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1962-02-27 第40回国会 参議院 法務委員会 第7号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年二月二十七日(火曜日) 午前十一時二分開会
——————————
委員
の
異動
二月十四日
委員鍋島直紹君及び加賀山
之雄君
辞任
につき、その
補欠
として林
田正治
君及び
大谷瑩潤君
を
議長
におい て指名した。 二月二十四日
委員増原恵吉
君
辞任
につ き、その
補欠
として
西田信一
君を
議長
において指名した。 本日
委員大和与一
君
辞任
につき、その
補欠
として
山口重彦
君を
議長
において 指名した。
——————————
出席者
は左の通り。
委員長
松野
孝一
君 理 事 井川 伊平君 亀田 得治君 委 員 大川 光三君 野上 進君
高田なほ子
君 赤松 常子君 辻
武壽
君
大谷
瑩潤君
国務大臣
法 務 大 臣
植木庚
子郎君
政府委員
内閣官房長官
大平 正芳君
法務大臣官房経
理部長
新谷 正夫君
法務省民事局
長
平賀
健太
君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
——————————
本日の会議に付した案件 ○
民法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
送付
、
予備審査
) ○
建物
の
区分所有等
に関する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
臨時司法制度調査会設置法案
(
内閣
送付
、
予備審査
) ○検察及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
(
昭和
三十七年度
法務省関係予算
に 関する件) (
昭和
三十七年度
裁判所関係予算
に 関する件)
——————————
松野孝一
1
○
委員長
(
松野孝一
君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。 この際、
委員
の
異動
について御報告申し上げます。 二月十四日
付鍋島直紹君辞任
、
林田正治
君
選任
、
加賀山
之雄君
辞任
、
大谷瑩潤君選任
、二月二十四日
付増原恵吉
君
辞任
、
西田信一
君
選任
、二月二十七日
大和与一
君
辞任
、
山口重彦
君
選任
、以上であります。
——————————
松野孝一
2
○
委員長
(
松野孝一
君) 去る二月十四日当
委員会
に付託されました
民法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
植木法務大臣
より
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
植木庚子郎
3
○
国務大臣
(
植木庚
子郎君)
民法
の一部を
改正
する
法律案
について、
提案
の
理由
を
説明
申し上げます。
昭和
二十二年新
民法
が第一回国会で可決されました際、同法は将来できる限りすみやかに再
改正
をする必要があると認める旨の
附帯決議
がなされた
関係
もありまして、
法務省
におきましては、
昭和
二十九年以降
民法全般
の
改正
について
検討
を続けてきたのでありますが、
民法全般
の
改正
は、何分にも国民の身分上及び
財産
上の生活に重大な
関係
を持つ多くの根本問題を含んでおりますので、これらの根本問題にわたる
改正
については、今後なお引き続き
検討
を重ねる必要があるのでございます。しかしながら、
他方
、新
民法施行
後今日までの同
法運用
の実際にかんがみますと、右に申し述べましたような根本問題にわたらない
事項
で、
現行
の
規定
の
解釈
に
疑義
があって
実務
上不便を来たしているもの及びこれらにあわせてこの際
改正
をすることが望ましいと思われるものもありますので、今回は、これらの根本問題にわたらない
事項
のみについて
改正
を行なうため、この
法律案
を提出した次第であります。 次に、この
法律案
による
改正点
の骨子を申し上げますと、 第一、
危難失踪
の場合における
失踪期間
を一年に短縮し、かつ、
失踪者
が
死亡
したとみなす時期を
危難
の終わったときとしたこと。 第二、
死亡
した数人の
死亡
の先後が明らかでないときは、これらの者は同時に
死亡
したものと
推定
するものとしたこと。 第三、
養子
が十五歳
未満
の場合における
離縁
の
協議者
を明確にしたこと。 第四、
後見人
の
解任
の
請求権者
に
検察官
を加え、
家庭裁判所
の
職権
による
後見人
の
解任
を認めたこと。 第五、被
相続人
の孫以下の
直系卑属
は、すべて
代襲相続
によって
相続
するものとしたこと。 第六、
相続
の
限定承認
または
放棄
の
取り消し
は、
家庭裁判所
に
申述
して行なうものとしたこと。 第七、
相続
の
放棄
をした者は初めから
相続人
とならかったものとみなすものとしたこと。 第八、
相続人
の不
存在
の場合における
相続権
を主張すべき旨の
公告
の
最短期間
を六カ月に短縮したこと。 第九、
相続人
が
存在
しない場合には、
家庭裁判所
の裁量によって、被
相続人
と特別の
縁故
があった者に、
相続財産
の全部または一部を与える道を開いたこと。 第十、以上の
改正
に伴って、
家事審判法
及び
戸籍法
に
所要
の
整理
を加えたこと。であります。何とぞ
慎重審議
の上、すみやかに可決されますよう希望いたします。
松野孝一
4
○
委員長
(
松野孝一
君) 次に、
平賀民事局長
より
補足説明
を聴取いたします。
平賀健太
5
○
政府委員
(
平賀健太
君)
改正案
の
逐条
につきまして御
説明
申し上げます。 まず、第三十条の第二項の
改正
でありますが、
本条
は、
危難失踪
の場合の
失踪期間
を三年から一年に短縮するものであります。明治三十一年の
民法制定
当時に比較して、
交通
、
通信
が著しく発達した今日におきましては、
危難
に遭遇した者の消息が一年間もわからないときは、
死亡
の公算が大であると認めるのが相当であるからでございます。 次は、第三十一条の
改正
であります。
本条
は、
危難失踪
の場合に、
失踪者
が
死亡
したものとみなされる時期をなるべく実際の
死亡
の時期に近いものにするのが妥当でありますので、
危難
の終わったときから
一定
の
期間
が満了したときに
死亡
したものとみなすことを改めまして、
死亡
の危険のあった
危難
の終わったときに
死亡
したものとみなすことにいたすものであります。 次は、第三十二条ノ二の
規定
の
新設
であります。
同時死亡
の
推定
は条理上当然であるとも考えられますが、
現行法
には明文がありませんので、この点を
規定
上明確にしようとするものであります。なお、
同時死亡者相互
の間には
相続
が行なわれませんが、
代襲相続
が行なわれると解すべきことは当然でありますので、
現行法
第八群八十八条第一項で「
相続
の
開始
前」とあったのを、この
改正案
の第八百八十七条第二項におきましては「
相続
の
開始
以前」に改めて、その点を明確にいたしております。 次は、第八百十一条の
改正
でありますが、
養子
が十五才
未満
の場合における
離縁
の
協議者
につきまして、
現行法
第八百十一条第二項は「
養子
に代って
縁組
の
承諾
をする
権利
を有する者」と
規定
してありますが、この
規定
が明確を欠きますため、たとえば
養子
の実
父母
がともに
死亡
している場合、右の
協議者
として
特別代理人
を
選任
する
家庭裁判所
と
後見人
を
選任
する
家庭裁判所
とがあって、
取り扱い
が区々となっております。そこで、
本条
におきましては、
養子
が十五才
未満
の場合には、
養子
の
離縁
後にその
法定代理人
となるべき者が
離縁
の
協議者
となることを明らかにし、その
法定代理人
となるべき者が定まっていない場合、たとえば実
父母
が子の
縁組
後離婚しているときは、あらかじめ
父母
の
協議
でその一方を子が
離縁
した場合その
親権者
となるべき者と
定め
、また、実
父母
がともに
死亡
しているときは、
家庭裁判所
はあらかじめ
養子
が
離縁
した場合にその
後見人
となるべき者を
選任
することができるものとしようとするものであります。 次は、第八百十五条の
改正
でありますが、
本条
は、第八百十一条の
改正
に伴いまして
裁判離縁
の場合における「その
縁組
につき
承諾権
を有する者」という
現行法
の
規定
を
整理
するとともに、
養子
が原告となる場合も被告となる場合もひとしく含むという
趣旨
を明確にしようとするものであります。 次は、第八百四十五条の
改正
でございます。
本条
は、
家庭裁判所
における
後見監督
の
実情
にかんがみまして、旧
民法
の
親族会
による
後見人
の免職を
家庭裁判所
の
権限
に吸収し、
家庭裁判所
による
職権解任
の途を開くことによって、
後見監督
の実をあげようとするものであります。なお、
検察官
を
解任請求権者
に加えますのは、
親権
の喪失の宣告について
検察官
が
請求権者
となっていることとの均衡をはかるためであります。 次は、第八百八十七条の
改正
でありますが、
本条
は、
現行法
第八百八十七条及び第八百八十八条にかわるもので、次の三点を
内容
といたしております。 第一点は、被
相続人
の子が全部
死亡
して孫以下の
直系卑属
がある場合の
相続関係
について、
実務
上は、孫以下の
直系卑属
は、被
相続人
の子を代襲する
資格
で
相続
するものとして取り扱われていますが、
他方
、孫以下の
直系卑属
は、固有の
資格
で
相続人
となるという
解釈
も行なわれ、
疑義
を生じておりますので、これを解決しようとするものであります。すなわち、
本条
第一項で被
相続人
の子は
相続人
となるものとし、第二項で被
相続人
の孫が
代襲相続
によって
相続
する旨を明確にし、さらに第三項でその者の
直系卑属
がさらに代襲の代襲によって
相続
する旨を明確にいたしました。 第二点は、
現行法
第八百八十八条第二項の
規定
を削除して、
相続人
となるべき者が廃除、
欠格等
の事由によりその
相続権
を失った後、
相続開始
前に出生した子や
養子
となった者があれば、これらの者にも
代襲相続
を認めることといたしました。 第三点は、
本条
第二項にただし書を設け、代
襲相続人
は被
相続人
の
直系卑属
でなければならないという点を
規定
上明確にいたしました。 次は、第八百八十八条、第八百八十九条、第九百条、第九百一条の
改正
でございますが、これはただいま申しました八百八十七条の
改正
に伴う
字句
の
整理
であります。 次は、第九百十九条の
改正
でありますが、
本条
は、詐欺、強迫による
相続
の
限定承認
または
放棄
の
取り消し
の
意思表示
の
方法
について、
民法
には特別の
規定
がありませんが、
家庭裁判所
における
実務
上の
取り扱い
では、
相続
の
限定承認
または
放棄
の
申述
と同じく、その
取り消し
の
申述
をも
家庭裁判所
において受理する
取り扱い
をしておりますので、これを
家庭裁判所
の
法定権限
の中に加え、
取り消し
の
方法
を明確にしようとするものであります。 次は、第九百三十九条の
改正
でありますが、
本条
は、
相続放棄
の場合における
相続関係
について、
現行法
第九百三十九条第二項の
規定
の
解釈
が分かれ、
実務
上支障を来たしているので、
相続
の
放棄
をした者が
