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1962-03-01 第40回国会 参議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月一日(木曜日)    午前十一時二分開会   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理 事            青田源太郎君            井川 伊平君            亀田 得治君            大谷 瑩潤君    委 員            野上  進君            高田なほ子君            赤松 常子君            辻  武壽君   政府委員    法務省矯正局長 大澤 一郎君   最高裁判所長官代理者    最高裁判所事務    総局事務総長  石田 和外君    最高裁判所事務    総局総務局長  桑原 正憲君    最高裁判所事務    総局総務局第一    課長      長井  澄君    最高裁判所事務    総局経理局長  栗本 一夫君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○検察及び裁判運営等に関する調査  (昭和三十七年度法務省関係予算に  関する件)  (昭和三十七年度裁判所関係予算に  関する件)   ——————————
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  理事補欠互選を行ないます。  去る二月十三日理事大谷瑩潤君が、二月二十四日理事増原恵吉君がそれぞれ委員を辞任されましたため、理事に二名の欠員を生じておりますので、この際その補欠互選をいたしたいと存じます。互選の方法は、慣例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないと認めます。  それでは私より、増原君の補欠として青田源太郎君を、大谷君の補欠として大谷瑩潤君をそれぞれ理に指名いたします。    ——————————
  4. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案は、去る二月二十七日衆議院より送付され、本審査であります。  これより質疑に入りますが、本案について、ただいま出席当局側は、影山法務省司法法制訓育部参事官石田最高裁事務総長桑原最高裁総務局長であります。質疑のおありの方は順次御発言下さい。
  5. 亀田得治

    亀田得治君 定員法について若干質問をいたしますが、最初に、今回法律改正増員になります数は、この前の提案説明で一応お聞きしたわけですが、最高裁としては、今度の定員改正にあたりまして、どれくらい裁判官なりあるいは裁判官以外の職員の増加をすべきだという考えを持っていたわけでしょうか。
  6. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) この裁判官増員についてでございますが、帆布事件数に比べまして、裁判官、ことに判事の員数が少なきに失するということでありますが、その欠員の補充、それから増員というようなことが実際上非常に困難な状況にあることは、御承知のとおりだと思うのであります。で、裁判所といたしましては、現在の事件処理の窮状を打開するために、昨年、三十六年度におきまして、当初の計画といたしまして、八大都市すなわち東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、この八つの都市の地方裁判所におきまして、第一審の充実強化のために、合議体の数を増強するということ、それから、最近の訴訟の審理期間の遅延の状況にかんがみまして審理期間短縮するという、二つ目標からいきまして、増員要求いたしたわけであります。  まず、第一番目の合議体増強に関しましては、民事事件に関しましては、全体の事件の約一五%程度、それから刑事事件につきましては、全体の事件の二五%程度合議体によって審理裁判をするという計画を立てまして、そのために必要な人数六十九名、それから第二番日の審理期間短縮という点でございますが、これにつきましては、現在の平均の審理期間を約半分程度に縮める。すなわち民事につきまして約五カ月、刑事につきまして約三カ月程度審理を終わって裁判をするという目標のもとに、必要な人員として九十八名以上、合計百六十七名、これだけの人数増員したい。これを一年で実現いたしますことは、諸般の状況から非常に困難でございますので、まず二年計画でこの実現をはかるということで、三十六年度予算要求におきましては、その約二分の一に当たります八十八名の増員要求いたしたわけでございます。ところが、三十六年度増員は、補給源その他の関係の隘路がございまして、二十八名の判事増員するということにとどまったわけであります。そのあとを受けまして、本年度におきましても、やはり先ほど申しましたような二つ目標を達成するために、当初の計画で定めました増員百六十七名から二十八名を引きました残り人数、これをさらに本年度から二年計画で引き続き行なうということにいたしまして、本年度は、その初年度といたしまして、合議体増強関係で二十四名、審理期間短縮のための増員として五十名、以上合計七十四名を当初要求をしたわけでございます。
  7. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ちょっとお知らせいたしますが、栗本最高裁経理局長長井総務局第一課長もただいま出席しておられます。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 書記官増員に対する態度についても御説明願っておきます。また、書記官だけでなしに、裁判官以外の職員についても……。
  9. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 裁判官以外の職員増員につきまして当初要求いたしました数は、まず第一に行政職俸給表(一)の適用を受ける職員についてでございますが、これにつきましては、調査官二名、事務官八十四名、書記官百九十名、それから廷吏たる事務官二十五名、それから判決前の調査に当たります調査官五十人、それから家庭裁判所調査官百二十四人、技官四十三人。それから第二番目に、行政職俸給表(二)の適用を受ける職員といたしまして、タイピスト百三十九人、守衛二十六人、電話交換手百三十五人、自動車運転手百七十九人、それから火夫ボイラーマンでございますが、百六十一人、それから電工十四人、賄夫庁使合計三百三十三人、エレベーターの運転手二十人。そのほか医療職俸給表(二)の適用を受ける職員といたしまして、技官栄養士等合計八名。それから同表の(三)の適用を受ける職員といたしまして、保健婦看護婦合計十六名、以上を予算において当初要求いたしたわけでございます。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 新論がどうなりましたか。
  11. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいま申し上げましたのが当初要求でございましたが、裁判官につきましては、この定員法改正にも書いてございますように、判事十五人の増員が妥結したわけでございます。そのほかの職員といたしましては、まず裁判所調査官が一名、書記官が三十二名、家庭裁判所調査官が三十名、それから守衛六名、電話交換手六名、自動車運転手十名、火夫二十一名、電工十名、昇降機運転手八名、以上が増員として予算で認められた数でございます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 例の前々から問題になっております代行書記官書記官への組み入れの問題ですね。この経過を御説明いただきたいと思います。
  13. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) いわゆる代行書記官補といたしまして現実裁判所書記官事務に従事しております約三千名の人につきましては、これが裁判所書記官として必要な数でございまして、これらの人々は逐次裁判所書記官に組みかえていくべきものだというふうな考え方最高裁判所としては持っておるわけでございますが、現存におきましては、裁判所書記官必要数につきまして、予算編成当時までに必ずしも政府の了承を得るに至らなかったのでありまして、とりあえず本年は、正確な数字あとで調べて申しますが、約千名の組みかえを要求するにとどまりまして、残りの数につきましては、逐次政府当局折衝いたしまして、近い機会に、全員裁判所書記官に組みかえていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 きょう配付いただきました裁判官以外の裁判所職員定員、現在員など、けさいただいたこの表、ちょっとごらん願いたいのですが、それの書記官補というところ。ここに数字が出ておるわけですが、合計のところを拝見しますと、この書記官補というのは千九百十八名、現在員が千九百五十八名、これはどういう意味になるんですか。
  15. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 書記官書記官補というのは、分かれて定数が組まれておるわけでございますが、これは、たしか裁判所職員定員法の附則に規定があると思うのでございますが、裁判所書記官及び書記官補の総定数をこえない限りにおいて裁判所書記官補定数をこえて任命することができるということになっておる次第でございます。そうして裁判所講和官につきましては、非常に高い資格要求されておる関係上、裁判所書記官補定員が一応の定数をこえて、すなわち通俗的に申し上げますと、書記官定員を食って多少任命されておるという関係でございまして、総数がこえない限りは差しつかえないということが法律で規定されておるわけでございます。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 代行書記官補につきまして、現在問題になっているのが約三千名ある。その三千名の中で約千名が今度処理できたと、こういう御説明があったわけですが、この表からいきますと、ちょっと数字がきちっと合わぬように思うのですが、書記官補の数が千九百幾ら、約二千名ですね。そこの説明はどうなんでしょうか。これは今度の組み入れ後の状態の説明なんでしょうか。そうじゃないですね。
  17. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 組みかえになります数は、先ほど約千名と申し上げましたが、正確に申し上げますと、九百三十四名になるわけでございまして、この組みかえになります人たちの中には、事務官が本務で書記官補を兼務している、いわゆる代行書記官になっている人もございますし、そういった関係で、必ずしもこの数とは一致しないわけでございまして、先ほどの九百三十四名という内訳を申し上げますと、事務官から書記官に組みかえる数が四百五十四名、それから書記官補から書記官に組みかえる人数が四百八十名、以上合計九百三十四名ということになるわけでございます。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、問題になるのは残り約三千名ほどあるわけですが、それは、書記官補事務官に分けると、どの程度になりますか。
  19. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) その内訳は、書記官補である人が約千四百人、それから事務官たる者が約六百、以上合計二千という数になっております。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 大体わかりましたが、そこで、千四百と六百の合計約二千、これにつきましては、大蔵当局との約束といいますか、何かそういう点は明確になっているのでしょうか。
  21. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 先ほどから申し上げますように、最高裁判所当局といたしましては、一定の年数を限りまして、その計画にして逐次切りかえていくという方針で予算折衝をいたしたわけでございまして、本年におきましては、先ほど申し上げましたように、約千名、九百八十四名でございますか、その切りかえが認められたわけでございますが、来年度についてどうするかということについて、別に大蔵省当局とも約束というところまでには参らなかったわけでございますけれども最高裁判所当局といたしましては、本年の実績等を勘案いたしまして、なるべく早い機会に、必要な数の書記官を確保するために、所要の定員の切りかえということを実行していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 これは、もう私からくどく申し上げるまでもなく、この制度が始まったときから約束もあるわけですし、現実に、仕事の内容からいいましても、これは筋が通らないわけですし、こんなことは年数をかけてやるというべき問題じゃ私はないと思いますね、筋からいって。だから、やはり最高裁当局としては、そんな年次計画ということじゃなしに、筋は筋なんですから、全部書記官に切りかえてくれ、こういう要求を私は当然出してしかるべきだと思う。そういう要求が一体なされておるのかどうか。相手が聞かないということなら、それはそれで、また大蔵大臣意向も私たち聞いてみましょう。だけれど、そういう要求を出すべきほうが出していないことには、幾ら思い切りのいい大蔵大臣だってしょうがないわけでして、それはどういう態度をおとりになったわけですか。これは大きな腹がまえの問題ですから、事務総長からひとつその点……。
  23. 石田和外

