い、また、自家用の貨物、その他営業車につきましても、それぞれ懇談をいたしまして、自主的に規制をして全体の運営の円滑化をはかりたい。実施時期は四月一日を目途としておったと思います、それは今ちょっとはっきり確認しませんが。なお、閣議では、この経過についての中間報告があったわけでありまして、閣議がこれを承認するとかしないとかいったような性格のものではないのでございます。
  331. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 実施時期を明確にして下さい。
  332. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 失礼しました。四月二十日前後の予定でございます。
  333. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは運輸大臣と公安委員長はさや当てしているので、私は、運輸大臣に最初に敬意を表して、先にお答えをいただいたのですが、今伺いますと、公安委員長のほうが後退したようですね、いかがですか。
  334. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今突然でございまして、ちょっと時間を間違えましたが、七トン半以上の大型貨物の規制につきましては、午前八時から十一時まで、一時から七時まで、こういう規制でございまして、ただし、日曜、祭日は除く、こういうことでございますして、地域は、今の二十三区内の主要路線二十線、こういうことに相なっております。これは後退とか何とかでございませんので、最初警視庁では素案として、こういう案を基礎にして関係各方面といろいろ折衝したいと、運輸省あるいは業界等ともいろいろ折衝しました結果、ほぼ意見の一致を見ましたのが今回の、案でございます。
  335. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ともかく国民の生命が奪われないように、しっかりやっていただきたいと思います。  私は、防衛庁、警察庁、海上保安庁、消防庁の予算、定員、装備等を詳細に比較検討するとき、均衡がとれておらず、どうしても納得がいかないので、以下若干質問しますから、所管大臣からそれぞれ御答弁を願います。交通警察官の人員、常備消防団員数、消防団員の充足状況、海上保安官の人員、所有航空機、船艇——船の数量、消防力の整備状況は消防力の基準の何パーセント程度か、過去一年間の火災件数、物的人的損害状況について答弁をいただきます。
  336. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 都道府県警察官の定員は十三万二千四百五十二人、これは条例定員になっておりますが、大体現在員もほぼこれに似たようなものでございます。それから消防のほうの人員は、職員が現在三万六千六百二十七人、団員が百五十九万一千五十三人、こういうことになっております。火災件数は、昭和三十六年度におきまして四万六千六百七十二件、前年度に比べまして六・八%でございます。この被害は四百二十二億九千九百万円、損害は昨年度に比べて七三%の増という異常な増加になっておりますが、これは昨年三陸、八戸、鹿児島等の大火災があったために、特に損害が大きくなっておるわけでございます。航空機といいますとヘリコプターでございますか、これは四機ありまして、東京、大阪、愛知、福岡、これに配属しております。なお、現在の消防ポンプあるいは手引き動力ポンプといったようなものにつきましては、現在消防自動車ポンプが一万二千、手引き動力ポンプ三万六千、これはいずれも実際の需要規格に対しましては五〇%ないし六一%の充足率ということで、はなはだこれはまだ不十分なものと考えております。
  337. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 海上保安庁の今日の定員は一万一千七十八人、陸上が五千六百八十九人、それから海上が五千三百八十九人、船艇は、巡視船が八十八隻、巡視艇が二百八隻、飛行機がヘリコプターを入れまして十三機であります。
  338. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 税関の欠員は、先般の政府答弁では、約三万六千八百人であります。交通事故で都内だけで一日平均四人近く死亡し、全国で一日三十五人から四十人近くの人が生命を奪われています。この瞬間に、日本国中のどこかで尊い人命が失われているかもしれません。交通警察官の定員を適正に確保し、運用すれば、抜本的解決にならないとしても、犠牲者が減少し、交通問題がある程度解決することは明々白々であります。消防団員は年間約五万人程度減少している。さらに、その上、消防力はきわめて低位にあり、ただいまの答弁のごとく、わずか五割から六割足らずであります。国民は営営として築いた財産を煙にしているのであります。最近の火災の何と多いことでありましょう、そうして死亡者の多いことでありましょう。建築構造、気象条件等からして、わが国の消防関係予算は比重をかけてしかるべきであるにかかわらず、予算に占める比重は、先進国のそれの約三分の一程度の少額であります。そうして建てては焼き、焼いては建てているのが日本民族の一面の姿だと言えます。国の周囲が海に囲まれ、気象の激変するわが国では、海難事故はきわめて多いのであります。しかるに、海上保安庁の飛行機わずかに四機、ヘリコプター九機、加うるに十二、三ノットしか出ない老朽船九十二隻と合わして、巡視船艇合計わずかに二百九十六隻を保有するにすぎません。そして、とうとい人命と貴重な財産を年々歳々海中に没しているのであります。警察はヘリコプターわずか六機保有するにすぎません。一体これでよいのでしょうか。運輸、自治、大蔵各大臣の御所見を承りたいと存じます。
  339. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) お説のように、日本は相当海難事故が多うございます。そして、できるだけただいまおっしゃいますように、船艇の増強、あるいは飛行機、ヘリコプター等の増強、あるいはまた灯台その他の航路標識、これを完備をいたしたいと、かように努力をいたしておるわけでございます。
  340. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 交通事故につきましては、非常に現在警察当局は配慮をいたしておるところでございまして、できるだけこれを何とかなくしたい。そのためには交通関係警官を増員するということも必要でございまして、今後三カ年の増員計画一万人の中の四千人は、この交通警官に充てるといったような計画を鋭意今実施をしておる次第でございます。  なお、これに伴いまして、三十七年度にそれに必要ないろんな装備を十分強化して、さらに必要に応じて、他の配属からも必要な場合には動員をして間に合わせていきたい、こう考えておる次第でございます。  なお、消防につきましては、確かに目下のところ消防装備費というものは非常に不足をいたしておることは事実でございます。しかし、逐年これをふやしておりまして、来年度の交付税の配分におきましても、約五十億の増額をみて、逐次これは拡充をいたしておるつもりでございます。
  341. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今各大臣が言われましたように、本年度は人員増というものを押えて、そのかわりに装備の強化、機動力の増強という面に力を入れることにしまして、そういう方向の予算措置をとりまして、海上保安庁では航路標識の問題が特にやかましくなっておりますので、本年度はこういうものの予算を多くするという方向になりましたし、消防につきましては、これは第一次の責任が地方にございますので、今申しましたように、交付税の配分というようなものを第一次的に考慮していただくと同時に、国の補助についても、逐年これを厚くするというような方向で予算編成をした次第でございます。
  342. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ここで目を内政の一面に向けてみましょう。昨年三月現在、国鉄の営業線区中、九一%に当たる二百七線区は赤字線であります。その損失は四百五十四億円と想定されております。世界の趨勢は軌道から道路へと変わりつつあるのに、現在建設中の新線が十八本あり、明年度建設資金七十五億円が計上されております。この大部分は赤字線となることは予想されております。しかるに、さらに鉄道建設審議会の答申があった新線で、未着工のものが実に二十本ある。この大部分はまた赤字線となるものと予想されるのであります。一体これでよいのか、森を見て山を見ていないそしりを免れないと考えます。日本の政治には英知と決断力とが要請されていると思います。運輸大臣の御所見、対策をお伺いいたしたいと思います。
  343. 斎藤昇

    国務大臣斎藤昇君) 国鉄の持っておりまする鉄道線の中で、赤字線のありますことはおっしゃるとおりであります。ただ、国鉄の使命は、日本の産業の開発、あるいは文化の振興等をはかる使命を持っております。ことに日本の経済伸長につれまして、都市と農村の、あるいは山村等との格差をなくするという意味から、私は、新線の建設は必ずしも直ちに収支償わなくても、これはやるべき使命を持っておる、かような考え方でおるわけでございます。
  344. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は、建設審査会のあり方に批判を持っておるものであるということだけ申し上げておきます。ただいまの運輸大臣答弁は不満であります。  次の質問に移りますが、かかる状況で、一面にむだ、不能率があり、他面、国民の生命財産は日々不安にさらされておるのであります。しかるに、他方、憲法を便宜的に解釈して、自衛隊は、航空機約千四百、艦艇約十二万二千トンを保有し、ナイキ、ターター等、ミサイル装備まで突入し、保守党政府の内外政策は、意識するといなとにかかわらず、わが国の本格的再軍備、核装備への必然性の伴う道を指向し、日本民族を誘導しつつあると予言するものであります。この歯車をそのまま回転さしてよいのでありましょうか。かりに政府与党の立場に立つとも、若干回転の方向変異を検討さるべきではないでしょうか。このことは今日の世代の日本政治家に課された重大使命と考えるのでありますが、外務、防衛両大臣の御所見を承ります。
  345. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) わが国の平和と安全を守るために、そうしてわが国の固有の自衛権を行使するための必要最小限度の実力というものは、私は持つべきものであるというふうに考えております。ただし、それはあくまで毛国力、国情に応じて、他の施策と均衡のとれたものであるべきことは申すまでもありません。今後もその気持で防衛力の内容の充実に努めたいと考えておる次第でございます。
  346. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私ども国の発展を考えまする場合に、あくまで毛バランスのとれた発展を考えなければならぬと思います。その意味で、われわれ国として立ちまする以上は、当然みずからを守る権利義務もあるわけでございますので、そういう趣旨で、最も能率的に、各方面ともバランスのとれた防衛力というものを持っていかなければならぬ、かように考えております。
  347. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣に伺いますが、予算の性格を若干修正されるお考えございませんか。
  348. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 第二次防衛計画について、先般御説明いたしましたように、国の財政という面から、国民所得に対する比率、予算総額中に占める比率、こういうものも十分考えた計画でございますので、今のところは、他の施策との均衡は私は十分とれていると思います。従来、パンか大砲かというようなこともいわれておりましたが、これはよほど前の話でございまして、最近のこの予算の中における比率を見ましても、もう社会保障費のほうがはるかに比重は多くなっておる状態で、今後もこの傾向がさらに進められていくという状態になっておりますので、他の諸施策に対する比率から見まして、防衛費が、私は非常に重過ぎるというふうには考えておりません。
  349. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 所得倍増計画が唱えられて以来、地域間、産業間、国民各層間の格差は拡大するばかりであります。資本主義の経済機構の中で置き去りにされる国民への助成措置として、山間僻地、離れ島など、いわゆる僻地地域に対する施策はきわめて重要視されなければならないと思いますが、それぞれの立場から自治、厚生、文部、通産、大蔵各大臣の御見解と施策について承りたいと存じます。
  350. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 自治省といたしましては、この地域間の格差を解消することに全力をあげておる次第でございます。三十六年度の予算におきましても、例の後進地域の公共事業費の補助率の特例を設けまして、これで百数十億の補助額の増額をいたしておるような次第であります。さらに、新産業都市促進計画、あるいは工場誘致法といったようなものが出て、それぞれの中都市、小都市における開発も考えております。特に自治省といたしましては、この辺地における行政水準の向上というものを考えまして、今度も特別の財政措置をいたし、さらに各省相談をいたしまして、特にこの辺地、離島における行政水準の向上に格別の操作をいたすように準備をいたしておる次第であります。
  351. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 一般的に申しまして、厚生省関係の保健、福祉行政の水準はもっともっと引き上げなければならぬ問題だと思っております。特に僻地の関係において相当格差がはなはだしいように存じますので、今日までもいろいろな施策を講じて参った次第でございます。特に無医村地域の解消でありますとか、僻地の福祉施設の整備でありますとか、こういう点につきまして努力をして参りましたが、これはさらに一段と努力をする必要があると考えておるような次第でございますが、明年度からは僻地の飲料水等につきましても、厚生省として配慮を加えたい、かように考えておる次第でございますが、近く僻地につきまして、厚生行政全般にわたって実態調査をやりまして、今後の施策の推進に努めたいと考えております。
  352. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。僻地教育については、文部省として例年努力をして参っておりますが、明年度の予算措置としましても、例年にない程度の予算措置をいたしたつもりでございます。僻地における教師の宿舎の問題、あるいは生徒の寄宿舎の問題、あるいは発電機の整備の問題等、御案内のような事柄ではございますが、量的に従来にもましてふやしたつもりでございます。
  353. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一般会計予算並びに財政投融資計画を検討するときに、特定地域、特定産業にウエートがかかり過ぎておる傾向が非常に顕著であります。これが格差拡大の一番大きな原因になっておる。先進地における企業設備投資の過度集中を地方に分散して地域格差を是正するよう措置さるべきであると思います。たとえば全国総合開発計画草案においては、たとえば九州地域における道路、港湾、鉄道等の投資額構成比率は従来の実績を上回るよう策定すべきであるにかかわず、逆に実績を相当下回っておるのはどういうわけか。かくては地域格差の拡大を招来することは必至であります。全国総合開発計画はいつきまるのかということ、それらの内容的に九州地方への投資額構成比率が実績を上回るように再検討、是正さるべきであると思いますが、経企庁長官答弁を求めます。
  354. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 全国総合開発は、昨年七月十八日草案を作りまして、そして広く世論の御意見を聞いておるわけでございます。四月になりますと、これが最終的確定をその世論の上に立って決定をいたしていくという段取りでただいま進めておるわけでございます。地方の開発に対する経費の割合と申しますか、そういう点については十分考慮して参らなければなりません。が、しかし、現状何といっても過大都市をかかえておりまして、その周辺の問題にもある程度力を入れて参らなければならぬ状況でございますから、したがって、必ずしもこの過大都市を無視していくというわけにも参らぬという事情もございます。そういう点について、全国総合開発計画を策定する場合に、若干のそういう点についてのあれがございましょうけれども、しかし、今後は、御承知のとおり、先般の臨時国会で通りました後進地域の開発に関する法律があります、あるいはただいま御審議願っております新産業都市というような問題もございまして、それらをあわせて完璧なものになるべく作り上げていきたいこう考えております。
  355. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 後進地域が実績より下回るのはおかしいじゃないですか。私は是正さるべきだと思うのですが、いかがですか。
  356. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 実績と申しましても、お話のは割合じゃないかと思うのでございますが、今申し上げたようなことで、むろん重点的に考えて参りますれば、逐次後進地域の開発に力を入れていくことは当然でございます。したがって、当面の問題となって参りました場合に、そういうふうな全体計画としては現われが出てくることになろうかと思います。
  357. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 住民は税外負担に悩んでおります。自治省の発表では約三百五十四億円となっておりますが、これは解消すべきであると思いますが、いかがでございますか。自治大臣答えて下さい。
  358. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 仰せのとおり、税外負担は解消すべきものだと考えております。長い歴史があるもんでございますから、これは逐次解消する方向で昭和三十五年度に九十億、この解消のための基準財政需要を見込みました。また三十七年度におきましても百億を見込んで、漸次これは解消しつつある状況でございます。
  359. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣にお伺いしますが、国立高専新設にあたって、都道府県に非常に寄付を強要している、その実情を御報告いただきたい。
  360. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。国立高専は、御案内のとおり、十二校を予定いたしておりますが、敷地につきまして地元の協力を要望いたしております。地方自治体に負担をかける考えはございません。
  361. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 校地等の寄付を求めているのでありませんか。
  362. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 敷地につきましては予算措置をいたしておりません。全部地元の寄付を期待いたしております。ただし、それは地元の民間浄財によってまかなわれたものを寄付していただく予定でございまして、地方自治体に負担をかける考え方はございません。
  363. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 自治大臣、それは好ましいことですか、どうですか。財政法違反だと考えますが、いかがですか。
  364. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 地方自治体にこの負担をかけることは地方財政上好ましくないということがはっきり申せると思います。ただ、民間の有志の寄付によります場合には、私は必ずしもこれを強制したり、慫慂を強くすることは好ましいとは思いませんが、事情によりましてはやむを得ない場合もあろうかと思っております。
  365. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 誘致するために都道府県が寄付をいたしております。これは財政法違反だと思いますが、いかがですか。
  366. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは財政法上好ましくないという解釈になろうかと思います。
  367. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 是正さるべきだと思います。で、少なくとも来年度そういうことが絶対起こらないようにすべきだと思いますが、大蔵大臣の見解を承ります。
  368. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。
  369. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 今答弁してから……
  370. 加瀬完

