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1962-03-08 第40回国会 参議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月八日(木曜日)    午前十一時五十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員井川伊平君及び赤松常子君辞 任につき、その補欠として塩見俊二君 及び田上松衞君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯澤三千男君    理事            川上 為治君            鈴木 恭一君            平島 敏夫君            米田 正文君            加瀬  完君            藤田  進君            田畑 金光君            千田  正君            加賀山之雄君    委員            植垣弥一郎君            小沢久太郎君            太田 正孝君            大谷 贇雄君            金丸 冨夫君            古池 信三君            小林 英三君            櫻井 志郎君            下村  定君            杉原 荒太君            田中 啓一君            館  哲二君            苫米地英俊君            野本 品吉君            村山 道雄君            山本  杉君            横山 フク君            亀田 得治君            木村禧八郎君            坂本  昭君            高田なほ子君            戸叶  武君            羽生 三七君            藤田藤太郎君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            東   隆君            田上 松衞君            市川 房枝君            白木義一郎君            大谷 瑩潤君            岩間 正男君   国務大臣    内閣総理大臣  池田 勇人君    法 務 大 臣 植木庚子郎君    外 務 大 臣 小坂善太郎君    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  佐藤 榮作君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    郵 政 大 臣 迫水 久常君    労 働 大 臣 福永 健司君    建 設 大 臣 中村 梅吉君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 川島正次郎君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    内閣官房長官  大平 正芳君    法制局長官   林  修三君    法制局第一部長 山内 一夫君    総理府総務長官 小平 久雄君    警察庁長官   柏村 信雄君    防衛庁参事官  麻生  茂君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 久保 忠雄君    外務省アジア局    長       伊関佑二郎君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    外務省条約局長 中川  融君    大蔵大臣官房財    務調査官    松井 直行君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省銀行局長 大月  高君    食糧庁長官   大沢  融君    通商産業省通商    局長      今井 善衛君    通商産業省公益    事業局長    樋詰 誠明君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十七年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十七年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告をいたします。  本日、赤松常子君及び井川伊平君が辞任せられ、その補欠として田上松衞君及び塩見俊二君が選任されました。   —————————————
  3. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 内閣総理大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します、内閣総理大臣
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨日、本委員会における私の発言中、国会対策委員長の指図により行動をするとの印象を与えましたことは、私の本意ではありません。したがって、補足訂正いたします。国会における行動は、国会機関要請によることは当然のことであります。私は国会機関要請により国会対策委員より申し出があったものと心得てかく申し上げたわけでございます。何とぞ御了承願います。  次に、大臣出席方については、参議院予算委員会優先趣旨に基づきまして、今後かかることを繰り返さないよう十分留意いたしたいと存じます。なお全閣僚にも十分留意するよういたさせます。   —————————————
  5. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 昭和三十七年度一般会計予算昭和三十七年度特別会計予算昭和三十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き質疑を行ないます。矢嶋三義君。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日の衆参両院並びに内閣のあり方、さらに当予算委員長委員会運営の実態を顧み、私は深く感ずるところあり、ここに質問内容の構成を相当大幅に転換し、以下質問再開いたします。  池田総理、まず伺います。お互い既成政治家には、選挙は法網をくぐってやるものだといった先入観、前提意識があるのではないでしょうか。金のかからない選挙公明化によって立法府入りされるであろう優秀なる数多くの人材が埋もれていることに気づかず、政治家としての自己保存意識が強過ぎる偏向性はないでしょうか、お伺いいたします。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、必ずしもそうではないと思います。やはり有為の士がどんどん立候補されることを望んでいるのであります。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事は国家百年の大計に属する問題と考えます。選挙法改正案の一条一句の解釈以前に論ぜらるべき点があると思います。今次の審議会答申に対する政府与党のとられた態度は、私は邪道だと考えます。また、説かれるところは一部ごもっともな点もありますが、大局的にみれば邪説であります。池田さん、あなたはあなたの魅力ある土性骨と野性味を発揮されて、総理、総裁としての権限と責任のもとに、邪道邪説を説き伏せ、破邪顕正を実践し、日本政治の前進を期すべきではありませんか。これを遂行すれば、池田の名は、後世わが国政治史上にさんとして輝くでありましょう。これをなさざれば、日本政党政治議会政治は百年河清を待つ類に陥り、国民の不信を買うことを私はおそれます。その道は、総理の閣内、与党内部における統率力決断力をもって法案を撤回し、答申重要部分を真に尊重した法案を再提出することにあります。かくすれば、答申内容には、わが日本社会党にとって不利な面が幾つかありますが、日本政治のために大局的見地から全面的に御協力申し上げます。総理の御所見と御決意をお伺いいたします。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は公明選挙につきましては、選挙法改正はもちろんのこと、他の点につきましても十分留意して善処いたしておるつもりでございます。日本民主政治の発展のために、今回の選挙法改正も提案したのでございます。これはいろいろ議論がございましょうが、私は常に申しておりますとおり、審議会答申を尊重いたしまして、これが最上ならんとして御審議願っておるのであります。また通過後は、この法の精神によりまして、公明選挙達成に邁進いたしたいと考えております。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねてお伺いいたします。一応撤回されて、重要部分を尊重した形で再提出される御決意はございませんか。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、最良の案として提案したのであります。国会におきまして十分御審議を願いたいと思います。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 されば総理にお伺いしますが、提出されている法案は、ぜひ本国会で成立させるというかたい御決意のもとに出されたものか、それとも国民に対する配慮から一応提出されたものなのか、いずれでありますか。今夏行なわれる参議院通常選挙に対する特例法案を自民党から提出されるやに聞きますが、それが真だとするならば、筋の通らない得手勝手な考え方と思いますが、御所見をお伺いいたします。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 参議院においていかなる法案が試みられておるか、正式には私は存じません。私はあくまでこの法案本国会におきまして通過するよう努力したいと思います。そういう強い考え提出したのであります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国民に対するゼスチュアではございませんね。
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はゼスチュアを使うことはきらいでございます。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その言葉を承って、一応話を宇宙空間に移し、また地上に帰ることにします。  昨年夏、ガガーリンの手によってボストーク成功して以来、今次アメリカのグレンの手によるフレンドシップ7の成功まで、米ソ両国によって人間衛星船の打ち上げが三回成功しましたが、このことの意義と今後の世界政治、さらに池田政治に及ぼす影響について、総理外務、郵政各大臣に御所見を求めます。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 米ソ両国によりまして人工衛星が打ち上げられ、成功したということは、私は人類のために非常に喜ばしいことと考えておるのであります。科学進歩が今後とも続けられ、われわれが夢だに考えなかった月世界への交通が実現すればこれにこしたことはない。しかして人工衛星が軍事的にどうこうという問題につきましては議論がございますが、私はそれよりも科学進歩、そして気象その他万般にさらに役立つ画期的のこれは成功だと考えておるのでございます。これができ上がったということは、今後世界の平和を実現する上において、私は一つの画期的のものだ、お互い科学で共通して、そして地球人類が一体となるよすがにしたいと、こう考えておるのであります。
  18. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この挙が、やはり人類宇宙を利用するということの画期的なものになってきたものと思われるものでありまして、われわれとしては、大気圏外平和利用、このことを十分に今後国際政治間の問題として考えていかなければならぬと思います。その趣旨国際連合においてもこれを主張し、現在われわれこの委員会重要メンバーとして、大気圏外平和利用について話し合いたいと思います。  なお、人工衛星を打ち上げまして、これをステーションとして通信を非常に画期的に改善するということも、これまた人類の平和において大きなものだと考えております。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 世界政治への影響についてはいかがですか。
  20. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 総理がおっしゃいましたとおりでございます。非常にこの大気圏外平和利用ということによりまして、世界の平和への道にも貢献せられまして、またそこまでの各人工衛星進歩したということが、これは悪用すればたいへんなことになるということでございますので、この面からして平和への歩み寄りというものが一そう促進される要素が強く出ておると、かように存じます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 御答弁は私は一部お答えになっておられると思うのです。必ずしも私の意見と一致しないところもあります。  そこで、昨年九月、世界人類が抱く核実験反対の悲願に反し、ソ連が一方的に実験再開したことは遺憾きわまりないことでありますが、今またアメリカ大気圏内の実験クリスマス島で再開せんとしておるのであります。このことと人間衛星成功との関係、さらにこの実験世界政治及び日本政治に及ぼす影響をいかように認識し、いかに予見されているか、総理並びに科学技術外務防衛の各大臣にお伺いします。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 核実験停止の申し合わせが三年ほど続いて、われわれ喜んでおったのであります。お話のとおり、昨年九月からソ連再開により、今またアメリカがこれを再開せんとしておることはまことに遺憾であります。私はアメリカにも抗議を申し込み、またその他今後必要な措置をとる考えでございますが、いずれにいたしましても、全人類のためにアメリカ再開停止されるように今後とも努力いたしていきたいと考えております。  なお、人工衛星とこの核爆発の問題は、私は専門家でございませんから、関係閣僚から答弁させることにいたします。
  23. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原子力は平和的に利用さるべきもので、これの軍事的利用というものは人類のために非常に不幸な、われわれとしても原子力平和利用に限るという世界的な世論を喚起する必要があると思います。さように考えます。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 使うとすればどういうおそれがありますか。それを伺っているのですよ。人間衛星船成功と今次アメリカが行なう核実験との関係
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 人工人間衛星成功宇宙開発に対する新たなる一つの画期的なできごと、これによっていろいろ宇宙空間気象とか、あるいは通信、あるいは月旅行、いろいろな人間の生活に対して非常に大きな将来の期待を持たすことである。これもやはり、この人間衛星がまた軍事的に利用されることなく、平和的に利用されなければならぬことは当然であります。しかし、これと核爆発実験ということとは、これは直接の関係はないと思いますが、原爆実験世界世論を喚起して、これもまた宇宙開発と同じように平和的に利用される世界的な世論を喚起して、米ソによる核爆発実験を阻止する世界世論を喚起しなければならぬと思います。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこはわかりました。まあ一応あとの人の……、
  27. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ソ連実験が悪循環を呼びまして、このたびまた米英実験再開の決定の動機になつおるということは、まことに残念なことでございまするが、米英に対して強く抗議しておりますことは御承知のとおりでございます。さらに今後とも適当な措置をとりまして、三月十四日に開かれますジュネーブにおける会議において、ぜひ核実験停止の問題が実が実りますよう、われわれとしては極力努力したいと考えております。
  28. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 核実験再開がはなはだ遺憾でありますることは総理並びに関係大臣のおっしゃったとおりだと存じます。もし万一に米英による核実験再開されるようなことがありますると、さらに、あるいはソ連のそれに対するまだ再開というようなことも考えられる。国際緊張を増すようなことに相なるかと存じます。ただいま外務大臣からもお話がございましたように、私ども核実験停止の有効な協定が一日も早くできることを期待するものでございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 人間衛星船との関係、一番大事なところは。あなた専門でしよう。
  30. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 専門ではございませんが、現在の打ち上げられました人間衛星そのものは直接に軍事的目的につながっているものとは考えられないのでございまして、これはこれとして、宇宙開発その他に十分役立つものと考えておる次第でございます。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もしこれを悪用しようと思えば、アメリカクリスマス島でやるのはミサイル迎撃用ミサイル実験をするわけですね。そうして小型核弾頭実験をやるわけですが、それが小さく軽いものになれば、人間衛星船が飛べば、これと結びつければ、悪用すれば重大なことになると思うのですが、そういうことは全然考えられないかどうか、科学技術庁長官防衛庁長官にお尋ねいたします。
  32. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はやはりアメリカにしても、アメリカの良心を信じ、人間衛星が……。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 科学的に言っている、私は。科学的にどうだということです。考えられるか、考えられないか。
  34. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことは理屈上は可能でしょう。しかし、そういうことはそれほど現在、世界的に道義が低いものと私は思っていない。そういうことは断じてないと私は信じております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は政治政策を聞いているのじゃなく、科学技術可能性があるかないか、それを伺っているわけです。
  36. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私も軍事科学専門家ではございませんのでありますが、専門家から教えていただいたところによりますと、現在打ち上げられているような人間衛星については、これが軍事目的に使うことは非常に困難だと申しますか、であるというふうに承っております。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さらば伺いましょう。日本宇宙開発研究の現状並びに将来の構想、総理科学技術文部大臣にお伺いいたします。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 東大の研究所で糸川博士がいろいろ研究をしておられるようでございます。まだソ連とかアメリカなんかに比べますと、ほど遠い状況であるのであります。具体的の問題につきましては、関係閣僚からお答えいたさせます。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 宇宙開発については、基礎研究開発研究と二つの部門があるわけであります。基礎研究は、今、総理お答えになったように、国立の大学中心として基礎研究をやっております。それが開発研究の場合は民間もやっております。まあ大学もやっており、現在の段階では、ロケットを打ち上げて、そのロケットに乗せるいろんな測定の機械、これを研究しておる。日本人工衛星をみずからの力で上げるという計画は持っておりません。相当莫大な経費も要するし、また、そういうことをする前にやらなければならぬ問題が私はあると思う。もし、そういうことがあるとするならば、国際的な協力によって考える以外に現在の段階では、日本独自の人工衛星というところまで考えてはみておりません。したがって、現在は宇宙とか、宇宙研究通信とかあるいは気象とか、あるいは航海とか、こういう実用目的に沿うた研究日本で進めていこう、ことにそういう計器類などの研究中心に進めていく、こういういろんな宇宙開発関係する団体は分かれております。これは何か一つの一元的にこれを調整するような機関の必要は考えておりますから、昭和三十八年度の予算において私は宇宙開発研究の本部のような機関考えたいと考えております。
  40. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 防衛庁長官でしたか、もう一つは。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣です。皆保留制限か何かして下さい。
  42. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 文部大臣に対する御質問でございますが、今衆議院委員会のほうに出ておりますけれども、間もなく文部大臣は出席するはずでありますから、出ましたらば、すぐ答弁を行なうようにいたしたいと思います。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣に伺いますが、日本ロケット技術面理論面は相当進んでいるのですよ。もう少し予算を画期的に出される御用意はございますか。
  44. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 実は、半分冗談であったかもわかりませんが、私は科学技術を急速に進めるためには大きい目標一つ持って、それに取り組むことが全般の各部門における水準を上げることになりやせぬか。で、日本はここでひとつ思い切って、アメリカに負けないだけの人工衛星を上げるという目標を立てて、やるとしたらどのくらい金がかかるかということを三木長官と一ぺん相談したことがございます。で、ほんとうにやれるなら、そういう決心もというのでしたが、まだまだ基礎研究部門が残されておるし、今言ったロケット実験、こういうようなものをやって積み重ねていかなければそこまでいかぬ。金さえあったらすぐにやれるというものじゃないということでしたから、その研究だけの研究費は盛りましたが、まだそういう大きい計画には盛らないで、ことしの予算を編成したということで、これはやはり私は日本としては将来そういう一つ目標を立てた研究をするということによって、科学水準を上げるということも考えなければならぬじゃないかと考えております。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 基本的な考え方はりっぱです。そとで基礎研究にたっぷり予算を計上するように特に要望しておきます。  で、続いて伺いたい点は、中国核兵器保有理論面並びに技術面にわたる能力、実力に対する認識、並びに中国核武装見通し、時期に対し、いかなる情報と判断を持っておられるか、そのことがアジア並び日本に及ぼす影響についていかに予見されておられるか。総理科学技術庁防衛庁外務大臣の御答弁をそれぞれ求めます。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 中共における核爆発実験ということはうわさに聞いておりまするが、十分資料を遺憾ながら持ち合わせておりません。私としては、したがいまして、中共核爆発をいつするかどうかということもわかりません。また、そういうわからないものにつきまして、これが対策を今申し上げることは早過ぎると思います。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 影響というものを考えておかなくちゃならぬでしょう。
  48. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) お答えいたします。原爆製造というものは、割合まあそういう技術は皆が修得しましたから、単に中共に限らず、原爆を作ろうという意思があったら、ほかにも原爆を作り得る国がふえてきつつあると思います。したがって、まあそういう核爆発実験禁止とか製造禁止、こういう世界的な協定というものがなされなければならぬ。中共のことについては、御承知のような中共との間の事情についてはなかなかわれわれ察知できませんので、中共事情については存じておらない、理論的には原爆を作り得る国はふえてきつつあるということは言えると思います。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 アジア日本に及ぼす影響はどうだと思いますか。
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは今申したように、中共状態が明らかでありませんから、これは非常に、仮定でこういう問題を論ずべき問題ではなく、重大な問題でありますために、もう少し的確に中共がどういうそういうことについて状態にあるかという基礎の上でなければ言えませんが、中共自身としても、これはアジアに対して緊張を、アジア緊張を加えることでありますから、これは中共に限らず、新しい原爆を保有する国が人類のためにふえないことを心から願うものであります。
  51. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま科学技術庁長官からお話しのように、中華人民共和国でも実験炉を持っておるということを聞いております。したがいまして、やろうと思えばある時期には核爆弾を作り、あるいはそれを実験するというようなことが、可能性はあろうかと思います。ただ、私ども専門家からいろいろと検討していただいておるところにおいては、そう近い将来ではないのではないかというような判断をいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、そうしたことがアジアにおけるいろいろな問題とからんで参りますので、今後の推移を十分に見きわめて参りたいと考えておる次第でございます。
  52. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実験炉を持ちましてプルトニウムができれば、それがたまりますると核爆発は信管その他の設備があればできるということには理論上はなるわけでございます。したがって、中共においても核実験が行なわれる可能性はあるわけでございます。しかし、これが非常に近い将来ではないかという説もございましたけれども、まあ私ども最近聞いておりまするのでは、そう近い将来ではないというふうに聞いております。また、かりに実験が行なわれましても、いわゆる核武装をするという段階までには、これは相当の長年月がまだあるのではないか。かように思う向きもございまして、私もさようではないかと思います。しかしながら、一方数年後に核実験禁止ができ、また、核兵器禁止に対する国際間の協定ができるという見通しも一方においてはあるわけでございまするから、われわれとしてはさような有効な核実験禁止、しかして、核兵器の廃止という協定ができまするように極力努力したいと考えております。
  53. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 文部大臣と郵政大臣に、御欠席中に矢嶋君から質問がありましたから、この際お答えを願います。
  54. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。ちょっと外出しておりまして、見当違いになるかもしれませんが、お許しをいただきます。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府委員から質問内容をお聞き下さっているでしょうが。
  56. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 宇宙科学の振興に関連いたしまして、文部省が担当いたします分野についてもっと力こぶを入れなければならぬじゃないかという御質問であったと承ります。宇宙科学は、私もしろうとでよくわかりませんけれども、いわばあらゆる基礎科学が総合され、その上に初めて宇宙開発というものができるかと心得ます。そういう意味では、各大学におきまして学科の新設等の宇宙科学に関連する要望が出て参りましたものをお世話するという角度で、及ばずながら今日までやっております。ですけれども米ソには及ばずとも、相当今後に宇宙開発が期待される、その必要性の前にはまだ努力が足りていないのではないかと考えます。今後の努力に待ちたいと思います。
  57. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) 宇宙通信開発並びに利用につきましては、世界各国とも最近非常な関心を示してきておりますので、わが国におきましてもこれに順応するように努力をいたしておりますが、自力で通信用の人工衛星を打ち上げることは諸般の事情から——主としてお金の問題でありますが——当分の間困難な状態でございますので、他国の打ち上げた衛星を利用して、これを利用して行かなければならない状態であると思います。各国の研究の状況から見ますると、米国、ソ連等によりまして通信用の人工衛星研究されておりまして、米国におきましてはすでに反射中継型の人工衛星実験がありまして、今年は能動中継型の人工衛星実験が行なわれる予定と聞いております。わが国におきましても諸外国におくれをとらないよう、人工衛星を利用した通信を行なうのに必要な各種の基礎研究並びに実用化の研究を実施することとして、郵政省におきましては、電波研究所に宇宙通信研究室を新設いたしまして、衛星通信基礎研究を進めております。今回の予算においても、茨城県の鹿島に直径三十メートルのパラボラ式アンテナの建設を実施する予算を獲得いたしました。もちろん宇宙通信は外国との協力を必要といたしますので、とりあえず米国の航空宇宙局とも連絡をいたすべく交渉を進めております。  この郵政省の研究所のほかに、国際電信電話株式会社におきましても、国際通信目標とした開発研究の準備を進めておるのでございまして、郵政省といたしましては、通信主管庁としてこれら研究機関の間の密接な連絡を保っていくように努力をし、必要に応じて話し合いの場を設けて、適宜に対策を講じまして、開発研究の有効適切な推進をはかっていきたいと存じております。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 来たるべきオリンピックに際して、電波送信に対して何か御構想はありませんか。郵政大臣にお伺いします。
  59. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) オリンピックの実況を通信人工衛星を通して全世界に中継放送をしたい、することになるだろう、こういうような前提で今の研究を進めておるわけでございます。ただ日本自身が人工衛星をみずから打ち上げることが、主として財政上の理由によりましてなかなか困難であることは残念でありますので、大体アメリカのものを使ってやるべく今順次研究を進め、そして基礎的な地上設備は、先ほど申しましたような三十メートル直径のパラボラ式アンテナを鹿島に建設することとして、着々準備を進めております。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先刻の質問に対する総理以下関係国務大臣答弁は、私は非常に不満です。その予見と認識は不十分だ、そんなことでわが国の外交政策なんか立ちませんよ。以下の質問は、そこにおる国務大臣皆さんお聞き下さい。多数の人に答弁求めますから。それは、アメリカ核爆発実験再開は、米ソ英仏の核武装競争を助長し、さらに中国核武装核兵器保有を促進し、将来アジア日本に重大な影響を与えると考えます。われわれが今取るべき道は、アメリカ実験再開を思いとどまらせることであり、ソ連の協力、再考をうながし、核実験禁止協定成功に導くことと、中国の国連加盟を承認し、その核武装を封じ、軍縮ムードを拡大実践することにあると考えますが、総理外務大臣と、特に三木、藤山、佐藤、河野各国務大臣の御所見と、取らるべき具体的対策についてお伺いします。
  61. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回の核武装核爆発実験につきまして悪循環が起こらないよう、まずアメリカに思いとどまらせる、そのためには、実験停止の協約ができることが必要でございます。したがいまして、その鍵は私はソ連が握っている、こういうことでございますので、アメリカソ連に対しまして極力核実験停止協定ができ、アメリカ実験をするに至らないよう、極力努力をいたしております。今後も続けるつもりでおります。  また中共核武装につきましては、核爆発につきましては、これは先般来申し上げますように、国連加盟の件につきまして重要問題として今後審議していこうとしておるのであります。
  62. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 総理大臣からお答えのとおりでございますが、私どもぜひ核実験の有効な、停止協定ができますように、従来ともやっておりましたが、今後さらに一そう行動を強力に進めたいと考えております。ただ外交上のことでございますので、これは、これを行なったときに発表させていただきたいと考えている次第でございます。  なお中共の問題でございますが、どうも私どもさっき御答弁したように、最初に考えておったよりもちょっと時限がずれてきておるように思っております。
  63. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 総理お答えになったように、この核爆発実験の悪循環をどこかで断ち切らなければならない。そういう意味で、有効な核爆発実験停止協定ができることが一番望ましい。それができない場合にも、世界世論を喚起してこれを断ち切るということが一番大事だと思います。
  64. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 核爆発実験の禁止は、これは当然のことでございまして、米英にいたしましても、ソ連にいたしましても今後絶対に行なわない、そういう協定ができますことをわれわれは望んでいるのでありまして、その協定に対しまして世界が協力していくということが必要だと思います。その意味におきましては、他のいずれの国、ソ連あるいは米以外のその他の国においても、これに協力すべきだと思うのでございます。中共も、その点漏れないと私は考えております。
  65. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり重大な問題でございますが、今まで各閣僚から御答弁申し上げましたとおり、これを全力をあげて、真剣に推進して参りたいと考えておるのであります。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理にお伺いします。  かりに中国核武装した場合、一般の関係者の情報では、少なくとも五年以内には核兵器保有能力を持つというのです。理論的にも、技術的にも中国核武装した場合には、アメリカ日本核武装を勧めてくるものと私は予想いたします。その際、わが国は断固として、これを拒否すべきであり、総理にその決意があられるか、お伺いします。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 核武装をしないということは、前々からたびたび申し上げておるとおりでございます。この考え方は将来も続けていきます。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 アメリカ要請があった場合に、断固として拒否しますね。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 持たないのですから、拒否することは当然でございます。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ、沖縄に核武装する点については、あなた、どういう見解をお持ちでございますか。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 施政権がないのでございますから、アメリカがやることと思います。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さらば伺います。先般のキャラウエー高等弁務官の沖縄に対する発言をいかようにお考えになられますか。総理池田・ケネディ会談で暗に米国の沖縄保持を容認するような少なくとも印象をケネディ大統領に与えられたのではないか、総理外務大臣の明確な御所見を求めます。
  73. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、日本に潜在主権があるのだから、施政権を早く返してくれるように強く主張いたしました。ケネディは、今の情勢では返すわけにはいかないというので、議論が分かれております。しかして、こちらの要求は通りません、向こうが主張いたしました、単にこれだけの事実です。しかし、今施政権が返らぬからといって、実情を見ますると、沖縄住民の方々の生活その他を考えますと、もっともっと改善していかなければならぬので、改善につきましては合意いたしておりますが、施政権の返還につきましては合意いたしておりません。
  74. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 総理大臣からお答えになりましたとおりでありまして、両方の主張は施政権返還については今の時点においては平行線でございます。しかし、今後ともわれわれは施政権の返還に努力をいたします。しかし、それのならざる間においては、沖縄同胞の生活、福祉の向上のために、われわれとしても大いに力を尽して参りたい、かように考えます。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理に伺いますが、極東で脅威と緊張が続く限り琉球における現在の地位を持続するという米国の政策は、昨年の池田・ケネディ会談で再確認された、こういうことですか。
  76. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は施政権返還を強く要求したにとどまります。
  77. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっと関連。昨日官房長官が、この問題について記者会見をして談話を発表しておる。はなはだこれはあいまいです、私たちが読んでみましても。ともかくキャラウエーの発言は、池田・ケネディ会談において米国の政策を確認した、アメリカの政策を認めたと、こうなっておる。この点は、政府もキャラウエー発言に関連して書類等を取り寄せてお調べになったようですが、そういう発言のあったこと自体はやはりお認めになっておるようです。ただいまの総理お答えを聞きましても、沖縄の施政権返還問題についてケネディと池田両者の間で意見の対立のままになっているように相変わらずお答えになり、官房長官の談話でもそういう意味のことをおっしゃっておる。それであれば、キャラウエー発言とは明らかにこれは相反しておるじゃないですか。当然これは、だれが考えたって違っておるわけなんです。一方はアメリカの政策を確認したとこう言っておるし、一方は対立のままだとこう言っておる。非常にはっきりしておる、食い違いが、これほどはっきりしたことを言われて、キャラウエー発言に対してその取り消しを求めるとか、そういったような外交交渉をしないような意向を昨日の談話でも発表しておられるようですが、私は全く筋が通らぬと思う。これほどはっきりしておる、こんなはっきりした対立をそのままにしておくということをするから、表では池田さんは施政権の返還を強く要求してそのままになっておると言われましても、やはり腹の中では暗々裏にアメリカの施政権保持について承認を与えておる、暗黙のうちに、そういうふうに疑われるわけなんです。だから、これはぜひ、今お答えになったようなことであれば、当然筋道として、アメリカに対してこの取り消しを求めるとか、こういうことがあってしかるべきだと思う。総理並びに外務大臣の御見解、それから大卒官房長官の昨日の談話の中身は、けさの朝日新聞等にも、そのほかの新聞にもも、詳しく出ておるわけですが、ああいう説明を官房長官がされたことも事実であろうと思いますが、そこら辺の点を少し明らかにしてほしいと思います。三者にお答えを願います。
  78. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) 二月二十八日にキャラウエー高等弁務官が記者会見をいたしましたことは、新聞で一応報道されたわけでございまして、政府としては、その原文を取り寄せまして詳細に検討いたしました。その結果、高等弁務官の発言は、これまでの沖縄政策につきまして新しい要素を加えたものでないという判断に立ち至ったのでございます。問題の池田・ケネディ会談におきまして、極東に脅威と緊張が続く限り沖縄を保持したいというアメリカの沖縄政策というものをケネディ大統領のほうから言われた。で当方からは、従来から終始早期返還を要求しておる。先ほど外務大臣が言われましたとおり、両者の主張は現在の段階におきましては平行線である、こういうことを確認したということの意味だということでございますので、これをきっかけにしまして対米交渉をやるという必要を私どもは認めておりません。
  79. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今の点でございまするが、これは昭和三十二年六月岸・アイゼンハワー大統領の会談の際に、アメリカ側、すなわちアイゼンハワー大統領のほうでは、極東の緊張の続く限り沖縄に三権を持って——施政権を持ってアメリカがいるということは必要だという主張をしたということを言っておるわけです。それを受けて、この方針は、ウォズ・リアファームドと言っております。ウォズ・リアファームド・イン・ザ・イケダ=ケネディ・トークス・イン・ジューン・一九六一——このリアファームドというのは、アメリカ側がこの方針を再び強く主張した、こういう意味にとれるわけでございまして、何もこちら側が承認したというふうにはとれない、かように解することが適当であろうと思っております。したがって、私ども一つ問題にしておりました自治権の拡大、これは必要ないということを言ったようなことも伝えられましたが、さようなことはここには一切言われておりませんので、したがって、大平官房長官が言われましたように、従来とことに変わった発言をしたものでないと、かように考える次第でございます。
  80. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 官房長官と外務大臣に伺いますが、岸さん時代に比べると、自治権並びに施政権返還について非常に後退した印象を受けますよ。あのときは、教育権だけでも早く返そうとい状況だった。当時の松永文相は、何回も在日米高官と交渉されたわけですがね。後退した印象を受ける。で、新聞の報ずるところによれば、潜在主権というのを残存利権というふうに言葉を変えておる。こういう点等から、非常に後退していると思うんですが、その点いかがですか。
  81. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まず残存利益という問題、これはリジデュアル・インタレストという言葉を使っておりますが、これについては、利益とも読めるし、はなはだしきに至っては利権とも読める、これははなはだ不適当な言葉であるというので、先方に問  い合わせましたところが、これは潜在主権——リジデュァル・ソヴレンティを含んだ広義の権益と、こういう意味で言っておるということでございます。さように解すれば、それは解せないことはないのでございますが、用語はもっと正確に使ってもらったほうがよかったというふうには考えております。さようにも向こうに申しております。向こうは、日本のおっしゃる潜在主権ということを十分認めていることにごうまつも変わりはない、かように申しているわけでございます。  さらに、自治権の問題でございまするが、これは先方は自治権……、教育権だけでも返そうと言ったことはないようでございます。私が現在の職を拝命いたしましてからでも、教育主事を送るというふうなことについては、先方は実は落として参ったのでございます、教育主事を送ることにおいてすら。それを交渉いたしまして、昨年から送り、ことしもそのとおりやっておるわけでございますが、その他にも、日の丸の国旗の掲揚とか、あるいはまた労働組合の三法の適用の件について、ことに、暴力をもって国家を破壊しようとするような団体に自分は加盟してないという誓いを立てて、そうして米軍に雇われると、そういうような規定もありましたのでございますが、さようなものもこれは落とすようにさせたいと。それからさらに、日本からの予算面についても、御承知のとおり、本年度の御審議を願っております予算には、十億以上——昨年の倍の予算が組まれまして、日本人の考え方というものは広範に先方に入っておるわけでございます。それぞれ、かような沖縄人自身の、沖縄におりまする同胞自身の考え方が大きく反映するような諸施策というものは、ことに池田・ケネディ会談以来著しく推進されておると考えます。  なお、ケイセン報告が出まして、アメリカにおきましていろいろ検討しました結果、情報によって伝えられるところによりますと、近く何らかこれに関する新提案が日本のほうへ行なわれるというふうにも承知いたしておりまするので、しばらくこの結果を見ていただきたいと考えております。
  82. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連質問。先ほど外務大臣がアファームされたということについて説明された言葉ですね。このアファームされるということは、アメリカ側も主張したかもしれないが、日本側もそれを確認すると、そういう意味でアファームという言葉を使われているんじゃないですか。先ほどの外務大臣の説明だけだと、ただアメリカ側が一方的に再び強く主張した、そういうふうな御説明でした。しかし、これは、向こうが主張し、同時に池田総理もこれを確認したと、そういう意味に私はアファームという言葉を解釈するのですが、その点、外務大臣からの説明、さらにそのときの池田・ケネディ会談の内容について、総理からもひとつ明確な御答弁をいただきたい。
  83. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 用語の解釈でございますから、私からまず御説明いたしますが、このコンファームとアファームとは違うわけでございます。これは文章を見ていただきますとさらに明瞭になると思いまするが、この岸・アイゼンハワー会談のときにアメリカ側がかようなことを主張したと、これは日本のほうは聞かなかったわけですね。その主張を再びここでしたのだと、こういうことでございますから、実体には何ら関係ない。すなわち、繰り返し先方はそれを言ったと、こういうことに読み取ることが、これが正当な解釈だと思います。
  84. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほどお答えしたとおり、私は早期に施政権の返還を強く要求いたしたのであります。そうしてケネディ氏は、やはりアイゼンハワー・岸会談のときのように、今の情勢では返さないということを言ったのでございます。したがって、結果は平行線でございます。
  85. 亀田得治

