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1962-02-08 第40回国会 参議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月八日(木曜日)    午後二時十三分開会   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理 事            井川 伊平君            増原 恵吉君            亀田 得治君            大谷 瑩潤君    委 員            青田源太郎君            大川 光三君            加瀬  完君            赤松 常子君   政府委員    法務大臣官房経    理部長     新谷 正夫君    法務省矯正局長 大澤 一郎君   最高裁判所長官代理者    最高裁判所事務    総局経理局長  栗本 一夫君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (昭和三十七年度法務省関係予算に  関する件)  (昭和三十七年度裁判所関係予算に  関する件)   ——————————
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  本日は、検察及び裁判運営等に関する調査中、昭和三十七年度法務省関係予算に関する件及び昭和三十七年度裁判所関係予算に関する件を議題といたします。  本件については前回に説明を聞いておりますので、本日は質疑を行ないたいと存じます。  本件に関する出席中の当局側は、新谷法務省経理部長大澤矯正局長栗本最高裁経理局長であります。  質疑のおありの方は順次御発言下さい。
  3. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 私は保護観察官の問題について伺いたいと存じます。保護観察官職務は、家庭裁判所調査官の素養並びに仕事内容等から考えますと非常に似通っておるところが多いと思いますが、その待遇の面においては家庭裁判所調査官俸給調整額一六%に対し保護観察官は八%でありまして、その格差が五〇%に及ぶようでありますが、当局としてこれらの点について是正して待遇を均衡にやっていくというようなお考えがあるかないかを伺いたいと思います。
  4. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 保護観察官待遇につきまして裁判所調査官との対比におきましていま少し待遇是正したらいかがかという御趣旨のように承ったのでございますが、実は昨年と申しますか、今年度予算におきまして、保護観察官につきましては八%の待遇是正を行ない、なお執務状況を緩和いたしますために観察官百名の増員を実現したところでございます。お説のように、裁判所調査官保護観察官職務内容がある程度似通ったものであるという観点から申しますならば、観察官給与そのもの裁判所調査官給与に近づけていくということが一つの目標であろうかと思うのでございます。そういった意味において、今年度ただいま申し上げましたような待遇是正を行なったばかりでございますが、実は予算要求につきましては、これは毎年全般について申し上げられることと思うのでございますけれども、その年度々々におきまして、それぞれ重点項目というものを私ども考えまして、それに従って予算要求をいたしておる次第でございます。本年度幸い観察官、いわば保護観察所内部職員待遇是正執務状況改善といったことに重点を置いたのでございますが、来年度の問題といたしましては、実はそういった点もむろん考慮はいたしておったのでございますけれども保護観察業務と申しますのは、御承知のとおり、外部保護司の多くの方々、あるいはまた保護会の御支援によってその実効を上げていかなければならないのでございまして、そういった点を考え合わせますと、来年度はむしろ内部観察官のこともさることながら、保護司あるいは保護会の問題について重点的に一歩でも前進させたいという考えに立ちまして来年度要求をいたしたわけでございます。その結果、ただいまお話しのございましたような観察官待遇是正ということにつきましては手が届きませんでしたけれども、片や外部保護司方々その他の関係のことにつきましてできるだけの努力をいたしたというふうな考えに立っておる次第でございます。もちろん、将来とも観察官待遇是正につきましては、懸命の努力をいたしていく所存でございます。
  5. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 私たち地方保護観察所を視察して歩きましたが、保護観察官増員と、これに伴う事務官雇等事務職員増員、さらに保護観察所支部設置保護観察官駐在常駐制度等の陳情を受けることが非常に多いのであります。現在の保護観察官事務負担量定員欠員、将来これら職員増員の見込み、その上支部設置等につきましても当局の御見解を伺っておきたいと思います。
  6. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 保護観察官のまず定員と現在員との状況について申し上げてみたいと思います。現在、定員が六百五十九名でございまして、現存員が六百三十三名、欠員二十六名という状況になっております。観察官の一人当たり事務負担量でございますが、これにつきましては年々対象者増加して参りますと同時に、観察官定員そのものも徐々にふえて参っている現状にございます。たとえば昭和二十四年におきましては、定員二百九十三名に対しまして事件数としましては約四万二千件ということになっておりましたが、だんだん件数増加定員増加いたしまして、三十六年度におきましては、定員六百五十九名に対して事件数が九万七千件ばかりに上がっているのでございます。これを一人当たりに割り振ってみますと、二十四年度当時百四十四件でございますが、三十六年度におきましては百四十七件ということになるのでございまして、観察官の一人当たり負担量といたしましては、さしたる負担増加というほどのことはうかがえないように考えるのでございます。しかしながら、何と申しましても、この保護観察仕事は非常に困難でございまして、一人当たり百四十七件と申しますと、それ自体相当仕事の量も過重なものであろうということは十分うかがえるわけでございます。先ほど申し上げましたように、本年度百名の増員が認められましたけれども、この負担を軽減して参りますためには、今後ともなお観察官のみならず、保護観察所内部一般事務官あるいは雇用人等増員もはかりたい考えでございます。いろいろ問題をかかえております観察所のことでございますので、保護司保護会の問題と同時に部内の問題というふうに、一挙に解決することもなかなか困難な事情にございます。先ほど申し上げましたように、来年度といたしましては、残念ながら御期待に沿うようなことになりませんでしたけれども、今後とも増員につきましては十分努力いたしたい所存でございます。  また観察所支部設置あるいは駐在官制度の問題でございます。これは観察官の数が今申し上げましたような数字でございまして、これを全国的に割り振ってみますと、各県単位にいたしましても、その数が僅少でございます。県単位観察所が、県下一円にわたりまして保護観察業務を完全に遂行していくというためには、お説のように支部設置するなり、あるいは駐在官制度を設けまして連絡を円滑にし、業務遂行を能率的にしていくということが確かに理想であるというふうに考えられるのでございます。支部につきましては、昨年度実は計画いたしたのでございますけれども増員百名というふうな大問題に遭遇いたしました関係もございまして、支部設置につきましては、遺憾ながら見送らざるを得なかった。また駐在官制度につきましても、これは増員の結果と相待ちまして、運用の面であるいはやれるのではないかというふうなことも考えておりまして、その点はできるだけ現地観察所業務遂行支障のないようにいたしたい考えは持っております。ただ駐在のところ、駐在官は実は名瀬に一カ所あるだけでございます。内地には駐在官制度というものはまだ認められておりません。しかし、今申し上げましたように、増員の結果等ともにらみ合わせまして、将来の実際の運営としましては、こういう方面に積極的な考慮を加えて参りたいというふうに考える次第でございます。
  7. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 保護観察所任務は、犯罪の予防、犯罪者再犯防止等に重大な任務を課せられておると思いますが、地方保護観察所を訪問しますると、旅費庁費等非常に貧弱なことを訴えておるのであります。本年度予算にこれらの要望がどういう工合に織り込まれておりますか、その辺を伺いたいと思います。
  8. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 保護観察所一般経費につきましては、確かに御指摘のとおり、旅費庁費におきまして窮屈な面がかなりあるわけでございます。これは戦後新しく発足したというような特殊事情もございますけれども、なかなか予算を一挙に伸ばして執務態勢の万全を期するということも困難な面もございます。毎年私ども事務当局といたしましては、そういった面にも十分の考慮を加えまして予算要求をいたしておるわけでございます。何と申しましても、法務省といたしましては、観察所のみならず、新しいものといたしましては入国管理局関係、さらにまた末端に散在いたします、古くからある登記所内容改善、そういった各方面にわたる問題に実は悩まされておる現状でございます。一つずつ個別的に取り上げてこの問題を解決すべきであるという考えで一生懸命やっておるつもりではございますが、残念ながら保護観察所関係につきましては、まだ私ども理想どおりには参っていないというのが現状であろうかと思うのであります。保護観察につきまして業務遂行上の経費といたしましては、補導援護費というのが計上されておることは御承知のとおりでございます。問題はその辺にあろうかと思うのでございますが、来年度補導援護費概要と申しますか、ただいま御指摘になりましたような点について申し上げてみますならば、旅費におきまして予算額二千七十二万八千円、これは前年度に比べまして十二万四千円の増額となっております。金額にいたしますとごくわずかなものでございます。また庁費にいたしましては一千八百九十九万八千円、これはむしろ逆に減額になりまして、十一万三千八百円減ということになっております。これは実は来年度予算の査定にあたりまして、旅費庁費につきましては、これは各省とも共通の問題でございますが、一律に削限、節約による削減が行なわれたのでございます。旅費につきましては、一律に五%、庁費につきましては一律に三%というふうな節約がかけられました関係等もございまして、旅費も必要なものは伸ばすと同時に節約、また同町に庁費につきましても同じようなことが行なわれましたため、ただいま申し上げましたように、さして芳ばしい結果は現われていないのでございます。しかし、これは一般的に申し上げますと、観察所のみの問題ではございません。組織全般と申しますか、各省共通の問題となっております。この少ない旅費庁費の中で、さらに予算執行につきましては、私ども計画的な執行ということを考慮に入れまして、むだのない有効な予算執行でこの窮状を打開していきたい、このように考えております。今後の問題といたしましても、もちろん当初申し上げましたように、観察所につきましては一般的に予算が少ないということは御指摘のとおりでございます。何とかこういった弱い組織を強化していくということにつきまして、私どもといたしましてもできるだけの努力を払いたい所存でございます。
