運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-08 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月八日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            東   隆君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            古池 信三君            重政 庸徳君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            北村  暢君            清澤 俊英君            天田 勝正君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林大臣官房予    算課長     桧垣徳太郎君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    水産庁長官   伊東 正義君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局管    理部長     丹羽雅次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○開拓融資保証法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案(閣法第三号、衆議院送付)を議題といたします。  本件について御質疑のおありの方は、御発言をお願いいたします。
  3. 安田敏雄

    安田敏雄君 今問題になっておるのは、もと入植した者が結局営農ができないということで離農して、開拓地すなわち山から下って転業してしまったと、こういうような問題があるわけなんです。そこで、それに対するこの離農者に対しての負債があるわけですが、この負債整理の問題が地方で出ておるわけです。そういうことからして、この補足説明書には、現在入植して農業経営を営んでいる農家は約十四万八千戸ということになっておりますが、戦後開拓地へ入植した農家数はどれくらいになっておるでしょうか。
  4. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 昭和三十六年末までで入りました数は二十万八千戸でございます。そのうち六万戸が逐次離農いたしまして、現在十四万八千戸と相なっております。
  5. 安田敏雄

    安田敏雄君 この下山六万戸のうちでいいますというと、大体地方別に見てどういう地域が一番多いでしょうか。たとえば北海道東北、関東、中部というような工合に。
  6. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 手元に正確な資料を持ち合わせておりませんが、私の記憶では、東北が一番多くございまして、次が北海道、それから西日本、こう相なっております。
  7. 安田敏雄

    安田敏雄君 現在この離農者に対して、その負債整理を強制的にこれを差し押えでもして整理をしてしまう、こういうような方針をとっておる県もあるようでございますが、これらに対するところの状況をお聞かせ願いたいと思います。
  8. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 離農いたしました六万戸につきましては、逐次、いろいろの事情で入植いたしたものでございますが、一昨昨年から過剰入植対策という形におきまして、計画的に一定数の方が離農されまして、残った土地を残った方々で分け合いまして経営拡大して振興をはかる。こういう措置をとっておるわけでございますが、これにつきまして、詳細に調査を三十五年度に、借金の問題についていたしました。で、昭和三十五年度におきましては、六百戸の離農計画いたしたわけでございますが、実績は四百四戸でございますが、このうちの二百七十六戸につきましては、全部返しまして、借金政府資金に返して出ました者が二百六戸、一部を返しました者が十一戸、全く返さない者が四十九戸でございます。これは即決和解で金をまけまして処理しましたものと、移転先で払う、こういう形で処理されておるわけでございます。
  9. 安田敏雄

    安田敏雄君 この離農した農家負債借金ですね、借金の大体一人当たり平均額はどのくらいになっておりますか。
  10. 丹羽雅次郎

    税明旦丹羽雅次郎君) 二百六十六戸で、政府資金につきましては三千二百五十七万六千円、こういう形に相なっております。
  11. 安田敏雄

    安田敏雄君 一人平均ですね。
  12. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 一戸平均という形での資料でございませんが、借金高別数字がございますので……。内地三百五戸、北海道九十九戸について申し上げますと、移転時の負債が四十万円以上あるものが内地で四十尺一三%、北海道で四十八戸、四八・二%、それから三十万円から四十万円の借金のものが内地で三十八戸、一二・五%、北海道で十八戸、一八・五%、それから二十万から三十万の借金のものが北海道で九戸、九・〇%、内地で五十二戸、比率は一七・二%、それから十万から二十万が北海道で十六戸、一六・四%、内地で八十四戸、比率は二七・五%、以下がその他で十万未満でございまして、したがいまして内地について申し上げますと、二十万未満が五八%でございます。
  13. 安田敏雄

    安田敏雄君 実はこの借金整理について他産業あるいはその他へ転業した人たちが、なかなか現在の経済事情の中ではこの負債を返すだけの収入がないわけなんです。そういう意味からして、相当地方によっては県庁と激しく返せとか返せないとかいうことでいろいろやっておるわけなんですが、中には強制処分を受けるような実情もあるわけなんです。したがって、国策でせっかく入植した人たちが、いろいろな悪条件の中で、あるいはまた災害を受けたとか、建設工事が進まぬとか、こういうような悪条件の中で営農ができなくてやむなく離農するわけでございます。そういう人たちにとって地方の出先機関なり、あるいは県庁等が、あまり強制的ないわゆる借金整理をするということは妥当ではないというようにも考えられる節があるわけです。したがってそういうような点につきましては、やはり農林省のほうで十分配慮して、問題の解決に当たられることのほうがよいではないか、結局大きな社会問題にならなくて済む、こういうことになろうかと思うわけでございますので、特にそういう点を今後配慮するように御希望申し上げておく次第でございます。  それから次に、今度の三千万円の増資の問題でございますけれども、これにつきましては、おもに提案理由説明によりますというと、乳牛を導入する資金対象としておる、こういうようなことが説明されておるわけでございますが、この農林省できめた全国基本営農類型を見ますというと、温暖地におきますというと、必ずしも乳牛対象にしておらないというような形も出ておるわけです。したがって、今日は選択的拡大ということで、まあ畜産果樹というような問題を重要視しておるということになりますれば、あえて三千万円の増資対象を、乳牛購入資金一本にしぼるというような点については、少しく了解に苦しむ点もあるわけでございますが、こういう点についてひとつ、なぜ温暖地における、たとえばミカンだとかあるいは肉牛だとか、こういうような方向についても、その対象を求めなかったかというような点について御説明をお願いしたいと思います。
  14. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) まず初めに、今御審議をお願いいたします出資三千万円は、前回もそういう御趣旨質問がございましたが、前回御配付いたしました資料の七ぺージに書いてございますように、全く地方の金が大体来年の三月ごろまでに三千万円程度ふえるであろう。それでそのふえました基金をもとにして保証が行なわれるでありましょう、したがって、政府は三者契約によりまして、地方保証いたしましたものを保証いたします建前上、同額でなければならないという角度からだけ三千万円の出資を予算で組みまして、法律出資額が書いてございますので、その修正をお願いするという法律でございまして、乳牛のために三千万円を出資するという趣旨ではございません点を御了解お願いいたしたいのでございます。  それから第二番目に、前回清澤委員から、現在、それではそのようにしてできておる基金がどのような向きに使われておるかということについて資料を出せということでございましたが、私のミスでございまして、お手元資料の五ぺージに、毎年のその資金、三十五年度で申しますれば、二十億の保証資金がどのように使われておるかという資料前回お配りいたしておったわけでございます。これをごらんになってもおわかり願えますように、大部分が肥料飼料、圧倒的に肥料資金としてこの資金利用されておる状態でございまして、乳牛のために三千万を増資するということではない点につきましては、御了承をお願いいたしたいのでございます。  それから、その次に、四営農類型におきまして、乳牛を見過ぎて、和牛とか果樹考えておらないのではないかという趣旨の御質問と存ずるのでございますが、基本営農類型では現在七つ考えておりまして、七類型西日本のほうにおきまして果樹畜産にして考えた地帯が、たとえば、長崎県あるいは四国の一部その他等におきまして、第七類型では果樹中心類型考える。で、四国中国地方におきまして、第六類型といたしまして、集約畑作類型経営という形のものを二種類考えておりますが、そのうちの一種類は、乳牛をもって家計を営む、こういうことでございますが、その第六類型の二のほうにおきましては、和牛中心経営をするという形の類型を六類型といたしまして考えておるわけでございまして、それぞれの六つの類型を、一応内地のそれぞれの立地条件等におきまして、どのような地区にはどの類型でいくのが一番経営の確立上よろしいか。こういう角度から県庁その他と御相談をして、新しい事業を入れて参ります場合には、類型を選んでおるわけであります。その意味におきまして、果樹類型和牛類型を七つの類型の中には用意をいたしておるわけでございます。
  15. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで、今回の法案の説明の中に、今後、あるいはまたこの審議会答申を見ましても、草地増強ということがうたってあるわけなんでございますけれども、国で構造改善の一環として草地造成をやるわけなんです。それで開拓農家じゃなくて、一般農家に対する草地増強の問題と、開拓者に対する草地拡大の問題と考えあわせましたとき、大体奥地、未利用地開発ということを言われておりますけれども、未利用地開発というものについて、草地をどのくらいの面積を見込んでおるのか。
  16. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 現在いわゆる草地造成草地の改良という事業は、畜産局のほうで数年前から着手いたしておるわけでございまして、これをだんだん大規模化しようという態勢にあるわけでございますが、現在畜産局におきまして、所得倍増計画のときに、一応草地をどの程度作るかという試算をいたしたことがございます。それにつきましては、約三十万町歩草地造成という案であったわけでございますが、各方面から、こういう情勢下において、三十万町歩草地造成では少ないのではないかという御意見等が非常にございまして、それを直ちに再検討する、こういうことに所得倍増計画をきめました直後から相なりました。そこで、三十五年と三十六年度におきまして、畜産局農地局で一緒になりまして、草地造成可能面積調査ということを全国市町村に対しまして、市町村ごとにどの程度草地を作る余地があるかということの調査を始めまして、初年度は概査でございましたが、いろいろ問題がございますので、三十六年度に精査をいたしまして目下その整理中でございます。その結果を待ちまして、全国草地をどの程度開発するかという基礎資料といたしたい。こういう段階でございまして、したがってただいまの時点におきまして、どのくらいのことを考えておるという段階には、まだ至っておらない次第でございます。
  17. 安田敏雄

    安田敏雄君 開拓者耕地面積は、約五十万町歩で、大体国内の十分の一、一割に相当するものだというような説明があるわけです。したがってその答申案趣旨、精神を尊重して、そのとおり実行していくと、今後は、牧畜でなければ、あるいは酪農でなければ非常に営農が困難だというような見地に立って、奥地、未利用地開発ということが、非常な重要な問題になってくるわけなんです。したがってこういうような段階に急速に進んで参ったときに、奥地、未利用地計画面積が、大体まだ調査中というようなことでは、これはちょっとことしは具体的な計画はできない、ただ離農した人たちであるとか、あるいは周辺の土地に入植したというようなところだけを造成していたのでは、酪農を奨励いたしましても、究極は飼料問題で赤字になってしまうというようなことが予測せられるわけなんです。ですからそういう意味合いから申しましても、この草地造成というような問題につきましては、一般計画開拓者に対する計画というものをはっきり立てて、そうしてその中でこの問題を解決していくという方向行政をしていかなければならないと思いまするが、こういう点についてはどうですか。
  18. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓行政が進みまして、昭和二十七年、二十八年と開拓可能地調査をいろいろやったわけでございます。で、その調査に基づきまして、今後いわゆる開拓という角度から可能な面積はどの程度あるかという問題につきましては、一応の数字があるわけでございますが、これは昔の耕地中心といたしまして調査をいたしたのでありますが、たとえば傾斜は十五度未満である、十五度ないし二十度以下であるというような角度から調査をいたしたものでありまして、いわば牧畜中心といたします未利用地開発という角度からの調査でございまして、御指摘のとおり今後畜産というものを伸ばさなければならない。そうして各畜産におきましては、いわゆる畑地に飼料作物を作るというためだけでなく、いわゆる永年牧草を植えるという形において飼料基盤造成するという角度から考え直しますと、新しい角度から草を植えられる土地というものをもう一度見直す必要があろうという立場から、先ほど申しましたとおり、三十五年、三十六年と、草を植えるにはどれだけ利用できる余地があるかという角度から調査を始めておるわけでございまして、両方の調査が固まりました際におきましての突き合わせの上で、全体として開発の可能な面積なり適地というものを、もう一度整理をいたしたい、こういう段階でございます。
  19. 安田敏雄

    安田敏雄君 農林省では、未開墾地国内に大体どのくらいあるかというようなことについての調査をした結論があるわけですか。
  20. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 昭和二十二年から二十三年までに、地図の上で調べましたものとして五百五十万町歩という数字を一応二十二、三年当時につかんだことがあるわけでございます。ただ、これは地図の上であるということで、もう一度それをおろしまして、そうして各府県で水の利用とか工事可能性とか、そういう角度から判定をいたしました数字として、三十二年に百七十五万町歩、こういう数字を持っておるわけでございます。そういう調査が出ておりますが、前回もこの席で申し上げましたごとく、これはまだ自然的条件だけでございまして、傾斜と温度と気温限界、土質と、そういう角度からだけでございまして、そういう角度から大丈夫だから人を入れるということでは、先にも御注意がございましたように、不振の開拓者を作るというおそれもございます。これをもっといろいろの社会経済的条件その他で検討する必要があるという立場に現在は立っておるわけでござますが、この百七十五万町歩からその後国が買いましたり、あるいは工事に手をつけましたりいたしました結果として百七十五万町歩の上に立ちまして、今後耕すことが一応可能であるという数字としては、現在八万七千町歩という数字を私どもは持っておるわけであります。ただ、これをそのままやるか、これは先ほど申しましたとおり開田開畑という角度からございますので、草地を作るという角度から言えばこれ以外にもまだあり得るのではないかという角度草地としての適地調査を別途行なっておるわけであります。
  21. 安田敏雄

    安田敏雄君 結論として言いますと、開拓者に対するいわゆる草地造成というものは……。
  22. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 八十七万町歩、御訂正申し上げます。
  23. 安田敏雄