相続開始
当時にいなかったものとすれば
相続人
となるべき者に、
相続財産
の全部が帰属することとして、
相続放棄
の効果を明確にしようとするものであります。 次は、第九百五十八条の
改正
でありますが、
本条
は、
相続人
不
存在
の場合における
相続人捜索
のための
公告
の
最短期間
を一年から六カ月に短縮するものであります。
現行法
では
相続人捜索
のための
公告期間
は一年以上となっていますが、
交通
、
通信
の発達した今日では、この
期間
は長きに失し、
相続財産
の
管理
上不便でありますので、これを六カ月に短縮し、
相続人
不
存在
の場合は
相続財産
の
管理人
の
選任
の
公告
後
最小限度
十カ月を経過したときは、次の第九百五十八条の三に
規定
する
措置
をすることができるようにしようとするものであります。 次は、第九百五十八条の二の
規定
の
新設
であります。
相続人
不
存在
の場合、
現行法
第九百五十九条によりますと、
清算
後の
相続財産
は直ちに
国庫
に帰属し、
相続債権者
及び
受遺者
は、
国庫
に対してその
権利
を行なうことができないことになっておりますが、
相続財産
の
国庫帰属
の
直前
の
段階
におきまして次の第九百五十八条の三に
規定
する
措置
をすることができるようにしますため、
相続人
たる
権利
を
相続人捜索
のための
公告期間
内に主張しなかった
相続人管理人
に知れた者を除いて、右の
公告期間
内にその
権利
を申し出なかった
債権者
及び
受遺者
は、
公告期間
の満了後は、その
権利
を行なうことができないものとしようとするものであります。 次は、第九百五十八条の三の
規定
の
新設
でありますが、
相続人
不
存在
の場合、
現行法
では
清算
後の
相続財産
は直ちに
国庫
に帰属しますが、被
相続人
の内縁の妻など
相続人
に準じて考えてしかるべき者その他被
相続人
と特別の
縁故
があった者があることも少なくないと考えられるのであります。このような場合、
相続財産
は、
国庫帰属
に先だちましてこれらの者に分与することが
実情
に即しますので、
家庭裁判所
は、相当と認めた場合には、
相続財産
の
国庫帰属
の
直前
の
段階
におきまして、被
相続人
の
特別縁故者
に対して、
国庫
に帰属すべき
相続財産
の全部または一部を与えることができるようにしようとするものであります。 次は、第九百五十九条の
改正
でありますが、
本条
は第九百五十八条の二及び三の
規定
の
新設
に伴う
整理
であります。 次は、第九百九十四条の
改正
でありますが、
本条
は第三十二条の二の
規定
の
新設
に伴う
字句
の
整理
であります。 それから、第千四十四条の
改正
は、これも第八百八十七条の
規定
の
改正
に伴う
字句
の
整理
であります。 次に、
附則
でありますが、まず、
施行期日
を本年の七月一日からといたしましたのは、相当の
周知期間
を置く必要があるからであります。 次に、
経過規定
を設けておりますが、この
法律
による
改正
後の
民法
は、従前の
民法
によってすで生じた確定的な
効力
を害さない
範囲
で遡及的に適用しようとする
趣旨
であります。 次に、
家事審判法
の一部
改正
でありますが、これは
民法
第八百十一条及び第九百十九条の
改正並び
に第九百五十八条の三の
規定
の
新設
に伴います
家事審判法
第九条の
規定
の
整理
であります。 次は、
戸籍法
の一部
改正
でありますが、これは
民法
第三十一条の
改正
に伴う
戸籍法
第九十四条の
規定
の
整理
であります。
松野孝一
6
○
委員長
(
松野孝一
君) 以上で
説明
は終了いたしました。
本案
に対する質疑は後日に譲ることとし、
本案
の
審議
は本日はこの程度にとどめます。
——————————
松野孝一
7
○
委員長
(
松野孝一
君) 次に、去る二月十五日当
委員会
に付託されました
建物
の
区分所有等
に関する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
植木法務大臣
より
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
植木庚子郎
8
○
国務大臣
(
植木庚
子郎君)
建物
の
区分所有等
に関する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を
説明
いたします。 最近、
土地
の高度の利用の必要から、
都市
における
中高層建物
の増加は著しいものがありますが、これに伴いまして、
共同建築
や
アパート
の分譲の場合等に見られますように、これらの
建物
を区分して
所有
する事例が次第に増加する
傾向
にあり、この
傾向
は、
都市
の再開発に関する各種の施策、なかんずく
市街地改造法
や
防災建築街
区
造成法
の実施によって、今後ますます推進される機運にあるのであります。しかるに、
区分所有
に関する
民法
の
規定
は、はなはだ不備でありまして、
区分所有者相互
間の
法律関係
が不明確であり、また、
建物
の
共用部分
の
管理等
に対する配慮の欠けている点も少なくなく、
建物
の
区分所有
に関する法制を早急に整備する必要があるのであります。この
法律案
は、このような必要に対処するため、
建物
の
区分所有関係
及びこれと関連のある
事項
について
単行法
を制定し、あわせて
関係法律
に
所要
の
整理
を加えようとするものであります。 次に、この
法律案
の要点を申し上げますと、 第一に、
建物
の
区分所有
を認める
要件
として、
区分所有権
の
対象
となる
建物
の
部分
は、一むねの
建物
のうちの
構造
上区分された
部分
であって、独立して
住居
その他
建物
としての
用途
に供することのできるものに限ることを明らかにいたしました。 第二に、
区分所有者
の
全員
またはその一部が
共同
で
使用
する
廊下
、
階段室
など
区分所有権
の
目的
とならない
建物
の
部分
及び
機械室
、
集会室
など
区分所有軒
の
全員
またはその一部がその
合意
によって
共同
で利用すべきものと
定め
た
建物
の
部分
、すなわち
共用部分
は、
原則
として、
区分所有者
の
全員
またはその一部の
共有
に属することにいたしました。 第三に、
区分所有権
の
目的
たる
建物
の
部分
を収去する
権利
を有する者は、その
建物
の
部分
を
自己
に売り渡すべき旨の
請求
をすることができることにいたしました。 第四に、
共用部分
及び
建物
の
敷地
の
維持管理
に関し、
管理者
、
規約
及び
集会
に関する
規定
を設け、
共用部分
や
建物
の
敷地
の
維持管理
の
便宜
をはかることといたしました。 第五に、右に申し述べました
管理者
、
規約
及び
集会
に関する
規定
は、これを、一
団地
内の
建物所有者
がその
団地
内の
土地
または
施設
を
共有
している場合に準用することとし、これらの
土地
または
施設
の
維持管理
の
便宜
をはかることといたしました。 以上がこの
法律案
の主要な
内容
でありますが、この
法律案
は、なおそのほかに、
附則
において
所要
の
経過措置
を
定め
るとともに、
民法
、
不動産登記法
その他の
関係法律
に
所要
の
改正
を加えることといたしております。 以上がこの
法律案
の概要であります。何とぞ
慎重審議
の上、すみやかに可決されますよう希望いたします。
松野孝一
9
○
委員長
(
松野孝一
君) 次に、
平賀民事局長
より
逐条説明
を聴取いたします。
平賀健太
10
○
政府委員
(
平賀健太
君) この
法律案
の第一
条は
、
建物
の
区分所有
を認める
要件
を
規定
いたしたものであります。
区分所有権
の
対象
となし得る
建物
の
部分
がいかなる
部分
かにつきましては、
民法
に
規定
がありませんが、
仕切り壁等
によって区分された
建物
の
部分
で、独立して
住居
、店舗、
事務室
、
倉庫等建物
としての
用途
に利用し得るものでなければならないことは、判例、学説上異論がございませんので、このことを
規定
上明確にいたしました。 第二
条は
、用語の定義を掲げたものであります。
区分所有権
とは、第一条の
要件
を備えた
建物
の
部分
、たとえば
アパート
の各室、ただし
規約
で
共用部分
と
定め
た
集会室等
を除くのでありますが、この
建物
の
部分
を
目的
とする
所有権
をいうことにいたしております。
区分所有者
とは、
区分所有権
を有する者であります。
専有部分
とは、
区分所有権
の
目的
である
建物
の
部分
であります。
共用部分
とは、次の三種のものを含むのであります。その一つとしまして、
専有部分
以外の
建物
の
部分
、すなわち
区分所有権
の
目的
でない
建物
の
部分
、たとえば、
共用
の
廊下
であるとか、
階段室
、あるいは
規約
で
共用部分
と
定め
た
集会室等
がそうであります。第二として、
建物
の
附属物
、たとえば、電気、ガス、水道の配線、
配管設備等
でありまして、
専有部分
に属しないものであります。第三として、
附属
の
建物
、たとえば、
共同
の
物置
であるとか、
浴場等
でありまして、
規約
において
共用部分
と
定め
たものであります。 次は、第三条でありますが、
本条
は、
共用部分
となるものの
範囲
に関しまして、次の二点を
規定
したものであります。 第一に、
構造
上
区分所有者
の
全員
またはその一部の
共用
に供されるべき
建物
の
部分
、たとえば、
区分所有者
が
共同
で利用するように作られている
廊下
、
階段室
、
エレベーター室
、
屋上等
は、
共用部分
として特別の規制をする必要がありますので、
区分所有権
の
目的
にならないことを明らかにいたしました。その結果、このような
建物
の
部分
は、常に
共用部分
となるわけであります。 第二に、
区分所有権
の
目的
となる
建物
の
部分
または
附属
の
建物
でありましても、これを
共同
の
集会室
、
機械室
、
物置等
に利用する場合には、
規約
によって
共用部分
とすることができるものといたしました。 次は、第四条でありますが、
共用部分
の
所有関係
について
規定
したものであります。
共用部分
は、数個の
専有部分
に従属し、これと不可分の
関係
にありますので、
区分所有者
の
共有
とするのが適当であります。よって、一部の
区分所有者
のみの
共用
に供されるべきことが明らかな
共用部分
はそれらの
区分所有者
の
共有
とし、その他の
共用部分
は
区分所有者全員
の
共有
と
定め
ました。しかし、
共用部分
を
特定
の
区分所有者
または第三者に
管理
させる場合に、課税その他の
対外的関係
におきましてその者を
共用部分
の
所有者
とするほうが便利である場合もあり、これを禁ずべき
理由
もありませんので、
規約
によりまして、
特定
の
区分所有者
または
管理者
を
共用部分
の
所有者
とすることも認めることにいたしました。なお、
共用部分
の
所有関係
が以上のように
法律
の
規定
または
規約
によって定まることになりますと、その
規約
の
定め
は
区分所有者
の
特定承継人
に対しても
効力
を生じます
関係
上、
登記
によってその
所有関係
を公示する必要がなくなりますので、
共用部分
に関する物権の変動につきましては、
登記
を要しないことにいたしました。 次は第五条でありますが、
本条
は、
区分所有者相互
間の基本的な
権利義務
について
規定
したものであります。
区分所有者
は、
建物
を良好な状態に維持することについて
共同
の利益を有しているので、故意に
