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1962-03-06 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月六日(火曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            東   隆君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            温水 三郎君            藤野 繁雄君            大森 創造君            北村  暢君            清澤 俊英君            天田 勝正君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局管    理部長     丹羽雅次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○開拓融資保証法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案(閣法第三号、予備審査)を議題といたします。  本案につきましては提案理由説明及び補足説明等はすでに聴取いたしております。  それではこれより本案質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 北村暢

    北村暢君 私はまず補足説明にもあったのですが、開拓営農振興審議会答申案が示されておるようでございますが、この答申案を受けた政府態度について質問をいたしたいと思います。  この答申案相当開拓の根本的な問題と既入植者の現状における振興対策二つから分かれているようでございますが、まずこの開拓の今後のあり方の問題について答申案相当基本的な答申をしているようでございます。それで内容的には畜産の拡張に伴います飼料消費の増大による国内資源開発という点からいって、今後の農用地開発ということは非常に大切である。それからもう一つは、農業構造改善根幹である生産基盤拡大、こういうことについての開拓使命というものは非常に大事である。それからまた、開拓農業構造改善というものは、なかなか既存農家構造改善ということは非常にむずかしいけれども開拓の場合に構造改善というものがやりやすい。したがって、今後の日本農業構造改善先達となることが、先達としての任務をになうという点からいって、開拓というものの今後の意義といいますか、あり方というものについての重要性というものを主張せられておるようでございますが、これについて、私どももこういう考え方については、非常に賛成なんでありますけれども、一体、この答申についての精神について農林当局としてはどういう検討がなされ、また、この趣旨を了とせられるのか、また、それについてこの今後の開拓計画というようなものについて、どの程度の作業が進められているのか、まず、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  4. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓審議会に対しまして、農林省として二つ角度から諮問をいたしたわけでございまして、第一点は、今後の開拓はいかにあるべきか、第二点は、現在入っております開拓農家振興対策はどうあるべきかという角度からお諮りをしたわけでございますが、第一の点につきましては、ただいま北村委員からお話しのとおり、今後の開拓意義というものにつきましては、食糧事情は著しく緩和したが、国内資源開発はゆるがせにできない。それから、構造改善根幹として、生産基盤拡大にあたって、開拓の持つ使命は重大である、開拓構造改善事業先達としての任務をになうものである。したがって、現在政府考えておりますところのいわゆるパイロット方式によりますところの開発一つ考え方ではあるが、もう少し積極的にものを考えたらどうか、こういう御趣旨答申と私どもは了解をいたしておるわけでございます。ただ、この答申にもございますとおり、在来開拓は、御承知のとおり農地を国が取得いたしましてその上に建設工事を行ない人を入れるという形におきまして開拓考えておりましたが、この調査会におきましても、そういう方式につきまして、開拓を取り進めていく上につきましては、お手もとにございます開拓答申書の三ページの中ほどにございます(二)に「開拓地の取得については、買収価格の問題とも関連して種種困難な問題がある。」「これについては今後とも引続き検討することとしたい。」こういう答申に相なっておるわけでございます。したがいまして、農林省といたしましては、この趣旨を体しましてなお大いに検討はいたす所存でございますが、とりあえず三十七年の問題といたしましては、三十六年度から着手いたしましたところの開拓パイロット方式、つまり相対で地元農家構造改善に役立つように未墾地利用していく、そしてその利用の仕方といたしましては、果樹、畜産というような成長農産物を対象といたしまするような開拓計画に対して、国が総合的な助成を行なうという内容を持ちますところの開拓パイロット事業を大幅に充実して参る、こういう態度で進んでおるわけでございます。
  5. 北村暢

    北村暢君 そのやる方式については、そうでしょうけれども、お伺いしたいのは、第一点の今後の農業考えた場合の飼料面生産というようなことからいって農用地開発が重要だと、こう言っておるのですが、これについては、根本的に、今農地潰廃というものが相当進んでおるわけですね。年間相当のつぶれ地というものが出てくるのでありますけれども所得倍増計画等を見ましても、この現在の約六百万町歩農用地というものは十年後においても六百万町歩程度で、今後の農用地造成というものはつぶれ地を補う程度ではないか、こういうふうに感ずるのですが、私どもは、そうじゃない、もっと農用地として今後大いに開発できる余地というものはあるのだ、またやるべきだ、こういういふうな主張を持っているわけです。したがって、お伺いしたいのは、そういう今後の開拓の形としてパイロットをやっていくのも何もいいんですが、その根本の方針としての農用地開発のための計画というものが、今後相当思い切った農用地拡大という方向にいくのか、つぶれ地を補う程度のものでいくのか、このことの基本的な考え方、これをお伺いしておるわけなんです。したがって、これは相当今後の農業開拓方向について非常に重要な問題だろうと思うのですが、いろいろこう予算等を見せていただきましても、当面のことはわかるのですけれども、当面やっていることが、一体どの程度の基本的な計画に基づいて当面の開拓というものが進められているか、あるいは調査というものがされているか、これがちょっとわかりませんので、根本的な開拓に対する、答申にもあります今後の農用地拡大というものはそういう方向までいかなければならないんじゃないかという感じがしているんですが、その点についての根本的な考え方、これをお伺いしたいと思います。
  6. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 所得倍増計画につきましては、御指摘のとおりこの十年間に約二十一万町歩潰廃が田畑についてあるであろう。したがって、三十五年度におきます耕地面積六百十四万町歩自力造成も含めまして六百二十一万町歩といういふうに見込みまして、御指摘のとおりおおむね潰廃をカバーする程度に見込まれておりますことは、御指摘のとおりでございます。それで今回の答申にもございますとおり、あるいは今後の基本法に基づきます需給見通しその他等の関連におきまして、この草地、草を植えまして畜産基盤造成いたしますところの草地をどのように今後造成して参るか。先ほどの所得倍増計画におきましては、三十万町歩弱草地造成しか見込まれておりませんところが、各方面の御批判等もございましたわけでございますので、農林省といたしましては現在畜産局農地局と一緒になりまして、草地改良可能地調査というものを、三十五年、三十六年度の両年にわたって実施をいたしておるわけでございます。この成果を待ちまして、草地としての造成をどのように今後考えて参るかということの態度をきめたいという段階でございます。
  7. 北村暢

    北村暢君 どうもはっきりしないんですが、草地造成のこの問題については、この答申案についても農林省行政機構責任分野が必ずしも明確でない、こういうことが指摘せられまして、この草地造成ということが今後の開拓の上において非常に重要だと思いますけれども、そういうことがネックになって、農地局のほうの所管なのか、畜産局のほうの所管なのか。今度の畜産局関係予算の中に、草地の問題は相当予算的にも取り上げられていることは事実でございますけれども、これを開拓観点から一体どの程度考えられておるか。今答弁のありましたように、所得増計画からいえば、つぶれ地を補う程度のものであるということで、その域を脱しないというふうに理解できるのかどうか。そこの点がどうもはっきりしないのでありますが、私どもは畑地には百万町歩、さらに草地造成並びに放牧採草地を入れれば二百万町歩開発可能である。こういうことによって自給飼料という問題等関係からいっても、相当今後、輸入に仰いでいる飼料というものを、選択的拡大方向に即応するために、開発というものは当然やるべきだ、こういうふうに考えておりますけれども池田総理等答弁からいくと、従来の既存農家ですらなかなか農業所得というものが上がらない。そういうような状態の中で、より条件の悪い高冷地等における開拓というものは、なかなか簡単にはいかない。したがって、この農地造成というようなことについては、今後、やはり根本的に考え直して、つぶれ地程度農地造成は、干拓なり、あるいは開拓でやっていくけれども、積極的な開拓というようなことはやらないんだというふうな答弁がなされているわけです。したがって、私ども考え方と、だいぶその点について開きがあるのですし、今度の答申案に基づきましても、そういう積極的な草地造成なり、さらに構造改善という面からいっても、開拓意義というのは大きいのだと、こう言っておるのでありますから、私どもも、そういうふうに理解しますし、そういう点からいって、この農用地造成という問題について、所得倍増計画の、つぶれ地を補う程度、こういう方針でどうしてもいかれるのかどうなのか。これを踏み切って、もっと積極的な開拓ということを考えられるのか、どうなのか。これをもう少し明確に答弁していただきたい。
  8. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓の持ちます使命に、先ほど来いろいろ御指摘のございました構造改善に役立つ面、農家経営拡大近代化に役立つ面、この面としての開拓につきましては、私どもパイロット事業として手をつけてありますところの既農家がもよりの未墾地利用する、それを開発して、利用して、既存経営拡大して参る、こういう角度において、利用し得る限り、近くの未墾地利用すると、こういう方式におきます事業を推進して参りたい。これが構造改善との関係におきます開拓あり方であろうかと、かように理解いたしておるわけでございます。  もう一つ開拓につきましては、国民経済的な立場から、まだ日本畜産飼料基盤その他が弱い。そういう角度から、未利用地資源的な角度から利用いたしまして、飼料基盤を強化して参る、こういう立場開拓考えるべきであるという観点からの意味づけ、価値づけも、答申のほうには出ておるわけでございまして、その問題につきましては、先ほど申しましたとおり、所得倍増計画でも、草地見方は少な過ぎるのではないか、もう少し考え直してみたらどうかという御批判等もございまして、資源として、国内で、草地として利用し得るものをもっと草地として利用する立場に立ちまして、その可能性のある地域を調べようということにつきましては、三十五、三十六から調査に入っておるわけでございます。  そうしてもう一つ指摘のございました行政あり方といたしましては、農地局開拓畜産局草地造成という角度からものを取り上げております点は、まさしく答申でも責任分野が必ずしも明確でなく、したがって、法制及び助成体系にも不備があるように考えられるという御指摘があります点など考えまして、三十七年度からは、大規模草地造成事業農地事務局を通じまして、開拓と総合してものを考える。今後の御審議を願う問題でもございますが、農地事務局関係では、飼料草地関係の部局も強化いたしまして、両者を総合して進めてもらいたい。大規模草地造成事業は、三十七年度から公共事業といたしましたのも、そういうふうな観点で、できるだけこれを総合いたしまして、構造改善という角度よりやや国民経済的な立場に立ちまして、飼料基盤造成という角度から、資源を、有効に草地のために拡大するという方策において進んで参りたい、かような考え方でございます。
  9. 北村暢