    安田敏雄君 それからもう一、二点お伺いいたしますが、開拓営農臨時措置法が三十二年の四月に成立しておるわけでございますけれども、これによって全国的に指導員というようなものを配置しておりますが、現在指導員の数は当時の七百二十六名、そのままになっておるのですか。
  24. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 保健婦につきまして若干の増員を毎年はかっておりますが、営農指導員につきましては、現在も同様でございます。営農指導員の現在員は七百二十六名でございます。
  25. 安田敏雄

    安田敏雄君 その後ふえてないですね。
  26. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) さようでございます。
  27. 安田敏雄

    安田敏雄君 末端のほうへいきますと、これが全国的に配置されておるわけでございますけれども、何といいますか、機動力といいますか、人数が少ないために、相当機動力を職員の人たちが要請しておるわけなのです。そういう意味で、もう少しく、現在単車でやっておるような状態のところもあろうかと思いますけれども、やはり機動力をもう少し増強する必要があるではないかというような要望もあるわけなのですけれども、こういう点についてのひとつ考え方を聞かせてもらいたいと思います。
  28. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御指摘のとおり、営農指導員の数が必ずしも潤沢でございませんので、私どもとしては機動力を増すという立場でオートバイの確保に毎年ずっと続けておるわけでございますが、明年度も九十九台を確保いたす予定でございまして、現在までに所要数量の九八%に達しますところの六百十三台の整備を終えておるわけでございます。
  29. 安田敏雄

    安田敏雄君 それからもう一点お聞きしたいのは、従来開拓融資につきましては、可能な農業所得を確保するということで融資のワクを三十五万円程度にとどめてあったわけですね、二戸当たり最高。そうじやないですか。
  30. 丹羽雅次郎

    説明君(丹羽雅次郎君) 三十五万円というのは、御指摘の点は基本営農類型等営農が確立する時点におきまして農業所得を三十五万円程度にもっていくためにはどの程度の設備が要るかという角度から算定をいたしておりますが、融資額三十五万円、こういうふうにきめているわけではございません。
  31. 安田敏雄

    安田敏雄君 最後に一つ、三十五年の農業動向報告によりますというと、二町歩以上の大農所得がふえて、それから一町歩以下ですね。きわめて五反歩というような零細業の兼業の、兼農によるところの農家の総収入がふえて、それから中間農家所得が非常に低くなっている。いわば中農層が非常に苦しくなっている、こういうようなことが報告されているわけなんです。ところが、開拓農家振興審議会の今後の趣旨を尊重して答申を尊重していくという方針のようでございますけれども、その審議会答申を見ますというと、近傍中庸専業農家と同一の生活水準が得られるような所得水準に達せしめることが必要だと言っておるわけなんです。そういたしますと、現在の様相が大農がよくて小農がよくて、その中間が悪いという報告によりますというと、中庸農家ぐらいということになりますと、これは自立経営農家にならなくて、非常に何か食い違いがあるのではないか。結局、開拓農家収入が少なくてもいいのだというようなことにも極論すれば考えられるわけなんです。こういうようなことが農業動向報告食い違いがあるような感じがするわけなんですけれども、こういう点についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  32. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御指摘のとおり農家階層分化が上下に開いていく傾向が見えているという点は、レポートで指摘されているとおりでございます。これは一町を境にいたしまして一町層未満におきましては零細化の動き、一町以上層におきましては一町から一町五反辺に上昇の形のものと下へ落ちるもの、こういう分解の姿が出ておって、在来、過去におきましては五反未満の零細なところを境にして階層分化傾向を示しておったのが一町を境にして傾向が見られるという点が指摘されているのでございますが、二町その他の農家というものは御指摘のとおり、まだ現在では比較的割合は少ない。従って、私ども理解といたしましては中間層が一町から一町五反あるいは二町未満でございますが、経営拡大をするという傾向をたどっているというふうに理解をいたしておるわけでございます。したがって開拓制度をこの営農審議会におきまして近傍類似中庸専業農家というふうに御指摘でございますが、これを具体的にどうとらえて参るか、近傍といっても、そのどの程度をとらえるか、あるいは県単位考えるかというような問題は今後私どものほうでこの一年間の研究におきまして固めて参りたいと思うわけでございますが、一般論といたしましては、もし一町層が一町から上がっていく、そしてそれが専業農家中庸の姿であるというふうに把握すべきであるとするならば、上がっていっている姿を中庸とかように考えて差しつかえないのではないかと私どもは思っておるわけでございます。
  33. 安田敏雄

    安田敏雄君 そこで具体的に提案理由説明によれば、十四万八千戸でもって粗生産総額が四百七十六億円なんです。これ一戸平均にしますと三十二万一千円、ところが三十五年度の農業動向報告を見ますというと、全国平均農家所得は一戸平均四十一万円になる。そうしますというと、そこに、こっちは粗生産でございますから、所得という問題になりますと、さらに格差がつくわけですね。そういうようなことで、一体全国平均農家所得平均四十一万円にするためにも容易じゃないわけです。それを近傍中庸農家収入の少ない中庸農家とこれまた同等に持っていくのだということになりますと、全国平均さえもはるかに下回っているものを、さらに近傍農家中庸ということになりますと、容易でないと考えられるわけであります。したがって、そういう面からして開拓農家が非常に特に苦しい。したがって、もっと積極的な保護政策、たとえば開拓地における建設工事であるとか、灌漑排水であるとか、電気導入だとか、たくさんの仕事があるわけなのです。結局そういう建設工事とか、あるいは電気施設あるいはまた飲用水の問題、そういうような問題を積極的に解決していかなければ、何としてもその基本ができないわけでございますから、そういうようなものを漸増的な方向でもって直ちに酪農をやりなさいとか、果樹をやりなさいとか、こういうような選択的拡大方向にいっても、結局資金難のために問題が解決できない。いつまでも全国平均よりもはるかに下回っている。こういうような結果になるのではないかと推定されるわけです。そこで、そういうような問題を考えましたときに、今後具体的にどういうようなお考えを持っておるか、お聞きしたいと思うのです。
  34. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 答申に二つの問題がございまして、過去に終戦以来十四万戸が入って、御指摘のとおり非常に苦しい経営をやっておるものが非常に少なくない。これをどうするかという問題について御審議をお願いをして答申をいただいたわけでございますが、御指摘のとおり、すでに十数年現地に入りましてたっておる方々でございますので、非常に階層分化が実は十数万戸のうちには起きておるわけでございまして、前回も申し上げましたとおり、わずかではございますが、七十万円以上が三%、五十万円以上が七%、三十万円以上が二四%、十五万円未満が二四%、こういうような分解を生じておりますので、これを全部一律に開拓農家として同様な措置を行なっておるのでは、目的は達成できないのではないか。したがって、ほとんど営農の確立しているものはまずそれを別にして、それから営農が非常に困難なものも別にして、まん中の部分に同じ金なり施設なりを思い切って投入して、それを近傍農家まで持っていったらどうか、こういう御趣旨と私ども答申理解しておるわけであります。そして答申におきましては、それらに持っていくためには、御指摘のとおり、一番問題は生産の基盤である。したがって、道路とか水路というものは、ともかくそれができなければ何をしようにも始まらないのだから、それは精力的に予算をそこに打ち込んで基盤を固めろ。それに対して営農を目標まで持っていくためには、所要の融資が要るならば、それを思い切って適正に投入すべきである。こういうような御趣旨と了解いたしておりますので、ただいま御指摘のとおり私どもといたしましては、この答申をいただきまして、この際開拓地振興をはかれば、御指摘のとおり、地区別に、前回も申し上げましたとおり地区別の調査、地区別の計画、この地区におきましては建設工事をとりあえず急ぐのである。それからこの地区においては融資の投入を急ぐのである。あるいは、ある地区においては両者を急ぐ地区もあろうかと存じますが、いずれにいたしましても、予算の充実なり融資制度につきましては再検討を加えまして振興をはかれという御趣旨と了解いたしまして、この線に沿って最大の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  35. 安田敏雄

    安田敏雄君 以上ですが、ただ、まことに地方的な問題で恐縮ですが一点だけお伺いしますが、富士山の南側の富士宮の上のほうに山梨県の富士ケ根開拓村があるわけです。あそこでは長年相当努力してかなり開拓の成果を上げておるわけなんですけれども飲用水の問題に一番困っております。そこで、農林省で電波探知機で水源を探り当てて、実はボーリングしたわけなんですけれども水が出てこないというようなことで、特にこの冬の渇水期におきましては、隣の静岡県からトラックで水を運んでくる。バケツに一ぱいそれはもう非常に高い水になるわけなんです。そういうようなことをしてようやく冬期の渇水期をしのいできたわけなんですけれども、聞くところによりますというと、あそこの地域の本栖湖から大がかりの用水をするのだということを聞いておりますけれども、何とかこの水の問題を、数年来の問題ですから解決していかないと、結局あそこの営農というものが成り立たない。私は昨年ちょっとあそこの富士宮の上井出の地帯の酷農地帯の開拓者の所を視察したわけなんですけれども、片方のほうのちょっと下がった富士宮の地帯におきましては非常に大きな成果を上げて、静岡県もこれに対しての草地造成をして、ことしは相当の収入を得られ、これからの段階は住宅を改装していくのだ、こういうような方向なんです。ところが片方のほうは、富士ケ根のほうは、ほとんど飲用水がないために、結局生活に困って離農していく人たちが出てきているわけですね。そういうような面から、この飲用水問題につきましては、農林省で強力な手を打って、そうしてその周到な計画のもとで早急に解決しなければならない問題ではないか、こういうように判断するわけでございますけれども、まことに部局的な、地方的な問題でおそれ入りますけれども、これについてのひとつ緊急の対策と申しますか、御説明をお願いしたいと思います。
  36. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 富士ケ根の飲用水の問題につきましては、私も現地のほうからお話をよく伺っております。飲用水とか電気施設とか、住宅とかというものは、人間が生きていきます上の最低条件でございますので、ここ数カ年は予算の確保におきましても最大の努力をいたしておる点でございますので、一般論といたしましては、それが解決することによって開拓地がうまくいくということでございますれば、最大の努力をいたしたいと存じます。ただ、あそこの地区におきましては、若干技術的な問題があるようでございまして、今詳しく申し上げる知識を持たないのが残念でございますが、よく御趣旨を伝えまして、技術担当のほうとも相談し、最善のものを考えたい、かように考えております。
  37. 安田敏雄

    安田敏雄君 結論すれば、国の方策であそこの地を選んで入植さしたわけなんですよ。したがってそういう一番生活の基本になる飲用水の問題の解決ということは、これは絶対必要なんです。それがいまだに入植以来十六カ年間経ておって解決しないということは、少しくこれは農林省当局の責任があるんではないかと、こういうように判断できる。したがって、単に電波探知機でボーリングをおろしてだめだから、そのまま放置するんじゃなくて、あそこの周辺にまだ水源があるわけなんです。そういう点で多少国の経費がかかっても、とにかく長年たっているわけですから、早急にひとつ開拓者のために解決をしていただくように、重ねて要望しておく次第でございます。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さっきの質問のお答えで、まあ精密な調査をすればどうなるかわからぬが、大体開墾地八十七万というふうに考えておられるというのですが、それも内訳にすれば畑地水田等にできるものと、草地でいくというものと分けるのですか、そうでなくて少なくとも畑作可能地八十七万というのですか。
  39. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 先ほど申しましたとおり、その数字が出て参ります一番のもとは、昭和二十二、三年の調査から、それをだんだん地図から現地に当てはめて、ずっと集計をいたします数字でございますので、当時の思想を反映いたしまして水の利用できるところはたんぼを作る。水の利用ができなくても、ものが植えられるところはものを植える、こういう角度からの調査でございますので、水田と畑地という角度からでございます。草はまだそれ以外に利用できるわけだという意味で、別の角度からの調査をかぶせて参りたいとこういうわけであります。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 草地可能性は見込みとしては概算どれくらい考えられるものですか。
  41. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) これは畜産局長からお答え願ったほうがいいかと存じますが、先ほど申しました所得倍増の時に、非常に技術的にほんとうに可能という角度を強く見まして、積み上げていくと三十数万しかないというわけであります。これを需要の面、今後の需要の面その他から見ればそんなものじゃとてもいけないというわけで、需要の角度から見ればそれを少なくとも百万近くしたいということを、畜産局も当時考えたわけでございますが、それを宙で考えてもいかがかということで、全国市町村につき可能の面積を調べようではないか、こういうことになって現在調査しておる、こういう段階でございますので、今どのくらいかということにつきましては、私からもちょっとお答えできない事情にございますので、御了承願います。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから過去五年間くらいのつぶれ地はどのくらいになっておりますか。
  43. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 農地の改廃につきましては、大体最近におきましては年に一万七、八千ヘクタールぐらいございます。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、五年ぐらいで八万五千町ぐらい見られるということになるのですか。まあ、そのつぶれ地と新規に造成される開墾地の関係とはどういうことになっておりますか。
  45. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 所得倍増計画におきましては、今後十年間に二十一万町歩つぶれるだろう。したがって、この二十一万町歩のつぶれを回復して、大体現在の農地を維持するという角度で、ものが考えられたわけでございます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、つぶれる部分を補充するという程度のことで、それで技術を、高等農業なんということで所得水準を上げていく、あるいは間引きをして農家戸数を減らす、それが基本政策だったわけですか。国土利用という立場で、抜本的な施策もあわせ考えるということが、将来の日本農業の展望だというところではなかったわけですか。
  47. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 所得倍増計画では、一応そういうふうな試算が行なわれたわけでございますが、先ほども申しましたとおりそれについては草地ことに畜産の基盤としてのえさの関係が十分織り込まれていないではないか。事実その算定等に基づいて同時に行なわれました草地造成計画としましては三十数万町歩でございますので、それではあまりにも消極的ではないかということで、先ほども申しましたとおり、草地造成してもっとふやそうという角度から再検討をするという形にその面では相なっているわけでございます。それでもう一つ、ものの需給なり、耕地のバランスという角度からものを考えます場合と、それから農家の構造を改善するという角度から考えまして、もっと現在の農地を拡大していくほうが、農家構造改善のためにはよろしいという問題につきましては、それを必ずしも私どもとしましてはつぶれ地云々にかかわらず、現在も開拓パイロット事業という形で、既農家、既農村が回わりの土地開発して農家経営規模を拡大していく、こういう政策につきましては、総合補助費で補助して参ろうという形をとっているわけでございます。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 基本計画はそうなっているが、現実は必ずしもそうではなくて、やろうというものには援助をして伸ばしていくのだ、何かどっかかっちりと触れ合おぬ点がありますね。基本政策においては、これ以上耕地をふやそうという計画がない。それでやろうというところには、ちょぼちょぼいずれ周辺の土地を自力でやるものにはやっていただく、援助はしましょう。そういうことでほんとうに農業基盤というものが整備され安定する、所得倍増の計画というものが消化できると考えられているのかどうか。耕地を起こして計画的にこれだけ伸ばすのだ、ここまでは徹底的に可能地を開発していくのだ、そういうものがないんだということでは、どうもさびしい感じがするのですが、積極性があるのかないのか、どうもわからぬように思うのですね。どうなんですか。
  49. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) その点は大へん大きな問題でございますので、私からは計数的な問題を申し上げたいと存ずるわけでございますが、先ほども申しましたとおり、今後未墾地を利用いたしますあり方の問題としては、やはり草であろう。したがって、草の適地というものを調査しまして、これをどの程度開発していくかということは、その調査の上で考えて参りたい。ただ、終戦以来何十万町歩計画的に買って、そこに入植者を何戸入れて、何年後に農地を何町歩にする、そういう形には現在の行政は相なっておらないのでございます。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあこれは大臣がおいでにならぬと、どうもわからぬのですが、基本的に日本農業として耕地造成して徹底的にふやしていくんだというお考えなのか。もう耕地はこの程度のところで内容的に技術を高め、経営という面からメスを入れ、流通の問題等を改善すれば、これで農家所得水準というものは上がるんだ。黙っておっても、工業部門に農家は自然に吸収されていいあんばいになるんだ、その程度考えなのかどうか、これは政務次官にもちょっとお答え願いたい。
  51. 中野文門

