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1962-03-01 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月一日(木曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————   委員異動 二月二十七日委員木下友敬辞任につ き、その補欠として田中一君を議長に おいて指名した。 本日委員田中一辞任につき、その補 欠として藤田進君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            古池 信三君            重政 庸徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            大森 創造君            北村  暢思            清澤 俊英君            戸叶  武君            天田 勝正君            千田  正君   衆議院議員    発  議  者 石田 宥全君    発  議  者 北山 愛郎君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林省畜産局長 森  茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省畜産局参    事官      保坂 信男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○競馬法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○畜産物価格安定等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○土地改良区の財政の再建に関する特  別措置法案衆議院送付予備審  査) ○農業生産組合法案衆議院送付、予  備審査) ○農業基本法案衆議院送付予備審  査) ○農業近代化促進法案衆議院送付、  予備審査)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。去る二月二十七日木下友敬君が辞任、その補欠として田中一君が選任せられました。     —————————————
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 競馬法の一部を改正する法律案(閣法第一〇四号、予備審査)を議題といたします。本案につきましては、去る二月二十三日提案理由説明は聴取いたしております。それでは本案補足説明及び配付資料につきまして説明を聞くことにいたします。
  4. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 競馬法の一部を改正する法律案につきまして若干補足説明を申し上げます。  まず、改正の主要な点を申し上げますと、第一には、地方競馬施行体制を整備することとしたことであり、第二には、勝馬投票法競馬開催回数等競馬実施方法を改善するほか、これに対する規制を強化することとし、第三には、地方競馬収益をもって畜産振興をはかるため地方競馬施行者から地が競馬全国協会売得金一定率を交付する制度を設けるとともに、都道府県は、競馬収益をもって畜産振興社会福祉増進等事業財源にあて、これらの事業の発展に寄与する措置法律に明記し、第四には、地方競馬全国協会設立して馬主、馬の登録騎手免許を全国的に統一して行なわせて競馬の公正かつ円滑な実施推進をはかるとともに畜産振興事業に対する補助を行なわせることとし、第五には、競馬公正確保をはかるため監督規定罰則等を整備することといたしたのであります。  まず第一に、地方競馬施行体制を整備いたした点についてであります。  現在、地方競馬施行者は、都道府県及び著しく災害を受けた市町村または地方競馬場所市町村であって自治大臣指定した市町村となっておりますが、指定市町村の数は、全市町村の四%に満たない百三十五市町村であり、そのうち約五割は戦災という事由により指定を受けているのであります。戦後すでに十数年を経過して、戦災復興もほぼ終了した現在では、指定当初の事由とかけ離れて運営されている事情もあり、この際地方競馬存立の意義に顧みて、施行体制を整備する必要があることから、第一条の競馬施行者に関する規定改正し、同条第一項において、競馬施行者原則として日本中央競馬会及び都道府県といたしたのであります。さらに同条第二項で著しく災害を受けた市町村または地方競馬場が存在する市町村につきましても、当該市町村財政上の特別の必要性を考慮して自治大臣農林大臣が協議して指定するものに限り、従前期限をつけなかったのを、今後は一定の期間を限って競馬を行なうことができることといたしたのであります。期限につきましては、災害程度に応じ財政上の特別の必要性等を勘案いたしまして付することと相なるのであります。  第三項は、市町村指定する際条件を付することができることといたしたのであります。この条件には、競馬の公正かつ円滑な実施をはかるため、事務の適正な運営を確保するための措置を予定しております。  なお、現在指定を受けている市町村につきましては、附則第七条におきまして、昭和四十年三月三十一日まで競馬を行なうことができることといたしたのであります。  次に、第二といたしまして、競馬実施方法についてであります。  第四条は、入場料に関する規定でありますが、これにつきましては公営競技調査会答申の三に基づきまして、競技場の改善及び秩序維持に役立つよう中央競馬地方競馬を通じて入場料を徴収しなければならないものといたしたのであります。なお、省令で定める金額につきましては、現行より若干の値上げを行なう予定であります。  第五条におきましては、勝馬投票券発売業務円滑化をはかり、あわせて競技場内の秩序維持をはかるため、勝馬投票券を十枚以上を一枚をもって代表する勝馬投票券とし、現在の経済事情に適合した投票券発売することができることといたしたことであります。  第六条及び第七条は、勝馬投票法に関するものでありまして、調査会答申の四に基づき、各種公営競技と統一をはかって改正いたしたのでありまして、的中率を高め、射幸心の過熱を避けるため、重勝式を廃止し、その種類を単勝式複勝式、速勝単式及び速勝複式の四種とし、省令をもってその実施方法規定し、必要に応じこれらを制限し得るよういたしたのであります。  第二十条の改正は、従来地方競馬開催は、施行者単位開催回数等を定めていたのでありますが、今回地方競馬施行者原則として都道府県にしたことに関連いたしまして、開催回数都道府県区域ごと年間開催回数を定めることといたしたのであります。したがいまして、一都道府県に複数の施行者がいる場合には、その調整をはかるため第二項におきまして、農林大臣の指示に関する規定を設けたのであります。  第二十一条の改正は、地方競馬実施委託に関する規定を新たに設けたことであります。これにつきましては、都道府県がみずから競馬実施を行なうことが困難であり、かつ、管下市町村であって地方競馬実施に関して専門職員等養成、従来の経験に徴して適切と認められるものがある場合には、その市町村に対し、競馬実施に関する事務委託して競馬を行なうことができることといたしたいのであります。なお、指定市町村につきましても、同様の趣旨で都道府県委託して競馬を行なうことができるよう、従来政令にありました規定法律に明記いたしたのであります。  第二十三条の改正は、第二十一条により競馬実施委託に関する規定を設けたことと関連いたしまして、委託を受けた都道府県または市町村が、法律または法律に基づく命令に違反して競馬実施事務を行なったときは、地方競馬停止もしくは委託にかかる競馬実施事務の執行の停止、または必要によりこれらの事項をあわせて命ずることができることといたしたのであります。  次に、第三といたしまして、地方競馬収益使途についてでありますが、地方競馬収益でもって、馬の改良増殖その他畜産振興をはかるため、地方競馬全国協会への交付金制度を設けたことであります。これにつきましては、各種公営競技のうち、ひとり地方競馬のみ、制度的措置がとられていなかったのでありまして、今回地方競馬施行者から売得金一定率に相当する額を地方競馬全国協会に交付させ、地方競馬全国協会において、主として、地域的な畜産振興事業に対する補助を行なうことといたしたのであります。  第二十三条の二は、協会への交付金制度を新たに設けた規定であります。第一号におきましては、馬の改良増殖その他畜産振興のための事業経費補助するための業務財源として、競馬開催のつど売得金一定割合金額、すなわち、法案の別表にありますように、一回の売得金が六千万円以下は免除し、六千万円以上は売得金の額に応じまして、千分の四から千分の十一に相当する額を、交付金として施行者から協会へ交付させる金額規定いたしました。協会は、この交付金をもって、馬の改良増殖その他、主として地域的な畜産振興のための事業補助することといたしたのであります。第二号におきましては、協会馬主及び馬の登録騎手免許等畜産振興補助のための業務以外の業務を行なうに要する経費に充てるための財源として、競馬開催のつど施行者から売得金の千分の四以内を協会に交付させることといたしたのであります。  第二十三条の三は、都道府県競馬収益使途についての規定であります。都道府県は、従前から競馬収益公益目的に使用していたわけでありますが、公営競技調査会答申六に基づき、今後は畜産振興社会福祉増進、医療の普及、教育文化の発展及ば災害の復旧に必要な経費財源に充てるような法律に明記いたしたのであります。  次に、第四といたしまして、地方競馬全国協会について申し上げます。地方競馬全国協会は、従来都道府県または都道府県組合が行なっておりました馬主及び馬の登録並びに騎手免許を全国的に統一して行なうとともに、審判員等養成訓練等実施するほか、前述の畜産振興事業に対する機関として設立いたすものであります。  第二十三条の四は、地方競馬全国協会目的に関する規定でありまして、同協会は、地方競馬の公正かつ円滑な実施推進を図るとともに、馬の改良増殖その他畜産振興に資することといたしたのであります。  第二十三条の五の法人格に関する規定、第二十三条の六の事務所に関する規定、第二十三条の七の登記に関する規定、第二十二条の八の名称の使用制限に関する規定及び第二十三条の九の民法の準用に関する規定は、同種団体に共通な例文であります。  第二十三条の十は、役員に関する規定でありまして、協会業務重要性多様性に対処するため、会長一人、理事五人以内及び監事二人以内のほか副会長一人を置くこととし七おります。  これらの役員任命は、第二十三条の十二第一項及び第二項におきまして、会長、副会長及び監事は、農林大臣任命し、理事は、会長農林大臣の認可を受けて任命することといたしております。  次に、協会業務の性格にかんがみまして、第二十三条の十五において、役員営利事業に関係することについて制限を設けるとともに、第二十三条の十九において役員及び職員の刑法その他の罰則の適用上における公務員たる性質について規定しているのであります。  第二十三条の二十は、協会評議員会に関する規定であります。これは、協会運営特に具体的な業務につきまして、それが適切に行なわれるように関係行政機関及び学識経験者の意見を反映するためのものであります。  その評議員任命は、第二十三条の二十一の規定によりまして、広く、地方競馬を行なっている都道府県または指定市町村職員及び学識経験者の中から適切な者を農林大臣任命することといたしております。  次に、協会業務に関する規定についてでありますが、第二十二条の二十二第一項各号のうち、第五号及び第六号の業務につきましては、第二十二条の二の規定説明に関連して申し上げたところであります。第一号及び第二号につきましては、従来都道府県または数都道府県ブロック別に行なわれていたのでありますが、馬主、馬及び騎手全国的交流も顕著になった現在、これらを全国的に統一して行なうことといたしたのであります。第三号及び第四号につきましては、地方競馬の公正かつ円滑な実施をはかるために、騎手審判員養成訓練等を行なうことといたしたのであります。なお、審判員等につきましては、都道府県または市町村の要請に応じて、これらの者を派遣し、もしくは、そのあっせんをもすることといたしたのであります。  次に、第二十三条の二十三の規定は、業務方法書に関する規定であります。業務方法書には、馬主及び馬の登録並びに騎手免許に関する規定並びに馬の改良増殖その他畜産振興事業補助方法等について記載することといたしております。  第二十三条の二十四から第二十三条の二十六までは、他の同種団体に準じまして事業年度、予算、事業計画等について必要な事項規定しております。  次に、協会財務及び会計に関してでありますが、第二十三条の二十七におきまして、畜産振興業務について特別の勘定を設けることといたしました。さきに申し上げましたようにこの協会は、一つには、地方競馬の公正かつ円滑な実施推進をはかるため登録免許等業務を、他方では、畜産振興のための補助事業を行なうこととされているのであります。したがいまして、この両業務の経理を区別して整理いたしましておのおのが混同されないよういたしたのであります。その他の協会財務及び会計につきましては、第二十三条の二十八において省令に委任することといたしたのであります。  次に、第二十三条の二十九は、協会に対する農林大臣監督について規定しております。すなわち、第二十三条の二十九第一項は、協会農林大臣監督するということを明記いたしまして、同条第二項により農林大臣は、この法律案施行するため必要があると認めるときは、協会に対して監督上必要な命令をすることができることといたしました。  次に、第五といたしまして、競馬公正確保をはかるため監督規定罰則等を整備致した点に関してであります。  第二十五条の改正は、第二十一条の競馬委託及び第二十三条の四以下の規定による地方競馬全国協会設立に関連して、農林大臣競馬公正確保及び秩序維持をはかるため、受託市町村及び地方競馬全国協会に対して立ち入り検査等を行ない得る権限を新たに追加いたしたものであり、第二十九条の改正は、都道府県職員指定市町村職員騎手及び馬丁勝馬投票券購入禁止に関する規定を、当該地方競馬のみならず、すべての地方競馬に拡大するほか、協会役職員にも勝馬投票券購入禁止規定を適用することとしたのであります。  第三十一条第二号の改正は、従来興奮剤等の投与に関する罰則が主として、馬主調教師等に限られておりましたのを第三者にも及び得るものといたしました。その他罰則につきましては、第三十二条の二から第三十二条の十までにおいて整備強化いたしまして、各種公営競技との調和をはかった次第であります。  最後に、附則におきましては、第一に、地方競馬全国協会設立に関し必要な規定を設けたことであり、第二に経過措置として、現在指定を受けている市町村につきましては、昭和四十年三月三十一日まで競馬を行なうことができることとしたほか、現に都道府県組合登録されている馬主及び馬の登録騎手免許は、それぞれ改正後の規定により協会登録または免許されたものとみなしたのであります。第三には、この法律施行の前後にまたがって開催される地方競馬実施協会への交付金制度等につきましては、従前の例によることといたしたことであり、第四に、協会について同種団体に準じた税制上の優遇措置を講ずること等をおもな内容としております。  以上が、競馬法の一部を改正する法律案の概要でございます。
  5. 保坂信男

    説明員保坂信男君) それではお手元に御配付申し上げております競馬関係の横に綴りました参考資料について御説明申し上げます。  初めに競馬開催の概況の累年比較ですが、一ページと二ページに、中央競馬地方競馬について掲載をしておるわけでありますが、まず中央競馬につきましては、二十三年から三十六年までの状況を掲げております。これはお手元の表でごらんのように、開催回数、日数、入場人員並びに発売金額売得金等について掲げたものでありますが、二十三年にただいまの競馬法施行になりまして、それ以前におきましては日本競馬会が民営で行なっておったわけであります。二十三年から二十九年まで国営競馬として実施されまして、二十九年から中央競馬会実施する改正をされたのが、一番左の欄で記載してあるとおりでございます。大体表でごらんいただけるところでありますが、最近の売り上げ状況は、三十五年、三十六年に見ますように、売得金の欄に掲げてございますように、三十五年度におきまして、暦年でございますが、三十五年で二百九十億、三十六年で三百七十三億の売り上げになって、だんだんと売上金額増加をして参っておるわけであります。発売金額につきましては、場内、場外と書いてありますが、場外馬券売り場は、ただいま関東、中京等で十四カ所程度場外売り場があるわけでございます。なお、国庫納付金と書いてありますのは、中央競馬会法におきまして、二十七条で中央競馬につきましては、売り上げの一〇%を国庫に納付することになっておりまして、さらに毎事業年度剰余金の二分の一に相当する金額国庫に納付することになっております。この第二納付金と書いてありますのは、後者でございます。  次に、地方競馬につきましては、競馬場数はだんだん廃止するところが出まして、現在三十八カ所ございます。三十六年度は三十七と書いてありますが、これは上諏訪が一カ所去年行ないませんでしたので、三十七になっておるわけでございますが、地方競馬におきましても、売上金はだんだん増加をして参りまして、三十五年度におきましては三百十七億、三十六年度におきましては四百三十五億となっておりまして、収益金は右から二番目の欄に書いてあるわけでございまして、一番最後の欄の率は、収益の率でございまして、最近におきましては八%ないし九%が収益率になっております。  次のページでございますが、これは地方競馬の現在の施行者数でございまして、現在は都道府県指定市町村地方競馬施行することができることになっておりますが、都道府県は一番上の欄に書いてございますように、十八都道府県でございます。開催していない都道府県は二十八県になっております。市町村につきましては、まあそのうち県が開催しておりませんけれども、管下市町村開催しております地方が九ございまして、したがいまして、全く競馬が行なわれていない府県は十九で、競馬を県か市町村かいずれかが行なっておりますものが、二十七県になっておるわけでございます。開催形態から申しますと、これは一部事務組合等を作って開催しているところ、単独開催しているところがございますが、単独開催しておりますのは、府県では十四、指定市町村では三十九、組合を作りまして開催しておりますのが、府県は四、指定市町村は九十六で、組合数にしまして十七になっておるわけでございます。合計いたしまして、ただいま指定を受けまして開催しておりますのは都道府県が十八、市町村は百三十五、うち市が百五、町村が三十となっておるわけでございます。  それから次の四ページの表でございますが、これは指定市町村指定事由別の数でございますが、指定市町村は、現行法におきましては、著しく災害を受けた市町村自治大臣指定したもの並びに地方競馬場が所在する市町村指定を受けたもの、二つの事由になっておりまして、第一号指定、第二号指定と区分して掲げてございますが、第一号の災害につきましては、戦災事由によるもの、火災、風水害、震災等事由によるものが、ここに掲げました県別該当の数がただいま指定をされておるわけでございまして、災害事由指定を受けましたものが百十九、競馬場所在という理由指定を受けましたものが十六、合計百三十五がただいま実施をいたしておるわけでございます。  次に五ページは、競馬場状況でございますが、中央競馬におきましては、左の欄に掲げてございますように十二競馬場、札幌かち宮崎までございまして、地方競馬におきましても、その中央競馬場を、右の該当欄に掲載しておりますようなものは、中央競馬場地方競馬が利用しているものが、ここに掲げたような状況に相なっておるわけでございます。  六ペ−ジに参りまして、地方競馬場は三十八と申し上げましたが、現行法では府県は二カ所以内競馬場を設置することができることになっております。北海道は六カ所でありますが、県内に一カ所存在するものが、上欄に掲げた二十府県でございまして、県内に二カ所所在いたしますものが中欄にございます六県でございます。北海道は、ここに掲げましたように六カ所ございます。  競馬場所有形態といたしましては、下欄にございますように、府県有、市有、県市の共有のもの、中央競馬会が持っておるものを利用しておるものは、先ほど申し上げましたとおりでありますが、なお畜産団体公社等が持っておるもの、会社等が持っておるものが、こういう区分になっております。  それから七ページは、投票方法別発売状況でございますが、現行法単勝式複勝式連勝式等におきまして一番売り上げが多いのは、それぞれの欄の下欄にございますように、パーセントで表わしてあります、連勝式が最近におきまして九六%で、非常に多くなっております。なお重勝式は、備考に書いてございますように三十六年の二月に中止をいたしまして、ただいまは実施をいたしておりません。  それから八ページは同じく地方競馬についてでございますが、これにつきましても、傾向といたしましては、中央競馬と同様に、連勝式売り上げの非常に大きな部分を占めておるのでございます。重勝式は、これも三十四年の一月から中止をいたしております。  それから九ページに参りまして、馬主調教師騎手等登録並びに免許状況馬丁等状況でございますが、三十六年現在におきましては、登録を受けました馬主が千二百八十一、調教師免許を受けました者が百十九、騎手免許百八十八、馬丁は千二百十六、馬名登録千六百六十、服色登録を受けましたものが千百三十四、これが中央競馬状況でございまして、十ページは、地方競馬について同様な現況でございますが、馬主登録を受けました者が四千六百九十一、服色登録八十五、騎手免許千七百三十五、馬の登録八千四百十一でございまして、調教師制度は、地方競馬にはございません。  なお、最後の表は競走馬現況を戦前と比較して記載いたしたものでございまして、中央競馬におきましては千六百七十五、地方競馬におきましては八千四百十一、合計一万八十六となっておるわけでございます。  以上簡単でございますが、御配付申し上げました資料について御説明を申し上げました。     —————————————
  6. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際委員異動について御報告を申し上げます。  本日、田中一君が辞任、その補欠として藤田進君が選任せられました。     —————————————
  7. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) それでは、本案補足説明及び配付資料につきましての説明は終わったのでありますが、これらに関連いたしまして御質疑がございますれば御発言を願いたいと存じます。
  8. 大森創造

