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1962-03-01 第40回国会 参議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月一日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員異動 本日委員泉山三六君及び近藤鶴代君辞 任につき、その補欠として勝俣稔君及 び村山道雄君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢  正君    理事            野本 品吉君            豊瀬 禎一君    委員            井川 伊平君            勝俣  稔君            杉浦 武雄君            田中 啓一君            千葉千代世君            米田  勲君            片岡 文重君            柏原 ヤス君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    文部大臣官房長 宮地  茂君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    大蔵省主計局給    与課長     平井 迪郎君    文部省初等中等    教育局特殊教育    主任官     辻村 泰男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○盲学校聾学校及び養護学校への就  学奨励に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査  (当面の文教政策に関する件)   —————————————
  2. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動につき報告いたします。  本日、泉山三六委員が辞任され、その補欠として勝俣稔君が選任されました。   —————————————
  3. 大矢正

    委員長大矢正君) それでは、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず、本法案の具体的な審議に入る前に、大臣にお尋ねいたしたいのですが、私ども先国会におきまして、特殊教育振興の諸法案を出し、あるいは公立の盲学校聾学校及び養護学校幼稚部高等部整備に関する法案等を提出いたしたわけですが、いろいろ御審議の結果、法案そのものは否決されましたけれども特殊教育振興に関する決議は、第三十八国会の六月六日、委員会決議として成立を見たわけでございます。私ども委員会政府の提出してくる諸法案を見まして、修学旅行費補助であるとか、あるいは就学奨励金とか、あるいは学校給食の一部負担等、きわめて政策が断片的といいますか、部分的といいますか、いつ、どの問題をどういうふうに解決していきたい、こういう長期政策がきわめて乏しいような気がするんです、昨日も私、本会議教科書法案について質問した際に、西欧のことわざの中に、ノミの涙もやがては洪水となるというのがありますが、科学的にはノミの涙が洪水になることは算定できましても、やはり盲聾学校給食費の問題は昭和何年度までに解決する、交通費の問題は何年度に実現する、あるいは寄宿舎に伴うところの経費負担は、現在高等部までできておるはずですが、どうするとか、あるいは専攻科の問題、幼稚部の問題は何年でできるのか、こういう長期政策の中で、今年度は就学奨励金負担するんだ、こういう観点であるべきだと思うのです。そこで、教科用図書学校給食費交通費学校施設寄宿舎に伴う経費修学旅費学用品費と、私が読み上げた中ですでにできておるものもかなりありますが、幼稚部専攻科とも見通しをして、今申し上げましたことを大体それぞれの項目に対して何年度までに実施していく方針か、御説明願いたいと思います。
  5. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 全般的に申し上げまして、それぞれの項目についてかっちり組んだ年次計画というものがはっきりとあるわけではございません。しかし、大よその見通し、見当というものは従来とも持って対処して参っておるのであります。その考え方に立ちまして毎年度大蔵省に概算要求いたしますが、なかなか思うとおりに成果が上がらないことに、まあやきもきしながら今日まで来ておるわけでございます。ただ、幼稚部専攻科については、普通部あるいは高等部等に比べまして幾らか弱い感触を持ちますけれども最初申し上げましたような考え方で今日までやってきておるわけであります。なお、具体的には政府委員からお答えを申し上げます。
  6. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいま大臣からお述べになりましたように、特殊教育の重要なことは私ども重々認識いたしておるわけでございます。特殊教育につきましては、昭和二十九年以来いろいろな施策を進めて参っております。特にこの就学奨励補助金につきましては、二十九年から逐年整備して参りまして、教科用図書購入費、あるいは学校給食費補助、あるいは交通費というようなものに対しましては、あるいはまた寄宿舎居住費補助、そういうものにつきまして二十九年実施いたしたのでございますが、それ以後引き続きまして三十年、それから三十一年、三十三年、三十四年、三十五年と、あるいはまた昨年度というように、引き続きましてこの教科用図書学校給食費交通費、それから寄宿舎居住費修学旅行費学用品費というようなものにつきまして、小、中学部の全面的な実施をはかって参りました。高等部につきましても、今申しましたような費目についてそれぞれ拡大して参ったのでございますが、御承知のように、この修学旅行費については、三十七年度において初めて高等部にこれを拡大するというような措置になって参ったのであります。その間特別措置法も制定していただきまして、施設面につきましても相当な整備をはかって参っております。したがいまして、特別措置法が三十一年だと思いますが、三十二年度以降におきましては、養護学校というものの施設整備が相当急速に進んできたことはこれは事実でございます。そういう点につきまして、できる限りの努力をして参ったつもりでおりますが、なおまだ今お申し述べになりましたような点につきまして、今後努力すべき点が残っているということはもう事実でございますので、そういう方面につきましてできる限りの整備をはかって参る、こういうふうに考えているわけでございます。
  7. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の質問の要点は、今説明ありました過去の実績も非常に参考になることですけれども冒頭から申し上げましたように、まだ実施できていない部面について、たとえば昭和三十八年には専攻科教科用図書購入費負担するんだとか、あるいは学校給食費も持つんだという、将来の設計に対するプランを聞いているんですが、再度御答弁をお願いいたします。
  8. 福田繁

    政府委員福田繁君) 今御質問のございました専攻科の問題も大事な点だと考えておりますが、まだ三十八年に具体的にどういうことを実施するかということにつきましては決定しておりません。と申しますのは、一方御承知と思いますけれども精薄あるいはまた肢体不自由児、そういった面につきましての基本的なこの年次計画というものを進めて参っております。そういう特殊教育年次計画をおよそ五カ年をもって整備しておりますので、そういう点をやはり極力促進して参りたいというような考え方で、現在のところ、それに重点を置いているような次第でございます。
  9. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、政府方針としては重要には考えている。精薄の五カ年計画が完了しなければ、私が指摘した幼稚部専攻科等の諸問題については現段階では無計画である、こういうふうに判断してよろしいのですか。
  10. 福田繁

    政府委員福田繁君) この五カ年計画が終了するまでそれを全然手をつけないということではございませんが、たとえば三十七年度におきまして、幼稚部設備費の若干でございますが補助を新しく計上いたしまして、そうして幼稚部充実整備をはかっていきたい、こういうような考え方で進んでいるわけでございまして、全然手をつけないわけじゃございませんが、五カ年計画をもちろん重点にいたしまして、それと並行して考えていきたいという考え方でございます。
  11. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 精薄については五カ年計画がある。したがって、学級を作るのか、学校を作るのか、施設はこうしていくという五カ年計画青写真があるわけですね。そのことは後ほど私が質問すればちゃんと説明できると思う。その中で、たとえば精薄に関する国立の施設ブロック単位に一校ずつ作っていく、こういうプランがあるとする。それと並行してとおっしゃる以上は、たとえば幼稚部に対しては三十九年度にやりたいと考えておる。大蔵省がどういうか、予算が伴うかどうかはそれは後の問題で、文部省自体特殊教育振興に対するプランというのは何年次に何をするというそれをお示しなさい、こう言っておるのです。
  12. 福田繁

    政府委員福田繁君) 幼稚部につきましては、まだ年次計画までは決定いたしておりませんが、小中学部奨励費を拡充して参りましたと同じような考え方で、できる限り教科書あるいは交通費等につきましても、これを充実していきたいというような考え方で進んでおるわけでございます。まだ年次計画としては考えてないというのが現状でございます。
  13. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 これは単に特殊教育振興だけでなくして、僻地の問題あるいは学級編制の問題、教職員定数の問題、その他先ほども申し上げました給食費とか、父兄負担全額解消とか、このことは、当然文部省として文教政策プランを立てるべきである。野党である私ども社会党でさえも、幼稚部設置は何年までにする、専攻科についてはこうする、給食費負担昭和四十年度までには完全に持ってしまう、あるいは幼稚園を義務化するのは昭和何十年までにやる、こういうプランを持っておるのですよ。そういうプランの中から盲聾修学旅行費補助は本年度やるのだ、これが出てこない限り、盲聾学校、あるいは特殊教育全体の振興具体策がきわめて不明確でしょう。だからそういう幼稚部もやがて小学部と同じような考えで進めていくような考えでございます、これは御答弁にならないのです。進めていかない考えでございますとおっしゃるのなら答弁になる。進めていくのは当然のことであるし、やがてはそうしなければならないことは、学校教育法教育基本法、またあなた方の立場として当然なことですよ。ただ答弁としてなるのは、それは放置するつもりであるというのならそれは答弁になる。幼稚部の問題は、文部省としては昭和四十年にこれこれのことを、たとえば就学奨励法を適用する予定である、専攻科には昭和四十二年に適用する予定である、昭和三十八年に盲聾学校についてはこの問題を解決する方針である。このプランがなくてこんな法律をぽつんぽつんと、冒頭にちょっと兎糞的という言葉を使ったのですが、また新聞に口が悪いと言われるかもしれませんが、そのときの思いつき思いつきでぽんぽんとやっていったのじゃ、私はそのときそのときの政府文教政策がどういうように展開していくか判断に苦しむ。したがって、この法案の可否ということも問題になってくる。ないならない、あるならあると年次計画をきちんと区切ってもう一ぺん答弁して下さい。
  14. 福田繁

    政府委員福田繁君) 先ほどお答え申し上げました中で、幼稚部教科書と申しましたのはこれは間違いでございます。給食費でございます。給食費は来年やりたいという考えを持っておるわけであります。
  15. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十八年度。
  16. 福田繁

    政府委員福田繁君) という考え方を持っておりますが、しかし、この年次計画でもって幼稚部専攻科についてどういう工合に進めていくのだということは、これはやはり文部省だけでそれを考えても具体的に実現ができない面がありますので、それはやはり関係省と十分よく相談いたしまして、逐年整備していくというようなきまった年次計画というものを作らない限りはそれは申し上げられないと思います。今私が申し上げております五カ年計画等は、これはある程度関係省と話をいたしまして、このプランに従いまして逐年施設その他の整備をはかっていくというようなものでございますので申し上げたわけでごいます。
  17. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 文部大臣、ただいまの福田さんの答弁によると、他省と合議しなければプランが立てられない、なるほど策定がどの程度具現性を持つのかということは必要なことでございますが、しかし、最初プランを作るのは文部省ではないのですか、文部省自身がそれを持ち、他省と協議しながら、予算とか、その他自治省とかいろいろな関係を見ながら正式のものとしていく、これは今そういう決定をしたものでなくても、文部省青写真を聞きたいと言っているのですが、今福田さんが言ったようにそれも今後他省検討しなければ立てられない。そうすると、どこが最初に立案するのか、立案だけはできているのかどうか、大臣お答えを願います。
  18. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 国会で正式に御質問に応じて、少なくとも実現性のあるプランというのは全部についてあるとは思いません。というのは、私自身みずから計画立案するわけじゃないことは申すまでもございませんが、私の責任において申し上げるべき段階に至っていない、担当事務当局としてはもう常に構想する責任を持って職場にいるわけですから、念頭にあるとはむろん私も信じておりますが、同様にして今お答えし得るようなものは持ち合わせがないということを率直に申し上げたのであります。それはそれとしましても、単に盲聾に限らず文部省の各部局担当いたしておりますおよそ文教行政に関する一切のことについて、単に希望的観測であるにいたしましても、こういうふうな年次計画完成年度はいつと予想していきたいものだというものはあってしかるべきものと思います。そういう意味では必ずしも文部省に限らず一般行政官庁の従来の習慣性といいますか、そういうことからいって、なかなか透徹したものは各省ともないのじゃないかと思いますが、しかし、ないで済ますべきではなくて、仰せのように青写真的なものでもいいから、責任を持って披露できないにしても、そういう検討を常に加えながらその構想のもとに一歩々々と前進していくという考え方は私も同感でございまして、そんなふうに持っていきたいものだと、部分的ではございますが、私も担当部局長にはかねがね話し合っているところでございまして、今披露申し上げて、それでございますというものを持ち合わせていないことは遺憾でありますが、方向としてはそういう考え方のもとに執務さるべきものだと私も思っております。
  19. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ただいまの大臣答弁政府の心がまえがわかったのですが、福田局長にお尋ねいたしますが、文教行政、いわゆる狭義の意味行政ではなくて、文教政策と言ったほうがよろしいと思いますが、あなた方が考えておられる文教政策、たとえば盲聾修学旅行費はいつごろ実現するか、修学旅行よりも幼稚部設置が急務なのかどうか、こういったプランは、あなた方の頭は、他省との話し合いで決定していくように受け取れるのですが、少なくとも民主教育の立て方というのは、教育基本法の、国民に直接責任を負って行なわれるべきであるという条章だけを取り上げてみても、やはり文部省が全体の、国の文教政策としてこのことをやりたいという一つプランを持てば、そのことが国民世論の中で支持される政府政策の中で実現するようにかまえていくべきだと思うのです。こういう国民一つ教育に対する意思といいますか、世論といいますか、こういうささえが、郵政行政とか、国鉄行政とは異なって、国民に直接責任を持って進められるというこの教育基本法精神は、教育には非常に強いと思うのです。こういう点から考えると、あなたが教育基本法十条を忠実にやろうとされるならば、やはり他行に話をすることもけっこうですけれども文部省が二年、三年後に進めたい施策については、率直にいろいろな国民各層に披露され、それが国民一つ教育に対する、むずかしくいえば、憲法上の意思、そうでなくとも普通の世論となるように努力さるべきだと思うのですが、そういうことは文部当局として当然のこととお考えですか、それとも、そんなことはやる必要はないというお考えですか。
  20. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまお尋ねの点でございますが、私どもといたしましては、ただ頭の中で考えまして、それが実際に学校なり、一般国民に要望されてないというようなものを進めていくというような考え方じゃなくて、特に特殊教育等におきましては学校、あるいはその関係者から非常に熱望されているような施策を逐次進めて参りますというような考え方できているわけでございます。したがって、たとえば給食費とか、あるいは交通費、あるいは修学旅行費というように、漸次小学部中学部、それから局等部につきましても漸次進めて参ったのでございます。そういうようにやはりそこに国民なり、あるいは学校関係者がその教育になくてはならぬというようなものを非常に熱望されるわけでございます。そういうものを逐次進めていくというような考え方十分関係者の意向を参酌しまして予算要求もいたしますし、またその具体的な実施をはかっていくというような考え方でおるわけでございます。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もう一歩踏み込んでお聞きしますが、まあ国鉄行政だって、郵政行政だって、国民世論の支持を受けるような行政が行なわれることは、これは当然のことでございます、国民主権者ということで。ただ、そういうものと異なって、基本法に直接国民責任を持つというこの定めはいろいろの深い意味があるし、内容は必ずしも諸学説一致いたしておりませんけれども、やはり予算とか、あるいは政党とか、あるいは行政当局、こういったものが計画を立てていくということは、当然の責務ですからね、その施策を進めるにあたっては、常に教育国民のものであるという角度から十分特定でなくても、一般国民、この聞き方にいろいろあると思いますが、これを土台として文教行政を進めていくと、こういう考え方基本法十条を解しておられますか。
  22. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私ども行政を進めて参ります際には、できる限り一般の方の声を聞いてこれをやっていきたいという考え方には変わりはないわけでございます。
  23. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私は本委員会におきまして過去三回にわたって文部大臣に要望したことがあります。それはわれわれが国政調査権に基づいて調査派遣をされて、いろいろの教育行政の実情を視察して本委員会等に報告をいたしました。このことの実現に対して今日までどう努力されたか。そうして、このことは一気にできなくても、何年かの後にそういうものは、今私が申し上げましたような十条の精神からしても、十分文教行政の中に具体化されていかなければならない、このことが一つ。  もう一つは、本委員会あるいは本会議等において、幾多文教に関する決議が行なわれております。このことは、また当然二年なり三年の後には、委員会全会一致決議というものは文教政策の中に予算化し、あるいは制度化さるべきものだ。これが何年次にわたって放置されておるということは、今私が申し上げました、国民責任を持つという立場からも、立法府である院の意思を無視するという点からしても大きな問題だと思うのです。そこで福田局長に、基本的な問題ではなくて、盲聾等特殊教育に関する諸決議がこれまでの国会でたびたびなされておりますが、それについて本法案を策定される際に、全部、盲聾等特殊教育に対する委員会、本会議等決議を尊重されて、その上でこのことはこう実現されておる、この問題は来年度やるのだ、こういう検討の上に立って就学奨励費の一部改正を提案されましたか、お答え願いたい。
  24. 福田繁