    政府委員(中野文門君) ただいまのお尋ねの点は、農林政策の面から実に重大な問題でございまして、今直ちにここで私が御答弁申し上げることはできないと思いますので、御了承願いたいと思います。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、こういうことが毎年々々開拓の問題で、国がいろいろな施策を考えておることに対するひとつの施政の問題に関係すると思うのです。開拓農家の年々のこの種のものは、農林行政の中では困ったものだ、日本の農政の中ではじゃま者だというようなことが背景になっておるのですか。これは不肖の子である、嫡出子でない、何とか適当に解消されればいいなんという程度のことで、この開拓事業というものを、過去に行なわれたこのことを考えておるのですか。日本の将来の農政の発展の上にこれは寄与するものだ、過去には食糧事情の云々なんということがあったが、現在においては、農地の拡大なり、農業改善なりに本流の中にこれを組み込むんだというような積極的な考えがあって、各種の手当がされるということになっておるのですが、どっちなんですか。じゃま者だ、助けてやるんだ、あとは自前でほっておいて、もういなくなるものはいなくなる、残るものは残る、適当になるだろうと、その程度考えておるのですか。農政の中で、この開拓というものはどういうふうに考えているのか、施政の問題としてお答え願いたい。
  53. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓の問題、二つに分けまして、すでに入った開拓者に対しますいろいろの施策を、じゃま者を何とかしなければならぬという立場でやっているのか、という御質問につきましては、実は答申でも、これは終戦後の食糧の欠乏と、引き揚げその他のやむを得ない緊急の形で入りたもので、現在苦労しておるのは。開拓者のみに帰すべき問題ではないので、政府は、この際特別に保護政策を講ずべきである。しかのみならず、この入った人は高冷地農業酪農果樹の先達であるので、これらの経験に生かして農政上の農業政策として、社会政策としてものを考えるべきではないという御指摘、御注意は、私どももまことにごもっともであり、在来もこういう気持でやって参ったつもりでございますが、特に答申でその点につきまして御注意もございますので、こういう角度から入った人の方々振興の問題は考えたい、かように考えておるわけでございます。  それでもう一つ、それで別途に土地利用なり、未利用地開拓、未利用地利用するという意味開拓についての強化の問題でございますが、結局これまた答申では御指摘をされ、まことに私どももごもっともと存じ、その線において考えたい問題といたしましては、国内資源の開発利用、広大な未開発地の開発はゆるがせにできないということと、その方向としては、酪農果樹の面で伸ばしていくべきだという御指摘、それからそういう伸ばし方について、開拓パイロット事業という地元の申請だけを受けてやっているのではなくして、国も計画を示して、地元の隆運をはかるという意味の、もう一歩進んだ態度を本件にとってしかるべきではないか、こういう御注意につきましては、私どももそのように考えるべきであり、また考えねばならぬ、かように思っておるわけでございます。ただ、この委員会におきましても、非常に議論になりました問題としては、何年間で何町歩を国の意思によってどう開発するんだと、過去の問題としては、この今後の開発の問題は取り上げられておりませんし、現在の農政としましては、何年間に何十万町歩計画的に開発するんだ、そういうふうには、開拓のあり方については考えておらないことは現在の事実でございますので、そのように申し上げたいと存ずるのであります。
  54. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今までのものと、今後のものとお分けになっていますが、じゃ今後のものはなかなかりっぱに国が手当をして、諸準備万端整えて、そして農家の受け入れをやって開拓地造成するんだというような、最近やっているような御方針をより以上とっていくとします。そうすると、以前の残されたところのものは、酪農でも果樹でもやろうとしても、耕地面積がもう少ない、やっていけない、こういう向きも出てくるかと思う。そうすれば、結局先に入植、緊急入植等でやった人たちは、いつまでも下積みの、一般的には新しく入植する者のほうはいち早く自立農家として立っていく、どこまでもその点がつながりがないのじゃないかと思うのです。ですから、新しいところをどんどん作ることによって、前にも話があったように、開拓農家の中から間引きをして、希望する者は新開拓地の諸準備のできたところに移して、そこでまた更生自立の希望を持って仕事をする、こういうようなことをやらせるためにも、そうして残った者に土地をよけい与える、そして果樹酪農をやっておる者を推進させる、機械も共同して入れる、何かそういう施策を考えるのにも、これは発展的に農政の問題として考えなかったら解決しないことではないかと思う。うちの県でも、それは果樹をやっておる、スピード・スプレアーなどを入れて非常にいい共同経営をやっておる開拓農家もある。あるいは酪農でもいいところもある。けれども、みんな言うことは、やはりそうなれば土地が少ない。どんどん込みで入れられて、そして一農家四町か四町五反ぐらいの傾斜地をもらって、堂々として抜根して、作ってようやくやっていっても、牛を多頭飼育しようとしても、もう畑地が少ない。こういう訴えをする向きがあるわけです。拡大できないのです。だから私一例としてお尋ねしますが、開拓農家こそ、酪農とか果樹とかをやらせるのだというなら、既存計画で水田幾ら、畑地幾らというふうに割り当てた過去の開拓農家経営では、今後発展する経営としては、もう規模が小さいのです。だからそれをどう伸ばしてくれるか。たとえば草地といいますが、既存の開拓農家に対して、草地をどういうふうに与えるか、計画があったらお尋ねしたい。過去には付帯地だけです。薪炭材を取るのだというような付帯地だけ適当に与えておる。けれどもこういう発展的なことを考えようというなら、過去の開拓農家に対して、もっと草地なら草地、そういう適地を与えるべきじゃないですか。何かその辺のつながりが不円滑で、過去のものはどこまでも厄介扱い、そういう点が払拭できないように思うのですね。あなたは今、答申を読んで、ごもっともです、ごもっともですと言うが、そういうことがはっきりできない。このことをひとつ御答弁願うとともに、もう時間がないからもう一つ、答申は尊重します、ごもっともです、と言っておりながら、この開拓融資の問題で、貧窮農家の、不振農家借金のたな上げ問題が、ちゃんと答申されておるのに、なぜそれが表面化して出てこないか、この点をお尋ねしたい。思い出すと、たしか福田農林大臣のときだと思うのだが、大騒ぎしてもうこれはたな上げすべきじゃないかという議論があったときに、今はそういうことは、関係当局との関係もあって、できない。しかしこの手当をして、なおかつどうしても不振農家が立ち上がれないというなら、そのことも考えなければならない、考えますということの答弁があったから、あの当時の法案が通ったということを私記憶しているのです。それなら、こういう答申があったら、この国会にこのたな上げの関係の法律案というものをあわせ考えるべきじゃなかったかと思う。この点はどうなったのか。来国会あたりまでにまた考えますなんていうことなら、過去五年来何をやっておったかということになる。立ち上がれないところは、どこまでも立ち上がれないで、すくんでいるのですよ。この二点だけひとつ御答弁願いたい。
  55. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 前段の、将来の開拓と、過去に入っておる方々振興対策との関連でございますが、実は御指摘のとおり、過去に入っている方々振興をはかるためには、面積が狭いから面積を拡張しなければならない。そういう方々に対しましては、新しくでき上がりますところの開拓地に対しまして、しかもその新しいところは、果樹とか酪農とか、将来性のある作物で営農の営めるようなところで新しくスタートを切りたいという方々は、優先的に再入植を扱う。こういう考え方をとっておるわけでございます。ちょっと私の言葉が足らなくて申しわけなかったのでございますが、将来の開拓と申します場合に、開拓事業というのは、やはり非常に時間がかかるもので、計画を立てまして工事をやりまして、人が入るまでにやはり数カ年を要するものでございますので、今の時点で将来ということを申し上げたのは、これから計画を立てるものについて申し上げたわけでございまして、経過的には、過去におきまして計画を立て、現在工事を進行しておりまして、これから人が入っていかれる余地のある地区あるいは事業というものは、まだ相当続いておるわけでございますので、振興対策と新しい地域との関係は、現在工事を進め、近く人を入れようという地区との間で調和をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。  それから第二点の、開拓者の不振農家に対しては、借金をまけてたな上げすべしという御議論についてでございますが、そういう御議論も、現実にこの委員会等でも確かにあったわけでございます。国会等でもその御見解は幾たびか表明されておるわけでございますが、三十五年に国会の御審議をいただきました法案は、条件緩和法ともいう、これは御存じのとおりでございまして、支払能力に応じまして、あらためてこれから据置期間を設定し、そもれから長期間の年賦で返してもらう、返済期に来ておりますところの政府資金が一番大きいわけでございますが、それじゃこれからひとつ五年据え置きするから、その後の十年間の年賦で返してもらえないかというような形で、個々の農家ごとに、実はこれをことしの三月で大体全部終わるのでございますが、それでやっておるわけでございます。その結果としては、三十五年の経験から見ますと、今度大多数が新しく五年据え置き、それからその後の十年間で借金政府資金を払っていただく、こういう形にぜひとも整理をいたしたいと、現在せっかく努力中でございます。  それから私どもといたしましては、この答申等の関係から申しますれば、さらにそこに営農向上のための追加投資もいたすという立場でございますので、過去の借金については長い間でなしくずしに払っていただくという形においてこれを整理いたしますと同時に、新しく貸すものは貸す、こういう形でものを考えたい、かように存じておるわけでございます。なお、その考え方におきましても、貸すことと過去の借金を取ることの間においては、相当の相関関係があるはずだから、必ずしも前にでき上がりました条件緩和法にこだわらないで、これから金を貸すということと、過去の借金の回収の扱い方については、もっと芸をこまかにした仕組みを考えてみたらどうか、こういう御注意もごさいますので、それらをあおせて条件緩和の問題と新規貸し付けの問題を考えて参りたい、一切金を貸さないから過去の借金をまけてやるということでございますと、物事は簡単なのかもしれないのでございますが、過去の借金だけでなく、さらに金を貸して営農をはからなければならぬという立場にもございますので、両者を総合してやって参りたい。その点に関しましては、審議会等でもいろいろと御注意がございましたので、十分検討の上答申の実行の問題として今後お諮りをいたしたい、かように存じておるわけでございます。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 端的に聞いているのは、答申にたな上げしろとあるんですから、その部分はどう処理するのかということを聞いておるので、条件緩和のことも書いてありますが、そのこともいろいろ調べている。それはわ.かっている。
  57. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 答申には直接、たな上げをしろという趣旨のことはずいぶん議論のあった問題でございますので、直接は書いてないと存ずるわけでございますが……。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 特別に配慮されるごとが望ましいということが書いてある。望ましいと希望されているのです。十一ページの上段、減免あるいはたな上げ、団体の債務ですが、開拓農家の不振農家についてですよ。
  59. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 実はこの答申のこの部分は内容的には実は非常に議論のありました点で、若干補足さしていただきますと、緊急入植に起因する開拓者団体の債務であってという問題なのでございまして、個々の農家開拓者から営農資金設備資金として貸しました問題と、戦後の緊急事態に開拓者団体がものを借りまして、たとえば小水力発電の機械を作った、そういういろんな問題がございまして、現在、先ほど御説明いたしました二カ年間にわたって、過去の債務を団体債務か個人債務かをはっきり分け、個人として払いがたいものは、長期間年賦でよいから払ってよろしいという条件整理をやって、個々の過程におきまして、どうしても団体に残ってしまった借金につきまして、戦後の緊急当時の入植で団体に帰属すべき借金で、団体というものは、御承知のとおり結局組合員から金を取る以外に金はない団体でございますので、それはさらにこれを組合員の負担に回していくと、組合員には過重な負担ともなるので、その団体の債務については減免またはたな上げについて特別に配慮されることが望ましい、こういう実は内容を持ちました一つの問題点についての答申なのでございます。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、それをどうするのか。
  61. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 戦後の緊急入植に起因する団体の債務のうちで、どれが団体に属すべきものであるかというものはどういうものであるかということの実態は、これから四月から全国的に調べよう、こう先ほど申しました。この九月までの間は、答申に基づく諸問題を調査する段階でございますので、この調査を待ちこれに対する措置をきめていきたい、こう考えておるわけであります。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは開拓農協の借銭は含まれないということですか。そうでなくて、これは開拓農協そのものを言っておるのじゃないですか。私はそう理解して質問しておったのですが。
  63. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓農協が金を借りまして個々の農家に転貸ししておるケースが、過去におきましては方法が多かったわけであります。そうしますと、なかなか債権債務の関係もはっきりいたしませんし、非常に問題がございましたので、政府資金に関しましては三十五、三十六と形式上開拓農協の債務であるもので、実質上個人債務であるものを個別化して作業をいたしておるわけであります。そこで、ここに書いてあるのは、個別化の過程におきまして個別化が困難である、開拓農協の債務の処理の問題でございます。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、開拓農協が共同購入した機械とか共同施設とか、こういうようなものも、その内容として考えられるのですか。
  65. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 協同組合が共同施設として金を借りて手に入れましたものは、なんでもかんでも減免というわけには参らないで、そこにある一つの理由が要るのではなかろうか。それはほかのどういうものが減免に値するかという角度から非常に議論がございまして、戦後の緊急入植に起因した問題であるということと、それからこれを結局連帯的な、組合員は協同組合というものは連帯の責任を持っておるわけでございますが、それを組合員に回しては開拓者営農振興開拓者にとって大きな負担になり過ぎる、そういうものは別の角度から戦後の緊急事態のものであるから、たな上げなり特別な配慮を考えたらどうか。こういう御趣旨答申として私どもはいただいたわけでございます。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで戦後の緊急入植による開拓事業、このものは個人の責任、不振ということが個人の責任に関する部分が大きいと考えますか、国の責任に関する部分が大きいのだという認識を持ちますか、これもあなたたちのいろいろの施策をやる態度、考え方として聞いておきたい、私たちは基本的にこれは国の責任なんだ、こんなことは言いたくない、私たちは考えたくないが、まあ、終戦処理というなら終戦処理の問題なんだ、そういうふうにも考えますが、何かどうも態度があいまいなように思う。それは詭弁だとかなんとか、過去において悪口もあったわけですが、少なくとも国の責任が大きい。これだけはもう国の力で更生もさせ、自立もさせなくちゃいかぬという基本的なかまえというものがなくちゃいかぬと思うのですが、そういうことがあるのかないのか。なんだかんだと釈明をしながらものを解決していくというような煮え切らぬ態度があるのではないかという不信感を持つ。それは一部の開拓農家で、たとえば都市近郊の旧練兵場あととかなんとかいうようなところを開拓地へ取ったところは、これは工場とか宅地とかということで漠大な、それは農業収益でない、別な生産を上げてもう転業してしまっているという向きのところも相当ありますが、こういうものはこれはわれわれ対象としていうものではない。営々として働いているところがなおかっ不振であるというようなことは、人間の能力の問題だけで論ずべきことでなくて、国自身が責任を持って善処しなくちゃいかぬ問題だというように思うのです。どうも煮え切らぬですね。どういうことなんですか。もうこれだけでまあ、この問題終わりますから。
  67. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 営々と農業に精進されまして、依然として農家収入が上がらない開拓者のあり方については、当然国の責任である、かように存じております。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もしもそれならパイロット的なああいうことをやっているものと、過去に何もろくな手当をされなかった農家と比較して、今からでもおそくない、手厚い援助と施策というものがどうして行なわれないのか、どうして消極的に借銭の条件緩和だとかなんとかいうこうやくばりのことだけやるのですか。新規まき直しにやらせるというような国の政策や施策がないじゃないですか。
  69. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 前回開拓三法の御審議をお諮りしましたときに、開拓三法では、あるいは個人の条件緩和では……。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いいですよ、そういう技術論は。
  71. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 技術論ではありませんで、こうやくばりである、根本的にこの問題を考える、そのために政府審議会を作って、根本的に問題を掘り下げて、開拓者に対してこれの立ち直りのためにも施策を審議してもらえ、こういう国会の御趣旨がございまして、三十五年に法律を国会の要請によりまして改正をして審議会を作りまして、その審議会が根本的に問題を取り上げまして、昨年の十一月に次のような方向で問題を根本的に考えろ、こういう御要請が出たわけでございます。したがって、農林省といたしましては、この御要請が非常に抽象的なところもございますし、非常にいろいろな問題を含んでいるところもございますので、それから過去の振興法が拙速で非常にまずかった点もありますので、少なくとも本年度の前半はこの趣旨に沿って調査をいたしまして、この線に沿って抜本的な開拓地振興施策を考えたい。こういう段階でございまして、審議会を作って問題を掘り下げろという御要請、その掘り下げられた問題に対する対策という問題を根本的に考えろという線に沿って、私どもとしては今調査その他の段階に入っておるという次第でございますので、その点は御了承いただきたいのであります。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことはわかりますよ。前向きになってやりますということもわかる。しかし、審議会を持たなければ、十数年やったとの開拓事業、それを指導してきた農林省がどうしていいかわからないのだ、そういうような考え方だったらおかしいじゃないか。しかし、そんな議論したってしょうがないが、そんなら、不振農家なんというものを三つなら三つの類型に分けて原因を探求される。そういうようなことで、国なり県なりの投資によって、まず道路でもなんでもそういうものの基本的な整備をしなくちゃならぬ、そういうようなものについては即刻どんどん金を出してやっていく、このことだけははっきりしているのですか。さっき飲用水の話もあったが、いろいろと事がありまして、原因がありましてとごたごた言わないで一それがもう根本の原因なんですから、過去のいろいろな経緯や文句があっても、そういうことにとらわれないでどんどん進める、そういう積極的な意欲を持っておるのですか。私はただ端的に答えていただければいいのです。ああだのこうだのということは要らぬのです。私もあまり知らぬのですから。
  73. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御指摘のとおり、開拓地工事などはどんどん進めるべきであるということで、これは答申の検討のいかぬにかかわらず、本年度予算におきましても、開拓地改良、これは不振地区に対する建設工事の促進でございますが、前年度の七十億を百数十億に伸ばすというような形におきまして、できるだけ予算の拡充をはかっておるというような次第でございます。
  74. 千田正