  9. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 次に、保護司実費弁償金が本年度予算より多少増額されたようでありますが、最近の物価の上昇等考えますると、なお不十分であると思うのであります。将来の増額見込み等についてどういうお考えをお持ちですか、その点伺いたいと思います。
  10. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 保護司実費弁償金につきましては、実数をまず申し上げますと、三十六年度におきましては三億二千九十万九千円予算に計上されたのでございますが、来年度は三億五千五百七十五万三千円計上されておりまして、差し引き三千四百八十四万四千円の増額となっております。こまかく申し上げますと、現在単価が二百三十円でございますが、これを二百六十円に増額いたしましたことと、それから常時観察件数が三十六年度におきましては、九万五千七百三十三件になっておりますが、来年度の推定といたしましては、九万六千四百三件ということになるわけでございまして、わずかな事件増加でございますが、その増加分等をも含めまして、ただいま申し上げましたような三千四百万円余りの増額となった次第でございます。この保護司実費弁償金につきましては、保護司方々はもちろん、法務委員会におきましても常に関心を払っていただいておるところでございます。私どももこれは何とか保護司さん方のために増額する必要があろうという考え方に立ちまして、毎年実費弁償金増額については努力いたしておるところでございます。わずか三十円の増額でございまして、あるいは御満足いかないような面もあろうかと思うのでございますが、これは年々私ども努力いたしまして、その増額には努力いたしておるのでございまして、今後とい、つもりでございます。
  11. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 収容者の悔悟に努力されておる教誨師、また特殊面接委員等処遇についてどのような配慮をなされておりますか、その実情を伺っておきたいと思います。
  12. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 矯正局長が列席されておりますので、内容的なことにつきましては矯正局長から御説明があろうかと思いますが、私のほうからは予算の面からただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。  宗教教誨師特殊面接委員の実際にやっていただくお仕事に対する謝金でございます。予算の面から申しますと、謝金という形で計上されておるわけでございます。いろいろ御苦労の多い仕事でございまして、これに対しても、私どもといたしましてはできるだけのお報いができるようにと思っておるのでございますが、いかんせん予算が非常に少ないために、これもまたいろいろな御不満があろうかと思いますが、予算総額について申し上げますと、来年度宗教教誨師方々に対する謝金、あるいは特殊面接委員に対する謝金、これを総計いたしますと、四百七十五万五千円、それは前年度に比べますと三百八万五千円の増加でございます。これは三十五年度実績によってこのように予算を計上いたした次第でございます。それをさらに分解して申し上げますと、宗教教誨師謝金といたしまして二百五十七万六千円、これは百八十万二千円の増額になっております。また特殊面接委員手当でございますが、これは二百十七万九千円、これは百二十八万三千円の増額ということになっておるのでございます。大体これは刑務所関係少年院関係も含めました数字でございますけれども予算的に概要を申し上げますと以上のような次第でございます。
  13. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 宗教教誨師方々、また特殊面接委員方々には、ただいま経理部長から御説明申し上げましたように、非常に車馬賃程度の、重要な収容者に対しまする宗教的な教育あるいはまた個人的な悩みまたは将来の更生等につきまして御相談にあずかっておりまして、矯正におきまする教化教育中心をなしておる次第でございまするが、歴史的なこともございまして、ただいま御説明申し上げましたような非常な低額な、ほんとうの車馬賃程度しか差し上げられない予算状況でございます。しかしながら本年度につきましては、先ほども経理部長からの説明がございましたように、刑務所につきましての宗教教講師謝金が六十万円が二百十二万円、少年院謝金が三十六年度が十七万四千円が四十四が九千円というふうに、昨年度から比べますと相当額増額を見まして、ある程度往復の車馬賃程度はまかなえる程度に立ち至ったのではないかと、こう考えておるわけでございます。これは全国、われわれの予算配分といたしましては、各院各所収容者等にかんがみまして、それぞれ少年院なり刑務所に定額を配分いたしまして、そして、各院各所実情に応じまして謝金を出しておるわけでございますが、大体全国平均を見ますと、昨年度におきましては四十円ないし八十円程度の、まあバス代にも当たらない程度しか出せなかったのでございますが、三十七年度予算相当増額を得まして、百三十円程度から二百円ぐらいまで一応は出せる。一応電車賃だけは実費弁償ができるという程度にまで向上さすことができたわけでございます。しかし事柄のきわめて重要であることにかんがみまして、さらに実績を積み重ねまして、来年度また再来年度におきまして、実質的な謝金程度にまで引き上げていきたいと、かように存じておる次第でございます。
  14. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 最後に更生保護会刑事政策的に見るときわめて重要な存在だと思われるのでありますが、昭和三十五年度法務年鑑を見ると、更生保護会の現在の数は二百二十八となっております。保護施設の現在数は百七十四となっておりまして、保護施設のない保護会が五十四あるわけであります。理想的に言うと、全更生保護会保護施設を設ける必要があると思うのでありますが、さらにこれらの施設委託費及び各補助金等について増額要望が各方面から陳情されておるのでありますが、本年度予算についてどれぐらい取り入れられていましょうか、お伺いいたします。
  15. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 更生保護会に対します委託費あるいは補助金の問題でございますが、これもただいまお話しになりましたように、まことに従来も十分な手当ができませんで、実際との重要な仕事に関与しておられる皆さん方から相当強い予算増額の御要望があったのでございます。来年度予算といたしましては、この収容者処遇の向上をはかりますために委託費の若干の増額補助金の若干の増額をいたしたわけでございます。その内容を申し上げますと、食事付宿泊費につきましては、従来一人一日当たり九十一円七十二銭でございましたが、これが百二十三円七十八銭に増額されました。また宿泊費につきましては、一人一日二十四円八十銭でございましたが、これが三十七円七十八銭に増額になっております。また事務委託費につきましては、単価が一人一日当たり五十六円でございましたが、これが六十円に増額になったのでございます。補助金につきましても、この委託費増額にスライドいたしまして、四分の一ずつがそれぞれ増額になるわけでございます。この増額になりました金額も必ずしもあるいは十分とは言えないかもしれませんけれども食事付宿泊あるいは宿泊費につきましては、これは生活保護費増額に対応いたしまして、その金額増加をはかったのでございます。それからまた事務費につきましては、保護会職員人件費、これが非常に低額であって保護会運営上も非常に支障が生じておるというふうなお話でございますが、これは三十五年度、三十六年度におきまする公務員のベース・アップの率を加味いたしまして、従来の委託費人件費アップ率を乗じて算出したのでございます。  以上のとおりでございます。
  16. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 更生保護会はほとんど民間でやっておるわけですが、この性格からいうと、再犯を防ぐにはどうしてもこの更生保護会のような性格が強く活用されないと再犯をまた犯すということになりやすいのですが、大体国家が直接にこういう事業を各地にお持ちになるというようなお考え当局にはないのでございましょうか。
  17. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) かような犯罪者更生をはかりますために、ただいま御指摘のように、刑務所があり、少年院があり、また更生保護会があるといういろんな段階を持ちました、またそれぞれの特色を持った施設が必要であることは申すまでもないところであります。したがいまして、われわれといたしましては、刑務所も同じ刑務所また少年院にいたしましても、今までは画一的な施設で行なってきておりますが、刑務所につきましては、重警備の刑務所、あるいはまた開放的な施設少年院につきましても、職業訓練中心とするもの、あるいはまた教化教育を施すもの、またその少年の性情に応じましてなるべく自由な形で野放しのような開放的な処遇をするものというふうに処遇をしておるわけであります。今度はさらに進めまして、国家的な権力のもと、拘束を受けておるところから民間更生保護会というような教化団体に入って漸次社会に復帰していくという方法は、きわめて効果的な、また必要な制度であろうかと存ずる次第でございます。しかしさような意味合いで、われわれといたしましては、本人——受刑者なりあるいは少年たちの気持を漸次開放的にして、社会の自由な生活に馴致していくという建前からいたしますと、やはり国家施設もあり、その中でも漸次開放的な処遇をし、さらに心理的な拘束を離れて民間更生団体に入って、そこの指導監督を経ながら、ついには自分一人の独立生活を営むということがきわめて必要なことでございまして、さような意味合いから、更生保護団体としてやはり民間施設であるというところに一つの大きな意義があるのではないか、かように考えておる次第でございます。ただ事柄国家的事業国家刑事政策一つ事業を分担していただきますので、これに対する国家補助と申しますか、弁償と申しますか、このものにつきましては十分考慮する必要がある、かように存じておりますが、すべてを国家施設にするということになりますと、せっかくの段階的処遇の妙味が失われるのじゃないか。この点研究が足りませんのでございますが、一応かように考えておる次第でございます。
  18. 赤松常子

