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1962-02-14 第40回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十四日(水曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員小山邦太郎君、小林英三君、 前田佳都男君、古池信三君、小柳牧衞 君、塩見俊二君、坂本昭君及び相馬助 治君辞任につき、その補欠として櫻井 志郎君、高橋衞君、植垣弥一郎君、徳 永正利君、石原幹市郎君、西郷吉之助 君、戸叶武君及び赤松常子君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     湯澤三千男君    理事            鈴木 恭一君            平島 敏夫君            米田 正文君            加瀬  完君            藤田  進君            田上 松衞君            加賀山之雄君    委員            石原幹市郎君            植垣弥一郎君            小沢久太郎君            太田 正孝君            大谷 贇雄君            金丸 冨夫君            西郷吉之助君            櫻井 志郎君            杉原 荒太君            田中 啓一君            高橋  衞君            館  哲二君            徳永 正利君            苫米地英俊君            野本 品吉君            一松 定吉君            村山 道雄君            山本  杉君            横山 フク君            亀田 得治君            木村禧八郎君            戸叶  武君            羽生 三七君            松澤 兼人君            山本伊三郎君            赤松 常子君            相馬 助治君            石田 次男君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    内閣総理大臣  池田 勇人君    法 務 大 臣 植木庚子郎君    外 務 大 臣 小坂善太郎君    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  佐藤 榮作君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    郵 政 大 臣 迫水 久常君    労 働 大 臣 福永 健司君    建 設 大 臣 中村 梅吉君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    法制局長官   林  修三君    法制局第一部長 山内 一夫君    総理府総務長官 小平 久雄君    警察庁長官   柏村 信雄君    経済企画政務次    官       菅  太郎君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    外務省条約局長 中川  融君    外務省情報文化    局長      曾野  明君    大蔵大臣官房日    本専売公社監理    官       谷川  宏君    大蔵省主計局長 石野 信一君    文部省管理局長 杉江  清君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林省農地局長 庄野五一郎君    通商産業省重工    業局長     島田 喜仁君    運輸省海運局長 辻  章男君    労働省労政局長 堀  秀夫君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    外務省移住局外    務参事官    鶴我 七蔵君    自治省財政局財    政課長     松島 五郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十六年度一般会計予算補正  (第2号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十六年度特別会計予算補正  (特第3号)(内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を開会いたします。  委員変更について報告をいたします。  本日、小山邦太郎君、小林英三君、前田佳都男君及び古池信三君が辞任せられ、その補欠として櫻井志郎君、高橋衞君、植垣弥一郎君及び徳永正利君が選任せられました。   —————————————
  3. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第3号)、以上両案を一括して議題といたします。  質疑を続けます。石田次男
  4. 石田次男

    石田次男君 私は、主として外務問題をお伺いしたいのでありますが、その前に若干租税の関係についてお伺いいたします。  三十六年度税収自然増についてお伺いしたいのでありますが、現在わかっているところでどれくらいの増収になっておりますか。大蔵大臣ひとつ……。
  5. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 昨年の十二月末現在一兆七千六百四十六億円、この予算に対して大体八一・五%という収入歩合になっております。
  6. 石田次男

    石田次男君 年度末までの自然の増収をどのくらいと見通していらっしゃいますか。
  7. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今申しました八一・五%の収入歩合でございますが、前年度予算同期の対決算歩合は七〇・九%でございますので、その点から見ますと一〇・六%というふうな好調を示しておりますので、この傾向をもとにして今後の経済情勢見通しも入れ込んで税目別にいろいろ積算を私どもやっておりますが、それによりますと、当初予算に対して大体三千三百億円前後の自然増になるんじゃないか、すでに第一次の補正予算をやっておりますので、第一次補正予算に対して二千三百億円ぐらいの自然増になるんじゃないかというのが今のところの見込みでございます。
  8. 石田次男

    石田次男君 このように相当に大きな自然増収があるわけでありますが、これに対して来年度予算減税規模はどの程度に見込んでおりますか。私も数字は持っておりますが。
  9. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のとおり初年度一千億円であります。
  10. 石田次男

    石田次男君 税制調査会答申によりますと、今度の予算に対して減税規模は千七百億程度が望ましいと、このような答申があったはずでありますが、昨年度自然増収歩合から見まして、これは当然可能な数字と思いますが、政府の案によりますとその半分、千億といいますから半分弱ですね、その程度減税規模、こういうふうにお考えになったようです。この千七百億という答申は相当根拠を持って答申したものと思うのです。ところが、実際にはこれがすっかり無視されているのでありまして、税収の面から見ましても可能であると考えられるものがこうしてしぼられておる。この点について、私は減税に対する本格的な、所得の低い人たちに対する考慮というものがまだまだ欠けておると思いますけれども、その点については、大蔵関係ではどうお考えですか。
  11. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税制調査会から出てきました答申案、ほとんど実質的には二十五、六億円しか違っていないのが今度の減税案でございまして、ほとんどそのとおりになっております。で今申しました一千億は関税の問題を引いてございますので、それによりますと正確には初年度千四十億円でございますが、初年度千四十億円の減税ということは、平年度に直しますと、国税において千二百四十四億円、地方税で四百二十二億円ということでございますが、税制調査会答申は、国税で千三百八十二億円、地方税で三百六十二億円、それで千七百億円という答申でございましたが、今度の政府から出ております減税案は、国税では百三十八億円金額として減っております。それから地方税では五十九億円だけ多く税制調査会よりも減税しているということでございますが、その百三十八億円減少しておるといっても、内容は、たとえば所得税において税制調査会の案よりも生命保険控除を私どもが拡大しておりますので、これで十二億円食い違いが出てきましたし、物品税減税内容を若干拡張しましたから十二億円の食い違いが出てきた、入場税で税率を一〇%に全部一本に統一しました関係で、十五億円くるうわけでございます。それから酒のほうで、ビール一本当たり十三円の減税案を十円に直しました関係で、七十一億円の食い違いが出てくるということでございますので、実質的には二十五、六億円しか違っていないということでございまして、税制調査会の案は大体今度の政府案とほとんど同じ、減税規模も同じと、こういうことになっております。
  12. 石田次男

    石田次男君 次に、これに関連して総理にお伺いいたしますが、向こう十年間住宅建設目標は一千万戸といわれているわけですね。で本年度建設目標は二十一万六千五百戸、こう発表されております。これに対して現在さしあたり必要とされている住宅不足数、これはどのくらいあるか、御存じでございましょうか。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 勉強が足りませんので、少し違うかもわかりませんが、私が二、三年来考えておったことを申し上げ、もし数字が間違っておったならば建設大臣のほうからお答えいたします。  大体終戦後におきまして、住宅不足は四、五百万戸と記憶いたしております。その後だんだん住宅建設をいたしまして、大体政府のほうでは二十万戸前後でございまするが、これに対しまして民間のほうがその倍近くの四十万戸前後あるのが今までの例でございます。今年度も多分政府のほうでは二十二万戸を予定しておったかと思います。そういたしまして、だんだん四、五百万戸の不足が大体今では百八十万戸程度ではないかと思います。しかし一方では人口増加その他がございます。また、一世帯居住率と申しますか、同居したのが分かれる等々で、まだ数百万戸不足考えております。数百万戸というのは、二百七、八十万戸不足でございます。これを民間を合わせまして六十万戸ないし七十万戸やっていくならば・今後の人口増加居住率変更に対してマッチできるのではないか。大体政府のほうで二十数万戸、民間のほうでそれの倍近く今後建てていくならば、大体十年間で解消できる、こう私は記憶いたしておるのであります。
  14. 石田次男

    石田次男君 実は建設省へ行って調べてきたのでありますが、現在の住宅不足数は三百万戸と言っておりまして、そのうち低所得者相手に建てているところのいわゆる二種住宅、この不足が百二十万戸、こういう数字を私はもらってきておるのであります。これは十年計画といっておりますが、現実の不足というものは、十年先までのんびりかかってやられたんでは国民のほうはたまらないのですね。こういった切実な問題があるし、また税金自然増減税の割合と、こういうものとを考え合わせてみまして、減税といい、社会保障といい、その他あらゆることをやっていらっしゃるようではあるが、一番肝心な所得の低い、住宅のほしい、あるいは減税の切実に身にしみるこういう人たちに対する配慮が非常に薄いと私は思うのです。それは間接税の三十七年度減税関係なんかをみていくとはっきりするのです。時間がないので一々詳しくは申し上げませんが、たとえば間接税の大半は、六〇%は酒税ですね。減税分の六〇%は酒税です。これがせっかく税金を下げる下げるといっても、マル公が廃止されてから五円か十円値上がりしていることはご存じだと思うのです。そういうことで、こっちは減税しても実際的に買う身になってみると少しも下がっていないのです。それから相続税なんかも下げておる、これなんかはなおさら一般の低所得者に対しては無縁の分であります。そのほかこの間接税減税、それから全般的に見たところの減税体系自体が下に薄く上に厚い、こういう傾向になっているのです。この点については今後いろいろのことはありましょうけれども、ぜひ自然増等収入を見合わせて強力に推し進めていただきたい、私はこのように思う次第でございます。これについて大蔵大臣総理大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  15. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 最近の減税が上に厚くて下に薄いということはもうこれはございません。三十六年度、本年度減税も御承知のとおり低所得者層中心減税を行ないましたし、今回も引き続き間接税及び所得の少ない層の減税中心にやりますので、この二年間を通じてみましたら、まず所得税分野においても低所得者中心に千二百億円以上の減税になっておりますし、また間接税税金を払う世帯と払わない世帯は六十何%に三十何%という比率になっておりますが、今度間接税負担を見ますというと、これが約五〇%ずつというふうに低所得者層の、ことに税金を払っていない層の間接税負担が多いということから間接税減税をやるというような措置によりまして、大体この二年間税制中心所得の少ない者を対象の減税になっておりますので、上に厚くて下に薄いというような減税ではないと私ども思っております。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨年の所得税中心と今回の間接税中心——とは申しませんが、間接税所得税等減税によりまして、大体妥当な方向で進んでおると考えております。
  17. 石田次男

    石田次男君 次の問題に移りたいと思いますので打ち切りますが、今言った酒の例なんかは一つ負担する側から見た実例なんです。税金は下げたところが値段はすぐ上がっておる。これでは税金という面から見れば若干下げたつもりかもしれませんが、生活する方の負担という面から見れば何にもなっていないのですね。こういう点は非常に技術的にまずいと思うのです。こういう実例はたくさんあるわけです。そういうところをよく総合的に考えて、減税の問題なども処置していってもらいたい。こう申し上げたわけであります。  次に塩田の問題に移ります。国内産の塩の問題でお伺いしたいのですが、二十八年、九年に塩田を入浜式から流下式に切りかえさせましたね。ところが、結論的に言って、あれは塩田業者に対しては負担にはなりましたけれども、救済にもならぬし、また事業の推進にもならなかったわけであります。これについてはよく皆さんご存じと思う。あのときには一町歩当たり二百万円の改造費でやったわけでありますが、三割政府が補助して、結局あのときの改造費というものは業者負担になっている。今でも借金になって残っておって苦んでおります。ところが、三十五年度から三十六年度の三月と思いましたが、一年期限で塩田を縮小するという方針を立てて、存続か廃止かという申告をさせまして、そのときにだいぶ補償率の問題で業者の組合とやりとりがあったはずであります。その結果現在大体どういうふうに落ちついておるか、その実情を簡単に説明していただきたいと思います。これは政府委員の方でもいいし、大臣でもいいと思います。
  18. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 塩の問題は一応承知しておりますが、正確のほうがいいと思いますので専売公社から。
  19. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 技術的な問題でございますので、私から御答弁申し上げます。  三十四、五両年度にわたりまして、百十五億円の財政資金塩田業者補償金といたしまして支出いたしました結果、当時百三十万トンの国内塩田生産力に対しまして、その三割に当たりまする四十万トンを整理いたしました。それで、その場合に塩田の面積といたしましては整理前約五千ヘクタールございましたが、その四割に当たりまする二千ヘクタールを整理いたしました。また業者の数といたしましては、整理前におきまして約三千六百ございましたが、それの三八%に当たりまする千三百七十一人を整理いたしました。またそれに伴いまして塩田従業員につきましても、整理前約九千百人ございましたが、そのうち五千八百人は整理の結果ほかの職業に転換されたわけでございます。かようにいたしまして、現在は塩田による生産者、そのほかに機械製塩のものを含めまして四十三の工場によりまして年間約九十三万トンの塩の生産が上がっておる実情でございます。
  20. 石田次男

    石田次男君 それで国内の塩は生産過剰になっているはずですが、現在在庫にどのくらいですか。またこの在庫はふえる傾向にあるか、横ばいか、その辺の関係を。もう一つ、それから野積みはしておりませんか。あれば何トンぐらい野積みをやっておるか。その点教えてもらいたいと思います。
  21. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) お答え申し上げます。現在の在庫は約七十万トンでございまして、三十六年度末すなわち今年の四月一日におきましては、これが六十九万トン程度に減ります。さらに三十七年度末におきましては五十四万トンになるわけでございます。この中には若干の輸入塩——これは常時必要とする在庫でございますが、五万トン程度ございますので、そのほかの大部分国内塩でございます。通常、塩の適正な在庫は二、三カ月が適当と考えられますので、かりに三十七年度末に五十四万トンの在庫になった場合におきまして、その半分以上が過剰と考えられます。これは、三十四、五年両年度にわたりまして塩業整理をしました以前において、過剰生産力の結果、在庫が相当たまったわけでございますので、これが引き続き、現在に至っておるわけでございますが、その後、昭和三十四、五年度以降におきまして、この過剰の在庫塩ソーダ工業塩に振り向けるという操作をいたしました結果、毎年十万トン以上の在庫塩ソーダ工業塩に振り向けておりますので、年々その程度減って参っております。そこで数年後におきましては、塩の問題は、在庫の問題につきましては解決を見ることになります。さらに野積みの塩でございますが、現在一万トン程度在庫野積みになっておりますが、目下これを取りくずしましてソーダ工業塩に振り向けておりますので、今年の三月末には野積みの塩はほとんどなくなるという状況でございます。
  22. 石田次男

    石田次男君 現在輸入している塩は工業塩がほとんどですね。それから全体の半分が輸入になっております。この年間輸入量と、その金額を教えていただきたいと思います。
  23. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 昭和三十六年度輸入数量は二百五十一万トンでございます。その大部分工業用に使われるわけでございますが、若干、たとえば魚の塩蔵用でありますとか、その他のものに使われますが、その工業用のうち大部分ソーダ工業用に振り向けられるわけでございます。三十六年度全体の塩の需要量は三百四十八万トンでございまするので、ただいまの数字はそれの七三%に当たります。七三%が輸入塩によってまかなわれているわけでございます。なお、価格の点につきましては、運賃の動向等関係によりまして月々変動があるわけでございますが、三十六年度のただいままでの実績によりますると、日本の内地の港に着いた場合の価格が約十一ドル——三千九百二十七円ということになっております。
  24. 石田次男

    石田次男君 年間輸入量とその金額とを聞いたのです。全体で何トン輸入しておるか。
  25. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 全体で二百五十一万トンでございます。それで約十ドルでございますから、二千五百万ドル輸入しているわけでございます。
  26. 石田次男

    石田次男君 私が調べてきたところによりますと、国内塩生産単価トン当たり一万円、それから輸入塩トン当たり単価は、大体変動があっても四千円強ですか、そのように調べてきたのですが、これで間違いありませんか。
  27. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 輸入塩国内生産塩とでは、それは品質等の点におきましてだいぶ違いまするので、同じもの同士で比較するということはなかなか困難ではございますが、輸入原塩、これは地域によりまして品質がいいのもありまするし、あるいはほかのいろいろなものがまざっておるというものが多いわけでございますが、これを国内工業塩あるいは家庭の食料用として使う場合におきましては、精製加工する必要がございます。で、この経費が相当要るわけでございますが、一方、国内生産される塩の価格は、ただいまお話がございましたように、一万円をちょっとオーバーしております。専売公社収納価格は、昨年の十二月一日以降、国内塩白塩で一万九百五十円になっております。
  28. 石田次男

    石田次男君 それから最近、塩の工業生産が始まりまして、イオン交換樹脂膜製塩法といっておりますが、この工場小名浜と堺ですかに、あってやっているわけですね。それから専売公社試験工場が小田原にあるのじゃないかと思いますが、これは将来大量生産ができるものかどうか。また現在それでやると、単価七千円程度といっておりましたですが、量産に従ってとの程度まで下がるか、その辺の見通しを聞かしていただきたいと思います。
  29. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) お話のとおり、塩業におきましても新しい技術が続々と研究されまして工業化段階に至っておるものもございます。ただいまのお話小名浜と堺におきまして、民間の会社がイオン交換樹脂膜による製塩法試験的に工業化しているわけでございます。小名浜におきましては五万トン、堺におきましては一万トンの規模で、中間試験段階と申しますか、工業化試験的に実施しておるという状況でございます。これが本格的にほうぼうにおきまして全面的に工業化が実現できるかどうかという点につきましては、目下技術者の間で真剣に検討しておる最中でございますが、ただいままでの試験成果から見ますると、前途は非常に光明があるということを私ども考えておるわけでございます。  値段の点でございまするが、現在はまだ、たとえば小名浜工場にいたしましても、ことしの二月ごろから本格的に操業を開始したという状況でございまするし、堺におきましても、まだ十分なデータがそろっておりませんので、今後どの程度価格まで引き下げになるかということは、今後の成果を見て判断せざるを得ないわけでございまするが、現在までのところでは、数年後におきましては外国の輸入塩価格に大体匹敵する程度に下がることになろうと考えております。
  30. 石田次男

    石田次男君 今のお答えではっきりしたと思いますが、国内塩田というものの将来は、はっきり言うと、今の炭鉱と同じ運命をたどるのじゃないかと私は思うのです。輸入塩は安いし、どうせ工業化は進むし、そのほうが実際安く仕上がるのですから仕方がないですね。こうなりますと、現在の塩田が今の炭鉱と同じ経路をたどるのはそう遠くない将来である、こういうように私は見ているのでございます。これに対して、今からはっきりした施策をもってこの問題を処理していかなかったならば、将来の一つの社会問題になる。このように考えますので、これに対する大蔵大臣施策をお伺いしたいと思います。
  31. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今、監理官からお話しいたしましたように、まだ中間試験段階でございますので、これが本格的な大量生産に移っていくというには、期間はまだ相当あろうと思いますが、しかし、この新しい技術が進んで参りまして、そういう事態になりましたら、ただいまの製塩法による塩田整理というようなことが当然将来考えられることでございます。まだ相当ひまはございますが、方向としてはそういうことが見通されますので、今後の対策も私どもは今からいろいろ研究しておるところでございます。幸い今、専売制度になっておりますから、一部そういう新技術大量生産が行なわれましても、これを急激に変化を与えないで、救済しながらやっていく方法というものは、専売制度でございますから十分あると思いますが、しかし将来の方向は、そういう方向が見通されますので、十分研究したいと思います。
  32. 石田次男

    石田次男君 これは今、大臣の答弁にもありましたように、専売事業ですから炭鉱と比べましたならば、対策は非常に立てやすいと思うのです。ぜひ、お忘れなく強力に推進していただきたいと思います。  次に外交問題に移ります。きのう相馬委員からも質問がありましたオランダ航空機の羽田立ち寄りですね、これについて。二年前にオランダ航空母艦が横浜に来て、そのとき一たん立ち寄りを許可して、それに対するインドネシア側の抗議があったので取り消した。こういう事件があったと記憶しておりますが、あのときの状況を簡単に外相、説明していただきたいと思います。
  33. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) オランダ航空母艦カレル・ドールマン号が西イリアン地区から補給のために日本へ寄る、その機会にオランダと日本との修好三百年の祝いをいたしたいということでありまして、一度政府はそういうようなことについて同意しておるのでございますが、その後のこの地区の紛争をめぐってのインドネシア側の態度が非常に困ったという気持が強いので、オランダ側にこの点を伝えまして、オランダ側のほうで自発的にカレル・ドールマン号の寄航を取りやめた、こういう経緯でございます。
  34. 石田次男

    石田次男君 オランダとインドネシアの紛争というものは、当時からのものでありまして、こういう空母をめぐっての問題もあったわけでありますから、当然兵員輸送とか、軍事目的による港や空港への立ち寄り、こういうことは当時から予想されてよかったのではないかと思うのです。今急に羽田経由で兵員を持ってきたという問題も、実を言うと、そのころから警戒すればできていたのですね。これについて航空協定、あるいは船舶関係の立ち寄りの協定、こういうものに対して、兵員輸送等の立ち寄りは禁止するような方向に改訂を進めるべきであったと私は思うのです。今になっては非常におそいのですけれども、今後こういうことがないとは言えないのでありまして、これからでも、そういった諸条約の改訂によりまして、兵員輸送の立ち寄り等を禁止する意向はないか、この点をお伺いいたします。
  35. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ICAO条約と日蘭航空協定の定めますところによりまして、チャーターしてきます飛行機につきましては、これを断わりました。また機種の変更、DC7というのがDC8になっている、このことについてもわれわれは断わりました。なお、これに関連いたしまして、一般の旅客機に対しましても、そこに組織的に、継続的に大量の軍事輸送と常識的に考えられるようなことは困るのだということを申し入れまして——おそらく今後は、そういう事態はあまり生じないのではないかというふうに考えております。オランダ政府においては日本政府考え方というものはよくわかっていると現在考えております。
  36. 石田次男

    石田次男君 外相のお立場としては、そういうお答えしかできないかもしれませんが、もし、再度輸送してくるような場合はどういたしますか。
  37. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 再度チャター機によって軍隊輸送をするというようなことがありましたら、これは断わることにいたします。
  38. 石田次男

    石田次男君 これはオランダ側の誠意を信ずるとか、もうないだろうとか、そういうことを言っていたのでは、いつまでも穴がふさがらないのですね。やはり日本という立場からして、条約上でもって防ぐという手を打つのが正しい外交であると思うのです。その点についての外相の見解は。
  39. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 日本はインドネシアとも非常に友好関係を持っております。同時にオランダに対しても友好関係を持っておるわけです。そこで、今、現在ありまする航空協定を廃棄するとか、改訂するとかということに出ますことはいかがかと存じまして、要するに、いわゆる西イリアン問題をめぐって国際紛争が現に起きつつある。この問題に対して国連のウ・タント事務総長が仲介に立って、その見通しも立っておる、こういう段階において、非常にわれわれは、この航空機の輸送によってこの紛争に巻き込まれる危険を感ずる、そういうことは日本政府としては好ましくない、こういうことを強く言っているわけであります。この紛争の解決ということも、われわれとしては、われわれの力の及ぶ限り努力しておりますし、この見通しも明るい、かように考えておる次第であります。
  40. 石田次男

    石田次男君 総理大臣にお伺いしたいのですが、こういう植民地の解放の問題については、原則としてはどういうふうにお考えになっておりますか。西イリアン問題としてではなく、原則として植民地の解放運動、これについての見解をお願いします。
  41. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) われわれは従来から、植民地の解放を強く叫んできておったのであります。また先般の国連におきましても、いち早くわれわれはこれを提唱して、やっておるのであります。今の西イリアンの問題は、直ちに植民地というわけにもいかない状況でございます。もう数年前から両者の間に一応の協定を作りまして、話し合いを進めておるような状況でありまして、一般の植民地問題と同様にはいかない問題と、私は考えております。
  42. 石田次男

    石田次男君 今度の西イリアン紛争は国連でやっておりますし、その点についてインドネシア側も無理に武力に訴えるということは、今の段階ではまだ考えられない状態でありますが、それに対する大国の態度というものは常にはっきりしているのですね。この問題には介入しないとか、解放を支援するとか、あるいはこうするとか、世界の外交の上では大国の態度ははっきりしておりますが、日本の場合は、大体国連というものの陰に隠れて、自発的な意見の発表、こういうことが今までなかったように考えられるんです。私は、自主外交を主張していらっしゃるならば、むしろ積極的に日本政府考えというものを内外に公表していただきたいと、こう思うのでございますが、首相はどういうお考えでございましょう。
  43. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 案件によるのでございまして、原則的に常に日本一の意見はこうだ、やはりチュニジアの問題にいたしましても、西イリアンの問題にいたしましても、植民地解放の原則は持って参りますけれども、両者間にある協定その他を無視して武力に訴えるというようなときには、これは植民地解放を念願としておりまするわれわれといたしましても、武力にすぐ訴えるということについての価値判断はまたあるわけでございます。そういう点は心得ながら、その事態々々に対しまして善処しておるわけであります。
  44. 石田次男

    石田次男君 次に、日韓交渉についてお伺いします。今交渉を進めておりますが、現在の政権は暫定政権である、池田さんはそうおっしゃっているわけです。この暫定政権のままでも交渉次第では妥結する意思があるのかどうか、その点をお伺いします。
  45. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 両者の合理的な意見が合致すれば、暫定政権でありましても交渉は妥結いたしたいと思います。
  46. 石田次男

    石田次男君 大体、外交の原則から見て、文民政府に移行してから妥結したほうが有利か、あるいは向こうの政情が不安なままでも暫定政権下でも交渉を妥結したほうが有利か、原則としてはどちらが有利とお考えになりますか。
  47. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは、暫定政権の見通しでございます。私は、朴政権は、民生の安定、経済の復興、そして今までの間違った汚職その他を改めて、りっぱな文民政権を作ると、こういう見通しでやっておりまして、私は効果は上げておると思うんです。したがいまして、日韓の正常化を一日も早く願っておるわれわれといたしましては、それが暫定政権であろうとも、この際合理的な話がつけば妥結いたしたいと、こう考えております。
  48. 石田次男

