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1962-02-27 第40回国会 参議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十七日(火曜日)   午前十一時二分開会  ——————————  委員異動 二月十四日委員鍋島直紹君及び加賀山 之雄君辞任につき、その補欠として林 田正治君及び大谷瑩潤君議長におい て指名した。 二月二十四日委員増原恵吉辞任につ き、その補欠として西田信一君を議長 において指名した。 本日委員大和与一辞任につき、その 補欠として山口重彦君を議長において 指名した。   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理 事            井川 伊平君            亀田 得治君    委 員            大川 光三君            野上  進君            高田なほ子君            赤松 常子君            辻  武壽君            大谷 瑩潤君   国務大臣    法 務 大 臣 植木庚子郎君   政府委員    内閣官房長官  大平 正芳君    法務大臣官房経    理部長     新谷 正夫君    法務省民事局    長       平賀 健太君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   ——————————  本日の会議に付した案件 ○民法の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査) ○建物区分所有等に関する法律案  (内閣送付予備審査) ○臨時司法制度調査会設置法案内閣  送付予備審査) ○検察及び裁判運営等に関する調査  (昭和三十七年度法務省関係予算に  関する件)  (昭和三十七年度裁判所関係予算に  関する件)   ——————————
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告申し上げます。  二月十四日付鍋島直紹君辞任林田正治選任加賀山之雄君辞任大谷瑩潤君選任、二月二十四日付増原恵吉辞任西田信一選任、二月二十七日大和与一辞任山口重彦選任、以上であります。   ——————————
  3. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 去る二月十四日当委員会に付託されました民法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、植木法務大臣より提案理由説明を聴取いたします。
  4. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 民法の一部を改正する法律案について、提案理由説明申し上げます。  昭和二十二年新民法が第一回国会で可決されました際、同法は将来できる限りすみやかに再改正をする必要があると認める旨の附帯決議がなされた関係もありまして、法務省におきましては、昭和二十九年以降民法全般改正について検討を続けてきたのでありますが、民法全般改正は、何分にも国民の身分上及び財産上の生活に重大な関係を持つ多くの根本問題を含んでおりますので、これらの根本問題にわたる改正については、今後なお引き続き検討を重ねる必要があるのでございます。しかしながら、他方、新民法施行後今日までの同法運用の実際にかんがみますと、右に申し述べましたような根本問題にわたらない事項で、現行規定解釈疑義があって実務上不便を来たしているもの及びこれらにあわせてこの際改正をすることが望ましいと思われるものもありますので、今回は、これらの根本問題にわたらない事項のみについて改正を行なうため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案による改正点の骨子を申し上げますと、  第一、危難失踪の場合における失踪期間を一年に短縮し、かつ、失踪者死亡したとみなす時期を危難の終わったときとしたこと。  第二、死亡した数人の死亡の先後が明らかでないときは、これらの者は同時に死亡したものと推定するものとしたこと。  第三、養子が十五歳未満の場合における離縁協議者を明確にしたこと。  第四、後見人解任請求権者検察官を加え、家庭裁判所職権による後見人解任を認めたこと。  第五、被相続人の孫以下の直系卑属は、すべて代襲相続によって相続するものとしたこと。  第六、相続限定承認または放棄取り消しは、家庭裁判所申述して行なうものとしたこと。  第七、相続放棄をした者は初めから相続人とならかったものとみなすものとしたこと。  第八、相続人の不存在の場合における相続権を主張すべき旨の公告最短期間を六カ月に短縮したこと。  第九、相続人存在しない場合には、家庭裁判所の裁量によって、被相続人と特別の縁故があった者に、相続財産の全部または一部を与える道を開いたこと。  第十、以上の改正に伴って、家事審判法及び戸籍法所要整理を加えたこと。であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに可決されますよう希望いたします。
  5. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に、平賀民事局長より補足説明を聴取いたします。
  6. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 改正案逐条につきまして御説明申し上げます。  まず、第三十条の第二項の改正でありますが、本条は、危難失踪の場合の失踪期間を三年から一年に短縮するものであります。明治三十一年の民法制定当時に比較して、交通通信が著しく発達した今日におきましては、危難に遭遇した者の消息が一年間もわからないときは、死亡の公算が大であると認めるのが相当であるからでございます。  次は、第三十一条の改正であります。本条は、危難失踪の場合に、失踪者死亡したものとみなされる時期をなるべく実際の死亡の時期に近いものにするのが妥当でありますので、危難の終わったときから一定期間が満了したときに死亡したものとみなすことを改めまして、死亡の危険のあった危難の終わったときに死亡したものとみなすことにいたすものであります。  次は、第三十二条ノ二の規定新設であります。同時死亡推定は条理上当然であるとも考えられますが、現行法には明文がありませんので、この点を規定上明確にしようとするものであります。なお、同時死亡者相互の間には相続が行なわれませんが、代襲相続が行なわれると解すべきことは当然でありますので、現行法第八群八十八条第一項で「相続開始前」とあったのを、この改正案の第八百八十七条第二項におきましては「相続開始以前」に改めて、その点を明確にいたしております。  次は、第八百十一条の改正でありますが、養子が十五才未満の場合における離縁協議者につきまして、現行法第八百十一条第二項は「養子に代って縁組承諾をする権利を有する者」と規定してありますが、この規定が明確を欠きますため、たとえば養子の実父母がともに死亡している場合、右の協議者として特別代理人選任する家庭裁判所後見人選任する家庭裁判所とがあって、取り扱いが区々となっております。そこで、本条におきましては、養子が十五才未満の場合には、養子離縁後にその法定代理人となるべき者が離縁協議者となることを明らかにし、その法定代理人となるべき者が定まっていない場合、たとえば実父母が子の縁組後離婚しているときは、あらかじめ父母協議でその一方を子が離縁した場合その親権者となるべき者と定め、また、実父母がともに死亡しているときは、家庭裁判所はあらかじめ養子離縁した場合にその後見人となるべき者を選任することができるものとしようとするものであります。  次は、第八百十五条の改正でありますが、本条は、第八百十一条の改正に伴いまして裁判離縁の場合における「その縁組につき承諾権を有する者」という現行法規定整理するとともに、養子が原告となる場合も被告となる場合もひとしく含むという趣旨を明確にしようとするものであります。  次は、第八百四十五条の改正でございます。  本条は、家庭裁判所における後見監督実情にかんがみまして、旧民法親族会による後見人の免職を家庭裁判所権限に吸収し、家庭裁判所による職権解任の途を開くことによって、後見監督の実をあげようとするものであります。なお、検察官解任請求権者に加えますのは、親権の喪失の宣告について検察官請求権者となっていることとの均衡をはかるためであります。  次は、第八百八十七条の改正でありますが、本条は、現行法第八百八十七条及び第八百八十八条にかわるもので、次の三点を内容といたしております。  第一点は、被相続人の子が全部死亡して孫以下の直系卑属がある場合の相続関係について、実務上は、孫以下の直系卑属は、被相続人の子を代襲する資格相続するものとして取り扱われていますが、他方、孫以下の直系卑属は、固有の資格相続人となるという解釈も行なわれ、疑義を生じておりますので、これを解決しようとするものであります。すなわち、本条第一項で被相続人の子は相続人となるものとし、第二項で被相続人の孫が代襲相続によって相続する旨を明確にし、さらに第三項でその者の直系卑属がさらに代襲の代襲によって相続する旨を明確にいたしました。  第二点は、現行法第八百八十八条第二項の規定を削除して、相続人となるべき者が廃除、欠格等の事由によりその相続権を失った後、相続開始前に出生した子や養子となった者があれば、これらの者にも代襲相続を認めることといたしました。  第三点は、本条第二項にただし書を設け、代襲相続人は被相続人直系卑属でなければならないという点を規定上明確にいたしました。  次は、第八百八十八条、第八百八十九条、第九百条、第九百一条の改正でございますが、これはただいま申しました八百八十七条の改正に伴う字句整理であります。  次は、第九百十九条の改正でありますが、本条は、詐欺、強迫による相続限定承認または放棄取り消し意思表示方法について、民法には特別の規定がありませんが、家庭裁判所における実務上の取り扱いでは、相続限定承認または放棄申述と同じく、その取り消し申述をも家庭裁判所において受理する取り扱いをしておりますので、これを家庭裁判所法定権限の中に加え、取り消し方法を明確にしようとするものであります。  次は、第九百三十九条の改正でありますが、本条は、相続放棄の場合における相続関係について、現行法第九百三十九条第二項の規定解釈が分かれ、実務上支障を来たしているので、相続放棄をした者が相続開始当時にいなかったものとすれば相続人となるべき者に、相続財産の全部が帰属することとして、相続放棄の効果を明確にしようとするものであります。  次は、第九百五十八条の改正でありますが、本条は、相続人存在の場合における相続人捜索のための公告最短期間を一年から六カ月に短縮するものであります。  現行法では相続人捜索のための公告期間は一年以上となっていますが、交通通信の発達した今日では、この期間は長きに失し、相続財産管理上不便でありますので、これを六カ月に短縮し、相続人存在の場合は相続財産管理人選任公告最小限度十カ月を経過したときは、次の第九百五十八条の三に規定する措置をすることができるようにしようとするものであります。  次は、第九百五十八条の二の規定新設であります。