    最高裁判所長官代理者石田和外君) 大体ただいまの御意見のようなことをやはり裁判所としても考えておりまして、まあなるべく早い機会書記官補書記官に切りかえて、書記官補というふうな職種はなくなることを期しているわけでありまして、今年度の切りかえにあたりましては、大体三千名より少し少なくする。実際は、私どもの期待しておりますのは二千七百名ぐらいでございますが、そのうち千五百名ことし要求いたしまして、大いに努力いたしましたが、調査員も含めまして千名だけ認められたわけであります。もちろん残りにつきましても、なるべく早い機会に切りかえを要望するということは、今年度予算折衝におきましても、十分大蔵省当局にも要望いたしたわけであります。千名で妥結いたします際も、裁判所といたしては、残りについてやはり近い将来に全部切りかえることを期しておるのだということをよく申しております。以上でございます。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 さっき局長が、千名の切りかえを要求されたというふうにおっしゃったが、あれは間違いで、要求は千五百ですか。総長がおっしゃった答と違います。
  25. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 当初要求は千五百名でございまして、妥結した人数が、調査官も含めて千名というふうに申し上げた趣旨でございますが、もし間違っておりましたら、そういうふうに訂正さしていただきたいと思います。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 普通大蔵省なんというのは、なかなか、どんなに素直に出しても必ず値切ってくるわけですね。それを千名要求して千名認められたというならば、はなはだこれは、向こう側としては筋が通っている、こういうふうに私は考えたので、むしろ要求するほうがちょっとおかしいのじゃないかという感じを総務局長説明を聞きながら特に持ったわけなんです。それで、先ほどのような点をお聞きしたわけですが、ところが要求は、千名でなしに千五百名だということがわかりましたが、千五百名にしてもおかしいじゃないですか。これは、法律制定の当初から、十年内にこんなものは処理するということはわかっているのだし、仕事の筋からいいましても、これはだからなぜ全員要求しないのか。これは総長にひとつ、全員要求すべきではないですか。
  27. 石田和外

    最高裁判所長官代理者石田和外君) 理屈からいえば、全員要求すべきでありますけれども、なるべく裁判所側要求の近い線に持ってくるために、こちらも多少遠慮する意味一つありますし、もう一つは、かりに書記官補から書記官に切りかえができましても、現実に現在いる書記官補から書記官に切りかえますにつきましては、やはり書記官資格が相当高いものを要求されておりますから、あるいは研修をするとか、あるいは試験をするとか、あるいは特別研修をするとかということが必要でありますが、これは、御承知のように、書記官研修所等研修の可能の限度もありますから、さような等点も勘案しまして、本年度は千五百くらいでよくはないかということで、千五百ということにしたわけでございます。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、本来全員要求すべきところなんだが、書記官研修所の設備の関係なり、そういったようなことで、半分だけ要求した。そこで、あとの点については、できるだけ早くというのではなしに、あと残っている二千名について、来年はおおよそ何名、再来年はおおよそ何名、それで全部終わる。それは、ことし千名認められた点からいえば、そんな無理な数字じゃ私はないと思う。だから、そういう具体的な突っ込んだ残りものについての要求などが出ているのか。単にできるだけ早く頼むというふうな程度になっているのか。どっちなんですか。
  29. 石田和外

    最高裁判所長官代理者石田和外君) 大蔵省との間には何らそういう了解はありませんが、裁判所といたしましては、昨年度二百八十名実現し、今年また千名実現し、来年、再来年も相当程度実現することを期待しておりますが、現在のところ、まだ来年、再来年どの程度にすべきかという点はきめておりません。来年予算編成の時期になりましたら、御指摘のような点も十分考慮に入れて要望するつもりでおります。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 私はいつも、最高裁の方々に、もっと勇気を出してほしいということを申し上げるのですが、制度上は最高裁独立予算要求というものが認められておりながら、いつも適当なところで妥協してしまうのですね。これは非常に、みずからの立場というものを、何といいますか、低めておるのじゃないかと私は思うのです。筋の通らぬことで独立予算要求ということになっても、それはおかしいでしょうが、筋の通ったことについては、もう少しきちっとしたやり方をとるべきじゃないか。ことに、今度例の臨時司法制度調査会が設けられることに法案が出ておるわけですが、たとえああいうものができましても、その予算裏づけですね。それが伴わなければ、これは何にもならぬわけでして、当然ああいう制度ができれば、現在の司法制度欠陥等についての専門家の間の論議というものはずっと進んで、一つ結論というものが私は出てくると思う。それは、相当りっぱなものがきちっと私は止まれると思うのです。しかし、それに対する予算裏づけですね。裁判官増員が必要だという一方、事件数等から見れば当然必要な裁判官がなかなか確保できない。しかし、一方からいいますと、それだけ理想的な裁判官をそろえるにしても、建物がそろわない裁判所もたくさんあったり、いろいろですね。だから当然、裁判官の数だけじゃなしに、即施設という問題も、ああいう調査会では、私は合理的な検討というものが出てくると思う。しかし、すべてそれは予算でしょう、裏づけは。だから、その予算に対しては、ちゃんと三権分立立場で皆さんの要求権というものが、あまりあちらこちらにつまらない頭を下げたり、そういうことをしなくてもできるようになっておるわけなんだが、どうもそれをお使いにならぬわけです。単にこれは代行書記官補の問題だけじゃないのですが、もっとそういう点をきちっと勇気をふるってやってほしいと考えておるわけですが、事務総長としては、そういう点はどういうふうにお脅えでしょうか。
  31. 石田和外