    ○千田正君 今、小笠原委員質問のうちで、一番重大な点が、終戦処理の関係があるのですね。これは当時、外地から引き揚げてきた開拓、あるいはその他に従事していた人たち及びその他の引揚者を含んで、戦災者を含んで、そうして全国の都道府県のうちに、原野の開拓すべきところに、終戦処理の一環として農林省とも協議の上に開拓地に入植させた、こういう点が一つ大きな根本問題が横たわっておるわけです。そういう点はもちろん、当然農林省としては、農林省自体だけの問題でなく、国全体の問題として考えなくちゃならないという一点があるということ、私はそういう議論は時間もありませんからあらためて伺いますが、現実の問題として今度のこの融資のうち、保証にかかわる借入資金の種類及び貸付条件のうち、ほかの委員質問されていると思いますが、年八分三厘九毛という末端の農家の金利、それから中金資金においては年九分では、これは少しどころじゃない高過ぎるじゃないか。おそらくこれは設備資金じゃなくて運営資金だろうと思いますが、運営資金にしろこういう金額で、今まで各委員から申されたように、さなきだに苦しんでいるところの開拓農家に、こういう高額の金利を負担させるということは、われわれとしてはどうも納得いかぬのです。きょうかりにこの開拓融資法が通過しましても、将来こういう面を改正するという意図を含んでこの法案を出されておるかどうか、こういう点を質問したいと思います。  特に、もう一点は、近代化資金等については、非常にこれとはかけ離れた利子がある。そのことと勘案しまして、一番苦しんでいるところの開拓農家に、末端の農家に、ほとんど八分四厘あるいは年九分というようなこういう高率な金利を負担させるということは、根本の開拓行政考えた場合においてはけしからんじゃないかと思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  75. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓農家でございますので、いわばさら地から農業を始める、そういう立場でございますので、その設備につきましては、当然安い金利でなければならぬ。したがって、営農資金等につきましては三分六厘五毛、それから開拓農協が作ります共同利用施設につきましては三分六厘五毛、それから、一ぺんそれでスタートはしたけれどもうまくいかないという方々に、もう一度追加投資をするものについては五分五厘というような、設備投資に関しましては全体の金利体系上は、相当低利かつ長期の融資を行なっておると存ずるわけでございます。近代化資金等もいわば一種の設備資金でございまして、経営資金そのものにつきましては、現在利子補給その他農業を日々営んで参りますえさ、肥料、そういうものについて利子補給をして農業を営むかどうか。この点はいろいろ問題の存するところではなかろうかと存ずるわけでございますが、少しでも安くということで、開拓農家が単位農協から金を借りますと一割以上になるわけでございますが、中金の特利の中で一番安い金利を、中金から直接この保証制度によって流すということの結果として、肥料資金保証制度によりまして、ここに資料にしておきました通り八分四厘程度にまで、一般農家に比べれば低利の資金を、現行の制度下におきまして可能な限度の低利を供給いたしておるわけでございまして、これ以上安くなければならぬとしますと、毎日の肥料代、毎日の種代、農業を営むこういうものに利子補給をするかしないかというややこしい問題に相なるわけでございまして、目下のところその日々の経営資金についてまで利子補給をするという考え方には、私ども立っておらないわけでございます。
  76. 千田正

    ○千田正君 どうも農林省のお考え方は、開拓に対する融資は、いろいろな場合によって五分のものもあればあるいは三分の場合もあれば、このように高利貸しみたいな九分などというような、全然一貫したひとつの開拓融資に対する金融の道がないのですね。これは一応整理する必要があるんじゃないか、棚上げするものは棚上げする。それから設備資金ならば一括してこれは三分なら三分、そういうふうにしていかなければ開拓農家はかなわんですよ。一般農家より多少低いからいいんだというような考え方は、僕は開拓農民にとっては非常にやり方としてはまずいんじゃないか。特に開拓農家に行ってごらんなさい、貧寒そのものだ、貧しいのと寒いのを通り越しておる。こういうものまでこういう金利を賦課することは、僕は開拓行政の真髄じゃないと思う。きょうのところはこれを議論してもしようがないが、将来こういうものを改正する意思があるかどうか。あなたが御返事できなければ政務次官からでもお答え願っておきたいと思います。
  77. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 十分検討させていただきます。
  78. 天田勝正