    赤松常子君 私、二、三ちょっと予算に関してお尋ねしたいと存じます。  まず第一に、刑務所作業賞与金制度ですね、これについて私少し疑問がございますので、これに関してどういう方途をお持ちでございましょうか、お尋ねしたいのです。よく新聞を見ますと、罪を犯す——強盗をしたり殺人をした人が、出所後二、三日目にそういうまた罪を犯しておるという記事をたくさん見るわけです。もちろんこれは今大谷先生の御質疑のように、保護会がしっかりと出所者を抱きとめて、そうしてそこであたたかく社会へ復帰する道の指導が行なわれなければならないと思うのですが、きょうは予算の面で、一体この賞与金制度というものがここに書いてございますように、「勤労意欲を高める」とか、「釈放後の更生資金」ということも書いてあるのでございますね。そうして「矯正効果を挙げる」ということが党々とうたってあるにかかわらず、一体どのぐらい平均もらって出ておいでになるのか。私も少し存じないわけではございませんけれど、この釈放後の更生資金に値するやいなや、これについての疑問です。どういうふうにそれはお考えでございましょうか。この制度そのものがこの目的に合致しているかどうか、まずその根本をお伺いいたしたいと存じます。そうして平均どのくらいもらっておいでになるものやら、今の物価高でこの賞与金というものがどの程度に役立つものか、お尋ねしたいと思います。
  19. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) ただいま御指摘のございました刑務所釈放者給与いたします作業賞与金がその目的としてうたっております。御指摘の点につきまして、まことに不十分でありますことは、われわれ担当者としまして、まことにみずからも残念に存じておる次第でございます。現在、お尋ねのございました、収容者の出て行きます場合にどれだけ持っていくか。三十六年度におきましては約二千円。しかしこれも、刑期の長短等もございますので、まあ一応平均一年二カ月ぐらいの在所で出て行くのが非常に多いのでございます。これらのものを平均をとりますと、平均約二千円ということになっておるのであります。それで、三十七年度予算におきましては、総額において約二〇%の増というところで、われわれとしましては、相当たくさん持って行く者にはそうふやしても何ですが、更生という面から見まして、社会に復帰して、あすから食うに困らないようにということで、低額のものをふやすということで、大体三〇%増の二千六、七百円までは実施できるのではないか。これは毎年ふえておりまして、徐々に徐々に、昨年は一割、本年は二割というふうに漸次ふやしまして、一応われわれの目標といたしておりますところは、現在の社会保障におきまする生活保護の一カ月分は少なくとも持たして出したい。現在社会に出まして職がない場合で、生活保護を受けようといたしましても、約一月の手続期間がかかりまして、その期間のつなぎ資金がなければ、せっかくの社会保障も手が伸びる前に、再び刑務所に舞い戻ってくるというようなことに相なりまするので、少なくとも最低限、社会保障の生活保護の一カ月分を目途に、まあ相当の者がそれだけのものを持って出られる。なおまた、それ以上の、生活態度が、刑務所の中における成績がよろしくて、たくさん持ってくる者は、これはまあけっこうでございます。最低その程度の線まで確保したいというので、予算の目標を立てておるわけでございます。まあ一時には目的は達成せられませんが、昨年度は一〇%、今年度は二〇%、まあ順次その線に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  20. 赤松常子