    政府委員福田繁君) 仰せのように、盲聾教育につきましては、衆議院におきましてもあるいは参議院におきましても、従来いろいろな決議等が行なわれておることは承知いたしております。私どもといたしましては、そういった国会意思を表明されたものに従いましていろいろ施策を進めて参っておるわけでございますが、しかし、まあ努力不足でこれはまだ実現できないというものも、それはあると思いますが、何年次までにこれをどうするということでなく、漸次充実整備をはかっていくという根本的な考え方に従いまして、できる限り決議趣旨に従って参ったと考えております。
  25. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 別に意地悪く、昭和二十九年五月二十五日の決議に対してどうしましたかなんて、突然あなたに対してそれの処理を聞こうと思っておるわけじゃないのですが、今のお答えはやや抽象過ぎますね。やはり、近くは昨年の国会に私ども法案を提出した、それが審議未了となり、決議になったことを、遠くは、その他今申し上げましたように、二十九年五月二十五日の盲聾教育についての附帯決議が行なわれております。こういう点をやはりずっと見ていくと、先ほど私が申し上げましたように、今に至るまで特殊教育に対しても、先ほど大臣が答えられたような趣旨においてもプランがないということは、精神的には委員会決議、本会議決議等を重視するとおっしゃっても、具体的な施策の中では、これは軽視ないしは放置されておる、こういう判断に立つのは常識ではないですか、もう一度御答弁をお願いします。
  26. 福田繁

    政府委員福田繁君) 決して軽視する気持はございませんが、できるものから逐次手をつけていくという考え方でございます。
  27. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでは次にお尋ねいたしますが、三十六年の六月六日、本委員会決議された。これは新しいことですから、私が一々指摘しなくてもおわかりと思いますが、その四項目に対して今年度の予算要求の中で、別な言葉で言えば、昭和三十七年度の文教政策展開の中で、四項目それぞれどういう検討が行なわれましたか。
  28. 福田繁

    政府委員福田繁君) 今私手元に決議の案文を持っておりませんので、不正確かと存じますけれども、大体内容承知いたしておりますのは、幼稚部高等部に対しまして就学費を、小中学部と同様に拡大していくべきである、こういうような内容も含まれておったと思いますが、その点につきましては、幼稚部先ほどから申し上げたとおりでございますが、高等部につきましては、教科書購入費、あるいは学校給食費交通費宿舎居住費等に従来支給して参りまして、今度初めて修学旅行費についてまで拡大するという措置を講ずるわけでございます。したがって、精神におきましては、大体同じであろうかと思っております。  それから、そのほかに、養護学校義務制にすべきであるというような御決議があったように記憶いたしておりますが、この点につきましては、先ほど私、年次計画の点を申し上げましたが、逐年この年次計画によって整備して参りまして、義務制につきましても、将来十分考えて参りたいというような構想のもとに現在進めているわけです。  それから特殊学校の問題につきましても、御決議があったように記憶いたしておりますが、それは先ほどもちょっと申し上げましたように、五カ年計画というような、昭和三十六年、昨年から入力年計画を立てまして、人口別に市町村にこれを整備して参りたいというような計画で進んでおるわけでございます。御決議精神に従いますと、これをもう少しテンポを早めるというようなこともあるかと思いますが、できる限り、そういうふうに五カ年計画計画に従いまして、充実整備していきたいというような考え方でいっているわけでございます。したがいまして、まあ大体の点におきましては、決議の御趣旨に沿っているものというふうに考えておるわけでございます。
  29. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の記憶では、たとえば学用品等購入は、昨年の四月一日に実施されたのです、小中では。このことにより、小学校ないしは中学校就学率が非常によくなったという、これはちょっとむずかしい質問だと思うのですけれども、見られるかどうか。あるいは修学旅行費小中は現在は支給しておりますね。そういう補助をするために、いわゆる就学率そのものが非常に目に見えてよくなってきたと、こういうふうに把握できますか。
  30. 福田繁

    政府委員福田繁君) まだ、今のお尋ねの点につきましては、具体的に数字でもってはっきりするほどの効果は出てないと思いますけれども、と申しますのは、私の持っております資料が少し古いのでございまして、三十五年の資料でございますけれども盲聾学校はそれほど変わってないと思いますが、養護学校等におきましては、最近、就学率が少し高まってきておりますので、そういうことも一つの原因として考えられるわけでございます。学用品等あるいは修学旅行費等もございまするが、そういう就学奨励の効果というものが、ある程度働いて、そして就学率は若干高まってきておるということは言えると思います。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 かりに就学率が高まらなくても、こういう補助は当然すべきですけれども、今後どこに重点を置いていくかという問題について知っておきたいのですが、これは単に就学奨励費だけでなしに、小中の場合は、教科書購入費学校給食費交通費あるいは宿舎費、修学旅行費、学用品購入費等を現在支給をしていますが、過去一、二年でもよし、三年間でもよし、幼児就学率は、悪くなってはいないと思いますが、何%程度上昇をたどってきておるか、そういうデータはございますか。
  32. 福田繁

    政府委員福田繁君) 今、ちょっと率を出しておりませんですが、児童生徒数にいたしますと、相当最近はふえて参っております。三十四年が大体三万四千くらいでございます。これは盲聾養護学校でございます。それが三十六年になりまして三万七千、約三千ばかり増でございます。学校数におきましては、二百一校ございましたのが、二百二十五校にふえております。そういうことで、生徒児童数は逐年ふえてきておるということは事実でございます。
  33. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 三十六年度の約三万七千というのは、盲聾学校に収容すべき該当者の何%に当たっておりますか。
  34. 福田繁

    政府委員福田繁君) 盲学校におきましては、大体四〇%強でございます。聾学校におきましては、六八%強でございます。約六九%といってもいいと思います。それから精神薄弱者は三・五%、それから肢体不自由児でございますと、七%強でございます。それから病弱者、身体虚弱者が約二%強でございます。そういう状況でございます。
  35. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今度は観点を変えて御質問いたしますが、これは教育の常識ですが、音楽にしろ、その他の芸術にしろ、できるだけ幼児のころから教育しなければなかなか効果が上がらないということは御存じのことと思いますが、そういう何といいますか、身体の正常に備わっているものと、そうでない、精薄の場合は別にして、盲聾児童、身体に故障のある場合とを比較いたしまして、幼児から教育する必要性はどちらが高いと見ておられますか。
  36. 福田繁

    政府委員福田繁君) 特に私どもは、肢体不自由児の場合に、そういう就学以前の幼稚部教育に相当する部分でございますが、小さいときからやる必要があると考えます。それからまた、聾の教育につきましても、その問題は非常に重要な問題だと考えております。
  37. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いわゆる身体の正常な子供に比べて、盲聾の場合は、幼児教育の必要性が非常に高い、こういう判断ですね。
  38. 福田繁

    政府委員福田繁君) そうでございます。
  39. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、私どもが前回も山山しました幼稚部高等部施設というものが問題になってくるのですが、現在、幼稚部に対しては、施設そのものも非常に貧弱ですが、全体の小学部に上がる前の一年次だけをとって、小学校適齢者の一年前の幼児をとってみて、いわゆる盲聾に収容すべき該当者の何%が、現在、幼稚部設置されておるところに収容されておりますか。−そういう数字は説明員の方でもよろしいですが。
  40. 辻村泰男

    説明員(辻村泰男君) 今正確なパーセンテージで申し上げるだけの資料を手元に持っておりませんが、現在盲学校に入っております学齢以前の、いわゆる幼稚部の子供でございます、これが全国に五人、わずか五人でございます。それから聾学校のほうは六百十三名入っております。したがいまして、今お話の学齢一年前の、たとえば聾児ないし盲児全体の中での比率は非常に低いものだと、こう考えられます。
  41. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 辻村さんにもう一度お尋ねしますが、盲聾別に一年生に、小学部一年に収容されておる生徒数はそれぞれ幾らですか。
  42. 辻村泰男

    説明員(辻村泰男君) 学年別の数字が今ございませんで、たいへん恐縮でございますけれども小学部だけの数がございますから、これを大体大ざっぱに申して六で割っていただけば大体の見当がつくと思いますが、盲学校小学部に在籍いたしております盲児が現在は三千百八名でございます。現在と申しましてもこれは三十六年五月一日でございます。それから聾学校小学部に在籍いたしております聾児が一万六百十名でございます。ですから、ごく大ざっぱに考えまして、盲学校の場合には一年生が五百何人でございます。それから聾学校の場合がやはり千六百何人というわけでございます。
  43. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、今の数字で、盲学校幼稚部に就学しておる者がまことにわずかの五名、聾学校におきましても六百十三名、こういう実情は非常に、先天的か後天的かは別にして、めしいた人々、耳の聞こえない人々にとっては国の施策としては非常に重要な問題だと思いますが、そういう就学率の悪さというのを何に原因すると判断しておられますか。
  44. 辻村泰男

    説明員(辻村泰男君) いろいろございますが、やはり入れるべき教育施設が不足しているということも確かに原因の一つだと存じます。それともう一つは、学校数が、盲聾学校は普通の小中学校ないし幼稚園ほどたくさんございませんから、幼児が就学いたしますというのは、いわばその大部分が寄宿舎に入らなければならぬということでございます。したがいまして、親の手元を放して、学齢にも達していない子供を親の手元から放して盲学校聾学校幼稚部に入れなければならない、こういうことになりますので、親御さんの中にはまあかわいそうだと手放しがたい、こういうお気持もございます。おもな原因はそういうことかと存ずるのでございます。
  45. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現在実施されておる就学奨励費先ほど項目読み上げましたが、この就学奨励費の不適用ということも、幼稚部就学率の低さの一つの原因とは判断なさっていないのですね。これは局長にお願いします。
  46. 福田繁

    政府委員福田繁君) 就学奨励費と同じようなものを幼稚部にも広げていくという問題につきましては、これは上研究いたしたいと思っておりますが、そういう点もあわせ行えばまだ就学する者がふえるということは、これは考えておるわけでございます。
  47. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 たとえば交通費にしても、つき添い人に要する交通費は、小学部はたしか補助しておられますね。
  48. 福田繁

    政府委員福田繁君) 補助いたしております。
  49. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほどの御答弁によると、幼稚部にはわずかに盲では五名、聾のほうは六百十三名おるのですが、これは不適用でしょう。
  50. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは適用いたしておりません。
  51. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 すでに現に両方合わせて約六百二十名近い子供が幼稚部に入学しておる、就学しておる、しかも盲にしても、聾にしても幼児のころから科学的な教育を受けないと、小中ごろになって受けてもなかなか適応性が出てこないということは、先ほどの御答弁のとおりであります。そうすると、たとえば高等学校修学旅行費補助が悪いというのじゃない、小中ともに支給しておりますから、当然これは高等学校に及ぼすべきことは、私どもはたびたび主張してきましたが、金額にしても大したことはないのですが、就学奨励費も全般について、幼稚部に適用するということについて、その可否並びに実現年度を大体いつごろと構想されておりますか。
  52. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは先ほどお答え申し上げましたように、その必要性は十分私ども痛感いたしておりますけれども、これは何年までに必ず全部適用するというようなことを、ただいまここで申し上げるのは適当でないと思います。少なくとも早急に実施したいと思っておりますのは、学校給食費等でございます。そういう緊急必要な経費からこれを取り上げて参りたいというふうに考えているわけでございます。
  53. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 説明員の説明によりますと、幼稚部が就学しない一つの原因は、寄宿舎に入れてしまわなければならないということも一つの理由だと、なるほど私もそのとおりだと思います。しかし、必ずしもそうでなくて、目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりする子供を持っている両親としては、仕事をほうったらかしてでも自分が連れていける範囲のものは連れていきたいという気持を持っていることは御承知のとおりでございます。私ども文教委員会で視察に行った際にも、遠く長崎県からお母さんが下宿して、子供をよい学校に通わせている現実、こういうことは列挙しなくてもとうにおわかりであろうと思う。それをわずか七百名だけに支給することはいいかどうかということは問題がありますけれども、現在幼稚部に入学している、通学している約六百二十名程度の子供には、たとえばつき添い人に対する交通費、あるいは本人に対する通学に要する交通費等を支給すれば就学率はぐっと上昇してくると思う。そのことは逆にいうと、就学している者に給食を与えてよりよくしていくということよりも、就学させるということがある意味では先決ではないか。こういう判断をするのですが、大臣並びに局長の見解をお聞きしたいと思います。
  54. 福田繁