    大森創造君 私は競馬の問題については、まるっきりしろうとなんですが、予備審査ということでありますから、ひとつ二、三お伺いします。……では今のやつとりやめておきます。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと安楽城さんにお伺いします。この前の競馬法を、中央競馬地方に移しますときに……。
  10. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと、これは懇談でいいんですか。速記をつけますか。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはこの説明に関係があるのだから……。いろいろの人がそれに対して賛否を述べたあれがあったね。あなたのほうで一ぺんこれを集められたあれがあったと思うがね。それは小さいプリントで出されたものがあると思うのでもしそれがあったら参考資料でひとつ配っていただきたい。あのとおりの……。
  12. 安楽城敏男

    ○専門員(安楽城敏男君) ちょっと記憶がありませんが、ひとつ調べて後ほど……。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 あれは片柳さんが委員長のときだ。
  14. 安楽城敏男

    ○専門員(安楽城敏男君) 国営競馬を民営に移すときのあれですね。ちょっと記憶がありませんが、ひとつ調べまして……。
  15. 天田勝正

    ○天田勝正君 二、三お伺いします。私はまあ説明を聞いて……。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これきょう審査するということにきめたのかい。
  17. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 今の補足説明並びに資料に関連してですよ。
  18. 天田勝正

    ○天田勝正君 私の伺いたいことは、説明がわからないので二、三お聞きしておきますが、さっきの補足の、またさらに資料説明の場合には、重勝式はもうやめたんだと、こうおっしゃっておりましたけれども、さきの説明では、今度法律改正重勝式をやめるのだと、こう言っております。一体この重勝式というのはどういうものかわからないのでついでに、この重勝式は、射幸心の過熱を避けるというのだから、どういうふうに避けられるのか、中身とともにまずこれを伺いたいと思います。  時間を急ぎますから、ついでにもう一問いたします。それは、この説明では、前々から戦災都市や何かに許してきたのだけれども、もはや戦後十数年もたったから必要がないとこう言っておられるのに、それじゃやめそうなような説明なんですが、ところが、だんだん改正してさらに続くと、それは」体どういうことなんでしょうか。それをお伺いします。  それから売得金一定率に相当する額を、地方競馬全国協会に交付してそれで畜産振興をやるのだと、こういうわけですが、馬自体とすれば、きょう資料を持ってきておりませんけれども、むしろこの農業基本法の説明のときでも、だんだんこれは減るようなことになっておるのです。だから畜産振興して競馬、ギャンブルを盛んにするために馬をまあふやすと、何かそういうことになるのか。あるいは畜産振興というのだからもっと広いので、馬のほうは減るけれども、しかし乳牛や何かをどんどんふやしていこうと、こういうことなのか。この畜産振興というものは、いずれが主になるのか、これを第三としてお伺いします。  それから収益使途でありますが、これもまあ長くこういうものをやっておると、だんだんそれがまあ一定の、市町村などの歳入に見積もらなければ困るという惰性が、どっちかといえば惰性です、惰性が生ずるわけですが、今度こういうふうにするというと、ますますかようなギャンブルをあてにするという色が濃くなってくると思うのですが、一方ギャンブルをやりながらどうも教育、文化の発展なんということには少しどうも縁遠いような私は気がするのです。この種のギャンブルをやめておられる県がありますけれども、それの最大の理由は、なるほど利益も上がるかもしれぬけれども、しかし、教育、文化上まことによろしくないというのが一致した見解であると思っているのです。この点はどういうことになるのでありますか。  それから二十三条の二十ですが、協会評議員会というものを規定して、これでその学識経験者の意見を反映させるというのですが、この種のギャンブルに、学識経験者というのは一体いかなる人をさすのか、どうも馬のことを技術的に知っておるという人でもなさそうだし、ちょうどこれは売春取り締まりの学識経験者みたいで、あのときは経験は除いたのでありますが、この場合もどうも経験のほうは何なんでしょうかね、このギャンブルについて以上お伺いしておきます。
  19. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 資料についてのお尋ねでございましたが、第一の重勝式といいますのは、各レースの一着の馬を続けて各レースごとに当てる、今まで普通制度としてやっておりますのは、一レース一着、二レース一着と三レース一着等を指定しますと、その三レースすべての一着の馬を当てた場合に、重勝式の投票が当たったと、こういうことでございまして、重勝式は各レース重なって勝馬を当てていくということでございますが、相当配当率が射幸心をそそるものですから、現在法律制度として残しておりますけれども、先ほど資料で御説明申し上げたとおり、制度としてはやり得るがやめておりますが、今度は制度としてもやめてしまうということであります。  それから第二の指定市町村の問題ですが、これは指定市町村は現在百三十五ございますが、現在やっております指定市町村制度は、第一条におきまして、「著しく災害を受けた市町村」それから競馬場所在地の市町村について自治大臣規定がございますのと、期限なしに永久不変に競馬ができるという、裏から言いますると復興上規定されたわけでありますけれども、復興理由がなくなっても、期限なり条件なりをつける制度が現在ございませんので、二十四、五年ごろから指定されておっても取り消しなり期限がこないと、こういうことでございますが、今回は今後新しく災害を受けて、そうして市町村もやりたい、それから都道府県もやらせてしかるべきだ、自治大臣も特別の財政上その他の財政災害復旧措置を講ずる以外になお必要であるという場合で、それで都道府県等が開催しておって、その収益で声町村の災害復旧をはかるという規定を入れておりますが、そういうことで配っても、市町村自身がやったほうがいいと、こういう場合に自治大臣農林大臣と協議をして指定をしますけれども、今度は復興計画等もながめまして、期限条件をつけまして、その範囲内でやる道も今後も置いていく、ただそういう場合は相当制約されていくということでございます。こういう意味におきまして、前の制度と今度の制度とは、手ばなしであるということと、今度は期限をつけて条件をつけるということで著しく違うわけであります。  それから現在の現行法で第一条で手ばなしで指定されておりまする市町村であって、かつ現在でも競馬施行しております市町村が百三十五ございますが、これは現時点から見ますると、三年間は実施できる。その間に自治省等も財政上各市町村の内容等も洗いまして、やむを得ない事由でまだ復興計画が当初の申請で指定されたときの計画が全うされてない、ごく最近に指定されました理由としては、伊勢湾台風による愛知県で六カ村でありますが、最近の指定された市町村でまだ復興が完全でない、かつ都道府県から都道府県開催による収益を配っていただくよりも、市町村でやったほうがいいということで、市町村都道府県も、かつ自治大臣農林大臣とも協議しても適当であるという場合は、四十年後になっても、それでも適当であるという場合には、第一条の規定で、今度は期限を付して更新し得る場合がある、こういうことで現行法と違っておるわけであります。  それから全国協会評議員等の意見を開いてやるという問題は、これは現在三十六年度で売得金の額を想定いたしますと約四百三十六億、地方競馬収益が上がりますが、それと同じ程度来年、再来年上がりますとすれば、今の売得金畜産振興に充てる額を別表で掲げておりますが、累進で掲げておりますけれども、突っ込みで千分の八になりますから、収益の約一割上がってきまずから、その十分の〇・八、大体三億程度のものが畜産振興費に充てられるわけでありまして、それを各都道府県の計画に従いまして畜産振興の各都道府県の申請等に基づきまして、畜産振興の費用に充当する場合に、畜産関係等に十分御理解のある人、あるいは地方公共団体のその問の関係者等の意見も十分聞きまして、農林大臣として交付金が公正に交付されるようにしていこうというわけであります。  なお、馬の改良、増殖と畜産振興の問題でありますが、まだ馬の飼育頭数は減少はしておりますが、九州、北海道のほうで相当の農業上の役割を尽くしておる点もございますので、予算上の措置としては不十分な点もございますので、馬の農耕馬関係の充実の費用にも、たとえば九州、北海道で、その都道府県の御計画で農林団体のそれらの充実に尽くしたいということであれば、それのほうに交付して参る。その他乳牛問題、酪農問題、あるいはその他の動物の育成、増殖、その他畜産物の取引等につきまして、都道府県でもっと力を入れていきたいということで御計画が出ると思いますが、それについて措置して参ろう、こういうわけでございます。
  20. 天田勝正

    ○天田勝正君 答弁漏れがあります。競馬をやめておるところもあるのですが、そのやめておる理由を聞きますと、かかって教育文化上好ましからず、こういうことでやめておられると私は聞いておるのです。しかるところ、今度の二十三条の三によりますと、今の畜産振興とあわせて、社会福祉増進、医療の普及、教育文化の発展と、こういうことが羅列されておりますが、およそギャンブルのごときは、教育、文化とは背馳するものではないかと私は考えておるけれども、この関係はどうなるんだ、こう聞いておる、これが一つ漏れております。  それからあと、この評議員の資格のうちに、学識経験者と、こうあるのだけれども、端的に言えば、ギャンブルですから、パチンコをうんとやれば学識経験者のうちに入るのかどうか。きつき私は端的に、わかりやすく言ったのですけれども、売春法のときの学識経験者みたいに、経験者というのはおかしいというので、あれはその経験のほうはとったはずなんです。だからこの際も、一体ギャンブルについて学識経験というのは何をさすのか、こういうことについてお答えがない。
  21. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 第一点のギャンブル、あるいは教育、文化との関係でございますが、お配りいたしました「公営競技調査会答申」という別冊がありますが、その別冊によりまして、各公営競技等につきまして、総理大臣から公営競技調査会に諮問が行なわれましたが、その諮問の結果、三ページに答申がありますが、その答申でも、三項目に、今後、少なくとも現状以上に奨励しないこと、その弊害はできるだけ除去する方策を考慮して、次のように改正を加えるべきであるということが答申されておりまして、そこで射幸心の過熱等の問題につきましては、記の第四に「投票方法については、各種公営競技間の統一をはかりつつ的中率を多くすることにより、射幸心の過熱をさけるとともに、競技場における紛争を防止する見地から次のことを検討する。」ということで、投票方法につきましては、当たる率を非常に高くし、ギャンブル的な連勝式制限をしていく。こういうことで、新しく連勝複式という制度の提案をされておるわけであります。  それから、教育、文化等の点に関しましては、五ページの6で、「公営競技による収益使途については、公営競技発足当時との状況の変化に鑑み、次の点を考慮する。」とあって、第一に「売上金の一部を、関連産業等の振興に充当することとするが、その他に福祉事業、医療事業、スポーツ、文教関係等にも成可く多く充当することとし、この趣旨を法律に明記すること。」という御答申になったわけでございます。なお、御指摘の二部の地方団体において、その財政が公営競技に強く依存しているのは好ましくないことであるので、国及び地方団体は協力して出来るだけ早く、かかる事態をなくすよう努力」して、公営競技に財政を依存するという態勢をやめていかせたらどうか、こういうようなこと、あるいは公営競技の開催、レース等の問題につきましても、できるだけ今後しぼっていけということ、あるいは六ぺージにございます競技場の環境整備の問題、それから9にあります不正レースの発生防止の問題等について、今後、厳格に、トラブルの起こらぬように、また環境が悪くならないように、行政官庁に答申をされたわけであります。そういう趣旨に基づきまして、われわれといたしましては、公正な運営をはからせていこうと、こういうことであります。
  22. 天田勝正

    ○天田勝正君 質問の趣旨と全然違うのだ。公営競技の調査会の長沼会長のその答申の内容がどうのこうのというのではないのですよ。それはそうであろうけれども、それを尊重しながら、政府が責任をもって国会に私は提案されたのだろうと思う。そうだとすれば、あなたのさっきの補足説明の、七ページでしたか、今後の畜産振興社会福祉増進、医療の普及、次に教育、文化の発展と。だから教育、文化の発展といっているのですから、これをやることによってどうして教育、文化の発展になるのか、そこのつながりが私には理解できない。あなたのおっしゃるのは、やめるほうが教育、文化の発展のように答申をされておるとこういうふうに言っている。ところが、政府の責任をもってここに出されたものは、教育、文化の発展をやるのだというからわからなくなる、こういうことなんです。ですから答申がどうのこうのという説明より、端的に政府の責任としてこの教育文化の発展とギャンブルを、投票方式を少しぐらい変えることによって、どうしてそこのつながりが持たれるのだ、これを端的に聞いているのです。
  23. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 勝馬投票の投票方法の改善は、非常に射幸心をそそって教育上おもしろくない点が相当ございますので、これは射幸心をそそらないような的中率を高めた投票方法で制限していくということでやって参りたいと思うわけであります。  一方において、投票方法の問題ではなくて、収益使途については、学校建設とか、あるいはスポーツ・センターとか、そういうことには収益を向けていく、こういう点で収益上の使途の点で教育、文化を申し上げておるわけであります。
  24. 天田勝正

    ○天田勝正君 学識経験者についてはどうしても言わない。学識経験者とは何ですか。
  25. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 全国協会でございますが、馬の改良、増殖その他畜産振興補助を全国的に地方に対して行なう関係上、その馬の改良、増殖、畜産振興の学識経験ある方の御参加を願いたい、こういうわけであります。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 補足説明のことだから、補足説明してもらいたいのだがね。これは政務次官にお聞きするほうがいいと思うのですがね。あの、競馬法の一部を改正する法律案となっていますが、一部というのは、大部ではないのだね。ところが、この法案を見るというと、全面的な新しい法案ですね。この新旧対照の条文によるというと、もう旧文はほとんど削除、そうして新しく条文につけ加えられている点は膨大なものです。これは、なぜ新競馬法なり何なりで出さなかったのか。何でこういう必要があるのか。どういうことなんです。それでなかったら、競馬法の大部を改正する法律案なり、九九%改正法律案なり名をつけたらよかったですがね。(笑声)
  27. 中野文門