    ○亀田得治君 要求です。外務省のほうでキャラウェー発言の原文などをお取り寄せになったようでありますから、それをひとつそのままきょうじゅうに資料として出してほしい、外務省の訳もつけて。
  86. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 印刷しておりますから、きょうじゅうにできると思います。
  87. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) よろしゅうございますね、亀田さん。
  88. 亀田得治

    ○亀田得治君 その上で関連質問しますから。
  89. 戸叶武

    戸叶武君 関連。やはり今、池田さんの答弁を聞いて一般が疑問としているところは、三十二年六月に岸さんとアイクの共同声明のときには、施政権の日本への返還についての日本国民の強い希望を強調したと、この施政権の問題を強く打ち出しているのですが、昨年の六月の池田・ケネディ会談では、沖縄施政権の文字が共同声明では消えているというところに、非常な疑惑を持たれているのでありまして、その関係はどうなっているのか、池田さんから直接お聞きしたいと思います。
  90. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二つのことがございます。これは、施政権返還の分は、岸さんのときのみならず、藤山さんの行かれたとき、小坂外務大臣が一人で行ったとき、そうして私が外務大臣と一緒に行ったとき、これは常に言っていることでございます。しこうして、もう一つの問題は、沖縄の同胞の福祉増進、経済安定のために、今までよりも違ったことをやろうということでございます。私は、今までより違ったことを表面へ出したのでございます。従来の分は、二人の間で十分主張し合ったところでございます。
  91. 戸叶武

    戸叶武君 施政権の返還ということを強く出さないで、結局沖縄住民の福祉増進というほうにウエートを置いてすりかえられてきているのじゃないか。今度アメリカから何か出すようだからそれまで待ってくれと、思わせぶりを外務大臣言っておりますが、その出てくる内容は、施政権の返還というのじゃなくて、沖縄住民の福祉を少しく増進するという程度の具体的内容にすぎないのかどうか。先般ケネディ長官が来たときに、日本国民並びに沖縄島民の熾烈な施政権返還の声を耳にして帰ったはずでありまして、政府の総理大臣外務大臣とつき合っているのと、日本国民との感情に、非常にギャップがあるということを認めて帰ったはずでありますが、外務大臣が想像する限りにおいては、アメリカがどのような態度で出るか、外務大臣からもひとつ説明を願いたい。
  92. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ケネディ司法長官が日本へ来られて受けられた印象が、日本総理大臣外務大臣に聞くのと、一般の日本国民の大ぜいの方々から聞くのと、ギャップがあるというような印象を持って帰られた、こういう御想像は、私は当たらないと存じます。それは、全く同様な感じを持たれたろうと私は思っております。  なお、どういう内容のものが来るであろうかということは、これはまだ参っておりませんので、今ここで申し上げるのは少しむずかしいかと存じます。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理、私はほんとうにあなたの正直なところ好きなんですけれどもね。この問題に関する限りは、何か矢嶋にないしょで隠されて、私を煙にまいているようなところがあるのじゃないかという不安があるのですが、あらためて伺います。
  94. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ごまかしも何もいたしておりません。私は沖縄に対しまする日本人の感触を強く言っているのであります。一例を申し上げますと、実は国旗の掲揚問題、初めは正月三日間ということで話がつきかけたようでございます。私はそれを途中からとりまして、ケネディに、なぜそんなことを言うのだ、われわれは沖縄に潜在主権を持っているんだ、そういうことにとやかく言う筋合いはないじゃないか、こういうことを強く言いまして、祭日は全部国旗掲揚、まあ官公街でございますが、できるようになった。沖縄の問題につきましては、私は、何と申しますか、ほんとうに国民の悲願を訴えてきているわけでございます。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ついでに官房長官にちょっと伺っておきますが、私近ごろ新聞を読むのが非常にむずかしくなったのです。というのは、記者諸君に伺いますと、官房長官は近ごろスポークスマンとして煙にまくのがうまくなったというのですが、(笑声)それで私は新聞を読むのがむずかしくなったのですが、この点ほんとうだとすれば、注意を喚起するとともに、御所見を伺っておきたい。
  96. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) 極力誠実にお伝えしているつもりでございますが、なお足らないところがございますれば、今後注意いたします。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 沖縄問題はきわめて重要で、国民の関心事であります。アメリカ核実験再開を許せば、情勢のおもむくところ、将来沖縄はアジアにおける自由国家群の核武装体制の中心基地となる確率が大であると私は思います。いわゆる田中発言日本の政府、与党と米国側の以心伝心の内容であり、わが国の現体制で沖縄復帰を実現することは、自民党内閣と両立しないのではないかと心痛している国民が相当多数あります。それらの人々は、沖縄の祖国復帰の道は、革新政権樹立以外にないと主張されておられるが、これに対する総理外務、両大臣の御所見を求めます。
  98. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) どういう方の主張かわかりませんが、私はその主張に対して批判を加えることは差し控えます。先ほど来申し上げておりますように、核実験再開はぜひやめてもらうように、そうして沖縄の施政権の返還は早期に実現するよう努力するのみであります。
  99. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 総理大臣が政府を代表してお答えになりましたとおりに考えております。
  100. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 やや、質問のほこ先を変えまして、現在、自衛隊の欠員状況はどうか。その原因並びにその欠員に対し、いかなる予算編成方針で臨まれたか。防衛庁長官並びに大蔵大臣答弁を求めます。
  101. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 現在の欠員の状況でございますが、三十六年十二月末におきまして、陸上自衛隊十七万一千五百人、現在員が十四万三千七百……。
  102. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、欠員だけでけっこうです。
  103. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 欠員だけを申し上げます。陸上自衛隊二万七千七百二十二人、それから海上自衛隊三千  六百二十七人、航空自衛隊五千四百九十四人でございます。合計三万六千八百四十三人でございます。ただし、こ  のうちには、三十六年度におきまする増員分約一万を含んでおるわけであります。募集のなかなかむずかしい原因については多々あろうかと思います。たとえば最近の経済の発展に伴う若い労働力の不足等もあろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、自衛隊に入りまして、それを除隊した者が新しいスタートを切るのに最も有利な方法で他に就職ができるような、あるいは隊内における職業補導でありますとか、あるいは企業会社に対するいろいろな連絡等をもちまして、まず自衛隊で安心して職に甘んじ、訓練に努め、そうして除隊の後は、またよき職場があるような努力をいたし、あるいはまた各方面にわたりまして、自衛隊の内容その他につきまして、十分な御認識をいただくような努力をいたしまして、志願者をふやす。あるいはまた、募集におきましても、常時募集でありますとか、あるいは中間でも募集をいたしますとか、あるいは合格した者を早期に入隊させるというような各般の処置をとっておるわけでございます。ただし、三十六年、昨年の上半期までは相当の悲観すべき状態もございましたが、その後持ち直しておりまして、今後そうした諸施策をあわせ行なうことによりまして、徐々に充実できるものと考えております。しかしながら、現状からいたしまして、直ちに、たとえば陸の十七万一千五百人を今年度中、三十七年度中に充足するということはなかなか困難という見通しを立てまして、ある程度の充足率を考えまして、陸上におきましては、八五%の充足率を考えまして、予算をお願いしているような次第でございます。
  104. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ただいま防衛庁長官からお答えになりましたとおり、今の状態から見て欠員を一挙に補充することはできませんので、充足率の問題につきましては、防衛庁との相談によって、実際に適する充足率をもとにした予算編成をいたしております。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理に伺いますが、定員は充足ができないというのです。池田さんの高度成長、いわゆる所得倍増政策と自衛隊とは共存できないのではないかと考えますが、総理の御所見とこれが対策を承ります。
  106. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 自衛隊の欠員は従来からあるのであります。先ほど防衛庁長官が申しましたように、今後補充に努めていくことと思います。高度成長と片一方が相反するとは考えておりません。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 甘いですね、考え方が。じゃ、ちょっと先に進みましょう。欠員に伴う自衛上の運営等に関し、行政監察を行なった結果並びに自後における状況について、行政管理庁長官並びに防衛庁長官答弁を求めます。
  108. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私になってから監察をしておりませんから、その内容、結果等を承知しません。後刻調べて申し上げます。
  109. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 現在欠員がございますので、その欠員と見合いながら、部隊の行動その他に支障のないような訓練を進めておるわけでございます。これは自衛隊全体の監察ではございませんけれども、補給処の運営等について、行政管理庁のほうで監査をされました結果は、人員を十分有効に使っておるという意味においてのおほめの言葉と申しては言い過ぎかもしれませんが、よき講評をいただいておるような次第でございます。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 上野駅等の盛り場で隊員の街頭募集を行なっている状態、かくのごときことは断固やめるべきではないかと思いますが、これに対する総理並びに防衛庁長官答弁を願います。
  111. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 具体的なことはよく知りませんので、防衛庁長官からお答えいたします。
  112. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 募集につきましては、いろいろな方法をとっているわけでございますが、中にはあるいは上京されまして、一たん就職したが、就職先が不満であるとか、あるいは就職先もなく来たという人もございますので、随時そうした方々の中で、自衛隊の本質を知っていただき、志望する者については試験をいたしておるわけでございます。何か防衛庁が浮浪人と申しますか、そういうような者をかき集めているような印象を与えましたことは、はなはだ遺憾でございまして、私どもはあくまで健全な自衛隊員としてやっていける者を厳重に試験をし、あるいは身元の調査等をやっているような次第でございます。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理に伺いますが、東京の連絡所で百人のスカウトといいますか、そういろ者を盛り場にばらまいている。そのうちの一人は、この前、上野駅頭で募集しておるところを、挙動不審者として警察にあげられたわけです。こういうことは断固やめるべきだと思いますが、総理いかがですか。
  114. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 自衛隊員の募集にはいろいろ方法ございます。しかし、街頭募集なるがゆえにいかぬということはない。その街頭募集の方法、時期等について検討を要することは当然でございます。しかし、これがいかぬ、あれがいかぬという問題ではないと思います。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 防衛庁長官に伺いますが、都内で百人の人が街頭募集に従事しているというのですが、そうですか。
  116. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま数を的確に把握いたしておりませんが、随時随所において、自衛隊の内容等をお知らせをいたし、その中で希望のある方を試験をいたしておることは事実でございます。ただ、その方法その他については、なお改善すべきものは十分改善をして、先般のような誤解を招かないように努めたいと存じます。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 整備計画について伺います。第一次防衛力整備計画の達成状況並びに本年度から発足する第二次計画の概要と、これに要する総予算額並びに各年次の国家予算に及ぼす影響について、防衛庁長官大蔵大臣答弁を願います。
  118. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 第一次防衛力の整備の達成状況は、陸上自衛隊については、定員を十八万人として、六管区隊四混成団を編成する計画でございましたが、実績は、自衛官の定員十七万をもって六管区隊四混成団を整備いたしました。海上自衛隊につきましては、艦艇約十二万四千トンを保有する計画でありました。もちろんこれは矢嶋さんも御承知のように、十二万四千トンというのは、三十五年度末において契約をいたしましたが、完成は延びるものを含んでおります。それが十一万二千トンの整備となりました。それから海上自衛隊の航空機につきましては、ただいまのような意味におきまして二百二十二機の予定でございまして、二百十七機となっております。航空自衛隊につきましては、航空部隊二十七隊、航空機数千百六十五機の整備をする計画でございましたが、飛行部隊は十四隊、航空機数千百三十三機となっております。第二次防衛力整備計画は、三十五年度末に終了いたしました第一次防衛計画並びに三十六年度に達成をいたしました自衛隊の骨組に対しまして、その内容改善を中心として考えておるわけでございまして、その改善の内容といたしましては、陸上自衛隊においては装備品の更新、近代化、あるいは海上自衛隊におきましても、対潜能力の強化等を中心といたし、また、航空自衛隊におきましては、次期戦闘機の104を中心とした防空体制の強化をはかっておりますと同時に、ナイキ大隊二個、ホーク大隊二個を導入する予定でございます。これに要する経費でございますが、三十六年度の当初予算千七百十七億円を基礎といたしまして、毎年平均百九十五億ないし二百十五億を増強していく予定でございます。もちろん、その年度の財政状態、あるいは他の施策とのにらみ合わせにおいてこれを按配していくわけでございますが、現在の試算によりますれば、大体四十一年度の最終年度におきまして、国民総所得の約一・五%程度の規模に相なり、約二千六百億から二千七百億程度、そうして国民総所得の一・五%程度を目標といたしております。
  119. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 第二次防衛整備計画の決定にあたりましては、私は、この防衛計画が他の施策の圧迫とならぬように均衡をとった防衛力の増強が必要であるという見地から、どの程度の額を防衛に充てるのが適当かという問題は十分検討いたしまして、その結果、今、防衛庁長官お答えになりましたように、国民所得に対する防衛庁の経費の割合を現在程度から上げないということを、まず財政的な見方のほうからそういう大きいワクを考えまして、そうして計算の基礎を申しますというと、国民総生産の伸び率を、政府の従来の見込みによって昭和三十七年から昭和三十八年度は、国民総生産が毎年九%くらい伸びる、それ以外は四十一年度まで各年度七・二%ぐらい伸びる、この政府の長期計画の伸び率を基礎にして、そうして防衛庁経費と国民所得の割合は、昭和三十三年度の割合を基準として丁一五七%、国民所得に対して一・一五七%程度の比率を保ちたいということから計算いたしまして、現在の昭和三十六年度の予算額千七百十七億円に対し、毎年平均百九十五億ないし二百十五億円、一割の幅がございますが、その幅の中でもってこの計画が実行される以上は、国の財政として適当な計画ではなかろうかということから計算した額でございます。
  120. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 整備目標の数字について若干私の資料と食い違う点がありますが、時間がありませんから、それは分科会に譲りたいと思います。質問を続けますが……。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。先ほど防衛庁長官国民所得に対して一・五%と言われましたが、今、大蔵大臣は一・一五七%、たいへんに違うわけなんですが、その点はっきりさせていただきたいと思います。
  122. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 国民所得と申しましたが国民総生産です。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 防衛庁のほうは一・五%と言われましたよ。
  124. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私の申し上げましたのは、三十五年度の国民所得の実績を基準にいたしまして、政府の計画そのまま実行した場合の国民所得との比較が大体一・五%ぐらいを目途としておりますと申し上げたのであります。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、三十五年度の国民所得に対して防衛費一・五%、それを第二次防衛計画に当てはめていくわけでしょう。そういう考え方じゃないですか。そういう考え方ですと、大蔵大臣国民総生産に対する一・一五七というと国民所得に対しては少しふえていますね。それは一致しているのですか。国民所得に対しては、やはり大蔵大臣は一・五%とお考えになっているのですか。今、総生産に対して、一・一五七と言われましたが、その点食い違っているのですね。これはたいへんな違いになってくるわけですから。
  126. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 一・五%という比率は、これは防衛庁長官のほうでお間違えかと思いますが、そういう比率は各年度に出ておりません。この計算は、いずれにしましても昭和三十三年度を基準とした一・一五七%、間違いございません。そうして三十七年度の予算の比率は、この一・一五七%より少し落ちている。一・一四%というふうになっております。
  127. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 考え方につきましては、大蔵大臣のおっしゃったとおりでございます。私が先ほど申し上げましたのは、三十五年度の実績十一兆何がしを基準にいたしまして、そうしてその当時考えられました平均七・二%という成長をいたすということを基準にいたしますと、四十一年度において国民所得の約一・五%に相なるということでございますが、この基礎になりました考え方大蔵大臣のおっしゃったとおりでございます。
  128. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃあはっきり整理していただきたいと思うのですね。今後われわれは、予算を検討していく場合に、防衛庁のほうはなるべく予算を多からむことを望んでおると思うのです。大蔵省はなるべく押えようという立場にあると思うのです。ですから、大体大蔵省の、大蔵大臣の言われたことが基礎になると、そういうふうに理解してよろしいか。そういう意味ではっきり統一さえしていただけばそれでいいのですよ、別に何も責めるわけじゃないのですから。
  129. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理からお答えいただきたい。
  130. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体数字は合うと思います。大蔵大臣国民総生産と言い、防衛庁長官国民所得と言い、大体一・一%ぐらい、片一方国民所得に対しますと一・四、五%になる。大体国民所得というものは総生産の八掛くらいになっておりますから、大蔵大臣の言っている線と違っていないと思います。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、国民所得に対しては一・四、五%と理解してよろしゅうございますね。そうすると非常にまた違ってくるんですよ。
  132. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体総生産に対しての一・一というのは、国民所得に対して大体一・四、五ということになりましょう、総生産に対しての国民所得は八掛でございますから。そうしてみますと数字が合うと思います。いずれにいたしましても、この計画大蔵大臣の言った計画で百九十五億円ないし二百十五億円の間で経済財政状況できめていこう、こういう基本方針に変わりはございません。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 防衛庁、それでいいですか。
  134. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 先ほどから申し上げますように、一応の推定をいたせばということでございます。いろいろの今後の施策の基礎になりますものは、大蔵大臣のおっしゃったものを基礎といたすわけでございます。
  135. 坂本昭