    北村暢君 今のパイロット方式で、既存農家の周辺で、構造改善のために役立たしていく、これはその指摘のとおり、それはそれでいいのですけれども、この答申にもありますように、それだけでは不十分なんで、思い切ったやはり国の積極的な開発というものをやるべきだ、こういうことが答申に出ているのですよ。だから今その点について私は質問しているのでありまして、政府が今後、相当条件の悪いところで、高冷地で、思い切った機械化をされた、今後の構造近代化された農業というものを、開拓によって生み出していくという思い切った国の施策でもって、奥地集団開墾というものをやるべきじゃないか、こういう答申が出ているわけです。ですから、その点について、所得倍増計画草地造成等の問題も、御答弁ありましたけれども、そればかりでなしに、今日、飼料としての麦は、相当輸入せざるを得ない。そのほか、とうもろこしその他も相当輸入しているわけですから、飼料が不足していることは間違いない。したがって、草地ばかりでなしに、濃厚飼料としての今後の自給度を高めていくという点からいっても、今日の麦作なんていうようなものは、全然飼料作物としての作付体系にはなっておらぬ、そういうような意味において、今後の大型機械による飼料を作っていくという点からいけば、この答申にあるような、思い切った政府奥地開発というものが必要じゃないか、こういうふうに受け取れるのですけれども、そういう点について、私どもは少なくとも百万町歩ぐらいあるのじゃないか、こういうふうに推定されている。これは農地白書からも、一応かつて検討されている面ですね。ですから、そういう点について、そういう思い切った開墾というものを、今後やる意思があるのかないのかということを聞いているのであって、どうもそこのところをぼやかしているようなんですが、今後検討するならするでもいいのですがね。結論が出てないなら出てないでもいいのですが、それがぼやかされるというと工合が悪いのですよ。私の聞いているところ、おわかりだろうと思うのですが、なかなか答弁技術がうまくて、そこのところをはぐらかすんですよ。そこのところをはぐらかさないで、答弁してほしいと言っているのです。
  10. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 実は、今後の開拓あり方につきまして、開拓審議会で非常に御議論がございました。その御議論のうちで一つの最も強い、強いといいますか、積極的な御議論は。未墾地を大々的に国の手で開発する、人をどんどん入れて、そこを開発したらいいではないか。今御指摘のとおり、穀物でも百パーセント自給しているわけではないじゃないか。ことに飼料考えれば、どんどん人を入れて、どんどん開発したらいいではないか。そういう御意見と、それからやはり農業人口がだんだん減っていく。そうして国民経済的にもあるいは生産性角度等から考えまして、非常に、あまりに未利用地にそういうことをやることは、少し無理ではないかという御意見と実は二つございまして、で、この答申におきましては、最終的に処理されました私どものこの答申に対する理解といたしましては、必ずしも未利用地に対して、大々的に開発して、大々的にこれを入れろという御趣旨とは実はこれを読んでおらないわけでございます。答申に対します私ども理解といたしましては、地元の申請によってだけ政府が発動していくということは、あまりにも受身であり過ぎる。したがって草地高度利用の見地から、草地造成角度から国が積極的に活動をいたして、地元計画を示して、こういうようにやってみたらどうかというような立場から、国が開発を必要と認めた未利用地については、国みずからが基礎調査開発計画の概要の提示等を行なって、地元考えに資したらどうか。さらにそれが地元が大いにやろうという段階におきましては、道路というような幹線の工事は国がみずからやったらどうか、こういうような実は御趣旨と私ども理解いたしておるわけでございます。したがって、先ほど来申し上げております問題といたしましては、草地、もちろん飼料作物もございますが、そういうものは適地調査いたしまして、そういう角度に立って計画を立て指示する、指示するといいますか、提示する、こういう立場でこの国内資源開発なり飼料基盤の確立などを考えて参りたい。そのためには現在のところ、過去におきますいわゆる開拓におきます調査でございますが、新しい情勢下におきまして、飼料基盤造成するという立場からはやや不十分な点がございますので、調査を再度繰り返しまして、その結果によりまして、適地がございますれば答申の線に沿ってその利用化を進めて参りたい、今それが何百町か何十町か、どこにあるのかという点につきましては、目下調査中の段階でございます。適地につきまして調査中の段階でございます。そういう趣旨で申し上げておるつもりでございます。
  11. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 簡単に二、三点お尋ねいたしますが、北村委員質問と若干関連する点もあるんですが、私は前に、伊東農地局長時代に一、二度質問したことがあるのですけれども畜産局でいわゆる草地行政、あるいは牧野改良という仕事をやっておる、そういうやり方を踏襲することは一体いいのか。もしそのことが正しいとすれば、少し極論になるかもしらぬけれども、食糧庁で米の増産をやるということと同じことにつながってくるじゃないか、畜産局草地造成というようなことをやるよりも、いかにして自給飼料供給度を高めるかというだけで必要は満たされるのであって、その基盤を作るというような仕事農地局で一元的にやったほうがいいのじゃないか、こういうことを何回も申し上げたことがある。私はそういう思想にも立って、今の畜産局草地造成やり方では、非常に実態に合わない点もあるから、まず草地造成公共事業にしたほうがいいということを与党で強く押して、三十七年度予算から基盤整備という中に、大規模草地造成等を含む体系を一応作った。そのときの農地局長答弁は、草地はいわゆる草地であって農地ではない、こういう見解に立っている答弁があったのですが、私はそういう考え方自体が間違っているじゃないか。今後の日本のいわゆる自給飼料をできるだけ生産性の高いものにしていくという考え方をとるならば、当然肥培管理ということがあるはずだ、その肥培管理があるという実態をとっていくらなば、それは農地じゃないか、その農地造成農地の上に草を作るか、あるいは青刈の穀物飼料を作るか、どういうことが最も有利であるかという見解に立って、少なくとも生産性を高めるという意味合肥培管理をやる。草地に対しても肥培管理をやるという考え方が当然とられていいのじゃないか。そうすれば必然的にそれは農地だ、農地なら農地局開拓行政の中で一元的にやったほうがいいじゃないか、こういう見解を何度か述べたことがあるのですが、きょうは、ほんとう畜産局長農地局長質問したかったのですけれども管理部長としてどういうお考えを持っておられるか、農地局として。あるいはそうした問題について、畜産局十分協議せられたか、せられたとすれば、現在の時点でどういう意見がそれぞれ出ているか、その点について御答弁願います。
  12. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 泥に作物を植えまして、肥培管理を繰り返して参りますと、それは農地になるという意味におきましては、私どももそのように理解をいたしておるわけであります。ただ問題は、畜産局等といろいろ打ち合せをいたし、私どもが一番目的に合うように考えたいと思っております問題は、これは農地だから農地局だというような立場では、あまり考えることがはたして適当であるかどうかという疑問を実は持っているわけであります。と申しますと、酪農にいたしましても、肉にいたしましても、新しい形の非常に進んだ農業でございまして、その生産品がうまく有利にさばけるということの配慮なしに、言葉をかえますと、社会経済的な条件の十分な吟味なしに草を植え、飼料作物を植えて家畜を入れるということは、過去の開拓史におきましても失敗の例もございまして、酪農なら酪農がそれぞれうまく循環いたしていくのかどうか、生産されたものと消費圏との関係はどうなるかというような角度と総合されて草が植えられ、草地なり飼料畑造成される必要があろう、こういう立場でございますが、特に畜産局との話し合いにおきまして、一番大きな観点の相違は、そういう経済条件というほうに重点を置くか、物を作るという角度重点を置くかという問題であったわけでございます。したがいまして、三十六年度からは、畜産局計画を立てるものは、農地局に技術的な立場から協議をしてもらう。それから農地局等で、いわゆる開拓等で、そういう問題の活動に手をつけるような場合には、畜産局十分協議をいたしまして、社会的な条件の問題、あるいは主産地形成畜産局におきますいろいろな考え方との調整の問題、それらの問題は両局の協議によって、片一方は技術的な立場から、土木技術の面がだんだん大規模草地改良になりますとウエイトが上がって参りますので、そういう角度から協議をして参ろうということを三十六年度はきめたわけでございます。三十七年度におきましては、櫻井先生からお話しのとおり、畜産局在来高度集約牧野、五町、十町をやっているうちは、あまり問題ございませんが、大体、大規模のものをやって参りいたという実情がだんだんふえて参りましたので、大規模なもの等に着眼いたしまして公共事業としてこれを扱うと、したがって、公共事業として扱います関係上、その事業の技術的な審査その他は当然、農地事務局で目を通さないと、かえってちぐはぐになるという言葉で、予算の流し方の問題あるいは審査問題等両者の密着をより確保するために、できますならば三十七年度からは農地事務局草地改良をつかさどる課を作りまして、両者の流れ、意図が一本にそこでまとまると、こういう立場からこの問題を逐次本来の目的に一番沿うような形に実行がされるようにという角度考えておりまして、予算の流し方、事務局におきます草地改良をつかさどる課の設置という形を通じまして、今の御指摘の点についての調整をはかっていきたい、かように考えておる次第であります。
  13. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 今の部長お話しで私は、相当の努力と若干の進歩は認めます。がしかし、草地造成という言葉を使ったにしても、やはり一元的な開拓という見方で見るのが、今後の畜産基盤造成していくためのほんとうあり方じゃないか。これは開拓じゃないんだと、従来やっているのが開拓なんだ、こういう考え方がやはり底流をなしておるように思うんですが「その点はいかがですか。
  14. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 私どもも反省いたしておりますし、答申等でも非常に強く言われておりますことは、やはり今後の開拓成長農産物、特に草地を中心にあり方を進めるべきであるという考え方がだんだん強くなっておりますので、在来開拓在来開拓とは何か、非常に問題があるわけでございますが、少なくとも、ともかく土地を耕して人に就労の機会を与えるという角度からの開拓であり得ないわけでございまして、どうしても草地、必ずしも草地というのを草に限定いたしませんで、飼料作物を含めました飼料基盤造成という角度開拓のほうも歩み寄らなければならない、かように考えておる次第でございます。したがって、私ども櫻井先生の御指摘のような立場考えておるつもりでございます。
  15. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 この問題について、また畜産局長農地局長にも伺いたいと思いますので、一応この程度にいたしておきます。  ところで、いわゆる開拓三法の改正案をわれわれが審議したときに、衆議院のほうにおかれても、それから当委員会においても、それぞれ附帯決議をつけて可決したはずです。参議院の附帯決議は、政府開拓営農振興審議会にはかり、すみやかに開拓の基本方策の確立をはかることとし、さしあたっては開拓営農振興策の刷新強化に努め、特に開拓者の負債の実情を明確にして、これが整理に関する抜本的な措置を考究すべきである、こういう附帯決議をつけておるのでありますが、この附帯決議に対して、政府においてはどういうふうに考えておられるか、また、どういう努力を尽くされたか。それについて若干お答え願いたいと思います。
  16. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 三十六年の三月二十四日に開拓融資保証法の一部改正に際しまして、今櫻井先生の御指摘のとおり御決議をいただいたわけでございます。開拓三法に基づきまして、開拓者の金融制度に全面的検討を加え、これが根本的な改善をはかるという立場におきまして、目下三十五、三十六、ことしの本年の三月末を目途にいたしまして、政府資金につきましてはこれを個別化する。在来組合の転貸しでございましたものを個別化いたしまして、個別化にあたりまして、金の貸せるか、貸せないかを個々に判断をいたしまして、あらためて個人別に条件を設定いたしているわけでございます。で、三十五年度におきましては、千二百八十六組合を選びまして、三万七千二百三十五戸を対象にいたしまして、あらためてその能力との関係で据置期間等を設定をし直しているわけでございまして、三十六年度は目下執行中でございますので、両年度を通じました最終的な見通しは持ち得ませんが、三十五年度の実績から判断をいたしますと、対象になりました負債額が約五百五十億でございますが、その中で四十億程度のものが五年据置十五年償還という形の借金に組みかえられたわけでございます。五年据置十五年というのは、支払い能力が一番弱いグループでございます。それから支払い能力がまだあるグループにつきましては、据え置きなし十五年の償還というというものが三千五百万円でございましてこれは非常に少ない……。失礼いたしました。これは最初五百億と言いましたが、対象になりました提示額は五十億でございます。そのうち確認済みが四十八億でございます。そうして確認済みのうちで条件緩和の対象になりましたのが四十億八千万円でございますが、そのうち四十億が五年据置十五年償還に組みかえられたわけでございます。で条件緩和の対象にならなかったものは、約七億でございまして一六%程度でございます。それでこれと並行いたしまして、公庫、中金等においても各金融機関としての債務の確認を並行してやっているわけでございます。ただし答申におきましては、これはこれで相当の対策を講じた結果になると思うが、さらにこの答申の中におきましては、開拓者をさらに卒業生と、一そうの振興をはかる者と、それ以外の者とに分けて考え立場答申はとっておりますので、これを実行する過程におきましては、必要がありと認めれば、条件緩和の措置で不十分なものにつきましては、もう少し検討してみたらどうかと、こういう御趣旨答申が出ておるわけでございます。
  17. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 開拓営農振興臨時措置法の施行令の第六条、「利子補給に要する経費の補助の期間」という項目で、「法第三条第一項の規定により政府が都道府県に対して同項の利子補給に要する経費の一部を補助する期間は、同項の営農改善資金の貸付後五年間とする。」という施行令の第六条の規定があるのですが、ちょっと私実はこれはいつからいつまでになっておるかはっきりしないので、この点ひとつお答えいただきたいと思います。
  18. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓営農振興臨時措置法の三条の規定によります資金と申しますのは、法律にもございますように、営農改善資金といわれるものでございます。この営農改善資金といわれますものは、本来は開拓者に対しまして天災融資法で貸しました金が、天災融資法というものは、御承知のとおり、五年以内、実際は三年で運用されておると思いますが、非常に短期の災害対策資金でございますので、開拓者にとっては、これではなかなか災害の借金が、災害が重なっております場合には非常に無理があろうということで、二十七年、二十八年等の大災害等を契機といたしまして、この法律ができました三十二年にこれを営農改善資金というものに借りかえるということにし、法律では十年以内で借りかえることのできる措置をきめたわけでございますが、政令では利子補給の期間を五年というふうに定められておるわけでございます。そこで、この法律に基づきまして借りかえを行なった一番早い組合は、三十二年の六月にできました法律でございますので、三十三年の三月末に借りかえた組合がごくわずかでございますが、一番早いわけでございます。これが五年目を終わります時期は、三十八年の三月末に一番早い組合がその時期にぶつかるわけでございます。いつ切れるかという意味での御質問でございますれば、したがいまして、三十八年の三月末に現行法、政令に基づく利子補給は切れると、こういうことでございます。
  19. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  20. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を始めて。
  21. 天田勝正

    ○天田勝正君 いずれ本審査になって、大臣か政府委員が多数出た際にまた大方針についてはお伺いすることにいたしまして、きょうのところは、事務的なこまかい点を御質問しておきたいと思います。まず、お伺いしたいのは、私の調べではなかなか開拓者は自立経営が不可能な状態になっておるわけですが、問題の根本は適地開拓地として指定するかしないか、ここにまずさかのぼらなければならないと思います。そこで既住及び将来もそうですが、ちゃんと農林省においてはこれが開拓地であるといって指定する場合には、将来営農が完全になし得るという土質調査から始めてこの環境整備、たとえば水路であるとか、道路であるとか、そういうところまでちゃんと調査をしたものを指定するのですか、どうなんですか。
  22. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓の制度は、戦後非常に時期を追いまして変わっておりまして、終戦後から昭和二十四年ごろまでの間は、いわゆる緊急入植という事態がございまして、もちろん利用できる土地を探すという角度で、急激な引揚者の収容、都市戦災者の収容という角度で、ともかく手に入る土地を探すという角度が強かったわけでございます。それで、御承知のとおり、そういう形でやられますと、営農に向かないことになりますので、昭和二十四年に開拓地適地調査基準というものを作りまして、二十四年からはその調査をすると、その調査におきましては、傾斜度とか、気温とか、土壌とか、用水というような角度からこれを調査をいたしまして、砂礫の度合いというようなものを調査いたしまして、適地を選んで入れる。で、現行農地法ができました際には、それを法律上の基準、政令上の基準によってこれを取得を行なっておる次第でございます。
  23. 天田勝正

    ○天田勝正君 つまり、その土質調査だけからすれば、根釧原野のごときはそういう土地ではないでしょうが、これに最近の技術を加えたならば、けっこうこれが利用できる。あるいは交通を整備すれば、そういう土地であっても営農が可能である、こういうようなことになると思うのです。そこで、私が質問しておるのは、戦後早々においてはまず説明のとおりいささか調査不充分で入れたろうけれども、その後においては十分調査済みなんだからして、政府の施策のよろしきを得るならば、ちゃんと自立できると、こういう確信のもとに入れているのか。また将来は、むろんそういう万全の調査の基礎の上に増反なり、あるいは入植なり、そうさせるのか。端的にお答え願いたい。どうです。
  24. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 昭和二十四年以来、今申しましたように、自然的条件調査ということにつきましては、相当進んだと私ども存ずるわけであります。なお静かに反省してみますと、先ほどの酪農との関係でも申し上げましたように、社会経済的な調査というものの吟味が十分であったかどうかという点について、一つの反省があるわけでございます。物は作って売らねばならないわけでございましょうから、作ったものが売れるという角度は、社会的な経済的な条件、これを一そう取り入れてやらなければならない。これらの点において、昭和二十四年以降におきましても、欠けるところがなかったかどうかという点につきましては、率直に申して静かに反省すべき点であろうかと存じておるわけでございます。で、現在におきましては、ことに私どもパイロットという角度におきましてこれから先進めております考え方におきましては、ともかく関係する人が、自分たちが何を作ろう、それから何を売ろうと、そういう御計画地元の意思として出て参るという部分につきましては、地元の意思として出て参る以上、相当そこにおのずから社会的経済的な条件についても、地元自身での御判断も働くであろう。と同時に、私どももそういう角度から土壌、土質という自然的条件のみならず、その点について十分念を入れて審査をいたしまして、自然的条件からだけでなく、社会、経済的条件からも不振とか、所期の営農の振興が達成できないような事態に陥らないように十分注意をしたい、かように思って現在仕事を進めておるわけでございます。
  25. 天田勝正