    ○天田勝正君 議事進行。昨日、私質疑する際にも、きょうは予備審査であるし、本審査になったらば、十分政府委員の顔もそろえるから、その際に根本的なことを申し上げるとして云々という前提に立って、きょうこの法案を議了するという建前に協力してきたわけです。ところがきょう本審査になりましてもいっこう政務次官はなるほどおられるけれども、実体的には政府委員にあうざる者の答弁でこれが終わりそうなんだ。実は先ほど小笠原委員からも今後の農政の姿勢の問題がただされた。私も、今千田委員が言われているように、資金源の問題が農政の姿勢として実に大切なんです。で、このことを質疑した。ところが、与党の席からも自由発言で、それは大臣呼ぶべしという意見さえあったのですよ。さらに今日私黙って聞いておれば、われわれの意図する姿勢とは別であろうとも、どうも政府のほうの姿勢が一向にあいまいなんです。これじゃどうも困るのです。きょう議了するということは私は賛成しますよ。賛成する上に、どうして、せっかくさっきも現われた政府委員である坂村局長などが、来てもひょいひょいと出て行ってしまって、委員長おとめにならない。そんなばかなことはないです。私どもはきょう議了するということで協力しているのです。協力していればこそ、予備審査であるけれども本審査になった場合の時間を節約するためにというのでやっている。昨日もほとんど北村委員の質疑、私の質疑だって政府委員なんかなしで実体的には説明員の答弁で、きょう何もしないでこれでもう上がってしまう。そういうことは運営上まことにおもしろくない。私は議運にも席ありますけれども、だからここにおいては、もう政府委員の任命はとかく参議院係みたいなことになる危険があるために排除している。これは一体議事進行上どうしますかね。困った問題ですよ。
  79. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  80. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を始めて下さい。
  81. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 時間もだいぶきておりますが、一言私も質問なり、意見を述べたいと思います。  今小笠原君の発言の中にあった緊急開拓の議題の、いわゆる負債を終戦処理としてすみやかにやれ、これは私は当然だろうと思います。緊急開拓の入植は、御承知のように、農業の経験のない人も、あるいは空襲によって、例を言えば浅草のすし屋も、あるいは魚屋もというように急速に開拓地に入植したものです。そして開拓農協が負債をして、個人がその負債を受けておって、世の中が静まるに従って、すし屋はいわゆる元の職業にかえってくる、職業の腕のある者は競うて皆もとの職業についた。これは私は悪いことはないので、それが普通なんです、それはその人の性格として当然行く道だろうと思う。そういう実態、その結果はどういうことになってきておるかというと、いわゆる借財はあるいは開拓農協に残った部分もあるでしょう、あるいはあとに入っだ者は、その借財を全部受けて開拓地に入った者もあるだろうというようないろいろな実態が生じておる。おりた人は、離農した人は、とにかく夜ひそかに離農する、借財はそこの開拓農協に置いてかえってきておる。それは終戦処理として当然早く処理せねばならぬ。それが結局あるいは個人の負債あるいは開拓農協の負債としてどんどんもう返済できるのは当然というような実態が、いろいろな実態があると私は思う。この点、農林省としてどう考えておるか。私は実際そういう実態が審議会を待つまでもなく、われわれが考えてもそういう実態が所所にある。それなのに今までじんぜん、いわゆる時をかせいでそのままにして、ますます負債が重なるというような結果に私はきていると思う。こういう問題はこれからおやりになるということだから、今となってこの議会に出せとか何とかいうことは申し上げませんけれども、ほんどうにこれはすみやかにやらねば、大きな負債を負うて、おのずから労働の意欲も精神的にそがれるだろうというような結果になってきていると思うので、これは、私どもとしてはすみやかに今この議会でやれという不可能なことは申しませんけれども、少なくとも次の議会にはまだ調査ができぬとかなんとかいうことは言わぬように、あらゆる事務を結集して出して、出すということを私は明言してもらいたい、この点を御質問いたします。
  82. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 御期待に沿うように努力いたします。
  83. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 努力……出すのか。
  84. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 御期待に沿うように努力いたします。
  85. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 努力したいと言うけれども、今までにできぬような人は、今さらこの問題については僕は言えぬだろう。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならそれで質問がある。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここまできたらあれじゃないか。
  88. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 政務次官、もう政務次官じきにやめるだろうけれども、事務はどうです、それまでにできますか。
  89. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓農協が在来転貸しをいたしておりましたので、御指摘の点が不分明でございましたので、二年にわたって個別借りをしております。公庫も一緒になってやっておりますから、その関係は、この二年間で、在来に比べましてはっきりいたしますので、その上で考えさしていただきたい、かように考えております。
  90. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 出すか、出さぬか考えるのですか、もっとはっきりやったらどうです。
  91. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 方針につきましては、政務次官お答えのとおりでございます。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その線に沿って努力しますという答弁があったのですが、被買収地主のような、それが生活資金まで貸すというのですよ、それは利子幾らですか、あの利子は、あんなよけいなことをする利子は幾らですか、もう出ているでしょう、予算は出ているのだから。
  93. 丹羽雅次郎

    説明貴(丹羽雅次郎君) 予算は、二十億の出資の予算が出ておるだけございまして、利子は業務方法書の問題でございまして、目下大蔵省で原案を作成中でございまして、決定はいたしておりません。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さっきそちらで聞いたやつが、営農資金なり何なりで出るものが八分四厘なり九分、市中銀行で大きな事業に貸す金なんて九分、これは二銭四厘の利子です。多分三銭で一割二分なら、そういうもので市中では金利としては二銭四厘、それさえも高いくらいに考えて、二銭三厘だ二銭一厘だというところまでやっているところあるのです。そうして、ああいうよけいなことまでするやつの金利がまだわからぬというのは、おそらく生活資金だというものまで保証するような融資をするんだから、おそらく低利のところでしょう。それが大蔵省との関係でもたもたしてるんではないですか、九分よりも高いですか、安いですか、見込みとしては。
  95. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 被買収者のものは国民金融公庫から融資いたしますので、農林省は別に金利について交渉いたしておるわけではございませんで、そこで、その大蔵省の原案につきましては、業務方法書の問題でございますので、まだ最終決定を大蔵省では見ておらないということを承知をいたしております。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大体推定されるところどうなるのですか。そういうこともあわせ考えれば、さっき言うように八分とか九分とかいう金利は高いか安いか出てくるのです。  じゃもう一つ聞くが、ヨーロッパ地域の農業、フランスなりドイツの農業において金利は幾らなんです、農業について。これは経済局長、該博なるところをうんちくを傾けて聞かしてもらいたい。
  97. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ヨーロッパ、あるいはアメリカ等におきまする農業に対する金利は、先般も御答弁申し上げましたように、大部分相当安いわけでございます。五分とか四分とか六分とか、こういうようなものが大体支配的でございます。これは全体の公定歩合を見ましても、日本の公定歩合に比べますと格段に安いのでございまして、とにかく金利が全般的に安い、こういうような関係もございましょうけれども、そういう状況でございます。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 しかしペイしないところも、政策的にそういうふうな金利にしているのだというところはないのですか。政策的に農業部門は金利を安くしているのだ、公定歩合が一般に安いから、比較されて自動的に安いのだというばかりでなく、政策的に安くしているのだという向きはないのですか。
  99. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 全体の金利水準が低いものですから、たとえばアメリカ等の状況を見ましても、普通の商業銀行から借りるものが、相当のウエートを占めておるわけでございます。そういうものについても相当安いわけでございまするけれども、そのほかに特に農業等につきましては、政府出資、あるいは農業協同組合というようなものに対する一つの政府出資というようなことで、政府の、特に農業金融機関を作りましたり、あるいは協同組合金融に対しまして、政府出資等の援助をいたしまして、そういうようなことで特に金利を下げている面も当然ございます。両方でございます。
  100. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから考えれば、その九分というのは、日本も政策的に特段に考慮されて安くしているのだと農民の前に言えるのですか、九分という金利は。ことにこの開拓、過去にしいたげられ、全く一人で立ち上がろう、立ち上がろうと努力してきて、なおかつ不振である。その立ち上がりに必要だという金が九分だということで、それは特段に配慮された金利であると、農民の前に農林省は堂々と言える金利なんですか。
  101. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 開拓融資保証法の問題は、貸付条件等につきましても、開拓の実情を、行政をしております農地局でこれを全部所管しておりますので、私といたしまして、開拓融資保証法におきまするところの九分というものが、保証法の運用上高いか安いか。こういう問題についてのお答えは、私としては差し控えたいと思います。
  102. 千田正

    ○千田正君 これは経済局長はうまく逃げられたようですけれども、先般も農林大臣が、いわゆる共同市場、あるいは自由貿易とか自由化という問題が起きてきた場合に、一番困るのが農村だ、農民だ、農漁民だ。これに対して国内保護政策を立てなければ廃頽していくのは農民である。その農民のうちでさらに最下位にある開拓民に対して、そういう高い金利ということは、農林大臣のいう農民に対する保護政策と、農林省が立案したこうした保証制度とは矛盾するのじゃないかと思うのですが、政務次官はどうお考えになりますか。きょうは大臣お見えにならないから、政務次官に一応……、矛盾するようなことはやらないほうがいいと思う。保護政策をして、そうしてまさに荒廃していこうとする農村を、ある程度保護しなければならない。これはもう農林大臣が盛んに言っておるのです。その農村のうちの一番苦しい開拓農民に対して、こういう高い金利をもって政府が貸し付けるというようなことは、私は避けるべきじゃないかと思う。純理論的に、私はロジックが合わないと思いますので、この際大臣がおいでにならぬから、せめて政務次官から、政府を代表してお答えを願いたい。
  103. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 私もそういう問題につきましては、十分な答弁の自信がございませんが、農民と申しますか、特に戦後緊急に、いろいろな事情のもとに開拓地に入った開拓者諸君の金融上の問題につきましては、その金利が、その他の農村関係者に利用されておりまする金利体系の金利よりも、それが高くあってはならぬということは、これは常識的な私の考えでさように存じますが、農村金融におけるところの金利の高の問題あるいは比較の問題等の根本につきましては、今私、答弁の用意をいたしておりませんので御了承をいただきたいと思います。
  104. 天田勝正

    ○天田勝正君 大臣も現われないし、農地局長は病気だと言って、来ないし、坂村局長はどうも所管が違うと、ところが開拓者の金融のことを考える場合には、坂村局長の所管の農林漁業金融公庫の金もたくさんあることを、こっちは承知しながら聞いているのだけれども、うまく逃げるというようなことで、困ったものであります。で、しょうがないから、さっき小笠原委員も言われたとおり、私どもは、幾らかよくなるんだから、これは最終的には賛成なんだ。だから協力しているわけなんですが、それじゃらちがあきませんから、私は念押しに聞きます。少し繰り返しだけれども、昨日も指摘しましたように、何せ五十万円以上なんという総収入は一〇%しかないんです。一〇%、これを私の計算で所得に直してみたのです。ところが所得に直してみますと、九万円以下が三万二千戸ですから、どういうことになりますか。ともかくその地位が、九万円から十二万円、これは所得に直した場合です。これまで十二万円以下をあれしますと五万五千戸になりますから、総体の四割五分だということでございます。それで今度は十二万円から十八万円、これが三万六千戸、十八万円から二十万円が三万三千戸、これを合わせると六万九千戸でありますから五〇%、こういうわけで、いずれにしましても所得に直して、一家の住居者、一人じゃない、一家に直して三十万円以下の者がほとんど大部分、一割だけが要するに三十万円以上になる、こういう計算です。これはたいへんなことです。そこでその内容のほうを言うと、きのうも指摘しましたように、収益率の高い果樹とか、あるいは蔬菜、そういうものは、それぞれ三%、六%なんです。あとは農林省考えても、先のつかえた、成長産業にあらざるという豆類だとか麦だとかイモと、みな先がつかえているもの、この部分が四一%、こういうことなんです、要するにその基礎に立って、融資、また金利も考えなければならない。いいですか、そういうことなんです。そういたしますと、さっきから言われているように、とても九分は高い。どこと比較して高いか、それは政府資金を投入するいろんな産業のうちで、日の当たる部分のほうが安くて、日の当たらない農業、しかもその農業のうちでも、私の考えでは開拓農家が一番日が当たらない。そこのほうの金利が比較すれば高い、これを言っているのです。その例として、昨年の臨時国会の産業投融資の百八十億、その百八十億のうち百十八億というものはたった一つの会社であるアラスカパルプという資本金二十億の会社に対して約六倍の百十八億というものを四分で融資しておるのじゃないか。だから資金源がないということは、私たちどこから考えても言えない。そこで、私は政府とされましては、系統資金のどうのこうのと言ってコスト高でございますなんということを言っていないで、日が当たらないのだから、コストの高いほうの系統資金のほうは、むしろ頂けて高い金利がもらえるように、開拓農民の所得保証されるほうに考えるべきであって、改善資金等あるいは所得格差をつずめるというほうの資金は、別途に考えなければならない。その別途に考える分が、一つは私はこの保証資金だろうと思うのです。そうすれば日の当たる産業のほうへ貸しております五分五厘以下、四分もほとんどでありますけれども、そういうものと同列には、せめて今日の保守党の政府でも私はできるわけじゃないか、こう申し上げておるのであって、この点に対するお考えをひとつ政務次官から承っておきます。
  105. 中野文門

    政府委員(中野文門君) ただいまのお尋ねでございますが、私先ほども申し上げましたとおり、金利関係の全般の問題につきましては、私答弁の用意をいたしておりませんが、ただいまのお説の中で……。
  106. 天田勝正

    ○天田勝正君 あなたの方から出した資料に書いてある。
  107. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 資料に関することは、他の方面から答弁をいたしますが、結局日の当たらない開拓農民諸君が、最も日の当たらない階層におることは私みずからもよく存じております。したがって、はなはだ常識的な答弁になりますが、最も日の当たらない階層、農民に対するところの金利が、その他の農民諸君に対する金利よりも最も低利なものでなければならないということは、私よくわかるのでございまして、いろいろと貴重な御意見を承りましたので、十分参考にいたしまして、私は私なりの善処をいたしたいと、かように存じます。
  108. 天田勝正

    ○天田勝正君 私、きのうも指摘したのだが、政務次官が要するに政府資金というものは開拓資金のうちいろいろありますけれども政府から直接出しておる金というものは百六十四億なんですよ。ところが、私が今指摘した百十八億、あるいはそれを含めて百八十億ですね。臨時国会できめているのですよ。通常国会はもっと膨大ですが、臨時国会できめただけでも百八十億なんですが、一つか二つの会社へいっているのですよ。ところが片方は、開拓者のほうは十三万七千戸なんです。十三万七千戸もあるところへ百六十四億なんというのだから、そんな資料を調べるといったって、どこを考えたって、これはおそろしくひどいものだということは私は理解してもらえると思う。現実にもそういう日の当たるほうに金を出しているのだから、資金があるとかないとか、四の五の理由はつかないのです。ですから直ちに今年度において、ひとつこういう矛盾は解決して下さい。
  109. 清澤俊英

