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1962-03-02 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二日(金曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            古池 信三君            重政 庸徳君            柴田  栄君            温水 三郎君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            大森 創造君            清澤 俊英君            戸叶  武君            天田 勝正君   委員以外の議員    議     員 片岡 文重君   政府委員    調達庁総務部長 大石 孝章君    農林政務次官  中野 文門君    農林省農地局長 庄野五一郎君    水産庁長官   伊東 正義君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    運輸省海運局次    長       亀山 信郎君    海上保安庁警備    救難監     松野 清秀君    海上保安庁警備    救難部長    樋野 忠樹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査燃油に  よるのり漁業被害に関する件)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査のうち、燃油によるノリ漁業被害に関する件を議題といたします。  本件につきましては、質疑の御要求がございます。なお本件につきまして関係当局出席は、水産庁からは伊東長官海上保安庁からは松野警備救難監調達庁からは大石総務部長運輸省からは亀山海運局次長、以上でございます。
  3. 森八三一

    ○森八三一君 終戦後、特に私の常識では非常に理解いたしかねるような状況のもとに、北方の漁場におきましても、南方漁場におきましても、近くは日本海におきましても李承晩ラインなど漸次漁場が狭められて参りまして、関係漁民諸君といたしましても非常に難儀をいたしておりますることは、御承知のとおりであります。日本の産業という点から考えましても非常に遺憾なことでありまして、これらの問題はすみやかに解決されることを期待をいたしておるわけでありますが、そういうような諸般の情勢にかんがみまして、零細な漁民諸君といたしましては、沿岸漁場を開発しなきゃならぬということで、養殖に取り組んで参ってきております。政府におきましても養殖のことにつきましてかなり努力されておりまするについては、私もこれを十分了承いたしておるわけでありますが、非常な困難を押し切って開発して参りました沿岸における漁場が、臨海工業の発展というようなことに関連いたしまして、これまた次から次へと荒されてきておるという状況であります。それに加えて航行船舶等放出をいたしまする燃料によりまして、これまた相当被害を統発いたしておりますることも、すでに当委員会でしばしば論議されたところであります。私どもはこういうような、相次いで起きまする各種の被害に対しましてその救済の対策をすみやかに樹立すべきであるということを、しばしば論議をして参りました。その多くのものはまだ未解決状況にあります。そういうような状況のもとに加えまして、今年の二月十四日に横須賀港を出発いたしましたアメリカ油送船イーグルコリア号相当多量の重油を流出をしたというような事件が巻き起こったわけでありまして、このことはすでに新聞紙にも報道されたことでありまするし、関係漁民といたしましては、まさに死活の問題であるということで、関係方面にも善後処置についての対策について陳情をいたしておることであろうと思いますので、政府当局におきましても十分その間の事情は御承知のことであろうと思うのでありますが、まず最初に、二月十四日に発生いたしました船の座礁に伴う重油放出に関連いたしまして、いかなる被害が巻き起こっているのか、そしてその地域がどういうような地域に及んでいるか、すでに調査済みであろうと思いますので、その点をまず最初にお伺いいたしたいと思  います。
  4. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 水産庁長官から、ただいまの森委員の御質問に関連して一応の御説明をお願いいたしたいと思います。
  5. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 御質問の点でございますが、先生がおっしゃいましたように二月十四日、米船座礁によりまして、それから出てきました油による被害ということで、現地から話が参っております。地域といたしましては富津の地区、それから木更津の地区両方あるということを聞いております。私どものほうに、両方から漁業者被害があるのだということで、いろいろ陳情が参っております。まだ県からは正式に金額が幾らくらいという報告は実は参っておりません。漁業者からの陳情で申し上げますと、両方で大体一万二千さくくらいの被害で、金額にしまして六億ないし七億くらいの被害があるのではないかというような陳情を受けております。私のほうから県にいろいろ照会もし、また人も出して調査をいたすことにいたしておりますが、県のほうでは、いろいろ詳細な調査、それから今後の対策等につきまして、今月の十日前後くらいまでに詳細なものを持って参り、そして国で応援してもらいたいことは、こういうことがあるのだということを持ってくるというような話し合いになっております。
  6. 森八三一

    ○森八三一君 この種の事件は、しばしば繰り返えされていることでありますが、ともいたしますと、その油がどういう油であったかというようなことの調査等にひまをとりまして、最後には消えてしまうというような事例が多い。今回の場合は、はっきり輸送船座礁して、そこから油が流出したということは明確なことでありますので、今長官お話しのありましたように、被害額が六億であるのか、八億であるのかということにつきましては、もう少し詳細に調査を要すると思いますが、相当被害を発生しておるということも、これまた現実の問題であろうと思うのです。そこで、この問題の最終的な処置をいたして参ります場合に、先ほど申し上げましたように被害を与えた油がどういうものであったかということが、しばしば問題になる。そこで、二月十四日に発生いたしまして、直ちにこれは漁民諸君といたしましても、非常に重要な問題として、各方面陳情もしておるのでありますけれども海上保安庁におきましては、これは機を逸せず御調査になったと思うのです。といたしますと、アメリカ油送船放出した油であったのかどうかということについては、一応の調査はすでに完了しておると思いまするし、また、こういう事件は即座にやらなければ、あとで水かけ論になるという事例が多いものですから、今までの経験から徴しましても、すでにその点だけについては調査済みであろうと思いますが、そういうような調査があったのかないのか。当然あったと思いますが、その結果はどういうように鑑定されておるのか、その点を政府にお伺いいたしたいと思います。
  7. 松野清秀

    説明員松野清秀君) イーグルコリア号から油が流れ出しましたことは、事実でございます。なお、今回発生いたしましたノリ被害が、イーグル号から出ました油かどうかという点につきましては、もちろん私ども調査を進めておりますが、まだイーグル号の油であるというような断定を下すまでには至っておりません。
  8. 森八三一

    ○森八三一君 今の話で、イーグル号の油であるのか、どういう油であるのかについては、今日までの調査では判明しないというお答えなんですけれども、どうも私ども常識的に油送船座礁をして、それで相当量の油が流出したという事実は判明しておるのですね。その油の性質と、ノリさくにくっついた油の性質というものを比較いたしますることは、そんなに長い時日を要することではないと私は思うのです。非常にむずかしい技術を要することでありますれば、相当の時間を必要といたしますることは了解されますけれども、油の性質を判明させる程度の科学的な調査ということは、これはわずかな時間でできることじゃないですか。それがすでに相当時日を経過しておるのに、まだどういうような油であったかということが判然としないということは、私には理解しかねるのですが、その程度のことより保安庁では科学的な試験をするという施設がないのか、知恵がないのか、どういうことなんですか。
  9. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 海上保安庁におきましては、イーグル号の乗り上げました現場付近海上に浮遊しておりました油と、それからノリ被害が発生しました区域の付近の油を採取いたしております。これにつきましては、同一性のものかどうかにつきまして、神奈川工業大学鑑定依頼しておるような次第であります。
  10. 森八三一

    ○森八三一君 イーグル号から油が出たことは事実ですね、その油送船に油の何がしかが残っていると思うのです。その油を採取したか、それからノリさくにくっついた油を採取したこと、この二つ比較試験をいたしますれば、そんな時日を要することではないと思うのですが、そんなに時日を要するようなむずかしいことなのかどうか。私は技術者じゃありませんから、その辺のことはわかりませんけれども常識的には両方の油を採取してその性格を比較いたしますれば、同種のものであるか、異種のものであるかということは、すぐときを逸せず判明してしかるべしと思うのですが、それが海上保安庁で採取してどっかに依頼して分析している。それが今もって判明していないというような、そういうむずかしいものなんでしょうか。
  11. 松野清秀

    説明員松野清秀君) その辺のことに関しましては、私も十分な知識がございませんが、従来の例によりましても、やはりそういう鑑定につきましては、相当時日がかかっているのが実情でございます。
  12. 天田勝正

    天田勝正君 関連して。この種の被害は、時日がたてばたつほど、その原因があいまいになるほうが普通なんであって、早く調査が済んでそうして原因を明らかにならせなければならない必要があるのです。この種のものは、とかくもっと長くかかるのだという今の御答弁でありますけれども、時間をかければこれははっきりしてくるのですか、どうなんです。
  13. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 私どもとしましては、やはり鑑定依頼いたしておりますので、そういうような結果が出ませんと、それは断定的には、これがイーグル号から出た油によるものだという断定はできかねるというふうに考えております。
  14. 天田勝正

