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説明員(
高柳賢三君) 第一の問題につきましては、やはり制定の当時の記録などを調べますと、これに関する諸問題を研究するということになっておりまして、ただ事実
調査ということでなく、やはりいろいろ
問題点というものがある。御
承知のように、これは日本の全体として見ますると、
改憲論と
改憲反対論というようなものがあり、やはり
日本国憲法というものは現行法なんですから、これはすべての人が守らなければならない
法律秩序の重大な一部になっておる。それに対して、あるここのところだけはちょっと変えてもらいたいという要請も一部にある、いや、それは変える必要はないんだという
意見もある。そういうつまり問題を
憲法調査会法で
検討をするというのが相当重大な任務じゃないか。ある人は、それこそが任務であって、
憲法制定の
経過とか運営の実際などそんなことは必要ないんだと、こう言う人もありますけれども、私らはそう
考えないので、運営の実際に即しないでポリシーの問題を研究するということは大間違い。抽象論の対立になって並行線をたどって
憲法論争が終わるということは、国のために非常に嘆かわしいことだ。やはり
憲法の問題も
一つの
問題点というものがある、それをどういうふうに合理的に解釈するかということが必要だろうと。これは第一の点については、やはり発案者も大体そういうことをも考慮
検討しろという
意味だろうというふうに察せられるところがありますが、
憲法調査会としては全体としてそういうふうに解釈しておるわけで、あなたのような解釈もあるいは成り立つかもしれません。しかし、
憲法調査会としてはやはりその問題をも合理的に
検討していくということがわれわれの任務だと、こういうふうに
考えております。
それから、これはあとの第二の問題ですが、やはり先ほど申しましたように、いわば
日本国憲法というものが
改憲論者によって攻撃されている。あるいは検事の
立場にある。それに対して弁護士が当然片方にある。そうして議論を戦わせて、それをどちらがいいかを判定するのは
国民なんです。一応は
国会が発議しましょうけれども、結局は
国民が判定する。
国民が判断する場合に、ムードでもってきめられては困る。国の将来を左右するような問題がそのときどきのムードでやられるということでは困る。これは慎重の上にも慎重な態度で、対立する
意見があれば両方ともよく
考えて、どちらの
立場がよいのかということを
考えて
検討する、そういう機関として
憲法調査会というものは
意味があるんじゃないか、そういうことを
国民も期待しているんじゃないか、それが
憲法調査会法の
精神に合致するんじゃないか、そういうふうに
考えております。
特に、私の
考えを御質問になったのですが、私は、今の日本の
憲法論議というものがあまりに抽象的で、
改憲論者と非
改憲論者と全体どこをどういうふうにやろうというのか、非常に不明確なんです。たとえば選挙法について、
国会に選挙法を制定させるということは、これはいけない。であるから、
憲法上の機関を作って、そうして
国会から離れた第三者の
立場で選挙法というものは作られていかなくてはならない、こういう議論が
憲法調査会内部に出ている。これは
改憲論者というのかどうなのかですね、そういう、つまりこれはいわゆる選挙民権のエレクトラル・パワーという問題が
憲法学の上で大きな問題になって、十八世紀のモンテスキューの三権分立というのはアウトモーデットで、そういう選挙民権というものが大切である、これが保護されなければならない。これがそういう
趣旨に
憲法の改正を行なうべしというようなときに、
改憲論者というものはどういうのかわからない。そういうふうに非常に抽象的じゃわからないので、やはり
憲法全体にわたってどの点を改正する必要があるのかないのか、こういうことを
検討していかなければならない。そういう
意味で、先ほど
亀田さんはムードということをおっしゃった。
改憲ムードはこれはくせ者だと思う。われわれはムードで動いてはいけない。
憲法の問題などムードで動いてはいけない。どこまでも合理的に慎重に
考えて、両方の議論を比べてみて、そうして結論を出すという態度でなければならない。これは政党的に
考えてもいけないと思うし、
憲法の問題というのは、アメリカでも最近の
憲法改正のときにフリー・ボードでもってやっている。
憲法の問題は、党派に分かているけれども、これは
国民の将来の大きな問題である。だから、
憲法問題を拘束するということは条理に合致しない。私はこれは正論だろうと思う、
憲法の問題について。で、そういうふうに、その問題は別といたしまして、とにかく改正すべきかいなやということは、各条項にわたって、しかも運営の実際に照らして
考える、こういうのが着実な行き方だと思いまして、その方針でわれわれの
審議を行なっております。先ほど申しましたように、多数決でもって押し切るとかなんとか、そういうようなことは一切しないことになっています。