    政府委員福田繁君) その点は確かにおっしゃるとおりだと思っております。したがって、そういう交通費等につきましても十分研究して参りたいと考えております。
  55. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、今、数字としては約六百二十名、この幼稚部に通学している子供に、まず、給食費もそうですが、交通費と、特につき添い人に対する交通費は、小学部にはやっているのですから、幼稚部にも当然これを支給する、それから就学奨励法の適用を幼稚部に早急に実施することによって、最も重要な、幼児の時代から適応性が教育されるということは、私どもは非常に重要な問題と思うのですが、大臣の基本的な見解を承りたいと思います。
  56. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) そのことにつきましては私も同感でございます。と同時に、先刻も説明員から申し上げましたこともそれと並行し、もしくはそれ以前のこととして考えねばならぬというような課題じゃなかろうかと思っております。と申しますのは、盲聾にいたしましても、特に精薄児のことは問題外かとも思いますが、幼児教育をすることによって非常に成果が上がるということは私も聞かされておりますし、また現場を見ましても、しろうと判断ながら、なるほどとうなずける点がある。ところで、幼児を寄宿舎に入れて養護教員か何かの手をわずらわしてやることも、考え方としては当然あるし、また効果的だとは思いますが、おそらく幼児の年令におきましてはそれすらもが親としては手放しがたい気持のゆえに、就学奨励費が当てがわれましても、なおかつ不安があって、必ずしも就学するというところまでいかないのじゃないかともおそれられる。親子もろとも、幼稚部につきましては、特殊な人でございましょうけれども、安んじて就学できるような態勢というものが作られないと、就学奨励費だけでは解決し得ないものもあろうかと考えられます。両々相待って初めて御趣旨に沿い得ると思うので、今、即席で、いつからどうするということはむろん申し上げかねますけれども、重大な関心を持ってそういうふうに実現する努力を重ねるべき課題と心得ております。
  57. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣の基本的なお考えはわかりましたが、昨年私どもは、今、大臣がおっしゃったような理由から、現在のように県立盲聾学校が、ある県では、県下一カ所、あるいは一、二カ所、こういうところでは、なかなか通学といっても困難を生じていることは御承知のとおりです。したがって私どもとしては、幼稚部高等部の教材費あるいは新築、増築費、あるいは校地買収費等を国が二分の一持っていけば、現在の公立の盲聾学校が県下一、二カ所あるのを、もっと多くの場所に設置することもできるし、またそうすることが盲聾の人たちに対して国の当然の施策である。こういう法律案を出したのですが、そういう、たとえば教材費とか建築費というのに限定しなくても、現在の盲聾児を就学させる施設を国の責任ないしは大幅な補助をもって拡大していくという点についてはどういうお考えですか。
  58. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ちょっと徹底した常識なしに申し上げるので、見当違いがあればお許しをいただきますが、私は、この前の国会での御高説もむろん承っておりますし、先刻申し上げたような私だけの乏しい常識とあわせて考えまして、第一に、幼児教育をする、ことに視聴覚教育施設等の近代的なもの、あるいは将来を達観して十分な施設をするという構想もあわせましてやります場合、都道府県にやれと示唆をしただけでは実現困難な面もあろうかと思います。したがって、迂遠なようではありますが、まずもって国立のモデル・スクール的なものに十分金をかけて、また聞けばこういう特殊教育を受けねばならぬような幼児の近代的な教育については、教える先生が数においても不足だし、盲聾といえば、あんまか、はり医者的な考え方教育の場においては、適切な先生も相当いることは確かでしょうが、幼児教育については、教える先生の数が急に間に合わないということも聞かされております。そういうことも考えあわせまして、今申し上げるように、国の責任においてまずもって理想的なといいたいわけですが、十分に現在として考え得るような整備されたモデル・スクールをまず作って、そこではあわせて幼稚部担当するような先生の養成もあわせ考え得ますならばなお幸いですが、そういうことで先生の養成からして努力していって、モデル・スクール構想というものが意味があるのじゃなかろうか、そういう意味でひとつ検討してもらいたいと担当部局長に指示をしたようなことでございまして、具体的にどうするという内容まではむろん申し上げかねますけれども考え方としては私はお説に賛成でございます。
  59. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 国の施設としてのモデル・スクールの構想もまことにけっこうと思いますが、やはり大臣がおっしゃったように、必要性を強調されても、また必要性はわかっておりながら、都道府県は実際の地役としては、先ほど申し上げましたように、県立学校等は一、二校しか持たないというのが現状です。そうすると、どうしても就学の機会均等を与えるために、幼児の場合は寄宿舎に入れるか通学させるか、いろいろ問題があると思いますけれども、やはり通学教育というのが一つの要素になってくると思うのです。舎に入れられなければ親がついてきても通わせておるというのは、大臣も御存じと思いますけれども、現に幾多もあるわけです。こういう点から考えて、やはり肢体不自由児精薄児あるいは盲聾という、いわゆる特殊教育施設に対しては、単に全国二カ所程度すばらしいモテル・スクールという構想——これもまことにけっこうですが、そういうことだけでなくして、地方自治体に国が補助金を出すことによって一日も早く幼稚部からこれらの人を収容して適応性を教育していくということが望ましいことだと思いますが、何年からそれをする構想があるかという意味ではなくして、そういう点も国が当然やるべき施策だと思いますが、大臣のお考えいかがでしょうか。
  60. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) いつまでと言わないでよろしいというお許しですから、たいへん楽なことでございますが、これは必ず国が責任を持つぐらいの気がまえで都道府県等と一体をなして懸命の努力をせねばならない課題だと思います。
  61. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 次に……
  62. 大矢正

    委員長大矢正君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 大矢正

    委員長大矢正君) それでは速記を起こして。  ただいま委員異動がありましたので御報告いたします。  近藤鶴代君が委員を辞任され、その補欠として村山道雄君が委員に選任されました。以上であります。   —————————————
  64. 大矢正

    委員長大矢正君) 午前の審議はこの程度とし、午後は一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩    ————・————    午後一時三十六分開会
  65. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまより文教委員会を再開いたします。  なお、午前中審査して参りました盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案に対する自後の審議は、都合により後刻に譲り、これより国立工業高等専門学校の入学試験問題に関する件等当面の文教政策に関する調査を進めます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  66. 野本品吉

    ○野本品吉君 先般来新聞等で国民の大きな期待をかけて、その健全な発足、成長をこいねがっておりました国立工業高等専門学校の入学試験の問題につきまして、いろいろと物議をかもしておりますことは、私どもこの制度を極力実現することに努力して参りました者といたしましてはまことに遺憾にたえません。そこで、今若干の点につきまして文部当局に御質問を申し上げ、事の真相、また今後の問題等につきましてもはっきりしておく必要があろうと思いまして質問するわけです。この問題につきましては大きく分ければ私は三つになるように考えます。その第一の問題は、佐世保ですか、そこで問題の用紙が盗難にあった問題、それからもう一つは、問題自体にいろいろとミスがあり、誤謬があった問題、さらにもう一つは、その問題によって試験をいたしましたのですから、採点の処理その他善後措置に関する問題、並びにもう一点は法律上疑義のある点もありますので、それらの点につきましてお伺いいたしたいと思っております。  第一の盗難の問題につきましては、おそらく警察当局が鋭意その捜査に努力しておることと思います。なお詳細な点につきましては、捜査上のいろいろな点も考慮いたしまして、私はこの点についてのこまかい点はお伺いすることは差し控えます。差し控えますが、一点お伺いいたしておきたいと思いますことは、その後の捜査につきまして、文部省は、警察からそのつどの情報等をおとりになっておられるのかどうか、この点だけをお伺いしたい。
  67. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) ただいまの警察からの情報をとっておるかという点でございますが、これは私のほうといたしましても、警察のほうへ、本庁のほうへお願いして、捜査が一刻も早く結果がわかるようにということをお願いもいたしておりますが、同時に本庁のほうでは、現地のほうへも、文部省の要望ももちろんでございますが、警察自体といたしましても一刻も早くこの問題の結末を明らかにすべく努力いたしていただいております。そうした過程におきまして、私のほうといたしましても、常に警察のほうの情報をできればお願いするように申しておりますが、手に取るように、何分この問題は捜査という秘密裏に行なわれることでございますので、こういった情報を受けておりますといったような中身は、申し上げられるようなものはございません。ただ十分御連絡をし、私のほうに知らしていただく必要のあることはお願いいたしますという程度で、一々向こうからどういう情報を受けたというような具体的なものはまだございません。
  68. 野本品吉

    ○野本品吉君 その問題と関係することでお伺いいたしたいことは、用紙の全部は最初どこでどういうものが責任を持って保管しておったか、これは盗まれる以前の問題です。最初です。
  69. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) ただいまの御質問の経緯を申し上げます。文部省のほうで試験問題作成委員会を作りまして、作成いたしました答案の原稿は、これは秘密をたっとぶ、漏洩を防ぐといったような観点から広島の刑務所に印刷をお願いいたしました。広島の刑務所で印刷をいたしまして、校正ができ上がった答案が二月十六日にでき上がりましたので、佐世保のほうは、係官二名が乗用車で広島刑務所に受領に参りました。同時に、汽車便で行った者もおりますが、佐世保の吏員二名が乗用車で行きまして、その梱包を乗用車に積みまして佐世保へ戻って参りました。それから二つのロッカーに分けまして、ダイヤルつきのロッカーに厳重に封をして、保管をいたしておりました。それを毎日点検いたしておりまして、二十二日の午前までははっきり所在を点検いたしております。ところが、二十三日の午前九時半に平野という佐世保の吏員、係長でございますが、その者が二十三日午前九時半に確かめましたところ、ロッカーの扉の上の芯が出ていた、不思議に思いまして見ましたところ、中が新聞に伝えられるような盗難にあっておったというのがいきさつでございます。
  70. 野本品吉

    ○野本品吉君 この広島の刑務所で印刷したものを一括して各試験をする場所の者が取りに行くまではどこに保管されていたわけですか。
  71. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) これは広島で印刷をいたしまして、その校正を実は広島商船学校、広島商船学校の試験問題と同じでございましたので、商船学校の教官が校正をいたしまして、最終にでき上がりましたのがやはり広島刑務所においてでございます。
  72. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうすると、印刷のできたものは広島の刑務所に置いた、そうしてそれを各学校から取りに行った、こういうことですか。
  73. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) そのとおりでございます。
  74. 野本品吉

    ○野本品吉君 各試験場から取りに行った者は、この試験を実施する責任者であるそれぞれの地方の大学の先生が行ったわけですか。
  75. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) これは電波高等学校、商船高等学校のほかに十二の高等専門学校の試験問題も含んでおりましたので、それぞれの学校責任者が参りました。ただ教官ではなくて、その試験問題を責任を持って運ぶという観点から、必ずしも教官ではございません。問題の佐世保の場合は佐世保の吏員でございます。
  76. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうしますと、問題を取りに行った者は、各学校の試験の実施に対して責任を持つ者が行ったのでなくて、それを補助するというか、事務を担当するというか、そういう者が行ったわけですね。
  77. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) これはそれぞれの学校の試験の責任者は、現実に学校ができております学校ではそれぞれの校長でございます。ただ、十二の新しい高専は、まだ具体的な学校そのものが形式的にはできておりませんので、まだ、いわゆる校長もきまっておりませんが、そういう関係で入学試験を実施します組織を作りまして、その長はもちろん教官的な人でございます。しかし、その試験問題そのものは、一応実施責任者の命令によりまして、取りに行ってはおりますが、   〔委員長退席、理事豊瀬禎一君着席〕 実施責任者その人が、直接取りに行ったわけではございません。
  78. 野本品吉

    ○野本品吉君 問題自体についてお伺いしたいんですが、問題はどこでたれが作ったか、これは新聞等にも報道されておりますが、文部省でお作りになったということですが、それはそのとおりですね。
  79. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 文部省のほうで、いわゆるこの入学試験問題を作成するための作成委員会を作りまして、これは文部省内におります教科調査官といったような専門職員のほかに、外部の専門の方々を委嘱しまして委員会を作りまして、そこで作成いたしました。責任はもちろん文部省にございます。
  80. 野本品吉

    ○野本品吉君 その問題作成委員会というのは、国立高専の問題を作るために特別に設けられた委員会ですか。
  81. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 実は高等専門学校につきまして独自の試験問題を作るのが至当かと存じますが、何分まだ学校が具体的にできておりません。その準備事務もございましたり、日程の関係考えまして、専門的に試験問題を作成するとなりますと、専門家の意見を聞きましても、幾ら早くいっても一カ月、大体二カ月ちょっとかかるというようなことで、先ほど申しましたこの試験問題作成委員会は、電波高等学校、商船高等学校——国立の高等学校の入学試験問題を従来から一つ委員会で同じ問題を作っておりました。したがいまして、先ほど申しましたような日程等の関係もございまして、臨時的にやむを得ず、その試験問題を借りまして実施しようということにいたしたわけでございます。
  82. 野本品吉

    ○野本品吉君 今のお話によりますと、電波高等学校といいますか、それから商船学校等の問題をいろいろな事情があって、国立高専の入学試験の問題として同じものを使った、そこで同じものを使われたことに対して、私は電波高等学校あるいは国立高専というものは、その学校が全く同じ程度の学校と見ていいか、あるいは質的に同じものとして考えていいものかどうかというような点について、多少の疑問がないわけでもないので、この点については文部省はどういうふうにお考えになっておりますか。
  83. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 御質問のように、高等専門学校と電波、商船のような高等学校は、もちろん学校の性格は違います。いわゆるレベルも違うのは当然でございますが、しかしながら、一年生に入ってきます者は、ひとしく中学校を卒業した同じ年令の生徒が入ってくる。しかも全く同じではございませんが、そういった一年生に入ってくるということを前提といたしまして、職業的な学校でもございますので、そういった観点から、やむを得ずそれを使ってやろうということにいたしたわけでございます。
  84. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで今度は、問題になっておりますいろいろなミスの問題ですが、これは新聞等で見ますと、原稿自体に誤まりがあったという点。もう一つは、印刷に誤植があって、その誤植が発見されずに、訂正されずにそのまま使われた。もう一つは、印刷が不鮮明であった。大きくこの三つに分けられるようですが、原稿自体の誤まり、それからして誤植が訂正されなかった、あるいは不鮮明であったという点等につきましては、新聞等に報道されておるのでありますが、大体この新聞の報道は間違いがないと思いますが、さらにこの場所で、はっきり以上の三つの点につきまして御説明いただきたいと思います。
  85. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 実は先刻御承知のように、新聞に数日にわたりましていろいろ部分的に間違いの個所等を掲載いたしております。文部省といたしましても、誤植等がほとんどでございますが、ただ新聞だけにまかせておくということも、これは責任上軽率なうらみもございますので、文部省といたしまして、はっきり全問題にわたりまして、精細な検討を重ねまして、正式に間違っておった問題用紙に書かれて印刷されて生徒にわたるまでの経緯はいろいろございますが、ともかく問題用紙に間違っておったという個所を、文部省責任におきまして、はっきり発表いたすことにいたしまして、学校当局へも通知いたすことにいたしました。それが昨日来の各新聞に載っておるものでありまして、その点は文部省として責任を持って学校当局に間違いであったと申したものが載っておると思います。
  86. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうしますと、昨日の新聞に掲載されておりますものは、文部省責任を持って調査の結果を発表されたもので、事実はこのとおりである、こういうことですね。
  87. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 全部の新聞を見ておりませんが、ともかく昨日載っておるのは、ほぼ文部省責任を持って発表したものと同じものが大部分の新聞に載っておるのだろうと思います。中には省略されたもの、あるいは多少文部省のほうで申したものを簡略にしたりしておるので、多少文章等は違うと思いますが、ほぼ文部省が発表したものと同じものであろうと思います。
  88. 野本品吉