建物
を毀損したり、他の
区分所有者
の
共用部分
の
使用
を妨害したりすることは許されないのであります。第一項は、この
義務
を
規定
したもので、
違反者
に対しては差しとめ
請求
、
損害賠償請求等
ができることになります。
区分所有者
が
自己
の
専有部分
または
共用部分
の保存、
改良工事
を行なうにあたっては、他の
区分所有者
の
専有部分
や
自己
の
所有
に属しない
共用部分
の
使用
、たとえば
立ち入り等
が必要となる場合がありますので、必要な
範囲
においてその
使用
を
請求
する
権利
を認めますとともに、その
使用
によって生じた
損害
は賠償すべき
義務
のあることを明らかにいたしました。 次は第六条でありますが、
本条
は、
共用部分等
に関する
区分所有者
間の
債権
につきまして、
先取特権
を認めたものであります。
共用部分
または
建物
の
敷地
につきましては、
管理費用
の立てかえ等によって
区分所有者
間に
債権
の生ずる
可能性
が多いのでありますが、この種の
債権
は、その
発生原因
及び
内容
から見て、特に保護する必要がありますので、
本条
の
先取特権
によって担保されることとしたのであります。 次は第七条でありますが、
本条
は、
専有部分
の収去
請求権者
のために
区分所有権
の
売り渡し請求権
を認めたものであります。
区分所有者
が
敷地
に関する
権利
を有しない場合、たとえば、
土地所有者
と
借地人
が同一の
建物
の各一部を
所有
している場合において、
借地人
の
借地権
が消滅したときには、その
区分所有者
の有する
専有部分
は収去しなければならないことになりますが、
建物
の一
部分
のみの収去は、多くの場合実行不可能でありますので、
専有部分
の収去を
請求
する
権利
を有する者は、収去の
請求
にかえて、その
専有部分
を
目的
とする
区分所有権
を
自己
に売り渡すように
請求
することもできるものといたしました。 次は、第八条であります。
本条
は、
共用部分
の
共有
につきましては、
共用部分
の
特殊性
にかんがみ、
民法
の
共有
に関する
規定
を適用せず、第九条から第十五条までの
規定
を適用すること、及び
一定
の
事項
につきましては
規約
で別段の
定め
をすることができる旨を
規定
したものであります。 次は第九条であります。
本条
は、
共用部分
に対する
共有者
の
使用権
を
規定
したものであります。
民法
は、各
共有者
は
共有物
についてその
持分
に応じた
使用
をすることができる旨を
規定
しておりますが、この
規定
は、
共用部分
の
使用
については適当でないので、
共用部分
の各
共有者
は、
用方
に従って
共用部分
を
使用
することができることにいたしました。 次は第七条でありますが、
本条
は、各
共有者
の
持分
の
割合
を
定め
たものであります。
民法
によれば、「各
共有者
ノ
持分八相均シキモノト推定ス
」ということになっておりますが、
共有部分
に対する
共有持分
の
割合
を均分とすることは
実情
に適しません。また、各自の
専有部分
の
価格
の
割合
によるとすることは、比較的妥当でありますが、
価格
の
算定
が困難であります。そこで、
価格制
に近く、かつ、
算定
の比較的容易な
床面積
の
割合
によることにいたしました。もっとも、各
共有者
が
合意
の上、
規約
でこれと異る
共有部分
の
割合
を
定め
たときは、それによることになるわけであります。 次は第十一条であります。
本条
は、
共用部分
に対する
共有部分
と
区分所有権
の
目的
たる
専有部分
との
関係
について
規定
したものであります。
共用部分
に対する
共有持分
は
専有部分
と不可分の
関係
にありますので、その処分においても、
専有部分
とともに処分され、
専有部分
と分離して処分するようなことは
原則
として許されないことを明らかにいたしました。たとえば、
専有部分
に
抵当権
を設定すれば、その
抵当権
の
効力
は、
共用部分
につきその
専有部分
の
所有者
が有している
共有持分
にも及ぶ。また、
共用部分
に対する
共有持分
のみを他人に譲渡することは
原則
として許されないということになるわけであります。 次は第十二条であります。
本条
は、
共用部分
の変更について
規定
したものであります。 第一に、
民法
によりますと、
共有物
の変更は常に
共有者
全員
の同意を要することになっておりますが、
共用部分
についてはこれを緩和する必要がありますので、多額の費用を要しない改良行為をする場合、たとえば、
共同
の
廊下
の一部を低額の費用で
共同
の
物置
に改造するような場合には、
共有者
の
持分
の四分の三以上の
合意
によってこれをすることができることにいたしました。 第二に、
共用部分
の変更が
特定
の
区分所有者
の
専有部分
の
使用
に特別の影響を及ぼす場合、たとえば、
共用部分
の変更によってある
専有部分
の出入りが不自由となったり、または採光、通風が悪くなるというような場合には、その者の
承諾
を要することにいたしました。 なお、
本条
に
規定
する
事項
につきましては、
規約
で別段の
定め
をすることもできることにいたしております。 次は第十三条であります。
本条
は、
共用部分
の
管理
について
規定
したものでありますが、第一項は、
民法
第二百五十二条と全く同
趣旨
であります。第二項は、前条の第二項と同
趣旨
であります。また、第三項は、
損害
保険契約、火災保険契約などでありますが、こういう契約を締結しますことが
管理
に関する
事項
に含まれるかどうか疑問がありますので、それが含まれる旨を明らかにいたしました。 なお、
本条
に
規定
する
事項
につきましても、
規約
で別段の
定め
をすることができるわけであります。 次は第十四条であります。
本条
は、
共用部分
の負担及び収益の配分について
規定
したものであります。
原則
として、
持分
の
割合
によることにいたしております。 次は第十五条であります。
本条
は、
共用部分
に関する
債権
について、
民法
第二五四条と全く同
趣旨
を
規定
したものであります。 次は第十六条であります。
本条
は、
規約
で
共用部分
の
所有者
と
定め
られた
区分所有者
の
権利義務
を
規定
したものであります。
規約
で
特定
の
区分所有者
を
共用部分
の
所有者
と
定め
ますのは、その者に
共用部分
を
管理
させる
趣旨
でありますから、その
区分所有者
は
共用部分
を
管理
する
義務
があると同時に、その
管理
に要する費用を
請求
することができる旨を
定め
。なお、その
区分所有者
が
共用部分
についていかなる
範囲
の行為をなし得るかをも明確にいたしました。 次は第十七条であります。
本条
は、
管理者
の
選任
及び
解任
の
方法
を
規定
したものであります。
管理者
を置くかどうかはもとより
区分所有者
の自由でありますが、これを置く場合に
区分所有者全員
の
合意
を要することとするのは不便でありますから、
管理者
の
選任
及び
解任
は、
規約
に別段の
定め
がない限り、
区分所有者
の
集会
の決議によってすることとし、なお、特別の
理由
がある場合には、
裁判
による
解任
もすることができることにいたしました。 次は第十八条であります。
本条
は、
管理者
の職務
権限
について
規定
したものであります。すなわち、
管理者
は、
共用部分
の保存行為及びその変更または
管理
の実行行為並びに
集会
の決議の実行行為のほか、
規約
で
定め
た行為をするものとし、外部に対する
関係
では
区分所有者
を代理する
権限
を有するものといたしました。 次は第十九条であります。
本条
は、
管理者
の
区分所有者
に対する事務報告
義務
を
規定
したものであります。 次は第二十条であります。
本条
は、
管理者
が
共用部分
の
所有者
となり得ること及びその場合の
権利義務
について
規定
したものであります。
管理者
が
共用部分
の
所有者
となることは、
管理者
がその事務を処理する上において好都合である場合が少くないのであります。たとえば、ビル・マネージの会社が
管理者
となる場合などあります。そこで、
規約
で特に
定め
ました場合には、
管理者
が
共用部分
の
所有者
となることを認めることにし、この場合の
管理者
と
区分所有者
との
関係
について必要な
事項
(
共用部分
の
管理
義務
等)を
規定
いたしました。 次は第二十一条であります。
本条
は、
管理者
が
共用部分
または
建物
の
敷地
につきまして、
区分所有者
に対して有する
管理費用
等の
債権
のために、
先取特権
を認めたものであります。 次は第二十二条であります。
本条
は、
管理者
の
権利義務
につきまして、この
法律
及び
規約
で
定め
る以外の
事項
につきましては、
民法
等の委任に関する
規定
を準用することを
定め
たものであります。したがって、たとえば、
管理者
は、その事務を処理するに当って、善良な
管理者
の注意
義務
を負い、また
区分所有者
は、
管理者
に必要な費用の前払をしなければならないことになるわけであります。 次は第二十三条であります。
本条
は、
規約
で
定め
ることのできる
事項
を
規定
したものであります。
建物
、その
敷地
、
附属
施設
の
管理
、
使用
等につきましては、現在でもいわゆる
管理
規約
を
定め
ている例が多いのでありますが、単なる
債権
契約にすぎないため
管理
上支障がありますので、これを
法律
上の制度として認め、必要な
規定
を設けることにいたしました。
本条
は、この
規約
の
内容
として
定め
ることができる
事項
を
定め
たものでありますが、
本条
に列挙した
事項
のほか、他の条文により
規約
で
定め
ることを認められている
事項
もあるわけであります。 次は第二十四条であります。
本条
は、
規約
の
定め
方を
規定
したものであります。書面によることとしているのは、
規約
の
内容
を明確にさせるとともに、
規約
の保管や閲覧の
関係
を考慮したためであります。 次は第二十五条であります。
本条
は、
規約
の
効力
について
規定
したものであります。
規約
で
定め
た
事項
は、
区分所有者全員
を拘束するのみならず、
区分所有者
が変更した場合に、従来の
区分所有者
の
特定承継人
をも拘束する
効力
を有しなければ意味がありませんので、
規約
がこのような
効力
を有する旨を
定め
たものであります。 次は第二十六条であります。
本条
は、
規約
の保管及び閲覧について
規定
したものであります。
規約
は
区分所有者
の
特定承継人
に対しても
効力
を生じますので、売買その他によって
区分所有権
を取得しようとする者や
区分所有権
に
抵当権
の設定を受けようとする者なども、
規約
の
内容
を知り得るようにしておく必要がありますので、そこで、
規約
を保管すべき者を
定め
るとともに、その保管者は利害
関係
人に
規約
を閲覧させる
義務
があることにいたしました。なお、保管者が正当な
理由
がないのに
規約
の閲覧を拒みますと第三十七条によって過料に処せられることになります。 次は第二十七条であります。
本条
は、
集会
の招集権者を
定め
たものであります。
管理者
の
選任
、
解任
には
集会
の決議が必要であり、また、
規約
で
特定
の
事項
については
集会
の決議を要する旨を
定め
ておくことも考えられるのであります。そこで、
本条
以下に
区分所有者
の
集会
に関する
規定
を設けることとし、
本条
でまず
集会
の招集をなし得る者を