    ○坂本昭君 この際でありますから、第二次防衛計画の詳細な、ただいま説明されたもの以外に詳細な計画を資料としてお出しいただきたい。
  136. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 防衛庁長官よろしゅうございますか。
  137. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 先ほど来お答えいたしますように、各年度の増勢というものは、平均百九十五億ないし平均二百十五億ということでございますので、まだ国防会議あるいは政府といたしまして各年次のものは決定をいたしておりませんので、それは御了承いただきたいと思いますが、四十一年度末の目標につきましてはできるだけ詳細なものを提出いたしたいと存じます。
  138. 坂本昭

    ○坂本昭君 それは単なる金額だけでなくてですよ、その内容も、装備の内容もつけてくれなければ意味ありませんですよ。
  139. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) むしろそうした面におきましてできるだけ御審議の便になるようなものを提出いたしたいと存じます。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ナイキ二個大隊、ホーク二個大隊を保有する等、装備の近代化もはかるようであるが、内閣の憲法解釈に従ってもぎりぎりの線に近づきつつあるとお考えになっておられるものと思いますが、総理並びに法制局長官の御見解を承ります。
  141. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 憲法上の問題としましては、たびたび申し上げましたように、理論的には核兵器を持てないときまっておりません、防御問題ならば、防御ならば。しかし、理論上の問題はさておきまして、原子力基本法にもありますごとく、また、政府がたびたび声明しておりますように、核兵器は持たない、こういう原則に変わりはございません。ぎりぎりという言葉がちょっとわかりませんが、核兵器を持たぬということは確かであります。
  142. 林修三

    政府委員(林修三君) 今、自衛隊で計画しておられますナイキあるいはホークでございますが、もちろん核装備をするものではないと私たち心得ております。いわゆる国防計画と申しますか、第二次防衛計画等の立案に対しては、私どももある程度参画いたしまして、憲法上の問題が起こらないように常に相談をいたしております。
  143. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理、私の伺っているのはね、核兵器だけではなくて、今説明された第二次計画の全般ですね。これが組織された部隊であり、継続的にある目的を持って訓練されているこの部隊、軍隊ですね。ここまでくれば、あなた方の憲法解釈をもってしてもぎりぎりのところだと思われているのじゃないかと思いますが、重ねて伺います。
  144. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 問題は核兵器を持つか持たぬかじゃございませんか。
  145. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それだけではない。
  146. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、核兵器を持たぬという原則のもとに近代化、合理化をはかっておるわけであります。
  147. 林修三