    ○加瀬完君 一緒に答弁してもらう。
  371. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) では……。
  372. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方財政法では一般の寄付をなるべく削減しょうという方法をとっておるですね。それが提案のときの趣旨だ。また、地方財政計画でもなるべく寄付を避けようとしている。そのときに国の責任で作る学校に敷地だけを寄付でまかなわせるという方針をとることは、政策の矛盾じゃありませんか。この点もあわせて御答弁をいただきたい。
  373. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この点は私よく存じませんが、全国で十二作るということにつきましては、地方からの要望が非常にございまして、その学校が自分の土地くるというんなら、民間が寄付しても誘致したいというような自発的ないろんな申し出がたくさんあると聞いております。したがって、国が強制して寄付を取るということは好ましいことではございませんが、自発的に国に対して、学校ができるためには地元で有志が寄付するということは、一がいに悪いことでもないんじゃないかと思っています。その間がどういうことになって、今文部省のほうで計画されているか、このこまかいことは私よく存じません。
  374. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、今後公立高専は、どの程度増設される予定でありますか。
  375. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  一応の建前としましては、各都道府県に一個所ぐらいはあってしかるべきじゃなかろうかと考えております。ただし、現在は工業高等専門学校だけであることは矢嶋さんも御承知のとおりであります。全国の都道府県に一カ所見当というにつきましては、必ずしも工業高等専門学校だけでまかなうということもいかがであろうか、検討を要すべき問題も残っておりますが、しかし、新しい高等専門学校の制度のもとの学校が一府県に一つぐらいはあっよろしかろう、かように考えております。
  376. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣の御所見を伺います。
  377. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 現下の要請に応じて、私どもは本年度十二校を新設するということをきめたわけでございますが、これはまた今後の情勢によることと思います。
  378. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、建築単価が文部省内においても、義務制と大学の間に差があり、政府各省間に非常に差がある。小・中学校の場合に大体一万円から二万円基準単価が低い。そのためにそれが地方団体並びに父兄の負担となっていますが、どういうわけでその基準単価というものに差異をつけてあるかお答えいただきたい。
  379. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  単価につきましては、政府部内関係省と相談をいたしましてきめるわけでございますが、小中学校等につきましては、御案内のごとく昨年の室戸台風によって災害を受けましたものの災害復旧については、それ以前の単価よりも、現実に合うような修正をいたしました。その単価を今度の予算では採用しておりまして、従来よりも実際価格に相当近づいておると考えております。
  380. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ具体的に申しましょう。国立学校は体育館を作る場合には坪六万五千円、小中学校が体育館を作る場合は五万円、どういうわけで一万五千円の差をつけるのですか。
  381. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) それもただいま申し上げましたような相談の結果であります。それぞれ沿革的なことも作用いたしておると存じております。
  382. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣に伺います。小中学校の鉄骨の建築単価は四万八千円、国立の分は六万五千円、これが建設省の官庁建築費になりますと実に十万六千二百二十七円、これだけ差があるから、実際建たないわけですよ。その差額は全部PTA、地方団体にいくわけです。こういうものは、予算編成の場合の基準単価を是正すべきだと思いますが、大蔵大臣の御見解を承ります。
  383. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 基準単価は、個々の地方の実際の建築単価とは一違いまして、全国的な平均単価というものを求めて、これを基準にして国家補助の目安にするものでございますので、個々の場合、地方々々によって、いなかと都会によって、いろいろ違うのはこれは当然だと思います。そういうものが基準単価というものでございますから、これは……
  384. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 同じ鉄骨を作るのに、小・中学校と公立学校と基準がみな違うのです。
  385. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いずれにしましても、文部大臣が言われましたように、この単価のきめ方は、関係省で十分の相談をしておるところでございますから、具体的な話は主計局から説明をしてもらいます。
  386. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 おかしいですよ、同じ建物を建てるのに。
  387. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 今のお尋ねの数字がちょっとよくわかりませんが、鉄筋で義務制の校舎が六万二千、それから官庁営繕費が六万一千六百円、あるいは研究施設などが入っているのかと思いますが、あるいはまたその構造が違うというようなことがあるかもしれません。大体統一をとっておるつもりでございます。
  388. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それじゃ、国立の文科系は幾らですか。国立の文科系の鉄筋を答えてごらんなさい。研究所の国立の文科系と小中学校を比べてごらんなさい。一万七千円の差がありますよ、基準単価で。
  389. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 建物の高さとかいろいろな場合に違うと思いますが、官庁営繕並みで統一をとっておるつもりでございます。あるいは具体的に数字がございましたら、後ほど見さしていただきたいと思いますが、一応考え方としては統一をとっておるつもりでございます。
  390. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうじゃないですよ。文部大臣、しっかりして下さいよ。  自治大臣、こういうものの単価は、全部地方団体の税外負担になるのですよ、住民の。どう思いますか、お答え願います。
  391. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今、文部大臣もお答えのように、それぞれ地区あるいは種類によって違うことも多かろうかと思います。しかし、従来の実績上、やや実際の単価より低いという場合もあり得るのです。こういったことは、極力今後はなくしていくように努力したいと思っております。
  392. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣に、合理的、科学的に再検討するということをお答えいただきたい。
  393. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはむずかしい問題で、始終再検討しておりますが、大体三十六年度の後半期に私ども予算補正をやりましたので、予算補正のときに各省間で打ち合わせた単価を、今回は大体そのまま用いたということになっております。実情によっては、さらにこの問題は再検討いたします。
  394. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、閣内で再検討を提議すべきだと思いますが、いかがでありますか。
  395. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  予算折衝のたびごとに是正する努力をしておりますし、今後もやります。
  396. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 質問を変えまして、オリンピックのことについて、具体的な問題について伺います。それは、ボート用の戸田ボート・コース整備事業予算は、総額幾ら必要で、その経費負担はどうなっていますか、お答えいただきたいと思います。
  397. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 戸田の漕艇場の施設費全体といたしましては、ただいまのところ約十二億と、こう考えております。このうち三十七年度におきましては、コースの拡幅等に要する経費、これが一億九千三百万だったと思いますが、それを計上いたしております。そのほかといたしましては、なお地上における競技に必要な諸施設におきましては、これは明年度においてやりたいと、こう考えております。  それから、環境の整備と申しますか、それが約六億要すると、組織委員会のほうでは申しておるのでありますが、これにつきましては、矢嶋委員御承知のとおり、いろいろいきさつもございまして、まだはっきりした実は見通しがついておりませんが、目下埼玉県当局とわれわれとの間で、いろいろ交渉を進めておる段階でございます。
  398. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 埼玉県は責任を持って施行する見込みがありますか。
  399. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 目下聞いておりますところでは、埼玉県としましては、コースのわきに都市公園を作りたい、その公園を作りますために、県費の単独の工事といたしまして二億八千万までは出す用意があると、こういうことを申しておるのでありますが、それは今申しますとおり、主として公園化に使うと、こういう考えのようでございます。組織委員会のほうといたしましては、入口等にありますところの民家等を整理をしてほしい、そのほうから先にやってほしい、こういう要望を持っておるわけであります。それらを全部やりますと、とうてい二億八千万だけでは施行が困難だ、かように考えますので、その間どういうふうにしようかということで、今しっかり討議中なのでございます。
  400. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 相模湖を使用する場合には、どの程度の経費を要しますか。
  401. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 相模湖を使用した場合に幾らかかるかということにつきましては、私の知っている限りでは、あまり詳細な検討をいたさなかったように私は承知いたしております。
  402. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 戸田コースと相模湖と、いずれがよけいかかると思いますか。
  403. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 結局漕艇関係といたしましては、コースを作る費用、普通の場合は御承知のとおり改築費でございますが、ともかくコースを作る費用と競技に要する建物等の施設、こういうことに相なるわけでありますから、そういう関係からしまして、コース自体を作るという点から申せば、相模湖のほうがこれは少なくて済むであろうと私もそう思いますが、しかしまあ、物的な建物その他の施設等の関係につきましては、さき申しますとおり、相模湖の場合には詳細なる検討がされておらない、こういうふうに考えて、いずれが安くつくかということにつきましても、にわかにはっきりしたお答えができないわけであります。
  404. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはスラム街にあるようなところで国際オリンピックをやるわけにはいかないと思う。国辱ものです。私は研究してみたのですが、戸田と相模湖を比べれば、相模湖のほうが水もきれい、コースを作るのも楽で、環境もよろしいのです。どういうわけで相模湖より戸田が決定されたか理解に苦しむものです。ずいぶんと整備についてもめているようでありますが、この問題を白紙還元して、相模湖と比較再検討してはいかがかと思いますが、大蔵、文部両大臣と総務長官の答弁を伺います。
  405. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 経費の点だけから考えますと、あるいはそういったお考えもあるかと思いますが、漕艇は戸田でやるということにつきまして、組織委員会のほうでも再三決定を見ております。また閣議におきましても、そういう方針を打ち出しておるわけであります。あるいはさらにオリンピック国際委員会、そのほうとの関係等もあると思いますので、今にわかに再検討するというところまではいかがなものであろうと考えます。
  406. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 国際オリンピックの一翼としてのボート・レースを、どこでどういうふうにしてやるかということについて、専門的な立場において日本最高の唯一の権威ある機関というのは、オリンピック組織委員会だと思います。漕艇協会の意向も聞き、あるいは政府関係各省相談いたしました結論として、すでに戸田ボート・コースに決定をいたしまして準備進行中であります。いろいろむずかしい問題が伏在いたしておりますことは、御指摘のとおりですが、それはあくまでも方法論であって、万難を排して予定どおりやることが当然だと心得ております。
  407. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣、その六億の整備費は国庫で出すのですか。
  408. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 文部省で担当しておりますのは、七十メートルを九十メートルに広げ、そして浚渫をいたしまして、護岸を作り、のりをつけるということを担当いたしております。そのために予算約一億円は予算案に計上されております。必ず間に合うようにやりたいと思います。やれるとまた思っておりますが、そこで、周囲の一種の環境の整備と申しますか、あるいは公園の整備と申しますか、それは担当が違いますから。政府全体としては、むろん共同責任でございますけれども、今申し上げますように、主たるコースそれ自体は予算措置も講じてありますし、来年度早々から直ちに具体的に着手いたします。時間的にもまだ間に合いますから、万難を排して整備して、国際的にも信用を落とさないように、国際オリンピック委員会にも報告されておるその内容の実現に努力すべきだと思います。
  409. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は二、三日前に文教委員会に呼ばれましてこの問題をただされましたが、いきさつを申しますと、環境としても、一時候補に上がった相模湖のほうがいいという意見が出てきました。ことに神奈川県は誘致に非常に熱心でありまして、相模湖に作られるなら地元で全部持つというような申し出までございましたので、私どもはそのほうが最初いいと思ったのですが、しかし専門家の意見を総合した結果、組織委員会において向こうがいいというふうにきまったということでございますので、これはその決定に従うほうがいいということで、今私もどはその決定に従っておるわけでございますが、ただしその場合の予算の問題におきまして、このオリンピックは東京都と国の負担で、結局は国の税金によるものでございましょうが、国際的に恥ずかしくないものを作るということと、できるだけ国費は節約してやるべきものだという観点からいろいろ折衝しましたが、この競技場を作る金だけは支障を来たさないように国が持つと、そのほかの付帯施設というようなものは、ある程度地元負担でやってもらいたい。こういうような一応了解ができたというふうに聞いておりますので、それではということで、私どもは、これは地元に負担してもらうという方針で、そのほかの競技場の完成については国が責任を持つという立場で予算を考えておったわけでございますが、最近、あすこを公園にしなかったら、環境上世界の人に対してみっともない。だから、これはしてやるべきだという意見が出て参りまして、そっちを先にやらなければ、なかなか工事が始まらぬというようなことから、この間委員会にも呼ばれて所見を求められたわけでございますが、私はそれぞれ負担区分を大体きめて出発していることでございますから、中途でいろいろ変更されないで、きまったものはきまったとおりに早急にやるということが、ここで大事であって、こういう問題を繰り返されることは困ると、もし地方で負担がつらいと言うようでしたら、これに対してはまた財政上、起債とか、いろいろ考える道はあるだろうが、きまったことを、全部あとから一から十までみんな国費に負担させるというような行き方は私は困るという答弁をして帰ってきたわけでございますが、いきさつを申しますと、現在そういうことになっております。