    赤松常子君 これは、全国一律でございますね。
  21. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 作業賞与金の性質上、作業は全国一律ではございますが、やはり勤労意欲の振興ということと、まあ刑務所内におきます待遇の平等、そういう点をいろいろ考慮いたしますのと、作業以外に、所内におきます生活態度と申しますか、本人の勤惰、さようなものを勘案いたしまして、それぞれ作業種目についての採点あるいは生活態度についての採点、さようなものを全国的に基準がきめてございまして、それに各所で当てはめまして単価をきめて、点数で出していくわけであります。
  22. 赤松常子

    赤松常子君 私、不敏にして、諸外国では、こういう出所者に対して、そういう場合の経済的保護というのでしょうか、経済的足がかりというものをどういうふうにやっておるものでございましょうか。またこの賞与金制度以外に、こういう出所して社会生活になじむ間の生活を見るという制度がほかにあるものかどうか。それを私、もしそこでおわかりでございましたら、諸外国の例をちょっとあればお知らせいただきたいし、それと比較して、日本が一体どういう、いいのかみじめなのか、ちょっと知りたいと思うのです。
  23. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) これは、刑務所の受刑者の作業賞与金についての考え方につきましての学説もございますし、また、取り扱いも種々あるわけであります。まず、わが国のとっておりまする作業の賞与金制度、つまり恩恵的に与えると、つまり、刑務所におきまする受刑者の労働対価を賃金として見ずに、懲役刑は拘禁して苦役に服するという建前で、それに対する賃金請求権はないという建前をとっておる学説と、また、これは賃金として支払わなきゃならぬと、刑罰として労働を課する。課するけれども、それに対する労働の対価は本人の収得に帰すべきじゃないかという考え方があるわけでございます。この両方の考え方につきまして、私もあまり、学者ではございませんので、的確な御答弁はできませんが、やはり賃金的な考え方をとりますと、どんどん働ける者はたくさん取れる。しかし、まじめに贖罪生活をしながら、特別に腕に職のない者等には金が取れない。また、刑務所の作業と申しますと、やはり所の運営上一定に限られます。たまたま自分の技能に合った仕事があれば、非常に能率が上がって、たくさん取れるが、ないために取れない。それと、刑務作業につきましては、必ずそれだけの仕事があるかどうか。まあ現在は、非常に一般の経済が好調でございまして、刑務所にも作業がございます。しかし、一たん不景気が参りますと、刑務所の中で、ほとんど賃金の取れるような仕事がないというようなときもございます。さような本人の責めに帰すべからざる外界事情によりまして、本人が働こうと思っても働けないというようなこともございますのと、刑務所性格上、本人が非常にまじめに社会復帰に努めておっても、手に腕がないために金が取れない。そうして社会に出た場合の更生資金も稼ぎ出せないというようなこともございまして、世界各国のほとんどの国では、刑務作業の労働対価というものは賃金的に考えるべきじゃない。むしろ社会復帰の賞与金的な考え方でやるべきだというふうな国が、実際の取り扱い上多いようでございます。賃金的な考え方をとっておるのは、ほんの一、二の国しかない。その実情をどういうふうに今の社会復帰における立ち直り資金と妥協さしておるか、これは、調査がございませんので、わかりませんが、根本的には、賞与金制度をとっておる国が多いようでございます。  そこで、その金額でございますが、各国とも、この金額予算額しかわからない。各国の統計等を見ましても、総額幾らと出ておるだけでございまして、釈放者の数は何人。ところが、それが長期で出たのやら短期で出たのやら、そういうのがわかりませんので、非常にその資料を集めることが困難で、的確な資料はわれわれの手元にございません。ただ、昨年私、フィリピンの刑務所を見て参りましたけれども、大体日本と同じような賞金制度をとっておりまして、金額はただいま忘れましたが、一般の最低生活よりやや下回った程度金額を持って出るというような状況でございまして、大体東南アジア諸国の私の見た範囲内の国におきまする受刑者の賞与金というものは、日本と大体大同小異ではなかろうか、こういうように見て参ったわけでございます。まあそれは、各国ともしかし同じような悩みを持っておりまして、つまり、刑務所で食わしてもらって、そうして貯金を持って出てくるというのはけしからぬじゃないかというような一般の見方もございまして、社会で一生懸命働いたら、一月食うだけで一ぱいだ。ところが、刑務所で働いたら、たとえ一月分でも貯金して出てくるという点に、まあ見ようによっては、刑務所がよ過ぎるというような議論をなす人もあります。世界各国とも、さような点の一般の感情との調和というところでどうしたら——これは、最低生活の一月分というところが妥当な線ではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  24. 赤松常子