    天田勝正君 いや、私が聞いているのは、そういう同種のことがありますかというんです。前に同じようなことがあって、そうして時間をかければそれがはっきりしたと、早いうちならばはっきりしないけれども時間をかければはっきりしたという事例があるのですか。私はそういうものは早く原因がわかればはっきりするけれども、時間をかければかけるほど、あいまいになってくるのじゃないか、これが常識だと思う。それが逆のお答えのように聞くから、そういうことがありますかと聞いている。
  15. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 今私具体的にそういう事実があったと記憶いたしておりませんが、やはり相当かかるのではないかと、そういうふうに考えております。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。今お答えの方にお尋ねしますがね。あなたのほうで調査しているのは、どういう責任調査しているのですか。
  17. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 私どもはこういうような海水汚濁に関しましては、港則法あるいは水産資源保護法によりまして取り締まりを行なっているのでございますが、これらの法令は御承知のように故意犯についてのみ規制をいたしておりますので、今回の事件、こういうような事件に関しまして、そういうような法令違反として取り扱うことは、もちろん困難でございますが、しかし、やはりそういうような被害がありまして、いろいろ従来からも問題は起こっておりますし、私どもとしましても、海上における人命及び財産の保護というような広い観点から、そういうような事件につきましてもそれがどういうような関係にあるのかというような点につきましては、従来からも調査をいたしておりまして、今回の事件に関しましても、私どもとしましてはできるだけの調査を行なう、こういうことでございます。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、あなたのほうの調査並びに鑑定依頼したりして出てきた結論、これは政府側結論ということになるわけですか。という意味は、伊東さんのほうにお尋ねしますがね、この種の問題は、水産庁としてはどういう責任権限があるのですか。あるいは千葉県のほうは水産部になっておりますか、水産課になっておりますかわかりませんが、このほうはどういう責任権限があるか。
  19. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) この問題の調査を今先生聞いておられますが、私どもとしましては、第一次的には県の水産課がございます。そういうところで、実際にはどれくらい被害があるか、この油の問題はどういうふうに見るかというふうなことは、第一次的には県で調査してもらって、その上でわれわれがそれをどういうふうに取り扱うかということで、従来はやって参っております。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじゃもう一度伊東ざんにお尋ねしますが、水産庁としては、今いろいろ問題になっておるその油が難破した船の油であるというふうな、そういうところまでは積極的に水産庁としては調査はしない、こういうことですか。
  21. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今までの事例では、水産庁が直接乗り出しまして、すぐこれがどっちの油だというところまでは、実はやっておりませんので、県に水産課がございますので、そういうところで一次的には調査をやっております。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、県が鑑定してきたものを、水産庁がやはりそれを基礎にしてこの問題は扱うということですか。それとも今お話しになりました政府関係のほうの一つの行政が調査しておるものを、水産庁としては取り上げる、こういうことになるのですか、どっちなんですか。
  23. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私のほうとしましては、今海上保安庁でおっしゃいましたように、一つ鑑定依頼しておるということをおっしゃいました。水産庁では県のほうの調査水産試験所とか、そういうところが、実は県でやっておりますので、それを合わせてみまして、私のほうとしては判断をするということになろうと思います。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、この問題を扱うのは責任的には水産庁である。そしてじゃ判断を下すのには両方の資料をもって判断を下す。水産庁自身調査もしていないで、どうしてこの二つの問題をそれぞれ判断ができるのですか。
  25. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私のほうは直接調査をしなくても、これは県の水産試験所と、たとえば今松野さんがおっしゃいましたものが一致すれば、それはよし。これが違うということになりますれば、国の水産研究所等も使ってまた検討するということに相なろうかと思います。
  26. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私納得できないのですが、今の日本技術水準のもとで、座礁した船の中に残っておった油を採取し、ノリさくにくっついた油を採取して、その両者のものが同一性格のものであるかどうかということを見きわめることに、そんな旬日の日数を要するということは私には理解いたしかねるのですが、その程度のことを政府は調べる力がないのですか。そのものが同種のものであっても、被害を与えたかどうかということになりますると、これはその日の波浪の関係とかいうような関係で、そっちのほうへ流れていったとかいかないとか、それは別の問題なんですが、油の性質自体異種であるか同種であるかというくらいのことは、そんな何日もかからなければわからぬということは私には了解しかねる。海上保安庁で採取せられる。それをどっかへ委託をして分析させておると、こういうお話しなんですが、その分析の結果というのはそんなに時間を要するということは、私にはわからないのです。そういうむずかしいものかどうか。私はそういうことでしばしば今まで時日を要しているうちに事件が混迷してしまって、結局零細漁民は泣き寝入りにさせられてしまうということになった事例が多いのです。ですから、こういう問題は発生したときに時を移さずにすぐきめてしまわなければ、問題の解決にならぬ。この委員会でも、この事件は今までもうおそらく何回となく各地に発生して論議されておるけれども、ほとんど未解決の状態で今日に及んでおるのですが、ただ一件だけ、海上自衛隊の船が流した油ということで、この委員会は問題にいたしまして、政府のほうで、ある程度の賠償をされたということはありますけれども、普通の一般の商船の放流した油の問題は、全然立ち消えになっちゃったというのが、今までの情けない事例なんですよ。油の性質が同じであるか違っておるかということを見きわめるのは、二週間もかかってもわからぬというのは、この程度技術陣営しかお持ちになっておらぬことでしょうか。
  27. 松野清秀

    説明員松野清秀君) そういうような分析にどのくらいの時日を要するかという点につきましては、私も先ほど相当時間を要すると申しましたけれども、その辺は、やはり私どもからは、どのくらい一体かかるのかはっきりしたことは申し上げられませんのでございますが、聞くところによりますと、やはり重油にしましても一度海面に流れ出ますと、海水との関係で、やはり相当変質をするというようなことがありまして、まあ鑑定というようなことになりましても、相当むずかしい点がある。こういうように聞いておりますので、先ほどさように御答弁申し上げた次第であります。
  28. 森八三一

    ○森八三一君 どうもその辺のこと、私も技術屋じゃありませんから、自分でとやかく申し上げる立場ではございませんが、日本の持っておる技術水準からいけば、そのくらいのことは私なら二時間か三時間でわかると思うのですよ、そんなことは。自分技術者じゃありませんから申し上げませんけれども、今までしばしばこういうことが議論になったのですから、もう少し早く結論を導き出すような調査方法といいますか、調査陣営といいますか、そういうようなものを整備しておられなければならぬはずだと思うのですね。もしそういうことが投げやりになっておったとすれば、これは私は非常にに怠慢という言葉を使わざるを得ないのですよ。初めて起きた事件であればまだですけれども、今まで伊勢湾においても、その他の地域においてもしばしば起きた問題なんです。そして今までほとんど全部時間をかけて立ち消えになっておる。そういうことじゃいかぬから早く一つ事件が発生したらそれをきわめて、その後の対策はどうするかということは、国際的な問題になった場合には、非常にむずかしい点もありますけれども、それぞれ零細漁民のために最善の方途を尽くすということで論議が繰り返されておるんですから、少なくとも海上におけるこの種の問題を調査をされておる、あるいは取り締まりをされる海上保安庁としては、事件が発生したら、即刻加害者がだれであるかという点については判明するくらいの整備をされておってしかるべきだと思うのです。それがちっともされておらぬということになりますと、今までわれわれが数回ここで議論しましたことは、馬耳東風で聞き流したということになると私は思う。そういうふうに了解していいんですか。海上保安庁は、海上におけるこの種の事件について、最終どうするかということは別ですよ。現状というものをはっきりするという点については、私は職分として担当されておると理解しておる。それがちっともなされておらぬということは非常に遺憾と思うのですがね。そういう点は一体どうなっておるのか。  それから、またもし時日を要するといたしますと、一体、今度の事件は、何日になったら、鑑定の結果が出てくるのですか。何日かかってもいいからやりなさいという程度のものでお茶をにごしていらっしゃるのか、何日まで・にその結論を出せという指令をなさっておるのか、どうなんですか。
  29. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 私としましては、できるだけやはり事実の調査はいたして参っております。なお、今度の鑑定結果がはっきり出るかどうかという御質問でございますけれども、これは私ども今いつはっきり出るとかいうようなことにつきましては、なかなか申し上げることはできないと思います。  なお、先ほど神奈川工業大学というものに鑑定依頼したと申しましたが、これは神奈川工業試験所でございます。訂正させていただきます。
  30. 大森創造

    大森創造君 ちょっと関連。私聞いていますと、森さんの言うたことや、天田さんの言うことが、ほんとうのような気がする。これはどうなんですか。おくれている原因というものは、今の試験所のほうに依頼をするという手続をお宅のほうではとる、これはお役所仕事としてとったので、これを民間仕事のように、私どもこれはすぐわかるような気がするのですけれども、どうなんだということは、だめ押しなどはしないで、ただ向こうのほうでは調査依頼を受けた、そして学問的な試験研究をするというような、今までのありきたりの態度でもって相当時日が流れておる。そういうものができ上がってくるのをじんぜん日をやってこっちは待っている、速急にそういうことをせかしてみたり、そういうことを実際上やったごとがありますか、その試験所について。ただ向こうから上がってくるのを待つ、そうするとつまらない試験でもわれわれが頼みますというと、何々試験というものは一カ月を要するものですよ。ところが、確かに時日を経過するというとわかりにくいと思うのですよ。この常識は正しいと思う。そうすると、これは普通の民間から依頼をした場合でも、あるいは海上保安庁のほうからそういう地元の人がお困りになっている、緊急性があるのだということのそういう情勢分析しないで、ただ、政府機関から一般的な依頼を受けたんだと、それは月給をもらっている人の気持なんですから、そうすると、こいつは分析証明書みたいな形式的なものができるまでの間に、一カ月か四十日ぐらいかかると思うのですよ。通常の日本の官庁というものは、試験所というものは。その内容を把握して、一日も早く報告しないというと地元の人が困るのだというようなそういう配慮がない。科学的なその態度と申しますか、そうゆうちょうな報告が出ることが今までのありきたりです。そういうものをただお宅のほうではまあ権威のあるものだからということで、向こうが時間をかけるならそれを待っていましょうということで待っていると、何日たっても結論が出ない。半年たっても出ない。だから今まで言われましたように、常識的なものが一番正しいような気がする。だからこのことはどうなんですかと、こういう速急性のある問題ですから、これは一つほかの研究あと回しにしても、これをはっきりせてくれませんかということを念を押したことはありませんか。そういうことを役所というものはお互いにやらない。そういうことのために国会で議論されて、おくれる理由をお互いにしかつめらしく問答してみても、肝心なお宅のほうの部下のところで督促しない。そして係長だ、課長だと判こを押してもらって、それができ上がって向こうに着くまで日がたつ。向こうのほうでは、書類を受けてから未決なんて下のほうにあって、そういう速急性というものを書類には書いてないはずだから、そういう問題の処理をしたのでは、これはいつまでたっても結論が出ないということになりますよ。その辺の事情はいかがですか。
  31. 松野清秀

    説明員松野清秀君) これは横浜の海上保安部でやっておりますが、工業試験所と連絡をとっておるかどうか、まだ確かめてはおりませんが、御趣旨のとおりでありますので、できるだけ早く連絡させるようにいたして参りたいと思います。
  32. 大森創造

    大森創造君 それでは、私がちょっと思いつきを申し上げたことは、その事実そのとおりで、試験所というもの何とかいうものがあって、そこでお宅のほうから督促の電話とか文書などがいってないです。私が指摘したとおり、おっしゃるとおりということで、そういうことのために地元の人が一日も早く、あるいは水産庁のほうでもその結論を待って処置しようということにもかかわらず、そういう事態を認識しない、いわゆるお役人根性でもって、ただ下のほうにいくということでは、いつまでたっても解決できない、そういうような具体的な督促の手だてを今までやってないという事実をお認めになりますか。
  33. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 私、そういう点につきまして、今までのそういう連絡を怠っておったかどうかという点につきましては、よく調べておりませんので、今ここで何とも申し上げかねるのでございます。
  34. 大森創造