    ○野本品吉君 この印刷に対して目を通し、これを校正することは、広島商船学校ですか、このほうにお願いしたと、一体その責任者というのはどういう方ですか。
  89. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) この入学試験問題は、先ほど申しましたように、文部省のほうで責任を持ちまして本省の職員、外部の方をお願いしました。いわゆる入試問題の作成委員会で作成いたしまして原稿を作りました。その原稿を、実は従来から、それぞれの商船学校、電波高等学校が当番制と申しましょうか、といったようなことで、あとの校正のほうは責任を持ってやるといったような取り扱いにいたしておりました関係上、問題原稿そのものは文部省のほうで責任を持って作りましたが、ただ印刷、特に刑務所のようなところで印刷いたしまして、その校正も数回やっておるようでございますが、中には問題校正が多少注意が足りなかったと申しましょうか、原稿そのものとは違った校正になっている。ほとんどの新聞に大きく載りましたいわゆる世界の綿布生産高で綿布の四つのグラフのところに横線の入るべきものが入らないでブランクになっておったといったようなものがそのうちの最も著しいのですが、そういうようにはっきり原稿には横線があったのですが、校正者がまあそこに目が及ばなかったといったような関係で、いわゆる誤植ということになりました。それでその責任問題でございますが、何と申しましても問題を作成し、細部まで校正をりっぱにするというところまでが、文部省責任であろうかと思います。ただ学校の入学試験問題は、一般の大学等ではそれぞれの大学が責任を持ってやっておりますが、今回の場合につきましては、誤植は植字者のもちろん注意が足りなかったといった点で責任はあろうかと思いますが、それは終局において文部省がやるべきものをかわってお願いしたといった意味文部省責任だろうと思います。
  90. 野本品吉

    ○野本品吉君 私も今お話のありましたように、文部省がかりに広島の商船学校の先生方に校正を頼んでやったにせよ、その最終的な責任文部省がとるべきものであるということは、これは当然であると私もまあ考えておるわけです。  まあ、以上のような経緯によって、今度の試験が実施されて、そのために非常に受験生、あるいは父兄、一般社会に非常に動揺を与えておるということもこれも残念なことなんですが、これも昨日の新聞にすでに報道されておりますが、採点後の処理、それから善後措置、これについても新聞に報道されているとおりであるかもしれませんが、この際、文部省のとられた措置につきまして御説明いただきたいと思うのです。
  91. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 昨日の新聞に発表してあったものが文部省の発表したものかという御質問がございましたが、実は文部省といたしましては、今回いろいろどこの責任かといったようなお尋ねもございましたが、それもさることではございますが、早急になされなければならないのは、いわゆるいたいけな中学卒業の子供たちが真剣に受けました試験問題に、誤植にしろ間違いがあった、そのために受験生はもちろん、世の親たちに非常に不安とその他いろいろ御迷惑をおかけした、そういうことで、ともかく試験の問題が間違っておって、間違ったような、合格すべからざる人が合格し、合格すべき人が落ちるというような結果にならないようにすることが、まず何をおいても早急にやるべき問題である、こう考えまして、この間違いの問題についての採点処理につきまして各学校に通知したわけでございます。それは先ほど来申ておりますように、ほとんどが誤植でございますが、まあ原稿の間違いというものが絶無ではなかった。ただ一点ございますが、それぞれにつきまして、たとえば問題が間違っておったためにいろんな解答が出てくる、あるいは問題が間違っておったために解答が書けない、こういうふうに考えられますものは正解があったとみなして点をやるといったような措置、それからもちろん間違っておればよろしくないんですけれども、まあ当用漢字なり、あるいは「てにおは」といったようなところの間違いについては、答えはこれは出て参りますので、そういう点は誤植で間違いであるけれども、解答には支障がないといったような趣旨の伝達をいたしまして、善処方を試験問題実施責任者に御通知申し上げた次第でございます。
  92. 野本品吉

    ○野本品吉君 入学試験の問題につきましては、昨年もいろいろ、あるいは茨城であるいは福岡で大学の入学試験で問題がありまして、そのとき各大学で善後措置につきまして苦心されて適当な方法を立ててやったと、今度の文部省検討されて各学校へ通知した善後措置というのは、大体前年の大学の入学試験問題の善後措置と同じような行き方ですか。
  93. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 今お尋ねの、昨年茨城大学とか九州大学等にいわゆる入学試験問題にからみまして不祥事件がございました。この場合は、文部省としましては監督の地位にあるものとしての観点から、こういう遺憾なことのないように、大学の品位を傷つけないようにといった趣旨の通知をいたしたわけでございます。しかしながら、今回のは試験問題そのものの作成が文部省責任でございますので、その措置について通知をいたしましたので、趣旨はそういった意味で、同じものではない通達を出しております。ただきのう措置いたしましたのは、試験問題の間違っておったところ、これをいかに採点するかというところを何はさておき通知すべきであると考えましたので、それ以上のものには触れておりません。
  94. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで文部省の大学学術局あるいは初中局でいろいろと検討された結果を各地方の試験を実施された大学に通知した。その事柄については、これで試験の成績を、結果を判定するのに公正が期し得ると、こういう自信がおありなわけですか。
  95. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 全く間違った問題に対して措置した場合と、全然間違わなかった場合と、百パーセント自信を持って同じ結果になるといったようなことは考えられませんが、問題が間違っていなかった場合とほぼ同じような結果になるであろうという程度の考えで通知をいたしました。
  96. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこが先ほどあなたが御説明になったように、及第すべかりし者が落ちたり、あるいは落ちる者があがったりするというような心配はないのだということが言えるわけですか。
  97. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) ほぼそれに近い措置ができ得るものと思っております。
  98. 野本品吉

    ○野本品吉君 それからもう一つお伺いしたいのは、これは大臣にお伺いしたいことなんですが、この入学試験問題について、去年あるいは茨城で、あるいは九州で起こった問題と本質的に非常に違う点の一つは、私は国立高等専門学校に対して入学試験をする、その他いろいろなことについての法律がまだ成立しておらぬ。法律の成立以前に試験をしても一体いいのか悪いのかという点について疑問があるわけなんです。この点については、どういう御見解をとられておるのか。これは大臣にひとつお伺いしたいと思うのです。
  99. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。前に、私も心からおわびをしなければなりまんが、衆議院文教委員会でもこの問題について御質問なり、おしかりを受けたのでありますが、いかなる理由がございましょうとも、文部省責任において実施する試験の問題に、出題そのものに、たった一点、一見軽微なものではございますが、間違いのありましたことは、これは申しわけならない失態だと思います。さらに校正が適切でなかったためのミスプリントであることは間違いないにいたしましても、物事は受験生の側に立って考えねばならない問題だと存じまして、中学をまさに出ようとする直前において、大いに期待をかけて高専に入学をする数万の受験生の真剣な試験場におけるまなざしが目に映るようでございまして、そういう受験生に対して国会を通じておわびをせねばなるまいという気持を表明さしていただきます。本日もまたその気持をせめて申し上げることによって、この失態に対する御宥恕を請いたいと思うわけであります。さりとて、今、官房長からお答え申し上げましたように、ただ遺憾の意を表しつつ恐縮しておるだけが当面なすべきことではございますまいから、せめて直ちになすべきことに着手しろということで、先刻申し上げましたような、専門家を交えまして、あらためて問題全体について再検討を加えて、ミスプリントの部分も新聞報道以外に発見しましたので、そのことも厳密に採点上どう扱うべきかを中心に二日にわたって徹宵調査してもらいました。その結論が先ほど来御指摘の新聞に出ましたそのことを裏書きしてお答え申し上げました事柄となって現われたような次第でございます。結論はまた繰り返し申し上げさしていただければ、むろん間違いがなかったと同じ厳正公平な結論がありとは言い切れませんけれども、ほぼそれに近い採点結果が期待されるであろうという結論に達しまして、幾らかでもかんべんしていただけそうな気持で今対処しておるところでございます。  なお、今御質問の点でございますが、高等専門学校法律そのものは過ぐる国会で御決定をいただきました。まだ具体的に何々高等専門学校ということは、これから御審議をお願いせねばならない国立学校設置法の一部を改正する法律案の決定を待って初めてできることになるわけですけれども、開校に至ります諸準備は、創設されるものだものでございますから、やはり何といっても事前に準備が整いませんければ、新学年早々の開校ができないという考え方のもとに、すでに御審議決定を得ております高等専門学校設置に関連する学校教育法の一部改正法の附則にただし書きをつけていただきまして、「ただし、同日前にその設置のため必要な手続その他の行為をすることを妨げない。」という附則をつけていただいておりますので、試験のこと等も含めまして、諸準備を着々今やりつつあるわけでございます。正式の試験とは申し上げにくいことだとは思いますけれども、何々高等専門学校という、今度の御決定をいただく法律案が通過しました直後に学校長も正式にきまる。そうして学校が具体的にきまる。その直後に完了する意味の選考試験ということが準備行為として行なわれておる、そういう姿だと理解するわけであります。
  100. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は、この国立高等専門学校に対する期待というものは、全国的にも非常に大きいものがあるわけで、その具体的な現われというものは、今度の各学校実施した募集人員に対する応募者の数が最もこれを端的に表明しておると思うのです。したがって、その国民の要望にこたえる意味におきまして、文部省ができるだけ早く開校の運びに持っていきたいという親心で準備を進められる、その気持はよくわかるわけです。ただ、ここでやはり、この前の法律の附則で規定されてはおりますけれども、なお一つの疑問があるのでお伺いするわけなんですが、そうするというと、今度実施された試験というのは、厳密な意味における試験の結果によって入学者を決定するということには今の段階ではならないわけですね。
  101. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 名実ともに備わった完全な意味での入学者決定ということには理屈の上ではならないと思います。しかしながら、先刻申し上げましたように、その準備行為という範囲内では法律上も許されておる。そうして具体的には何々高等専門学校ができるんだという期待のもとに受験者は受験をしたわけですけれども、同時に、それはこのただし書きに基づいて文部省が正式に募集の意思表示をいたしますことによって起こる選考の場でございますから、何々高等専門学校の入学試験と厳密な意味においては言い得ないことは当然でございますけれども、ある程度法律的な用語をかりに使わしていただければ、今度行ないました選考は、先刻も申し上げましたように、今度審議決定していただく法律によって具体的な何々高等専門学校設置がきまる。きまって、学校長その他が任命されまして、名実ともに置かれたという直後に、それを当該高専学校が確認する停止条件として完了するところの準備選考行為である、そういうことに説明づけられようかと思うのであります。
  102. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の点で、もっと受験した者を安心させる意味で私はお聞きしているのですが、そうしますというと、当分の間試験の成績の発表はできないというか、それまでどういうふうにお扱いになりますか。
  103. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) それぞれ今大臣が申しましたような意味での入学候補者を選抜する学力検査をいたしまして、その試験を実施した当局におきましては、それぞれ試験発表日を予定いたしておりますが、先ほどおっしゃいました盗難事件もありましたので、そういった意味で多少その辺がはっきりいたしましてから入学候補者の発表もすべきではないかと考えております。ただそれと離れまして、学校ができない、まだ正式に国立学校設置法ができない以前、少なくとも四月一日以前にやりますが、その試験を発表することはどうかということになりますれば、これは入学候補者として発表いたしまして、学校ができましてから学校教育法施行規則にも規定がございますように、入学は校長が許可することになっておりますので、新たにできました高専の校長が、先ほど大臣が申しましたような意味で、一応停止条件的な、その入学候補者に、お前を正式に入学させるという通知で足りると思います。
  104. 野本品吉

    ○野本品吉君 その点が心配なので、私はお伺いしているわけなのです。試験を受けた者にとりましては合格をしたのかしないのかということを知ることは、合格した者は非常にそれによって元気づけられますし、合格しない者は、この学校で不合格であるから、ほかの学校へ転進しなければならないという、非常に大きな問題なんで、したがって一刻も早く合格者の発表をしてもらいたいのですが、今のお話で、入学候補者として合格した、こういう発表をするわけですね。
  105. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 一応そのように発表いたしますが、先ほど大臣が申しましたように、候補者なんてまだこれから当選するかどうか別だといったようなことではございませんで、ただ非常に法律的に形式的なんですが、一応候補者として発表するという形をとりたいと思います。ただこれは御承知のように、早く試験をいたしまして、その他の高等学校は大体三月の十日過ぎということでもございますので、その他の、落ちておる人はもちろん、うかっておっても、その他の学校へ行きたいという人は、その他の高等学校が受けられるように指導もいたしておりますし、そういうこともおもんぱかって試験もし発表もしたいというふうに考えております。
  106. 野本品吉

    ○野本品吉君 なお、その点で言っておきたいと思いますことは、この入学候補者として合格したということは、入学試験に堂々と合格したのと同じ意味に扱われるものだということは、これは一般の受験者に知らせることになりますか。
  107. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 形式論を申し上げると、入学候補者として扱わなければ正確でないので、入学候補者という表現を使いますけれども、実質的には入学者と同じになる、一つの例外もないという取り扱いであることに間違いございません。それは具体的にはその例と申しますか、申し上げますれば、一番近い例は、昨年久留米の短期大学に、工業高等学校を付置する法律を決定していただきました。しかし、その選考準備は、今度と同じように、法律が正式に成立します以前に取り運びまして、やはり同じように入学候補者というようなことで取り扱って、法律が通りますというと同時にその者が、候補者が当然そのまま入学者になって、一点の疑いもなしに運用されてはおります。それと同様でございまして、法律論的にそつなく申し上げる表現をとりますれば候補者であり、実質的には同じだ、もちろん何らかの事情があって法律が通りませんことがかりにあるとしますならば、これはそのまま問題解消になってしまうことは、これはやむを得ないことでございます。今まで国立学校の新設されます場合には、同じようなケースが行なわれて今日に至っておることは御承知のとおりでございます。
  108. 野本品吉