    清澤俊英君 参考資料をひとつ御迷惑でもお願いしたいと思っております。入植、開墾入植ですね。大体大きく分けて、戦争中でもずっと入ったものと、それから機械設備を使った場合、いわゆるパイロット・ファームか、これ以後のものと、それから村の近まで増反されて分村入植というのがありますが、この数どれくらいになっておるのか。それからそれっきり脱落した開拓団がどこが一番脱落しているのか、相当数脱落しているはずですから、その三つに分けてひとつ資料ができましたらお願いしたいと思います。
  110. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 暫時休憩をいたします。午後は二時から再開をいたします。    午後零時五十六分休憩      —————・—————    午後二時四十四分開会
  111. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再開いたします。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案につきましては、後刻質疑を行なうことにいたしまして、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(閣法第四号、衆議院送付)を議題といたします。  本案につきましては、提案理由説明及び補足説明等はすでに聴取いたしております。それでは、これより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  112. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をつけて下さい。
  113. 天田勝正

    ○天田勝正君 補足説明にあがっている数字と、この資料で提出されているこの部分と、それから補足説明のない本説明ですね、こういうものにあがっている数字とのつながりが、この資料によりますというと、至って手落ちというか、不親切というか、そういうことになっておるのです。そこでこれを説明願いたいのだが、すなわち補足説明の補足説明だ。それは補足説明によりますと、政府一般会計及び産業投資特別会計からの出資八百六十九億七百万円と、これを非補助小団地等土地改良助成基金に充てるために一般会計から出資された六十五億円、それからあと二十六億二千六百万円、これは産業投資のみなし出資でしょう、それを加えると九百六十億三千三百万円になる、以下いろいろなことをいっている。それから、説明のほうでもそれを数字をあげていっている。これを見ますと、ずっと出資金及び借入金というのがあって、一番上欄の出資金、その次は借入金になって、その次に計というところがある。これを見ますと、二十六年からずっと以下三十二年までは、この出資金の累計というところをずっときて、一番下の資本金総額というところにきているわけだ。今度は三十三年になるというと、この計にある六十五億というのがここにぽんと出てきて、それで国の出資金は、すなわち資本総額ではないということになってきたわけだ。出資金のほかに六十五億があって、この下の数字が出てきた、こういうわけで、その次から以下ずっと書かれてきて、今度は三十六年ぐらいになると、とても何を上のほうから引っぱってきて、下のほうの数字になるのかわからないのだが、こういうのは資料としては至って不親切だし、私は疎漏だと思うのだけれども、この関係を説明して下さい。
  114. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御指摘のとおり、資料が非常に不十分で、まことに申しわけございませんが、お配りいたしました横文字の数字資料と、趣旨説明との不つり合いについて説明をいたしたいと思います。お配りしました横文字の数字資料の一ページでございますが、ここのところは初めの出資金の欄におきまして、一般会計、産業投資特別会計と、こういう欄にあがっておりますのは、毎年のものの新規の出資分を書いてあるのでございまして、これが累計をいたしますと、一般会計の欄で三十六年の計画というところが四百四十九億七百万円……。
  115. 天田勝正

    ○天田勝正君 どこ……。
  116. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 一番上の欄でございます。一番上の欄、三十六年度の計画数字が——数字で棒読みで申し上げますと、四四、九〇七でございます。これが累計になります。この九〇〇と書いてございますが、九億はそのときの新しい出資を書いたものですから、この点非常におわかりにくかったと思うのでございますが、累計が四百四十九億七百万円、四四、九〇七、こういうことになります。  それから、その次の産業投資特別会計の欄が、これが八十億というふうに書いてございまするのが、これが新しい出資でございます。そのときの三十六年度の八十億と書いてあるのは、新しい出資でございまして、これの累計は、ほんとうの産投の出資の分が四百二十億、四二、〇〇〇と、こういうものと、それから、みなし出資が二十六億二千六百万、この二つに分かれるわけでございます。累計いたしまして。ですから、三十六年度の計画というところの産投の八十六億と書いてございますところを累計いたしますと、これの累計が四二、OOOと二、六二六と、こういう二つに分かれまして、四二、〇〇〇というものがほんとうの新しく産投から出資したもの。それから二、六二六、二十六億二千六百万円がみなし出資でございまして、その二、六二六といいますものは、二十八年の五億七百万円、五〇七と、同じ産業投資特別会計の桐で、二十八年実績に五〇七というものがございます。それから三十年の実績のところに、二、一一九というものがございます。二十一億千九百万円というものがございまして、この二つがみなし出資になるわけでございまして、この二十八年の五〇七と、三十年の二、一一九を足したものが二、六二六と、二十六億二千六百万円、こういうふうな数字になるわけでございまして、まことにこの点非常に資料としては説明が不備でございまして御容赦願いたいと思います。
  117. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで累計を合わせたものが、その累計としては八百九十五億三千三百万円になる。そして今度は八百九十五億三千三百万円に、三十三年の実績というところの下のほうにある非補助小団地等土地改良事業助成基金の六十五億を加えるから九百六十億三千三百万円になる。こういうことに了解していいですね。
  118. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) そのとおりでございます。
  119. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、やはり同様に、三十三年からはずっと上の出資がすなわち資本金総額にならなくなってきたのだけれども、それは今の例でずっとやっていけばすべてそうなる、こういうことですか。
  120. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) そのとおりでございます。
  121. 天田勝正

    ○天田勝正君 まことにそのとおりだけれども、何回も言うとおり、至って不親切だね、これは。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も水産庁長官資料でちょっと……。この資料についてお尋ねするのですが、構造改善事業の概要という中で、いろいろな「共同利用的な施設については、一地域当り四カ年計画事業費3億)をもって実施し、国は、その事業費の約二分の一を助成することとしている。」この「約二分の一を助成することとしている。」というのですが、これはどういう根拠で二分の一を補助するということにしているのですか。
  123. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 御質問の点でございますが、今計画しておりますのは、ことしの予算でもありますが、構造改善地域という地域を実は県を指定をしまして、そこでやります事業は実は二つございます。ここにはその中で、これは経営の近代化促進事業というのを考えておるんですが、これは約三億円、ここに書いてあるものでございます。そのほかに従来つきいそでございますとか、大型魚礁でございますとか、漁場改善をやっていた事業がございます。これも構造改善計画の中の漁場改良事業としまして大体一地域三億円を予定しておりまして、両方で地域指定になりますと、その地域では約六億の事業をしようということを実は考えております。その中で大型魚礁につきましては、これは金もはりますので、従来二分の一の補助ということでやっておりますが、これを実は六割に上げております。この中でいろいろ考えております助成事業につきましては、この三億円の中の助成序業につきましては、ものによりましては四割のものもあり、あるいは三割のものもあり、漁場改良事業の中には今申し上げました六割のものもあり、五割のものもあるわけでございまして、構造改善事業全部の総合補助率でやってみると、約二分の一になるという意味でございます。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政務次官にお尋ねするのですが、農業改善事業でも、非常に多額の金を今後要する。また沿岸漁業の分も相当額の金が出る。地域指定を主務大臣がやるとか、あるいは約二分の一の補助をするとか、公庫のほうの金はこうして出してやるとかということを言っていますがね。どうも農林省の仕事は、法律の根拠ということを全然抜きにして、ただ事業をやればいいのだということで、予算を取って、金を取って、それが承認されれば、使い方は全部農林省が取りきめて使うのだ、何ら法律的に審議を要さない、こういう扱い方について、何か考え直しているところはあるのですか。あたりまえのことだ、行政府として国会に承認してもらえばいいのだ、どんな事業をやり、どんなやり方で、どう補助しようがおれのほうのあれなんだ、こういうやり方は終戦以来の、戦後の憲法上の建前から許されないものとして、何でも法律で規定しよう、少なくとも政令にゆだねるという部分は、極力、戦前の勅令にゆだねる分を法律に載せろ、こういう方針できたものがくずれているのじゃないですか。何かやはり立法措置も講じて、その裏づけでこういう事業をするというような、原則的な姿勢に立ち返ってやろうというかまえ方があるのですか、ないのですか。根幹になる仕事でしょう。農業改善事業なり、農業基本法に基づいた具体的な法律という、根幹になる事業を進めようとするのでしょう。また沿岸漁業の関係で言うなら、漁業基本法とでも言うべきものの具体化として行なわれるというような、基本的な建前があるはずだと思う。それをそのとき、そのときさえ金を取れば、あとはどういう補助をしようが、どういう規定をしようが、これは行政府の主務大臣ないし農林省の権限だ、こういう扱い方はちょっと他の官庁から比べたら、ないことではないのですか。それは事業官庁として無理もない点もあるかもしれぬが、なぜ法律を出して予算と法律とを裏づけて仕事をしようということをしないのですかね。
  125. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 法律に基づいて執行いたしまする事業の予算の要求という場合と、法律に必ずしも基づかなくて予算でもって一つの事業を実施するということが今日行なわれているようでございますが、これは大小いろいろと、事業にいたしましても各種各般あろうと思います。そのことごとくが法律に基づいてそれを予算化して事業化するということと、そうでない、申し上げましたように必ずしも裏づけに法律がまずあって、その法律に基づいてこの事業を、特定の事業を予算化するということでない場合が現実にあるようでございますが、お説の中にありましたように、結局立法府というものがあり、行政府というものがあるわけでございます。その間、相関連をして国政が進んでいくわけでございますので、そのお説につきましては、十分一つ検討いたしたいと思いますが、現実に予算で御承認をいただいて、事業として執行するということが現実にあるわけでございますが、彼此相それぞれ見方、見ようもあるかと思いますが、小笠原委員の御発言は、ことごとく、ことごとくと申しますか、まず少なくとも、目新しいと申しますか、新しい事業を予算化する場合には、必ずそれに関連を持つ法律が先行すべきであるということにつきましては、私もさように考えるのでございます。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうだとすれば、今の沿岸漁業の関係で言えば、本体が沿岸漁業の振興というほうであるものを、金の裏づけとして公庫のほうでこうしたいのだということでこれは出てくる部分ですね。それで公庫のほうが、業務方法書なり何なりちょっと直せば、これは動いてくる、働いてくるということもあって、こういう措置になっているのだと思うが、本体として六億なら六億の金を使ってこうやるとか、あるいはここにも表が出ておるように、調査機関を幾ら置いて、実施機関は何年度は何カ所、何年度は何カ所、これは主務大臣が指定する、こういう事業そのものが計画的に今後行なわれるのだということになれば、これは今度の国会に出てくるという沿岸漁業振興法というもので、それは明らかにされるものと、こういうふうに考えもするのですが、それは前後することがあっても、そういうふうにおやりになれるものかどうか。これは伊東さんにお尋ねいたします。ということは、これは国会のほうが、金だけは束にして出して、あとはつんぼさじきに乗せられて、どういう使い方をするか。便宜上、行政上の都合によっては国会には言うておったものの、実態としてやり出す段になれば、今度は変更していいのだ。国会が文句言ったって、それはこちらの権限です。こういうやり方は許されないことだろうと思うのです。われわれ国会側としては、むろん納得がいかぬことです。これの裏づけになる法律が、沿岸漁業振興法というようなものの一部として、内容として出てきますか。
  127. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 予算の使い方の問題と法律の問題で御質問なのでございますが、今までの例ですと、実は例を申し上げますと、たとえば改良普及員等については、農業関係の法律でやっております。水産関係では、法律なしに補助要項でやっておるというような取り扱いで、実はものによりましては、必ずしも同一な取り扱いをいたしておらぬことはございます。必ず法律をもってやるというふうには限ってないわけでございますが、今御質問のこの点でございますが、この事業は、先ほど申しましたように、三十六年度からすでに調査事業として始めて、それから三億円と申し上げました漁場改良事業というのは、これはずっと前から漁場改良ということでやっておるわけであります。これは法律なしに数億の金を使っております。これは、もしも構造改善ということをやっていくのなら、そこでまとめようじゃないかということで、そういう考え方でまとめようとしたわけでありますが、これは数億の金を毎年法律なしで実はやっておりまして、今度は、今、先生御指摘の沿岸の構造改善事業というものの法律関係はどうだというお話でございますが、私どもとしましては、実は農業のほうに農業基本法というものもできておりまして、水産関係についても、沿岸漁業振興法というものをぜひ作りたいということで今準備をいたしております。実は沿岸漁業振興法が、意外に意見の調整に手間取りましたために、まだ提案までに至っておりませんが、私ども事務当局の希望としましては、水産関係でも沿岸漁業関係の振興法はぜひ出したいというふうには考えております。
  128. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで従来、漁場を作っていくのだというので、予算を投入するとかなんとかやるのに対して、補助するのは行政措置で、法律なしでやっておる。それはそのとおりです。これは農林省に特に多いですね、つかみ金で補助金を取っておって、そうして何だかんだと補助、助成ということでやっているというのが多いです。そういうことがいいことだと思っていますか。やはり法律的なもので集大成して、一貫した根拠にもとのそうした金が使われるほうが望ましいと考えておりますか。私は、これは攻撃するのではないが、農林省自体が旧来の陋習で、百姓相手、団体相手というようなことで、そういう補助金、助成金的なつかみ金が非常に多い、この点は指摘されておるところなんですね。そういうようなものが、きちんとやはりこの際、改善事業なり何なり、根幹になるものがあって、農林政策の基本が立ち、漁業政策の基本が立つとなったら、整理集大成されるということで仕事が進められるのが望ましいように私は思うのですが、どんなものでしょうか、政務次官。構造改善事業なんというのは、これはまたあとでやりますけれども、一億一千万か幾らかの金を投入するというような仕事についても、法律根拠がない、行政にゆだねられる、こういうようなことについては、どうも理解ができないですね。
  129. 北村暢