    大森創造君 それでは私はまずいと思うのです。そこで、ここで水産庁長官がおいでになる、地元の方がおいでになって、そしてそれぞれ権威のある委員会で答弁をするというと、今お答えになったあなたのほうの立場としては一応済まされるのですね、責任というものは、今までのありきたりからすれば。しかし、こういう性質の問題については、今のような態度でもっては、これはほんとうの意味の官吏の態度ではありませんよ。これは文書仕事、形式的な仕事の面については、責任はあなたはとられることはないでしょうけれども、こういう性質の問題につきましては、あなたは部下を督促するなり、あなたはあなたの関係でもって事の性質がこうだと、あなたが直接行くなり、あるいは部下をして督励させる、電話一つもかけさせるということが、ほんとうの親切な態度です。一事が万事それをやっているから、私は調達庁の補償の問題だって何だって、質問すると一カ月くらいかかる、そういう態度は非常に悪いことです。簡単に言っておりますが、そういうことのために半年くらいすぐおくれてしまう、うやむやになってしまう。軽く、そういうことは認めますけれども、どうのこうのとお答えになっておりますが、そういうことについて従来あなたの上司なんかは、そういう答弁を国会の委員会でしていることについて、責任は問われることはないでしょうが、私は責任問題だと思う。そういうことについて深く責任を感じて認識していただきたい。速急にその手だてをきょうからとるということをお約束してもらえますか。
  35. 松野清秀

    説明員松野清秀君) できるだけそういうふうに促進するように指導して参りたい。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと関連。今の方にお尋ねしますが、きょう委員会があって、その種のことが問題になって質問される、それ以外にあなたのほうに質問はないくらいのことはあなたはわかっておって御出席になったと思う。ところが、最近の状況というものは、現地の横浜なり試験所状況というものは、あなたのところでは全然知らない、経過的にどうなっておるかということを知らない、どうもそれではこの委員会に出てくるのに準備疎漏であると言わなければならぬと思う、率直に申すならば、委員会におけるわれわれの調査に対して非協力です。まだ今からでも質問やってみますから、即刻この国会から横浜の海上保安部に電話を入れて、試験所のほうとの関係はどうなっているのか、いつごろまでには鑑定のそれが出るのか、部下の方も来ておられるようですから、御命令になって、電話で御返事をいただいて、即刻ここで報告願いたい、要請します。
  37. 大森創造

    大森創造君 それはいけないですよ、そういうことは。そういうところに原因がある。
  38. 松野清秀

    説明員松野清秀君) ただいま連絡をとります。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 油の性質がどういうものであるかということは判明いたしませんので、事後の対策をどう進めていくかという問題は出てこないと思うのです、具体的にはつですから、あとのいろいろのことをお尋ねいたしましても、非常に難儀をしている。漁民の当面する対策をどうするかということを論議をいたしていきますことが、仮定に立っての論議になるわけでありますので、非常に十分なことではなくなるということになると思いまするが、しかし、事態は非常に窮迫している問題でもありますし、今、伊東長官のお話にもありましたように、数億の被害ということが、一応コンクリートのものではないといたしましても、判然といたしております。関係する漁民は、わずかに千数百名であるといたしますと、一人当たりにいたしましても数十万円の被害をこうむっておる。これはまさに生活に直結する非常に重要な問題だと私は思うのです。そこで、仮定を前提にしてここで論議をしますことはいかがかとは思いますけれども、前後の状況から判断をいたしますれば、私はこの油送船座礁によって油を流出した。その油が被害を与えたというように断定をしても、おおむね間違いなかろうと私は考えますので、そういう立場に立って以下お尋ねを申し上げたいと思うのですが、座礁という事件によって、この問題が発生した場合において、一体その船を加害者というふうに判定できるのかどうかということにつきましての法律的な見解はどうなりましょうか。
  40. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今仮定の御質問でございますが、おそらくそういう場合には、法律上は民事で損害賠償の請求をするというような法律上の措置になろうかと思います。
  41. 森八三一

    ○森八三一君 民事上の損害賠償という問題にこれが取り扱われるということになりますと、これはもう解決までには容易ならぬ日子を要するということは、過去の事例に徴しても明確であります。その場合に水産庁といたしまして、零細な千数百名の漁民の諸君が飢えに泣いておるという事実を放置するわけにはいかぬと思うのですが、その場合の対策はどういうふうにお考えになっているか。これが民事事件として取り扱われて、結論が出まして、加害者が損害賠償をすることによって被害を受けた者の経済的損失というものがカバーされますということになることを私は希望しますけれども、それには相当の日子を要する。その時間の間、漁民としては生命に関する問題につながってくる。これは放置を許さないものだと思うのです。そういう場合に沿岸漁業の振興ということを担当されておる水産庁として、これに取り組んでいく対策というものはおありになってしかるべきだと思うのです。その場合の対策をどういうふうにお考えになっているのか伺いたい。
  42. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) この前も数百人の人に会いまして、その話が出たのでありますが、私ども考えられますことは、先ほど申し上げましたように、県から具体的な案を持ってきてもらって、この分はたとえば県で処置する、この分は国で頼むというような仕分けをしてきてくれというようなことを、実は県に言っておるのでございますが、まだそれは出ておりませんけれども、おそらくわれわれ考えられますのは、国としましては、まあその人々の仕込み資金、設備資金、いわゆる合成繊維の漁網を買う、あるいは運転資金とか、いろいろな金の問題になってくるのだろうと思います。それで私どもといたしましては、公庫からいわゆる合成繊維等につきましては融資ができますので、こういう設備につきましては比較的長期の融資をあっせんする。あるいは運転資金につきましては系統資金、中金に頼みにいきますとか、そういうような、差しあたりは金の世話をすることが、おそらく県からは国はこういうことをしてほしいということを言ってくるのではなかろうかと思いますし、われわれもまたそういうことをやってやるべきだというふうに考えております。
  43. 森八三一

    ○森八三一君 ノリの漁期というものは、天然条件によって制約があるのですから、もろ旬日にして、ノリの生産期は終わるわけですね。ですから、今長官のおっしゃるように新しくノリをとるための施設にいたしましても、これは来年のノリ漁期には間に合うかと思いますが、今年のノリ漁期にはもう間に合わなくなってしまうということだと思うのです。そういたしますと、この被害によって数億の損害をこうむった。それが来年のノリ漁期までの生活の資に充てられる収入と認めてよろしいわけですね。それがなくなってしまったということになりますると、これは非常に大きな問題が起こる。それらの問題につきまして、政府としては何らの対策も取り得ない。ただ督励をするという程度で、それ以上には出られないということなのかどうか。私はそこに加害者というものが判明しておりませんけれども、今の時点では、おおむね予測できるということですから、先般もここでそういう希望を申し上げたのですけれども、そういうような事件解決するまでの間、一つクッションを入れて、国がめんどうを見てやるというような対策というものがあってもいいのではなかろうかと思うのですが、そこまで踏み切っていくということに参りかねるかどうか、その辺はどう考えますか。
  44. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今申し上げましたのは、まだ何も決定したものではございませんが、検討はいたしますが、先生も御承知のように、加害者がはっきりしているという先生のお話がございましたが、こういう場合には、例の御承知の水産の共済に入っている人も、一般の共済では出ないで、加害者から金をもらうという形になっているわけであります。水産の共済でもです。それで、この際すぐに国がそういう生活資金的なものにまで乗り出してお世話できるかという、たとえば予算的措置とか、そういうようなものは水産庁には実はございません。私どもは先ほど申しましたように、国でできますことと県でやってもらいますことと仕分けしまして、たとえば先ほど申しました運転資金とか設備資金のようなものを国で持つから、ある程度県では生活資金的なものを貸すとか、何かそういうことをしてもらいたいとか、おのおのができる範囲でこの措置を考えていくというふうに私は県と相談して参りたいというふうに思っております。
  45. 森八三一