    政府委員(中野文門君) ただいまのお尋ねでございますが、従来の競馬法を全部廃止して、新しい競馬法を設定するという形もあろうと思いますが、今回お願いをいたしておりまするのは、従前競馬法の内容を変更する改正法律案でございまして、一部であるか大部であるかということによってのお尋ねでございますが、今回のお願いいたしました改正案の取り扱いの上からは、競馬法の一部を改正する法律案ということでお願いをいたしました。はたして一部であるか大部であるかということには、論点はあろうかと思いますが、従来の競馬法を廃止して、新しく別個の競馬法を設定するという形式をとりませんので、競馬法の大部を改正する法律ということは、従来のこうした法律改正に用いない文言であろうと私思います。まあ、私どもといたしましては、改正点の条文の多寡とか、あるいは内容の重点がどこにあるかということによっての、一部であるか大部であるかということについては、御見解もあろうかと思いますが、私どものほうといたしましては、政府といたしましては、一部を改正する法律案ということでお願いをいたしました。さよう御了承願いたいと思います。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでまあ、ただきょうは聞いておくだけだから聞き流しておきます。あとでまた質問をいたしますが、もう一つは、法律には、法律制定の趣旨たるべき目的が明らかにされているんですよ、大体。ところが、この競馬法だけは新旧ともに、何のために競馬をやるんだということが明らかでない。戦前からやってきた競馬を、ただ新憲法下、民主的に——軍馬の奨励も何もなくなったわけだから、それで何となしに白ばくれて、競馬をどうやるかということの手続だけをいろいろ取りきめて、そうして適当に災害なんというものをくっつけて、益金をそれに充てるんだというもっともらしく装って、それも法文上は明記することを避けている。それで、もう初っぱなから日本何とか競馬会に競馬をやらせる、競馬はこうしてやる、これだけ。だから、いつでも理論としてはここからもう疑義が起こる。で、われわれ今後これを審議するにあたって、どういう趣意のもとにこの新競馬法を審議したらいいか。この大前提になるべき、何のために、競馬をこれだけ大部改正をやってまでやらせるのか。政府のはっきりした、法律に載せてもいいくらいの趣旨を端的に、ああでもないこうでもないと疑義を残さぬように、何のために日本国政府は競馬をやらせるのか、こういうことを明らかにしていただきたい。そういうことがどこにもない。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。委員長にひとつ骨折っていただきたいことは、今のような問題があるわけで、二十四年に競馬法ができて、馬連でやっておった競馬を国営にしてやりました。それが二十九年に中央競馬会に経営が移管しましたがね。そのときの移管問題につきましての是非について、たしか公聴会まではいかなかったけれども、参考人を呼んで、おのおのの意見を大量に聞いたものがあります。これは私反対しておった立場で相当記憶が明らかである。今の、河野さんなどもやはり御意見をはいておられるし、またその他、非常に競馬に関係した人のたくさんの意見があったと思います。それを政府のほうで、そのときの速記録を調べて、そうして各人の意見を抜粋してどういうわけでこれを改正することがよろしいかという大部分の御意見のようですから、それをひとつ参考資料に出して下さい。
  30. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) かしこまりました。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 たしか私の記憶だと、その当時安楽城さんの御努力で全部のものが、まとめたものが調査室へきたと思うのですけれども。
  32. 安楽城敏男

    ○専門員(安楽城敏男君) ちょっと記憶がありませんので、ひとつ調べさしていただきます。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういう事実があったことは……。
  34. 安楽城敏男

    ○専門員(安楽城敏男君) だいぶ問題がありましたので、そこまでやっておりましたかどうか、記憶がありませんが。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 調べて下さい。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 つけ加えて申し上げますがね。われわれは競輪、モーターボート競走、これをギャンブルだということで廃止のために運動している側の政党員で、その際に一番個人的には困ることは、競馬だけは野放しして、そうしてよそのものは廃止するということだけおっしゃられるが、それはどういうことですか。みな廃止するなら、競馬でも何でもみなギャンブルだから廃止したらどうですか。そうすると当該関係者が逆襲する、われわれに。ところが、この条文の内容は一々過度な射幸心をあおらぬようにこうこうするとか、売上益金は学校建設に充てるとか何にするとか、なかなかうまいことをいっているが、これは自転車でもモーターボートでも同じことをいっている。どだい今日競馬法だから、馬だから、農林省畜産局が提案し、所管しなければならぬという根拠も理由もなくなっている。畜産振興なんという適当な羊頭を掲げて狗肉を売るような、何が畜産振興ですか。自転車は自転車技術の振興のため、モーターボートはモーターの開発伸展のため、あとは地方財政に資する。何ですか、こんなことは。だから、私は、ある面では好意を持ってこの大前提なるものを聞こうとしておる。馬なるがゆえに、これだけは残しておかなくちゃいかんのだ、よそは廃止されても、これはギャンブルが目的ではないんだ、国として、これこれの趣旨をもって競馬をやるんだという建前がなかったら、これは全部同じですよ。そういう意味で、私は、ただ三行半だけでいいから、きょうは聞き流しておきたい。どこにもない、その趣旨、目的は。自転車でいうと、通産省の軽工業局ですか、自転車産業の振興と、何かもっともらしい。農林省畜産局はこれによって産馬の振興と、今そんなことは言えますか。自転車競技でもモーターボート競技でも、目的ははっきりしています。羊頭的なものであっても、地方財政に資するとか、何々産業を育成するとか書いてある。これには何もない。全然頬かぶりですよ、この法案は。目的もない。だから、きょう三行半だけでいいからお聞きしておいて、今後の審査の資料としたいから、お答え願いたい。
  37. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 今、小笠原先生からお話を承ったのですが、競馬の歴史は非常に古いわけでございますが、これは、競馬法上の勝馬投票というものを行なう関係上、勝馬の払い戻し等については特例になっております。競馬法自身の目的につきましては、私就任以来、いろいろ速記録等勉強いたしましたが、旧競馬法にも、なかなかそういう規定が出ておらない、ただ、この中央競馬法の改正にあたりましては、国会等でいろいろ論議のあったところであります。市町村その他の問題が加わったのは、国会の修正によって加わったわけであります。こういう意味におきまして、また戦前から歴史的な経過といたしましては、軍馬関係等、戦前の国策と結びつきましての、相当な中途から沿革があったわけであります。現行競馬法でも目的は書いてございませんが、施行団体としての中央競馬会等におきましては、競馬の健全な発達をはかるということで設立されるのだと、そういうことが明文に書いてあるわけであります。われわれといたしましては、時代の推移とともに、現在の事実として考えましたところでは、私個人の考え方といたしましては、先生方のように、いろいろ、ああ考え、こう考え、いろいろ論点はあると思いますが、現在の現競馬法では、あるいは過去の競馬法等では、そういう目的規定が第一条にない関係になっております。われわれといたしましては、いずれにいたしましても、競馬法によりまして、健全な競馬運営をはかると、こういう趣旨で御提案をいたしておるわけであります。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 中央競馬会競馬の健全な発展をはかるということは、競馬をやるということが出ておるから、法律に沿うて健全な発展をやろうとする。当然なことです。しかし政府は、何のために競馬をやらせるのかということを明らかにしないということはない。今のあれでは答弁になっていたい。これだけの全面修正をしてでも、競馬維持、存続、発展させようというなら、今まで明らかでなかった、あなたも今言うているように、何のために競馬をやるのだ、やらせるのだということを明らかにしなければ、われわれ何を柱にして審査していいかわからない。健全な育成、発展をはかる、それはわかった。なぜそういうことをはからなくちゃならない。なぜ馬を走らせなくちゃならないか。
  39. 千田正

    ○千田正君 話は実際うまい話が出ているのですが、前はこれはわれわれの地方では、産馬奨励あるいは軍馬の奨励という意味で、地方競馬を行なっておったわけですが、今は軍馬もなければ、馬の生産はだんだん衰えてきております。だから、こういう問題が出てくるのも当然だろうと思いますがね。しかしまた、今小笠原さんの言うように、畜産組合が主体になってやっているでしょう。だからこういうものの収益を、酪農の面において、たとえば牛なら牛の生産というようなものに、改良するというような意味で、農林省のいわゆる馬から牛へと切りかえていく政策に、これを役立たしめるような大綱をここへ入れなければ、今小笠原君の言うような問題が起きてくるのです。ただギャンブルというのはけしからぬというなら、競輪もやめさせるように全部やる。それから地方財政が貧弱で、たとえば災害をこうむった場合のあれができないというならば、これはもう災害復旧法に基づくところの、政府は十分な予算をとって、こういうものをやらなくても済むような大前提に立ってやらなければ、こういう改正ができないのじゃないか。だから目標というものをはっきりして下さい。これはやはり畜産組合が、いなかのほうでは主体になってやっているのですから、こういう収益は、今度は馬から牛に切りかえるのだから、牛のほうの奨励にその金を使っていくのだというような、農林省自体の政策に、そういうようなことを、この中に盛り込まなければ、法案の趣旨はおかくしなってしまう。これはこの次に逐条審議等において、私、またお伺いしたいと思います。
  40. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) それでは本日のところは、本案につきましては、この程度にいたしたいと思います。
  41. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと、さっきの資料出せますか。どちらから出してくれるのですか。
  42. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 相談して……。
  43. 大森創造

    大森創造君 私はちょっと一言、議事運営について申し上げますがね。私は理事になって、二回ばかり出てきたところが、予備審査の段階で、ほんの形式的な質疑にとどめる、こういうことであった。きょうの審査は、特別に競馬の問題について相当時間かけた。委員長理事と打ち合わせして、大体日程によって、これだけ消化し得るという目算があると思う。私にすれば、これはもうこういうふうに際限なく内容の吟味をやるということになれば、これは本審査と変わりないと思う。委員長、どうですかね。今後議事運営の問題について、この問題はこの程度にとどめるとか、時間のあんばい、それから本審査については、三時間かけるとか、十時間かけるとか、そういうものの目算なくして、今まで補足説明を聞いていたのですが、われわれの聞きたいことも、一時間も二時間もある。だけれども、それを聞きっぱなしにして、それが議事運営に協力する立場だと思っていた。ところが、きょうのを見るどいうと、今まで例のない興味のある問題だから、ギャンブルだから、ずいぶん時間をかけている。こういうことについて、どうなのか。今後委員会として、こういう興味のある問題をどんどん時間をかけて審議をするということになれば、私も考えがある。社会党のほうでもまだ質問がある。本審査というものと予備審査というものを、われわれ委員長及び理事打合会において、こういう印刷物にして資料を渡しておるのですが、これはどういうところにめどがあるのか。委員長にひとつ……。
  44. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕     —————————————
  45. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を始めて。  次に、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第九三号、予備審査)を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明及び補足説明は聴取いたしております。  この際、本案についての関係資料説明を聞くことといたします。森畜産局長。
  46. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 横に書きました畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案参考資料について御説明を申し上げます。  一ページの一般経済指標といたしましては、畜産物の価格指数が全体の卸売物価、指数、小売物価指数とどういう関係に、畜産物について三十二年を一〇〇とすれば、それぞれ一〇〇のとり方が違いますけれども、それを一覧にしたわけであります。  三ページにわたりましては「生産関係」についていろいろ推移を上げてありまするけれども、概算値として三十五年の欄をごらんになりますと、畜産物の指数の一四・九という指数は米の四八・六に次いで農産物関係としては第二位になっておるということをごらんおき願いたいと思います。二十六年は九・五でございました。畜産物関係の総産出額が農業関係では一四・九に上っておるということであります。  次に「農業生産指数」でありますけれども、畜産の欄がまん中より下の欄にございますが、これは畜産物の関係の伸びを示しておりまして、欄外をごらんになりますと、昭和二十五年−二十七年の平均を一〇〇とした場合ということでございますので、二十六年の指数が一〇〇前後にばらばらになっておりますけれども、二十五年−二十七年の平均を一〇〇とした場合にどうなっているかということでございまして、三十五年の欄をごらんになっていただければ、二四七・三という指数になっておりまして、最後の欄は一一〇・三になっておりますが、これは三十五年対三十四年の比で、一割増ということであります。ただいろいろ欄外で、計算の仕方につきまして注書きで注釈してございます。  次の五ページの家畜の飼養農家数その他一頭当たりの飼養頭羽数でございまずけれども、三十六年の欄、一番下の欄をごらんになっていただければ、農家全戸数のうちで乳牛については戸数が六・九、役肉用牛については三二・六という戸数になっておりまして、鶏は六五%であったのが、一番右の欄の鶏では六三・二、こういう指数になっている状況を示しているわけであります。  それから六ページでは飼養頭羽数及び一戸当たりの頭羽数の推移でございますが、三十六年の推移を見ましても、乳用牛について見ますれば、依然として三十六年では上がってきておりますが、平均突っ込みとしては一戸当たり二・一頭、問題になりました豚につきましてもわずかに二・九頭という状況になっておりますが、普遍的に多い鶏につきましても、一戸当たり一八・九ということで、頭羽数は上がっておりますけれども、必ずしも全体の平均としては過頭羽数になってはおらないということでございます。  七ページは牛乳、乳製品の生産量の推移の状況でありますが、これの表では特に牛乳生産量は二十六年から四八三・一%の増でありますし、飲用牛についても六一八・九でありまずけれども、この裏にひそんでおります現在の状況としましては、こういう生産でも依然として、もっと需要が旺盛である、最近の統計では一二、三%の伸びに対して、需要は一四、五%の伸びである、二、三%の需要旺盛がきておりますので、乳製品の加工品の生産が伸びずに、すぐ飲用に回っているというのが現在の状況でございます。  八ページに参りますと、一般の牛馬の屠殺、それからできます枝肉の生産量の状況であります。  十ページには、最近までの鶏卵生産の状況でありまして、鶏卵は著しく三十六年までには非常に増産になっており、ケタ違いにふえて参っている状況であります。  次は、常に問題になります畜産物の生産費の問題で、十一ぺージでございます。これは注に書いてありますとおり、調査戸数ば年度によって違いますが、調査戸数は注の3に七百七十戸ないし八百戸と書いてありますが、そういう戸数で調査をいたしております。それから俗っぽくよく一升当たりと申しますので、費用合計あるいは生産費等、第一次生産費、第二次生産費の欄で三角でカッコしてありますが、これは注に書かれてありまするとおり、一升当たりの費用を示しておる数字であります。これは全部百キロ当たりの数字でございますので、参考のために一升当たりの、農家的な一升当たりの数字で三角を示しておるわけであります。  それから十二ページでは肉豚生産費の問題でございますが、これは三十五年に初めて統計調査部が生産費調査をやった関係上、対象農家はカッコにありまするとおり六十六戸でございます。これの統計調査部で集計したものを掲げておるわけであります。  それから十三ページには、生乳の価格の推移状況を飲用と加工と全国平均に分けて各月別の最近の状況を御参考のために掲げ、かつ加工用の分につきましては、飲用分につきましては代表的な加工産地の価格と代表的な飲用牛乳の普及地とを並べて、生産県における価格の推移を御参考のために掲げておるわけであります。これは農林省の農村物価賃金調査によった数字でございます。  十六ペ−ジには製造業者の販売価格につきまして各製品別に市価を掲げておるわけであります。  十七ページに至っては、三十七年一月の市況を御参考のために掲げてあります。配付してありまするが、最近におきまする価格審議会の答申の乳製品の乳価はこれらを相当参考にされたわけであります。  十八ページに乳の小売値段の関係を書いてあります。乳製品、市乳の小売価格の欄で一番最後の欄の市乳というのが、いわゆる家庭で配給を受けておりまする飲用乳のことでございます。三十六年の一−五月まで、こうなっておりますが、加工市乳等は三十七年一月まで据え置かれておる状況であります。  食肉価格につきましては、十九ページに卸小売各段階別にキロ当たりの価格を摘出しまして御審議の参考に当てようというわけであります。  二十ページに産地価格としてこれは農林省農村の物価賃金調査、卸売価格は日本銀行の東京卸売価格を参考に掲げてありまして、小売価格は総理府の統計局の小売物価統計調査報告による肉の価格を一番オーソリティヴとして引用したわけであります。御参考のためにごらんおき願います。  二十一ページは鶏卵の価格推移でございまして、注に掲げたとおりの資料を参考にいたしまして参考資料を編成したわけでございます。  二十二ページは家畜生体自身の価格の推移を農林省統計調査部の調査による部分について摘出して御参考のために掲げておるわけであります。三十五年では豚の価格が、キロ当たり技肉の価格が高いものですから、この欄でごらんになるように、三十五年では平均子豚購入四十日から六十日のものが五千二百二十三円という暴騰を来たした経験を持っておるわけであります。  もう一つ二十三ページでは消費関係を表にしてごらん願いたいというわけでございます。これを見ましても、牛乳乳製品の国民一人一日当たり、あるいは畜肉国民一人一日当たりの消費量は依然として非常に低くあるということをごらんおき願いたいと思います。  次は二十四ページでは、全都市の世帯平均一カ月の消費支出の状況で、まん中ごろに乳肉卵とございますが、この欄で、これは金額で、欄外に単位円となっておりますので、これを数量としてかぎカッコで換算してみまして、御参考に供したわけでございます。これは全都市の世帯の平坂一カ月当たりでございまして、次の欄にある農村における主要食品消費量の推移は、これはちょっと表の作り方は悪いと思いますが、これは全国平均一人当たりで出しておりますので、また一人当たり同士であるいは世帯同士で比べた数字を編成したいと思っております。この欄は農村の分はグラムでございまして、価格ではございませんので、比較しいいように編成したいと思います。  二十六ページに至っては、これは主食の状況が違いますとはいえ、非常に日本においては畜産物の消費量が非常に少ないということを御参考までにごらんおきを願いたいと思います。  二十七、八ページ、二十九ページでは貿易関係について掲げてあるわけであります。乳製品の欄の輸入の関係で相当量が多いのは、これは普通の学校給食関係で粉乳等も入りますものですから、この数字が非常に膨大になっておるわけであります。食肉については羊肉のマトンがAAで入っておりますので、年額約二万トン程度入っておるということを御注目願いたいと思います。あとは家畜の輸入、これは特に最近多いのはブロイラー等の輸入がありまして、家禽類で頭数が四万五千六百四十二、これは一月から十一月までで一年間ではございませんが、このほど改良養鶏等の関係で相当入ってきておるということを御注目願いたいと思います。輸出につきましては、粉乳類とそてれから次の三十ページにあります鳥卵いわゆる鶏の卵の輸出が多いということを御了承おき願いたいと思います。  三十一ページでは過去数年間続けて参りました学校給食の助成の推移と予算額と実行額を掲げまして、審議の便宜に供しようというわけでございます。これらは需給関係から計画予算と実行額が相当差があるということも御了承願いたいわけであります。  以上が畜産物価格安定に関する資料の簡単な御説明でございます。  あと二枚、三枚ありますが、最近における畜産物価格審議会における答申資料を御配付してありますが、審議会は、二月六日第一回の審議会を開催いたしまし会長は一橋大学の馬場さんがなりまして、安定価格のあり方について検討されたわけでございますが、特に具体的な価格を出すよりも、価格算定方式とが価格の出し方を審議してはどうかという大体の空気がございましたが、やはり政府がそのために参考資料を出しますと、それが中心になって討議がされた経過であります。第二回目を二月八日に開催した結果、指定食肉の安定基準価格について、御配付いたしましたような答申が行なわれたわけであります。政府側といたしまして安定基準価格を諮問するに臨みました態度といたしましては、一月末に農林大臣の言明があったとはいえ、法が決定している以上、安定基準価格をきめたい、またこの事態では、至急事態を終息するために早く値段をきめたいということでございまして、審議会の中では、価格算定方式をさめるということで臨んだわけでございまするけれども、価格算定方式が早急にきまらない事態になりましたので、審議会の皆さん方としては、緊急事態に処理する価格を御答申願ったものと考えております。したがいまして、答申のあとにありまするとおり、価格算定の方式についてはさらに検討するということで、今後、中旬行なわれます三十六年及び三十七年の価格決定をさっそく行ないたいと思いますが、その際までには、価格算定方式について決定をいただぎたいと思いますけれども、現在の状況としては、そこまで進み得るかどうか、われわれとして大いに勉強いたしたいと思います。なお特に申し上げておきますが、この答申の趣旨は、政府が当面する豚肉の価格の下落に対処して畜産振興事業団による豚肉の買い入れの安定措置を講ずるに必要な安定価格の基準を決定いたしましたにつきまして諮問いたしましたにつきまして、その一は二百四十円、その二は二百七十円の両論がございましたけれども、政府といたしましては事態の収拾をはかるために、至急それに準じまし七その資料の中心となりました東京付近の横浜、大宮等を、両案を勘案いたしまして二百四十五円といたして、二月の二十一日に告示いたしたわけでございます。  二月十四日には、乳製品の価格がえらく暴騰いたしておりますので、事業団からの買い入れ、輸入措置を至急急ぐ関係上、法の精神に従いまして上位価格だけきめていただきまして、バターにつきましては六百円、脱脂粉乳につきましてば四千三百五十円の御答申をいただきましたが、現在の時価がそれに相当いたしますので、海外に、バターについては四百トン、脱脂粉乳については三千トンについて、通産省と連絡をとりまして輸入を急いでおります。おそくとも五月末につきまして、一般の乳製品あるいは市乳等の需給調整に役立つことと思います。以上が答申案の問題であります。  もう一つは、芝浦屠場の問題につきまして、前からの資料を整備いたしたものについて屠場の概要を申し上げたいと思います。現在敷地は六万三千平米、建物が二万七千平米、配付資料についてごらんおきを願いたいと思います。  これは特に二ページの取引の現状でございますが、第一に、枝掬の取引は、枝肉取引業者を構成員として、売手六十八名、買手百百七十名、加工十八名、計二百五十六名とする枝肉取引組合の自主的規則に基づいて行なわれておりますが、相対取引であるために、成立する価格が多数の売買当事者の自由な競争による価格とはいいがたいものであります。また、産地との契約が不明確であって、その内容も完全な委託契約でなくて買取契約に近くなっております。  取引価格については、代金決済期間がまちまちのために、価格のうちに種々の大きさの金利危険負担が含まれておりまして、またその価格の公表は芝浦枝肉取引員組合が行なっておりますが、一般に公表される価格は基準価格でございまして、実際の取引価格そのものとはいいがたいのでございます。  出荷地別の屠殺頭数は三ページに書かれてありますとおりでございますが、豚等につきましては、九州が非常に多いということが注目すべき現象でございます。  以上卸売価格あるいは食肉取引実施要綱を作って取引委員会をやっておりますが、それについての要綱を御配付申し上げまして説明した次第でございます。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 再三私は畜産の問題で、ことに豚、鶏の問題で最近大工場生産的なものが非常な勢いでふえておる。これはあなたのほうでも非常に問題にしておられると思うのです。この間畜産物の価格、農産物の価格何とかいう参考資料をちょうだいしましたが、それの一番先にもそれが、これから大企業とどうタイアップするかということが一番先に書いてある。そこでそういう工場が、工場というまり大企業、そいつを委託もしくは直営でやるものがどれくらいあるのか、どれくらいの規模のものがどうなっているのだということを資料で出していた薄きたいといって何べんも言っているのに、まずこれを出してもらわなければならぬのだと思うのだ。この両委員会提出資料、これは大体要求したものが書いてあるのですが、どうして出せないのですか、これは三回ぐらい要求しているのだ。
  48. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 申しわけございません。午後すぐ出します。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから第二は、この芝浦屠場の問題だが、大事なことが抜けております。それは芝浦屠場と農林省の関係ですわね。これは中央市場法でできておらぬのだから、農林省がどこまでタッチするかということは、非常にめんどうですから、だからそういう農林省との関係においてどの権限まで今まで芝浦を監督指導をなさっておったか、正式の権限について、そういう点を一つ明らかにして出してもらいたい。  それからこれはなかなかめんどうだろうと思いますが、成豚、成牛ですね、そういうものが集まってくる場合、この間もあなたのほうでは全販でやっておるものが二〇%、あとは大体博労の手によって集まる、こう言われるが、その博労の買付によって集まったものがどれだけ、あとはどれだけのものが委託となって、博労に委託となって集まるか。何かあなた方のお考えだというと、大部分が委託で博労のところにくるような先日来の御答弁だと思いますので、したがいましてなかったらないでいい。庭先で買って博労から博労へ価格が決定してくるものと、こう見ていいのかどうか。その点が明確でないので、ひとりお調べになって、参考資料として出していただきたい。農協から出す大体二〇%は、これは大体全敗に対する委託だろうと思いますが、あとの個々の畜産卸売人というのですか、それが博労を使って集めるものが、自己が買い出しに行って集めるもの等がこれが全部委託かどうか。それらの委託によって集まるものはどのくらいあるのか。これは重要な問題ですから、ひとつ資料をお願いしたいと思うのです。
  50. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) それでは、午前はこの程度にいたしまして、午後一時二十分から引き続いて開くことにいたします。それまで休憩をいたします。    午後零時二十一分休憩      —————・—————    午後二時二十二分開会
  51. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。  土地改良区の財政の再建に関する特別措置法案(衆第五号)及び農業生産組合法案(衆第八号)の二案を一括議題といたします。これら二案は、去る二月五日及び十二日、予備審査のため、衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。  それでは、まず、両案の提案理由説明を順次、発議者から聞くことといたします。衆議院議員石田宥全君。
  52. 石田宥全