    石田次男君 今までの韓国の政情を考えてみましたときに、必ずしも池田さんがおっしゃっているような状態ではないんですね。実は内々はそれは御存じであると思うんです。今度の政権の将来についても、どう変化していくかはにわかに予断を許さないところでございます。そういうことが相当に予想されながら、しかも早期妥結、暫定政権下でも妥結、こういう行き方は、非常に危険であると思います。その点についてはいかがですか。
  49. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは認識の問題と思います。私は、今までの韓国の状況から考え、また、今の朴政権の行き方を見まして、この政権は、りっぱな文民政権へ移る過渡的なものだ、こういう見通しでいっておるのであります。相手がいつ変わるかわからぬというふうな考えならば、私はそうする気持はございません。私はそう認識いたして交渉を進めておるのであります。
  50. 石田次男

    石田次男君 その考えが非常にあぶないと申し上げているんです。それは過去の事例というものがあるからです。もし今のように着々文民政権に移るというならば、それは韓国側が言っているように来年ですか、来年に移管になってからだって別に早期妥結という点について支障があるわけではないと思う。ですから、ほんとうに向こうが文民政権になり、憲法を尊重する、国内の政情その他が落ちついてから妥結するのが外交原則としては本筋じゃないでしょうか。
  51. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは外交の原則というべき筋合いのものじゃないと思います。相手方が誠意をもってそうして多年の懸案を早く解決しよう、しこうして、その政権がりっぱな旗じるしのもとに努力しておるのでございます。われわれは、一日も早く正常化しようという建前から、君のほうはまだだめだとか、クーデター政権だとかなんとか言ってけちをつけて、そうしてせっかくまとまるものを延ばすということは、将来に向かって私はよくないと考えております。
  52. 石田次男

    石田次男君 私は、向こうの政権がだめだとか、けちをつけるとか、そういうことを言っているのじゃないのです。実際の政情の動き、その流れ、その流れの続きとして現在の政権があるわけです。ですから、将来に対しても、信頼するしないは別として、現実の流れがどうなるかということを見通さなかったら外交にはならぬと言うのです。その意味からして、文民政権になり政情が落ちついてから妥結するのでなければ危険だと言うのです。そこのところはどうお考えになります。
  53. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、今まで申し上げましたように、非常なりっぱな考え方で、韓国の民生の安定、経済の復興をはかろうとしておるあの朴政権を文民政権へ移る過渡的の暫定政権だと認識いたしておるのであります。したがいまして、われわれ多年願望しております正常化に向かって進んでいっておるのであります。
  54. 石田次男

    石田次男君 これは水かけ論になるので、時間をつぶすばかりですから、あとは打ち切りますが、では今度は、実際の交渉内容として今やっているわけですよ。対日請求権の問題と、それから李ラインの問題、竹島の占拠の問題、これを同時に解決する総合的同時解決という方針はおとりにはなりませんか。
  55. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) すでにこの委員会でも申し上げましたように、私どもといたしましては、請求権の問題、李ラインの撤廃の問題、すなわちそれを漁業協定として置き換えて——置き換えていくといいますか、李ラインの撤廃をすると同時に魚族の保護、漁業者の相互の繁栄ということを解決する、それと在日朝鮮人の法律的地位の問題というものを一ぺんに解決するということにしております。竹島の問題は、これは領土紛争と言うべき性質のものでございまするので、いわゆる交渉というよりも、これはやはり公平なる第三者、国際司法裁判所のごときものに提訴するのが最もよかろうと、こう考えております。ただ、提訴すると申しましても、相手方が応訴しなければだめなわけでございまするから、これは交渉の妥結の際にそうした友好的な雰囲気のもとに第三者の調停に待つと、こういうふうにするのが妥当であると、こう考えておるわけであります。
  56. 石田次男

    石田次男君 その御答弁は実は何べんもお伺いしているわけです。どの委員会でも同じ御答弁です。現実の問題として、同時に解決できなかったら、じゃいつ解決できるか。やはり重要な案件をもってお互いが交渉している最中ですから、全部一緒に総合的に解決しなければ解決する問題じゃないと思うんです。でなかったら、とっくのとうに好転しているはずなんです。李ラインも漁業資源の問題としてだけ扱っていらっしゃるようですが、実はあのラインは、国際法規の上ではないんですからね。ないものを設定しているのだから、撤去するということを確約させるのがこれはあたりまえだと思う。それについては今度の日韓交渉、その中に全部含んで結論を総合的に同時に出さなかったら、解決のチャンスはないと思う。その意味で、総合的な同時解決、こういうふうにやっていく御意思はあるかないか、こういうふうにお伺いしているわけです。
  57. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) でございますから、竹島の問題は、これは司法裁判所に持っていく。あとの問題は全部同時解決、こういうことでいっておるわけであります。
  58. 石田次男

    石田次男君 竹島の問題は切り離して第三者にまかせる、国連にまかせる、こう言っていますが、じゃ応じていますか、向こう側が。向こう側が応じていないからこそじれているのですよ。ですから、第三者へまかせる。それも一つの行き力であると同時に、直接いろいろ懸案を持っての交渉の段階ですから、それは当然含んでいくのがほんとうじゃないですか。
  59. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私が申し上げておりまするように、この問題の解決と同時に、よい雰囲気ができるわけです。すなわち応訴する、先方も応訴をする、こういう雰囲気ができますることを考えておるわけです。その際に司法裁判所に持っていく。その司法裁判所の中において公正なる裁きのあることを期待しておるわけであります。
  60. 石田次男

    石田次男君 じゃ、その雰囲気ができなかったら、今までやっている交渉のほうも妥結しませんか。
  61. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 国交が回復して相互に友好な雰囲気ができるということは、係争中のものを解決する、こういう雰囲気ができることでございます。それが私は当然だろうと考えます。
  62. 石田次男

    石田次男君 私は、卵が先か鶏が先かという議論をしているのじゃないのです。総合的に解決しなかったら、いつ解決できるか。友好的な雰囲気云々と言いますが、竹島の問題を解決することが友好的な雰囲気を作ることじゃないですか。領土問題を残し、他については友好的な雰囲気ができた、竹島については対立したまま険悪である、そういうような考え方は変だと思いますね。
  63. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私の言っていることでおわかりだと思うのでありまするが、そういう懸案が解決することが国交の回復なんです。
  64. 石田次男

    石田次男君 時間がありませんから、これは打ち切ります。また、何かの機会に詳しくお伺いいたします。  次に、移住行政と移住行政機構の問題についてお伺いします。三十九国会でドミニカの移民の問題をお伺いいたしましたが、今、衆議院の決算委員会、外務委員会でやっているように、もう惨たんたるありさまであります。これについて、直接ドミニカの問題がどうこうとは、あとは申し上げませんが、それらについて浮かび上がってきた行政上の問題、機構上の問題、これについて若干お伺いしたいと思います。  この前の委員会では、あの失敗は、調査に関しては確かにこちらの手落ちでありました——この席で小坂さんからお伺いしたわけであります。でだれがどういうふうに調査したかということは、これも中田技官がごうごうとはっきりしております。それについて考えるのでありますが、なるほど中田技官の調査というものは不完全であった。これははっきりしているのですが、なぜ、単独に、短期間に調査をさせているか。失敗の原因というものは、中田技官個人だけの問題じゃないのです。そういう失敗をさせるようなもって行き方、短時日のうちに、しかも一人か二人に調査というものを背負わしてしまう。こういう行政の行き方に失敗の根本原因があると思うのです。これについての見解をお伺いします。
  65. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ドミニカの問題は、これは、よく御承知のように、現在三百家族入っておりましたのでありますが、これを百五十家族くらいにして、あとの方には国援法の適用でこちらへ帰っていただくか、あるいは南米——再転地をできるだけあっせんする、こういう方針でやっておるわけであります。  で、まああの当時の事情というものは、昭和三十一年度でございまするが、まあ二十八年のころ初めて南米移住が戦後再開された。そのあとで、二十八年の終わりから九年にかけてドミニカの問題が出てきたということで、非常に解放感と申しますか、日本人もまた海外へ大いに出て行けるのだ、こういうようなことで非常に国内にもそういう空気があった。一方、ドミニカの政情、カリブ海をめぐる政情の変化あるいはドミ二カ国内のトルヒーヨ政権をめぐる変化、そういうものがいろいろ積み重なってこういう事態になったわけでございまするが、私どもといたしましては、やはり海外の事情というもの、受け入れ国の事情というものを十分調査していかないと、移住というものがうまくいかないことはもとよりでございますが、そういう点につきまして外務省は責任を持つ、こういう態勢をはっきりいたしたわけでございます。なお、農林、労働、通産、建設、こういうふうな各省ともいろいろお打ち合わせしていくわけでございますが、非常にその点は今度はすっきりいたしました。今御審議をいただいております三十七年度予算におきましても、外務省の予算ということで、海協連の予算もしっかり一本にしていく、こういうふうに非常にがっちりとした形になって参りました。今後は移住行政というものについては、非常に質的に向上したものを期待していただけると、かように考えている次第であります。
  66. 石田次男

    石田次男君 今の外務省のお話のとおりになれば非常にけっこうだろうと思います。しかしながら、私がお伺いした点は、一人に短期間で調査させた、この点は改まるか改まらないかという問題です。たとえば、そのほかに漁業移民の失敗の原因も、やはり調査からきているのですね、外務省が調査したのでもない、農林省が調査したのでもない、海協連にまかしてその報告だけを聞いている。今後ドミニカに移民するということはまずないとは考えますけれども、南米方面にはどんどん行くわけです。それに対する今後の調査のシステム、もって行き方、これはどうなさるか、そこをお伺いします。
  67. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実は私どもとしましても、できるだけ自営移住を進めたい、計画的に国が土地を買って、その買った土地に移住者をあっせんしていく、こういう方針を今とりつつあるわけでございます。そういうような情勢でございまするから、現地にございまする大使館あるいは領事館が、責任をもって調査を十分にいたします。こういう方針でございます。もちろん海協連の支部の援助、協力を十分得なければならぬことでございますが、これは私どもの責任においてその点ははっきりいたして参りたいと、こう思っております。
  68. 石田次男

    石田次男君 大使館が責任をもって海協連と連絡をとってなさる、その行き方もいいでしょうが、とにかく現地の事情にしろうとである、予備知識のない者を向けてもだめですね、しかも一人や二人でなくて、やはり現地事情に通じている者、あるいは地質学に通じている者、総合的な観点から調査団をまとめて、責任を持った調査をしなかったら、また失敗しますよ、その点はいかがですか。
  69. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 大使館が責任を持つといいますることは、調査によっては、十分その点について知識のある方に相談しながらいくということでございますから、問題の場所が出て参りますれば、十分関係各省とも連絡をとりまして、技術的な知識を仰いでいく、こういう気持でございます。
  70. 石田次男

    石田次男君 その点は一応外相のおっしゃるとおりに信頼申し上げますから、万全の態勢を整えてやっていただきたいと思います。  次に、北ブラジルで募集して、それから中止をしておる、こういう例がございます。これも行政の非常にまずい点であると思います。これについて私あまり詳しい資料を持っていないのですが、何人か応募して、被害を受けた人があったかどうか、この点事務官でもいいですが、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
  71. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは御通告がございまして調べたものがございますから、私から申し上げます。これは昭和三十六年六月ベレーンの総領事館からの報告に基づきまして、現地の海協連から七月二十八日正式にその募集の予告に接しましたので、募集を開始いたしました。しかし、八月十六日にベレーン総領事から、マラニオン州の政府からイタペクル植民地への入植は翌年五月まで延期されたいという申し出があった旨報告がございました。で、その延期の理由は、ブラジル側において現地人の立ちのき問題が起きまして早急に処理ができなくなったと、こういう事情でございます。で、この中止に関しまして、九月四日、外務省から農林省と海協連に通知をいたしました。イタペクルへは十月上旬二十家族送出を目途として全国的に海協連が募集を行ないましたが、中止当時二十二家族の応募者がございました。この二十二家族のうち、十六家族はブラジルの他の移住地に入植をいたしまして、他は移住を取りやめたわけでございます。ですから、六家族移住をとりやめられたわけでございます。二十家族の予定で、十六家族は他のほうに移住いたしました。でまあ、私どもといたしましては、そういうような事情で、現地人の立ちのきの問題があるというところなどに人を出しますということは、これは危険であると考えまして、万全を期しまして、これは取りやめて、他の方面にごあっせんを申し上げた、こういう事情でございます。
  72. 石田次男

    石田次男君 そこなんですね。これは、事前に調査がはっきりしていれば、初めから起こらぬ問題ですよ。それを、出先と本省の間の連絡を疎遠にしておくものだから、こういうことになる。去年のドミニカ問題が起こってから現地に調査を出した場合もそうですね。もう引き揚げかいなかにあたって決定するための調査を出している。その調査の報告が一カ月来ていないのです。私が委員会で聞いたら、もう一カ月になるがまだ情報は入っていませんと言う。こういう出先と本省の連絡の不備から、あるいは移住地を変更さしたり、やめさしたり、わずか計画一万一千人のうちで六千人くらいの移住もできない。そういうふうになっているのは、こういう行政の不手ぎわ、それがずいぶん大きい原因になっているのです。また、現在の移民は、現地へ行った方は、なかなか向こうの大使館というものを信用しないわけです。それは、自分でいろいろなことを本省との連絡なしにやってしまうからです。その端的な現われが、この前の軍事訓練問題ですね。あれは本省に問い合わせがあったものでしょうか、どうでしょうか。
  73. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは事務当局から申し上げたほうが詳細を尽くすと思いますのでございますが、現地の大使からのいろいろ報告が来ておりますから、それをあわせて御報告申し上げます。
  74. 石田次男

    石田次男君 事前に報告があったか、事後の報告か、それはっきりしてね。
  75. 鶴我七蔵

    説明員鶴我七蔵君) お答え申し上げます。  外人部隊の件につきましては、この間のこの予算委員会でもお尋ねがあったと思いますが、その後現地の大使館に事情をさらに問い合わせましたところ、大使館から詳細報告がございまして、その要点は、ダハボン移住地の日本人会長から、実はドミニカ側の農務省から派遣されている管理官でございますが、管理官から、当時ドミ二カ国内でドミニカ党というのがございまして、これが翼賛政党であったわけでございますが、当時ドミニカの役人はすべてまあこの党員であったわけでございますが、そのドミニカ党の支部長からダハボン移住地の日本人会に連絡がございまして、この政党に加盟したらどうかという話がございまして、すぐにダハボンの日本人会長から小長谷大使に電話で相談をしたわけでございます。小長谷大使は、その連絡を受けまして、直ちに大使館員並びに海協連支部職員を現地にやりまして、いろいろ相談をし、特に小長谷大使は、そういう話が出てきはせぬだろうかということで、まあ日本人が要するに外人部隊へ署名するようなことになりはせぬだろうかということを憂慮しておられたそうでございますが、そういう話がございまして、さっそく人を出して移住者とも相談し、さらに日本人会長が現地のドミニカ党支部長と会いまして、どうして日本人の移住者に署名を求めるのかということをただしたそうでございます。で、当時そのドミニカ党支部長が日本人会長に申しましたのは、実は万一ドミ二カ国と外国と事をかまえることがあるような場合には、署名した方に御援助願わなければならないかもしれない。しかし日本人の移住者に銃をとってもらうということは考えておりません。それからもう一つの目的は、こういう情勢のもとにおいて、日本の移住者がトルヒーヨ元帥に対してどういう気持を持っているのかそれが知りたいのだという、二つの目的であったそうでございます。この点につきまして、当時の日本人会長が移住地の各家長に相談しましたところ、当時五十九名が、それでは私ども署名しましょうということで署名しました。  したがいまして、その後の影響でございますが、それまでは、日本人移住者が移住地から外に出るときには、非常にやかましい規則がございまして、一々軍隊の許可その他が要ったわけでございますが、それに署名してからは、そういうことも要らなくて、簡単になった。それから、町の児童たちが日本人の移住者に対して罵声、悪罵をしておったのもやまるし、それから一般人たちの受けも、日本人の移住者に対する感覚は非常によくなったということを、当時日本人会長から大使にお礼かたがた報告をした文書もございまして、そういう事情であったわけでございます。(「委員長注意して。事前に通知があったかどうかということを聞いているのに、そんな答弁では、時間をただ空費している」と呼ぶ者あり)
  76. 石田次男

    石田次男君 大使館からそれが事前に通知があったのかどうか、大使館から返事があってからこっちに事後報告をしたのか、どっちかと、それを聞いているのですよ。内容はこの前聞いちゃったんですから、知っています。
  77. 鶴我七蔵

    説明員鶴我七蔵君) それから、当時大使はその移住地の人たちの自主的な判断に待ったわけでございますが、この問題を東京に報告しましたのはそのあとでございます。
  78. 石田次男

    石田次男君 あとでしょう。こういうことをしているのですよね。こういうことは、日本に国籍を持って、しかも開拓地に入って営農に努力している最中に、どっち側にしたってまずいのははっきりしている。それを本省とも連絡なしに、現地の大使が勝手に許しているのです。これは支部長から問われて返事をしている。これははっきりしている。そういう出先と本省との連絡の不備が事件を生んでいるのです。  それから、私は天皇の名代である云々ということが言われている。現地で憤慨して、外務省へ問い合わせが来た。これに対して、外務省のほうで調査をしたか、または移住者に対する返信を出したかどうか、その点をひとつ。
  79. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この点については、調査をいたしました。そういうことを申した事実はないと、こういうことでございます。
  80. 石田次男

    石田次男君 もう一つ答弁漏れ。移住者からの問い合わせでしょう。それに返事を出したかどうか、現地に。
  81. 鶴我七蔵

    説明員鶴我七蔵君) お答え申します。  移住者からの、その点につきましては、当時は直ちにこちらに照会がなかったわけでございます。後日陳情の形で参ったわけでございますが、すでに本省から現地大使館に、そういう事実ありやなしやということで詳細報告を求めたわけでございます。直ちに返事が参りまして、ただいま大臣がお答えになりましたように、その事実はないということでございます。
  82. 石田次男

    石田次男君 返事を出したかどうかということを聞いている。あるなしじゃなく。
  83. 鶴我七蔵

    説明員鶴我七蔵君) 移住者には出しておりません。
  84. 石田次男

    石田次男君 実は、そういう種類の問題と、内地に帰してもらいたいというような嘆願と、これは大使館にも本省にもずいぶん来ていたわけです。本省では返事を出していないのです。大使館も握りつぶしをしている。これでは、まあ幸いと言っては悪いですが、今度帰ってきたからいいようなものの、それまでの苦しみというものはたいへんだったと思うのです。こういう移住したあとの処置ということについて、もっと本格的に真剣になってもらわなければ、今後の移住行政は、私は、本格的には進まぬと思うのです。  それから、今度大体三百四、五十家族帰って、あと三、四月に三百世帯くらい帰ると聞いておりますが、十二月二十一日に帰ってきた人たち——サントス丸でしたかね、帰ってきた人たちですが、これがロスアンゼルスやその辺の在留邦人から衣料その他を援助してもらって、それですっかり服装その他の装備を改めて帰ってきているわけですね。ということは、惨たんたる格好でアメリカへ寄港してしまったのです。それで見るに見かねて、こういう国辱的な光景を放置しておくわけにはいかぬというわけで、在留邦人が動いているのです。ですから、横浜に着いたときの服装はすっかりアメリカン・スタイルです。そういうことは御存じであったかどうか。また、横浜に上陸したときには、旅館は二日間しか世話していないのです。だから、あの晩に六カ所に分散して、えらい激論しているのですよ。外務省のほうからあの晩に応対に出た人は、気の毒でしたと、もう徹頭徹尾あやまりとおし——よけいな波乱を起こすのですね。こういう点が、保護するとか何とか言いながら、やはり法規ずくめで簡単にやって、真実の保護をしていない、帰ってくる人の保護をしていないという端的な実例だと私は思うのです。この点について、衣料その他はもらってきたということを御存じであったかどうか、あるいはドミニカを出発するときには何らかのそういうような国辱的な光景を防止する方策を大使館で講じたかどうか、その点お伺いします。
  85. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 実は、移住者に対して国援を適用したというのは初めてでございます。まああのような事情をいろいろ聞きますので、いろいろ関係各省へもお願いいたしまして、七千三百万という予備費をちょうだいして、そうして今度は帰還を願ったわけでございます。現地には航空便がございませんので、飛行機をチャーターいたしまして、そしてトルヒーヨ、すなわち今のサントドミンゴですね、ここまで連れてきた。そして一泊さした上で、パナマへ連れてきて、パナマからOSKの船で連れてきまして、ハワイやロスアンゼルスにおきまして在留同胞が同胞愛の気持からいろいろのものを寄託されたということの話は聞いております。感謝しております。政府としましては、この国援法の適用によって、帰られてきた方々に対しましても、できるだけあとのことがうまくいきますように、関係各省と連絡いたしまして、農林、あるいは労働、厚生各省にお願いしまして、前向きに、生活のよくなりますように、りっぱに立ち上がれますように、御協力を申し上げているわけでございます。できるだけあたたかく、せっかく志を立てた方がお志半ばにして帰ってこられたのでありますから、御帰国後再起の道に誤まりないように、できるだけのあたたかみをもって接するようにいたしております。
  86. 石田次男

    石田次男君 答弁が違いますね。私の聞いたのは、ドミニカから出発するときにきちっとさせたかどうかということを聞いているのです。大使館でその方面の手当をしたかということを聞いているのです。
  87. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ですから、それだけの方を、チャーターして連れて参りますについては、大使館も、あるいは現地の方も、非常に努力をしまして、ずっと連れ添って帰ってきたわけでございます。きちっとさしたのかというのは、特別の衣服でも給与したかという意味だと思いますが、それは持っていらっしゃる家財道具もあると思いますが、それについて御協力をしたと、こういうことでございます。
  88. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 石田君、持ち時間が経過いたしましたが、今の問題に関連したやつですか。
  89. 石田次男

    石田次男君 ええ。
  90. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) では、きわめて簡単にひとつ。
  91. 石田次男

    石田次男君 時間がきましたから、簡単にひとつ結論を出します。時間がないので、途中を全部飛ばさなければなりませんけれども、結局、この移住行政自体を考えなければ、今後の推進も、失敗の防止も、私は進まないと思います。また、機構的にも、この部分は農林省が失敗して、この部分は外務省のほうの責任だ、こういう失敗の要因が散らばっているのです。逆に言えば、移住行政が進まないのも、こちらの手の打ちかた、連絡がはっきりいかないのですね。だから、ドミニカに行く場合にも、豊橋の訓練所でわずか一週間の訓練期間です。一週間のうちに、営農指導や、語学やら、何もかも詰め込んで、それで講習を済ませました、そういう形だけができてきているわけです。その点も深くほんとうはお伺いしたかったわけですけれども、そういう点が多々実例があるわけです。ですから、移住の行政については、失敗したときに、それは農林省のほうの責任じゃないかと言っても、これは小坂さんとして、河野さんにきついことをあんまり言えない。これは当然で、またその逆の関係だって成り立ちませんよ。今だって笑って聞いていらっしゃるのですから、それは河野さんから何か言うわけでもないし、かりに言ったとしたって、笑って聞くだけだ。これは結局、言ってみれば、小坂さんの責任でもなければ、河野さんの責任でもないということでもある。原因は昔の話ですけれども、内閣はかわるのだし、また下部行政機構にいる担当者はかわるのだし、そうなれば、どうしても行政機構の面から一本化し、行政というものを一本化してまとめなければ・この今後の移住政策がよくならないということははっきりしている。ですから、今のまんまの行政機構——移住に関する行政機構として、今のままを理想的とお考えになるか、まだ改良の余地があるとお考えになるか、また一本化することが最も理想的であるとお考えになるか、その点を首相からお伺いしたいと思います。あとは時間がありませんから、これで切っておきます。
  92. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 移住行政につきましては、いろいろ改善すべきことが多いと思います。今直ちに機構を一本化するということは、なかなか困難と思います。もっとやっぱり協調的にやっていかなければならない。ただ問題は、この移住問題という場合におきまして、受け入れ国の状況についての調査が不十分であるということも欠陥の一つでございます。そしてまた、移住というものを数であわせるということも、また失敗のもとであるのであります。私は、国内態勢の問題と同時に、受け入れ態勢、そしてそこの調査等、万全を期して、今回のようなことのないよう努力をしていきたいと思います。
  93. 石田次男

    石田次男君 いや、それは答弁が違いますよ。一本化することが理想的か、あるいは現在のままの機構の状態を理想的にお考えになるか、まだ改善する余地があるとお考えになるか、それを……。
  94. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 答えになっております。今直ちに一本化することはむずかしいと、こう言っておるのであります。
  95. 石田次男

    石田次男君 今直ちの問題を聞いているのではないのです。これをまとめて一本化することが理想的と思うのですが、現在のままでいいと思うのか。
  96. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 答えは、私はそれでいいと思います。
  97. 石田次男