    ○北村暢君 関連して。これは林業のほうの構造改善事業も、それから農業のほうの構造改善事業でも、全部法律根拠はないのですよ。林業のほうが、今度二十億かそういうものを公庫で準備するでしょう。それから農業のほうは、これはたいへんなものですよ。それで、しかも近代化資金とごっちゃになって、構造改善事業というものはやるようになっている。何が何だか、どういう金でどういうふうになるのだか、実際わからないのですよ。だから私どもはあの問題については、非常に疑義がある。農業構造改善事業なんというのは、あの予算は、事業費というものは膨大ですから。そういうものを法律根拠に基づかないでやろうとしているわけなんです。これは根本問題なんだし、法律に基づかないで——かつての新農村で放送施設ですか、あんな程度のものだったら、それは行政措置でやろうが何しようがいいでしょうけれども、今度は農業基本法の根幹的な構造改善事業を、法律によらないで実施しようとしているのですよ。これはたいへんな問題なんです。ですから根本的に、もう予算には載っているのだし、法律は出てきてない、そうして実施しようとしているわけですね。ですからこれはやはり大臣に、根本的な問題なので、聞かなければいかないと思うんですけれども、非常に重要ですよ、額の問題からいって。大臣の権限で、予算の範囲内で年間三億とか五億助成をするとかなんとかいうのじゃなくて、これは農林省全体から言えば、構造改善事業は、農業、林業、漁業を含めて膨大なものです。それを法律に基づかないでやろうとしている。これは私はちょっと問題があると思うんですがね。ですからひとつ、ものによってはそういうものもありますとか、助成等は法律に基づかないでやっているものもありますとかなんとかいうことで解決する問題じゃないのです、これは。しかも今後の政策の根本をやろうとする問題について、法律がない。そういうことで一体いいのかどうか、農林省の感覚を疑うのだが、今までの農林漁業金融公庫のこういう一つ一つのものについたって、全部法律根拠があるのですよ。ほとんどがあるのですよ。ないのはごくわずかなんです。そういうもので出てきているのだから、私どもとしてはこれはどうも納得がいかない。
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから伊東さんにもお尋ねしますが、初年度五ヵ所地域指定する、これはきまっていますか。
  131. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これは三十六年度に実は十三カ所の指定があります。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのうちの五カ所を調査する……。
  133. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) そのうちの五カ所の調査の進んだところ、それを年度の途中から事業をやろうということで、大体県はきまっております。
  134. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 水産庁のほうはそうだそうだが、農業改善事業なんというのは指定地域、きまったのですね。これは地方新聞にまでも出ていますわ、どこが落ちて、どこが入ったというふうにね。ところが予算審議中で、予算が通りはせぬ、何もない、関係者筋では大いに運動も行なわれたようですね、そうして、もう発表になっておる、こことこことこことというふうに。われわれにはわからぬ。どういう根拠をもって、どういう公示をして、どういう相談があって、そんな地域がきまったかわからぬ。それは法律がはりきりしていないからです。だから、こんなことを何でもかんでもいいことだからということで、金は取るわ、行政にまかせるわで、それでその言葉は何か特定な勢力なり特定な人によって、うまい工合にその地域をとってやったとか、とられたとか、それでそれが選挙の地盤にどうとか、こうとか、要らぬそんな誤解までされる。そういう、そんな不明朗なものでいいのかということなんです、われわれは。堂々と法律で根拠を持っておやりになって、地方なり議員の運動があるなしにかかわらず、それぞれの所定の条件に合った地域を農林省は指定して、どんどん仕事を進める、現地の同意を得るなら同意を得る、明朗にやったらいいじゃないですか。ところが、全部それは陰で行なわれておる。われわれには全然わからぬ。農林委員会にだって一言だってそんなことは知らされたことはない。こういうやみくもな、手づかみな仕事をして、今後の日本の農業がどうなるかということについて、仕事をしていくのに、こんなやり方をやってもらってはわれわれ困ると思う。いろいろな疑惑をもう持ちたくなりますよ。何で積極的に、これこそ農林省の表看板なんだ、今度は君たち、こうしてやるのだというのなら、積極的に法律を予算に添えて出して、金の使途もあるいは地域の指定も、いろいろな執行の条件というものをなぜわれわれに審議させないのか、なぜそれが都合が悪いのか、そういう意味もあって政務次官にお尋ねするのです。何としても法案はそろえなくちゃいかぬですよ。ほんとうにこの池田内閣の生命とする事業を進めようとするのに、法律なしにやっていこうということ、ちょっとこれはめちゃじゃないかと思うのですがね。だからそういうことも大臣に聞きたいのです。部分的に考えれば、この公庫法で対象のワクを広げた、賛成だ、ありがたい、それだけで済まぬのですよ。いいことだから賛成だということだけでは済まぬのですよ。どういうふうに全体的に、水産なら水産の事業は進めるという、どういう構想を持って水産行政が進展していくのだということが見える法律というものはほしいのですね。これは与党の諸君はわかっているかもしれぬが、野党のわれわれには全然わからぬのですから示していただきたい。そういうような意味合いで、さっきから御質問申し上げておるのです。
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。今、小笠原君の言うていることは、基本法をわれわれは審議するときから問題になっているのです。われわれは知らぬうちに、もうどんどん進んでいるのだから、そうして世間の評判は、私は本会議でも質問したのだけれども、世間の評判としてはこんなやり方はこの前の新農村建設とたいして変わりがないじゃないか、こういう評判がある。質問したけれども何がなんだかわけがわからぬ返答でしたが、それはそのとおりなんです、今、小笠原君が言っている、どこまでやっても。われわれ知らぬうちにいろいろなものがどんどん出てきている。今われわれとしては、これはこれとは別ですけれども、今問題としているのは、二十億の被買収地主の補償——融資の問題、これが問題になって、われわれはまだ問題にしている。ところが、現に農業会議はそれを通じて府県へおろしてきて、そうしてもう税金をどこからどういうふうにするのだ、これがどうだというような諮問までしているのです。これじゃ全く野党なんというものはあってもなくてもいいというような話です。そういうものが山積している限りにおいては、少なくとも農林大臣が出て来て、基本的な問題に対するお答えがなければ元来ならば入れぬわけです。実際入れませんよ、これじゃ、それはどうなんです。法案審議の前段の問題として政府の態度が実にけしからぬから、それはどうなんだ、そういうことだけ重ねて、いいかどうか……。
  136. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先ほど来もお話でございますが、予算制度の基本にも触れる御意見かとも存じます。私どもといたしましては、たとえば構造改善事業につきましてもその事業のうち、土地改良交換分合等に関するものであればもちろんそういった制度の既存の法律もございます。そういった既存の法律制度の中で執行いたすわけであります。それらの個々ばらばらの事業を集大成して村ごとに構造改善のために最も有効に助成がいきますようにということで、あのような総合助成をお願いをし、予算化していただいているわけであります。問題によりまして、予算の執行について法律がなければ執行のできないもの、それから助成あるいは補助、農林省のやっております行政の相当部分が法律的な義務を伴わない助成、奨励といった仕事が多い関係がございますので、自然農林省の仕事の中では予算と、その予算はもちろん執行いたします際には財政法、会計法あるいは補助金の適正化法といったようなものを受けた補助要項を定めましてやっている、その意味では個々の事業法はございませんけれども、予算執行の基本としての諸制度に基づいた補助要項をもちまして執行いたしておることも御承知のとおりであります。御趣旨のように、そのうちの相当部分について単なる助成ではあっても政策を宣言するというような意味法律に書いたらどうかという趣旨の御指摘かとも思います。そういった意味合いのことも戦後の立法例から申しますれば、そういう基本的な政策宣言をした法律というものもございますけれども、必要に応じてはそういうものももちろん今後考えていかなきゃならぬと思います。しかし、予算の執行という点についての制度的な問題としてはただいまお答えいたしましたようなことで従来もやって参りましたし、今後も農林省行政についてはそういう執行のやり方をむしろ適当とするものも相当あろうかと思います。そういう点を御了承いただきました上で、なお御指摘の点につきましては、政策の基本に関することはなるべく事前につまびらかにするという御趣旨は十分私どももわかります。慎重を期して参りたいと思います。さように考えます。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今言うことは私たちにもよくわかる。しかし、それだからいいんだと言ってすわり込んでいる姿勢というものに非常に不満がある、われわれは。少なくとも沿岸漁業振興ということを真剣に考え、遠洋漁業でもよろしい、そしたら漁業基本法的なものをまず考えながらこの問題を考え、そして十年計画でやるなら十年計画でいくという構想があって、そのもとで零細な助成であろうが補助であろうが集大成して一つの体系をもって施策を展開していく、こういうようなやり方をやってもらいたいと思う。零細な補助をもらうのにも、あるいは地域の指定をしてもらうのにも、議員を頼み多数の関係者が地方からどんどん出てきて陳情、請願これつとめ、何回も何回もまき直さなければ仕事にならぬというような、そういう行政をやめたらどうかというのだ。われわれは。もう少し客観的にきちっと仕事ができる根拠をがっしりお作りになったら、あなたたちもいいだろうし、国民も幸福だと思う。そうでないのですよ、過去の一切のものが。極言したら一切のものと言っていい。全部それは運動をする、だれかが手を加える、そういうことがなければ、黙って口をあけて待っておったって手厚い行政が届いてこない、そういう仕組みになっておるのだ。それに対する不満があるんです。そうであればあるほどあなたたち自身の問題を処理するのに、明快な根拠をもって客観的に処理できるようなそういう基準のもっと法律等があったほうが都合がいいんじゃないか、そういう意味でも申し上げているのです。私の申し上げているのは。何かそうやらないほうでやることもできるし、法律をもってやることもあるんだということですわり込んでだけおるのでなく、もっと積極的に行政を近代化していく、もっと国民に責任を負い、国会に責任を負うて行政を執行していく、そういう建前でどんどん法律として問題を提供したらいかがかということを申し上げておる。
  138. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 後段の御指摘の点は私どももそういったそれぞれの施策について確たる基本方針があって、それを受けて諸般の措置が取らるべきであるという御指摘については、私も御指摘のとおり、さようあるべきだと思います。ただそういった基本的施策を展開いたします場合に、私どもとしては予算、法律、あるいは予算、法律のない単なる行政指導、そういった行政の運営の手段といたしましては、さように分かれておるように理解をいたすわけであります。法律がまずその基本を定めて、しかる後に法律、予算、行政指導というものが展開されるべきものであるのか、あるいは施策の基本というものが確立されまして、それの実行の手段として法律を必要とするものは法律措置がとらるべきである。予算の必要なものは予算措置がとらるべきである。また予算の執行上法律の必要なものは法律が作らるべきである。予算も法律もないと言うと語弊がございますが、役所の機構の中で日常の指導行政あるいは助言をするといったような、具体的にその面だけをとらえれば予算も法律もないというと語弊がございますが、伴わない、そういう実務的なものも、そういったものが集大成されて施策の展開ということになるのじゃなかろうかと私は思います。そういう意味におきまして施策の基本が確立せられて一々の現象にわずらわされずにと申しますか、陳情等にあまりにも左右されずに公正な態度で客観的に施策が展開さるべきであるという先生の御指摘については、私ども全くそのとおりであるべきだと存じます。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたとだけやりとりしておったってあれですから、この程度できょうはやめておきます。会計検査院であれ、決算委員会であれ、今はどうなっていますか、私どもつぶさには知らぬのですが、補助、助成、そういうようなことで取りやめたらどうかと言われるような、いろいろ批判のあるようなものを一ぱいかかえているのは農林省です。末端の団体なりへいくというと、七十円なり百円の助成とか補助というようなふうに分割されてしまって、取りに行くのにかえってバス賃よりも安い助成をもらわなくちゃいかぬというような、こんなのもあると非難されたこともあると私は記憶している。ところが、そういうことは、私は大蔵省のような金出したくないから整理するというような考え方には反対なんですよ。過去の補助金の何とかというので特別委員会を持ってやったときにも私はがんばったほうなんですが、ただぶっ切ってしまうということには絶対反対です。しかし、一たん農林省が取ったものは、その効果が上がったからといって、やっていきもせず、また別に積極的に新たなる方策で展開しようともしないで、いつでも取っているものはみな積み重ねて、毎年やはり予算を取る名目を残して非常にめんどうな手続や配分をやっている、そういうようなものをやはり農林省自身が積極的に農業改造という問題に取り組んでやってくるこの際にもっと整理して、そして金が必要ならば別な形で金が供給されて、そして施策が行なわれるというような積極性を持ったらどうか、そういう考え方も私はしろうとなりに持つのです。そういう意味からいうても、こういう沿岸漁業振興法でこうだというなら、あれやこれやのものをやはり集大成してその法律というものを極力作って、そして法律の中に目標というものを明らかにしておいて金も取り、またそれを有効に使ってもらう、こういう積極性を持ってもらいたい。何がなんだかわけがわからないような形というものは、まあ、これは極論でそんなことはないとおっしゃりたいところだけれども法律慣行というものはなくて諸般の施策を講じていくというこの建前、現実にはそうなっているのですから、さっき北村君の言うとおり構造改善事業に関するこの池田内閣の生命的なものについて法律がないのですから、こういうことだけは避けられて、かえって政策的に宣言される、そういう法律を作られるということをわれわれは極力望みたい。いつまでたっても法律ができない、わけがわからぬという形で農林省にだけおまかせするということはできない。計画的な政策の遂行なんですからね。少なくとも法律は出してもらいたいと思うんです。