    衆議院議員(石田宥全君) ただいま議題となりました土地改良区の財政の再建に関する特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦後の土地改良事業は、農地制度の大改革と相並ぶ国の最も重要な施策の一環として、自作農を中心とする農業経営の合理化と農業生産力の発展をはかり、食糧その他の農作物の増産によって、農業の国民扶養力を引き上げ、ひいては、国民経済の成長と発展に寄与することを目的として強力に推進されましたが、一方では、これが法的体系の整備のために、昭和二十四年、土地改良法が制定せられたのであります。自来今日まで数次の改正を見、本法を根拠に土地改良事業実施土地改良区等の設立運営が行なわれ、農民諸君の努力と相待って、わが国食糧農業問題の前進のため多くの成果を上げて参ったことは、御承知のとおりであります。  最近の実績を徴しまするに、昭和三十二年度までに事業費で約二千七十余億円、完成受益面積約百八十八万ヘクタールに達し、栽培技術の進歩向上に助けられつつ、農地、なかんずく、水田の生産力は飛躍的な増大と安定を見ることとなったのであります。昭和三十年以降、五年続き、六年続きの豊作がうたわれておりまするが、水稲におきましては、すでに千二百万トン台の生産水準をもって平年作とすることが、今日の常識となるに至りているの、であります。このように、土地改良事業は土地生産力の発展に役立っておりますると同時に、一面においては、農業労働の軽減による労働の生産性の向上に裨益し、総じて農業の近代化、合理化を促進して参った事実を否定することはできないと思うのであります。  戦後の土地改良事業はかような効果を上げて参りましたが、同時にまた、今なお、全国には数百万ヘクタールに達する要土地改良面積が残されており、さらに、新時代に即応し、畜産農業、果樹農業等の振興のため、強力なる畑地対策の推進が要請せられておるのであります。それにかかわらず、食糧事情の若干の好転を背景として、いわゆる農業生産基盤整備事業に対する政府の熱意が近来とみに冷却の傾向を示し、昭和三十七年度予算におきましては、若干の増額を見ておるのでありますが、わが国農業の特徴である零細性と生産性の劣勢が、生産コスト低下の障害となっており、加えて、世界経済のブロック化推進に伴う貿易自由化政策は、劣弱なわが国農業にとって一大脅威であることは、何人も否定し得ないところであります。したがいまして、農業構造改善の前提条件としての土地改良事業を急速に推進しなければならない現段階におきまして、十分な予算措置が講ぜられていないことははなはだ遺憾であると申さざるを得ないのであります。  同時に、現在の土地改良事業がその内部に持っておりますもろもろの欠陥、すなわち、事業進展の遅延による経済効果の減殺、事業の一貫施行態勢の不徹底、営農技術指導の不十分、事業完了後の施設の維持管理方式の不備、農民負担の過重等、各種の問題点に真正面から取り組み、一つ一つこれを解決すると同時に、他産業との所得格差が漸次拡大しつつある今日の情勢下におきましては、さらに高い次元の上に立って、農業の共同化、近代化を推進する必要があり、これがためには、あらゆる施策に先だって農業生産基盤の整備拡充とその制度の確立に努めて参らねばならないと信ずるものであります。  われわれが前述の見地に立って二月七日再度提出しました農業基本法案におきまして、農業基盤の整備拡充については特に意を用い、その前文で、「国の責任において、積極的かつ計画的、に、農用地の大規模な拡張、土地条件の整備及び共同化による経営の拡大と近代化を促進する」ことを明らかにし、さらに本文では、「農業基本計画に基づく農業年度計画の実施に必要な予算の確保」をうたい、また、「農業経営の共同化を促進するため、全額国庫負担による農用地の造成、土地改良及び集団化による農業生産基盤の整備をはからなければならない」ことを述べ、もって国の義務として、農業生産基盤の整備拡充を積極的に促進すべき旨を明示しているのであります。これに比較して、成立を見た政府提出の農業基本法は、この点において、いささか見劣りがあるのでありますが、いずれにいたしましても、農業基本法が成立した今日、土地改良事業の手続規定を中心とする現行土地改良法には、新しい理念に基づいて大幅な改正を加うべきものと考えるのであります。  われわれは、以上の趣旨により土地改良法の抜本改正を主張するものでありますが、ここに至るまでの間におきましても、いたずらに手をこまぬいて待っているわけには参らぬ緊急の課題が生じているのであります。すなわち、それは土地改良区の財政を再建して、その体質改善をはからねばならぬということであります。御承知のごとく、土地改良区は団体土地改良の主たる事業主体として、はたまた、国営または県営により施行せられた農業施設の管理主体として、土地改良法に基づいて設立される公共団体でありますが、あたかも全国の多数の市町村や農業協同組合が、財政上の危機や経営上の困難に見舞われ、再建整備に苦慮いたしておりますると同様の運命に陥りつつあるのであります。  土地改良区の設立状況は、昭和三十五年三月三十一日現在において、一万二千七百三十二地区その関係面積は三百三十九万二千ヘクタールでありますが、農林省の調査によりましても、大なり小なり経営の不振に悩む土地改良区の数は一万、専任職員の設置すらできないものはその八割にも達するものと目され、これらのうち著しい事業の不振団体は、三百二十九地区、関係面積十四万二千ヘクタールに及び、その負債額五十四億三千三百万のうち延滞額は八億八千四百余万円であると報告せられておりまするが、さらに詳細な調査をいたしましたならば、不振団体はおびただしい数に上るであろうと想像されるのであります。しかして、そのよってきたる原因はさまざまでありますが、そのおもなるものは、国営、県営及び団体営の各級事業が一貫施行せられず、多くのものが経済効果の発生しないうちに借入金の償還に入ることあるいは事業進度の遅延により金利が増大すること等、結局は農民の負担力の限界を越えて過重な金銭が賦課され、多額の延滞を生じて業績不振に陥っているものと認められるのでありまして、国または都道府県の側における指導や施策に適切を欠き、そのしわ寄せを受けているところに根本原因があると断ぜざるを得ないのであります。土地改良区がはつらつとして健全な運営を行なわない限り、農業生産基盤整備の画期的な前進を望むべくもないのでありまして、かくては農業基本施策の確立そのものも画餅に帰することは明らかであります。  ここにおいて、われわれは、かかる不振土地改良区に対し、国、都道府県及び農林漁業金融公庫等が一体となって、その借入金について、利子補給、貸付条件の緩和等の措置を行ない、もってその業務の円滑な遂行を期することが必要であると認め、本案を提出した次第であります。  以下その内容について申し上げます。  第一に、債務の弁済が著しく困難な土地改良区につき、その財政の再建のため必要な援助措置を行なうことによりその業務の円滑な遂行をはかることをこの法律目的といたしております。  第二に、債務の弁済が著しく困難な土地改良区は財政運営現況及び債務の償還計画、農林漁業金融公庫または農林中央金庫から受けることを必要とする援助の内容、事業実施に必要な資金の調達方法、業務執行の体制を改善するための措置事業実施に関する事項等を内容とする再建整備計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、その計画が適当であるかどうかの認定を求めることができることとし、その申請は昭和三十九年三月三十一日までにすることにいたしております。また、土地改良区が再建整備計画を作成する場合には、その組合員の三分の二以上が出席する総会において、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要といたしております。  なお、都道府県知事が、この計画を認定する場合には、農林省令で定める基準に従って行ない、かつ、認定するときには農林漁業金融公庫またば農林中央金庫の意見を聞かなければならないこととしております。  第三に、農林漁業金融公庫は、再建整備計画が適当である旨の認定を受けた土地改良区に対し、その計画達成のため必要な資金の貸付、または貸付金にかかる償還期限の延長、利子の減免その他の貸付条件の変更をするものとし、その場合の償還期限の延長は、農林漁業金融公庫法の定める償還期限をこえて十年を限り、行なうことができることといたしております。  第四に、都道府県知事は、土地改良区に対し、再建整備計画の作成及び実施につき必要な指導を行なうものといたしております。  第五に、国は、毎年度予算の範囲内において、都道府県に対し、再建整備計画が適当である旨の認定を受けた土地改良区に対して、その計画の達成のため債権の利息を減免した農林中央金庫に対しその減免した利息の額の全部または一部に相当する金額都道府県補助した場合の経費については三分の二を、土地改良区に対し、その計画の達成に必要な事務費の全部または一部に相当する金額都道府県補助した場合の経費についてはその全部を、それぞれ補助することといたしております。  以上が本案提案理由とその内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決賜わらんことをお願いいたします。     —————————————  次に、農業生産組合法案についてその提案理由及び内容の概要を御説明いたしたいと存じます。  わが国農業における経営規模の零細性ば、今日、農業生産力の発展と農民所得の向上をはかる上に、致命的な欠陥となっております。すなわち、最近の農業機械の急速な普及も、農家経済にとっては、むしろ過剰投資となって投資効率を低くし、経費を増大させ所得率を低下させております。  一方、経済の高度成長政策によって、大資本の成長ば急テンポで進み、農業は、生産、流通、価格の各方面にわたる経済的圧迫を受け、農業と他産業との所得格差は拡大し、このままでは、現状の家族経営の形態では、たとえ上層農家であっても、その自立は困難であります。また、個々の農家が、一反歩二〇万円もの高い農地を取得して経営を拡大しても、土地資本利子負担の増大によって、経営の改善にならないばかりか、他方で多数の農民を農地から分離させなければならないのであります。  われわれは、農民を土地から分離せず、しかも零細経営の現状から解放して、経営規模の拡大をはかるために、基本的には生産またば経営の共同化を推進することが必要であると考えるのであります。  言うまでもなく、われわれは急激に、また強制的に共同化を進めようとするものではありません。すでに今日では、農民の間で進んだ農業技術を最高度に発揮するため、共同化、共同経営の自主的な実践が全国各地で進められております。われわれは、かかる農民の自主性を尊重しつつ、経営の全部または一部の共同化を認め、共同施設や共同作業など共同組織の奨励と並行しつつ、共同化の方向に進めようとするものであります。  しかし現在の条件のもとで、共同化の推進は強い国の助成なしには進めることはできません。われわれはこのため、別に農業近代化促進法案を提案して、生産条件の整備はもとより、共同化に対する各種の助成措置をとろうとするものでありますが、これと並行して、農民が相互扶助の精神に基づいて共同して農業を行なうための組織を整備確立するため、本案により、農業協同組合の下に農業生産組合を育成するととともに新たに農業生産組合が、その共同経営のため必要となる農地、採草放牧地に関する権利の取得を認めることとしたのであります。これが社会党が特に農業生産組合法案という独立単行法案を提案した趣旨であります。  次に、法律案の主要な内容について御説明申し上げます。まず、農業生産組合の行なう事業、その組織等についてでありますが、  第一に、その行なう事業につきましては、農業生産組合は、農業及びその付帯事業のみを行なうものとして、原則としてそれ以外の事業を行なうことは認めておりません。  第二に、農業生産組合の組織原則につきましては、農業経営の共同化及び近代化を貫徹することと、一方においてば、生産手段の導入の必要性をも考慮して、農業生産組合組合員はすべて組合事業に常時従事しなければならないこととするとともに、その事業に常時従事する者のうち、組合員または、その世帯員以外の者の数は、常時従事者の総数の三分の一をこえてはならないものとしているのであります。  第三に、その組合員につきましては、組合員の資格を、組合の住所のある市町村の区域内に住所を有する農民で定款で定めるものとし、特に準組合制度を設けず、また定款の定めるところによって加入を制限することができるものとしておりますが、これは、地域性を考慮した土地と労働の地縁的な共同化に眼目を置いて組合事業推進することが、農業の実態に即応するものであるとの考え方に出たものであります。なお、この農業生産組合は、独立の経営体として農業経営を行なう関係上、出資制度をとることとし、組合員は、出資一口以上を有しなければならず、しかして組合員の責任は、出資額を限度とする有限責任とすることにしております。  第四に、組合の管理及び財務運営につきましては、おおむね一般の農業協同組合と同様の規定をいたしておりますが、剰余金の配当方法につきましては、年五分以内で定款で定める割合の出資配当をなし、なお剰余がある場合には、組合員が事業に従事した程度に応じて配当することといたしております。  第五に、設立等の手続につきましは、農業生産組合組合員の共同により農業経営を行なうという従来に例のない生産事業実施する組合であることにかんがみ、かつ、出資制度、有限責任をとっている建前から、一般の農業協同組合と同様、認可主義を採用するとともに、一面においては生産組合設立を容易ならしめるため、極力その手続を簡素化することといたしました。すなわち、七人以上、当分の間は設立を容易にするため二人以上の農民が発起人となり、設立手続を終了し、行政庁の認可を受けたとき初めて農業生産組合が成立するものとしておるのであります。  最後に、農業生産組合を農業生産法人として発展させるため、都道府県は、組合設立及びその業務運営に関し心要な指導を行なうとともに、国ば、生産基盤の拡充、機械化、有畜化の促進、技術経営面の指導、資金の確保等について積極的な助成をすることといたしております。  次に、本案の大きな柱ともいうべき農地制度改正の主要点について申し上げます。  農地の所有形態につきましては、農業基本法案におきまして、農地は、これを耕作する者が所有するという原則を貫くとともに、農民自身の自主的な意思によって、農地に関する権利を共同で保有するよう漸進的にこれを指導することといたしておりますが。この基本法案の理念に沿って、地主的土地所有者を排除する従来の農地法の精神を堅持しつつ、一面、共同化を推進するため、新たに農業生産組合に農地、採草放牧地についての権利の取得を認めることといたしたのであります。  すなわち第一には、新たに農業生産法人が農地または採草放牧地についての所有権または使用収益権を取得し得るようにするとともに、その場合においては、従来の農地等の最高面積の制限を緩和して、農地法第三条第二項第三号または第四号の別表で定める面積に、その農業生産組合組合員の属する世帯数を乗じた面積まで取得し得ることとしたのであります。  第二に、農業生産組合組合員が、その農地または採草放牧地に関する所有権以外の権利を組合に対して設定しようとする場合には、従来の小作地等の保有の制限を適用しないこととし、また、組合員が、その賃借りしている農地を組合に対して転貸ししようとする場合には、所有者の承諾を要しないこととして、組合の農地等に関する権利の取得を容易ならしめるとともに、一方において農業生産組合が一たん取得した農地等については、これを他に貸し付けることを禁止して、共同化の実を上げることといたしております。  第三に、創設農地について所有権以外の権利を組合に対して設定した場合、その組合が解散した際におけるその創設農地の取り扱いについて規定しております。すなわち、創設農地については、従来、原則として、賃借権等の用益権の設定は、禁止されております関係上、組合が解散した場合等には、一定の手続を経て旧所有者に返還するか、それができない場合には、国が買収する旨を規定しております。  以上が農業生産組合法案のおもなる内容でありますが、政府案におきましては、農業生産法人については、組合法人以外に、有限、合名、合資会社のような会社法人をも考慮し、これらに対して農地等に関する権利の取得を認めることといたしておりますが、本来営利を目的とし、構成員の資格要件に何らの制限を加えず、二人以上の者がかなり任意に設立し得る会社法人を認めることは、農民の一部を、土地、資本を所有する資本主義的企業者へ、他の多数の農民を土地、資本から分離された農業労働者へ、それぞれ分離させることとなり、農村の階層分化を一そう激化せしめるおそれ少なしとせず、害多く益少ないかような措置は、われわれとしてはこの際とらざることとし、日本社会党案におきましては、農業生産法人は、生産組合法人に限ってこれを認め、強力に育成しようとするもめであります。このような農業生産組合制度によってのみ、農業の近代化、合理化が達成されることをわれわれは深く期待している次第であります。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容の説明であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  53. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上で両案の提案理由説明は終わりました。  両案につきましては、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  54. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、農業基本法案(衆第六号)及び農業近代化促進法案(衆第七号)の二案を一括議題といたします。  これら二案は、去る二月十二日予備審査のため衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。  それではまず両案の提案理由説明を順次発議者から聞くことといたましす。衆議院議員北山愛郎君。
  55. 北山愛郎