定め
ます。 次は第二十八条であります。
本条
は、
集会
招集の手続に関する
原則
的な
事項
を
規定
したものであります。 次は第二十九条であります。
本条
は、あらかじめ通知しなかった
事項
につきましては、
規約
に別段の
定め
がない限り、
集会
の決議をすることができない旨を
規定
したものであります。 第三十
条は
、
区分所有者
の議決権について
規定
したものであります。
規約
に別段の
定め
がない限りは、各
区分所有者
の
専有部分
の
床面積
の
割合
によるという
趣旨
であります。 第三十一
条は
、
集会
の決議の
方法
を
定め
たものであります。 第一項は、
規約
に別段の
定め
がない限り、
区分所有者
の人数とその議決権とのそれぞれの過半数によって決議が成立するという
趣旨
であります。 第二項は、議決権行使の
方法
について
規定
したものであります。 第三十二
条は
、
集会
の
議長
となる者を
規定
したものであります。 第三十三
条は
、議事録について
規定
したものであります。 第三十四
条は
、
区分所有者全員
の書面による
合意
に、
集会
の決議と同一の
効力
を認めたものであります。
区分所有者
が少数であります場合には、書面で
合意
をするほうが簡単で便利なことも少くないと思われるからであります。 第三十五
条は
、
建物
の一部が滅失した場合について
規定
したものであります。
区分所有
の
建物
の一部が滅失した場合につきましては、現在では何も
規定
がありませんので、各
区分所有者
がいかなる
権利義務
を有するか明らかでありませんので、この点を明確にしようとしたものであります。すなわち、
建物
の
価格
の二分の一以下に相当する
建物
の一部が滅失した場合には、従来の
権利
関係
を維持して
建物
を存続させるのが適当でありますので、各
区分所有者
に必要な
範囲
の復旧権を与え、また、
建物
の
価格
の二分の一をこえる
部分
が滅失した場合には、
建物
を従前の姿に復旧させるかどうかを
区分所有者全員
に
協議
させることとし、
協議
不成立のときは、離脱を欲する者のために
建物
及びその
敷地
につきその者が有していた
権利
の買取
請求
権を認めることにいたしました。 第三十六条、いわゆる
団地
内にあります
共有
の
土地
や
附属
施設
、たとえば
集会
場などの
管理
の
便宜
をはかるため、上述した
管理者
、
規約
及び
集会
に関する
規定
を
団地
についても準用しようとする
趣旨
であります。 第三十七
条は
、
規約
等の保管者がその閲覧を拒んだ場合の過料の制裁を
定め
たものであります。 次に
附則
でありますが、 第一
条は
、
施行期日
を
定め
た
規定
であります。この
法律
は、あらかじめその
内容
を国民に十分周知させますとともに、施行前に
管理者
を
選任
し、
規約
を制定し、あるいはそのための
集会
を開く等の準備をする余裕をも与えておくことが望ましいのであります。そこで、
施行期日
は、
昭和
三十八年四月一日とするとともに、その期日前でも、必要な準備行為はできることにいたしました。 第二
条は
、この
法律
の施行に伴う
経過措置
を
定め
たものであります。第一項及び第二項は、この
法律
の施行前から存する
区分所有
の
建物
の
共用部分
が
区分所有者
の単独
所有
または
共有
に属します場合には、その
所有関係
をこの
法律
施行後もそのまま存続させるように
措置
したものであります。また、第三項は、
区分所有者
でない者がその
建物
の
共用部分
を
所有
していた場合において、この
法律
の施行によりその
所有権
を失うことがありますので、その場合の損失の補償を受け得ることを
定め
たものであります。 第三
条は
、この
法律
の制定に伴って
民法
中不要となりました
規定
を
整理
することといたしたものであります。 第四
条は
、この
法律
の制定に伴いまして、
区分所有
の
建物
に関する
登記
手続を整備するために、
不動産登記法
に
所要
の
改正
を加えたものであります。その
内容
は次のとおりであります。 まず目次の
改正
、これは第九十九条ノ二から第九十九条ノ四までの
規定
を
新設
したことに伴う
整理
であります。 第十五条の
改正
、これは
区分所有権
の
目的
たる
建物
を
特定
し、その
権利
関係
を明らかにするためには、各
区分所有
建物
をそれぞれ別個の
登記
用紙に
登記
することなく、一むねの
建物
に属するものの全部を同一
登記
用紙に
登記
することが適当でありますので、その旨を
規定
したものであります。 第十六条ノ二の
新設
、第十五条の
改正
によりまして、
区分所有
建物
におきましては、一むねの
建物
に属するものの全部について一
登記
用紙を備えるのでありますが、その一
登記
用紙中には、表題部、甲区及び乙区を各
区分所有
建物
ごとに区別して設けることを明らかにしたものであります。 第三十六条の
改正
、
登記
すべき
建物
または付属
建物
が
区分所有
建物
であるときには、その
区分所有
建物
の属する一むねの
建物
の全体の状況を
登記
する必要がありますので、その
登記
の申請書にその全体を表示することとすると同時に、各個の
区分所有
建物
につきましては、その所在の
土地
を表示する必要がありませんのでこれを申請書に記載することを要しないものとしたものであります。 第九十一条の
改正
は、
本条
第二項の追加は、
区分所有
建物
の表示の
登記
におきましては、その状況を明確にするため、その属する一むねの
建物
の表示をもすることとすると同時に、各個の
区分所有
建物
の所在の
土地
を表示することを要しないものとしたのであります。
本条
第三項の追加は、
区分所有
建物
の属する一むねの
建物
の
共用部分
につきましては、
区分所有
の
建物
等に関する
法律
第四条第三項の
規定
により
民法
第百七十七条の
規定
の適用がないこととされたのに伴いまして、その表示の
登記
をしないこととしたものであります。ただし、同法第四条第二項の帆走によって
規約
により
共用部分
とされたものにつきましては、
所有者
の表示を除いて、その表示の
登記
を存置することが適当でありますので、このことを
規定
したものであります。 第九十三条ノ二の
改正
、
区分所有
建物
の
登記
につきましては、その属する一むねの
建物
の表示
事項
の変更の場合にも、その表示の変更の
登記
を申請すべきことを
規定
しますとともに、
共用部分
たる旨の
登記
をした
建物
の表示の変更の
登記
につきましては、
共用部分
たる旨の
登記
をする前に変更が生じ、その
登記
の未了のときには、その
登記
をした日から一カ月内にその表示の変更の
登記
を申請すべきものとし、また表題部に
所有者
が表示されず、また
所有権
の
登記
もされませんので、実体上の
所有者
に申請
義務
があるものとすると同時に、その
所有者
の変更の場合の申請
義務
についても
規定
したものであります。 第九十三条ノ三の
改正
、
共用部分
たる旨の
登記
のある
建物
の分割または区分の
登記
の申請適格者を
規定
したものであります。 第九十三条ノ五の
改正
、
区分所有
建物
の
登記
におきましては、その属する一むねの
建物
が表示されますので、その表示の更正の
登記
の手続を
規定
したものであります。 第九十三条ノ六の
改正
、
共用部分
たる旨の
登記
のある
建物
の滅失の
登記
の申請
義務
者を
規定
したものであります。 第九十三条ノ七の
改正
、
区分所有
建物
の属する一むねの
建物
の表示の変更の
登記
手続を
規定
したものであります。 第九十四条の
改正
、
建物
の区分の
登記
手続を次条において
規定
することとしたのに伴い
規定
を
整理
をしたものであります。 第九十四条ノ二の
新設
、
建物
の区分の
登記
手続を
規定
したものであります。 第九十五条の
改正
、甲
建物
を区分してこれを他の
建物
またはその
附属
建物
に合併する
登記
の手続を
規定
したものであります。なお、
附属
建物
の区分の場合には、
附属
建物
を一たん主たる
建物
から分割した上で区分の
登記
をするのが適当でありますので、
附属
建物
の区分の
登記
を廃止したのであります。 第九十六条の
改正
、
附属
建物
の区分の
登記
を認めないこととしたのに伴う
整理
であります。 第九十六条ノ二の
新設
、
建物
の区分の
登記
をする場合の
所有権
その他の
権利
に関する
登記
の移記手続を
規定
したものであります。 第九一八条の
改正
、
区分所有
建物
の合併の
登記
手続を
規定
したものであります。 第九十九条の
改正
、
区分所有
建物
の滅失の
登記
手続を
整理
したものであります。 第九十九条ノ二の
新設
、
区分所有権
の
目的
でない
建物
が
区分所有
建物
となった場合及び
区分所有
建物
が
区分所有権
の
目的
でない
建物
となった場合の
登記
用紙の改記の手続を
規定
したものであります。 第九十九条ノ三の
新設
、
建物
の
区分所有等
に関する
法律
第三条第二項の
規定
により
規約
で
共用部分
とした場合のその旨の
登記
手続を
規定
したものであります。 第九十九条ノ四の
新設
、
共用部分
たる旨を
定め
た
規約
を廃止した場合の
登記
手続を
規定
したものであります。 第五条これは従前の
区分所有
建物
の
登記
用紙を
法務省
令の
定め
るところにより
改正
後の
不動産登記法
による
登記
用紙に改製することとし、かつ、いわゆる
登記
簿と台帳の一元化の完了していない
登記
所における
区分所有
建物
の
登記
手続等を
定め
る
所要
の特則その他の
経過措置
を
法務省
令で
定め
ることとしたものであります。 第六
条は
、
附則
第四条による
不動産登記法
の
改正
に伴う地方税法中固定資産税に関する
規定
を
整理
したものであります。 第七
条は
、この
法律
の制定に従い、
市街地改造法
に
所要
の
改正
を加えたものであります。すなわち、同法による
管理
処分計画において
定め
た
施設
建築物の
共用部分
並びに
共用部分
の
共有者
及びその
共有持分
は、この
法律
による
規約
で
定め
たものとみなして、この
法律
との調和をはかったものであります。 以上のとおりであります。
松野孝一
11
○
委員長
(
松野孝一
君) 以上で
説明
は終了いたしました。
本案
に関する質疑は後日に譲ることとし、
本案
については本日はこの程度にとどめます。
——————————
松野孝一
12
○
委員長
(
松野孝一
君) 次に、
臨時司法制度調査会設置法案
を
議題
といたします。
本案
は、去る二月二十三日当
委員会
に付託されましたので、本日は
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
本案
については、大平
内閣官房長官
が出席しておられます。
大平正芳
13
○
政府委員
(大平正芳君) ただいま
議題
となりました
臨時司法制度調査会設置法案
について、その
提案
の
理由
及び概要を御
説明
いたします。 近時、訴訟事件の数がとみに増加し、その
内容
もきわめて複雑となってきたことに伴い、
裁判
官等の格段の努力にもかかわらず、訴訟遅延の現象はようやく著しく、今や看過することができない状態にまで立ち至っているのであります。しかるに、
裁判
官を志望する者の数は近時漸減の
傾向
にあり、必要
最小限度
の
裁判
官の数の確保すら困難な
実情