    赤松常子君 もしそういう点でいろいろ御調査ございましたら、また教えていただこうと思います。  それからその次に、予算についての御説明書の中で、矯正関係収容者の食費のおかず代でございまして、まことに寒々とした数字で、これではたして栄養が取れるのかどうか。もう繰り返して申しません。二十四円五十銭で三食のおかずをまかなう、二十八円でまかなう、多い所で三十円でまかなうという程度で、カロリー上、健康を保持するために、私はこれで足りないと思うのでございますけれども、どういうふうにそこをやり繰りしておいでになるんでしょうか。
  25. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 食費の問題につきましては、算出が非常にめんどうなんでございます。われわれといたしましては、一応、一日一人の給与の最低限の基準を作りまして、大体、主食におきまして、基準では二千四百カロリー、副食で約四百ないし五百カロリー、二千九百から三千カロリーを基準量として確保したいと、こう考えているわけでございます。そこで、それに今度は内訳になって参りまして、動物性蛋白あるいはまた脂肪というものの必要量を出しまして、それからまた、さらにこまかく肉類、乳製品、鮮魚介、蔬菜というふうに、それぞれ必要量を、これは、うちの栄養関係者に計算させまして、必要量の何グラムと出て参ります。それに卸売物価指数をかけて出たのが、今年度で昨年度予算より一般の成人については三円、少年、婦人については三円五十銭という数字が実際上出てきたわけでございます。実務上、本年度予算執行から見まして、これだけあれば最低限は確保できるという建前で予算要求し、また、これで実際やっていきたいと思います。ただ、ちょっと一般社会と違います点は、御存じのように、少年院刑務所等では、ささやかでございますが、それぞれ自家菜園等を持っておりまして、それらのものは事実上原価が非常に安くなります。それらを補充いたしまして、最低限の栄養基準を維持していきたい。さらに、われわれとしましては、決してこれで十分とは思っておりません。これは、一日一人一円上げますと、一人で三百六十五円、十万人としますと三千六百万というように、わずか一日一円上げますと、全矯正施設が年間三千万円以上の経費になります。三円上げますと、約一億の経費が要るわけであります。昨年度は一円上がりまして、毎年少しずつ上げまして、栄養なり健康の確保に努めていっているわけであります。まあ幸いだだいまのところ、体重、身長等は大差ございません。ただ、栄養学的に見まして、ややもろくなっている。病気したときなんかの耐久力、そういう点に懸念がございます。それは、特に動物性蛋白ないしは脂肪がやや不足しているというところから原因するというふうに見られておりますが、本年度はそれらの点を、わずか三円でございますが、そのほうに重点を置きまして補充しまして、栄養上欠陥がある点を補っていきたい。もちろん、一般の国民生活の向上に伴いまして、最低生活を保障する刑務所におきましても、それに付随して向上さしていきたい。引き続き食生活の向上については努力したいと思っております。
  26. 赤松常子