    衆議院議員(北山愛郎君) あらかじめお断わりをしておきたいのは、プリントが誤植と訂正を要する個所がございますから、どうぞ途中でお直しを願いたいと思います。  私は、日本社会党を代表して、社会党の農業基本法案について提案の趣旨を御説明申し上げます。  本法案は、昨年の第三十八国会に提案した農業基本法案と内容は同様のものであり、これを再提出し、政府の農業基本法にかえようとするものであります。  したがって、政府の農業基本法とわが党の農業基本法案との相違点、及び、社会党案の内容については、すでに昨年国会の中で十分説明、論議されたのでありますから、詳細については会議録をごらん願うことといたしまして、ここに再び繰り返すことはいたしません。  ただ、昨年来のわが国農業の動向が現実に示しているとおり、政府の農業基本法をもってしては、当面する農業危機に対処して、わが国農業に新しい発展の道を開き、農民の所得を向上して、その生活を安定することは不可能であり、社会党の農業基本法の正しさが証明され、その必要性が増大していると考えるのであり、これこそ、あえてわが党案を再提出して、政府の農業基本法を廃止せんとする理由であります。  第一に、過般政府から国会に出された農業動向年次報告を見ても、昭和三十五年度は農業生産で五・二%、農業所得六%の伸びを示し、生産性も四%以上の上昇で農業の環境は順調であったにもかかわらず、他産業の成長にははるかに及ばず、通常の方法をもってしては他産業との格差を是正することは不可能であることが明らかとなっております。  すなわち、もっぱら他産業の高度成長に依存し、これに農業を適応させる政府の農業基本法のもとでは、農業はますます他産業の圧迫を受け、立ちおくれるだけであり、わが党案の基本方針のとおり、資本主義の搾取と抑圧から農業を守る諸施策をとらなければ、農民の地位の向上が望み得ないことをはっきりと示したと言えるのであります。  第二に、農業所得率が年々低下し、昭和二十七年の七三・八%から昭和三十五年度は六二・一%に下がっている。  すなわち粗収益がふえても、農業資材などの経費の増高によって、所得の割合は減少していることであります。  この対策としては電力、肥料、農機具、飼料などの資材と農業資金のコストを安価にする施策を伴わなければ、生産の向上によって直ちに所得の向上を期待することができないのであります。  わが党案の第十九条、第二十条に農業用資材の安価な供給の確保を規定し、必要の場合はこれらの生産、販売、輸入について国営または国家管理を行なうことを規定していることは、農業所得率引き上げのためまさに妥当な施策といわなければなりません。  第三は、生産農家の手取り率の低下であります。すなわち、年次報告によれば、消費者が食料費に支払った金額のうち、農家のふところに入った生産者の販売額の割合も年々低下し、昭和三十年度三五・三%から昭和三十五年度は二八・七%に急減しているのであります。消費者が支払う四兆百八十一億円のうち、生産農民には一兆一千五百四十億円しか入らないという低い手取率のもとでは、どんなに食料消費需要が伸びても、農家収入はふえないという矛盾は一そう激しくなるでありましょう。  農家の手取り率を高める方法は、わが党の基本法第十四条に明記するように、米麦などの主要農畜産物の管理制度維持改善し、強力な価格支持政策をとり、第十二条に規定するように農民の手による農畜産加工及び関連産業の振興であり、第十七条、第十八条に規定する需給と、流通の合理化と、市場の整備を実施するほかないのであります。  大豆を自由化し、大麦、裸麦を食管制度からはずし、米を間接統制に移し、農畜産物流通過程を自由化しようとする政府の政策は、農民の手取り率をさらに引き下げ、加工資本企業や商業資本をもうけさせる傾向をさらに激化させるでありましょう。  第四に、年次報告に示されたことは、協業化、すなわち経営共同化への農業のすさまじい意慾であり、短期間に二千五百以上の共同組織が自主的に生まれたことであります。年次報告はこの事実の正しい評価を故意に避けていることは不当であります。すでに家族経営そのものの限界、農機具過剰投資の負担に悩む農民に対して、自立経営育成の構造政策は何の魅力も与えるものではなく、農家経営規模の合理的拡大の道は共同化あるのみであるということは明らかであります。政府の農基法のあいまいな構造政策を一、郷して、わが党案のように村ぐるみ共同化に前進するほかはないと信ずるものであります。  第五に、若年人口の離農農村就業人口の老令化、女性化の傾向、物価高、経費高、そして飼料高の中における豚肉や鶏卵の下落などの諸現象は、農業の将来に対する農民の不安をますます深刻化なものにしております。  今こそ、農業に対する諸施策が場当たりの思いつきやインスタント施策ではなく、国の責任における計画的な基本政策の方向を確立し、生産、価格、流通の各部面において、安定した基盤の上に、農民が希望をもって新しい日本農業の前進に立ち上がるよう、全面的に農政転換を必要とする段階であると思います。  以上、最近の動向にかんがみ、無力なる政府の農基法を改め、わが党農業基本法の正当性を確信し、各位の御賛成を得てその成立を強く念願し提案理由説明を終わります。  次に、私は提案者を代表して、農業近代化促進法案についてその趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。この法案目的は、第一条に掲げてあるように農業の近代化のために必要な土地条件の整備、経営の共同化、機橋化、有畜化の促進、技術改良、生産加工、流通の合理化などの諸施策を総合的に行ない、農業の発展と農民所得の向上をはかろうとするものであります。  すなわち、社会党提出の農業基本法案原則に従い、農業経営と農業地域の部面からの近代化政策を総括したものといえるのであり、経営共同化の組織法が農業生産組合法案でありこれを政策的に援助助成するのが、この近代化法案であるということもできます。本法案は、第一章総則以下、農業近代化計画、農業サービスセンター及び農業講習施設、農業機械ステ−ション、試験研究に関する措置補助及び融資の六章及び附則に分かれております。  まず、第二章の農業近代化計画について申し上げます。  農業の近代化はいうまでもなく、個個の経営の形態だけを改善するだけではなく、農業の地域的性格を考え、自然的経済的社会的条件に応じ、一定の区域を単位としての計画的施策が必要でありますので、都道府県内を数地域に分けて、農業近代化地区を設定し、知事は近代化促進計画を作成して農林大臣の承認を受けることといたしております。  また、知事が近代化計画を作るときは、当該地区に設けられた農業近代化協議会の意見を聞かなければならないことといたしておりますのは、計画の中に関係農民代表などの意思を十分反映させるとともに、全国の基本計画との関連などを考慮したものであります。  近代化計画には、第三条第三項にあるように、土地や水の利用の問題、経営の共同化、機械化などの事項、農畜産物の生産流通の合理化に関する事項、農畜産加工及び関連産業の振興に関する事項、人口配置に関する事項、教育訓練に関する事項など当該地域の農業を各方面から近代化するための諸事項を含むものといたしております。  農業近代化協議会は都道府県の条例で設置するものですが、そのメンバーは、農業サービスセンターの長、市町村長、農業委員会、土地改良区、農協、農民団体の代表及び学識経験者などを充てることといたしており、近代化計画作成の際の意見のみならす、近代化事務の連絡調整、計画の推進を行なう民主的機関であります。  また、農業近代化計画の作成には、専門的技術的な知識なども必要でありますから、農林大臣の助言を求めることができることといたしました。  次に、農業共同化についても、営農設計など専門的な知識を必要といたしますので、知事は地区の実情に応じ、共同化類型を作り、これに基づいて、農業サービスセンターを通じ助言指導を行ない、共同化がスムーズに行なわれるように配慮しております。  また、農業近代化は、個々の経営やそれぞれの地域の農業のあり方を全面的に改革するものでありますので、特に一部の地区をモデル地区と、あるいは特定の共同組織をモデル経営とし、実験を通じ、実物教育をもって推進することが効果的でありますので、これについては第八条に規定いたしました。  なお、国有農地の売り渡しにあたっては、農業経営の共同化に役立つよう配慮するほか、附則6の土地改良法の改正によって、国の直轄土地改良事業への一部地元負担をとりやめ、農業近代化に伴う土地改良事業については、都道府県営とし政令の定めるところにより、その経費は全額国庫補助とするなどの措置をとるとともに、第九条に規定するとおり、市町村や関係農業団体は、農業近代化計画の実施推進に協力すべきことといたしております。  次に第三章には、農業近代化のための指導及び教育機関について規定し、都道府県は近代化地区ごとに農業サービスセンターを置き、所要の専門技術員及び改良普及員を置いて、従来のような生産技術指導だけでなく、経営の診断、共同化機械化、有畜化などの経営指導、加工、貯蔵販売の指導、生活改善の指導を行なうとともに、農業用機械の貸付、資金融資のあっせんまで、広範なサービス業務を行なうことといたしております。  また都道府県知事は、農業サービスセンターによる指導普及のほか、短期の講習施設を定期的に設けて、農業または農民生活に関する知識技能向上をはかることといたしております。  第四章は、農業機械ステーションの規定であります。  国は農地事務局の付属機関として、都道府県ごとに農業機械ステーションを置き、農業土木建設機械と大型の農業用機械を都道府県市町村土地改良区などに貸し付け、または機械の修理や使用指導などの業務を行なわせをことといたしております。  機械ステーションは農業経営の機械化による資本装備の負担を軽減するため機械の補給指導の機能を担当するものでありますが、またヘリコプターを備えて、要請によって、農薬、肥料、種子などの散布をみずから行なうこともできるのであります。  第五章は、試験研究機関についてり規定であり、大体従来の農業改良助長法の趣旨によっておりますが特に、農業に近代化と発展のために、農林省と都道府県の試験研究機関の連絡を密接にすること、及び、試験研究の成果を公表し、サービスセンターなどを通じてこれを活用せしめるよう規定しておるのであります。  第六章は、以上に関する経費補助融資の規定であります。  補助については、第十九条に列記した農業近代化計画の作成及び実施に要する費用について政令で定めるところにより行なわれるのであります。  また、農業生産組合その他生産、加工、販売などの共同組織で農林省令で定めるものに対して、農林漁業金融公庫から年三分五厘以内、据置期間五年以内、償還期間三十年以内の条件で近代化資金融資の道を講じたのであります。  その原資については、附則11の農林漁業金融公庫法の一部改正によって、公庫に農林漁業債券の発行を認め、これをもって主として農林中金、信連などの余裕金を吸収し、政府はこれに債務保証利子補給を行なって農民の蓄積を制度金融を通じ、低利長期資金に直して農林に還元する方法を取り入れたのであります。  本法の施行期日は、昭和三十七年四月一日からとし、本法の実施に伴い関係法令の改廃等については、附則に、農業改良助長法の廃止、農林漁業金融公庫法、農林省設置法、土地改良法、特定土地改良工事特別会計法、愛知用水公団法、公庫の予算及び決算に関する法律などの改正規定を設けております。  上層の家族経営を自立経営として育成しようとする政府の農業基本法の構造政策は、一方では零細農の切り捨て、地方では農地に対する効果のない資本投資の負担をふやし、経営の合理化近代化を実現する正しい政策ではないこと、経営の共同化こそが、構造改善の新しい方向を示していることは、政府の農業動向に関する年次報告にも明らかでありまして、構造改善と称して主産地形成、適地適産政策にすり変えるがごときは、安定した基盤の上に農業の新しい発展を導く正しい政策と言うことはできません。われわれは社会党の農業基本法、農業生産組合法及び本法案実施により、共同化を中心として有畜化、機械化をはかることによって、初めてわが国農業を近代化し、飛躍的な発展と、農民生活福祉の向上が可能になることを確信するものであります。農政に深い理解を持たれる委員各位の御賛同を得て、本法案が成立することを念願し、趣旨の説明を終わります。
  56. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上で両案の提案理由説明は終わりました。  両案につきましては、本日は、この程度にいたします。     —————————————
  57. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、午前の委員会におきまして、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の関係資料説明を聴取いたしましたが、それらの説明に関連いたしまして、なお御質疑等がございましたら、御発言を願いたいと思います。
  58. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 二月の八日の畜産物価審議会の答申を見てみまするというと、二とおりの価格が出ている。一番目には、「現在の豚肉価格下落に対処して緊急措置の基準としては、豚枝肉一キログラム当り二四〇円を下らない額であればやむを得ないこと。」ということと、二番目には「市場諸般の状況を考慮するも法の趣旨にかんがみ豚枝肉一キログラム当り二七〇円以上でなければならないこと。」こういうふうな二つの答申が出ているのでありますが、私は、不幸にして、今までこういうふうな答申があったことがあるかどうかわからんが、ほとんどないと思っている。こういうふうな答申を出さなくちゃできないようになった理由を、まず、お伺いしたいと思うのであります。
  59. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 豚肉の安定基準価格について二つの内容の答申があるという点の御質問ですが、これに関連いたしまして、畜産物価格審議会の第一回ば、二月六日に開かれまして、第二回目に答申をいただいたわけですが、二月六日の際に、畜産物価格安定審議会の運営について、まず政府側から農林大臣、それから各委員から発言がございまして、ほかの、米価審議会等の事例に徴して、むしろ、まず審議会のほうが意見を述べて、その上でその考え方をとって政府が行政措置をする考え方がいいじゃないかというような討議もありまして、大かたの委員の方は賛成しておられたようであります。といいますのは、ほかの委員会、たとえば米審等でやります委員会では、政府部内で原案をきめてしまいまして、あるいは内部的には農林省、あるいは財政当局等と相談をした結果、具体的な価格数字を委員会に諮問されて、過去の経緯においては、その上で答申といいましても、意見が述べられても、またその政府側の考え方を修正するというようなこともございましたので、そういう考え方じゃなしにむしろ審議会の運営の方法としては特別に考え方をきめて、そうしてこういう考え方でやれということで、審議会は意見を述べたほうがいいということで出発はいたしましたわけであります。ただ、二月八日にいただきましたのは、まず第一に価格算定方式についてどうであろうかということで、政府側から用意いたしました資料といたしましては、審議会を拘束しない意味で参考資料としまして、算定方式等について参考資料等を提示して、御説明を申し上げたわけでありますが、当時の事態といたしましては、豚の価格について、特に買い価格について早くきめなければ生産者が困るじゃないかという大勢もありましたし、政府は臨時措置として一定の値段を緊急的にきめて、価格算定方式がきまらなくてもきめてということで、暫定価格的に安定基準価格を出発の際であるので、至急措置するという意味で、政府側の意見を述べられたために、審議会としましては、価格算定方式の問題などを討議しておりますると、政府側の要望までに時間がかかるということで、各委員から御意見があった結果、その状況に対処して、二つの御意見が出て、結局結論的に言いますると、価格算定方式の確立がなかったために、二つの御意見があったわけであります。そういう結果でございまして、第一の豚の二百四十円は、何が参考になったかということになりますると、これは一つの政府の参考資料等が参考になって、そうして現状の事態に即応しては、消費価格も下げて安定して、消費増進等のために著しく時価を離れて対処するのも適当じゃないじゃないかという意見と、もう一つは過去の状況等から言いましても、相当ふれ価格についても、過去のかりに豚の政府算定方式で見ますと、約六、七年の過去の数字をとったに対して、第二の二百七十円を下らないというのは、一つの算定方式として二、三の委員から、過去三カ年の数字をとり、それからふれも標準偏差も、政府が算定いたしました変動係数といいますか、まん中の過去の枝肉卸売価格の六カ年のふれを縮めるということにいたしましても、一割六分三厘になるが、それではあまりに幅が大き過ぎるということで、一割ぐらいを基準しにして考え、かつ最近の物価指数に織り直して、そうして二百七十円程度ということで二つの御意見が、価格算定方式がきまらないために出たわけであります。
  60. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今過去三カ年間の平均値段とおっしゃったのでありますが、政府は成長産業としてこれを奨励しておられ、これを飼育する農民のほうから言えば、昭和三十六年における値段が大体の標準になって豚を飼っているのでありますから、少なくとも二百七十円以上でなければならないというような考えでやっておるのであって、もし二百七十円を割るようなことであったならば、農家の、養豚家の収支計算は赤字になるのじゃなかろうかと想像されるのでありますが、過去の、過去のというか、昭和三十六年度の収支計算からいって、養豚家の生産費からいって、二百七十円というのは生産費を割らないような価格であるとお考えで二百七十円というものを算定されたのであるかどうか。そういうような点をいま少しくわしく説明していただきたいと思います。
  61. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 政府の安定基準価格の算式方法といたしましては、三十一年の一月から三十六年の十二月までの卸売価格の平均に対して標準偏差を求めまして、それをかけた算式と、もう一つは、ただいま申し上げましたものに食料品の卸売物価指数を、過去、今の三十一年の一月から三十六年の十二月までの平均豚肉卸売価格は二百七十六円五十銭でありますが、二百七十六円五十銭に一マイナス〇・一六三をかけますと二百三十一円になります。これは単に過去の変動を六割七分にとどめるということで二百三十円と数字が出ている一つの算式であります。もう一つの算式は、今の過去の三十一年一月から三十六年十二月までの豚枝肉卸売価格平均の二百七十六円五十銭かける食料品卸売物価指数一〇三・三かける一マイナス〇・一六三という変動係数を使いますと二百四十円になります。政府が出しました参考資料では、もう一つは、肉豚の庭先の販売価格を、過去の趨勢によって、今の二百七十六円五十銭を庭先に戻して、肉豚の庭先販売価格を算定いたしますと、百六十三円十九銭になりますが、それに枝肉の換算係数、言いかえますると、肉豚の歩どまり率をかけるということで、一・五三八四をかけ、かつ、最近における生産費調査が三十五年に出ましたが、三十五年の非常にわずかな生産費調査でありますが、生産費指数というものを、一〇二・二をかけまして、それに中間経費十六円六十二銭を足したものに、先ほど申し上げました一マイナス〇・一六三という下値の変動係数を出しますると、二百三十円になるわけであります。二百二十八円六十六銭になります。この三つの算定方式に対しまして、二百七十円の考え方の委員の方は、〇・一六三という過去の変動を六割がた圧縮するのではなくて、もっと圧縮して、まん中の一に対して一割幅にするということと、それから過去六ヵ年ということを過去三ヵ年の数字にとり直すということで現下の安定基準価格がしかるべきだということでございましたが。その二つの、政府の参考資料の三案と、これは二つの意見がありましたが、大体集約して申しますと、上下一割幅程度にまずおさめるべきが適当であるという二百七十円案の算定方式とにつきまして結論が得られませんわけでございます。そこで、委員会としましては会長から二つの意見でもいたし方がないということで答申に相なったわけでこざいます。
  62. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この問題は、本付託になってからさらに質問いたします。  それから、二月二十一日の農林省告示の第二百五十二号によって見まするというと、指定食肉で豚肉が一キログラム、大宮、横浜、名古屋、大阪、広島、福岡、こういうふうに出ておるのであります。この六カ所をとられた理由は、どこにあるのです。