    政府委員(林修三君) もちろん私ども考え方も、いわゆる個々の問題ではなくて、総合された力、これがいわゆる自衛のための必要最小限度になるかならぬかという問題で検討すべきものと考えております。現在もこれは、まあいわゆる数量をもって一義的に航空機が何機、あるいは陸上が何万ということではじき出されるものではないと思うわけであります。これは国際環境にもよりますし、あるいは国際情勢にもよるわけで、ある程度相対的な問題だと思うわけでございます。また、あるいは兵器の発達等による相対的の問題もございます。しかし、私どもとしては、ただいまの第二次防衛計画目標、これをぎりぎりとおっしゃる点ちょっと私たちも理解しかねますが、少なくとも憲法の許す範囲内であるということは、私、間違いないと思うのであります。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 意見がありますが、続けます。  フレンドシップ7は四時間五十六分で地球を三周し、あの広洋たる大西洋上に待機していた回収船からわずかに十キロメーターの位置に着水し、着水後わずか二十一分後にグレン中佐は甲板におり立つことができたのであります。小型核弾頭ミサイル開発された今日、目ざましい科学進歩の状況とあわせ五年後の将来を予見するとき、陸上を歩く自衛隊員をさらに八千五百人増員するとか、米軍側から上級秘密事項に属さない時代おくれの武器の供与期待を盛り込んで推進しようとする第二次防衛整備計画なるものは有効であり時代に即応するものでありましょうか。憲法問題を別にしても疑念なきを得ません。総理以下防衛庁、大蔵、各大臣の御所見を承ります。
  149. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国防につきましては、いろいろの部面におきまして総合的にやらなければなりません。宇宙科学が非常に進歩したからと申しましても、地上部隊が不必要であるとも私は考えないのであります。そういう全般のことを考えながら陸海空おのおのの適当なつり合いで進んでいくべきと考えております。
  150. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま総理からもお答えございましたが、現在のわが国の情勢といたしましては、やはり陸上自衛隊が近代的な装備をいたすということがやはり日本防衛のために必要であると存じております。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 科学技術庁長官いかがですか。もったいないじゃないかな、こういう金の使い方は。科学技術庁長官予算の査定権を持っている大蔵大臣答弁を求めていますよ。
  152. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私も大体防衛庁長官お答えになったことと同じことを考えております。
  153. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり現在においても、陸上自衛隊は現在の段階における役割を果たしておると思います。
  154. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 科学技術庁長官はさすがにやはり科学に通じておって、一番答弁りっぱだと思います。(笑声)  次に、具体的にロッキード戦闘機問題を伺っておきましょう。落とさないようにメモして、ノーかイエスかお答え願います。F104Jのいわゆる国産化の問題について、次の諸点について総理防衛庁長官大蔵大臣にそれぞれ明確な御答弁を求めます。本件は国民の重大関心を呼び、本院でかつて議論、調査された問題であります。全天候性と期待した性能は変わりないか。滑走路は約束どおり八千フィートで十分で、拡張しないか。価格は一機平均百十二万四百三十ハドルで生産できるか。国産化率は約束どおり四〇%を守れるか。付属品は二〇%で大丈夫との約束であったが、それで飛べるか。ハル氏が社長を勤めるLAI社の取得手数料は何%か。米側負担七千五百万ドルに相当する機器の評価は適正確実に行なえるようになっているか。本年中に計画どおり四十四機整備できるか。パイロットの養成状況、確保の見通し、最後に源田報告書を公表して本日なお支障があるか。なくば、公表してはいかが。お答え願います。
  155. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 具体的の問題でございまするから、防衛庁長官からお答えいたさせます。ただ私といたしましては、当初の計画が大体計画どおりいっていると聞いております。価格の点で少しくらい違う点があるかもしれません。詳しくは防衛庁長官からお答えいたさせます。
  156. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 現在すでにアメリカで生産をいたしまして、そうして一機は——合計二機でございますが、Jについては一機でございまして、こちらの新三菱に入りまして、組み立てを完了しかけております。これらの試験の結果によりますと、当初の計画どおりの性能を十分に発揮いたしておるということが判明をいたしております。  滑走路につきましては、当時お答え申しましたように、八千フィートで間に合うということでございます。試験の結果もそのようでございます。ただし、これは御了解をいただきたいのでございますが、貴重な人命、機体の保護でございますから、他の事情が許せば、滑走路はより長くしたほうがよろしいと考えております。  それから平均一機当たりの単価百十二万四百ドルと申し上げておったと思います。契約の結果、この前におそらくお答えしておると思います百十二万四百三十ハドルは、百十二万六百八十一ドルに相なっております。  それから国産の四〇%につきましては、これは達成できる見通しを立てております。  それから付属部品二〇%でございますが、と申し上げておりますが、この程度でアメリカその他の実績にかんがみまして十分やっていける見通しが立っております。  それから……。
  157. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 LAI社への手数料、ハルさんの。これが中心人物です。
  158. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) LAI社の手数料は一〇%以下、一〇%未満で押えられる予定でございます。  それから米側負担の七千五戸万ドルによる調達につきましては、当方から駐在員を派遣いたしましてチェックをいたし、現在のところ順調に入手をいたしております。  それからパイロットの養成につきましては……。
  159. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 四十四機は。本年中の計画どおり四十四機分……。
  160. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 本年中というのは三十七年度の末と存じますが……。
  161. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのとおり。
  162. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 三十七年度末に四十四機は入手する見込みが立ってございます。  パイロットの養成につきましては多少の遅延が現在ありますけれども、今後努力をいたしまして、養成目標を達成いたしたいと存じております。  源田報告につきましては、せっかく御要求でございますけれども、現在公表いたしかねる次第でございます。
  163. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 価格が変わった、それらの点については分科会等で追及いたします。  ただ、それではここで指摘しておきたい点は、グラマンがロッキードに逆転した一番大きな理由は、滑走路が八千フィートで済むという点にあったわけでありまして、この八千フィートを延ばすというようなことは公約と違いますから重大であります。これだけ指摘しておきます。そうして今私が申し上げたのを認めるとすれば、この飛行機は飛ばないのですよ。予言しておきます。飛んだら危険です。これだけのことをここで指摘しておいて、いずれ分科会でやります。  次に、過去一年間における自衛隊関係の航空機事故件数、破損、焼失機数、死傷者数並びにその原因、将来に対する対策防衛庁長官に伺います。
  164. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 三十七年の二月までを含めまして、三十六年中に、件数で十七、機数で二十一機、これは衝突等もございます。それから死亡者が二十七名、重傷者が一名、軽傷者が四名になっております。これらの航空事故の原因につきましては、なかなか困難なものもございますが、操縦士の過誤、あるいは指揮者の過誤と申しますか、把握の不足というようなものが多いように見受けられます。またそのほか機体の故障等もございますのと、天候の激変によるもの等もございます。これらの原因につきましては、一々その原因の詳細な探求に努めまして、そうして、そうした事態の再び起こらないような努力をいたしている次第でございます。
  165. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 高価な国有財産でありますが、それ以上にかえがたい貴重なパイロットの人命でありますから、特に今後配慮していただきたいと思います。私は専門家でないですけれども、はらはらいたします。この点、十分善処してもらいたいと思いますが、念のために伺っておきます。
  166. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 貴重な人命の安全は、もちろんこれをはからなければならないわけでございます。そういう観点からいたしまして、事故原因につきましては、その詳細を突きとめまして、そうして、今後そうしたことが、同じ原因によって再び事故を起こすということのないように最善を尽くして参りたいと存じます。
  167. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問の方向を変えまして、わが国の原子力開発状況、原子力発電計画とその見通し、並びに顧みて反省する点はないか。科学、通産、文部大臣の御所見を承ります。
  168. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原子力の長期計画は、御承知のように、十カ年間に百万キロワットの発電ということになっているわけで、現在のスピードは当初の予定よりもおくれているわけでございます。こういう新しい産業の開発は、相当経験を積んでくれば、だいぶスピードを増してくるわけです。現在、発電のコストも世界的にだいぶ下がりつつありますので、十カ年計画の後半期には相当原子力開発が進むと思いますので、現在のところ、この基本的な長期計画を、その基調は変わっていないと思いますから、改善する意思は持っておらないのでございます。
  169. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) エネルギー対策、これはただいま原子力発電の点についてお話がございました。科学技術庁がただいま計画しております計画そのものを、さらに所得倍増計画等から考えて、いかにそれを合わせていくかということを通産省としては計画するわけでございますが、ただいまのところ、まだ経済的に十分採算ベースに乗るという見通しが立っておりません。しかし、最近の発達の状況はまことに目ざましいものがございますので、四十五年から後の十年——五十五年までの間、おそらく非常な進歩はあろう、相当のものを考えてしかるべきじゃないかというので、この四十五年以後——四十五年までを大体開発基礎的期間と申しますか、試験的期間と、かように考えますが、それ以後につきましては、本格的に取り組んでよろしいんじゃないだろうかということを考えております。しかし、このエネルギーの問題は、やはり総合的見地に立って考えて参らなければならないことは、私が御指摘するまでもないことであります。その点、私どもが特に留意しなければならないのは、国内資源の問題あるいは国外からの石油の導入、それらのものとの総合的対策のもとにおいて進めるべきものだろうと思います。今日までの原子力発電の状況等をみますると、ただいま申し上げますように、発電規模が小さいものでございますから、いわゆる総体に与える影響は、ただいまのところではそう重点を置いて考えるべき点はないだろう、かように思います。四十五年以後五十五年までのものにつきましても、総体といたしまして、水力、火力等の計画とあわして、ただいまその計画を立てているという実情であります。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣はよろしゅうございます。三木国務大臣に伺いますが、わが国の関連業界では安直にこれに取り組み過ぎて、基礎的な対策をおろそかにした。それで計画はずさんであり、再検討を必要とするのじゃないかと思うのですが、重ねてお伺いいたします。
  171. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) わが国の原子力研究開発は、相当なところまでいっている。おそらく、まあ米、英、ソ、あるいはフランスを除けば、やはり西独とか、カナダとか、わが国はその程度まできているわけであります。五年余りの間の原子力開発に対するわが国の今までの実績というものは、私は非常な目ざましいものがあると思います。日本の場合は、長い将来を考えてみると必ず原子力時代はくる。ただ、それが今は新鋭の火力発電なんかに比べますと、発電コストが高いですが、こういうものは、新規の産業というものは一歩々々というよりも、非常な、研究が進んでくると飛躍的な段階になる。そういう点で、これは世界も一応競争して研究いたしておりますし、そういう点で必ずや、一応初めのうちは予定計画よりもスロー・ダウンしていることは事実であります。しかし、今後十年、二十カ年計画というものを立てている、そういうことで、多少の時間的ズレがあっても、将来における原子力発電に対する、わが国のエネルギーとしての依存度というものは変わらない。長期計画の基調というものは、これはやはり大きな誤りはない。ただ時期的に多少のズレがあることは、新しい産業の開発でありますから、これは少し大目に見なければならぬけれども原子力開発に対する産業界の失望は私はない。ますますこれは将来原子力時代がくるという確信のもとで、採算は悪いですけれども、赤字ですけれども、非常な大きな希望を持って業界もやっていると信じております。
  172. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 経済企画庁長官が国際会議にいかれるそうですから、私これは工合が悪いけれども、先にちょっとやりますから。おられますか。——実は経済動向並びに物価政策で、あなたに伺うのを一つ重点にしておったのですが、二時からお出かけだそうですから、ごく二、三点お伺いして終わりたいと思うのですが。この三十五年度、三十六年度、三十七年度の経済演説を聞きますと、これは三十六年度のを読むとおかしくて——迫水さんおられますか——。とても読めるものじゃないですよ。しかも、三十七年度の経済演説と言われましたが、これがすでにもう至るところおかしくなっていると思うのですが、この点お気づきになりませんか。
  173. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 経済演説に当たりまして、私が何か若干慎重さがうかがわれているようだということを申した点を特に御指摘だと思いますが、去年、総合対策をやりまして、御承知のとおり九月に総合対策をやったわけでございますから、そのきき方というものは、四、五カ月はたたざるを得ないのでございますが、あの直前の勢いというのは非常な勢いでありまして、設備投資も四兆をこえやしないかというような勢いだった。そういう意味から言いますれば、落ちつきを取り戻してきたといっているのでございます。ただ、そのあとに申しておりますように、国際収支面でも若干の改善を見ているけれども、なお楽観は許さないのだということを申しているのでございまして、私としては特別に現状に即さないことを申したつもりではございません。
  174. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 三十六年度のはもうお話にならないんですがね、一年経過しているから。しかし、三十七年度の予算案を今審議しているんだが、この中でも、「卸売物価や生産もこれに伴って漸落ないし停滞を続けることが予想される。」とか、「三十六年度から実質五・四%程度の成長となると見込まれる。」とか、それから「総合収支において年度間約一億ドルの赤字にとどまり、国際収支は三十七年度下期中に均衡を達成しうるものと思われる。」、こういう点ですね、すでに私は情勢が変わってきておると思うんですね。したがってこの経済演説——この計画を若干修正するなり、今後の運用に格段の配慮をする必要があると、私はこういうふうに判断しているんですけれども、いかがですか。
  175. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 傾向から申しますと、総合対策をやりました後、十月以降、先ほども申しましたように、若干ずつよくなって参ってきておりまして、まあ落ちつきを取り戻したということが言えると思いまして、そういうことを言ったわけでございます。しかしながら、落ちつきを取り戻したということは、著しく改善したということを申したわけではございません。しかし、その後の趨勢から申しますと、輸出入信用状の関係におきましても、あるいは生産等の関係におきましても、傾向としてはそう悪い傾向が出てはおらないと思います。ただ一月の状況を見ますると、季節の変動による修正値にかかわらず三八%上がったということは、実は私どもも遺憾に思っておるわけなんでございます。また、物価につきましても、これは昨年の十二月は前年に比べまして約一〇%近く上がったのでございまして、これは私は異常な高騰だと思います。したがって今後これらの点についても十分な対策をとって参らなければならぬのでございまして、御承知のように、今回予算にあたりまして私が見通しを作りましたものは、例年の、いわゆるこうあるべき姿がそのままあるんだというのでなくして、努力目標ということをたびたび申しておるのでございますが、経済を十一月ぐらいまでに安定させるためには、目標を立てまして、その努力目標に沿って政策を合わして参らなければ、とうてい改善は見られないという意味から申して、そう申したのでございます。したがって、今日以後の状況に応じまして、特にこういうものについて、昨日も申したと思いますが、検算等をしていく必要がありまして、それによって、やはり今後の政策を、今までの政策を何かゆるめられたような感じがあれば、それはむろん今までの政策をしっかり締めて参らなければなりませんし、状況によっては新しい政策も考えていかなければならぬ場合が起こるかと思います。そういう意味において、十分な検算をしながら、この努力目標の達成に向かって進んでいかなければならないと、こういうふうに私は考えておるのでございます。
  176. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的にもうちょっと伺います。原料ですね、これは今の情勢ではおそくとも五、六月ごろには食いつぶすと判断するのが正しいんじゃないですか。
  177. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 原料在庫の数字につきましては、的確なものが実はつかめておらないのでございますが、大体の予想から申しまして、約二億前後の原料在庫があったんではないか、そしてそれをどの程度に食いつぶしていくかということでございます。したがって、これは今後の生産の状況いかんにもよることでございまして、一応私どもとしては、まあ五、六月ごろまでは食いつなぎできるのではないかというふうに見ておるのでございますが、一月のように、生産が——季節修正値を用いまして、またその他いろいろな原因はございますけれども、高くなるとあるいはもっと早くならざるを得ないんじゃないかというふうにも心配をいたすのでございまして、今後の二、三月の生産状況その他を見た上でないと的確なことは申し上げられないのでございますが、そういうものを見ながら、われわれとしては今後の政策の上にいろいろな考え方を現わしていかなければならぬのだと、こう存じておるのでございます。
  178. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の日本の経済にとっては物価問題が一番重要でありますが、あなたが非常に御配慮されている点、私敬意を表していますがね。しかし、どうですか、三十七年度の年間消費者物価の値上がりですね。これを三十六年比二・八%のアップで押えるということは、もうできないという見通しが立ったのじゃないですか。また三十七年上期、経常収支が二億ドルの赤字でいけるという演説をやっているわけですが、これももうやれないのじゃないですか。どういう判断をされていますか。
  179. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物価の問題につきましては、二・八%上がらざるを得ないような見通しを立てたのは、私自身も残念なんですけれども、しかしそれまではどんなに努力目標をおいても立てざるを得ないのじゃないか。したがって、それ以内にできるだけおさめるようにしていきたい。それには強力な物価対策というものが私は必要であろうということで、先般来、企画庁が中心になりまして、物価の総合対策を実はまとめておるわけでございます。おそらく近くこれを閣議の了解を得まして発表いたしまして、そして各省に、それぞれ民間各方面の指導と処置とをお願いするようにいたして参りたい。で、先般の間接税の引き下げ等、大蔵大臣が御尽力をいただいておりますのも、その時期が四月一日からでございますから、早目にこれだけはしなきゃならぬので、その一環の中の前触れとしていたしたようなことでございます。
  180. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二問。公共料金の問題ですがね。昨年非常な物価高を招いた大きな原因は、去年の三月、公共料金を引き上げを認め、あとに特例を認めた、これがいけなかったと思うのですよ。ところが、今度また私鉄について特例を認めようとしている。これは重大だと思うのですね。だからそういう措置でない形で何か善処しなくちゃならぬと思うのですが、どういうお考えでおられますか。
  181. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公共料金の問題は、特に輸送関係の問題は、非常にむずかしい問題だと私は思います。今日のような急速な経済の成長が行なわれた場合における一つのひずみとして、輸送関係の設備の増強その他が非常におくれておる。これは港湾を初め、道路その他皆そうなっておるのでございます。で、そういう意味におきまして、これをある程度是正していくためには、政府におきましても社会投資について十分な配慮をいたしていかなければならぬのであります。したがいまして、私鉄等におきましても、そういう点について十分留意をしてもらいませんと、将来に大きな禍根を残すことになろうと思います。でありますから、単なる赤字の経営ということでなしに、将来そういう問題について改善を加えるべきような施設について使うべき資金その他に対する準備をいたすためには、やむを得ない場合があり得るのでございまして、そういう意味において私どもは考慮して、そして成長の激しかった、この中におけるひずみを若干直すのが適当ではないか、こう考えております。
  182. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に総理並びに経企庁長官に伺いますが、この私鉄十四社の問題と、それから東北電力は値上げをまだ申請しているようですね。これは開発銀行から云々ということもあるけれども、これはまあいろいろ問題があると思うのですけれども、しかし、特例として設けたら、今のこの消費者物価の上昇傾向というものは食いとめ得ないと思うのです。それは今年度の総合収支じり一億ドルなんかでおさまりゃしませんよ。これは外貨危機が必ず生じてくると思う。ここの操作を誤ったら重大で、一つの関頭に立たされていると思うのですね。総理並びに経済企画庁長官の、御所見と、いかなる対策を持たれるか承って、国際会議ですから、経済企画庁長官はけっこうです。
  183. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この東北電力の問題につきましては、まだ通産大臣に伺いましても、通産省にも申請がございませんし、したがいまして、今日そういうような傾向にあるというようなうわさは聞いておりますけれども、現実の問題としてはまだ出ておりません。物価問題が重要でありますことは、これは当然でございますし、物価問題の一つの大きな骨が公共料金にあることは申すまでもないことでございまして、これは政府が介入し得る問題でございますから、したがって、政府としてもこれらの抑制に対しては十分な配慮をして参らなければならないのでございます。ただ、今申し上げましたような非常な高度の成長をしております場合の一つのひずみとして、それを直さなければ将来に影響を及ぼす場合がございますので、そういうものは特例としてある程度認めざるを得ないというようなことで、あの特例が設けられた。これは私どもは安易に解釈して安易に使おうとは考えておらぬのでございます。
  184. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 藤山企画庁長官からお答えいたしたとおりで、私も、物価問題は中心一つとして重要な問題でございますので、十分検討いたしたいと思います。
  185. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連。長官は行かれるようですから、総理に伺いたい。  さっき長官は、情勢の変化によってこの見通し等についてもまた再検討しなければならぬと、こう言われたのですが、しかし、情勢は変わっていると思います。今の物価の見通しについても、二・八%ではとどまらない、こういう見通しになっているわけです。  それから、もう一つ、前に私質問いたしましたが、鉱工業生産も、これは予想よりも非常に上回っておりますね。一月は三〇四ぐらいになっておる。三〇四です。ところが、政府の想定は、一−三月平均が二八七ですから、一七ポイント違っておる。三カ月ですから三で割りますと、六ポイント違っております。一カ月に六ポイント違っておりますと、今後政府の予想どおりに下がるとしても、この前質問したように非常にそこにずれがあるのです。ですから、鉱工業生産、物価の見通しについては、重大な変化が生じてしまっておると思います。これについて総理は、今までどおりの見通しでは私はいけないと思います。その見通し基礎にした今の予算の編成の仕方では、これは国際収支の赤字は一億ドルでは済まない。また、総理が言うように、本年の秋に国際収支の均衡をとるというのは、すでに困難な情勢になっておると私は判断しております。総理はどういうふうにお考えですか。
  186. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一月の生産はお話のとおりに三〇三くらいで、四ほどふえておることは事実でございます。しかし、たびたび各大臣が答えておりますように、季節調整ということにつきましてもっと検討しなければならない点があるのであります。ただ、言えることは、予想した鉱工業生産がダウンするというダウンが、十二月はある程度下がりましたが、一月が相当予想に反したということで、今後の二−三月の見通しにつきまして十分私は関心を持って見ておるのであります。今そういう一月の生産の増強だけで、すぐ政策をどうこうということはないと思います。今後の推移を検討しなければならない。物価の問題も、減税がどの程度響くかということを見なければなりません。  そこで、問題になりました輸入原材料の在庫率の問題、これはわれわれの予想したよりも実は在庫率は上になっておると思います。こういう点を考えまして、今後財界、経済界の推移によりまして、常に検討を加えていくということは当然でございます。しかし、まだここで変えなければならぬという結論は早いと考えております。
  187. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連ですから、簡単にやります。  私は総理に伺いたいのは、一月が予定よりも上回ったが、一月だけで判断しては間違いだと、こう言われておるのですが、私は、今後ダウンするにしましても、一月が予想より非常に上になっていますから、今後調整するにしても、ダウンさせるあれが非常に程度が大きくなるのではないか。予想どおりに五・五%にするためには、今後かなり引き締めを強くやらなければ、政府の予想どおりにならぬということなんです。もうすでに一月でうんとそれが来ちゃっておりますから、ですから、そこが問題でありまして、今後の推移を見るといいましても、今後予定より一そうダウンさせなければ五・五%にならない。だから、非常な予想よりは引き締め政策——デフレ政策と言うていいかどうかわかりませんけれども、とにかく非常な引き締め政策をとらなければ平均五・五%にならない、ここに問題があるのじゃないかということを御質問しているのです。
  188. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 問題がありますから、今後も十分この傾向を注目していくということでございます。で、いろいろな、予想よりも少しずれる点がございます。私は、アメリカへの輸出は予想よりも案外多くなる。先月は、前年に比べまして一八%くらいふえているのじゃございませんか。こういう点もあります。それから、先ほど申し上げましたように、輸入原材料の在庫率というものが私の予想よりもふえております。したがいまして、今質問になりました在庫の食いつぶしという点につきましても、昨年の十月、十一月ごろ考えたよりも、在庫率は多くなってきておるのであります。万般のことを考えながら、これを十分推移を注意しながら処していくべきものである、こう考えておるのであります。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問を開始しまして、先ほどの続きですが、これは外貨並びに貿易の自由化と関係があるので、わが国にとっては重要な問題でありますが、最近におけるわが国の技術導入等の状況は、過当競合的な面があるのではないか。その実情と、技術導入に伴う代償は、どの程度ドルを支払っているか。国産技術の振興開発に対する施策、努力を画期的に推進する必要があると思いますが、総理、通産、科学技術、各大臣の御所見を求めます、
  190. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外国の科学技術の導入が、お話のとおり相当盛んでございます。で、いろいろ関係各省で審査しておりまするが、あなたの言われるように、競合する場合もなきにしもありません。したがいまして、よほど慎重にやっていると思います。  技術に対する支払いは年々ふえて参りまして、これは正確の数字ではございませんが、一億近いものになっております。六、七千万ドルじゃないかと思います。これはまあ、あと関係大臣に……。しかし、外国の技術を導入することによって、これはまた輸出になることも、ナイロンのごときはもうりっぱな例でございます。そうしてまた、日本全体の技術水準の向上にも役立っております。だから、私は、復興途上のあれとしては、ある程度やむを得ぬ。しかし、安易な気持でこれにたよるということも、これは考えなければならぬ問題だと思っております。
  191. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 技術導入は、最近非常にふえております。貿易自由化の促進等から、技術の前進といいますか、進歩……。それを件数でいいますと、昭和三十年度は年に大体百件前後、それから三十五年度は三百二十七件、三十六年度は十二月末までですが二百六十三件、こういうように大幅にふえております。それはただいま申し上げるように、経済規模並びに自由化に備えるということであります。  で、そういう場合に競合するのではないかということでございますが、そういう点を競合しない行政指導をしておるわけであります。それから、代価の支払いも、ただいま申し上げるように、件数が非常にふえておりますから、漸次ふえて参っております。そこで、三十五年度は八千三百四十七万ドル、三十六年度は、九月までの半年間で四千六百六十万ドル程度に達しております。これはどういうわけでそんなにふえるかというと、これは技術導入の単価ばかりが高くなったというものでもございません。単価も、それぞれの技術で早目に買えば高いし、また相当年限がたっておれば安くなるものであります。同時に、ただいま申し上げるように、ふえておりますのは、生産がふえて参るとロイアルティの支払いの根拠になるわけでございまして、生産数量で支払いもふえるというようなことになるわけであります。それから、ただいま申し上げるようなことが全部支払いになるかと、かように申しますと、一面製品として入ってくるのを防ぐ、あるいは技術導入をした結果わが国の輸出は伸びておる、こういうようなことがあるわけでありまして、私どもは、今日までのところでは、対価以上の輸出というか、そういうものが出ているのじゃないか。これは数字はなかなかつかみにくいと思いますが、たとえばナイロン関係では対価の支払いとして五百十四万五千ドル、輸出としては六千二百七十六万ドル、こういうように、非常に技術を導入した結果輸出が伸びたと、かように考えられるもの、これはナイロンばかりじゃなく、タイヤであるとかあるいはその他にも一、二あると、かように考えます。
  192. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国産技術開発の点についてお答え願いたいと思います。
  193. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今、通産大臣から数字にお触れになったようですけれども、とにかくまあ海外の技術の依存度が非常に高い。これは役割を果たしておりますけれども、しかしずっとこういう状態が続くことは好ましくない。できるだけ国産技術開発に力を入れなければならぬ。新技術開発事業団のようなものを作りまして、政府のほうとしてもこれに対しては力を入れておりますが、民間にもそういう気風が、何でも海外から技術を導入してやるのだという、そういうこのイージー・ゴーイングな考え方は切りかえなければならぬ。そういうことで、民間がみずから技術を開拓しようという気風を助長するために、税制等においても改革を加えておりますが、まだ努力が足りない。今後もそういう点で民間のそういう意欲を助長するような政策をとって、国産技術開発にもう少し一段と力を入れなければならぬと考えておる次第でございます。