    ○野本品吉君 繰り返し申しますが、その候補者という名前を使うことによって受験生に一まつの不安も与えることのないようにしていただきたいというのが私のこの点についてお伺いしておる理由なんです。  それから最後に、これはまことになにですが、実は私はこの問題について非常に遺憾に思っておりました点は、問題に間違いがあった、その他も当然のことでございますけれども、実は先ほど来申し上げますように、昨年大学の入学試験で各地にいろいろな問題がありまして、それが非常に世間に悪い影響を与え、なおこの委員会でも何回かにわたりまして委員の諸君からこの問題について論議が行なわれ、また文部当局に対する強い要求等もされたわけであります。念のためにと思いまして私は当時の速記録を出しまして読んでみたのです。これは荒木大臣も、大学の入学試験の問題について追及論難を受けましたときに、はなはだ遺憾な事柄である、申しわけないということを何べんか言われておるのです。それから小林大学局長は「全体的に入学試験の実施について特段の注意を払うように今後具体的な措置検討いたしまして、注意喚起をするようにしたいと思っております。」と、こう言っておる。纐纈政務次官は、文部省としても遺憾に考えておるわけであるということで、そして質問の御趣旨に基づきまして「今後とも十分文部省としても適当な措置をとって指示もいたしたいというふうに考えております。」ということで、徹頭徹尾遺憾の意を表しておるわけです。そこで昨年各地の大学に対しまして、いろいろとさようなことのないようにということを指示し、注意を喚起し、警告を与えておった文部省自体実施した今度の試験に、いろいろと今度のような問題が起こってきたので、私は文部省の権威を失墜することこれより大きいものはないというふうに強く感じまして、これは非常に残念に思っております。いろいろな点を総合して考えますときに、文部行政の一角のその権威を失墜するような事案として考えなければならぬというふうに私は見ておるので、今さらとやこう苦情を言いましても取り返しのつかない問題でありますけれども、今後もこの種の事柄というもの、試験というものは文部省責任において実施する場合もありますし、また各大学当局において実施する場合もありますので、この際文部省といたしましても昨年の事例にかんがみまして、特に責任を感じて善処していただきたい。実は私は群馬に国立高専を設置していただきましたので非常に喜んでおるのでありますが、この国立高専をどうして育てていくかということのための設置に関する準備会といいますか、委員会というものを全県にわたりましてあらゆる階層の代表者を集めて作ってあったわけです。その会合が先般前橋で開かれましたときに、この試験は各所在地の大学がその責任において実施するということになっておるということを伺いまして、特に大学の諸先生とは年来御懇意願っておりますので、少なくも試験の実施の上については細部の点について慎重にも慎重を期して、新しく国民の大きな期待と希望とを持って発足するこの学校の出発に一点の汚点も印するようなことがあってはいかぬから、その点については十分御注意願いたいということを、昨年の大学の試験の事例にかんがみまして、個人的に強く要望をして参ったわけなんです。そんなこともありますので、今度の試験の問題に、かような問題自身に間違いがあったり、あるいは校正の点において十分でなかった点があったり、いろいろな問題がありましたことはほんとうに残念でなりません。切に文部省の反省と、それからして今後に対する戒心を強く私は希望いたします。大臣の所見を承りたいと思います。
  109. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ほんとうに申しわけないことだということで、私初め関係者みんな、せめて十分な反省をして今後にわたって万遺漏なき考慮、措置を払うことこそが、せめてものおわびのしるしであろう、そう心得て、しっかりやろうじゃないかといって内部の者に改悛を促しておるような次第でございます。今、野本さんのおっしゃったような現地の心がまえ、御協力態勢は、ほとんど例外なしに厳粛に行なわれておると承知いたしておる。それだけにただ文部省だけの責に帰すべき理由により、かような失態が起こったことは明瞭でございまして、何ともおわびのしようのない気持で一ぱいでございますが、繰り返して申し上げておそれ入りますけれども、せめて今後にわたって万遺漏なきを期すということを反省もし具体的に一点の間違いのないような措置を講ずるということによってお許しをいただくほかにないというふうにも思っておるわけでございまして、これは年々歳々繰り返されることでもございますから、特別の問題作成の委員会はもちろんのこと、試験終了に至りまするまで、最後の瞬間まで遺憾なきを期するような準備態勢を整えて実施したい、かように思っておるところでございます。
  110. 野本品吉

    ○野本品吉君 私の質問を終わります。
  111. 米田勲

    ○米田勲君 それでは私はこの国立高等専門学校設置について、それぞれの文部省設置個所を決定をしたので、これに基づく問題について数点質問をいたします。  まず第一に、この法案国会審議されている最中から、方々の地方自治体からぜひ私のほうに設置をしてもらいたいという陳情が、相当われわれのもとにも来たし、文部省にも殺到したんじゃないかと思うが、   〔理事豊瀬禎一君退席、委員長着席〕 一体その設置を陳情、要請に来た県、市町村、地方自治体の実情は具体的にどれほどであったか、どういう実情であったかということを一つお聞きします。官房長からでいいでしょう、文部大臣はあまりよくわからないから。
  112. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 概要は大体わかっております。各県なり、あるいは市当局なり、あるいは議員さん方なりが一生懸命の陳情運動をなさったことは事実でございます。
  113. 米田勲

    ○米田勲君 それを具体的に聞きたい。どの程度あったか、全国的に。たくさんあったというのでなく、具体的に。
  114. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 北から申し上げますと、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、群馬県、千葉県、静岡県、愛知県、岐阜県、長野県、三重県、和歌山県、兵庫県、四国四県、それに広島県、福岡県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県等でございます。
  115. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣、今記憶をたどって説明されたことは、事実に間違いありませんか。あなたの記憶に間違いなく答えましたか。
  116. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 間違いなくお答えしたと思います。
  117. 米田勲

    ○米田勲君 県の名前が今あげられましたが、市町村別にいうと、幾つくらい総数で設置の陳情があったか、市町村——大体市でしょう。
  118. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 大体、大臣が今具体的な名前をあげられましたような点でございますが、大体府県の数で申しますと三十九県、それからそのほかに市等がございますので、市なり府県を入れますと、四十八、九にわたったと思っております。
  119. 米田勲

    ○米田勲君 その四十八、九にわたっている自治体は、具体的にあなたのほうには今資料があるのですね。
  120. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 口頭で申されたところもございますし、文書のようなところもございます。それらを入れまして、先ほど申したような数字でございます。
  121. 米田勲

    ○米田勲君 そこでお聞きをいたしますが、それらの非常に数多くの設置要請の陳情が出ておる中から、最終的に設置をする自治体をきめたわけです。その決定の方針ですね、設置を決定する方針は、具体的に説明しますと、どういうことでしたか、お聞きをいたします。
  122. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) このたびに宇部、長岡のように転換する場所もございますが、それ以外に独立設置の十カ所をきめたわけでございます。その場合に考えましたいわゆる設置方針と申しましょうか、そういったような観点は、まず第一番に、産業立地上の条件を考えることにいたしました。すぐれた工業立地条件を備えておって、近い将来において工業的に発展する可能性のある場所といったようなものを優先することにいたしました。もっとも北海道に二カ所予定いたしておりますが、これはいわゆる北海道総合開発といったような観点からでございまして、もちろんすぐれた工業立地条件ということを考えるときも、例外的なものはございますが、まずそれが第一点でございます。  それから、まあ全国的な地域配置ということを考えました。あまり隣合わせ——固まったところでなくて、全国的な配置ということを考えました。  それからその他に、何と申しましても、よい高専を作るためには、りっぱな建物はもちろんですが、りっぱな先生を必要といたします。そういうことで、りっぱな教員をいかにして確保するか、そのためには、やはり既存の大学等に、優秀な施設設備、教員を保有しておられるような、そういう大学の助言なり、あるいは御協力、御援助、こういうものが必要でございますので、そういった、教員を確保するという点を次に考えます。  その他、先ほど来お尋ねのこととも関連いたしますが、やはり国の学校と申しましても、いろいろ設置される場所との協力態勢がスムーズでないと、りっぱな学校設置するのにはうまく参りませんので、地元の協力という点も考慮の一つに入れる。大体以上の点を基礎といたしまして設置いたしたわけでございます。  ただ、新居浜等におきましては、先ほどの工業立地条件という点もさることでございますが、北海道について例外のような——そのままの例外ではございませんが、工学部の移転というような点、この特別な点ももちろん考慮いたすことにしております。
  123. 米田勲

    ○米田勲君 今の官房長の話では、大体四つの条件を勘案して決定をしたというお話ですが、どうも私は今度の国立高専、これの設置場所をきめるのに、いろいろな憶測が流布されている。そこで、そういう流布されているような憶測は間違っておる、思い過ごしであるということを明らかにしたいために聞いておるのであるが、今お話をなさった条件はいずれも非常に抽象的で、この条件で、はたしてAの個所をはずしてBの個所にしたという決定的な条件になるかどうかということを、私は非常に疑問に思うわけです。よ。そのうち、私は特にもう一度お聞きしますが、第四番目の、自治体との協力態勢の問題を考えたというのは、具体的にいうと、この協力態勢はどういう点を考えたのですか。
  124. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) これは地元といたしましても、いろいろな理由もございましょうけれども、地元に学校を設立して、これは国立の学校であっても、あるいは地元の子弟等が結果的には多く入るわけですから、そういった意味で、ぜひこういう高専を、その県のため、地元のためにもほしいといったような御熱意でございます。
  125. 米田勲

    ○米田勲君 私は、この際文部大臣に見解を聞きますが、今の官房長の話で、自治体との協力態勢の問題が、これを検討する重要なポイントであったというお話ですが、御承知のように、地方自治体というのは、今のところ税法等の関係で、非常に財政的には逼迫しているわけです。しかし、自治体の責任者たちは、その自治体の将来の発展などを考慮して、いろいろなことを考えて苦労しているわけです。そういう条件のときに、文部当局がこの自治体との協力態勢という名目で、過大な負担を自治体にかけるというようなことが、この選考の条件の中に相当のウエートを占めていたということは、私はどうも芳しくない。特にこれは国立の高等専門学校であるという立場から考えますと芳しくない。自治体に無理に犠牲をしいるような結果になったんではないかということを判断しますが、大臣の見解はどうですか。
  126. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 自治体——県なり市なりが、まあ具体的に申せば敷地の問題を心配してもらっておる実情でございますが、しかし、それは県なり市なりに財政的負担を具体的にかけてということでなしに、先刻選考基準に、当面の選考基準として工業立地の関係を重視したと申し上げたようでありますが、それは具体的にはそういう現にある、もしくは近くそこに誕生するであろうところの工業等に卒業生は就職していくということが大勢であろうと推測するわけでありますが、そういう意味でも各都道府県の産業界の要望も非常に熾烈であったことは御案内と思いますが、そういうところからの浄財をもって土地を物色していただく、もし国有地、県有地その他があって無償で使用できるところがあれば最も望ましいところでありますけれども、それにいたしましても、地方自治体としてのそういう意味での協力なしにはやれないことでございますので、さような意味を含めて地元の協力態勢いかんということを重視したというふうにお答えを申し上げたような次第でございます。地方自治体に現実の負担を、過重な負担をかけてはばからないという考えは持っておりません。
  127. 米田勲

    ○米田勲君 そういう答弁を聞くと、この決定をするまでに至った四つの条件のうち、四番目の地方自治体の協力態勢ということは、話を聞いているとだんだんウエートがなくなってくる。しかし、最初の官房長の話では、四つの条件の中の、相当ウエートがかかっている話なんです。どこの自治体だって自分のところに誘致をしたいと思えば無理をする。無理をするということが心理的にもうわかっておりながら、文部省はこの四つの柱のうちの一つの条件に相当ウエートをかけているということは、結果的に文部大臣は何も考えぬかったかもしらぬが、結果的に自治体に非常に負担を過大にかけておる。私は将来の問題も考慮して、こういう国立の学校を建てる場合に、地方自治体に経済的な負担を、精神的な問題は別として、経済的な負担を相当要求するような条件を、その主たる設置の要件の中に含めて検討するというのは間違いだと思う。むしろこの産業立地条件だとか、全国的な地域配置の条件だとか、あるいはこの高専校の教師の確保の条件があるかないかというようなことになら重点を置いてやることはよいと思うが、四番目だけは私は納得できないのですが、どうですか、文部大臣
  128. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 私も実は納得しかねる気持は持っております。それでもなおかつ、なぜしたかというおしかりはあり得ると思うのですが、まあ率直に申し上げまして、今まで国立学校設置に関して敷地の予算というものは原則として考慮されないというふうな一種の慣例みたいなものがございまして、そういう慣例に従ったといって免れるつもりはむろんございませんけれども、何らか考えねばならない課題がそこに残っておるとはむろん考えております。しかし、今も申し上げましたように、自治体そのものから財政的負担を、具体的に無理をしいてそれを減免してくれたところに置くなどということはむろんいたしておりません。望むところは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、民間の寄付等によって敷地の問題も解決してもらうことを建前に話もしておるはずでございます。ある程度の考え方そのものに基本的な疑問点がむろんないじゃないと思いますけれども、今度の選考にあたりましては今申し上げたようなやり方で選考をいたしました。
  129. 米田勲

    ○米田勲君 今お話に出ておりますが、国立の学校を建てるのに敷地のことについては、経費を一切国が考えないと、頭からこういう間違ったことを、考え方をいつまでもやるべきでないと思う。学校を作ろうというのに敷地を考慮しないということはない。私はそういう枝葉末節のところにはずれていくのはどうかと思いますが、そういうことを直してもらわなければならないと同時に、どうも今度のこの高専校の設置の個所をきめるについて、自治体の四十幾つかのところから強い陳情、要請があったのが、最終的に設置の個所はそれぞれきまった。自分らの陳情が実現しなかったところはどういう理由でその陳情が実現しなかったのかわからないでいるわけです。あすこの個所には設置されたが、私のところは設置されないのはどういう理由であったかということが自治体の人たちと話してみなければわからないことになる。私はこの問題について詳しい説明をきょう聞こうとは思いませんが、この四十幾つかの中のそれぞれについて、具体的にこういう条件であったので、この中からこれだけのものを選定したということが公に説明できるかどうか、そういう自信があるかどうか、それぞれひとつ文部大臣にお聞きしたい。
  130. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先ほど官房長から御説明申し上げましたような基準で選考したことはたしかでございます。また十二カ所の予定されております全国的な配置状況をごらんいただけば一目瞭然だと心得ております。ただ一見して、ちょっと近接し過ぎるというふうな角度から、地域的な配分に十分でないんじゃないかということが連想されますのは、わずかに新居浜と高松の問題だと思います。新居浜のことは、これは官房長からも御説明申し上げたようでございますが、ずっと数年前に、愛媛大学の工学部が新居浜にあったものを、あまり飛び離れておるから大学としての体をなさないという趣旨から、愛媛大学に統合する、移転するということをきめましたときに、文部省として、現地としては、土地がさびれる、その他の御想像のつくような、地元としては苦境にあいましたこと等も考え合わされて、せっかく校舎等があるのだから、適当な時期に適当な学校設置したいと思っておるという趣旨の、いわば口頭の約束的なことも合わさって、工学部の松山への移転が決定している事情等もございまして、新居浜に今度一つ置くということを文部省としては考えたのでございまして、繰り返し申し上げれば、十二カ所の国立高専の配置予定地は、一見していただきますればおわかり下さいますように、先ほど申し上げた基準に従って選考をいたしたのでございます。
  131. 米田勲

    ○米田勲君 高松と新居浜のことについては、説明がございましたから、わかりましたのですが、しかし、私のお聞きしているのは、十二校の決定したその個所というのは、具体的にかくかくの条件から考えて妥当であったということをたれしも納得できるような、そういう具体的な条件が説明できるかどうかということを聞いているのです。私は今説明しなさいとは言っておらない、そういうことが説明できますか、どうか。
  132. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 具体的に説明ができます。
  133. 米田勲