    石田次男君 大臣の答弁は、私の聞いているのに答えていない。時間がないからあとはよしますけれども……。まあ今後の御健闘を祈ります。   —————————————
  98. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) この際委員変更について御報告申し上げます。  本日坂本昭君が辞任されました。その補欠といたしまして、戸叶武君が選任せられました。   —————————————
  99. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 引き続き質疑を行ないます。加賀山之雄君。
  100. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私は、質問時間が非常に短いので、きわめて具体的な問題について、交通問題に限局いたしまして、総理並びに関係大臣に質問申し上げたいと思います。  私は、この問題は非常に手近な問題ではございますが、きわめて切実な問題、特に今後の経済伸長、国民生活の向上ということに関連しまして、きわめて切実な問題でございますので、政府とされては、確固たる所信、御配慮のあるところをお伺いしたい、かようにお願いする次第でございます。  まず、海運に関係いたしましてお伺いいたしたいと思いますが、去る三十九国会におきましても、私は、この予算委員会の席上、総理に対しまして、交通問題が経済成長の隘路になりはしないか、なっているのではないかということから総理に御見解を伺い、総理も、どちらかといえば、今までの施策がおくれてきた、あるいは足りない点もあったということを率直にお認めになって、その後鋭意政府におかれましてもその問題と取っ組まれまして、御検討、御施策をいただいているのでございますが、ここで私は、海運企業について、この重要性であるとか、過去の経緯等をくだくだしく申し上げる必要はないと思うので、政府として、特に総理大臣が、この海運企業基盤強化について、いかなる決心をもってこの三十七年度以降当たられようとしているか、まず総括的に総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  101. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 海運の問題につきましては、外国貿易船と国内の問題がございますが、国内の問題につきましては、まあ鉄道との関係等もあり、相当整備されつつあります。しかし、国際貿易の点につきますると、非常に不足いたしておるのであります。従来六〇%くらいは日本船によってあれしておりましたが、最近では五〇%を割るという状況でございます。また、経済の高度成長から申しますると、この船腹の不足というものは、非常に大きい問題になっているのであります。少なくとも今の七、八割増しの船を十年以内に作らなければならぬ、こういう要請があるわけであります。したがいまして、私は、十七次造船も、予定は二十五万トンでございましたが、とりあえず五十万トンにふやしました。また今後も、五十万トン程度は十八次造船以後にもやっていきたい。そうして民間とを合わせまして、十年後には千二、三百万トンくらいまで持っていきたいという気持を持って進んでおります。
  102. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 総理のお考えはたいへんりっぱで、そのとおり進めば、私は何もここで申すことはないのでございますが、さしあたって今総理がお触れになった第十八次造船自体について、私は非常に心配があるのじゃないかと思うのでございます。それで、市中資金の獲得について心配ないのかどうか。今、五十万トンにふやされたと言われましたが、その点について、大蔵大臣、いかがでございますか。
  103. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 十八次の五十万トンについては、市中銀行でもいろいろ苦慮しておるような状態であることは確かでございますが、結局、海運の整備問題とからんで、この資金の調達はできることだろうと思っております。
  104. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 私が仄聞するところによりますと、さしあたって十八次造船だけでも非常にめんどうではなかろうか。つまり市中金融機関は、非常に海運の重要性を認識して、何とかしなければいかぬということは心から考えている。そうしてそういう態勢をとりつつあるわけではございますけれども、せっかくこういう態勢をとろうとしても、これはやはり市中金融機関でございまして、それには限度があるわけでございます。この海運企業規模の基盤を強化するには、もちろん、まず海運企業自体が自由企業として立ち上がって、自主的に経営の合理化をやっていかなければならぬ。これは第一前提でありますし、それから、それにまた市中あるいは日本の経済、産業界がこぞってこれに声援を与えなければいかぬ。こういう態勢は私は整っていると思う。海運企業自体も、非常にこの困難を乗り越えて、今までの戦時補償が打ち切られたとか、あるいは金利が高水準であるとか、あるいは占領政策のために、海運のちょうどブームに乗りおくれて、そのために損失を受けたとか、途中に造船疑獄なんていう不幸な事件まで出てきたというようなことのあおりを食らいながら、とにかく営々として建て直しに進んできている。それから市中金融機関も、これを何とかしなければならぬという態勢をとりつつある。その他の経済団体、あるいは経団連、同友会、また自民党の政調部会自体においても、非常に強い決定をしているように私は承知をしておるのでございます。そうなりますと、残るものは、私は政府施策だけだと、こう言ってもいいと思う。これがないと、いかに自由企業だから自主的にやれ、海運は大事だと申しましても、また市中銀行が何かやろうとしましても、政府施策に確固たるところが出てこないと、これは進まない、こういう重大なポイントがあるわけであります。政府とされても、利子の補給その他の施策は細々とってこられたのでありますが、そういう施策だけでは足りない。つまり先ほど申して参りました今までの大きな重圧を一時、これは期間五年であれ六年であれ、とにかく一定期間これを重圧から取り除いてやらないと、自力や、ほかのものの声援だけでは建て直らない面があるように私は考える。そこで、残るのは政府施策あるのみ、かように考えられるわけでございまして、これは、運輸大臣も非常に沈痛しておられることと思いますが、まず運輸大臣から、それらについてのお考えを伺いたいと思う。
  105. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) ただいまのお尋ねの点につきましては、昨年、御承知の海運造船合理化審議会に諮問をいたしまして、今日の海運企業の現状にかんがみて、今後増強を必要とする船舶を確保するという観点から審議をいただきまして、昨年の九月に答申が出て参ったわけでございます。政府といたしましては、できるだけこの答申を尊重しまして、そうして今おっしゃいますように、政府の援助の策について最善を尽くしたい、かように思っております。この答申は、今後新しく作る船に対する融資比率の問題あるいは利子補給の問題と、それから、今日の海運企業の基盤を強化することの二つに触れておりますが、さしあたり、何といっても海運基盤の強化が肝心と考えますので、この点をやって参りたい、かように考えまして、ただいま他の委員会に御審議を願っておりまする運輸省設置法におきまして、海運企業の整備計画審議会を作ってもらいまして、そして個々の海運会社の整備計画を立て、それに必要な政府の援助を与えて参ると、これは、ただいま申しました合理化審議会の答申をできるだけそのまま尊重して参りたいと、具体的の施策につきましては、今、大蔵省と話を詰めておるわけであります。近く成案を得たいと思っております。
  106. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今回の予算に新しい審議会が設けられ、調査をされ、企業ごとの調査をされて、そしてその結果を見て措置をとる、これは一歩前進であることは、私は間違いないことだと思うのでございますが、予算に現われたところを見ますと、六十二万六千円、この審議会の経費だけでございまして、私は、その審議会を作るということを決心されるならば、その前の決心が必要ではないか。ただ漫然とこの審議会の結論を待って政府は何かやるんだと、こういうことでは足りない。審議会は非常に多くて、今運輸大臣が言われました海運造船合理化審議会、これはりっぱな審議会があるわけです。この審議会もりっぱな答申をしておる。これはあとから申し上げようと思いますが、陸運についても、都市交通について審議会があって、ただたび重要な答申をしておる。ところが、それらの答申は今日までどれだけ実現しておるか。いろいろの事情があると思います。いろいろ複雑な事情もあり、資金の事情もあり、急には進まない事情のあることも私は承知しておりますが、この審議会を作って、審議会に逃げ込む、そういうような方針ではないと思いますけれども、私どものひがみかもしれないが、さような気がしないでもない。というのは、審議会がありながら、その審議会のせっかくの答申なり、自分が諮問しておきながら、その答申が実現を見てないということを考えますと、今回のこの審議会の設置も、私どもはきわめて不安を感せざるを得ない。しかも、この海運基盤強化という問題は、私は、一日もおろそかにできない問題ではないか。ただおざなりや、その日暮らし、あるいは一日おくれでやってきたのが、陸上においてもこの都市交通の状態を見ればよくわかる。そしてその集積が今日の東京都を麻痺させてしまおうとしておる。かような状態を考えた場合に、事海運に関しましては、私は一日もほっとけない問題ではないかと思う。いろいろの事情がございましょう。主として資金面の事情があろうかと思いますが、やはり私は、たとえばこういった重要な問題については、消防自動車のように、ほかの省をのけさしても通すんだという強い政府の意図なり決心がおありにならぬと、日本の海運は立ちおくれて、世界の落後者になってしまう。これに、自由海運企業が落後者になったといって済まされるものならばそれでよろしゅうございますけれども、私は、日本の経済の伸張等を考えた場合、どうしてもそれで済まないんじゃないかと、海運はただ海運だけの問題ではない、日本の経済全般の一番重要な骨子にも考えていい問題である。かように考えますがゆえに、再び大蔵大臣に御見解を承りたいと思います。
  107. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 政府が各産業に対する対策は、今一律ではございません。たとえば、この育成しなければならぬという新規産業に対しては、育成すべき措置をとっておりますし、一般的な不況産業というものに対する対策も別でございますが、重要産業であって、特にこの合理化を推進しなければならぬという特殊産業も今幾つか見えております。たとえば、石炭にしましても、機業にしましても、これはどうしても合理化しなければならぬ。そうしてこれは積極的に育成しなければならぬという産業に対しては、その産業の特殊性に応じたいろいろな措置をとっていることは、御承知のとおりと思います。そうしますというと、この各産業に対する政府のいろいろな助成措置、援助措置というようなものも、この均衡を害してはいけませんし、各産業の持つ特殊性に応じた特殊的な対策が私は必要であろうと思います。そういう意味から申しますと、海運は、他の産業に比べて、明らかに特殊的な要素を持っておりますので、これに対しては、私はやはり特殊的な援助対策をすべきだろう、こう考えて、そういう措置を政府はとるという考えを前提として、今度の整備計画の審議会を作って、そこでこの計画の審議を願う、こういうことにした次第でございます。したがって政府は、措置をとることを前提としておると同時に、また政府の措置自身も、この各産業の合理化のあり方、実態、それらの特殊性とにらみ合わせた措置になるべきでございますので、そういう点を勘案して、今関係省で具体案を作っているところでございます。
  108. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 海運業の特殊性というものに言及されて、しかも、今度の審議会を作るのは、そういうことを前提にして、その上に立ってやるという大蔵大臣の御見解を承って、安心したわけでございますが、その目途は、何といっても、世界海運と平等に競争ができる、こういう態勢に持っていってやらないと、あとはこれは経営努力なり、あるいは日本の他の産業がバック・アップするということで、そうしてやっていきませんと、昭和四十五年に千三百三十五万トンという船腹を持とうという計画は、これは絵に書いたもちになることは明らかで、先ほど申しましたように、世界の海運の落後者になるということはあまりにも明らかでありますので、特にこの点について、総理大臣大蔵大臣を初め、各閣僚の私はこぞった御努力をお願いいたしたいと思う次第でございます。  次に私は、陸運の関係、特に路面交通、特に大都市の交通問題についてお尋ねを申し上げたいと思うのでございますが、これは、先ほど申しましたように、この問題につきましては、運輸省では、いち早く都市交通審議会というものを設けられて、これに大臣が諮問をされ、数次にわたる答申がなされているわけでございます。非常に重要なポイントに触れる答申が出ておりますが、運輸大臣として、この答申が、今日、私の見解では、日本国有鉄道については、実現までは見ておりませんが、ややそれに近い施策が行なわれているように思いますが、地下高速鉄道といい、バスなりの問題、あるいは道路の問題、あるいは住宅対策等の問題に至って、そういう各般の問題に触れておりますが、ほとんどと言っていいくらい、ただまゆをひそめて、心配である、先へいけば東京は麻痺して首都としての効用をなさなくなるおそれがあるということを述べておるだけであって、ほとんどと言っていいくらい答申が実現を見ていない、かように思うわけでございますが、運輸大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  109. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 都市交通審議会におきましては、主として地下高速道路の路線網等を決定し、この早期完成を答申をしていただいております。御承知のように、東京都におきましてはすでに五本の路線が決定をしておりますが、一本につきましてはすでに着工をいたしております。他の一本も近く着工をいたしたいと、かように考えております。さらに私ども考え方といたしましては、五本の地下高速鉄道の路線網を近く決定をしてもらいたい、そうして早期にいたしたいと考えておりまするので、この地下高速鉄道に関しましては、今まではごらんのとおり相当おくれておったというお感じを与えておりましたことはいなめません。今後できるだけ早急にやらして参りたい。そのために東京都のみならず、他の都市における地下高速鉄道の建設に対しましては、ある程度の補助も本年度からやることにいたしたわけでございます。
  110. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 今地下高速鉄道の問題について運輸大臣がお触れになりましたが、この答申中、私は非常に重要なポイントとして、首都交通事業の経営主体の整備ということが言われているのでございまして、有機的交通網の整備であるとか、あるいは建設計画を総合的にやっていく、調整していくというように、どうしても首都交通事業が経営主体というものについて根本的な考え方をする必要があるんじゃないか。で、いまだに陸上交通事業調整法、これなどは、私、早く改正するなり廃止されてしかるべきで、これらはむしろ制限する規定を多く含んでいるので、交通事業者が個々にやりにくくなっているような実情すらあるわけでございますが、これらの改廃についても答申では触れております。で、まあこれはさておきまして、首都交通事業の経営主体としては、私はちょうどあのロンドンでやっておりますロンドン・パッセンジャー・トランスポート・ボードですか、そういった一つの路面交通から、地下あるいは私鉄の運営する近郊の通勤、通学用の電車交通、こういったものを総合してやる非常に強力な経営主体を置き、それに政府あるいは東京都が絶大な財政的な援助をしていく、かようなことで強力に推し進めませんと、今申しました審議会の答申の中で数多くの地下高速鉄道があげられておる。しかしまあ少しずつは伸びておりますけれども、まだ一つの独立した交通機関とし、あるいは郊外から来た電車と結びつける機関としてはまだ地下高速鉄道はその役をなしてないに近い、かように思うのでございまして、この首都交通事業のそういう経営主体というものについて、運輸大臣はどういうようにお考えになるか。
  111. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 東京都における交通事業の主体、ことに高速鉄道、地下鉄、それから国鉄、また私鉄、同時に高速ではございませんが、路面電車等の経営主体の問題につきましては、なるほど総合主体でやった方がいいという御意見もごもっともと存じますが、今日の現状から考えますると、それぞれの企業主体の間の連絡をとりながら、それぞれの企業主体のいいところを生かしまして、そうして一日も早く今日の要請に沿うようにいたさなければ相ならぬと考えております。地下高速鉄道だけについて考えてみましても、御承知のように、営団と都営と両方がございまするが、急速に地下高速鉄道の拡充をはかるという観点に立ちますると、この二つの企業体がそれぞれの持ち分をきめて早くやるということが、今日の状態に即しておるのではないだろうかと、かように考えております。ただ御意見の次第もございまするから、この主体を一本にするという点につきましてはさらに検討いたしたいと思いますが、今直ちに一つの交通企業体を作るという考え方は持っておりません。
  112. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 この都市交通審議会の答申が、三十一年から三十五年まで数次にわたって、大臣としては正力さん、宮澤さん、南さんというふうに、そのごとに運輸大臣はかわっておられますが、年々歳々人同じからずで、そういったいい答申を受けながら、これがいまだに生かされていないという現状は、私は運輸大臣としてはこの際とくとお考えをされて、何がゆえにそうであったか、それを打開するには根本的な策としてはどういうことがあるかということを私はとくとお考えをいただきたいと思って、実はかようなお尋ねをしたわけでございます。何か根本的な策に抜けた点がある。ただいま臨時交通閣僚懇談会もあって、このせっぱ詰まった問題についてお話し合いをされておるようでありますが、しかし問題は根本策と応急策とあくまでも分けて考えなければならないのであって、昨日発表されたこの第一次の規制そのもの、これは私に言わせれば焼石に水にすぎないであろう。わずか二千何百台の営業車、しかももうすでに夜間四割は通っているから、六割が適用を受けるにすぎないというようなことで、台数からすれば七十万台の自動車、しかももうそのうちの自家用車のごときは日に日にふえていくわけであります。私どもの見解からいたしますと、この自家用車の増加、しかも小型車の増加が大へんな勢いで、これを押えるすべがなければ、これが私は一番ガンになるのではないかという見解を持つものでございますが、大型車の規制のほかに、そういった自家用車の問題、これは乗用車を含めてのこれに対する規制なり、今後の考え方というものについて運輸大臣はいかにお考えになるか、これを一ぺんお伺いしたいと思うのです。
  113. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) お説のように、東京都内における自動車の増加は、非常な数で増加をいたしておりまして、都心における交通混雑が日にはなはだしくなって参っております。これにつきましても何とか規制をする必要があるんじゃないかということで、われわれ日夜苦慮いたしておるのでありますが、何といたしましても根本的な問題はもう少し道路を広くするということが肝要だと思いますが、それまでの間におきまして、できるだけ交通をスムーズにやっていくというので、弥縫策を考えておるわけであります。トラックが営業用であろうとないとにかかわらず、非常に日々の産業に影響を来たしますから、できるだけ産業に影響のないようにいたしたいと、運輸を担当いたしておりまする私としては考えております。しかしながら、この交通混雑の緩和に寄与しないわけにも参りませんので、支障のない限りは不便を若干は忍んででもやらなければなるまい。こう考えております。  乗用車につきましては、これは直接規制をすることが事実上なかなか困難であります。外国の諸例等を見ましても困難でございます。したがいまして、都心に自動車を持ってくることを少なくする間接的な方法、一つは自粛に待つという点と、それから都心に乗用車を持ち込んだのでは非常に不便だということによる自粛という点が一番であろうと、こう考えておるわけであります。直接乗用車を規制することは非常に困難で、苦慮をしておるわけであります。都心に駐車場を設けるということも考えられますが、私の考えといたしましては、都心の非常に混雑をするところに乗用車の駐車場を設けることは、よけい都心に乗用車を持ち込むことにもなる。駐車場を設置をしなければならない場所はたくさんございます。しかしながら都心の非常に交通混雑をする地区内には乗用車を持ち込まないような、そういう間接的な施策をやってもらいたい、かように考えて、当該の建設省なりあるいは警察庁の方に要望をいたしておるわけであります。
  114. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 ただいまの運輸大臣の御答弁を聞いておりますと、結局は手がないと、道路を広げるのが先だというようにうかがえるのでございますが、もちろんそうでございまして、この路面交通の問題になりますと、自動車交通と道路との不均衡が出ているわけでございますから、これを片方広げるか、片方拡散あるいは縮小するか、二つより応急策としてはないわけです。ところが、一方道路の問題になってきますと、これはなかなか早急にはいかない。したがってこの自動車のほうを拡散する、あるいは制限するという方向に行かざるを得ないのが現状と思うのでございますが、今回のこの警視庁のとった第一次車種別規制にいたしましても、第一次と断っておりますように、これは当然第二次、第三次と、大阪もそのようにやっておりますが、だんだん規制が強くなってくる。その場合に私はいつも目をつけられるのは大型車で、先に営業車に目がつけられる。ところが、たとえば国鉄の駅なとに着く生活必需品——米あるいはくだもの、水産物、薪炭等を主にいたしまして、都民の費消する生活必需品は、ほとんど大部分と言っていいくらい国鉄の駅が扱う。これは営業用の自動車が行ってこれを運んで、これが市民の食卓に上るということになるわけでございますから、これを考慮されて規制をされていかないと、これは経済産業に対する圧迫になるばかりでなく、国民生活自体を非常に窮屈なものに陥れるおそれがある。この一点を運輸大臣はぜひとも頭にとどめられて、先ほど申し上げました、私は自家用車、ことに自家用小型車の問題これが一番激増の大宗をなしておると思うのでございまして、これが実を言うと、運転もそれから駐車についてもきわめて行儀が悪い。私はもう少しこういうものについては社会的責任を加重するような方法がとれないものか。あるいは違反者については、これもアメリカでやっているようでございますが、罰金を取って、それでもってやはりこれもまた道路の整備に使うとか、さような工夫が私は望ましいと思うのでございまして、この点は特に運輸大臣に強い施策をお願いを申し上げて、次に時間もございませんので簡単になりますが、建設大臣に伺いたいと思うのでございます。  もともとこれは道路の問題であり、そして都市交通審議会においては、住宅の高層化、それから中心からなるべく住宅を郊外にたくさん持っていくことを抑制する、そして交通を緩和しようということになりますと、都心にどうしても高層住宅というものをもっと建てて、そして都心に人を集めるということが非常に重要な施策になって参る。私はその一つとして、過日建設大臣は産業都市の建設促進ということを言われましたが、私はかつて一番手をつけやすくて、しかもすべていいのは学校の疎開、学校の都市の建設であろうと思います。メキシコあたりのような国でも、大学都市を……。
  115. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 加賀山さん、もう時間が切れておりますから、なるべく簡単な質問で……。
  116. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 そこで私はそういった構想を持って日本の大学というものを、大学都市を建設して、できるならば全部そこに移すというような構想が立てられないものかどうか。これは夢のように描いております。で、これらの大学の校舎は、これはまたアパート等にも、改装して住宅になるではないかというようなことを考えておりますが、何かそういうようなことをお考えになったことはございませんか。
  117. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 実は首都圏整備委員会におきましてそういうようなことの研究をいたしまして、一応大学都市のようなものを作ったらどうかという構想をまとめたのでありますが、これはなかなか政府の力だけではできません。あるいは東大のようなものをまず政府がやったらどうかという説もございますが、これは東大だけが行っても、いろいろ教授の関係その他むずかしい事情もございますので、実は関係の学識経験者のお集まりを願った懇談会の席上で一つの、何と言いますか、機運醸成のきっかけを作りたいという意味で、そういった構想をある程度具体的にしたものを御批判の対象として発表したことがございます。自来若干そういう気運が出てきまして、各大学とも増設拡張等については離れた地方に建設するような方向に行っております。かたがた首都圏整備の一環といたしまして、工場、学校等の増設、新設の禁止を、制限をいたしまする立法をいたしておりますが、これも本国会におきましてさらに一段と坪数等を強化する改正措置を講じたいと思いまして、目下準備中でございます。
  118. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 時間がございませんので、一点だけ。
  119. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 非常に短くお願いします。
  120. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 もう一点建設大臣にお伺いしたいのでございますが、オリンピックに寄せて、首都高速道路公団が道路の建設をやっておりますが、その一号線、中央区日本橋から羽田に行く道路でございますが、これは東京湾の海面に当たる区域が漁業補償の問題があって、これは東京都が鋭意努力中と聞いておりますが、このためになかなか進捗しない。これが進捗しないと工事が着工できない。したがってこれはオリンピックにも間に合わないおそれがあるというように聞いているのでございますが、建設大臣としてはこれらについて非常な促進をされていると思いますが、お伺いをしたい。
  121. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 御承知のとおり、品川から都心部に達する分につきましては八、九分通りできて参りまして、問題は品川から空港に達する埋立地を利用する分でございますが、これについては、実は道路だけであれば、何か法律改正等行ないまして補償等解決する道も講じたいと思っていたのではございますが、東京都としましては、この高速道路の埋め立てをすると同時に、港湾整備の埋め立ても一緒にやりたい、こういう必要性がありますので、目下東京都が中心になりまして漁業補償の折衝をいたしております。大体大詰めに参りまして、漁業関係者のほうでも高速道路の予定地の、予定線の地盤調査、ボーリング等を認めていただきまして、これは最近一段落いたしまして、あとは補償の完結でございますが、せっかく東京都が目下努力中で、もうきまろうかという大詰めに来ております。私どもとしましては、ごく近々のうちにこれが妥結をいたしまして着工ができるようにいたしたいと思いますので、大体一、二カ月の三月中くらいに着工ができればオリンピックまでに完成は確実であろうという見込みのもとに努力をいたしております。
  122. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 時間がございませんので、これで終わります。
  123. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 再開は一時四十分といたしまして、休憩をいたします。    午後零時四十分休憩    ————————    午後二時四十四分開会
  124. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより予算委員会を再開いたします。  この際政府側にちょっと注意を喚起いたしておきたいと思うのでありますが、質問順位に当たっておりまするその該当の大臣がほかの事情で御出席ができませんかったがために、約一時間再開がおくれたようなわけであります。まことに遺憾とするところでございます。今後できるだけ当局におかれましては、出席いたしますることについて万全の御用意をお願いをいたしたいと思います。  休憩前に引き続きまして質疑を行ないます。岩間正男君。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 まず最近行なわれた日米教育文化会議についてお伺いしたいと思います。その中で日米教育交換のことが大きく問題になったようであるが、その実施機関である在日合衆国教育委員会、いわゆる通称フルブライト委員会というものはどんなものか、この設立月日、機構、組織並びに今までの実績について伺いたいと思います。これは文部大臣でも外務大臣でもどっちでもいいです。
  126. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) フルブライト委員会のことについてのお尋ねを予測しておりませんで、用意いたしておりません。委員会の存在とある程度のことは存じておりますが、正確を期しますためにちょっと時間を拝借したいと思います。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のような答弁では議事進行できなくなる。事前に聞きにくるでもないし、そういうふうに最近行なわれた合同委員会のことをだれか政府のほうで、外務大臣いかがですか。これじゃあお粗末だ。こんなことくらいわからなくてどうするんだ。外務大臣どうなんですか。
  128. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) フルブライト委員会は、岩間さんも御承知と存じまするが、アメリカへ留学する者に留学費を給与する、またアメリカから日本へ参ります者にもこれを給与するというようなことで、日米間の教育交流に非常に大きく貢献しているのでございます。たしか十週年くらいを迎えたと存じますが、二千五百名くらいの、これは学生だけでございません。大学教授なども含めましてアメリカへ留学していると、こういうふうに承知しております。これのどういう人がそれに当たるかということについては、関係者の間に選考委員会ができて選考に当たっている。こう承知しておりますが、外務省の所管と申しますか、これはむしろ文部大臣、文部省の、教育に関するものでございまするので、事柄が外国と関係があるという点で御質問があったかと存じますが、その限りにおいてお答え申し上げます。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理大臣にお伺いしますが、今、まあ関係閣僚があのような答弁です。ところがこれはあなたが昨年の六月アメリカに行って、ケネディと会談したその後で最近日米教育文化会議が行なわれたと思うのです。それとの関係も非常に深い、いわば実施機関のようなものがフルブライト委員会だと思う。これに対する、やはり案外閣内の関心がないのですが、これは総理としてはどういうふうな見解を持たれるか、聞いておきたい。
  130. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 日米文化交流に関するケネディ大統領と私との会談は、フルブライト委員会とは関係ございません。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 文部省、説明ないのですか……。
  132. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 年間七十五万ドルくらいを使っておる、こういうことでございます。ですから十年間にそれ以上の、多い年は百万ドル近くのものを使っているということもございます。これはアメリカの機関でございましてアメリカが金を出しておる、こういうことでございますから、日本政府予算には関係ないわけでございます。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 文部省の説明員は来ないのですか。私の聞いているのは設立年月日、機構、組織、今までの実績、これだけ聞いておるのだがね。外相から輪郭は言われましたが、説明員、来るのですか。
  134. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 具体的なことをただいま持ち合わしておりませんので調査いたさせております。しばらく時間を拝借いたします。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ早く調べて答弁をいただくことにして次に進みます。それじゃその運営資金は何でまかなっているのですか。そうして、その運営資金をまかなっている法的根拠は何かそれをお伺いしたい。これは外務大臣
  136. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今申し上げましたようにこれはアメリカのほうで金を出してアメリカの機関としてやっておる、法に基づいてとおっしゃいますと、これはアメリカの法律、すなわちフルブライト法、フルブライト上院外交委員長がこの法律を出しますときに、自分が提案者だというので、フルブライト法といっておるわけであります。その法律に基づきましたるものであります。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 たいへんな答弁違いだと私は思うのですね、そうですが、アメリカの金でまかなっているのですか。
  138. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 何ですか……。
  139. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) アメリカの金でまかなっておるかと、こういう質問です。
  140. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いや、繰り返してのお尋ねでございますが、私が先ほど申し上げたとおりであります。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 文部大臣の答弁……。
  142. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、ちょっと申し上げますが、今のあなたのお尋ねの、どの金でまかなっておるかということは、先ほど外務大臣が御答弁になったのですが、そのほかの点ですね。
  143. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お尋ねを予定しておりませんでしたので、十分お答えをできないことをおわび申し上げますが、昭和二十六年にフルブライト委員会というものができて、日本にその出先き機関的なものがございまして、日本人の委員が四名、アメリカ人の委員が四名、八名で構成しておるようであります。そうして先ほど外務大臣がお答え申し上げましたように、留学その他のことをお世話をしておるということございまして、日本政府として、文部省としては直接何らの関係もございません。事実上のことはたまに連絡がある程度のようでございまして、それ以上のことはもっと調べませんとわかりかねますので、本日はひとつこれで御勘弁を願います。
  144. 岩間正男