    ○森八三一君 いずれにいたしましても、これは前提がはっきりしないので話が進んでいかないのですけれども、すみやかに油の性格を明確にされますと同時に、その日の風向きなり波浪の状況等から、この油送船の流出した油による被害であるかどうかということをすみやかに決定をされませんというと、いつまでたっても、その具体的な対策というものが進行しないと思うのです。このことが先決問題ですから、これは水産庁としては、今までそういう点について直接に関与はしておらなかったということではありますけれども、やはり水産庁として沿岸漁業を振興していくという立場に立っていらっしゃいます限りにおいては、そういうことを担当いたしておりまする海上保安庁なり、あるいはその他の官庁がございますかどうか存じませんけれども、そういう官庁を督励してすみやかにその結論をお出しになるという努力をされたいと思う。同時に、その努力の結果、一応の結論がこの油送船によるものであったということに判明いたしましても、先刻申し上げましたように、座礁という事件によって発生した問題なんだから、これは民事事件として損害賠償の対象事件になる。こういうときにはそれ以外に対策はないということになりますると、これは解決のためにおそらく何年か要するという問題に私はなると思う。その間、漁民諸君としては生活にも困るという事態が発生するわけなんですから、その対策として、今お話がございましたように、県と国のほうでそれぞれ分担をする区分というものをきめて、この問題の跡始末に取り組んでいこうという御方針のようでありますので、その内容がはっきりいだしませんと、はたしてその程度のことで漁民諸君の当面している問題が救済し得るかどうかということが判別はできません。できませんが、少なくとも数億の被害をこうむって、これから次の漁期までの生活に難渋をするという事実ははっきりしたのですから、その間の対策について生活資金をも含めて遺憾なき措置をとっていただきたいと存ずるわけであります。いずれこれは次の委員会等には、海上保安庁における調査の結果が判明しましょうし、先刻小笠原委員質問によりまして、即刻お調べを願うと、うことの御回答がございましたので、きょう中にも回答が出て参りますれば、具体的な対策もまたその次に私は質疑をいたしたいと思いますが、仮定を前提にその議論はできませんので、きょうはこの辺で私の質疑は終わっておきます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も補足的にあとあとのためにお尋ねしたいのですが、一つは民事で争うという問題で、これは原告としては各漁業協同組合が共同して弁護士を雇い、費用を持って争えということですが、相手が外国船であるということで、立証される十分なる証拠を持ったということになった場合に、かわって水産庁、国が原告になって訴える。そうして取れた金を協同組合員のほうに配分する、こういうようにやられるわけですか、どっちですか。
  47. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その場合、関係の組合が共同しておそらく相手方と訴訟するということで国がかわってやるということには、私はならないと思います。私のほうも実は外務省に話しまして、あるいはそういう訴訟が出るかもしれぬと、極力いろいろな面で便宜をはからってくれということで、実は外務省にも頼んでおるようなわけで、まだ何も訴訟になっておるわけじゃございませんけれども、そういう場合には極力便宜をはからってくれということを、すでに外務省には水産庁から頼んでございます。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 実際ノリそのものの被害を受けたということは個人財産が被害を受けたということでありますが、その海域そのものは日本国の海域ですがね。それで今も森さんがお話ししたが、個人が生活資金にまでも困るというような状況になり、なお裁判費用まで持って争うということで、国がそれを第三者となって見ておるというのなどは、一般の株式会社が外国との民事で争うというような問題とはやっぱりちょっと形が違うのじゃないか、そんな費用まで負担して、そうしてなおかつ万一負けたときには、原告側が全部費用を負担しなくちゃならぬというようなことになるような、そういう訴訟を国が全然めんどうを見ないというようなことでいいのか、または見て悪いという法律的な根拠でもあるのか、その辺のところを、国としてやり得る範囲というものが何かあるのですか。
  49. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私不勉強で法律全部知りませんので、そういう場合に国がかわりになってやれる法律があるかどうかは、私おそらくないだろうと思うのであります。そこまで国がやってやるということになりますれば、あるいはやっぱり法律的根拠に基づいてやることになるのだろうと思いますが、私の記憶では、そういう法律は今のところはない。ただ、そういういろいろな費用の問題をこれは現実の問題としまして国と県で話し合いしますときに、そういうものはどうするかというようなことも、おそらく私は国と県の話し合いのときにどの程度応援できるとかできぬとかというようなことを、県とは私は話し合う対象にはなるだろうと思います。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは実際森さんのおっしゃるように仮定の問題ですが、いよいよ油が同質のものである、加害者はその船だ、こういうことに証拠が出たとなれば、争いで取る以外にはない、これははっきりしたわけですね。そうしますと、今の海上保安庁のみならず、水産庁等においても、もっと今のうちから、どうせ争いになるのですから、それ以外にないというのですから、証拠がはっきりするような万全の措置をとる、あるいは現在の海域において証拠が保全されるような措置をとるというようなことをやって置いていただかないと、関係漁民に対してその挙証をさせるというようなことだけではこれは足りないのじゃないかと思うのですが、その点から見ますと、さっきから言うように、海上保安庁が一部工業試験所鑑定依頼したというのですけれども、それだけでいいのかどうか証拠として……。これは伊東さんに伺いますし、それから海上保安庁鑑定を委嘱したというのは、この陳情書等にも見られますが、被害を受けた一面の海面の、各所の水を持って行って鑑定を頼んでいるのか。ただ単に一部、一点だけ持って行って頼んでいるのか、将来の証拠として十分使えるような万全の措置をとって鑑定依頼しているがために、時間がかかるという状況にあるのか、この点は海上保安庁の方にお尋ねしたい。
  51. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 私のほうの考え方も、いろんな場合の措置につきまして、漁民だけにまかして応援はしないんだということは全然考えておりません。それは県に話をしまして、いろんな場合に最も便宜になるように、極力漁民の応援はいたさせます。
  52. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 海上保安庁におきましては、第二海堡付近と、それから富津の沖合い、それから木更津の沖のほうで採取をいたしております。     —————————————
  53. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際ちょっとお諮りいたしますが、片岡君から委員外の発言の希望がございます。これをお許しすることに御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議がないようでありまするから、小笠原さんの質問が終わりますれば、ひとつ片岡さんの発言を許すことにしたいと思います。
  55. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 小笠原君。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、その争いの問題の場合には、あげて県、水産庁海上保安庁、これが原告側の証人で立証してもらわなくちゃならぬのですが、海上保安庁、そういう将来の考えを、起こり得べき状態を考えられて証拠を取るということで、積極的に今後お仕事をなさっていただくということでなければならぬと思いますが、そうしていただけますか。
  57. 松野清秀

    説明員松野清秀君) やはりイーグル号の油によるものだということがはっきりいたしますれば、必要に応じてむろん海上保安庁としても、そういう点の立証につきましてできるだけの努力をいたす考えであります。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 なかなか、われわれしろうとですけれども、外国、特にアメリカのそれと戦って争うということになれば、科学的な、厳密な証拠以外にはもう問題にならぬと思うのですね。日本の裁判などのようなものよりは、アメリカのほうの裁判のほうは——ちょっとそう言えば日本の裁判権を誹謗するようですけれども、単なる状況証拠なり何なりというようなことなどでは、問題にならぬようにわれわれ聞いているので、これは海上保安庁としても十分証拠を集められ、また、それを完璧に保全するというようなことについては、努力していただかなければならぬと思いますので、そういうことを強く要請しておきます。  それから伊東さんにお尋ねですが、従来いろいろな自然災害が起こった場合のノリ、うちの岩手県のほうでもあったのですが、方々で被害がありますが、これは全部融資だけですか。補助はなかったのでございますか、この関係では。
  59. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 天災融資法を発動するようなときの災害になれば、補助金ももちろん出しております。高いときには九割というような補助金が出ることもあります。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが、こういう人為的な、これは自然災害でない、不特定の何人かの行為によって、あるいは、はっきりすればその油送船ということになり、あるいはまたそれであっても、裁判技術関係で、訴訟に敗けるということがあっても、国自身の調査としては、原因はその油送船である、そういう実態がわかった、あるいはかりにわからないにしても、不特定の何人かによる行為によって、こういう人為的な災害が起こったのだということがはっきりすれば、それを国としてそういう加害者を押えることができない、それをもって弁償せしむることができない。だから国のほうも知らないのだ、融資だけでいいんだ、自然災害のほうなら補助はあると、これは別だから、補助的な行為は国としてやれないのだというようなことは、ちょいと酷じゃないのですか。
  61. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今の原則は、大体原因者がはっきりしておりますときは、原因者負担ということでやっております。例外的にやりますのは、炭鉱を掘りました場合に、鉱業権者が負担能力がなくなっているとか、あるいは原因者がわかっているのだがどこにいったかわからないというような場合に、国が一部持ってやっているという、例外といっては何でございますが、そういう事例はございますが、水産のほうでは、まだ、原因者がはっきりしております場合に、そういう何か補助金を出すということは、実は今までのところはやっておりません。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから原因者がはっきりわかっておる。しかし訴訟を起こした、かりに、これは悪いことを申し上げますが、敗れた、あるいは鑑定の結果はどうも不明確であるという、ことが出る。そうであっても、何人かが油を故意か過失かによって流したことから起こった、こういう被害だということは厳然たる事実なんですね。そうなれば他の立法例で見るように、他の鉱山なり何なりの関係でそれがありとし、しかも従来の自然災害等においては、補助金等の出る道も開かれているということであれば、先ほど森さんにお答えのように、単に系統資金をあっせんしてやる。そういうことだけで、国としては、予算はございません。しょうがないのでござんす。これではどうも考え方が機械的でないかという感じがしますが、もう少し伊東さんのところで、他の立法例なり御調査なすって、適用し得る解釈によって行政措置がとり得るという判断が立つようなものを集められて、各方面と交渉もなされ、あるいは会計検査院等においても了承を求めて、何らかやはり善意な解決をしてあげるというようなととを、もう少し研究していただきたいですね。
  63. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 先ほど申し上げましたように、自然災害の場合も、実は天災融資法が発動になるようなときだけに大体、補助金は出しております。小範囲といっては工合が悪いかもわかりませんが、非常にごく小範囲のものにつきましては、補助金が出ないで融資でやっておることが、自然災害の場合も実は多いのでございます。本件の場合も、千葉県の、限定されたところでございますので、先生のおっしゃいますように、なるべく善意に、極力拡張された解釈のできるように、いろんな範囲で考えてやるべきだというお話はわかりますが、それがすぐ補助金ということにつながりますかどうかは、なかなかむずかしい問題だろうと思いますが、極力いろんな手が、最大限許されるものでどんな手が打てるかということは研究いたしております。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 基本にさかのぼる話ですけれども、この間も委員会で私申し上げたのですがね、一つの大きな災害の場合には、九割なり、手厚い補助によって災害の復旧をやる、小さければ金を借りてやるけれども、国民の側に立てば、被害が大きかろうが小さかろうが、自分のかぶった被害は、それは同じなんですね、だから国民の、この平等な権利と義務というものが保障されるなら、大災害には手厚いし小災害には手厚くないのだ、こういう国のやり方が、憲法上私はおかしいのではないかという疑義を常々持っておるのですけれども、それは今の立法上こうなっているからやむを得ないということは今日認めますけれども、少なくともこの種の問題で、かりにこの沿岸地域ノリ栽培の漁民というものは、ほとんどノリ栽培ということの専業者であるというような状態であれば、森さんがおっしゃるように、つなぎの生活という問題は、全部これ機灰存しておるのだ、それがこういう被害を受けたのだということになれば、特殊な扱いというものは、やはり行政的に考えられていいようにも思うのです。それは確かに伊東さんのおっしゃるとおり、むずかしいという点は私認めます。しかし、それがやはり政治だし、行政だろうと思うのです。ですからこれ以上はくどく申し上げませんが、あらゆる場合が想定されますから、伊東さんのところでひとつ善意の措置がとられるように特段の御研究をお願いしておきます。
  65. 片岡文重