    ○天田勝正君 不十分な点があって、反省すべき点も今考えればある。それならそれで私は答弁としては十分だと思う。私はこの際、政務次官がおられるから、警告を申し上げておくんですが、なかなかわれわれの先人というものは、経験に基づいて賢い措置をとっているのでありまして、たとえば私の埼玉あたりをもし関西の人が歩けば、いまだ平地林がたくさんあって、幾らでも開墾できるじゃないかと、簡単にこう言うのです。ところがほとんどそれらというのは、明治初年のあの富国強兵、殖産振興という旗じるしのもとにみんな手をつけているのですよ。だから今でも埼玉の風致林に行きますと、ときどき茶の木なんか見出す、その当時茶畑にしました。これがだめなんです。そしてもとのとおり平地林になって、今度は戦争になって、それを切っ払って、飛行場が埼玉ぐらいよけいできた土地はありません。飛行場ができた結果はどうなるかというと、その付近が早魃になる。これだけ平地がだだっ広くありますと、ところどころに平地林のごときものがないと、そこ自体よりその周辺が早魃になってしまう、既存農地が。そういうことで、かつて私どもが五十年間中仙道筋でも、深谷あたりというのは水害がなかった土地だ。ところが、その平地林を全部切り払ったために、戦後しばしば高崎線が流されて不通になったりしたことがあります。そうして大規模な排水を、おそらくそろばんにも何にも合わないようなことをやって、ようやく今日救っておる。こういうことでありますから、さっきのような質問を私はしたくなるのです。単なる土質調査だけではないし、むしろ周辺の草木ということでプラス・マイナスしたらどうなっているかわからないというようなこともあるので、さらにまた僻地に入れたために、先般来南米移民のうちでもずいぶん問題になっておりますけれども、今これは始まったことではない。調査不十分で入れたために、結局満州の棄民のごときものになってしまう。こういう例も内地だって現に起こっておるんだし、将来もぼやぼやしておると起こる。こういうことでありますから、この点は注意を喚起いたしておきます。  次にお聞きしたいのは、開拓者の耕地利用ですが、これを調べてみますと、まず豆類、麦類、イモ類、これを合わせて四一%であります。これはいずれも先の暗い作物、そこで単位面積当たりの収益の上がる果樹であるとか、蔬菜であるとか、そういうものを見ますと、果樹においては三%、蔬菜においては六%という始末なんです。これだからなかなかうだつがあがらないということが、私ははっきりすると思うのです。収益のあるほうはごく少なくて、収益の上がらないものをよけい作っている。これは一つには、やはり僻遠の地にどうしても開拓地が設定される、そこにあると思う。しかし、便利な所には開拓地はないのでありますから、事態はやむを得ない。事態はやむを得ないが、それを救う道は絶無ではない。ですから、開拓地に対する環境整備と交通の便、つまり生産品の流通が円滑にいくように、農林省はどういう措置をとっておられるか、ここが問題だと思います。この点については、どのようなことを今まで講じられたのか。まあ講じなければ、今後どう対処されるのか、いかがですか。
  26. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御指摘のとおり、開拓行政が戦後の困窮から、ごく最近まで、四国を中心にいたしまして、どちらかといいますと働き場所を作るという形で行なわれました関係上、資料等におきましても、既入植者の作付の面積の割合におきましては、水・陸稲、麦、雑穀、豆、イモ等のウエイトが非常に高いわけでございまして、これではなかなかその時代におきまして、多額の合理的な収入を得て、家計を、経営を安定させるということについては不十分であるということで、三十二年からは新しく入れる者につきましては、果樹、酪農を中心とします新しい形態で入れるように、類形を整理いたしまして努力中でございます。で、御質問生産物の流通についてどういう指導をしておるかという点につきましては、結局、現在は、開拓者は開拓農業協同組合を作りまして、この組合を通じまして生産物の処分をはかっておるわけでございますが、答申にもございますとおり、開拓農協はなかなか人手も少ないし、組織も弱体なものが非常に多いわけでございます。私どもといたしましては、そういうものの経済事業につきましては、極力、総合農協を利用して、もちろん開拓農協の中でりっぱに販売、購売事業をやっておりますものがございますが、それについては問題がないわけでございますが、これらの点について弱いものは、総合農協の販売、購売事業利用して、いつでも流通関係の合理化がはかれればという気持でやっているわけでございます。
  27. 天田勝正

    ○天田勝正君 既存開拓農家につきまして、まず営農の確立した農家の数でもパーセントでもよろしゅうございますが、それが何ほどあるか。それから、将来、いろいろ営農改善に農林省においても努力されると言われるのですが、そこで、営農がいまだ確立はされておらないけれども、しかし確立し得る要素があって、そこで、これに対策を講ずれば十分自立経営がなし得る、こういう農家が何ほどあるのか。今言った営農確立と、ちょっと施策を講ずれば将来確立し得るというのを除いて、とても見込みがないという農家、こういうふうに三つになると思いますが、その三つのそれぞれの数ですね、数でなくてもパーセントでも、それがどういう比率ですか。
  28. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) まず営農の確立の問題に入ります前に、現状でございますが、現在、一応営農の確立とは何か、なかなかむずかしい問題がございまして、一応粗収入で開拓農家の階層別に実績を、戸数をとっておりますが、念のため申し上げますと、七十万円以上取っておりますのは、全体の戸数のうちで三%、七十万から五十万取っておりますものが七%、五十万から三十万円の粗収入を取っておりますものが二四%、こういうことで、その次に三十万ないし二十万のものが二六%、こういうのが三十五年度の実績調査から出ております。  それから今御質問のございました営農が確立しているか、あるいは確立し得る農家という問題は、あるいは答申の七ページに出ておりますところの第一類農家、第二類農家に関しての御質問でございますといたしますれば、実は答申では営農が確立しているという基準は、七ぺージの中ごろに書いてございますように、上記の営農確立とは次のものということで、「近傍における中庸程度の専門農家とほぼ同一の生活水準を維持し得る程度の所得水準」ということで、答申では営農が確立していると見るか、あるいはそこまでいき得るという意味におきまして、営農を確立し得るどいうふうに見ておるわけでございますが、御質問の御趣旨が、ここにいう意味で現在の既入植者十四万戸のうち、どれだけが第一類に入り第二類に入ると考えるかという趣旨の御質問でございますれば、実はこの答申にはこれを区分いたします基準につきまして、非常に抽象的に表現されておりまして、なお行政実務的にはいろいろこまかい点を詰めまして、その結果ことし四月から各種の調査テストを行ないまして、その割合を算定いたして参ろう、こういう段階でございますので、現在何割がこれに当たるという数字は、現在のところ持ち合わせておりません。
  29. 天田勝正

    ○天田勝正君 私はこの答申を見て質問をしたわけではない。したわけではありませんけれども、営農が確立しているということを、これを都会程度の生活というようなことにしょうものなら、農家全部がとても当てはまらないということになってしまうのですから、何せ一人当たりの所得からすれば、都会が一〇〇ならば、農家の就業人口一人当たりでいうならば、三一%しかなっておりませんから、そういうことをもってきたのではない。まあ、たまたま今説明を聞くというと、答申案にそういうカテゴリーがあったといいますが、私の想像したところでも、まあまあ開拓地の付近の既存農家と肩を並べられる、こういうところが確立したというほかにしょうがないだろう、いいというのではなくて、ほかにしょうがないだろう。しかし、それに少しく政府が手心を加え、施策を行なうならば、やがてそうなるというのを私は第二のことに言った。とてもこれは望みがなさそうだというほうを第三番目、その比率をどうですかとこう聞いたわけです。しかしそれはこれから調べるのであって、とても今のところは出ないのだといえば、これはもう答弁としては、それ以上求めてもやむを得ないと思います。しかし、そういう基本が調べられなければ、一体開拓農家をどうするのこうするのと議論するだけむだになると思う。でありますから、私は農林省において急速に御調査になるように要望をしておきます。私の見るところによれば、さっき粗収入について申されましたが、ところが上を申されたが、下のほうを申しますと、十五万円未満というのが二八%もあるのですよ。それで十五万から二十万が二〇%もある、こういう低収入の農家が約半数あるということなんです。これが問題なんです。そしてその半数でも収益率がきわめて高いたとえば東京近郊のように、稲は作るけれども、それは正月のお飾り用に稲のからを使うのだと、こういうことになりますれば、わずかの金額のようだけれども、これはおそろしく収益率は高い。ところがさっき私が指摘したように、開拓農家におきましては、豆だ、麦だ、イモだと、みんな先がもうつかえちゃって、いるものを四一%も作っておる。収益率の高い果樹だとか、蔬菜、蔬菜もこのごろは一向に収益率は高くはなくなっちゃったのですけれども、それにしても、単位面積当たりは金額は上げられる、こういうほうは三%なり六%なり、合わせたって一〇%。こういうことだから、粗収入が二千万円以下のところが四八%も全開拓農家のうちにあって、収益率がてんで低いものばかり作っておる。それはもう想像しただけでも餓死線上だということだけは私は明瞭だと思います。でありますから、これを何とかしなければならない、ここにやはりその一つ今度出ました法律の趣旨があります。資金をいささかでも潤沢に、三千万円くらいふやすのですから、あまり潤沢というほうには入りませんけれども、いささかでも多くと、こういうことだと思います。  そこでお聞きしますが、開拓農家がいろいろなルートを通じて金を借りておる、その借りておる平均が一戸当たり二十四万円、北海道では四十二万円にもなっておる、こういうことが私の資料にはあるのですが、これは間違いありませんか、農林省の調べでも。
  30. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 間違いございません。
  31. 天田勝正

    ○天田勝正君 間違いない。そうすると、この借金と粗収入とを比べてみれば、もう明瞭に、これは立ちいかないということだけははっきりすると思うのです。そこでついでにお聞きしますけれども、一般の農家のほうは一戸当たりどのぐらいの借金になっておりますか、開拓農家を除いて。
  32. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) ちょっと調べますが、農家経済調査によりますと、借入金は三十五年五万円、三十四年が四万五千円、こういう数字に相なっております。
  33. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは私が質問したような開拓農家を除いて、という数字じゃないでしょう。全農家の平均をやったでしょう。だから開拓農家既存農家とを対比するために、私は開拓農家を除いてといって聞いているのです。それはどうなんです。
  34. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 農家五百万戸に対しまして開拓農家十四万戸でございますので、平均におきます影響はあまりないと存じます。
  35. 天田勝正

    ○天田勝正君 その借金は既存農家のほうは五万円だ、それに対する粗収入のほうはどうですか。所得がわからなければ、粗収入のほうは……。
  36. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 同じ農家経済調査におきまして、これに見合います現金収入は四十七万、農業、農外含めまして四十七万二千円、そういうような数字に相なっております。
  37. 天田勝正

    ○天田勝正君 これはさっきの開拓農家のほうも第一種兼業、第二種兼業があって、それでさっきのような数字になったのでありますから、ここに収入において借金の量においててんでいったりきたり大へんの差がここにあるということだけは、何びとが考えても間違いない。そういう状況だから、より一そう私は資金を必要としていると思う。必要としているが、しがし借りられない。ここに問題があると思う。だから本来必要とする数字を出すならば、今回三千万円増どころのさたではなくて、何十億も必要とすることになると思います。そのネックがどこにあるかということを推定するならば、結局私は金利だと思うのです。そうして金利において手当てをしていくのが一番近道だ。ところが、私がよく引例しますけれども、日の当たるほうの産業には、昨年大蔵委員会で審議した財政投融資の中でも、一会社に一番よけい融資したのが過日本会議でも私指摘しましたが、アラスカパルプで、二十億の資本の会社に対して六倍の百十八億の資金を四分で貸しているのですね。これはいろいろな途中の費用は要らない。ところが開拓農家のほうをこの間出された資料で見ましても、どうしても九分になってしまう。いろいろな産業の中で一番目が当たらないのは農業、その農業の中でも格差があって、開拓農家というものが一番目が当たらない。一番目の当たらないほうは高い金利の金を使って、日の当たるほうは安い金利の金を使って、これで所得格差を縮めていこうなんていったところで、これはもう針の穴に象を通すことよりもむずかしいことだと思うのだ。こういう基本的なことで政務次官、あなたどう考えますか。
  38. 中野文門

    政府委員(中野文門君) お言葉のように、日の当たるところよりも日の当たらない階層に対する金利が高いということに相なりますと、それはそうあってはならぬと思います。
  39. 天田勝正

    ○天田勝正君 それで開拓農家に対していろいろな資金が入って、政府資金やら、改善資金やら、災害資金あるいは自作農創設維持資金、系統資金、農林漁業金融公庫、こういうようなものが入って全部含めて三百三十二億、そうしてそのうち政府資金、純粋の政府資金というものが百六十四億と承知しますが、この数字は間違いありませんね。
  40. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) そのとおりでございます。
  41. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、私がただいま例にあげた一会社でも百十八億、開拓農家は十四万戸に対して政府資金は百六十四億、一会社分と十四万戸と額のほうはそう違わない、こういうことになっているのですね。どうしても私はこれは河野さんにここへ出てもらわなければならないというのはここなんで、実力者内閣のしかも右翼にいる閣僚で、こういうおかしい数字はどうも承知ができなくなってくる。この点どうお考えですかね。
  42. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 百六十四億は貸付残でございますが、この絶対額は一般鉱工業と比較してのお話でございますが、私ども開拓者資金と申しますのは、これは新規に入ります人間が、三年間にその資本の装備をするための営農資金と、それから不振農家に対しまして不振を立ち直らすための資金でございまして、毎年三十億程度のものを貸付を年々いたしておるわけでございます。毎年三十億程度ずつ逐次出て参る金だということだけ申さしていただきます。
  43. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは大きな問題になってきますから、しょせん政府の大方針を伺わなければなりませんからきょうはやめますが、念のため申し上げておきますが、管理部長がおっしゃりたいことは、百六十四億というのは今の残で、その残はあるけれども、毎年三十億ぐらいずつ貸しているのだ、こう言いたいところだと思うのだ。ところがまるで別の数字をこっちは知っているので、アラスカパルプでも、私が引例した百十八億というのは、去年貸しただけなんです。残でいえばもっとうんとあるのですよ。だから日の当たるほうの残を言ったら、ほんとうは私が言うどころの数字ではなくて、その差たるや、ますます開いてしまう。ですから片方は全部でやろうという、片方は今現在でそれは上積みにしていくのでございますというような答弁では、てんで的はずれになりますから、御注意申し上げて、やめておきます。
  44. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) それでは、ここで休憩をいたしまして、午後一時半から再開いたしたいと存じます。    午後零時二十分休憩      —————・—————    午後一時四十八分開会
  45. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、開拓融資保証法の一部を改正する法律案(閣法第三号、予備審査)を議題とし、質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  46. 天田勝正