    ○岩間正男君 日米合同教育文化委員会が最近行なわれて、そうして私はここにこの報告書を持っておるのです。あなたも参加された、中屋・シュワンテス報告書、これをもとにして討論されたのでしょう、五日間ですか、六日間ですか。その中にフルブライト委員会というのが一体何回出てくると思いますか。この中で何十回、何百回、そうしてフルブライト委員会が実際のこれは運営に当たるぐらいは、これを見たらわかるでしょう。先ほど池田総理関係ないと言われました、関係ないどころか大ありでしょう、そういう答弁では私は何をやっているのかわからないのですよ。大体何のために一体日米教育文化委員会なんていうのを持たれたのですか、その中の中心問題はやはり教育交換をやるため、学者、学生の交換、これが最大の眼目になっておる。それを実施するのは今フルブライト委員会でしょう、そのことを聞いておるのです。それを今言ったのです。あなたが最近やられたその問題についてわからないというのはこれはどういうわけですか。
  145. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私とケネディ大統領との日米文化教育委員会の設置につきましては、フルブライト委員会を前提としたものでもなんでもございません。新たに二人の間にできたのであります。しこうしてケネディ大統領と私とで申し合わせました委員会がいかに運営されるかということにつきましては、これは別個の問題でございます。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう形式的な答弁を私は聞いているのでなくて、実質的な今後の運営の中で、これは今設置された機関であります。約十年前、今二十六年という話がありましたが、大体二十六年あたりから発足した。そのとき最初にこれは発足するために書簡が出されているはずですね。当時のアメリカ大使のシーボルトから吉田外務大臣あての書簡が出されているはずです。これは外務省ではっきりわかっているだろうと思う、これは外務省の情報文化局第三課の私たちは資料によって見ておりますから。この往復書簡というものはどういうものか。これを発足させるにあたってこの書簡の内容について伺いたい。
  147. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今、資料を取り寄せまして申し上げたいと存じます。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 お聞きのように、なかなかなにがつかないのですが、ちょっと休憩して、資料を取り寄せていただきますか……。ちょっとこれで行ったらあまり運営が悪いですから、ちょっと待ってますから、準備して……。
  149. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御質問の点がわかりますれば、幾らでもお答え申し上げます。ただそのものを見せろとおっしゃられますと、今ここにございませんから取り寄せます。何の点で御質問でございますか、それによりましてお答え申し上げます。
  150. 岩間正男

    ○岩間正男君 その中で資金の問題ですよ。運用資金の問題で、あなたはアメリカまで出しておるのに日本は全然知らないと言っているが、そういうことはないでしょう。この中で資金の問題についてはシーボルト大使から吉田外務大臣にあてた書簡、これは「千九百五十一年八月二十八日東京」その中にこう書いてあります。「必要な資金は、日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の現存の余剰財産協定に対する千九百四十九年五月三日付の改正によって供給されるでありましょう。」こう書いてある。この問題はどうなんですか。あなたの先ほどの答弁と全く違うのであります。
  151. 曾野明

    政府委員(曾野明君) ただいまお尋ねの点は、ちょっと資料を取り寄せますのでしばらく御猶予を願いたいと思います。
  152. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) ちょっと岩間君に申し上げますが、資料を取り寄せる間、ほかの質問をなすったらどうでしょう。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 ほかの質問、いいんですけれども、私ら時間が非常に少ないですから、そんなにあっちこっちというわけにいかぬのです。一つの体系を持っておりますからね。時間が一時間もいただけるというならこれは別ですが、何しろ短い十五分の時間でしょう。だからずいぶん圧縮しなければ、いわば短歌的表現のようなことをやらなければならぬ。外務省の人たちも聞きに来られぬでしょう。こっちから電話をかけて外務省にこういうことを聞くからと言って教えてやる必要もない。
  154. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) ほかの質問できませんか、資料がくるまでの間。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 今申し上げたとおりであります。
  156. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいまの吉田・シーボルト書簡でございますが、これは、余剰物資の処分につきまして平和条約の会議のときにけりをつけようというような話もございましたけれども、話し合いの結果、円建てにいたしまして、教育、文化交換その他に使おうということになりましたわけでございます。先ほど申し上げましたように、一九五一年からずっとそのようにして年間約七十五万ドルを使っております。一方フルブライト法というのは、一九四五年にフルブライト・アクトというものができまして、これによりまして、わが国の留学生の渡航費それからスカラシップを取るための費用というものを出す、先方のものもこれを見るということで現在進行いたしておりまして、一九六四年に一応これを終わる、こういうことになっております。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 その中で、このシーボルト書簡の中にあるのですが、この一九四九年五月三日付の余剰財産協定によって供給されること、その必要な資金は。それが根拠になったわけでしょう。そしてこのフルブライト委員会が発足したわけですね、つまり在日アメリカ合衆国教育委員会ですか、正式な名前は、それが発足したのはそれですね。その点どうですか。
  158. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 財源的にはさようでございます。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、私はお聞きしたいのは、非常にここに重大な問題があるのじゃないかと思うのです。つまり、この一九四九年五月三日付の余剰協定というのは、これはどういう協定なんですか。この協定はわれわれは知らない。全然これは国会にもかけられていないと思うのです。そして、そういうものによって、すでにもうガリオア、エロアの資金の一部というものはすでにこれは使用されておるという実態なんです。この問題を一体どう考えるか。私はお聞きしたいのは、まず第一にこの余剰協定というものはあるはずです。シーボルトのちゃんと書簡にあるのですから、必ずあるはずだから、これを資料としてまず出していただきたい。もう一つは、これが現在出されているガリオア、エロアのこの支払い協定、これはつまり債務と認めて、そして支払いをするのだというのだが、しかし、それは国会の承認を得なければ、このような負担行為はできないはずなんです。ところが、その承認を得ないで、今のような何かわれわれの知らないヤミ協定のようなものによって、実はこのフルブライト委員会の資金がまかなわれておったということは、私は今度のガリオア、エロア支払い協定をここで審議するのに非常に重大な関係を持つ。そういう点から二つの問題についてお聞きをいたしたい。
  160. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この金はガリオア・エロアとは関係がないというふうに私ども承知しております。ないのでございます。  それから、支払い協定云々の話は、私も非常に前の話でございますからうろ覚えでございまするけれども、これはまあ支払い代金を使うということで、別に協定ではなかったのではないかというふうに考えております。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ答弁漏れがあります。資料を出してもらいたい。詳しく申しますと、一九四九年五月三日付の余剰財産協定、この協定の資料を外務省は出してもらいたい。いや、これは知らないなどとおっしゃったって、吉田総理がちゃんとこれに対して承認を与えているのです、往復書簡の中で。だから、知らないなどということは大へんなことになるのであって、もうちゃんとやっています。「書簡をもって啓上いたします。本大臣は、閣下が次のように通報された本日付の書簡を受領する……」、「右に対する回答として、教育交換計画に関する前記の了解をここに確認し」、こういうことを言っている。
  162. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、発言を求めてやって下さい。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のを答弁して下さい。今の資料がいただけるかどうか、一九四九年五月三日の余剰協定というもの。
  164. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 資料を御要求でございますから、委員長の御命令があれば差し上げます。  それからなお申し上げたいのは、これはさっき申し上げたように、余剰物資の代金を支払いに充てるという、代金をもってこれに支払う、こういうことでございまして、協定のようなものはなかったように思います。今お読み上げになりましたのは書簡でございます。先ほど申し上げました吉田・シーボルト交換書簡には、これはお読み上げになったように、これは書簡でございますから、そういうふうに書くようになっております。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは実際に運用している。七十五万ドルといいましたね、それから百万、こういうものは一体どこから出るのか。もう一つお聞きしたいのは、ガリオア・エロア資金でないならば、何資金でまかなったのか。当時の資金は総司令部でどんぶり勘定でやっていたので、そういうのを明細に説明できますか。できるならば、そういう資料をはっきりいただきたい。それを否定する証拠はありますか。
  166. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは、ガリオア・エロアとは関係はない。要するに、先ほど申し上げたように、払い下げ物資の処分の代金ですね、その処分した代金でございます。ガリオア・エロアとは関係はございません。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 ところが、コマーシャル・ベースのあれになっているのですが、そういう何か証拠がありますか。ガリオア・エロア資金と、コマーシャル・ベースの食糧輸入というものとは、ほとんどその当時から明細に分かれていない。ほとんどどんぶり勘定になっております。それが今問題になっております。そうでないとそれを否定する資料を出さなければ、私は明確でないと思う。いかがですか。
  168. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 当時は別のものとして処理されまして、アメリカ軍当局が、これを払え、金は払え、こういったものはございます。それにつきましてその処分代金をこれに充てたということでございまして、今日までペンディングになっておりましたガリオア・エロアの関係のものとは違います。
  169. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは違いますといっても、私が言っているように、その証拠を出していただきたい。  もう一つは、先ほどの一九四九年五月三日の余剰協定というやつ、これを出すことを委員長、確認して下さい。そうすると本委員会としての意思になります。そうでなければ、この問題は今の説明だけではわかりません。
  170. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 政府側にお尋ねしますが、吉田総理にあてた書簡は資料として出せますですか。
  171. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それはお出しいたします。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 その資料の中に出てくる協定、余剰協定。
  173. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 余剰協定、それは出せますか。
  174. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは調べました上でございますれば提出いたします。
  175. 岩間正男

    ○岩間正男君 それからもう一つ委員長、二つ言っております。もう一つ、今のガリオア・エロアでないということを明らかにする証拠があるか、これを資料として一つ……。
  176. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 今の岩間君のガリオア・エロアとは違うというその証拠を示せと、こういうのです。
  177. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいま御指摘の点でございますが、御承知のように、一九四九年三月末をもちましてガリオア・エロアの受け入れ態勢は変わりましたわけでございますが、そのとき以来は、いわゆる見返り資金特別会計を作りまして、ガリオア・エロアはそちらで決済いたしたわけでございます。一九四九年三月末で切りかわったわけでございます。今問題になっておりますアメリカの農産物を買い入れる問題は、これは通常の売買契約としてやったわけでございます。御承知のように、アメリカの法律がございまして、アメリカの余った農産物を、その国の通貨をもって売ることができる、その通貨で売りましたものの一部は、その国が自分で使う、あとの部分はアメリカがその現地の通貨で取って、これをアメリカの用に供する、こういう仕組みがあったわけでございます。その仕組みをいわば日本が利用いたしまして、日本の必要とした農産物をアメリカから日本の円で買い取ったわけでございます。それがいわゆる通常の貿易として行なわれたわけでございまして、したがって、国会の御承認を経る条約という形ではなかったわけでございます。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは資料をもらって、そうでないか何か、はっきりすると思うのです。この問題は、まあ今度のガリオア・エロアの支払い協定を審議する、これは本格的に当院においても審議しなければならないし、われわれもこの問題を詳細に明らかにしなくちゃならぬ、過去の実績、経過を明らかにしなくちゃならないのですが、そのときにおいてもやりたいと思いますが、とにかく今の資料を要求します。このようにしてみますというと、あいまいなんですね。これは今のような説明がありましたが、必ずしもそう単純に割り切れないほど当時は輻湊しておりました。そういうところでとにかくフルブライト計画というものが、ガリオア・エロアのこういう取引によって端を発した、それからその後、これは池田・ロバートソン会談による余剰資金でこれがまかなわれたという。そうして今度の支払い協定は、また新たにガリオア・エロアの返済資金の中から二千五百万ドルを使おうと思っておるのですね。そうすると、このフルブライト委員会の今までの使った資金、このトータル、これはわかりますか、全部でどれくらいあるか、この管轄は、まあ文部省でどうですか、知っておりますか。
  179. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 使いました金額は、先ほど外務大臣からお答え申しましたとおり、大体年七十万ドル見当でございます。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 トータルです、約十年間の。
  181. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 七百万ドル見当となりましょうか。なお、留学いたしました者は通算いたしますと、二千三百名、向こうから約四百名参っておるようであります。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはこの報告書にも一応出ておるようですね。文部省でどれだけこれを調査されておるかお聞きしたわけですが……。そこで次にお聞きしたいのは、今度の二千五百万ドル、約九十億になると思うのですが、この使途はどうなるか、計画はどうなるか、これに対して、また、これのアメリカ側の負担というのは、債務を返済したその中から充てるということになるのですか、日本側の持ち出しというものはないのかどうか、この点をお伺いします。
  183. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 日本側からの持ち出しは全然ございません。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 それだけじゃありません、聞いておるのは。どんな計画を持つか。
  185. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。  元来、コミュニケが出ましてそれを日本側としましては検討をして、なすべきことであればなそうという状態でございまして、元来、日米合同委員会なるものが、自主的にフリー・トーキングをやるような目的をもって開催されておりまして、お尋ねのようなことについて政府としてどうするのかというような問題は全然ございません。かりにフルブライト委員会のお話のようなことがございましても、日本側から持ち出すというようなことは一つ考えていないわけでございます。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっとたよりのないことなんですね、せっかく委員会を開いて。  そうすると、ほとんど日米教育文化委員会というのは、向こうの案でその案に乗っかっていった、こういうことですか。大体こっちの委員の決定も非常におくれて、十分に討議して準備してこの委員会に臨まれたとは思われない節があるのですが、そう解してよろしゅうございますか。
  187. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 大体、日本側の委員のほうにおきましても、どういうふうな形においてどういう運営をするかを相談されたようであります。先方でも意見はあったようでありますが、さっき申し上げましたように、合同委員会みずからの自主的な運営にまかされておりまして、政府としては正式には関知いたしていないわけでございます。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、池田総理、あなたはこれはどうですか。あなたが行ったおみやげです。これについて政府は全然指導も何もしないのですか。
  189. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) アメリカと日本の教育者が、文化教育に関しての交流について、いろいろ委員会を設けて意見を戦わそう、こういうことでございます。直接政府関係いたしておりません。政府関係するのだったら、やはりそういう問題についての文部省設置法とかいろいろの問題がございますが、これは民間の教育関係の人々の御随意による委員会であるのであります。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のようなお話ですが、日米科学委員会というのが暮れに開かれたと思います。そのときの代表のケリー氏が記者会見の中で言っております。貿易経済合同委員会、科学合同委員会、教育文化委員会、これは三位一体だ。そうして、これは非常に重要なものだ、こういうことを言っておるわけです。これだけ重要なものを民間にまかしたからといって、政府は表面タッチしてない。しかし、これはあなたが帰ってきたときのおみやげとしてずいぶん宣伝された問題じゃないですか。そういうことを言われても、これはまずいのじゃないですか。ここで議論をやっても時間がありませんから、私はお聞きしたいのだが。そうすると、日米合同教育文化委員会、これは今後これを通じて国際交流が行なわれるのですか。この国際交流の原則に、アメリカ側にははっきりした五原則というものがあると思うのです。たとえばこれはアメリカ保健教育福祉省教育局編の「アメリカの教育」という中に、その五原則をはっきりうたっております。その五原則の中に、自由主義国家群との団結の促進、あるいは共産主義攻勢に対する自由主義国家の団結促進、こういう点が入っております。そうすると、結局この日米教育文化委員会というのは反共の戦士を養成していく、そのための機関である、ということが明らかなように思うのですが、この点はいかがでしょう。
  191. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まあ常識的に申し上げられることは、これは非常にひねくったような意味の会合ではないということでございます。両国がそれぞれの文化を持っておる。また教育についても熱心に考えておる。そこでそれを交流し合おうじゃないか、こういうことと御理解願いたいと思います。アメリカにおいても国が若いし、古い文化を持った日本に対して大きなあこがれを持っている。これはわれわれとしても大いに取り入れてもらうのはけっこうだ、この程度にひとつあっさりとお考え願いたいと思います。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 あっさり考えたいのだが考えられないのが日本の現実です。だから、たとえば会議の基調になった中屋・シュワンテス報告、このものを私たちは検討したのです。そうすると、たとえばこういうことが書いてある。第一に、日本のエリートの人物交流などで自由主義陣営防衛の戦士を育て上げるこう言っているのですね。そして、それにはバッテリーを入れるという強い言葉を使っている。第二には、モダンジャズや野球などによって日本の大衆の注目を引きつけるような数多くの交流を行なう、こういうことが書いてあります。これは重大な問題です。あっさりできますか、こんなことを。  それからもっと特徴的な問題は、これはこの中に出てくるのですが、国防教育法の問題です。これによると、アリゾナ、ミシガン、カンサス、ハワイ大学その他十一ばかりの大学かと思いますが、ここでは日本研究がソ連や中国などの研究とともに奨励をされ、約九十人の学生が奨励金を受けておる事実があります。このようなやり方は、これは地域社会を研究するのはいいのですが、この中には非常にやはり軍事的なそういうものが要求されている。そういう節が非常に濃厚です。こういうものを見ますと、私はこのような日米文化教育交流の内容というもの、これをはっきりやはり国民の前に明らかにするということが非常に重要だと思う。単に今言ったように手放しにこれを楽観するというようなことはできない問題だということを申し上げたい。この問題もあまり時間の関係で詳細申し上げられません。  私は次に池田総理にお聞きしたい。池田総理は施政方針演説で安保体制を堅持するということ、それから国防力の増強のことを言いました。それと並んで今度新たにあなたが言われたことは、これは国防意識の高揚ということです。これはどんな内容なのか、具体的にはどういうことをさすのか、どういうことをしようとするのかお伺いしたいと思います。
  193. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) わが国土と民族と文化を愛し守るということでございます。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 そう言うと非常にこれは体裁がいいのですが、ちょうどあなたが池田・ロバートソン会談で、これは九年前の覚書で世の中に流布されております、あなたはこれは承認されないようですが。この中に日本の青少年は平和憲法で教育されて、これを再軍備に持っていくのは無理だ、したがって、教育と広報を通じて愛国心と自衛の精神を養う、これとどうもぴったりするように思うのですが、どうでししょうか。
  195. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国民に愛国と自衛の気持を持ってもらうことは当然のことでございます、独立国家といたしまして。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 愛国の内容が違います。愛国の名前で亡国をやったというのは過去の東条時代のやり方です。そういうものが復活しつつあるところに問題があるのです。  そこでついでにお伺いしますが、まあ、あなたは今まで歴代の総理大臣の中でこの点は新しい機軸を作ったと思う。それは青少年の問題を劈頭にやっていることです、今度の演説で。これは池田さんをもって嚆矢とするのではないか。まあ、これは敬意を表します、その点は。ところが、そのように言って青少年の教育を重視する、しかも目下もっとも重視すべき要務であるというように言っておりますが、しかし、それならこの教育を重視するための政策が具体的にとられていますか。今度の予算でどうですか。たとえば私はお聞きしたいのは、高校急増対策の問題、あるいは給食費用の問題、あるいは教科書の問題、高校急増対策は、今の情勢から考えれば高校ぐらい卒業していなければ、ほとんど就職することもできない。これはもう当然の普通教育です。したがってこれは国家が大きく補助しなければならぬと思うのですが、わずかに高校の分を三分の一補助するだけで、あとはほとんど起債とか交付金の操作、これによって肩がわりさせられた、こういうことで一体解決されると思いますか。しかもこの起債のごときは六分三厘の利息がつくのです、元利を支払うのです。これは地方財政を圧迫することになる。これは教育の尊重ということには私はいえないと思う。  次に学童給食の問題、どうですか。百グラムのパンが八十五グラムになります。そうしてしかも平均七十円くらい上がります。父兄は何と言っておりますか。これが池田内閣の教育尊重政策だと言っておる。教科書の問題、どうです。これは最も私はひどいと思う。これは小学校、中学校がことしの四月からただになる、こういうふうに考えて父兄は喜んでいます。ところがこれはほとんど切られて、七億、三十七年度から小学校の一年生の子供に算数と国語を出す。あとは調査会にしよう……、しかしこんな七億でこの問題は絶対解決できないでしょう。百七十億という膨大な予算を出し切れない、高校の百五十四億も出し切れない。学童給食も、実際はこれは完全給食をやり、しかももっと国家がこれは教育無償の法則でやっていけば、当然私はこんなものは無償にすべきだと思う。そうすれば四、五百億という予算が要るわけですがこういうものは全部切られてしまった。これでどうですか、これで池田内閣は青少年の教育を尊重するとどんなに宣伝しても国民は納得しないと思いますが、池田総理にお伺いしたい。
  197. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 例年の予算をずっと比べてごらんになったらわかると思います。私は、従来から教育には力を入れるべきだということを考えて、特に最近の情勢から強く感じましたので、施政演説にも言ったとおりでございます。教科書の問題は私は義務教育費無償という理想の線に向かうべく踏み切ったのでございます。年月のかかることは今の状態から見てある程度やむを得ないと思いますが、踏み切ったことは確かでございます。  また、高校の問題につきまして、いろいろ数字を並べておられるようでございますが、よく計画をごらんになれば私は支障ないように進んでいくと思います。
  198. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君、持ち時間が経過しましたから、きわめて短く……。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一言です。
  200. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 今の問題に関連して、きわめて短くどうぞ。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど時間を政府側のために少しとられましたので、よろしく願います。  今のようなお話ですが、これは国民が何よりも知っていると思うのです。ことに高度成長政策で物価高で非常にあえいでおるのです。大衆負担は非常に強化されてくる。地方財政はなかなかこの高校急増対策などをまかなっていけるような状態にありません。これはもう言うまでもなく一年間の運動が証明していると思います。この教科書の問題はもうはっきりしていますよ。これは一つは参議院対策もあったでしょう。そうしてさらに国定化というのはいわばわれわれから考えれば中央集権の毒針だと思う。こういうものを入れるというねらいがあったのでしょう。しかし、これも百七十億という金がかかるが、これは出さなければならない。あなたのやろうとしているのは一体どうです。あなたのやろうとしているのは金のかからないものですよ。君が代の復活、金はかかりませんよ。道徳科の復活、こんなものも金はかかりません。学力ゲストもそうです。学力テスト、あれほど騒がれたけれども予算的に見れば昨年度はわずかに九千万です。今度は小学校にもやろうという考えを持っているようだが、これを含めると、一億五千万になりますが、これもほとんど金のかからない、ほとんど小づかい銭でできるようなやり方をしている。少しで成績の上がるものだけをねらっている。しかもこれは精神教育だ、昔の体制の復活じゃないですか。このような中で実は日本の青少年の教育をあなたは非常に重視するとか、あるいは民族の生命力の源泉であるとか、あるいはまた、民族の純潔と勇気を代表すると最大級に青少年をほめ上げ、おだて上げております。しかし、やるなら具体的な予算を出しなさい。教育費をほんとうに二倍にふやしたら、池田内閣というものは文字どおり教育を尊重するものだということを国民は言うでしょう。私はどんな内閣でも出せばいいと思う。これはやってもらいたい。ところが、そのほうはほとんどだめで、やることというと宣伝で金のかからないこと、これで効果を上げよう、こういうふうに考えてきているところが、はっきりした池田内閣の現在の文教政策の姿だと思う。  そこで、最後に私はお聞きしたいのですが、これこそ全く今の新安保体制下に……。
  202. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間君に御注意申し上げます。ちょっとさっきのに関連のあるのを……。
  203. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のに関連しているのです。それでもう日韓会談の妥結によってNATOを編成されようとしている。軍事体制は規格に合ったかもしれない、しかし、合わないのが日本の青少年だ、この青少年を規格の中にはっきり入れよう、こういうような形の考えが現在の池田内閣のこれが青少年対策、文教政策ではないか。そして最近のあの荒木文政によって代表される悪名高いところの、あの日教組に対する弾圧、民主教育に対するところのいろいろなじゅうりんが行なわれているのではないか、この点はまぎれもない事実です。私はこういうことをほんとうに考えてほしいと思うのです。アメリカナイズされた民主主義の名によって、青少年は今やそれらの害毒を受けようとしております。今や非常に享楽的な、そして全くせつな的なプラグマチズム化されたこれらの青少年で日本の将来をになうことができるか、日本の繁栄、祖国の独立というものをほんとうにかちとることができるか、私はこういうことでは現在の政治はできないと思う。この点について、もしも総理から言うことがあったら言ってもらいたい、なければいい。
  204. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 全然あなたとは見解を異にしております。われわれは、わが祖国をりっぱなものにしようと努力しているのであります。
  205. 岩間正男