相続人存在の場合、現行法第九百五十九条によりますと、清算後の相続財産は直ちに国庫に帰属し、相続債権者及び受遺者は、国庫に対してその権利を行なうことができないことになっておりますが、相続財産国庫帰属直前段階におきまして次の第九百五十八条の三に規定する措置をすることができるようにしますため、相続人たる権利相続人捜索のための公告期間内に主張しなかった相続人管理人に知れた者を除いて、右の公告期間内にその権利を申し出なかった債権者及び受遺者は、公告期間の満了後は、その権利を行なうことができないものとしようとするものであります。  次は、第九百五十八条の三の規定新設でありますが、相続人存在の場合、現行法では清算後の相続財産は直ちに国庫に帰属しますが、被相続人の内縁の妻など相続人に準じて考えてしかるべき者その他被相続人と特別の縁故があった者があることも少なくないと考えられるのであります。このような場合、相続財産は、国庫帰属に先だちましてこれらの者に分与することが実情に即しますので、家庭裁判所は、相当と認めた場合には、相続財産国庫帰属直前段階におきまして、被相続人特別縁故者に対して、国庫に帰属すべき相続財産の全部または一部を与えることができるようにしようとするものであります。  次は、第九百五十九条の改正でありますが、本条は第九百五十八条の二及び三の規定新設に伴う整理であります。  次は、第九百九十四条の改正でありますが、本条は第三十二条の二の規定新設に伴う字句整理であります。  それから、第千四十四条の改正は、これも第八百八十七条の規定改正に伴う字句整理であります。  次に、附則でありますが、まず、施行期日を本年の七月一日からといたしましたのは、相当の周知期間を置く必要があるからであります。  次に、経過規定を設けておりますが、この法律による改正後の民法は、従前の民法によってすで生じた確定的な効力を害さない範囲で遡及的に適用しようとする趣旨であります。  次に、家事審判法の一部改正でありますが、これは民法第八百十一条及び第九百十九条の改正並びに第九百五十八条の三の規定新設に伴います家事審判法第九条の規定整理であります。  次は、戸籍法の一部改正でありますが、これは民法第三十一条の改正に伴う戸籍法第九十四条の規定整理であります。
  7. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本案審議は本日はこの程度にとどめます。    ——————————
  8. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に、去る二月十五日当委員会に付託されました建物区分所有等に関する法律案議題といたします。  まず、植木法務大臣より提案理由説明を聴取いたします。
  9. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 建物区分所有等に関する法律案につきまして、提案理由説明いたします。  最近、土地の高度の利用の必要から、都市における中高層建物の増加は著しいものがありますが、これに伴いまして、共同建築アパートの分譲の場合等に見られますように、これらの建物を区分して所有する事例が次第に増加する傾向にあり、この傾向は、都市の再開発に関する各種の施策、なかんずく市街地改造法防災建築街造成法の実施によって、今後ますます推進される機運にあるのであります。しかるに、区分所有に関する民法規定は、はなはだ不備でありまして、区分所有者相互間の法律関係が不明確であり、また、建物共用部分管理等に対する配慮の欠けている点も少なくなく、建物区分所有に関する法制を早急に整備する必要があるのであります。この法律案は、このような必要に対処するため、建物区分所有関係及びこれと関連のある事項について単行法を制定し、あわせて関係法律所要整理を加えようとするものであります。  次に、この法律案の要点を申し上げますと、  第一に、建物区分所有を認める要件として、区分所有権対象となる建物部分は、一むねの建物のうちの構造上区分された部分であって、独立して住居その他建物としての用途に供することのできるものに限ることを明らかにいたしました。  第二に、区分所有者全員またはその一部が共同使用する廊下階段室など区分所有権目的とならない建物部分及び機械室集会室など区分所有軒全員またはその一部がその合意によって共同で利用すべきものと定め建物部分、すなわち共用部分は、原則として、区分所有者全員またはその一部の共有に属することにいたしました。  第三に、区分所有権目的たる建物部分を収去する権利を有する者は、その建物部分自己に売り渡すべき旨の請求をすることができることにいたしました。  第四に、共用部分及び建物敷地維持管理に関し、管理者規約及び集会に関する規定を設け、共用部分建物敷地維持管理便宜をはかることといたしました。  第五に、右に申し述べました管理者規約及び集会に関する規定は、これを、一団地内の建物所有者がその団地内の土地または施設共有している場合に準用することとし、これらの土地または施設維持管理便宜をはかることといたしました。  以上がこの法律案の主要な内容でありますが、この法律案は、なおそのほかに、附則において所要経過措置定めるとともに、民法不動産登記法その他の関係法律所要改正を加えることといたしております。  以上がこの法律案の概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに可決されますよう希望いたします。
  10. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に、平賀民事局長より逐条説明を聴取いたします。
  11. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) この法律案の第一条は建物区分所有を認める要件規定いたしたものであります。区分所有権対象となし得る建物部分がいかなる部分かにつきましては、民法規定がありませんが、仕切り壁等によって区分された建物部分で、独立して住居、店舗、事務室倉庫等建物としての用途に利用し得るものでなければならないことは、判例、学説上異論がございませんので、このことを規定上明確にいたしました。  第二条は、用語の定義を掲げたものであります。区分所有権とは、第一条の要件を備えた建物部分、たとえばアパートの各室、ただし規約共用部分定め集会室等を除くのでありますが、この建物部分目的とする所有権をいうことにいたしております。区分所有者とは、区分所有権を有する者であります。専有部分とは、区分所有権目的である建物部分であります。共用部分とは、次の三種のものを含むのであります。その一つとしまして、専有部分以外の建物部分、すなわち区分所有権目的でない建物部分、たとえば、共用廊下であるとか、階段室、あるいは規約共用部分定め集会室等がそうであります。第二として、建物附属物、たとえば、電気、ガス、水道の配線、配管設備等でありまして、専有部分に属しないものであります。第三として、附属建物、たとえば、共同物置であるとか、浴場等でありまして、規約において共用部分定めたものであります。  次は、第三条でありますが、本条は、共用部分となるものの範囲に関しまして、次の二点を規定したものであります。  第一に、構造区分所有者全員またはその一部の共用に供されるべき建物部分、たとえば、区分所有者共同で利用するように作られている廊下階段室エレベーター室屋上等は、共用部分として特別の規制をする必要がありますので、区分所有権目的にならないことを明らかにいたしました。その結果、このような建物部分は、常に共用部分となるわけであります。  第二に、区分所有権目的となる建物部分または附属建物でありましても、これを共同集会室機械室物置等に利用する場合には、規約によって共用部分とすることができるものといたしました。  次は、第四条でありますが、共用部分所有関係について規定したものであります。共用部分は、数個の専有部分に従属し、これと不可分の関係にありますので、区分所有者共有とするのが適当であります。よって、一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分はそれらの区分所有者共有とし、その他の共用部分区分所有者全員共有定めました。しかし、共用部分特定区分所有者または第三者に管理させる場合に、課税その他の対外的関係におきましてその者を共用部分所有者とするほうが便利である場合もあり、これを禁ずべき理由もありませんので、規約によりまして、特定区分所有者または管理者共用部分所有者とすることも認めることにいたしました。なお、共用部分所有関係が以上のように法律規定または規約によって定まることになりますと、その規約定め区分所有者特定承継人に対しても効力を生じます関係上、登記によってその所有関係を公示する必要がなくなりますので、共用部分に関する物権の変動につきましては、登記を要しないことにいたしました。  次は第五条でありますが、本条は、区分所有者相互間の基本的な権利義務について規定したものであります。区分所有者は、建物を良好な状態に維持することについて共同の利益を有しているので、故意に建物を毀損したり、他の区分所有者共用部分使用を妨害したりすることは許されないのであります。第一項は、この義務規定したもので、違反者に対しては差しとめ請求損害賠償請求等ができることになります。区分所有者自己専有部分または共用部分の保存、改良工事を行なうにあたっては、他の区分所有者専有部分自己所有に属しない共用部分使用、たとえば立ち入り等が必要となる場合がありますので、必要な範囲においてその使用請求する権利を認めますとともに、その使用によって生じた損害は賠償すべき義務のあることを明らかにいたしました。  次は第六条でありますが、本条は、共用部分等に関する区分所有者間の債権につきまして、先取特権を認めたものであります。共用部分または建物敷地につきましては、管理費用の立てかえ等によって区分所有者間に債権の生ずる可能性が多いのでありますが、この種の債権は、その発生原因及び内容から見て、特に保護する必要がありますので、本条先取特権によって担保されることとしたのであります。  次は第七条でありますが、本条は、専有部分の収去請求権者のために区分所有権売り渡し請求権を認めたものであります。区分所有者敷地に関する権利を有しない場合、たとえば、土地所有者借地人が同一の建物の各一部を所有している場合において、借地人借地権が消滅したときには、その区分所有者の有する専有部分は収去しなければならないことになりますが、建物の一部分のみの収去は、多くの場合実行不可能でありますので、専有部分の収去を請求する権利を有する者は、収去の請求にかえて、その専有部分目的とする区分所有権自己に売り渡すように請求することもできるものといたしました。  次は、第八条であります。本条は、共用部分共有につきましては、共用部分特殊性にかんがみ、民法共有に関する規定を適用せず、第九条から第十五条までの規定を適用すること、及び一定事項につきましては規約で別段の定めをすることができる旨を規定したものであります。  次は第九条であります。本条は、共用部分に対する共有者使用権規定したものであります。民法は、各共有者共有物についてその持分に応じた使用をすることができる旨を規定しておりますが、この規定は、共用部分使用については適当でないので、共用部分の各共有者は、用方に従って共用部分使用することができることにいたしました。  