  194. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昔から日本人が持っておった舶来品思想、そういうものがあって、日本の業界は、総理が言われたように、非常に安易に取り入れている、ここに私は問題があると思う。  そこで、続けて伺いますがね、技術研究上で外国へ出向されるいわゆる日本の頭脳の流出状況と、その原因、対策を承りたい。大規模な研究体制を整えるとともに、各省庁にまたがるものを合理的に再編成することを検討する余地はないのかどうか。科学文部、行管、各大臣にそれぞれ答弁をお願いします。
  195. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今日まあ日本科学者で海外に行く人の数は、全体では大きくないにしても、あるわけであります。これはやはり日本研究の環境を改善したり、あるいは待遇の問題等も関連があろうと思います。そういう点で、われわれとしても、そういう科学技術者を優遇したいということで、いろいろ方法はとっておりますけれども、十分ではありません。今後一段とやはりこれは力を入れなければならぬ問題の一つだと思っております。
  196. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在何人ぐらい出ていますか。
  197. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今出ておりますのは科学技術庁科学技術振興費による海外派遣、昭和三十六年度百三十一……。
  198. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いやいや、それでなくてね、日本に飽き足らずに外国に出て行っちゃった人。
  199. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは文部大臣からお答えしたほうが適当だと思いますから、これは大学の……。日本から派遣しておりますのは、今言った科学技術庁関係の振興費では百三十一名、三十六年度。これはまあ海外に派遣しておるわけであります。
  200. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  日本科学技術者でもって海外に流出した。スカウトされたという者の調査は、実は十分なものはございません。ただ、国立大学だけにつきまして克明に調査したものだけがございます。これは昭和三十五年までの十年間の流出者という調査でございますが、数が五十四名でございます。もちろん、出張その他でもって、現に外国に行っておる者は百五十名くらいございますが、これは明らかに行った切りじゃなしに、目的をもって出張させられておるやつですから、それに入らないと思いますが、今申し上げたように、五十四名見当でございます。私学関係あるいは民間等の科学技術者がどうなっておるかは、ちょっと調査困難でございまして、把握したものはただいまございません。  そこで、その原因はいろいろございましょうけれども、まあ一般的にいわれておりますことは、どうも日本研究施設設備が不十分だから、学徒としての研究意欲を満たすに足りない、それに飽き足りないから、たとえばアメリカに行けば研究施設設備も十分でありまするので、それに魅力を感じて出かけるのだとよくいわれますが、おそらくそういう点に一つの原因はあろうかと思います。それからなお、まあ大学の施設だけをとって申し上げれば、まあ相当金のかかる研究施設設備が今後だんだんと必要になってくると思うわけでありますが、国の財政におのずから限度がある事情から、なるべく共同利用をはかるということも必要かと思います。その意味では、すでに御案内のごとく、たとえば原子力研究所は科学技術庁の付属機関としてございますが、これも学問的にも利用さしてもらう制度であり、現に利用いたしております。京都大学に現年度原子力研究施設を整備し始めましたが、これも各大学が共同利用するという建前をとっております。名古屋大学のプラズマ研究所もまたしかりでございます。三十七年度の今御審議願っております予算にも、たとえば東大に付置いたします海洋研究所等がございますが、これまた建前は各大学の共同利用を初めから制度として考えた施設でございまして、今後につきましても、極力共同利用的な施設に思い切った金を注ぎ込んで学徒の研究意欲を満たし得るような方法をとらねばなるまい、かように考えております。
  201. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 研究所、試験所等が各省庁に置かれておりますが、これを総合的試験所、研究所にしようという構想で、行政機構改革の一つの大きな題目として取り上げておるわけであります。
  202. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理に伺いますが、ずいぶんまとまったものがあるのですよ。ともかく優秀な、二十代、三十代の優秀な学者がいるのですね、日本に。そこで、文部大臣から答弁があったように、流れ出るわけですね。日本の頭脳の流出と言っていますがね。幾つか理由がある。そのうち一番問題は、二十代の優秀な学者にポストがない。だから、私はポストを作って与えさえずれば二十代の優秀な学者は日本にとどまるわけですよ。で、総理大蔵大臣に伺いたいのですがね、国の研究投資は、先進国のそれに比して少額であります。わが国こそ予算の性格を変えさせるほど投資してしかるべきだと考えるのですが、総理並びに大蔵大臣の御所見を承ります。
  203. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日本の学問で、物理学、基礎科学方面の頭は非常に進んでいるということを昔から聞いております。そうしてお話のように、日本の優秀な学生あるいは若い技術者が向こうに招聘されていることも聞いております。あたかも官庁より民間のほうへ優秀な人が行くと同じような状況が国際的にも現われているということは私も知っております。これにつきまして、いろいろわれわれとしても考えなきゃならぬ。で、今年の予算におきましても、大学技術研究施設関係につきましては、相当私は例年よりもたくさん出したつもりでおります。また、技術者についての問題も、従来に比べて、私はよほど力を入れておる、まだ十分ではございません。で、科学技術研究に対しての予算の使い方は、表面的には日本も相当出ておるのであります、割合から申しますと。ただ、科学技術の最も基本的な問題は、外国は主として軍事費から出ておるものですから、予算の面では日本が非常に多いようですけれども、実際の面としては、まだ外国に比べて遜色があることはいなめません。したがいまして、国の予算もさることながら、民間自体が科学技術に対してもっと力を入れていただくように、私は、税制におきましても措置したはずでございます。今後これの発展につきましては、十分力を入れていきたいと思っております。
  204. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 国の予算については、今、総理お答え申し上げたとおりであると思います。問題は、外国に比べて少ないのは、民間の研究投資、これが非常に少ないのが現状でございましたので、御承知のような税制の優遇措置とか、いろいろやりましたために、この十カ年計画で予想した昨年度あたりの大体投資と比べましたら、格段にこの一、二年民間投資が伸びておるという実情でございます。
  205. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 近年伸びていることは認められるのですけれども、スケールが小さいということですよ。世界事情に沿わない。先進国は、大体総所得の三%くらい組んでいるところがありますからね。それで、伸びているけれども、スケールは小さいということですね。  で、次に進みますが、それはわが国の文化、学術の水準を引き上げるために、また、研究者、技術者を質、量的に確保するために、現在の大学院制度の充実、再検討を要しないか。短期大学を含む大学制度をあわせ、所見を、総理文部科学技術大臣にお伺いします。
  206. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 技術の発達のために、大学制度につきまして検討を加えるということは、この方面ばかりでなしに、大学の目的とか、管理、運営等につきまして検討すべき点が多々あると考えておりました。したがいまして、中央教育審議会におきまして、こういう問題について検討されておると思っております。
  207. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。大体総理からお答え申し上げたことで一応尽きると思います。
  208. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大学制度はどうします。
  209. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 大学制度につきましては、終戦以来、制度改革以後、いわば一指も染めないままに今日来ておることは矢嶋さんも御案内のとおりであります。そこで、一昨年中教審に諮問されまして、大学制度全般についての諮問が出されまして、昨年の夏、一応中間報告が、目的、性格という課題についてのみ出されたことも御案内のごとくであります。今後組織、編成なりあるいは管理、運営等につきまして、今盛んに検討されておりますが、最終的な、総合的な中教審のほうは全部の検討が終わった後に出されるお見込みのようでございまして、中教審待ちと申し上げたほうが一番手っとり早いかと思います。文部省みずからして中教審の答申を待たないで、かれこれと説を立てることもいかがかと思っておるのでございまして、最初申し上げましたような意味において、御指摘の大学院のあり方、これも中間報告は修士課程だけを置く、大学院も考えたらどうか、あるいは修士課程、博士課程積み重ねにしたらどうだという考え方もあるということだけは出ておりますけれども、全般的にどうするかという意見がまだ出そろっておりませんので、今申し上げましたとおり、中教審の答申を待って、十分検討いたしまして具体的な措置を講ぜねばならないだろう、かように考えておるわけであります。
  210. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大学院の博士課程、修士課程、研究員の養成、あるいは職業人の養成という、一つの建前としてはこういうことだと思いますけれども、しかし、内容についてはいろいろ改革の余地があると思います。そういう点で、審議会の適当な答申が出ることを期待するものでございます。
  211. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、勉強が足りないと思うのですがね、失礼ながら。日本の頭脳は流出するわ、技術の導入をやってドルを支払うわ、そして博士課程は全国で八千百三十人しかいないのですよ、八千百四十三人。その量も少ないでしょう。さらに定員の充足率は、工学系統、法学系統は二〇%程度しか充足できないのですよ。博士課程全部で充足率は五八・七%、定員の半分しかない。工学、法学に至っては二〇%しか充足できない。全国で八千百四十三人しかない。これで一体科学者、研究者を養成できるのですか。それで伸びた頭脳は流出し、技術は外国から安易に入れてドルを払う、こういう政策というのはあるのですか。これは学力テストよりもっと重要な問題で、先行しなくちゃいけない。総理の御見解を承ります。
  212. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう現状でございますから、今後これを促進していきたい、こういうのであります。
  213. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣お答えいただきます。
  214. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。大学院なり大学のあり方につきましては、先刻申し上げたとおりに考えております。もちろん行政管理庁からも、数年前に報告を受けたこともございまして、その勧告の線に沿いながら、また、文部省独自の考えも織り込みまして、微力ながら、少しずつは努力はいたしております。一々申し上げるのは時間の関係からいかがかと思いますから説明を省略させていただきますが、たとえば教官等の待遇の改善ないしは研究費、学生経費等の増額、あるいは研究施設設備の整備等、従来に比して相当予算の増額を要求して御審議を願っておるような次第であります。
  215. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 高校急増対策について伺いますが、文部大臣は、国会で、高校急増対策につきましては負けました、撃破されましたという速記録を残しておりますが、それはあなたを負かした人はだれですか、お答え願います。
  216. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。負けた勝ったという表現はどうも適切じゃございませんでした。政府内部のことをつい申し上げたきらいは免かれないので……。
  217. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だれか負かした人がいるのでしょう。だれですか。
  218. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 予算要求をいたしましたが、要求どおりには参りませんことを遺憾に存じてはおります。しかしながら、この対策は、一応起債及び交付税でもって措置いたしておりますから、都道府県の高校急増に対します熱意を実現してもらいます限りは、一応心配はないと考えております。
  219. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、まあ数字は分科会であらためてやりますが、総理に伺いましょう。いわゆる高校急増対策に対する国の措置が不十分のため、特に弱体な地方団体は困惑し、該当生徒並びに父兄は非常に心配しております。三十六年度並みの入学率約六五%程度確保すべきであり、一部国庫補助と、残る所要経費は起債を認め、元利償還をみてやるべきであると思います。それが戦争をやったお互いにおとなが終戦子へのせめてもの償いというべきだと思います。総理並びに文部大臣、自治大臣の御所見を求めます。
  220. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 高校対策につきましては、先ほど文部大臣が答えたとおりでございまして、起債あるいは交付税のひもつき等で一応三十七年度の計画を立てて、そして三十八年、九年、四十年に対処いたしております。今のところは、私も地方長官の陳情を受けておりますが、大体文部大臣考えでは、やっていけるという答えでございます。そこで、この状況を見まして、今後ぜひ必要ならば起債その他で対策を講じなければならないと考えております。今のところは、文部大臣の答えたとおりであります。
  221. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣、おかしな数字を総理に教えておるのじゃないですか。あなた政治的生命をかけるといつか私に答弁しましたね。
  222. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 高校急増対策としての抽象的な事柄はさっき申し上げたとおりでありますが、起債は、特別ワク五十億円、交付税九十一億円、そのほかに、御承知の産振関係の補助金十三億円、百五十四億円という数字を御説明申し上げたこともございますが、そのほかに、高校を新設しますために用地が要ります。それを約百八十万坪と想定いたしまして、これに対しておよそ四十億円ぐらいの起債のワクが必要かと思いますが、その起債のワクは、五十億の特別ワクと同じ形では措置されていないことは残念でありますけれども、二千四百億円に上ります一般起債ワクの中で善処してもらうということになっております。このことは、少し申し添えさせていただきますれば、起債にいたしましても交付税にいたしましても、本来自治省の立場におきましては、特に教育的立場に立って起債を認可し、もしくは交付税を配分する等のことは、本来ならば当然のことではないと思います。その点に都道府県等も、ある程度の懸念を持っていたことは事実だと思いますが、今度は従来の例でなしに、この高校急増に関する限りは、三十八、九、四十年の三年間、四十年をピークとします百二十三万人と称せられる生徒増に対します急増対策の事業量全体を自治省みずからが把握しておりまして、それを年次計画によりまして、三十七年度は今申し上げたような対策を講じる、したがって、起債認可そのものも、急増対策のためにはこれだけのものが要るんだという立場に立って認可してもらう、交付税またしかり。また、用地につきましても、特に今申し上げましたような考慮をしてもらうという政府部内の関係省とは完全に意見が一致して臨んでおりますから、この点は必ずしも都道府県知事の側で懸念されるほどのことはなかろう、一応急増対策として、三十七年度に関します限りはこれでやっていけると、こう申し上げたゆえんでございます。
  223. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 自治大臣に対する矢嶋君の御質疑は、大臣が出席をしました際に答弁を求めたいと存じます。
  224. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連して。交付税は三十七年度には〇・一%しかふえないでしょう。この交付税は〇・一%の分を除けば、当然これは地方団体が受ける権利のあるもので、これを急増対策のための資金源と見るわけにはいかないわけです。起債でまかなうといいますけれども、大蔵省は、償還額が予算の一四%をこえるものは、これは危険だとして起債をとめておった。もしこのワクをゆるめれば、昭和二十八、九年のように、地方団体の赤字はまた再現するわけだ。許されるからといって、また赤字で再建団体になることは忍びませんから、地方団体は、許される起債でも受けられない状態にあるのですよ。特に後段で御指摘になりました敷地の問題は、ほとんど七〇%が寄付金によってまかなわれておる。したがいまして、何とか起債でまかなうためには、敷地だけでも起債でまかなわないという方法を府県なり市町村なり、地方団体はとらざるを得ない。大きな問題でありましたのは、国が高校急増対策には一つも金を出しておらないということです。あまりに高等学校の今までの施設その他の設備費に父兄の負担が多いということだった。前のほうは何ら解決されない。それがさらにあとに響きを与えて、父兄の負担はさらに増大する、これは火を見るよりも明らかであります。文部省自体がこれは指摘しておった。これは何も解決されておらない。交付税の算定基礎に高等学校の急増対策というものを入れるならば、それだけ道路、橋梁その他公衆衛生の単位費用というものが今度は食い取られてくる、こういう形になる。地方団体のプラスには一つもなっておらない。こういう点は文部大臣が一番よく知っているはずだ。この主張を貫けなかった理由があなたが負けたということでしょう。負けた理由を、負けなければならなかったわけをもう少し明確に答えて下さい。地方団体は納得できませんよ、そういうことでは。
  225. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。急増対策に対します国の立場からの具体的な考え方は、私の当初考えておりましたように、三分の一程度の国の補助金を出すということも一つ考え方、また、矢嶋さんが御指摘になりましたように、必要の資金に対し元利償還のことを国の立場で考えるということも一つ考え方、さらに、また、先刻来申し上げましたように、交付税及び起債、これを地方財政計画上、ぴちっと年次計画に従って配分するということを国の立場において決定して、そして高校急増対策に必要な資金を供給するという考え方一つ考え方、私だけの立場から申せば、第一案しかるべしと思ったわけですけれども、そのことは予算全体の折衝上の結論としまして、適当でないということになったわけであります。しかしながら、先刻来申し上げますように、資金の給源としてはつじつまが合っておる。高校というものは、本来都道府県知事が整備すべき責任を負っておる。制度上こうなっておる制度の改革までもさかのぼって——立法論としては別問題としてございましょうけれども、制度論に立脚し、かつまた、地方財政計画、ないしはその内容であるところの起債計画、あるいは交付税の配分等、そういうことが政府の責任において配慮されております限りは、一応やれるということは言えると思います。  以上お答え申し上げます。
  226. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、文部大臣の方法をもし地方がそのまま実現すれば、当然これは償還額が今までの警戒線として大蔵省が指摘しておった一四%以上をこえるわけです。こうなっても起債を許すのか。許した場合は地方は赤字に悩むわけですけれども、この償還方法は、そういう貧弱団体については特に考えてくれるのか、これが一つ。  もう一つは、〇・一%のワクをふやしただけでは、ほかの単位費用だって、交付税の単位費用が上がるわけですから、学校の単位費用だけに傾けるわけには参りません。そういう場合に、三十八年度以降交付税の率を上げるというお考えがあるのか。この二点。
  227. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 現行法の上で、国の責任と地方公共団体の責任というものは今はっきり分かれております。地方団体が責任を持って行政を遂行するためには、本来は地方に独立財源を許して、それでまかなわせるということが本筋だろうと思います。ところが、今の財源返済のときにおいて、地方の団体に全部独立財源でまかなわせるということは、これはもう実際においてできないことでございますので、そのために一応国が税金をとって、それを地方に必要に応じて配分するという交付税制度ができておりますし、さらにそれではいけないものについては国が補助金を出して、地方の経費の不足を助ける。それから国が別個の負担金をもって、これの推進を手伝うというような形でやっておりますので、補助金、負担金においては、すでに六千二百億円を今年度は地方に私どもは出すことになっておりますし、交付税も四千五百億円以上を交付する。この三つで、地方財政をどう円滑に遂行していくかという地方財政計画が立てられていることは御承知のとおりだと思います。  したがって高校問題も、この設置責任は地方でございます。第一に地方がこの責任を果たすべきですが、もしこれが財政的に不可能であるとすれば、これに対して国が何らかの措置をとらなきゃいかぬ、これは当然でございますが、そうなってきますと、地方財政の実情ということで、すべてがきまるわけでございまして地方財政は、いろいろの陳情が国会に行なわれていることは事実で、私どももずいぶん地方長官とやり合っておりますが、地方財政の現状見ましたら、この高校急増対策ができぬ今の地方財政ではございません。このような財政事情として、交付税を必要に応じて配分するという形でりっぱに地方財政は対処できるというのが私どもの見方でございますので、問題は計画がいいか悪いかですが、この計画については、三者が集まって、この急増対策について三十七年度、前向きにこれだけやっておけば、三十八年度、九年度、四十年度のピークに対処できるという計算に基づいて現在やっておりますので、この文部省の計算どおりに財政的な措置ができれば、急増対策はできるということでございますが、そういう見当の上に立って、九十一億円のひもつきの交付金を措置すること。それから五十億円の負債、それから土地については、別個起債を見るということによって、三十七年度の措置は完全にできるというのが、今関係三省間で一致した意見でございますので、これはできるはずでございます。  ただ、地方はこの際、何とかそれ以外にほしいという陳情がございますが、地方財政の現状から見て、りっぱにできる実情だと私どもは思っておりますので、これがために特別に措置しなくって、本来のおのおのの任務に従ってやればできるんだということでございますから、(「できない団体はどうしますか。」と呼ぶ者あり)できないことはないというのが私どもの計算で、これは私どもは責任を持ちたいと思います。
  228. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昭和三十六年度は入学率約六六%、三十七年度の傾向が六〇%にダウンしている。それでも市議会の積算では二百六億足りないと言っている。弱小団体は特に困っている。だから、これから入学する子供は恨んでいますよ。ことに、工業学校はかなり多いが、女子の学校は少ないから、女子生徒にしわ寄せになって、かわいい女生徒は、池田のおじさんはひどいことをすると言っていますよ。総理としては、何ですか、本年度は一応そうするが、これは様子を見て、三十八年、三十九年度には、さらに検討すると、こういうことなんでございますか。
  229. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大蔵大臣文部大臣、自治大臣の自信のほどは私は知っております。そうしてまた、今の状況から申しまして、最近地方財政は相当、以前よりはよくなってきておる。そうしてまた、昭和三十六年度の租税収入の状況から申しまして、私は相当多額の交付税が、また三十八年度にも出ることになるのでございます。したがいまして、今の計画でやっていってできないときには、それに対しての対策を講ずることは、これは政治の本道でございます。それはやはり政府としてはとらなきゃいかぬ。  ただ、私が申し上げたいのは、普通の高等学校は、大蔵大臣の言うように、地方財政でまかなう制度になっておりますから、この制度によって進んでいくことが妥当である。あるいは危険校舎につきまして、三分の一を高等学校にやったこと、危険校舎の場合は、これは別でございまして、制度としては、あくまで今までの制度を、私は堅持していくことが政治の本道だと思っております。
  230. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、終戦っ子百二十三万人のうち、四十三万人は、私立の高等学校にお願いすることになっておりますね。私立学校に対して、どういう御めんどうを見られるのですか。
  231. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。再建法に基づきます補助金約二億円見当、私学振興会からの貸付金が十六億見当、さらに地方財政計画で約二十億円を措置いたしまして、それによって、私学に関する急増対策としては一応十分だと、こう考えております。
  232. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理に伺いますが、自治省の都道府県に対する通達は、市町村に対し、建物とか土地などの寄付をさせてはならない、こういうふうに言っておる。ところが文部省は、土地や建物を市町村が都道府県に対して寄付するように指導している。どちらがほんとなんですか。
  233. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 自治省から、そういう通達を出しておることは存じております。文部省、文部大臣がどういうことを言っておるのか、私には今……。
  234. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣お答え願います。
  235. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。文部省は、地方自治体に対しまして、土地その他を寄付してくれという指導はいたしておりません。
  236. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治省の通達が正しいということはわかりました。  それでは、時間がないから私学の問題について伺います。わが国大学生の数は約六十五万人、うち約四十三万人は私立大学生であります。また、終戦っ子急増、百二十三万人中、約四十三万人は私立高校へ収容していただく政府の計画であります。国は私学に対して、約三十二億円の補助をしているにすぎません。従来の私学に対する考え方を改め、画期的助成を今後することによって、私学の健全なる発展と、私学生の教育費負担の軽減をはかるべきであると存じますが、総理の私学に対する考え方と、助成方針について御所見を承ります。
  237. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 従来も、十年ぐらい前からだったと思いますが、私学振興資金を大体五十億円という目標で以前出したのでございます。その後も、これを続けて参っております。そうしてまた、今年度におきましても、私学の設備補助金とか、あるいは学生等の何というのですか、境遇をよくする補助、あるいは研究費等で、相当の補助をいたしております。また、私学振興資金に対しましても、増額をいたしておるのでございます。  今の実情から申しまして、官立ばかりでなしに、もっと私学にも補助金を出せというお気持はわれわれ十分わかります。理解できるのであります。それで、こういう方針で、今年もその金額をふやしたのでございます。
  238. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干誠意は認めますが、それで片づかない問題があるのですよ。私はつぶさに調査してみましたが、本年、某私立大学に入学する学生は、入学案内によってだけでも、私学は約五十一万円を準備しなければ入れません。同じ年代の学生の学費について、国、公、私立間に大きな差があるごとは、教育の機会均等からも粛正されなければならないと考えますが、総理、大蔵、文部、各大臣の御所見を承ります。
  239. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 教育機会の均霑ということは、施政方針にも述べておるのでございます。私は、その方向で進んで行っております。
  240. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは公立と私学の建前で、最近になって、私学が国の補助、助成ということを求める傾向が強くなりましたが、それまでは、やはり公立でないというところに特徴を持っておりまして、一般民間の浄財による経営ということで、むしろ政府とか、地方団体の、そういう補助による干渉とか、いろいろな監督とかいうものの強化というものを排除するという傾向にあったことは事実でございます。  したがって、この学校経営の内容も、公立と私学は従来違っておる。私学のほうが、むしろ非常に内容が進んでおったというのが従来の状態だったと思います。ところが、最近になって、やはり技術者の養成ということが、国の一つの大きい要請でございますので、この分野を特に国の要請で果たすという、いわば公共的なものが私学に多く最近出てきておりますので、その分野における補助くらいは、弔う少し強化してくれというこの要望も、私はやはりある程度理屈はあると思います。  したがって、その線に沿って、最近になって私学についてのいろいろな研究助成、そのほかをやりましたが、この傾向は、今後も続くと思いますので、予算的には、だんだん強化して参りたいと考えております。
  241. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。今、大蔵大臣からもお答え申し上げましたように、国公立と私学というのは、おのずからその財源については根本的に違った立場に立っておると理解いたします。国が、私学に国の立場において財政援助をします限度いかんということになろうかと思いますが、私は、私学はあくまでも私学としての特色、自主性、独自性というものを堅持するところに私学の本来の立場があろうかと思います。もし入学金、授業料等がかさんでたいへんだと、だから、それを国の立場において、国民の税金で援助の手を差し伸べるということは、私学の独自性を結果において侵すことになることをおそれます。したがって、もし援助をするとするならば、今までやっておりますように、私学振興会を通じまして、長期低利の資金をもっと潤沢に提供するという責任はあろうと思います。その努力が足りてないことは認めますけれども、あくまでもその線に立って、国としては対策すべきじゃなかろうかと思います。  ただし、大蔵大臣からも申し上げますように、科学技術教育それ自体に非常に膨大な施設設備の金が要る。そういう特殊な事柄、さらにはまた、技術革新の国家的な方針からいきましても、当面私学にも依存するところが非常に大きいわけでございますから、そういう立場に立って、国会の御承認を受けて、わずかではございますが、研究助成等をいたしておることは御案内のごとくであります。それが大体、限界線ではなかろうか。しかし私学振興会への出資金、それを通じての融資というものにもおのずから経常費の支弁につきましては限度がございましょうから、やはり外国の例等を聞いてみますると、民間の浄財が集まりやすくするように措置する責任は、国の立場においてあろうかと思います。ようやく法人の寄付のワクが拡大され、最近はまた、個人の所得税法上の寄付金等について立法措置が講ぜられまして、新局面を開いたことになったわけですが、そういうやり方をもっと広げる努力を、私どもとしてはなさなければなるまい。もし、また事情が許すならば、なるべく早き機会に、これまた、外国等の話を聞いて承知することですけれども、単なる所得税法上の便宜の供与というにとどまらず、生前贈与のみならず、遺贈につきましても、ごっそり、いわば自分の財産を遺言で学校施設に寄付するということも税法上許されるならば、民間浄財はもっと大量に集まる。それに期待しつつ、私学の独自性、自主性を堅持しながら、公共目的を達成できるのじゃなかろうか。そういうことに対しまする努力が足りてないことは認めますけれども、経常費の支弁に至りますまでを国庫収入をもってまかなうことはいかがであろうかと、こう考えております。
  242. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君、自治大臣が出席しましたが、先ほどの……。
  243. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問、わかっておるでしょうか。高等学校が建つ建つというのですよ、皆さん……。
  244. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 高等学校の急増対策につきましては、総理初め、関係閣僚から御答弁あったよしでございますが、これは大体、ことしの計画でやっていけば、やっていけるものだと心得ております。  と申しますのは、御承知のように、国の補助、起債、そのほかは普通交付税になっております。普通交付税について、おそらくこれは、どうせ同じ額のものをやりくりするのだから、そちらのほうにとれば、ほかのほうが足りなくなるのじゃないかという御心配かと思いますが、そのことにつきましては、ことしは例の公債の繰り上げ償還といったような財源を三十六年度みておりました百六十億といったようなものを、ことしはとりやめまして、そういった財源が、まるまる浮いておるのでございます。ただ、個々の府県につきましては、これから十分に検討いたしまして、それぞれ適切な措置をさらにとっていきたいと考えております。
  245. 戸叶武