    ○天田勝正君 今承りますと、政務次官も衆議院本会議の都合上不在になるという話で、そういたしますと、委員長に伺いますが、参事官は政府委員に正式になってますか。
  47. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 説明員であります。
  48. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうでしょう。そうだとすれば、ますます私のほうは困るので、先ほど私が質問する途中において、本審査になったならば大臣に出てもらう云々と言ったときに、どうも私の欲目かもしれませんけれども、与党の委員諸君も大体うなずいた、こういうふうに見受けたんであります。それで他の質疑の方もあると思いますので、一人で占領しては悪いから午前中でひとつ私の発言をやめておこう、こういうふうに考えたのですが、そこでお聞きしますが、この本審査の場合に委員長、大臣出席をちゃんと配慮してくれますか、どうなんです。
  49. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 予算委員会との関係もありますし、大臣の出席方につきましては、理事諸君と御相談申し上げ、予算委員会のほうとも話し合いをいたしましてきめるようにいたしたい、こう考えます。
  50. 天田勝正

    ○天田勝正君 そのあとで大臣なり局長なりが見えた場合に、責任ある答弁がなされると思うのですけれども、失礼ながら説明員ですと、こちらでも、政府が統一された見解としてかくかく言うたということを、こちらのほうで言うわけにはいかなくなるのです。これが政治の常識でもありますし、法律的にもそうなんです。ですから、政務次官も今いなくなるというのでちょっと困るのですが、それは何時なんでしょうか。というのは、大臣出席の場合、私も議事に協力しないというのじゃないので、その際の発言を短くするために、それならもう一、二問、この際政務次官のおられるところでやっておくと、こういうふうにすれば、あとの委員長の大臣並びに局長等の出席の際の配慮にも便利かと思うので申し上げておるわけです。
  51. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 政務次官は二時から約十分ぐらいということです。
  52. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは続けますが、先ほどまで開拓者については、その営農の実態からいたしましても、いかにも金利負担が高い、こういうことを指摘申し上げたわけでございます。これにつきまして、先ほど櫻井委員さんのほうからも、本院の決議についていかなる配慮をなされたかということが質問されておりましたが、これと同様に、私はこの際確かめておきたいのは、去る三十五年五月十七日の衆議院におきまして、開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案開拓者資金融通法の一部を改正する法律案開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案、この以上三案について、それぞれに長い附帯決議が付されおるわけであります。このことは、政府側も十分御承知でありましょうから、何せいこれは長い附帯決議で、ちょっと珍しいぐらいいろいろな要望がなされておる。そこで、この一々を朗読するのを省略したいと思いますが、この衆議院の附帯決議に対して、政府側においてはいかなる措置をこの三十五年五月十七日以降おとりになったか、これを承りたいと存じます。
  53. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 手元に三十六年の附帯決議を持って参りましたが、三十五年の附帯決議におきましては、開拓審議会を作りまして、開拓問題を根本的に検討しろというのが一点ございまして、それにつきましては、一昨々年審議会を作りまして、昨年の十一月に御答申をいただいたような経過があるわけでございます。  それから、負債の個別化を積極的に行なって、開拓者の負債の条件の緩和をはかれという問題が中心にあったと存ずるわけでございますが、その点につきましては、その結果、うち三十五年の結果につきましては、先ほど櫻井委員質問に対してお答えしたような経過でございます。
  54. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは、そのうちさっきの金利に関して伺いますが、最初申し上げた開拓営農振興臨時措置法、これに付せられた決議の四によりますと、「営農改善資金の償還の全期間を通じ利子補給を行なうことができるよう措置すること。」こういうのがございますが、これにつきましては、何ですか期限を政府側では付したようでございますけれども、これは期限を付しても、しかしまた更新しながらずっと利子補給を行なうと、こういう方針でございましょうかどうなんでしょうか。
  55. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 営農改善資金の利子補給の期間につきましては、政令の定めるところによりという形になっておりまして、午前中の審議の際の櫻井委員の御質問にお答えしましたとおり、現行政令は五年になっております。ただ、その五年目の時期が到達いたします時点は、三十八年の三月末に一件全国で一番早いケースが到着いたしまして、大部分は三十八年の四月以降でございます。したがいまして、現行政令を本年中に改正いたしまして、五年で利子補給が切れることのないように、農林省といたしましては関係の向きとことし中にきめる所存でございます。
  56. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは営農につきましては、先ほど申し上げたように、政府委員の出席の際に内閣の方針等については承ることにします。きょうはこれでやめておきます。
  57. 北村暢

    北村暢君 ただいまの天田委員質問の、改善資金の期間の何というのですか、利子補給の政令で五年というのを政令を改正して引き続き実施する、こういうことのようでございますから、この点については、利子補給の問題については一応いいと思うのですが、改善資金の返還期に入るのは、これはいつでございますか。
  58. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 改善資金は元利均等償還でございますから、三十二年から借りかえと申しますか、返済資金に切りかえました契約が、それぞれのまとまりました組合ごとに年賦で返すわけでございますので、すでにそれぞれの年賦額については元利均等の返済に入っておるわけであります。
  59. 北村暢

    北村暢君 そうすると、この改善資金はあれですか、据置期間というのはないわけですね。
  60. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 三年の据置期間であります。
  61. 北村暢

    北村暢君 三年の据置期間があるというと、据置期間が終了して償還に入っているというのは、先ほどの話ですというと三十三年というのですから、三十六年か七年から償還に入ってくるんだろうと思うのですがね。私の聞いておる範囲だけだと、まだ償還に入ってきていないようにお伺いしているのですがね。もうすでに償還してスムーズにこれが償還されていっているのかどうなのか、その事情をちょっと説明して下さい。
  62. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 償還期間が終わりまして、個々の組合ごとにやりましたので、三十三年かち準備の整った組合ごとに契約を結びました関係で、据置期間が済みまして償還に入ったものもあるわけでございます。これの償還につきましては、スムーズに全部いっておるかという御質問につきましては、全部が全部スムーズにいっておると断言申し上げるわけにも参らない事情もございますと思いますが、特段にどうしても前の三十二年の改善資金制度では、全然動かない、こういう形になっておるとも承知をいたしておりません。
  63. 北村暢

    北村暢君 この点は改善資金に振興法によりまして一応この開拓農家基盤ができてきたことは否定できないと思うのですけれども、この償還期限に入ってきて、これがスムーズに、今の事情ですというとあまりはっきりいたしませんでしたが、この償還期限に入って参りますというと、今の開拓農家実態からいくというと、簡単にこれが償還できないというような傾向が非常に強かった。特に東北、北海道等の二十八年災害等の冷害によってこうむった状態にありますから、これは実際問題としてそのためにこの振興法で改善資金に切りかえた、こういういきさつ等もあるだろうと思うのです。したがって、これは実際問題としては営農改善のための資金にはならない。生活のために食い込んでしまっているというようなことで、実際にはこれは今のところ簡単に返済ができるというような状態には私はないのじゃないか。したがって、この三年据え置きというようなものでそろそろ償還期に入うてくるということになるといろと、これがまたたいへんな問題になってくるのじゃないか。最近もうすでにそろいう点が出て参りまして、北海道、東北等の冷害をこうむった地帯においてはどうしてもこれがこげつき的なものになりつつあって、スムーズに償還できるような態勢というようなふうにはなってきていないのじゃないか、こういう強い要望が出てきているようでございますが、その辺の事情はおわかりでしょうか。
  64. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 営農改善資金の償還状況について、もう少し御説明をさしていただきますと、三十六年九月末日現在で元金が三億五千万円ばかり、約定金利で一億九百万円の延滞を示しておりまして、その償還状況は必ずしも良好とは言いがたいのでございますが、据置期間の関係で償還期に至ってないものが貸付額におきまして総額の四二%も残っておるわけでございます。全面的に償還期に入りますのは、三十六年の十二月以降、まあ現在ころから全面的な償還が始まる、こういう態勢でございます。それで申すまでもなく、三年程度の天災融資法では不便であるということで、十年間で年賦で払うという制度を開拓者に限りまして、切りかえて、その十年の分の償還がようやく今の時期から始まって参る、こういう段階でございますので、この十年間では返えせないとか、返えせるとか、これを制度的に今直ちにいじらなければならないとは、私ども考えておらないわけでございます。ただ答申案におきましては、この点につきましてやはり御議論が非常にございまして、答申の十ページにございますように、すべての借金を、今後総合的に見て開拓者の立ち直りというものを考える必要があるという立場から、おしまいのほうでございますが、「営農改善資金等の制度融資による融資金その他中長期の系統資金の償還が円滑になされるよう、政府資金の条件緩和に当ってこの点を考慮に入れるものとする。」財布は一つでございますので、政府のほうの借金の取り立て方の面で、もし改善資金の償還が困難と思われるようなものは、一つの財布の中から取る金でございますので、そちらのほうで考えていったらどうか、こういう御趣旨答申をいただいておりますので、私どものほうも今後、改善資金の償還状況等を見ますと同時に、答申に基づきまして個別に農家調査いたしますので、その段階におきましてそういう線に沿って考えて参りたい、かように存じております。
  65. 北村暢

    北村暢君 そこで、そろそろ本格的な償還期に入るわけですが、必ずしもスムースにいかなくて延滞等の問題がすでに出てきている。これは本格的にこの償還期に入れば、私はこの延滞というものは、問題がなお相当出てくるのじゃないかというふうに想像する。想像するというよりも、すでにもうその声が、とても払えないという声が出てきて、もうすでに償還期を目前に控えて、一体どうするかという問題が実は出てきているわけなんです。ところが、この営農改善資金は中金の金に利子補給をする、こういう建前をとっているわけでしょう。したがって、制度金融ではあるけれども、中金の資金が出ているのでありますから、直接にはその他の系統資金の経営の資金としての金融に支障はないというふうに農林省も指導しているようです。しかしながら、末端においてはそうではないのであって、やはりこの改善資金を償還しないというと、延滞している限りはこの系統資金の一般の融資すら、実はなかなか中金は現実問題として貸さない、こういう状態にあるわけですよ。これは承知しておられるのですか。
  66. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御指摘のような点が、これまた審議会等でも開拓関係委員その他から強く主張されたわけでございます。この委員会には、中金その他の金融機関も出ておりまして、その点の問題が大いに議論されたわけでございます。中金の立場としては、支払能力が現実になくてこれが返せないというケースについては、そのようには扱う考えはない。支払能力の認定の問題として、もう少し無理してもらえば改善資金は返せるというものについては、返していただく立場におきまして、ほかの貸付面でいろいろなことを申し上げることはあるかもしれない。実際の支払能力がない場合についてまでほかの金を貸さないで、元を殺すようなことでは、返ってくる金も返らないという立場でございますので、考え方としてはそのようにやるということでございますので、私どものほうも、前向きの資金の流れをとめることによりまして、過去の資金が返せる力を失うことがないように、中金に対しましては十分指導をして参りたい、かように思っております。
  67. 北村暢

    北村暢君 その指導をされるのはいいのですが、また審議会等における中金の出席者もそういうふうに言われておるということも、私どももわかるし、また中金の立場からすれば、改善資金も償還できないでいるというような者に、営農資金だからといってどんどん貸すというわけにはもちろんいかないだろうと思うのです、金融機関としての立場からいえばですね。その点はわかるのですけれども、そういう悪循環を繰り返している限りにおいて、これはどうしてもやはり私どもは、開拓農家経営の改善ということはできていけないのじゃないか、こう思うのです。そこで、先ほどの話しでは、中金に利子補給をしているのも、政府資金にするのも、同じ政府として処置をしなければならないのだから、政府資金ということに切りかえてもいいような意見にちょっと受け取れたのですけれども、そういうようなことで、開拓関係の金融というのは、もう実に複雑で、開拓者自身どの資金を自分がどれだけ借りているのだか、ちょっと見当がつかないくらい、複雑なわけです。そういうような意味からいって、この資金の一本化というようなことについては、これは前から衆議院の附帯決議等についても出ているわけです。そういう点からいって、今のような償還期に入って、しかも、私どもの見通しから言えば、あの当時の災害の負債というものは、とうてい今の段階で償還といっても、延滞にこれはひとりでになってくるのではないか。政府考え方では、これは均等償還でもって償還可能である、こういうふうに判断されているようでございますけれども、東北、北海道等の事情を聞くというと、とてもそれはそういうふうな形にいかないのじゃないかという想像ができるので、この資金の、振興法の抜本的改正という問題が、この問題だけでなしに、ほかの問題からも出てくる。まあ振興計画の問題も含めて出てくるのではないかと思うのですが、そういう抜本的な振興法の改正によって、この営農改善資金というものを政府資金に切りかえる、こういうような考え方というものはできないものか、また、そういう検討というものはされたことがあるのか、ないのか。その可能性というような問題について、ひとつ事情を聞かしていただきたい。
  68. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) まず改善資金を政府の借金に切りかえられないかという問題につきましては、ぜひ、委員会でそうすべしという御主張をされる方がございました関係上、非常に議論をし、かつ、委員間で検討を行ないました。私ども事務局として当然十分検討いたしました。ただ、検討の結果といたしましては、何しろ一般の農家に対しましては、天災融資法で貸したものを、開拓者なるがゆえに、新しく三十二年以降、五年据え置き十年償還という特別な制度を作ってスタートした問題でございますし、そして、ようやく返済期に入る時点でございます。せっかく作りました制度は、もうこれは最初からだめなんだというふうに必ずしも割り切ることにはいかぬという立場で、ともかく、もう少し実態を見ようという立場を私どもとしてはとっておるわけでございます。ただその際に、将来の問題として、ただ実態を見るだけではいけないので、結局、今後の問題といたしましては、開拓者の救済をどうするかということ自身全体が問題でございました関係上、先ほど申しましたとおり、この問題を今後考えるにあたりましては、まず政府のほうでこれが返せるような立場政府の借金のほうを調節するという考えで、この制度は制度として、ともかく進めてみたらどうだ、こういう結論に相なっておるわけでございます。
  69. 北村暢