    最高裁判所長官代理者石田和外君) 昨年も、高田議員から大体同じような御趣旨の御要望を受けたわけでありますが、私どもといたしましては、相当強くやっているつもりではありますけれども、まあ今後とも、御趣旨のような線は、相当推し進めて強くやっていきたいと思っております。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 強くといいましても、いわゆる圧力団体がわいわい騒いでやるような、そんな強さは私はちょっと裁判所としては使えないと思う。また、そんなことも必要ないと思います。だからちゃんと、話のまとまらぬものはまとまらぬで、なぜまとまらないかと、そのまとまらぬところを明確にして、やはり国会あるいは予算委員会等でそれを論議してもらう、こういうふうになれば、国会議員全員もやはり関心を持つわけですし、私たち、地方の調査等に参りましても、どうも裁判所予算の取り方が下手だと、みんな覆うわけですよ。それは、私たちそういうことを聞いても、これは裁判所は、ほかの役所のように、あまり山をかけたり、まあ極端に言えば多少水増ししたり、そういったようなことは性格上なかなかなさらぬものだから、結論としては、どうしても圧縮されるというふうに言っているわけですが、私は、態度はそれでいいと思うのですよ。そのかわり、まとまらぬものは、他の行政官庁のように、適当なところで手を打つというふうなことじゃなしに、やはりきちっと出してくる、そうあってほしいわけなんですね。まあ予算というものは、結局それは国会でしか成立せぬものですから、ここへ集中してくるわけでしょうが、行政官庁と明らかに最高裁立場は違うわけですからね。ぜひそういう点を具体的な行動として現わしてほしいんですな。そうしたら私たちも、結局掛当の委員会ということであれば法務になるわけですから、大いに裁判所のことをもっと勉強して、ここは足らぬ、ここはこうすべきだといったようなことをもっともっとわれわれとしても積極的に考える面が出てくるわけですけれども、どうもいつも適当なところでおさまってしまう。その点はなはだ遺憾なわけでして、これはひとつ、ぜひ最高裁長官にもそういう点を伝えてほしいと思う。それで、予算問題なんかになったら、事務総長にだけまかしっきりというんではなしに、やっぱり最高裁長官が、三権分立立場で、きちっとした態度でもっと活動するというようなことも必要なようにも私は思うんですよ。そういう点を今まではなさらない。ほとんど事務総長にまかしておりますね、慣例として。それで、国会などにもなかなか長官は出てこない。大体そういう慣例です。そうじゃなしに、国会へ出てくることが、何も三権分立立場を混淆するわけじゃないんでして、立場さえきちっとしておいたら、堂々とやっぱり出てきて、そうして裁判所としての要求というものを述べてもらうことが私は筋だと思っているんですが、大体そこら辺の内部のやり方は、長官事務総長の間というものはどういうふうになっているんですか。対外的には事務総長にまかすといったようなことになっているんですか。
  33. 石田和外