    ○米田勲君 後日聞かしていただく機会があると思いますが、今は留保しておきます。  そこで、次にお聞きをいたしますが、文部省が、当初、国立高専を設置しようとした計画ですね、数の上から言って、結局、予算編成の過程で文部省計画がそのまま実現に至らなかったその理由をお聞きしたいわけです。なぜかというと、これは昨年の通常国会でも、だいぶ科学技術庁との関係でいろいろ複雑な問題があって、技術者の将来の養成計画にも立って、そうしてぎりぎり一ぱいのところで考えられたその一環として、国立高専の設置の個所も学生の収容人員も考えられたわけです。そういたしますと、当時の計画がくずれたことになるわけです。それで私は、当時の計画どおりいかなかったのだという簡単なことでは相済まぬことです。だから、そういう意味から言っても、当初の計画がなぜこの予算案の編成過程で実現できなかったのか、その理由をひとつ簡明にお聞かせ願いたいということが一つと、そのために中級技術者の養成計画に、どうしても変更をきたさざるを得なくなったはずです。この変更をしなければならなくなった現状において、将来この計画はどのような角度から再検討し、解決づけようと現在意図しておるのか、このことをお聞きします。
  134. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 国立高等専門学校設置計画なるものが、当面の所得倍増はもちろんのこと、長い見通しのもとに、技術革新の今後の動向に照らして必要であるということから、科学技術教育振興計画の一環としてスタートいたしましたことは、今御指摘のとおりでございます。で、元来そういう養成者の数から申し上げれば、そういう関連がございますわけでございますが、本来こういう制度を設けるための一つの理由は、通常国会でも御説明申し上げたかと思いますが、日本の各都道府県を単位に一応考えてしますといたしまして、都道府県の住民の幸福の増進、あるいは生活の向上という角度から見た場合に、農業県がいつまでも昔のままの農業県のままであるべきではない、農業県にも工業が誘致されて発展せらるべきである。農業そのものも近代化せられ、将来の発展に備えるべきである。農業そのものの構造の改善と同時に、産業立地の総合的なあんばい等ということが当然に構想に浮かぶわけでございまして、それに応ずるためには、原則としては、各都道府県に一カ所くらいはこういうものがあってしかるべきだ、農業県といえども、農業県のどまん中に置いてしかるべきだという考え方も無論あったわけでございますが、当面十五くらいのものを三十七年度初頭に設置することによって、できることならば五カ年くらいで、今申し上げたような構想実現することを期待しておったわけであります。ところが実際の予算折衝になりますと、法律年次計画が定まっておるわけでもないわけでありますから、やはり一般の科学技術教育振興という課題、あるいは他の予算の課題と同様、大蔵省とも折衝によって最終的にはきまるわけでございますから、私どもは十五ほしいと思っておりましたが、結果は十二にとどまった。純粋に新設は十校にとどまったということでありまして、初めの私ども考え方からいくと、そごをきたしたことも事実であり、遺憾にも思いますが、これは今後の努力に待つほかに方法はないわけでございます。五年で完了したいという仕事が幾らか延びざるを得ないということを遺憾に思うわけであります。今後の努力に待ちたいと思っております。
  135. 米田勲

    ○米田勲君 そういたしますと、三十七年度の分はやむなく十二に終わった。しかし、将来引き続いて、来年度も引き続いてこの高専校は新設していく計画が現在あるのかどうか、当面して、三十八年度なり三十九年度に幾つぐらい設置するような計画なのか、その点いかがですか。
  136. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) まだそこまで具体的に申し上げかねますけれども、気持としましては、さっき申し上げたように、全都道府県に一カ所見当を五年ぐらいでという考え方からいきまして、ほぼ三十七年度分としての概算要求と同じ程度のものを、できることならば進めていきたい、こういう気持でおります。
  137. 米田勲

    ○米田勲君 次に、先ほど野本委員からも質問がありましたが、私も立場を変えて、文部大臣に、ひとつ国立高専校の入学試験の問題についていろいろお聞きをいたします。そこで、私は先ほどから文部大臣の遺憾の意を表明された言葉がありましたけれども、もう一度ひとつ去年のことを振り返ってみたいと思う。文部大臣は、各大学に起こった入学試験にからまる不祥事件について、われわれがいろいろな角度からお聞きをした際には、相当きびしく大学当局に対して、こういう不祥事件の起こることを絶無にしなければならぬという決意から、相当きびしいものの言い方をしているはずである。それを忘れてはいないだろうと思う。そうしてその結果、小林大学学術局長名をもって、各国立大学学長に対して文書を出している。その文書を今日読んでみると、全く変な気持がいたします。どんな文章が書いてあったか、文部大臣は記憶しているだろうかとさえ思う。それはこういうことですね。「学力検査問題に誤りや疑義が続出し、なかには当該大学教授名で受験雑誌等に掲載されたものと酷似した形の出題がなされたり、問題のろうえいや、採点の改ざんのような悪質の事故も発生し、その結果柳後措置として定員を超えて入学者を決定するのやむなきにいたった大学もあり、厳正公平であるべき入学試験の実施に関し、受験生に不安を与え、国民一般の疑惑を招き、ひいては大学に対する社会的信用を失墜させるおそれのあるような事態が一部に生じたことは、まことに遺憾にたえないところであります。」、こういうことを言っている。そうして、この文章の最後には、「事故発生の大学においては、事故の実態及び原因を究明し、大学自治の本則に照しその責任を明らかにするよう適切な措置を講じ、国民一般の疑惑を解消し、大学の権威の回復に努めること。」、きわめてきびしい通達を出している。私はこういう通達を出している文部大臣に対して、今年行なわれる、今行なわれつつある大学関係の入学試験に、去年に類似したような不祥な事態が起こったときに、再びこういう通達を文部省から大学に発することができるのかどうか、それをお聞きいたします。
  138. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 文部省自体が、先ほど来御指摘のような失態を演じまして恐縮しごくに存じます。その気持、感情だけから申し上げると、再び出せないような気もします。しますけれども、それはそれ、これはこれということにせざるを得ない、またしなければならないところであると思っております。
  139. 米田勲

    ○米田勲君 それを再び出す度胸があるならば、やらぬければならぬことが一つある。それは、文部省から出たその文章の中にもあるように、「責任を明らかにするよう適切な措置を講じる、」、これは何を意味するのかはわかりません、非常にばく然としたことですが、私は今度の入学試験の問題に誤まりがあったとか、あるいは誤植があったとしても、受験生の側から見ればみな誤まりです、同様に。見えないのも誤まりの一つ。こういう不詳な事態を引き起こした一体責任はだれが負えばいいのか、それはどんな形で負えばいいのか、私はそれが聞きたい。ただ、これは残念なことであった、申しわけないということだけで事を終わらすことは、再び大学等にこの種の不祥事件が起こったときに、文部省として対処すべき立場がなくなる。そんな悪かったとか、申しわけなかったということだけでは。したがって、私はこういう不祥事件が起こった最終的な責任は、だれがどうしてとらなければならぬのだ、適切な措置をとる必要が当然あるのだが、その適切な措置をとる気があるのかないのか、その適切な措置とは何か、どうしようとしているのか、これをひとつ文部大臣からお聞きしたい。
  140. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 責任は私にあると思います。ただ、文部省の内部においてそれぞれの関係者がある。それをどういうふうにするかということは、もっと事態の具体的な握把の上に立って考えたいと思いますが、ただ、いささか弁解がましくして恐れ入りますけれども、今度の入学試験の問題について、選考試験の問題について受験者側から見ました場合には、むろん同様ではございますが、誤まりの起こりました原因そのものだけを一応とって考えました場合、不注意であるという点に一括して一応言えようかと思います。校正をもっと厳重に、一点の誤まりのないようにしてもらうように、商船大学、商船学校にも依頼すべきものであったかしれませんが、それほどまでの念を入れた注意を怠っておったということが原因かと今は思います。さらに、時間的な関係からやむを得ないことではございましたが、商船学校なり、電波学校の入学試験用の問題を借用に及んだとは言いながら、それ自体をもっとみずからのものとして、高専それ自体のものとして受け取って、まあいわば二重の慎重さをそれに加えてやるべかりしものかとも思いますが、そういう指示を私はすることを怠ったという気持もいたします。まあいずれにいたしましても、もうちょっと全貌を明らかに、的確に把握しました上で考えたいと思っておりますが、さっきも申し上げましたように、今後にわたって再びかようなことがないように、いかにするかということが当面の私の立場において、この責任を痛感しながら、なすべき措置の第一であると心得ております。
  141. 米田勲

    ○米田勲君 私はどうもわかりませんな。大体こういう不祥な事件が起こった責任者は私ですと言いながら、一体失われた文部省の権威といいますか、責任といいますか、そういうものが償われるのでしょうかね。そういう言葉だけでは、私は先ほど逆に変なことを言いましたが、大学に再びことしも不祥事件が絶対起きないとは言えない、断言はできない。その場合に文部省がどうすればいいのだ、どのように措置をしなければならぬのだという立場考えたら、これは簡単にはものを考えちゃならぬ。みずからもこれほどきびしく律したのだ。したがって、あなた方にも厳重にこういうふうにやってもらなわくちゃならぬということでなければ、事は相済まぬと思う。手前のことについてはきわめて寛大で、人に対してはあくまでもきびしいなんというような、そういうやり方では国民は納得しない。大学当局も、かりに再びそういう通達を受けても、何を言っているか、文部省自体がやっておるようなことをわれわれに注意するとはおこがましいということになりかねない。大へんなことです。だから私は、これはやはりこの責任はもっと具体的に何とかしなくちゃならぬ。たとえば文部大臣責任が当然最終的にはあるが、この問題作成委員会などはやはり問題に間違いがある、ミス・プリントの分は問題作成委員会責任ではないとしても、少なくとも一カ所は間違いがある、問題に。その問題作成委員会責任は一体このままでいいのかどうか、今後誤まりなからしめるように厳重に注意をしよう、注意をしなさいだけで事を相済ましていくことがいいのかどうか。文部大臣自体もまことに遺憾であると国民に深くわびるということだけでいいのかどうか、私はどうもその点は割り切れないんです、今後のことを考えたときに。私の聞きたいと思っておること、おわかりでしょうか、大臣いかがですか。
  142. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) さっき申し上げましたように、もうちょっと時間をかけて、もっと正確に原因を究明いたしまして、その上に判断いたしたいと思います。
  143. 米田勲

    ○米田勲君 それからこの刑務所で印刷した印刷の校正を厳重にやることも、これはまかした、頼んだといっても、文部省にあるはずです、これを的確にやらなければならない責任は。ですから、私はこのことについてもだれが一体責任を負うのか、校正を厳重にやらなければならない責任はだれが負っておったのか、当面しては。そういうところを筋をただして、それぞれ適宜な処置をきちっとつけて、それで次の問題に対処していくということでなければ私は相ならぬと思う。今、文部大臣がいろいろ全体を検討の上、時期を待ってということを言われるので、私は今すぐにとは申しませんが、後日この問題にけりがついたら、それぞれどのような処置をしたのか、責任はどうして明らかにしたのか、それの報告をぜひ忘れないで願いたい、いかがですか。
  144. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) わかりました。
  145. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣、この国立高専校の入学試験の問題を、いつまでも文部省が作成をして一斉に試験をやっていくというやり方をとるつもりですか、いかがですか。
  146. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今お尋ねの点もあわせまして、十分検討したいと思っておるところであります。
  147. 米田勲

    ○米田勲君 これから検討されるんだと思いますが、私はこれは当然この高専校の当局に全責任を負わせてやらせるのが妥当ではないか、文部省が問題を作って一斉にやるというやり方も一つの方法かもしれないが、私は将来検討されるときには、当該学校当局に試験のことについては一切責任を負わせるというほうが妥当ではないかという意見を持っておりますので、検討の際には十分お考えを願いたい。  それから先ほど官房長のほうから、それぞれ問題にミスがあった、誤植があったということや、不鮮明な問題については、結果の処理についてそれぞれ指示をした、こうなっておる。お互いに少年時代に試験を受けた経験を持っておるから、中学を卒業するときのあの年令の子供が入学試験場に入った心理というものは思い出すとわかるはずである。文部大臣にお聞きをしますが、問題に誤りがあるような試験問題を目の前に出されたときに、一体受験をする生徒の心理状態はどういう状態になるとあなたはお考えですか。
  148. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ちょっと実感を持って数十年前を思い起こし得ませんけれども、相当疑惑を感じ、精神的な影響もあろうかと思います。
  149. 米田勲

    ○米田勲君 私はこのミスのあった問題は採点から除外するというだけでは公正を期せられないというのが結論なんです、私の結論は。問題にミスがあっても、これは問題自体に誤りがあるのだということがわかるような学生は、これは大したものです。ところが、誤っておる問題を目の前に見せられたときに、自分がわからないんだというまず判断に立つわけです。その心理状態は、問題全体の解答にあたってきわめて大きく影響するわけです。だから私は、先ほど官房長の答えた言葉の中に、非常に気にくわない——こういうことでは相済まぬと思うのだが、間違いがなかった場合とほぼ同様な、ほぼそれに近い結果の処理がなされると、こういう物の言い方をしている、野木さんの質問に対して。こういう物の考え方は、問題をあまりにも軽視しているのではないかと思う。私はこれは公正な結果の処理はできないということが、子供の心理状態から判断をして言えると思う。その該当した問題だけは採点から除外すれば、それは事が足りるんだと、こういうことでは私は相済まぬと思う。文部大臣の見解はどうですか。
  150. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 間違いがなかった問題によって試験をされたのと同等のものにはなし得ない問題だと思います。ただ、比較的にどうやらかんべんしてもらえそうな採点はできると、率直に申せばそういう意味合いのものかと思います。
  151. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣はそういうふうに軽く考えているが、限られた時間内に限られた問題を解答しなくちゃならぬ、その場合に、問題にミスがあって、その問題に執着しているあまり、時間の関係からいって、当然解答できるものまでも、ある子供によっては解答ができないという結果は相当あると推定される。これは子供の心理状態から考えて、どうしてもそういうことが推定できる。こういう重大なミスを犯して試験が行なわれたのであるから、私はほんとうに厳正にやる気があるなら、試験をやり直すくらいの思い切った措置が必要だと思うのだが、いかがですか。
  152. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 試験をやり直すということによって、また起こります受験者に与える影響等も考え合わされます。それで、できることならば、今申し上げたような——完全ではむろんないことは遺憾ではございますが、ごかんべんをいただいて、今度の選考でもって結論を出したいものと思っておるわけでございます。(「賛成々々」と呼ぶ者あり)
  153. 米田勲

    ○米田勲君 私は——井川さんは文部大臣にひいきされておるようだが、私はこの問題を、文部省責任問題で、非常に重大だと思うから、なおそういうことを主張するのです。この問題を、大体採点の結果の処理を適当にやっておけば、まずまずいいんだという問題の糊塗的な方法ではうまくない。非常にやりづらいことであり、重大な問題にはなるけれども、試験をやり直すべきだ。子供に与える心理的な影響にしても、私はわからない。むしろ文部省はこういう重大なミスがあった入学試験については、大胆率直に反省をして、試験をやり直すくらいのほうがいい。そういう率直さ、そういうまじめさ、真剣さが国民に明らかにされるほうがむしろいいんじゃないか。(「反対」と呼ぶ者あり)いいかげんな——発言中ですから、井川さん、自由にさして下さい。あんたのほうの野木さんが言ったときは、私は黙って聞いているのですから。僕は気が弱いほうですから。——試験をやり直すということは、これは問題があるでしょう、いろいろ。しかし私は、こういう事件が起こったことの処理を文部省が大胆に誤りなくやることが、今後の文部省行政措置をいろいろとっていく上にも大切なことではないのか。私の言っているやり方というのは、非常に野放図もない、奇想天外な意見に聞こえるかもしれません。しかし私は、それくらいの率直さがあっていいのではないか、大胆さがあっていいのではないか、この問題の処理を。そう思うのですが、どうですか。
  154. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 私も、私だけの心の中には、おっしゃるようなことをやらなければならぬかと思わないわけではございませんでした。その意味において——というのもどうも失礼な言い方ですが、米田さんのお説それ自体が一つ意味のある、なさねばならない一つの事柄である、案であると思います。ただ、実際問題としますと、厳密にいえば、同じ志願者が同じ高専に志願してくれることが確保されない分には、これまた違った意味において、新たな問題を受験生に提供することでもございます。そういう乏しい連想だけからいいましても、そういうふうな気持も考え合わせまして、先ほど申し上げましたように、不完全であることはこれは申しわけないのですけれども、せめてかんべんしていただける処置をとって、これによってこの際は試験をやり直さないでやったほうが、むしろこの段階においては妥当ではなかろうか、かように思っておるのでございます。
  155. 米田勲