    戸叶武君 委員長
  246. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 関連ですか。要点だけ、きわめて簡単に御質問を願います。
  247. 戸叶武

    戸叶武君 委員長から注意がありましたから、要点だけを質問いたしますが、文部大臣の先ほどの答弁を聞いておりますと、日本の現実に対する対策でなくて、将来の夢物語と外国の例であって、現実的な一つの回答にはなっていないと思うのです。  日本の産業構造の大きな変化につれまして、たとえば池田さんが言うように、この十年間において農村地帯においては、六割の農村人口が減るだろうというような状態でありますけれども、農村における教育というものは非常に落ちております。一年ぐらい予備校に入らなければ、公立の学校にはいれないような状態がかもし出されております。しかも農村の子弟が、次男三男だけでなくて、跡継ぎのものまで都会に出てこなければ食っていけないような状態がかもし出されております。  そういう人たちは、どうやって教育に対する負担にたえられるかということを、政府はもっとまじめに考えなくちゃいけないと思うのです。六割、七割の農民が減っていくという現実に対して、これをどう、この子弟を救うかということが裏づけられなければ対策にならないと思います。  それはアメリカなんかの例を引きますれば、具体的にアメリカの、たとえばイリノイ、インディアナ、ミシガン、デトロイト、シカゴのような私学においては、学校に対する寄付金が非常に膨大であります。日本には、まだそういう慣習がついていないのです。これからやるというのならば、今、自民党がやっておる国民協会のような、政党が政治資金を吸い上げる前に、次の時代をになう日本国民に対する教育費、そういう国民協会のようなものを先に考えなくちゃならないのだ。財界から膨大なリベートをもらって、そうして選挙には五十億、六十億というような金を使うような浪費的な政治を存続しておいて、まじめな次代をになうところのこの教育に対して、建設的な具体的な誠意が足りないと思います。  もう少し現実的な一つ対策文部大臣は答えないと、夢物語と、外国の例でごまかされたのでは、この窮乏の中にあるところの日本の農民層なり地方の人々は納得ができないと思います。もっと具体的に答えてもらいたい、現実的に……。
  248. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。現実的に考えまして、入学金、授業料等のかさみますことはやむを得ないと思います。それは、私学の独自の立場に立って、みずから授業料、入学金を定める建前になっております。これは私学の特色からくるところの当然のことである。ただし、先刻申し上げましたような、もっと低利長期の資金を潤沢に提供する努力が足りない、あるいは個人、法人の寄付のワクがしぶい、さらに遺贈についても、まだ制度が立てられていないということについての努力不足は、先刻申し上げましたように責任を負わねばならないと思います。  ですけれども、今の時点に立って、現実的にどうだというお尋ねでございますが、やむを得ないと思っております。
  249. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 経済力なり物価について、数問させていただきたいと思います。藤山さんが途中でお帰りになったので非常にやりにくいのですが、時間がないから簡単にお伺いいたします。  実はたばこなんですが、これは、ピース一個四十円ですね。これは製造原価は九円四十七銭ですよ。実に六六・四%が税金ですね。今度ビールは減税になって百十五円になりましたが、このメーカーの製造原価は三十八円五十銭です。それを今度改正して百十五円、実に税率が五一・四%です。池田さんは酒が好きなはずです、水田さんはたばこが好きなはずです。これは現在、たばこや酒はぜいたく品じゃない、生活必需品なのであって、それが倍以上税金を払うのはおかしい。酒たばこというのは、昔から日本でいわれている。たばこは六六・四%、酒は五一・四%、これは当然、たばこの税率は下げて定価を安くすべきだと思うのですが、両大臣お答えを願いたい。
  250. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 物品税の改正と関連して、たばこ値下げの問題も、私どもは十分検討いたしました。特に税制調査会でも、この問題を慎重に検討いたしましたが、たばこの専売の益金率というものを見ますと、戦前と特に率が多くふえているという状態でもございませんことと、外国のたばこの値段に比べて、日本のたばこが特に高いということはございません。最近葉タバコの値上げ、そのほか諸経費の値上げによって、コストが相当多くなっておりますが、今のたばこの値段は、ここ何年間か一ぺんも動かしたことがない、据え置きのままできておるという状態から見まして、今年度は、それ以外の問題の物品税に手をつけることにして、たばこは今後の検討問題にしようというのが、最後の結論で、ことしは見合わせた次第でございます。
  251. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 来年は。
  252. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税制調査会で、来年は引き続きこの問題は、やはり検討事項になっております。
  253. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 中山さんは、たばこを下げるべきだと言われているのですが、総理、いかがですか。
  254. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 税金あるいは専売益金は少ないにこしたことはございませんが、やはり財政需要その他がございますので、一度に、そうたくさん下げることができないことは御了承いただけると存じます。
  255. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 財政需要と言いますがね、総理、あなたは幸運でもありますよ。三十六年度に自然増収が約二千三百二十億円、三十七年度は四千七百五十億円、それから地方財政計画におきましても、当初予算に対して三十六年度千三百五十億円、三十七年度約千三百億円、そうして予算規模は三十六年度二四・四%、また三十七年度は二四・三%で、財政投融資計画におきましても、たいへんな伸びです。三十六年度に二二・七%、三十七年度に一七・九%、こういう増額をはかられておるわけです。その結果として昨年度に、実にドルを十億ドル食いつぶしたわけですね。これは木村委員も指摘しましたが、十億ドル。そうして物価を一〇%程度上げたわけでしょう。これは金融財政政策としては大失敗ですよ。これは昔の政友会、憲政会当時だったら、当然政変ものだと思う。不幸にして日本社会党が十分の力を持っていないものですから、政変は起こらないですけれども、これは政治家として、池田さんは責任を持たなければならない。しかし、それは過去のことは言いません。ところが今後の問題としては、先ほど藤山さんがちょっとなにしましたが、三十七年度のこの計画見ましても、ずいぶんとずれてきているわけですね。全く馬車馬のように進んでいこうとするわけです。あなたの自信と高姿勢はいいけれども、その結果が、あるいはビルマ賠償の再検討、タイ特別円の有償が無償に、あるいは日韓会談が、あちら側は八億ドルといっている、一説によると、幾ら悪くても政治折衝で三百六十億円下っちゃ問題にならない、こういっている。さらにアメリカのドル防衛政策への協力とか、あるいは貿易自由化に対する他国の働きかけとか、あなたの自信と高姿勢というものは、こういう点に出てきているわけで、実際国民の低所得層というものは生活に苦しんでいるわけですからね、こういう点、十分御注意いただかなくちゃならない。  で、私はもう経済演説からいって、修正されるべきだ、それから、何らかの深い配慮をされる必要があると思うのですが、これの答弁と、それから最後に、総理大蔵大臣にお伺いしますが、それは、いずれかの数字が狂ってくると思う、どの数字が狂うとお考えになりますか、よく聞いておってお考え願いたい。三十六年度の自然増収二四・四%、経済成長率は前年には実質九・二%見込んでいる。三十七年度の成長率はその半分、五・四%見込んでおる。ところが予算模規は、先ほど申し上げましたように、三十六年度二四・四%の伸びと匹敵する二四・三%であると見て、そうして財政投融資計画においても一七・九%の拡大をしている。そうして一方では金融引き締め堅持をやっている。そうしながら税の自然増収見込みは実に二八・六%見ている。そうして設備投資も三十六年度の三兆八千億に対して、三十七年度はほとんど変らない、約三兆七千億円というのを見ている。そして先ほど指摘されたように、鉱工業生産指数は五・五、こうなっている。これはつじつま合わんですよ、これら、今並べた数字はつじつま合いません。だから、この予算をあげて、三十七会計年度、これを運用していったら、どの数字かが著しく狂ってくると思う。私の見通しでは、結論としては、輸入がふえて、そうして外貨の危機という形で出てくるであろう。とても総合収支じり一億ドルなんかでは片づかない。その結果というものは、大衆に対して大きなしわ寄せがきて痛めつけられるであろう、この点、私は予見いたしております。あなた方は、私の今申し上げた数字のどこに一番狂いがくるとお考えになって、国民のために、どういう施策を警戒しながらやっていかれるか、そういうことを伺います。できれば政権を渡していただくと都合がいいと思いますが、それは無理でしょうから、その点、お答えいただきたいと思います。
  256. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君、あなたの時間ちょうど四分経過いたしましたから、御注意申し上げます。
  257. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日本の経済が高度成長をいたしております場合におきまして、いろいろな予定の数字の狂うことはございますが、日本が高度成長をしているという事実ははっきりしているのであります。  したがいまして、その高度成長中に、あるいは鉱工業生産あるいは国民総生産の数字が、予定より違うこともございましょう。あるいはまた、過去の実績から申しまして、国際収支が予定より狂うことがございます。しかし、これはやはり長い目で見ていくべきであって、われわれは一応の予定の数字が、あまり違わないように進んでいきたい。こういう念願で、いろいろの施策をやっておるわけでございます。
  258. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は輸出入の見込み、それから設備投資、在庫投資、この点に大きな狂いがなければ、今私どもが見込んでおるような総生産が五・四%前後におさまるということが実現できるのじゃないかと思います。
  259. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一問……。
  260. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) きわめて簡単に願います。
  261. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は三十六、三十七会計年度の自然増収からいって、まずは減税をやるべきであったということを強く主張いたします。それに、さらに減税をやった上に財源があれば、それを何に使うのかという問題も、その使い方としては、社会保障の政策にさらにつぎ込むべきであった。あるいは景気調整資金として若干保留することも、一つの方法であったかと思う。
  262. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君、簡単に願います。
  263. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国民大衆の生活をささえるためには、税外負担の軽減とか、すべての国民関係あるところの教育費の軽減とか、あるいは生鮮、飲食食糧品ですね、こういうすべての国民関係のある、こういうものの値上がりが押えられるような政策をとるべきであったのに、不注意にして、そういう点がなされていない。この結果は非常に国民大衆にしわ寄せをし、苦しめさせる予算を組まれたことに対して、私は非常に遺憾であるということを表明いたしまして質問を終わります。
  264. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 矢嶋君の質疑は、これをもって終了いたしました。  正四時に再開することといたしまして、休憩いたします。    午後三時十三分休憩    ————・————    午後四時二十二分開会
  265. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。岩間正男君。
  266. 岩間正男

    ○岩間正男君 外交問題に入る前に、午前中問題になりましたキャラウェー高等弁務官の発言の問題で、これは私は資料をもらってから十分に質問したいと思いますが、とりあえず二、三の問題だけ簡単に質問しておきたい。で、いわゆるキャラウェー発言について、沖縄アメリカ民政府スポークスマンは、これはアメリカ議会に提出された池田・ケネディ会談の議事録に出ておるものである、こういうことを言っているのです。このスポークスマンの言明というものは、非常に私は重大な問題だと思う。したがって、このような議事録をアメリカ国会提出する前に、政府に対して交渉があったかどうか、またこの議事録をアメリカ国会では公表しておるという事実があるのですから、日本の政府も当国会にこれを公表すべきだと思うのですが、この点を伺います。
  267. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そのようには言っておらないのであります。これは先ほどちょっと触れましたように、アメリカの沖縄、これは琉球という言葉を使っておりますが、琉球に関する方針は、まあ幾年来このような方針を持っておる。で、昭和三十二年におけるアイゼンハワーと岸総理大臣の会談を思い起こせば、そのとき日本の、ここのところで潜在的な、インタレストという言葉を使っておりますが、琉球における潜在主権というものを確認しつつ、しかし極東における脅威と緊張状態が続く間においては、その沖縄における施政権をアメリカは期待すると、こう言っておるが、このアメリカの方針は、池田・ケネディ会談においても一九六一年の六月にさらにアメリカによって主張された。このアメリカの方針は、ケネディ大統領が一九六二年の一月十八日の予算教書における方針として述べられた。そして、そこでケネディ大統領はこう言ったと、アメリカは琉球における行政の責任を、極東における緊張と脅威の続く間維持して、そして沖縄における軍事基地に対する要求を、アメリカと自由世界の安全を維持するために維持し続けるだろうと、こういうことを言っておるのでありまして、そういうことを言ったと言っているだけでございます。
  268. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のような答弁を長くされましたが、池田・ケネディ会談の議事録を国会提出したという情報があるわけですね。そのことについて、あなたは聞いたんですか、米政府側に。そういう事実がないということを明らかにしたのかどうか、この点。
  269. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ここへ持ってきたのはそのテキストの全文でございまして、これは先ほど申し上げたとおり、当委員会に原文のまま提出いたします。まだ印刷ができておらぬようでありますが、これをお読み願えばわかりますが、今あなたのおっしゃったように、池田・ケネディ会談の共同声明を提出したというようなことはこの中に一つも言っておりません。
  270. 岩間正男

    ○岩間正男君 よく聞いて下さい。議事録について私は言っておるのですよ。共同声明のことを聞いておるのじゃありません。これはもう別にわれわれも知っておるわけだ。しかし、会議の議事録を提出したという情報があるのです、現に。そのことについて、あなたは確かめられたかどうか、この点。今の答弁では不十分です。
  271. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) キャラウェイはそういうことは言っておらぬようです。
  272. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあこれはあとで質問しますが、今言ったように、アメリカの民政府のスポークスマンがこの発言について、さらに裏づけをしてそういうことを言っておると、これは新聞に出ていますよ、朝日新聞に出ていますよ。そのことについて私はこれは重大問題だから聞いているのです。これはもっとあとで明らかにします。  その次に、政府の声明の中では、このキャラウェーの問題でアメリカとここで新しく交渉しないということを言っておるのです。これは私は重大な問題だと思うのです。立法院が日本復帰のことを全会一致で決議しています。これは沖縄八十八万島民の心からの希望なんです。こういう問題が起こっているやさきに今のようなキャラウェー発言が起こったんでしょう。そうしたら、当然沖縄の住民を守る、こういう立場からいえば、私はアメリカに対して交渉を開始して、これについて日本側の希望というものをほんとうに島民を代表して明らかにすべきだと、こう思うのですが、いかがですか。これは池田総理に伺います。
  273. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) キャラウエイ高等弁務官の発言は、新聞記者各位に対して、だいぶ新しい方が見えたということで、従来言っておることのブリーフィングを繰り返したということでございまして、私どもはその発言内容を取り寄せてみましたが、特に新しいことを申しておるわけではございません。したがって、何か特別の意図があって、新しい方針を述べたということではないようでございます。  なお、この沖縄の状態につきまして、われわれ施政権返還の問題を含めてアメリカと従来交渉を続けておるわけでございますが、この点に関して、午前中にも申し上げたように、アメリカ側から何か新しいことを言うてくるというふうなことを私ども聞いております。いずれまた内容を見てからでないと、これは何とも申し上げられません。
  274. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理どうですか。
  275. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外務大臣お答えのとおりでございます。
  276. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは資料を検討してからもっとやろうと思っておるんでありますけれども、とにかく沖縄島民のこれに対する不安というものは非常に高まっておる。日本国内でも非常に大きな問題になっておる重大なこれは民族の問題ですよ。この問題について、あなたのようになるたけそれを避けよう避けようという立場は、これは私は日本外務省の立場でないと思う。沖縄の島民の立場に立っているとかなんとかということを午前中から繰り返されています。しかし、次のような事実はどうなんです、一体。二月十二日に、沖縄立法院が、さきの立法院決議を国連加盟の百四カ国に送りたいというので、そのあて先を外務省国連局に問い合わせてきた。ところが、外務省はそれに全然回答しない。そうして、かえってこのことをアメリカの民政府に通告したという、こういう事実があります。これは重大問題じゃないですか。こういう態度でいて、そして沖縄の島民を守るとか、その要求を実現するために交渉したんだとか、こういうことを言ったって、この外務省の態度では、絶対に私は沖縄島民は了解しないと思う。いかがですか。
  277. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この沖縄の民政府からは直接に言ってきておられませんが、東京事務所の方が外務省へ見えられたので、国連決議の趣旨を御説明した、それを聞かれてお帰りになった、こういうだけでございます。
  278. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題ももっと事実を明らかにしましょう。そういう事態が起こってないで今のようなことが問題になるわけはないですよ。あなたのほうでは、そういう逃げ言葉で言っていますけれども、ここになにが来ているんですか、国連局長、来ているんですか。はっきりそれを言明できるのか。あなたの部下の中で。そういうことは、実際あなた自身が会ったかどうかわからないが、それをはっきり言明できるのですか、国連局長は。
  279. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私のほうは、別に問題を避けようとしていることは少しもありません。キャラウェー発言というものが新聞に伝えられたので、直ちにその内容について、われわれとして疑問に思う点をあげて先方に問い合わせたのであります。その結果、先ほど来御報告しているような事実が明らかになったわけでございます。少しも問題を回避しようとしていることじゃありません。ただ、問題にすべき問題がないということでありまするから、その点はわれわれ了承しているわけであります。  なお、今国連局長をお呼び出しでございますが、国連局長はエカフェのほうの担当をやっておりますので、現在会議に出ております。ここには来ておりません。
  280. 岩間正男

    ○岩間正男君 だれから聞いたのですか、外相は。   〔「立ってやれ」と呼ぶ者あり〕
  281. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、立って発言を願いたい。
  282. 岩間正男

    ○岩間正男君 この問題は、国連局長の出席を求めて、またはっきり担当者を明らかにしてやります。  それじゃ次にお伺いしますが、外交問題について、まず池田総理にお聞きしたいと思います。総理は、世界、特にアジアにおいて、最近どんな変化が起こっていると思いますか。それらの変化は、直接間接にわが日本に大きな影響を持っている。今後のわが外交路線の決定的な作用を及ぼすものと思いますが、まず最初に、池田総理の見解をお尋ねしたいのであります。
  283. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) アジアにおけるいろいろな情勢については、私もできるだけ勉強しておりますが、アジアのパキスタン、インドと、ずっと申し上げるとたいへんなことになりますので、あなたのお聞きになりたい点を具体的におっしゃっていただいたほうが時間が簡単に済むと思います。
  284. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはあなたの施政方針演説でも非常に抽象的に述べられています。  それでは、現時点において、特に日本との関係において大きな問題になっているのは、南ベトナムと南朝鮮の問題です。この二つとも、第一に軍事ファッショ政権のもとに、人民の民主的な権利が銃殺や絞首刑などのテロ手段によって奪われて、これに対する人民の抗争にアメリカ軍が積極的に介入し、南ベトナムではすでに宣戦布告なき戦争状態ということが引き起こされているのです。最近ゴ・デイン・ジェム大統領官邸が自分の爆撃機で爆撃された、こういう事件が起こった。こういう南ベトナムの事態に対して、政府はどういうふうにこれは考えておられるか、伺いたい。
  285. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 南ベトナムの問題につきましては、お話のとおりに、最近非常な紛争と申しますか、ごたごたが起こっております。御承知のとおり、従来から共産北越が南下しつつあるのであります。陸上のみならず、海上からもその情勢がうかがわれる。いわゆるベトコンの跳梁は目にあまるものがあるといわれておるのであります。したがいまして、ゴ・ディン・ジェムは、南ベトナムの軍隊を強化し、治安の維持に極力努めておりますが、現状はそれをもっても足りないで、アメリカがこれに対して援助を与えておる状況でございます。しこうして、こういう問題につきまして、先般中共のほうから声明がございました。アメリカの軍事援助司令部設置につきまして非常に強い声明がございましたが、その声明に対しまして、アメリカの国務長官は、南ベトナムの現状を申して、当然の措置であるという反駁を加えております。いずれこの問題はジュネーブ会議の共同議長国であるイギリスとソ連との間に話し合いが進んで、これが平和的解決を見るようになるということを私は期待いたしておるのであります。  その他の問題につきましては、外務大臣からお答えいたします。
  286. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 外務大臣お答えになりますか。
  287. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 総理大臣お答えのとおりでございます。
  288. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの今の情報というのは、これはどこから得られたのですか。
  289. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 政府関係のものからの情報です。
  290. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は聞きたいのですが、池田・ケネディ共同声明によると、「大統領と総理大臣は、アジア情勢の不安定な局面に対して関心を表明し、その地域における安定と幸福をもたらされるような方途を見出すため将来緊密な協議を行なうことに意見の一致を見た」、これは確認されますね。
  291. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 極東の問題につきましては、お互いに関心を持っているのでございます。いろいろ情報を交換し、そうして建設的な意見をたたかわすということは声明文のとおりであります。
  292. 岩間正男

    ○岩間正男君 このベトナムの最近の情勢についても、あなたはすでに御存じですか。そのような相談を受けておりますか。「協議」ということがあります。
  293. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外務当局がやっておると思います。私の情報は外務当局からの情報でございます。
  294. 岩間正男

    ○岩間正男君 外務大臣
  295. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほど総理大臣からお答えになりましたとおりの状況でございます。
  296. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、あなたはそういうふうに外務省からも聞いていると言うのだが、あれだけの頂上会談をやったんでしょう。「協議する」、このことについてどうも非常に不十分だと私は思うのです。もっとやはり情勢を確かめることが必要だ。それから協議して、すでに——そうすると、こういう事態はあなたは知っておられるのですか。ロバート・ケネディが二月十九日にサイゴンに行って、ベトナムの事態は、法律上の用語は違っていても結局戦争である。われわれはここで勝つまでやるのだ、こういう演説をしております。また、アメリカは南ベトナムに軍事顧問団の名によって四千名の大部隊を送り込んで、二月十八日には太平洋地区陸軍参謀長ポール・パーキンズを大将に昇格させて、司令官として公式の戦闘司令部を設置した。こういう事実を、一体あなたは協議を受けたと思うのですね。そうしてこれについてどういう回答をされたのか、この点伺います。
  297. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨年アメリカ大統領の特使といたしましていろいろ事情を調査に、そして意見の具申があったということを聞いております。それをもとにしての直接の私との会談、あるいは協議はございません。あるいは外務大臣とラスクとやったかもわかりませんが、私のところへはその分についての協議はきておりません。
  298. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは重大問題じゃありませんか。四千人の部隊を派遣して戦闘司令部を作る。こういうことこそ、が協議の対象になるのであって、事前の抽象的な協議なんというものは、そんなに必要じゃない。こういう事態が起こるというときに、事前に一体日本がほんとうに相手にされておるのかどうか。口先だけで頭をなぜられて、実際大切なときには全然相談されないという、こういう外交はどうですか、一国の外交に当たる立場でどうですか。
  299. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 協議という表向きのあれではございませんが、いろいろなルートを通じては私の意見を言っております。向こうの様子も聞いております。向こうのラスクからの直接のあれではございませんが、間接の情報を取っております。外務大臣としてどういうあれをしたか、重要なこととして、この将軍が向こうへ行ったことに対してアメリカがどういう措置をとるという具体的なことにつきましては協議があったかどうか、私直接にはございません。外務大臣のほうからお答えさせます。
  300. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) アメリカがどういう行動をとるから、日本としてはこれに賛成するというふうに事前に話し合いがあったかということでございますが、これはございません。
  301. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは日米共同声明なんというものも、中身はあいまいなものですね。言葉だけぼかしておいて、全く実際は相手にされていない。重大な問題ですよ。これはアメリカの国内でも非常に重大な問題になっておることは御承知でしょう。アメリカの情報についてこれはどういうふうにつかんでおるか、まず伺いたい。
  302. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 二月二十四日、中共の外交部の声明は、先ほどあなたが言われたように、これは宣戦なき戦争だということをきめつけてアメリカの援助停止を要求したものである、かように承知しております。この点について、三月一日アメリカのラスク国務長官は、共産北ベトナムが一九五四年のジュネーブ協定に違反しまして、南ベトナム側に対しゲリラ隊を侵入せしめておって、これが治安撹乱を行なっておる事実を無視している。アメリカが軍事援助を行なっておるのは、こういう北越側の動きに対抗して南越側を助けるためであると説明しまして、さらに共産側が望むならこの点の解決について話し合いに入る用意があるという、平和的な話し合い解決の方向を示唆しておるのであります。われわれはこの中共の声明にいたしましても、先ほど総理が言われましたように、ジュネーブ会議のちょうど議長国であるイギリスとソ連に対する呼びかけも含んでおりますように考えられますので、このラスク長官の声明ともあわせ考えますると、今後の国際情勢の推移いかんによっては、南越問題の平和的解決への話し合いが行なわれるということも不可能じゃないというふうに期待する次第であります。
  303. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の聞いているのは、アメリカのための弁解することや、その軍事侵略を合理化する、そういうことじゃないのです。今のはアメリカの肩を持つことだけしか話していない。そうでなく、アメリカの国内の情勢はどうかと聞いているのです。これについてはほとんどあなたはお答えにならないのですね。私はアメリカ国民世論の中で、たとえばワシントン発の二月十三日のUPI電によると、アメリカ共和党は、その刊行物「戦線」の中で、米国は南ベトナムに四千人の兵力を背景として米軍事顧問司令部を設置して、米軍を戦争地帯への補給に使っている。事の重大を指摘して、米軍は全極東軍を巻き込む第二の朝鮮戦争に向かって動いているのではあるまいかと警告している。こういうような事態なんです。これについて総理は一体どうもさっきから傍観、非常に遠い所の問題のように言っておりますが、もっと非常に深い関係を持つものでございますから、あなたのこれに対する見解を伺いたい。
  304. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろなことについて日本の新聞がこれを報道している。そういうことについての私の意見を申し上げることは私はよくないと思います。もちろん、アメリカの高官からいろいろな話は聞き、私の意見は言った事実はございますが、今お話しのように、アメリカ世論の一部を新聞が報道したからといって、これについて私がここで意見を申し上げるのは、適当でないと思います。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは情勢を正しくつかむということ、アメリカの国内の情勢をつかむことも重要ですよ。今の共和党の声明によるというと、またこういうことも言っております。四千人の軍隊派遣について一九五四年のジュネーブ条約から考えて、どうして四千人の軍隊の存在を説明するのか、こういうことを言っている。これはジュネーブ協定違反でしょう、これについてはどう思うのですか。こういうことまで支持をするのですか、日本の政府は。
  306. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) アメリカはジュネーブ協定には調印していないわけでございますけれども、今、四千人の人が行ったということでもって、直ちにジュネーブ協定違反だという結論は出ないと思います。ということは、そうした軍事顧問団のごときものをアメリカがベトナム政府の要請によって送ることができるのは、そのとおりだからであります。ラスク声明を新聞でごらんになったと思いますが、私の承知している限りでは、アメリカはそういうことによって基地を得るとか、そういうことは考えていないのであります。南ベトナムが将来平和に自分の望む政体を確立してそうして平和な生活を営む、そのためにアメリカは南ベトナム政府の要請にこたえて行動している。すなわちジュネーブ協定に違反して、北からベトコンが侵入して来てベトナムの平和を害しているから、その平和を守るということのためにアメリカ行動しているのだということを言っている。
  307. 岩間正男

    ○岩間正男君 ジュネーブ協定についての顧問団の取りきめを伺います。
  308. 中川融

    政府委員(中川融君) 一九五四年のジュネーブ協定の第十六条によりますれば、軍隊及び軍事要員は、お互いに増強しないということになっているのであります。軍事顧問団は、これは軍隊または軍事要員ではないという解釈になっているのでございます。これはアメリカからいろいろ兵器等をベトナムに提供いたしております。援助いたしております。それをどういうふうに使うかということを教えるためにアドバイザ、として行くわけでございまして、したがって、軍事顧問団というそれ自体が直接ジュネーブ協定にいう軍隊または軍事要員には当てはまらないというのが、従来の解釈でございます。
  309. 岩間正男