  140. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先ほども申し上げましたように、法律で規定すべき施策、それから予算で執行すべき施策と、おのずからそれぞれ施策の性格によりまして分かれておりますことは、申すまでもないことであります。法律が先行いたしましても予算を伴わなければ施策の展開のできないものもありますし、また、予算が先行いたしましても法律が伴わなければ執行のできないものもある、そういう関係でございます。で、沿岸漁業振興法につきましては、各般の沿岸漁業の振興措置をすでに従来ともとっておりましたことも御承知のとおりでありますが、この機会にそういった各般の沿岸漁業の振興の政策の目標なり、とるべき施策なりを法律をもって宣言的に規定をする、逆に申しますれば政府をそういう意味で義務づけていくというものの考え方も必要であろうと存じます。そういう意味で、沿岸漁業振興法につきましては、先ほど水産庁長官が答えられましたとおり、目下農林省内で数回にわたって案を練り直して検討を進めております。その沿岸漁業振興法が、今先生が御指摘になりましたような御趣旨そのものに沿っておるのか、あるいは若干固有の法律であるのかといったような点は、いろいろ部内でも議論のあるところであります。そういう意味合いにおきまして目下非常にむずかしい法律論議を展開しておるところでございまして、しかし、いずれにいたしましても、大方の御要請の強い法律でもありますし、水産庁としても必要を認めて出したいとして、今せっかく審議中でございます。いずれ、なるべく早い時期に取りまとめまして御審議をいただきたい、さように考えておるわけでございます。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 わかりました。それで、農業改善事業については、運用上の問題を総合的に法律で規制するというような考えはないんですか。
  142. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 農業に関します構造改善事業につきましては、事業そのものでなしに、構造改善ということの政策的なねらいなり、またその場合の留意すべき諸点につきましては、農業基本法の各条章に書いておりますし、またその第二十一条であったかと思いますがには、従来個々ばらばらに行なわれておりました各般の施策を農業構造の改善という観点から集大成して実行することの必要を強調しておられるわけで、私どもも、そういう趣旨で、農業基本法は、事業法と異なりまして、一つの政府に義務を課し、また政策の宣言を主としておる法律でございますことは御承知のとおりでありまするが、そういった政策の趣旨、あるいは政府に課されました義務を忠実に実行する意味で必要な予算措置としてただいま御指摘構造改善総合助成事業というような予算措置をとることをきめたわけでありまして、その事業の組み立てをなしますものは、したがいまして、基本法の第二十一条で規定しておりますような各般の広範な施策に及ぶわけでございます。その個々の施策の中には、現に法律制度がありますものもございますし、あるいは今後研究の上新たな立法措置があることが必要であるような事業を伴うことがあろうかと思います。しかし、さしあたって現在考えております点で進行いたして参るということでありますならば、予算と予算の執行のための諸法律があっていけば目的を達し得るのではなかろうか、構造改善事業という総合的な事業についての事業法を特にお作りいただくというふうにお願いしなくても仕事が実行できるのではなかろうか、さような考えで進めておるわけであります。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはいろいろな考え方もあるかもしらぬですが、しかし、どういう事業であっても、何を対象にした事業であるのか、どれとどれがどう組み合わされた事業をこの対象にするものか、その内容的なものはやっぱり法律的に規制して、また執行上の問題についてもそれぞれ規制しておやりになるということがあっていいのではないかと思うのですね。それが具体化されていない。ただ説明でわれわれ聞くだけだ。さまざまなところでさまざまな事業が行なわれることで、その特性にかんがみてということでいいからかげんなことに金がどんどん使われて、結果、実を結ぶ点が少なかった、むだも多かったというようなことになったら、これは国費の乱費です。あるいはまた検査院等の批難事項になど一カ所でも何かの事業で載ってごらんなさい。この事業遂行が暗いものになる。ここに生命をかけておるんですからね、日本農業構造改善として。そうであれば、私は当然立法化することを要求する。何人にも何をどうやるんだということは明確にし、農林当局もまたその義務づけられたことに驀進していく、停滞は許さない、そういう姿勢があっていいと思う。官庁なり官僚は法律なんてないほうがいいでしょう。抽象的にまかせられて自分の権限だというてやるほうがやりいいんでしょう。ところが、われわれ国会側の者として、特に野党としては、国民に責任を感ずる者としては、そういうことは極力やめさせたい。極力法律できめられたことを執行してもらう、そういう行政でありたい。もう初めからこんな構造改善事業という大事業を十カ年計画なら計画でやるということに法律をこれは出さなくてもいいんだ、既存の法律があるのの組み立てなんだから要らぬのだ。しかし、個々に対象となる区域の事業が何を重点にやるのか、それはわからぬのです。みんな特性があってやることなんだから。土地改良が全部だ、そういう農業基本整備事業だ、そういうことだけでやるところばかりでもない。主産地形成ということでもっと先を行く事業を進めようとするところもあるでしょうし、千差万別だろうと思う。そうであれば、それらがその対象なり範囲なりというものが明らかになってどういう仕組みでこの事業が行なわれるものかということがやっぱり法律として明確になっておることをわれわれは要求したいんですね。
  144. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 御趣旨の点は、私どもも、事業法としてまとめて考えてみるべきであるかどうかという点については、かなり基本法の草案作成過程でも部内で研究をいたしました。何さまただいま先生からもお話がございましたように千差万別な内容を持っておるわけで、いささかも固定化と申しますか既成観念で、そういった新しいそれぞれの村の構造改善の欲求を押え込むと申しますか、一つのワクにはめ込むというようなことは極力避けていくべきものだという点等もございましょう。パイロット地区で、まずそういったことの行政的なテストと申しますか、試験と申しますか、そういった意味の試みをまず展開し、引き続いて、自信のあります村について、とりあえず明年度予算措置行政措置をもって事業を発足せしめたわけでございます。今後、それらの経験を重ねました上で、必要があると申しますか、私どもに、そういった構造改善事業という、非常に、従来の私ども事業法的な考え方からいいますと非常に制度的にっかみにくい、やろうといたしております内容をうまく法律的に把握をし規定をすることが可能であり、かつそういった事業をやって参りますために法律措置が必要であるということに相なりますれば、そういった経験を重ねました上で、また十分検討いたしてみたいと思います。先生の御指摘のようなふうに、事前に構造改善事業というものを制度的につかみ出し、それを規定するということがはなはだ困難であったといったような事情を御了承いただきたいと思いますし、また当面やって参ります上に、法律的な裏づけがなければやれないといったような事業も当面ございませんので、そういった行政措置をとったわけでございます。なお、現在の予算の制度が単年度主義でございまして、先の長いことをかりに法律が宣言をいたしましても、やはりそれだけでは予算が、予算化されるという制度の保証もございませんので、まあそれらの点も、私ども部内でも検討いたした際にいろいろと一長一短を感じたわけでございます。そういう意味で、今後とも、御指摘の、前向きでしっかりやれという御趣旨は十分体しまして今後とも検討を続けて参りたいと思います。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 きょうはそのことを議論すべきわけはないからね、まあやめますが、あなたは盛んに、農業基本法における構造改善事業構造改善事業と言うが、農業基本法の精神に基づいたなら、構造改善事業というものは、何か突き詰めていったら、私は、その事業対象というものは非常に幅の狭いものだと思う。そう考えておる。あなたは当時から、来年以降やるようなことを言う。千差万別な事業構造改善事業なんだということであの農業基本法というものが考えられた、構造改善事業というものが考えられたんだ、そうお考えになるのですか。変わってきているのじゃないですか、その点は。私前にも言いましたがね、これは何か途中の段階での話なんだというが、われわれ国民一般に宣言せられたものは、十年間に百万戸の二町五反農家、自立農家を形成するのだ、そういう構造改善政策を実施していくのだ、そういうふうにだけ聞き取ってきたんだ。だから、この農地の問題が重点である。それは流通その他の問題、所得水準の倍増ということからいえばむろん当然のことですが、農地問題の解決なしに日本の農業構造改善があり得ないのだ、われわれはそういうふうな主張に聞いておる。ところが、そのことに対する提案は何もないのですよ、この国会に出てくるものは。そうしてぱあっと、構造改善事業だから、おやりになることはけっこうでしょうが、この前の新農村建設事業なんかいいものだということで、みんな——ところが、ネコもしゃくしも有線放送、そうして通信法や何か、逓信関係の法律までも改正して、あの有線放送を各所に行なわれた。ああいうことを最初皆さんは所期したのですか。期待したのですか。ああいうことで新農村が建設されたというのですか。そういう意味で私は心配を持つのです。ほんとうに本腰を据えて、ほんとうに計画があって一億一千万ずつこれらの金を使ってやっていく。ある力点を置いて、一億五千かかるところは一億五千かけるのだ、こういうことでやっていくんだということなら、ほんとうに将来の計画まで立てた成算がなくちゃいかぬでしょう。見通しがなくちゃいかぬでしょう。これからまず二、三やってみる、それによってだんだんだんだん考えていくのだというふうに聞こえるような御答弁は私は容認しない。原則的に農業基本法に基づく施策というものを展開してもらわなくちゃいかぬ。それが集散地形成とか何とかというようなことにすりかえられて仕事が行なわれる。そうして基本になる農地問題の解決というものは何ら積極的な前進も見られない。私は非常にその点に不信がある。だんだん聞いているというと、そんなこと言うた覚えない、それは研究の段階の途中の段階だとおっしゃっておるようですが、少なくともあの選挙戦を通じて国民に公約し、テレビその他をもって各般に宣伝をしたものが、今とてもそれはむずかしいからよそのことでやっていくんです、そんなわけにいかぬじゃないですか。やっぱりほかのことをやるにしても、この改善事業というものは、その部落なら部落における農地問題を解決していくということに力点を置かなくちゃいかぬのじゃないですか。そうしたらやっぱり法律的なものが、いろいろな法律を総合したようなもので、何か法律的な根拠がなかったらできないことでないでしょうか。  まあ、これだけでやめます。いずれ——途中で打ち切っておきます。
  146. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 先ほどの私の御説明がやや不十分であったようで誤解があったかと思うのでありますが、私ども農業基本法で定めてあります構造改善といった事業を総合的に実施するということになりますれば、あの各関係の条項に書いてございますように、農地保有の合理化ももろん必要でございます。また、それと相関連をいたしまして農業経営の近代化あるいは機械化とか、そういう生産性の高い、収益性の高い農村あるいは農家を作り上げていくということが、要は構造改善ということであろうと思います。で、二十一条では、その事業を総合的に実行するための施策の展開の方法について規定があると思います。で、今年度から十カ年をもって始めようとしておりますいわゆる構造改善促進対策事業と申しますのは、広い意味の二十一条の構造改善事業の一翼をになうものである。あれが構造改善の全部ではないと私は思います。しかし、基本法に書いてあります構造改善のいろいろの目標を、なるべくその村の実情に即して実現するためにあの事業が展開さるべきことももちろんでございます。で、当面、構造改善事業というものを一つの単一の事業というふうに理解して構造改善事業法といったようなものを書くよりも、私どもが現在一番基本法の執行上、法律上、法律として一番ほしい法律は、農地法の一部改正と農業協同組合法の一部改正でございます。もちろん構造改善はそれだけで十分とは存じませんけれども、当面、一番必要な法律措置としてはその二つをなるべく早く法律として御制定いただきたいという気持でございます。なお、それだけで十分でなく、総合的な構造改善事業という、ちょうど土地改良事業という事業が一つの事業として、制度として取り上げられていると同じような意味合いで、構造改善事業という総合的なとらえ方をして、その事業法といったようなものを書くことによって、土地改良法を含めたもっと広い事業法といったようなものも十分今後研究していくべきものであろうと、さような趣旨でお答えを申し上げたわけであります。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ、答弁があればまた聞いていきたくなるんですね、いつまでたっても切りがないけれども、たとえば今言うたように機械化するんだ、有畜化するんだ、生産を高度化するんだ、しかし、そういうことを幾ら言い、幾らやってみても、所得倍増の精神からいえば、他の鉱工業部門との格差が開いていくということだけは明らかなんだ、限界がある。たとえば機械を一つ入れるにしても、報告にもあるように、耕耘機そのものを百万台も入れて過剰投資だといわている。ところが、小型耕耘機でなければ仕事ができないような土地の形成なんです。それを構造改善事業というなら、その土地の所有はどうであれ、あるいは共同作業ならば共同作業やるように、それは土地の交換というようなことを行なう。あるいは共同化といいますか、協業化というようなことを進めて、その上に乗せるという基本のところをえぐっていかなくちゃ、この構造改善というのはただ総花にしばらくの間金が出てきて仕事をやっていただいたというだけに終わることをおそれる。だからもっと根本をえぐってやっていくんだ、やれるんだということで、それは農地法の一部改正もよし、農協法の一部改正もいいが、足らざるとするところを法律的なもので出していく。そうして積極性を示してもらいたい。何をやるのかわからないということに手づかみで金を出すように思われる、こういうようなことは私は問題ではないかという意味で申し上げているんです。まあ、今後あなたのほうも法律化すべきものは法律化するという御答弁もありましたから、これだけにしておきますが、大臣にこの問題は何としてもやはり基本的なお答えを願っておきたいところです。まあ、資料について聞いたのが横へすべったのですが。
  148. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  149. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして下さい。  本日、議題になりました両案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時八分散会