    委員以外の委員(片岡文重君) 貴重な時間をさいて発言を許されまして、同僚諸君に感謝いたします。  すでに諸要点については御質問がなされておりますから、重複しない点について簡単にお尋ねをいたしますので、十分要領を得た誠意のある御回答を政府側に要求いたします。  今までに私が承りました地元並びに飯野海運等について調査をいたしました結果によりますと、船主、船のほうでも、かつ保安庁、それから水産庁等においてとられた措置等についても、かなり私どもから見て不満な点があります。少なくとも当事者から見て、こうしてほしかったという措置があります。しかしそれらの点についてはきょうは触れません、後にいたしますが。従来この種のノリ被害、浅海漁業に対する被害、特に廃油、重油等による被害は何回も起こっておるのです、同じ地点で。そのつど、私が痛感することは、この原因を明らかにすることを政府側はおそれているのではないか、明確にしようとする立場でなくて、むしろ明確になることをおそれておる、特に前のフリゲート艦の事件のごとき場合をとってみても、地元側の被害者が求めた検定の結果と、政府側から出した検定の結果では相当の違いがある、しかも政府側はその被害者の出した資料を参考としないで、加害者側の出した資料を参考にしておる、こういう例もあったわけです。それもしかもじんぜん日を延ばして、どうにも延ばし切れなくなって出された結果がそういうことである、これは一例ですけれども、従来の例からいって特に外国船舶に原因ありと思われるような事態についてはどうも明確にすることをおそれておる、明確になることをおそれておると、考える。先ほど同僚森君から指摘されましたように、この種の問題は、もし誠意をもって試験検定しようとするならば、そう一週間も十日もかかるはずがない。当然これはもっと早くできるはずです。そこで先ほど小笠原君から御要望がありましたけれども、私はもっと的確にいつ、いつごろまでにこの結果は出せるか、この約束をひとつこの際ぜひしてほしい、それが一点です。  それから先ほど民事訟訴になるのではないかというお話ももございましたけれども、かりに民事訟訴になりますと、証拠の点がきわめて重要になって参ります。そこで先ほど伺っておりますと、この証拠になるべき油を取ることについては、海上保安庁でも十分御配慮になっていただいたことと思いますが、聞くところによりますと、遭難当時、つまり座礁した当時、海上保安庁の係官が船内に立ち入らんとした際、船長はこれを拒否しておるとのうわさであるということになると、船内の油を取ることはできなかったと私は思う。そこで他日そのせっかく取って検定をした油が異質のものであったり、あるいはその船内から流出する危険ありと思われるものと相違しておったりしておったのでは、せっかくの苦心は水泡に帰する。そこでこの際、取られた油は、船体から流れつつあったものか、その船体に密着をしもしくは付近に浮游をしておって、他日これが動かし得ざる証拠となる油であったのかどうか。私はおそらくこれは保安庁の係官として当然動かし得ざる証拠となるべき地点において、その位置において取られたものと考えますけれども、この点について明確に立証の価値ある地点において、位置において取ったものだということが、ここで明言できるかどうかしてほしいと思う。これは第二点です。  それから当面の費用について、同僚諸君からしばしばお話がありました生活費、それから再生産費、そしてさらに考えられるのは、海面清掃の費用です、これは。現にまだ風の吹き方によっては動くわけですから、すみやかに万全な清掃を行なっていただきたい。この費用は私の聞くところでは、おそらく数億を要するであろう、少なくとも二、三億はかかるであろうと言われております。こういう費用を今日の食にも苦労しなければならない諸君に捻出をせよといっても、あるいはまたようやく地方財政法から解放されたばかりの千葉県に融資せよ、捻出せよといっても、これはきわめて困難です。そこでこれは海上保安庁海上を整備する監督の任にある立場からいっても、法規一点張りでなしに、何らかの措置をとって、国家の費用をもってこの海上清掃をすみやかに行なっていただきたいと思う。こういうことについての法的な根拠とか、あるいはここにおけるお約束とか、そういうものはおそらくあなたはおできにならないと思うけれども、先ほど来の御答弁から考えているとそういうふうに推察されますが、できれば明確にここでお引き受けいただきたい。もしできないならば、今日即刻帰られまして、この措置をとられるように最善の工夫をしていただきたい。  それからもう一つは、莫大な訴訟費用を必要といたします。そこで考えられるのは、この従来の外国船舶によって被害が行なわれた場合に、国の機関である海上保安庁水産庁その他軍の力をもってしても、残念ながら今日の国力の相違とでもいいましょうか、十分な調査がなされなかった事例があるようです。そこでいかに民間の船泊とはいいながら、外国の所有者であるということになると、すでに座礁直後の係官の乗船をすら拒否されたとうわさされている程度ですから、今後この訴訟を進行し、あるいはその立証物件の採取等、訴訟の進行について漁業相合とか、千葉県だけの力をもってしたのではきわめて不安心である。そこで、この際法令等にばかり拘束されることなしに、国定の協力を、この際力を合わせるということの意味の協力です。国が背景となって、国の力をもってこの事件のすみやかなる措置に当たられるように、水産庁としては積極的に発動していただきたい。特に外務省それからアメリカ大使館、これらの協力については即刻積極的な発動をしていただきたい。現に被害船舶と思われるイーグルコリア号ですかの法律代理事務所の弁講士さんにお目にかかろうと思いましたが、病気中だそうでありまして、私面会を申し入れましたけれども、病気中ですからということでお断りをいただきました。かぜのはやるおりですから、多分病気中だと思います。けれども長くかかるようなことになれば、私はこの被害者の代理人に会うことすらわれわれとしてはできない状態にある。いかに困難な状態にこの事件が置かれているかということは一例をもってして御推察いただけるわけですから、今後の事態解決にあたっては、相当強力なうしろだてが必要になります。どうしてもこれは国の力をもってしなければできないと思う。これらの点について善処をお願いしたいのです。お尋ねした点については、それぞれの立場から御答弁をいただきたい。
  66. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 先ほど申しましたように、流れ出ました油は採取いたしまして、神奈川県の工業試験所に検定を依頼をしておりますが、ただいま横浜に連絡いたしまして、確かめましたところ、今のところ三月半ばごろまでかかるということでございますが、先ほど来お話しのような事情でございまして、私どもといたしましても、できるだけ連絡を密にいたしまして、早く結果が出るように促進して参りたいとかように存じております。また、私どもが採取いたしました油は、むろん船内のものも取っておりますが、この点につきましては、むしろ価値としましては、やはりこれも先ほど申しましたが、重油が海面へ出ますと、海水との関係で若干変質するそうでありますので、資料としましては、やはり、むしろ座礁地点の周辺に流れ出た油、それからノリ被害現場付近の油とを比較したほうが、むしろ価値としてはそのほうがあるのじゃないか、かように考えております。  それから、この流れ出ました油の清掃につきましては、これはもちろんそういう費用でございまするので、やるとすればむろん別に考えなければならぬのでございますが、この点につきましては、運輸本省かりも来ておられますので、法的な解釈につきましては本省のほうからひとつ御答弁願いたい、かように存じます。
  67. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) ただいまの、港域の外に非常にあふれ出ましたこういう被害をもたらす油の清掃につきましては、運輸省といたしましても、これを清掃する、あるいはさせるべき法律の根拠が明確でございませんが、現在のところ私どもといたしましては、当該油を流しました加害者もしくはその代理店、これらについては被害、油の漏洩が始まりますと、その直後において海上保安庁において油のそれ以上に漏洩すること、また化学薬品等を用いて漏洩した油を害の起こらないようにする薬品をその海面に投下する等の措置をとられております。法的な根拠は、実は私の今思いますところでははっきりいたしておりません、港外におきましては。しかし、道義的に考えて、油を流しましたものが、それによって被害を生ずるということであれば、その責任を現時点においてはあくまで追及をいたしまして、そういう加害者側において現在までにとりました措置をさらに継続させるように、これは命令をすることはできないかと思っておりますけれども海上保安庁と協力いたしまして、代理店である飯野海運等に継続させるというふうにいたしたいと考えております。なおそれ以上の、国において何らかの措置をしなければならないという事態でありました場合には、現在のところ予算措置等もございませんので、関係方面と連絡をいたしまして、被害が継続して起こらないように措置を講じたい。これは運輸省限りでできることではございませんが、即刻関係の官庁にも連絡をいたしたい、こう考えております。
  68. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 最後の御質問の、もしも訴訟になった場合には、国が力を合わせて応援すべきだというお話、私ごもっともだと思います。水産庁としましては、できるだけ外務省とかその他の関係には力を合わせてやってくれということで、水産庁は極力できるだけのことはいたします。
  69. 片岡文重

    委員以外の議員(片岡文重君) いま一点、海面清掃について適当な法的根拠がない、あるいは港外のことですからないかもしれません。私もそう思う、はっきりないとは言いませんけれども。しかし、あなた今、専門家だけれども、あげ足をとるわけじゃないけれども、この油を流した船、あるいは飯野海運が、この流した油は木船のものでございますと、当船のものでございますといって、責任を明確にしているなら油の試験もする必要もなければ、ここで取り上げて論議する必要もないでしょう。あとは賠償させる、弁償させるという問題に移れるわけです。ところが、その前段階において責任があるとかないとか、やったとかやらぬとか言っているわけでしょう。だから、これ以上、当面緊急事態の措置としては、保安庁が指示をして中和剤を投下したり、薬剤をやったりしてなされたこの程度のことは向こうもやるでしょうが、しかもこれが法的な拘束命令をもってやるということができないというわけでしょうということになったら、今後また流れてくる油を中和剤を投下するなり清掃するなりということははたしてできるかどうか、おたくのほうでやらせることがもしそれができるというならけっこうです。けれども向こうでそう言っていないのだから、私は法律はよく知りませんけれども、たとえば国鉄でもってトラックがぶつかって上下線とも支障するとか、この場合においてトラックのぶつかったととは明確なんですけれども、居眠り運転によったとか、酔っぱらい運転は明確なんです。けれども加害者はそれを清掃する能力もなし、責任も回避するという場合に、責任者がいませんからといって、国がこれを見ておられますか。法律のあるなしにかかわらず、これはすみやかに国鉄自体がその排除を行なって交通できるようにするわけですから、これはただ交通機関をあげると……。一方、今日起こっておる問題は、とにかく家族を含めて一万近い人たちが生活に苦しむわけです。そういう事態のある中で、これは法律がどうとかこうとか言っていることでは私はないと思うのです。すぐに措置をとらなければならぬ。そして再生産にかからなければならぬ。再生産にかかるために幾らそだを立てても網を張ってもその油が流れてくる。もしくはあすこは干満の激しいところですから、その油が付着する。潮が引いたときに地下にしみるわけです。そうすると、その中にいる貝、アサリ等は全部これは死滅しないまでも油を吸い込むのですから食べものにはならないわけです。しかもこんど潮がくるたびに浮き上がってくるわけです。そうすると、二年たってきれいになるのか、三年たってきれいになるのかわからない。そういう点等も考えてはたして飯野海連なり船主なりが責任を痛感し、道義的な立場に立ってやりますといろならいいけれども、今日の事態はそうではないらしい。むろんないのですね。ですから、この際には国がかわってやるよりほか仕方がないじゃないかということを私は申し上げたい。そういう点についての御見解をひとつはっりしていただきたい。
  70. 亀山信郎