次は第七条でありますが、本条は、各共有者持分割合定めたものであります。民法によれば、「各共有者持分八相均シキモノト推定ス」ということになっておりますが、共有部分に対する共有持分割合を均分とすることは実情に適しません。また、各自の専有部分価格割合によるとすることは、比較的妥当でありますが、価格算定が困難であります。そこで、価格制に近く、かつ、算定の比較的容易な床面積割合によることにいたしました。もっとも、各共有者合意の上、規約でこれと異る共有部分割合定めたときは、それによることになるわけであります。  次は第十一条であります。本条は、共用部分に対する共有部分区分所有権目的たる専有部分との関係について規定したものであります。共用部分に対する共有持分専有部分と不可分の関係にありますので、その処分においても、専有部分とともに処分され、専有部分と分離して処分するようなことは原則として許されないことを明らかにいたしました。たとえば、専有部分抵当権を設定すれば、その抵当権効力は、共用部分につきその専有部分所有者が有している共有持分にも及ぶ。また、共用部分に対する共有持分のみを他人に譲渡することは原則として許されないということになるわけであります。  次は第十二条であります。本条は、共用部分の変更について規定したものであります。  第一に、民法によりますと、共有物の変更は常に共有者全員の同意を要することになっておりますが、共用部分についてはこれを緩和する必要がありますので、多額の費用を要しない改良行為をする場合、たとえば、共同廊下の一部を低額の費用で共同物置に改造するような場合には、共有者持分の四分の三以上の合意によってこれをすることができることにいたしました。  第二に、共用部分の変更が特定区分所有者専有部分使用に特別の影響を及ぼす場合、たとえば、共用部分の変更によってある専有部分の出入りが不自由となったり、または採光、通風が悪くなるというような場合には、その者の承諾を要することにいたしました。  なお、本条規定する事項につきましては、規約で別段の定めをすることもできることにいたしております。  次は第十三条であります。本条は、共用部分管理について規定したものでありますが、第一項は、民法第二百五十二条と全く同趣旨であります。第二項は、前条の第二項と同趣旨であります。また、第三項は、損害保険契約、火災保険契約などでありますが、こういう契約を締結しますことが管理に関する事項に含まれるかどうか疑問がありますので、それが含まれる旨を明らかにいたしました。  なお、本条規定する事項につきましても、規約で別段の定めをすることができるわけであります。  次は第十四条であります。本条は、共用部分の負担及び収益の配分について規定したものであります。原則として、持分割合によることにいたしております。  次は第十五条であります。本条は、共用部分に関する債権について、民法第二五四条と全く同趣旨規定したものであります。  次は第十六条であります。本条は、規約共用部分所有者定められた区分所有者権利義務規定したものであります。規約特定区分所有者共用部分所有者定めますのは、その者に共用部分管理させる趣旨でありますから、その区分所有者共用部分管理する義務があると同時に、その管理に要する費用を請求することができる旨を定め。なお、その区分所有者共用部分についていかなる範囲の行為をなし得るかをも明確にいたしました。  次は第十七条であります。本条は、管理者選任及び解任方法規定したものであります。管理者を置くかどうかはもとより区分所有者の自由でありますが、これを置く場合に区分所有者全員合意を要することとするのは不便でありますから、管理者選任及び解任は、規約に別段の定めがない限り、区分所有者集会の決議によってすることとし、なお、特別の理由がある場合には、裁判による解任もすることができることにいたしました。  次は第十八条であります。本条は、管理者の職務権限について規定したものであります。すなわち、管理者は、共用部分の保存行為及びその変更または管理の実行行為並びに集会の決議の実行行為のほか、規約定めた行為をするものとし、外部に対する関係では区分所有者を代理する権限を有するものといたしました。  次は第十九条であります。本条は、管理者区分所有者に対する事務報告義務規定したものであります。  次は第二十条であります。本条は、管理者共用部分所有者となり得ること及びその場合の権利義務について規定したものであります。管理者共用部分所有者となることは、管理者がその事務を処理する上において好都合である場合が少くないのであります。たとえば、ビル・マネージの会社が管理者となる場合などあります。そこで、規約で特に定めました場合には、管理者共用部分所有者となることを認めることにし、この場合の管理者区分所有者との関係について必要な事項共用部分管理義務等)を規定いたしました。  次は第二十一条であります。本条は、管理者共用部分または建物敷地につきまして、区分所有者に対して有する管理費用等の債権のために、先取特権を認めたものであります。  次は第二十二条であります。本条は、管理者権利義務につきまして、この法律及び規約定める以外の事項につきましては、民法等の委任に関する規定を準用することを定めたものであります。したがって、たとえば、管理者は、その事務を処理するに当って、善良な管理者の注意義務を負い、また区分所有者は、管理者に必要な費用の前払をしなければならないことになるわけであります。  次は第二十三条であります。本条は、規約定めることのできる事項規定したものであります。建物、その敷地附属施設管理使用等につきましては、現在でもいわゆる管理規約定めている例が多いのでありますが、単なる債権契約にすぎないため管理上支障がありますので、これを法律上の制度として認め、必要な規定を設けることにいたしました。本条は、この規約内容として定めることができる事項定めたものでありますが、本条に列挙した事項のほか、他の条文により規約定めることを認められている事項もあるわけであります。  次は第二十四条であります。本条は、規約定め方を規定したものであります。書面によることとしているのは、規約内容を明確にさせるとともに、規約の保管や閲覧の関係を考慮したためであります。  次は第二十五条であります。本条は、規約効力について規定したものであります。規約定め事項は、区分所有者全員を拘束するのみならず、区分所有者が変更した場合に、従来の区分所有者特定承継人をも拘束する効力を有しなければ意味がありませんので、規約がこのような効力を有する旨を定めたものであります。  次は第二十六条であります。本条は、規約の保管及び閲覧について規定したものであります。規約区分所有者特定承継人に対しても効力を生じますので、売買その他によって区分所有権を取得しようとする者や区分所有権抵当権の設定を受けようとする者なども、規約内容を知り得るようにしておく必要がありますので、そこで、規約を保管すべき者を定めるとともに、その保管者は利害関係人に規約を閲覧させる義務があることにいたしました。なお、保管者が正当な理由がないのに規約の閲覧を拒みますと第三十七条によって過料に処せられることになります。  次は第二十七条であります。本条は、集会の招集権者を定めたものであります。管理者選任解任には集会の決議が必要であり、また、規約特定事項については集会の決議を要する旨を定めておくことも考えられるのであります。そこで、本条以下に区分所有者集会に関する規定を設けることとし、本条でまず集会の招集をなし得る者を定めます。  次は第二十八条であります。本条は、集会招集の手続に関する原則的な事項規定したものであります。  次は第二十九条であります。本条は、あらかじめ通知しなかった事項につきましては、規約に別段の定めがない限り、集会の決議をすることができない旨を規定したものであります。  第三十条は区分所有者の議決権について規定したものであります。規約に別段の定めがない限りは、各区分所有者専有部分床面積割合によるという趣旨であります。  第三十一条は集会の決議の方法定めたものであります。  第一項は、規約に別段の定めがない限り、区分所有者の人数とその議決権とのそれぞれの過半数によって決議が成立するという趣旨であります。  第二項は、議決権行使の方法について規定したものであります。  第三十二条は集会議長となる者を規定したものであります。  第三十三条は、議事録について規定したものであります。  第三十四条は区分所有者全員の書面による合意に、集会の決議と同一の効力を認めたものであります。区分所有者が少数であります場合には、書面で合意をするほうが簡単で便利なことも少くないと思われるからであります。  第三十五条は建物の一部が滅失した場合について規定したものであります。区分所有建物の一部が滅失した場合につきましては、現在では何も規定がありませんので、各区分所有者がいかなる権利義務を有するか明らかでありませんので、この点を明確にしようとしたものであります。すなわち、建物価格の二分の一以下に相当する建物の一部が滅失した場合には、従来の権利関係を維持して建物を存続させるのが適当でありますので、各区分所有者に必要な範囲の復旧権を与え、また、建物価格の二分の一をこえる部分が滅失した場合には、建物を従前の姿に復旧させるかどうかを区分所有者全員協議させることとし、協議不成立のときは、離脱を欲する者のために建物及びその敷地につきその者が有していた権利の買取請求権を認めることにいたしました。  第三十六条、いわゆる団地内にあります共有土地附属施設、たとえば集会場などの管理便宜をはかるため、上述した管理者規約及び集会に関する規定団地についても準用しようとする趣旨であります。  第三十七条は規約等の保管者がその閲覧を拒んだ場合の過料の制裁を定めたものであります。  次に附則でありますが、  第一条は施行期日定め規定であります。この法律は、あらかじめその内容を国民に十分周知させますとともに、施行前に管理者選任し、規約を制定し、あるいはそのための集会を開く等の準備をする余裕をも与えておくことが望ましいのであります。そこで、施行期日は、昭和三十八年四月一日とするとともに、その期日前でも、必要な準備行為はできることにいたしました。  第二条は、この法律の施行に伴う経過措置定めたものであります。第一項及び第二項は、この法律の施行前から存する区分所有建物共用部分区分所有者の単独所有または共有に属します場合には、その所有関係をこの法律施行後もそのまま存続させるように措置したものであります。また、第三項は、区分所有者でない者がその建物共用部分所有していた場合において、この法律の施行によりその所有権を失うことがありますので、その場合の損失の補償を受け得ることを定めたものであります。  第三条は、この法律の制定に伴って民法中不要となりました規定整理することといたしたものであります。  第四条は、この法律の制定に伴いまして、区分所有建物に関する登記手続を整備するために、不動産登記法所要改正を加えたものであります。その内容は次のとおりであります。  まず目次の改正、これは第九十九条ノ二から第九十九条ノ四までの規定新設したことに伴う整理であります。  第十五条の改正、これは区分所有権目的たる建物特定し、その権利関係を明らかにするためには、各区分所有建物をそれぞれ別個の登記用紙に登記することなく、一むねの建物に属するものの全部を同一登記用紙に登記することが適当でありますので、その旨を規定したものであります。  