    最高裁判所長官代理者石田和外君) どうも事務総長が力がありませんので、そういう御質問を受けるのかもしれませんが、まあ予算等のことにつきましては、十分長官意向も体しまして、しかし、ともかく日常の裁判の問題は、やはり長官といたしましては一番当面の問題でありますから、大体対外的なこと、あるいは国会における御説明等は、従来からもさようでございますが、事務総長に当たらしていただ出ぐらいと思っております。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 各省の予算折衝などを見ていても、重大な政策問題等になれば、やはりそこの大臣大蔵大臣に直接折衝をやって、そうしてまあきめていっているわけですね。そんな際に、どうして最高裁長官大蔵大臣に直接会う——大蔵大臣なんか格が下だという考え方があったら、総理大臣に会ったらいいじゃないですか、総理大臣に。それくらいの勇気を出してもらわなければ、これはとても進まぬと思います。しかし、これはまた一般的な問題を論ずる際に、もう少し率直に述べてみたいと思うし、そういうことを議論するような際には、一ぺん最高裁長官も出てきて、正式に意見を述べるというふうなことがあるべきだと思うんだ。事務総長考えはどうですか。それは何といったって、事務総長といえば、これは非常に格が違うわけですからね。ほんとうの責任者という立場から長官が出てくるといえば、それはやはりちゃんとそれに対する敬意も表さなければならぬし、当然そうなんです。だから、司法制度調査会などの法案がいずれかかる。当然これはそういうことも予想されるわけですが、そういうような際には、やはり長官どもっと出てこぬといかぬですな。出てくる気持があるんですか。ひとのことかもしれぬが、しかしこれは長官とあなたは一体だからね。大事なことをみなあなたにおっかぶせているのは、ちょっと筋が通らぬと思うんです。非常に大きな問題ですから、これは希望しておきますから、きょうこういう強い要望があったということをひとつ長官に伝えておいて下さい。いずれそれは法務委員会のときに、これは委員長にも御相談して、やはり来てもらうというふうなこともあろうと思いますが、要望だけしておきます。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して、数字をもう少し確かめておきたいわけですが。  今度の定員法改正では、判事が十五名、裁判所調査官裁判所書記官、家裁の調査官を含めて百二十四名の増員ということで定員法改正をする、こういう説明がされております。  それはそれとして、今亀田委員からの質問があったので、ちょっとそれに関連してお尋ねして確かめておきたいことですが、書記官資格を得るということについてはなかなか容易でないということも、今お話があったわけですが、今の御説明の中で、書記官補、それから調査官補、速記官補、これらの官補は、いずれも本宮の代行をしておるわけです。それらの代行しておる者は三千名おるのだ、こういうふうにお話があったわけですね、そうですね。三千名の代行している者の中から、今度予算化された者は九百八十四名である、こういう御説明があったわけです。  そこで、第一に、こういう前提のもとでお尋ねしたいことは、現に書記官資格を得ておりながら今度予算化されないで書記官補として依然として代行の地位に残る者は何人おるのだろうか、それから調査官補として資格を持ちながら今度予算化されないで残ってしまった者は何人いるのだろうか、速記官補の場合は何人残るのだろうか、この数字をちょっとおっしゃって下さい。
  36. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 先ほどの千名という数は書記官及び調査官を含めての切りかえの人数でございまして、書記官の切りかえだけは先ほど正確な数を申し上げましたが九百三十四名、そのほかに調査官への切りかえが六十六名ということでございます。  ただいまの御質問で、書記官等の資格を持っておりながら今度の切りかえによって書記官にならない人の数があるかということでございますが、これは書記官たる資格をとっておる人ということに限定して申し上げますと、そういう人は一人もないわけであります。書記官として研修を受け、あるいは昇任試験を受けてそれに合格し、または研修を修了した場合に、初めて書記官になり得るということが言えるわけでございまして、現に今でもすぐ書記官になり得る資格者ということに限定して申し上げますと、その数はないということでございます。  それから速記官につきましては、所定の試験を受けて速記官になり得る資格を取得した人につきましては、速記官補から速記官になり得ることについての予算上の措置その他は完全にありますので、この点については、別に資格をとりながら速記官になれないという人はないわけでございます。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 しかし、現に三千名本官の代行をしている者がおるのに、実際には概略千名の者きり予算化されないということになると、あと二千名の者が残るわけですね。
  38. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) これらの人々は、書記官になりますためには、昇任試験を受け、あるいは裁判所書記官研修所の所定の研修を終えなければなれないわけでございまして、したがって、そういった血から、定員関係から多少の隘路は出てくるわけでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、現に資格を取得しておりながら予算上の関係定員上の関係から官になれないという人に限って申し上げますと、そういう方はないということを私は申し上げておるわけであります。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 しかし、実際問題では、この書記官補、あるいは調査官補、あるいは速記官補、こういうのは本官の代行をしておって、実際の仕事の面では同じ仕事をおやりになっていらっしゃるわけですね。待遇もずいぶん、官補と書記官では、同じ仕事をしていながら、待遇の面でもたいへんこれは違うので、以前からこのことは問題になっていたわけですが、すでにここに制度として官補というものが置かれてから十二年という長い年月を要して、その十二年の長い年月の間に、こういう本官の代行をしながら、私に言わせれば、当たらない待遇をされているという者の救済については、当局としてはいち早くこれを直すようにしていかなければならないと思うのですが、問題は、この研修所、それから研修所の職員、こういうところに隘路があるように考えられますが、問題を発展さしておそれ入りますけれども研修所、それから研修所の職員の充足ということについて、これは当然今度の定員法とうらはらの関係計画的におやりになっていかなければならない筋合いのもののように考えられます。しかし、本年度予算では、この研修関係予算というものについてはあまり見るべきものがないように思われるのですけれど、このうらはらの関係説明していただきたいと思います。
  40. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 研修関係昭和三十七年度予算につきましては、ただいま御指摘のとおり、研修の規模、内容、あるいは職員増強というような面におきましては、ほとんど見るべきものがないような状況でございます。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 私も東京都内にある研修所をちょっと非公式に見せていただいたことも最近あるわけです。はなはだしくお粗末な建物であり、はなはだしく、研修生の熱度、それから研修所の方々の熱度に対して、あまりにも冷たい姿ではないかというふうにお見受けしてきたんです。多分裁判所のほうでは、昔から——昔からといっても、すでにこの書記官補等の制度がしかれて十二年もたっているんですから、これを解決するためには相当熱意を入れられて今度の予算では要求をされるのではないか、実現するのではないかという、たいへんな希望を実は持っておったんですが、ただいまのように見るべきものがないということで、非常に私遺憾に思うわけです。東京のどまん中にあって、そうそうたる熱意ある研修生が参集する場所としては、あまりにもひどさに失する。で、要求はどういう要求研修所の場合にお出しになったんでしょうか、職員増員要求についてはどういう要求をお出しになったのでしょうか、どういう理由でこの見るべきもののないような姿になってきたのだろうかと、こういう経緯を私は知りたいと思うのです。
  42. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 研修関係におきましては、研修内容等につきましては前年度とあまり大差ない要求でございましたが、ただ、司法研修所、書記官研修所調査官研修所等につきまして、いわゆる職員でございますが、研修生でない職員のほうにつきましてはある程度増員要求をいたしました。具体的に申しますと、司法研修所につきましてはいろいろな職種を合わせまして二十五名、書記官研修所につきましては十三名、調査官研修所につきましては六名というような、職員増強要求いたしたわけでございますが、結局結論といたしまして、判事の増あるいは書記官の増というほうが先決問題だというような観点——観点と申しますと語弊がございますが、かようなほうに増強されまして、このほうは結論といたしましては増強がなかったわけでございます。結局、研修所の問題につきましては、すでに高田委員、あるいは亀田委員からも従前御質問を受けましたように、建物をどうするかという問題もございまして、これはすでにお答えいたしましたように、本郷の書記官研修所の敷地と建物を処分して、新たに別の所へ書記官研修所を建てていくというような構想で参ったのでございますが、すでにお答えいたしましたように、そのほうの話がはかばかしく参りませんので、本郷を処分するという話をもう、白紙に戻しまして、あらためて、書記官研修所のみならず、司法研修所、調査官研修所も、具体的に予算でもって現実に一定の場所へ建てていくという構想をとらざるを得ないような状況になって参りました。ただいまのところ鋭意その検討をいたしておりますが、したがいまして、来年度以降におきましては、早急にその予算でもってこれらの研修所の整備をはからなければならないというふうに、設備の点につきましてはさように考えております。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと、職員の問題に移る前に、たまたま研修所の問題が出ておりますから、私も別個に一度これは確かめたいと思っていた点ですからお聞きしておきますが、せんだって私たちも、現在問題になっている旧岩崎邸なりそういうところを見たわけですが、この裁判所が最初処分しようと考えられた岩崎邸ですね、ここはまあ空地も非常に多いわけですね。だから、あの場所に、たとえば九段にある研修所を——これは調査官と一部書記官の方が通うておられるようですが、こういうものを集める、こういうことで私はきちっとするのじゃないかというふうな感じをまあ非常に強く持ったわけです。で、司法修習生のほうは、これは多少立場も違いますから、それをも本郷のほうへ持っていくということは、そういう点もあるし、また場所的にも、いくら広いといってもそう無限に広いわけでもないのですから、そういう点も多少の何があるだろう。だから、司法修習生関係のほうは、現在の場所で拡充していくといったようなことで、そんなにこう敷地などのことは問題ないじゃないか。ともかく四億五千万といったような予算もとれているわけなんだから、そういうものを活用して、そうして研修所の充実というものをはかっていけばいいじゃないかという感じを、まあ実際に見た結果強く持っているわけです。そうして、私も非公式に実際にそういう機関に関係のある人にも若干聞いてみたわけですが、大体そのほうが私は聞いた結果からしてもいいような感じを持っているんです。で、ただいまの答弁では、今までの方針を白紙に返す、そうして今私が申し上げたようなふうな考え方に固まりつつあるようにもおっしゃったわけですが、多少ははっきりしないところもあるわけですが、この点ひとつ事務総長から、おそらく内部で御検討になっているんだと思いますが、もう少しはっきり具体的な方針を明らかにしてほしいと思います。
  44. 石田和外

    最高裁判所長官代理者石田和外君) 岩崎邸を処分する云々という計画がだめになりましたが、その後まだかような席で申し上げるほど案が熟しておりませんので、先ほど経理局長から御説明になりました限度で御容赦願いたいと思います。
  45. 亀田得治

    亀田得治君 岩崎邸の売却がだめになった、これは一体いつなんですかね。総長えらいのんきなことをお答えになるわけですがね。こういう問題は、だめになれば、即刻次の案というものを積極的にやはり考えていくべき問題でしょう。一体岩崎邸のやつがだめになったのはいつなんです。
  46. 石田和外