にあるのであります。したがって、このような状態を放置するにおいては、訴訟遅延の解消は望むべくもなく、わが国の司法制度は、この面において、きわめて憂慮すべき状態にあると言っても過言ではないのであります。そこで、かかる事態を打開するためには、その根本的な問題である
裁判
官の任用制度、給与制度等に徹底的な再
検討
を加え、抜本的な対策を早急に樹立することが焦眉の急務であると考えられるのであります。 政府は、数年来、この問題に関し、種々の
検討
を続けてきたのでありますが、事は司法制度の根本にかかわる問題であり、ひいては国政の基本に関する問題でもあることにかんがみ、その対策の樹立にあたっては、まず各界の英智を集めてこの問題の
検討
に万全を期する必要があると考えますので、この際、臨時に、
内閣
に、そのための
調査
審議
機関として臨時司法制度
調査
会を設置しようとするものであります。この
法律案
は、右の
調査
会の設置に必要な
事項
を
定め
ているものでありまして、以下その要点を申し上げます。臨時司法制度
調査
会は、司法制度の運営の適正を確保するため、主として、
裁判
官の任用制度及び給与制度、これと密接不可分の
関係
にある
検察官
の任用制度及び給与制度並びに法曹一元の制度に関する緊急に必要な基本的かつ総合的な施策について
調査
審議
することを
目的
とするものであります。その
委員
には、国会議員、
裁判
官、
検察官
、弁護士及び学識経験のある者合計二十人以内を任命することとし、必要に応じて専門
委員
を置くことができることとするとともに、
調査
会の事務を処理させるため、
調査
会に事務局を置くこととしております。なお、この
調査
会の設置の
趣旨
にかんがみ、この
法律
は、施行の日から二年を経過した日にその
効力
を失うこととしております。 以上が、
臨時司法制度調査会設置法案
の
提案
の
理由
及びその概要であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。
松野孝一
14
○
委員長
(
松野孝一
君) 以上で
説明
は終了いたしました。
本案
の質疑も後日に譲ることとし、本日はこの程度にとどめます。
——————————
松野孝一
15
○
委員長
(
松野孝一
君) 検察及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
中、
昭和
三十七年度
法務省関係予算
に関する件及び
昭和
三十七年度
裁判所関係予算
に関する件を
議題
といたします。 去る二月八日に引き続き、質疑を続行いたします。本件については、出席中の当局側は、新谷
法務省
経
理部長
、
平賀
法務省民事局
長であります。 御質疑のおありの方は順次御発言下さい。
高田なほ子
16
○
高田なほ子
君 まず、経理局長にお尋ねいたします。
法務省
の三十七年度の予算は三百六十九億六千九百八万余、前年度に比べまして三十七億ほどの予算の増加になっておるようですが、これは国全体の予算に比べますとどういう比率になっておりましょうか。全予算の何%に
法務省
全体の予算はなっているか、前年度に比べてそのパーセンテージはどういうふうに変わっておるのか、この点について。
新谷正夫
17
○
政府委員
(新谷正夫君)
法務省
全般の予算についての御質問でございます。ただいまお話のありましたように、来年度の
法務省
所管の予算全体を前年度に比較いたしますと、三十七億八千二百三十万円余りの増額になっておるわけであります。これを少しくこまかく分析して申し上げますと、前年度の人件費、物件費、
施設
費、そういったごく大きな分類に基づきまして比較増減の状況を申し上げます。
高田なほ子
18
○
高田なほ子
君 ちょっとお待ち下さい。私の質問の要旨は、この間
説明
をされたのは、
法務省
の三十七年度の予算は三百六十九億六千九百八万七千円、前年度の予算に比較すると三十七億八下二百三十万六千円の増額をみている、こういうふうに
説明
なされているのであります。そこで私の聞きたいのは、国全体の予算は二兆四千二百六十八億、前年度に比べると国全体の予算は四千七百四十億の増額をみています。国全体の予算は、前年度の予算に比べると約二四%と大きくふくれ上がっているわけですね。こういう中で、この
法務省
の予算というのは、国全体の予算の中でどういうパーセンテージを占めているのか。たとえば文教予算にしても、国全体の予算の約一一%を占めているわけですね。文教予算の場合、前年度に比べると約一%ばかり減少しているわけなんです。だから、
法務省
の予算も国全体の予算の中で何%を、占めているのか、そのパーセンテージは前年度のパーセンテージに比べるとどういう増減の数字を示しているのか、こういう私の質問です。こまかいところはけっこうです。
新谷正夫
19
○
政府委員
(新谷正夫君) 三十六年度に比べますと、
法務省
全体の予算の増加率は二・二七%の増加になっております。国全体の予算との比較はどうかという御質問でございますが、ただいまもお話のございました全体の予算との比率計算になろうかと思います。こまかい計算は今いたしておりませんですが、
法務省
だけの予算の伸びを申し上げますならば、ただいま申し上げました一一%余りの増額になっております。
高田なほ子
20
○
高田なほ子
君 これは大切な数字ですから、国全体の予算の中にどのくらいのパーセンテージを占めているのかということ、それは三十六年度に比べると国全体の予算の中で何%の増減か。
法務省
全体の予算では多少ふえているから、それは一一%ふえたという答弁でいいと思うんです。しかし、国全体の予算の中で
法務省
の予算というのは何になっているのか、三十六年度に比べて三十七年度はどのくらい一体国全体の予算の中でふえているのか、こういう数字を聞きたかったわけですが、後刻これはお調べをいただいてお知らせいただきたいと思います。 総括的に
法務省
の予算を申し上げると、一一%の増加とは言うけれども、仕事の割りに予算があまりふえておらない。まあ国の予算は、パーセンテージを出すとよくわかるのですけれども、本年度ーー三十七年度の自然増というものは非常に膨大なものです。専売益金から前年度の繰り越しから合わせると約五千七百九十七億という膨大な自然増がある。そういう自然増があるにかかわらず、
法務省
の予算というのはほとんど伸びがない。自然に給与ベースの改定等に使われる予算とか、若干の人員増とかいう予算で、目新しい予算というものがないので、これは経
理部長
にお尋ねしても、数字のことだけですから、こういう政策面に触れることは若干無理だろうと思いますけれども、非常に伸びが少ない。この点をいかにも私は残念に思うわけです。 そこで、事務的なことをお聞きいたしますが、本年度の
法務省
の予算の約三十七億という増は、補正後の予算額との比較では三十一億四千二百七十二万という数字をあげておりますが、ほとんど人件費にこれが使われているようです。補正後の予算額との比較は三十一億ですけれども、その増額の中で二十九億というものが人件費に使われている。人件費も大切でありますけれども、重要な法務行政、司法行政の中で、一般事務費というものはわずかばかりの増額をみたということだけで、たいへんこの点遺憾に考えるわけです。なかんずく、一般事務費の中で
登記
所
関係
の渡し切り費の問題であります。これは、先般大臣が予算
説明
をなさった際に、この渡し切り費は、従来九千円だったのを一万三千円に上げて、そのために四百八十一万の予算が必要であったと述べておられます。この
措置
は必ずしも不当なものだとは考えませんけれども、一体、民事局長にお尋ねいたしますけれども、渡し切り費の増額について人事院の勧告というものがなぜ完全に三十七年度に実施されなかったのか、この点をお尋ねいたします。
平賀健太
21
○
政府委員
(
平賀健太
君) ただいま仰せのとおり、人事院の判定しました単価が一万七千三百一円という数字が出ておるのでありまして、私どもも、これを資料にいたしまして、大蔵省と折衝いたしましたのでございます。ただ、この人事院の判定も、これは全
登記
所を
調査
した結果ではなくて、一部の
登記
所をサンプル的に
調査
した結果でございまして、この数字が必ずしも絶対とは言えないという事情もあります。それからまた、国全体の予算の事情ということもございまして、私どもとしましては極力努力をいたしたのでございますが、先ほど仰せのような一万三千円というところに来年度は落ち着いたような次第でございます。
高田なほ子
22
○
高田なほ子
君 予算の
関係
があろうかと思いますけれども、この人事院の勧告は、
昭和
三十三年の十月三十日に人事院の勧告がなされた。つまり、三十七年度をさかのぼる四年前に出た人事院の勧告です。今おっしゃるように、その渡し切り費の増額の
内容
は、人事院の勧告は一万七千三百一円、こういうことで、今度出された二万三千円というのに比べると四千円の開きがある。人事院勧告からずっと開いている。四千円少ない。しかし、今あなたの
説明
によると、一万七千三百一円というのは、これは一部の
登記
所を
調査
したので、必ずしも妥当なものとは考えられないというような御発言も承っておるのですけれども、その御発言は誤りではないでしょうか。人事院の勧告は、これはやはり人事院自体の
調査
に基づく公平な機関としての私は判決だと思う。その判決が妥当でないというようにとれる御発言があったということは、私はふに落ちない。そういうお考えだから、四年も前の妥当な一万七千三百一円という線に近づける努力というものが若干足りなかったんじゃないか、そういうふうに受け取れますけれども、人事院の勧告というものをどういうふうに一体お考えになっているわけですか。
平賀健太
23
○
政府委員
(
平賀健太
君) ただいまの私の申し方が、あるいは誤解を招いたかと考えるのでありますが、決して人事院の判定が間違っているという
趣旨
ではございません。むろん、人事院の判定がなされましたのは、ただいま仰せのように、三十三年でありまして、それからまた二、三年たった現在でありますので、むしろ当時よりも上がっておると見なくちゃならぬのじゃないかとも思うのでございます。現実に私どもといたしましては、単価一万七千八百八十二円と、約一万八千円ということで大蔵省とは折衝いたしたのでございます。で、まあ数次にわたりまして復活の折衝もいたしましたが、何分現在が九千円ということになっておりまして、一躍これを倍額にするということは、これは大蔵省のほうとしてもなかなか困難なことではないかと私ども想像いたすわけであります。で、数回復活要求をいたしました結果、来年度におきましては一万三千円と、私どもの要求よりも約五千円足らず不足するのでございますけれども、三十七年度は一応これでやむを得ないと、今後さらにこの渡し切り費の充実については努力をしようということで、一万三千円に来年度は落ちついたような事情でございます。
高田なほ子
24
○
高田なほ子
君 まあ一万八千円の要求をされたということでありますが、一体この一万八千円自体にも私は問題があるだろうと思います。渡し切り費の
対象
は、御承知のように、庁用の燃料費、電灯料、そういうものが主体になっているようです。でありますから、最近の燃料費とかそれから電灯料もすでに上がっておるわけですが、三十三年度の勧告に比べてはるかに下回っているということははなはだどうも遺憾にたえないところでありますが、念のために今年度要求せられました人事院の勧告、すなわち
昭和
三十三年の十月に出された人事院の勧告より若干上回って一万八千円の予算要求をされたということですが、大体二万八千円の
算定
の基礎というものについても、どうもあまり合理的でないような気がいたしますが、この一万八千円はどういうふうにしてはじかれた数字なんでしょうか。
平賀健太
25
○
政府委員
(
平賀健太
君) これは各庁から報告を求め、また、私どものほうでも、全部についてではございませんが、一部の庁等につきまして実態
調査
をいたしました結果、これなら妥当であろうということで、はじき出した数字でございます。