    ○米田勲君 以上で、私の質問を終わります。
  156. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今の問題に関連して、ちょっとお尋ねいたしておきます。官房長にお尋ねいたしますが、佐世保で盗まれた問題といいますか、答案書といいますか、は何枚ですか。
  157. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 千六百枚でございます。
  158. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 週刊朝日に載っている、体育の関係のものを除いては大多数取られたように報道している、あれは大体事実に近いですか。
  159. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 私、今御質問の雑誌を拝見いたしておりませんが、おっしゃるような意味のものでございます。
  160. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、重要課目の答案書は盗まれたと判断していいのですね。
  161. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 重要か重要でないか、あれですが、九課目中の八課目分で、それが全部の枚数ではございませんで、一くくりずつにしております。その八課目の各一くくりずつということでございます。
  162. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 八課目とも大体同じ枚数程度盗まれておりますか。
  163. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 二百枚を一くくりといたしておりますので、八課目で千六百枚でございます。
  164. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 佐世保の受験者総数は幾らですか。
  165. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 志願者は千六百二十二名でございます。
  166. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのうち入学許可を与える予定数は。
  167. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 約百二十名でございます。
  168. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 一課目で二百枚の問題用紙が盗まれておって、受験者に対して事前にそのことが漏洩していないという自信は、今のところ文部省はおありになるのですか。
  169. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 自信はございません。
  170. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 率直にお答えいただいてしあわせですが、その際でも、米田委員が言ったように、全体の試験をやり直すかどうかは一つの問題点があると思います、佐世保の場合ですね。たとえば百二十名許可される者のうち、半数か十人か五名か、これは全く予知できないと思いますけれども、少なくとも千六百名近い受験者のある者が、事前に問題集を知っておったという可能性がある以上、佐世保の場合は公平な判断ができないと見るべきじゃないですか。
  171. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) これは先ほど野木先生の御質問にもございました点に関連するのでございますが、今、警察のほうにもお願いいたしまして、極力その捜査を進めてもらっておりますので、一日も早くそのはっきりした形が知りたいものと思っております。ただ、いろいろ憶測をいたしましても、目下のところわかりません。できることなら、盗まれたものが、そのままそっくりどこかの場所にあって、受験生には一人にも目に触れなかったという事態で発見されることを望んでおりますが、それは期待でございまして、まだ結果はわかりません。したがいまして、今直ちに、結局は知れた場合に再試験するかどうかという御質問に、今私が直ちにお答えする資格もございませんので、重要な問題でもございますので、はっきりした答えをすることはごかんべんいただきたいと思いますけれども先ほど米田先生の御質問のような、間違いに対して採点を云々するということとは、若干違った性格のものになろうかと思いますので、その程度で御了承いただきたいと思います。
  172. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 何人といえども、各課目二百枚の問題集がなくなっておれば、その問題集そのものが、こうきれいに出てきても、何人か盗み出した以上は、まさか七輪の火起こし用の紙くずとして盗み出したとは考えられない。そういう盗難と解釈するほうが無理で、やはり何らかの、責任者に対して怨恨関係か、あるいは何かということもあるでしょうけれども、いろいろ想定されるでしょうけれども、やはり試験問題が漏洩した可能性があるという判断に立って、万全を期することが文部省としては当然なことだと思う。それで、問題集はかりにそのまま出てきても、また警察の手を通して、だれにも行っていないで、試験問題を盗んだだけですと、こういう回答が出てきても、受験をした生徒が、だれかはあの問題集を事前に目通ししたのではないかという不安だけは一掃できませんね。したがって、今すぐあなたに佐世保の場合だけを試験をやり直しなさい、意思がありますかという回答を求めることは困難と思いますので、やはり全体の問題があるけれども、佐世保の場合には特殊な事態ですので、その点を、佐世保に限っては幸いにまだ学校も成立していないなんというのは、みこひるごですが、再度試験をやり直すかどうかは、もう一度文部省として慎重に御検討をお願いしておきたいと思うのですが、いかがですか。
  173. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 問題が、試験問題の誤植等につきましての措置に対しまして、米田先生から、再試験をしてはどうかという御質問に対しましては大臣が答えた通りでございます。しかし、先ほども申しましたように、誤植ではなくて盗まれたということ、したがいまして、その漏洩の範囲とか、いろいろございますが、先ほど米田先生に大臣が答えましたような採点云々とは違った措置、まあ具体的には再試験というようなことも、これは考えておかなければならない問題と考えまして、いろいろな事態を予想いたした検討を重ねております。
  174. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 今の答えで大体よろしいと思いますが、私、先週、長崎に行っておったのですが、現地の父兄から聞きましても、やはり受験した子供たち父兄ともに非常に、大げさにいえば疑心暗鬼といいますか、隣の坊やは知っておったのではなかろうかという気持が非常にびまんしております。こういう事態から考えまして、たとえ答案がそのまま出てきても、やはり盗まれて知っておった者がおるという不安が残っておりますから、十分今後の推移も検討してみていただくし、そのことについては、もう一度慎重に検討していただきたいと思います。以上です。  高専入試の問題はそれで終わりまして、文部省関係外廓諸団体の給与の問題について短時間質問を行なっておきたいと思います。
  175. 大矢正

    委員長大矢正君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  176. 大矢正

    委員長大矢正君) それでは速記をつけて下さい。
  177. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず最初に、出席政府委員の名前を明らかにして下さい。
  178. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいま文部省からは、文部大臣は現在衆議院の本会議に行っておりますが、直ちに帰って参ります。それから宮地官房長、安達人事課長、西田庶務課長、平間振興課長、大蔵省からは平井主計局給与課長が出席をしております。
  179. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず、大蔵省の給与課長にお尋ねいたします。当文教委員会におきましては、主として文部省の外郭団体、すなわち日本育英会、私学振興会、学徒援護会等の給与につきまして論議いたしたことがあるのですが、その際、大臣並びに当時の福田局長と、他の公庫、公団等に比べて文部省関係の諸団体は低きに過ぎるので、一時にこれを是正することはやや困難であるけれども、逐次均衡化するように努力したい、こういう趣旨答弁をいたしておりますが、大蔵省のこういう問題に責任を持っておられる課長としては、文部省関係諸団体の給与を公庫、公団並みに是正をしていくという基本的な考え方についての見解を承りたいと思います。
  180. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 文部省関係の諸団体の給与、これを俸給表の上で見ました場合に、確かに御指摘のように、公庫、公団等に比較して低いという点については私ども承知いたしております。ただ、その間の経緯を若干御説明申し上げますならば、これらの文部省関係諸団体は、私学振興会を除きましては、いわゆる補助団体でありまして、一般補助団体の建前と同じように、一応、国家公務員と同じ給与水準でものを考えるという基本線にのっとりまして、過去において措置をいたして参ったわけでございます。したがいまして、国家公務員とのバランスという点につきましては、一応その間に調整はある程度とれておるかというふうに考えております。ただ、文部省関係の諸団体の中におきましても、たとえば初任給との間に若干の差もあるようでございます。こういった点は私どものほうといたしましては、予算単価の見方はさような見方をいたしておりましても、各団体ごとに、採用の仕方あるいは採用される方等は違っておるようでもございますし、そういったものの結果といたしまして、必ずしも答が一致していない。いわば予算の配分の問題も関連しているところもあるようでございます。それから、かような給与表上の議論だけではなしに、さらに給与をきめます要因といたしましては、実態的にどの程度の格づけが行なわれているかという点も考えなければならぬのでございまして、そういった点も今後においてなお検討を要するところがあるというふうに考えます。さらに私ども考え方といたしましては、単に本俸というようなものだけを基準に置いて給与を考えることはできないわけでございまして、たとえば退職金に関する規定の厚薄等も総合的に勘案いたしませんと、その人が公務員なり、あるいはそういった団体の職員として勤務して、一生の間に取得する金額としてのバランス等が変わってくるわけでございまして、そういったものも考慮に置いて全体を考えていく必要があろう。抽象的に申し上げますならば、そういった全般的なものを念頭に置かれまして比較検討する必要がある。ただちに公庫、公団と本俸において合わせることが妥当であるかどうかということは、今後なお慎重に検討を要することであると考えております。
  181. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 僕の質問に対して、あなた、何を答えたのですか、自分で答えたことがわかっているのですか。僕が質問したのは、文部大臣も、原則として給与は、文部省に属する外郭団体であるから、たとえば事業団体等の外郭団体、あるいはそのもの自体が財産を持っている団体等によって差別さるべきでなく、国の一つの機関の中の外郭諸団体という意味で、これは原則として均衡されることが当然である。こういう考え方を述べているのですが、それに対してどう思っているか、こう言っている。それだけ答えなさい。
  182. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 給与というものをどの範囲で考えていただくかという問題も一つにはあろうかと思います。通常、給与のバランスということを議論されます場合には、俸給を前提として議論されているようでございますが、私どもといたしましては、単に給与表上の俸給だけの議論では、先ほども申し上げましたように尽きておらないのでございまして、一つには採用の方式、あるいは格づけの方法、あるいはさらに広くは退職金その他とも総合勘案して検討する必要がある。したがいまして、そういう点の全体を考えてバランスをとるという考え方につきましては、基本的には反対いたしているわけではございません。
  183. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 どこかに、給与という場合は、退職金とか、恩給とか、これは一切抜きにして、そんなものはどうあってもよろしい、いわゆる本俸だけだ、こういう議論があっていますか。あなたは、自分だけがそういう給与体系というのは好ましくないと考えておって、ほかのところでは、あたかも給与というものは本俸だけしか考えていない意見が横行しているかのごとき言辞を弄しているけれども、どこかにそういう、大蔵省内のあなたたちのグループにそういう意見があるのですか。あるいは文部省の三団体等がそういうことでよろしいといってきているのですか。
  184. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 従来、私どもは、直接ではございませんが、間接的に承っている範囲内におきまして、主として文部省諸団体で問題にされている点は、大学卒の初任給を中心とした俸給表の問題であるというふうに理解しております。
  185. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そこで、あなたが答弁したように、退職金あるいは恩給等についてもいろいろ問題があるけれども、このことは一応別にして、俸給表を比較した際にも、文部省三団体は非常に他の団体よりも、公庫、公団等に比較しても低いということは認めますか。
  186. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 俸給表の上で低いということは御指摘のとおりでございます。
  187. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 俸給表は低いが、職制でない一般職員についても、退職金、恩給等は他の公庫、公団よりもはるかに有利である、こういう答弁ができますか。
  188. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) はるかに有利であるかどうかということは正確には申し上げるわけにいきませんが、たとえば退職金規定等をとりました場合、公務員あるいは公庫、公団等は、在職一年について一カ月という計算をいたしております。私ども承っておる範囲に間違いございませんならば、これらの団体については、在職一年について一・三カ月という計算をいたしておりまして、その限りにおいては、この点においては必ずしも悪いものではないというふうに考えております。
  189. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 一・三に見ておることによって、たとえば三十年間勤めておる間に、本俸に差があっても、あなたの計算では、金額においては大体アンバランスを生じていない、こういうふうに考えているのですか。
  190. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 私どものほうの説明が足りないかと思いますが、現在の状況がそのまま全部妥当であるという趣旨で申し上げているわけではございません。一般的な議論といたしまして、そういうものをも総合勘案して検討いたさなければならないわけでございまして、従来、必ずしもそういった点について完全な検討がなされた上で結論が出されておりませんで、最近、文部省を中心としていろいろ御検討中でもございますし、私ども文部省検討の結果を待ちましていろいろ問題を考えて参りたい。ただ、そういう問題を考えて参ります際に、そういうファクターをも入れて考えるべきであるということで申し上げたわけでございます。
  191. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 本俸だけ見ると、文部省予算要求の際に、大体において二号俸程度上げてもらいたいという要求をしたはずですが、予算の削られた点については、あなたに直接の責任を追及するわけではないけれども、そういう文部省の是正したいという内容については不適当と思いますか。現段階の是正の措置としては適当な予算要求であると考えていますか。
  192. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 私ども現在の給与体系並びに現在の職員分布、あるいはその任用過程その他について詳しい資料をいただいておりませんで、現在の段階で妥当であるかどうかということについての回答は、遺憾ながら直ちにはできないと思います。
  193. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 二号俸を文部省要求した際に、それではどういう資料に基づいてあなた方は文部省と論議しましたか。
  194. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) これは第一次的には予算の問題でございまして、私どものほうで予算を査定いたしたわけではございません。
  195. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あんたに予算を査定する権限があるなどと考えておるばかはおりません。あなたが二号俸要求という体系を、給与課長としてどう判断したかということを聞いている。自分の権能でないでたらめな答弁しなさんな。
  196. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 私が先ほど申し上げましたように、二号俸要求の内訳について、その内容を的確に判断する資料は、現在のところ私どもいただいておりませんで、今直ちにそのことが妥当であるかどうかということを申せと言われてもお答えは困難だと思います。
  197. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 資料の提出なく、文部省は二号俸アップについての予算要求をしていった、そして具体的な体系等については、少なくとも給与課長とはそう話し合っていない、こういうことですね。
  198. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 私ども先ほども申し上げましたように、全体を総合していろいろな点から検討をいたさなければ結論は出ないと考えておりまして、その限りにおきましては、私どもが昨年度の予算要求段階におきまして、先生御指摘のように、二号俸の要求が最終的に妥当かどうかという結論を得るだけのものはいただいておらないということでございます。
  199. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 昨年から、私、理事者並びに職員団体から、現行の給与表を幾つももらっているのですが、課長は、文部省から正式に現在の三団体の給与体系二号俸是正をするとどういう体系になる、こういう資料は今日までもらっていない、こう判断してよろしいですか。
  200. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 現在の金額二号俸を上げた場合に幾らになるかという数字の資料はいただいております。
  201. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もらっておる、現行の体系については。
  202. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 存じております。
  203. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 もらっておるのですか。
  204. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 存じております。
  205. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 文部省からの資料の提出はあっておるのですか。
  206. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) その相互対比ができるという限りにおいてはいただいております。
  207. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでは次に文部省関係に移ります。会計課長ですか、来ておるのは。
  208. 大矢正