    北村暢君 まあ、その点は無理もない点があるだろうと思うのです。まだ本格的な償還期に入ってきてないので、償還できるかできないか、まだわからないうちに切りかえてしまうということも、それは未知数の問題なんで、わからないといえばわからないだろうと思うのです。しかしながら、実情は相当深刻のようですね、私ども聞いた範囲ですと。したがって、実態調査をされておるようでございますから、個別ごとの開拓農家全体について個別償還というようなことで、他の面からも全体的に調査しておるようでございますから、その調査のしてきた中からは、一体、払える可能性があるのかないのかというようなことは、実態を見なければわからないというものでは私はないと思うのですよ。そのくらい、やはり開拓農家の問題については真剣にやはり取り上げろということで、何回かの国会でやられて、そうして今日、償還能力だのなんだのというものにちいて検討を加えてきておると思うのです。したがって、制度として、振興法によって改善資金というものを設けておる趣旨は大いにわかるし、また、天災融資法にかわる特別措置をとったということもわかるのでありますけれども、今言ったような、この法律の趣旨を実施してみなければまだわからないということでは私はないように、ほかの場合と違って、そういう感じを非常に強く受けるし、また、実態的にも、本格的償還期に入ってきて、一体これはどうするか、延滞になる可能性が出てくる。そうすると、中金等において実際問題として、その延滞にかかわらず、営農資金というものは考える。そういう指導をされても、実際問題として、営農資金にもまあ今度の債務保証の額を伸ばしても、実際問題として借りられないという問題が出てくる可能性がある。でありますから、この点は今まあ検討されておるようでございますけれども、早急にこの振興法の抜本的改正という問題に含めて私は検討すべきではないか、こういうふうに思うのですが。
  70. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 私どもも十分この問題は検討いたしたいと存じております。ただ、ただではございませんが、先ほどもお話がございましたとおり、.開拓農家の戸当たりの借金が、大体一戸当たり二十六万二千円、この中に占めております営農資金が二万円、平均値でございますから、一がいには論ぜられませんけれども、やはり何といたしましても、政府の資金が十七万円近い額をこの中で占めております。それの扱いと合わせてこの改善資金を考えたいという立場で、先ほどのような御答弁を申し上げた次第でございます。改善資金それ自身につきましても、答申にも、検討を続けるようにという御注意がございますし、いろいろ各方面からも御要望、御注意等もございますので、十分検討いたしたいと、かように思っております。
  71. 北村暢

    北村暢君 これはひとつ要望をしておきますけれども、今、改善資金の問題について十分検討したいということでございますから、この点はひとつ振興法の抜本改正の際に、ぜひ、ひとつ考えてもらうということと同時に、それができるま七、この延滞等の問題に関連をして、今度、今の法律改正案に出てきておる系統資金の融資というものについて支障のないように、特に中金の指導というものは、これはくどいようですけれども、実際問題として、末端では、実情として起こっておる問題なんです。したがって、これは、中央ではそういう指導をしておるのだから、そういうことはないのだと、こう言っても、改善資金の延滞というものと、系統資金の中金の貸し出しというものについては、もう明らかに関連づけられているのですよ。そういう実態がありまするので、この点については、ひとつ十分指導をしてもらいたい。このように思います。これは要望でございますから、ひとつそのように指導を十分していただきたい。  それから次に、先ほど天田委員からも出ておりますように、開拓農家の借り入れ残高について、約半分ぐらいのものは政府資金である。その中に占める開拓融資保証法による系統資金の貸し出し、いわゆる飼料購入資金その他いろいろあるわけでございますが、この保証法にかかわる借入金の占める割合というものは、これは、どの資金よりも、一番低いわけなんです。政府資金、自創資金、災害資金、改善資金を含めて、災害資金は別として、この系統資金が一番少ないわけなんです。したがって、これはせっかくこの保証法があって、二段階で債務保証をするような形をとっても、なおかつ、その資金の総額というものは約二十五億九千万ですから、三十六億程度、そういうことになっておるようでございますが、これは、せっかくこれだけの債務保証というような形をとっても、なおかつこの資金の需要というものがこのように少ないというのは、一体、どういうところに原因があるのか、またそれほどそういうふうな必要がないものなのか。先ほど天田委員が触れておるように、利子の問題が非常に大きな問題になってきているだろうと思うのですが、一体・資金がこのような状態にあるということは、どういうところに原因があるのか、その点、おわかりになっておったら、ひとつ説明していただきたいと思います。
  72. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓融資保証制度によります経営資金は、前回御説明いたしましたとおり、基金に対しまして、六倍までは利用できる仕組みになっておるのでございますが、現在のところ、全国ベースでは、その六倍まで利用されておらない。大体四倍程度でとまっておるわけでございます。なぜそれが満額に利用されないかという御質問でございますが、この点につきましては、いろいろ事情があると存じまして、三十五年度におきまして、保証協会をして一応調査をさせておりますが、私どもの今一応わかっております問題としましては、まず、開拓農協といたしましては、もよりの農協で物資を調達し得る場合には、必ずしもこの制度によらなくてもやっていけるという、つまり下のほうでやっていけるという形のものと、それからもう一つは、県別に見ますと、保証基金の出資が足らないので、もう少しやりたいけれども、出資そのものが足らないから天井につかえておる、こういう形で、その県としては相当利用しておるのだけれども、全国的には、出資との関係で、十分出資を増強することによって、利用度を増していかなければならないという形式のもの、大きく分けまして、二つの事情があろうかと思うわけでございます。で、私どもといたしましては、この制度は、開拓者に対しましても、経営資金としては、この制度によります資金は比較的低利でもございますので、なるべくこの制度によりまして、経営資金を調達し、資材を調達する形を拡充いたして参りたい。こういう立場利用促進のための運動ということを、保証協会を通じて、三十六年以来やらせているわけでございます。
  73. 北村暢

    北村暢君 ただいまの御答弁によるというと、六倍まで借りられるものが、四倍までぐらいしか資金利用というものがない。そこへまた資金の額というものをふやそうというわけです。ですから、そうすれば、四倍までしか借りていないのだというと、六倍になるまで、出資しなくても資金の需要には応じ得ると、こういうふうなことになるのじゃないかと思うのですが、これによるというと、資金需要というものが多くなるので、出資を増額するということのようです。そこら辺のところが、どうも理屈が合わないような感じがするのですが、どうなんですか。
  74. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 先ほども申し上げましたとおり、全国ベースで、各府県の分を、全部横にそろばんを入れますと、そういう結果になります。ただ府県によりましては、満額に利用をいたしているわけでございますが、さらに需要としてはもっと強い、したがって出資を増せば、増した分の六倍まで、当然使えるわけでございます。全国で出資額の計算をいたしますと、さようなことに相なると思います。したがって、需要の強い県におきましては、出資を増すことによって、扱い量の中で、この資金によりますところの資材をもっと扱わせていく、こういうことでございます。問題は、全国ベースと府県別ベースの問題で、それから府県によりましては利用度が足らない、そういうところは、利用の組合をもっと加入さして、利用組合をふやす。あるいは組合員の中で、この制度を利用しない人を利用させるようにする。そちらの問題については、そういう形で利用をはかっていく。出資が不足で利用度が低いものは、出資を増す。こういうことに分けて進めているわけでございます。
  75. 北村暢

    北村暢君 その点は府県のと全国のベースで違うということはわかりましたが、しかし、これは地方で債務保証して、さらに中央で保証するというシステムをとっているようですから、そこら辺の調整ぐらい、何とかつきそうなような感じがしますがね。それが説明のような形で一応了解するとしても、全体的に今後はやはりこの資金というものを伸ばしていくということを考えるというと、私はやはり伸ばしていくといいますか、開拓関係の資金全体の問題を考えますというと、どうもやはり系統資金の利子では、開拓の営農のためには、これはベースに乗ってこないのじゃないか、そういうことがやはり相当大きな原因じゃないかと思うのですがね。天田委員指摘しているように、大体末端農家では年九分近いものが融資される。こういうことになりますというと、この九分そのものがやはり問題じゃないかと思うのですね。それは開拓者の営農にこういう特別な保証制度を設けてやっても、利子が高いために運用できないのじゃないか、こういう感じがするんです。それ以外の、その他の金融機関から借りている開拓農家の借り入れ残高というものを見ましても、大体十四億程度のようです。そうしますと、この系統資金以外から借りているというものも、これはもっと高利のものと思うんですが、そういうものも、まあ若干あるようですが、しかしこれは一般農家から比べますというと、やはり相当低い。一般の農家からいえば、系統資金その他以外の市中銀行、その他高利等から借りているものが約三分の一程度ある。ところが開拓農家の場合は、信用の程度からいっても、そういう高利のものあるいは他からの融資というものはほとんどない。こういうことになって、政府資金というようなものが半数以上を占めている。こういう実態からいっても、やはりこの政府資金だけでなしに、こういう系統資金についても貸付条件の緩和、特に利子というものについては、何か考えなければならないのじゃないかと思うのです。それがやはり衆議院の附帯決議にもありますように、「農林中金、農林漁業金融公庫等から貸し付けられている資金についても、政府資金と併せ、債権債務の確認及び整理を行ない、必要に応じて資金の一本化、貸付条件の緩和等の措置を講ずること。」こういうことに衆議院の附帯決議がついているわけです。でありますから、一般の系統資金についても、政府資金と同じような形で貸付条件の緩和という処置を講ずべきであるという附帯決議がなされているわけです。これはだれが見たって、開拓の場合、そういうことは出てくるだろうと思うんですがね。そういうところにやはり問題があるのじゃないかというふうに思うので、この問題は金利体系全体の問題でもあるんですが、この系統資金のワクというものが消化できないでおり、しかも総体の占める割合からいけば非常に低いという点からいっても、借りたいのだが金利が高いために、あるいは貸付条件がきびしいために借りられないのじゃないか、こういうような感じがするんですが、この衆議院の附帯決議の線から言っても、やはりこの中金等の系統資金、こういうものについても、やはり農林当局としては、今までにすでに対策として考えておかなければならなかったのじゃないかと思うんです。ところが先ほどの説明では、改善資金等についてはいろいろな説明がございましたけれども、この系統資金についての衆議院の附帯決議についての説明というものはなかったように思うのですが、この附帯決議の趣旨からいっても、一体どのように対処せられてきたか。この点について、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
  76. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) お話を二つに分けまして、すでに貸し付けられましたものを返していく過程におきましての問題としまして、今ある金が、今定められた条件では毎年の年賦額を払いがたい、こういう事例について新しく条件を設定いたしまして、返るものをなめらかにする。そのためには、前回開拓三法で御審議いただきましたように、新たに政府資金につきましては条件緩和法を設けまして、今返済期に入っておるものを、新しく据え置き五年を除き、償還期限十年ということで返してもらうという意味におきましての、条件緩和の問題がございまして、過去に借りました借金につきましては政府資金によって個別化をし、その実態を洗い、新しく条件を設定する過程におきまして、その作業をやります過程におきまして、中金、公庫にも御参加を願いまして、実態を一緒になって究明をいたしておるわけでございます。そうして公庫にいたしましても中金にいたしましても、業務方法書等におきまして、そういうケースにつきましては、それぞれ善処し得る道が開かれておるわけでございますので、それの運用の問題として御相談を今後するという体制をとって参ったわけでございますが、今回の答申におきましては、政府も、政府資金そのものについて、もう一度いろいろと考え直してみろということにあわせまして、公庫もそれに準じて措置を検討してみたらどうか。それから系統機関につきましては、政府、公庫の取り扱いに準じて協力を求めたらどうか、こういう形が出ておりますので、私どもはこの線に沿いまして今後具体化を考えて参りたい、かように過去の返済期に入っております借金の問題としては、そのように考えておるわけでございます。  それから前向きに仕事をしていく過程におきます資金の金利の問題でございますが、開拓者につきましては、やはり営農をスタートさせる仕事でございますので、まず営農を初めます設備の資金の問題につきましては、これは当然相当安いものでなければ、新しく農業を始めるのでございますから無理である。こういう立場で、開拓者資金で、設備等は政府の金で貸す。で、その金利は、一番基本の営農資金、基本的な営農を開始するための資金というものにつきましては、三分六厘五毛という金利で金を貸しておるわけでございます、設備資金につきましては。それから不振農家に対しましても、振興対策資金として五分五厘で金を貸しておるわけでございます、設備資金につきましては。そこで問題は、日々の経営を営んで参りますところの運転資金の問題でございますが、この運転資金につきましては、保証制度におきましては、中金から保証をつけることによって、じき貸しにいたしますことによって、極力末端系統での金を使うことより低利にしよう、そういう考え方で組み立てられているわけでございまして、現行保証制度によります借入金は、短期資金、特に飼料、肥料、農薬というようないわゆる短期資金につきましては、末端金利は八分三厘九毛で手に渡るような仕組みに、本日御審議を願っております保証制度では相なっておるわけでございます。ただ、中期資金、三年以上の中期資金につきましては九分という数字、九分以内ということでございますが、大体九分になっておる。これは八分三厘九毛よりはだいぶ高いわけでございますが、末端で金貸しの金を借りるよりは安く貸せる、それでもまだ高いという御批判等もございましょうと存じますが、この問題は今後の振興対策の問題として考えさしていただくとして、現行制度といたしましては、運転資金につきましてもこの保証制度をとることによりまして、末端で農協から借りるよりは安い形でいくと、こういう仕組みに相なっておるわけでございます。     —————————————
  77. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、御報告申し上げます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の二案は、ただいま衆議院から送付せられ本委員会に付託されました旨通知がありました。     —————————————
  78. 北村暢