  63. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 現在中央卸売市場の所在します市は以上の掲げてありまする大阪、横浜、名古屋、大宮、広島、福岡で、その六ヵ所でございまして、一応中央卸売市場の所在する地域について告示をしたわけでございます。
  64. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この六ヵ所の価格の差は、どういうふうな標準で出されたのであるか、それをお伺いしたいと思います。
  65. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 大宮、横浜、名古屋三市は皮はぎ法による枝肉の製造方法でございまして,あとの三都市は湯はぎ法による整形の製造方法でございますし、かつ過去の需要と供給の出ておりまする指数が、横浜、名古屋、大宮を一〇〇といたしますと、大阪では九二、広島では八九、福岡では八六という、消費と産地との遠近関係をも反映したと思いますが、そういう指数になっておるわけであります。これを一応値段で、三十六年の平均価格で言い直しますと、キロ当たり横浜市の食肉卸売市場では三百十一円、名古屋市の中央卸売市場高畠市場では三百十円、大阪市の食肉卸売市場では二百八十円、広島市の食肉中央卸売市場では二百七十二円、福岡市の食肉市場では二百六十二円という数が出ておるわけであります。そういう値段傾向をとり入れまして、まあ一円差とか二円差程度は合わしたわけでございます。そういうことで抽象しますとこういう指数になります。なお、念のため東京都立芝浦屠場における三十六年の平均価格は三百五円であります。
  66. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうするというと、答申は二百四十円と二百七十円であったが、政府においてはそれを二百四十五円と、こうされたということであるのであります。そうするというと二百四十円を下らざるということであったから五円プラスだという、五円プラスした理由はどこにあるのです。
  67. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 政府といたしましては、できるだけ現在の市場の安定をはかるために、以上の二つの答申を参考といたしまして、財政当局とも事務的には非常に努力をいたしまして、できるだけ二つの意見を充実すべく努力したわけでございますが、端数等については、できるだけ切り上げようということで、二百四十五円ということになったわけでございます。
  68. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 普通の常識からいえば、二つの価格が出たならば、二百四十円と二百七十円とあれば、二つ合わせて二で割るのが政治的常識ですよ。それを二百四十円と二百七十円と二つ出たところのものを、普通の政治的常識によらずして五円にきめたということであれば、これは政府の責任なんであります。こういうふうな場合に、政府はどういうふうに責任をとられようとするのか、正常の場合における政治的常識と異なっている理由です。
  69. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 政治的な問題もございますが、価格安安法を臨時国会に提案いたしましたときの事務的の態度といたしましては、大きな幅を小さな幅の中に押し込んで、少なくとも安定さしていくということで御提案をいたしましたが、一部修正になりまして、豚の安定につきましては下位価格という言葉が、再生産をはかるを旨とするという条文等も入りまして、安定基準価格という名前になったわけであります。少なくとも条文の中に再生産をはかるを旨とするという言葉がありましたので、三十六年の予算単価では豚をキロ二百十円、三十七年度の予算単価では二百三十五円と計算をいたしておりましたが、こういう答申をいただきましたので、私どもとしては極力過去の高い子豚等を買った経緯等も考えまして、応急措置としてできるだけ予算の単価とは触れて、実情に即して上値に努力して、財政当局等とも一致した意見で二百四十五円ということになったわけであります。
  70. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから東京都立芝浦屠場食肉取引実施要綱、これによってみるというと、芝浦の取引価格というものは第十一条で主要新聞に発表しておる。おそらく今日新聞で発表しておられるのは、芝浦の屠場の値段なんです。であるから芝浦の屠場の値段でこのくらいだというようなことであるのに、これは芝浦屠場は中央卸売市場じゃないから芝浦屠場の値段は書かれなかったのであろうと思うのでありますが、芝浦の唐揚の値段は大体において大宮、横浜と同様であるというような考えでおられるのですか、その点いかがです。
  71. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 芝浦が中央卸売市場になった場合には、同様な値段と心得ております。
  72. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これは僕ば澱粉の場合と対照して考えてみたいと思うのですが、澱粉の値段を決定する場合においてば、消費都市であったならばある程度値段が高い、この場合においても消費都市であったらばという考えもこの中にあるかどうか。別な言葉で言ったらばこういうことです。現在のアンデス・ハム会社だって、徳島ハム会社だって、その他の会社だって方々の各地に工場も持っている、その工場で買うのだ。工場で買うというようなことになれば、そこで買うのだから、こういうふうな中央卸売市場がなくても、各大会社の工場のある場所は答申が出た二百四十五円で買うて差しつかえないじゃないかと思っておるのでありますが、この大会社の工場所在地というようなものは、今回の告示を発表せられる場合においては念頭に置かれなかったのであるかどうか。
  73. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) いよいよ最低価格を割る、あるいは下値を相当長く継続するという状況になりますと、政府としては法律規定に従って、産地の事業団が指定する場所で生産者団体から買い入れすることになるわけであります。私どもの現在の計画としては、全国販売組合連合会から販売計画の計画をいただいておりますが、これを政府が認定いたすということになりますと、産地外はどうなるかといいますると、市場の値から手数料と運賃を差し引いたもので買う。政府といたしましてはその指定場所といたしましては、枝肉の保存よりも、これをばらして保存した方が品質もいたまず、カートンでまとめて貯蔵できますので、保管料等も非常に安くつく関係もございますので、今御指摘の処理工場を相当持っております各県の加工場をも持ち込み場所にいたしますので、生産者団体が計画いたしておりますのも、そういう筋合いになりますので、市場値から手数料と運賃を引いたもので買うということになります。したがいまして、いわゆる市場操作上の消費地における上げ下げの幅というものは、単なる逆算ということになりますので、そういうことは最低値では見ないということになるわけであります。
  74. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これは資料が出ていないから明確に申し上げることはできないかわかりませんが、新聞紙上によるというと、一例をとったらば長崎県の例をとってみましよう長崎県の例をとってみれば、諫早の徳島ハム工場で買うことになっているようですね。事実ですか。
  75. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) そのとおりであります。
  76. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 さっきから澱粉の話と同様に、澱粉の話をひとつ考えてみたい。というのは、従来は福岡の価格によって九州各県の澱粉の値段はきまっておったのです。いいですか。それだから長崎県から持っていくところの澱粉であったらば、長崎・福岡間の運賃が安かったんです。しかるに、一昨年、政府は長崎、佐世保を政府の指定倉庫にした。であるから福岡の値段も長崎の値段も同じになったのです、長崎に保管するからということで。その筆法から言ってみるというと、諫早市に徳島ハムの工場があって、そこで処理するということであったらば、福岡まで持っていく運賃を引く必要はないじゃないかというのが私の疑問なんです。なぜ澱粉と枝肉とを区別して値段を立てたか。
  77. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 現在御可決いただいておりまする法律では、中央卸売市場のほかに、必要の条件が整った場合に、指定市場として指定される制度がございますが、そういう場合はむしろ中央卸市場の値段をきめるやり方できめますが、現在産地で買う場合については、もよりのそういう中央卸市場、あるいは指定市場が追加された場合には、指定市場から運賃諸掛りを差し引いて買う、こういう法律規定になっておるわけであります。
  78. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 しかし、さっきも言うように、澱粉の場合はそういうようなことを事実やっているのですよ。それで長崎に徳島ハムの工場があってそこで買うんだから、福岡のやっと差をつける理由は僕はないと思っているんですがね。あるいは現在ではこういうふうにしているけれども、そういうふうなのは特例として認めるんだ、こういうふうなことになるのであるかどうか。鹿児島であったら、鹿児島には何工場だったか、あすこにハム工場がありますね、竹岸工場ですか。それで僕から言わせれば、今度のことはできるだけ芝浦屠場に持ってきてでも、芝浦唐場の消費能力がないんだから、できるならば地方で屠殺して、屠殺することができないようなものがないように、売るものは全部屠殺してしまうということであれば、これは価格が安定するのです。価格を安定させるためには、地方のそういうような大きい会社の屠場では屠殺したほうがいいんです。そうしなくちゃできない。それにもかかわらず、この六つの場所をきめておいて、その他のところは全部そこまで持っていくところの運賃ば引いてやるということは、これは不合理だと思っているんですがね。それを合理的と考えるのですか。
  79. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 畜産物格安定法につきましては、初めての法律、あるいはその持律に基づく発動でございまして、安定法の立法の趣旨の中には、中央市場の値を安定させて、そうして全般的には下値の暴落を防ぐ、こういう思想があるわけでございますが、だんだんと下値の価格も過去の変動係数で毎年見てやってきますと、幅がだんだんと狭くなりまして、時間的に言いますとおしまいには上と下と炉一本になってしまう。従来係数の算式方法も検討されておりまして、買い入れ操作にあたりまして、できるだけ生産者の打撃を少なくする、あるいは指定市場も充実するというような操作に固まっていきますれば、おっしゃるとおりそういうことで、むしろ生産者が安定していくということで非常にいい措置だと思いますが、一応今回の法律では、事業団は中央卸市場で食肉を買って安定させるということから出発いたしましたので、なお産地まで発動して逆算して買うとこういうことでありまするが、産地のほうでも指安市場という市場形態が充実して参りますれば、できるだけ運賃、諸掛り等はむしろプールして特に下値であるからプールして、そういう操作を今後仕事の進むに従って、きめのこまかい生産者のことを考えての、できるだけの、これは法律の範囲内ではありますが、行政措置で運用して参ることが、精神的にいって適当ではないかと考えております。
  80. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この問題は他日やります。  それから、東京都立芝浦屠場の概要、取引の現状及び業務実績についての資料について質問をいたします。これは二ページの下から四、五行目ですが、(5)に、羊豚屠室と書いて、一階豚屠室と書いて、作業能力は三千頭と書いてある。それから(6)の取引室というのによって見るというと、収容能力羊豚枝肉千五百頭と書いてある。作業能力は三千頭あって、取引の部屋が千五百頭分しかないということは、この屠場は不合理きわまると思うのです。一方のほうの能力が三千頭あって、一方のほうの能力が千五百頭であったならば、作業能力も千五百頭になってしまう。政府はこういうふうな作業能力があるのを、今まで黙って見ておられたのであるかどうか。あるいは東京都でやっているのであるから、政府の指揮命令の範囲外のことになるかもわかりませんが、今日豚の値段が下がったということは、芝浦屠場における消費能力が少ないということが原因になっているのでありますから、こういうふうなところこそ、すみやかに処理していかなければできないと思うのであります。この点について、いかなる対策を現在とっておられるかということを、お伺いしおいと思うのであります。
  81. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 芝浦屠場は戦後相当の拡充を続けて参りまして、二十七年から五カ年計画を立て、第一次の事業を完了し、なお三十三年度で一応の計画は完了しますが、また五ヵ年計画後におきましても三十三年度で完了したやつをさらに三十四年度、三十五年度と拡充計画を立てておりまして、都では今御指摘の取引室と冷蔵庫の拡充を考えております。御指摘のように、かなり取引室と屠殺場とは、むしろ取引室が狭いという関係もございますので、われわれといたしましても、冷蔵庫、取引室の増設につきましては、できるだけの援助をして参ろうと思います。
  82. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから(7)の冷蔵庫によって見るというと、小物の収容能力が豚が五百頭なんです。私が言うのは、屠殺したところのものは直ちに処分するのが原則であるけれども屠場というところは一方のほうにおいては多く入ってくることがあるし、少ないときがあるから、その調節をはかるためには、ある程度の冷蔵庫が必要であると思っているのです。しかるに、一日に千五百頭も処理するのに、その一日分の三分の一でもようやく貯蔵することができるというようなことであれば、これは初めから貯蔵することができず、豚の肉が下がる原因もここにあると思っているのです。こういうふうな点については、過去においてどういうふうな指導をやられましたか。
  83. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 農林省としましては、昭和三十一年に指令をもって枝肉取引市場補助金四千万円を計上しまして、その補助金の交付に関しまして、農林省としては、本施設の運営については、食肉の公正な取引が行なわれるよう具体的な実施要領を定めて農林省と協議するように、補助に際して条件をつけたわけであります。これに対して、東京都ば本施設完成の上は、中央卸売市場法に準拠して行なう旨を回答して参りましたが、その後昭和三十三年の五月に中央卸売市場法の市場の開設には未解決の問題が多く、困難な実情にあるから、芝浦取引員組合による運用の成果を待ちたい旨の回答があったので、現在中央卸売市場化並びに施設の充実がおくれておるわけであります。その後引き続いて東京都に対しては、種々な中央卸売市場法に基づく食肉取引を行なうよう指導して参っておりますが、東京都といたしましても、三十五年度においては都の中に食肉流通対策協議会を設置して、今現在に至るまで協議会及び専門部会を数回にわたって開催して、市場開設とその充実に努力態勢を整えておるわけであります。御指摘の冷蔵庫は、御指摘のとおり、全く旧態依然のものでございまして、これについては、至急新しい冷蔵庫にする必要があると都でも思っておりますし、われわれとしても、非常な催促をいたしておるわけであります。
  84. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今芝浦屠場の話が出たから、芝浦屠場についていま少しく具体的な資料についてお尋ねしたいと思います。芝浦屠場の実施要綱の第五条には、「取引室を使用しようとする者は、使用の前日の午後二時までに、別紙第一号様式により屠場長に申請するものとする。」と、これはこれからいえば、前日の午後二時までに申し込まなくちゃできないといとことなんですね。第六条によって見ますというと、「屠場長は、前条の申請に基き、取引室内の使用個所を定め、別紙第二号様式により、申請者に通知するとともに、その使用個所に業者別の名札を添付するものとする。」と、こういうふうになっているのでありますが、最近新聞の報ずるところによれば、またさっきお話があったようなことによってでも、豚の取引ができるのは千五百頭であるから、もし第一号様式によって二千頭の申し込みがあったとしたならば、その場合には第二号様式によって千五百頭だけの申し込みを受け付ける、残りの五百頭は翌日に回すというふうな、こういうふうなやり方をやっておられるかどうか。また聞くところによれば、最大能力を発揮すれば二千頭あるいは二千五百頭、あるいは三千頭を処理したこともあるというようなことでありますが、最近におけるように、豚の値が下がって農家のほうはこれを売り急いで、売り急いだためにたくさんやってきたのが処理されないということで、ますます豚の値が下がってくると、こういうふうなことがあれば、最大能力を発揮して豚を処理することが今日緊急の要務であると考えておるのでありますが、最近における豚を取り扱われた実績、そして二号によって受けつけられたもののうち、取引ができなかったらば、その取引のできなかったところのものは、どう処理しておられるか、また、取引ができずして残ったところの豚の餌代その他については、どういうふうな実情であるか、この内容をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  85. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 最近におきまする芝浦屠場における枝肉の屠殺状況は、一番下値のときは一月の三十一日から二月の六日の二百二十円でございますが、そのときの屠殺頭数は二千百頭ないし二千二百頭ということでありまして、先浦につきましても、屠殺できない残頭数は九日から千頭前後であったわけであります。その後七日に二百三十円、八日に二百四十円という基準価格が出ましたが、その後における状況は、九日では二千五百十六頭、十日では二千八百二頭、十二日では二千三百十一頭と、十四、十五、十六、十七、十五日まで約二千頭ないし二千四百頭を屠殺しておる状況でありますが、市況の回復と同時に、殺さないで残頭しています頭数は十四日、十五日に至りましては六十九頭、十五日には百五十頭、十六日には七頭、十七日には七頭、それから十九日には二百四十頭、二十一日では五百五十七頭、二十七日の屠殺総数は二千四百五十五頭でありまして、芝浦の場長の話を聞きますと、最大屠殺総数は作業員の関係で、二千五百から二千六百が最大である。そうして取引員で班を組みまして、約六班で朝から一番初めに屠殺する班と次に屠殺する班と交代制でぐるぐる六班で回しておる状況であります。  もう一つお話の取引室の使用という問題につきましては、これは一部の取引員が使用してしまいますると、回転上非常に工合が悪い。最大能力を発揮する場合に、一部の取引員が取引室を使用してしまうと都合が悪い問題があるわけでありますが、現在の事態としては、取引員が協調をして、できるだけ最大能力を発揮するように同業者の問で行なわれておるようでございますけれども、やはり取引室を早く専属的に使用するということをがんばられますと、こういうことが行なわれにくいことになるわけでございます。したがいまして、市場の最大能力の活用等からいいますと、今の条項を正面を押し通してやってしまうということになりますと、屠殺能力の減退ということになるわけであります。