    委員長大矢正君) 会計課長は出席しておりません。
  209. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 杉江さんは来ておりますか。私学振興担当の。
  210. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 振興課長が参っております。
  211. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 杉江さんは。
  212. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 局長はちょっと所用がございますので、振興課長が参っております。
  213. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 理事者並びに職員団体のほうから聞くところによると、杉江局長は私学振興会に対して、理事者側が考えておるベースアップに対しては、けしからぬ、そういうのを組合から取り上げて文部省に持ってくるのはだめだ、彼らの言葉を借れば、しかりつけに来た、こう言っていますが、これは杉江さんがおられぬとだめですな。
  214. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) ただいまの豊禎先生の御質問でございますが、ちょうど管理局長参っておりませんが、私の聞きましたところでは、数回にわたっていろいろ打ち合わせが行なわれた、しかしながら、しかりつけるとか、あるいはこういうものを持ってきてはけしからぬといったようなことではなくて、いろいろ御相談をしたことはあるというふうに聞いております。
  215. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 官房長の把握では、否定的な態度でなくして、積極的に、去る委員会における文部大臣答弁どおり、逐次是正をしていくという方向で当該団体の理事者等と協議を進めておる段階である、こういうふうに理解してよろしいですか。
  216. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 先ほど豊瀬先生の御質問は、私学振興会をあげられましたが、杉江局長がこれと話した点は先ほど申したとおりでございますが、私のほうといたしましては、いろいろ職員団体——文部省の外郭団体といたしましては、三団体だけではございませんで、その他にもございます。育英会、国立競技場、安全会、給食会、私学振興会、私学共済組合、特殊法人だけで六団体、それに学徒援護会、国際教育協会といった財団法人のものもございますが、これらの職員団体、これらの外郭団体の職員給与、役員給与等が、他の公庫、公団、その他の団体と比べまして給与が低いという事実がございますので、何とかしてこれを是正いたしたいという気持で、このことにつきましては、私どものほうだけでなくって、各団体の理事者も非常に関心を持っております。そういった意味におきまして、振興会だけではなくって、私自身もいましたが、昨年来、数回にわたって各理事者の方々とこの問題について御相談をしたことはございます。
  217. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 官房長にお尋ねしますが、体系のどういう内容が適当か、あるいは退職金、恩給等と比べてどういう体系をとるべきか、あるいは退職金、恩給等を国家公務員並みにつけるかどうかといういろいろの問題はあると思います。しかし、現在これらの諸団体に比べて低いということを認められる以上、また現に文部省が二号俸アップを要求したという事実から立って、早急にこれらの給与は是正していきたい、こういう考え方と見て差しつかえないですね。
  218. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) これは先ほど大蔵省のほうからもお話がございましたが、私学振興会以外は補助金でほとんど皆まかなっております。そういった観点から、ただ大蔵省だけが押えると、文部省がそうじゃなくって要求しておる、やはり政府部内の不統一のように見えましても恐縮でございますが、まあできることなれば、その他の各省所管団体よりも給与が低いようでございます。もちろん性格が違うわけですから、全く同じとか、あるいはどのくらい差があればいいとかいったようなことは別問題といたしまして、現状では低いので、私どもの気持といたしましては、もう少しよけいやりたいという気持は変わりございません。
  219. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 官房長、今の答弁はいささか不穏当じゃないですか。いわゆる他の団体とは性格が違う——なるほど地方に勤めておる地方公務員と文部に勤めておる公務員は性格は違うでしょう。しかし国の一つの外郭団体としてある以上は、それが事業団体であろうと、そうでない団体であろうと、基本的には少なくとも公務員の給与表をどれかに適用するとするならば、同じような措置が行なわれなければならない。ただその団体が事業団体で、収入がどんどん入ってくるから幾らでも上げてよろしいと、そういう性格の相違によって給与の差をつける、こういうのはやむを得ないかのように聞きとったんですが、そういうお考えですか。
  220. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) 文部省の外郭団体としては、公庫とか、公団と称するようなものがございません。したがいまして、私ども公庫なり公団なりにつきまして、いかにあるべきかといったようなことはあまり検討いたしておりません。したがいまして、まあ常識的な考え方になりますが、それと文部省の外郭団体が全く同じでなきゃならぬかどうか、そこまで公庫、公団の性格を十分勉強いたしておりませんから、それと全く同じであるべきだとか、違うべきであるといったそこまでは検討いたしておりません。ただ平たくいいまして、そういったようなものと比べまして私のほうの団体が低いので、それに近づきたい、まあ財政が許せば同じようにありたいというふうな気持はもちろんございます。したがいまして、豊瀬先生のおっしゃる、まあ絶対に違わなきゃならぬとか、あるいは同じくなきゃならぬといった、そこまでの結論的な意見は差し控えさしていただきたいと思います。
  221. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほど申し上げた、本委員会において大臣並びに関係者答弁は、公庫、公団の給与体系がそのまま妥当であるかどうかということについて、また、給与の実態について理想的な姿であるかどうかは問題がある、しかし、たとえば建設省に所属しておる外郭団体、文部省に所属しておる外郭団体あるいは事業団体、こういったことで外郭諸団体が差別されるものでなく、公庫、公団と全部の諸外郭団体を比較をしながら早急に是正していきたい、こういう答弁だったでしょう。宮地さんの今の答弁は少し逆戻りしていますけれども、まあ近ごろなられたんだからやむを得ないと思います。大臣にお尋ねいたしますが、前回の文教委員会答弁どおり、これは一気に是正してもらいたいとも思いませんし、また、公庫、公団並みが妥当であるかどうかということもいろいろ問題があると思いますが、早急にこれら諸団体の、特に文部省関係諸団体の給与の比率という実態を見ると、その二号俸削られましたものを、今後も、少なくとも今年度内に俸給是正の決意で努力していく、こういうことをお約束できますか。
  222. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 理屈がつきます限り是正していきたいと思います。
  223. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大蔵省の給与局長に対しては、各省別、大学卒、高卒別の初任給一覧表、そから外郭団体も同様全部、それから大学卒、高校卒別の給与平均、構成人員の平均、特に国民金融公庫、住宅金融公庫等の給与体系表と、文部省の官房長によりますと、八団体あるそうですが、それらの給与体系等を次回の文教委員会までに資料として用意していただきます。  それからもう一つですが、私学振興会は、御承知のように、補助金をもらってその利子で大体まかなっていっておりますので、ほかの団体よりも給与の是正等については自主性を認むべきであると思いますが、実際にそういう自主性を、他のたとえば育英会、援護会等に比し、自主性を認めて運営することをしていっておりますか、これは官房長にお尋ねします。
  224. 宮地茂

    政府委員(宮地茂君) この私学振興会は、御承知のように、ほかの団体のように、補助金で人件費まるがかえということにはなっておりません。したがいまして、そういった意味先ほど先生のおっしゃいます自主性といいましょうか、自主性という意味はいろいろありますが、補助金まるがかえの団体よりは、補助金でないもので運用されるという意味では違いますので、それを自主性というのが適当かどうかというのは別といたしまして、若干違った形になってこようかと思います。しかしながら、利子で給与がまかなわれるという意味におきまして、利子がたくさんあれば給与をどんどん上げていくということも、これはやはり同じ教育関係の仕事をいたしております団体が、文部省外郭の団体として数団体ございます。ただ給与の財源が形が違うという意味で、あまりアンバランスになるということも好ましいことではございません。そういったような観点から、従来からこれは振興会の定款にもございますが、収支予算文部大臣の許可を受けることにもなっておるので、文部省としてもいろいろ検討を加えて許可いたしております。したがいまして、自主性があるかという御質問に対しまして、自主性がありますと、そのままは答えにくいと思いますが、財源が補助金でないという意味におきまして、若干の相違はあろうかと思います。
  225. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そういう精神を十分持って諸団体のベース・アップについては善処をお願いいたしたいと思います。なお、次回にやります際には、給与局長にも出席をお願いいたしておきますし、文部省にも、先ほど大蔵省の給与局長に要求した資料はぜひとも提出をお願いいたしたい。  以上で私の質問を終わります。
  226. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 先ほどの資料でございますが、御承知のとおり政府関係は非常に数が多いのでございまして、たとえば初任給でございますが、俸給表の体系は直ちに提出可能であると存じますが、それからさらに立ち入りまして、構成人員の年令比とか、その他まで直ちに御要望ということでありますと、ちょっと間に合いかねるかと思います。
  227. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 構成人員までは作り切れないと、こうおっしゃるのですね。間に合いかねるというのは時間的な問題じゃなくて、作成が困難だと、こういう意味ですか。
  228. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 不可能ではございませんが、直ちには提出いたしかねるのではないかと考えております。
  229. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなた、なかなかわからぬことをお答えになりますが、理解しにくい。不可能ではないけれども……時間があればできるのですか、時間をかしてもできないのですか、いつころまでにできるのですか、どのくらいの時間をかしたらできるのですか。
  230. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) これは私どものほうといたしましても、これから取らなければならない資料もございますから、その限りにおいていつまでというお約束を直ちにはいたしかねるのでございます。
  231. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体作り切れぬという意味ですね。よろしいです。
  232. 大矢正

    委員長大矢正君) 本件に関する調査は、本日のところは一応この程度にいたします。   —————————————
  233. 大矢正

    委員長大矢正君) 次に、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を再び議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、この際発言を許します。豊瀬委員
  234. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 次に、専攻科の問題について質問をいたしていきますが、提出されました資料によりますと、盲聾合わせて大体千七百三十程度、専攻科に進むと予定されておるものがあるわけです。この専攻科については、高校部を終わっていろいろ教育された方を、具体的に社会に出ていくために技術を仕上げをし、身につけたものを、大体それで何とか生活ができなくとも生計の補助になる程度の業務につくことができるように、いろいろの技術訓練も受けておるようです。また、実際にそういう技術教育、職業教育的なものでなくても、社会に対する全般的な適応性の向上という角度から出ておると思いますが、やはり幼稚部に対して要望したと同じように、専攻科制度としてはないのですけれども専攻科的な、高等部を卒業してもう何年かの、今言った意味教育機関を設けることが特殊教育という立場から考えて非常に望ましいと思うのですが、福田局長の見解を承ります。
  235. 福田繁

    政府委員福田繁君) その点は、特に盲学校の場合におきましては、現在の高等部の卒業生が大体専攻科に進んでおるようでございますが、たとえば厚生省のきめておりますところのあんま、はり、きゅうというような認定規則によりますと、やはり専攻科を出ませんと、そういう資格をもらえませんので、したがって、特にそういう盲学校専攻科というものは必要なものと考えております。
  236. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 お答えのとおりに、世の中に出ていって何とか生きていくためには、専攻科制度というものはどうしても最後の仕上げとして必要である、こういう考えを持っておられるということはわかったわけです。したがって、やはり専攻科に行かないと、せっかくの高校卒までのいろんな訓練も実を結ばない。ところが就学奨励法が不適用のために、これを中途でやめていっておるという事態もあると思うのです。こういう点から考えて、むしろ最後の専攻科において十分世の中に送り出しても役に立つような教育を行なうためには、一日も早く就学奨励法専攻科についても適用していく、少なくとも最も重要な基礎的な教科書とか、あるいはその他の交通費、あるいは学用品等の主たるものについては早急な実現が望まれるわけですが、局長はどういう見解でしょうか。
  237. 福田繁

    政府委員福田繁君) その点につきましても、幼稚部と同様に望ましいものだと考えております。全くお説に同感でございますが、ただ、いろいろ特殊教育については、いろんな点で考慮しなければならぬ点もまだ残っております。したがって、三十七年度におきましては、これは直接専攻科に対するものではございませんが、盲学校高等部の理療科設備の補助金というものを約百万円計上いたしまして、そういった特殊な科目に対しましたものの教育内容充実するということで設備の補助をするということにいたしております。これは本科生も専攻科生も両方とも使えるというようなもので、専攻科教育内容充実にも資することができるものと、こういうふうに考えております。
  238. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 主任官の辻村さんにお尋ねいたしますが、午前中も申し上げたように、幼稚部から早期教育の必要性という意味と、専攻科による最終的な、世の中に出しても役に立つ人間の仕上げ、こういう点から考えてそれぞれ特徴があり、有用性を持っておると思いますが、かりに就学奨励法を適用する、段階的に適用していくとすれば、幼稚部のほうを先に必要だと考えておられますか、専攻科のほうを先にやるべきであるとお考えでありましょうか。
  239. 辻村泰男

    説明員(辻村泰男君) この点なお文部省としての態度につきましては、よく上司とも相談をいたさなければならぬと思いますが、私が今まで事務を担当いたしておりまして感じますことは、盲学校につきましては高等部のほうが非常に必要である。と申しますのは、先ほど局長のお答えでも申し上げましたように、盲学校では高等部で五年の課程を経ませんと、あんま、はり、きゅうができないわけです。三年だけではあんまだけでございます。そういう意味で、盲学校はぜひ専攻科までいきませんと一本立ちができないと申しますか、そういう結果に終わるわけでございます。ところが、聾学校のほうは、これは働く体力とか、そういう方面では普通でございます。ところが言葉がきけないわけでございまして、その言語の教育はできるだけ早期にいたしたほうがよろしいわけでございます。そういう意味合いで聾学校につきましては、幼稚部のほうが一そう高等部専攻科よりも必要度が高い、かように私個人として今までの仕事の上から考えておるわけでございます。
  240. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますが、今、主任官から専門的な意見が出たんですが、私自身も、ただ形式的に幼稚部を先に就学奨励法を適用してもらいたいとか、あるいは専攻科を先にしてもらいたい、どっちかに区分していないわけですが、今の主任官の意見等から、幼稚部専攻科について就学奨励法の早期適用については原則的に賛成であると思いますが、いかがですか。
  241. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 原則論としてはむろん異存のないところでございます。いつから具体的にどうするかについては検討さしていただきたいと思います。
  242. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 なかなか予防線をいつも張られるのですが、特殊教育の肢体あるいは精薄等については五カ年計画がありますね。それなのに目と耳のほうにはその計画がないというのは、これは大臣文教政策としてはどういうことなんですか。
  243. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先刻もちょっと申し上げましたが、すべてが当たっておるかどうかは別としてお考えいただきますが、少なくとも幼稚部につきましては原則論的にむろん問題ないと思いますものの、それを現実に取り上げるについては、いろいろ関連したことを、なさねばならぬ、整備されねばならぬことと並行してじゃないとむずかしいんじゃないかということを連想するものですから、そう申し上げたのであります。原則論としてむろん異存のあるはずはございません。
  244. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 だから、大臣の配慮のように、幼稚部就学奨励法を適用することによって、直ちに該当児童が幼稚部に進学できるかどうかはいろいろな問題があると思うのです。しかし、少なくとも施設の問題あるいは幼稚部に必要な教員の養成、それから補助とか、就学奨励法の適用等、こういう関連で考えなければならないことですし、他のほうに五カ年計画があるのですから、五年も十年も後ということでなくて、いわゆるここ数年の間には、これらの特殊教育振興に対しては盲聾ともに、前国会において私ども法律案を出しましたように、建築費、あるいは教材費、その他も、先ほど午前中から出ておるモデル・スクール等も考えて、地方自治体に対しても援助できるような、特殊教育振興全般に対して計画を立てていただく積極的な努力をしていただきたいと思うのですが、御見解をお聞きしたいと思います。
  245. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今おっしゃった意味においてはもちろん努力したいと思います。
  246. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 以上で終わります。
  247. 大矢正

    委員長大矢正君) 速記をちょっととめて下さい。   〔速記中止〕
  248. 大矢正

    委員長大矢正君) 速記をつけて下さい。  本日はこの程度で散会いたします。    午後四時十三分散会    ————・————