    最高裁判所長官代理者石田和外君) 事柄の正確を期します意味で、主管局長の経理局長からお答えいたします。
  47. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 前回一度お答えいたしたと思いますが、四億五千万という不動産取得費でございますが、これが現実に今ことしの予算についておりまして、これは書記官研修所の敷地と建物を購入するという金でございますが、建物のほうは別といたしまして、敷地を先にきめなければいけませんので、敷地の獲得に鋭意努力したわけでございますけれども、現在までのところ、値段その他から申しまして適当な土地が見つかりませんので、しかしこの四億万千万の金はあと一カ月でもって使わなければならないような状況になってきておりますので、さような観点から申しまして、まず敷地を獲得することはむずかしいという状況に現在立ち至って参りましたので、岩崎邸を処分して書記官研修所の敷地、建物を獲律するという話はだめになった、あるいは御破算になった、かように言わざるを得ないのでございまして、だめになったのはいつかとおっしゃいますと、今までやって参りました結果、見通しをつけましたのは、大体昨年の暮ごろに、まず不可能だというような見通しをつけたわけでございます。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 昨年の暮だめだというふうに見通しをつければ、すぐこの四億五千万円というものにつきまして——結局これは実際に使うとすれば三十八年度に入るわけでしょう、だからせっかく研修所のために大蔵省が一たん認めた金ですから、そのときの使い方は、まあ方法は違うわけですけれども研修所のためということで認めた予算なんだから、それを三十八年度返すというようなことにならぬように、三十八年度に使えるように予算折衝できそうなものだと思うのですが、どうなんですか。
  49. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) この四億五千万の金は、昭和三十五年度予算で、債務負担行為ということで、初め四億五千万の限度において使っていいということが認められまして、本年度へ入りまして現実の金になったわけでございますが、これは岩崎邸を処分して書記官研修所を建てる——したがいまして、岩崎邸の処分をいたしますと、国へ一定の収入が、売却代金が入りますので、それを見合いとしておりますので、書記官研修所の敷地、建物が別個に得られませんことには、岩崎邸を処分するわけには参りません。ところが、別個に取得いたそうとする御記官研修所の敷地が獲得困難の状況になりましたので、結局四億五千万の金は、裁判所としては書記官研修所のほうに使うわけにいかないわけでございまして、これを使いますれば、岩崎邸を大蔵省へ返さなければならない、かような状況になるわけでございます。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 いや、そういう、何というか、事務的なものの考えじゃなしに、結局今となると、この四億五千万というものは召し上げられるわけだ。それははっきりしているわけですね、見通しとしては。それであれば、国庫としては年度末に四億五千万円が返ってくるわけなんだから、だからそれを見合いにして、三十八年度予算の中に、書記官研修所の建設費でいいわけだ。岩崎邸の土地を使うということになれば、建物だけでいいわけですよ。新たにそういう予算を計上するということは私はできると思うのです。前と全然同じものを組むわけじゃないですから。しかも、金額にしてはせっかく認められたものを、私は大蔵省はそんなに強いことは言わぬと思うのですよ。三十八年度に同額のものを、やり方が少し違うが、組むということについては。一たん認めた予算ですから、全然同じことだと、それはちょっと法律上疑義が起きるかもしれませんが、やり方が違ってくるから。そんな程度のことは、もう年末だめになったら、即刻そういうことに手をつけてぐんぐんやっていくくらいじゃなければいかぬと思うのですがね。
  51. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 亀田委員のおっしゃいますことは、わからないではないのでございますが、しかし、三十五年度予算書にはっきり載っておりまして、岩崎邸を処分して書記官研修所を建てるというふうに載っておりますことから申しまして、岩崎邸を大蔵省に返しませんことには——大蔵省と申しますと語弊がありますが、国へ返しませんことには、この四億五千万というのは手放しで使うわけにはいかない関係でございますので、まことにわれわれといたしましてもやむを得ないというふうに思っておるわけでございます。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 返すのは返すんだよ、結局は。だけれども、返すのは年度末ということははっきりしておるのだから、返した後にこっちの新たな予算を使うのですから、時期的には。だから決して矛盾しないわけです。だからそのことを、現有の研修所の状況から見たら、急ぐ状態なんだから、そういうふうに努力をすべきじゃないかということを言うているわけなんです。最高裁のほうでそういう気持があるのであれば、これは四億五千万円程度のことですから、大蔵省さえその気になれば、決して処理はできないことはないと思うのです。しかし、肝心の皆さんのほうが、どうも返すものは返して、それからまた出直しじゃ、そんなようなことでは、こちらはそこまで予算の分科会等でも大蔵省に言うてみたってこれは仕方ない、それでお聞きするわけですがね。できますよ、四億五千万円程度なら、大蔵省さえその気になれば。
  53. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 先ほども申し上げましたように、三十五年度予算書には、四億五千万という金の限度において土地と建物の購入の契約をしてよろしいというのが予算書に載っておりまして、そのころにはもちろん現実には四億五千万の金はございませんけれども、建物というものは買うとすればこれから作らせて買うのだがら、そう簡単には買えないということで、債務負担行為ということで四億五千万を認められました。現実に本年度に入りまして四億五千万の金がついたわけでございますが、その三十五年度の債務負担行為がはっきり予算書に載っておりますが、岩崎邸を処分して、その金を見返りとしてという趣旨がついておりますので、岩崎邸を国へ返さないでおいて、四億五千万だけをこちらへくれということは、法律的にもやはり疑義があると思いまして、裁判所といたしましては、その点は不可能だというふうに考えております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 委員長、この問題は、もう少しまた別な機会に、大蔵省のほうも呼んで一ぺん検討したいと思います。  それから速記官ですね。これが今回五十四名増員になりましたが、これは全部内部の職員の組みかえという格好をとっているようですね。
  55. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 今御指摘のとおりでございます。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 その五十四名というのは、従来内部で速記などの手伝いなどをしておったような関係の人なんですか、あるいは全然新たに養成してなる、どういう格好になるのですか。
  57. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 裁判所内部の職員でその方面の能力があると認められる者につきまして一定の研修を施しまして、その研修の結果を待って任命していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 いや、私のお聞きするのは、そういうことに適する裁判所職員を回すのだという意味はわかりますが、現在まで、その速記官ではないけれども、何か手伝いをしておるといったような経験でもあるのか、ないのか、そういうことは全然させておらない新たな人か、どういうことなんですか。
  59. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 今回の五十四名につきましては、従来の経歴いかんにかかわらず、その方面の適性ありというふうに考えられる者をもって研修を施し、その結果を待って任命していきたいというふうに考えているわけです。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 従来裁判所では、相当外部から速記者を雇い入れておりましたね。それはどの程度そういうことをやっておりましたか。
  61. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまその資料は手元にございませんので、調査をしてみたいと思います。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 何か、今度五十四名をそういうふうにふやすことによって、今まで外部から入れていたのを全部やめる、そういう方針なんでしょうか。
  63. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 外部速記を雇いますのは、現地の裁判所予算の範囲内で行なっておることでございまして、今後どういう方針で外部速記を処理していくかということについては、具体的な話を私どもまだ承知いたしておりません。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 大体外部速記のために年間六百万円程度裁判所で出ているようですが、そういったようなことはわかっていないでしょうか。
  65. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまその数字については手元に資料がございませんので、調査してみないとわかりかねる次第でございます。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 じゃあ、その点をお調べ願って、そうして外部速記という問題はどうされるのか、その点ももう少し明確にお答えを願いたいと思うのです。で、この速記官に関連してお聞きするわけですが、速記官の適正な人数ですね、これを実際はどの程度に踏んでおられるのか。これはおそらく研究しておられると思いますが、まあ私たちの見たところでは、非常にこの人数が少ないというふうに思っておるんです。これは実際、私たちがたびたび法廷に行くわけですが、半日でもぶつ続け、一日でも同じ人がずっとぶつ続けでやっています。ところが、国会などは、こういうふうにしてやっておったって、四人の方がこうかわるがわる——実際に委員会が中断しておるようなときでも、かわるがわる交代される。私は速記の立場からいったらああいうことも必要なんだろうと思って見ておるわけなんですが、ところが裁判所は朝から夕方まで同じ人がやっておるのですよ。これは速記官の人からは非常に苦情を聞くわけですがね。そういう点をどういうふうにごらんになっているのか。何か職業病で手がふるえる、あまり過労しているので。そういうような人も出ているようですね、そういう障害を起こしている人が。そこら辺の実情をもう少し……。
  67. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 裁判所速記官の定員を逐次増強していきたいということは、われわれとしても考えておるわけでございまして、目標といたしましては、高等裁判所、地方裁判所の合議事件については全部速記をつける、それから地方裁判所——これは乙号支部を除きますが、地方裁判所の単独事件のうちでも特に重要だと思われる事件については速記官をつけるというふうな目標を定めて、鋭意努力をいたしておるわけでございます。この目標を達成いたしますためには、現在員ではとうてい人員が不足でございますので、なお九百三、四十名の速記官が必要だというふうに考えておる次第でございます。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 いや、私があとのほうでお聞きした実情ですね、非常な過労な状態です。朝から晩まで同じ人がやっていると、こういうことはお認めになりますか。
  69. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいまの速記官の執務時間でございますが、一カ月十二時間平均で公判廷に立ち会っておるわけでございます。  なお、御指摘になりましたような、速記タイプを使いますので手が痛くなるというような事例も、若干耳にはいたしておるわけでございます。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 一カ月十二時間というのは、えらい少ないですね。
  71. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) これは法廷に立ち会う時間だけでございまして、このほかに反訳の時間は別に加わるわけでございます。法廷に立ち会う時間だけが一カ月十二時間平均ということになるわけでございます。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 実際にそういうことになっていないんじゃないですか。大阪や東京あたりの状況を見ておりまして、一人の人が、十時に裁判が始まって、午前二時間やる、そうして午後一時から午後五時までやると、それで六時間でしょう。そんなのを私見ておるのですよ。もう一日そんなことをやれば、それで十二時間でしょう。そんな程度でいけるのですか。
  73. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) ただいま申し上げました数字は平均の時間でございますので、具体的な事例としてたまたまそういうことがあるかどうかつまびらかにいたしませんけれども、私が申し上げましたのは、全国の平均の一カ月の法廷立会時間が十二時間という数字が出ておるわけでございます。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 これは、一人々々の立会時間というものはずっと記録されておるわけでしょう。したがって、それをひとつ……、まあ東京だけでいいですわ、全国といっても何でしょうから、東京だけのやつを一応調べて資料として出してほしいと思います。  それから、このことで公務災害が最近二件発生している、そういうことも聞いているわけです。だから、相当私は重い負担になっているように思うわけでして、そういう状態であれば、たとえ五十四名内部操作で速記官をふやしたところで、今まで不足分を外部速記を入れて間に合わしていた、そういうものを一挙になくするといったようなことは、非常に行き過ぎだと思うのですね。さっき、理想的な数字はどうだということについて、何か九百名ほどまだ要るといったようなことすらおっしゃっているわけですからね。そういう点から見ても、五十四名程度入れたから今までの外部からの応援はもう減らしてもいいんだと——役所というものはじきにそういうふうになりがちなんですよ。しかし、それがきちっと余っている場合はもちろんそれでもいいが、そうでない現状なんだから、だからその辺のところをもう少し、一体外部速記の応援をどうするのかという点も含めて、はっきり次回にお答を願いたいと思うのです。
  75. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 法廷の立ち会い時間が十二時間ということが少ないんではないかという御質問のようでございますけれども、これは法廷に立ち会って、これを調書に反訳いたしますためには、約十一倍の時間を要するわけでございます。この反訳の時間等を考えますと、一カ月これ以上法廷に立ち会うということでは、反訳が適宜の期間内に間に合わないということも考えられるわけでございます。そして、先ほど私が九百何十名の速記官が必要だと申し上げましたのは、なおこれ以上——現在の定員以上に九百三十七名というふうにお聞き取りになるような発言をいたしたかもしれませんが、それはそうではないのでありまして、全体の理想的な数は九百三十七名、それだけの数が必要だという趣旨で申し上げましたので、もし誤解があるといけませんので、そういうふうに訂正させていただきたいと思います。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 全体の数字が九百だということになりますと、今度の定員改正から見ますと、あと百ですね。そんなことじゃどうして間に合いますかね。それは、さっきあなたは明らかにもう九百幾ら足らぬように私は聞いたのですが、たとえば、現在の七百というのは、これは配置は全部地方裁判所でしょう。高等裁判所の合議部にも入れていくというふうにあなたはさっきおっしゃったわけでして、百名程度でとても間に合うものじゃありませんよ。第一、一人の速記官が午前午後引き続いてやっている。交代できない状況で、そして一人でやっている。国会のように、二人でやって、照らし合わしてやるということもできない。一人でやっている。それは二人でやるより以上に神経も使いますし、それで交代要員がないということを見ただけでも、おそらく地裁なら地裁内部で聞いてみれば、とても手が回らないのだというのが実情なんだと思う。だから、地裁の速記官というのは何名いらっしゃるかわかりませんが、一人左右についての表がちゃんと載っているはずですから、それを一ぺん資料として出していただきたい。その上で、私たちも、速記官の不足が百名程度なんというようなことは、高等裁判所も入れたらとても考えられないわけでして、もう少し意見を述べたいと思う。資料は出ますね。
  77. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 調査をいたしてみたいと思います。
  78. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 私からも申し上げますが、どうですか、次回までにそれを出してもらえませんか。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 それを早く出してもらいませんと、定員法上がりませんよ。
  80. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 御希望に沿うように努力してみたいと思います。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 もう一点。これは検察庁と比較するわけですが、行政職俸給表(二)の適用を受ける人ですね。裁判所のほうがどうも多過ぎるというような感じを持つわけですが、当然その結果は待遇がそれだけ悪いわけですが、そういう点は何か御検討になっておりませんか。こちらのほう——裁判所のほうでは、この表を見ますと、約千五百名ありますね。検察庁では約八百人程度のはずです。しかも、裁判所も、検察庁も、大体建物の数は同じくらいのはずです。当然行政職俸給表(一)に持っていっていいものが、相当(二)へやられているのじゃないかというようなことも、私たちこういう職員定員というような問題になるといつも感ずるわけですが、この点はどういうふうにお考えになっているでしょうか。
  82. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 検察庁のいわゆる用人がどの程度定員として組まれているか、私たちつまびらかではありませんが、裁判所と検察庁と比べてみますと、裁判所には検察庁にない法廷等もございますし、なお民事事件の処理も行なっておりますし、裁判官と検察官の数も必ずしも同じではないわけでございます。それから庁舎の面積等につきましても、ただいま申し上げましたような法廷等の関係もございまして、必ずしも検察庁の用人の数から見て不当に裁判所の用人が多いというふうにも考えられないのではないかというふうに存ずる次第でございます。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 この廷吏であって行政職俸給表(二)に回されておる者もあるのですか。
  84. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) そういう者はございません。廷吏は、事務官の行政職(一)表の適用を受ける者だけであります。
  85. 亀田得治