第十六条ノ二の新設、第十五条の改正によりまして、区分所有建物におきましては、一むねの建物に属するものの全部について一登記用紙を備えるのでありますが、その一登記用紙中には、表題部、甲区及び乙区を各区分所有建物ごとに区別して設けることを明らかにしたものであります。  第三十六条の改正登記すべき建物または付属建物区分所有建物であるときには、その区分所有建物の属する一むねの建物の全体の状況を登記する必要がありますので、その登記の申請書にその全体を表示することとすると同時に、各個の区分所有建物につきましては、その所在の土地を表示する必要がありませんのでこれを申請書に記載することを要しないものとしたものであります。  第九十一条の改正は、本条第二項の追加は、区分所有建物の表示の登記におきましては、その状況を明確にするため、その属する一むねの建物の表示をもすることとすると同時に、各個の区分所有建物の所在の土地を表示することを要しないものとしたのであります。本条第三項の追加は、区分所有建物の属する一むねの建物共用部分につきましては、区分所有建物等に関する法律第四条第三項の規定により民法第百七十七条の規定の適用がないこととされたのに伴いまして、その表示の登記をしないこととしたものであります。ただし、同法第四条第二項の帆走によって規約により共用部分とされたものにつきましては、所有者の表示を除いて、その表示の登記を存置することが適当でありますので、このことを規定したものであります。  第九十三条ノ二の改正区分所有建物登記につきましては、その属する一むねの建物の表示事項の変更の場合にも、その表示の変更の登記を申請すべきことを規定しますとともに、共用部分たる旨の登記をした建物の表示の変更の登記につきましては、共用部分たる旨の登記をする前に変更が生じ、その登記の未了のときには、その登記をした日から一カ月内にその表示の変更の登記を申請すべきものとし、また表題部に所有者が表示されず、また所有権登記もされませんので、実体上の所有者に申請義務があるものとすると同時に、その所有者の変更の場合の申請義務についても規定したものであります。  第九十三条ノ三の改正共用部分たる旨の登記のある建物の分割または区分の登記の申請適格者を規定したものであります。  第九十三条ノ五の改正区分所有建物登記におきましては、その属する一むねの建物が表示されますので、その表示の更正の登記の手続を規定したものであります。  第九十三条ノ六の改正共用部分たる旨の登記のある建物の滅失の登記の申請義務者を規定したものであります。  第九十三条ノ七の改正区分所有建物の属する一むねの建物の表示の変更の登記手続を規定したものであります。  第九十四条の改正建物の区分の登記手続を次条において規定することとしたのに伴い規定整理をしたものであります。  第九十四条ノ二の新設建物の区分の登記手続を規定したものであります。  第九十五条の改正、甲建物を区分してこれを他の建物またはその附属建物に合併する登記の手続を規定したものであります。なお、附属建物の区分の場合には、附属建物を一たん主たる建物から分割した上で区分の登記をするのが適当でありますので、附属建物の区分の登記を廃止したのであります。  第九十六条の改正附属建物の区分の登記を認めないこととしたのに伴う整理であります。  第九十六条ノ二の新設建物の区分の登記をする場合の所有権その他の権利に関する登記の移記手続を規定したものであります。  第九一八条の改正区分所有建物の合併の登記手続を規定したものであります。  第九十九条の改正区分所有建物の滅失の登記手続を整理したものであります。  第九十九条ノ二の新設区分所有権目的でない建物区分所有建物となった場合及び区分所有建物区分所有権目的でない建物となった場合の登記用紙の改記の手続を規定したものであります。  第九十九条ノ三の新設建物区分所有等に関する法律第三条第二項の規定により規約共用部分とした場合のその旨の登記手続を規定したものであります。  第九十九条ノ四の新設共用部分たる旨を定め規約を廃止した場合の登記手続を規定したものであります。  第五条これは従前の区分所有建物登記用紙を法務省令の定めるところにより改正後の不動産登記法による登記用紙に改製することとし、かつ、いわゆる登記簿と台帳の一元化の完了していない登記所における区分所有建物登記手続等を定め所要の特則その他の経過措置法務省令で定めることとしたものであります。  第六条は附則第四条による不動産登記法改正に伴う地方税法中固定資産税に関する規定整理したものであります。  第七条は、この法律の制定に従い、市街地改造法所要改正を加えたものであります。すなわち、同法による管理処分計画において定め施設建築物の共用部分並びに共用部分共有者及びその共有持分は、この法律による規約定めたものとみなして、この法律との調和をはかったものであります。  以上のとおりであります。
  12. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。本案に関する質疑は後日に譲ることとし、本案については本日はこの程度にとどめます。    ——————————
  13. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に、臨時司法制度調査会設置法案議題といたします。  本案は、去る二月二十三日当委員会に付託されましたので、本日は提案理由説明を聴取いたします。本案については、大平内閣官房長官が出席しておられます。
  14. 大平正芳

    政府委員(大平正芳君) ただいま議題となりました臨時司法制度調査会設置法案について、その提案理由及び概要を御説明いたします。  近時、訴訟事件の数がとみに増加し、その内容もきわめて複雑となってきたことに伴い、裁判官等の格段の努力にもかかわらず、訴訟遅延の現象はようやく著しく、今や看過することができない状態にまで立ち至っているのであります。しかるに、裁判官を志望する者の数は近時漸減の傾向にあり、必要最小限度裁判官の数の確保すら困難な実情にあるのであります。したがって、このような状態を放置するにおいては、訴訟遅延の解消は望むべくもなく、わが国の司法制度は、この面において、きわめて憂慮すべき状態にあると言っても過言ではないのであります。そこで、かかる事態を打開するためには、その根本的な問題である裁判官の任用制度、給与制度等に徹底的な再検討を加え、抜本的な対策を早急に樹立することが焦眉の急務であると考えられるのであります。  政府は、数年来、この問題に関し、種々の検討を続けてきたのでありますが、事は司法制度の根本にかかわる問題であり、ひいては国政の基本に関する問題でもあることにかんがみ、その対策の樹立にあたっては、まず各界の英智を集めてこの問題の検討に万全を期する必要があると考えますので、この際、臨時に、内閣に、そのための調査審議機関として臨時司法制度調査会を設置しようとするものであります。この法律案は、右の調査会の設置に必要な事項定めているものでありまして、以下その要点を申し上げます。臨時司法制度調査会は、司法制度の運営の適正を確保するため、主として、裁判官の任用制度及び給与制度、これと密接不可分の関係にある検察官の任用制度及び給与制度並びに法曹一元の制度に関する緊急に必要な基本的かつ総合的な施策について調査審議することを目的とするものであります。その委員には、国会議員、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験のある者合計二十人以内を任命することとし、必要に応じて専門委員を置くことができることとするとともに、調査会の事務を処理させるため、調査会に事務局を置くこととしております。なお、この調査会の設置の趣旨にかんがみ、この法律は、施行の日から二年を経過した日にその効力を失うこととしております。  以上が、臨時司法制度調査会設置法案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願いいたします。
  15. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 以上で説明は終了いたしました。本案の質疑も後日に譲ることとし、本日はこの程度にとどめます。    ——————————
  16. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 検察及び裁判運営等に関する調査中、昭和三十七年度法務省関係予算に関する件及び昭和三十七年度裁判所関係予算に関する件を議題といたします。  去る二月八日に引き続き、質疑を続行いたします。本件については、出席中の当局側は、新谷法務省理部長平賀法務省民事局長であります。  御質疑のおありの方は順次御発言下さい。
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 まず、経理局長にお尋ねいたします。  法務省の三十七年度の予算は三百六十九億六千九百八万余、前年度に比べまして三十七億ほどの予算の増加になっておるようですが、これは国全体の予算に比べますとどういう比率になっておりましょうか。全予算の何%に法務省全体の予算はなっているか、前年度に比べてそのパーセンテージはどういうふうに変わっておるのか、この点について。
  18. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 法務省全般の予算についての御質問でございます。ただいまお話のありましたように、来年度の法務省所管の予算全体を前年度に比較いたしますと、三十七億八千二百三十万円余りの増額になっておるわけであります。これを少しくこまかく分析して申し上げますと、前年度の人件費、物件費、施設費、そういったごく大きな分類に基づきまして比較増減の状況を申し上げます。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっとお待ち下さい。私の質問の要旨は、この間説明をされたのは、法務省の三十七年度の予算は三百六十九億六千九百八万七千円、前年度の予算に比較すると三十七億八下二百三十万六千円の増額をみている、こういうふうに説明なされているのであります。そこで私の聞きたいのは、国全体の予算は二兆四千二百六十八億、前年度に比べると国全体の予算は四千七百四十億の増額をみています。国全体の予算は、前年度の予算に比べると約二四%と大きくふくれ上がっているわけですね。こういう中で、この法務省の予算というのは、国全体の予算の中でどういうパーセンテージを占めているのか。たとえば文教予算にしても、国全体の予算の約一一%を占めているわけですね。文教予算の場合、前年度に比べると約一%ばかり減少しているわけなんです。だから、法務省の予算も国全体の予算の中で何%を、占めているのか、そのパーセンテージは前年度のパーセンテージに比べるとどういう増減の数字を示しているのか、こういう私の質問です。こまかいところはけっこうです。