    ○岩間正男君 アメリカの肩を持ったってしようがないですよ。四千人の軍事顧問団が要りますか。あんなベトナムのような狭い所で五人に一人の軍事顧問団が要りますか、あなたの今言うように、これは明らかにジュネーブ協定の違反ですよ。なるほど、アメリカは自分で参加して、調印のときに逃げちゃって、だからこれは拘束はない、こう言うかもしれませんけれども、そういうことはこれは許されないですよ。私は、こういう点から見て、このようなアメリカの立場といえば何でもこれを支持していくということが、どうして一体アジアにおける日本の正しい地位を確立して、これらの信頼を受けた外交を樹立することができるんですか。こういうことではだめだと思います。そこで、先ほど外務大臣は、私が聞きもしないのに中華人民共和国とベトナム民主共和国の外務部から出されたこの問題に対する声明書について言われました。これを詳しくもっと紹介して下さい。
  310. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、戦争宣言なき戦争だということを言っておるということを言ってましたのであります。
  311. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうですか、条約局長、どうです。
  312. 中川融

    政府委員(中川融君) 先月末中共外交部が声明したというところは、われわれは新聞報道によってのみ知っておるのでございますが、二月八日米国に南ベトナム軍事援助司令部が設置を見たと、このような米国の南ベトナム軍事援助は、宣言なき戦争であると、そうしてこのような軍事援助は停止するように米国に要請すると、こういう意味の声明をしたと承知しております。
  313. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ十分でないですけれども、時間の関係から進めます。これに対しては、非常にこれは重大な関心を持っておるということがはっきりしていると思うのでありますが、アメリカの国内の世論を見ましても、相当これはきびしいものがある。それから、アジアの今のようなこれは中国やベトナム民主共和国の態度の中にはっきり出ていると思いますけれども、南ベトナムにおけるアメリカの軍事干渉のほこ先が、いつでも北ベトナムや中華人民共和国に向けられていることは、これは天下の周知の事実です。だからしてこれに対してほんとうに関心を持つのは、これはあたりまえだと思っているんですが、アジアの平和という立場から池田総理はどういうふうに考えますか。
  314. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ラスクの声明にもありますごとく、北越のゲリラ部隊が南下して南ベトナムの治安を乱しておる。これは一九五四年のジュネーブの協定に違反するものだと、こういう声明をしておるのであります。私はその声明は妥当であると思います。先ほどの御質問に対して、南ベトナムのこの状態に対してアメリカはいかなる措置をとるべきかということにつきましては、相当国内に議論がありました。それも承知いたしておりますが、今の現状からいって、アメリカ政府は軍事援助団、そして南ベトナムの治安確保のため南ベトナムに協力しておると考えておるのであります。しこうして、この協力によりまして南ベトナムの治安が確立され、そうしてアジア全体に危機のこないように望んでおる措置を現にいたしました。
  315. 岩間正男

    ○岩間正男君 ベトコンの侵略々々といいますが、ベトコンはこれはベトナム人です。ベトナム人が自分の国の統一のために働いておることを、アメリカ人があすこに軍事顧問団を送るのと同じに考えるんですか。そしてアメリカこそ、これは侵略じゃないですか。それをあなたは全く合理化しようというのですね。しかも、ジュネーブ協定違反の立場に立ってそういうことを言ってます。しかもこの問題は、これは決してよそごとじゃないんだ。日本の安全と非常に深い関係があるのですよ。この前ラオスのときにも、日本の軍事基地が安保条約を無視して使われている事実があるんです。そういう点から言えば、私はたいへんな問題だと思うんです。どうですか一体、今度のこのベトナムの問題で日本関係ないと言うのですか。それともどういう影響を持っているか、この点について伺います。
  316. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほどあなたはベトナムの問題で、アメリカは常にほこ先を北越あるいは中共に向けるとおっしゃいましたが、そういうことは言っていないと思います。アメリカは先ほど総理大臣お話にもありましたように、ベトコンによって南ベトナムの治安が乱されておる。それを南ベトナム政府がこれを治めたいためにアメリカの援助を要請して、それにこたえてアメリカは軍事顧問団を出しているということなんであります。しかも、そのことについては平和的な話し合いにも入りたい、こう言っているのでございます。なお、ラオスの問題で日本が基地を提供したとか、いろいろおっしゃいますが、さようなことはございません。南ベトナムについても同様でございます。
  317. 岩間正男

    ○岩間正男君 政府が治めようとしていると言うが、そのゴ・ディン・ジェム政府というのはどういうのです一体。これは全く国民の信頼を失っていることは、私がここで繰り返す必要はないと思うのです。そういうものを支持して、これは全くアメリカの手先でしょう、かいらいでしょう。それから日本関係がない、こう言っている。そういうことをあなたは言っていたらこれは重大な問題だと思います。現に神戸ではこんなことが起こっています。最近アメリカの第七艦隊の旗艦のオクラホマシティが無断で入港した。神戸の平和団体の人々がこれに抗議したとき、同じときに、第七艦隊の潜水艦CASKSS308号までも入港していることがわかった。その入港の理由を聞いてみるというと、これは米軍の責任者は兵員訓練のためであると言っている。これらの船は間もなく出港したが、そのとき日本の海上自衛隊が同乗したという事実がある。これは防衛庁長官、この問題あなたはどうですか。
  318. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 米海軍の潜水艦が神戸港に入港した事実は私どもも存じております。またその際、たまたま停泊中の海上自衛隊の「おやしお」以下の乗組員がその米海軍の潜水艦を見学した事実もございまするけれども、その米海軍の潜水艦に乗って他へ行ったというような事実はございません。
  319. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは、知らぬは政府ばかりなりという言葉がはやっているのですよ、知らないのです。大体安保条約で、地位協定で調べることができますか。入ってきた報告を受ける権利がありますか。調べる権利がないでしょう。こういう中にいて、防衛庁長官は今のような答弁をしておって、これは国民はもう信用しませんよ。あなた調べたのですか。報告求めたのですか。それでいっているのですか。
  320. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 自衛隊員は私以下の監督下にあるものでございます。その行動については、十分私は責任を持ち、また調査をいたしておるのでございます。ただいまお話のような事実はございません。
  321. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はそのことだけを聞いているのじゃないのです。第七艦隊の行動についてもどうしているかと聞いているのですよ。  その次に、今度はどうです。沖縄では非常に米兵が増員されている。その数は防衛庁長官つかんでおられるでしょうね、たいへんな最近数です。ここではアメリカの海兵隊や陸軍などがジャングル向けの猛訓練をやっておる。二、三時間で南ベトナムへ移動できる態勢をとっています。現に開発計画の名前で、先ほども委員会で十億の金を出している、こう言っている。沖縄の西表島、この島はゲリラ訓練所に使われている。こういう事実を一体つかんでいるのかどうか。総理はどうですか。沖縄をほんとうに大切にするとか、それから島民の生活の幸福を願っていると言うが、こういう事実はどうです。
  322. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) アメリカ軍の沖縄における行動は、私は知悉しておりません。
  323. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 沖縄が極東の安全のために米軍として非常に重視をいたしておるということは、事実でございますし、ある種の相当程度の各種の兵員のおりますことも存じております。ただ、その一つ一つの訓練がいかなるものかというようなことにつきまして、私ここで申し上げるだけのものを持たないわけでございます。
  324. 岩間正男

    ○岩間正男君 全くたよりないですよ。これでは日本の安全をまかしておけないと思う。  私は、ベトナム問題について、最後に政府に次のような要求をしたい。  まず第一に、アメリカに対してジュネーブ協定の誠実な履行を要求する。南ベトナムにおけるアメリカの軍事干渉に厳重に抗議して即時撤兵を求めるべきである。また、アメリカの戦闘行為に対しては、いかなる形でも日本政府は協力しないということを、ここでそんなら言明してほしか。いかがですか。
  325. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほども申しておりまするように、ベトナムの状況は、何によって起こっておるか。これは、ベトコンの侵略といいますか、治安撹乱といったほうが適当と思いますが、治安撹乱によって起こされておる。そこで、南越政府もこれを治めたいということで、アメリカがこれに協力しておるものと私は承知しております。しかし、これについてさらに話し合いが行なわれようというのですから、これは非常にけっこうなことと思いまして、私はこの話し合いの方針を支持したいと存じます。
  326. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理、どうですか。軍事行動については、日本は絶対……。(「立って発言しろ」と呼ぶ者あり)
  327. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、立って発言して下さい。
  328. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ベトナムの平和を期待いたしておるのでございます。アメリカの今の行動は是認いたしております。
  329. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう点ではだれも納得できないと思います。アジアの情勢をそんな形でつかんでは、話にならぬ。  次に、日韓問題について伺いたいと思う。ハリマン・アメリカ国務次官補が近く来日する。そういう中で、政府は、この十二日から政治交渉を始めるといっているが、なぜ一体こういう会談を急ぐのか。妥結を急ぐ理由は、南朝鮮の軍事的、経済的、社会的事情が困難になってきているためにそれにてこ入れをするんじゃないか、こういうことがもっぱらいわれておりますが、いかがですか。
  330. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) さようなことは、もっぱらいわれてはおらないと思います。韓国が非常に地理的にも日本に近く、歴史的にも文化的にもいろいろな因縁がございます。これとの国交を改善する、正常化するということは、われわれの長い間の終戦以来の願いでございます。ところが、韓国側においては、李承晩政府の反日政策というものによりまして、日韓交渉というものはうまくいかなかった。ところが、最近、先方から非常に国交改善ということが、新政権またはその前政権以来いわれております。ことに最近の政権は、特に日韓国交正常化ということを強く要望いたしておりますので、われわれ従来からの希望でもあり、これにこたえて会談を進めたい、こういうふうに思っております。
  331. 岩間正男

    ○岩間正男君 国民がどう言っているか、世論を聞いていない。あんたのほうでは、上のほうだけ聞いているのです。日本の現実をつかんで下さい。そんな上っつらの答弁ではだめです。  それで、そんならあなたたちは、南朝鮮の事態をどう把握しているか。この情勢判断についてお伺いしたい。
  332. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 新しい政権ができましてから、従来の不正、腐敗を一掃するということでいろいろな努力をいたしておりましたのでありますが、一応この段階が一段落しまして、経済的に強く再建に足を進めるという段階承知いたしております。韓国の新政権の首脳者諸君においては、非常にインフレの問題に対しても強い関心を持っており、また経済再建ということに対していろいろ努力いたしておるように聞いております。何と申しましても一昨々年四月革命があり、また昨年五月革命がありという段階におきまして、生産その他においては非常に停滞しておるということは、これは当然争われぬ事実だと思いまするが、そういう上に立って非常な努力をしておる。米が非常に豊作でありましたために、一般の機運も再建に向かって非常に明るいものを取り戻しつつある、こういうような段階だと承知しております。
  333. 岩間正男

    ○岩間正男君 また聞きみたいな情報で、全くこれは事実に反しているんじゃないかと思うのです。朴政権による軍事ファッショ政権は相次ぐ処刑で、まず人民が戦々きょうきょうとしております。それに金裕沢企画院総裁さえ最近は朴との間がうまくいかずやめさせられた。また、経済事情も極度に悪化して、国民総生産は朴政権になってからマイナスです。失業者が増大して李承晩、張勉内閣時代よりはるかにひどくなっている、こういうことを聞いております。そういう政情不安、さらにこうした朴の悪政に対して当然人民は立ち上がらざるを得なくなった。南北の統一を目ざす人民の闘争は非常に底から上がってきている。そうしてそれとともに、南朝鮮人民の反米機運もまた急激に高まって、最近こういう事件が起こった。一月六日たきぎ取りに出かけた約四十人の住民が一言の誰何も停止命令も受けず、いきなり米兵から一斉射撃を受けて、そのうち逃げおくれた劉基用さんと黄広吉さんという、その二人が捕えられて、裸にされて射殺されるという事件が起きた。まさに韓国のジラード事件です。この事件があってから、反米の動きは火に油を注いで、アメリカ軍の残虐で傍若無人のふるまいが次々にあばかれて、朝鮮人民の闘争はそのほこ先をアメリカの侵略者そのものに向け始めている。こうした現実を総理はどう見ておられるか、伺いたいと思います。
  334. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はそういう事実を知りませんので、それに対する考えを申し上げかねます。
  335. 岩間正男

    ○岩間正男君 外相はどうです。
  336. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 同様でございます。
  337. 岩間正男

    ○岩間正男君 知らぬ、存ぜぬ、それで通ると思っておるんですか。国民は皆知っていることですよ、あなた。朴政権がアメリカの手先となって北進統一を盛んに呼号しているのは、このような事態をそらすためであることは明らかであります。クーデター以来挑発的な大演習を六回もやっております。ことに最近の報道の伝えるところによると、三十八度線以北、休戦ラインぎりぎりのところで米韓の連合軍が実戦さながらの演習を行なっている。これは鉄原−金城−金化を結ぶ鉄の三角地帯といわれているところであります。この演習は、核兵器の攻撃に備えるために、あらゆる事態に対処した核戦争準備のためのものであることは明らかです。こういう事態について、一体どういうふうにつかんでおられますか。
  338. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私はそれよりも、韓国の政権が先ほど申したように一応の不正、腐敗一掃の段階を終わって、経済再建と民生安定に乗り出したという状況が非常に色濃くなってきている。そうして明年の八月に民政に移管する、こういう準備の段階になったという事実のほうを承知いたしております。演習の実態等については、あまりよく存じません。
  339. 岩間正男

    ○岩間正男君 一体あなた、そう言っていますが、日本の政府はこれらの情報をつかむ機関があるのですか。そういうものがなくて、今のようなことは私は言えないと思うのです。内閣調査室やその他の秘密機関が韓国にある、こういうことなら別ですが、アメリカのまた聞き情報のようなことで、今のようなことは言えないと思うのです。これはどうなんですか。
  340. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は、どこの国の外務省でもほかの国の軍隊がどういう演習をしているかという内容は、あまり知ってないと思います。
  341. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁長官に伺います。
  342. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私どもいろいろな調査をいたしますのは、外務省その他の政府機関あるいは刊行物等をもとといたしまして、いろいろの情勢判断をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういうただいま外務大臣お答えになりましたが、この韓国においていかなる演習が行なわれているかというようなことは、つまびらかにいたしておりません。
  343. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここで時間の関係で十分尽くすことはできませんけれども、今のような南朝鮮の事情は明らかにアメリカの核戦略構想の現われです。そのような危険な情勢に池田首相は一体日本をはめ込もうとしておるのか。私は時間の関係があるので、ここで日韓の質問を打ち切るにあたって政府に警告したいと思うんです。日韓会談の早期妥結は民族破滅の道です、これは。それは日韓間の東北アジア軍事同盟の締結によってアメリカの核戦略体制に日本を巻き込むことです。国内では軍国主義を復活して、準戦時体制に日本を追い込む道です。池田総理は経済の軍事化を促進して、高度成長政策の破綻の抜け道を日韓会談に求めようとするなら、これは誤まれるもはなはだしいと私は言わなければならないと思います。日韓会談は即時これは打ち切るべきだと思います。総理の見解を求めます。
  344. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日韓間の国交正常化はわが党年来の主張でございます。あなたとは意見を異にいたします。
  345. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、国内問題、特に防衛問題についてただしたい。その前に、第一に、安保条約が一昨年国民多数の反対を無視して批准され、そうして実行に移されているのですが、政府はこの新安保条約をいかに実施してきたか。まず、総理からその実施状況を伺いたい。
  346. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 安保条約は国民多数の賛同を得まして成立いたしたのであります。われわれはその条項によりまして、日米間の親密、防衛につきまして全力を注いでおります。
  347. 岩間正男

    ○岩間正男君 新安保条約によると、往復書簡に基づいて安全保障協議委員会の設置が取りきめられているはずでありますが、この協議委員会は開かれたことがあるのか。あるとすれば、何回開かれたか、その年月日、こういうものをお聞きしたい。
  348. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 第一回の安保協議委員会昭和三十五年九月八日に開きました。その後においてこの協議委員会を早期に開くことを必要とするような事情がございませんので、特に開いておりません。
  349. 岩間正男

    ○岩間正男君 その第一回の協議会ではどういうことがきめられたのですか。
  350. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは御承知のように、構成は外務大臣防衛庁長官アメリカ側は在日アメリカ大使、それからアメリカ太平洋軍司令官でございます。別にどういうことをきめたといって、取り立てて御報告すべきようなものはございませんが、双方が顔を見合って、そして大いに安保条約の円滑な運営をやっていこうという一般的な話をしただけでございます。
  351. 岩間正男

    ○岩間正男君 日米軍事専門委員会について何か取りきめはなかったですか。
  352. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ありません。
  353. 岩間正男

    ○岩間正男君 全然こういう構想は要らぬのですか。これはこの前の安保審議のときと違うようであるけれども、どうですか。
  354. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) わが国の防衛に関しまして。日米間で随時話し合いをいたしておるわけでございます。そのような特定な委員会を設けるかどうかということについては、なお今後十分に関係方面とも協議をいたして、研究をいたして参りたいと考えております。
  355. 岩間正男

    ○岩間正男君 この構想がどうも明らかになっていないようですが、それじゃその次に地位協定による日米合同委員会、これはどのように運営されているか。外務大臣にお伺いします。
  356. 中川融

    政府委員(中川融君) これは毎月二回開いております。
  357. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃその構成、分科会の数並びにその名称、それからその開催状況、これは二カ月といっても、合同委員会全般ですが、分科委員会はどうですか。
  358. 中川融

    政府委員(中川融君) 分科委員会のうち施設委員会は同じように毎月二回開いております。それ以外の分科委員会は必要に応じて随時開いておるというのが実情であります。
  359. 岩間正男

    ○岩間正男君 詳細聞きたいが、時間の関係から聞いているひまがないのですが、資料を要求したいと思います。資料で出していただきたいと思います。いかがですか。
  360. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) どういう資料ですか。
  361. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の、構成、分科会の数、その名称、その開催状況。
  362. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 条約局長、よろしゅうございますか。
  363. 中川融

    政府委員(中川融君) はい。
  364. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、この前、安保改定問題のときに非常に問題になった合同委員会の合意書、この合意書はそのまま引き継がれておるのか、それとも改定されたのか、この点いかがですか。
  365. 中川融

    政府委員(中川融君) 合意書は原則としてそのまま引き継がれております。しかしながら、新安保が改定されたに伴いまして、事情が変わりまして、改定を要する分も若干ございます。そのようなものはしかるべく改定あるいは廃棄されたわけであります。原則としては引き継がれております。
  366. 岩間正男

    ○岩間正男君 原則としてというと、ちょっとしたことは改定になったかしれないが、本筋は変わらない。合意書は安保論議のとき、当委員会でも大きな問題になったはずです。それが今のように、占領時代からのものがずっと残っている。そのまま残されておって、これは新安保もへちまも私はないと思うのです。こういう点について、どういう点が改定されたか、改定点だけでも明らかにしていただきたい。
  367. 中川融

    政府委員(中川融君) 大体の様子は先ほど申しましたように、原則としては引き継がれておる。改定を要するというもの、あるいは廃止を必要とするものは、改正され、あるいは廃止されるということでございます。  概要につきましては、資料としてお届けいたしたいと思います。
  368. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体、以上聞いたことを総合してみますと、まず第一に、日米安全保障協議委員会はほとんど開店休業です。第二、その下部機構の日米軍事専門委員会は、これはいまだに決定されていない。第三に、合同委員会では、占領中、米軍の権利を規定した合意書の大部分はそのまま引き継がれて、今日もなお生きている。  以上のことを確認していいですね。確認しておきたいと思います。
  369. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 開店休業という言葉は確認いたしません。
  370. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、開店休業で悪ければ、あなたのほうで勝手に言葉を考えられていいと思いますが、ほとんど今の点は、安保を作って、その機構というのはできていないのですね。なるほどこの前の池田・ケネディ会談の経済、貿易、科学技術、文化、教育などの日米委員会は鳴りもの入りで宣伝されました。しかし、安保条約の一番根幹である軍事問題についてはほとんど何も行なわれていない。それでは軍事関係は一体どうなっているのですか。結局、日本の陸、海、空三軍の自衛隊は、アメリカの軍事顧問団のなすがままになっている。そうしてアメリカの軍事支配をそのままうのみにしているのではないか。総理並びに防衛庁長官は、これが対等の立場に立って結んだという安保条約の正体であるが、こういう点についてどう考えるか、お伺いしたいと思います。
  371. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 先ほどもお答え申しましたように、日本防衛に関しましては、日米両当局におきまして、随時連絡を密にいたしまして、その万全を期しているわけでございます。軍事専門委員会というこの形式を持った委員会を設けるかどうかについては、先ほど申しましたように、検討をいたしているわけでございますが、現実の日本防衛については、十分に連絡をいたしておる次第でございます。
  372. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のような答弁が正しいかどうかは私のこれからの質問で明らかになります。私はこの前治安行動草案について質問したのです。あのときどうです、ほとんど国防会議議長の池田総理も知らなかった。防衛庁長官も、あなたじゃありませんけれども、西村さんもよく知らなかった。シヴィリアン・コントロールとかなんとか言われてきたけれども、これが全く行なわれていない。これが今の日本の姿じゃないのですか。
  373. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 治安行動草案について前に岩間さんから御質問のありましたことは、私存じております。こうしたものはどこまでも推敲に推敲を重ねて作り上げるべきものでございまして、その試案の試案というようなものを作りまして、それを実際に当てはめて、直すべきものを直すような手段をとりましたことは事実でございますが、こうしたものの決定にあたりましては、どこまでも私自身の責任においていたしたいと考えております。
  374. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のような答弁ですが、推敲に推敲を重ねるなら国会に意見を聞かなければいかぬのです。ところでどうですか防衛庁長官、最近出された防衛年鑑ごらんになりましたか。
  375. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 一応目を通しております。
  376. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは明らかに治安行動草案は昨年の私の追及で廃案になったということを書いていますね。どうですか、百二十七ページに、前々国会に出した要綱に従って新しい改正案を作っているとこれに書いてあるが、あなたの今の答弁は違いますが、これはどういうことですか。
  377. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 前に御指摘になりました試案がございましたが、これらは推敲を重ねる必要があります。したがいまして、国会に御提出を申し上げましたあの線に沿って、実際に当てはめつつ、さらに研究をいたして参りたいと考えておる次第ございます。
  378. 岩間正男