  410. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 総務長官に伺いますが、カヌーはどこでやるのですか。
  411. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) やはり戸田でやる予定でございます。
  412. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はだれにも頼まれていないでこの質問をしているのです。カヌー協会の内容はそうでもないです。公正に総合的判断した場合に、その競技の成功、それから国費、それらを勘案するときに、私は白紙に還元して検討するに値する問題だと思いますが、重ねて総理府総務長官にお伺いいたします。
  413. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 私も技術的なことを詳しくは聞いておりませんが、従来も湖水でやった場合もあるそうでありますが、ただし、その際は湖水というのは、非常に幅の狭い、長い場所であった。普通の非常に大きな湖でありますと、波浪等が相当出て適当ではないのだというようなことも聞いております。しかし、いわゆる再検討のことにつきましては、目下のところ、先ほど来申しておるような見解を持っておりまして、あそこのスラム街、スラム街というほどでもないかもしれませんが、ともかくあの環境を全般として整備するという点につきましては、なるべく皆さんのお考えが実現するようにひとつ努力をしてみようということで、現にせっかくその努力中でございますので、いましばらくお待ちを願いたいと、かように考えております。
  414. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣に伺いますが、こういう話があったというので、茶話でも閣僚懇談会あたりで出してみてはどうですか。
  415. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 実は組織委員会でも、御承知のとおり、最初は朝霞を候補地に選んで、ずっと最近まで計画が進められておったものでございますが、私どもはオリンピックを円滑に遂行するためには、場所が、せっかくきまったことではあるが、ワシントン・ハイツのほうが好ましいのじゃないかというような意見も出しまして、だいぶこの問題では紛糾いたしましたが、せっかくの決定を私どもの考えから変更してもらった例もございますので、これ以上組織委員会の決定に対してあまりいろいろ言うことは、横やり的なことにならぬとも限らないと思いまして、ボート・レースの場所は組織委員会がすでに決定しておることでございますから、その決定の線に沿ってやることがやはりいい、今ではそういうふうに考えております。ただ費用の問題で、これはもめて着手できないという事態は、これは相当考えものであると私は考えております。
  416. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 昨年三月、当時の池田科学技術庁長官は、わが国の科学技術の振興、経済成長計画の達成のためという立場から、異例にも荒木文部大臣に対して、科学技術者の養成に関する勧告を行なったのであります。明年度予算編成に対して、この勧告はいかように処理されたと御認識になっておられるか。また、今後の養成計画は、どの程度のものであるべきとお考えになっておるか、科学技術庁長官の答弁を求めます。
  417. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 一体、科学技術者あるいは技能者はどれくらいの人が必要かということは、経済発展のテンポにもよりますが、大体科学技術会議等で十カ年計画等を作成しましたときに、十カ年間における科学技術者の不足十七万人、技能者四十四万人、これが一応の目安になっておるわけでございます。そういう点で、文部省に向かっても池田前長官が勧告をして、文部省においても昨年の八月に理工系学生の増員計画を作りまして、その結果、昭和三十六年から三十九年、この間に理工系学生の増員二万名という計画を立てておるわけでございます。こういうことに推移いたしますならば、昭和四十三年以降は、大体技術者の需給関係はバランスする。現在文部省の計画が完全に実施されることを、科学技術庁としては期待をいたしておる次第でございます。
  418. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部大臣にお伺いしますが、今は三木長官とうまくいっておりますか。
  419. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  非常にうまくいっております。
  420. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはけっこうです。で、文部大臣に伺いますが、国立夜間大学を拡充するお考えはありませんか。私はやってもらいたいと思うのですが、お伺いします。
  421. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  私もお説に賛成でございます。ただ、実行方法となりますと、いろいろとむずかしい問題が伏在しておるようでございます。ことに理工系の医学、農学部等につきましては、御推察がつきますように実験、実習等の設備の利用につきまして、昼間と夜間と併用困難だということも想定されまするし、その他の学部、学科系統におきましては、お説のようなことが可能であり、今後も推進していく対象になり得るであろう。それにしましても、理工系につきましても検討したいと思っております。
  422. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大蔵大臣のこれに対する御所見を伺いたいと思います。
  423. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体今文部大臣の答えたとおりに考えております。
  424. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 学級編制の算定基準は、来年度小学校五十四人、中学校五十二人となるのでありまして、数年来の政府の公約に従って昭和三十八年度においては小、中学校とも五十人とされて、公約を果たされる計画と存じますが、念のため文部、大蔵両大臣の答弁を求めておきます。
  425. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  大体御指摘のような方向になし得ると思いますし、なすべく努力をいたしたいと思っております。
  426. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 努力じゃない、約束してもらわなきゃ困るですよ、数年来の公約ですから。文部大臣、もう一ぺん答えて下さい、数年来の公約ですよ。
  427. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 努力をすると申し上げる以上のことは、僭越だと思いまして御遠慮申し上げました。
  428. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 僭越じゃないですよ。それこそ僭越ですよ、今のお言葉のほうが。大蔵大臣お答え願います。もう歴代の文部大臣、歴代の大蔵大臣の公約ですよ。はっきりお答え願いたい。
  429. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 公約は果たしたいと思います。ただ問題は今後三年間に……小中学校の問題は、なるたけ公約は果たしたいと思います。
  430. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 高校急増対策予算は、完敗だという声が文部省内にあります。文部大臣自身国会で負けたと答弁しておられますが、あの強い文部大臣を負かしたのは、総合判断すると水田大蔵大臣らしいです。終戦っ子のために次回国会で手直しされてはいかがでありますか。大蔵大臣の愛情ある、あたたかい答弁を求めます。
  431. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 文部大臣自身もさっき申しましたように、負けたという言葉は、用語が不適当だったと言っております。負けた、勝ったの問題ではなくして、要するに急増対策が実際にできるかできないかの問題で判断すべきでありますが、むろん関係省とも相談の結果、あの計画どおりの予算措置が行なわれるのなら、一応高校急増対策は完全にやれるということになっておりますので、やれれば問題は解決するわけでございますので、これは別に勝った負けたの問題じゃなかろうと思います。
  432. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今後の推移を見守ることにしましょう。  大蔵大臣に伺います。学校給食が学童の体位向上と、国民の食生活改善に果たしつつある役割、並びにその教育的意義をいかような認識されておるかどうか、大蔵大臣の御見解を承ります。
  433. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 学校給食の意義は私どもは認めます。ただ、まだ学校給食が普及しておりません。で、実施されているところへこの内容の強化をやっていくべきか、まだ普及しておりませんので、これをもっと普及させるということに努力すべきかと申しますと、普及させることに努力すべきだと思う。したがって、新しい施設に対する補助とか、そういう点に重点を置くべきだという方向で今進んでおります。これが一応普及したら、その次に起こることは、内容の充実の問題であろうかと思いますが、まだそれ以前に学校給食については、することが多いと考えますので、そのほうに力を入れておりますことと、内容についても一部の改善は努力いたしておる次第でございます。
  434. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 完全給食を全国に実施して、学校給食費の半額国費負担制をとられてはいかがかと思いますが、大蔵大臣並びに文部大臣の見解を伺っておきます。
  435. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  昨年の秋に学校給食制度調査会からの答申が、今御指摘のような考え方に立っておるわけでございます。まずもって人件費あるいは施設整備費、ないしは維持運営費等につきまして、もっともっと生徒数にいたしまして五割くらいの普及率しか小中学校ではないと思いますが、百パーセントまで持っていく努力をいたしまして、ゆくゆくは食費そのものにつきましても、要すれば国庫費二分の一負担程度のことを実現したいものと考えております。
  436. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) やはり今、文部大臣の言われましたように、まずこの普及が急がれている、そちらのほうが先であって、だんだんにそういう方向にいくべきだと存じます。
  437. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 外務大臣、お待たせしましたが、最後の質問に入ります。  アメリカは沖縄を軍事上必要だと認め、極東の安全保障の中核にする、こういうことなんですが、アメリカの外交政策、それからソビエトの国防外交政策、この二大国が世界に現存するわけです。この事実は否定できない。このアメリカの外交政策、それを受けての日本の保守党政府の外交政策並びに国防政策から考える場合に、このたびの取りきめというものは、半永久的に沖縄の施政権は日本に返らないということを、あらためて確認したような印象を私は受けます。いわば九十九カ年間アメリカは施政権を沖縄に確保するということになった。そのかわりに福祉増進援助等開発をしてあげよう、こういうことに取りきめられたような感じを受けます。これは私は施政権返還を熱望している日本全国民、祖国復帰を悲願といたしているところの沖縄の同胞にとっては、きわめて私は重大な問題だと思います。今後いかように努力をされようとされるのか、まず先ほどの私の質問に対して即時施政権返還を要求しているが、それが実現の暁においては、核武装しないという内閣の基本方針に基づいて沖縄の核武装を解くつもりだ、こういうことでありますけれども、これは言葉の上では言えましょう。しかし、現在の世界情勢、これはソビエトとアメリカの外交政策、国防政策からもたらされているものでありますが、特にアメリカのその方針が私は大きく影響していると思う。そういうさ中にそういう事態が一体あり得るのかどうかということだと私は思います。したがって今度の取りきめについては、全文私は詳細に読んでおりませんが、官房長官がけさの発表で、大きく施政権返還に前進した、こういうふうに申されておりますけれども、私はどうしても納得のできないところです。私のこの所論に対して、あなた反論できるならば反論していただきたい。それ以上に私は沖縄の施政権が一日も早く復帰できるようにほんとうに言うこととすることと一致して、努力していただきたい。それが私は現政府の全国民に対する義務であり、使命でもあると考えます。お答えいただきたい。
  438. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 沖縄の施政権が早く日本へ返ってくるようにということを期待し、希望することにおいては、私はあなたと同じ気持でございます。ただ、それがなかなかできないだろう、九十九カ年というお話はたとえでございましょうが、そんなに先になろうとはとうていわれわれ思っておりません。今日の沖縄の情勢というものは、これは米ソの間の確執がもとでありまするが、しかし、そればかりではございません。現に共産主義の膨張主義といいますか、そうしたものが各所で問題を起こしておる。そういうものに対してアメリカは防衛するんだということをいっておるのであります。侵略的な立場でアメリカが考えているというふうには私どもは思っておらないのでございまして、そうした事態が極東において緩和されるということを私どもは強く望んでおるし、またそれが可能である、そういう事態を一方において努力し、一方においては日本に沖縄の施政権が返ってくるような、そうした交渉を極力続ける考えでございます。私は沖縄が日本に帰るということがはっきり今度の声明でうたわれたということで、従来よりも非常に大きな前進を見たというふうに考えるわけでございます。
  439. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一問。アメリカ側から今度の取りきめの内示がわが政府にあって、あなた方関係者で検討された。そうしてこれは予定された発表日時が二日間延びたわけです。それをあなた方のほうで検討したい、さらに検討に基づいて要望の申し入れをいたしたいということで、二日間発表を延ばしていただいたわけですが、その一番大きな要望事項は、渡航をさらに自由にすること、自治権をさらに拡大することを明白にしてほしい、施政権の返還がもうちょっと具体的にわかるようにぜひ話し合いをつけたいというので二日間の発表を猶予していただいてあなた方は交渉されたわけです。ところが、本朝六時発表されたところでは、何らの前進がない点について私は非常に失望をしたものであります。その事情をひとつお答えいただきたい。
  440. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 発表が若干延びましたが、二日ではございませんで、もっと延びたのであります。しかし、それについてその内容を、どういう点、どういう点ということを今私申し上げることはいかがかと思いまするが、要するに、この発表文をごらんになれば、アメリカが沖縄は日本の領土であると正確にいい、その施政権の返還を必ずする、しかもその施政権返還に至るまでの過程において、できるだけこれが本土復帰の段階において円滑にいくようにする、こういう趣旨の範囲のもとに、自治権の問題その他の問題について言及しておることは、これは私はこの点においてはアメリカの考え方の前進を喜ぶものであります。
  441. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 時間が参りましたので終わります。関連質問がありましたら許して下さい。
  442. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君の質疑は終了いたしました。
  443. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次に、小柳勇君。
  444. 小柳勇