    亀田得治君 そうしますと、法廷の数があるといいましても、そこにおる廷吏というものは(二)のほうには入らないわけですから、だから法廷の数は私は理由にならぬと思う。そこで、約千九百名の用人の内訳ですね、どんな仕事になっているのか、上のほうは大分細かく書いてありますが、千九百名の内訳ですね、それをひとつ、これも次回までに資料として表にして出してほしいと思うのです。これはおわかりになっているでしょうから、それを見ないことにはちょっと……。
  86. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 法廷に廷吏がおることは事実でございますけれども、法廷の清掃等につきましては用人の仕事でございます。法廷が裁判所にあるということについては、用人の関係等も問題になるかというふうに考えるわけでございますが、その点は別といたしまして、用人の内訳の詳細については、後日資料として整理いたしたいと思いますが、ここで今わかっておりますことを申し上げますと、これは三十六年度予算でございますけれども、種類を申し上げますと、守衛それから小使、自動車運転手電話交換手電工、数を申し上げましょうか。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 あとから表で出して下さい。
  88. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 電話交換手電工、賄婦、掃除婦、それからエレベーターの運転手、印刷工、火夫、そういったものが含まれておるわけであります。詳細はあとで資料でお知らせいたしたいと思います。
  89. 松野孝一

    委員長松野孝一君) それも次回までに出していただきたいと思います。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 関連しまして、検察庁のほうは大体八百名と聞いておりますが、法務省のほうから、用人の内訳ですね、それをひとつ比較対照する意味で出さしてほしい。僕は一応この程度で終わります。
  91. 井川伊平

    ○井川伊平君 お伺いいたしますが、判事にだいぶ欠員がありますが、判事欠員のある裁判所というのは大体きまっておるんではないか。言いかえれば、転任の際に判事が行きたがらない、そういうところは常に欠員を持っておると、こういうような関係はありませんか。
  92. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) 東北でありますとか、北海道、そういったいわゆる僻地の裁判所には、とかく裁判官の転任ということが困難でございますので、一般的な情勢といたしまして、そういった方面に裁判官欠員が多いということは言えると思いますけれども、ただ、特定の裁判所に常時欠員があるというようなことは、一般的には言えないと思うのであります。
  93. 井川伊平