  86. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私の聞くところによれば、これは正確であるかどうかは存じませんが、一番よけいに芝浦に品物を持ってくるのは、全販だという話なんです。しかるに、全販の使用する場所が制限されておるために、全販の品物は持ってはくるけれども、屠殺ができない。したがって、全販を通じて農民が持ってきたところのものは非常な不利益の状態に陥っておる、こういうふうな話を聞くのでありますが、今お話しのとおりに、最大能力を出せば二千五百頭も処理されるが、それはすべてのものを開放して、余裕があるところのものは全部利用するということによって初めてその効果を発揮する。でありますから、その使用の権利は持っておっても、余裕がある場合においては、全能力を発揮させるために、どの場所であっても使用させて、そして芝浦屠場の成果を上げ、枝肉の価格の安定をはかるということが、最近における緊急措置であると思っておるのでありますが、そういうふうな問題について、芝浦屠場に政府は何か督励、あるいは指導あるいは依頼というようなことをやられた実績があるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  87. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 今生産者系統の全販連の使用について不都合な点があったという点等に関連いたしまして、芝浦屠場の完全な運用等について御意見ございましたが、まさに御指摘のとおり、昨年暮れの現象として、一時そういう現象が出たことを通報を受けております。われわれといたしましては、大宮等も開かれましたので、大宮、横浜等でつぶして、この欠陥を補うと同時に、産地の枝肉出荷を進めること、これは豚のごみ皮等の利用とも、造皮業者、その他ごみ皮等の利用とも関連いたしますけれども、それらの利用をはかることといたしまして、産地の枝肉出荷を進めること、それから芝浦の施設を、場長の話では、無理をすればまだ冷蔵庫その他の取引室等の施設もやれるということでありますので、芝浦の施設の充実と、もう一つは第二東京市場を設ける必要があるとわれわれは考えておりますので、芝浦の状況によっては、中央卸売市場の補助金等も一部充実いたしまして、大きい需要に対処することが必要だと考えております。なお、現在のわれわれの都との連絡は、法律的には直接屠場の関係は別でございますけれども、枝肉の施設の充実等の観点からいいまして、行政上十分発言し得る立場にあるものでございますので、せっかく努力いたしまして、現在の状況では、初め東京都は卸売業者の一社案を出しましたが、三週間前に一社案をはね返しまして五社案を提示したところ、二十五社案で回答になっておるわけであります。いずれにしても、一つの取引室で会社が非常に多い。やはり形を整えて、着物だけ整えて中は前と同じようだということであってはならないと思います。少なくとも四、五社にとどめて中央卸売市場として早く発足させる、農林省も直接内部まで干渉して明るい市場にいたしたいという考えであります。
  88. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから実施要綱の第八条でございますね、第八条には「取引室においてする取引方法は、公開による枝肉売とし、取引当事者の取引価格の意志表示は、算盤を使用して行なうものとする。」と書いてある。こういうふうな取引というものは、そこにも書いてあるように公開でやらなければならない、公開でやって、人に聞こえるようにしてやることがほんとうだろうと思うのでありますが、そろばんでやるということは、袖の下の取引とひとつも変わらぬことじゃないかと思っているのであります。こういうふうな二人が差し向かいでそろばんをはじいて、まあ幾ら上げよう、まあ下げろというふうなやり方というものは、公開による公平な取引じゃないと私は思っているのです。であるから、日本における一番大きい芝浦屠場であるとしたならば、どっから何と言われても、欠点の打ちようがないように公明正大な取引をやらなければいけない。そういうふうなことになるためには、二人が差し向かいでそろばんでぱちぱちやるということではいけないと思っているのでありますが、これを改める意思は、東京都にあるのかどうか、農林省はこれをどうしょうと指導しておられるのか、これを伺いたいと思うのであります。
  89. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 東京都におきましても卸売業者の何といいますか、合同といいますかにつきまして、再三勧奨いたしておりまして、今回の告示価格の実現、あるいは豚の大量入荷等にあたりまして、非常に業界等も改める気分が充実している現在であります。お話しのように、この規定にありますのと違いまして、私どもの視察した際にも値をきめるのは相対でございまして、牛は袖の下で指を握ってきめ、豚ば発声できめている状況下でございますので、この相対取引はやめさせ、近くせり、または入札または定価売買等、公開取引をやらせる方針で目下東京都は卸売業者と折衝中であります。東京都も予算編成期を控えておりますので、補正予算と申しますか、それとの追加的な予算等も考えて、懸命に業者間の取りまとめを急いでいるのであります。農林省としてもその段階が、東京都のほうにおいて三十七年度の当初はできるだけ早く必ず実現するということで、先生の御激励のように、東京都のほうでも真剣になっておりまするし、私どもとしてもその改正について十分バック・アップして都事務当局と相携えて公開取引の実現が早くなるように努力いたしたいと存じております。
  90. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 たくさんの資料をきょうもらったんで、まだ十分に調査しておりませんから、きょうの質問はこれでとどめまして、あらためて御質問いたすことにして、きょうはこれで終わります。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと関連しまして、今、藤野委員が芝浦屠場について、あるいは公正取引の問題について御質問になったことは、今始まった質問ではない。あんたの前かしらんが、安田局長が就任以来、この屠場には取り組んで、再三ここで問題になったことです。何年になるんですか。その経過が報告せられた中で、取引の現況というところがある。われわれが過去に指摘したことがちっとも直らんで、みんな欠点としてあげられておる。それだけのことをとうから農林省がわかっておって、何ら手を打たれない。どこにネックがあったんですか。それは農林省、東京都、それから屠場における取引業者、この三者の関係でいろいろ問題があったんでしょうが、どこにネックがあって……、ちっとも、どれも打開してない、なぜなんですか。背景に政治的な非常に根強いものがあるんですか。
  92. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 役人必ずしも法律なり権力がなくても、十分指導、話し合いで大部分のことはできると思いますが、やはり最後のところに参りますると、屠場法の規定によって開設されておりまする東京都の芝浦屠場でございますので、屠場の中で取引する場合のその取引について、何かの中央卸売市場になる前の、そういう段階にっきまして、何かのバック・アップの制度がございますると、相当早く中央卸売市場に改組させるという手もこざいますが、それぞれ六十七名あるいは七十名に及ぶ卸人ば、それぞれ歴史的なあるいは経済的な一つの営業体として一応入って、取引をスタートでは認められておる現状でございますので、やはり営業権等もそれぞれ主張いたしまして、自分たちは一生懸命で屠殺場、あるいは取引をやっているという信念に燃えておる関係上、私たちの全体的な観念と個々の立場の観念と著しく差がある場合が多いわけであります。やはり中央卸売市場になれば、それぞれ秩序だった指導もできるわけでございますが、今回の事態等によりまして、相当卸売関係の方々も十分考えていただけるようなこともございますので、至急に御趣旨に沿って公開取引になるように努力いたしたいと存じます。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何か私文句をつけるんじゃないがね。聞けばもっともらしいけれども、その卸売取引業者に営業をやめろというようなことを規制するなら、これは問題ですけれども、取引の方法をこれこれでやれというようなことなら……、営業の成り立たぬようなことさえも国家が規制している場合もあるのですよ。まして、営業がかえって近代化して.長い目で見たら、かえって業者のためにもなるはずのことを、そういう傾向があるからということで、中央卸売市場ができない。それじゃ、できなかったから、できない段階において屠場が取引が公開で公正に行なわれること、これが法律的根拠がないというなら、臨時的に芝浦屠場における公正取引に関する法律でも何でも出して、国家的な見地に立って規制するというようなことがなぜできないのか。なぜ、国が東京都なり、東京都が代弁している芝浦屠場の取引業者に対して弱いのか。何年かかっても問題が解決しないと言われる根本の原因、背景は何かということを聞いておる。東京都が誠意を表面に示す格好を見せながらサボタージュしておるのですか、業者の意向を聞き聞き……。そうでなくて、業者自身が前近代的な取引関係に執着して抵抗をしているということだけですか。というのはね、安田さん時代にようやく畜産振興なり酪農の振興なりということで、初めてやって、適地適産の政策がとられて、そうして畜産振興なんということがどんどん行なわれてきた。タイミングとしては、芝浦の屠場における相場が、全国的に相場の傾向を示すのですから、これはもう日本におげる畜産農家にとっては、大きな影響を受ける問題なんです。政治的にも重大なんです。それが今度は三十七年度以降、河野農政における構造改善事業の主翼をなすものは主産地区形成です。そしたら豚においても、今までの適地適産は主産地区を形成するということで、奨励することこそやれ、縮小させるべき筋合いのものじゃない。ところが、この芝浦の問題にはネックになって、隘路になって、河野農政が示す主産地区形成なり、あるいは畜産振興なり、こういうことが阻害されている。それに東京都が主管する問題なので、国としてもどうもやりづらい、困るのだ。困るのだというようなことは、われわれ何としても納得いかない。国がやってくれるなと頼むようなことでも、逆に、国がその責任を持つ、責任を持つと、よけいなことまで責任を持って、法律的な強制をしたがるのですよ、この国の政府は。実際に芝浦市場については全くの低勢、よたよた、よたよたと何年続けたと思うのです、この問題は。ようやく河野さんが、何か芝浦屠場の視察だなんて、このことお歩きになって、今ごろ視察したってしないったって、あそこの現況なんというものはわかっておるのでしょうが。だから私は、なぜ取引の現況なんて旧態依然たる、何ら改善されないそういうことが、今日の段階でもそのまま報告されるのか。その原因、障害はどこにあるのか、赤裸々に御説明を願いたい。森さん、私が口をとがらしているから攻撃的に思われるでしょうが、あなたを応援しておるのですよ。
  94. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 卸売業者も、再三の説得でだいぶ気分が変わって参りまして、特に最近、衆議院の農林委員会等でも、視察の際に大臣をお呼びになりまして、強力な要請をいたしまして、すぐ緊急総会等も開きまして、態度を改めて参っておりますので、やはり問題は自分のそろばんがどういうことになるか、こういうことで、個々の立場では、それぞれ自分の今までの営業関係を心配しているのが、一番の障害の問題であります。そういうことで過去においてはそういうことであったのでございまするが、だいぶ空気が変わりておりますので、小笠原さん等皆さん方の御叱声なり御激励に応じまして、私どもも少なくとも、期限は申し上げられませんけれども、二、三ヵ月うちには、早く中央卸売市場にやろうということで、畜産局全員及び東京都のほうも異常な関心を持って月下折衝中でございます。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ、またあとでその点もやりますけれども、一つ補足的に説明願いたいのです。芝浦屠場における取引員といいますか、卸売業者といいますか、これは屠場における卸売の段階だけでもうかっておるのですか。それとも産地から博労等の集荷したものを買い込む、あるいは集荷せしむ、そのことによっても、その段階でもマージンが入るようになっている、結局産地価格と小売までの問のあれを中間におって、一人占めにする姿勢になっているので強硬にがんばるわけですか。どことどこの段階でこの卸売業者というものは仕事をしているのですか。
  96. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 現在、芝浦におげる卸売人は七十四名おりまするけれども、取引室内で仲買い、または小売に売り渡すものと、場外に持ち出して、自分の店舗あるいは骨はずし等をやって直送するものとありますけれども、約半分が自己屠殺の形で外へ出ていくもの、約半分が取引の形で取引室で取引されている現況でございます。しからば卸売業者の、全販を除きましては、全販は単協二%、県段階二%あるいは一%、全敗段階で一%、はっきりと委託手数料主義でやっておりますが、卸の関係では大部分のものがつぶし上げという形態で屠殺解体して、卸売商から出荷者が卸売商を信用して、そうして所有権は現物を卸売商に引き渡したときに卸売商に移っていると見るべきであります。卸売商の得る利潤は委託ではないから、手数料ではなく、差金であります。したがって、どの程度の差金を取るかは、卸売商の自由でございますが、実際はこの取引は卸売商にとって全然危険負担がないので、出荷者に対しては最も有利に仕切ることのできる方法となっておりまして、現在最も多く行なわれている方法であります。この方法は近代的契約の観念から見て、内容が非常にばく然とした印象を与えまして、往々にして世間から非常に非難を浴びておりますが、この場合出荷者とは、出荷者といいますのは家畜商等のくろうとでございますので、卸売商の一方的な取引で押しつけるということもないと思いまするけれども、何しろ屠殺解体して、そうしてあとの卸売商のもうけは、枝肉重量を基準にしてキロにつき何丁というふうに呼ばれて差益を取っておるわけでございますので、なかなかその間の分析というものはわからないくらいに、こちらのほうもまたむずかしい内容になっておるわけであります。で、取引室で行なわれるものは、御承知のとおり売手と買手と、それから市場員との三つの伝票でやられまするけれども、牛についてはいわゆるそでの下で指を握るとか、ただ豚についてはかけ声でやっておりまする関係上、伝票とあと以心伝心の話し合いの通じと、あるいは税法上等との関係から、市場の伝票に回る数字とほんとうの取引数字というものは、私まだしろうとでございまするけれども、なかなか一致していないのじゃないかという点も考えられるわけであります。私どもといたしましては、卸売商を十分説得いたしまして、早く公開取引に持っていきたいと存じます。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、取引が公正でないということだけでなくて、いろいろな嫌疑がかかるような行為が行なわれているわけですね。ですが、その点はまあやめておいて、卸売業者が、地方産地の集荷した家畜の業者ですね、いわゆる博労ですが、これから頼まれる、売ることを頼まれるというのですか。それともこの卸売商へ売り渡すという形をとっているんですか。
  98. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 商法的な契約の考え方からいいますと、買い取りということに解釈される場合が多いと思います。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そして資金的には、もう地方で、それぞれのお得意があって、このAならAの卸売業者は何県のどこはだれというふうにお得意先があって、そこに日常的に資金的なめんどうまで見ておって、そうして集めさせて自分の手元に持ってこさせる、そういうようなことまで行なわれているのではないのですか。
  100. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 安定した卸売商は、やはり全国網といいますか、集荷網を持っておることが常識であります。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、差金などといいますけれども、その間における利潤的なもの、まあそういう家畜商まで手を伸ばすということは、利ざやの幅が非常に大きくなるんだという意味でそういう点が行なわれる。単なる仲買い的な行為よりは大きいというところに妙味があるわけですか。
  102. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) そういう点で妙味といいまするか、仕事の励みがあると思いまするけれども、もう一つの点は、相場の平均ならともかくも、取引員同士の間の何といいますか、きょうはこういう値段であったという基準価格を、それぞれ個々で取引しておりますから、基準価格を話し合いで決定して発表するというところが、われわれとしては非常に問題であるわけであります。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが国として何ら規制ができない、根拠的な法律もない、何ともしょうがない、それが現状までの現実だったわけですか。やってやれることだったのですか。やれない、やるべき筋合いのものじゃないということだったのですか。
  104. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 法制的にいいますると、屠場を使用させる権限は、東京都にございまするので、理屈から言いますと、一ぺん御破算で、言葉がちょっと過ぎるかもしれませんが、一ぺん御破算でやめてもらって、入場もみんなやめてもらって、そうしてこういう方式でこうだということで法律的にできないことはないわけです。使用させて屠場で使用料を、屠殺料を出さしてやっておるわけですから、何といいますか、従来の関係はございましても。だけれども、これはそういう意味では東京都で絶対やろうと思えば、一ぺん追い出してしまいまして、追い出すというか、御破算でこういう方法でやるのだ、そういう方法でなきゃ取引室は使わせないのだ、屠殺は別ですけれども、取引室は使わせないのだということをきめてしまえば、これは都有ですから、できることであります。したがいまして、われわれといたしましても都としましても、一ぺん出さなくとも、話で六十数名の者がそれぞれ部署をきめて、そして卸人は少なくとも一本でなくとも、それぞれの取引室では一社ぐらいにして、今せっかく取引人同士でも六班に班を組んでやっておる現状でございますので、そういうことでやろうと思えば、まあ卸売業者の良識に待って、御協力に待ってできると思いますし、最近の情勢でも相当そういう機運が起こっておりますし、ぜひやりたいと、そう先も長いことではないと思います。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 東京都だって、安井さん時代とは違って、東さんにかわっちまったのだから、旧来の因縁がどうあろうとも、私は知らぬけれども、そういうものはもう案外ていねいに考える必要がないことなんで、東京都として都知事が一千万の世界一の人口を持つ都民の台所の問題にすぐ影響する芝浦一つの問題に何ら手をかけない、こういうようなことを国の立場に立って見て、怠慢といおうか何といおうか、けしからぬというふうなお考えは、農林省当局としてないのですか。
  106. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 私どもも、早くそういうことをやろうというわけで、三十三年に四千円の補助金を出して御了承願ってやったわけでありますが、やはり理屈以外のことで都に陳情してみたり、いろんな話が進む途中でまた個人的に陳情して、都議会に陳情してみたり、そういうようなことは過去にあったわけでございますけれども、大体空気は、特に農林省がまた芝浦の価格まで告示しないものですから、いよいよ卸のほうもこれはたいへんだということで考え方を改めたようでございますので、もうしばらく暫時御猶予を願いたいと思います。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 見通しとしては、さっき話しました、国なり都内なりの手でもう別途第二市場的なものを、それへつながるいろいろな施設的なものを、こういうものを考えていかざるを得ないところまできますか。それともあんた、今お話しのように、業界の自覚に待って、芝浦の設備の増強ということで問題は解消するという見通しを持っているのですか。どっちですか。
  108. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) こういう問題がなくとも、現在の市場が完壁ではございませんから、第二市場の問題を至急検討しておるところでございますが、それとも合わせてその問題を解決すれば、また卸の問題について結びつけて考えれば、なおやりやすいと思います。
  109. 戸叶武