    説明員亀山信郎君) ただいまの御質疑の点たいへん感銘をいたしましたが、ただいままで事件の直後、海上保安庁等の連絡によりますと、飯野海運においては割に良心的に措置をとっておるということでございますので、法的根拠が明確ではございませんけれども、とにかく、現在のところ、先ほどいろいろ問題になりました法律的な加害者が何びとであるかということが明確ではないのでありますけれども、現実に油が流れ出て、将来それらはおのずから明確になると思います。現在流れておる油を放置いたしました場合に、当然、今まで起こった被害のほかに今後起こり得る被害も私は損害賠償の対象になり得る一したがって、加害者側においても、そういうおそれのある場合に被害を小さくしておく、そういう措置をとるのは人間の常識と申しますか、良識から考えて、海上保安庁なり私どもがそういうものの清掃を行政指導いたします場合に、良識から考えてできるだけのことをするという期待を申し上げたわけでございます。その以後の、国による代執行と申しますか、代執行的なことを行なうべきではないかという点でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように予算上の措置も必要でございますので、至急に関係役所と相談をいたしまして、できますならばそういう措置もとりたい、こう考えております。
  71. 片岡文重

    委員以外の議員(片岡文重君) けっこうです。なるべくそれはすみやかにその飯野海運にやらせるようにしてほしい。飯野海運がやらなければ国でやってほしい。とにかく、どっちにしてもすみやかに措置をしてほしい。  それから、水産庁長官にお願いいたしますが、先ほどの御答弁でけっこうでありますけれども、私はこれはできるならば訴訟にしたくないということなんですよ。訴訟に持っていかないで、もっと早い期間に解決をしてもらいたいということなんです。したがって、訴訟になってから国家の力が発動するというのでなしに、訴訟にならないように、事態のすみやかな解決のためには、今日直ちに国家の力が背景となって国と国との交渉に移すなり——国家と国家の争いではありませんから、そういう形式的な問題ではなしに実質的にやって、特に日米の間柄ですから、この点に立脚して、ひとつ大使館を動かすなり、外務省が動くなりして、そうして訴訟となって日を延ばされるようなことにならないように、最善の努力を、直ちに国の力の背景をもって努力をしてほしい。こういうことなんでありますから、その点をひとつ、訴訟に持っていってからでなくて、持っていかないということを前提にして御尽力をお願いしたい。  それから中野政務次官にひとつお願いをいたします。すでに長時間にわたっての質疑ですから、十分この問題の内容もおわかりいただいたことと思いまするし、いかに漁民諸君が塗炭の苦難に陥っているかも御了察いただいたことと思います。それで、特に中野政務次官はこういう関係には御同情の深い方であり、河野農林大臣はその道の専門家でもありますから、この事態の困窮、それからその復旧に対してどんなに技術的に、資金面に、時間的に困難であるかということもおわかりいただけると思う。そこで、法規とか前例とかはともあれ、当面予算がどうかということでなしに、でき得る最善の措置をひとつ政府として考えていただいて、今海上保安庁なり水産庁なりのそれぞれの責任者が約束をされました諸問題についても、ひとつ農林大臣みずから発動して、国家の力を持ち、急速にこの事態の解決をなされるように、ぜひ政務次官に、ここでお約束をしていただきたい、御尽力をしてほしいということを要望いたします。
  72. 中野文門

    政府委員(中野文門君) いろいろと御意見を承ったのでございますが、結論は、被害を受けました沿岸漁民の方々の損害の賠償と申しますか、損害に対するそれぞれの関係面での解決ということも第一にあるのでございますが、今片岡委員のおっしゃいましたように、いずれでありましょうとも、被害を受けられました沿岸漁民の方々の救済をいかにすれば御満足のいくような救済ができるかという一点にしぼりまして、大臣ともよく相談いたしまして、少しでも御期待に沿うように善処いたしたいことをお約束を申し上げます。
  73. 片岡文重

    委員以外の議員(片岡文重君) ありがとうございました。
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。事はちょっと違いますが、川崎にも一つあったのですね。何か油が海に流れて、ノリ類に被害を与えたという事件、これは国会の問題にはならないですけれども、新聞ではそういう報道を見ておりましたが、その直後この問題が新聞に出たと思うのです。川崎のはどうなっておりますか。ちょっと簡単でけっこうです。
  75. 樋野忠樹

    説明員(樋野忠樹君) 解体船のナショナルトレーダー号の問題でございます。甘粕産業とノリ被害を受けたものとの間に示談が成立いたしまして約三百万円ほどで解決をしたそうでございます。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでは、今大体お伺いしていますと、御審議はもう済んでいるようですが、海上保安庁では、これは外国船が衝突した際に流したということを確認する証拠がそろっているように、そういう御答弁があったように見えますが、その点は、私中途から聞いているので……。これがはっきり流したという証拠は全部そろっているのですか、その点だけひとつ。
  77. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 先ほど来申しましたように、確かに重油イーグル号から流れ出たことは、これはもうはっきりしております。それからノリ被害があったこともはっきりいたしておりますが、そのノリ被害を与えた油と、イーグル号から流れ出ました油とが同一であるかどうかという点につきましてはっきりする必要があるということで、私ども付近の油を採取いたしまして、現在神奈川県の工業試験所鑑定依頼いたしておる、こういうことでございます。それで、鑑定の結果は大体三月の中旬ごろになる、こういうことでございます。
  78. 清澤俊英

    清澤俊英君 その証拠は、どういうもので証拠を残してあるか。今聞きますと、それと同時に、まあこの船から流れたということはわかった。その証拠は何で残してあるか。それからちょっとわからぬのは、そのものが流れて出てノリをよごしたかどうかということは、その油かどうかということもわからぬと、これはわからぬのですか、これもちゃんと押えてあるのですか。
  79. 松野清秀

    説明員松野清秀君) それをはっきりさせるために鑑定依頼しておる、こういうことでございます。
  80. 清澤俊英

    清澤俊英君 こういろ事件は何べんもあるのですよ。しかも座礁しておるのでしょう。座礁したら保安庁の船だか何か知らぬけれども関係の船が行くに違いないから、油が流れて出れば問題が起こるということはわかっておるのでしょう。油について写真をとらなかったのですか。その点が、これはまだ本腰でそういう被害に対してどうする、こうするということの腹がきまっていないと思うのですよ。何べん同じことを繰り返すのです。この前は、日本の自衛隊の油が流れて出た。はっきりしているにかかわらず、これがそこまでいっていないために、ついに三年がかりの大騒ぎをやって、しまいに国会の手が離れたならば、漁民をまあまあというので押えて、わずかの見舞金で片づけた、こういうばかな話はないのですよ。流れて出たならば、これは必ず問題になるから、その油についていって写真をとってもらってあったら問題ないのです。そのくらいの機動的な考え方がなくしてこれから起きるこういう問題は片づけることができないと思うのですよ。それだから、今も森君からちょっと聞きましたならば、三年がかりで争っている伊勢湾のこの問題が片づかぬ。片づける余地のあるものを片づけない。証拠を固めておく、犯人をつかまえるという気はないでしょう。私はあなた方の気持はどういうものか詳しいことは知りませんけれども、こういう油が流れて出た。故意には流さぬが、それは衝突したのだから、やはり故意でなくとも流れて出たならば、また被害が起こる、そこにどういう問題が出るかということははっきりしている。それについて写真をとるということはずっとやっていないのです。どういうわけでやらないのですか。そこだけお聞きして、私は質問を打ち切ります。
  81. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 私どももできるだけ油の流れておる状況調査いたしたのでございます。その調査状況のこまかい点につきまして、樋野部長から御説明申し上げます。
  82. 樋野忠樹

    説明員(樋野忠樹君) 確たる証拠があるかという御質問でございますが、油の同一性というものが立証され得れば、これは一番確かな証拠でございますが、その鑑定は先ほどから御答弁申し上げましたように、大体三月の中旬までかかる予定でございます。ただいま電話連絡をとった結果でございます。ところが、これは今までの実例から申しますと、実際、海上保安庁で取り扱いました件につきましても、同一であるという鑑定をいただいたのがないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、相手船が外国船であります関係上、何とかしてこれを突きとめたいと思いまして、先生の御指摘になりましたように、飛行機も飛ばしまして、ヘリコプターで写真もとっておりますが、その油の幅あるいは流れておる方向が富津、木更津方面まで続いていないのです。その点で私どもは苦慮しておるのでございますが、十五日の夜来から十六日にかけましては南西の風が十五メーターから二十メーター吹いておりまして、それから潮の流れその他から想像いたしますと、私どもはそういう危険性は非常にあるものと、こういうふうな観点から、翌日飛行機も飛ばしたわけでございますが、そういう断続しておりまして、そこまでそのときはずっと巡視艇も出して見させておりますが、その本船から続いていないという点が非常に気になる点でございます。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃあなた、最後まできて、かえって不利になっていますね、わからぬと言うんだから。そのときはどこかへ油がたまっているでしょう。風の方向も別の方向からいったらあるいは変わっていたでしょう。そのときはどこかに油がたまっているわけですよ。それがどこへ行ったと一うことを、なぜついて調べないのです。そこへきてほっぽらかしてしまうから問題が起こる。私の言わんとするのはそれなんですよ。油が何かについてしまってから、この油がこの船の油かどうかというのは、いつも問題になるんだから。そして潮流がどうだ、風向きがどうだ、ところがあなた方の調べておるだけの潮流だけじゃない、別のやはり潮流というものが、風やいろいろなことであるんだから、しまいに私は、だからこの前の木更津の問題のときは、これと同じ地区被害の問題のときに一緒になってひとつ油を流してみようじゃないか、三代この浜に育った漁民がこういう潮流があります、こう言っておるのにかかわらず、あなた方がそれじゃ一緒に流そうと約束したのに流さないで、見舞金で済ましてしまった、おかしいじゃないか。そういう例がたくさんあったのに、なぜ最後までそれをずっと追っていかないのです。私はその点では非常に不満を感ずるのですが、追っていかないというのは。また農林省もそうなんです。そういうことがあったということがわかったら、農林省でも船がたくさんあるんだから、なぜ出して、それについてずつとついていかないのです、監視をしていかないのだ。流れていく油を監視していかないのだ。そういう点で非常に最後になると不利なものを残してくると思うのです。
  84. 戸叶武