    小柳勇君 私の第一の質問は、緊急就労対策事業の現状と将来に対する対策であります。緊急を要しますので、簡単に重点的に質問いたします。労働大臣の見解を発表願います。  第一は、緊急就労対策事業の実施について、事業主体も請負業者も労働者も今不安に思っておるのであります。一体、この事業がいつまで続くか、法律はまだ期限はございますが、現場の実態としては不安に思っておるのでありまするが、労働大臣としては現状をどのように認識しておられるか、お聞きいたしたいと思います。
  445. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 炭鉱離職者対策につきましては、広域職業紹介を中心とする職業紹介の強化、職業訓練その他いろいろの施策を講じておるのでございますが、その再就職をはかりますにあたり、暫定的に緊急就労対策事業を実施いたしておるのでございます。昭和三十七年度は、従来に引き続きまして、対策事業は七千人の規模をもって実施することといたしております。十分とまでは参りませんが、現在の情勢からいたしまして、まずまずこの程度でやっていけると、こういうように考えておりますが、緊就の単価におきましては、御承知のように三十六年度の一千五十円から二百円上げまして、一千二百五十円といたしました。事業内容の若干の高度化、円滑化ということを期しておる次第でございます。
  446. 小柳勇

    小柳勇君 ただいま労働大臣は七千人という数字を言われましたが、現在の炭鉱離職者の発生状況、それから三十七年度に発生すると予想される失業者の発生状況、これに対して緊就として何名を考えておるか、この点を御答弁願います。
  447. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 炭鉱関係の離職者は、まあ大体ある程度の計画ないし見通しというものはありますが、必ずしもそのとおりにばかりは進行いたさず、時によって見通しよりよけいに失業者が出たり、あるいは逆であったりというようなこと等もあるのでありますが、現在炭鉱離職者で産炭地域等において求職中の者は、失業保険金受給者が約一万六千人、失対事業に就労しておりますのが約一万七千人、職業訓練受講中の者あるいは職業あっせん中の者、これが一万二千人、したがってこれらを合わせますと四万五千人くらいになっております。また、今後昭和三十七年度中に約二万七千の炭鉱関係の常用労務者の減少が見込まれております。政府はこのような炭鉱離職者の滞留また労務者の減少の状況にかんがみまして、炭鉱離職者につきましては、前国会においていろいろ御決議等もいただきました。これらの趣旨を尊重いたしまして、一連の施策を講じ、新年度の予算に盛り込み、ないしは一部新年度を待たずして、一月からこれを実施する等の施策に出ておる次第でございます。
  448. 小柳勇

    小柳勇君 七千人の緊就のワクというのは、昨年に比べて何名の増ですか。
  449. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 昨年度と申しますか、三十六年度、今年度と一応同じ数字でございます。
  450. 小柳勇

    小柳勇君 炭鉱閉山については労働省のほうで把握をしておられると思いますが、閉山に伴います今年度の炭鉱離職者の発生状況、それから広域職業紹介などで職業紹介をしようとする数、それから残ります数、それを御発表願います。
  451. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 詳細なる数字を、事務当局から申し上げさしていただきたいと思います。
  452. 三治重信

    政府委員(三治重信君) この三十六年の十二月末の求職者の紹介が、約四万五千人でございます。一年間に新しく求職者として出る予定が八万四千人、それから安定所による紹介就職というのが三万六千人、縁故就職その他の関係でそれぞれ帰農その他離対というものを含めまして約五万六千人、三十七度年末、すなわち三十八年三月末には約三万六千人ほどの人が産炭地にまだ残るという状況でございます。
  453. 小柳勇

    小柳勇君 三万六千人の失業者が産炭地に残るが、緊就のワクは一名もふえていないということで、その三万六千人の残りました失業者については、どのような措置を講じられようとしているのでありますか。
  454. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 失業者が多く出るのでありますけれども、できるだけすみやかに再就職をしていただくような措置をとるということが本旨でございますので、今度の新予算の編成にあたりましても、いろいろ論議をいたしましたのでございますけれども、結論的には、雇用奨励制度を初めとします一連の新政策によりまして、できるだけすみやかなる再就職をはかる、ことに九州北部等におきましては、新たなる機構等も設けましてこれに対処するというようなことにいたしましたので、緊就それ自体は従前どおりのワクと、こういうことに相なりました次第でございます。
  455. 小柳勇

    小柳勇君 今の最後のほうの答弁の、九州北部などでは特別の措置をするということになるので、緊就のワクは従前どおりということでありますが、その緊急の措置ということはどういうことでございますか。
  456. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 九州につきまして、特別にと申しましたのは、広域職業紹介をするにあたりまして、労働省それ自体の考えでは、最初もう少しほかにもと考えましたが、結論的には幾つもというわけには参りませんでしたが、九州北部には職業安定事務所というようなものを置きまして、できるだけすみやかに広域職業紹介の実をあげるようなことにいたしたい、こういうようなことにいたしましたこと等をさして、先刻の言葉で申し上げた次第でございます。
  457. 小柳勇

    小柳勇君 産炭地域の各県当局も同様と思いますが、特に福岡県などでは失業者多発のために緊就のワクが一名もふえないということで、非常に事業主体としても苦労しております。ただいまの労働大臣の答弁によりますと、広域職業紹介などを充実するということのようでありますが、予算的にそのような裏づけをもうとっておられるかどうか。ただ、大臣の答弁で、ここで予算委員会答弁として聞くわけに参らぬので、再度お尋ねいたします。
  458. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 御承知のとおり、石炭対策につきましては、三十六年度四十億円余のものであったのを、今度六十七億余にいたしまして、金額的にも相当程度の伸びを示すようにいたしましたのであります。これらはいろいろの項目にわたりますので、事務当局からこまかく分けまして申し上げさしていただきますが、いずれにいたしましても、予算的にも相当画期的な措置をとりまして、これが対策の強化をはかった次第でございます。
  459. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 広域職業紹介の関係予算で三億二千七百万円、これは前年度より約一億一千万円ふやしたわけであります。これは先ほど大臣が申し上げましたように、九州に安定事務所を作り、しかも本省、ほかの需要地との通信連絡を非常にスピードアップするために、テレックスを二十一台入れております。それから、雇用促進事業団関係で、住宅確保奨励金その他雇用奨励金につきましては、御承知のように、十億からの予算を入れまして、前年度炭鉱離職者関係の予算として約四十億円のところを、三十七年度におきましては六十七億五千万円程度の予算と、非常にわれわれとしては相当予算措置としては万全の対策をとったものと考えております。
  460. 小柳勇