    ○岩間正男君 りっぱなものになるかならぬかは、これははっきりしている。   —————————————
  206. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) この際、委員変更につきまして報告いたします。相馬助治君が辞任され、その補欠として赤松常子君が選任せられました。   —————————————
  207. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 引き続き質疑を行ないます。山本伊三郎君。
  208. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はこれから交通問題について、交通関係の各閣僚にひとつ説明を願いたいと思うのですが、閣僚そろっておりますか。
  209. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 山本君、そろっておるようですが。
  210. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今日この交通問題は、政治問題からすでに社会問題に発展していることは政府も御存じだと思うのです。ことに昨年では、死者だけで一万二千をこえております。負傷者で三十万以上こえておる現状なんです。池田総理も、先日聞くところによると、交通事故の犠牲者の集会に行かれまして、政府としての決意を表明されたことも聞いておる。また交通関係の閣僚の諸君も街頭に進出して、テレビの前で一般国民に交通問題について訴えられたと思うのです。したがって、国民の間では、政府は今度は何かこれに対してやってくれるだろうというムードは起こっておると思う。しかしムードだけでは、私は交通問題は解決できないと思う。  そこで交通関係の各閣僚から、この本補正予算並びに次年度予算予算上においてどういう具体的な措置をしておるのか、また立法上どういう措置をするのか、また行政措置をどうするのか、この点を各閣僚から懇切丁寧にひとつ説明を願いたい。その前に冒頭に、池田総理政府としての、この問題についてのいわゆる決意と申しますか、方針を披瀝していただきたい。
  211. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お話のとおり、交通の安全は、目下の緊急な大問題でございます。政府といたしましては、関係閣僚で会議を設けまして、熱心にこれが対策を講じつつあるのでありますが、具体的問題につきましては、各閣僚から答弁いたします。
  212. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 予算編成のときに、やはり問題になるのは交通問題でございますが、従来の予算編成では、一応道路予算というようなものは多く計上いたしましても、その配分において、特に交通混雑している大都市に重点を置くということが、なかなかむずかしゅうございまして、やはり地方格差の解消というような問題から、できるだけ道路も、地方開発のために地方に多くこれを持って行きたいというようないろいろな要望がございまして、そのために、やはり私は大都市中心の交通対策予算面の上においても欠けておったんではないかと考えております。したがって、今回の場合は、こういう問題に十分私どもとしては気をつけまして、建設省その他の要望に沿って、今年度予算では、たとえば街路事業費というようなものは、昨年度に比べて約三割三分という予算の強化で五百九十三億円くらいのものを計上してございますし、また踏み切り問題にしましても、昨年二百何個所というようなところのものを措置をやりましたが、本年度は三百幾つというふうに、こういう問題の予算強化も十分いたしておりますし、また阪神における交通問題対策としましては、新しい道路公団を作るというようなことで、今年度の交通問題に対する予算配慮においては、ある程度、一番問題になっている地方対策のための予算強化をやっておる次第でございます。
  213. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 他の閣僚のほうから今の山本君の質問に……。
  214. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 御承知のとおり、まだ全国的に重要地点を結んでおります一級国道が整備されていないというのが現段階でございます。したがいまして、都市交通のための道路整備とあわせまして、現在の五カ年計画といたしましては、この重要幹線道路を整備するということを、一つの使命に心得てやっておりますので、この点からいいますと、大体大都市周辺というものは、もうでき上がって参りまして、これからいわゆる地方格差等の是正の関係から行きましても、地方の一級国道を急速に整備するという段階に相なっております。  したがいまして、一級国道のような幹線道路から見ますと、地方の道路に重点が置かれている姿になっておりますが、かたがた都市交通の現状にかんがみまして、われわれとしましては、極力現状の打開に努めて参りたいと、かような角度に立ちまして努力をいたしている次第でございます。
  215. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 都市交通の混雑、それから全国的な事故の増発というものは、政府としましても、これは見ておれないというようなことから、関係閣僚間で種々の討議をしながら対策を進めているわけであります。  取り締まり方面の側から申しますと、まず第一に交通の規制を——規制といいますか、交通の秩序を立てるということから、一方交通あるいは右折禁止というものを徹底的にやることによりまして整理する。次に悪質運転者の排除あるいは事故を起こした運転者を徹底的に取り締まる、これを非常に強化してやりたい。またさらに、それで足りない分につきましては、一種の車種別による時間の制限といったようなこと、あるいは車体が野放図にふえて行くということに対する相当な取り締まりをやるというようなこと、さらに必要ならば、違反事件に対して事件の処理を迅速にするということから、必要な法律案といったようなものを考えているわけであります。
  216. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 主要都市の交通緩和に役立つものといたしましての予算面におきましては、主として大都市の地下鉄をなるべく早く建設を完了をいたしまして、そうして大量に輸送をいたしたいという面から、今まではなかった地下鉄の新線建設に対しまして、その利子補給に相当するものとして約二億の補助をいたしまして、来年度から初めて予算に計上することに相なりました。  その他の点におきましては、運輸省として交通緩和に要する予算というものは、格別やっているものはございません。
  217. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 法務省の所管といたしましては、いわゆる交通事犯の激増にかんがみまして、どうしても現在の検察陣容の人手が足りないために事件の処理がおくれている。そのために非常に困っている点を痛感いたしておりまして、検察官の増員を予算の上でお願いをいたしております。  なお、全国的な取り締まり法規の公平なる適用をはかりますために、会同の費用も要求してございまして、これらによりまして、全国における法適用の迅速化並びに公平化のために努力をいたしております。  なお、御参考に、裁判所系統におきましても、同様に事件の処理を急ぐための定員増加予算をお願いいたしております。
  218. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 川島国務大臣にお尋ねしたいと思っておったのですが、病気で休まれておるようですが、閣僚懇談会における交通関係のいわゆる取り締まりというのは、川島さんだと思うのですが、その懇談会で当面解決すべき問題は、どういうものであったかという点で話し合われた経過があれば、だれかかわって、ひとつ説明を願いたい。
  219. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) お答え申し上げます。閣僚懇談会で当面の対策として論じられました中心の点は、さきに警視総監にも閣僚懇談会に来てもらいまして、東京都の交通事情を詳しく説明を受け、また当面これが緩和のために必要な施策についても聴取をいたしたのであります。そこでこれらの施策を、具体的にどう解決すべきかという点につきまして、目下それぞれの所管の省において検討をいたしておるところでございます。  なお阪神地区の関係につきましても、関係閣僚が出向きまして、当地の事情をよく聞きまして、また要望等も伺いまして、これを具体的に解決いたすべく努力中でございます。
  220. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 当面の対策として聞いたのですが、交通問題の根本的な解決として、どういう考え方でおられるか、これも伺いたい。
  221. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 根本的な対策としましては、申し上げるまでもなく、交通量と輸送施設との関係、これを是正するという問題であろうと存じますが、それにつきましても、もちろんそれぞれの所管で検討いたしておるところでございますが、何分にも各般にわたりますので、今回総理府のほうに交通基本問題調査会を設置いたしまして、民間の意見も十分尊重しながら総合的に検討をいたしたいと、かように考えております。
  222. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体各閣僚から、いろいろ説明を願ったのですが、私はきわめて不満なんです。  最後に、当面の対策として交通規制を中心に、この対策を練ろうとされておりますが、当面の対策としてはやむを得ない点があるのですが、交通規制による対策というものは、きわめて住民の日常生活あるいは産業上及ぼす影響の大きい、犠牲を伴った規制なんですね。根本的なやつは、いわゆる輸送関係の整備、これは道路の整備が第一だと思うのですが、先ほど建設大臣から説明を聞き、また大蔵大臣からも予算措置を聞いたのですが、これも政府は、国民にあれほどアピールされたものではなく、これは要するにムードを作るということで力を入れられたかもしれませんが、大蔵大臣は率直に地方道について言われましたが、私はこの補正予算はもちろんのこと、次年度予算を見ましても、きわめて私は不満です。しかし、そういう点を言うと時間が進みますので、具体的に聞いてみましょう。  これは警察庁長官でいいのですが、現在、道路では一応五種類に分けております。国道一級、二級、それから地方道には主要地方道と一般府県道、それから市町村道、この五つに分けた統計の数字はむずかしいのですが、少なくとも国道、いわゆるハイウエイにおける事故数と、それから住民が日常通行する地方道に分けて、どういう事故が統計上出ておるか。私は将来の根本解決には非常に重要だと思うので、この点ちょっとお聞かせ願いたいと思います。公安委員長からでもよろしいです。
  223. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 国道と地方道に分けました数字を、今ちょっと手元に持ち合わせておりませんですが、やはり都市を中心にした国道に事故が多いことは当然と考えておりますが、最近の傾向では、大都市よりむしろ大に近い都市に相当事故がふえておる傾向でございます。
  224. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私も調べてきておりますから、そういういいかげんな感覚でものは甘えない。警察庁では出ておらない——私は、これは新聞記事をたよりにしたきわめてずさんな統計だと思う。事故の原因なり状態を見ますると、一般地方道——住民が日常使用しておる道路で起こる事故というものは、十才以下の、あるいは幼児のいわゆる死亡事故、負傷事故が多いのです。ハイウエイにおける、国道における事故というのは、もちろん自動車の衝突とか、そういうものが多いのです。したがって、私はこういう交通事故対策を講ずるためには、もっと突き進んだ私は検討というものが必要であると思うのですが、今、国道に多いと言われましたが、その根拠はどこにあるのか。それを示して下さい。
  225. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 国道に多い理由は、やはりスピードを多く出すという場合が非常に多かろうと思います。それから長距離運転で非常に疲れているといった場合が多いだろうと思います。
  226. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その数字を、もう一ぺん示して下さい。多いといっても、ただ多いという感じだけでは……
  227. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 数字は、今ちょっと手元に持っておりませんので、それを系統的に調べた数字は、今すぐにはちょっと出せないと思います。
  228. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、率直に言ってもらいたいのです。私は政府を責めるために質問をしているんじゃないのです。ともにやはりこの問題を解決したいという熱意で言っているんですから、統計がないのに、ハイウエイでそういう事故件数が多いということは、内容も、僕はそれを知りたいのです。そういうものがないならない、将来やっていくということを私は率直に認めるべきだと思う。そういう点はどうですか。
  229. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 率直に申しまして、国道、府県道、市町村道別の事故調べというものは、私どもの手元にはございません。
  230. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ございませんということよりも、将来そういうことをやってもらいたいのです。——ということについて、あとで関連して、ひとつ言ってもらいたいのです。  そこで、時間がだんだん進むので気があせるのですが、地方道と国道、これはそういう統計数字を見なければわかりませんが、地方道における事故も相当あるのです。おそらく調べられたらわかると思うのですが、その国道と地方道に分けて、地方道の整備計画というものは、きわめておくれておる。これは建設大臣から、国道と地方道における整備状態、これは整備といっても、舗装がバロメーターになりますから、舗装状態をひとつ三種類くらいに分けて説明願いたい。
  231. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 整備されておりまする舗装の量とか、改修の量とかいうものは、今手元に数字がございませんから、後刻政府委員から御説明を申し上げてもよろしゅうございますが、三十七年度で申しますると、一級国道の事業量が、事業の分量でございますが、八百五十二億円、二級国道が四百四十二億円、主要地方道が三百九十八億円、一般府県道が三百六十億円、市町村道の見込みが二百二十四億円。こういうことに相なっております。
  232. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 政府委員のほうで舗装の関係を説明できますか。
  233. 石野信一

    政府委員(石野信一君) 道路の舗装状況でございます。三十六年度末で舗装済みをパーセンテージで申しますが、一級国道五五・七%、二級国道は二五%、国道の小計で三七・一%になります。それから主要地方道が一五・六%、それから改良府県道六・三%、地方道、府県道の小計で八・四%、以上でございます。
  234. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はここで言いたいのは、今言われた数字によって明らかなように、この三十七年度末で一級国道では六〇%、これがほぼ完成しておる、三十九年では九五%、まあほとんど一〇〇%ぐらい完成される。ところが一般地方道——住民が日常生活をして歩いておる一般地方道は、わずか六・五%なんですね。こういうようなことが明らかになっておる。したがって、私は交通事故は、なるほどハイウエーに重点的に考えられるけれども、私はここで言いたいのは、青少年が交通道徳を守るためには、この地方道に対して交通問題解決の考え方というものを相当考えなくちゃいかぬと思う。私も実はない時間をさいて新聞の記事をたよりに数カ所その後調査をしたことがあるのですが、国道における事故というものは、運転者の過失あるいは歩行者の不注意ということも認められます。ところが、そういう地方道における事故というものは、これは運転者も若干過失はあるけれども、道路の整備がしていないということが大きい原因であるということは、私自身体験しておるのです。その点について、道路関係建設大臣なんか私の考えと違うかどうか、参考までに聞いておきたいと思います。
  235. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 地方道の整備ももちろん重要でございますが、わわれとしましては、道路全般が非常におくれておりますので、順を追うてこれを進めて参りたい、かように考えております。確かに地方道の道路費用は他の費目に比較いたしまして伸び率から見ましても少ないことは事実でございます。ただ、事故件数というものからいいますと、東京の統計等は聞いておりませんが、先般大阪に行きまして事故件数、発生の状態を大阪の警察で作りまして統計を聞きますと、混雑をしておる市街地よりも、市街の中心を出た自動車のスピードの出せる路面で多く事故が起こっておるという数字を見せられまして、記憶はいたしておりませんが、そういう点からいいまして、事故の防止という点からいいますと、もっと交通道徳とか、あるいは運転の注意とか、いろいろほかにも今後研究をいたしまして、対処すべき事項があるのではないか、こういうように私は考えられます。
  236. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕の質問に対して焦点が合っていないのです。建設大臣では無理だったら警察庁長官、道路の整備状態による事故の原因ですがね、そういう点はどうですか。
  237. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) お答え申します。  国道と、それから町村道とで本質的にその事故の原因が変わるというふうには、私は考えておりません。施設がよくないために起こる事故というものももちろんでございますが、事故のほうは主として運転手及び歩行者の不注意、法の無視によるものが多い、道路の交通の円滑化という問題につきましては、行政施策に待つべきものが非常に大きいのではないかというふうに考えておるのでございます。
  238. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政府がそういう考え方、まあ警察庁長官ですから、総理大臣の答弁ではないですが……。交通規制によって交通事故というものの防止をするということは、私は限界があると思う。アメリカでも二十年前は非常に問題になって今日今の状態になっておるのです。もちろん規制は私は必要でないと言わない。しかし、根本的に解決をするには、道路の整備がなければ私はできないという感じでおるのですが、どうも交通関係閣僚の意見を総合すると、この交通事故問題を、交通規制によってのみ解決しようというような感じを受けるのですが、その点どうなんですか。
  239. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今の道路の混雑、いわゆる運転の不円滑というのと、事故防止とは、ちょっと二つに考えれば逆の問題だろうと思いまして……。(「それぞれについて答弁」と呼ぶ者あり)
  240. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 私先ほどお答え申しましたのは、交通の円滑化は行政施策に待つことが多いと、度合いの問題を申し上げたのでございまして、もちろん事故防止についても施設が完備していくということが当然でなければならない、たとえば横断歩道等についても、立体交差ができればこれに越したことはない、その他各種の安全施設というものが整備されていくということが必要であろうと思います。ただ、度合いから言いますと、円滑化の面については、行政施策に待つべき面が非常に多いし、事故については、いかに施設が完備しても、運転手並びに歩行者の注意がやはり基本になるのではないかという意味で申し上げたのです。
  241. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは現状を知らないのです。実際事故を起こしているのを見たならば、歩道はないのです。電信柱が突き出ておる、運転手を責めても無理な点があるのですよ。あなたらは、とにかく弱い運転手を責めて、取り締まりを厳格にすればいいとおさまっているのは大間違いです。そういう実情を知らないのです。あなたらは、ただ規制によって事故は防止ができるという考え方で、もちろん整備は必要だと言っているけれども、われわれは整備のほうが必要だと言っているのです。それをあなたらが逆に考えていることが、政府の交通問題に対する考え方であれば、私はきわめて不満であり、国民もこれに対してきわめて不満を持つと思う。これは歩く住民の意見を聞いてみなさい、狭い所に大きいトラックが入れらて、乗用車が走らされる、子供を出す所もないという現状です。こういう現状を私は言っているのです。そういうものが交通事故の要因の大部分ではない、こういう考え方があるかどうか、一ぺん総理に聞いておきたい。
  242. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はしろうとでございますが、あなたのおっしゃることもわかりますけれども、今の実際から申しますと、交通量の問題、施設の問題と心がまえの問題。私は交通量の問題と心がまえのほうが多いのではないかと思います。もちろん施設につきましても、いなか道の曲がり角等についてはいろんな施設が要る、舗装とかなんとかいう問題ではなしに、いろんな点が要りましょうが、今われわれの方針といたしましては、交通量の問題、心がまえを第一にすべきだと考えております。
  243. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう、きわめて私は不満というよりも実に遺憾のきわみです。心がまえとかそういうものを、私はここで皆さん方によく言っておきます。今後相当取り締まりは厳重にされ、交通規制は厳重にされていくでしょう。非常に市民は迷惑しておるでしょう。どれほど規制をされても、それだけで、事故がある程度のパーセントは減るかもしれませんが、限界があって、減らないという私は考えを持っておる、将来統計数字でまたいろいろ国会で私はその証拠を持って争います。私はそれだけ言っておきます。
  244. 藤田進

    ○藤田進君 関連。交通関係、ことに運輸大臣とそれから公安委員長にお伺いをしてみたいのですが、実際にこの東京都内あるいは地方を大臣みずからが日常交通して経験されていると思うのであります。しかしそれが実際に自分が運転して歩いた場合と、うしろにすわっているうしろ族の場合と大いに違うと思うのです。私は一般的に申し上げるとわかりにくいし、答弁がしにくいでありましょうから、具体的に申し上げて二、三の点についてお答えをいただきたいのですが、今の交通事故については、やはり運転者の側、あるいは一般歩行者の側、それから施設、それぞれにその事件々々によって分析せられれば、それぞれの原因があると思います。これらの複合した原因もあろうと思います。たとえば、ことしの一月一日から、神奈川警察の例をとってみると、毎日、一日の日から二日、三日と引き続き人が死んでいる。これは第一国道のいわゆる電車が現在並行しているところにおける安全地帯が、実際に設備として適当でない点が非常に大きな原因です。私は自分で運転をして歩いております。全く乗り上げるような状況にある。これは行ってみてごらんなさい。すでに六人死んでおります。市はこれに対して何ら従来施設をやっていない。それから流れの問題については、私は必ずしも道路の幅が狭いというだけでなしに、それぞれの局部的ネックに大いによると思います。個所をかりに申し上げてみると、渋谷で代表的にいえば、宮益坂からおりて交差点に出て道玄坂に上がるところに左右に分かれる道がある。あそこのかどで常にネックとなって接触事故もあるし、前に進まない。したがって交差点自体が青が出ても、反対側の交差している側がつかえているために前に進まない。幾ら交通巡査が整理しておってもどうにもならない。こういうところは非常にあるのです。こういうネック。ネックだけでも取る作業、あるいはまた立体交差、地下式の立体交差が可能なところは、これをやるというようなことに、当面早急に各都市について検討される必要があるんじゃないか。全体の道路を幅員を拡張する、拡幅するというようなことが計画にあって、必ずしも局部改修というものがなされていないように私は思う。  それから第二の点は、かりに三軒茶屋−渋谷間を見ても、東急バスはこれは神風バスと言われておる。接触事故を起こしても、なかなか運転手がおりてこないという実例を私は知っております。調べてみると、都バスと東急バスでは、停留所間の運転時間が違う、調べてごらんなさい。したがって都バスを乗り越えて東急バスが前に進む。それがかえって交通を混雑ならしめておる。事故を起こすもとになっておる。そしてあそこは御承知のように狭いから、バスがとまれば、うしろの自動車がじゅずつなぎに続いておるのが、バスがとまったために追い越しが禁止になっておるし、これがために進まないのです。あわせて横には東急のあの玉川線の電車がありますから、電車の乗りおりで、これまた道交法上とまって待たなければならぬということで、もちろん追い越しもできないし、前に進まない、これが実情であります。  第三の点は、あまりにも警察官の交通整理だけに堕し過ぎる。右折禁止、最近は左折禁止。事情のわからないものは、中に入ってみると、結局もとのところに戻ってこなければならぬ。実際に右折禁止がなかったならば、もう非常に、ショートの、区間の短いところで用を足し得るものが、わざわざ迂回に迂回を重ねていくために、交差点を何回か必要以上に通らなければならぬ。道路の上に自動車を長く置くことになっているのが現状です。  それからさらに、最近は、運輸大臣も昨日でしたか答えられたが、都心に駐車場を持つことはかえって交通を混雑ならしめるという答弁でありました。これも一理あります。しかし、実際に国会の皆さんも経験されておると思う。都心に出ます場合は、これは用を足す場所におりますと、あとは駐車できないから運転手さんはぐるぐるぐるぐるからのままで回っている。何回か回ったときに用を足して舗道に立っている。そうして乗って帰るわけです。こういう車がかなりおびただしいと思うのですよ、見ますと。オーナーで行った場合には置き場所がないから、はるか向こうから電車に乗りかえるというような状態ですけれども、大体うしろ族の人たちは、これは自動車からおりて、ぐるぐる回っている、から車で。そうして用を足したときにすぐは来ませんから、何回回ったか、三回回ったとか五回回りましたというようなことが実情じゃないですか。こういうような点もこまかいようだけれども現実の流れを阻害して、かつ不必要に道路の上に車を置いているということを私は言わざるを得ない。これらの点についてどうお考えになるか。  関連ですから、もう一点だけお許しいただきたいのですが、今朝発表になっております——これも山本委員の質問にもあろうと思いますが、特定の車種について制限をなさるということのようであります。四月中旬に公安委員会告示を出されるということです。しかし、これについてお伺いしたいのは、私ども実際に町を車をもって歩いてみて、そういう車はあまり目につかないし、この車がなければもっと交通が緩和できるというふうに感じたことは一回もありません。一回もない。むしろダンプ・カーとか、なまコンクリートといったような暴走するのがかなり多いということが一つと、あるいはタクシーに対する道交法は別にあるのだろうかという感じがする。追い越しもむろん禁止区域でもやりましょうし、割り込み運転もやる。もうめちゃくちゃです。忙しいときはタクシーに乗れば確かに早く行きますというふうに私ども感じているが、今とりあえず制限をされようとする車は、かなり私は一般の産業活動その他に相当重大な影響を持つのじゃないだろうか。この点は十分さらに検討される必要があるのじゃないだろうか。私は、それらの会社との関係でも何でもありません。きょう、私は新聞を見て感じたわけであります。そこで、これを検討していただくと同時に、もし公安委員会告示を出されても、なおかつやむを得ず昼間なり制限されているその時間中に出た場合にはどういう制裁があるのかないのか、法的な根拠等を示していただきたいと思います。  以上です。
  245. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今、藤田さんのお話しのことは、いずれも非常にごもっともなことだと思っております。路面の整理というようなことも大事でありますし、建設大臣が自分でも運転をされておられるので、また御意見もあろうかと思いますが、停留所を置きかえるとか、あるいは路面のかどをなくするとか、そういったものは鋭意やらなければなりませんし、また運転の円滑化のために左折、右折禁止を徹底してやっておりますが、そのための不便というものも今出てきておるかと思います。これは今徹底してやった上でさらにこれを合理化していこうという方針でやっておるようであります。  なお、車種規制につきましては、われわれもうお話しのとおりにあらゆる手を尽くしてみて、やむを得ない場合に最後の手段としてやりたい。しかもそのやる方法といたしましては、一番経済的に影響のない面から、しかも、これがなるべく夜間になじみ得るような方面からこれを取り上げていきたい。緊急を要するもの、あるいは生鮮度の非常に時間的に必要なものといったようなものについては、これはできるだけそれを避けて、あるいは物価にも影響を及ぼすことの少ないように、これは慎重にこれからも各関係機関と検討して、本日新聞に出ましたのは、一応の目途として計画を立てまして、あの計画に沿って順次これを実行する方法をさらに具体化していこう、こう考えておるわけであります。
  246. 藤田進

    ○藤田進君 罰則はどうですか。
  247. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 罰則は、今のところこれに対する罰則は直ちにはないものだと心得ておりますが、ちょっとこれは事務当局に聞いてみます。
  248. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) 規制の根拠は道路交通法第七条でありまして、罰則は「三月以下の懲役又は三万円以下の罰金」と……。
  249. 藤田進

    ○藤田進君 それはどういう場合に……
  250. 柏村信雄

    政府委員(柏村信雄君) これは通行の禁止に違反した場合です。
  251. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 私に対する御質問にお答えをいたします。  藤田さんのおっしゃる点は一々ごもっともでございます。一つも私否定する点はございません。で、そういう隘路につきましてできるだけ解消をしていきたいということでやっております。ことに警視庁あたりからの御要望に沿って、都電その他運輸関係のことに関係をいたしますものは、できるだけこの線に沿わしめるように指導をいたしつつあるわけであります。  それから都心部における時間別、車種別の制限の点は、新聞にきのうの夕刊に出ておりました、ああいう考え方をもとにして、具体的にどういう支障があるかということを検討をして参りたい。もちろんこれらの車の数は限られた数でありますが、もし経済的にたいした支障がなくてやられるならば、幾らかでもの役に立つであろう、こういう考え方で検討いたしております。一般の経済活動に大きく支障を来たさないように私どものほうでは配慮しながらやっていきたい、こう考えております。
  252. 藤田進

    ○藤田進君 都バスと東急バスと運転時間が違うが、これは重大な問題ですよ、これは事故を起こした場合に……
  253. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 都バスと私営バスとの運転時間の違う点をおっしゃるのは……
  254. 藤田進