    北村暢君 ただいまの答弁で、短期資金で八分三厘九毛、中期資金で九分以内、これでも他の資金よりは有利になっているつもりだとまあこういうことのようでございますが、どの程度に有利になっているのかちょっとわかりませんが、しかしこの問題はその程度の有利のなり方ではいかぬということで衆議院の附帯決議というものはついていると思うのですがね。中金その他についても検討されているということなんです。したがって、これは全般的な金利体系の問題とも関連しますし、特に開拓について特別にやれということになりますというと、現在のこの系統資金の金利体系では開拓の場合ベースに乗ってこないと、こういう根本的な問題にも触れてくるのじゃないかと思うのです。したがって附帯決議では、貸付条件の緩和について措置を講ずれと、こういうふうにいっておるのであって、今の説明の、短期の八分三厘九毛、中期の九分以内というのであったならば、これは従来どおりずっとこういうふうになっているのであって、貸付条件の緩和ということについて特別の措置として講じたということには私はならないと思うのです。したがって、この附帯決議の趣旨というものについては、今まで実際にはできなかったということになるのじゃないかと思うのですがね。したがって、その点はひとつ明らかにしていただいて、今申したように、私はちょっと、今申したような、答弁のあったような金利では開拓には向かないのじゃないか。まあこういうふうに思うので、ひとつ今後の方針としてはこれはやはり十分検討されて、貸付条件の緩和ということを特別に考えなければならない、こういうふうに思うのですがね。そこの辺のところを少し、もう少し明確に答弁していただきたいと思います。
  79. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 三十五年には三法国会に御審議をお願いいたしまして、衆議院では三法につきましてそれぞれ附帯決議を付されたわけでございます。それで今北村委員が御指摘のものは、開拓者資金融通法による政府の貸付金の償還条件の緩和等に関する特別措置法案に対する附帯決議でございまして、先ほど私が、過去の借金の払い方に関します法律にかかわる部分の附帯決議でございます。そこで、政府資金につきましては、この法律によりまして団体及び開拓者の債権債務の確認をし、整理をして、個別化をして行なう内容があるわけでございますが、その際必要に応じ資金の一本化、貸付条件の緩和等を講ずる等の措置を講ずると、こういうことでございました。そこで、このここにございます御趣旨は、政府の資金だけ緩和法によって緩和しても不十分であるから、この際中金と公庫のものも実態を調べろ、まず。そうして必要があれば一本化をし貸付条件の緩和を講じろ。こういうことでございますので、先ほど御答弁申し上げましたように、まず確認は一緒にやります。それから貸付一本化の問題は、先ほども説明いたしましたとおり、過去の借金を政府等にまとめると、たとえば改善資金等についてまとめるということについては遺憾ながらそういうことにはなっておりませんのでございます。それから個々の貸付条件の緩和につきましては、私どもとしてはそれぞれの業務方法書によりましてやれる形においてやるという態勢で目下進んでおりますが、審議会ではもう一歩進んで考えたらどうか、今後の問題としてはやったらどうか、こういう御意見も出ておりますので、その線によって考えたい、こういう経過でございます。
  80. 北村暢

    北村暢君 この点も、まあ附帯決議の趣旨というものは、私はまあ過去の負債についての整理の問題について政府資金の条件緩和法に即して中金、公庫の問題についても検討せいと、こういう問題については、やはり附帯決議の趣旨というものは十分生かされていないというふうに確認をしておきたいと思うのです。したがって、それについては今後まあ検討される模様でごさいますから、この点についてはひとつぜひ検討をしていただきたいと思います。  そこで、先ほどから申し上げている、そういう、その点からいっての金利の問題ですね。金利の問題について、やはり私は高過ぎる。したがって、今度の答申の中においてもそういうその開拓関係の営農の基本的な条件を整備するための資金の投入というものは、まあ中途半端の投入をしちゃいけないのだ、そうして資金の効果が上がるようにこれを検討し直さなきゃいけない、こういうことで答申にも出ているのです。したがって、今度のこの債務保証法の改正による債務収支額が増加するということについて、この答申との関係からいって、私はやはり確かにそうだと思うのです。下手な貸し方をしちまうというと、これは営農改善のための資金にならないで生活資金になっちゃって食い込んでしまうということは、もう開拓の場合往々にしてあるわけなんですから、したがって、やはりこの営農改善ということの、営農改善の基本的な条件を直すということになると、思い切ったやはり資金の投下ということを考えなけりゃならないと思うのですね。そういう点からいくというと、今度の系統資金というものの私は貸付残高の低いということが、政府資金ばかりに頼らない段階において、これはやはり相当条件を緩和して系統資金も利用していくということは、これは当然あるべきじゃないかとこう思うのですね。まあ政府資金として投入するよりも、まあ利子補給その他でもって非常にだぶついている系統資金を利用していくということは、これは私はやはり一つの方法として十分考えられるべきじゃないか。その場合に、開拓の場合は今言ったように中途半端な資金投入ではいけないのじゃないか。その場合この系統資金というものを利用する上において、従来の経験からいって、今の債務保証問題による貸付残高というのは非常に低いわけですから、これを飛躍的に高めるというためには、一体もっと思い切った措置というものが講ぜらるべきじゃないか。で、この答申にある中途半端な資金というものを投入することの効果というものが減殺されるということのないようにせいという点からいくというと、これに十分こたえられるものなのかどうなのか、そこら辺のところはどういうふうに勘案されて今度の政府出資の増額というようなことになったのか、ここら辺のいきさつをちょっと説明していただきたい。
  81. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) まず基本的な問題でございますが、実は答申につきましては、非常に各方面にわたり抜本的な問題等がございまして、私どもといたしましては、三十七年度にこれを行政に実際に移すためのあらゆる準備、諸調査をやりたい、やって、これの具体化の考え方をきめて参りたいということで、準備中でございます。  そこで、一方、本日御審議をお願いいたしております保証法の三千万円の出資は、現行の制度で地方の保証が同時に一種の三者契約によりまして中央が保証することに相なります関係上、提案理由説明並びに補足説明で申し上げましたとおり、地方におきます出資が来年の三月までの出資のテンポを勘案いたしますと、どうしても今、三千万円を三十七年度で入れておかないと、三十七年度の末において中央、地方でアンバラが起こり、地方の金が死に金になるという意味におきまして出資をいたしたい、そのための御審議を願うということでございまして、今御審議を願っております保証法の出資の問題は、実は毎年お願いいたしております、きわめて現行制度に基づく実務的な出資の法律でございます。  それで、この法律を出すにあたって答申の問題をいかに考えたかという御質問につきましては、さような次第でございますので、片方はきわめて機械的な、自動的な出資増に見合う中央出資の増ということでございまして、今後、全体として開拓を立ち直らせるために、金融制度、過去の救済はいかにあるべきか、またどのように増額投資を行なうべきか、その条件はどうあるべきかという問題につきましては、この答申に基づきます四月以降の諸調査、諸テストによってこの態度をきめて、またお諮りをする機会がその後においてあろうかと、かように存ずる内容のものでございます。
  82. 北村暢

    北村暢君 まあ、この答申案についての抜本的な問題は今後検討せられるようでございますから、その抜本的な検討をせられる場合は、やはり農林金融の金利というものについて抜本的な検討がなされ、ちょうど経済局長が見えてるようでございますから、これはそっちの問題なんですよ。農地局をいくら責めておってもこれは解答は出ないと思う。したがって、これは全体の金利体系の問題になってくるんですね。ですから、これはまあ大臣に質問しなけりゃならない問題かもしれませんが、ともかく開拓の問題に関連するから特にここでお伺いしているわけですけれども、どう考えてもこの金利というのは高過ぎて、今後の開拓の場合においても営農資金としては不向きであるというふうに思います。これはまあ一般農家についても、実際問題として中金の金利というものは高い。そのための根本的な、一体どういうふうにしてこの中金の金利というものを下げるか、そして農民に借りやすいような条件にするかという、根本的な問題だと思うんです。この点については、せっかく経済局長が見えてるから、御高説などをひとつ拝聴しておきたいと思います。
  83. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、開拓の問題にとどまらず、農業の金融の場合の金利の問題は非常にむずかしい問題でございますると同時に、何とかしてこれを解決しなきゃならぬ問題であろうと思うのでございます。そこで、三十六年度におきまして近代化資金を作りました場合にも、一応金利を七分五厘というようなことで押えまして、そこまで利子補給をしていこう、そういうようなことで考えたわけでございまするが、その後はたして七分五厘というような金利で農協の金を流していったその場合に、農業の資本装備にこれがやれるかどうかという問題は、相当検討しなければならぬ問題だろうと思うのでございまして、まあずいぶん学者やあるいは実際家等も入れまして、その後もいわゆる農業がどれだけの金利負担ができるのか、それからその全体といたしましてどういう金利が適正なのかというような問題についても、まあずいぶん検討したのでございますが、何といいましても、これは全体のやはり経済のベースの問題もございますし、それから全体の金利水準の問題、そういう問題とも関連もございまして、それと同時に、農業の内部においてはそれじゃほんとうにどれだけの金利負担が可能かという問題になりますと、これは非常にむずかしい問題になりますわけでございます。そういうようなことで、理論的にこういうものがいいのだとか、ここまでの金利が適正なんだというようなものは、なかなかこれは出てこないだろうと思うのでございます、実際問題といたしまして。そこで、今までの経験上から、それから全体の金利水準、そういうものをいろいろ勘案をいたしまして、農業のような不利なそういう条件のものに対してはどの程度の金利でとにかくやってみるか、こういう問題になるのじゃないかと思うのでございます。今までの農林漁業金融公庫の政府の直接貸しの金利にいたしましても、最低三分五厘から最高七分五厘までというような範囲で、これらもどちらかといいますれば、私は理論的な意味のものではなくて、いろいろ業種間のバランスをとっての一応の金利体系であろうと、こういうふうに考えているのでございまして、ですからそのときどきの情勢、あるいは政策の要請等に従いまして、いろいろものものによって金利というものもやはり調整をしていく、ある程度調整をはかりつつ適正なものにできるだけ近づけていく、こういう努力をしなければならないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。それから農業協同組合の先ほどお話のございました農林中金の金利の問題がございましたが、農業協同組合の金利の問題も、これはもちろん農業協同組合が農民の相互金融だという意味からいいますれば、現在の農業協同組合の金利が安いとは申せません。むしろ、どちらかといいますれば、非常に高過ぎるのじゃないか、こういうまあものもございますが、現在の農業協合組合の組織の問題、農協から信連、中金というような三段階、中金から返って参りまする場合には、またもう一度三段階かかる、こういう農業協同組合の組織の問題がございますし、それから末端におきまして、農業協同組合が預金を吸収いたしまする場合には、ほかの一般の銀行との競争という問題もございましょうし、そういう点をいろいろ考えますと、それじゃほんとうに協同組合系統金融だから、安いコストの金が集まるかといえば、なかなかそうはいかないんだろうと思います。現在でも一年定期で末端では農協に資金の吸収上ある程度有利なような意味で、一般金融機関の水準よりも一厘だけ末端では高い金利を払っている、こういう状況でございます。一年定期で末端では五分六厘、一般市中銀行は一厘差、五分五厘でございます。ですから、その全体の一般の市中金融よりも高い金利を払っている、こういう状況でございまして、それがまた信連、中金と、こう階を重ねていく。借りる場合には極端にいえば中金から信連、農協とこう階を重ねておりてくるというものもございますので、これらの問題は、やはり団体の全体の組織の問題に根本的には関連する問題でございますので、これは非常に大きな根本問題でございますけれども、今後の問題としては十分検討しなければならないと思いますが、とりあえずはやはり農協の合理化というものでできるだけ金利を下げていく、こういうようなことで指導して参りたいと思ってやっておるわけでございます。
  84. 北村暢

    北村暢君 今の御高説は、どうもあいまいもことしておるようですが、とにかく今後貿易の自由化等で国際農業に太刀打ちしていくといった場合に、欧米の農業金利と欧米の一般の市中の金利というものについてどの程度の差があって、そして欧米先進国といえども農業金利については、私はやはり相当一般市中金利よりも低い金利でこの農業金融というものがなされるような措置が、保護政策というものが講ぜられておると思うのです。そういう点からいって、今の日本国内の金利水準全体が高いわけですから、したがって欧米先進国と直ちに日本農業の金融の金利水準というものを一緒にしろといっても、これは無理かと思いますが、しかし、私ども観点が非常に違うのであって、欧米先進国の農業経営規模とまた日本経営規模というようなものからいけば、はるかにこの規模そのものが違う、経営あり方そのものも違うわけです。したがってそういう点から言えば、私は日本農業というものはもっと思い切った保護政策というものを加えていいのじゃないか。したがって市中金融というものと差をつけるべきでないか、こういうふうに思うのですが、組合の末端の農民が預金する場合の定期の場合が五分六厘というのですから、欧米先進国の大体の農業の金融というものは、五分くらいなところが非常に多いわけですね。ですからこれでは初めからもう成り立たないような形になっておるのですが、そういうような点から勘案して、今後の金利の政策として一体どう持っていくべきか、ずいぶんいろいろな学者を集めて検討されておるということのようですけれども、言うべくしてこの金利というのは結論がなかなか出てきていない。これはもうここ数年来出ている問題なんです。それでなおかついまだ検討中で結論が出ない、こういう実態にあるわけなんです。したがって、基本法も制定せられて、もうそろそろ結論が出なければならない。それでなければ、今後の農業政策を遂行する上に、これはもう根本的な問題としてやはり農林金融の問題が確立されなければ、日本農業基本法に基づいて構造改善だとか何だとか言ってみたところでできないですよ。だから私は早急にやはり金融問題についての結論というものが出されなければならないと思うのです。そういうような点について、検討検討中じゃだめなんで、一体やる気があって、最近にこの結論が出るのですか、出ないのですか。もう検討中でいってしまうのか。そこら辺の見通しは一体どのように持っておられるのか。  それからまた、今の坂村局長答弁では、その職種なり何なりによって、条件によってやはり勘案されていくべきだ、こういうことでありますが、そうすれば当然開拓関係なんていう条件の悪いところに営農をやろうとするのでありますから、この金利体系というものは一般の営農と当然区分して考えられていいのじゃないか、こう思うのです。そういう点からいって、今申し上げました金融に関しての根本的な結論の出るのは、一体いつごろの見通しなのか。また、今問題になつでいる開拓金融なんていうのは、特別な扱いとして金利というものが考えられるのかどうなのか。で、一般の組合系統金融そのままのベースでいくというと、資金コストその他からいって高くなることはわかりきっているのです。したがって、そういうわかりきっているものでは、高いものでは処置できないのですから、これはやはり既住の開拓農家の負債というものを政府資金に切りかえるとか何とかという、統合するという問題も出ているのだが、とにかく相当思いきった制度金融で、政策的な金融というものが考えられなければならないと思うのです。そういうような政策的な金融というものが考えられるのかどうか。この辺のところをどのように考えておられるのか、ひとつお伺いしたいのです。
  85. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御質問でございまするが、結論はそのつどそのつど出しているわけでございます。先ほど申し上げましたのは、たとえば農業でどういう金利負担ができるのかとか、どれだけの金利が農業としては合理的なのかということを、これを理論的につきつめて、どういう金利水準がいいのだということに持っていくのは、これはなかなかむずかしい問題でございますし、そういう問題は、一面から言いますと、全体の国民経済とも、それから全体の金利水準とも関係いたしますから、なかなかそれについてぴちっとした結論というのはむずかしいと思います。しかし、そのときどきの情勢に応じ、政策に応じまして、必要なものについては全体のバランスを考えながら、できるだけ農業に受け入れやすいような態勢の金利をとにかく作っていく、こういう考え方でいろいろ処理して参っているのでございまして、したがいまして、農業においては、一面において農林漁業金融公庫のようなそういう組織を使いまして、政府の直接融資という点を重点にいたしまして、これは進んでいるのでございますが、それは最低三分五厘から最高七分五厘の金利で、平均利回りにいたしまして五分四厘五毛くらいになっております。そういたしますと、政府出資をいたしております農業金融というものは、平均大体五分四、五厘程度の金融をいたしている。ですから、これについても三十六年度は六百億でございまするけれども、七百十億の融資額の増額をいたしているわけでございます。それから近代化資金といいますような、協同組合系統の金に政府が援助して農業金融に回すものにつきましても、とにかく今協業化であるとか、あるいは個人の農業近代化であるとか、そういう問題が進んで参るのでございますから、そういう情勢に応じまして、そういうものについては、三十六年度は七分五厘でございましたけれども、六分五厘まで利子補給をしていこう、こういうことを考えて、情勢情勢に応じてそういう実際的な結論を出しつつ、全体の調整をはかりながらいいものに持っていこう、こういう努力をしているわけでございます。
  86. 北村暢