  20. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 三十六年度に比べますと、法務省全体の予算の増加率は二・二七%の増加になっております。国全体の予算との比較はどうかという御質問でございますが、ただいまもお話のございました全体の予算との比率計算になろうかと思います。こまかい計算は今いたしておりませんですが、法務省だけの予算の伸びを申し上げますならば、ただいま申し上げました一一%余りの増額になっております。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは大切な数字ですから、国全体の予算の中にどのくらいのパーセンテージを占めているのかということ、それは三十六年度に比べると国全体の予算の中で何%の増減か。法務省全体の予算では多少ふえているから、それは一一%ふえたという答弁でいいと思うんです。しかし、国全体の予算の中で法務省の予算というのは何になっているのか、三十六年度に比べて三十七年度はどのくらい一体国全体の予算の中でふえているのか、こういう数字を聞きたかったわけですが、後刻これはお調べをいただいてお知らせいただきたいと思います。  総括的に法務省の予算を申し上げると、一一%の増加とは言うけれども、仕事の割りに予算があまりふえておらない。まあ国の予算は、パーセンテージを出すとよくわかるのですけれども、本年度ーー三十七年度の自然増というものは非常に膨大なものです。専売益金から前年度の繰り越しから合わせると約五千七百九十七億という膨大な自然増がある。そういう自然増があるにかかわらず、法務省の予算というのはほとんど伸びがない。自然に給与ベースの改定等に使われる予算とか、若干の人員増とかいう予算で、目新しい予算というものがないので、これは経理部長にお尋ねしても、数字のことだけですから、こういう政策面に触れることは若干無理だろうと思いますけれども、非常に伸びが少ない。この点をいかにも私は残念に思うわけです。  そこで、事務的なことをお聞きいたしますが、本年度の法務省の予算の約三十七億という増は、補正後の予算額との比較では三十一億四千二百七十二万という数字をあげておりますが、ほとんど人件費にこれが使われているようです。補正後の予算額との比較は三十一億ですけれども、その増額の中で二十九億というものが人件費に使われている。人件費も大切でありますけれども、重要な法務行政、司法行政の中で、一般事務費というものはわずかばかりの増額をみたということだけで、たいへんこの点遺憾に考えるわけです。なかんずく、一般事務費の中で登記関係の渡し切り費の問題であります。これは、先般大臣が予算説明をなさった際に、この渡し切り費は、従来九千円だったのを一万三千円に上げて、そのために四百八十一万の予算が必要であったと述べておられます。この措置は必ずしも不当なものだとは考えませんけれども、一体、民事局長にお尋ねいたしますけれども、渡し切り費の増額について人事院の勧告というものがなぜ完全に三十七年度に実施されなかったのか、この点をお尋ねいたします。
  22. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいま仰せのとおり、人事院の判定しました単価が一万七千三百一円という数字が出ておるのでありまして、私どもも、これを資料にいたしまして、大蔵省と折衝いたしましたのでございます。ただ、この人事院の判定も、これは全登記所を調査した結果ではなくて、一部の登記所をサンプル的に調査した結果でございまして、この数字が必ずしも絶対とは言えないという事情もあります。それからまた、国全体の予算の事情ということもございまして、私どもとしましては極力努力をいたしたのでございますが、先ほど仰せのような一万三千円というところに来年度は落ち着いたような次第でございます。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 予算の関係があろうかと思いますけれども、この人事院の勧告は、昭和三十三年の十月三十日に人事院の勧告がなされた。つまり、三十七年度をさかのぼる四年前に出た人事院の勧告です。今おっしゃるように、その渡し切り費の増額の内容は、人事院の勧告は一万七千三百一円、こういうことで、今度出された二万三千円というのに比べると四千円の開きがある。人事院勧告からずっと開いている。四千円少ない。しかし、今あなたの説明によると、一万七千三百一円というのは、これは一部の登記所を調査したので、必ずしも妥当なものとは考えられないというような御発言も承っておるのですけれども、その御発言は誤りではないでしょうか。人事院の勧告は、これはやはり人事院自体の調査に基づく公平な機関としての私は判決だと思う。その判決が妥当でないというようにとれる御発言があったということは、私はふに落ちない。そういうお考えだから、四年も前の妥当な一万七千三百一円という線に近づける努力というものが若干足りなかったんじゃないか、そういうふうに受け取れますけれども、人事院の勧告というものをどういうふうに一体お考えになっているわけですか。
  24. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいまの私の申し方が、あるいは誤解を招いたかと考えるのでありますが、決して人事院の判定が間違っているという趣旨ではございません。むろん、人事院の判定がなされましたのは、ただいま仰せのように、三十三年でありまして、それからまた二、三年たった現在でありますので、むしろ当時よりも上がっておると見なくちゃならぬのじゃないかとも思うのでございます。現実に私どもといたしましては、単価一万七千八百八十二円と、約一万八千円ということで大蔵省とは折衝いたしたのでございます。で、まあ数次にわたりまして復活の折衝もいたしましたが、何分現在が九千円ということになっておりまして、一躍これを倍額にするということは、これは大蔵省のほうとしてもなかなか困難なことではないかと私ども想像いたすわけであります。で、数回復活要求をいたしました結果、来年度におきましては一万三千円と、私どもの要求よりも約五千円足らず不足するのでございますけれども、三十七年度は一応これでやむを得ないと、今後さらにこの渡し切り費の充実については努力をしようということで、一万三千円に来年度は落ちついたような事情でございます。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ一万八千円の要求をされたということでありますが、一体この一万八千円自体にも私は問題があるだろうと思います。渡し切り費の対象は、御承知のように、庁用の燃料費、電灯料、そういうものが主体になっているようです。でありますから、最近の燃料費とかそれから電灯料もすでに上がっておるわけですが、三十三年度の勧告に比べてはるかに下回っているということははなはだどうも遺憾にたえないところでありますが、念のために今年度要求せられました人事院の勧告、すなわち昭和三十三年の十月に出された人事院の勧告より若干上回って一万八千円の予算要求をされたということですが、大体二万八千円の算定の基礎というものについても、どうもあまり合理的でないような気がいたしますが、この一万八千円はどういうふうにしてはじかれた数字なんでしょうか。
  26. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) これは各庁から報告を求め、また、私どものほうでも、全部についてではございませんが、一部の庁等につきまして実態調査をいたしました結果、これなら妥当であろうということで、はじき出した数字でございます。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 燃料費、それから電灯料、こういったようなものも、最近の物価高は、昭和三十三年でさえ昭和十年の約三百四十六倍になっている。非常に上がっておるわけなんです。これは三十三年ですね。今三十七年なんですから、さらにそれよりも上がっているわけです。そうすると二万八千円というのは、これは必ずしも物価指数に忠実なはじき方ではないというふうに考えられますが、あなたはそう思いませんか。
  28. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 私ども、この一万八千円という単価を算定しますにつきましては、ただいま仰せの物価の値上がりも考慮に入れましてこの数字を出したのでございます。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、二万八千円の、要求がけられて、三年前の人事院勧告をはるかに下回る二万三千円というところで涙を飲んだことになるわけですが、私は、人事院勧告というようなものは公平な機関としての勧告でありますから、政府自体は、この勧告に対して常に忠実でなければならないと思う。しかし、九千円から一挙に一足飛びにそうはできないというお答えで、私もなるほどこれは一理があると思いますけれども、人事院勧告というものを軽視するという傾向は、これは私はたいへん悲しむべき傾向だと思う。そこに不要なトラブルが起こるのですね。公平な機関の勧告を、政府が正直にやってくれなければどこを信頼すればいいかわからないでしょう。その不足分というものは、みな第一線に働く人の上に犠牲の形になって出てきているわけです。そういうトラブルをなくするために政府は、やはり合理的な要求をするるともに、それ自体最も重要なことは、人事院の勧告を忠実に実施するように努力をしてもらわなければならないし、大蔵省自体にもこの人事院勧告というものの性格をよくわかってもらわなければならないというふうに私考えますが、来年度はこの人事院勧告、三年前の人事院勧告に下回ることのないような措置を講ずることはできる様相を持っているのかどうか、大へん答えにくい質問かと思いますけれども、要は、あなたが人事院の勧告をどう見るかということに尽きると思います。答えていただきたい。
  30. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 先ほども、申し上げましたように、人事院の判定、決してこれを私ども不当とか、信頼に値しないとは思わないわけでございまして、従来人事院の判定も重要な私どもの予算要求の根拠といたまして、これを使いまして、大蔵省と折衝いたしたのでございます。現に私どもが算定したところでも、まあその後物価の値上がり等もあるわけでごいますが、これよりも若干上回る数字で要求したくらいでございます。ただ、先ほどもこれまた申し上げましたように、従来は九千円であったものが一万三千円、約四千円の増額になったものでございまして、従来の渡し切り費の増額の経過から考えてみますと、大蔵省としてもよほどこれは奮発をしてくれたのだと私ども思うわけでございます。でありますから、大蔵省におきましても、やはりこの人事院の判定というものを相当重視されて、一度に四千円の増額ということに踏み切っていただいたのではないかと思うのでございます。しかしながら、これで十分かといわれますと、必ずしもそうではない。決してそうではないのでございまして、今後さらに私どもとしましては、この渡し切り費の額につきまして、今までよりもさらに以上の努力をしたいと考えておる次第でございます。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 次に、人事院の勧告の問題に関連するのでありますけれども、宿日直手当に関する行政措置要求が、昭和三十四年の十一月十九日全法務でもってされたのです。それについて昨年の暮れの十一月二十四日付で宿日直手当に関する行政措置要求に対する人事院の連絡があったようですが、どうも宿日直手当についても人事院の勧告というものが盛り入れられていないといううらみが濃いようであります。前の渡し切り費にしても、宿日直手当にしても、人事院勧告の精神というものが十分にくめないように思っていますが、三十七年度の宿日直関係で、人事院の判決にどういうふうに忠実におやりになろうとしたのか、その苦心の跡、現在これで妥当というふうにお考えになっているのですか、こういういうことです。説明によると、六十四日分だけ何か宿日直関係の費用をおとりになったようですけれども、この六十四日分の費用の内訳は、どうも超過分のほうを削ってそっちのほうへ回したような傾向があるようですね。ですから宿日直について、三十七年度人事院の判定について、どういうふうに忠実におやりになったのか、その点を少し詳しく説明していただきたい。