    小柳勇君 労働大臣、私が今質問いたしているのは、失業者が発生するからこれを就職させるということも一つでありますけれども、当面緊急就労のワクがふえないために事業主体が仕事ができないという点、それからこれに同時に労働者の賃金がだんだん引き下げられてきている。この実施要綱によって指示してございますが、これが不完全であるために、労働者の賃金が引き下げられている。それから、請負業者としては、緊急就労の労働者を使っては仕事をやりにくいという声が最近出てきた。この三者に対する対策を私は重点的に質問いたしております。したがって、もう少しいいますと、現在のように緊急就労対策事業についてはやっていくというこの発言と、それから今申し上げた三つの点についてどういう考えを持っているか、このことを聞いておきたいと思います。
  461. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) まず、関係の県で緊就のワクが足りないというように言われるところ、事実私どもそれを伺っているのでありますが、先刻も申し上げましたような過渡的な措置といたしまして、緊就による方法をとるのでありますが、根本的には、確実に再就職をすることに役立つ措置を講ずること、これが最も大切であります。  そこで、それら全体について、新予算につきまして、いろいろ政府部内でも検討をいたしまして、結局たくさん失業者が出るのであるが、緊就それ自体は、前年度と申しますか、今年どおり明年もやろうということであります。当面私どもがそういうふうにやっていくことにし、先ほど申し上げましたような再就職についての措置を一段と強化していく、こういう方向で進めていきたいと、こういうふうに考えております。単価の点につきましては、従来より二百円増すことにいたしましたのでございますが、それにいたしましても、なかなかこれでは容易でないというように申されております。労務費もだんだん高くなってくる、材料費もそうだということ、これはよくわかるのであります。今年の場合、全体の予算編成の中において、結論的には二百円増しというようなところで政府部内の意見をまとめた、こういう次第でございます。なお、まあ関係の県で、炭鉱離職者をこういう形で働かせて仕事をするのはなかなかむずかしい、めんどうだという話も私ども伺っておるのでございますが、しかし、まあいろいろの措置で何とか深刻な事態を救っていかなければならぬ、こういうことでございますので、関係者にがまんをしていただいて、この方法の効果を上げることにぜひ御協力を願いたい、こういうように考えておる次第でございます。
  462. 小柳勇

    小柳勇君 時間も少ないが、もうちょっと最後に確かめておきたいのですが、この事業については、もっと前進する立場でやっていくと、それからワクの拡大についても努力すると、こういうことを大臣は今考えておると認めてよろしゅうございますか。
  463. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 先ほどからも申し上げておりまするように、対策全体といたしまして、総合的にどうやるかという問題とも関連するわけでございますが、私どもといたしましては、ちょうど大蔵大臣も聞いてくれておりますので、この緊就それ自体につきましても、この上とも努力をいたしたいと、こういうように考えております。ただ率直な話でございますが、労働省限りにおいてそう考えましても、必ずしもそれだけでお説のようにワクがふえるというわけにはなかなか参らぬのでございまするけれども、石炭産業の現状というそのことに、離職者の窮境というものにつきましては、これは多くの人がひとしく認めるように、非常に深刻なものであります。したがって、深刻な問題を処理するにあたってのわれわれの心がまえは、おのずから今もお話がありましたようなことに心をいたしまして、できるだけの努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
  464. 小柳勇

    小柳勇君 私の第二の質問は、さっき矢嶋議員も学校給食の点について触れましたが、私はもう少し深刻な失業者貧困家庭の児童に対する学校給食の完全国庫負担について質問いたします。  文部大臣にお尋ねをいたすのでありますが、先般小学校の五年生に、産炭地の児童に作文を書かせましたところが、百万円もし金が入ったら何を買うかという作文を書かしたところが、ほとんどの児童が米を買う、シャツを買う、学校の本を買う、そうして学校に行きたい、こういうことを書いたということが発表されておるのであります。今産炭地で先生方あるいは父兄が悩んでおりますのは、給食費の一カ月四百五十円がないために生徒が学校に行きたがらない、行かない、これを何とか解決できないであろうかという深刻な問題がひんぴんとして訴えられております。したがって、学校給食の完全国庫負担については望ましいことでありますが、取り急ぎ失業者貧困家庭については全額国庫負担をやっていただけないものであろうか、文部大臣の御答弁をお聞きいたします。
  465. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。現行の制度のままではできないことは申し上げるまでもございませんが、産炭地における、ことに福岡県等の中小炭鉱が廃業するというようなことに関連いたしまして、特に御指摘のような問題がことしげく起こってきておると思うわけでありますが、そういう一般的に石炭産業というものの斜陽性と申しましょうか、そういうことから本人の努力が足りないとかなんとかいうことでなしに、産業の宿命的に置かれた立場から当然起こってくるであろうものを国としてどう受け取るかという角度で、政府全体で考えるべき課題かと心得ます。したがいまして、私だけの立場から全額国庫負担にする、しないということを今申し上げるのは、ちょっと早計かと思います。そういう検討の結果、一般的にそういう受け取り方をすべきだということであれば、そういうことも考え得るかと思います。そういう意味検討はさしていただきたいと思いますが、今直ちに結論的には申し上げかねる課題かと思います。
  466. 小柳勇

    小柳勇君 準要保護児童の推計、数が一体どのくらいあるのか、また今度の予算で一%の補助が加わりまして五%になりましたが、この傾斜配分の各県の数値がございましたら、これをいただきたいということを政府当局に要請いたしておきましたが、この概数について文部大臣からお聞きしておきたいと思います。
  467. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。生活保護法の適用に関しましては、厚生省で担当しまして全額国庫でめんどうを見るという建前でありますが、生活保護法の適用は受けないが、貧困家庭の児童というものを準要保護と申してそれぞれの措置をいたしておりますけれども、一体、準要保護家庭というものが全国でどれだけと見るかということは、確たる基準的なものはなかろうかと思いますが、ただ今御指摘のとおり、全学童の四%と推計いたしておりましたものを一%ふやしまして予算措置もいたしておりますが、一%で約二十万、五%でもって百万見当ということでございますが、それ以上五%が何%まで、どこまでが客観性のある人数かというのは、ちょっとそれは今申し上げかねます。
  468. 小柳勇

    小柳勇君 政府当局の数値については、後日いただきましてまた検討いたしますが、文部大臣に重ねてお尋ねいたしますのは、これは人道問題であります。したがって、他の児童ももちろん完全給食を欲っしておりまするが、この失業者貧困家庭については、生活保護の児童と同様以上にこれを見ていただいて、失業いたしましたら直ちに学校から全額完全給食できるような方途を積極的にとっていただきたいと思います。同時に、この予算編成は、ただいまここで、予算委員会で論議いたしておりまするが、一年間の間に相当数のこういう児童が出て参りますが、この予算編成後に発生いたします増加児童に対してはどのような措置がとられるか、これも重ねてお聞きしておきたいと思います。
  469. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。準要保護児童に対する学校給食に対しましては、市町村がその準要保護児童に対しまして二分の一以上を負担しました場合に、半額を国庫で負担するということになっておったろうかと記憶いたしますが、したがいまして、準要保護児童と申しましても程度の差を予定しておるわけでございます。父兄負担になってどうにもならない、学校給食費が持っていけないから学校を休むなどということもむろん聞いております。その実態は、当該市町村で最もよく現実に把握いたしますわけなので、それでまあ一応準要保護は一%増という予算措置をいたしておりまして、それに基づいて各都道府県の要請にこたえるわけでございますが、予算措置をしました後に、お話のように、その必要性が出ました場合は、当該市町村から文部省にそのことを要請して参ります。そうしましたらば、準要保護児童に対します給食費の補助を増額する措置を講じたいと思います。
  470. 小柳勇

    小柳勇君 最後に、文部大臣に、要望でございますが、生活保護あるいは住宅扶助あるいは教育扶助の最近の傾向を見ますと、住宅扶助なり、あるいは生活保護につきましては、三十年をベースにいたしまして、相当の伸び率であります。ところが、教育扶助につきましては、伸び方も少ないので、いろいろ検討いたしますると、二十八年度に教育扶助の基準をきめて、それっきり基準の変化もなされておらぬ。これはほかの点で若干金額はふえますけれども、教育というものは、生活の豊かな者だけが教育の機会を得るというようなことを感ずるわけです。したがって、まず、子供が、貧富の差をなくして、十分に教育ができるようにするにはどうするかという点で、生活保護などの引き上げの率と同時に、教育扶助についても相当考慮しなければならぬ。これは厚生大臣の責任であると同時に、文部大臣の責任ではないかと思いますが、このような問題について、特に一般児童もそうでありまするし、失業、貧困家庭、生活保護家庭などの児童に対して、文部大臣の御決意を聞いておきたいと思うのです。
  471. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。準要保護の対象になることについて、もっと努力しろという御要請でございますが、もちろん努力を必要とすると考えます。今後の努力に待ちたいと思います。
  472. 小柳勇

    小柳勇君 私の第三の質問は、所得税法の改正並びに地方税法の改正に伴う減税の問題であります。大蔵大臣に質問いたします。  本年相当の増収見込みがあるにかかわらず、減税額については少ないというのが、私どもの見解であるし、また、大衆課税については、減税どころか、かえって物価値上がりによって、生活は苦しくなりつつあるという立場から、私は質問いたすのでありまするが、今年度の増収見込み額については、一番新しい数字で、大蔵大臣からお聞きしておきたいと思います。
  473. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今の見込みでは、税収において、第一次補正後三千三百億円の増収、第二次補正後において、大体千八百億円前後の自然増ではないかと予想しております。
  474. 小柳勇

    小柳勇君 三十五年度にありました増収と、それから当初予算に対して予想いたしました増収、それからそれを上回って出て参りました増収、それについて、数字をお聞かせ願いたいと思います。
  475. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 政府委員から数字を説明いたさせます。
  476. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) お答えいたします。本年度の増収見込み額は、第一次補正後二千三百億円を予定しております。で、その主要税目ごとの内訳を申し上げますと、所得税八百四十億、法人税九百十億、酒税二百三十億、物品税九十億、関税九十億、印紙収入百十二億、となっております。
  477. 小柳勇

    小柳勇君 今、三十五年度の増収並びにその見込みなどございましたが、本年度の、今、三十六年度の現時点において、いつまで大蔵省としては税の増収を正確にわかっておりますか。わかっておればその数字について発表願います。
  478. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) ただいま税収実績としてわかっておりますのは、三十六年度といたしましてはこの二月末の実績でございます。で、二月末の実績を申し上げますと、二月末の累計、一般会計分の合計で、一兆八千百四十八億三千万円、で、現在の第二次補正後予算額が一兆八千百九十五億五百万円でございますので、収入歩合は九九・七%ということに相なっております。
  479. 小柳勇

    小柳勇君 これから年度、三十六年度終わりまして、あと税の増収についてどのように見込まれておりますか、見込みについてお聞きしておきたいと思います。
  480. 川村博太郎

    説明員川村博太郎君) 先ほど二千三百億の内訳を申し上げましたが、これは第一次補正後二千三百億、三十六年度税収として自然増加があると、そう見込んでいるわけであります。で、第二次補正後の予算に対しましては、したがいまして、千七百五十億程度が見込まれると考えております。
  481. 小柳勇

    小柳勇君 大蔵大臣に、時間もありませんので、こまかい数字の論争を省略いたしまして、莫大な増加財源に対しまして年度内支出あるいは繰り越し使用など、大体の方針を立てておられると思うが、その方針、それから今後この増加財源についての補正なり、その方針について大蔵大臣からお聞きいたします。
  482. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この自然増収は全部三十八年度まで繰り越すという方針をとっております。したがって、今回の補正予算も最小限度の補正にとどめ、そうして残余は経済情勢をも勘案しまして後年度にこれを全部持ち越して、使わないという方針でございます。
  483. 小柳勇