    北村暢君 いろいろな処置をしているようですけれども、もっとも金融そのものは複雑で、いろいろな種類に分かれて、貸付条件が違っているというので、非常に複雑しているわけです、それですから、三分五厘から六分、七分ぐらいまで公庫資金でもある。まあ今度の近代化資金は七分五厘だというけれども、しかしこの近代化資金の七分五厘という場合にも、これは末端では県が利子補給をし、市町村がどうするとかいう形で、近代化資金でも、七分五厘ではないわけですよ。末端の金利にいけばこれはもっと下で、五分か五分五厘というところをやっている県が相当あることは御存じだと思うんです。そうすると、政府方針としてきめる近代化資金の七分五厘、それでも一分下げたじゃないか、七分五厘を六分五厘にするということで下げたことのようですけれども、しかし実際にはやはり、実際の農民が使う場合にはそれでも高過ぎるというので、地元で県が利子補給をするなり何なりしているという実態はあるわけですね。ですからそういう点からいけば、一体この農業金利というものが、根本的にどうだろうかということで、いろいろな種類に分かれて実際に対処してきていると、こう言うけれども、もっとやはり根本的な金融というものを、制度金融と系統金融というものを通じて、考え方というものを出すべきでないか。で、まあ今度の近代化資金も五百億にした、あるいはそのほかの制度金融等も政府の資金ですか、そういうものもふえてきたと、こう言っておるけれども、しかしやはり農林金融全体からいえば、まだまだ、産業の規模にもよるでしょうけれども、十分に農林の金融がいっているというふうには私ども考えられない。しかしながら、それで金がないんじゃない。系統資金としての資金源は相当ある。それが系統外へ流れていっているという実態からいっても、これはまだまだやはり金さえあれば日本農業というものはもっともっと変わった形になるのだろうけれども、この資本の投下の仕方が足りない。先ほど天田委員が言っているように、一日米合弁会社のアラスカの一会社に対する政府の低利資金の融資と開拓全体の融資と、かえって開拓全体の政府資金のほうが少ない、こういうような実態にあることはもう否定できないんですよ。したがって、もう日本農業が今日このくらい立ちおくれているということは、金融面において投資をしていないということが相当決定的な要素である、私どもはそういうふうに理解しているんです。もっとやはり思い切って金をつぎ込めば、日本農業だって、今のような形ではなしに、もっと近代化されているだろうということが言い得る。この立ちおくれを来たしている非常に大きな要素というものは、やはりこの金融面にある、こういうふうに思うんです。したがって、まあそのときどきに今言ったような結論を出してやっているんだと、こう言われますけれども、これでは不十分だから私ども質問もし、今まで論議もしてきているんですよ。したがって、やはり系統金融と制度金融というものに対する根本的な結論というものは、やはりまだ私は出ていないと思う。それはまあ出ているかのように言われると、これはあらためてまた基本法の線に沿って一体どうするかという、この金融面について結論を出してもらわなければならぬ。それはまあもちろん国内の一般の金利体系とも関連するんだが、そこに農業金融というものの特殊性なり何なりというものが織り込まれておるのがやはり出てこなければならない、こう思うんです。そういうような点からいって、どうも今の御高説では、私はあまりピンとこないわけですし、また開拓資金等についての特別の場合を考えた場合に、一体この系統資金等の短期の八分三厘九毛なり、あるいは中期資金の九分以内というものが、開拓に適当なのかどうなのかというようなことは、もうそろそろ結論が出ていいんじゃないか。そういう点について、再度ひとつ学のあるところを聞かしていただきたいと思います。   〔委員長退席、理事櫻井志郎君着   席〕
  87. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおりでございまして、十分低利の金が今までも十分動いておるというような状況であろうとは思いません。しかし御承知のように、全体の経済情勢との関連もございまするので、最大限に政府の内部におきましても力をいたしまして、その低利の金が農業投資に向けられまするように、情勢情勢に応じて最善のこれは努力を払って参っておるのでございます。金利の問題にいたしましても、たとえば末端の金利、それが系統にしても、系統の金利を下げようといういろいろの努力をしておりましても、全体の経済情勢いかんによっては、公定歩合を引き上げるとか、あるいは預金金利を上げるとかいう、こういうようなことが突然起こって参りまするし、そういう非常にむずかしい問題もあるようなわけでございまして、そういうような情勢の中で、私どもは最善の努力を尽くして参ったつもりでございまするし、今後も十分、ひとつ努力して検討して参りたいと思っております。   〔理事櫻井志郎君退席、委員長着   席〕
  88. 天田勝正

    ○天田勝正君 関連。北村さんからいろいろ金利のことを言われました。なかなか期待する答弁が得られない。これは政府政府考えがありますから、やむを得ないといえばそれまでです。けれども私はその金利体系の結論というのをえらくむずかしく坂村さん頭がいいから言い回しておるんだけれども、もっと簡単に考えられないか。それはつまり他の経済情勢云々と言われるけれども、他の経済情勢があればこそ農林金融は低金利でなければならないという結論にどうしてもなると思うんです。それは所得格差はますます広がるという状態にあるし、三十五年見ても非農林業における就業者一人当たりを一〇〇とするならば、農林就業者は一人当たり三一%しか所得がない。その格差を縮むようというのが、今の政府の大方針であろうと思います。それに基づいて農業基本法も出ておるという理解なんです、私どものほうは。そうだとすれば、この農業のほうが日が当たらないことは他よりもおびただしいのであるから、当然他の産業に回す政府資金よりも安い金利でなければならない、こういう大ワクは私はどうしても出てくると思うのです。そういたしまするならば、おそらく今七分五厘云々というお話がありましたけれども政府資金を投入しておるところの金利で、農業金融が一番金利が高いということにどうしてもなりやしませんか。それがおかしいじゃないですか。その一つの例として、昨年の臨時国会における産投は百八十億ですね、その百八十億の使い方は、一会社であるアラスカ・パルプという二十億円の資本金の会社に対して百十八億回した、それが四分だ。そうなればもう開拓者はなおさら農業者のうちで日が当たらないのでありますけれども、しかし開拓者を含む農業者といえども、そういう政府金融よりか安い金利がどうしても出てくるはずだ。また造船についてもそうですね。これはプラント輸出になっておるからですが、おそらく高くても五分五厘であります一それから比べれば、なるほど三分五厘もありますけれども農業者のほうの三分五厘もあります、それは林道などというものは。しかし、これはごくわずかでしょう。あるいは中金においても土地改良というようなものは三分五厘というのがあります。しかし、これは全体からいえば問題にならないほど少ない。ただそういう数字があるから、答弁としては上のほうと下のほうをいって平均がとれたようなことをいうのだ。これはどうも坂村流の頭のいいところをやったのだけれども、こっちも黙って見ているわけにいかないのです。ですから、あなた自身もおかしいと思っているのだ、あなたほどの頭のいい人が今のように日の当たるほうが安い金利で、日の当たらないほうが高い金利でいいと思っているはずがない。ないのをそこを言い回すものだからだんだんおかしくなるので、私はだからどう考えても、政府金融利子補給、いろいろな処置ありますけれども、そういうものをしたのでほかで今の近代化資金、末端の農民が使う資金、それよりも高いというのは一つでもありますか。ないでしょう。私の研究ではないのだ。これはおかしくありませんか、どうです、坂村さん。
  89. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 先ほど御指摘でございました輸出入銀行から出ますものにつきましては、御承知のように非常に金利が、四分五厘から、輸出の場合には四分から七分、それから輸入の場合には四分五厘から七分五厘、そういう特別の金利をやっておりますが、国内のものにつきましては、たとえば開銀の場合におきましても、一般のものは八分七厘、これは完全に政府の融資であります。それから特別のものに対して六分五厘、こういうふうなものでございまして、平均コストは、平均の金利は加重平均いたしましても相当高い数字でございます。それから北海道開発公庫、これは政府の直接融資でございます。政府機関の融資でございまするが、これも八分七厘でございます。それから中小企業金融公庫、それから国民公庫、これは一般は九分でございます。そういうふうな点から見まして、私ども農業国内のいろいろの産業の融資に比べまして農業についてはとにかくほかのものよりは安くしよう、こういうふうに努力しているわけであります。で、公庫の場合には三分五厘から七分五厘といいましたが、実際の中身の平均は五分五厘五毛くらいに回っているわけでありますから、大体そのくらいのもので、五分前後で見ていいのじゃないかというふうに考えるのでございまして、そういう点からいいますると、国内的には農業についての金利というものは、できるだけほかの産業よりは下げるという努力をして参っておるのでございまして、それが十分ではないかもしれませんし、それからまた。どこまで下げれば、農業に対してほんとうに適正なんだという問題につきましては、これはなかなかむずかしい問題もございまするので、簡単にこれでいいのだとか、あるいはというようなわけには参りませんけれども、そういう状況で私ども努力をしているということを申し上げたわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
  90. 天田勝正

    ○天田勝正君 他の日の当たるほうとただすらっと金利を比較したのでは、あなたのおっしゃるようなものもある、そういうものもある。だけれども、それ以下のものもある、それを除きますとこうこうだという説明をするからそうなんだ。それを除いちゃいかぬ。低いものもあることをいって、またそういう七分五厘以上のもあります、こういう話でなくちゃ困る。そっちを低く貸しておる、これを除いて言いますとこうこうです、そう言うのでは困るので、あなたもお認めになっておるように、他の金利よりもどうしても低くなくちゃならぬ、これだけは私は明瞭だと思います。それで、どだい、これは農林大臣が来たときに指摘しようと思ったのですが、もともと日本の工業がこれだけ発達したというのは、明治初年の税負担を見てもわかりますように、七五%というのは地租ですよ。地租というものは、いって見れば百姓が納めたものです。それで官業を払い下げたり、鉱山を払い下げたり、土地を払い下げたり、三菱原がビル街になっちゃったりしているのですが、そういうことで、当時今のような制度がないから、たいていのあれには、財閥という言葉がいいかどうか知りませんが、その当時の政商みたいなものにただ貸しているのです。私はそれを知っている。ただ貸していますね。それから比べれば、そういう工業育成の土台になりたのだから、農家のほうへは今ただ出してもいいのですよ。元が返ってきさえすればいい。それを、ただ時代というものはおそろしいので今日通らないと思うのだよ、私が言うだけで。初めのうちに植民地を獲獲した国はもういいことになっちゃって、あとのほうで植民地を獲得したのだけは悪い、こういうことになるのと理屈は同じですよ。明治初年はやたらただで金を政府は回しましたよ。天下の糸平なんかはそれができたことはそれは明瞭なる史実なんです。お金を回したのは大隈重信、当時の大蔵卿の。そういうことで日本の財閥形成というものがあるのですよ。これは幾ら私が学がないといったって、ちゃんとそれくらいのことは心得ている。だから、今やその犠牲になってえらくアンバランスになってきている農業者に対しては、元さえ返るならば、ただで資金を供給したってもいいのだけれども、残念ながら時が違った。それであるから今の最低の線である三分五厘で押えるべきである、こういう根本的な考えに私は政府が立ってもらう以外に、この金利問題を解決する道はない。これを解決しなければ、幾らつぎ込もうとも、今度は近代化資金貧乏みたいになっちゃて、とうてい処置がつかなくなる、こういうことです。いかがですか、こういう考えがあるということをどうお考えになりますか。
  91. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) お説のとおり、安いほうがそれは農業にとってはいいと思うのでございまして、全体のことも考えながら十分ひとつ努力をして検討をいたしたいと思っております。
  92. 天田勝正