    戸叶武君 これは豚肉の問題だけじゃありませんが、東京都に責任があるにしても、国で十分監督できるのですから、この豚の問題に対して、農家から買い上げたときの値段は幾らだったか、それから出荷者の手に渡ったときは幾らで、今度は卸商へ幾らで渡ったとか、そして小売商には幾らで渡ったとか、その間にいろいろばらして骨を取ったり、それからあぶらを取ったり、いろんな過程があるけれども、そして末端の消費者に行くまでには幾らにしたと、そのデータは私は農林省の畜産局の責任で、農林省なりあるいは東京都に委嘱するなり、いろんな方法でこれはできると思うのです。そのデータをいつも取らないから、これば豚肉だけの問題じゃなくて、砂糖の問題も硫安の問題もみんなそうです。この流通機構の流通過程におけるところの合理化のメスを入れるのには、どうしてもその間において幾らで買って幾らで売り渡されたか。生産者から消費者に渡るまでの流通過程における価格の変化というものを、正確に私はつかんでいかなければ、いろいろな論議があっても、論議が意味がなくなると思うのです。これは最近においては牛乳の問題もそうですが、御承知のように牛乳はわれわれは十円牛乳を三、四年前に飲んだことがある。そうすると、その次いつの間にか十二円になり、十四円になり十七円、今度二十一円になる。けさ牛乳配達が言ってきたのでびっくりしたのだが、それではどこの国の統計でも見てごらんなさい。生産者から離れたときの牛乳の値段の倍以上で消費者に渡っているところはない、日本だけなんだ。この流通機構におけるボス勢力がいろいろな形で割拠して、そうして流通過程におけるいろいろなピンはねというものが盛んなんだ。そうして三倍ぐらいになっちゃう、牛乳の場合は。そこに大衆消費に移らない、大衆購売力というものを広げていかない。豚肉でも牛乳でもそうです。政府が幾ら奨励したって、ピンはねする専門家がそこにずっといるのだから、ほんとうにこういう正確なデータを持って、そうしてどれだけで買われ、どれだけで使っていくのが妥当か。たとえば牛乳の問題でも農家から買った、それが輸送せられてメーカーの手に入った、メーカーの手で低温殺菌をやって、そうして今度は小売商の手に渡る、小売の販売店に渡った、販売店から消費者に渡る、こういう幾つかの段階があるけれども、その段階ごとに、どれだけの費用をかけていいかというのは、その数字が正確に出ればそこから出てくる。それを日本の役所は怠慢でとらない。硫安の問題で一年戦ってみたが、とにかくその時分の通産省の肥料部長は、あぶら汗を流しながら、とにかく材料を出さないで、姿がいなくなったと思ったら、硫安工業会の理事長が握っちゃった。みんな、畜産局だってそう。みんなすぐどこかの畜産会社なり、明治なり森永なり、どこかが拾い役になる。ほんとうに日本のカルテル組織というかトラストというか、そういう大きな力が役所を支配して、そうしてしかも政界のボスがそれに結託して日本の流通機構というものを不純なものにしている。これは前に私朝日新聞にいたときに、魚市場にメスを加えたことがあったのだが、徹底的にメスを加えていってごらんなさい。これはこんなことではとにかく国民がもう承知できない段階に来ているので、政府は施政方針演説で流通機構に対して抜本的な改正をやるといって、二、三年来やっているけれども、一つも実績が上がっていない。やるやるといっておどかしちゃ、幾らが陳情があったり、お上がりがあったかどうかわからぬけれども、適当にぼかしてしまう。こういう形で、日本の生産を停滞し、それから生産者をいじめ、消費者を苦しめているところの機構の悪循環というものに対して、どこに問題点があるのか、どこにメスを入れるのか、どこに妥当なコントロールをやるのかという具体的なデータをそろえなければ、われわれの審議というものは意味がないので、この問題でも豚肉の問題でも、今後われわれがほんとうに国会の審議権というものを権威あらしめようとするならば、政府みずからがわれわれの要求するところのデータというものを正確に出してもらいたい。出せないはずはない。そういうものを出してきての上の検討でなければ、なかなかむずかしい、複雑で困難でだめです、こういう子供だましのようなことを幾たびか繰り返していては、何にもならないので、今度は本格的なメスを、政府が大上段に流通機構の抜本的改正をやるというのを振り上げてきたのだから、それを受けて、われわれはこれで戦わなくちゃならないのだから、もういろいろな長い間の論議を重ねるより、政府のやいばが政府の心臓をある場合には突くかもしらぬが、とにかく材料だけは出してもらいたい、出した材料で突くから。とにかくわれわれがそれだけのことをやらなきゃ、これは一度やらなければこの問題は片づかない。ですから、もうどんどん今後は資料請求しますから、行政機関として資料を立法府に出すというような当然なこの委員会においても決定をみているのですから、前にこりて。どうぞそういう意味において私たちは委員長を通じてそういう資料要求をやります。どんどん具体的な数字を出して下さい。数字を出してこなけりゃ、われわれはいつまでたっても本格的な審議に入らぬということを、いつでも開き直って言いますから。そういうことを要求します。
  110. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 実際にね、統計という問題でも、あんたのほうからいただいたこの資料で見ても、産地価格とか、卸売価格とか、小売価格とか、この統計はこんなに差があるのかと思って見たけれどね、これは信用できるかどうかという段になると、同じケースで調べたものでないからわからない。一方は農林省の統計部、一方は日銀、一方は内閣の統計局、それをただ抱き合わしてこう並べただけで、こういう傾向にあります、推移にありますということだけでは、何か物足りないね、やはりきちっとつかむものをつかんでおいて、それから施策を講じられるというふうになりたいものですね。まあどっちにしましても、われわれの言うことは、主産地形成だなんていう前に、商地適産のそれでもう豚の価格が値下がりで、借りて豚舎を作り、飼料を買って百頭だ百五十頭だと買って、さあこれからいいぞと思ったものが買いたたかれるというか、安売りで借りた金も何も払えないというのは、うちの岩手県内でも起こっておるのです。こういう者には泣かせ、そうして利ざやだけ、利幅だけ、小売り価格もそう下らぬということで、どっかに消えてしまう。これが農政なんだといって、将来主産地形成ということで、だれがこれに食いついてくるか。きょう地方の新聞を見たら、そういうひどい月にあわされた市が、今度なんとかの指定地域というものを運動して指定地域になった。そうして指定地域になってまたこういう損害の上塗りをどこかがさせるというのは、これは罪なことですよ。それにはやっぱりこれは中央の芝浦、これに徹底的にメスを入れる、あるいは主産地県に対してさっきも話しましたが、やっぱり屠場、冷蔵の設備なり、そういうものを置いて枝肉を貯蔵し、市場との間でコントロールして、適宜需要に見合って供給する。いろいろなそのコントロールできるような施策を考えるべきではないかと思うのですね。本格的にはあとで質問するのですから、これだけにしますけれども、なんか芝浦と聞くと、私らしろうとは天皇陛下よりもえらいところだなと思うのですよ。なんでこんなになったか、政務次官は黙っていますけれども、農林大臣、農林省全体が責任を感じないのですか。じんぜんこういうふうに何年がかりでものにならない。
  111. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 大いに責任を感じでいますので、私どもとしては現在みな努力をいたしまして、御期待に沿うよういたしたいと思います。
  112. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) それでは、他に御発言もないようですから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————