    ○藤田進君 それはAの停留所からBの停留所に至る時間が短かいのです。
  255. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) それは私初めて伺います。よく検討をいたしてみたいと思います。
  256. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連。一つだけお伺いしますが、今お話しの政府の計画にある四月一日からという大型あるいはその他の車種の時間または車種による制限の場合ですね、経済的影響のないようにというお話でありましたが、これは一部新聞によると、運賃が五割値上げになるということが出ております。というのは、私はその理由がわからないのですが、たぶん深夜営業みたいになりますから、その場合には人員を増加させんならぬ、あるいは超勤もうんとたくさん要る、あるいは宿直員がたくさん配置されんならぬ、そういうことがあろうと思います。したがって運賃は五割値上げということになるかと思いますが、そうかといって、私は今のままでいいというのではないから誤解のないように願いたい。しかし、そのような大幅な運賃値上げが起こった場合に、かりにそういうことが起こった場合に、それが消費者の負担にすぐ転嫁されるようなことになるのか、何かそれについては政府対策があるのか。今お話の生鮮度なんかも考えて、むしろ需給にも影響があるから、それは考慮するというお話がありましたが、特に今お尋ねした運賃の点が五分とか一割というのなら別ですが、五割というと非常に大きな影響があると思いますが、その点はどういうふうにお考えになっておるでしょうか、お伺いしたいと思います。
  257. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) トラックの制限の問題は、ただいま申し上げまするように、個々にさらに検討しなければならぬと私は考えておるわけであります。しかしながらそのために運賃を相当上げなければならないというような事態を起こすようなことのないようにいたしたいと、こう考えております。しかし警視庁、あるいは警察庁との話し合いの結果、どうしてもしなければならぬということになれば、あるいは今おっしゃるように、運賃にも響いて参りまするから、これは考慮せざるを得ません。得ませんが、しかしそういう結果を来たさないように私は適度にやって参りたい。車の数も少ないことでありますから、経済に及ぼす影響ということを考えなければ、ただむやみやたらに制限はできない、こう思っておるわけであります。
  258. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、先ほど安井自治大臣が言われましたが、車の流れと事故とは別だと、それは別じゃないのです。みんな関連性があるのです。規制するために遠回りするために細い道に入って行くのです。そういうことによって住宅街の事故というものは相当出てきます。その点はどうお考えになりますか、注意を喚起しておきます。  そこで、先ほど大蔵大臣は割合率直に認められておるので、私は不満ではあるけれども、一応追及しないのですが、三十七年度の地方財政計画における公共事業の道路整備費についての分析をしたのですが、これは実情はどうなっておりますか。
  259. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 三十七年度の道路計画の地方分担——地方財政計画におきましては、直轄事業の地方分担分は百五十五億、これは前年度に対しまして三十一億円の増であります。さらに補助事業分として四百六十五億、これは前年度に対して七十三億の増であります。これが合計いたしまして、地方でやります仕事の道路の分量が全体の公共事業費の四〇%に当たるように仕組んであります。
  260. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで聞きたいのですが、三十五年度から三十六年度、三十六年度から三十七年度に移る場合の増加率は下がっておるのです。いろいろ各道路三公団に対する補助金の問題があるから、数字は若干違うかもしれませんが、昭和三十五年度におけるすべての費用を合算しますと、地方財政計画によると七百三十八億、それが三十六年度に千百二十六億、この場合には五二%増加しておるのです。三十六年度から三十七年度には総額千三百九億、これは二八%しか上がっておらない。交通問題というのは非常にやかましくなっておるのに、なぜこの率を減しておるのか、地方財政計画では。この点伺っておきます。
  261. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 御承知のとおりに、三十六年度に道路五カ年計画が一躍倍以上になっております。そこで五年と六年では飛躍的な数字になっております。さらにそれよりも多い数字を計上していくというように努めておるわけであります。比率はちょっと落ちておるかもしれません。
  262. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは先ほどの建設大臣に尋ねた問題と関連しておるのですが、もちろん三十五年度には道路五カ年計画二兆一千億、これを立てられてやる、初年度であるから、相当ふえておることも承知しております。しかし、そのふえたそのものでも地方道は先ほど説明されたように整備は着々と進んでおらない。したがって少し減っておるのですけれども、五二%と一六%ですよ。これはそんな、ちょっとのものじゃないのですから、この数字が間違いであるかどうか尋ねておるのです。もしこれが合うているというなら、ちょっとどころじゃないのです。
  263. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 御指摘のとおりの数字でございまして、比率はおっしゃるとおりでありますが、先ほどのように二倍以上にふえましたために、三十六年度がそういった急激な比率の増加を示しておるわけであります。
  264. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは一般財政上の問題ですが、そういう答弁では私はいかないと思うのです。答弁というより考え方では。ますますこういう問題が大きく出てきておるのだから、当然地方道路費については相当考えなくちゃいけない。落ちておるのは当然だ、前年度ふえたのだから——ふえるということはその必要があってふやした。したがって、そういうことで着々地方道を整備しなくちゃならぬ、そういう考え方を持ってもらわなければならぬと思う。減るのがあたりまえだというような考え方で財政折衝をされても大蔵大臣は出さぬ。したがって、私はもっと積極的に地方道の整備ということを、自治大臣は都道府県、市町村の指導者として考えるべきだと思う。その点どうなんですか。
  265. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 御承知のように、道路の計画は建設省でそういった画期的な計画を三十六年度から立てられまして、私のほうではそれに伴う財政的な措置をいたしておるわけでございます。
  266. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つこの問題で尋ねておきましょう。地方道整備費としては非常に国道よりも窮屈であることはわかるのです。その上に直轄事業負担費として、これは百五十五億というものが出されておる。これは大蔵大臣にも聞いてもらわぬといかぬのですが、この直轄事業負担費があるがために、県がこれは直轄道路をやるときに負担するのです。それで県がやれないときには市町村にこれをまたおろしてくる。肩がわりする。はなはだしいのは市町村でこれはまかなえない場合には、その沿線の住民に何かの形で転嫁しようというところもあって、国道を作って舗装してもらっては困るといって相当反対のあったのが高岡方面にあったと思うのです。そういうことが、直轄事業をやるのだから、国道をやるのだから、それに対して都道府県、市町村が負担するというところに問題があると思うのですが、こういうのは、私は財政当局として地方道の現状から考えなくちゃならぬと思う。そういう財源があれば地方道の整備に向けなければならぬと思うのですが、その点、大蔵大臣、どうですか。
  267. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 直轄道路については、市町村にそういう負担をかけているということは、私は実際上ないのじゃないかと思っております。
  268. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それがあるのです。それは大蔵大臣がそういうことを言われるとは思わなかった。これは、そんなら自治大臣に聞きますが、大蔵大臣はないと言っておるのですが、ないのですか。ほんとうになければ、出しているところは返してもらいますよ。
  269. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 直轄工事の中でも大規模のものにつきまして一部を県が負担をしておるということはあるわけであります。それから、それと同時に、今御指摘の一般に地方負担というものが、不合理なものが地方財政の実情にないとは申し上げません。そこで、これは逐次解消するように、法律の建前もそうなっておりますので、私ども毎年これは心がけております。全部一ぺんになくしていくというわけにも参りません。ことしも百億円の負担分の解消を目途に財政計画に計上して、だんだんとこれをなくするように努めております。
  270. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今言われたのはちょっと違うのですがね。しかし、大蔵大臣は全然そんなものないと——あるのです。自治大臣は、同じ同僚の閣僚があると言っておる。なければできないのですよ。こういうことです。
  271. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 直轄道路でも府県負担はございます。さっきはそうでないとお聞きいたしました。
  272. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ自治大臣に聞きますが、府県では——大体建前は府県になっておるのです。僕の言うのは、府県ではできないような、財政の要するに貧弱なところがあるのです。それを何かの形で市町村に転嫁しておるのです。もしそういう実情がないと言われれば、もしあった場合に大蔵省、見てくれますか。これを聞いておけばいいのです。あるないは別です。
  273. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいまお尋ねの件につきまして、私から事務的にお答えをさしていただきたいと思います。  昭和三十五年に地方財政法の一部を改正いたしまして、「都道府県又は都道府県知事は、国又は都道府県若しくは都道府県の機関が実施し、国及び都道府県がその経費を負担する道路」、それから河川等、並べてございますが、「に係る土木施設についての大規模かつ広域にわたる事業で政令で定めるものに要する経費で都道府県が負担すべきもの」「を市町村に負担させてはならない。」という規定を設けたわけでございます。政令で定める事業といたしまして、道路につきましては、一級国道及び二級国道を規定をいたしたわけでございます。そういうことで法律的な規制を設けまして、都道府県が直轄事業負担金を市町村に転嫁するということを法律的に禁止して今日に及んでおるわけでございます。
  274. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕が言うと時間を取るから、ひとつ大臣……。
  275. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから、そういうことは普通はあり得ないと思っているのですが、もし実際にあったとすれば、これは都道府県と町村の問題で、各府県がどういうことをやっているか、これはわかりませんが、こういうことは法律の趣旨からいっても、負担さすべきものではないと思っております。
  276. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今の財政課長が言われた、法律上わかっておるのですよ。そんなものを今言っているのじゃないのです。現実にあるのです。学校の場合でもあるのです。地方財政法では禁止されても、やはりあるのですよ。そういうことを私は言っていないのです。国会でそんな法律論を言っているのじゃないのです。現実に困っているのです。それは今言われたように、府県と市町村の問題だ。府県に負担金を出さすこと自体に問題があるでしょう。府県だからいいとは言っておらない。法律では言っておるけれども、問題があるから、そういう点で——しかも国道ですよ。国道と、私は住民道と言っているが、地方道との政府施策からいうと、国道に重点を置いているのですよ。私はあえて独占資本とか言いませんけれども、産業道路に重点を置いておる。だから住民の利用するような道路で私は全然ないとは言いません。むしろ迷惑をしているようなところがある、住民が。そういうところにいわゆる地方費を負担さすという、こういう点に私は無理があると思う。この負担金について、これについて法律がこうだからそういうことはあり得ないと言うけれども、現実にある。あった場合には、大蔵省として、また自治省としてどういう措置をとるか、そういうことです。
  277. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今御指摘のように、地方負担が事実上の問題としてあるということは否定できないと思います。ですから、これを漸次解消するような方向で常に強力に指導いたしております。また、財政計画にも、三十七年度はそのための費用を百億見込んでおるわけでございます。
  278. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体まあ前進しておるような答弁ですが、自治省で把握している百億というもの、そういうものを出しているということは、一応そういうまあ考えられないような法律違反であるようなやつがあるのですが、自治省で一体これを総額どのくらい見ておるか、ちょっとおっしゃって下さい。
  279. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) ただいま数字を持ってきておりませんので、具体的に申し上げることができませんことをおわびいたします。ただ法律が禁止条項を設けましてから、最近調査したところによれば、県が市町村に負担をさしております土木関係の経費というものは激減をいたしておりまして、私の記憶では、たしか二十数億減っておりまして、ただいま残っておりますものは十億前後に減っていると記憶いたしております。
  280. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今は道路の負担金ですが、学校とかその他で税外負担が相当あるのですが、この金額はどのくらいになるのですか。それをちょっと聞かして下さい。
  281. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 記憶で申し上げますので、数字に間違いがございましたならば、後ほど訂正させていただきたいと思いますが、昨年十二月当時調査いたしましたのは、三百四十億程度で、うち市町村分が二百五十億円、国が取っておりますものがたしか九十億円であったと記憶いたしております。なお、そのうちには学校等でございますならば、高等学校で同窓会であるとか、あるいはPTAとか、そういった関係が県の場合は大部分でございまして、道路関係につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、非常に減ってきているという状況でございます。
  282. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 先ほどの百億と言われたのは、三百四十億に対する百億ということですか。
  283. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 税外負担の解消の問題につきましては、御承知のとおり、かねてから努力をいたしておるのでございまして、昭和三十五年度にこの問題を取り上げまして、当時九十億円程度の財源措置をいたしたわけでございます。その後さらに今回百億円程度の財源措置をする、こういうようなことを進めておるわけでございまして、漸次この問題を解決をしていきたいということで努力をいたしているわけでございます。
  284. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 交通問題がここまで走ってきたのですが、最後に締めくくりとしてひとつ大蔵大臣なり総理に聞いておきたい。道路整備五カ年計画、これはすでに着々進行しておるようです。二兆一千億、そのうちで国道関係が一兆七千億、地方道については四千億という概数を聞いておる。私は、国道を軽視しろと言っておらないのですが、あまりにも今国道偏重でなかろうかという気持がするのです。今の市町村の住民の要求というものは、国道も必要かもしれぬが、自分らの日常使う道路ということに相当不便を感じておると思うのですが・今後交通機関は、あるいは交通事故防止という建前から、地方道に対するこの計画を、国道の一兆七千億を、これを減額しろとは言わないが、地方道に対して別の考えを持てるかどうか、これは総理大臣にはっきり……。
  285. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昭和三十二年に一兆円の道路計画というので非常にたいへんなことだと思っておったのが、四年して今度は二兆一千三百億、こうなったのです。道路の計画というものは、これはよその国でもみなあることでございますが、際限のないほどの要求が強いものでございます。私は一応五カ年計画を二兆数千億円出しておりますが、今後やはり経済の伸び等から考えまして、できるだけ早い機会に、国道を優先いたしますが、地方道につきましても、手をつけていきたいと考えております。
  286. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣、財政上どうですか。
  287. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 山本君、大蔵大臣に要求しているのですか。
  288. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 言っている。
  289. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今の数字がちょっと違っているようでございますが、五年計画は国道が約七千億……。
  290. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国道七千億ですか。それで……。
  291. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 国道七千億と、それから地方道が五千億……。
  292. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 合わぬですね、算術が。
  293. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今度はあれがございます。それに有料道路、道路公団の事業、これも四千五百億、それからそのほか除雪、防雪とか建設機械の整備、道路の調査、いろいろのものが入っておりますが……。
  294. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総額は。
  295. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 総額一兆七千億、一応そういう計画になっております。そこで、今の地方道の問題でございますが、これは私どももできるだけ地方道に力を入れたいと考えておりますが、さっき建設大臣からお話もございましたように、順序を追ってどこから整備していくかという問題で、どうしてもここでやはり国道整備を急ぐというような問題から、そういうほうにウエートを置きたいという問題と、それから地方道路の問題は、地方財政計画との関係もございまして、これを一挙に計画のときにふやそうとしましても、そちらのほうから、地方からの要望もございまして、この計画があまりにつらくなってはというような問題もございまして、そこらを勘案して、第一次の計画ではそういうような比率になりましたが、今後この計画がさらに進むにつれて地方財政のあり方も非常に最近は好転して参りましたので、そういう事情に伴って今後は地方道路のほうに比重を置いていくというような計画に徐々に直していけるだろうと思っております。
  296. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実際不満なんですよ。しかし、時間がないもので、との問題ではずっと追及したいと思うのですが、まあ一応この問題はこれで終わります。  しかし、私は総括して交通問題でいろいろ道路の問題を聞きましたが、今のごとき政府の、あれほど国民的な運動を起こそうとしているのにかかわらず、実際予算面から、あるいはこの施策においては、私は非常に国民の希望にこたえておらないということだけ結論的に申しておきます。
  297. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。今、大蔵大臣おっしゃいましたが、道路五カ年計画はそういうふうになっておらないでしょう。一、二級国道並びに主要府県だけが対象で、その他の地方道というものを対象にしておらないですよ。ですから、単独事業でやる以外にその他の地方道の改修なり、あるいはまた舗装なりということをやることは不可能なんです。そういうワクにはめられているわけです。ですから、新しい地方財政計画でそういう単独事業のワクをふやしたというならば話はわかる。しかしながら、先ほどから問題になっている一、二級国道並びに——主として一、二級国道に対する負担金、それから中央でひもをつけられたところの公共事業によるところの道路の改修費というものにワクがはめられますから、地方住民の要求する道路というのはできない仕組みになっている。その点が今後解決されると、このように了解してよろしいですか。
  298. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さっきの一兆七千五百億、地方の単独事業の道路が三千五百億円入っておりますが、この三千五百億円をこれをやはりふやしていかなければなりませんが、さっき申しましたように、地方財政計画との関係、この制約でもう少し仕事をしてもらおうというのも、むしろ当初においては、これ以上はという反対があったくらいでございまして、そういう制約がございますので、今後の地方財政好転に従ってこの単独事業をふやしますし、地方道路の問題も解決していきたいと思っております。
  299. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 自治大臣一つ……。
  300. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 地方の行政水準を上げますために、特にこの単独事業に重点を置かなきゃならぬと思っております。ことしも単独事業の道路分の総額は六百三十四億を計上しておりまして、昨年に比べまして六十四億ふえております。
  301. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 答弁を聞いておれば聞いておるほど、この問題に不服があるのですが、きりがないから、いずれ別の委員会なり、後日またこの問題を地方財政計画でやってみたいと思います。  次に、問題がいろいろあったのですが、時間がないので、今度の三十七年の予算でちょっと気にかかる財政投資が行なわれておるのですが、旧地主に対して何か二十億ほど国民金融公庫に投資するということをちょっと聞いておるのですが、これはどういう事情ですか。
  302. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 旧地主で農地の買収を受けた者で、現在、生業資金を一般の金融機関から受けられない、困難しておるという人に対して融資の道を開こうということを今度政府はきめまして、これを今、国民金融公庫から貸出をするように検討しておるわけであります。
  303. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は法律々々ということを言わないですが、それは国民金融公庫法によってどういう措置でやられるのですか。
  304. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 金融公庫の貸付の計画では、ことし大体千四百四十八億円ということになっておりまして、その中で旧地主の貸付のワクを大体二十億円くらいにきめて、そして今現に国民金融公庫は生業資金の貸付をやっておりますが、そういう形で貸付をしたいということで、この国民金融公庫法の改正とは、これは無関係でございます。改正は千四百四十八億の貸付計画に伴う原資において政府が出資する二十億円、この問題を中心としての国民金融公庫の改正案を今準備しておるところでございますが、それとこのこういう貸付をやるということとは無関係でございます。
  305. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の尋ねておることとちょっと焦点が合っておらないのですが、私の言っておるのは、今、大臣は生業資金というが、国民金融公庫で生業資金を貸しますか。
  306. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 国民金融公庫から貸付をいたしております。
  307. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 生業資金に間違いないですね。それじゃ聞きますけれども、旧地主に対してそういう二十億のワクをきめて出す、そうすると、現在のこの国民金融公庫の財政事情で見ましても、旧地主であろうが、旧軍人であろうが、この一定の資格があれば事業資金が借りられるのですね。それになぜ別に旧地主に限ってこれをやらなくちゃならないというのですか、それは政府の宣伝ですか。現在でも借りられるのですよ。これはどういうことなんですか。
  308. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ御承知のように農地被買収者に対する何らかの措置をとるべきであるというようなことが、いろいろ今言われておりまして、調査会までできておるという情勢でございます。で、まだそういう結論も出ておらないときでございますが、いずれにしろ、この旧地主に対して何らかの措置をとることが、この際妥当だろうという政治的配慮から、私どもはせめてこの生業資金で一般の金融機関から借りられないというようなものがございましたら、特別に融資の道を開くというくらいの配慮はしたいということを考えて、今そのやり方を検討しておるところでございまして、一般の人にもむろん貸しておりますが、特にいろいろ問題を持っておる旧地主でございますので、一定のワクで貸付の道を開くことが妥当だろう、こういう判断に基づいた措置でございます。
  309. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あのね、大臣、現在でも、旧地主でもだれでもこれの資格に該当すれば借り得るのですね。旧地主だからといってこれは排除されておらないのです、国民金融公庫法では。それを別に二十億はこういうグループに回すのだということは、法律上違法とは私は言いませんけれども、国民金融公庫法を私は若干冒涜するのじゃないかと思う。そういう点がなぜ——政治的配慮と言われますけれども、それなら言い分がありますよ。いまだ農地被買収者問題調査会の答申が出ておらない。どういう事情であるかわからぬ。わからぬうちに、こういう措置をとるということは、これは政府としては一つのはっきりとした根拠がなければならぬと思う。この点は農林大臣は相当主張されたと聞いておるのですが、それは閣内のことについては言いませんが、農林大臣はこれについては御意見がありますか。
  310. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。大蔵大臣のお答えのとおりでございます。
  311. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 特別の配慮から出たものでございますが、この種のことは、すでにたとえば引揚者が引き揚げてこられた場合に、とりあえず、この生業のための資金を貸すというような一般の貸付以外に、特別の配慮を持った貸付もやっておりますし、恩給を受けている人がこれを担保に特別に貸し付けるという道も開こうというようなことで、各特別な層に対して特別の措置をとって貸し付けの道を開いている例がたくさんございますので、その一つのやり方というような気持で、この際、旧地主に対してこのくらいの措置を配慮することは妥当ではないかと考えます。
  312. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣、苦しい答弁だと思うのですがね。私は問題があります。旧地主の問題があることは私自身も聞いております。しかし、やるならば、こういう姑息といいますか、政治的配慮と言われますが、こういう方法でなくて、調査会でどういう現状にあるかということがはっきり出てから、私は措置すべきだと思う。こういう措置でやられたら、現実にその日に困っているような旧地主にはこれは回りません。むしろそれ以外の、ある企てをしているような人には、この金は金融公庫から回りますけれども、ほんとうに苦しんでいる旧地主には回らない。そういうものを出されることは、きわめて私は、政治的と言われますけれども、次の参議院の選挙をねらっているとは私は言いませんけれども、私は非常に不明朗だと思う。やるならはっきりと、調査会の答申が出てから、こういう実情だからこうやるのだ。社会党の反対がかりにあるといたしましても、堂々と国民の前にやるべきだと思う。こっそり国民金融公庫に二十億を出して、これを貸すのだ、こういうことでは、……しからば、旧地主が国民金融公庫を利用されなかったかといえば、現在でもされるのですから、そういう措置は、私は非常に不明朗であると思う。政治的配慮と言われるけれども、この点について総理大臣いかがですか。
  313. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 旧地主の方々につきましては、いろいろわれわれも考えて、お話のとおり調査会を作りまして、一昨年の暮から昨年、今年にかけて、だいぶ調査も進んでおります。実態調査も大体終わりかけておるのであります。しかし、調査会の結論を待って根本的な処理をすべきものだと思いまするが、それまでも生業資金でお困りで、しかも一般の金融機関から借りられない方々に、生業資金として特別の措置をとるということは、私は一つの政治だと考えてやっておるのであります。何もこそこそやっておるわけじゃございません。正々堂々とやっておるわけでございます。
  314. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、正々堂々と、そう意気込んで言わなくてもいいと思うのですよ。二十億ぐらいで正々堂々と、一国の総理大臣がそう肩を怒らして言う必要はないと思うのですよ。私が聞いているのは、二十億でも、それはそれで救われる人もあるかもしれませんが、この金融公庫によって救われるのは、そういう対象の人でないと、こういうのですよ。旧地主にこういうことをやったということは、ある程度政治的に皆さんの立場上意義があるかもわかりません。現実はそうでないと私は言っておる。調査会の答申が出なければ政府はわからないというんですよ。それをこういう措置をとるということは明朗でないということを私は断定しておるのですよ、正々堂々とやっておると言うけれども
  315. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは実際にやってみないとわかりませんが、ほんとうに困っている人というものは、事実上一般の金融機関から借りられないで困っている、こう思います。ですから、こういう貸付の道が開かれることによって、旧地主であってほんとうに借りられないという方は、これによって救済されるということも考えられますので、私はりっぱに意義があるだろうと思っております。
  316. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 皆さん方非常に固執されておるが、あなたの言われるように、この二十億によって初めて旧地主で借り得る者があると思ったら、それは間違いなんですよ。国民金融公庫のこの資格によってのみ借りられる、これは一般国民と同じような扱いなんです。それをなぜ二十億旧地主にやるか、国民は逆に、旧地主に対して何で勝手なことをするのかということで、かえって損だ、マイナスだと思うのです、逆に言えば。そういう措置をなぜこういう調査会の答申が出ないうちにとられるかということは、私は行き過ぎじゃないかと、こういうことを言ったら、池田総理は正々堂々だと言われる。それはそうです。正々堂々でなければならない。そういうことを言っているんです。その点どうですか。
  317. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 旧地主問題は、すでにある程度政治問題になっておる問題でございまして、これが必ずしも調査会の結論を待たなければ政府は何にもやってはならぬということではございません。その結論とは別に、今そういういろいろな要請があるときでございますから、政治的な配慮をわれわれとしてしたというまででございまして、これは別に調査会の結論とは無関係であります。
  318. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、この前の農地被買収者問題調査会の設置法を参議院で審議したとき、あのときは岸総理のときですが、そういうことを言っておらない。何らかの対策を持ちたいけれども実情がわからないからこれを作って調査をいたします。できた上で保障ということは、これは絶対にやる考えはない、しかし何らかその措置がとられるだろうというので実情を調査さす、それでこれを作るんだといって説明して、これが通った。それで通って、今の調査の審議過程において何も答申が出なかったら政府は何にもできないということはない。同じ内閣ではないけれども、あまりにも国民に対して私は食言をしているのではないかと思う。この点どうですか。
  319. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 何らかの措置をとりたいという話があったそうでございますが、この今の措置も何らかの措置の一つと思えばよろしいのじゃないかと思います。これはなかなかむずかしい問題でございまして、おそらく調査会の意見というものも、いつきまるかわからないくらいむずかしい問題だろうと私どもは思っております。しかし旧地主の問題は、現実の問題として実際にある問題でございますから、せめてこれに対処するために、融資の道くらいは開いてやりたいということを配慮したものでございまして、これも何らかの措置の一つになっているわけだろう、必ずしも調査会の結論を待たなければやれないことじゃございませんで、こういう政治的な配慮をすることも、私は少しも差しつかえないことだと思います。
  320. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 山本君、時間が経過しておるのですが。
  321. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 国会というところは、やはり納得して、これは私だけが聞いておるのじゃない、国民が聞いておるのですから、あいまいのところで切って、それで委員長が時間がきたからやめろということは……。
  322. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 時間がきたことを御注意の上でやっていただきたい、こういうことです。
  323. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣、あの調査会法案の審議のときは、内閣が違うから今の池田内閣の責任ではないというなら、それならそれではっきり言ってもらいたい。あのときには何らかの手を打ちたい、打ちたいけれども打てない、それがために農地被買収者問題調査会法案を出して、これで調査をさすのだ。その上でこの措置をとられるならばこの問題は解消する、実態は別だが、いい悪いは別だが、やるということについては、こういう方法があったのかといって国会審議をしていると思う。あの法律案を審議するときにはそういうことを言っておらない。何もわからぬので、一応実態を調査した上で何らかの手を打たなければならないということで、あなたの言うこととは逆なんです。
  324. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は調査会において調査いたしておりますことは、生活困難をしておられる人はどういうところにあるか、旧地主の生活の実情、実態を調査して、これに対してどういうふうにしてあげるのが適当であるかというような意味合いにおいて御調査を願っておると心得ております。ところが今回の処置は、旧地主の諸君の中に、新たに生産に従事いたしたい、しかしその資金に事欠いておるというような申し出が非常に多いので、これらの諸君に生産資金を融通してあげたらどうだろうかというような、わが党におきましていろいろ調査いたしました結果、その必要があるというので、生産資金の一部を国が融通の道を講じようということで、差しあたり二十億をこの機関から融通することにいたしたのであります。これは事情が全然違う措置でございまして、答申を待ってやりますことは、生活困難をしておられる諸君に対して、どういう手段を講じて保障するかというような、必要があるかないかということを調査しておられるのでありますが、その結果を待ってやるべきことは、またあらためて生ずるか生じないかは、これは調査なり答申を得てやることになります。事情が全然違うのであります。
  325. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 河野さん、その当時閣僚としておられなかったのですが、違うのですよ。旧地主に関する一切の措置について政府は何らかの手を打ちたい、打ちたいけれども実態がわからない、調査会を作って実態を調べよう、今言われた生活困難者を調べるというような、そんな法案にはなっておりませんよ。そういうでたらめなことを言って、それは事実ですか、生活の困難者だけを調べておるのですか。そんならそれで将来問題になりますよ。
  326. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。当時、私閣僚でございませんでしたが、当時の事情を聞きますと、社会問題が中心で生活困難をきわめておるものということになっておるのでありまして、私が申し上げたことと大して違わぬと思います。
  327. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 社会問題ということと生活の困難ということは、概念は全く違いますよ。
  328. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) さっきのは取り消しじゃないのです。今あります調査会は、社会問題として生活困難をきわめておられる諸君に対してどういうふうな処置を講ずるかというようなことで調査をいたしておるということでございまして、今回の処置はそうではない、それとは全然関係なしに、生産資金についてひとつ御融通申し上げようということでございます。生業資金です。(「大蔵大臣の答弁と違うじゃないか」「大蔵大臣の答弁をあなた打ち消したんですよ」「大蔵大臣、答弁しなさい」と呼ぶ者あり)
  329. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 別に私の言っていることとは違わないと思います。前の政府は、何らかの措置はとりたいが、どういう措置をとっていいか全くわからないからというようなことを言われたそうですが、そのために作られた調査会であっても、この結論はまだ出ておりません。しかし、この農地問題というものは、今一つの政治問題にもなっているときでもございますから、新たにそういう調査会の調査とかなんとかは一切無関係に、現在生業資金が借りられないというような旧地主に対してその融資の道を開くということは、ここでやってしかるべき措置じゃないか、妥当な措置じゃないかということを独自に考えて、今度そういう措置をとるということでございまして、別に農林大臣お話とは食い違っておりません。
  330. 藤田進