    戸叶武君 この問題は今始まったことでないので、この際、私は今までに——今後もあることですから、こう繰り返し行なわれちゃ困るから、今までにあった一切の事件に関する資料を、それをどういうふうに処理したかということまで書いた資料を請求します。それを出して下さい一それはこれと同じような問題で、本委員会できわめて重大視されて問題になったのは、アメリカのフリゲート艦の廃油の処理の問題で、しかもそのときには下請をやった会社が小さな会社で、非常にあいまいにされたような点があったが、今度は飯野海運できわめて良心的に処理しようというかまえを持っているということでありますが、この一点だけちょっと聞いておきたい。フリゲート艦の廃油が流れてノリに甚大な影響を与えたときの解決は具体的にはどうなりましたか。そういうことがあいまいにされていると、そういうことが積み重なってくるのです。新しく起きたときにわいわい騒いでもだめなのです。今までだらしなくて十分な処理ができないと、こういうことが今後も続々起こるのだ。この際、そのことだけを具体的にやはり承っておきたい。そしてそれだけでなく、今まで一度や二度のことでないのです。廃油問題が東京湾を騒がして何億という被害沿岸漁民に与えているのですから、そういうことをいつまでも野放しにやっていくというのは、私は陸上における自動車事故以上に重大なことでありますから、ひとつ承っておきたい。
  85. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今御質問になりましたのは、昭和三十四年一月ごろの自衛隊の船の話でございますか。
  86. 戸叶武

    戸叶武君 アメリカのフリグート艦だそうです。
  87. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 先ほどお話になりましたように、これは自衛隊かぐ五百五十万円の見舞金を出して、関係漁民と話がついたということで、一応の解決になっております。それから資料は、三十五年度までの資料はございますので、まとめまして後刻お手元に配付いたします。
  88. 戸叶武

    戸叶武君 今のはフリーゲート艦でしょう。アメリカのだったと思います。
  89. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 今のはたしか三十四年一月三十一日であれば、自衛隊の船でございます。
  90. 戸叶武

    戸叶武君 それは沿岸漁民は全部で損害は幾らだということで、その問題に当たったのですか。五百万円くらいの涙金で突っ放されたのでしょう。損害高は幾らと言われておったのですか。
  91. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) その当時漁民側がいろいろと言いました金額は三億四千万円くらいになっておったと思います。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 いま一つ、その間にあるのですよ。これははっきりしている。廃油を請け負って港外に流すやつです。請け負った人間もわかっておりますが、何か元請、それから下請、その下請と三つになって、最後のものが全然能力がない、取り場がないというので、放置せられたものが一つありますね。あの事件は、そのままになって泣き寝入りになっているのですか。
  93. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 手元にちょっと資料がありませんので、全部の資料を差し上げますから、ごらん願います。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私ちょっと、大体いいと思ったのですが、だんだん聞いておったら、また念のために聞いておきたいのですが、加害者であると容疑がかけられているタンカーは帰り道だそうですね。どこに行く目的で出港した船ですか。
  95. 松野清秀

    説明員松野清秀君) イーグル号は横須賀を出ましてペルシャ湾に向かう予定だったということを聞いております。いわゆる空船で出たのですが、本船で使用する燃料油を相当積み込んでおった、こういうような状態であったのであります。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこのところですペルシャ湾に行くのはまた原油を積むということが目的だったのでしょう。それはペルシャ湾まで行く航路に必要な原油を積んでいるわけではないでしょう。船が使うのは重油でしょう。
  97. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 重油でございます。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、積んでおったのは、重油ですか、原油ですか。
  99. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 重油でございます。
  100. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、横須賀まで積んできたものは重油ですか。
  101. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 貨物としての油は積んでいないと思います。いわゆる空船だと聞いております。
  102. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは帰路ですからね、往路横須賀に入ってくるときは積んできたんでしょう。
  103. 松野清秀

    説明員松野清秀君) その辺確かめておりませんが、確かにそれは原油をおそらく、原油ですか重油ですか、その辺ちょっとはっきりいたしませんが、むろん積んできて入ったものと思います。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、その重油は飯野海運のほうの調べではどれだけ積んでおったんですか、帰り道。それで、どれだけの油が流れたんですか、これはお調べになっているんでしょう。
  105. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 横須賀へ入りますときにどういう油をどれだけ積んでおったか、私まだ調べておりませんが、出ますときは自分の船で使う燃料油としまして約一万一千バーレル余を積んでおりました。そうして流れ出ました油の量につきましては、ただいままでの推定では約千三百バーレルくらいであろうと思います。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その船は横須賀へ入ってくるときにはこれは税関を通って入ってきた船ですか。というのは、横須賀と聞いたから米軍の使用する重油を積んできた船ではないかと思うのですが、そうですか。そうでなくて、一般商取引で税関を通って入ってきた船ですか。
  107. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 私の聞いておりますところでは、やはりアメリカの海軍の使用する油だというふうに聞いております、運んでおりますのは。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、それは税関は通らんで入ってきた船ですね。
  109. 松野清秀