  32. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) 宿日直の問題につきましては、従来登記所におきましては、十日分の日直手当しか予算上認められていなかったのでございます。この点も私どもこれでは不合理であるというので、日直手当の増額を要求して参ったのでございますが、三十七年度におきましては、ただいま高田委員の仰せのように、全休日の六十四日分を大蔵省のほうでも認めてくれまして、三千七百十二万五千円という金額を予算で認めてくれたのでございます。ただ、六十四日分を全部認められましたにつきましては、ただいま高田委員の仰せのように、従来超過勤務手当分として計上されておりましたものを一部こちらのほうへ回すというような計算になっておるようでございます。しかし、それにしましても、三十七年度の超過勤務手当の予算の総額は三十六年度よりはやはり若干ふえておる事情にございますので、今まで、三十六年度以前に比べますと、かなり大きな改善がされたというふうに私ども考えております。なお、人事院の判定の関係は、高田委員の仰せはおそらく土曜日の半日直手当の支給労法に関するものだと思うのでございます。土曜日の半日直手当、それから宿直手当との関係でございますが、現在の制度のもとにおきましては、同じ人間が土曜日の午後から夜間にわたって半日直、宿直をいたしました場合には、これは宿直一回分ということで三百六十円が支給されるという建前にこれはなっておるのでございます。ところが、これに対しましては、不合理ではないか、半日直と宿直というふうに分けるべきである。そうしますと、支給額は五百四十円になるわけでございますが、五百四十円を支給すべしという意見があるわけであります。それで人事院のほうもその意見のほうが正しいということでもって、先ほど仰せのように、昨年の十一月二十四日にそういう判定を下したのでございます。私どもとしましても、この判定は尊重すべきものだと思っておるのでございますが、ただ現在のところ、土曜日の半日直と宿直を一本にしまして、これを一回分の三百六十円を支給するというのが、これは人事院の規則できまっておりまして、この規則の改正ということがまず前提になると思うのでございます。人事院のほうでこの規則を改められますれば、私どもはこの判定を尊重しまして、この支給方法をひとつ改めるべく検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 人事院のほうでも、人事院規則の九ー一五、これは宿日直手当のことをきめたものですが、これを改正して現状に合うようにすべきであるということで、判定の中には、「今後関係各庁においては、土曜日の半日直勤務と通常の宿直勤務とは分けて手当を支給することに改める等適当な措置を各官庁において講ずべきである。」こういうのが人事院の判定であります。したがって、五百四十円支給せよという要求は妥当な要求であることを人事院が認めているわけですね。そうだとするならば、人事院の判定の趣旨というものは当然予算の面に生かされてこなければならない。ところが、本年度の予算は、遺憾ながら今まで十日分きりなかったものを、六十四日分にふやしたということ、その努力は認めますけれども、人事院の判定そのものについてはやはり忠実でない、遺憾ながらそういう結果が出てきていることを御認識いただかなければならないと思うわけです。くどく言うように、法務省自体もなかなか予算の取りにくいところではありましょうけれども、人事院の勧告というものは、やはりこの際、民主的な社会機構と政治機構としては、やっぱりこの判定というものは、あるいは勧告というものは尊重されなければならないという建前で、その線に近づけていっていただかなければならないと思うのですが、これは予算がどうしても取れませんでしたのですか。取れないので、この超勤分をこっちのほうへ振り分けたということになるわけなのですか。
  34. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ただいま申しましたように、土曜日の午後から夜間にかけての宿直を、半日両とそれから通常の宿直というように区分して支給するということになりますと、この宿日直の予算の額に不足を生ずることになるわけでありますが、これは三十七年度においてはちょっと、もう処置がございませんので、やはり超過勤務手当から——超勤の予算のほうからこちらに回すということになるだろうと思うのでございます。そういう関係で、これは再来年度におきまして、さらに実質的にも人事院の判定が実現できますように、私どもとしましては努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 何だかはっきりしたようなしないようなんですが、最終的に、人事院の判定を今後またさらに尊重していくというお考えですね。
  36. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) そのとおりでございます。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 超過勤務分を振り向けたということでありますが、額は、どのくらい超過勤務分が振り向けられておるわけでしょう。これは、そちらの経理部長のほうでわかりませんか……。今おわかりにならなければいいですよ。調べて、あとで数字を答えて下さいね。
  38. 平賀健太

    政府委員平賀健太君) ちょっと私は御質問の趣旨を聞きとりそこなったのですが。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 今あなた、日直分だけで六十四日分にふやしたと、こう言うのでしょう。予算の操作は、超勤の分が若干多くなっているから、その超勤の分をその予算に振り向けたとあなたが答弁をされたわけですね。私の考え方は、超勤は必要だから超勤の費用があるので、それをこっちのほうに振り向けてこれを糊塗しようという態度はきわめて遺憾であるから、一体、超勤分はどれだけこっちのほうに振り向けたのですか。そういうことを聞いている。これは新しい予算を要求すべきものなんですよ。そんなところがら振り向けたりするものじゃないのですよ。だから聞いているのです。
  40. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) ただいまの超勤手当を日直手当に振り向けた問題でございますが、これは今回の、日曜日その他の休日の日直に相当する勤務につきましては、従来超過勤務手当をもってその処理をいたしていたわけでございます。それにかわる措置として今回の日直制度が取り入れられました関係上、従来超過勤務手当として措置するために必要であった金額、これを額で申し上げますと約千五百万円ぐらいになるのでございますが、これを日直手当のほうに振り向けた、こういう計算になるわけです。ただし、先ほど民事局長からも説明がございましたように、超勤手当そのものはさらに別途増額されております。従来の予算額以上にこれはふえておりますので、法務局の超過勤務そのものにつきましては、従来以上に予算的には是正が行なわれている、こういう結果になろうかと考えております。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 たいへん苦しい御答弁ですから、これ以上追及しようと思いませんが、要するに六十四日分の日直分をおとりになったから、はっきり言うと、宿直分がなくなってしまっちゃったわけですよ。なくなっちゃったからしようがないから超勤分から千五百万円を振り向けたと、こういうことですが、いろいろ私の研究によると、かなり超勤分もよけいとってあるとは言うけれども、そういう振り向け方をしておるから、必ずしもこれがよけいであるとは考えられませんが、今度の説明にもあるように、新規事業はあまりございませんけれども、特にこの法務省関係では、登記所の戸番整理の問題が実施計画として新規事業として今度やらなきゃならない。人員もこれはあまりふえておらないようですから、おそらくこの戸番整理というのは、たいへん手間の要る仕事らしいので、超勤によってこういう新しい事業が行なわれなきゃならない、こういうものも見通されて超勤手当というものも、私はお考えになっていたのではないかというふうに想像するのです。必ずしも超勤手当が多いということではないのじゃないかと思うのですが、総体的に言うと、これは一部報道人の批評ですけれども、裏話の批評ですけれども、ずいぶん法務省は予算の要求額が少なくて、よその省からもずいぶん喜ばれたと、これは変な意味ですが、喜ばれたというような批評も聞きますが、実際は、運営が苦しいので、あっち回し、こっち回ししているのですから、そういうよその省から芽ばれたり、拍手かっさいされるのじゃなくて、やはり必要な予算はおとりいただくとともに、特に根拠のないのに予算をよこせと言っても、これは無理だろうと思いますから、政府の機関としては、人事院の勧告、あるいは人事院の関係というものを、どの省でもやっぱり尊重するという建前に立って予算をとっていってもらいたいと思うわけです。  これだけにかかっておるわけにもいきませんから端折りまして、旅費の問題をちょっとお尋ねしておきます。  旅費は五%減ということになっておりますが、これは各省とも旅費は五%減という線が出ているようですが、仕事に対して、この五%減というのは——一般的な問題ですけれども、五%減というのは、全然これは影響がないものなんでしょうか、これはどうなんですか。
  42. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 五%減と申しますのは、これは各省共通の問題でございまして、旅費一般の問題といたしまして、一律に五%の節約がまずやられたわけでございます。これは業務の運営上、極力旅費予算を節約してやらなければならない、いろいろほかの重要な経費にその財源を充てなきゃならぬというようなところから、このような措置がとられたのでございます。ただ、今仰せのように、その節約が事業に影響するのではないかという御心配でございますが、御承知のように、私どものほうといたしましては、各組織別に一般の行政指導監督上要する旅費のほかに、たとえば本局について申し上げますならば、登記所費というものが、事業そのものに必要な予算の項がございます。また、検察庁につきましては、検察費というふうなものが、それぞれの事業費が別に項が立てられて予算に組まれておる。今お話のように、五%の節約がこの事業のほうにかかって参りますと、これは仰せのように、業務遂行に立ちどころに影響するもので、まあその点も心配になりましたので、最後までこの旅費の節約の排除と申しますか、実質的にその節約の被害を受けないことというふうな配慮をいたしまして、大蔵当局とも折衝いたしたわけでございます。幸いにいたしまして、そういった事業費の系統につきましては、大体その節約は実質的には戻された結果になっております。  それと同時に、旅費の一般の問題といたしましては、単価の増額が行われております。一〇%の増額をいたしました上で五%の節約をはかっておりますので、実質的には旅費は増額になっておるのではないかと、かように考えます。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりました。旅費の中で、これはこの種類は違うわけですか。検察庁関係になるのですか、参考人の旅費というのはどういうふうにこれは上がっていったのですか。