高田なほ子
26
○
高田なほ子
君 燃料費、それから電灯料、こういったようなものも、最近の物価高は、
昭和
三十三年でさえ
昭和
十年の約三百四十六倍になっている。非常に上がっておるわけなんです。これは三十三年ですね。今三十七年なんですから、さらにそれよりも上がっているわけです。そうすると二万八千円というのは、これは必ずしも物価指数に忠実なはじき方ではないというふうに考えられますが、あなたはそう思いませんか。
平賀健太
27
○
政府委員
(
平賀健太
君) 私ども、この一万八千円という単価を
算定
しますにつきましては、ただいま仰せの物価の値上がりも考慮に入れましてこの数字を出したのでございます。
高田なほ子
28
○
高田なほ子
君 そうすると、二万八千円の、要求がけられて、三年前の人事院勧告をはるかに下回る二万三千円というところで涙を飲んだことになるわけですが、私は、人事院勧告というようなものは公平な機関としての勧告でありますから、政府自体は、この勧告に対して常に忠実でなければならないと思う。しかし、九千円から一挙に一足飛びにそうはできないというお答えで、私もなるほどこれは一理があると思いますけれども、人事院勧告というものを軽視するという
傾向
は、これは私はたいへん悲しむべき
傾向
だと思う。そこに不要なトラブルが起こるのですね。公平な機関の勧告を、政府が正直にやってくれなければどこを信頼すればいいかわからないでしょう。その不足分というものは、みな第一線に働く人の上に犠牲の形になって出てきているわけです。そういうトラブルをなくするために政府は、やはり合理的な要求をするるともに、それ自体最も重要なことは、人事院の勧告を忠実に実施するように努力をしてもらわなければならないし、大蔵省自体にもこの人事院勧告というものの性格をよくわかってもらわなければならないというふうに私考えますが、来年度はこの人事院勧告、三年前の人事院勧告に下回ることのないような
措置
を講ずることはできる様相を持っているのかどうか、大へん答えにくい質問かと思いますけれども、要は、あなたが人事院の勧告をどう見るかということに尽きると思います。答えていただきたい。
平賀健太
29
○
政府委員
(
平賀健太
君) 先ほども、申し上げましたように、人事院の判定、決してこれを私ども不当とか、信頼に値しないとは思わないわけでございまして、従来人事院の判定も重要な私どもの予算要求の根拠といたまして、これを使いまして、大蔵省と折衝いたしたのでございます。現に私どもが
算定
したところでも、まあその後物価の値上がり等もあるわけでごいますが、これよりも若干上回る数字で要求したくらいでございます。ただ、先ほどもこれまた申し上げましたように、従来は九千円であったものが一万三千円、約四千円の増額になったものでございまして、従来の渡し切り費の増額の経過から考えてみますと、大蔵省としてもよほどこれは奮発をしてくれたのだと私ども思うわけでございます。でありますから、大蔵省におきましても、やはりこの人事院の判定というものを相当重視されて、一度に四千円の増額ということに踏み切っていただいたのではないかと思うのでございます。しかしながら、これで十分かといわれますと、必ずしもそうではない。決してそうではないのでございまして、今後さらに私どもとしましては、この渡し切り費の額につきまして、今までよりもさらに以上の努力をしたいと考えておる次第でございます。
高田なほ子
30
○
高田なほ子
君 次に、人事院の勧告の問題に関連するのでありますけれども、宿日直手当に関する行政
措置
要求が、
昭和
三十四年の十一月十九日全法務でもってされたのです。それについて昨年の暮れの十一月二十四日付で宿日直手当に関する行政
措置
要求に対する人事院の連絡があったようですが、どうも宿日直手当についても人事院の勧告というものが盛り入れられていないといううらみが濃いようであります。前の渡し切り費にしても、宿日直手当にしても、人事院勧告の精神というものが十分にくめないように思っていますが、三十七年度の宿日直
関係
で、人事院の判決にどういうふうに忠実におやりになろうとしたのか、その苦心の跡、現在これで妥当というふうにお考えになっているのですか、こういういうことです。
説明
によると、六十四日分だけ何か宿日直
関係
の費用をおとりになったようですけれども、この六十四日分の費用の内訳は、どうも超過分のほうを削ってそっちのほうへ回したような
傾向
があるようですね。ですから宿日直について、三十七年度人事院の判定について、どういうふうに忠実におやりになったのか、その点を少し詳しく
説明
していただきたい。
平賀健太
31
○
政府委員
(
平賀健太
君) 宿日直の問題につきましては、従来
登記
所におきましては、十日分の日直手当しか予算上認められていなかったのでございます。この点も私どもこれでは不合理であるというので、日直手当の増額を要求して参ったのでございますが、三十七年度におきましては、ただいま高田
委員
の仰せのように、全休日の六十四日分を大蔵省のほうでも認めてくれまして、三千七百十二万五千円という金額を予算で認めてくれたのでございます。ただ、六十四日分を全部認められましたにつきましては、ただいま高田
委員
の仰せのように、従来超過勤務手当分として計上されておりましたものを一部こちらのほうへ回すというような計算になっておるようでございます。しかし、それにしましても、三十七年度の超過勤務手当の予算の総額は三十六年度よりはやはり若干ふえておる事情にございますので、今まで、三十六年度以前に比べますと、かなり大きな改善がされたというふうに私ども考えております。なお、人事院の判定の
関係
は、高田
委員
の仰せはおそらく土曜日の半日直手当の支給労法に関するものだと思うのでございます。土曜日の半日直手当、それから宿直手当との
関係
でございますが、現在の制度のもとにおきましては、同じ人間が土曜日の午後から夜間にわたって半日直、宿直をいたしました場合には、これは宿直一回分ということで三百六十円が支給されるという建前にこれはなっておるのでございます。ところが、これに対しましては、不合理ではないか、半日直と宿直というふうに分けるべきである。そうしますと、支給額は五百四十円になるわけでございますが、五百四十円を支給すべしという意見があるわけであります。それで人事院のほうもその意見のほうが正しいということでもって、先ほど仰せのように、昨年の十一月二十四日にそういう判定を下したのでございます。私どもとしましても、この判定は尊重すべきものだと思っておるのでございますが、ただ現在のところ、土曜日の半日直と宿直を一本にしまして、これを一回分の三百六十円を支給するというのが、これは人事院の規則できまっておりまして、この規則の
改正
ということがまず前提になると思うのでございます。人事院のほうでこの規則を改められますれば、私どもはこの判定を尊重しまして、この支給
方法
をひとつ改めるべく
検討
いたしたいと考えておる次第でございます。
高田なほ子
32
○
高田なほ子
君 人事院のほうでも、人事院規則の九ー一五、これは宿日直手当のことをきめたものですが、これを
改正
して現状に合うようにすべきであるということで、判定の中には、「今後
関係
各庁においては、土曜日の半日直勤務と通常の宿直勤務とは分けて手当を支給することに改める等適当な
措置
を各官庁において講ずべきである。」こういうのが人事院の判定であります。したがって、五百四十円支給せよという要求は妥当な要求であることを人事院が認めているわけですね。そうだとするならば、人事院の判定の
趣旨
というものは当然予算の面に生かされてこなければならない。ところが、本年度の予算は、遺憾ながら今まで十日分きりなかったものを、六十四日分にふやしたということ、その努力は認めますけれども、人事院の判定そのものについてはやはり忠実でない、遺憾ながらそういう結果が出てきていることを御認識いただかなければならないと思うわけです。くどく言うように、
法務省
自体もなかなか予算の取りにくいところではありましょうけれども、人事院の勧告というものは、やはりこの際、民主的な社会機構と政治機構としては、やっぱりこの判定というものは、あるいは勧告というものは尊重されなければならないという建前で、その線に近づけていっていただかなければならないと思うのですが、これは予算がどうしても取れませんでしたのですか。取れないので、この超勤分をこっちのほうへ振り分けたということになるわけなのですか。
平賀健太
33
○
政府委員
(
平賀健太
君) ただいま申しましたように、土曜日の午後から夜間にかけての宿直を、半日両とそれから通常の宿直というように区分して支給するということになりますと、この宿日直の予算の額に不足を生ずることになるわけでありますが、これは三十七年度においてはちょっと、もう処置がございませんので、やはり超過勤務手当から——超勤の予算のほうからこちらに回すということになるだろうと思うのでございます。そういう
関係
で、これは再来年度におきまして、さらに実質的にも人事院の判定が実現できますように、私どもとしましては努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
高田なほ子
34
○
高田なほ子
君 何だかはっきりしたようなしないようなんですが、最終的に、人事院の判定を今後またさらに尊重していくというお考えですね。
平賀健太
35
○
政府委員
(
平賀健太
君) そのとおりでございます。
高田なほ子
36
○
高田なほ子
君 超過勤務分を振り向けたということでありますが、額は、どのくらい超過勤務分が振り向けられておるわけでしょう。これは、そちらの経
理部長
のほうでわかりませんか……。今おわかりにならなければいいですよ。調べて、あとで数字を答えて下さいね。
平賀健太
37
○
政府委員
(
平賀健太
君) ちょっと私は御質問の
趣旨
を聞きとりそこなったのですが。
高田なほ子
38
○
高田なほ子
君 今あなた、日直分だけで六十四日分にふやしたと、こう言うのでしょう。予算の操作は、超勤の分が若干多くなっているから、その超勤の分をその予算に振り向けたとあなたが答弁をされたわけですね。私の考え方は、超勤は必要だから超勤の費用があるので、それをこっちのほうに振り向けてこれを糊塗しようという態度はきわめて遺憾であるから、一体、超勤分はどれだけこっちのほうに振り向けたのですか。そういうことを聞いている。これは新しい予算を要求すべきものなんですよ。そんなところがら振り向けたりするものじゃないのですよ。だから聞いているのです。
新谷正夫
39
○
政府委員
(新谷正夫君) ただいまの超勤手当を日直手当に振り向けた問題でございますが、これは今回の、日曜日その他の休日の日直に相当する勤務につきましては、従来超過勤務手当をもってその処理をいたしていたわけでございます。それにかわる
措置
として今回の日直制度が取り入れられました
関係
上、従来超過勤務手当として
措置
するために必要であった金額、これを額で申し上げますと約千五百万円ぐらいになるのでございますが、これを日直手当のほうに振り向けた、こういう計算になるわけです。ただし、先ほど民事局長からも
説明
がございましたように、超勤手当そのものはさらに別途増額されております。従来の予算額以上にこれはふえておりますので、法務局の超過勤務そのものにつきましては、従来以上に予算的には是正が行なわれている、こういう結果になろうかと考えております。
高田なほ子
40
○
高田なほ子
君 たいへん苦しい御答弁ですから、これ以上追及しようと思いませんが、要するに六十四日分の日直分をおとりになったから、はっきり言うと、宿直分がなくなってしまっちゃったわけですよ。なくなっちゃったからしようがないから超勤分から千五百万円を振り向けたと、こういうことですが、いろいろ私の研究によると、かなり超勤分もよけいとってあるとは言うけれども、そういう振り向け方をしておるから、必ずしもこれがよけいであるとは考えられませんが、今度の