    赤松常子君 御苦労の点はよくわかる次第でございます。それでも、だんだん物価が上がりまして、これではたしてどうやり繰りしておいでになるのか、まことに奇術みたいに私は感じている次第でございまして、どうぞ、刑務所にいたから今おっしゃるようにもろくなったとかいうことでなく、元気で出て働いてもらえるように御考慮をさらにお願いしたいと思います。
  27. 亀田得治

    ○亀田得治君 関連して。予定以外に自家菜園等から補給されるのは、全体の何パーセントになりますか。
  28. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) ただいま数字を持っておりませんが、ほとんど取るに足らぬ数量かと思います。しかし、ある施設では、相当大きな農場を持っている所は、そこでほとんど自給自足いたしますし、そうでない、市内地にありますのは、さような便宜はございません。全国的に見ますと、たいした数量ではないと思います。
  29. 亀田得治

    ○亀田得治君 もう一つ。物価指数は、さっき何か卸売物価指数とかおっしゃったようですが、実際とはだいぶ違うんでしょう。どうなんです。
  30. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) われわれといたしまして、ただいまの物価指数は、まあ刑務所によりまして、三千人からを収容しております、そういう所は、大体卸売から買うわけでございます。しかし、少年院、鑑別所でございますとか、婦人補導院のような小さな施設はそういうことはできませんので、との予算の範囲内で、各施設、地域等を勘案して、実際の配賦予算は凹凸を作っているわけでございます。小さい所には単価を高くしというふうな措置で平均をとって、給与の均衡をとっているわけでございます。
  31. 亀田得治