    説明員松野清秀君) その辺よく調べてお答えいたします。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも関係者でないからわからんが、出ていくときは目木側の何というか、私は言葉はわからんが、一つの手続を踏んで出ていった船ですか。ということは、私は何を聞こうとしておるのかというと、米軍の使用する油を積んできたために、米軍の軍用船として横須賀に入ってきた船であって、そうして軍用船として出ていった船であるのか、そこを聞きたいと思って質問している。
  111. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 軍用船ではないというふうに聞いております。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 軍用船ではないが、米軍の用船ですか。
  113. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 米軍との何か契約によって油を運んでおるのでございます。その辺の関係はなはだ相済みませんがよく確かめておりませんので、その辺もよく調べておきたいと思います。
  114. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 伊東さんは民事で争うよりほかないと言ったのですが、そうすると、伊東さんのほうは調べておるわけですね。
  115. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) 詳細は、どうも先生の御期待のほどは知りませんが、この件につきまして調達庁は横須賀の何か海軍司令部に照会して、これは軍としては関係のない民間の船だ、陸へ油を揚げたあとは軍との関係はないという文書があって、千葉県庁がその文書を持っているんだ、千葉県庁も知っているということを私聞いておりますので、先ほど訴訟になれば、これはおそらく民事訴訟だろうということを私申し上げたわけであります。
  116. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、今のお話では、横須賀まで油を積んで来て油を揚げる、そこまでは米軍との契約はある。油を揚げればその船はもう契約が解かれて一般の船だ、こういうのですか。
  117. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 小笠原君に申し上げますけれども調達庁の総務部長が見えているので、その間の消息は調達庁の方に……。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関係の人であればなおいいです。
  119. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) ただいまの御質問に関して調達庁調査の結果を御報告申し上げたいと思います。問題は、その加害者と今後研究の結果なるかならないかは別といたしまして、米軍であれば、先生御承知のように地位協定第十八条の補償問題が起きるわけでございます。したがいまして、調達庁でもこの二月十四日の事件、十六日からタッチいたしまして、現地の様子等を把握し、一方米軍の海軍司令部、あるいは在日米軍の法務部にタッチいたしましてこの間の問題を明らかにしなければいけないというふうに調査にかかったわけでございます。それで今日明らかになっておりますのは、水産庁長官のお話にございましたように、米軍に直接その座礁の当時は関係がないということが法律的に明らかになっているような現況でございます。その理由とするところは、地位協定の十八条によりますと、米軍の構成員、または被用者が法律上責任を有する事故を惹起した場合に、以下の手続でやるという工合にしまして米軍が賠償の責めを負うわけでございます。その場合に公務執行中の場合でございますと、御承知のように米側が七五%、日本側が二五%負担するわけでございますが、この私ども調査に従いますと、米軍当局と輸送契約をいたしておりますところのこのイーグルコリア号は、ニューヨークに船主がありますところから、正確にはニューヨークのユーナイテッド・マリタイム・コーポレーションという会社の所属のタンカーでございまして、その会社と米軍が輸送契約をやっている。それで輸送契約の性質はいろいろございますが、私ども調査に従いますと、航海用船ということをやっている。で、その航海用船の性質は輸送中米軍の用に供する。重油を陸揚げしたあとは、これは船主の責任といいますか、船会社自体が運航するわけでございまして、その間にあっては米軍とは契約上関係がなくなるといったような事態から米軍には法律上責任がない、こういうことになるわけでございます。したがいまして、おそらく水産庁長官の御答弁のように、本件一つ加害者たる米国籍のタンカーと被害者との間の問題だというふうに存じている次第でございます。
  120. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この契約内容はどこで御調査になって確認したのですか。
  121. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) この契約内容につきましては、私ども米軍の横須賀の司令部法務部、それから在日米軍賠償部等について向こうのそういったような証言、説明等から判断いたしまして、そういうような結果になるというふうにいたしまして、そのほかになお私どもとしましては、こういう法律問題のきめ手はなかなか、私ども専門的な知識も乏しいわけでございますので、いろいろ飯野海運、あるいは専門のこういったような有識者等の意見も聞きまして、この輸送契約の場合に、チャーターいたしましても、航海用船という場合は、米軍は航海に対しますところの指揮、監督、そういったようなことはいたさないという関係から、この用船契約の場合は法律上責任がないのだというようなことが判明いたしておる次第でございます。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 航海用船だということが立証されるような契約書あるいは写しを調達庁は見て、そういうことをおっしゃっているのですか。ただ証言的な説明だけを聞いて、それを確認、したということになっておるのですか。
  123. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 先生の御指摘の点はごもっともでございますので、私どもも契約書それ自体を見せてもらわなければいかぬというような調査にもかかったわけでございますが、本国で契約しておるので出先は持っていない。しかしながら、米軍の説明、証言によりますと、その契約には間違いがないというようなことでございまして、私どももこれは米軍内部の契約にもいろいろあろうかと存じますが、しかしながら、こういったような大きなケースでございますし、それから一方またその用船契約をやっておる船それ自体も同様に合衆国側のものであるといったようなことから、むろんこの点については一そう調査を進めまして、法律上の見解も明らかにしなければいかぬと存じておりまして、外務省等とも連絡をとっておりますが、現在の段階では、そういったような米軍側の責任ある証言等から、一応米軍側のいう法律上の問題を考えておる次第でございます。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、ただいまの説明の範囲では、現在の時点では米軍の証言によってそうであろうと思う。が、引き続いて外務省等を通して、その契約内容というものを確証をあげてはっきりさせる、こういう形でまだ未決部分がある、こう聞いておいていいのですか。
  125. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 私ども申し上げましたのは、契約それ自体をやはり私どももこれを見、そして確認するというのが一番きめ手になるわけでございますが、その契約書自体は本国で保管されておるといったようなことでございますから、私どもが現在米軍の証言並びに、先ほどちょっと日本の代理店の飯野海運のことにも触れましたが、二月二十一日にこの問題につきまして千葉県の御当局等が私どもに参りまして、その際に承った話によりますと、代理店である飯野海運に行ってそのことを確認したそうでございます。その結果、やはり米軍側がいうとおりのような航海用船の契約になっておるので、積荷を陸揚げしたあとは航海に関しては船会社自体の責任で航海するのであるということを確認いたしております。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、船は雇っておるが、それは監督む指揮もしない。あくまでもそれは普通の民間船、こういうことですね。
  127. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 私ども調査によりますと、チャーターの場合の契約内容は、いろいろな契約内容があるのだそうでございますが、これがもし裸用船の契約であるという場合には、ちょうど先生の御指摘になるような、監督その他の問題が起きるのだそうでございます。ところが、航海用船、という契約に従いますと、積荷の荷揚げまでの用船契約でございまして、積荷を陸揚げした、積みおろしたあとは全くその船会社の責任に属するといったような証言でございます。そのことをなお代理店である飯野海運に確かめたということも関係者から承っておるわけでございます。
  128. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、横浜に入港してくる場合には、これは軍用船的な性格を持たないのですか。日本の税関を通り、出入国の手続も踏まれて横須賀へ入ったのでしょうか。それはどうなっているのですか。
  129. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) これは横須賀に入港いたしたわけでございまして、横須賀の入港は、御承知のように、在日米軍の施設区域でございます。したがいまして、在日米軍の施設区域に出入する関係につきましては、在日米軍に管理権があるということになっておりますし、地位協定の関係からいきまして、私も税関を経由したかどうか、その点までは詳細な知識を持ち合わせございませんが、その場合の陸揚げその他につきましては費用をかけないで出入できるといったような地位協定の規定がございますので、基地に出入した場合にはおそらくその関係は地位協定上の手続等をとるものは当然とっておる。しかしながら、必要のない部分は、おそらく米軍の管理下でやっておるというふうに存じます。
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点はどうも私もしろうとでわからぬのですが、米軍の基地と」てある横須賀に一般の民間船がアメリカ軍の用があるからというので、直接入っていいわけでか。横浜なら横浜に入って一つの手続を踏んで横須賀に回るというようなことをしなくてもいいわけなんですか。
  131. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 先生今御質問の一般の民間のものが施設区域に出入する場合、その場合は地位協定の規定によりまして、それが米軍のものでない場合は、当然普通の手続によってやるものと存じます。しかしながら、地位協定の規定によりますと、米軍の用のものを米軍のために運航して出入するという場合は、米軍の管理下に入るものというふうに存じます。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それなら今の場合には、油は米軍の用に供されるものであるから横須賀に直接入ってよろしい、日本には何らそれに対しての管轄権はないのだ、こういうことですか。これは民間の船ですからね、米軍のものではないのですかち。積荷は米軍のもの、そういう関係の場合はやはり自由に入っていいと、そういうわけなんですね。
  133. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 航海用船契約によりまして、米軍の積荷を持っておる場合でございますから、出入はできる。しかしながら、他の民間船がそれに出入する場合の規定や何かにつきましては、私も詳細な知識の持ち合わせがございませんから、あとでよく調べましてお答えいたしたいと思います。米軍の積荷を持っておるといった場合に、施設区域に出入することはできるわけでございます。
  134. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今出入と言いましたが、出る場合には米軍と関係ないですね。積荷をおろしたとたんにもう米軍の手を離れる、契約はない、純然たる民間船ですからね。それが横須賀の米軍基地内から出てしまったって日本の領海です。それを手前勝手に走ってすたこらさっさでどこかへ行ってしまっていいわけなんですか。
  135. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) ちょうど積荷を陸揚げしまして、あとは施設区域内に若干かかるわけでございますが、米軍の管理下で施設区域を離れるまでは出入が自由だと、そして施設区域のちょうど境目がございますから、そこまでは米軍の管理下であるわけであります。境を離れた場合は、これは一般の船になる、こういう関係になると存じ.ます。
  136. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのときには、やはり日本側はどういう積荷をしているのか、何を持って出るのか調査しないのですか。悪意に解釈したら、密輸出なんということはもう自由勝手たるべき姿を持っていますね、全然手をかけないとすれば。それはその区域から一歩離れた際には、停船でもさせて、そして手続をとらせて出してやるのですか。
  137. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 私がお答えいたしておりますのは……。
  138. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、これはあなたのほうの関係ではないと思うので、これは海運局かどこか……。
  139. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 施設及び区域の出入に関しましてお答えしたのでございますが、先ほどから申し上げておりますように、その間の手続関係、港湾管理者とか、あるいは一般の税関とか海運局方面の手続、このことは申し上げましたように、知識の持ち合わせがございませんので、あとで申し上げたいと思います。
  140. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうでしょう。それで私の疑義のあるのは、何にもそれは措置しないで、手前勝手にどこへなり飛ばしてやる、放してやるというようなことはあり得ないように思う。ところが、そういう手続を踏んでいないということであれば、逆に言えば、この船は積荷をおろした、もう契約が解除になったという形ではない場合が、自由に出入りするという形になっているのではないかというふうなことに疑義を持っている。その辺のところもひとつ調査してみていただけないですか。今答弁なくてけっこうですが、調査してもらわぬと、どうもその契約というととがコピーを見たもんでもない、ただ一方的な向こう側の証言にあるということだけなんですからね。そして実態として船がこういうふうに積荷をおろしてしまえば一般の民間の船であり、それが区域外に出たからといったって日本の領土の範囲ですから、それから公海に出ていくのに、何ら日本側がタッチしないということがもしも事実であれば、これもおかしい。その間の事情を私もわからぬので、あなたのほうも専門の官庁でないからわからぬと思うので、調査して、その契約の裏づけになるような形で、どういう手続が踏まれて出ていっているものか、調べていただきたいと思うのです。
  141. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) 先生のただいまの御指摘の点は、私どもよく調べて御報告したいと思います。  重ねて申し上げますが、しかし、本件が地位協定上問題になるといたしますならば、米軍の構成員であるか、あるいは被用者であるか、法律上。あるか、どうかという問題点が、加害者であるかないかというところのきめ手の問題でございます。したがいまして、私が申し上げた主たる趣旨の点は、米軍のチャーターの貨物を持ってくる輸送契約は、米軍の用船契約であるということでございますが、用船契約の内容は、先ほど来御説明申し上げたように、航海用船であるということから、積荷を陸揚けしたあとは法律上は給会社にのみあって、米軍それ自体のほうにはないのだという関係をご説明申し上げたのでございます。
  142. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、その説明を聞いて私の感じは、民間肴に帰路はなるんだということであれば、必ずや日本の領海にある部分については、日本側が何か手続を踏むなり、とるなりして出してやるべきものであろう、常識として。それが自由に出入りしておるという形が、この船ばかりでなく、用船がそういう形であるとするならば、日本の手落ちなのか、あるいは契約そのものが、その船積みをしたものを、積荷をおろしただけで終わっているのではなくて、復路もいろいろな契約上米軍の用船という形になっているから、日本側は黙って、それを黙認しておるということになっているのか、この点がわからぬ、それでその点を確かめてもらいたい、こういうことなんです。
  143. 大石孝章

    政府委員大石孝章君) ただいまの御質問の点は、なお一そう確認いたしましてお答えしたいと思います。  もう一つの問題は、ただし、この航海用船の場合は、途中の段階では、往路も復路も船会社の責任になっておりますというふうに了解いたしております。
  144. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 かりに船会社の責任になるにしましても、米軍の用船である事実は変わらないのです。変わらないですから、その間においては、やはり米軍側にしかるべき措置を、契約外のことであっても米軍の、何と申しますか、名書というとこれも語弊がありますが米軍そのものの日本におられる性格というものから考えても、道義的にその用給会社に対してしかるべく措置せられるように配慮してもらえると思うのです、米軍に。あるいは米軍がやらなければ、これこそアメリカ側にその程度のことは道義的に配慮してもらえる、そのことがやはり裁判にすることなしに問題を処理し得る道を開くことも可能になる場合があるかもしらぬ、そういう点を配慮して質問しているのです。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 この際、ちょうど陳情団も見えているようで、被害関係者が見えているようで、正式の手続を経て参考人等のことはこれはちょっとめんどうだと思いますので、筆記をとめた懇談で二、三点をお伺いしたいと思いますが、お諮りを願って、できましたら約三点ほど、時間にして五分もかからないと思いますが、お願いしたいと思います。
  146. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  147. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして。  他に御発言もありませんければ、本件につきましては、本日はこの程度にいたしたいと存じます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして。  本日はこの程度で散会いたします。    午後零時五十九分散会