説明
にもあるように、新規事業はあまりございませんけれども、特にこの
法務省
関係
では、
登記
所の戸番
整理
の問題が実施計画として新規事業として今度やらなきゃならない。人員もこれはあまりふえておらないようですから、おそらくこの戸番
整理
というのは、たいへん手間の要る仕事らしいので、超勤によってこういう新しい事業が行なわれなきゃならない、こういうものも見通されて超勤手当というものも、私はお考えになっていたのではないかというふうに想像するのです。必ずしも超勤手当が多いということではないのじゃないかと思うのですが、総体的に言うと、これは一部報道人の批評ですけれども、裏話の批評ですけれども、ずいぶん
法務省
は予算の要求額が少なくて、よその省からもずいぶん喜ばれたと、これは変な意味ですが、喜ばれたというような批評も聞きますが、実際は、運営が苦しいので、あっち回し、こっち回ししているのですから、そういうよその省から芽ばれたり、拍手かっさいされるのじゃなくて、やはり必要な予算はおとりいただくとともに、特に根拠のないのに予算をよこせと言っても、これは無理だろうと思いますから、政府の機関としては、人事院の勧告、あるいは人事院の
関係
というものを、どの省でもやっぱり尊重するという建前に立って予算をとっていってもらいたいと思うわけです。 これだけにかかっておるわけにもいきませんから端折りまして、旅費の問題をちょっとお尋ねしておきます。 旅費は五%減ということになっておりますが、これは各省とも旅費は五%減という線が出ているようですが、仕事に対して、この五%減というのは——一般的な問題ですけれども、五%減というのは、全然これは影響がないものなんでしょうか、これはどうなんですか。
新谷正夫
41
○
政府委員
(新谷正夫君) 五%減と申しますのは、これは各省共通の問題でございまして、旅費一般の問題といたしまして、一律に五%の節約がまずやられたわけでございます。これは業務の運営上、極力旅費予算を節約してやらなければならない、いろいろほかの重要な経費にその財源を充てなきゃならぬというようなところから、このような
措置
がとられたのでございます。ただ、今仰せのように、その節約が事業に影響するのではないかという御心配でございますが、御承知のように、私どものほうといたしましては、各組織別に一般の行政指導監督上要する旅費のほかに、たとえば本局について申し上げますならば、
登記
所費というものが、事業そのものに必要な予算の項がございます。また、検察庁につきましては、検察費というふうなものが、それぞれの事業費が別に項が立てられて予算に組まれておる。今お話のように、五%の節約がこの事業のほうにかかって参りますと、これは仰せのように、業務遂行に立ちどころに影響するもので、まあその点も心配になりましたので、最後までこの旅費の節約の排除と申しますか、実質的にその節約の被害を受けないことというふうな配慮をいたしまして、大蔵当局とも折衝いたしたわけでございます。幸いにいたしまして、そういった事業費の系統につきましては、大体その節約は実質的には戻された結果になっております。 それと同時に、旅費の一般の問題といたしましては、単価の増額が行われております。一〇%の増額をいたしました上で五%の節約をはかっておりますので、実質的には旅費は増額になっておるのではないかと、かように考えます。
高田なほ子
42
○
高田なほ子
君 わかりました。旅費の中で、これはこの種類は違うわけですか。検察庁
関係
になるのですか、参考人の旅費というのはどういうふうにこれは上がっていったのですか。
新谷正夫
43
○
政府委員
(新谷正夫君) 検察庁
関係
に組まれております参考人旅費の増額でございますが、これは
裁判
所
関係
についても同じような経費がございます。
裁判
所の増額に歩調を合わせまして検察庁
関係
についても増額になったわけでございます。
高田なほ子
44
○
高田なほ子
君
裁判
所、それから検察庁の参考人の旅費は三百十六万円増額したようですけれども、それは幾らが幾らに増額になって……。
新谷正夫
45
○
政府委員
(新谷正夫君) 従来、単価三百円でございましたのが五百円になったのでございます。
高田なほ子
46
○
高田なほ子
君 五百円に、二百円増額になったわけですね。
新谷正夫
47
○
政府委員
(新谷正夫君) そのとおりでございます。
高田なほ子
48
○
高田なほ子
君 日雇いの方が参考人に出られて、きょうかりに福岡なら福岡から東京なら東京へ来るとその旅費は実費に弁償されるわけですね。
新谷正夫
49
○
政府委員
(新谷正夫君) そのとおりでございます。
高田なほ子
50
○
高田なほ子
君 そうすると、五百円というのはどういうわけなんですか。
新谷正夫
51
○
政府委員
(新谷正夫君) 今お話の福岡から東京に向かって来ますときの旅費は、これは旅費としてその実費の支弁になるわけですが、先ほどの参考人の経費といいますのは、これは日当三百円から五百円に引き上げたということでございます。その点多少
内容
が違う点がございます。
高田なほ子
52
○
高田なほ子
君 たとえば三月二十六日に出頭せよということで三月二十六日に出頭いたしますね、そうすると、その経費は今まで三百円だったものが五百円に上がったから二百円まあよけいいただけるわけです。しかし、遠いところから一日の口述をするために費される日にちというものは必ずしもきっかり一日であるわけではないわけです。来る時間、帰る時間、これを加えると遠いところでは三日間の費用が必要になるわけですが、こういう場合に一件の参考人の経費として三日間費した場合には、その前後の三日間についても当然経費を支給すべきだというふうに私ども考えておりますが、この予算の要求をなさるときに、そういう実際問題として経費を計算をされているのか、この点どうなっていますか。
新谷正夫
53
○
政府委員
(新谷正夫君) ただいまお話のように、実際の取り調べについて、一日要することもございますし、また三日間要することもあるわけでございます。予算の単価といたしましては、これ一回の一取り調べについて三百円を五百円に引き上げるという
措置
を講じたわけでございます。この支給
方法
につきましては、これは
裁判
所との
関係
もございます。
裁判
所も今回の増額によりまして千円以内というふうに
法律
の
改正
を行なう予定になっております。まあそれに歩調を合わせまして、検察庁につきましても、同じく千円以内というふうに実際の支給基準をきめていく予定でございます。
高田なほ子
54
○
高田なほ子
君 民事局長。この支給基準はそれで千円以内でいいのですけれども、一日だけだから一日これっきりしか出さないというのじゃなくて、遠いところがら東京へ出てきた場合には、どんなに急いでも往復三日間くらいの日時が費されるわけですね、そのことのために。そうだとすると、一日経費でなくて、これは三日経費が支給されるべきものだというふうに私考えているのです。そういうことは一件について一日経費計算ではなくて、一件について実際その人が費した日時の計算で支給されるべきものだ、こういうふうに考えますけれども、これはどういうふうになっておりますか。
新谷正夫
55
○
政府委員
(新谷正夫君) お説のように、日数計算によるということも一つの
方法
かと思うのでございますが、ただいままでの予算の立て方あるいはその支給基準の立て方から申しますならば、一日の場合あるいは三日の場合というふうにそれぞれによって態様が異なっております。そのような態様に応じまして何円以下というふうにそれぞれの支給の額をきめていっておるわけであります。これがいいか悪いかというところに高田
委員
の御意見があろうかと思うのでございますけれども、この点につきましては、なお私どもも、将来の予算の
措置
等ともにらみ合わせまして
検討
してみたいと、かように考えております。
高田なほ子
56
○
高田なほ子
君 態様がいいか悪いかという問題じゃないのです。二日間参考人なら参考人を呼ばれて、その
内容
は二日間にわたる場合もありますね。私が言っているのは、二日間でも三日間でもそれはお調べになるのですから実際に二日なり三日なりの日時を要する。また、その要したものに対して負担をかけないようにするのが当然ですが、その前後、遠いところがら来たときに前後に日数がかかるわけですね。汽車に乗って来るのですから。日雇いの人だったら、一日日雇いをつぶして出てこなければならないでしょう。帰るときにも一日つぶさなければなりませんでしょう。そういうようなときに、そういう前後の仕事の空白をさせた、口述したその時間だけではなくて、空白をさせて
損害
を与えたというものに対しても支給するように配慮すべきではないかということです。今まではそういうことの配慮がなかったわけで、今度は予算が若干上がりましたから、少しはそういう面についても考慮されていいんじゃないかと思うので、お尋ねをしているわけです。
新谷正夫
57
○
政府委員
(新谷正夫君) これは
裁判
所の実際のやり方に実は右へならえをしておるわけでありまして、
裁判
所の場合におきましても、証人が法廷に二日出ればこれはやはりその二回分の計算をいたしておるわけであります。問題はその前後にわたって出廷するまでの日時をかなり要する場合どうするか、ただそれだけの金額を支給して、それで事足れりというのでは不十分じゃないか、こういう御意向だと思うのでありますが、そういった点を勘案いたしまして、今の定額で幾らというふうなきめ方ではなくて、何円以下というふうな含みを持たせた支給基準になっておるのでありまして、この今回の予算は必ずしもそれに見合うだけの十分なものとは言えないかもしれません。従来よりも多少この際増額になりましたので、そういった点も、参考人の方々にもプラスの面が今後は出てくるのじゃないかというふうに私は考えております。
高田なほ子
58
○
高田なほ子
君 それでは次に移ります。 矯正、保護
関係
の問題に少ししぼって申し上げます。
法務省
は、本年度の予算問題として、暴力犯罪対策、公判審理の迅速化、
交通
事件、それから非行少年対策というふうに、大体大きな柱をこう立てておるようですが、非行少年対策について、どうも予算の面から見るとたいした目ぼしい
内容
も持たれておらない、まあお尋ねしてみなければわからないわけですけれども、青少年の犯罪の増加に対して政府は力こぶを入れるのだと、こういうことで、だいぶ総理大臣も本気になっていらっしゃるようですが、実際予算の面から見ると、必ずしも青少年対策について強化されたあとを見ることができません。 第一番に、この矯正
関係
の問題について予算の面から尋ねていきたいと思いますが、少年院それから少年鑑別所、婦人補導院これらをひっくるめまして、前年度に比べ三千六十人の収容人員減という基礎数字から計算されているようですが、この人数がふえることは決して望ましいことではございません。しかし、前年度に比べて三千六十人の人員減ということで、それを基礎としていろいろの数字をはじいておられるようでありますけれども、この収容者減というのは、総体的に見て正しい数字なんでしょうか、どうなんでしょうか。まずこの点です。
新谷正夫
59
○
政府委員
(新谷正夫君) 矯正
施設
の収容予定人員でございますが、これはその年によりまして、あるいはふえる
施設
もございますし、また減少する
施設
もあるわけであります。これも数字的にはっきりと算出して、この数字は絶対間違いないというふうに正確に割り出せるものではむろんございません。過去のいろいろの実績から勘案いたしまして、ある
施設
については減り、ある
施設
についてはふえる、こういうことが一応
推定
されるわけであります。そういう
推定
に立って来年度の収容予定人員というものを算出いたしておるわけであります。
高田なほ子
60
○