    ○亀田得治君 しかし、最低がつまり卸売物価指数で抑えられているわけですから、小さい所はそれにプラスする。そうすると、大きい所はこの最低のところから削ることになるんですね。いずれにしても、その予算単価が卸売物価にプラス・アルファというものがあるのなら、今おっしゃったような調整ができると思いますが、ちょっとこう結果は、全体として幾らか、そうすると低いところに下がる。そうしてさっき御説明のように、自家菜園等ない、まあ取るに足らぬということですから、結局は二十四円何がしということにならぬのじゃないのですか。
  32. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 実際上の問題といたしまして、われわれも数字だけの問題でございまして、これだけのはたして栄養が取れるかどうか、こういう点については、非常に危惧を抱いているわけでございます。同じものにしても、刑務所が非常に単価が安いもので、野菜も茎ばかりだ。同じワカメにいたしましても、新芽のところはなくて、刑務所のワカメは軸ばかりだということになりまして、結局品質が悪いということは、これはやむを得ない。金額ではどうしてもそうならざるを得ないと思いますし、また、今御指摘のとおり、自家菜園等で相当補給はいたしておりますが、やはり小さい所のために大きい所が犠牲になるという結果は、やむを得ない現状として認めざるを得ない。しかしながら、これは予算運営の技術でございまして、幸いまあ受刑者が毎年減って参りまして、やや予算運営上ゆとりがございます。ここ数年来、受刑者なり少年院収容者が徐々に減ってきている。さような意味で、予算にゆとりがございますので、昨年の秋の風水害の場合に、物価が非常に暴騰したというような場合、また実際上この栄養基準でやりまして、各施設で不足を生じました場合、これは、今までの例では、ちょうど幸い人員が減りまして、予算にゆとりができましたので、それぞれ大蔵省なり検査院と協議いたしまして、その分の予算の残額から補給いたしまして、今までは実施してきて、不足分を補ってきたような次第でございます。
  33. 亀田得治

    ○亀田得治君 幽霊人口でようやく間に合わしておるという感じなんですが、それは実際にどのくらい、そういう早く少なくなることはいいことですが、どのくらいあるのですか。
  34. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 予算の立て方は、先生に御説明申し上げるのもおかしな次第でございますが、毎年度予算で、予定人員で、刑務所収容者七万五千というように、当初予算の概算要求の際要求いたしまして、それがだいぶ減って、七万二千でずっと来た。そうすると、三千人の予算の余裕が出るわけです。その分の余裕を実施の面で、まあ突発的の際、まじめにやってもどうしても足りなかったという場合に補てんしているわけでございます。それで最近、毎年少しづつ減りますので、その余裕が幸いに出ているわけでございますが、しかし、これがもしもふえて参りました場合、さような余裕は出る余地がございません。あるいはまた、定員きっちりに受刑者の収容がありました場合、かような余裕がないわけです。今までは幸いにそうなっておるというだけで、決して十分でございませんで、このやりくりのつく機会に、順次、ある程度の最低基準の、絶対に確保できるだけの予算をこの機会に伸ばしておきたいと、かように考えております。
  35. 赤松常子

    赤松常子君 では私、ひとつお願いしておきます。三食分二十四円五十銭の一週間の献立表を、どこかの刑務所でけっこうですから、一ぺん見せていただいて、今あなた様のおっしゃった、数字上で説明しておいでになるのでございまして、実際どういうふうに、何を食べておいでになるのか、一週間の献立表を、次の機会でけっこうでございますから、見せて下さいませ。この三円増というのが、一食分で一円増加する程度でございまして、どこがどう改善されるか、実際私ほんとうは行って見たいのですけれども、献立表をひとつお願いいたします。
  36. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 献立表をさっそく作りまして……。
  37. 亀田得治

    ○亀田得治君 現物も一緒に添えてきて下さい。
  38. 赤松常子

    赤松常子君 これは、昨年徳島の刑務所拝見いたしましたときに、とても老朽でございまして、あそこはよく台風の通過する土地でございまして、突っかい棒がしてございまして、とてもこわれそうな様子でありまして、非常に危険を感じたのですが、そういう老朽刑務所施設に対して、どういうふうにこの年次計画で改善構想が組まれているか。大よそ聞かせていただきたいと思います。
  39. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) ただいま御指摘の徳島刑務所に限りませず、刑務所施設は、明治年間の古い刑務所がたくさんございます。順次改造をいたしておるわけであります。しかし、いかんぜん、刑務所一つ作りますのに約十億の経費が要るわけです。法務省の営繕費総額が十六、七億のところでは、なかなか刑務所の割当と申しますか、刑務所にさき得る営繕費というものは、その一部にならざるを得ない。官署関係で、検察庁なり法務局なり、またその出張所があり、また矯正施設におきましても、刑務所のほかに少年院があり、鑑別所がある。さような意味で、最近施設が非常にたくさんございまして、刑務所だけをよくするというわけにも参りませず、順次古いのから手を回しているわけでございますから、なかなか実際上は手が回りかねる。どうやら修復して間に合わせておるというような状況でございます。われわれといたしまして、さらに一段の努力をいたしたいと思っている次第なのでございます。特に行政部内におきまして、営繕費で刑務所等に回りづらいのは、御承知少年院が、少年法施行当時に、旧の民間施設更生保護団体を買収いたして、それにつけたして建物を建てて少年院にしたような事情もございまして、少年院が地域的に偏在しているような点もございます。また、民間施設として建てられましたので、非常に脆弱な建物が非常に多い。かような意味で、少年院全国的な適正規模の配置ということがまずわれわれとして急務でございます。昨年度、本年度と引き続いて、東北、北海道に新設の少年院の営繕費を計上したわけでございます。よさうに、緊急な少年院の新設というような大きな営繕費がここで要りますので、つい刑務所がおくれている。そこで、刑務所といたしまして、幸いと申しますか、御承知の名古屋刑務所でございますとか、福岡の刑務所等では、市中の真ん中にあって、繁華街に取り巻かれまして、非常に地価の値上がりがございましたので、それらのものを処分して、それの対価で郊外に移転して建てるという方途をとりまして、本年度、三十七年度はございませんが、三十五年度、三十六年度二つずつ、さような方式で新しい刑務所を建てるという方途をとりました。そうしますと、それらについての補修費というもの、またそれらの修繕費が浮いて参ります。それらのものをそうでない老朽施設重点的に振り向けるというような方途を講じまして、順次整備していきたい、かように考えております。
  40. 赤松常子