    ○藤田進君 議事進行。速記を取り寄せますと時間もかかるわけで、記憶を呼び出していただきたいのですが、問題の焦点は二つありますが、一つは、農林大臣の今度の融資に対する趣旨というものは、生業資金としており産業資金といいますか、産業のための資金不足を補うためにということで一本にしぼられたわけです。ところが、大蔵大臣のほうは、生活に困っている人たちにこの際しかじかのことを、一般の銀行も貸さないから、こういうことだと。そこでヤジも、それじゃ貸し倒れになるじゃないかということが出たくらい、担保力も何もない生活に困っておる人たちにというのがまず一点として食い違う点があるのです。したがって、第二の点は、この調査会の結論が出なくてもいいというところに、それぞれお答えになりまして、その趣旨が違ってきておる。
  331. 湯澤三千男

  332. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 岸内閣当時に調査会法を出しましたときのお話も、私、承知いたしております。旧地主の問題につきましては、調査会を設けてこれが対策を決定いたします。このとおりでございます。しかしてその後におきまする情勢の変化と申しまするか、あるいは地主の希望を見ますと、生業資金に困る、こういうことであります。生業というのは、これが生活資金にもなりましょうし、あるいは産業資金にもなりましょうが、生業というのは両方加えたいわゆる小口資金という意味でございます。生活に困るということであれば、大蔵大臣のような答弁にもなりましょうし、またこれから仕事したいというのであれば、農林大臣のような答弁になります。生業資金ということでございまして、それは小口資金という意味でございまして、私は、こういう情勢のもとにおきまして生業資金を出すということは、政治的に考えてやるべき措置だと考えております。正々堂々というのは、こそこそやろうというわけでございますかというから、いや、そうではございません、党議で決定いたしまして、内閣もこれを採用して御審議願うことになっているので、両者、農林大臣大蔵大臣の答弁は違いない。私が統一の答弁をいたしました。
  333. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間超過しておりますから、これで……。しかし、大蔵大臣なり総理、あるいは農林大臣、これは私は実際内閣委員会で法案を審議したんです。そのときの岸総理に来てもらっての答弁なんかと全然違うんですよ。そういう意味で、私は、内閣がかわったからそういう責任は池田総理は持たないと言われないと思うんだが、この問題は次の機会に深めたいと思います。皆さん方も勉強しておいてもらいたい。  これで私の質問を終わります。(拍手)   —————————————
  334. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 亀田得治君。
  335. 亀田得治

    ○亀田得治君 私は、きわめて残り時間がわずかでありますので、韓国米の買付問題についてだけお尋ねをいたしたいと思います。  初めに外務大臣並びに農林大臣にお聞きいたしますが、総理には最後に見解を承りたいと思います。まず外務大臣から、この韓国米買付の結論を出しました経過を一つ承りたいと思います。
  336. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えを申し上げます。わが国と韓国との貿易は、例年四、五千万ドルわがほうの一方的な輸出超過になっておりまして、韓国側としてはこのアンバランス改善のために米を初め農水産物、鉱産物の対日輸出を再三要請して参っております。特に米につきましては、韓国側は十万トン程度の対日輸出を強く希望いたしまして、昨年十一月から十二月にかけて関係者を訪日せしめるなど、あらゆる機会にわがほうの好意的な配慮を要請して参りました。わがほうとしましては、一昨年三万トン買い付けた経緯もございます。かつ、先方は米を買い付ければ、その分だけ肥料その他わが国の国産品を買い付ける旨を述べておりますので、今申し上げましたようなアンバランスの改善及び貿易拡大の見地から、目下事務当局間においてこの点を検討中でございます。
  337. 亀田得治

    ○亀田得治君 五万トンの買付は決定しておるわけでしょうか。
  338. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今申し上げましたように、事務当局間において折衝中と聞いております。
  339. 亀田得治

    ○亀田得治君 韓国の要求は十万トンと私たちは聞きます。外務当局は、おそらく日韓会談等を考慮に入れての話だと思いますが、その十万トンを大いに支持されておる。しかし、農林当局はできるだけそれを少ない線で押えたいというふうに、意見の食い違いがあるようですが、そこら辺は一体どのような状況になっておりますか。
  340. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今申し上げましたように、韓国側の希望は十万トンでございます。しかし、国内の米の需給状況から見まして、そんなにはなかなか無理であろうというふうにわれわれも承知いたしております。今、外務、農林両当局におきましては、意見はさほど食い違ったものではないと承知いたしておりますが、相手方のあることでございますので、それを幾らにするかということについては結論が出ておらない、こういう状況でございます。
  341. 亀田得治

    ○亀田得治君 報道によりますと、昨日事務的には五万トンというふうにきめたと、こう報道されておるわけですが、そういう事実は全然ないでしょうか。
  342. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) そういう事実はございません。
  343. 亀田得治

    ○亀田得治君 新聞のほうは誤報だということになるわけですが、大体どの程度の線に落ちつく見当かという点を、これは農林大臣のほうがいいと思いますが。
  344. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 値段にもよりますし、品質にもよりますし、事務的にいろいろ先方の、何と申しますか、代表と会って、話を詰めてみなければ数字が出て参りません。
  345. 亀田得治

    ○亀田得治君 買付の方針はきめているわけですね、相当量買付の方針は。
  346. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) だんだん先方から外務省を通じてそういう要求があるようでございますから、日韓の現状にかんがみまして、私も適当なものがあれば、買ってもいいんじゃないかと思っております。
  347. 亀田得治

    ○亀田得治君 そこで、農林大臣にお聞きいたしますが、昨年の十月六日の農林水産委員会で大臣が答えておるわけですが、そこを思い出していただくために、ちょっと読んでみます。「今年下期の外貨予算がこの間決定をいたしました。この決定の中にも米引き当ての外貨はたしか一千万ドル。初めは農林省としては必要ないというつもりでおりましたが、台湾米との関係におきまして必要が起こるかもしれませんから予算を組んでおこう、」こういうふうにお答えになっておる。これはほかの場所でも同趣旨のことを農林大臣が答えておられます。この下期においては外米を買い入れる必要がないんだ、ただし、台湾との貿易上の関係等があるから、予備的にそれは組んでおく、しかし、それも予備的で、しかも、それは台湾、こういうふうにはっきりこれはお答えになっているわけですが、そういう経緯からいたしますと、ただいま農林大臣がお答えの中で、はしなくも言われたように、最近の日韓関係にかんがみというところから、はっきりと、そんなものは必要がない、こう言っていたものを、現在方針を変えようとされておる。こういうふうに、前の農林大臣の言明から見て、私たちは解釈できるわけなんですが、そのとおりでしょうか。
  348. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 亀田さん御承知のとおり、昨年十月当時考えておりましたこととその後の米の実情、だんだんやって参りますると、天候等の影響を受けまして、良質米が非常に少ないわけであります。そういうことからいたしまして、ただいまも申し上げましたように、品質、数量、価格等を勘案して、もし良質のものの割安なものがあれば買ってもいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  349. 戸叶武

    戸叶武君 関連して、「最近の」という農林大臣の答弁ですが、食糧庁は一月二十四日、ごく最近ですが、三十七年の米の需給見通しをまとめた。それによると、同年度中に消費される米の量は五百八十三万トンで、政府が確保する量は九百六十九万トン、翌年度に繰り越す量は三百八十六万トンになり、同庁係員は、この持ち越し量は配給量の九カ月分に当たるので、端境期にも米不足の心配は少しもない、こういうふうに言っております。農林大臣の、ごく「最近の」というごく最近は、この一月二十四日以降におけるところのその御見解ですか。
  350. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいま申し上げましたとおりに、数量的には今お話しになりましたとおりでございますが、いずれも昨年は天候に災いされまして、良質米が非常に少ないわけでございます。そういう点を勘案いたしまして私はお答えしたのでございまして、いずれにしましても、数量的に見まして、数量対策上買うというような数量を買おうとは考えておりません。
  351. 戸叶武

    戸叶武君 関連、これは農林、外務両方に関係があるのですが、外務大臣は、だいぶこの間タイの問題でお困りのようですが、こうなると、もっと困るのじゃないでしょうか。韓国だけでなくて、タイとの関係においては、日本がやはり韓国以上の片貿易になっております。日本から輸出が一億あるいは一億二千万ドル、輸入が五千万ドルないし六千万ドル、しかも、トウモロコシは買うが米は買わないというので、タイでは非常に困っているのです。この韓国とタイと、タイとは非常に親しいのだという形で、この間衆議院におけるところの答弁の切り抜けをしたようですが、こういうふうに、タイのほうでは買わない、韓国のほうでは買うというふうになると、こういうえこひいきが出てくるのじゃないでしょうか。これはタイにもビルマにも問題は関連して起きてくるのですが、韓国だけで問題が片づくと思ったら間違うと思いますが、外務大臣の答弁を願います。
  352. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、いずれも米質が違います。タイの米はのりの原料にするとか、工業用原料にいたしまして、これは例年買わなければならない一定の数量がございます。これらも今年度決して全部買わないというようなことは考えておりません。食糧を扱って参ります上から、例年必要なものについては買うのでございますから、今、タイについて一切買わぬというようなことは考えておりません。
  353. 亀田得治

    ○亀田得治君 ただいまの戸叶君の関連質問に対するお答えでもはっきりしたわけですが、数量的には心配な状態ではない、これは私も資料を持って聞いているのですが、たとえば昨年の端境期の九月一日現在の状況をとってみても、これはもう決して心配な状態ではない。その点ははっきりした。そういたしますと、あとは質の問題ですね、今のお答えによりますと。ところが、昨年の十月六日お答えになった答弁によりますと、そういうことのために予備的に台湾米というものを目当てにして一応予算を組んでおくのだ。しかし、おそらく使わぬでもいいだろう、そういう趣旨であったわけです。したがいまして、どうしてもそれを使うのだということになれば、農林大臣の言明の責任からいいましても、当然台湾米を買う、これは同じ準内地米というふうに扱われているわけですから、当然そうあるべきなんです。それを予定しておらない韓国米に切りかえた、この根拠はどこにあるのか。私は、どちらでもいいのであれば、これはやはりあなたがちゃんと予算の内訳を説明したとおりに実行されるのが当然だと思います。先ほど日韓関係にかんがみという趣旨のことをおっしゃったのですが、やはり日韓会談なり日韓関係というものを考えて、そのことが最大の理由だというふうに切りかえられたものと思うのですが、その点もう少しはっきりお答えを願いたい。
  354. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 昨年の十月には、まだ朝鮮の米は買い入れるとか買い入れないとか、買ってくれとか買入れましょうとかいう話は全然ございませんでしたから、当時台湾の話を申し上げた。今日の事情から申せば、私は、かんがみと申しましたのは、台湾の米を買うということとへ日本の立場からして朝鮮の米を、多少違いはあるかもしれませんが、朝鮮の米を先方でぜひ買ってくれというようなことであれば、われわれ事務的に両者の米質もしくは貿易の事情等を勘案いたしまして、これを十分検討するということは適当な処置ではないか、こう考えるのであります。
  355. 亀田得治

    ○亀田得治君 農林大臣に、ちょっとこまかい問題になりますが、お尋ねしておきますが、もしこの韓国米を買うということをきめた場合、それは三十六年度の外米に関する外貨予算のワク内、そういうことで処置されるつもりですか。あるいは場合によっては準内地米に充てられておる外貨予算をもこえるかもしれぬ、そういう点はどういうふうにだいぶ折衝が進んでおるわけですから、おそらく検討されておられると思いますが、どういう関係になりますか。
  356. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、外貨予算には予備費がございますから、必要があれば予備費の中からも出して使うことはあるかもしれません。
  357. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、必要によっては予備費なども使いまして相当多量に買う、外務大臣はどうも十万トン韓国の要求を認めてやりたいようなふうに私たちは聞いておるわけですが、だいぶ話が煮詰まっておるはずなんですが、もう少しその辺は明確にお答えできないでしょうか。
  358. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 農林省に関する限り、朝鮮から米に関する係の人が見えられた上で、品質価格等を詳細に検討打ち合わせいたしました上で、最終的にどの程度買うかということをきめる。まだその打ち合わせの段階に入っておりませんので、煮詰まつておりません。
  359. 亀田得治

    ○亀田得治君 韓国側のこの問題に対する使節団といいますか、そういうものはいつごろ来る予定でしょうか、外務大臣
  360. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まだよく承知しておりません。
  361. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは全然先方から米の問題についての使節団の来訪について、外務省に全然話がありませんか。
  362. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今、農林大臣がお答えになりましたようなわがほうの態度であるわけでございますが、こちらからインヴィテーションを出しましたら、先方が来るという、こういう段階でございますが、まだそのインヴィテーションを出しておりません。したがって、いつ来るということは今申し上げられないわけでございます。
  363. 亀田得治

    ○亀田得治君 私が聞いているのは、何日、どの飛行機で来るという、そういうことを聞いているわけではないわけでして、先ほどのお答えからいいましても、大体買う腹はきめておる。先方から来ていろいろ品質なり値段等について聞いて、その上で最終決定する、こういう段取りになっておれば、しからばいつごろ来るのか、こはれ当然そのことがなければ、まるで空のような話になってしまうでしょう。それはそんなことはないわけでして、正式にはまだきまっていないかもしれませんが、それは必ず皆さんのほうに、いつごろどういう人が行きたいということがあるはずなんです。もっとそういうところははっきりとこう明らかにしてほしい。
  364. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今も申し上げましたように、この点につきましては、農林省とよく打ち合わせまして、適当な時期に来てもらうということになりますわけですが、まだその時期はきめておらないというのはそのとおりでございます。事務的によく検討させまして、いずれ先方を呼んで、農林大臣のいわれたように、数量あるいは品質、あるいは値段等の条件について交渉すると、こういうことになろうかと思います。
  365. 亀田得治

    ○亀田得治君 予備的な交渉というものは東京なりあるいは韓国なりでやられておるわけでしょうか。
  366. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほど申し上げたように、昨年の十一月から十二月にかけて先方の使節団が参りました。で、先方の申しますには、非常にアンバランスだ、たとえば、昨年の実績を見ますと、こちら側の輸出が六千九百万ドル、こちらが先方から輸入したのは千六百万ドル、この席でも日米貿易のアンバランスが話に出ましたけれども、実に四倍の数量をわがほうは輸出している。したがって、何とかひとつ米の問題も考えてくれ、こういう話がありましたけれども、昨年のところは話がつかないで、そのまま先方の使節団は帰っておるわけであります。そのままいろいろずっと打ち合わせまして、先ほど農林大臣の話のあったようなくだりでございまして、さて先方の使節団を呼んだらいいじゃないかというふうに考えております。しかし、いつ呼んだらいいかということについては、もう少し事務的に検討いたしまして、慎重に対処しよう、こういうふうに考えておるわけであります。
  367. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういう一種の予備的な話といいますか、そういう中に値段なり品質等は全然出ていないわけでしょう。それは全然向こうから来てからと、そういうことでしょう。
  368. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 全然伺っておりません。出ておりません。
  369. 亀田得治

    ○亀田得治君 大体持ち時間がくるようでありますから、最後に総理大臣のお考えをお聞きしたいわけですが、昨日、相馬委員の質問に対する答弁の中で、例の保税工場関係の調査団の派遣につきまして、これは民間の問題だ、国と国との関係ではないのだ、国と国との関係ということになりまするならば、まず請求権の問題の解決、それから経済協力、こういうふうに進むべきものだ。しかし、例の調査団は、そういうものと性格が違うから、その程度のことは差しつかえないだろう、こういう趣旨のことを言われておるわけですが、それと私は今農林大臣なり外務大臣がとられようとしておる考え方、方針というものは矛盾するのじゃないか、こういうふうに考えるのです。この韓国米の買付というものは、明らかに当初は、もし必要があるならば台湾米を買う、こういうお立場で今まできたこれは予算です。それを日韓会談等に関連して、そうして切りかえておるわけですから、政府が出して買うわけですから、私は一種の大きな経済協力だと思うのです、韓国経済に対する。そういう問題は、これは単なる貿易上の問題として考えられないわけでして、おそらく総理は、いや、それは単なる貿易の収支のバラスンの問題だ、そういうふうに言われるかもしれませんが、そうはやはりとらない。私たちは、世間もそういうふうにはすなおに私はとらないだろと思います。これはやはり日韓問題に関連して、そうしてこの量的には必要がない、また、質的にも当初の計画をわざわざ変更して、そうして国の金というものをそのために使う、こういうことは先ほどの、昨日の日韓関係のことにつきましてお答えになったことと矛盾するのではないか。こういう政治的な性格を持った予算の使途の変更ということは、請求権問題も何も明確でない、こういう段階においてとりあえずこれをやるということは、形式は別として、実質的には矛盾をするというふうに考えるわけですが、これは一つ総理大臣から見解を聞いておきたいと思います。
  370. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 台湾米につきまして農林大臣が外貨予算の説明をせられたことは、台湾米だけを買って、韓国、ビルマは一切買いませんというように御解釈になることはいかがかと思います。台湾米を買うことは大体わかっておりましたから言っているのであります。それを排他的にしないのだということにおとりになるのは少し早いのじゃないかと思います。それから朝鮮米を買いますのが経済協力だとか、こういうお話は、一般の経済協力というものはそういうものではない、借款を伴うもので、長期のあれを経済協力といっております。おととしそれじゃ三万トン買いました、あれは経済協力と言えましょうか、私は、米は食管法によりまして国が買うのだ、そうして、その品物を政府と向こうと話をするのは、これは経済協力というのはどうかと私は思います。そういう範囲に入らないと思います。
  371. 亀田得治

    ○亀田得治君 第一点の問題は、これは農林大臣委員会ではっきりお答えになっていることでして、総理大臣のほうでそんな勝手な曲げた解釈というものは許されんと思います。いずれこれはもう少し時間のあるときにいたしたいと思いますが、第二点のお答えですが、一般的な意味での経済協力というものにつきましては、若干形は違うでしょう。形は違いますが、実質的には韓国の経済は非常に困っておる、これはもう天下周知の事実なんだ。それに対して何とかしてくれ、ひとつこれを買ってくれ、国の予算まで出してそれを買おう、これは広い意味では大きな経済協力です。一般的には普通に言う経済協力と若干違うかもしれないが、私は、だから最初申し上げたように、形式とかそういうことは抜きにして、実質は国の予算で経済的に援助をしている、こういう格好になることは、これはもう間違いないわけでして、しかし、まあ言葉のやりとりをここで申し上げても始まらぬと思いますが、したがって、私のお聞きしたがったことは、昨日の相馬君に対するあなたのお答えと、実質的にはそういう国費を韓国経済援助のために支出されることは間違いないわけですから、そこに矛盾は感ぜられないのか。おそらく矛盾は感じないとおっしゃるでしょうが、言葉の説明だけでありましたから、そこをもう少しはっきりあなたの考えを聞いておきたいと思う。
  372. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 例をとって申しますと、ビルマの賠償に関連して、経済協力は向こう十年間五千万ドルの協定がありますが、現実には実行されていないというのが定説でございましょう。しかるところ、ビルマの米を買いましたら、これは経済協力、こういうことは私は一般の経済人は使わんと思う。そうして中共と貿易をいたします、これは経済協力ですか。もし中共からわれわれ米を買ったとする。そうしてまたわれわれが米を売ったとする、中共との経済協力ができたと、こうは言わぬでしょう、普通の人なら。しかも、朝鮮からノリも買っております。いろいろなものを買っております。これを経済協力と言わぬでしょう。私が昨日の質問に対して答えましたゆえんのものは、請求権あるいは漁業権の問題、あるいは法的地位のいわゆる今までの懸案を交渉し、そして第二段として経済協力にいくのが、これがわれわれの考え方だと言っておる。その経済協力という意味は、やはり政府間においてクレジットその他の信用供与をやりまして、経済的につながりを持って、そして長期計画へいくのを普通経済協力と言っておるのだというのであります。国が買うものを、たまたま経済事情その他の事情で買ったから、さあ経済協力ができたと一般の人は言わぬと私は思います。
  373. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあ時間がもう終了したようですから、これで打ち切りますが、総理大臣のそういう説明は私も一応わかります。ただ、農林大臣もお答えになったように、あなたもお答えになったように、日韓の情勢にかんがみて、政治的にすでにきめられておる外貨予算の使途というものを変えるわけなんです。これは私はそういうことを経済協力と呼ぶのは不適当だと、言葉の使い方として不適当であれば、これは使わぬでもよろしいが、しかし、実質は普通にいわれるこの経済協力と変わらないと考える。これはこの点を申し上げておるわけでして、政治的にそういうことをやられることについての疑問をこちらが持っておるわけです。これは総理も私の言わんとするところはおそらく了解されていてお答えになっているのだと思いますが、まあこの点私の考え方を明確にしておきまして、質問を一応終わりたいと思います。
  374. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 先ほど一回申し上げたのでございますが、誤解があるようでございますから、補足さしていただきます。  日韓の現状にかんがみてという言葉を私が使いましたのは、昨年の十月の当時には、台湾以外にはそういう想定しておるものがなかった。それをその後、日韓の状態が変わってきて、韓国側から米を買ってくれということの申し出をして参ったのであります。そこで、われわれとしては、純経済ベースでそれを買うならば買ってもよろしいということに変わってきたと、こういうことを申したのでありまして、別に私は何も外交上朝鮮を援助するとか何とか、食管の当事者として考えるべき立場にないものでございますから、その点はひとつ誤解のないように願います。
  375. 亀田得治

    ○亀田得治君 ちょっとお答えがありましたから、もう一点。  だから、私が申し上げましたように、なるほど昨年の十月ごろの状態は、農林大臣が今御説明になった点は確かにあろうと思う。しかし、その前年約三万トン買っておるわけですね。全然今まで無縁ではないわけなんです。だから純粋に経済的な立場でお考えになっているなら、そのときに韓国米というものも考慮のうちに入っていなければいかぬわけなんです、予算ですから。それをわざわざ抜けた説明をしておきながら、まあ伝えられるところでは、相当大量のものをお買いになると、こういうことだからこちらが疑問を持つわけですし、大臣は、今自分は全く経済的に毛のを考えているので、そんな政治的に考えている、また考える立場でもないと、こうおっしゃったわけですが、農林大臣はそうかもしれませんが、外務大臣のほうでは韓国のほうから大いにやはり要求をされて、そして農林大臣に要請をしているに違いないわけなんです。そこに政治性があるわけなんです。からんでおるわけですね。あなたの気持はそうでないかもしれぬが、全体を見たら、向こうの要請に基づいて、そうして外務大臣が農林大臣を説得しておる、こういうわけですからね。あなたの主観的な気持の問題じゃなかろうと私は思うのです、政治性の問題というものは。まあ何かお答えがあるんでしたら、また申し上げますけれども……。
  376. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 誤解があるといけませんから申し上げますが、こちらがぜひ必要があって買う場合と、先方から買ってくれといって、そしてそれが適当であるから買う場合とございます。中共の場合につきましても、初めから予定しておりません。中共米を幾ら買うということを予算に組んだことはございません。ところが、それが年度の途中において中共の米を買おう、先方からぜひ米でどうだという話があるというような場合も実はある。韓国の場合におきましても、最近になってそういう話が出てきたから、それならというわけで考えようじゃないか、たまたまこちらのほうも、良質米に不足を感じているという当方にも事情がありましたから、考えてみようじゃないか、それではひとつ相談に乗ってみようということで、われわれやっているのでございましてしたがって、先方から使いが参りまして、どういう種類のものをどのくらいでということで、純経済ベースでこれからお相手を申し上げようということでございます。その点私は事務取り扱いとして厳正にやって参るというつもりでおりますから、どうかひとつ誤解のないように願いたいと思います。
  377. 亀田得治