    小柳勇君 補正についてどのようにお考えですか、金額についてお知らせ願います。
  484. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この第一次補正の二千三百億円見込まれる財源のうちで、今度の第二次補正で、先般御審議願いました約五百五十億円の補正、このあとは補正はいたさない、こういう方針でございます。
  485. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、今支出繰り延べなどをなされておるが、支出の繰り延べについては、一体どういう実態でございますか。先般衆議院の予算委員会で、ゼロとか、数百億とかいうことで、あいまいに答弁されておられまするが、支出の繰り延べの実態について、もう少し正確に御答弁を願いたいと思います。
  486. 石野信一

    政府委員(石野信一君) お答えいたします。支出の繰り延べでございまするが、これは昨年の九月に、国際収支改善対策の一環といたしまして、公共事業費等の一部を繰り延べるという方針がきまったわけでございますが、御承知のように、公共事業費等につきましては、毎年全体として、設計の関係あるいは天候の関係等で、事業がおくれて参ります。そういうようなことで繰り越されるものは相当額ございますので、別にそういうものと区別して幾ら幾らきめただけ延ばすというようなわけではございませんので、とにかくまあ経済は全体として過熱的な状態にある、公共事業費の実行等についても、建設関係等の需給も非常に逼迫しておるというようなことで、九月から十月にかけてああいう決定がありましたが、それが全体の自然に繰り越されるものと一体となって繰り越されて参るわけでございます。したがいまして、あの関係で幾ら繰り越されることになるかという計算は、実施上出て参らないわけでございまして、三十五年度から六年度に繰り越されましたものは、一般会計で四百十五億、それから特別会計で八百三十七億、こういうような数字でございます。政府関係機関で五百三十九億、こういう数字が三十五年度から三十六年度への繰り越しであったわけであります。そこで、三十六年度の九月、十月の決定で繰り延べを予定いたしましたのは、一般会計と特別会計を合わせまして二百七十億円、それから政府関係機関のほうで二百三十億、こういう計算にはなりますけれども、自然の繰り越しというものがあるわけでございまして、ああいう決定をいたしましたので、繰越額は全体としては三十五年度から三十六年度への繰り越しよりも若干多くなるのじゃないかというふうには見込まれておりますが、いずれにいたしましても、まだ今年度は終わりませんで、現在各地方の当局でそういった繰り越しの見込み等を見ておりますが、まだはっきりした数字がわからない現状でございます。
  487. 小柳勇

    小柳勇君 三十七年度についてはあとで質問いたしますが、三十六年度について、税の増収の総増加財源に対して昨年六百四十八億の減税がなされておりますが、その比率は今七・二%ぐらいとわれわれは計算しておりますが、大蔵省として、との比率について、過去の比率を比べて、どういうふうな御見解であるか聞いておきたい。
  488. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お答えいたします前に、減収額と、それから分母は何をもってか、もう一ぺん……。
  489. 小柳勇

    小柳勇君 三十六年度の現時点における税の増収の見込み、それから三十六年度を終わりまして、その三十六年度の税の増加財源、それに対する六百四十八億円。
  490. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 今おっしゃいましたことは、単年度の増収額でありますね。最初の当初予算に対して、その年度一ぱいで幾ら増収があったか、それに対するその年度の計画された減税の歩合でございますか。今それをはじいて、お目にかけます。
  491. 小柳勇

    小柳勇君 その数字はもうよろしゅうございます。きのう連絡しておきましたので、できておるかと思って数字を聞きたかったのでございますが、三十六年度の増加財源に対しまする減税の額が七・二%に計算いたしておりまするが、過去二十八年度は二二・三%と出ておる、こういうような減税の率があるが、三十七年度についてはどのような見通しを持っておられますか、大蔵省当局から聞いておきたいと思います。
  492. 松井直行

    政府委員(松井直行君) あらかじめ御要求の御趣旨に従いましてはじきました数字は、各年度の自然増収額に対する減収の歩合というのをはじいてみますと、今おっしゃった数字は、その単年度の自然増収に対する、その年度の計画減税といいますか、税制上の減税の歩合がどうなるかということでありまして、これは今はじいた数字を持っておりませんが、自然増収額に対する減収額の歩合、こういうはじき方もあろうかと思いますが、お尋ねの趣旨がそうだと思いましてはじいて参りましたところによりますと、三十七年度は、四千八百億に対しまして、初年度千四十一億でございますから、二一・七%、これと同じはじき方をいたしますと、三十六年度におきましては、自然増収三千九百三十億に対しまして、六百四十八億、一六・五%——三十六年度は二八・五%、三十七年度二一・七%という数字に相なります。
  493. 小柳勇

    小柳勇君 昨日言いましたのは、純剰余金を含んでの率を求めておきましたが、今増加財源だけに、自然増に対する率が出て参りました。三十七年度に対して、自然増とそれから減税の率について、どのような計算になっておりますか。
  494. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お答え申し上げます。先ほどお答え申し上げましたのは、昨年度の当初予算に対しまして、税制改正なかりせば三十七年度に幾ら税収が上がるだろうかということを、自然増収額、こう申しておるのでありまして、それが三十七年度で四千八百億になります。三十六年度では三千九百三十億。これに対します各年度の、その当年度の減税おのおの六百四十八億と千四十一億でございますので、先ほど申し上げましたとおり、三十六年が二八・五%、三十七年度が二一・七%、このお答えが今お問いになりました御質問に対する最も新しい数字でございます。
  495. 小柳勇

    小柳勇君 数字が私の求めた数字と若干違いますが、景気調整の資金としてどういうふうに考えているか、これは大蔵大臣から聞きたいと思います。
  496. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今景気調整的な意味を持ったものとしますと、私ども三十六年度、三十七年度の両年度を通じて、まず三十六年度の剰余金を一切使わない、全部後年度に剰余金として繰り越す、この措置はある程度景気調整的な意味を持つものと思っております。それから三十七年度の予算中に、御承知のように、国債償還費を初めとしまして、いろいろその年度内には消費してしまう経費でない資金的な部分も相当多く入っております。大体一千億円ぐらい入っておりますので、こういうものも景気調整的な意味を持つ経費ではないかと思っております。そのほか、景気調整的な考慮は、国費の支出をなるべく押えたというようないろいろの考慮がございますが、はっきり形に現われている毛のを拾いますと、三千億程度のものは私ども景気調整的な考慮を払った資金の使い方と思っております。
  497. 小柳勇

    小柳勇君 第一に、したがって私が言わんとするのは、三十六年度にも自然増、増加財源がある。それに対する減税の割合がわれわれには納得できないし、三十七年度に対する税の自然増並びに三十六年度からの繰り越しを勘案するというと、平年度九百八十七億の減税で大幅に減税したという政府の宣伝に国民は惑わされておるのでありますが、この九百八十七億の減税に対して、大蔵大臣は今も最大の減税である、このようにお考えであるかどうか。
  498. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 四千八百億の自然増があると申しましても、それだけ自然増があれば、当然に国費としてふえる部分が出てきます。予算増を来たすものは、御承知のように、まず二八・何%かがこれは地方交付金になりますので、また、ガソリン税が増収になれば、これはそのまま道路財源として使わなければなりませんし、目的税となっておりますので、そういう形で、四千八百億円の自然増があるとすれば、当然それによって千億円以上の予算増、支出増というものがあるわけでございますので、そうしますというと、そういうものを引いた残りの三千幾らの自然増のうちで、この財政の果たすべき役割、これは非常に今強く求められておりますが、そういうものへどれだけ振り向けて、そのほかをどれだけ減税に振り向けるかという問題になりますが、そういうところから見ますというと、この経済の進み方によっていろいろな社会的な不均衡が出ておるときに、この不均衡の是正はしなければなりませんし、一方社会保障費は、これはもう高度成長政策をとるための前提の要件でございますので、この強化をしなければならぬ。一面、文教、科学方面からの要望も強うございますので、こういう必要経費はここで強化するということを考えますというと、私はこの自然増の中で一千億円以上初年度の減税に充てているということは相当大きい減税の幅ではないかと考えております。
  499. 小柳勇

    小柳勇君 税制調査会の答申でも、千五百億くらいは減税すべきであるという答申がなされておるし、毎回の公述人の公述を聞きましても、少なくとも半分くらいは減税に回すべきである。四千五百億の税の自然増があるならば二千億くらいの減税は当然やるべきである。そのことが経済の安定には一番大事なことだという公述人の意見も再々聞くのであるが、今の大蔵大臣答弁によりますと、もうこれが最大の減税であるというようなことであります。しかも、繰り延べなり、あるいは景気調整の金でも相当四苦八苦しておられるようであるが、その点について、この減税について、もう一回最高であるという大蔵大臣の見解をお聞きして、おきたいと思う。
  500. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 最高であるとは申しません。税制調査会に検討を願っておった問題でございますので、この答申はできるだけ尊重したい、こういう立場で今度の減税案を決定いたしたわけでございますが、税制調査会の答申というものは、国税で千三百八十二億円、地方税で三百六十三億円ということになっておりますが、私どもの提案しましたものは、平年度国税において千二百四十四億円、地方税において四百二十二億円でございますので、税制調査会の答申とは国税において百三十八億円食い違いがありますし、地方税においては税制調査会よりも五十九億円減税額は増加している、そういうことになっていますが、何でこういう食い違いが出たかと申しますと、これも前にもう御説明しておりますので御存じのことと思いますが、実質的には、税制調査会の案と二十五億円しか実質的な相違がございません。これは所得税では生命保険料の控除の拡充を政府案のほうでしましたから、十二億円減税がふえました。物品税では十二億円、入場税では十五億円、通行税では七億円、これは税制調査会の案よりも減税を多くしておりますし、ただ酒税において、ビール十三円の減税という答申に対して十円にいたしましたために七十一億円の調査会の案よりも減税の幅が少なかった。差し引きしますと二十五億円でございまして、税制調査会のほうは平年度の減税額を上げておりますが、私どもは初年度の減税額をこれによってきめたわけでございますので、改正案を四月一日から行なうということにした関係、また物品税の減税をやりましても、消費がどのくらいふえるかというような今年度の見込みもつけてそういうものの差し引きを行なっておりますので、それだけの違いが出てきているということでございまして、実質的にはほとんど税制調査会の案どおりと言っても差しつかえない減税案でございまして、そういたしますと、平年度ベースで見ましたら相当大きいということでございますし、また初年度ベースで見ましても、これはシャウプ改正以来の大幅な減税でございますので、そういう点から今度の減税が小幅だということは簡単には申せないだろうと思います。
  501. 小柳勇

    小柳勇君 時間的に、私は数字をこまかく出して論争することができないので、今の大蔵大臣答弁については、ただ概括的にこういうことを申し上げたいわけですが、税の自然増収のほかに、当初予算に対する見込みを上回る税の増収あるいは剰余金などの繰り入れを全般的に三十七年度に集めてみて、これを三十八年度、三十九年度の決算の繰り入れを考えないとすれば、ここにわれわれは一兆の税の総増加額があるべきものと推計するわけです。それに対する、ただいま言われました平年度一千何十億の減税というものは約一割にしか満たないんではないか。したがって、今大蔵大臣が税制調査会の答申を言われましたが、税制調査会の答申というものを私どもは完全とは考えない。これは一応政府の意向もくみながら答申をしたものと考えるが、それだから、税制調査会と違わないから完全だというような大蔵大臣答弁については、私は納得できません。  次に、今日に出ましたから質問いたしますが、減税額が初年度で九百八十七億円のうちで直接税が四百五十九億円、間接税が五百二十八億円でありまして、間接税と直接税の比率について一体どういうふうな御見解であるか。
  502. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この間接税、直接税の割合が一体どれぐらいが適当であるかということは、一がいに言うことは困難だろうと思います。各国の例を調べましても、その国の財政状況によって割合がみな相違しているので、ですから、この割合をどうすることがいいかという観点から今度の減税の案を作ったわけではございません。今まで、終戦後毎年直接税の減税はやって参りましたが、間接税減税はやっておりませんので、ここに来ますというと、各間接税の課税対象相互間におけるアンバランスも出て参りましたし、直接税の減税を中心にして間接税がそのままに置かれていることの不均衡というものが見られるという観点から、個々の審査をして減税にきわめたということで、割合をどうするのが正しいかという方針でこれはきめたわけではございません。
  503. 小柳勇