    赤松常子君 今おっしゃいました福岡、名古屋、もうこれは着手していらっしゃるのでしょうか。浦和、徳島、これも移転の計画がございますようですが、着手していらっしゃるのでしょうか。その進捗状況をおしゃって下さいませ。
  41. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 福岡刑務所、名古屋刑務所、それぞれ市当局と契約を締結いたしまして、地所も決定して、ただいまこまかい設計をやっておるわけでございます。各市の方で年度が明ければ着工する予定で、もう福岡は、地ならしの方の仕事は始まっておりまして、予定どおり三年ないし四年で竣工することになっております。  浦和、徳島のお尋ねの点でございますが、浦和市は、御承知のように、県庁の真下にございまして、県庁の四、五階からは刑務所がまる見えである、向こう様もお困りになっているようでございますが、刑務所といたしましても、中が外からまる見えである、こういうことでは、静かな環境で反省生活をすることもできず、われわれのほうとしても外へ出ていきたいのでありますが、しかしながら、刑務所を持っていくということになりますと、その地元が今度は猛反対せられまして、なかなか適当な地所を得ることができない状況で、これは浦和に限りません。徳島でも同じような御要望がございまして、徳島市の当局あるいは徳島県当局でいろいろごあっせん下さっておるのでございますが、まだ地元で受け入れて下さるような場所が見当たりませんので、敷地決定難のために、今停頓状態にあるわけでございます。
  42. 赤松常子

    赤松常子君 もう一つ。これは、そういう施設に働いていらっしゃいます方々処遇条件でございますけれども、他の行政官庁と比べて非常に過労だし、危険も多いと思うのです。刑務所にしても少年院にしても、そういう職員方々処遇が、今度はどういうふうに改善されているか。他の行政官庁との比較において低いところが私はあると思うのですが、そういう点の是正予算考えられているのでございましょうか。その点をお尋ねしたいと思います。
  43. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 刑務所並びに少年院職員につきましては、ただいま御指摘のように、非常に対象者関係上危険な業務でございます。これは、大体公安職の俸給を支給いたしまして、一般職よりも待遇をよくしまして、大体警察官と同様な危険を加味した公安職の俸給を支給しようと考えております。
  44. 亀田得治

    ○亀田得治君 刑務所関係ですが、たとえば、最近できました熊本刑務所ですね。これは、町のまん中に高層ビルででき上がったわけですが、ああいう方式というものは、何か敷地難、移転先がなかなかむずかしいとかいったようなことでお考えになったものか。そうしてまた、私あれも一つの解決の方法じゃないかと思って、非常にちょっと考えていたわけですが、ああいうりっぱなものを、今度は刑務所の方がほかを見おろすわけだ。見おろしてもじゃまにならぬぐらいに、きわめてスマートなものができておるわけですね。しかもずっと、何階ですか、七階か八階になっておりますから、敷地もあまり要らないし、あるいは暖房でも入っておるのかと言ったら、いや、そこまでは入っておりませんと言うておりましたけれども、あれはどういう考え方なのです。今後の方針との関連もあるでしょう。
  45. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) ただいま御視察願いましたのは、熊本刑務所の京町拘置支所でございます。拘置所の一つでございます。拘置所は、御承知のように、被告、被疑者を収容する場所でございます。裁判所検察庁に近い町の中へ置きたいわけでございます。最近地所がございませんので、収容者もふえておるというので、ああいう高層建築を考えておるわけであります。最も大きな例は、小倉拘置所が小倉の町のまん中に六階建でございますが、これなども、実は行く所がなくて困りまして、あの建築様式を使い出したわけでございます。なるべく、町のまん中の拘置所につきましては、高層建築の方式をとっていきたい、刑務所の本所につきましては、できるならば適当な郊外のいなかに出まして、開放された明るい感じの、また騒音にわざわいされないような閑静な地を選んで地方に出ていきたい、かように考えておる次第であります。
  46. 亀田得治

    ○亀田得治君 そうすると、拘置所については大体ああいう方式で各地とも考えていくのだ、そういうわけですか。
  47. 大澤一郎

    政府委員大澤一郎君) 拘置所につきましては、できるだけ裁判所検察庁に近く、それで、各地とも検察庁の合同庁舎にしている所もございまして、拘置所につきましては、そうしますと、被告、被疑者等につきましても、町の中を歩かなくても済みますし、人権尊重の意味からも非常に便利である。その点、拘置所については、なるべくああいう方式でやっていきたいと考えております。
  48. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  49. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 速記を始めて下さい。  本件質疑は後日に続行することとして、本日はこの程度にとどめます。次回は、二月十三日午前十時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会    ————・————