    ○亀田得治君 もう一点簡単に……。あと農林大臣お答え願わなくてもいいのです、いつまでも続いてあれですから。ただ、台湾からは今年度七千トン買っているわけですね。だから、そういう農林大臣のおっしゃるように、純粋に経済的な問題ということなら、そちらのほうもこれは十分検討してみるべきなんです。ところが、どうもそういう過程は経られているようには私たちは聞いておらぬわけですが、そういう点、これはもうお答え願わなくてもいいと申し上げましたが、台湾米のことを検討しましたか。あなたの従来の言明からいきますと、朝鮮のほうはまだそんなにはっきりしておらぬのなら、ちょっと外務大臣待ってくれ、こっちのほうをまず検討するのだ、こういう態度に出られているなら、私はやはり実力者だということで見上げるわけですが、それがどうもそうでないように私は感じている。どうですか、検討していますか。
  378. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) もちろん台湾米も検討中です。
  379. 亀田得治

    ○亀田得治君 大いに検討して、そちらのほうで間に合うものなら、やはり予算はそっちについているわけですから、それでやってもらいたい。外務大臣にあまり説得されぬようにお願いしておきます。
  380. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 以上をもちまして、質疑通告者の発言は全部終了いたしました一質疑は終局いたしたものと認めます。   —————————————
  381. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) この際、委員変更について報告をいたします。本日、小柳牧衞君及び塩見俊二君が辞任せられ、その補欠として、石原幹市郎君及び西郷吉之助君が選任されました。   —————————————
  382. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) これより討論に入ります。加瀬完君。
  383. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は、日本社会党を代表して、昭和三十六年度予算第二次補正二案に対して、反対討論をいたします。  まず、根本の問題は、池田内閣に予算を編成する資格がないということであります。昨年の今ごろ、三十六年度当初予算審議の際、わが党は、口をそろえて、高度成長政策は行き過ぎる懸念がある、物価や国際収支に危険な徴候が見えることを指摘して参りました。しかし、池田総理は経済のことはおれにまかせろと言うだけで、その後何ら適切な手を打っておらず、ついに今日の事態を招いているのであります。国際収支において一千万ドルの黒字予想が、九億二千万ドルの赤字を招来し、デフレ政策に転換せざるを得なかったのであります。この原因は過大な設備投資にあることは明らかでありますが、それを促進いたしましたのが池田内閣の成長政策であり、金利引き下げであったことは明白であります。また、低金利政策の看板をおろすことをおそれて、日銀に干渉し、公定歩合引き上げの時期を誤った責任はあげて池田総理が負わなければならないのであります。しかるに、池田総理はみずからの失敗を行き過ぎにすぎないと強弁するのみではなく、その責任を民間事業に転嫁しようとしております。  他方、国際収支の悪化の内容を検討いたしますと、対米貿易が赤字が九割、八億五千万ドルを占めているのであります。これは池田内閣が米国のドル防衛に協力をし、対米追随の経済外交を行なった結果であることは明らかであります。池田内閣はその打開のためと称して日米箱根会談を鳴りもの入りで喧伝をいたしましたけれども、日米片貿易の状態は依然として激しくなるばかりであります。  このように見通しを誤り、責任を回避する政治家に国政をまかすことは断じて許さるべきではありません。予算編成の資格なしと断言せざるを得ないのであります。私は以下数点にわたりまして政府原案の欠陥を明白にしたいと思います。  その第一点は、景気調整のための予算額の一割繰り越しの問題であります。わが党の木村委員の指摘されたとおり、池田内閣は経済成長政策のための景気調整措置として、全予算額の一割を繰り越し明許費として片づけておりますが、繰り越し明許費は財政法第十四条の三でも明らかなごとく、「その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終わらない見込のあるもの」でなければならないはずであります。その性格はあくまでも、努力しても年度内に支出を終了し得ない見込みのものでありまして、政府の行政上の都合で、国会で決定された予算に繰り越し、繰り延べの自由選択の権限を政府に委任したものではありません。財政法二十九条の二項は「内閣は……予算は成立後に生じた事由に基いて、既に成立した予算変更を加える必要があるときは、その修正を国会に提出することができる。」と規定してあります。明らかに景気調整という理由によって予算変更を加える必要が生じたわけでありますから、早急に修正補正を提出すべきでありますのに、政府はこれを怠っておるのであります。もしも政府に勝手に繰り越しや繰り延べが許されるといたしまするならば、憲法八十三条の「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」、この規定は全くの空文となるのであります。本補正予算に、このような憲法違反、財政法違反の問題に関して、何ら解決への手続がとられておりませんことは、予算案の内容以上に許されない点であります。  その第二点は、大蔵大臣の説明によりますと、三十六年度において多額に上ると見込まれる租税の自然増収は譲与金として後年度に繰り越す、こう御説明をされております。しかし、繰り越す前に譲与金見込み総額は幾らになるのか、本年度補正として使用すべきものがはたしてないのか、こういったことがもっと国民の前に、国民のために明らかにされなければならないのであります。  たとえば、物価の問題であります。池田総理は物価問題について、卸売物価が中心であると御主張をされておりますが、一般国民と直接つながりのあるのは申すまでもなく消費者物価であります。ネギ一本、大根一本の値段がどう動くかということは、われわれの台所の生活を左右するのであります。この消費者物価は、昨年一年間に八・八%上昇をしております。最近の町の主婦たちの買いものは大根半本、ニンジン半分という買い方で、一本の大根、ニンジンが値上がりのため買い得ないという現状すら呈しておるのであります。政府は、これら物価騰貴に対し、何ら有効な手を打っておりませんし、かてて加えて、鉄道運賃を初め公共料金を勝手に引き上げを許容しております。この実情を、われわれは国民の福祉を増進する適切な措置とは考えられないのであります。  さらに、生活保護について見ますと、保護基準引き上げと称して、前回の補正で五%引き上げ、明年度予算で一三%引き上げることとしております。しかし、東京標準五人世帯で月額は一万三千四百七十円と、こう鬼の首でも取ったような自画自賛をしておりますけれども、一人当たりの生活費は月額二千六百九十四円、これを三十日として割ってみますと、一日の生活費は八十九円八十銭であります。生活費の総額をしめて一日八十九円八十銭、これで生活保護あるいは社会保障が完全と言われるのでありましょうか。  具体例の二は、昭和三十六年度第一次補正において、公立文教施設の補助単価を引き上げました。しかし、政府はこの引き上げにつきまして、昭和三十五年六月と三十六年八月の資材費、労務費等の値上がり指数を現行単価に乗じて新単価を算出したと説明されました。しかも、大蔵省がその後、労務費の算定基礎である平均賃金上昇率が大蔵省算定に誤差がある場合は新単価そのものも変更さるべきであると、他の委員会で御答弁をなさっております。今特に木造校舎の労務費を中心にいたしますと、当然これは大工、左官の手間代が問題になります。政府は木造校舎の労務費上昇率の三二・三%と見ておりますけれども、労働省の統計調査部の資料は、大工は三十五年の九月と三十六年の九月、この二つを比べますと、七百六十一円が千百三十四円、一六一%上昇、とび工は七百六十円が千七十三円、一四一%上昇、左官は七百六十二円が千二百十七円、一六〇%上昇という数字を示しております。昭和三十六年九月の労務費は、三十五年と三十六年の比較では、政府の一一九・五%ではなくて、一五〇%をこえるのであります。したがって、上昇率は三二・三%ではなくて四〇・五%以上となります。このためには、単価は文部省の要求の木造の場合が三万六千円に修正さるべきでありますが、こういう修正も今度の補正の中には加わっておりません。  次に、具体的事例の三としてあげたいのは、このたびの補正内容に百二十八億、一億三千五百万のそれぞれ地方交付税交付金、臨時特別交付金が入っております。一体この金額は必要経費を下から積み上げて作ったものでありましょうか。そうではないのであります。たとえば問題の高校急増対策にいたしましても、政府は現状の認識をはなはだ欠いております。現状の高等学校経費負担というものをあげてみますと、支出のうち土地、建物について、国、府県、市町村、寄付金、この項目によるそれぞれの負担率は、土地については国が四・一、府県は四六・二、市町村は六・三、寄付金は実に四三・二を示しております。建築費にいたしましても、国の九、府県の五五・二、寄付金の二六・三。今府県費と市町村負担を含めての寄付金総額とを比べますと、土地は四六・二%に対する四九・五%、寄付金のほうが公費よりも多いのであります。建築費は五五・二%に対して三〇・七%。国庫補助金と寄付金との累年比較をいたしますと、三十二年から三十五年度決算までにおきまして、寄付金は一九・四、二九・八、三〇・〇、三二・〇と上がっております。国庫補助金は変化がございません。これでは公立ではなくて、PTAの立てたものということになりましょうか、父兄立ということになりましょうか、少なくとも公立の責任は果たされておらないのであります。これらの解決措置を本年度ならとれるのであります。しかし、本補正の内容にはこれらのものは含まれておりません。  政府は今まで、高校急増対策等に対しましては起債でまかなうと言っておりますけれども、起債の許可条件は全予算額の起債償還額が一四%をこえたものは不適格、一〇%をこえたものは要注意とされております。今要注意の府県が何県あるかといいますと二十二県、実に五〇%に近いのであります。しかも、道府県は来年度事業税、遊興飲食税、入場譲与税、こういうものが非常に減って参ります。府県民税はふえますけれども、ふえる府県民税と減る地方税とを合算いたしますと、減ってくる府県の方が多いのであります。入場譲与税一つをとりましても、北海道は十億、長野、熊本、鹿児島等でも四億円の減収となります。収入が減るが仕事が多くなる、この解決に予算的措置は何にも講じられておらないということになりますと、地方財政はどういうことになりましょうか。剰余金がたくさん出るときにこういった問題は当然補正で解決さるべきでありますが、こういう国民の要求は本補正の中には加わっておらないのであります。  その第三は、石炭産業の危機とその対策費であります。わが党は数年前から、エネルギーに関する基本政策を樹立しておきませんと社会的混乱が起こると指摘をして参りました。政府は、しかし真剣にエネルギー対策を樹立したとは考えられません。それが証拠には、そのしわは炭鉱労働者の首切りとなって現われております。今回の補正予算で宣伝をしておりまする別居手当、技能修得手当等の措置についても、全く当を得ておりません。技能修得手当一日七十円、職業訓練所までの距離が二キロ未満のときは四十円、別居手当は月三千六百円、これで離職をして完全に新しい職業に立ち直れるということはあり得ないのであります。具体的に、炭鉱都市である大牟田、田川市等の炭鉱離職者対策の地方財政措置がどうとられておるかをわれわれは指摘をせざるを得ません。大牟田市の失業対策費は、三十五年度決算総額三億八千万、このうち国庫負担は一億、一般財源による持ち出し分が一億八千万。田川市の一月支出現況は、現金の在高見込みが二千九百三十九万円、支出見込みは、生活保護費千六百万、緊急失対八百四十万、職員給与その他をやり繰りしても計三千四百六万円の支出が必要となります。しかし、赤字は四百六十七万円出なければならないことになります。年度内赤字は八千万と言われております。財政非常事態宣言というものを市民に対して発したそうでありますけれども、非常事態宣言を発してもこの問題は解決をされません。この問題も今度の補正には何らめんどうが見られておらないのであります。  その四は、年度減税の実施の問題であります。政府提出の資料によりますと、本年度の税の自然増収は、当初予算に比べて約三千三百億、第一次、第二次の補正を差し引きましても、千七百億円をこえると予想されております。これだけ膨大な自然増収があるのでありますから、国民が要望をしておりまする生活保護費、失対賃金、その他災害復旧、石炭対策、医療対策等に相当の資金を投入いたしましても、まだ相当の自然増収分というものは残るわけであります。それならば、なぜ一体減税をおやりにならないのか。年度減税をおやりにならないか。わが党は今年一月にさかのぼりまして、年度減税を行なうべきであることを主張をして参りましたが、ここにあらためて強く主張をいたします。  以上、四点の理由をあげまして、反対の意思を明らかにいたします。(拍手)
  384. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 鈴木恭一君。
  385. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)及び同特別会計予算補正(特第3号)に対しまして、賛成の意を表明せんとするものであります。  今回の一般会計の補正額は五百四十九億円でありまして、その歳入は、所得税、法人税、酒税物品税、関税の自然増収の一部をもって充てることといたしております。政府は、さきに昭和三十七年度予算編成方針を決定した際、三十六年度の税の自然増収をできるだけ三十八年度予算の財源として繰り越すという方針を定めておりますが、今回の第二次補正もこの方針に沿って補正を必要最小限度にしぼっておるのでありまして、昭和三十七年度の経済の成長が、ややそのテンポを落とす関係から、昭和三十八年度の税の自然増収がそれほど大きなものとはならないであろうと予想されますので、財源を将来に繰り越すというこの態度は、きわめて適切であるといわねばなりません。  歳出の面におきましては、補正の内容をなすもののうち、最も大きなものは災害対策費であります。すなわち、第一次補正予算編成以後に、第二室戸台風という非常に大きな災害が発生いたしましたので、そのための対策中心といたしまして、さらに大阪の高潮対策、伊勢湾台風の過年度災の処理などを含んでおりまして、その額は三百余億円に上っております。これは今回の補正額の五四%余りに該当するのでありまして、第一次補正と同じように、今回の第二次補正も災害対策がその中心となっておるといえるのであります。  次に、今回の補正は生活保護費、児童保護費、国民健康保険助成費その他義務的経費の不足額を補てんするために、六十五億円を計上し、また七月と十二月に行なわれた診療報酬等の改訂に伴い、必要な経費四十五億円を計上いたしておりますが、いずれも当然の措置であります。  さらに、オリンピック関係経費といたしまして、九億円近くが計上されておりますが、これはワシントン・ハイツが返還になり、その代替施設の建設工事を早急に着手する必要を生じたところからきたものであります。また、八千万円余りの比較的少額の追加ではありますが、炭鉱離職者援護対策費の補正は、雇用奨励金制度、訓練別居手当、技能習得手当の制度を、三十七年一月一日から実施し、炭鉱離職者対策の円滑な遂行に資するための経費でありまして、少額とはいえ、必要かつ重要な補正であるといえるわけであります。  最後に、地方交付税交付金の補正は、所得税等三税の増収に見合う法定の比率による交付金の増額であります。  また、特別会計予算の補正は、主として一般会計予算の補正に関連いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計、ほか三特別会計について、所要の補正を行なっているのであります。  これを要するに、今回の第二次補正は、緊急やむを得ざる最小限度の経費を計上いたしておるのでありまして、各費目の補正は、いずれも必要かつきわめて適切なものであると認めざるを得ないのであります。  私は予算補正(第2号)及び(特第3号)に賛意を表しまして討論を終わります。(拍手)
  386. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 田上松衞君。(拍手)
  387. 田上松衞

    ○田上松衞君 政府提出の二案の採決に直面いたしまして、民主社会党を代表して、反対の理由を明らかにいたします。  政府案の歳出の内容は、災害対策費の追加と生活保護費等の不足額補てんのほか、医療費改訂に伴う経費の増額、農災補償改訂時期のズレに伴う必要経費の追加等のいわゆる事務的補正が主体でありまして、新規政策的な歳出補正はわずかにオリンピック東京大会準備費の約八億九千万円と、炭鉱離職者援護対策費の約八千三百万円の二項目にすぎません。本案が年度末近くになって提出した補正予算案なるがゆえに政策的経費の計上は、この際、ことさらに避けたのだと、こう言われるならば、いかにも筋が通っているかのような錯覚を起こしがちではありますが、私どもはこのような時局と事柄の本質を軽視して、ただ単に財政法を機械的形式的に適用することによって、事なかれ式の補正措置を行なおうとする政府の態度は何としても了解しがたいのであります。  去る一月十九日、大蔵大臣は財政演説の中で、国際収支の均衡を本年秋に達成するために金融引き締めを続け、この方針のもとに補正予算は極力最小限度にとどめる旨を述べられました。政府はこれをもって明年度予算編成に及ぶ健全財政方針と自画自賛されているわけでありますけれども、一体明年度予算案のどこが健全財政だと誇れるでありましょうか。  三十五年度から三十六年度にかけまして政府所得倍増計画を謳歌いたしまして積極財政方針のもとに一般会計予算額は約二四%の増額を行なったのであったが、三十六年度から三十七年にかけましてみずから政策の失敗を認めて金融引き締めを行なうにあたっても、前年度に対する財政規模の膨張を前回と同率の二四%としております。しかも、不況に備える強力な政策の備えもなくして、ただ党利党略の必要に迫られたとのそしりを裏書きするかのように、総花式に既定経費を軒並みに増額しておられるではありませんか。このような明年度予算案を提出している政府が、今回の補正案については文字どおりの財政引き締め予算を作って、これをもって健全財政なりと自称されても矛盾だらけであって、財政方針の首尾を一貫せず、説得力まさにゼロと考えるのであります。  今次補正案の検討にあたってまず直感をいたしましたことは、政策の推進という政治の実態と、予算編成の健全化という行政技術とを本末転倒されているといううらみでありました。この政府案が提出されている今日現在はすでに政府の失政によって景気後退が進行している事実を否定できますまい。すなわち、二月に入ってからの経済諸指標を見ましても、これまで棒高に伸びてきた小売りは、百貨店売り上げを含めまして伸びが鈍ってきております。民間建設工事は、昨年十月から急に減少してきました。機械の受注も昨年十一月よりまる三年ぶりで前年同月の水準を下回りました。いわゆる景気後退、あるいは景気調整などいかような用語で表現いたしますにせよ、経済縮小状態が進行しておる事実については間違いはないはずであります。一部には国際収支じりが好転したという向きもありますけれども、ほんとうには現在の輸入は、輸入済みの在庫品の食いつぶしが進んでいるための横ばいの状態であって、輸出は金繰りのための換金輸出のゆえに増加しているのでありまして、言うなれば、現在の貿易の好転の姿こそは決して健全な体質での好転ではないという実態を、冷静かつ厳粛に銘記する必要があると存じます。現実の問題として、景気後退の被害はこれからいよいよ国民各階層に深まるであろうことを心せねばならぬと思います。もちろん政府もこれに対応いたしまして、明年度予算案では生活保護基準の引き上げや、中小企業に対する財政投融資の増額等を行なっておられるのでありますけれども、このような努力を、なぜに本年一月分にさかのぼって政策上の措置をするという配慮がなされなかったのでありましょうか。試みに、炭鉱離職者援護対策費を引き合いに出してみましょう。予算案の八千二百万円の中身というものは、新たに雇用奨励金制度、訓練別居手当と技術習得手当の二つの支給制度を創設いたしまして、これを本年一月一日から実施するというのであって、明年度予算案でもこれを受けて引き続いて実施するよう措置を講じていることはまさに当を得たけっこうなことであります。もちろん、政府案予算単価についての同意はこれは別問題といたしまして、私がこの場で言いたいことは、この炭鉱離職者援護対策費のように、第二次補正予算を起点といたしまして、明年度予算においても、一つの新規重要政策を一貫して推進できるような基礎的、準備的予算編成方針を今回の補正予算案全体の中に打ち立てる工夫と努力をなされなかったかという疑問と不満は、ひとり私どもだけではなくして、心ある多くの国民が抱いているところであります。  今回の政府案は、昨年七月一日以来の診療報酬の改訂に応じて必要経費を計上しておられるが、この問題の裏には、国民の側の治療費負担が同時に値上げされたという事実を伴っております。もちろん政府もこの事実を認めて、明年度予算案では国民健康保険に対する国庫負担率を二〇%から二五%に引き上げておりますが、この程度の国庫負担引き上げでは国民健康保険関係の患者の負担増額は防止できようはずはありませんので、本年一月一日から国庫負担率を少なくとも四〇%に引き上げるべきであります。  生活保護基準に関しては、明年度予算案では二二%引き上げることになっておりまするが、これは東京で一人一日当たり十円程度の値上げにすぎません。これでは政府すら想定されておる本年における消費者物価の値上がりにはとうてい追いつけようはずがありません。したがって、生活保護基準はこれまた本年一月から二五%引き上げる必要があると思います。  炭鉱離職者援護対策費については、本年一月一日から適用対象人員を三万八千人に改めまして、かつ離職者と再就職のための住宅移住資金の支給制度を創設して、これに見合う諸経費を確保するよう配慮すべきであると信じます。  池田総理の再三にわたる公約にもかかわらず、明年度予算案に見る石炭対策費は、これからますます深刻化する石炭危機に備える経費としてはあまりにも不十分であるのみならず、このような重大な政策を軽視し過ぎております。この意味におきまして、中小炭鉱近代化資金の貸付金の追加計上と、並びに産炭地域振興事業団の事業として、新たに火力発電所新設に着手するための準備的経費を補正計上することが、時期的な緊要事でなければならぬと思います。  さらには、中小企業金融がいよいよ苦しくなってきている事実にかんがみまして、商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫の三つの機関に対しまして、財政資金を追加出資するの補正措置こそ、現在国民の要望してやまない事柄であります。  私はこの際あえて申し上げますが、前述のように、今年一月一日から国民健康保険の国庫負担を四〇%に引き上げるための七十億円、生活保護基準の二五%引き上げのための十五億円、離職者援護対策費に二十億円、石炭対策費に二十五億円、商工中金に対する出資二百億円、中小企業金融公庫に対する出資百億円、国民金融公庫に対する出資五十億円、以上の合計四百八十億円を今次政府案にあらためて追加計上すべきであると勧告いたしたいのであります。財源はどうするかとおっしゃるならば、みじんの御心配も御無用であります。なぜならば、今次政府案の五百四十九億円を支出しても、本年度の余剰財源はなおかつ二千億円をこすという莫大な数字ではありませんか。  勤労者の福祉国家建設を絶対理想としている私ども民社党は、以上の見解に立ちまして今回の補正案を検討した結果、私どもの社会観、私どもの理想、私どもの念願とはあまりにもかけ離れた政府案の今次編成方針には、遺憾ながら同意できませんので、ここに反対の意思を明らかにいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
  388. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 岩間正男君。
  389. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表して、昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)及び昭和三十六年度特別会計予算補正(特第3号)二件に反対するものであります。  まず、五百四十八億九千二百万円の規模を持った本補正の眼目である災害対策につきましては、昨年の災害発生当時において、われわれは被災者に対して全面的かつすみやかな救援と、また災害地の完全な復旧のため全力を尽くすこと、さらに積極的にみずから国家賠償を行なうことを政府に要求したのであります。  ところが、政府は全力を上げるどころか、第一次補正でこの程度の支出で間に合うと言って、地方自治体にしわ寄せをして糊塗してきたのでありますが、今回の補正を提出するにあたり、その後実地調査の進捗等に伴い、既計上の経費では、所要の復旧を行なうに不足を生ずる見込みになったので、と今さらしゃあしゃあと反省することもなく言っております。これは国民と国会の声を取り上げず、被害を過小に見積もった政府の二重、三重の失政と失態であります。しかも、本補正に計上された三百億円の経費をもってしても、被災者を再起させ、復旧も十分に行ない、将来に明るい見通しを持つには、はるかに及ばないほどわずかな金額であります。  戦後、現在に至るも相次いで起こる災害に対し、十分な予防処置もとられず、災害復旧費は逐年累増し、災害が起こるとあわてて支出する、いわば、さいの河原の石積みのごときものであります。本補正もこの例に漏れないものであります。  第二に、医療費改定並びにそれに伴う義務的経費についてでありますが、これは三十六年度当初予算編成の際から当然見込まれなければならなかった性格のものであったはずであります。この問題は、多年の懸案であり、医師、保険者、被保険者の三者の間で最も合理的に、かつ早急に解決され、国民に対する医療対策を改善強化することが必要であります。  しかるに、医療費改定を織り込んだ本補正が本委員会を通過しようとしており、衆議院においては、すでに三十七年度予算が審議されているにもかかわらず、医師会と政府、自民党の間では、相も変わらずごたごたが続いており、これが解決の見通しも自信も持たないありさまです。  第三に、炭鉱離職者援護対策費と称する経費に至っては、三井三池を初め、全国の炭鉱に見られるように、独占資本の合理化計画を推進し、擁護するためのものであります。すでに、本年九月までに十一万人の労働者の首切り、それに加うるに、四十年までにはさらに七万人の首切りを予定した合理化計画が伝えられております。炭鉱労働者の生活要求の戦いには、わずかばかりの涙金でごまかし、その実、経営者の負担に負えなくなったこの問題を、政府が経営者の肩がわりをして職業紹介などを行なうことで、政府には炭鉱離職者の対策があるから安心しろという口実のもとに、炭鉱労働者の首切りを上手に促進しようとしていると言わざるを得ません。  その他、物価値上げに伴う公立学校の建設費、生活保護費の補正等々、全く不十分の予算であります。それもこれも、もとをただせば、新安保条約の実施という対米従属、軍事化の至上命令のもとに、所得倍増を振りかざして、軍事費や独占資本擁護のためには金をつぎ込むが、国民の切実な要求、たとえば災害対策や医療対策には、おざなりの予算をしか回さないという政策の現われであります。  この点については、三十七年度予算審議の際に、さらに追及するつもりでありますが、三十六年度補正第二号及び特第三号は、このような政策の最も典型的な現われであります。私は、かかる本補正予算に、はっきりと反対の意思を表明するものであります。
  390. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 以上をもって、討論通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。昭和三十六年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十六年度特別会計予算補正(特第3号)、以上両案を一括して問題に供します。  両案を原案どおり可決することに賛成の方は、御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  391. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 多数でございます。  よって両案は、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出いたします審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  392. 湯澤三千男

    委員長湯澤三千男君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十分散会