    ○井川伊平君 北海道であるとか、あるいは東北であるとかいう雪国及び寒国、こういう方面に転任をしたがらない、判事として行きたくないというのは、そういう地域の裁判所の構造、それから官舎の構造等が、雪国あるいは寒地に適合するような構造でない。だから、法廷におけるところの仕事も非常な困難を感じ、また官舎の生活においても非常な苦労をする。だからいやがる、こういうのではございませんか。
  94. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 官舎のことでございますので、私からお答えいたしますが、北海道あたりは、従前から——戦前から宿舎が比較的整備されておりまして、これはやはり、ああいうところでございますので、官舎がございませんと、なかなか転任もむずかしいし、またそういう方々のために家を探すということもたいへんでございますので、北海道あたりは戦前から比較的官舎が整備されておりますが、戦前の宿舎は御承知のとおりほとんど木造でございまして、それが今日までだいぶ残ってきております。そういうような関係から、依然としてまだ木造の官舎が相当数あると思います。でございますが、それもおいおい整備していかなければならぬわけでございますが、何しろ戦後新たに職員がふえ、非常に官舎が不足いたしておりますので、北海道のみならず、全国的に不足いたしましたので、新たに建てるほうに予算が重点を置かれました関係上、北海道の木造の官舎のようなものが、まだたとえばブロックに直すとかいうようなことがいたしかねる状況でございますが、将来の方針といたしましては、北海道あたりは徐々にブロックに新たに建て直していく必要があるというふうには考えておる次第でございます。
  95. 井川伊平

    ○井川伊平君 この雪国であるとか、寒地地帯であるとかいうところにつきましては、法廷の構造につきましても、官舎の構造につきましても、暖かい地方とはおのずから違わなくてはならないが、そういう点におきまして、日本の雪国であるとか、あるいは無地地帯の法廷、裁判所及び官舎というものは、外国のそうした雪国及び寒地地帯の裁判所の構造及び官舎の構造、こういうものと比較して御研究になったことがあるか。もしあるとすれば、その比較の結果につきまして御意見を承りたい。
  96. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 寒冷な地域の庁舎のことでございますが、これは裁判所の営繕もだいぶ長らくやってきておりますので、寒冷地には寒冷地に向くような設計等をしておるつもりでございますが、官舎を今申し上げましたように建て直すという問題でございますので、新たに建てます場合には、最近はほとんど北海道はブロックで建てておると記憶いたしておる次第でございます。
  97. 井川伊平

    ○井川伊平君 外国の事例についてのお話がなかったわけでありますから、御研究になっていないのかとも存じますから、それはそれといたしまして、判事欠員になっておる、補充することが非常に困難だ、補給源に困難を生ずるというのは、そういうような面から、ああいうところの法廷にやられるなら判事はやりたくない、ああいう官舎に入るなら、家内も肺病になるし、子供も育たないだろう、こういうような非常な不安がある。そういうところに転任願うときに、二年間で必ずこちらへ帰ってもらうからがまんをして行ってくれぬかというような無理なお願いをして行ってもらっている向きもございましょう。こういうような事実が先ほどの判事を求めることができない大きな原因ではないかと思うから聞いておるわけですが、いかがですか。
  98. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 御指摘のとおり、北海道、つまり寒冷の地の官舎が、まだ、先ほども申し上げましたように、従前からのものが相当数残っておりますので、現状といたしましては決して十分なものだとは私たち考えておりません。整備ということになりますと、おいおい徐々に整備していくよりいたし方がないように考えておるわけでございます。
  99. 井川伊平

    ○井川伊平君 徐々にという言葉は、きわめてあいまいでございますが、現在かりに、あなたの申されたような北海道の判事の官舎、これを寒地に適合するような官舎に作りかえるとすれば、一体どのくらいの予算があれば全部できるのですか。
  100. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) ちょっとただいま、数字をはじいてみませんとどのくらいということも申し上げかねるわけでございますが、しかし、井川委員御指摘のとおり、北海道の官舎が、戦前からのもの等を見ますと、決して十分だとは申せないと思っておりますので、われわれといたしましても、鋭意その改善に努力いたしていきたい、かようには考えております。
  101. 井川伊平

    ○井川伊平君 今のお答えは、きわめて私は満足のできないものでありますが、徐々にやっていくのだということは、言いのがれにすぎない。どれだけの予算があればこうできるのだ、だから何年間かかればこうなるのだという具体的な数字を組み立てないで、徐々にやっていくつもりだというようなことは、言いのがれでしょう。私は、それでは相当長い間今のままで置かれる。今のままに置かれれば、そういうところに任地を得なければならない判事なんというものは、判事になり手がないということになろうと思いますから、そういう点をもっと真剣に御研究になってはいかがかと思うのであります。  それから、定員の増をお求めになっておりますが、欠員になっておるものを補充することも困難な今日、定員増をいたしまして、欠員の補充が行なわれ、定員の増が満たされる、こういうようなお見通しを持っておられるわけですか。
  102. 桑原正憲

    最高裁判所長官代理者桑原正憲君) このたびの法律改正では、判事増員が十五名ということになっておるわけでございます。ところで、これの充員の見通しでございますが、本年の四月末日までの欠員は、これはある程度見通しも含みますけれども、四十二名程度になるものというふうに推定されるわけでございます。ところが一方、本年度におきまして判事補であった者で判事資格を取得する者が五十七名予定されておるわけでございます。それで、この五十七名の人をもって判事の充員をするわけでございますが、先ほど申し上げました四月末日の欠員予想数四十二名と、今回の増員十五名、合わせて五十七名になるわけでございますが、この欠員並びに増員の充足は、本年判事補から判事資格を取得する者によって満たされるというふうに考えておるわけでございます。
  103. 井川伊平

    ○井川伊平君 私はよろしゅうございます。
  104. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  105. 松野孝一

    委員長松野孝一君) それでは速記を始めて。  他に御質疑もなければ、本案質疑は次側に続行することにして、本日はこの程度にとどめます。
  106. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 検察及び裁判運営等に関する調査中、昭和三十七年度法務省関係予算に関する件及び昭和一子七年度裁判所関係予算に関する件を議題といたします。  ただいま出席中の当局側は、大澤法務省矯正局長であります。御質疑のおありの方は順次御発言下さい。
  107. 赤松常子