  44. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 検察庁関係に組まれております参考人旅費の増額でございますが、これは裁判関係についても同じような経費がございます。裁判所の増額に歩調を合わせまして検察庁関係についても増額になったわけでございます。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 裁判所、それから検察庁の参考人の旅費は三百十六万円増額したようですけれども、それは幾らが幾らに増額になって……。
  46. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 従来、単価三百円でございましたのが五百円になったのでございます。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 五百円に、二百円増額になったわけですね。
  48. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) そのとおりでございます。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 日雇いの方が参考人に出られて、きょうかりに福岡なら福岡から東京なら東京へ来るとその旅費は実費に弁償されるわけですね。
  50. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) そのとおりでございます。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、五百円というのはどういうわけなんですか。
  52. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 今お話の福岡から東京に向かって来ますときの旅費は、これは旅費としてその実費の支弁になるわけですが、先ほどの参考人の経費といいますのは、これは日当三百円から五百円に引き上げたということでございます。その点多少内容が違う点がございます。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 たとえば三月二十六日に出頭せよということで三月二十六日に出頭いたしますね、そうすると、その経費は今まで三百円だったものが五百円に上がったから二百円まあよけいいただけるわけです。しかし、遠いところから一日の口述をするために費される日にちというものは必ずしもきっかり一日であるわけではないわけです。来る時間、帰る時間、これを加えると遠いところでは三日間の費用が必要になるわけですが、こういう場合に一件の参考人の経費として三日間費した場合には、その前後の三日間についても当然経費を支給すべきだというふうに私ども考えておりますが、この予算の要求をなさるときに、そういう実際問題として経費を計算をされているのか、この点どうなっていますか。
  54. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) ただいまお話のように、実際の取り調べについて、一日要することもございますし、また三日間要することもあるわけでございます。予算の単価といたしましては、これ一回の一取り調べについて三百円を五百円に引き上げるという措置を講じたわけでございます。この支給方法につきましては、これは裁判所との関係もございます。裁判所も今回の増額によりまして千円以内というふうに法律改正を行なう予定になっております。まあそれに歩調を合わせまして、検察庁につきましても、同じく千円以内というふうに実際の支給基準をきめていく予定でございます。
  55. 高田なほ子

    高田なほ子君 民事局長。この支給基準はそれで千円以内でいいのですけれども、一日だけだから一日これっきりしか出さないというのじゃなくて、遠いところがら東京へ出てきた場合には、どんなに急いでも往復三日間くらいの日時が費されるわけですね、そのことのために。そうだとすると、一日経費でなくて、これは三日経費が支給されるべきものだというふうに私考えているのです。そういうことは一件について一日経費計算ではなくて、一件について実際その人が費した日時の計算で支給されるべきものだ、こういうふうに考えますけれども、これはどういうふうになっておりますか。
  56. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) お説のように、日数計算によるということも一つの方法かと思うのでございますが、ただいままでの予算の立て方あるいはその支給基準の立て方から申しますならば、一日の場合あるいは三日の場合というふうにそれぞれによって態様が異なっております。そのような態様に応じまして何円以下というふうにそれぞれの支給の額をきめていっておるわけであります。これがいいか悪いかというところに高田委員の御意見があろうかと思うのでございますけれども、この点につきましては、なお私どもも、将来の予算の措置等ともにらみ合わせまして検討してみたいと、かように考えております。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 態様がいいか悪いかという問題じゃないのです。二日間参考人なら参考人を呼ばれて、その内容は二日間にわたる場合もありますね。私が言っているのは、二日間でも三日間でもそれはお調べになるのですから実際に二日なり三日なりの日時を要する。また、その要したものに対して負担をかけないようにするのが当然ですが、その前後、遠いところがら来たときに前後に日数がかかるわけですね。汽車に乗って来るのですから。日雇いの人だったら、一日日雇いをつぶして出てこなければならないでしょう。帰るときにも一日つぶさなければなりませんでしょう。そういうようなときに、そういう前後の仕事の空白をさせた、口述したその時間だけではなくて、空白をさせて損害を与えたというものに対しても支給するように配慮すべきではないかということです。今まではそういうことの配慮がなかったわけで、今度は予算が若干上がりましたから、少しはそういう面についても考慮されていいんじゃないかと思うので、お尋ねをしているわけです。
  58. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) これは裁判所の実際のやり方に実は右へならえをしておるわけでありまして、裁判所の場合におきましても、証人が法廷に二日出ればこれはやはりその二回分の計算をいたしておるわけであります。問題はその前後にわたって出廷するまでの日時をかなり要する場合どうするか、ただそれだけの金額を支給して、それで事足れりというのでは不十分じゃないか、こういう御意向だと思うのでありますが、そういった点を勘案いたしまして、今の定額で幾らというふうなきめ方ではなくて、何円以下というふうな含みを持たせた支給基準になっておるのでありまして、この今回の予算は必ずしもそれに見合うだけの十分なものとは言えないかもしれません。従来よりも多少この際増額になりましたので、そういった点も、参考人の方々にもプラスの面が今後は出てくるのじゃないかというふうに私は考えております。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは次に移ります。  矯正、保護関係の問題に少ししぼって申し上げます。法務省は、本年度の予算問題として、暴力犯罪対策、公判審理の迅速化、交通事件、それから非行少年対策というふうに、大体大きな柱をこう立てておるようですが、非行少年対策について、どうも予算の面から見るとたいした目ぼしい内容も持たれておらない、まあお尋ねしてみなければわからないわけですけれども、青少年の犯罪の増加に対して政府は力こぶを入れるのだと、こういうことで、だいぶ総理大臣も本気になっていらっしゃるようですが、実際予算の面から見ると、必ずしも青少年対策について強化されたあとを見ることができません。  第一番に、この矯正関係の問題について予算の面から尋ねていきたいと思いますが、少年院それから少年鑑別所、婦人補導院これらをひっくるめまして、前年度に比べ三千六十人の収容人員減という基礎数字から計算されているようですが、この人数がふえることは決して望ましいことではございません。しかし、前年度に比べて三千六十人の人員減ということで、それを基礎としていろいろの数字をはじいておられるようでありますけれども、この収容者減というのは、総体的に見て正しい数字なんでしょうか、どうなんでしょうか。まずこの点です。
  60. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 矯正施設の収容予定人員でございますが、これはその年によりまして、あるいはふえる施設もございますし、また減少する施設もあるわけであります。これも数字的にはっきりと算出して、この数字は絶対間違いないというふうに正確に割り出せるものではむろんございません。過去のいろいろの実績から勘案いたしまして、ある施設については減り、ある施設についてはふえる、こういうことが一応推定されるわけであります。そういう推定に立って来年度の収容予定人員というものを算出いたしておるわけであります。
  61. 高田なほ子

    高田なほ子君 推定しての数字ですから私も正確なことをということは言いませんけれども、保護観察関係はふえているのじゃないですか、ここにその御答弁をいただける方おりませんか、数字的に。