    ○岩間正男君 廃案だと言っておるのでしょう。廃案と違うでしょう、今の推敲は答弁が違うでしょう。
  379. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) そのお持ちの防衛年鑑そのものは防衛庁で発行したものではございません。私のほうは、どこまでも、先ほど申しましたような形におきまして、この治安行動教範のようなものを、名前はどういたしますか今後の研究に待ちますけれども、そうしたものを作り上げて参りたいという方針でございます。
  380. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんな権威のないものだったら、これを出して国民を惑わしてまずいと思うのですよ。ほんとうですか、あなたこれは。ちゃんとあなたは原稿を書いておる。
  381. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) そのお持ちの防衛年鑑というものは、ある団体が出しておるのでございまして、防衛庁で発行したものではございません。
  382. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はその改訂案を、これは公表してほしいと思うのですが、どうですか。
  383. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 今研究の過程でございます。で、最終的に決定をいたしましたものにつきましては、どういう形になるかまだ予測もできませんけれども、お示し申し上げることができるものがあろうかと存じております。
  384. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつごろです。いつになりますか。
  385. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 今の予定では、三十八年度末までには何とかいたしたいと考えておりまするけれども、これはさらにいろいろと推敲を重ねなければならないものでございますので、今はっきりいつまでと申し上げるわけには参りません。
  386. 岩間正男

    ○岩間正男君 推敲を重ねるなんて、実際は訓練をやっておる。訓練をやっておって推敲をなさるということはかなわぬですからね。だから、私はこういうものは早く出して国会審議を受けるべきだと思うのですが、三十八年度末、これは期待しておりますから、出して下さい。  それでは、私は第二次防衛整備計画について伺いたい。そこで、その前に池田総理は今度の施政方針演説で、わが国外交の基調は「政治的にも経済的にも自由主義国家群との協調にある」と言われておりますが、これはそのとおりでありますか、あらためて確認しておきたい。
  387. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 施政演説で述べておるとおりであります。
  388. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこで、この第二次防衛計画を作成するにあたって、内外の情勢をどう評価しておるか、その基礎となる情勢判断についてお聞きしたいと思います。ここにこの前もらった政府提出の資料があるのですが、「第二次防衛力整備計画」なるこの資料によると、その作成の趣旨というところに、「わが国内外の諸情勢の推移を見通し、」ということをえらく気ばって書いてある。この見通し、この見通した情勢はどういうものであるか、ここではっきりと答弁して下さい。
  389. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 世界のいろいろな情勢を判断いたし、そうして現段階においては、この東西両陣営における核兵器の異常なる発達によるいわゆる核手詰まりという状態を一応想定し、そして在来型兵器による紛争はしかしながらあり得るということを前提にいたして考えております。
  390. 岩間正男

    ○岩間正男君 この中で、さらにここには「わが国に対し起こり得べき脅威に対処して」とか、「日米安全保障体制の下に、在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し、」と書いてある。この一体侵略とは何を想定しておるか。
  391. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) わが国を取り巻くいろいろな情勢は非常に複雑だと存じます。したがいまして、ここに申し上げておるのは、特にどういう国がいかなる脅威を日本に与えるかというような、いわゆる昔型の仮想敵国というようなものを予想したのではございませんで、わが国のある立場から起こり得るいろいろな情勢を判断をするということを趣旨にいたしておる次第でございます。
  392. 岩間正男

    ○岩間正男君 仮想敵国はないと言うんですか。軍事対象になるもの、これは仮想敵国と呼ぶかどうかは別として、軍事大将はどんなんですか。
  393. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いわゆる仮想敵国というようなものを想定をいたしておるわけではございません。
  394. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはあなたのところで出されたんでしょう。「防衛庁の現況」、これによると、世界が自由主義陣営と共産主義陣営とに分かれて戦っている。自由主義陣営はこのためNATO、CENTO、SEATO等を作っている。日米安全保障体制もその一つであるということが述べられておる。でその結論として、「このようにして、東西両陣営の対立の様相は、軍事的な面においても、判然と露呈されてきている」と断定しておる。先ほど総理が確認されたように、日本は自由主義陣営の一員であります。これは国防白書の中にも、現在の条件下で日本の中立は考えられない、わが国は自由主義陣営の側に立って、外部からの侵略に対する防衛考えるべきであるということが書かれておるのです。そういう点から、これはこの資料によってちゃんと軍事対象、仮想敵国と言うべきものがはっきりあるということは明らかじゃないですか、どうですか。
  395. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いろいろな世界の情勢の判断はいたしております。しかしながら、わが国に対する脅威がある特定国から与えられるであろうというような、そうした想定をいたしておるわけではございません。
  396. 岩間正男

    ○岩間正男君 この地図はどうなんですか。この地図は、あなたたちの出している中にちゃんとこれはもうそういうなにがあるじゃないですか。そしてちゃんとここに戦争体制のなにまで書いてある。これはどうですか、あなたのところにもあるでしょう。防衛庁長官に見せて下さい。
  397. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 各国のいろいろな軍事情勢は、私どもの能力の及ぶ限りを尽くしまして調査もいたし、判断もいたしておるわけでございます。しかし、繰り返してお答え申すようでございますが、わが国に対する脅威というものを、特定国を想定してやっておるものではないということを申し上げておるわけでございます。
  398. 岩間正男

    ○岩間正男君 この地図を見てごらんなさい、そういうこと言えないでしょう。ここには、日本は帝国主義陣営の一員として、中国ソ連、朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム人民共和国、モンゴール等を敵視して、それを対象としていることは歴然だと思う。あなたは仮想敵国はないと、こういうことを言っておりますけれども、言葉のあやだけの問題ではなくて、軍事対象としてはっきり考えているのでしょう、これはどうなんですか。
  399. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いろいろな各国の軍事情勢につきましては、できる限りの、はなはだ能力が不足で十分ではございませんが、私どもの能力の限りを尽くしまして情勢の分析に当たっておるわけでございます。しかし、繰り返すようでございますが、そういう情勢を判断したからといって、特定国を想定いたしておるわけではございません。
  400. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは国の基本に関する問題です。私はもう一度念を押します。防衛庁長官、今日、自衛隊の中ではソ連中国、北朝鮮を軍事対象にしていることは公然たる事実でしょう。それでも、あくまでそんなことはあなたはないと言い切れるのですか。もし、私がここで防衛庁の公式資料を明らかにしたなら、あなた責任をとりますか。今のように、ない、こういうようなことを言っているけれども、私はだてに聞いておるのじゃない。このことは国の根本に関することです。このために国民の莫大な血税が使われているのです。はっきりこの点で答えて下さい。
  401. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 前言を繰り返すようで恐縮でございますが、私どもとしましては、できるだけ各国、ことに日本を取り巻く各国の軍事情勢の分析は、可能な限り正確にやりたいと思っておるわけでございます。しかし、そういう分析をいたしたから、それが直ちにその分析をいたした国を特定の対象にいたしているということには相ならぬと存ずるのでございます。
  402. 岩間正男

    ○岩間正男君 言葉のあやで逃げているのです。これははっきり私たちはそういう実情についてつかんできているのです。これはいずれあなたに公式の資料をお目にかける機会があると思うのです。  そこで、次に進みますが、第二次防衛計画を見ますと、計画実施に際しては、内外情勢の推移等に伴い、戦略構想等に基づいてやると書いてあるが、防衛庁が初めて示した「戦略構想」という、この「戦略構想」とは一体何ですか。
  403. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 今お話の戦略体制というものは、日米安保体制をもとといたしまして、そうして日米共同をいたしまして、わが国の平和を守るという構想をもとといたしているわけでございます。
  404. 岩間正男

    ○岩間正男君 じゃ、次に伺いますが、第二次防衛計画の中で、最も特徴的なのは、ミサイル体制を作る。つまりナイキ二個大隊、ホーク二個大隊を新らしく作ることであると思います。このナイキ、ホークの配置はどうするのか、この配置について伺います。
  405. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ナイキ一個大隊は、関東周辺の防空のために配置をいたす予定でございます。他の一個大隊につきましては、さらに関東防空に当てるか、あるいは近畿地方、西日本に置くか、その辺はさらに検討をいたして参りたいと思います。  ホークにつきましても、これを北海道方面に置くか、あるいはナイキと並んで関東の防空に当たるかということにつきましては、さらにもう少し研究をいたして決定をいたしたいと考えております。
  406. 岩間正男

    ○岩間正男君 まだあとの一個大隊についてはきまっていないのですね。
  407. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 最初のナイキ一個大隊を関東周辺に置くことは決定いたしております。その他はさらにもう少し研究をさせていただきたいと考えております。
  408. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、その他については、最もこれは第二次防衛計画の根幹であると私は思っていますが、このミサイル体制は、最後のところまではっきりきまっていないのですね。一個大隊はきまった。しかし、あとの一個大隊については、まだ未決定ですね。
  409. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 三十七年度におきまするのはナイキ一個大隊でございます。したがいまして、これについては決定をいたした。その後ホークの二個大隊並びにナイキの一個大隊は、四十一年度までに逐次整備をいたすものでございます。いろいろ候補地はございまするが、比較検討をいたして、最も有効な面に配置をいたしたいと考えておる次第でございます。
  410. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、第二次防衛計画では、昭和四十一年度末までに航空機一千三十六機を作る計画になっているのですが、そのうち特にF104Jの配置の状況がどうなっているか、これをお伺いいたします。
  411. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 104J百八十機でございますが、その一隊は北海道に配置の予定でございます。ほかは中部に二個隊、西部に一個隊置く予定でございます。  ちょっと訂正させていただきますが、飛行隊の基地を北海道に一、中部に二、西部に一でございます。
  412. 岩間正男

    ○岩間正男君 全部これは決定しておるのですか。全部決定済みですか。
  413. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 北海道に置きますものは決定をいたしております。他の基地につきましては、F86の配置状況その他を比較考慮いたしまして最も適当なところに置きたいと考えております。
  414. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、陸上自衛隊に装甲車による機械化師団ができる予定ですが、その配置はどうなんですか。
  415. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま機械化部隊とおっしゃいましたが、これは現在北海道に第七混成団というのがございまして、これが特別に機動力を付与いたしまして、一般的には機械化の進んだものということで、特別の混成団を編成したものでございまして、これが師団に改編されまして第七師団ということに相成ります。特別に新たに二次計画によりまして機械化師団が作られるというわけではございません。
  416. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは装甲車によってできているのですね。それから、非常に北海道のやつは強力なものだ、そういうふうに思いますが、どうですか。
  417. 海原治

    政府委員(海原治君) 第七師団の装備の主要なものといたしましては、今お話がありましたような装甲をもちまして、人員を急速に運搬する装甲人員輸送車というものが主体になっておることは事実でございます。  強力かどうかということになりますというと、編成の人員等にもよりますが、従来持っておりました管区隊、混成団等に比べますというと、そういう機動力、火力等においてはすぐれております。
  418. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に、機雷敷設艦を作るのか作らないのか、機雷は一体どこに敷設されますか、その予定、この点を伺います。
  419. 海原治

    政府委員(海原治君) 二次計画におきましては機雷の敷設のための船を一隻作りたいと考えております。機雷は御存じのように、主要の港湾、海峡等の防備に充てる予定でございます。
  420. 岩間正男

    ○岩間正男君 特にどういうところなんです。戦略構想ということを言っておるけれども、どことどこに機雷を……。
  421. 海原治

    政府委員(海原治君) 具体的な機雷の配置、敷設ということにつきましてはここで申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思いますが、一応わが国の四つの島を防衛いたしますために、必要と思われます港湾、海峡等に有事の場合には直ちに敷設をしたい、このように考えております。
  422. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁長官、どうですか、これは国の安全の重大な問題ですから。
  423. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 機雷につきましては、ただいま防衛局長お答えしたとおりでございまして、重要な港湾あるいは海峡等につきまして、有時の際に考慮をいたすということでございます。
  424. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、時間の関係から、もっと実は詳細に質問したいことがあるのですが、大体私が以上あげてきました、それは戦略、ミサイル計画の問題、それから航空機の問題、機械化師団の問題、機雷の問題、こういう点をあげていけば、これは明らかに北方重視の対ソ戦略に重点に置くことになっていると思います。この点は今までもそうだと思う。しかし、ナイキとかホークの配置がまだ夫決定である、こういうところを見ると、どうも明らかに戦略が動揺していることがわかる。これは何のためにこうなっているか、私はこの問題は、韓国のクーデター以後の情勢の変化によるものではないか、こういうふうに思っております。そしてこれは非常に重視すべき問題だと思う。私はこの点さらに明らかにするためにお聞きしたいと思いますが、第二次防衛計画によりますと、昭和四十一年度までに弾薬の備蓄は一カ月分の計画になっているようですが、このとおりですか、現在どのくらい弾薬を持っておりますか。
  425. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 現在におきましては、大体陸上で九万六千トン、海上、航空合わせて五千トンずつ程度でございますが、しかし、これは御承知のように、米軍供与のものが大部分でございます。弾種、その他についていろいろ不均衡がございます。その不均衡を是正しつつ、四十一年度末におきましては、大体一カ月分の備蓄をするという計画を立てておるのでございます。
  426. 岩間正男

    ○岩間正男君 現在何日分あるのですか。
  427. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) これはただいま申し上げましたように、総トン数でこうなっておりますが、弾種によりましては非常に少ないもの、あるいは割合多いもの等、非常に不均衡になっておりますので、これらを平均して何日分ということは不適当かと存じます。
  428. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体さっきの量から言えば四日前後でしょう。それではお聞きしますが、自衛隊がもし実戦を始めて一カ月以上戦いが続いたらどうなるか。四十一年まで一カ月分の弾薬を作るというのですね。そうすれば、四十一年後にかりにこのような事態が起こったら一カ月やったそのあとどうするんですか、弾がなくなったら。その点をお伺いしたい。これでは局地戦の危険があるとか、侵略に対して有効に整備するなどということを実際ぎょうぎょうしく言っていますけれども、実体は何もないじゃないですか。
  429. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいまお答え申し上げましたように、この弾薬については、種類により相当な不均衡がございます。したがいまして、これを直しつつ、そうして四十一年度末におきましてはおおむね一カ月程度の備蓄をするという計画でございます。起こり得べき状態というものがどういうものか、これは予測できないわけでございます。したがいまして、そのときの状況によりまして、一方安保体制等も考えつつ善処をいたして参りたい、かように考えておるわけであります、
  430. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと注意して下さい。私が聞いていることによく答えて下さい。一カ月たったらどうかといって聞いている。四十一年まで一カ月だというのでしょう、一カ月たったらどうするんです。一カ月たったらどうするか、これが重要な問題です。
  431. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいまもお答え申し上げましたように、そのときに起こり得べき事態というものは非常に現在から予測しがたいものです。したがいまして、その起こった事態に関して基本をなす安保体制その他を考慮しつつ善処いたしたいと考える次第であります。
  432. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して一言。さっき岩間君が自衛隊の配備状況から見てソビエトのほう云々ということを言われておりましたが、私は、航空自衛隊並びに海上自衛隊についてはその傾向が顕著だと私も思っております。しかし、私わからないのは陸上自衛隊ですね。これは発足以来の経過を見ますとね、昭和三十六年度に八個師団編成して、昭和三十七年度に残りの五個師団再編成して、合わせて十三個師団にするというのですが、どうも方針が違って参って国内向けに変わってきたような感じがするのですね。それと弾の備蓄がないというのは符節が合うと思うのです。一体一カ月分も弾持たないような兵隊を備えておって何するのですか。どうも陸上自衛隊の配備状況から見て、これは発足当時と違ってきて、発足当時は確かに北海道にずっと集中していた、そうして北の方に備えていたようでありますが、最近はどうも陸上自衛隊に限っては国内向けに変わってこられたようであって、理解に苦しんでいるのですが、御説明いただきたいと思う。
  433. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) この十三個師団の編成というものは、日本の地形に合った最も適当な配置をいたしたつもりでございます。今矢嶋さんの御指摘のように、国内向けというようなことは全然考えていないわけでございます。(「じゃ、どこ向けだ」と呼ぶ者あり)しかも、今弾薬の備蓄に関連しての御質問でございます。私どもはもちろんその弾薬のことも、一時に多いことも必要でございますが、しかし、これはいろいろ他の諸施策との関連もありますので、第二次計画におきましてさような決定をいたしたわけでございます。もちろん国内にも弾薬の製造の設備その他はございます。あるいは米軍からの補給というものも考えられるわけでございます。そういう点は、先ほど岩間さんの御質問お答えいたしましたように、その事態において十分に善処をいたしたいと考えている次第でございます。
  434. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常にたよりない答弁を繰り返していると思うのですが、私はここで詳しく質問しているのは、現在日本には日米安保条約があり、米軍の基地があり、極東地域の局地戦が始まれば日米軍が直ちに出動する建前になっておるのです。つまり日本の意思とは無関係日本に基地を置く米軍によって日本が危険にさらされることになるからです。ミサイルや爆撃機による在日米軍基地がある限り、われわれの国土は常に爆撃の対象になっておるのです。侵略的なアメリカ帝国主義の軍隊と運命をともにする安保条約がある限り、この危険から免れることはできないのです。一カ月ということを言ったが、あとは野となれ山となれ、アメリカまかせが現在の一体日本の戦略なんです。  ここであらためてお聞きしますが、現在アメリカのペンタゴン、日本防衛庁内でよく言われているかきねの理論という戦略構想があるはずです。防衛庁長官はこれを知っていられますか。
  435. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま御質問のようなことは私存じておりません。
  436. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、政府はやはりシビリアン・コントロールとかなんとか言っているが、日本の現実にはこれはそうなっていない。この前の治安行動草案のときと同じだ。かきねの理論というのはずいぶん専門家の間では行なわれているのでしょう。さきの戦略構想のことを私は特にお聞きしたのは、このかきね理論ではないかということです。私はここで特にかきねの理論というものを問題にするのは、かきねとは、まず第一に、日本アメリカのかきねにされること、それと同時に、韓国がまた日本アメリカのかきねにされるという二重の意味を持っている。それが現在進められている日韓問題と実に深い関係があるから私は非常に重要だと思っているのです。池田総理は、昨年六月にアメリカを訪問し、ケネディ大統領とヨットの中の会談を持った。そのとき韓国問題に触れてこう言っているじゃないですか。韓国は大国主命以来、日本には地理的にも歴史的にも最も近く、南朝鮮の赤化は日本の死命を制する立場にある。特に釜山が赤化した場合、日本の治安に対し大きな影響を及ぼすだろう。したがって、南朝鮮の反共体制に対し、日本は重大な関心があり、軍事政権といってほうっておくわけにいかないと言ったと伝えられておりますが、この趣旨はこれでよいと解釈してよろしいですか。
  437. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 韓国と日本との関係は唇歯輔車。そしてこれはずっと昔から日本にとっては大事なところなんです。ここの治安の確保は絶対必要と考えるという意味のことを申しました。
  438. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体肯定されておりますね。  もう一つ、次に聞きます。池田総理は、二月五日の衆議院予算委員会で、社会党の野原委員質問に対し、「交渉の内容につきまして、そういう赤化防止ということが出ておるかどうか知りませんが、私は、やはり、われわれと同じように、韓国が自由民主主義国であることを念願いたしております。」こういうふうに述べておりますが、これは確認してようございますね。私は速記録からひいた。
  439. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 前の、赤化とかなんとかいう記憶はございませんが、われわれの自由民主主義と同じ思想であることを私は望ましいと思っております。だからその点は言たっと思います。
  440. 岩間正男

    ○岩間正男君 さらにこれに対して、アメリカの帝国主義者たちは、もっとあけすけに述べております。レムニッツア統合参謀本部議長は、四月十八日のアメリカの上院外交委員会で、もしアメリカが韓国への援助を打ち切るならば、アメリカは遠からずアジアの全権益と同盟国を失うだろう、もし韓国が共産圏の手に落ちれば、日本は千島、樺太と朝鮮からはさみ撃ちにされる体制となり、日本の戦略的地位はもろくなるだろう、このような証言をしております。つまり岸、石井氏などの親韓グループが、釜山に赤旗が立ったらたいへんだと騒ぎ立て、防衛庁は、杉田幕僚長を初め、南北統一は共産主義の無血革命だ、こうなったら三十八度線は朝鮮海峡になり、日本は裸になる、今のうちに朴政権にてこ入れせよと言っていると伝えられております。池田内閣の日韓会談での構想は、これをみごとに裏書きしていると私は思うのです。つまり今日防衛庁内でかきねの理論ということが盛んに横行しているのは、真空論、戸締まり論、こういうもので自衛隊を創設しましたが、戸締まりどころか、大衆運動を弾圧し、国民を暴徒とみなし、核武装のできるナイキ部隊を作る段階になって、アメリカの戦略に従い、……。
  441. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、ちょっと御注意を申し上げます。あなたの持ち時間と、あなたの答弁の持ち時間とが経過しておりますから、きわめて簡単にお願いいたします。
  442. 岩間正男

    ○岩間正男君 韓国でのかきね論は、まさにこの必要から、これを理論化したものだということがはっきり言えると思います。つまり南北朝鮮にあくまで反共国家が必要だ、南北統一でこれがなくなったら、つまり釜山に赤旗が立ったらたいへんだ、だから日本はガリオア、エロアを返済して、アメリカからその金を回させ、日本も金を出して朴軍事ファッショ政権を維持しよう、そして韓国を日本及びアメリカの防波堤にしようと言っているのにほかならない。このように日韓会談は、日本を三十八度線の危険に導くと同時に、南朝鮮の人民を、アメリカ日本独占のかきね、人がきにしようとする残忍なものです。それと同時に、先ほども述べたように、日本アメリカの……。
  443. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君に重ねて御注意申し上げますが、きわめて簡単にお願いします。
  444. 岩間正男

    ○岩間正男君 昭和四十一年までかかって、一カ月持つか持たないような防壁にする、そうして朝鮮と日本を二重の防壁にする、つまりかきね理論というのは、二重のかきね理論です。このような軍事理論は、池田内閣が日韓会談を無謀に進める限り、ますます発展するだろうということを私は断言してもいいと思う、池田総理並びに藤枝防衛庁長官はこれでよろしいかどうか。このペンタゴンや防衛庁、自衛隊が、目下その中心的な軍事理論としているものを、総理防衛庁長官も知らないということは何事か、だからこそ私は現在の国防会議とかなんとかいっても、ロボットだと言って国民はこれを許さない。さらにこの考え方こそが、池田内閣の全政治の方針と結びついているのです。二重のかきね、軍事理論というものは、まさに政戦両面の理論です。安保条約のもとで政治反動を強め、憲法改正を急ぎ、軍国主義復活の政策をとっている国内政治も、また、はっきりここからきておるということを私は指摘したいと思うのでありますが、これについて総理の見解をはっきり伺いたいと思います。
  445. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君に御注意申し上げますが、あなたの持ち時間は三分経過いたしましたから……。
  446. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) あなたの意見とは全然逆な考え方だと思います。
  447. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君の質疑はこれをもちまして終了いたしました。  明日は午前十時に開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会