    ○天田勝正君 お説のとおりだけでやめておけばいいけれども、しかしながらということで別に持っていったのではどうも……。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 畜産局ね、この間僕は資料を頼んでいたと思うのだ、開拓地に対する資料を。ことにそれは限られた根釧、北上等において脱落した、短期の間に脱落した入植者があるはずだ。その数と脱落の理由が何であったか、これをひとつ資料で出していただきたいと言ったが、出せるのですか出せないのですか。きょうはあてにしていたのですが、来ていればそれでいいのですが。  その次に、今の非常にめんどうな金利問題の論争の中へ入ってきて、こういうことを言うては工合悪いかもわかりませんが、三年前の保証融資の増大について乳牛の導入を一つ加えられたですな。これはどういうわけでこれを一つ特別加えなけりゃならなかったのか。それはどこに必要性があったのか。他のいろいろの施策の中で当然それは導入する方法があるのでしょう。それをわざわざここへ加えられた、こういうことがどうもわからないです。それで大体保証協会で貸し出しました金が今までどういう方面に流れておるのか、それをちょっと調べたものありますか。もしあったら、私は耳が悪いから書いたものでちょうだいしたいと思います。きょうでなくてもいいです。
  94. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 開拓者融資保証制度は、開拓者の農業経営に必要な資金を保証でもって流すという仕組みでございまして、本来は肥料とか飼料とか農薬とか種苗とかいうものを中心に仕事をいたしておるわけでございますが、それ以外にも経営に必要なものとしての農機具とか中小家畜とかにつきましては、在来からもこれを保証の対象にいたしておったのでございます。乳牛につきましては、私は先ほど来の金利の御意見等もございましたが、設備資金の相当雄たるものでございますので、先生御指摘のとおり、政府の金、つまり開拓者資金というようなものでこれを融資することが、金利の面からいいましても、期間の面からいっても適当だと、私どもは実は存じておったわけでございますが、三十六年にこの保証法の審議をいたしました際に、衆議院等で乳牛も扱えるように業務方法書を改定したらどうかという附帯決議がございました。私どもといたしましては、附帯決議を尊重する立場で、補完的な意味におきましてこの制度でも乳牛は扱えるという道を相当努力をいたしまして作ったのでございます。基本的には先生おっしゃるとおり、本来の開拓者資金なり何なりで、基本的な資金は貸すべきものである、かような考えを私どもは持っておりますが、補完的に扱える道を開いたということでございます。それは衆議院等の附帯決議等を尊重してやった、こういう経過でございます。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 それだとすると、三千万円でちょっと少ないのじゃないですか。乳牛三千万円全部使って何頭くらい……、ほかへ回さぬで全部ですよ。ほかへ出回るでしょう。その比率はどのくらいになるのですか。
  96. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 三千万円の出資をいたしますのは、提案理由説明で申しましたとおり、地方におきます出資が伸びますから、保証をいたします関係上三千万中央の基金を作ろう、こういうことでございまして、すでにできております六億近いそれぞれの基金がどの方面に利用されるかということに相なりますと、後ほど資料でお出しいたしますが、何と申しましても保証実績は圧倒的に肥料、飼料でございます。三十五年度の状態を見ましても、十六億は肥料でございまして、えさが一億でございまして、本制度は大体農家が春肥、秋肥を潤沢に手に入れます場合において最も働いておるわけでございまして、その他は特定の地域で特にこれもやりたいというようなところに使われるわけでございまして、したがって、乳牛等はきわめて補完的でございます。したがって、三千万円を乳牛にすぐ使うというふうな考え方ではございません。なお念のため、三十六年度から乳牛を保証制度で保証する道を開いたわけでございますが、十二月末の実績では群馬、静岡、新潟、島根、岡山、福島の六県で二千八百万円程度でございます。かりに十三万とすれば二百二十頭程度でございます。先ほど来申し上げますとおり、きわめて補完的な制度としてこれを扱っていく考えでございます。  なお、御要望の保証制度の資金の種類につきましては、後刻資料で御提出いたします。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 このもらいました表の据置期限は大体これは五年でしたね。そうでなかったですか。これは三年でしたか、五年ですか。今もらいましたこの分の何は据置期間は何年になっていますか。三年でしたか、五年でしたか、パイロットの。
  98. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御質問の御趣旨が、お手元にお配りしました資料は機械開墾地区におきます入植者の離農者の数と原因を資料として出すようにという前々回ございました御要望の数字でございますが、御質問趣旨が機械開墾地区に入りました人間に渡す基本営農資金の据置期間はいつかといえば、原則として五年でございます。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 五年でしょう。そうしますと、ここにはいよいよ償還期限の来ているのが、三十一年のは来ているわけですね。三十一年が事業着手年度のものは償還期限が来ているわけですね、第一年度は。ここには大体上北地区だけは一割まではきておりませんが、床丹第二地区のごときは約一割、この中には返済に対する何から営農意欲を失ったという中にそれが相当含まれているのじゃないか、こういう話があるのですが、この点はどうなんです。営農意欲を何で喪失したかというと、この状態ではとうていこれから先数十年の間金を払いつつ営農を続けられない、こういうことでもう第一年度に相当の脱落者ができている、こういうことになるのですがね。ここの点はどうなんです。
  100. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) その資料にございますとおり、現在入植戸数、たとえば上北が三百三十九、床丹第二が百八十七というふうに、それから備考の註に書いてございますとおり、離農した跡にはそれぞれ適当なる入植者が入れかわって入っておりまして、計画どおりの入植者が現在ここで営農いたしているわけでございます。その中で上北で申せば十戸の方々がいろいろの事情で、たとえば本人がなくなられたとか、御家族だけではやっていけないというような意味で出られたとかいうものと、営農意欲喪失という報告でございますが、六戸ほどあります。あの地区ではとても営農がやっていけない、融資その他の関係でやっていけないということの証拠ではないかという御質問の御趣旨でございますれば、私ども三百数十戸の農家の中で、六戸程度の方々がやむを得なく出られたのには、そういう一般論以外にも個別の御事情もいろいろあったと、こう考えておるわけでございます。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はわざわざこういうごめんどうなお手数をかけましたことは、結局基本法にいう自立農家というものに対しての考え方、同時にこれほど手数のかかった、国が徹底的な力を入れたもので、これだけの第一年度の償還時期に入って脱落者が出る、一年でですよ。あとから入ったとか入らぬとかというのは、これは別なんです。かわりが入ったとか入らぬとかということは別ですが、こういう脱落者が出たと.いうことについては、非常な考え方を持たなければならぬ。いわんや、今問題になった金利等の問題を中心にした開拓農業というものは、審議会のほうで第一番に答申せられたように、人口の、失業者の救済と食糧不足のために、不用意といいますか、何か知らぬけれども、どんどんそっちのほうに向けていった。これは島流しじゃない、山流しをやっているのだというんです。そういうものをこれから正常なものに返すというためには、これだけの金をかけて、これだけの準備をして、これだけの用意をして、これは訓練までして入れたんですよ。それでこれだけの脱落者が出ている。しかし、私は開拓農業というものは困難性を持つんじゃないかと思う。しかるに、不用意に失業者が東京のまん中にわやわやと出てきたならば騒動が起こるから、何でもいい、そこらの山へ行って、ひとつ君ら耕して食べなさいという失業対策と食糧対策を中心にして、この答申には一番先にそれが書いてあるじゃありませんか。そういうやり方をして、今まあ開拓は失敗したというわけだ。私は、大体に失敗したという意見だ。こういうやり方に対して、これから答申に従って調査しますとか何とか、私はおかしいと思うんです。元来、政府資金の延期の問題のときもそうだった。棒引きにしなさいというのだ。だから、その点については、やはり答申にも棒引き、たな上げその他でもってやっていくというような方針を出しなさいというようなことが書いてありますが、だからもう少し金利等に対しても、坂村さんなども一般が一般がと言うが、これは一般ではない、特例です。大きな特例なんだ。敗戦のあとの特例ですよ。何も地主さん方に二十億の融資をして助けるなんということよりは、こっちのほうが先じゃないかと思う。この開拓者自身のほうをしていかなければならぬと思うのです。これで今入っている十四万何千人が全部やっていけるという目安がつきますか。まだ相当の数が脱落してくるんじゃないですか、だんだん。そういう旨のこともちょっと書いてあるようです。まだ全部読んでおりませんが、さっきもらったばかりだから。私は、そういう点に対して全く不満にたえないので、いずれ委員長、農林大臣にひとつ出てもらって下さい。こんなばかな話はないですよ。こんな施策をとっていったら革命が起きますよ。いろんなのが飛び上がって出てくるのもあたりまえの話だと思う。ばかげたさかさまな仕事ばかりやっている。答弁要りません。私はこれで終わります。
  102. 北村暢

    北村暢君 私は先ほどの午前中の質問で、答申についてずっと質問しようと思ったら中断されてしまいましたので、ああいう資金の問題に入ってしまったのですが、ここで、もう時間は取りまぜんから、ごく簡単に、今後の営農の振興対策の問題で簡単にお伺いしておきたいと思うのですが、この答申にもありますように、営農振興計画については、この改定をして、抜本的に実行可能な新しい営農振興計画を樹立せい、そういうことが出ているわけなんですが、これは振興法の制定された過程において、非常にこの開拓農家は。あわてて振興計画を出したところが、それがその過程において修正をしたいということを申し入れても、なかなか修正を認めないというようなことで、非常に資金その他の中で窮屈な形で、いわば一つのワクをはめて、振興計画というものを作らされたようなきらいが非常にある。したがって、今日になって見れば、基本法も制定されて、この構造改善というようなことからいけば、これは当然振興計画というものは、抜本的に改正をしなければならないということは、この答申の言っているとおりだと思うのです。非常にそういう点が、何か押えられてできた振興計画だ、こういうふうに理解する。あの程度のものでは、既入植者の営農の振興というようなことはできないのではないか。したがって、振興法の抜本的な改正ということから関連しますというと、営農振興計画そのものを再検討すべきだ。答申にもそういうふうになっておりますが、この点については、この答申を尊重せられるということのようですから、したがって、先ほど申しました既入植者の負債の問題とこの振興計画、こういうものから考えますというと、振興法の抜本的な改正ということが、当然考えられなければならない、このように思うわけでございますが、一体それに対して、今度の提案理由説明の中にも、振興対策の改善対策として、三十七年度に千三百万円の予算でもって予備調査をする、こういう予算を取っているようでございます。農地局関係予算書を調べますと、私どもこの千三百万円は、予算書でもちょっとどこにあるかわからないが、とにかくそういうふうに提案理由説明がされている。したがって、この予備調査が終了した後に、この振興法の抜本的改正というものをやろうとせられるのか、そしてこの調査というものは、来年度の予算の編成に間に合って、この振興法の抜本的改正というものが考えられるのか、ここら辺の見通しについてひとつ御説明を願いたい。  それからまた、今のようなこの予備調査をやるというようなことでございますから、どの程度の期間をもって、振興目標というものを完了しようかというようなことが出てこないのかもしれませんけれども、大体五年とか十年とか、考え方としては出てくるのじゃないかと思うのですが、一体どのような期間を目標に置いて、この抜本的な振興というものを考えようとしているのか。これらの問題について、どの程度農林省内部の論議というものがなされているのか、ここら辺の事情をごく簡単に説明していただきたい。
  103. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 答申におきましては、今御指摘のとおり、三十二年の振興計画がきわめて拙速のうちに作られた、極端にいうと開拓者自身と足がついてない面もあるというような意味におきまして、これはどうしても今度作るものは慎重に、かつ十分足のついた、開拓者自身と密着した、実行可能の案でなければならないということと、それからそれを拙速でやらないで、確実にやって、前回の轍を踏むなという点、それからその基準として、新しく振興のための設計を考えたらどうか、こういうような主要点があるわけでございます。したがいまして、これらの問題を整理をいたしまして予算に反映し、要すれば法律を改正いたしまして実効をはかっていくというためには、慎重な調査が要るという立場に立ちまして、私どもといたしましては、三十七年度予算に千三百五十万円程度、わずかではございますが、予算を計上いたしまして、一つには、全開拓者に対しまして毎年やっております実態調査を補完をして、より多くのデータを集める。それから全国におきまして二百ばかりの地区につきまして、その土地を新しく振興改善させるためには、どういう標準設計を立てたらば一番合目的的であるかという角度から、予備テスト的にその二百地区について現実にたずねてみて、いろいろと問題点等を整理し、あるいはこれを全国的な予算に伸ばして参ります過程の基礎資料を集めて参りたい。それからそれらの地区については、その計画そのものにつきまして標準設計に基づいてその地区に当てはめた場合に、具体的にその地区の農家の区分と振興計画の内容とか、行政府におきます審査やり方が独善、失敗に陥らないためにはどういう機関が入ってこれを審査したらよろしいかというような具体的な問題も、この二百の地区を中心にやって参りたい、かような考え方でございます。したがって、これの時期はそれではどうかということでございますが、今私どもはこの予算執行、あるいは予備調査の実施のための具体案を鋭意練っておりますが、予算は大体九月ごろからだんだん大蔵省との折衝等にも入る事情もごふいますので、できるだけその前に各種の資料をまとめて三十八年度予算に具体化して関係方面との折衝に入りたい、かような考え方でございます。それで、もしかりにそのような内容のものが政府の施策として発展いたして参るといたしまして、それらをどういうふうにやっていくかということにつきましては、答申におきましては、引き続き立ちました計画はのんべんだらりとやらないで短期間にあげると、少なくとも五カ年間で当該地区はあげてしまう、こういう思想のもとに七ページに五カ年で完了することを目途とするという趣旨言葉があるわけであります一全体を慎重にやるということとのかね合い等もございまして、それでは全地区を何年間で終えるかという問題については積極的に触れておらないわけでございます。触れておりませんで、当初は受け入れの整備された地区から、順次手を着ける等の方法をとるということでございますので、要するに地区別に計画をマスターいたしましたら、だんだん拡大していくという意味におきまして、全体をいつに終えるかということは、極力最低期間にあげるという立場でございまして、これにつきましては、何年間で全部終えてしまうという角度の点においては、まだ決定はいたしておりませんし、答申もそこは限定をいたしておらない次第でございます。
  104. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、今の標準設計というのは、この二百地区をとって標準設計をやるというのは、これは営農類型的なものを設計をする、そういう趣旨のもので、しかもその二百地区の調査をなるべく早く完了をして、三十八年度予算編成に間に合わして、振興法の抜本改正等も折衝したい、こういうふうに理解してようございますか。
  105. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 目下その線で努力中でございます。
  106. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御発言もないようですから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      —————・—————