  62. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 正確なところをお答えできないかもしれませんが、保護観察の対象者の数につきましては、昭和三十六年度一カ月の延べ件数を百十四万六千件くらいに見ておりますが、三十七年度につきましては、百十五万六千件あまりに推定いたしております。その計算の根拠に立ちまして、たとえば保護司の実費弁償金等の算出もいたしておるわけであります。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 矯正関係の収容者は三千六十人の減少であるという推定数字から出しておられますが、実際には今の数字でおあげになったように、保護観察関係は三十七年度数字としてふえている、そういうふうな経過が出ているわけですね。ですから、これは表裏一体の関係をなすものであって、私に言わせると、青少年の対策を強化するとおっしゃっても、実際は内容的にはこれをむしろ減少の方向に持っていっている。極論して言うとそういうことになるのですね。非常にこのことは残念だと思うのです。  それでお尋ねしたいのですが、その次にお尋ねすることは、青少年検察の充実強化という問題はしばしば従来これはうるさいほどに私はこの委員会では主張してきました。本年度は青少年の問題を強化すると言いながら、実際には六百四十万五千円の予算減を青少年検察の充実のために削っている。増員は全然認められない。これはたいへんふに落ちないことですけれども、どういうわけで青少年のほうの増員が認められなかったのか。現状に比べてこれでいいのですかどうですか。これもたいへん私ふに落ちないところです。警察当局は前年度三年計画で一万人の警察の増員をするということで、昨年は四千五百人の増員の中で少年関係、こういうものは七百人ほど警官も増員されたようです。しかし、少年係の検事、こういったようなものは、全然ほとんどまあ申し上げるほどの数もふえないということで、いささか物足りない気がしておりました。で、最近の青少年の不良化問題は容易ならざる事態に立って、たいへん少年係の警察官等は白夜を分かたぬたいへんな御苦労をせられておるようであります。何にしろ人が足りないようですね。人手不足のことでありますから、この辺はもう少し増員をされるべきであったと思いますけれども、どういうわけでこの点の増員がなかったのかですね、この点についてひとつ予算の面からお話しいただきたい。六百四十万の減というのは、一体どうしてこんなに減額になってしまったのか。
  64. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) ただいま高田委員の御質問で、六百万余りの減という御質問でございますが、これは前年度の青少年関係ということで増員になっておりました経費が、来年度はそういうことではなくて別の形で増員が認められております。そういう意味で前年と比べますと、増員経費を含めますと、減ということになるわけでありますが、差し上げました資料にもございますように、青少年検察の充実強化という項をごらんになればわかりますように、検察関係では増員を除きまして六百二十九万二千円の額、これを前年度に比較いたしますと、百十一万円の増額になっております。また、増員関係につきましては、来年度は青少年検察ということではございませんけれども、交通事犯が非常にふえておるというので、その関係の増員を検察庁関係につきまして六十名要求いたしております。この内容は、御承知のとおり、一般の交通事故対策として検察庁に必要な人員を満たすためのものでございますが、この中に実は青少年の交通事犯というものがかなり含まれておるわけでありまして、かれこれ考えあわせますと、青少年検察そのものが決して前年度に比して減額になっている、あるいは予算が減少になっているというふうなことは言えないのじゃないかというふうに考える次第でございます。
  65. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも数字が私はわかりません。青少年検察の充実強化ということで昭和三十六年度の予算は千二百六十七万ですね。本年度は六百二十九万ですから、数字的に見てこれは減っているでしょう。六百四十万の減少という数字が出ているじゃありませんか。それがどうしてふえているのですか。
  66. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 前年度の予算額のうち、約七百五十一万円ばかりが増員経費でございます。その経費が来年度は青少年検察の経費の中に入っておりませんので、そういう関係でただいま御不審をお抱きになったのではないかというふうに考えるのでありますが、先ほど御説明申し上げましたように、増員経費は別の計算になっております。青少年検察の固有の予算そのものは逆に百万円余りふえておると、こういう計算になるわけであります。
  67. 高田なほ子

    高田なほ子君 交通関係も入っていると言いますけれども、青少年の交通違反と、それからあるいはまた、虞犯少年のこういう純然たる青少年の反社会的な犯罪関係というものとは表裏の関係にあるとはいうけれども、それはたいへん違うものだと思いますね。ですから、青少年の対策については当然ここに増員をせられて、もっともっとこれが強化されなければならないというふうに思いますけれども、交通問題と一緒にひっくるめて計算をするということについては、私はたいへんな疑義を持つものです。まあここは水かけ論になりますから、やめます。  それからその次にお尋ねしていきたいことは、少年鑑別業務並びに施設の充実と、こういうようなことで、ここでは昭和三十六年度から比べますと、三千三十二万三千円という予算の減額があるようです。少年の鑑別業務というのは、ずいぶん、容易ならざる仕事で、必ずしも今日完璧ではないのですね。しばしばこの少年鑑別業務についても充実すべきであるというようなことをこの席で申し上げたわけですけれども、残念ながら予算の面では減額がされているようです。この点はどういうふうに御説明いただけますか。
  68. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) これは前年度の経費として計上いたしました金額の中には少年鑑別所の施設の整備充実経費というのが入っております。三十六年度におきましては施設費が七千二百九十七万円ばかり、ただいま仰せの予算額の中に入っておるわけでございますが、それが本年度は施設費が三千万円でございます。その辺の金額がただいまの減額に大きく響いておるのではないかと思うのでございますが、この施設費の点につきましては、確かに仰せのように、来年度の鑑別所の施設費につきましては、旭川の少年鑑別所がせいぜい作られるぐらいのものでございまして、施設の拡充という点から申しますならば、ほんとうに不十分な結果に終わっておるのでございます。そういった意味では、まことに私どもの努力の足りなかった点は認めざるを得ないのでございますけれども、一般の少年鑑別業務のみについて見ます場合には、逆にこれが千六百万円ばかりの増額という形で予算上はなっておる次第でございます。
  69. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ千六百万円の増額といっても、その増額の内容もお聞きすればまことにうたた荒涼たるものだろうと想像するわけですが、はなはだこの点も残念に思います。一応この少年院の教化活動の中で収容経費というのが若干上がったようですが、従来食費二十一円五十銭であると記憶しておりますが、今度三円五十銭ほど増額になったようです。これは何%上げるつもりで上がったのですか、何%上がっていますか。
  70. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 少年院の菜代につきましては、従来二十四円五十銭でございますが、これを三円五十銭引き上げまして二十八円の単価になっております。御承知のように、これは少年院に限りませず、刑務所、鑑別所、婦人補導院につきましても菜代が非常に少ない。そのために収容者の栄費保持の上にも相当問題があるということで、年々私どもとしましては、この食糧費の改善をはかって参ったわけでございます。従来の実績を申し上げますと、せいぜい一円くらいの増額にとどまっておったわけでございますが、来年度は特に少年関係につきましては三円五十銭の増額ということでございまして、金額そのものは非常に少ないのでございますけれども、従来の実績からながめます場合には、かなり大幅な引き上げになろうかと思うのでございます。これを何%増額になるかというお話でございますが、物価指数から見ますならば、正確に今記憶ございませんが、おそらく四%くらいの増額にしかならないのじゃないかと思います。ただその四%でもっていきますと、せいぜい一円どまりの増額になるのでございまして、三円五十銭という数字が出ましたのは、ただ物価の値上がりだけではなくて、収容者に与えるカロリー、蛋白質、動物性蛋白質、そういったものの所要量を算出して算出いたしまして、それから割り出したものです。物価指数を単純にかけてこの三円五十銭というものを出したのではごいません。
  71. 高田なほ子

    高田なほ子君 保護観察の中で、補導援護経費というのは若干上がってきたようですけれども、これは私の記憶違いかどうかわかりませんが、この委託費、食事付宿泊費三十二円六銭から事務費が四円増になったとこういうふうに聞いておりますけれども、何かこの補導を委託される方で、国がその方に支払うのが一年に百円支払われる人がいるそうですけれども、今どき一年に百円の謝礼を払われているというのはどういう人が払われているのですか。委託費ですか、これは。
  72. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) ただいま正確なことはちょっと私からお答えできませんですけれども、想像を加えて申し上げて恐縮でございますが、一年に群円といいますのは、ちょっと今高田委員のお話を伺って私もびっくりしておるわけでありますが、おそらく保護会の収容者がいないのじゃないかということが一つの問題として考えられるわけでございます。これはその対象者によって金額はきまって参るわけでございますので、一律に最低基準幾らというものではございません。そういった関係で今お話のような保護会も中にはあるのではないかと想像される次第であります。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうもあなたの認識、私もはっきりしないのですが、この前、青少年問題の協議会がありましたときに、この世の中で年に百円の謝礼をもらっているというような人もいるということから、この青少年をお世話する方の話が出たのです。そのときに私ちょっと雑談をしておりまして、それがどういう人物かわからないのですけれども、法務省関係らしいのですね。法務省の予算の取り方というのはたいへん上手だということからそういう問題が出てきた。そうして一座の物笑いになった。私も幸か不幸かその内容を知らなかったから弁護するつもりにもなりませんでしたけれども、何か青少年のお世話をして下さる民間人に対する謝礼らしいのです。従来までは八十円だったらしいのですが、今度予算を増額されて百円にされたそうです。それを一カ月に百円かと聞いたら一年に百円だということで、たいへん満座が大笑いになったことがあるのですが、そういうものがありますか。
  74. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) ちょっと資料がございませんので何ともお答えいたしかねますが、私どももそのような程度のものがあるということは実は部内でも聞いたことはございませんので、よく調べた上で御返事申し上げたいと思います。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 まだ少しありますけれども、もう一時になりましたから、ここらでもって切っておきましょう。どうも御苦労さまでした。
  76. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 他に御発言もなければ、本件については、本日はこの程度にとどめます。  次回は、三月一日午前十時より開会いたし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会    ————・————