高田なほ子
君
推定
しての数字ですから私も正確なことをということは言いませんけれども、保護観察
関係
はふえているのじゃないですか、ここにその御答弁をいただける方おりませんか、数字的に。
新谷正夫
61
○
政府委員
(新谷正夫君) 正確なところをお答えできないかもしれませんが、保護観察の
対象
者の数につきましては、
昭和
三十六年度一カ月の延べ件数を百十四万六千件くらいに見ておりますが、三十七年度につきましては、百十五万六千件あまりに
推定
いたしております。その計算の根拠に立ちまして、たとえば保護司の実費弁償金等の算出もいたしておるわけであります。
高田なほ子
62
○
高田なほ子
君 矯正
関係
の収容者は三千六十人の減少であるという
推定
数字から出しておられますが、実際には今の数字でおあげになったように、保護観察
関係
は三十七年度数字としてふえている、そういうふうな経過が出ているわけですね。ですから、これは表裏一体の
関係
をなすものであって、私に言わせると、青少年の対策を強化するとおっしゃっても、実際は
内容
的にはこれをむしろ減少の方向に持っていっている。極論して言うとそういうことになるのですね。非常にこのことは残念だと思うのです。 それでお尋ねしたいのですが、その次にお尋ねすることは、青少年検察の充実強化という問題はしばしば従来これはうるさいほどに私はこの
委員会
では主張してきました。本年度は青少年の問題を強化すると言いながら、実際には六百四十万五千円の予算減を青少年検察の充実のために削っている。増員は全然認められない。これはたいへんふに落ちないことですけれども、どういうわけで青少年のほうの増員が認められなかったのか。現状に比べてこれでいいのですかどうですか。これもたいへん私ふに落ちないところです。警察当局は前年度三年計画で一万人の警察の増員をするということで、昨年は四千五百人の増員の中で少年
関係
、こういうものは七百人ほど警官も増員されたようです。しかし、少年係の検事、こういったようなものは、全然ほとんどまあ申し上げるほどの数もふえないということで、いささか物足りない気がしておりました。で、最近の青少年の不良化問題は容易ならざる事態に立って、たいへん少年係の警察官等は白夜を分かたぬたいへんな御苦労をせられておるようであります。何にしろ人が足りないようですね。人手不足のことでありますから、この辺はもう少し増員をされるべきであったと思いますけれども、どういうわけでこの点の増員がなかったのかですね、この点についてひとつ予算の面からお話しいただきたい。六百四十万の減というのは、一体どうしてこんなに減額になってしまったのか。
新谷正夫
63
○
政府委員
(新谷正夫君) ただいま高田
委員
の御質問で、六百万余りの減という御質問でございますが、これは前年度の青少年
関係
ということで増員になっておりました経費が、来年度はそういうことではなくて別の形で増員が認められております。そういう意味で前年と比べますと、増員経費を含めますと、減ということになるわけでありますが、差し上げました資料にもございますように、青少年検察の充実強化という項をごらんになればわかりますように、検察
関係
では増員を除きまして六百二十九万二千円の額、これを前年度に比較いたしますと、百十一万円の増額になっております。また、増員
関係
につきましては、来年度は青少年検察ということではございませんけれども、
交通
事犯が非常にふえておるというので、その
関係
の増員を検察庁
関係
につきまして六十名要求いたしております。この
内容
は、御承知のとおり、一般の
交通
事故対策として検察庁に必要な人員を満たすためのものでございますが、この中に実は青少年の
交通
事犯というものがかなり含まれておるわけでありまして、かれこれ考えあわせますと、青少年検察そのものが決して前年度に比して減額になっている、あるいは予算が減少になっているというふうなことは言えないのじゃないかというふうに考える次第でございます。
高田なほ子
64
○
高田なほ子
君 どうも数字が私はわかりません。青少年検察の充実強化ということで
昭和
三十六年度の予算は千二百六十七万ですね。本年度は六百二十九万ですから、数字的に見てこれは減っているでしょう。六百四十万の減少という数字が出ているじゃありませんか。それがどうしてふえているのですか。
新谷正夫
65
○
政府委員
(新谷正夫君) 前年度の予算額のうち、約七百五十一万円ばかりが増員経費でございます。その経費が来年度は青少年検察の経費の中に入っておりませんので、そういう
関係
でただいま御不審をお抱きになったのではないかというふうに考えるのでありますが、先ほど御
説明
申し上げましたように、増員経費は別の計算になっております。青少年検察の固有の予算そのものは逆に百万円余りふえておると、こういう計算になるわけであります。
高田なほ子
66
○
高田なほ子
君
交通
関係
も入っていると言いますけれども、青少年の
交通
違反と、それからあるいはまた、虞犯少年のこういう純然たる青少年の反社会的な犯罪
関係
というものとは表裏の
関係
にあるとはいうけれども、それはたいへん違うものだと思いますね。ですから、青少年の対策については当然ここに増員をせられて、もっともっとこれが強化されなければならないというふうに思いますけれども、
交通
問題と一緒にひっくるめて計算をするということについては、私はたいへんな
疑義
を持つものです。まあここは水かけ論になりますから、やめます。 それからその次にお尋ねしていきたいことは、少年鑑別業務並びに
施設
の充実と、こういうようなことで、ここでは
昭和
三十六年度から比べますと、三千三十二万三千円という予算の減額があるようです。少年の鑑別業務というのは、ずいぶん、容易ならざる仕事で、必ずしも今日完璧ではないのですね。しばしばこの少年鑑別業務についても充実すべきであるというようなことをこの席で申し上げたわけですけれども、残念ながら予算の面では減額がされているようです。この点はどういうふうに御
説明
いただけますか。
新谷正夫
67
○
政府委員
(新谷正夫君) これは前年度の経費として計上いたしました金額の中には少年鑑別所の
施設
の整備充実経費というのが入っております。三十六年度におきましては
施設
費が七千二百九十七万円ばかり、ただいま仰せの予算額の中に入っておるわけでございますが、それが本年度は
施設
費が三千万円でございます。その辺の金額がただいまの減額に大きく響いておるのではないかと思うのでございますが、この
施設
費の点につきましては、確かに仰せのように、来年度の鑑別所の
施設
費につきましては、旭川の少年鑑別所がせいぜい作られるぐらいのものでございまして、
施設
の拡充という点から申しますならば、ほんとうに不十分な結果に終わっておるのでございます。そういった意味では、まことに私どもの努力の足りなかった点は認めざるを得ないのでございますけれども、一般の少年鑑別業務のみについて見ます場合には、逆にこれが千六百万円ばかりの増額という形で予算上はなっておる次第でございます。
高田なほ子
68
○
高田なほ子
君 まあ千六百万円の増額といっても、その増額の
内容
もお聞きすればまことにうたた荒涼たるものだろうと想像するわけですが、はなはだこの点も残念に思います。一応この少年院の教化活動の中で収容経費というのが若干上がったようですが、従来食費二十一円五十銭であると記憶しておりますが、今度三円五十銭ほど増額になったようです。これは何%上げるつもりで上がったのですか、何%上がっていますか。
新谷正夫
69
○
政府委員
(新谷正夫君) 少年院の菜代につきましては、従来二十四円五十銭でございますが、これを三円五十銭引き上げまして二十八円の単価になっております。御承知のように、これは少年院に限りませず、刑務所、鑑別所、婦人補導院につきましても菜代が非常に少ない。そのために収容者の栄費保持の上にも相当問題があるということで、年々私どもとしましては、この食糧費の改善をはかって参ったわけでございます。従来の実績を申し上げますと、せいぜい一円くらいの増額にとどまっておったわけでございますが、来年度は特に少年
関係
につきましては三円五十銭の増額ということでございまして、金額そのものは非常に少ないのでございますけれども、従来の実績からながめます場合には、かなり大幅な引き上げになろうかと思うのでございます。これを何%増額になるかというお話でございますが、物価指数から見ますならば、正確に今記憶ございませんが、おそらく四%くらいの増額にしかならないのじゃないかと思います。ただその四%でもっていきますと、せいぜい一円どまりの増額になるのでございまして、三円五十銭という数字が出ましたのは、ただ物価の値上がりだけではなくて、収容者に与えるカロリー、蛋白質、動物性蛋白質、そういったものの
所要
量を算出して算出いたしまして、それから割り出したものです。物価指数を単純にかけてこの三円五十銭というものを出したのではごいません。
高田なほ子
70
○
高田なほ子
君 保護観察の中で、補導援護経費というのは若干上がってきたようですけれども、これは私の記憶違いかどうかわかりませんが、この委託費、食事付宿泊費三十二円六銭から事務費が四円増になったとこういうふうに聞いておりますけれども、何かこの補導を委託される方で、国がその方に支払うのが一年に百円支払われる人がいるそうですけれども、今どき一年に百円の謝礼を払われているというのはどういう人が払われているのですか。委託費ですか、これは。
新谷正夫
71
○
政府委員
(新谷正夫君) ただいま正確なことはちょっと私からお答えできませんですけれども、想像を加えて申し上げて恐縮でございますが、一年に群円といいますのは、ちょっと今高田
委員
のお話を伺って私もびっくりしておるわけでありますが、おそらく保護会の収容者がいないのじゃないかということが一つの問題として考えられるわけでございます。これはその
対象
者によって金額はきまって参るわけでございますので、一律に最低基準幾らというものではございません。そういった
関係
で今お話のような保護会も中にはあるのではないかと想像される次第であります。
高田なほ子
72
○
高田なほ子
君 どうもあなたの認識、私もはっきりしないのですが、この前、青少年問題の
協議
会がありましたときに、この世の中で年に百円の謝礼をもらっているというような人もいるということから、この青少年をお世話する方の話が出たのです。そのときに私ちょっと雑談をしておりまして、それがどういう人物かわからないのですけれども、
法務省
関係
らしいのですね。
法務省
の予算の取り方というのはたいへん上手だということからそういう問題が出てきた。そうして一座の物笑いになった。私も幸か不幸かその
内容
を知らなかったから弁護するつもりにもなりませんでしたけれども、何か青少年のお世話をして下さる民間人に対する謝礼らしいのです。従来までは八十円だったらしいのですが、今度予算を増額されて百円にされたそうです。それを一カ月に百円かと聞いたら一年に百円だということで、たいへん満座が大笑いになったことがあるのですが、そういうものがありますか。
新谷正夫
73
○
政府委員
(新谷正夫君) ちょっと資料がございませんので何ともお答えいたしかねますが、私どももそのような程度のものがあるということは実は部内でも聞いたことはございませんので、よく調べた上で御返事申し上げたいと思います。
高田なほ子
74
○
高田なほ子
君 まだ少しありますけれども、もう一時になりましたから、ここらでもって切っておきましょう。どうも御苦労さまでした。
松野孝一
75
○
委員長
(
松野孝一
君) 他に御発言もなければ、本件については、本日はこの程度にとどめます。 次回は、三月一日午前十時より開会いたし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時七分散会 ————・————