    ○赤松常子君 矯正局長さんに二、三お尋ねしたいと思うのでございます。  それは、この問題はだいぶ前にこの法務委員会でも取り上げられた問題だと思うのでございますが、少年院とか刑務所に働いていらっしゃる職員の処遇あるいは待遇の問題でございますが、最近私のところへわざわざ婦人職責が陳情に来られたのであります。その内容につきまして、私矯正局長にただし、将来こういう問題に対する法務省矯正局の御方針、これをはっきり伺っておきたいと思うのです。  そのまず第一は、苦情処理の問題でございますけれども、刑務所、少年院、そういうところの職員の人々に労働組合を作る権利を認められておりません。これは警察庁、消防庁もそうだと思いますが……。だからこそ、問題が起きてからかれこれ騒いでもおそいと思うのです。こういう職場のすみずみの、聞けば聞くほど不可解な、あるいは圧迫されたと申しましょうか、矛盾がいろいろあるようでございますが、こういうところの職場の苦情をどういうように上の人は把握なさるのでございましょうか。ことに刑務所あたりは、私心配いたしますことは、相手が非常に複雑な心理を持っている収容者でございます。生産職場なら機械でございますから、こちらの感情でどんなにぷんぷん怒っても、相手は機械ですからそうさして影響がないのですけれども、相手が人間である場合に、それを扱い、世話する職員の内部におけるいろいろな問題というものは、非常に相手に影響すると思うのです。その職場のすみずみの職員の苦情に関する状態をどういうふうに把握なさっているのでございましょうか、どうしてわかるのでございましょうか、それを伺いたいと思います。
  108. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 刑務所等におきまして、収容者に接する職員に、いろいろな職務上、執務上につきましての不満等がありました場合、それが収容者に直ちに反映いたしまして、職員の和が欠いておるような場合に、収容者にいい結果を与えないということは、火を見るよりも明らかであります。指導する立場にある職員間におきまする融和、一致協力ということがきわめて必要なことは、申すまでもないことであります。われわれといたしましても、職場の空気を明るく、各員がお互いに信頼して、職員相互が一致協力していくことが、収容者に対する浄化の先決条件であるというふうに考えておるわけでございます。常々さように心得ておるわけでございますが、一面刑務所等におきましては、数千人の収容者を一カ所に収容いたしまして、一日の規律ある生活を維持いたしますために、職員の組織におきましても、御存じのように、所長、部長から課長、また看守長、看守部長、看守というふうに、明確な職階制のような——階級制と申しますか、さような組織をもって当たっておりますので、さような面から、所内の秩序保持から、上意下達と、指揮、指導、命令という点が明確に行なわれなければならないのでありまして、さような組織の面におきまして、命令が下にそのまま浸透するというような形をとられておりますために、下部職員が上意に服することになれて参りまして、自己の所信ないし希望なりを上にはなかなか言いにくいというような気風の生ずるのも、これ組織の性格から払拭できない弱点じゃないかと思うのでございます。さような意味で、下部職員が、さような所内の空気と申しますか、長い間の空気で、自己の所信なり希望なりを率直に言わないというような気風が見受けられるのでございます。さような意味で、ただいま御指摘のように、希望なり意見が上のほうに届きにくいという点も争えない点ではなかろうかと思うのであります。この点につきまして、われわれといたしましては、先ほど申しましたように、職員の気持が上下一体になりまして融和してこそ、初めて浄化教育の効果が期待し得るのでございますが、職員の自由な申し出ということを上のほうで聞くようにという点につきましては、常に機会あるごとには申しておるわけでございますが、さていかなる方法がいいかということにつきましては、これは各所に一任しておるわけでございます。ある刑務所におきましては、さような空気を察しまして、投書箱と申しますか、意見を上申する希望の箱を置きまして、下の看守が自由にそれに投函して、それを所長が集めて見るというような方法をとっておるところもございます。また職員の職務研究会等、これはまあ各所で行なっておるわけでございますが、各課から人が出まして、職務についての相互の意見、あるいはまた課のあり方、連携の問題等につきまして職務の研究会を開催しておるわけでございます。その機会に、また積極的な御発言も出ておるわけでございます。所長なり監督者が人事管理の面にたんのうな人は、さような方法をとっておるわけでございますが、一部でもしもさように、下部職員が自己の希望なりあるいは意見を自由に言えないというような空気がありますると、きわめて遺憾な問題でございます。この点は、われわれといたしましても、さらに所長会同その他機会をつかまえまして、職員の融和、上下一致のために、かようなことの起こらないように、ひとつ十分注意していきたいと思っている次第であります。なおまた、人によりまして、狭量な人がありまして、自己のやり方等を批判されると、それに対して快い顔をしないという者がやはり大ぜいの中にはあろうかと思いますが、さような場合には、管区の職員等の実際上の問題として、いろいろ本人たちから上申もありますし、またわれわれのほうで監査、巡閲等の機会には、努めて監査官、巡閲官が職員の人と会いまして、さような希望、意見等を聞きまして、人事管理の運営が円満に参りますように努めておる次第でございます。
  109. 赤松常子

    ○赤松常子君 裁判所あたりには公平委員会というものがございますようですが、刑務所あたりにそういう機関を正式にお置きになったらどうかと思うのですが、そういうお考えございませんですか。ただこういう、たまたまいらっしたときに監察するとか、あるいはその上の人々に、よく下を監督しろというようなことだけでなく、正式な機関をそういうものにお設けになるというほうが、パイプができていいんじゃございませんでしょうか。
  110. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 正式機関と申しますと、法律上の機関になるかと思いますが、刑務所職員もやはり、国家公務員法によりまして、降給等の処分に対する審査請求なり、あるいは不利益処分等に対しましては、人事院の公平委員会に提訴できることになっておりますので、法的にはこれ以外にかような組織制度がございませんので、この上に刑務官だけのということは、相当問題があろうかと思います。しかしながら、実際運営の面におきまして、刑務所の管理運営上からいたしましても、人事管理はいかにしましても人を相手にする職務でございます。最も大事なことなので、ただいまの御意見を拝聴いたしまして、われわれといたしましても、こういう正式の法的機関でなくして、部内の一致をはかるという面につきまして、さらに適切な方策ということについて検討をし、さっそく案を得まして、しかるべき方法をとっていきたい、かように思う次第であります。
  111. 赤松常子

    ○赤松常子君 ぜひひとつ課題として、こういうパイプをつける一つの道をお考えいただきたいと思います。具体的なことが長々とございましたけれども、それは申しません。  その次に、各刑務所の職員の方の親睦団体がそれぞれあるようでございます。これの性格及び経理が非常に不明朗なことを言っておられまして、これは一方的に私聞いて、それが正しいと思っておりません。また、反対の側においての意見も聞かなければならないことですが、そういう監督はだれがなさっておりますか、親睦会の経理の監督は。
  112. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) ただいまの職員会の組織でございますが、これはあくまでも私的な組織でございまして、職員相互間のレクリエーション、あるいはまた冠婚葬祭、慶弔等の申し合わせ、職員だけの組合でございまして——組合と申しますか、会でございまして、この会の運営につきましては、われわれとしましても、大体の承っておりますところでは、各課から代表が出まして運営委員会を作り、予算なり、あるいはその決算、また事業計画等をきめまして、自主的に運営しておるわけでございます。監督ということは、われわれには直接にはないわけでございます。しかし、事職員の親睦をはかる会でありましても、さような間違いがありましては、これは大へんなことでございますので、本省といたしまして、監督等に参りました際に、大体どういうふうにやっておるかということは聞いて、やはりいろいろ各所とも同じようにやっておりますので、各所が同じように運営できるように、実情を聞いておる程度でございまして、特に監督ということはいたしておりません。実際上のさような話を聞きまして、よそじゃこうしているというようなことで、指導という程度にとどまっておるわけでございます。
  113. 赤松常子

    ○赤松常子君 そういう問題も、ずいぶん皆さんの心を腐らせて、職場を不明朗にしている問題であるということを、詳しくまた申し上げる機会もあると思いますが、そういう点もどうぞ目を光らしていただき、指導していただきたいと思います。  最後に、その親睦会を、今申します親睦の意味で作っていらっしゃるのですから、職場のいろいろな苦情処理の一つのはけ口になさるというととはむずかしいでしょうが、私はとりあえず、それをこういうふうな性格に切りかえたらいいのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがでございましょう。
  114. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 親睦会で、役所の運営ということとは少し筋が違うようでございますが、しかし、かような各課から代表が出て運営するというような際に、官の業務運営についての意見が出るととは、非常にけっこうなことじゃないか。なかなか面を冒して言いにくいことを、さような研究会とか、あるいはさような親睦会なんかの集まりの際に、お互いに意見を交換するということは、非常にけっこうなことである。さような線ででも各所の意見を聞きまして、あらゆる機会をさようないい機会がございますので、さような機会も人事管理の円滑な運営に活用していくというふうに、ひとつ努力していきたいと思っております。
  115. 赤松常子

    ○赤松常子君 ぜひどうぞ、そういう、何と申しましょうか、一つ一つ解決する努力をお願いしたいと思います。  それに加えまして、私のところに見えた婦人職員がありました。これは婦人の刑務所であります。ところが、やはり上のほうの部長クラスは男子でいらっしゃいます。そこにやはり、男子の封建性で、上の人が女の言うことは一切聞かない。お前らの首は自由自在だというような脅迫をしてある問題の処理ができて、その人は非常に不満ながら始末書を書いて、一つ事件が済んだことになっているものでございまして、そのふんまんやる方ないことを、この間私のところに訴えに見えられました。これも反対側の人の意見を聞かなければいけませんが、私察するところ、男子の上級者と、婦人の下に使われている人との、その封建性というものが、いろいろと摩擦を起こしているということも、よくお気にとめてもらって、そういうことのないように、ひとつ明るい職場の建設に、御考慮、御指導願いたいと思います。  以上であります。
  116. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にとどめます。  次回は、三月六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    牛後零時五十九分散会