    小柳勇君 間接税に対して減税の額をよけいとられておるために、階層別の負担率が低所得階層が非常に重い負担をするようになるのでありますが、一つの例を読みますと、月収一万円の者は、たばこの税の負担が五・二七、三万円の者では一・九三、それから十万円の者では〇・七二、毎日同じたばこ、本数をのむといたしまして。収入に対しまして、こういうように低所得階層のほうに税負担が非常に重くかかっておる。十倍近くかかっておる。こういう点についていかがな見解でございますか。
  504. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは税の性質で、所得税は御承知のように累進課税でやっておりますので、不公平というものは是正されると思いますが、間接税は、間接税減税すればするほど逆進性を持っておるものでございまして、金持ちの使うものも低所得者の使用するものも違わない。限度がございますので、間接税をいかに減税しても、その負担の軽減比率を見ましたら、高所得者のほうが有利であるという数字が出るのは、これは当然のものでございますので、これによって云々されるということは、これはどうにもならぬことだと思います。
  505. 小柳勇

    小柳勇君 それでは所得税の減税について具体的に例をとってみますと、年収五十万円で子供が三人の人が勤労者の減税で所得税、県民税プラス、マイナスしまして約二千四百八十六円になります。月にいたしますと二百円の減税です。それで物品税の減税のほうを、ビール、酒、あるいは映画の入場税など勘案いたしまして月に平均百九十五円、そうすると五十万円の人の減税の恩典に浴したものが平均いたしまして約月四百円。ところが、物価値上がり政府の発表でも二・八%といいますと、三%といたしまして一万五千円、月にして千二百五十円の負担増、減税々々と言われますけれども実態はこのようでございますが、これを一体どのようにお考えでございましょうか。
  506. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 物価の上昇を、もし所得が動かないものとしましたら、物価が上がれば上がっただけ実質所得はこれは減るということになりますが、問題は所得が一定しておりません。毎年々々所得は上がっておるわけですから、所得増物価値上がり分を吸収しているかいないかが問題でありまして、この比較が十分にできませんから、所得がくぎづけになっておるという計算でございましたら、そういうことが成り立とうと思いますが、今五十万という家庭というものは、去年はそれ以下の家庭で、ようやく今そこへ上がってきたという問題がございますので、所得増物価の関係を入れて見る場合には、私は所得増以上に日常生活における物価増のほうが多いという簡単な数字は出てこないかと思います。
  507. 小柳勇

    小柳勇君 今、所得税の問題について、五十万と言われますけれども、税率が増加いたしますと、それだけに給料も上がって参りまして、減税の額というものは、上がったものも、一年たちますと一年だけ給料は上がりますから、それだけ税が多くなるわけであります。したがって、今言われるようなことでは答弁になりませんが、間接税について、それでは酒、たばこ税、酒、たばこのような日常だれでも離せないようなものについてもう少し減税するような考えはございませんか。
  508. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 酒は、これは相当大衆負担になっておりますので減税したいということでいろいろ検討した結果、今度のような減税にいたしましたが、たばこも実は減税したいと考えまして、特に大衆たばこのようなものはできるだけ今回も値下げをしたいと思ったのですが、税制調査会の検討において、過日申し上げましたように、専売の益金率が特に戦前よりも高くなっているわけではございませんので、したがって、日本のたばこが負担が特にそれほど多いというわけじゃなしに、諸外国に比べても日本のたばこはまだ安値のほうにありますし、一方三十一年来たばこの値上げはやっておりませんで据え置かれておりますが、その間経費増、たばこ収納価格の増、いろいろのことが行なわれておりますので、それから見ると、据え置き価格は実質的に下がっているということも言われます。戦前の物価倍率というようなものから見ましても、たばこはほかの物価に比べて倍率が上がっているわけでもないというようなことから、今回はそれ以外の物品税の減税を先にして、たばこについての減税は見送ろうと、この次の検討課題にしようということで、今度は見送った次第でございます。今後はできるだけこれはやりたいと思ってはおります。
  509. 小柳勇

    小柳勇君 大会社などの税金で得をしているという、この年々歳々われわれが不満に思っておりまする租税特別措置について、整理されようともしないが、このものについてどのような御見解でございますか。
  510. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税制の特別措置は、これは毎年少しずつ整理して参りまして、ちょうど昨年三十六年度で半分整理していると思います。で、今年度の予算ベースで見ますと、千六百億円の減収額になっておるわけでございますが、過去において整理したのを大体三十七年度の予算ベースで見ますというと千六百億円前後の整理をしているということになります。で、この租税の特別措置内容を見ますというと、みなそれぞれそのときの必要によって、政策的な必要性からきめられてきているものでございまして、常にもう効果の終わったものは廃止する、新たに必要性の出たものは新設するというふうに改廃を行なってきましたが、その累積が現行の租税特別措置でございまして、これが大企業にだけ得をしておるということも、こまかくいうと言えない状態でございます。たとえば産業助成費、助成のための特別措置は、三百何十億かになろうと思いますが、重要物産の免税というような、従来非常に多く思われておったようなものは今ごくわずかになりまして、大部分は輸出奨励のための所得控除の措置からくる減税、これが二百億前後だと思いますが、それが大部分になる。そのほかは中小企業についての特別償却制度も昨年から設けましたし、また、地方開発、産業都市建設、そういういろいろ最近の要請に応じた施策を行なうたびごとに特別の税制をやってきているということでございまして、これを全部こまかく見ますというと、まあ貯蓄奨励のための減税措置が一番金額として多いと思いますが、そのほかどれを見てもみな国会で与野党の要請を受けたためにできた特別措置が多いので、これは大蔵委員会にいって国会の要望の総集積と称されても過言ではないといわれるくらいの実態になっておりますので、これはそう簡単にこれが大企業のためだけの減税であるということは言えない実情だろうと思います。でこれはもう政策的な必要はなくなったというものはどんどん廃止するつもりですが、新たに毎年々々国会においてつけ加わっているのが実情でございまして、ようやく整理が半分しかいっていないという状態でございますが、今後もできるだけ特別措置についての整理はやっていきたいと考えております。
  511. 小柳勇

    小柳勇君 自治大臣に質問いたします。地方税の改正をなさいましたが、その目的とそれからそのねらいはどういうところにありますか。
  512. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 地方財政は、御承知のとおり、最近やや好転はして参っておりますが、まだなかなか全体として苦しい状況でございます。したがいまして、国税が減税いたしますのに比例していろいろと減税もいたしたい面もありますが、思うようにいきません。したがって、地方財政の現状を緩和しつつ、主として大衆、低所得者の住民税を中心にした減税、あるいは中小企業者を中心とした事業税の減税、その他大衆課税等を減税しておるわけでありまして、同時にこれは、いわゆる今まで言われております国から地方への税源配分を行ない、さらに地方団体相互間における税源の帰属の適正化につきましても相当配分の再編成をやりまして、まあいわば地方財政の収入の安定化は相当はかったつもりでございます。
  513. 小柳勇

    小柳勇君 累進課税を比例課税に改正したために、低所得階層がこれまた相当大幅の増税になるわけでございますが、大衆、低所得階層に犠牲をしいて、今言われたような目的を達成されようとするわけですか。
  514. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) その点につきましては、都道府県の住民税のお話であろうと思いますが、これは、御承知のとおりに、今回は所得税と一本化いたしまして、所得税のうちの一部をこの住民税に移しかえをするという点で、さらに比例税率に累進課税を直すことによりまして低所得者に比重の加わる分につきましては、さらに所得税で合理的に作業しておりますので、あわせて考えていただければ、決して低所得者の増税には相なっていない、こういうわけでございます。
  515. 小柳勇

    小柳勇君 自治大臣は数字を当たっておられぬと思うのですけれども数字をこまかく言ってもしようがないけれども、一ぺん計算してもらって、私が言っていることを具体的に一ぺん数字を出してもらいたいと思うのです。  次に、問題の市町村民税の統一課税方式が三十七年度からとられることになるが、市町村民の負担が平等になるようにというねらいのようであるが、実際は市町村のほうでは、自治省が考えておるようにそう統一ができないのではないかという心配をしている。これに対してどういうように対処しようとされるか。
  516. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 市町村民税につきましては従来五つの課税方式があったわけでございます。これをその二つのものに統一いたしまして、本文及びただし書き方式というものに統一したわけでございます。
  517. 小柳勇

    小柳勇君 私の質問しているのはそういうことじゃなくて、統一しようとされておるが、実際は簡単に統一されないのではないか。各市町村ごとに完全に統一されないのではないか。それに対してどのように対処しようとされるか。
  518. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 統一と申しますのは、今の五種類ありました税率制度を二種類に統一をいたし、これは三十七年から実施いたすわけであります。
  519. 小柳勇

    小柳勇君 各市町村民税が、自治大臣まあなるべく同じようにということで方式も二つに統一しようとされておるが、実際市町村としてはまだ十分に自治省の考えのように平等にならぬのではないか、ばらばらで。市町村の条例などによってばらばらでやる傾向がありはせぬか。それに対してどう対処されるか、こういうことです。
  520. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) この二種類の方式に統一いたしまして、さらに今御存じのただし書きの方式によりまして税額控除をやることによって、だんだんと両者の方式も近く同じように合わせる方向に向かっているわけです。
  521. 小柳勇

    小柳勇君 次は、自治大臣に税外負担について質問いたします。  税外負担については、自治省としては通達を出して、これをとるなという方向は通知を出しているようでありますが、各省たとえば文部省とか建設とか、教育関係、土木関係などの税外負担がございますが、各省にはどういうふうな連絡をとり、対策を立てておられるか。
  522. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 国が負担すべきものにつきまして、これを市町村あるいは都道府県に負担させるということは、実態からも好ましくありませんし、また、財政法あるいは再建整備法からもこれは禁ずる建前になっております。したがいまして、私どものほうでは、建設省あるいは文部省にも予算の編成前にも通牒を出しまして、そういうことのないように処理してもらうよう公式文書でいろいろ交渉もいたしております。
  523. 小柳勇

    小柳勇君 現状をどのように把握しておられるか。現状といいますのは、教育関係なり土木関係なり、どのくらいの金が税外負担によって負担されておると把握されておるか、お聞きしておきたい。
  524. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ただいまこまかい数字をちょっと、探せば何かあると思いますが、概括申しまして、三十六年度で三百五十億程度の税外負担があるということになっております。それにつきまして、主としてその八割までが教育関係の費用である、こう思っております。これは逐次縮小していくようなつもりで、今のような各省との十分な連絡をしております。
  525. 小柳勇

    小柳勇君 最後大蔵大臣に質問いたしますのは、国税通則法についてであります。国税通則法を提案されまして、先般衆議院の本会議の質問で、大蔵大臣は、国税通則法については、労働組合、団体などもたいへん反対で陳情になったけれども、説明したところがみな納得して、それはいいことだと言って帰ったというような、不遜といいますか、不見識な答弁をしておられますが、国税通則法については、税制調査会の答申とは無関係にお作りになったものであるかどうか。
  526. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 無関係ではございません。この通則法を作る以上は、税の原則理論に触れた問題も通則法としては必要であるというようなことから、税制調査会からはいろいろな案が出て参りましたが、これは非常にむずかしい問題でございまして、もうあの答申案が出てから、各方面から反対が出てきておる実情でございますので、私どもは国税通則法はどうしても必要でございますので、そういう税理論の根本に触れるようなむずかしい問題は避けて、とりあえずこの複雑になっておる税制を、一般にわかりやすくする趣旨に基づいてこの通則法を必要としておりますので、たとえば記帳義務を課するとか、こういうような、小柳さんあたりから問題になりますような問題だけは、今回通則法から全部抜くことにしましたので、労働組合の運動も、まだあれがあると思って、これは強制、強化とかいろいろなことを言って参りましたが、実際はそういう問題は今回は一切触れないという立場を説明しましたら、そういう厄介な問題がなければ、みんな、それは非常にいいことだと言って帰ったというのが実情でございまして、前に私どもが考えておりましたような通則法とは、今回国会に提案して御審議を願っておるものは相当変わっております。
  527. 小柳勇

    小柳勇君 人格なき社団など、問題点もまだ残っておるし、それから、今、税制調査会の答申とはもう関係があると言われますと、これを一応通したあとまたそれが入って参りますが、無関係にこれがなされたか、もう一回聞いておきたい。  それから今の人格なき社団について、これは組合などとても納得するはずはない。婦人団体も納得しない。そういうものを納得して帰りましたということについては、これは聞き捨てならぬのでありますが、これが今言ったように通ったあとまた答申について云々ということで出はしないか、こういうことであります。
  528. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私どもは徴税の強化とか、そういうようなことは考えておりませんので、そういう議論になる問題点は省いて、当面必要な国税通則法を作ろうと、こういう考えで、今度の案を提出しておるわけでございます。その中において、人格なき社団ということについて反対があることは、私ども承知しておりますが、これは今突如として出た問題ではございません。すでに所得税その他の税制においては、それは法人とみなされておるというのが実情でございますので、それが新たにそこに加わったというだけでございまして、別に新しい問題を提起しているというわけでもございません。
  529. 小柳勇

    小柳勇君 私は、最後に要望いたしまして質問を終わります。時間の都合で詳細に数字の突き合わせもできないまま質問いたしまして、大蔵大臣にも答弁に困られたと思いまするが、私の言わんとするところは、大衆課税の大幅減税、それから税の公平ということを中心にして、第一は、生活費には課税しないという立場で、少なくとも現時点で五十万円の層には課税しないということ。それから第二には、租税特別措置を廃止して、租税の真の公平を徹底する。租税特別措置のような、大会社が益するようなものは、これを即刻廃止あるいは最も早い機会に整理するということ。第三は、徴税行政の民主化を断行する。こういう点で、ただいま問題になっておりまする国税通則法の問題については、これを今度はもう通されませんように、大蔵大臣が通されませんように、われわれとしてはこれを主張するわけであります。まあ以上のような原則をもって質問したわけでありますが、ただいまの大蔵大臣答弁にもまだ不満であります。関係委員会であとまたお尋ねすることをつけ加え、私の質問を終わります。(拍手)
  530. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 小柳君の質疑は終了いたしました。
  531. 加瀬完

    ○加瀬完君 議事進行。私ども委員長の要請もございましたから、時間の進行上、小柳委員の質問には、関連質問をしないで進めて参ったわけでございますが、ただいまの大蔵大臣あるいは自治大臣の説明を全部納得しているわけではございません。いずれ、われわれはあらためて質問をいたしたいと思いますので、次の点を、水かけ論になりますので、資料として御提出をいただきます。  一つは、大蔵大臣の施政方針演説の中にも地域格差の是正という言葉がございました。そこで、不交付団体、交付団体の最低のいわゆる自治省の言うDクラス、Cクラス、こういう貧弱府県との間の税の是正をどのようにはかったか、これの具体的な例。  第二は、第一方式を本文方式に直して、標準税率同士見て、本文方式のほうが重いと思いますが、自治省はひとしいと言う。ひとしいという根拠。さらに具体的に、ただし書きがでたらめに使われておる。標準税率なんかはどこかへ追いやられておる。そこで具体的に、三十七年度の、ただし書き方式の使われているはなはだしい妥当を欠く例。さらに青森、岩手、新潟、高知、富山、茨城、三重、ここの三十七年度交付税の増額分、以上をお出し下されば、われわれはもう少しはっきりとした質問ができますので、お願いをいたします。
  532. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 政府側に伺いますが、今の資料はよろしいですか。
  533. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私も資料をひとつ、大蔵省お願いします。私質問中に、時間がないから、十分追及しませんでしたが、単価ですね。国が直轄でやる建物、あるいは地方団体等に補助する建築単価、それを鉄骨と鉄筋と木造に分けて、各省別で、たとえば文部省あたりだったならば小中学校、高等学校、国立高等学校、国立大学、これみな違いますから、そういうふうに区別しまして、それをプリントして出していただきたい。あまりめんどうな仕事ではないと思いますから、どうぞお願いします。
  534. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今の加瀬さんのあれは、まだ三十七年度の計算はできません。
  535. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから、見込み額です。だって、あなた方は交付税で十分だと言っているのですから、僕らはこれだけ減るという資料を持っているのですから、あなた方がこれだけふえるという推計を出さなければ、減ったか減らないか議論ができない。
  536. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 交付税は、御承知のように、八月ごろに交付されるものですから、今各予算がまだ出そろっておりませんし、各県の集計がまだ全部手元にないですから、これを近日中に各府県ごとにやれというのは、ちょっと無理だと思います。総括的なものなら別でございます。
  537. 加瀬完

    ○加瀬完君 見込みですよ。
  538. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 県が今予算を作っているでしょう。あれを全部集計してみないと基礎ができぬわけです。
  539. 加瀬完

    ○加瀬完君 簡単にそれは、県で予算ができているのだから、交付税の見込み額幾らというのは数字が載っていますよ。自治省に届いているはずですよ。
  540. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 県が見込んでいる額という意味ですか。
  541. 加瀬完

    ○加瀬完君 見込んでいる額がわかれば、幾らふやしてあるということがわかるでしょう。
  542. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 県が見込んである額は、適当に今見込んでいると思います、基礎によって。しかし、その全体を自治省で配分するについては、これは全体の計算をやってみなければわからぬわけですから、その見込み額でもって、これが多い少ないを議論されても、今正確な議論にはなり得ないと思います。
  543. 加瀬完

    ○加瀬完君 交付税でまかなう、まかなうということを、たびたび大臣おっしゃっている。僕らは、入場譲与税が減るし、事業税が減るし、遊興飲食税が減るし、県民税がふえたところで、差引今私があげたような貧弱県は二億ないし三億減収になるわけです。それでも事業量がふえるのをまかなって財源がふえてくるとおっしゃるのだから、それは交付税だとおっしゃるのだから、では交付税幾らふやすのだと、こう聞きたくなるわけです。それから、大体出ている各府県の予算の交付税の見込み額、無理なら、数字を適当に出して推計してから、概算これくらいのものは見込めるというものをお出し下さればけっこうです。
  544. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ですから、全体の計算が、それぞれの要素によってみな増減は全体なら出ますが、各科目についてこれは出るわけですから、そこでそれによってこれはふえて補えるという説明をするわけですが、今それを、それじゃはたして全部の配分上どうなるかということは、これは計算しなければ出ませんが、しかし、たっての御注文でありまするので、できるだけのことをやってみます。
  545. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の加瀬さんの資料要求に関連しまして、今度は、地方自治体の増収分と、それから減税分がありますね、それを府県別に計算できませんか。
  546. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 府県別のやつは、まだ無理ですね。
  547. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今は交付税ですけれども、増収分と、それから減税分は、これは出ませんかね。大体計算できないですかね。
  548. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 府県別のやつは、ちょっと今のところ無理ですね。それから今の加瀬さんのお話も、たとえば事業量の配分がきまっていなければ、それを基礎に一体幾らの交付税を配分するかということは全然具体的には出てこないわけです。県は予算を作るために、従来の実績によって幾らかの見当で、非常に内輪のものを見込んで、当初予算は作るわけです。
  549. 加瀬完

    ○加瀬完君 見当でいいですよ。
  550. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 見当はつきますが、府県別の収支の実績はまだ無理でございます。
  551. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはいつごろまでにできますか。
  552. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは、大体八月ごろまでには交付税の配分をやりますから、それまでにはできるわけです。
  553. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 だって、大蔵省で今度所得税と関連さして減税をやっているでしょう、ですから大体府県別の増収分は出ると思うのですよ。大体、東京都なんか、概算で六十三億の減収になるものができているんですよ。ですから、府県別の、できないですかね。交付税のほうはまだ時日がかかるとしても、それはかなり機械的に出てくるのじゃないですか、どうですかね。
  554. 加瀬完

    ○加瀬完君 推計だから、できますよ。正確なものを要求しているんじゃない。
  555. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 およその、各府県によって非常に不均衡があると思われるのですが。
  556. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 今の木村先生のお尋ねの資料の点について申し上げます。  住民税の基礎は、前年の所得税の所得が基礎になるわけでございます。そういたしますと、現在進行中の三十六年度所得が確定しないと固まってこないわけです。これは税率の改正のあるなしにかかわりのないものです。しかも、私ども、現段階では、所得税の全国的な見込みに基づいて、その影響が全府県なり全市町村にどう及ぶかという点の推計はある程度できると思いますが、それが県別、各市町村ごとにどう現われて参るか、もう少し時間をかしていただかないと、団体別の増減額をここにお出しすることは、現在の段階では今申し上げましたような理由に基づいてできないのでございます。
  557. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 おかしいのじゃないですか。われわれに配付した大蔵省資料によれば、今度は所得税はこれだけ減る、住民税はこれだけふえる、差引幾ら減税になるというのを出しているのですよ。これは各自治体によって違ってきますよ。違うと思うのですよ。そういう実態を見るためには、大蔵省はそういうのを出しておるのですからね。三十六年度の所得を基礎にと言いますけれども、一応われわれに出しておるでしょう。国税はこれだけ減税になり、地方税はこれだけ増税になる、差引これだけ減税いたしますという資料を出しておる。それは、府県別にそういう計算ができないか。その他に地方では、料理飲食税とか、自動車税とか、事業税とか、いろいろ減税があります。そういうものの減税分と増収分をひっくるめて、府県別に——非常に違ったものですよね。そういう資料を出していただかないと、実質的な審議ができないのですよ。今度の特に減税については、地方税とあわせて減税の問題を考えなければならぬものですから。
  558. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) いや、御承知のように、都道府県を、たとえば電話で、今都道府県自身がこの税率の改正を見込んでどういうふうに見ておるかぐらいなら、電話ででも、あるいは手数をかければ何日間のうちに集められないとも言えませんが、しかし、市町村まで全部——都道府県だけやっても、これは結局全体の地方財政の規模にならぬわけですから、これは市町村と合わせて集計しなければできぬわけですから……。
  559. 加瀬完

    ○加瀬完君 そんなことはない、府県財政だけを聞いておるのだから。
  560. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 府県分だけということなら、これは電話ででも聞いてやるということにしましても、四十何県のやつを電話で数字まで聞くということになりますと、これは相当な手数であることは間違いないので、今ちょっと一両日と言われましても無理だと思います。  それから、今の交付税のやつは、実際は、そう言って県がどう見込んでおるかという程度のことを聞き出すなら、これも今の話でできるかもしれません。しかし、これはあくまで実際に合ったものというわけには参りません。これは、収入を全部計算してみなければほんとうの配分はきまりませんから、そういう数字のものしかできないということだけ申し上げておきます。
  561. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の要求した資料のことをお答え願います。
  562. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 何とか作ります。
  563. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 次回は明後日午前十時に開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十分散会